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日録2006年10月


31 oktober 2006(火) ※ 思わず昼間から酔歩するホットなワタシ

◇前夜からの続き.検討会の資料づくりは午前2時半頃に終わった.必要部数をコピーしてこの件はおしまい.何だかからだの節々が痛いので,1時間ほど床で仮眠する(野宿みたいなもんですな).午前3時半に起床.体調はやっぱりイマイチで,視界が遠い気がしてきた.

 続いて,進化学会ニュースの原稿をつくる.シンポジウムの報告文は午前4時過ぎに深津編集長にメール送信.続いて,業務報告をまとめる.午前5時に嶋田会長にメール送信.評議員会と総会の報告を書かないといけないのだが,体調とてもわろし.よくないよくない.

◇午前6時前に帰宅.曇り.気温は13.9度,体温は37.3度.熱,あるじゃん.腹の調子も極悪.風邪ではなさそう.2時間ほど仮眠する.午前10時に再出勤.暖かく晴れ上がる.気温は19.1度.

◇午前11時過ぎから数十分,〈形態測定学講義〉の第23回目.第9章「Multivariate Analysis of Variance」(pp. 209-228)を読了.ANOVAとMANOVAの話.“生物学者向け”の説明をしようとするあまり,かえってわかりにくくなっている箇所がある.尻を叩いて“数学”を勉強させるというムチもありじゃないか.本章の内容はすでにすんでいるのであっという間に読了できた.

◇筑波大学での師走の「形態測定学」講義(全15時間)のシラバスが公開された —— 科目名:〈数学特別講義III〉,日時:2006年12月11日(月)〜13日(水) 9:30〜16:00,場所:筑波大学自然系学系棟D814→シラバス.数学科の学部生向けの講義です.

◇昼休み,体調はさらに悪く,1時間ほど床で寝る.「床で寝る」とはいえ,わがエリアは“土禁”なので,カーペットの上に枕を置いて横になる.下痢が続く.

◇午後1時15分から,RP 中間検討会の開始.これまでの進捗と年度末までの予定について語り合う.午後3時に終わる.

◇ほとんど意識朦朧になってきたので早々に帰宅する.午後4時の体温39.1度.下痢と発熱でノックアウト寸前.とりあえず寝ましょう寝ましょう.

—— その後,夜中じゅう,ほぼ2時間おきに目が覚める.トイレに籠っては体温を測る.38.5度〜39度の間を推移している.明日は年休だな,この感じだと.

◇本日の総歩数=6442歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜−.前回比=−0.6kg/−0.6%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「15位」


30 oktober 2006(月) ※ 秋晴れ追い込まれマンデーの夜なべ仕事

◇午前4時半起床.曇りのち晴れ.気温13.2度.研究所にてアタマを抱える.またまた追い込まれる月末がやってきた.残務だか堆積岩だか変成岩だかを次々に粉砕するしかない.

◇よそ見:チャールズ・ダーウィンの種概念に関する近刊 —— David N. Stamos『Darwin and the Nature of Species』(2006年11月刊行予定,State University of New York Press,ISBN:0-7914-6937-9 [hbk] / ISBN:0-7914-6938-7 [pbk]).同じ著者による,もっと一般的な「種」の本『The Species Problem : Biological Species, Ontology, and the Metaphysics of Biology』(2003)の続編だろうか.Michael Ghiselin の『Metaphysics and the Origin of Species』(1997)のように,SUNY Press はペーパーバック版しか出さないと思っていたが,今回の近刊についてはとてもお高いハードカバー版も同時に出されるようだ.→版元サイト著者サイト

◇朝の届きもの2件 —— 来週から始まる数理統計研修のテキスト(基礎編・応用編)が届いた.おお,今年からはカラーコピーもありですかっ(もうかってまんなあ).統計研修は毎年の恒例行事になっているが,受講生のキャラは年ごとにちがっているので楽しみなところもある.しかし,担当するコマ数が多いので,負担にならないと言ったらうそになる./ 文藝春秋から届いた“検討用”の原書2冊.1冊は出たばかりだが,もう1冊の方はプリントアウトされた生?原稿(出版は来春の予定).向こう3週間ほどで“検討”しないといけない.

◇久しぶりの昼の歩き読み.気温19.6度 —— 森まゆみ『円朝ざんまい:よみがえる江戸・明治のことば』(2006年10月10日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83340-3)の第5章まで.120ページ.落語ファンにとってはさらに深い読み方があるのだろう.

◇午後1時半から2時半まで,Alan Stuart and Keith Ord『Kendall's Advanced Theory of Statistics, Volume 1: Distribution Theory』(6th edition,1994年,Edward Arnold,ISBN:0-340-61430-7)の輪読(第24回目).Chapter 5:「Standard Distributions」(pp. 173-177).一般形としてのポリヤ分布を出発点として,超幾何分布から負の二項分布へ.

◇午後のこまごま —— 異動希望調書の提出.※これまた年中行事のひとつ./ 復命書の書き直し./ 筑波大学の兼業届を提出.あわせてシラバスを筑波大にメールで送る.

◇夕方になった.これから明日の RP 中間検討会のための資料をつくらないといけない.しかし,さすがに疲れているのでいったん帰宅する.

 午後11時過ぎに再出勤.晴れ,気温14.9度.これからが本番だ.

◇本日の総歩数=17675歩[うち「しっかり歩数」=7883歩/67分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.7kg/−0.4%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「13位」


29 oktober 2006(日) ※ 秋雨つくばからまたまた東京へ

◇午前5時半起床.一転して,雨.気温低し.その後,朝のうちに雨はあがり,曇り空になった.

◇今日は,午後またもや東京に出なければならない.

◇いきなりの“大物”登場! —— 国書刊行会編集部『書物の宇宙誌:澁澤龍彦蔵書目録  Cosmographia Libraria』(2006年10月20日刊行,国書刊行会,ISBN:4-336-04751-0→目次).故・澁澤龍彦が遺した蔵書を“まるごと”記録した本.こんな「異常な本」をいったいどこのだれが誰が手にするというんだ! >それはワタシ…….(「図書館だってこんな本は買いませんよ!」とはご家老様の弁.)

 他人の書庫や本棚をこっそり「覗く」というのは,とても後ろめたく罪深いような気がしている.ましてや,ビブリオマニアな故人の蔵書が写真付きで大々的に公開されるとは.書庫ごとの“位置”まで見えてくる.

◇備忘メモ —— チャールズ・ダーウィン関連のオンライン・サイトのいくつかが大きく更新されている:1) 〈The complete work of Charles Darwin online〉.ダーウィンの単行本,論文,ノートブックなどの資料の公開.この10月19日に大きくアップデートされたもよう./ 2) 〈Darwin Correspondence Project〉.今年8月1日から James Secord 教授がプロジェクト全体の統括になったそうだ./ 3) 〈The Darwin Digital Library of Evolution〉.アメリカ自然史博物館のダーウィン関連サイト.

◇12時10分の TX 快速で東京へ.晴れ.すずらん通りでは〈本の得々市〉が開催されていた.店ごとの屋台を覗きたいなというイケナイ慾望をぐっと抑えつつ,小川町方向へ.午後4時半まで私用.その後,秋葉原からつくばへ直帰.

◇車中読書 —— 長谷川郁夫『美酒と革嚢:第一書房・長谷川巳之吉』(2006年8月30日刊行,河出書房新社,ISBN:4-309-01773-8)を第2部第2章まで読了.活字がたくさんあって,なかなか先に進めないのがまたよろしい.けんかしたり,造反したり,知った名を見たり,堀口大學がとてもえらかったりする.木下杢太郎,怒りまくり.日夏耿之介,性格わろし.濃密でおもしろい.

◇本日の総歩数=7829歩[うち「しっかり歩数」=2235歩/21分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.5kg/+0.7%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「11位」


28 oktober 2006(土) ※ 秋晴れの茗荷谷にて夢うつつ

◇午前6時起床.雲は多いが,晴れ.

 昨夜は,久しぶりに5合ほど痛飲したはずだが,まったく二日酔いなし.珍しくもフシギな朝だ.しかし……,あれれ,何だか一挙一動が重いよーな気が.二日酔いの前段階の“生酔い”ステージのままだったりして(まさか).

◇ふーらふらしつつ,昼を迎え,12時11分の TX 快速で茗荷谷に向かう.私用を3時間ほど.そのままつくばに直帰したのだが,もう夕闇が静かに降りてきていた.

◇シンポジウム情報 —— 理研シンポジウム〈生体形状情報の数値化及びデータベース構築研究〉.2006年11月8日(水) ,場所は和光市の理化学研究所・鈴木梅太郎ホール(→案内).昨年ぼくが呼ばれたシンポジウム.

◇近刊情報 —— NPO法人サイエンス・コミュニケーション+日本評論社編集部(編著)『理工系&バイオ系 失敗しない大学院進学ガイド:偏差値にだまされない大学院選び』(2006年11月上旬刊行予定,日本評論社,ISBN:4-535-78414-0).ずいぶん前にサイコムの榎木さんから本書の企画が進んでいることを聞いていたが,やっと出版されることになった.→版元ページ

◇なーんだか,「夢かうつつかマボロシか」な1日だった.

◇本日の総歩数=7462歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.8kg/−0.1%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「12位」


27 oktober 2006(金) ※ 飛び歩いてはカツを入れられる神保町

◇午前4時起床.曇りときどき小雨.気温16.1度.

◇早朝のこまごま —— 〈R〉質問に返答.Shapiro-Wilk の正規性検定について./ 東大の卒論担当テーマの候補をひとつ関係者に投げた.「生物多様性に関わる統計モデリング」というあばうとなタイトルにした./ 脳裏からきれいさっぱりと消え去っていた共立出版の『生物学大辞典』の統計関連項目)の執筆督促が来てしまった.げげ.※あ,ひょっとしてやぶへびだったかも.

◇今日は午後からあちこち飛び回るので,前倒しで午前10時半から,〈文化系統学〉セミナーの第25回目.次の章:Chapter 12「Using cladistics to construct lineages of projectile points from Northeastern Missouri」(John Darwent and Michael J. O'Brien)に入る(pp. 185-200).文化系統の研究に分岐分析を利用しようとする著者たちのスタンスはすでにわかっている.この章では,鏃の形態データからの分岐分析に加えて,層序学の知見をどのように分岐図に組み込むかという問題提起がなされている.姉妹群が層序的につながっていない場合,地層的に欠落している部分を「ghost range extension」によって補う必要がある.このとき,共通祖先リネージは「ghost taxon」と呼ばれる.「ghost」が最小になるような stratigraphic cladogram を構築するまでが本章の前半だ.

◇正午前に研究所を出て,つくばセンターに向かう.しだいに晴れ間が広がってきた.TX つくば駅改札にて,京大・基礎物理学研究所の村瀬雅俊さんと会う.〈桃花林〉で昼食をとりつつ,来年10月に基物研で予定されている湯川秀樹生誕百年記念シンポジウムについて話をする.Eva Jablonka さんをはじめ海外からの発表者が決まりつつあるそうだ.予定されている期間は1週間あまり.大半は基物研にカンヅメだが,湯川ゆかりの西宮でのイベントも企画されているそうだ.

◇午後1時過ぎに別れて,そのまま翻訳作業になだれこむ.うう…….

◇午後3時41分発の TX 快速で東京に出る.小川町のスタバでさらに訳文と格闘するも「3枚」で力尽きる.午後5時に東京堂書店にて海游舎の本間さんと待ち合わせ,〈ミロンガ〉にてタンゴを聴きつつこれからの打合せ(というかカツ入れられ).11月中に何とかしないと

◇午後6時から,同じ神保町のウラにある炭火焼〈名舌亭[めいたんてい]〉にて,『系統樹思考の世界』のぷち打ち上げをしていただいた.音羽から“お代官様”と“ご家老様”のご出座.

 今夜はいつもより急ピッチでアルコールが大量摂取されていく.美味な炭火焼とともに,田酒やら八海山やら雪中梅やら.某大作家の古希記念パーティの話とか.最後の方で,「冬の草津に籠りませんか」という耳打ちをされたような気がする…….アレの翻訳が何とかなった時点で,ソレの翻訳に取りかからないと.

 “ご家老様”こと編集長じきじきのいただきもの(感謝) —— 『RATIO 2』(2006年10月26日発行,講談社,ISBN:4-06-213710-0).創刊号『RATIO 1』よりもさらに厚く重くなって,「458ページ」! チョムスキーあり,歴史あり,科学哲学あり.

◇午後9時半に店を出る.いつになく呑んだはずだが,何事もなく秋葉原から22時発の TX 快速に乗り,特段のトラブルもなくつくばに帰り着く.

◇首都大学東京の〈R〉レポートが次々にメールで届いていた.ごくろうさん,ごくろうさん.

◇本日の総歩数=11911歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=−0.4kg/+0.7%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「12位」


26 oktober 2006(木) ※ 絶好の秋晴れに書類ひとすじな不健康

◇午前5時起床.晴れ.気温9.6度.お,10度を下回るようになったか.早朝の研究室にてしばし佇む.

◇「裁量学習制」の勧め —— 公立高校での必修科目の“とばし”がニュースになっている.内申書(調査書)の組織的な虚偽記載も事例としてあるそうだ.今後は文部科学省からの通達で,履修科目に関するチェックが厳しくなるだろう.「形式」の上ではごまかしはもうできなくなるにちがいない.高校以下での科目の履修そのものはその後の知識レベルにはほとんど関係がないので,必修科目を取らなかった生徒に何かしら知識レベルの問題が生じているかのような報道は煽りにすぎないだろう.たとえば,東大はたとえ虚偽であったとしても調査書を再調査したりしないそうだ.それよりも問題になりそうのは,すでに余裕のない履修カリキュラムの〈やりくり〉が今以上にできなくなるという点だろう.しかし,当事者である先生や生徒は,天から降ってきた「形式」を〈弾力的運用〉したり,場合によっては適宜〈空洞化〉しながらきっと何とかやっていくにちがいない.そうあってほしい.

