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日録2008年12月 


31 december 2008(水) ※ 北風吹く大晦日に五目豆を煮る

◆午前6時前に起床.乾燥した冬晴れ.北風が冷たい.昨日よりは気温が大幅に下がるという予報だ.

◆朝から百鬼夜行 —— 小松和彦『百鬼夜行絵巻の謎』(2008年12月21日刊行,集英社 [集英社新書ヴィジュアル版012V], ISBN:978-4-08-720472-8 → 詳細目次版元ページ).さくっと第1章まで80ページを読了.カラー図版満載で楽しめます.異本系統樹も描かれているが,それは必ずしも「ツリー」ではなく「ネットワーク」になることはまちがいない.「祖本・原本・模本」という用語については,著者は次のように定義している(p. 73):

  • 【祖本】:「絵師の創意によって生み出されたオリジナル作品」
  • 【原本】:「模写するにあたってもとにした作品」
  • 【模本】:「「原本」を模写した作品」

とすると,【祖本】とはある文献系譜の「共通祖先」,その祖本から派生したある【原本】を「直接祖先」として模写されたものが「直接子孫」としての【模本】ということになるだろう.また,文献系図(stemma)の場合,祖本をてっぺんに置いて,枝垂れ桜のように異本を配置するという伝統的な描画法がある.本書もその伝統に従っている.

◆暮れ行く年の五目豆 —— 夜明け前から五目豆の仕込みに入る.前日から水に漬しておいた大豆(乾燥状態で250グラム)を火にかけ,まずは十分にアク取りをする.

大豆と炊き合わせる食材である人参と蒟蒻は角切りにする.そして同じく角切りにした蓮根と牛蒡は酢水にさらす.昆布は水でもどしてから正方形に切る.大豆のアク抜きが終わったら,他の食材をすべて鍋に入れて,まずは砂糖を大さじ3杯,浮いてくるアクを取りつつ,次に薄口醤油を大さじ2杯,さらに酒と味醂をそれぞれ大さじ1杯ずつ入れる.午前7時半に仕込みは終わった.あとは弱火にしてことこと煮ればいいだけだ.味見をしながら煮続けて約3時間後の午前11時前,やっと満足のいく煮上がりになったので火を止める.暮れに五目豆を炊いたのは数年ぶりのことだったが,レシピも大まかなところはからだで覚えていた.調味料の具合はもちろん“正しい京都モード”にしました.

◆「ハンマー」の記憶は揮発しない —— 昨夜からやや「想い出モード」になっていたが,自然にアンテナも「追憶探索」に切り替わっていたのだろうか.グスタフ・マーラーの第6交響曲(最近は「悲劇的」というタイトルが付けられている)には,最終楽章で「大きなハンマー」という楽器が登場することで有名だ.もちろん,全聴衆(ならびに全演奏者)の視線を集めるハンマー奏者にとっては一世一代の大舞台なのだが,初めて聴く聴衆にも強烈な記憶を刻みつけるようだ.たまたま検索にヒットした〈MKVCD 永遠の名曲を求めて〉というページにこんなことが書かれてあった:

「ちなみにハンマーで叩く板は丈夫な必要があります。というのも昔(多分1970年代の後半頃)に聴いた某アマオケ、または学生オケの演奏会で、やや年季の入った木製の台(古くなった指揮台?)を叩いていましたが、これが叩くたびに割れてしまい、3回目には粉々に粉砕されていました。まだ小学生だった私はそういう曲なのかと思って素直に驚いたほどですが、お陰でその演奏会の時はハンマーを3回叩いていたことだけは鮮明に記憶しています。 」

この記事は,まちがいなくわれわれ東大オケの1978年定期演奏会でのマーラー第6交響曲の演奏を指していると推測される.この演奏で用いた「大きなハンマー」の出所ならびに上の記事で言及されている「古くなった指揮台?」の正体,そして当日の演奏の実録は,2005年10月5日付けの「日録」に書いた通りだ.その指揮台は「帝大音楽部・大正十四年」と記された東大オケに代々伝わる由緒ある指揮台だったが,東京文化会館でのこの夜の演奏によって“木っ端微塵”に砕け散り,悲劇的にして名誉ある玉砕を遂げたのだった(成仏してくれただろうか).それにしても,この記事の書き手がどういう方か知らないが,小学生のときに“マラ6”を聴きに来るとは大したものだ.そして,何よりも,30年も経ってから当時の記憶を書き留めてくれたのはうれしいかぎりだ.

