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日録2008年5月 


31 mei 2008(土) ※ 五月の終りは菌学会高座にあがる

◆午前5時前に起床.曇りときどき小雨.午前6時の朝イチで源泉に浸かる.その後,午前7時の朝食まではスライドのさらなる調整をする.朝食もたいへんヘルシーで美味でした.ハイ.午前9時のチェックアウトまでは日録をちくちくと書いてみたり.

◆9:30に榊原温泉口までホテルのバスで送ってもらう.雨は本降りになってきた.9:56発の快速で伊勢中川まで,急行に乗換えて津に着いたのは10:20過ぎだった.小雨が降ったり止んだりしている.大きい荷物はコインロッカーに投げ込む.小さな駅前ロータリーから路線バス(11:13発の椋本行き)にて三重大学に向かう.10分ほど乗って三重大学前に到着.幸い一時的に雨は止んでいた.週末なので,学生はほとんど見当たらず,大学前の店も軒並み閉まっていた.

大学正門から構内に入り,およそ10分ほど歩いて,目的地の「三翠ホール」という巨大な建物に入った.ここが日本菌学会第52回大会の会場だ.受付をすませ,大会委員長の高松さんにあいさつをしてから,ロビーのポスター発表をひとまわり.その後は電源の取れる一角を占拠して,講演スライドの最終調整をする.まさにエンドレスな作業が高座に上がるまで続くのだ(実際,スライドが一枚まちがっていたことに気づいて即削除).

菌学会はもちろん非会員だが,個人的な知り合いは何人かいる.遭遇してはご無沙汰のあいさつの繰り返し.1,600名入るという大ホールでは午前中のシンポジウムが続いていた.

◆三翠ホールの周囲では大学生ダンサーのグループがいくつも集結していて,ロビーの外壁ウィンドウを鏡にして練習している.貼り紙には「ここでダンスの練習をするときは周囲に迷惑にならないように」と書かれているところを見ると,常時ダンス練習が行われているらしい.三重大の学園祭は11月だから(立て看にはそう書かれていた),あるいは間近に別のイベントでもあるのだろうか.ときおりざーっと雨が降る不安定な空模様.

◆午後1時半から大ホールにてわれわれの公開シンポジウム〈菌類における「種」とは何か〉の始まり.オーディエンスは200名くらいか.座長は高松進さん.最初の講演は青木孝之さんたちによる「フザリウム属菌における種概念について」.“三日月”型の分生子をもつフザリウムの分類における splitter vs lumper の1世紀にも及ぶ激しい論争史が語られた.最近では,分子系統樹を踏まえた「種」の切り分けがされているという.続く,吉武啓さんたちの「DNAバーコードに基づく同定支援技術とその利用法」では,タイトル通りのバーコード“わざ”の数々が披露された.

午後3時半からぼくの講演:「誰にとって【種】は実在するのか?:「種問題」の現状と展望」.万人にとって【種】は不治のビョーキです,というメッセージを伝えるためにワタシははるばる三重にやってきたのだ.で,実際,その通りの噺を半時間ほどぶち上げました.期待通りの地雷原走りぬけだったのだが,「家庭内離婚」とか「魔除けの御札」とか「かもして殺す」とかキーワードはすべて掲げました.聴衆のみなさん,エンジョイしていただけたでしょーか.公開講演会なので,愉しんでもらうという要素は不可欠です.

—— 質問などをこなして,午後4時15分にシンポジウム終了.ワタクシの公務は終わりました.雨は止んで曇り空.

◆午後5時半から,隣の小ホールにて懇親会.三重の純米酒・吟醸酒がずらっと勢揃い.ほほ.伊勢うどんもあり.たくさんの初対面の方々とお話しさせていただきました.午後7時半に一次会はお開き.その後,津の“夜の帝王”である大会委員長に連れられて,大門の〈はぁと〉というスナックになだれ込む.どーしてか理由はさだかではないが,東京農大御用達の店で,石川雅之「もやしもんと農大」という講演ポスターが貼ってあったりとか,どーいうわけか“大根おどり”(「青山ほとり」)の実演を見たりとか.とってもフシギ.

そーいえば,今年は参加できなかったが,今夜は青梅の御岳山で農大・昆研の新歓合宿が狂暴に執り行われているはずだ.せっかく農大として3ヶ月ぶりに“公的”にアルコール解禁になったばかりなのだから,“犠牲者”が出ないことを祈るのみだ.“某君”というか“暴君”は節制するよーに.教員も酔いつぶれてはいけません.

◆午後10時すぎにお先に失礼させていただき,タクシーで駅まで.今日の宿泊先は護国神社近くの〈ザ・グランコート津西〉だ.新しく改装されたらしく広くてきれいなビジネスホテルだった.午後11時前にチェックイン.そのまま沈没です.

◆明日はシンプルにつくばに帰るのみ.

◆本日の総歩数=14184歩[うち「しっかり歩数」=1331歩/14分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=未計測/未計測.


30 mei 2008(菌) ※ 三重の山懐にて紙芝居の支度は続く

◆午前5時起床.曇りときどき小雨.北東風で気温低し.今日から「菌」の週末です.

◆紀伊半島への旅立ち —— 10:11発の TX 快速にて東京駅へ.車中では『』のゲラ読みを完了.東京駅で新幹線の待ち時間があったので,久しぶりに丸の内オアゾの丸善に立ち寄る.小雨が降ったり止んだり.

4階の洋書コーナーにて遭遇した新刊:Alberto Manguel『The Library at Night』(2008年刊行,Yale University Press,New Haven,viii+376 pp.,ISBN:978-0-300-13914-3 [hbk]).マングェルといえば,もちろん:アルベルト・マングェル[原田範行訳]『読書の歴史:あるいは読者の歴史』(1999年9月30日刊行,柏書房[叢書Laurus],354+38 pp.,本体価格3,800円,ISBN:4-7601-1806-3 → 書評・目次)の著者としてよく知られている.読書論・読者論のアヤシイ蘊蓄が存分に楽しめる本だったが,今回の新刊は「図書館」をターゲットにして,さらなるパワーアップが期待できそう.『夜の図書館』というタイトルからして引きずり込まれるものがある.

その後,八重洲北口のスターバックスに転戦し,音羽へのゲラ修正箇所リストをメールにしたため正午過ぎに返信する.お,時間がもうないぞ.そのまま新幹線ホーム直行し,12:33発の「ひかり413号」で一路,名古屋へ.西に向かうにつれてしだいに空が明るくなってきた.中継地点の名古屋は晴れ.乗換え時間たった9分で,関西本線の快速「みえ11号」に飛び乗り,約50分で津に到着.15:21分.曇り.さらに近鉄に乗換え,およそ半時間で榊原温泉口駅にたどり着いた.小雨.今夜の宿〈湯元榊原館〉の送迎バスが来ていたので,約10分ほど揺られて,山間の榊原温泉に到着した.午後4時半だった.

◆川沿いに立つ〈湯元榊原館〉は,アルカリ性単純泉の源泉が有名だ.チェックインしてさっそくお風呂へ.33度の源泉風呂はぬるいというよりはむしろ“水風呂”に近い感覚だ.もっと大きな風呂もあるのだが,加熱・循環なので入る必要はない.湧いたそのままの源泉はアルカリ性が強いらしく,しだいに皮膚がぬるぬると融けはじめる.長時間入っていると鰻のようにぬるぬるなヒトになるのだろうか.

夕食は1階のダイニング〈厨草子〉にて地場産の食材を中心にいただく.先付もよかったが,とくに「野菜温泉蒸」なる蒸し物がたいそう美味だった.全体としてここの料理はレベル高いです.イチジクやトマトまで蒸すとは.地ビールはイマイチだったが,「るみ子の酒」の生酒はけっこういけました.それから,調味料としての「醤[ひしお]」はそのまま酒の肴になる(ただし塩分過多).

◆食後,再び源泉に長くつかってぬるぬるになり,夜の残された時間は明日の「紙芝居」の支度を再開する.

三重に来るまでに講演準備は終えたはずだったのだが,見直しているうちに追加・差替が必要な箇所が出てきた.差替え用のスライドをあたらしく十数枚つくってみる.ただし,噺全体の構成にも関わるので,いじりはじめるとそこかしこの修正の連鎖となってしまった.

—— ううむ,ちょっと煮詰まってきたので,マングェル『夜の図書館』に現実逃避する.理想の図書館,ヒトラーの蔵書票(ちゃんとハーケンクロイツが),アビ・ヴァールブルクの書庫は魅力的かも.世界各地,古今東西の図書館が登場する.とてもいい本だと思うのでぜひ訳してください(よろしくね).

◆今日はもう寝ようかな.明日はどーせ早起きするんだし.午後11時すぎに就寝.外は渓流のせせらぎと蛙の鳴き声.たまにはいいでしょ.

◆本日の総歩数=6171歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg/−0.4%.


29 mei 2008(木) ※ 梅雨のはしりで季節は巻き戻される

◆午前4時半起床.北風が吹き荒れ,ざあざあ降っていた.梅雨のはしり.気温13.4度.寒いといえばその通り.

◆朝から菌学会準備 —— 噺の支度に終りはない.昨夜ほぼ仕上がったスライドを再度チェックしつつ,さらなる入れ換えや加筆をする.イメージ・トレーニングを並行して進めているので,どうしても時間がかかる.午前10時すぎ,プレゼン用スライドと高座の心構えが同時にできあがり.これでもう大丈夫でしょう.スライド枚数は78枚.持ち時間は30分で,プラス10分の質疑応答を予定してくださいと,今回の菌学会大会の元締である三重大の高松進さんは言っていた.

◆午前11時,雨さらに強まる.気温13.3度.朝からまったく上がっていない.2ヶ月ほど季節を巻き戻した感じ.

◆大きめのトド2頭 —— 『』のゲラは明日30日には返さないといけない.この雑誌の発行部数などの情報感謝>お代官さま./日経サイエンスの Carl Zimmer の記事「What is a species?」の翻訳はもうすぐ締切だ.エライこっちゃ…….三重ではもちろん訳業に精を出す予定.※旅先で〈るみ子の酒〉を呑んだくれてはいけません(クギ).

◆ドイツから着便した大型図録 —— Katharina Schmidt-Loske『Die Tierwelt der Maria Sibylla Merian: Arten, Beschreibungen und Illustrationen』(2007年刊行, Basilisken-Presse, Marburg, 238 pp., EUR 96.00, ISBN:978-3-925347-79-5 [hbk] → 版元ページ).Basilisken-Presse の本は入手に手間取る.この大判(29×24 cm)の本も今年始めに発注した記憶があるのだが,すっかり忘れたころに日本に届いた.

本書は,南米の昆虫の変態を描いた『スリナム産昆虫の変態』など多くの昆虫図譜を遺した“女流”昆虫画家として知られている Maria Sibylla Merians (1647-1717) の画業を詳細に論じるとともに,彼女の生涯をたどった著作だ.全91葉の図版のうち78枚はカラーで,虫たちがいきいきと動き回っている.本書において初めて公開されたメーリアンの未発見の生物画もある.著者はヨーロッパの方々の博物館に長年眠っていた彼女の絵を捜し回ったそうだ.

—— メーリアンの伝記は,以前,中野京子『情熱の女流「昆虫画家」:メーリアン波乱万丈の生涯』(2002年01月25日刊行,講談社,4 pl.+237 pp.,本体価格1,900円,ISBN:4-06-211116-0 → 目次書評)を読んだことがある.今回届いた本は,前半130ページがメーリアン伝で,後半100ページほどが図録になっている.また,それぞれの昆虫などの絵についての美術史的な論議は詳細にわたる.

◆じわじわと“ペア”になる —— 大分県庁からメールがあり,師走の「豊後統計道場」の日程が確定したのでよろしくとのこと.さらに,県の研究員を対象とする「豊後プレゼン道場」も案として浮上しているのだが,講師として適任者はいないかとの問い合わせだったので,深く考えるまでもなく,杜の都に式鬼を飛ばす.これまた瞬間返信で「了解」とのことだったので,大分にその旨を連絡.

—— 常盤台に続き,豊後の国でも“ペア”で「統計+プレゼン」の講師を引き受けることになったワタシたち.

◆午後4時半に帰宅する.“高密度”な霧雨が降り続く.気温14.3度.けっきょく日中はまったく気温が上がらなかった.そのうち北風が強くなり,気温降下.寒いです.旅のしたくをする.プレゼン機材とか車中本とかアジビラとか.明日は西方へのゆったり移動日.

◆本日の総歩数=9026歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.1kg/−0.6%.


28 mei 2008(水) ※ 旅の間際の高座支度とトド撃ち業務

◆午前4時半起床.曇りときどき晴れ.北東風.気温16.0度.

◆チェーンメールの系統樹(PNAS) —— yuiamiさんの〈まとまり日記〉の記事(5月22日付)からたぐる.PNASに載った元論文:David Liben-Nowell and Jon Kleinberg, Tracing information flow on a global scale using Internet chain-letter data. PNAS, 105(12):4633-4638, 25 March 2008 / Published online on March 19, 2008, doi:10.1073/pnas.0708471105 [OPEN ACCESS ARTICLE].チェーンレターの伝達パターンは「放散型」ではなく,「樹状型」であるという論文.著者らは社会的ネットワークを経由する情報伝達のパターンを調べる目的で,チェーンレターの追跡調査をしたそうだ.すべてのノードを含む高解像度ツリーは本論文のコンパニオンサイトからダウンロードできる.著者の個人サイトと Science Daily の関連記事「How Did That Chain Letter Get To My Inbox?」も参考になる.

さて,気になるのは“メール系統樹”の構築方法だが,PNAS論文によると,仮想ノードを含まない minimum spanning tree を構築したとのこと.イラク戦争に関するチェーンメールの解析例の場合,ノード数が18,000あまりあるので,Steiner tree ほどではないにしてもたいへんな計算をしなければ最適アルボレッセンスは得られなかっただろう.この例では,全ノードのうち実に17,000ノードは“子孫”がただひとつだけだったという.確かに,図を見るとかなり狭い[イトスギのような]樹形であることがわかる.

シミュレーションの結果も出ていて,パラメータ領域のほとんどで「深い・狭い・一子相伝」というチェーンメール系統の特徴が再現されたそうな.

—— かつての〈棒の手紙〉の事例をもっと大規模にしたような研究だ.

◆午前のじたばた —— 正午までに東大の専攻研究会議の配布資料を出さないといけなかった.がしがしとセルを埋めて,午前10時にメールで送り返す.よろしくお願いいたします.

◆午前11時.晴れているが,北東の風がやや強い.気温は21.9度.今週末の菌学会シンポジウムの講演準備をやっと始める.

◆午後のこまごま —— スルガ銀行からウェスタン・ユニオン代理の送金業務に関する申込書が届いたが,まだ何も手付かず./廃車手続き関連の返送をしないといけない.まだ./農環研分会からの指令がたくさん降ってきたので,何も考えずにすべて処理する.考えてないからラクだ./メーリングリスト業務も溜まりつつあったが,すべて一掃処分した./ソーバー訳本の注文への対応を1ヵ月遅れですます.ごめんなさい./他にもメール返信をいくつか./来週月曜の農大かもし高座(7回目)の準備を完了.次回はハンドアウトがないのでよかった.それにしても講義ブログの更新と質問への解答がずっと滞っているのはもうしわけない.

