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日録2011年11月 


30 november 2011(水)※洛南での後継ミッションが始まる

◆午前4時半に起床するも,さすがに眠たいので二度寝してしまう.寒いけれども冷え込んではいないという妙な明け方.曇ったり晴れたりのはっきりしない空模様が続く.山からの昇降運動を二回繰り返す.これもまたミッション準備のひとつだ.

◆後継ミッション始動 —— 今朝の洛南は穏やかな晴天で寒風も吹かず,午前8時の気温はすでに10度を越えている.上着はいらないどころか,いまシャツを袖まくりをしたところ.あと一時間で搬送車両が到着する.後継ミッション遂行の山場はやっと越えた.よく晴れて気温の高い昼下がり.本日の京都の最高気温は「20.3度」まで上がった.道理で半袖でも違和感がなかったはずだ.蒸し暑い曇り空から時おり小雨がぱらつく.後継ミッションの撤収準備を開始する.

◆[蒐書日誌]日本学術振興会(編)『人文学・社会科学の国際化について』(2011年10月刊行,日本学術振興会,東京 → pdf).日本の人文学・社会科学研究における“言語”の問題が取り上げられている.200ページあまりもあるまとまった報告書.脚註に詰め込まれた「生の声」がとても興味深くついつい読み込んでしまった.

◆後継ミッション完了 —— 本日の後継ミッションはすべて完了した.しばらくの間,本件はワタクシの手を離れることになる.午後5時にJRで京都駅に向かう.ミッションに次ぐミッションの連続で霜月はもう終わる.つくばに帰り着いたのは午後10時前.つくばは宇治とちがって北東風が寒いねぇ.ライトに照らされた国道408号はフウノキの落ち葉が舞っていた.小雨降る観音台なう.メールボックスに二十数頭の┣┣" がひしめいているのだが,いったいどこから手をつけていいものだかわからない.真夜中の農環研.フロアは真っ暗でまったく人気がない.いつも他の人たちとちがう生活パターンになっている自分を発見する.いくつか┣┣" 撃ちしてから帰ることにしよう.

◆本日の総歩数=14672歩[うち「しっかり歩数」6341歩/60分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


29 november 2011(火)※ミッション作戦の変更で瞬間移動

◆午前4時半起床.さらに二度寝して午前7時に本格起床.さっそく新ミッションの始動準備.最前線への緊急移動車両は午前9時頃に待機場所に到着との参謀本部からの連絡あり.洛南は朝から薄曇り.気温は9.2度と夜中から明け方にかけてしだいに下がったが,午前7時には朝日が射して逆に暖かくなってきた.予報では日中は気温が高くなるらしい.その後,新ミッションの作戦が急に変更になり,ばたばたする.

◆年度末の┣┣" 撃ち予定 —— 生態学会大会(龍谷大@滋賀)の小集会への召喚メールにOKと返事する./その前に,京大生態研センター@大津でのセミナーにも呼ばれているので,年度末は「滋賀滋賀する」ことになる./東大農学部の「エコロジカルセイフティー学特論II」は1月20日(金)10:00〜17:30@農学部7号館717号室.

◆瞬速移動 to つくば —— とりあえず,いったんつくばに戻ってから日帰りで京都に戻る必要があると判断した.正午前に京都に向かい上りの新幹線に乗る.外は晴れて師走間近とは思えない暖かさだ.ランチは京都駅の〈イノダコーヒ〉でビーフカツサンド.つくばに帰り着いたのは午後4時過ぎのことだった.ほんの一瞬だけ夕暮れの農環研に実在したのち,かき消すように直帰.国道408号沿いのフウノキはすでにかなり葉が落ちていた.不在がちだと季節の移り変わりがよく実感できる.

◆[欹耳袋]ある訃報 —— George F. Estabrook (1942-2011).今朝 TaxaCom に訃報が流された.生物体系学の分野では系統推定の「形質整合性分析(クリーク法)」の創始者として知られる.George F. Estabrook が1960年代半ばに「半順序(partial order)」の概念を系統推定論の世界に持ち込んだのは,離散数学が「系統」を語る「ことば」であることを示した点で,先駆的にして予見的だった(まだ二十代なかばでの業績だ).それはちょうど John R. Gregg (1954) が記号論理学をもって「分類」を語る「ことば」であることを主張したことと対をなしていた.なお, Estabrook 教授は,2003年夏のサハリン調査旅行で高圧電線に触れ不慮の死を遂げた信州大学の故・井上健さんのミシガン留学時代の師でもあった(井上さん自身から聞いたこと).

◆[蒐書日誌]George F. Estabrook『A Computational Approach to Statistical Arguments in Ecology and Evolution』(2011年9月刊行,Cambridge University Press, Cambridge, ISBN:9781107004306 [hbk] → 版元ページ).目次から判断すると正統派の「生物統計学」の本のようだ.

◆瞬速帰還 to 京都 —— つくばでの実在時間は四時間弱で,ふたたび旅支度を整える.つくばエクスプレス快速に乗ったのは午後8時前のこと.東京駅を9:10に発車した下り新幹線は午後11時半に京都駅に到着.タクシーで宇治まで走り,日が変わってやっと“ふりだし”に戻った.明日は朝から後継ミッションの遂行だ.

◆本日の総歩数=5535歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝−|昼○|夜△.計測値(前回比)=91.4kg(−2.2kg)/28.8%(−0.6%)


28 november 2011(月)※京都にて残務処理ミッション続く

◆午前5時半起床.外はまだ真っ暗で,体にしみこむ寒さ.しかも眠たいし.今日は曇り空との予報だが,幸い雨は降らなさそう.旅支度をさくっとすませて TX へ向かう.東京駅10:30発ののぞみに乗って京都へ.出だしが遅くなってしまったので,今日中のミッション完了はムリかもしれない.そのときは日を改めての再度の出撃となる.特別休暇がたくさん利用できるのがありがたいが,その分,農環研その他での仕事は長期間にわたる放置が続いている.┣┣" 放牧場の状況視察すらままならない.今回は京都駅から奈良線に乗り換えてJR宇治駅に直行する.ミッション始動.市役所アゲイン.今日もたくさんの事務┣┣" との格闘が午後まで続いた.実家に着いたのは午後3時過ぎだった.9月以来のミッションがやっとすんだと思ったら,今度は入れ替わりで思ってもみなかった後継ミッションがまったく予期せず始動してしまった.最初の予定では日帰りだったのだが,事情が事情なのでそのまま宇治に泊まりこむ.

◆本日の総歩数=5168歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=93.6kg(+0.8kg)/29.4%(+0.5%)


27 november 2011(日)※名古屋大学で大ネタをかける高座

◆午前6時前に本格起床.うう……,前夜,紹興酒をしこたま飲み過ぎた報いかもしれない.それでも,発表用のスライドをそろえる泥縄をない続ける早朝.ホテルからタクシーで名古屋大学へ.午前9時前に滑りこみセーフ.これから午後2時までセミナー.とても長丁場.外は気持よく晴れ上がっていい天気.

◆以下,ツイートが語る今日の〈科学哲学をつくる会〉セミナーのようす:

  • [名大]午前のセミナーだん.三時間しゃべってこれから昼休み.構内ファミリーマートにて和風弁当を買ってきて mgmg なう. posted at 12:01:18
  • #tsukurukai 午前のセミナーでは体系学チャートを題材にして進化学・体系学の現代史とそこにからむ生物学哲学について話をした. posted at 12:02:49
  • [名古屋]名大での午後のセミナーを一時間半ほどこなして撤収.地下鉄を乗り継いで,いま新幹線に乗ったところ.名古屋ミッションを終了し,次なる地点へ移動する. posted at 15:03:04
  • #tsukurukai 午後のセミナーは,科学論業界あるいは政治的背景など科学の営為をとりまくコンテクストに関する話題提供.体系学論争ならびに大戦直後の地団研活動とルイセンコ遺伝学など.最後に討論タイム.たいへんお疲れさまでした>参加者のみなさん. posted at 15:06:59

—— 今日は最初から最後までスピーカーだったので,ツイートするわけにはいかなかったが,ハッシュタグ #tsukurukai をたどればもっと詳しいようすがフォローできるだろう.

◆名古屋大学でのセミナーの大仕事を終え,地下鉄を乗り継いで,午後3時に名古屋駅から新幹線に乗った.名古屋でのお座敷に続いて,次は松戸でのオーケストラ練習だ.午後4時過ぎに東京駅に着き,そのまま延々と地下道を歩いて武蔵野線に乗り換え新八柱へ直行.スーツケースを駅のロッカーに放り込んで練習会場の「森のホール21」に向かう.午後6時過ぎに小ホールに入る.おびただしい数の打楽器とグランドピアノ二台がステージを占領している.午後6時半からカール・オルフ〈カルミナ・ブラーナ〉の練習.京都ミッションのせいで今回が初めての練習参加となる.鐘と銅鑼を叩きまくっていたら,午後9時すぎまであっという間に時が走り去り,久しぶりのステージでの緊張感に疲弊する.つくばに帰り着いたのは午後11時半だった.

◆[欹耳袋]宣伝宣伝また宣伝 —— 松戸シティフィル第23回市民コンサート:2011年12月11日(日)12:30会場 / 13:30開演,松戸市森のホール21・大ホール(→ホームページ).メインはもちろんカール・オルフ〈カルミナ・ブラーナ〉.サブはヨハン・シュトラウスの「こうもり」序曲と皇帝円舞曲.

◆明日もまた京都ミッションに出向く.気力と体力と金力を要する持久戦になってきた.

◆本日の総歩数=5707歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=未計測/未計測


26 november 2011(土)※つくばに戻ってすぐに名古屋行脚

◆午前5時半起床,わわ,寝坊した〜.わわ.気温は氷点下0.9度.これからすぐに農環研に潜入しないと高座準備が間に合わん.しかも,つくばを午前8時に出ないと正午に名古屋大学に辿りつけないことが判明〜.オワター \(^_^)/.午前6時,外はきりきりと放射冷却し続け,けっきょく最低気温は氷点下1.1度まで下がった.観音台にほんの20分だけ実在したのち,ふたたび西への旅に出る.

◆幾度目かの西への旅 —— TXを秋葉原で降りて東京から新幹線という“通勤コース”をこの9月以降いったい何回往復したことか.新幹線に乗ったらまずは MacBook Air の充電充電また充電.名古屋駅に着いたら駅弁を買ってから名古屋大学に突撃する予定なのだが,やっぱりひつまぶし弁当だろうか,それともゲンかつぎで味噌カツ弁当か.でも,ミソがつくからよくないか.午前11時に遅延なく名古屋に到着,見上げれば真っ青な快晴.では手始めに最初の仕事をすませた.弁当を買って名古屋大学に向かう.

◆以下,ツイートが語る午後の〈科学哲学をつくる会〉ワークショップのようす:

  • [名大]久しぶりの名古屋大学キャンパス.以前,集中講義に来たときは真夏のカンカン照りだったが,初冬のいまはイチョウが真黄色に色づいていた.午後1時からワークショップの開始だが,それに先立つ自己紹介タイム. #tsukurukai posted at 12:34:28
  • [名大](戸田山センセが前にも増してワイルドさがパワーアップしている件) #tsukurukai posted at 12:35:29
  • [名大]情報科学研究科のセミナー室はほどよく狭くて対話向き.参加者はいま十名. #tsukurukai posted at 12:45:42
  • #tsukurukai 最初の演者:渡邊誠一郎「歴史構築型科学の科学」 posted at 12:56:45
  • #tsukurukai 地球惑星科学におけるモデルからシナリオへの歴史構築の方法. posted at 13:11:04
  • #tsukurukai シナリオとは「重み付きファイバー束」である.actual sequence / robust process. posted at 13:29:52
  • #tsukurukai 次の演者は:中尾央「On studies of cultural evolutionary process」. posted at 14:05:43

◆午後二時半にやっとスライド作成と編集をすませた.約80枚あるのでなんとかなる.トークまであと一時間あるし微調整の余裕あり.ワークショップはなお続く:

◆[蒐書日誌]戸田山センセからのいただきもの —— 戸田山和久『「科学的思考」のレッスン:学校で教えてくれないサイエンス』(2011年11月10日刊行,NHK出版[NHK出版新書365],東京,299 pp., ISBN:978-4-14-088365-5 → 版元ページ).ざっと見た感じ,第 I 部に高座で使えそうなネタがいろいろ散らばっているようだ.どうもありがとうございました.

  • #tsukurukai David Hull(1988)は,科学の歴史的動態を考察する上で,研究者個体群の動態モデルをきちんと論じてこなかった.動態仮説を検証する実験や観察ができないだろうか? posted at 14:29:03
  • #tsukurukai Alex Mesoudi 2011. Cultural Evolution. http://press.uchicago.edu/ucp/books/book/chicago/C/bo878750... posted at 14:37:33
  • #tsukurukai 科学者の動態を「心理学的」に実験する意義.科学哲学者は実験計画法の素養がなかったからいままでなされなかった.科学哲学は心理学をバカにしていたから.最近「離婚」したからよけい愛憎がうずまく.(戸田山談) posted at 14:40:11
  • #tsukurukai 科学哲学に使える社会心理学に関する本を執筆中とのこと.(戸田山談) posted at 14:47:43
  • #tsukurukai 中尾トークの後半は文化系統学のイントロ. posted at 14:50:10
  • 戸田山センセがとなりにいるので訊いておきますね QT @yn_redqueen: @leeswijzer 「科学者の動態」というテーマに興味をひかれました!そのテーマについて書かれた書籍などご存知でしたら、教えていただければ嬉しいです posted at 15:04:09
  • #tsukurukai 中尾氏,近刊書の販促,がんばってます> @kuniesuzuki さま posted at 15:12:54
  • #tsukurukai 戸田山他『心と社会を科学する』(2012年刊行予定,東京大学出版会) @yn_redqueen posted at 15:13:51
  • はい,いま確認したところ,正式には〈新しい科学哲学をつくる会〉 http://nove-creamus.com/ だそうです. QT @shinichiroinaba: @leeswijzer 先生 #tsukurukai ってなんですか? posted at 17:09:28
  • #tsukurukai なお〈科学哲学をつくる会〉の裏サイトは http://www.crypto-cartesian.com/ です.あ,言っちゃいけなかったか? posted at 17:11:54
  • #tsukurukai というわけで,ワタクシのトークだん! posted at 17:13:56
  • #tsukurukai 本日最後は名大の大場裕一さん.発光生物のお話. posted at 17:14:43
  • #tsukurukai 分類学者ならではの「センス」は系統推定に寄与するのか? posted at 17:17:01
  • #tsukurukai なぜ分類学者は「見ればわかる」のか? posted at 17:20:29
  • @yjszk そのうち合体させるとのことです. posted at 17:38:49

◆ワークショップが終わって外に出たらもう真っ暗だった.参加者はそろって名古屋大学キャンパスを貫く山手通りに面した中華料理店〈香蘭楼〉にて懇親会.最初のうちは理性的に飲んでいたはずだったのだが,そのうち紹興酒の消費速度にはずみがついてしまってですね…….いったい何本のボトルが宙を舞ったかわっかりません〜.宿泊先である丸の内の〈東横イン〉にたどり着いたのは日が変わる直前だった.

