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日録2004年7月


31 juli 2004(土) ※ど〜〜ん! 玉やぁ〜っ

◇午前3時のスコール ―― もうどーにでもして.天気カテゴリーの境界が定かでなくなる月末の未明.

〈御用〉の結末 ―― 明け方に「落ち穂拾い」を完了し,後世に残る名画〈millet.pdf〉をヒミツ(ほぼ全公開というウワサも)の要旨集サイトにアップ.これにて〈御用〉はジ・エンドにしてね.自爆者処理とか亡霊召喚とかやめてね.エクソシストはまかせましたっ.>駒場城

◇【学会大会運営:Dirty Manual】―― だれかマジでつくらないとダメですね.大会を切り盛りする実務的鳥瞰図は,たとえば竹中明夫さんの〈生態学会50回大会運営メモ〉に詳しい.ここまでシステマティックではないにしても,学会大会運営の感想や反省についてはいくつか公開されている:〈日本林学会大会・中部支部大会を経験して思うこと〉とか〈メイキングオブ合同大会 1999〉など.

―― 学会ごとの個性とか経歴などが大会運営に反映されるので,一般論を言うのは難しいのだが,多くの人が1ヶ所に集まって何かをやるという点では変わりがない.その場を切り盛りするための〈共有知識〉はきっとあると思う.とくに,やってはいけない「べからず集」は重要.苦い経験をした運営サイドは少なくとも次年度には「申し送る」だろうが,決して永続的ではない.そのうちまた「同じ轍を踏んでしまった」というケースも出てくるだろう.【学会運営訓】をどのように伝えていくか.

―― 大会運営はいつも業者にまかせているという大きな学会ばかりではないと思う.資金的な問題から自前で大会を切り盛りしているということがほとんどだろう.とすると,新たに大会運営を引き受ける側の負担を小さくする意味でも,「ここのところが要注意」とか「これをやるとあとがめんどう」という要チェックリストが現場では役に立つ.

―― 今回,講演要旨集づくりをした経験から言えば下記3点:1)講演に関する元データは締切期日で確実に確定させる(アングラでデータ内容を変動させないこと);2)データの内容チェック担当と要旨集組版担当は分離する(一人二役はきびしい);3)要旨登録システムは編集サイドにとって使いやすいものにする(印刷業者への発注を考えるとLaTeXではなくテキストを出力してくれるシステムの方が個人的にはありがたい).締切時点で要旨が完全に集まっていることはありえない.五月雨のように飛び込んでくる後れ馳せ→自爆者→亡霊な要旨をその都度加えていくのが要旨集をつくる側の仕事で,多くの場合〈時間との競走〉になる.印刷所への入稿をぎりぎりまで遅らせることを可能にするには,すべての版下をつくってしまうにかぎる(これにより2週間あるいは10日くらいでなんとかブツがしあがる).

◇もっか〈大雑用〉中という久保さんはたいへんお疲れさまでございます.

◇今日はまる1日,計算センターのサーバーがメンテのため停止となる.ネットワークもメーリングリストもメール配送も全部ストップ.

◇午後,京島の「隠れ家」に出向き,まだ日の高いうちからしばし飲みつつ,隅田川花火大会の始まりを待つ.フランスから“密輸”してきたチーズたちは,浴衣姿の目立つ常磐線&東武線の中で「異臭」を発せず,怪しまれるようなことはなかった.東武亀戸線の際に接する冷房なしの2階部屋にて,ビールを飲みまた肴を食するうちに〈花火気分〉はしだいに盛り上がる.数キロ先の隅田川の花火会場からは試し打ちの音が聞こえ,上空には中継ヘリのプロペラ音も.

―― 午後7時過ぎに始まる.隠れ家前が東武線の踏切になっていて,その中に入り込むと真っ正面に花火が上がるのが見える.車輌の入らない道路なので安心.即席テーブルを踏切横に出し,酒肴を並べ,花火を鑑賞しつつ飲み,東武線の電車が数分おきに通過するときだけ,あわてて踏切外に出て食べる.これの繰り返しが花火大会が終わるまで.風もあってなかなか趣のある愉しみ方だったのではないか.

―― 花火大会のあとはチーズとワインの夕べ.リヴァロがそろそろ食べごろ.

◇午後10時前に解散.かのマンモス公園やレトロな銭湯・曳舟湯の前を通り過ぎ,東武線曳舟駅に到着.北千住乗換えで常磐線へ.途中,これまた隅田川花火大会に誘引されてきたという同じ研究所の某氏と遭遇.

◇日が変わる頃,ひたち野うしく駅に到着し,へろへろになって帰宅.午前様でございます.

◇本日の総歩数=10521歩[うち「しっかり歩数」=1437歩/14分].


30 juli 2004(金) ※あ,もう月末ですぅ〜

◇午前3時の目覚め ―― へ,まだざーざー降っている.あらま.台風は通り過ぎていない? さすがに午前4時頃には雨は止んで,雲が切れてきた.

―― 腹調,やっと回復の兆しか....

◇おのれ,あやかしの〈御用〉め,成仏せいっ!―― アカン言うてるのに,またも大挙して「自爆者」の群れ.マボロシだった講演要旨が数件届く.でもね,講演要旨集はもう印刷・製本に入っているので,こっちとしては気が楽で,“屍体”をさささっと片づければそれでオシマイなのさ.当日配布用のpdfファイルをレアに焼き上げて,ヒミツのはず(おいっ,大会サイトからリンクするなってば!)の要旨サイトにアップする.要旨集の変更は根治療法だが,こういうのは対症療法なのでラクラク.

◇いったい何なんだ,この空模様は ―― 青空から大粒の雨がスコールのように降り注ぎ,農林団地では作業車が横転し,またかーっと晴れたかと思えば,横殴りに雨滴が吹きつける.ひたすら蒸し暑く,綿菓子のように暑苦しい積雲が流れる.あ,また雨.※晴れたいんか,降りたいんか,はっきりせえ.>空

◇午後,みなし“心筋梗塞”の再検査(また血ぃ抜かれたー) ―― とくに異常なしとの結論.ゲン直しに,一気に栄養補給してみる.※無謀だったかしら……(お腹).

〈御用〉ぎりぎり ―― 直前一週間を切っているのに,なお【落ち穂拾い】が続くとは.ここにきて自爆だか亡霊だかよくわからないアイテムが出没する.そーだそーだ,これはペトルーシカの幽霊にちがいない.ポルターガイストかはたまたティル・オイレン・シュピーゲルか.要旨を登録したのに「なかったことにして」とか,「おお,忘れておったわい」とか.もう何が何だか…….ハイハイ,明朝までには名画〈落ち穂拾い〉を完成させますね.>殿

◇台風の動きの変だし,連動して空模様も変だし,落ち穂は増えたり消えたりするし,何なんだか...

◇本日の総歩数=6623歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


29 juli 2004(木) ※のろのろ台風,濡れネズミ

◇早く寝れば早く目覚める ―― 午前2時にふと目が開く.ざーっと雨音がしたり,ヒグラシが鳴いたり,湿った風が吹き込んできたりの繰り返し.だらだらと惰眠の末,午前5時までごろごろしてしまう.いちおう“病人”っつうことで.

―― ヘンな方向から台風がのろのろとやってきたおかげで(偏西風はいったいどーしたっ?),断続的にスコールのように雨が降る.

◇腹調なお悪し.でも昨日よりはマシか.※トイレ回数/時は減少傾向

◇今月末の〈隅田川花火大会〉を,今を時めく〈墨田区京島〉からじっくり鑑賞しよう会 ―― 体(腹)調がイマイチなれど,兇悪打族の誘いともなれば逃げられようはずもなく(宿命ですな).ネパール料理店〈ポカラ〉とマンモス公園が待っているそーな.

―― ぐはは,〈“高速”マランボ〉か.「3分」の大台を突破したのでしょうか?(>東響) 演奏者のための演奏ですな.〈“高速”道化師のギャロップ〉とか〈“高速”カプリチオ・エスパニョール〉の演奏経験はありますが(お,いずれも指揮者がおんなじだった...>精ちゃん).※燃えるラテン系.

―― 演奏会のアンコールなんかで,お茶目な演奏をしたりするのは,オケの愉しみのひとつということでして.“高速演奏”で多少はずそうが落ちようが笑ってすまそう(演奏する方も見る[NOT 聴く]方も).ただし,プログラム曲だとシャレにならんので顔が引きつる.リムスキー・コルサコフの〈カプリチオ・エスパニョール〉の“高速”版を広島のサマーコンサート(中プロ)でやったときは,第1曲目のアルボラーダがいきなり presto で始まったので,目立つタンブリンを担当していたぼくはすべての16分音符をきちんとストロークするのをあっさり断念し,音符を適当に「サンプリング」しながらの拍のアタマだけはずれないようにした.あとで聴衆アンケートを見たところ「タンブリンがとてもすばらしかった」と書かれていた(汗).※良い子のみなさんはマネをしてはいけませんよ.

