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oude dagboek

日録2004年11月


30 november 2004(火) ※ 明日から“走る”,それはワタシ

◇前夜はつい引きずられて夜更かししてしまった.でも5時に目が覚めてしまったりする,因果な生活リズム.雲は多いが,最低気温は4.4度にまで下がっている.朝の季節は正直だ.

―― ものをなくすというのは,物品の実質的損失額よりも,むしろ心理的喪失感で落ち込んでしまいますね.でも,失われたのはしょせんモノですからリカヴァリーは可能なわけで,あとは時間が解決してくれるでしょう.※ 「重要なものは分散させる」という鉄則は海外旅行のときだけでなく,日常生活でも通用します.

◇茶道系譜に関する英文原稿のチェック完了.共著者に返す.>よろしく.身辺には気をつけます.

◇午前中,通り雨あり.その後,日が射す.昼休みに筑波事務所前で組合の集会あり.散会後,田中栞『古本屋の女房』(2004年11月4日刊行,平凡社,ISBN: 4-582-83242-3)を歩き読みする.一般道だと車や歩行者で危険だが,実験圃場の敷地内であれば,歩き読みしても安全らくちん.たいへんおもしろい.※妻も妻なら夫も夫ということか.

◇こまごましたことども ―― 車の保険(マイカー共済)の更新./〈PHYLIP〉最新版のダウンロード(久しぶりだ)./The Quarterly Review of Biology の最新号届く(Vol. 79, No. 3, Sep. 2004)./駒場城にある〈ルヴェ・ソン・ヴェール〉が赤門内にも進出したという「今日のてくてく」情報あり.ほー.

◇夕刻,裳華房にゲラを返送する.あまり手を入れる必要はなかった.※佐倉くんとの非生命体の進化理論プロジェクトもこれで一段落.

◇お,〈block-bootstrapping〉スクリプトだけでなく,site-specific model も込みにした分子進化モデル選択〈model-selection〉のスクリプトも公開ですか.※自発的“人柱”がどんどん出てくるといいですねー.

―― 横から駒場の〈殿〉が口を出し,“人柱”か“奴隷”かどちらが当人にとってシアワセかというメールがウラで行き来する.“人柱”は自発的ボランティアだが,“奴隷”は滅私的ボランティアというちがいがあるではないか.しかし,〈殿〉いわく,“奴隷”は学会長の「認可(勅許状)」があるから,「位」が上であるとのこと.※ほんまかいなー.と言う間もなく,詔勅(進化学会庶務幹事任命)が届くとのこと.[やだなー]

◇本日の総歩数=12834歩[うち「しっかり歩数」=4507歩/39分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=−0.2kg.


29 november 2004(月) ※ 鈍痛は走らず,ただ広がるのみ

◇5時起き(再寝なし).気温5度台.風はないが乾いて寒い.まだ首まわりがよろしくない.首をねじると痛いし(180度回らない...[ウソや]),肩甲骨あたりがじわっと重い.ほおっと寝ぼけているところを,ゴルゴのぞみにメール狙撃される(なんて非情なお方).

―― 日差しはあるものの気温は思ったほど上がらず.そろそろつくばの広葉樹林の紅葉と落葉は終盤を迎え,林床には“日だまり”が見られるようになる.

◇組合の動員調達胴元の代打をしたりとかしているうちに,裳華房から『遺伝』原稿のゲラがやっと届く.今日のうちに返送しないとヤバいかも.え,刷り上がりで7ページもありました? ちと書きすぎたかもしれぬ…….

◇頼まれ仕事など ―― 駒場の“城代家老”さまから来年度の登城に関する出講依頼という御下命.へへーっ.1年後ということで拝受.しのごの言うと“殿”に無礼討ちされるもんね./どう考えても売れるはずのない社会派復刻ものを専門とする,文京区のとある出版社からヒミツ指令.つくばの某国立大学に長年にわたって秘蔵されているという,さる重要文書を持ち出すべしとのミッション.ははーっ.これまたしのごの言うと“女帝”に踏みつぶされるもんね.

◇マックまわりの環境整備を少し:マルチカードリーダー&ライター(LOAS: CRW-10M21)を付けてみる.メディアごとのアダプターが不要というのが便利かな.といっても,いまのところ,デジカメのコンパクト・フラッシュとメモリー・スティックしか使っていないのだが.

◇絵本を描くダーウィンの末裔 ―― 崇文荘書店の図版本カタログ(2004年)に,『54. ダーウィン画「トートゥリオー氏のお話」1925』と『55. ダーウィン画「バリーから聞いた逸話」1927』という2冊の本が出ている.いずれも子供向けの絵本だ.著者は“B. & E. Darwin”となっている.この二人の著者はいったい誰だろう.まずは,Elliott Sober の〈スミス-コックドゥードル定理〉にしたがって,かのダーウィン家の縁戚ではないかと推論してみる.

―― こういうときにダーウィン家の家系図は威力を発揮する.手元にある R. B. Freeman 『Darwin Pedigrees』(1984,自家出版)を見ると,確かに可能性のある候補者が浮上してくる:チャールズ・ダーウィンの息子フランシスの長男“Bernard Richard Meirion Darwin, 1876-1961”とその妻“Elinor Mary Darwin”だ.バーナードはアマチュアのゴルフ選手として,そしてエッセイストとして活躍したらしい.崇文荘書店のカタログには,この2冊の絵本の挿絵はエリノアが描いたと記されている.ひょっとしたら夫婦で絵本をつくるという仕事も手がけていたのだろうか.『トートゥリオー氏のお話』は57,750円,『バリーから聞いた逸話』は18,900円という高値がついている.いずれも rare books ということなのだろう.

◇夕刻,茶道所作の系譜についての英文原稿に目を通す.ついにワタクシも“共犯”ということになるわけですね(>茶人どの).※月夜の晩ばかりではない……と.

―― 引き続き,『遺伝』の原稿ゲラ「古くて新しい〈系譜の科学〉:歴史推定のための一般的方法について」のチェック.最後のところはドロナワだったので,加筆すべき箇所がいくつか見つかる.※明日ファクスで返送します.

◇〈系統学/Block-Bootstrapping on the Model with Site-Specific rate〉―― “人柱”になるならないで往生際の悪いことをしてしまう(じたばたと).

―― 最尤推定でいう「無限数パラメータ問題」は,マジでサイト(塩基座位)ごとに別々の進化速度(進化モデル)を仮定するときには表面化するでしょうが,コドン位置ごとに括る程度の粗さのパーティションであれば難敵ではないような気がします.

◇本日の総歩数=14255歩[うち「しっかり歩数」=6428歩/56分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.2kg.


28 november 2004(日) ※ 霜降る霜月の早朝

◇3時半に目覚めるものの,また寝る.再起したのは6時半.げ.

―― 朝の徘徊.畑地に霜がおりている.もちろん一桁台の最低気温だろう.1時間ほどうろうろして帰還.今日も快晴のようだ.昨日あたりから静電気がびしびし飛び始めた.湿度もそうとう低くなっているのだろう.

◇昨夜,寝違えたせいか,首から肩まで鈍痛が走る.起きていると首が痛く,横になると胸郭全体がきしむ感じでよろしくない.参った…….

◇もう一冊の Wallace 伝:Ross A. Slotten 『The Heretic in Darwin's Court: The Life of Alfred Russel Wallace』(2004, Columbia University Press, ISBN: 0-231-13010-4)を舐める.この伝記作家は,Wallace の心霊主義への傾倒の背景には,当時のイングランドの「社会階級間の戦い」があったのではないかと示唆する――

To us, Wallace's advocacy of spiritualism seems strange. In the nine-teenth century, however, it was less strange. Although spiritualism captivated many in the upper class &mdash séances were common in Europe's royal courts and aristocratic salons &mdash spiritualism was mainly a movement of the lower class. The war that Wallace, Crookes, and a few other prominent scientist-spritualists waged can be seen, in part, as a class war, for most of their detractors were upper-class scientists. One of their most formidable opponents, the physiological and expert microscopist William Benjamin Carpenter, cited the lack of a proper scientific education (both Wallace and Crookes were self-educated) as a cause of their misguided application of the methods of inductive sciences &mdash clearly an elitist assessment. [pp. 6-7]

やっぱり並行読書が必要なのかな.

◇昼頃に土浦学園線をふらふらしていたら,〈つくばマラソン〉の選手たちが走っていた.きょうはマラソン日和だ.

―― 午後になってもまだ上半身がぎしぎしする.ときどき呻きつつ,ロス・キング『謎の蔵書票』(2000年4月30日刊行,早川書房,ISBN: 4-15-208274-7)読了.通好みの推理小説なんでしょうな.しばらくはこういうフィクションを読むこともないだろう.

◇寄席ふたつ ―― 大阪での〈統計三題噺〉の概要が固まった.こういう噺ですので,上方にお越しの際はお寄りくださいませませ.※“これ論”師まで動員されるとは./こっちは本職:高校の同級生だった桂米二師匠が深川にて高座をもつことに.〈雀松・米二ふたり会〉:2004年12月3日(金),18:30開演,深川江戸資料館,詳細→米朝事務所.※がんばってやー.

◇ボジョレー・ヌーボーなど呑んでしまう.1本空いただけ.なお首痛し.

―― 早々に就寝する.早寝早起き.これ家訓.

◇本日の総歩数=10575歩[うち「しっかり歩数」=6850歩/52分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=0.0kg.


27 november 2004(土) ※ 初冬快晴神楽坂

◇4時半にいったん目が覚めるものの,ぐうたらにもまた惰眠をむさぼってしまう.再起したのは6時半.もう終わってるね.

―― 雲一つない快晴.北風やや強し.午前8時半にひたち野うしく駅から乗車.新大久保にて私用.昼過ぎ,いつものように百人町の畸人堂書店にしばし誘引されたりとか.飯田橋に向かう.スターバックスにて日録を書いてしまう.※PowerBookとても重し…….

◇午後1時半から,東京理科大にて計量生物学会の評議員会.いつも思うが神楽坂の路地の奥にキャンパスがあるというのは実にうらやましいというかゴクラクというか.3時半までの会議で,新学会長候補の互選などいくつかの議題を消化する.お開き後,大江戸線にて湯島に出て,広小路の〈うさぎ屋〉でどら焼きを買い込んでつくばに戻る.もう夜だ.

◇往復の車中での読書 ―― Martin Fichman 『An Elusive Victorian: The Evolution of Alfred Russel Wallace』(2004,The University of Chicago Press, ISBN: 0-226-24613-2)の序章「イントロダクション」(pp.1-10)と最終章「総合に向けて:ウォレスの有神論的進化目的論」(pp.283-321)とエピローグ(pp.322-334)を読了.これで全体の1/5ほど.これはおもしろい本かもしれないな.

―― 著者の目指すところは,これ:

The main theme of this study is that there is an identifiable coherence &mdash a leitmotif &mdash in Wallace's thought and activities. ... There is an underlying link &mdash his evolutionary cosmology &mdash that binds together Wallace's highly varied intellectual and practical pursuits. Uncovering and then exploring this link enables us to make sense of how he understood the relations among science, politics, economics, and religion. [p.3]

この目的を達成するために,著者は歴史叙述に関する〈文脈主義〉を採用する:

The contextualist approach to the history of science has transformed our understanding of domains such as theory formation, ideology and science, the semantic and linguistic complexities of science terminology, religion and science, and gender issues. [p.4]

社会構築主義的アヤシサがすでに立ちこめているようだが,ま,どういうストーリーをもってきてくれるのか,残りの章を読まないとね.

―― Wallace の心霊主義や有神論への傾斜は,ともすれば「科学からのつまはじき」という点から描かれることが多かった.これに対して,著者は,当時の社会的・文化的なコンテクストを総合的に評価したとき,けっして〈孤独な疎外者〉ではなく,むしろその逆だったのではないかと言う:

Wallace 's was scarcely a lone voice in the scientific community. Important groups existed within the ranks of professional scientists in the later Victorian period that fully endorsed the notion that there was an integral religious dimension to science. Theistic science was a powerful paradigm in Wallace's era. [p.289]

◇上野駅の〈Book Garden〉にて新書2冊 ―― ディヴィッド・クリスタル『消滅する言語:人類の知的遺産をいかに守るか』(2004年11月25日刊行,中公新書1774,ISBN: 4-12-101774-9).※まずは「訳者あとがき」を読みませう./秋本治『両さんと歩く下町――『こち亀』の扉絵で綴る東京情景』(2004年11月22日刊行,集英社新書0265,ISBN: 4-08-720265-8).※〈こち亀〉を知らないとつらいものがありますな.

◇〈ドラクエ8〉―― 家ん中であんまりやるなよなっ.>子×2.

