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日録2009年11月 


30 november 2009(月) ※師走への鐘が早くも鳴り響いて

◆午前4時40分起床.夜明け前は本降りの雨だったが,すぐに上がった.気温6.6度.しんしんと寒い.

◆午前のこまごま —— 領域忘年会の日程うかがいメールを関係者たちに流す./RP成績検討会のための成果とりまとめをしないといけない./音羽より原稿依頼あり.『週刊読書人』の年末「新書特集」に『分類思考の世界』に関して,「著者が語る私のテーマ」というコラムに寄稿をとのこと.もちろん了解です. 12月15日(火)までに400字×3枚.

◆[組合]降り注ぐ火山灰と火山弾 —— 久しぶりに農環研分会のタンブラーやらツイッターに投稿したり,とか.「決議書」を早く確定させて当局に提出しないと./組織実態調査ねぇ.締切過ぎてるし……./筑波地本の「旗開き」は2010年1月7日(木)午後6時から筑波事務所三階の展示会議室にて.しかし,駒場の講義があるので当然欠席することになる.

◆いただきものの本たち(いつもありがとうございます) —— カール・ジンマー[矢野真千子訳]『大腸菌:進化のカギを握るミクロな生命体』(2009年11月30日刊行,日本放送出版協会,333+33 pp.,本体価格2,100円,ISBN:978-4-14-081403-1 → 版元ページ).本書の主役は大腸菌.献本に挿まれていた宣伝文の E.coli のイラストがとりわけかわいいんですけど.「もやしもん」みたいで.造本も軽くてふかふかしていて,個人的には好ましい.同じ出版社から半年前に出た:ディヴィッド・スローン・ウィルソン[中尾ゆかり訳]『みんなの進化論』(2009年4月25日刊行,日本放送出版協会,東京,411 + 26 pp., 本体価格2,300円, ISBN:978-4-14-081371-3 → 目次)を髣髴とさせる.「ライトノベル」的自然科学書というイメージ戦略なのかな?

もう一冊は —— 東浩紀・北田暁大(編)『思想地図 vol.4:特集〈想像力〉』(2009年11月30日刊行,日本放送出版協会[NHKブックス別冊],428 pp., 本体価格1,500円,ISBN:978-4-14-009347-4 → 版元ページ).また厚くなった.今号をもって『思想地図』は完結となるそうだが…….

◆午後のこまごま —— 日程調整をしてみると,領域忘年会の最適開催日は一意的に確定し,12月22日(火)午後7時開始ということになった.場所は幹事の専決事項なので,迷わず〈笠真〉ということで,予約メールをさっそく送った.よろしくお願いいたします.会費などの詳細アナウンスは明日配布しよう./手持ちの名刺がそろそろなくなりそうだ.昨日訪れた寺町の〈紙司・柿本〉に手漉き和紙の名刺を試しに発注してみようかな.

◆帰宅後も日録をちくちくと書き続け,日が変わるころになってようやくアップロードできた.毎度毎度のことながら数日間も溜め込んでいるようでは,「日録」ならぬ「週録」と看板を付け替えないといけなくなる.明日からはもう師走.すでに走り続けているので息切れしそう…….

◆本日の総歩数=5173歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.9kg(+0.2kg)/26.3%(−0.6%).


29 november 2009(日) ※京都最終日はあちこち移動する

◆午前7時前に起床する.今日も天気がよさそうだ.午前9時にチェックアウトして京都駅に向かう.空気が冷たい.駅で大きな荷物をコインロッカーに放り込んでから,寺町方面に出撃する.まずは〈京都ホテルオークラ〉のカフェ〈Lec Court〉にて朝食を.みごとな焼き具合のフレンチトーストをいただきました.パン生地の浸かり方も絶妙なら,ふるふるした食感もデリシャス.まるで柔らかい出汁巻きのようでいて,その味わいは伊達巻きのごとし.拍手また拍手.

その後,河原町通りから寺町通りに向かい南北を散策する.すっきり晴れ上がった青空が心地よい.昨日はこのあたりの古書店まわりをしたが,今日は裏通りの京生菓子司〈松彌〉にて「あもやき」とか「舟入り」とか「初氷」とか上生菓子をいくつか買い求める.これは宇治の実家へのお土産として.次いで,〈紙司・柿本〉にて名刺用の手漉き和紙を探してみたりとか.この界隈は立ち寄る店がたくさんあってぜんぜん飽きない.

—— そののち,宇治の実家へ向かった.午前中は天気がとてもよかったが,午後になって雲が多くなってきた.今日は雨の予報が出ていたことを思い出した.

◆宇治の実家には約3時間ほど滞在し,両親がちゃんと生きていることを確認する(おいおい).いつも通りいくつかお小言を喰らったのち山を下りる.JR六地蔵駅から京都に出て,予想通り大勢の観光客でごった返していた駅構内をしばしうろうろしたり,6日間も溜まっている日録を書いてみたり.最近,更新の延滞がひどい.自分でもわかっているのだが,時間がないのでいたしかたなし.

◆帰路の旅 —— 17:32発の「のぞみ132号」に乗り込む.車内もまた満席の混み方だった.身動きできない車中ではただひたすら日録を書き続けたが,ぜんぜんケリがつかない…….鯖寿司を食べてうとうとしてしまった.名古屋あたりで窓越しに一時雨が降っていたのが見えたが,午後8時前に東京に着いたときには降っていなかった.前線が追いついていないのだろうか.秋葉原からつくばへ直帰.午後9時過ぎにつくばセンターをとぼとぼ歩いていた.曇り空で気温は低め.冬ですな.

◆早くも忘年会たちの足音が聞こえ —— 東大の専攻忘年会のお知らせ.12月16日(水)の専攻教員会議のあと,午後6時半から向ヶ丘の割烹〈かねこ〉にて./東京農大・昆研から「OB会ニュース67号」が届いた.今年の研究発表会と忘年会は12月26日(土).発表会は午前9時から,忘年会は午後5時半から.場所はいつも通り,厚木キャンパス(形態系実験室)にて.

◆遠方の出張先からつくばに帰り着くと心身ともに廃人になることがこのところ多くなってきた.もうあかんかもしれまへんなあ…….

◆本日の総歩数=7770歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測.


28 november 2009(土) ※冷たい北風に吹かれて洛中生息

◆午前5時半起床.曇りときどき晴れ.空気がひんやりしている.朝7時の開店と同時に近くの〈イノダコーヒ本店〉に入ったのだが,いつもの旧館はすでに満席でびっくりした.新館にはかろうじて座れたのだが,店先にはすでに待ち客の列ができ始めていた.ハムサンドを食べて店を出るときには,客の列はさらに伸びて店の外まで長蛇の列になっていた.こんな早朝の喫茶店に客が押し寄せるとは.おそるべし.ホテルに戻ってしばしの休息ののち,午前10時前にチェックアウト.

◆洛中二日目は,昨日のぽかぽか陽気に比べると,曇って風が冷たかった.しかし,観光ハイシーズンの洛中でタクシーにうっかり乗ると痛い目に遭うことはわかっている.この週末は日中はどこも観光客にもまれてえらいこと.人も車も多い市中ではどこで渋滞に巻き込まれるか予測できないからだ.そこで,烏丸御池の駅のコインロッカーに荷物を預けて歩き始めることにした.寺町から荒神橋をわたって川端通りへ.下御霊神社境内の紅葉がとても鮮やかだった.鴨川では北寄りの風が吹きつけた寒かった.遠くを見やると東山から北山にかけてもきれいに紅葉していることがよくわかる.

◆京大医学部にて —— 午前11時前に京大医学部に到着.まず一仕事として,計量生物学会の理事会に出席.来年の日本計量生物学会大会は,2010年5月13日(木)〜15日(土)の日程で,先般移転したばかりの統数研(立川)を会場にして開催される.特別セッションはぼくがオーガナイズする〈農学・生態学・進化学でのベイズ統計手法の応用に関する諸問題〉という半日セッション.予定では14日または15日に開催されます.これから白羽の矢を用意しますが,「ひょっとして」と心当たりのある方はまちがいなく射抜かれるものと覚悟して白装束で待っていてください.

もうひとつ,来年の年会ではお仕事があって,チュートリアルとして:三中信宏「分類思考と統計思考:Rを用いた分類パターンの認識」という二時間ほどの高座を勤めることになっている.分類は「役に立つべきだ」というからには役に立ってもらおうじゃない.いずれにしても,かなりの準備が必要になるにちがいないのがちょっとばかりユウウツではある.弁当をいただいて昼過ぎに理事会は終了した.

◆昨日はJR京都駅前のキャンパスプラザが会場の講演会だったが,今日は理事会に引き続いて午後1時から,京大医学部の講義室にて医療統計学のシンポジウム〈臨床試験におけるサロゲートエンドポイントの評価:臨床的視点と統計的視点〉が開催された(13:00〜15:30).日常的にはなじみのない「surrogate endpoint 〜」とか「因果モデル」周辺の言葉や概念が乱れ飛ぶ会議だった.いちおう小生のオモテ看板は統計学者のはずだがだいぶつらいものがある……(汗).午後4時からは,チュートリアル:江口真透「ゲノムデータ・オミックスデータを解析するための新しい統計方法と機会学習の方法」.推定すべきパラメーター数がサンプルサイズよりもはるかに多い場合に生じる問題を〈p>>n問題〉と総称するそうだ.

◆夕方,京都駅南の九条にある〈京都第一ホテル〉にチェックインした.その後,町中に出かけてアルコールな夜が更けていく.

◆空き時間のお仕事 —— そろそろ進めないといけないソーバー訳本まわりの作業.とりあえず『過去を復元する』の旧版の第2章までを読み進めて修正箇所のピックアップをすませた.久しぶりに本文をしっかり読むと,「確かにこういうことが書かれていたなぁ」と十年あまりも前の記憶が再浮上してくる.要修正箇所の頻度は「10カ所/100ページ」なので,この分だと全体では30カ所あまりの微修正ですむものと思われます.>仕掛人さま.

◆本日の総歩数=8460歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=未計測/未計測.


27 november 2009(金) ※小春日和の洛中は観光客だらけ

◆午前4時半起床.朝焼けの東の空.

◆明け方の人事書類 —— 玉川大学の人事書類が結局こんなに長引いて,旅立ちの当日になってしまった.その間,何度か加圧されたのだが手書きの時間がぜんぜん取れず,申し訳ありませんとつぶやきつつ手書きで数ページを埋め尽くす.午前6時にやっと作業終了.返信用封筒にさっさと封入してしまったので,これで数日間に及ぶ石抱きの刑から解放されたことになる.

◆朝の旅立ち —— 午前9時ちょうどのTX区間快速に乗る.薄曇りの穏やかな日射しが射して暖かい.東京駅で待ち時間があったので,オアゾ丸善の洋書売り場を探索するが,特別企画〈松丸本舗〉のあおりを喰って,通常の洋書コーナーが大きくデフォルメされてしまっている.ぼくは「場所」で記憶しているので,本棚が変わるとぜんぜんわからなくなるのですよ〜.

それでも,科学史棚でたいへんおもしろそうな分類学史本を一冊ピックアップできた:Carol Kaesuk Yoon『Naming Nature: The Clash between Instinct and Science』(2009年刊行,W. W. Norton, New York, viii+344 pp., US$ 27.95, ISBN:978-0-393-06197-0 [hbk] → 版元ページペーパーバック版 ISBN:978-0-393-33871-3 は2010年夏に刊行予定).サブタイトルが実に魅惑的だったので即レジ直行だった.実際,ぱらぱらと立ち読みブラウズしただけで,この本が分類の認知心理的な側面にウェイトを置いた本であることがはっきりわかった.引用文献とか話題の立て方が『分類思考の世界』とよく似ていて(「ナボコフ」まで出てくるし!),著者へのシンパシーを強く感じる.単なる偶然の出会いだが,とても幸運な収穫だった.

◆小春日和の京都へ —— 11:00発の「のぞみ227号」に乗る.車内ではもうあとがなくなった計量生物学会ニュースレターの「巻頭言」原稿をがしがし書き続けて二時間で400字詰にして4枚ほどを書き上げた:三中信宏「分類思考と統計思考がまじわるとき」(日本計量生物学会ニュースレター101号掲載予定).午後1時過ぎ,昼下がりの京都に到着した.小春日和という表現がふさわしくないほどの暖かさだ.今夜の宿泊先である三条通の〈日昇別荘〉に荷物を預けに行って身軽になった上で,ふたたび京都駅へ戻る.

午後4時からJR京都駅前の〈キャンパスプラザ京都〉の4F・第4講義室にて開催される計量生物学会講演会:Nicholas P. Jewell「Causal inference for randomized clinical trials: accommodating (i) secondary interventions and (ii) treatment-related side effects」に参加した.因果グラフに基づいてバックドアを開扉せずに,いかにして交絡要因の調整をするかという内容.午後6時前に終わった.

