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日録2009年8月 


31 augustus 2009(月) ※怒濤の九月を前にして大団円に

◆午前3時半起床.意外にも雨は降っていなくて曇り空.しかし,台風接近に伴う東風が強くて肌寒い.気温は18.9度.研究室にてごそごそする明け方.午前7時を過ぎて雨が本降りになり,ときどき吹き降りに.台風は千葉県に接近しているらしい.

◆午前のこまごま —— 明日からの出張の旅支度をば.郵便局→JTB→ジャスコと一回りする.雨はいよいよ強まってきた.さしている傘が飛ばされそうだ.気温はさらに下がり,千葉県が暴風域に入った午後1時には18.2度に.

◆風雨の中,『分類思考の世界』は,いよいよ大団円へ! —— 昨夜は神経衰弱な文献リストのチェックで力尽きたが,一晩明ければもう「大団円」は間近であることを実感する.今日の夕方に再校ゲラを手渡せばすべては終わりだ.

午後イチで,講談社PR誌『本』10月号の記事のゲラがpdfで送られてきた:三中信宏「分類思考−飽くなき好奇心の果てに見る人間性の淵源」(刷上り2ページ).さくっとチェックして完了.とーってもアヤシいです.魔術に陰陽道まで総動員だ.さて,この“宣伝”記事を読んで,いったいどなたが『分類思考の世界』を書店で手に取るのだろうか?

夕方6時前,台風11号の風雨が強まる中,担当編集者の川治さんが先週と同じくつくば駅まで再校ゲラを受け取りに来た.TXは台風でもきっと止まらないだろうが,ご苦労さまでした.手渡すべきゲラはすでに耳がそろっている.『本』のゲラも付けた.これにて一件落着.そのまま,駅地下の〈スターバックス〉にて打ち合わせ.カバージャケット(表&裏)とオビの見本を手渡された今回の装丁は淡青色がベースになっている.前著『系統樹思考の世界』と並べて売れるようにとの配慮だそうだ.カバージャケット「裏」の図柄も「耳なし芳一」の呪文みたいで,とてもいい感じですね.

オビはとても太い.ヘッケルの『Kunstformen der Natur』からあの図版とその図版が2枚採用されました.一方のモノクロ図版は前から人気のあるやつなので妥当な選択だろう.もう一枚は亡妻 Anna Sethe にちなむカラー図版で,これまた知っている人はまちがいなくこれを選ぶだろう.

—— 以上をもって,今回の現代新書に絡む諸事はすべて終わったことになる.残務があるとしたら「索引ゲラ校正」だけだが,これは9月3日(木)に札幌に送られてくることになっている.あとは来月20日(実際には16日)の発売日に書店店頭にブツが並ぶのをまつばかりだ.

◆新書文中の「学名」に関する問合せ —— カモノハシの「学名」は,もともとは Platypus という属名で命名されたが(by G. Shaw),すでに別の昆虫(ナガキクイムシ)の属名として用いられていたことがのちに判明したので,Ornithorhynchus という現在の属名に変更されたといういきさつがあるとのこと.したがって,文中では「Platypus anatinus(現在の学名は「Ornithorhynchus anatinus」)」としておけばいいでしょう.

◆リブロ筑波西武店にて〈生物学の世界へようこそ!〉フェア —— 帰りがけに寄ったリブロで〈生物学の世界へようこそ!〉というブックフェアをやっていた.国際生物学オリンピックが筑波大学で開催された記念イベントのひとつ.福岡伸一さんに『系統樹思考の世界』を推薦してもらった:

この世界にあまた存在している多種多様の生物を分類したい.その進化の道筋をたどってみたい.つまり世界をくまなく記述したい.これは生物学者のもっとも根源的な問いかけであり,かつ本質的な欲望でもある.しかし,それを極めていくと私たちは奇怪な迷宮にとらわれていく.画期的な哲学書としても読める.(福岡)

たいへんありがとうございました.ほとんどそのまま今度の『分類思考の世界』にも使えそうな推薦文です,はい.

◆帰宅後は旅支度をする.気がついたらもう日(月)が変わっていた.寝ないと寝ないと.

◆本日の総歩数=10126歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.6kg(+0.9kg)/25.4%(−0.5%).


30 augustus 2009(日) ※お祭りに落ち穂拾いと査読業務

◆午前5時起床.晴れところどころ曇り.東風が涼しい.台風はどうなったかと考える間に,しだいに風が強くなってきた.午前8時過ぎに竹園公民館に投票に行くころは小雨が混じるようになった.午前9時には本降りの雨に.それなりに台風接近を感じさせる.その後,午後になっても,雨は降ったり止んだり.風はときどき吹き荒れて,気温はしだいに下がってきた.空は明るくなってはまたぐずつくの繰り返しで,めまぐるしく変化していた.

◆「四次元メレオロジー」 —— 類はどんどん「友」を呼ぶ.いささか(もともと)ビョーキな形而上学の本が終結しつつある.いいなあ,こういう「病み」感覚は.さて,メレオロジーを説明した和書にほとんど出会ったことがないが,この新刊本はいい候補になるかな:中山康雄『現代唯名論の構築:歴史の哲学への応用』(2009年7月20日刊行,春秋社[シリーズ〈現代哲学への招待〉:Japanese Philosophers],東京,xii+250+11 pp.,本体価格3,200円,ISBN:978-4-393-32328-1 → 版元ページ

◆とある査読作業 —— 今年12月に勁草書房から出る予定の生物学哲学論文集:松本俊吉(編)『生物学の哲学における論理と倫理(仮題)』への寄稿論文に軸足を移しつつあります.今月末が原稿改訂の締切で,そろそろ元締からの「加圧」が始まりそうな気配.しかし,まずはじめに,自分の原稿のほかに依頼されている別著者の「査読」がある.その「査読」作業は午前中に完了した.いくつかの点についての意見はまとめた上で,執筆者メーリングリストに配信した.【種】に交わればみんなドロヌマ.たいへんお疲れさまでした.緩い本質主義の発現である「homeostatic property cluster」概念は,形而上学者の間では人気を得たとしても,生物体系学者にはイマイチ惹かれるところがないとは思っていたが,要するにウィトゲンシュタインだから? 

—— でも,ウィトゲンシュタインの「家族的類似性」の議論はこっちにおいといて,ワタクシ自身の原稿改訂を急がないといけないぞ,と.しかし,『分類思考の世界』にも一カ所だけウィトゲンシュタインのこの話をカルロ・ギンズブルグ関連で絡ませておいた方がいいかな.はい,注釈完了.

この本で取り上げられている「四次元メレオロジー」は,『分類思考の世界』で論じている「時空ワーム」と深く関係している.もともとは,セオドア・サイダー(中山康雄監訳/小山虎・齋藤暢人・鈴木生郎訳)『四次元主義の哲学:持続と時間の存在論』(2007年10月25日刊行,春秋社[現代哲学への招待:Great Works], ISBN:978-4-393-32313-7 → 版元ページ)を読んで,「時空ワーム」の概念に関心をもった.しかし,他の形而上学本でも似たような話が出てくることを最近知った.

たとえば:Peter Simons『Parts: A Study in Ontology』(1987年刊行,Oxford University Press, Oxford, xiv+390 pp., ISBN:0-19-824954-3 [hbk] → 目次版元ページ [pbk])では,時間的な部分をもつ「連続体(continuants)」にからめて「フラックス問題(The Flux Problem)」が議論されている(3.3節).時間的に部分が獲得されたり失われたりする連続体はまさに「テセウスの舟」ですかね.

◆〈まつりつくば2009〉は,昨日は真夏日の暑さだったが,今日は一転してこんな天気で,ビニールで覆われたねぶたや山車が雨降る夜の土浦学園線を練り歩いていた.このイベントはつくばセンターでの最大の年中行事になりつつある.以前はわざわざ出かけたものだが,いまは“下界”が賑わっているのを上から見下ろすばかりだ.冷たい雨が降り続く午後8時にジ・エンド.カピオ前の大清水公園に設けられたねぷた仮設テントでは,関係者による大宴会が午後10時過ぎまで続いた.夜遅くなって,雨足はさらに強まり,東風が吹きつけてきた.

—— 予報では,台風11号は,明日,関東に最接近するらしい.さっさとやってきて,とっとと通り抜けてね.少なくとも9月1日正午の新千歳行きのフライトだけは邪魔しないよーに.

◆落ち穂拾いの夜 —— いくらチェックし続けてもバグ取りに終わりはない.文献リストの「必要条件」と「十分条件」がパーフェクトに満たされる日は来るのだろうか…….あ,落ち穂がひとつ,またひとつ,と.神経衰弱になりそうで,そろそろ力尽きる気配が濃厚に漂ってきた.

◆本日の総歩数=9314歩[うち「しっかり歩数」2983歩/31分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=82.7kg(−0.2kg)/25.9%(+0.3%).


29 augustus 2009(土) ※ゲラ読み残務が完了し台風発生

◆午前3時過ぎ起床.南からの微風.晴れて朝焼け.天気予報ツイッターを見たら「台風11号発生」という.しかも週明けにかけて関東接近,場合によっては上陸して北海道方面に縦断か,というそらおそろしい予報が.ヒコーキ飛んでくれますか?(不安広がる)

◆ノイジーな早朝 —— 今日と明日の二日間は毎年恒例の〈まつりつくば2009〉で,自宅の“下界”は喧噪と混雑の極みとなる.今朝は初日で屋台のセッティングの騒音がつくばセンターのペデストリアンに反響している.日射しも強くなってきたし,真夏日の予報だし,今日はぴたぴたと締め切って,ゲラ読みの残務処理のため終日引きこもるにかぎるだろう.

◆献本感謝 —— 科博の小野展嗣さんから:小野展嗣(編著)『日本産クモ類』(2009年8月5日刊行,東海大学出版会,秦野,xvi+738 pp.,本体価格32,000円,ISBN:978-4-486-01791-2 → 版元ページ).派手な警告色のクモたちがカラー図版に勢揃いすると壮観.

◆休日のゲラ読み三昧 —— なお続く残務処理.それも文献リストのチェック作業が.「必要条件」を満たしているかどうかは昨日確認したので,今日は午前いっぱいかけて「十分条件」の確認作業.ぜんぜん終わらず…….

◆昼に〈まつりつくば〉の会場へ.真夏日と混雑でくらくらしてしまう.ほうほうの体で退散あるのみ.その後,やや雲が出てきたが,久しぶりに剃髪(いや散髪)に行く.炎天下に自転車をこぐというのは難行苦行だが,〈まつりつくば〉のねぶたパレードの影響で土浦学園線が通行止めになってしまうので,これはしかたがない.

◆午後もゲラ読みは続く —— 文献リストの「必要条件」は本文に出ている文献がちゃんとリストに載っているかを見ればいいから,見落としがないかぎり問題はないはず.しかし,「十分条件」は文献リストに挙げたアイテムが的確に引用されているかを見るわけなので,そのつどゲラをひっくり返して該当しそうな箇所を発見するのだから時間がかかるのはしかたがない.それでも午後5時には作業完了.アイテムを「10」付加し,「3」削除した.結果的に,文献リストの項目数はかぎりなく「200」に近づいた.注釈も増えたし.

—— 『分類思考の世界』のゲラ読み残務はこれにてすべて完了です.ぱちぱちぱち(拍手).

◆日没後,パレードの音曲と見物客の喧噪と屋台の発電機の雑音でうるさいことこの上なし.しかも湿気の多い熱帯夜みたいだし.

◆さて,明日からは連続国内出張の旅支度とともに,来月に持ち越せない月末仕事を何とかしないといけない.

◆本日の総歩数=5657歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=82.9kg(−1.1kg)/25.6%(−0.4%).


28 augustus 2009(金) ※最後の追い込まれで紙魚の激務

◆午前3時半起床.雲の隙間から見える星空.風無く,最低気温は21.1度.

◆朝のゲラ読み —— 90%のバグ取りは10%の労力ですむが,残り10%には90%の労力が必要である.確かに,読み込むほどに潜んでいた「蟲」が飛び出してきて,そのつど訂正の付箋紙をはりつける.まったくキリがない.『オアハカ日誌』抜けてました;Henri Daudin 本は「動物」ではなく「生物」;Christiane Hine は「サイバーサイエンス」ではなく「サイバータクソノミー」;ポパーはペパー etc. などなど,有象無象の「蟲」の相手をし続ける午前中.先日,引用文献リストの「必要条件」をクリアさせたはずなのに,再チェックしたらそれもアヤシくなってきた.「十分条件」の確認は明日回しか.

—— 文献リストづくりがいつも最後まで残る大仕事だ.索引は編集部の方で実務をしてくれるからいいとしても,文献リストは著者ががんばらないとどうしようもない.今回の場合,長短取り混ぜて解題を付けているので,さらに時間を喰うことになる.

◆その後,晴れて南風が入り,気温が高くなってきた.「夏」の空に戻る.午前11時,気温30.5度の真夏日に.じりじりと暑い.日射も紫外線もさんさんと降り注ぐ.

◆農環研分会の引き継ぎミーティング —— 昼休みに分会室にて三役(委員長・副委員長・書記長)の新旧引き継ぎ会議.新執行部がスタートする来月,書記長になるぼくがたった5日しか農環研に顔を出さないので,その役割分担(というか丸投げ)をどうするかが喫緊の問題でしょうなぁ.対面での執行委員会とか当局対応はほぼ不可能なので,インターネットを利用した代案を考え中.おまけに,全農林のどこかの分会がヘマしやがって,隠れて組合活動していたものだから,今後は原則として時間内の組合活動は御法度ということになるだろう.ということは,いままで前例踏襲で続けてきた組合活動は,分会判断でどんどん切り捨てていくことになるかもしれない(筑波地本はどうせすぐには変われないもんね)./9月10日(木)午前9時半から,来賓室にて新執行役員の当局あいさつ.十分ほどですむ.

◆見本の献本ありがとうございます —— コリン・タッジ[柴田裕之訳]『ザ・リンク:ヒトとサルをつなぐ最古の生物の発見』(9月下旬刊行予定,早川書房,予価1,800円)の「見本(非売品)」を版元から送っていただきました.感謝.4700万年前の霊長類〈イーダ〉の物語.こういうかたちで事前に「見本」を送られたのは初めてのことかもしれない.

◆午後のゲラ読み —— 索引項目のピックアップを始める.一般名詞はだいたい拾いきったはず.あとは固有名詞をどこまでひろうか.午後4時にはいちおう作業完了.もう少し増えるかも./音羽からメールあり.『分類思考の世界』の定価は,本体価格「800円」(税込価格「840」円)と確定した.『系統樹思考の世界』が本体価格「780円」(税込価格「819」円)だった.頁数が30ページほど厚くなるので,妥当な価格設定でしょうね.

◆ついでに近刊情報 —— ぎょうせいから来月出る予定の「学名本」二冊:

  • 小野展嗣(編)『動物学ラテン語辞典』(2009年9月下旬刊行予定,ぎょうせい,東京,本体価格25,000円,ISBN:978-4-324-08802-9 → 版元ページ).18,000語を採録しているとのこと.
  • 豊国秀夫(編)『復刻・拡大版 植物学ラテン語辞典』(2009年9月下旬刊行予定,ぎょうせい,東京,本体価格12,000円,ISBN:978-4-324-08862-3 → 版元ページ).7,800語を採録.初版は至文堂から刊行された(1982年).