◆献本感謝です —— マイク・モーウッド&ペニー・ヴァン・オオステレルチィ[馬場悠男(監訳)・仲村明子(訳)]『ホモ・フロレシエンシス:1万2000年前に消えた人類(上)』(2008年5月30日刊行,日本放送出版協会[NHKブックス 1112],本体価格970円,viii+208 pp.,ISBN:978-4-14-091112-9)/マイク・モーウッド&ペニー・ヴァン・オオステレルチィ[馬場悠男(監訳)・仲村明子(訳)]『ホモ・フロレシエンシス:1万2000年前に消えた人類(下)』(2008年5月30日刊行,日本放送出版協会[NHKブックス 1113],本体価格970円,viii+216 pp.,ISBN:978-4-14-091113-6).インドネシアのフローレス島で発見された“小人”ホビットをめぐる物語.別【種】のヒトか,という論争がすんなり解決するはずがない.バトルの連続の予感あり.

◆もう1冊いただきました:田中幹人(編著)『iPS細胞:ヒトはどこまで再生できるか?』(2008年6月1日刊行,日本実業出版社,本体価格1,500円,256 pp.,ISBN:978-4-534-04384-9 → 版元ページ ).

◆午後3時半から1時間弱,『Modern Morphometrics in Physical Anthropology』の輪読セミナーの第17回.Chapter 5 : Waleed Gharaibeh「Correcting for the Effect of Orientation in Geometric Morphometric Studies of Side View Images of Human Heads」の続き(pp. 129-137).3Dオブジェクトの“置き方”のズレがどのような影響をもたらすかを実験的に解明しようとする.3D標識点セットを実際にある角度範囲で動かした結果を標識点の散布図あるいは主成分分析により相互比較した.その結果,「−40度〜+40度」の範囲であれば,回転ズレの“実害”はほとんどないことがわかった(第一主成分のみで95%程度は説明できる).しかし,それを越える大きなズレがあると,下位の主成分の貢献度がしだいに高くなるので,形状変動の説明に影響が出てくるという.しかし,実際問題として「−40度〜+40度」もの許容範囲で問題なければ現実的には3D回転ズレの影響は無視できるということだろう.

◆17:00帰宅.北東風が強く体感的に涼しい.気温は17.6度.しだいに下がってきた.冷たい風が吹き抜ける.この週末は梅雨のはしりらしい.

◆夜はさらに「菌スライド」をつくり続ける.日が変わった午前0時半にやっと完了できた.明朝ざっと見直すことにしよう.

◆本日の総歩数=11018歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+0.5%.


27 mei 2008(火) ※ 反省の翌日は年休をとり捜査と徘徊

◆午前5時半起床.うう,前夜の“修行”の後遺症があ.外は太陽ぎらぎらで夏空がぱっきりと.

◆今日は緊急事態なので急遽年休にしてしまう —— 昨夜の酔いどれミスによりTXに置き忘れてきてしまったパソコン類の入ったトートバッグの回収に向かう.幸い終着駅だったので,駅員さんがピックアップしてくれたらしく,つくば駅事務室で静かな一夜を明かしたらしい.保管場所が守谷だったり秋葉原だったりしたらたいへんだったが,最寄りの駅で回収できたのはラッキーだった.ありがとうございました.

—— 【教訓】呑む夜は手荷物をひとつにまとめるべし.

◆緊急案件のひとつはこうしてあっさり解決したが,もうひとつの遠距離案件が残されている.夏の日射しの中を9:48発の区間快速に乗って守谷まで行ったのはいいが,忘れ物があった再びつくばにUターン.11:18発の快速でもういちど守谷まで行ってから,関東鉄道常総線に乗換える.超レトロな古びた列車に感激して鉄ちゃんカメラ小僧に変身する.からっと暑い寺原駅で下車し,うねうねと在の道を縫って目的地に到着.1時間半ほど滞在してからもと来た道を戻る.つくばに帰り着いたのは午後3時前だった.夏日続く.

◆午後のこまごまはなお続く —— 廃車手続きのための住民票を市役所にて取得する.途中で転居したのが祟ったとのことで,新旧両方の住所の証明が必要らしい.あとは旧車の納税証明書を添付して代理業者に郵送すればやっと終りだ.※魑魅魍魎な書類の“密林”は青木ヶ原樹海のごとし./谷田部の「すどう酒店」をチェック,近くの「玉川堂」にて水無月を買う.今月ももう終りに近い./農環研にちょっとだけ顔を出し,年休届けをあわてて提出.組合の投票が何とかとかメッセージが入っていたが,見ないふりをしてスルー.

◆夜,北風が通り,涼しくなった.

◆『』の原稿はこのままでよろしいとの音羽からの“査読”が返ってきた.あとは,来月の最終回の原稿内容だけだ.ソフトな着陸をしたいので,だいぶ前からその中味についてはときどき考えてきた.これまで同様に,いくつかの伏線を張りつつストーリーをつくっていくわけだが,最後のエンディングをどうするかという点がまだ確定していない.「例の言葉」を最後にもってくるためには,最初にあのカップルに登場してもらうのが適役なのだが…….エリアーデではなく,フォーロング少将に御出座いただくのも計算通り.計算できないものがあるとしたら,それはフランツィスカの気持ちだろう.

◆唐草模様と生命の樹 —— 2年ほど前に伊藤俊治『唐草抄:装飾文様生命誌』(2005年12月15日刊行,牛若丸[発行]/星雲社[発売], ISBN: 4-434-07164-5→目次書評)を読んでたいへん感銘を受けた.唐草模様というデザインの系譜を世界中にたどった本だった.一方,中世社会の家系図の文化史に関する Christiane Klapisch-Zuber『L'ombre des ancêtres : essai sur l'imaginaire médiéval de la parenté』(2000年刊行,Librairie Arthème Fayard,ISBN:2213604274 [pbk]→目次素読未満)には,家系図のイコンとしてやはり唐草(rinceau)が重要な意味をもっていたと言う.

こういう点については次回の連載原稿を書くまでにもう少し調べておく必要がある.個人的にはヨアヒム・デ・フィオーレの図像世界という,もっとアヤシイ世界が真っ暗な入り口を開けていることはわかっているのだが,けっして入ってはいけないぞ.

—— と言いつつも,チェックは怠りない:Alexander Patschovsky (Hrsg.)『Die Bildwelt der Diagramme Joachims von Fiore : Zur Medialität religiös-politischer Programme im Mittelalter』(2003年12月刊行,Thorbecke Verlag,ISBN:3799501304 → 版元ページ|編者サイト)とかマージョリ・リーヴス(大橋喜之訳)『中世の預言とその影響:ヨアキム主義の研究』(2006年10月25日刊行,八坂書房,ISBN:4-89694-881-5).

◆金曜までに日経サイエンスの翻訳原稿を仕上げ,さらに週末の菌学会シンポジウムの準備をしないといけない.時間がない時間がない.

◆本日の総歩数=19909歩[うち「しっかり歩数」=7039歩/69分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=−1.1kg/−0.5%.


26 mei 2008(月) ※ 農大かもし高座を終え修行と反省

◆午前5時起床.風なく晴れ上がる.気温は高くなりそう.

◆早朝の年貢納め —— 午前5時半に音羽に向けて『』の原稿と付図をメール送信した.連載をはじめたのは昨年の7月号からだったので,その原稿は5月の末には書き上げていたことになる.かれこれもう1年になるわけだ.毎月の連載記事だが,いったいどういう読者層が講談社の広報誌であるこの『本』を読んでいるのか,つかみどころがいまひとつ頼りない.大手のリアル書店では無料で配られているようだが,店頭でのサーキュレーションは必ずしもよくないらしく,ときどき「連載記事を読んでみたいのだが」という問い合わせがぼくのところにくる.

あるいは,越中の殿のように『本』を定期購読している熱心な読者も少なからずいるらしい.quod erat inveniendumさんの投稿(2008年5月9日)に書かれているように,場合によっては読み捨てられてもしかたがないPR誌をちゃんと読んでいただけるのはありがたいことだ.読者の顔が見えてくれば張り合いもあろうというものだ.

—— いずれにせよ,来月にはぼくの連載は完結するので(8月号掲載予定),今年中には現代新書として出したいと思う:三中信宏『分類思考の世界:“種”よ,安らかに眠れ[仮題]』(2008年刊行予定,講談社[現代新書]).よろしく.

◆夏空が広がり,気温はぐんぐん上がる.暖かい南風が通る.午前中に「期待値がバッチリわかる」スライドをつくりはじめたのだが,時間がぜんぜん足りない.とりあえず,実験計画法のテストデータの確認をして,農大の講義準備はおしまいにした.

◆12:11発の TX 快速で経堂に向かう.もちろん夏日だろう.日射しが強いのでくらくらする.紫外線を十分に浴びてしまったので,突然変異いたします.

◆農大かもし高座(6回目) —— 前回に続き,完全無作為化法による実験計画の後半.分散分析の考え方を説明した.実験区のレイアウトに沿って線形モデルを立て,データのばらつきを要因効果と誤差効果に分割する.完全無作為化法の次は乱塊法だ.ブロックを切る動機づけについて説明した.

◆午後6時,修行の場に到着.いきなり〈神亀〉の発泡純米酒でガツンと.おお.アルコール度数が18度近くもあるのに,サイダーのような強い炭酸が.さらに〈神亀〉攻勢は続く.冷えた「眞穂人」とぬる燗の「小鳥のさえずり」のダブルパンチだ.「ひやおろし」まで登場だ.ここで「大古酒」がお出ましになったら,われわれはきっと心地よく成仏していたにちがいない.しかし,趣向をちょっと変えて,〈秋鹿〉や〈日置桜〉に転戦したのが延命措置として効果的だったようで,午後10時近くまで生き延びることができた.

—— 修行と反省の日々はこれからも続くのだ.それにしても,〈神亀〉のすべての銘柄が常備されているとはおそるべき「場」である.

◆つくばにたどりついたのは午後11時半すぎだった.しかし,深く修行しすぎたせいか,農大で使ったノートパソコンやら配布プリントやらが入ったトートバッグをTXの中に置き忘れてきてしまった.あれが紛失したらそれこそ成仏してしまう.明日マジで捜し回らないとえらいことだ.

◆本日の総歩数=13824歩[うち「しっかり歩数」=4144歩/38分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.5kg/+0.5%.


25 mei 2008(日) ※ 夜なべせずに年貢の耳をそろえる

◆午前4時起床.外は荒れて,風雨が強い.気温は低め.

◆早朝の原稿書き —— 書いてます書いてます.最終回も含めて2回分の目次構成を調整しながら,本文を書き進める.

◆午前11時を過ぎてやっと雨は止み,空が明るくなってきた.南風.

◆日中いっぱい,自発的幽閉状態で原稿を書いてます書いてます.今日も一歩も外に出ないので,「歩数」はゼロだ.固着性生物.

◆曇り空の午後は湿度が高くやや蒸し暑い.西空に夕焼けが.

◆夜もひたすら書いてます書いてます.日が変わった午前0:15にやっと原稿労苦から解放された.H・J・Lam(1936)の付図が1枚付きます.お,キャプションはオランダ語ね.

◆ということで,今回の『』原稿(第13回目:2008年7月号掲載予定)の節構成は:木を見て,森も見る|系譜はかぎりなく変化する|四次元空間の“時空ワーム”|「生命の樹」の断片として生きる.さらに,次回(最終回:2008年8月号)の内容は:フォーロング少将の華々しき戦績|記載科学と分類科学の認知的限界|サイバー分類学という新しい革袋|永遠なる「種」問題に寄り添って,となります.

—— 1年以上の長きにわたる連載原稿だったが,やっと着陸地が視野に入ってきたので,安心して高度を下げることができる.

◆思い起こすと,原稿料をもらって雑誌連載をした経験はこれが2回目だ.最初は今から20年ほど前,まだ大学院生のころに(1986年),柴谷篤弘さんの紹介で『AIジャーナル』という雑誌に,隔月刊で1年間(no. 2〜7),計6回の連載記事を書いたことがある.そのときの全体タイトルは,「生物分類学の復権」だった(「復権」?……).

各回のサブタイトルを列挙すると:1)生物分類学を取り巻く新たな状況;2)分類と系統;3)オッカムのかみそり;4)種と個体性;5)歴史言語学と系統再構成;6)生物地理学と地域の分類 —— となっている.何だか「いま」とほとんどちがいがないじゃん…….この20年間ちっとも進歩しなかったのか,はたまた昔から“ワルイやつ”だったのか.

◆『系統学の原理』 —— 届いた古書:Rolf Siewing (Hrsg.)『Methoden der Phylogenetik: Symposion vom 12. bis 13. Februar 1970 im I. Zoologischen Institut der Universität Erlangen-Nürnberg』(1971年刊行, Universitätsbund Erlangen-Nürnberg, Erlangen[Erlanger Forschungen, Reihe B (Naturwissenschaften), Band 4]→ 目次).執筆陣は実に豪華で,当時のドイツ系統学の“ビッグネーム”たちがずらっと顔をそろえている:Wiili Hennig, Adolf Remane, Klaus Günther, Walter Zimmermann, そして Gerd von Wahlert.このうち,Willi Hennig の論文だけは大学院の頃に,国内で唯一この本を所蔵している北大の昆虫学教室から複写依頼で入手していたが,今回たまたま運よくこの巻を入手することができた.

◆明日の午後は,また「農大かもし高座」でございます.真夏日になるなよっ>経堂あたり.

◆本日の総歩数=0歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=−0.4kg/+0.7%.


24 mei 2008(土) ※ 原稿を書く週末の昼下りは自然派

◆午前5時起床.曇りときどき晴れ.北風のち南風.低気圧が近づいているらしく,微妙な空模様.気温は低めで早朝は涼しかったが,湿気があって日が昇るとともに不快指数はやや高め.

◆朝から原稿書いてます —— とてもシンプルな週末.必要があって,Nature 誌と American Naturalist 誌の創刊時の経緯を調べる.Nature 誌については1869年の創刊号が html で公開されている.この創刊号は,かつてpdfで無料配布されたこともあった(1994年の「創刊125周年」のときだったか).そのときダウンロードしたファイルがどこかにあったはずだが.

Nature 誌はマクミランという商業出版社から創刊されたが,American Naturalist 誌は American Society of Naturalists(ASN) という学会を母体とする学会誌だ.同誌の創刊号(1867年)はまだ手にしたことがない.ASN の揺籃期についてはまだ不明な点があると Vassiliki Betty Smocovitis がある論文で書いている.ASNの立ち上げには,Louis Agassiz の弟子たち(来日した Edward S. Morse も創立者のひとり)が関わったという.

おもしろいのは,Nature 誌が「A Weekly Illustrated Journal of Science」,American Naturalist 誌が「A Popular Illustrated Magazine of Natural History」とそれぞれ創刊号で銘打っていて,「イラスト付きの一般誌」という性格がもともとはあった点だ.

