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oude dagboek

日録2004年10月


31 oktober 2004(日) ※ さらに追い込まれる月末

◇夜半からずっと雨が続く.朝になっても濡れているような湿っているような空模様.その後,昼前になって晴れ間がのぞき,気温が急上昇.20度を越えたのではないか.

◇原稿を書き続ける.内容的にはどうしても散らばりがちなのだが,テーマは共通なので散漫にはならない.それにしても,書くべき素材が多過ぎ.

◇佐藤卓己『言論統制:情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』(2004年8月刊行,中公新書1759,ISBN: 4-12-101759-5)読了.第2次世界大戦中,出版会を踏みにじった〈悪役〉としてあしざまに糾弾され続けた情報統制官・鈴木庫三の足跡をたどる.鈴木は筑波山麓の明野町出身.当時の軍隊ヒエラルキーの「底辺」から這い上がっていった経歴が描かれる.陸軍対海軍の抗争の中で,海軍に後押しされた“京都学派”と陸軍がバックについた東大教育学部派による戦時思想戦をめぐる対立が,戦時中の出版会に対する「言論統制」にも影を落としていたという指摘(第5章)は興味深い.表層的ではない深層的コンテクストがあったということか.また,朝日新聞社の雑誌『科学朝日』はもともと鈴木の肝いりで軍事関連科学技術の一般啓蒙誌として創刊されたとのことだ(P.324).

◇午後も原稿.あまり進まず.

◇夕刻,つくばに向けて出発.午後7時すぎにたどりつく.つくばは雨上がりが遅れたのか,地面が濡れ残っていた.

◇本日の総歩数=3189歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜−.前回比=未計測.


30 oktober 2004(土) ※ 追い込まれる晦日

◇5時起き.曇りなれど気温は高め.10度くらいか.定例コースを歩く.Book-Aceにて:生きもの文化誌研究会編の『ビオヒストリー』という叢書が昭和堂から出版されていることを知る.今月新刊は「茶」がテーマ,前号は「生物多様性」,そして,次の巻は「鯉」が中心となる.興味が惹かれないわけではないが,内容や構成がイマイチ“緩め”で購買慾は一向に湧かず.他方,ウィリアム・ブレイズ『書物の敵』はそのうち買わないとダメですな.紙魚の御写真が表紙の真中に居座っている.

―― 東新井からの帰路途中,小野崎の田んぼの真中で小型のイタチのような四足獣を目撃する.体長20センチ,尾が10センチほど,黒褐色で体高低し.休耕田の畦道を駆け抜けていった.つくばは,市街地から一歩でも中に入ると,タヌキは出る,ウサギは跳ぶ,イノシシは車道を走る,変人は徘徊するという狐狸の里なり.

◇10時過ぎに雨が降り出す.この週末はぐずつくらしい.

―― その予報通り,昼前から冷たい雨が降り続く.その中を〈みずほの村祭り〉で肉喰ったりとか,飯喰ったりとか.

◇午後,原稿を書くためのイメージング.あのピースとこのピースがそのように組み合わさる予定.

◇夕暮れ時に高崎へ移動.高速に入ってから雨足強く.三郷から外環への首都高で追突事故2件あり.関越道をたどり2時間ほどで藤岡インターに到着.

◇何だか眠たいです.

◇本日の総歩数=13808歩[うち「しっかり歩数」=8565歩/66分].全コース×|×.朝△|昼○|夜○.前回比=−1.6kg ※連日乱高下.


29 oktober 2004(金) ※ 満月沈む早朝は摂氏4.6度

◇それでも5時半に目が覚める.東の空には昇る朝日,西の空には沈む満月.からっと晴れてきりきりと冷える.6時で4度台ということは,未明はもっと寒かったのかも.

◇講義の機材などなどを片づけつつ,思い立って某所に電話し,くだんのことがらについて確定させてしまう.※これでリベンジは果たしたぞ.

―― ちょっと調べてみると(→たとえばここ),J. G. R. Forlong(1824-1904)という人物は,当時としては異色の経歴をもつ“異能の人”だったようだ.スコットランド生まれの軍人にしてエンジニア,赴任した先々で宗教に絡む遺物・遺跡をめぐり,人間社会の宗教的信念に関わる広範な情報を集めたという.主著は『Rivers of Life』(1883)と『Faiths of Man』(1906)のそれぞれ3巻本.後者は『比較宗教百科』というタイトルですでに日本語訳されているそうだ(1997年12月刊行,Edition Synapse,ISBN: 4-931444-04-0).世代的には,ウォレスやヘッケルと重なっていて,ちょうど進化論が受容され始めた時期にあたる.相互の影響関係が気になるところ.最初,“アラビアのロレンス”みたいなイメージを抱いたのだが,ちょい違っていたみたい.

◇天気とてもよし.西の沢の大橋付近の稲荷川でカワセミの飛翔を目撃.ひさしぶりのこと.

◇午後,「希望調書」なる紙を提出する.ま,いまの状況で異動願いを出せるわけはないので,ムダといえばムダな作業なのだが.

◇数理統計研修のテキスト(基礎編・応用編)が届く ―― 今年から分冊にされている.基礎編は252ページ,応用編は306ページ.ま,確かに今までみたいに合体された“電話帳”を持ち歩かなくてもいいという点ではプラス.しかし,どちらかのコースを一方だけ受講する研修生は,他方のテキストをもらえないという不備な点が出てくるのでは? それとも,全受講生に両方とも配るというのであれば何も問題ないのだが.

―― いずれにせよ,来月の第2〜3週は統計研修でほとんど時間がなくなるだろう.

◇JR横川駅の超有名駅弁〈峠の釜めし〉に見られるような素焼きの「蓋附き丼」は,自宅では「一人分の雑炊釜」として重宝してます.ただし,ひとりに1個あれば十分なので,何個も抱えると困りますねえ.確かに.

◇月末最後の現実逃避として,佐藤卓己『言論統制:情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』(2004年8月刊行,中公新書1759,ISBN: 4-12-101759-5)を読み進む.第4章まで読了.こういうタイプの擬似ルポルタージュ的スタイルは好みです.

◇あ,“音羽テポドン”が〜.

◇本日の総歩数=17137歩[うち「しっかり歩数」=10592歩/92分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+1.0kg ※げっ.


28 oktober 2004(木) ※ 帝都を徘徊する秋の一日

◇5時半に起床.よく寝させていただきました.朝イチで〈キクマル〉に髭を舐められる.※人見知りしなさすぎ.

―― かの〈ルヴァン〉富ヶ谷店のパンとともに朝食.ごちになりました.>としくん.

◇外は気温やや低めながら快晴で心地よし.千代田線の代々木八幡から乗って神保町まで.崇文荘書店でちと淀む:J.G.R. Forlong (1883)『Rivers of Life』というどでかい3巻本に遭遇.全世界の宗教史をたどった労作のようだ.巨大な折り込みタペストリーが3巻目の箱に入っていて,樹木崇拝やら偶像崇拝などの宗教系譜が“ネットワーク”として描かれていて強烈なインパクトあり.ひょっとしたら「運命的な遭遇」なのかもしれないが,10万円近いセット価格を見てそっと静かに棚に戻す.※リベンジはありえないな,こりゃ……

◇東京堂書店に立ち寄る.おお,やっと出ましたか:マシュー・バトルズ『図書館の興亡:古代アレクサンドリアから現代まで』(2004年11月1日刊行,草思社,ISBN: 4-7942-1353-0).原書通り注から索引まで付けられていてよかった.もう1冊:池谷伊佐夫『神保町の蟲:新東京古書店グラフィティ』(2004年11月9日刊行,東京書籍,ISBN: 4-487-79935-X).かつての『河童が覗いた〜』シリーズの挿し絵みたいな古書店俯瞰図が多数.※「神田古本まつり」は明日から文化の日まで.もう青空市の舞台はセッティングされつつあった.共栄堂にてポーク・カレー.

◇その後,銀座に移動.伊東屋にて Filofax イヤープランナーを買う銀座4丁目のアップル・ストアを徘徊.山野楽器でCD売り場もついでに流す.東京駅に転戦し,高速バス待ち時間に八重洲北口のスターバックスにて日録書きと差し迫った原稿2件の覚悟をば.

◇British Library から届いた論文をスキップ読み:

  • S. G. Kiriakoff (1960). Filosofische grondslagen van de biologische systematiek. Natuurwetenschappelijke Tijdschrift, 42: 35-57.

この論文はベルギー論理学・科学哲学会の招請による論考とのこと.生物体系学に関わる生物学哲学(wijsbegeerte van de biologie)と科学的実在論(wetenschappelijk realisme)に関する論議.前半で頻繁に引用されている E. Callot (1957)『Philosophie biologique』って何? その他いろいろと刺激される.

◇帰りのつくばね号にて,偶然にも北海道農研センターの横山和成さんと遭遇する.これから農研機構に押し入るとのこと.奇人と変人が接近するとロクなことにならない.夕刻からつくばにて密談することになってしまう.

―― 午後8時前に,小野崎の沖縄ダイニング〈海とぅ島〉に集結.中国に行って馬賊になる話とか,霞が関でのヒミツ植民地化計画とか,いかにして反抗的に剃髪するかとか,そろそろ evacuation した方がいいだろうとか.だいたいこういう方向の話題に収束するところがヘンといえばヘン.泡盛のストレートががんがんと吸い込まれていく.その後,さらなるエスニックな〈場〉へと移行していくのだが …… つくばのディープなる結界の出現.秋の満月の夜は実に lunatic であった.

◇ということで,日が変わる直前にへろへろと帰宅.そのままへなへなと軟体動物化する.

◇本日の総歩数=17681歩[うち「しっかり歩数」=6479歩/57分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.8kg


27 oktober 2004(水) ※ 当日なんですけど……

◇ううむ,深夜の研究室にローソクを立てて仕事をしなければならないとは.江戸川乱歩かはたまた横溝正史か.ううむ.

―― 結局,夜中ずうっとがキーボードを叩き続けて,午前6時過ぎにやっと80MBほどのpdfファイルがごろんと転がり出てきました.これにて夜なべ仕事はオシマイ.一寝入りしますです.

◇正午前に起床.シャワーしたり飯喰ったり.ぱたぱたと出かける準備をして,ひたち野うしく駅に着いたのは午後2時前のこと.駒場には3時半くらいにはたどり着いたのだが,COE事務局を探し求めて右往左往.来るたびに建物が増えたり,部署が移動していたりする.“17号館は?”と訊いても所在を知らない駒場住民多し.やっと発見.

―― 16:20から12号館2階にて講義開始(→「第4回:シンプルって美しい:認知最節約化のための図像と概念」).180人ほどの受講生.文化三類の学部生がほとんどだという.なんとか高座をお勤めして終わったのは17:50.ツリーとネットワークの認知理解度について,“われわれ”の範囲限定についてとか,分類認知にパラメーター推定はあり得るのかという質問などなど.講義に関するミニ・レポートの束を受け取る.

◇〈キクマル〉登場 ―― 講義後,COE事務局前のロビーにて軽く飲む.としくんが「大きい白犬」に引きずられてやってきた.〈キクマル〉君の登場だ.生後半年にならないというが,すでに16kgもある.プードルと言えば“小さい犬”という認知カテゴリーがぼくの中にできあがっていたが,その分類体系はまさに今がらがらとスクラップ・アンド・ビルドの真っ最中.

◇夜7時くらいにキャンパス内の駒場ファカルティハウス2階にある〈橄欖〉に場所を移し,マッカランとタリスカーを少し(with としくん).室内は学内VIPの予約が入っているとのことで,ベランダ席へ.日暮れとともにいささか涼しくなる.井の頭線が木立の向こうに見える.

―― 1時間ほどして,階下の〈ルヴェ・ソン・ヴェール〉に移動.としくんの話だと,この店は京大の時計台下にある店と同系列なのだそうだ.殿が満を持して登場(後れ馳せ科研費書類をものしておられたとか).その後,まりまりも登場.アラカルトでいろいろと食べつつ10時くらいまで居座る.睡魔が来たりて笛を吹き始めた.

◇夜遅く,富ヶ谷の〈キクマル〉宅に転がり込む.いたるところ“座敷犬シフト”した生活モードであることがわかる.としくんもいろいろとたいへんでしょうな.

―― キクマルに甘咬みされつつ,そろそろと熟睡体勢.

◇本日の総歩数=14413歩[うち「しっかり歩数」=1835歩/18分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=未計測


26 oktober 2004(火) ※ 泥縄の朝が来る

◇曇りの朝.気温15度.相対的に暖かく感じる.早朝からまた縄を綯う.伸びる伸びる.

Robert J. O'Haraの〈歴史科学カレンダー〉を久しぶりに覗いてみる.1993〜1997年に開設されていた O'Hara のメーリングリスト〈Darwin-L〉は〈EVOLVE〉の手本となるネット・グループだった.今でも過去ログが見られるようになっているのはうれしい.

