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oude dagboek

日録2006年1月


31 januari 2006(火) ※ 真夜中に早起きして

◇午前1時半起床.気温1.7度.ぜんぜん寒くない.今日からは雨模様だという.

◇研究所に直行.即,原稿を書き始める.書いてます書いてます.やりますやります.午前5時までに“執筆エンジン”がだいぶ暖まった……(汗).

◇未明までは晴れていたが,しだいに雲が厚くなり,気温降下.午前5時の気温は零度ちょうど.

◇早朝のこまごま —— 計量生物学会の査読原稿に関する事務連絡メール./ 進化学会のちょっとしたお答えメール.

◇たいへんご心配をおかけしました —— 向こうはまだ何か「発音」しているみたいなので,間髪入れずに反論の返事を書く:

○○○さま:

私が運営している○○○○○○における貴兄への投稿禁止処分と,今回の○○○との間には,貴兄自身の心情的な要素を除いては,何の因果関係もありませんね.その点は誤解なきように.
上にも述べましたように○○○○○○での貴兄の行動に関連する○○の対応については,私の与り知らぬことですので,こういうメールで強制的に周知させるというのは客観的にみて「許容されない行動」ですね.以後お気を付け下さい.
なお,貴兄のブログ(「○○の○○の○○○○」)では,さまざまな関係者の実名あるいはすぐにそれとわかる指示表現で(しかも貴兄は匿名のまま),一方的なコメントを繰り返されています.これは,社会通念上からみて「許容されない行動」だと私は判断します.
もちろん,私は一般社会の中では〈神様〉ではありませんので,これ以上ここで言うべきことを持ち合わせていません.

とりいそぎ.
三中信宏

ぼくの人生にとってはもはや関係のない人なので,どーでもいいのだ.ホンマ,賢おすなあ,あんさんは.何でも好きなようにしやはったらよろしいやん.

◇昼前に別宅にて原稿を書き続ける.やっと15枚分ほど書き上げて,正午に待ち合わせ場所へ.“年貢”を納めてしばし懇談.今年の風邪にはご注意を.>お代官様.

これでやっと現代新書の第3章まで完了.この章だけで60枚ほど書いたことになる.図も多いし,かさばるかもしれない.第4章とエピローグは軽くいきましょー.

◇昼過ぎに雨が降りだす.研究所に戻り,次期組織体制に関する第1回ヒアリング.なんとも曖昧模糊としていて,意思決定に窮してしまう.もやもやした組織案には,もごもご答えるしかない.時間のムダというには重要事項過ぎるのだが…….

◇げ,ちうい —— ぜーったい誰も読まないはずだからと早合点してコッソリ書いてはいけません.>ぼく.

でも,いつもそーいうカクシわざを使っているわけではありませんので,過去を掘り返したりなさらぬよう……>南部坂の某氏.

叢書名(仮)は〈確率と情報の科学〉だそーです.ハイ.※あ,これ,オモテか.

◇昨年末にばたばたとつくった JST 領域探索プログラム〈人間行動と社会・文化現象の進化と適応をめぐって〉の報告書が届いた.今月内におさまってよかったです.口絵カラー図版を含めて170ページあまりの厚さに仕上がった.JST 関係の業務はこれをもってひとまず完了となる.

◇メモ —— ハヤカワのポケミスでは「ロバート・ファン・ヒューリック」と英語読みで表記されてきたわけですね.『中国のテナガザル』の著者は.

◇昨日,『科学』から依頼されたコラム「心にのこる1冊」は,Gareth Nelson and Norman Platnick『Systematics and Biogeography : Cladistics and Vicariance』(1981年刊行,Columbia University Press,ISBN:0-231-04574-3→目次)を取り上げようと思う(2,800字).大学院生だった頃から現在にいたるまで大きな影響を受けてきた本なので,ターゲットとしては申し分ないでしょう.Webcat Plus でいま調べてみたら,国内でこの本を所蔵している公的機関は20館に満たない.日本での影響力は小さかったのかもしれない.ただし,私蔵している人はもっといるのかもしれないが.

◇霧雨が降り続く.明日は本降りになるらしい.如月は私的な3連休に始まる.

◇本日の総歩数=8126歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.4kg/+1.2%.


30 januari 2006(月) ※ ペッピーノさん,ぼく,まっくろです

◇午前5時半起床.ここのところ毎日早く寝ているはずなのにしっかり6時間も熟睡できてしまうというのは,季節が冬から春に変わりはじめたからかも.

◇また月末が近づいてきたのだが,仕事の進捗はよろしくない.あと2日でじたばたしないと.ほんと,先行きが見えない“まっくろ”って感じで…….今週は新組織体制に向けての個別ヒアリングというのがあるのだが,後半は年休を取っているので,主要成果検討会の翌日の明日かな.これもさらに“まっくろ”ですな.

◇「リミッター外して」 —— 実に恐ろしいことです.焼き肉につられてそういう“結界”にうっかり足を踏み入れるのは身の破滅だと思います.ありとあらゆる“魔”がカンジェロのごとく侵入してくるでしょう.こわー.むろん,即,撤収です.

◇瞬間的に医院とのピストン移動,のつもりが時間を喰ってしまう.

◇午前のこまごま —— mixi のとあるコミュの運営に誘われたのだが,とてもとても時間がありまっしぇん.もうしわけありませんがご辞退ね./ 今年の農環研の一般公開は4月19日(水)に決定./ 国立科学博物館の公募情報(植物分類学)を関係メーリングリストに流す.

◇ここのところ,研究室の「実質的滞在時間」が極小になっている.いるんだけどいない状態.できることなら,いないけどいる状態であってほしい.今日も午後は暖かい“外”に実在する.ごめんごめん.

◇もう締切が過ぎている査読原稿を読む.着眼点としては妥当だしおもしろいのだが,論議の展開が「ゆるっ」としてませんか.月が変わらないうちにオンライン報告しないといけない.

◇午後4時前に TX つくば駅にて岩波書店『科学』編集長氏と落ち合う.〈なかやま〉にて統計科学の次期叢書についての打合せ.幾何学的形態測定学に関する単行本の企画で,仮題は『かたちをはかる:生物形態の数理と統計学』でどんなもんでしょ? 分量は250ページ.400字詰×500枚.これまた来月までに目次案をつくらないといけない.ついでに,『科学』の原稿も上乗せされたりして…….午後5時過ぎまで.※ついでにしまりす君をいただく(感謝).

◇午後9時に寝てしまう.ダウンです,はい.明朝は超早起きしないと.

◇本日の総歩数=6943歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.4kg/−1.1%.


29 januari 2006(日) ※ 紙つぶてはやっと弾切れる

◇午前5時半.冷え込む.窓の外にぶら下げた温度計は“マイナス7度”を指しているが,まさかねー.

◇書評アップ —— 松永俊男『ダーウィン前夜の進化論争』(2005年12月20日刊行,名古屋大学出版会,ISBN:4-8158-0529-6→目次)の書評を〈leeswijzer〉に公開する.メーリングリストには週明けに流そう.

◇日中は暖かく晴れる.イマイチ仕事が乗らず.これはきっと“毒”が全身にまわりつつあるにちがいない.呪いの666ページのまま先に進まなかったのが元兇だろう.今後のためにも,谷沢永一『紙つぶて:自作自注最終版』(2005年12月5日刊行,文藝春秋,ISBN:4-16-367760-7)を“完食”することにした.昼下がりの活字満腹は健康にとてもよろしくないが,残り300ページを一挙読了.これで1,000ページの「つぶて」も弾切れだ.“毒”も“皿”も何もかも.

特定の相手を褒め上げるにも,貶しまくるにも,その理由がぼくにはほとんどわからないので,ああ五月蝿い,やかましいって感じ.“アク”を丹念にすくい取ったあとの,珍しい本の情報やエピソードの上澄みだけそっとすくって味わう.“アク”も味のうちという立場からすれば,この書評本を真に味わったことにはならないのかもしれないが,原液のままでは毒気が強すぎてカラダによくない.関ヶ原の溜まり醤油をそのまま飲んではいけないのと同じこと.

◇夕方,気分転換に別宅にて仕事をと思ったのだが,西向きの部屋が何だかぽかぽかとしていて,イマイチはかどらず.よろしくないなー.暗くなってから本宅に戻る.

◇天気がいいと引き蘢りには向かない.そろそろ冬眠から目覚めよと呼ぶ声が聞こえ.

◇本日の総歩数=6025歩[うち「しっかり歩数」=1761歩/15分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg/−0.6%.


28 januari 2006(土) ※ 春めくウィークエンド

◇午前5時半起床.晴れているが冷え込まず,氷点下にはなっていないようだ.

◇午前中は別宅にて仕事 —— 松永俊男『ダーウィン前夜の進化論争』(2005年12月20日刊行,名古屋大学出版会,ISBN:4-8158-0529-6→目次)の終章「さまざまな進化論」を読了.ダーウィン「前夜」のさまざまな進化論の一般社会の中での“読まれ方”と“受け入れ方”を考察し,それが現代社会にも通じるメッセージをもっているのではないかと著者は示唆する.たいへん教訓的で,いまの進化学に関係している,あるいは関心をもつ読者にとってはこの終章だけでも読む価値があるのではないかと考える.

日本における進化学史の特徴として,生物進化が学問研究の対象とみなされてこなかったと著者は指摘する:

生物学の専門家が進化論を研究対象にしないという姿勢は,近年まで続いてきた.なぜ,日本では,生物学の専門的な研究が進化論に結びつかなかったのだろうか.これは生物学だけの問題ではなく,日本文化の特質に由来していると思われる.生物学の特定の分野で研究を進める上で,必ずしも進化論を意識する必要はない.欧米の生物学者が進化の問題を意識するのは,キリスト教との関係が直接のきっかけになるにせよ,根本的にはものごとをトータルに体系的にとらえようという西洋的な発想によるものであろう.ことの善悪は別として,日本にはこのような発想法がない.日本の生物学者がそれぞれの専門領域で業績を残すことに集中するのは当然の成り行きであった.(p. 230)

日本人が,概念的体系ではなく,具体的個物に執着する文化的背景があったことは,西村三郎の大著『文明のなかの博物学:西欧と日本(上・下)』(1999年8月31日刊行,紀伊國屋書店,ISBN:4-314-00850-4 / ISBN:4-314-00851-2→書評)で博物学に関連して詳細に論じられている.

確かに,進化学研究が十分に専門化して論文を書き業績を上げることができる現在の状況を見慣れてしまうと,一昔前には上に描かれたような時代もあったのだということが想像すらできない世代もこれからは増えてくるだろう.しかし,このような進化学の学問としての専門化が進むと別の問題が表面化すると著者は警告する:

一九九九年に「日本進化学会」が設立されたことにも表れているように,現在では進化論の専門家といえる研究者が日本でも育っている.これは,自然選択説が理論的に精密になり,また,遺伝子の塩基配列が明らかにされてきたことにより,進化論でもペーパーが書けるようになったためである.その結果,専門家の進化論と,一般通念としての常識的な進化論との落差がますます大きなものになっている.(p. 231)

“進化学コミュニケーター”のような人材が今まで以上に切実に求められているのだろう.著者は,チェンバーズらの著作が社会の中で広く深く長く受け入れられたという史実を踏まえ,「進化論」をめぐる乖離についての今と昔を見渡し,次のように総括する:

現在では日本にも生物進化の専門家といえる研究者が生まれている.彼らが進化論の解説書を出すこともあるが,それが広く読まれることはない.逆に,現代生物学の成果をろくに理解していないジャーナリストの著書が驚くほどの売れ行きを示し,間違った知識を広めている.一九世紀のイギリスの状況と同じである.[・・・]現在の科学の専門家は専門家集団の中だけで活動しているので,彼らの知見が一般社会でどのように理解されているかについて,ほとんど関心を持たない.中には,非専門家の誤解にいきり立って,正しい知識を広めようとする専門家も現れるが,その努力はほとんど報われない.読者は読みたいものを読むだけなので,科学的にはいい加減でも楽しく読めて共感を呼ぶ著作に飛びつく.まっとうな啓蒙書を手に取ることはない.だからといってそれを放置しておくのも,専門家として無責任だろう.半ばあきらめながらも,ねばり強く啓蒙活動を続けるほかはないのだろう.(p. 232)

シシュフォスの苦役か,はたまた賽の河原の石積みか —— “関係者”のみなさんは覚悟しましょうね.

同じ著者による『ダーウィンの時代:科学と宗教』(1996年11月20日刊行,名古屋大学出版会,ISBN:4-8158-0303-X→書評・目次)の続編に位置づけられる本書は,前著と同じく進化生物学史の力作だ.前著は石川九揚の表紙デザインだったが,本書のカバージャケットも“工作舎”っぽくてなかなかいい感じだ.近年,数々の話題作を出し続けている名古屋大学出版会だが,内容だけでなく,装幀でも抜きん出ているということか.

◇ときどき, Creo や Q't あたりを徘徊する.今日は日射しも暖かく,春めいている.ときどき風が冷たいのは冬のままだが.

◇珍しいことに mixi 経由でソーバー本の注文がメールでやってきた.アマゾンの古書店では「15,000円」という原価の3倍もの値段がついているとのこと(確認しました).古書界に流れた在庫そのものが「ない」のだからしかたがないですね,こればっかりは.※mixi の元記事にコメントを付けた.これってひょっとして mixi での初めての書き込みになるのか.ずっと潜伏していたしね.

◇午後は本宅で引き蘢る.翻訳したり,査読したり……(いずれも進まず).

◇形態測定学のツールとしての「フーリエ解析」は手法としてすでに十分に枯れ上がっていて,安心して熟練することができるだろうと思われます.一方,「スプライン」な手法はすでに30年近い歴史があるにもかかわらず,いまだにどんどん変化している.これはツールとして使い慣れるための基本条件を満たしていないということではないですかね.どんな学問分野にしても“教科書”と呼べるものが登場して,初めて分野としての“落ち着き”がもたらされると思います.幾何学的形態測定学の場合,ここ数年のあいだに教科書的な本がようやく出はじめたので,esoteric な雰囲気は今後は徐々に薄れていくでしょう.それでも,統計学的系統学よりはハードルは高いでしょうね.

◇もう夜になってしもたがなー.

◇本日の総歩数=6128歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=+0.9kg/+1.6%.


27 januari 2006(金) ※ フラッグが振られまくる

◇午前5時起床.晴れてはいるが,冷え込みはたいしたことない.マイナス1.4度.糸のような三日月が東の空に.

◇早朝のこまごま —— 修正した人事書類を理事長宛に送る.この件はこれでおしまい./ 幾何学的形態測定学に関する質問メールに返信する.tps ソフトウェア群をダウンロードしたものの,使い方と解釈でボー然としている学生・院生は潜在的に少なくないのかもしれない.やっぱり「1冊」書く必要はあるのだろうな.

◇今日は昨日以上に暖かいみたいで,日射しだけはもう「早春」を感じさせる.

◇方々からフラッグが振られている…….(ちゃんと見えてはいるんですよー) —— まずは,またまた堆積しているメーリングリスト関連作業をば.これは完了./ そろそろこちらも“見切り発車”が必要な名古屋大学文化情報学部の講義シラバスをつくる(まだですぅ……)./ ふたたび新宿の上空からセイレーンの唄声が〜./ 年頭の一声ご発声をしたがっている〈殿〉にいるっ.進化学会の役員リストのチェ〜ック.

◇割に暖かめの昼休みは残雪を踏み分けつつ歩き読み —— 松永俊男『ダーウィン前夜の進化論争』(2005年12月20日刊行,名古屋大学出版会,ISBN:4-8158-0529-6→目次)の第III部〈ダーウィン前/後〉を読了.リチャード・オーウェン(第8章)とジョージ・マイヴァート(第9〜10章)について.ダーウィンの「影」にかすんでしまった同時代人たちに光を当てている.とくに,マイヴァートの業績を再評価しているところに注目したい.