—— そういえば,『Bedside Nature』という大判ハードカバーのNature特集号が研究室のどこかの棚に埋もれていたな.創刊時からのこれはという記事をピックアップした集成だった.

◆吉瀬〈ナチュ・カフェ〉デビュー —— つくばの吉瀬に昨年まであった〈ピクニック〉が,同じ吉瀬の別の場所に〈ナチュ・カフェ〉と名前を変えて新装開店した.しばらく前に通知があったのだが,今日初めて行く機会があった.

元の店もたいへん美味だったのだが,新しい店になっても,野菜を中心にしたボリュームのあるメニューは健在だった.前の〈ピクニック〉はマイクロバスを改造したキッチンと,テント野営地のような狭い店構えだったが,新しい〈ナチュ・カフェ〉(→紹介1紹介2)は民家を改築した風情の店で,奥行きがある.

シェフご夫妻だけで切り盛りしているので,客がひっきりなしに出入りするランチ時間帯はなかなかたいへんそうで,待ち時間も長くなるが,そこはゆったりとかまえましょう.本日のランチ・プレート(780円)は,和風ハンバーグ・チキン・魚フライのいずれかをメインにしたもの.熱々でうまかったです.

レジ横には,マドレーヌなどの焼き菓子,そしてキッシュ,チーズケーキなどのスイーツがいろいろある.人気のあるものからどんどん売切れていくので,要注意.

◆午後はしだいに雲が厚くなり,午後4時頃からぽつぽつと雨が降り始める.しだいに本降りになり,夕闇が迫るころにはざあざあと.北風が通り抜け気温は急降下.

◆買い忘れの罪を償う —— 昨年から毎月出ていた中央公論新社の〈哲学の歴史〉シリーズの本編全12巻が完結していたのだが,ここのところサボってきちんと買い揃えていなかった.7月10日には別巻『哲学史年表/総索引』が刊行されるそうなので,それまでには既刊分を耳を揃えておかないとよろしくない.第6回配本あたりまではマジメに買っていたのだが,それ以降ややグレ気味になってしまった.反省.

◆夜もまた原稿書きの続きです.書いてます書いてます.あと2回しか残されていないので,内容的にもソフト・ランディングできるように調整しないといけない.それぞれのタイトルとセクション構成をいじってみたりとか.

◆よそ見の夜半 —— 〈Verband Biologie, Biowissenschaften & Biomedizin〉.ドイツの進化論史研究者の団体(のようなもの?).関連論文がダウンロードできたりする.

◆本日の総歩数=5447歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−0.1kg/−0.4%.


23 mei 2008(金) ※ アルヘンティーナへの遠い道のり

◆午前5時起床.曇りのち晴れ.気温16.6度.今日も暑そうだ.

◆早朝のこまごま —— 『』の原稿,この週末にかもすぞー.ということで,全体構成と節の名称を考えたり,伏線の張り方を検討したりする.いつものことながら離陸までの“助走”期間が長いのがやや難だが,そろそろ連載全体の着陸態勢に入りつつあるので,今回は機内の気圧が徐々に変化することになる./来週月曜の農大かもし(6回目)の三点セットはすでに用意できたので,今日のうちに持ち帰ることにしよう.

◆Michael Ruse センセ,大活躍 —— ほぼ同時に,3冊の“ダーウィン本”の新刊・近刊案内が届いた.いずれも Michael Ruse が著者あるいは編者となっている.来年に迫ってきた「ダーウィン年」を前にして,この人ならきっと書きまくるにちがいないと思っていたが,期待通りというか想像以上にパワフルだ:Michael Ruse『Charles Darwin』(2008年3月刊行,Blackwell[Blackwell Great Minds Series],ISBN:9781405149129 [hbk] / ISBN:9781405149136 [pbk] → 版元ページ).これはダーウィン伝.|Michael Ruse (ed.)『Cambridge Companion to the Origin of Species』(2008年刊行予定, Cambridge University Press).|Michael Ruse and Joseph Travis (eds.)『Evolution: A Guide』(2008年刊行予定, Harvard University Press).

—— こうやって“ダーウィンの棚”がどんどん肥大していく…….

◆外はすでに夏の日射しが照りつけ,気温は急速上昇中.午前10時半には早くも27.3度.まだ体系化されていない本棚を掘り起こし,昔の文献を引きずり出したり,あんな本やこんな本を開いてみたり.すべては原稿をかもすため.

◆アルゼンチンへの遠い道がいま始まる —— 久しぶりに Willi Hennig Society のサイトを見に行ったら,今秋のアルゼンチン大会の情報が加筆されていた.第27回となる今回の年次大会〈Hennig XXVII〉は,Reunión Argentina de Cladística y Biogeografía の第8回大会とのジョイントとなる.開催地の Tucumán は,Pablo Goloboff 会長の本拠地なので期待したい.

しかし,アルゼンチンの“裏側”にいるワタシとしては,何よりもまず「どうやってそこまでたどり着くか」が大問題だ.ブラジルにしろアルゼンチンにしろ,南米に到達するまでにはほぼ24時間かかる.さらに今回は国内線に乗換えてまた何時間か飛ばないといけない.Tucumán に降り立ったときにはきっと真っ白な灰と化しているだろう.だが,旅路に関する情報はまだ大会サイトには掲載されていない.

もうひとつの問題は,大会参加費をどのようにして送金するかだ.たいていの場合はカード決済ができたのでよかったが,今回は「Western Union」を利用して国際送金されたしとの案内が載っている.送金窓口をひとつに絞ったのはアルゼンチンの国内金融情勢のせいだそうだ.「Western Union」は初めて目にする金融機関だが,さいわい日本からだと「スルガ銀行」経由で送金手続きができるらしい.さっそく,同行の「テレフォンバンキング国際送金サービス」の案内キットを送ってもらうよう手配した.

—— Early registration と abstract 提出の締切は「9月15日」でまだまだ先のことなのだが,なにせもっとも遠い国へ出かけるので,事務的なことはちゃっちゃとすませておきたい.

◆昼下がりの午後1時半.かんかん照り.気温29.1度.ほぼ真夏日だ.東京は今年始めて30度越えになったそうだ.

◆午後も『』原稿のかもしが続く…….あいまにこまごま —— 進化学会賞の公告が流された.今年もそろそろ進化学会大会が近づいてきた感がある.昨年までは駒場の殿のもとで学会事務をあれこれしてこなしてので,大会開催までの段取りの記憶がまだ染みついている./Robert Richards の新しいヘッケル伝が発送されたとのアマゾンからのメール.何年か待たされたがやっと届くのか.実に「580ページ」もあるそうだが,“電話帳”がまた1冊増えてしまう./ロンドンの楊子恒ラボの井上潤さんにメールして,分岐年代推定に関する彼のフローチャートに加筆させていただいた旨を連絡したところ,折り返し返事があり,ぼくの加筆に基づいて原図を改訂したとのこと.恐縮です.

◆生物地理学の論集 —— Malte C. Ebach and Raymond S. Tangney (eds.)『Biogeography in a Changing World』(2006年11月1日刊行,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series 70], ISBN:0-849-38038-3 → 目次版元ページ).本書が出ていたことは知っていたのだが(書誌情報も得ていたのだが),現物の確認を今まで怠っていた.Systematics Association という組織は一時期は出版物が少ないこともあったのだが,21世紀になってからは活発に体系学関連の論文集を出し続けている.

◆夕方5時過ぎ,週末の原稿かもしのための本や論文を抱えて帰宅する.南風のち北風に変わる.涼しい.天気は下り坂で土日は雨模様らしい.

◆とにかく『』の原稿を書くぞー.

◆本日の総歩数=11105歩[うち「しっかり歩数」=939歩/10分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=−0.1kg/+0.2%.


22 mei 2008(木) ※ どろなわセミナー準備で灰と化す

◆午前4時半起床.晴れて涼しい.気温13.6度.研究所にてごそごそする.

◆朝からセミナー支度 —— 午後のために5階にセミナー室を確保し,プレゼン機材をちょこちょこと搬入する.マニュアルのたぐいを一通りプリントアウトする.さらに,フローチャートの“一枚刷”をつくり,配布の用意.そして計算手順を再度確認する.複数のソフトウェアを連結して使うときには,自分ではわかっていても,相手に理解させるのがたいへんだ.障害物競走みたいなもので,大小のハードルをひとつひとつクリアしないことには,全体像が見えないから.

—— 関連するスライドやドキュメント,そしてパッケージをひとまとめにしてUSBメモリーで配布することにした.

◆午前のこまごま —— 6月17日(火)にさなぶり./東大・研究会議の資料提出締切は28日(水)とのこと./所内の「鍵」管理に関するなんちゃらとか,所サイトに載せる業績リスト更新がなんたらとか言っているが,じゃまくさいから放……あとでやります./ほかにもトドがいるけど,まあいいか.

◆朝からとてもいい天気で,午前9時半の気温は早くも23.0度もある.夏日になるのはまちがいないだろう.日射しが強く初夏のようだ.昼休みもプレゼン準備は続く.

◆いきなりの分岐年代推定セミナー —— 午後1時半から関係者4名が農環研にやってきた(かずさからとか生物研からとか).セミナー室に籠ってさっそく開始.最尤法とベイズ法に関する基本を30分ほど説明してから,Ziheng Yang の「黄表紙本」を開きつつ,〈PAML〉と〈Multidivtime〉を用いた分岐年代推定の原理と計算手順に関する解説をする.スライドによる講義とプロジェクタを用いてのデモで2時間ほどがあっという間に消し飛んだ.

—— 午後3時過ぎにセミナー終了.あとは,われわれのデータを用いてどこまでおもしろい結果が出せるかということです.研究進捗のためには年代推定に特化したマンパワーが必要だと思いますが,生物研で誰か雇いません?

◆ひとりでしゃべりまくったせいか,だいぶ疲弊した.午後4時過ぎに早々に研究所を撤収する.気温24.5度.今日はからっと暑かったようだ.南風が心地よい.帰宅してしばらく気を失う.

◆巨大な本がドイツから着便した —— Thomas Junker『Die zweite Darwinsche Revolution: Geschichte des Synthetischen Darwinismus in Deutschland 1924 bis 1950』(2004年刊行,Basilisken-Presse, Marburg[Acta Biohistorica 8],635 pp., ISBN:3-925347-67-4 [hbk with CD-ROM] → 目次版元ページ著者ページ).第二次世界大戦前後のドイツにおける「進化総合学説」の歴史をたどった労作.とくに,当時の進化学者ひとりひとりに光を当てて,その貢献について論じている.知っている名前もあれば,初めて聞く名前もある.英語圏での「総合学説」の歴史的検討を踏まえた上で,独語圏での考察を進めている.

サブタイトルに記されている期間の両端年の「1924年」と「1950年」がそれぞれ何(誰)を指しているのかが気になる.本書は600ページを越える大著だが,第2部「Die Darwinisten」(pp. 69-266)では小伝とともに多くのドイツ人進化学者が登場する.「1924年」とは Erwin Baur (1924)の種分化論文が出た年のことらしい(p. 487).一方,「1950年」は Otto Schindewolf の主著(1950)の出版年なのかな.ようわからん.

なお,本書には“紙”の「索引」は付けられていない.添付のCD-ROMには本文全体のpdf版が入っていて,そのインデックスファイル(Junker_Darwinische_Revolution.pdx)をふまえてpdfの「索引機能」を利用するという形式になっている.索引全体を鳥瞰できないのはやや不便かもしれないが,検索速度が高速な点は評価できる.

◆そろそろ日経サイエンスの翻訳と『』の連載記事にケリをつけないといけない.ビッグウェイヴは通り過ぎたので,そろそろ機は熟したといえよう.週末に進捗させたい.

◆本日の総歩数=11105歩[うち「しっかり歩数」=939歩/10分].全コース×|×.朝○|昼−|夜○.前回比=−0.1kg/+0.2%.


21 mei 2008(水) ※ 雨上がりからっと夏日の神田徘徊

◆午前5時半起床.昨日の荒天がうそのように朝からからっと快晴.南風がひんやりと涼しい.湿度も低いようだ.よしよし.

◆朝のこまごま —— 明日の急なセミナーの準備をぼちぼちと.実はけっして「急」ではないのだが,予定外の予定が詰め込まれるとあたふたする.それくらい“のりしろ”のない生活をしている.

◆東京プチ出奔 —— 10:41発のTX快速にて神保町へ.リニューアルされた東京堂書店,岩波ブックセンターなどいくつか書店をまわって目的の本たちをゲットする.崇文荘書店に食指の伸びる本が何冊も並んでいたのだが,いまここでトラップされるわけにはいかない.ガマンだ.ガマンするんだ.

その後,都営三田線→南北線と乗り継いで東大農学部へ直行.堆積していたメールボックスの郵便物を回収してから隠れ部屋に潜む.しかし半時間もしないうちに,今日の本務である専攻教員会議へ.何だかたくさんの議題がどっさりあってですね,睡魔が成長するする.午後3時までが通常の教員会議.その後は大学院に関する「専攻会議」という別名の会議になめらかに移行する.終了したのは午後4時半のこと.

会議の中で新たに登場した「東大トド」たち —— 6月4日(水)の研究会議のための資料づくり.個人業績のとりまとめとかいろいろと.まあ,所内でやっていることの再演に過ぎないので気はラクだ./6月11日(水)は大学院入試ガイダンスでまたもオルグをば./7月14日(月)〜15日(火)にかけては学部三年生の見学旅行で農環研がコースに入っている.その対応.笠間の東大附属牧場に泊まるそうだが,「泊まってバーベキューしません?」とのお誘いあり./夏季実習で一名が農環研での受け入れを希望しているらしい.

◆根津に降りて〈芋甚〉であんみつを買い,そのまま根津から帰路に.つくばに着いたのは午後6時半だった.夕暮れてなお南風が通り抜ける.

◆入手本 —— 笹原宏之『訓読みのはなし:漢字文化圏の中の日本語』(2008年5月20日刊行,光文社[光文社新書352],274 pp.,本体価格820円,ISBN:978-4-334-034555-9 → 目次版元ページ).著者はこれまで「国字」に関する本を出してきた:笹原宏之『国字の位相と展開』(2007年3月31日刊行, 三省堂, ISBN:9784385362632 → 概略目次第1部詳細目次第2部詳細目次第3部詳細目次版元ページ)とか笹原宏之『日本の漢字』(2006年1月20日刊行, 岩波書店[岩波新書(新赤版)991], ISBN:4004309913→書評版元ページ)とか.本書では,次なるテーマとして「訓読み」に取り組む.「訓読み」という新しいシステムを考案し,中国伝来の漢字を日本語の中に取り込むという“荒わざ”を成功させた歴史的意義は大きいと著者は言う.