◆その後,いったんホテルに戻ってから,午後7時前に夜の街に出撃〜.よく食べてよく飲んで,かなりたくさんいただいた気がするが,実際に大量に摂取してしまったかもしれない…….その後,ワインとシングルモルトまで.それでも日付が変わらないうちにホテルに帰り,大浴場を占拠できたのはよかった.リーズナブルな時間帯に就寝.和室にふとんを敷いて寝たのは久しぶりのことだった.

◆本日の総歩数=11445歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=86.6kg(+0.9kg)/26.9%(+0.2%).


26 november 2009(木) ※京都逃亡直前に加圧されて凹む

◆午前5時半起床.雨上がり.快晴の青空のもと日射しが暖かく色づいた落ち葉が舞い散る.

◆朝からぎゅぎゅっと加圧されて —— 玉川大学の人事書類がまだできていない……./横浜国大の成績票もまだ返送していない……./計量生物学会ニュースレターの巻頭言原稿もぜんぜん書けていない…….

—— いくら加圧されてもいっこうに作業が捗らないというのは何かしら根本的問題があるにちがいない.その責はワタクシの側に? それとも「諸般の事情」のせい?

◆東京へ遁走する —— 11:55発のTX快速で根津へ.午後1時前に東大農学部図書館にて待ち合わせ,地下書庫にて『国立公園』のバックナンバーをチェックする.あとは適宜借出す作業に進めばよい.用事がすんだので,根津神社横の讃岐饂飩〈根の津〉にて「ぶっかけうどん」をすする.午後2時の遅いランチ.そのまま駒場に向かった.途中,渋谷で京都行きの新幹線チケットを購入.これで明日の旅立ちはあわてる心配がなくなった.

◆駒場の高座 —— 今日はこれまでの線形モデル(LM)から一般化線形モデル(GLM)への一般化の講義.ついでにRとRコマンダーを用いたデモンストレーション.さらに混合効果モデルについても説明した.午後6時前に真っ暗なキャンパスを抜けて駒場東大前から直帰コース.午後8時にはつくばに着いていた.

◆しばらく空席だった〈国際系統進化生物学会(IOSEB)〉の新会長が決まったという.そして豚インフルエンザで中止になったメキシコでの〈ICSEB〉の代わりに,再来年をめどにベルリンで開催するという案が浮上している.

◆車中読書 —— 津田大介『Twitter社会論:新たなリアルタイム・ウェブの潮流』(2009年11月21日刊行,洋泉社[新書y227],東京,ISBN:978-4-86248-482-6 → 版元ページ).さくっと読了.ごめんなさい,まだ「tsudaる」能力は私にはありません…….

◆ココのところ全般的に「前向きさ」が不足しているようで,生活の端々が荒れ気味だ.今日もほんとうは午後5時半から筑波地本の「農対部委員会」に出なければならないはずだったが,気がついたらとうの昔に頭上を通り過ぎていた.帰宅してメールを見たら次回の農対部の会議は12月16日(水)だそうだ.しかし,東大の専攻教員会議があるのでもちろん欠席となるのは必定.ずっと前から予定が決まっているのに,いきなりヨコ入りしてきて「参加せよ」というのはどだいムリなごり押しだ.だから欠席.

◆明日からは二泊三日で京都に滞在するので,その旅支度をしないといけないのだが,気力・体力ともに低減していて,イマイチさくさくことが捗らない,というかその気になれない.しかし,明日は朝のうちに出発しないといけないので,のろのろしてはいられない.

◆本日の総歩数=9820歩[うち「しっかり歩数」876歩/11分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=未計測/未計測.


25 november 2009(水) ※朝から夜まで都内に居座る一日

◆午前5時半起床.昨夜からの雨がまだ降り続いている.夜蛾がベランダで動けなくなっていた.じたばた暴れない蛾はひたすら愛おしい.今日もまた午前のうちに本郷に行かないといけない.本務地での残務トドどもはわが世の春を謳歌するだろう…….何匹かは持ち歩いて出先で仕留めてはいるのだけれど.

◆朝のこまごま —— 所内のRP成績検討会は12月18日(金)15:00〜17:00と日時が確定した./成績検討会の開催日が確定したのを受けて,やっと領域忘年会の幹事としての仕事を開始できる.まずは日時調整のお伺いメールを領域の全員に送信した./先日の計量生物学会電話会議の議事録が届いた.いくつか訂正箇所をメールで連絡した.

◆東京への純粋往復移動 —— 雨上がりの曇り空.いったん 10:25 発のTX快速に乗れてさて安心と思ったのが運の尽き,必須品をうっかり忘れてしまって守谷で降りてとんぼ返り.みるみる青空が広がって気温は上昇中.結局,一時間後の11:25発TX快速にもう一度つくばから乗るハメになり,正午前に壱岐坂上の〈森の〉に到達することは不可能になった

◆根津にたどり着いたのは正午をまわっていた.〈芋甚〉にて「田舎しるこ」をいただいてから,〈往来堂書店〉を一回り.レジ横で文字通り「一箱古本市」をやっていたので,一冊ピックアップ:ミシェル・ヴォケール『愛書趣味』(1984年2月20日刊行,白水社[文庫クセジュ662],東京,ISBN:4-560-05662-5).この新書クセジュといい,かつての冨山房百科文庫,そして今は亡き紀伊國屋新書もそうだが,昨今出回っている「新書」とはぜんぜんちがう出版世界をつくっていたと記憶している.講談社ブルーバックスだって創刊された当時は,いかにも「理系!」という色合いが濃厚で,けっしてハウツー的な内容ではなかった.昔の新書には今でも惹かれる.

「一箱古本市」といえば —— もちろん,その仕掛人の新刊:南陀楼綾繁『一箱古本市の歩き方』(2009年11月20日刊行,光文社[光文社新書433],東京,ISBN:978-4-334-03536-5 → 版元ページ)を無視できない.往路車中で読了.街全体を書店とみたてるという「一箱古本市」のそもそものコンセプトから始まって,日本中に広まっていくようすがレポートされている.

◆根津神社境内のイチョウは真っ黄色に色づいていた.S坂から地震研に入りこみ東大農学部へ.午後1時から始まった専攻教員会議は午後3時まで.さらに続けて大学人入試にシステムに関する専攻会議が続く.

◆朗報 —— 音羽からメール連絡があり,『分類思考の世界』は早くも「第3刷」の増刷が決定したとのこと.そして,修正箇所をこれまた速攻で連絡せよとのことなので,第三刷にしていよいよ別宮貞徳のあの名著タイトルを文中でそのまま借用させてもらうことにした.この第3刷は12月3日には書店に並ぶ予定.さらに,12月8日には『系統樹思考の世界』の第3刷が配本される.

◆午後のこまごま —— 農学部の居室の移転は12月3日(木)または4日(金)に実施されるらしい.4日だったらぼくがエコロジカルセイフティー学特論(II)の集中講義に来ているので,立ち会うことも可能だ.前日だったら山地さんあるいは同じく集中で来ている新藤さんも大丈夫か.山路さんに連れられて農学部4号館の上層階に設けられた暫定的な移転先を見に行った.バイオトロン実験室の隣りのこの部屋はかつて学部生の頃に一度だけ来たことがある記憶がある.むかしむかしのことだ.

ずいぶん飲んで帰宅したのは午前1時前だった.お疲れさん>じぶん.

◆本日の総歩数=8899歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=85.7kg(+0.2kg)/26.7%(−0.1%).


24 november 2009(火) ※『種の起源』の誕生日はSにて

◆午前4時45分起床.朝焼け.今日はダーウィンの『種の起源』が1859年11月24日にロンドンで出版されてからちょうど150年目の記念日に当たる.で,グッドタイミングで今朝の朝日新聞朝刊・二面記事「ひと」に登場した渡辺政隆さん.お,ひげをきれいに剃ってるけど,そろそろ「ダーウィンひげ」にしないと!

◆朝のこまごま —— 本日夕方の東大・専攻ガイダンス(研究室紹介)のためのプレゼン用スライドを米村さんにメール送信する.ぼくも同席するのだけれど,卒論生を採るつもりがあるのは彼だけなので./明日11月25日(水)は午前11時半に壱岐坂上の蕎麦屋〈森の〉にてとの連絡あり./組合関連の情報をいくつか分会ツイッターに流す.しかしツイッターする時間もなくなってきたというのは末期的かも……./昼前に待遇改善に関する分会の「決議文(案)」をつくって執行委員の間で回覧する.しかし,もう時間切れか.今日明日のうちに締切の組合仕事がいくつもあるのだが,すでにオーバーフロー(源泉掛け流し)になっている…….

◆晴れて暖かな午後は東京で過ごす —— 12:30発のTX区快で東京に出る.根津から東大を抜けて,本郷通りの〈ルオー〉へ.午後2時からここで東大新聞の取材を一時間あまり受けた.もちろん『分類思考の世界』について.取材した記者さんがとても若かったので訊いたら「駒場の二年です」とのこと.東大新聞は学生がサポートしているメディアだったことをひさしぶりに思い出した.12月8日発行の東大新聞に掲載予定とのこと.その後,〈万定フルーツパーラー〉にてハヤシライスを食べてから,東大農学部に向かう.午後4時20分から,専攻の研究室ガイダンス.一時間ほどでおしまい.

◆ダーウィン『種の起源』百周年本 —— ベルリンの古書店から届いた本:Biologische Gesellschaft in der Deutschen Demokratischen Republik (Hrsg.)『Arbeitstagung zu Fragen der Evolution: Zum Gedanken an Lamarck - Darwin - Haeckel (20. bis 24. Oktober 1959 in Jena)』(1960年刊行,VEB Gustav Fischer Verlag, Jena, viii+232 pp.).もともとは O. Schwarz の【種】論考「Das Verhältniss der Systematik zur Phylogenetik」(S. 85 - 95)だけが目的だったのだが,届いた論文集をブラウズすると,他にもおもしろそうな論文が所収されている.あとで目次入力をしながら概略をつかむようにしよう.傾向としてはマルクス主義の立場からダーウィンを見るという基本綱領はあるようだが,W. Zimmermann の「Geschichte und Methode der Evolutionsforschung」(S. 15 - 36, Tafel I - III)のように政治臭がぜんぜんないのもある.

—— トークンとしての本書の元所蔵は,Bibliothek, Zoologisches Institut, Universität der Saarlandes.「Evolution 77」という蔵書シールが貼られ,「Nr 3194」という番号スタンプが押されている.

◆今夜は東大農学部に新しくできたファカルティハウス内にある,〈〉でシングルモルトを賞味してきた.店は弥生キャンパスの最深奥部にある.ぼくは昼間のうちに場所を確認しておいたからよかったが,店にたどりつくまでが遠い道のりかもしれない.ここは「B.Y.O.」システムを取っていて,年会費(なかのひとは正メンバー/そとのひとは準メンバー)を払えば,ボトル持ち込み&保管してもらえる.一般客はビジターだけど,メンバーとビジターでは注文したモルトの値段が半額ほどもちがうので会員がとてもお得.ただし〈S〉ではおつまみいがいの食事はできないので,同じファカルティハウス一階にあるレストラン〈キッチン・アブルボア〉ですませてから,二階の〈S〉に転戦するというのが妥当なコースかもしれない.知人のエルゼビア・ジャパンのウィスキー通の話では,〈S〉のシングルモルトの品揃えはものすごくいいです(20年〜30年ものとか「70度」近い逸品もあり).※耳より情報:「ザ・スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ」のカードを持っていると,正規メンバー扱いになって半額になる.

◆かなり飲んで午後9時半に〈S〉を出たら雨が本降りだった.根津に降りてそのままつくばへ直帰.午後11時前に帰宅.茨城は小雨が降り続き,とても寒かった.

◆本日の総歩数=8145歩[うち「しっかり歩数」1240歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=85.5kg(0.0kg)/26.8%(−0.4%).


23 november 2009(月) ※勤労がぜんぜん捗らないんです

◆午前6時前に起床.よく寝られたかもしれない.最初は曇っていたが,のちに晴れ間が広がり,雲一つない快晴の青空になった.気温も順調に高くなって,陰鬱で寒かった昨日とは大違いだ.

◆「アマゾン・ランキング」の瞬間風速で上位に —— 昨日の書評の効果がてきめんにあったのだろうか,『分類思考の世界』は,アマゾンの〈生物・バイオテクノロジー〉分野で昨夜から「第1位」になっている! 午前6時半の時点で,〈新書〉分野で「第9位」,全体ランキングでは「第126位」だった(夜中には全体で100位内にあったようだ).一時間ごとの「瞬間風速」なので順位はころころ入れ替わるのだが,いずれにせよ売れることはいいことだ.ありがとうございます.

◆訃報 —— 日高敏隆さんが今月14日に逝去されていたことを知った(→ NHKニュース).享年79歳.京都の関係者にさっそくメールした

◆近刊情報 —— 先月の分子系統ワークショップで斎藤さんが言っていた本:斎藤成也・佐々木閑『生物学者と仏教学者:七つの対論』(2009年11月20日刊行,ウェッジ[ウェッジ選書],東京,ISBN:9784863100589 → 版元ページ)が出版されました.参照 → 斎藤成也さんのブログ: 〈Sayer Says in Japanese〉.

