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oude dagboek

日録2006年6月


30 june 2006(金) ※ アブストラクトをいきなり書く月末

◇午前3時半に起床.曇り.北寄りの風が吹く.気温23.0度.研究所に直行し,某書類を書き上げる.

◇朝のこまごま —— 〈Hennig XXV〉関連:先延ばしにしていたが,今月末が締切なのでもう逃げ場はない.まずは,オアハカのホテル(とってもコロニアル)を予約するためのファクスを書く.メキシコは往復だけで日数がかかるので,大旅行になってしまう.※中南米の場合は交通地理的にしかたがないのだろうけど./ 7月5日(水)の夕刻,都内某所で待合せ予定.上智大学の“アフリカの果て”を覗けないのは残念至極です.>Nくん.

◇昼の歩き読み —— 曇りだが気温が28度もあって,やっぱり不快指数が高い.ペギオ本の続きを読む.やっぱりわからん.例外的に,第4章の「スケルトン」がらみの束(lattice)代数の話はとてもよくわかる.ぼくの新書の第4章でも,まさに同じ話題を系統樹を舞台として展開しているので.いずれにせよ読了.「Y=P」のオカルトな脳内対話を傍観したという心地.

◇午後1時半から1時間〈文化系統学〉セミナー第18回目.今日から新しい章 Chapter 9「Phylogeography of archaeological populations: A case study from Rapa Nui (Easter Island)」(John V. Dudgeon)に入る(pp. 131-134).分子系統地理学の手法を考古学にも適用しようというテーマの論考.考古学的に推定された年代に対応する demographic な動態を phylogeography の方法によって推定しようという方針のようだ.

◇午後3時前の緊急書類づくり.

◇しばらく静かだった「マンション投資勧誘電話」が再び活発に鳴りはじめた.法人の組織が変わって,その名簿情報が業者に出回るまでに2ヶ月の「休眠期間」が必要だったのだろう.そんなことはどーでもいいのだが,対応しても,すごんでも,まったく効かないので,ここは当然の防衛手段として「回線オープン放置プレイ」に徹することにする.この戦術を発明?した酒井“これ論”師に感謝する.とにかく,「都内のマンションは〜」というキーワードが受話器の向こうから聞こえた時点で,受話器をそのまま机の上に放置すればいいだけだ.ポイントは放置時間の長さにある.10分や20分では“敵”に見通されてしまうので,最低1時間,場合によっては数時間(一晩のことも)そのまま放置するのが効果的だと思う.

 電話なんか,どーせロクなことを運んでこないんだから,ケーブルを根元から抜いてしまうというので究極の解決法だろうけど.

◇夕方のどたばた —— 〈Hennig XXV〉関連:講演アブストラクトの締切が今日までなので,あたふた,ばたばたと要旨(300 words)をこしらえて,ウェブで講演申込をする.今回も共同発表にするつもりなので,あとで co-authors に内容について相談しないといけない.とりあえず,講演申込をすませたので一心地つける.

◇夜遅く,音羽から索引と文献リストのゲラ pdf が届いた.しかし,これを今すぐ全部こなすというのはキビシイな.日が変わるまでがしがしと頑張ったものの終わらず.いったん寝てから再起をしよう.

◇本日の総歩数=13135歩[うち「しっかり歩数」=6259歩/55分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/+0.2%.


29 june 2006(木) ※ 早朝の怪異と厄落としの成就

◇午前4時に目が覚める.ここのところ目覚まし要らずだ.晴れ.気温20.0度.

◇〈みなづき〉の掟を守らないまま水無月の月末を迎えようとしている.ただですむはずがない.やっぱしこーいうことに ——

[明け方の怪異・壱]研究所に保管してあるデジカメが急に逝った.つい先日まではちゃんと動いていたのになあ.電源は入るものの,ファインダーを覗き込んでも漆黒の闇が広がるばかり.説明書をみてもこんな症状は書かれていない.ううむ.とりあえずシャッターを押してみたら,「火車」じゃなくって「カシャ」と音がして何ものかが撮れたよーだ(まだ見てない).

[明け方の怪異・弐]研究所からの早朝の帰り道,いつもショートカットに使っている小野崎の墓地の抜け道のど真ん中に蛇がのたうっている.車が来たのに逃げもせず,ただうねっているばかり.しかたがないので踏まないように,そろりそろりと上を通り過ぎた.タイヤは“踏んでないぞ”と言っているので,安心して念のために後ろをふりむいたら,蛇は消えていた.

—— なんだか〈新耳袋〉みたいで愉しいな,などと冗談を言っている場合ではなく,早急に〈みなづき〉を探し出して喰わないと精神衛生上よろしくないな.

◇気温はぐんぐん上昇し,午前10時には早くも29.8度に.かんかん照りの真夏日は確実だ.

◇午前のこまごま —— 進化学会関連:会計監査に関する事務連絡メールを送る.あとは,7月5日(水)の監査日を待つだけ./ 学界賞選考委員会の選考委員候補者に委嘱のメールを送信する.この二つの仕事をすましておかないと,8月末の大会を迎えることができない.

◇昼休みの気温は30.7度.やっばり真夏日か.炎天下の〈ペギオ本〉:郡司ペギオ-幸夫『生きていることの科学:生命・意識のマテリアル』(2006年6月20日刊行,講談社[現代新書1846], ISBN:4-06-149846-0→目次)の歩き読みはたとえ新書とはいえ難行苦行だ.それでも第2章まで150ページほど読む.ぜんぜんわからん,暑い,苦しい.内容以前に,Y(=Yukio)とP(=Pegio)の「対話」が,ぼくが期待するような「対話」ではないことが気になる.「Y」と「P」とを無作為に並べかえても内容的にきっと有意な差異はあらわれないのではないだろうか.つまり,帰無仮説「Y=P」は棄却されない.※著者本人も自覚しているんだろうけど.

◇つくば〈みなづき〉探索の結末 —— 窮状を見かねて?私信でヘルプ情報とどく(ありがとうございます).石岡のとある和菓子屋が〈みなづき〉を販売しているという! でも,い,石岡っすか?(根性ないと行けへんなあ)

 しかし,救世主はお膝元の竹園に降臨していたのだ! 帰宅途中,「ひょっとして」とびびびと感じるものがあって,竹園の〈翁屋〉に立ち寄ったところ,おお,輝ける〈みなづき〉がショーケースにちゃんと並べられているではないか! そーかそーか,翁屋さんはえらい! ということで,最後に2個だけ残っていた〈みなづき〉を買い占めて,大事に大事に持ち帰ったことはいうまでもない.

 つくば近辺で,〈みなづき〉を空しく探しまわり祟られたり憑かれたりしている京都人のみなさんは,迷わず翁屋さんへ直行せよ.これからも贔屓にするからねー.

◇こうして,無事に「厄払い」ができたのは本日最大の収穫であった.

◇夜,音羽から電話あり.『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』について,定価は「780円」(本体価格)で頁数は「296ページ」で確定したとのこと.明日の夜に,索引のゲラを送るそうだ.

◇本日の総歩数=15538歩[うち「しっかり歩数」=8808歩/78分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg/−0.1%.


28 june 2006(水) ※ All'alba vincerò! Vincerò! Vincerò!

◇午前4時起床.晴れ.昨夜は気温が高かったが,今日も暑そうだ.すでに気温21.7度.

◇研究所にて,現代新書の再校ゲラの残り数十ページにとりくむ.エピローグ〜文献リストの索引づくりをする.もうすぐおしまいだ.

◇備忘メモ —— たまたま遭遇したロシア語の「生物地理学」の人名・小伝サイト〈КЛАССИКИ ОБЩЕЙ БИОГЕОГРАФИИ〉.ロシア人の生物地理学者(ほとんど知らないぞ)だけでなく,ロシアから見て“外国”の研究者もカバーされているようだ.たとえば“Круаза Леон”とか“Роза Даниеле”とか.各項目には,小伝と文献リストが付いている.トップページには,作成者と内容に関して以下のような説明がつけられている(この部分のみ露英併記).それを読むと,このサイトは,2005年に出版された単行本の電子版とのことだ./ 〈駒場進化セミナー〉.頑張ってください.

◇午前のうちに現代新書の索引づくりはすべて完了した.本文への埋め込みコードの最後の1行を追加して.こちらも完成.一冊で三度おいしい現代新書.お楽しみを.

◇今日は暑い.シンプルに暑い.これはもう真夏日にちがいない.

◇御白州(其の壱) —— 正午につくばセンターに出向く.講談社のお代官様こと川治さんにすべての作業を終えたゲラをへへぇーっと差し出した.これでようやく原稿はワタシの手を離れることになった.『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』の見本ができるのは7月13日,店頭に並ぶのは7月20日の予定.本文270ページ,文献リスト20ページ,索引4〜5ページで計290ページを越える分量になる.定価は今晩確定するとのこと.カバージャケットの色は和色の〈黒緑〉になったそうな.ウラは「セフィロトの樹」ね.

 〈成分解析 with 和色大辞典〉によると,ぼくの本のタイトル(メイン+サブ)の「成分解析」の結果は:

「系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに」 の解析結果
 44%は★黒壇(こくたん)でできています。
 30%は★象牙色(ぞうげいろ)でできています。
 10%は★紅鳶(べにとび)でできています。
 5%は★路考茶(ろこうちゃ)でできています。
 4%は★栗梅(くりうめ)でできています。
 4%は★青磁色(せいじいろ)でできています。
 3%は★潤色(うるみいろ)でできています。

となり,これらすべてを調合すると〈#816b5b〉という色になるそうだ.そうか,4割強は「黒檀」でできているわけね.※シブいやん…….

—— 午後1時過ぎに別れて,そのまま次の御白州を待つ.

◇御白州(其の弐) —— 午後2時に海游舎の本間さんと落ち合い,スコット・カマジン他『生物システムにおける自己組織化』翻訳の今後の進め方について打合せをする.時間がなかなかタイトでございますなあ……(汗).第1部(総論)の初校ゲラ70ページ分を受け取る.せっかくゲラを渡して軽くなったと思ったのに,また重くなってしまった.

◇研究所に帰還した午後4時の気温は30.3度.やっばり今日は真夏日だった.毎年恒例の〈農環研夏祭り〉は7月27日(木)の夕方に開催されます.

◇夜7時頃,雷が鳴って,雨がちょろっと降ったもののすぐに上がった.北寄りの風が吹いて心地よし.

◇代打ともいう —— 講談社『』への寄稿依頼.宣伝かたがたということで.ハイ.

◇本日の総歩数=10534歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−0.3kg/−1.3%.


27 june 2006(火) ※ 〈みなづき〉の祟りは果てしなく

◇午前5時起床.弱い南風に乗って湿気が押し寄せる.気温20.5度.早朝は青空も見えたが,しだいに雲が広がってきた.蒸し暑い.

◇早朝の読書残務処理 —— マーク・エイブリー『「消えゆくことば」の地を訪ねて』(2006年4月15日刊行,白水社,ISBN:4-560-02617-3→目次書評)を最後まで読了.ウェールズ出身の著者らしく,ウェールズ語を含め,マン島語,ブルトン語,コーンウォール語などケルト系の「少数派言語(あるいは絶滅危惧言語)」が本書の中心を占めている.あえなく絶滅してしまう多くの少数言語の実例とともに,蘇生と復活の道を歩みつつあるいくつかの言語のたどってきた道のりについても詳しく書かれている.

 保全言語学の類書 —— たとえば,ダニエル・ネトル&スザンヌ・ロメイン『消えゆく言語たち:失われることば,失われる世界』(2001年5月29日刊行,新曜社,ISBN:4788507633→書評・目次),クロード・アジェージュ『絶滅していく言語を救うために:ことばの死とその再生』(2004年3月10日刊行,白水社,ISBN:456002443X→目次),デイヴィッド・クリスタル『消滅する言語:人類の知的遺産をいかに守るか』(2004年11月25日刊行,中公新書1774,ISBN:4121017749)などと合わせ読めば,きっと理解の厚みと深みが増すだろう.

◇現代新書の「索引づくり」はなお続く.午前中に150ページまで終了.やっと半分だ.残りは午後に.

◇Willi Hennig Society 関連 —— メキシコ(Oaxaca,14-17 August 2006)で開催される〈Hennig XXV〉の registration をまだしていなかった.あわててオンラインで参加申込(→完了).ホテルの申込は別途ファクスでやらないと.講演要旨の締切は今月末(ぎょえー)./ Cladistics, vol. 22, no. 3(→目次) がきょう届いた.

◇晴れ上がって気温27.3度の暑い昼休みは“京美人”の鑑賞ウォーキング —— 甲斐扶佐義『Beautiful Women in Kyoto:京都 ほんやら洞・八文字屋の美女たち』(2006年6月15日刊行,冬青社,ISBN:4-88773-045-4)の水無月以降の章をイッキに読了.若い女性の間にときどき超有名年配者が挟まっていたりする.※何度も登場する井上章一センセはほとんど“セクハラ男”と化しているのではあるまいか……(独白).

 この時点で“みなづき”に取り憑かれる.※だから“みなづき”は「義務」なんだってば.6月30日のタイム・リミットはもうすぐだし.

  —— しかし,今日は暑いなあ.

◇午後1時45分から1時間ほど,〈形態測定学講義〉の第13回目.今日から第5章「Superimposition methods」に入る(pp. 105-113).形状比較の前にすませておくべき「整序(alignment)」の技法について解説されている.すでに論じられた Bookstein 形状座標の問題点は「基準線(baseline)」の設定そのものにある.とりわけ,基準線の2端点は座標自体が固定されるため,その2端点が有していたはずの分散が「行方不明」になってしまう.つまり,それらの標識点がもっていたバラツキは変換後の他の標識点のバラツキの一部としてばらまかれてしまう.その結果,もともと変異の大きな基準線の選ぶと,形状座標の分散のノイズが大きくなったり,形状座標間の今日分散が現れるという不具合が危惧される.したがって,こういう問題を解決できるような代替法が求められている.Sliding baseline registration という改良法が提案された.これは,baseline の2端点を固定しないで,baseline 軸に沿ってスライドさせながら最適位置を決めるという方法だ.しかし,この方法は Bookstein 形状座標法のもつ難点を根本的に解決する策とは言えない.

