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日録2011年1月 


31 januari 2011(月)※大分湯煙高座の初日は湯疲れか

早朝はとても静かだった.夜明け前から露天風呂に入る.昨夜からの積雪に冷やされた未明の冷気の中,熱湯の源泉はあっという間に冷えてしまう.雪はもう止んでいるようだが,路面凍結がやや心配.昨日は湯布院方面の高速道が降雪で閉鎖されたこともあるし.午前8時過ぎ,県庁の研修担当者・金澤さんが〈神和苑〉の玄関まで自家用車で迎えに来てくれた.一路,大分市内の県庁に向かう.高速道の閉鎖が続いているらしく,下の道が激混みだった.

◆大分湯煙巡業の初日 —— 午前9時過ぎに県庁到着.雪舞う昨日とは一転して,今日は朝から好天になった.今回企画された大分県農林水産研究センター主催「数理統計基礎研修」の会場は大分県庁の新館九階にある「OAプラザ」という名前のパソコン実習室だ.県庁の上層階は日射しがさんさんと降り注ぐ.2008年の師走にもこの同じ部屋で統計研修を開催した.来る途中に聞いたところでは,大分県の農林水産研究機関はこの一二年の間に組織が大改革され,あわただしい状況だったという.大分県からつくばの統計研修への派遣がしばらく途絶えた理由もそこにあったようだ.

OAプラザにはすでに受講生が集まり始めていた.今回の参加者は20名弱とのこと.配布テキストが配られ,これから三日間の数理統計基礎研修のセットアップをする.Pocket WiFi は順調につながっている.昨夜からの雪が路面凍結して市内はそこかしこで渋滞しているらしく.開始時刻に間に合わない受講生もいるらしい.

定刻の午前9時半少し前に高座開始.挨拶や紹介ののち,さっそく統計学概論から.講義中 R 2.12.1 では三次元グラフの描画がうまくいかなかった.休憩後にソフトウェアのインストールをするが, R 2.11.1 を使うことに急遽決定.環境が Vista なのでこれ以上“不幸”を増やしたくない.幸いなことにRのインストールが大きな“不幸”もなく完了し,ランチタイムなう.みなさん,おつ〜.外はいい天気だー.

◆吹く風は冷たいが雲ひとつない快晴の大分県庁付近.初日のランチは県庁横にある郷土料理〈こつこつ庵〉にて「とり天定食」.大分に来て「とり天」を食べずに帰るのはルール違反. 鶏肉に衣をつけて揚げたシンプルな料理.市内のどこでも食べられる.かぼすをしぼり,辛子醤油のタレでいただく.唐揚げとはまたちがったさっくり感が好ましい.

◆さて,午後1時から統計研修の再開だ.箱ひげ図を用いたデータの可視化,確率変数・確率分布とパラメトリック統計学などなど,正規分布帝国の本丸に攻めこんでいく予定.R/Rコマンダー実習が随時はさまる.午後の講義は,箱ひげ図からはじまって,統計モデリング初歩へ進み,今はパラメトリック統計学の参道入口.確率変数と確率分布に誘いこもうとしている.Rコマンダーが大活躍.確率分布の講義と実習はなお続く.RcmdrPlugin.TeachingDemos のバージョンが古いと警告が出るものの,鉄壁の大分県庁ガードが堅くて,抜け道からアップデーターをダウンロードでほぼみんなシアワセになれた.そろそろ初日の疲労が表面化しつつある.パラメトリック統計学の講義と実習だん.正規分布について話しまくる.休憩後,Rの環境設定について解説して,明日の研修につなげる予定.

◆今日の大分中心部は雪が舞うこともなく夜も静かだった.一方,はるか東方のつくばは今朝の最低気温が実にマイナス8.0度だったという.わたくしは中央町のいわし専門店〈いなせ〉でいわし各種料理を食べつくした.どこにいっても焼酎しかない文化圏で,日本酒の銘柄が豊富なのはハッピー.「鰯の刺身」.シンプルに新鮮.かぼすがどんな料理にもついてくるのはオオイタ的.店内は大分弁が公用語.「鰯の姿寿司」.おいしいよぉ〜.

◆[欹耳袋]〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の第3回連載記事「三次元系統樹のもつ新たなヴィジュアル性」が公開された.

◆本日の総歩数=2751歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=未計測/未計測


30 januari 2011(日)※別府へ飛んだら一面に積もる雪

◆午前5時前起床.気温はマイナス2.7度.旅支度はなお続くのだった.朝焼けグラデーションなう.日に日に夜明けが早くなっているのがわかる.今日の最低気温は午前7時のマイナス3.3度だった.快晴.着替えやパソコン機材,そして高座の資料などを詰め込んだスーツケースはずっしり重い.

◆[欹耳袋]作家ウラジーミル・ナボコフの蝶類分類 —— ナボコフが作家になる前にプロの昆虫分類学者としての経歴があることは,『分類思考の世界』の第9章「ナボコフの“ブルース”」にも書いたが,プロの蝶類学者としても活動したナボコフについての再評価が下記の論文でなされている:Roger Vila et al. Phylogeny and palaeoecology of Polyommatus blue butterflies show Beringia was a climate-regulated gateway to the New World. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, published online before print on January 26, 2011, doi: 10.1098/rspb.2010.2213 (full / pdf).ついでにニューヨークタイムズの解説記事も:Carl Zimmer, Nonfiction: Nabokov Theory on Butterfly Evolution Is Vindicated. The New York Times, 25 January 2011.

◆飛んだ大分はとんだ雪景色 —— 荷物を抱えて 9:17 発のTX区間快速に乗る.空はすっきり快晴だ.浜松町からモノレールに乗って羽田空港第二ターミナルに着いたのは午前11時過ぎ.荷物を預けて身軽になった.12:40発の「ANA3793」便で大分空港に飛び立った.機内放送で大分は雪が降っていると言う.大げさなことをとタカをくくっていたのだが,実際に着いてみたら大粒の雪が舞っている.ウソじゃなかったんだ.空港から高速バスに乗って別府市内へ.海際にある別府観光港でいったん下車してから,さらにタクシーで山麓をのぼっていく.

鉄輪温泉の中心部を通り過ぎてやっと目的地に到着した.今日は鉄輪温泉街のもっとも上にある〈山荘・神和苑〉に泊まることになっている.〈海地獄〉に隣接する敷地は広大で,和風の本館の周囲の斜面には散策路が張り巡らされている.夕暮れの鉄輪温泉街を見下ろしているうちに,雪はしだいに本降りになってきた.積もる積もる.

夕食前,淡青色の温泉露天風呂で予期せず雪見風呂を決め込んだが,しだいに寒くなってきた.夕食後はゆっくりと.明日からは大分県庁で三日連続の高座を担当しなければならない.ここまでくればあとは気力と体力だけが頼りだ.

◆本日の総歩数=4257歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.計測値(前回比)=未計測/未計測


29 januari 2011(土)※現実逃避と成績評定が綯い交ぜ

◆午前5時前起床.気温マイナス1.4度と冷え込みは緩い.昨日はついスライドづくりに現実逃避的にのめりこんでしまったが,今日こそは玉川の成績評価を終えるつもり.東大「生物統計学」のレポートも届き始めた.こちらは2月1日(火)が締切りだ.めずらしく曇り空のせいか,朝の気温はマイナス1.9度までしか下がらず.昨夜遅くの方がもっと寒かった.

◆現実逃避の午前 —— 昨日から現実逃避的スライドづくりをさらにねちねちと進めてプラス10枚.これで九大のウラ高座「分類思考と系統樹思考:多様性のパターン分析について」の紙芝居は全部で151枚に膨れ上がった.pdfにして180MB近くあるというのは画像が多すぎるせいかも.噺の構成は下記の通り:

  1. 知識の体系化を目指す体系学(分類思考・系統樹思考・進化思考)
  2. 分類は系統の「断面」である(Rodrigues, Lam, Fürbringer, WALRUS)
  3. オブジェクト非依存の体系学(生命の樹の図像学と非生命体系統学)
  4. 事例:伝承写本の系統推定論(種の起源ツリー,カンタベリー物語,百鬼夜行絵巻)
  5. 体系学的な「パターン」分析(パターン推論の認識論的基盤と認知心理学)

—— 九大高座のカリキュラムを掲載して〈租界R〉の更新をしないといけないな.

◆朝は曇り空だったが,午前9時には青空が見えてきた.その後は晴れたり曇ったりとはっきりしない空模様が続く.ごそごそしているうちにもう夕方.午後5時過ぎにあわてて夕闇の農環研に向かう.是が非でも玉川大学の成績評定にケリつけないといけない.出席日数を横目にレポートをチェックする.午後7時過ぎ,ようやく玉川大学の成績評価が終わった.だんだん気温が下がってきて,午後6時にすでにプラス3.3度になっている.これにて農環研を撤収し,教務システムからオンライン成績登録する.午後10時過ぎ,玉川大学「分子系統進化学」の成績オンライン入力と評価確定.巡業高座に出発する前に大┣┣" 一頭を仕留めることができてよかったよかった.

◆本日の総歩数=5242歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=91.6kg(−0.4kg)/29.1%(+0.5%)


28 januari 2011(金)※韋駄天を演じるには重量が超過

◆午前5時前起床.気温マイナス5.2度.今朝は冷え込みがいちだんと厳しい.夜明けはまだだ.午前6時に最低気温マイナス5.5度.澄み切った空には太めの三日月が浮かんでいた.朝焼けグラデーションの午前7時.気温はマイナス2.7度.露地には霜がまっ白に降りていた.朝イチで牧園〈david pain〉にて「苺のタルト」をゲットした.春先の季節もので週末限定.氷点下の乾燥した晴天が広がる観音台.

◆┣┣" 撃ち予定 —— 今日は締切が迫っている玉川大の成績評定とオンライン報告をまとめてすませるのが先決.大分湯煙高座のしたくはほぼ終わっているが,ベイズ高座の補足が必要か./東京農大昆研から連絡あり.卒論発表会と追いコンは2月26日(土)とのこと.さっそく幹事さんに出席の連絡をすませた./玉川大学から分子系統進化学の出席集計の連絡あり.これで実際の作業に移れる./歯科検診の日程変更をすませた.

◆[欹耳袋]昨夜初めて飲んだビールは,スコットランドの醸造元〈Brewdog〉のドラフトビール「Punk IPA」だった.スコットランドのビール自体いままで飲んだ経験がなかったが,きっちり苦み走ったおそるべきビールだった.朝になって気がついたら,リュックサックの中に同じ醸造元の「Tokyo」が一本突っ込まれていた.いったん蒸留されてアルコール度数は実に「18.2度」もある! こんなとんでもないビールをいったいいつ飲めばいいんだぁ?

◆今月末からの二週間は九州とのピストン往復が続く —— 日曜から大分湯煙旅に出かけるが,その翌週はまたしても博多に出向く.泊まるのは博多でも,実際のお座敷は九大・伊都キャンパスだ.六本松の旧キャンパスから移転した後,まだ一度も行ったことがない.話を聴くかぎり“ものすごく”遠いように感じてしまう.ホテルは中洲のど真ん中なので,ほんとうに“ものすごく”遠かったら困ってしまう.しかし,確認したところでは,伊都キャンパスは e-mobile がちゃんと受信できるエリアに入っているそうだ.すばらしい.また,昼食会では浜の牡蠣小屋で新鮮なカキをたっぷり食べましょうねとA谷准教授は言っている.すばらしすぎる.夜の懇親会も予定されているという.ヴンダーバール! ワタクシは飯を喰いにはるばる伊都までに行くわけではないのだが,どうもありがとうございます.

今回の九州大学・比較社会文化研究科の集中講義〈データ解析概論〉のカリキュラムは以下のように予定されている:

  • 2月8日(火)
    • 13:00〜14:30 統計学概論(統計学的な「ものの見方」)
    • 15:00〜16:00 R/Rcmdrのインストールとパッケージ動作確認
    • 16:00〜17:00 データ解析は視覚化に始まり視覚化に終わる
  • 2月9日(水)
    • 09:30〜11:00 確率変数・確率分布とパラメトリック統計理論
    • 11:00〜12:00 はじめに「ばらつき」ありき:偏差・平方和・分散
    • 13:00〜15:00 実験計画法と分散分析;多重比較;線形モデル
  • 2月10日(木)
    • 09:30〜10:45 モデル選択論;一般化線形モデルへの拡張
    • 10:45〜12:00 共分散と相関係数;多変量パラメトリック分布
    • 13:00〜15:00 リサンプリング計算統計学と多変量解析
    • 15:30〜17:00 ベイズ統計学とベイジアンMCMC/質疑応答
講義内容は,大分での統計研修と同じく,ほぼ決まった「定食メニュー」だが,九大の場合,受講生が持参するパソコンがどのようなものかが事前にまったく把握できない.Windows もあれば Mac や Linux もあるかも.Rをはじめソフトウェアのインストールで手間取るかもしれない.前の週の大分研修は Windows Vista で統一されているので,“不幸”になるときはタイタニック沈没のごとく,全員が奈落の底に落ちることになる.

—— 今回の九州高座では,二日目の夕方,2月9日(水)16:00〜18:00に,サテライト・セミナー:三中信宏 「分類思考と系統樹思考:多様性のパターン分析について」を開催する.会場は九大・伊都キャンパス某所.セミナー終了後は引き続き闇夜の黒ミサが予定されている.イノチ知らずは参加自由.開催詳細は後ほど蝙蝠が知らせにくることになっている.

◆北風吹く昼休み —— 相変わらず快晴の青空が広がっている,しかし,北風が強くて風速はいま6メートルもある.居室の窓越しに外からびょーびょーと北風の吹きつける音が聞こえる.気温は5.5度だが体感気温は昨日よりもずっと低そう.昼休みの歩き読み徘徊はやめようかな.午後もあちこちで┣┣" 叩きに余念がない.そうか,ワタクシは Mendeley にも入っていたんだ.ずーっと放置している SNS があまりに多すぎてどうしようもない.Social Networking の趣旨からはずれまくっている.

◆九大での別枠セミナー開催が決まったので,ついスライドをつくりはじめたのが運の尽き.午後いっぱいかけて40枚ほど新規につくっているうちに夕日が沈む時間になってしまった.スライドの入れ替え作業と台本づくりで小一時間.全部で140枚もあれば二時間の高座は大丈夫だろうとやっと一息つけばもう外は真っ暗だ.撤収〜.

◆本日の総歩数=3462歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=92.0kg(−0.2kg)/28.6%(−0.3%)


27 januari 2011(木)※性懲りもなく冬晴れ都内を徘徊

◆午前4時半起床.気温マイナス3.6度.午前5時の気温はマイナス5.1度.昨夜の午後8時過ぎ,つくばの竹園あたりでは雪が舞っていたとの目撃情報あり,ぜんぜん気づかなかったけどガセじゃないのね? 午前7時,朝焼けグラデーション.今日も乾燥した冬晴れになるだろう.静電気飛びまくり.最低気温マイナス5.1度.朝のカフェオレを淹れているところ.〈david pain〉のバゲット準備.今日は東大農学部の専攻修士論文発表会が朝からある.つくばで┣┣" 撃ちしたのち本郷に出撃する予定.夕方からは発表会打ち上げの専攻交流会あり.玉川大学からのレポートがぱらぱらと着弾する.「分子系統進化学」のレポート提出締切は今日です! お忘れなく.