◆日中は穏やかに晴れわたり,夕焼けがとりわけ見事だった.暗くなってから,ようやく5日分の日録を書き終えてアップロード完了.最近は滞りが多過ぎて日記の体をなしていない.とりあえず,紙片メモとツイッターメモを併用して,あとでまとめて dagboek に記すというスタイルが定着しつつある.まとまった時間がしだいにもてなくなりつつある,というよろしくない状況が近づいてきているのだろうか.もちろん,引きずっている組合関係の業務も,まとめて何かコトをするための時間がないので,細切れにそのつど投げていくしかない.そのためにわざわざツイッターを開設したんだもんね.

◆夜のトド撃ちまくり —— 来年度の東大理学部「生物統計学」シラバスを作成して教務に返送だん./東大農学部の来年度便覧の原稿について修正箇所を事務に報告だん./東大農学部図書館での雑誌『国立公園』と総合図書館での雑誌『改造』の製本状況チェックに関する連絡だん./計量生物学会の編集担当理事報告(案)への意見を返送だん./生物地理学会の役員忘年会は12月17日(木)西池袋の〈いか太郎〉にて午後6時半から.日程場所確認だん. —— しかし,まだまだ残務が残りまくり…….

◆今日はアマゾン・ランキングをよくチェックした.〈生物・バイオテクノロジー〉分野で一日にして「日高敏隆本」(『ソロモンの指輪』とか)がずらりと上位に浮上するようすは壮観だ.※上位三冊は「現代新書」が独占している(しかも担当編集者が同じだし!).

◆明日24日(火)は,チャールズ・ダーウィンの『種の起源』の出版(1859年11月24日刊行)からちょうど150年目にあたる記念日だ.

◆本日の総歩数=1070歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.5kg(+0.5kg)/27.2%(+0.4%).


22 november 2009(日) ※冬日の冷え込みでも走らない私

◆午前6時起床.曇り.冬のように寒い.

◆朝のツイッター情報 —— 『分類思考の世界』の書評が今朝の日本経済新聞に掲載されているとのツイートあり.実際に目にするのは連休明けまで待つしかないかと思っていたら,音羽からさっそくスキャンpdfでメール送信されてきた.佐倉さん,どうもありがとうね:佐倉統「「種は実在しない」圧倒的な主張」(日経新聞2009年11月22日書評).そういえば,第二刷は2,100部との連絡が昨日あった.

◆近刊備忘メモ —— C. K. Waters and Albert V. Helden (eds.) 『Julian Huxley: Biologist and Statesman of Science』(2009年11月近刊, Texas A & M University Press, ISBN:978-1603441605).1993年に出た記念シンポジウム論文集のペーパーバック復刻本のようだ.

◆真冬並みの寒さという予報通り,どんよりと冷たく冷え込む中,今年もまた〈つくばマラソン〉が朝から開催された.筑波大学方面に買いものに自転車で出かけたら,いたるところで車道・歩道とも交通規制されて時間がかかってしまった.今季初の手袋登場,それでも寒かった.

◆連休明けのトド撃ち方針 —— とりあえず片付けるべきタスクは,1) 玉川大学に提出する人事書類(これがやっかい); 2) 計量生物学会ニュースレター巻頭言(1,600字); 3) 計量生物学会のシンポジウムとチュートリアルの趣旨文; 4) 勁草書房「生物学哲学」論文集の原稿(「あとは三中さんだけ」と加圧されまくっている……); 5) 進化学辞典項目執筆(ゼロ); 6) 生物学辞典項目執筆(これまたゼロ) etc...

これだけトドがいるのに,組合関連で降り注ぐ「火山弾」が実にたくさんあって,どう考えてもやる時間がないので,放置してあるものも多い(すみませんねえ).そもそも,ずいぶん前から予定がきっちり確定しているのに,ほんの数日前にいきなり「指令」を出して,「何日までにこれこれをするように」と言われて,「はいそうですか」とできるわけがない.全農林筑波地本からの「指令」のいくつかは完璧にスルーしている.三連休明けにも,職場集会を開けだの,なんちゃら委員会に出席しろだの,当局交渉をしろだのと連射してくるのだけれど,ごめんなさい,ワタクシは今月末まで連日の出張ですので,まったく対応できません.先日,「源泉掛け流し」という表現を使ったが,今月もまた組合の用務のかなりの部分は「源泉掛け流し」のように流れ去っています.ごめんねー.代役ですむところはやりますけど.

でも,分会に降り注ぐ前に,組合業務の「仕分け」をちゃんとしてよね.まあ,今のところパーソナルにきびしく「仕分け」した上で切り捨てているので,実害はないんだけどさあ.だって,どうでもいいこと(=効果がぜんぜん見えない組合業務)が多すぎるもん.専従役員じゃないんだから,かつてのように終日組合の仕事をしているわけにはいかないし,第一,そんな時間どこにもないもんね.諸般の優先順位を考えつつ,これからも適当にかわしていきます.以上,決意表明ということで.

◆夕闇とともに雨が降り出してきた.とても陰鬱な一日だった.鬱鬱鬱鬱…….

◆本日の総歩数=3332歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.0kg(−0.5kg)/27.4%(−0.6%).


21 november 2009(土) ※暖かく晴れて目黒の寄生虫館へ

◆遅く目覚めてゆるゆるする.外は快晴の真っ青な空が広がっている.なかなかしゃきっと行動に移れない

◆備忘メモ —— 東大の専攻忘年会は12月16日(水)の専攻教員会議の夜に開催されるとのこと.場所は未定.

◆昨日とは打って変わった好天に恵まれ,気温も高め.JR目黒駅を降りて目黒通りをてくてく歩来始める.よく考えてみたら,目黒で下車したことは実は初めてだった.道すがら目黒通り沿いのレトロな商店街にやたら目につくラーメン屋.ここってひょっとしてつくばみたいな「ラーメン戦争」の戦場だったりする? 20分ほど歩いて目的地の〈目黒寄生虫館〉に到着.隠れた(隠れてない?)デートスポットというウワサにたがわずカップルが多い.こんなところまでわざわざ寄生虫を見に来るんでしょうか?(お刺身とか食べられなくなるのでは?) 二階にある「日本の寄生虫学の歴史」コーナーはなかなかおもしろい.午前いっぱいで退出する.

◆〈ソーバー復刊計画〉がようやくオモテに! —— 昨日,秋葉原に潜伏していたところ,仕掛人さんから『過去を復元する』の翻訳権が正式に取れるとのことで,やっと新しい版元が公開できることになりました:エリオット・ソーバー[三中信宏訳]『過去を復元する:最節約原理・進化論・推論』(2010年3月刊行予定,勁草書房,東京).価格は蒼樹書房版と同じくらいに据え置いてもらえるようで,ありがたいです.紆余曲折の末,やっとここまでたどりついたという感があります.いまソーバー教授には日本語版への序文を新しく書き下ろしてもらっているところ.それから訳者解説も書き直し,系統推定論での最節約原理と最尤法さらにベイズ法の現状と,科学哲学からみた問題点の総説にする予定.いずれの作業も年内には仕上げないといけない.ぜひ買ってください!

—— ツイッターではつい勇んで「2010年2月刊行予定」と書いてしまったのだが,それを見た仕掛人から「加圧がきびしくなりますよ」と脅されて?そそくさと譲歩したしだいです…….

◆つくばに帰り着いたのは午後1時過ぎ.何だか心身ともに疲れきった感じがする.日射しは暖かく,空気は乾いて冷たい.夕焼けがきれいだった.

◆車中読書 —— リン・バーバー[高山宏訳]『博物学の黄金時代』(1995年10月30日刊行,国書刊行会[叢書〈異貌の 19世紀〉],東京,431+21+xiv pp.,ISBN:4-336-03493-1 → 目次)の続きを第18章まで読了.とりわけ第四部「正統擁護派たち」の三つの章がおもしろい.各章の主人公はそれぞれ解剖学者リチャード・オーエン,地質学者ロデリック・マーチソン,そして古生物学者ルイ・アガシーだ.今日的に見れば歴史の影にかすみつつある三人だが,当時としてはいずれもが科学界の「時の人」だったと著者は指摘する.学問的業績はもちろんだが社会的にも脚光を浴びたということだ.その点でチャールズ・ダーウィンに比べて彼らははるかに時めいていた.さまざまな細かなエピソードが綴られていて,たいへん参考になる.たとえば,アガシーの『分類考(Essay on Classification)』(1857 → 目次)が実はもっと大きな十巻本に所収される予定の本だったこととか.続く第五部はダーウィンと同時代の人間模様だ.第16章のヒュー・ミラー,そして第17章のフィリップ・ゴスの悲劇的生涯が印象的だ.そしていよいよ第18章でダーウィンが舞台に上がってくる.

◆今日はもうだめだめなので早く寝よう.せっかくの三連休だが,連休明けのために働くしかないというのはむなしいなあ…….だって,積み残しの残務がうずたかく.

◆本日の総歩数=5287歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝−|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測.


20 november 2009(金) ※初冬の冷え込み,炸裂の試飲会

◆午前4時半起床.昨日の雨雲はきれいに消え去って,きりりと晴れわたる星空.気温は実に「1.2度」まで下がりました.もうすぐ氷点下の凍える夜明け前がやってくる.

◆午前のこまごま —— 『分類思考の世界』についての東大新聞の取材は連休明けの11月24日(火)午後2時から本郷の本郷〈ルオー〉にて.長時間居座って原稿は書くは,執筆打合せはするは,インタビューは受けるはで,ここ数年〈ルオー〉さんにはたいへんお世話になっています.とくに2階の「独房別室」がとてもいい環境.造りからして半個室だし,おまけに逃げられないし……./今月末の計量生物特別セッションの旅支度はとくに必要ないが,参加費の送金は必要./領域忘年会の幹事をやれという依頼.ほー.今年はどこでやりましょうか?/メーリングリストの堆積作業をちくちく進める.

◆某大学への非常勤出講のための「人事書類」をいま書いている —— 驚きの連続:1)手書きで書けとは!;2)写真を貼れとは!(しかもスピード写真ダメって……);3)教育上の業績とか能力の評価って(んなもん知らんぞ.農水省独法は教育機関ではないし);4)研究業績書をA4版で4枚も手で書くんですかっ! 時間がないよ〜. 某大学への人事書類は時間切れで途中で投げ出しました……(orz).ごめんなさい.あとは連休中に何とか手書きしましょう.履歴書まで含めればA4版にして計8枚! 作業に割かねばならないエネルギーを過小評価しすぎていたかもしれない.ああ,こういう作業こそきびしく「仕分け」してほしいなあ.

◆昼休み.さざ波のような鱗雲が浮かぶ青空.よく晴れて遠くまで見渡せる.

◆数理統計研修最終日 —— 午前中,ちょっと会場に顔を出し,導師さまがベイズ洗脳しているようすを拝見する.Rスクリプトの嵐.事後分布の洪水.たいへんお疲れさまでした.午後1時15分からは質疑の時間だったが,幸い?ほとんど質問票が出ていなかったので,「なぜベイズか?」というフロアからの質問に答えつつ,一時間ほどでおしまいになった.これにて今年度の統計研修はおしまいだ.関係者諸氏,たいへんお疲れさまでした.

◆恒例の〈秋の試飲会〉の夜 —— 昼下がりもいい天気だった.いったん帰って再出発.本郷の東大農学部にたどり着いたときはすでに夕闇の帳が降りてきていた.午後6時前に農学部7号館A棟6階の〈試飲会〉会場に入る.すでに出される料理の準備は着々と進みつつあった.今回は学部3年生が研究室まわりの一環として〈試飲会〉に飛び入り参加だという.始まるまでまだ時間があったので,来年度の農学部便覧に掲載する原稿をチェック完了した.

午後6時半から〈試飲会〉の始まり.春と秋の年二回開かれる〈試飲会〉も行事としてすっかり定着した感がある.日本酒のみというシンプルな潔さが身上の会で,今回もずらっと選りすぐりの銘柄が並んだ.全日からのおでんや筑前煮など料理が次々に運ばれて,どんどん酒が摂取され.気がつけばもう夜の11時を過ぎていた.事前に確保しておいた〈レム秋葉原〉に宿泊.

◆朗報 —— 先日,つくばで密議した「統計曼荼羅」本は技術評論社の企画会議を通ったとの連絡あり.これで,講談社サイエンティフィクの「統計学概論」本とシンクロさせることができそう.とはいえ,捕らぬ狸の皮算用をいくらしてもしかたがありまへん.

◆本日の総歩数=10306歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=85.2kg(−0.5kg)/27.4%(+0.4%).


19 november 2009(木) ※追い込まれて移動執筆生活する

◆午前4時半起床.今朝はきりきりと冷え込む曇り空.