◇今年3月22日に東京で開催された〈ダーウィンで科学を楽しむ!〉のプロシーディングズが届いた ―― Randal Keynes,James Moore, Olivia Judson 他.科学技術政策研究所講演録-136(2004年7月発行).110ページもある.※感謝です>訳師さま.

◇進化学会の出張届をあわてて出す.※泊まるところ,どーしましょ.

◇うぬぬ,それにしてもちょーし悪し.きょうもまたヒッソリと寝るのか.

◇小田光雄『ヨーロッパ本と書店の物語』読了.軽い本だった./『のだめカンタービレ9』読了.あの親にして,この娘あり./アン・フィディマン『本の愉しみ,書棚の悩み』(2004年7月30日刊行,草思社,ISBN: 4-7942-1333-6)を読み始め.そーですか,パリのメトロの切符は栞にちょうどいいと.※数枚,手元にあり.

◇本日の総歩数=5703歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


28 juli 2004(水) ※点滴くまむし,あえなく観念

◇午前3時からヒグラシの合唱.風が通る.台風10号が近づいているという予報だが.

◇マジ,体調よろしくないかもしれない ―― 断続的なる腹痛&下痢に降参して内科に駆け込む.「夏場の腸炎でしょう」との見立てで,2時間ほど点滴を受けるハメに.

―― “病人”じゃん,これって.※おなかすいた…….

◇まるくなって寝る.

◇本日の総歩数=8036歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


27 juli 2004(火) ※湿気で黴る……,暑くてへたる

◇午前5時起床.要旨集印刷に関して何か問題があるときは昨夜のうちに業者から連絡があるはずだったが,何もなかった.ということは,〈御用〉からの解放ですね.>殿

―― 印刷物としてのクオリティは例年よりも高くなります.

◇溜まっていた雑用の一掃処分(みなし)―― 室内仕事ではメーリングリスト関連の作業など.室外では,銀行や郵便局での払込み(お゛,進化学会年会費未納者だって...).炎天下にうろうろする.へたる.

◇帰国以来,いまいち体調よろしからず.とくに消化器系.※「食い過ぎでは」という冤罪が危惧される.断食したろかしらん.

―― 食欲がもひとつというのが最大の問題点かもしれない.

◇某打診あり ―― おっけー.※しごと増えそう.

◇ダブルブッキングが危惧されていた(というか現実のものとなった)まりまりワークショップは8月末〜9月始めに日程変更となった.実行委員長権限で開催場所は八ヶ岳に.

―― 生態学会釧路大会と都立大学非常勤講義のはざまにやるわけね.またもイベントの「はしご状態」.

―― と思ったら,JICAの講義日程も詰め込まれてきた.※ハシゴの段はどんどん伸びる.

◇本日の総歩数=8068歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


26 juli 2004(月) ※社会復帰できまっしぇん〜

◇午前4時に起床.旅行の荷物や資料・機材とともに研究所にご出勤.明け方から暑いので,しばらくは社会復帰できないでしょーね.勤労意欲の枯渇というやつ.

―― とはいえ,帰国早々,容赦なく〈御用〉は降ってくる.昼前に印刷業者からゲラが届く.夕方までにチェックを終わらせないとダメだとか.余裕ないねー.すでにアウトライン化したpdfから割り付けをしたので,内容的に大きな問題点はないのだが.行がズレているページを数ページ発見.あれれ,元ファイルをアウトライン化した時点で,組版が崩れたみたい(こんなことってあるわけね).再度,該当ページのアウトライン化をやり直して(やっぱり崩れるので手作業でムリヤリ組み直す),差替えページのpdfファイルを出力する.ほかにもノンブルがついていなかったりとか,マイナーな修正箇所がいくつか.すべてpdfでのページ差替えということで対処してもらう.

―― すべての作業が終ったのは午後5時過ぎ.印刷業者に差替えファイルの入ったUSBメモリーを渡し,これにてすべて終わり.あとはできあがったブツが駒場に届くのを待つばかりということになる.

◇夜になって,時季はずれの自爆メール.シンポの開催日が希望と違っているというクレーム.そんなの知ったことじゃないので無視.大会運営マターではあっても,要旨集担当とは無関係のことだから.※屍体はすべてそのまま放置する.

◇小田光雄『ヨーロッパ本と書店の物語』(2004年7月15日刊行,平凡社新書234,ISBN: 4-582-85234-3)を読み始める.パリ行きの前だったら,もっと参考になったのにね.※タネ本に〈ビブリオフィル叢書〉がよく出てくる.心して蒐書するようにしよう.

◇直輸入チーズを賞味する ―― ルブロションはとてもまろやかで食べごろ,フルム・ダンベールはブルーチーズにしては刺激的でない.サヴォアのトムは素朴なセミハードタイプのチーズ(ぽりぽり食べる).リヴァロはそのまま温存しておこう(まだ若いような).

◇本日の総歩数=7188歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


25 juli 2004(日) ※不適応者ここにあり

◇午前6時過ぎに成田空港第1ターミナル着.うう,この蒸し暑さはいったい〜.※もう一回もどろうかしら.

―― 機内ですでに“異臭”を放ち始めた Livarot たちオミヤゲどもとともに再入国(あ,限度額越えてました?).

◇身から出た錆の眠たさのと長旅の疲れで,この日はすべてを放り出して寝ましたです.ハイ.動かざることクマムシ並み.

―― 朝から夜までごろごろする.マジ,ごろごろと.

◇本日の総歩数=2725歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


羅甸方画記 in Paris (18〜25 July 2004)

―― Hennig XXIII の記録(&滞在記)です.


18 juli 2004(日) ※でもって,ご出発〜

◇午前3時に雷雨あり.目覚めて,みなし“心筋梗塞”で滞っていた「日録」を書く.トランクをしばる.これでOK.

◇では出発〜.

◇あとのハナシは ―― 羅甸方画記


17 juli 2004(土) ※ムリやり間に合わせる

◇午前6時に起きる.まだ胸は痛い.深呼吸するとダメ.朝のうちに再度病院へ.救急車が4台着いたとのことで待たされる.また「血抜き」.結局,対症療法的に“鎮痛剤”なるものを処方されて,そのまま旅立つことになった.※昨夜の時点では,「即入院」という選択肢もちらついていたのだが.

◇パリのホテル(Timhotel Quartier Latin)にやっと宿泊変更のメールを出す.遅れたからペナルティ取られるかも.

◇共同研究者から渡された資料とか,手持ちの資料などなどをばさばさと用意して,講演用の素材はこれでよし(マジかいっ).講演原稿(書いたことないけど)はカルチェ・ラタンのカフェにて(大丈夫かいっ).

―― ほんとのハナシ,こんな内実は他人には言えないよねえ.※などと「日録」に書いてどーするっ.

◇旅行の用意そのものもまったくしていなかったので,急いで服やら機材をトランクに詰め込む.※コルク抜きを忘れたりは決してしない.

―― あ,もう夜じゃん.おねむの時間がやってきて,7時間後には出発でーす.

◇本日の総歩数=4692歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


16 juli 2004(金) ※戦いすんで,夜が明けて,魔に逢う

◇午前2時前の三杯飯.※なにやってんだか....

◇4時間後にまた起床.湿度が高く,もやっている.蒸し暑い.が,大仕事が[ほぼ]終った直後で,瑞雲がたなびいている心地ぞする(気は確かか).

〈御用〉の後始末 ―― 激動の末にようやく完成させた「講演要旨集」だが,印刷業者に入稿するまでにはまだもう一仕事ある.それは全コンテンツの〈アウトライン化〉.コンピュータ環境の違いによる予期しない文字化けや組版体裁の崩れをなくすために,文字フォントではなく「グラフィクス」として置き換える.これだけ大量の文書のアウトライン化をしたことはこれまでなかったので,所要時間がまったくわからなかった.午前9時にアウトライン化を開始 ――

―― わわ,こののろさはいったい…….1ファイルごとのアウトライン化に数分〜数10分もかかっている.しかも,アウトライン化した InDesign ファイルからのpdf化にも時間を削りとられる.何よりも,難産されたファイルたちのサイズのでかさはいったい何なの? 元ファイルの10倍〜100倍にも膨れ上がっている.ひとつ 300MBもある InDesign ファイルがごろごろと生まれる.

―― 業者は予定通り11時にきたのだが,申し訳ない,もうちょっと待っててねー.いま出産中〜.

―― 〈文一は忘れた頃にやってくる〉.未着だった文一総合出版の広告がやっと届く.Illustrator ファイルなので InDesign にそのまま貼りこめるはずなのだが,保存時のオプション設定がよくなかったようで不首尾.焦る.文一に電話して,InDesign読みこみ可能な形式の新しいファイルを再度送ってもらうよう支持する.待ち時間にさらに出産を見守る.