—— 明日は朝から五時間のセミナーを担当するんだけど,スライドとかいったいどうしようかな(おいっ).

◆本日の総歩数=5303歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=92.8kg(−1.2kg)/28.9%(−0.7%)


25 november 2011(金)※晩秋の京都で残務処理ミッション

◆いつもより早く午前3時半に起床し夜明け前の旅支度.TXの始発で都内へ.東海地方は穏やかな晴天で,富士山頂は真っ白に冠雪していた.もうしばらくすれば名古屋.本日の残務ミッションはまる一日かかる予定.この分だと月末まで農環研に出勤する日はぜんぜんないもよう.非実験系研究分野はこういうときにラクだが,来月の成績検討会の準備をする時間はとうていない.ま,窮すれば時間は湧いて出ることを知っているので,最終的には何とかなるだろう.これが人生の真実.

◆残務処理ミッションの顛末 —— 午前10時過ぎに京都着.風もなく日射しが暖かい駅前.この一週間に紅葉はちょっとは進んだのだろうか? タクシーで宇治に向かい,その後,JRで宇治駅へ.市役所にて猛然と事務手続きのアラシと戦い続ける.午後2時過ぎ,本日の戦いが終わる.日射しがあっても冷たい風が吹き抜ける宇治橋から塔の島を見やると,ほんの少しばかり紅葉しているかなという感じ.本日の残務処理ミッションはほぼ終わったが,もうひとつだけお金がらみの事後処理が残っている.京都での残務処理ミッションが終わったのに,新たなる残務が湧き出てしまい,どこまで続くぬかるみぞ状態に陥っている.来週月曜もまた残務処理のため上洛することになる.農環研のことはすべてほったらかしでごめんなさいねー.

◆喫緊の問題は明日の名古屋の宿泊先をまだ決めていないということ.明日のナゴヤは何か大きなイベントがあるのだろうか? ホテル空室がぜんぜんなくって焦った.なんとか丸の内に確保できたのは幸運だった.しかし,さらに問題なのは,肝心の発表スライドの用意がぜんぜん終わっていなかったりすること.初日は一時間半のトーク,二日目は計五時間の大ネタを打つことになっている.午後11時過ぎにつくば着.あ,フリースの上着をどこかに忘れてきてしまった.寒風吹くセンター広場を抜けて帰宅.とりあえず少し寝てみて丑三つ時に起きることにしよう.ナゴヤでの高座のしたくはそれからのことだ.

◆本日の総歩数=9388歩[うち「しっかり歩数」686歩/10分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=94.0kg(+0.8kg)/29.6%(0.0%)


24 november 2011(木)※いつもどおり都内出撃の朝が来る

◆午前4時半,自信とともに目覚めた.気温8.7度だが,しんしんと冷え込んでいる.別府から帰ってきたばかりだが,いつも通り玉川大学の講義がある.本郷の講義がないが,その分は明日からのしたくにまわさないといけない.

◆[蒐書日誌]ちらっと宣伝 —— 目次確定版の公開:中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年春刊行予定,勁草書房,東京 → 詳細目次).とにもかくにも全員分の改訂原稿がそろったので,目次構成は確定した.次は入稿作業ということになる.

◆都内出撃の朝 —— 7:56発のTX快速に乗る.代々木上原にて乗り換え.都内は風は冷たいが日射しは暖かい.快速急行で新百合ヶ丘に向かう.今月は不測の休講もあり,ずいぶん間が開いてしまったが,久しぶりにやってきた玉川学園駅に降り立った.秋晴れの正門池を巻くように階段を上がり,講師控え室にて一休み.キャンパスの木々がだいぶ色づいてきた.日射しがあたたかい.本日の分子系統進化学は最尤法.しかし,その前に分子進化モデルの話をしないといけないし,さらにさかのぼってモデル選択論のあれこれ(尤度,情報量基準,AIC, BIC etc.)について触れないわけにはいかない.午後1時前,高座が終わってぶらぶら駅に向かう.相武台前駅での人身事故のせいで小田急ダイヤが乱れている.経堂の〈はるばるてい〉にて,マイルス・デイヴィスを聴きながら香麺をいただく.今日はこのままつくば直帰の日.

◆[欹耳袋]ワタクシも登壇するのでPRをば:日本学術会議公開シンポジウム〈いま、ともに、古典(伝統知)に学ぶ意義を、考える〉2011年12月3日(土)13:00~17:00 @日本学術会議講堂(六本木)→ 学術会議サイトポスター(pdf)|内容.そろそろ準備しないと〜./かたつむりは電子図書館の夢をみるか「論文の定量分析から読み解く日本の研究活動の現状(科学技術政策研究レビューセミナー第3回・参加記録)」(2011年11月24日)./なかなかいい感じのまとめ:『Presentation Patterns』.確かに人前で話すときの参考になるので読むように.

◆[蒐書日誌]『もうダマされないための「科学」講義』(2011年,光文社新書)の伊勢田哲治担当章の正誤表.アサザ保全事業に用いられた「粗朶沈床法」は,いわゆる「伝統的知識」ではなく,明治に来日したオランダ人技術者ヨハニス・デ・レイケの発案じゃなかったっけ? 上林好之『日本の川を甦らせた技師デ・レイケ』(1999年12月3日刊行,草思社,東京,350pp., 本体価格2,500円,ISBN:4-7942-0928-2 → 書評・目次)に,デ・レイケがオランダ南西部ゼーラント州で開発された水利技術である粗朶沈床法を明治期の日本の治水に適用したという記述があった.あるいは粗朶沈床法と粗朶漁法とはちがうのかもしれないが.

◆夕焼けに染まる前につくばに帰り着き,こまごま┣┣" 撃ちをすませて,ふと気がつけばもう夜の闇に包まれていた.さて,今夜は長くなりそうなのだが……明日は残務処理のため,休暇をとってまたまた京都に向かう.翌日の土曜は名古屋へ転戦し〈新しい科学哲学をつくる会〉のワークショップ,日曜は集中講義ののち,夜に松戸にて世俗の歌を演奏してからやっとつくばに戻れる.

◆本日の総歩数=5262歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.2kg(+0.3kg)/29.6%(+0.1%)


23 november 2011(水)※勤労に感謝しつつ朝から外湯三昧

◆昨夜は累積疲労と飲み疲れが重なって寝落ちしてしまった.午前零時すぎに内湯に入って二度寝.次に目が醒めたのは午前5時前だった.外はもちろん真っ暗.しばしうとうとしてからまた内湯へ.山田別荘ではいつも一人静かに温泉を独占することができるのがシアワセの証.

◆北浜の別府タワーが朝焼けに染まる午前7時前,外湯めぐりに出かける.まずは駅前高等温泉から.システムが変わったのか「あつ湯」と「ぬる湯」に分けられている.以前は左側にあったお風呂は「ぬる湯」になっていた.右側の「あつ湯」を選び,半地下にある湯船を独り占めした.続いて,リニューアルされたばかりの海門寺温泉へ.しばらく改装中で閉鎖されていた共同浴場.昔の海門寺温泉は古びてレトロ過ぎたが,すっかり改装されて温泉銭湯みたいになっていた.朝から客で賑わっていたが,これはちょっときれいすぎるな.

最後に,別府ディープな春日温泉へ.路地裏にあるが,うっかりすると通りすぎてしまう.組合員ではないので100円の入湯料を窓口の箱に落とす.足元をねずみが駆け抜けていく.戸口を開けたらすぐ湯船.脱衣場と浴室が一体化しているスタイルは別府ではよくある.鉄輪温泉や明礬温泉の外湯はたいていそうなっている.春日温泉の源泉は裏手にあるらしいが,湯船に注ぎ込まれる湯の調節は入浴客自身がすることになっている.ひとりゆったり浸かって外に出たら雨がぱらぱらと降ってきた.山田別荘に駆け込んだら本降りに.

◆さて,そろそろ朝ごはんの時間.山田別荘では別室のお座敷で朝食を出してくれる.今朝もうまかった.山田別荘は来るたびに館内設備がアップデートされている.いつの間にか無線LANが張られていたし,バリアフリーのトイレも設置されていた.内湯と露天風呂をそれぞれ独り占めできる気楽さと,心地よい静寂,そして朝食の美味しさを考えれば,一泊8,000円というのは安すぎると思う.

◆つくばへの長い帰路 —— 午前9時半に山田別荘をチェックアウト.まだ小雨がぱらついているが,傘なしでスーツケースをがらがらと転がし,JR別府駅に向かう.駅の観光案内所で『旅手帖beppu』があるか確認したら,品切れとの返事.残念.フリーペーパーとはいえ,カラー写真満載でとても充実した内容の「雑誌」なので,そりゃあ人気も出るだろう.そうこうするうちに雲が切れて日射しが見えてきたが,雨はまだ降っている.狐の嫁入り.10:10発の空港バスで大分空港へ.休日のせいか空港内はけっこう混んでいる.チェックイン窓口や検査場は長蛇の列が伸びていた.12:10のJALで羽田へ.午後2時前に着陸.別府は雨だったけど関東は好天ですな.遅いランチを東京駅八重洲地下街の〈アロマ〉ですませてからつくばへ.

—— 午後5時半,つくば着.もう真っ暗だ.燃え尽き感がじわりじわりと染み出してくる.今夜はもう使いものにならないかも.

◆本日の総歩数=3427歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


22 november 2011(火)※巡業を終えた別府北浜の夜は長い

◆遠くに来てもいつも通り午前4時半に起床する.アメダスを見たら,今朝の大分市はかなり冷え込んでいて「+4.5度」とのこと.対岸の別府温泉からお誘いの声が届く夜明け前の暗闇.一方,はるか遠くのつくばでは今朝の最低気温が「−0.1度」と今季最低だったようだ.

◆[欹耳袋]一枚岩の「構造主義生物学」は存在しない.「誰それの構造主義生物学」という個別化が必要で,その全体をゆるく束ねた集合体がいわゆる「構造主義生物学」とみなされる.柴谷篤弘,池田清彦,Brian C. Goodwin, Robin C. Craw などなど「構造主義生物学」と称される人々の考え方は一枚岩ではない.1980年代の柴谷はこの「多系統群」を戦略的にひとつにまとめ上げようとして失敗した.柴谷はもうちょっとうまくやればいい線いったのかもしれないが,現実はそうはならなかった.日本の構造主義生物学は「外」から再検討する必要があった.

◆今週木曜(24日)の「生物統計学」講義は駒場祭準備のため休講になります.ワタクシ,うっかりしていて出講するつもりになっていましたが,お休みですので駒祭に全身全霊をこめてください.>東大理学部の受講生諸氏.

◆今朝のホテルの朝食は一階にある郷土料理〈いねや〉にて.豊後の国の朝は「だんご汁」とともにはじまる.「だんご汁」は,帯のような太いうどんが大根・里芋・人参・牛蒡とともに甘めの白味噌仕立てで煮込まれている.冷え込んだ寒い朝でも体の芯からあたたまるシアワセ.大分が山海の幸に恵まれた土地であることを実感する.ところで,豊後の「だんご汁」は,上州の「おっきりこみ」や甲州の「ほうとう」とよく似ているが,はたして近縁関係にあるのだろうか? 

◆大分県統計研修(基礎編)二日目 —— 午前9時過ぎにホテルをチェックアウトし,スーツケースを転がして県庁へ向かう.実習室にはすでに受講生のほとんどが集まっていた.9時半から講義開始.確率分布と確率密度関数について話をしてから,分散概念の導出へ.さらに記述統計学と推測統計学のちがいを説明する.ここでお昼休み.今日のランチは県庁裏手にある〈豊後寿司〉にて.風もなくええ天気ですなあ.午後はひたすら実験計画法.完全無作為化法と乱塊法について説明し,最後に質疑応答の時間.午後4時半に講義終了.みなさん,お疲れさま.次回の「応用編」は12月5日(月)〜6日(火)です.

◆[欹耳袋]「Togetter - ポテトの長さの分布」.カール・ピアソンがいま生きていたら,そこら中のマックでポテトの長さを調べまくって,「ほら,ちゃんと正規分布してるだろう」と誇らしげに言うにちがいない.

◆二日間にわたる大分でのお座敷を勤め上げ,車で別府・北浜の路地にひっそりと建っている〈山田別荘〉に送ってもらった.まずは山田別荘の広い露天風呂を独占してきた.とても気持ちよし.古いお屋敷をそのまま旅館に転用した山田別荘は,大分に仕事に来たときの定宿になりつつある.さて,一風呂浴びた後は魅惑の別府ナイトライフを満喫してこよう.日没とともにだんだん寒くなってきた北浜の中心部.客引きが立つ八坂通りの奥にある〈はじめ寿司〉に入る.店内公用語は大分弁.穴子の一本にぎりが美味.次いで巨大なブリのカマ焼きが運ばれてきた!別府の共同浴場はどこもお湯がものすごく熱いのをがまんして入るのがお作法との地元客の話.あがりは北浜通りの〈壱丁目ラーメン〉にて.山田別荘に戻ったらあっという間の寝落ちの結末.

◆[蒐書日誌]別府本二冊 —— ハットウ・オンパク(監修)『別府八湯温泉本2011〜2012版』(2011年9月1日刊行,おおいたインフォーメーションハウス → サイト).今年2月に別府に来たときも買ったが,もう新しいのが出ていた. /『旅手帖beppu, Vol. 1』(2011年6月27日刊行,BEPPU PROJECT,別府 → サイト).季刊フリーペーパー.大分駅の観光案内所などで無料配布されているらしい.京都だったらガケ書房や恵文社一乗寺店にあるとのこと.

◆本日の総歩数=4158歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=未計測/未計測


21 november 2011(月)※心機一転,大分湯煙巡業へ旅立つ

◆午前4時に起床.5:07のTX始発に乗る.真っ暗で寒いのは当然.浜松町から羽田空港行きモノレールへ.平日の朝だからかとても混みあっている.外は曇りところどころ晴れ.第一ターミナル到着.時間の余裕があったので,朝からBLTチキンサンドを摂取.今日のフライトはいい天気になりそうだ.