◆大晦日の夕闇の帳が降りたころ,今年最後の〈たがみ酒店〉にて,狙っていた〈王祿〉の「相伝」をゲットした.「木桶仕込み・舟しぼり・仕込み第25号」の「限定526本」中の「1/526」というナンバーがふってあった.新年にふさわしい実にラッキーな1本ではないか.せっかくの一期一会をムダにすることはできない.

しかし,元旦になるまではまだ6時間あまりもある.過ぎ行く年を送るのにふさわしい1本として〈神亀〉の純米酒をぬる燗にしていただくことにした.年越しそばと日本酒の燗酒というのは悪くない組合わせだろう.

—— 今年もこうして盃を傾けつつゆるゆると終わりを迎えられるのは幸せなことだ.残務トドどもの放縦は目に余るが,とりあえずは静かに年を越すことにしよう.

◆本日の総歩数=7601歩[うち「しっかり歩数」=2626歩/24分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前日比)=83.3kg(−0.1kg)/24.8%(+0.7%).


30 december 2008(火) ※ 大晦日の臨界点が近づいてきた

◆今日も午前7時過ぎに起床.日に日にダメ人間に成り下がっていく.よく晴れて気温は低いが北風は吹いていない.日が上るとともに穏やかな暖かさの小春日和になった.遠景が霞んでいる.今年も残すところもう二日しかない.トドどもは放置状態だが,大晦日の臨界点も目前に迫ってきた.

◆右手に「本」を,左手に「鍋」を —— ここ数日 mixi にて「肉を焼く」話をし続けている.肉をうまく焼くにはそれ相応のパンや鍋が必要なのだが,これはというものは値段がはるので買う決断がつかず二の足を踏むことになる.もちろん,いつも「本」を買うときのことを考えれば,「鍋」を買うくらいフトコロの問題としては実はたいしたちがいはない.しかし,「本か鍋か」と問い詰められれば,つい前者を選んでしまうワタシに対して,杉並の某シェフは「本より鍋を」と言い切る.すばらしい.来年はぜひ〈Staub〉や〈Le Creuset〉の鍋をずら〜りとそろえたいものだ.

◆暖かい昼過ぎに,柳橋の〈みずほの村市場〉に早々と野菜類と年越しそばの買いだし.予想通り大混雑していた.これで臨界点に向かう食材の準備はほぼ整った.あとは調理だけか(おい).予定では大晦日には五目豆を炊くことになっているので,半日前から乾燥大豆に給水させないといけない.タイムリミットはもうすぐだ.

いつも昆布豆を炊くのに使っている大鍋は,今から30年も前に千駄木に下宿していたころ,渋谷西武の厨房コーナーでえいやっと1万円も出して買ってしまった北陸ダイカスト製のアルミ厚底鍋だ.その後,カレーやシチューはもちろん,おでんや煮物にと大活躍し続けて今年で30年になる.鍋本体はもちろん,肉厚の蓋も取っ手もまったくへたることなく,今日まで現役で働き続けてくれるのはありがたいかぎりだ.こういうことを考えれば,厨房道具はたとえ高くても文字どおり「一生もの」となる可能性が高い.

—— やはり,「本」よりも「鍋」ですかね…….

◆さらに暖かくなった昼下りは気温10度越えたようだ.午後3時に大豆(品種は茨城県産の有機栽培「タチナガハ」)を水に浸しはじめた.半日後の大晦日未明には十分に吸水できているだろう.明け方に炊き始めれば数時間で調理が終わる予定だ.煮物の出来ぐあいは時間と忍耐で決まる.