◇午後もまた索引づくり.まだ終わらん.なんだか“下山”してからじたばたしているという感じがする.その後,某頼まれ書類をささっとつくる.

◇夕刻,つくばセンター近辺で“みなづき”の heuristic search をしたのだが“解”は得られなかった.何も最適解を求めているわけではないのだが…….ひょっとして“探索空間”そのものが存在していないというカナシイ事態でなければいいのだが.※食いもんのウラミはこわいでー.

 夜になっても蒸し暑さは去らず,不快指数は高いままだ.10年近く愛用してきたコーヒーミルがいきなり逝く.これはもう“みなづき”の祟りというしかない.

◇本日の総歩数=17949歩[うち「しっかり歩数」=9890歩/88分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−0.2kg/+1.6%.


26 june 2006(月) ※ 降って止んでまた降って下山しました

◇午前5時起床.曇り空から雨が降ってきて,一時ざあざあと強まる.しかし,また小止みになったり曇ったり.気温21.7度.

◇朝のこまごま —— 進化学会の会計監査日の確定.関係者に連絡する.7月5日(水)の午後,クバプロにて.みなさん,よろしく./ 進化学会選考委員の委嘱はまだ……./ 夏季休暇の取得申請.早々と./ 海游舎との訳本打合せは6月28日(水)の午後2時からつくば駅にて.※正午からの講談社との打合せに続くハシゴだ,連荘だ.

◇登攀ほぼ完了 —— 昼前に,現代新書の文献リストのチェックを終える.これで,再校ゲラ読みがすべて完了した.続いて,索引項目のピックアップ作業に移るが,それはまた後で.

◇午後1時半から,Alan Stuart and Keith Ord『Kendall's Advanced Theory of Statistics, Volume 1: Distribution Theory』(6th edition,1994年,Edward Arnold,ISBN:0-340-61430-7)の輪読(第19回目).Chapter 4:「Characteristic Functions」の続き(pp. 142-146).特性関数が確率密度関数をどのくらい“一意的”に確定できるかという論議.結論から言えば,「ビョーキ」な場合以外は“一意性”は問題ないのだが,対数正規分布のように重要でしかも「ビョーキ」な事例は要注意.無限級数として展開された特性関数の有限部分級数と残余項とを分離して,やっかいな計算が延々と続く.つらいつらい.

◇現代新書のカバージャケット裏の改訂案がメールで送られてきた.これでオッケーです.>お代官さま.

◇生物地理学の話題(1) —— 先日,京都大学の渡辺勝敏さんから,出たばかりの系統地理学のレビュー論文を送っていただいた:渡辺勝敏・高橋洋・北村晃寿・横山良太・北川忠生・武島弘彦・佐藤俊平・山本祥一郎・竹花佑介・向井貴彦・大原健一・井口恵一朗 (2006)「日本産淡水魚類の分布域形成史:系統地理的アプローチとその展望」魚類学雑誌,53(1) : 1-38(→ジャーナル・サイト).系統地理学(phylogeography)の最新の動向がまとめられていて,一読してたいへん informative だと感じた.ときどきはこういう review article を読んでみたいし,また書いてみたいと思う.自分への知的刺激のためにも.

 この総説論文には,亡くなった西村三郎さんへの言及が何カ所か見られる.かつて,『生物科学』誌や『生物地理研究会ニュース』に総説記事を書いていた20年前の院生の頃,西村さんから当時の京大教養部生物学教室で発行されていたジャーナルに掲載された論文別刷を送ってもらったことがある:S. Nishimura (1982)「Where did the ancestor arise? : An alternative theory to locate the center of origin」Contr. Biol. Lab. Kyoto Univ., 26 : 189-207. 歴史生物地理学での“発祥地”の概念を再検討した論考だった.西村さんとやりとりしたのは,後にも先にもこのときだけだったが,今でも記憶に残っている.

—— 渡辺さん,別刷,感謝いたします.

◇生物地理学の話題(2) —— 農環研には,かつての日本生物地理学会が発行していた『Biogeographica : Transactions of the Biogeographical Society of Japan』が数巻だけ所蔵されている(〈湯浅文庫〉).Webcat で確認したところ,国内の公的機関の所蔵状況は下記の通り:Vol. 1, no.1(1935), no.2(1936), no.3(1937) / Vol. 2, no.1(1937) / Vol. 3, no.1(1938), no.2(1939).ここまでは農環研の〈湯浅文庫〉に所蔵されている.さらに続刊として Vol. 3, no.3 と no.4,そして Vol. 4, no.1 が1941(1942?)まで刊行されたようだ.コンプリートに所蔵している国内館はほとんどないので,農環研所蔵の分だけでも目次情報を公開しようと前々から思っていたのだが,夕方ちょこちょこと入力して leeswijzer にやっとアップロードした(Vol. 1〜2Vol. 3).この『Biogeographica』は数年間発行されただけで立ち消えになった感があるが,出版された内容から考えると,別の経常的な会報だった『Bulletin of the Biogeographical Society of Japan』とほぼ重なっている.したがって,別個の出版物として維持するのが難しくなったのだろうと推測している.

◇夜は現代新書の索引づくりの続き.とりあえず50ページまで「ことば拾い」した.

◇本日の総歩数=7661歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.1kg/−0.9%.


25 june 2006(日) ※ なお続くサンデー迎撃戦

◇午前4時半起床.曇り.北寄りの風が吹く.体感的に涼しい.

◇現代新書『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』のゲラ読み後半戦を続行する.インテルメッツォに続く第3章〈「推論」としての系統樹――推定・比較・検証〉は,tree-building の手順について解説した章なので,図がたくさんある.本文との対応や記号表記を中心にチェックを進める.頁数は多いが,機械的にチェックを進められるので,比較的ラク.第4章〈系統樹の根は広がり続ける〉は,体系学の現代史的な話とともに,将来進んでいくであろう方向についての話.歴史的事項のチェックをしながら進める.

◇晴れ間さえのぞく昼下がりに歩き読み —— マーク・エイブリー『「消えゆくことば」の地を訪ねて』(2006年4月15日刊行,白水社,ISBN:4-560-02617-3→目次)を第12章まで180ページほど.

 第10章「フンボルトの鸚鵡」は,ある南米の絶滅言語の“最後の話し手”がヒトではなくオウムだったというエピソード.出典であるアレクサンダー・フォン・フンボルト『新大陸赤道地方紀行(下)』(2003年9月26日刊行,岩波書店[17・18世紀大旅行記叢書【第II期】], ISBN:4-00-008851-3)にはこう書かれている:

グアイベ・インディオたちの間で流布している口承では,好戦的なアトゥレ族がカリブ族に追撃されて,大急流地帯の中央にそそり立つ岩山に逃れたという.かつては大人数であったこの民族は,彼らの言語と共に,そこで次第に滅亡していった.一七六七年,ジッリ宣教師の時代には,まだアトゥレ族最後の数家族が残存した.私たちが探査したときにはマイプレスで見せられた年老いたオウムは,「アトゥレ族の言葉を話すから,何をいっているのかわからない」と住民が説明していた.注目に値する事柄ではないだろうか.(第8部第24章,p. 67)

 もうひとつ「へぇ〜」なトピックに出くわす.〈エスノローグ〉を公開している機関〈SIL〉について,著者はこう批判している:

何年かおきに SIL が刊行する『民族学』[=エスノローグ]の最新版は,世界各地の言語とその方言,系統,話し手の推定数,主な居住地などを網羅する,きわめて貴重な資料である.研究所は長期にわたり,すばらしい業績を挙げてきた.ところが,その動機には疑問を抱かないわけにはいかない.SIL はプロテスタント系宣教師団体の連合組織,マタイによる福音書と黙示録のいくつかに霊感を受けた「ワイクリフ聖書」ネットワークの一部なのである.・・・端的に言えば,SIL は言語が一斉に消滅できるように,個々の言語の救済に努めていると見てさしつかえない.(pp. 327-328)

 すぐには飲み込めない記述なのだが,頭の片隅に置いておこう.

—— それにしても,地表は蒸し暑いぞ.そそくさと高層に昇る.北風,心地よし.

◇またまた迎撃戦の前衛に復帰する.〈エピローグ:万物は系統のもとに —— クオ・ヴァディス?〉.「普遍論争」とか,【種(species)】が出てくると,とたんに物狂わしくなるなあ.「魔除けの護符」をさらにいくつか埋め込んでお祓いをする.でも,まだ妖怪が…….

 「Q:嘲笑表現“Counting angels on a pinhead”の出典は?」 —— 中世スコラ学を嘲る表現としてよく聞くのですが,元の出典は Francis Bacon の『Novum Organum』(1620)でいいのでしょうか? いや,さらに深奥の St. Thomas Aquinas『Summa Theologica』を見るべしとの声あり.ひょえー.

◇「水無月」には“みなづき”を喰わねばならない義務があるのだが,関東では見かけない.

◇夜もゲラ読み —— タケミツの曲名を確認したり,ワーグナーの楽劇〈ワルキューレ〉について確認したり.午後10時過ぎに本文のチェック作業をすべて完了した.あとは文献リスト〈さらに知りたい人のための極私的文献リスト〉を残すのみだ.

 交響詩〈アルプス交響曲〉風に言えば,下山途中の村はずれにある教会からオルガンの響きが聞こえてきて,苦労した登攀路を思い起こしつつふっと和む心地.

◇本日の総歩数=9186歩[うち「しっかり歩数」=8036歩/72分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.1kg/+0.5%.


24 june 2006(土) ※ “音羽テポドン2”迎撃なるか

◇午前5時起床.晴れ.気温21.1度.北寄りの風が高層階では強めに吹く.梅雨前線が南海上に停滞していて,北からの風が入りやすい気圧配置なのだろう.

◇早朝の研究所にて —— 音羽に現代新書のカバー・ジャケット裏のゲラをファクス返信する.キャプション中の表記の修正と確認.そして,図版全体のサイズについての注文.できれば,もう少し大きく拡大していただいた方がいいかもしれません./ メーリングリストの登録作業.進化学会の新規入会者に対応して,Qshinka への登録がここのところ増えている.

 現代新書の「装釘変更」をめぐっては外野で賛否両論があったらしい.「2ch」でもスレッドが立っているくらいだから,一般読者にも意外に注目されているのかな:〈講談社現代新書の装丁変更について〉.ぼく自身の感覚では“新カバー”にはイマイチなじめないものがある(慣れていないからかもしれない).今回のぼくの本はカバー・ジャケットが“リーヴァーシブル”なので,もしオモテの「緑」に嫌われたら,気分一新でウラの「セフィロト」を巻いてくれー.※カバラの憑依で,アヤシサ倍増まちがいなし.“エヴァ”ファンも喜ぶ[かも].

◇梅雨の中休みとはいえ,このかんかん照りはいったい…….昼前にはよく晴れて暑くなってきた.しかし,北寄りの風は変わらず強く吹く.

◇日中いっぱい新書のゲラ読みが続く —— 「スタンリー・モリソンが Times New Roman 活字を公表した年は?」とか,「“原子番号”それとも“元素番号”?」とか,「ブラジル風バッハ第5番のチェロのプルト数は?」とか,「ボッス〈快楽の園〉の所蔵美術館は?」とか,「全宇宙の原子の総数は?」とか,ちょっとしたところでコツンとつまずいたりする.その都度,確認に時間をとられる.原稿を書いているときはそのまま通り過ぎても,ゲラになると気になる箇所がある.人名のファースト・ネームなどもつい略して書いていたりするので,補完しなければならないし.

 夕方には,インテルメッツォまでは作業完了.これでやっと半分.

 著者紹介の文面も少し増やしていいでしょうか(修辞的独白……).

◇夕方のよそ見本 —— 山根一眞『変体少女文字の研究:文字の向こうに少女が見える』(1986年2月5日刊行,講談社,ISBN:4-06-202071-8→目次).1970年代に出現したとされる“変体少女文字”すなわち“丸文字”についてのドキュメンタリー.新刊ですぐ買って,即読了した形跡あり.“変体少女文字”の「起源」をさまざまな資料やインタビューを通じてつきとめようとした点で(起源年は「昭和49年」と特定されている),この本はとても印象に残っている.しかし,著者の関心は,この書体の「起源」に続く「系譜」そのものではなく,むしろ“変体少女文字”という新しい「書体」の出現をもたらした文化・社会のありさまにあったように記憶している.

 書棚の奥から久しぶりに出てきたので,久しぶりに半透明のカバージャケットをめくってみた(石川英輔『大江戸神仙伝』初版本のように,当時はこの“透明スタイル”の装幀がはやっていたらしい).書体の系譜にもう少し重点が置かれていたとしたら,『変体少女文字の研究』はぼくの現代新書の中のしかるべき章に登場していたにちがいない.横書き&シャープペンシル&高速運動などいくつかの点で,“変体少女文字”は“速記文字”に収斂しているように感じられた.

◇夜になっても北の風.体感的には心地よいが,窓を開放していると明け方は涼し過ぎるかも.

◇本日の総歩数=6590歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg/+0.1%.


23 june 2006(金) ※ 再校ゲラの着弾(“音羽テポドン2”)

◇午前4時に目覚める.夏至の月は寝坊を許さず.ここ数日,明け方からもう蒸している.しかし,睡眠時間4時間では話にならないので,板の間のより涼しい場所で30分,さらなる睡眠を.猫と同じで,家の中でその時々の“最低温度地点”を発見することがこれからの季節は重要になってくる.夏場の日常生活の QOL をより高く維持するために.

 昨夜は雨が強めに降っていたのに,夜が明けるともう上がっていて,空は明るい.研究所の温度計は19.6度を示している.

◇午前のこまごま —— 居室の占有スパン調査の確認./ 図書室で購入している定期刊行物の利用状況と電子化に関するアンケート調査.回答をメール返送する.こういう「声」は面倒がらずにあげていくべし.※すでに寡占状態にある学術出版社による“搾取”は極まりつつあるんじゃないか./ 進化学会の学会賞選考委員候補者への依頼をすることになった.

◇昨日届いた再校ゲラを読み続ける —— 文章に関しては大きな変更はもうない[はずな]ので,段落の行数を変えない程度の修正をしていけばよい.届いた再校ゲラには図版が入っているので,その確認の方が重要か.また,本文の最終チェックとともに,索引づくりというもう一つの作業が上乗せされている.カバー・ジャケット裏の「セフィロト樹」のキャプションと図版の校正ゲラも同封されている.