◆夕方のこまごま —— 今年の「大分湯煙統計研修」は実施するかどうかいま検討中との連絡が大分県庁からあった.どこもかしこも財政難で,いろいろな行事の経費を削減しようとしているらしい./9月1日(火)の農環研分会定期大会は欠席するので委任状を提出した./検認のため共済組合員証を厚生係に提出した./某社から「統計学の入門書を書いていただけませんか?」とのプロポーザルあり.申し訳ありませんが,このテーマではすでに講談社サイエンティフィクから出すことになっているのでと,速攻でお断りの返信メールを書く.引き受けるときも断るときも「すぐやる」にかぎる.いくつかの出版社からときどき「本を書きませんか?」という依頼を受けるのだが,現時点ですでにからだがいくつあっても(手が何本あっても)こなしきれない状況に追い込まれつつありますので,これ以上はムリでしょうな.すみません.

◆来月からの連続出張の旅支度をそろそろしないといけませんよ.何はなくとも「宿」と「足」の確保を.「講演」の準備はそのあとで./あ,勁草書房の原稿……(つぶやくな).

◆本日の総歩数=7378歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=84.0kg(+0.6kg)/26.0%(−0.1%).


27 augustus 2009(木) ※テレビカメラが迫ってくるとき

◆午前4時起き.空高く秋晴れの空にうろこ雲が.昨日以上に涼しいと思ったら,案の定「17.8度」だった.最低気温が20度を下回ったのは久しぶりのことだ.その後,残暑の日射しが照りつけて気温は急上昇.夏の雲が湧き上がってきた.

◆早朝のこまごま —— 農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉のウェブサイトの微修正連絡.完了.あとは応募を待つばかりだ.

◆朝のテレビカメラ —— 午前8時半,始業チャイムと同時に,〈アーススピリット〉の伊藤修さんとカメラさんが来室.居室にて予定通りJST関連の映像企画〈21世紀のノアの方舟・生物多様性:SPECIES(種:しゅ)&SEEDS(種:タネ)〉に関わる取材が始まる.こんな「本の城」の雑然さが背景に映り込んでしまうのかと急に不安になり,事前にヤバそうな?本どもをぱたぱた片付けたりするものの,片付けた下からもっともっとヤバい本が出土してくる.あわてて元に戻したりとか…….取材そのものは対談形式で進み,生物多様性の進化的起源とか,系統樹のこととかを一時間ほど.それから,蔵書のアヤシい系統樹本を撮影したいというので,これまた小一時間ほどいろいろな本を引っ張りだしてはカメラ撮影が続く.

室内での取材はここまで.その後,外に出て,敷地内の実験圃場内にあるミニ谷津田と神社の参道で,さらに取材と撮影が続く.けっきょく,次の取材先のーである生物資源研ジーンバンクにお二人を送り届けてやっと解放されたのは午前11時半近くだった.たっぷり3時間かかったことになる.今回の映像作品はテレビで一般放映されるとは聞いていない.まずは,「2009年度(独)科学技術振興機構主催〜全国TV局&有資格プロダクション参加による国際コンペティション」への出展をすることから始まるらしい.その後のことはあまりよく知らないのですが…….

—— 午前でぼくのバッテリー残量はほぼゼロになった.非日常は疲れる.正午前の気温は27.2度.残暑の日射しがまぶしい.

◆午後の成績報告 —— 午後のトド撃ちの方が時間的にはきついかもしれない.東京農大の講義「実験データー解析概論」のオンライン成績報告は今日の午後5時が締切で,それ以降はシステムにログインできなくなる.百人あまりの受講生の出席票のチェックとレポートの採点をがしがしと進め(途中よそ見なし),午後3時半には成績の下書きをつくり終えた.ウェブに成績を入力完了したのは午後3時半.結果的には余裕で仕留めたことになる.

◆夕方のこまごま —— 午前から午後にかけての大トド二頭との格闘でほぼ燃え尽きたところに,サッポロから「極楽の声」が届く.はい,了解.9月3日(木)夜はビール宴会ですね.〈麦酒停〉でもどこでもお供いたします.前日の学会レセプションもサッポロビール(〈サッポロファクトリービアケラー札幌開拓使〉という店)だし,この宴会もまたビール.翌日夜は京都から公開講演会のために来る内井さんを迎撃するというからには当然ワインなんだろう.今回は“サッポロソフト”の出番はないようだ(よしよし)./もうひとつは「地獄の声」…….次期分会執行部の引き継ぎミーティングは明日8月28日(金)の昼休みに分会室にて.新執行部体制が始まる来月早々,10日間もいなくなるし,月末も合わせればこれまた10日間ほど出奔する.驚異の五連休もあるので,書記長の仕事をいま引き継いでも9月中にやれることはほとんど何もないんですけどねぇ.

◆午後4時半撤収.気温27.2度.晴れて日射しは強いが,湿度は低い.風が吹いているかぎり涼しく感じる.

◆『分類思考の世界』いろいろ —— 巻末の文献リスト「私的ガイド付き文献リスト(現世で迷わないために)」をオンライン公開しました(およそ180項目で,約半数にコメント付き).数項目を加筆したのでこのリストの「400字詰×30枚」ほどになった.帰宅したら,狙いすましたように音羽から文献リストの初校ゲラが着弾していた.小さな活字で「みっしり」と組まれて「19ページ」ある.文献リストの厚さだけをいえば『系統樹思考の世界』と同ページ数だが,今回は行間がぎゅっと詰められていて,視力検査並みだ.実は,ここにさらに数項目が付け加わるので,文献リストのページ数はもうちょい増える予定.

◆ついに予約販売も開始! —— bk1で早くも『分類思考の世界』の「予約受付」が始まった.ご連絡ありがとうございます(>瀬尾さん).同サイトの「内容説明」を転載すると:

生物の「種」って何? それは実在するか?生物分類学の歴史は2000年に及ぶ。その知的格闘を平易に跡づけ、「種」をめぐる最も素朴で根本的な疑問を考える。前作『系統樹思考の世界』と対をなす怪著!

—— 「怪著!」 実にいい表現ですなぁ.bk1さん,ありがとう.

◆雲のない夜空に半月がぽっかり浮かんでいた.しかし,満月ではないので lunaire になりようがない.

◆本日の総歩数=8032歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.4kg(+0.3kg)/26.1%(+0.1%).


26 augustus 2009(水) ※月末の駆け込みスイッチが入る

◆午前5時起床.晴れところどころ曇り,のち青空が広がる.乾いた東風が吹く.気温20.3度.まん丸い朝日が東の空に昇ってきた.

◆朝のこまごま —— 本日の「ゲラ」まわりのトド撃ちの順番(ラクな方から):1) 本文と引用文献との対応関係の確認;2) 図版の指定や位置などのチェック;3) 索引項目のピックアップ(マーカーで)./[AFFRCな人向け]新しい〈MAFFIN-VPNサービス〉は使いやすいことを今日になって悟った.出先からでもラクラクftpできます.

◆【広報】 —— 第141回農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉(11月4日(水)〜6日(金),農林水産省農林水産技術会議事務局筑波事務所(電農館),つくば).本日,募集開始! 詳しくはこちらをごらんください.講師陣に周知するとともに,関連メーリングリストへのアナウンスを完了した.

◆午前11時,空は残暑の顔つきになる.気温25.7度.午後も青空.

◆午後もゲラ読みは続く —— 午後6時過ぎにやっと再校ゲラの通読を完了した.図版のチェックはこれでもう大丈夫だろう.文献に関しては必要条件:「巻末文献リスト⊇文中引用リスト」はとりあえずクリアさせた.文中に引用されている文献が巻末リストに載っていないのでは話にならない.一方,十分条件:「巻末文献リスト⊆文中引用リスト」は夜の仕事になるのかな.いくつか未引用のものがあるので,それぞれの文中配置を確定させないといけない.索引項目のピックアップはそのあとだけど,そこまではまだ手がまわりそうにない./音羽からメールあり.引用文献リストの初校ゲラは速達でつくばに向けて発射したとのこと.テポドンが着弾するのは明日か.追加の修正がいくつかあるので迎撃態勢を整えておこう.『本』の販促原稿はこれでよろしいとのこと.

—— 言われるがままに,新しく原稿を書き,ゲラの改訂をする日々が続いているが,こういうばたばたも今月いっぱいのことだ.来月早々の札幌旅行にまで引きずることはない.

◆夕方のこまごま —— その札幌での進化学会大会・高校生ポスター発表の賞状についての事務連絡.今回は発表件数が少ないので手間はかからなさそう.審査委員は北大に乗り込んでからリクルートすることになるでしょう./明日の映像取材に関する事前連絡をすませた.

◆午後6時半に撤収.東風が涼しい.夕暮れが早くなって,もう星空が見えていた.

◆本日の総歩数=5665歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.1kg(−0.7kg)/26.0%(−0.6%).


25 augustus 2009(火) ※押し寄せるトドたちは大小様々

◆午前4時起床.東風が涼しい.夜明け前は曇りだったが,昇る朝日とともに青空が広がっていく.最低気温は20.6度.

◆早朝のこまごま —— 昨夜遅く,音羽から連絡メールあり.『もやしもん』の転載許可が取れたとのこと.たまたま作者の石川雅之さんが講談社に打ち合わせにきていて即OK.俵万智さんの歌詞の転載も大丈夫だろうとのことで, 『分類思考の世界』の著作権がらみの案件はほかにはもうないだろう.

◆形而上学本もう一冊 —— Kathrin Koslicki『The Structure of Objects』(2008年5月刊行,Oxford University Press, Oxford, xx + 288 pp., ISBN:978-0-19-953989-5 [hbk] → 目次版元ページ).先に届いた:Peter Simons『Parts: A Study in Ontology』(1987年刊行,Oxford University Press, Oxford, xiv+390 pp., ISBN:0-19-824954-3 [hbk] → 目次版元ページ [pbk])ほどごりごりと「公理論化」をしているわけではない.むしろ,自然種(natural kinds)とか構造化全体(structured wholes)という概念を足がかりにしてメレオロジーを論じた本なのだろう.

◆午前9時半,晴天が広がる.湿度が低いので,まるで高原のような爽快さ.一年中こういう気候だとさぞかし原稿仕事がはかどるにちがいない.

◆午前のこまごま —— 東京農大の「実験データー解析概論」の成績報告締切が迫ってきた.作業開始./〈R 2-9-2〉リリース./来週の進化学会札幌大会のインフォーマル懇親会のお誘いが早くも.2日は×,4日はOK./共済組合員証の提出締切は9月1日(火).前日に出します./計量生物学会関連(統計科学関連学会連合大会):1) 往復の新幹線チケットをまだ確保していない!;2) 初日のチュートリアル後に開催される対面理事会:2009年9月6日(日)16:30〜18:30,京都大学医学部G棟3階医療統計集会室[終了後に懇親会あり];3) 編集委員会レポート.内容確認しました.;4) 大会企画担当.アナウンス文をつくります./ぎょうせいから問合せを受けていた近刊予告のML転載.OKの返事をする.

◆午後はさらによく晴れて秋らしい空が広がる.蝉の鳴き声もしだいに弱まりつつある.

◆午後のこまごま —— 〈生物情報を解明するための統計数学的基礎理論とその応用〉でのチュートリアルの日程が確定した:1) 10月1日(木)14:15~16:25.三中信宏「系統推定論1:離散数学による進化史の叙述」;2) 10月2日(金)13:15~15:25.三中信宏「系統推定論2:進化過程の統計的モデリング」.講演アブストラクトは9月8日(火)が締切./勁草書房の原稿改訂とレフリーを早くすべし./動物衛生研究所の分子系統学講義(9月11日)のハンドアウトは四日前までに事務局に送ること./数理統計研修のテキスト原稿は10月19日(月)までに農研機構の事務局に送ること./東大の専攻OB会である「紫工会」の会報原稿は今月31日が締切.前年に沿って案をつくり連携教員に回覧する./メーリングリスト登録雑用少し.

◆微小トドどもを撃ちすぎて疲れてきた.机に積み上がった事務所類が「山」になっていたので,ある程度ちゃっちゃっと見てから,すべてゴミ箱にぶち込む.以前,東大総合研究博物館の某名誉教授にこのやり方を聞いてからというもの,人生がとてもラクになった.しかし,「ちゃっちゃっと見てから」というのがまだ凡人である証だ.達人ともなれば,何も見ないですべて捨てるという技が使えるそうだ.ぜひそういう境地に達したいものだ.「見るな,捨てよ」−これに尽きる.

◆夕方のこまごま —— 来月に向けてのトド撃ち予定リストを更新する.撃っても撃ってもトドは減らない.トドの個体群管理をしてくれないだろうか(絶滅させても許すから)./来月分の出張伺・年休届・兼業申請をすべて出した.これで10月3日(日)まではおおっぴらに「不在」できる./9月1日(火)の農環研分会定期大会.当然「欠席」なので,委任状を出さないといけない./ついでに,分会次期役員の連絡カレンダーについて周知する.

◆再校ゲラが届く夜 —— そんなこんなでトドを撃ちまくっているうちに日没が近づいてきた.午後5時過ぎにいったん帰宅する.東風が涼しく,気温が下がってきた.午後6時半,TXつくば駅改札にて講談社の川治さんと待ち合わせ.『分類思考の世界』の再校ゲラをわざわざ届けてもらった.駅地下のスターバックスにて打ち合わせ.図版をすべて組み入れたら,本文だけで300頁超になるという.それ以外に昨日送った文献リストとこれからつくる索引が上乗せされるので,「330頁くらいになるでしょう」との予想だ.『系統樹思考の世界』よりも厚い新書になることが確実になった.

今後の進捗予定は今月末までに再校ゲラを読んで,図版のチェックと索引項目のピックアップすること.あわせて,引用文献の対応関係も調べないといけない.8月31日(月)午後7時につくば駅改札で再校ゲラを川治さんに返却すれば,あとの作業はぼくの手を離れることになる.

帰宅後は,もう一つの迫られ仕事である『本』10月号の新書PR文.400字×5枚の分量.グールドのようにトリヴィアルな話題からエッセイを書き起こすというのがぼくにとっても常套手段だが,ここのところネタをしぼり尽くした感があって,なかなかストーリーが浮かんでこない.窮すればシンプソン.私生活では飛び抜けて奇人変人だったという古生物学者 George Gaylord Simpson の書簡集をぱらぱらめくっていたら,あるわあるわ.この人,やっぱり変わってるなぁ.〈Simple curiosity〉をめぐるいいアイデアが浮かんだので,それを着火材として3時間ほどでぴったり5枚書き上げた:三中信宏「分類思考:飽くなき好奇心の果てに見る人間性の淵源」.

—— ああ,もう日が変わる.明日もまた切羽詰まったトド撃ちが何件かある.

◆本日の総歩数=6423歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.8kg(+0.6kg)/26.6%(+0.5%).


