【書名】現代によみがえるダーウィン
【著者】長谷川眞理子・三中信宏.矢原徹一
【刊行】1999年04月01日
【出版】文一総合出版,東京
【叢書】ダーウィン著作集・別巻1
【頁数】263 pp.
【価格】2,800円(本体価格)
【ISBN】4-8299-0120-9
チャールズ・ダーウィン著作集の船出
本書は、["ダーウィン著作集プロジェクト","http://www.vinet.or.jp/~bunichi/new/darwin.html"]の初刊を飾る論集です。このプロジェクトの編集委員であるわれわれ3人が、ダーウィンと彼の研究がもつ今日的意義について、それぞれの考えをぶつけあいました。内容の詳細は、下記目次をご覧下さい。ダーウィン進化学と現代の進化生物学との関係がきっとわかってもらえるだろうと思います。
●鼎談 なぜダーウィンを読むのか(長谷川真理子・三中信宏・矢原徹一)
ダーウィンとの出会い−三つ子の魂−「進化を学ぶ」ための苦闘−ナチュラル・ヒストリーの伝統と生物学−ダーウィンのジレンマ−「種というもの」をめぐって−隣接諸科学への波及−性淘汰と遺伝学−歴史に「if」はないが・・・−「人間の進化と性淘汰」について−ヴィクトリア朝社会と「差別発言」−「進化論」ではなく「進化理論」−掘り出すべき鉱脈
●現代に生きるダーウィン(矢原徹一)
プロローグ−いまなぜダーウィンか
<1 ダーウィンの生涯と思想>
第1章 ダーウィンの遺産の数々
第2章 『種の起源』の論理
進化の「実験」−生存をめぐる争い−残された問題
<2 ネオ・ダーウィニズムへの長い道のり>
第3章 ダーウィンが知らなかった遺伝子
ダーウィンの弱点−遺伝子への長い道−ダーウィンが知らなかった統計学−ダーウィンが知らなかったランダムウォーク
第4章 ダーウィンが予見したさまざまな淘汰
個体淘汰と群淘汰−血縁淘汰−頻度依存淘汰−多様性を認識する
エピローグ:ダーウィンの大河
●ダーウィンとナチュラル・ヒストリー(三中信宏)
プロローグ ダーウィンを通してみるナチュラル・ヒストリーの過去,現在,未来
<1 自然誌としてのナチュラル・ヒストリー−その認知的基盤>
第1章 「種」−凍結された自然類の進化的な解凍
“種を分けることは本能的衝動です”−認知される種,実在する種
第2章 「分類」−空虚な自然分類との最終戦争
認知科学からみた分類体系−“あなたのお考えをはっきりさせて下さい”
コーダ 進化学的総合と種概念の政治的救済
<2 自然史としてのナチュラル・ヒストリー−その歴史的基盤>
第3章 形而上学の崩壊と復活−−種と分類群の存在論をめぐって
実在性の形而上学:昔と今−進化する実在:進化子としての系統樹
第4章 「自然の歴史」を科学すること
歴史の復権:分類学から古因学への道のり−推論される自然の歴史:なぜ歴史を論じるのか?
エピローグ 自然誌から自然史へ−われわれはナチュラル・ヒストリーに何を求めるか?
●ダーウィンの性淘汰理論とヒトの本性(長谷川真理子)
はじめに
<1 ダーウィンの性淘汰の理論>
第1章 自然淘汰の理論と雌雄のちがい
性差を説明する理論−性淘汰理論と擬人主義のトラップ
第2章 性淘汰の理論に対する批判
アルフレッド・ラッセル・ウォレス−トーマス・ハント・モルガン−ジュリアン・ソレル・ハックスレイ−群淘汰の呪縛と雌に対する偏見
第3章 性淘汰理論の復活
<2 ヒトの進化>
第4章 19世紀イギリスの社会とヒトの進化の考え
第5章 化石なき時代のスペキュレーション
第6章 人種は種か、亜種か?
単源論と多源論の論争−人種の分類
第7章 ヒトの多様性と性淘汰
<3 進化理論とヒトの本性の探求>
第8章 道徳観念と動物と人種
おわりに:文化の役割と社会科学の発展