◇ふと気がつけば,集中空調がもう稼働している.もうそういう季節か.農環研は,他の独法研究所と同様に,労働時間に関する「フレックス・タイム」を導入しているので,午前8時半〜午後5時という「定時」には必ずしもしばられない.しかし,集中空調の稼働時間は残念なことに「フレックス・タイム」ではないので,定時外になるととたんに居住性が悪化する.西向きのぼくの部屋は,真夏の午後5時過ぎに集中空調がぴたっと止まると,約1時間で気温が10度ほどアップすることになる.もちろん,研究所から早々に撤収することになる.

◇備忘メモ —— 寺町二条〈三月書房〉のブログ〈三月記(仮題)〉が先月開設された.

◇昼の歩き読み.気温25.4度,くもり —— 甲斐扶佐義『Beautiful Women in Kyoto:京都 ほんやら洞・八文字屋の美女たち』(2006年6月15日刊行,冬青社,ISBN:4-88773-045-4)を「5月」まで.100ページあまり.“美女”よりも背景の方が気になったりする.

◇13時30分から15時まで,〈文化系統学〉セミナー第17回目.Chapter 8「Phylogenetic techniques and methodological lessons from bioarchaeology」(Gordon F. M. Rakita)を読み終える(pp. 124-129).要するに,クラスター分析の「距離」が考古学的にどのような意味をもっているのか,あるいはもたそうとしてきたのか,についての論議.“racism”の糾弾をうまくかわしつつ,なお“biodistance”研究がどのように進められてきたのかを通観する.20世紀初頭は craniometry のもとに,人骨のタイプ分けがさかんに研究された.この「タイプ」とは,必ずしも本質主義的でもなければ人種差別主義的でもなく,当事者はあくまでも人骨の variation を念頭に置いていたと著者は指摘する.しかし,variation そのものを研究の主眼に置かなかった点で限界があった.1950年代以降は数量表形学の流行に乗ることもあったが,全体としては低迷期を迎え,1990年代以降はついに絶えてしまったという.

◇夕方のこまごま —— RP 再配分予算についての申請メールを送る./ メーリングリストの登録作業を少しばかり.

◇講談社から電話連絡 —— 再校ゲラは来週水曜に戻すことになった.※デッドライン.

◇本日の総歩数=11384歩[うち「しっかり歩数」=6543歩/56分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/−0.3%.


22 june 2006(木) ※ 梅雨空への回帰は行きつ戻りつ

◇午前4時前に目覚めてしまう.気温20.3度.小雨の中を研究所へ.

◇たった1日不在しただけで積もる積もる…….早朝のこまごま —— メーリングリストのお世話を数件./ 進化学会関連の連絡などいろいろと.やることありあり./ 「自己組織化」訳本の図版がドンと届いていた.いずれにしろキャプション書きは来週まわしです.ここにきていくつかの仕事“波動”が重なり合いつつある.※互いに打ち消されることはあり得ないというのがなんともカナシイ./ 統計関連学会連合大会のポスターが届いた.これは掲示するだけでオッケー.

◇今日から週末までは梅雨空が続くとう予想なのに,朝のうちに空が明るくなってきた.雨も止んで,ただの曇天.

◇午前中はゲラ読みの続き./合間に海游舎から電話あり.ごめんなさいごめんなさい.

◇曇る昼休みは逃避的ウォーキング —— 高橋輝次『関西古本探検:知られざる著者・出版社との出会い』(2006年5月20日刊行,右文書院,ISBN:4-8421-0069-9)を最後まで読了する.途切れそうな「糸」をたどりつつ,人のつながりが見えてくる.

 気温23.2度.昨日のような蒸し暑さはない.

◇共立出版から献本2冊(ありがとうございます) —— 日本バイオインフォマティクス学会(編)『バイオインフォマティクス事典』(2006年7月1日刊行,共立出版,ISBN:4-320-05628-0→版元ページ).まだ書店店頭には並んでいないとのこと.800ページを越える大冊./ 『蛋白質 核酸 酵素』Vol. 51, no. 8(2006年7月1日発行,共立出版,ISSN:0039-9450).長谷川眞理子『進化生物学への道:ドリトル先生から利己的遺伝子へ』(2006年1月26日刊行,岩波書店,ISBN:4-00-026989-5→目次)のぼくの書評記事は p. 1008 に掲載されている.

◇午後もなお続くゲラ読み作業.やっと後半に突入する.

◇あがきの昼下がり —— 新刊でダメなら,古書でと〈Alibris〉を探すもののトゥーランドット姫は見つからず.さらに〈Abebooks〉を探索して,やっと“気配”を嗅ぎ取ることができた.さて,この注文の行く末やいかに? 先日発注した〈SheetMusicPlus〉はもちろんぜんぜんハナシにならんかったので,即キャンセルっす(「Ricordiの在庫が〜」の時点でもうオワッテいる).※Abebooks の Bestellung がダメだったときは,いよいよ京島に泣きつきますのでヨロシク.>とどくん.

◇帰宅したら,講談社から再校ゲラが届いていた.おお,ちゃんと図版が入っているじゃないか(当たり前か).

◇夜になって雨が降りだす.

◇本日の総歩数=13051歩[うち「しっかり歩数」=8343歩/73分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.8kg/+0.3%.


21 june 2006(水) ※ ほんやら洞とヴァリエテ本六(本郷にて)

◇午前4時半起床.曇りときどき小雨.気温20.7度.不快指数もう高い.

◇今日は東京に出る.午前9時10分の TX 快速にて新御茶ノ水へ.東京堂書店の新刊棚を定点観測.ほー.小雨が降り続く.

 ダメモトで楽譜の〈古賀書店〉に行ったのだが,9回ウラの代打逆転ホームランというよーな“あぶさん”のごとき感動の幕切れがあるはずもなく,当然ダメ.その足で本郷の〈アカデミア・ミュージック〉に転戦するも,勝機の展望が開けるはずもなく,かえって「6月13日付でリコルディから“在庫なし”との連絡が入っています」との無情の情報をもらったりする.冷酷なトゥーランドット姫は最後まで隠れたままかもしれない.

 自分としては数ヶ月間がんばってみたつもりだが,〈トゥーランドット〉のフル・スコアは,向こう数ヶ月(年?),新刊での入手は不可能であるとの結論を出さざるをえない.amazon からはまたまた延期のメールが来ていたが,注文はもうキャンセルしてしまおう.残るは Sheet Music Plus への発注がどーなるかだけど,もう期待しません,待ちません.>ということで,とど君,総譜を貸してくれぇ!(ぺこぺこ)

◇またまた〈ルオー〉にて現代新書のゲラ読み.「読むたびに修正したくなる病」はどうやら不治かもしれない.読んでは朱を入れる.1時間あまりの作業.インテルメッツォまではすんだ.雨は小止みに.

◇東京堂書店での収穫 —— 市島春城『春城師友録』(2006年4月30日刊行,国書刊行会[知の自由人叢書3],ISBN:4-336-04717-0→版元ページ).〈知の自由人叢書〉の第3回配本.次回配本:沼波瓊音『意匠ひろひ』が7月に出版されるとのこと./ 甲斐扶佐義『Beautiful Women in Kyoto:京都ほんやら洞・八文字屋の美女たち』(2006年6月15日刊行,冬青社,ISBN:4-88773-045-4).“人”の写真集をたまに見るのは楽しい.もちろん,今出川の「ほんやら洞」と木屋町の姉妹店「八文字屋」という著者にとってのお膝元の“場”があるからこそ,さらに魅力的なのだろうが.※つくばにこういうお店ができるのはいったいいつのことなんだろう?(ムリって?)

◇昼休みの本郷通りは,ときどきぱらぱらと雨が降ってきたりして,やや蒸し暑い.〈山猫軒〉の数件先に開店した古書店〈ヴァリエテ本六〉に立ち寄る.この店構えは一見しただけでは“絶対に”古書店とは認知されないすばらしさで,とくに店先にあるエキジビション・スペースは魅力的だ.ちょうど「ある日の動物園 早野恵美 展」が開催されていて,鮮やかな動物たちが四方を取り囲む.書棚は帳場の奥にあるのだが,今日はそこまで入り込む時間がない.

◇午後1時20分から,東大農学部での専攻教員会議.長い長〜い連絡事項の連鎖が続く.駒場からの進学振り分けの制度について,とりわけ長い議論が.同じ大学の中でも,学生をどのように集めるかの“戦術”はいろいろある.とくに,東大のように教養課程から専門課程に進む際に「進振り」があると,進学する学生の思惑と受け入れる側の思惑が複雑に絡み合うということだ.その他,運営費交付金の確定についてなどなど.大学院特論とは別に,エコロジカル・セイフティー講座として駒場での講義も開講してほしいという意向が伝えられた.

 会議終了は,午後4時を過ぎていた.根津神社近くの〈根津のたいやき〉は,夕方は早々と店じまいしてしまう…….代わりに,〈芋甚〉であんみつを買って帰宅.このエリアの地理は,長く住んでいたので,だいたい知り尽くしているつもりだが,店の変遷があるのでその都度「脳内“店舗”データベース」を更新していかないといけない.まあ,〈根津のたいやき〉とか〈芋甚〉はこれからも「不滅」だろうけど.

◇車中読書 —— マーク・エイブリー『「消えゆくことば」の地を訪ねて』(2006年4月15日刊行,白水社,ISBN:4-560-02617-3→目次).第5章まで150ページほど読み進む.本書で扱われているテーマである「保全言語学」はたいへんおもしろいし,ルポルタージュ的なスタイルもぼくには好ましく感じられる.しかし,訳者はおそらく言語学には通じていないし,何よりも読者に対する配慮が欠けているのが,この翻訳の価値を大きく損ねていると思われる.前者の欠点については,言語相対主義の偶像が「ベンジャミン・リー・ワーフ」(p. 18)と訳されていたり(後の章ではより妥当な「ウォーフ」と表記されているのに),「形態論」とあるべきことばが「形状学」(p. 77)であったり,訳さなくってもいいはずの『エスノローグ』が『民族学』(p. 29)になっていることから推して知るべし.また,後者の欠点については,巻末の「出典」リストで,数々の著作の日本語訳への言及がまったくなされていないという点だ.同じテーマで同じ出版社から出ているクロード・アジェージュ『絶滅していく言語を救うために:ことばの死とその再生』(2004年3月10日刊行,白水社,ISBN:456002443X→目次)への言及すらないとは,著者だけでなく担当編集者も「いったい何やってんの?」という気がする(原書は挙げられているのに).ちゃんとゲラを読んだ?

◇夜は,プロヴァンスの〈Château Constantin-Chevalier〉2002年をば.呑み過ぎっ.

◇本日の総歩数=12714歩[うち「しっかり歩数」=3618歩/33分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=−0.2kg/−0.2%.


20 june 2006(火) ※ 梅雨の中休みに

◇午前5時前に起床.晴れ.気温20.2度.昨日ほどではないが,今日も梅雨の晴れ間で暑くなるらしい.

◇朝からこまごま —— 早朝の印刷作業は完了./ 明日の東京への出張届を書く.提出完了./ メーリングリストの管理作業をいくつか.

◇晴れている日は歩き読み(そろそろ難行苦行かも) —— 高橋輝次『関西古本探検:知られざる著者・出版社との出会い』(2006年5月20日刊行,右文書院,ISBN:4-8421-0069-9)を60ページほど.やっぱり暑い.

◇プッチーニはオーケストレーションがとてもうまい“業師”であるという感想に[悲鳴を上げつつも]同意する.あと,チャイニーズ・ゴングが予想外にたくさん出番があることを昨日の練習で知った(フル・スコアがないのでわからなかった).銅鑼ではなくゴングの方は,CDやDVDではそれほど目立っては聞こえないが,もう少し音量を上げれば“ガムラン風”になって,打楽器的には正しい(「PC」)かもしれない.>止くん,ご一考を.

◇講談社から電話連絡 —— 『系統樹思考の世界』の二校ゲラは22日に届くとのこと.カバー裏の説明文は1200字を押し込んだそうで(汗),ゲラが別に出るらしい.あと,オビの文面について申し入れたところ,偶然にも整合的なことがわかった.それでオッケーです.

◇午後1時半から2時40分まで,〈形態測定学講義〉の第12回目.第4章「Theory of shape」の続き(pp. 89-99).標識点三角形の数値例の計算を通して,configuration space から始まって,pre-shape spaceを経て,Kendall's shape space にいたる幾何学的変換のプロセスをたどる.ふたつの三角形の間で標識点間の平方ユークリッド距離を求め,回転角θに関する最小値が部分プロクラステス距離(Dp)になる.pre-shape space 上でのプロクラステス距離(ρ)に対して,sin(ρ/2)=(1/2)×Dpという関係があるので,ρを求めることができる.pre-shape space から shape space への変換に際しては,サイズcosρへのリスケーリングが必要になる.ここで,sinρは完全プロクラステス距離(DF)となる.最後に,pre-shape space あるいは Kendall's shape space から接空間への射影について説明されている.このくらい「具体的」な計算例があるとたいへんわかりやすい.

◇夜もこまごま —— 進化学会の会計監査をこの月末にしないといけないのだが,まだ日程調整がついていない.先ほど事務局から「決算報告書」が送られてきた.うむむ…….ほれほれ.そこのアナタ,学会費をちゃんと払い込んでますかー? / さらに,学会賞の選考についての打合せも.まずは選考委員会の立ち上げから始めよとの〈駒場〉からの指令あり./ え,四谷に“いい店”があるんですか? そーいうワルイ方向に誘導するオルガナイザーもあり? 近いうちに都合をつけましょう.

◇明日は,東大の教員会議があるので,「依頼出張」という名の現実逃避お仕事.※また,本郷あたりを徘徊してます.

◇備忘メモ —— 月末締切の講演要旨が2件(統計関連学会@仙台と Hennig Society @ Oaxaca),来月中旬締切の講演要旨も2件(科学哲学会@札幌と進化学会@東京).

◇本日の総歩数=14639歩[うち「しっかり歩数」=9262歩/81分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.1kg/0.0%.