24 augustus 2009(月) ※秋めく明け方にスズムシの音が

◆午前3時半起床.今年始めてエンマコオロギの鳴き声が聞こえてきた.農環研に直行する.夜明けが遅くなっているのでまだ真っ暗だ.途中の森のしげみからこれまた今年初のスズムシの音も.涼しいなと思ったら最低気温は「20.1度」まで下がっていた.ほんの二三日前は熱帯夜だったというのに.夜明け前は雲が多かったが,日が昇るとともにすっきりと秋晴れになって,空高くすじ雲やうろこ雲が流れている.

◆未明のリストづくり —— いよいよ追いつめられてきたので,文献リストづくりを急ぐ.口上書きはできたので,「タグ」を貼付ける作業を二時間あまり.午前6時過ぎには180ほどのアイテムにタグを貼付けた.ここまでの中間段階を音羽に送信する.

◆午前のこまごま —— 予定通り午前8時から計量生物学会企画幹事の電話会議を一時間ちょうどする.参加申込のスタイルとか広報ビラの作成とか,まあいろいろ仕事はあります.11月のセッション参加ビラをつくらないといけなくなった./進化学会札幌大会の高校生ポスターの賞状づくりの件.他にも,審査委員の委嘱とか,いろいろあります./その他,質問とか打診とかメールで届いているのだが,しばし放置です.ごめんなさい.

◆午前10時,残暑がぶり返し,気温は27.2度の夏日に.しかし,湿度が低いので許せる.

◆昼休みからの再開 —— 「文献リスト」の注釈付けを開始した.二百近くもあればひとつひとつメモ書きを付けていくのもなかなかたいへんな作業になる.近接する同一著者の業績はひとまとめでも苦しくないだろう.しかし,それでもなかなか進まず,四時間後の午後4時にやっと一通りの注釈を付け終えた.結果として,文献リストは400字詰にして30枚近い分量になった.音羽に送信完了.

折り返し,音羽から電話あり.再校ゲラが明日できるので夕方につくばに持参するとの連絡だった.了解.再校には図版が入っているので,あとの作業は索引づくりだけになる.もうゴールは見えたも同然(かな).

新書に「文献リスト」や「索引」を付けるというのは今の状況では多数派ではないことは確かだろう.でも,このふたつがそろわないと本の「資料性」の条件を満たさないので,どうしても譲歩できないのです.

◆午後5時過ぎに撤収.気温は26度台.午後は雲が多かったが,西空の雲間から夕焼けが鮮やかに見えた.夜になって吹く東風がとても涼しくて心地よい.いい季節になってくれたものだ.

◆夜,音羽からメールあり.カバージャケット「裏」の図版デザインはこんなところでいかがかという提示.とてもよろしいのではないですか? 空間を埋め尽くすがごとくラテン語がびっしり書き込まれているところなんぞ,まるで〈耳なし芳一〉に書き付けられた呪文を髣髴させるものがある.

現代新書の今の装丁デザインだと,オモテは大きく変異する余地がないほどきびしい「淘汰圧」がかかっているが,ウラについてはそのような装丁淘汰にさらされない「中立的」なスペースだ.だからこそ「学ランの内側の刺繍に凝りまくる昔の応援団」のような「裏」文化が開花する可能性がある.残念ながら,ぼくの二冊の本を除いてはまったく開花してはいないけれども.

—— 『本』掲載予定のPR文(400字×5枚)を早く用意しないと.

◆本日の総歩数=5189歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.2kg(+0.9kg)/26.1%(+0.7%).


23 augustus 2009(日) ※処暑の秋の空にすじ雲が流れて

◆午前4時半起床.雨上がりの曇り空だが,東方の空は朝焼けが鮮やかだった.昨夜の雷雨で空気がすっかり入れ替わったらしく,秋の気配が強まってきた.そのうち低空の雲もなくなり,青空が広がってきた.久しぶりに蒸し暑くない朝だったので,筑波大学方面に小一時間の徘徊タイム.夏休み明けの〈Brotzeit〉でパンを買って帰る.晴れて日射しはあるが,湿度が低いせいか不快ではない.

◆ラスト!『谷根千』 —— 地域雑誌『谷根千』の最終号がついに出てしまったらしい(→〈谷根千ネット〉).これでおしまいかぁ.「93号」と「94号」が同時に発行されたらしい.今度,東京に出たときに忘れずに買うことにしよう.

◆今日のお仕事 —— 『分類思考の世界』の「文献リスト」づくり.まだうだうだと立ち止まって考えているので,ぜんぜん進まない.『系統樹思考の世界』と同様に,テーマ別に下位分類してから注釈をと最初は考えていたのだが,今回の新書は参考文献の範囲がはるかに広範で,下位分類しようにもカテゴリー数が増えすぎてしまう.そんなこんなことを考えたあげく,アルファベット順の配列はそのままにして,複数の「タグ」を貼付けた上で,それぞれの文献ごとに注釈を付けるという手間はかかるけど,悩ましくない分類方式を採用することにした.

◆秋めく昼下がりの一休み —— 午前中は雲が多く,ときどき小雨が降るような蒸し暑さが戻ってきたが,午後になると「秋晴れ」になって空が高くなってきた.さわやかな風が吹き渡り,快適な昼下がりになったので,ずいぶん久しぶりに小野崎の〈Shingoster LIVING〉にちょっと顔を出して一休み.明日からしばらく夏休みだというので,土蔵の二階の一角で「ほうじ茶パフェ」をいただいて,と.つい先日までは,こんな時間帯は西日にじりじり焼かれるので,とてもふらふら外出する意欲は湧かなかった.それが本の数日のうちにここまで急に季節が変わってしまうとは予想しなかった.どっちにしても快適快適.よしよし.

◆日曜の夕方の加圧 —— 小野崎から歩いて帰ってきたら,音羽からメールが入っていた:「そろそろ文献リストの方をよろしく」とのことで,またまた夜は原稿仕事にいそしむことになった.まずは,文献リストの「口上書き」を書き始めたら,それだけですでに原稿4枚にもなった.ううむ…….「タグ」は10あまり定義したが,守備範囲が広すぎても狭すぎてもカテゴライズ機能を十分に発揮することができない.何度か試行錯誤して最後に「12」で決定した.

◆夜のこまごま —— 急に電話会議:計量生物学会の企画担当理事による電話会議は明日月曜の午後8時から一時間ほどと決まった.来月はじめの統計関連学会連合での段取りと,11月末に予定されている計量生物セッションの実施についての打ち合わせ.

◆夜風が涼しくなってきた.日中は季節をだませても,朝晩は素顔を隠せない.

◆本日の総歩数=10832歩[うち「しっかり歩数」4848歩/50分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=82.3kg(−0.5kg)/25.4%(+0.2%).


22 augustus 2009(土) ※ダーウィン・シンポの夜は雷雨

◆午前5時起床.曇りときどき小雨.蒸し暑いと思ったら,最低気温25.2度の熱帯夜だった.早朝の農環研に直行し,前夜の続きの日録書きを2時間ほど.午前8時にやっと六日分を書き上げてアップロード完了.ためると苦しい dagboek …….

◆朝のこまごま —— 来月早々の札幌出張の航空券・宿泊券など一式が届いた.しかし物入りですなぁ.お金も時間も.現代新書にかかりきりだが,進化学会の発表準備なんかな〜〜んにも手をつけていないぞ.ひょっとして「丸腰」で札幌に飛び込んで,ドロナワするつもりじゃないだろうな.その後に続く統計関連学会は発表がないからいいとしても,直後の動物衛生研究所の講義もあるし.来月以降のことはとりあえず今は考えないことにしよう…….

◆朝から不快指数が高い中,東京へ向かう —— 10:25発のTX快速に乗る.根津で下りて東大へ.つくばよりも蒸し暑さが上回っている.正午少し前に曇天の安田講堂に着いた.

◆正午ちょうどに安田講堂のゲートが開いたので,本日の主目的である,日本学術会議主催のダーウィン生誕200年記念公開シンポジウム 〈ダーウィンを超えて−21世紀の進化学〉の受付に向かう.シンポジウム開始は午後1時なので,まだ聴衆は集まっていない.今日ここに来た主目的は,何はさておき「安田講堂の中に入る」だ.前にも書いたが,かつての籠城事件以来,長きにわたって安田講堂はイベントに使える状態に戻らなかった.卒業式などの大学の公式行事に使われるようになったのは,ぼくが大学院を出てからかなり後のことだ.

外の蒸し暑さとは対照的に,安田講堂の中はひんやりと空調が効いていた.荘重な内装の雰囲気は神田の学士会館を連想させる.演壇のまわりに半円形に配置された一階席と二階席は合わせると千五百人くらいは入れそう.こういうホールに入ると「音響」のことが気になる.照明のことを考えたのか天井は意外に低い.あとで実際にシンポジウムが始まってみると,オーディエンス席と演壇とのやりとりがスピーカーを通さないと聞こえづらいところを見ると,視覚的にはまだしも,音響的にはイマイチな場所かもしれない.

午後1時過ぎにシンポジウムは始まった.一階席はかなり埋まっていたみたい.8人の演者の持ち時間はそれぞれ質疑込みの「20分」という猛烈に詰め込んだタイムテーブルだったが,すでに知っている演者ばかりだったので,むしろ各演者のこれまでの研究を「ダイジェスト版」として聴けたと考えればたいへんお得な講演会だったと思う.午後5時過ぎに終了.

◆安田講堂の外に出ると,夕方にもかかわらずまだ蒸し暑さが渦巻いていた.風すら吹かない.今日は寄り道も宴会もなく,つくばに直帰.午後6時半につくばセンター広場に立っていた.都内よりは多少しのぎやすい.天気は曇り./『進化学辞典』編集長さんからさりげなく加圧される.札幌で耳をそろえよ,と.いろんなところでそろえる「耳」をたくさん用意しないといけないな……./Barcode元締師が『植物分類学』と『植物系統学』の単著を出されるとの情報をいただいた.

◆往復車中読書 —— Peter Simons『Parts: A Study in Ontology』(1987年刊行,Oxford University Press, Oxford, xiv+390 pp., ISBN:0-19-824954-3 [hbk] → 目次版元ページ [pbk]).前半部分はメレオロジーに関する公理論的体系化.「部分-全体」関係というオブジェクトに関する半順序に基づく理論なので,集合論と対比させるとわかりやすいといえばわかりやすい.メレオロジーと集合論は終生のライバルなわけね:

In most applications of mereology the natural rival is some kind of set theory, and mereology is usually preferred, when it is preferred, for philosophical rather than mathematical reasons. (p. 101)

また,本書前半で論じられている「外延的メレオロジー(extensional mereology)」の公理化に関しても公理の組み合わせを半順序によって整理できる:

Algebraically, a merology is a partial ordering, but of a kind which has attracted little attention among mathematicians. The algebraic structure of a full classical merology is that of a complete Boolean algebra with zero deleted, which is a much richer structure. In between these two extremes there is much room for discussion and dissent. (p. 25)

ただし,Stanislaw Lesniewski が1916年に提唱したもともとの「メレオロジー」:Stanislaw Lesniewski (1916), Podstawy ogólnej teoryi mnogosci. I (Moscow)は,特有の用語や概念が難しそう.それにポーランド語の関連文献が何だかぞろぞろ出てくるし…….

第3章「Problems」で提起されている「3.3 The Flux Argument」での「occurrent / continuant」と,「3.4 Fourth Dimension」での「temporal dimension」は,いずれも現実問題として興味深い.※もちろん「形而上学的ドロヌマ」にはちがいないのだが.

—— しかし,今は自ら進んでずぶずぶと沈み込むのではなく,現代新書の文献リストの完成を急がないといけない.

◆午後9時を過ぎていきなり稲妻が光り雷鳴が轟く.ほどなく激しい雷雨が降り始め,一時は雹が混じったような落下音だった.その後もしとしと雨が降り続く.

◆本日の総歩数=8285歩[うち「しっかり歩数」2498歩/24分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前回比)=82.8kg(−0.4kg)/25.2%(−0.4%).


21 augustus 2009(金) ※今日も真夏日で原稿を書くのみ

◆午前4時半起床.曇り.夜明けがしだいに遅くなってきたことがわかる.気温24.1度.やや蒸し暑いか.

◆しばしのよそ見 —— Georges Perec の自筆原稿を読んでいるところ.この暗号表(クロスワードパズル)みたいな「言葉遊び」は楽しそう.Bernard Magné (ed.)『Cahiers Georges Perec 1: Colloque de Cerisy (Juillet 1984)』(1985年刊行,P. O. L., Paris, ISBN:2-86744-045-9)の巻末に載っている.

◆九年前に書いた書評を加筆して公開しました:ジョルジュ・ペレック[阪上脩訳]『考える/分類する〈日常生活の社会学〉』(2000年2月1日刊行,法政大学出版局[りぶらりあ選書],東京,vi+143pp.,本体価格1,800円,ISBN:4-588-02202-4 → 書評目次).

◆午後1時,曇り.気温は30.4度.しつこく蒸し暑いなあ.

◆本日の進捗 —— 午後3時半に音羽から加圧電話あり./午後4時半,「あとがき」400字×10枚弱を書き上げた.ついでに,ペレックの「分類アフォリズム」などをものして音羽に送信.ジョルジュ・ペレック,大活躍!/午後5時.再度音羽から電話あり./アビ・ヴァールブルク,満を持して登場.午後6時半にカバージャケット「裏」キャプションを書き上げる. 900字ほど.記憶術の魔術的降臨を見る./あとは「文献リスト」と「PR文」のみ…….

◆午後のこまごま —— 大阪府大から電話あり.中尾佐助の掲載許可が降りた./9月11日(金)午後4時半から農環研夏祭りの反省会(&飲み会も?),5階教養室にて.

◆クリストファー・アレグザンダー関連 —— クリストファー・アレグザンダーの論文「A City is not a Tree」(1965)がオンライン(part 1 | part 2)で読めるとは知りませんでした.「A City is not a Tree」をはじめ C. Alexander の著作は,十年以上前『生物系統学』を書いた頃に,さんざん読んだ記憶があります.つい最近,中谷礼仁『セヴェラルネス:事物連鎖と人間』(2005年1月25日刊行, 鹿島出版会, ISBN:4-306-04460-2 → 書評目次著者サイト)でもアレグザンダーの「セミラティス」を見ました.そういえば,二,三年前にICCで中谷さんたちと鼎談したとき,アレグザンダーの大著の翻訳を手がけていると彼から聞いたのですが,その後いったいどうなったんだろうか…….『生物系統学』でアレグザンダーのセミラティス論を取り上げたのは,ドゥルーズ&ガタリのリゾーム論を叩きつぶすための武器としてだったのですが.生物学者たちはけっして都市論には踏み込みませんから,けっこう新鮮でしたね.

◆近刊情報:速水格『古生物学』(2009年9月上旬刊行予定.東京大学出版会,ISBN:978-4-13-062716-0 → 版元ページ).

◆日録が実に「6日分」も滞ってしまった.午後10時過ぎに書きはじめたのだが,日が変わるまで書いてもぜんぜん終わらず…….※日記は溜め込んではいけませんよ.