◆SNSの使い道 —— 先日,琉球大学の知人から誘われて LinkedIn のアカウントを取った.LinkedIn や Facebook には mixi とか twitter とはぜんぜんちがう動機づけあるいは文化的背景があるのだろうと思う.日本人的には「壁」があるかな.同窓会つながりとか同級生つながりに利用するのは違和感ないが,異業種交流の名刺交換会みたいな風になるといささか抵抗感がある.同窓会的な微温 SNS としてであれば,あまり「がつがつ」した雰囲気はなくなる.活性は低いけれども長続きはしそう.twitter は匿名アカウントだと「異業種交流」はありえても「名刺交換」にはならない.仮面舞踏会みたいな感じになってしまう.

それにしても,輸入物の SNS が「友だちとつながれ」と街宣車並みに言い立てるのはいささか辟易する.農環研にも LinkedIn アカウントをもっている研究者が数名いるようなので,試しに招待状を送ってみたら,「所内でお会いしたことないですがいいんでしょうか?」と逆に訊き返されてしまった.そんなに悩まなくてもいいんですよ.

◆午前の┣┣" 撃ちはエンドレス —— 常盤台への特定記録郵便の返送完了./玉川大学へ成績評定の集計に関する問い合わせをする.レポートは今日中に集まるけど,出欠の集計がとってもキビシいだからその点について確かめないと./計量生物学会の学会賞選考委員の委嘱についてイエスの返信をする./栃木県農試からの統計分析に関する質問に答える.重回帰分析でいけると思われます./来週の大分湯煙研修に持参する資料・参考書・スライド・ソフトウェアなどを確認./分会室からの電話で召還される./あいまに着弾する玉川大からのレポートへの受領メール返信.

—— あっという間にお昼前になってしまった.あわてて帰宅し,都内出撃の準備をする.日陰の路面がところどころ凍結しているところを見ると,夜のうちに雨または雪が降ったのではないかというアブダクションが成立する.

◆[蒐書日誌]古生物学の哲学 —— Derek Turner『Paleontology: A Philosophical Introduction』(2011年4月刊行予定,Cambridge University Press[Cambridge Introductions to Philosophy and Biology], Cambridge, ISBN:978-0521116374 [hbk] / ISBN:978-0521133326 [pbk]).とりあえず「買い物かご」にほうりこむ.版元ページはまだできていないようだ.同じ著者による前著:Derek Turner『Making Prehistory: Historical Science and the Scientific Realism Debate』(2007年7月刊行,Cambridge University Press[Cambridge Studies in Philosophy and Biology], Cambridge, ISBN:9780521875202 [hbk] → 版元ページ)も気になる本.

洋書の専門書の場合,同じ本のハードカバー版(hbk)とペーパーバック版(pbk)が出版されることがある.大学出版局の多くでは hbk と pbk が同時に出るのでフトコロ具合によって選べる.たいてい pbk は hbk の1/2〜1/3の値段で買えたりする.個人購入なら安い pbk を」と考えるのはリーズナブルだが,保存性を考えて,最近ではできるだけ hbk 版を買うようにこころがけている.場合によっては,hbk を先に出して,それが品薄になった頃に pbk を時間差で出版するというケースも多い.そのような場合でも hbk の方をわざわざ探して買ったりする.pbk の造本とくに「背」が崩壊して痛い目に遭ったことが過去に多々あるからだ.「電子本」という選択肢はパーソナルにはいまのところまったくないので,「紙」でできた“物体”としての「本」にこだわる.

◆冬晴れの本郷に実在する —— 12:55発のTX快速で東京へ.やや雲がかかる昼下がりの本郷・弥生キャンパスは北風が薄ら寒い.すでに朝早くから始まっている東大・専攻修士論文発表会の真っ最中.終了後の専攻交流会は午後6時からとのアナウンスが先ほど流された.今夜のお供物は筑後〈三井の寿〉の冬純米活性にごり酒「NeVe」だ.雪だるまのラベルがとってもかわいい.

—— 健全にも午後11時前につくば帰還.都内で呑んだくれていた間に,玉川大学からの分子進化系統学レポートがうずたかく積もっていた.受領メールをひとつひとつ出していたらあっという間に日が変わってしまった.燃え尽きる〜.

◆本日の総歩数=9806歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=92.2kg(0.0kg)/28.9%(−0.1%)


26 januari 2011(水)※今日こそ原稿書くぞと勇ましく

◆午前5時起床.気温マイナス4.3度ときびしく寒い.昨夜は寝落ちして変な時間に起きたので,睡眠リズムが狂ってしまった.昼間,成績評価&シラバス┣┣" どもと格闘したせいかな.今日こそは原稿┣┣" ちゃんたちとゆっくり遊ばないと.午前7時に今朝の最低気温マイナス5.2度をマークした.

◆朝の┣┣" 撃ち —— 玉川大学の次年度「分子進化系統学」の講義曜日と時間帯が今年度とまったく同一であることを _いま_ 確認したっ(汗).※教務の麻衣さん,お手数をおかけしました〜./発注した名刺は今日届くのかな./航空券(eチケット)の印刷をしておかないと.領収書もついでに./所内ガルーンから所外貢献報告書と次年度雇用計画書のフォーマットを確保すること.

◆[系統樹思考]本日の反響: 〈難波和彦+界工作舎〉から,『思想地図β』での拙稿に関連して,「2011年01月18日(火)」:“この指摘は、カントからレヴィ=ストロースに至る認識問題の根幹に関わっているし、アレグザンダーのツリーとセミラチスが実在するのかどうかという問題とも関係がある”/「2011年01月19日(水)」:“アレグザンダーの『都市はツリーではない』以来、建築界ではツリー的思考はきわめて低い評価しか与えられなくなった。……ツリーシステムの実在性を含めて、再度、検証してみる必要がありそうである ”/「2011年01月22日(土)」:“アレグザンダーの言うツリーとは、分類思考におけるネットワークの一種を意味し、本書で論じられている系統樹(ツリー)思考とは無関係である”/「2011年01月24日(月)」:“『分類思考の世界』は5章まで読み進むが、話があちこちに飛んで肝心な問題の核心に到達しない。系統樹思考が最初から要素相互の関係を問題にしているのに対して、分類思考では要素を確定することの方が問題になるために、要素相互の関係にまで話が進まないからである”

—— 『思想地図β・第1巻』が出て以来,「パターン・ランケージ」がらみの情報がアンテナによくひっかかるようになってきた.

◆今日も乾燥した快晴の青空が広がる.午前11時の気温は+6.4ど.北寄りの微風.今日は朝イチの〈david pain〉にてランチを確保した.昼休み,気温+8.1度と上がって,北風もなかったので畜草研飛地までひとまわり歩いてきた.日射しがぽかぽかと暖かく早くも早春の気配が.歩き読みのお供は:クロード・レヴィ=ストロース[川田順造訳]『ブラジルへの郷愁』(2010年10月25日刊行,中央公論新社,東京,336 pp.,ISBN:978-4-12-004158 → 版元ページ).さっくり読了.写真は多くを物語る.「ブラジルへの郷愁」というタイトルは,同時代の作曲家にしてダリウス・ミヨーの同名の曲にちなむものであることを知った.ミヨーはブラジル大使ポール・クローデルについて彼の国に外交官秘書として滞在したそうだ.

◆Mac OSX で「一太郎」文書を読むには? —— 「一太郎をインストールしなさい」は禁句(笑).さて,どういう大技小技があるだろうか.一太郎文書は現在でも事務方からときどき降ってくる(事務書類書式として).とうの昔に〈一太郎〉とはオサラバしているが,Windows 環境ならばジャストシステムが〈一太郎ビューア〉を無料配布しているので問題はない.最初,Mac OSX 環境では〈一太郎ビューア〉に相当するツールはまったくない,と思っていた.しかし同じジャストシステムが提供していた〈xfy client〉を利用すれば,Mac OSX(v. 10.4〜10.6)でも一太郎文書ファイルを読んだり印刷したりできた.しかし,たいへん残念なことに,昨年1月をもってジャストシステムはこの〈xfy client〉のフリー配布を停止してしまった(理由不明).したがって,現時点では Mac OSX で一太郎文書を読んだり印刷したりするツールは「ない」のではないだろうか.個人的には,一太郎による事務文書は「この世に存在しない」と認識しているので,事務方からそういう書類が送られてきても,その場ですべて廃棄しているので実害はまったくない(そんなものを送ってくる方がワルい).しかし,代替ツールがもしあるのなら知っておきたいなあ.なお,一年前まで配布されていた〈xfy Basic Edition〉on JAVA は Snow Leopard でもまったく問題なく一太郎文書を読んでくれます.もしどこかで入手できる機会があれば,ツールボックスに入れておくことをお勧めします.

◆東大農学部で担当している講義の「教職課程認定申請」に関する超重要資料が,農学部教務から夜陰に乗じてこともあろうに MS Outlook の「winmail.dat」でやってきた.邪悪なるものは定石通り〈TNEF's Enough〉で即座にエクソサイズ完了.文部科学省の文書フォーマットもこれまた微に入り細に入り事細かなこときわまりなし.来月2月21日までに教務に提出せよとのこと.

◆夕焼けグラデーション.今日の最高気温は午後3時の+9.1度だった.早春らしい暖かさを感じた.来週の大分湯煙高座と再来週の博多伊都遠征の大┣┣" たちがかなたに見える.午後5時過ぎにさくっと撤収.ここ数日,夕暮れの逢魔が時には居室にいないようにしている.

◆本日の総歩数=9728歩[うち「しっかり歩数」5860歩/52分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.2kg(0.0kg)/29.0%(+0.6%)


25 januari 2011(火)※大学業務┣┣" に憑依された日

◆午前4時半起床.気温マイナス1.5度.源泉徴収票が方々から舞い込む季節になった.確定申告の作業┣┣" が放牧場の地平線あたりに見え隠れしている.今日はあちらの原稿を仕上げることにしよう.たいていの場合,セルモーターをまわすのがもっともやっかい.思い立ったが吉日.

◆快晴の午前,大学業務┣┣" を次々と追いつめている —— 年度末の大学業務┣┣" 増殖関数はシンプルこの上ない:(レポート集計+成績評価+次年度シラバス登録)×出講大学数.今日中にあらかた撃ちつくす決意表明.教員による成績登録をウェブで行なうようになってからというもの,評点にはうるさいし,締切日は厳格だし,操作はめんどうだし,PCには怒られるし,と,シアワセからはほど遠くなっている.しかも,当然のことながら,大学ごとにウェブ成績登録システムの仕様が別々なので,そのつど地べたから使用マニュアルと首っ引きにならなければならない.某大学の教務システムがへんてこで挙動不審.ウェブ成績登録システムは,異様に部厚いマニュアルを読めと教員に要求している.同時に,シラバス作成マニュアルがあまりに微に入り細に入り言葉遣いにウルサいことを言うので,書く気が失せてしまった.手書きの人事応募書類を要求するとか,前からヤバい気配があったのだが,さぞかしなかのひとはたいへんだろうね.まあ,とりあえず放置しておこうかな〜.そういえば別の某大学でも,人事書類の業績分類が認知的にもありえないほど細かかったなあ.大学内部の雑用量を削減するにはサディスティックな「事務書類美学」に手を付けないことにははじまらないなと痛感したしだい.

—— とにもかくにも一頭ずつ仕留めるしかない.

◆名刺のオンライン発注システム —— 昨日,名刺をオンライン発注した〈マヒトデザイン〉から,時々刻々と進捗メールが届く.午前中に作成→印刷と進行との連絡があり,先ほど「発送した」とのメール.ありがとうございますと千葉方向におじぎをしつつ,こういう点に関してはいい時代になったなあと感じ入る.

名刺の版下がイラストレーターでつくってあるのなら,名刺印刷業者にオンライン発注するのがラクすぎてどうしようもない.とくにカラー印刷しなければ単価は安いし(たいてい数百円/100枚),しかも納品が迅速だ(即日納品もあり).いままではリアル印刷会社に版下原稿を持ち込んでは依頼していたのだが,今回考えを改めた.さらに,名刺業者にネット注文するときの版下ファイルは,のちのち修整や使い回しができる.最初だけは手間だが,次回以降はらくらく.京都・寺町二条の〈紙司柿本〉でも,名刺のオンライン注文を受け付けている(イラストレーターの版下ファイルを送ればいいらしい).

今回発注した名刺では,自分の所属は「農業環境技術研究所」のみを記した.下位の部署は今後の組織改編でどーなるかわからないし.ワタクシの場合はもともと兼業先が多いので,名刺の「肩書き」が積み重なって肩こりがひどい.できれば軽い肩書きの方が個人的には望ましいが,公的な名刺では肩こりはじっとがまんするしかない.私的な名刺を今度新しくつくるとしたら,オモテの肩書きは「噺し役」,ウラの肩書きは「聴き役」とすればいいかな.この店の和紙はお気に入りなので,プライベートな名刺はここに決めようかな.

◆昼休みは乾いた冬晴れ.気温は+7.7度だが,強い北風が吹きつけとても冷たい.さて〈おはん〉へ.今日は久しぶりの「まぐろ煮定食」をば.

◆1┣┣" を叩くと2┣┣" が飛び出すフシギ —— 午後になって文字通り乱れ撃ち状態になる:

  1. 東大理学部・生物統計学は,成績集計待機中&アンケート集計中(現物は返却完了).第2回レポートは2月1日締切.UT-mate での成績登録は2月15日締切のはず.
  2. 東大農学部・エコロジカルセイフティー学特論 I .すでに各教員からの成績評定は集まっていたので,集計した上で UT-mate からオンライン成績登録を確定させた.
  3. 東京農大「実験データー解析概論」の次年度シラバスを作成し,これまた農大の教務システムにオンライン登録完了.
  4. 横浜国大から大至急次年度の出講関連書類のチェックをせよとの御下命あり.さっそく人事書類をチェックして常盤台に返信する.
  5. 玉川大学の次年度シラバスをオンライン入力しようとしたら,先週のうちにシラバス登録期間が終わっていた件.あわてて玉川大学の農学部教務宛に次年度シラバスを送信した.教務から返信があり2月上旬のシラバス修整期間にオンライン入力せよとのこと.だいいち,次年度の出講日と時間帯がまだわからんぞ.
  6. 玉川大学の課題レポートは1月27日が締切で,教務システムでの成績登録は2月1日が締切.大分湯煙高座の真っ最中なので赤丸要注意だ.
  7. 横浜国大「統計道場」の成績集計┣┣" を土俵際に追いつめて土俵外に突き落とす.あとで常盤台宛に送らないと.
  8. 成績┣┣" とシラバス┣┣" にかまけていて,うっかり別件┣┣" が下流に流されていった.呼び戻すしかないか.あるいは追っかけるか.

—— 夕方にはまっ白に燃え尽きました,はい.

◆別件の┣┣" 一頭 —— 〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の第3回連載「三次元系統樹のもつ新たなヴィジュアル性」のゲラが届いたのでチェックして,即返信完了.第4回連載原稿は月末締切だ.半分は書けているので今回はラクかな.

◆[欹耳袋]ツイッターでの記号入力:〈Twitter Symbols〉 /Google Chrome 拡張機能でのツイッター記号入力:〈Twitter Symbols〉※記号だけではなく,いろんな文字が入力できるといいな.

◆午後5時前に早々に撤収する.今夜も冷え込みそうだ.夕食後,うっかり寝落ちしてしまい,気がついたら午後11時.最近こういう生活パターンが多いぞ.要注意.

◆本日の総歩数=4070歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.2kg(−0.1kg)/28.4%(−0.2%)


24 januari 2011(月)※平穏な週の始まりに津波の予感

◆午前4時半起床.いまは降っていないが路面が濡れている.その後,夜明け前に小雪が舞ったがすぐ止んだ.今朝の最低気温は+1.4度.氷点下にこそならなかったが,湿った冷気が骨身にこたえる.今週の前半三日間は農環研に実在する.

