images/image1.jpg

Home
oude dagboek

日録2007年6月


28 juni 2007(木)〜4 juli 2007(水)
 ※ 亜熱帯ニューオーリンズの街角にて(Hennig XXVI 参加記録)

 →〈Cahier du Vieux Carré

27 juni 2007(水) ※ 飛ぶ鳥跡を濁しまくる出発前日

◇前夜からそのまま居続ける研究室は一晩中マーラーが鳴り響いていた.こういうがちゃがちゃしたときは〈7番〉を聴きながら,よりいっそうの「躁状態」にトランスするという手もあるが,それでは収拾がつかなくなりそうなので,おとなしく〈3番〉の緩徐楽章に身を委ね,続いて〈2番〉で復活を確信し,そしてとどめは〈8番〉で宇宙の共鳴に感動するという実にみごとな連鎖だ.この3曲合わせてほぼ5時間かかる.すんばらしい.夜中の研究所はマーラーしかない.

◇“夜勤明け”の午前5時によろよろと帰宅し,1時間あまり意識を失い,その後,再び活動を開始する.共同発表者から有益なコメントをいただいたおかげで,なんとか持ち直し,正午前にポスターのコンテンツの詰め込みを終える.昼休みにリモセン室に忍び込んで,すでに接続の下準備をすませてあったEPSON MC-10000でざーっざーっとA0版のポスターを印刷する.トラブルもなく,実にスムーズにプリントアウトができてよかったのだが,共同研究者から電話で「18S rDNA」ではなく「16S rDNA」ですよとの指摘があり(何たることか),たった一字のミスのために,ふたたびざーっざーっと巨大プリンターを動かしてしまう.聞くところによるとこの MC-10000 はとても高いプリンタだという.農環研はリモートセンシングやら古地図やらマッピングをしている研究者が多いせいか,大型プリンタの数が多い.今回はその恩恵に浴してしまった.端の余白を切り落として,一昨日たいへん苦労して手に入れた「筒」に丸めて格納完了.

—— それにしても,学会前にポスターを印刷しただけなのに,なにかしら“一仕事終えてしまった”かのような錯覚を覚えるのはなぜ? 

◇今日は朝からとても蒸し暑く,午前のうちにすでに27度を越える気温になっている.昼下がりはしだいに西日が射し込んで,たとえエアコンが効いていたとしても,居住性が悪化するので,そうそうに退散して明日の出発準備にとりかかろう.そうしようそうしよう.

—— というわけで,くらくらする西日と暑熱の中を午後4時前に帰宅.国内外を問わず,度重なる旅支度にはもう慣れてしまっているので,どんどんありあわせのものをスーツケースに詰め込んでいく.今の季節のニューオーリンズは蒸し暑いそうなので,着替えは多めにもっていく方がいいのかもしれない.

◇夜のこまごま —— 音羽から『本』連載原稿のゲラ(2回目)が届く.タイトルは「宝ヵ池1980」.元のタイトルよりも謎めいていていいのではないでしょうか.明日,成田空港の空き時間に目を通して,返信します.【修正連絡】「2行減らせ」とのことですが,下記の箇所を改訂して対応します:1) p. 4下段14行目「会場にいた数十人に配って,いきなり彼の母国語で」→「会場にいた数十人に配り,彼の母国語で」(−1行);2) p. 5上段2行目「それとともに,一九五〇年代以降に系統体系学」の「それとともに,」を削除(−1行).よろしくお願いいたします.>お代官様./ 農環研から今年度の計画書ならびに今後の長期計画に関する「管理職意見」が返ってくる.ごもっともでございます.ということで,よろしく.※何のこっちゃ.

◇その他,質問やら問合せやら入会希望やらいろいろとメールで届いているのだが,ごめんなさいごめんなさい,今日はもう上限を越えましたので,あとは後日ということでご勘弁を.

◇午後10時過ぎに就寝.明日は午前6時過ぎに成田空港行きのシャトルバスに乗る.明日飛ぶ鳥は跡を濁しまくる.

◇本日の総歩数=7397歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=−0.1kg/+0.4%.


26 juni 2007(火) ※ 「筒」の中身で苦労する夜更けの農環研

◇午前4時半起床.曇りときどき小雨.北の風弱く気温は20.3度.

◇朝のこまごま —— 9月に予定されている東大のエコロジカルセイフティー学特論は「9月14日(金)」になりそう./ 南山城の同志社大学文化情報学部で開催される計量行動学会大会での特別講演を依頼される.進化学会大会直後の9月3日(月)に.矢野さんから.他の(日の)特別講演には岡田節人という名前もあがっているそうだ.引き受ける.となると,さらにその後の9月6日〜9日に神戸である統計学会はパスするしかないよねえ.まる10日間にわたり学会三連荘というのはさすがにつらい./ しばらく休業状態だった ICSEB の Dan Brooks さんから再開のメールが届く.

◇午後からはポスター三昧.しかし,この大きな系統樹を二本も載せるというのは無謀だったか.オブジェクトにする前の下準備が意外にたいへんな仕事であることに,この期に及んで気づくワタシ.午後7時,いったん撤収し,帰宅.

午後10時前に再度出勤し,アクセッション番号を学名に置き換えるという手作業を延々とする.一方のデータセットは notu = 261,もう一方のは notu = 269.出発直前の夜中にいったい何をやってんだか.午後3時になって,ようやくめどがたちそうな気配が漂ったが,FigTree がダメだしをしてくれたおかげで,何時間分かの手作業がパーになる.それでも,気を取り直して,共同発表者にヘルプをお願いする明け方の農環研.

◇本日の総歩数=6238歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=+0.4kg/+0.2%.


25 juni 2007(月) ※ つつがないつくば:「筒」を求めて三千里

◇午前4時半起床.霧雨.北の風が涼しく,19.1度.

◇雨が降ろうがヤリが降ろうが旅支度は続く —— 朝イチで銀行に行き,米ドルを現金として買う.海外の学会に参加するときは「トラベラーズ・チェック(T/C)」を持ち歩いてはいけない.必ず「現金」を持ち歩くべし.一般の観光客とはちがって,学会参加者は,T/Cをゆっくり換金できる銀行に日中立ち寄る暇はまずない.宿泊先のホテルでもT/Cは必ずしも歓迎されない.今回の〈Hennig XXVI〉のように,町中で大会が開催される場合はまだしも,もっと田舎とか,あるいは警備上の問題で隔離される場合は(サンパウロでの Hennig XVII がそうだった),T/Cは百害あって一利なし.換金できなければ,そんなのはただの紙切れにすぎない.「現ナマ」に勝るものなし.迷ってはいけない.

—— 今日の教訓:つくばではメキシコ・ペソや中国の人民元を換金することは不可能である.都内の銀行に行けと言われた.

◇続いて,つくばセンターのバス営業所にて,成田空港行きのシャトルバスのチケットを購入した.28日の出発日は朝6:20発だ.

◇「筒」を求めて三千里 —— さて,次なる問題は「筒」だ.ポスターを丸めて運ぶ筒を買わないといけない.最近は,「紙」ではなく「布」にポスターを印刷して,折り畳んで運ぶというワザもあるようだ.これだと筒の心配をする必要はない.しかし,今回は何としても筒を買わないといけない.筒だ,筒だ.まずは,近場の〈Q't〉に入っているロフトを襲撃する.しかし,「当店では扱っておりません」との店員さんの迎撃にあえなく敗退する.でも,ロフトだけが文房具店ではないぞ.これだけ大学やら研究機関が集結している土地柄だ.研究者なら必需品であるポスターの「筒」なんぞ,それこそ孟宗竹のようにどこにでもいくらでも生えていてしかるべきではないか.ところが,そのような楽観論はしだいに旗色が悪くなってきた.一時期,つくばとその近辺にはオフィス用文具を扱っている大型店がいくつかあったが,ここ数年次々に店がなくなっている.今やつくばには文房具の大きな店はほとんどないのではないか.Itoya とか丸善を求めているわけではないが,せめてまっとうな品揃えの文房具店がないものか.“つつ”がないつくばはつつがなくないぞ.筒を求めてさらに走り回る.次は堅実な品揃えで定評のある二宮のヌマジリだ.しかし,ここでもまた「先週までは在庫があったのですが,売れてしまいまして」と連敗は続く.結局,つくば市内はあきらめて,荒川沖のジョイフル本田(Joyful-2)のアート&クラフト店でようやくAOサイズが格納できる「筒」を買い求めることができた.長い旅路だった.

◇やっと研究所にたどり着けばもう正午.霧雨が降ったり止んだりで,気温は21.6度.集中冷房の「試運転」が始まったおかげで,居室の温度は下がり始めている.これは幸い.向こう3ヶ月は緊急避難せず居室で生き延びることができる.

◇午後はポスターづくりとともに,こまごま —— しばらく放置してしまったメーリングリストの管理作業./ 10月の湯川シンポジウムの講演要旨締切が今月末だとは.うっかりしていた./ 東大・エコロジカルセイフティー学特論は9月に開講する予定.日程調整など./ 東京化学同人から『生物学大辞典』の項目執筆依頼.この前に終わったはずでは,とあわてたら,今度は体系学関連項目が数項目.

◇届いた雑誌 —— 『日経サイエンス』2007年8月号.ジョン・ハンター伝の書評が掲載されています(p. 120).

◇昼下がりの行事 —— 午前は「筒」の騒ぎがあったが,午後は「プリンタ・ドライバ」のばたばた.今回のポスター印刷のために,リモセン室にある大型プリンタ(EPSON MC-10000)を使わせてもらうのだが,そのプリンタ・ドライバはどこかからダウンロードしないといけないらしい.定石通りエプソンのサイトから指定のドライバをもってこようとしたのだが,Mac用のは OS9 でしか動かないらしい.こりゃダメだ.せっかく PowerBook でちょいちょい印刷しようという心づもりだったのに.しかたがないので,Win XP に鞍替えしてドライバをダウンロードした.こちらは問題なくプリンタとの接続もすぐに完了.

—— さ,あとはポスターのコンテンツだけでっせ.※まだできてへんのかっ.

◇夕方のこまごま —— 進化学会関連の事務メール.ひとつは進化学会賞の選考委員会日程の件.もうひとつは国際生物学オリンピックへの学会としての対応の件./ 以前の統計研修受講生から成長モデルに関する質問が来ていたので,返信する.ノンパラメトリック回帰でしたら竹澤師に./ 大統計大曼荼羅を講義に使わせてほしいとの依頼メールあり.どーぞどーぞ.

◇何ともあわただしい日中だったが,夜になってやっとポスターづくりの続きをすることができる.共同研究者にいくつかとどめの計算依頼をして,自分でもブーツストラップの検算.画像ファイルはFigTreeで編集し,InDesign にオブジェクトは位置している最中.明日中にはポスター印刷したいな.「筒」はもう手元にあるし.

◇本日の総歩数=10824歩[うち「しっかり歩数」=1562歩/16分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.3kg/−0.5%.


24 juni 2007(日) ※ 加速度がつく日曜は梅雨に降りこめられる

◇午前5時起床.薄曇りときどき晴れ間が.北の風が吹くものの,やや湿度が高い.

◇久しぶりの朝歩きを1時間あまり —— 歩行読書:ショーン・B・キャロル(渡辺政隆・経塚淳子訳)『シマウマの縞 チョウの模様:エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源』(2007年4月30日刊行, 光文社, ISBN:978-4-334-96197-8→版元ページ)の第4章まで読了.150ページ.Evo-devo に関する一般向けの本.冒頭のカラー図版がたいへん印象的.本文もわかりやすく体系立てられていて,エボデボのどこが“第三の革命”なのかが納得できる.「卵の地理」とか「胚の地図」というのは的確なたとえだと思う.

—— 天久保の〈Brotzeit〉でサンドイッチを作ってもらって,帰還.

◇今日は,うだるような暑さは感じられない.曇りがちで北の風が吹き抜ける.予報では午後には雨になるというので,午前中にいろいろと外回りの用事をすませる.

◇午後は,頼まれ仕事にけりをつけるついでに,ニューオーリンズの積極的な予習をふたつ:

1) DVD『ペリカン文書』(1993年,DLT-12989).ニューオーリンズを舞台とするサスペンス映画.主人公のジュリア・ロバーツ,とても美しい・・・というのはこっちにおいといて,フレンチ・クオーターの雑踏の雰囲気が何となくわかる.この雑然とした感じと狭苦しさは,それを取り囲む建物の低さから言って,新宿・歌舞伎町というよりは,むしろ京都の先斗町・木屋町か祇園の花見小路を髣髴とさせるものがある.映画の場面での躁状態は,たとえていえば森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』に描かれたような,仮想フィーバー状態の先斗町をイメージすればいいのか.いずれにせよ,フレンチ・クオーターの深夜の人ごみとジャズが流れる不夜城ぶりは,他では体験できないのでしょう,きっと.

