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日録2008年11月 


30 november 2008(日) ※ 明礬大橋越しに別府湾を眺める

◆午前5時起床.晴れ.気温9.4度.まずは農環研に潜入して,数時間後に出発するための最後の旅支度をしないといけない.何だか未処理の書類が積み上がっているようだが,見ないふりをする.午前8時まで一仕事してから帰宅.

◆豊後の国への旅立ち —— 9:54発のTX快速に乗る.晴れてはいるのだが風が強い.秋葉原から浜松町へ,そしてモノレールで羽田空港第一ビルへ.ビッグバードはすでにクリスマスの装いだった.チェックインしてから〈銀座ライオン〉で昼食.懸案の原稿に取りかかる.まずは全体の目次と,これから加筆しなければならない章の確認.全体構成はすでにできてるんですけどね.

◆大分行きのJAL1789便に搭乗する.離陸は定刻どおり13時40分.空港の出発ロビーはとても空いていたのに,この便はほぼ満席だ.約2時間飛んで遅延なく午後3時20分に国東半島に降り立つ.去年ここ大分空港の荷物コンベアの先頭は巨大な“海老のにぎり”だったが,今年は“ウニの軍艦巻き”だった(寿司は大きいが芸は細かいなあ).空港まで迎えに来てもらった県庁の甲斐さんの車で大分方面へ.空港ビルの外に出るととても暖かな陽気でコートはもちろん不要.ここ数日は穏やかな空模様とのこと.

小一時間で別府の明礬温泉街に到着した.今夜はここの〈ゑびすや旅館〉に宿泊する.連日の不摂生の残滓を源泉かけ流しの硫黄泉で徹底的に洗い流すのだ.山の中腹に広がる温泉街は曲がりくねった細い坂道が入り組んでいる.ゑびすや旅館はその一角にあって,玄関部分は小さいのだが,奥が異様に広く,まるで“菌糸”のごとく廊下が延々とつながっていて,川向こうまで広がっている.敷地内には露天風呂がいくつもある.

まずは大きな露天風呂に入って一息つく.岩風呂のすき間から源泉がぶくぶくと泡を吹く.旅館に着いたのがもう午後4時半をまわっていたので,山影の温泉街は早々と夕闇に包まれていた.明礬大橋越しに別府湾が一望でき,手前の別府市街地の夜景の向こう側の対岸には大分市の夜景が広がる.

◆明礬温泉にはいくつかの異なる泉質の温泉が湧いている.今夜泊る〈ゑびすや旅館〉は硫黄泉だが,すぐ近くの〈山田屋旅館〉はこのあたりでは唯一の「緑礬泉」という珍しい泉質のお湯が湧いている.ここもお目当てのひとつだったので,機会を逃さないよう,暗くなってきた温泉街の坂道を上がってさっそく入ってきた.山田屋の浴室は別棟になっていて,狭い階段を半地下に降りる(この「半地下構造」の浴室が別府のスタイルらしい.確かに鉄輪や北浜にもあった).おそらくふたり入ればもういっぱいになるだろうとても小さな浴槽がある.幸い他にはだれも利用客がいなかったので,半時間ほど占有させてもらった.

ゑびすやの硫黄泉は特有の“油臭さ”があったが,山田屋の緑礬泉はそれに加えて“金属臭さ”が漂う.湯の酸性度がとても高いのでうっかり舐めるとえらいことになる.源泉は熱湯だが,そのまま浴槽に注がれているので,最初に入るときがちょっとたいへんだった.湯あたりしないうちに出て,さらに坂道を上がり,通りに面した〈岡本屋旅館〉のレストランで「地獄蒸しプリン」を食べてから夕闇の坂道を下って帰った.

◆夕食後に今度は貸し切りの露天風呂へ.長い廊下を伝って川向こうまで行く.車道のすぐ下に露天風呂が五つ並んでいて,そのひとつ〈風〉を借りた.湯の花を集める木造小屋を見物に来る観光客は多くても,日曜に温泉に泊るような客はきっと少ないのだろう.館内も風呂も空いていた.部屋に食事を運んでくれた旅館の人から聞いたところでは,夜から明け方にかけてはぐっと冷え込み,今年もすでに雪が舞う日があったそうだ.確かに,日暮れとともに急に肌寒くなってきた.寒風に吹かれつつしばらく熱い硫黄泉に浸かっていた.

◆今日は長旅ののちにふやけてしまったが,明日からは三日間まるまるの統計研修が始まる.講師はワタクシひとりなので,明礬温泉にぶくぶくと融けてしまうわけにはいかないのだ.さ,早く寝ましょう.

◆本日の総歩数=8257歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前日比)=82.0kg(−0.7kg)/23.2%(+0.7%).


29 november 2008(土) ※ 粗暴な呑み過ぎ明けに太鼓連打

◆前夜,7号館で“荒っぽい呑み方”をしたツケは必ずやってくる.午前4時過ぎまで試飲会は続いたのだが,その後一時間ほどの意識がない.午前7時前に根津から千代田線に乗るものの,単なる酔っぱらいですな.午前8時過ぎ,からっと健康的に晴れ上がったつくばセンターの地上に立ってくらくらする.午前いっぱいはほぼ酩酊状態で死んでいて,午後になってやっと二日酔いの段階に到達した.こういう暴力的な呑み方をしていてはいけない(自戒).

◆そんなこんなで日中はゾンビのまま過ごし,夕刻になってやっと活動開始.今夜は松戸でのマーラー〈復活〉の舞台練習がある.午後6時半に〈森のホール21〉に到着した.今日は合唱との合同練習なので,サブのブラームス〈運命の歌〉とマーラー〈復活〉の第5楽章のみだ.

舞台を走り回るパーカッショニストたち —— 〈復活〉ではバンダの打楽器とオモテでの打楽器のかけもちがあり,十小節ほどの短時間に舞台のウラとオモテを往復するというきわどい箇所がある.しかも指揮者の意向により,左ソデではなく右ソデにバンダの金管と打楽器を配置することになり,舞台裏を駆け抜けなければならなくなった.これはきびしいなあ.本番までもう三週間しかないのだが,スリリングでリスキーな演奏になるかもしれない.

◆午後10時前に練習終了.つくばに帰り着いたのは午後11時過ぎだった.今日は日中だけでなく夜になっても気温が高いままだ.それにしても疲れたなあ.

◆明日は大分に飛びます.

◆本日の総歩数=14359歩[うち「しっかり歩数」=4687歩/44分].全コース×|×.朝−|昼○|夜○.計測値(前日比)=未計測/未計測.


28 november 2008(金) ※ 東大での高座と不夜城な試飲会

◆午前4時半起床.気温9.9度.未明は風雨が強かったが,しだいに回復し,午前9時過ぎには晴天になった.

◆東大での集中講義 —— 10:25発の TX 快速で東大へ.農学部に着いたのは11時半だった.昼休みは別の集中講義で来られた三重大の先生のための専攻昼食会.伝統的に“侠気”のある専攻らしいエピソードがいろいろと.午後1時から7号館の同じフロアにあるセミナー室にて,今年度のエコロジカル・セイフティー学特論(I)の集中講義.今年は形態測定学をとりあげてみた.午後4時半まで.ケンドール形状空間への段階的以降をうまく説明するためのイメージづくりは難しい.

◆〈秋の試飲会〉はエンドレス —— 講義終了後,少し時間があったので,農学部の知り合いを順番に訪問する.“土禁”な部屋が増えているように感じたが気のせいかな.夕闇の中,午後6時前に再び7号館に入った.会場となる某室では,すでに今夜の〈秋の試飲会〉のための準備が着々と進んでいて,持ちこまれる日本酒のリストが掲示されていた.日本酒以外のアルコールはすべて御法度という会なので,ビールとか焼酎のような場違いなアルコールはこの結界の中には存在しない.

事前エントリーされていた銘柄は下記の通り:〈白露垂珠・純米大吟醸〉(山形)・〈王紋・出品酒〉(新潟)・〈飛露喜・特別純米〉(福島)・〈亀甲花菱・純米大吟醸〉(埼玉)・〈高砂・純米ひやおろし〉(静岡)・〈三千盛・純米大吟にごり〉(岐阜)・〈玉乃光・純米吟醸しぼりたて〉(京都)・〈日置桜(山根醸)・純米吟醸〉(鳥取)・〈王祿・渓(直汲み)〉(島根)など.これら以外にも,〈久保田・萬寿〉を含めて,当日持ちこみの日本酒が数本あった.

午後6時の開始定刻.すでに卓上に並べられた一升瓶や四合瓶はあわせて十数本もある.呑む側は時間帯によって入れ替わりはあるそうだが,十数人ほどらしい.半年前にあった前回の試飲会もそうだったが,最初からトップギアでとばしまくる呑み方をするのだが,何しろたくさんありすぎて,なかなか減らない.おつまみはプロの料理人である某院生を中心に,別室でしっかりしこまれた料理が次々に運ばれてくる.

当然の結末として,つくばに帰りつける時間はとうに過ぎてしまい,日も変わってしまい,アモルファスになって沈没する人が増えていき…….

—— ということで,不夜城の7号館で夜を明かすことになってしまった.

◆本日の総歩数=10407歩[うち「しっかり歩数」=3723歩/35分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=82.1kg(−0.1kg)/23.0%(+1.2%).


27 november 2008(木) ※ 醸す農大,ウィルスかわいい?

◆午前4時半起床.雲のすき間から星空が見えていたが,そのうち曇天になった.気温3.9度.湿り気のある寒さ.明け方の研究所にて,本日の講義の支度をすませてから帰宅する.午前のうちに雨が降り出した.天気予報通りだ.気温はいっこうに上がる気配がない.

◆朝のこまごま —— 所内のRP成績検討会は12月26日(金)の午前に開催されることになった.もう押し詰まった年の瀬だが,時間的余裕があってよかった./同じ日に歯科定期検診を予定していたのだが,電話で12月29日(月)10:15〜に変更完了.

◆農大かもし高座(番外編) —— 自宅にてごそごそし続け,昼過ぎに家を出る.小雨が降り続いているが,傘をさすほどではない.

13:25発のTX快速に乗り,午後3時前に経堂で下車.曇り空だが雨は降っていない.東京農大での統計学講義に毎週通っていたのは夏学期だったので,農大通りを下るのは久しぶりのことだ.途中,珈琲館にてスライドの微調整と脳内リハーサル.これでOK.世田谷キャンパスはすっかり紅葉していた.午後3時半に2号館3階の夏秋研究室にうかかい,あいさつとお話.夏秋啓子さんは植物病理学が専門だが,各国からの留学生がたくさんいて国際色ゆたか.今回ここに来たのは,「有害生物制御論」という大学院講義のひとつとして,分子系統学を講義するというお座敷を勤めるため.

午後4時半からセミナー室にて講義開始.オーディエンスは20名ほど.どうもありがとうございました(つくばではときどきお見かけした藤巻宏さんが現在はこの専攻所属とは知らなかった.ご無沙汰しました).午後6時まできっちり90分話をして終わった.その後,研究室にもどって懇親会を開いていただいた.農大の内規により,学内での飲酒は午後8時までだそうで(きびしいなあ),それを遵守して午後8時にはお開きとなった(実にコンプライアンスな).ごちそうさまでした.植物病理の学生・院生がほとんどなので,日々ウィルスたちと“会話”しているのだろう.

—— 帰りがけに,夏秋さんから,農大が開発したという〈大薯焼酎・天恵のしずく〉を1本いただいた.ヤムイモの焼酎だそうだ.醸造したのは沖縄の〈比嘉酒造〉.グラシアス! 東京農大はいろいろな酒を醸していてすばらしい.

◆経堂までの帰り道.曇り空で雨は降らず.つくば着は午後10時.小雨の気配は感じられるのだが,やはり傘をさすまでもなかった.

◆車中読書 —— 山同敦子『愛と情熱の日本酒:魂をゆさぶる造り酒屋たち』(2005年11月10日刊行,ダイヤモンド社,302 pp.,本体価格1,800円,ISBN:4-478-96097-6 → 目次版元ページ).読了.読みかけで放置してあったのだが,ここのところ,よく日本酒を呑んでいるので,その勢いで最後まで.各章で取り上げられている銘柄のほとんどは過去に味わったことがある.高田馬場の〈真菜板〉で,香川の〈悦凱陣(よろこびがいじん)〉を勧められた理由がわかった.そして,何よりも,東京農大・醸造学科の人脈おそるべし.

◆明日は,東大農学部にて,まずはじめに7号館の7階会議室にて専攻昼食会(12:00〜13:00).その後,同じ階のセミナー室(717号室)にて「エコロジカル・セイフティー学特論I」の最終回として形態測定学の集中講義(13:00〜17:00)を担当する.さらにその後,1階下った某室にて,夜のヒミツの試飲会 —— 要するに,明日は「農学部7号館のヒト」になりきるということだ.