 ぼくは行った経験がないので私立学校の事情はよく知らないが,公立学校に関して言えば,生徒全員が教室にいることを前提とするのはやめて,裁量労働制ならぬ〈裁量学習制〉の方が生徒のためになる気がする.出席すべき最低時間数(コア時間数)を設定して,それ以外は生徒の裁量にまかせるということだ.ぼくの通っていた公立高校は,「1科目30時間の欠席は自動的に不可(=留年)」(正確な限界時間数は忘れた)という規則があったので,ぼくは1科目につき「29時間」まではできるかぎり欠席するという自主的な〈裁量学習制〉をとっていた(当時の生徒手帳にはどの科目を何時間休んだかがきちんと記されている).この〈裁量学習制〉を比較的よく守った高校3年のときは,当然のことだが,学校にはあまり顔を出さず,自分の部屋にずっと籠っていた.これぐらいの好き放題をしていて職員室で大目に見てもらえたのはハッピーだった(ほとんどつきあいのなかった同級生たちはあきれていたにちがいない).もちろん,こんなことをしていれば内申書は最低ラインになるわけだが,内申書を重大視するような大学は最初から受験しなければいい.もうひとつ,あらゆる学校行事や生徒コミュニティとも疎遠になるが,そういうのは最初から「ない」と思えばいい.それも〈裁量〉のうち.

—— これが30年前のぼくの経験だが,ごくパーソナルなことなので,まったく一般化できないだろうと思う.

◇今日はひたすら書類を書かねばならない.ちぎっては書き,丸めては書き —— 筑波大学の兼業申請./ 科哲の出張復命書./ 自己組織化本のダブりを北に発射しました./ メーリングリスト関連の作業を少し./ 計量生物学会から連絡.2007年度第1回評議員会は11月11日(土),15:00〜17:00,東京理科大(神楽坂)の理窓会館にて./ うう,肝心の原稿数件がまだ…….

◇瀬名秀明さんからゲラが届く —— 瀬名秀明・橋本敬・梅田聡『〈境界知〉のダイナミズム』(2006年12月22日刊行予定,岩波書店[フォーラム 共通知をひらく],ISBN:不明→叢書情報).瀬名さんが執筆される第3章「〈境界知〉の現場を探る」に関連して,以前,ぼくの『系統樹思考の世界』のゲラをお送りした.この章では,思考法としての「分類」と「系統」に関する記述がある.取り上げていただいてありがとうございました.コメントを付けて仙台へ返送完了.

◇マボロシの「お金」を使ってしまった半年 —— 付いたと思っていた予算が実は付いていなかったというオソマツな結末でして……(なに,それ?).しかし,すでに「ん十万」ほど使ってしまったわけで,これはまた別のマボロシ?のお金で支払って下さい.よろしく.※ううむ.

◇文藝春秋社から電話連絡 —— 進化関連の一般書(近刊2冊)の原書についての評価依頼.内容的によければ翻訳を出したいそうだ.いずれも原書は未完だが,ゲラの段階での評価をしてほしいとのこと.

◇「書類ひとすじ」と口にした割には,本務がぜーんぜん進まん…….ぷれっしゃー付きの原稿もいくつか.

◇本日の総歩数=8160歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=+0.5kg/−1.0%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「11位」


25 oktober 2006(水) ※ 雨上がりの根津神社境内を抜けて

◇午前4時半起床.雨上がりで,道路が濡れている.夜明け前は曇っていたが,しだいに晴れ間が広がってきた.気温13.2度.上空は北風がまだ強いようだ.レンズ雲みたいなのが見える.

 早朝の研究所にて,今日の講演準備をしたり,配布コピーをとったり,スキャンしたり.それにしても眠たいな…….

◇午前10時過ぎまで,自宅でちくちくとスライドづくりの続きをする.トークを組み立てるのはまさにエンドレスな作業で,いくら時間があってもキリがない.「上演台本」をアタマの中でどんどん改訂しているものだから,スライドの構成や順序が時々刻々と変わっていく.時間がいよいよなくなってきたので,ええいっと打ち切る.

◇午前11時11分の TX 快速で東京に向かう.正午前に千駄木で降りる.晴れ上がって昨日よりも暑く感じる.往来堂書店に少々トラップされたのち,雨上がりの根津神社境内を通り抜けて,地震研の裏にまわる.東大農学部前の朝日屋でパンを買い,弥生キャンパス内の隠れ部屋へ直行しごそごそする.

◇往来堂書店にて“谷根千”な新刊2冊 —— 『谷中根津千駄木・第84号』(2006年7月20日発行,谷根千工房).特集〈上州と谷根千〉./ 森まゆみ『円朝ざんまい:よみがえる江戸・明治のことば』(2006年10月10日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83340-3)

◇午後1時過ぎから専攻内の教員会議.延々と「報告事項」の波が押し寄せる.ところどころに関係しそうな事項が散らばっていて,そのときだけは注意力が一時的に励起する(その直後には再び限りなくゼロに低下する).午後3時40分に終了.

 注意力が最大に励起されたのは「学部内パトロール」の調査結果.各研究室がどのように整理整頓されていないかの調査.備考欄のコメントがなかなかすばらしい:〈棚の上の本が危険〉−そうそう,頭上から落下してくる本は十分な兇器性を帯びている;〈棚がゆれている〉−固定しろよ;〈ゴミ多し〉−掃除しなさい.;〈寝室として利用している可能性あり〉〈人が生活しているあとあり〉−生活感あふれまくる研究室なわけですね.;〈たくさんのビール瓶が放置してある〉−ううむ……;〈脱出できない〉−研究室に監禁されてしまうのかっ;〈壁ボロボロ〉−そう言われましても;〈整理整頓.マンガが産卵[ママ]している〉−もう最高っ.“孵化”したらどーなるんでしょ?

 来月,専攻内の卒論学部生の研究室配属が決まる.エコロジカル・セイフティー学講座は大学院だけなので,学部には関係がないのだが,将来的な大学院生集めを念頭に置いて,卒論テーマをいくつか出すことになった.11月10日(金)正午までに連絡.卒論説明会は11月14日(金),14:40〜.

◇17:00から1階の講義室にて専攻内の「研究セミナー」.今回はエコロジカル・セイフティー学講座の3人の教員が,宣伝かたがた一人20分の高座を受け持つ.発表順に,川島茂人さん:「大気生物学へのお誘い」;三中信宏「進化史を復元する科学:生物学・数学・統計学の交わるところ」;斎藤雅典さん「物質循環の基盤としての土壌:ミクロとマクロ」.18時過ぎに終了.

◇18時半から,同じ部屋で「専攻交流会」という名の飲み会.他の科類でもそうなのだろうが,ひっきりなしに呑んでますなあ.今日はことのほかアルコールがずらりと並んでいた.日本酒では,「吟奏の会」の2本がよかった:長野・千曲錦の〈大吟醸 吉田屋治助〉と富山・満寿泉の〈無濾過〉.東大農学部前の高崎屋が「吟奏の会」の会員なので,こういう限定酒がいつでも手に入る.ありがたいことだ.※「吟奏の会」を率いている土浦の鈴木屋酒店の社長が,数年前につくばの公民館講座のひとつとして開催したワインセミナーに参加したことがある.毎回とてもおいしいワインが出た(ぼくが代理で出たのは1回だけだったが).

 専攻内のみなさんといろいろとお話ができた.専攻ウェブ担当の方から,「例のあの“御方”は,農環研だけではなく,東大農学部にも脅迫メールを送ってきましたよ」との耳打ち.初耳だ.きちんと証拠保全して,ハイおしまい.

 午後8時半頃にお開き.根津から乗って,北千住で乗り換え,そのままつくばに直帰.午後10時前に帰宅.

◇本日の総歩数=15090歩[うち「しっかり歩数」=1106歩/10分].全コース×|×.朝△|昼○|夜×.前回比=−0.2kg/+0.4%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「11位」


24 oktober 2006(火) ※ 朝から風雨とても強し,冠水つくば

◇いつも通り午前5時起床.雨がざあざあと降っている.風も強い.早朝の研究所に行くだけで,雫が滴ってしまった.気温13.9度.

◇〈サッポロ科哲〉の備忘メモ続く —— “純哲”という表現が「純粋哲学」の略語として定着しているらしい.東大文学部のインド哲学科に“印哲”という通称があることは知っていたけど.※何となくゴツゴツしていて,当たると痛い気がする……./ 西脇与作さんのワークショップでの発言:Systematic Zoology 誌の「Points of View」欄は,Biometrika 誌の同様の討論コラム(R. A. Fisher がよく投稿していた)に類似している.要確認./ ポパーが「自然淘汰は反証可能ではない」と最初に言ったのは,1974年のSchilpp編の「電話帳」においてらしい(伊勢田コメント).ぼくはてっきり1978年の Erkenntnis 誌かと思っていたが,そうではないらしい.これまた要確認.

 さらに —— 小野山さんから依頼:『生物科学』誌の生物学哲学特集を進めるよーにとのこと(汗).これは生物地理学会の春のシンポジウムを踏まえた特集として予定されているが,その後,演者が重複しつつ,夏の進化学会,そして今回の秋の科学哲学会と,企画実行を積み重ねてきた.交通整理をして,活字での発表にもちこみたいと思う.科学哲学会のジャーナルでも特集が予定されているそうだし.

◇雨はさらにざあざあと降り続く.午前9時頃に一時“かみなり”が轟く.ところどころ道路が冠水して歩行困難な場所が出現している.

◇冷たく濡れる午前のこまごま —— 明日の出張届と札幌の復命書./ 筑波大学からやっと出講依頼が農環研に届く.兼業として./ 進化学会ニュース原稿の進捗……,まだ./ 日経サイエンス12月号が届く.書評記事の掲載あり(pp. 112-113).

◇札幌で得た本の情報(続) —— 研究者コミュニティの「系譜」に関する大規模なケース・スタディーが数年前に出版されたそうだ:Randall Collins『The Sociology of Philosophies: A Global Theory of Intellectual Change』(1998年刊行,Harvard University Press,ISBN:0674816471[hbk]).哲学者の科学社会学的な系譜に関する本.1,100ページを越える大著だが,新刊ではすでにペーパーパック版でしか入手できないようだ.しかし,これだけ厚いと,ペーパーバックでは“崩壊”する危険度が高いので,Alibris 経由でハードカバー版を安く入手することにしよう./ 石川良輔(編)『節足動物の多様性と進化』(200X年刊行予定,裳華房[バイオディバーシティシリーズ6],ISBN:不明).んーと,とりあえずタイトルだけ晒しといて,っと.

◇〈leeswijzer〉からの情報 —— 小泉丹の『馬留謄抄』についてのコメントが付いた.磯野直秀『三崎臨海実験所を去来した人たち:日本における動物学の誕生』(1988年8月刊行,学会出版センター,ISBN:4762215570)には,「小泉丹『馬留胆抄』(遺稿)自費出版(1955)」という引用があるそうだ.自費出版だとしたら,公的機関には所蔵されていないだろう.

◇午後のこまごま —— 午後1時から,系統樹コンサル仕事を30分ほど.オオムギの分子系統樹について.とある超メジャー誌がええかげんな系統樹を通したことを知る.別の超メジャー誌の方がその点では良心的だ./13:45分から組合の勤評・評定者交渉.遅れて行ったので30分ほど.

◇15時から40分ほど,〈形態測定学講義〉の第22回目.第8章「Computer-based Statistical Methods」の後半(pp. 202-207)を読了.回帰分析を例にとった,並べ替えとブーツストラップによる推定量の信頼区間の推定.並べ替えは帰無モデルによるテストだが,ブーツストラップは観察データによるテストであると著者は言う.また,N回のブーツストラップ試行により,「1/N」の精度が得られると書いてあるが,本当か?

◇先週届いていた本 —— Simon N. Wood『Generalized Additive Models : An Introduction with R』(2006年2月27日刊行,Chapman & Hall /CRC[Texts in Statistical Science Series Volume: 67],ISBN:1-58488-474-6→目次).高め価格の“赤表紙”本の中ではコスト・パフォーマンスが少しばかりいいような気がする.定石通り「LM」から始まり,「GLM」を経由して,「GAM」へ.さらに「GAMM」にいたる.

◇荒れまくる天気 —— 夕方,渦巻く風と横殴りの雨.今年は,「台風」という看板こそ掲げていないが,実際には台風並みに発達した兇悪な低気圧が記憶に残る.気温も低い.窓を締め切って引き蘢る夜に,明日の研究セミナーのスライドづくりをする.20分のショート・トークなので30枚もあれば十分だろう.

 午前零時半に寝る.

◇本日の総歩数=7088歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=−0.9kg/−0.4%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「9位」


23 oktober 2006(月) ※ 晴れ渡る帰路のフライト,関東は雨模様

◇午前5時半起床.晴れて寒い.こんな天気に慣れてしまったら,つくばに帰ってから調子が狂いそう.午前7時に朝食.部屋で荷物をまとめたり,日録を書いたり,メールを見たり.

◇ホテルをチェックアウトしたのは午前9時過ぎ.快晴で風がとても冷たい.タクシーを捕まえてJR札幌駅へ.ちょうど9時40分の快速エアポートライナーに間に合った.と思ったら,発車直前に階段をだだっと駆け上がってくる久保師のお姿が,無情にも締まってしまったドア越しに見えた.さよ〜なら〜,と手を振る.紅葉広がる平野と丘陵を見渡しながら新千歳空港へ.

 11時半発の羽田空港行き〈ANA58〉便はとても空いていた.平日のこんな中途半端な時間に東京に向かう人はいないのかもしれない.機内放送では,兇悪な低気圧が接近していて,上空はジェットストリームが吹き荒れているそうだ.羽田あたりは雨模様とも.

 約1時間半のフライトの後,羽田空港着.小雨.気温は15度.何日か離れているうちに,気候がすっかり変わっているらしい.モノレールで浜松町に出て,JR東京駅でいったん下車.大きい荷物をロッカーに放り込み,八重洲地下街の喫茶店〈アロマ〉にて,がしがしと翻訳原稿に朱を入れる.この喫茶店は初めて入ったのだが,ウツワの大きさの割に,席の配置がやや窮屈な気がした.サイフォン・コーヒー.それにしてもサンドイッチやトーストのボリュームはいったい……(籐のバスケットでドサッと).2時間弱の奮闘だったが,やっぱり「2枚」が限界か(○| ̄|_).