2) DVD 『欲望という名の電車』(1951年,DLT-00855).ここに描かれている一昔も二昔も前のニューオーリンズの街並は,モノクロ映像ということもあって,昔の日本映画に出てくる新宿の「〜横丁」を思わせる汚さだ.しかし,これはこれで趣きがあるかもしれない.「〈欲望〉922番」という路面電車が本当に走っているとは驚きだ.※「desire」ははたして「欲望」と訳していいのかな.

—— なお,先日,新装開店した石丸電機では,『ペリカン文書』は980円,『欲望という名の電車』にいたってはたった680円だった.こんなに安くていいの?

◇DVD鑑賞はさておき,肝心のポスターをなんとか仕上げないと時間切れになってしまう…….

◇午後2時を過ぎて雨が降り始めた.しだいに本降りになり,そのまま夜に.

◇夜のこまごま —— 計量生物学会の原稿を Word 化する.ついでに,英文アブストラクトなど書式と体裁を整えた上で,編集部にメール送信する.この件はおしまい.

◇明日から3日間は,国外脱出直前のばたばたとそれまでにケリをつけるべき仕事でたいへんだ.段取りをしっかり立てないと.

◇本日の総歩数=14074歩[うち「しっかり歩数」=9091歩/78分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.8kg/−0.4%.


23 juni 2007(土) ※ 気分は早くも旅支度,しかしポスターが……

◇ちょい遅めの午前5時半に起床.朝日がぎらぎらとまぶしい青空.すでに暑そう.

◇旅支度のはじまり —— 午前中に髪の毛を切り,貸し倉庫から海外旅行用のトランクをもってくる.美容院でニューオーリンズのガイドブック『地球の歩き方 B12:アメリカ南部('06〜'07)』(2006年4月21日刊行,ダイヤモンド社,ISBN:4-478-05157-7)を読み進んだが,いずこの街のオールドタウンも同様な雰囲気が漂っているみたい.

◇昼下がりの14:00〜17:00は頼まれ私用.南風が吹き抜ける夕焼け空が真っ赤.

◇ポスターづくりの夜 —— Adobe InDesign で「A0版」を立ち上げ,オブジェクトの配置を考える.巨大系統樹がふたつあるので,そのレイアウトをどうするか思案中.できれば明日中に素案をpdfに出力して,共同発表者に送りたい.印刷は週明けに始めよう.そういえば,ポスターの収納筒を新しく買わないといけないが,つくば市内だとどこで買えるだろう(筑波大学構内の画材店だったらあるかしら).

◇本日の総歩数=5433歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.1kg/+0.3%.


22 juni 2007(金) ※ 夏至は梅雨空,3枚目の石を放り投げる

◇午前4時半起床.小雨が降ったり止んだり.北の風.気温21.6度.

◇朝から『本』の連載原稿(2回目)を書き続けている.午前11時にやっと擱筆.7,983字で16KB.さっそくメールで音羽に送信する.3枚目の石を放り出して,ますます膝が軽くなる.外は雨が降り続いている.第2回目のタイトルは「宝ヵ池1980:生物体系学という結界の門は開かれた」.なぜ「1980年」なのか.気になる向きは来月20日書店に走ろうではないか!

◇Claude Dupuis 著作(分岐学史) —— 第2回目の連載原稿では,分岐学の歴史を振り返っている.パリの国立自然史博物館の Claude Depuis さんの著作群:Claude Depuis「Permanence et actualité de la systématique I. La « systématique phylogénétique » de W. HENNIG (Historique, discussion, choix de références)」Cahiers des Naturalistes, 34(1): 1-69. 1978[1979] → 目次.パリの博物学会「LES NATURALISTES PARISIENS」の紀要として発行されている『Cahiers des Naturalistes』誌(ISSN:0008-0039)に掲載された論文の第1部.その後,断続的に「II」と「III」が出た:Claude Depuis「Permanence et actualité de la systématique II. Le taxinomiste face aux catégories」Cahiers des Naturalistes, 44(3-4): 49-108. 1988 → 目次 ; Claude Depuis「Permanence et actualité de la systématique III. Regards épistémologiques sur la taxinomie cladiste」Cahiers des Naturalistes, 48(2): 25 pp. 1992.「II」まではもっているのだが,「III」は未見.この雑誌,Webcat [Plus] で調べたかぎりでは,日本の大学や研究機関のどこにも所蔵されていないようだ.「II」は大英図書館から高額で取り寄せた.「I」は京都の国際昆虫学会議のあとで,ご本人から別刷を送っていただいた.

◇先日の ICC シンポジウムの映像公開(メモ) —— 6月16日に開催された NTTインターコミュニケーションセンター(ICC)開設10周年記念シンポジウム〈アーカイヴが紡ぐ未来:再連結する情報〉の当日のようすはインターネット中継された.後日,ICC の映像アーカイヴ〈HIVE〉で公開される予定と聞いている.

◇正午の気温は22.4度と,昨日に比べればだいぶ低い.しかし,雨が降り続いているせいで,蒸し暑く.不快度は深いど(ごめん……)

◇午後のこまごま —— ニューオーリンズ行きの航空券を企画科で受け取ってきた.「eチケット」とのことで.航空券の“束”は渡されなかった.便利は便利なのだろうが,何となく頼りないような気がする.これで,旅程表を確定させることができた./ あわせて,出張届の押印.出張旅費は出発直前の25日に支払われるとのこと./ 農環研・夏祭りは7月26日(木)の夕方から農環研グラウンドにて./ 進化学会関連.第2回ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞の授賞式と懇親会への出席要請あり.7月13日(金)の16:00〜20:00,丸の内・日本工業倶楽部会館にて.どうしましょ?(会長は審査委員だし……)./ 木村基金から選考委員会日程に関する問合せあり.

◇「4枚目の石」が —— 日本統計学会75周年記念出版への寄稿(「農業における生物統計学」)の締切は6月30日(土)の夕方とのこと.ううむ,あと1週間か…….※海外逃亡で振り逃げというわけにもいかないし.

◇夕方のこまごま —— 所内ウェブサイトに掲載する研究者情報の更新期限が本日午後5時だというので,あわてて昨年の html を改訂してメールで提出する.滑り込みセーフ[のはず]./ 音羽から原稿受領の電話あり.これからどういう風に連載を展開していくかについて打合せ.こういう“小出し”な書き方で書き続ける経験がこれまでないので,走りながら考えるしかないかとも思う.3回目の連載原稿については最初のパラグラフ600字はもう書いています.

◇湿度の高い夜に,きっとさらに蒸し暑いだろうニューオーリンズの旅程表を作り始める.この季節のかの地の最高気温は30度を大きく越えるそうだ(行くのやめよかな……).また,往路復路の中継地であるダラス(テキサス)もきっと酷暑だろうし,がまん大会のような長旅になるかもしれない.せっかくニューオーリンズの中心街フレンチ・クォーターに滞在するのに,バーボン・ストリートであえなく行き倒れなどということにならないように気をつけよう.とにかく軽装と暑さ対策に心がけるしかないだろう.要するに,日本の今の季節とちょうど同じということかな.

—— ガイドブック:『地球の歩き方 B12:アメリカ南部('06〜'07)』(2006年4月21日刊行,ダイヤモンド社,ISBN:4-478-05157-7)をぱらぱらする.旅支度はいつも通りなので,あとはポスターをつくるだけ(……).

◇本日の総歩数=6347歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/−0.7%.


21 juni 2007(木) ※ 一難去ってまた二難うっかり三難すぐ四難

◇午前4時起床.雲は多いもののなんとか晴れている.気温21.7度.黴そう.午前9時半には27.9度の晴天.そして正午には30.3度と真夏日に.エアコンのない居室もまた30度を越し,居住不能になる.不快指数は極大.

—— 住めない空間にしがみつく理由はない.とっとと消灯して,筑波事務所の情報センター図書室に逃げ込む.連載原稿を書く昼下がり.『北農』の昭和9年創刊号などよそ見したり(冒頭の徳富蘆花のことばを読んだりする).午後3時半くらいまでねばって,400字詰にして5枚ほど書く.あと15枚か.まだまだ.

◇午後3時半に予約してあった歯医者に寄る.1時間ほど.次回は9月10日(月)9:30〜.暖かい雨滴が空からぼとぼとと降ってきた.やっと梅雨空になったが,だらしない降り方だ.その後すぐに帰宅.

◇先日,大垣の IAMAS でいただいた図録2冊 —— 『IAMAS : Progressive Media Art Education from Japan [Ars Electronica 2004 Campus Exhibition]』(2006年8月刊行, IAMASメディア文化センター,ISBNなし).2004年9月にリンツで開催された同名の展示の図録.64 pp.+DVD付き./ 『OGAKI Biennale 2006:岐阜おおがきビエンナーレ[じゃんけん:運の力]』(2007年3月30日刊行, IAMASメディア文化センター,ISBNなし).2006年10月にIAMASで開催されたイベントのカタログ.167 pp.

◇湿度の高い夕方のこまごま —— 進化学会の国際生物オリンピックへの協力体制について.評議員会にオンラインで諮る必要あり./ 東京農大の「教授の会」なる団体から手紙が来る.来月7月17日(火)に新宿のセンチュリーハイアット東京で集まりがあるとのこと.欠席だな,これは.迷うことなく./ 来週のニューオーリンズ出張の航空券が発券されたとの事務からの連絡.明日受け取ろう.また旅支度をしないといけない./ 一昨日出した計量生物学会の投稿原稿はテキストではなく,ワードかTEXにしてほしいとの依頼あり.明日対応します./ 昨日出した科学哲学会の編集部からメールがあり,近日中にゲラが出るのでよろしくとのこと.海外逃亡する前にやってくるのかな?

◇講談社のPR誌『』での新連載〈生物の樹・科学の樹〉の初回が掲載された7月号が自宅に届いた.第1回は「トリヴィア,マルジナリア,そしてマドレーヌ」(pp. 12-19).原稿段階でさんざん“格闘”したものが,いったん活字になってしまうとそれっぽく見えてしまうのがなんともコワイな.今回のタイトルはそれぞれあるものを指しています.いったいなんでしょう?>知りたい方は書店に走って,『本』7月号をもらってきましょう(タダです).

—— さて,連載第1回がこうして出てしまったからには,もう逃げられないぞ.向こう1年間の連載予定で,毎月「20日」が原稿締切だ.これじゃまるで“作家”じゃないか.雨がしとしと降り続く夜は連載第2回目の原稿執筆体制に復帰する.日が変わる直前まであれやこれやと書き連ねて,400字詰で10枚あまり,計9KB弱まで書き進める.締切は今日までのはずだが,仕上がるのは明日の午前中だな.夜半になって雨足が強まる.

◇本日の総歩数=6996歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.1kg/+0.1%.


20 juni 2007(水) ※ もうひとつ石を投げ出そうと,東京へ出奔

◇午前5時起床.晴れ.北の風がよく通る.梅雨は気配すらない.

◇朝のこまごま —— 早朝の電話で土曜の午後に私用が一つ入ることになった./来週からのアメリカ出張に関わる航空券発券の事務連絡をする.旅券番号とか.そろそろ近づいてきたぞ.ポスターづくりは今週末の勝負だ.

◇続いて,朝の原稿書きを必死に.すでに遅れまくりの科学哲学会会誌『科学哲学』の特集原稿を書いている.ごめんなさいごめんなさい.書きます書きます.すぐ書きます.午前10時過ぎまで3時間ほど集中的に仕事をしたが,まだまだか.あとは本郷でケリをつけよう.

◇東京出奔 —— 10:41の TX 快速で根津にとんずらする.夏日で日射しが暑い.往路車中読書 —— 田山花袋『温泉めぐり』(2007年6月15日刊行, 岩波書店[岩波文庫 31-021-7], ISBN:978-4-00-310217-6).よく旅をして,よく温泉に入った作家の紀行文.日本全国,北は北海道から南は薩摩まで,さらに当時の国情を反映してか,満州から朝鮮半島までめぐる温泉三昧.

◇弥生キャンパスの隠れ部屋ではヤモリがいつもの窓の定位置で待っていた.餌が取りやすく,しかも網戸に守られていて安心できるのかも.昼はもちろん原稿書き(終わらん……).13:10から15:30まで専攻教員会議.外を歩けば暑いし,会議資料は厚いし.予算のこととか,まあいろいろとありますわな.

◇その後,隠れ部屋にて,ヤモリに見張られつつ,さらに1時間あまりを原稿書きの仕上げの格闘に費やす.午後4時半に何とか全部を書き終える.14,700字ほど.さっそくメールで科学哲学会の編集部にテキストファイルを送信する.すみませんすみません.こっちも律速段階になってしまってごめんなさい.とにもかくにも,これで“石”をもう1枚放り出せたことになる.膝が少しは軽くなったぞ.