◆本日の総歩数=10407歩[うち「しっかり歩数」=3723歩/35分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=82.1kg(−0.1kg)/23.0%(+1.2%).


26 november 2008(水) ※ プレ師走の前倒しフライング日

◆午前4時半起床.雨のち曇り.気温7.2度.こういう空模様だと冷え込みはない.しかし,湿気のある肌寒さは堪えるので要注意.その後,天気はよくなり,午前9時には快晴.気温10.1度.今日は暖かくなるかも.

◆早朝のこまごま —— 大分県庁からメールあり.来週の統計研修では県庁のパソコンを使うのだが,「Windows Vista が OS なのですが,大丈夫でしょうか……」と不安そう.「それ,終ってます」とも言えないので,「Vistaユーザーでもシアワセになれる三ヶ条」をお知らせした./生物地理学会事務局の忘年会は12月18日(木)になりそう.

◆朝のつんのめり支度の数々 —— またもや“のりしろ”のない日々が始まった.明日の東京農大での講義「分子系統学」のスライドを用意し,あわせて配布用のハンドアウトの原稿をつくる.完了./続いて,明後日の東大でのES特論「形態測定学」のスライドとハンドアウトを仕上げる.これまた完了.午前10時半までにぱたぱたと完成できたので,必要部数のコピーを依頼する.東京農大は,大学院の国際開発専攻の科目「有害生物制御論」のひとつとして,系統推定論の講義をする.いつもは10名ほどの受講者だそうだが,ぼくの講義はその2倍のオーディエンスになるそうだ.東大の特論の方は修士が相手だから,多くても20名だろう(もっと多い?).

午前11時過ぎにいったん帰宅し,今度は東京へ出発する.11:25発のTX快速で根津まで.〈根津のたいやき〉で久しぶりに鯛焼きを買ってから,東大へ.晴れて風もなく暖かかったが,イチョウの色づき具合がいまひとつだ.最近しばらく郵便物を引き取りに行かなかったら,農学部3号館の連携講座メールボックスがあふれかえっていた.ぼく宛ての献本まで何週間か放置されていたようだ(申し訳ない).午後1時から専攻教員会議.さくさくと連絡事項と審議事項が通り過ぎて,午後3時過ぎには早々と散会.明日の総長選挙を前にして,何やらアヤシイ雰囲気が漂っていた.

◆東大を出て根津の坂を転げ落ち,寄り道もせずそのままつくばに直帰する.帰り着いたのは午後4時半.今日は夜明け前からぱたぱたと前傾姿勢で駆け抜けた一日だった.前傾しているついでに,12月5日(金)の農環研セミナーで話す【種】トーク「〈『種』問題とは何か?〉とは何か?」の講演スライドと配布ハンドアウトも日没前につくってしまった.これで,今週はもちろん,来週いっぱいの高座の準備はすべて完了したことになる.ほぼ連日の高座の下準備が事前に終ったことは実によろこばしい.

—— ふと見上げたら,真っ赤な夕焼けの西空に鋭角の雲が突き刺さっていた.明朝はぐっと冷え込むかもしれないな.

◆夜は,満を持して登場したおでんとともに,〈三千盛〉のにごり酒が空っぽになってしまった.しかし,このコクのある味わいは,あっさりしたおでんよりも,一昨日のすき焼きの方がはるかにふさわしいと思う.炭酸系のにごり酒はアブラの乗った肉とことのほか相性がいいです.トンカツとか焼肉でもきっと力負けしないと思う.しかも,開栓して二日が経つのに,中から湧き出る炭酸ガスのぶくぶくはその勢いやまず.そのせいか,このまわりの早さはいったいどーしたことだろう.「純米大吟にごり」,おそるべし.今週金曜の「試飲会」でもその“破壊力”が炸裂するにちがいない.

◆車中読書 —— Kanti V. Mardia and Peter E. Jupp『Directional Statistics』(2000年1月刊行,John Wiley & Sons,ISBN:0-471-95333-4 → 目次)の形態測定学の章を読む.いわゆる線形統計学とはまったく異なる,方向統計学の確率密度関数の世界(フィッシャー分布,フォン・ミーゼス分布,ワトソン分布,ビンガム分布etc.)が広がっている.先が長いなあ,というか,たいへんだなあ.

◆本日の総歩数=13021歩[うち「しっかり歩数」=1213歩/10分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前日比)=82.2kg(−0.2kg)/23.0%(−1.4%).


25 november 2008(火) ※ 木枯らし上州統計高座の千秋楽

◆午前4時半起床.冷たい雨がまだ降り続いていた.すっかり色づいた木々の葉もこの雨でもうおしまいかも.気温4.4度.研究所に潜入し,ごそごそとプリントアウトする.しかし,夜明けとともに雨は上がり,急速に天候回復して秋晴れになった.また雨の中を上州まで車を走らせるのかと思っていたが,これで気を取り直した.雨上がりで空気が澄み切っていたせいか,近景の筑波山だけでなく,遠景に白銀の富士山もくっきりと見えた.

◆上州統計高座(第3回) —— 午前8時半につくばを出発する.1時間余りでちょうど“中点”にある小山市の「道の駅」にたどり着き,半時間ほど休憩する.さらに1時間余り走って正午前に伊勢崎の群馬県農業技術センターに到着.しばし場内を散策したのち,講義室にて事前準備をば.

午後1時半から講義開始.今日は先月の第2回に続いて,乱塊法について解説し,Rコマンダーを用いた計算手順を説明した.ついで,要因実験における交互作用について解説したのち,またまたRコマンダーの操作を説明.すでに時間が足りなくなっていたのだが,最後に,ロジット変換をリンク関数とする二項分布に基づく一般化線形モデルについて,実例を示した.最後は時間が足りなかったです.それにしても,またもや「ビスタ死者」が数名出て,その蘇生処置に追われた.どこに行っても犠牲者が出るようなOSは何とかしてほしい.午後4時過ぎに講義終了.全3回の研修がこれでやっと終った.

毎回2時間半の講義に往復6時間あまりもかかるというのはあまりにも非効率的だが,少しでも“社会のお役に立てる”のであればわざわざ行った甲斐があったというものだ.

◆夕闇の中をつくばまで帰る.午後7時過ぎに到着.講義自体ではなく,往復移動で疲れましたという感じ.

◆あすの午後は東大の専攻教員会議がある.しかし,それよりも明後日の東京農大「分子系統学」講義と,明後日の東大「形態測定学」講義の準備をどこかでまとめてケリをつけないとやばい.

◆本日の総歩数=10864歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=82.4kg(−0.1kg)/24.4%(+1.9%).


24 november 2008(月) ※ 連休最終日はまたもドロナワ化

◆昨夜は早めに就寝し,丑三つ時に起き出してがしがし仕事をするはずが,ふと目覚めたら午前6時の夜明け前だった.ハイ,萎え…….

◆「中断のない6時間」 —— というのがぼくにとっての「労働単位時間」だと前々から認識している.だから,平日の研究室では“中断”があまりにも多過ぎて仕事にならない.平日の丑三つ時か,祝休日か,年休日か,あるいは遠距離出張先との移動時間というのが,かぎられた「まとまり時間」のとれる選択肢である(要するに人気のない時間外ということ).この三連休は日中は雑事がいろいろあったので,夜中にと思ったのだが,これは大きな誤算だ.Nessun dorma. いや,ワタシだけは寝てはならぬ.

—— しかし,そういううっかりミスにいつまでもこだわっていてはいけない.不幸は瞬時にして忘却すべし.まずは出発だ.

◆ともかくも夜明けの国道408号を南下して人気のない農環研に入り込む.晴れて冷え込み,午前6時半の気温は2.8度だった.2時間ほどごそごそしてから帰宅.もちろん「労働単位時間」を大幅に下まわっているので,さしたる成果も達成感もなし.それでも,メール受信箱に薄く堆積しつつあった質問メールへの回答とか,メーリングリスト雑用をちくちくと処理して,受信箱を空にする.

◆昼近くになってしだいに雲が厚くなってきた.天気予報では今日は雨になるとのことだが,この分だと夕方以降に雨になるのだろう.それでも,用心のため,降られないうちに自転車で買い物に出た.立ち寄ったたがみ酒店に〈三千盛〉の「純米大吟にごり」が入荷したばかりだったので,これは運がよかったと油断したのが運の尽き.店の外でうっかり自転車を横倒しにしてしまい,荷物かごから放り出された四合瓶が宙を舞い,一瞬ののち,初冬の冷たく乾いた大気中に濃厚な吟醸香が馥郁と漂ってですね……(涙).覆水盆に返らず;覆酒瓶に返らず.

—— しかし,そういううっかりミスにいつまでもこだわっていてはいけない.不幸は瞬時にして忘却すべし.きびすを返して再びたがみ酒店に向かい,同じ〈三千盛〉をもう一本買ったのだった.

◆午後2時過ぎに冷たい雨がしとしと降り出した.丑三つ時の遅れを取り戻すべく,スライドづくりに励む.今日を逃したら次の機会がいつ来るかわからないからだ.そのまま,夜に突入.昼間いささか紆余曲折があった〈三千盛〉は“にごり”具合といい,その吟醸香といい,とてもうまかった.さらにその後,スライドづくりを日が変わるまで進めて,一般化線形モデルの実例スライドを30枚ほど新作した.外はまだ雨が降り続いている.

◆明日は朝から上州への長距離ドライヴだ.出前講義がなければこんなにラクなことはないのだが.群馬県の統計研修は今回が最終回だが,毎回,雨の中を運転している気がする.予報では明日も雨らしい.にわか雨男の出現か.

◆本日の総歩数=7071歩[うち「しっかり歩数」=1856歩/18分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=82.5kg(−0.5kg)/22.5%(+0.3%).


23 november 2008(日) ※ 勤労に感謝しながらも勤労する

◆午前5時半起床.夜明け前は雲が多くやや冷え込んだが,しだいにおだやかな秋晴れが広がってきた.

◆連休中日で行楽に向かう人も多いにちがいないが,今のところ「行楽」ということばは我が辞書にはないので,いつもどおりの日常生活が続く.日中は風もなく日射しが暖かい.

◆『分類学原理』が15年かけてやっと全巻完結 —— Nelson Papavero and Jorge Llorente Bousquets(Coordinadores y autores principales)『Principia Taxonomica: Una Introducción a los Fundamentos Lógicos, Filosóficos y Metodológicos de las Escuelas de Taxonomía Biológica (Volumen I - IX)』(2008年刊行,Universidad Nacional Autónoma de México,Ciudad Universitaria,ISBN:978-607-2-000066-7 [CD-ROM]).編著者のひとりである Jorge Llorente Bousquets さんから送られてきた電子本.同じ編著者による比較生物学史本:Nelson Papavero and Jorge Llorente Bousquets (Coordinadores y autores principales)『Historia de la Biología Comparada, con Especial Referencia a la Biogeografía: del Génesis al Siglo de las Luces (Volumen I - VIII)』(2007年刊行,Universidad Nacional Autónoma de México,Ciudad Universitaria,ISBN:978-970-32-4267-2 [CD-ROM] → 全巻構成)に続き,もうひとつの大著が電子本として出版された.

この『分類学原理』は1993年に第1巻が出て以来,1996年までに第8巻まで立て続けに出版されていたのだが,その後,10年以上,完結に向けての進展がないままだった.既刊分の書誌情報は下記の通り:

  1. Volumen I. Conseptos Básicos de la Taxonomía: Una Formalización. (1993年年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-2927-X)
  2. Volumen II. Las Teorías Clasificatorias de Éuritos de Taranto, Platón, Espeusipo y Aristóteles.(1994年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-3525-3)
  3. Volumen III. De Hsun Tzu a Kant.(1994年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-3608-X)
  4. Volumen IV. El Sistema Naturtal y Otros Sistemas, Reglas, Mapas de Afinidades y el Advenimiento del Tiempo en las Clasificacionis: Buffon, Adanson, Maupertuis, Lamarck y Cuvier.(1994年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-3821-X)
  5. Volumen V. Wallace y Darwin.(1994年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-902-X)
  6. Volumen VI. Analogía y Conceptos Relacionados en el Periodo Pre-evolutivo.(1995年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-4476-7)
  7. Volumen VII. La Taxonomía Evolutiva.(1996年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-5097-X)
  8. Volumen VIII. Los Sistemas Filogenéticos del Siglo XX.(1996年刊行,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autónoma de México,ISBN:968-36-5455-X)
  9. Volumen IX. La Sistemática Filogenética de Willi Hennig y la Biogeograpfía por Vicarianza.(2008年刊行[本書])

集合論(束論)に基づく分類群間の構造の記述に始まり,巻を追って生物体系学の歴史を過去から現代までたどっていく.2005年に Llorente Bousquets さんから聞いた話では全10巻構成とのことだったが,最終的には Volumen IX でめでたく完結ということになった.スペイン語の辞書の片手に,さあ,どーぞ!