◇本日の総歩数=13136歩[うち「しっかり歩数」=4294歩/37分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.2kg.


26 november 2004(金) ※ 淀みに浮かぶ泡沫は

◇4時半起床.気温4.2度.ま,ほどほどに寒いということで.昔の同窓会のアナウンスを関係者に流したりとか,〈block-bootstrap〉についてのコメントを返したりとか,来春の上方〈統計三題噺〉の脚本と舞台装置についてメール交換したりとか.朝からいろいろとこまごまする.

―― あ,まだ奥深いんですね.最尤法でのモデルのパラメータを〈PAUP*〉でダイレクトに指定できないときは,セッションが続く場合は“previous”でそのまま引き継がれると理解していましたが,いったん〈PAUP*〉の外に出てしまうと継承されないのでしょうね.Perl のスクリプトを書く場合,そのへん何とかなりませんか?

―― でも,元データから推定される分子進化モデルの中核となるパラメータだけがきちんと継承されていれば,どのようにリサンプリングされたとしても大きな問題は生じないと思います.

◇静岡お茶会議のプロシーディング原稿とか,突如として迫られたJSTワークショップの原稿集めとか,さらにこまごまする.

◇ 現実逃避に徘徊してみたり,Panther の Perl を“初めて”いじってみたり.※ほー.マックの中で UNIX が動くってのはなんだかヘンな感じですなあ.

◇戸外はもう“冬”で,昼休みの気温が12度台だったり.平地でも紅葉が真っ赤に色づいてきた.

◇こまごま仕事の「砂嵐」がぐわーとやってくるの気配.このままではよろしくないぞ.まずいかもしれない…….もう夕方なのだが.

―― でも,とにかく帰ってしまおう.冬至までの日数を数え始めるようになるこの季節は,夕暮れが瞬時にやってくる気がする.

―― たそがれ時の研究所にいてはいけない.いろいろな「思念」がこもるので.

◇ひたすらウォレスな夜 ―― 先日届いた Martin Fichman 『An Elusive Victorian: The Evolution of Alfred Russel Wallace』(2004,The University of Chicago Press, ISBN: 0-226-24613-2)と Ross A. Slotten 『The Heretic in Darwin's Court: The Life of Alfred Russel Wallace』(2004, Columbia University Press, ISBN: 0-231-13010-4)のイントロ部分を読み進む.同じ伝記対象を論じているのに,出だしからしてすでに叙述のスタンスのちがいがはっきりしている.Nature の書評にあるように,Slotten 本は資料をきちんと押さえつつ,Wallace のたどった足跡をあとづけようという風に見える.進化学だけでなく社会思想家として,また心霊主義者として多くの著作を残した Wallace の大部の伝記である.

―― Slotten 本も Fichman 本もどちらも Alfred Russel Wallace の“全体”を“従来よりも広い視野”のもとに論じようという基本的姿勢は共通しているようだ.これまでよく目にした,自然淘汰説に関する〈Darwin の共同発見者〉という視点ではなく,また社会主義や心霊主義に〈堕してしまった科学者〉という視点でもない,もっと広い「文脈」のもとで Wallace を理解し直そうというスタンスが重要だと著者たちは宣言している.他方の Fichman 本は,歴史叙述の新しい視点として〈文脈主義(contextualism)〉に準拠した Wallace 像を提出しようとしている.

―― 明日は東京で計量生物学会の理事会がある.往復の道すがらまずは Fichman 本から読み始めよう.※と考えるワタシはきっと天の邪鬼.

◇長大な〈生命の川〉もやっと「紀元0年」に到達した.紀元前史の長いこと長いこと.

◇本日の総歩数=18416歩[うち「しっかり歩数」=10515歩/90分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg.


25 november 2004(木) ※ 「生命の川」の流れは絶えずして

◇5時半起き(寝坊).冷え込みなし.空気はよく乾いている.

◇折り畳まれているとそうは感じなかったが,すべて展開してみてはじめてその“巨大さ”が実感できる.大きなスチール本棚の最上段から垂らして床すれすれまで.7.5フィート=2.3メートルの大曼荼羅,というか大系統樹.ただごとではない.

◇10時半からグループ内会議.もう来年1月の会議予定がいろいろと決まり始めた.組織いじりの遠い足音も.

◇凩のような北からの風が吹く.木々の梢から葉やら小枝が降り落ちてくるようになると,季節は晩秋ではなく,もう初冬を感じさせる.昼休みの気温は18度.

◇“革命”の陰に策士あり;“サプライズ”の影に教唆あり ―― なるほどそういうことだったんですね.でも,またも息切れしているように見受けられるので,さらなる“教育的指導”のテコ入れが必要かと.

―― ワタシの「肺活量」は他人と比べて並外れて大きいわけではありませんので誤解なきように.すーはーすーはー.

◇オケねた二つ ―― この冬に公開される映画〈ベルリン・フィルと子どもたち〉.ごくふつうの学校の生徒たちがストラヴィンスキーの〈春の祭典〉の舞踊に挑戦するというストーリーらしい.しかも,ベルリン・フィルがオケ.指揮するサイモン・ラトルが Boosey & Hawks の〈春祭〉総譜を振り回しているシーンが予告編にあった./小林研一郎がハンガリーのオケを連れてつくばにやってきたときのマーラー〈巨人〉は燃えましたねえ.サブがヤナーチェクの〈シンフォニェッタ〉で火が着きまくり.コバケン=着火マン.東京公演に比べてノバホールはチケットが安いのがうれしいっす.

◇夜になってあたふたと ―― 進化学会の学術会議会員候補者の投票.選出制度が大きく変わった.(これでやっていけるの?という素朴な疑問) /晩夏のJSTワークショップの報告書をまとめるよう督促された.また,あのばたばたが始まるのか?(汗)

◇攻撃レベルがとたんに低下してしまったので,今日はもう寝まひょかと思っていたら,杜の都のミュンヒハウゼン男爵から靴紐を引っ張る新しい便法についてメールをいただく.破壊力ありという見通しがついたところで,「人柱」を募るのだそうだ.実にワルモノである.杜の都にいると軒並みワルモノと化す傾向があるのか.ほら,あの人もワルでしょ,その人だって,この人だって.

―― 今日はもう活性がゼロに近づきつつあるので,ひと寝入りして明日の未明にチェックさせていただきますね.>ハーリ・ヤーノシュさま.くしゃみはしませんのでご心配なく.

◇本日の総歩数=19478歩[うち「しっかり歩数」=10711歩/91分].全コース×|× .朝○|昼○|夜△.前回比=−1.2kg.


24 november 2004(水) ※ プチ出奔する

◇5時起き.気温6.7度.ほどほどの冷え込み.雲が多めだからだろう.

◇朝イチで〈統計三題噺〉のタイトルを関係者に配信する.でも,中身はこれからどんどん変わりまっせー(きっと).

◇今日は全日年休を取って,東京で開催される国公労連の組合動員に自発的に駆り出される.午後から夜までず〜っと.

◇東京都写真美術館での映画〈オランダの光〉の上映 ―― インタビューが多すぎる気もしたが,映像はとてもよかった.「〈オランダの光〉は喪われた」と慨嘆したヨーゼフ・ボイスはシュタイナー人智学にハマっていたのだそうだ.ゴッホも,フェルメールも,レンブラントもフル出演.※海がやっぱりポイントだったのか.

◇崇文荘書店にてリベンジ完了.ぐふふ./書肆アクセスにて,田中栞『書肆ユリイカの本』(2004年11月15日刊行,紅梅堂)とか,『彷書月刊』とか.

◇国公労連イベント ―― 手始めに午後4時から社会文化会館にて総決起集会,午後6時から日比谷野外音楽堂にて大集会.※てえへんな人数だ.一揆みたい....

◇つつつと帰宅する.とても疲れる.が,“起爆剤”がやってきたので,明日からぶっ飛ばします.

◇本日の総歩数=19002歩[うち「しっかり歩数」=7654歩/69分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=+0.6kg.


23 november 2004(火) ※ 感謝して勤労する日(…)

◇5時起床.夜明け前の徘徊しばし.朝焼けに輝く惑星縦列.晴れ上がって寒い.気温は5度くらいか.

◇岩波の〈17・18世紀大旅行記叢書〉の第I期のものはすでに岩波文庫に入り始めている.少し前のペルニエ『ムガル帝国史』(2001年,全2冊,ISBN: 4-00-334821-4 / 4-00-334822-2)とか,いまちょうど刊行中のクック『太平洋探検』(2004年〜,全6冊[既刊2冊],ISBN: 4-00-334851-6 / 4-00-334852-4)とか.そのうちきっとフンボルトの『新大陸赤道地方紀行』も文庫に入るのだろう(ずっと先のことにちがいないが).

◇Ackerman本の続き ―― 真でないかもしれないのに,なぜ科学者は仮説を受容するのかという点について:

Why should hypotheses or theories be accepted even if scientists know that they may later be discarded? One reason is that hypotheses or theories are a convenient way to store a great deal of information. Rather than compute a probability of an instance of a hypothesis or law based on the constantly changing number of past confirming instances, it is simpler to deduce the instance from appropriate boundary conditions and a stored generalization. Acceptance of hypotheses has enormous implications for conceptual and neurophysiological economy. [p.125]

なんだか推論過程に関する認知心理学の論文を読んでいる心地ぞする.もちろん,この主張それ自身はもっともだと思う.

―― 来年3月の生態学会〈統計三題噺〉とも関わってくる話題にちがいない(よくわかんないけどおそらくは).そろそろネタを絞ってくださいとの「北の声」が聞こえてきたので,何とかしないといけないのだが.

【欹耳袋】―― 近未来的新刊情報[“らくだこぶ書房|21世紀古書目録”ではない]:Edward O. Wiley 『Phylogenetics: The Theory and Practice of Phylogenetic Systematics, Second Edition』(2006,John Wiley & Sons,ISBN: 0471391034)※マジに出るんですか? / John P. Huelsenbeck 『Statistical Phylogenetics』(2005,Sinauer Associates,ISBN: 0878933409)※こっちの方がまだリアリティあるなあ....

◇天気がいいのに引き籠って原稿原稿また原稿.ややびょーきな昼下がり.

―― あ,もう4時半.プチ現実逃避っ:ん,矢原さんの「日記」いわく,「私には、とても三中「日録」のように、毎日書き続ける余裕はないですよ」(11月22日)だって.ちっちっちっ.わざわざ書こうとするから負担になるんですよ.息をするように,生理現象のように,ダイアリーを書けばいいのですよ.ほら,いっぺんにすべての心理的ハードルは消え去るでしょ.ふうっと息をするたびにダイアリーが一日分埋まっていく.「そんな時間があったら〜」などと言う野暮天には,「息をしなければ死んでしまうでしょう」とうそぶいてやる.これでキマリですな.ほら,もう「23日」まで書き続けているじゃないですか.ねえ.

◇某新書の第2章,やってますやってます.書いてます書いてます.

◇早々と,生態システム研究グループの忘年会の会場を押さえてしまう(なんて拙速な幹事か)―― つい最近開店したばかりの〈李厨房〉の小野崎店ですので,グループ関係者のみなさんはお忘れなく.12月15日(水)でーす.

◇夜は〈統計学のお時間〉―― “北”や“西”からいろいろとメール刺激されて,こっちも勉強しないわけにいかず.ターゲットとしては,やはり Fisher と Neyman-Pearson の元論文 ――

  • Fisher, R. A. 1922. On the mathematical foundations of theoretical statistics. Philosophical Transactions of the Royal Society, London, Series A, 222A: 309-368.
  • Neyman, J. and E. S. Pearson 1933. On the problem of the most efficient test of statistical hypotheses. Ibid., 231: 289-337.

には,どこかで登場してもらうしかないでしょうね.それを出発点としてはじめて,「その後」があり得る.おそらくユーザー側の意識の表層には現れないような暗黙の仮定をあぶり出すような作業になりそうな.

◇深夜,音羽からテポドンが静かに着弾.沈没.

◇本日の総歩数=13092歩[うち「しっかり歩数」=7804歩/61分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.6kg.


22 november 2004(月) ※ 実り豊かな隙間の平日

◇4時半起床.さすがに眠た過ぎ〜.晴れて寒く気温は7.5度.離れつつあるものの,金星と木星の「縦列」が東の空にことのほかきれいに見える.そろそろ静電気の防護対策を考えないと.※まだ見ていない人は機会を逃さないように.

◇農林水産研究計算センターでは,次期科学技術計算システムの導入をいま進めているところだが,いよいよ〈〉がセンターに公式に導入されることになりそうだ.これまでは〈SAS〉の牙城だったことを思えば,大きく一歩前進ということだろう.