本書にかぎらず,松永さんの著作では,進化学・博物学に連なる歴史的人物の“二列目の人生”(あるいは“三列目の人生”)に光を当てることがよくある.後世にその名を残す“一列目”の主役だけではなく,“後列”に並ぶ脇役たち(しかし当時は主役と同等あるいは以上に名を売った)にもちゃんと目を向けようとする姿勢が科学史の研究では不可欠であることを読者に語りかける.

◇夕方のこまごま —— 朝日カルチャーセンターの宣伝文.チェック完了./ 進化学会評議員リストのチェック完了./ partitioned Bremer support index に関する質問への回答メールを送る.もう外は暗くなっている.

◇オアハカ! —— 今年の Willi Hennig Society の年次大会(Hennig XXV)はメキシコのオアハカで開催されることが決まった(14〜17 August 2006).参加登録はまだ始まっていないようだが,これは何としても行かねば.

◇その後もなお書類書きは延々と続き,夜10時半にやっと名古屋大学のシラバスを書き終える.関連事務書類とともに教務掛にメール送信したのは11時過ぎのこと.

こんな感じの内容になります(>I勢田さん) ——

【講義名】メディア社会系特論I(名古屋大学情報文化学部)
【担当者】三中信宏(非常勤講師)
【学年】3・4年
【単位数】2
【講義目的】進化生物学・系統生物学がたどってきた現代史とそれを担ってきた研究者コミュニティの動態をケーススタディーとして考察することにより,個別科学が科学史・科学哲学・科学論とどのように関わってきたのか,そして関わっていくべきなのかを論じる.
【授業内容】集中講義なので,大まかな全体構成を記しておく.生物のたどってきた進化史や系統発生を研究対象とする学問分野は,進化学(evolutionary biology)とか体系学(systematic biology)と呼ばれている.これらの研究分野は,過去に起こった現象を論じるがゆえに,直接的な観察や実験によって結果を得るというタイプの実験科学ではなく,むしろさまざまな証拠から妥当な説明を絞りこむという意味で歴史科学に近い性格をもっている.従来的な科学史・科学哲学は,典型科学としてたとえば物理学を念頭に置いて論じてきたわけだが,それは進化学や体系学にそのまま当てはめるわけにはいかない.ここで興味深いことは,進化学や体系学の過去1世紀の歴史を振り返ると,依拠すべき科学方法論や哲学をめぐっての論争が繰り返され,それがこれらの個別科学の現代史を推進する原動力になってきたという事実である.まずはじめに,これらの科学の研究とその歴史について解説し,個別科学にはそれぞれの学問系譜の伝承に由来する学問的性格と個性があること,そして研究者コミュニティの動態が科学を進める力を生んでいることを理解してもらう.そして,現場の科学者が科学という行為をする際に,科学に関する知識(科学方法論・科学哲学・科学社会学 etc.)が「武器」としてきわめて有効であったことを示す.科学論が個別科学の武器としてどれくらい有効であるかという視点から見たとき,科学論がもつべき新たな属性 — グローバルな科学論ではなく,ローカルな科学論であること — が現われてくることを理解してもらいたい.科学そのものが分岐する知の系譜であるならば,科学論もまた — 地域密着型 — でなければその系譜をうまくフォローできないだろうということである.

◇ここまでで今日の「フラッグ乱舞」のいくつかは解消したが…….←この「……」はなんやねん?

◇本日の総歩数=11568歩[うち「しっかり歩数」=7824歩/64分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=−0.3kg/−0.5%.


26 januari 2006(木) ※ “粗暴”なチャウチャウ犬,今日も奔る

◇午前5時起床.晴れて三日月.気温マイナス0.1度.

◇きのう,『Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics』の最新刊(Volume 36,2005年12月刊行,Annual Reviews,ISBN:0-8243-1436-0→目次)が届いた.1989年につくばに就職したのを契機に,それ以降ずっと私費購入しているのだが,Informative なレビュー本を毎年出し続けている「継続の力」というのはたいしたものだと思う.その年のもっともホットな話題がピックアップされているから.Jack Sullivan and Paul Joyce「Model selection in phylogenetics」(pp. 445-466→アブストラクト)なんてのもありますぜ.>……さん.

◇「継続の力」といえば —— 確かに〈EVOLVE〉の“生長量”は会員たちが参加する時間の減少とともに逓減しつつあると思います.その逓減が何に起因するかと考えてみますと:

  1. よく発言していた主力メンバーがそれぞれとても忙しくなってきた
  2. メーリングリストだけではなくウェブサイトやブログなど他の情報交換手段が利用できるようになった
  3. もともと ROM が多かった
というような項目が挙げられるでしょう.「1」は年月が流れればそれなりに不可避なことなのでしょう.個人の仕事上のキャリアが長くなれば,それにともなって責任や業務が増し,忙しくなるのは当然予想されることでしょうから.「2」はメーリングリストというスタイルがすでに古いタイプのコミュニケーション手段であるということかもしれません.それ以外のより新しい手段との併用を考えるとき,自然な使い分けがなされていくでしょう.「3」はこのような実名のメーリングリストではよくあることですが,とりわけ日本の場合は実名では発言したくないという会員の比率が高いと感じられます.それは,たとえば〈TaxaCom〉のような同じ趣旨をもって設立されたメーリングリストと比較してみれば明らかですね.

一方で,“現存量”という点で考えてみると,これまでの論議の「蓄積」の量はばかにならないものがあります.このようなスレッド集合(系譜)が残されているということは,「継続の力」のなせるわざでしょう.少なくとも会員であるかぎり,過去のログは自由に検索できます.1993〜1997年に活動していた〈Darwin-L〉は,ぼくが〈EVOLVE〉を1994年に開設するときにお手本にしたメーリングリストですが,開設者の Robert J. O'Hara さんはいまでも過去ログをきちんと管理していて,実際にそれを検索してぼくの発言にたどりつき,質問メールが来たこともあります.

—— このように考えると,メーリングリストへの投稿による短期的な“成長量”だけでなく,それが継続することによって長期的に形成される“現存量”にも目を向ける必要があるのかなと思います.〈EVOLVE〉はすでに“草原”を脱して“森林”の遷移段階に達しているでしょうから.

◇午前中はコッソリ隠れて人事書類づくりに耽る.※別にワルイことをしているわけではありません.

◇そのついでに,次なる“手”を考えている.ただではすみません.

◇昼休みに研究所に直帰.晴れて,北風がとても強い.気温7.6度.昨日よりは暖かいようだ.日なたの雪はもう融けはじめている.

◇新刊着便 —— 中尾佐助『中尾佐助著作集・第VI巻:照葉樹林文化論』(2006年2月25日刊行,北海道大学出版会,ISBN:4-8329-2901-1→目次).この巻をもって本著作集は完結した.誰もが[なんとなく]知っている「照葉樹林文化論」のルーツということで.→中尾佐助著作集サイト

◇午後1時半から2時半まで,〈文化系統学〉セミナーの第3回目.先週に引き続いて Chapter 2「What is a culturally transmitted unit, and how we find one?」 (Richard Pockington) を最後まで読む(pp. 23-31).文化的伝達単位(CTU)を決定する具体的な手順についての解説がなされる.“ミーム”という言葉は一般に浸透しているが,学問的にはすでに破綻している.したがって,著者は文化進化の単位としての CTU をミームと呼ぶことには抵抗する.むしろ,文化進化や文化系統を解明するのに有効な「適切な大きさ」をもつ単位をきちんと設定できる[操作的な]手順が必要であると考えている.その理由は,単位を小さく取りすぎると「変異」が少なすぎて淘汰のターゲットになりえないのと,低次の系譜が共生的に形成する高次単位を見逃す危険性が高まるからだと言う.文化進化において以前から重大視されてきた多元発生(polygenesis)の問題を解決するためにも CTU の適切な設定が求められている.

CTU が満たすべき条件は「統一性(integrity)」と「階層性(hierarchy)」である.それぞれの条件が満たされているかどうかを経験的にテストする手法として,「Cultural-Unit Transmission Integrity Assay」(pp. 25-27)と「Hierarchical Cluster Structure Assessment」(pp. 27-29)という手法が提唱されている.

前者の integrity test では,サブ単位×形質マトリックスの「Q-mode 解析」によって(「R-mode」ではなく),形質変換の整合性(concordance)を形質間の類似度行列に関する Mantel 検定でテストする.このテストを通過して整合性が立証されたサブ単位どうしは integrity があるものとみなし,統合してひとつの単位を形成することができる.

後者の hierarchy test は,同じサブ単位×形質マトリックスの「R-mode 解析」をクラスター分析を用いて行ない,デンドログラム上の「類似度指数」によって切断されるクラスター構造の大域的様相を,クラスター径(r)×クラスター数(c)の導関数(dc/dr)のグラフから判定するというめんどうな方法を提唱している.こんなことをするくらいなら,生物系統学のネットワーク解析で用いられている「treeness test」(あるいはデータ行列そのものについての無作為化検定)をした方が簡単じゃないだろうか.

いずれにせよ,本章では CTU を実際に構築した事例は紹介されていない.著者らによる未発表の研究:R. Pocklington and W. H. Durham 2005. 「The myth of homology in the Americas」に詳述されているそうだ.

◇午後〜夕方のこまごま —— 人事書類が完成したので,文面をチェックしてもらう./ ヒミツの情報提供をする.がんばってください./ 午後4時にあたふたと帰宅し,取手ピストン輸送をする.

◇ここのところ毎日,夜になるとほとんど“人”としての機能を停止しているようだ.

◇本日の総歩数=5754歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=−0.1kg/+0.5%.


25 januari 2006(水) ※ 吠えたり書いたり読んだり隠れたり

◇午前5時半起床.晴れて乾ききった明け方.気温はマイナス4.7度.寒い寒い.

早朝に吠えるチャウチャウ犬 —— つまんないスレを立てたら,即ツブすって言ったでしょ? お願いだから「過去」から学んでねー(言うだけムダだろうけど).まわりに思わぬ被害が及べば“自爆行為”と呼べるだろうが,今回は会員にほとんど染み込んでいないので単なる“バンザイ突撃”ですな.お望み通り「投稿禁止処分」にしてあげましたよ.深海ブログに早くお戻りください(もう再浮上しなくっていいからね).

 メーリングリストの〈神様〉は一瞬の気の迷いもなく俊速で判決を下す.

◇生き返るひととき —— 今日は“年貢”の取り立て日のはずだったのだが,担当編集者が風邪で寝込んでいるとのことで,取り立て延期となった.他人の病気を喜んではバチがあたるのだが,追い込まれていると,こういう短期的な「利得」にもつい頬が緩んでしまったりする(ごめんなさいごめんなさい).※月末には耳を揃えて…….

◇午前のこまごま —— 午前10時半からグループ内会議 —— 次期組織体制(案)は,ぼやけた“罔兩”のままだと思ったら,いつの間にか“鬼”が憑いて“魍魎”と化しつつある.自己防衛本能がじわっと起動しつつあるぞ(ウラを返せば組織に対する low-fidelity ということでして)./ 厚生係(宿舎)と人事係(住居と通勤)への事務連絡を忘れないように./ あ,会計システム入力がー./わ,雑誌の支払いがー./ く,書類の作成がー.

◇晴れた昼休みは,残雪を踏みしめて久しぶりの歩き読み —— 松永俊男『ダーウィン前夜の進化論争』(2005年12月20日刊行,名古屋大学出版会,ISBN:4-8158-0529-6→目次)の第II部〈『痕跡』と『足跡』〉を読了.110ページほど.本書の中核部分だが,『痕跡』の著者ロバート・チェンバーズとそれに対する『足跡』の著者ヒュー・ミラーについて,当時の時代背景や社会構造,文化的バックグラウンドからはじまって,チェンバーズやミラーが活躍した頃の出版界およびジャーナリズムのあり方,さらにはスコットランドの学問的な位置づけとキリスト教会との関わりなど,当時の進化論争がさまざまな“糸”によって織り込まれていたことがていねいに解きほぐされていく.なぜ彼らの著作が現在では想像もできないほどのロングセラーとなり得たのかを明らかにする,とてもよく書かれた部分だと思う.

ヒュー・ミラーの主著『旧赤色砂岩』(1841年)を取り上げて,興味深い一般的コメントが記されている:

現代の読者には,化石や地質に関する『旧赤色砂岩』の専門的で詳細な描写は,いくら名文とはいえ,うっとうしいだけだろう.ヴィクトリア朝の読者たちは,これを喜んで読んでいた.自然界の詳細な事実は,彼らの創造をかき立てる事柄の宝庫であった.それほど当時は自然史に高い関心が寄せられていた.そうした自然史ブームの中で『痕跡』の進化論が登場し,ミラーの反進化論が注目されたのである.(p. 150)

たとえば,ダーウィンの著作にしても,その多くは“ひたすら記載あるのみ”の本である.『種の起源』(1859)だって,たとえ要約とはいえ,それでも生物の詳細な記述が満載だ(元本の The Big Species Book はそれ以上).こういう本が「専門書」ではなく,あくまでも「一般向けの本」として売られそして買われたというからには,それなりの事情があったにちがいない.

折からの自然史ブームの時流に乗ったという理由のほかに,読書のスタイルそのものが現在とはちがっていたのではないかという疑念を前からもっている.ある時代にはやった文体はそれをよしとする読者がいてはじめて生き残る機会が与えられるだろう.とすると,ナチュラリスト的記載オンリーの文章,それを飲み込んだ長ったらしい文体,などという当時の書籍の特徴は,それを受容した読者がいたという事実の反映なのだろうと想像する.端的に言って,当時の平均的読書スピードは現在の平均的読者が本を読む速さと比べてはるかに遅かったのではないだろうか.単なる推測だが,そういう読書姿勢なちがいはきっとあっただろうと思う.※当時の読書量とスピードについてのデータは調べれば得られるのではないだろうか.

—— チェンバーズの著作がどのように書かれ出版されそして読まれたかについては,彼の論文集:Robert Chambers『Vestiges of the Natural History of Creation and Other Evolutionary Writings』(1994年8月15日刊行,The University of Chicago Press,ISBN:0-226-10073-1)を編んだ James A. Secord の伝記:James A. Secord『Victorian Sensation : The Extraordinary Publication, Reception, and Secret Authorship of Vestiges of the Natural History of Creation』(2001年2月1日刊行,The University of Chicago Press,ISBN:0-226-74410-8 [hbk] / ISBN:0-226-74411-6 [pbk])が今のところ“決定打”かな.

これまた脇道だが,日本では考えられないほど「大部」な伝記がどんどん出版される背景には,「伝記読み」の読書文化がしっかり根付いているからだろう.

◇新刊メモ —— Elisabeth S. Vrba and Niles Eldredge (eds.)『Macroevolution: Diversity, Disparity, Contingency: Essays in Honor of Stephen Jay Gould』(2005年刊行,The University of Chicago Press,ISBN:1-891276-49-2→版元ページ)./ Peter A. Corning『Holistic Darwinism: Synergy, Cybernetics, and the Bioeconomics of Evolution』(2005年刊行,The University of Chicago Press,ISBN:0-226-11613-1 [hbk] / ISBN:0-226-11616-6 [pbk]→版元ページ)./ 近藤健二『言語類型の起源と系譜』(2005年12月25日刊行,松柏社,ISBN:4-7754-0094-0).版元ページ.名古屋大学に提出された学位論文(2004年)の出版ということでしょうか(→pdf要旨)./ 大場秀章『大場秀章著作選1:植物学史・植物文化史』(2006年1月刊行,八坂書房,ISBN:4-89694-788-6).いったい何冊出るんでしょ,大場センセ.

◇備忘メモ —— そういえば,映画〈ダーウィンの悪夢〉は今年中に日本で劇場上映されるらしい.From : 朝日新聞の今日の記事.

◇夜はちくちくと人事書類づくり.ふ.

◇本日の総歩数=11510歩[うち「しっかり歩数」=7174歩/67分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.9kg/−0.9%.


24 januari 2006(火) ※ 寒おすなあ〜

◇だらけて午前6時起床.晴れて0.9度.風はないが,やっぱり寒い.