—— タイトルと内容は下記の通り:三中信宏「科学哲学は役に立ったか:現代生物体系学における科学と科学哲学の双利共生」.1.はじめに:科学にとって科学哲学とは何か/2.進化学の現代的総合:現代体系学史の中継点として/3.系統樹をテストするとはどういうことか:動員される科学哲学者たち(1960〜70年代)/4.過去を復元する:アブダクションによる仮説の相対的選択/5.系統樹の反証可能性と験証度の理論:動員される科学哲学者たち(1980〜現在)/6.最後に:科学と科学哲学の双利共生.計量生物学会の会報原稿とターゲットはまるで同じなのだが,それをかたや統計科学の立場から,かたや科学哲学の視点から見ている.

◇午後5時,本郷通りの〈ルオー〉にて,音羽のお代官様にひさしぶりの謁見.せっかく“石”が1枚分軽くなったと思ったら,Conway Morris の翻訳原稿が6章分どさっと上乗せされた.実質的な作業は8月に入ってからということで.しかし,それだけではなかった.『本』の連載原稿(2回目)の締切が「明日」であることを再確認.これじゃあ,重い“石”が2枚積み上がっただけじゃないか! 

◇午後5時半によろよろと弥生坂を転がりおり,根津駅からつくばに逃げ帰る.午後7時前に帰着.今日は一日中蒸し暑かった.夏だ.

◇復路車中読書 —— Olivier Rieppel (2003), Popper and systematics. Systematic Biology, 52(2): 259-271 (→DOI:10.1080/10635150390192762)の読み進みと読み直し.Popper 自身の論議の文脈と,彼を駆り出して使いまわそうとする体系学者の論議の文脈とのちがいがあぶりだされる.単称言明(singular statement)のテストをめぐる解釈のずれとか,験証度(degree of corroboration)における背景仮定(b)の意味と験証度それ自体の解釈のあり方,論理的確率(logical probability)によって定義された験証度を頻度的確率として解釈するときの歪み,などなど.体系学者が「ポパー」に依拠して取り組んできた問題状況は,実は「ポパー」に頼らなくてもやっていけるのではないかというのが Rieppel の結論だ:

However, times move on and meanings change, and it may be permissible that corroboration in modern systematics can no longer be claimed to be used in the same way Popper used it. But at that point, systematics can no longer be claimed to be Popperian, but rather it is under the influence of the philosophy of its own exponents, as it should be. (p. 270)

◇さて,明日が締切の『本』連載原稿が前に立ちふさがっている.一難去ってまた二難.※増えるなよ…….

◇本日の総歩数=8303歩[うち「しっかり歩数」=1435歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/0.0%.


19 juni 2007(火) ※ 石をひとつ放り投げて,さなぶりは盛況

◇午前4時半起床.晴れ.気温18.7度.弱い風が吹いて,すでに暑い.

◇昨夜からの原稿書きの続きは朝も続く.朝8時の時点で,15KBを越える.あともう1節書けばおしまいだ.がしがしと書き続けるものの時間切れで,〈さなぶり〉の準備に向かう.

◇午前9時,気温26.4度.業務課別棟にて〈さなぶり〉の会場設営.10分ほどですぐすんだ.

◇研究室にて原稿書きの続きを.午前10時半に本文21KBを書き終える(11,000字ほど).学会編集部にできたところまでとりあえず送り,参考文献リストは午後まわしにしてもらう.

◇午前11時.農環研食堂に集合.〈さなぶり〉用に注文した料理の運搬作業.これまた20分ほどですむ.ますます蒸し暑くなってきた.その後,〈さなぶり〉会場にて進行の確認.正午.昼休みになって職員がわらわらと集結し始める.今年の〈さなぶり〉は昨年よりも100名以上多く,ほぼ300名近い参加者が集まった.食料は十分にあるので,昼ご飯の巨大パーティみたいなものだ.定刻を10分過ぎて,実行委員長の開会挨拶をすませ,理事長挨拶,業務報告,田植えのの儀をさくっと終えて,あとは自由懇談を宣言.どーぞご自由に.年によっては余ることもあるのだが,今年はムダに処分する料理も少なく,午後1時のリセッティングの時点では皿と箸とコップの片付けだけでほぼ終わってしまった.これで,今日の公式行事はおしまい.あとは夕方からの実行委員ご苦労さん会を残すだけだ.

◇午後1時半の気温は29.5度.くらくらする晴天だ.夏空の午後のこまごま —— Hennig XXVI のポスターづくりは今週末に集中的に.素材は木曜までにそろえよう./ 大分県の農業試験場から生物統計学の出前講義の依頼があるとの情報.大分のどこなのでしょう? 一昨年,埼玉県の鴻巣にある農業試験場からの依頼で同様の出張講義をしたことがあったが(→2005年3月の9日10日),今回もそういうことだろう.まだ正式な依頼は届いていないが,内々の情報として.

◇さて,夕方まで,さらに原稿を書き続ける.午後5時,文献リストが完成し,これでようやく脱稿.約15,000字,30KBのテキストファイルを学会編集部にメール送信する.ごめんなさいごめんなさい./ “石責め”の石をまずは1枚放り出せたが,これで無罪放免になったわけではない.明日は明日で別件の原稿を仕上げて送らないといけない.連日連日,「締切フラッグ」がはためいている.

◇午後6時前から,〈さなぶり〉ご苦労さん会が農環研 VIP フロアで始まる.VIPたちが入れ替わり立ち替わり.午後9時まで延々と続く.

◇4月19日に開始した日録のカウンターが「2万」を越えた.みごとに「1万/月」のペースが守られているようだ.

◇本日の総歩数=9766歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.3kg/+0.6%.


18 juni 2007(月) ※ いよいよ追いつめられて原稿を書く月曜日

◇午前4時半起床.北の風,晴れ.気温18.4度.すでに生暖かい朝だが,これからは明け方の最低気温がどんどん上がっていく.

◇先週土曜のICCシンポジウムの反響が早くもインターネットに流れ始めている:〈日々のよしなし事〉とか〈Rogi073.Diary〉とか〈no art no life!〉,またmixiでも〈QIRさんの日記〉とか.昨日のうちにシンポ関係者にお礼と連絡のメールを送ったが,その返信が返ってきた.

◇午前10時過ぎには早くも気温が25度を越えている,蒸し暑い,蒸気の多い空模様.こまごまと督促されたりとか,明日の〈さなぶり〉の最終打合せと夕方の懇親会の人数確認など./ 首都大学東京の生物統計学集中講義の日程と講義時間についての確認./ 東大農学部のエコロジカル・セイフティー学特論の受講届けが届いたり.

◇午前のコンサルタント —— 浜松から来られた林さんから,アロエ類の形態形質による分岐分析に関する質問を受ける.形態形質の場合,形質の選択と形質状態のコーディングの問題がつねに付いてまわる.“客観的”に形質を選択したり,“客観的”にコード化したりというのは実はたいへんなことなのだろう.Peter F. Stevens が1990年代に形態形質のコード化(形質状態への切り分け)に関する認知バイアスの問題を論じていた.また,Mary F. Mickevich らがそれに先だって形質コード化の“bête noire”に関する研究をしていた.それやこれやの形態形質の問題とともに,rbcL と matK によるアロエ類の分子系統樹についての問題点についても.分子形質の synapomorphy についてはあまり論議の俎上に乗らないのだろうか11時〜正午.

◇体調イマイチな日々が続いているので,今日も昼休みの徘徊はなし.

◇午後1時から半時間あまり,Olia さんの系統推定コンサルタント.ブーツストラップと最適系統樹との対応づけ,そして外群ルーティングの技法.PAUP* の場合,デフォルトですべてのツリーは内部的に「unrooted tree」として扱われているが,表示されるときはもちろん暫定的にせよ「rooted tree」として描画される.これがときどき混乱のもとになるようだ.ブーツストラップ再現率の値は unrooted tree での各 internal edge の出現に関する割合であって,rooted tree でのクレードの出現率と解釈すると混乱することがあるだろう.

◇午後のこまごま —— 岩波書店からさらなる“石責め”の上乗せが…….新しい叢書〈確率と情報の科学〉の布陣についての連絡.すでに十数名の著者がノミネートされているらしい.今回は,形態測定学の単著を書くことになるので,それなりの覚悟が必要だが,岩波書店が期待しているような「この夏には一気に進められ」るかどうかはとてもとても微妙かもしれない.

◇“石”を上乗せされるばかりでは能がないので,せっぱ詰り原稿の一つをまずは仕上げよう.夕方4時過ぎに早々と帰宅する.気温27.2度,南風が吹き渡る.

◇追いつめられる夜は原稿書きまくり —— 日が変わるまでにがりがりと12KB弱ほど.あとは明朝か.タイトルは「進化生物学と統計科学:系統樹の推定をめぐって」.節の構成は:進化学の現代的総合:その統計科学との接点について/過去を復元する:歴史は科学の対象なのか/アブダクション:仮説選択の相対的基準として/系統樹をテストするとはどういうことか:仮説の験証度と論理的確率/統計学的系統学の時代の到来が意味するもの/最後に:さらに広がる進化生物学と統計科学との交わり.日本計量生物学会会誌『計量生物学』特別号(創立25周年記念号)に掲載予定.

◇本日の総歩数=6871歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.3kg/−0.7%.


17 juni 2007(日) ※ はざまの日曜日は原稿書きできないも同然

◇連日の異空間での仕事がこたえたのか,午前6時過ぎまで寝過ごしてしまった.南風が入り,快晴.今日も暑くなるにちがいない.

◇昨日の余韻(1) —— 〈JAM菊間〉のいちじくジャムとマンゴジャム,そしてフルーツゼリー.昨日,シンポジウム会場にていただきました.とても美味です.ありがとうございました.お店は世田谷にあるそうです.

◇昨日の余韻(2) —— Christopher Alexander の著作について調べた.ぼくがすでにもっているのは次の3冊だ:クリストファー・アレグザンダー(稲葉武司訳)『形の合成に関するノート』(1978年5月刊行, 鹿島出版会,ISBN:4-306-04085-2, 212 pp.), クリストファー・アレグザンダー(平田翰那訳)『パタン・ランゲージ:環境設計の手引』(1984年12月刊行, 鹿島出版会, ISBN:4-306-04171-9, 626 pp.),そして クリストファー・アレグザンダー(平田翰那訳)『時を超えた建設の道』(1993年10月刊行, 鹿島出版会, ISBN: 4-306-04306-1, 449 pp.).

昨日,中谷さんが言っていた四巻本の大著とはこれのことだろう:Christopher Alexander『The Nature of Order : An Essay of the Art of Building and the Nature of the Universe (4 volumes)』(版元:Center for Environmental Structure).『Book 1: The Phenomenon of Life』(2004年7月15日刊行,Center for Environmental Structure, ISBN:0972652914, 476 pp.),『Book 2: The Process of Creating Life』(2006年1月26日刊行,Center for Environmental Structure, ISBN:0972652922, 638 pp.),『Book 3: A Vision of a Living World』(2004年9月刊行,Center for Environmental Structure, ISBN:0972652930, 697 pp.),そして『Book 4: The Luminous Ground』(2003年11月刊行,Center for Environmental Structure, ISBN:0972652949, 354 pp.).

—— 四冊合計すれば,確かに2,100ページを越えている.実際にこの本が翻訳されるとしたら,版元はもちろん鹿島出版会しかないな.

◇午後からまた体調不良.松代の〈エスコフィエ〉でつい大食してしまったために,とどめを刺されたかも.早々に寝てしまう.

◇本日の総歩数=3793歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.3kg/+0.7%.


16 juni 2007(土) ※ 今日は新宿オペラシティータワーへ登る

◇午前5時起床.晴れ.風がよく通る.梅雨は気配すらない.

◇早朝のこまごま —— 講演依頼受諾返事.ありがとうございました.これで予定通り4人がそろった.広報はあとで.

◇今日は新宿で仕事 —— 10:11発の TX 快速に乗り,秋葉原へ.地上に出て数分歩けば,都営新宿線の岩本町駅だ.地上はくらくらするほどの日射しだったので,すぐ地下に潜る.京王線直通で初台に着いたのは11時半のこと.すぐ上のオペラシティータワーで軽く昼食をすませる.集合定刻の午後1時少し前にタワー4階のインターコミュケーションセンター(ICC)に向かう.ここもまたアートな空間か.

今日のシンポジウムでお世話になる ICC の担当者と挨拶したりするうちに,本日のパネリストである石田英敬さんと中谷礼仁さんが来られた.またまた挨拶の交換などしばし.初対面なものでやや緊張する.互いに初顔合わせのトリオで3時間のパネル・ディスカッションを企画するとは,ICCも蛮勇があるというか思い切りがいいというか.別室で,司会役の四方幸子さんとともに今日のシンポジウムの流れをざっとおさらいした後に,5階の会場に向かう.三人ともマックな人たちで,ぼくは pdf だったが,他の二人はやっぱり Keynote でのプレゼンをするとのこと.画面がくるくるまわったりするわけね.

会場は天井が高くて,席数は100くらい.インターネット中継をするので,録音・録画の担当者が会場のうしろに機材を並べていた.昨日の IAMAS も 今日の ICC も舞台裏にはさまざまな「もの」が転がっているのが印象的だった.