◆本日の総歩数=5611歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.2kg(−0.4kg)/25.6%(+0.5%).


20 augustus 2009(木) ※組合役員の仕事が始まる年休日

◆午前6時半起床.これはもうみごとに二日酔いですなあ…….ただし,今日は年休を取っているので出勤する必要はない.曇りのち晴れ.南風が吹く.

◆昨日は都内で鯨飲してしまって,午前中はまったく使い物にならなかった.おまけに午後は組合の大会で夕方まで拘束されていたので,あまり生産的な年休日ではなかったな.更新していない dagboek はすでに五日目だ.こんなことは今までなかった.真夏日31.5度の午後1時から大わしの旧・蚕昆研へ.大会議室にて筑波地本定期大会.ごくフォーマルに議事は進み,午後5時前に終了.

◆夕方のこまごま —— 音羽から「未着の原稿をそろそろ」と加圧メール.うう…….とりあえず,カバージャケット「ウラ」の祈祷文から始めよう.それ以外の文章も明日までには書き上げるぞ.

◆夜の進捗 —— 午後の組合大会の間に,未完原稿群の構成を考えていたら,実にみごとにパズルのピースがカチッ!とはまり込むようにいいプロットができあがりそうだ.伏線の張り具合もいい感じだし(=わかる人にはわかる).伏線を張ることにイノチをかけてどーするという気もするが,まあ書き手の自己満足ということでお許しを.『系統樹思考の世界』でも実は伏線をたくさん張り巡らしてあるのだが,すべてのコードはまだ解読されていないはず.

◆きのう偶然にもジョルジュ・ペレック(Georges Perec)の本が三冊まとめて居室のダンボール箱から「再発見」された.前にずいぶん探したのだが行方知れずだった本たちだ.こういう偶然があるときはきっと「読んでもらいたい」と相手が望んでいるわけだから,その希望をかなえてあげる義務がある.

  • ジョルジュ・ペレック[阪上脩訳]『考える/分類する〈日常生活の社会学〉』(2000年2月1日刊行,法政大学出版局[りぶらりあ選書],東京,vi+143pp.,本体価格1,800円,ISBN:4-588-02202-4)
  • Bernard Magné (ed.)『Cahiers Georges Perec 1: Colloque de Cerisy (Juillet 1984)』(1985年刊行,P. O. L., Paris, ISBN:2-86744-045-9)
  • Jean-Michel Rayneud『Pour un Perec, Lettré, Chiffré』(1987年刊行,Presses Universitaires de Lille, ISBN:2-85939-318-8)

◆本日の総歩数=4483歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=83.6kg(−0.2kg)/25.1%(−1.2%).


19 augustus 2009(水) ※昼間は原稿執筆,夜は飲み会へ

◆午前4時半起床.東風が吹く.曇天.気温は22.6度で涼しい.

◆朝のこまごま —— 郵便局と銀行へ朝イチに.晴れると暑い今日この頃./交流センター分子系統学ワークショップの募集は8月25日からとのこと.ポスターのチェックをしたり,実習の段取りとか./大修館書店から発行されていた月刊『言語』が今年12月をもって休刊との情報が飛び込んできた.残念.

◆大阪府立大学の「中尾佐助」データベース —— 「インテルメッツォ」の中尾佐助関連の転載許可を取らないと取らないと./あれ,名称が変わっているぞ:大阪府立大学学術情報センター(旧・総合情報センター)./ちなみに,2004年師走に訪問したときと展示の仕方(場所も?)変わっているみたい:〈中尾佐助スライドデータベース〉./大麦の「動的分類」に関する中尾佐助論文(1940年代)は,原稿を見るかぎり印刷直前まで到達していたはずなのに(活字のポイント指定もなされている),けっきょく出版されなかったのは戦時中だったからか.京大の木原均の指導下でもう少しだったのにもったいない.

—— 下記のような転載許可願を昼前にメール送信した:

大阪府立大学学術情報センター学術情報課学術情報室
〈中尾佐助コレクション〉ご担当者さま:

三中信宏(農業環境技術研究所/東京大学)と申します.

本日は,貴センターにある〈中尾佐助コレクション〉に関しまして,来月出版される予定の私の近刊『分類思考の世界』(講談社現代新書)への転載を許可していただきたく,ご連絡をさしあげました.

書誌情報は下記の通りです:

【著者】三中信宏
【書名】分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか
【刊行】2009年9月20日刊行予定
【出版】講談社[現代新書2014]
【ISBN】978-4-06-288014-5
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090818/1249967244
【参考】http://cse.niaes.affrc.go.jp/minaka/files/SpeciesRIP.html

今回,貴センターに転載許可をお願いしたいのは下記の2件です:

  1. 2005年12月に出版の『中尾佐助著作集・第V巻:分類の発想』(北海道大学図書刊行会)の「月報5」に私が寄稿した下記の記事:三中信宏「書かれなかった「最終章」のこと:中尾佐助の分類論と分類学について」(月報5,pp.1-4,北海道大学図書刊行会)の全文.北海道大学出版会からの転載許可はすでに取りましたが,本文中に中尾佐助コレクション所蔵の原稿からの引用文がありますので,貴センターへの転載許可を願い出たしだいです.
  2. 2004年12月,貴センターに出向いて〈中尾佐助コレクション〉を閲覧したときに撮影させていただいた写真2葉.コレクション全体の写真と肉筆原稿のタイトルページの写真です.

許可依頼物件につきましては,本メールに該当章テキストファイルならびに写真画像ファイルふたつを添付いたしました.

以上,たいへんお手数をおかけしますが,転載許可をいただければ幸いです.編集作業の都合がありまして,できましたら来週始めまでにご返事をいただければたいへんありがたいです.疑問の点がありましたら,いつでもご連絡ください.

とりいそぎ,用件のみにて失礼いたします.

◆本日の進捗 —— 「著者紹介文」を音羽に送った./『のだめカンタービレ』でマーラー〈復活〉が登場するのは「第19巻」だった.この単行本も講談社から出てるのか.ラッキー.ハナシがつけやすい.『もやしもん』も講談社だし.こっちはすでにOKだろう./

◆日中は雲が多かったがとても暑くて30度近くあった.午後4時前に帰宅し,16:25のTX快速で東京へ.今日もよく飲んで午前さまになってしまった…….

◆本日の総歩数=11431歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=83.8kg(−0.1kg)/26.3%(−0.5%).


18 augustus 2009(火) ※ここに来て原稿作業が集中する

◆午前4時半起床.曇りのち晴れ.東風が強く吹く.気温22.1度.涼しい.昨日原稿を書きすぎて知恵熱?が出たのか,朝から頭が痛い.頭痛薬を飲んでみる.その後は残暑の夏空が広がって暑くなる.午前10時半の気温は28.0度.

◆午前のこまごま —— 今月末に改訂締切が迫っている生物学哲学論文集だが,自分の原稿だけでなく,もう一つの査読という仕事が積み上がった./東京農大の成績報告が来週に迫っている.少しずつ作業を進めることにした.まずは出席カードの管理から.おお,同一人物のはずなのに,週によって筆跡がころっと変わるんですねぇ…….※甘いよ.

◆本日の進捗 —— Willi Hennig (1982)『Phylogenetische Systematik』の「Semaphoront」と Daniele Rosa (1918)『Ologenesi』の「filomero」の図をスキャン完了.Haeckel の『Kunstformen der Natur』から Desmonema annasethe の図版も/これで,すべての図版(全45葉)がそろった.頁数の増分は22ページ.図なし本文が265ページあるので,「あとがき」やら「文献リスト」が入れば,もうまちがいなく『分類思考の世界』は300ページを越える厚さになるだろう.さて,次は図版のキャプションをさくっと書き上げないと.

◆きのう大岡山で井本さんからのいただきもの —— ジェイムス・ハーキン著[吉田晋治訳]『サイバービア:電脳郊外が“あなた”を変える』(2009年7月25日刊行,日本放送出版協会,302 pp.,本体価格1.600円,ISBN:978-4-14-081385-0 → 版元ページ).

◆届いた本たち —— 青木人志『日本の動物法』(2009年8月5日刊行,東京大学出版会,東京,xii+272 pp.,本体価格3,400円,ISBN:978-4-13-063330-7 → 版元ページ).献本ありがとうございました./石川雅之『もやしもん(8)』(2009年7月23日刊行,講談社[イヴニングKC171],ISBN:978-4-06-352272-3).

◆午後5時半から農環研分会室にて,次期執行委員の初顔合わせを1時間ほど.執行委員全員のポストが確定した.書記長であるワタクシがほとんど農環研にいないので(スタート当初の来月はたった3日しか出勤簿にハンコを押さない!),丸投げ仕事が多くなると思います.よろしく.明後日の全農林筑波地本定期大会の出席証を手渡された./その後,居室に戻ってゲラ仕事の続き.午後8時過ぎにやっと図版のキャプションを書き上げた…….キャプションだけで原稿用紙10枚分かよっ.どんどんふくれあがっているぞ.音羽に送信完了.

◆夜,吹き抜ける東風が涼しい.

◆本日の総歩数=7772歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.9kg(+0.2kg)/26.8%(+0.1%).


17 augustus 2009(月) ※都内徘徊先で原稿を書きまくり

◆午前5時起床.曇り.東風が涼しい.今日は全日年休.東京のあちこちで仕事をすませる.

◆晴れて暑くなったつくばを出発 —— 9:05発のTX快速で東京へ.ランセス・A・イエイツ(玉村八州男訳)『記憶術』(1993年6月10日刊行,水声社,東京,519 pp., ISBN:4-89176-252-7)を読みつつ.午前11時前に大岡山駅に到着.ここに来るのは初めてだ.日射しが強くてくらくらする.指定された北口商店街の〈珈琲館〉に入る.

◆本日の進捗 —— NHK Books の井本さんはすでに〈珈琲館〉に来ていた.挨拶もそこそこに原稿執筆開始.原稿が捗る最良の方法は担当編集者と「対面」してキーボードを打つことだ.昔の作家たちが“カンヅメ”されて隣室に編集者が待ち構えてというよりも「加圧度」ははるかに高い.実際,約2時間ほどダーウィン本の原稿を書き続け,400字詰にして10枚分を手渡す.プロローグと第3章はこれでおしまい.ほぼ燃えつきた…….次回は9月16日(水)に本郷〈ルオー〉にて,11:00〜.出版は年明けになりそうとのこと(でしょうねぇ)./その後,駅前で井本さんと別れ,ぼくは駅に隣接する東京工業大学・蔵前会館に入る.「大岡山」なのにどーして「蔵前」かというソボクな疑問はともかく,本日の本務である進化学会評議員会は13:00〜16:00に蔵前会館3階の手島精一記念会議室にて開催される.真新しい建物だ.評議員会は議題がとてもたくさんあって,たっぷり3時間半ほどかかった.これで大部分が灰と化した…….

◆残暑がきびしい夕方,大岡山から今度は小川町へ.午後5時半過ぎ小川町交差点角の〈エクセルシオール〉にて,講談社の川治さんと落ち合う.『分類思考の世界』の初校ゲラをどさっと投げ出しと図版ファイルの入ったUSBメモリーを手渡した.大仕事はこれにて終わったが,図キャプション,文献リスト,カバー裏キャプション,そして『本』PR文がまだだ.「分類思考」に対するぼくの立ち位置を明確にとのコメントがついたとのことで,これは「あとがき」に書くことにしよう.ワタクシはもう真っ白な灰の山になり……./しかし,まだ夜は長い.午後7時過ぎ,西日暮里の〈稲毛屋〉にて「悦凱陣」や「風の森」などを呑みつつ,ひつまぶしなどいただく.とてもうまかったが,アルコール作用によりほぼ完全に解体されてしまった.

—— 超高密度な一日だった.それでも午後10時過ぎという健康的な時間帯につくばセンターに降り立っていた.涼しい東風が吹いて「灰」はさらさらと舞い飛びそして消えていく…….

◆本日の総歩数=7550歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=83.7kg(0.0kg)/26.7%(+0.9%).


16 augustus 2009(日) ※諸般すべてがだだ遅れになって

◆午前5時起床.晴れて朝焼け.夜明け前は涼しい.雲が多かったが,そのうち夏空が広がってきた.

◆休日出勤 —— 午前7時過ぎにはもう農環研に入っていた.今日はひたすら画像スキャンの日.

◆本日の進捗 —— 早朝からの「お盆働き」の成果があって,午後1時すぎには現代新書用の図版(約50枚)のjpegファイルはすべてそろった.しかしキャプションがまだぜんぜん書けていない./守護神について.『系統樹思考の世界』はの守り神は歴史の女神クレイオーだったが,『分類思考の世界』はどうするか? 学芸の神ミューズでは守備範囲が広すぎるので,彼女たちの母親である記憶の女神ムネモシュネにしよう./明日,東京に出たら,大岡山で午前11時に別件ダーウィン本の「原稿」をわたすことになっているのに,ぜーんぜん書けていない! 車中もしくは面前で書き進めるということでお許しを.進化学会評議員会が始まる午後1時まで2時間あることが判明したので./進化学会評議員会が終わったら,『進化学辞典』の編集会議が引き続きあると三島からメールあり.ちょっとムリかも…….

◆『分類学の言葉』書評ふたつ —— John R. Gregg『The Language of Taxonomy : An Application of Symbolic Logic to the Study of Classificatory Systems』(1954年刊行,Columbia University Press[Columbia Bicentennial Editions and Studies]→ 目次)の書評:1) Carl G. Hempel (1956), The Journal of Symbolic Logic, Vol. 21, No. 4 (Dec., 1956), pp. 396-397 ; 2) R. F. J. Withers (1957), The British Journal for the Philosophy of Science, Vol. 8, pp. 171-172. (doi:10.1093/bjps/VIII.30.171).論理学や科学哲学での反響は当然予想されるところだが,生物学コミュニティでの「受容」がどうだったのか.George G. Simpson や David L. Hull が書いているように,完璧に疎外されていたというのが正しいか.落差が大きすぎてくらくらする.

◆合間に溜め込んでいた日録下記をすませてアップ.午後3時半に農環研を撤収.西日が強くて,気温は31.5度の真夏日.暑すぎる.夕方,ついビールなんぞを飲んでしまった.東風が涼しく感じられた.

◆本日の総歩数=4420歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前回比)=83.7kg(+0.4kg)/25.8%(−0.5%).


15 augustus 2009(土) ※秋の気配が漂って「お盆働き」

◆午前4時起床.晴れ.乾いた東風が爽快.朝焼けがことのほか鮮やかだった.

◆お盆働きの週末は溜め込んでしまった dagboek を記憶が薄れないうちに書き記しておかないと.3時間ほどかけて三日分を書き上げ,アッブロード.日記を溜め込んではいけません.

◆もちろんゲラ読みの続きも —— 掲載図版の挿入場所の指定をする.しかし,図版画像ファイルは研究所に行かないとどうしようもない.できれば各章の「扉」ウラにも図版を入れたいところだが.その前に本文の方を終わらせよう.こまごまのなかにも順番があるから.