◇うっかり1年も買い忘れていたブツが届く —— 『武満徹全集・第5巻:うた テープ音楽 舞台 ラジオ TV作品 補遺』(2004年6月20日刊行,小学館,ISBN:4-09-613105-9→版元サイト).CDは14枚.これでやっと全巻がそろった.解説書が450ページもある.音源を収集するのもたいへんだったろうが,こういう解説書を編集するのも手間がかかる.

◇北風が次第に強まる.午前10時の気温は4.9度.冬晴れ.

◇午前のこまごま —— いずれも投稿原稿がらみで.まずは計量生物学会編集部への報告を3件.進捗したのもしなかったのもあり./ とある国際学会からの査読依頼の締切が一両日だー(汗).オンライン査読制度があるので,どこにも逃げ道ないやんかー./ 『生物科学』の〈分子系統地理学特集〉への寄稿は2月半ばまでとのこと.

◇ああ,アレは“脅迫”だったんですかー.わたしゃ,てっきり〈仄暗い水の底から〉何かがわらわらと出てきて,またまた独白して,そして深みに帰っていったのかと思いましたが…….もう「好きにしなはれ」ってことで.(スレッド立てたら,ちゃんとツブしてあげるからね)

◇昼休みの逃避 —— 〈小田中直樹ネタ帳〉の創造論ネタにこんなコメントを付けたり:

またまたお邪魔します.先般来日した Eugenie C. Scott さんの『Evolution vs. Creationism』(2004, Univ. California Pr., ISBN:0-520-24650-0)が,この論争の現在についての鳥瞰として役に立つかもしれません(安価なペーパーバックというのがまたいい).そういえば,ヴァチカンが知的計画(ID)はダメと表明したという(昨年の)ニュースがやっと届きました.「Vatican rejects intelligent design」というキーワードで検索するといっぱいヒットします.ご参考まで.(みなか)

◇昼休みのこまごま —— 岩波書店の〈統計科学のフロンティア〉叢書(全12巻)が昨年完結した.そのあとに続く企画がいま立案されつつあるという.たいへん楽しみなことだ.これに関連する連絡メールを関係者(首謀者?)宛てに出す.今月中に打合せをする.※“乗せ上手”なのもきっと才能ですよ>I庭さん.

◇午後1時から,〈Zar統計学本〉セミナー(第35回) —— Chapter 20. Multiple Regression and Correlation (pp. 424-428).偏回帰係数の検定と信頼区間.説明変量の間の多重共線性(multicollinearity)の弊害とその検出方法について.多重共線性があると,偏回帰係数の誤差が大きくなるため,たとえ分散分析で有意になったとしても,個々の偏回帰係数に関する検定では有意にならないという指摘.多重共線性の検出にはジャックナイフ(あるいはクロスヴァリデーション)的な手順が使われている.次いで,偏相関係数についての解説.多変量正規分布の条件付き確率密度関数に基づいて偏相関係数を定義するのがもっともわかりやすいはずだが,本書ではそういう体系的説明はされていない(だからよくわからない).最後に,偏相関係数に関する検定の話.

◇セミナー途中にいきなり 邪魔が入り 理事長室から電話が入り,すぐに3階に召還される.「ワ,ワルイことはしてへんはず……」(延髄反射で後ろめたくなるなよっ)とびくびくしながら理事長室に入ったところ,例のアノ話が速攻で実現しそうな運びとなっていて(知らんかったー),そのための人事書類を即刻用意せよとの御下命(へへーっ).

日常的に“出力”し続けていることが重要なのだという家訓を再確認する.さまざまなプロポーザルやお誘いはアウトプットのある者(=「死人」でない者)のところに選択的にやってくるということだ.

◇午後のこまごま —— ううむ,昨年末に「死んだ」はずの某プロジェクト案が実はまだ延命されていたとは…….※また書類竜巻かっ./ 来月はじめの年休届けを書く./ 岩波書店の担当編集者氏との打合せは今月30日の午後に決まった./ ML管理作業少々.

◇もう夕方だが,「夜のこまごま」延長戦はぜひ避けたい.撤収.

—— しかし,あまりの寒さにぬくぬくしてしまい,仕事にならず,非生産的な「夜」を過ごしてしまう.※『紙つぶて』を寝読みしている場合じゃないでしょー>ぼく.

◇なんとなくからだの節々が凝っているみたいなので寝よう寝よう.寝るのが一番(仕事は二番).

◇本日の総歩数=4877歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=−0.3kg/+0.7%.


23 januari 2006(月) ※ Allegro appassionato con fuoco

◇午前5時半起床.晴れてめっちゃ寒い.北風強すぎ.道路はガリガリに凍っている.気温マイナス2.7度.ささ,冬眠しましょ…….

午前10時になっても気温はぜんぜん上がらず,やっとプラス0.9度に達する程度.うっかりスリップして物損してしまいましたという話を聞く.※御愁傷様でございます.

◇尻に火がつく —— 自宅に仕事電話がかかってくるときは相当に切羽詰まっていると見た.ごめんなさいごめんなさい.すぐ書きます書きます.ということで,今年の師走に予定されている信州大学理学部の非常勤集中講義〈生物統計学〉のシラバスをやっと送ったのは,正午前のこと.すみませんすみません.

どこの大学でもそうだが,講義シラバスに求められている内容が年を追って細かくなってきたようだ.講義の「ねらい」,「概要」,「授業計画」だけでなく,「毎回の講義内容」も書けというリクエストがあったりする(それ,ムリちゃいます?).教える側にとっては,確かに面倒と言えば面倒なのだが(まだ先のことだし),えいえいとあえてシラバスに書いてしまえば,それがかえって“実現”してしまうという思わぬ功徳もないわけではない.だから,とりあえずは「具体的」な「中身」をハリボテでもいいので詰め込んでしまうのがいいかも.学生が講義を「選ぶ」ためにということで詳細なシラバスをつくることが教師に求められているのだろうが,ウラを返せば教師が学生を「選ぶ」ためにも使えるわけでして.

信州大学の集中講義は慣れたものだからまあいいとして,先日届いた名古屋大学情報文化学部の集中講義のシラバスはどーしましょうかねえ.科目名は〈メディア社会系特論I〉と銘打たれている.「そりゃあハタケちがいでしょう,I勢田さん」と言いかけて,「でも,もともとハタケはないんだから,まあいいかあ」と開き直ってみる.金曜までに送らへんかったら,また怒られまっせ>ぼく.

◇昼休みはじっと引き蘢って,メーリングリストの作業など.外は風が強くて,もう.

◇熊楠本の続き —— 南方熊楠『南方熊楠英文論考 〈ネイチャー〉誌篇』(2005年12月20日刊行,集英社,ISBN:4-08-781332-0→目次)では,20世紀はじめの『Nature』誌の“変節”について,訳者のひとり田村義也は次のように記している:

一八九三年の「東洋の星座」以来,熊楠は,『ネイチャー』投稿者中でも「常連」といっていい頻度で執筆を続けてきた(一九〇〇年の帰国後と,一九〇六年前後の二度の中断はあったが).その間,イギリスの読者に対して,非西洋近代の学問を紹介することにより西洋近代科学を相対化するという熊楠の姿勢は,彼なりに一貫していたといってよい.しかし『ネイチャー』誌のほうは,その間に性格を変容させていったようである.それは,創刊者ロッキャーの,科学愛好家や一般読者を指向した誌面作りから,次第に自然科学の専門分野への傾斜を深め,職業研究者のための学術誌と純化していく過程といってよい.自然科学分野の論考各篇でも自在に発揮されている熊楠の領域横断的・好事家的性格が,『ネイチャー』誌との間でズレを生じさせていた可能性は高く,一九一三年の出来事は,そのことを彼に自覚させずにはおかなかったであろう.この後,一九一四年一月の「古代の開頭手術」を最後に,熊楠の英文論考発表の舞台は『ノーツ・アンド・クエリーズ』誌にしぼられていくことになる.(p. 352)

上の引用文での「一九一三年の出来事」とは,熊楠がこの年に『Nature』誌に投稿したふたつの論考がいずれもリジェクトされたことを指している.それまでこういうことはなかっただけに,熊楠は相当ショックを受けたらしい.

本書を編んだ主たる目的として,「西洋科学と“知的対決”した熊楠」像をあぶり出そうという意図があることは明らかだ.しかし,本書に所収されている熊楠の記事を追っていくにつれ,むしろ彼が『ネイチャー』誌の“変容”から次第に取り残されていくようすが垣間見える.その“変容”の現場を我が身をもって体験したという点で,本書はとてもおもしろい知見を読者に提示している.ポジとしての「熊楠」の立ち位置だけではなく,ネガとしての『ネイチャー』誌の変遷を読み取ることができるからだ.

—— ということで,『南方熊楠英文論考 〈ネイチャー〉誌篇』の書評を〈leeswijzer〉に公開した.

◇地域雑誌『谷中・根津・千駄木』(→谷根千ネット) —— 先週,東京に出撃したときに,最新号を5冊ゲットしてきたので,新しい方から順に特集紹介:第82号(2005年12月31日刊行)−特集〈銭湯に行こう!〉/第81号(2005年10月20日刊行)ー特集〈引っ越しは楽しい!〉/第80号(2005年7月20日刊行)−特集〈わが町の空襲〉/第79号(2005年3月25日刊行)−特集〈やねせん博物誌〉/第78号(2004年11月25日刊行)−特集〈ステンドグラス〉.

第79号の特集では,いまや“ふぁーぶる”な奥本大三郎氏の千駄木の旧居が〈ファーブル資料館〉として開設されることが大きく取り上げられている.谷中にずっと住んでいる“たんぽぽ”な小川潔さんのこととか.かつて千駄木に住んでいた頃,「ナイター」したことがあって,根津神社とか谷中霊園を徘徊したときは,毎回のように職務質問されたことをふと思い出した.意外にもいろいろいたりするのだ.

往来堂書店で配られていた版元のビラ「谷根千工房・出版案内 2006年1〜3月」を見ると,『谷根千』の最初の号はぽつぽつと品切れになっているようだが,さいわい「複写サービス」させてくれるとのこと.1984年10月創刊なので,千駄木に下宿があった最初の5年分はコンプリートに揃っているのだが,その後が「穴」が空いてしまっている.そのうち何とかしないと.

◇午後のこまごま —— 東京農大での“二題噺”(2月10日)の事務連絡./ 信州大学非常勤講義(12月25日〜28日)の宿泊についての打合せ.またも〈旭会館〉での厳冬サバイバル生活が始まるのか!?(前回はこうだった).

◇予期される「大仕事」の計画について,出版社から連絡あり.

◇本日の総歩数=5120歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=+0.9kg/+0.5%.


22 januari 2006(日) ※ 久しぶりの緩徐楽章な日曜日

◇日が変わった —— 昨夜の降雪は午後9時頃になってようやくおさまった.積雪は10センチほどだが,吹きだまりでは20センチほども積もっている.今日からはまた冬型の気圧配置だそうなので,融けるまでには日数がかかるだろう.※生活する上では早朝の路面凍結がより気がかりではあるのだが…….

◇午前1時半に就寝し,午前7時半に目覚める.睡眠時間的には平常だ.青空が戻ってきた.周りは一面の銀世界.ゆるゆると起きる.宿舎構内を通る自動車が路面の雪氷をがりがりと削っている.今日は中の細道は避けた方が無難だろう.ノーマル・タイヤのままだし.

◇ここ数日の落ち穂拾い(その1) —— アメリカ自然史博物館が出している出版物は,5年前から〈Research Library〉で順次電子化されオンライン公開されてきた.このたび,同館の主要刊行物である下記4誌が公開された(山階鳥研の平岡考さんからの情報).今回公開されたのは,『American Museum Novitates』(vol. 1 [1921]〜現在),『Anthropological Papers of the American Museum of Natural History』(vol. 1 [1907]〜現在),『Bulletin of the American Museum of Natural History』(vol. 1 [1881]〜現在),そして『Memoirs of the American Museum of Natural History』(vol. 1 [1893]〜vol. 15 [1930])の4誌.これらは〈Scientific Publications〉の検索画面で,創刊号からすべてpdfで無料ダウンロードすることができる.

これは大きな朗報だ.たとえば,『Anthropological Papers』には,Franz Boas や Margaret Mead ら草創期の人類学者らの論文が発表されている.また『American Museum Novitates』やそれよりも大部な『Bulletin of the American Museum of Natural History』には,1970〜80年代の分岐学関連の論文やモノグラフが大量に掲載されている.もちろん George G. Simpson や Ernst Mayr が同館に在籍していた頃の論文もある.これらが誰でも利用できるようになったというのはたいへんありがたい.

◇落ち穂拾い(その2) —— Ernst Mayr の100歳記念論文集が,The American Ornithologsts' Union から発行されている『Ornithological Monographs』の no. 58 として出版された:Walter J. Bock and M. Ross Lein (eds.)『Ernst Mayr at 100 : Ornithologist and Naturalist』(2005年刊行,The American Ornithologists'Union[Ornithological Monographs No. 58]→目次).マイヤーのインタビュー DVD が添付されているらしい.鳥類学界からの追悼号.※これまた平岡考さんからの情報.

◇訂正1件 —— W. D. Hamilton『Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton —— Volume 3: Last Words』(2005年12月16日刊行,Oxford University Press, ISBN:0-19-856690-5 [pbk]→目次)について,「『インセクタリウム』に掲載された自伝的エッセイも英訳されている」と書いたが(→19日の日録),インセクタリゥム編集部にいた大平裕司さんから「これは元が英語ですので,“英訳”されたわけではありません」とのご指摘をいただいた.確かにそうですね.元の原稿が公表されたということですね.ありがとうございました.

◇晴れて寒い.積もった雪はもう凍りはじめている.

◇夕方から夜にかけて,別宅にて仕事.翻訳と読書.熊楠本,読了.ロンドン在住時代からはじまって日本に帰国した後も,熊楠は科学誌『Nature』と民俗学誌『Notes and Queries』に投稿し続けたわけだが,自由投稿欄というジャーナルの“ニッチ”がしだいに変容していく過程は関心を引く.とくに『Nature』が科学啓蒙誌から専門科学誌への変容を遂げる時期がちょうど熊楠が活発に投稿していた19世紀末から20世紀はじめの時期に重なっていたらしく,「熊楠的」な記事(民俗学・科学・文献学の渾然一体)の投稿がしだいに『Nature』誌から疎まれるようになり,1910年以降は編集部からリジェクトされることが多くなっていったらしい.このあたりの事情をたどるには,監修者・訳者によるていねいな解説がたいへん役に立つ.

◇午後11時過ぎ,〈leeswijzer〉のアクセス数が10万を越えた.

◇本日の総歩数=3626歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼×|夜△.前回比=−0.9kg/−2.0%.


21 januari 2006(土) ※ 雪中行軍・イン・幕張

◇午前4時半起床.曇り空から雪がちらついている.ふげー,やっぱり降るのかあ…….

◇ここ数日,“休符”なしの日が続いている.午前6時12分発の TX 区間快速に乗りこむ.遠景は雪景色に昏くぼやけて,牡丹雪の軌跡が斜に飛ぶ.南流山で武蔵野線に乗り換え,終点の海浜幕張で下車.午前7時半.傘さす群衆が数千人も雪中行軍している.今日と明日は,幕張メッセで開催される〈ワールド・ホビー・フェア〉などという集客力ありまくりのイベントがあるせいで,小学生だらけだ.そのあおりを食って,反対方向に進む小学生たちもまた右往左往する.ほんまにご苦労さんなことです.

◇駅前の Tully's でひたすら読書 —— 谷沢永一『紙つぶて:自作自注最終版』(2005年12月5日刊行,文藝春秋,ISBN:4-16-367760-7)をイッキに666ページまで読み進んでしまう.※うわ,祟られるかもしれへん.