◇午後2時からシンポジウムの始まり —— NTTインターコミュニケーションセンター開設10周年記念シンポジウム〈アーカイヴが紡ぐ未来:再連結する情報〉.司会によるイントロのあと,まずはじめに各パネリストによる下記の話題提供が20〜30分あった:

  1. 中谷礼仁(早稲田大・理工・建築)「先行形態論:見えないアーカイブ,無意識な都市の形の受け継ぎ」
  2. 三中信宏(農環研)「系統樹でつながる世界:普遍的体系化とアーカイヴの野望」
  3. 石田英敏(東大・情報学環)「普遍的アルシーヴの次代と知恵の樹」

建築史が専門の中谷さんは「都市連鎖学」という名称で,都市におけるさまざまな情報の伝承と変遷を研究対象にしている.都市計画の具体的事例(住宅地の配置から推測される古墳痕跡,広島原爆ドーム,など)を挙げつつ,都市の transformation series の中で時々に生じる novelty が形を変えつつ受け継がれていくようすを示した.生物の系統発生での形質の変化が,都市の変遷プロセスと二重写しになる.

ぼくのトークは,系統樹ということばの普遍的かつ歴史的な使用を振り返ったとき,オブジェクトのつながりとしての系統樹(あるいは系統ネットワーク)が,ユーザーである人間の記憶の economize に寄与しているという話題提供.ついでに,folk taxonomy が今なおヒトの中に連綿と生き続けていることを指摘した上で,巨大なアーカイヴ(それがなんであれ)を使う側にとってのツールの開発が問題になるだろうと指摘した.

石田さんの講演では,デジタル・アーカイヴを実際に構築するという実践の過程で,巨大な情報空間の中での「知のコンシェルジュ」を確立することにより,その世界に入るユーザーがどのように導かれていくのかという話だった.ミシェル・フーコーのがらがら声が耳に残った.

◇休憩の後,パネル・ディスカッション.都市連鎖と生物進化との並行性,知恵の樹の育て方,アーカイヴのこれから,などなど話題は多岐に渡った.意外なことに,“クリストファー・アレクサンダー”が三人の共通項になったようで,パタン・ランゲージだの,柄谷行人だの,ツリーとセミラティスだのというそちら系のキーワードが飛び交う.フロアからの質疑も入り,気がつけば予定の午後5時を過ぎて,シンポジウムは終了した.

◇再び,休憩室にてアフターのお話の続き.中谷さんはアレクサンダーの新刊の翻訳を手がけられているとのこと.聞けば原書は四巻本で計2,000ページを越えるという.ぼくは,彼の『パタン・ランゲージ』など1990年代までに出ていた翻訳書を最後に離れてしまったが,まだその先があったとは知らなかった.午後6時前にお開き.みなさん,お疲れさまでした.最初はどうなることかと思ったが,意外や意外,話題の接点がたくさんあったのには驚いてしまった.

—— 今日のシンポジウムのようすは追ってインターネット公開されるとのこと.

◇午後6時過ぎに初台から乗って,逆コースで岩本町,そして秋葉原から TX へ.つくばに帰り着いたのは午後7時半だった.今日は猛暑で東京は31度を越えたそうだが,日中はオペラシティータワーの快適空調空間の中に籠っていたおかげで,熱波はまったく届かなかった.それにしても,昨日から今日にかけてのアートなスペースでのイベントは新鮮だった.

◇明日は原稿を書きます.書かねばならんのだっ.

◇本日の総歩数=7015歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/+0.6%.


15 juni 2007(金) ※ フェイントな梅雨のはざまの大垣日帰り行

◇午前5時起床.曇り.朝だけは涼しいが,しだいに気温と湿度が単調増加してきた.きのう梅雨に入ったわけだが,このていたらくでは,先が思いやられる.空梅雨だったら関東地方は確実に水不足だぞ.

◇早朝のこまごま —— 進化学会企画関連のメール.お引き受けいただき,ありがとうございます.よろしく./ もう一件のプッシュ・メールを./まだまだ他にもあるけど,あとは週明けまわし.

◇午前8:56の TX 快速に乗り,一路“西”へ.八重洲側の“鉄分”が濃い栄松堂書店にて,“鉄”な新刊をゲットする:『世界の車窓から:あこがれの鉄道旅行 Vol. 4 —— 遥かなる大地を行く』(2007年5月30日刊行, テレビ朝日, ISBN:978-4-88131-305-5[DVD付き]).今号は,大陸横断鉄道が主役だ(アメリカ横断,シベリア鉄道,オーストラリア縦断,そしてスカンジナビア縦断,マレー半島縦断,イギリス縦断などなど).東京発 9:33 のぞみ81号に乗り込む.

名古屋駅に着いたのは11:14.南風がとても強い.真夏日になるのかも.駅構内に新しくできたらしい「駅麺通り」で,旭川ラーメン〈だいせつ洞〉にて塩ラーメン(どーしてナゴヤで旭川かは問わず).11:45発の新快速・大垣行で29分.大垣着.喫茶店でメール・チェックして,午後1時に再開発中の駅北口にて迎えにきてもらった関口敦仁さんと落ち合い,車で5分のところにある IAMAS へ.一学年に20名ほどという学生数のせいか,人口密度がとても低い.先日講義に行った葉山の総研大よりもさらに静かな感じがする.大学入り口のゲートはまるで真っ黄色のスプレーで落書きしたようだが,聞けばこれまた「IAMAS」をランダマイズしたデザインらしい.いきなりあーとな空間.

IAMASは10年あまり前に開校された岐阜県立の学校だが,「情報科学芸術大学院大学」という大学と「岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー」という専修学校のふたつが併設されている.在籍する学生の大半は県内ではなく,日本全国からやってくるらしい.ちなみに,明日シンポジウムで講演する初台の ICC とも人脈的な関係が深いとのことだ.かつて三木成夫の指導を受けたという関口さんの話では,ここ IAMAS は「(超)夜型」の学生が多いらしく,夕方以降は人口も増えて“不夜城”と化すらしい.それほど広くない学内を案内してもらったが,ものづくりのためのスペースやスタジオがいたるところに配置されていて,美術・工芸・音楽などアートな活動をしている雰囲気が濃い.野外には微妙にバロックな歪んだ屋根をもつ作業棟があったりする.全般的に「ひと」よりも「もの」が目立つ.芸術系の大学や大学院にはこれまで入ったことがなかったが,どこともこういう特有の空気と温度があるのだろうか.

◇午後2時から3階の講義室で授業開始.受講生は20名あまり.「かたちを数値化する」というテーマで2時間あまり話をした.かたちの統計学については深入りできなかったな.午後4時半に講義終了.関口さんに駅まで送ってもらった.来年以降も毎年講義を依頼したいとのこと.

◇17:08の新快速で名古屋に戻る.ナゴヤに足を踏み入れたにもかかわらず,昼に旭川ラーメンだけ喰って何喰わぬ顔でそのまま帰ったとなれば,即座にまたまた「必修不可」を喰らうこと必定だ.だから,名鉄デパート上の〈矢場とん〉にて味噌カツをしっかり履修した(とてもうまかったがなかなか重いなあ……:「わらじカツ」を注文したもんなあ.単に履修し過ぎだったかも).

◇さて帰ろうかと,夕焼け空の名古屋駅新幹線ホームに上がったところ,何となく空気が険悪で.というのも,新横浜で「人と列車が衝撃[ママ]した影響」で,上下とも1時間前後の遅れが出ているらしい.結局,19:04発のぞみ72号に約半時間遅れで乗り,東京駅の前の信号待ちでさらに半時間遅れ,定刻よりも1時間ほどずれ込んで東京駅にたどりついた.つくばによろよろと帰宅したのは午後11時前のことだった.

◇車中で召還 —— 音羽から携帯に電話あり.『本』の次回原稿締切が間近.コンウェイ・モリスの翻訳原稿は6月20日(水)午後4時半に本郷ルオーにて手渡されることになった.

—— この原稿仕事の積み上がりはまさに「石責め」だ…….

◇本日の総歩数=11861歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg/−0.3%.


14 juni 2007(木) ※ 西から広がる雨雲とともに遅めの梅雨入り

◇午前4時半起床.一晩中勝利の雄叫びをあげていたムクドリどもはすでに塒をあとにしていた.曇りときどき晴れ.気温19.8度.やや蒸し暑い.今日は雨になるという予報だ.

◇午前の早回しこまごま —— 来週火曜の〈さなぶり〉後に実行委員の反省会を兼ねた懇親会を開いてはどうかとの提案あり.うぃうぃ./ Olia さんから,また差し込みの系統学コンサル依頼.しかし,今週はもう時間がないので来週月曜午後1時に来てもらうことにした./ 領域長による面談.もっと論文を書き,競争的資金をとる努力をせよとハッパをかけられる.そのためにはクローンをもうひとり増やす必要があるだろう./ 10月1〜2日にかけてエポカルで開催される〈第24回植物細菌病談話会〉のプログラム(→ pdf)が公開された.ぼくの講演は2日の朝だ.講演要旨(というかペーパー)を8月に出さないといけない.

◇雲がしだいに厚くなってきた.体調はほぼ回復したのだが,昼休みの徘徊は大事を取ってやめにした.

◇午後もこまごま —— 〈さなぶり〉の参加人数がほぼ確定した.現時点で「279名」.これは昨年に比べて100名以上も多いそうだ.おそらく会場は人でごったがえすだろうな.理事長をはじめとして,参加を予定しているVIPたちに報告する.

◇「パネリスト」という仕事 —— 大垣から帰った翌日の16日午後のICCシンポジウムのプレゼン用スライドをアップして,関係者に連絡した.他のパネリストは,駒場の石田英敬さんと早稲田の中谷礼仁(Nakatani's Biographyアセテート編集者日記)さん.お二人とも初対面なのだが,送られてきた参考資料などを拝見すると,それぞれにおもしろい研究ワールドを展開されているみたい.石田さんはマラルメ研究者の他にもいくつかを「顔」をお持ちのようだ.

もうひとりの中谷さんは,建築史や都市論がご専門のようで,Christopher Alexander のパタン・ランゲージとかセミラティスとか,ぼくが『生物系統学』を書いていた頃によく参照したソースが登場してなつかしい.「セミラティスがツリーの有限集合である」というところから中谷さんのいう“セヴェラルネス”の概念が出てくるようだ.『生物系統学』の束論と系統ネットワークの節で同じようなことを書いたことがある(目指すところはもちろんちがっているのだが).その中谷さんの代表作:中谷礼仁『セヴェラルネス:事物連鎖と人間』(2005年12月23日刊行, 鹿島出版会, ISBN:4306044602 → 目次).※あ,田中純さんと関わりのある著者だったか.

—— その後,スライドをさらに1枚追加して再度アップ.33枚で計11MBになった.

◇午後3時を過ぎて雨が降り出した.関東地方もやっと梅雨入りしたとの速報あり.午後4時の気温は20.2度.ラ・ニーニャちゃんの悪さで空梅雨になるという噂もあるが,降るときはしっかり降るよーに.

◇夕方帰宅したら,「マンション前ムクドリ戦争」の第2戦が始まっていた.しかし,今日はニンゲン側が粘ることなくあっさり引き下がり,ムクドリ陣営は楽勝だったようだ.今後の展開はどーなるのか? つくばは街路樹の面積が広いので,キリがないことは確かだけどね.以前,街路樹の枝打ちをしたときは効果覿面で,ムクドリは一挙にいなくなってしまった.今回も最後はそれしかないんじゃないか.

◇夜になって,雨足が強まってきた.明日は朝のうちに岐阜に向かわないといけない.朝からざあざあ降った日にはめげますなあ.※梅雨はほどほどに降るよーに.

◇進化学会の仕切り直し踏ん張りメールを送る.前向きによろしくよろしく.

◇本日の総歩数=6218歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.1kg/−0.6%.


13 juni 2007(水) ※ 上野の受胎告知渋滞とつくばの椋鳥大戦争

◇午前4時半起床.晴れ.気温はすでに高い.やっと平熱に復帰.

◇早朝のこまごま —— 進化学会京都大会の DNA barcoding ワークショップで久しぶりに【種】の噺をすることになった./ 公開講演会がらみのメールがわらわら届いていた.まずは白羽のみなさんからの返事待ちで.

◇午前9:07発のTX快速で上野へ.午前10時に久しぶりのJR上野駅・公園口.その足で,東京国立博物館の〈レオナルド・ダ・ヴィンチ —— 天才の実像〉展に直行する.しかし……,平日なのにこの行列って何? 本館・第一会場と別館・第二会場に分かれているのだが,第一会場とは要するに〈受胎告知〉を観るためだけの会場だ.にもかかわらず,すでに「20分待ち」ですかー.これが週末だったりしたら,「ん時間待ち」になったりする? 有名な作品の“実物”を観る感激は,その物理的サイズの大小を体感できることにあると個人的には信じている.ほほお,こういう大きさの作品なわけね.