◆守護神のこと —— 『系統樹思考の世界』では歴史の女神クレイオーだったが,『分類思考の世界』は誰に? 娘のムーサたちではちと守備範囲が細分化しすぎるので,その母親である記憶の女神ムネモシュネにお出まし願おう.よろしくお守りくださいませ.

昨夜,フランセス・A・イエイツ(玉村八州男訳)『記憶術』(1993年6月10日刊行,水声社,東京,519 pp., ISBN:4-89176-252-7)を読んでいて気づいたこと.本書のもとになった「ウォーバーグ研究所」って何?と思っていたのだが,「ヴァールブルク研究所(The Warburg Institute)」(→トップページ)のことだったのね?(ロンドンにあるからしかたがないけど英語読みしないでね) やっと気がついた.むねもしゅねー.

◆朝から残暑がきびしいが,湿度はそれほど高くないようだ.やけくそで鳴き続ける蝉たち.

◆午後3時に研究所に行く.気温28.9度.夏空がまぶしく,乾いて暑い.3時間ほど画像の準備をする.まだ終わらない.

◆夕暮れとともに気温は急降下.何だか大陸的.夕焼けが真っ赤なのは空気が乾いているから? 暗くなって東風が涼しさを運んできた.夜は快適.久しぶりに昆布豆を大量に炊いてみた.

◆本日の総歩数=4958歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.3kg(+0.1kg)/26.3%(+0.9%).


14 augustus 2009(金) ※熱帯夜が明ければミチューリン

◆午前4時起床.曇り.これほど蒸し暑い明け方はないと思ったら,最低気温が27.0度までしか下がっていなかった.残暑の熱帯夜はつらいなあ.

◆夜明けのルイセンコ,早朝の徳田御稔 —— ゲラ読みは限りなく続く.第7章から取り組む.ルイセンコ学説の内容についての付加説明.これはまあいいとして,「弁証法的唯物論とは何か」を読者に説明せよという査読意見はなかなかきついなあ.

◆午前のこまごま —— 来週の年休届.進化学会評議員会など予定が目白押しの8月17日(月)と筑波地本定期大会がある8月20日(木).

◆備忘メモ —— 『分類思考の世界』−講談社「BOOK倶楽部」の9月近刊リストに載ってました! もう逃げられないっ.同時に発売される他の3冊の現代新書は:加藤仁『定年からの旅行術』;高橋克徳『感情で職場は変わる』;斎藤環『関係する女 所有する男』.

◆昼前に第7章制覇 —— 弁証法的唯物論のドロヌマ.aufheben!・量質転換・否定の否定−魑魅魍魎がワラワラと出てくる.ほんの半世紀前の日本のことですよ.なんだかなあ…….冒頭で,メンデルとルイセンコを並べた.ルイセンコはあるエピソードでショスタコーヴィチとつながる.一方,遺伝学者グレゴール・メンデルの国葬(1884)で音曲指揮したのは若きレオシュ・ヤナーチェック.「1Q84」のちょうど1世紀前のことだ.残念ながら,〈シンフォニェッタ〉ではないけど.

◆昼休み,青空が広がり,残暑が厳しい.午後も暑さが続く.

◆午後4時半に第4章を制圧 —— メトニミーは部分から全体を連想させる修辞法.この関連づけは形而上学で言えばメレオロジーそのものであり,推論様式でいえばアブダクションと密接に関係する.この点について相当の加筆をした.さらに「心理的本質主義」に関すても1節分ほどの分量を書き加えた.

—— 本文はこれですべて終わった.次は,文献リストづくり.

◆間髪入れずに音羽からメールあり —— 担当編集者へのゲラ返却は,,8月17日(月)の午後5時に,場所は御茶ノ水の〈Tully's〉にて.そろえる「耳」たち:ゲラすべて・図版jpegファイル・文献リスト原稿・あとがき原稿・カバージャケット「裏」キャプション・『本』PR文原稿(400字×5枚).他に何かあったっけ?/もうひとつ.『分類思考の世界』は通巻番号で「2014」とのことなので,「ISBN:978-4-06-288014-5」ということになる.チェック・デジット検算はいつもの日本図書コード管理センターのcgiを使わせてもらった.

—— ということで,書誌情報がどんどん確定する:三中信宏『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』(2009年9月20日刊行予定,講談社[現代新書2014], ISBN:978-4-06-288014-5 → 目次コンパニオンサイト).

◆夕方のこまごま —— 生物多様性の映像制作取材は「8月27日(木)」で決定.時刻は午前9時から開始で,農環研にカメラが入るのは3時間くらいらしい./NHK Books 担当者との打合せは,8月17日(月)午前11時〜,大岡山・珈琲館にて.原稿書かないと……./こうして8月17日(月)は朝から夜まですき間なくびっしりと予定が組まれることになった.

◆午後5時撤収.気温26度台.トロピカルだった昨日よりは格段にしのぎやすい.夕焼けがきれいだった.すでにお盆休みの夏季休暇に入った職員が多いせいか,農環研の中はいつも以上に閑散としていた.個人的には,すでに30年以上にわたって「お盆休み・故郷帰省・お墓参り」という習俗から離れているので,この期間といえども単なる「ふつうの日」にすぎない.もちろん,規則の上では三日間の「夏季休暇」を取らねばならないのだが,そんなものは来月末の横浜国大での集中講義(平日三日間)にすべて当ててしまうのでないも同然だ.毎年毎年,年休が足りるか足りないかひやひやすることがあるが,すべては農環研がいまだに裁量労働制を取っていないからにほかならない.

—— そんなことよりも,現代新書の各章の「扉」に図版を入れてはどうかと思いついた.来月の出版までの残務はまだまだある.しかし,残された時間はそんなにない.

◆夜の読書 —— カバージャケット「裏」のために:パオロ・ロッシ(清瀬卓訳)『普遍の鍵』(1984年10月30日刊行,国書刊行会[世界幻想文学大系・第45巻],東京,371 + xxxxii pp., ISBN:4-336-02551-7).内扉には「ルルスからライプニッツにいたる記憶術と結合論理学」と記されている.もう一冊:フランセス・A・イェイツ(玉村八州男訳)『記憶術』(1993年6月10日刊行,水声社,東京,519 pp., ISBN:4-89176-252-7).「記憶術(ars memorativa)」は全世界の知識を「体系化」するもっともオカルト的な試行錯誤だった.それはまた,万物を「分類」する欲望の究極的な姿でもある.

◆本日の総歩数=7112歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.2kg(0.0kg)/25.4%(−0.3%).


13 augustus 2009(木) ※初秋の蟲たちがすだく夜明け前

◆午前4時起床.曇り空.東寄りの風が涼しい.気温22.5度.朝晩は秋めいてきた.夜明けまではすだく蟲たちの世界.ときどきヒグラシの声が混じる.霧雨がときどき降る.午前8時前にまたゆらりと地面が揺れた.

◆朝からゲラ読み —— 第6章は「プリンキピア・タクソノミカ」.種タクソンを「集合」とみなすか,それとも「個物」とみなすか,両者のスタンスをどのようにわかりやすく説明するか.加筆また加筆.

続いて「インテルメッツォ」.早田文蔵の「動的分類体系(das dynamische System)」に関して大幅に加筆した.早田といい,後継の中尾佐助といい,もっと体系的に書き残すべきだったと思う.あ,大阪府立大学総合情報センターへの転載許可をまだ取っていなかった.

◆夏空が広がる昼休み.気温は28.7度.残暑の暑さがこたえます.湿度も高くなってきたか.近畿日本ツーリストに北海道旅行の領収書に関する依頼ファクスを送信する.

◆午後もゲラ読み —— 第8章はカール・ポパーの「反証可能性」の基準が生物体系学に及ぼした歴史的影響について加筆.唯物論的弁証法がすでに「過去のもの」になったことは納得できるのだが,反証可能性まで「過去のもの」にしないよーに.『科学的発見の論理』くらいそろそろ文庫化しろよっ>どこかの出版社さん.

続く第9章は,Rolf Löther『Die Beherrschung der Mannigfaltigkeit: Philosophische Grundlagen der Taxonomie』(1972, VEB Gustav Fischer Verlag, Jena)から,「システム論」的な「種概念」についての補足説明をする.生態系(エコシステム)を例にとって「システム」なるものの概念を説明したのだが,それでよかったか.

今日のとどめの第11章. Theodore Sider『四次元主義の哲学:持続と時間の存在論』に登場する「四次元ワーム」が「種」問題の解決にどのように関わるのか.いくつかの図版を指定した.

◆午後5時過ぎに撤収.驚いたことに夕方にもかかわらず31.6度という高温状態が続いている.今日の最高気温はいったい何度だったのだろうか.曇り空で蒸し暑い.その不快さは夜になっても消えなかった.久しぶりの熱帯夜か.

◆残っているゲラは第4章と第7章のふたつだけ.いずれも難物の大物だが,明日中には決着をつけよう.

◆本日の総歩数=6481歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.2kg(−0.8kg)/25.7%(+0.2%).


12 augustus 2009(水) ※レトリックにもつれてゲラ読み

◆午前4時前に起床する.曇り.東寄りの風がとても涼しい.朝晩がしのぎやすくなってくれると,日中暑くても許してあげようと思う.気温は22.3度.いい感じ.

◆日中のこまごま —— しばらく放置していたメーリングリスト関連雑用をすませる.本日,〈TAXA〉の会員数が900名を突破した./気になっていた京大の連携併任の出講日の件.理学部の院生さんから連絡があった.昨年はちょうど今の時期に京都に行ったのだが,今年は来月以降の出講になるでしょうねぇ./組合の職場委員から9月1日(火)の分会定期大会の出欠について問い合わせあり.次期の執行委員なのでほんとうは定期大会の場にいないとダメなのだが,進化学会札幌大会に参加するため,この日は北海道への移動日だ.その後も統計関連学会大会(京都)が続くので,次に農環研に実在するのは9月10日(金)です.

◆近刊メモ —— 『Descriptive Taxonomy: The Foundation of Biodiversity Research』(2009年秋刊行予定,Cambridge University Press[The Systematics Association Special Volume], Cambridge).まだ書誌情報がまったく入手できない.

◆午前11時,夏空が広がり、気温は27.0度.からりと暑い.

◆ゲラ読む午後 —— 午後2時.まずは第2章の「公理化」の加筆を完了.Joseph H. Woodger『The Axiomatic Method in Biology』(1937)を読み直してみたら,しょっぱなに「精密科学の文章を綴る言葉は calculus すなわち axiom-system と呼ばれる」と書かれていた(p. 2).この時代の「calculus(代数)」という表現がもつニュアンスについての疑問は氷解した.『Principia Mathematica』の大波(「統一科学運動」)は分野を越えた「calculus」の構築として発現した.生物学(1937),文献系図学(1927),メレオロジー(1940).他にもあるかな?

引き続き,午後3時.第3章の「ソータル」と「時空的同一性」に関する加筆を完了した.形而上学的ドロヌマのほとりにたたずむ.David Wiggins とか,井上円了とか,丸田祥三とか,いろいろ.Wigginsの『Sameness and Substance』(1980)は前に読み込んだのだが,その earlier version にあたる『Identity and Spatio-Temporal Continuity』(1967)には,改訂版にはない「ソータル分岐」の図があったりして,興味深い.進化的種概念(ESC)の支持者たちならば,進化的同一性の援護射撃としてこの図を喜ぶにちがいない.

さらに,第4章に進む.ここでは「修辞学(レトリック)」にからみつかれる.補足説明かぁ〜.メタファーとメトニミーのちがいについて,集合論とメレオロジーと関連づけて簡潔に述べよ,ということ.そのまま対応づけて「メタファー=集合論」/「メトニミー=メレオロジー」でいこうかな.ぐずぐずしているうちに時間ばかりが過ぎていく…….

—— そうこうするうちに,音羽から電話あり.カバージャケットの意匠についての連絡.予定通り,エルンスト・ヘッケル画伯の『Kunstformen der Natur』から図版を選ぶとのこと.ワイドにして二枚並べるそうで.講談社,なかなかやるやん!/さらなる御下命あり.『本』10月号に『分類思考の世界』新刊宣伝のための文章を寄稿せよと.書かせる書かせる…….締切は8月27日(木),400字×5枚.

◆午後4時過ぎに撤収.湿度が低くて,東風が心地よい.そろそろ初秋の雰囲気が漂う.

◆夜のゲラ読み —— 第5章に入る.手直しすべき箇所はあまりない.アルチンボルドとモーニング娘。と種個物説について.どこまで高次のものまで「個物」とみなすかどうかはメレオロジーを動員するしかないでしょ.「superorganism」は場合によっては事故組織化の産物だが,「organism」のただの「集合」とみなして何がワルイ? アルチンボルドに関してs補足した上で,図版を付けることにした.

次は,飛んで第10章.これもさくっとおしまいにした.前著『系統樹思考の世界』ではプッチーニの歌劇〈トゥーランドット〉がBGMだった.これに対して,今度の『分類思考の世界』ではグスタフ・マーラーの第二交響曲〈復活〉が全編にわたるBGMとして指定されている.また,ところどころアルノルト・シェーンベルクの〈グレの歌〉の歌詞がライトモチーフとして引用されている.「愛と復活」−これが本書の中心テーマということ.

◆心地よい風が吹き渡る夜.どこまで続くゲラ読みぞ…….

◆本日の総歩数=8592歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=84.0kg(+0.4kg)/25.5%(−0.1%).


11 augustus 2009(火) ※地震と台風で新書タイトル確定

◆午前4時起床.曇り空だが,雲のすき間から半欠けの月がよく見えた.雨上がりの畑地をキジの雄が駆け抜ける.気温25.9度の熱帯夜.湿度は96.5%もあって夜明け前から不快指数が高い.豆台風が接近しているせいだろう.午前5時8分にゆらりゆらりと揺れる(静岡で震度6弱の大きな地震があったとのこと).

◆早朝のこまごま —— トド撃ちリストを月半ばにして更新した.最近は一ヶ月ごとではなく,半月ごとに更新して精神的な安定を求めようとしている.

◆フェイント台風 —— 台風接近に伴う兇悪な風も吹かず,空は明るい.昨日よりもむしろ静かな空模様で,雨もぜんぜん降らない.午前9時には晴れ間から陽光が差込む始末で,なんじゃこりゃという肩すかし.気温も湿度も下がりはじめ,明け方よりも日中の方がよほど過ごしやすくなってきた.天気予報を見ると台風9号は確かにいま関東の南海上を通過中なのに.

◆地震や台風よりもメレオロジー —— Henry S. Leonard and Nelson Goodman (1940), The Calculus of Individuals and Its Uses. The Journal of Symbolic Logic, 6(2): 45-55 を読む.ポーランド学派 Stanislaw Lesniewski を英語圏に紹介したとして有名な論文だが,Joseph H. Woodger や Alfred Tarski の先行研究を受け継いでいるわけですね.だったら,予想通り.この時代の「Calculus」ということばはまちがいなくRussell-Whiteheadの『Principia Mathematica』につながっているみたい.それだけ影響力が大きかったということか.集合論の半順序関係(「○は◎に包含される」)でいう「部分集合(subset)」と「真部分集合(proper subset)」に対応するのが,メレオロジーの半順序関係(「○は◎の部分である」)では「部分(part)」と「真部分(proper part)」となる.