 午後4時に丸の内北口にて海游舎の本間さんにその「2枚」を手渡す.札幌に行く前もここで「2枚」を渡した記憶が…….ごめんなさいごめんなさい.※次回は金曜ということで.

◇その足で,荷物をピックアップして,秋葉原から午後4時半発の TX 快速に乗り,雨の中をつくばへ.

◇車中読書 —— 長谷川郁夫『美酒と革嚢:第一書房・長谷川巳之吉』(2006年8月30日刊行,河出書房新社,ISBN:4-309-01773-8)を第2章まで読了.2段組みで文字数がとても多い.うれしい.長谷川巳之吉は丸善の洋書部で「唐草模様(アラベスク)」の装幀様式を「盗み取った」そうだ(pp. 100-101).

◇忘れてしまわないうちに,〈サッポロ科哲〉での備忘メモをいくつか —— 生物学哲学関連本の今後の翻訳予定:Elliott Sober『Philosophy of Biology, Second Edition』(2000年刊行,Westview[Dimensions of Philosophy Series],ISBN:0-8133-9126-1).春秋社から(確定企画).松本俊吉他訳.;Kim Sterelny & Paul E. Griffiths『Sex and Death : An Introduction to Philosophy of Biology』(1999年刊行,The University of Chicago Press[Science and Its Conceptual Foundations],ISBN:0-226-77304-3 [pbk.]).そろそろ引き受ける出版社が決まるかな.翻訳者は京大の科哲史のみなさん.

 これもまたもうひとつの「生物学哲学」かな:Martin Mahner & Mario Bunge『Foundations of Biophilosophy』(1997年刊行,Springer-Verlag,ISBN:3-540-61838-4).シュプリンガー・ジャパンから(確定企画).小野山敬一他訳.ドイツ語改訂版があると小野山さんから聞いた:Martin Mahner & Mario Bunge『Philosophische Grundlagen der Biologie』(2000年刊行,Springer-Verlag,ISBN:3-540-67649-X).いくつかの章は大幅に書き換えられているらしい.調べてみたら,同じ著者によるさらなる新刊も出ている:Mario Bunge & Martin Mahner『Über die Natur der Dinge. Materialismus und Wissenschaft』(2004年刊行,Hirzel,ISBN:3-777-61321-5).

◇本日の総歩数=8664歩[うち「しっかり歩数」=1710歩/17分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=未計測/未計測. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「9位」


22 oktober 2006(日) ※ 発表当日まで続くスライドづくり

◇午前5時半に起床.今日も晴れている.気分よくスライドづくり.その前に日録を書いたり(逃避行動).

◇続報 —— ウーヴェ・リゲス著/石田基広訳『Rの基礎とプログラミング技法』(2006年10月22日刊行,シュプリンガー・ジャパン,ISBN:4-431-71218-6).訳書の発行日とISBNなど不明点を問い合わせたところ,訳者の石田基広さんから返事が返ってきた.書誌情報についてはこれで完全.本体価格 3,500 円とのこと.今年出る原書第2版は,第1版の誤植などを訂正した上で,若干の加筆をしたものらしい.本日発売なので,まもなく店頭に並ぶだろう.

◇午前8時を過ぎて遅めの朝食に降りる.その後は部屋に戻って,スライドづくりの最終段階.エンディングまでひとそろいできたが,講演時間は質疑を別にして20分しかない(30分の一般講演より短いぞ).だから,pdfに出力したあとで,約半分に削る必要がある.

 ということで,講演台本を並行してつくりながら,スライドの削減と並べ替えをちくちくと進める.気がついたらもう10時を過ぎていた.会場ではもう一般講演が始まっているが,遅刻だなこれは.

◇11時過ぎに小雨降る北大構内にたどり着いた.あいにくの空模様だが,日曜だからか今日は観光客の団体がとても多い.「クラーク像」に接近することすらできない(積極的に接近したいわけではない).

 南陽堂書店は日曜定休だったか.残念.

◇今回の大会では,人文社会科学系の講義棟が会場にあてられている.農学部とは対極的に“こぎれい”な校舎だ.生物学哲学の講演が行なわれている1階のC会場にもぐりこむ.しかし,あっという間に抜け出て,午後のワークショップのオーガナイザーである松本俊吉さんに,さっきつくったばかりの講演スライドのpdfファイルを渡し,Acrobat Reader の「全画面表示」のオプション設定を何カ所かいじる.これで,プレゼンは大丈夫だろう.

◇生協食堂で昼ご飯をすませて,駅南側に新しくできた紀伊国屋書店に立ち寄る.余裕のある書棚の配置だ.最新刊の『のだめカンタービレ・第16巻』が出ていたので,当然スペシャル版の方を買う.ん? 表紙カバーのマリンバは音板の配列がとっても変.低音域3オクターヴは問題ないが,高音域は半音板の描き方が“乱調”だ.これではのだめちゃんが悩むぞ.

 紀伊国屋書店の2階にある〈イノダコーヒ〉で一休みする.スライドの演技練習と日録書きの続き.札幌駅の周辺はどんどん再開発されているらしく,最近になって大きな商業ビルがいくつも建っているようだ.

◇午後2時過ぎに,ワークショップ〈生物学の哲学の現状と展望〉に割り当てられている会場Bに行く.関係者が次々に集結する.部屋の大きさからすると50名が上限だろう.聴衆がぽつぽつと集まり始め,2時45分の開始時刻には30名あまり集まった.“興行”的には“採算”レベルに達したかな.

 最初は,慶応義塾大学・森元良太さんの「進化論の確率概念って何を表しているの?」 続いて,京都大学・大塚淳さんの「生物学における機能的説明」 そして,最後に三中信宏「とても役に立った生物学哲学−進化学と系統学の系譜をたどって」 持ち時間はひとり20分ということだったが,25分ほどしゃべってしまった.個別の質疑のあと,オーガナイザーである東海大学・松本俊吉さんからの質問トークが15分ほど.休憩後にフロアからの質問も含む総合討論に入った.

 「ツリーもまた認知的基盤があるのでは?」という質問に対して:認知カテゴリーとしての階層的分類群の構造はそのまま論理的ツリーとして表示することができる.だから,認知分類がツリー表示となじみやすいことは確かだ.しかし,そのような論理的ツリーは“系統樹”とはみなせないだろう.外見的には同一の「文字(ツリー)」を適用することができたとしても,それが語る「言葉」は分類学と系統学では異なっている.

 「“ポパー”の何が体系学者にアピールしたのか?」という質問に対して:1970年代の分類学論争では,何よりもまず「反証可能性(falsifiability)」が争点だった.進化分類学派と分岐分類学派が同じ“ポパー”をもちだして戦い合ったことはその証しだろう.一方で,21世紀の世紀の変わり目に“ポパー”が系統学論争に再登場するのは,彼の「験証(corroboration)」に関する理論に関してだった.背景仮定(プロセス)が系統推定の験証度とどのように影響するのかについての最節約法と最尤法の間の論争がそれだ.要するに,“ポパー”はそのときどきの論争状況に対応して,しかるべき「武器」を体系学者に提供してきたということで,この点で“ラカトシュ”や“ラウダン”はお役立ち度がより低く,“ファイヤアーベント”にいたっては最初から話にならないということ.

 会場からのコメントとして,慶應の西脇与作さんが,アメリカ留学中にたまたま Systematic Zoology 誌を目にすることがあったが,哲学者としてはとても“読みやすい”ジャーナルだったと言っていた.それは,農学部の学生だったぼくが,同誌を読もうとして“即死”したことと対照的な体験だったのだろう.

—— ワークショップが終わったのは午後5時過ぎだった.

◇ワークショップ関係者(プラス“自遊学者”の小野山敬一さん&「心の哲学」の信原幸弘さん)とともに,再び〈Paul's Cafe〉へ —— 今夜は10度超のベルギー・ビールが主体だった.へろへろ.

 小雨の中を午後10時過ぎにホテルにたどり着く.明日はつくばへ帰る.

◇本日の総歩数=12033歩[うち「しっかり歩数」=5828歩/53分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=未計測/未計測. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「7位」


21 oktober 2006(土) ※ 冷え込む札幌はもうストーブ

◇いつものリズムで午前5時にはもう目が覚めたのだが,前夜のムリが祟っているのか,二度寝してみる.再起は午前7時.しかし,さらに怠惰なゆるゆる時間が過ぎて,朝食にロビーに降りたのはもう午前8時をまわっていた.だらだらする.※朝食はとてもよかった(これで無料とは申し訳ない).

◇外は冷え込み,空は晴れ渡っている.科学哲学会の大会は朝から始まっているはずだが,明日の講演準備がぜーんぜん進んでいないので(汗),ホテルにこもってスライドをつくったり,上演台本を思い描いたりする.しかし,その脇には『るるぶ札幌・小樽』だの『札幌のおいしい1016店』だのがさりげなく広げられていたり…….

◇〈R〉近刊本の追加情報 —— ウーヴェ・リゲス著/石田基広訳『Rの基礎とプログラミング技法』(2006年10月下旬刊行予定,シュプリンガー・ジャパン,ISBN:不明).昨日,訳者の石田基広さんから私信メールをいただいた.訳書の出版は来週になるとのこと.また,今回翻訳されたのは,初版の Uwe Ligges『Programmieren mit R (Erste Auflage)』(2001年刊行,Springer-Verlag,ISBN:3-540-20727-9→目次)だそうだ.

◇朝食後,午前いっぱいはホテルにて,明日の講演準備をする.半分くらいまではできたかなあ,って感じ.あとは午後まわし.

◇正午にホテルを出て北大を目指す.街中の温度計は「11度」とか「10度」を示している.よく晴れて北の風が吹く.北大キャンパスまでは15分ほどの歩きになる.クラーク像の向こうの方から,太鼓をどんがん叩きながら“異形の人びと”の一群がやってきた.構内にある恵迪寮の寮祭があるらしい.北方的な仮装先頭集団に続いて,学ラン&赤フンな方々,そして太鼓叩きが続く.異形だ.

 学術交流会館にて科哲の受付をすませた.講演要旨集をもらったが,タイトルを見ても内容がぜんぜん想像できないというのは,部外者である証しだろうね.業界事情通であるためには,たとえば「『草稿1914−1916』を如何に読むか」という講演タイトルをみて,延髄反射的に「ヴィトゲンシュタイン」を連想しなければならないということだ.ううむ.

◇午後1時ちょうどに,昨日に引き続いて二つ目のターゲットである“地球環境城”を襲撃する.前もって連絡してあった久保師にお城の下まで迎えにきてもらった.土曜なので,玄関がロックされている.城壁の護りは堅いようだ.A棟8階の久保部屋を拝見.とうけい本ばっかり…….その後,いたいけな助手が昼夜を問わず兇×な女子院生から虐待を受けていることで全国的に悪名高い「お茶部屋」にてお茶をいただきつつ,とうけいなひとときを過ごす.幸いなことに,土曜なのでお茶部屋の人口密度は極小だった.いま“蟻”にトラップされているという久保師のために,だぶついているカマジン本を1冊お送りすることにした.

◇ホテルにいったん戻る途中,北大前の南陽堂書店にトラップされたワタシ.いつの間にビルに建て替えられたのだろう.1階は文系本のみ,昆虫学・博物学関連書はすべて2階に上げられている.東京辺りの古書店ではすでにだいぶ前から見かけなくなったトマス・べルト(長澤純夫・大曾根静香訳)『ニカラグアの博物学者』(1993年10月20日刊行,平凡社,ISBN:4-582-53709-X)が,きれいにパラフィン紙をかけられて書棚に静かに並んでいた.古書店まわりは愉しいな.

 なお,この本の原書は,プロジェクト・グーテンベルクの1冊として,すでに電子化され,一般公開されている:Thomas Belt『The Naturalist in Nicaragua』.

◇15時前にホテル着.朝の続きで,がしがしと講演スライドをつくったりする.17時半まで.やっとゴールが見えてきた.あとはエンディングの数枚を残すのみだ.懇親会を目指してホテルを出発.

◇呑んだくれる哲学者たち —— 18時を少し過ぎて,北大の生協食堂にて学会懇親会がはじまった.ぼくは学会員ではないので,知り合いはあまりいないだろうと思っていたが,その予想は外れた.ぼくが知らなくても,相手は知っていたりする.「三中さんですね.ブログをいつも見ています」と声をかけられることが何度も.そういうものなのだ.

 方々でボルテージが上がってくる.内井さんはいつも通り絶好調だった.名前だけしか知らなかった人を紹介してもらったり.気がつけばもう8時過ぎ.お開きの時間だ.

◇二次会になだれこむ —— 次期会長の丹治信春さんを含む9名で,駅南のアスティにある〈ととと〉へ.南山大の横山輝雄さんからいろいろな話をうかがう

 ホテルに帰り着いたのは午後10時半だった.日が変わらなかったのは幸いだった.明日の発表のために今日も寝るのだ.

◇本日の総歩数=13827歩[うち「しっかり歩数」=3711歩/35分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=未計測/未計測. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「5位」


20 oktober 2006(金) ※ 旅する疲労困憊は北都を目指す

◇前夜からアタッカで続く夜なべ仕事.今回の講演で使う予定の画像ファイル源を部屋中から掘り起こし(古い文献が多い),タイトル・スライドをおもむろにつくってみたり,まだかたちのない「台本」の筋書きをイメージしてみたり,スキャンしたりしているうちに東の空が明るくなってきた.晴れて最低気温は12.8度.

◇午前5時半にいったん帰宅.旅支度を確認して,1時間ほど寝たような.午前9時18分の TX 区間快速で東京に出る.JR東京駅・八重洲北口のスターバックスで翻訳作業の続き.ダメダメ.1時間ほど格闘したものの「たった2ページ」しか赤くならず.午前11時に丸の内北口で海游舎の本間さんに“コメツキバッタ”に大変身して,その「2枚」を手渡す.あとは札幌から帰ってきてからということで.