◆朝のこまごま —— 取材申込:『分類思考の世界』について東京大学新聞社から取材申込あり.コラム〈著者に聞く〉の記事として.もちろんOKです!/生物地理学会のスタッフ忘年会の予定調整.12月は17日(木)がベストです./自然史学会連合からの要請.「仕分け」騒ぎの陰で博物館がらみのこんな法律改変が進められようとしているとは.進化学会評議員会に連絡する./計量生物学会理事会のための編集委員会報告の原稿が送られてきた./東大理学部の来年度の非常勤出講手続きを完了.毎年いまの時期に集中的にこの手の手続きがあるが,出向先が複数あると,事務量が整数倍で増えていく…….

◆「締切魔王」 —— 原稿の締切に追われるたびにシューベルトの歌曲〈魔王〉が脳内再生されてしまう.今朝も朝から〈魔王〉がエンドレス再生されている心地だ.午後には手渡せるだけのダーウィン本の原稿を書かないといけない.「対面執筆」でないのがせめてもの救い.第1章「チャールズ・ダーウィンを取り巻く英国博物学の空気」の続きを書くつもりだが,魔王が迫ってくるのにはたして書けるかどうか.昼前になってやっとエンジンがかかり始めたのだが,午後2時前にはつくばを出発しないといけない.結局,TXの中でも,北千住から乗り換えた千代田線の中でもずっとキーボードを叩き続け,雨降る駒場に着いてからも講師控え室でさらに作業を進める.午後3時半にNHKブックスの井本さんが来たが,さらにしばらく仕事を進め,午後4時前にやっと第3章を終わらせて,原稿ファイルを手渡した.毎度毎度のすべりこみ仕事に自分でもほとほとあきれている.

◆駒場高座 —— 今日は「モデル選択論」を中心に尤度原理とAICについて解説した.ついでにRでのデモもあり.来週は一般化線形モデルとともにR言語についての話も.レポート課題も考えておかないと.

◆降りしきる雨の中をつくばに直帰.午後8時前に到着.茨城はすでに雨が上がって曇り空になっていた.気温は低いまま.

◆お疲れな夜の〈日置桜〉 —— 先日確保しておいた山根酒造場(鳥取)の〈日置桜〉特別純米ひやおろし「山装う」を開栓しました.じっくり熟成させたひやおろしは旬の酒.甘い旨味が広がってたまらない.すこし黄色がかった色合いも魅力的.香ばしく焼いた魚が合いそう.

◆本日の総歩数=6598歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前回比)=85.7kg(+0.2kg)/27.0%(+0.1%).


18 november 2009(水) ※本務地実在中は本務ができない

◆午前4時半起床.霧雨のち晴れときどき曇り.気温8.2度.

◆朝のこまごま —— 年末調整の関連書類がやっとそろったので,締切を過ぎてやっと事務に提出できた.毎年恒例のことなのに,毎年遅れてしまうとはこれいかに.何年か前の事務の担当者には,「毎年出しているのにどうして遅れるんですかっ」と叱責されました……(とほほ)./〈生き物文化誌学会〉では生物多様性がらみの特集を来年立てるそうだ.

◆『生物体系学』改訂版 —— 2000年に初版が出て以来10年ぶりに第2版が出た:R. T. Schuh and A. V. Z. Brower『Biological Systematics: Principles and Applications, Second Edition』(2009年刊行,Cornell University Press, Ithaca, ISBN: 978-0-8014-4799-0 [hbk] → 版元ページ)初版はいまひとつ魅力的な教科書ではなかったが,分子系統学だけではなく,体系学概論を勉強できる本が最近では少なくなってきたのでそれなりの需要はあるかと思う.改訂版が出される理由はあるだろう.体系学の「ことば」を勉強するには分岐学の教科書が今でもベストだし.だって分子系統学の基本リテラシー(文字通りの識字です)は分岐学の延長線上にありますね.系統推定の数学や統計学はその上に成立していますから個人的には今回の改訂に加わった Andy Brower の貢献がどんなものかに関心あり.なお,版元ページからリンクされている「目次(pdf)」は初版目次のまちがい.

◆昼休み.斑雲が浮かぶ青空が広がる.気温12.8度.風がなく日射しが暖かい.フウノキの大きな葉が色づいて散り始めているが,例年のような鮮やかさがない.「もう時間ですから散りました」みたいな義務的な生理現象という雰囲気がありあり.

◆エマ・ダーウィン書簡集 —— Henrietta Emma Litchfield (ed.)『Emma Darwin, A Century of Family Letters, 1792-1896 (2 Volumes)』(1915年刊行),John Murray, London).昨年から今年にかけて Kessinger Publishing から復刻(→ Vol. 1 / Vol. 2)されている.しかし,すでに Biodiveristy Heritage Library から電子化公開されているし,もちろん〈Darwin Online〉でも公開されている.

◆午後のこまごま —— 駒場三点セットの支度は完了.次回はモデル選択論が中心.講義ブログを更新する時間がぜんぜんありまっしぇん…….

◆夕焼けがとても鮮やかだった.今日はずっと農環研にいたはずなのに,こまごましているうちに夕闇がおりてきた.時間の経過がとても早くて,後に残されるのは残務ばかりなり.明日はまた一日いないので,火山灰と火山弾の降り積もりが懸念される.

◆本日の総歩数=8439歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.5kg(−0.2kg)/26.9%(−0.2%).


17 november 2009(火) ※整形最中の高崎駅前で浦島太郎

◆午前5時起床.曇りのち雨が降り出す.気温は低い.こんな天気に遠出をするのは気が引けるのだが所用なのでしかたがない.

◆上州への日帰り無宿旅 —— 8:26発のTX快速に乗る.南流山で武蔵野線に乗り換え,南浦和でさらに京浜東北線,そして大宮で半時間ほど待たされた後に上越新幹線に乗り継いでJR高崎駅に降り立ったのは午前11時前だった.冷たい雨が降り続いていた.

◆高崎駅前今昔 —— この三年間(もっとか?),JR高崎駅をまったく使わなかったのだが,しばらく見ないうちに駅前が再開発でこんなに変貌していたとはぜんぜん知らなかった.西口にはアパホテルの高層ビルがどかんと建っていたし,東口駅前はいまも工事中でロータリーが大きく変わるらしい.新幹線ホームから降りて駅コンコースにたたずみ,しばしぼうぜんと「浦島太郎」になってしまった.

四半世紀前,実に5年間もこの町に住んでいたというのに,こんなに短期間で町の顔である駅周辺の表情ががらりと変わるとは予想していなかった. 南大類町での所用は昼前に終わったので,再び駅に戻り,西口の鶴見町に古くからある喫茶店〈芭蕉〉に立ち寄る.二十五年前に高崎に住んでいた頃から通い詰めた喫茶店だ.駅前こそ整形手術されたように変貌しているが,少し町中に入ればたたずまいはぜんぜん変わっていない.ここ鶴見町の界隈も基本線は以前のままだった.

〈芭蕉〉の定番メニューは「カレーパン」.といっても,よくある揚げたカレーパンではない.学校給食用の食パンを厚さ10センチほどの極厚に切って,中をきれいにくりぬき,くりぬいたあとの「耳」を「皿」代わりにしてチキンカレーソースを入れ,くりぬかれた白いパン本体をトーストしてカレーソースに浸すというスタイルの一品だ.久しぶりに注文したが昔と変わらない辛さと味わいだった.このカレーパンには「クールコーヒー」という水出しのアイスコーヒーを合わせるのがぼくのスタイルだ.

高崎市内の喫茶店や飲み屋も栄枯盛衰があり,昔からの店のいくつかはもうとっくになくなっている.マスターには「ずいぶんご無沙汰ですねぇ.ゆっくりしていってください」とあいさつされてしまった.長年にわたって奥さんとふたりでずっと切り盛りされている喫茶店だが,マスターもだいぶ年取りましたねぇ.〈芭蕉〉の近くには,カツ丼の老舗〈栄寿亭〉や超弩級焼きそばで有名な〈もりや食堂〉など昔からある食べ物屋がまだ営業を続けている.最近は高崎に来る機会がほとんどなくなってしまったが,食べ物につられてまた来たくなってしまうのだが…….

◆店を出て雨の中を駅に向かう.14:17高崎発の湘南新宿ライン特快に乗り東京へ.そしてつくばへと一直線.午後6時前につくばセンター広場の雨の中を歩いていた.

—— 今日はしんしんと冷える冷たく寒い一日だった.夜になっても雨はなお降り続いた.

◆車中読書 —— ジャケ買いならぬタイトル買い:小川糸『ファミリーツリー』(2009年11月5日刊行,ポプラ社,東京,ISBN:978-4-591-11249-6 → 版元ページ著者ブログを読了.前世紀末に『生物系統学』を書いたとき,テーマ音楽としては武満徹の作品〈系図(ファミリーツリー)〉(1992)を指定した.この本のプロローグエピローグでそれぞれこの曲からの引用をしてあるのは単なる飾りではない.「ファミリーツリー」はそれぞれが過去から現在そして未来につながるひとつの物語を展開する.その「語り」は武満徹のように音楽のかたちをとったり,あるいは小川糸のように文学のかたちをとったりするわけだ.

◆本日の総歩数=11781歩[うち「しっかり歩数」4256歩/44分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=85.7kg(−0.1kg)/27.1%(+0.1%).


16 november 2009(月) ※晩秋の曇天に火山弾が次々着弾

◆午前4時半起床.曇り.気温8.2度.肌寒い.昨日とは一転して今日は気温の低い一日になるとの予報.

◆朝イチのお仕事は電話会議 —— 計量生物学会の企画幹事電話会議.午前8時半にインターネット電話経由で一時間あまり話し合う.来年度の年会での企画のことが中心.特別セッションはここ数年は医学統計学テーマがほとんどだったが,来年はぼくがオーガナイザーで進化学・生態学・農学におけるベイズ統計学の応用というセッションを立てることになった.その趣旨とか想定される講演者(白羽の矢は用意済み)について今月末の対面理事会までに用意することに.もうひとつは同じ年会でのチュートリアルについて,こちらは〈分類思考の世界〉について話してほしいとの依頼があったのでそのままお引き受け.

—— ということで,来年の計量生物学会年次大会(2010年5月13日(木)〜15日(土),統計数理研究所,立川)は例年になく多忙になります.次回の企画幹事会議は,11月27日(金)15:00から〈キャンパスプラザ京都〉4Fにて.

◆数理統計研修(応用編)の高座もあり —— 電話会議が終わってからばたばたと筑波事務所に駆けつける.10:45〜12:15は「多変量解析概論」.先週の「基礎編」と比べると「応用編」の受講生はおよそ半分なので顔がよく見える.いつものようにデータの可視化を中心に,多変量解析のスピリットについて話をする.Rコマンダーでの実演も少しあり.

◆昼休み.曇り.気温は14.1度.ほどよい気候.農環研に戻る.

◆午後のトド撃ち三昧 —— 明日17日(火)の年休届を提出する.急な所用./来月のRP検討会の日程調整.もうそういう季節になってきたか.系統学的多様性の結果をそろそろまとめないといけないな./日経サイエンス編集部から書評原稿のゲラが届く.2行プラスして返信完了.書評タイトルは:「人間社会と文明が生物多様性に与えた甚大な影響をレポート」で決定./東大の専攻研究室ガイダンスは11月24日(火)16:20〜17:20.いつもの教室で.参加予定.

◆ダーウィン関連新刊 —— Gillian Beer『Darwin's Plots: Evolutionary Narrative in Darwin, George Eliot and Nineteenth-Century Fiction, Third Edition』(2009年5月刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xxiv+294 pp., ISBN:9780521767699 [hbk] / ISBN:9780521743617 [pbk]).ダーウィン進化論の文学への影響を論じたこの本が第三版まで改訂されているとは知らなかった.初版の翻訳は工作舎からかなり前に出版されている:ジリアン・ビア[渡部ちあき・松井 優子・富山太佳夫訳]『ダーウィンの衝撃:文学における進化論』(1998年刊行,工作舎,東京,ISBN:4875022964 → 版元ページ

◆備忘メモ —— 11月21日(土)〜23日(月)は第60回〈駒場祭〉だが,同じ日程で科博分館(百人町)での国際シンポジウム〈生物の相互作用が創る多様性〉が開催される.ん? 某分子系統ワークショップを受講された面々も講演者ですかっ./[訃報]植物体系学者 Armen Takhtajan (1910-2009) .まだ存命だったのかという驚きが80%.昨日,アマゾンでたまたま彼の著書『Flowering Plants』がリプリントされているのを見たなあという偶然の感慨が20%.99歳かあ.たいへんお疲れさまでした.

◆研究交流課から先日の分子系統ワークショップのアンケート集計が届いていた.来年もまたきっと開催されるだろうから,改善点は要チェック.

◆午後7時,たまっていた日録をようやくすべて書き終えてから撤収.寒いなぁ.明日は全日年休を取って高崎に行ってきます.

◆本日の総歩数=7054歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.8kg(+0.3kg)/27.0%(+1.6%).