◆類は友を呼ぶ —— 着便しました:Peter Simons『Parts: A Study in Ontology』(1987年刊行,Oxford University Press, Oxford, xiv+390 pp., ISBN:0-19-824954-3 [hbk]).David Wiggins のころならいざ知らず,さすがにこの時期ともなると,形而上学の業界でも「種個物説」はトピックのひとつとして取り上げられているのですね.本書でも Michael Ghiselin や David L. Hull の主張が後半の第9章「Integral Wholes」で検討されている.

◆午前10時.曇り,気温25.8度,湿度82.7度.その後,天気は回復し続け,正午前には正しい夏空に戻っていた,今回の豆台風の影響は結局なかったな.

◆午前のこまごま —— 来月の首都大学東京の「生物統計学」集中講義の履修者名簿が届いた.よろしくお願いします./進化学会の創立10周年記念事業である『進化学辞典』の編集会議が,評議員会と同日の17日に開催されることになった.この日はいくつかの予定が目白押しになっているので,段取りよくひとつひとつこなしていかないといけない.

◆ゲラ読みと作業進捗 —— 第1章のメレオロジーの加筆部分を進める.この新書の中では第6章で集合論とメレオロジーが「種問題」とどのように関わってくるのかを詳述しているので,第1章では set / member と whole / part のちがいを直感的に理解してもらうような記述を書き加えればよい.

作業中に音羽からメールあり.ペンディングだったサブタイトル案を提示してもらった.よさそうなので即決で確定した.メインタイトルはずっと前に決まっていたが,これでやっと「看板」を掲げることができる:三中信宏『分類思考の世界:なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』(2009年9月20日刊行予定,講談社[現代新書]→ 目次コンパニオンサイト).

オビに使用する図版については,エルンスト・ヘッケル『Kunstformen der Natur』から編集部の方でデザイナーさんとともに採用する図版を選んでもらうことになった.よろしくお願いします.Anna Sethe の名のついたゆらゆらしたクラゲも色っぽいですが(Frida クラゲはあんまり蠢惑的ではない),個人的にはヘッケルの卓越したデザイナー能力が発揮された甲殻類の彩色図版にしてほしいな.

また,カバージャケットの著者近影については,使えそうな候補をいくつか送ったところ,祇園での写真がベストということで確定.要するに,いま pagina のトップページで使っているやつです.

さて,次はカバージャケットの「裏」の図版.姉妹本である『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』では,「裏」の顔をアタナシウス・キルヒャーの「セフィロトの樹」にした.今回の新書もアヤシさからいえばそれに匹敵する「裏」の顔がほしい.有力候補としては,ジュリオ・カミッロ(Giulio Camillo)の「記憶の劇場(Teatro della Memoria)」かな.もっと魔術的なジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno)の「イデアの影(De Umbris Idearum)」も捨てがたいし.ま,要は,系統樹思考も分類思考も一皮めくればオカルト哲学が顔をのぞかせるというのが狙い目なのだ.

—— そんなこんなで,ゲラ作業の傍ら,小さな「堀」がどんどん埋められていく.

◆午後5時半に撤収.晴れところどころ曇り.涼しい東風が吹いて,朝の熱帯温室状態に比べれば,湿度もはるかに低めで快適.気温は26度台.

◆夜もゲラ読みと加筆は続く.午後10時,やっと第1章にケリをつけた.なんだかとても疲れました.しかし,未踏破ゲラはまだまだあるのだ.

◆本日の総歩数=5985歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.6kg(+0.3kg)/25.6%(−0.2%).


10 augustus 2009(月) ※豆台風が接近して風雨が強まる

◆午前5時起床.本降りの雨.気温25.6度.蒸し暑い.豆台風9号が北上しているようで,大雨洪水警報が関東に発令されている.しかし,午前9時過ぎには雨は小止みになって,空が明るくなってきた.

◆朝からメレオロジーを —— Peter van Inwagen『Material Beings』(1990年刊行,Cornell University Press, Ithaca, x+299 pp., ISBN:0-8014-8306-9 [pbk] → 著者サイト版元ページGoogle Book Search)を復習中.この本を読んだのは10年前のことだった(ちょうど『現代によみがえるダーウィン』を書いていたころ).van Inwagen は生物個体(organism)を範型例とみなし,part をもつための必要十分条件は whole が「生命(life)」を有することであるというきわめて説得力のある(というか生物学者なら納得する)メレオロジー説を提示した.いささか“変態的”な仮想例や思考実験に耽りがちな現代の形而上学者にしてはとても“健全”な考え方が魅力的だった.

要するに,“生きもの”だけが whole / part というメレオロジーの対象であって,それ以外の対象物にはメレオロジーは適用できないというのが van Inwagen の考えである.ただし van Inwagen の主張を通用させるためには,「生命をもつかどうか」という点を個々の例について明らかにする必要がある.たとえば,Michael Ghiselin の種個物説は種タクソンは whole であって個々の生物個体はその part であるとみなすメレオロジー説を展開してきた.van Inwagen 的に言えば,Ghiselin は種タクソンが「生命」をもつことを示さなければならないということだ.もちろん,Ghiselin ならばその論拠をいくつも並べ立てるにちがいない.しかし,そもそも「種タクソン」を whole とみなすその動機づけの論議にはつながらない.

—— van Inwagen 風に言うならば,「そもそもなぜ種タクソンがあるのか」というような設問をまじめにしなければならないということだ.※まったくもって「形而上学」ですなあ.

◆午前10時を過ぎて風雨は強まってきた.気温25.6度,不快指数高まる.

◆日中のこまごま —— 〈生物情報を解明するための統計数学的基礎理論とその応用〉の要旨原稿の締切が9月1日から9月8日に延ばされた./共済組合員証の検認のための被扶養者申告書などを耳をそろえて提出した./農環研分会の執行委員が共有する Yahoo! カレンダーに9月以降の出張不在予定を記入した.みごとなほど年内は農環研に実在しません! とくに9月なんぞたった「5日」しか農環研に来ない.元副委員長には「みなかさん,書記長は当局との接触が頻繁な役職ですが大丈夫ですか」と心配されたが,「無い袖は振れねえよ」ということで仕方ないんじゃないですか.

◆午後になって雨は小降りに,空も明るくなり,日も射してきたりして.しかし,午後4時過ぎに撤収して外に出たら,熱帯温室のようなものすごい湿気にくらくらしてしまった.気温は26度台なのでたいしたことないが,湿度が90%を越えるとこういうことになるのだろう.こんなことだったら雨が降ってくれた方がよかった.

◆夜,ゲラ読みの続き.第1章のメレオロジーの説明箇所で作業進捗が止まったままだが,何とか乗り切りたい.しかし,〈Stanford Encyclopedia of Philosophy〉のいくつかの項目に沈潜してしまい,またまた時間が.「砂山のパラドックス(the Sorites Paradox)」なんか変態きわまりないおもしろさですねえ.

◆夜遅く音羽からメールあり.そろそろサブタイトルを確定しましょうとのこと.『分類思考の世界』はとうの昔に確定しているのだが,サブタイトル『「種」よ安らかに眠りたまえ』がペンディングだった.「種」という表記がどうしても「タネ」を連想させるので…….ただし,内容から考えて「種」という言葉をはずすわけにはいかないのが,悩ましいところ.この新書はまちがいなく「種問題」を解決するために書いた本だからね.となると,正面突破するしかないか.けっきょく,日が変わってから,講談社編集部宛に「サブタイトル」案を四つ送った.オビの画像も明日送らないと(早田文蔵の高次ネットワークは先月の福岡伸一さんの新書用に供出してしまったし……).それから,今回もまたカバージャケット「裏」を使うのでそのネタもいるな.

◆本日の総歩数=5989歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.3kg(+0.3kg)/25.8%(+0.1%).


9 augustus 2009(日) ※ツクツクボウシが鳴く夜明け前

◆午前5時前に起き出す.曇り.この夏初めてツクツクボウシの鳴き声を聞く.毎夏このセミが鳴き始めると「残暑」になったことを思い知らされる.しかし,明るくなるとともにもっと優占する別のセミどもの騒音にかき消されてしまった.東風が心地よいが湿度は高い.早朝の農環研に向かう.気温23.7度.やはり先週金曜の落雷で一時的に全所停電していたらしい.冷たくなっていたパソコンやら点滅する時計のタイマー合わせをする.

◆朝のこまごま —— 「エピローグ」と「第12章」の加筆部分を音羽へメール送信する.もっとも大きなゲラ修正箇所はこれでおしまい.

◆備忘メモ —— Lynne R. Parenti and Malte C. Ebach『Comparative Biogeography: Discovering and Classifying Biogeographical Patterns of a Dynamic Earth』(2009年11月刊行予定,University of California Press[Series: Species and Systematics 2], Berkeley, US$31.96 (pre-publication price), ISBN:9780520259454 [hbk] → 版元ページ).著者のひとりである Malte Ebach さんからコンパニオンブログ〈the Comparative Biogeography Blog〉を開設したとのアナウンスあり./今年度の京都賞を受賞したガラパゴスフィンチ研究のグラント夫妻の講演会が東京でも開催される:2009年11月16日(月)14:00〜,東京大学理学部2号館講堂にて.演題は「Evolution of Darwin’s Finches」.

◆今日は強い夏の日射しもなく,比較的しのぎやすい日中だ.

◆午後もゲラ読みは続く —— 「プロローグ」,「エピローグ」,そして「第12章」の掲載図版もふくめてチェック完了.次は「第1章」に戻る.文中の引用文献の形式を統一しないといけない.形而上学に関する概念や用語が本章で初出するのだが補足説明をしてほしいとの編集者の意見.とくに,集合論の「set / member」の関係と,メレオロジーの「whole / part」の関係とを簡潔に比較説明するというのは,実は至難なことではないですか.形而上学(metaphysics)での「存在論」のドロヌマに入り込まないためにこの新書を書いたはずなのに,ここにきてずぶずぶと潜り込むはめになるとは…….

とりあえず,手元にあって,十年も前に読んだことがある文献をずらずらと並べてみる:

  • Eli Hirsch (1993), Dividing Reality. Oxford University Press, Oxford.
  • Peter van Inwagen (1990), Material Beings. Cornell University Press, Ithaca.
  • David Wiggins (1980), Sameness and Substance. Basil Blackwell, London → 目次.

Wiggins の本はすでに読み込んだので,van Inwagen をもう一度読み直してみたり.ついでに,〈Stanford Encyclopedia of Philosophy〉の「mereology」の項目を見直してみたり.Stanislaw Lesniewski (1916) をリバイバルさせた Nelson Goodman の「個体計算」の論文(1940)はすでに手元にある:Henry S. Leonard and Nelson Goodman (1940), The Calculus of Individuals and Its Uses. The Journal of Symbolic Logic, 6(2): 45-55.

◆蒸し暑さが残る夜,午後8時前にぐらりとひと揺れする.茨城県南部は「震度4」だったらしい.とくに被害なし.この建物は耐震措置が優秀で,相当な揺れでもものが落ちたりはしない.地震はいいのだが,南海上の温帯低気圧がいきなり「台風9号」に“特昇”したそうで,週明けは風雨が強まるらしい.心の準備というものがあるでしょうに.

◆本日の総歩数=2614歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.0kg(−0.3kg)/25.7%(−0.3%).


8 augustus 2009(土) ※帰省もせずゲラと対峙する週末

◆午前5時起床.昇る朝日が一瞬見えたが,すぐ雲がかかり,靄が立つ.蒸し暑い早朝.平熱に戻ったようだが,のどの調子はなおよくない.

◆世間的にはもう帰省ラッシュが始まっているという.「お盆に故郷へ」という人並みのことをしなくなって,もう30年になる.要するに,高校を出て関東に来てからというもの,定期的に京都に帰る習慣がなくなってしまったということだ.「お墓参り」というものも,この年月にわたって,まったくしたことがない.もちろん,京都駅南側の某所には「三中家代々之墓」みたいなものがあることは知っているが,四半世紀以上まったくご無沙汰している.だから,お盆に里帰りしてお墓参りというような話を聞くと,そういう風習がちゃんと生き残っているのだなあと「参与観察者」のような気分になってしまう.※渋滞・混雑,お疲れさまです.

◆朝からゲラ読みと加筆 —— 昨日の続き.「エピローグ」の空きニッチを埋める文章が意外にすんなりと書けてしまって,結局400字詰にして10枚近くになった(正午前).リーディングしてくれた評者は,最終章とエピローグのエンディングが重なっていて“拍手”のタイミングを失すると言ったが,その解決になっただろうか.連載時はひとまとまりのストーリーだったものの一部分をエピローグにもっていったために,フィナーレが「二分割」されてしまった印象を与えたのだと思う.修正では元通りのひとまとまりに戻し,空きニッチには全体鳥瞰的な歴史エピソードを配置することで色合いを変えてみた.これで,フィナーレの最後でちゃんと“拍手”をしていただければ著者としてはうれしいな.

◆新着本 —— 今野真二『振仮名の歴史』(2009年7月22日刊行,集英社[集英社新書0501F],222 pp.,本体価格700円,ISBN:978-4-08-720501-5 → 目次版元ページ).ずいぶん前に読んだ:屋名池誠『横書き登場:日本語表記の近代』(2003年11月20日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版863],ISBN:4-00-430863-1 → 感想)もそうだが,日本語表記の「変異」と「系譜」はとても興味深い.

◆午後も蒸し暑く雲の多い空模様が続く.計算センターにftp接続できなくなっているが,ひょっとして昨夜の落雷で停電でもしたのだろうか?

◆【種】の本がまとめてくるぞくるぞ —— 近刊予告されていた同一著者による【種】本が二冊まとめて予約購入可能になっていたのでさっそく発注完了:John S. Wilkins『Species: A History of the Idea』(2009年9月近刊,University of California Press[Series: Species and Systematics 1],Berkeley,320 pp.,ISBN:9780520260856 [hbk] → 版元ページ);John S. Wilkins『Defining Species: A Sourcebook from Antiquity to Today』(2009年近刊,Peter Lang Publishing[Series: American University Studies; Series 5: Philosophy, vol. 203], New York, ISBN:978-1-4331-0216-5 [hbk] → 版元ページ).

◆夜もゲラ読みと加筆の続きです.ハイ.明日も,明後日も,…….

◆本日の総歩数=4330歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.3kg(+0.1kg)/26.0%(+0.3%).


7 augustus 2009(金) ※真夏日の立秋に懲らしめの雷雨

◆午前5時前に起床.曇り.東風.気温は24.7度で蒸し暑い明け方.体調は昨日よりはましだがまだ本調子ではない.微熱が続いているようで,鼻とのどの調子も思わしくない.