◇その足で浜松町に向かい,11時38分のモノレールにて,羽田空港第2ターミナルへ.ちょっと蒸し暑くなってきたような.チェックインして,ゲート59の〈ANA065〉便へ.13時に離陸,新千歳空港には予定よりも少し早く14時半に着陸した.気温12.8度.さすがに涼しいな.新千歳に降りるのは何年ぶりのことだろう.二三年前の生態学会釧路大会のときは,函館空港経由で北海道エアコミューター日高山脈越えというとんでもない旅路だった.

◇15時7分発のJR〈快速エアポート151号〉で札幌に向かう.平地の林もすでに紅葉がはじまっているようだ.西に傾き始めた日射しを浴びつつうつらうつらして,機内で読んでいた長谷川郁夫『美酒と革嚢:第一書房・長谷川巳之吉』(2006年8月30日刊行,河出書房新社,ISBN:4-309-01773-8)をばさっと落としては目を覚ます.この著者はかの小沢書店の経営者だったことを初めて知った.

 夕陽の札幌に到着したのは午後4時前だった.駅からタクシーに乗り,「ホテルKKS札幌まで」と行き先を告げたら,「KKRですよね?」と訊き返された.「いえ,KKR ではなく KKS です」と地図を見せたところ,「初めてですね,ここは」とのこと.新しくできたのではなく,ホテルの名前が変わったらしい.チェックインして,荷物をおろす.

◇午後4時半にホテルを出て,本日の襲撃先である北大農学部へ.この巨大な建物にはいつも圧倒される.古い暗い大きい.南側3階にある応用動物のデビルマン城に向かう.“城主さま”はこの週末はお休みを取っていると聞いていたので,上村さんに挨拶.室内はもうストーブが活躍している.しばし,アリやらダニやらハサミムシの話を聞く.論文やジャーナルの評価指数としては,短期的な「インパクト・ファクター」などではなく,中長期的な「インパクト半減期」の方が適切ではないかという話題が印象に残った.たとえば「5年後あるいは10年後にどれくらい引用されているか」という評価基準だ.

昆虫体系の吉澤さんが合流し,夕闇迫る街中へ繰り出す.10年ほど前にここに非常勤で来たときは,「サッポロソフト(SS)」をずいぶん呑んだ(呑まされた)記憶があるが,今夜はベルギービールだそうだ.サッポロソフトからベルギービールへの大進化.行き先は北5西5の住友生命ビル地下にある〈Paul's Cafe〉だ.De Konink 樽生とか,Duval,Orval,Shimay などなど(「ギロチン」もあり).睡魔はどこへやら.実にみごとな「迎撃」だった.ありがとうございます.>みなさん.

◇夜のサッポロを歩き続けて,ホテルに帰り着いたのは午後11時過ぎのことだった.明日は科哲の大会初日だが,午前中はホテルで講演準備.午後イチに,北大内の別の建物を“襲撃”することになっている.その後,大会受付に行く予定.

◇本日の総歩数=14596歩[うち「しっかり歩数」=6337歩/59分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.5kg/+0.1%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「5位」


19 oktober 2006(木) ※ 秋晴れカンヅメはなお続く……

◇午前5時起床.気温12.4度.晴れてはいるが,地表近くは霧がかかる.

◇巡業の合間のこまごま —— 赤字決済の振替え処理.予算が個人単位となり,しかも領域預かりやらRP預かりの分が天引きされることになったせいで,ひっきりなしに“赤字警告”が会計から届くようになった.研究費の総額は変わっていないはずだが,ビンボーになった気がする./統計研修の〈R〉インストールに関する確認. version 2.4.0 を入れてくるように広報する./ 連携大学院の教員による宣伝セミナーは25日の夕方にある.ひとり20分というのは「宣伝」としては適度な長さだ./ 変な質問が舞い込む.営利企業なのにタダで統計の質問に答えてもらおうなんて虫のいいことを考えないでね.届いた質問メールは無視します./ 計量生物学会の理事会日程に関する返信./ 進化学会のニュース原稿を書かないといけないのだが,ごめんごめん.わ,シンポの総括も書くのね.わわっ.

◇「北大急襲計画」 —— 明日から札幌に潜伏するので,この機会に北大の「拠点」をいくつか襲撃することにした.学内関係者に「あのお,襲撃してもいいですか?」とお伺いメールを送る.間髪入れず,「どーぞ襲撃して下さい」との許可が2カ所からおりた(なんと寛容な御心か).ターゲット研究室のロケーションと電話番号まで教えてもらったので,missing in action や誤爆の心配はもうなくなった.心置きなく攻撃しよう.※急な急襲予告に応じていただいてありがとうございます.(きっちり迎撃されるかしら……)

◇ドロナワ —— 何よりも優先して,札幌でのトークの準備をしないといけないのだが,予想通りまだできていなかったりする.影も形もないわけではなく,すでにずーっと前から台本はできているのだが,スライドをどうしようかということだ.ハンドアウトをつくるとなると,[もう直前だが]事前にスライドができてないと困るなあ.困ったなあ.

◇統計新刊情報 —— 粕谷師の情報収集能力のおかげで判明したこと.14日の日録で,ウーヴェ・リゲス著/石田基広訳『Rの基礎とプログラミング技法』(2006年10月下旬刊行予定,シュプリンガー・ジャパン,ISBN:不明)について,「原書がいったいどれか,たどることができません」と書いたのだが,粕谷情報によると,原書はドイツ語の〈R〉本:Uwe Ligges『Programmieren mit R (Zweite Auflage)』(2006年10月5日刊行[名目的には「2007年出版」だが],Springer-Verlag[Statistik und ihre Anwendungen],ISBN:3-540-36332-7→目次)とのことだ.目次をざっと見るかぎり,「言語」としての〈R〉のプログラミングの本のようだ.統計解析に絡む解説は相対的に少なそう.第2版が出てすぐに翻訳が出せるということは,ゲラの段階で翻訳を始めたということなんでしょうか.著者サイトには,正誤表[これから]と〈R〉のソースプログラムが公開されている.

◇今日は一日中,からっとした秋晴れだった.午後5時にいったん帰宅する.旅支度をして,再び研究所にやってきたのは午後11時過ぎのこと.これから朝までの数時間で,講演と翻訳のドロナワ作業をしまくることになる.

—— 思い起こしてみると,大学院までは「徹夜」というのはいっさいしたことがなかった.D論の切羽詰まったときでも何時間かは仮眠する余裕があった.ところが,農環研に就職して,年数が経つとともにしだいに「徹夜率」がじわじわとアップしてきた.学生よりも社会人の方がはるかに忙しいというのがシンプルな現実だ.仕事が増えたからといって,「1日=24時間」が「1日=30時間」に増えてくれたりするわけではない.だから,仕事増分の処理には睡眠時間を削るしかない(仕事をしないで放置するという選択肢もないわけではない).まわりの知人を見ても,追い込まれての(あるいは抱え込んでの)長時間労働はすでに常態なのだろうと思う.頑張らないで頑張ろう.

◇本日の総歩数=9368歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=+1.8kg/−0.5%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「4位」


18 oktober 2006(水) ※ 霊長研での集中講義(二日目)

◇午前5時半によろよろと起床.外は晴れ.ここ数日,日中は夏日になるので,半袖が手放せませんな.季節外れと言われようが,暑ければ半袖,寒ければ長袖.ナチュラルに.

◇昨日と同じく,午前7時過ぎに1階で朝食をすます.荷物をまとめてチェックアウトしたのは,午前9時前.遠藤さんたちがロビーにやってきたのと同時刻.途中のコンビニで昼食用の弁当を買い,そのまま霊研に向かう.霊研の近辺には食事ができるようなところはほとんど皆無らしい.

 犬山の旧市街区域はややさびれ気味で,犬山城(国宝!)に連なるメイン?ストリートもシャッター街と化しつつあるように見える.平日だからよけいそう感じるのかもしれない.一方,霊研のある駅の反対側のエリアは,これまた「平均的な地方都市」の風景が広がる.新興住宅地が拓かれてきたらしく,霊研の猿山&人山の真下まで民家が迫りつつある.以前はきっと丘の中腹に霊研と隣接モンキーセンターだけが“隔離的”にあって,犬山城と対置していたのだろう.

◇午前9時半から講義開始 —— 祖先形質復元問題についての解説.最節約復元(MPR)を例にとって説明したが,最適化基準(目的関数)しだいで最尤復元にもなる.続いて,午後の「露払い」としての統計学概論をひとくさり.ここでもう正午になった.

◇午後1時から講義の再開.モデル選択に関わる最尤法とAICについての説明をした後,分子進化の確率モデルとその選択に進む.さらに,計算機統計学を使った系統樹の信頼性評価の手法とそのデモンストレーション.最後に,全体の総括をして,予定通り午後3時半に講義を終えた.

 レポート課題はあとで広報しないと.

◇さて,これからが慌ただしい.タクシーで犬山駅にかけ込み,16時07分の名鉄・快速特急「ミュー」に乗る(終着は中部国際空港).20分そこそこで名鉄・名古屋駅に到着.下車して,16:47発「のぞみ30号」で東京へ向かう.東京着は18時30分.お茶の水から千代田線,根津で下車して,東大に着いたのが午後7時過ぎ.生物測定の部屋で三沢計治さんのセミナー後の飲み会に何とか間に合った.“ベイズねた”でしばし盛り上がり,午後8時半に退散.根津から北千住経由で TX に乗り,つくばに帰り着いたのは午後9時半を過ぎた頃.

 これでやっと長い復路をゴールインすることができた.

◇明日は,久しぶりに農環研に実在する.

◇本日の総歩数=8254歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=未計測/未計測. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「3位」


17 oktober 2006(火) ※ 霊長研での集中講義(初日)

◇午前3時過ぎに起床.講義の準備を始める.午前6時過ぎまでの3時間で二日分の講義のスライドを用意し,高座のイメージ・トレーニングをする.

◇午前7時過ぎに1階のコーヒーショップで朝食.午前9時前にホテル前に出て待つ.曇り空からぽつぽつと雨が降ってきた.天気予報は外れたぞ.遠藤秀紀さんと事務の方が迎えにくる.そのまま,霊研へ直行する.丘の中腹にある霊研は初めての訪問だ.猿舎の“やぐら”が方々に見える.隣接してモンキーセンターがあるが,合わせて数百頭の猿がいるらしい.猿だらけ.

 猿と人が微妙に混ざりあっているというのが,この研究所の個性か.“猿山”の猿と“人山”の人.

◇午前9時半から1階の講義室にて講義開始.受講者は20名ほど.現代体系学史/普遍系統学/分類 vs. 系統/アブダクションなどなどを話し続けて,あっという間に正午になった.

◇お昼休み.遠藤さんに新館の「骨部屋」を案内してもらう.ニホンザルをはじめ,霊長類のホネだらけだ.“骨臭”がぷんぷんと.

◇午後1時半から講義再開.系統樹構築の方法論(各論)と PAUP* / MacClade を用いたデモを少しばかり.もう午後4時になってしまった.今日はこれでおしまいだ.

—— それにしても,いったん講義が始まってしまうと時間が経つのが速い速い.

◇夕方6時過ぎに霊研を出た一同は,“人山”を降りて下界に向かう.てくてくと歩く行き先は,住宅地の一角にある〈いぶし家〉という串揚げの店だ.午後10時をまわって散会.ごちそうさまでした.

◇うう,仕事にならんな,これは.

◇明日は,「統計学」の一日になりそう.統計学概論に続いて,進化モデル選択論,そして計算統計学による系統樹の誤差評価の話をする.時間があれば,系統ネットワーク,高次系統樹も射程に入るだろう.

◇本日の総歩数=13043歩[うち「しっかり歩数」=3776歩/32分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=未計測/未計測. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「2位」


16 oktober 2006(月) ※ 丸の内カンヅメから犬山城へ出奔

◇午前3時起床.飛び起きてまたも翻訳作業.ゲラの修正というよりは,翻訳のやり直しに近いものがある(汗).今日は平日だが振替休日に指定してあるので,自宅にてごりごりと朱書きが続く.がりがりと.

◇午前11時41分の TX 快速にて東京へ,JR東京駅の丸の内北口にて海游舎の本間さんと待ち合わせ,オアゾ地下の〈Kobeya Restaurant〉にて,ひたすら“準カンヅメ”での翻訳作業(逃げ場はない).1時間余り格闘して,できたところまでを本間さんに渡し,急いで新幹線ホームへ.14時13分発の「のぞみ35号」にて名古屋に向かう.15時55分着.名鉄犬山線の準急で犬山駅に到着したのは午後4時半をまわっていた.

◇駅前の〈犬山セントラルホテル〉にチェックインし,夕闇迫る犬山の城下町をひとまわりする.高台なんですね,犬山城のある一帯は.

◇さらなる講義準備を進めようとする意思はあるものの,昼間の“準カンヅメ”の効果が時間差で発現したのか,午後10時過ぎには意識朦朧となる.

 というわけで,早寝しましたっ.

◇本日の総歩数=10438歩[うち「しっかり歩数」=3826歩/35分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=0.0kg/−0.3%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「2位」


15 oktober 2006(日) ※ 巡業前日,またもやカンヅメ

◇午前5時半起床.冷え込んでいる.最低気温はそろそろ10度を下回りそうかも.すきっと秋晴れ.空にはすじ雲.

◇前夜の本読み —— 京極夏彦『邪魅の雫』(2006年9月26日刊行,講談社[KODANSHA NOVELS],ISBN:4-06-182438-4).読了.これまでの「京極本」を通読していれば,“京極堂”がやっと表舞台に登場するのが全817ページ中の「679ページ目」であったとしても,また,榎木津礼二郎が手を差し伸べるのが「最後から2ページ目」だったとしても,じっと待ち続けられるにちがいない.余韻の残る,いいエンディングだと思う.関東軍防疫給水部についての周縁的知識が湧き上がってくるのもまた一興.知っている人はさらに楽しめるだろう.

◇明日から,犬山に出かけるので,その前に仕留めるべき“トド”多数.研究所にて仕事を始める午前9時.休日のこまごま —— 日経サイエンスの書評ゲラをチェック完了./ メーリングリスト関連の作業とウェブサイトの改訂.会員のオン/オフ操作をまちがわないように〈EVOLVE〉にコマンドメールでの操作ガイドを載せる.月例アナウンスと同文なのだが,アナウンスはほぼまちがいなく読まれていないらしい./ 研究室で次年度購入する外国雑誌の申請を完了.