この著者は標的の“好き嫌い”がはっきりしているので,本書の中で繰り返し誉められたり(森銑三や渡部昇一のように),何度も貶されたりする(吉田精一や“共産党”系評論家たちのように)人や本が出てくる.ソシオグラムを描いてみるとおもしろいかもしれない.これまでの著書では,文句の言い方がえげつないのが気になったが(もっと“くるんで”言うたらええのに),本書にかぎっては見開き読み切りという記事の体裁が幸いして,大量の「毒」が全身にまわらないようだ.

“笠井寛司”のアノ本を買った話が何度も出てくる.ワタクシも最初に新刊で出たときに“統計学的形態論”という副題に惹かれて買おうと思ったのだが,一瞬の逡巡を突かれて「X指定」を受けてしまった.単に external genitalia の morphometrics の本だと考えれば,逡巡することはなかったのかもしれない…….くそー.

そういう「微毒」(「蠱毒」かも)を味わいつつ,付箋紙を貼り込み読み進む.一両日中に読了するだろう.

◇午後1時半に,今度は逆方向の傘群衆に巻き込まれる.雪で遅延気味の満員JRに揺られて,新松戸乗り換え,取手経由で,ひたち野うしくにたどり着いたのは午後5時前のこと.駅前ロータリーにはすでに粉雪が10センチ以上も積もっている.暗いし寒いし腹減ったしで,そろそろ限界かもしれない.さらに夜のあっしー業務をこなして,ようやく開放される午後10時.

◇こんな時間に「大仕事」のプロポーザルが届く —— ありがとうございます.前向きに検討させていただきます.使える原図はすでに数十枚手持ちがあります.

◇ああ,「毒」がまわってきたぞー.目の前が暗くなってきたぞー.寝るぞー.

◇本日の総歩数=17756歩[うち「しっかり歩数」=6156歩/59分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg/+3.0%.※げげっ!


20 januari 2006(金) ※ 早朝作戦,完了す

◇午前4時起床.ごそごそと荷物をまとめて,午前5時前にチェックアウト.夜明け前からこなすべき仕事がいくつかある.

西日暮里で一つ目の用件を完了したのは午前8時のこと.大塚で二つ目の用件がすんだのは午前9時のこと.そして,新大久保で三つ目の用件を終えたのは午前10時のこと.これで,振替休日の業務はすべて終わった.

◇ちょっと銀ブラさせてもらいまひょ —— 東銀座の〈ナイル・レストラン〉は3月はじめまで長期休業とのこと.個人的には“中村屋のボース”よりは“銀座のナイル”の方がよほど親近感がある.裏通りの〈カフェ・ド・ランブル〉が開店前だったので,表通りの〈カフェ・パウリスタ〉で一休み.

隣りの〈銀座 YAMAHA〉でメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」総譜を立ち読みし(腕が疲れた),その後〈山野楽器〉に向かう.新しいニールセン交響曲全集(Theodore Kuchar 指揮/ヤナーチェク・フィル[CD全3枚]:Brilliant 92885)がどーして「1,380円」という激安価格で買えてしまうの?(フシギ) 映画ロードショーよりも安いとは! 『ALWAYS 三丁目の夕日』を近くの映画館で上映していたが,西岸良平ではなくカール・ニールセンをあえて選んだというのは我ながら“天晴れ”な選択だと自画自賛してみる.

Gidon Kremer(Vn)のバッハ無伴奏(ECM New Series 1926/27)が2005年のレコード・アカデミー賞を受賞したとは知らなかった.久しぶりに古楽器ではない演奏を聴いてみるのもいいかな.

以前買い損なった BCJ のバッハ・カンタータ集28を発見.BCJ のカンタータ全集はこの巻から以降は SACD に移行するとのことだ.そういう全体的傾向があるのだろうか?(丸みのあるCDケースにまだ違和感がある)

◇ぶらぶらしてから,つくばの別宅に帰り着いたのは午後2時過ぎのこと.疲労感が濃く漂う昼下がり.

◇諸方面にわたって「滞り」が著しい.ごめんなさいごめんなさい.

◇しかし,明日はさらに忙しいのだ.雪が降るらしい…….

◇本日の総歩数=17897歩[うち「しっかり歩数」=4294歩/37分].全コース×|×.朝−|昼△|夜△.前回比=未計測/未計測.


19 januari 2006(木) ※ 寝過ごし……(_| ̄|○)

◇午前5時起床.だからぁ,寝過ごしなんだってばー.午前3時に目覚まし時計をふたつ枕元にセットしたはずが,鳴ったと同時に無意識に切ったにちがいない(ここぞという時の目覚ましは“遠く”に置く必要があるな).

北風が強く,体感的に寒すぎ.気温1.0度.研究所に直行し,修正書類をメールで関係者に送る.これはこれで一件落着[にしてしまおう].

◇今日 もいろいろ飛び回る必要がある.ゆるゆるしているヒマはないのだ.

◇昨日届いていた新刊 —— W. D. Hamilton『Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton —— Volume 3: Last Words』(2005年12月16日刊行,Oxford University Press, ISBN:0-19-856690-5 [pbk]→目次).ハミルトン最後の論文集.『インセクタリウム』に掲載された自伝的エッセイも英訳されている.既刊の2冊の論文集:W. D. Hamilton『Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton —— Volume 1: Evolution of Social Behaviour』(1997年9月4日刊行,Oxford University Press,ISBN:0-7167-4530-5[pbk]→目次)およびW. D. Hamilton『Narrow Roads of Gene Land: The Collected Papers of W.D. Hamilton —— Volume 2: Evolution of Sex』(2001年11月29日刊行,Oxford University Press, ISBN:0-19-850336-9→目次)と合わせて,10年目にしてやっと予定されていた論文集の全巻が完結した.ペーパーバック3冊を積み上げると厚さは15cmにも達する.総ページ数は2000ページを越える.峨々たる山また山の連なり.ほれ,登ったりぃ.

◇朝から奔る —— 10時きっかりにインターネットで結果を確認する(よしよし).間髪入れず土浦方面に出撃し,“ターゲット”を難なく狙撃し,けりがついていなかったミッションをやっと完了ではた(空しく浪費された書類書きの時間を返してー).駅前の洋食〈大かわ〉にて帰路の燃料をしっかり補給する.※デラックス・ランチ美味.

◇車中往復読書 —— 高野潤『アマゾン源流生活』(2006年1月11日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83297-0→書評目次)を読了.これはスゴイ本だ.ひたすらカヌー(「カノア」)でアマゾンを行き来し,あるときは文字どおり「釣りバカ日誌」の主人公になりきったり(奇しくも連載とシンクロしているぞ),あるときはマラリアやリーシュマニアなど兇悪パラサイトたちに遭遇したり(のどに刺さった魚の骨が首から出てくる“奇跡”とか),またあるときはアウトドア料理に耽ったり,そしてまた川筋沿いに追いかけてくるプチ暴風雨(「ベンタロン」)の体験記など,読者を飽きさせない.ガイドとして雇っている現地人の indigenous system of knowledge のすごさは特筆されるべきだろう.マラリアの発作をイッパツで完治させる薬草があったとはねえ.動物を引き寄せる鳴き真似(「レメダル」)の熟練技もすごい.湿気や匂いまでも伝わってきそうで,確かに“生活感”のあふれる紀行文になっている.

◇北風が吹き付けてきて寒いのなんの.午後1時だというのに気温はたった 5.7 度しかない.午後1時半から,〈文化系統学〉セミナーの第2回目.今日は,Chapter 2「What is a culturally transmitted unit, and how we find one?」 (Richard Pockington) を読む(pp. 19-23).文化系統学における“単位”をどのように設定するかという話.彼の言う〈文化的伝達単位(CTU= Culturally Trandmitted Unit)〉が説明される.ミームが文化単位の極小であるとするなら,著者の言う CTU は極大単位として定義されるそうだ.具体的に論議は次回まわし.1時間ほど.

◇セミナーの合間にも,新宿の高層ビルからセイレーンの唄声が聞こえ(ファム・ファタールか),さらに遅れた“年貢”の取り立て日の決定とか…….

◇午後3時前にあたふたと帰宅し,その足で TX つくば駅へ.北千住で千代田線に乗り換え,池之端の JST(科学技術振興機構)のビルに入ったのは午後5時前のこと.昨年末にがりがりと仕上げた異分野交流領域探索プログラム〈人間行動と社会・文化現象の進化と適応をめぐって〉の報告集ゲラが出たとのことで,担当者とともに内容と体裁に関するチェックをする.いくつかの訂正点を指摘して,午後5時半に退出した.あとは今月末の仕上がりを待つだけだ.

◇千駄木で下車し,往来堂書店にトラップされる.実にうまくサイフの紐を緩ませる手練手管がにくいねー.『谷根千』の最新号を買い込んでしまった.夜店通り商店街を通って谷中銀座へ,夕焼けだんだんを上って,JR日暮里駅を越えれば,今日の投宿先であるホテル・ラングウッドはもうすぐ.明日早朝の所用のため,今日は東京泊という実に珍しいこと.

—— チェックインして,こうやって日録を書いたり,翻訳原稿に齧りついたりしているのだが,つらつら書き記してみると,今日って実はめっちゃ忙しかったんちゃう.>ぼく.

◇明朝も超早起きしないといけないので,早々に寝るかー.[22:51]

◇本日の総歩数=14759歩[うち「しっかり歩数」=3905歩/34分].全コース×|×.朝○|昼×|夜△.前回比=+0.1kg/−1.1%.


18 januari 2006(水) ※ またも丑三つ時に

◇午前2時起床.気温1.3度.研究所に直行し,「一枚刷り」の修正作業あるのみ.わーどとかえくせるとか.まったく,夜中に何やってんだか…….

とりあえず,えくせるの業績リストの方はすぐケリがついたのだが,「一枚刷り」本体の方がねえ.と,アタマを抱える午前4時半.Glenn Gould の〈平均率〉に逃避してはいけませんよ>ぼく.

◇「本務」の合間にこまごまと(午前6時) —— 来年度の信州大学(生物統計学)と名古屋大学(生物学哲学)の講義シラバスを考える.※午前中にお送りします./ メーリングリスト関連のアドレス登録とか変更とか./ 「○○の原稿はどういたしますか?」 う゛,どーいたしましょうか?(こらこら).別件の原稿と引っ掛けて書くことにしましょう./ 学会査読関連の連絡事務あり.未処理.やばっ./ 進化学会から広報に関する問い合わせ.延髄反射で処理済み.※ごめんなさい,大脳を通過していません./ 何よりも,そろそろ某国際誌の査読締切期限が近づいているぞー./ 年末に返信した「日本の pre-Darwinian 進化思想」に関するコロラド大学からの質問に対してコメントが返ってきて,関連する書誌情報を求むとのこと./ その他,質問とか./ わ,アノ日程も./お,目次案も./げ,会計入力も./く,…….

【教訓】「こまごま」も積もってしまえば「山」になる.※実に斉一主義的な教訓だなあ〜.(大汗)

◇訂正 —— 〈leeswijzer〉で言及した夢枕獏『カエルの死:タイポグラフィクション』(1985年1月1日刊行,光風社出版, ISBN:4875194706)の ISBN がまちがっていたようだ.さっそく訂正完了.※この絶版本が今のアマゾンで原価の4倍以上の値段が付いているとは露知らなかった.

◇午前7時にいったん帰宅.2時間後に再出勤.風は冷たいもののほぼ青空,時おり薄曇り.一枚刷りの修正作業と郵便局関連の雑用.メーリングリストがらみのさらなる手作業.あっという間に昼休み.うーむ.そのまま仕事が続く.あと4時間ほどで一枚刷りの修成稿を提出しないといけない.〈〜まで〉という「締切旗」が方々ではためいているので,休憩時間はない.

◇昼前に,某出版社から「原稿の進捗はいかがか?」という問い合わせ(というか督促)の電話がかかってくる.“蕎麦屋の出前”よりはもっとリアルで前向きな返事をしないといけないのがつらいですなあ.「今月中に何とか〜」というのもそろそろリアリティが希薄になってきたぞー(冷汗).翻訳書の場合には,翻訳権の期限というのがあるので,自著よりもいっそう“締切の重み”がのしかかる.ごめんなさいごめんなさい.

◇穏やかな冬晴れの昼休みは,郵便局をまわってそぞろ歩き読み —— 高野潤『アマゾン源流生活』(2006年1月11日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83297-0)を100ページほど読む.著者が探訪した“源流域”というのは文字通りのアマゾンの深奥部でアンデスの直下にあたる.カヌー行の冒険譚が続々.とてもおもしろい.いかにも“アマゾン”な写真の数々も楽しめる.歩き読みに最適.それにしても,よく彼の地から生還できたなと思う.

◇またまた訂正か! —— 一昨日,1日がかりで書いて(3回も“振り出し”に戻されつつ)やっとオッケーかと安心した書類が,相手先の銀行で思わぬ指摘を受け,Uターンしてくることになった.また一から書き直しをしなければならない.郵送で戻ってくるのはきっとあさってだろうが,その日は振替休日を取っているので,訂正と再提出は週明けになってしまう.

どんなに急いでも一通の事務書類を書き終えるのに1週間ではすまないという「経験則」はまたしても強く confirm されてしまった.ゆっくり注意深く書けばいいではないかという忠告があるのだが,前にも書いたように,これまでの経験上,早く書いてもゆっくり書いても「記入過誤率」にはほとんど差がないので,ゆっくり書けば単に書類完成までの時間が数倍よけいにかかってしまうだけだ.したがって,その戦略は実は有効ではないのだ.

まあ,ここでうだうだ言ってもしかたがないので,より時間を節約できる次善の対応策を講じることにしよう.そのためには自分の時間をさらに削るしかないだろう.多少削られても影響ないはずので,ここは「肉を切らせて骨を切る」という敵陣への正面突破でいくしかないかも.※実際そうすることになった.明日の午前はまたまたつくば土浦エリアを奔り回る.しかし,それですんなりコトがすめば,来週まで案件を持ち越す必要はなくなり,八方丸くおさまる.そうあってほしい[などと油断するとまた足をすくわれるので要注意].

—— こんな低レベルの“事務処理能力”で今までやってこれたのがフシギといえばフシギなのだが,きっと諸方面にメイワクをかけまくってきたにちがいない.ごめんなさいごめんなさい.

◇うぐぐ,修正作業が終わらないまま,夕闇迫る.いったん別宅に退去し,再起(?)を期す.捏造でもハリボテでもいいから“クローン”がいてほしいなあ.

—— なんやかんやで夜が更けて,日が変わる頃に寝る.明日も早く起きないと.

◇本日の総歩数=11689歩[うち「しっかり歩数」=5399歩/44分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/−0.3%.


17 januari 2006(火) ※ 何が何だか,もう……

◇午前5時前に起床.今日は振替休日なので,とある重大私用の準備に取りかかる.午前7時に車で出発.昨夜からの名残の霧雨が降っている.常総ふれあい道路を南下する.午前8時を過ぎて,ようやく晴れ間がのぞくようになった.よしよし.

◇歩いて取手駅までたどり着き,スターバックスにて読書と仕事.こういうときでないとまとまった時間が取れない.青空が大きく広がってきた.正午過ぎまで根を生やす.

◇再び歩いて車まで戻り,つくばに帰還.午後3時半.そのまま研究所に直行し,午後4時過ぎから,〈Zar統計学本〉セミナー(第34回) —— Chapter 20. Multiple Regression and Correlation (pp. 413-424).単回帰分析の拡張としての重回帰分析の線形モデルについて.とくに,全平方和と回帰平方和の比として求められる重決定係数とその平方根として定義される重相関係数についての説明.さらに,分散分析を用いた回帰モデルのF検定と偏回帰係数のt検定についても.午後5時半まで.

◇午後4時から所内では「次期中期計画に伴う組織変更案」についての全所説明会が開催されていた(ワタクシは“休暇”のはずなので,いてもいないふりをして欠席).大方が予想した通り,所側は当初の「案」を貫くつもりらしい.※そんなん何でもよろしやん,なあ.どうせ染みこんでこないんだし.

◇いない間に溜まった「伝言」がたくさんあるのだが,まったく処理できていません.ごめんなさいごめんなさい.>諸方面関係者諸氏.