引き続き,第二会場へ.こちらも人口密度は比較的高かったが,手稿に書かれてある通りの模型や装置がたくさん置かれていて,さながら実験室内のような雰囲気だ.美術展というよりは工芸展みたい.レオナルドの「かたち」に対する考察に触れることができる.1時間あまりの散策.

◇炎天下を芸大脇を通って,根津の谷から東大へ上がる.昼前に隠れ部屋に入り込む.ヤモリが窓に張りついている.隠れ部屋というだけあって,来る人もいなければ,じゃまな電話も鳴らない(電話はちゃんとあるのだが誰にも番号を教えていない).これ幸いと,明後日の岐阜の講義スライドとハンドアウトの準備と,その翌日のICCでのトークの心構え.そして,件の原稿を進める.事前に相手方に送ったりしないといけないな.連日予定が入っているので,先回りしてどんどん投げていかないといけないのだが.

岐阜IAMASでの形態測定学の講義スライドは「185枚」.その1/3をセレクトしてハンドアウト資料として配布することにした.連絡によると10名あまりの受講生だというから,大した手間ではなさそうだ.

◇午後4時から,専攻の研究会議が始まったものの,ささっと1時間ほどで終わってしまう.公務がささっと終わってしまったので,ぼくもささっとつくばに直帰してしまおう.

◇午後6時過ぎにつくばに到着.おお,これは〈ムクドリ大戦争〉だ.先日から,住んでいるマンション下のペデストリアンの並木を,つくばの兇悪ムクドリの大群が塒にしてしまって以来,さえずり公害と大量糞害が目立つようになった.憤慨した住民からきっと苦情が届いたらしく,つくば市から「ムクドリ撃退チーム」がやってきて,夕方のムクドリが帰ってくる時間帯に併せて,「ぎや〜ん,びや〜ん」と撃退音をスピーカーで流してペデを往復していた.しかし,すれたムクドリ軍団も負けてはいない.音が聞こえなくなるちょっとしたスキを突いて,上空から急降下して塒に飛び込む.1時間あまりの攻防戦の末,今夜はムクドリ側の攻め勝ちだったようだ.

◇岐阜行きの新幹線チケットは JTB で確保した.6月15日(金)の行きは「のぞみ81号」(東京 9:33 → 11:15 名古屋).大垣には午後1時に着くようにします.講義は 13:50〜16:50.帰りは,18:25 に大垣から乗って,「のぞみ72号」(名古屋 19:04 → 20:46 東京)へ.つくばには午後10時過ぎに帰着予定.

◇夜遅くのこまごま —— 進化学会に事務連絡メール.公開講演会予定演者のひとりから「No」が届いたので,ワザを変えて再トライすることに./ 土曜のICCシンポジウム〈アーカイヴが紡ぐ未来:再連結する情報〉のスライドが完成した.30枚あまり.関係者に連絡./ 金曜に大垣に入る時間などの予定を IAMAS 関係者に連絡.今週末は[も]あわただしいな./ 明日はアノ原稿をしあげるべし.

◇本日の総歩数=11592歩[うち「しっかり歩数」=4435歩/40分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/−0.5%.


12 juni 2007(火) ※ 夏眠したい,come-in したい,仮眠屍体

◇やっぱり午前4時半起床.晴れ.榎戸を過ぎて観音台方面から霧が北上してきた.気温15.7度.体温は37.0度.やっぱり何だかなあ.日が昇るとともに気温はぐんぐん急上昇.

◇午前のこまごま —— 東大・集中講義の出席を確認し,レポート課題を出す.今年は,いつもとはちがって,大問がひとつだけ.頑張るように.七夕が締切です(無粋なヤツ)./ 東大の専攻研究会議(明日)の資料が届く.農環研で毎年やっている成績検討会と設計検討会を足して2で割って簡略化したみたいな会議だ.連携講座から出るのはぼくだけかな.

◇病み上がりでこんな炎天下を歩いたら行き倒れるにちがいないので,昼休みは引き蘢る.

◇午後2時から1時間弱,〈形態測定学講義〉の輪読35回目.第13章「The relationship between ontogeny and phylogeny」の続き(pp. 325-330).伝統的なアロメトリーの技法について.第1主成分を“size-factor”として,他の距離変量との対数線形モデルを当てはめる説明がずっと続く.もっと最節約的に.

◇ダーウィン図像論:系統樹から表情まで —— Julia Voss『Darwins Bilder : Ansichten der Evolutionstheorie 1837 bis 1874』(2007年6月刊行, Fischer Taschenbuch Verlag, Frankfurt am Main, ISBN:978-3-596-17627-4 [pbk] → 目次).チャールズ・ダーウィンの手になる「図像」に関する論議.内容的に重なる Horst Bredekamp『Darwins Korallen : Die frühen Evolutionsdiagramme und die Tradition der Naturgeschichte』(2005年刊行, Verlag Klaus Wagenbach[Kleine Kulturwissenschaftliche Bibliothek 73], Berlin, ISBN:3-8031-5173-2 → 目次)が,ダーウィンの系統樹「図像」に関する分析だったのに対し,Voss の新刊は系統樹はもちろん,ガラパゴス・フィンチの鳥類画や『表情』でのデッサン,そして植物画まで含めて論議の対象にしている.

◇系統樹描画 on Windows —— 悩める衆生を救う神託があった.なるほど,うまくツールを組み合わせればできるもんですなあ.NEXUS tree file がそのまま描画できる〈FigTree〉とか,〈TreeDyn〉も有能そう.〈MEGA4〉のテスト版もありですか.これらの情報をまとめて,質問者の Olia さんにメールする.

—— しかし,つい2ヶ月前のわが日録(2007年4月3日付)にも「Trees - software for visualisation and manipulations」というよくできたリストに言及していたことにあとで気づいた.このところ忘れっぽいワタシ.

◇西日がまぶしい夕方のこまごま —— 進化学会京都大会の公開講演会〈進化研究の最前線に貢献する生き物たち〉(9月1日(土)13:30〜16:00)の予定講演者のみなさんに講演依頼のメールを送る.さっそく,お一人から承諾の返事が届いた.よかったよかった.その後,夜遅くなってもうひとりからもOKの返事が.あとふたり.よろしくよろしく.

◇今日になっても,まだ微熱が続いている.ときどきふらっと,またまたよろっと.

◇明日は東京のらりくらり,じゃなくって,あちらこちら.午前はレオナルド,昼下がりは原稿書き,夕方は東大での研究会議,夜は専攻交流会(だったっけ?).※夜の部は実に珍しくパスだな.この体調じゃあね.

◇本日の総歩数=8061歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+0.1%.


11 juni 2007(月) ※ 病み上がりの月曜は日射しがとても痛い

◇午前4時半起床.夜半に雨がまた降ったようだが,明け方にはもう上がっていて曇り空.気温17.2度.体温37.0度.朝のうちに青空が広がり,初夏の日射しが照りつける.蒸し暑くなってきた.つらいつらい.

◇朝のこまごま —— 京大・基物研のシンポジウムのポスターが届いた.とりあえず,研究室の前に貼り出す.曼荼羅とはアヤシイな(うれしいな)./ さなぶりの集金活動.日頃はつとめて忌避している農環研「3階」の結界に足を踏み入れる./ 情報科学芸術大学院大学(IAMAS:大垣市)の集中講義が今週金曜にある.翌土曜は初台の ICC でのシンポジウムでパネラーとしてトークする.スライドづくり,ハンドアウトづくり,資料読みなど,こまごま準備はまだ続く.

◇昼のこまごま —— 日経サイエンス編集部との書評ゲラに関わるやりとり.1行分削れとの依頼があり,全体の校正を兼ねて素読み.さらにいくつかの修正すべき箇所が浮上する.本文はこれでOKだが,書評タイトルをどうするかという相談あり.いくつか候補を出した中から,最終的に選ばれたのは「ドリトル先生のモデルは神の手をもつ元祖・解剖男」と決まった.というわけで,ウェンディ・ムーア(矢野真千子訳)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(2007年4月30日刊行, 河出書房新社, ISBN:9784309204765 → 書評目次)の書評は,日経サイエンス8月号に掲載される.

◇進化学会まわりのことども —— 進化学会ニュースの最新号(Vol. 8, no. 1)がやっと届いた.この号からサイズが一回り大きくなった./ 公開シンポジウムの人選を進めているが,やっと講演者候補ひとりひとりに白羽の矢を立てる段階になった.今日明日中にメールで依頼する./ 今号は京都大会のアナウンスが主たる目的なのだが,大会まわりの遺漏がないようになおチェックが必要だ.

◇IAMAS講義のスライドの素材がないかと,〈レオナルド・ダ・ヴィンチ —— 天才の実像〉図録(→目次)をぱらぱらする.「Section IV:“かたち”のとらえ方」が直接的に関係しそうだ.何枚かスキャンしておく.みすず書房から出ている松井喜三(編集・解説)『レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図集』(1971年6月20日刊行, みすず書房, ISBN:4-622-04993-7→目次)も参考になるのだが,図版の鮮明さは今回の図録には遠く及ばない.

◇夕方のこまごま —— 午後4時半〜5時過ぎまで,Olia さんからの飛び込みPAUP*質問.PAUPとTreeViewでのツリーの描画とそのオプションに関するあれやこれや.Windows環境で tree-editing をしたことはこれまでまったくないのだが,実際にやろうとするとたいへんですねえ.metafile なんかにしたら使い勝手わるいし.あとでもっといい手がないかどうか,調べて教えてあげないと.描画には〈Mesquite〉がいいでしょうかね?(インストールから使い方までたいへんですが) 一般のグラフィクス・ソフトウェアは勧めるには高いしねえ./ 〈角さん2〉,動かしてみました.おお./ ポスターA0版出力用のプリンタを所内で探す.その前にコンテンツか.

◇午後6時の体温は37.0度.なお微熱なワタシ…….

◇夜のこまごま —— 進化学会京都大会の「締切日」に関する確認を全会員に周知する手配をする.

◇一日中“こまごま”していた.週明けの月曜はたいていこうなる.

◇本日の総歩数=6785歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.3kg/−0.1%.


10 juni 2007(日) ※ 病み中にもかかわらず,活動性きわめて高し

◇昨夜も変な時間に早寝してしまったせいで,午前2時くらいに目覚める.しかし,どうしようもないのでもう一回寝て,午前4時に完全起床.夜明け前なので,街路樹を塒にしているムクドリたちが猛烈にうるさい.北の風が涼しく,曇りのち晴れ.気温は知らん.体温は37.5度……(ダメじゃん orz).

◇早朝のよろよろ —— カマジン本のキャプション読みはなお続く.しかし,昼までに本文キャプションについてはすべてチェックを完了した.下訳に「×」をつけて,訳し直すのだから迷うことはない.ここまで計15ページ.

◇東京では朝のうちから雨が降っているそうだが,つくばは雲が多いもののいまのところまだ大丈夫のようだ.北の風強し.そういえば,今年の梅雨はどーなってしまったんだろう. — などと考えつつ,昼前に買い物に出たら,空がみるみる真っ暗になってきた.帰宅してほどなく,南から視界がどんどんなくなってきて,12時20分頃にいきなり雷雨の襲来.しかし,降り始めた豪雨はほんの半時間で小止みになり,あとはしとしとと降り続く.体温37.2度.

◇午後,今度はカマジン本のカラー図版のキャプションを検討する.これは意外に早くケリがついた.ここまで計17ページ.残るは,カラー図版全体の解説文だけだ.午後3時過ぎにこの翻訳も完了(3.6KB).すかさず,海游舎にメール送信し,ゲラを月曜に郵送する旨を伝えた.これで,すべての原稿を手渡せるので,予定されていた6月13日(水)の「最終納税」はめでたくキャンセルということになった.

◇夕方になり,空がしだいに明るくなってきた.夕食後の一寝入り.この週末は何日分か寝倒した感あり.その後,締切が火曜に迫っている日経サイエンス書評:ウェンディ・ムーア(矢野真千子訳)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(2007年4月30日刊行, 河出書房新社, ISBN:9784309204765 → 書評目次)を用意する.午後11時過ぎ,書評原稿完成.「1,455字」(上限字数17字/行×86行=1,462字).メールで編集部に送信して一件落着.せっかく〈leeswijzer〉に出した長めの書評があるのだが,それを踏まえながらも結局はほぼ一から書き下ろすことになった.ちょきちょき刈り込んで,ハイおしまいというわけにはいかない.

—— そういえば,今日の朝日新聞書評欄で訳師さまによる,本書の書評が掲載されていた.

◇先週の着便本 —— Alexander Demandt『Über allen Wipfeln : Der Baum in der Kulturgeschichte』(2002年刊行, Böhlau Verlag, Köln, ISBN:3-491-96140-8 [hbk] → 目次).2005年に Albatros Verlag からリプリントされたもの.古代から現代にいたる文化史の中での「樹」の系譜について.