◇明日からの講義準備あれやこれや.変に旅慣れてしまったので,直前まで放置するというワルイ癖がついてしまった.

◇夕方,帰宅後に翻訳作業を必死で進めようとする.しかし…….午後11時前に疲労の余り沈没してしまう.ぶくぶくと.

◇本日の総歩数=4370歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼−|夜△.前回比=+0.1kg/+0.1%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「2位」


14 oktober 2006(土) ※ あれもこれも,それもどれも

◇午前5時に目が覚めたものの,怠惰に二度寝.次に目が覚めたのは午前7時だった.こういう罪深く邪なことをしてはいけない.雲がやや多いものの,晴れ.冷たい北風が上層階を吹き抜ける.秋らしく乾いた空気.運動会はこういう時期こそふさわしい.

◇朝のこまごま —— 昨夜遅く,日経サイエンス編集部から書評記事のゲラがpdfで届く:三中信宏「生物進化を読む−“生命の樹”を下から見上げ,上から見下ろす」日経サイエンス2006年12月号,pp. 112-113.読み直し.取り上げた5冊は10月3日の日録を参照.

◇昨日の〈PAUP*〉質問と備忘メモ —— PAUP* ではすんなり読める nexus データファイルなのに,MacClade だと読み込み時に「OS Error - no. 39」というエラーが出て,そのままハングアップしてしまうという症状.テキストデータに何らかの“邪なコード”が隠れているものと想像される.そういうときは,PAUP* の「Edit」モードでいったんデータファイルを開き,「File」メニューの「Export」により nexus 形式の別ファイルとして書き出す.これで,件のトラブルは完全に解消された.

◇「老眼」ならぬ「老耳」 —— 今朝,驚愕の事実が発覚した.うちの長男はもともと耳がよく,テレビでも何でも音量をぐぐっと絞って聴いている.そこで,オンライン聴力検査サイト〈純音を聞いてみよう〉で可聴音域を調べさせたところ,軽く「20,000 Hz」を越えていることがわかった(耳だけは正常ですなあ).ついでに,ぼくも測ってみたところ,驚くべきことに「12,000 Hz」は聞こえても,「16,000 Hz」以上の高音域がまったく聞こえていないことがわかった(うっそー).

 あわてて,Windows 用のフリーソフト〈可聴周波数域チェッカ〉(mamimi.exe)をダウンロードして,自分の可聴最高音を詳しくテストしてみた.その結果,どんなに反復しても無作為化しても局所管理しても,ぼくの可聴最高音は「15,000 Hz」に達していないという冷厳なる事実を突きつけられた.“正常”な聴覚音域は「20 HZ〜20,000 Hz」とされているので,要するにぼくは「高音が聞こえにくい人」ということだ.

 ややうろたえてさらに調べまわると,「加齢とともに高音域は聞こえにくくなるものです」などという他人事のようなコメントが随所に見つかったりする(くそー).同世代の知り合いはそろそろ「老眼」の心配をしだしていて,ワタクシはそれとは無縁だと内心油断していたら,あろうことか「老耳」がいつの間にか身辺に忍び寄っていたとは不覚であった. 長年の〈大音量打族ライフ〉が元凶だったのか.それとも,やかましい曲ばっかり明け方に流していたのが災いしたのか,それとも単に歳とってしまったせいか.いずれにせよ, 心当たりのある人は,自分の可聴音域をすぐに調べてみようね.そして,同病相哀れもう!(誘ってどーするっ)

—— 年齢によって可聴音域が変化することを逆手に取って,蚊のようにたむろする悪がきティーンエイジャーだけを高周波で撃退する〈モスキート〉という機械が一昨年イギリスで開発されたそうだ:「Rowdies buzz off as the Mosquito bites」 .しかし,こういうニュースを見てもなんだかもの悲しいなあ…….聞こえないわが身が.

 というわけで,これからは 15,000 Hz を越える高い声でワタクシに話しかけないでね.※そんなコウモリみたいなホモ・サピエンスはいないって.

◇現実逃避に“江戸飯” —— 福田浩『Meshi 飯』(2006年6月14日刊行,ピエ・ブックス,ISBN:4-89444-535-2).わくわくする本をときどき出してくれるピエ・ブックスの新刊.江戸時代から連綿と伝わる「めし」の写真集.あまりにストレートなタイトルにどきどきしてしまう.「曙鮨(あけぼのすし)」,「焼蕪飯(やきかぶめし)」,「松葉飯(まつばめし)」,「茗荷飯(みょうがめし)」,「骨董飯(こっとうめし)」etc.そのシンプルさもさることながら,ネーミングの妙も同時に味わえる.ほれほれ,食慾亢進中.

◇近刊情報(RjpWiki から) —— ウーヴェ・リゲス著/石田基広訳『Rの基礎とプログラミング技法』(2006年10月下旬刊行予定,シュプリンガー・ジャパン,ISBN:不明).原書がいったいどれか,たどることができません.もう少ししたら,書誌情報がわかるかも.

◇ダーウィン関連企画 —— 読売新聞記事:〈進化論の「ダーウィン展」08年に日本で開催〉(10月13日付)2009年に生誕二百年を迎えるチャールズ・ダーウィンを記念するシンポジウムが日本にも上陸.東京の国立科学博物館と大阪の大阪自然史博物館にて.現在は,ニューヨークのアメリカ自然史博物館で〈ダーウィン展〉開催中.

◇午後,名古屋往復の新幹線チケットを買いに外に出る.風が冷たく感じられる.犬山へはさらに名鉄のチケットが必要.今日の外出はこれだけ.準カンヅメ状態.夜,先週の台風もどき低気圧のせいで延期になった〈土浦花火大会〉を遠くに眺める.夜風が冷たくなったこの時期の花火大会は自宅から見るのがいちばん.

◇明日こそは,“ロイヤル・カンヅメ・デリシャス”で仕事しまくらないと,いずこからか“雫”を垂らされてしまうぞ.

◇本日の総歩数=2658歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.前回比=−0.3kg/+1.5%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「2位」


13 oktober 2006(金) ※ 毎週金曜は追い込まれる日

◇午前4時40分起床.曇り.気温15.6度.冷え込みなし.北の風が吹く.

◇前日からの持ち越され案件 —— 連携推進室からの問合せ:12月初めにロシアからの視察団が農林団地に来る予定で,対応してもらえないかとのこと.「対応してもらう」は「丸投げするよ」の同義語なので(汗),テーマによりますという無難な受け身をした./ 広報情報室(図書室)で所として購入する外国雑誌のタイトルが確定した.今まで研究室で購読していた TREE とか MBE などの大口負担がなくなった.統計学関連のジャーナルも“強力なヨコヤリ”が功を奏して?そのまま継続購入となった.あとは,漏れ落ちがないように研究室での購入雑誌を確定して,届ければよい.雑誌購読に伴う研究室負担額は昨年の約1/3に削減できる見通しだ./ ついでに,非常勤職員の経費のやりくりとか./ リスク指標RPの中間検討会は10月31日(火)午後に開催されることが決まった.

◇お,まだ「残響」が残っていたんだ…….

◇朝のこまごま —— 東大・理・人類から生物統計学講義の出講依頼あり(次年度).駒場からの進学予定者が対象になるそうだ.統計学を教える人材は意外に少ないのかもしれない.来年は和光がダメそうなので,前橋に依頼が飛んだものの,最後につくばにたどり着いたようだ(やっぱり“自殺行為”でしょうか? ひぇ〜)きっと受講生にも関係があるにちがいない morphometrics の統計学もできるかな.「イエス」の返事を返したが,毎週のことなので,できれば駒場ではなく,本郷(2号館)の方が便利でいいですね.よろしくお願いします.

◇〈The Systematics Association〉 からの新刊と近刊 —— 版元の CRC Press の近刊情報によると,一般的な生物体系学に関係する論文集(The Systematics Association Special Volume Series)が,今年後半から来年にかけて次々に出版されるようだ:

  • Malte C. Ebach and Raymond S. Tangney (eds.)『Biogeography in a Changing World』(2006年10月26日刊行予定,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series 70], ISBN:0-849-38038-3→目次
  • Trevor R. Hodkinson and John A.N. Parnell (eds.)『Reconstructing the Tree of Life: Taxonomy and Systematics of Species Rich Taxa』(2006年11月22日刊行予定,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series 72], ISBN:0-849-39579-8)
  • Gordon Curry and Chris Humphries (eds.)『Biodiversity Databases: From Cottage Industry to Industrial Networks』(2007年4月16日刊行予定,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series 73], ISBN:0-415-33290-7)
  • Norman MacLeod and Quentin D. Wheeler (eds.)『Automated Object Identification in Systematics: Theory, Approaches, and Applications』(2007年5月15日刊行予定,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series], ISBN:0-849-38205-X)
  • Quentin D. Wheeler (ed.)『The New Taxonomy』(2007年7月15日刊行予定,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series], ISBN:0-849-39088-5)

◇昼の歩き読み.よく晴れて,気温21.2度.湿度が低く快適 —— 向井透史『早稲田古本屋街』(2006年10月1日刊行,未來社,ISBN:4-624-40059-3→目次).読了.古書店それぞれの「小伝」をまとめた第2章と第3章は,ひとつひとつは短いが,とても印象に残る.早稲田古本市の歴史をたどった第4章は記録としては役に立つだろうが,どことなく業界内輪話のようで,ぼくにはあまりおもしろくなかった.

 向井透史のこの新刊と前著『早稲田古本屋日録』(2006年2月28日刊行,右近書院,ISBN:4842100664)は,早稲田という地域に限定された古書店と古書店街の歴史を描いている.ぼく自身は,高田馬場駅前を除いては,このエリアにほとんど足を踏み入れたことがない.しかし,いつか機会があったらまわってみようかな.

 書店(not 出版社)の「伝記」といえば,リン・ティルマン『ブックストア:ニューヨークでもっとも愛された書店』(2003年1月30日刊行,晶文社、ISBN:4-7949-6558-3)と W. G. Rogers『Wise Men Fish Here : The Story of Frances Steloff and the Gotham Book Mart』(1965年刊行,Harcourt, Brace & World,ISBN:なし)の2冊がまず思い浮かぶ.出版社や出版人の伝記はいろいろあっても,本屋の伝記は相対的に少ないような気がする.そう考えると,日本での「古書店主回想録」の多さは異例のことなのかもしれない.

◇午後2時から1時間弱,〈文化系統学〉セミナー第24回目.Chapter 11「Cultural transmission, phylogenetics, and the archaeological record」(Jermer W. Eerkens, Robert L. Bettinger, and Richard McElreath)を読了した(pp. 174-183).文化進化における伝達様式モデルにしたがって,形質データをシミュレーションによって生成し,PAUP* を用いた系統解析,そして樹長と一致指数を計算する.変異の生成率をランダムに増加させると,一般にホモプラジー頻度が高まって,一致指数は低下する.しかし,文化的模倣によって方向づけられた変異の率を上げると,子孫はしだいに同一の形質状態をホモプラジーとして共有することになり,結果として一致指数は再び高くなる.こんなことはシミュレーションするまでもなく自明のことではないか.実際の石器データの分析例も後半にはあるのだが,一致指数や樹長を調べただけでは,文化進化のモデル化にはほど遠い気がした.やるんだったら,パラメトリック・ブーツストラップとか,もっといいやり方があったのじゃあないか.

◇雲が厚くなってきた午後のこまごま.すべては〈R〉のために —— 最新版〈R 2.4.0〉をダウンロードした./ ついでに,〈R〉での系統解析デモ用に〈APE〉パッケージも.もうすぐ〈APE〉本が Springer から届くはず.デモ用には〈Mesquite〉でもよかったのだが,〈R〉の延長線上で,系統解析の手順をデモする機会があるだろうから.いつでも PAUP* - MacClade,なんでも Mesquite というのではなく,系統推定論の教育的プレゼン・ツールにはいくつかの選択肢があっていいと思う./ 首都大学東京の生物統計学レポート課題をやっと出題する.今年は,〈R〉にもともと入っているデータ「PlantGrowth」を題材にして〈R〉のプログラム(線形モデルと多重比較)を書かせる課題にした.2週間の時間があるので余裕ありまくりでしょ.ね.

◇なんだか疲れてるぞ.>それはワタシ…….しかし,来週は霊長研での集中講義と札幌での科哲大会がある.その前に,げんこ〜.

◇本日の総歩数=15510歩[うち「しっかり歩数」=8620歩/75分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/−0.8%. leeswijzer〈ランキング〉定時観測=「2位」


12 oktober 2006(木) ※ トド猟と山登り,その日その日

◇午前4時40分起床.霧.はじめは微かだったが,しだいに濃くなって1時間後には視界をさえぎるほどに.気温15.4度.

◇朝からトド撃ちの連続 —— 〈UMIN〉に登録されている日本進化学会の学会情報を更新してもらう./ 東大でのセミナー:10月25日(水)午後4時半から,農学部7号館114-115号室にて.演題は「進化史を復元する科学:生物学・数学・統計学の交わるところ」.エコロジカル・セイフティー学講座の宣伝のひとつとしての噺./ 生科連の会議は11月7日(火)の午後.「参加します」とメール送信した直後に,統計研修の講義が重なっていたことを思い出し,あわてて欠席の再返事.駒場の殿が代わりに出ることになった.分類学会連合から進化学会の紹介記事を書いてほしいとの依頼あり.草稿をまず書くことになった.いやはや./ 進化学会ニュースの原稿のとりまとめを始める.事務局側の業務報告・決算と予算・会則変更・学会賞選考報告など.事務局に連絡&依頼など.

 あっという間に,時間が過ぎていく…….

◇「一ノ瀬本」を読み直す —— 一ノ瀬正樹『原因と理由の迷宮:「なぜならば」の哲学』(2006年5月12日刊行,勁草書房[双書エニグマ11],ISBN:4-326-19914-8→目次).確率論的因果性について少しでも言及している日本語の本はあまり出会ったことがない.同じ著者による前著:一ノ瀬正樹『原因と結果の迷宮』(2001年9月20日刊行,勁草書房,ISBN:4-326-15357-1)に続く第二弾.まだめくっている段階だが,そのうち読み込もうと思う.なお,近い将来出される予定の第3作目:『原因と責任の迷宮』の出版を待って,この三部作は完結するそうだ.