◆[欹耳袋]国内線ドットコムで航空券を購入したときは,自動チェックイン機にて「チケットを購入」→「クレジットカードで検索」を選択し,使用カードを挿入すると自動的に搭乗券が発見される.

◆大分湯けむり巡業へ —— 午前8時に羽田を離陸したJALは,一時間半後に豊後水道をかすめるように大分空港に着陸した.手荷物回転台の「巨大寿司」は今回は「うに」だった.海から吹きつける北風がとても冷たい.空港連絡バスにて大分市街地に向かう.国東半島の海岸をを回り込みながら陽光にきらめく別府湾をながめる.今年2月にここに来て以来,十ヶ月ぶりの再訪だ.別府北浜のタワーを見上げる.豊後の国まで逃げてきてもターミネーター┣┣" は飽くことなくメール経由で追っかけてくる.別府から湾をぐるりと回って対岸の大分市街地へ.JR大分駅前で県庁の担当者の車を待つお昼前.青空が広がり太陽がまぶしい.依頼された統計研修は午後からなので,その前に県庁横の〈ほどじま〉にて日替わりお刺身定食をいただく.うますぎて写真を撮り忘れてしまった。

◆大分県統計研修(基礎編)初日 —— 今日の大分市内はとてもいい天気.海が近くに見えるというのはええもんですな.昼食後,県庁9階のパソコン実習室にてしたくを始める.もう何度も使っている部屋なので慣れたものだが,来るたびに少しずつ環境が変わる.午後1時から講義開始.受講生は十数名.概論を小一時間話したのち中休み.窓越しにさんさんと日光が差し込む暖かい昼下がり.休憩後はRのインストールと稼働試験.さて,今回の「不幸度」はどれくらいだろうか? Vista なのが強く強く懸念されたが,以外にも“不幸”にあえぐ受講生はひとりも発生しなかった.めずらしいことだ.RとRコマンダーのインストールを終え,データ可視化について解説したのち午後4時半に本日の講義を終えた.

◆スーツケースを転がして,県庁近くの〈フォルツァ大分〉にチェックイン.ここは大分での定宿.一息入れてから,県庁横の〈こつこつ庵〉へ直行.大分に来たらここに来るのは当たり前.焼酎のお湯割りを飲みながら,まずは「とり天」を食べなければいけない.ついでに,かんぱちの「琉球」を追加する.本日のおすすめである椎茸の「ぎょろっけ」がうますぎる.肉厚の椎茸に魚のすり身を乗せて揚げたもの.こつこつ庵ではつい焼酎に流れてしまうんだけど、大分でマストの焼酎の銘柄って何なんだろう? すでに「鉄輪」と「中中」は注文したが.南九州ほどではないが,明らかに焼酎が日本酒を凌駕している大分では,あえて日本酒を飲もうとするにはそれなりの努力が必要だ.女将さんの話では,「こつこつ庵」の看板主人は三月に倒れていまリハビリ中とのこと.二月にここに来たときはちゃんと店にいたのに.

二軒目は都町の〈ちゃんて〉へ.茨城・須藤本家の日本酒が揃っている珍しい店.山桜桃と郷乃誉を.田舎風パテがうますぎる.しかし,これ以上「都町の深み」にハマると翌日の研修に大きな支障が出るにちがいない.その前に健全に撤収するしかない.〈長崎亭〉にてちゃんぽんを食べてからホテルに戻る.

◆京都での連日ミッションの疲れを引きずったまま大分に飛んできたせいか,あっという間に睡魔が降臨する.

◆本日の総歩数=2476歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=92.9kg(−0.5kg)/29.5%(+0.9%)


20 november 2011(日)※秋晴れ撤収ミッションは無事完遂

◆午前4時半起床.山科の夜明け前はまだ真っ暗だが,雨はもうあがっているようだ.本日の撤収ミッション(その二)は午後から始動だが,その前に下準備の作戦会議をしておかないといけない.午前7時,気温はだんだん下がってきていま15.9度.じわりじわりとミッション最終日が動き始める.午前8時,雨上がりの曇り空はしだいに晴れて,雲間からヤコブの梯子が何条も伸びていた.気温はやや高めか.午前いっぱいは時間がたっぷりあったので,文化系統学の原稿読みをしたり,メール連絡をしたりしてゆるゆる過ごす.午後になってあわただしくなってきた.着替えを終えて会場へ.これからの段取りを打ち合わせる.午後2時からセレモニーが一時間弱.ただ静けさが流れるのみ.午後3時過ぎ,車は東山の坂をゆっくり上っていく.午後5時過ぎに再び坂を降りる.いったん宇治の実家に立ち寄ってから,夕闇の中を本日最後の場所に向かう.お勤めののち,これからの打合せをした.本日の撤収ミッション(その二)は山科-宇治-京都と場所を変えつつ全面展開した末,午後7時に完全撤収完了.これにて今回の〈オペレーション京都〉は完遂された.午後7時半の新幹線グリーン席にてゆったりする.ビールと鯖寿司でささやかな打ち上げをば.つくばに帰り着いたのは午後11時過ぎだった.

◆本日の総歩数=2498歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


19 november 2011(土)※雨降る山科で撤収ミッション初日

◆午前4時過ぎ起床.昨夜はまだ小降りだったが,しだいに雨足が強まってきた.今日は「オペレーション京都」の最終段階であるミッションをこなさないといけない.午前8時過ぎ,雨に煙る宇治川を遠くに望みながら,ざあざあ降り続くJR宇治駅にたどり着く.駅からタクシーに乗って第一の目的地である宇治市役所に出向き,昨日までのミッション報告書を提出した.午前9時きっかり,濡れ濡れる宇治のオールドタウンにて次なる作戦の電話連絡あり.宇治橋通り沿いの〈ベーカリー・タマキ〉にて抹茶あんぱんを買ったのち,あわててJRで基地に帰還.その後,タクシーで転戦して山科の懐深く潜入する.今日がこんな本降りになるとは予想していなかった.東山の山稜を越えて雨雲が次々に流れてくる.午後5時過ぎ,そろそろ撤収ミッション(その一)の始動時刻だ.山科は終日冷たい雨が降り続き,いまだ紅葉にいたらない山裾には山水画のように雨雲が絡みついている.午後8時過ぎに撤収ミッション(その一)完了.明日も引き続き撤収ミッション(その二)が始動する.日中さんざん降り続いた雨はやっと上がった.現地にとどまって宿泊.

◆本日の総歩数=3224歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


18 november 2011(金)※午後,オペレーション京都の完了

◆真夜中の最低気温は8.4度まで下がったが,午前9時には11度を越えた.本日のミッション開始.洛南は薄曇りながら朝から穏やかに晴れている.ミッション遂行中も方々からメール経由で┣┣" が送り込まれてくる.午後になってしだいに雲が厚くなってきた.15時56分,ここ二ヶ月に及ぶ「オペレーション京都」はその任務を完了した.さっそく後始末に入る.今日の最高気温は16.4度まであがり,寒さはぜんぜん感じなかった.午後9時にいったん宇治へもどる.明日からの二日間は撤収作業に費やされるので,その後,やっとつくばに帰還できる.

◆本日の総歩数=7384歩[うち「しっかり歩数」2891歩/29分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


17 november 2011(木)※つくばから京都へ引き戻される朝

◆京都から日帰り帰還をしてやっと寝入った午前2時過ぎ,いきなり緊急ミッションの要請があり,夜中にもかかわらずじたばたする.ほんとうならば今日は巡業講義日だったのだが,玉川大の「分子系統進化学」と東大の「生物統計学」は臨時休講とアナウンスした.

◆再び京都へ —— いろいろとしたくをしてからつくばを出発.都内はよく晴れて,昨日よりは体感的に暖かい気がする.午前9時半,東京を出る.車中でこまごま┣┣" をかなりたくさん退治した.外はええ天気やなあ.京都に着いたのは正午過ぎ.晴れて青空.昨日ここに降り立ったときよりも格段に暖かい.さっそくミッション始動.

◆[蒐書日誌]シルヴィア・ビーチ[中山末喜訳]『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』(1974年1月25日刊行/2011年6月30日復刻,河出書房新社,東京,4 plates + 342 pp., 本体価格2,600円,ISBN:978-4-309-20567-0 → 版元ページ).車内読書本.すでに入手している:アドリエンヌ・モニエ[岩崎力訳]『オデオン通り:アドリエンヌ・モニエの書店』(1974年1月25日刊行/2011年6月30日復刻,河出書房新社,東京,4 plates + 292 + ii pp., 本体価格2,600円,ISBN:978-4-309-20566-3 → 版元ページ)と,内容的にも装丁的にも“姉妹本”だ./トミー・イーセスコーグ(上倉あゆ子訳)『カール・フォン・リンネ』(2011年11月近刊,東海大学出版会)という「小説」が翻訳刊行されるとのこと.さすが母国スウェーデン.伝記小説なんだろうか./Rivista da Biologia, volume 7 - Especial Biogeografia (Dezembro 2011).ポルトガル語の歴史生物地理学特集号,オープンアクセス(→サイト).

◆[欹耳袋]事務文書の差出人が「役職名+苗字のみ」ということがとても多いが,どうしてフルネームを記名しないのだろうか? 事務的な場合だけではなく,研究上の質問や問い合せでさえ,フルネームを書いてこないという人がいる.答える意欲が失せるんですけど.インターネット上で“匿名者”に対して議論する気が失せるのと同じ.自らを開示せよ.

◆[欹耳袋]生得的に「第一種過誤」を犯しやすいヒトが,統計的検定での「免罪符」として「有意水準」を振りかざしている.「p値」はその免罪符を「相対化」することによって責任逃れをしているだけ.「有意差がある」と言われて安心するのがヒトの性.「ゆーい差決戦主義」は罪深いというよりはむしろ原罪とみなすべきだろう.

◆[欹耳袋]「clôture(隠遁場所)」といういいフランス語表現を知った.From: 『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』, p. 98.ワタクシは主義として,職場だけでなく,方々に小さな clôture や carrel を用意している.『系統樹思考の世界』の謝辞で,行きつけの喫茶店に「ありがとう」を言ったのは,それぞれ絶好の原稿執筆場所を提供してくれたから.

◆午後9時過ぎ,やっとミッション完了.しかし,この状況は長続きする気がしない.

◆本日の総歩数=6013歩[うち「しっかり歩数」2337歩/21分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=未計測/未計測


16 november 2011(水)※スクランブル発進で京都との往復

◆午前3時すぎに起床.今の気温,すでに「3.0度」まで下がっているんですけど…….寒すぎ.午前4時,朝風呂から出てきたら,気温はさらに下がって「2.5度」になっていた.今季の最低気温の記録更新はまちがいない.あとで知ったことだが,今朝の最低気温は「1.6度」まで下がったとのこと.寒いはずだ.

◆そうだ,何度も京都へ行こう —— 5:28発のTX快速に乗って出発~.外は冷え込みもちろん真っ暗.早朝の都内は晴れ上がって空気が冷たい.午前6時台の新幹線でもほぼ満席.真っ青な空と雪を頂く富士山のコントラストに目が覚める.午前9時半に京都着.雲は多いが好天.つくばよりは有意に気温が高い.ミッション始動.

◆[蒐書日誌]『京都大学吉田寮写真集』(2011年11月刊行 → 販売サイト).日英のバイリンガルな写真集だそうだ.

◆昼下りにミッション完了.風は冷たいが日射しがぬくい昼下がりの洛南.しばらく乗ってへんうちに京阪電車がカラフルになってるやん! 以前は赤に黄色のツートンカラーだった特急電車が藍色のシックな色合いに変わっていて驚愕.シートのクッションも極上.変われば変わるもんやな.今日の遅いランチは,寺町の〈末廣寿司〉にて冬場限定メニューの「蒸し寿司」.小丼に盛られたほっかほかのお寿司というのは新鮮な体験! 美味〜 午後4時,洛中快晴.しかし,タクシー運転手の誰もが,今年の秋は紅葉にはほど遠い陽気で観光客にとっては落胆ものとのこと.今月下旬くらいが見頃になりそう.本日のミッションを終え京都駅へ.今日の京都は穏やかな一日だった.

◆[蒐書日誌]夕闇迫る〈三月書房〉にて —— 寺町通の〈三月書房〉は行くたびに何かしら収穫がある.御幸町通の〈アスタルテ書房〉はいったん入り込むと帰れなくなるので要注意.河出書房新社から『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』と『オデオン通り:アドリエンヌ・モニエの書店』の復刻(初版は1970年代)が今年6月に同時に出ていたことを初めて知った.『オデオン通り』は三月書房で現物をゲットし,『シェイクスピア〜』は新幹線からネット注文完了:アドリエンヌ・モニエ[岩崎力訳]『オデオン通り:アドリエンヌ・モニエの書店』(1974年1月25日刊行/2011年6月30日復刻,河出書房新社,東京,4 plates + 292 + ii pp., 本体価格2,600円,ISBN:978-4-309-20566-3 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]日本進化学会ニュースの最新号(vol.12, No.3, 15 November 2011)が出版されたんだけど,学会員じゃないと読めなくてごめんね(バックナンバーはオープンアクセス).大澤省三回顧録(pp. 15-37)がめくるめくほど長大だ! ワタクシの小文は:三中信宏:「智慧の樹」再訪(1):ルルスの知的遺産からの出発.日本進化学会ニュース, 12(3): 38-43 

◆午後9時前につくば到着.日帰り京都行きは気力体力ともに尽き果てる.

◆本日の総歩数=11661歩[うち「しっかり歩数」1367歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


15 november 2011(火)※農環研の実在日は晩秋の日だまり

◆いつもどおり午前4時半起床.この季節になると起きても真っ暗で,晴れてるのか曇ってるのかも判然としない.気温は10.0度.全国的に北風が吹いて寒いらしい.しかたがないから半袖はしまうことにしようか.午前6時前,やっと外が明るくなってきた.曇り空.うっすら赤い朝焼けタイム.今朝の最低気温は6時半の9.3度だった.今日は久しぶりに農環研に終日実在する.

◆┣┣" 放牧場の風景 —— 寒い明け方に原稿┣┣" どもがひしめいている.暗くてよく見えないのでよけいに威圧的存在感がある.まずは,系統樹ウェブ曼荼羅の原稿を仕上げたのちに,今月末の名古屋ワークショップと来月はじめの学術会議公開シンポジウムに進むとしよう.進化学事典のゲラ読みはそのあとでもいいよね(11月21日締切).進化史年表と進化学者列伝のふたつが手付かずで困っている./来年早々,新たな統計高座の依頼あり.大久保方面にて.詳細日程についてはこれから詰めていくが,年度末までに一回三時間の高座を三回開催する予定.