◇明日の駒場トークをこね上げる ―― 思いつくままに資料をスキャンし,文献を片っ端からブラウズする.かなり前から,こういう“講演製造様式”が定着してきたようだ.古典落語と同じで,ストーリー(筋立て)の“オチ”はもう決まっているので,それにいたるまでの“前ふり”(ツカミ)のもっていき方とランドマーク(節点)の配置がその都度ゆらゆらと変わる.いったん,本筋に乗ってしまえば,節点間の“補間”は「場」の雰囲気を見ながら,滑らかに継いでいくことができるだろう.

―― 今回の聴衆はほとんどが専門に進む前の学部生だということなので(つうことはハタチ前後ですか),まずは“こませ”を十分に撒いておかないといけないかもしれない.また,連続セミナーの「連続性」を補強するために関連する演者・演題への参照は忘れないこと:認知考古学の松本直子さん,人種概念に関する内田亮子さん,そして素朴生物学については波多野誼余夫さん.

―― William Whewell の『帰納諸科学の哲学(Philosophy of the Inductive Sciences)』(1840)をぱらぱらする.もちろん Whewell の文脈は現代とは大きくかけ離れているのだが,「生物学の哲学(The philosophy of biology)」とか「分類科学(classificatory sciences)」そして「古因科学(palaetiological sciences)」などなど使えそうなキーワードがどんどん顔を出す.

◇外は本格的な雨になってきた.気温は高め.

◇午前中いっぱいかかってトークの素材がほぼ出そろったので,あとは InDesign に配置しながら,スライドをつくっていく.参考文献リストに項目をさらに補足する.

◇〈Bogen メモ〉――「さらにふたつ発見された」との連絡が留守録に入っていた.これで5つに増えたことになる.善哉善哉.

―― と一瞬油断したのがイノチ取り.音羽から発射されたサイレンサーに息も絶え絶え…….

◇いえいえ,学会大会で百万円超の黒字が出たなどという話は古今未曽有・空前絶後・前代未聞ですぜ,ダンナ.ふつーは大会会計さんがひーひー言って,なんとかとんとんに納めるというものでして.※こんな荒技ができるのは駒場の悪代官〈殿〉だからこそ.

◇うわ,もう夕方 ―― まだハンドアウトがぜんぜんできあがってませ〜ん.※ということは,プレゼン用スライドができてへんいうことですな.まいったなー.

―― というわけで,午後7時半に再び研究所に舞い戻る.今日中にしあげないことにはどーにもなりまへん.

―― とウダウダ言いつつ時間は過ぎて,もう日が変わってしまった…….道まだまだ遠し.困ったなー.

◇本日の総歩数=10045歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.8kg.


25 oktober 2004(月) ※ 一難去って,またニ難……

◇5時起床.雲多く冷えこみなし.13.2度.今週もまたバタバタする.週半ばに失踪予定あり.

◇石黒耀の新刊『震災列島』(2004年10月22日刊行,講談社,ISBN: 4-06-212608-7).偶然にしてはこわすぎるほどの刊行日と新潟中越地震日との一致(1日ズレ).※“現実逃避”のために買ったのだが,不幸なことに“現実直視”になってしまった.

◇進化学会関連 ―― 進化学会ニュース(Vol.5, no.2)が届く.うへー,超黒字っ! これからも財政的にヤバくなったら,駒場で大会しませう.※ヤブヘビか./でもって,財政立て直しの〈名君〉から正式に御沙汰あり.近未来的に“奴隷化”することが決定.※徹底抗戦立籠り先をどこかに確保しなければ.

◇裳華房から『遺伝』の最新号が届く(2004年11月号).う゛,ワタクシは『生物統計学』という本を書いた覚えはありませぬぞ.※そろそろ〈非生命体の進化理論〉の原稿をなんとかしないと.なんとか.

◇昼休みも曇り.徘徊する.稲荷川沿いの出水はまだ止まっていない.台地の縁からの湧水箇所がいたるところに見つかる.午後1時近くなってやっと晴れ間.気温が20度を越したようだ.

◇またまた駒場の同窓生から連絡の電話あり.え,“霞が関”で呑みましょうって?

◇今週水曜に予定されている〈進化認知科学・連続セミナー〉に行くための年休届を提出完了.主催者〈としくん〉からは「“キクマル”がまとわりつくかもしれませんがどーぞ」と当日夜の宿泊先の提供申出あり.ありがたい.〈殿〉の話では御犬様“キクマル”とは「白くて大きなプードル」らしい.※宴席には〈殿〉が乱入されるという予告あり.

―― でも,ワタクシの講義「第4回:シンプルって美しい:認知最節約化のための図像と概念」の準備はまだ進んでいなかったりする.ハンドアウトをつくったりしないといけないのだけれど…….あら,たいへん.

◇『震災列島』イッキ読み終了 ―― 前著『死都日本』とは異なり,どうやらこの本には嫌われたみたいです.※ま,そーいうこともありということで.

◇音羽から新装丁の「現代新書」が見本として届く.デザインといい色づかいといい minimalism ですな.書目ごとにすべて色を変えるのだそうな.※なかなか知能犯な原稿督促戦術かも.>K治さん.(汗)

◇水曜のトークのための準備に追われる秋の夜長.とりあえず,参考文献リストをつくった.

◇本日の総歩数=14216歩[うち「しっかり歩数」=6811歩/60分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg.


24 oktober 2004(日) ※ 爽やかな朝を迎える

◇晴れ.午前6時の気温は9.1度.こりゃ寒いっす.

◇研究所にいやいや出頭し,ムダムダ書類をのろのろとプリントアウトする.御沙汰どおりに各項目に手書きの注釈をこりこりと記入する.誤分類らしき項目もあったが,そんなことはどうでもいいトリヴィアルなことなので(この人事書類そのものがトリヴィアル),どんどん進める.1時間あまりで作業完了.封筒に一式を詰めて投函.これでおしまい.あとは知ったことではないので,書類内容に関する想定されるいっさいのクレームは拒否することを決意する.※こんな書類をじくじく作らせている大学は先が見えている.

―― とてもすがすがしい気分になる午前7時.

◇Amazon.com からメールあり.Olaf R.P. Bininda-Emonds (ed.)『Phylogenetic Supertrees』は無事出荷されたとのこと.Edward R. Tufte の「ヴィジュアル言語本」3冊と併せて届くとのこと.

◇フィンランド語の歌〈Hoosianna〉の翻訳を頼まれて四苦八苦.「Hoosianna, Daavidin Poika〜(ダヴィデの子よ,救いたまえ)」とは〈マタイ 21:9〉から取られているわけですな.苦し紛れに調べたおすと,松村一登さんのフィンランド語サイトに到達した.つい寄り道して,「ウラル諸語の話者人口」などという表を見る.ツンドラ地帯のエネツ語はすでに数十人レベルにまで話者が激減し,ラップランドのサーミ諸語にいたっては話者が一桁しかいない.絶滅危惧言語の実態.

―― ん,東大の「言語動態学」講座って…….>N村さん.ども.

◇つくばエリア内をうろうろする ―― LALA Garden つくばの ABC Mart にて,Timberland の新アイテム #54589(「Carlsbad」)をつい買ってしまう(運命的出会いというか確信犯というか).履き心地とても良すぎます.※足元軽やか,サイフも軽やか…….

◇次いで,アルス・ホールに次男を送っていく.

◇ピーターパン吾妻店にて電話注文しておいた Pumpernickel を1本引き取りに行く.※「プンパーニッケル」という不思議な名前の由来をちと調べてみたら(→Wikipedia(独)),“Pumper”とは中高ドイツ語の「放屁」(furzen)を意味する言葉で,“Nickel”はコボルト伝説に出てくるいたずら妖精の名前だそうな(金属の“ニッケル”もこれに由来).要するに“ニッケルの屁”が語源だと言うのだけれど.食慾の秋はこの程度のことではへこたれない.店頭で渡された“ニッケルの屁”は焼きたてで,まだ熱かった.

◇さらに荒川沖のジョイフル本田方面に転戦.プリントショップで先週発注した名刺200枚を受け取る.ついでに,ペットショップにて朱文金を2尾ゲット.

〈三中地区〉―― 租界か魔界か結界か:前から気にはなっていたのだが,ついに写真まで撮ってしまった.ジョイフル本田手前にて車中から撮影.※住みたい? 住みたくない?

◇おお,週末だというのに,さっそく例の人事書類への注文が(無休で書類チェックされているみたいな).「外部資金獲得の実績」という新規項目が設けられたそうな.※書類無間地獄とはまさにこのことか.

◇帰宅後,水槽の準備とか,読書とか,アノ原稿とか,ソノ書評とか,ま,ごそごそしているうちに就寝時間となる.

◇本日の総歩数=11235歩[うち「しっかり歩数」=4069歩/34分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=+0.4kg.


23 oktober 2004(土) ※ カラスウリも色づく秋晴れ

◇朝から晴れ上がる.11.7度.明け方は霧が濃くかかっていたが,すぐに消えた.

◇前夜の続き:とても気分よく?ムダな作業を続ける(……).

「北大には分類学の伝統があるのかな。」―― あるのです.ほら,アノ人も,ソノ人も,コノ人も.日本国内の体系学の現代史を描いてみると,「北海道大学」にはいくつかの時期に中核となる人材が存在していたことがわかります.

◇来春の〈生態学会・統計上方寄席〉は無事に実現しそうな気配.

…… ムダな書類をひたすらつくり続ける.昼も夜も.けっきょく文章が仕上がったのは午後7時半.分量的にはA4で8枚に過ぎないのに死ね死ね罫線フォーマットのせいでのろのろ.せっかくの晴れの日がムダに潰されてしまった.ムダムダムダ.しかも,これで終わらないのがミソ.いったんプリントアウトした上で,手書きで項目のそれぞれに「付記事項」なるものを記入しなければならない.教員候補者の「業績をさらに明確にするため」だそうだ.各項目ごとのカテゴリー分類や共著の場合の寄与のタイプ分けを書き込まねばならない.100項目もあるのに手書きとはねえ.明日の朝,印刷してから作業するハメに.

…… 三日がかりのムダ仕事.時間数にすると計40時間ほど費やされることになるだろう.来週早々にも先方にとっとと送ってしまおう.※想定される文面修正の要求はすべて却下する予定.やってられっか!

◇午後5時56分に大きな揺れ.周期の長い横揺れが断続的に2時間ほど続く.遠くで大きな地震かと思ったら,ニュース速報で新潟が「震度6強」とのこと.茨城県南部は「震度4」.地震がないはずの群馬県も「震度5」というから相当に大きな地震だったようだ.

◇佐藤卓己『言論統制:情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』を読み進む.“伝説破壊”的でとてもおもしろい.

◇本日の総歩数=3873歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.4kg.


22 oktober 2004(金) ※ ♪魔王がやってくる〜♪

◇5時起床.気温12.4度.寒くなってきた.

【欹耳袋】―― カール・ジンマーの来月近刊『「進化」大全 ― ダーウィン思想:史上最大の科学革命』(2004年11月22日刊行予定,光文社,ISBN: 4-33-961783-8).オールカラーで500ページとはね.価格を税込6,000円に抑えたのは出版社の威力か.印刷部数もきっと多いのだろうけど.

◇いやあ,こりゃ〈火にアブラ〉―― Bryan Kolaczkowski and Joseph W. Thornto 「Performance of maximum parsimony and likelihood phylogenetics when evolution is heterogeneous」(Nature, 431: 980-984, 21 October 2004).でも,タイトルがおとなし過ぎてよくないですね(つい“誤解”する人もきっといるだろう).ネイチャーらしさを出すとしたら.「オッカムのリベンジ:最節約法は不死鳥か?!」くらいの挑発がふさわしい.

◇う,午前中の時間はないものと思って――

―― ちくちくと某大学の人事書類をつくり始めたら,午前中どころか,昼休みを飛び越えて,午後も延々と作業は続き,夕方になっても,全体の2割しか進まず.要するに書類だけつくって一日がムダに終ってしまったというアホらしい話でして.

◇夕暮れ間近にウォーキング,昼間は気温が22度まで上がって,日だまりには Diptera がスウォーミング.台風の影響はまだ残っているようで,稲荷川近い土地はいたるところで水が染み出している.石垣が崩れかかっている家もあり,その隙間に巣を作っていたマルハナバチは途方に暮れているふう.ケラが鳴く.

◇現実逃避したものの,書類仕事はちっとも終わらず.そのまま持ち帰り,家でもちくちくと夜なべしたが,日が変わってもやっと半分に近づいたかという程度.もう寝よう.※ムダな20時間が食い散らかされ,なお道遠し.

◇本日の総歩数=16923歩[うち「しっかり歩数」=10342歩/90分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.4kg.


21 oktober 2004(木) ※ 上空通過,吹き返す明け方

◇午前5時起床.台風一過ですっきりと思いきや,まだ雨がざーざー降っている.暴風圏はすでになくなったものの,なお強風圏に入ったままのようだ.規模の大きな台風だった.

―― 昨夜からずっと右肩が痛くて重くて…….なにか憑いているよーな.※どなたか「蠱毒返し」しませんでした?