◇昼前の小トド撃ち —— 越中の殿から要請.とある論文を探してほしいとの依頼:内藤高(1981),「写生帖の思考 — 江戸中期の昆虫図譜について」.比較思想雑誌(東大比較思想研究会),第4号(1981年1月).タイトルを見るかぎりおもしろそうな論文だが,このジャーナルをいったいどこが所蔵しているかが問題.もちろん東大にはコンプリートにあるだろうことは十分に予想できた.Webcatで調べてみると確かにそうだったが,不思議なことにこの「第4号」だけ欠号の所蔵館が多いのは何か理由があるのだろう(出版元の移行とか).東大でコピーしてきます.>鈴木さん.

◇ひょえー,なんと「第2位」ですって! —— 〈leeswijzer〉はロングテールの端っこに埋もれていますとつぶやいたのは,ほんの1週間前のことだった.それが,いまや〈ブログ・ランキング〉の第2位にまで成り上がるとは.感謝の言葉もありませんです.

さて,この後の登攀はいったいどのような展開になるのだろう? 長らく君臨する“お玉おばさん”はとっても強そうだし…….

◇日中はぽかぽかと暖かく,というか暑いなあ.

◇午後もなお続くトド撃ち.今度は弥生キャンバス関連 —— 生物測定学教室関連ふたつ:三沢計治さんのセミナー.10月18日(水)午後4時から,東京大学農学部1号館326号室(生物測定学教室)にて.この日は霊長研の集中講義が午後まであるので,セミナーには出られないが,その後の懇親会は行けるかなあ(ムリかなあ).|上村さんからものすごく久しぶりのメール.企画中の統計本のことで.出版社もおんなじだったりするんですけど(汗)./ 東大農学部〈弥生ニュース〉への自己紹介文をメールで送る./ 生物・環境工学専攻から,先週金曜の進学予定者ガイダンスでのアンケート集計が送られてきた.専攻でつくったパンフレットや専攻ホームページはやはりよく見られているようだ.その一方で,そこに所属する教員の講義を聴いたことがないという声も多かった.

◇撃ち疲れて帰宅する.北の風に吹かれる.

◇本日の総歩数=9694歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/−0.6%.


11 oktober 2006(水) ※ 予想もしなかった〈第3位〉!

◇午前5時起き.見事な朝焼けが東の空に広がる.晴れときどき曇り.気温14.2度.南風が吹く.

◇出勤前の捜索活動 —— 自動車キー用のボタン電池(CR-1660)を交換しようと思って,まずはコンビニを探したがあえなく玉砕.さらに,いくつかの電気店をまわったのだが,フシギなことに売り切れだったり品切れだったり.店頭で注文すると1週間で届くという.でも,たった200円のボタン電池のために1週間も待ってられるかいっ.つくばエリア内の捜索の末?コジマ電機にてようやくゲットしました.

◇午前10時半からの領域内会議に遅れて出席(〜11:30) —— 所内の〈若手育成プログラム〉についての討議.農環研が独立行政法人となり,さらに研究室(ユニット)制を廃止した組織になって以来,若手研究者を「所として」どのように育て上げていくかという問題が浮上してきた.農環研の「中」の制度をうまく使いながら,実際には「外」で育てばいいだろうと個人的には考える.積極的にプッシュできればそれに越したことはないが,少なくとも邪魔にならないようなしくみがあってほしい./ 予算の執行状況の中間報告.げげっ,もう「赤字」やん…….※共通経費とかRPからのお金をもらわないと.

◇昼休みの歩き読み.気温25度.曇り —— 向井透史『早稲田古本屋街』(2006年10月1日刊行,未來社,ISBN:4-624-40059-3→目次).第1章〜第2章.ワセダの古書店それぞれの“伝記”.背後の系譜関係(暖簾分け?)をたどれるのがおもしろい.

◇真夜中の「大東亜戦争」の名残 —— 主がぐうぐう寝ていた夜中に,〈leeswijzer〉はけなげにも過酷なる〈ブログ・ランキング〉の中で,〈大東亜戦争〉を闘い抜いたようだ.昨日よりもさらにランキングが上がり,ときどき闘い負けて「第4位」になったりしたようだが,今朝の時点で輝く「第3位」に浮上した.まさかこんなに順位が上がるとは予想もしていませんでした.ボタンを押していただいたみなさん,どーもありがとうございました.ディープインパクトと同じ順位になったということで,よかったよかった.

◇午後は南風が強くなり,日が射してきた.しかし,夕方になって,ぱらぱらと雨が降り出し,夜になっても断続的に小雨が続く。

◇大小取り混ぜて「とど」のリスト —— 海游舎の翻訳原稿チェック./ 京大・霊長研の集中講義準備とハンドアウト作成./ 科哲大会(北大)の講演準備とハンドアウト作成./ 進化学会ニュースの原稿準備./ 東大・学内ニュースへの自己紹介原稿./ 雑誌『遺伝』への投稿原稿./ etc...[忘却しているものもあるかも]

 うーむ…….

◇本日の総歩数=15590歩[うち「しっかり歩数」=5315歩/47分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.5kg/+0.8%.


10 oktober 2006(火) ※ 連休明けに高まるお仕事プレッシャー

◇午前5時前に起床.晴れ.気温12.4度.涼しいというよりは,寒いと言いましょう.研究所にて今週やるべき仕事の確認をする.

◇朝からこまごま —— Hennig XXV 大会参加費に関する内訳を届け出よとのお達し.平伏./ 科哲の発表原稿はどーするのかとの電話ぷれっしゃー.さらに平伏./海游舎から翻訳原稿の年貢取立ての電話.これ以上,平伏せませーん.※月曜に東京で「耳を揃える」ことになった.あ,それって“雫”…….

◇秋晴れの昼休みにひと歩き.気温24.4度で,やや暑いかも —— 向井透史『早稲田古本屋街』(2006年10月1日刊行,未來社,ISBN:4-624-40059-3→目次).序章と第1章を読み歩く.明治時代に早くも拓かれた早稲田古書店街の歴史.関東大震災の天災と第二次世界大戦の戦火を越えて戦後の世代へと続く.

◇午後1時40分から1時間ほど,〈形態測定学講義〉の第21回目.新しい章:第8章「Computer-based Statistical Methods」(pp. 189-202)に入る.本章は,コンピュータ集約的な計算統計学についての一般論だ.最初の節は統計学概論なので飛ばす.その後,ブーツストラップ,並べ変え,ジャックナイフ,そしてモンテ・カルロ法についての具体的な説明がなされる.データからの無作為リサンプリングによるブーツストラップは,検定統計量の信頼区間の構築に使えるが,並べ変え法はその目的には使えない.ジャックナイフは現在ではブーツストラップに置き換わりつつあり,そのままで使われることは少なくなっている.最後に,モデルを前提とするモンテカルロ・シミュレーションについての説明があった.

◇おお,ついに「第5位」にまで! —— ということで,ここ数日,一喜一憂していた〈ブログ・ランキング〉の推移は,今日になって「7位→6位→5位」という“頂上”への登攀を開始したようだ.しかし,どー考えてもムリやろなあ……(最高峰はあまりにも高過ぎ〜).

◇午後のこまごま —— Hennig XXV参加費の立替払い申請書を再提出して,この件はおしまい./来週の京大・非常勤講義(兼業)にかかわる「勤務を要しない日なんちゃら」書類を忘れないうち提出.この件もオシマイ./来週末の科哲(札幌大会)の生物学哲学シンポのオーガナイザーさんから,事務連絡ととともにさりげない尻たたき:「皆さん最後の仕上げに余念のないことと推察いたします」.ごめんなさいねえ,まだ準備ゼロだったりする(オフレコ).というか,いつでもやれまっせ,という意味では心理的には準備完了なのかも.いずれにせよ,ハンドアウトをつくる必要はあるかも(70人分!?−マジっすか?).

◇仕事もがきが続く夜.明日のために今日は寝るのだ.(0:30記)

◇本日の総歩数=12841歩[うち「しっかり歩数」=4781歩/43分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.3kg/+0.1%.


9 oktober 2006(月) ※ 慣れない高ランキングにあわてふためく

◇午前5時起床.今日も朝焼け.研究所の温度計は「12.2度」を示している.最低気温が10度を割り込む日も間近いだろう.夜明けの西空には丸い月が残る.

◇宇尾淳子さん逝去 —— 〈ガイア日記〉(10月8日付)によると,昆虫生理学者・宇尾淳子さんが亡くなったそうだ.宇尾さんといえば,「ゴキブリ」と「生物時計」というキーワードが即座に思い浮かぶ(著訳書からの刷り込みかもしれない).旧・蒼樹書房から出ていた数冊の著書を含め,今ではほとんど出回っていないようだ.〈ガイア日記〉には亡くなる前の遺書が載っているが,このような凛々しさを持ち続けられた精神的な強さに目が覚める.

◇新刊文庫本入手 —— 須賀敦子『須賀敦子全集・第1巻』(2006年10月20日刊行,河出書房新社[河出文庫す4-2],ISBN:4-309-42051-6→版元ページ).今月から刊行が始まったこの文庫版全集の構成は下記の通り:

  • 第1巻:ミラノ 霧の風景/コルシア書店の仲間たち/旅のあいまに
  • 第2巻:ヴェネツィアの宿/トリエステの坂道/エッセイ(1957〜1992)
  • 第3巻:ユルスナールの靴/時のかけらたち/地図のない道/エッセイ(1993〜1996)
  • 第4巻:遠い朝の本たち/本に読まれて/書評・映画評ほか
  • 第5巻:イタリアの詩人たち/ウンベルト・サバ詩集(翻訳)/ミケランジェロの詩と手紙(翻訳)ほか
  • 第6巻:イタリア文学論/翻訳書あとがき
  • 第7巻:どんぐりのたわごと/日記
  • 第8巻:書簡/年譜/ノート・未定槁「聖心の使徒」所収エッセイほか

 きっと毎月1冊ずつ出るのだろう.

◇あわわ…… —— ロングテールから浮上してウハウハ喜んでいたら,今日になって〈ブログ・ランキング〉がさらにさらに上がり続け,ついに上位「トップ10」内に入っていた.あわわ,どーしましょ.心の準備が.活字も心無しか大きくなっているし.あわわわ.貧乏人が大金をもたされてあわてている心地.

◇午前11時41分の TX 快速で東京に出る.以前から店の前を何度も通り過ぎたことのあるカレー屋さん〈トプカ〉(神田須田町)に初めて入る.食券を買うシステムとは知らなかった.大きく欧風と印度風のふたつに大別されているメニュー.「ムルギーダルカリー」を注文する.お世辞にもきれいな店ではないので,最初入ったときは「はずしたかな」と観念したのだが,出されたカレーはとても美味(でも辛いなあ).この店は相当にランキングが高いと直感.※あとで,調べてみたら,実はとても有名なカレー屋だったことを知る(おみそれしました).次回はポークカリーかな.

◇数時間の私用.その後,すずらん通りをぶらぶらするものの,日曜なので古書店は閉まっているところが多かった.東京堂書店をひとまわりして,新御茶ノ水から北千住,そして TX でつくばへ帰る.

◇今日は一日中強い風も吹かず,ほかほかと暖かだった.連休の終わりにふさわしい空模様だ.仕事がいくつか待ち受けているのだが,明日から頑張るしかないなあ.

◇本日の総歩数=10104歩[うち「しっかり歩数」=2445歩/23分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−1.6kg/−1.2%.


8 oktober 2006(日) ※ 季節はずれの強風によろめく

◇午前5時半起床.鮮やかな朝焼け.南風が吹き抜ける。気温は15度くらいか.

◇朝から取手へ出撃するも,北寄りの風がびゅーびゅーと吹きつけてくる.今の季節にこんな強風は経験したことがない.日中の日射しは強く,きっと20度を越えているはずだが,体感的にはむしろ涼しく感じる。外れた風船が舞い上がり,水餃子の皿も空を飛び,チラシが紙吹雪となる.春先のように砂塵が襲わなかったのが救いだ。

◇上海残響 —— 『東京人 2006年11月号』(2006年11月3日発行,都市出版,ISSN:0912-0173).今号の特集は〈上海〉だ.なぜ『東京人』が「上海」を,という根源的疑問はさておき,この特集を読んで初めて“租界”の位置を正確に知ることができた.現在の外灘地区を大きく囲む地域がすべて“租界”だったようだ.

◇午後,つくばに帰り着くも戸外で風に吹き晒されたせいか,疲労がじわりとしみ出してくる.ごろんとしたり,また読んだり.

◇ロングテールからのさらなる浮上続く —— 実にありがたいことに,〈ブログ・ランキング〉の順位がさらにさらに上昇! 「30位」台という驚くべきランキングを目にすることになった.たまに,順位変動を追っかけてみるのは楽しいことかもしれない.

◇読了 —— 岡崎武志『気まぐれ古書店紀行』(2006年2月10日刊行,工作舎,ISBN:4-87502-391-X).『彷書月刊』に連載されてきた,1998年〜2005年の8年間に及ぶアナザー“蒐書日誌”.とはいえ,結局買わずに終わった古書店行脚も少なくなかったと見える(だから“気まぐれ”か?).著者が全国各地を古書店マップを片手に訪ね歩いた記録だが,かなりの率で店が「消えている」ことに気づかされる.行く先々で古書店に詣でるよう心がけよう.これまでももちろんそう心がけてきたのだが,もっと心がけを強めないと.

◇本日の総歩数=15676歩[うち「しっかり歩数」=5548歩/54分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+1.4kg/+1.0%.


7 oktober 2006(土) ※ チリもホコリも吹き飛ばされて

◇午前6時にのろのろと起床し,しばしぐすぐずする.昨夜の深酒が祟ったのか,あるいは,清酒とウォッカの飲み合わせがまずかったか.昨夜の暴風雨はどこへやら,すきっと晴れ上がり,遠くの山々の稜線がくっきりと見える.南風が通り,涼しい.地表には落葉や落枝がそこら中に散乱している.