◆[蒐書日誌]Edward O. Wiley and Bruce S. Lieberman『Phylogenetics: Theory and Practice of Phylogenetic Systematics, Second Edition』(2011年6月刊行,Wiley-Blackwell, Hoboken, xvi+406 pp., ISBN:978-0-470-90596-8 [hbk] → 目次版元ページ情報).30年前の初版:Edward O. Wiley『Phylogenetics: Theory and Practice of Phylogenetic Systematics』(1981年刊行,John Wiley and Sons,, New York, xvi+439 pp., ISBN:0-471-05975-7 [hbk] → 目次)との目次構成のちがいを比較してみた.

今回の改訂に際して新たに書かれたり増補されたりしたのは,まずはじめに系統推定に関わる最尤法とベイズ法の章が追加されている.距離法についてはほとんど触れられていないように見える.分岐学派が1980年代に“勝利”したことを受けて,同時代の他学派(進化分類学と表形分類学)の記述はまるごとなくなった.また,発展分岐学については予想通りアンチの立場だ.系統樹の概念と形質の相同性についての章も大幅に改定されている.歴史生物地理学の章が大改訂されているのは注目.

全体として,かつての形態データに基づく系統解析から,現在のトレンドである分子体系学に軸足を移した改訂である.また,初版では科学哲学に関する記述にかなりのページが割かれていたが,第二版ではそういう“とんがった”要素がなく,いい意味でも悪い意味でも“おとな”の教科書になった.それはこの改訂版が科学哲学的な議論から撤退したということではなく,これまで体系学者自身が手がけてきた哲学的議論を,新興の生物学哲学の業界に“アウトソーシング”したと見なすべきだろう.生物多様性情報学(あるいは「サイバー分類学」)としての体系学の側面については少しだけ触れられているような,いないような.

本書の初版は,1980年代はじめに立て続けに出た分岐学(cladistics)の“教科書”の一冊として,歴史的な意義をもっていた.本書および他の二冊:

  • Niles Eldredge and Joel Cracraft 1980. Phylogenetic Patterns and the Evolutionary Process: Method and Theory in Comparative Biology. Columbia University Press, New York, x+349pp. [篠原 明彦・駒井 古実・吉安 裕・橋本 里志・金沢 至(訳) 1989. 系統発生パターンと進化プロセス:比較生物学の方法と理論. 蒼樹書房, 東京.]
  • Gareth Nelson and Norman Platnick 1981. Systematics and Biogeography: Cladistics and Vicariance. Columbia University Press, New York, xiv+567pp. → pdf (open access)

の教科書群は,分岐学派の「中」でのその後の発展と対立を予見させる内容だった.それは,ひとつの科学は変幻自在に変容するのだという,アンチ本質主義的な科学観を支持する実例として記憶されていくだろう.1998年の Hennig Society Meeting(サンパウロ)で Wiley さんに初めてお会いしたときに,初版の改訂中であるとの話を聞いた.その後,ずいぶん時間をかけて完成したことになる.本書の改訂は,科学のみならず,科学者もまたその立場を時間とともに変えていくことを如実に示している.

—— ついでながら:E. O. Wiley『系統分類学』(1991,文一総合出版)の古書価格は15,000〜20,000円,E. O. Wiley 他『系統分類学入門』(1993,文一総合出版)は5000円台.事実上の「絶版書」だから,訳本の古書価はかなり上昇しているようだ.

◆北風は冷たいが日射しが暖かい昼休みは周辺徘徊タイム.気温15度超.畑のあぜ道を一回りして,農環研に帰還.ブルース・M・フード[小松淳子訳]『スーパーセンス:ヒトは生まれつき超科学的な心を持っている』(2011年2月20日刊行,インターシフト/合同出版,東京,408 pp., ISBN:978-4-772-69522-0 → 目次版元ページ)をようやく読了.あとで付箋をぺたぺた貼らないと.

◆[欹耳袋]駒場科学史研究会「11月19日(土)駒場:中山茂、学問を語る—科学史と歩んだ60年」 → アナウンス. 演者である中山茂さんの〈paradigmerのブログ〉が異様におもしろい.とくに一連の自伝的回顧が.

◆夕方,ちょっと燃え尽きてきたので,Richard Strauss の〈英雄の生涯〉をBGMにしてみる.をを,なんという“天動説”な音楽か! この曲はかつては演奏したことがあるので,休符小節を無意識のうちにカウントしてしまって仕事にならない点がちょっと困る.もっと疲れてきたら,レスピーギの〈ローマの祭り〉をがんがんかけることにしよう.

◆残務┣┣" 撃ち顛末 —— 来週の大分湯煙巡業(前半戦)のハンドアウト原稿を送り,シラバスを連絡した./進化学事典のじたばたが再会している./延滞原稿1┣┣" は今晩中に仕留めること./とりあえず,受信箱の未処理┣┣" をしとめてクリアしようかな.しかし,そう思っている間にも┣┣" が増えている…….未処理┣┣" は着実に減っているはずなのに,派生┣┣" が次から次へと湧出してきてキリがない.

◆午後7時前に撤収.明日は早いので午後9時半には,原稿┣┣" 放置のまま,あっさり寝てしまった.

◆本日の総歩数=5218歩[うち「しっかり歩数」2166歩/24分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=93.4kg(+0.7kg)/28.6%(0.0%)


14 november 2011(月)※週明けは統計研修とともに始まる

◆午前4時半起床.今朝の最低気温は9.8度.ほんのり朝焼けだが曇り空.天気は下り坂らしい.しかし,その後は晴れたり曇ったりしつつも穏やかな天気が続く.国道408号沿いのフウノキがだいぶ色づいて大きな葉が風に舞い始め,農林団地構内もしだいにイチョウの黄色が目立ってきた.日に日に秋が深まるなあ.

◆動き出す人生 —— 週のはじめは統計研修から.先週から始まった統計研修は今週いっぱい続く.基礎編は出番がとても多かったが,今週の応用編は初日の概論と千秋楽の質疑応答のみの担当なので少しラク.10:45から「多変量解析概論」開始.応用編の受講生は20名あまりだが,基礎編から引き続き出家している人数は半数を超えるという.例年になく多い.多変量データに関するヒトの「次元耐性」の低さを説明し,変量間の共変動が新たな分布パラメーターとして出現する点を解説する.その後,二変量正規分布を題材にするRデモを用いて同時分布と周辺分布の説明,さらに多変量解析ツールによる視覚化と次元低減の意義について話した.正午過ぎにおしまい.

◆陽だまりでまどろむお昼時 —— 午前の高座をすませて昼休み.今日は風もなくぽかぽかと暖かい.気温は19.7度まで上がった.寿司食堂〈おはん〉にて久しぶりに「海鮮ちらし」をば.ウニやイクラが舞い踊るコストパフォーマンスの良さ.〈おはん〉は農林団地に近いせいか,ランチに行くと知り合いに会うことも多い.とりわけ,最近はとみに人気が高まっているらしく,昼時は狭くない駐車場が満杯で,店に入りきれないこともあり,うっかり遅く行くともう売り切れてしまうものもある.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 特別休暇の申請変更./『進化学事典』のゲラがどっさり届いた.全部ワタクシが書いたもの.ゲラの総頁数にして32ページもあるし./木曜の東大「生物統計学」の三点セットの用意完了.

◆[欹耳袋]昨今の分子系統地理学(molecular phylogeography)は,歴史生物地理学とりわけ1970年代の分断生物地理学(vicariance biogeography)の直系子孫のはずなんだが,しばしばその「出自」が忘却される理由は何だろう? 分断生物地理学は分布域を共通する複数の生物群の系統関係を“重ね合わせる”ことにより,地史的な共通要因としての「分断(vicariance)」を発見しようとした.しかし,当時はそれを経験的に調べるためのデータが不足していて,Lars Brundin のユスリカや Don Eric Rosen の淡水魚のデータが繰り返し用いられた.歴史生物地理学は「比較」という視点が不可欠であることの証だと考える.

1980年代末に John C. Avise らが種内系統地理学(intraspecific phylogeography)のスローガンを掲げたとき,当初はミトコンドリアの配列データを用いて微小分断現象(microvicariance events)の発見ができると期待された.実際,初期の系統地理学の研究では,複数の生物群に関する mtDNA のハプロタイプ系統樹の地理的整合性から分断現象の存在を推定するという,正しい意味で歴史生物地理学的な論調が強かった.ところがいつの間にか,単一生物群に関する分子遺伝学的知見に基づく(ちょっとだけ)生物地理的な研究という方向に“縮退”していった.「比較」という視点が弱まっていったということだ.

—— せっかく,複数の生物群にまたがる共通の分子データベースがありながら,どうして「比較研究」の色合いが逆に薄まっていったのかが不思議だ.系統地理学という新興研究分野の「ハイブリッド性」が理由なのか,それともそれを担ってきた研究者共同体の特徴なのか.

◆たがみ酒店に〈王祿・渓〉の3銘柄が久しぶりの揃い踏み:うすにごり・直汲み・無濾過.つい舞い上がって「うすにごり」と「直汲み」を両手に抱えてレジに走った.しとしと雨が降る夜は〈王祿・渓〉の純米吟醸・直汲みをいただく.味わい深く,かすかに炭酸の刺激が残る.実に,んまいですな.

◆[欹耳袋]税金を使って研究をすることに対してお門違いの批判を耳にすることがある.「税金を使って学位を取った」とか「無駄な研究は税金の浪費である」とかいう批判のあとには,決まって「〜すべきである」という見解が続く.しかし,誰もが「税金」を払いつつその恩恵を受けているんだから,それを口実に何かを強制されたり制約されたり非難されたりするいわれはない.税金の使い道に関して意味のない相互監視を始めると,がんじがらめになって誰も何も新しいことをできなくなるだろう.「私は確かに税金を使って〜させてもらってありがたい.だから,私の税金を〜に使っていただいてもかまわない」という互助精神の方がよほど開放的だと思う.他人の人生に口をさしはさみたい人は世の中に多々いるだろうけど,自分の人生には何の関係もないので聞き捨てればいい.自分で自分を抑えこむことはない.

◆本日の総歩数=4637歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=92.7kg(−0.7kg)/28.6%(−0.8%)


13 november 2011(日)※またもや京都との瞬間往復移動日

◆午前5時過ぎ起床.気温9.6度.ぬるい夜明け前もあるが,じわじわと明け方の冷え込みの“期待値”が下がってきた.昨日のうだうだのツケを今日いっぺんに払うことになる.ほんのり朝焼け.今日もいい天気なんだろうか.

◆日帰り京都ミッション —— 10:25発のTX快速に乗る.発車直前に駆け込んだら目の前に前理事長が座っていたりする偶然.都内は晴れて暖かい.いつもの長旅の始まり.とてもいい天気なのだが,午後2時前に京都に着いたらなんだか蒸し暑かった.長袖シャツ一枚で十分.駅前からタクシーに乗る.ミッション始動.すっかり暗くなってやっと本日のミッション完了.午後7時,新幹線車内にてヱビスビール&鯖寿司の晩ご飯.鯖寿司一本じゃ全然たりないなー.午後9時半に東京着.やっとここまでたどり着いた.都内も蒸し暑い.午後11時前,つくば帰還.空を見上げれば檸檬の形をした月が中天に煌々と輝いていた.昨日うだうだしたツケをイッキに払った.

◆[蒐書日誌]車中読了 —— 中島俊郎『オックスフォード古書修行:書物が語るイギリス文化史』(2011年9月28日刊行,NTT出版,東京,xvi+230+8 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-7571-4280-0 → 版元ページ).オックスフォードやロンドンでの古書オークション参加記録はおもしろい.イングランド文化史を古書を通じてたどっていくという著者の仕事は探偵のようだ.内容的にはとてもおもしろい話題が詰まっている本なのだが,ただひとつ残念な点はありえないほどつまらない校正ミスが多すぎることだ.たとえば,冒頭からこんな感じ:

ロンドンにロンドン駅がないように,オッスフォードにもオックスフォード大学自体はない.三〇数校のカレッジを総称してオックフォード大学といっているからだ.(pp. 4-5:下線部ママ)

たった一文に本書の主役を演じるはずの土地名の校正ミスがいくつも重なると読書欲がかなり削がれる.さらにいえば,縦書き本なのだから「三〇数校」は「三十数校」と表記すべきだろう.ほかにも,同様のミスらしき箇所が散見される(下線部ママ):

  • 「名著の起爆力はすさましいかった」(p. 35)
  • オックフォードは紋章だらけ」(p. 48)
  • 「また固執していたオリエンタリズともほどよく距離をとっているため」(p. 63)
  • ボドクアン・ライブラリーは,オックスフォードでの古書修行の大きな道標」(p. 228)
  • ボードリアン・ライブラリー司書」(p. 230)
  • Bicycle: The History Yale University Press」(文献リスト p. 6)
  • ※図版の品質が極端に悪い箇所:pp. 118, 128, 153, 160
  • ※段落インデントのミス:p. 119・第2段落冒頭「今回は全体的に〜」

まるで,初校ゲラをうっかり未修正のまま出版したようなもの.このように校正ミス(それもつまんない誤植)が多いと,そちらにばかり注意が向かってしまって肝心の内容に集中できない.自分の本の「蟲取り」を振り返ればあまり大きな声ではいえないことではあるが,それにしても「オックスフォード」を「オッスフォード」とか「オックフォード」と誤植したまま出版するのはかんべんしてね.増刷の際には徹底的に“蟲取り”をしてほしい.

◆本日の総歩数=8653歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.4kg(−0.3kg)/29.4%(+0.5%)


12 november 2011(土)※朝から青空が広がるゆるゆる週末

◆午前5時前に目が醒めたのだが前夜のダメージが大きくて…….昨日とは打って変わって朝から穏やかな晴天が広がっている.朝の最低気温は11.8度.午前10時には気温は早くも17度台に上がってきた.冷たい雨が降り続いた昨日が日中でも10度そこそこだったのとは大ちがい.週末恒例の京都ミッションの予定が変わったので,今日はつくばでうだうだすることになった.心置きなくうだうだできるのはシアワセだ.

◆[欹耳袋]「戦略的な論文投稿のための国際会議マップ」 —— 計算機科学業界における国際会議の相互関係とネットワーク可視化.こういうのっていいなあ.