◆午後のスライドづくり —— 連休明けの週は,異なる場所で異なるテーマの巡業高座が三つもあるので,そのしたくを進めておかないといけない.以前から統計講義のスライドのいくつかを改訂しないといけないと思いつつもそのまま放置していたのだが,一念発起して手をつけることにした.ずいぶん久しぶりの TeX だ.それにしても手間がかかるなあ…….

◆本日の総歩数=1831歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前日比)=82.7kg(−0.4kg)/22.2%(−0.8%).


22 november 2008(土) ※ 三連休初日は松戸で大太鼓連打

◆午前6時起床.またも放射冷却の明け方.とても寒い.もちろん秋晴れ.

◆早朝のこまごま —— 東大理学部の来年度シラバス(生物統計学)を教務に送信する.いろいろなことが“前倒し”で押し寄せてくる./東京農大・昆研の発表会&忘年会は12月23日(火)の休日に厚木キャンパスにて.去年は例外的に師走のはじめだったが,今年は例年通りの年の瀬の開催.

◆トドのすこやかなる成長 —— まずは来週の“連日モザイク出張”への対応をしないといけないが,それとともに複数の“原稿トド”を仕留める必要もある.締め切りが過ぎたトドは日に日に大きく成長してしまう.

◆日中はいい天気だったが,北寄りの風が冷たかった.冬の到来を実感する.午後4時25分のTX快速にて南流山へ,JR武蔵野線に乗換えて新八柱へ.夕暮れの駅前を通り抜けて「森のホール21」に向かう.午後6時から9時過ぎまで,松戸シティフィルハーモニー管弦楽団のマーラー〈復活〉の練習.今日は第1〜4楽章.本番まで1ヵ月と迫ってきたので頑張りましょう.来週29日は,ここの大ホール(本番会場)で合唱団との合同練習がある.

—— 練習を終え,逆コースの徒歩と乗継ぎでつくばに帰りついたのは午後10時半だった.

◆車中読書 —— 酒井聡樹『これから学会発表する若者のために:ポスターと口頭のプレゼン技術』(2008年11月30日刊行,共立出版,本体価格2,700円,ISBN:978-4-320-00579-2 → 書評簡略目次著者ページ版元ページ).読了.タイトル通り「これから学会発表する若者」に向けて書かれた本だ.とりわけ,学会発表の「コンテンツ」をどのようにつくるのかについて具体的かつ詳細に論じられている.けっして自己満足ではなく,聴衆に対する“気配り”こそ肝要であるという著者の指摘に心から同意する.この点で,これからの「若者」がポスター発表や口頭発表をするとき,単なるハウツー本ではない本書が格好のガイドになることはまちがいないだろう.著者の目指す学会プレゼンの理念と技術に準拠した発表が増えていけば,学会大会での発表の水準はみちがえるほど改善されるにちがいない(その水準に達していないプレゼンが現実にはまだまだ多いということだ).

ひとつだけ注文をつけるとしたら,それは最後の2章の配置についてだ.第3部「学会発表のプレゼン技術」の第8章「口頭発表の仕方」と第9章「質疑応答の仕方」は本書では末尾に置かれている.しかし,ポスター発表にせよ口頭発表にせよ,見知らぬ数多くの聴衆と対面で向き合うというのが“ハレ(非日常)”である学会発表の最も大きな特徴だとぼくは考えている.この点で大学や研究所の中での内々のセミナーや勉強会など“ケ(日常)”である集まりでの発表とは根本的にちがっている.とすると,ハレの舞台で話をするときの“覚悟”こそ,これからの「若者」があらかじめ身につけるべきことではないだろうか.そういう引導をきっちり渡した上で,はじめて「若者」たちに発表のコンテンツやスタイルについて学ぼうという意欲が内から生まれるとぼくは考える.

こう考えると,末尾の2章はむしろ本書の前半に置かれるか,あるいはこれらの2章とペアになる“イニシエーション”の章が冒頭にあった方がよかったのではないだろうか.そうすれば,「若者」に対する“洗脳効果”はさらに高まっただろうなとつい考えてしまう.プレゼンのためのさまざまな技術を身に付けた「若者」に対して,国内外の“壇上”に上がろうとする動機づけ(勇気づけ?)をする上でもきっと効き目があるにちがいない.

—— “高座に上がる”あるいは“舞台を踏む”ことについては,人それぞれの私的な経験が大きくものを言うことは確かだと思う.ぼくの場合は,元禄時代にまとめられたという『役者論語』から大きな影響を受けている(→ 1997年の応動昆講演「実践プレゼンテーションテクニック:講演はショータイム!」).さらには,かつての予備校講師としての個人的経歴から得た教訓もきわめて多い(→ 2006年3月6日「日録」).

◆本日の総歩数=10267歩[うち「しっかり歩数」=3657歩/35分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前日比)=83.1kg(−0.1kg)/23.0%(−1.7%).


21 november 2008(金) ※ 氷点下で凍結して蔘鷄湯で解凍

◆午前4時40分起床.寒々とした星空がまぶしかった.昨日の明け方よりもさらに冷え込んでいる.農環研ロビーの温度計は午前5時半に「マイナス0.5度」を表示していた.今季初の氷点下だ.放射冷却しまくったにちがいない.朝焼けがみごとだった.

◆朝のこまごま —— 大分県の統計研修に関する問い合わせへの回答./この大分巡業統計研修も含めて,来週から再来週にかけては連日遠近さまざまな出張がモザイク模様のようにカレンダーを埋めつくしている.ドロナワはもはや通用しないので,「遠くの用務」を眺めつつしたくをする必要がある(そのためには「近くの用務」がすでに片づいているという前提がある).とりあえず,明日からの三連休は来週の講義の準備だ.同じ週に.生物統計学・分子系統学・形態測定学という三つのネタを高座にかけないといけない.

◆酒井聡樹「これ論3部作」堂々完結! ——

ということで,書店に並ぶ前に献本していただきました.ありがとうございます:酒井聡樹『これから学会発表する若者のために:ポスターと口頭のプレゼン技術』(2008年11月30日刊行,共立出版,本体価格2,700円,ISBN:978-4-320-00579-2 → 著者ページ版元ページ).謝辞に名前を入れていただいたり.既刊2冊:酒井聡樹『これから論文を書く若者のために(大改訂増補版)』(2006年4月10日刊行,共立出版,本体価格2,600円,ISBN:4-320-00571-6 → 著者ページ版元ページ)/酒井聡樹『これからレポート・卒論を書く若者のために』(2007年5月15日刊行,共立出版,本体価格1,800円,ISBN:978-4-320-00574-7 → 著者ページ版元ページ)よりもサイズがひとまわり大きいB5版に“成長”した.

◆昼休み.快晴,気温13.9度.昨日よりは日射しと風が暖かく感じられるが,それでも冬めいていることにちがいはない.しかし,未明の“凍結”のままでは午後の統計研修に支障があるだろう.ここはひとつ“解凍”のためのヒミツ手段を出すしかない.

そう目論んで,昼休みに下広岡の韓国料理〈〉にひとっ走りした.目指すはもちろんこの店の名物ランチ「蔘鷄湯(サムゲタン)」だ.半年前の初夏にも来たが,そのときはさすがに暑かった.ここ数日のような冷え込んだ季節にこそ蔘鷄湯はふさわしい料理だろう.半年前よりも値段が50円上がったが,それでもたった「1,100円」で鍋いっぱいのサムゲタンが食べられるというのはこの店ならでは.天久保の筑波大学近くにも支店が新しくできたが,つい本店のこてこてコリアンな雰囲気に浸ってしまう.何といっても,まわりの壁がハングルでびっしり埋めつくされ,テレビから流れてくるのは韓国のドラマにニュース,棚にはずらりとマッコリが.ここは異国か.

半年ぶりのサムゲタンは変わらない味で,ガスコンロに乗って煮えたぎった石鍋の中にオモニがでっかいハサミをつっこんで,じょきじょきとホネ付き鶏を切り刻んでくれる.

前菜には大量のキムチが(この日はレンコンと大ぶり大根だった).鶏肉とともにもち米が煮込まれていて,コンロの火でしだいにとろとろになってくるのが,この上なく激しく食慾をそそる.ここの蔘鷄湯にはナツメにクコの実,ニンニクが丸ごと煮込まれ,ときどき真っ赤なトウガラシの断片が顔をのぞかせる.よく煮込まれた鶏肉は骨ごとがりがりとかじって(ケダモンか),最後まで残さずたいらげた.

—— 昼休みの時間帯が少しずれていたせいか,他にランチ客はなかった.店の外に出たら,ほかほかとからだが十分に“解凍”されていた.目的達成だ.

◆午後のこまごま —— 師走の行事の備忘メモ:『生物科学』編集委員会は12月12日(金)15:00〜17:00.立教大学池袋キャンパス13号館1F会議室にて.参加の返信メールを送った./東大・専攻忘年会の場所と時間が確定した:12月9日(火),19:00〜,〈かに道楽・上野店〉にて.

◆数理統計研修の最後のお勤め —— 14:55〜15:45は応用編の研修の質疑時間.いくつか質問に答えて,やっと任務完了.受講生のみなさん,お疲れさまでした.来週からはちゃんと更生して社会復帰して下さい.これにて例年の大きな“公務”のひとつがつつがなく終った.午後4時過ぎですでに夕方の薄暗さが降りはじめている.農環研には戻らずに,筑波事務所からそのまま自宅に直帰した.西の空には夕焼けが広がり宵の明星が輝く.

◆明日からは三連休だが,我が辞書に「連休」という文字はない.

◆本日の総歩数=9224歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.計測値(前日比)=83.2kg(−0.3kg)/24.7%(+1.5%).


20 november 2008(木) ※ 寒気の底に高座のハシゴをする

◆午前3時半に起床.澄み切った夜空に広がる星座.冷え込み厳しく2.3度.もちろん今季最低を更新した.人気のない研究所でごそごそしてから帰宅する.今日の日中は農環研の前を素通りすることになる.

◆Amazon.de からの着便した本 —— Olaf Breidbach『Goethes Metamorphosenlehre』(2006年刊行, Wilhelm Fink Verlag, München, 334 pp., ISBN:978-3-7705-4197-3 [pbk] → 目次版元ページ).ゲーテの〈変容〉論をベースにして,彼の Urpflanzen だけに留まらず,自然観としての Metamorphosenlehre を論じた科学文化史の著作.広い意味での「変容」に関連する形態学・体系学・ゲシュタルト論・美学・修辞学まで含む.また,表紙を含めてマリア・シビラ・メーリアンへの「変容」図版への言及がある.

◆こまごまトドたち —— 庶務から大分出張にともなう振替休日の問い合わせあり.しかし,“純粋移動日”なので振替には及ばないと返事する./計量生物学会の理事会:11月29日(土),17:00〜,統数研.しかし,この時間帯は松戸での〈復活〉オケ練習と重なるので欠席する旨連絡する./『生物科学』編集委員会:12月12日(金),15:00〜17:00.今のところ参加できる見込み./東京農大へのとある問い合わせ./線虫論文の掲載はどーなったのかと調べてみたが,まだみたい.

◆朝は研修講義 —— 雲ひとつない快晴.明け方の冷え込みのせいか,空気もひんやりとしている.午前9時から数理統計研修の代打講義「計算機統計学入門」 —— 例年はない講義だが,海外留学中の某shape氏の代役として教壇に立つ.リサンプリング統計学について1時間ほどスライドで講義したのち,Rを使っての実習をさらに1時間ほど.残り時間はRコマンダーによる多変量解析について解説した.正午に講義終了.今年の研修はとてもよく働いているぞ.

◆晩秋の万博記念公園 —— 筑波事務所での研修講義のあとは農環研には戻らず,そのまま車で万博記念公園に直行する.万博記念公園はしばらく来ていなかったが,予想した通り紅葉の見ごろで,銀杏並木が真っ黄色に染まっていた.平日の昼休みなので,近隣の会社や研究所の勤め人,子ども連れで散策する人,ベンチでくつろぐ人,グラウンドを走り回る人,遠足に来た幼稚園児たちで,人口密度は意外に高い.日だまりのベンチでパンをかじりながら,しばしの休息.ほっこりします.平日の昼休みにこんなに人出があるようでは,週末ともなればきっと混雑するにちがいない.

こんなにゆったりしていられるのは,半日年休を取っているからだ.労働したのに年休とはスジが通らないが,いつもの習慣でコマバ講義日の午前中は半日年休を取ることにしている.