◇午後には北風に変わり,東の空に「虹」がかかる.めずらしい光景だ.湿度はますます低くなる.快適至極.買い物に走る.

◇読了 —— 宮下誠『20世紀音楽:クラシックの運命』(2006年9月20日刊行,光文社[光文社新書272],ISBN:4-334-03372-5).それにしてもこんなに“秘曲”やら“幻曲”やらがたくさんあるとはね.マイナーな作曲家はある程度は知っているつもりだったが,「カイホスル・シャプルジ・ソラブジ」なんていう作曲家の名前は初めて聞くぞ.第1章「飽和」/第2章「拡散」/第3章「変容」.総頁数は450ページに達する.巻末の「音盤紹介」は深みにハマるのに役立つにちがいない.

◇ロングテールからの急浮上 —— 一昨日,「ランキングから外れた……(涙)」と書いたために多くの“同情票”が寄せられたのか,〈ブログ・ランキング〉の順位が急上昇! イッキに60位代に大躍進しましたっ.どうもありがとうございます.いつも頻度分布の端っこにいたのが,珍しく上位に移動したので,どぎまぎしています.ハイ.

◇真っ赤な夕焼けの頃,来客家族あり.2倍の人数になったので,夕食の食料消費量は3倍に……(なんでやねん).

◇夜の南風の吹かれる.明日は取手に.

◇本日の総歩数=6837歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜×.前回比=0.0kg/−0.6%.


6 oktober 2006(金) ※ こりゃ,台風並みの風雨ですなあ

◇午前5時半起床.大雨.ものすごく降っている.予報では関東地方はこれから300mm降るそうだ.台風は消えたか逸れたかしたそうだが,そのエネルギーが南岸の秋雨前線にそっくり移動したかのよう.

◇早朝のこまごま —— 学会関連:〈J-STAGE〉の規約改定についての意見を求められる./ 振替休日(2日分)の届出をする./ 某学会の査読業務をする.統計分析関連の記述をチェックし,レポートを学会編集部に返信する.正午前にスムーズに作業終了.

◇昼になってもまだざあざあと降っている.昼休みのお仕事ひとつ —— 2週間後に迫ってきた日本科学哲学会大会のための「宿」と「足」の確保.まず,投宿先は〈ホテルKKS札幌〉に決定.大会会場である北海道大学からはちと離れているが,とても評判のよいホテルらしい.次に,航空券はオンラインでちゃちゃっとANAの割引チケットを購入.その確認メールを農環研事務に転送して,こちらの作業もおしまい.これでやっと“難民”にならずにすむ.

◇もうひとつの仕事 —— メーリングリストへの月例アナウンス.EVOLVEについては,下記の文面を流した:

EVOLVE reader 諸氏:

三中信宏(EVOLVE list-owner)です.

遅くなりましたが,月例アナウンスです.今月もよろしくお願いいたします.

先月は〈退会処分者〉を1名出しました.この件に関しては私信にてご意見を送って下さった会員が何人かおられます.

私としましては,メーリングリストの運営を考えたとき,私から見て 「不適切な投稿行為」を行なう会員は退会処分にするのが,リストオーナーとして取れる数少ない選択肢の中の筆頭に位置すると考えています.理由はみっつあります.はじめのふたつは一般論であり,最後のひとつは先月のケースにのみあてはまります.

  1. リストオーナーから見て不適切な投稿をする投稿者はイエローカー ドを出そうが警告しようが,そのメッセージを聞く耳をもつ人は(私の経験 から言って)ゼロです.言われて「改心する」可能性はほぼないということ です.したがって,警告を発令した時点で,退会処分へのカウントダウンは始 まっています.慈悲深いリストオーナーならば,気長に説得を繰り返すこと もあるかもしれません.私がそういうキャラクターではないことは,みなさ んにはもうわかっているでしょう.
  2. 参加が自由なメーリングリストでの退会処分というのは一大事である,とのご意見をいただきました.リストオーナーの観点から言うと,参加自由であるからこそ,必要に応じて迅速に「強権発動」をすることが必要で す.私の経験から言って,会員数の「0.1%」は“困ったちゃん”です.したがって,その“困ったちゃん”が表面化するのは,メーリングリストの規模が大きくなって,“困ったちゃん”の個体数が「1」を越えるようになった とき です.EVOLVEはもうすぐ2000人規模のコミュニティになりますので,単純計算で「2名」は潜在的(あるいは顕在的)な“困ったちゃん”がいるということになります.たとえ「0.1%」であっても“困ったちゃん”の 不適切な投 稿は,残り「99.9%」の会員全体に及ぶ悪影響を及ぼし,場合によってはメーリングリストの退廃や閉鎖という事態につながります.私は“困ったちゃん”には「退会処分」という“青龍刀”で対処してきました(これからもそうするつもりです).もしそれ以外に代案があるということでしたら,ぜひ私信にてお知らせください.私だけにかぎらず,他のリストオーナーにとっても,これは切実な問題だろうと考えます.
  3. 先月の退会処分者は,過去に他のいくつかのメーリングリストで,不適切な投稿行為を繰り返し,その被害を受けたいくつかのメーリングリストは閉鎖に追い込まれました.他のメーリングリストでの「前科」は関係がない だろうとのご意見もあったのですが,実際にEVOLVEへの何通かの投稿を見ていると,他のメーリングリストとのクロスポストの形で,まったく同様の投稿が繰り返される懸念がありました.また,私の警告にも(予想通り) まったく聞く耳をもちませんでした.このような理由で,当該会員を退会処分にした次第です.そもそも入会させたことがまちがいだったのかもしれません.しかし,入会時の資格審査(あるいはネットでの身上調査)みたいなことをするというのは,それはそれで問題があるだろうと私は考えます.それくらいだったら,自由に入会していただいて,問題があれば間髪入れずに“公開処刑”にするという方が私にとっては望ましいやり方です.

ご意見はいろいろあると思いますが,その際は私信にてお願いします.

この件は,これにてオシマイ.

◇午後1時過ぎから1時間ほど,〈文化系統学〉セミナー第23回目.また半月もギャップができてしまった…….今日から,Chapter 11「Cultural transmission, phylogenetics, and the archaeological record」(Jermer W. Eerkens, Robert L. Bettinger, and Richard McElreath)に進む(pp. 169-175).いくつかの文化進化モデルに沿ったシミュレーションを行ない,得られた文化系統樹のパターンの特性を分岐図に関する一致指数を通じて考察しようという章.前半部分では,文化進化の三つのモデル:「guided variation」,「conformist transmission」,そして「indirectly biased transmission」を定義する.それぞれ文化伝達にともなう“模倣度”が異なる(“social-model”のもつ効力の大きさに比例する).この章では,ランダムな伝達ノイズとともに,上記の伝達モデルにしたがう文化進化のシミュレーションを Excel を用いて行なうという.そのフローチャートが示され,完全2分裂による6世代の文化系統樹(OTU数は32)を得る.

◇雨の中,午後4時11分の TX 快速で東京に向かう.東京に近づくにつれ,車窓の外はたいへんな風雨になってきた.北千住で乗り換えて千駄木で降りる.雨・風ともに強く,傘をさしていることすらままならない.これは低気圧とか秋雨前線などではなく,実は「台風」なんじゃないんですか?

 降られて濡れて,東大農学部7号館に駆け込む.弥生キャンパスでは小枝や銀杏が風に吹き飛ばされていた.午後6時から,学部進学生のためのガイダンス,続いて懇親会.何もこんな風雨の中をと思うのだが,いきなり降る方が悪いのだから,文句の言いようがない.午後9時過ぎまで.再び雨の中をつくばに帰る.午後11時前に帰宅.健康的(どこが).

◇本日の総歩数=13181歩[うち「しっかり歩数」=2532歩/22分].全コース×|×.朝△|昼−|夜△.前回比=−0.2kg/+0.8%.


5 oktober 2006(木) ※ 降っては止み,晴れそうでざあざあ

◇午前4時半起床.曇りときどき小雨.気温19.7度.今日は本降りになるという天気予報だ.

◇早朝のこまごま —— 所内のリサーチ・プロジェクト中間検討会の日程が10月19日ではなく,ペンディングとなった.月末のいつかに延期./ 某学会誌の掲載論文の個人ウェブサイト公開に関する問い合わせ.できるだけ前向きに対応しましょう./ とある頼まれ書類をばたばたとつくる.体裁だけは何とか整えたが,改善点多し.まだ続く.

◇不安定な天気で,降ったり止んだり,明るくなったと思ったら,またざあざあと降ったり.

◇午前のこまごま —— 京大・霊長研から電話.給与の振込先口座と連絡先の問合せ./次年度の外国雑誌公費購入に関する問合せ.所で買うか,研究室で買うかが,年によって変わるので,漏れ落ちがないように気をつけないと.TREE を所購入雑誌に指定されたのはありがたいことだが,統計学関連雑誌(Biometrika とか JASA)は研究室購入になる可能性あり.公費購入誌名については,今月中に決定される予定とのメール連絡あり./農環研事務から電話.今月の北海道出張(科哲)の際の航空券は事前にコピーを提出してほしいとのこと.出張時の決済チェックが厳しくなっているそうだ.

◇〈leeswijzer〉アクセス20万台に —— 本日午後1時過ぎに,アクセスカウンターが「20万」に達した.「10万」の大台に乗ったのが1月22日,次いで「15万」を越えたのが6月5日のことだったから,平均して4ヶ月間で「5万回」のアクセス回数の増加率ということになる.絵に書いたような「単調増加」だ.1日あたり「400回」あまりのページビューがある.ありがとうございます.>みなさん.

 ところが,登録してある〈ブログ・ランキング〉の方はさっぱりダメで,ついにランキングリスト掲載から外される(=週に1回もクリックされない)という事態になっている.だからと言って,ぼくの給料が下がるとか,どこかから大目玉を喰らうというような制裁措置がないのをいいことに,そのまま放置している.おそらく,ランキング曲線の「下位ロングテール」のどこかにひっそりと並んでいるのだろうな.

◇昼下がりの電話あれこれ —— 海游舎からの督促電話(汗).来週に「徴収」される……./ 講談社からの打ち上げしましょう電話(喜).6月25日(水)の夕方に東京にて.

◇新刊メモ —— 『解体新書と小田野直武』の復刻について:鷲尾厚『解体新書と小田野直武』(2006年8月刊行[復刻],無明舎出版,ISBN:4-89544-438-4→版元ページ).不在中に届いていた無明舎出版から送られてきた新刊案内で知った.1980年に出版された同名の初版本『解体新書と小田野直武』(1980年5月1日刊行,翠楊社[郷土の研究1],ISBNなし/1039-04011-3736→目次)の復刻.この本が四半世紀後に復刻されるとは予想していなかった.本書『解体新書と小田野直武』の初版は,小田野直武の没後200年に出版された.しかし,その後,版元がなくなったために絶版になっていた.無明舎出版はそれを受けてリプリントしたということだろう.無明舎出版の新刊案内には事情が説明されている.

 ぼくがこの本を古書で入手したのは,大学院の修士だった頃で,渋谷の道玄坂にあった文紀堂書店に立ち寄ったときにたまたま見つけた.もちろん,当時は秋田の蘭画家・小田野直武の名前を知っているはずもなく,単に『解体新書』の原書が全復刻されているというのに惹かれて買ったにちがいない.角館のある小田野家を訪ねることになるのは後のことだ.

 蘭学つながりということでいえば,後に平凡社・東洋文庫に復刻された『前野蘭化』の私家版初版は,札幌の北大前にある南陽堂書店の店頭でたった一度だけ見かけたことがある.これまたとても惹かれるものがあったが,なんせ「19,000円」という値札が付いていたので,あっさりと撤退してしまったのは考えてみれば惜しいことをした.当時は,「古書は一期一会」という格言がまだ身に染みていなかったのだろう.

◇午後のこまごま —— 来月の数理統計研修テキストの原稿を用意する.大部分はこれまでの流用で何とかなるが,〈R〉がらみの部分だけ大幅に書き換える.これまでの講義の中でアド・ホックにやりくりしていたのを,テキスト原稿に反映させる.午後5時過ぎにすべての改訂作業を完了.事務局にメールで連絡する.

 今年度のテキスト原稿(担当分)は〈租界R〉からダウンロード可能です(pdf).

◇あわてる夕方 —— プリンタ出力しようと思ったら電源が入らない.なんと先日の居室移動のどさくさで,プリンタの電源ケーブルまで廃棄処分してしまったらしい.あわてて古いブリンタの電源ケーブルを探して何とか対処する.

◇夜,北からの強い風とともに雨足が強まる.明日は一日中土砂降りになるらしい.夕方から東京に出るのだが,「足」は大丈夫か,ちと不安.

◇本日の総歩数=9681歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.5kg/−0.8%.


4 oktober 2006(水) ※ アベック台風のあおりで秋雨になる

◇午前5時起床.雨.気温18.4度.南海上にふたつの台風があって,北上しつつあるらしい.また週末が危ないか.

◇エルンスト・ヘッケル復刻2冊 —— Ernst Haeckel『Prinzipien der generellen Morphologie der Organismen』(2006年9月刊行,VDM Verlag Dr. Müller,ISBN:386550924X).このタイトルは,彼のデビュー作である有名な2巻本『Generelle Morphologie der Organismen』(1866)を連想させる.しかし,今回刊行された本の頁数は約半分の「466 Seiten」というから,その短縮版なのかもしれない.原書がいつの出版かはまだ確認できていない.少なくとも,このタイトルの本は存在していないようだ./ Ernst Haeckel『Kristallseelen : Studien über das anorganische Leben』(2006年9月刊行,VDM Verlag Dr. Müller,ISBN:3865509274).結晶形態に関する著作(1917年出版).ヘッケルの最晩年の本.原書はオンラインですでに公開されている(→Kurt Stüber's Library).

◇“ものすごい”〈トゥーランドット〉についての伝聞メモ —— つい先日,新宿文化センターであったキエフ・オペラの〈トゥーランドット〉公演は,ティンパニーがとにかく“ものすごかった”と伝え聞いた.このオペラのティンパニーは,ただでさえ“ものすごく”難しくて,しかも“ものすごく”目立つパートなのに,さらに輪をかけて“ものすごかった”としたら,いったい他の楽器の音は客席に届いたのだろうか? あ,そもそも歌手もいるし.と思ったら,独唱者たちはさらに“ものすごい”声量でオケに立ち向かっていったらしい.そーか,四方八方で“ものすごい”ことになっていたのだろーなあ.※ウツワの力が足りなかったのでは?