◆[蒐書日誌]これもまた〈ガケ書房〉で手にした本 —— 長谷川郁夫『われ発見せり:書肆ユリイカ・伊達得夫』(1992年6月15日刊行,書肆山田,東京,253 pp., 本体価格2,000円,1095-1278-3424 → 版元ページ).今は亡き〈書肆ユリイカ〉の社主・伊達得夫の伝記.関連して:伊達得夫の遺稿集『詩人たち ユリイカ抄』(2005年11月10日刊行, 平凡社[平凡社ライブラリー558],東京, ISBN:4-582-76558-0 → 版元ページ)と,田中栞さんの二冊『書肆ユリイカの本』(2004年11月15日刊行,紅梅堂,ISBNなし)ならびに『書肆ユリイカの本』(2009年9月15日刊行,青土社,東京,4 + 246 + 24 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-7917-6465-5 → 版元ページ)をすでに読んだ.

◆うだうだ週末のよろこびとかなしみ —— 来年2月の“のぐっちゃんの会”に出席の返事を出す./とある近刊書の著者名配列に関する返事をする.なんだかなあ……./査読依頼が一件舞い込んできた.うむむ./メーリングリストの登録作業をいくつかすませる./大阪府代の農業気象学会全国大会での「R講習会」の件,参加者が各自PCを会場に持ち込んでハンズオンセミナーをしたいという申し出なのだが,事前にR本体とRcmdrその他のパッケージをインストールし,動作確認してもらうようにしないと,時間のムダが起こりそうな気がする.

◆[蒐書日誌]考古系統学がらみで気になる一冊 —— 今村啓爾(編)『異系統土器の出会い』(2011年近刊,同成社,東京,本体価格6,000円,ISBN:978-4-88621-580-2 → 版元ページ近刊検索β).五年前に開催されたこの公開研究発表会〈異系統土器の出会い -土器研究の新しい可能性をもとめて-〉から派生した論文集かな(→ 参照:考古学な毎日「土器研究の発表会」).

◆[欹耳袋]をを! Rcmdr for Mac OS X がやっと「名前空間魔界」を脱出したぞ.よしよし.理由? ぜんぜんわかりまっしぇん…….いったん古い Rcmdr(ver. 1.7.0)を入れたけどやっぱりダメだったので,最新版 Rcmdr(ver. 1.7.2)に戻したのがよかったのか.奇々怪々だ.でも,結果よければすべてよし,ということで,深く考えないことにしよう(こんなことは今まで何度もあった).

◆そんなこんなで,ゆるゆるにしてうだうだな土曜日を過ごしてしまったが,その反動がないわけではない.

◆本日の総歩数=537歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=93.7kg(+1.1kg)/28.9%(+0.2%)


11 november 2011(金)※終日冷たい雨に濡れて高座と宴会

◆午前5時起床.曇のち雨との予報だが,かろうじて朝焼けが見える.気温9.6度.今日もまた統計研修のお座敷が朝イチから午後まである.予報通り雨が降り始めた観音台では,鮮やかに色づきはじめた木々の葉が冷たい雨に濡れていた.午前8時の気温は10.5度.寒いですなあ.

◆[欹耳袋]Rcmdr for Mac OS X がどうしても「名前空間魔界」から抜け出せない…….困ったなあ.

◆午前の高座 —— 雨の中を筑波事務所に向かう.研修会会場のプレゼンテーション室には大きなスーツケースがそこかしこに.今日は基礎編の最終日なので今日中に地元に帰る受講生は少なくないのだろう.引き続き,来週は数理統計研修(応用編)がある.連続して受ければ週末もここ農林団地の宿泊施設に滞在し続けることになるだろう.おつかれおつかんれ.外は冷たい雨が降り続いている.午前9時から始まった計算機統計学の講義はいつもの内容.少し早めに終わったので,ついでに記述統計学と推測統計学でのスタンスのちがい,標準偏差と標準誤差のちがいなど,落ち穂拾いをしているうちに正午のチャイムが鳴った.いったん農環研に戻る.

◆[欹耳袋]はてなブックマークで,いきなり五年前の「統計学へのお誘い本リスト(11 Nov. 06 版)」が浮上してきた.賞味期限が過ぎてるのに困ったなー.最新版の新しいはてなブックマークはこちら:「統計学へのお誘い本リスト(6-September-2011版).

◆午後の高座 —— 雨足が強くなった午後1時,ふたたび研修会場に舞い戻り,今度は質疑応答・総合討論タイムを取り仕切る.たくさんの質問がありひとつひとつ応答する.一時間あまりでお勤め終了.宮崎県から“出前講座”の打診があった.なんだかここのところ九州に縁がありますなあ.その後,また農環研にもどって,年末調整の書類とか,依頼出張の処理とか,振替休日の申請とかこまごま┣┣" と遊ぶ.雨はまだ降り続いている.気温は10度台の肌寒さ.

◆お待ちかねの┣┣" たち —— 年末調整の書類は提出完了./来週の休暇届も出した./大分県からの依頼出張の文書を企画戦略室に提出.大分湯煙巡業の公認のため./来月はじめに出る予定の新刊書の表紙が送られてきた.ワルモノたちの名前の順序ねぇ……./お,来春の農業気象学会全国大会(大阪府大,堺)の企画集会で「R講習会」をするとのこと.お呼びがかかったのでお引受けいたします./師走の学術会議公開シンポジウムに関する連絡あり.

—— そろそろ年度末に向けて,いろいろな行事が詰め込まれそうな気配.来年のイヤープランナーを買ったので,┣┣" 撃ち予定は次々に記入していくぞいくぞいくぞ.

◆冷たい雨が降り続く夜の本郷で試飲会 —— 午後5時過ぎ,TXで東京にお出かけ.雨はぜんぜん止む気配がない.午後6時過ぎに根津に到着.雨は小降りだが,リュックの一升瓶がずっしりと重い.夜の東大農学部キャンパスに来るときはいつも飲み会だ.今日は恒例の「秋の試飲会」.会場に入ったらすでにおでんと肴の用意が進んでいた.午後7時から開始.林立する日本酒がいやが上にも闘志をかきたてる.今夜,ワタクシが持参したのは,奈良・油長酒造の〈風の森〉「純米吟醸 笊籬採り 露葉風60% 22BY」.露葉風という奈良固有の酒米を使って,笊籬採りによって醸したお酒.開栓するとシュポンと炭酸ガスが抜ける音がする.フルーティな香りが漂う.みるみるうちにグラスに炭酸ガスの小泡がくっついていく.

そのほかにも,埼玉〈神亀〉,神奈川〈いづみ橋〉,新潟〈麒麟〉,新潟〈越路吹雪〉,石川〈加賀鳶〉などなど,さまざまな銘柄の一升瓶や四合瓶が林立することになった.基本的に,濁っていたり,炭酸が入っている日本酒が好みであることを再確認した.

—— 午後10時過ぎに帰路につく.小雨に濡れながらつくばに着いたのは日が変わる直前.今週は毎日あちこち飛び回ってきたので,もうへろへろ.

◆本日の総歩数=7467歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=92.6kg(+0.4kg)/28.7%(0.0%)


10 november 2011(木)※つくばと本郷でお座敷のかけもち

◆午前4時半起床.気温10.7度.疲れがぜんぜん取れていないなあ…….今日は二箇所でお座敷がある.

◆午前の高座はつくばで —— 曇り空の午前はずっと統計研修でR講習をしてきた.Windows版Rのインストール場所は,デフォルトの「¥Program Files」下ではなくルート「c:¥」の直下に置くべし.今日のR講習では「マルチバイト不正」エラーで不幸せになった受講生がたくさんいた.「c:¥」に置くことでその悪は退散する.やはり R-2.14.0 はまだパッケージとの相性が悪く,エラーが頻発するので,こういう大人数の講義では使わないほうがいいかも.abind とかまだ対応できていないみたいだし(「名前空間」エラーの嵐).Mac OS X の Rcmdr が「名前空間」魔界に落ちてしまった…….今日の本郷高座に使うんだけどなあ.

◆[欹耳袋]職場セールス電話撃退法 —— とてもお困りのアナタのために:

  • 「開線放置」=セールス電話と判明した時点で,電話を切らずにそのまま放置する.すぐ切るとまたかかってくるから.最低半時間は放置すると効果的.
  • 「なりすまし」=他人になりすまして,いないことにする.いつならいるかと訊いてきたら,「その者は自宅謹慎中なのでわからない」と答える.
  • 「嘘八百」=苗字を読み間違えるのはセールス電話の特徴なので,すかさず「そのような者はおりません」とはねつける.
  • 「居留守」=電話に出ない.※注意:副作用の弊害あり.
  • 「切断」=職場の電話回線を切断する.※根治療法ではあるが,職場のメイワク.
  • 「対決」=セールス商法の統計学的まちがいを挙げ相手を論破する.※ワタクシの身近にその実例があった.

◆[蒐書日誌]ある統計学本の系統発生 —— ここのところのぞき込んでいる:E. L. Lehmann『Testing Statistical Hypotheses』(1959年刊行,John Wiley & Sons[Wiley Publications in Statistics], New York, xiv+349 pp.)を全体の共通祖先とする直系には第二版(1986年)と第三版(2005年)が連なる:

  • E. L. Lehmann『Testing Statistical Hypotheses, Second Edition』(1986年刊行,John Wiley & Sons[Wiley Series in Probability and Mathematical Statistics], New York, xx+600 pp., ISBN:0-471-84083-1)
  • E. L. Lehmann and J. P. Romano『Testing Statistical Hypotheses, Third Edition』(2005年刊行,Springer-Verlag[Springer Texts in Statistics], Berlin, xiv+786 pp., ISBN:978-0-387-98864-1 [hbk] / ISBN:978-1-4419-3178-8 [pbk] → 版元ページ)

J. Neyman の弟子だった Eric L. Lehmann は正統派のパラメトリック統計学本の系譜を保全し続け,実に半世紀に及ぶ本書の系譜からは姉妹本として下記の『点推定論』の傍系系列が派生した:

  • E. L. Lehmann『Theory of Point Estimation』(1983年刊行,John Wiley & Sons[Wiley Series in Probability and Mathematical Statistics], New York, xiv+506 pp., ISBN:0-471-05849-1)
  • E. L. Lehmann and G. Casella『Theory of Point Estimation, Second Edition』(1998年刊行,Springer-Verlag[Springer Texts in Statistics], Berlin, xxvi+590 pp., ISBN:978-0-387-98502-2 [hbk] / ISBN:978-1-4419-3130-6 [pbk] → 版元ページ)

この“単系統群”に関する著者自身による総括は下記の論考にまとめられている:E. L. Lehmann 1997. Testing Statistical Hypotheses: The Story of a Book. Statistical Science, 12(1): 48-52 → pdf. なお,著者による下記の自伝二冊には,統計学ワールド(結界)を形作ってきた先達たちのエピソードがふんだんに載っているようだ:

  • E. L. Lehmann『Reminiscences of a Statistician: The Company I Kept』(2008年刊行,Springer-Verlag, Berlin, xii+309 pp., 978-0-387-71596-4 [hbk] → 版元ページscribd
  • E. L. Lehmann『Fisher, Neyman, and the Creation of Classical Statistics』(2011年刊行,Springer-Verlag, Berlin, viii+115 pp., ISBN:978-1-4419-9499-8 [pbk] → 版元ページ

◆午後の高座は本郷で —— 正午の気温14.7度.ランチは〈おはん〉にて「まぐろ煮定食」をば.涼しい北東風に吹かれつついったん帰宅する.したくをすませて午後3時前につくばを出た.午後4時に根津着.少し時間があったので,安田講堂前で一休みしながら青空を流れる雲を眺める.さて,二週間のお休みののち,ひさしぶりに理学部の「生物統計学」の講義に向かう.今日は実験計画法の初回.いろいろなところで同じような内容の噺をしているので,混乱することがある.午後6時におしまい.外はもう真っ暗で気温はそれなりに下がってきた.午後8時前につくば着.見上げれば満月が暈にくるまれていた.霜月の名月の夜.

—— 明日は統計研修(基礎編)の最終日.午前中は計算機統計学,午後は質疑応答.その後,本郷にて飲み会.

◆本日の総歩数=5735歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.2kg(−0.8kg)/28.7%(+0.2%)


9 november 2011(水)※瞬間芸としての日帰り京都間往復

◆午前4時すぎ起床.気温7.7度と冷え込んできたのは予報通り.これからさらに下がるだろう.旅支度.朝イチで出撃する.けっきょく最低気温5.9度まで下がったようだ.及第点.しかし,ゆっくりしてはいられない.

◆夜明け前の出陣 —— 午前5時にはしたく完了.5:32のTX区間快速に乗る.外は晴れ.紅に染まる朝焼けののち,まぶしい朝日が車窓越しに照りつける.守谷を過ぎて,利根川に立ち込める川霧がただごとではない.7:00発の新幹線に乗る.いい天気で,まわりは早くも車中朝食タイムだ.ワタクシは静かに原稿を書くのみ.午前9時半に京都着.曇りところどころ晴れの空模様.ミッション始動.いつものように八条口からタクシーに乗る.

◆[欹耳袋]ここ十年ほどは,方々から辞書項目執筆の仕事を引き受ける機会が多かった.とくに,学会の記念事業としての辞書づくりを立案するケースが頻発している.御祝儀饅頭みたいで芸がないと思うのだが,日本人は辞書が好きなのだろうか.字数の差はあるが,書くべき中核的内容にさほど大きなちがいはないので,同一執筆者が手がけるかぎり,「似てしまう」のはしかたがない.かつて,静岡大にいた阿部勝巳さんといっしょに「百科事典の恐竜解説文のテキスト系譜」を調べようというウラ企画がかつてあった.阿部さんが集めた範囲の資料によれば,かなりきれいな系統関係があるらしい.しかし,その後,彼が交通事故で亡くなり,立ち消えになってしまった.たとえ個々の項目内容が同一であっても,項目の取捨選択や編成方針で差別化することもできただろう.しかし,複数の辞書がほぼ同じ項目リストを挙げていることがわかって,そういう「免罪符」は通用しないことを悟った.日本の[紙の]辞書の場合,「本」としての形式の制約(字数制限とか物理的分量)が収斂しているので,新奇性がなかなか打ち出せないのかもしれない.Stanford Encyclopedia of Philosophy みたいな字数無制限のオンライン百科がいいなあ.

◆ミッションすんで日が暮れる —— いったん京都に入ると立て続けに┣┣" が襲来する.今日も午後まで洛南の地をあちこち飛び回り(タクシーで),作戦遂行に励む.本日のミッションが終了した夕方,北白川の〈ガケ書房〉に出没し探書,その後〈にしむら酒店〉を経由して,〈ひつじ〉でドーナツをゲット,そのまま京都駅に直行し,午後5時すぎの新幹線に乗る.即睡魔降臨.午後9時につくば着.