◇今日を振り返ってみれば,体調がよろしくないにもかかわらず,仕事をいくつか終わらせてしまったことになる.ふらふら徘徊しなかったので,結果的に能率が上がったのか.しかし,夜になっても,体温は37度をはさんで上がったり下がったり.ま,寝るしかないっしょ.

◇本日の総歩数=1702歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.3kg/−0.4%.


9 juni 2007(土) ※ 真夜中にびいどろを吹くのはわびしい

◇前夜,変に早寝してしまったものだから,夜中の1時過ぎに目が覚めてしまった.もう一度寝て午前3時にまた目覚め.

◇体温37.5度の微熱があってまだふらふらする.丑三つ時に長崎土産のびいどろを「ぽっ,ぺん」と吹いてみても単にわびしいだけなのでやめにして,国立科学博物館でいま開催されている〈レオナルド・ダ・ヴィンチ —— 天才の実像〉展のゴージャス図録を読むことにする.これは会期中にぜひとも行っておくべきかな.来週の水曜の納税時刻を午後3時にずらしてもらって,午前中に上野に出没してみようか.

◇さらに,もう一度寝て午前5時に完全起床.雲は多いものの晴れている.北の風.

◇朝イチでかかりつけの医者に行ったら,とても混んでいて1時間あまり待たされた.ちょちょいと診てもらったところ,即座に「リッパなのど風邪です」とのお墨付きをいただいた.そーか,リッバな風邪か.熱は37度台の前半を推移している.解熱剤やら抗生剤やらもらって,また引き蘢りの週末生活に復帰.外は雲の多い蒸し暑い天気.

◇連絡こまごま —— 6月13日(水)の納税時刻を正午から15時に変更してもらう./ 7月15日(日)正午からの桂米二師匠の落語のチケットが取れたとの連絡あり:〈銀座大落語祭2007〉.場所は東銀座の時事通信ホール.歌舞伎座の斜め向かいあたり.

◇曇った午後は,病臥しつつゲラ読みを続ける.5ページほど.あまりからだにはよろしくないかも.

◇夜は8時過ぎにもう寝てしまう.体温はなお37.5度前後を推移している.

◇本日の総歩数=1501歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝−|昼○|夜○.前回比=−0.4kg/+0.6%.


8 juni 2007(金) ※ 天候不順で霍乱されて熱が出てしまう

◇午前4時半起床.夜中に雨が降ったようだが,明け方にはもう上がっていて,晴れ間がのぞく.やや蒸し暑い.気温18.1度.その後また雲が広がってきた.午前10時半の気温は23.1度.不快指数高し.

◇午前のこまごま —— さなぶりの事務連絡と集金の手配./ 業績評価の俸給への反映に関する組合アンケートに答える./ 出張届,押印3件.

◇何だか体中がだるいよーな,節々が痛いよーな…….だもんで,晴れ渡る昼休みの歩きはなしということに.

◇午後1時から2時半まで,火曜に引き続き,Majid Olia さんにマンツーマンの系統学講義.今日は Modeltest と PAUP* の併せ技についての実習と説明.Console での DOS コマンドは,今では使わないユーザーも多いのだろうか.分子進化モデルの選択と最尤法での系統推定の手順についての解説時間よりは,Console画面でのMS-DOSコマンド(「cd」, 「dir」, etc.)とか,入出力ファイルのリダイレクトの方法とかの解説にむしろ時間がかかったような気がする.

◇献本感謝 —— 大学出版部協会(編)『ナチュラルヒストリーの時間』(2007年6月10日刊行, 大学出版部協会, ISBN:978-4-903943-00-8 → 目次).150ページあまりのブックレットで,数多くの著者による博物学に関わるショート・エッセイを集成した本.本書の出版とシンクロさせて,ブックフェア〈ナチュラルヒストリーの時間〉が今月以降に大手書店で開催されるとのこと.また,本書の編集をした大学出版部協会が発行する機関誌『大学出版(No. 71)』(2007年5月1日刊行)では,〈特集:ナチュラルヒストリーの時間〉を組んでいる(pp. 1-21).寄稿者は,渡辺政隆,佐々木猛智,栗原隆,そして渋川浩一の4名だ.

—— 「大学出版部協会」という団体があることを初めて知った.

◇天福茗茶をいただきつつ,午後のこまごま —— ニューオーリンズへの航空券は14万円ほどだそうだ.安くすんでよかった.企画科から連絡あり.

◇とど数頭(with 督促) —— 日経サイエンス書評(6月12日まで).ハンター伝./ 計量生物学会特別号原稿.A4数枚,いきます(来週始め)./ 進化学会京都大会での生物学哲学ワークショップの応募(6月10日まで)./ 東大・集中講義のレポート課題の出題.

◇午後になって天候不順.雨がぱらついたり,晴れてみたり,曇ったり.だるさ去らず.これはきっとアレですなあ,と帰宅して体温を測ってみたら,案の定「38.5度」もある.昨日からの疲労感はこれが原因か.午後8時にはもう寝てしまう.日常的には4時間半の睡眠時間が続いているので,体長不良はたいていの場合,寝れば翌日には直る(はず).

◇マンション下の街路樹にムクドリの大群が集結した.今年になって初めてだ.毎年のことだが,都市鳥のしたたかさは大したもの(でも糞を落とさないでね).

◇本日の総歩数=5383歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=0.0kg/−0.5%.


7 juni 2007(木) ※ またも本郷にて集中講義最終回とプチ飲み会

◇午前4時半起床.曇り.南風.19.9度.

◇早朝,研究室に忍び込み,今日配布するハンドアウトをゲット.その後,Google Earth tree-viewer による空間系統樹についてのスライドをがしがしとつくりこむ.Janies らによる鳥インフルエンザ系統樹のデモ・ファイル(「aiTrees.kmz」)も入手できたので,今日の講義はいきなり生物地理学シフトすることになった.用意したいくつかの話題は飛ばすことになるだろう.スライド枚数は計195枚.今回の集中講義では3回分合わせてほぼ600枚の“紙芝居”となった.来年はじめに予定されている北大農学部での生物系統学集中講義でもそのまま使えるスライドがほとんどだろう.札幌では今回の2倍の「30時間」あるが,系統推定の実習を予定しているので,講義の時間は東大での集中講義と大してちがいはないはず.

◇“角さん2”から呼び出しを受けた.明日にでも印籠を拝見しにうかがいます.

◇9:41の TX 快速で東京へ.10時半に弥生キャンパスに到着.曇って蒸し暑い.隠れ部屋にて講義資料の確認とスライドの最終調整.晴れ上がった午後1時から最終回の講義が始まる.系統推定ソフトウェアのデモをしながら,話を進める.生物地理学と系統ネットワーク,そしていくつかの応用事例を話したところで,あっという間に午後4時半になった.結局,生物学哲学と祖先復元については(スライドにして60枚ほど),今回は触れることができなかった.レポートは後日メーリングリスト経由で出題します.

◇その後,分生研4階に移った吉田薫研究室にてぼちぼちと呑み始める.東大内での“ひと”の動きとか,まあいろいろと.最初は二人だけだったのだが,気がつけば石健さんはいる,学生は来るで,ビールから吟醸酒へとどんどん深化していった.ワタクシは午後7時半頃においとましましたが,ごちそうになりました.今日は一日中湿度が高かったな.

連携教員の「ライフ・スタイル」についてしばし情報交換.他の専攻ではそれほど積極的には大学内のことにコミットしないのだそうだ(ぜんぜん来ないこともあるらしい).専攻ごとの“文化”のちがいもあるのだろうが(あるいは専攻長の意向もあるかな),ワタクシは相対的によく働いていると思いません?

◇ふらふらと帰路につき,へろへろとつくばに帰り着いたのは午後9時だった.今日も疲れましたな.

◇車中読書 —— Brian W. Oglivie『The Science of Describing : Natural History in Renaissance 』(2006年刊行, The University of Chicago Press, ISBN:0-226-62087-5 [hbk] → 目次版元ページ).先日,オアゾの丸善で見たときは8,000円を越える値段がついていたが,帰ってから amazon.com で確認したら,ディスカウントがついてほぼ半額で買うことができた.

本書は,リンネの直前にあたる16世紀ルネサンス期の博物学に関する歴史書だ.その基本スタンスに共感するのは,16世紀の博物学が,リンネが活動した17世紀とは異なり,「分類」ということに対する関心が意外なほど低かったことに対する著者の説明だ.著者は,16世紀のナチュラリストたちが直面した生物の多様性は認知心理学としての folktaxonomy が処理できる範囲にあったからだろうと推察する.つまり,16世紀のルネサンス博物学は,いかにして対象生物を正しく記載するか(「The science of describing」)に集中できたのは,分類そのものを Scott Atran のいう common sense に委ねることができたからだというのが著者の考えである.

16世紀は,ヒエロニムス・ボスやコンラート・ゲスナーらナチュラリストたちがいたローカルな地域生物相に関する folktaxonomy で何とかやっていけた.しかし,探検博物学が興隆し,全世界から異国の生き物たちが届くようになった17世紀は,博物学的知識のグローバル化とともに folktaxonomy の限界が見えるようになった.「分類」や「体系」の理念とそのための実践的方法が論議されるようになった背景にはそのような理由がある —— 詳しくはもっと読んでからということで.

◇本日の総歩数=10313歩[うち「しっかり歩数」=2406歩/23分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/+0.2%.


6 juni 2007(水) ※ 本郷での合法オルグと年貢の独房納税日

◇午前4時半起床.晴れ.無風.気温16.2度.

◇早朝のこまごま —— 研究所にて,明日配布する講義ハンドアウトの原稿をコピー依頼しておく.明日の未明に取りにこよう./ 今日のガイダンス用のスライドはもういらないんじゃないか? パンフレットがあればそれでいいでしょう.それすらいらないかも.だって,スライドやパンフレットがあるとオーディエンスの目線が話者から離れるでしょう.トークの場合,それって致命的だと思う.考えようによっては,聴き手側が眠気覚ましに目線をはずすという積極的意義はあるかな.でも,それはそれで話者側にやや問題がありますなあ.さて,今日はどーするか.

◇着便していた本 —— Eva Jablonca and Marion J. Lamb / Anna Zeligowski (illustrator)『Evolution in Four Dimensions : Genetic, Epigenetic, Behavioral, and Symbolic Variation in the History of Life』(2005年年刊行, The MIT Press[A Bradford Book], ISBN:0-262-60069-2 [pbk.] → 目次版元ページ).Jablonca さんは今年10月の湯川シンポジウムで来日されるので,いちおう予習本として.

◇“公私”に関する昨日の問合せ —— とある学会誌投稿論文に,ぼくの〈租界R〉の分散分析プログラムを引用された方から,メールで問合せがあった.編集部から意見がついて,「個人のサイトではなく,公的なサイトの引用が望ましい」とのことだが,どうすればいいかとの質問だった.ISO の電子文献引用基準では,引用サイトの“公私”性はまったく問われず,単にURLが所定の書式で参照されているかどうかだけが問題になる.だから,その学会編集部がナンセンスなことを言っているだけだろう.とりあえず,質問者には,「私のサイトは《go.jp》ドメインですから,日本ではこの上もなく公的なサイトです」とお答えしたのだが,それで相手が納得するかどーか.

◇東京出張 —— 9:41 TX 快速で根津へ.東大の隠れ部屋でカマジン本のゲラ読みを孤独に続ける.11時半に〈ルオー〉へ.海游舎の本間さんはすでに来ていたので,13ページ分を手渡す.次回は,1週間後にここで.来週は残りを全部渡すようにしたいな.(ムリかな……) 

〈カヤシマ〉でパンを買ってから,隠れ部屋に舞い戻る.こういう隙き間時間にゲラ読みをしないと.午後2時から東大の大学院ガイダンス.連携大学院に関わるようになってから,学生や大学院生の“オルグ活動”の機会がとても多い気がする.連携講座の紹介は数分間.全体で午後4時過ぎに終了.そのままつくばに直帰して,午後5時半着.今日は1日中,穏やかな空模様だった.

◇「Google Earth phylogenies」 —— Systematic Biology 編集長の Rod Page さんのブログ〈iPhylo〉の記事.Google Earth を系統樹ビューワーにしてしまう話.昨年の Hennig XXV(Oaxaca, Mexico)で,AMNH の Daniel Janies らが鳥インフルエンザ・ウィルスの世界規模での伝播を Google Earth の上に表示していて,とても印象に残ったのだが,その論文がつい最近 Syst. Biol. に掲載されたそうだ(→ DOI:10.1080/10635150701266848SSBサイト).Page 記事によると,Google Earth を tree-viewer にしようという提案は〈TreeBASE〉で昨年なされていたとのこと(→「TreeBASE meets Google Earth」).

Page さんいわく「As an aside, and because I was once a panbiogeography enthusiast, why haven't panbiogeographers leap on Google Earth as a tool to display "tracks"?」 立て!万国の汎生物地理学者よ(って?) もうひとつ耳よりなことは,Google Earth で系統樹を表示するのに必要なファイル(「KML file」)の出力に関して:「Generating the KML file is fairly straightforward, and if I get time I may add it to my long neglected TreeView X.」 おお,TreeViewX が久しぶりのバージョンアップか.