15 november 2009(日) ※穏やかな秋晴れでやっと一段落

◆午前5時に起床.外は霧だった.明るくなってきた午前7時過ぎに筑波大学方面に歩き始め,〈Brodzeit〉にてパンをたくさん買い込む.「紅玉パイ」がそろそろ終わりそうなのでついついお買い上げ.そのうち霧が晴れて青空が広がってきた.今日はとても快適な空模様になりそうだ.

◆日曜の朝のこまごま —— 博物館法改悪に関する声明のなにやらかにやら.こんな条件緩和はダメでしょう./「事業仕分け」に反対する動きも./[組合]中央オルグは12月10日(木)17:25〜18:15.農環研の場所取りをしないといけないな./11月17日(火)は全日年休を取ることになった.

◆日中は日射しも暖かく気温も高めで,初冬にしては穏やかな日和になった.肌寒い日々が続いていたのでよけいそう感じるだろう.

◆ダーウィン書簡セレクション —— Frederick Burkhardt, Samantha Evans and Alison Pearn (eds.)『Evolution: Selected Letters of Charles Darwin 1860-1870』(2008年刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xxii+308 pp., ISBN:978-0-521-87412-0 → 版元ページ).ダーウィン書簡集プロジェクトのアウトプットのひとつ.10年ほど前に姉妹編:Frederick Burkhardt『Charles Darwin's Letters: A Selection 1825-1859』(1996年刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xxvi+253 pp.,ISBN:0-521-56212-0 → 版元ページ)が出ていたことを思い出した.年代的に連続しているので,あともう一冊はこういう書簡セレクションがそのうち出るのだろう.

◆『系統樹思考の世界』第三刷正誤表 —— 三中信宏『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』(2006年7月20日第1刷刊行|2006年8月4日第2刷刊行|2009年12月18日第3刷刊行予定,講談社[現代新書1849],ISBN:4-06-149849-5 / ISBN:978-4-06-149849-5 →詳細目次反響録コンパニオンサイト)の正誤表を公開しました.指摘していただいた方々に感謝いたします.

◆今日は久しぶりにゆるりゆるりとしてしまった.

◆本日の総歩数=6669歩[うち「しっかり歩数」4265歩/44分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=85.5kg(+0.5kg)/25.4%(−1.8%).


14 november 2009(土) ※丑三つ時に書評原稿を書き始め

◆今日こそは書評を仕上げるぞ,と午前2時に起床する.農環研へ直行.小雨&西風.気温は11.3度.午前5時半まで研究室で粘るものの,結局はかばかしい進捗はなかった…….書けないときは徹底的に書けないものだから,なるようにしかならないのだ(と開き直ってみる).

◆書評内容に関連しそうなことがらを列挙 ——

  • 「ビュフォンの法則」とは「たとえ同じ環境条件でも異なる地域には異なる生物が分布する」という法則のこと.(Nelson 1978: 274-275)
  • ビュフォンの『博物誌』には生物地理学的な意味での「発祥地(patrie d'origine)」の観念が見える.(ロジェ 1992: 352)
  • ウィリアム・ヒューウェルにとって生物地理学は分類科学(classificatory sciences)ではなく古因科学(palaetiological sciences)のひとつだった.
  • 「原風景」とはローカルな地域ごとの「心象風景」か?
  • etc...

—— でも,いまひとつダメなんですねー.困ったなあ.

◆午前6時前に資料をどっさりもって帰宅する.雨が本降りになってきた.肌寒い.午前いっぱいは部屋にこもってうんうんうなってみるがダメなものはダメ.午後になって雨はあがり空がしだいに明るくなってきた.真っ赤な夕焼けを見ていたら,いきなり降臨してきた.ほんの一時間ほどで原稿をすべて仕上げて,日経サイエンス編集部にメール送信完了.たいへんお待たせしました.たかだか1500字の書評にここまで苦労するとはねぇ…….

◆〈醸し人九平次〉な夜 —— 何日もひきずってきた書評原稿の重荷がやっと降りてくれたので,ご褒美に名古屋の萬乗醸造が出している〈醸し人九平次〉の「純米吟醸・山田錦」を開けることにした.色は透明にして,香りは白ワインのごとし.この軽やかで微炭酸な感じはとても好ましいな.茨城の須藤本家が出す〈郷乃誉〉の「山桜桃」のような味わいかな.寒くなってきたこういう季節には海鮮鍋をいただきつつ日本酒ですねぇ.善哉善哉.

◆夜になって気温が上がってきたようだ.

◆本日の総歩数=2931歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=85.0kg(−0.4kg)/27.2%(+0.2%).


13 november 2009(金) ※朝イチから夕方まで研修の一日

◆午前4時起床.曇りときどき小雨.気温8.2度.初冬の景色が見えてきた.街路樹のフウノキも農林団地のイチョウもそこそこに色づいているが,みごとに紅葉とはならないのは気温が高い日が続いたせいかもしれない.今日は“公務”で一日がつぶれる…….

◆数理統計研修(基礎編)の最終日 —— 9:00〜12:00は今年度から新たに開講した「計算機統計学入門」.リサンプリング統計学の講義と実習.R2.10.0 はやはり挙動がアヤシいな.昨日のR実習(午後)も不幸が頻発したらしい.スクリプトを保存できないというトラブルがあちこちで.竹澤尊師曰く:「最新版のRなんか使うからそういうことになるんです.ワタシのRは2.7ですよ」とのこと.流行を追ってはいけませんか…….正午でおしまいにする.

◆昼休みはあってなきがごとし.

◆午後1時からは統計研修最終日の「質疑討論」.たっぷり2時間かかって,午後3時過ぎにやっと解放された.基礎編はこれにて終了.来週からは応用編だ.

◆へろへろと農環研に帰ってきたら,行政刷新会議の「事業仕分け(WG3)」に関するツイッター中継(#shiwake3)が怒濤のごとく荒れ狂っていた(こりゃスゴいねぇ……).スパコンは吹っ飛び,Spring-8は弾ける.若手研究者予算を削っていったいどーするって!

◆書評を書く夜 —— 先月から依頼されていた日経サイエンス書評本:アラン・バーディック[伊藤和子訳]『翳りゆく楽園:外来種 vs. 在来種の攻防をたどる』(2009年9月24日刊行,ランダムハウス講談社,446 pp.,本体価格2,400円,ISBN:978-4-270-00532-3 → 目次版元ページ)がずっと読み終わらなかったが,遅ればせながらやっと読了.書評の締切をずいぶん過ぎてしまったが,そろそろデッドラインだ.加圧が続く.書評本を手にしてうろうろするものの,なんだか書き進めない.こういうときはライブラリーに沈みこむしかないだろうと観念して,紙魚に変身する.関係しそうな本をピックアップしてみた:

  • ジャック・ロジェ[ベカエール直美訳]『大博物学者ビュフォン:18世紀フランスの変貌する自然観と科学・文化誌』(1992年4月10日刊行,工作舎,東京,572 pp.,本体価格6,500円,ISBN:4-87502-196-8 → 版元ページ
  • ジョルジュ=ルイ・ルクレール・ビュフォン[ベカエール直美訳]『ビュフォンの博物誌:全自然図譜と進化論の萌芽』(1991年11月10日刊行,工作舎,東京,xvi+336+18 pp.,本体価格12,000円,ISBN:4-87502-190-9 → 版元ページ
  • Gareth Nelson (1978), From Candolle to Croizat: Comments on the history of biogeography. Journal of the History of Biology, 11(2): 269-305.

ま,要するに,ビュフォン様を召還しようというもくろみだったのですが,あまりうまくいかなかったかも…….

◆午後8時にぐったりと撤収する…….冷たい雨が降っていた.さすがにそろそろ何とかしないとヤバすぎる…….

◆本日の総歩数=7326歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.4kg(−0.3kg)/27.0%(+0.3%).


12 november 2009(木) ※つくばのお座敷,駒場のお座敷

◆午前4時半起床.雨上がりの曇り空.気温は低く,午前9時になっても12.8度にしかならない.今日は肌寒いとの予報だ.

◆〈本のある時間〉 —— オープンしたとのこと.編集長はかの高宮利行さん.図書館なコミュニティ.

◆数理統計研修は御難続き —— 午前8時半過ぎに筑波事務所のプレゼンテーション室に入る.パソコンのセッティングを完了し,午前9時の定時に講義開始.今日は終日「R実習」ということになっている.いつも通り,持参のUSBメモリーで,Rインストーラー(R 2.10.0 / R.2.9.2)をはじめ,Rコマンダー関連のパッケージ群,テストデータ,ドキュメントなどなど,計200MBあまりを受講生各自のノートパソコンにインストールしてもらう.

この手順はこれまでもう何度もやったことなので,この段階でトラブることはほとんどないはずだったのだが,最新版のR.2.10.0 のインストーラーが“文字化け”を吐き出したあたりから,暗雲が漂い始めた.もちろん,Windows Vista が「万人を不幸にするOS」であることは周知の事実なので,そもそもインストールできませんというVistaユーザーたちをシアワセにするおまじないを唱えたり,「Macを持ってきましたぁ……」という方には,備え付けのノートPCを貸し出したり,という対処はとくに手こずることはなかった.

ところが,今回はそれ以外の不幸せが頻発した.パッケージを開くと警告が出たりする.要するに,R本体とパッケージとの相性がまだワルいということらしい.また,R関係の読み書きファイルは,デスクトップではなく My Documents フォルダーに置いた方が無難であることを確認した.その他,マイクが通らなくなったり,持参したPCがいきなりフリーズしたり,という予期せぬ災厄が続々と.

—— 正午に実習を終わったときは,そうとう疲れてしまった.受講生も同じだったにちがいない…….午後もR実習は続くのだが,ぼくの当番はここでおしまい.

◆休む間もなく駒場へ移動 —— 13:25発のTX快速に乗り駒場へ.午後になっても曇天で気温は低いまま.午後3時前に駒場東大前に降り立つ.北寄りの風が強くなってきた.駒場祭は来週末だ.非常勤講師室にてしばし支度を,とはいっても,いたるところで同じような内容の講義をしているので(相手はことごとくちがうが),とくに用意しないといけないものは何もないことに気づく.

16:20〜17:50.駒場高座(5).今日は乱隗法を中心に,一要因実験計画と二要因実験計画,さらに分割区法(split-plot)と細分区法(strip-plot)まで話をした.

—— 講義の合間に,いま進行中の「行政刷新会議」の「事業仕分け(WG3)」のライヴ中継とツイッター中継(#shiwake3)をフォローするように学生を教唆した.科学技術関連予算の“政治的”な扱われ方を知っておくことは学部生にとってもきっと必要でしょう.

◆往復車中読書 —— 締切を過ぎている書評本:アラン・バーディック[伊藤和子訳]『翳りゆく楽園:外来種 vs. 在来種の攻防をたどる』(2009年9月24日刊行,ランダムハウス講談社,446 pp.,本体価格2,400円,ISBN:978-4-270-00532-3 → 目次版元ページ).原書は:Alan Burdick『Out of Eden: An Odyssey of Ecological Invasion』(2005年刊行,Farrar, Straus and Giroux, ISBN:0-374-21973-7 → 著者サイト版元ページ).侵入動植物によって生物多様性がどのように攪乱されているのかのルポルタージュ.変化のプロセスは科学的に研究できても,「手つかずの自然」という保全対象(パターン)はヒトの心理的本質主義が生み出した幻想にすぎないのかもしれない.

◆なんのかんので「500」ツイートに到達しました! —— 最近はこの dagboek を書く時間が取れないことが多いが,ツイッターに備忘メモを残しておくと,あとで日録をまとめるときにとても役に立つことに気がついた.もちろん,一日一枚の紙片メモは励行しているが,それとは別にツイッターの「メモ」も併用中ということだ.

◆明日も朝イチから午後まで統計研修講義が続く.

◆本日の総歩数=8970歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.7kg(−0.1kg)/26.7%(+0.2%).


11 november 2009(水) ※風雨とともに【種】本が届いた

◆午前4時半起床.未明から風雨が強い.気温17.4度.

◆トド撃ち予定 —— 今日は統計研修講師のお仕事からは終日解放されているが,日経サイエンスの書評原稿を書き上げないといけない.締切までマイナス一日./今年度の東大での「エコロジカルセイフティー学特論(I)」の担当日は12月4日(金)10:00〜16:00と確定した./今月末の計量生物学会対面理事会は,11月28日(土)11:00〜12:30,京都大学医学部にて.出席する予定.

◆午前いっぱいは風雨が強かった.統計研修受講生からの質問メールが届く.最終日に質疑の時間があるので,そのときに答えます.

◆「dagboek」 のアクセス数が「30万台」に到達 —— 先日,〈leeswijzer〉が「百万台」に突入したのに続いて,今度はこの「dagboek」が「30万台」に乗った.カウンターをdagboekに設置しはじめてから二年半,「20万台」になった今年1月6日から数えて十ヶ月あまりのことだ.読者のみなさん,どうもありがとうございます.ここのところ,さぼってはかため書きという悪循環が続いていてすみませんねぇ.