◆[蒐書日誌]ガケ書房にてゲット —— 中島俊郎『オックスフォード古書修行:書物が語るイギリス文化史』(2011年9月28日刊行,NTT出版,東京,xvi+230+8 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-7571-4280-0 → 版元ページ).読みはじめたばかりだが,これもひとつの蒐書日誌.冒頭の図書オークションの話がおもしろかった.同じくオックスフォードでの本に埋もれた滞在記:小川百合『英国オックスフォードで学ぶということ:今もなお豊かに時が積もる街』(2004年1月20日刊行,講談社,東京,314 pp., 本体価格1,700円,ISBN: 4-06-212219-7 → 版元ページ)もとてもおもしろい本だった.歴史のあるボードリアン図書館の“時の重み”についてはどちらの本でも触れられている.

◆明日はまた高座のお仕事.午前は数理統計研修でのR講習,午後は本郷で三週間ぶりの生物統計学.

◆本日の総歩数=9050歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.0kg(+0.2kg)/28.5%(+0.6%)


8 november 2011(火)※立冬の明け方は冷たい雨に濡れる

◆午前4時半起床.雨がぱらぱら降っている.気温は12.3度.じわじわ染み入るような冷え込み方.夜明け前から日録をものしている.午前6時,やっと明るくなってきたが,まだ雨は降り続いているようだ.気温11.6度.所内成績検討会の日程調整連絡メールがまわってきた.そろそろ年度末のじたばたが始まる予感がする.

◆[欹耳袋]Togetter -「平川秀幸氏と菊池誠氏によるラトゥールに関する対話」.そういえば,「サイエンス・ウォーズ」って十年ほど前はホットな話題だったな.

◆数理統計研修(基礎編)二日目 —— 正午前にやっと午後の統計研修のしたくが終わった.配布用USBに必要なR関連ひとそろいを格納.Rの更新と同調して,Rcmdr や mgcv などパッケージがどんどんアップデートされているので,その追っかけがもうたいへん.事務局の話では,大震災の影響もあって,今年の都道府県農試からの受講応募は例年よりも少なかったそうだ.さもありなん.逆に言えば,せっかくつくばに集まってもらったからにはできるだけ多くの収穫を得た上で,本務地に帰っていただきたいと願っている.

今日のお勤めは午後1時から「実験計画法」の高座.例年通りの出し物だ.おそらく昨日午後の講義でかなりの死亡者が出たはずなので,明日は蘇生処置をきっちりやらないと講義室がモルグと化してしまうだろう.イントロは,確率分布曼荼羅を参照しつつ,正規分布を中心とするパラメトリック統計学の鳥瞰.その後,一要因の完全無作為化法と乱塊法の説明とデモ.あいまに,木曜のR実習用のファイル一式を各自の Win PC にコピーしてもらった.今年のOS比は「7」が多いのは当然だが,「XP」も同じくらい多く,「Vista」は絶滅危惧だった.最後に,要因間の交互作用の話をして午後4時の定時におしまい.そろそろ疲れが出てくるころだ.

思い起こせば,ワタクシがこの統計研修の講義を初めて担当したのは,入省した翌年秋の1990年11月のことだった.担当科目は「実験計画法I,II,III,演習」と「クラスター分析とその応」.当時はSASを用いての演習だったことを記憶している(Rは影も形もなかった).そのときからかれこれもう22年の歳月が流れているとはねー.そろそろ後継の「統計噺家」を育てることを考えた方がいいかもしれない.“ファカルティ・ディベロップメント(FD)”は組織的ではなく,個人的にやるしかないということだ.

独法研究所に“FD”という言葉は無縁だ.大学ならばもともと「教える」ことが本務なので,教壇に立って講義をするスキルのある人材には事欠かないだろうし,FDの動機づけが日常的にあるだろう.しかし,独法研究所では,「教える」ことは職務として求められていないし,また個々の研究者が教育のスキルを鍛える機会は大学に比べて有意に少ない.学会発表などで研究成果を発表することと,研修や講習で人前に立つこととは大きなちがいがあるはずだが,独法研究所にいるとそれを実感として知る機会がなかなか得られないということ.だから,毎年われわれが行なっている統計研修のような場を持続させるためには,一本釣りのようにして後継者を育成していく必要があるということ.

—— ワタクシが,方々での高座のスライド・ハンドアウト・映像などをできるだけ公開しているのは,そのためでもある.

◆[欹耳袋]最新版の R-2.14.0 で,library() が「名前空間のロードが失敗しました」というエラーを吐くようになったのは仕様変更があったということね.なるほど. /でもやっぱりそれでは困るなあ.今日も講義中にabind パッケージが「名前空間」魔界に落ちてしまったー.R-2.14.0 はこういう講習ではまだ使えないなあ.枯れ方が足りない.腹が立つのは,そういうときにかぎって Mac OS X 版だけがドツボに落ちて,Windows 版がちゃんと動くという理不尽さ.

◆午後5時前,いきなりすとんと暗くなったのであわてて撤収.空にはぼやけた月が浮かんでいた.夕餉はポトフなので常陸野ネストビールXHを仕入れに,Q't の〈やまや〉へ直行.ふと気がつけば,センター広場の冬のイルミネーションが点灯していた.つくば中心部の冬の風物詩だが,雪のように真っ白な電飾なので,見上げるたびにいつも寒さが身に染みる.これから北風が強くなってくると,さらに Right-on も雪景色ネオンも加わるので,よけい寒々しく見える.

◆明日は,いきなり京都往復の緊急ミッションだ.統計研修の隙間に日帰り往復することになろうとは予想していなかった.今日の最高気温は正午過ぎの16.1度だった.午後になっても冷たい空気が心地よかった.すでに10度を下回っているので,明日の未明はかなり冷え込むだろう.

◆本日の総歩数=7651歩[うち「しっかり歩数」1256歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.8kg(+0.6kg)/27.9%(−0.7%)


7 november 2011(月)※数理統計研修の初日は空高く青空

◆いつも通り午前4時半起床.曇り.午前5時の気温14.9度で冷え込みまるでなし.今日の予想最高気温は20度を越えるらしいので,半袖着用決定.最低気温がどうであれ,最高気温(と湿度)で服装は決まる.今朝の最低気温は14.8度までしか下がらなかった.曇りのち霧のち青空の観音台.さて,朝イチの雑用┣┣" 撃ちの開始.

◆早朝のあたふた┣┣" 撃ち —— やば……Rの mgcv パッケージが死んでる〜.再ダウンロードしてもダメ.こりゃバージョンアップされるまで待つしかないか.旧バージョンは問題なかったのになあ.Windows 版のRだと複数バージョンを併存できるので,新旧の使い回しが自由にできるのだが,Mac OS X 版は完全に置換されてしまうので,こういうトラブル発生時にどうしようもなくなる.確認したら,Mac のだけ死んでいて,Win のは大丈夫であることが判明したので,今日のお座敷には二台持参するしかないみたい…….

◆[欹耳袋]特定波長の音域だけが増幅される進化的由来が気になる:読売新聞「あのキーキー音、ゾクッとする理由は…」(2011年11月5日).

◆数理統計研修(基礎編)初日 —— 午前10時過ぎ,暖かく晴れわたる実験圃場沿いにつくば事務所までてくてく歩く.大半の畑や田圃はすでに刈り取られていて冬支度に入っている.今日の高座は十時半から「統計学概論」.すでに開講式などセレモニーは済んでいて,受講生はプレゼンテーション室に集まっている.いつものように統計曼荼羅を皮切りに概論をば.Rのデモも定番メニュー.最後に「分散」のお話をして正午におしまい.みなさん,がんばってサバイバルしてください.正午の気温は20.8度.秋の日射しがさんさんと降り注ぎ,ほんとうに半袖を着てきてよかった.再び圃場を通って農環研へ戻る.居室の窓は全開放,扇風機をぶんぶんまわし,アイスコーヒーを飲む半袖のワタクシ.今はいったい何月だろうか?

◆[欹耳袋]小学生高学年のころから「鉛筆」をすべて捨てて,「シャーペン」のみの文字生活を送っていまる.市販のシャーペンは「0.5ミリ芯」が標準だが,筆圧が強いせいか,それでは書きづらくてどうしようもない.芯の濃さは「2B」以上,太さの最低ラインは「0.7ミリ」だが,速記を勉強していた関係で「0.9ミリ以上」の太さがのぞましい.しかも太軸じゃないとグリップがきかない.いま使っているシャーペンを芯の太さ順に列挙してみる.

  1. 【0.9mm】常用しているのはプラチナが出している「速記用PRESS MAN(MPS-200)」.200円/本という安価にして緩衝システム付きというコストパフォーマンスの良さは驚異的.もうちょっと太軸だったらいいのに.
  2. 【0.9mm】いくら「メカニカル・ペンシル」だからといって,過度に“機械っぽい”のは趣味ではない.たとえば OHTO の「製図用SUPERPROMECHA(PM-1500P)」は,メカ度があまりに高いせいで,ワタクシ的にはイマイチだった.
  3. 【1.3mm】ぺんてる「マークシートシャープ(AM13-B)」も常用している.重さ的にはこれくらいがいいかな.Bの芯が太くてとても書きやすい.
  4. 【1.4mm】Faber Castell の太軸「エモーション」.芯の回転繰り出しとその極太さは速記向き.木軸のものを愛用している.
  5. 【2.0mm】STAEDTLER の「製図用シャープペンシル 925 25-20」.メタリックで重みがある.4Bの芯を入れて使っている.ただ,メカ度がちょい高すぎて好きになりきれない.
  6. 【3.15mm】芯がもっと太くなると「シャープペンシル」ではなく「芯ホルダー」と呼ぶことを最近になって初めて知った.Faber Castell の芯ホルダー「TK9400」 には「6B」の3.15ミリ芯を入れている.本体は軽量でも芯がずっしり重い.書き心地よし.曼荼羅お絵描き用.
  7. 【5mm】昔,日本橋に丸善があった頃に文房具コーナーの片隅で買ったメーカー名も品番もわからないナゾのシャーペン(「Made in Japan」とは書かれている).芯の太さは5ミリもある真っ黒な寸詰まりフォルムで,ずっしりと重みがある.替芯も念のため買ったが,その後,どこの店でも再会したことがない.曼荼羅の下絵デッサン用に重宝している.

—— 要するに,ワタクシは文具オタクなのかもしれないな…….

◆夕焼けをゆっくり鑑賞する間もなく,すとんと日が落ちて暗くなってしまった.今日は統計研修初日が無事に終わった打ち上げに,鯖江の加藤吉平商店の看板銘柄〈〉のヌーボーを夕餉に開栓することに自分会議で即決.今年の新米で醸された新酒で,純米吟醸「しぼりたて初雪(生原酒)」.米は五百万石.アルコール度数は18度もある.フレッシュな味わいで,微炭酸がキリっと効いていて,これはかなり急速に酔いが回るキケン極まりない新酒だ.温野菜の酒粕ディップ添えを肴にして飲み続けたのも一因かも.ワインだけでなく,日本酒のヌーボーも出始める季節になった.

◆明日の統計研修では,午後いっぱい「実験計画法」を講義することになっている.すでに十分すぎるほど場慣れはしているが,念のためRのデモがちゃんと動くかどうかという一点だけちゃんと確認しておくことにしよう.

◆本日の総歩数=6540歩[うち「しっかり歩数」3016歩/29分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.2kg(−1.5kg)/28.6%(+0.8%)


6 november 2011(日)※週末京都ミッション後はよれよれ

◆前夜,早寝しすぎたせいか.午前3時半に目が覚めてしまった.しかたがないので,日録をものしたり,本を読んだり,文献検索したり.前夜の雨はもう上がっているらしい.冷え込みはまるでなく,気温は18度台で話にならない.ぬるくて湿った空気が流れる夜明け前の暗闇.外が明るくなってきたが,曇り空はなかなか晴れない.山から見下ろす遠景が霧がかかったように霞んでいるのは,空気中に水蒸気が多いせいか.本日のミッション始動までまだ時間があるうちに,遂行項目を確認しておこう.

◆[欹耳袋]昨日に続き,仮説検定に関連する総説論考をふたつメモクリップしておく:

  • Jeff Gill 1999. The Insignificance of Null Hypothesis Significance Testing. Political Research Quarterly, 52(3): 647-674 → Jstor | pdf
  • Douglas H. Johnson 1999 The Insignificance of Statistical Significance Testing. The Journal of Wildlife Management, 63(3): 763-772 → Jstor | html | pdf

このふたつは,政治学と野生生物管理というまったく畑違いのジャーナルであるにもかかわらず,論文タイトルが酷似している.しかも同年の出版だから,みごとな「収斂」と言うしかない〜.Johnson の総説はいたるところで引用されまくりだから有名だが,Gill の論考は古典的な「仮説検定」の世界観を知る上で便利だった.

◆週末ミッション後半戦 —— 午前10時過ぎにミッション始動.雨は止んでいるのだが,蒸し蒸ししたいやな空模様で長袖が暑苦しくてしかたがない.午後4時過ぎにやっと作戦終了.再び雨が降りだした.小雨のそぼ降る夕方の京都駅にタクシーで乗りつけて,しばし休息のひととき.PORTAの〈イノダコーヒ〉にてついついフルーツパフェを注文したりする背徳の古都の夕暮れ.

◆[蒐書日誌]矢作勝美『明朝活字の美しさ:日本語をあらわす文字言語の歴史』(2011年11月下旬近刊,創元社,東京, 本体価格16,800円, ISBN:978-4-422-73027-1 → 版元ページ).大判のソフトカバーらしい.乱視がひどくなったせいか,お値段の「0」の数が多く見えるんだけど……(汗).まあ,若気?の至りで:府川充男(撰輯)『聚珍録(全3冊)』[第一篇 字體 1,096頁/第二篇 書體 1,168頁/第三篇 假名 1,072頁](2005年2月23日刊行,三省堂,本体価格45,000円,ISBN:978-4-385-36232-8 → 版元ページ図版データベース)を買ってしまったというかつての「暴挙」にくらべればかわいい出費かもしれない.

◆よれよれの帰還 —— 午後9時半,つくばに帰りついた.週末ミッションの完了後,新幹線車中爆睡の連続の末.夕方の京都は夕日がのぞく天候回復の途中だったが,夜の秋葉原は小雨がまだ降っていた.つくばセンターは雨上がりの濡れ濡れだった.