◇え,図書館の中に研究室があるとは! “ネコに鰹節”な環境で,実にうらやまし過ぎますなあ.パラダイスっ.※院生のみなさん,〈ボルヘス〉化したりしないんでしょうか?

◇David L. Hull『Science as a Process: An Evolutionary Account of the Social and Conceptual Development of Science』の目次を公開.俎上に乗るまでに15年あまりもかかってしまった.

◇梅谷献二『虫を食べる文化誌』の書評を公開.メーリングリストにも流す.書評を流すのは久しぶりだ.

◇11時近くになってやっと雨が上がり,晴れ間が見えそう.でもまだ雲が多い.

―― ぐむう,もう観念しました.引き受けさせていただきますです.何ごとも諦観がすべてか.※迫る〈殿〉と地頭には勝てぬ……./おわあ,日本語表現のポリッシュアップか.※〈のぞみ〉と〈ゴルゴ13〉には勝てぬ…….

◇年度末の生態学会大阪大会へのワルイお誘いが届いた.今度は生物地理噺ではなく統計法話ですね:〈統計的検定かモデル選択か〉.と思ったら,静岡で開催される植物病理学会から系統学トークのお誘いが.日程的には完全にバッティングしているのだが,幸いどちらの学会にも所属していないので,高座の当日をずらせば何とかなりそうな希望的観測が.静岡が28日午後で,大阪が30日であれば言うことなし.>ということで,箱崎の尊師におかれましては調整のほどよろしく.※と思ったら,速攻でうまく事態は進みつつあるようでよかったよかった.

◇備忘:日本生物地理学会の会報のバックナンバー(コンプリート一式)を送る準備をすること.>ぼく

◇永嶺重敏『〈読書国民〉の誕生:明治30年代の活字メディアと読書文化』の書評を公開.

―― 永嶺さんの他の著作も気になったので,えいやあと2冊購入:『モダン都市の読書空間』(2001年3月刊行,日本エディタースクール出版部,ISBN: 4-88888-310-6)と『雑誌と読者の近代』(2004年2月刊行,日本エディタースクール出版部,ISBN: 4-88888-803-5).

◇午後2時を過ぎてやっと日射しが戻ってきた.気温も上がりつつあるようだ.

◇勢いで,Matthew Battles『Library: An Unquiet History』の書評を公開する.

◇夕刻,つくば電気街あたりをうろつく.ブックランド・カスミにて佐藤卓己『言論統制:情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』(2004年8月刊行,中公新書1759,ISBN: 4-12-101759-5)入手.新書にしては厚い(うれしい).エポカルのCASAにてHull本の復習しばし.午後6時から竹園公園にて組合の集会(7時まで参加).日が暮れると息が白くなる季節になった.

◇夜,某学会の緊急レフリー2件をすませる.明日投函しよう.

◇本日の総歩数=10460歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg.


20 oktober 2004(水) ※ 引きこもる台風の日

◇雨また雨.6時の気温は16.7度.

◇昨夜の夜中近くに,駒場の同級生から,先週土曜日の同窓会の報告と写真がメールで送られてきた.本郷に行く前からの年数を勘定するとちょうど四半世紀か.[添付写真を眺めつつ]うわー,ほんまにおっさんばっかしやんか,これって.と他人事のように言ってはいけませんぞ.>ぼく.

―― 近況など書き連ねて西焼津の院長先生に返信する.次回の同窓会にはぜひ呼んでくださいませませ.

◇Amazon.com から連絡 ―― Olaf R.P. Bininda-Emonds (ed.)『Phylogenetic Supertrees: Combining Information To Reveal The Tree Of Life』のペーパーバック版の入荷が遅れているとのこと(イヤな予感).その目次構成からして手元に置くべき本なのだが,ハードカバー版(US$ 176.00)を買う勇気はとてもない.ここはじっと辛抱して,80%も安いペーパーバック版(US$ 39.00)の到着を待つしかないではないか.

◇10時半からグループ会議.独法非公務員化のこととか,来年度の図書購入のこととか.

◇〈Windows XP Service Pack 2〉なる巨大な更新ファイルが送られてきた.トラブル頻発というウワサを耳にしていたので,こわごわシステム更新したがいまのところ問題ないようだ.※さらに「口うるさく」なった気がするけど.

◇農研機構から連絡 ―― 育種指定試験地(都道府県の農試のこと)での統計研修のプランがあるそうだ.また実験計画法の講義を依頼したいらしい.開催が今年度か来年度かは未定とのこと.また,「高座」の回数が増えそう.

◇某学会からの緊急査読原稿(2件)が届く.和文原稿なのだが表記がとても気になる.現在の表記では,「副詞は原則としてすべてひらがなに開く」という基準があったのではないですか?(〈即ち〉→〈すなわち〉;〈漸く〉→〈ようやく〉;etc...) しかし,原稿を見ると必ずしもそうはなっていない.それ以外でも,たとえば子どもたちの作文を見ると,変に漢字が多過ぎるような気がする(「〜するとき」とか「〜すること」が「〜する時」や「〜する事」と書いてあったり).※とっても急いでいるそうなので,こういう表記上の問題は目をつむりましょ.まずは内容内容.

◇「蓋然性レシオ試験!」―― わ,すげえ!(今度,何かの機会に使わせてもらおう) ※原語がわかった人はとてもエライぞ! 誉めてつかわす.

◇外は雨がざあざあ降っているので,武満徹の〈雨の樹〉をBGMにしてみる.

◇備忘 ―― 近刊たち:『アーレント=ヤスパース往復書簡3』(みすず書房,ISBN: 4-622-07107-X)/ホワイトゥン&バーン『マキャベリ的知性と心の理論の進化論II』(ナカニシヤ出版,ISBN: 4-88848-914-9)/ベック『微生物学の歴史II』(朝倉書店,ISBN: 4-254-10581-9).

◇館内放送で,遠距離通勤者は早退してもよいとのアナウンス.ぼくも早々に退去するかな.※とっても近距離ですけど.

―― 松野木のガソリン・スタンドにて待ち時間に復習:David L. Hull『Science as a Process: An Evolutionary Account of the Social and Conceptual Development of Science』(1988年,The University of Chicago Press, ISBN: 0-226-36050-4).久しぶりにひもといたらノドが壊れかけている.かつて酷使した本だったからね.読了したばかりの伊勢田本『認識論を社会化する』の内容を反芻しつつ,ポイントをチェックする.

◇風が強くなってきたようだ.いよいよか.[17:00]

◇しだいに風雨が強まる中,伊勢田本の目次項目を入力する(→認識論を社会化する』目次).あとは書評文だけ.やや長くなるかも.

◇おお,さっそく「ご名答」が届く.※すごいっしょ,アレ.

◇夜10時を過ぎて,気温が急上昇.雷鳴と稲妻をともなって急に風雨が強まる.

◇本日の総歩数=4928歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg.


19 oktober 2004(火) ※ で,読みました,食べました

◇近因は秋雨前線,遠因は迫り来る台風23号ということで,朝から曇り.ときどき小雨がぱらつく.気温は14.7度.

◇査読関係の返信をやっと完了(のろし)./まだ例の人事関係の書類でもたつく.拙速に努めるべし.※そろそろイヤになる.

進化本の山津波 ―― 願ったり叶ったり,というか,これ幸い,というか,渡りに舟,というか…….読書の秋にふさわしいビッグウェイヴが押し寄せる.Franz M. Wuketits & Christoph Antweiler (eds.)『Handbook of Evolution, Volume 1』(2004, Wiley-VCH, ISBN: 3-527-30839-3).進化学ハンドブックの第1冊目で人間の社会と文化の進化がテーマ.全3巻構成で,生命系の進化と宇宙の進化がそれぞれ柱になるそうだ.うーむ,そもそも grand theory を目指しているような気がして,購買意欲は単調減少しているんだけど(3冊で10万円ほどする)./Sergey Gavrilets『Fitness Landscapes and the Origin of Species』(2004, Princeton University Press, MPB-41, ISBN: 0-691-11983-X).種分化の理論とモデルの総括みたいな本.※おお,キンタ君,登場.

―― しかし,これだけまとまっておいでになっても困るんですけどねえ.マジな話.Sean H. Rice『Evolutioanry Theory: Mathematical and Conceptual Foundations』(2004, Sinauer Associates, ISBN: 0-87893-702-1).これは数理進化遺伝学の本ですね./Timothy Shanahan『The Evolution of Darwinism: Selection, Adaptation, and Progress in Evolutionary Biology』(2004, Cambridge University Press, ISBN: 0-521-83413-9).進化学史の新刊.

◇うう,もうすでに満腹なんですけど…….とのけぞった不覚を突かれ,駒場の〈殿〉から御沙汰あり.ま,マジっすか? そのハナシはムリではないかと思われるのですが.拙速っつうわけにはいかないでしょう.ねー.※そそくさと現実逃避モードに入る.

―― でもって,デザートにこんな4冊はいかが?とさらに並べてみる.









ううむ,もう何も入りまへんなあ.豊作の秋,よくぞこれだけ「進化本」が獲れたものだ.※もちろん,読む読まないは別問題ではあるのだが.

◇しとしとと雨が降り続く.これから台風が接近するにつれて,木曜にかけて風雨がしだいに強まっていくという予想.つくばの道路がいたるところで冠水するにちがいない.歩道のメンテは皆無だし,車道は凹凸だらけ.

◇[独白]“生活クラブ”のケチャップは確かに「偉大」だと思います.よくぞケチャップの味をここまで引き上げてくれたという感慨.

◇閾値をいったん越えてしまうと涅槃の境地にいたるということか.

◇午後,懸案の人事書類にのろのろと取りかかる.しかし,わーどの書式指定を見るたびに盛り下がる.困ったな.地べたの“全活動/全出力リスト”から再度文書整形しなければならないので,いやいや心理状態になっているのだろう.いやいや.※InDesignに逃避してしまおう.

日本科学史学会生物学史分科会が出している『生物学史研究』の最新号(73号:2004年9月発行)に,太田邦昌遺稿〈「美田欲稀、薄田欲稠」から「大疎小密」論まで−イネを中心とする作物の最適栽培密度論に関する歴史(その1)−〉が載ったとの情報を得る.長野敬さんによるイントロ(「太田遺稿の掲載にあたって」)付き.※しばらくアップデートしていなかった〈太田邦昌著述目録〉を更新しないと.

◇そぼふる雨の中を帰宅 ―― 伊勢田本を読了.「補章」で逝きました.ここはとっても難しいです,ハイ.理解不能ということではなく,むしろ論議すべき問題であると筆者がみなしている状況を把握(共有)できないもどかしさと言うべきでしょう.※〈メタ〉が憑くと「要注意」ってことですかね.

◇夜になってさらに雨足強くなる.これは秋雨前線の活発化であって,台風本体ではないそうだ.明日から明後日未明に最接近とのこと.※23号の直後に来そうな24号も気になる.

◇新刊メモ:森浩一編『京都ことはじめ』(2004年10月20日刊行,編集グループ〈SURE〉,ISBN: 4-88008-322-4).※巨椋池のこととか.

◇本日の総歩数=7002歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg.


18 oktober 2004(月) ※ さ,読みませう,食べませう

◇早朝から日射しが強い.今日までは天気がいいそうだ.6時の気温は10度.

◇朝イチで小学校のオープン・スクール日の巡回担当として社会奉仕する.腕章を付けて不審者を警戒しつつ校内外をうろうろと徘徊(よほどアヤシかったりする).数年前にNPOアサザ基金の援助で実現したビオトープは順調に成熟しつつあるようで,増えたメダカは元気でした.

◇上田徳三郎・武井武雄『製本』(2000年10月31日復刻,トランスアート,ISBN: 4-88752-129-4)で製本スタイルを確認する.Stamos本のように,ハードカバーで背にびっちり糊付けするようなタイプは「硬背(tight back)」と呼ぶそうで.これに対して,通常のハードカバー版では,ページを開くと背と本体との間に“空隙”ができる.これは文字通り「腔背(hollow back)」と称されるスタイル.なお,ペーパーバックのように,背と本体がいったいとなってたわむタイプは「可撓背(flexible back)」と呼ばれる様式.ちなみに座右の書たる『Molecular Systematics』は,初版(1990年)は spiral-bound で,第2版(1996年)は hollow back なペーパーバック(いずれも類書にはない変わった製本様式).

◇JR上越線に「高崎問屋町」という新駅が先週土曜日にオープンしたそうだ.でもアソコに駅をつくってどーするのだろー.やや寂れつつある問屋町の再活性化? まさか.※喜ぶのは“高女生”ばかりなり(きっと).