◆同じ著者の【種】の本が二冊も届く! —— John S. Wilkins『Species: A History of the Idea』(2009年9月刊行,University of California Press[Series: Species and Systematics 1],Berkeley,xiv+306 pp.,ISBN:978-0-520-26085-6 [hbk] → 目次版元ページ).生物学哲学者John S. Wilkinsによる【種】の本の第一弾.あくまでも「A History of the Idea」であって,「The History of an Idea」ではないのですね?(笑) 同じ著者による【種】の資料集:『Defining Species: A Sourcebook from Antiquity to Today』を座右に置くべし.

もう一冊は:John S. Wilkins『Defining Species: A Sourcebook from Antiquity to Today』(2009年11月刊行,Peter Lang[Series: American University Studies; Series 5: Philosophy, vol. 203], New York, xiv+224 pp., ISBN:978-1-4331-0216-5 [hbk] → 目次版元ページ).John S. Wilkinsによる【種】の本の第二弾.プラトンに始まり現代にいたるまでの【種】に関する学説集成というか発言録.同じ著者による:『Species: A History of the Idea』のコンパニオンブックという位置づけだろう.

◆午後のこまごま —— メーリングリストの登録作業などを小一時間./明日の統計研修での「R実習」のための準備.USBメモリーに必要なソフトウェア類をすべて格納する.コピーを五本つくったので作業終了.ついでに,講義プレゼンテーション用のスライドの確認とパソコンの動作確認.

◆午後7時に準備完了したので撤収.雨が降り続いていた.

◆本日の総歩数=4497歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.8kg(−0.2kg)/26.5%(+0.1%).


10 november 2009(火) ※年に一度の収穫祭に太鼓を叩く

◆午前4時半起床.薄曇り.半月が雲間に浮かぶ.気温13.4度.冷え込みまるでなし.今日は夜の収穫祭に備えて朝もバス通勤だ.

◆午前のこまごま —— 『系統樹思考の世界』の修正箇所リストづくり.『過去を復元する』の復刊版元はこの増刷で初めてオモテに出しますねー(返信感謝).その他,こまごました修正あり.叩けば叩くほどホコリが立つという感じ.どこまで叩きまくるか…….何とか正午前に完成させたので音羽にメール送信した.返信によると,第三刷は「12月18日」の発売予定だそうだ./今週の駒場三点セットを準備完了.コピーは後ほど./東大の居室引っ越しに関する連絡あれこれ.よろしくよろしく.

◆昼休み,今夜の収穫祭の会場となるがらんとした別棟で〈つちのうえ太鼓隊〉の G. P. を.響く響く.雲が多く,気温も湿度も高めだ.

◆午後の統計研修講義 —— 午後1時〜5時まで「実験計画法」.しかし,最初の一時間ほどは,正規分布を中心にして,確率分布とパラメトリック統計学の話をした.その後,偏差・平方和・分散の概念の導出を経て,実験計画と分散分析についての説明.この辺りの講義はいたるところでやっているので,まったく何のよどみもなくさらさら話せるのはとてもラクだ.

◆今年の農環研〈収穫祭〉 —— 午後5時前に講義終了.急いで収穫祭の会場に駆けつける.毎年欠かさずこのイベントには出ているが,たいてい飲むよりも食べる方にウェイトが置かれていて,たくさん摂取してしまう.今年もふんだんに食べ物が並べられた.稲刈りの儀式からはじまって,いつも通りの「歓談の場」と化していく.〈つちのうえ太鼓隊〉,もちろん響き渡りました.やっぱり本番はリキが入るなぁ.午後7時過ぎまで短期決戦的に飲み食いして,昨日と同じく午後7時半のつくばセンター行きバスに乗った.午後8時過ぎに帰宅.昨日も今日も飲んだ割には異様に帰宅時間が早い.

◆日中は曇り空ながらなんとかもった.しかし,日が変わる頃になっていきなり本降りの雨がざあざあ降り始めた.天気予報によると発達した低気圧と前線が東に進んでいるそうだ.明日は終日雨模様らしい.

◆この「dagboek」がもうすぐ「30万アクセス」の大台に乗りそうだ.明日かな,明後日かな?

◆本日の総歩数=10224歩[うち「しっかり歩数」907歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=86.0kg(+0.5kg)/26.4%(−0.8%).


9 november 2009(月) ※夜明けの霧筑波,統計研修開幕

◆午前4時半起床.乳白色の霧が深く,遠くが見えない.気温9.9度と高め.

◆早朝のこまごま —— [組合]今年から勤評に関する組合の方針が変わって,統一要求は分会レベルでは出さないことになった.あとは,職場諸要求だけで,これは班ごとにまとめて直近の管理職との話し合いを持つということになる./明日の火曜に,今年のエコロジカル・セイフティー学特論の日程に関する話し合いを持つことになった.

◆統計研修の初日 —— 午前9時過ぎに筑波事務所の情報センターに陣取って直前の講義準備を進める.今日からの二週間は筑波事務所で数理統計研修だ.全国からつくばに出家修行に来た受講生諸氏はしっかり洗脳されようね.今日しょっぱなの「統計学概論」で,まずはしっかり“初期化”してさしあげます.あとはもう刷り込み放題ということ.

待ち時間に〈ZoomIt version 4.1〉の使用法を復習したのだが,バージョンアップされてさらに多機能かつ便利な画面拡大ツールになっていたことを知る.しばらく使わなかったペン・タブレットを復活させようかな.

◆「統計学概論」(10:30〜12:00) —— 毎年どおりの内容だが,年ごとに微調整をしながら講義を進めていく.統計的思考・データ可視化・確率分布までをざっと話した.午後の講義は死なないように.夕方の懇親会でまた会いましょう>受講生諸氏.

◆今日の昼休みは曇りときどき晴れで,気温は20.3度.ほどよく暖かくて,屋上でのタイコの練習にはぴったりだった.明日は昼休みに収穫祭会場にて G. P. となる.

◆午後のトド撃ちは不調 —— 午前中,居室を離れている間にたくさんの火山弾や火山灰が降り積もっている.至急のトドから順番に撃ってはいるのだが,ぜんぜん追いつかない.たくさんの仕事が向こうからやってきてはそのまま締め切り日が頭上を過ぎ去っていくさまを眺めると,「源泉かけ流し」という言葉をつい思い出してしまう.かつては滞留していたのに,最近では何も手出しできないまま流れ去っていく…….

それでも,何頭かは撃ち果たす:『生物科学』編集委員会は12月5日(土)15:00〜17:00.しかし,この日は,日本学術会議主催公開講演会「ダーウィン生誕200年:その歴史的・現代的意義」,2009年12月5日(土)13:00〜17:00,日本学術会議講堂(→ 日本学術会議サイト)があるので欠席します.編集委員の任期については延長機希望で返事を出した./メーリングリストの雑用しばし.そして,またまた遅れてしまった月例アナウンスをようやく流した.

◆つるべ落としの夕闇が迫ってくる頃,再び筑波事務所に向かう.目指すは,統計研修の懇親会会場.事務所食堂の隣りにあるオープンスペースにて,午後5時半から始まった.北海道から沖縄まで日本全国からの研修生を迎えるこの統計研修の教壇に立って,今年でもう20年目だ.

食べ物はふんだんにあるのだが,飲み物がビールとソフトドリンクのみというのは,ちと物足りない.石岡の〈府中誉〉の季節限定品である新酒しぼりたて「にごり酒」があったのは正解だったかも.微炭酸でフレッシュ.上ずみはとてもさわやか.底近くの濃厚な味わいもまた格別ということで,やっぱり旬のお酒は美味だな.午後7時半に途中で失礼して,最終のバスでつくばセンターまで帰った.夜になってもぜんぜん気温が下がらない.11月だというのに,日中は半袖で過ごす日も少なくない.変な天気.

—— 明日もまた午後いっぱい「実験計画法」の講義がある.

◆本日の総歩数=8924歩[うち「しっかり歩数」2904歩/28分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=85.5kg(0.0kg)/27.2%(+1.2%).


8 november 2009(日) ※明け方に遠くが霞んで髪を切る

◆午前5時起床.遠くの景色が霞んでいるのは靄のせいか.朝日とともに晴れてきた.午前6時半までぐでぐでする.

◆一週間ぶりの朝の歩き読み —— 筑波大学方面へ一時間あまり.歩行の友は:リン・バーバー[高山宏訳]『博物学の黄金時代』(1995年10月30日刊行,国書刊行会[叢書〈異貌の 19世紀〉],東京,431+21+xiv pp.,ISBN:4-336-03493-1 → 目次).11章まで読了.女性ナチュラリストたちの大活躍.バックランドの息子がこれほど商才に長けているとは知らなかった.そして自然史博物館の興亡史などなど.

帰り道に天久保の〈Bäckerei Brotzeit〉にて,今の季節だけの「紅玉パイ」を買った.もともとつくばは「パン激戦区」だが,それでもこれはというパン屋には朝イチで行かないと,目指すパンが売り切れてしまうことがよくある.今朝,朝イチで歩いてブロートツァイトに行ったら,さいわい再び「紅玉パイ」をゲットできた.二度と同じ轍は踏まない.喰われる前に賞味した.コンポートされた紅玉リンゴの甘酸っぱさとカスタードクリームの甘さがとてもいいバランスで,さくさくしたパイといっしょにかぶりつけばハッピーな朝.淡いピンクの色合いがとてもいいでしょ? 今季の「紅玉パイ」はそろそろ終わりだと奥さんが言っていたので,買いたい向きは店にすぐ走るべし.

◆三ヶ月ぶりに髪の毛を切ってみる.午後になって,東寄りの風が吹き,曇って気温が下がってきた.

◆『系統樹思考の世界』第3刷増刷に向けて —— 日曜の昼下がりに農環研に潜入してごそごそ.修正箇所一覧リストをつくっているところだが,意外に多くの修正点が浮上してくる.とくに巻末の文献リスト.ソーバーの翻訳書がその後出ていたりして加筆修正が必要だ.さて,『過去を復元する』の復刊版元を公開すべきかどうか,見極めがいるなぁ.念のためお伺いを立てるか.

いまいちど,読み返してみてわかったこと.三年前にこの『系統樹思考の世界』を書いていたときは自分自身では意識していなかったのだが,再読してみると,『分類思考の世界』をゆくゆくは書くことを前提にしているかのような記述が頻出していることにあらためて気付かされる.「分類」とか「種」の噺をすることはその頃からすでに予期されていたわけだ.

—— いずれにせよ,『系統樹思考の世界』第3刷修正リストは火曜までに音羽に送るべし.

◆迫る日没のトド撃ち —— 午後5時半,夕暮れの中を帰宅する.先週はワークショップのお世話で農環研にいなかったが,案の定トドどもが空き部屋で我が世の春を謳歌していた…….まずはワークショップの講師陣と研究交流課に礼状メール./進化学会の高校生ポスターに関する残務処理.

◆夕食は湯豆腐をつつきながら,鳥取の〈諏訪泉〉の「ひやおろし」など.季節の味わいですなぁ.

◆明日から二週間,毎年恒例の〈数理統計研修〉が始まる.今年の担当講義は,「統計学概論(1コマ)」,「実験計画法(2コマ)」,「Rによる統計解析(2コマ)」,「計算機統計学入門(2コマ)」,そして「総合討論(1コマ)」,以上が基礎編.後半の応用編は,「多変量解析概論(1コマ)」と「総合討論(1コマ)」.

◆本日の総歩数=13637歩[うち「しっかり歩数」7200歩/64分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.5kg(−1.0kg)/26.0%(−1.5%).


7 november 2009(土) ※燃え尽き週末はゆるゆる過ぎて

◆午前5時にいったん起きようとしたもののさすがにダメで,再度のご就寝.午前8時にのろのろと活動開始.朝からこんなことではもう終わっている.外は最初は曇っていたが,しだいに晴れてきた.しかし,前夜の酒池肉林の後遺症で,ほぼ使い物にならないワタシ…….

◆ワークショップ総括 —— 昨日までの分子系統ワークショップについては,受講者から回収したアンケートを集計中の事務局によれば,「満足度」がきわめて高かったとのこと.これは来年もまた開催してほしいとのリクエストがあるにちがいない.関係者ならびに受講者のみなさん,たいへんありがとうございました.今回のワークショップは,初回だった昨年と比べて運営上たいへんスムーズに進行し,ムダに費やされた時間がほとんどなかったと思う.その点ではとても密度が高かったといえるだろう.

系統樹の好きなそこのアナタ! 分子進化モデル選択のドロヌマに沈んでいくも人生なら,軽やかに超越するのもまた人生.ユーザーの人生とディヴェロッパーの人生とははたして重なり合うのか? 分子系統学の奥はとてもとても深いのだ —— とワークショップを勝手に私的総括してみるワタクシ.

◆週末のこまごま(トドの遠吠え) —— 来年度の東大理学部「生物統計学」の講義は,駒場ではなく,本郷で開講される可能性が高いという連絡ある.曜日と時限は変わらない(木曜五限)のだが,場所が駒場から本郷に移ると,来年から同じ木曜日に開講される玉川大学農学部での「生物系統学」が終わった後の移動時間を確認する必要があるな.最初の予定では「玉川学園前→駒場」という移動を想定していたので./[組合]秋闘中央本部オルグの農環研での開催日程は12月10日(木)17:25〜18:15.会議室を確保しないといけない.いずれにしてもぼくは欠席なんだけど.