◇飛び石連休の隙き間ということでノリがイマイチ悪いのだが,この際だから Macintosh のバックアップ体制をつくっておく.音楽をいくら詰め込んでもどうせ「ん十ギガ」を使いきることなんかできないのだから,iPod をバックアップ先に指定して定期的に吸い上げる設定する.新旧ふたつの iPod が手元にあるので,とりあえずはデスクトップと PowerBook で別々に使える.※古い世代の iPod は〈lossless encoding〉に対応していないことを初めて知った.

◇そうこうするうちに,Amazon.com から大挙して〈ウォレスたち〉が押し寄せてきた(意外に上陸は早かったな) ―― Martin Fichman 『An Elusive Victorian: The Evolution of Alfred Russel Wallace』(2004,The University of Chicago Press, ISBN: 0-226-24613-2)と Ross A. Slotten 『The Heretic in Darwin's Court: The Life of Alfred Russel Wallace』(2004, Columbia University Press, ISBN: 0-231-13010-4).Fichman本は400ページ.Slotten本は600ページを超える.日本とはちがって,西欧の“伝記業界”の充実ぶりは目を見張るばかりだ.Nature誌の書評(Vol. 431, p. 630, 2004)を見ると,Slotten本は堅実な「伝記らしい伝記」とのこと.内容的により刺激的なのは Fichman本らしい.伝記の読み比べをしなさいというヒミツ指令と受け取る.

◇季節はそろそろ忘年会シーズン ―― 生態システム研究グループの忘年会幹事を引き受けることになった.まずは店を決めないと予約が取れなくなってしまう.〈いしだ屋〉は最初から外すとして,できたばかりの〈李厨房(小野崎店)〉が第一候補かな.〈円喜門〉でもいいんですけど.※飲んで逝きますか,食べて往きますか(そんなワケないか...)

◇組合の東京動員のため,24日(水)は年休を取る.

◇ウォレスたちとともにやってきたのは,これまた探検博物学者のおふたり ―― Gerald Helferich 『Humboldt's Cosmos: Alexander von Humboldt and the Latin American Journey That Changed the Way We See the World』(2004, Gotham Books, ISBN: 1-592-40052-3)と Diana & Michael Preston 『A Pirate of Exquisite Mind &mdash Explorer, Naturalist, and Buccaneer: The Life of William Dampier』(2004, Walker & Company, ISBN: 0-8027-1425-0).フンボルトの伝記はこれまでにもたくさん出ているし,日本語に訳されたものもある.今回の新刊はフンボルトの主著『新大陸赤道地方紀行』(岩波書店の〈17・18世紀大旅行記叢書[第II期]〉から訳あり)に焦点を当てているとのこと.

―― もう1冊は“海賊”にして博物学者というウィリアム・ダンピアの初の伝記だそうだ.やはり岩波の〈17・18世紀大旅行記叢書[第I期]〉にはダンピアの著書『最新世界周航記』が訳されている.※「海賊」ってほんとうにいたんですねえ.“ONE PIECE”の世界だけじゃなかったんだ.

―― 晩秋の夜長は燈火のもとゆっくりと伝記でもひもとく,というわけにはいかないのだ…….

◇それどころか,良からぬ誘惑によろめいて3合ほどもいってしまい,まことに煩悩恐るべしみたいな,ま,なんというかそういうことで,だらしなくへろへろになったりする秋の夜長.※とてもうまかったです>某君.

◇なおも酔眼の読書は続き ―― Rudolf Carnap の帰納論理学と Karl Popper の統計的仮説の反証可能性について:Robert John Ackermann 『The Philosophy of Karl Popper』(1976, University of Massachusetts Press, ISBN: 0-87023-198-7),第6章「Popper and Inductive Inference」.帰納的推論(inductive inference)―断片的な情報に基づいてある理論が真であることを証明すること―がもともと不可能であるという点については Popper だけでなく Carnap も同意していた(p.127).彼らは,複数の対立仮説間で相対的なランキングをつけなければならないという方向性でも一致していた(Carnap は“credibility function”,Popper は“corroborating function”).両者の見解に差が生じるのは,そのように経験的な重みをつけられた対立仮説群を前にして科学者がどうふるまうべきかという点である.Carnap は仮説間の重み付けはするものの,仮説の受容についての意思決定には踏み込まない.一方,Popper は験証された仮説を受け入れようという(p.123).著者は,両者のこのちがいは,仮説や理論が真であるかどうかへのこだわりの有無に帰せられると言う:

Carnap believes that scientists never accept hypotheses but merely assign probabilities to them, at least where scientists are ideally rational. This seems a last legacy of the positivist desire to avoid mistakes. ... Popper allows acceptance of any hypotheses or theories that are corroborated as a basis for action where this does not imply any belief that the hypotheses or theories are even true or even likely to remain corroborated. [pp. 124-125]

統計的仮説検定に関連づけるなら,仮説間の相対的重みを与えるだけの Carnap のスタンスは“Fisher”的だし,仮説の受容/棄却という意思決定にまで踏み込む Popper の見解は“Neyman-Pearson”的と言えないこともない.

◇本日の総歩数=8220歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg.


21 november 2004(日) ※ 飛び石で足を踏み外す

◇5時半起床.晴れて寒い.研究室でごそごそする.

◇メーリングリスト関係の作業.シンポジウム情報の転載とか,アドレスの新規登録と変更など.

―― いま大評判になっている学術系検索エンジン〈Google Scholar (Beta)〉.確かに,フットワークの軽そうなこの検索のスタイルは斬新で,思わぬところに潜んでいる意外な情報が得られるように感じる.引用リンクを順繰りにたどっていくと,ある考えや仮説が次々につながっていく道筋がたどれるかもしれない.また,引用の回数によってサイトのランキングが決まるというシンプルな基準も好ましい.minaka / cladistics / morphometrics / phylogeny / ……など考えつくいくつかのキーワードで探索してみると,最新の論文までちゃんとヒットしてくる.何年か前に Dave Williams が言っていた歴史生物地理学の現代史についての論文も,ごく最近やっと出版されたようだ(Journal of Biogeography).そういうのまで釣り上がる.

◇来年度の都立大学首都大学東京での非常勤出講(生物統計学)の問い合わせ.ここ数年,毎年恒例の南大沢講義になっているが,着実に内容を充実させていきます.※およ,レポート成績の報告がまだだったか....あらま失念.

◇昼間は風もなく暖かい.朝夕との温度差が大きい.

◇書評依頼されている本たちを並べてみる.うむ,そろそろ年貢を納めないとヤバいかもしれない.※払うべきいろんな年貢が方々にある....

◇〈PHYML〉を超える?というふれこみの〈Treefinder〉.最尤法のシノギもなかなか厳しいよーで.

◇古い iPod(20GB)にこれまでの文書データを全部吸い上げておく.※念のため.月夜の晩ばっかしとちゃうし.

◇原稿〜〜.

◇本日の総歩数=3499歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg.※とことん歩かないやつ.


20 november 2004(土) ※ 週末のつかの間ゆるゆる

◇5時起床.地面はまだ濡れているものの雨は上がっていた.早朝ウォーキングを少しばかり.Book-Ace にてレジ間違いの返金をしてもらい,ついでにいま[一部で]大人気だという田中栞『古本屋の女房』(2004年11月4日刊行,平凡社,ISBN: 4-582-83242-3)をゲット.今年の秋はつくづく「本の本」が豊作であると実感する.

―― 本ネタ続く:11月5日に書いた,森鴎外の書簡集の広告が新聞に載っていた.小堀鴎一郎・横光桃子編『鴎外の遺産』(全3巻,幻戯書房).今月に第1巻が出て,残りの巻は来年7月までに順次刊行されるとのこと.それにしても,第1巻(600ページ,うち半分はカラー図版)の値段が「税込価格28,000円」とはねえ.とってもゴージャスな値段ですこと.残りの巻も同じくらいの価格設定になるのだろうな.越中の御方がきっとコッソリ買うにちがいない(こっそり見せてもらうことにしよう).

◇とある頼まれ書類をちくちくとつくる.InDesign の内職みたいなもの.夕方までかかるとは意外なほどの時間喰いだった.

◇夜は原稿の再開.ときどき現実逃避の読書あり.

◇本日の総歩数=6948歩[うち「しっかり歩数」=6808歩/52分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=−0.4kg.


19 november 2004(金) ※ 統計曼荼羅も進化するのだ

◇午前4時半に起床.雨が降り続く.11.5度.日中もさほど気温は上がらないらしい.

◇夜明け前に斎戒沐浴し[ウソ],ほぼ10年ぶりに〈大統計大曼荼羅〉の改訂を行なう.最後に改訂したのが1995年のことだから,考えてみれば“御札”としては効力が薄れてきたかもしれない.計算統計学・ベイズ法・モデル選択などのトピックスを書き付けた.そろそろスペースがなくなってきたので,ほとんど耳無し芳一のようにいたるところに呪文がちらばることになった.第4版の完成.受講生には今日の質疑の時間に配る.※で,次なる「第5版」はある???

―― 昨日のうちに受講生から届いた質問票のチェック.今日の質疑での素材となる.プレゼン用pdfファイルをつくる.

◇年末調整の届出をする.収入関係の証明書がまだそろわない.

◇おお,朝の郵便で届きましたぞ,訳師さまあ(感謝感激雨霰)―― カール・ジンマー『「進化」大全 ダーウィン思想:史上最大の科学革命』(2004年11月25日刊行,光文社,ISBN: 4-334-96173-8).とっても重いっす.フルカラーじゃん(ひょえー).

◇午前10時45分から統計研修の質疑が始まる.プレゼン途中にプロジェクタにつないだ PowerBookG4 がカタマったりしましたが(お願いだからいきなり逝かないでね),ほぼ定刻通り正午過ぎに終わった.受講されたみなさん,たいへんお疲れさまでした.集められたアンケートを一読すると,応用編のコースでも〈R〉の授業が必要だという意見が複数ある.来年からは基礎編と同じく〈R〉を持参してきてもらうことになるかも.

―― ほんの数年前までは,養賢堂の電話帳こと『応用統計ハンドブック』が必須の持参教科書だったことを思えば,各研修生が〈R〉入りのノートパソコンを持参するようになるとはまさに隔世の感あり./いま使っている研修用テキストも何らかの方法で市販できるようになるといいのだが.

―― あ,〈BIOMETRY〉の会員募集をやり忘れたっ.

―― 忘れないうちに,統計曼荼羅の最新バージョンを〈租界R〉にアップしておかないと.※アップ完了しました.

◇最終日に集めた受講生アンケートの集計結果を届けてもらうように研修事務局に依頼しよう.毎年のことではあるが,年によって内容やネタを変えているので,“客席”からのウケの良し悪しはおそらく毎年変動しているものと思う.上昇トレンドが検出できるのであれば噺手としては安心していられるのだが,それでも改善点のヒントが得られるという点で受講生アンケートは価値がある.教壇(高座)からと客席からでは目線の高さがもともとちがっているので,予想外の指摘を受けることがあるからだ.たとえば,pdfやpptを用いて次々にスライドを映していくのは,かぎられた持ち時間しかない学会などの「講演」では有効でも,講義では必ずしも講師が望むほどの教育効果はもたらさない.単位時間あたりのワード数が多すぎて「授業」の進み具合としては速すぎるからだ.目の前にいる“生徒”は基本的に何も知らないという前提のもとでは,行っては帰り,進んでは戻るというペースがいいような気がする.かといって,ホワイトボードやOHPに書くというのでは,とくに後ろの座席からの可読性が損なわれる.とすると,パソコンの上で“板書”して,それをプロジェクタに移すというのがいいかもしれない.たとえば T-Time 文書や html 文書でもいいのだが,できればエディターそのものが“板書ソフトウェア”として使えるのが身軽でいいだろう.その都度,消したり書いたりがラクにできることが第一の条件だ.しばらくは試行錯誤するだろう.

―― 今回の質疑では,試しに Mac 用の GlassiePad というフリーのエディター・ソフトウェアを使って“アクアな板書”をやってみた.なかなか使えるかもしれないと感じた.年末に信州大学に生物統計学の非常勤講義(15時間)があるが,そのときにはもっと使い回してみよう.※とすると,これからは Win ではなく Mac を持ち歩くということになる?(〈R〉の講義用マシンとしては Win の方がシェアが広いのだけど)

◇結局,終日雨また雨.最高気温も13度までしか上がらず.気分はすっかり晩秋.

◇怒濤の統計研修が終わったので,キリよく原稿仕事にもどろう.ぜひそうしよう.

◇本日の総歩数=10254歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg.