◆[欹耳袋]Traminer がもっとも祖先的なワイン用ブドウ品種とは知らなかった! —— New Scientist 記事「Wine family tree revealed」(2011年1月23日).元論文は:Sean Myles et al. 2011. Genetic structure and domestication history of the grape. PNAS, 18 January 2011, doi: 10.1073/pnas.1009363108 (→ pdf

◆[蒐書日誌]またしてもルルスか! —— Anita Traninger『Mühelose Wissenschaft: Lullismus und Rhetorik in den deutschsprachigen Ländern der Frühen Neuzeit』(2001年刊行,Wilhelm Fink Verlag[Humanistische Bibliothek Reihe I. Abhandlungen: Band 50], München, ISBN:978-3-7705-3579-8 → 目次版元ページ著者サイト).中世ドイツ語圏での「ルルス主義」の浸透を論じた本.ライムンドゥス・ルルスの教義は「記憶術」として中世に伝承され,さまざまな発展を遂げた.本書はこのルルス主義を知識の体系化を目指した一種の「科学」ととらえることにより,その浸透が文化史的に意味するところを考察する.

◆午前中はずっと曇っていたが,昼休みになってやっと晴れ間がのぞくようになった.しかし,筑波山は雲に隠れてまったく見えない.正午の気温はやっと5.1度まで上がってきた.

◆名刺づくりの昼下がり —— 配る名刺がこの半年ほどすっかり枯渇していたが,大分県庁に行くとなると用意するしかない.あわててイラストレーターを起動する段取りのワルさ.名刺名刺〜とイラストレーターをじたばたいじって,版下の組版をちくちく仕上げ,やっとこさアウトライン化を完了.完成した ai ファイルを名刺業者〈マヒトデザイン〉のオンライン発注システムに投げ込んだ.明日には発送されるだろう.モノクロ両面印刷300枚で1,900円弱という安さ! しかも納品が速いのがありがたい.

◆[蒐書日誌]すでに第三刷増刷が決定している:東浩紀(編)『思想地図β・第1巻』(2011年1月1日第一刷刊行|2011年1月15日第二刷刊行,コンテクチュアズ,東京,28+340+xvi pp.,本体価格2,300円,ISBN:978-4-9905243-0-2 → 詳細目次版元ページ正誤表)だが,午前の郵便で「第二刷」が着便しましたっ! /修正点一カ所:p. 223上段の引用文:「パターンなくして,プロセスなし」のページ指定「35」の縦中横を直してください.よろしくおねがいしま〜す.

◆ずーっと居室にいると新規┣┣" が次々に乱入してくる.晴れてはいるのだがなんだか曇り気味でパッとしない空模様のまま夕暮れを迎えた.うーむ積み上がる原稿を何とかしないと.┣┣" 〜,┣┣" 〜.※奈落の底から聞こえるのは幻聴か.

◆備忘メモ —— 2月7日(月)の歯科定期健診は延期する必要あり.福岡へのフライトに間に合わないかもしれないので./『生物科学』誌への投稿原稿の件./つくばで開催される〈The Second International Symposium of Biological Shape Analysis〉のサーキュラーが Pete Lestrel さんから送られてきた.開催日程は6月9日(木)〜11日(土)まで.要旨締切は5月6日.しかし,〈ラマル会〉の講演と日程(6月9日)が重なってるなあ……./常盤台から電話あり.来年もまた統計道場を開講せよとの御下命である(へへーっ)./3月21日(月)に東京アマデウス管弦楽団の第74回演奏会で〈復活〉が演奏されるという.場所は新宿文化センター大ホール.ただし,東京農大の卒業謝恩会があるので,これまたダブルブッキングになってしまうかなあ./東京農大の来年のシラバス登録は今月27日(木)までにとのこと.

◆午後5時の気温は5.5度.晴れ上がれば放射冷却できゅんと冷え込むだろう.本日は早めに農環研を撤収.

◆本日の総歩数=2755歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.3kg(+0.7kg)/28.6%(+0.9%)


23 januari 2011(日)※再起動し外をうろうろしてみる

◆午前4時半過ぎに起床.気温はマイナス4.3度だがさらに低下中.低温注意報が県下に発令されている.原稿書きます書きます〜.午前7時に最低気温マイナス5.1度を記録した.快晴.久しぶりに天久保の〈ブロートツァイト〉までパンの買出しに行く.店内では焼きたてパンの湿気でメガネがいっぺんに曇った.帰り道,筑波大学構内から松見公園そして中央公園にかけての池はどこも凍結していた.

◆[蒐書日誌]年明けてなおその勢いは衰えず驀走ちう —— 東浩紀(編)『思想地図β・第1巻』(2011年1月1日刊行,コンテクチュアズ,東京,28+340+xvi pp.,本体価格2,300円,ISBN:978-4-9905243-0-2 → 版元ページ正誤表).年明け後も順調に売れ続けているようで,すでに第三刷増刷が決定している.累計22,000部.サンプルページとして,いくつかの章のサンプルが pdf 公開された.

◆朝から昼過ぎまでは青空が広がっていたが,午後になってしだいに曇ってきた.昼下がりの気温は8〜9度台でけっして寒くないのだが,日射しがないのがちと物足りない.ついうとうとと昼寝落ちしてしまう午後3時.この週末はどうも本調子ではない.先週が連日都内を飛び回っていたから,そのツケがまわってきたのだと理解しよう.

◆[蒐書日誌]目次公開 —— 山口昌男『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(上)』(2010年11月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G245],東京,x+370 pp., 本体価格1,360円,ISBN:978-4-00-600245-9 → 目次版元ページ)/山口昌男『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(下)』(2010年12月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G246],東京,x+455+40 pp., 本体価格1,600円,ISBN:978-4-00-600246-6 → 目次版元ページ).目次をざっとブラウズするだけで,この濃密な著作の香りが漂ってくる.人名索引だけで25ページもあるって,文字通りの人海でしょ.上巻はすでに読み始めているが,人類学者・坪井正五郎の趣味人としての意外な側面が描かれていたりして興味深い.

◆夕暮れ時になっても曇り空なので,いつもの夕焼けグラデーションは鑑賞できなかった.天気予報で明日は曇り空から雪が降るようなことを言っていたが本当だろうか.でも,つい一週間前は確かに銀世界になったのであながちウソではないのかもしれない.

◆この一週間はめずらしくつくば実在率が高い.翌週からは大分湯煙高座と博多黒田節巡業というハードな2月を迎える.大学の成績評価(東大・玉川大・横浜国大)のあいまに原稿┣┣" を追い掛け回すことになる.時間管理や段取りのワルさは前から自覚しているのだが,定型的な仕事がぜんぜんないので,進捗がどうしても予測不能になる.これでもつくば不在率が高いので,本務地にいたならば毎日浴びたにちがいないさまざまなフォールアウトは全部“かけ流し”になっている.とにかく目の前の┣┣" を一頭ずつ撃ちながら一歩一歩進むしかないという諦観の境地に達している.

◆先日の農大セミナーで,一部の学生がもっとも萌えたのは「涼宮ハルヒ」の「派閥系統樹」だったそうな.たとえば「「ハルヒ好きだよ派」派閥系統樹」はいかが?(笑)

◆夜,ふと思い立って Mac OSX 10.6.6 用の pLaTeX + LaTeXiT をインストールした.今回はこのサイトを参考にさせていただきました(感謝): Taku Yamanaka's Home Page「教授でもできるMac OS X へのX11, LaTeX, Ghostview, gcc, g77, CERNLIBのインストレーションと環境設定」.それにしても,LaTeX のインストールにはいつもながら手間かかるねぇ.

◆本日の総歩数=6650歩[うち「しっかり歩数」6425歩/55分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=91.6kg(−0.7kg)/27.7%(−0.6%)


22 januari 2011(土)※のどかな週末は日向でうたた寝

◆午前5時前起床.気温マイナス0.8度.昨夜は欲も徳もなくぐわーっと寝てしまった.今年度の最終講義がすべて終わったので,これからは集中講義とか成績評価という次なるステージに移る.とりあえず向こう数日間は出張の予定なし.この週末は原稿┣┣" のお相手をするか.最低気温は午前7時のマイナス3.0度だった.連日の乾燥した冬晴れが続く.

◆系統樹つながり(備忘メモ) —— 昨日の農大セミナーでは,e-mobile でネット接続しながらの初高座を経験した.そのつど関係するサイトにつながるのはとても便利だ.壇上からツイッターもできるし.以下,セミナーの内容に関連するサイト情報など:

  1. 国際日本文化研究センター〈絵巻物データベース〉:昨日の高座でオーディエンスに見せたサイトのひとつが『百鬼夜行絵巻』を含むこのサイト.絵巻物の全体像が部分拡大で見られる快感.参考文献は以下のとおり:
    • 小松和彦『百鬼夜行絵巻の謎』(2008年12月21日刊行,集英社 [集英社新書ヴィジュアル版012V],東京, ISBN:978-4-08-720472-8 → 書評詳細目次版元ページ
    • 小松和彦(監修)『妖怪絵巻:日本の異界をのぞく』(2010年7月24日刊行,平凡社[別冊太陽・日本のこころ170],東京,160ページ,本体価格2,300円,ISBN:978-4-582-92170-0 → 版元ページ今日の平凡社
    なお,『百鬼夜行絵巻』の文献系図の推定に関する方法論の詳細は下記論文を参照されたい:山田奨治 2009.「百鬼夜行絵巻」編集の系譜――情報学からの解明.日本研究, 40: 103-128 → pdf
  2. Ben Fry〈On the Origin of Species: The Preservation of Favoured Traces〉:ダーウィン『種の起源』各版の異同の可視化: ※テキスト変遷がぜんぶ見える.
  3. チョーサー『カンタベリー物語』プロジェクト〈The Canterbury Tales Project〉: Nature 誌掲載の写本系図の論文 (→ pdf)も公開されている.
  4. Éric Lévénez〈Computer Languages History〉コンピューターのプログラミング言語系統樹(2500以上!)はすでに描かれている.しかも「絵巻物」のように部分拡大OKというすぐれもの.FORTRANが大祖先だったのか.
  5. 山本弘〈これが「棒の手紙」だ!〉.この「棒の手紙」に触発されてノベライズされた小説がある:折原一『チェーンレター』(2004年3月10日刊行,角川書店[角川ホラー文庫H100-1],430 pp.,ISBN:4-04-191905-3 → 情報
  6. 東西落語家系図〉:関東・関西の噺家の系統樹
  7. 三大漫画雑誌アシスタント系統樹〈週刊少年ジャンプ・アシスタント系統図〉/〈週刊少年マガジン・アシスタント系統図〉/〈週刊少年サンデー・アシスタント系統図
  8. オジギビト集会所〉:「オジギビト」の系統樹.必読文献はとり・みき『街角のオジギビト』(2007年1月25日刊行,筑摩書房,ISBN:9784480816542 → 目次書評).路上観察のついでに〈トマソン・リンク〉も.

—— 以上のようなサイトを講演中に見せたり参照したりできるのは e-mobile のおかげ.ありがたいありがたい.なお,昨日の農大セミナーには,日清食品が「チキンラーメン50周年」と銘打って2008年12月7日付の朝日新聞に出した全面広告「チキンラーメンの系統樹」を持参しようと思ったのだが,うっかり忘れてしまった…….

◆[蒐書日誌]吉川良太郎(作)・黒釜ナオ(画)『解剖医ハンター 1』(2009年11月13日刊行,徳間書店[リュウ・コミックス],東京,ISBN:978- 4-19-950151-7 → 版元ページ)/『解剖医ハンター 2』(2011年1月13日刊行,徳間書店[リュウ・コミックス],東京,ISBN:978- 4-19-950225-5 → 版元ページ).Togetter - 「『解剖医ハンター』おススメです!」 ※元本である:ウェンディ・ムーア(矢野真千子訳)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(2007年4月30日刊行, 河出書房新社, ISBN:9784309204765 → 書評目次)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』は良書だが,まさか徳間書店からコミックになって出版されていたとは知らなかった!

◆昼下がりに日溜まりでうつらうつらとお昼寝しているうちに,あっという間に夕暮れタイムになった.昨日までの反動でだらだらな土曜日だったが,日録三日分をようやく更新完了.外はもうすっかり真っ暗になっている.今夜は久々にザ・プレミアム・モルツを飲もうかな〜.〈ど〉の残りもあるんだけど.

—— 今日はけっきょく一歩も外に出なかった.固着生活.

◆本日の総歩数=0歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.3kg(+0.8kg)/28.3%(−0.5%)


21 januari 2011(金)※厚木の高座は真夜中から仕度を

◆午前零時半に起床し,真夜中の農環研に直行する.空高く満月がこうこうと輝いていた.気温はプラス2.0度と冷え込みはない.12時間後の農大(厚木)昆研セミナーの準備開始.ゼロからのしたくだ.InDesign CS4 と仲良くなる.午前3時,およそ10時間後の農大セミナーのスライドはなんとかストーリーが組み上がってきた.しかし,肝心のスライド作成はぜんぜん終わりそうにない.

明け方の誰もいない職場は仕事がはかどるね.廊下は真っ暗だし,同じフロアのどの部屋も人気がない.BGMかけ放題でパラダイス.仕事をするなら“おひとりさま”にかぎる.夜明け前にキーボードに向かっていると,しだいに文章表現がカゲキになってくるのは,きっと何か「いる」からだろうな.ちょうど『百鬼夜行絵巻』の文献系図に関するスライドをつくっていたりするし.アヤしすぎる.

午前6時の気温がプラス1.2度.ひょっとして氷点下にならなかったなら久しぶりのことだ.西の空低く,満月がまだ浮かんでいる.実に妖しい光景だなあ〜.午前7時,朝日を浴びる農林団地の木立.『カンタベリー物語』の文献系図スライド完了.ドーキンス『The Ancestor's Tale』えらいっ! さて,もうひとふんばりか.

—— 午前9時,スライドをちょうど百枚をつくり終え,ハンドアウト原稿を送信完了.これにて農環研を撤収する.

◆事故にもめげずに厚木へ到達 —— 今日も快晴の青空が頭上に広がっている.いったん帰宅してばたばたと仕度をすませ,10:55発のTX快速に乗る.ところが,思いもよらず小田急の代々木八幡での人身事故により上下線とも不通になっていた.幸い,代々木上原での乗り換えだったので,下りの快速急行はまもなく発車.しかし,下北沢で時間調整.ダイヤは乱れまくり.とりあえず経堂までたどり着いた,その先は相模大野行きの急行になるとのこと.成城学園前でまたしても時間調整停車.後続の新宿-経堂間は上下線とも完全に止まっているとの車内放送あり.いったん降ろされた相模大野のホームは激混み.小田原行きの急行に乗り換えたところで,小田急は全線開通したとの車内放送あり.予定よりも半時間遅れで本厚木駅に着いた.結果的に致命的な遅れはなかった,これから農大へ直行する.丘の上の厚木キャンパスは風もなく日射しが暖かかった.

◆東京農大・昆研セミナー:三中信宏「体系学的思考の世界:分類,系統,そして多様性」2011年1月21日(金)14:30〜16:30,東京農大(厚木),講義棟1204教室 —— 東京農大は研究棟よりも講義棟の方がずーーーっときれいだ.玉川学園よりも遠いのに厚木キャンパスではちゃんと電波柱が三本立っている.e-mobile は快調につながり,この分だとセミナー使えそう.もちろんツイッターも使えるが,演者本人がツイートするわけにはいかないので困ったなあ.割り当てられた教室は250人ほど入れる巨大なウツワで,どんどん聴衆が入ってくる.予想では70名ほど来るらしい.セミナー始まるよー.前半は系統樹百面相.世の中には系統樹が生えまくっているというおはなし.休憩後は文献系図学の話題を中心にして,系統推定法の収斂について話した.午後4時半,定刻にセミナーは無事終了.