―― 正午を過ぎても終わらない.やっと届いた新しい文一ファイルを広告ページに配置して,コンテンツに関してはやっと確定.出産,なお続く.

◇結局,すべてのアウトライン化とpdf化を完了し,計700MBほどのファイル群を2本の USBメモリーに詰めて業者に渡せたのは午後1時過ぎ.これでマジにすべて終わりました.26日にゲラが出るとのこと.

◇ヒミツの要旨集サイトを全面更新し,トンボなしのpdfファイルで置き換える.今年の進化学会大会要旨集[pdf版]の確定.当面,大会実行委員のみに内覧してもらう.

◇あ゛,文一広告の書影配置がまちがっている! あわてて訂正し,業者に連絡.

〈御用〉モードをオフする.これからの40時間は,次なる仕事に没頭する.

―― 銀行に直行し,ユーロ立てのトラベラーズチェックと現金を購入.海外の学会に参加するたびに思うのだが,トラベラーズチェックって学会参加者にとってはとっても不便.銀行や両替所が開いているような時間帯はずっと学会会場に拘束されるわけなので,もっていても換金のしようがない.ホテルでも換金できるけどレートがイマイチ.夜開いているような両替所に行くのは不安がある.それくらいだったらハイリスクながら現金で持ち歩くというのがベストなのかもしれない.総額にもよるけどね.

―― ついでにつくばセンターで成田空港行きバスのチケットも購入.エールフランスの便が午前10時過ぎのフライトなので,朝6時20分発のバスにする.

◇もう午後4時…….昨日に引き続き,またも雷雨が叩きつける.1時間ほどで晴れ間.日本が“亜熱帯”地域になったことを実感する.

◇何となく息苦しくなってくる.吸気すると肋骨あたりが物理的に痛いという感覚.何これ〜?

―― 夜になって症状はさらに重篤に.横になっても胸が痛く,座っても呼吸が苦しい状態.歩くとはあはあ.やばいっす.8時過ぎに筑波メディカルセンター病院に転がり込む.担当医は胸部レントゲンに異常がないことを見て,次に“心筋梗塞”を疑ったようで,えらいことに.動脈血採血→心電図測定→静脈血採血→心電図測定→ニトログリセリン投与→心電図と心臓エコーという一連の定食コースに乗せられて(ストレッチャーにも),午後11時前まで病院に拘束される.結局,原因はわからずじまいで,投薬もなし.しかし,3時間ほど寝ていただけで,ずいぶんラクになった.

◇逢魔が時を思いつつ,就寝 ―― アレ,やるべき準備は? あれれ〜(汗).

◇本日の総歩数=7731歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


15 juli 2004(木) ※成仏か,はたまた昇天か

◇午前3時起き ―― 〈御用〉 続く:大会参加者リストが“死ね死ねゑくせる”ファイルで送られてきた.昨日の「懲役刑」のある部分はゑくせるが吐き出すクソpdfのトラブル処理に費やされた.

―― ゑくせるから出てきたpdfをInDesignに読みこんで,再度pdf出力させると文字の一部分が欠けてしまうという事態.こういうときは文句を言う前に(いうだけムダ),ゑくせるの印刷範囲のセルを広めにとることで対症療法してしまう.

―― まあ要するに「まじめにつきあうとバカを見る」ということなので,参加者名簿の方は最初からテキストにしてしまって,早々に苦界から逃れる.無事pdf安産.ヒミツのサイトにアップして大会実行委員閲覧.

―― 残されたパーツは,シンポジウムなどの企画の要旨が数十ページ.午前中にケリつけます.

◇忘れないうちに【大会要旨集をサクサクつくるレシピ】をまとめておかないと ―― Adobe InDesign を前提に話を進めると,1)ドキュメントの設定(サイズ,裁ち落とし量など);2)マスターページの設定(定型語句の記入);3)複数レイヤーの設定(ブックマーク);4)スタイルの設定(段落形式),の4点がポイント.さらに,和文と欧文が混ざるので,混合フォントを最初に定義するか(欧文フォントは1Q大きくして),あるいはその都度警告されつつも欧文活字への一括変換をする(InDesign以外では文字化けする).レイヤーとスタイルはドキュメント間で共有して整合性を保つようにする.最後に,コンテンツが確定したら,ページ付けを再度チェックした上で,全文をアウトライン化し,印刷所に入稿する.

◇ぐむー,しごとしごとしごと…….

◇ん,今年もまた農水省の〈統計研修〉が11月にあるという連絡.科目はとチェックしてみたら,げげげ,“多変量解析概論”などという新設科目があり,引き受けた覚えもないのに「講師:三中信宏」となっている.お願いだから「概論=みなか」という図式はもうやめてねー(く).※で,何を話すのでしょ>ワタシ.ミダラな多変量の世界を鳥瞰させよということであれば,それはいろいろ話題があるのですがね.手持ちのネタとしてはクラスター分析・判別分析・主成分分析・因子分析・正準変量分析・重回帰分析くらいか.ハナシとしては共分散構造分析はとても魅力的なのだけどね.PLS回帰にも触れてと.とても90分の講義ワクには収まらないな.

◇ぐえー,しごとしごとしごと…….今日も大陸的に朝は[比較的]涼しく,昼はかーっと暑くなるのでしょーか.

◇おお,そうですか,アレに参加されるのですね.よくぞ決断された(英断).カリフォルニアでは流れに任されつつもぜひ泳ぎきっていただきたい.ガケの上から突き落とした甲斐があったというものです(ん?).たとえ準備が不足していようが(ん?),多少不安が残ろうが,カネがいささかかかろうが,行ってみないと得られないものが多々あるのです(参加しなきゃゼロ!).※来年のISHPSSB 2005 Meetingというのもなかなかよさそうですねー(ロケーションが).

◇ぐがー,しごとしごとしごと…….

◇頂上直下のオーバーハングである,シンポジウムとワークショップの要旨パーツの組版をさくさくとごりごりと進める.時間だけは飛ぶように,作業は這うように.段落形式が定型的なので“スタイル”を事前に決めて機械的に進めようとするものの,〈オーファン〉や〈ウィドウ〉をできるだけ出さないようにしたい.もちろん,文中の学名など必要に応じてイタリック体に変換する.

◇要旨未着の演者を実行委員たちにアナウンスし,できるだけ「年貢取り立て」しようとする.うむむ,VIPたち,とても悪質ですぞ.出すものだしなさいね.息するように要旨を書きなさいね.

◇今回の要旨集のコンテンツは6月末日の要旨登録締切時点のデータを踏まえている.大会登録システムは6月いっぱいで完全閉店させるべきだった(名実ともに).7月以降にアイテムがコッソリ追加されたりしたのではたいへんに困るのだ.確かに,大会サイトのオモテ向きは,今月に入ってからは「登録できない」ことになっていた.ところが実はそうではなかった――

―― 登攀の真っ只中だった昼過ぎに駒場の殿からホットライン:「あ,三中くん,登録システムが実はまだ動いていたみたいでねー」「え゛,ということは今月に入ってからの追加登録がある……と」「うん,そう」「マジっすか?」「まいったねー,わっはっはー」

「なめてんのかぁ,コラぁ〜」

(とぶちぷちキレつつも)

―― 閉店したはずの大会登録システムを覗いてみたら,あるわあるわ.悪質なVIPたちの集うシンポジウム登録窓口には遅着要旨がばさっと差し込まれたまま.どーしますねん,コレ…….

◇遅配要旨やら自爆的に届く「すぐ書くからちょっと待ってー」(蕎麦屋の出前かっ)メールに引きずられつつ,本日中の印刷所入稿はほぼ絶望であることを実感する.午後5時に来てくれた印刷業者には進捗状況を話して,明日に入稿するということで理解してもらう.ヒミツの要旨集サイトは知らせてあるので,トンボ付きで出力したパーツpdfはすでに見てもらっている.ブックマークは左右両ページに付けると印刷ズレで見にくくなるのだそうだ.左ページのブックマークのレイヤーはすべてオフにしよう.業者のオペレーターの話では組版上の問題はとくにないそうだ.まずは安心.

◇夕方,トツジョとして集中豪雨と雷鳴.いやあ,よく降ってくれましたねー.

―― 夜にかけて五月雨的に後れ馳せ要旨メールが到着する.その都度,InDesign に貼りこんでいく(シジフォスかい...).最終的に,要旨未着のまま残った講演は一桁台におさまった.※夜中にさらに届くのかもしれないけど.

◇午後11時過ぎに,ほぼ頂上制覇.できあがった講演要旨集の総ページ数は160ページ.とりあえず,通しのページをふって,pdf出力.午前1時過ぎに実行委員に全パーツを回覧する.出版社からの広告画像ファイルもほぼ全社分が届いた.

―― やっと下山できるという実感が湧く.これでジ・エンドです.