19 june 2006(月) ※ 「12,000字」の夢見は……

◇午前5時起床.霧雨.18.3度.湿度は高いが,ほどよい気温.この季節は早朝だけが快適な時間帯だ.

 何だか夢見がよろしくなくて.昨夜の新宿ナイト以来,「12,000字」という具体的な字数が脳裏のどこかに貼り付いてしまった(汗).科哲業界のみなさんは,「〜字でよろしく」という“指令”が宴席でよく飛び交ったりするのだろーか.※悪酔いしません?

◇6月に入ってから,つくばセンター広場の街路樹にムクドリの大群がねぐらをつくってしまったようで,夜遅くまでギャーギャーとうるさいこと.もちろん,方々の都市街路エリアで問題になっているように,糞による街路の汚れもハンパではない.

◇朝のこまごま —— 東大から入退出管理ICカードが郵送されてきた.農環研内の他の連携教員に手渡さないと.東大関係では,すでに身分証明書と図書館カードをもらったので,これが3枚目になる.そろそろ管理しきれなくなってきたな./ 午前11時から,鳥の系統樹についてのコンサルティング.Sibley たちの〈鳥類系統樹曼荼羅〉が,25年経った今でも参照されているとは意外だった.あれだけ大きなツリー(“タペストリー”)を描いたというのは大きな業績なのだろう.いくつか参考になりそうな文献を質問者に紹介した.日本では,鳥の系統学はどこの大学・研究機関でいま行なわれているのでしょう? いくつかめぼしい名前を挙げてみたが,「いえ,そこでは……」との否定的なコメントが返ってきた.

◇何だか日射しが強くて暑すぎ.

◇午後1時から修行の時間 —— Alan Stuart and Keith Ord『Kendall's Advanced Theory of Statistics, Volume 1: Distribution Theory』(6th edition,1994年,Edward Arnold,ISBN:0-340-61430-7)の輪読(第18回目).Chapter 4:「Characteristic Functions」の続き(pp. 137-142).「峻険な山道」が続く.前回の〈第1極限定理〉:「nでパラメタライズされた密度関数 Fn(x) が n→∞ のとき関数 G(x) に収束するならば,Fn(x) の特性関数 φn(x) は G(x) の特性関数 φ(x) に収束する」の逆:「密度関数 Fn(x) の特性関数 φn(x) が G(x) の特性関数 φ(x) に収束するならば,nでパラメタライズされた関数列 {Fn(x)} は G(x) に収束する」を証明する.続いて,多変量の場合の特性関数の一般的定義が説明された.この定理は,とくにサイズ n の標本に関する統計量の分布とその極限に関する性質を論じる後の章で利用されるらしい.

◇新刊情報 —— 河本健(編)『ライフサイエンス英語・類語使い分け辞典』(2006年6月20日刊行,羊土社,ISBN:4-7581-0801-3→版元ページ).〈ライフサイエンス辞書プロジェクト〉からのアウトプットの一つ.ぱらぱらとブラウズしたかぎり,英文を書いていて表現にちょっと詰まったときに傍らでヘルプしてくれそうな雰囲気.こういう本は心して手元に置くようにしよう.とりわけ興味を引くのは,ライフサイエンス分野の英文論文の「コーパス」に基づいて,語彙の使用頻度が類義語のそれぞれについて示されているという点だろう.辞書を調べただけでは相対的な使用頻度はわからないことが多い.しかし,コーパスに照らせば,ある時点での類義語のシェアがすぐにわかる.これは実際に英文を書いているときの「悩ましい度」を緩和するのに役に立つのではないだろうか.

◇西日が強くて,居室はしだいに居住不能になりつつある.これから夏に向けて,こまめに所内移動をしないと仕事にならん.

◇夕方のこまごま —— RP 関連で「小課題経費の配分」に関する事務連絡がまわってきた.今週中に配分希望額について返事をしないといけない.

◇夜は,依頼された某書類をちくちくとつくる.

◇本日の総歩数=6240歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.8kg/0.0%.※さっそく新調した万歩計で.


18 june 2006(日) ※ よろめく変拍子,こわれる万歩計

◇午前5時起き.気温20.2度.雨.いったん曇り空になる(晴れ間も).研究所にて,今日の準備をば.たくさんのマレットと,譜面台と,楽譜,スコア,iPodも(直前のあがき).

◇8時11分発の TX 区間快速にて新御徒町まで.大江戸線に乗り換えて東新宿に到着したのは9時半だった.雨足が強まっている.

 〈トゥーランドット〉の練習場所である新宿文化センターは東新宿駅から徒歩5分.以前だったら,新宿の中心街(新宿駅とか新宿三丁目駅)からてくてく歩かなければたどりつけなかったロケーションだが,大江戸線が開通してからはアクセスが格段に改善された.練習に使うのは,文化センター地下にある展示室.意外に広いスペース.

 今日のオーケストラ練習では,打族が全員そろうわけではないので,必要な楽器のみ,倉庫から引っ張ってくる.大太鼓,シンバル(合わせと吊るし),小太鼓,トライアングル,シロフォン,グロッケンシュピール.午前10時から練習開始.指揮は宮松重紀さん.今日は全幕の通しの練習をするらしい.

 第1幕.はい,冒頭のシロフォンのソロがあります.ここはやはり黒檀のマレットがいいかと.前半の「プー・ティン・パオ」が跳梁する部分は,勢いでまあ何とかなるんですよ([16]まで).お月様が出てきて,Largamente で盛り上がるところで([18]),まずオチた(……).やなんだって,こーいう入り方は.夕焼け小焼けでトゥーランドット姫がちょろっと顔を出すところも,まあよし([22]).ピン,ポン,パンのところも許そう(こわいことに彼らの掛け合いはすべて“2+3”の5拍子なのね).で,問題は,そのあとのティムール,リュウ,カラフの歌のところ.はい,またオチた(汗).困ったー.第1幕最後の銅鑼がなるまでの部分の盛り上がりは,これまた“6+9(2+3)”の5拍子カウントになる.頼むから「変拍子」で場をぐわわっと盛り上げないでー(>ぷっちーに様).

◇正午に昼休み.文化センター近くの〈サンサール〉新宿店にて,ほうれん草とジャガイモのカレー(ナーン付き)を.うまい.これから新宿文化で練習があるたびに,ここで食べることになるのだろう.

◇午後1時過ぎから練習再開.第2幕の半分は,ピン,ポン,パンの独壇場だ.雰囲気が“Cino”なので,方々にXilofono [basso] が使われている.この辺まではほとんどオチなかったぞ([25]).続く後半のアラ・マルチアに入ると,あとはひたすら高みに上り詰めていくという感じで,ときどきオチました(またかよっ).皇帝の盛り上がらない歌のあとに,ふっとエア・ポケットのようなシロフォンのパッセージ([67])があったりして(汗).

 第3幕は色欲と金銭欲の誘惑のところで,少し目立ったりする.しかし,ティムールの弔い歌での出番の方がはるかに心臓には悪そうだ([30]).今日は,練習会場で歩きすぎたせいか,夕方にならないうちに3万歩を越えてしまった.ところが,バチがこつんとあたったりしたのか,それとも大太鼓やシンバルからの振動がまずかったのか.万歩計がいきなり動かなくなってしまった.こりゃ買い替えだ.

◇午後3時半に練習終了.部屋がとても暑かったので,打族のみなさまとともに,梅雨空の中を近くの中華料理店に飛び込んで,まずはビール,そしてビール,またビール,やっぱりビール…….午後5時半に散会して,ぼくはその足で新宿西口へ直行.

◇午後6時に,調布の電通大で開催されていた科学基礎論学会流れのみなさんと待ち合わせて,新宿パレットビルの中にある〈地鶏や〉に向かう.何はともあれ呑むんでしょうとタカをくくっていたら,M本さんが,いきなり「生物学の哲学の現状と展望」という書類を同席メンバーに配布しはじめた.「お,お,」という間もなく,秋の科学哲学会(札幌)での同名のシンポに関しての打合せがどんどん進む.ぼく以外には,何度も会っているM元さんと,初対面のO塚さんのお二人が演者なので,顔合わせしましょうという元締めのM本さんの提案で,こうやって集まることになった.

 しばらく話しているうちに,うまくいけばつながりができるのではないかという感触が得られるようになったのは幸いだ.その後,たくさん日本酒を飲んだり,何やらかにやらで店を出たのは午後9時をまわっていた.今日は夕方4時前から延々と6時間近く呑み続けていることになる.えらいこっちゃ.

 リアルでは初めてお目にかかったA谷さんとともに東京方面への快速に乗る.しばらく日本にいるとのこと.

◇秋葉原からTX に乗り,つくばに帰還したときにはもう午後11時をまわっていた.

◇本日の総歩数=約30,000歩超[うち「しっかり歩数」=約9,000歩/約80分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=0.0kg/+0.6%.※万歩計がこわれたので夕方までの概算.


17 june 2006(土) ※ ミューズがあちこちに降臨する

◇午前5時半起床.小雨のち曇り.蒸し暑い.

◇講談社サイトに来月の出版予定本の近刊公告が載っている.もちろん,『系統樹思考の世界』もね.

◇明日は,新宿区民オペラの〈トゥーランドット〉練習の初回参加日なので,ずっと譜読みをする.フル・スコアは結局いまだに入手できていないので,ヴォーカル・スコアを片手にパート譜とのにらめっこ.方々に付箋(Post-it)を貼付けながら,出番の箇所を確認する作業の繰り返し.

 今まで演奏したことのある〈カルメン〉と〈椿姫〉のときは独唱・合唱の始まりが目印にできたので,スコアと首っ引きになるような経験はなかった.しかし,〈トゥーランドット〉はそうはいかないようだ.めくるめく転調とフェイント変拍子はただごとではない.プッチーニ特有の旋律の美しさに惑わされてはいけない.気がつけば出番をうっかりスルーしてしまったという“オチる”危険性はいつも足元に開いている.聴衆がストーリーに涙しているときに,オケ・ピットでは楽団員が別のナミダを流すことになるにちがいない.

 それにしても,フル・スコアはいつになったら手に入れられるのだろうか.方々から注文が集まっている気配があるのに,版元のリコルディはまだ〈トゥーランドット〉のフル・スコアを重版するつもりがないらしい.「売れるはずがない」との慎重姿勢なのだろうか.今だったらきっと数千部は売れるんじゃないかな.逆に,今年を逃したら,もう売る機会を失うのではと他人事ながら心配になる.

 シロフォンとバス・シロフォンのパート譜のチェックはほぼ完了した.しかし,どう考えても“入れそうにない”ところがちらほら見える.旋律が悠々と流れる中で,♪がひとつかふたつだけ「solo」で入る(それも「pp」だったりして)というのは脈拍亢進箇所だ.お願いだから,独唱のど真ん中にちょこっとシロフォンを挿入したりしないでね(>草葉の陰のプッチーニ様).

 また,パート譜を見て初めてわかったのだが,Xilofono basso に要求されている「音域」は,ほぼマリンバの低音部2オクターブに相当している.こういう楽器がはたしてあるのかな.

◇外は晴れ上がって,とても暑くなってきた.午後3時から,道路を挟んだ向かい側にあるノバホールへ.村治香織のギター・リサイタルを夕方5時まで聴く.

◇夕方,ボック・ビール(Weltemburger Kloster Asam Bock)を呑む.美味.さらに,譜読みの続き.第1幕と第2幕はシロフォンにとって心臓に悪い.一方,第3幕には震え上がる箇所は意外にも少ない.明日の練習では,バス・シロフォンはどうせ楽器そのものがないので,シロフォンのパートに専念しよう.

◇夜9時を過ぎて,雨が降りはじめた.

◇本日の総歩数=約10,000歩[うち「しっかり歩数」=約4,000歩/約30分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/−1.0%.※万歩計がこわれたので(18日),前日の歩数が確認できない.


16 june 2006(金) ※ 土砂降り金曜は静かにアグリッパ

◇午前4時半起床.昨夜から続いて雨がざあざあと降っている.気温20.7度.やや蒸し暑い.

 朝8時頃から土砂降りになる.視界悪し.

◇朝のこまごま —— 溜まりつつあるメーリングリストの用務を消化する./ 『育種学辞典』の項目執筆者に図書カードが送られてきた.ということは,贈与申告書を書かないといけないな./ 6月21日(水)の午後に東大での教員会議(3回目).出席する旨,返信メールを出す.※何のかんので,毎週のように東京に出向いている気がする./ 国際機関への協力に関する所からの問合せあり.IOSEB の council member であると返事する.

◇午前中は調べもの —— ライモンドゥス・ルルスからアグリッパ,フラッド,キルヒャーへと連なる系譜について.深入りしちゃダメダメ.まあね,ルルスが出てきた時点で,もう何でもありだったのですけど.カバージャケット裏のキャプションを書いています.>お代官様.

 その合間に,昨夜,自宅に宅急便で届いた,現代新書の図版と写真をチェックする.作図してもらった図は問題ないが,写真の方は出典を確認しないといけない.致命的な問題はないようなので,作業進捗に支障はない.

◇昼前に雨は小降りになった.さしもの大雨も山場を越えたか.都内では大雨警報が発令されていたようだが,茨城もほんの一時的に豪雨だった.

◇新刊 —— 小笠英志『4次元以上の空間が見える』(2006年5月25日刊行,ベレ出版,ISBN:4-86064-118-3).見たい見たい.絵がたくさん.n次元ユークリッド空間とn次元球を中心に多次元の「かたち」を見る目を育てる.phylogenetic networker 諸氏はご参考まで.※つくばでは書店の理数系コーナーで平積みになっています./ John C. Avise『Evolutionary Pathways in Nature : A Phylogenetic Approach』(2006年5月刊行,Cambridge University Press, ISBN:0521857538 [hbk] / ISBN:0521674174 [pbk]→目次).やっと届いたか.

◇午後1時半から1時間あまり,〈文化系統学〉セミナー第16回目.新しい章 Chapter 8「Phylogenetic techniques and methodological lessons from bioarchaeology」(Gordon F. M. Rakita)に入る(pp. 119-124).考古学の研究史を振り返り,考古学が自然人類学との共同路線を取らなくなったことの弊害を論ずる.連続形質に関する形態測定学的な分析が一つの問題,離散形質に関する仮説のテスト可能性がもう一つの問題だ.アメリカ考古学が人種差別主義(racism)と糾弾されないためにどのような努力をしてきたかについても言及されている.