◇カマジン本の作業メモ —— 索引をどのようにつくるか./リンクが切れている URL の追跡調査./ キャプション読みがすんだら,月末からは図版校正刷が出始めるそうだ.

◇さて,明日の東大の集中講義の準備はもう終わっているし,夜はくだんの原稿を進めるかな.

◇本日の総歩数=10970歩[うち「しっかり歩数」=2141歩/20分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/+0.3%.


5 juni 2007(火) ※ 爽やかにとても濃い1日となりそう

◇午前4時半起床.今日も晴れ.気温は15.3度.北東風のち南風.午前10時の気温は22.4度.しかし,今日は昨日ほどは暑くならないらしい.

◇早朝のこまごま —— 木曜の東大・集中講義(最終回)のスライドとハンドアウトの準備を進める.今回は最初の1時間ほどは系統推定ソフトウェアの紹介デモを間に挟むつもりなので,スライドの枚数はこれまで2回よりは少なくてすむだろう.しかし,歴史生物地理学(含:分子系統地理学)と系統学的多様性(PD)を説明するスライドは新しくつくらないといけないな.系統ネットワークも必要か.スーパーツリーはどうしよう./ カマジン本のキャプションのゲラの修正作業を少し[だけ]進める.納税日は明日だ.

◇「Ahnentafel」の図像史 —— Kilian Heck『Genealogie als Monument und Argument : Der Beitrag dynastischer Wappen zur politischen Raumbildung der Neuzeit』(2002年刊行, Deutscher Kunstverlag [Kunstwissenschaftliche Studien: Band 98], ISBN:3-422-06338-2 → 目次版元ページ).家系図の表現形式としての「Ahnentafel」の美術史ならびにその背後にある社会・宗教・文化の歴史を論じた本.主としてドイツの王族・貴族に関して蒐集された家系図をデータとして論じている.すでに手元にある:Christiane Klapisch-Zuber『L'ombre des ancêtres : essai sur l'imaginaire médiéval de la parenté』(2000年刊行,Librairie Arthème Fayard,ISBN:2213604274 [pbk]→目次素読未満)や Hermann Schadt『Die Darstellungen der Arbores Consanguinitatis und der Arbores Affinitates : Bildschemata in juristischen Handschriften』 (1982年刊行,Verlag Ernst Wasmuth, Tübingen, ISBN:3-8030-4006-X→目次)の本と同じ系列に属している.こういう芸術史の研究が広範に行われているというのは,ヨーロッパの知的伝統の賜物なのだろう.

◇午前のこまごま —— 理学部2号館から連絡あり.駒場・冬学期の生物統計学講義の時間帯は「4限」(14:40〜16:10)でも「5限」(16:20〜17:50)でもよいとのことなので,木曜の「5限」に設定してもらうことにした./ ニューオーリンズ航空券手配.企画科とメールやりとり.時間があまりないので,さっそく手配してもらうことにした.割引航空券だと往復10万円前後で行けるようだが.

◇晴れた昼休みの歩き読み —— 山本義隆『一六世紀文化革命(1)』(2007年4月16日刊行, みすず書房, ISBN:9784622072867 → 目次版元ページ)の第5章「商業数学と一六世紀数学革命」を読む.90ページほど.実用数学としての算術は,他の学問での“手仕事”がそうであったように,16世紀当時は社会的に一段低く見られた知識体系だったそうだ.たとえば,ルカ・パチョリによる『算術大全』は,社会的階層が必ずしも高くない著者がまとめた実用数学の体系書だったとのこと.また,高次方程式の解法をめぐるタルターリアやカルダーノを巻き込んだデュエルあるいは泥仕合もまた,考えようによっては,そのような“算術”が当時のヨーロッパ社会の中で占めていた文化的位置を示唆するものなのだろう.ネーデルラントのシモン・ステヴィンがこの文脈で取り上げられるのは当然のことだろう.

—— これで上巻はおしまい.

◇献本が届いた(ありがとうございます) —— 日本土壌動物学会(編)『土壌動物学への招待:採集からデータ解析まで』(2007年5月20日刊行, 東海大学出版会, ISBN:978-4-486-01755-4 → 目次版元ページ).学会として1冊の本をつくるというのは,完成までの調整やら進行の舵取りがたいへんだと思う.本書は,日本土壌動物学会の創設30周年記念出版として分担執筆で書かれた本だ.章立て構成を見ると,土壌動物の採集から始まって(第1〜2部),実験計画の立て方(第3部),そして形態測定学や分子系統学を含む生物多様性の解析までの調査研究の手順が解説されている(第4〜5部).さらに,土壌動物と環境問題の関わりについて触れ(第6部),最後にこれからの研究を進めるためのガイダンスが示されている(第7部).土壌動物学のこれまでの歴史とともに,今後の展望を読者に示そうという意図で編まれたのだろう.

◇午後1時から1時間あまりは,イランから農環研に来ている線虫学者 Majid Olia さんを相手に PAUP*/Win の講習タイム. 持参のNEXUSデータファィルを前にして,最節約法に基づく tree-building ならびに分岐図の描画と診断について説明する.次回(金曜日)は Modeltest との連携で,最尤法と距離法を解説する予定.

◇午後のこまごま —— 企画科から連絡あり.ニューオーリンズ行きのフライトが速攻で確定したとのこと:[往路(6月28日発)]成田(11:30)−AA176→(9:05)ダラス(13:05)−AA1020→(14:30)ニューオーリンズ|[復路(7月3日発)]ニューオーリンズ(9:10)−AA1001→(10:40)ダラス(12:05)−AA061→(15:05)成田(7月4日着).ホテルの予約はとうの昔にすんでいるので,あとは発表のポスターだけか…….

◇午後3時から1時間ほど,〈形態測定学講義〉の輪読34回目.今日から第13章「The relationship between ontogeny and phylogeny」に入る(pp. 321-325).最初のイントロは,グールドの『個体発生と系統発生』を引きつつ,異時性(heterochrony)をめぐるさまざまな論争を紹介し,個体発生と系統発生のパターンとプロセスの研究の進展について概観する.異時性の生活史戦略に関するグールド的な anti-atomism の系譜は,ランデらの量的遺伝アプローチに連なっていると著者は言うのだがほんとうか?

◇夕方から夜にかけてのこまごま —— 集中講義スライドづくりのために,ひたすらスキャンし続ける.ハンドアウトは明朝早く原稿を渡してコピーしてもらうようにしよう.夜,スライドを30枚ほどつくる.歴史生物地理学と系統ネットワークについて.系統学的多様度についてはスライドはなし.明後日の最終回講義はスライド枚数が200枚に接近中.きっと高座の合間に削るかトバすかしないと消化できないにちがいない./ 明日は東大での大学院ガイダンスがあるのだが,連携講座の説明スライドは去年のままでいいかな.あるいは,パンフレットがあればそれで十分かもしれない.

◇本日の総歩数=11806歩[うち「しっかり歩数」=5697歩/50分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/−0.9%.


4 juni 2007(月) ※ 暑い6月4日は虫歯予防デーかつ「蟲の日」

◇午前4時半起床.晴れ.北寄りの風,気温16.4度.今日の日中はたいへん暑くなるそうだ.しかし,週末の酒池肉林が祟り,週明け早々,気力と体力がほぼ底をついている.ガス欠状態かも.

◇6月4日のイベント(1) —— 今日は虫歯予防デーなので,という理由ではなく,たまたま今日が定期検診日だったので,朝イチで歯医者に行きチェックしてもらう.多くの同病者と同じく,ワタクシも長年にわたって「歯」に悩まされてきたのだが,歯の疾患は自然治癒することはなく,もちろん気合イッパツではぜったいに直らない.気になる方は痛くなってから治療歯科のお世話にならないよう,今のうちに予防歯科にかかりましょう.それに,現在の歯医者は,ジョン・ハンターの時代とはちがって,地獄の責め苦にのたうつことはないだろうから.ただし,日常的な歯の管理はそれはそれでたいへんで,どんなに頑張っても歯科衛生士さんの評点はあまり高くない.現状維持するためだけなのに水面下での努力を怠れない.

◇午前のこまごま —— 今日の午後は立教大学である『生物科学』の編集会議に出席するはずだったのだが,「ガス欠」を理由にドタキャンさせてもらうことにした.ごめんなさいごめんなさい./ 午前11時の気温はすでに22.0度.午後にかけてさらに上昇するだろう.

◇〈ICC開館10周年記念セッション・シリーズ Vol.2〉 —— 今月,初台のNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催される連続シンポジウム・ICC開館10周年記念セッション・シリーズ Vol.2「メディア・テクノロジーと生成する〈知〉」のアナウンスが公開されたので,ここにも貼付けておきます:

  1. 2007年6月9日(土)〈インターフェイスの可能性:創造の接面を探る〉[パネリスト]岡崎乾二郎,郡司ペギオ-幸夫,矢内原美邦
  2. 2007年6月16日(土)〈アーカイヴが紡ぐ未来:再連結する情報〉[パネリスト]石田英敬,中谷礼仁,三中信宏
  3. 2007年6月23日(土)〈ネットワークの現在:世界はどうつながりうるのか〉[パネリスト]中嶋謙互,馬場正尊,増田直紀

ぼくが登壇する第2回目の〈アーカイヴが紡ぐ未来:再連結する情報〉の詳細は下記の通りです:

会期:2007年6月16日(土) 午後2時―5時
会場:ICCギャラリーA
定員:250名(当日先着順)
入場料:無料

デジタル・ネットワークの巨大化によってアーカイヴは現在かつてなくダイナミックなものへと進化し続けています.自然や社会,文化全般に至る,ありとあらゆる情報がリソースとして新たな形で視覚化され始めたなか,ユーザーのふるまいも取り込みながら情報がフレキシブルに再連結をし続けるアーカイヴの未来を多面的に検討します.

 ※シンポジウムの模様はインターネット中継されます.

すでにアヤシイ写真の載ったポスターが出回りつつあるようですが,関心のある方はぜひお越し下さい.

◇6月4日のイベント(2) —— 今日は「蟲の日」でもあるので,農環研の昆虫まわりの人びとは,5階のセミナー室で午後3時半から講演会を開いている.寺山守さんと鎌田直人さんによるトークなのだが,いかんせんいろいろ追われている我が身としては,そこに実在するわけにはいかない.申し訳ありませんが,ちらっと姿だけ見せて退散させていただきますです.夕方からは懇親会が2階食堂であるそうだ.

◇う,げんこう…….ということで,がしがしと書き始める.何としても一両日中にケリをつけないことにはどーしようもない.(と言いつつ何日が経過したことか)

◇夜,明日の PAUP* 臨時講習のために,ずいぶん久しぶりに Windows 版と DOS 版のPAUP* 4b10 の動作を確認した.MP と NJ なら PAUP*/Win でもいいけど,ML の場合は Modeltest との連携が必要なので,むしろDOSプロンプト画面で PAUP*/DOS を使った方がラクかもしれないな.いずれにせよ質問者の計算環境と使いやすさを見ながら決めることになるだろう.

以下,DOS環境での備忘メモ —— あらかじめ同一ディレクトリに実行ファイルとデータファイルをすべて格納する.Windows でコンソール画面を起動し(cmd.exe),当該ディレクトリに cd した後に作業開始.「> win-paup95NT-console」でPAUP*/DOS を立ち上げると,PAUP プロンプト「paup>」が出てくるので,データ読込み「paup> execute ***.nex」したあと, PAUP* 内のコマンド入力で作業を進める.Modeltest を使うときは,「paup> execute modelblockPAUP4b10」で計算して,「model.scores」を出力する.DOSプロンプトに復帰して,「> Modeltest3.7.win < model.scores > outfile」でモデル選択をした結果を outfile に出し,hLRT あるいは AIC に基づく PAUP block を元の nexus データファイル(***.nex)にカット&ペーストして PAUP* で計算すれば,Modeltest で選ばれた分子進化モデルのもとでの ML(そして NJ)による系統推定ができる.

◇本日の総歩数=7211歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.5kg/+0.2%.


3 juni 2007(日) ※ 眼下の渓流の瀬音に目覚める宿酔いの朝

◇午前5時半起床.いたたた,アタマがぁ…….外はもう明るく,旅館の真下を流れる渓流の瀬音と,小鳥のさえずりが聞こえる.

◇【宴の始末】 —— 昨夜は飲み過ぎたかなあ.しかし,飲酒時間からいえばせいぜい6時間ほどだし,その後もエンドレス不夜城で呑み続けたみなみなさまに比べればたいしたことないはずだけど.と思いつつ,宴会場に忘れ物を取りにあがったら,“暴君”の屍体が宴会テーブルの間に空しく転がり,彼方には島田氏が虫の息になっていた.廊下沿いに連なる部屋の中をのぞくと,どこもかしこも死屍累々とふとんの山が築かれている.この惨状はいったい…….