セミナー後,場所を移して研究棟の形態系実験室にて学生さんたちが懇親会の仕度を始めている.ゼミ終わりの打ち上げを兼ねているとのこと.午後5時開始.つくばからは〈ど〉の一升瓶を持参したが,あっという間に空っぽになってしまった.約60人あまりの学生がいる巨大研究室なので一升瓶一本なんか瞬時にして消費される.農大・厚木キャンパスでは今の時期は構内でフユシャクが採集できるとのこと.旬の蛾がいながらにして採れるとはいい環境だ.

—— 午後7時に懇親会を抜けて帰路に着く.あまりにも健全なことに,午後10時前にはもうつくばセンター広場を歩いていた.「遠方の飲み会ほど早く帰宅する」という経験則はまたしても裏付けられてしまった.午前零時半の起床からほぼ22時間ずっと活動し続けたので,そろそろおねむタイムが近付いている.

◆本日の総歩数=6276歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝−|昼○|夜×.計測値(前回比)=91.5kg(−0.8kg)/28.8%(0.0%)


20 januari 2011(木)※では,おあとがよろしいようで

◆午前4時半起床.気温マイナス3.1度.連日,毎朝のきびしい寒さが身に染みる.空気は乾ききっていて喉によくない.

◆[欹耳袋]諸悪の根源 Microsoft Outlook のメール添付ファイル形式「winmail.dat」の呪文の解読法 − Mac の場合は〈TNEF's Enough〉を,Win なら〈fentun.exe〉をワタクシは使っている./FTPソフトウェアとして愛用しているファイル転送ツール〈RBrowser〉の新バージョン「ver. 4.6.1 (64bit version for Macos 10.6)」が昨年末に公開されていたのでさっそくダウンロード.しかし,実は昔の〈RBrowserLite〉をいまだに使い続けていたりする.

◆今年度最後の都内巡業日 —— 今日は都内巡業の日.玉川大学も東大も最後の講義日なので,それぞれ課題レポートを出すことになっている.代々木上原で乗り換え.快晴で心地良し.玉川大学「分子系統進化学」の最終講義.tpsTree による形態復元の分子系統樹をもちいた生物資源探索についての話をした.課題レポートについて説明した上で講義全体の総括.玉川大学への出講も初めてなら,集中講義ではなく定例講義として生物系統学を教えたのも初めてだった.受講生諸氏,たいへんお疲れさまでした.町田エリアは e-mobile の安全圏だったはずだが,玉川学園の丘陵地帯では電波が届いたり届かなかったり.講義中に使ってみようと思ったのだが,これでは使えそうにない.

◆[進化思考]旬刊『出版ニュース』の2011年1月下旬号に『進化思考の世界』の書評が載っているらしい.※農林団地だとどこで見られるのだろうか.寄稿したつながりがあるから編集部に頼むか./考えるきっかけを探し続けていきます!「系統樹思考,分類思考に続くものは?」(2011年1月18日)

◆冬の陽射しが暖かい本郷通りにて —— 玉川大学の講義を終え本郷に直行する.〈ルオー〉に漂着し淀むひととき.玉川学園では e-mobile は圏外だったが,本郷通りはさすがに電波柱が三本ばっちり立っている.セイロン風カレーをいただいて,メールを書いたり原稿をものしたりのひととき.朝の天気予報によると日中は寒いとのことだったが,風もなく日なたは暖かいほど.厚手のコートは脱皮したくなる.まだ〈ルオー〉に根を生やしている.さて,そろそろ旧・理学部一号館に向かうココロの準備をしようかな.午後4時半から,本郷での東大「生物統計学」の最後の授業が終わり,第二回レポート課題を出題してきた.力作の統計曼荼羅を期待していますぞ>受講生諸氏.東大の最終講義の出席票コメントに,二人の女子学生から『思想地図βを買いましたっ!』と書かれてあった.ありがとーありがとー.東大・本郷キャンパスでは理系女子も『思想地図β』を買っているのだ.

◆[欹耳袋]東大・駒場におられた濱田隆士さんが昨日亡くなられたとのこと./思わぬところから加圧されたぞ:ryamadaの遺伝学・遺伝統計学メモ「自主ゼミをするとしたら」(2011年1月18日)※岩波・形態測定学本はまだカゲもカタチもないんですけど……./ほー,こんなWikiがあるのか:〈有名人・芸能人のTwitterアカウントWiki〉の「教授・講師・教師・学者」ページ※あらら,知ってる名前がぞろぞろと./Togetter - 「『解剖医ハンター』おススメです!」※元本である:ウェンディ・ムーア(矢野真千子訳)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』(まとめて)(2007年4月30日刊行, 河出書房新社, ISBN:9784309204765 → 書評目次)『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』は良書だが,まさかコミックになっていたとは知らなかった!

◆今宵の満月は兎が跳ねている.しかし,明日の農大セミナーのしたくがぜんぜんできていない.夕食ののち午後9時にいったん寝ることにしよう.

◆本日の総歩数=5780歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=92.3kg(+0.1kg)/28.8%(−0.5%)


19 januari 2011(水)※冬晴れの本郷で乾いて干上がる

◆午前4時半起床.気温マイナス3.9度.昨夜は届いたばかりの Pocket WiFi を撫でていて夜更かししてしまった.なんだかコガネムシみたいな形状に笑った.年明け以来,PC周辺機器をいくつか買ったので電源コードやら接続ケーブルが増えて困る.中期計画の小課題報告書(五年分の総括)を読む夜明け前.朝焼けグラデーション.夜明け前の┣┣" 放牧場で蠢いているのは,某生物学辞典(第五版)と某進化学事典がらみの┣┣" ども十個体あまり.いずれも昨年から成長し続けている年越し┣┣" ばかり.放牧場の“風景”と化しつつあるが何とかしないとねー.朝日がまぶしい午前7時.今朝の最低気温はマイナス4.9度だった.相変わらず乾燥した快晴の青空が拡がっている.土曜ののぐっちゃん会は今年は欠席することにして幹事さんに通知完了(来年は出るからねー).

◆今日の午後は本郷にて東大の教員会議.その前に農環研に瞬間実在して┣┣" を何頭か征伐しないと.今日は東京出張なので農環研に来る義理はないんだけど,まあ高座のしたくもあるしなんのかんのでいま居室に実在している.外は冬晴れ.BGMは Gary Burton & Chick Corea の〈Crystal Silence〉など.明日の高座のハンドアウト・出席カード・課題レポート・データファイルはすべて準備完了.二校まとめてなので,“紙”の配布物だけで重いのなんの.データファイルを受講性に配るUSBメモリーも用意した.これで明日の前準備は大丈夫.問題は明後日の農大セミナーだ.

◆予期してはいたが,とあるレヴィアタンがいきなり St. Paul's 方面から降ってきた.この┣┣" の丸投げはヤバいです.即退治していいですか? 

◆[蒐書日誌]着弾本:Fernando Domínguez Reboiras, Pere Villalba Varneda und Peter Walter (Hrsg.)『Arbor scientiae: Der Baum des Wissens von Ramon Llull - Akten des Internationalen Kongresses aus Anlass des 40-jährigen Jubiläums des Raimundus-Lullus-Institutes der Universität Freiburg i. Br.』(2002年刊行,Brepols Publishers[Instrumenta Patristica et Mediaevalia: 42 (Subsidia Lulliana: 1)], Turnhout, vii+372 pp., ISBN:2-503-51215-1[hbk] → 目次版元ページ).年明け早々こういう妖しい論文集が着弾するとは幸先がいい.ライムンドゥス・ルルスの「知識の樹(arbor scientiae)」に焦点を絞った珍しい論文集.のちの中世に記憶術として開花するさまざまに観念のルーツが論じられている(に違いない).その構成はきわめて多言語的であって,ドイツ語・英語・イタリア語・スペイン語・カタロニア語の論文のあいまにラテン語が混ざっている.アタナシウス・キルヒャーの『エジプトのオイディプス』をひもといたときのようなくらくら感を覚える.仕事始めの日に居室の書棚を整理したおかげで,目の前にはこの「ライムンドゥス・ルルス」論集をはじめとして,「フィオーレのヨアキム」や「ジョルダーノ・ブルーノ」の図像学・記憶術の本とか,中世哲学マレンボン本などがそろい踏みして,すでにアンタッチャブルな“魔界”を形成しつつある.『中世思想原典集成』が全巻揃っているという時点ですでにアヤシさ極大なのだが,さらに膨れ上がりつつある.善哉善哉.

◆[系統樹思考]本日の反響:考えるきっかけを探し続けていきます!「ことばの系統樹」(2011年1月12日)

◆陽だまりの本郷へ —— 11:55発のTX快速にて東京へ.連日の乾いた冬晴れの空にも慣れっこになってきた.風は冷たいが日射しは暖かい.午後1時前に根津に着いた.午後1時から専攻教員会議.議題がたくさん湧いて出たので予想よりも長引いた教員会議と専攻会議.やっと終わったのはもう4時過ぎだった.日中さほど寒くなかったのは,北風が吹かなかったせいだろう.会議疲れはまだ鍛錬が足りないか? さしたる寄り道もせず,つくばに帰りついた.いつもなら筑波颪の出迎えがあるのだが,今日は夕方になってもぴりぴり寒くない.よしよし.

◆日経バイオテク記事「若手期待の最先端・次世代研究開発支援プログラム,採択者の年度内決定に暗雲,和田政務官が申請書の追加提出を示唆」(2011年1月18日付) —— この記事によると,内閣府政務官が「一般国民が読んで研究内容が分かるような書類の提出を,5600人全ての応募者に要請しようと考えている」と発言しているらしい.すでに遅れているこの期に及んで応募者全員に「誰にもわかる説明」を要求するというのは,それが若手研究者にもたらす影響を想像する力がないという証ですね.5600人分もの提出書類をいったいだれが読んでそれを判定するのか.その期間,応募者がどのような境遇に置かれるのか.ただのアホです.科学の成果には関心があっても,生きている人間としての科学者に目を向けないから,こういう発想が出てくる.はあ〜っ(「orz」)という徒労感ですね.科学の成果を一般に理解しやすく説明するにはスキルも熟練も必要なはず.すべての研究者にそれを求めるのはもともとムリだし,その任を本来担うはずのサイエンス・コミュニケーターという役割を軽く見ているということ.だって,全科学者にその能力があるのならSCなんか不要でしょ.サイエンスの内容を一般に伝える努力は必要です.ただし,その主語として「研究者本人が」という条件をつけるのは非現実的だろうとワタクシは考えます.研究者自身に一任してしまうとサイエンス・コミュニケーションが育つ場がなくなるでしょう.「自力で一般人にもわかる説明」という意味内容がとらえどころがないですね.一般人(あるいは国民)とは誰のことでしょう.ワタクシはその義務を通常の研究者に負わせるのは期待過剰だとみなしています.わかりやすい説明をするのは誰にでもできる容易なことではありません.

◆問わず語り —— ワタクシがペギオくんと最初に会ったのは,1986年に東北大で開催された日本古生物学会大会でのシンポジウムに招待講演者として呼ばれたとき.現・千葉県博の森田利仁さんとペギオくんがオーガナイザーだった.演者はワタクシと当時北大でぶいぶいいわしていた河田雅圭くん.河田くんの乗ったフェリー(苫小牧発)が遅れそうになってオーガナイザーがやきもきしたことを覚えている.そうそう,ペギオくんの講演は貝の模様パターン形成の話だったかな.ワタクシのは:三中信宏 「分岐分類学:系統再構成への道」という話題提供だった.いま過去のログを掘り起こしたところ証拠が出土した - 日本古生物学会1986年年会(シンポジウム「古生物の系統分類に関する諸問題」)講演予稿集, pp.11-12. (1986.1) ※むかしむかしのことでした.

◆んーん,明後日の農大セミナーのスライドがまだできていない件.困ったなあ.寝てみて考えよう.

◆本日の総歩数=6095歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.2kg(−0.6kg)/29.3%(+0.4%)


18 januari 2011(火)※朝から夜まで┣┣" の追っかけ

◆午前5時前起床.マイナス0.3度とビミョーな冷えこみ.朝焼けグラデーションとともに,午前6時には気温はマイナス2.5度と急降下.さらに放射冷却して,本日の最低気温は午前7時のマイナス4.4度だった.昨日は根津の専攻送別会でワインをだいぶ飲んだが,今日はいつもどおりの平日労働日.農環研に実在する.

◆朝から┣┣" 撃ち —— 源泉徴収票を経理に提出完了.年度末に追徴の嵐というのは寒風がさらに身にしみるなあ./来月ベルリンで開催される〈BioSystematics Berlin 2011〉の参加キャンセルを事務局に連絡完了.講演要旨はもう載ってしまってるんだけどなあ./昨年提出するはずだった科研費(新領域)の承諾書をうっかり年越しさせてしまっていたことに気がついて,あわてて事後処理に走り回る.承諾書に理事長印をもらえばすむはずが,参画理由書も出していないことを通知されさらにあわてる.一┣┣" を丸投げしたら二┣┣" に増えて戻されてきたようなものだ.いきなり増殖した┣┣" の対応に追われていたら,今度は先方からの参画依頼書の発行を天王台に依頼せよとの指令が下ってきた.増えた┣┣" からさらに孫┣┣" が派生するとは.それでも,元┣┣" と分裂派生した子┣┣" 二頭をまとめて退治完了.午前がつぶれてしまった.

◆[進化思考]『進化思考の世界』のまちがい箇所の指摘を受けた.どうもありがとうございます.ほかにもあまたの“蟲”がいまして.初版第一刷はどうしても「蟲の宝庫」になってしまうって…… orz.

◆[欹耳袋]手書き板書ツール(Mac OSX) —— Mac OSX で手書き入力可能な板書ソフトウェアはないのかなあ.Windows でいえば〈ZoomIt〉とか〈白板ソフト〉に相当するフリーウェアがなかなか見つからない.たとえば,〈Uniboard〉for Mac OSX というツールがある(→ ダウンロード).フリーウェアと有料版の両方が公開されているこの〈Uniboard〉は,手書き板書ツールとしては確かに使いやすそうだが,欲を言えば,完全透過ボードにできればいいのになあ.けっきょく,すなおに Rosetta をインストールして,定評のあるフリーウェア〈Magic Pen〉や〈ScribbleScreen〉を使った方が心安らかになれることがわかった.試用してみた感触では〈Magic Pen〉に軍配が上がりそう./Windows 環境限定だが,ちょうど WACOM のペンタブレット〈BAMBOO〉を使っているので,Windows PC 用の手書きツール〈てがきInk〉も使ってみることにした.探せばいろいろあるなあ.

◆午後も┣┣" 撃ち —— 正午をまわってしまった.午前から続く┣┣" 放牧場のお手入れをしていたら,別件の休眠┣┣" が目を覚ましてしまった! 天王台にメールを返す./Willi Hennig Society の「なかのひと」候補のエントリーシートをボストンに送信完了./大分“湯煙”出張の事務手続きに関するこまごまを完了./雲ひとつない青空が広がる昼下がりのティータイムはもらいものの「紫芋かるかん」とともに.気温は10度近くまで上がってきた.北風が身を切ることもなく快適な戸外.しかし幽閉は続く.