◇夕方,やっと雨が上がった.

◇新書カバー裏の〈セフィロトの樹〉の解説文を書き上げる(1,200字あまり).ユダヤ教のカバラの思想がルルスを結節点として,アグリッパ,フラッド,キルヒャーという“オカルト”の系譜をたどった.アグリッパの主著『De occulta philosophia libri tres』(1533年)の末尾の一節を翻訳した.

 字数が当初予定の4倍ほどの長さになってしまった.

◇進化学会東京大会の実行委員会から,シンポジウム主宰者への事務連絡メール.シンポ招聘講演者で非会員の分についての参加申込について.会員・非会員を問わずすべて大会ウェブサイトで手続きすることになった.

◇帰宅したら,京島から〈トゥーランドット〉の「Xilofono basso」のパート譜が届いていた.>とど君,感謝.

◇本日の総歩数=12437歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/+0.6%.


15 june 2006(木) ※ それでも「分けたい」ワタシたち……

◇午前5時起床.曇り.気温19.9度.下り坂の空模様.

◇朝のこまごま —— 連携大学院に関する理事長の紹介記事原稿に加筆して返送する./ 組合アンケートの回答と返送./ 生物科学学会連合からの問合せへの返信./ 計量生物学会のメール理事会への返信./ 東大農学部事務へ,時間外に建物に出入りするIDカードの発行を依頼する.

◇三中信宏『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』(2006年7月20日出版予定,講談社[現代新書1849], ISBN:4-06-149849-5)の目次を〈leeswijzer〉に公開.

 新書の通しナンバーは「1849」と確定しているので,講談社現代新書のISBNの付け方の規則性から,チェック・ディジットを除く上9桁は「4-06-149849」と推定される.10桁目のチェック・ディジットの計算は,たとえば〈ISBNチェックデジット計算〉を利用させていただくと,「-5」であることがわかる.

◇天気はどんどん悪くなり,午後になってぽつぽつと雨が降りだしてきた.

◇〈Systema Sephiroticum〉 —— だからぁ,こーいうのに深入りしちゃダメだってば.>ぼく.しかし,もう,時はすでに遅く,〈新世紀エヴァンゲリオン〉はもとより,ウンベルト・エーコ『フーコーの振り子』(まりまりは,『薔薇の名前』はいいけど,『フーコーの振り子』は嫌いだと昨夜言っていたぞ)から,たぐってさかのぼって,とうとうジョスリン・ゴドウィンの2冊:『キルヒャーの世界図鑑:よみがえる普遍の夢』(1986年4月5日刊行,工作舎,ISBN:4-87502-115-1)と『交響するイコン:フラッドの神聖宇宙誌』(1987年7月20日刊行,平凡社,ISBN:4-582-52303-X)に行き着いた.コワイことに,ゴドウィンの本はどちらも新刊で出たときにすぐに買い,しかも即読了した形跡があることだ(オーバー・ドクターでぶらぶらしていてヒマだったのだろう,きっと).

 突然,これほど深入りすることになったのは,現代新書のぼくの本のカバージャケットの裏一面に〈セフィロト・ツリー〉が描かれることになり(担当デザイナー氏,えらいっ),急遽,アタナシウス・キルヒャーの手になる元本『エジプトのオイディプス(Oedipus Aegyptiacus)』(1652-4年刊行)について調べる必要が出てきたからだ.最後の最後に“カバラ”が登場することになるとはねえ.でも,本文中ではライモンドゥス・ルルスが引率する章があるから,ユダヤ教の秘儀が出てきても驚くことではない.

  —— ということで,『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』を書店で見かけたら,まずはカバーをはがして「ウラ」を見ましょう.※“ポスト杉浦康平”段階の現代新書になってからは初の試みだそうです.

◇意外なリプリントが —— 今月の講談社学術文庫に入った:坂本賢三『「分ける」こと「わかる」こと』(2006年6月10日刊行,講談社[学術文庫1767], ISBN:4-06-159767-1)の原本は,今から25年近くも前に現代新書に入っていた1冊だった:『「分ける」こと「わかる」こと:新しい認識論と分類学』(1982年4月20日刊行,講談社[現代新書651], ISBN:4-06-145651-2).普遍的な意味での「分類」について書かれた,当時としては数少ない1冊で,たいへんおもしろく読んだ記憶がある.その後,新刊書店ではほとんど見かけなくなったが,今回,文庫としてリプリントされたのはありがたい.学術文庫がどのような基準で既刊の復刻をしているのかはよく知らないが,先月の杉本つとむ『江戸の博物学者たち』(2006年5月10日刊行,講談社[講談社学術文庫1764],ISBN:4-06-159764-7)といい,今月のこの本といい,選書眼がなかなかスルドイぞ.

◇夕刻以降,雨足が強くなってきた.

◇雨の夜に〈カバラ〉は蠢く —— 『フーコーの振り子』を開いては,ゴドウィンの伝記を覗き,さらに中世思想原典集成の『後期スコラ学』をついばむ.アヤシすぎる…….セフィロト・ツリーの説明書きはまだ書き終わらない.

◇本日の総歩数=17801歩[うち「しっかり歩数」=6341歩/57分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+1.0kg/+0.7%.


14 june 2006(水) ※ “Alles mit Stammbaum”

◇午前4時起床.曇り.18.9度.朝からもう蒸し暑い.

◇今日は東京での仕事日 —— 午前 9:11 のTX 快速に乗り,10時過ぎに本郷通りの〈ルオー〉に陣取る.午後の大学院ガイダンスのプレゼン用スライドをつくる.

 午前10時半にお代官様の登場.現代新書の初校ゲラの残っていた分を手渡す.1週間ほどで再稿ゲラが出る.今度は図版も入っているので,そのチェックが必要になる.あとは索引づくりか.

 タイトル決定 —— もう公表してもオッケーですとお代官様に言われたので書いてしまおう:三中信宏『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』(2006年7月20日出版予定,講談社[現代新書])となりました.300ページ超なので,価格はいくぶん高くなるとのこと(本体価格780円程度).ドイツ語タイトルは『Alles mit Stammbaum : Eine Einführung in die allgemeine Phylogenetik』です(←うそ).

 7月20日に同時刊行される現代新書は6冊で,しりあがり寿『マンガ入門』,香山リカ『老後がこわい』,その他,世界民話や日本国憲法などのラインナップ.

◇昼過ぎまで〈ルオー〉で仕事をしてから,東大に向かう.今日の「大学院ガイダンス」は午後1時過ぎの開始だ.20名あまりの聴衆(ほとんど外部生らしい).各研究室が順に研究室の紹介をしていく.われわれのエコロジカル・セイフティー講座の番はいちばん最後だが,4名の連携教員のうちここに来ているのはぼくを含めて2名なので,代理説明もしないといけない.ガイダンスそのものは[服装が]フォーマルではなかったので,ネクタイをしてきたワタシっていったい何? 午後3時半に無事“公務”は完了.聞きにきた学生のアンケートでは,「エコロジカル・セイフティー講座の紹介がベスト!」との感想もあり.

◇空き時間に生協書籍部を物色.

◇午後4時過ぎからは,引き続き専攻内の「研究会議」が開かれた.要するに,農環研(や他の独法研究所)で毎年やっている「成績検討会」と「設計検討会」をドッキングして簡略化したようなものだ.しかし,こういう簡単なフォーマットの会議でさえ,大学では珍しいらしく,農学部でもここ生物・環境工学専攻でしか実施されていないという.ルーツは,かつて学生運動が盛んだった頃に,教職員と学生を含めた大学の民主的な運営のための会として発足したとのことだ.午後5時半にすべての予定を完了する.

◇ううむ,今日はとてもハードだ.午後6時前に本郷三丁目のベトナム料理〈ミュン〉に入った.いつも空を飛び続けているはずのYさんは今夜はここに一時着陸している.まずは「サイゴン・ビール」,続いて「333(バーバーバー)ビール」と,まずはビール攻撃だ.ここ数日,睡眠不足が続いているので,ビールでも効き目がある.しばらくしてから,キクチさんが登場し,さらにしばらくしてまりまりがやってきて,久しぶりに「D」な人たちが全員そろった.

 コース料理を摂取しつつ,ビール瓶とワインボトルが順調に転がりはじめ,兇悪な睡魔がアタマの上を舞いつつ,いかにアモルファスに呑みつぶれるかとか,タイコを叩くと脳の特定部位が活性化されるとか,「アナタが『Origin』を訳すのよっ」と聞こえたり,「ついでに『Big Book』も」とささやかれたり,エルネスト・チェ・ゲバラ万歳!とか,誰それは逝ってよしとか,.午後9時半に店を出たときは,そーとーに参っていました.もうネクタイはいやだっ.

 最後に,「ルアモイ」をオンザロックでぐいっと煽ったのがトドメだったにちがいない.※そーいえば,以前,同じこの店で,同じこの酒を同じよーにぐいっと煽って死んだことがあったよねえ…….※ちっとは学習しろよ.>ぼく.

◇生春巻きを喰っているときにいただいた本たち(ありがとうございます>西五軒町) —— 湯本貴和・松田裕之(編)『世界遺産をシカが喰う:シカと森の生態学』(2006年3月31日刊行[6月30日第2刷],文一総合出版,ISBN:4-8299-1190-5).早々と増刷されたとのこと./ 八田洋章・Mujahidin『樹木散歩・ボゴール植物園』(2006年3月31日刊行,文一総合出版,ISBN:なし)./ 八田洋章・Anggun R. Gumilang『樹木散歩・チボダス植物園』(2006年3月31日刊行,文一総合出版,ISBN:なし).

◇つくばに帰り着いたのは午後11時過ぎのこと.日が変わる頃に沈没.燃え尽きて「灰」と化す.

◇本日の総歩数=17420歩[うち「しっかり歩数」=7829歩/60分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=0.0kg/−0.3%.


13 june 2006(火) ※ これで,やっと「大団円」か

◇午前4時半起床.いつも通り,研究所に直行.霧雨のち曇り.気温17.6度.

◇早朝からひたすら現代新書ゲラの手直し.挿入すべき追加図版を用意したり,html ファイルをつくったり.文献リストは見直せば見直すほど,追加したい慾望がむらむらと.代償行為で,章の両端の引用文を付け加えたりしてしまう.

 「あとがき」での「謝辞」をどうしようかとずっと迷っていたのだが,今朝になって,ふと“名案”(“Ah, povera Liù!”)を思いついたので,この件は一気に決着がついた.いろんな方に情報をいただいたり,教えてもらったりしたので,あとがきで「自分なりに」感謝をしておきました.Molte grazie! ここ数日,ゲラととともに〈トゥーランドット〉のリブレットを片時も手放さずに持ち歩いたかいがあったというものだ.※いったい何をゲラに書き込んでおるのか,といぶかしく思われる向きはご心配なく.予想通りの行為にはしっていますので.

 講談社から電話あり,タイトル(メインとサブ)そしてオビの案をふたつ提示された.これはもう文句なしに“第二案”で決定ですな(ヒミツ).どうもありがとうございます.

 カバー・ジャケットの色は「緑」系にするそうだ.これまた異存はありません.オビの図柄は Madroño 誌の「Bessey tree」,カバー内側には〈新世紀エヴァンゲリオン〉の「Sefiroth tree」をあしらう予定.満を持して怪人アタナシウス・キルヒャーの登場.※これだけでもう十分にアヤシイ本とちゃう? 〈トゥーランドット〉は早くも乗り越えられつつあるぞ.

  —— 午前中に,残った本文のチェックを完了した.やっかいな加筆部分もこれで何とかなっただろう.文献リストについては午後になる.いずれにしろ,明日の午前中には本郷でお代官様に耳をそろえて手渡しできるはずだ.

◇東大の連携講座の講義シラバスの文案をまだ書いていなかった.「特論1」と「特論2」のそれぞれについて簡単にメモして,他の連携教員にメール.「1」の方では系統生物学,「2」は生物統計学を講義する予定です.>潜在的受講者のみなさん.

◇午後1時半から1時間ほど,〈形態測定学講義〉の第11回目.第4章「Theory of shape」の続き(pp. 81-87).前形状空間(pre-shape space)からケンドール形状空間(Kendall's shape space)を導出する.センタリングとリスケーリングはすでに施されているので,回転移動に関する同値類(fiber)を前形状空間の上で定義する.異なる fiber に属する前形状の間のプロクラステス距離(ρ)を球面上の測地線距離として求める.その上で,基準前形状に対する対象前形状のサイズを cosρによって再びリスケールする.このとき,基準前形状とリスケールした対象前形状との最小距離は sinρで与えられるが,その値を完全プロクラステス距離と定義する.前形状空間に対して cosρでリスケールされた回転同値類をケンドール形状空間と呼ぶ.三角形がなすケンドール形状空間について解説されている.

◇午後になって晴れ間が./ “O Cina, o Cina”

◇明日は,東大の大学院ガイダンスと研究会議がドッキングした依頼出張日だ.まだプレゼンの資料ができていないという負い目を抱えたまま,午後5時過ぎからの所主催〈さなぶり〉に参加し,炭水化物を多めに摂取してしまう.※ヒマさえあればお祭りをする農水省系.1時間ほどの短時間滞在で,居室に撤退する.

 先週土曜に,淡路町界隈を徘徊していたところを理事長に目撃されてしまったよーだ.あの辺は“ホームグラウンド”とのこと.今後は十分に気をつけよう(なんで?).

◇午後8時過ぎ —— 現代新書の「文献リスト」に10件ほど追加する.これで,最後の残務も完了だ.図版入りの再校ゲラが来週あたり出てくるはずだが,いちおうは,これにてめでたく「大団円」を迎えたことになる.

 “È finita.”

◇さて,明日午後のプレゼン準備をこれからやらないといけない.いったん帰宅して,言うべき内容についてまとめておこう.スライドづくりはいったいいつやるねん…….と言いつつも,日が変わる前に寝てしまう.あとは未明に.

◇本日の総歩数=18122歩[うち「しっかり歩数」=1046歩/10分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=−0.4kg/−0.5%.