◆千駄木の六畳一間の下宿でその鍋を使っていた当時,いま東京フィルハーモニーでホルンを吹いている今井彰くんがたまたま同じ下宿に入ってきた(当時は芸大の別科にいたと記憶している).NHKのジュネスに出演した縁で彼とはその前から知り合いだったのだが,同じところに住むようになって,互いに鍋を持ち寄る機会が増えた.連日けんちん汁を大鍋でつくり続ける今井くんがいて,かたや,当時としては高かった鍋を使いたがるワタクシがいれば,その結末は大鍋どうしのガチンコ勝負となることは明らかだった.

◆夜,トドたちを従えつつ,飯沢耕太郎『きのこ文学大全』(2008年12月15日刊行,平凡社[平凡社新書447],ISBN:978-4-582-85447-3 → 書評版元ページ)を読了.ダーウィンがビーグル号航海で発見した,ミナミブナ(Nothofagus)に寄生するキノコ(Cyttaria)を現地のフェゴ人が生で喰う話も載っている(pp. 199-200).当然,南方熊楠も登場するし,ムソルグスキーやチャイコフスキーも出てくる.「文学」とは銘打たれていてももっと射程は広い.本書の何ヶ所かでロシアではキノコ狩りが文化的風習として広まっていると書かれていた.そういえば,ポアンカレ予想を解決したロシアの数学者グレゴリー・ペレリマンは,全世界からの賞賛を避けるように故郷ロシアに隠棲していた間は「キノコ狩り」をしていたと聞いたことがある.ロシアとキノコとは何かしらもっと精神的に深いつながりがあるのだろうか.

◆さて,泣いても笑っても明日は大晦日だ.トドたちとともにばたばたと年越しするのだろうか.

◆本日の総歩数=4735歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.4kg(+0.3kg)/24.1%(−0.8%).


29 december 2008(月) ※ 近場を徘徊しても埒が明かない

◆午前7時前にのろのろ起き出す.晴天できりっと冷え込む.しかし,風はない.年末休みに入ってからというもの,起床時間に関しては急降下で「堕落の一途」をたどっている.お天道様に顔向けができない.新しい年をこーいう「ダメダメな生活リズム」で迎えてはいけない.すでに門松が飾られている農環研に潜入する.午前8時の気温がまだマイナス0.2度だから,明け方はもっと寒かったのだろう.しばし,ごそごそしてから帰宅する.

◆日中のこまごま —— 午前10時過ぎに歯科定期検診を受ける.次回の治療の予約をする./その後,再び農環研に忍び込み,自分では書かない年賀状の図案づくりを進める.なんやかんやで午後3時すぎまでかかってしまう.半日仕事やん.年賀状という文化系譜−もう終わってない?/あいまに,今年最後のメーリングリスト管理作業をすませる.新年早々にはきちんと月例アナウンスを出したいものだ./ついでに,進化学会の評議員仕事をちょこちょこと.方々の機関からの「ヘルプ・ミー」の大合唱にやや辟易している.

◆今日は昼過ぎに10度そこそこの気温があり,北風も吹かなかったので,昨日までよりは体感的にずっと暖かかった.しかし,いつも通っている近在のパン屋が早くも正月休みに入ってしまった.つい先日,北大路の〈ブラウニー〉から冷凍ベーグルが大量に届いたので,当分の間パンにはことかかないのだが.長い正月休みの間にも,ちゃんとしたドイツパンが食べたいな.たまにはカヌレも味わいたいな.

◆正月前になると賑わう酒屋 —— 正月用のアルコール類を三が日の前にそろえておこうと思って,竹園の〈たがみ酒店〉に立ち寄ったら,いつになく客が多くて,奥の日本酒コーナーもすれちがえないほど.ただ,こちらが先日から目をつけていたいくつかの銘柄はそのまま残っていたので一安心.静岡の〈開運〉の「無濾過純米」と埼玉の〈神亀〉の「純米」の二つがあればとりあえず年は越せるでしょう.鳥取の〈諏訪泉〉の「純米大吟醸・鵬」も狙っているのだが,その前に先年いただいた福井の〈花垣〉の純米古酒(頒布会出品用)が冷蔵庫にいい色が着いてずっと眠っている.年越しの愉しみはいろいろありますということで.