◇岩波書店の書庫で明治時代以降の雑誌のバックナンバーが大量に発見されたという新聞記事を見たのはずいぶん前だった気がする.創刊号も多数含まれ,その資料的価値の高さが評価されてきたそうだが,つい先ごろまでうらわ美術館で特別展示されていたそうだ.その図録が岩波書店から『創刊号のパノラマ:近代日本の雑誌・岩波書店コレクションより』(2004年9月3日刊行,岩波書店,ISBN: 4-00-023709)が出版された.たくさんあるものを一挙に見せてくれる〈パノラマ〉は展示様式としてとても効果的だと思う.前例としての日本缶詰協会監修『缶詰ラベル博物館』(2002年6月刊行,東方書店,ISBN: 4-88591-776-X)とか加藤豊『マッチレッテル万華鏡:明治・大正・昭和の登録商標燐票』(2001年5月30日刊行,白石書店,ISBN: 4-7866-3033-0)と同じく,本書は雑誌創刊号の表紙をずらっと並べている.見ているだけでさまざまな刺激を受ける.ドイツ箱に並べられた“昆虫標本”を見ているときと同じ感覚だ.

◇うわ,今度は“千代田区四番町”から原稿督促があ〜.ひー.

◇師走の信州大学・非常勤講義(生物統計学)の内容分担について保健学科のH田さんと調整.前半のH田さんが〈門前編〉で,後半のぼくが〈入門編〉.30時間でやっと「〈門〉をくぐれる」ということか.※7月以降,ほぼ毎月1回ずつ集中講義をしていることになる.

◇UNEPによる〈エデンの園〉の復元計画(→出典)―― E. O. James『The Tree of Life: An Archaeological Study』(1966年,E. J. Brill, ISBN なし)によると,ティグリスとユーフラテスに挟まれた河口の湿原地帯は「エデンの園」であるとみなされたらしい.そこは〈原始水(primordial waters)〉に満たされ,〈生命の樹〉と〈知の樹〉が繁っていたと書かれている.

◇霊力乏しい未熟者のワタクシには,しょせん【蚊】を飛ばすくらいの能力しかなく…….

◇夜,読みかけて3ヶ月間も放置してしまった伊勢田哲治『認識論を社会化する』(2004年7月10日刊行,名古屋大学出版会,ISBN: 4-8158-0489-3)の第II部を読了.ちょうど進化学会大会前にの狂乱期に当たってしまったので,難物(for me)の第I部第3章でストップしたままだった.

―― 第II部はたいへんおもしろかったです.David Hull『Science as a Process』(1988)の概念進化モデルが,アメリカ社会学の理論変遷にどのように適用できるのかという点については,体系学の事例との比較で考えさせられることが多々ありました.社会学者は概して「科学哲学に弱い」という指摘は意外でしたね.体系学の場合は,Thomas Kuhn のパラダイム論ではなく,最初から Karl Popper の科学方法論が論議の流れを支配していて,たまに汎生物地理学派が Imre Lakatos の研究プログラム論を出してきたり,あるいは Larry Laudan の研究伝統に言及されることがあるくらいですね.「武器」として科学哲学を用いるのは体系学の歴史ではよくあることなので,そういう習慣をもった科学者コミュニティーでの概念進化モデルが他の学問分野にどの程度あてはまるのか(あてはまらないのか)はぼくには興味があります.今日のうちに第III部を読了して,やっと書評になだれこめるかな.

◇本日の総歩数=15762歩[うち「しっかり歩数」=7676歩/75分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.2kg.


17 oktober 2004(日) ※ よく晴れた,エライぞ!

◇明け方は10度を下まわったようだ.とても寒くて6時まで寝てしまう.こんなだらけたことではいけない.すっきりと秋晴れで,今日は[よそさんは]きっと行楽日和なのだろう.

◇昨夜忘れていた Stamos 本と Coyne / Orr 本の紹介を EVOLVE / TAXA に流した.

◇およそ5年におよぶbk1の書評の仕事から解放されたので,ブック・レヴューは自分のためだけにやるという本来の姿に戻りつつあるようだ.Battles本の書評を書き始めたりする.今日の朝日新聞広告に草思社の新刊アナウンスが載っていた:M・バトルズ『図書館の興亡:古代アレクサンドリアから現代まで』(白須英子訳,税込定価2,625円).訳題おっけーです.※元本を読了したので,心安らかに訳本の到着を待ち構えられるというものだ.

◇秋空ウォーキングのおり,洞峰公園から二の宮公園に抜ける“毛細血管的露路”を発見.コーヒー・ファクトリーの真向かいからアパートや家々の軒先を擦るように北上する.けもの道・踏み分け道みたいなものか.※「ろぉじ」と入力しても決して「露路」と変換されなくてサミシイ....

◇午後4時半頃,西日に照らされた近辺の雲の一部が虹色に色づいていた.これがかの〈彩雲〉なるものか? 10分ほどで消え失せたが.

―― 杉浦康平『宇宙を叩く:火焔太鼓・曼荼羅・アジアの響き』(2004年10月11日刊行,工作舎,ISBN: 4-87502-380-4)の第1部を読み進む.楽器に秘められた「曼荼羅」の話.たくさんの図像が愉しい.三味線にも曼荼羅が イメージされていたとは.確かに大太鼓の音は「音波を耳で聴く」ものではなく「振動を体で感じる」ものだ.たとえピアニッシモであっても,大太鼓の“振動”は舞台に乗っている全楽団員に共有される.もちろん,叩いている本人は「皮」や「鼓」の地鳴りをまともに受けとめるわけだが.

◇本日の総歩数=15867歩[うち「しっかり歩数」=14064歩/116分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.8kg.


16 oktober 2004(土) ※ 根性なしの秋晴れ,また曇り

◇5時起床.気温12度を下まわっている.曇り.また寝る(ずぼら).午前7時に再度起床.※他人には言えない恥ずかしい遅起き.

―― 午前中に私用で西日暮里に行く.今日は外歩きには少し寒いかもしれない.ひょっしたら最高気温が20度を切っているのか.ひたち野うしく駅に戻ってきたのは午後3時.

◇車中で,Matthew Battles『Library: An Unquiet History』をやっと読了.間もなく出るはずの翻訳書を手にして歯ぎしりするという事態には立ち至らなかった.読後感たいへんにグッド.ことに第6章「Knowledge on fire」は,図書館がいかに破壊されるかをいろいろな事例を挙げて論じる.半世紀前のナチス・ドイツによる“ホロコースト”は,「人」に対するばかりではなく「図書館」に対する殲滅作戦でもあった.億の単位で図書が灰燼に帰したという(ゲッベルスを怖れた市民が「自発的」に蔵書を焼いたそうだ).近年のサラエボでも大規模な図書館の打ち壊しがあったとか.かつての中国での“焚書坑儒”の話もこの本の前の章に載っていたが,図書館を苦労して造りあげるというプラスの話よりも,せっかく造られたライブラリーがあっという間に消え去るというマイナスの話の方がはるかに強く印象に残る.

―― 訳書マシュー・バトルズ『図書館の隠された歴史』(2004年10月刊行,草思社,ISBN: 4-7942-1353-0)が出たらやっぱり買うことになるのだろうな.きっと.

◇みごとな夕焼け.荒川沖のジョイフル本田に名刺をつくりに行く.前にも注文したので,そのときの版下が残っている.文面を修正するだけですんだ.1週間で納品とのこと.研究室の印鑑もそのうち新調しないと.

―― 日が暮れて,まずは Stamos 本の目次を公開.続いて,Coyne / Orr 本の目次もついでに公開.Sinauerの出版物は,そのほとんどが物理的にとても重く,“期待凶器度”は他の出版社に比べて高いようだ.この2冊はメーリングリストにも紹介文を流す.

―― いまになって,John C. Avise の改訂版『Molecular Markers, Natural History, and Evolution. Second Edition』(2004年3月,Sinauer Associates, ISBN: 0-87893-041-8)が出ていたことに気づく.ウッカリしていた.※ということは,現在進行中の“翻訳”は追い抜かされたわけですね.あらら.

◇夜更けて,飛び込みの査読依頼が2件.むむむ.

◇本日の総歩数=7390歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=0.0kg.


15 oktober 2004(金) ※ 久しぶりの秋晴れに拍手

◇5時半起床.昨夜の通り雨で地面は濡れ,芝畑の上には霧がかかっているが,空は晴れ渡る.許す.気温は12度台.朝夕は季節をごまかさない.

◇秋らしい湿度の低い涼風が吹き渡り,いろいろと本が届き,「読書の秋」を体感させてくれる ―― Amazon.com で痛い目にあった David N. Stamos 『The Species Problem: Biological Species, Ontology and the Metaphysics of Biology』(2003,Lexington Books,ISBN: 0-7391-0503-5 [hardcover])は,出版元の Lexington Books にオンライン注文したら,9月28日発注で本日もう届きました(あの待たされ時間は何だったの?).カバーはややジミ目ですが,これから目次チェックをしてみませう.※あ,ひょっとしてペーパーバック版を Amazon.co.uk に注文しっぱなしだったかも.

◇JICAから三中講義録[えすぱにょーる版]がCD-ROMで届く.しか〜し,このわーどファイル,オープンできないんですけど.せめて,pdfにしておいてくれたらよかったのにな....

友隣社から数理科学書の在庫カタログが届く.毎年,このカタログを見ると“年末”の到来をじわじわと感じる.

◇ずっと“立ち読み”状態だった Richard Royall『Statistical Evidence: A Likelihood Paradigm』(1997年,Chapman & Hall / CRC, ISBN: 0-412-04411-0)を本格的に読み進む.厚くない分,記述が最節約的できびきびしている風.第8章「Bayesian statistical inference」読了.〈そのデータから何が言えるのか?〉という問いかけが本書の中心.〈何をすればいいのか?〉というネイマン-ピアソン流の意思決定論や〈何を信じればいいのか?〉というベイズ主義的な問題設定は排されている.データに照らして仮説(モデル,説明,etc.)の「選択」をする基準としての尤度原理を強調する.

―― Royall本のあとには Vic Barnett の『Comparative Statistical Inference, Third Edition』(1999年,John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-97643-1)が控えている.統計手法の概念的な比較をしたとてもいい本だと思う.内容的には「科学哲学」にかぎりなく接近していると思われる(もう一歩踏み込めば Karl Popper やら Wesley Salmon がいる).第2版(1982年)は大学の頃に研究室の輪読で読了したのだが,それから17年経っての第3版にも注目したい.すぐに「役」に立つ本ではないのだが,秋だもんでこういう遅効性の書物は読む意欲が湧く.※当時,斎尾さんは「こりゃ,とってもテツガク的だねえ」と言っていましたが.

―― そういえば,繰り返しリプリントされている A.W.F. Edwards の『Likelihood』(1972, 1984, 1992, Cambridge University Press, ISBN: 0-521-31871-8[1984年復刻版])も,尤度による仮説選択を論じた「テツガク本」ですね.こういう定番の「統計学哲学」本はいつまでも新鮮さを失わない.上のRoyall本はEdwards本の直系子孫みたい.尤度グラフが頻出するところとかよく似ている.統計学から文字通り“哲学者”に転身してしまった Ian Hacking みたいな人もいるし.

◇などと日録を書き連ねたり,メールを書いているうちに,絶好の昼休みウォーキング時間を逃してしまった…….夕方に時間をつくりましょうね.

◇「放熱」されたし ―― 姉御が“お熱”とのこと.不肖ワタクシは姉御に“式鬼”を飛ばすよーなワルイ子ではありませぬので,そこんとこヨロシク.それにしても等差数列で熱が上がっていくというのはなかなかスリルあふれまくる体調でしたなあ.で,お熱の姉御をいたぶったワル〜イ子には“仏罰”ならぬ“蠱毒”でも盛っておきましょーかね.うふ.

◇あ,いよいよ諸方面のデッドエンドがぁ〜 ※心当たりのある方はメールされたし ―― などと言おうものならそこら中の“藪”から“大蛇”がわらわらと....

◇マーラーを聴きつつ,例の人事書類をちくちくと.「日録」の過去ログを見つつ,今年度までの“全出力”と“全活動”の記録を確認する(まさに「神出鬼没」でした,ハイ).ううむ,進捗してないのは,とことん進んでいないし(困った).ほとんど絶滅危惧な原稿とか(アレのことではありませんのでご心配なく).

―― アタマを抱えたところに〈ハンマー〉のきつい一撃がドカッとくる.痛.

―― 研究生活の過程でどのような“出力”を残していったは,本人がきちんと記録しないと驚くほど簡単に忘却され,資料は散逸する.つい怠けて記録しないでいると,あとで骨が折れる.すでにやったこと・いまやりつつあること・これからやろうとしていることは,例外なくあまさずすべて記録されるべきだと思う.「例外なく」という点が重要で,一見トリヴィアルにみえる項目でもあえて記録してしまうという態度が必要.※極端なことを言えば,ビデオカメラで一日中“録画”されるというのがいいのかもしれない.[有無を言わさずという点では.]

◇今日は都立大学の生物統計学レポートの締切日.>まだの受講生は早く出すようにね.

◇夕刻にいったん帰宅し,周囲を徘徊2kmあまり.その後,午後6時少し前に〈山水亭〉に集結し,某グループ(仮)によるヒミツの会合.一室に籠ったのは,とある研究科長,とあるチーム長,とある助教授,とある社長,そして,とある研究リーダーの5人.今後の方針とビジョンについて話し合う.実績が一方で積まれつつあるので,あとは他方での推進策をどうするかの問題.