◇もう外は真っ暗だ.「一枚刷り」の修正は明日までにしないといけないのだけど,いったいどーしましょうねえ.研究所にほんの2時間“滞在”したのち,いったん帰ってから,今夜のことを考えることにしよう.そうしよう.今日は県南奔り回りの1日だったが,夜まで奔り続けさせるつもりか?

◇おお,そうですか,これは『Biology and Philosophy』誌の最近の号をぴしぴしとチェックしとかんとあかんなあ.

—— まずは 20(1) (January 2005)から.ニッチ構築論はほっといて,と.あ,Poly さんが火だるまに:D. N. Stamos「Pre-Darwinian Taxonomy and Essentialism : A Reply to Mary Winsor」(pp. 79-96→DOI: 10.1007/s10539-005-0401-9).

—— 引き続いて 20(2-3) (March 2005)に進む.あ,これね:Olivier Rieppel「Monophyly, Paraphyly, and Natural Kinds」(pp. 465 - 487→DOI: 10.1007/s10539-004-0679-z) / Nico M. Franz「Outline of an Explanatory Account of Cladistic Practice」(pp. 489 - 515→DOI: 10.1007/s10539-004-0757-2) .Rieppel さんは,確かに本職の古生物学者とはいえ,言動は“ほぼ哲学者”だと思われます(Patras の ICSEB-V シンポジウムで会った).Franz さん,NY の Hennig Society Meeting で講演を聴きました.でも,ようわからんかったぞ(汗).

—— で,最新号の 20(4) (September 2005)へ.Michael Ruse 「Ernst Mayr 1904-2005」(pp. 623 - 631→DOI: 10.1007/s10539-005-1933-8)は当然あるべき追悼記事だが,この号は「収斂」関連で要注目:Rui Diogo「Evolutionary convergences and parallelisms: their theoretical differences and the difficulty of discriminating them in a practical phylogenetic context」(pp. 735 - 744→DOI: 10.1007/s10539-004-1604-1)は,nonhomology論の蒸し返しか? むしろ,Eörs Szathmáry の長大な書評記事「Life's Solution: Inevitable humans in a lonely universe - Simon Conway Morris」(pp. 849 - 857→DOI: 10.1007/s10539-004-0942-3)の方が気になるな.ぼくとしては.理論生態学者はモリス「収斂百科」本をどのように評価するのだろうか?

◇夜10時過ぎに寝てしまう.欲も得もありまへんな.明日もまた丑三つ時に起床予定.

◇本日の総歩数=15659歩[うち「しっかり歩数」=6744歩/56分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/+0.5%.


16 januari 2006(月) ※ 週明け早々クローン奔る

◇午前5時半起床.ここ数日,起床時間が遅くなっていて,よろしくない.薄曇り.気温1.1度.今週は細かい予定がいろいろと差し込まれていて,各ステップをクリアしないと次に進めないようになっている.とても困る.まじクローンを創らないと間に合わない.

◇朝からこまごま —— まずは出勤前の法務省事務所行き.うぐぐ,こんな書類は初めての経験./ 研究所に行ってからは,午前いっぱいは書類書きまくり.「これでオッケー」と一瞬気を抜いてまちがったハンコを押したのが運の尽き,もう一回“ふりだし”に戻されて,一からの書き直しをするはめに(涙).これで,銀行関連のことは終わり.あとは税務署対応だけか.確定申告のときにまた山場がある./ 宿舎退去にともなう対管理人バトルは来月か.これがまた消耗しそうな気配濃厚./ 午後の打合せのために昨年の朝カルの配布資料をプリントアウトする./ 外部からの図書借出しの対応をする(>すぐ届くからねー,濱ちゃん).

◇独法研究機関はしょっちゅう人の異動があったり,組織改編があったりして,各研究室で所蔵している[はずの]図書が“行方知れず”になっていることが少なくない.とくに,古い所蔵本は紙屑と一緒に「処分」されてしまっていることもあり得るだろう.わが環境統計ユニットも分岐と融合を繰り返す“研究室系譜”の末端として,相同な蔵書もあれば水平移動してきた本も少なくない.そのうちデータベース化しなければと思いつつ,またまた次期中期計画で別の組織に組み変わるだろう.組織再編とともに漂流するのは研究員だけではない.蔵書もまたそうだ.「人」は流れに抵抗できるが(only in vain),「本」は文句一つ言わずに流されていく.

◇曇った昼休みは机に齧りつきましょー.と思ったら,週明け早々に着本ぞくぞく続々 —— 八木福次郎『書痴斎藤昌三と書物展望社』(2006年1月11日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83313-6).口絵のカラー写真はとてもきれいだが,全体的に活字が大きすぎないか? すぐ読めてしまいそうで,損した気分(貧乏性なワタシ)./ 高野潤『アマゾン源流生活』(2006年1月11日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83297-0).タイトルに惹き込まれる.おお,この表紙写真もなかなか.今月の平凡社は豊作だ./ ついでに『のだめカンタービレ14』も出た.2006年1月16日刊行(ISBN:4-06-362051-4).〈限定版〉と銘打たれていて,「しおりコレクション(5枚組)」付き! 隠れファン(隠れていなくてもいいけど)はすぐ書店に走るべし.

◇午後1時半に TX つくば駅にて某編集者氏と待ち合わせ.〈なかやま〉にて全体構想の打合せを2時間ほど.ついに【あれ】が表沙汰になるかもしれない.「そんなお考えを公表されて,問題になりませんか?」「いえ,もうすでに何年も前から【なに】ですから」という会話など.1年後の刊行を大まかな予定にして.

—— とりあえず「目次案」をまとめてみることに.

◇ブツの入っていない給料袋とともに源泉徴収票が届き,確定申告のシーズンが近いことを自覚させてくれる.今年はとってもたいへんです.ハイ.

◇午後3時半に研究所に戻ったら,事務から書類の書き直しを命じられる.ぐ.ハンコはもう自宅に置いてきましたがなー.しかし,今日それを出さないと予定がズレてしまうので,速攻で自宅に帰り,指定の銀行口座印鑑を押して,書類を書き直し,またまた速攻で研究所に戻って,3度目の正直の書類を提出したところで,午後5時になった.1通の書類の仕上げにまる1日かかってしまった.今日は1日方々を飛び回っていたので,居室の机に向かっていたのは正味1時間あまりではなかっただろうか(それも書類書きだし).

つらつらと思い起こしてみるに,1通の書類を書き上げるのに,たいていの場合3〜4回の書き直しをしている.ゆっくり書いても急いで書いても“過誤率”に有意な差はないようだ.ちょうど字の下手な人がゆっくり書いても急いで書いても“下手度”にちがいがないのと同じだ.だから,こういう状況では,なまじっか完璧主義者であろうとして書類書きに時間をかけるのではなく,むしろどんどん書き間違えてどんどん書き直すというのが逆説的に正しい戦略であると思う.だから,拙速主義者は記入すべき申請用紙はガバッと束で取ってくることを旨とすべきである.

◇午後5時からは別宅にてチョビッと仕事.その後,本宅に戻り,さらに仕事をする.

◇夜,小雨が降り出した.明日は振替休日をとっているのだが,“お休み”とは裏腹に一日中“お勤め”がある…….

◇本日の総歩数=10158歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.1kg/0.0%.


15 januari 2006(日) ※ とつぜん春めく日曜日

◇午前6時半にのろのろと起きだす.夜中は強い風が吹くときもあったが,朝には天気はすっかり回復していて,青空が広がる.南風が吹いて気温はすでに高い.

◇季節はずれに“ほかほか”と暖かい午前中は,別宅にて読書と翻訳.これこれ,こういう生活がいいのですよー.→

◇気温はもちろん10度を越えているだろう.正午前の日だまりはもう十分に春めいている.年末年始がとびきり強烈な寒波だっただけに,ここ一両日の暖かさはありがたい.

◇午後はしばしの歩き読み —— 谷沢永一『紙つぶて:自作自注最終版』(2005年12月5日刊行,文藝春秋,ISBN:4-16-367760-7)を100ページほど.見開き2ページで「自作」と「自注」がセットになっていて,快調に読み進める.言いたい放題がこの著者のキャラなので,それさえ気にならなければ愉しい読書時間がもてるかもしれない.ただし,例によって“毒”が強いので,一度にたくさんの“紙つぶて”を飲み込んではいけません.腹を下さないためには,毎回の“服用”は100ページまでにしておきませうね.

目立った穂をいくつか摘む —— 著者によると,出版社から出されている「PR誌」の歴史については斎藤昌三『書物誌展望』(1955年5月15日刊行,八木書店,ISBNなし)が決定版だという(p. 39).そういえば,今月新刊の伝記:八木福次郎『書痴斎藤昌三と書物展望社』(2006年1月刊行,平凡社,ISBN:4-582-83313-6)が明日届くことになっている.※この2冊の本は書影が収斂して見間違うほどそっくりなんですけど.

また,著者は山下浩『本文の生態学:漱石・鴎外・芥川』(1993年6月18日刊行,日本エディタースクール出版部,ISBN:4-88888-206-1→目次)にいたく感銘を受けたという(p. 79).ぼくも『生物系統学』を準備していた頃,たまたまこの本が新刊で出ていることを知って,こういう「書籍系譜学」の本が日本にもあったのだと再認識させられた.その後,しだいに Lachmann 法や Paul Maas の教科書あるいは矢野環さんの写本系図研究を知ることになった.日本の場合,第二次世界大戦中の池田亀鑑を最後として国文学における写本系図の体系的研究は途絶えているらしい.残念なことだ.

◇夜は,なんやらかんやらの事情で遅れまくっている“件の翻訳”にいそしむ.ごめんなさいごめんなさい.>まっちゃん.

◇本日の総歩数=7826歩[うち「しっかり歩数」=3631歩/32分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.3kg/−0.4%.


14 januari 2006(土) ※ 雨の週末は燃え尽き紙つぶて

◇午前7時半起床.昨夜11時から8時間あまり寝たことになる.これでやっと復調した.よしよし.外は小雨が降り続いている.これまた予報通り.よしよし.

◇だらける —— たまによし.録画してあった〈古畑任三郎・正月特番(1)〉を寝見る.劇中劇を眺めているようで,おもしろつまらん.※(2)とか(3)はどーかな?

◇ダーウィン関連の話題をふたつ —— 1) かの「ダウン・ハウス」が世界遺産候補としてノミネートされているそうだ.Independent 紙(13 January 2006の記事:「World Heritage bid for the home where Darwin's work evolved」); 2) BBC Two がダーウィンとアインシュタインの番組を組むそうだ.The Stage Online(3 January 2006の記事:「BBC2 promotes intelligent TV with Darwin and Einstein dramas」)

◇近刊メモ —— Anthony O'Hear (ed.)『Philosophy, Biology and Life』(2006年1月刊行予定,Cambridge University Press,ISBN:0521678455).出版社ページには,「生物学哲学」と聞いて脳裏に浮かぶビッグネームたちが寄稿者にずらっと.〈Royal Institute of Philosophy Supplements〉という叢書の1冊.£15.99 なので,本としては高くはないね.

編者の「Anthony O'Hear」という名前を見るたびに,Popper 本:Anthony O'Hear『Karl Popper』(1980年刊行,Routledge & Kegan Paul,ISBN:0-7100-0359-5)の著者という連想をついしてしまう.〈The Arguments of the Philosophers〉叢書の1冊として出版された本で,購入日付を見たら「1980年8月7日」となっていた.農学部の修士1年の夏休みに読んだ形跡がある.ただし数十ページ読み進んだあげく,放り出してしまったようだ(未熟者め).

とくに記録をつけてきたわけではないので,自分の「読書史」は記憶の中にしかないのだが,学部生の頃から院生の初期の頃までは,まだ“書籍数”が少なかったので,読破した順序は今でもよく記憶している.研究室が同じだった渡辺政隆さんの紹介で,当時出入りしていた青木洋書から洋書を買うことが多かった.学部4年生のときに Willi Hennig 『Phylogenetic Systematics』の復刻版(1979)が出版されたのですぐに買ったものの,得体の知れないオーラに気圧されて,そのまま書棚で熟成させていた.農学部の修士に入ってすぐに読みはじめたのは,その後,蒼樹書房から翻訳されることになる Niles Eldredge and Joel Cracraft『Phylogenetic Patterns and the Evolutionary Process: Method and Theory in Comparative Biology』(1980)で,これはしっかり読んだ.そのあとでまた Hennig に舞い戻ったり(今度は踏破できた),Fred Bookstein 本『The Measurement of Biological Shape and Shape Change』(1978)にたまたま遭遇したりしつつ(その形態測定学が修士論文のネタになったのは幸いだった),Popper 本だけは日本語も英語も意識してそろえた(主著の翻訳がほぼ出そろった時期だった).“ポパー”とか“科学哲学”は,当時の Systematic Zoology 誌を読み進む上で最低限必要な「リテラシー」だったので.

研究者の「卵」の初期に遭遇した人や本がその後の進む道に影響を及ぼしているとしたら,ぼくの場合の解明は比較的ラクだろうと思う.ずっと農学部に在籍していたということもあり,自分の勉強の内容とか関心の対象に関しては周囲とはほとんど何の関わりもなかったから.

◇『実践生物教育研究』の最新号(第43号)がオンライン公開された.三中信宏の記事「体系化の精神と系統樹の科学」(紙版では pp. 14-21)が載っています.

◇午後になって雨脚が強くなる.ざあざあ降っている.気温がもっと低ければ大雪になっていただろう.久しぶりのまとまった降雨.午後3時27分頃に突き上げるような“一発地震”を体感した.夕方,小止みになるとともに,気温がさらに上がってきたようだ.明日はさらに暖かくなるかも.

◇夜の紙つぶて —— 谷沢永一『紙つぶて:自作自注最終版』(2005年12月5日刊行,文藝春秋,ISBN:4-16-367760-7)を読み始める.それにしても“重い”な.寝読みするには腕が疲れるし…….

◇夜になって,雨は時おりざあざあと降っている.雨読の日.

◇本日の総歩数=1932歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=+0.4kg/+0.3%.


13 januari 2006(金) ※ 二晩続きの丑三つ時野郎

◇メシ喰っても,早寝しても,仕事が消え去るわけではない(単純明快な真理だ).3時間後の午前零時に起床し,そのまま研究所に直行する.夜中にごそごそするというホモプラジー的な類似性に惑わされるものの,いわゆるよくある「夜型人間」の夜行性とぼくのような「朝型人間」の夜行性とは起源が別だ.

—— さあ仕事っ.真性の夜型共同研究者にいくつかファイルを送ってもらい,ようやく今日の会議資料のめどが立ちはじめた午前2時.うげげなわあどとさんざん格闘して,用意すべき資料の印刷と必要部数のコピーが終わったのは,午前5時半のこと.これでやっと寝られる……ではなく,会議に臨めるぅ.5年間の中期計画の総括をしなければならない.会議開始まであと3時間.

◇昨日,気温が高かったせいか,冷え込みはまるでなく,朝6時前の気温はマイナス1度ほど.この週末は春めいた陽気になるらしい.午前7時にいったん帰宅.夜勤労働者のごとし(そのものか).飯喰って,午前9時にまたまた出勤する.曇って気温0.2度.肌寒い.

◇生態システム研究グループの「成績検討会」は午前9時半から始まる.中期計画5年間の最終年度なので,各課題の総まとめがそれぞれのユニットに求められている.環境統計ユニットの順番は2番目で,午前11時前のこと.配布資料づくりには果てしなく時間がかかってしまったが,“高座”にあがってしまえば,そういうことはもう何の関係もない.練習や下準備の苦労は舞台上ではみじんも漂わせてはならないと守随憲治校訂『役者論語』(1939年1月10日刊行[19891年10月9日第3刷],岩波文庫[黄266-1],ISBN:4-00-302661-6)にも書かれてある通り,20分ほどの“舞台”をしっかり務めさせていただきました.正午にいったん昼休み.睡魔が来りて笛を吹く.