◆午後は駒場講義 —— 午後1時過ぎ,万博記念公園をあとにして,TXつくば駅に直行する.13:25発の快速で東京へ.神保町の東京堂書店をサーチしてから,渋谷に向かう.午後3時半に駒場キャンパスに入る.都内なので,つくばほど紅葉は進んでいない.今週末の駒場祭があるので,大学内はさりげなくテンションが上がりつつあるようだ.16:20〜17:50 講義.今日は乱塊法を中心に,要因実験における交互作用と線形統計モデルの説明.さらに,split plot と strip plot について解説した.来週の木曜日(27日)は東大総長選挙のため全学休講なので,次回来るのは師走のはじめ,大分からの帰りがけということになる.そのときには第1回目のレポート課題を出す予定.

◆午後6時過ぎ,夕闇迫る駒場東大前駅から乗って,つくばに帰り着いたのは午後7時半.北寄りの風が冷たかった.今日はボジョレー・ヌーボーの「解禁日」なので,ワインボトルを買って帰る人が目についた.しかし,いくら安くなったとはいえなお2,000円近くもするヌーボーをほいほい買うわけにはいかない.代償行為として Mendoza の大手ワイナリー〈Trapiche〉が出している「Varietals 2007」を1本買った.アルヘンティーナが誇る Malbec のうまさがたった「ん百円」で購えてしまうのだから,これでもう十分だろう.それとは別に,アルザスの〈Ginglinger〉の「Riesling 2007」は,某店の棚に並んでいるうちに早く買っておかないとなくなってしまうおそれがある.

◆Malbec を舐めつつ夜のこまごま —— 大分統計研修期間中の宿が確定したとの連絡が入った:〈ホテルFino大分〉.県庁に近いビジネスホテル.その他,懇親会の件.なお,講師の使用パソコンは持ち込みできるそうだ.それはよかった./数理統計研修の質問(計算機統計学がらみ)が届いた.明日の午後は質疑の時間が設けられているので,そのときに答えるようにしよう.長かった今年の数理統計研修もやっと終わりが見えてきた.

◆今日は高座のハシゴでたいへん疲れました.明朝は放射冷却で今朝以上に厳しく冷え込むにちがいない.

◆本日の総歩数=19244歩[うち「しっかり歩数」=1321歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(−0.4kg)/23.2%(+0.1%).


19 november 2008(水) ※ 寒い昼下がりに取手をうろつく

◆午前4時半起床.きりっと冴えた星空.夜明け前は今シーズン最低の4.6度まで下がる.その後,秋晴れの雲一つない青空が広がる.午前10時の気温は12.2度.昨日よりもずいぶん低い.

◆午前のこまごま —— 生物地理学会事務局の忘年会の日程調整./Hennig XXVII の復命書はすでに提出していたという,まことにオソマツな顛末.書類を出さずじまいのことも,二度出してしまうこともある.

◆またまた1ヵ月も空いてしまった Slice本『Modern Morphometrics in Physical Anthropology』の輪読セミナーの輪読(第22回)を午前11時から1時間ほど:Chapter 7 : Hermann Prossinger「Problems with Landmark-Based Morphometrics for Fractal Outlines: The Case of Frontal Sinus Ontogeny」 (pp. 169-183).形状の輪郭曲線の画像から極座標データを取得し,輪郭に関するフラクタル次元を推定するためアルゴリズムが解説される.極座標の半径(r)に関する標準偏差が角度(φ)のラグに関する指数関数として近似される場合,その次数が整数であれば滑らかな曲線だが,非整数の場合はフラクタル曲線となる.しかし,本章でむしろ興味深いのは,輪郭曲線を等角度に分割して得られるデータ行列を特異値分解(singular value decomposition)したときに,輪郭上に“不動点”が複数個現われるという現象だ.どこまで一般化されるかはわからないが,著者はこの“不動点”を代用標識点(surrogate landmarks)とみなすことにより,曲線上の sliding semilandmarks の可動範囲に対する制約条件として利用できるのではないかと示唆している.フラクタル性よりもむしろこちらの方が役に立つように思われた.

—— 本章はこれでおしまい.次回からは EDMA(Euclidean Distance Matrix Method)がテーマ.

◆昼下がりの取手あたり徘徊 —— 正午過ぎに帰宅.気温13.7度.今日の午後は半日年休を取っている.休む間もなく,午後2時前のTXで守谷へ,さらに関東鉄道常総線で取手方面へ.てくてく歩いて所用をすます.午後になっても日射しはあるが気温は低いまま.空気も乾いて,気分はもう冬だ.夕方5時過ぎ,もう暗闇が降りてきた頃,またてくてく歩いて帰路に着く.つくばに帰り着いたのは午後6時過ぎ.吹きつける北風がとても寒かった.

◆車中読書 —— ダグラス・ボッティング[西川治・前田信人訳]『フンボルト:地球学の開祖』(2008年10月25日刊行,東洋書林,ISBN:978-4-88721755-3 → 目次版元ページ)の残りの章を読了.後年,シベリア探検までしていたとは知らなかった.晩年,主著『Kosmos』をこつこつと書き進めていたが,存命中に出た第4巻を書き終えたのはなんと89歳のときだったという.最終の第5巻の途中で力尽きたというが,気力も体力もおそろしくタフな人物だったのだろう./ついでに,さくっと:ジュウ・ドゥ・ポゥム『パリの本屋さん(Paris Bouquins)』(2008年5月10日刊行,主婦の友社,128 pp.,本体価格1,800円,ISBN:978-4-07-261574-4 → 版元ページ).読むというよりも,さらっと眺めたという感じ.やはり古書店がいい味出してます.

◆放射冷却で気温が下がっている夜は,統計研修の新作スライドでもつくろうかと思い立ったが,指先がかじかんでキーボードが打てまへん(ウソ).

◆本日の総歩数=15062歩[うち「しっかり歩数」=5666歩/54分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.9kg(+0.3kg)/23.1%(−0.8%).


18 november 2008(火) ※ なんだか終日トドを撃ちまくり

◆午前4時半起床.晴れところどころ曇り.気温10.3度.月は見えても星は見えず.

◆高座がないとトドが押し寄せる —— まったくもって雑用トドを朝から撃ちまくっているよーな:1) ついにワタクシのもとにも届いた「ねんきん特別便」の内容を年金手帳と照合してチェックしたが,とくに致命的な問題点はなかった.返答用紙に記入して封緘する.職場でまとめて提出するらしく,厚生に届ける.この件は終了.;2) これまた季節の恒例行事だが,「年末調整」のためのさまざまな文書を用意する.毎年決まっていることなので,段取りよくコトを進めればいいものを,いつも直前になってばたばたしている.いくつかの証明書のたぐいを方々から取り寄せて,なんとかサマになってきた.まだ不足しているコンポーネントはあるのだが,何でもいいからとにかく提出してしまった.出したもん勝ちだ.;3) 来月分の出張伺・年休届・兼業願をまとめてドンと出した.これで年末までの不在が“公認”される.

◆午前10時半.快晴.気温17.4度.暖かい.全国的には寒波が押し寄せているそうだが,関東だけは例外みたい.

◆献本ありがとうございます —— 長谷川寿一・C. ラマール・伊藤たかね(編)『こころと言葉:進化と認知科学のアプローチ』(2008年10月30日刊行,東京大学出版会,iv+236 pp.,本体価格3,200円,ISBN:978-4-13-083048-5 → 目次版元ページ).分担執筆者がたくさん.

◆午後もトド撃ちは続く —— コマバ三点セット.今週の木曜(11月20日)だけでなく,大分巡業から帰ってきた日(12月4日)の分も用意する必要がある.講義スライドはすでにあるので,出席カードとハンドアウトのしたくをすればいい.原稿をつくって,コピーを依頼したのが午後4時.意外に時間が取られた.〈租界R〉にアップしてこの件は一件落着./出張の復命書と参加費の立替払請求書をレシート付きで作成して提出.午後4時半.今日はこういう雑用で一日が終わりつつある.

◆さらなるこまごま —— 音羽から探針メールあり./月の半ばだが「トド撃ちリスト」を更新した./領域の忘年会が動きはじめた.RP成績検討会にシンクロさせて忘年会を実施するとのこと./東京農大の忘年会もあるよねえ.

◆晴れ渡る星空.夜になって気温が急に下がってきたようだ.Mendoza(Lujan de Cuyo)にある〈Doña Paula〉の白ワイン「Los Cardos」(Chardonnay)がポトフとともにまるまる一本きれいに空になってしまった.ちと呑み過ぎという声もある…….それにしても,チリ産ワインは品揃えがたくさんあるのに,アルヘンティーナのワインがあまりないというのはどーいうことなのか.ついでに,王祿酒造の〈超辛純米〉も買い込んでしまった.こちらは,和風のおでんの方がいいかな.広がる楽しみ.

◆そろそろ年の瀬の慌ただしさが感知されるようになってきた.来週の連日細切れ出張と再来週の大分統計巡業をこなしたら,もう師走の真っ只中だ.立て続けの忘年会のはざまにRP成績検討会がはさまってじたばたと,マーラー〈復活〉演奏会に出演し,つくば古典音楽合唱団の〈クリスマス・オラトリオ〉演奏会を聴いているうちに,もう年末だ.今年も残りが見えてしまった.

◆本日の総歩数=8887歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.6kg(+0.4kg)/23.9%(+0.8%).


17 november 2008(月) ※ 統計研修の後半戦は銀杏が舞う

◆午前4時起床.霧.気温11.6度.湿った冷え込み.しかし,朝日とともにしだいに青空が広がってきた.午前9時には快晴.気温も高くなり,10時には14.7度に.快適な晩秋の一日だ.農林団地構内のイチョウも今がちょうど見ごろで,とくに筑波事務所と動物衛生研究所の銀杏並木の色づき方が見映えがする.春なら桜だが,秋は銀杏だ.

◆週明け早々,朝のこまごま —— すべて東大理学部「生物統計学」教務関連:1) 定期試験は昨年同様,レポートを出題することを連絡.;2) 非常勤講師の履歴書のアップデートを忘れていた.この件も処理完了.;3) 今月の授業日についての確認メール.“2号館”からは「13日,20日,27日」に出講との連絡があったのだが,「27日」午後は総長選のため全学休講のはず(だから,東京農大に出講する時間ができた).その旨を返信したら,折り返し「そうでした」との返事.一瞬「ダブル・ブッキングか!」とひやひやしたが,杞憂だった.

◆さらなるこまごま備忘メモ —— 来週は農環研にまったく来ない予定なので,来月の出張・兼業・年休の届けは今週中に出さないといけない./年末調整に関わる提出書類の締め切りは明日./先日届いた「ねんきん特別便」は内容チェックした上で,農環研庶務(厚生担当)に提出せよとのこと./今週木曜のコマバ高座のための三点セットを用意すること.前2回分の質問が届いているのでその対応が必要.そろそろ第1回目のレポート課題を考えないと(12月初回に出す予定).

◆数理統計研修の後半戦開始 —— 動衛研の銀杏並木を通り抜けて筑波事務所に向かう.部外者は立入り禁止なので(あ,ワタクシも部外者かも),ぎんなんが誰にも拾われないまま歩道に転がっている.基礎編と同じく応用編も,情報センター2階のプレゼンテーション室が会場になっている.10:45〜12:15は「多変量解析概論」の講義を受け持っている.受講者は約30名.基礎編からそのまま“出家”し続けている人は半分くらいか.高次元空間に散らばる多変量データの本性について話をしたのちに,変量間の共変動の直感的把握をしてもらい,続いて共分散と相関係数の定義と高次元確率分布のRによるグラフィクスのデモンストレーション.今週もみなさん頑張って生き延びてください.次回来るのは木曜午前で「計算機統計学」を3時間講義します.

つくばでの数理統計研修はもう半世紀近い歴史があり(つくばに移転する前の東京・西ヶ原時代も含めれば),ぼく自身も農環研に入った1989年以降,ほぼ20年にわたって毎年教壇に立っている.この間にも統計処理をめぐる環境は大きく変わったし,受講生(ユーザー)の求めているものも少しずつ移行しているにちがいない.数理統計研修は調達できる講師(大部分は農水省独法の研究員)によってそのカリキュラムが確定し,例年あまり大きな変化はない.かつては勢力を誇っていた「SAS」や「Excel」をパージして,研修では「R」の覇権を確立したのはひとつの成果だろう.しかし,今のように手近に集められる講師の顔ぶれを見てからカリキュラムを決めるのではなく,逆に講義すべき内容を先に決めてそれを担当できる講師を独法の内外を問わずに集める方が研修の効果はより高まるにちがいない.「なかのひと」ばっかりそろえたのでは,講義内容のばらつきやバイアスが弊害になる危険性があるからだ.

—— ということで,来年以降は積極的に「そとのひと」にも白羽の矢を立てるように農研機構の研修担当者に進言してみよう.※心当たりのある方は覚悟してね.

◆さらにぽかぽかと暖かな昼休み.気温は17.3度に達している.風もなく,薄い雲がかかっていて,小春日和という形容がぴったりだ.