まずは酔い覚ましの朝風呂をと,24時間使える温泉の浴室に入ったら,今度は「全裸の屍体」が一体転がっていた.温泉の洗い場の椅子を枕にして本人は熟睡状態.叩き起こしたところ,未明にへろへろになって浴室に入ったものの,つい寝込んでしまったと本人の弁.これが洗い場ではなく湯船だったら,即溺死だっただろう.まったくもう.

◇午前7時の朝食には奇跡的にほぼ全員が顔を揃えたが,その後また寝込んだ学生も多々いたようだ.晴れ上がって,気温は高い.アユ漁が解禁になった渓流では,朝早くからたくさんの釣り人が流れに入って竿を伸ばしている.午前9時10分に出る修善寺行きのバスに乗ったが,まだ頭の芯が重い気がする.川端康成が小説『伊豆の踊り子』を執筆したという湯ヶ島温泉の〈湯本館〉は温泉街の中にある.往時の繁栄が忍ばれるが,いまではつぶれたらしき旅館跡が道路沿いに点々とある.

約40分かかって修善寺駅に到着.10:04発の各停に乗り込み,かの韮山を経由して三島へ.10:54三島発の東海道線で熱海へ向かい,さらに11:14発の東京行きに乗り換える.気温とても高し.農大の学生たちの多くは小田原で小田急に乗り換えるそうだ(リッチな忠さんは新幹線でゴー).2時間かけて東京駅に着いたのは13:06.つくばに直帰して午後2時半には帰宅.行きも帰りもほぼ4時間もかかるとは.湯ヶ島はとても遠かった.

◇車中ではずっとゲラ読み作業を続けた.キャプションの10ページまですませたが,これではまだ全体の1/3に過ぎない.できれば半分くらいまでは終わらせて,水曜に手渡したいものだ.

◇帰宅後のこまごま —— ウェンディ・ムーア(矢野真千子訳)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(2007年4月30日刊行, 河出書房新社, ISBN:978-4-309-20476-5 → 書評目次)の全体書評をまとめて公開した./ アナザー“別宮センセ”のご降臨 —— 伊勢田哲治「米本昌平先生および書籍工房早山さんへの手紙」(2007年5月23日公開).ハンス・ドリーシュの訳本,ナマス切りというよりは,むしろ千切りかミジン切りに近いかも.お疲れさまでした.こうならないように翻訳者は心しなければならない.

◇さて,もうあとがない原稿のこと…….

◇本日の総歩数=4972歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=未計測/未計測.


2 juni 2007(土) ※ 湯ヶ島の山奥で大吟醸に自発的液浸される夜

◇午前4時半起床.爽やかに晴れる.気温12.6度.プチ旅行には最適な日和だろう.

◇旅行出発前のあたふた —— 進化学会創立10周年企画本『進化のすべて』(共立出版)の目次構成と項目執筆者に関する意見返信の締切日は今日だった.湯ヶ島にはパソコンは持っていかないので,出発前の半時間でばたばたとメモをつくり,三島へメール返信した.あと3時間後には特急〈おどりこ〉号で三島を通過することになる./ あ,旅支度旅支度っと.一泊だからほとんど支度するまでもないし,どーせ向こうに行ったら死ぬほど呑んだくれるに決まっているから,宿で仕事ができるわけでもない.むしろ,車中仕事のための支度が必要だ.カマジン本のゲラを束ねる.

◇昨日の続きのメモ —— Barry G. Hall『Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual, Third Edition』(2007年6月刊行予定, Sinauer Associates, ISBN:978-0-87893-310-5 [pbk] → 版元サイト).念のため,手元にある第1版(2001年刊行, ISBN:0-87893-311-5)および第2版(2004年刊行, ISBN:0-87893-312-3)との目次構成のちがいを比較してみた.第3版より前の版では詳しく説明されていた PAUP*,PHYLIP,Tree-PUZZLE が完全に姿を消し,その代わりに MEGA,PHYML,PAML が登場したということか.

現在私用されている系統推定ソフトウェアがそれぞれどれほどの数のユーザーを有していて,相対的なシェアがどのように変遷してきたかは個人的に関心がある.系統推定理論それ自体の変遷とは別の軸(もちろん直交はしていないだろうが)での推移があることは確かだろう.

—— いずれにせよ,第3版の現物を手にしないことにはどうしようもない.

◇午前10:41のTX快速に乗り込み,秋葉原でデジカメ用の電池(CR-V3)を買ってから,東京駅へ.正午発の特急〈おどりこ115号〉に乗り込む.乗り換えなしで終点の修善寺まで連れて行ってくれるのはありがたい.よく晴れた海を左手に見ながら,三島から分岐し,伊豆半島を縦断する.修善寺着は14:06.湯ヶ島温泉行きの路線バスが出るまでには1時間半も待たないといけないので,駅前の不二家で珈琲をば.車中からの延々と2時間あまりこなしてきたゲラ読みはなお続く.なかなかの難物ですなあ(予想通りではあるが……).やはり真っ赤になってます.

◇【宴の支度】 —— 修善寺駅前を湯ヶ島温泉行きのバスが出たのは15:30のことだった.東京農大・昆研の新入生(3年)と思しき数名も.あ,忠さん,どーも.すれ違いもままならないような細い道伝いに山を上がり,やく40分かけて終点の湯ヶ島温泉バス停にたどりついた.農大の幹事さんからの地図だと,橋を渡ってすぐにゴールの旅館〈白雲楼〉のはずなのに,その橋がない.しばらく探しまわって,やっと旅館にたどりついた.参加者の多くはすでに集結していて,VIPたちはもう飲み始めていた.まだ日も高い4時なのだが,これが昆研の“飲酒文化”なのだろう(去年もそうだった).

早々に温泉に入り,通りがかりの新入生が震え上がる“暴君ルーム”でビールなどいただき(ばすぼす蹴らないでね,バックドロップも勘弁ね),午後6時から大広間で夕食と宴会の開始.今年の昆研新入生は例年よりも人数が多くて,20名を越えたそうだ.だから,今回の新歓合宿も総勢60名という,一研究室だけにしてはふつうありえない規模のイベントになった.他の大学だったら「学科」に相当するくらいだ.だから,新入生ひとりずつの自己紹介だけでもとても時間がかかった.

農大の昆研は“天然”な蟲屋が集う貴重な研究室だと思う.どこからこれだけ多くの“昆虫少年”がやってくるのか.将来の進路はいろいろあるだろうが,頑張ってください.蟻の赤城くんはすぐ〈アリ研〉に入会してワルイ先生たちによく揉んでもらうように.学部3年のときからツワモノたちに鍛えられるのはとてもいいことです.

食事とともに,当然アルコール摂取量が急増していったのだが,岡島“キング”と令夫人“クイーン”の隣りで,〈宝壽〉と〈Ardbeg〉がどんどんなくなっていく.ラオスのカメムシの炒め物を賞味したが,体長1センチを越える大振りなカメムシだったが,蜜柑の葉とともに乾煎りされていたせいか,想像される“カメムシ臭”はまったく感じられず,酒のおつまみとしてはたいへん美味だった.こういう昆虫食だったら引くことはない.向かいでゾウムシ話をしていた小島さんは最後の方はほぼ意識がなくなっていた(今朝は午前4時起きで,天城峠あたりを叩いてきたそうだ).ワタクシは午後11時頃に部屋に寝に帰ってしまったが,当然まだまだ宴会は続くにちがいない.明朝の【宴の始末】がコワイなあ…….

◇本日の総歩数=8237歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.1kg/−0.3%.


1 juni 2007(金) ※ Hennig month の始まりは舞い飛ぶ書類ども

◇午前4時半起床.曇り空.気温15.0度.昨日のような荒れた天候は珍しかった.7:29 に地震あり.今日はこのまま晴れるかと思いきや,午前9時頃にぱらぱらと小雨が降ったりして,まだだめみたい.しかし,昼前には曇り空から晴れ間が見えるようになった.これでもう大丈夫だろう.

◇午前のこまごま —— 進化学会京都大会で生物学哲学のワークショップをオーガナイズすることになった.後押しされてしまった.いい企画になるようにしましょう./ 今月の東大・専攻研究会議の幹事選挙をして,資料を作成する.完了./ 所内の「中・長期的な研究及び自己研鑽の計画」なる書類をちくちくとつくる.何だかそこはかとなく盛り下がるんですけど…….「自己研鑽」と言われましてもねえ.「息するように本が読みたい」とか,「高座はどこでも行きまっせー」とか書いてもいいのかしら.※それ,研鑽でっか?

◇備忘メモ —— John Hunter が死んだ1793年に,Robert Knox が生まれている.スコットランドの transcendental biology の伝統は Knox 以降の19世紀前半に大発展したと言えるので,言ってみれば Hunter はその先鞭を付けたということになるのだろう.この時期のスコットランドの“大陸的”生物学については,Philip F. Rehbock『The Philosophical Naturalists : Themes in Early Nineteenth-Century British Biology』(1983年刊行,University of Wisconsin Press, Madison, xvi+281pp.)に,また同時期のイングランドの動向については Adrian Desmond『The Politics of Evolution : Morphology, Medicine, and Reform in Radical London』(1989年刊行,The University of Chicago Press, Chicago, x+503pp.)に詳述されている.しかし,それよりも半世紀さかのぼった John Hunter の時代のイングランドあるいはスコットランドの生物学史について論じた本は多くはないと思う.John Hunter は Erasmus Darwin と時代を共有していた.その点で,読み終えた伝記は貴重な資料なのかもしれない.

◇やっと晴れてきた昼休み.暑さも戻ってきそうだ.歩き読み —— 山本義隆『一六世紀文化革命(1)』(2007年4月16日刊行, みすず書房, ISBN:9784622072867 → 目次版元ページ)の第3章「解剖学・植物学の図像表現」と第4章「鉱山業・冶金術・試金法」を読む.合わせて130ページほど.第3章では,博物学書における図の重要性が強調される.

ピン留めメモふたつ:1) 写本の伝承過程で文章がしだいに変容していくように,博物学書の図版もまた書写の過程で変容していったと著者は指摘する:

二つとして厳密に同一のものがないだけではなく,複製のたびにすこしずつ変容が加わり,それが積み重なって不正確になっていくという,手写本における図版の宿命的欠陥を,すでにプリニウスは見抜いていたのである.[……]複製により劣化する図像表現と劣化はしないが伝達能力のかぎられている言語表現というブリニウスの指摘したジレンマが解決されたのは,木版画が可動活字による印刷術と組み合わさって木版画による挿図の付いた書籍が作られるようになったときである.(pp. 204-205)

おそらく,写本の本文言語と添付図像はどちらも伝承の過程で生じたミスを受け継ぎつつ“劣化”していったのだろう.

2) 細かいことだが,ウィンザー城に長らく所蔵されていたレオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図を調査したのは,ジョン・ハンターの兄のウィリアムだったそうだ(p. 195).このウィンザー手稿は確か岩波書店からものすごく高い価格の付いたリプリントが前に出版されたはずだ.

本章では,文字と図像の力関係に注目して論議されている.総括のことば:

それらの図版はテクスト(本文)を上回る伝達能力を有し,書籍における不可欠な要素の位置を占めているのであるが,それと同時に,言語の精密さや論証の正確さのみを問題とするスコラ的な頭脳労働だけではなく,視覚による伝達の精度を向上させる工房の手仕事・職人仕事の重要性を認めさせるものであった.(p. 242)

ここのところ,いくつかの重要な論点が相互に結びつけられている.注目.

続く第4章は冶金の話だが,これは前著:山本義隆『磁力と重力の発見』でも詳しく論じられていた内容だ.

◇午後のこまごま —— ひたすら国内外の出張伺を書きまくる.まずは,今月の5回分の国内出張の届けをすませる.続いて,月末からの〈Hennig XXVI〉の海外出張届だが,これにけっこう時間がかかってしまい,すべて書き終えたのは午後4時過ぎのこと./ 6月6日(水)の昼に海游舎・本間さんにカマジン本のキャプションのゲラをできたところまで返却する.本郷〈ルオー〉にて.また「独房」生活か……./ 夕方,メーリングリストの登録作業をぱたぱたとすませて,月例アナウンスを流した.

—— 舞い飛ぶ書類をつかんでは右へ左へと投げ続け,気がつけばもう午後6時だ.いったいワタクシは一日中何をやっていたのか…….

◇この週末は,伊豆の湯ヶ島温泉に籠るのだが,のんびりできるわけではけっしてない.東京農大の昆研新歓合宿で二十歳前後の若者たちが退去して温泉旅館を占拠することになっているので,気力と体力の勝負になるにちがいない.今日は十分に寝ておかないとつらいぞ.

—— で,原稿は?(げ……)

◇本日の総歩数=11955歩[うち「しっかり歩数」=5575歩/48分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.1kg/+0.7%.


--- het eind van dagboek ---

Map フリーアクセスカウンター自転車 通販人気 シューズ
[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集