18 november 2004(木) ※ 読者を選ぶ本たち

◇今朝は4時起き.寒いことは寒いが,雲が少しかかっているようだ.天気は下り坂の予報.

◇DynaBook君の死亡を再度確認した.合掌.※昨日はゾンビだったのか.

◇昨日ダウンロードした〈T-Time 5〉についてのメモ.1)印刷機能は備わっていないという(電子本作者の著作権を配慮してのことだろうか,ようわからん).以前のver. 2.3を使わないとダメみたい.2)T-Time電子本をつくるときに利用する「背景集」も ver. 2.3 のパッケージに含まれているのを使うしかないのかな.

◇新古書店にて定価の1/5で買った本:ロス・キング『謎の蔵書票』(2000年4月30日刊行,早川書房,ISBN: 4-15-208274-7).推理小説系はほとんど読まないのだが,この本に関して言えば登場する本の多くは実在する.だから読み進む意欲が湧いてくるのだろう.でも,バックグラウンドを知っていないと,おもしろくないのでは? その意味では明らかに“読者を選ぶ本”.ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』みたいな雰囲気の読中感あり.

◇寒くなってきたので,BGMは〈ニーベルンクの指輪〉にしましょ.久しぶりの〈ラインの黄金〉.

◇本をめぐるあれやこれや ―― カール・ジンマー『「進化」大全 ― ダーウィン思想:史上最大の科学革命』(2004年11月22日刊行,光文社,ISBN:4-334-96173-8)を予約注文する./ジョン・ホーガンの最新刊『科学を捨て、神秘へと向かう理性』(2004年11月刊行,徳間書店, ISBN:4-19-861950-6)の紹介文をながめて,全著2冊『科学の終焉』と『続・科学の終焉』路線の“果て”が見えたって感じ.ま,「真理」がそんなにお好きなら,ソレ系に逝ってもいいんですけどね./ご注文いただいたソーバー『過去を復元する』は午前の郵便でお送りしましたです.>注文されたお二人 /Amazon.co.uk から遅延メール.David N. Stamos『The Species Problem』がまだ入荷しないとのこと.現物はとうの昔に届いていたので,これ幸いとキャンセル処理してしまう.

◇ML運営関連の雑事 ―― エラーリジェクト返信がスパムに逆利用されているとのことで,これからは“しかと”せよとのこと.管理下11のメーリングリストについて config.ph を書き換える.なかば「灰」と化す.

◇なんだかもう...状態 ―― Acrobat を遅ればせで「6」に上げたとたんに,日本語文書がプリントアウトできなくなった.Acrobat Reader「5」ならば正常に印刷できるのだから,「6」の問題だよねえ,きっと.EPSONのプリンタドライバも変えてみたけど,やっぱりダメダメ.〈ワルキューレ〉を聴きつつ格闘するもあえなく斃れ,天空のヴァルハラ宮殿にひきずっていかれる.ま,しばらくは「6」でいじって「5」で印刷するという変則なことになりそう.※くそー.時間ががりがりと削り取られるようだ.

◇先週の数理統計研修(基礎編)の受講生たちからボジョレー・ヌーボーとモルト・ウィスキーが届く.懇親会でぼくが持ちこんだ分がもどってきたよーな.どうもお気遣いありがとうございます.>研修生のみなみなさま.

◇昼休みの気温は13.1度.曇り.肌寒し.午後になって雨が降り始めた.

◇明日は統計研修最終日.午前中に質疑の時間がある.PowerBookG4 の調整など.あっという間に夕刻になる.

◇本降りの夜が更けていく.松代の〈いしだ屋〉には嫌われたようだ.

◇本日の総歩数=13436歩[うち「しっかり歩数」=8234歩/70分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.4kg.


17 november 2004(水) ※ 輪廻転生の日々

◇午前5時に目覚める.気温4.7度.ぴしっと寒い.昨日は暮れなずむ西空に三日月が鮮やかだったので,明け方の放射冷却を予想していたが,その通りになった.金星と木星のデュエットは,日に日に間合いを開げつつも,まだ夜明け前の東空を見上げればまぶしく光っている.朝型人間の特等席ということですな.

◇実にフシギなことに,昨日いったん死亡が確認された故 DynaBook 氏をためしに叩いてみたら,何事もなかったかのように起動してしまった.しかし,こういうフェイントにだまくらかされて,使い続けるとそのうちきっと痛い目を見るにちがいない.まずは,バックアップし残していたデータや文書ファイルをすべてUSBメモリーに引き上げる.とりあえずこれで実害はなし.あとは頃合いを見計らって修理に出すことにしよう.

◇新刊情報 ―― 小林一輔『コンクリートの文明誌』(2004年10月刊行,岩波書店,ISBN:4-00-005388-4).コンクリート一筋の研究者による,コンクリートの歴史.社会的には現代の建築業界への警告部分がインパクトがあるのだろうけれど,個人的にはローマ時代の「祖先コンクリート」からの系譜に関心がある./ジャック・レプチェック『ジェイムズ・ハットン:地球の年齢を発見した科学者』(2004年10月刊行,春秋社,ISBN:4-393-32219-3).はいはい,すぐ買いなさいということですね.はいはい.いかにも湖水地方だかスコットランドのような表紙に惹かれて衝動買いしてしまう人も少なくないだろうな./日本秘湯に入る会編『この温泉が好きだ!』(2004年11月26日刊行,岩波書店,ISBN4-00-022851-X).ついに岩波までこういう本をって感じ(買うかもしれへんけど).

◇旧蒼樹書房本『過去を復元する』の注文が届いた.ありがたいことです.さっそく手元の在庫から一冊送る準備をする.※まだありますので,よろしく.>ほしい人.

◇天気が良すぎるので歩かずにはいられないウォーカホリック.しばし昼休みの徘徊.※そうか,「仕事中毒」は「workaholic」と綴るわけね.ほー.

◇なんだかなし崩し的に Macintosh まわりの環境がどんどんバージョンアップされていく.わー,〈T-Time〉が9月に version 5 にアップされていたとはー(昔からの正規ユーザーなのに置いてきぼりされた).ついでに〈azur〉もきちんと入れておかないと(ライセンスキーを買ってあるのに放置していた).こういう環境整備雑用ってとにかく時間食うねえ.※あらら,画面キャプチャーってこんなに簡単にできたのね.あらま.

―― Exposé ってよくつくられていると思う.Mesquite のごちゃごちゃしたウィンドウどもがイッパツで整列されるのを見るのは快感だ.

◇崇文荘書店の件については本日完了./筑波事務所のすざわ書店から着便の知らせ:ウッズ・ロジャーズ『世界巡航記』(岩波書店,17・18世紀大旅行記叢書[第II期]).これにて全巻完結./北海道大学図書刊行会から『中尾佐助著作集』の第1巻と第3巻の近刊予告が出た.月報記事のことをアタマの隅に置いておかないと.

◇『遺伝』の原稿は印刷所に速攻で入稿されたとの連絡.訂正などはゲラが出てからということになる.

◇お,またまたソーバー本の注文がメールで届く.感謝です.

◇最新版〈R 2.0.1〉の実行ファイルがほんの少しの時差でCRANサイトから配布され始めた.これで,今週金曜日の数理統計研修(応用編)の最終日には,最新版のRでのデモンストレーションができることになる.基礎編では Windows版のデモをしたので,最終日はMac版を見せよう.見栄えがとてもよさそう(なんたってアクアだし...).

―― そういえば基礎編では〈BIOMETRY〉の宣伝をぜんぜんしていなかったことに気づいた.うっかりしていた.

◇さむ....ふとんにもぐるシアワセ.

◇本日の総歩数=15899歩[うち「しっかり歩数」=10259歩/88分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.4kg.


16 november 2004(火) ※ ほんま往生しまんなあ〜

◇午前4時半起床.8.1度.この季節らしい寒さを実感.霧がかかっている.夜明け前の“彼は誰時”の怪しさか.

―― 何かモノに憑かれたせいか肩が重い.悪いことは重なるもので,いつもこの日録を書くのに使っている DynaBook SS をいつものように起動したら,ハードディスクが「かりかり...」というブキミな音を立てて,「HDD Password =」なるウワサに聞いていた死亡宣告メッセージ.あらまあ,逝ってしまわれたのですね.データについては方々のパソコンやUSBメモリーにクローンをとってあるので,データ喪失による立往生はないのだけれど,DynaBook君は早々に修理に出してハードディスクを交換しないとダメですね.このDynaBook君は,ときどき使っているDELLのLattitudeやPowerBookG4よりもはるかに軽量なので,国内外の旅にはいつも連れ歩いていた.ま,しばらく入院していただこう.

―― というわけで,急遽,PowerBookG4 をピンチヒッターとして栄えある“日録マシん”に起用する.しかし,馴れない mi editor だの,アホなことえりだのに気を取られ,更新日録にケアレスミスが.すかさず天王台から狙撃され,こっちもあえなく絶命(おお,ゴルゴ...).朝からワヤでんがな.

◇ゲンなおしに PowerBookG4 を Panther にバージョンアップする.アップグレード・パッケージを今年はじめに買ったもののそのまま放置してあった.BGMは当然こういうときにぴったりのショスタコーヴィッチ10番.「戦わねばならぬぞ」という気になる(基本トーンが陰鬱だからこそ).

◇お,〈R〉の最新版「2.0.1」が出ましたね.いまんとこはソースコードだけかな.プリコンパイルしたのは後でリリースされるのだろう.

◇その他,いろいろと ―― 1)某大学の客員教員人事の件はとりあえず先の段階に進んでいるとのこと.ま,それはそれでよかったということで.え,担当授業が〈応用昆虫学特論〉? マジっすか?(大笑) 2)来年度,東大でまたまた〈保全生態学特論〉の非常勤講義15時間を受け持つ予定.タイトルに大いに偽りありで,内容は〈生物系統学特論〉でーす. 3)来年3月の生態学会大阪大会の小集会企画〈デ−タ解析で出会う統計的問題:検定かモデル選択か 〉が採用されたとの連絡.提供される話題がいずれも“未定”とか“??”というところが実にアヤシイ.いったい何をやる気だろう.※当事者が言っててどーするって.

◇慣れてみれば mi editor のhtml編集機能は使いやすいのかもしれない.いつもはWindows環境で Wz editorWXG で日本語入力するという習慣が長らく身についていたので,いきなり「異文化」に放り込まれた感じがしたのだけれど.

◇1時間ちかくもかかるショスタコーヴィッチ10番が終わったが,Panther へのアップデート作業はまだ続いている.だもんで,さらに陰鬱な同8番に突入.全5楽章で70分,これでどーだあっ.

◇なんのかんので“仕事がちっともはかどっていない”という驚愕の現実に引き戻される.※当たり前やん..../もうお昼でーす.

Alibrisから着便 ――

Kiriakoff, S. G. 1948.
De huidige problemen van de taxonomische terminologie in de dierkunde.
Verhandelingen van de Koninklijke Vlaamse Academie voor Wetenschappen, Letteren en Schone Kunsten van België, Klassen der Wetenschappen, Vol. 10, No.27.
Paleis der Academiën, Brussel, 50 pp.

ベルギー王立フラマン科学・文学・芸術アカデミーの紀要としてブリュッセルで出版された本.ベルギーのフラマン語圏では,第二次世界大戦直後のこの時期に出版された動物分類学の本はほとんどないので,その意味でも関心がある.ざっと眺めた感じでは,1940年代の“The New Systematics”の運動への応答(たとえば「種= soort」をめぐる分類カテゴリーの定義問題)が後半の中心テーマだが,前半ではむしろ「理論分類学(theoretische taxonomie)」をどのように構築していくのかという点に論議の中心がある.Ernst Mayr や George G. Simpson が taxonomy と systematics とをほとんど同義に解釈していたことを指摘しつつ,著者はこう述べる――

Met Paramonov (zie hierboven) beschouw ik de Taxonomie als een onderdeel van de Systematiek; deze laatste mag dus gedefiniëerd worden als de wetenschap van de rangschikking der lebende (recent en fossiel) vormen. De Taxonomie bepaal ik als de wetenschap van de kategorieën waarin deze vormen kunnen gerangschikt worden. De Klassifikatie, een onderdeel van de Systematiek, bepaalt in werke orde deze kategorieën moeten gerangschikt worden. [p.8]

【試訳】上で言及したParamonovと同じく,私も分類学(Taxonomie)は体系学(Systematiek)の下位にある学問とみなしている.ここでいう体系学とは現生および化石の生物(lebenden vormen)の整理(rangschikking)の科学であると定義できるだろう.分類学とは生物を整理するためのカテゴリーに関する科学である.そして,体系学のもう一つの下位科学である分類(Klassifikatie)は,それらのカテゴリーが整理される秩序に関する科学である.