◆Pocket WiFi がやってきた —— 夜9時過ぎに宅急便が e-mobile の〈Pocket WiFi〉を届けにきた.これで方々に出かけるときも“つながる”ことができる.とりあえずバッテリー充電をしたり,取扱説明書を読んだりする.MacBook Air と DELL Inspiron mini のそれぞれに有線/無線での接続設定を完了.Pocket WiFi は,自宅で稼働中の AirMac Express に比べればもどかしい速さだが,その昔,電話線でインターネット接続していたころと比較すれば隔世の感あり.そういえば,海外出張するたびに,行く先々の国ごとに形状が異なるモデム・コネクターを書いそろえた「コレクション」があるけど,これどうしようか.現在はどこにいってもたいていLANが通っているので,国際電話でネット接続する機会はもうないだろう.

—— とりあえず,明日の東京出張で Pocket WiFi ちゃんの働きぶりを観察することにしよう.

◆本日の総歩数=3940歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.8kg(−0.2kg)/28.9%(+0.1%)


17 januari 2011(月)※宵闇の根津にて送別の宴に出席

◆午前4時前に起床.南東の空に明けの明星が輝く.未明の農環研の温度計はマイナス0.1度を指している.冷え込みはそれほどないのだが,西からの季節風が風速6メートルもあって体感温度が低すぎる.冬眠したい.ところどころ路面凍結しているので早朝の車の運転は要注意.

◆朝から┣┣" 撃ち —— 今月末の大分“湯煙”統計研修の打合せを大分県庁担当者とする.研修ハンドアウト類(pdf)を先方に送った.受講生への配布をよろしくお願いします.6時間×3日間というよくある集中講義だが,初めての受講生にとってはきついかもしれない.教える側は方々で集中講義をしているので,ノウハウとか時間配分についてはとくに懸念することはない.あるとしたら大分県庁OA実習室のパソコンが万人を不幸にする Vista 機であるという点だけだ(十分な懸念素材かも……).理想的には,OSごとアブリケーションをもちこむという究極の“骨髄移植”ありなのかもしれない.しかし,ワタクシの場合,“顧客”の計算環境(とくにOS)にあわせて「R」ワールドを個別につくることが多いので,毎回びくびくものだ.不幸になったときの対処のしかたもある程度は身に付いてきた.

◆北西からの季節風が吹き荒れる昼休み.圃場では裸地から巻き上げられた土煙が煙幕のように吹き流されていた.正午の気温は8度台でけっして低くはないのだが,体感気温が下がりすぎている.今日は外歩きにはつらい一日だ.玉川大学のレポート課題をつくり終えた.

◆午後も┣┣" 撃ち —— 一方向から加圧されては多方向に加圧する“ところてん”な昼下がり.気温は9.8度まで上がってきたが,筑波颪はいっこうに止む気配がない.ワタクシが原稿督促加圧をするなどまことにおこがましいのだが,編者というヒールな役回りとしてはいたしかたなし./金曜日の農大セミナー(厚木)のしたくを始めようかな.蟲屋たちを前にして文化系統学がちょうだいしたお題だが,高座スライドの総入れ替え欲望が亢進中.

◆日暮れて根津へ —— いったん農環研を撤収し,17:07発のTX快速に乗る.夕闇の根津は北風がことのほか冷たい.今夜は,フレンチ・レストラン〈KIZUKA〉にて,三重大に異動する教員の専攻送別会がある.場所は根津駅を降りてすぐ,東大に向かう弥生坂の途中にある.飲み会直前のそこはかとない高揚感.定刻の午後6時半から開始.ワインのボトルがどんどん空っぽになっていく.

しかし,そこはおじさんばっかりの“オトナ飲み”なので,人間としての形状をしっかり保ちつつ血中アルコール濃度は着実に増加していった.午後9時過ぎにお開き.東大のみなさんは二次会に流れていったのかもしれないが,ワタクシは一次会のみでつくばに直帰とあいなった.

—— 午後10時半につくば着.やたら寒いなあと思ったらすでに氷点下の気温だった.

◆本日の総歩数=6832歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.0kg(+0.6kg)/28.8%(+0.4%)


16 januari 2011(日)※明け方に雪が降り積もる日曜日

◆午前4時半起床.曇り.昨夜は初雪が舞ったが,いまはもう止んで明け方の無響のひととき.下界を見下ろすかぎりまったく積もっていない.午前5時の気温はマイナス2.5度と,夜明けまでにさらにきびしく冷え込む予感がする.積雪よりも路面の凍結の方が気がかりだ.夜中にいったん止んだ雪が,いままた降り始めてきた.積もりそうな気配.綿のような雪が降り続いている.気温は氷点下2.5度.歩道と車道の路面凍結に要注意.午前6時に三井ビルと筑波西武の交差点あたりを見下ろすとかなり強く降っている.街路灯に降り積もる雪が照らされていた.

◆[蒐書日誌]着便:『Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics, Volume 41』(2010年12月刊行,Annual Reviews, Palo Alto → 版元サイト).ここ数年,肥大化し続けてきた本誌だが,最新刊は昨年のほぼ半分の厚さにスリム化した.

◆[系統樹思考]横山輝雄 2009,「書評 三中信宏著『系統樹思考の世界』」科学哲学, 42(2), 106-109, 2009.※まだ公開されていない./三中信宏 2007, 「科学哲学は役に立ったか:現代生物体系学における科学と科学哲学の相利共生」科学哲学, 40(1): 43-54. ※こちらはすでに Journal@rchive で公開されている.

午前7時前に新聞を取りに階下に降りてみたところ,車道・歩道ともすでに数センチの積雪だった.気温が氷点下2.0度なので,つくばセンターエリアではいまのところ融ける気配はまったくない.今も細かい雪がしんしんと降り続いている.午前7時半には遠景まで一面にすっかり雪化粧した.ときおり雪が降ったり止んだりしているが,筑波山の方角からしだいに青空が広がってきたので,もう降雪の峠は越えたのかもしれない.しかし気温はマイナス2.5度と依然きびしい冷え込みが続く.午前8時には朝日が射してきた.このまま天候回復か.雪景色が眼下に広がっている.

◆[蒐書日誌]みすず書房の『月刊みすず』書評用セレクション —— 『月刊みすず』の年頭「書評アンケート特集」.昨年末から引きずっていたが,2010年度の「書評本」計5冊プラス次点3冊が確定したので公開.次点本は:藤岡毅『ルィセンコ主義はなぜ出現したか:生物学の弁証法化の成果と挫折』・Philip F. Rehbock『The Philosophical Naturalists: Themes in Early Nineteenth-Century British Biology』・平出隆『鳥を探しに』に決定した.

◆午前のうちに雪雲は消え去り,日光が降り注ぐようになった.しかし気温は氷点前後をすいいし,昼前になってやっとプラスの気温になった.空気が湿って冷たいので外に居続けるのは難行苦行だ.午後3時を過ぎて農環研に向かう.途中,道路の状態をチェックしてきたが,日のあたる幹線は問題ないものの,側道や抜け道の日陰はがちがちに凍りついていてブレーキ厳禁.今日の最高気温はプラス4.8度.筑波颪がことのほか強く,凍てつく寒さ.しかし,そのおかげで,空気中の塵埃が雪に洗われ北風に吹き払われたせいか,筑波山がいつもよりずっとくっきり見える.何頭かの┣┣" どもを撃ち果たす.東大の生物統計学レポート課題を作成完了,講義ページの更新完了.ひき続いて,玉川大学の「分子系統進化学」講義ページも久しぶりに更新したが,レポート課題はまだ完成していない.そうこうするうちに,夕暮れがすとんと落ちてきて,気がつけば午後6時の気温がプラス0.6度といまにも氷点下になりそう.とりあえず農環研は撤収しよう.寒い寒い.

◆本日の総歩数=1960歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.4kg(0.0kg)/28.4%(−0.7%)


15 januari 2011(土)※初雪の降る夕餉にはきりたんぽ

◆午前4時半起床.今朝も冷え込みが強く,すでにマイナス4.0度まで下がっている.この週末はずーーっと放置していた原稿┣┣" のお相手をすることに運命づけられている.そのあいまに農大セミナーのしたくと玉川大&東大のレポート課題の用意.口にするたびに┣┣" が飛び出てくる.「あの┣┣" が,この┣┣" が」と口にするたびに,その姿が現れるのは言霊なのかもしれません.誰も口にしてはならぬ.でも,いなくなるわけではないのがつらいところ.┣┣" 放牧場が空っぽだと張り合いがないですが,増えすぎるとこれまたやっかい.近未来のいくつかのイベントは欠席しないわけにはいかなくなりそうだ.

◆今朝の最低気温はマイナス5.1度だった.薄曇りの午前中.今夜はきりたんぽ鍋とともに〈ど〉四合瓶を開栓する予定.こう寒い日々が続くと「日本酒&鍋物」という黄金デュオが光り輝く.

◆午後になっても薄曇りときどき晴れ間がのぞく寒さが続く.気温は5度台を推移している.こうなったらラーメンしかない.竹園の〈ベンベラ〉にて初物の「トマト・チャイナ」を注文した.トマト・ラーメンの中華風.細麺にスープがうまくからんでいい感じ.チキンのスライスがトッピングされて美味.サイドメニューとして〈ベンベラ〉名物の「つるんこ餃子」も注文した.もちもちした水餃子に,ラー油の辛味があいまって,これでもう寒さ知らずの昼下がり.

◆午後のオウン・ゴール —— 飛んで火に入る冬の虫:いましがたニフティーから「お得な新料金体系のご案内を……」というセールス電話がかかってきたので,すかさず「ニフティー解約窓口の電話番号を教えてね〜」と訊き返したワタクシは実は「人でなし」かもしれないと思った昼下がり.

◆今日も鮮やかな夕焼けグラデーションを眺めながら,久しぶりに「肉じゃが・デラックス」を仕込み完了.「肉じゃが・デラックス」とは我が家のまかない料理です.京都風のすき焼きをベースにして,下仁田ネギとじゃがいも,さらに根菜類にゆで卵,糸コンニャクに焼き豆腐まで総動員して煮込む.舞茸とシメジも入れたいところ.すき焼き・肉豆腐・牛丼・卵とじなどさまざまな食べ方に対応できる万能メニュー.こういう polymorphic な料理をつくっておくと,いろいろな派生的食べ方ができるのでとっても便利.さて,次は比内鶏のきりたんぽ鍋のしたくに入る.今夜の夕餉は予定通りきりたんぽ鍋を白瀑酒造〈ど〉とともに.比内鶏でだしをとって,牛蒡のささがき,白葱,油揚げとともに土鍋で加熱.食べる直前にきりたんぽとせりを投入して即食卓へ.きりたんぽは煮こんではいけない(鉄則).

◆午後11時を過ぎて,ふと外を見やったら雪が降っていた.初雪.綿毛のような雪が舞っている.氷点下の冷え込みなので積もれば消えないだろうな.

◆本日の総歩数=1405歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.4kg(−0.3kg)/29.1%(+0.1%)


14 januari 2011(金)※┣┣" 放牧場は真冬の賑わいが

◆午前4時半起床.昨夜は早々と寝てしまった.徹夜や夜更かしをするとその後数日にわたって影響が残るのは のせいである(誰も口にしてはならぬ).前夜からきりきり冷え込み続け今の気温はマイナス4.3度.朝焼けグラデーション.アメダスによると午前5時にマイナス5.1度,午前6時の気温はマイナス5.4度に達した.この時期にその日の最低気温を記録する午前7時に今季最低のマイナス6.3度を記録した.空気はからから,静電気飛びまくり.今日は平常出勤してしまったが,実は振替休日であることをうっかり失念していた.一転して朝からのびのびしている.のびの〜び.

◆[蒐書日誌]着便!(感謝) —— 長谷川英祐『働かないアリに意義がある』(2010年12月31日刊行,メディアファクトリー[メディアファクトリー新書015],189 pp., ISBN:978-4-8401-3661-7 → 版元ページ).おお,デビルマンが新刊を! 本文中イラストのアリさんがそこはかとなく“A. オリゼー”に見えるぞ.

◆終日のびの〜びするはずが,単に居室にいるだけで┣┣" たちがじゃれついてくるので,そのつどいちいち相手しないわけにはいかない.居室に実在するかぎり,┣┣" たちのお相手は不可避であると観念し,午前いっぱいでいったん退散することを自分会議で緊急決定〜.『進化思考の世界』に新たな蟲を発見してしまいちょっとへこむ.気温5度台の昼休みは,空気こそ冷たいが,風もなく穏やかな日射しが降り注ぐ.銀行と郵便局をまわったついでに竹園の〈たがみ酒店〉にて真っ暗闇の日本酒コーナーの棚から手探りで「ど」四合瓶を首尾良くゲットした(在庫僅少).せっかくだから今夜はきりたんぽ鍋にしましょーかねー.

◆┣┣" 撃ちあれこれ —— 東大から「学生アンケート」の用紙が送られてきた.次回に実施しないと.玉川大も,他の教科はアンケート用紙が配られていたようなので,事務に確認したところ,悉皆調査ではなくサンプリング調査とのこと.大学によってやり方がだいぶちがう./1月19日(水)に東大の教員会議があることをうっかり忘れていた.出張届を出すべし./2月9日(水)夜に計量生物学会の第一回対面理事会が開催されることになったが,ちょうど博多に集中講義に行っている最中だ.欠席の返事をした./午後3時から一時間ほど来室者との打合せなど.系統学的生物多様度の評価をどのように実践するかという話.シャノンの多様度指数は系統関係なんかぜんぜん考えていないので,“すっぴん”のまま使うのはムリでしょう.ということで,立川方面へ詣でることを強く勧めたのだが./生物地理学会の役員選挙の開票日は1月23日(日)だが立ち会わなくてもいいとのことだった.

◆ノートパソコンの世代交代完了 —— 旧 PowerBook G4 と旧 DELL Latitude には引退していただくことにして所内ネットワークからの切断を届け出た.代わりに,MacBook Air と DELL Inspiron mini を新規登録完了.ついでに MacBook Air の新モデルも買ってしまおっかなあ(思案ちう).Pocket WiFi もついでに〜.「ついでに」の神風が吹き荒れる年度末.ガケの上でしばし逡巡していたら,後ろから背中を「ドン!」と押す者(複数)あり.ガケ下から足を引っ張る者あり.あ〜れ〜.ついに飛び降りてしまった…….

◆[欹耳袋]すでに時効(賞味期限)を過ぎているが,つくばエリア内の旧国研「食堂ランキング」は農水省研究員有志の情報収集により作られたことがある.かなり詳細にわたる項目の調査だった記憶あり.もちろん「非公開」の最上級機密文書ですが(笑).昔のフロッピー(!)に残っているはず.フロッピー倉庫のいったいどこに埋まっていることやら…….非公開なのは,ある研究者が当時のニュースグループでつくばの某店のことをけなしたところ,所属している旧国研がその店に訴えられたというケースがあったからですね.ランキングや口コミはいつもリスキー.

◆本日の総歩数=6279歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=92.7kg(+0.3kg)/29.0%(−0.1%)


13 januari 2011(木)※前夜から引き続いて都内巡業へ

◆前夜から研究室に居続けている.でも,午前5時を過ぎたので,そろそろ帰宅しよう.夜明け前の東の空はすでに朝焼けグラデーションが.少しずつ日が長くなってきたことを実感する.気温は+1.6度とそれほど冷え込んでいない.あと二時間後には町田に出撃だ.

◆今年初めての都内巡業 —— いつもどおり 7:56発のつくばエクスプレス快速に乗る.今朝の筑波山はいちだんとくっきり見える.まずは町田へ出撃だ.都内は空が広がって陽射しが暖かい.千代田線はまたしても遅延したが,まあ許してあげよう(毎度毎度の習慣的不可抗力だし).藤沢行きの快速急行に乗って多摩川を越える.車窓から遠景に富士山の真っ白な頂きがよく見える.振り返れば雲間を尽き抜ける日光が何条も放射していた.車内がいつもより空いているのはどうしてだろう.玉川学園で下車したら北風がまだ冷たかった.