◆昼下がりのこまごま —— 電通のアンケートはすでに返送した./打族仲間から“のぐっちゃん”の80歳記念パーティを新百合丘あたりで新春1月31日(土)に開催する予定との通知あり.もちろん「出席」の返事を返す./東大の専攻忘年会は12月9日(火)に決定しそうとの連絡メールあり.場所は未定.

◆黄昏時のトド撃ち連射 —— 先日来,Apple Mail の「受信箱」に未処理メールが数十通も堆積している.不在がちだとこういうことになる.精神的閾値を越えたので,いっぺんにすべて討伐するすることにした.メーリングリストの登録作業数件はさくっと./統計コンサルティング業務がひとつ.これまた最節約的に返答した./日本生物地理学会の古いバックナンバーの論文コピー依頼を受けていたが,これまた処理完了./首都大学東京の集中講義(9月)のレポート出題を今まで放置してしまった.申し訳ない.さくっとデータを用意して,ぱぱっと問題をしつらえて,そのまま南大沢に返信完了.受講生のみなさん,提出よろしく.あわせて,来年の首都大学への出撃予定(シラバス)の更新についても返事を書いた.群馬大の青木さんの「R統計学」ドキュメントはいまはもう公開されていないことを知った.

—— いずれにしても,夕闇迫る中での連射により,受信箱は[一時的にせよ]すっかり空っぽになってくれた.よかったよかった.

◆午後5時半に帰宅.曇って冷え込みなし.夜,〈大七・ひやおろし〉も空っぽになってしまった…….

◆本日の総歩数=10306歩[うち「しっかり歩数」=1636歩/15分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.2kg(0.0kg)/23.1%(−0.3%).


16 november 2008(日) ※ 歩き回るたびに雨に降られる日

◆今日も寝坊して午前6時半に起床.曇り.久しぶりに筑波大学方面に向かって歩き読み:ダグラス・ボッティング[西川治・前田信人訳]『フンボルト:地球学の開祖』(2008年10月25日刊行,東洋書林,ISBN:978-4-88721755-3 → 目次版元ページ).第12〜14章を読了.チンボラソ登頂から北米歓待,そして帰国後の窮乏まで./往路はよかったが,〈Brotzeit〉からの復路でまた雨が降り出してしまった.濡れ濡れて進軍.午前8時前に帰宅する.

◆備忘メモ —— 本郷の東大正門前にあったベーカリー〈カヤシマ〉がこの9月末をもって店を閉じてしまったそうだ.長年にわたって老夫婦が切り盛りしてきた店だったが,とても残念だ.

◆午前のうちに空はいったん明るくなってきた.段取りをつけること:1) 11月17日(月)の専攻説明会への連携講座からの出席者を確認すること;2) 11月19日(水)の午後は年休をとること.;3) 領域の忘年会はどーなるんですか?;4) RP成績検討会の日程は?;5) 年末調整用の文書の耳を揃えること.

◆着便した古書 —— Léon Croizat『Inrtoduction raisonnée à la biogéographie de l'Afrique』(1968年12月刊行,Separata das Memórias da Sociedade Broteriana, Coimbra, Volume XX, pp. 1-451 → 目次).フランスの古書店 Librairie Tournefeuille(Montolieu)から届いた本.アフリカ大陸の汎生物地理学に関するモノグラフ.ポルトガルの Coimbra にある植物学会 Sociedade Broteriana から発行されている刊行物だが,本文はフランス語だ.タイトルページに「Hommage de l’auteur」というスタンプが押されていたので,おそらく著者からの献呈本が古書となって流出したのだろう.この Memórias は1930年の創刊以来,植物地理学に貢献するという趣旨で出版されてきたと序文に書かれている.なお,450ページもあるこの論考は,ほとんど1冊の「単行本」並みの分量があるが,目次も索引もいっさい付いていない.

ついでに,今年はじめに届いた:Léon Croizat-Chaley『Biogeografía Analítica y Sintética ("Panbiogeografía") de las Américas (Tomo I y Tomo II)』(1976年5月刊行,Biblioteca de la Academia de Ciencias Físicas, Matemáticas y Naturales, Caracas, Volumen XV [Tomo I], pp. 1-454; Volumen XVI [Tomo II], pp. 454-890 → 目次:Tomo I / Tomo II)も,よくよく見てみたら,下巻のタイトルページに「Para el Dr. Dante Borelli」という著者サインが記されていた.著者献呈本だったのか.ちなみに,Dante Borelli(1920-1997)は,Croizat と同じイタリア出身で,ベネズエラで研究キャリアを積み,この国の医療菌類学の基盤を築いた研究者だそうだ.

—— これまで手元にやってきた Leon Croizat の本のトークンとしての来歴から推論すると,彼は自著や別刷をかなり広範囲に送付していたようだ.それらははたしてどれくらい実際に読まれたのだろうか.多言語かつ大部な論考を読むだけでもたいへんな作業だろうから.

◆午後は曇天.こまごま —— 農環研に潜入して,印刷とコピーを2件.さくっと完了./JTBにて大分行きの航空券を買う.往路は11月30日(日)のJAL1789便(羽田13:40→大分15:25),復路は12月4日(木)のJAL1786便(大分12:20→羽田13:40).これで,巡業のための「宿」と「足」は確保できたので,大分県庁に確定分の旅程のメール連絡をすませた.研修期間中の大分市内の“幽閉場所”は未確定だが.

—— そのうち,またまた雨がぽつぽつと降り出し,すぐに本降りになってしまった.15:30の気温は15.6度.今日は外に出るたびに降られてしまうな.

◆明日からは数理統計研修の応用編が始まる.基礎編ほど担当講義は多くないがそれでも合計すればまる一日くらいの講義時間にはなるだろう.スライドのしたくはもうすんでいるので余裕だ.しかし,合間の木曜にはコマバ高座も入っている.

◆本日の総歩数=11381歩[うち「しっかり歩数」=7504歩/65分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.2kg(−0.3kg)/23.4%(−0.4%).


15 november 2008(土) ※ 俺様味噌なベンベラの昼下がり

◆ゆるゆると午前5時40分起床する.曇りところどころ晴れ.冷え込みはない.今日は終日何にも予定がない土曜日なので心置きなくゆるゆるできる.

◆豊後の国への旅支度の始まり —— 予定はないがトドはいる.師走の大分統計巡業が2週間後に迫ってきた.まずは「宿」と「足」を確保しないと.大分県庁での今回の統計研修は実質3日間だが,前後の移動日が1日ずつある.昨年と同じく,湯煙の向こうから登場し,湯煙のかなたに消え失せることにしたい.いくつかサイトを渡り歩いた結果,大分に入った初日(11月30日)の夜は,別府・明礬温泉の〈温泉旅館 ゑびすや〉に,そして最終日(12月3日)の夜は別府・北浜温泉の〈くつろぎの温泉宿 山田別荘〉をオンライン予約した.研修期間中のホテルは県庁の担当者氏に確保してもらうことにしよう(大分市内で).これで「宿」の問題はほぼ解決した.次は「足」だが,大分への往復フライトは今日か明日のうちに近くのJTBで決めてしまおう.

◆午前のこまごま —— 海外旅行に持ち歩いた大きなスーツケースを貸し倉庫に放り込みに行った.これで居住空間が広くなった./10:30の気温は17.1度.暖かい.晴れときどき曇りで昼前は日射しもあったのだが,正午を過ぎるとしだいに雲が広がってきた./近くに来たついでに,農環研に侵入して,週末の読書本と来週の統計研修の資料をもちだす.

◆久しぶりに近くの〈Ben-Bella〉にラーメンを食べに行った.しばらく前までは割にユニークなイタリアン系のレストランだったのだが,最近,一挙に大変身して独自派ラーメン店に衣更えした.

大変身を遂げる前から「特製トマトラーメン」で有名だった店だが,そのラーメン路線に特化してメタモルフォーズしたということだ.トマトラーメンはそのままメニューに残っているのだが,ここに来たからにはやはり店主お薦めの「俺様味噌ミルクトマトカレーラーメン」という ほとんど味の想像すらできない一品を注文するしかないだろう.辛口でオーダーしたところ,見た目にはふつうのカレーラーメンみたいな丼が運ばれてきた.とろみのあるカレーソースの下には煮たトマトのざく切りが隠れている.スープがまろやかなのは牛乳ベースだからだろうか.平打ちの麺にソースをからませて食べているうちにほかほかしてきた.美味でした.ごちそうさま.

もうひとつ,秋から冬にかけての限定メニューという「ザ・ホワイト・ラーメン」もまた,その得体の知れなさが好奇心をそそる.これは丼ではなく皿に盛られてテーブルに登場した.チーズ風味のホワイトソース(これまた牛乳ベース)がからんだ平打ち麺だが(下の方から真っ赤なトマトが出土するサプライズ),黙って供されればイタリアンのパスタの一品と誤解する客もいるにちがいない.まろやかな味わいで,寒くなるこれからの季節には食べたくなるメニューだろう.でも,個人的にはカレー味の方が好ましい.なお,サイドオーダーの水餃子は,最近メニューに載りはじめたばかりだという.定番の杏仁豆腐をおみやげに買って帰る.

◆午後2時前に店を出たときには,今にも雨が降りだしそうな空模様になっていた.気温はなお高めに推移している.午後4時半,早くも暗くなってきたなと思って外を見たら,雨がしとしと降り出していた.天気予報通りだ.夜になってもやむことはなく降り続く.とある頼まれ仕事に絡めとられてしまって,もうすぐ日が変わる.

◆明日の用事は,大分への航空券を確保すること,そして統計研修(応用編)の講義準備をすること.これがとりあえずのトド.原稿書きトドも何頭かのたうっているが…….

◆本日の総歩数=5556歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(0.0kg)/23.8%(−1.5%).


14 november 2008(金) ※ 朝はR,昼は質疑で日が暮れる

◆午前4時起床.満月星空オリオン座.気温6.8度.放射冷却.明け方の講義準備の続き.

◆万人を不幸にする Windows Vista —— 数理統計研修(基礎編)の最終日.午前9時から「R実習」.いつも通りRコマンダーを中心にして,基本的な統計計算の説明とともに,データの読みこみから解析結果の導出までの手順を自力でできることを目指した.しかし,その崇高なる目標の達成にとっての最大の障害は,ほかならない Windows Vista だった.これほど万人を不幸にするOSはない.これまでも方々でRを用いた実習をしてきたが,Windows Vista ユーザーはことごとく不幸だった.

「不幸の顔つきはひとつひとつちがっている」というのは Vista にはあてはまらない.Vista ユーザーの“不幸”はどれも同じ表情をしている.Vista にログオンするときは“神さま(管理者)”を演じなければならない.しかし,多くの場合,無辜の民は虐げられし“庶民(ユーザー)”にすぎない.Vista は“庶民”に対しては驚くほど無慈悲である.だから,“神さま”になるしかない.

今回の研修に際して,事前に「Windows XP マシンを用意するように」という通知を出したのは,つくばでの出家修業での無用な災厄を事前に防ぐためだった.しかし,現実にはVistaの乗ったPCが主流になりつつあるのは事実で,持参できるPCが Vista だったという受講生が10名ほどいた.そして,彼らはR実習においては危惧された通り例外なく“不幸”だった.

R本体のインストールは何も問題なかった.外部パッケージを展開するときにトラブルが生じた.パッケージの展開そのものはできたのだが,最後にhtmlファイル(パッケージリスト)を更新するときに「permission denied」という“神罰”が下った.Vista な人々はことごとくその神罰に打ちのめされ,累々たる屍の山が築かれた.

単に管理者モードでログインするだけでは不十分だったのだ.この苦界から脱出するための“蜘蛛の糸”はただ1本だけであるとことが格闘の末に明らかになった:「コントロール・パネル(クラシック表示で)」→「ユーザー・アカウント」→「アカウント制御」のチェックを外して「オフ」にする→PC再起動.これだけの手順を踏んでやっと Vista ユーザーにも XP ユーザー並み(越えはしない)の“幸福”が訪れたのだ.

—— ここまでで実に1時間ほどかかってしまった.Rとは何の関係もないOSの迷宮から脱出するまでのロスタイムだ.まったくもってアホらしいかぎりだ.Vista ユーザーのくぐもった怨嗟の声はいつまでも続いた(ご愁傷さまでした).

◆午前のR実習は正午まで.ぽかぽかと暖かな日射しが降り注ぐ昼休みののち,午後の実習は1時から再開された.竹澤師がRプログラミングの実習を1時間担当した.午後2時過ぎからは質疑応答と総合討論.一般化線形モデルを用いたロジスティック回帰分析をRコマンダーで実行するデモを行なった.午後3時半に終了.受講生のみなさんはどうもお疲れさまでした.終日 Vista に翻弄されたワタクシもお疲れさまでした.