この『役者論語』は印象に残った本で,かつて東大農学部で開催された応用動物昆虫学会大会の小集会(若手の会)でのトーク「実践プレゼンテーションテクニック:講演はショータイム!」の配布資料(→オンライン版)で繰り返し引用したことがある.

◇岩波書店からの近刊メモ —— 長谷川眞理子『進化生物学への道:ドリトル先生から利己的遺伝子へ』(2006年1月26日刊行,岩波書店,ISBN:4-00-026989-5).〈グーテンベルクの森〉叢書の1冊.これは自伝的エッセイですね,まりまり./メリル・ウィン・ディヴィズ『ダーウィンと原理主義』(2006年1月27日刊行,岩波書店,ISBN:4-00-027084-2).〈ポストモダン・ブックス〉の1冊./川上行蔵『完本・日本料理事物起源』(2006年1月27日刊行,岩波書店,ISBN:4-00-024240-7).上下2分冊で1200ページもあるらしい.復刻かも./中島秀人『日本の科学/技術はどこへいくのか』(2006年1月20日刊行,岩波書店,ISBN:4-00-026345-5).〈フォーラム 共通知をひらく〉の1冊.で,「どこへいって」ほしいの?

◇午後1時から,検討会の再開.ふと気がつくと“睡魔憑き”になっている.これはまずい.クローンみなかの残留思念を離脱させて,本体は去る.しかし,今日みたいに心身ともにへろへろになっているときに限って,“やはピー”に取り憑かれ,〈キッズgoo〉からの「弾かれ度」 — 〈このページは,キッズgooではひょうじしていません〉 — の勝負にあえなく負けてしまった.「やはら倫理基準」よりも「キッズgoo倫理基準」の方が厳しいというのはなっとくできても

「三中信宏」の「有害」度が,私と同水準とは,どうもなっとくがいかない.

というやはピーの指摘には,どうもなっとくがいかない.「みなか倫理基準」によれば,ワタクシは人畜無害なはずだが…….

—— ううむ,やはピーと戯れていないで,検討会に復帰せねば……(こらこら).

◇3時を過ぎて雨が降り出した,検討会は午後5時過ぎにやっとお開き.主要成果を出すユニットはお疲れさまです.環境統計ユニットも「一枚刷り」の訂正などなど,週明けにはまた書類づくりが始まるわい.

◇夕闇の中を帰宅する.飯喰って,ちょっとだけ横になったらもう意識が薄れている.この消え行く雰囲気は,リヒアルト・シュトラウスの交響詩〈アルプス交響曲〉の「最後の5小節」って感じ.午後10時を過ぎた頃,熊楠本を読みつつ,しだいに融けていく…….

◇本日の総歩数=6462歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼−|夜△.前回比=未計測/未計測.


12 januari 2006(木) ※ 丑三つ時の仕事人は

◇午前0時半起床.午前1時出勤.晴れ.気温はマイナス0.9度.昨日の東京は久しぶりに気温が高めだったが,今週末はもっと暖かくなるという予報.

—— 昨日の日中は,研究所での雑用が何一つできなかったので,その埋め合わせをするための夜中出勤だ.成績検討会が明日に迫っているので,時間的にはもうギリギリで,逃げ場はない.明け方までにすべての書類をつくり終えたい.

◇先週の〈系統学的考古学〉セミナーのあとで,PAUP*で,拡大データセット(notu=36, nchar=8)からの最節約系統樹を計算させてみた.TBR branch swapping のもとでまる1週間計算しているが,スコア41の等長分岐図が250万個以上得られ,さらにほぼ同数の swapping 待ち分岐図が残されていた.キリがないので計算を中断し(ここまでで「151時間54分24.0秒」もかかった),ツリーファイルとして保存したところ,426MB(!)ものテキストファイルが“出産”された.

—— [追記]別途“べいづ”な計算をしていただきありがとうございます.それでもやっぱり「MB」な出産は避けられないということですか.

◇あー,仕事仕事.午前6時過ぎにちくちく作業の山場をやっと越える.しかし,まだ別の書類をつくらないといけない.下山の道のりは長い.午前6時半の外気温はマイナス4.6度.冷え込んでいるようだ.

◇来月の東京農大(厚木キャンパス)でのセミナーは「2月10日(金)」に決まった.タイトルは予定通り:「一から出直す統計学:自然界のバラツキを科学するために」と「生物の多様性を体系化する:分類学と系統学を対比しつつ」のふたつ.午後1時から開始.

◇査読結果が返却されてきた.この件の事務処理は来週まわし.今週は時間との勝負でもう手一杯.

◇そーですか,名古屋〈マウンテン〉ネタはナンパに使えるとな(メモメモ).ターゲットは南山でしょーか,それとも金城学院かしら? 他にも,Xbox 360 の〈SM 鞭打ちパーティ〉のハナシとか,世の中いろいろ.※“やはら倫理基準”をすでに踏み倒しているワタシ.

◇わー,仕事仕事.午前7時にいったん帰宅.気温はさらに下がってマイナス5.1度に.さぶ…….

◇9時過ぎに再出勤.起きてからもう8時間が過ぎようとしている.今日は1日がとても長い.にっちもさっちもあっちもこっちも立ち行かなくなってきたので,“年貢”の延納を“音羽の代官様”に願い出る.無い袖は振れず,無い米は炊けない.すみませぬ.

◇日が昇るとともに気温が上がってきた.久しぶりの暖かさだ.しかし,陽気にホンワカしている余裕はない.午前中に提出しなければならない書類がいくつかあるのだ.もう時間がないぞ.>ぼく.

◇当然のごとく,昼休みは返上で,そのまま午後に突入する.午後1時からは,新しいテキストに移行した〈文化系統学 — 考古学・先史学への系統学的アプローチ〉セミナーの第1回目.教材である Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen Shennan (eds.) 『Mapping Our Ancestors: Phylogenetic Approaches in Anthropology and Prehistory』(2005年12月刊行,Transaction Publishers,ISBN:0-202-30750-6 [hbk] / ISBN:0-202-30751-4 [pbk]→目次)の冒頭にある Niles Eldredge の寄稿「Foreword」(pp. xiii-xviii)と続く導入部 Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen J. Shennan「Cultural phylogenies and explanation: Why historical methods matter」(pp. 3-16)を読む.すでに前の教科書で知っていることが多かった.系統学的考古学の頂上の高まりだけでなく,裾野も同様に広がりつつあることを知る.それも21世紀に入ってからの進展が著しい.1時間ほど.

◇そう言えば,今日から大阪で〈世界考古学会議中間会議(WAC)〉という考古学の会議が開催されるそうだ.大会プログラムをざっと見るかぎりでは,「系統学的アプローチ」の講演はあまりないようだ.

◇リリースされたばかりの Mac OSX 版〈Google Earth〉に引き蘢ってしまうところを見ると,ワタクシは相当に参っているのかもしれないぞ(実は).

◇夕闇が迫ってきても,なお明日の成績検討会の資料ができ上がる見通しはない.この遅さは近年にないことだ.えらいこっちゃ.

◇すべてを放擲し,逃げるように帰宅して(敵前逃亡),メシ喰って9時過ぎに寝てしまう(現実逃避).※おいっ!

◇本日の総歩数=5434歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼−|夜△.前回比=未計測/未計測.


11 januari 2006(水) ※ プチ行方知れず

◇午前5時半起床.気温マイナス3.9度.地面も車も霜が付きまくり.空中の水分がすべて凍結したみたい.

◇スーツにネクタイという他人には見せられない姿に変身する.午前9時半に TX つくば駅に.9時41分発の快速に乗り,秋葉原から東京へ.東京駅八重洲口で関係者と合流する.日比谷の大和生命ビルの最上階にある〈エスカイヤクラブ日比谷〉にて昼食を挟んで打合せ.※バニーちゃんはいない.

午後2時から,年末年始の期間限定という黄金色の〈Veuve Clicquot Champagne Bar, Marunouchi〉の真向かいにある文部科学省の仮ビルに入る(訳師さまのおわす場所でもある).アポを取ってあった課長と1時間ほど面談し,タンパク3000プロジェクトの後継と phyloinformatics についての説明と提案をする.感触のいい部分もあればそうでない部分もあり(そんなもんでしょ).

◇午後3時半に退出し,そのままつくばに直帰.もっと早く帰るつもりが,結局夕方になってしまった.日中やるべき仕事はすべて夜まわしに.

◇夜は,何だかなあなゑくせる文書をちくちくと記入してはため息をつくの繰り返し.とても疲れたので午後10時前に寝てしまうことにする.後は夜中だ.

◇本日の往復車中読書 —— Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen Shennan (eds.) 『Mapping Our Ancestors: Phylogenetic Approaches in Anthropology and Prehistory』(2005年12月刊行,Transaction Publishers,ISBN:0-202-30750-6 [hbk] / ISBN:0-202-30751-4 [pbk]→目次)の読みはじめ.Niles Eldredge が序文を書いている.分岐学が生物のみならず言語や写本の系統推定の方法論として注目されるようになった歴史的経緯を振り返り,cultural phylogeny を復元する上での方法論的な問題点のいくつかを指摘する.

彼は,生物系統樹の場合は形質の変換系列として共有派生形質の相同性が仮定できることが多いが,文化系統樹の場合はそうはいかないケースが少なくないだろうという:

But often in design history such is not the case. Rather, humans invent alternative solutions to the same problem — a sort of planned, deliberate convergence that nonetheless purposefully does not end up in confusingly similar states. This is homoplasy of a rather different sort. (p. xvi)

文化系統では表現型として“似ていない”ホモプラジーが多いという例の一つとして,彼自身が調べた楽器コルネットの「進化」に言及している(N. Eldredge 2003. Mme F. Besson and the early history of the Périnet valve. The Galpin Society Journal, 56: 147-151).The Galpin Society というのは「楽器史」を研究するコミュニティーのようだ.この論考で,彼は,ふつうよく見るトランペットの「ヴァルヴ」の“系統発生”を考察している(みたい:未見).金管の機能長を変更する「ヴァルヴ」の機構 — ピストンかそれともロータリーか — は表形的には似ていないがホモプラジーだと彼は結論している(のだろう).こういうネタはとてもおもしろい.

◇本日の総歩数=9252歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−0.1kg/0.0%.


10 januari 2006(火) ※ 小雪舞う未明はしっとり

◇午前2時半起床.夜半の小雨は小雪に変わっていた.積もるほどではなさそうだ.気温0.6度.久しぶりに湿度が少し増した.

◇研究所に直行して,果てしない書類仕事の続き.昨年度の業績リストとか,5年間の総括報告とか.ぜんぜん終わらん(_| ̄|○).昇格書類を書く必要がもうないとわかってから,出力リストの更新をつい怠っていたツケがまわってきて,この期に及んで雑誌とか本とか要旨集の書誌情報をチェックするはめに.たいていの年は50項目ほどあるので,分量的にばかにならない.

◇夜明け前,1階フロアにある出勤簿に押印する.ウィークデーは毎日午前5時には出勤簿が並べられている.この時刻にしては外がまだ暗いと思ったら,なんと牡丹雪が降っているではないか! これがつくばでのこの冬初めての雪になるのだろう.気温マイナス1度なので,少しは積もるかもしれない.

◇昨夜届いていた質問メールに回答する:

○○さん,みなかです.ご無沙汰しております.

おそらく回答者の先生が書かれているように「セーゲルストローレ」の本を読んで,この社会生物学をめぐる「論争」は生物学・科学社会学そして政治学の渾然一体となった「複合物」だったことを認識することが重要なのだろうと私は考えます.

もちろん,社会生物学と呼ばれる「学問」は,まっとうな科学研究をふまえたものですので,「社会生物学は科学ではない」という紋切り型の主張に対してはたくさんの反証を挙げることができるでしょう.

その一方で,社会生物学の裾野では,政治や社会に関わる接点がいくつもあり,それらをめぐる生物学者たちの発言や行動には個性(思想信条)が反映されるのは当然のことでしょうね.しかし,そういう点をあげつらって「だから社会生物学はしょせん〜」というふうに論議を展開させるのは,まちがいなく,悪しき社会構築主義の弊害だろうと考えます.

回答者の先生のコメントを読んでいて興味深かったのは,この先生はどちらかと言えばルウォンティン的な「実証主義科学観」をいまだにひきずっていて,進化学の歴史科学としての地位について理解されていないのではないかと推測します.ウィルソンはその意味で正しい進化学的思考を広めたと私は考えています.ちょうどジャレド・ダイアモンドが『銃・病原菌・鉄』や『文明崩壊』で,進化学的な「比較法」に基づく人類史推論の力強さを読者に印象づけたように.

◇◇さんのご意見もお訊きになるといいと思います.セーゲルストローレ本の書評を進化学会ニュースに掲載したときに,間髪入れずに個人的コメントをいただいたのは◇◇さんでした.彼のポピュラライザーとしての“ウィルソン”に対する評価はとても低いですね.

とりいそぎ用件のみにて.今年もよろしくお願いいたします.

◇大粒の雪はその後,さらさらの小雪に変わった.午前10時の気温は零度.これ以上降ることはなさそうだが,日中は真冬日に近いかもしれない.午後は徐々に回復するらしい.

◇近刊メモ —— 高橋正道『被子植物の起源と初期進化』(2006年2月25日刊行,北海道大学出版会,ISBN:4-8329-8131-5).著者からメール連絡をいただいた.内容と目次については,著者ページを参照のこと.潜在読者がいそうなメーリングリストには後ほど流そう.

◇正午を目前にして,空模様は急速に回復.晴れ間が見えてきた.つかの間の雪だった.昼休みの歩き読み(今年初) —— 実はコッソリ読み進んでいたジャレド・ダイアモンド『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの』(上・下,2005年12月28日刊行,草思社,ISBN:4-7942-1464-2 [上巻] / ISBN:4-7942-1465-0 [下巻]→目次)の下巻を読了.これで大物の正月本は消化した.書評は近々まとめるとして,読後感としては過去の文明衰亡(or 存続)史を論じた第2部がもっともおもしろく,とくに総括的な第9章「存続への二本の道筋」は多くの読者にとって必読だろう.現代を論じた第3部はあまり感銘を受けなかった.将来への指針を提示した第4部のうち,第14章「社会が破滅的な決断を下すのはなぜか?」は読んで損はないが,他の章は読むまでもない.前書であるジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』(2000年10月2日刊行,草思社,ISBN:4-7942-1005-1 [上巻] / ISBN:4-7942-1006-X [下巻]→書評・目次)は,全体を一気に読む心地よさがあったが,『文明崩壊』にはそのようなリズム感はなく,章によるバラツキが大きいと感じた.

◇午後1時から,これまた今年初の〈Zar統計学本〉セミナー(第33回) —— Chapter 19. Simple Linear Correlation (pp. 398-410).扱われた話題は,ランク相関・2×2分割表・intraclass correlation・concordance correlation.この章終わり.

◇明日の午前中は急遽,都内某所に出向くことになった.ちょっと行って,すぐ帰ってくる予定.

◇検討会資料がまだ全然できていない.今週から所内の他の部署では検討会が始まっているというのに.

◇本日の総歩数=12543歩[うち「しっかり歩数」=6878歩/56分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.5kg/−0.6%.


9 januari 2006(月) ※ 煽られ仕事とブログ1周年

◇午前5時半に目覚めたものの,1時間ほどぬくぬくする怠惰.今日も晴れ.雨や雪の気配は露ほどもない.3連休の関東は,雪や寒波に覆われたというたの地域とはちがって,全般的に穏やかな冬晴れが続いたと思う.

◇朝から別宅にて仕事をする.現代新書原稿の過去分をヒミツのサイトにアップしておく.テキスト・ファイルを書くのに手一杯で,htmlにするヒマがなかった.

◇昼前に懺悔の剃髪をする(ウソ).※ばっさりと刈られて,少しは軽くなったかもしれない.