◇本日の総歩数=3902歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


14 juli 2004(水) ※“パリ”に“ケルン”で延髄反射

◇3時半に起床 ―― 暗いうちから蝉が鳴きはじめる.なんとなく盛夏になったということか.でも,最低気温は20度そこそこ.この涼しさは関東らしくない.

―― おお,Keith というとファン・レターが来てしまう(ども).それにしても,“ケルン”の〈Part I〉(26:15)や“パリ”の〈October 17, 1988〉(38:23)はライヴ録音なんですけど,こんな長時間のピアノ独奏をじっと聴き続けるというのは,聴衆も大したものだと思う.確かにエンディングの小曲が好ましいというのは正論ですよ.※「一体になりたい」と希求するストイックな人は別としてね.

―― ちなみに,この〈Paris Concert〉が録音された Salle Pleyel はセーヌの北西側(8区)にある音楽ホールで,場所的には凱旋門の近くですね.

―― などと言いつつ,夜明けに“パリ”と“ケルン”の連続鑑賞をしてしまったりして.

◇さて,オニ・アクマ・ヘンシュウシャ・タイカイイインチョウの嶋田さんから〈御用〉の原稿がひとつ送られてきたので,またも懲役に服する ―― 進化学会大会参加に際しての〈連絡事項と注意〉のページをさささっと作成.ヒミツ・サイトにpdfをアップ.そろそろ要旨集の構成パーツを最終確認しないとかな.まだ届いていないパーツとか,つくっていないパーツとかあるもんね.

―― 週明けからこんなことばっかりやってるんですけど,なんだかもっと大事な〈準備〉があるんじゃなかったっけー.[離日まであと4日か...]

細馬宏通さんいわく(7月11日)――

「ハイハットの誕生はドラムセット史の決定的な曲がり角である。だって、ドラム以外に、手を交差させるのが常態となるような楽器があるだろうか。ピアニストやマリンバ奏者はときに手を交差させるが、それはメロディを引き継いだり声部を増やすための方便であって、いつも交差させているわけではない。」

―― 〈ポジションとしての交叉〉と〈アクションとしての交叉〉では大きな違いがあるわけで,それぞれが対応するドラムセットとマリンバでの〈cross-sticking〉(撥の交叉)の違いに反映されていると思う.ただし,ドラムセットの基本配置でのハイハットとスネアドラムは高さが異なっているので,左右スティックの〈ポジションとしての交叉〉は常態(基本姿勢)がもたらす安定感がある.一方,マリンバのような鍵盤打楽器やティンパニのような膜打楽器の場合,「同一平面」上でのマレットどうしの〈アクションとしての交叉〉はふつうの演奏者にとっては緊張感をともなうものだ(個人差はあるが「失敗」の危険性は明らかに増すから).それは基本的に左右の撥で交互に打音するという音階打楽器が背負った宿命の産物にほかならない.

◇ただひたすら

         〈御用〉のみ

をこなしてばたばたと1日が終った.やっとのことで「要旨集」全体の2/3はできあがった.

―― が,他のことは な に ひ と つ していない.

◇フランス行きの航空券が届いた ―― もちろん,まだ な に ひ と つ 準備はしていない.旅立ちの支度とか,ホテルへの宿泊変更連絡とか,そうそう講演の用意も含めて,いっさいがっさいが ゼ ロ

◇午後10時に就寝.※早寝早起きで実に ヘ ル シ ー だったりするっ!

◇本日の総歩数=6304歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


13 juli 2004(火) ※復活と転戦

◇午前4時の目覚め.体温「35.8度」,許そう.最低気温21度で,これまた許容範囲.Keith Jarrett〈Paris Concert〉(1990年,ECM POCJ-2536)を聴きつつ,〈御用〉の再開.

◇〈Hennig XXIII〉の大会プログラムがようやくウェブ公開された.※講演準備もあるのですが(シャレにならん again).

―― それにしても,このゴージャスさはいったい……〈Le Train Bleu〉.※21日に予定されているバンケット会場でーす.

◇〈IOSEB〉の理事会は来年春(2月20日〜28日)に延期されるというメールが届く.資金の問題らしい.

◇関東の梅雨明け宣言 ―― 今年は早かったねー.※「水」は大丈夫なんでしょーか.

◇夕方までばたばたと〈御用〉の続き.ポスター発表の一覧(12ページ分)と要旨(41ページ分)がようやく仕上がる.ヒミツのサイトにアップして,実行委員の回覧にまわす.あとはシンポジウム&ワークショップという大物が残っているのだ.

◇夕暮れとともにまたも涼風が.昼間はかーっと暑いのに,日没とともに気温が降下するというのは“大陸的”ではなかろーか.湿度もこの季節にしては許容範囲だし.

◇ワタシって〈病み上がり〉じゃなかった?―― ということで,午後10時前に就寝.夜風がとても心地よし.

◇本日の総歩数=4238歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


12 juli 2004(月) ※持久戦と消耗戦,ゲリラと自爆

◇朝方は比較的涼しかった(あくまでも比較的).〈御用〉の仕事まだまだ.

◇広がる〈R〉汚染! ついに畜産ギョーカイにも!―― この10月に開催される研修会の日程と内容が公開された:「中央畜産技術研修会・畜産統計処理(II)」.※まさに〈R〉づくし

◇次回の高座(9月の都立大か...)では,板書代わりの〈T-Time〉を実践してみよう.

◇昼休みに野暮用で外出.やっぱり暑い.この季節,外に出るものではない.午後は引きこもろう

科学民俗学よりは,科学考現学の方が〈ハエ〉にとってはずっと愉しい気がしますが.〈ハエの帝王〉にとっては「民俗学」が学問ぽくっていいのかもしれないけど,もっと“地べた”に近い考現学の方がディープ・インパクトがあると思う.科学の現代民話とか都市伝説ってローカルにいろいろありそうでね.※「研究トマソン」とか「アベサダ学会」とか「院生非情階段」とか「PDアタゴ」とか....(あ,ヤバっ)

◇InDesign の「段落スタイル」をやっと確定.これでまだオトシきれていない要旨集パーツを攻略するぞー.

◇という決意をなし崩す,週明けに手にする本たちの群れ ―― D・スプレイグ『サルの生涯,ヒトの生涯:人生計画の生物学』(2004年5月15日刊行,京都大学学術出版会,ISBN: 4-87698-313-5),竹島茂『速記曼荼羅鉛筆供養:大河内翠山と同時代の速記者たち(上)』(2004年7月1日刊行,STEP, ISBN: 4-915834-53-0),武部良明『日本速記方式發達史』(1942年11月25日刊行,日本書房※STEP復刻).スプレイグ本やっと手にできました(感謝>デイヴィッドさま).つくば市東新井の出版社STEPからこういう“速記本”が出ていたとは知らなかった.『速記曼荼羅』の下巻は今月下旬に刊行されるとのこと.

―― 小学生の頃から早稲田速記の通信教育を受けていたので,速記文字の成立とか系譜にはとくに関心がある.田鎖式が開発されたのを契機としてさまざまな速記法が日本でも開発・改良されてきたが,武部『發達史』をざっと見ると,基本的な五十音それぞれを表わす文字にはそれほど大きな違いがなく,系譜が透けて見えるようだ.しかし,速記の機能を考えると,文字どうしの「連綴」のあり方とか,複数の字から成る定型句の「縮字」システムの方が書きやすさと読みやすさにより大きな違いをもたらすのだろう.「書かずに記す」という速記の理想と通常文に翻訳する反読の容易さとのトレードオフを感じる.

―― またも“凶器本”の着弾あり.出版されて以来,その圧倒的重量により方々で呻き声の上がっていた M. V. Lomolino et al.編『Foundations of Biogeography: Classic Papers with Commentaries』(2004年,The Univ. Chicago Pr., ISBN: 0-226-49236-2).書店は「paperbackでしたらすぐにでも納品を」と言っていたのだが,せっかく1300ページもある本なのだから,より“殺傷力”の高いハードカバー版の到着をじっと待ち続けていたのだ.すばらしい! 製本は堅牢にして,角は実にカタい.物理的サイズから言えば,グールドの『SET』には少し及ばないものの(2.5kgほど),角張り具合ではむしろ勝っているかもしれない.“武器”として実によろしい.何かの機会に“投げたい”…….

◇さらに amazon.com からCDまで着便.今回のアルバムは〈Bach on Marimba〉という主題で統一してみました.Christian Rodenburg『J. S. Bach 1』(Cybele 230.301),P. J. Merola『The Chromatic Fantasia and Fugue』(GMP 001),そして Leigh Howard Stevens『Bach on Marimba』(RES-00012)の3枚.

―― とくに〈Stevens' Grip〉 の考案者本人のマレット・テクニックはじっくりと味わいたい.彼の著書『Method of Movement for Marimba with 590 Exercises』(1979年,Marimba Productions)はしばらく格闘した記憶がある.「革命的なグリップ」とのことだが,よっぽどトレーニングしないと手首の回転力がついていかないように思う.