◆今日の高座は「ベイズ法」の解説と実習.前半はベイズ統計学の話をした.Bayesian Coin Tosser と MC Robot による Bayesian MCMC の体験. 後半は MrBayes を用いての分子系統樹推定の実習をした.午前のキャンパスは風が冷たかったが,高座を終えて外に出たら日射しが暖かくぽかぽかした陽気になってきた.さてランチタイムだ.年明け最初は経堂の〈はるばる亭〉にて香麺をば.辛味香辛料を黒酢で溶いていたら,数種類の香油のかおりが漂って食欲絶賛増進ちう.

◆午後3時過ぎに本郷にたどり着く.これまた今年初の〈ルオー〉にてひと休みした後,午後4時に本郷キャンパスに出撃する.夕方の安田講堂の前を通って旧理学部一号館へ吸い込まれる.生物統計学のいつもの講義室に入ったら,前の講義の板書がうっすらと消え残っていた.おびただしい数の遺伝子系図と耳なし芳一の呪文のように黒板を埋めていた数式の数々に,思わず「前の時間はいったいだれが……」と訊いたところ,予想通り Tajima's D の御大だった.今日の講義は系統推定論.話すことがたくさんありすぎて困ってしまう.

—— 東大も玉川大も来週が最後の講義になるので,それぞれ課題レポートを出題しないといけない.

◆根津から千代田線に潜る.昨夜からの気力体力消耗戦を戦い抜いたので,本日はアイアイモール立ち寄ることなく.つくばセンター広場は冷たい北風が吹き抜け,気温はすでに+1.7度まで低下している.明朝も氷点下の冷え込みにちがいない.午後9時に早くも氷点下3度とは.明日の明け方がコワイなあ…….

◆本日の総歩数=9302歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.4kg(−0.5kg)/29.1%(+0.7%)


12 januari 2011(水)※つくばに実在しても落ち着かず

◆うっかり午前5時半起床.遅すぎるなあ.昨夜は MacBook Air のインストールで夜更かししてしまった.いまの気温はマイナス1.1度とビミョーな冷え込み.まったく雨も雪も降らないので空気がからからに乾燥している.明け方はさほど冷え込まなかったが,午前7時になってやっとマイナス3.4度まで下がった.身を切られる筑波颪が吹かないのは幸いだ.土中の水分がなくなってきたせいか,農環研構内の霜柱がスカスカして踏んでもしゃりしゃりしないのでつまらない.BGMの〈平均律〉とともに┣┣" 撃ち開始〜.

◆[欹耳袋]知らないうちにオンライン公開されていた —— 三中信宏 2005, Ernst MayrとWilli Hennig : 生物体系学論争をふたたび鳥瞰する.タクサ, 19: 95-101.  オープンアクセスのこの記事は Ernst Mayr 追悼号への寄稿.20世紀なかばの「進化学総合」に関わる「曼荼羅」(pp. 98-99)を描いたのでごらんください.昔からこういう「一枚絵」を書くのが好きだったんだなあ.

◆午前中はずっと寒かったが,穏やかな日射しが降り注ぐ昼下がりは北風もなく心地よい天気になった.午後3時の気温はブラス9.4度.朝から細かい┣┣" どもを追い回しているのだが,のらりくらりと逃げまわる“新種”のウナギ┣┣" であることが判明.年度末のこの忙しいときに出現するなよ.席をはずしている間に,千葉県のどっかからお座敷の依頼電話がかかってきたらしい.たまたま部屋にいた企画の人がその案件をもって帰ったらしいけど,明日は都内巡業で一日フケるのでまちがっても電話でカタをつけようとしないでね.

◆MacBook Air に進化して以来,Adobe CS4(not CS5 !)の InDesign をぼちぼち使い始めている.かつて PageMaker を使い倒しその後 InDesign に移行してからというもの,文書作成だけでなくスライドウェアとして手放せない.先代の旧 Mac では InDesign version 2 をずっと使い続けていて,Creative Suite 版とは無縁だった.ソフトの顔つきはずいぶん変わったけど,使い勝手はあまりちがわないのでまごつかないのはうれしい.

◆ウナギ┣┣" のせいで日中まったく仕事にならなかったから,しかたなく夜の農環研に立てこもることになった.午前零時前の農環研は暗く冷え冷えとしていた.館内集中空調が止まっている時間帯なので,自分で自分の身を守る必要がある.未明の冷え込みが不安なので,ホットカーペットと毛布をもちこむことにした.明日の高座のしたくとかいろいろとこまごまと.

◆本日の総歩数=7446歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.9kg(0.0kg)/28.4%(+0.2%)


11 januari 2011(火)※氷点下の夜明けは眠り続けたい

◆午前4時半起床.冷え込みきびしく,気温はマイナス3.0度.あわただしい三連休を走り抜けて,今日からまたいつもの平常労働が始まる.やや雲の多い夜明け前,気温はマイナス4.3度まで下がっている.北風は吹いていないが,しんしんと染み入る寒さ.東の空では薄雲に透けて見える朝焼けグラデーションなう.

◆[欹耳袋]東京農大・昆虫学研究室セミナー:三中信宏「体系学的思考の世界:分類,系統,そして多様性」2011年1月21日(金)14:30〜16:30.東京農大(厚木キャンパス),講義棟1204教室.今回のセミナーでは系統樹思考がオブジェクトに依存しないことを生物系統学と文化系統学の実例を示しながら話す予定です./午後5時からは形態系実験室で昆研の懇親会(ゼミ終了打ち上げ)が予定されている.

◆[蒐書日誌]「良き種」に幸あれかし —— Yuichi Amitani『The Persistence Question of the Species Problem』(2010年12月刊行, The University of British Columbia, Vancouver, xi+213 pp. → 目次pdf: Electronic Theses and Dissertations (ETDs) 2008+, UBC Library). カナダのブリティッシュ・コロンビア大学に提出された網谷祐一さんの「種問題」学位論文.「良き種(good species)」とはいったい何か? さっそくダウンロードさせていただきました.

◆[欹耳袋]来年の国際計量生物学会議(IBC 2012, 26-31 August 2012, Kobe)のウェブサイトが公開されている.IBCの日本での開催は1983年以来ほぼ20年ぶりだ.

◆朝から┣┣" 撃ち —— 農環研分会の「旗開き」は1月13日(木)夕方とのことだが,この日は“兼業日”で終日不在なんですよぉ.分会役員の任期が終わってからもう四ヶ月が過ぎたが,前任の役員諸氏とまったく所内で遭遇することがない.いかに“非日常”な一年を送ったかということだ./年明けには講義の成績評価というお年賀┣┣" が到来する.東大も玉川大もレポート提出で評定するのでそのしたくをしないと.来週1月20日(木)に出題することにしよう.最近はオンラインでの成績登録がふつうなので,締切に遅れるわけにはいかない.そういえば昨年9月の横浜国大の成績も来月までにつけるんだったっけ.

◆[分類思考]本日の残響:考えるきっかけを探し続けていきます!「分類する」(2011年1月5日)

◆昼下がりの┣┣" 撃ち —— 今月末からの別府&大分湯煙研修旅行の「足」と「宿」の確保だん. /来月上旬の博多黒田節集中講義の「足」と「宿」も確保だん.宿泊込みのパックだとラクでいいなあ.空飛ぶ教授ならぬ空飛ぶト….いずれにしても公私ともにあわただしい.

◆[蒐書日誌]祝杯〜! —— 松本俊吉(編著)『進化論はなぜ哲学の問題になるのか:生物学の哲学の現在』(2010年7月20日第一刷刊行/2010年10月15日第二刷刊行,勁草書房,東京,viii+238 pp.,本体価格3,200円,ISBN:978-4-326-10198-6 → 第一刷目次版元ページ)がめでたく増刷され「第三刷」が出るとの連絡あり.ワタクシの章には修正箇所はありません.>仕掛人さま./書物からの回帰「松本俊吉編著,「進化論はなぜ哲学の問題になるのか」を読んで.」(2010年11月22日).

◆夕闇の┣┣" 撃ち —— 東大の「生物統計学」については今週と来週の二回分のハンドアウト&出席表を用意できたので一安心.玉川大学の「分子系統進化学」もそろそろまとめに入らないといけない.ハンドアウトはどうしようかな.

◆[欹耳袋]Togetter - 「傍観者による┣┣"の成長の記録」 ※メイキング・オブ・┣┣" .

◆本日の総歩数=2379歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.9kg(+0.1kg)/28.2%(−0.7%)


10 januari 2011(月)※三連休最終日はただ原稿を書く

◆午前6時半起床.げー,遅すぎ〜.今日も冬晴れ.気温はプラス0.2度と冷え込みなし.昨夜はふと思い立って AirMac Express 設定を始めてしまい,つい夜更かししてしまった.ワイヤレス環境が立ち上がり,旧世代ではあるが MacBook Air は快適だなあ.MacBook Air に「R」をインストールしようとして筑波大学サーバーに接続しようとしたら相手先が死んでいた.今朝もご臨終のまま.すぐには必要ないのでいいんだけど.

◆[欹耳袋]トゥギャられた分類連合シンポジウム —— Togetter - 「日本分類学会連合シンポ「日本の分類学の現状と展望」まとめ」※8 January 2011@科博分館/Togetter - 「日本分類学会連合シンポ「遺伝子で記述する生活史形質の多様性」」※9 January 2011@科博分館.

◆たまには朝イチでパンでもと思い立ったが,〈ブロートツァイト〉はつくいち翌日でお休み,〈ダヴィッドパン〉も月曜定休で,けっきょく二の宮の〈アンデルセン〉に収束したしだい.〈モルゲン〉までは足を伸ばさず.快晴で空気がぴりぴりと乾いている.日射しが心地良し.雲ひとつなく晴れ渡る昼下がり.日射しもさんさんと降り注ぐのだが,筑波颪が吹きつけて,正午を過ぎても気温は+4.8度という寒さが身に染みる.昨日から〈系統樹ウェブ曼荼羅〉連載を書いている.うまくいけば三回分まとめて提出できるかもしれないな.カピオでつくば市の成人式イベントが開かれているためか,学園線には白昼の暴走族が走り回っている.

◆今日の夕焼けグラデーションは朝焼けと同じくらい鮮やかだった.しばしの光景に続くのは寒々とした夕闇.夜の農環研に侵入してごそごそ作業する.三連休のせいで室温が低すぎる.午後6時の気温は気温はすでに+1.7度まで下がっている.冷え冷えとした農環研にて外付けHDDから過去のドキュメントを MacBook Air に丸ごとコピーしているのだが30GBもあって時間がかかりまくり.ファイル転送奮闘中の外付けHDDをカイロ代わりにして手を暖めるのはそこはかとなくカナシい…….ファイル転送の待ち時間に┣┣" 放牧場をゆっくり巡回しているのだが,放置期間の長期化による┣┣" どもの巨大化と兇暴化が強く懸念される.┣┣" 津波ならぬ┣┣" 火砕流がやってきた日には逃げることあたわず.

◆午後8時ですでに氷点下1.4度というのは尋常ならざる寒さ.明朝は確実に今季最低気温を更新するだろう.寒い冬の夕餉に並ぶ一本は八女の〈繁桝〉の純米吟醸にごり酒(生々) .今夜は神戸牛の焼肉とともにいただきました.甘口で軽やかなライト感覚の味わいが印象的.アルコール度数が17度もあるので,炭酸ののどごしのよさにつられて飲み過ぎるとイチコロだろう.澄み切った夜空には三日月と木星が並んで光っている.

◆[欹耳袋]日が変わる直前,やっとこさ〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の第三回原稿「三次元系統樹のもつ新たなヴィジュアル性」を編集部に送信した.たった十枚に時間かけすぎ.今回は Max Fürbringer 1888 と E. A. Hooton 1946 の登場です.

◆本日の総歩数=4774歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース○|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=92.8kg(−0.4kg)/28.9%(+0.6%)


9 januari 2011(日)※今日も朝から百人町へ最終出撃

◆午前5時半起床.朝焼けグラデーションなう.今朝もよく晴れて冷え込みが厳しく,すでにマイナス4.4度まで下がっている.本日も朝から百人町に出撃し,日本分類学会連合第10回シンポジウム(二日目)に参戦する.昨日は最後の総合討論で暴れかけたので,今日はおとなしくする予定.午前7時に最低気温マイナス4.7度をマークした.つくばの厳寒期がいよいよ到来した.

◆[欹耳袋]東京農大(昆虫学研究室)セミナーの時間帯が確定した:三中信宏「体系学的思考の世界:分類,系統,そして多様性」2011年1月21日(金)14:30〜16:30.東京農大(厚木)※会場未定.17:00から懇親会./The Second International Symposium of Biological Shape Analysis to be held June 9-11, 2011 in Tsukuba, Japan.詳細が決まったらアナウンスしないと.

◆新宿百人町へ出陣(二日目) —— 8:47発のTX区間快速に乗る.今日も快晴の空模様だ.新大久保には午前10時前についた.今日のシンポジウムは〈遺伝子で記述する生活史形質の多様性〉.次世代シーケンサーか.昼休み.晴れて青空が広がる.昨日よりも陽射しが暖かい.新宿百人町の裏道を歩くと異国的な発見がいろいろある.科博がつくばに移転してしまうと,ここに来る機会も有意に減るんだろうなあ.

◆[欹耳袋]百人町にて —— 中山講演:リザリア下界には放散虫・有孔虫が含まれる.ハクロビア亜界にはハプト藻・クリプト藻が含まれる./加藤講演:岡本太郎の〈太陽の塔〉の内部に「生命の樹」がつくられていること./矢部講演:内村鑑三は北大水産学部にいたころ欧文で日本産魚類目録をつくっている(1884年).

◆本日の総歩数=3467歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.2kg(−0.2kg)/28.3%(−0.8%)


8 januari 2011(土)※厳寒の朝に目覚め百人町へ出撃

◆午前5時半起床.快晴.今朝は放射冷却による冷え込みがことのほか厳しく,午前6時に今季最低となるマイナス5.4度を記録した.朝のうちは原稿をものし,その後,新宿百人町に出撃することになっている.

◆新宿百人町へ出陣(一日目) —— 快晴のつくばセンターを通り過ぎ,9:10発のTX快速に乗る.新大久保に到着したのは午前10時半近かった.国立科学博物館分館にて日本分類学会連合の総会に日本進化学会代表として参加する.この連合では長年にわたって TAXA メーリングリストの運営をしてきた.ほかにも多くのメーリングリストを運営しているので,とくに負担に感じることはまったくないのだが,メーリングリストという電子コミュニティ形式はそろそろその役目を終えつつあるようにも感じる.総会では「連合のツイッターのアカウントをとって情報発信をしてはどうか」という意見を出したのだが,複数の情報手段をもつ必要性は明らかだろう.科博の研究部がすべてつくばに移転することにともない,毎年ここ科博分館で開催していた分類連合大会は今年度をもって最後となる.来年の大会会場は科博以外の場所になるが詳細未定とのこと.

◆昼休みの百人町は気持ちいい快晴の青空が広がっている.渋谷との俊速ピストン往復ののち復帰.午後1時半から科博分館にて日本分類学会連合第10回シンポジウム〈日本の分類学の現状と展望〉が始まった.

◆シンポジウム〈日本の分類学の現状と展望〉の総合討論にて —— 最後の総合討論でワタクシが発言したことの要点は下記の通り.四半世紀前に生物分類学はすでに生物系統学と「離婚」しているのに,分類学者が今になって別れた配偶者を追いかけまわすのはやめたら,ということだ.