◆備忘メモ —— 質疑の時間に,「実験区のレイアウトを無作為化するための具体的な方法ハ?」という質問が出された.一昔前なら「乱数表を使って」と即座に答えたのだが,もちろん今ではそういう[紙の]乱数表を使っている人はほとんどいないだろう.ではその代わりになるのは何だろうか.単純に無作為化配置のためだけだったら,Rの関数「sample()」を使うのが手っ取り早い.たとえば実験区番号 1, 2, ..., n を同数の水準に無作為割り付けするのであれば:

   > sample(c(1, 2, ..., n), replace=F)

という無作為順列の生成をすればすむ話だろう.でも,確か,実験区の無作為化配置のためのRの関数があったような記憶があるのだが,すぐに思い出せない.

◆農環研に帰り着いたときには半ば「灰」と化していた.今日は一日中いなかったので,不在伝言がいくつか:東大理学部から非常勤講師のなんちゃら承諾書がまだ届いていないという連絡が企画戦略室経由で知らされたが,そんなもんは来週まわしですな.農環研の裁量労働制WGの久しぶりの会合が師走にあるという.所内ガルーンに年末までの行動予定を載せよというので,じゃまくさいけどちくちくと予定セルを埋めた.今月は自由日はぜんぜんありません.来月も第1週は埋まっています.第2週以降ならば何とかなるでしょう.

—— そんなこんなで,およそ2時間ほど「灰」のままごそごそ活動し午後6時半にとぼとぼと帰宅した.雲が厚くなってきたようだ.来週は,数理統計研修の後半戦(応用編)がある.その支度もしないといけないが,基礎編ほどハードではないから,まあ何とかなるでしょう.

◆お疲れな今夜は〈大七〉の「生もと・冷やおろし」をば.「生もと」の「冷やおろし」ってあるんですね(ほとんど見かけない).とてもいい味わいで.今月末の28日(金)はES特論の終了後,ヒミツの〈秋の試飲会〉が予定されている.何を用意すればいいか,今から考えている.そんなことをしているヒマがあったら早く原稿を書けという声が池袋方面から聞こえてくるのだが……(う゛).確かに,トド化している原稿仕事がいくつもあったりする.連日の高座のお勤めがすんだら,次は物書きか.

◆本日の総歩数=12800歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(+0.3kg)/25.3%(+1.7%).


13 november 2008(木) ※ 三週間ぶりの駒場での統計高座

◆午前5時起床.久しぶりの星空.寒い.しかし,朝日が上るとともに気温は急上昇し,ぽかぽかと小春日和になる.舞散る落ち葉.午前10時半の気温は17.1度.農環研でちょい仕事.

◆午前のこまごま(すべて東大がらみ) —— 時間切れなので「ES特論I」の時間帯変更を関係者と農学部教務に連絡した./11月17日(月)14:40〜16:10に「卒論テーマ説明会」あり.連携講座からは誰か出席しないことにはダメですよ./専攻忘年会の中間調整報告.9日(火)または10日(水)になる公算が大らしい.

◆三週間ぶりのコマバ高座 —— 正午前にいったん帰宅.午後1時25分発のTX快速に乗って,久しぶりの駒場.15時前に到着.うららかに晴れ渡る.気温は高め.キャンパス内はじわじわと駒場際へ向けてのボルテージが上がりつつあるようだ.生協書籍部を徘徊し,控室で講義準備.16:20〜17:40,講義.今日は実験計画法(1-factor CRD).このネタ,今年に入ってからいったい何回目だ?(もうすっかり慣れてしまった).そろそろ第1回目のレポート出題を考えないといけないな.

◆今夜は午後6時半からパイプオルガンのある900番教室でハープ演奏会が開催されるらしい.すでに真っ暗になった駒場東大前から帰路に着く.読了本:鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』(2008年10月30日刊行,文藝春秋,ISBN:978-4-16-370660-3 → 版元ページ).本の話がいつの間にかワイン話に移行したり,その逆だったり.“重訳”についての翻訳家としてのコメントがおもしろい.ワイン通ならばもっともっと愉しめるにちがいない.初出は『文學界』の連載記事らしい.ひとつひとつは短いエッセイだが,それぞれに味わいがある.ここですかさず「〜ワインのように」とさらりと言えれば格好いいのだろうが,ワタクシはそれほどのワイン通ではない.造り手のちがいか,はたまたテロワールのちがいか.午後8時につくばに帰り着く.

◆夜のこまごま —— 明日は数理統計研修(基礎編)の最終日で,R実習が朝から午後まである.その後は質疑と総合討論の時間だ.寄せられた質問票をpdfで束ねて,回答を考える.明日は体力勝負(&わずかに知力勝負)だ.

◆本日の総歩数=12003歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.2kg(−0.4kg)/23.6%(−1.0%).


12 november 2008(水) ※ “タブラ・ラサ”な平日の憂鬱

◆午前4時起床.曇り.気温8.4度.ここのところ,朝型がさらに昂進している気がする.

◆今日は“何もない”平日だが,それがクセモノだ.こういうときほどすき間を埋めつくすように,沙漠の砂粒のごとき雑用が飛び込んでくる:この季節は「年末調整」のためのさまざまな書類を用意しなければならない.日常的な事務処理速度が遅いので「今日〆切」とか「来週〆切」というフラッグがいったん立ってしまうと,とたんに気分的にざわついて,他の仕事の進捗(それもまたアナザー雑用だったりするのだが)に悪影響がある.互いに悪影響し合う結果,全体として何も進まなくなるということ.特効薬は“何も考えず”あるいは“深く考えずに”コトをこなすようにすること.とにかく何でもいいから出してしまえば勝ちと考えよう.いずれにせよ,年末調整用の書類は遺漏なくかき集めないといけない(“金”まわりのことは融通がきかないから)./「ねんきん特別便」が届いてしまった.手元の国民年金手帳との照合をした上で,農環研事務に届け出よとの指示あり.はいはい./電通のアンケートに答えて,回答用紙の返送準備をちゃちゃっと完了する.

◆午前10時.曇り.気温は低いまま推移している.国道408号沿いのフウノキは今がちょうど見ごろだ.ただし,脇見運転は禁物.

◆砂粒以外の朝のこまごま —— 明日の駒場高座の三点セットを用意する.ハンドアウトと出席カードのコピーは完了.ハンドアウトについては〈租界R〉へのアップロードも早々とすませた./明後日の数理統計研修では「R実習」が朝イチから午後まである.必要なパッケージはすでにUSBメモリーに入れてあるので準備は大丈夫なはず.しかし,一般化線形モデル(GLM)のためのテストデータを追加で用意しないとか.『The R Book』のサンプルデータ集をつらつら眺めたり.

◆午後のこまごま —— 数理統計研修の質問票が回送されてきた.最終日のR実習に引き続いて,質疑の時間があるので,そのときまでに解答を用意すること.今回は割にラクかな.ひとつだけGLM関連の突っ込んだ質問が届いている.これまでの研修コースではGLMは「応用編」のひとコマとして組み込まれているのだが,これだけユーザーの裾野が広がっていることを考えると,場合によっては「基礎編」にまわした方がいいのかもしれない.※ベイズ法はまだ応用編にとどめておいてもいいだろうが./師走豊後湯煙統計巡業の事前質問票も回送されてきた.大分県庁の担当者からの話では,今年の受講生は18名とのこと.この点は昨年とほぼ同じ.また,セキュリティがさらに厳しくなってで,県庁外部からの“ぱそこん”の持ち込みはすべて御法度になったらしい.研修講師もPC持参ができなくなった.USBメモリー一本をサラシに巻いて大分県庁OAプラザに乗り込むことになりそうだ./そういえば,東大のES特論の“ダブル・ブッキング”問題はどのようにアナウンスするのだろう.明後日に第2回目の講義(担当はワタクシではない)があるので,そろそろタイムリミットだ.見切り発車で講義時間帯の変更通知を広報しますよ.関係者諸氏,よろしく.

◆午後5時過ぎに撤収.小雨がぽつぽつ降っていたが,ほどなくあがった.明日の講義資料などを抱えて帰宅.明日の午後はコマバに出没します.しかし,午前中は農環研で一仕事しないといけないだろう.

◆本日の総歩数=6106歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(−0.1kg)/24.6%(+0.9%).


11 november 2008(火) ※ 統計高座と太鼓隊で日が暮れて

◆午前3時半に目が覚めてしまう.曇り.気温7.8度.寒いな.冬の足音.日が射さないので気温がぜんぜん上がらない.午前10時になっても11.5度にしかならない.

◆今日も統計研修のお座敷が —— 午前中は講義準備を少しばかり.昼休みに太鼓隊の練習にちょっと出て(別棟でリムショットが響きわたる),その後,統計研修会場に向かう.午後1時から4時までは「実験計画法」の講義を担当する.幾度となく講義した内容なので,とくにつまずいたり,とちったりすることなく3時間の講義をさらっと終了する.受講生のみなさんはそろそろ蓄積疲労が自覚される頃なのでお気をつけを.

◆曇天のもと農環研にもどり,木曜の駒場講義のための三点セットを久しぶりに用意しはじめる.国内外に逃亡していたのでまる2回も休講してしまった.今日と同じ実験計画法の講義をする予定なので,スライドに関してはそのまま使える.あとは出席カードとハンドアウト.ついでにトゥクマン報告のスライドを数枚用意してみる

◆農環研・収穫祭での乱打 —— 午後5時から別棟にて太鼓隊の最後の直前練習.曲目は夏祭りと同じ〈つちのうえ〉なので,安心できる.ただし,出演までに呑み過ぎると手元が狂うぞ.午後5時半に開会.稲刈りの儀式ののち懇親.用意された料理はデンプン質が多いが,収穫祭だからそれでいいのだ.早々に日本酒に移ってしまう(自制しなはれ).午後6時半から太鼓隊の舞台.乱打ですな.マジ,乱れ打ちでした.みなさん,お疲れさん.午後7時過ぎまで参加して,その後は暗闇の中を農林団地中央バス停まで歩く.19:34のつくばセンター方面行きのバスに乗り,実に健康的に帰宅.

◆高座と演奏で心身ともに疲れたので,早々に寝てしまった.

◆本日の総歩数=14856歩[うち「しっかり歩数」=1726歩/16分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.6kg(0.0kg)/23.7%(−1.5%).


10 november 2008(月) ※ 統計研修初日は師走並みの寒さ

◆午前4時起床.曇り.夜中に雨が降ったらしく路面が濡れていた.気温8.4度.湿り気のある冷え込み.再び小雨が降ってきたが,その後は回復してきた.

◆夜明け前のこまごま —— 遅まきながら今月のトド撃ちリストの更新.気が滅入るなあ./本日の講義スライドと資料と機材の確認./日の出前に速攻で帰宅.街路樹のフウノキが日に日に色づいている.落ち葉の吹き溜りが点々と.

◆今日はバス出勤.7:42つくばセンター発の農林団地行きに乗る.バス出勤・電車出勤はいずれも性にあわないと実感.いやいや.

◆数理統計研修(基礎編)の初日 —— 今週は統計研修の担当講義がいくつか入っている.今日はしょっぱなに「統計学概論」.このところ方々で同じような講義をしているので,毎回“金太郎飴”な噺をしていたのではこっちが飽きてしまう.スライドをちょこちょこ修正してみよう.

午前10時過ぎに,研修会場に当てられている筑波事務所の情報センター・プレゼンテーション室に行く.10:30から講義開始.とくにトラブルもなく,1時間半ほどアジって正午ちょうどに講義終了.受講生のみなさんはこれから1週間(あるいは2週間)ちゃんと生き延びてくださいね.

◆午後は農環研にいったん戻る.いきなりこまごまに追いまくられてですね —— 昼休みの〈農環研タイコ隊〉の練習.明日の収穫祭に向けての直前じたばた練習を小一時間./午後1時過ぎに農環研の広報情報室(図書室)のライブラリアンさんがふたり来室.アルヘンティーナに海外逃亡しているときに,外部からの図書貸出しを依頼されたのだが,うまく“発掘”できなかったとのことで再度の来室.しかし,『テントウムシの自然誌』などという本が近辺のどの研究所にも所蔵されていないとはどーいうことなのか.それはさておき,所在場所は心眼の眼力でイッパツ発見,即座に掘り出した.で,用件はこれでおしまいなのだが,先日の発掘作業に来られたライブラリアンさんは,ワタクシの蔵書の方にむしろ関心があるらしく,しばらくあれこれ書棚の紙魚と変身されたのち,何冊かを借りていった.「三中さん,地下書庫に“三中文庫”をつくりましょう!」とのプロポーザルも聞こえたような聞こえなかったような……./午後3時すぎに,来客あり.新聞報道に関する打合せ.

◆晴れ間がのぞいてきた昼下がりのこまごま —— 年末調整にともなう提出文書の依頼.気忙しいな./RP成績検討会の日程調整.12月の上旬に開催予定.さらに気忙しいな./方々から原稿督促のアラシ.ううむ……./午後4時過ぎ,やっとメーリングリストへの月例アナウンスを流す.もう中旬じゃん.