◆久しぶりに旧ニフティーの〈昆虫フォーラム(FKONCHU)〉からのつながりを痛感した.無時間的には「種」が定義できるだろうというのはマイアーそのもの.時空ワームの断片が「実存」するという主張は,形而上学的にかなりヤバいことを口にしているんじゃないの? それとも,「種」のことは分類学者に訊け!ということですか? その昔,ニフティーの〈昆虫フォーラム(FKONCHU)〉がコミュニティーとして機能していたころ,「種」に関する論議をしばらく続けたことがあった.もちろん,EVOLVEメーリングリストでの数次にわたる「種論争」と同様に,〈昆虫フォーラム〉でのスレッドも長くは伸びたのだが,結局,納得する人は納得し,しない人は最後まで信念を曲げなかったので,そのままフェイドアウトしてしまった記憶がある.もちろん,現場の分類学者にとっての「種」はぼくのような立場からの発言をする人間とはちがう感覚をもっているのかもしれない.それでも,「種」は「実存する」というような発言のバックグラウンドがどこにあるのかを探ったのが本書であるし,その意味で現場の分類学者にこそ『分類思考の世界』を手に取っていただきたい.その上で彼らがここに書かれていることに違和感あるいは疎外感を感じるとしたら,その理由がどこにあるのかを考えていただきたいというのが,長年にわたってさまざまな「場」で「種」に関する論議をしてきたワタクシの願いだ.〈昆虫フォーラム〉で活躍してきた方々は,ニフティーのフォーラムが閉鎖されたあとも,それぞれのブログあるいはミクシィのコミュで発言されているようだ.とくに,〈昆虫フォーラム〉でのスレッドのエンディングは,安永一正さんからぼく宛の一連の質問状で終わっていた.彼の質問状に対するぼくからの回答を『分類思考の世界』によって呈示できたことは幸いだった.

◆午後は東風が吹いていた.夕焼けが映えていた.

◆本日の総歩数=1341歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=86.5kg(+0.8kg)/27.5%(+0.4%).


6 november 2009(金) ※快晴好日ワークショップ最終日

◆午前4時半起床.星空.気温5.4度.きりっと冷え込む夜明け前.しかし,朝日が射しこむとともに,気温は上昇.日に当たれば暖かく,しかも空気は乾いて冷たいという快適さ.

◆分子系統ワークショップ(最終日) —— 午前8時半に電農館に到着.快晴.筑波事務所の宿泊施設をチェックアウトし,大きな荷物を抱えた受講生が次々に入ってくる.朝晩はきりきり冷え込むこの季節に,宿泊施設では暖房が入らないという.実に厳しい勉学環境ですなぁ.

午前9時から岸野洋久さんの「分子進化学と分子系統学」のレクチャー.いつものようにソフトな滑り出しに引き込まれていくうちに,いつの間にか息をしていない自分を発見するみなさん…….たいへんお疲れさまでした.分子進化・分子系統の分野での「統計学的思考」とはこういうことを言うのだろう.

午前10時半からは“さかなクン”宮正樹さんによる魚類分子系統学のレクチャー.国内外で話題になった最新のトピックスが次々に登場する.正午過ぎまで.とてもいいプレゼンテーションだった.中心的話題は,UNIX環境での〈RAxML〉による最尤系統推定法を用いて「2282種」という大規模データの系統樹を構築する話.全長配列と部分配列を含むデータ超行列を出発点として,最節約初期系統樹からRAxMLの高速ブーツストラップにより樹形選択をする(分子進化モデルはGTR+Γ).その際,全長配列による樹形制約を科している.もうひとつは全長配列と部分配列それぞれから最尤系統樹を推定し,MRP法によるスーパーツリーを構築する.いずれもリーズナブルな計算時間で推定が得られるとのこと.

快晴の昼休みののち,午後1時過ぎからは,川北篤さんの「共進化分析」の講義.昨年と同じく,TreeMap,TreeFitter,そして CopyCat を用いたデモンストレーションと実習.ここ数年,cophylogeny の解析は方法論的なブレークスルーがないような気がする.午後3時過ぎまで.その後は田辺さんによる実習と参考資料の説明,最後に質疑応答の時間を取って,午後4時半過ぎに今回のワークショップは終了した.みなさん,お疲れさまでした.

「分子進化モデルにあれこれこだわってもしかたがないではないか」という意見はユーザー側の観点からは確かに説得力がある.しかし,置かれた仮定が推定結果にどのような影響を及ぼすかは調べてみなければわからないのも事実であって,だからこそ論議が今にいたるまで続いているのだろう.「最尤法だったらもっとも一般的・包括的なGTRモデルさえあればいい」というスタンスは,「じゃあいっそのことマキシマムに一般的・包括的である no-common-cause な最節約法でいいじゃん」という結論を導くだろう.

—— 今回のワークショップのフォローアップのために,やはりコンパニオンサイトを開設しておいた方がいいだろうね.

◆どーんと打ち上がる夜 —— するすると夕闇が降りてくる午後5時過ぎ.ワークショップ後に打ち上がりたい面々が農環研のぼくの居室を襲撃し,あれこれアヤシい本どもを視察しにきた.この部屋には本しかお見せするものがないのでね.午後6時半,7人が車に分乗して,予約済みの〈笠真〉に到着.ご無沙汰しています.すでに地場野菜の前菜と鮟鱇鍋のしたくが.いつも通り大山ビールで乾杯.酔っぱらわないうちに,店主さんの『分類思考の世界』にサインをする(お買い上げ感謝です).

その後は〈村祐〉から始まる日本酒の世界にずぶずぶと沈んでいく.お馬さんが登場し,馬刺の他に“焼き馬”も.馬を焼くととても美味になることを知った.TJさん,ここでやっと登場.地元の〈霧筑波〉の純米大吟醸「知可良」はとてもいい味わい.そのほか,〈十四代〉と〈文佳人〉などなど.ふと気がつけば,まわりではすでにつぶれていたり,すーすーと寝息が聞こえているメンバーあり.鮟鱇鍋のあとは,湯豆腐になり,最後は雑炊に変身する.酒を飲む以上にさんざん喰いまくった気がする.常陸牛の分厚い焼き肉もホットプレートでいいだきました.しごく美味.たいへんごちそうさまでした.

—— 午後10時過ぎに代行が大半は来てつくば駅まで運搬されていった.無事に東京まで帰り着き,あるいは仙台への夜行バスに乗れたのだろうか.ikushimoさんは徒歩で,TJさんは自転車で,ぼくは車を放棄して歩いて帰宅する.午後10時半.さんざん飲み食いした割には早く帰宅できた.しかし,今夜はもう使い物にならないので,そのままお休みでございます.

◆本日の総歩数=9450歩[うち「しっかり歩数」1587歩/18分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=85.7kg(+0.1kg)/27.1%(−0.4%).


5 november 2009(木) ※薄曇り,ワークショップ二日目

◆午前3時半に起床.星空くっきり.フルムーン.気温6.7度.昨日よりは冷え込まないが,それでも寒い.朝焼け鮮やか.

◆早朝のこまごま —— 今年開催予定だったのに豚インフル騒動でキャンセルされてしまった〈ICSEB〉だが,2011年にベルリンで開催するという案が浮上してきた.しばらく休止状態にあったIOSEB委員会の「再起動」に関する投票など.今度こそスムーズに進んでほしいものだ.

◆分子系統ワークショップ(二日目) —— 今日は懇親会は予定されていないので,安心して車で通勤することができる.昨日よりも雲がやや多い.午前8時過ぎに家を出て,電農館へ.

午前9時から「系統推定論」の講義を一時間ほど.その後,田辺晶久さんが「分子進化モデル選択」について正午までたっぷり2時間のレクチャー.その後,昼休み.〈davidpain〉でパンを調達してから,農環研へ.日録をアップしてから,また電農館へ戻る.午後1時から田辺さんによる講義の続き.分子進化モデル選択の実習(kakusan)と最尤法(phylogears)を用いた実習が2時間ほど続く(たいへんお疲れさまでした).そういえば,今年は「ベイズ」が出てこないのね.ベイズ統計と Bayesian MCMC のリクツはぼくが初日に説明したが,ソフトウェアを用いての実習はまだやっていない.明日の宮正樹さんの講義もベイズ法ではなく最尤法だし.今回のワークショップでは〈MrBayes〉には深入りしない?

続いて,午後3時からは首都大の田村浩一郎さんによる〈MEGA-5〉の講義と実習.田村さんたちが開発したMEGAの新バージョン〈MEGA-5〉は世界初公開の顔見世となる.現時点では,テスト版として一般に公開される「β版」の前段階である非公開の「α版」だそうだ.〈MEGA-5〉の最大のセールスポイントは「最尤法」を実装したというところにある.これで,〈PAUP*〉と同じく,〈MEGA〉も距離法・最節約法・最尤法の三つの系統推定法をそろえたことになる.分子配列のアラインメントから始まって,進化距離の計算,分子進化モデルの選択,そして系統推定,さらに祖先配列の復元など,系統樹を中心とするさまざまな分子進化解析のためのさまざまなツールを〈MEGA-5〉を提供する.田村さんの話では,今後も三年置きに〈MEGA〉をバージョンアップしていくそうだ.公開された系統推定ソフトウェアには開発者の「姿勢」が感じられるものだが,〈MEGA〉もその例外ではない.

—— 午後5時半にワークショップ二日目の講義は終了.外はもう暗くなってきた.今日は呑み会はないので,各自解散ということになる.

◆『系統樹思考の世界』第3刷決定! —— 講義室のパソコンでメールチェックしたら,音羽から「第3刷の重版決定です」との知らせあり.そーかぁ,『分類思考の世界』が早々と第3刷かぁ,うっかりそのままツイッターに流したのだが,よくよく連絡メールを見たら,新刊の方ではなく前の『系統樹思考の世界』が重版されることがわかった.現代新書編集部の話では,『分類思考の世界』の相乗効果で姉妹本も売れ行きが伸びたのでしょうとのこと.ありがたいことです.重版に向けて,来週の火曜までに正誤表を音羽に送らないといけない.

◆午後6時過ぎにさくっと帰宅.夜はこまごま —— 今月末の京都出張の宿泊先がやっと確定した.11月27日(金)は洛中の〈日昇別荘〉,翌28日(土)は洛南の〈京都第一ホテル〉.観光シーズンど真ん中の京都は,ほんとにホテル予約に難儀することを痛感した./明日の〈笠真〉の予約は完了した.18:00〜.よろしく.打ち上がりましょう.>ワークショップ関係者諸氏.

◆本日の総歩数=7797歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=85.6kg(+0.7kg)/27.5%(+0.6%).


4 november 2009(水) ※早朝厳寒,ワークショップ初日

◆午前5時半起床.晴れ.今季一番の冷え込み.きりっと快晴.吐く息が白い.

◆早朝のこまごま —— 人類学者 Claude Lévi-Strauss が逝去(→ ルモンド紙・訃報:「L'ethnologue Claude Lévi-Strauss est mort」).享年百歳./〈leeswijzer〉がもうすぐ「百万アクセス」になりそう.

◆第141回農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉初日 —— 久しぶりのバス通勤.晴れときどき曇り.つくばセンター発7:42発の牛久行きに乗る.40分かかって農林団地中央へ.ここまでは380円,しかし,ふたつ先の農環研までは430円となる.ノートパソコンを携えて,ワークショップ会場である電農館まで歩く.しだいに気温が上がってきた.去年のワークショップと同じ場所だ.午前9時半からワークショップ開始.最初は「系統学概論」(9:30〜10:30),続いて「統計学概論」(10:30〜11:50).いずれもいつも高座にかけているネタなのでとくに準備しなくても大丈夫.ここで昼休みが一時間.

◆晴れわたる昼休みにもワークショップ関連メールが散発的に飛び込んでくる.そのつど事務局に転送したり,返信したり.

◆午後のワークショップ —— 13:00〜15:00 は,斎藤成也さんの「系統ネットワーク論」.最初はアラインメント・ソフトウェア〈MISHIMA〉の紹介.その後は系統ネットワーク.高次元ネットワークを読み書きするための「リテラシー」を身につけるまでのハードルはなかなか高いようだ.斎藤画伯は「アーティストたれ!」と言うのだが…….15:00〜17:00 は,伊藤剛さんの「ゲノム探索とアラインメント」の講義と実習.こちらはとてもプラクティカルな話.

備忘メモ —— 斎藤成也『現代進化学の道程』(2009年12月刊行予定,NTT出版,東京).もうすぐ出るとのこと./ユダヤ教とヒンズー教の文化圏で「豚肉」を食べない理由は,偶蹄類なのに反芻しないという意味で「豚」が「分類不能生物」だからだとのこと.