生物を整理するためのカテゴリーが「分類学」であり,そのカテゴリーを整理するための秩序が「分類」の任務であるという所掌分担を想定し,それらを下位科学として包括する上位科学が「体系学」であると考えているようだ.

―― Willi Hennig が登場する“前夜”は一般にこういう論調だったのか.Walter Zimmermann への言及もないので,「系統学」に対する視座はこの時点ではまだなかったのかもしれない.1950〜60年代の Kiriakoff はその意味では“豹変した”といえるだろう.

―― 横道ながら,届いたこの本はブリュッセル自由大学(Vrije Universiteit Brussel)の図書館から蔵書処分(afgevoerd)された本であることを示すスタンプが押されている.大戦直後の紙不足の時代だったから,きっと印刷部数は多くなかったと推測される(Hennig の1950年本もドイツ国内の紙不足のせいで出版が数年遅れたとのことだ).めぐりめぐってよくまあ極東の地まで到達したものだとつくづく思う.

◇別件の原稿を再びコッソリと書き進める.そろそろテポドンが飛んでくるにちがいないから.

◇本日の総歩数=7976歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.6kg.


15 november 2004(月) ※ さぶ〜,冬眠するぞ

◇4時起き.曇ってるのかなと思っていたら,そのうちざあざあと冷たい雨が降りはじめる.気温11度.

◇とにかく裳華房の原稿を仕上げないことにはどうしようもないので,明け方に茶を飲んでのろのろとキーボードを叩く.午前9時前にやっと脱稿.テキストで19KBほど.William Whewell の図が1枚付く:

『生物の科学 遺伝』(裳華房),59巻1号(2005年1月号)
[連載・非生命体の進化理論(4)]
三中信宏:
古くて新しい「系譜の科学」――歴史推定のための一般的方法について

とりあえず,四番町にばばっと送信して,肩の荷を勝手におろしてしまう.

◇今日の午後からは数理統計研修(応用編)が始まる.しょっぱなに「多変量解析概論」という今年から新しく始まる講義を担当する.準備がまだですねん....※あと3時間(汗).

―― ま,多変量データの〈視覚化〉を印象づけるというのが「概論」の最大の目的であることは最初から決まっている路線なのだが.疲労感が淀みのように溜まっているので,イマイチしゃきしゃきと行動できない.スキャンしたりとか InDesign に貼りこんだりとか.※あと2時間半やで!>ぼく

◇12月中旬に,また上方にてヒミツ会議の予定が入る.

◇せこせこ,がしがし,へろへろとプレゼン資料をつくる[ふりをする].窓から見た外はひたすら雨が降っている.気温低め.あ,でも,ちょっとこりゃあ時間足りないっす.昼休みに突入するものの,まだスキャンしていたりする.講義開始まで1時間を切る.昼飯返上(今日の講義は荒れるぞー).

―― けっきょく,講義開始10分前にやっとpdfをひねり出し,そのまま会場に直行したのだが,誰もいない! そんなバカな! 1時15分開始のはずなのに,先週の基礎編会場だったつくばリサーチギャラリーは応用編の会場ではなかったという驚愕の事実がいまになって判明.あわてて,そのまま農研機構の会議室に転戦したところ(選択肢は他にはない),受講生のみなさまはちゃんとすわって待ってましたとさ(ちゃんちゃん).※確認しろよな>ぼく.

◇やや定刻遅れで〈多変量解析概論〉の開始.最初,プロジェクターが映らないというトラブルで時間を喰ったものの,10分ほどのずれこみですんだ.まずはかたちは多変量データである》という直感的な話から入り,形態測定学のいくつかの例を出す.基本的に人間が生存不能な多次元空間は,可視化と次元低減を通して初めて「見える」ようになるという論点.とくに,《多変量データはかたちである》という点を強調する.Mesquite の Retenor パッケージを用いて多次元空間内の散布パターンの体験.ついでにtpsTriを用いて,2次元正規分布をさまざまな分散値のもとで生成するシミュレーションを見せる.ほぼ定時の2時45分に講義終了.※腹が減っていたので,ことのほか声が大きかったと思う.

―― 基礎編だけでなく応用編でも「概論」があるのが望ましいことは確か.問題はどのような内容を「概論」として盛り込むかということだろう.概論だから総花的に何でもかんでもつっこむのは方針としてはまちがっていると思う.逆に,最初なんだから,受講生に「あっ」と言わせないとだめ.迷える?生徒たちをきちんと初期化してあげるのが「概論」担当講師の務めだと認識している.※迷わず成仏させてあげるからね.

◇まだどんよりとした空模様.講義終了後,吾妻のピーターパンで電話予約しておいた「Flocken Sesami」を1本引取る.

◇空腹&寒さ&睡魔で半ば往生している自分を見る.そのまま寝る.※成仏したわけではない.

◇本日の総歩数=6912歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=0.0kg.


14 november 2004(日) ※ 真夜中のブルックナーだったりする

◇午前2時起床.気温11.2度.ほどよい冷え方.しかし,明け方から雨が降りはじめ,午前7時には気温9度台に下がる.

―― 研究室にて原稿書きの続き.久しぶりのブルックナー5番.80分後にはだいぶはかどっているだろう.※ぜひそうあってほしいな.

◇文献系図(ステマ)の実例を掘り返す.ウィトゲンシュタイン〈ウィーン版全集〉の遺稿ステマが「ほどよい複雑さ」なので適当かもしれない.「ほどよい」とはいえ,十分に入り組んではいるのですが.それにしても,この「全集」,こんな大版の変形サイズのまま続刊が出ているんでしょうか? ぼくは最初の「イントロダクション」の巻を神保町の古書店で拾ってきただけですが.

◇あ,もう第4楽章.やばっ./日経サイエンス(CD-ROM版)への転載許可のハガキを書いたりする.

◇つくば市長選と市議選の投票を午前8時にすます.その後は研究室にてまたまた原稿.午後4時まで.帰宅.

◇つくばローカル ――〈李厨房〉の小野崎店が新規オープンしたとの新聞広告.〈香辛飯屋〉から〈LALA Garden〉に抜ける道の途中に.〈La Vie Provencal〉の向かい側あたりかな.今度チェックしてこよう.※とりあえずは年末の忘年会かな.〈いしだ屋〉と迷うところ.

◇夜も原稿書き.午後11時過ぎに寝る.

◇本日の総歩数=9669歩[うち「しっかり歩数」=3953歩/34分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.8kg.


13 november 2004(土) ※ やっと冷えはじめる

◇3時半起床.12度.リーズナブルな最低気温だ.闇夜は晴れている.早朝に Book-Ace に着便していた徳永康元『ブダペスト回想』(1989年12月20日刊行,恒文社,ISBN:4-7704-0710-6)を受け取る.表紙の図柄はマチャーシュ教会のイラスト.タイトルのフォントはいわゆる“闘争書体”みたい.※これで“3部作”の2冊目までゲット.

◇いよいよ短期的に押し詰まった『遺伝』の〈非生命体進化〉の原稿にケリをつける予定.ネタとても多し,しかしそれらを束ねきれないのが難点.

―― パラレルに,来週月曜日の「多変量解析概論」の準備も.「視覚化」という柱を立てて噺をつくっていく.Edward Tufte の視覚言語本は統計学者 John Tukey から啓発されているところが多そうなので,多変量解析のヴィジュアル化という共通テーマのもとに束ねることができそう.

◇先月の白河での畜産統計研修のアンケート集計が送られてきた.いちおう時間ごとに分けられていたようで(噺をしていた本人は連続高座だとみなしていたのだが),各科目ごとに満足度評価やら自由記入メモが付いている.Rそのものに関する説明は全員「役に立った」とのことで,「理解できた」のは平均で7〜8割.しかし,意外にも概論については5割が「理解し難いところがあった」とのこと.ほー.※もっとリキを入れて“初期化”しないといけなかったかな.

―― 現在進行形の数理統計研修についてもアンケート集計を返してもらう必要がありますね.

◇農文協から『生物科学』誌への追加書評(梅谷献二『虫を食べる文化誌』書評)のゲラがファクスされてきた.ささっと見て立教大学に返送する./忘れないうちに,計量生物学会評議員会の出席通知も返信する.

◇10:00〜18:00 ―― 原稿書きの時間.今日は朝から午後8時までLANがメンテ停止されているので,とても静か.

◇午後9時に早々と就寝.「原稿書きますか,それとも,寝ますか?」というシンプル・ライフ.他のことは何一つしていない.

◇本日の総歩数=7727歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.4kg.


12 november 2004(金) ※ そうですか,「業」ですか……

◇4時半起床.ざあざあと本降りになっていた.気温17.2度.寒さはどこへ行ったやら.

◇昨日届いていた徳永康元『ブダペスト日記』(2004年8月10日刊行,新宿書房,ISBN:4-88008-314-3)の「私の日記論」(pp.145-148)にいわく:

もちろん,日記といっても,業務日記のような半ば公式の記録もあるし,また,自分の日々の行動を簡単に記した備忘録的なメモや,家庭の主婦のつける家計簿ふうなものだったら,ずいぶん大勢の人が書いているにちがいない.だが,大判のノートに毎晩欠かさず,日によると何十ページも書かなくてはいられないようなタイプの人間にとっては,日記というものは一種の業[ごう]だともいえるだろう.私もその一人なのだが,年をとってから書く量こそだぶ減ったにせよ,やはり毎晩,いくら疲れていても,どんな急ぎの仕事が目前に控えていても,まず日記書きを済ませなければ何ごとにも手がつかないというのは,まったく因果な性[さが]だと思うことがある.[pp.145-146]

この『ブダペスト日記』の目玉は,なんといっても,著者がハンガリーに留学していた頃(1939〜1942年)につけていた詳細な日記の抄録(pp.179-298)である.時代も時代だしとても興味深い.

―― オビに〈待望のブダペスト・エッセイ三部作,完結!〉などと書かれてあるので,三部作を揃えなければどうしようもなくなる.『ブダペスト回想』は今日あたりつくばの某書店に届いているはずなのでいいのだが,第1作目の『ブダペストの古書店』がまだめどが立っていない.出版元のサイトで「在庫あり」となっていたので直に発注してみたのだが,昨日になって「あの掲示はまちがいでして〜」という釈明メールが返ってきた.灯台なお暗しということか.先方ですまながって,いま“タンス在庫分”を探索してもらっているところ.※希望的には,こういう「三部作」を揃いで入手できるように,この機会に復刊していただくのが多数にとっての幸福だろうと思うのです.

◇ああ,だ,だ ―― 今日は朝から午後まで統計研修で〈R〉実習.その後,質疑があるのに.Rのデータファイルはすでに研修生に配布してある.プレゼン資料は html ファイルについては Firefox で全画面表示するように設定完了.Firefox は文字サイズがより柔軟に変えられるので,プレゼン用のブラウザとしてより適しているように思う.

◇午前9時から統計研修〈R演習〉の始まり.講師はぼくを含めて3人.最初にRの基本的な使い方についてぼくが説明する.とくに,Windows環境では,ファイルの拡張子をつねに表示させるように設定変更するなど,露払いに時間がかかるのはいつものこと.とにかく外部ファイルのRへの読み込みがきちんとできないと困る(でも,ここでの死亡率が意外に高い).ここまでで1時間ほどかかる.その後,分散分析のRを用いた計算とか,確率密度関数の描画とか.2時間あまりでだいたいの噺が終わる.

―― 続いて,岩田さんがRでの「関数」の作成についての説明をする.ここでランチ・ブレイク.雨はもう上がったようだ.いったん農環研に戻る.午後は1時から〈R演習〉の再開.二宮さんがRを用いた重回帰分析とモデルの cross-validation について解説.2時からは質疑応答の時間となり,午後4時半に基礎編の全コースが終了した.

◇夕方,また雨が降りはじめる.午後7時からノバホールにて,つくば国際音楽祭〈ベルリン弦楽四重奏団〉コンサート.ハイドン「皇帝」/ベートーヴェン「セリオーソ」/同「ラズモフスキー2番」.ベートーヴェンはとにかく appassionato でした.

◇夜遅くなって霧が立ちはじめる.

―― 原稿の督促.この週末にケリつけよう.

◇本日の総歩数=14504歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−1.4kg.※前夜,喰わずに歩くとこうなる.


11 november 2004(木) ※ お湿りの朝に霞む惑星直列

◇4時30分起床.夜中のうちに雨が降ったようで,地面が濡れている.気温11度.靄がかかる.