◇〈leeswijzer〉1周年! —— 本日1月9日をもって,本録〈leeswijzer〉を開設してからちょうど1年が経ったことになる.今の時点でのカウンターを見ると四捨五入して「96,000」になるので,アクセス回数を月平均すると「8,000回/月」となる.意外に広く読まれているのかもしれない.この1年間,「継続は力なり」を旨として,1日の空白もなく更新し続けられたのは幸いだった.これからも地道に積み上げていきたいと思う.

〈leeswijzer〉だけでなく,この日録〈dagboek〉や〈evolve〉/〈biometry〉のようなメーリングリスト類もそうだが,基本線としては「自分が欲しいと思う情報」を載せたり流したりしている.その意味ではまちがいなく“利己的”なことをし続けていると自覚している.「本」に関して「自分が欲しいと思う」のは次の三つ:

  1. 書誌情報:本に関する最低限の情報.古書・新刊・近刊・企画も含む.
  2. 目次情報:読むか否か,買うか否か,薦めるか否かの判断材料として.
  3. 付帯情報:書評やコメント,同一著者の過去の著作など関連する素材.

最初の「書誌情報」はアンテナを張っていればそれなりに収集できる(ただし刊行年月日は和書の場合,現物を手にしないと確定できないことが多い.洋書だと版元からの情報を信じるしかないか).次の「目次情報」は意外に集めにくい.専門書の場合,“タイトル買い”とか“表紙買い”のリスクの大きさは身に染みて知っているので,どのような内容の本であるのかは購買に直結する重要事項だと思う.とくに複数の著者が寄稿している論文集だと目次情報は必須だ.最後の「付帯情報」はあるときとないときのバラツキが大きい.一般書ならば誰かが何らかの感想文を書いてくれるだろうから,事前にある程度の見通しをつけることができるが,専門書の場合はそういう“幸運”に恵まれることはまず期待できない.

このように考えてみると,「目次情報」や「付帯情報」のようにあってほしいと自らが希望する情報を〈leeswijzer〉に書き込んできたことがあらためてわかる.自分にとってそれは確かに役に立つ情報であり,この方針は当面変わることはないだろう.

◇午後は研究所にて切羽詰まってきた仕事を消化する.まずは,今週金曜の成績検討会の資料をつくらないといけない.予算執行の会計システム入力もそろそろケリをつけないとどうしようもない.見計らい品とか未払いの物品を確認した上での作業.気が重い.

夕方まで仕事をするもののケリはまだ先.いったん撤収する.部屋,寒すぎ.

◇夕食後,早々に寝てしまう.午後10時前.

◇本日の総歩数=5263歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.8kg/+0.6%.


8 januari 2006(日) ※ 歩き初めと新年会

◇午前6時半起床.昨夜は何やらかにやらで寝たのが午前1時を過ぎていた.夜更かしは寝坊の元.連休中日だからといって気を抜いてはいけない.今年初のウォーキングをば1時間半ほど.ルートは同じく木陰道.年賀状を投函し,道草して帰還.約1万歩.

◇またまた“あっしー君”と化す午前中.営業車のように乗り回す.先日の小雨以来またまた空気が乾いてきて,これまで以上に高電圧の静電気が飛びまくる.アースを引きずって歩きたいほど.

◇午後5時9分の TX 快速に乗り,「流山おおたかの森」で東武野田線に乗り換え一駅の「初石」下車.東大オケのプチ新年会とのことで,ほぼ20年ぶりにこの駅で下車する.かつては柏駅からのローカル線が通過するだけの“何もなかった”一帯だったが,いまや TX 通過という交通利便性の大幅アップで新築マンションやら分譲住宅やらが林立する.駅前にこんなにたくさん店がありましたっけ?

◇徒歩10分ほどで,かつて来たことのあるご自宅に到着.今日持参したのは,赤はボルドーの〈Chateau Lalande-Borie Saint-Julien1997〉と白は〈Louis Chevallier Chablis 2004〉の2本.わいわいと楽しむにはちょうど良かったのでは.日本酒の原酒まであったので,人数の割にはだいぶ呑んでしまった気がする.午後9時過ぎに解散.実に健康的だった.※「三中さん,今年の秋にプッチーニの〈トゥーランドット〉をやりませんか」というアクマのささやきが聞こえた気がしたが,空耳か…….

初石での備忘メモ —— ナゴヤに行ったらけっして〈スガキヤ〉の悪口を言ってはならない;南山大学前の〈喫茶マウンテン〉に登攀して完食しなければならない;「あんかけスパゲティ」にたじろいではならない;「あんこ責め」されようが「ミソ煮込み」されようが笑ってかわさなければならない.新年会に参加していた名古屋つながりな人たちからのナマ情報ということで,きっちりインプットさせていただきました.ハイ.※お,〈コメダ珈琲店〉の「シロノワール」というのも話題に出ましたな.[追記]

◇呑んで歩いて寝た1日だった.明日は自主的勤労日.

◇本日の総歩数=17760歩[うち「しっかり歩数」=11071歩/89分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=−0.1kg/0.0%.


7 januari 2006(土) ※ 世間的には3連休のはずが

◇午前5時半起床.冷え込みはほどほど.晴れ上がる.北風がないせいで,気温が低い割りには寒い気がしない.

朝から家族の“足”になり,午後3時くらいまで土浦〜取手を含む茨城県南部を走り回って疲れる.

昨年買った昭文社の新しい『スーパーマップル・茨城県道路地図』(2005年4月刊行,昭文社,ISBN:4-398-62808-8)をブラウズしていて,わが農業環境技術研究所が地図に載っていないことを発見して少しうろたえる.国道408号沿いに動物衛生研究所と畜産草地研究所に挟まれているのは,農環研ではなく“農業研究センター”と記されているではないか.地図上では早くも農環研は中央農研に統合されてしまっているのかぁ(汗).※独法の組織名がコロコロと変わるので,地名プロの地図会社にも追跡しきれないのかもね.

—— そんなこんなで,何も仕事ができないまま,夕方になってしまう.

◇一昨年前から細々と書き続けてきた講談社現代新書の原稿にいよいよケリをつけるときがきたようだ.三中信宏『だから系統樹!― 野望の思想,跳躍する科学』(2006年4月刊行予定,講談社現代新書→目次)という仮題を付けてからもう2年余りが経とうとしている.山場の第3章がやっと終わったので,残りは下山ルートの第4章とエピローグだけだ.早々に終わらせてしまおうね.>ぼく

というのも,この件を終わらせないことには,マクラを高くして?次なる仕事に移ることができないからだ.

昨年来,翻訳のお手伝いをしてきたサイモン・コンウェイ・モリスの収斂進化百科『生命の選択肢』(遠藤一佳・更科功訳,2006年上半期刊行予定,講談社,ISBN未定)はゲラ待ちの段階だ(原著 Simon Conway Morris『Life's Solution: Inevitable Humans in a Lonely Universe』2003年刊行,Cambridge University Press,ISBN:0-521-82704-3 [hbk] / ISBN:0-521-60325-0 [pbk]→目次).

コンウェイ・モリスの本が収斂進化の「究極要因」に関する論考であるとするなら,昨年末にいきなり浮上してきた別の翻訳案件:スコット・カマジン他『生物システムにおける自己組織化』(松本忠夫・三中信宏訳,2006年刊行予定,海游舎,ISBN不明)は,収斂進化の「至近要因」のひとつである自己組織化をテーマにした本なので(原書:Scott Camazine et al. 『Self-Organization in Biological Systems』2001年4月1日刊行,Princeton University Press,ISBN:0691012113 [hbk] / ISBN:0691116245 [pbk]→目次),内容的にも(営業的にも)両方の本は深い関連がある.時間的にとても厳しいのだが,これもできれば同時に出したいと思う.※できるか?

他にも,懸案の“生物統計学お祓い本”とか“とあるメチエ構想”とか“某大手新聞社新規参入新書プロポーザル”とか,それはそれはいろいろあるのだが,そういうのを全部抱え込んでしまったら,「噺家」だけでなく,「作家」になってしまいますがな.

研究面では,「系統樹を売りこむ」営業仕事がもうひとつの対外的な中心になりそうだ.プロジェクト立案・共同研究・論文執筆でどこまで生産的であり続けられるかが問われている.見込みは方々であるのだが,相手が乗り気になるか,うまく踏み出させられるかが鍵になる.

—— 何だか【新年の抱負を語る】みたいになってしまった.

◇本日の総歩数=3923歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=−0.1kg/+0.3%.


6 januari 2006(金) ※ 火がつくのは尻だけではなく

◇午前5時半起床.曇りがち.気温マイナス2.1度.中途半端に寒い感じがする.

◇朝のこまごま —— 計量生物学会 email 会議への返信./ 新しい講義サイト〈文化系統学 — 考古学・先史学への系統学的アプローチ〉の開設.

◇今月は所内の成績検討会があったりして,いろいろと雑用が堆積している.検討会の資料もつくらないといけないのだが,そこまでまだたどり着いていないというのがカナシイなあ.

◇アブダクション本2冊が Alibris から昨日着便した —— John R. Josephson and Susan G. Josephson (eds.)『Abductive Inference: Computation, Philosophy, Technology』(1994年刊行,Cambridge University Press,ISBN:0-521-43461-0 [hbk] / ISBN:0-521-57545-1 [pbk]).人工知能(AI)研究との絡みでの「推論」論.すでに読みはじめている Douglas Walton『Abductive Reasoning』(2004年刊行,The University of Alabama Press, ISBN:0-8173-1441-5→目次)は Josephson 本に近いスタンスなのだろう. / Lorenzo Magnani『Abduction, Reason, and Science: Processes of Discovery and Explanation』(2001年刊行,Kluwer Academic / Plenum Publishers,ISBN:0-306-46514-0→目次).どちらかと言えば,もっと科学哲学寄りの「推論」論.

◇昼前の“誘惑”2件 —— ふむむ,4月以降も「登攀」の続行ですか……./ううむ,ついに「御大」まで新書に参入してくるとは…….

◇午後2時からグループ内会議.細かいこといろいろ.とある国立大学との「連携講座」のハナシが浮上しているそうだ.農環研の一般公開は「4月19日(水)」に決定.

◇午後の献本(感謝です) —— コウモリの会(編)『コウモリ識別ハンドブック』(2005年8月1日刊行,文一総合出版,ISBN:4-8299-0015-6).かつて高崎に数年間住んでいたときに強く感じたのは「コウモリが多い」ということだった.人家の多い住宅地であっても夕暮れになるとあちこちでコウモリが飛び交っていた.京都にいた頃はコウモリなんぞはほとんどまったく見たことさえなかったのに,上州に来てからは毎日のように目撃していた.一度は家に飛び込んできたことさえある.翼を広げたサイズは大きいように見えても,コウモリの“本体”はとても小さいのに驚いた記憶がある.でも“獣”は“獣”なんですよね.これでも.

◇海游舎の近刊情報 —— いくつか注目すべき本がある:フィリップ・S・コーベット『トンボ博物学:行動と生態の多様性』(2006年内,海游舎,ISBN不明→情報).ずいぶん前から翻訳が予告されていた本だ.やっと今年出るのか./ 茂木幹義『マラリアと蚊と水田』(2006年内,海游舎,ISBN不明).5年ほど前に同じ著者によるやはり海游舎の本:茂木幹義『ファイトテルマータ:生物多様性を支える小さなすみ場所』(1999年12月10日刊行,海游舎,ISBN:4-905930-32-4)の書評をしたことがある.とてもおもしろい本だった./ 河野昭一『種と進化(新版)』(2006年内,海游舎,ISBN不明).おお…….同名の『種と進化』(1977年4月刊行,三省堂,ISBN:4385436258)の復刻か.個人的には,その前の河野昭一『種の分化と適応』(1974年3月刊行,三省堂,ISBNなし)の入っている叢書〈植物の進化生物学〉全4冊が何とかならないかなあと思って.古書価格がめっちゃ高いし./ んでもって:スコット・カマジン他『生物システムにおける自己組織化』(2006年内,海游舎,ISBN不明).「松本忠夫・三中信宏共訳」なんて書かれているから,もう逃げられないよねえ.うー.※逃げるつもりやったんかっ >ぼく.

◇正月に久しぶりに根性を入れてつくったカレーがまだたくさん残っている.根性入れて喰われたので,計2kgに達する“肉”のカタマリはそろそろなくなりかけている.しかし,カレーの“スープ”部分が力強いので,具は何でもいいのだ.しかし,ここんとこ腹の調子が思わしくないので,ほんとうは根性カレーを食べてはいけないのかもしれない. / 杉並のMM氏に思いがけずお褒めいただいたので Emmanuel Rouget をまた買っておこうかなー(Passetoutgrains 以外は途方もなく高価なのだが).

◇カレーにばっかり根性を入れてもしかたがないので,目前に迫っているいくつかの仕事に根性を入れよう.

◇本日の総歩数=5525歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=−0.4kg/+0.3%.


5 januari 2006(木) ※ 独楽鼠かはたまた狛犬か

◇午前5時起床.曇り.気温マイナス1.5度.

◇雑誌の話題をふたつ —— 『実践生物教育研究』第43号(2006年1月発行,実践生物教育研究会→サイト)が届いた.近いうちに,全文がオンライン公開されるだろう./ 『生物の科学 遺伝』第60巻第1号(2006年1月1日発行,NTS,ISBN:4-86043-110-3).今号から発行元が裳華房からNTSに移った.今後,生物科学系の一般誌として,どのような編集方針で発行されていくのだろう? 気になるところ.

◇午後1時から1時間ほど,〈系統学的考古学〉セミナーの最終回(第28回).Chapter 6. Trees and Clades(pp. 181 ff.) / 7. Character-State Tracking / 8. Concluding Remarks をまとめて.

第6章の後半.OTU 数を17から36に増やす(→データ).数十万の等長分岐図が解として得られる.その解集合から分岐図を無作為抽出して合意樹を計算することにより,クレードの頑健性をテストするという方法を提案している(他では見たことがない).さらに,遺跡の地理的情報を考慮することで,考古学的な系統地理学(phylogeography)の可能性を論じる.祖先的ホットスポットから文化的伝承がどのように伝搬していったのかを系統学的に論じようということらしい.

それにしても,上のデータで,いったいどういう最節約解が出るのか,と試しに PowerBook G4 で計算させてみたら,あっという間に「メモリ不足」の警報が.50万を越えている.形態形質が8個しかない(!)のだから当たり前なんだけど.せめてもう少し informative characters を増やした上で,テストデータにしてほしかったなあ.

続く第7章では,第6章で得られた分岐図の上で鏃の形質の最節約復元を行ない,そのデザイン(とくに柄との結合部分に関する機能的形質)がどのように系統発生したかを考察する.文化系統的なトレンドのようなものがあるのかどうかという点が示唆される.

第8章では,考古学の研究素材に対して分岐学的方法がどのように使えるのかという点に再び立ち返る.万能薬でも万能酸でもなく,文化系統樹を推論するための分岐学的方法の将来性と問題点が指摘されている.

—— 今回をもって,輪読テキスト:Michael J. O'Brien and R. Lee Lyman『Cladistics and Archaeology』(2003年刊行,The University of Utah Press,ISBN:0-87480-775-1→目次・書評)を終えた.次回からは,文化系統学の論文集:Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen Shennan (eds.) 『Mapping Our Ancestors: Phylogenetic Approaches in Anthropology and Prehistory』(2005年12月刊行,Transaction Publishers,ISBN:0-202-30750-6 [hbk] / ISBN:0-202-30751-4 [pbk]→目次)を輪読することになった.

◇午後のこまごま —— JST 報告書はほぼ終わったかと思いきや,資料追加の依頼が.pdfを作りかえて,再度アップする.事務局と関係者に通知.

◇夕方,メーリングリストの管理作業と月例アナウンス.メール転送エラーがあまりに多いので(1投稿ごとに20〜30通),会員に「エラーが生じるようなメール転送の自粛」を求めたところ,実に機敏に反応が返ってきた(意外や意外).※ML管理者はどんどん会員に“要求”しましょう.

◇〈日本進化学会第8回大会〉 —— 本日付けで広報された通り,今年の進化学会大会は,「8月29日(火)〜31日(木)」の日程で,東京オリンピック記念青少年センター(代々木)で開催されます.※残暑が厳しいだろうなあ…….