◆それにしても,締切が差し迫っているのに,ぜんぜん埒が明かない「原稿トド」どもを何とかしないとどーしようもないなあ…….と言いつつ,もう夜になってしまった.どーすんねん…….

◆本日の総歩数=11406歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前日比)=83.1kg(−0.4kg)/24.9%(+1.5%).


28 december 2008(日) ※ 終日引籠って拭いたり書いたり

◆午前6時起床.星空.今朝も冷え込みがとてもきびしい.

◆年越しのトド撃ちリストの更新 —— 年内の積み残し残務はまだあるのだが,そろそろ新年に向けて,トド撃ち予定表を更新した.圧倒的に「原稿書き」の仕事が多い.困ったな…….とくに「年内締切」というのがふたつもあるんですけど…….※大晦日まであと三日…….

◆ひたすら拭く午前 —— 朝から冬晴れで,吹きつける北西風が冷たい.にもかかわらず,北向きのガラス拭きとカーテン洗いという年末任務が天から降ってきた.正午過ぎまでの奉公.

◆休みにもこまごま —— 東京農大(世田谷キャンパス)から次年度のシラバスに関するオンライン入力の案内が郵送されてきた.入力の締切日は「2009年2月13日」.このシラバス登録だけだったらいいのだが,もうひとつ「オフィスアワー設定」という新しいデューティがやってきた.ぼくの場合,世田谷では非常勤講師として教壇に立っているのだが.その非常勤講師に対しても「オフィスアワーを設定してほしい」との教務からの依頼だ.しかし,困ったことに,非常勤講師にはそもそも「オフィス」がないではないか(あったら即「常勤講師」だ).説明ビラをよく読むと,受講生とのメールでのやりとりも「オフィスアワー」とみなすらしい.ということは,すでにぼくが実施してきた講義ブログでの対応も「OK」ということにしてくれるのだろうか.そうだったらハッピーエンドですが.

◆ひたすら書く午後 —— 年の瀬に堆積してしまった原稿仕事のうちせめていくつかは進捗させないと,大晦日に押し入れに逃げ込むことになってしまう.まずは,『月刊みすず』から毎年依頼されている書評原稿からか.『月刊みすず』は年初めの1月・2月合併号で〈読書アンケート特集〉という書評特集を組んでいる.各評者が2008年に読んだ中から5冊を上限としてピックアップし,簡単なコメントをつけて紹介する.今年は下記の5冊を選ぶことにした:


□『月刊みすず』書評号に挙げる5冊(まずは進化学・体系学関連3冊):


【順位】1
【書名】プレートテクトニクスの拒絶と受容:戦後日本の地球科学史
【著者】泊次郎
【刊行】2008年6月2日
【出版】東京大学出版会
【ISBN】9784130603072
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081026/1224718529

【順位】2
【書名】The Science of Describing : Natural History in Renaissance Europe
【著者】Brian W. Ogilvie
【刊行】2006年6月1日
【出版】The University of Chicago Press
【ISBN】0226620875 [hbk] / 9780226620886 [pbk]
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081027/1224718610

【順位】3
【書名】Principia Taxonomica: Una Introducción a los Fundamentos Lógicos, 
     Filosóficos y Metodológicos de las Escuelas de Taxonomía 
     Biológica (Volumen I - IX)
【編著】Nelson Papavero and Jorge Llorente Bousquets
【刊行】2008年
【出版】メキシコ国立自治大学,メキシコシティー
【ISBN】97860720000667 [CD-ROM]
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081130/1227304073

続いて,その他の2冊:


【順位】4
【書名】きのこ文学大全
【著者】飯沢耕太郎
【刊行】2008年12月15日
【出版】平凡社[平凡社新書447]
【ISBN】9784582854473
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20090103/1230693928

【順位】5
【書名】ボン書店の幻:モダニズム出版社の光と影
【著者】内堀弘
【刊行】2008年10月10日
【出版】筑摩書房[ちくま文庫]
【ISBN】9784480424662
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081022/1224482594

さらに,選からは漏れたが,「次点」級の8冊を下記に列挙する:


【書名】The Complete Work of Charles Darwin Online
【編者】John van Wyhe
【URL 】http://darwin-online.org.uk/

【書名】The Tragic Sense of Life: Ernst Haeckel and the Struggle over Evolutionary Thought
【著者】Robert J. Richards
【刊行】2008年5月13日
【出版】The University of Chicago Press
【ISBN】9780226712147 [hbk]
【目次】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20080617/1213281266

【書名】Evolution for Everyone: How Darwin's Theory Can Change the Way We Think About Our Lives
【著者】David Sloan Wilson
【刊行】2007年3月27日
【出版】Delacorte Press
【ISBN】9780385340212 [hbk] / 9780385340922 [pbk]
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20080427/1209345613
【備考】日本語訳が間もなく出る予定と聞く.

【書名】普遍論争:近代の源流としての
【著者】山内志朗
【刊行】2008年1月10日
【出版】平凡社[平凡社ライブラリー630]
【ISBN】9784582766301
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20080121/1200860354

【書名】黄金郷(エルドラド)伝説:スペインとイギリスの探険帝国主義
【著者】山田篤美
【刊行】2008年9月25日
【出版】中央公論新社[中公新書1964]
【ISBN】9784121019646
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081001/1222888598

【書名】ラス・カサスへの道:500年後の〈新世界〉を歩く
【著者】上野清士
【刊行】2008年8月15日
【出版】新泉社
【ISBN】9784787708052
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081019/1224206279

【書名】南米キリスト教美術とコロニアリズム
【著者】岡田裕成・齋藤晃
【刊行】2007年2月25日
【出版】名古屋大学出版会
【ISBN】9784815805562
【紹介】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20070310/1173492621

【書名】読んでいない本について堂々と語る方法
【著者】ピエール・バイヤール[大浦康介訳]
【刊行】2008年11月25日
【出版】筑摩書房
【ISBN】9784480837165
【書評】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20081225/1229747613

中南米本が多いのはアルゼンチン出張に関連して読んだから.なお,進化学関連本はダーウィン祝賀年である来年まわしになる予定.

—— 上で取り上げた5冊についてそれぞれ短評を付けた上で,午後9時過ぎにみすず書房編集部宛に,書評原稿をメール送信して,この件は一件落着した.

◆結局,今日は一歩も外出しなかった.年の瀬の不健康な引き蘢り日だった.

◆本日の総歩数=0歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前日比)=83.5kg(−0.2kg)/23.4%(−2.4%).


27 december 2008(土) ※ 燃え尽きてなおリベンジ料理人

◆年末年始の休みに入ったので,午前6時過ぎまで怠惰にも寝てしまった.師走に入ってから走り回ったので燃え尽きたのかもしれない.夜明け前から厳しく寒いのは,晴れ上がって放射冷却したのに加えて,北風が朝から吹きつけているせいもあるだろう.その後も,日中いっぱい冷たい筑波颪が吹き荒れた.それでも,正月用の買いだしで道路は車,店は人で混んでいた.年賀状も大掃除も買いだしもそして帰省とも無縁のワタクシとしては,ご苦労さまというしかない.燃えつきた「灰」は風に吹きだまるのみ.