◆明日から二週間,筑波事務所にて毎年恒例の数理統計研修.例年通りたくさんの噺をしないといけない.そのしたくは……と言っても,すでに方々で実践を積んできたので何もしなくていいはずなんだけど,もっともアブナイのはバージョンアップした「R」だったりする! そのRだが,最新版R-2.14.0 for Mac OS X への更新作業を完了した.いつも通り Rcmdr を起動しようとすると,「nnet がダメ」とか「survival がアカン」とか果ては「Rcmdr 死んだ」とかあることないことクレームをつけてくる.そのつど,CRAN から該当パッケージをダウンロードしては叩き直す.毎度毎度,バージョンアップのたびにこのように「エンスト」するが,その対処法はもう身についてしまった.問題があるパーツをひとつひとつ置き換えていけばそのうちRは動いてくれるようになるというシンプルかつ楽観的なやり方.

◆とにかく今夜は寝よう寝よう.寝れば希望は展開する(ことになっている).

◆本日の総歩数=6914歩[うち「しっかり歩数」1448歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


5 november 2011(土)※小雨が降る洛南は論外の蒸し暑さ

◆いつもよりやや遅く,午前5時起床.朝焼けが鮮やかだった.最低気温は9.9度.天気は下り坂とのことだがその運命は甘んじて受け入れよう.

◆再び西へ —— 7:41発のTX区間快速で出発.車内はがらがら.都内はよく晴れて暖かかった.9:20発ののぞみ21号に乗る.車窓からの景色はよく晴れてぽかぽかと暖かそうに見えるが,西に行くにつれてしだいに曇ってきた.午前11時半に京都駅着.小雨が降って蒸し暑い.京都に来るたびに「暑い暑い」と言い続けている.さて,ミッション開始!

◆[蒐書日誌]ネイマン-ピアソン結界の暗黒を覗き込む車中 —— 本日の車内修行本: E. L. Lehmann『Testing Statistical Hypotheses』 (1959年刊行,John Wiley & Sons[Wiley Publications in Statistics], New York, xiv+349 pp.).この叢書はことのほかフォントが細かくて,新幹線の振動に乗って微細な添字が睡魔を呼び込みやすい.新幹線車中で「ごりごりの数理統計学本」を読んではならない.しかし,いったん「結界」に入ってしまったからには,もう逃げ出すことはできない…….まずは,ネイマン-ピアソン結界を守護している大論文の数々を列挙してみる:

  • Jerzy Neyman and Egon S. Pearson 1928a. On the Use and Interpretation of Certain Test Criteria for Purposes of Statistical Inference. Part I. Biometrika, 20A: 175-240 → Jstor
  • Jerzy Neyman and Egon S. Pearson 1928b. On the Use and Interpretation of Certain Test Criteria for Purposes of Statistical Inference. Part II. Biometrika, 20A: 263-94 → Jstor
  • Jerzy Neyman and Egon S. Pearson 1933a. On the Problem of the Most Efficient Test of Statistical Hypotheses. Philosophical Transactions of the the Royal Statistical Society, Series A, 231: 289-337 → Jstor | pdf
  • Jerzy Neyman and Egon S. Pearson 1933b. The Testing of Statistical Hypotheses in Relation to Probabilities a priori. Proceedings of the Cambridge Philosophical Society, 24: 492-510 → abstract
  • Jerzy Neyman and Egon S. Pearson 1936a. Contributions to the Theory of Testing Statistical Hypotheses. Statistical Research Memorandum, 1: 1-37
  • Jerzy Neyman and Egon S. Pearson 1936b. Sufficient Statistics and Uniformly Most Powerful Tests of Statistical Hypotheses. Statistical Research Memorandum, 1: 113-37

これじゃあ,ネイマン-ピアソン結界に入り込んだ初心者が一瞬にして「石」になってしまうのもムリはない.Lehmann 本はまるごと一冊,意思決定理論(decision theory)としてのネイマン-ピアソン結界の解説に当てている.そう,冒頭の第1章のタイトル「The General Decision Problem」が象徴しているように,ネイマン-ピアソン結界は「統計学は意思決定のための理論である」という前提のもとに築かれている.

The need for statistical analysis stems from the fact that the distribution of \( X \), and hence some aspect of the situation underlying the mathematical model, is not known. The consequence of such a lack of knowledge is uncertainty as to the best mode of behavior. To formalize this, suppose that a choice has to be made between a number of alternative actions. The observations, by providing information about the distribution from which they came, also provide guidance as to the best decision. The problem is to determine a rule which, for each set of values of the observations, specifies what decision should be taken. (p. 1: 下線みなか)

「最良の行動」あるいは「最善の決定」をするための手段が統計学であるとしつこいほど強調されている.興味深い点は,統計的な推論と意思決定が対置された上で,統計的推論を意思決定に取り込んでしまうという姿勢が明言されていることだ:

All the problems considered so far could be termed action problems. It was assumed in all of them that if \( \theta \) were known a unique correct decision would be available, that is, given any \( \theta \) there exists a unique \( d \) for which \( L(\theta,d)=0 \) [=loss]. However, not all statistical problems are so clear-cut. Frequently it is a question of providing a convenient summary of the data or indicating what information is available concerning the unknown parameter or distribution. This information will be used for guidance in various considerations but will not provide the sole basis for any specific decisions. In such cases the emphasis is on the inference rather than on the decision aspect of the problem, although formally it can still be considered a decision problem if the inferential statement itself is interpreted as the decision to be taken. (pp. 4-5: 下線みなか)

つまり,「意思決定」すなわち仮説検定に直結しない統計的な「推論」はあり得るだろうが,それもまた意思決定だとみなせばいいというかなり強圧的な見解である.通常の帰無仮説 vs. 対立仮説の二者択一的な「仮説検定(hypothesis testing)」を基本的な決定問題とするとき,その延長線上には複数の対立仮説を含む「多重決定(multiple-decision procedures)」の問題があり,さらにそのスペクトラムの果てにパラメーターの点推定(point estimation)という決定問題が位置すると著者はみなす(pp. 3-4).要するにすべては意思決定という枠組みの中で捉えられる.点推定ではない信頼集合(confidence set)の概念もまた本書では決定理論の中で展開されることになる.

—— パラメトリック統計学のこの天守閣をときどき見に行くと,新たな発見とともに彼我のギャップの大きさにくらくらすることがある.

◆[欹耳袋]Togetter -「君が出した有意差に意味はあるのか」.実にグッドタイミングなまとめ.久保師の言う「ゆーい差決戦主義」は根が深いなあ.

◆午後5時過ぎ,本日のミッションを終えた.終日しとしと雨が降り続き.気温も21度台のぬるぬるした蒸し暑さだった.やっぱり半袖を着てくるべきであったとまたしても後悔している.午後7時近くになって,遠くから花火の打ち上がる音が聞こえる.関東だと秋の花火大会はあるけど,霜月の洛南では聞いたことがない.そうか,城陽の花火大会でしたか:京都新聞「城陽初、11月に花火大会 地元JC30年記念で」(2011年10月27日).でも,7時半にはもう静かになったみたい.雨が降り続いているので早々に終わったのかな.しとしと雨はいっこうに上がる気配がない.いまの外気温は18.9度,閉めきった室内では21.9度もあって,とっても蒸し暑いんですけど.

◆うう,遠距離移動とミッション遂行で疲れたので,午後9時すぎには就寝.京都に帰ってくると睡眠時間が有意に長くなる.

◆本日の総歩数=4818歩[うち「しっかり歩数」662歩/10分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.7kg(0.0kg)/27.8%(+0.2%)


4 november 2011(金)※季節はずれの暖かさが続く金曜日

◆うう……,前夜かなり飲み過ぎたのだが,それでも午前4時半に起きようとする果敢なワタクシ.晴れ.早朝の最低気温は9.4度まで下がったのだが,その後するすると急上昇している.季節はずれのこの暖かさはいったいいつまで続くのだろうか.

◆[欹耳袋]ネイマン・ピアソン結界 —— 確かに Neyman-Pearson の枠組みは統計的検定の意思決定を「前もってお膳立て」することを根幹に置いている.大阪でのかつての興行:第52回日本生態学会自由集会〈データ解析で出会う統計的問題:検定かモデル選択か〉でのトーク:三中信宏「統計的検定:ネイマン-ピアソンの仮説検定ワールドから始まるモデル選択論のルーツ」は,まさにこのテーマを論じた高座だった( → 講演スライド pdf).そういえば,ここのところ統計学の講義でこういう「闇」の世界の話をぜんぜんしていないな.統計学に関わる科学哲学のトピックスはおもしろいネタなんだけど.

◆引きずる┣┣" 一頭 —— MBA 13 での「X11」トラブル問題.けっきょくインストール・ディスクから再度「X11」を入れ直して解決,というベタなチカラ技で復旧させた.起動後のふるまいが前とはちょっとちがっているみたいだが(「窓」が開かないとか,「Ctrl+Q」で quit できないとか),とりあえず Rcmdr が動くようになったのでこれでよしとしよう.もうヘソをまげないでね.

◆日射しが暖かい昼休みはしばし徘徊タイム.霜月とは思えない陽気で,午後1時前に本日の最高気温22.1度を記録した.長袖が暑いなあ.

◆[蒐書日誌]さくっと読了 —— 山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(2011年9月20日刊行,人文書院,京都,228 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-409-24092-2 → 目次版元ページ著者ブログ).いま話題の本.前半第1〜3章は,日本における著作権の法的な扱われ方(とくにそのきわだった「厳罰主義」の傾向)が,どのような“動力学”の中で決まっていったかを,諸外国との比較のもとに明快に論じている.続く第4章では,著作権に関わる法律の策定を方向付けた委員会の議事録を詳しく読み解きながら,著作権に関わる団体や業界の“動力学”のメカニズムをたどっている.長大な章だがとても興味深い.第5章では一転して,海外の水面下で広く流通している「海賊版」に焦点を当て,その功罪を論じる.「罪」だけではなく,「功」にも光を当てている点が目を引く.最後の第6章は全体の総括である.

現行の著作権法に対する著者の問題提起はとても明確である:

法治国家である以上,法を守ることは必要である.しかしそれと同時につぎのようなことを,常に問いつづけるべきである —— この法は公平なものか,法を定めた過程に間違いはなかったか,特定の勢力を必要以上に利するものではないか,と.(第1章「パクリはミカエルの天秤を傾けるか?」,p. 22)

第2章「それは権利の侵害です!?」では,「ひこにゃん」,「キャンディ♥キャンディ」,そして「宇宙戦艦ヤマト」など身近な事例を挙げながら,著作権の“侵害”が予想もしないかたちで身にふりかかる危険性(被害と加害の両方の意味で)を指摘する.この錯綜した権利関係のがんじがらめが現実であることを指摘する著者は,続く章でその成立を時間的にたどる作業に着手する.

第3章「法律を変えるひとびと」では,著作権法をつくってきた文化審議会著作権分科会の過去十年間にわたる活動を洗いなおし,どのような出自の委員たちがこの分科会を動かしてきたのかを探る.政府の委員会の議事録を読み解くというアプローチがどのような事実を解明できたかがポイントだ.続く第4章「ダウンロード違法化はどのようにして決まったのか」では,さらに詳細なケーススタディーとして,ダウンロード違法化という著作権法の改訂過程をたどる.本章の時系列的な叙述を読むと,委員会の議事録から逆に委員会でのやりとりを復元しているような印象を受ける.

第5章「海外の海賊版ソフトを考える」で説明されている海賊版の制作方法の詳細はかなりテクニカルである.むしろ,そのようにして大量につくられた海賊版が果たした意外な「効用」を著者は指摘しているのが興味深い:

確かに,日本の権利者は海賊版によって利潤最大化モデルが壊されることを嫌って,日本以外のアジア市場でのコンテンツ販売を避けてきた.その隙間を縫うように,日本製コンテンツの海賊版がアジアに蔓延した.それによって日本の権利者は経済的な打撃を受けただろうか? 現実はまったく逆である.海賊版によって日本製コンテンツへの需要が生まれ,それまで存在しなかった市場があらわれた.つまり,固定された市場サイズを前提にした単純なモデルでは海賊版が果たす経済的な役割を説明できないのである.海賊版には市場の創出・拡大という,経済学的にも見逃せない効用がある.しかし,海賊版撲滅を口にする権利者が,その効用を語ることはない.(p. 180)

“不法”な海賊版の蔓延による“経済的損失”を言い立てる著作権権利者が,積極的に著作権法を“改正”してきた経緯を論じてきた著者は,最後の第6章「著作権秩序はどう構築されるべきか」で,彼らの行動特性を次のように要約する:

権利者らの行動をみると,「被害の過大な見積もり」「強い保護だけ横並び」「権利を主張しないと損をするかもという疑心暗鬼」というみっつの傾向が観察される.(p. 200)

そのような権利者たちによる高圧的な「著作権保護キャンペーン」にまんまと乗せられてしまう前に,その“運動”の背景と動機が何なのかを問いかけるだけの冷静さと著作権リテラシーが“市民”側に必要だと著者は結ぶ.

しばらく前のことだが,著作権法が厳しくなったときに,「4分33秒,沈黙していたら JASRAC が著作権料を徴収に飛んで来るぞ」と冗談を言い合ったときがあった.本書を読めば,それがあながち誇張ではないことを読者は痛感するだろう.日本の〈ミカエルの天秤〉はそれくらいバイアスがかかっているということだ.

◆さて,この週末はまたしても京都ミッションのため上洛する.雨が降りそうな気配だが,それよりも気温が気になる.今日の京都は26度台の夏日だったらしい.季節はずれの半袖を再動員しないといけないのか.

◆本日の総歩数=6513歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.7kg(+1.3kg)/27.6%(−0.5%)


3 november 2011(木)※文化の日は文化的にひたすら飲む

◆いつも通り,午前4時半起床.世間的には「文化の日」なのだが,玉川大学の辞書に「休日」ということばは載っていない.平常営業で講義があるので,朝早く出発しないといけない.しかし,みんなが休んでいるのでいまひとつリキが入らず.

◆[欹耳袋]思索の森と空の群青「励まされもした。私がしたいと思っていることをしてもいいんだ、と——「科学」編集部編『科学者の本棚』」(2011年10月28日).本書:「科学」編集部(編)『科学者の本棚:『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで』(2011年9月27日刊行,岩波書店,東京, x+264 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-00-005212-2 → 書評版元ページ目次など追加情報)が好意的に評されているようでよかった.

◆出撃の朝は早い —— 7:58発のTX快速に乗る.春霞がかかったような晴れ方は霜月にはふさわしくない.休日なので当然のごとく車内は空きまくり.ダイヤもほぼ順調で,10時前に玉川学園前に着いた.キャンパスは晴れて暖かく,気温はすでに19度台に達している.ひょっとして夏日になるのかな.講師控え室でゆるゆるすごす.文化の日も平日営業の玉川学園ではあるが,週末にかけて開催される〈コスモス祭〉に向けて全力疾走するらしい.キャンパス内がそこはかとなく躁状態なのはそのせいか.明日から準備が始まる.今日の分子進化系統学の高座では,形質状態法に基づく系統推定の手始めに最節約法の解説をした.祖先復元と樹形推定.関連して,系統樹探索の組合せ論的問題と探索方法(完全枚挙法・分枝限定法・発見探索法)についても話した.午後1時前におしまい.コスモス祭,頑張ってください.