◆午後5時前にふたたび筑波事務所へ.5時半から食堂にて統計研修受講生の懇親会に参加した.みなさん遠くからわざわざくるのがたいへん.研修期間に先立つ前泊と直後の後泊の人も多いという.約2時間ほど懇談してからバスでつくばセンターに帰ろうと思ったところ,タイミングよく農環研からの受講生の車に同乗させてもらえることになった.ありがとうございました.

◆一日中とても寒く,また寝不足のせいもあって,早々に沈没.

◆本日の総歩数=14297歩[うち「しっかり歩数」=6826歩/64分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.6kg(−0.2kg)/25.3%(+1.1%).


9 november 2008(日) ※ イッキにみなし冬日で冬眠状態

◆午前6時起床.曇り.今日も寒いな.ほぼ冬眠状態で動作がのろい.

◆休日のこまごま(すべて東大関係) —— “ダブル・ブッキング問題”その後.とりあえず,重複している時間帯をなくす案を関係者に提案する.要するに,one-day を half-day にするだけだが.よろしゅうに.専攻内の連絡システムの不備は別問題ね./専攻忘年会の日程案が提示された.もうそんな季節か.トド個体数の増減とは関係なく,年末は刻一刻と近づいてくる./ヒミツの〈試飲会(ためしかい)〉の決行ビラがヒソカに送られてきた.11月28日(金)午後6時から東大農学部構内某所にて.日本酒以外いかなるアルコール類ももちこみ厳禁です.

◆吉報 —— 「R本」をたくさん出していた九天社が今年トツジョとして倒産してしまい,一時期この業界に“R空白”ができていた.しかし,さいわいなことに旧・九天社のうち次の4冊がオーム社から一挙再刊されるという:

  • 舟尾暢男『R Commander ハンドブック』(2008年11月刊行予定,オーム社,本体3,200円,ISBN:978-4-274-06745-7 → 版元ページ).本書は,旧・九天社から出された同名の本(2007年8月13日刊行)を加筆修正して再刊したものとのこと.
  • 高階知巳『プログラミングR:基礎からグラフィックスまで』(2008年11月刊行予定,オーム社,本体3,800円,ISBN:978-4-274-06743-3 → 版元ページ).本書は,旧・九天社から『Rプログラミング&グラフィックス』(2008年5月15日刊行)のタイトルで刊行された書籍を加筆修正して再刊したものとのこと.
  • 熊谷悦生・舟尾暢男『Rで学ぶデータマイニングI:データ解析編』(2008年11月刊行予定,オーム社,本体3,600円,ISBN:978-4-274-06746-4 → 版元ページ).本書は,旧・九天社から『Rで学ぶデータマイニングI:データ解析の視点から』(2007年5月7日刊行)のタイトルで刊行された書籍を加筆修正して再刊したものとのこと.
  • 熊谷悦生・舟尾暢男『Rで学ぶデータマイニングII:シミュレーション編』(2008年11月刊行予定,オーム社,本体3,800円,ISBN:978-4-274-06747-1 → 版元ページ).本書は,旧・九天社から『Rで学ぶデータマイニングII:シミュレーションの視点から』(2007年10月18日刊行)のタイトルで刊行された書籍を加筆修正して再刊したものとのこと.

とりわけ『R Commander ハンドブック』が再刊されたことがありがたい.ちょうど明日から数理統計研修(つくば)が始まるので,研修生にもアナウンスできる.

◆この週末はゾンビのように室内徘徊していたが,明日からはまた高座が連続する.あいまはトド撃ちに勤しむことになるだろう.

◆本日の総歩数=3495歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.8kg(−0.2kg)/24.2%(0.0%).


8 november 2008(土) ※ イツツユビナマケモノの土曜日

◆午前5時起床.曇り.寒い寒い.なーんにもヤル気にならん.

◆放置されるトドたち —— いつもは月初めに出すはずのメーリングリスト宛アナウンスをいまだに放置している./『植物防疫』誌への投稿記事は先月末が締切だったが,いまだに放置している./大分統計巡業のフライトと宿を決めなければいけないのだが,いまだに放置している./9月に終わった首都大学東京の課題レポートを出題しないといけないのだが,いまだに放置している./東大理学部の非常勤講師に関する情報更新をしないといけないのだが,いまだに放置している./国内外の出張に伴う会費の払い戻しとホテルの領収書と復命書を出さないといけないのだが,[当然のごとく]いまだに放置している.

—— あまりにもたくさん放置トドがいるので,ぼー然としてそのままさらに放置した.

◆増殖するトドたち —— 今月から毎週金曜日に始まった東大のエコロジカル・セイフティー学特論だが,同じ専攻内の他の集中講義と“ダブル・ブッキング”しているという指摘が今日になって届いた.早く対処しないといけないな./神戸で『数理生物』誌への投稿を依頼された.年内締切りとのこと.LaTeX ですか.早く対処しないといけないな.

—— 望むらくはトド個体群が自然減少してくれることなのだが…….

◆それでも2頭だけは撃ちはたした —— インフルエンザの予防接種./昨日書いた農環研セミナーの要旨のメール送信.※仕留めたというほどではないが.

◆怠惰にも寝たり起きたりしているうちに日が暮れてしまった.

◆本日の総歩数=3250歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=84.0kg(−0.7kg)/24.2%(+0.1%).


7 november 2008(金) ※ 蒸し暑い立冬に須磨から元町へ

◆午前5時半起床.外はまだ雨が降り続いているようだ.冷え込みなし.のち雨は上がってすっきりしない曇天になる.

◆社会復帰のためのこまごま —— 国内外を逃げ回っているうちに,つくばではトドの放縦が目に余るようになってきた.調教できるのは本人しかいないので,当然の結末だ:1) 大分巡業高座まで1ヵ月を切ってしまった.航空券の準備と宿の確保を早くしないと路頭に迷います.;2) 農環研セミナー〈法面緑化における在来種栽植について〉の演題と要旨は今日までだ.白紙だ,手つかずだ.困った…….

◆どうもよろしくないな —— 午前10時にホテルをチェックアウト.雨が止んだのはよかったが,立冬というのにこの不快な蒸し暑さはいったい何なんだ.三宮から須磨海岸へ向かう.今日はさいわい午前中がフリータイムなので,ふと須磨の水族館(須磨海浜水族園)でシズカに癒されようと思い立った.それがそもそものまちがいだった.須磨海岸の駅ですでに水族館方面の行列が連なっている.こんな平日にどうして高校生や中学生がうろうろしているのだろう.しかし,水族館のゲート前に大型バスが何台も横づけされ,幼稚園児のグループや,かしましい小学生たちの大集団がひしめいているのを目撃した.どうやら今日は[運悪く]市全体の休校日で,社会見学に当てられているようだった.当然,館内はとても混雑していて,癒されるどころではない.入ってはみたものの半時間もいないで出てきてしまった.これはハズレだった.

しかし,めげてはいけない.次はみーはーにも元町(→公式サイト)だ.しかし,駅前から元町のアーケード街に入ってはみたものの,あまりぴんとこないな.南京町といっても中華街のミニチュア版だし,だからといって元町の名店でばーっと買い物できるほどの財力もない.〈海文堂書店〉で物色し,運よくすいていた〈EVIAN〉(→紹介サイト)でサイフォン珈琲とステーキサンドをいただいて,早々に神戸大に向かうことにした.12時半に瀧川記念館に到着.

◆元町・海文堂書店での入手本 —— 鴻巣友季子『カーヴの隅の本棚』(2008年10月30日刊行,文藝春秋,ISBN:978-4-16-370660-3).ワインと本と翻訳.こういう本,好きです.シンプルに./『ほんまに volume 8』(2008年10月1日発行,シースペース/海文堂書店 → 版元ページ).この書店が出している『海文堂通信「海会」』の別冊『ほんまに』の最新号(vol. 8)が平積みしてあった.神戸版・本の雑誌.

◆ISHPSSB 最終日 —— 今日は午後1時から東アジアの優生学に関するシンポジウムがある.オーガナイザーは松原洋子さん(ごぶさたしてます).午後3時まで.中国と香港での1920年代の優生学史をふりかえると,ラマルク進化説の影響が強かったという報告あり.また,日本の優生学においては“種族”という用語が用いられていたという.

午後3時過ぎからは,最後のシンポジウム〈Japanese Biology in Colonial Imperial Universities〉.まずはじめに,Manyong Moon「Nationality in Biology?: Butterfly taxonomy in the colonial Korea」.石宙明(Seok Joo-Myung: 1908-1950)は,「朝鮮的生物学」の主唱者にして,鱗翅類学者だった.学生のときは鹿児島大学農学部で教育を受け,後に帰国する.戦後,国立科学博物館に来日(1946-50).“Lumper”として蝶類の分類を手がけた彼は,韓国の蝶類リスト(A synonymic list of Butterflies in Korea)を作成する(1940年).その過程で,北海道帝国大学の松村松年との対立あり.死後,Distribution Maps of Korean Butterflies を出版した.75万頭もの標本を蒐集し,個体変異を網羅することで,数多くのシノニムを除去した.統計学的な分類学を目指したが,目的を達成する前に逝去.1930年代に Korean Studies Movement あり.「朝鮮的生物学(Korean biology)」とは朝鮮半島の動植物相の独自性を確立する作業.生物に対する“朝鮮名”を積極的に命名する.

続いて,藤原辰史「Rice Breeding in the Japanese Empire」.戦前のイネ育種にまつわるさまざまな歴史的エピソード.北海道の上川農業試験場でつくられた〈富国〉は富国小唄という音楽まで作曲されたほど,期待の品種だったという.いもち病(稲熱病)との闘い.台湾での〈蓬莱米〉の育種と作付奨励のエピソードもおもしろかった.最後は,大永理沙さんによる日本の養蚕業がどのようにしてタイに伝播したかの講演.

—— 午後5時半にワークショップの全日程をすべて終了した.みなさん,お疲れさまでした.今回の Off-year worshop の大きな目的は,来年7月12日〜16日にオーストラリアのブリスベンで開催される大会(→ISHPSSBページ)への東アジアからの参加者の掘り起こしにあった.効果があればいいと思う.ワタクシはどうしましょ.いま予定表をチェックしたらメキシコでの〈ICSEB-VII〉の日程が「7月5日〜7月10日」と記されている.こりゃ ISHPSSB には参加できるわけがない(国際会議をハシゴしてはいけないという教訓).

◆今夜も神戸に泊る参加者は“Japanese Izaka-ya”で懇親会打ち上げだぁと塚原さんは言っていたが,ワタクシはさすがにもう帰りたいな.雨は午後3時頃は割に強く降っていたが,夕暮れにはもう小降りになっていた.キャンパス南端の急坂を転がるように降りて,六甲駅から梅田方面へ.JRで新大阪から7時ちょうどに出る「のぞみ44号」に乗る.車中で農環研セミナーのアブストラクトを書いてしまう.

◆冷え込みはなく車中も駅ナカもどこもかしこも蒸し暑かった.つくばに帰り着いたのは午後10時45分だった.先月末からずっと国外と国内の出張を連チャンした末に,やっとふだんの「日常」にもどることができるはずだが,来週からは数理統計研修が2週間の日程で始まってしまう.その翌週は連日の近隣巡業高座だ.さて師走は?というと大分湯煙巡業がしょっぱなにある.

—— 何のことはない.少なくともあと1ヵ月間はずっと「非日常」が続くということだ.

◆本日の総歩数=13849歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前日比)=未計測/未計測.


6 november 2008(木) ※ へろへろ気味でお座敷を勤める

◆午前5時半起床.曇りのち晴れ.今日も天気がよさそうだ.午前7時に1階の〈ちそう〉にて朝食バイキング.和食のあたたかい品々がずらっと並んで,とても充実していた.朝食がいいホテルは個人的には評価が高くなる.部屋そのものはごく標準的な都会のビジネスホテルなのだが,バス洗面所のユニットがとても大きく,こちらのスペースにいる方がゆったりできるというフシギなつくりだ.

さて,朝食後,ホテルの部屋でさっそく追い詰められてのスライド準備を再開する.ドロナワがうんうんうなっているがごとし.けっきょく正午前までホテルにこもり,いちおう必要なスライドはすべてつくったと思う.その後,阪急三宮から神戸大に直行する.12:20に会場に入る.

—— ところが,いるはずの ISHPSSB な人たちが誰もいない.事前のタイムテーブルではシンポジウムがもうすぐはじまろうという午後1時前になっても,まったく人影がない.どーしたことだろう.会場もロックされたままだし,しかたなく会場外のベンチでさらなるスライドの追加と調整をば.午後1時過ぎにぱらぱらと見慣れた顔が集まってきた.午前中の理研CDBの見学が長くなってしまったとのことで,午後のシンポジウムは始まりが1時間ズレ込むことがわかった(知らんぞ,そんなもん).