◆午後5時半から農林交流センター・第二セミナー室にてワークショップ懇親会.酒も肴もふんだんに.日本酒は,大阪〈秋鹿〉の純米吟醸「歌垣」,出雲〈王碌〉の「渓」,ついでに新潟〈久保田〉の「千寿」.つくばセンター方面行き最終バスが出る午後7時半はあっという間に超過して,午後8時まで一次会は続いた.余ったものはすべて宿泊施設に運ぶことにして,解散.ぼくは課長さんの車に同乗させてもらい,竹園まで運んでもらった.宿泊施設では二次会が盛り上がったにちがいない.

◆午後8時半に帰宅した.こんな早い帰宅にもかかわらず,疲労度がとても高い.

◆〈leeswijzer〉が「百万アクセス」達成! —— 朝から予想していたが,夜になって〈leeswijzer〉が百万ヒットを越えた.この書評ブログを開設したのは「2005年1月9日」のことだった.それから4年10ヶ月が経過し,こうして百万の大台に到達した.訪問者諸氏,どうもありがとうございます.これからもよろしく.

◆今夜は風呂に入って早々に寝ることにしよう.明日のワークショップ二日目も朝イチから講義をしないといけない.

◆本日の総歩数=12365歩[うち「しっかり歩数」6283歩/60分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=84.9kg(+0.1kg)/26.9%(−0.9%).


3 november 2009(火) ※冬晴れと北風,文化ならざる日

◆前夜は午後10時過ぎに寝て,午前5時半起床だから,ずいぶん久しぶりに7時間以上も寝てしまった.晴れ.北風が強くて体感的にも実際も寒い.一足先に「冬」がやってきた感じ.

◆文化の日の文化ならざる残務こまごま —— 明日から始まる分子系統ワークショップがらみの連絡メールがぽつぽつと届く.その都度,事務局に転送したり連絡したり./11月27日(金)の京都での宿泊先は,〈日昇別荘〉で確定した.翌28日(土)はまったくホテル予約がとれない.ひょっとしたら実家泊りかも./その前に,計量生物学会講演会と特別セッション&チュートリアルの参加申込みを忘れていたので,あわててオンラインで登録する.

◆朝のうちに〈つくいち〉へ.今日は北風が強くて寒かったせいか,先月よりも客の出足は鈍いようだ.

◆午後も分子系統ワークショップ関連のメールあれこれ.ハンドアウト原稿が火山弾のように着弾したり,その他,こまごました事務メールなど.そうこうするうちにいきなり大噴火が,講師をお願いしていたお一人が,大学の講義とバッティングしてしまうことに今になった気がついたので,ワークショップの講義時間を変更してほしいとのリクエストあり.開始前日になってこういう変更はたいへんシビアなのだが,しかし,実現可能な選択肢を順繰りにつぶしていけばいい.まずは直後の講義との交換.これはダメ.次は翌日との交換.関係する講師たちに事情を説明の上,講義時間の移動を依頼した.関係者全員が同時に移動しないと,この措置はうまくいかない.幸い,これは何とかなりそうだ.

◆連絡作業を一時中断し,午後6時前に夕闇迫る柏へ所用ひとつ.あっという間に所用は終わり,トンボ返りでつくばへ直帰.午後8時につくばセンターに到着した.風が冷たいな.満月が寒空にくっきりと浮かんでいた.

◆車内読書 —— おおば比呂司『割ばしの旅』(1976年5月5日刊行,東京堂出版,東京,207 pp.)を読み進む.日本全国,北から南までの「喰い歩き」の記録.今だったらカラー写真をふんだんにあしらって,ヴィジュアルな本に仕立てあげていたことだろう.しかし,30年も前の本書は実にレトロで味わい深い画文集.絵は著者自身によるデッサンだ.モノクロな絵を見ながら実物の「料理」を想像するのは意外に心地よいかもしれない.あまりにもきれいなカラー写真だと,想像する余地は最初からまるでなくなるからだ.かつての椎名誠の本で同じような趣きの食い物本があったことを思い出した.ひょっとしたらすでに絶滅してしまったタイプの「グルメ本」かもしれない.

◆帰宅後も,夜遅くまでワークショップがらみのメールが五月雨のごとく降りかかり,午後11時半にやっと講義スケジュールの変更が確定した.文化の日が文化ならざることどもで埋まってしまったようだ.いずれにせよ,今日はもうこれで寝ないと明日から始まるハードワークに耐えられない.

◆本日の総歩数=4611歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=84.8kg(+0.1kg)/27.8%(+1.5%).


2 november 2009(月) ※冷たい北風に残務が吹き溜まる

◆午前4時半起床.雨上がりで路面が濡れていた.気温11.9度.曇りときどき晴れ.

◆朝のこまごま —— 8:30から計量生物学会の企画幹事電話会議.何度もしているのでだいぶ慣れてきた.一時間あまり.来年度の年会チュートリアルはぼくが講演することになりそう.次回の電話会議は11月16日(月)8:30から,そのときまでに来年度の年次大会での特別セッション案を出さないといけない./自然史学会連合に進化学会代表委員として参加する.今年の総会は12月19日(土)13:00〜15:00,科博分館(百人町)にて.

◆午前11時半,曇りときどき小雨.気温は13.2度.朝からほとんど上がっていない.肌寒い.午後も雨が断続的に降り続いている.

◆午後のこまごま —— 今月の出張伺(3件)・兼業願(2件)・年休届(2件)・振替申請(11/26←11/28)・外勤届(3件)を提出した.そんなこんなで今月も12日間はつくばにいない.部分的にせよ出勤するのは8日間のみ./異動希望調書を提出した./[組合]地本・農対部委員会,11月26日(木)17:30〜18:30.駒場の講義日なので欠席する.代理を立てろって?/[組合]地本・第2回全分会執行委員セミナー, 12月2日(水)15:30〜,中央農研大会議室.こちらは出席できそう./〈つちのうえ太鼓隊〉の練習は11月9日(月)の昼休み./来年度の出講依頼と事務手続き.横浜国大+首都大学東京+玉川大学.まだぜんぜん書けていません./組合の仕事は何にもしていない…….降り積もる火山灰やら火山弾はすべてそのまま散らかっている.

◆「割ばしの旅」 —— 昨日,〈Shingoster LIVING〉で入手した本:おおば比呂司『割ばしの旅』(1976年5月5日刊行,東京堂出版,東京,207 pp.).オヨヨ書林からの出品.東京堂出版の本にときどきある横長の本.食べ歩きの画文集.今から三十年も前の本なのに,とても趣きがあります.ほんとうは函入り,カバージャケット付きらしいが,真っ赤な装丁の本体だけがやってきた.ありがとう.

◆夕方のこまごま —— 〈MEGA 5〉のインストーラーが南大沢から届く.明後日からの農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉に向けて.トド撃ちの合間に,各講師と事務局とのインターフェイス業務は続く./出張伺の様式が変わっていたそうで,全部書き直して再提出した.タマがムダになってしまった.新幹線のデフォルトは「ひかり」なんですね? 「のぞみ」を使うにはそれなりの理由を上申しないといけないわけ?(アホかいなぁ.あきれてものが言えない……)/計量生物学会のホームページのデザイン投票完了.

◆午後7時過ぎに撤収.冷たい風と時おり雨滴が混じる.晩秋をイッキに飛び越えて初冬のような空模様.明日はもっと寒くなるという.吹き寄せられた残務はまだまだあるのだけれど(加圧メールも届いているのだけれど),すべてを放り出して午後10時過ぎに就寝してしまった.集中的なトド撃ちの疲れかもしれない.

◆本日の総歩数=6715歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=84.7kg(+0.7kg)/26.3%(+1.2%).


1 november 2009(日) ※晴れた霜月の入りは南風が暖か

◆午前3時過ぎにいったん起きて,昨夜からつくり始めた Vlaamse stoofkarbonade に火を入れ始める.とにかく超弱火で長時間煮込むことでおいしさが増すので,時間をケチってはいけない.また寝て午前5時半に本格的に起床する.薄曇りで気温はそれほど下がっていないようだ.

◆久しぶりに朝の歩き読みしつつ筑波大方面へ.公園の樹木がそろそろ色づき始めている.リン・バーバー[高山宏訳]『博物学の黄金時代』(1995年10月30日刊行,国書刊行会[叢書〈異貌の 19世紀〉],東京,431+21+xiv pp.,ISBN:4-336-03493-1 → 目次)を第6章まで読了.

当時の「狂い」(p. 90)たちをめぐるエピソードがおもしろい.とくに,当時大流行した「五点法(quinarianism)」をめぐるごたごたと,その学説が当時の博物学者の業界にもたらした余波の大きさは特筆されるべきだろう.「五点法」を提唱した William Sharp MacLeay とそれを普及させた William Swainson は,結果としてそれぞれキューバとニュージーランドに“国外退去”し,ラッパの吹き手は19世紀半ばを待たずに舞台の袖に引っ込んでしまった.しかし,その萎縮効果は絶大で,以後の分類学者たちは生物に関する「一般化理論」そのものを忌避するように刷り込まれてしまったと著者は指摘する:

それにしても,この五点法とそれが原因となった騒ぎの記憶の方は消えずに,その後長期間にわたって野心的な理論家一統に対する「怖ろしき戒め」ともなり,十九世紀初めに博物学の進展を阻害した一般化理論忌避の風潮を,さらに強めさせてしまうようになる.(p. 92)

とにかく何にしろ一般化理論と聞くだけで人々が急にぴりぴりとし始め,科学界に陶片追放の噂が走ったという時代だったのである.結局,ラマルクからスウェインソンまで,先行した理論家たちはすべてこの苦汁を舐めたわけだし,ほとんどの博物学者が総合志向の理論よりひたすら細部[ディテール]を即こうとしていたのを責めることはできないのである.彼らが特に安んじていそしめたのが種の記載作業である.立派な仕事だし,第一,誰かが必ずやらなければならなかった.こうして多くの博物学者が嬉々として生涯を,この安心立命の単純労働に費やしていくことになる.(p. 93)

洋の東西を問わず,体系家(systematist)には災い多く(リンネだけは例外),分類家(taxonomist)には幸多かれということだったのかもしれない.そして,19世紀初頭のイギリスで大流行した「博物学」の背後には自然神学(素朴な intelligent design 説)の確固たる文化的底流があったという指摘(p. 116)はとても重要だろう.

◆休日のこまごま —— 今週水曜から始まる農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉の直前準備で事務局とともにばたばたとしている.実習用のソフトウェアのインストールと配布ハンドアウトの準備,そしてワークショップ全体のコーディネートという仕事もある.ひとりでやっているので「やる/やらない」という二値的なシンプルさはいいのだが,進まなければとことん停滞するというリスクはつねにつきまとう.講師への連絡と事務局との調整がメールで続いている.なお,4日(水)夕方の懇親会には30名の受講生の大半が参加するそうだ.日本酒は大阪の〈秋鹿・歌垣〉と出雲の〈王祿・渓〉はとりあえず一升瓶で用意してあります(新潟の〈久保田・千寿〉は予備か).

◆午後になって晴れ間が広がり,南からの強い風が吹き込むようになった.気温は高い.

◆昼下がりのひととき —— 小野崎の〈Shingoster LIVING〉にて,期間限定の〈本と本棚〉というイベントの最終日だったので,一息入れに出かけてみた.元は根津にあって,いまは表参道に移転した〈オヨヨ書林〉の古書などが並べられていた.帰りに,コンビニで『週刊新潮』2009年11月5日号を手に取る.「ブックス」欄に確かに『分類思考の世界』の紹介記事(p. 126)が掲載されていることを確認.ありがとうございました.>匿名書評者さま

◆夕方のこまごま —— 来年度の九大での「生物統計学」集中講義の事務手続きなど.ほとんどはaryさんが書類をつくってくれるとのこと.ありがとうございます./11月24日(火)16:00〜17:00に,東大農学部の専攻で研究室(卒論テーマ)ガイダンスがある,その後に,〈S University of Tokyo〉にて.詳細後日.

◆夕方,暗くなってから予報通り雨が降り出し,しだいに風雨が強まってきた.

◆前夜からつくり始めてからきっちり24時間が経過し,やっと「Vlaamse stoofkarbonade」を食卓に登場させることができた.結論をいえば,〈ハウデン・カロルス・クラシック(Gouden Carolus Classic)〉を用いたのはアタリ!ということだ.その芳醇な味わいと抑制のきいた苦み,そして牛スネ肉の風味を損なわない名脇役ぶりは今は手に入らない〈禁断の果実(De verboden vrucht)〉の代役としてベストセレクションだった.付け合わせには,つぶした茹でジャガイモとパスタを用意した.一本だけ残った〈ハウデン・カロルス〉をなめつつ,このビール煮込みをいただくシアワセ.

—— 調べてみたら,本場ベルギーのレシピ「Recept Vlaamse Carbonades」でも,この〈ハウデン・カロルス〉を使っているようだ.

◆本日の総歩数=11183歩[うち「しっかり歩数」7490歩/69分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=84.0kg(−0.8kg)/25.1%(−1.7%).


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[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集