―― 午後9時前に解散.そのまま帰宅する.

◇本日の総歩数=10167歩[うち「しっかり歩数」=3623歩/31分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg.


14 oktober 2004(木) ※ やっと天気回復,新たな決意

◇5時起床.晴れている.13.7度.

◇今月から講談社現代新書のカバー装丁が一新されるそうだ.例の「クリーム色」から卒業して…….

【欹耳袋】―― しばらく情報を集めていなかったのだが,Tijs Goldschmidt の新刊が2冊出版されていた:

  1. (2003). De andere linkerkant: links en rechts in de evolutie.. Athenaeum-Polak & Van Gennep, ISBN: 9025317464. →情報
  2. (2004). Wegkijken. Athenaeum-Polak & Van Gennep, ISBN: 9025317502. →情報

―― 最初の本は生物の左右対称性に関する著作で,2003年5月20日にレイデンのPieters教会で催された〈第1回 Stephen Jay Gould 講演〉に基づくものと書かれています.2番目の本は写真エッセイ集(生物学とは縁が薄いかな).デビュー作の『Darwins hofvijver』(1994:訳『ダーウィンの箱庭ヴィクトリア湖』,1999年9月16日刊行,草思社,ISBN: 4-7942-0886-3)以降はエッセイストとしての活動が目につく.この本は英語や日本語はもとよりドイツ語・フランス語・中国語にも翻訳されているようです(著者紹介ページの「Japanse vertaling」の書影は中国語訳のもの).2000年の進化エッセイ集『Oversprongen』はおもしろいと思ったが,けっきょく他国語に翻訳されることはなかったですね.

◇ついでにメモ ―― Menno Schilthuizen (2002) 『Het mysterie der Mysterieen: Over evolutie en soortvormliesing』. Uitgeverij Nieuwerzijds. ISBN: 905712145X. ※英語版『Flogs, Flies, and Dandelion: Speciation - The Evolution of New Species』(2001年,Oxford Univ. Pr., ISBN: 0-19-850393-8)の逆翻訳ということかな.

◇へえ〜,ネットワーク・プロトコルの系統樹:〈ゲノム解析アルゴリズムをリバース・エンジニアリングに応用〉.おお,確かに系統樹が描けているではないか.ほ〜.

◇さらなる「発見」があったようで ―― 明日とある“名刺交換会”に出席予定.年単位の探査が月単位に短縮できそうな予感.

◇小西貞則・北川源四郎『情報量基準』(2004年9月刊行,朝倉書店,ISBN: 4-254-12782-0).※ブツを早く見たいものだ.

◇昼休みはまたもや曇ったまま1万歩ほど徘徊する.

◇紀田順一郎『私の神保町』(2004年10月10日刊行,晶文社,ISBN:4-7949-6626-1)をぱぱっと読了.何十年もかかって“本の九龍城”をきわめた達人の回顧エッセイ.ワタシには足下にも及ばぬ境地にございます.それにしても,この本には単純な校正ミスが頻出する(ゲラのチェックをしてないんじゃない?).パッチワーク的物語はもちろん愉しめるけど.あと,初出年月日を各エッセイの末尾に付けておいてほしかったですね.いちいち巻末をめくるのはめんどうなので.

―― ぼくが最初に神保町に行ったのは,大学に入ってすぐのことだから,1970年代の後半.まだ神田・本郷・根津あたりの大規模“地上げ”が始まる直前のことだった.この本を読むと,その時期を境にして神保町の古書店と客のキャラクターがともに変わっていったようなことが書いてある.確かに,1980年頃にぱたぱたと店がなくなったり,土地が空いたりしてましたね.

―― [周辺的知識]昭和初期の漢字制限論者の深層的な動機づけのひとつに,当時の日本人の「平均寿命」の短さがあったと著者は指摘している(pp.100-106).平均寿命が四十歳そこそこの日本人が膨大な数の漢字を習得していたのでは「残された時間がなくなる」という理由で,漢字を制限したり,カナモジを推進したりという気運が強くなったとのこと.ほー.

◇夕方近くになって再び日射しが戻ってきた.―― げ,台風23号がじわじわと北上してきたぞー.来週あたり心配.

◇夕暮れ時に,頼まれ仕事の〈R〉クラスタリング ――

> segment <- read.table("segment.dat")
> segment.x <- segment[,-1]
> flavedo <- read.table("flavedo.dat")
> flavedo.x <- flavedo[,-1]
> juice <- read.table("juice.dat")
> juice.x <- juice[,-1]
> albedo <- read.table("albedo.dat")
> albedo.x <- albedo[,-1]
> data <- cbind(segment.x, flavedo.x, juice.x, albedo.x)
> write.table(data, file="your.csv", sep=",", row.names=F)
> d.euclid <- dist(data, method="euclid")
> cluster <- hclust(d.euclid, method="average")
> plclust(cluster, hang=-1)

―― 簡単に,4つのデータをOTU名称列を除去して合体し,ユークリッド距離を計算した上で,UPGMAクラスタリング.連続変量のスケーリングの影響があるかなあ.リスケーリングするかどうかは相手と相談しないと.

◇日暮れとともに気温が下がってきた.夕食後にさっきの積み残し仕事を再考察.データのリスケーリングすなわち“標準化”を列(形質)ごとに行なって,全体的類似度(距離)を計算する〈R〉のプログラム ――

> library(cluster)
> data <- read.table("your.csv", sep=",", header=T)
> d.euclidean <- daisy(data, metric="euclidean", stand=T)
> cluster <- hclust(d.euclidean, method="average")
> plclust(cluster, hang=-1)

―― クラスター分析のパッケージ〈cluster〉を組み込んで,距離計算コマンド〈daisy〉を使うと,列ベクトルごとの値の「“標準化”=(データ−標本平均)/レンジ」ができる.同じユークリッド距離を用いたとしても,クラスタリングを再計算してみると,当然のことながら,出力されるデンドログラムの樹形はがらっと変わってくる(ややchaining気味).

◇11時を過ぎて突然の雨.しかし1時間もしないうちに止む.情緒不安定な空模様.

◇本日の総歩数=14109歩[うち「しっかり歩数」=9658歩/83分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg.


13 oktober 2004(水) ※ なお降り続く雨と仕事

◇4時半起床.外はざあざあ降り.『宇宙を叩く』の図版をちょっとだけ味わう.

◇HBES_Jメーリングリストで〈Classics in the History of Psychology〉という心理学史の電子文献サイトを教えてもらった.膨大な数の論文と著作がすでに電子化されている.心理学の大御所たちの歴史的論文はもちろん,パヴロフによる条件反射の著作や,スピアマンの一般知能に関する論文,サーストンの因子分析の論文,ダーウィンの幼児観察ペーパーやゴールトンの双子研究,果てはエドガー・アラン・ポーとかロナルド・A・フィッシャーの『Statistical Methods for Research Workers』という数理統計学の古典まで含まれている.グールドの『The Mismeasure of Man』でさんざん叩かれたゴダードの“カリカク本”『The Kallikak Family: A Study in the Heredity of Feeble-mindedness』も初めて目にした.

〈心水〉に浸れば ―― 其の壱:「書肆心水」.おお,そうですか,心にしみ込む本を世に広めようと./其の弐:「会津心水」.おお,そうですか,身体にしみ込む水を世に広めようと.※個人的には,日本ではめずらしい天然微炭酸水〈awa心水〉をまず飲んでみたいと思う.

◇昼前に雨はいちおうあがったのだが,ぐずぐすと曇り空が続く.

◇こまごまとしたこと ―― 『生物科学』誌ゲラをチェックして返送完了./駒場COE連続高座の事務文書を返送完了(ゑくせる文書が妖怪化していた)./Sober論文(「The contest between parsimony and likelihood」 Syst. Biol., 53(4): 644-653, 2004)のコピー届く.Nat. Tijd. 誌の方はやっぱり海外に複写依頼することになった./査読論文関係のことども完了./某大学のずるずる人事書類を書く.さすがにデッドラインですって.ひー./小学校のPTA行事「オープンスクール」当日の当番表が届く.担当時間帯を確認./日本ポパー哲学研究会から会報(16巻1号)が着便./某学会の役員選挙の投票用紙を投函./ネットワークにつなぐコンピュータの登録について担当に確認.やっぱりすべてのパソコンは例外なく登録申請しないといけないわけですね(用事増える...).

◇こまごまとしていないこと(壱)―― とある学部生氏の来室.おもしろいテーマをもっているので,形態測定学と系統推定論を合体させればその“業界”でも評価されると思います.ただし,その“業界”がどういうコミュニティ構造をもっているのかぼくはあまり知らないので,内々に3ヶ所ほど「式鬼」を飛ばして情報蒐集してみますね.※「鬼」が飛んできてもビックリしないように.>関係しそうな方々.

◇こまごまとしていないこと(弐)―― 音羽方面から久しぶりにテポドンが飛んできた.今月中にもう一章やります.書きます.ケリつけますです.

◇あっという間に夕方が近づいてきた…….

◇無敵の〈タンゴ13〉に狙撃された犠牲者がまたひとりか.合掌.ご冥福をお祈りします.※タイトルにコロッと騙されたらあかんでぇ.Crow and Kimura の集団遺伝学本が決して「Introduction」ではないのと同じ.

◇継続購読が打ち切られそうになっていたジャーナル[たち]はとりあえずクビがつながったとの連絡.でも,予定されていた TREE の情報資料課での購入は今年度はやっぱりダメで,これまで通り研究室での購読とあいなった.

◇あ,新しい名刺をつくらんとあかんがな.あれ,“研究リーダー”って英語でなんていうのん? え,“Chief”? “Cheap”とちごて? はいはい.“チーフ”ね.なんやしらん意味の variance が大きそうな言葉やなあ.

◇JICAから連絡 ―― ぼくの講義配布資料「Diseño de experimentos para investigacion agricola」をCDに焼いてキューバに持ち帰りたいという研修生からの要望があるとの連絡.CDに焼くほどたいそうなもんではないと思うのだが,了承の返事を出す.ま,スペイン語への翻訳はJICAの担当者がやってくれたのでこの上なくラクなことではあったわけだけど.「キューバで大量に複製される可能性がありますよ」との追記.ホンマかいな?

◇夕暮れが迫り,やっと雲に切れ目が見えてきた.

〈尤度なきMCMC〉―― Paul Marjoram et al. の論文「Markov chain Monte Carlo without likelihoods」(PNAS, 100: 15324-15328, 23 December 2003)をざっと読む.通常のベイズ推定では尤度そのものの値が必要だが,[通常の]MCMCでは尤度比によって相対値ですます.この論文で提唱された方法では,さらに一歩進んで,MCMCの尤度比計算の部分を“尤度なし”の確率比によって近似してしまおうとする.尤度のワクをはずして,MCMCの「探索」パーツだけを利用しようということだと解釈した.

◇〈不要不急の業務〉と一括りにされてもねえ……→行革ホームページ:「独立行政法人に関する有識者会議について」.

◇本日の総歩数=8332歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼−|夜○.前回比=−0.2kg.


12 oktober 2004(火) ※ 神出鬼没に研究所にあらわる

◇霧がかかる小雨の早朝.気温17度.今日も終日雨模様だそうだ.

◇おもむろに山口翼『日本語大シソーラス』(2003年9月10日刊行,大修館書店,ISBN: 4-469-02107-5)をひもとく.キーワードは「神出鬼没」―― 類義語は“天界飛翔”に“縦横無尽”.お,悪くないですねえ.さらに,“闇夜の礫”に“寝首を掻く”.うーむ,イマイチ主役にはなれませんな.また,“変幻自在”に“権謀術数”.単なるワルモノじゃないですか,これって…….※ということで,クニエさま

◇きのうの日録のリンクのいくつかがおかしいことに気づき,即修正.

◇あー,いくつかの書類作成が差し迫っているのですぅ.「差し迫っている」といっても,すべて【締切まで−n日(n>0)】なものばっかしで...(汗).

◇備忘録 ―― あの哲学書房から,George Lakoff and Mark Johnson『肉中の哲学:肉体を具有したマインドが西洋の思考に挑戦する』が出版された.原書(1999年)は電話帳のように厚くて大きいのだけれど,訳書も700ページあるという.かつての『認知意味論』のようなブツを想定すればいいのか.表紙デザインは原書通り〈耳なし芳一〉みたいなアレかと思っていたら,むしろ〈養老ちっく〉に洗練されていますね.それにしても,『肉中の哲学』って直訳的(『Philosophy in the Flesh』)過ぎて,とってもハズカシイ訳書名だと思うのですが…….※訳者の言葉は確かに的外れだと思う.ま,おそらく訳本は買わないだろうから,いいんだけどね.

◇〈R〉関連:もうひとつの ISwR ―― 町田元也さんの〈Interactive Statistics with R〉.インターネットにつながっている環境だったら,講義用に使える可能性あり.

◇都立大学集中講義のレポートがそろそろ届く時期になった.>受講生のみなさん,よろしく.※科研費申請の時期と重なったのはまずかったかな.