◆備忘メモ —— 先日逝去された赤池弘次さんの論文集:Emanuel Parzen, Kunio Tanabe, and Genshiro Kitagawa (eds.) 『Selected Papers of Hirotugu Akaike』(1998年刊行,Springer-Verlag[Springer Series in Statistics], Berlin, viii+448 pp., ISBN:978-0-387-98355-4 [hbk] → 版元ページ).とくに,本論文集に所収されている「AIC」の初出論文は Google Book Search で全文をオンラインで読むことができる:H. Akaike 1973. Information theory and an extension of the maximum likelihood principle. Proceeding of the Second International Symposium on Information Theory, Budapest, Akademiai Kiado, pp. 267-281(→ Google Book Search).

◆のろのろな午前のこまごま —— 農大の成績評価は今月中みたい…….そろそろ腰を上げないといけないのだが,やっぱりまだ腰痛が./共済組合員証の検認のための提出書類はぜんぶそろった.提出締切の月曜に提出します.

◆朝から気温急上昇.午前10時にはすでに32.4度の真夏日になってしまった.湿度も高いのできわめて不快.体調も不調.きょうはもう使い物になりませんな.正午過ぎ,一瞬だけ雷鳴が轟いた.嫌な予感.

◆近刊予告 —— Edmond Perrier[translated by Alexander McBirney]『The Philosophy of Zoology Before Darwin: A translated and annotated version of the original French text by Edmond Perrier』(2009年9月刊行予定, Springer-Verlag, Berlin, ISBN:978-90-481-3008-5 [hbk] → 版元ページ).ダーウィン以前の動物学史(とくに進化学史)の本.上記の版元ページにはフランス語原書の情報がなかったので調べてみたところ,この本であることがわかった:Edmond Perrier『La philosophie zoologique avant Darwin』(1884年刊行,Felix Alcan, Paris, xii+288 pp. → Gallica site).一世紀以上前の本だったんだ.この仏語原書は,上記の Gallica サイトで全ページが電子化公開されている.

◆午後,現代新書のゲラ読みと加筆を進める.しかし,とろとろしていてぜんぜん話にならん.午後5時過ぎに撤収しようと外に出たら,兇悪な雲行きで雨がぼたぼたと降り出した.これはヤバいと走りはじめたら,いきなりの雷雨が襲ってきて視界がぜんぜん見えなくなった.稲光が走り,雷鳴が轟く.何とか帰宅したものの午後7時すぎまで2時間ほど降り続き,そこら中が水浸しになった.暦の上では立秋なのに,今日はこの上もなく正しい「真夏の一日」だった.雷雲が去ってその後は曇り空.蒸し暑さはそのまま置いてきぼりだ.

◆帰宅後は,エピローグの加筆原稿を書き進める.4枚ほど書いてそろそろリミットに近づいた.1960年代の民俗分類学が予測する体系学の将来像.ヴンダーカマーからミュージアムへの転換,記載の科学から分類の科学への進展,そして自然誌が引き起こした“重力崩壊”がいずれも「18世紀」で同期していることの意味.枚数増えそう.

◆夜の頼まれごと —— 来年の冬学期に玉川学園で「分子系統進化学」の講義を担当しないかという打診あり.冬学期はすでに駒場の生物統計学の講義が入っているので,それに引っ掛けて「一日二コマ」いってみるかぁと「OK」の返事を即座に返してしまった.しかし,あとで所要時間を検索してみたら,つくばから玉川学園まではたっぷり2時間かかり,しかも農学部は駅からとても遠い!ことが判明した(今さらなにを).ま,何とかなるでしょ.来年のことだし(ホンマかっ).

—— つくばとの往復通勤がそろそろきつくなってきたので,都内に「別宅」を用意しようかな(問題あるかな).

◆寝ながらだらしなく読み進む本 —— 四方田犬彦『先生とわたし』(2007年6月20日刊行,新潮社,238 pp.,ISBN:978-4-10-367106-0 → 目次版元ページ).第2章まで読了.せりか書房,えらい! 今日はこれでおしまい.病み上がりな体調はなお続く.

◆本日の総歩数=6402歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.2kg(+0.1kg)/25.7%(+0.7%).


6 augustus 2009(木) ※ゲラに翻弄されて知恵熱が出る

◆午前4時前に起床.曇り.東風.気温23.2度.夜明け前の薄明のなか,ヒグラシの合唱が耳に残響する.

◆[現代新書ゲラ] —— 目次構成の「部」は除去して階層をフラットにすること(現代新書のフォーマットに抵触するので).謝辞を含む「あとがき」を用意する必要がある.エピローグの一節分を最終章に移動したら,空きニッチを埋める文章を書かないとバランスが悪いか.

◆早朝の確定 —— 研究交流センター〈分子系統学ワークショップ〉の最後の講師予定者から「OK」の返事が返ってきた.これで当初のもくろみ通りの講師陣を配置することができることになった.個別のリクエストを勘案して,日程・時間帯の微調整をした結果,下記のようなスケジュールで,今年のワークショップを開催することになった.

第141回農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉

【元締】三中信宏(農業環境技術研究所)
【期間】2009年11月4日(水)〜6日(金)
【場所】情報通信共同利用館(電農館)3階 セミナー室
【主催】筑波農林研究交流センター、農業環境技術研究所
【対象】産学官研究者
【募集】30名(予定)
【日程】下記の通り

□11月4日(水) ——

  • 09:30-11:00[講義]「生物系統学概論」三中信宏(農業環境技術研究所)
  • 11:00-12:00[講義]「生物統計学概論」三中信宏(農業環境技術研究所)
  • 13:00-15:00[講義・実習]「系統ネットワークの理論と応用」斎藤成也(国立遺伝学研究所)
  • 15:00-17:00[講義・実習]「ゲノム情報の探索と配列のアラインメント」伊藤剛(農業生物資源研究所)

□11月5日(木) ——

  • 09:00-10:00[講義]「系統推定論」三中信宏(農業環境技術研究所)
  • 10:00-12:00[講義・実習]「分子進化モデル選択論」田辺晶史(筑波大学)
  • 13:00-15:00[講義]「分子進化学と分子系統学」岸野洋久(東京大学)
  • 15:00-17:00[講義・実習]「〈MEGA 5〉を用いた分子系統解析」田村浩一郎(首都大学東京)

□11月6日(金) ——

  • 09:00-10:30[講義・実習]「分子系統樹に基づく共進化の分析」川北篤(京都大学)
  • 10:30-12:00[講義]「最尤法を用いた魚類の大規模系統解析」宮正樹(千葉県立中央博物館)
  • 13:00-15:30[実習]「系統推定ソフトウェア演習」田辺晶史(筑波大学)・三中信宏(農業環境技術研究所)
  • 15:30-17:00[討論]「分子系統解析のトラブル・シューティング」三中信宏(農業環境技術研究所)・田辺晶史(筑波大学)

—— 講師予定者には日程など確定した内容について連絡した.また,近いうちにコンパニオンサイトを開設して,昨年と同様に,講義資料の事前配布とソフトウェアのダウンロード情報についても公開していく予定だ.実際の参加者募集は近々アナウンスします.昨年も定員の4倍もの応募者がありましたが,今年はどうなるでしょうか.[とりあえず,上記の確定内容は Tumblr に貼付けました.]

◆蒸し暑い午前中.曇りときどき霧雨.午前10時半の気温は26.2度.体調がよくない.熱が出てくる前兆のような.

◆献本ありがとうございます —— キム・ステレルニー,ポール・E・グリフィス著[太田紘史+大塚淳+田中泉吏+中尾央+西村正秀+藤川直也訳]『セックス・アンド・デス:生物学の哲学への招待』(2009年7月25日刊行,春秋社,xii+308+42 pp.,本体価格4,700円,ISBN:978-4-393-32323-6 → 目次版元ページコンパニオンサイト).翻訳出版おめでとうございます.お疲れさまでした.「全訳」ではないらしいが,活字にならなかった章についてはコンパニオンサイト(未開設)で追ってオンライン公開するそうなので,結果的には全訳ですね.ピンク色のカバージャケットに『セックス・アンド・〜』と書かれていれば,おばかな書店だったら,予期しないコーナーに並べてしまうかもしれなし,予期しない客がまちがって手にするという予期しない出会いがあるかも知れないが……(ついでに予期しないで買ったら?).

◆今日は長居してもしかたがないので,午後4時前にさっさと撤収する.曇って蒸し暑い.帰宅して体温を測ってみたら「37.6度」もあった.これはもう微熱ではなく,正しい病人ですね(鼻とのどの調子もゼツアクだし).湿った東風に吹かれつつ横たわる夕刻の黄昏時.

◆病んだときに読む本 —— 四方田犬彦『先生とわたし』(2007年6月20日刊行,新潮社,238 pp.,ISBN:978-4-10-367106-0 → 目次版元ページ).第2章の中程まで読み進む.昔の駒場キャンパスはこういう感じだったんですねえ.なつかしいような,それでいて世界が狭いような.ぼくの場合は駒場寮にずっといたせいもあり,日常生活が「駒場村」の中ですべて完結してしまっていた記憶がある.週に2回,オーケストラの練習で本郷の第二食堂のホールに出向くのが「村」を出る数少ない機会だった.

◆夜になってもずっと37度台の熱が続いた.これはもうじたばたしないで早寝するしかないねー.

◆本日の総歩数=6119歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜○.計測値(前回比)=83.1kg(−0.6kg)/25.0%(−0.2%).


5 augustus 2009(水) ※初校ゲラの着弾により微熱状態

◆午前4時前起床.曇っているが東の空は明るい.南風が吹き込む.気温は23.5度.やや蒸し暑い.夜明け前の研究所に直行してごそごそする.

◆備忘メモいろいろ —— 〈府川充男『聚珍録』データベース〉.府川充男(撰輯)『聚珍録(全3冊)』[第一篇 字體 1,096頁/第二篇 書體 1,168頁/第三篇 假名 1,072頁](2005年2月23日刊行,三省堂,本体価格45,000円,ISBN:978-4-385-36232-8 → 版元ページ)の所収図版のデータベース.ただし,テキスト部分は含まれていない.この『聚珍録』は,ときどき「何としても買わないと!」という欲望が突発的に湧きあがる本.そのうち,きっと……./Ronald Balhan and Rob van Drie『Je Stamboom op de computer: Ontdek je familieverleden』(2007年刊行[CD-ROM付],A. W. Bruna, ISBN:978-90-229-5771-4 → Google Book Search).家系図を描くソフトウェアの解説本.ヨーロッパではときどきこういうジャンルの本が出版されているようだ.家系図オタクが多いのか,はたまた家系図が文化的に定着している証か.

◆蒸し暑くなってきた午前中のこまごま —— 10時半から領域会議.うっかり15分ほど遅れてしまったらもう誰もいなかった…….速攻で終わってしまったのか./近畿日本ツーリストより来月始めの北海道出張の航空券・滞在費などの見積書と請求書が送られてきた.おお,10万円の大台ですかっ.高いようにも思えるが,中南米に行けば30〜40万円は吹っ飛ぶのでそれに比べればかなり安いことは確かだ.領収書の発行をファクスで申し込まないといけない.

◆ゲラが届く昼下がり —— 不快指数がさらに高くなった午後2時,TXつくば駅改札で講談社の担当編集者と落ち合う.そのまま〈なかやま〉にてミーティング.まずは『分類思考の世界』の初校ゲラの「束」を渡される.要修正箇所が次々と指摘され,そのつど付箋紙の幟が立つ.ひらひらとはためく幟の林立を眺めるにつけ,先はまだ長いかな.しかし,もうレールのうえに乗ってしまったので,あとはカチカチと歯車がまわるように作業を進めるしかない.今後のスケジュールは下記の通り:

  • 【8月10日(月)】サブタイトルの確定.オビとカバージャケット裏の図柄の選定.
  • 【8月12日(水)】解題付きブックガイドを送る.
  • 【8月17日(月)】初校ゲラの返却.このときに掲載図版群もぜんぶ渡す.
  • 【8月24日(月)】再校ゲラ(図版入り)が出るのでチェック.
  • 【8月31日(月)】無事に校了.※あとはよろしくよろしく.
  • 【9月20日(日)】めでたい出版日.※実際は19日(土)に配本らしい

とまあ,こんな感じでことは進んでいく.カバージャケットの色調は『系統樹思考の世界』に合わせてもらうことになった.

◆午後3時過ぎに打合せを終えたのち農環研に戻る.蒸し暑さはなお続く.どうやら夏風邪をひいてしまったようだ.

◆夕方のこまごま —— 分会次期執行委員の初顔合わせは8月18日(火)午後5時半から分会室にて.

◆【訃報】「AIC」の生みの親である統計数理研究所元所長の赤池弘次さん(享年81歳).「お別れの会を後日開催する予定であり、詳細は追ってお知らせいたします」と統数研からのアナウンスあり.

◆夜になって37度台前半の微熱が続く.今夜は東風がとても心地よいが,体調的にはぜんぜんよろしくない.

◆本日の総歩数=10010歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.7kg(−0.1kg)/25.2%(−0.2%).


4 augustus 2009(火) ※De occulta genealogia の覚醒

◆午前4時前に起床.ときどき弱い霧雨が降る.気温22.3度.やや蒸し暑い.のち曇りときどき晴れ.相変わらず東風が強い.

◆ダーウィン新刊伝記,献本ありがとうございます —— 松永敏男『チャールズ・ダーウィンの生涯:進化論を生んだジェントルマンの社会』(2009年8月25日刊行,朝日新聞出版,東京,viii+321+x pp.,本体価格1,400円,ISBN:978-4-02-259957-5 → 目次).思っていた以上に部厚いダーウィン伝だった.あとがきを読むと,原典資料を確認しながらの執筆に思いのほか時間がかかったと書かれている.版元サイトにはまだ新刊広告が出ていないので,実際に書店に並ぶのはもう少しあとだろう.

◆もう一冊のダーウィン本は9月近刊の『種の起源』新訳 —— チャールズ・ダーウィン[渡辺政隆訳]『種の起源(上)』(2009年9月8日刊行予定,光文社[古典新訳文庫],東京,ISBN:9784334751906).「本やタウン近刊情報」から知った.文庫だと岩波と同じく二巻本になるのかな.

◆「追記」された書評 —— 四方田犬彦『ハイスクール1968』(2004年2月25日刊行,新潮社,255 pp.,ISBN:4-10-367104-1 → 目次版元ページ[新潮文庫])の書評を公開した際に下記の「追記」を付けた.

[追記]著者は,1969年当時の「高校紛争」についてはこれまでほとんど何も記述もないと述べている.たとえば,最近出たきわめて大部な本:小熊英二『1968』(上・下,2009年7月7日/8月7日刊行,新曜社,ISBN:978-4-7885-1163-7 [上] / ISBN:978-4-7885-1164-4 [下] → 版元ページ)の下巻には高校紛争の章があるらしい.もっとも,この時期の大学紛争・高校紛争の基礎資料については,府川充男さんが運営している〈築地電子活版〉の「図書外装設計」にコンパイルされている資料群を参照するのがより直接的だろうと思われる,(とくに「1965-1969」と「1970-1974」など).

見た[と信じている]ものからその背後に実際にあったものを推測するということはいつでも難しい作業である.四方田犬彦が高校生だったときに「見た」ものの背後には,もっと別の光景が広がっていたということなのだろう.秘められし系譜はまだその全体が明らかにはなっていないわけですね.