12 june 2006(月) ※ 詰め込むべきこと,埋め込むべきもの

◇午前4時半起床.曇り.東の空は明るい.気温16.6度.南風.

◇今週は[も]いろいろなイベントや用務が立て込んでいる —— 現代新書の初校ゲラのチェックを完了させること./ 水曜は東大の大学院ガイダンスと研究会議(午後いっぱい).そのための資料づくりは明日まで.

◇現代新書関連 —— メイン・タイトルは一両日中に確定するとのこと.いろいろな「タイトル案」がメールでやってきた.教養書風のものもあり,アヤシイ系ネーミングもあり./ “オビ”のコピーと図柄をどうするかという案件.使えそうないくつか Stammbaum や albero genealogico や arbre phylogénétique を jpeg で編集部に送信する./ 文献リストの追補をしないといけない.第4章の図版も一つ増やしていいですか?

 なんのかんので300ページほどの新書になりそうだが,詰め込むべき内容はほぼ飽和に達したとみなそう(これ以上は増やさないようにして).あとは埋め込むべきコードだけ.内容を純増させずにコードを埋めることは難しくない.

◇昼前のこまごま —— 名古屋大学(生物学哲学)と京都大学霊長研(生物系統学)の非常勤出講に関わる兼業許可が下りた./ 進化学会の会計監査に関わる打合せ.監査への連絡と月末予定の監査日の決定をしないといけない.

◇昼休みの歩き読み.気温21.5度.晴れ上がる —— 高橋輝次『関西古本探検:知られざる著者・出版社との出会い』(2006年5月20日刊行,右文書院,ISBN:4-8421-0069-9)をさらに60ページあまり.

◇午後1時40分から1時間は,Alan Stuart and Keith Ord『Kendall's Advanced Theory of Statistics, Volume 1: Distribution Theory』(6th edition,1994年,Edward Arnold,ISBN:0-340-61430-7)の輪読(第17回目).Chapter 4:「Characteristic Functions」は牛歩の進み具合(pp. 129-137).パラメータの極限に関する密度関数と特性関数の一致についての「第一極限定理」(p. 136).ひたすら息苦しい,もっと酸素をという感じで…….

◇午後はもちろんゲラ読みの続き.もう時間がないのでタイヘンっす.ほぼ終わってはいるのだが,“大トド”何頭か(自然淘汰の認識論的地位とか,発展分岐学の進化プロセス仮定についてとか)がゲラの上でのたうっているので,仕留めないといけない.

◇夜のよろめきとつまずき —— 今回の現代新書では「数式」はゼロにする予定だったのだが,数理系統学がらみの話ではどうしても避けて通れない箇所ができてしまった.端点数n(n≧2)に対する二分岐的ツリー(有根樹)の枝数は2n−3=5本と単純に表わされる.では,ツリーが複合するネットワーク(部分ブール束)の枝の数b(n) は,どのように数式表現できるかという問題が浮上する.n次元の完全ブール束(超立方体)の辺(枝)の数B(n)は,初期値B(1)=1 とおいて,再帰的に:
  B(n)=2×B(n−1)+ 2n−1
と表現できる.ツリーは下半束(lower semilattice)なので,最大元(φ)からシングルトン {i}(i=1, 2, ……, n)にいたる枝は除外しなければならない.その除外数は次元数に等しいので,φから出る枝を削除した残りの枝の本数b(n)は,任意のnに対して:
  b(n)=B(n)−n
となる.B(n)=b(n)+n を上の再帰式に代入すれば:
  b(n)+n=2×{b(n−1)+n−1}+ 2n−1
すなわち:
  b(n)=2×{b(n−1)+n−1}+ 2n−1−n
という再帰式が得られる.初期値は b(1)=B(1)−1=0 なので,順に代入していけば:
  b(2)= 2×{b(1)+1}+ 21−2=2
  b(3)= 2×{b(2)+2}+ 22−3=9
となる.

—— これだけの計算なのに,何だかもう行ったり来たりと右往左往してしまった.※しかし,こういう式を新書に書き連ねるわけにはいかないので,字面はあくまでも何事もないかのようにさらっと書くことになる.

◇本日の総歩数=18450歩[うち「しっかり歩数」=8822歩/76分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=0.0kg/+0.6%.


11 june 2006(日) ※ 朝から降り込められる日曜日

◇午前5時半起床.雨.気温19.7度.今日はいかにも梅雨らしい空模様だ.

◇早朝の研究所にて —— 現代新書用の体系学曼荼羅とそのキャプションを pdf で編集部に送る.原図はサイズが大きいのだが,新書でもそのまま見開きページで載せることになった.もちろん,版面は縮小しなければならないので,『タクサ』誌の元論文よりも可読性は低くなる.でも,曼荼羅は簡略化してしまうとおもしろくなくなるので,あえてそのままにしておきたい.キャプションはさらに細密な活字になる.読者は拡大ルーペを用意しましょうね./ 水出し珈琲の仕込み.抽出にまる1日かかるので,前日から準備しないと週あけに飲めない./ 来週日曜の〈トゥーランドット〉新宿練習は打楽器セッティングに時間がとられるので,早めに会場に招集されることになった.

◇またまた東大関連 —— 夜中に理事長からメールがあり,農環研ニュース広報に掲載予定の「連携大学院」紹介文の素案が送られてきた.生態系計測学について加筆しないと.※こんな週末の夜中に仕事をしてはいけませんよ.>理事長.

◇ざあざあと雨が降り続く午後 —— 〈ラ・ボエーム〉のミミは,聴覚的にはバルバラさんの方がしっくりくるが,視覚的にはクリスティーナさんの存在感は迫るものがある.それぞれに定評のあるソプラノのリリコ[スピント]どうしの優劣比較ができるわけはもとよりないのだが.

 行き帰りの通勤車中では常時〈トゥーランドット〉が響いている.交差点で信号停止していると横断歩道を通り過ぎる歩行者が振り返ることがある.おそらくカラフやトゥーランドットの“絶叫”が外に漏れているにちがいない.窓を開けていたときは隣りの車からの視線が痛かった(音響公害).

 何度か聴いているうちに,〈トゥーランドット〉は打楽器的に正しい,すなわち「PC」(= Percussively Correct)な曲であることが徐々にわかってきた.とてもシアワセなことだ.メロディ・メーカーとして卓越した技量のあるプッチーニなので,歌詞や旋律に聴衆が惹き込まれるのは当然としても,オーケストラ側が「PC」であることは割に少ないような気がする.第1幕のフィナーレはブルックナーみたいだし,第2幕はオルガン付き大合唱はマーラーそのものでしょ,「Amor」な第3幕のグランド・フィナーレの響きはどう考えてもメシアンの〈トゥーランガリーラ交響曲〉の終結部と響き合っている.「PC」万歳!

◇夕方,一時的に雨が止んだので,クレオ方面に買い物に出かける.その後はまたまた引き蘢る.

◇現代新書ゲラ読みの終盤に差し掛かる.いまやっている第4章が終わればいいのだ.明日中にはケリをつけよう.

◇備忘メモ —— 検索デスク〈SearchDesk〉:横断検索のために./ 〈SciencePortal〉:JSTが新しく開設した科学技術情報ポータルサイト.

◇本日の総歩数=5454歩[うち「しっかり歩数」=1652歩/17分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.3kg/−1.2%.


10 june 2006(土) ※ ゲラ読みとソーキすばの都内

◇午前5時起床.ほんとに久しぶりのまぶしい朝日が東の空にもうのぼっている.遠景がくっきりと見渡せる.早朝のどろなわゲラ読み.

◇昨日,某氏に投げたドイツ語の質問への答えが夜中のうちに返ってきていた.国内だけではなく,ドイツ本土にまで質問文が転送渡航していたとは思わなかった.どうもありがとうございます(>国内外のみなさま).文面はとくに問題ないとのことで,無事にぼくの現代新書の“オモテ看板”を冒頭に掲げることができそうだ.

 今回の本には,“オモテ看板”を含めていくつかの箇所に〈code〉を埋め込んである.首尾よく解読できた方,ネタばらしはダメよっ.多くの読者には最表層の「第1層」を読みとるはもちろんできるのだが,背景事情を知っている読者には内側の「第2層」あるいはその奥の「第3層」を読み解くことができるだろう.ただし「第4層」以降の過剰な深読みをしてはいけません.※出版前からクギを刺してはいけない.>著者.

 「体系学曼荼羅」は,動物分類学会から転載許可をもらったので,現代新書にそのまま転載することになります.どーんとそのままね.pdf 図版は後ほどメールで送ります.>お代官様.

◇8時28分の TX 快速に乗り,都内へ.淡路町交差点の〈Tully's〉で2時間ほどゲラ読み作業の続行.第4章を除いてチェックをほぼ完了.ところが,肝心のお代官様が現れない.メールを打っても電話しても応答がない.〈北谷[ちゃたん]食堂〉淡路町店にて,「ソーキすば」と「ラフティー丼」をば.

 午後1時半,〈Starbucks〉淡路町店にお代官様が満を持して登場する(仙界に旅立たれていたそうだ).インテルメッツォまでのゲラを渡す.残りは週明けに送るということで.メイン・タイトルの更なる相談.

 おそるべし「校正部」 —— 続いて,昨夜「校正部」から戻されてきたコメントたちを検討.総数としては少ないそうだ.「校正部」なる部署の仕事内容はぜんぜん知らなかったのだが,単に字面の校正だけではなく,内容に関するチェックまでするセクションだとは.「予言」と「預言」のちがいとか,ポルピュリオスと新プラトン主義との時代的関係とか.いろいろな reference book からの写しが添付されていたり.(ひょえ〜).エイトル・ヴィラ=ロボス作曲〈ブラジル風バッハ no. 5〉の伴奏チェロの奏者数までチェックされたのは,まさに恐れ入谷の鬼子母神(「8奏者」でまちがいないです).※そんなことを本文に書くなと言われればそれまでですが…….

 何よりも新鮮だったのは,本文中の「時間記述」に関してで,相対的時間はダメで,絶対的時間を記すようにとのコメントだった.たとえば,「10年前のことだが」とか「40年前の論争が」という相対年代表記は御法度で,それぞれ「1996年のことだが」とか「1970年代の論争が」という絶対年代で書くべきとのことだ.新聞や雑誌とはちがって新書のように何年にもわたって読まれる[可能性のある]媒体ではそういう作法がある.最初はびっくりするが(そんなこと過去に指摘された経験がない),ちょっと考えてみれば確かにリーズナブルだ.

◇午後3時に帰路につく.曇って,蒸し暑くなってきた.午後3時半の TX 快速でつくばに.

◇家でごろごろしてしまう.つい./ Amazon からまたまた配送遅延メール.この方面から〈Turandot〉のフル・スコアを入手することはもう絶望的ですな…….急ぎの本でなければ鷹揚に待っていられるのだが,今回の件ではそーも言っていられないし.

◇本日の総歩数=16422歩[うち「しっかり歩数」=7865歩/66分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=−0.2kg/+0.1%.


9 june 2006(金) ※ 関東もいよいよ梅雨入り

◇午前4時半に起床.小雨,しだいに本降りになる.今日あたり,関東地方も梅雨入りになるかどうかという空模様だ.気温17.2度.

◇朝のこまごま —— 生物地理学会の学会通信現行の文面をチェック.返事を書く./ 鳥取からの統計質問(〈R〉がらみ)に答える./ 休眠メーリングリストの“整理”をしてくださいとの計算センターからの依頼.ぼくの管理下にもいくつか“仮死”メーリンクリストがある.そろそろ引導を渡そうかな.

◇地下書庫のキャレルに籠ってゲラ読みがまだ続いている.外は本降り.ざあざあと降っている.

◇備忘メモ(情報感謝) —— Aviezer Tucker『Our Knowledge of the Past: A Philosophy of Historiography』(2004年刊行,Cambridge University Press, ISBN:05218341557→目次).→版元ページ.ハードカバー版しかないようで高い.Alibris で調べたら新刊がほぼ半額だったので,即購入.未使用のクーポンを利用してさらに5ドル引いてもらった.

◇午前,関東甲信地方の梅雨入り宣言.

◇さらにこまごま —— 首都大学東京の非常勤出講日程が確定した:9月8日(金)〜9日(土)と9月29日(金)〜30日(土)./ 地下キャレルから居室に戻ったとたんに,海游舎から進捗確認電話あり.あ,溺死ですぅ〜.

◇東大関係の仕事がいろいろと降ってきている —— 6月17日午後の「大学院ガイダンス」はどうやら学部生の進路決定の上でとても重要らしい.全体説明のあとに個別研究室ごとに学生からの進路相談をするとのことだ.続いて開催される「専攻内研究会議」では研究室ごとの活動報告がある.これまた広報活動として重要だ./ 農環研理事長ホットライン経由で(連携大学院に関することでは中間管理職はすべてスキップされる),農環研広報用の原稿を書くよーにとの指令.

◇その17日夕刻には,本郷三丁目近辺に“ワルイ人たち”が集結するとのこと.箱崎にいるはずなのに都内に潜伏しているアノ人とか,葉山に行ったはずなのに東京での活動が多い例の人とか,黙って式鬼を飛ばす西五軒町のコワイ編集者とか,そしてスキさえあれば原稿を抱えて逃げ回っている御仁とか.

◇昼休みに筑波事務所の郵便局まで歩き(読みはなし).雨足が強い.陽性の梅雨入り.

◇午後1時40分〜3時10分まで,〈文化系統学〉セミナー第15回目.Chapter 7「Measuring relatedness」(Robert C. Dunnell)の後半を読了(pp. 113-116).エッセイのような短さで,内容把握が難しい.要するに,typological な“style”に依拠して年代記をつくってもしかたがない,文化的淘汰の対象である functional traits に基づく文化系統の推定がこれからは必要であるという主張なのでしょう(きっと).

 ついでに,講義サイトの文献リストを更新.

◇午後のこまごま —— 〈Turandot〉は気が短い.amazon にずっと前にフル・スコアを注文したのに,「配送遅延ごめん」というお詫びメールが来るのみ(在庫ないんちゃうか?).今回更新した注文も今月末に配送予定というだけのアヤフヤなことなので,並行して SheetMusicPlus にもフル・スコアをオンライン発注してしまった.“トリノ”以降,トゥーランドット姫は天の岩戸にお隠れになり,しもじもの者どもは総譜を探してかけずり回っている(ヴォーカル・スコアはまだ見つけやすい).来週から新宿でのオーケストラ練習が始まるので,そろそろ探索にもケリをつけないといけない.