◇嘘八百 ―― なんとまあデタラメを書いてしまったものか.農環研・環境統計ユニットの「歴史」について,『農業技術研究所八十年史』(1974年12月13日発行)と業務引継時のメモを確認した.旧・農事試験場(〜1950)時代の「調査部」が旧・農業技術研究所への改組される際に「物理統計部」として独立し,旧「農業統計数学研究室」は「統計研究室」となった.この統計研究室には畑村又好→堀江正樹→原田久也という室長系譜があった.1983年の農業環境技術研究所へのさらなる改組により,統計研究室は「調査計画研究室」(室長系譜:→鵜飼保雄→三輪哲久),さらに2001年の独法化の際に「環境統計ユニット」(室長系譜:→三中信宏)となって現在にいたる.一方,同じ物理統計部の「試験設計研究室」には奥野忠一→広崎昭太→大塚雍雄という別の室長系譜があったが,農業環境技術研究所に移行するときに研究室ごと絶滅した.

―― これでやっとケリつきましたね.

◇後れ馳せの『鳥類学辞典』がやってきた.おお,1000ページもあるのかあ.

◇昼休みに郵便局まで.気温20度ながら,とても蒸し暑い.曇っているからか.

◇いろいろと ―― 複写依頼数件(九大と British Library へ)./情報資料課購入洋雑誌の購読打切りの打診.統計学と体系学の雑誌って“人気”ないでしょーか? 何よりも,数十万円の高額不利用雑誌を温存しておいて,一方で数万円の雑誌をばしばし切り捨てるというのはリクツが通らないぞ./『生物科学』誌から別刷り届く.同時にゲラも.56巻2号の「“みなか”の書評ワールド6」.今回は『認知考古学とは何か』と『世界を変えた地図』の2冊.『認知考古学とは何か』の書評は刷上りで4ページもある!

◇夕方から雨.しかも本降り.秋晴れはもはや死語か.

◇吾妻の友朋堂書店にて収穫(その1) ―― キム・ステルレルニー(舌かみそ)の『ドーキンス vs. グールド』(2004年10月10日刊行,ちくま学芸文庫,ISBN: 4-480-08878-4).文庫初訳とのこと.[いちおう]生物学哲学の本としては久しぶり.※ギリシャのICSEB-VIで著者 Kim Sterelny を見ましたが,なかなか印象的で.というのも,相方の Paul Griffiths との取り合わせが,まるで「伊達男とクマさん」.

◇収穫(その2)―― やっと出ましたか:杉浦康平『宇宙を叩く:火焔太鼓・曼荼羅・アジアの響き』(2004年10月11日刊行,工作舎,ISBN: 4-87502-380-4).ヴィジュアルでいかにも工作舎らしい本.【万物照応劇場】シリーズの第5冊目(既刊4冊はNHK出版から).前著の『生命の樹・花宇宙』は“Tree of Life”がテーマだったが,今回は“大太鼓”が主役.愉しみましょう.

◇夜になってさらに雨足は強くなる.

◇本日の総歩数=15155歩[うち「しっかり歩数」=8236歩/63分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+1.0kg.※むむ.


11 oktober 2004(月) ※ 雨あがりの連休最終日

◇5時半に起床.曇りときどき霧雨.いつものコースを歩いて帰ってきたら,本降りに.この連休は天気に祟られているようで.

―― 早朝の Book-Ace にて遭遇した本:K. und U. マウラー『アルツハイマー:その生涯とアルツハイマー病発見の歴史』(2004年10月15日刊行,保健同人社,ISBN: 4-8327-0295-5).アルツハイマー病を発見した医師の伝記.19世紀末から第一次世界大戦前までのドイツ精神医学界の事情についても記されているようだ.訳書の版元は医学系みたいなので(始めた目にした社名),見かける機会が少ないかもしれない.

◇お昼前になってやっと空が明るくなってきた.

◇平山洋『福沢諭吉の真実』(2004年8月20日刊行,文春新書394,ISBN: 4-16-660394-9)読了 ―― 福沢諭吉全集に意図的にもぐりこまされた「贋作文章」の数々を暴き出す.全集編纂者にして諭吉伝作家でもあった石河幹明の行為は,うすうす感づかれながらも,誰もそれを暴露しようとしなかった社会人脈的コンテクストがおもしろい.テストしようにもできなかったという点がいやはやなんとも.それにしても,文脈を超越した「脱亜論」の恣意的解釈のすごいこと.戒め.

◇午後になってまたも曇り空に戻り,霧雨がぽつぽつと.〈蘭亭〉にてランチ.

◇島根大学生物資源科学部のとある統計学講義で,われわれの数理統計研修講義資料のひとつ「〈R〉による統計解析」がテキストとして指定されたらしい.ありがたいことです.使ってみての感想などいただければさらにうれしいです.

◇駒場での〈進化認知科学・連続セミナー〉の構成がほぼかたまったようだ.→日程・演者・演題・要旨

◇本日の総歩数=13380歩[うち「しっかり歩数」=11073歩/88分].全コース×|○.朝○|昼△|夜○.前回比=+0.2kg.


10 oktober 2004(日) ※ 銀杏ころころ,台風一過

◇6時前に起床.台風が去り,朝のウォーキング.曇り空で霧雨が混じる.いたるところ落葉と落枝,ドングリと銀杏,そして根こそぎ倒れている大木もあり.短時間ながら暴風の威力はすごかったようだ.いつもの森の木陰コースで Book-Ace に行く.洞峰公園はいたるところ水びたしで,通行不能箇所もあり.二の宮の自然食レストラン〈りっつん〉の入り口にあった古木が倒れていた.畑地には太い水流の跡が.集中的に降ったということか.

―― 浅葉克巳『地球文字探検家』(2004年6月刊行,二玄社,ISBN: 4-544-01154-X)に遭遇.さすが「書」の出版社だけあって,こういう本も出しているのね.アジアン・タイポグラフィーの本.トンパだけではなく,中国少数民族の文字デザインとか,いろいろと.

◇台風一過なのにすっきりと晴れるでもなく,曇るでもなく,中途半端な空模様.

◇吾妻の茨城県つくば美術館にて〈安野光雅の世界展〉に行く ―― エッシャー風だまし絵の「絵本版」という印象を受ける.明日11日が最終日.

◇〈図書館に訊け!〉とハッパをかけられたので,以前トライしてあえなく破れたいくつかの文献を再度探索してみようと思う.ひとつは Sergei G. Kiriakoff が書いたフラマン語の単行本:

  1. (1948). De huidige problemen van de taxonomische terminologie in de dierkunde.
  2. (1956). Beginselen der dierkundige systematiek. Antwerpen.
  3. (1961). Aspekten van de moderne biogeografie. Groningen.

を探索.最初の『動物学における分類用語の今日的諸問題』は意外にもオンライン古書店で手に入るようだ.しかし,後半のふたつ(『動物体系学入門』と『現代生物地理学の諸相』)はやっかいかも.さらにいくつかの論文が探索ターゲットになっている:

  1. (1960). Filosofische grondslagen van de biologische systematiek. Natuurwetenschappelijke Tijdschrift, 42: 35-57.
  2. (1968). De moderne dierkundige systematiek. Natuurwetenschappelijke Tijdschrift, 50: 3-43.

「生物体系学の哲学的基盤」と「現代動物体系学」―― いずれも魅力的なタイトルだと思う.この雑誌(Natuurwetenschappelijke Tijdschrift),かつてリキを入れて探したつもりだったが,そのときは成功しなかった(国内にはもちろん所蔵機関はなく,アメリカ国会図書館でもなかった).所蔵されていることを確認した British Library に再びトライするか,あるいは別ルートを探索しよう.

―― もうひとつは〈動的分類学(dynamische Taxonomie)〉に関するもの.早田文蔵は何とかなるとして,Wilhelm Wagner の論文は探さないと:

  1. (1959). Probleme bei der Aufstellung eines phylogenetischen Systems. Abhandlungen und Verhandlungen des naturwissenschaftlichen Vereins in Hamburg, N. F., 4: 109-128.
  2. (1967). Die Grundlagen der dynamischen Taxonomie, zugleich ein Beitrag zur Struktur der Phylogenese. Abhandlungen und Verhandlungen des naturwissenschaftlichen Vereins in Hamburg, N. F., 12: 27-66.

「系統的体系の構築をめぐる諸問題」と「動的分類学の基礎,ならびに系統発生の構造に関する考察」.この雑誌はきっと国内でも所蔵館があるだろう.※Webcatで調べたら,九大農学部図書館にのみコンプリートに所蔵されているとのこと.

◇本日の総歩数=14573歩[うち「しっかり歩数」=11592歩/91分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg.


9 oktober 2004(土) ※ 大雨・洪水警報に逼塞する読書の週末

◇午前4時に目覚め,天気予報を見てから,また寝る.午前5時に再びまた目覚め,天気予報を見てから,さらに寝る.でもって,けっきょく起きたのは午前8時.他人には言えない恥ずかしい遅起きでございました.

◇茨城県南地域にはすでに大雨・洪水警報が発令されている.「日中は外に出るな」との禁足令も敷かれているようなので,今日はずっと蟄居閉門逼塞の読書日となるのだろうな.

◇つらつらと書き連ねる ―― 白河の「畜産統計研修」で研修生から聞いた話では,畜産統計研修は長年にわたって毎年行われていて,受講者が自分のデータをもちよってコンサルタントを受けつつ研修するというのが例年のスタイルだったらしい.全面的に【農水全面R化計画】を組み込んだのは,今年がはじめてとのこと.(ということは,その先兵となったワタシは「悪辣な文化破壊者」なのか.) しかし,受講生個人のデータにまつわる個別問題の解決に多くの時間がとられるようになって,集合研修としての意義が問われかねない状況になったために,コース全体を刷新して〈R〉をベースにした新たな研修を組むようになったという事情だそうだ.(ということは,ワタシは実は歓迎されてる?)

―― 農水省で長年にわたって行われてきた「数理統計研修」もまた,半世紀前の敗戦直後から連綿と行われてきたという歴史がある.初期の頃は,統計計算それ自体が集合研修の目的だったそうで,かつての「タイガー計算機」を利用して,昼は講義をして夜に[呑みながら?]延々と統計計算をし続けるという体力勝負な研修を2週間にわたって行なっていたということだ.ぼくは農環研に入って次の年(1990年)から統計研修(実験計画法の担当)の高座に上がった.その頃の数理統計研修は,さすがに夜まで実習するという風ではなくなっていたけれども,かつての名残で「午前は講義,午後は実習」という形式だった.演習問題を出し,研修生グループに“電卓”でガシガシと計算させるという古風なやり方をしていた(スプリット・プロットを手計算させられた研修生は受難だったろうな).その後,SASの研修プログラムが組み込まれるようになり,昨年からやっと【農水全面R化計画】が実行されることになった.

―― しかし,「畜産統計研修」と「数理統計研修」とは同じ農水の中にありながら,互いに交流がほとんどなかったというのも事実だったようだ.農水省の中での部局のちがい(数理統計研修は研究畑寄りの技術会議主催,畜産統計研修は行政寄りの生産局主催)が遠因なのだろう.数理統計研修では旧国研の試験場と都道府県の農業試験場(林産・水産含む)の研究員がターゲットだったのに対し,畜産統計研修の方は国から都道府県にいたる範囲は同じでも畜産学の研究者に限定されていた.遠因が遠因なので,将来,ハード的に統一されることはないかもしれない.しかし,ソフト的に【R化】統一していくことは可能かな.※「噺家」が共有されているかぎりね.

―― 農水統計関連研究室の系譜(「coalescence」として):環境統計ユニットの系譜を業務引継の際に確認した.西ヶ原の旧農技研の時代にあった〈物理統計部〉の「試験設計研究室」(畑村又好室長:スネデッカー&コクラン『統計的方法』の訳者.後に東大農学部に移り生物測定学教室を創った)がルーツで,その後,堀江正樹→大塚雍雄→原田久也→鵜飼保雄→三輪哲久という室長系譜の末端がぼくということになる.室名は試験設計研究室→調査計画研究室→環境統計ユニットと変遷した.同じ物理統計部であっても,かつて奥野忠一(ラオ『統計的推測とその応用』の訳者.農学・工学分野の統計学でのビッグネーム)が率いた「統計研究室」は別系譜をなし,こちらは組織的coalescenceの末に名目上は絶滅した.このような組織系譜と人的系譜の絡みあいはとても覚えきれるものではない.農技研・農環研の「年史」をひもといて正確を期す必要があるのだけれど.※そのうちね.

◇午後3時 ―― 昼過ぎまではなんとか小康状態を保っていた空模様も,午後になってがぜん凶悪化.宿舎の木々が大きく揺さぶられ,雨滴の落下角度は鉛直線から平均60度の横殴り.台風の本体は午後6時くらいに関東の真上を通過するとの予報だからまだまだこれから.午前のうちに石丸電機に行って,掃除機と電話機を新調した.午後の蟄居中に電話機と電話番号録の更新をちくちくとする.掃除機は快調(ターボの威力).電話機は新製品ほどサイズが有意に小さくなっているな.