◆帰宅後のこまごま —— 東大・研究会議の資料づくりのフォーマットが飛んできた.1週間後が締切っす./大分県の統計研修は第1希望通り「12月1日(月)〜3日(水)」と日程が確定した.前後の移動日を含めてまた大旅行になる.あわせて,「プレゼン修行のためのいい先生はいませんか?」との先方の問い合わせあり.われわれの業界で「プレゼン師」といえばアノ御方しかおられないではないか.ということで,勝手にお知らせしてしまう.ごめんなさいねー./東京農大の補講日は「7月17日(木)」にしよう.そうしよう.

◆夜は,明日のセミナー準備にかかりきりっ.午後には4名を前にして説明しないといけないのだ.

◆本日の総歩数=11065歩[うち「しっかり歩数」=1992歩/18分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.1kg/−0.9%.


20 mei 2008(火) ※ 季節はずれの暴風雨と新聞取材

◆午前4時半起床.風雨強し.5月とは思えない荒れ模様の天気.気温17.9度.朝のうちに雨足と南風ともにさらに強まり,街路樹からはちぎれた青葉や大枝小枝がばきばきと落下してきた.午前9時半の気温は20.6度.蒸し暑い.

◆新聞取材 —— しかし,雨が降ろうが槍が降ろうが,今日は新聞社の取材が入るので,午前10時きっかりに研究所に“実在”している必要がある.朝イチで情報資料課に出向き,取材の事前報告をば.事後に「広報事項連絡表」なる一枚を提出する義務がある.そうこうするうちに,日経新聞水戸支局から記者さんがやってきて,5階のセミナー室にて取材を受ける.分子系統樹の推定がどのような意義をもつのかについて話をしたのだが,とくに社会問題となっているパンデミックな病原体の系統推定と歴史生物地理について詳しく話をした.出力したばかりの長さ3メートルの“系統樹タペストリー”をテーブル上で絵巻物のように広げながらの説明となった.

—— ほぼ1時間ほどの取材時間だったが,記事を書いてくれそうな雰囲気.よろしくお願いします.

◆低気圧と台風崩れが通り過ぎたのか,正午前後には天候は急速に回復しはじめ,西から青空が広がってきた.それとともに,不快な湿気も襲来する.いやな季節がやってきたな.避暑地を考えないと.

◆献本感謝です —— 本川雅治(編)『日本の哺乳類学・第1巻:小型哺乳類』(2008年5月1日刊行,東京大学出版会,viii+312 pp.,本体価格4,400円,ISBN:978-4-13-064251-4 → 版元ページ).本書は,全3巻のシリーズ〈日本の哺乳類学〉(監修:大泰司紀之・三浦慎悟)の1冊だ.目次を見ると,ネズミ・コウモリ・ヤマネ・リスなどの動物地理に関する論文が所収されている.本シリーズの他の2冊として:高槻成紀・山極寿一(編)『第2巻:中大型哺乳類・霊長類』と加藤秀弘(編)『第3巻:水生哺乳類』の刊行が予告されている.今年中にはきっと出揃うのだろう.

◆午後のこまごま —— 午前の新聞取材についての「広報事項連絡表」をものして速攻で提出完了./農大かもし(6回目)のハンドアウトと出席カードをこれまた電撃的にしあげて,コピー完了.スライドはすでに用意してあるので三点セットはもう大丈夫.7月14日(月)は東大の見学旅行対応を農環研でしなければならないので,農大は休講にする.補講日は7月17日(木)または18日(金)のいずれかに実施する./組合の署名と投票をさくっとすませる.集計して分会へ./明日21日(水)は領域内会議があるが,ワタシはいないので欠席です.また,月末に農環研であるリモセン集会も三重でかもされているので欠席です.

◆豊後の国・統計行脚プラン(再び) —— 大分県庁から電話があった.昨年に引き続き今年も統計講習を依頼したいとのこと.今年の11月はさまざまな学会や講習や行事がひしめいているので,師走の第1週を第一希望期間として「イエス」の返事を返した.さ,また別府だ.昨年は鉄輪温泉だったから,今回は明礬温泉にでも潜もうかな.

◆午後3時半から1時間ほど,『Modern Morphometrics in Physical Anthropology』の輪読セミナーの第16回.Chapter 5 : Waleed Gharaibeh「Correcting for the Effect of Orientation in Geometric Morphometric Studies of Side View Images of Human Heads」の続き(pp. 124-129).3D物体の角度(turning と tilting)が2D画像のばらつきに与える影響をみるために,一連のシミュレーション実験を行なう.まずはじめに,実際の形状データの標識点の座標値を一様乱数によってばらつかせる.このようなシミュレーションによって得られた多数の3D擬似サンプルと現実のデータのばらつきのパターンを主成分分析によって比較したところ,現実のデータのばらつきは擬似サンプルのばらつきよりも範囲が狭いことがわかった.次に,擬似サンプルを一定の角度区間からの一様分布によってばらつかせるというシミュレーションを行ない,現実データのばらつきの大きさと比較することにより,現実データの角度の範囲を推定した.

◆午後5時撤収.しだいに風向きが北寄りとなり,気温は急降下.明朝は冷え込むらしい.明日は東大の専攻教員会議日だ.

◆本日の総歩数=10990歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.5kg/−0.4%.


19 mei 2008(月) ※ 現世では農大かもし高座が今日も

◆午前4時起床.薄い霧がたなびいている.早朝の研究所へ.気温14.5度.曇りのち晴れ,一時雨も.変な天気.

◆朝方のこまごま —— メールボックスにまた“火山灰”が堆積しはじめた./統計研修のカリキュラム改定案.今年は臨時で「計算機統計学入門」という講義を受け持つことになった.海外留学で不在になる講師の穴埋めとして./大きくなりそうなトドたち:ISHPSSBのオーガナイズ|農林交流センター〈分子系統学シューレ〉の人選|『生物科学』の特集ふたつ./しかし,その前に,22日(木)の分岐年代推定の準備が先だ.

◆午前中,晴れたり曇ったり.不安定な空模様が続く.銀行で用事をすませてから,12:11発の TX 快速に乗る.経堂で降りたとたん,ぽつぽつと雨が降り出し,農大通りを歩いているうちに,本降りの雨がざあざあと.あわてて農大に逃げ込む.

農大かもし(5回目) —— 14:40開始.外は陽光がまぶしい.目まぐるしく変化する天気だ.今回の講義は,前半で正規分布とそれから派生する確率分布の解説をした.確率密度関数の数式を見せつつ,「これを見てはいけない」というのはムリがあったか.後半は実験計画法の概論.反復実験と無作為化の意味について話をする.実際にデータを用いての計算事例は来週まわしだ.午後4時過ぎに講義終了.

◆雨上がりの農大通りを再び経堂まで歩く.16:35新宿行き急行に乗り,つくばにたどりついたのは午後6時過ぎだった.強い南風が吹き渡り,空は雲が厚い.明日は低気圧と台風(崩れ)のせいで大荒れの天気になるらしい.

◆往復車中読書 —— 池田健二『[カラー版]フランス・ロマネスクへの旅』(2008年3月25日刊行,中央公論新社[中公新書1938],ISBN:978-4-12-101938-7 → 版元ページ).読了.カラー写真が美しい.フランス中南部に点在する11〜12世紀のロマネスク建築の教会を訪ね,その歴史をたどる.実際に行く機会がきっとないにちがいない地域ばかりなので,疑似旅行させてくれるこういう本は楽しい.ラングドックのように,フランスの農家チーズの名産地と重なっていることがあるのはきっと偶然ではないだろう.

◆帰宅したら,『』の6月号が届いていた:三中信宏「目覚めよ、すべての花よ」(連載12回目).節構成は:上野の森のダーウィン生誕二〇〇年祭 46|グレの入り江に『種の起源』が流れ着く 47|「神よ,御身は道を誤れり」 50|“古い分類学”で何が悪い 51.

—— ということは,次の第13回目の原稿をそろそろ書かないといけない時期になったということだ.とほほ.そういえば,ワタクシのこの『本』連載記事をまとめて読みたいという連絡がちらほら届く.掲載誌は講談社発行のPR誌なので,定期購読するか大手書店でもらうかするしかないでしょうね.ぼくの連載に関してはいずれ現代新書にする予定なので,それまでお待ちをというのが,“営業的”には正しい回答なのでしょうが.

◆本日の総歩数=12931歩[うち「しっかり歩数」=4737歩/44分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.5kg/+1.0%.


18 mei 2008(日) ※ 森のホールで異界の鐘を打つ本番

◆午前4時起床.雨のち曇り.その後,晴れてきた.今日は“鐘”を打つ本番日なので斎戒沐浴する[ウソ].

松戸シティフィルハーモニー管弦楽団の第30回定期演奏会の本番 —— 10:11発の TX 快速で松戸に向かう.てくてく歩いて森のホール21にたどり着いたのは午前11時だった.すでに前プロの〈謝肉祭〉と中プロの〈未完成〉はステージ・リハーサルが進んでいて,2000人収容という大ホールに入ったときには〈未完成〉の第二楽章だった.

午前11時半過ぎにメインの〈展覧会の絵〉のリハーサルが始まった.通し演奏と部分おさらいで約1時間ほどの練習.タイミングが会うかどうかがポイントか…….ステージはとても広く,たくさんの打楽器が並んでいてもとくに窮屈とは感じなかった.

◆ステ・リハのあとは用意された大きい弁当を喰って,黒服&蝶ネクタイのかっこうで,しばしの休息.会場は午後1時半からで,開演は午後2時.しかし,ぼくは〈展覧会の絵〉のみの出演なので,舞台裏でだらだらする.

休憩後の午後3時過ぎにやっと本番.最初の方のシロフォンとかグロッケンシュピールはまあ何とかよかったでしょう.さて,問題は終曲の「キエフの大門」.鐘,叩きます.最初は遠くの晩鐘として.そのうち,次第にクレッシェンドして,がらんごろんと鳴らなければならないのだが,チューブラーベルがたった1本なので,そういう細かい芸はしょせんできない.狭い“ストライクゾーン”を確認しつつハンマーを振り下ろす鐘叩き.虫にはこんな芸当はできないぞ.

やっと最後の段だ.泣いても笑ってもこれでジ・エンドだ.銅鑼といっしょなのでまちがうはずがない.しか〜し.ここで思わぬ陥穽が.最後から2小節目のとどめのイッパツが銅鑼とずれたじゃないか! ずれるどころではなく,拍そのものがちがっている.急に四つに振らないでー(>指揮者).けれども,叩いてしまったものはもうしかたがない.消しゴムで消すわけにはいかないのだ.こーいうときはあわてずさわがず,もうイッパツ思いっきり叩いてしまえ〜.

—— ということで,原曲よりも一つだけ多く鐘をひっぱたいてしまい,ワタクシの本番は終わったのだった.いやー,参ったなあ…….

◆午後4時に演奏会は終了し,地下のリハーサル室にて講評会.その後,場所を新松戸駅前に移し,午後6時から〈だんまや水産〉の大広間にて打ち上げコンパとあいなった.午後9時半まで.そのままつくばに帰り着いたら11時をまわっていた.

◆松戸フィルのつぎなる大曲は,師走のマーラー〈復活〉演奏会だ.あの鐘はやりたくないなあ.そろそろ鐘撞き男からは卒業したいし.

◆本日の総歩数=9961歩[うち「しっかり歩数」=3314歩/33分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.5kg/+0.4%.


17 mei 2008(土) ※ 春咲餅と本番前日の松戸オケ練習

◆午前6時にいったん目が覚めたが1時間ほどゆるゆると.快晴で北風が涼しい.

◆早朝のこまごま —— 備忘メモ:東大の学生見学旅行の日程は7月14日(月)〜16日(水)で確定したそうだ.つくばではぼくが受け入れ窓口になる.翌日の笠間泊にも付き合いませんかとのお誘いあり.いずれにせよ農大の統計学講義(14日)は休講にしないといけないな./来週火曜の午前10時に農環研にて新聞社の取材がありますとの連絡あり.また,農環研に「広報なんちゃら」という事前連絡書類を書かないといけない.

◆日射しが強い日中はこまごまと買い物したり,明日が本番の松戸シティフィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会に向けて,譜読みと“鐘叩き”(ムシではない)の心の準備をする.今夜の松戸練習には“鐘”が用意されるという.ふだん使わない楽器はレンタルしてくるのがふつうだが(場合によっては“演奏者”ごと),確かにオーケストラ曲では“鐘”は出番がそうあるものではない.久しぶりに,〈竹園珈琲〉にてコーヒー豆を調達し,その帰りに〈翁屋〉で「春咲餅」という季節の和菓子を一箱買った.求肥のお饅頭が八つ入っている.

◆ほんとうは翻訳をしたり原稿を書いたりしないといけないのだが…….

◆松戸フィル練習 —— “誰そ彼”時の17:26発 TX 快速に乗り松戸に向かう.日が長くなってきたとはいえ,午後7時近くになれば夕闇が深くなり,そろそろ“異界”がその門を開く時間だ.森のホール21の地下練習室に向かう.明日の第30回定期演奏会の演目は,ドボルザーク〈謝肉祭〉・シューベルト〈未完成〉・ムソルグスキー-ラヴェル〈展覧会の絵〉の3曲だ.

この曲順で練習をするので,実際にはじまったのは午後8時半からだった.JPCから借りてきたという銀色の“鐘”(チューブラーベル)が特製スタンドに1本吊るされていた.〈展覧会の絵〉の終曲「キエフの大門」でしか使わないのだが,たいへん目立つ楽器なのでくれぐれもミスしてはいけませんよ.>ワタシ.

午後9時半過ぎに,メイン曲である〈展覧会の絵〉の練習が終わった.あとは,明日の午前中のステ・リハを残すのみ.午後2時からは本番だ.

—— ホールを出て,とぼとぼと武蔵野線・新八柱駅まで歩く.つくばに帰り着いたのは午後11時過ぎだった.連日の遅い帰宅だ.

◆往復車中読書 —— 笹本正治『中世の音・近世の音:鐘の音の結ぶ世界』(2008年4月10日刊行,講談社[学術文庫1868],343 pp.,本体価格1,100円,ISBN:978-4-06-159868-3 → 目次版元ページ).人が支配する「昼の世界」と神や妖怪が支配する「夜の異界」との時間的境界を双方に“周知”させることが「鐘」の打音がもともと果たしていた役割だったと著者は言う:

かつて日本人にはこれらの器具など[鐘や太鼓などの楽器]によって生ずる音が,この世(人間の住む世界)とあの世(神仏の住む世界,人間とは異なるものの住む世界,異界・他界)とを繋ぎうる,特殊な能力を持つ道具として意識されていたといえる.(p. 143)

鐘の音はあの世とこの世とを結ぶものである以上,この音は双方の住人に聞かれる.人間たちにはこれから神々の時間となるので活動を止めるように,神々にはこれから活動してもよいと告げるのである.(p. 210)

◆さて,明日はいよいよ松戸での定期演奏会本番だ.現世と異界の境目で“鐘”を叩くという大仕事が待っている./備忘メモ:6月2日(月)夜,池袋の“魔界”で犬をたっぷり喰おうという魅力的な提案があった.いいですねぇ,犬,喰いましょう.どんどん喰おう./久しぶりに空に月を仰いだ気がする.なんだか lunaire になりそう.魑魅魍魎の時間帯だし.