 「Turan〜」つながりで(?),メシアンの〈Turangalila Symphonie〉の総譜を SheetMusicPlus で探してみたら,たった US$ 149.95 じゃないか! 日本国内だったら,YAMAHA でも アカデミアでもつねに「3万円超」の値段が付いているのに.※だからといって,いま買うわけではないっす(……).

◇夕方,雨が止んだ —— 今日が締切の所内研究者情報の更新ファイルを送る.

◇夜はまたまたゲラ読みの続き.全体のうち半分まではすんだのだが,まだ先は長いぞ.※明日,都内某所で“年貢徴収”予定.

◇本日の総歩数=12071歩[うち「しっかり歩数」=3504歩/32分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg/+0.9%.


8 june 2006(木) ※ 誰でも寝なくてはならぬ!

◇午前4時過ぎに起床.曇り.気温16.6度.いったん晴れ間がのぞいたものの,またまた曇り空に戻る.西から前線が接近しているとの予報だから,このまま下り坂なのだろう.

◇早朝のこまごま —— 7月11日の東大学生見学会に関する事務連絡メール.宿泊者名簿の提出は完了した.見学当日の農環研内でのタイムテーブルを決めないといけない.

誰でも寝なくてはならぬ! —— 「睡眠不足は気力や努力で何とかなることではない」という6月8日付の毎日新聞記事.ぼくの場合はだいたい5時間寝ればナチュラルに目覚められる(高校時代からずっとそういうリズムだ).6時間寝るともう「寝過ぎ」になる.しかし,ここ数日は「4時間睡眠」が続いているので,確かに慢性的な睡眠不足であることはまちがいない.そういう状態に追い込まれるのはそれなりの事情があるわけだから,“投げだす”とか“放りだす”,あるいは最初から“断る”という選択肢をつねに用意しておかないといけないということですね.さくさくできれば誰も苦労はしないのだ.いつも追いまくられているそこのアナタ,そう思うでしょ,ねえ!?

◇午前のこまごま —— 東大学生見学会のスケジュールを確定し,連携教員と引率教員関係者に連絡する.エコロジカル・セイフティー講座としての説明プレゼンの時間が設けられている./ 9月に予定されている首都大学東京の非常勤出講(生物統計学)が「兼業」として所内で認められることになった.人事で試算してもらったところ,基本給と勤勉手当は兼業日数分だけ目減りはするものの,「働くだけ損」ということにはならないそうだ.昨年までのような「無給ボランティア」に比べればそりゃもうパラダイスだ.いまのところ,所内ではまだ「兼業申請」を出している人は少ないようだが,どんどん出した方がいいと思う.

◇昼の歩き読み,気温20.2度,曇って蒸し暑い —— 高橋輝次『関西古本探検:知られざる著者・出版社との出会い』(2006年5月20日刊行,右文書院,ISBN:4-8421-0069-9)を130ページほど.敗戦前後の関西での書店・古書店・業界人のエピソード.本の話もたくさん.

 古書目録の「誤植」をめぐる挿話をひとつピン留め:

 先日も東京から届いた合同目録のある店のページの冒頭に,誤植でお騒がせしたおわびの文が記されてあった.それによると,前回の目録で『馬留謄抄』小沼丹著,となっていて,小沼丹にそんな著作がまだあったのかと,全国の小沼ファンからの注文が殺到したらしい.
 正しくは岩波などからも本を出している小泉丹という寄生虫学者のの本だった由である.これも傑作の一つに数えるべきか!(p. 98)

 ぼくらの業界ならば,逆に,「小沼丹」という作家の名はぜんぜん知らなくても,ラマルク『動物哲学』をはじめとして岩波文庫でダーウィンやメンデルの翻訳を出した動物学者「小泉丹」はもっと広く知られているだろう.※→〈青空文庫〉に彼が訳した『雑種植物の研究』が入るらしい.

 それにしてもフシギなのは小泉丹著『馬留謄抄』という本がいかなる内容なのかがまったくわからない.インターネットで調べてみてもぜんぜんヒットしないし,Webcat にも入っていない.何なんでしょ,これって?(タイトルの“読み”すらわからない……)

◇歩きながらも,現代新書の「タイトル」をつらつらと考えてみたりしている…….

◇J. S. Bach : 頌歌〈神とともにすべての事にあたり〉 BWV 1127 —— ちょうど1年前の2005年6月に発見されたばかりの曲.ソプラノのアリアが染み込みます.Bach Collegium Japan 〈カンタータ全集〉の第30巻(2006年:BIS-SACD-1471)の演奏だと,この頌歌だけで「48分30秒」もあったりする.ときどきカンタータのアリアのみピックアップして聴くことがあるのだが,このCDは最初から最後までアリアだけというのが特徴だ.ひとつの旋律を繰り返しただひたすら“刷り込まれる”心地ぞする.

◇午後の献本(ありがとうございます) —— 佐倉統・古田ゆかり『おはようからおやすみまでの科学』(2006年6月10日刊行,筑摩書房[ちくまプリマー新書038],ISBN:4-480-68739-4).「リビング・サイエンス」の提案.

進化学会東京大会の「参加申込」と「一般講演(ポスター発表)」のオンライン申込がはじまった.まだ1ヶ月も先のことですが,「7月15日」が締切なのでお忘れないよう.>予定者のみなさん.ただし,シンポジウムについてはオーガナイザーが講演要旨のとりまとめをすることになるでしょう.

◇本日の総歩数=19197歩[うち「しっかり歩数」=12080歩/106分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.前回比=+0.4kg/−0.7%.


7 june 2006(水) ※ 梅雨の足音が聞こえる

◇午前4時起床.雨上がりの青空.気温15.2度.梅雨が間近い雰囲気.

◇研究所にて早朝のこまごま —— 進化学会大会の会場について.大会に先立つ評議員会の会場とか./ 来週水曜の東大・専攻研究会議への出張届を提出.プレゼン・シートを用意しないと.

◇〈水出し珈琲〉についての備忘メモ —— HARIO 製の「水出し珈琲ポット」はどうやら人気商品らしい.いろいろなところで褒められているようだ.こんな記事も見つかった:〈水出し珈琲ポットで「まろやか水だしコーヒー」〉.確かに,このやり方だと,説明書に書かれているよりも抽出時間は長くかかるが,雑味なくスッキリまろやかな味になる気がする.※サンプル数がまだ足りないけど.

 早々と売り切れているとの情報も寄せられているが,つくばであれば少なくとも Dayz Town 内の〈銀の豆〉には在庫がまだある.※昨日確認.

◇午前10時頃,急に曇ってきたなと思ったら,ざーっと通り雨.しかし11時には止んで,昼前には晴れ間が広がってきた.

◇新書のための図版を描く.実際には「本職」に依頼するのだが,どのような感じの図にするかの見本として.

◇正午につくばセンターにてお代官様と密談.現代新書の進捗はそろそろ“作業歯車”がまわりはじめているので,来月の出版までの予定が決まっている.まだ初校を読んでいる段階だが,本文が終わると今度は写真や図版のことを考えないといけない.小見出しは? 何よりもメインタイトルは? “曼荼羅”はどないしましょ? 動物分類学会に図版の使用許可を取らないと.あれやこれや.午後1時まで.

◇午後になって,やや暑くなってきた.

◇新刊情報 —— Bernhard Haubold and Thomas Wiehe『Introduction to Computational Biology : An Evolutionary Approach』(2006年5月刊行,Birkhäuser Verlag,ISBN:3-7643-6700-8→目次).CD-ROM付き(〈BIOINFORMER〉 version 1.0).→版元ページ./ Hans-Jürgen Bandelt, Martin Richards and Vincent Macaulay (eds.) 『Human Mitochondrial DNA and the Evolution of Homo sapiens』(2006年6月刊行,Springer-Verlag[Nucleic Acids and Molecular Biology , Vol. 18], ISBN:3-540-31788-0→目次).→版元ページ

◇昼下がりのこまごま —— 東大から依頼出張の報告を求められる.毎月,連絡するわけね./ 「読んでね」依頼が3件溜まっているのだけれど,ちょっと今は……./ 〈トゥーランドット〉新宿練習の予定表が京島から届く.練習参加日程の返信をしないと.8月19日(土)だけはメキシコに逃亡しているので不参加ね.あとの日程は大丈夫だと思われます.>とど君.

◇夜,ゲラ読みが続く.自分で書いた文章を自分で読む“矛盾”は何とかならんかな —— 「なんや,このうっとおしい言い回しはっ![→それはワタシ]」,「ここはきっとツッコまれるぞっ[→それもワタシ]」,「漢字多過ぎっ[→やっぱりワタシ]」,…….

◇〈La La Garden〉のくまざわ書店で現実逃避する午後9時過ぎ.

◇本日の総歩数=17760歩[うち「しっかり歩数」=1184歩/10分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.6kg/+0.8%.


6 june 2006(火) ※ やっとつくばに漂着した〈Ologenesi〉

◇午前4時起床.曇りのち晴れ.気温16.8度.やや蒸し暑い.

◇午前のこまごま —— 東大から来年度の研究会議の幹事選挙の投票用紙が届く.なんやらかんやらでどんどん“雑用”が降り注ぐ気がする.※「気がする」だけではないぞ.来週の研究会議ではプレゼン用のスライドを用意する必要がありそうだ.これもさらなる“雑用”のひとつか.

◇着便本 —— Daniele Rosa『Ologenesi』(1918年初版[2001年復刻], Giunti Gruppo Editoriale[Biblioteca della Scienza Italiana 32], ISBN:88-09-02334-X→目次).冒頭に80ページにおよぶ Rosa 伝(by Antonello La Vergata)が付いている.復刻部分は約330ページ.巻末に関連文献の復刻が30ページ付録として載っている.

◇気温22.2度,晴天の昼休みは,どう考えても“複素関数”には向かないな —— 内澤旬子『センセイの書斎:イラストルポ「本」のある仕事場』(2006年5月30日刊行,幻戯書房,ISBN:4-901998-16-1→目次書評)を読了.おお,後半になってどんどん「濃く」なっていくぞ.ほとんど“Wunderkammer”のごとき書斎が次々と登場する.ご,五万冊ですか〜.脱帽っす.それにしても,みなさん,それぞれに「本との格闘」が日々繰り返されているようで.

—— さて,自分の書斎は(研究所の)と振り返ってみると,単に「堆積」しているだけで,ごくローカルにしか体系化されていないし,さすがに千切られたり欠片になったりこそしていないものの,本たちが日々流動していることはまちがいない.茨城県南部をときどき揺さぶる地震のたびに少しずつ端から崩落している箇所もある.千野栄一のように「サティアン」をいくつか分散させるという手もあるのだろうか(根本的解決にはならないが).この本を読んでも,最終解決策がひらめくわけではけっしてない.むしろ,このままかな.腕力がなくなってきたら,柳瀬式の“辞書逆立ち置き”をぜひ実践してみよう.

◇午後1時半から2時40分まで,〈形態測定学講義〉の第10回目.今日から新しい章:第4章「Theory of shape」に入る(pp. 73-80).David Kendall の形状空間理論の解説.標識点の「配置空間」(configuration space)を出発点として,重心へのセンタリングによる「前形態空間」(pre-form space)への変換,さらに重心サイズによるスケーリング変換による「前形状空間」(pre-shape space)への変換を考える.重心へのセンタリングによって標識点ベクトルは原点を通る超平面の上に乗る.そして,重心サイズによるスケーリングは標識点ベクトルのノルムを1に標準化し,超球の上に乗ることになる.したがって,前形状空間は両方の条件を満たす超円となる.

◇午後8時頃から雷雨.雷が去っても雨は残った.

◇日が変わるまでゲラ読み続く.

◇本日の総歩数=18729歩[うち「しっかり歩数」=6862歩/60分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/−0.3%.


5 june 2006(月) ※ 駆けまわるのは馬車か牛車か

◇午前4時半起床.晴れのち曇り.14.8度.気温の割には蒸し暑いかも.早朝のあたふた書類づくり(→これは完了).

◇午前のこまごま —— 科学哲学会シンポ講演者の打合せは,18日(日)の夕方に新宿にて.ワタクシは〈トゥーランドット〉のオケ練習(新宿文化センター)のあとで合流します./ 工学院大学に高校の同級生がいることをふと思い出し,メールを送ってみる.何十年経っても顔立ちのゲシュタルトはあまり変化していない.

◇備忘メモ —— 文書〈13桁ISBN“国内標準ガイドライン”追補版〉の公開(2006年4月24日付:日本図書コード管理センターから).現行の「10桁ISBN」に代わって,2007年1月1日から施行される「13桁ISBN」に関するアナウンス.国際規定によると,上記の施行期日以降は「10桁ISBN」は無効になるそうだ.

◇午前のうちに〈leeswijzer〉のアクセスカウンターが「15万」を越えた.1月22日に「10万」に達していたので,4ヶ月半で「5万回」のアクセスがあったことになる.順調.

◇気温20度,晴れた昼休みの歩き読みはつらかったっす —— 森正武・杉原正顕『複素関数論 I』(1993年7月8日刊行,岩波書店[岩波講座・応用数学4:基礎3],ISBN:4-00-010514-0).うむむ…….こーいう本をドロナワで歩き読んではいけません,ハイ.複素積分に関する〈Cauchy の積分定理〉というものがあるということだけは理解した.

◇午後のこまごま —— 来週水曜に開催される東大の研究会議に提出する書類をつくり始める.意外に時間がかかってしまう.連携大学院講座の紹介をするので,ええかげんなことはできない.業績リスト・獲得予算・研究概要など.

◇午後3時半から1時間ほど,Alan Stuart and Keith Ord『Kendall's Advanced Theory of Statistics, Volume 1: Distribution Theory』(6th edition,1994年,Edward Arnold,ISBN:0-340-61430-7)の輪読(第16回目).Chapter 4:「Characteristic Functions」の続き(pp. 126-129).ハイ,即死ね.苦しむ間もない.付け焼き刃の複素関数論では歯が立ちません.特性関数から累積分布関数F(x)と確率密度関数f(x)を構築するという「逆問題」が提起される.Euler の定理が大活躍.しかし,その先と奥が…….