◇明日の統計研修では「R演習」を担当するので,テストデータのファイルをチェック.おお,ヘッダー行が抜けているのがぁ(→〈租界R〉のいくつかのデータファイルを差替え).統計研修事務局に受講生へのファイル配布を依頼する.

―― 受講生から,実験計画法の講義で用いたスライドのハンドアウトがほしいとの要望あり.分量が多いのでどうしようかと思ったのだが,ま,隠すもんでもなし.pdfだと計100MBを越えるので,ここはハードコピーでがまんしてもらいましょ.

―― 昼休み前にハードコピーをもって,散歩がてら実験圃場を通って講義会場に行く.空模様は一時的に持ち直している.でも,この暖かさはいったいどーしたことでしょ.昼下がりになって,天気も下り坂.予報通り.

◇理研前のパン屋〈ミューレ〉に久しぶりに立ち寄る.パンの袋にシールが:〈パンの街つくば〉.ほほー,そういうコピーを撒こうとしているわけですか.確かに,つくばの「ある一角」ではパン屋がひしめき合っていますが.※洞峰公園前の〈アンデルセン〉が店内レストラン重視の改装をしたのは,パン屋コミュニティにおける“分岐原理”の発現だとぼくは見ているのだけれど.

―― それはともかく,〈パンダフルシティ〉っつうキャッチフレーズはやめてね.※ハズカシ...

◇とある原稿,別の原稿.※「魔王がやって来る」....

◇夕方になり,ぽつぽつと雨滴が落ちてきた.研修生からの統計質問がまとめて送られてくる.ほほー,みなさん,こういうところで息絶えましたか.ま,予想通りの死に方ですね.明日の質疑の時間には迷わず成仏させてあげますからね.

◇午後7時から筑波事務所の宿泊施設にて,統計研修受講生による“自主的ゲリラ的”な懇親会.オモテ向きは施設内で集結して飲んだり騒いだりしてはいけないということなので,各人がたまたま同じところで偶然“個飲”しているという「みなし」のもとに,夜10時近くまで うるさく騒ぐ 互いに相関して独り言をつぶやき続ける.Trockenbeerenauslese はことのほか美味であった.※飲みたい人はまた来年もつくばに来るように.貴腐ワインはあと1本しかないぞ.

◇本日の総歩数=21751歩[うち「しっかり歩数」=12778歩/104分].全コース×|×.朝○|昼○|夜−.前回比=0.0kg.


10 november 2004(水) ※ 統計学高座での噺の日(第2回目)

◇5時起床.8.9度.やや胸ヤケ気味.地表近くは霧がかかっている.晴れた東の空は今日も惑星直列(直線に並んだ金星・月・木星の内分比は2:5くらい).※昨日も載せたし今日はもういいかと思っていたのですが,今日の朝日新聞記事にもあったので,ついまたまた似たような手ぶれ写真をば(午前5時33分撮影).実に印象的な「一直線」ぶりでした.

◇貸会議室MLの使用期限が迫ってきたという通知メールが届く.あわてて期間延長の処理をする.ついでに,もう使わなくなった会議室のいくつかを閉じることにする.EVOLVE / TAXA のような登録MLとは異なり,貸会議室(room)は使用期間の上限が180日なので,継続したい場合はその都度あらためて期間延長の更新をしなければならない.

◇そうこうするうちに,午前9時からの講義開始が迫ってきた.実験計画法(9:00〜12:00).例年通り,分散の基礎概念の直感的説明に始まり,分散比のF検定の認知的理解,実験計画の初歩と背後の線形モデルの仮定,正規性と等分散性のテストなどについて,他の講義への橋渡しとなる噺をする.ほぼ時間通りに終わる.明日夜に宿泊施設にて受講生のパーティを開くとのこと.

◇ぽかぽかと暖かく,とても11月とは思えない昼休み.

◇新刊メモ ―― 時節柄ということ? 海路書院から〈天変地異〉本が2冊新刊:『日本天災地変誌』(2004年10月刊行,海路書院,ISBN:4-902796-04-X)と『日本飢饉誌』(2004年10月刊行,海路書院,ISBN:4-902796-05-8).※買うつもりはさらさらないのですが,メモするだけならなタダなので.

◇さらに新刊メモ ―― 田中栞『古本屋の女房』(2004年11月刊行,平凡社,ISBN:4-582-83242-3)はもちろん蒐書慾をそそられるのだけれども,同じ著者による別の新刊が書肆アクセスに入荷しているようだ(→書肆アクセス半畳日録(2004年10月30日)):田中栞『書肆ユリイカの本』(紅梅堂).※うう,禁断症状が....

Alfred Russel Wallace 関連 ―― 今年になって Wallace の進化論集(Thoemmes Press,全3巻←)とか彼の伝記が立て続けに出ている.今日も矢島道子さんから Nature 誌(2004年10月7日号)にウォレス伝2冊の書評が出ていると教えられた.あ,これですね:George Beccaloni 2004. The other evolutionist. Nature, 431: 630. 近いうちに情報を整理して EVOLVE 送りにしましょう.

◇諸般,押し詰まり気味で,そろそろブレイクスルーが必要だ.

◇本日の総歩数=9554歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg.


9 november 2004(火) ※ エアポケットな惑星直列日

◇4時半起床.9.9度.地表近くに薄い霧がかかっているものの晴れ.日の出直前の東の空に,三日月と金星と木星が接近大直列していた(手ぶれ写真は→右).早起きならではの愉しみ.

◇〈仮説検定〉についてのメモ ―― Vic Barnett 著『Comparative Statistical Inference, Third Edition』(1999年,John Wiley & Sons, ISBN: 0-471-97643-1)から.著者は仮説検定を三つのタイプに区別する(pp.132-137):

  1. Pure significance test:帰無仮説を棄却するという意思決定を伴わない検定(Fisherの立場)
  2. Significance test:帰無仮説を棄却するという意思決定を伴う検定(Neyman-Pearson的フレーバー)
  3. Hypothesis test:帰無仮説を棄却し,対立仮説を受容するという意思決定を伴う検定(Neyman-Pearsonの立場)

1→3となるにしたがって,より inferential なスタンスから,より decision-making なスタンスに移行していく.

―― 3の Neyman-Pearson 流の仮説検定については,帰無仮説(H)と対立仮説(H~)の“非対称性”が指摘されている(pp.169-171):

One notable feature of the hypothesis test is the asymmetric way in which H and H~ are regarded. In seeking to minimise the probability of type II error, with an overriding constraint placed on the probability of type I error, we are, in a sense, regarding H as more important than H~. That is, the major concern is to ensure that the probability of rejecting H, when it is true, is suitably small. As a consequence, the opposite concern for rejecting H~ when H is true may suffer. [p.169]

こういう論点を考えてみるにはいい機会かもしれません.

◇片平孝『地球 塩の旅』(2004年10月20日刊行,日本経済新聞社,ISBN: 4-532-16487-7)読了.感動的な写真の数々ですな.薄桃色に染まった塩湖を求めて,イリアンジャヤから死海へ,アンデス山脈からサハラ砂漠へと旅した記録.見ているだけでカラダの浸透圧が上昇しそう.ボリビアの巨大ウユニ塩湖のスケールの大きさ,ペルーの“千枚田”塩田がすごい.岩塩の板で叩かれると痛そう.塩の巨大結晶が輝いている.塩採りはとんでもない重労働であることを知る.日本の“塩の道”とはまた別の“サハラ砂漠・塩のルート”を著者は旅したという.※この写真集をまだ見ていない人はすぐ書店に走りましょうね.

◇天気とてもよし.しかし,地下キャレルに立籠って原稿を書く.※とても不健康である.

【欹耳袋】―― 探せばあるものだ.徳永康元の〈ブダペスト三部作〉のうち,出たばかりの最新刊『ブダペスト日記』(2004年8月刊行,新宿書房,ISBN:4-88008-314-3)は雑誌書評(→週間朝日2004年10月15日号)もあったりして,よく売れているようだ.一方,その姉妹本にあたる2冊『ブダペストの古本屋』(1982年4月刊行,恒文社,ISBN:4-7704-0486-7)と『ブダペスト回想』(1989年12月刊行,恒文社,ISBN:4-7704-0710-6)はネット書店/ネット古書店でいろいろ探しまわっていたのだが,なかなか見つからなかった.しかし,意外や意外,“灯台下暗し”なところで見つかってしまった.三部作が揃い踏みする日は間近い.※この著者は作曲家・柴田南雄のいとこなのだそうだ.

―― 毎度のことながら,ずっと探していた本がたまたま見つかるというのはシアワセなことだと思う.

◇四番町から原稿督促.そろそろヤバそうな雰囲気./人事書類を出していた某大学から,客員教員のゴーサイン.人事選考委員会のために顔写真を送れとのこと.※写真見て落とされたりして....

◇夕暮れ時のウォーキング.大気が動いていないせいか,低空分離層?に霧が発生している.5000歩ほどのプチ・ウォーク.

―― 5時過ぎから業務科別棟にて,農環研主催の収穫祭が始まる.ごく短時間に大量の炭水化物など(餅,おにぎり,汁粉,焼きそば,おでん,豚汁,焼肉 etc...)を摂取する.7時前に退散.研究室にて明日の数理統計研修(「実験計画法」)のプレゼン資料の準備をする.午前の90分×2コマという長丁場だが,例年のことなのでだいたいの時間配分はわかっている.pdfのスライドとT-Timeのメモ・ノートを用意する.

◇本日の総歩数=13217歩[うち「しっかり歩数」=5052歩/44分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.4kg.


8 november 2004(月) ※ ドロナワに巻かれながらも研修初日

◇3時半起床.13.1度.寒さ感じず.ここのところ季節が一月ほど逆行したようだ.

◇本日から2週間,農研機構主催の数理統計研修がつくばで開催される(→短期集合研修「数理統計」:pdf).今回は,前半の基礎編と後半の応用編を併せて4回の高座があり,それとは別に質疑の時間帯がふたつある.今日は,オリエンテーションの直後の時間帯(10:30〜12:00)に,基礎編の「統計学概論」の講義.明け方にプレゼン用pdfの最終調整とハンドアウトの印刷.

―― 今年度の受講生は,基礎編が計54名(都道府県32名/農水独法22名),応用編が計30名(都道府県14名/農水独法16名).うち,両方のコースを受講するのは計15名(都道府県7名/農水独法8名).

◇でもって,またまた原稿の続き ―― 今日のBGMは久しぶり Kurt Eichhorn のブルックナー8番など.

〈視覚化〉〈視覚言語〉―― 系統樹イコノロジー,統計グラフィクス,図的言語リテラシーなどいくつかのスレッドがここで結合してくる.Edward R. Tufte の一連の本以外に釣り上がってくるのは(年代順に):

  • Funkhouser, H. G. 1937. Historical development of the graphical representation of statistical data. Osiris, 3: 269-404.
  • Wegman, E. J. and D. B. Carr 1993. Statistical graphics and visualization. Pp.857-958 in: C. R. Rao (ed.), Handbook of Statistics, Volume 9. Elsevier.
  • Hankins, T. L. 1999. Blood, dirt, and nomograms: a particular history of graphs. Isis, 90: 50-80.
  • クロスビー,アルフレッド・W. 2003. 数量化革命:ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生. 小沢千重子訳.紀伊國屋書店,東京,352 pp.

Funkhouser の論文(というかほとんど単行本並み)は Tufte の著作群の先駆として注目.統計学者 J. W. Tukey の探索的データ解析(EDA)もこの文脈で登場する.Tukey と生物体系学との興味深い関係(なぜTukeyはグラフィカルな統計学に関心をもったか)については,当時の体系学における生物統計学(biometry)の受容のあり方と関わりがあるとの指摘:

  • Joel Hagen 2003. The statistical frame of mind in systematic biology from Quantitative Zoology to Biometry. Journal of the History of Biology, 36: 353-384.

がとても興味深い.こういうテーマは深入りすると戻ってこれなくなりそうなので,いまは二の足を踏んでしまうのだが.

◇なんのかんので,10時過ぎにはもう農研機構のつくばリサーチギャラリーにある講義室に到着.開講式やらオリエンテーションやらがすんだあと,さっそく〈統計学概論〉の時間となった.さまざまな機会に何度も噺をしているないようなので,さほどつまづくようなこともなく,60枚あまりのスライドを消化した.ほぼ時間通りに終わる.※しかし研修はまだ始まったばかり.受講生はたいへんだが,噺家もそれなりに疲れたりする.

◇昼休みに組合の職場委員顔合わせに“代理”で出席して,弁当だけ食べてくる(〈筑前〉の仕出弁当でしたか).腹減っていたせいか,あっという間に完食.

◇こまごまと書類を書いたり,郵送物を用意したりしているうちに夕暮れが近づく.