「系統分類」というのは分類学者にとっての rainbow's end (→ L. A. S. Johnson 1970. Rainbow's end: The quest for an optimal taxonomy).Johnson は,表形学派は数量的に最適分類体系が構築できると主張し続けたが,それが幻想であることを指摘した.分岐学派もまた系統樹に厳密に一致する分類体系をと主張したわけだが,系統と分類との正確な対応が必然的にもたらす「分類ランクの無限増殖」の問題を乗り越えることはできなかった.たとえば,Willi Hennig は1969年の著書(『Die Stammesgeschichte der Insekten』)で,数値ランキングの導入によって,分類ランクの増殖をせき止めようとしたが,その努力は無駄だった(彼の提案を受け入れた分類学者は皆無だった).つまり,系統樹を「直訳」した分類体系は原理的にはありえても実践的にはありえないことが暴露された.「系統分類」という響きのいい言葉はこれまた rainbow's end だった.表形学も分岐学もそれを実現することはできなかったし,これからもできないだろうと予想する.

当時1970年代はまだ「分類」がキーワードだったが,1980年代に入って論議の軸足が変わり,「系統」への関心がしだいに高まってきた.Joseph Felsenstein が「分類なんかどうだっていいじゃん」と言い始めたのは,近未来の予言としては正しかった.しかし,分類学者側は「系統分類」へのあこがれをいだいていたため,系統学の発展は分類学の振興につながると期待していた節があった.しかし,それは甘すぎる楽観主義だった.系統学者にとって分類学は「どうでもいい sensu Felsenstein」ことだった.この時点で私的な「家庭内別居」は公的な「離婚」にいたった.

その後,系統学は系統発生の正確な推定という大義名分に向かって驀進していったことは周知の事実である.数学や統計学の理論を交えた総力戦は,系統樹のユーザーと系統推定論のディベロッパーとの乖離をもたらしてしまったが,近代統計学がたどった道筋を後追いしていると考えれば首肯できる.

問題は分類学の側にある.系統学と離婚した時点で,分類学は自らの存在意義を内外にアピールすることにあったはずだ.おそらく「自然分類」というキーワードがその中心を占めるはずだった.ところが,分類体系は生物学者の専決事項であると勘違いした分類学者はまちがいを犯した.生物分類は「分類」という認知心理プロセスを含んでいる.その時点で,ヒトにとっての認知心理学的意味を分類学者はよく考えるべきだったのに,その努力を完全に怠ってしまった.この時点で,系統学から離婚された分類学の敗北は決定的となった.分類学が今になって系統学の成果を「逆輸入」して系統分類学らしきものを築こうとするのは笑止千万である.分類学は系統学とはことなる目標を設定すべきだろう.いったん離婚したからには新たな目標を自律的に確立する必要があるだろう.

昨日の続き —— 分類学と系統学との関係についてのワタクシの見解はここ二十年ほどまったくブレていないと自覚している.たとえば15年前の〈伊達騒動〉の顛末をご覧あれ.今回の分類連合シンポジウムでは【種】という地雷はいっさい投げなかった.系統学と分類学との腐れ縁ならびに【種】という道楽息子がもたらすやっかいな問題については,ワタクシの『生物系統学』の第1章にすべて書いた.この件に関する本質的な修正や大きな追加はその後ほとんどない.つまり,生物分類学は認知心理学と合体して「自然分類」を追究する意外に存在意義は何もない.

—— 以上,新宿百人町にてワタクシがコメントした内容のまとめと付加情報でした.

◆シンポジウム終了後に,科博分館近くのサンマークホテルにて懇親会に参加した.分類学会連合の総会やシンポジウムには毎回参加していたにもかかわらず,懇親会は今回が初参加だ.各地のコンベンション会社から寄付された日本酒がとてもうまかった.香川の〈悦凱陣〉の大吟醸は初めて飲んだ.

—— 帰宅したのは午後10時過ぎだった.

◆本日の総歩数=5045歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース○|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.4kg(+0.1kg)/29.1%(+0.7%)


7 januari 2011(金)※筑波颪が身にしみる冬晴れの朝

◆午前4時半起床.気温マイナス2.6度.北風が吹いてとっても寒い.昨夜は微熱があったので早く寝たら今朝は平熱になっていた.今日は農環研実在.日の出が鮮やか.

◆[欹耳袋]Mac OSX バックアップツール:〈Sync!Sync!Sync!〉※前バージョンのときから重宝してます.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前10時半から始まった領域会議は半時間でおしまい.来年度からは事業予算が9000万円ほど削減されることが確定した.お金が減っていくんだねぇ.農環研自体の施設維持管理費と光熱費がバカにならん.前者は「自分ち」だからしかたがないけど,後者は研究分野によって有意すぎるほどの差がある.だからといって,受益者負担〜とか言い出すと所内抗争が勃発すること必定./大成建設から生物多様性の系統学的評価に関する電話問い合わせあり.1月14日(金)午後3時に担当者が来室するとのこと.

◆筑波颪が吹きすさぶ昼休みの気温は+5.6度.寒すぎる!初〈おはん〉なう.今日はレギュラーの「ぶつマグロ丼」をば.

◆[欹耳袋]Phylogenetic Tree Visualization Tools: Timothy Hughes' web site. 系統樹のノード数ごとに視覚化ツールが整理されている.

◆午後6時過ぎに帰宅.気温は+3.0度.北風が冷たすぎる.フォロワーさんが「2100名」の大台に乗りましたっ.ありがとー.今夜の三日月は切っ先が尖って,笹舟のように夜空に浮かんでいた.

◆本日の総歩数=2875歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.3kg(+0.8kg)/28.4%(−0.5%)


6 januari 2011(木)※半分ゾンビのまま本郷に出撃す

◆午前7時まで寝坊してしまってごめんなさい〜.気温は1.8度と冷え込みは緩い.ばたばたと朝のしたく.午前8時半から計量生物学会企画理事の電話会議が小一時間.体調ややわろし.

◆[蒐書日誌]黒岩比佐子『パンとペン:社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(2010年10月7日刊行,講談社,東京,446 pp., ISBN:978-4-06-216447-4 → 版元ページ).社会主義者・堺利彦が起こした「売文社」をめぐる人的ネットワークをたどった伝記.今日,本郷の東大にある生協書籍部の平台に,著者が遺したポップとともに本書が平積みされていた:「慶應義塾大学はペン,開成学園はペンと剣,本書はパンとペン」.その著者はすでにこの世にはいない.

◆北風が冷たく身を切る昼過ぎに農環研にて一仕事,その後いったん帰宅してから15:00発のTX区快にて東京に出る.本郷も風が冷たかった.午後4時半から東大での今年最初の講義はベイジアンMCMCについて.時間があまったので来週の生物体系学のイントロの話を少しした.どうも調子が悪いなあ.

◆毎週木曜に本郷のお座敷に向かう時間帯は,いつも東大オケの練習日と重なっているため,楽器を抱えて二食に向かう楽団員とすれちがうことがよくある.昨日,高座後に外に出たら二食の正面にJPCのトラックが横付けされていた.近くにいたオケ団員が「今度の曲はティンパニーが6台いるからなあ」とつぶやいていたので,定演の曲をチェックしたら 1月15日(土)川崎ミューザ川崎にて「マーラー〈巨人〉/ショスタコーヴィチ1番」というプログラムだった.ここのところ定演もサマコンもとんとご無沙汰しているが,がんばってねー.

◆本郷からつくばに直帰.いつもならアイアイモールに寄り道するところだが,昨夜の反省のため自粛直帰.午後7時の気温は+3.9度.冷たい北風が吹き付けて寒いことこの上なし.今夜は新たなる原稿┣┣" をやっつけるのだ,と意気ごんだもののやっぱり調子がよくない.熱を測ったら37度と微熱状態.このせいだったかといまにして思い当たる節あり.

—— これはどうしようもないので,否応なくすぐに寝ることにしよう.

◆本日の総歩数=5474歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=未計測/未計測


5 januari 2011(水)※風邪を抱えて麒麟倶楽部に突入

◆午前4時半起床.夜中に氷点下だったが,今の気温は+0.9度.昨日は風邪で鼻ぐすぐすだったが,早く寝たので快方に向かっているようだ.今日もつくば実在,┣┣" 撃ち本格化.気温がビミョーに乱高下した明け方だったが,しっかり快晴すっきり冷え込んみ,午前7時に最低気温マイナス2.3度を記録した.さあ,今日も張り切ってぱーっとやりましょう! まずは今月の出張届・年休伺・兼業願・フレックス変更etc.(盛り下がる……).

◆[欹耳袋]身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌「パワーポイントの認識形式」(2010年12月25日) ※本書の著者 Edward Tufte は PoorPoint のようなお手軽スライドウェアではなく,しかるべきページレイアウトソフトを使えという代案を提示している.

◆今日も真っ青な快晴のつくばは空気が乾ききっている.昼休み,筑波事務所の往復の歩き読み:クロード・レヴィ=ストロース[川田順造訳]『ブラジルへの郷愁』(2010年10月25日刊行,中央公論新社,東京,336 pp.,ISBN:978-4-12-004158 → 版元ページ).今年の Hennig XXX はサンパウロ州で開催されるので,その歴史の予習かたがた.

◆午後イチで,今月の出張伺やら兼業願やら年休届やら,ひっくるめて┣┣" 撃ち返し完了.よく晴れた昼下がり,外は気温10.0度,室内は20度と快適.月刊みすず〈書評アンケート〉特集号の原稿を編集部に送付した.これで今日の割当┣┣" を一頭討ち取った.NTT出版に遅ればせの出版契約書を返送だん.〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の第3回原稿を書こうとしているところ.しかし,実質的に┣┣" を追いつめないうちに,観音台の結界がぎい〜っと開きつつある.あと一時間もないじゃん……(orz).

◆闇夜の〈麒麟倶楽部〉にて「悪の枢軸」忘年会 —— 午後6時半に農環研を出て,真っ暗な圃場を横断し,観音台のとある一角にある〈麒麟倶楽部〉に向かった.午後7時ちょうどに到着.「麒麟倶楽部」の看板がひとつかかっているだけで店の中はなにも見えない.「一見さんお断り」の結界であることは事前に聞いていたが,この門構えのガードの固さと心理的ハードルの高さだったらビギナーはちょっと入れないよねぇ.中ではすでにメンバーが集まっていてさっそく乾杯〜(今年もよろしくー).ビールを飲んで,その後いきなり赤ワインが空っぽになり,さらに日本酒に転戦するという変則的な展開となった.日本料理の肴がとてもうまかった.仕上げに鯛飯.午前1時にへろへろな帰宅をしてしまう.

◆昨日からやや風邪気味だったがなかなか抜けないなあ.明日は朝イチで電話会議,夕方は本郷で高座.

◆本日の総歩数=8807歩[うち「しっかり歩数」5741歩/51分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=92.5kg(−0.4kg)/28.9%(+0.9%)


4 januari 2011(火)※仕事始めは┣┣" 撃ち始めなり

◆午前4時過ぎに起床.仕事始めは平日労働の始まり.気温は氷点ちょうど.冷え込みはない.農環研に潜入し,新年┣┣" の生育状況をチェック.仕事始めの職場がじわじわと再起動されつつある雰囲気は心地よい.午前7時に最低気温マイナス1.0度を記録した.

◆[欹耳袋]朝のNHKニュースで,マレーシアの森林スポーツ「ハッシュ(hash)」の系統樹がつくられているとのことだった.調べてみたら,これか:〈The Hash Heritage Foundation〉という団体のウェブサイトに「Hash Genealogy」というページが公開されていた.

◆[蒐書日誌]月刊みすずの〈書評アンケート〉特集に向けて残りの「2冊」が確定した:

  1. Carl G. Jung著[Sonu Shamdasani, Mark Kyburz, John Peck編訳]『The Red Book』(2009年10月刊行,W. W. Norton, New York, xii+371 pp., ISBN:978-0-393-06567-1 → 版元ページ)※創元社から昨年出版された日本語訳ではなく,英訳版でごめんなさい.
  2. Max Fürbringer『Untersuchungen zur Morphologie und Systematik der Vögel, zugleich ein Beitrag zur Anatomie der Stütz- und Bewegungsorgane. I und II』(1888年刊行,Verlag von T. J. Van Holkema,Amsterdam / Verlag von Gustav Fischer, Jena,L + S. 1-1751 + 30 Tafeln → 紹介目次)※最後はやっぱりこの本しかないでしょ!
なお,次点本の5冊は:『鳥を探しに』/『昔日の客』/『ルィセンコ主義はなぜ出現したか』/『The Philosophical Naturalists』/『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス経の伝統』が候補に挙がっている(変更可能性あり).

—— 以上,今年の〈書評アンケート〉五冊についての書評原稿をものしているところ.みすず書房さん,しばしお待ちを.

◆本日の昼休みは所内の新年会として領域昼食会(しらふ).夕刻からはしらふではない第二部が予定されていると聞くが,明日の「悪の枢軸」新年会のための気力と体力を温存する必要があるので,今日の第二部は不参加とすることに自分会議で議決した.青空が広がる昼下がり,領域昼食会を終えて,午後の┣┣" 撃ちに突入なう.気温は+8.6度と10度に達しない寒さだが,館内に引きこもっているかぎり,午後は射し込む西日で室内温度は上昇するだろう.

◆[欹耳袋]Google Books Ngram Viewer で遊ぶ − まずは「evolutionary / genetic」とか「phylogeny / taxonomy / systematics」あたりから.こんな便利なツールがあるとなかなか楽しめる.ひとつフシギなことがあって,「apomorphy / synapomorphy」で調べると,分岐学が広まった1960年代以降に“山”があるのは当然だが,「1900年代前後」にも低い“山”がある.「plesiomorphy / symplesiomorphy」でも同じ現象が見られる.こんな昔にこれらの言葉があったはずはないのだがいったいどういうことだろう.

◆[蒐書日誌]すっかり忘れていた発注本が着弾 —— Ilse Jahn and Andreas Wessel (Hrsg.)『Für eine Philosophie der Biologie / For A Philosophy of Biology: Festschrift to the 75th Birthday of Rolf Löther』(2010年7月刊行, Kleine Verlag [Berliner Studien zur Wissenschaftsphilosophie & Humanontogenetik: 26], München, 269 pp., EUR 34.95, ISBN:978-3-937461-38-0 [hbk] → 目次pdf)|版元ページ).

◆これまた脳内メモリーからすっかり消去されてしまっていた,系統学の共著本を書くという┣┣" .ほぼ数ヶ月まったく忘却していたが,いきなり廃屋の崩れた土塀の向こう側から「うわん!」と声をかけてきた.心臓にワルいやんか.ごめんなさいごめんなさい.ちゃんと┣┣" 撃ちリストに戻します.

◆[進化思考]本日の余響:AllisPossible.Ifonedesires.「2010年の5冊」(2011年1月4日)

◆[欹耳袋]お雑煮の系統地理学について —— お雑煮の地理的分布:名倉秀子他「実態調査による雑煮の地域的な特徴」日本調理科学会誌 36(2): 146-156, 2003[→ CiNii].※「お雑煮系統樹 wanted!」とつぶやいたらたくさんの情報が集まってきた.1)お雑煮をめぐる物語〈日本列島雑煮文化圏図〉※この図では「角餅・丸餅分岐ライン」が提唱されている;2)国土地理院〈日本全国お雑煮マップ〉;3)石山智明・伊藤則人・柴田裕介・土松隆志・池上高志「系統樹から迫る非生命進化:鳥居・雑煮・デジタルカメラ」(第7回日本進化学会シンポジウム).※あとで要旨集を見てみるか.;4)国立国語研究所〈『日本言語地図』地図画像〉.