 次回の歩き読み本(予定):森正武・杉原正顕『複素関数論 II』(1994年3月24日刊行,岩波書店[岩波講座・応用数学9:基礎3],ISBN:4-00-010519-1).〈Cauchy〉の先にある複素積分のなんちゃら展開とか留数定理とかが要るんちゃうか(ほとんど疑心暗鬼だ).

◇午後のメモ —— ハリオから〈水出し珈琲ポット〉が今年の新製品で出ている.そんなに高いものではなく,扱いも簡単そうだ.これからの季節のために必要か.

◇夕方から夜にかけて,東大・研究会議の資料づくりに追われる.1時間あまりじたばたして仕上げ,他の連携教員諸氏にメールで送る.

◇夜の仕事は現代新書ゲラのチェック(やってますやってます)./ そのあおりで Self-organization 本の進捗が滞ってます(ごめんなさいごめんなさい).

  —— 寝たのは午前零時過ぎ.

◇本日の総歩数=17852歩[うち「しっかり歩数」=7951歩/69分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=+0.5kg/−0.2%.


4 june 2006(日) ※ ゲラ読み,泥濘,引き蘢り

◇午前4時半にいったん起きたもの,またまた寝てしまった.午前7時に再起床する.怠惰きわまりない日曜日だ.曇り.昨日と同じく北寄りの涼しい風が通っていく.

◇引き蘢って昨日からのゲラ読みの続き ——

 原稿段階ではわからなかったことが,組版してみると判明することがある.版面を見た印象が“黒い”気がするのは,まだ漢字が多いせいかもしれない.もともと漢字を使わないように書くようには気をつけているのだが,それでも活字に組まれると“黒く”見えてしまう.

 また,お代官様に指摘されたことだが,段落の「改行」が足りないそうだ.長いパラグラフを通し読むほどの“肺活量”をもった読者は少ないということと,新書というスタイルにとって最適なパラグラフ長があるのだろう.こういうウェブ日記をつけていると段落は短くなる傾向がある(ディスプレイ上では長い段落は苦痛だ).それに準じて短くすればいいのでしょうかね.

 あとは,引用などのスタイル統一など,要チェック点はいくつもある.

  —— いずれにせよ,まだまだ先は長い.が,時間は限られている.

◇日中,雲が切れて日射しが射し込むと,低層階はそれなりに初夏らしい暑さとなるが,基本的には北東の風が吹き,冷涼な曇天.高層階はとりわけびょうびょうと風が吹き抜ける.

◇アマゾンから新刊情報 —— R. Lee Lyman and Michael J. O'Brien『Measuring Time with Artifacts : A History of Methods in American Archaeology』(2006年5月刊行,University of Nebraska Press,ISBN:0-8032-2966-6 [hbk] / ISBN:0-8032-8052-1 [pbk]→目次).この著者,毎年1冊は必ず書いてるもんなあ〜(脱帽).アメリカ考古学の方法論のたどった歴史について.→版元ページ

◇夜になって北風がさらに強く吹き,15度台の低温に輪をかける体感的な肌寒さだ.ここ数日は夏日からほど遠い空模様が続くらしい.※梅雨間近の兆しだろうか.

◇本日の総歩数=7081歩[うち「しっかり歩数」=941歩/10分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=+0.7kg/+0.5%.


3 june 2006(土) ※ 初校ゲラが押し寄せるウィークエンド

◇午前5時起床.曇り.涼しい北風が高層階を吹き抜ける.ちと強目かな.

◇数日前から予報されていたことだが,講談社現代新書編集部から『だから,系統樹!(仮)』の初校ゲラが自宅に届いた.まだ図版をまったく含まない文字稿だが,すでに240ページ分ある.内訳は以下の通り(括弧内は届いたゲラでのページ):

■『だから系統樹!― 野望の思想,跳躍する科学(仮)』初校ゲラ ■

プロローグ:祖先からのイコン――躍動する「生命の樹」 (pp. 11〜28)

第1章:「歴史」としての系統樹――科学の対象としての歴史の復権(pp. 29〜73)
第2章:「言葉」としての系統樹――もの言うグラフ,唄うネットワーク(pp. 75〜114)

インテルメッツォ:系統樹をめぐるエピソード二題(pp. 115〜139)

第3章:「推論」としての系統樹――推定・比較・検証(pp. 141〜184)
第4章:系統樹の根は広がり続ける(pp. 185〜217)

エピローグ:万物は系統のもとに――クオ・ヴァディス?(pp. 219〜234)

あとがき(pp. 235〜239)

さらに知りたい人のための極私的文献リスト[未組版(30ページほど?)]

索引[未作成(4ページほど?)]

 引用した欧文文献が少なくないので,巻末の文献リストの組み方は,タテ組みではなく,ヨコ組みの方がきっと読みやすいだろう.また,本文と同じサイズの活字で組むと30ページくらいになるはずだが,もっと小さい活字ならば数ページは節約できるかもしれない.しかし,掲載写真と図版を合わせると40葉を越えるので,いずれにせよこの本全体の総ページ数は「300」にかぎりなく近づきそうな気配だ.新書としては厚い部類に入る.

 原稿をぎゅうぎゅうと搾り取られているときは,目の前のことで精一杯で,全体を見回す余裕などとうていないのだが,どうにかこうにか全部の原稿を出し終えてみると,2年あまり前に書いた冒頭章と,ここ数ヶ月の間に書いた章との間で,書くスタイルや引用書式にズレが生じていることがわかる.内容や体裁についてのそういうズレを補正して,全体の統一をはかるのが,ゲラが出てきてからの仕事の中心だ.

 さらに,ぼくが単著で本を書くときには,本ごとに〈BGM〉を決めることにしている.かつての『生物系統学』では武満徹の〈系図〉という作品を背景音楽に指定した.そこにははじめから必然的な理由があったわけではない.たまたま執筆していた過程で遭遇した曲に自然に導かれただけだ.もちろん,その曲が『生物系統学』の伝えようとしているメッセージと整合的だったからというあとづけの理由はある.しかし,きっかけは偶然だ.

 今回の『だから,系統樹!』では,最初は〈BGM〉を設定していなかった.書きはじめた頃は,ちょうど小学館の〈武満徹全集〉が刊行中だったこともあり,「また,タケミツでいくかあ」という思いもかすめたのだが,今年に入ってからたまたまプッチーニの歌劇〈トゥーランドット〉の演奏に関わる機会ができたので,けっきょく今回の近刊では〈トゥーランドット〉を〈BGM〉として使うことにした.プロローグからエピローグまでこの歌劇からの引用が随所に見られることがわかるだろう.もちろん,秘められた“タケミツ・コード”も文中にいくつか残存しているが,それはきっと「わかる人にしかわからない」と思う.でも,それはそれでいいんじゃないか.

 文中の「引用」は本文内容を補足説明するという大目的があるので,すべての読者にとってわかりやすくなければ困るだろう.しかし,章や節の冒頭あるいは末尾に付けられた「引用」にはそういう責務を負わせる必要は必ずしもないと思う.他の著者のことはいざ知らず,ぼくの場合にかぎって言えば,後者の「引用」は,読者にとってではなく,何よりもまず著者にとって必要なものだ.もちろん,その引用の[著者の念頭にある]真意を正しく汲み取ってくれる読者がいてもいいのだが,いなくても別にかまわないという“自由さ”を帯びている.新書たった1冊を読む前提に,2時間の歌劇を聴くことを読者に要求するというのはこの上もなく横暴だ.でも,著者は実際にそうしながら原稿を書いていたりするのだからしかたがない.

 まずしなければならないのは,届いたゲラの改訂作業だ.とりあえずざっと読んでいるのだが,方々に加筆訂正したくなる箇所が散在しているのに気づく.お代官様からは「図表が入る前に本文だけはきっちりカタを付けましょう」と念押しされているし…….しばらくは改訂作業にかかりきりかも.

◇今日は終日気温が低く,20度を少し上回る程度だった.

◇本日の総歩数=14410歩[うち「しっかり歩数」=2256歩/21分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=0.0kg/−0.2%.


2 june 2006(金) ※ さて,大波が来る前の退避準備を

◇午前4時半起床.曇り.気温16.9度.昨日のような暑さにはならないとの予報.喜ばしいことだ.

◇早朝のこまごま —— 東大の学生見学会の宿泊予約の確認.研修施設の予約は取れたので,宿泊者名簿の作成を依頼する./ 進化学会東京大会の進捗について実行委員会に問合せ.大会を運営するというのはたいへんなのです(とくに実行部隊は).一般講演の申込や講演要旨の提出については近日中にアナウンスされる予定./ 統計関連学会連合大会の演題を企画者に提出した:三中信宏「進化生物学と統計科学:系統樹の推定をめぐって」.要旨提出はまだ先のことだが,まあ,タイトルが決まれば内容は自然に湧いて出てくるでしょう.

◇〈みんなのキャンパス〉—— 大学の授業評価サイト.ここを見ている学生は多いのかもしれないが,教える側の教員はこのサイトについて知っているのだろうか?(知らんのんちゃうか)

◇昼休みの歩き読み.気温23.6度.曇り —— 内澤旬子『センセイの書斎:イラストルポ「本」のある仕事場』(2006年5月30日刊行,幻戯書房,ISBN:4-901998-16-1→目次)の続き.細密イラストを歩き読みするのは目が疲れる〜.

◇午後1時半から1時間あまり,〈文化系統学〉セミナー第14回目.今日から,Chapter 7「Measuring relatedness」(Robert C. Dunnell)に入る(pp. 109-112).短い章なのだが,現代考古学史を知っていないと読めないかもしれない.考古学における「類似性」の考察.考古学的分類はある[明示化されない]類似度を前提にして実践されてきた.しかし,その類似度がどのような原因によって生じているのかについては学派と論者によってちがいがあった.文化史(「歴史」重視)考古学とプロセス考古学(「機能」重視)での対立は有名だ.しかし,プロセス考古学はしょせん文化史考古学が提唱してきた分類体系にただ乗りしたに過ぎない.考古学における数量表形学の普及は,類似度を測定する一つの可能性を示したが,相同であるかどうかの検討を怠った点で致命的な間違いを犯した.分岐学の考古学への応用も最近ではなされていて,類似性は系統関係の反映であるという主張が再び日の目を見ている.しかし,形質変換系列の方向性を決定することが分岐学の前提であるかぎり,系統と類似との論理循環の残滓はいまだ払拭しきれていないのではないか —— と著者は言う.

進化学会東京大会の実行委員会から,公募式シンポジウムを大会サイトに掲載したとの連絡.シンポジウム関係者に通知する:シンポジウム16〈哲学はなぜ進化学の問題になるのか:生物学の哲学の多様な展開〉.

◇午後4時から1時間ほど東大連携教員のミーティング —— 今月14日午後に開催される大学院入試ガイダンスとそれに続く研究会議(という名の研究室・スタッフ・学生紹介),学部学生のつくば見学会(7月11日)での農環研紹介コースとプレゼン内容,今年冬学期から予定されているエコロジカル・セイフティー講座「特論」のシラバスづくり,弥生キャンパスでの居室内装のことなど.※わらわらと用事が湧き出てくる.週明けに書類をいくつか出さないと.

◇本日の総歩数=15369歩[うち「しっかり歩数」=8252歩/73分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/0.0%.


1 june 2006(木) ※ 真夏日ジューンの幕開き

◇午前4時00分起床.晴れ.気温16.4度.予報によると,関東は今日は「真夏日」になるそうだ.夏に向けての対策がいろいろ必要になるぞ.農環研内の“避暑地”も決めておかないと.

◇早朝の研究所にてこまごま —— まずは大型扇風機を引きずり出す./ メーリングリストへの月例アナウンス送信./ 科学基礎論学会が6月17日(土)〜18日(日)に電通大であるとのこと.科哲シンポ講演者の顔合わせはそのときになる予定.

◇月初めの新刊情報 —— William Paley『Natural Theology』(2006年4月13日刊行[初版1802年], Oxford University Press [Oxford World's Classics], ISBN:0-19-280584-3|Edited by Matthew D. Eddy and David Knight).初版後“二世紀”も経ってからリプリントされるとは! →版元ページ./ ジュリアン・バジー二,ジェレミー・スタンルーム(編)『哲学者は何を考えているのか』(2006年5月25日刊行,春秋社[シリーズ「現代哲学への招待」], ISBN:4-393-32308-4|丹治信春監修/松本俊吉訳).→版元ページ./平凡社東洋文庫編集部(編)『東洋文庫ガイドブック2』(2006年5月刊行,平凡社,ISBN:4-582-83714-X).4年前に出た平凡社東洋文庫編集部(編)『東洋文庫ガイドブック』(2002年4月15日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83713-1)はもう品切れだそうで./ 関口秀子(編)『企業系譜図集:六大企業集団社長会メンバー企業』(2006年刊行,雄松堂出版,ISBN:4-8419-0428-X).買うことはあり得ないが,惹かれるタイトルではある.※こういう本,いったい誰が買うのん?

◇昼休み.気温28.2度はちょっと暑すぎまっせ —— 内澤旬子『センセイの書斎:イラストルポ「本」のある仕事場』(2006年5月30日刊行,幻戯書房,ISBN:4-901998-16-1→目次書評)をさっそく読み歩く.見開き2ページのイラストと2ページの文章で1セットになっている(いま目次をチェックしたら.後半は割当ページ数が増えている).長期にわたる雑誌連載の単行本化なので,金田一春彦や千野栄一,そして米原万里のような物故者も含まれている.スタイルとしては,数年前に出た磯田和一『書斎曼荼羅:本と闘う人々』(全2冊,2002年3月15日刊行,東京創元社,ISBN:4-488-01420-8 / ISBN:4-488-01421-6)に似ているが,今回の新刊の方がもっと細密画だ.さらにさかのぼれば,かつての“妹尾河童”的な覗き鳥瞰スタイルの系譜に連なるのかな.

◇午後,進化学会ニュース(Vol. 7, no. 1)が届く.

◇週末に“大波”が来る…….

◇本日の総歩数=20371歩[うち「しっかり歩数」=8833歩/75分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.5kg/0.0%.


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