◇〈本〉関連メモ ―― 「ISBNが13桁化」:国会図書館編『カレントアェアネス』E-11号(2003年3月19日発行),記事E063.英語圏では現行の10桁ではもうすでに番号が足りなくなっているのだそうな.来年から2年間が移行期間で,2007年には完全に切り替えるとか.ほー.※ぜんぜん知らんかったぞ./新刊:本間健彦『「イチョウ精子発見」の検証:イチョウ精子発見封印の謎』(2004年11月刊行,新泉社,ISBN: 4-7877-0415-X).ちょい惹かれたりする.

◇『日経サイエンス』から依頼.掲載記事のCD-ROMへの転載を許可してほしいとのこと./日本計量生物学会から連絡.役員選挙評議員会(11月27日)開催の通知./東京大学から〈ホームカミングデー〉の通知.※法人になったらこういうことまでやるようになったのかぁ.

◇なかなか進まん原稿仕事....すまん進まん,進まんすまん.

―― ちょい逃避したりする./医者探しのお手伝いをしたりとか.

◇デュークのぞみに狙撃され,「た」抜き狩られる.絶命し,就寝.※今日はやや乱射してません?(犠牲者多し)

◇本日の総歩数=9682歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg.


7 november 2004(日) ※ 引き籠る秋晴れの日曜

◇4時30分起床.霧が少しかかっている.10.7度の早朝.明るくなって日射しがまぶしい,

◇朝から研究所に立籠って原稿を書く.健康的にはよろしくないにちがいない.※そろそろブレークスルーか.それとも千鳥足か.

―― 暗くなるまで齷齪する.明日から2週間の数理統計研修が始まるので,そのプレゼン資料を傍らでいじっていたら,これまた time-consuming でして.どうせ準備なんかする時間があるはずもないので,あとは“高座”の本番ということで.とりあえず,帰宅.※夜は長いぞ.

―― うう,高座のイメージ・トレーニングに意外に時間を盗られてしもた.もう日が変わる.

◇原稿〜〜.※うなされてる.

◇本日の総歩数=6274歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg.


6 november 2004(土) ※ シンプルな職務質問の早朝

◇4時半に目覚めるものの,また惰眠の淵に沈む.5時半起床.やや曇りか.

―― 早朝の森の木陰コースを歩く.いやにパトカーが多数走り回っていると思ったら,畦道の背後から私服警官の乗ったパトカーが近づき,職務質問を受ける.強盗事件のホシが小野崎あたりを逃走中とのことで,捜索しているらしい.灰色のトレーナー姿で逃げ回っているとか.ワタシもグレーのトレパンだったりする.風体がアヤシかったのだろうか,それともいかにも「犯人っぽかった」のか…….※ま,署に連行されなかったのでヨシとしましょ.

◇強盗犯が潜んでいる[かもしれない]木陰を伝って Book-Ace へ.オリヴィエーロ・ディリベルト『悪魔に魅入られた本の城』(2004年11月10日刊行,晶文社,ISBN:4-7949-2663-4 ).バトルズ『図書館の興亡』の現代編(続)といった感じか.あるプライベートな蔵書のたどった運命.この秋は「本の本」の新刊が実に多い.

―― レジ前に遠目にも派手派手しいオレンジ色の『つくばスタイル』がドンと平積みされている.店員さんに訊いたところ,とてもよく売れていて20〜30冊もまとめ買いする人がいるそうだ.へへー.

◇外は曇ったり晴れたりのほどほど天気.午前中はまた原稿書き.さらさらと時間が指の間をすり抜けていく心地す(詠嘆調または慨嘆調で).

―― ディリベルト『悪魔に魅入られた本の城』を速攻で読了.ディテールにこだわりまくるところがいいですな.本文そのものははわずか70ページ足らず.にもかかわらず,注が35ページにもわたる.ドイツの歴史家にしてノーベル文学賞受賞者テオドール・モムゼンの私蔵書がたどった運命はひとつのリネージをつくる.それにしても×××が犯人だったとは!(知りたい人は読むべし).ボルヘスのことばを引用しつつ,結びの節で著者は言う:

これはあくまでも仮説だが,これまで述べてきたさまざまなミクロな物語が,私としては実際にそうであったと考えるのが楽しいのだが,複雑にからみあってひとつの大きな物語になっていると考えてもいいのではないだろうか.確かに,私たちの手元にある資料はどれも,そのように関連づけることを補償してくれるわけではないが,私の脳裏にはどうしても忘れられないことばがよぎるのである:「あなたは,事実はおもしろくある義務はこれっぽっちもないとおっしゃるかもしれませんが,わたしは,事実はその義務からは逃れられるけれども,仮説はそれから逃れられない,と答えましょう」[p.70]

―― 訳者のあとがきは,偶然にもバトルズ『図書館の興亡』の内容をまるでそのまま要約したようである.実際,バトルズ本を蔵書に関する“総論”とするならば,このディリベルト本は“各論”にあたる.そういう読み方が愉しみを増す.※ほぼ同時に刊行された樋口覚『書物合戦』(2004年11月刊行,集英社,ISBN: 4-08-774724-7)もまさに「類友」.

―― これまた偶然にも未來社のPR誌『未来』の最新号(2004年11月発行,通巻458号)に,マックス・ヴェーバー研究家のヴォルフガング・J・モムゼンの追悼記事が載っている(pp.1-4).テオドール・モムゼンの曽孫だそうだ.

―― ついでにトリヴィア:文献系統学の分岐分析の論文が載っている Bryn Mawr Classical Review 誌は Bryn Mawr 大学で発行されているが,ここはアメリカの古典研究の総本山なのだそうだ./アカデミア・リンチェイへの言及あり.※ディテールが満喫できる本ですこと.

◇あ,原稿…….

◇本日の総歩数=9828歩[うち「しっかり歩数」=6305歩/50分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.8kg.


5 november 2004(金) ※ シンプルに寒気入る

◇4時半起床.寒くなってきたようだ.気温9.7度.Amazon.comの怪(もう手に入れた人,まだ待たされる人).

――〈ヨハネ受難曲〉をBGMに原稿を書く明け方.なおヒューウェル.

◇辞書新刊2冊 ―― 秋永一枝編『東京弁辞典』(2004年10月刊行,東京堂書店,ISBN: 4-490-10656-4).先日,神保町の東京堂書店でブツを触ってきた./『オックスフォード植物学辞典』(2004年10月刊行,朝倉書店,ISBN: 4-254-17116-1).朝倉にしては「安い」と思ってしまう.

◇森鴎外の書簡が発見されたとの報道(→asahi.com記事:2004年11月5日付)―― 未公開書簡の整理を委ねられた小尾俊人・元みすず書房創業者経由で,幻戯書房から全3巻で出版されることになったという経緯なのかな.※もしそうだったら「つながる」なあ.

―― 幻戯書房のサイトはシンプルで味わいがあります.“作品”の「全身像」が各方向から見られるところとか.

◇系統推定法のパフォーマンスに関するNature論文(B. Kolaczkowski and J. W. Thornton 2004. Performance of maximum parsimony and likelihood phylogenetics when evolution is heterogeneous. Nature, 431: 980 - 984, 21 October 2004)とそのオンライン追加資料(pdf)をチェックする.パラメトリックな系統推定(最尤法とベイズ法)がヘマをする場合(サイトごとに進化プロセスが異なる不均質な状況)が指摘されている.この論文ではノンパラメトリックな最節約法が結果として「いい線いってる」という結論だ.こういうシミュレーション研究の結果は過大評価してもいけないし,かといって無視するわけにはいかない.※ Huelsenbeck and Hillis 1993 以来のこの手の検証研究の流れはまだまだ当分は衰えないだろう.

―― 体系学史を観察する“第2の David Hull”がいるとしたら,1988年以降の「系統推定論の歴史」は格好の研究素材となるにちがいないと思う.

◇最節約法による系統推定の〈最終兵器〉と目されている【T.N.T.】がやっと正式にリリースされた(→配布サイト).Cladistics誌の最新号に Peter Hovenkamp による製品レビューが載っている(Cladistics, 20: 378-383, 2004).シェアウェアの価格は US$ 80.00 とのこと.※こっちもこれからは忙しくなるぞー.

◇昼休みに万博記念公園をお散歩.イチョウの散りはじめで風情あり.日射し心地よし.こういう“公園”の部分だけ見ている分には,つくばもけっして悪くはないのだけれどね.“公園”だけで日常生活が成り立っているわけではないところが問題なのだ.

―― 40分ほど万博記念公園の中と外を徘徊する.

◇“おおやけ”関連 ―― 日本計量生物学会の次期評議員に選出されたという通知が届く(ま,公務だよね,これって)./日本学術会議から次期会員の選出に関わる人選依頼が届く.これは日本進化学会宛だから駒場の殿にそのまま丸投げしましょ./年末調整の用紙が届く.※これが手元に来るといやおうなく「年の瀬」が押し寄せてくる感じがする.

◇豊作の秋 ―― 順調に本の実りを刈り取る:永嶺重敏の著作を2冊『雑誌と読者の近代』(1997年7月16日刊行[2004年2月10日:オンデマンド版],日本エディタースクール出版部,ISBN: 4-88888-803-5)および『モダン都市の読書空間』(2001年3月30日刊行,日本エディタースクール出版部,ISBN: 4-88888-310-6).いずれも明治以降の近代日本における読書文化論.同じ著者による『〈読書国民〉の誕生:明治30年代の活字メディアと読書文化』がとてもよかったので,つい勢いでさかのぼってご購入.

◇あ,書いてます,書いてますって.(滝汗)

◇「こらぁ,はよ反応せえやあっ」という未必の故意か(はたまた密室の恋か……,さぶ):で,ブーツストラップでお悩みになってるわけですね.困りましたな.もうそんなじゃまくさいのんやめてしもて,Bremer support の世界に浸ったらええのんちゃいます? え,それ言うたらワヤでんがなって? ははー.

――「bootstrapの繰り返しのそれぞれでモデル選択ってしなくていいのか?」:ブーツストラップの精神はそのデータを“母集団”とみなして,そこからリサンプリングすることにあるとぼくは理解しているので,もし元データに関して尤度比検定あるいは情報量基準のもとである分子進化モデルが選択されたとしたなら,そのモデルはそれぞれのブーツストラップ・レプリケートごとに“継承”されるべきでしょう.逆に,各レプリケートごとにモデル選択するというのは,リサンプリングという構築物をデータそのものであると誤解しているとみなされるでしょう.もちろん,元データの各コドン位置ごとに分子進化モデルを選ぶのはリーズナブルですが.

――「block-bootstrapping」:おお,PAUP* のスクリプトが書けたらちょうだいっ! 確かに partitioned data matrix のパーティションごとにブーツストラップするというのが直感的には妥当な気がします.でも,これまたブーツストラップのやんちゃ精神は「元データをシバキたおしてばらつかせる」ことを目指しているので,ひょっとしたらパーティションを越えてブーツストラップするのが本来の野生の使い方なのかもしれまへんなあ.パーティションごとにブーツストラップするというようなお座敷風の行儀良さはあかんのんちゃう?

―― 後ほどキンタ君から高額の代理講義料を徴収したろかな.ほほー.

◇あ,もう夕方,やば.

◇ところで,parsimony jackknifing の尤度バージョン(likelihood jackknifing)というのはまだ聞いたことないけれども,誰かやってる人いるんでしょうか? Parsimony ratchet に対する likelihood ratchet のように.※ Steve Farris が bootstrap ではなく jackknife を支持する理由には説得力があります.

◇〈ブーツストラップ〉まだ続く ―― 「1000^3回」では確実に逝きます.パーティションごとにリサンプリングするにしても,1回のトライアルでは複数パーティションを一気にブーツストラップしているわけですから,3乗ではなくただの「1000回」でいいのだと思います.

―― PAUP* での Bremer support(decay index)は,制約樹の有無で別々に最適樹を計算して樹長の差を出すだけですので,たいした負担にはなりません.自動的にやろうと思ったら,MacClade の「Decay Index PAUP File」コマンドを使えばいいですね.PAUP* の崩壊指数計算のためのコマンドファイルを出してくれます.

―― 「Likelihood jackknifing」:ああ,そうでしたね.目的関数を尤度にセットして,Jackknifeのオプションを〈Jac〉に設定すれば,PAUP*でもきっとlikelihood jackknifingができるのでしょう.

―― PAUP* の最節約法の設定では各形質ごとに stepmatrix type が別々に設定できるので,最尤法でもコドン別あるいはサイト別に異なるモデル(rateset)が設定できると思うのだけど.あきまへんか?