◇本日の総歩数=5276歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=+0.6kg/0.0%.


4 januari 2006(水) ※ 燃え尽きる御用始め

◇午前5時起床.曇り.気温マイナス1.7度.仕事始めだが,いまいち調子がよろしくない.

◇昨年末に依頼されていた査読原稿をダウンロードする.期限は「3週間」きっかり.分量が多くないのが幸いだが,追われるなあ.

◇年の初めということで,昼前からグループ長室で新年の顔合わせと昼食会.南アフリカの“葡萄ジュース”を飲み過ぎたかもしれない.“麦のジュース”や“米のジュース”も豊富にあったのだが,朝から体調が思わしくなかったので控える.うう,アタマ痛いかも.

◇新年早々の着本あり —— Andrew Purvis, John L. Gittleman, and Thomas Brooks (eds.)『Phylogeny and Conservation』(2005年9月刊行,Cambridge University Press,ISBN:0521825024 [hbk] / ISBN:0521532000 [pbk]→目次).雑誌論文だったらオンラインでいくらでも後で集めることができるが,単行本は国内の所蔵頻度がぐっと低くなるので,心して買っておくしかない.国内の公的機関のどこにもないとなるとお手上げなのでね.もちろん,カネに糸目をつけなければ大英図書館からコピーを送ってもらうことはできるが,個人的には“ブツ”が手元にあってほしい.

◇「追われる」ことは多々あるのだが…….

◇アタマの痛さは“ジュース”のせいばかりではないようで,夜は午後9時前にふとんに入ってしまった.

◇寝読み —— ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの』(上・下,2005年12月28日刊行,草思社,ISBN:4-7942-1464-2 [上巻] / ISBN:4-7942-1465-0 [下巻]→目次)の上巻の第2部に進む.文明崩壊のケーススタディーの部分.第4章まで120ページほど読む.太平洋上の孤島であるイースター島(第2章)とピトケアン島/ヘンダーソン島(第3章)の事例,そして北米インディアン(第4章)の場合が詳細に論じられている.ストーリーを裏付ける証拠の集め方の目配りと細心さに感心する.放射性同位体による年代推定はもとより,花粉分析による古代植生の復元,住居跡に残されたさまざまな状況証拠の積み上げ,果てはモリネズミの廃巣に残された糞からの推論にいたるまで,あらゆる情報断片から文明のたどった歴史に迫ろうとしている.

◇本日の総歩数=4107歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−0.3kg/−0.7%.


3 januari 2006(火) ※ 正月カレーで野菜も崩壊

◇午前6時起床.晴れ.夜半の雨はもう上がっていたが,冷え込みが厳しくて,残った雨滴がそのまま氷粒になっている.路面も固く凍りつく.車の温度計はマイナス5度を指している.今日はとても寒いらしい.

◇またも朝から別宅籠り —— ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの』(上・下,2005年12月28日刊行,草思社,ISBN:4-7942-1464-2 [上巻] / ISBN:4-7942-1465-0 [下巻]→目次)を読み始める.いい訳文なので,プロローグと第1章をあっという間に読了.120ページほど.前著のジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』(2000年10月2日刊行,草思社,ISBN:4-7942-1005-1 [上巻] / ISBN:4-7942-1006-X [下巻]→書評・目次)ほど進化生物学っぽくないが,「比較法」に則って文明の行く末を分析しようとする姿勢は前著と変わりがない.第1章のモンタナの話は“アメリカ”の国内事情についてもっと知っていればピンとくるところも多かったのかもしれない.第2章以降のケーススタディーに期待しよう.

◇昼過ぎに本宅に戻り,カレーのお世話 —— 3日目ともなると,手がだんだんかからなくなる.ときどき水を足したり,たまり醤油を注いでみたり,パインジュースを加えたり.元旦に投入した丸ごと野菜類は,そろそろ崩壊しはじめている.仕上げのヨーグルトとチャツネを用意する.“肉”類はまだお目見えしていない(買ってもいない).今日中にスープを分岐させ,ビーフ・カレーとチキン・カレーに speciate させる予定だ.いつもカレー用に使っている深鍋は,学部時代から30年近く使い込んでいる北陸アルミの PROCAST シリーズだが,くたびれることなくいまなお現役で働いてくれている.

◇〈iPhylo〉 —— ほおほお.なかなか.増殖する系統学ブログ.

◇夕方からはチキン・カレーへの分岐進化をさせ,ついで母集団をビーフ・カレーへと前進進化させる作業にいそしむ.チキンは周辺隔離鍋なので500グラムという少量の肉だが,母集団には1.5キログラムもの大量牛肉塊を投入する.ブロックに切り分けたり,焦げ目をつけたり,と戦場的厨房.2時間ほど格闘して,やっとすべての食材を鍋に閉じ込めることができた.アクをすくって,ニンジンをさらに2本追加して,あとはひたすら煮込むのみ.

◇ぼくが昨年書評した鷲津浩子『時の娘たち』(2005年4月1日刊行,南雲堂,ISBN:4523292973→目次書評)の著者からメッセージをいただいた.いつも勝手に書評を書いては〈leeswijzer〉に投げ込んでいるのだが,このように反応が返ってくるのはたいへん心強いものだ.どうもありがとうございます.>鷲津さん.

◇昨年末から正月にかけて,東大オケのOB連からの挨拶メールがいくつか届いた.そこには,かなりの率で「ブログを始めました」という連絡が付いている.もちろん音楽関連のブログも多いのだが,そうではない専門的なものもある.備忘メモとしてここに書いておこう(実名で運営されているブログのみは氏名付き) —— 〈SKinsui's blog〉(50Fl&国語学者の金水敏さん);〈荒巻淳の音楽ページ〉(50Flの荒巻淳さん);〈音楽・読書・ときどき旅行日記〉(52Cbのジャーナリスト氏);〈リュート,リュート,リュート!!!〉(これまた某52Cbさん.いつの間に Lute にハマっていたの?).

ということで,これまたにぎやかな年のはじめです.

◇本日の総歩数=6921歩[うち「しっかり歩数」=2830歩/26分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.4kg/−0.4%.


2 januari 2006(月) ※ 雨上がりに徘徊する農環犬

◇午前6時半に起床.雨はもう上がっていて,曇り空.しかし空気が湿っているので,寒さがとてもこたえる.このタイプの寒さは久しぶりだ.

◇まずは,カレー鍋を火にかけて,遠火のとろ火でふつふつさせる.きのう丸ごと投げ込んだニンニクは跡形もなくなっていた.鷹の爪も10本ほど入れたはずだが,それも見えなくなっている.残る固形物は丸ごとニンジンのみ.いまはまだ兇悪な匂いが鍋の周辺に漂っているが,時間が経てばまろやかな香りに変わってくれるだろう.今日はタマネギやセロリの丸ごと攻撃に入ろうか.

◇朝から別宅に籠る.年越しの仕事はいろいろとあるのだが,まぁそれはそれとして(おいっ) —— Michael J. O'Brien and R. Lee Lyman『Cladistics and Archaeology』(2003年刊行,The University of Utah Press,ISBN:0-87480-775-1→目次・メモ)の最終章から:

Transmission creates what archaeologists have long referred to as tool traditions. Given this perspective, things found in the archaeological record are appropriate for phylogenetic analysis. (p. 225)

石器のような考古学的遺物は,その製作者の系譜を通じて,道具伝承(tool tradition)すなわち「文化系統樹」を形成する.考古学的形質の系統解析を通じて道具伝承,そしてその背後にある文化の系譜の推定が考古学の目的であると著者たちは言う.そして,考古学が関連諸科学との関連の中で占める位置について:

Archaeology is just that: a historical science. Its sole claim to unique status within the human sciences is uts access to portions of past phenotypes —— something that ethnographers, sociologists, psychologists, historians, and others who study humans do not have. …… Thus we take as archaeology's most important goals the writing and explaining of the history of human phenotypes. (p. 227)

考古学が人間の表現型(あるいは延長表現型)の学であり,それらが系譜を形成するとき,系統樹が考古学における基本ツールのひとつとなることは必然でしょう.実際,著者らが分岐学的方法を採用するにいたった動機もそこにあるようで:

We view cladistics as the most important of the various methods. Cladistics is not a method that depends on genetic continuity as a basis for reconstructing phylogeny. Rather, it depends solely on heritable continuity, irrespective of the mode of transmission. Proper use of cladistics in archaeology recognizes biological (genetic) and cultural transmission, both of which play a role in the evolution of such things as tool traditions. (p. 228)

そして,最後に,分岐学的方法は万能薬でもなければ,お手軽なツールでもないという感想が述べられている:

Cladistics is an iterative process, and it demands patience and persistence. (p. 229)

“Intellectually demanding”という点では,分岐学以外の系統推定法も似たり寄ったりだと感じる.自動販売機のように,データをポンと入れれば,適当な系統樹が即座にガラガラと転がり落ちてくるわけではないから.

◇福袋の嵐 —— 昼前に Q't のあたりを徘徊する.初売りの福袋が乱舞している.スターバックスでカプチーノを買って,早々に別宅に帰還する.また引き蘢り.昼過ぎに『Cladistics and Archaeology』の書評文を完成(→leeswijzer書評も公開しました).これに合わせて,Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen Shennan (eds.) 『Mapping Our Ancestors: Phylogenetic Approaches in Anthropology and Prehistory』(2005年12月刊行,Transaction Publishers,ISBN:0-202-30750-6 [hbk] / ISBN:0-202-30751-4 [pbk])の目次を本サイトでも公開しました.

◇IOSEB の Werner Greuter 会長から年賀状がメール添付画像で届いた.Nelumbo nucifera とのこと.美しい.正月早々,方々で苦笑を誘っているという“農環犬”に比べれば,はるかにマシですなあ.そう,この IOSEB 業務も今年は進捗させないといけないのだ.いろいろと関連先に連絡しないといけないし,何よりも予定されている企画を進めないと困ったことになる.すみませんすみません.

◇昼頃から再び小雨が降りだす.冷たい雨.本宅にいったん戻る.カレー鍋に追加の丸ごと攻撃を決行し,ニンニク1株とタマネギ5個を投下した.ついでにリンゴをひとつ投げ込む.さらに煮込む煮込む…….

◇夜の熊楠 —— ハーバート・スペンサーからの影響とか,指紋をめぐる論議,そして大英図書館で紙魚と化した日々(「ロンドン抜書」)の成果など.第9章まで読了.200ぺーじあまり.ほんの数行のコメント投稿からやや長めの論考まで,長短さまざまだが,『Nature』誌の Correspondence 欄を使った投稿がかつてはこのような“自由度”をもっていたとは知らなかった.訳本のフォントのサイズがやや大き過ぎる気がする.最近よく見かける中高年に配慮した“大活字本”みたいな.あまり安く売るつもりもともとなかったのかもしれないけど,組版と装幀を工夫すればもっと安価に仕上がったのではないか? 

◇本日の総歩数=3134歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.前回比=+0.7kg/−1.0%.


1 januari 2006(日) ※ 謹賀新年!年男参上

◇昨夜はリアル除夜の鐘とテレビ除夜の鐘を聞きつつ,ローストビーフの下ごしらえをしていたので,寝たのが午前2時前だった.年明け早々,真夜中に「肉を縛る」などアヤシイことをしているようでは,今年もどうなることやら.正月カレーの準備は今日から始める.

—— そんなわけで,元旦は大寝過ごししてしまい,午前7時半に起床する.いちおう初日の出らしきものも窓越しに拝んだが,今日は雲が多い.下り坂という予報は当たっているようだ.

◇元旦から営業している店も最近は出てきたが,さすがにまだそれは少数派であって,つくばの中心街は今日だけは静かだ.初売りの始まる明日はきっと人・車ともにごった返すにちがいない.

◇昼前に別宅に入る.カウンターに向かいて,読み物と書き物.うんうん,これが正しい「活字正月」だ —— 昨年の最後にやってきた論文集:Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen Shennan (eds.) 『Mapping Our Ancestors: Phylogenetic Approaches in Anthropology and Prehistory』(2005年12月刊行,Transaction Publishers,ISBN:0-202-30750-6 [hbk] / ISBN:0-202-30751-4 [pbk]→目次)をぱらぱらする.系統学的考古学をめぐるシンポジウム論文集だ.昨年前半に出た論文集:Ruth Mace, Clare J. Holden, and Stephen Shennan (eds.) 『The Evolution of Cultural Diversity: A Phylogenetic Approach』(2005年刊行,UCL Press,ISBN:1-84472-099-3 [hbk] / ISBN:1-84472-065-9 [pbk] →目次)と目指すところが同じで,考古学ならびに先史学における「系統推定」の理論と応用について論じている.

もちろん,これらの考古学畑の論集が,生物系統学における系統推定法の進展を踏まえてものであることは明らかだが,Mace et al. の論文集が,どちらかと言えば,系統推定の応用に関わる事例研究が主であったのに対し,今回届いた Lipo et al. の論文集は文化系統推定のより理念的な諸問題に焦点を当てているようだ.だから,最節約法や最尤法あるいはベイズ法が系統学的考古学のツールとしてどのように使えるのかについては Mace et al. 本を見た方が参考になるだろう.Lipo et al. 本の方をむしろ先に読むべきなのかもしれない.でも,両論文集に共通して寄稿している著者も少なくないので,いっぺんに読んでしまえば悩む必要はない.案ずるより読むが易し.

—— いずれの論文集も編者の一人に〈CEACB〉こと AHRC Center for the Evolutionary Analysis of Cultural Behaviour を率いる Stephen Shennan が含まれている.進化考古学の研究拠点からのアウトプットとみなせるだろう.

◇そういえば,今年の4月から農環研でのセミナー〈系統学的考古学 ― 考古学データに基づく遺物の系統推定論 〉の輪読教材として読み始めた系統学的考古学の教科書:Michael J. O'Brien and R. Lee Lyman『Cladistics and Archaeology』(2003年刊行,The University of Utah Press,ISBN:0-87480-775-1→目次・メモ)もそろそろ終わりが見えてきた.記憶が薄れないうちに書評だけでも先に書いておくか.

◇元旦シェフがやってきた —— 午後は昨日下準備しておいたローストビーフの焼き上げとカレーのつくりはじめ.ローストビーフは500g塊なので,1時間ちょいのオーブン調理でミディアムに焼き上がった.手間ヒマかかるのはカレー.すりばちでホールの香辛料類をまずすりつぶす.ナツメグとシナモンだけはパウダーだが(カルダモンも),それ以外は基本的にホールを使う.大量のタマネギと適量のニンニクとショウガをすべてスライスし,炒めること1時間半ほど.きつね色になったところに香辛料類を混ぜ,焦がさないようにしてルーをさらに炒める.ホール・トマトを加えて,スープを注ぎ込み,鍋いっぱいにして煮立てる.ついで,ニンジンなどの香味野菜類を丸ごと放り込んで火を弱め,あとは2〜3日間ほどそのまま煮込む.途中,ワインが混ざったり,醤油を垂らしたり,味噌が溶かされたりして,つくるたびに味がばらつくのがまた愉しい.まだ“具”にあたる肉や野菜はまったく入れていない.それらの“具”は数日後にはじめてカレースープと対面することになる.

—— もう夜になってしまった.今日の夕食には Emmanuel Rouget の〈Bourgogne Passetoutgrain〉でした.ローストビーフには合ってるけど,おせち料理にはいささか不適切だったかも.ましてやお雑煮には……(>_<).

◇Michael J. O'Brien and R. Lee Lyman『Cladistics and Archaeology』(2003年刊行,The University of Utah Press,ISBN:0-87480-775-1→目次・メモ)をするすると読了.あとは書評文を書くだけ.

◇夜遅く,小雨が降り出した.

◇本日の総歩数=6627歩[うち「しっかり歩数」=1760歩/15分].全コース×|×.朝△|昼−|夜×.前回比=+0.2kg/+1.0%.


--- het eind van dagboek ---