◇昼前の気温は23.0度.曇りときどき小雨.やや蒸し暑い.

◇午後のこまごま —— 東大農学部からの連絡.新任教員の紹介文を学内限定公開の某ウェブ雑誌に掲載したいので,原稿をよろしくとのこと.ところが,バックナンバーを見ようとしたところ,「アナタにはアクセス権がありません」との冷たい拒絶に遭ってしまった.そりゃないでしょうがー.「読めないので書けません」とぼやいたら,「東大構内限定公開ということです」との返事.ほほー,東大の「中」に実在しないとダメなんですか.ほー./ またまた堆積しつつあったメーリングリストの作業をちくちくと.月例アナウンスがまだ発信できていない……./ 筑波大学大学院数理物質科学研究科の「形態測定学」集中講義は,12月11日(月)〜13日(水),時間帯は9:30〜16:00です.

◇文庫の新刊・近刊メモ —— 虚構な小説や軽めなエッセイのたぐいはいつもはほとんど読まないのだけれど,たまにはインパルスがスルドク届くものもあったりする:須賀敦子『須賀敦子全集・第1巻』(2006年10月20日刊行,河出書房新社[河出文庫す4-2],ISBN:4-309-42051-6→版元ページ).今回の文庫版全集の構成は,同社から以前(2000〜2001年にかけて)出た“豪華版”全集と同じく,全8巻+別巻1の9冊.第1巻は,『ミラノ・霧の風景』,『コルシア書店の仲間たち』,そして『旅のあいまに』から成る./ 柳宏司『はじまりの島』(2006年9月29日刊行,東京創元社[創元推理文庫Mや-3-1],ISBN:4-488-46301-0).舞台はガラパゴス諸島,主役を演じるのはチャールズ・ダーウィン,ロバート・フィッツロイ艦長,フェゴ島のジェミー・ボタン少年も登場する.

◇堆積仕事はマリンスノーのごとく降り注ぐ.中だるんでいるだけではなく,両端もたるんでいるよーな心地.例の翻訳原稿を抱えて帰宅する.夜遅く,雨が降り出した.『邪魅の雫』を読みつつ寝る.

◇本日の総歩数=8896歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.3kg/+0.3%.


3 oktober 2006(火) ※ 未明から集中的にばたばたする

◇前日から急かされている仕事のために,午前3時半に起床する.南風が吹く.昨夜の雨も上がり,いまは曇り空.

◇未明の大仕事 —— 上海宛のメールを1時間余りかけて書く.英文の文面をチェックし,午前6時に送信完了.関係者にも同報送信する.これでとりあえず任務完了.あとは返事を待つのみ.

◇午前8時半の気温は19.6度.しだいに晴れてきた.

◇朝のこまごま —— RPの中間発表会は10月19日(木)[時間未定]ということで,日程は確定した.資料の用意はほとんど必要ないらしい.霊長研(犬山)の集中講義と科学哲学会(札幌)の間に挟まった1日がこれで埋まった.

◇昼の大仕事 —— 日経サイエンス誌から依頼されていた書評原稿を2時間あまりで速攻仕上げ(約2000字).12月号掲載予定の「書評特集」の記事のひとつとして.進化学関連の新刊書を5冊との依頼.取り上げたのは:

  • リチャード・ドーキンス(垂水雄二訳)『祖先の物語(上・下)』(2006年9月20日刊行,小学館,ISBN:4-09-356211-3 [上] / ISBN:4-09-356212-1 [下])
  • 長谷川眞理子『ダーウィンの足跡を訪ねて』(2006年8月17日刊行,集英社[集英社新書ヴィジュアル版002],ISBN:4-08-720355-7→目次
  • 井上勲『藻類30億年の自然史:藻類からみる生物進化』(2006年1月20日刊行,東海大学出版会,ISBN:4-486-01644-0→目次
  • 根井正利,S・クマー/根井正利[監訳・改訂]/大田竜也・竹崎直子[訳]『分子進化と分子系統学』(2006年7月20日刊行,培風館,ISBN:4-563-07801-8→目次
  • 坂本賢三『「分ける」こと「わかる」こと』(2006年6月10日刊行,講談社[学術文庫1767], ISBN:4-06-159767-1→目次
の5冊だ.昼休みに日経サイエンス編集部にメールで書評原稿を送信し,この件は落着した.

◇午後1時半から2時過ぎまで,〈形態測定学講義〉の第20回目.第7章「Ordination Methods」の続き(pp. 170-180).正準変量分析(CVA)の説明.群内分散/群間分散を最大化するという目的関数のもとで,元の変量の線形結合として新しい軸をつくる.質的変数のもとでカテゴリー(群)がつくれる場合に利用できる.変量ごとの分散の大きさによってリスケールするので,軸の直交性は保たれない.CVAは群間差の識別(同定)に利用できる.群間差の有意性はウィルクスΛ統計量=det(W)/det(W+B) に関するχ2検定(バートレット検定)をすればよい.構築された正準変量軸に沿っての変形を薄板スプラインで図示化すれば,群間差をもっともよく表わす局所変形を抽出することができる.

◇ドーキンス『祖先の物語』英米原書比較 —— 不在中にやっと「英国版」が届いたので,「米国版」との比較ができることになった(→過去のうだうだ文句たれ).Richard Dawkins / Yan Wang『The Ancestor's Tale : A Pilgrimage to to the Dawn of Life(英国版)』(2004年刊行,Weidenfeld & Nicolson,ISBN:0-297-82503-8 [hbk]→目次).同年に刊行された米国版は,Richard Dawkins / Yan Wang『The Ancestor's Tale : A Pilgrimage to to the Dawn of Evolution(米国版)』(2004年刊行,Houghton & Mifflin,ISBN:0-618-00583-8 [hbk])となっている.まず,サブタイトルが英国版とは異なっている.さらに,英国版では図版はすべてカラー図版だが,米国版ではそれらがぜんぶモノクロ図版に差し替えられているだけではなく,英国版にはあるフルページの図版が削除されている.英国版ではなく米国版をあえて買う意義は,「廉価であること」と「軽量であること」の2点のみだ.読者へのメッセージ性という意味で,英国版と米国版とは別の本と見なした方がいいだろう.目次入力開始.

◇午後のこまごま —— 某雑誌からのレフリー依頼(統計がらみ)があった.和文短報なので引き受けることにした.ところが,ブツが団地便で届いたので見てみたら,ちょっとヤバげな雰囲気で.叩くともうもうとホコリが立つかもしれない.〈R〉を使った統計分析をしているということで,ぼくのところに回されてきたのだが,参照されている〈租界〉のページは標的目視を誤っているぞ.う゛ー.これはひょっとして査読泥濘にはまるかも.

◇朝が早いと夜も早い.早々とご就寝.

◇本日の総歩数=8324歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+0.7%.


2 oktober 2006(月) ※ にわか熊猫の眠る塒は

◇午前4時半に目が覚める.昨夜からの雨はまだ降り続いている.気温17.0度.世の中は衣替えの季節だが,半袖をイッキにしまうかどうか迷う明け方.しかし,いったん日が昇ってしまえば決断はラク.今日は迷いが続く.

◇午前のこまごま —— 久しぶりの「別刷」送付.大阪から20年前の生物地理学関連論文の別刷請求が届いていた.何だかずいぶん久しぶりに「紙」の別刷を請求された気がする.その昔,海外への別刷請求の「ハガキ」を書いていた頃がなつかしいな.※今となってはほとんど死滅した科学民俗のひとつだと思う./ 思い立って,〈近未来不在予定一覧〉なるものをつくることにした.実に selfish な動機で,自分で自分の行動予定が把握しきれなくなってきたから(汗).※ダブル・ブッキングなんてぇ事態はぜひとも避けたいので.

◇午前のうちに雨はあがった.

◇午後1時半から1時間あまり,Alan Stuart and Keith Ord『Kendall's Advanced Theory of Statistics, Volume 1: Distribution Theory』(6th edition,1994年,Edward Arnold,ISBN:0-340-61430-7)の輪読(第23回目).Chapter 5:「Standard Distributions」(pp. 165-173).二項分布の続き.特性関数の性質.続いて,複合二項分布への一般化.その後,二項分布の極限形(n→∞,p→0,npは有限確定値)としてのポアソン分布の導出.

◇午後のこまごま —— 上海への急な連絡が必要になったとの電話あり.一両日中の打診連絡をしないといけない.あら,たいへんたいへん.竹を齧るばかりが能ではない.>ワタシ.

◇累積疲労がまたまた頭をもたげてきたので,夕方は早々に退散する.自宅で熊猫と成り果てる.読了―― エルヴェ・ヴォドワ(香川由利子訳)『星の王子さまの眠る海』(2005年8月10日刊行,ソニーマガジンズ,ISBN:4-7897-2611-8→目次).南仏マルセイユ沖に墜落したとされる『星の王子さま』の著者にしてパイロットのアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ機の“再発見”の顛末.本人のブレスレットの発見それ自体が奇跡的なのだが,それに続く紛争,とりわけ遺族たちの頑な態度はこれまた現実離れしている.サン=テックスがいなくなり,もともと遺族に疎まれていたという妻コンスエロもいなくなったあとのゴタゴタ話は聞くだにつらいものがある.「こんなことでは,さぞや草葉の陰で〜」と言いたくなった.ぼくは2000年の5月30日にオランダのレイデン滞在中(→ Hennig XIX 記録)にこの“再発見”ニュースを新聞で読んだが,本書194ページ以降に,この時期の過熱した報道ぶりが記されている.

◇夜,またまた雨が降り出す.気温は低いのだが,締め切ると蒸し暑いというやっかいな空模様だ.

◇本日の総歩数=8775歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+0.7%.


1 oktober 2006(日) ※ なし崩し的「読書の秋」への倒れ込み

◇午前5時半に遅めの起床.月が変わったというのに慢性疲労がまだ憑いている.これって邪魅? 晴れ.しかし,北から湿った風が吹きつける.

◇うずたかく堆積する新刊たち —— せっかく秋らしくなったのだから,読書しなければ申し訳が立たない.とりあえず手始めは,長谷川郁夫『美酒と革嚢:第一書房・長谷川巳之吉』(2006年8月30日刊行,河出書房新社,ISBN:4-309-01773-8)かなあ.しかし,その他にも読む[べき]本にはまったくことかかない.午前中に研究室に忍び込んだところ,計1週間におよぶ不在の間に方々からたくさんの献本が届いていた.いつもありがとうございます(>関係者のみなさん):丸山宗利(編著)『森と水辺の甲虫誌』(2006年10月5日刊行,東海大学出版会,ISBN:4-486-01738-2).「甲虫の分類から最新進化学まで」とオビに書かれている.おお,しょっぱなの章から the Strepsiptera problem が登場するとは.カラー図版,美しい./ 遠藤秀紀『遺体科学の挑戦』(2006年9月20日刊行,東京大学出版会,ISBN:4-13-063328-7).「解剖男」から「遺体男」に転身します?(>遠藤さん)/ 石崎宏矩『サナギから蛾へ:カイコの脳ホルモンを究める』(2006年10月10日刊行,名古屋大学出版会,ISBN:4-8158-0545-8).かつて農学部の学部生だった頃,池庄司敏明さんの昆虫生理学の授業を受けたことがある.この世界はすごいなあ.ぼくは足がすくんでしまった./ 村瀬雅俊『歴史としての生命:自己・非自己循環理論の構築』(2000年5月1日刊行,京都大学学術出版会,ISBN:4-87698-403-4).村瀬さん,ご高著をお送りいただき感謝です.

◇午前11時の気温は21.3度.空がしだいに曇ってきた.雨が降りそうな気配.

◇午後,またまた研究室に侵入し,お仕事をば.上海での仕事の後始末と整理.そして,集中講義に使った資料や機材の後かたづけ.気がつけばもう夕方だ.暗くなるのが早いな.あ,雨が降り出してきたぞ.しとしとと.

◇“中国”にインスパイアされた蒐書 —— 今度いつまた彼の地を踏むことになるかわからないので,事前準備体操読書をしないといけないな.初めて中国に行ってみて痛感したことのひとつは,「簡体字が読めない」というよくあるトラブル.繁体字は高校生の頃から日常的に使っているので「字」としての可読性は遥かに高い(だから臺灣ではきっと相対的にストレスは低いだろうと思う).しかし,簡体字はこれまで触れる機会がほとんどまったくなかった.中国語そのものを勉強するのはなかなかたいへんそうだが(“四声”征服は難題だ),せめて「簡体字」は読めるようになっておきたい.帰国してから,こんな「字典」があることを知った:宮田一郎(編訳)『新華字典(第10版)日本語版』(2005年6月10日刊行,光生館,ISBN:4-332-80020-6).簡体字とその元になった繁体字,そして発音がピンイン表示されている.

さらに続いて「江南本」.先週の中国行では,上海と杭州といういわゆる「江南」地域を何百キロも走った.これまた帰ってきて気がついたのだが,江南の伝統的農村地域というのは新たな観光スポットとして日本で人気が出つつあるらしい.旅名人編集室(編)『中国・江南地方:上海周辺,水郷地帯の美しき町町々』(2004年10月12日刊行,日経BP企画[旅名人ブックス34],ISBN:4-86130-055-X).今回の旅行前に予習しておいた本.確かに,写真のような水郷エリアが延々と広がっていた.右も左も./ 中国古鎮遊編集部(編)『中国・江南:日本人の知らない秘密の街 幻影の村34』(2006年5月5日刊行,ダイヤモンド社[地球の歩き方Books],ISBN:4-478-07953-6).上の本よりももっとディープなエリアをまわっている.正しい旅ではあっても,けっして観光ではないよーな.

◇そんなこんなで,本たちには包囲されているのだが,気力と体力がもう続かず,寝るしかない.

◇本日の総歩数=3998歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.9kg/−0.5%.


--- het eind van dagboek ---