◆復刊メモ —— 見田盛夫『メニューの読み方:うんちく・フランス料理』(1998年2月15日刊行/2008年8月8日第2刷刊行,平凡社[平凡社ライブラリー234],ISBN:978-4-582-76234-1 → 目次版元ページ).たまにこういう「こだわり本」に出会うと楽しくなる.平凡社ライブラリーでの10年ぶりの復刊.元本はさらにさかのぼって1986年に,今はなき駸々堂出版から出版されたそうだ.息の長い本.フランス語の料理メニューの読み方を通して,フランス料理の食材とその調理法を解説している.巻末の単語集や「アラの研究」そして「ソース類集」などの付録がおもしろそう.メニューの実例もちゃんと載っている.それにしても,こうやってあらかじめ勉強しないと,レストランに入ってメニューを“読む”ことすらできないとは,奥が深過ぎます.

◆昼下がりのこまごま —— 貸倉庫にクリスマス関連の荷物を格納に行く.ついでに宅急便をひとつ発送.年の瀬は荷物を送る人が多いな./農環研に入ってのは午後3時すぎだった.快晴で気温は7度台で寒い.もう年末の休みに入っているというのに,たくさんの「出勤者」がいる.ご苦労様です.一時間ほどごそごそしてから撤収.

◆リベンジ!ローストビーフ勝負 —— 一昨日,久しぶりにローストビーフを焼いた顛末を mixi に書いたところ,杉並の某シェフ殿から詳細なる「教育的指導」を受け,いたらぬ自分を深く恥じたしだい.しかし,恥じているだけでは何の進歩もない.即座に「雪辱戦」に挑むしかないだろう,ということで.帰りがけにタスマニア産の赤身モモ肉「500グラム×2」をドンと買い込み,今回はちゃんと調理用たこ糸も用意した.和牛はちと高いが,タスマニア産だと正月特売価格でたった「198円/100グラム」だ.価格よりは量を優先した.

まずは下準備.ほんとうは肉を買った後に数日間「熟成」させ,調理の前に半日かけて室温にもどすのだが(指導点1),ここはスキップして,いきなり塩コショウの段階へ.前回と同じくカマルグ塩と黒コショウをしっかり振った上で,糸できっちり整形してしばる.焼け具合に影響するので,ほぼ均等の直径の円筒形になるように緊縛した.

次はオーブンの準備.前回は「240度」という高温設定にしたのだが,それが大きなまちがいで,ずっと低い「150度」にセットするのがいいとのこと(指導点2).そこで,「150度」に温度設定をしてオーブンを予熱する.待ち時間に,フライパンを強火で熱して,肉に十分な焦げ目をつけてオーブンで焼いている間に肉汁が逃げないようにする(指導点3).オーブンが暖まったら,野菜くずを敷いて(鉄板と肉がダイレクトに接しないようにするため),焼き時間を「30分」に設定して焼き始めた.

肉の中心部分の温度を測るには,金串をさし込んで十秒待つこと.串を舐めてやや熱いくらい(これで50度ほど)ならば「レア」の焼き加減でOKとのこと(指導点4).この状態であれば,生焼けではなく中まで火が通った真っ赤な「レア」になっているそうだ.25分焼いたところで温度を測ったところちょうどよさそうだったので,取り出して寒風吹きすさぶベランダで半時間ほど冷やす.スライスしてみたら,確かに真っ赤なレアで,火がちゃんと通っていた.

もう一本の方は同じ要領で少し長く「30分」焼き,冷ました後に冷凍することにした.ローストビーフは冷凍後に解凍して薄切りにするとさらに美味くなるとのこと(指導点5).これは正月の楽しみにとっておこう.

お供の赤ワインは,カリフォルニアの Napa Valley にある〈Robert Mondavi Winery〉の「Cabernet Sauvignon 1999」という銘柄.

—— ということで,年の瀬の「ローストビーフ雪辱リベンジ戦」は首尾よく制したと言えるだろう.それもこれも某シェフ殿のおかげでございます.「フライパンでしっかり焦げ目をつけ,オーブンでじっくり低温で焼く」というポイントは確かに習得いたしました.

◆さ,明日からは原稿原稿また原稿……(汗).

◆本日の総歩数=7397歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.7kg(−0.7kg)/25.8%(+0.4%).