◆午前11時,曇り.気温26.9度.蒸し暑い.

◆日中のこまごま —— 8月5日(水)10:30〜,領域会議./東京農大の成績報告用紙が届いた./またも数日遅れたが,メーリングリストの月例アナウンスを流す.

◆午後5時撤収.雲が多い空だが,西の空は夕焼けが鮮やかだった.

◆勢いで続編もかたづけて —— 四方田犬彦『歳月の鉛』(2009年5月20日刊行,工作舎,東京,342 pp.,本体価格2,400円,ISBN:978-4-87502-419-4 → 目次版元ページ).読了.前著『ハイスクール1968』の後半部分の基調となる陰鬱な色合いがそのまま本書に引き継がれているようだ.たとえて言えば,ひたすらクラくてとても長いショスタコーヴィチの後期交響曲(10, 11, 12番あたり)をBGMで延々と流され続けている心地がする.とくに,前半部分の内省的というか内向的な時期は,「ノオト」の内容もよくわからないし,対外的にも“闇”しか見えない.修士論文を書く過程で,著者を取り巻く内外の雰囲気がしだいに明るくなってきたようにみえるのが唯一の救いか.2年前に初台のICCで鼎談したパネリストのひとりの名前を本書の意外な箇所で発見してびっくりした.

—— さて,四方田「日録」は本書のあと,さらに:四方田犬彦『星とともに走る : 日誌1979-1997』(1999年2月20日刊行,七月社,東京,373 pp.,本体価格2,600円,ISBN:4-87944-019-1 → 目次)へとつながっていくのだが,やや読み疲れたかもしれない.駒場の中での師弟関係をめぐっては:四方田犬彦『先生とわたし』(2007年6月20日刊行,新潮社,238 pp.,ISBN:978-4-10-367106-0 → 目次版元ページ)も補間的なのだが,さらに疲れそうで…….ちょっとお休みをいただきたいなあ.

◆明日の午後に『分類思考の世界』のゲラが届くことになっている.さらなるトドの増殖の予感.

◆本日の総歩数=6783歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前回比)=83.8kg(−0.5kg)/25.4%(−0.7%).


3 augustus 2009(月) ※久しぶりの真夏日は都内を徘徊

◆午前4時前に早々と起床する.東風が吹き抜ける夜明け前.曇っているらしい.東京への持ち物の用意と服装も.ネクタイは久しぶり.

◆東京へ —— 午前6時半,連れ立ってつくば駅へ.曇ってもう蒸し暑い.6:57発のTX区間快速に乗る.新橋の駅前に立ったのは午前8時過ぎだった.目的地であるビルのロビーで関係者が集結し,午前9時前に会長室に向かう.会見は40分ほどかかった.その後,関係者たちは場所を移して打ち合わせを続けることになった.

◆久しぶりに不快指数の高い日.これが平年並みなんだろうけど,よりによってこんな服装のときに真夏日になるなよっという気がする.丸の内のオアゾ丸善を久しぶりに探索する.本を買うのはほとんどすべてオンライン書店になってしまったが,実物をいろいろ触れるリアル書店の展示棚の間を徘徊する楽しみはここでしか味わえない.Alan Sokalさんの新刊?を出版されて一年も経ってからやっと手にしたりする:Alan Sokal『Beyond the Hoax: Science, Philosophy and Culture』(2008年刊行,Oxford University Press, ISBN:978-0-19-923920-7 [hbk] → 版元ページ).500ページもある大著だった.

ついでに形而上学本の収穫もあった:Kathrin Koslicki『The Structure of Objects』(2008年刊行,Oxford University Press,ISBN:9780199539895 [hbk] → 版元ページ).メレオロジーに関する新刊だが,種個物説(species-as-individual thesis)に関する章が設けられている.要入手.形而上学者がもっと【種】問題にコミットしてくれると,議論の様相はだいぶ変わってくるにちがいない.かつて,Jack Wilson『Biological Individuality: The Identity and Persistence of Living Entities』(1999年刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xii+137pp. ISBN:0-521-62425-8 [hbk] → 書評・目次)が,哲学者は仮想例や思考実験にばかり目を向けていないで,現実の生物をもっと見るべきだというような発言をしていたことを思い出した.

◆午前11時に勝どきにある〈晴海グランドホテル〉へ.駅から炎天下をしばらく歩くのはつらかった.午後4時前まで静かに仕事をする.部屋からインターネット接続できたので,作業が進捗した.『分類思考の世界』の文献リストのカテゴライズを完了した.ホテルをあとにして外に出たら,西日がじりじり暑かった.勝どきから新御徒町へ,そしてTXでつくばへ.帰り着いたのは午後5時半だった.日中の暑さがまだそのままとどまっているつくばセンター界隈.

◆ホテルから発注 —— Kathrin Koslicki『The Structure of Objects』(2008年刊行,Oxford University Press,ISBN:9780199539895 [hbk] → 版元ページ)はアマゾンに発注.メレオロジー関連の別の本:Peter Simons『Parts: A Study in Ontology』(1987年刊行,Oxford University Press,xiii+390 pp., ISBN:0198249543).この本はのちにペーパーバック版としてオンデマンド復刻出版されている:Peter Simons『Parts: A Study in Ontology』(2000年刊行,Oxford University Press,xiii+390 pp., ISBN:0199241465 → 版元ページ)が,価格がめっちゃ高い.幸いAbeBooks でハードカバー初版のディスカウント購入ができることがわかったので,即座に発注完了.こういうときはためらいはいっさい無用である.とにかくまず買うこと.後悔はあとでゆっくりすればいい.

◆夜のこまごま —— 音羽から連絡あり.『分類思考の世界』の初校ゲラは週明けに出るという.8月5日(水)の午後2時につくばにもってくるというので,待ち合わせの調整など./勁草書房の寄稿原稿の改訂を今月中に完了させるべしとの元締めの御下命あり.

Twitter だけでは飽き足りないワタシ —— Tumblr にも手を伸ばしてしまいましたとさ.「140字」制限がないのがうれしいな.ついでに Tumblr → Twitter の連携も構築したので,これからはTumblr の dashboard だけ見ればいいことになる.

◆明日は平常労働日なので農環研に実在します.

◆本日の総歩数=10512歩[うち「しっかり歩数」1035歩/10分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=84.3kg(−0.3kg)/26.1%(+0.6%).


2 augustus 2009(日) ※今日も涼しく本を読み進むのみ

◆午前5時半起床.曇り.東風が涼しい.夏ではない.

◆午前中は溜め込んでいた日録を記す.紙片メモに書き留めてあるので,書くべき項目を書き落とすことはないのだが,日によってはメモ用紙がびっしりと埋め尽くされることがあり,できればその日のうちに書き記しておきたいとは思うが,なかなかそうは問屋がおろさない.今後,リアルタイムな備忘メモはそのつど Twitter に書こうと思う.「最大140字」という束縛がときどき苦しくなるのだが.

◆昼過ぎ,霧雨がさらさら降る中,中央公園の〈つくいち〉に出かけてみる.いつもは行列ができるのだが,こういうぐずついた天気だし,時間も時間なので,行列はまったく伸びていなかった.〈nachu café〉の屋台でバゲット・サンドを買う.

◆昼下がりの読了 —— 四方田犬彦『ハイスクール1968』(2004年2月25日刊行,新潮社,255 pp.,ISBN:4-10-367104-1 → 目次版元ページ[新潮文庫])の第6章以降を最後まで読了.教駒での高校紛争以降,長調から短調に転調するように,物語りの調子はしだいに陰鬱になってくる.独り語りの本なので,もとよりルポルタージュのような客観性を求めてはいない.むしろ自伝的小説として当時の雰囲気がどれくらい生き生きと描かれているかという点にぼくの関心はある.それにしても,著者自身の行動や感性といい,取り巻きの同級生たちの言動といい,自分自身の過去(たとえば「前口上」に書いたようなこと)に照らしてみても,「アナザー・ワールド」という印象をもたざるを得ない.ぼくが駒場にいたときも,その手の学生たちは群れていたのかもしれないが,どーぞ好きにやってくださいという感じで,接点はほぼゼロだった.むしろ,駒場寮で生活していた2年間に体感できた「かつての時代」の遺産の方が印象が強かったかもしれない.駒場キャンパス内ではすでに絶滅したであろう精神が,前世紀の駒場寮の中では relict のように最後まで残存し続けたのだろう.

—— 著者の体験したことと多少とも重なりがある読者ならば,この自伝に書かれてある内容に対して共感と反感を覚えるにちがいない.「四方田ナンバー」が小さいほど読後の共感と反感のズレは大きくなるだろう.その一方で,共感も反感もしない(すなわち「四方田ナンバー」が小さい)ちがう世代の読者がいるかもしれないことは著者はおそらく眼中に置いてはいないのだろうと思う.

◆年休をとる明日の予定 —— 午前6時半につくばセンターに集合.そのままTXで東京に出てミッションを遂行する.その後,打ち合わせなど.以上,連絡があった.

◆午後になって晴れ間が出てきたが,日没後は再び下り坂の空模様.夜遅くなって雨が降り出した.梅雨に逆戻りしたかのよう.

◆本日の総歩数=2855歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=84.6kg(+1.2kg)/25.5%(−0.2%).


1 augustus 2009(土) ※冷夏の八月はじめは立教大学へ

◆午前5時半起床.曇り空だが東の空からは昇る朝日がのぞいている.あいかわらず東風が強くて,肌寒いほど.こんな気温で8月を迎えていいのだろうか.

◆早朝のこまごま —— 日本学術会議主催のダーウィン生誕200年記念公開シンポジウム 〈ダーウィンを超えて−21世紀の進化学〉のオンライン参加登録をうっかり忘れていた.8月22日(土)13:00〜17:00,東大・安田講堂にて.

備忘メモ —— 「安田講堂」の私的な記憶は「廃墟」に始まる.1976年に東大に入学したとき,安田講堂はかつての大学紛争の戦史をとどめる廃墟としてそのままそびえ立っていた.もちろん「外側」はよくTVなどに映されていたほどしっかりしていたが,その「中側」は大学の公式行事に使える状態ではとてもなかったという.ちょうど原爆ドームみたいな“史跡”と同列だった.

本郷に移ってから,何かの用事(オーケストラ関係だったか)でたまたま安田講堂の中に入る機会があった.高い天井の下,周囲を取り巻く円形のひな壇にずらりとポリタンクが並べられている光景を今でも覚えている.単なる「廃墟」から脱却して,大きな「倉庫」として利用されていた時期だったのだろう.その後,「中側」はしだいに整備され,今では卒業式など公式行事に利用されるまでになっている.

—— 今度のダーウィン・シンポジウムでは,講演会とともに安田講堂の中に入れるということそれ自体が個人的にはとても魅力的だ.

◆午前のうちに青空が広がってきた.日射しは強そうだが,上層階では涼しい東風が吹き抜けている.湿度が低いのがうれしいな.

◆「夏薫る冷やしトマトラーメン」という快楽 —— 昼は,久しぶりに竹園の〈Ben-Bella〉に行った.中毒的ラーメン主義者ではないので,特定のラーメン屋に通いつめることはほとんどないのだが,ここ〈Ben-Bella〉だけは例外かな.

外は日射しがぎらぎらしているものの,ちっとも真夏らしくない気温だ.しかし,ここはやはり夏限定ラーメンをということで,躊躇なく「夏薫る冷やしトマトラーメン」を注文した.平麺に冷たいスープ.スープはひき肉とトマトが主体で,酸っぱさはぜんぜんなく,やや粘りがあって平麺によく絡む.レタスが周囲に散らされていて見た目も夏向きだ.ど真ん中にトッピングされているのは半熟卵で,これを崩しながらいただくと,トマトと黄身が混ざってまろやかになる.これまたいつも注文する「つるんこ水餃子」をつまみながら麺もスープも完食した.久しぶりにとても美味かった.夏こそ食の快楽を.

◆昼下がりの池袋へ —— からっと暑くなった午後,13:25発のTX快速に乗る.午後2時過ぎに池袋に降り立つ.ほどほどに暑い.立教大学はちょうどオープンキャンパスだったので,狭い構内はいたるところ女子高生だらけだった.あとで上田さんから聞いた話では,立教大学は女子高生にとても人気があるとのこと.そういえば男子高校生はほとんど見かけなかった気がする.午後3時から『生物科学』編集会議を2時間ほど.特集の進捗状況とか.形態測定学の特集は今年の第4号に組むことになりそう.師走までに原稿ですか.姿を見せない越中の殿様に連絡しないと(昨夜,ご機嫌斜めなメールが届いていたし……).書評本の扱いについても論議.とりあえず編集部に献本された本は,「書評」にまわすかどうかは別として,新着図書として「紹介」するというのがいいのではと意見する.

編集会議は午後5時前にお開きになった.上田さんはそのまま宮崎方面に出奔し,他の面々はセントポールズ会館で懇親会.ワタクシはそのままつくばに直帰し,午後6時すぎに早々とつくばセンターに帰り着いてしまった.涼しい風が吹いて,これじゃ真夏も残暑も飛び越えて秋口の空模様じゃないか.

◆車中読書 —— 四方田犬彦『ハイスクール1968』(2004年2月25日刊行,新潮社,255 pp.,ISBN:4-10-367104-1 → 目次版元ページ[新潮文庫]).第5章まで約200ページを読了.40年も前の「高校紛争」の話を読むのは新鮮だ.とりわけ映像的な一節があった.高校での政治闘争がクライマックスを迎えていた「1969年」のエピソードとして,著者はこう記している:

「青山高校の英雄的闘争に連帯しよう」というのが,新左翼の高校生たちの合い言葉となった.10月から11月にかけて,わたしの通学している教育大駒場の周囲でも,駒場高校から豊多摩高校まで,次々とバリケード封鎖の旋風が生じた.新宿高では三年生の一人が,封鎖された音楽室でドビュッシーを優雅に演奏していたという,まことしやかな噂が流れてきた.大分後になって,その生徒が坂本龍一という名前であったと,私は知らされた.(p. 148)

時代を共有した世代ならばこういう感性をそのまま受け入れられるのかもしれない.

繰り返すが著者は「1953年」の生まれだから,ぼくから言えば一つ上の世代に当たる.この世代の政治的行動の余波はもちろんぼくらの世代にも少しは伝わっていたが,その影響はごく局所限定的だっただろう.ぼくは“ノンポリ”だったのでその影響はかぎられていた.しかし,すぐ隣りの同級生たちあるいはすぐ上の学年では,たとえば「三里塚闘争」というのは割に身近なことがらだった(もちろん生命にかかわる「内ゲバ」も見知っている).もちろん,同世代で“ノンポリ”ではない知人はたくさんいた

◆夜,勁草書房から出る予定の生物学哲学論集の寄稿論文に対するコメントが返ってきた.ありがとうございます.この改訂作業もしないとか.査読もありましたね.トド,増えてるし…….今日も夜風が肌寒い.いったい「夏」はどこにいったのでしょう.

◆本日の総歩数=9503歩[うち「しっかり歩数」2225歩/23分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.計測値(前回比)=83.4kg(−0.1kg)/25.7%(+0.1%).


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[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集