◆[蒐書日誌]ゲーテ自然科学の集いの機関誌『モルフォロギア:ゲーテと自然科学』のバックナンバー(1979-2006)が Journal@rchive から電子公開された.

◆[欹耳袋]Okumura's Blog「高木貞治の数学書を入力・公開するプロジェクト」.まずは高木貞治『解析概論・改訂第三版』がターゲットになっている:Wikisource〈解析概論〉.

◆あっという間に,仕事始めの一日が過ぎてしまった…….やや風邪気味なので,夜は早寝しよう.

◆本日の総歩数=2975歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=92.9kg(−0.2kg)/28.0%(−0.6%)


3 januari 2011(月)※三が日読んで歩いてまた書いて

◆午前5時半起床.晴れ.午前6時の気温はマイナス3.8度と冷え込んでいる.久しぶりに農環研にやってきたら,放置されていた本の堆積物のなかから魑魅魍魎が湧いてきそうな気配が濃厚だったので,いきなり居室の本の整理をはじめて小一時間.すっきりしてきたかと思ったらもう午前7時になってしまった.あわてて帰宅.

◆[進化思考]本日の余響:千早振る日々「三中信宏「進化思考の世界 (NHKブックス No.1164)」」(2010年12月15日)

◆[蒐書日誌]うっかり買い忘れていたとばかり思い込んでいた:フレデリック・スタール『お札行脚』(2007年3月31日刊行, 国書刊行会[知の自由人叢書・第5回配本],本体価格12,000円, ISBN:978-4-336-04716-8 → 版元ページ) ※研究室書棚の奈落の底を覗き込んだところちゃんとブツが横たわっていた.それにしても,いったいいつ買ったのだろうか.フシギ….

◆因縁┣┣" を追い込む午前 —— たいへんお待たせしまくりましたが,昨年5月末の〈ワイキキ日録:Hennig XXIX の日々〉をアップしました. もう7ヶ月も前の記録なので,まったくアカデミックではない記憶しか残っていないけど.この学会はいつもこんな感じだよねー.日録の文章はほぼ書き終わっていたのに,写真の張り込みをずっと放置していた.

◆正月三が日の最終日は風もなくうららかな小春日和で,早春ということばが脳裏をよぎる.昼下がりの筑波西武前の広場にて.厳冬期のこの季節にはあまり目にしない,秋のようなテクスチャーの細かい雲が上空に浮かんでいた.

◆[欹耳袋]Togetter - 「takey_y さんの「数学書の読み方」」 ※一冊きっちり読めば学位論文のひとつやふたつ書けたりします(実体験).読むのにうんと時間のかかる本を書きたいな.

◆午後6時過ぎ,夕闇の中,竹園のたがみ酒店に行ったら,年末年始の混雑がうそのように静かだった(明日から仕事始めだから当然なのだろうけど).〈繁桝〉の「純米吟醸・にごり・生々」が一本だけ残っていたので,迷わずレジにお連れした.今日は〈王祿〉の出番が確定しているので,明日用にしよう.おせちの季節には魚のアラやカブトが店頭に並ぶ.今日は真鯛のカブトが手に入ったので,ひさしぶりに「カブト煮」をつくってみた.一尾分あれば平鍋いっぱいの量になる.血合いとうろこだけ気をつければ,手間いらずでしかもほんの半時間の調理ですむ.鯛のかぶと煮レシピ:1)鯛(一尾分)は熱湯をかけて血合いと鱗を取る;2)醤油と酒半カップずつ,味醂1/4カップを平鍋で煮切る;3)鯛を並べて煮立て半時間ほど弱火で煮る;4)煮汁はときどき鯛にかけて味を染ませる→食卓へ.

◆[欹耳袋]Yomiuri Online「児童25人がハチの論文,権威ある学術誌に掲載」(2011年1月3日) ※Biology Letters か〜.元論文は:P. S. Blackawton et al. 「Blackawton beesBiology Letters, doi:10.1098/rsbl.2010.1056 (22 Dec 2010).

◆世代交代 —— ノートパソコンに関してはものもちがいい方だが,内外の学会出張などで苦楽をともにしたり,ときに空中浮遊を演じてくれたマック「PowerBook G4 867MHz」のパッテリーがいよいよご臨終を迎えることになった.2001年に購入してからこの10年間どうもありがとう.ということで,この新年からは MacBook Air 13" [旧モデル]に乗り換えることになりました.セットアップがたいへんだあ.

◆本日の総歩数=2800歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.1kg(+0.1kg)/28.6%(+0.4%)


2 januari 2011(日)※日がな一日呑んではまた書いて

◆午前5時半起床.曇っているせいかマイナス0.9度と冷え込みはゆるい.一ノ矢八坂神社の鐘が午前6時を告げている.昨日までで『文化系統学への招待』の原稿はほぼ読み終えたので,そろそろ三が日激闘読書モードに突入することにしたい.午前7時,気温マイナス1.5度.朝焼けの斑雲の向こう側から朝日がのぼってきた.遠くで段雷が響く.今日は公的には初売りなので,つくばセンターの西武やQ'tには福袋部隊の長い行列が伸びるにちがいない.

◆元日の日録をアップした上で.文化系統学の最後の Thom Currie 原稿を読んでいるところ.午前9時,しだいに青空が広がってきた.『文化系統学への招待』の手元に届いた最後の原稿のコメントを打ち返す.言語系統樹にもとづく種間比較・祖先形質状態復元・最尤法・ベイズ法まで登場する.理論と実践の両面で生物系統学とまったく何一つちがいがなくなってきたことを痛感する.

◆[欹耳袋]〈駒場寮同窓会WEB〉 − こんなサイトがあったとはぜんぜん知らなんだあ!/『彷書月刊』編集長だった田村治芳氏が元日に亡くなったとのこと.

◆[蒐書日誌]今年最初の蒐書は昨日イーアスのアカデミア書店にて —— 山口昌男『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(上)』(2010年11月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G245],東京,x+370 pp., 本体価格1,360円,ISBN:978-4-00-600245-9 → 版元ページ)/山口昌男『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(下)』(2010年12月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G246],東京,x+455+40 pp., 本体価格1,600円,ISBN:978-4-00-600246-6 → 版元ページ)※明治から昭和初期に活躍した文筆家・内田魯庵を中心とする人的ネットワークを発掘した労作.人と人とのつながりはおもしろい.上下巻合わせてほぼ900ページもあって,アヤシい写真やイラストが満載(うれしー).

本書を立ち読みしたとき,目次に登場する人物たち(坪井正五郎・市島春城・沼波瓊音・フレデリック・スタール・斎藤昌三ほか)になじみがあるように感じたのは,著者・山口昌男が編纂している国書刊行会のシリーズ〈知の自由人叢書〉から,彼らの本がすでに復刻されていたからか! そういえば,フレデリック・スタール『お札行脚』(2007年3月31日刊行, 国書刊行会[知の自由人叢書・第5回配本], ISBN:9784336047168)をうっかり買い忘れていたではないか!

◆今日も青空が広がっていい天気.昼下がりの日射しが南側に降り注いできたので,ベランダのおせち料理を急いで北側に避難させる.コーヒータイムのおともは『ダーウィンの珊瑚』の続きをば.午後1時の気温は9.1度,北西の風2メートル.

◆決着の年! —— 中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る[仮]』(2011年刊行予定,勁草書房,東京).二つの章を残して昨年のうちに第一稿がほぼ出そろったので,全体の章構成と章タイトルそして節の見出しを公開した(→ 改訂目次).手元に届いた章の原稿についてはすでにコメントを返した.次なるステージは各章の改訂作業だ(今月末まで).節の見出しは原稿改訂にともなって変更される可能性が大きい.

【目次[4 January 2011 version]】
 はじめに(中尾央・三中信宏)
 第1章:文化の過去を復元すること:文化進化のパターンとプロセス(中尾央)
 第2章:Using phylogenetic comparative methods to test hypotheses about the pattern and process of human social and political evolution(Thomas E. Currie/訳)
 第3章:『老葉』に対する系統学的アプローチ:宗祇による連歌の系譜(矢野環)[仮題]
 第4章:『百鬼夜行絵巻』写本の系統(山田奨治)
 第5章:19世紀擬洋風建築と G. クブラーの系統年代について(中谷礼仁)
 第6章:イメージの系統樹:アビ・ヴァールブルクのイコノロジー(田中純)
 第7章:文化系統学と心理(板倉昭二)[仮題]
 第8章:文化系統学と系統樹思考:存在から生成を導くために(三中信宏)
 おわりに(三中信宏・中尾央)
 索引
 見取図(三中信宏)

—— 系統樹思考は「万能酸」である;分類思考は「通奏低音」である.

◆夕焼けタイムに二の宮公園あたりまで徘徊してきた.西日がすとんと落ちるので歩き読みはムリ.今日は日中は日射しが暖かかったが,夕方になって冷たい北風で午後5時の気温は+6.0度まですとんと降下した.夜はローストビーフを丼にアレンジして食卓へ出す予定.〈醸し人九平次〉の再登場だ.

—— 正月三が日というが,今年はことのほか短く感じてしまうのはどうしてだろう.明後日はもう平日労働だ.

◆本日の総歩数=3706歩[うち「しっかり歩数」2919歩/31分].全コース○|○.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.0kg(+0.3kg)/28.2%(−0.4%)


1 januari 2011(土)※元日は歩いて呑んで日が暮れて

◆大晦日からアタッカで新年になだれ込む午前零時過ぎ.一の矢神社の除夜の鐘はぜんぜん聞こえなかったが,どこか遠くで段雷が鳴っているようだ.大晦日の日録はすでにアップしたのだが,ワイキキ日録を放置したままついに年越ししてしまったという冷厳なる現実に震え上がってる新年の真夜中.明朝も早いのでそろそろ寝るか.初日の出は拝めるか? ——

—— でもって元日の未明,午前6時前に起床した.気温はマイナス2.1度.雲はやや多い.朝焼けグラデーションののち午前7時前にやっと東の空に初日の出を拝むことができて幸いだった.この写真を見たみなさんに,この一年が良き年でありますように.年賀状は出さない主義なので,年始のご挨拶代わりの一枚ということで.今年もがんばって走り回ろう.午前8時過ぎにゆるりと地震があった.

◆[進化思考]本日の余響:帯広畜産大学 環境微生物学研究室「今年の10冊(2010) 」(2010年12月31日) ※新年早々ありがたやありがたや.

◆チャールズ・ダーウィンの進化図像学 —— ホルスト・ブレーデカンプ[濱中春訳]『ダーウィンの珊瑚:進化論のダイアグラムと博物学』(2010年12月10日刊行,法政大学出版局[叢書ウニベルシタス949],東京,16 color plates + iv+185 pp., 本体価格2,900円,ISBN:978-4-588-00949-5 → 目次版元ページ大学出版部協会ページ).

年の瀬のサプライズ.日本語訳が出るとはまったく予想していなかった.ダーウィンの「系統樹」に対する姿勢について図像学的に解析した本.「系統樹」の観念史についてさまざまな洞察を得ることができる.原書は:Horst Bredekamp『Darwins Korallen : Die frühen Evolutionsdiagramme und die Tradition der Naturgeschichte』(2005年刊行, Verlag Klaus Wagenbach[Kleine Kulturwissenschaftliche Bibliothek 73], Berlin, ISBN:3-8031-5173-2 → 目次版元ページ).ドイツ語原書は細かい活字でびっしり組まれていたが,この訳本の方が目にずっと優しい.どうもありがとう.

さて,次は Julia Voss の著作かな?!:Julia Voss『Darwins Bilder : Ansichten der Evolutionstheorie 1837 bis 1874』(2007年6月刊行, Fischer Taschenbuch Verlag, Frankfurt am Main, ISBN:9783596176274 [pbk] → 目次版元ページ).さらに言うなら,超弩級の C・G・ユング『赤の書』が翻訳出版されるご時世なんだから,同様の兇器度をもつ:Olaf Breidbach『Ernst Haeckel : Bildwelten der Natur』(2006年8月刊行,Prestel,ISBN:3-7913-3663-0 → 版元ページ)が訳されたとしてもけっしてフシギではない.

◆曇りところどころ青空がのぞく元日の昼下がり.気温は+8.2度とさほど寒くない.さて,日が陰らないうちに外を徘徊してこようかと画策しているところ.その前に文化系統学のもうひとつの原稿のコメントを書かないといけない.正月から┣┣" を放って申し訳ありませぬ>関係者各位.『文化系統学への招待』の建築史原稿のコメントを関係者に打ち返しました.よろしくよろしく.

◆午後になって急に曇ってきた.近辺徘徊をどうしようか迷っている.とりあえず,『文化系統学への招待』の「百鬼夜行絵巻」原稿を読んでいるところ.元日からオニさんがわらわらと登場する.午後3時を過ぎて雲がやっと切れ,まぶしい西日が射し込んできたので,緊急自分会議を招集し,初売りのイーアスまでとぼとぼ歩くことを議決した.

晴れたり曇ったりの夕方,葛城の八坂神社経由でイーアスまで徘徊.元日から和太鼓のアトラクションもありとても賑わっていた.アカデミア書店をひとまわりして,ルピシアで紅茶福袋をゲットして帰還.北風に吹き晒されることもなく穏やかな年のはじめの一日が暮れていく.日が暮れて,早々とメーリングリストへの新年月例アナウンスを送信完了.元日にさくっとすませたのは何年ぶりのことか.こういう┣┣" はラクでいい.その後,文化系統学の「百鬼夜行」原稿のコメント返しをすませ,穏やかな元日の夜は島根の〈王祿・渓・直汲み〉を開栓した.大晦日は〈醸し人・九平次・うすにごり〉だが,正月は〈王祿〉がふさわしいと思う.ラベルのウラ側のヤマメが元気よく泳いでいた.最近,〈渓・うすにごり〉と縁がないな(たがみ酒店に入荷していない).

ローストビーフは大晦日にオーブンで焼き上げたが,一晩戸外で寒風にさらした.岩塩と黒胡椒のみのシンプルな調味のみ.このままスライスして食卓にあげるのもよし,炊きたてのご飯の上に並べてステーキ丼にするもOK.計1kgあるので正月三が日の料理としてはこれで十分なはず

◆[蒐書日誌]月刊みすずの〈書評アンケート〉特集に向けて「5冊」をセレクションしている(過去履歴:2010年2009年2008年2007年).昨年は生物学史・生物学哲学の文章ばかり書いたので,必然的にその方面の本たちに焦点が絞られつつある.いまのところ:

  1. Daniel Rosenberg and Anthony Grafton『Cartographies of Time: A History of Timeline』(2010年刊行,Princeton Architectural Press, New York, 272 pp., ISBN:978-1-56898-763-7 [hbk] → 目次版元ページ
  2. 新妻昭夫『進化論の時代:ウォーレス=ダーウィン往復書簡』(2010年3月30日近刊,みすず書房,vi+495+29 pp.,本体価格6,800 円,ISBN:978-4-622-07529-5 → 目次版元ページ
  3. ホルスト・ブレーデカンプ[濱中春訳]『ダーウィンの珊瑚:進化論のダイアグラムと博物学』(2010年12月10日刊行,法政大学出版局[叢書ウニベルシタス949],東京,16 color plates + iv+185 pp., 本体価格2,900円,ISBN:978-4-588-00949-5 → 目次版元ページ大学出版部協会ページ

の3冊はさっそくエントリーが確定している.

◆新年会予定 —— 御用始めの翌日1月5日(水)の夜,観音台の〈麒麟倶楽部〉にて「悪の枢軸」ヒミツの新年会.

◆本日の総歩数=6507歩[うち「しっかり歩数」4381歩/42分].全コース○|○.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=未計測/未計測


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[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集