◆[系統樹思考]本日の反響:Ami Express「」(2011年11月3日).研究環境に「懐」や「糊しろ」が少なくなってくると,諸方面で余裕がなくなってくる.世知辛いいまの状況だと,黙っていればそういう〝あそび〟の部分が削られる一方なので,研究者ひとりひとりが積極的に創っていく必要があるだろう.個人的には,大々的に「租界」をつくるのではなく,小さな「キャレル」あるいは「シェルター」が方々に点在している方が有効ではないかと思う.しかも,コッソリつくるのが愉しみになったりする.

◆[分類思考]本日の残響:MASH UPファンブログ「同一性の判定」(2011年6月29日).同一性などという形而上学的にやっかいな問題が石ころのように転がっているのが分類という営為のコワいところ.

◆[欹耳袋]F. James Rohlf「Peter Sneath (1923-2011)」morphmet(2 Nov. 2011).Joe Felsensteinは,UPGMA clustering のルーツについて,「Robert Sokal は 1953 年にそれを考案したと言っているが,論文発表は Jim Rohlf (1962) が最初で Peter Sneath と同年」とコメントしている.しかし,Michener and Sokal 1957 とか Sokal and Michener 1958 が UPGMA の初出だと思う(要確認).

◆文化の日 樽生ギネスを 昼間から —— 世間的には文化の日でお休みなのに,あえてお座敷のお勤めを果たしたので,文化的にビールを飲んでも後ろ指はさされないにちがいない.そう自分を納得させつつ真っ昼間から飲みはじめたのはよかったのだが,しだいにエスカレートしてしまってですねぇ…….まずは,ギネスと Weißwurst から始まり,その後,さんざん飲み食いして,ふと気がつけば,もう日が変わろうかという深夜に帰宅とあいなったしだいで.こりゃもう超背徳な悪行としか言いようがない.

◆本日の総歩数=8581歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=92.4kg(−0.7kg)/28.1%(−0.3%)


2 november 2011(水)※天高く晴れ渡る観音台は散策日和

◆午前4時半前起床.昨日よりは冷え込んでいるらしい夜明け前.今朝の最低気温は6.6度まで下がった.早朝の観音台は雲ひとつない快晴.午前8時には気温は11度まで上がってきた.日中は夏日くらいまで暑くなるとのことだが,空気が乾いているので快適な一日になるだろう.BGMは S. Kuijken のバッハ無伴奏Vnを.

◆朝の┣┣" 撃ちよろめく —— かなり重要な連絡事項のメールなんだけど,メール検索してもなかなかヒットしないとはどーいうことか.思いつくキーワードを入れてもなかなかたどり着けない.マーカーとしての検索キーワードにはぜひオランダ語(みたいなマイナー言語)を含めてほしい(西夏語でもいいけど).

◆MacBook Air 「X11」の災厄 —— いきなり MacBook Air の X11 システム起動しなくなってしまった.X11 という親亀がこけると Rcmdr という子亀もこけてしまうのでとても困る(orz).なんべんトライしても,「X11 のバージョンがずれてるぞ」というエラーメッセージが戻ってくるだけ:「Incompatible library version: libXfont.1.dylib requires version 13.0.0 or later, but libfreetype.6.dylib provides version 10.0.0」.この機会にいろいろと教えてもらって勉強する:

  1. ある記事「Beginning OS X 10.5/インフラ整備編」を見ると,「OS X 10.5 に添付の X11 (X11 2.0) には多数のバグとセキュリティホールが存在するため、最新版にアップデートする必要がある」と書かれている.ううむ,蟲かぁ.
  2. これはもう X11 をアップデートするしかないかー.ということで Xquartz project から Snow Leopard 用の XQuartz-2.6.3.dmg をダウンロードしてきたが,インストールしても症状は変わらず…….
  3. Apple Support Communityの記事「After installing security update 2011-006, X11 no longer starts」にまったく同じ症状への対処が書かれていますとツイッターで教えてもらった.お,これは朗報.Macports なるもので何とかなる,と.
  4. さっそく,その Macports をインストールしようとしたら,「Xcode がありまへんがな」とあっさり門前払い.あ,前もって Xcode をインストールしないと Macports はインストールできないのか.さらなるドロヌマへずぶずぶ…….
  5. うー.MBA のインストール・ディスクから Xcode をインストールするのが先決かあ.Cf:「教授でもできるgcc (C compiler)や Xcode (ソフト開発環境)のinstallation」 &「Xcode Tools のインストール」←イマココ(一休み中)

—— というか,なんでこんなじゃまくさいことになってしまったのか.普遍的な「症状」ならまだしも,MBA 13 だけで発症し,同時平行で使っている MBA 11 ではまったく発症していないというのは理不尽だ.どーして MBA 13 だけがドツボにハマったのか原因不明.とりあえずは X11 が MBA 11 で動いているかぎり高座に支障はないのでいいんだけど,いつ同じ病気になるかわからないのは不安だし…….はいはい,Xcode ね,はいはい.

◆[蒐書日誌]いつの間にか単行本続刊が出ていた —— 伊藤悠『シュトヘル・第3巻』(2010年8月4日刊行,小学館,東京,ISBN:978-4-09-182529-2 → 版元ページ),『シュトヘル・第4巻』(2011年5月3日刊行,小学館,東京,ISBN:978-4-09-183866-7 → 版元ページ),『シュトヘル・第5巻』(2011年11月2日刊行,小学館,東京,ISBN:978-4-09-184212-1 → 版元ページ).既刊の第1,2巻はすでにずっと前から手元にある(→ 全巻構成書誌情報).西夏文字のマンガがこんなに長く続くとは信じられない!

◆とても天気がいいから昼休みは周辺徘徊しましょーかねー.快晴の昼休みは最高気温が21.7度に達した.南風が心地よい.農環研の周辺を小一時間徘徊した.集落のそこかしこでたわわに実った柿の実が鮮やかに色づいていた.

◆昼下がりの┣┣" 撃ち —— 辞書初校ゲラ┣┣" が7頭,非常勤講師書類┣┣" が2頭,同時に漂着した.東大理学部の来年度人事書類の提出完了.やっぱり,所内ガルーンは使いづらいなあ…….いったん入れば必ず「情報迷子」になる.大挙して押し寄せた辞書ゲラ校正┣┣" は,大きな修正箇所が見当たらなかったので,とっとと全員お引き取りいただいた.

◆今夜の夕食は,ふと思い立って「つけめん」を食べようと,すぐ近くにある〈活龍・竹園店〉に馳せ参じた.初めて入った店だが前評判はかなり前から聞いていた.最近の流行だろうか,写真を見てのとおり,さぬきうどんを髣髴とさせる太くて腰のある,しかも黒っぽい麺.とてもラーメン店とは思えない.つけ汁は魚の濃厚な出汁の味(魚粉もかなり入っているようだ).普通盛りが300グラムだがもうそれでお腹いっぱい.しかも,写真ではわからないが,つけ汁の底にはチャーシューの塊が地雷のごとくごろごろ転がっている.大盛りになると麺が1.5倍の450グラムもあるという.あまりのボリュームにメニューを見ただけですごすごと敗退した.大盛りで食べる体力がもうない自分がちょっとさみしいなあ…….つくばだったら,〈麺や武蒼〉,〈麺や蒼AOI〉,そして〈活龍〉はみんな同じ傾向の極太濃厚つけめんだ.それに負けるようではいけないんだけど…….

◆明日は「文化の日」で世間的には休日なのだが,玉川大学には通用しなかった…….いつも通り講義がある.

◆本日の総歩数=8016歩[うち「しっかり歩数」3943歩/41分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.1kg(0.0kg)/28.4%(−0.2%)


1 november 2011(火)※霜月なのに冷え込まない夜明け前

◆午前4時半前に起床.昨日の朝よりは寒いが,それでも10度をやや下回る程度で,霜月の始まりにしてはややぬるすぎるかも.北寄りの微風.今朝はよく晴れて朝焼けが鮮やかだった.最低気温は午前6時前の7.9度.朝から快晴の観音台は空気が爽快.午前8時の気温は13.0度まで上がってきた.今日は良き一日になりそう.居室のBGMは Steve Reich の〈Sextet〉.とりわけ第5楽章は聴くたびに必ずノリノリになれるので,気分は落ち込み気味の方はぜひどーぞ!:Steve Reich - Sextet: 1st & 2nd movement / 3rd, 4th & 5th movement

◆霜月の┣┣" 撃ちは朝っぱらから —— 今月の┣┣" 撃ちカレンダーを記入した.下旬に大分湯煙道中とナゴヤ味噌煮込み出張が連続している(もちろんその合間に京都ミッション指令も).これからどんどん寒くなるだろうから,もっていく服装に注意しないと体調を崩すことになりそう./今月から年末までのすべての「不在届」類を提出完了.内訳は:出張伺6件+兼業願3件+年休届3件.これで計17日間は合法的につくば不在となる.二ヶ月間の平均不在率は17/(20+19)=0.447.うん,まあこんなもんでしょ./来週火曜に開催される毎年恒例「収穫祭」の参加費をやっと払った./慶應義塾大学教養研究センター講座〈生命の教養学:成長〉での噺は,2012年4月13日(金)13:00〜14:30@日吉キャンパスで確定した.東京農大の講義日程がかなり心配だが,ダブルブッキングになったら休講ということにしよう.

◆[欹耳袋]Excel for Mac でのセル内改行法 —— エクセル書類で文書整形するたびに必要な小ワザ:「option + command + return」.そうそう,でもすぐ忘れてしまう.※覚える気がないから./ターミナル使用時の便利ツール —— 〈cdto〉: Finder Toolbar app to open the current directory in the Terminal for Mac OS X.

◆真っ昼間の┣┣" 撃ち —— 今月末のナゴヤ高座:名古屋大学大学院情報科学研究科「科学哲学をつくる会」のイベントは,初日11月26日(土)午後に,勁草書房から出る(はずの)文化系統学本に関するワークショップ.翌11月27日(日)9:00〜14:00はワタクシの集中講義「新しい科学哲学」.二階の事務から「『つくる会』からの依頼出張を受けますか?」と念押しメール.「新しい歴史教科書を〜」ではなく「科学哲学を〜」ですから問題なし,と返信した.前世紀末のことだが,『しんぶん赤旗』の取材を受けたとき,帰り際に記者さんが「みなかさんのお名前を記事に出してもいいでしょうか? 公務員の方に取材すると『実名はちょっと……』と拒否されることがあるので」と確認されたことがある.ウニタ書舗に並ぶような新左翼系雑誌なら別ですが,『赤旗』はごくふつうの新聞ですよとそのときは答えたのだが,心証を悪くしてしまったかな?

◆[欹耳袋]最新版 R-2.14.0 のバイナリーが CRAN から公開された(Win / Mac / Linux).大きなバージョンアップに際しては既存のパッケージとの相性とかいろいろ問題が生じることがあるので,今年の研修や講義ではひとつ前の R-2.13.2 を使い続けることにしよう.

◆午後も┣┣" 撃ちは続く —— さて,国内出張の「宿」と「足」の確保をしようかな.それにしても,JR東日本〈えきねっと〉のチケット予約システムは耐えられないほど使いにくい.初回の登録をちくちく完了させたものの,検索してもエラーが返ってくるばかりで時間のムダ.こんなことだったら,近所のJTBトラベランド窓口の方が比べ物にならないほど効率的だ.とりあえず,大分湯煙巡業の「宿」と「足(フライト)」は確保できた.信州師走高座の「宿」はすでに確定している.しかし,それに先立つナゴヤ大喜利の「宿」をまだ決めていない./年末調整の書類が届いた.締切は11月11日(金)./進化学会の分類学会連合への分担金支払については関係者に転送しておしまい./東大理学部「生物統計学」の試験はレポートにすると返信./大分湯煙巡業のシラバス確認と旅程を担当者に連絡する.

◆[蒐書日誌]遅ればせながら現物をやっと取り寄せた —— クレインス・フレデリック,クレインス桂子『中級オランダ語 : 表現と練習(CD付)』(2011年5月30日刊行,白水社,東京,186 pp.,本体価格3,000円, ISBN:978-4-560-08563-9 → 版元ページ).前著:クレインス桂子,クレインス・フレデリック,河崎靖『オランダ語の基礎:文法と練習(CD付)』(2004年4月20日刊行,白水社,東京,241 pp., 本体価格2,800円,ISBN:4-560-00638-5 → 版元ページ)はオランダ語の文法項目を中心に手堅く体系立てられていた.一方,続編である本書は,長めの文章を例題にして読解力・表現力のアップを目指している.写真がたくさん載っていて楽しい.学部時代にたまたまオランダ語を勉強しはじめてから,今にいたるまでいろいろなチャンスを得ることができた.将来にわたって,オランダに実際に滞在する予定はいまのところまったくないが,マイナーだが汎世界的なこの言語への関心は尽きない.

◆[欹耳袋]本を買ったらオビやカバージャケットをすぐ捨てて“まるはだか”にして読むと明言していたのは確か椎名誠だった記憶がある.ワタクシも本を買ったらカバーやオビはすぐにはずすが,捨てるわけではない.読了したらまた巻き直すためにとっておくということ.かなり前のことだが,農環研の図書室に納品された公費購入本を登録のために持参したら,目の前でカバージャケットをぐしゃぐしゃに丸めて捨てられたことがある.他人の書いた本だが気分的に痛かった.ライブラリアン的には本の「本体」さえあれば,あとはなくてもいいものかもしれないが,著者的(あるいは編集者的もしくは装丁者的)にはそれらの附属物は,本体の“延長表現型”と見なしてもらわなければ困ることがある.たとえば,ワタクシの『系統樹思考の世界』や『分類思考の世界』はカバージャケットのウラ側に“隠し絵”が配置されていて本文と照応している.また,新書にしてはものすごく大きな(しかもカラフルな)オビを巻いているのも正当な意味がある.んなわけで,自著を農環研図書室に献本するときは,「カバージャケットとオビは廃棄しないでね」と必ずクギを刺すようにしている.

◆午後5時前に撤収.今日も穏やかで鮮やかな夕暮れだった.空には太くなった三日月が輝いている.夜は王祿の「丈径」が空っぽになった.

◆本日の総歩数=2506歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=93.1kg(−0.2kg)/28.6%(−0.4%)


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[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集