◆本日の総歩数=15680歩[うち「しっかり歩数」=5117歩/47分].全コース×|×.朝○|昼−|夜×.前回比=0.0kg/−2.2%.


16 mei 2008(金) ※ 大垣での高座とゴージャス試飲会

◆午前4時半起床.早朝の“箒”の練習.ぶいぶいいわせてはいけません.晴れ.北の風が爽快.

◆大垣への旅路 —— 7:56発の TX 快速に乗る.9:30 東京発の「のぞみ17号」で名古屋へ.東海道線に乗換え,11:30大垣行きの新快速で正午に大垣着.昨年来たときは駅前の大型商業施設は建設中だったが,今年,北口に降り立ってみたら〈AquaWalk〉という名前ですでに営業していた.情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の関口さんがすでに迎えに来ていた.日射しが強い.夏日か.

大垣高座 —— 「芸術情報学演習」(13:00〜15:30)という講義名で,形態測定学の噺をする.昨年はスライド映写が主だったが,今年はデモの割合を増やして,視覚的な理解を深めてもらうようにしてみた.時間が限られていることもあり,数学的なことはかなりスキップしたが,その分,ヴィジュアルなスライドやデモを多くした.

—— 定刻に講義終了.今回の講義を踏まえて,来週は形態測定に関する「演習」をすることになるが,それはぼくがタッチすることではない.来年もまたここに来ることになりそう.

◆その後,場所を移す.〈試飲会(ためし会)〉会場である619号室にたどり着いたのは,午後6時半をまわっていたが,まだ準備の真っ最中だった.

今回の試飲会はとてもゴージャスな銘柄が十数本並び,量にして「9升」も用意されたので,至福のひとときを過ごすことができた.

有名どころはもちろん.初めて味わう銘柄も少なくない.すばらしい! 埼玉〈神亀〉の「真穂人」と「小鳥のさえずり」,福島〈大七〉の「皆伝」,新潟〈久保田〉の「萬寿」をはじめ,各地の銘酒・秘酒がずらっと.京都の〈英勲〉,宮城の〈浦霞〉,それに〈百楽門〉(中汲み),〈以津美〉,〈七福神〉,〈八海山〉,〈千曲錦〉など「吟奏の会」の日本酒もあり.そして,手料理のおつまみも次々に.すばらしすぎる!

とりわけ,〈神亀〉と〈大七〉の燗酒はことのほか美味で,冷酒で飲むときとはまったくちがう味わいが現れたのは驚きだった.冷たく冷やした吟醸酒を味わうもよし,一肌燗にあたためた生もと純米酒もまたよし.試飲会では,「日本酒以外すべて厳禁」という厳しい御達しがあり,ビールや焼酎などはすべて排除された.シンプルかつピュアに日本酒のみを味わう会だ.

—— 今夜中につくばに帰り着かねばならないという限られた時間の中で,十分に楽しむことができました.春と秋の年2回といわず,四季折々の試飲会を開いてください.よろしく.

◆へろへろとつくばに帰り着いたのは,日が変わる直前だった.しかし,身体的ダメージが意外に小さかったのは,ぬる燗主体の呑み方をしたせいかもしれない.

◆本日の総歩数=13601歩[うち「しっかり歩数」=1133歩/10分].全コース×|×.朝○|昼−|夜×.前回比=0.0kg/+1.5%.


15 mei 2008(木) ※ 早朝の濃霧が晴れ新しい箒が届く

◆午前4時半起床.米のとぎ汁のような濃霧が立ちこめていた.気温10.6度.しかし,日が昇るとともに青空が広がってきた.

◆新着本 —— Linda Lear『Beatrix Potter: A Life in Nature』(2007年1月9日刊行,St. Martin's Press, New York, xx+584 pp.,ISBN:978-0-312-36934-7 [hbk] / ISBN:978-0-312-37796-0 [pbk]).よりどりみどりのキノコあり,ピーター・ラビットのモデルになったウサギさんあり.予想通りの“電話帳”だった.最終章で,著者は,ベアトリクス・ポッターがナショナル・トラスト運動に賛同した動機は,自然に対する“stewardship”にあったと考えている

—— いずれにしろ,ここしばらくは読んでいる時間がぜんぜんないので,それまでは“本棚の肥やし”になっていただこう.

◆午前のこまごま —— 堆積しまくっていたメーリングリスト関連の作業をまとめて処理する.小トドだらけ./明日の大垣高座の支度と確認.これでもうだいじょうぶでしょう.

◆午前10時半,晴れときどき曇り.気温17.5度.ここ数日は気温の低い日が続いていたので,とても暖かい.

◆昼休み,気温19.7度.新しい“箒”が届いたので圃場の端っこで試運転をしてみる.うん,まあこんなところでしょう.

◆【種】にからむこまごま —— Carl Zimmer の Scientific American 記事のコピーが届く:Carl Zimmer (1008), What is a species?, Scientific American, June 2008, pp.48-55.早く翻訳を進めないとクビがまわらんよーになる.今月いっぱいが期限だ.【種】に祟られるぞー.

第52回日本菌学会年次大会の講演要旨集が届いた.こちらも【種】の高座ですので,お近くの方はぜひ三重大学でお会いしましょう.誰彼かまわずかもしてあげます.※かもされたりして…….

◆明日は大垣への日帰り長距離旅行なので,午後5時半に早々に撤収してしまう.機材と資料を忘れずに.

◆本日の総歩数=10082歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/−0.5%.


14 mei 2008(水) ※ 高座の準備と旅支度で日が暮れて

◆午前5時起床.曇り.北風が冷たい.気温はたった10.8度しかない.季節感なし.そのうち雨がざあざあと降り出した.なんですか,これ.梅雨みたい.

◆旅支度のもつれ(あるいは“三重の闇”について) —— 今月は中部地方に2回の出張がある.明後日16日(金)は,大垣の情報科学芸術大学院大学(IAMAS)で「芸術情報学演習」という講義を担当する.もうひとつは月末から開催される第52回日本菌学会年次大会(三重大学三翠ホール)の公開シンポジウム〈>菌類における「種」とは何か〉で招待講演がある.その往復の“足”をそろそろ確保しないといけないな.

ということで,最寄りの三井ビル内にあるJTBを朝イチで襲撃した.大垣往復の陸路は難なく予約できたのだが,問題は三重行きで発生した.三重大学のある津まではJRが通っているのでよかった.しかし,初日前夜は,同じ三重県内の〈榊原温泉〉に滞在するので,近鉄を乗り継がないといけない.ところが,JTBの窓口担当は「キンテツですか……」と一言置いて,そのままデスクの裏に入っていった.次に登場したときは担当者は二人組になっていた.単に,近鉄の「津」駅から「榊原温泉口」駅までの数10分の乗車のはずなのだが,予約ディスプレイを覗き込みながらああでもないこうでもないと囁きあっている.ひょっとして関東のJTBでは三重県の近鉄路線はあまり扱った経験がないのかな.

などと思っているうちに,どんどん時間が転がりはじめた.午前10時のJTB開店と同時に入ったのに,半時間,1時間と時間は容赦なく過ぎる.窓口さんはついに近鉄に電話をし始めたようで,「この路線のチケットが発券されないのはなぜですか」などというやりとりのあいまに,「難波が」とか「上本町が」などという遠方の駅名が混じるようになった.まさか津から大阪経由で榊原温泉に送り込むつもりじゃないだろうなと不安を感じてしまうほどどった.

幸い,客であるワタシもまじえて『JTB時刻表』をめくりつつあーでもないこーでもないとやりとりした末に,最終的にリーズナブルな経路のチケットをアンリーズナブルな時間をかけて発券してもらった.JTBをあとにしたのは1時間半後の午前11時半のことだった.

—— 三重県内の私鉄は関東の旅行プロにとっても“闇”なのか,それとも〈地理検定〉を受験していただいた方がよろしいのかは定かではない…….

◆正午.土砂降りの雨.気温は11.0度で,朝からほとんどあがっていない.やっぱり半袖姿は無謀だったか…….午後1時過ぎにはいったん晴れたが,再び曇り空に戻り小雨が続く.

◆午後は高座の支度 —— 農大かもし(5回目)の三点セットを早々にそろえてしまう.今回はハンドアウトが多いのでたいへんだった./大垣高座のスライドとハンドアウトもがしがしと仕立て上げ,向こうに連絡する.大垣到着時刻も知らせたのでこれで一段落だ.

—— 午後3時前に作業終了.菌学会シンポジウムはもっと“客ウケ”のいいネタをつっこむ必要があるが,準備にはまだ余裕があるな.

◆午後のこまごま —— 東大・専攻ソフトボール大会は5月20日(火)の朝からだそうだ.夕方からは専攻交流会があるという.参加ヨロシクとのことだが,翌日は専攻教員会議だし,他の予定も詰まっているから失礼させてもらおう.当連携講座からはYONEさんに人身御供として犠牲になってもらうことにしよう.※成仏してください.

◆〈R〉本が続々と届く —— まずは:Michael J. Crawley著[野間口謙太郎・菊池泰樹訳]『統計学:Rを用いた入門書』(2008年5月10日刊行,共立出版,xiv+344 pp.,本体価格4,300円,ISBN:978-4-320-01857-0 → 目次版元ページ).定評ある〈R〉統計本の翻訳.ぼくも原著のお世話によくなった:Michael J.Crawley『Statistics: An Introduction Using R』(2005年5月刊行,Wiley,ISBN:0-470-02297-3 [hbk] / ISBN:0-470-02298-1 [pbk]).同じ著者による“象”みたいにエンサイクロペディックな『The R Book』に取り組む前の入門書として勧められる.

もう1冊は:高階知巳『Rプログラミング&グラフィックス』(2008年5月15日刊行,九天社,x+249 pp.,本体価格3,800 円,ISBN:978-4-86167-234-7 → 目次版元ページ).〈R〉による「プログラミング」に重点を置いた本という点で,先行する:ウーヴェ・リゲス『Rの基礎とプログラミング技法』(2006年10月22日刊行,シュプリンガー・ジャパン,ISBN:4-431-71218-6 → 目次),あるいは:間瀬茂『Rプログラミングマニュアル』(2007年11月10日刊行,サイエンス社[新・数理工学ライブラリ[情報工学] 1],ISBN:978-4-901683-50-0 → 版元ページ)に近い性格の本だと思われる.

◆夕方,巨大な“絵巻物”が届けられる.系統樹のタペストリーはいつ見てもいいものだ.小雨降る中,帰宅.寒い寒い.

◆本日の総歩数=9952歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.3kg/−0.1%.


13 mei 2008(火) ※ 本が届き論文が飛び督促が襲来し

◆午前4時半起床.北の風,雨強し.気温8.9度.季節はずれな寒さが続く.

◆“新しい分類学”って —— Quentin D. Wheeler (ed.)『The New Taxonomy』(2008年4月9日刊行,CRC Press[Systematics Association Special Volume Series 76],xii+237 pp.,ISBN:978-0-8493-9088-3 [hbk] → 目次版元ページ).おお,ビッグ・サイエンスにしてサイバーサイエンスな“分類学”の報告書! 昨年来,その出版が予告されていた論文集だ.

本書の『The New Taxonomy』というタイトルは,もちろんこの叢書〈Systematics Association Special Volume Series〉の第1巻に祭り上げられた歴史的論文集:Julian Huxley (ed.)『The New Systematics』(1940年刊行,Oxford University Press,viii+583 pp.)を受けている.その意図するところは,あるいはその宣伝戦略は明らかだ.実に“政治的に上手い”なあ.

まずは,表紙のデザインがふるっている.“GBIF”,“AToL”,“MorphoBank”,“TreeBASE”などなどの時代のキーワードが「Taxonomy Cyber Infrastructure」という“たが”によってキュッと締められている.内容をぱらぱらみても,“New Taxonomy”とか“e-Taxonomy”というキーワードが随所に散りばめられている.分類学は今後は「メガ・サイバーサイエンス」を目指すということを自他ともに認めたのか?(ホンマか?) 

本論文集をひもときつつ,Christine Hine『Systematics as Cyberscience: Computers, Change, and Continuity in Science』(2008年3月刊行,The MIT Press[Series: Inside Technology],320 pp.,ISBN:978-0-262-08371-3 [hbk] → 目次版元ページ)を併読すれば,きっとこの“新しい分類学”に対する見方は変わるよねえ.

—— それは誤読,それとも幻想.まさか真相?(“新装”ではあるが) Huxleyの『The New Systematics』の実像が何であったかを思い起こすとき,あまり楽観的になるのは禁物よとクレイオーは言っているように思う.

◆午前10時.小雨.気温11.0度.寒い寒い.※「半袖なワタシ」が単にワルイのか…….

◆午前のこまごま —— 今年もまた,10月21日(火)に“人間犬”に変身するようにとの通達があった./ICSEBから久しぶりのメールがと思ったら,何やら問題だなあ./秋の統計研修の日程案が送られてきた.「基礎編」は11月10日(月)〜14日(金),「応用編」は翌週の11月17日(月)〜21日(金)だ./とすると,交流センターの分子系統学セミナーの日程がそろそろ準確定されるなあ.10月第2週あたりが最適値だ./午前11時からとある系統樹を囲んでのヒソヒソ話.説明コメントを付ける必要あり.

◆メルボルンの Gary Nelson さんから,故 Colin Patterson の小伝を『NDSB』に書いたからとpdfが送られてきた:Gareth Nelson (2007), Colin Patterson. Pp. 30-34 in: New Dictionary of Scientific Biography, volume 6. Charles Scribner's Sons. 分岐学の現代史ともいえる内容.どうもありがとうございました.

この大部な科学者伝記事典である NDSB すなわち『New Dictionary of Scientific Biography』(2007年12月刊行,全8巻,Charles Scribner's Sons,ISBN:9780684313207)は,16巻からなる旧版の DSB こと『Dictionary of Scientific Biography』を完全に書き換えるかたちで再編集されたという.したがって,旧版との“重なり”がまったくないために,新旧の両版を超合体させた全26巻の『Complete Dictionary of Scientific Biography』(2007年12月刊行,全26巻,Charles Scribner's Sons,ISBN:9780684315591)も新版と同時に刊行されたという.

—— 何かの機会に「DSBクレード」をずらっとそろえたいものだ…….

◆午後のこまごま —— 農大・昆研への新刊合宿用お供物は謹呈させていただきました.※「構内完全禁酒令」が解除されてよかったですねー./進化学会大会の生物学哲学WSの期日は,8月23日(土)9:00〜11:30と決まったそうだ.

◆諸方面のこまごまが“堆積”しつつある.山崩れしないうちにさくさく処理しないとどーしよーもない.

◆本日の総歩数=8217歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.7kg/−0.1%.


12 mei 2008(月) ※ 肌寒い午後は農大でかもしましょ

◆午前5時半起床.曇り.北の風がとても寒い.10度を下まわっている気配.その後も,ときどき晴れ間がのぞいたりしたが,基調は曇天.5月とはとても思えない気温の低さだ.