◇統計四方山話の続き ―― 統計関連の研究室はこの半世紀の間にほとんどなくなり,けっきょく農水省傘下の独法の中で表立って「統計学」と銘打った研究室は,いまでは農環研の環境統計ユニットだけになってしまった.それとともに統計学の素養のある研究者は他のセクションに異動していった.「看板」がなくなれば統計学を専門とする後任の採用も将来的に保証されない.系譜(lineage)としての「研究室」という見解に立てば,その研究室にいる人間の専門分野や感心によって,研究室としてやっている内容が大きく変化していくことは“自然”なことだと思うので,個人的にはとくに問題であるとは思わない.しかし,統計学をやる人がしだいに少なくなることに関しては,それでよいという積極的にプラスの意見があるとは考えられない.

◇午後6時を過ぎて,外は風雨が吹き荒れている.暴風圏はまだ到達していないようだが,つくばあたりでは街路樹が倒れたりという被害がありそうな気配.

―― と思ったら,1時間ほどで“クライマックス”が通り過ぎたらしく,8時前にはもう風雨ともにおさまってしまったとさ.台風の進路図を見ると,茨城県南部をかすめて鹿島灘に抜けたようですな.どうやら.

◇梅谷献二『虫を食べる文化誌』(2004年9月22日刊行,創森社,ISBN: 4-88340-182-0)読了 ―― 150ページもある第2章「虫食う人も好きずき」が中心.ゲテモノ喰い本ではなく,人間の食糧源としての昆虫についてのエッセイを集成したまじめな本とのことだけど,そのわりには著者の関心にまかせた“漫遊食記”っぽいところがいいですね.「どうかと思われる昆虫食」(p.164)まで書いているところを見ると,実は確信犯じゃないのかな.冒頭の100ページをなす第1章「一寸の虫にも五分の魂」は民俗昆虫学の話.もっと参考文献を付けてくれればよかったと思う.たとえば,瀬川千秋『闘蟋:中国のコオロギ文化』とか,関係する出典がたくさんあったはずだが.最後の50ページである第3章「釣り餌の商虫たち」は,釣り文化と昆虫学との接点について.釣り師の世界への沈みこみがイマイチ足りなかったような気がする.全体としては読めるエッセイ集だと思う.慾を言えば著者にはもっと〈小泉武夫〉化してもらって,ツチグモでもウジムシでもなんでも食べる体験を綴ってもらえると読者へのアピール度が高まったのではないかと思う.口絵に載っていた「オオツチグモを食べるカンボジアの少女」のカラー写真は背中がぞわぞわしました……(引く).

―― Pp.191-194 の「ハンミョウ」の話.『本草綱目』にいう〈斑猫〉は「はんみょう」ではなく(小野蘭山の『本草綱目啓蒙3』にはそう書いてあるが),ゲンセイのことだそうだ.ゲンセイやツチハンミョウはカンタリジンという毒を分泌する.なお,『本草綱目啓蒙3』の〈斑猫〉の次にある〈莞菁〉には「あおはんみょう」という言葉があてられている.

◇台風22号がささっと駆け抜けていったので,明日はきっと晴れ上がることだろう.「体育の日」らしく.

◇本日の総歩数=1986歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−1.0kg.※ン? なんでやろ...


8 oktober 2004(金) ※ 台風接近中(またかよ)

◇5時起き.ダルいです.曇り.気温13度.大型台風22号が関東に向かっているらしい.今日午後から風雨が強まるという予報.

◇三日ぶりに研究室に来てみたら,Eurema blanda の展翅してある箱が棚から落ちて,前翅が1枚もげていた.あらら,これまた“震度5”によるものか.

―― 出張の荷物を片づけたりとか,積み上がった書類を捨てたり保管したりとか.

◇小雨が降り続く.これから台風が近づくとともに,単調に雨足はクレッシェンドしていくのだろーね,きっと.明日から明後日にかけて東海〜関東に上陸するそうな.

◇うん,確かにね,統計ソフトウェア本は「輪読会」ではなく「実習会」の方が身に付くようですね.読むだけでは何のことかわからなくても,キーボードを叩いてみれば理解度はがぜんアップしますので.〈R〉のようにフリーのソフトウェアであれば,なおさらダウンロードしたパソコンを一人一台キープして,LANでつないで共有ファイルで“実習しあう”というのが効果的です.できれば「チューター役」を演じてくれる人がいれば,時間のロスが省けるでしょう.

―― 教わる側だけではなく,教える側もアヤフヤ知識が特定できたり新たな発見があったりするという「うれしい副産物」あり.

―― そういえば昨日までの畜産統計研修でぼくが使ったプレゼン資料(〈租界R〉で公開した以外のもの)は,共有ファイルとして各受講者がCD-Rに焼きつけて持って帰るそうです.合計で110MBほどあるとか.

―― 最新版の〈R〉ってヘルプシステムにバグがありません? ヘルプウィンドウやメインウィンドウが突然“真っ黒”になったりしました.あと,パッケージがうまくダウンロード(「install.packages」で)できないという“症状”も見られたし.※あ,でもいまやってみたらちゃんとダウンロードできたので,家畜改良センターのネットワーク側に問題があったようですね.前半の病状は治癒せず.

◇破産した学会事務センターから送られてきた『生物科学ニュース』は,これからは発行元である動物学会・植物学会によって肩代わりされるのだそうだ.

◇こまごまとしたことども ―― 東北大の評価ヌケをあわてて連絡する./信州大「生物統計学」集中講義(12月27〜28日予定)の事務連絡とセミナー予告.またまた旭会館に泊ることに./駒場COE事務局への連絡./査読結果返送の着便と関係者連絡.

◇台風22号はここ10年間で「最強」だそうなので,退散する前に研究室の窓をしっかり締めておかないと…….

―― 暴風雨に閉じ込められたときのために,家で読む用の本も確保しておこう.とりあえずは「蟲喰う本」かしら.「スプルース本」も気になっているのだが.あ,『ダーウィン文化論』,まだ読んでまへん.

◇雨は降り続く ―― いまのところは秋雨前線の活発化ですんでいるけど,24時間後には台風本体の雲がかかるらしい.大雨と暴風の予感.

◇本日の総歩数=7302歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=0.0kg.


7 oktober 2004(木) ※ からっと晴れ上がる最終日

◇4時半に起きる.朝焼けがきれい.宿泊棟の大浴場に潜入し,朝風呂を決め込む.当然,独占状態.※ちゃんとお湯が出るのがありがたい.

◇講義準備の続き ―― 今日の内容は一般化線形モデルと計算統計学が二本柱となる.しかし午前中の3時間しかないので,昨日の延長線上にある線形モデルの話が中心となるだろう.

◇風呂上がりにばたばたと一般化線形モデルの資料を打ち込む.とりあえず〈租界R〉に「一般化線形モデルへの道:ほんのさわりとして」(pdf:195KB)を公開して,受講生に各自ダウンロードしてもらうことにする.※ホント撫でただけ.aov / lm / glm を同一データで解析した結果の羅列にすぎないから.

◇9時から講義開始 ―― つくりたての一般化線形モデル資料を使いながら,伝統的な線形統計学の「延長線」の先に見えてくるものについて話をする.たちえデータは同じでも,統計的検定からモデル選択への〈視点の移行〉がそこにはあるという点を強調.ただし,モデル選択基準(AICとか)についての説明は今回はする時間がなかった./休憩後に計算統計学についての講義.ブーツストラップによるリサンプリング統計手法の実習.経験的確率密度関数の推定などについて.時間ぎりぎりまで話をして定刻通り正午に終了.午後からは佐賀大学の和田康彦さんの講義が続く.線形モデルの応用について話されるようだ.

◇講義直後に携帯が鳴る ―― 新たな菌株が発見されたとのこと.来週末に打合せの段取り.

◇昼食後,またまた公用車にて新白河駅まで送ってもらう.13時25分発の「やまびこ160号」が“空気”を乗せてやってきた(平日はこんなもんですかね).小山で水戸線に乗換え,友部で常磐線に接続.午後4時半にひたち野うしく駅着.自宅に帰ってきたら,小椋久太郎こけしが棚から落ちていた.昨日の“震度5”が原因か.疲労蓄積状態.ばて.

◇本日の総歩数=5962歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=未測定.


6 oktober 2004(水) ※ これもまた一種の「牧場の朝」

◇午前6時に目が覚める.む,アタマがちと痛いぞ.※当たり前やん.

◇お,今日は雨も上がって,久しぶりの日射しが降り注ぐ.

◇8時前に朝食.9時の講義開始前までにプレゼン用のpdfを淹れないといけない.実験計画法と分散分析,正規分布,等分散性,多重比較,一般化線形モデルなどなどにpdfがごろごろと転がり出る.すでに計100MBを越えるpdfをデスクトップにずらっと並べる.

◇午前から午後いっぱい,ひたすら実験計画法と分散分析に関連する講義が続く.〈R〉もよく使いました.外部データファイルの取り込みのところでまごつく受講生.Windows 逝ってよし(足引っぱるなよな).Split-plotはもちろん,ひさびさの strip-plot を説明し終わったところで定刻の4時半となった.今日は実に時間の流れが早かったな.

―― 平均値の比較と多重比較問題についての質問あり.

◇今日は「作務衣」が講義コスチュームだった.

◇講義の合間に Webmail での着新メールチェック.あらら,東北大の成績評価が一名ヌケていましたか.すみません.

◇夕食前に外を散歩.昨日の到着以降まったく館外に出なかった.ローソンで赤ワインを2本買って帰る.※また呑む気かっ.

―― しかし,残念ながらその機会を逸してしまったので,すごすごと11時に就寝.冷蔵庫に残されたワインは明日飲み尽くして下さいな.>受講生諸氏.

◇本日の総歩数=2019歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=未測定.


5 oktober 2004(火) ※ 南東北(白河)へ出陣

◇5時前起床.外は雨.気温16度.作業再開.

◇6時半に出発:在来線を使って,ひたち野うしく[7:03)→(7:46]友部[7:51)→(9:03]小山[9:14)→(9:47]宇都宮 とたどる.宇都宮からは新幹線にするかそれとも東北本線にするかは未定.

―― ということで,とりあえず定刻に小山到着.ここで在来線ではなく,東北新幹線「なすの231号」に乗ることに決める.1時間ほど空き時間ができたので,駅構内の Beck's にて遅めの朝食と資料作成作業の続き.外はざあざあ降り.気温は20度に達していないだろう.でも半袖だったりする.※「季節はずし」という.

◇小山までの車中にて Matthew Battles『Library: An Unquiet History』の続きを久しぶりに読む.本の戦いを図像化した絵画とかメルヴィル・デューイによる図書分類法の起源とか.著者がウンチク傾けまくっているのも楽しいが,方々に挿入されているめずらしい図像が印象的.※参考文献リストとか索引とかを省略しないで訳出してね >晶文社さま.

◇小山から45分で新白河に到着.送迎公用車に乗って(独)家畜改良センターに向かう.東北道・白河インターからすぐのところ.今回の統計研修はここの中にある「中央畜産研修施設」にて開催される.

―― ざあざあふる雨の中,荷物を運び込み,まずは理事長にあいさつ,昼食を理事長室でいただき,その後「個体識別管理センター」という人口密度の高いデータベース室を案内してもらう.飼育されている牛の全個体にタグ(耳標)をつけて管理するということらしい.

◇午後1時半から研修開始.受講生は全部で13名.今回の研修に先立って「畜産統計処理(I)」という2週間に及ぶ基礎コースを受講してきたのだという.今回の「II」はその応用編にあたる.とりあえず「統計学概論」から入り,まずは1時間ほどの引導タイム.ま,いつもの順序ということで.

―― 休憩後,〈R〉を受講生のパソコンにインストールするという作業から開始.今回は各受講生のノートパソコン(といってもHPのどでかいヤツ)がインターネットにつながっている.いつものように〈CRAN〉につないだら,おお,Rが「2.0.0」に大バージョンアップされているではないかっ!.タイムスタンプを見ると「10月4日公開」ということだから,時差を考えるとまさに畜産統計処理(II)を狙ったかのようなアップデートだ!

―― ほほ,と何となくうれしくなってほかほかの最新版をダウンロードするよう受講生に指示し,〈R〉の起動とデモ,グラフ描画の練習.その他,いくつかの基本コマンドについて説明したところで,もう5時前の終了定刻.ま,本論は明日まわしですな.

◇5時20分から食堂にて懇親会.統計コースと並行して「国際化対応コース」という別研修(参加者20名ほど)が走っていて,合同での懇親会.ビール→焼酎→シングル・モルト(持参のInchgowerうまし),釧路の「福司」とか.そうとうなアルコール摂取量だった.日が変わらないうちに解散したが,初日にこれだと先が思いやられますなあ.>みなさま.※いちばん呑んだのだーれ?

―― 何の抵抗もなく沈没でーす.

◇本日の総歩数=8009歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg.