◇お,〈御用〉が呼んでいる.

◇なんだかダルいなと熱を測ったら「37.9度」! ぷちテポドン(from 音羽)の到達前に,あえなく「自爆」してしまったワタシ(シャレにならん...).

―― 20:30就寝.夜風が涼しい.夕方の通り雨で気温が下がったみたい.

◇本日の総歩数=7292歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


11 juli 2004(日) ※ヌカルミ続く……

◇5時半起き.またまた晴れて暑くなりそう.

〈御用〉 ―― ポスターの割り付けがなんとか終った.全133件のポスター発表を「分類」した結果,幸いほぼ均等に三日間に割振れた.同一日の3ヶ所あるポスター会場への分割は機械的にやる.タイトル部分を抽出したリストを実行委員に配信し,チェックしてもらう.

―― 次はポスター要旨の組版.こちらの方が作業量がはるかに多い.要旨集の収録に当たっては,まず「要旨」部分が終ってから,「演題」のリストづくりが可能になるから.各要旨ごとの書式設定(インデント,段落ツメ量,フォントサイズなど)を決めて作業開始.

◇途中,参議院選挙の投票に行ったり.東新井の〈なかいち〉で油ソバを食べたり.

◇午後3時につくば中心部のオークラ・フロンティアホテル・つくばにて,とある“中国要人”とのヒミツ会見.ほほー,なるほど,何よりもまず「人脈」ということですな.内に入るには知り合いの「輪」つながりか.まずは Beijing に足を運ばないと話にならないと.なるほどなるほど.“要人”はたいへん身軽に各地を飛び回るとのことで,明日は仙台入りだそうです.>キンタ君,よろしく.

◇でもって,またまた〈御用〉に囚われる.う〜みゅ,これは果てしない「単純労働」かもしれない.ここぞというときのマンパワーがないので,ひとりでやるしかないか.

―― 今日もまた1日が淡々と暮れていくのだ.※終わらず.

◇本日の総歩数=2405歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


10 juli 2004(土) ※朝からのたうつ

◇5時起き.早くも暑い.湿度が高くてくらくらする.関東地方は午後に雷雨の予報が出されている.

◇〈Hennig XXIII〉事務局から大会プログラムがpdfで送られてくる(1MBもある).毎年のことながら1週間前にならないと発表の日時がわからない(サイトの更新は後回しだし).今回の口頭発表日時は21日(水)の夕方に決まった.Ward Wheeler がチェアーするシンポジウム〈Treatments and Samplings〉の最後の講演(バンケットの直前).こっちの準備もあるんですけど…….

―― ほかのシンポジウムとしては〈認識論と分岐学〉とか〈系統学と生物地理学〉とか〈PhyloCode〉とか.

〈御用〉の再開 ―― この週末に「本体」部分の組版にケリをつけないと,講演要旨集の「ない」大会ということになる(そりゃたいへん).ダウンロードしたデータをとにかく InDesign に配置するするするする.※いつもいつも糊シロのない生活をしているとつくづく思う.

―― まずは,ポスター発表の配置から.今大会では最終日を除く三日間がポスター発表期間で,毎日張り替えるというシステム.だから,内容的にまとまりのある三つの「クラスター」をうまくつくるようにしないといけない.ごく普遍的な“分類原理”にしたがって,恣意的にポスター演題をどんどん振り分けていく.演題リストが確定しないと,要旨の順番が決まらない.その際,個別的な制約(「コレは何日目にしてほしい」とか「アレとソレは同じ日に近くの場所で」とか)が科される.手間を惜しまず分類し続ける必要あり.

〈御用〉〈御用〉で日が暮れて…….なお道遠し.

◇結局,雨も何もなく,単に暑かっただけー.

◇本日の総歩数=3837歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


9 juli 2004(金) ※杜の都の独善野郎(その2)

◇前夜のビール液浸状態が持ち越されたまま,午前6時まで寝過ごしてしまう.実に不覚であった.

―― と思いつつ,さらにうつらうつらと惰眠を貪っていたところ,午前7時頃にいきなり雷鳴が轟く.おお,これは神のお告げかと平伏したとたん,滝のような豪雨がざあざあと落ちてきて,窓からの景色に太い縦縞が流れ始めた.いよいよこれは独眼龍の祟りかと恐れおののき,即座に荷物をまとめ午前8時前にそそくさとチェックアウト.

◇片平会館を出たところで雨は早くも小やみとなり,タクシーに乗り込んで空を見たら晴れ間さえ覗いていた.なんともあっさりした天罰だった.晴れたとたん急に気温が上がるのがわかる.天罰の名残と思ってあきらめるべし.

◇二日目の講義は8:50開始だという.8時半にマルチメディア棟に到着したら学生はまだひとりしか来ていない.この雨だからスタートを遅らせるのもしかたがないか.実際,開始時刻には昨日の半分も集まっていない.定刻より10分ほど過ぎてやっと講義の始まり.

―― 昨日に続き,分散分析を題材にした線形モデルの噺が続く.完全無作為化法と乱塊法ではデータの確率モデルがどのように異なるかを比べ,実験区の配置とモデルの立て方との関わりについて説明する.〈R〉を用いた分散分析の計算を実習し,aov を用いて分散分析表がつくれるようにガイドする.続いて,伝統的な分散分析の背後にある正規分布の理論について少し触れ,〈R〉の描画を用いて正規分布のグラフをパラメーターを変えながら描く実習をする.ここでランチタイム休憩.

―― 日射しがぎらぎらとして,とてつもなく暑い.こりゃたまらん.東北大の端末をちょいと不正使用させていただいて,掲示板を覗いたりメールを書いてみたりする(すんません).

◇午後は,データの正規性と等分散性からのズレをそれぞれ shapiro.test(Shapiro-Wilk検定)と bartlett.test(Bartlett検定)でテストする方法を述べる.等分散性からズレが有意であるときには,oneway.test(Welch検定),正規性からのズレがある場合は kruskal.test(Kruskal-Wallis検定)という対案があることを示す.最後に処理平均間の多重比較を pairwise.t.test を用いて実行する際に,デフォルトの Holm 補正とオプションの Bonferroni 補正では対比較の回数による危険率の補正がどのようにちがうのかを解説した.

―― ここまでで講義の本筋はほぼ終った.残った時間を利用して,リサンプリング統計学の実習をした.みなさん,ブーツストラップされたかな.データからのリサンプリングによる誤差推定,経験的確率分布と信頼区間の構築まで.ここで持ち時間は尽きました.午後4時前に全コースを終了.みなさん,どーもお疲れさん(ぼくも).

◇酒井“これ論”師に仙台駅まで送ってもらう.学生よりも大事な大事な受理ちゃんを連れてこれから横浜に向かうのだそうだ.ご苦労さん&ダンケ・シェーン.

―― 仙台駅でしばし時間があったので,新幹線改札横にある〈Kirin City〉でビールのお時間.ヴルストとともにブラウマイスターとブラックビールをば.『レンブラントのコレクション』を読み進む.自画像の陰翳と〈vanitas〉との関係 ―― レンブラントの多くの自画像には独特の〈翳〉があって,それは〈儚さ〉の発現だと著者は言う.なあるほど.当時のネーデルラント静物画に髑髏が描かれていることがよくあるが,それだけではなく陰翳そのものが〈memento mori〉の寓意であるということらしい.Kassel の美術館でレンブラント自画像をたくさん見る機会があったが,まとめて見て初めてわかる共通点があるのだろう.

―― 午後6時過ぎに新幹線〈はやて〉に乗車.新白河あたりで土砂降りに遇うが(在来線は運休していたようだ),そのまま大宮までノンストップ.車中で昨日と今日の分の日録を書いたりする.

◇今回の高座の反省点(列挙)―― 1)〈R〉のバージョンは同期させるべし.今回はつい旧バージョン(ver 1.81)を持っていったのだが,受講生の使う端末には ver 1.91 がインストールされていた.それは知っていたのだが,今回の範囲だと大きな違いはなかろうと考えた.しかし,メニューの基本構造にちょこちょこと差があるようで,デモ機と端末との画面の違いにまごつく場面があった.2)ウィンドウズ環境のちがいを心得るべし.今回のように共用の端末室では〈Windows NT〉環境だったため,ファイルの作成やコピーなどの基本操作への制約がいろいろあった.あと,デフォルトでファイル拡張子を表示させないという設定をきちんと変更しておかないと,外部データの読みこみでトラブることになる.3)プレゼン機材としての「OHP」ってもうダメね.横長の大教室では可視性と可読性に欠けることを痛感する.過去の遺産として大量のOHPシートがあるのだが,これからは着実に電子化していくことにしよう.ただし,〈板書〉としてのOHPの機能は代替ツールがいまのところなさそうなので(推測),当面は生き残ってほしいとは思う.でも,今回も T-Time での〈板書〉を使ってみたりしたので,個人的にはその方向に流れる可能性はある.(教壇に立つみなさんはどのように「板書」しているのでしょう? そういう行為もすでに過去のものか) 結論 ――「重い・熱い・見にくい」OHPに未来はない.