ISHPSSB 二日目 —— 今回の ISHPSSB ワークショップ参加者は全体では30〜40名ほどいるはずだが,シンポジウムによって人の出入りが大きく,常時いるのは20名ほどだった.塚原さんの話ではペギオくんが来るはずだったのだが,本日の会場では視認できなかった.

◆午後2時からわれわれのシンポジウム〈Systematic Biology and the Species Problem〉 —— 与えられた2時間をさくさくとオーガナイズしたつもりだが,直前までばたばたしていたので,ばたばたと終ってしまったという感じ.ダイレクトに【種】について論じたのはぼくと小野山敬一さんだけだったが,the species problem の“地形”の複雑さはあちらこちら“MCMC”してみないとわからないもんね.その意味では,佐々木顕さんの表現型の「離散化」の講演や倉谷滋さんの「phylotype」の話は射程の中に入っている.

休憩後,午後4時過ぎからは,やっと登場した佐倉統さんがオーガナイズする「neuroethics」のシンポジウムだ.

◆今回のワークショップでのお勤めも果たし終えたので,これでやっと国際会議の連チャンという,あまり歓迎しない多忙さから脱却することができた.そして,年内に撃つべき特大トドも何とか仕留めたことになる.しかし,『生物科学』の生物学哲学特集を早急にカタチにしなければならないという新たなトドが誕生した(というか急に大きく成長した)こともまた事実だ.

◆午後6時過ぎに終了.どこかの教会からカリヨンが鳴り響いていた.異国やなあ.夜景がとてもきれいだった.トゥクマンも神戸も夜景が印象的な街だ.参加者たちは今日も夜の巷に融け込んでいくようだったが,倉谷号に拉致されたぼくと小野山さんは,逆方向の新神戸駅方面に向かった.駅前のとある大きなビルのなかにある鉄板焼〈ゆ也〉にて,焼肉とお好み焼きなど.帰りは三宮駅前でおろしてもらった.雨が強く降りはじめ,ホテルにたどり着く頃にはだいぶ濡れた.気温は高めで11月とは思えない.午後9時前にホテルに帰りつき,あとは静かな夜を過ごすことにする.シンポジウム後は後方の席でときどき意識がなくなっていたが,きっとそうとう疲れていたにちがいない.

◆備忘メモ —— 倉谷滋推薦書:スティーヴン・ジョンソン[矢野真千子訳]『感染地図:歴史を変えた未知の病原体』(2007年12月30日刊行,河出書房新社,本体価格2,600円,ISBN:978-4-309-25218-6 → 版元ページ

◆本日の総歩数=7433歩[うち「しっかり歩数」=1427歩/14分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前日比)=未計測/未計測.


5 november 2008(水) ※ 丸腰で神戸に降り立つ不届き者

◆午前4時半起床.晴れ上がって,とても寒い.霜月なのだから当然なのだろうが.

◆早朝のじたばた —— 夜明け前に講演準備をしようとするが,もちろん時間切れで,あとは神戸に乗り込んでから,何とかひねり出すしかないか…….※まったくもう.

◆西方への国内プチ旅行の始まり —— 午前7時25分発のTX快速に乗る.途中停車するたびに通勤客がどんどん乗り込んできて,南流山ではぎゅうぎゅう詰めになる.こんな時間帯のTXにはまず乗らないので,平日の通勤時間帯の込み具合をぜんぜん知らなかった.秋葉原で吐き出されて,そのまま東京駅へ移動.曇りときどき晴れ.気温は高くなってきた.9:00発の新大阪行き「のぞみ113号」に乗車.こちらも満席だった.11:36に新大阪駅に到着.

◆車中読書 —— ダグラス・ボッティング[西川治・前田信人訳]『フンボルト:地球学の開祖』(2008年10月25日刊行,東洋書林,ISBN:978-4-88721755-3 → 目次版元ページ).19世紀はじめに未踏のオリノコ川流域をはじめ,南米各地の探検を行なった Alexander von Humboldt の大きな伝記.原書出版は今から30年前だが,日本語で読めるフンボルト伝がほとんどない現状を考えれば,いい訳業が出たといえるだろう.20年前のピエール・ガスカール[沖田吉穂訳]『探検博物学者フンボルト』(1989年12月20日刊行,白水社,ISBN:4-560-03017-0)は何といっても薄すぎた.地理学・気候学の先駆者としてのフンボルトの業績はあらためて再評価されつつあるのだろう.

前半100ページほどを読む.フライベルク鉱山学校を出たフンボルトは,鉱山を管理する役人としてドイツ各地まわったが,同時代の探検家たち(フォルスター,ブーガンヴィル,サンピエールなど)から大きな影響を受けていたという.第5章までで誕生から南米探検までの前半生が述べられている.

本訳書の資料性は,訳者による力のこもった解説と付録によって大きく高められていると思う.2名の訳者による解説記事が計50ページあまりもあり,さらにフンボルト関連小辞典(35ページ)と年譜など(10ページあまり)が翻訳に際して新たに付けられている.

◆備忘メモ —— Nikolaas Rupke の最新刊としてフンボルト伝が出ていることを知った:Nicolaas A. Rupke『Alexander von Humboldt: A Metabiography』(2008年6月刊行,The University of Chicago Press,ISBN:9780226731490 [pbk] → 版元ページ).「メタ伝記」というサブタイトルに惹かれる.時代の“英雄”フンボルトが各種の伝記の中でどのように描かれてきたかを論じているらしい.現物を早く入手しよう.

◆瀧川記念会館での〈ISHPSSB Off-year Workshop Kobe〉の初日 —— 新大阪から梅田に出て阪急神戸線に乗換える.阪急神戸線に乗るのはこれが初めてかもしれない.でも,ひょっとしたら35年ほど前に一度だけ来たことがあるかも.六甲にて下車.駅前でタクシーに乗り,六甲山腹を這い上がり(坂きついやん),やっと神戸大学・瀧川記念学術会館にたどり着いた.神戸市街を見下ろす六甲の中腹のキャンパスはきれいに紅葉していた.キャンパス自体はもっと上の方まで広がっていて,イノシシとの遭遇確率も高まるそうだが,今回の会場である瀧川記念学術会館は南端にあるので,会場のまどを全開にすると下界が一望で見渡せる.

午後1時からオープニング.ワークショップ事務局を担当された塚原東吾さんの最初のあいさつでも,眺望と夜景のよさを強調していた.Michael Dietrich さんの開会あいさつのあと,生物学哲学のセッションが二つ続く.午後5時まで.しっかり“内職”させてもらって明日のスライド準備(しかし終わらず……).午後6時から階下の食堂にて懇親会.午後8時に散会,神戸の夜景を見おろしつつ,一堂で坂道を下り,三宮に出る.賑やかな駅前の一角にある〈SAKANAいっき〉にて二次会.午後11時過ぎに〈神戸三宮ユニオンホテル〉にチェックインした.20階もある高層ビジネスホテルだ.

◆さすがに切羽詰まってきたので,明日の午前中は,参加者のみなさんが理研CDBに見学に行っている間に,ちくちくとスライド準備をするしかない.

◆本日の総歩数=11042歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=未計測/未計測.


4 november 2008(火) ※ 海外出張と国内出張のすき間に

◆いつものように午前4時半起床.時差ボケなんか感じていないというよりも,常時ボケているような…….夜明け前は晴れて星空.国外では感じなかったほどの冷え込み.研究所の温度計は「8.3度」を指していた.街路樹のイチョウやフウノキもすっかり紅葉していて,ばらばらと(はらはらとではなく)落葉が始まっている.道路のあちこちに山盛りの落葉吹き溜りができる日も近い.

◆朝のこまごま —— 海游舎にカマジン本の残りのゲラすべてを返送した(7章分+文献リスト).解決できていない箇所はまで散在しているが,とりあえずゴールまで駆け抜けたということで,よろしく./忘れないうちに,アルゼンチン出張の復命書とか,搭乗券半券の提出とか,事務トドをさくっと仕留める.

◆〈つちのうえ太鼓隊〉第2回公演 —— 11月11日(火)の夕方から毎年恒例の「農環研収穫祭」がある.実行委員長の発案で,夏祭りに続いて〈つちのうえ太鼓隊〉の2度目のお呼びがかかった.晴れ上がった昼休みの屋上にて,太鼓の練習.参集した人が少ないので,ほぼ個人練習だった.

◆献本ありがとうございます —— 伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』(2008年11月20日刊行,名古屋大学出版会,iv+364 pp.,本体価格2,800円,ISBN:978-4-8158-0599-9 → 目次版元ページ正誤表).きっちり学んだことがないので,「倫理学」と聞くと何かしら“つかみどころ”がないものという先入観しかない.しかし,「学」抜きの「倫理」となるともう少しイメージらしきものが見えないわけではない.ただし,それはあくまでも“ヒト”を相手とする場合に限られる.他の動物(や植物)に対面したときにも倫理とか福利とか権利を論じることが果たしてできるかどうか.一般的な“生き物”を対象とする「倫理」とか「倫理学」っいったい何なのでしょうか,伊勢田センセ! —— という疑問をもったみなさんは本書の潜在的読者なのだ.個人的にはこのコンテクストでの,「人間/動物」の仕分け(分類)がどのような歴史的経緯で行われてきたのかが気になる.

◆午後のこまごま —— 東京農大・開発専攻のスポット非常勤講義の出講依頼書が届いたので,連携推進室→人事課→企画戦略室とタライに乗って流される.農環研に来てもう20年にもなろうというのに,どこのセクションがどんな職務を分掌しているかを把握できていない.もちろん,組織がどんどん変わるのでネーミングがころころ変更されるのはしかたがないのだが,不変の“事務的本質”をつかんでおけば大丈夫なのだろう.しかし,それがいまだにできない./帰国したらすぐに片づけるはずだったメーリングリスト関連の雑用と月例アナウンスだが,その時間がぜんぜん取れない.神戸から帰ってきてからやるしかないだろう.月初めのトドが月半ばまで持ち越されることになってしまった…….

◆「御奉公」の季節 —— 来週11月10日(月)から始まる数理統計研修のテキスト(基礎編)が届いた.年に一度の「御奉公」だが,今年は例年よりもコマ数(90分単位)がひとつ多くて,基礎編が質疑を含めて4科目計7コマ,翌週の11月17日(月)からの応用編では3コマある.あ,研修懇親会は11日(月)の夕方ですね.出席の返事をする.

◆午後5時半に帰宅.日没も早まってきた.10日ほど日本を離れていただけでも,季節の推移が“離散的”にわかってしまう.夜,さらに気温低下.明日の明け方はこの秋一番の冷え込みになるらしい.

◆神戸への旅支度をする —— 国外長距離旅行のあとの国内“短距離”旅行だと気分的な落差が大きい.それでも旅するための「基本セット」は共通しているので,あとは日数分の着替えの量がちがうだけ.それにしても,〈ISHPSSB Off-year Workshop Kobe〉の講演準備がぜーんぜんできてないんだけど,こんなことでいいのでしょうか?(ダメかしら) さくっとイントロ噺をして,あとは各演者に丸投げしてしまうというワルいことを企んでいるのだが.

◆本日の総歩数=9211歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前日比)=85.1kg(+2.1kg)/24.0%(−0.5%).


3 november 2008(月) ※ 時差ボケと長旅疲労と非日常で

◆アトランタ発の DL55便 が定刻通り成田空港の第一ターミナルに着陸したのは午後2時過ぎだった.外は曇り空で,気温は18度前後とのアナウンスだった.涼しいといえばそうなのだが,行き交う人たちはみんなみんな長袖で“冬支度”さえちらほら見える.異国に来た心地.

◆入国審査を受け,関税なんちゃらをすませ,大荷物を受け取ったり,レンタル携帯電話を返却したり,ドルを換金したりといういつもの手続きののちに,午後4時15分発のつくばセンター行きシャトルバスに乗った.曇天のもと約2時間でつくばセンターに到着.月が変わり11月になって,センター周辺は早くもクリスマス・イルミネーションの電飾が街路樹にセットされていた.気温が低下してきた.寒っ.

◆往路よりも帰路の方がもっと疲れた.今日はこれ以上,何ひとつ有意義なことはできませんな.荷物をぐずぐずと片づけたり,のろのろと仕分けしたり,ときには密輸マテ茶を賞味したりして,あとは野となれ山となれ.

—— はい? この期に及んで,〈ISHPSSB Off-year Workshop Kobe〉の宿泊ホテルを変えるんざんすか?(マジ?)

◆本日の総歩数=3947歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


26 oktober 2008(日)〜3 november 2008(月)
        ♪ 行かうー 南米ぬアルゼンチンぬ旅に ♪

 ※帰ってきました!

  Hennig XXVII 参加記録 →〈Diario de a bordo en San Javier de Tucumán


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