―― ダーティなことを言えば,コドン位置ごとに選択された分子進化モデルに基づく rateset をステップ行列として設定し,複数のパーティションを含む配列データ全体をPAUP*の最節約法モードで計算すれば parsimony likelihood を目的関数とする最尤分岐図が計算されるはずです.ただし,それは通常の最尤法が出力する average likelihood(特定の祖先形質状態に関する parsimony likelihood の総和)を基準とする最尤樹形ではないので,両者は必ずしも一致しないけど.

―― いずれにせよ,こういうときに User's Manual がないと手も足も出ないぞ.※みんな,どうしているのでしょ?(マジな話)

―― え,組長はキンタ君じゃなかった? じゃあ,千B君でもS井君でも誰でもいいから払ってもらお.

◇おおお,夜も更けてきた.あああ,原稿〜〜(大汗)

◇本日の総歩数=11184歩[うち「しっかり歩数」=4858歩/39分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg.


4 november 2004(木) ※ 秋晴れシンプル

◇4時過ぎ起床.少し冷えて10.1度.なかなかよろしい.

―― と油断したとたん,日が昇るとともに気温急上昇.あっという間に秋晴れカンカン照りの20度超に.まったくもう.

Supertrees本伊勢田本の目次紹介をメーリングリスト送りにする./伊勢田本にはちょっとした「メモ」を付けた.書評はまだ.

◇来年3月末の植物病理学会大会(静岡)での講演についての打合せ.要するに役に立つアヤシイ話をしてほしいということですな.>stone-blackさん.

◇千代田区四番町から原稿督促.※すこしびびる./来年1月の所内成績検討会議の日程調整.もうそういうシーズンが間近にやってくる./都内某古書店からオッケーのメール.はい./先月末の駒場噺は年休ではなく依頼出張で行くべしとのお達し(またタダ働きかいな...)./その昔,コードネームで呼ばれていたこともあったなあ(ほぼ時効)./希望調書の面接とか.

◇溜まっていた質問メールを次々に処理する.Split-plotでの多重比較 / UPGMAによるクラスタリング / フツイマ本の入手に関する問合せ(もう古書店にも出なくなっているようだ)/ O-CHA会議プレゼン資料のチェック / ずいぶんと久しぶりなSAS/STAT質問 / backbone constraint を用いた系統推定の質問 ―― なんやかんやで昼休みまで食い込む.

◇メモ(「森山日記」から):映画〈オランダの光〉が,恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館にて上映中とのこと(11月3日〜12月17日).ネーデルラント絵画に見られるような“オランダの光”がほんとうにあるのかどうかを映像証拠を通して追究するという映画らしい.世界各地から「光」を採集するという趣向に惹かれる.Martin Kers が撮るオランダの自然写真を見ると,確かに〈黄金の光(gouden licht)〉は「ある」と言いたくなるのだけれど.

◇ぜんぜん“原稿”がはかどらん…….(く)

◇向かいの部屋の部長さん(東大オケOB)から,第20回つくば国際音楽祭のチケット(S席)をもらう.11月12日(金)のベルリン弦楽四重奏団の演奏会.感謝感謝でございます.

◇第20回国際生物学賞記念シンポジウム〈真核細胞:その起源,進化,多様性〉―― 今回の受賞者は Thomas Cavallier-Smith 博士.11月30日〜12月1日に上野の日本学士院議場にて.生物地理学と分子系統学および鯨類の分類学的再検討に関するサテライト・シンポジウムあり.※参加申込書の書式は上記サイトからpdf配布されているものの,申込そのものはファクス送信するようだ.ちとめんどうっす.

◇休日の翌日は“月曜”だと延髄反射してしまったワタクシはあえなく“ゴルゴのぞみ”に狙撃されてしまいました.トップ行の曜日をあわてて修正.

―― 『Phylogenetic Supertrees』は,Amazon.co.jp だと買えないですけど(いまも予約受付中になっていますね),Amazon.com だと大丈夫です.※アマゾンの在庫管理がどうなっているのかわかりませんが,ぼくは洋書の場合は英・米・日・独の4店舗のAmazonを周って,すぐ買えそうなところに発注しています.

◇〈くだん〉関連 ―― 小松左京「くだんのはは」/六甲山麓に集中/『現代民話考』/『新耳袋(1|2|9)』/阪神大震災の時も.※この一連?の話の「主題」っていったい何なんでしょ?

◇ヒューウェル長し.

◇本日の総歩数=6379歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=0.0kg.


3 november 2004(水) ※ シンプルこの上ない文化の日

◇うっかり午前5時まで寝過ごしてしまった.こんなことではいかんのだ.雲は多めながらいちおう晴れるようだ.でも,気温15度近くもある.寒さはまったく感じない.こんな生ぬるいことではいかんのだ.

―― 今日は「Whewell の日」になる予定.インターネットでちょこちょこと調べてみると,やはりスタンフォード大学のオンライン哲学百科辞典(『Stanford Encyclopedia of Philosophy』)に載っているWilliam Whewell項目がとても詳しく,また頻繁に引用されているようだ.

◇晴れ間が広がるとともに気温はますます高く,午後2時には22度に達する.南風が入って,まるで晩夏のような雲の相.つくばセンターあたりには半袖姿の通行人も(11月だというのにねえ).生活クラブのイベントがあるので,クレオ近くのペデストリアン・デッキに食べに行く.それでも,国道408号沿いのセイヨウフウの葉がだいぶ紅葉してきた.

◇それ以外の時間はすべて原稿書きの時間.第2章の第2節〜4節の核になる文章を撒く.これで人工雪の雪だるまがつくりやすくなる.

―― ということで,夕方に『だから系統樹!』のページを更新する.アルゼンチンからやってきたばかりのイエズス会の樹とか,とある古写本からのポルビュリオスの樹を移植する.自分を奮い立たせるために,進捗状況をフォント色で区別したりして.※まだまだ書かないとダメなのだ.

◇備忘 ―― ニコライ・ハルトマンの新訳『ドイツ観念論の哲学・第一部』(2004年10月29日刊行,作品社,ISBN 4-87893-645-2)が出たそうだ.半世紀前のドイツ語圏の生物体系学では,“テツガク”的な基盤といえば,たいていこの Nicolai Hartmann の『Systematische Philosophie』(1942)とか,あるいは Max Hartmann の『Allgemeine Biologie』(1932)が参照されていたようだ.

◇Amazon.com から届いていた箱を開封する ―― Olaf R.P. Bininda-Emonds (ed.)『Phylogenetic Supertrees: Combining Information To Reveal The Tree Of Life』(2004年,Kluwer Academic Publishers, ISBN: 1-4020-2329-4).550ページを越える分厚い論文集.入力しがてら,目次と内容をチェックしたいところだが.ここはガマンしましょ./Edward R. Tufte の本が2冊『Visual Explanations: Images and Quantities, Evidence and Narrative』(1997, Graphics Press, ISBN: 0-9613921-2-6)と『The Visual Display of Quantitative Information, Second Edition』(2001年,Graphics Press, ISBN: 0-9613921-4-2).いずれも大判の本.図がいっぱい.愉しめそう.同じ著者によるパンフレット『The Cognitive Style of PowerPoint』(2003年9月, Graphics Press, ISBN: 0-9613921-5-0).PowerPointユーザーではないぼくが買ってもしかたがないのかもしれないが,SlidewareとしてのPowerPointの「認知スタイル」それ自体に根本的な難点があるという著者の主張は読んでおいて損はないと思う.

―― 読むべき本,読みたい本は多々あるのですが,時間が不如意でして.

◇ああ,また原稿書きの夜がやってくる…….ヒューウェル学寮長の考えたこととか,“古因学”という言葉のその後の運命とか.学問分類の背後にある心理的本質主義のこととか.

◇【メモ】:来年の夏にも開通が予定されている〈つくばエクスプレス(常磐新線)〉を当て込んで,つくばエリア内ではいまマンションや一戸建の建設ラッシュになっている.そして,ついに「都内からつくばに移住してくるであろう人たち」をターゲットにしたと思われるムックが書店に並びはじめた ―― 『つくばスタイル』(2004年12月10日刊行,泄出版社[エイムック948],ISBN: 4-7779-0215-3)がそれ.世田谷の出版社がなぜ「つくば」の雑誌を出すのか.意図が透けて見えてるよねえ.表紙に曰く“知的な田園都市の生活マガジン”―― おい,引くなよっ.※「地域イメージ」が住人のあずかり知らぬところで創られていくというお手本ですな.

◇『書物の敵』がらみの脇道 ―― 庄司淺水の『書物の敵』(講談社学術文庫924)が,新訳されたばかりのウィリアム・ブレイズの同名本のリメイクだったとは気がつかなかった.ブレイズのこの本は1989年にタングラムという出版社からの翻訳が出ているが,「18,000円」というとんでもない高価格がついている(限定本なのかも).一方,庄司の本はブックドムという版元から初版?が出ていて,その価格はなんと「1円」! なんだこりゃ?と思って出版年を確認したら「1930年」.そりゃそうだ.※bk1の探索データベースにはときどき変なのが入っていて愉しい.

◇さあて,明日のために今日も寝るのだ.

◇本日の総歩数=7190歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−1.2kg.


2 november 2004(火) ※ なお続くシンプル・ライフ

◇午前2時起床.乳白色の濃霧が暗闇にかかっていた.生暖かい空気は16.7度.魑魅魍魎の出る時間帯.

―― 研究所にて原稿を書く.湯水のように時間が流れていく.さらさらと.

◇霧雨気味の午前中だったが,昼頃になってやっと晴れ間が.気温は今日も高め.

―― 変色した岩波文庫をめくりつつ,原稿書きで1日が終わる.他のことは何ひとつしていない.ただ,原稿を書くだけのシンプルな日.メーリングリストの月例通信もまだ出していない.ひたすら,フランシス・ベーコンとかルネ・デカルトとかライムンドゥス・ルルスとか./上智大学中世思想研究所編『中世思想原典集成18:後期スコラ学』(1998年9月24日刊行,平凡社,ISBN: 4-582-73428-6)には,ルルスの著作のひとつ「愛する者と愛された者の書」が収録されている.こんな問答に出会ったりする:

(137)〈愛する者〉に人が問うた.愛は何から生まれ,何によって生き,何によって死ぬのかと.〈愛する者〉は答えた.愛は記憶において生まれ,知解によって生き,忘却において死ぬと.[p.61]

―― 夕方になってやっと1節分(約20KB)のテキストを音羽に送る.しかし,この調子で第2章(全5節)を書いていくと100KBになってしまうぞ.※この外挿は正しいか?

◇夕刻,南米から生還されてきたばかりの某氏とともに,静岡での国際O-Cha会議の講演打合せ.アルゼンチンの Universidad Nacional de Córdova の図書館で“採集”したというみごとな Arbre geographique の画像をいただく.感謝です.執筆意欲が湧こうというものです.イエズス会の布教の足跡を年代ごとに「樹」として図示し,しかも世界地理的に「マップ」した絵図.枝から葉に分化していくとともに世界の津々浦々にキリスト教が浸透していくようすを描こうとしたものだろう.精神としては Ernst Haeckel の『自然創造史』の図版に相通じるものがあると感じた./このコルドヴァ国立大学の歴史博物館(Museo Histórico)にはイエズス会の文書(Ducumentos Jesuiticos)がアーカイヴされているらしい.きっと建学に関係しているのだろう.

◇生物科学の〈みなか書評コーナー〉が1ページ増えるとの連絡.

◇夜,次の節の主役となる William Whewell のおさらい.『帰納諸科学の歴史』(全3巻)と『帰納諸科学の哲学』(全2巻)と仲良くなる(でも長ったらしくてつまらん).彼の言う分類科学(classificatory sciences)と古因諸科学(palaetiological sciences)の学問分類について確認.※睡魔がうるそうてなあ.

◇夜10時過ぎにあえなく就寝.ぐー.

◇本日の総歩数=8387歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.8kg.


1 november 2004(月) ※ ごくシンプルな生活

◇4時起床.夜半にまた雨が降ったらしい.気温16.7度とはね.

―― 原稿を書き続ける.

◇午前中,天気はなおぐずつく.11月の行事予定を確認.2週間にわたる数理統計研修(11月8日〜19日)というのが大きいか.

◇統計質問メールがぽつぽつと舞い込むシーズンになった.これから年明けの成績評価会議にかけて「お助け依頼」の頻度が増えるだろう.

―― ヒミツの“キャレル”に籠って原稿を書き続ける.

◇夕方になったので家に帰る.

―― 夜も原稿を書き続ける.イマイチ進捗よろしくない.午後10時に就寝.

◇本日の総歩数=9162歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg.


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