◇そうそう,レポート課題を受講生に出さないといけない.

◇ひたち野うしく駅に10時前に到着.夜になってもまだ暑いっす.荷物をほどいたりしているうちに日が変わる.

◇本日の総歩数=11598歩[うち「しっかり歩数」=964歩/10分].


8 juli 2004(木) ※杜の都の独善野郎(その1)

◇早く寝れば早く起きる ―― コレ常識.さて午前3時に目が覚めてしまったので,今日の講義の資料の並べかえと噺の筋立てをイメージする.今回の15時間高座は〈R〉へのお誘いが主目的なので,講義よりは実習の方に重きを置く予定.ただし,イントロ部分の概論はどうしても必要(ツカミとして).

◇外が明るくなってきたが,今日は曇り(ときどき雨)という予報だった.傘がないので,もし降られたらつらいものがある.

◇5時過ぎに二日分のOHP準備はおしまい.あとは〈R〉実習の段取りだけ.基本的なコマンドの確認と順序を念のためヒストリーに記憶させておく.とりあえず,R version 1.81 で講義はするが,今日中に 1.91 にアップグレードするかも.※今回の講義内容には直接関係しないと思うけど.

◇本日の講義開始は「10:30」から.余裕のよっちゃん.起床後すでに4時間ほど動いているので,そろそろ“朝シエスタ”の時間だな(そんなもんがあるかっ).まだ時間があるので,講義の導入部分のアウトラインを T-Time でつくる.

◇9時過ぎに片平会館を出て,タクシーで旧教養部・川内キャンパスへ.正門から入ってもっとも奥にある,真新しいマルチメディア棟のM101講義室に向かう.今年オープンしたばかりだという.共用の端末室がずらっと並んでいる.今回の集中講義に使う部屋には50台の端末があるという.横長で左右にPCプロジェクタがある.真中にOHPを設置してもらったが,教室の両端からは見づらいかもしれない.

◇10:30講義開始.修士課程の院生を中心に50人あまりと聞いていたので,端末が足りなくなるのではと危惧されたが,自分のノートパソコンを持参してきた人もいたので,実際には一人一台を確保した.広い教室なのだが,コンピュータが占拠していて,噺をしたり資料を置くスペースがあまりない.

―― 午前中はいつものように「統計学概論」の噺のみ.11時半にあがりにして昼食.生協食堂はとても混んでいた(学生だらけ).暑い暑い.こらたまらん.

◇午後1時からは〈R〉の導入と紹介.そして,実際に端末からいくつかの基本コマンドを入力して〈R〉の感触を体験してもらう.外部データファイルの読みこみで多少の滞りがあったが,分散分析のテストデータを例にとって,変動の定量化,データの確率モデル,線形統計学の諸仮定,確率分布とその密度関数,統計的検定の「ものの見方」などを〈R〉実習を適宜混ぜながら進めていく.午後5時前に本日のコースを終了.

仙台の夜の巷にワルモノたちは集結する ―― 街中で宴会を開いてくれるとのことでありがたくお受けする.昨日はいずこともしれず姿をくらましていた Prof. キンタKも夜陰に乗じて登場.場所は国分町の〈萬彩〉.12名の宴会.

―― う゛,なんだかヱビスビールを呑み過ぎたみたいな.タンのつみれがうまかった.うろ覚えな会話たち:にわかに身近になってきた〈ペギオ話〉とか,朦朧としつつも〈すべての R はクボに通じる〉とか,返していわく〈すべての Perl はタケナカに通じる〉とか.果たして来月末にクシロにたどり着けるのか,とか.はたしてキンタはウェブ日記をつけるようになるのか(こっそり読むだけじゃダメなのよ:かわりにフミフミに書いてもらえ)とか.※しかしまあなんちゅうウチワな会話であることか

―― 実に健康的な“良い子の10時”にお開きとなり.“イケナイ”二次会も黒ミサもなく片平会館に直帰とあいなりました.※どーもごちそうさま.>みなさん.

◇本日の総歩数=15666歩[うち「しっかり歩数」=2854歩/26分].


7 juli 2004(水) ※たなばたばたしつつ仙台に遁走

◇日が変わって〈御用〉に励む ―― 要旨集パーツ(pdf)を秘密サイトにアップし,大会実行委員にチェックを依頼する.ついでに印刷会社にも連絡.

―― レイヤーを何重にも重ねるレイアウトは初めての経験で,InDesignを前にしてふっと佇む時間あり.天・地・小口の裁ち落としを見込んでブックマークをつけておく.

―― 周辺的なページからどんどん埋まっていく.しかし,早く“本丸”を攻め落とさないと.

◇朝6時前に帰宅.この蒸し暑さは万死に値するぞ(>誰が).3時間ほど寝たか寝ないか.カンカン照りの10時過ぎにずしりと重い荷物をまとめて旅立つ.

◇常磐線で思わぬ人に出会う.そうですか,リタイアされてもう3年になるのですね.へえ,いまは東洋医学のお仕事を.まだ走っているんですね.お元気そうで何よりです.

◇上野13:02発の「はやて15号」.大宮から仙台までノンストップとは.確かに速い.仙台14:37着.※車中,尾崎彰宏『レンブラントのコレクション』を読み進む.やはり美味.同じ著者による『レンブラント工房』(講談社メチエ)もそのうち買っておこう.

―― げ,こっちも真夏日じゃないか.だまされたー(>誰に).愛宕神社経由でゆるゆると青葉山に登る.そういえば目指す“これ論”砦の場所を聞いていなかったな.ま,とりあえず「ワルイ人たち」をと思い,東北大・理・生物の建物に入ったが,事前にスルドク察知されたのか,河田“ワルモノ”城は堅牢な守りで誰もいない.これはヤバイ.しかたなく1階の事務室で「あの,酒井聡樹センセイのお部屋は?」と尋ねるハメに.で,これからがまたタイヘン.親切にも先導していただいた事務のお姉様は,「ちょっと離れているのですがこのルートが最短でして」とうれしい最節約主義なコメントを添えつつ,駐車場の車の間をすり抜け,草生す階段をおり,コンクリ急階段を再び上がり,連絡通路の隙間から別の建物に入り込んだ末に,「ここの10階にお部屋があります」と.※カフカの〈城〉並み.

―― で,やっとのことで“これ論”砦にたどりつき,しばし休息.明日の打合せなどしつつ,山を降りて巷へ.まず,投宿先の「片平会館」に送られる(以前,箱崎の統計師とともに泊ったことがある場所).カギをもらって,再び酒井車で連行される.

◇ガストロノム酒井が満を持して放つセレクション(その1)――〈たんや・利久〉.なるほどこの「舌」は確かにうまいっすね.1.5人前も食べてしまったので,明日の高座は,二枚舌といわず,三枚舌でも四枚舌でもおっけーかも.

◇寝不足だったが,朝の食料を調達しておかないといけないので,いったん荷物をおろして,再び街へ.明治屋でいくらか買い込んで,帰り道に熊谷書店(青葉通店)にて N. Chomsky『ミニマリスト・プログラム』(1998年4月25日刊行,翔泳社,ISBN: 4-88135-511-2)を発見.新刊定価(7,800円)で買う気はさらさらなかったが,古書価格で半値以下だったのでこれも縁かと思い購入.500ページあまりもある厚い本.

―― チョムスキーの生成文法の本は(とくにGB理論以降は),訳書でも原書でも「読み心地」がほとんど変わらないのでは? ※訳されたからといって“食べやすく”なるわけではけっしてないということ.

―― 本書でチョムスキーが言う〈経済性の原理〉は,モデル選択における単純性基準の発現のひとつ.E. Sober『Simplicity』(1975)がチョムスキーの生成文法理論を主たるターゲットとしていたのも当然のことだろう.

◇そろそろ限界ですか.おねむの時間.

◇本日の総歩数=9009歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


6 juli 2004(火) ※じたばたする

◇暑苦しくて午前4時過ぎに目が覚める.曇り.雨上がり.きー.

◇フランス行きのフライト日程が決まった ―― 7月18日午後成田発〜7月25日早朝成田着.エールフランスです.うーんと,あとは〈Hennig XXIII〉での講演内容だけか…….※まだ手付かずだったりする(困ったー).

〈御用〉はちょっと脇に置いといてっと ―― 明後日からの東北大での講義資料をぱたぱたとまとめる.できるだけOHPを減らさないとつらいので(重い・熱い・見えない),シートをスキャンしてjpgにため込んでいく.配布資料も作らないといけないが,これはpdfにして後ほど“これ論”師に送っておこう.講義に使うこまごまとしたグッズや武器や疑似餌を机の上に並べる.