◆午前のこまごま —— 銀行からちょっと送金した./今週末の大垣での講義の支度をそろそろしないといけない.新幹線のチケットも./某所での“試飲会”の決行宣言文が届いた.よろしく.

◆農大かもし(第4回目) —— 12:11発の TX 快速に乗る.経堂に着いたのは午後1時半だった.寒い曇り空のもと,農大通りをてくてくと南下する.定刻14:40から講義開始.今日は John Tukey の「箱ひげ図」の説明ののちに,Karl Pearson にお出ましいただいて,確率変数と確率分布について話をする.わりとまっとうにパラメトリック統計学の基本について説明したと思う.ただし,“数式含有率”は今までになく高かった.積分記号とか期待値演算子とか.

—— 案の定,「今日は深くかもされてしまいました……」という受講生の声がたくさん返ってきた.そーすか(やっぱり).※次回はやり方を少し考え直さないといけないかな.

◆講義後,ちょいと寄り道して,経堂から急行に乗ってつくばに直帰した.

◆往復車中読書 —— 辻惟雄『岩佐又兵衛:浮世絵をつくった男の謎』(2008年4月20日刊行,文藝春秋[文春新書629],256 pp.,税込価格1,260円,ISBN:978-4-16-660629-0 → 書評・目次版元ページ).読了.「浮世又兵衛」こと岩佐又兵衛については,前に読んだ俳画論:磯辺勝『江戸俳画紀行:蕪村の花見,一茶の正月』(2008年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書1929],本体価格860円,カラー口絵 4 plates + viii + 274 pp., ISBN:978-4-12-101929-5 → 書評・目次版元ページ)の中で,花見で浮かれ踊る人物として描かれていたことを覚えている.

本書は,浮世絵という絵画スタイルの始祖[のひとり]である岩佐又兵衛の生涯をたどりつつ,その画業を論じた本で,全編にわたりカラー図版がちりばめられている.必ずしも幸せな人生を送ったとはいえない又兵衛の描く浮世絵の絵巻物には,『山中常盤』や『堀江物語』など長大な作品が少なくないという.しかも,ときに残酷絵そのものの内容はあまたの贋作を産み出す結果となり,現代にいたるまで「又兵衛作」をめぐる真贋論争が絶えなかったと著者は指摘している.

又兵衛は,レンブラントと同じく「工房」をつくり,複数のマンパワーのもとに次々に作品を出力したそうだが,その実像についてはいまだに解明されていない謎が多いという.代表作『山中常盤』については,第一書房の創業者だった長谷川巳之吉が,海外流出の間際に,家財を抵当に入れて買い戻したという逸話が述べられている.巳之吉の伝記:長谷川郁夫『美酒と革嚢:第一書房・長谷川巳之吉』(2006年8月30日刊行,河出書房新社, ISBN:4-309-01773-8→目次)は,半分まで読んで放り出してしまったが,後半にそういう記述があるのだろうか.もういちど引っ張り出してみよう.

—— 新書にしておくのはもったいないほどたいへん読みごたえのある本で,保存状態のいい絵巻物を手軽に眺めることができるのは眼の保養になる.

◆本日の総歩数=9802歩[うち「しっかり歩数」=5146歩/48分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.1kg/+0.7%.


11 mei 2008(日) ※ つくば市某所にて山羊と格闘する

◆午前5時半起床.あいかわらず北風が吹き,雨がぱらつく.寒いです.

◆〈R〉で「MCMC」という本 —— 近刊:豊田秀樹(編著)『マルコフ連鎖モンテカルロ法』(2008年5月25日刊行予定,朝倉書店,ISBN:978-4-254-12697-6 → 版元ページ).MCMCの応用事例がたくさん載っているようだ.〈R〉のパッケージ〈BRugs〉というのを使うらしい.

◆世の中はとても狭い —— 農環研の裏手にある集落はぼくの日常的な散歩コースなのだが,途中の一角に黄色いログハウスがしばらく前に建った.昔からの農家が集まる集落の中でここだけ明らかに“浮いて”いた.いったい誰がすんでいるのだろうと思いつつ,いつも通り過ぎていた.そうこうするうち,ある日のこと山羊がめぇめぇ鳴いていた.ログハウスに山羊ですか.これはもうただごとではない.

ところが,昨夜,ブタのはらわたを喰っていた相方が「明日はつくばにある知人の家に呼ばれて庭で薫製をつくることになっている」と言った.なるほど,とても“つくばスタイル”ですなあ.で,場所は?と聞いているうちに,“ログハウス”と“山羊”というキーワードが飛び交っていた.まちがいなくアノ家だ.

ということで,飛び入りの参加ではあるが,午後おじゃまさせていただくことになった.名前もお顔も知らないご家族なのだが,家の場所だけは正確に把握しているというフシギな状況だ.

山羊のいるログハウスにたどり着いたのは午後1時過ぎだった.初対面の挨拶もそこそこにいきなり呑みはじめてしまう.京大オケでチェロを弾いていたというご主人が庭で薫製をつくっては皆で食べるという会だ.牛久で「口笛教室」を開いているという方もいたり,この人間関係の妙さと世界の狭さは感慨深いものがある.ときどき山羊さんと運動したり.

◆夕方近くなってやっと天候が回復し,晴れ間がのぞくようになった.冷蔵庫に冷やしてあった〈王碌・渓[にごり]〉をおそるおそる開栓し,イッキに飲んで,お開き.TXみどり野にたどり着いたのは午後7時近かった.

◆なんのかんのと言って,この三日間は呑み続けてしまった…….

◆本日の総歩数=10866歩[うち「しっかり歩数」=1726歩/16分].全コース×|×.朝○|昼×|夜○.前回比=+0.6kg/+0.4%.


10 mei 2008(土) ※ 松戸にて〈展覧会の絵〉オケ練習

◆午前5時起床.北風が強く曇りのち雨.涼しいというより肌寒い.その後も小雨が降ってはやむという空模様.

◆朝の朗報 —— 「〈leeswijzer〉アクセスが60万台に乗る! 本日の早朝のことですが,〈leeswijzer〉のアクセス・カウンタが「60万」を越えました.大台の「50万台」に到達したのが,年明け早々だったので,今回もまたほぼ4ヵ月間で十万アクセスをカウントしたことになります.閲覧者のみなさん,どうもありがとうございます.今後ともよろしくお願いいたします」と流した.触覚に引っかかった本の情報を並べ続けて,もう3年目に入った.ネタが尽きるか思えばぜんぜんそういうことはなかった.本がもともとありすぎるのか,東方が読み過ぎるのか.

◆正午前,雨足がやや強くなる.つくばセンター広場では国際交流のためのフェスティバルで,露店がたくさん出ているが,この雨空では売り上げにも悪影響があるだろう.近いので微力ながら貢献させていただいた.それにしても季節はずれの冷風が北から吹きつけて,半袖姿は影もなく.

◆午後は,〈展覧会の絵〉の譜読みと暗記.演奏箇所の前後を含めてひたすら聴き読みそして記憶する.室内でも気温は16度しかない.ということは,本日の最高気温は15度に達していないということだろう.

◆松戸にてオケ練習 —— 16:41発の TX 快速で南流山まで.武蔵野線に乗換え二つめの新八柱駅で下車する.ここまで半時間ほど.しかし,雨降る夕暮れの駅前からが遠かった.約20分ほど歩き,公園内にある「森のホール21」にたどりつく.午後6時半に地下リハーサル室が開場されセッティング.午後7時から1時間半ほどが〈展覧会の絵〉の練習だ.最初にしてはまあつつがなく終わったのではないかな.終曲「キエフの大門」の鐘は来週にならないと用意されないので,指揮を見ながらイメージ・トレーニングあるのみだ.

今回エキストラで出演するのは,松戸シティフィルハーモニー管弦楽団の第30回定期演奏会だ.5月18日(日)午後2時から,ここ「森のホール21」で本番がある.団員も多いそうで,合唱付きの大曲をやることもあるという.今年の暮れはマーラーの〈復活〉だ(マジっすか).

午後9時に「森のホール21」をあとにして,しとしと雨の中を駅まで戻り,TX流山おおたかの森駅で途中下車.

駅ビルに隣接して新しくできたライフガーデン内の〈そらの豚〉で,ブタの臓物を喰う.厚みのある心臓あり,気管の鮮やかな肺臓あり,はらわたもあり.舌もある.ケダモンです.今度は池袋に“犬”を喰いに行こうというワルイ企みが立てられた.こうなったら何でも喰います.

—— 午後11時過ぎにTXに転がり込む.つくばに帰り着いたのは30分後のこと.寒い寒い.

◆本日の総歩数=10634歩[うち「しっかり歩数」=1487歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.2kg/−0.7%.


9 mei 2008(金) ※ 駒場にて若者たちをオルグする夜

◆午前4時半起床.曇りときどき晴れ.北の風.涼しい.

◆早朝のこまごま —— 農大かもしスライドのプリントアウト.統計モデリング概論のスライドを追加でつくらないといけなくなった.まったくキリがない作業だ.朝のうちにさらに15枚ほどつくっておしまい./8:22 に弱い地震あり.

◆やっと届いた『生物学名辞典』 —— 平嶋義宏『生物学名辞典』(2007年7月20日初版第1刷刊行/2007年11月26日第2刷刊行,東京大学出版会,xxii + 1293 pp.,本体価格45,000円,ISBN;978-4-13-060215-0 → 目次版元ページ).昨年度末に公費購入したのだが,今頃になってやっと図書室から研究室に戻ってきた.過去の「平嶋学名本」たちはすべて手元にあるのだが,さらに「6センチ」ほどの厚さで書棚の占有面積が占領されることになった.

◆晴れると暑い午前のこまごま —— 朝イチの市役所参り./農大スライドのハンドアウトづくりと印刷作業.これで来週の“三点セット”がやっとそろったことになる./講義ブログのコンテンツも詰めないといけないのだが,そこまでの余裕がいまはない.しかし,「いつになったら余裕ができるのか?」と自問してみるに,「これからも余裕はない[にちがいない]」のだから,やっぱりいまやるしかないか…….

◆昼休みに撤収し,自宅で引き籠り.北風が強い.気温は低めに推移する.午後2時前にガスレンジの修理業者がきたので立ち会う.レンジの天板を交換するだけで「ん万円」もかかってしまった……(耐熱ガラスだったので).みだりに深鍋を落してはいけません.

◆今年の駒場オルグ —— 15:41発の TX 快速で東京に出る.駒場に着いたのは午後5時過ぎだった.駒場下の河野書店の平台をひとまわりする.今日はロシア語の古書がたくさん並んでいた.午後5時半の定刻に12号館の1222号室にたどりつく.今夜はこの教室で,午後6時から東大農学部の生物・環境工学専修(旧“6類”)の「専修ガイダンス」(という名前のオルグ集会)がある.

来年進学してくるかもしれない駒場生相手に毎年やっているガイダンスだが,この専修の特徴は,ガイダンスのプロデュース自体に,教員だけでなく,学部生・院生が積極的に関わっているという「温度の高さ」にある.他の学科や専攻ではここまで一体となってコミットすることはないそうだ.

今年も教員による各講座・研究室の紹介とともに,学生たちの“証言”や“紙芝居”まで飛び出した.午後7時までの予定だったのだが,延長に次ぐ延長で,けっきょく午後7時半まで伸びた.ガイダンス後に回収したアンケートの自由記述欄を見ると,昨年並に50名近く集まった教養学部生のウケも概してよかったようだ.

◆午後8時半,ガイダンス関係者15名が渋谷駅前の〈天狗〉に集結して反省会(という名の飲み会).山形の「大山」の純米大吟醸など.宮城の「浦霞」純米酒もよかった.京都の「月の桂」……ダメでした.奇を衒って“発泡清酒”に参入しようとしてもダメダメです.午後10時過ぎまで皆で“反省”し続けました.ハイ.

◆つくばに帰り着いたのは午後11時半のこと.北風が吹き,気温は低い.

◆往復車内読書 —— 明日の夕方は松戸にて〈展覧会の絵〉のオーケストラ練習があるので,ひたすら総譜読みこみ.総譜の「何」を読むか.要するに“全部覚える”ことに尽きる.パート譜には必要最低限の情報しか書かれてなく,しかも虐げられし打族の譜面は「休符」ばかり.「ここまで Tacet」とか「残りぜーんぶ Tacet」なんていうふざけた記法にも慣れてしまった.だから,パート譜はあくまでも御守り程度の気休めにしかならない.最後に頼りになるのはやっぱり総譜しかない.ということで,ひたすら楽譜を読む読む.

—— そのついでに,日経サイエンスの翻訳原稿もちらりちらりと.そろそろ書きはじめないと『』の連載原稿執筆とぶつかってしまう.

◆本日の総歩数=15136歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.2kg/0.0%.


8 mei 2008(木) ※ 地揺れて講義スライドを乱造する

◆午前2時前に震度4でぐらっと揺れた.その後もときどき余震あり.午前4時半起床.晴れ.強い北風が通り抜けて涼しい.しかし,ひなたに出るとやはり暑い.

◆朝から元気の出る話 —— 田崎晴明さんの日記〈日々の雑感的なもの〉の2008年5月6日(火)記事に,原著論文(速報)を物理学業界のさる著名ジャーナルに投稿してからの悲喜交々の苦労話が載っている.最初はリジェクトされたり,あるいは査読意見が割れたり,ときには性悪?レフリーと格闘したり,かげでへこんだり,また奮起したり,策を練りまくったり,意外な発見があったりというストーリーが綴られている.その結末やいかに?(→読むべし読むべし:そして,[共著者でも何でもないんだけと]その歓びを共有しよう)

◆日射し強過ぎ.紫外線乱射.午前のこまごま —— 大量文書のコピー完了./某所へファクス.完了./かつて日本認知学会シンポジウムで発表した講演要旨がHDDからたまたま転がり出てきた.当時はよく使っていた話題でもその後はとんとご無沙汰になっているものが少なくない.適当にリバイバルさせて有効利用しよう.

◆ロード・アイランドから着便本 —— Joseph Henry Woodger『The Axiomatic Method in Biology』(1937年刊行,Cambridge University Press,x+174 pp. → 目次).白上謙一蔵書の「孫コピー」しか手元になかったので,前から機会があれば入手したいと望んでいた.ウッジャー本はレアなので古書価格はたいていの場合とても高い.しかし,今回に限っては破格に安かったので即決でオンライン発注した.

まずは入手本の“トークン”としての情報から.今回ぼくが手に入れたのは,メイン州の名門カレッジである Bowdoin College の図書館から放出された1冊だ(旧蔵書番号は「574W856」).「1941年5月27日」に同大学の図書館に納入されたと記されている.図書館ではよく借出された形跡はあまりないようだ.論理記号があふれかえっている本なのでしかたがないだろう.「孫コピー」ではつぶれて判読できなかった論理式が明瞭に読み取れるのは原本ならではだ.