4 oktober 2004(月) ※ 〈天より雨下り,……〉

◇明け方,いったん雨はあがっている.15.0度.予報では今日も一日降り続くらしい.研究所でまたまた「OHPデジタル化単純労働」の続き.過去の資産がたくさんあり過ぎて,もう.

―― とりあえず午前7時までに,実験計画法・分散分析に関するOHPをすべてスキャンした……と思ったら,「堆積物」の下の方からわらわらとさらに出土.※なんでこんなにあるのん?(つくったのはワタシ)

―― 午前中に,残る分散分析[続]・一般化線形モデル・多重比較・等分散性・計算統計学・前振り[ネコじゃらしともいう]などなどをすべて終わらせよう.※「前振り」がいちばんたくさんあったりするのだけれど.

◇またまた雨が降りしきる.畜産統計研修では,研修生の使用パソコンがそれぞれインターネット接続できることが判明.ということは,ドロナワ資料はぼくのサイトにドカドカとぶち込んでおけば,各自ダウンロードできるということですな(やったー※安心するなー).

◇三四郎古書店から着便 ―― 中尾佐助・秋道智彌(編)『オーストロネシアの民族生物学:東南アジアから海の世界へ』(1999年1月19日刊行,平凡社,ISBN:4-582-48305-4).神保町の旧・東京堂書店の新刊コーナーで見かけたときから気にはなっていたのだが,やっと手元に届いたという気分.鶴見良行の古典『ナマコの眼』といい,この本といい,なんとなく[しかも強く]惹かれるテーマと内容だ.ethnobiology とか folk taxonomy への関心の発露でしょう.

―― 新着本を並べている棚がぎゅう詰め状態になってしまった.早く消化しようね.※食べるんじゃないよっ(山羊かい,ワタシ).

◇某学会の評議員選挙用紙が届く.忘れないうちに返信しましょう.

◇多重比較の「まとめ」をつくり直してみる.平均値間の比較に関する「治療せず」の末路,ボンフェローニ補正とそのヒマシ油効果,そして代替緩下剤としてのホルム補正.書いているうちにまた枚数が増えてる…….

◇夕方まで「単純労働」にいそしむ.結局,200枚ほどのOHPがjpeg画像に変身した.疲れたので7時前に退散.

◇三日間の旅行の準備.※手慣れた〈旅支度〉.

―― 夜も作業続行.今度は jpeg を InDesign に貼りこんで,整形と pdf 出力.そのままぺたぺたと貼っているだけなので,数十MBのpdfファイルがごろごろと出力される.とりあえずイントロ部分と分散分析のところだけでも仕上げておくとラクなのだが,このふたつのセクションだけで過半数の枚数を消費している.時間がかかり,日が変わる前までにできるだけ作業を進めておく.※あとはJRの中か,向こうに着いてからでしょう.

◇本日の総歩数=10186歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg.


3 oktober 2004(日) ※ 一転,金木犀の香りも濡れる秋雨前線

◇5時前に雨音で目が覚める.カンカン照りだった昨日とは一転して,しとしとと秋雨が降り続く.気温は17度ほど,北東からの風がやや強い.傘をさして1時間ほど徘徊する.いつもの Book-Ace まで.お,この本が並んでますな.あとでゲットしに来ます(雨の中を持ち帰ると濡れてしまうので).

◇一日中,朝から夜まで雨が降り続く.気温は20度に達せず.私用でつくば中心部を駆け回る.雨足かなり強し.夕方まで走り回る.LALA Garden,カピオ,竹園,松代の間を巡回バスのように.

◇まことに“本降り”ということで,それはそれでハッピーか(読書の秋やし)―― 梅谷献二『虫を食べる文化誌』(2004年9月22日刊行,創森社,ISBN: 4-88340-182-0)/箕輪成男『紙と羊皮紙・写本の社会史』(2004年9月20日刊行,出版ニュース社,ISBN: 4-7852-0114-2)/紀田順一郎『私の神保町』(2004年10月10日刊行,晶文社,ISBN:4-7949-6626-1).『虫を食べる〜』:最近はやり?の「昆虫食」本の勢いおそるべし.実にいろんな蟲が食べられてますな.おお,雲南の“食虫トライアングル”とは.オサムシやゾウムシまでいくんですね./『紙と〜』:写本は実に魅力的だ.スクリプトリウムをつくりたいくらい(スクライブになりたい人いません?)./『私の神保町』:あそこはもう「追憶」の対象となりつつあるのか…….

◇赤池情報量基準の導出をどのように受講生に説明するかを考えている ―― 名案はないの.〈Akaike without tears〉というスローガンが叫ばれるだけのことはあると見た.※で,どーしますねん....

◇雨に打たれたらしく「毒気」が抜けてイマイチよろしくない.もう寝ましょかね.

◇本日の総歩数=13858歩[うち「しっかり歩数」=7119歩/57分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.4kg.


2 oktober 2004(土) ※ かんかんと晴れて運動会日和

◇5時起床.ささっと起きてテーブルを片手に,至近距離の小学校に走る.すでに校庭には所狭しとテーブルが並んでいる.く,負けたか……(前夜から置いてあったようだ).子どもたちだけではなく,親たちもたいへんな1日の始まりだ ―― ということで小学校の運動会は度重なる悪天候による延期の果てに本日ようやく開催とあいなった.

◇運動会が始まるまでの空き時間に,“これ論”師の『Rで行う一般化線形モデル』文書への注釈メモをpdf出力する(60KB).元ファイルに注釈をつけたのは4MBを越える巨大さなので,とりあえず注釈部分だけを送るということ.グラフィクスの解説は勉強になる.本論の一般化線形モデルをRで実行する節は教材として使いやすいように思われる.もちろん,モデル選択に関わる尤度やAICの概念については補足説明がどうしても必要になるのだが.

―― 教材の公開は「拙速主義」をモットーにすればいいのではないですか.とにかくぱぱっとつくってしまって必要な人にささっと配布する;不十分な説明とか間違い箇所は走りながらその都度訂正していく;「ない」よりははるかにましだろうという楽観主義.

◇午前9時から運動会の開始.役回りは撮影係(いつものことか).空き時間に井上真琴『図書館に訊け!』(2004年8月10日刊行,ちくま新書486,ISBN: 4-480-06186-X)を読了.この本,前半章を読むかぎりイマイチかなという気もしたのだが,後半章(第4〜6章)で一気に評価を上げた.図書館の機能としての〈レファレンス〉について具体的に書かれていてたいへん役に立つ.レファレンス・ブックの使い方とレファレンス・サービスの受け方など研究者にとって必要かつ有用な技術が身についているかどうかをふりかえる契機になる.紙資料の「ブラウジング効果」とか,実践女子大のレファレンス・サイト(確かに役に立つ)とか,興味深いトピックスあり.※みなさん,後半3章をしっかり読みましょうね.

――〈ヅーフ部屋〉: 環境統計ユニットにはすでにそういう一角がありますが.

◇それにしても10月だというのに「炎天下」で焦げるというのはどういうことか.暑い〜(夏日かも).F津ご夫妻&お嬢様とばったり遭遇.なんやかんやで焦げながら午後3時まで校庭に拘束される.

◇夜,プチ外出中に,東の方向に“打上げ花火”が見えた.今日は土浦の花火大会だった.

◇暗い研究所でスキャンの続き ―― 「モデル選択」に関わるOHP群はすべてjpeg画像と化した.“沖田プロ”も“ウンベルト・エーコ”も“対数尤度”も“赤池弘次”も全部デジタル化.あとは資料として整形しpdfにするだけ.

―― こういう作業があと数クラスター分ほど残っている.

◇某雑誌から査読依頼あり.きっと引き受けることになるでしょう.

◇本日の総歩数=7579歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼△|夜△.前回比=0.0kg.


1 oktober 2004(金) ※ またまたドレスコードに縛られて

◇午前4時半起床.晴れた朝の放射冷却.気温は16度ほど.やや寒い.

◇箪笥からがさがさとスーツを取り出し,するするとネクタイを引っぱり出す.今年はさまざまな〈ドレスコード〉に縛られる機会が多過ぎる気がする.今日は辞令交付日なので,それ用のドレスコード遵守を明示的に求められた.※日常的にいかに“ええかげん”なコスチュームをしているかという証左でもある.

―― 9時からの辞令交付の5分前には理事長室に隣接する秘書室に来るようにとのことなので,念のため早々と研究所に来てしまう.居室の表札氏名プレートの位置を上に入れ換える.隙間時間がちょいヒマなので(←あ,この一言は聞き流してね>関係諸方面),こうやって日録を書いてみたりする.

◇ソロモン諸島への海外調査から帰国された中澤港さんのダイアリー〈2004年ソロモン諸島往還〉を読む.いろいろとハプニングがあったのですねえ,などと愉しんでいられるのは当事者ではない外野だからだろう.※ケタ外れの「アイスクリームジュース」って…….

◇井上真琴『図書館に訊け!』(2004年8月10日刊行,ちくま新書486,ISBN: 4-480-06186-X)を読み進む.書き方がカルいぞ(なかば誉め言葉として).いわゆる〈灰色文献(gray literature)〉に関する記述がとてもおもしろい(第2章).展覧会カタログ・社史・追悼文集そして科研費報告書や学位論文など正規の書籍流通ルートに乗っていない文献資料は,図書館学の世界ではすべて〈灰色文献〉として一括されているそうだ.図書館員としての図書選定の基準とか,学術雑誌のランキングとか,話題豊富.本を書く側とつくる側のウラ話もいろいろと――

米国では学術文献の場合,「『注』を鎧のように身にまとって,『迫害』に敗けず有無をいわせずに『自説』を納得させる」態度が一般的だが,日本では「『注』でがんじがらめに縛った論文ではない形式でいいたい主題を書きたい」とする風土もあるので〜 [p.75]

ほほお.執筆文化のちがい?

学術研究の成果は,まず学術雑誌に発表されるので,学術研究の主戦場は雑誌にあることを認識しなければならない.本の形態になっているものは,雑誌に発表された論文や記事のうち,評判の芳しかったものに加筆修正し,編集し直して出版されることが多い.[p.63]

前半は当たっているとしても,後半は必ずしも正確な記述ではないでしょうね.書き下ろしの学術的著作がたくさんあることは誰でも知っているから.

―― 大学や研究所の出版する〈紀要〉のたぐいに対しては評価が厳しいですね.ま,当たっていない指摘でもないとは思いますが,その文脈で「谷沢永一」をテポドン発射するのは香辛料の効き過ぎというものでしょう.

◇午前9時までまだ時間がありますねえ ―― 〈マタイ受難曲〉を聴きつつ,メーリングリストへの月例アナウンスを流す.

◇9時ちょうどから理事長室で辞令交付式 ―― 「地球環境部生態システム研究グループ研究リーダーに昇任させる」という人事異動通知書を理事長から手渡される.栄転? 受難? さあ…….※おいおい.

―― 午後2時からは新規昇任者に対する理事長レクチャーが予定されている.ま,それまでの数時間は自己解放されましょう,ということで,とっととスーツを脱いでアヤシクいつもどおりに復帰する.

◇とあるデータの解析をする.最節約法だと同長樹が数千個ありますね.ただし厳密同意樹が“竹箒”にならず,多数決合意樹の解像度が高いので,tree islands はごく少数であると判断されます.最節約解の多重性は末端クレードの不安定性に起因しているようです.

◇大阪府立大学総合情報センターから『中尾佐助文献・資料目録』が届く(感謝).1997年3月18日刊行.159ページもあるりっぱな目録だ.“分類”関連の項目をこれからチェックしないと.※こういうのも〈灰色文献〉のひとつなんでしょうね.

◇高座の予定が次々と ―― 千葉大学での集中講義(動物系統学:15時間)は来年2月5日(土)〜6日(日)ということで日程確定./駒場での〈進化認知科学リレー講座〉は来月27日(水)の夕方で日程決定:演題は「シンプルって美しい」.※お,Elliott Sober の Systematic Biology 論文(vol.53, pp.644-653, 2004)を読まないと.

◇快晴.ツクツクボウシが鳴く.昼休みの徘徊1時間ほど.

◇またもやドレスコード遵守で午後2時から理事長室にて理事長セミナーを1時間ばかり.聴く側はふたり.「Cell ではなく organizer になれ」と.※「2次胚」つくってもいいですか?(バキっ)

―― 辞令のついで?に一号俸アップ.※あらら,たなボタ.らっきー.

◇畜産統計研修に向けて,OHPシートのスキャンを始める.50枚ほどすませたところでもう午後6時.今日はこれにてご帰還です.疲れました.

◇帰り支度をはじめたところに,いきなり〈人体実験〉か ――“これ論”師より『Rで行う一般化線形モデル』という巨大なpdfファイルが「宅ふぁいる便」にて送られてきた.「人体実験」を繰り返してその威力がテストされないうちは公開しないそうだ(意外に慎重派だったのね).※東北大の学生さん,どんどん積極的に「人体実験」のイケニエになってください.よろしく.

◇本日の総歩数=14709歩[うち「しっかり歩数」=8841歩/75分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg.


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