◇うー,事務仕事が方々で破綻している(と指摘される).※なにひとつ反論できず(事実).

◇一瞬,現実逃避 ―― 8月末の生態学会釧路大会での宿泊先を決める.釧路で「難民化」するのはかんべんしてほしいので,“有名人”たちが続々と集結しつつあるという[ほんまか?]穴場ホテル〈東横イン釧路十字街〉に即決予約完了(まだまだ空いているようでした).ぼくが話題提供(&討論司会)する自由集会〈日本列島の生物地理学的歴史〉は25日夜なので,25日午後にコッソリとチェックインし,多くの大会参加者たちが懇親会翌日で虫の息となっている27日にそそくさと早めに釧路を退散しよう.今回は3泊4日の予定.かくして投宿先は無事に確定したが,釧路までの“足”をどのように確保するかというもうひとつの問題がある.非学会員はこういうときになかなかつらいものがありますな.※毎年参加しているのに非学会員であり続けるとはこれいかに?という根本的問題は未解決のまま残されているのだが.

◇またまた講義資料づくりに埋没する.※これも現実逃避の一種なのかもしれない.

◇おお,ついに出てしまいましたダブルブッキング ―― 生態学会大会(8月25〜28日)と信州まりまりワークショップ(8月24〜26日)が日程ガチンコでにっちもさっちも.途中逃亡するとしても8月25日は飯綱高原→東京→札幌→釧路という急速長距離大旅行の公算が大なり.※どこかでつまずくとすべてパーになるぞ.えらいこっちゃ.

―― あまつさえ,もう1件のイベントが「8月23〜25日」という絶妙の命中度でぶつかっていたことにいまになって気づく.しかし,これはもう無視させていただこう.なかったことにしよう.そーだそーだ,そういうのはもともとなかったんだ...(冷汗).

◇かの Ernst Mayr 博士が実に百歳の誕生日を迎え,本人の記念エッセイがサイエンス誌(vol.305, pp.46-7, 2 July 2004)に掲載されている.「百歳」というだけで素直に畏敬の念を抱いてしまう.きっと伝記作家が数人付いているとは思うが,そろそろ出版されてもいい頃ではないか.歴史的イベントとしての The Evolutionary Synthesis の立役者にして“生き証人”という貴重なインフォーマントだし.

―― 自分がそこまで生きられるとはとうてい思えないしね.ごくシンプルに「すっごーい」と言ってしまおう.

◇越中独白 ―― そうですか,今になっていろいろと明かされることもあるのですね.※それにしても〈闇〉じゃないですか,それって.

◇夕方に一度帰宅し,出直す.※まったくドロナワって.

◇東北大学の講義資料をアップする→〈租界R〉の中にpdfをごろごろとばらまく.“これ論”師にも連絡した(配布よろしく).

――〈R〉のデータファイルをちょこちょこ揃える.受講生にはひとりひとり端末が割当てられるとのことなので,必要ならばぼくのサイトからダウンロードできるようにするのがいいかも.

◇いつのまにか日が変わっている…….

◇本日の総歩数=9160歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


5 juli 2004(月) ※ふらっと東京出張の日

◇朝からどんより曇っている.湿度が高い.よくない徴候だ.蝉がジワジワと鳴きはじめ,郭公のさえずりが反響する.今日は午後から東京出張.科博分館にて分類学会連合の幹事会.

◇出かける前に〈御用〉をば.どこまで続くヌカルミぞ(まだまだ).

―― できあがったパーツからどんどんpdfにしてヒ・ミ・ツのサイトにアップする.何でもええからとにかく「つくって」いくのが精神衛生上はよろしい.※細かいことは後回しっ.

◇驚愕の事実発覚! ―― そういう人の動きっすか.ま,入る者あれば出る者ありという連動はまったく予期しないわけではなかったが.

◇“鳥”の人脈も近くで動いていたのか.

◇体系学教科書 ―― Johann-Wolfgang Wägele『Grundlagen der Phylogenetischen Systematik』(2001, ISBN 3-931516-93-8)を出版社である Dr. Friedrich Pfeil Verlag に発注する.Amazon.deでは入手不可能だった.これは〈攻めの反撃書〉だと直感する.※何に対する「反撃」かは目次を見ればすぐわかる.

◇真綿でじわっとくるまれたような暑さの中を東京に出発.※何かワルいことでもしたんでしょーか?

◇『木を見る西洋人 森を見る東洋人:思考の違いはいかにして生まれるか』を読了.ま,いいんじゃないですか.サピア-ウォーフ仮説も出てくるし,フルキャストということで.「世界についての考え方は根本的にひとつである」とする認知科学の大前提に挑戦と書かれているのだが,そういう大前提って誰が言っているんでしょう? この本は単に「文化的な多様性」が世界中には確かに存在することを追認し(場合によっては実験検証し),「ほら,こんなに違っている」と言っているだけではないのかな.至近因/究極因なんて何も考えていないようだし.ダメダメ.※やっぱり高座の前振りネタにしか使えない.

◇うー,ワタシ,単につくば-東京間をピストン運動しただけなんでしょうか?(落ち込む)

◇生暖かい南風が吹き荒れるつくばに空しく帰還.夜半に雨が降り出した.

◇本日の総歩数=8028歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


4 juli 2004(日) ※“印刷工房”にて作業中

◇午前4時起床.晴れ.昨日は雲一つない快晴だったが,今日もそうか.※下り坂という予報はどこへやら.

◇日録をぽつぽつと書き足して,さて〈御用〉の作業開始.

―― 講演要旨集の内容構成は例年通りほぼ決まっているので,まずは周縁的なページからカタをつける.

    ●表紙(厚紙:タイトル/見返しに日程表)
    ●中表紙(短縮タイトル/ウラ空白) i-ii
    ●目次 iii
    ●駒場キャンパス地図 iv
    ●会場見取り図 v
    ◎連絡事項と注意 vi-viii
    ●大会プログラム 1
    ◎企画リスト 2-3
    ○ポスター発表一覧 4-16
    ○講演要旨(日ごとに奇数起し)
    • 8月4日(水)S/W発表 17-
    • 8月5日(木)基調シンポ
    • 8月6日(金)S/W発表・自由集会
    • 8月7日(土)進化学・夏の学校
    • ポスター発表の講演要旨のリスト
    ◎参加者名簿
    ●謝辞
    ◎広告(奇数起し) [i]-
    ●裏表紙(厚紙:空白/見返しに奥付)

―― 「●/◎/○」はそれぞれ「既着/依頼済/未完成」を意味している.項目数の上からいえば進捗していると言えないこともないが,〈大もん〉である「ポスター発表一覧」と「講演要旨」が未完成なので実はなにもできてはいない.今日明日のうちにこの部分を仕上げる予定.

―― InDesignのマスターページはできているので,まずは周縁的ページのコンテンツをぺたぺたと配置していく.裁ち落としの指定をしないといけないオブジェクトがあるので,その点については印刷業者に確認しなければいけない.サンセリフの和文は小塚ゴチック,欧文はArial.セリフの和文は小塚明朝,欧文はCaslonで組む.

◇うう,暑い〜.ときどき逃避して『認識論を社会化する』に籠る.第2章まで読了.Hull氏,マナイタの上ですぅ.※こういう本は科学者こそ読まないといけないと思うのですよ.

◇夕方まで要旨集とさらに格闘する.

◇暗くなってから高速道乗継ぎでつくばに帰還.2時間かかりませんでした.

◇う,夜になっても暑さがとれていない.よくないよくない.

◇本日の総歩数=1734歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


3 juli 2004(土) ※らしくない夏のウィークエンド

◇高原の朝のようなこの爽やかさはいったい…….気温18度ほど.午前6時まで寝過ごしてしまった.

◇木原浩勝・中山市朗『新耳袋・第9夜』(2004年6月26日刊行,メディアファクトリー,ISBN: 4-8401-1113-8)が新刊で出た.来年の今頃に出る予定の『10』が「最終巻」となるのだそうだ.ぼくの個人的な感想では,メディアファクトリーから連作化される前の扶桑社版『新耳袋』(1990)こそ極致であって,それに続く巻はすべて扶桑社版の余韻を味わいたいためだけに買い続けてきたような心地がする.メディアファクトリー版しか読んでいない読者はその意味では少しかわいそうかな.

―― もちろん,速攻で読了.※“舞ちゃん”がとてもかわいいと思う.マエストロ朝比奈のブルックナー〈7〉話とかそれに続くエピソードは「さもありなん」と思わせる.

―― 同類本(「怖い」系)にカテゴリー分けされるのだろうが,たとえば平山夢明の一連の本は単に救いようのない怖さが印象に残るだけで,都市伝説あるいは現代民話としてのオチに欠けている気がする.その点,『新耳袋』はこの基準をいつもクリアしているように思う.スプラッター系の恐怖譚を欲している人には物足りないのかもしれないが.