値段が値段だったので古書として“ぼろぼろ状態”ではないかと懸念されたのだが,実際に手にしてみるとそれがまったくの杞憂であることがわかった.この抜群の保存のよさはハッピーだ.ハードカバー造本はしっかりしているし,擦り切れや汚損,紙の“日焼け”もまったく見つからない.とても70年前の本だとは思えないほど.とても感激したので,古書店に「とてもいい本をありがとう」とお礼メールを送ってしまった.

◆午後はスライド製造機と化す —— 農大かもしスライドを造りはじめたのがドロヌマのはじまりでして…….John Tukey やら Karl Pearson ら大御所たちがずらっとよみがえってきて,さあたいへん.Box-plot の説明図をはじめ,確率分布や統計モデルのスライドを次々と手がけるはめになった.夕方になってもぜんぜん終わらず.(続く)

◆さらなるこまごま —— 今月末に迫ってきた日本菌学会大会(三重大学)についての事務連絡あり./ISHPSSB Kobe 2008 についてのリマインダー.もろもろの依頼をしないといけないな./帰る間際に人事から兼業に関する問題発生との連絡あり.大垣日帰りの「兼業」はダメとか.なんでですかー(わからん).でも,明日も月曜も研究所にはいないことになっているので,見切り発車か強行突破になる可能性もありまっせ.

◆夜は北風に吹かれつつ,さらなるスライド乱造の苦界へとずぶずぶ沈みこんでいく.噺の筋書きをつくりながらスライドを埋めているので,時間がかかるのはしかたがない.逆に言えば,スライドができあがった時点で,高座の準備はすべて終わっているということだ.

—— けっきょく日が変わる前までに30枚ほどつくってしまった.プリントアウトとハンドアウトづくりは明日まわしね.

◆明日は夕方から駒場にて進振り学生相手の「専攻ガイダンス」がある.毎年恒例の学内行事だが,夕闇迫る午後6時に12号館にワルイ先生たちが集結し,いたいけな(ほんまかっ)学生をオルグしようというワルダクミだ.たくさんの学生さんがまんまと引っかかってくれることを切に期待しています.12号館の「1222号室」です.ヨロシク.※ここで宣伝してどーする…….

◆本日の総歩数=11235歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/−0.2%.


7 mei 2008(水) ※ 連休明けはいきなり真夏日に接近

◆午前4時過ぎにいったん目覚めるが,頭がガーン.うへ,呑み過ぎたか.さらに1時間ほど寝てから,よろよろと起き出す.快晴.南風がひんやりとしている.

◆朝のこまごま —— 来月はじめに筑波大学である計量生物学会と応用統計学会の大会プログラムがつるんで届いた./個人業績評価に関する打合せしばし.はいはい./住宅調査票が届いたので,速攻で打ち返す.こういうときだけはすばやい./来週金曜に講義に行く大垣のIAMASから出講依頼がやっと届いた.これまた瞬間的に人事へ兼業依頼を出す.

◆午前10時半,いかにも紫外線の強そうな日射しが照りつける.暑いです.当然,夏日ラインは越え,真夏日に接近中.しかし,ロビーの温度計が連休前からずっと「15.2度」を指したままなので,正確な温度はぜんぜんわからんまま.

◆農大かもし三点セットのしたく —— 昼過ぎから講義準備をはじめる.連休がはさまったので2週間ぶりになる.次回は,確率分布とその記述統計量から入る予定だが,John Tukey の「箱ひげ図」の説明スライドを新作しないといけないな.Karl Pearson 先生の御尊顔もどこかに掲げておこう.確率密度関数は「モデルと現実」との絡みで高座に上げることにしよう.出席票とハンドアウトだけは早々と用意できた.あとはスライドの準備のみ.

◆午後のこまごま —— 西日が差し込んできたので逃げたいのだが,『生物科学』の特集原稿を書くのをすっかり忘れていた…….さて,どーしましょ./生き物文化誌学会のジャーナル投稿原稿のイントロを書くことにしよう./翻訳は?/『』連載の着陸は?/別件の翻訳書2冊は? ※とりあえず考えないことにしようか.

◆午後4時から『Modern Morphometrics in Physical Anthropology』の輪読セミナーの第15回.Chapter 5 : Waleed Gharaibeh「Correcting for the Effect of Orientation in Geometric Morphometric Studies of Side View Images of Human Heads」の続き(pp. 120-124).三次元オブジェクトの回転(turning と tilting)が正射影の二次元標識点形状にどのような体系的な影響を与えるかをシミュレーションにより考察する.経験的に,三次元空間内でのオブジェクトの回転は二次元標識点の変異における第1主成分に影響すると仮定できる.そこで,実際に頭骨形状を三次元的に回転させ,その二次元射影に生じる変異を仮想変形として記述する実験を行なった.

◆夕方,帰宅後に統計講義スライドの素材をおもむろに集めはじめる.夜になって,北寄りの風が強まってきた.涼しい.今日は湯の花饅頭をたくさん摂取した気がする.

◆本日の総歩数=7154歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+0.8%.


6 mei 2008(火) ※ 連休最終日はアルコール摂取過多

◆午前4時半に目覚めたが,窓を開けて再び寝入る.午前7時前に起床.快晴.南風が心地よし.日射しはとても強く,UV-rich な感じ.

◆過去に書いた書評の発掘と掲示 —— 朝のうちに,Linda Lear『Rachel Carson: Witness for Nature』(1997年刊行,Henry Holt and Company, New York,xviii+634pp.,ISBN:0-8050-3427-7 [hbk])の目次書評を〈leeswijzer〉に公開した.ウェブやブログを使っていなかった前世紀の頃は書評を書いても,メーリングリストで公開するしかなかった.いまと同様に,その頃にもたくさんの書評文や紹介文を書いていたのだが,そのほとんどは個々のメーリングリストの過去ログ倉庫に入ったままになっていて,すぐにアクセスできる形式にはなっていない.機会があればあるいは気がつけば,そのつど〈leeswijzer〉に掲載するようにはしているのだが,とにかく件数が多過ぎて洩れ落ちがまだまだある.

—— リンダ・リアのレイチェル・カーソン伝は確かに力作だったことを,自分の書評を読み返してみて再認識した.近々届くはずのベアトリクス・ポッター伝も期待できそうだ.

◆日中は心地よい五月晴れで,涼しい南風が通り抜ける日和となった.“健康的な引き籠り”を決め込んでほぼ終日にわたり室内に居続けた.湿度が低いのがことのほかよろしい.ニュースによるとここ何日かは「湿度10%台」だそうだ.まるでヨーロッパ内陸のような乾燥度だ.

◆風に吹かれて「ツリーハウス」で夢をみたい —— アラン・ロラン,ダニエル・デュフール,ギスラン・アンドレ著[日本ツリーハウス研究会・山瀬千晶訳]『ツリーハウスで夢をみる』(2007年7月30日刊行,二見書房,ISBN:978-4-576-07112-1 → 版元ページ).いただきもの.ざっと読了.同じ出版社からの前著:ピーター・ネルソン著[日本ツリーハウス協会監訳]『ツリーハウスをつくる』(2005年7月28日刊行,二見書房,ISBN:978-4-576-05127-7 → 版元ページ)とポーラ・ヘンダーソン,アダムモーネメント著[柳田亜細亜・日本ツリーハウス研究会訳]『ツリーハウスで遊ぶ』(2006年8月31日刊行,二見書房,ISBN:978-4-576-06112-2 → 版元ページ)に続く第三弾.夢見る tree-thinker たちもまた「樹上に家を建てる」べきだろうか.MacClade のあるバージョンのマニュアルには「Think trees / Save trees」という“格言”が記されていたことをふと思い出した.

◆日中とても快適だったので,夕暮れとともに盃を傾けはじめ,気がつけば〈船尾瀧〉の大吟醸が空っぽに…….連休最後の夜は,NHKの〈ダーウィン特番〉を眺めつつ,ただの酔っぱらいに変身してしまった.

◆明日からの平常労働日にはさくさくと支度をすべきことがとても多い:2週間ぶりの農大・三点セットと講義ブログの更新/日経サイエンスの翻訳開始./〈展覧会の絵〉の総譜読み,etc. トド多数出現.

◆本日の総歩数=2248歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.3kg/−1.4%.


5 mei 2008(月) ※ 残りの連休は健康的に引き籠ろう

◆ゆるゆると午前7時まで寝過ごしてしまう.曇りのち霧雨.気温は低めだ.

◆読了 —— Eileen Jay, Mary Noble, Anne Stevenson Hobbs『A Victorian Naturalist: Beatrix Potter's Drawings from the Armitt Collection』(1992年刊行,Frederick Warne & Co., 192 pp., ISBN:0-7232-3990-8 → 目次書評).在野でしかも女性の生物研究者というのは19世紀のイギリスの学界では暖かい受け入れられ方はまったく望めなかったようだ.ポッターが自らの研究成果をリンネ協会で発表しようとしたとき,女性による学会発表は認められないという規定により,“代読”という形式でしか論文は読まれなかった.しかも,その後,学会誌への掲載を試みたものの最終的にその希望がかなうことはなかったという.また,王立植物園(Kew)の職業的植物学者との交流も試みたらしいが,冷たくあしらわれたとのこと.とりわけ,Kew の園長だった ウィリアム・ティゼルトン-ダイアーはポッターと面会することすら拒否したという.

生涯唯一の学界へのアプローチがこのような不幸な結果に終わったことに,ポッターはとても落胆し,ピーター・ラビットの誕生を契機として,その後は女性作家としての新たな道を歩むことになったと書かれている.

ポッターと言えば「子どもの本」の作家というイメージがあまりにも強いが,菌類研究者としての彼女のキャリアに光を当てた本書はその点で認識を新たにする読者はきっと少なくないだろう.さらに,レイチェル・カーソン伝記作家 Linda Lear の手になる新しいポッター伝『Beatrix Potter: A Life in Nature』(2007年1月9日刊行,St. Martin's Griffin,ISBN:0312369344)を手に取れば,19世紀の伝統的イギリス社会の中で在野の女性科学者がどのような境遇に置かれていたかというもっと広い文脈が見えてくるだろう.

◆Linda Lear は,10年前に大きなレイチェル・カーソン伝を出した:Linda Lear『Rachel Carson: Witness for Nature』(1997年刊行,Henry Holt and Company, New York,xviii+634pp.,ISBN:0-8050-3427-7 [hbk] → 目次書評).このカーソン伝は600ページを越える大著だったが,入手した正月休みに読み切った記憶がある.いま確認してみたら,この本の書評はメーリングリストには流したが,ウェブではまだ公開していなかった.機会を見て公開することにしよう.なお,この伝記は翻訳がすでに出版されている:リンダ・リア[上遠恵子訳]『レイチェル:レイチェル・カーソン『沈黙の春』の生涯』(2002年8月26日刊行,東京書籍,797 pp.,ISBN:4-487-79633-4).まさに電話帳なみ.

—— そして,10年後の現在,今度はベアトリクス・ポッター伝を出したということだ.これまた600ページに及ぶ伝記で,出版直後から評判になり,賞も受けていると聞く.10年がかりで大きな伝記を著す biographer がいて,しかもそれを読む読者層が定着しているというのは日本ではちょっと考えられないな.

◆日中はときどき晴れたりまた曇ったりというはっきりしない空模様だった.気温は20度そこそこで,暑くも寒くもない中庸さ.

◆とてもフシギなヘッケル復刻本たち —— いずれも Verlag Dr. Müller からヘッケル復刻がすでに3冊も出ている:Ernst Haeckel『Das Protistenreich』(2007年刊行,Verlag Dr. Müller,ISBN:9783836414555).本書が最新刊だが,その前年には:Ernst Haeckel『Kristallseelen』(2006年刊行,Verlag Dr. Müller,ISBN:9783865509277)と Ernst Haeckel『Prinzipien der generellen Morphologie der Organismen』(2006年刊行,Verlag Dr. Müller,ISBN:9783865509246)がすでに出版されている.しかし,版元の Verlag Dr. Müller サイトを見ても,復刻の底本とか今後の出版予定とかこちらが知りたい情報がよくわからない.ヘッケルのリプリント本をこれからも続けて出すということなら,期待したいのだが.

◆夕方,コーヒー豆を求めてつくば市内をうろうろする.〈竹園珈琲〉は連休閉店していた.小野崎の〈Shingoster〉にてルワンダとコロンビアを調達する.曇り空からときおりぽつりぽつりと雨が落ちてくる.湿度が高く,やや蒸し暑い.夜になって南風とともに小雨が降り出した.

◆本日の総歩数=7600歩[うち「しっかり歩数」=5354歩/47分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/+0.6%.


4 mei 2008(日) ※ 夜明け前の露天風呂快楽と天罰渋滞

◆前夜は夜更かししたはずなのだが,午前4時半にはごそごそと起床してしまう.まだ夜明け前でも赤城山の向こうの東の空はもう白んでいる.標高が高いので朝の冷気がひんやりと涼しい.榛名山の中腹にはりついた温泉街は坂道がことのほかきつくて,雪の降る冬場は上り下りがたいへんだと聞く.だからこそ旅館からの見晴らしがよいのだが.

さすがに明け方の温泉街は人通りが途絶えている.しかし,他の温泉街では早朝から外湯に入る客の行き来があるものだ.よく調べたわけではないのだが,伊香保温泉には大きな公共浴場はひとつふたつあるものの,昔からの“外湯”はほとんどない.同じ県内でも四方温泉や草津温泉には多くの外湯があるので,伊香保ではもともとの湯量が限られているという理由からだろう.もちろん,いたるところ外湯だらけの別府・鉄輪温泉などとは比べようもない.

金太夫にもいまはやりの“足湯”が旅館の外に無料で設けられているのだが,足湯よりも外湯がいいな.

◆薄暗がりの中を屋上露天風呂に沈む.湯舟に沈みつつ眼下の温泉街を眺める.頭上は快晴の青空.遠くに見える上越の山々の稜線にはまだ雪が残っている.

◆風呂上がりの日録書きと読書の続き —— Eileen Jay, Mary Noble, Anne Stevenson Hobbs『A Victorian Naturalist: Beatrix Potter's Drawings from the Armitt Collection』(1992年刊行,Frederick Warne & Co., 192 pp., ISBN:0-7232-3990-8)を読み進む.Frederick Warne は,ピーター・ラビットを含むベアトリクス・ポッター(1866-1943)作のキャラクターを一手に管理している会社らしい.さて,本論だが,キノコやコケに深い関心があったポッターは野外採集を繰り返すとともに,みごとな絵を何枚も遺している.本書の中でも格段に厚い章:Mary Noble「Beatrix Potter and Charles McIntosh, Naturalists」(pp. 55-138)では,アマチュア植物学者としてのポッターの活動を同時代人たちとのつながりに光を当てながら明らかにしようとしている.

限られた交友関係の中でも,チャールズ・マッキントッシュ(1839-1922)とのやりとりがポッターの研究活動にとっては重要だったという.やはりナチュラリストとして同じフィールドで活動していたマッキントッシュとの書簡や標本の交換を通じて,菌類学に関する情報を得ていたらしい.このようなやりとりがあったことは,半世紀の長きにわたって開封されなかったマッキントッシュの資料箱を調べてみて初めてわかったという経緯がある.