◇日が昇るとともにからからにひたすら暑く,紫外線がふんだんに降り注ぐ.気の早い七夕の竹と笹を某研究所の圃場脇から刈り取る.

◇ここのところばたばたし過ぎていて,TRC週刊新刊案内のチェックをすっかり怠っている.この週末もムリっぽい.

〈御用〉―― 進化学会大会の諸データ(参加者と要旨)を持ち帰って,要旨集の大部分をこの週末に完成させる予定.LaTeXにしてしまうのは扱いがめんどうなので,とりあえずhtmlですべてダウンロードして,テキストファイル化することに.

―― 実にタイミングよく〈H2Tconv〉というフリーソフトを入手.html→txt の変換に関しては,これまで小規模に使っていた WZ Editor のテキスト変換ツールよりもはるかに良質の変換作業をしてくれる.※いつもいつもフリーソフト作者のみなさんにはお世話になっています.

◇夕方,高崎に向かって爆走.ねむねむ.

◇本日の総歩数=7086歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


2 juli 2004(金) ※郭公の鳴く朝に作業開始

◇最低気温が17.1度というのは実に快適な目覚めをもたらす.涼しい.

〈御用〉―― なんというか,〈VIPたちは忘れた頃にやってくる〉.要旨締切日は行動開始日という意味だったのか(汗).来週が山場となる講演要旨集の作成について実行委員に連絡をする.

◇富山大でもらった資料に,同大学の保健管理センターが発行している『季刊・ほけかん』(ISSN 1346-4191:※タイトルに脱力しないよーに)が何号か混じっていた.中を見ているうちに,こんな記事があるのに気づいた――

  • 斎藤清二:斎藤先生の“奈良海老医学”講座(第2回)「グールド教授の死」.季刊・ほけかん,No.28, pp.8-11. (2002.11)

―― グールド逝去の年に出た記事で,彼の死因となった「悪性中皮腫」がテーマ.今までそうとは知らなかったが,著者によるとこの癌は「無茶苦茶予後の悪い腫瘍」で「ほとんど助からない」のだとか(p.9).癌告知と患者との関わりを論じたグールドのエッセイ『The Median Isn't the Message』(初出はDiscover誌の1985年6月号)は,すでに著者によって日本語訳されていて,『ナラティブ・ベイスト・メディスン:臨床における物語りと対話』(2001年10月刊行,金剛出版,ISBN:4-7724-0706-5)に所収されているらしい(未確認).医学統計の正しい解釈のあり方を考える素材になるということか.

◇青葉山から連絡あり.OHPは使えそうとのこと(グラッチェ).七夕の午後に〈これ論〉部屋を急襲することになった.※待っててね〜.

◇今月の「無制約」な日数はごく限られていることに気づき,ガクゼンとする.やばいかもしれない.※何を今さら....

〈御用〉続く ―― 岩波書店から宣伝用素材(〈進化学〉シリーズ)が郵送されてきた.要旨集掲載のため.いよいよ「本づくり」の開始か.

◇講義の噺ネタ用にのみリチャード・ニスベット『木を見る西洋人 森を見る東洋人:思考の違いはいかにして生まれるか』(2004年6月10日刊行,ダイヤモンド社,ISBN: 4-478-91018-9)を入手.こういう東西対置図式(文化相対主義)は日本ではさぞウケがいいにちがいないだろう(こんな「心理学」も世の中にはありということでしてね……).

―― 口直しに尾崎彰宏『レンブラントのコレクション』(2004年4月25日刊行,三元社,ISBN: 4-88303-135-7)を.まあ美味ですこと.※えらいちがいですな.

◇ちょっと疲労が溜まっているような ―― 蓄積疲労はもちろんこれからのことを考えると“先行疲労”もちょい.ということで,11時過ぎにご就寝とあいなった.

◇今夜はことのほか満月がきれいやなあ.

◇本日の総歩数=7769歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


1 juli 2004(木) ※下駄から草履へ大変身

◇朝からかっと暑い.愛用していた下駄(浅間温泉で買った“ねずこ”製)がついにヘタったので,あわてて草履に代替する.どちらもウラはゴム打ちされているので,「社会のメイワク」にはなっていないと思う.※そのうち新しい下駄を調達しておかないと.

―― 朝日がまぶしい.5時過ぎに各メーリングリスト宛に月例のアナウンスを流す.※産業図書から出たロバート・トリヴァース『生物の社会進化』が10年ぶりに同じ出版社から再刊された.オンデマンド出版のような形式で,注文を受けるたびに本をつくるらしい.定価をそのまま据え置くというのは良心的.海外の出版社の場合,オンデマンドに移行したとたん価格が倍加したという例は少なくないようだから.もちろん,ブツが手に入るというだけでも幸運な状況なので,値段に拘泥してもしかたがないことは確かなのだけど.

◇昨日締め切られた進化学会大会サイトの登録データを見る ―― ポスター発表とシンポ講演を合わせて260あまりの要旨が集まっている.今週中に大まかな配置を決める予定.>関係者のみなさん,よろしく.要旨集のマスターページを早く作らないと.※参加申込み者数はまだ300名ほどだが,過去の大会の経験から言えばこれからドンと増えるだろう.

◇富山大学のレポート課題を午前中につくって,pdfで五福宛に逆テポドンする.スプライン図を貼りこんだりしたので,文書サイズが大きくなった.第1回目の課題とともにあとでレポートを郵送してもらうことになっている.

◇伊勢田哲治さんから新刊『認識論を社会化する』(2004年7月10日刊行,名古屋大学出版会,ISBN: 4-8158-0489-3)を献本していただいた(感謝).この本,タイトルからはまったく想像できないことだが,David Hullの体系学史本『Science as a Process』が詳しく検討されている.この方面に関心のある人はぜひ手に取りましょうね.現代体系学における科学者「社会」の動学,そしてそれを“観察”する科学哲学者による科学のモデル化,さらにそういう科学のモデル化を“逆観察”する科学者たちの視点を考えていく上で格好の素材となるだろう.すでに読み進んでいるので,そのうち書評が出力されますよ(きっと).

―― それにしてもタイトルで損をしていると思う.「認識論を社会化する」では科学者はだれも買いませんよ.これをサブタイトルにして,メインにはもっと別のキャッチフレーズをつければよかったのに.

◇新刊もう1冊届く ―― Jerry A. Coyne and H. Allen Orr『Speciation』(2004年,Sinauer Associates, ISBN: 0-87893-091-4).【種(species)】そのものではなく,進化プロセスとしての【種分化(speciation)】について書かれた大著(550ページあまりの厚さ).付録に〈種概念カタログ〉が載っている.

◇朗報 ―― 新人さんがいらっしゃることになった.今日,来室されたのでしばし歓談.善哉善哉.来春,環境統計ユニットは個体数が1増えます.※本人はまだご存知ないかもしれないが,すでにこの業界では“有名”になりつつあるかもしれませんぜ.早くもうちうちの問合せがあったりするので.

―― 歓談のスキを突いて,オニ・アクマ・ヘン…….※油断したのがイノチ取り.はい,書きます書きます.

◇来週の東北大講義ではOHPが使えないかもという〈これ論〉作者さまからの返事.マジでOHPシート資料の「電子化」を進めないと困ったことになるかもしれない.

◇夕暮れとともに気温がぐんぐん下がる.すじ雲と夕焼け.飛行機雲まで色づいたりする.今夜はしのぎやすいかも.

◇え,孤立無援ですか?―― さくら君はきっと咬んだりしないと思います.ボクも憑いたりしませんよ.ご心配なく.※なんでしたら,援軍を調達しましょうか?

◇昨日の〈なぜウェブ日記を〜〉ネタの続き ―― なぜ書き続けるのか/読み続けるのかについての社会心理的な因果モデルを立てようということか.どういう構造モデルになるのかおもしろいかもしれない.もし〈ハエの帝王〉たちが有効なモデルをつくれたとしたら,〈ハエ〉たちはそれを参考にできるから.

―― 〈ハエ/ハエの帝王〉という言い方は皮肉っぽく聞こえるのかもしれませんが,観察者による記述的見解は非観察者にとって規範的意味をもつかもしれないというマジメな話です.

―― 津村ゆかりさんのコメント〈科学に「将来予測」を期待する〉を読むと,現状解釈ではなく将来予測を社会心理学に期待しているようにぼくは読み取りました.うー,それは期待し過ぎではないかなと思います.現状を読み取るためのモデル化ができれば,それによって現時点での“最良の説明”が得られる ―― それで一件落着する問題状況も世の中にはあるということ.

―― 津村さんが言うような「生き方の指針」は,〈ハエの帝王〉たちを仰ぐまでもなく,〈ハエ〉自身がつくっていけばいいでしょう.もちろん,〈ハエの帝王〉の言動は参考にはなるのですが.

◇本日の総歩数=6555歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].


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