さらにいえば,ポッターのキノコ絵もまた,アーミット・コレクションへのポッター自身による一括寄贈ののち,実に数十年もの間,人知れずそのまま保管されていたらしい.大きな損傷がないことはもちろん,年月による褪色もない保存状態のよさはそのためだったとのことだ.このアーミット・コレクションを創立した三姉妹もまた,在野にあって科学や教育への貢献が大きかったという.ポッターがアーミット姉妹に共感を覚えたのもごく自然なことだっただろう.

ポッターはもちろん“ピーター・ラビット”という世界的キャラクターを産み出したことで今なお有名なのだが,それは20世紀に入ってからの彼女の仕事だった.19世紀の間の彼女の活動の中心はあくまでもナチュラリストのそれであり,本章では1890年代の研究活動を中心に彼女が描いたキノコの絵が掲載されている.

◆昼過ぎに伊香保を出発する.その前に,石段街からさらに源泉地近くに上がったところにある〈子寶屋〉にて黒糖餡の温泉まんじゅうを買って,と.どこの温泉地にも「温泉まんじゅう」はいろいろあるのだが,伊香保ならここ.途中,高崎に立ち寄ったのち,日の高いうちにつくばに帰る予定で帰路につく.藤岡から太田までの北関東道はスムーズだったのに,下に降りて国道50号に合流したのが運の尽き.東北道を潜り抜けるまで大渋滞にはまり込んでしまった.けっきょくつくばにたどり着いたのは午後7時をまわっていた.GWだからしかたがないのだが,他に選択肢のない道を走るというのは“忍従”あるのみだ.

◆きょうはもう使い物になりません.睡眠あるのみ.連休の残りはとくに予定は入っていない.しかし,ぼちぼちと日常的なことを再開する必要がある.

◆本日の総歩数=9659歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼△|夜△.前回比=未計測/未計測.


3 mei 2008(土) ※ 伊香保温泉で石段街を反復昇降する

◆午前4時半起床.曇りときどき雨.北寄りの風.旅支度の最終チェック.

◆午前6時半につくばを出発.断続的に細かい霧雨が降り続いている.連休後半なので高速道は大渋滞が予想されている.下の道を北に向かい,国道50号を目指したが,こちらもそれなりに他県ナンバーの車でどこも混み続ける.それでも,休憩をはさんでおよそ3時間半走り,北関東道経由で午前10時前には高崎にたどり着いた.雨はもう上がり青空が広がってきた.

◆昼過ぎに高崎を出て,伊香保温泉に向かう.水沢観音を上がったあたりから道路が渋滞しはじめ,温泉街に入る手前でびくりとも動かず.

温泉街の急坂を登りきってホテル〈金太夫〉にチェックインしたのは,午後3時過ぎのことだった.ここは,石段街のすぐ近くで,昔からの由緒ある温泉旅館だが,かつていちどつぶれかけてその後経営者が変わって再建したという.

伊香保温泉の泉質はもともと黄褐色の“金気”たっぷりの湯で(ナトリウム-カルシウム塩化物泉),石段街に近い旅館ほどその泉質を堪能できる.源泉の分配は昔から厳密に決まっていて,どれくらいの源泉量が使えるかは旅館の古来の格式によってちがっているそうだ.今年の正月に泊まった〈景風流の宿・かのうや〉は,石段街からは外れていて,同じ伊香保温泉であっても泉質がまったく異なる,“金気”ゼロの湯だった.

さっそく温泉に直行する.金太夫にはお風呂がいくつかあるのだが,まずは最上階の展望風呂へ.伊香保温泉街から赤城や谷川の山々まで一望できる.快適です.湯上がり後も金気臭・土類臭が濃厚に残る.渋滞をくぐり抜けてきた甲斐があったというもの.源泉に加水・加温しているのは許しましょう.いまの伊香保温泉は,源泉の湯量に対して,林立するホテルや旅館の数があまりにも多過ぎるらしいから.

風呂上がりに石段街を散歩する.連休のこの時期,伊香保温泉は観光客がとても多く,石段街はすれちがうのも一苦労だ.関東地方はここ一両日は天候不順だったが,やっと快晴になったので日帰り客も含めて人出がさらに増えたのだろう.どこの店も土産物屋もとても賑わっていた.

〈船尾瀧〉の純米吟醸ゲット —— 石段街の途中にある十一屋酒店にて〈船尾瀧〉の大吟醸と純米吟醸を一本ずつ買い求める.大吟醸の方はすでに正月にこの店で買って賞味したが,純米吟醸の方は初めてだ.〈船尾瀧〉は群馬のこのエリアではごくふつうに飲まれていて飲み屋でも出されているようだが,他の地域では見たことがない銘柄なので,入手できる貴重な機会を逃すわけにはいかない.

ホテルに戻ってからまずは大吟醸を冷やしてばちびりちびりと.大吟醸は醸造用アルコールが添加されているタイプ.純米吟醸は手をつけずにそのままつくばにもって帰ることにしよう.

◆温泉持参本 —— こちらに来る直前に届いた古書:Eileen Jay, Mary Noble, Anne Stevenson Hobbs『A Victorian Naturalist: Beatrix Potter's Drawings from the Armitt Collection』(1992年刊行,Frederick Warne & Co., 192 pp., ISBN:0-7232-3990-8).ピーター・ラビット物語で世界的に有名なイギリスの女流作家ベアトリクス・ポッターの「菌類図譜」.ポッターはアマチュア研究者として(そしてナショナル・トラスト運動の推進者として),イギリス湖水地方からスコットランドにかけての菌類と地衣類の研究を長年にわたって続けた.彼女は地衣類における共生関係を初めて指摘したひとりだそうだ.本書は,ポッターがアーミット・コレクションに寄贈した多数の菌類の写生(ほとんどがキノコの絵)をカラー図版で載せている.湯上がりにはピッタリの図録だ.眼福ですなあ.

◆ゆるゆると時は過ぎ,日も変わり,丑三つ時になり,菌類にかもされつつ,うぶめがやってくる.

◆本日の総歩数=17178歩[うち「しっかり歩数」=1500歩/18分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=+0.1kg/+1.3%.


2 mei 2008(金) ※ 気分は連休目前の“凪”にたたずむ

◆午前5時起床.曇り.北の風が吹いて,気温は低め.農環研ロビーの温度計はまだ壊れていて,昼夜明け方を問わず「15.2度」を示したままだ.

◆ちょっとした発見 —— Joseph Henry Woodger『The Axiomatic Method in Biology』(1937年刊行,Cambridge University Press,x+174 pp.)は,数理論理学を生物学の“公理化”に適用した古典で,古書価格が異常に高い本でもある.今朝ひさしぶりにオンライン古書店をまわってみたら,破格に安い(それだけの保存状態ではあるようだが)出品があったので発注した.ついでに,この本が新刊で出た当時の書評記事がどれくらいあったのかをチェックしてみたら,意外や意外,こんなにたくさんあるとは驚きだった.

“数式含有率”がきわめて高い特異な内容なので,現在の生物学者が本書を手にすることはまずないだろう.かといって,論理学や分析哲学を専門とする研究者であっても,ラッセル-ホワイトヘッドやタルスキーと絡み合う“うっじゃー”と聞けば即座に尻込みするというから(ほんまか?),現在ではそちらの業界でもこの本はホコリをかぶっているにちがいない.

では,出版当時の本書の受容がどうであったか.サンプルした書評をざっと見るかぎりけっして悪くない.著者のお友だちだった理論生物学者 Conrad H. Waddington が The Mathematical Gazette 誌(Vol. 22, No. 249, pp. 192-193, 1938)に書評を書いているのはまあ当然としても,少なくとも数学と論理学の研究者コミュニティにはそれなりに受け入れられていたようだ(書評掲載誌:Frederic B. Fitch. J. Symbolic Logic, vol. 3, no. 1, pp. 42-43, 1938; E. S. Allen. Bull. Amer. Math. Soc., vol. 44, no. 11, pp. 763-764, 1938).

The Ohio Journal of Science 誌に C. W. Cotterman が寄せた書評記事「Making Biology an Exact Science」(Volume 38, Issue 5, pp. 255-256, September, 1938 → 公開ページ)はこう結ばれている:

Anyone interested in theoretical biology will probably find much of interest in Professor Woodger's study, especially in the introductory chapters. To follow the outline of the biological calculus will, however, consume a great deal of time and study, and this will be necessary if the reader wishes to evaluate the book thoroughly and check for himself the author's claims for its usefulness. (p. 256)

「ウッジャーの本はとてもよくわかる」などと述べられていたとしたら,ワタクシはきっと驚倒したにちがいないので,ちょっと安心した.ある本がコミュニティに受容されるかどうかは時代背景とか時代精神に左右されるのだろうが,個々の生物学者のバックグラウンドや関心のありようはそれほど大きくは変わっていないのかもしれない.

◆午前10:30,やや雲が多くなってきた.湿度高め.進化学会の学会賞選考の手順について通知する.木村基金の木村賞の選考とシンクロさせて進めてください.>さったさん.

◆午後になっていったん晴れ間が除く.昨日よりは気温が低い.近刊いろいろ —— Robert Richards のヘッケル伝,いよいよ出版.Simon Conway Morris の“収斂本”の新刊も出ますぜ,ダンナ.※いずれも予約注文済み.

◆午後2時,分子系統樹の分岐年代推定に関するミーティング.今月22日(木)午後に農環研にて関係者が集結してセミナーを急遽することになった.ひー.※ちゃんと勉強しないとダメです.

◆新刊:パリの本屋さん —— ジュウ・ドゥ・ポゥム『パリの本屋さん(Paris Bouquins)』(2008年5月10日刊行,主婦の友社,128 pp.,本体価格1,800円,ISBN:978-4-07-261574-4 → 版元ページ).文字通り,パリの本屋さんの写真集.いろいろ楽しめる.とても“明るい”本屋がたくさん紹介されているが,もっと“クラい”古書店がいいな.10年前の『世界古本探しの旅』(1998年5月1日刊行,朝日新聞社,ISBN: 4-02-257245-0※絶版)の「パリ編」に出てくる由緒正しき古書店も登場する.

◆雲が厚くなってきた夕方5時に帰宅.雨が降ってきた.北寄りの風強し.明日は,伊香保温泉でプチふやけてくる予定.〈船尾瀧〉の純米吟醸を味わうことにしよう.最低限の旅支度をちょこちょこと.

◆本日の総歩数=8734歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=0.0kg/−1.0%.


1 mei 2008(木) ※ 夏日メーデー,ゲラ読みガンバロー

◆午前5時前に起床.晴れ.北寄りの微風.湿度低い.

◆早朝のこまごま —— 深夜に大東くんから計量生物学会講演要旨が届いたので,内容チェックして即返信./『』のゲラを印刷する.「日が高いうちに」という返却期限がついているので,“日中”に読んで修正しないといけない.

◆快晴メーデーつくば大会 —— 快晴で日射しが強くなってきた.南風に変わる.きのうも夏日だったが,今日はさらに暑くなりそう.午前9時過ぎにメーデー集合場所となっている中央公園に向かう.新緑が映える季節になってきた.花粉シーズンものど元を過ぎ去った.今度は気温と湿度との闘いだ.午前9時半にメーデーつくば大会の開始.千二百人ほどの参加者がいるらしい.

和太鼓が鳴り響き,各単組の決意表明やら,来賓祝辞やらが次々と展開されているのだが,こっちはそれどころではない.炎天下の芝生の上で,直射日光に照りつけられながら,ひたすら『』のゲラ読み苦行を続ける.野外で照度が高過ぎ細かい活字を追うのはたいへんだ.立ったままの朱筆というのも何だかなあ.

しかし,幸いなことに,メーデーのイベントが予定よりも遅くまでかかってくれたおかげで,ゲラを一通り読み終えただけではなく,すべての修正箇所の朱入れと段落差し替え文章の字数・行数確認までできてしまった.おお,これで「日が高いうち」に音羽に返信することができそうだ.

その後,つくばセンター地域をぐるっとまわってデモ行進.再び中央公園に戻り,仕出し弁当をもらって自由解散.正午をまわったばかりだ.今日は午前の半日年休なので,午後は研究所を行かないといけない.

◆午後のイッキ攻め —— 研究所にてゲラ修正箇所のレポートを書く.午後3時過ぎ,十分「日が高いうち」に音羽に返信完了./今月の「トド」のリストを更新する.減らしたはずなのに増えている気がするし,小さいトドが大きく成長している……./午後4時すぎ,メーリングリストの月例アナウンスとともにいくつかの投稿をする.

◆〈R〉関連近刊情報 —— 高階知巳『Rプログラミング&グラフィックス』(2008年5月15日刊行予定,九天社,税込価格3,990円,ISBN:978-4-86167-234-7 → 版元ページ).Rのグラフィクスはいちどきちんと勉強しないとなあ.もちろん発注済です.本書は,これまた近刊の:Michael J.Crawley『統計学:Rを用いた入門書』(2008年5月13日刊行予定,共立出版,368 pp.,本体価格4,300円,ISBN:978-4-320-01857-0 → 版元ページ)とほぼ同時に書店に並ぶのかな.

—— RjpWiki の「R本リスト」は見るたびに“成長”していることがわかる.講義用にと思って日本語の〈R〉本は心して買い集めるようにしているのだが,ぜんぜんキリがない.この調子で冊数が増えるとすると「R棚」は肥大する一方だ.

◆外はしだいに曇って,南風が強まってきた.予報では明日は雨だという.夕方,音羽からOKの返事が返ってきた.

◆終わりの始まり —— 『』の連載は,いま印刷中のものを含めてあと3回で終わることになる.連載終了後はいずれ現代新書として出版されることになっているので,そろそろエンディングについて真剣に考えないといけなくなってきた.これまでは,毎月毎月の“年貢”をばたばたと納めることだけに追われていた.しかし,これからは,過去に連載で書いてきた内容をざっと見わたした上で,書くべきなのにまだ書いていないテーマが何かないかを確認する必要があるだろう.

連載原稿を書く上で参考にした文献については,すべてウェブサイトにリストしてある.いま見直してみると,確かにスルーしてしまった話題がいくつかあるのに気づく.いちおう,残りの回の連載タイトルと節構成は書き出してみたのだが,執筆の過程での major revision がまだまだ予想される.

たとえば,Scott Atran の認識人類学的な【種】概念の検討は,少なくともぼくにとってはたいへんインパクトのあるものだったが,連載の中で正面から取り上げたことはなかった.リンネ式の階層分類体系のもつ認知心理学については,Atran 以降にいくつかの研究がなされている.心理学的な研究もあれば,科学史的な研究もある.その一方で,分類ジェネラリストである中尾佐助がまだ登場していなかった.動的分類論者の早田文蔵もまだだ.こう考えてみると,“落ち穂”は捜し回らなくても,きっと周囲に山のように堆積しているのだろう.

◆本日の総歩数=10951歩[うち「しっかり歩数」=2473歩/27分].全コース×|×.朝△|昼△|夜△.前回比=+0.3kg/+0.6%.


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