26 december 2008(金) ※ 北風に吹かれて今年最後の業務

◆午前4時半起床.星空.気温2.5度.氷点下ではないのだが,北風が冷たく吹きつけて,体感的にはとてもこたえる夜明け前.

◆今年最後の出勤簿への押印 —— 大学であれば,本人ではないどこかの誰かが押印しているのだろうが,旧国研から独法になっても毎日出勤すれば出勤簿にハンコを押すことをめんどうに思ったことはない.農環研に入った当時の室長が,「われわれ公務員[当時]は出勤簿にハンコを押すことに対して給料が払われている」と言ったことを今でも覚えている.それにしても,今年は「押印しない日」がとても多かった.まる一年分を上から鳥瞰すると出勤の「朱印」の率が目立って低いことがよくわかる.斜線は「年休」で,黒四角は「出張」だ.次に見るときには新年を迎えての真っ白な出勤簿に差替えられているだろう.

◆早朝のこまごま —— 首都大学東京の成績についてやっと連絡をした.9月のケリを年末に持ち越すようではいけないのだが.ついでに事務的な件での問合せも

◆リサーチプロジェクト(RP)成績検討会の朝 —— 午前8時半の気温は3.2度.気温はぜんぜん上がらない.北風はいよいよ強く,外歩きはする気にならない.もちろん,今日は午前9時から成績検討会なので,歩いているヒマなどない.4階の会議室にて定時に検討会の開始.総括のあとで担当者ごとに報告&質疑を進めていく.ぼくの担当分についても話をする(系統学的多様度の定量化とその検定法).まあ,こんなもんでしょ.

それにしても,所内のこーいう会議は「居心地」がよろしくない.昨日今日のことではなく,1989年10月に農環研に入ってから20年間ずっとのことだから一過性の気分ではない.とくに個別報告に次ぐ質疑の時間では,ときどき「よくわからない問いかけ」が上座からあって,ほとんどの場合スルーしてしまうか,あるいは適当に受け答えして10秒後にはきれいに忘れるようにしている.どうせぼくの人生には何の関わりもないのだから(年に一度しか同席しないのだから),しょせん気に病むことはないでしょう(管理職は困るだろうけど,ぼくの知ったことではない).

農環研に最初に来た年の成績検討会の場だったか,「ワタシにとって最も近縁な研究[者]はここにはいない」と宣言したのだが,その公約をあえて掲げたのは今にして思えば正しい行為だったと思う.実際,かつては心情的に農環研に帰属しなかっただけだが,現在は物理的に農環研にいないことが多い生活を送っているというのは,その公約に合致している.要するに,「どこにもいないが,どこにでもいる」という研究生活上の信条を吐露しただけなのだが.「居場所がない」ことを逆手にとって前向きに独りで生きていくということだ.

来年度以降,所内RP構成の再編が“雲の上”(“成層圏”よりは低い高度)で議論されているという.年度中盤だからそういう案が浮上するのも道理だろう.しかし,どうあがいても農環研は2年後には合併されてなくなるのだから,コミットしてもしかたがないことには変わりない.とどのつまりは,RPがどう変わろうと,農環研がどのように解体されようと,ぼくの居場所はないだろうということだ.

それよりもはるかに悩ましいのは,組織再編の際には決まって白昼の〈百鬼夜行〉が現われるということだ.前回,農環研が独法になるときにも〈百鬼夜行〉が丑三つ時ならぬ勤務時間内に通り過ぎた.組織的な「妖」とか個人内面的な「魔」などなど,“ライン”を通じて降臨する魔物もいれば,“疑心暗鬼”という妖怪もしじゅう跳梁跋扈する.一歩踏み出してさてもどろうとすると帰り道が消えていたり,出所のアヤシイ情報が飛び交ったり.

今度の三法人合体の際にも,白昼の「逢魔が時」が繰り返し出現すると予想している.前向きに取り憑かれたい向きもいるだろうけど,ぼくはごめんなさいね.

—— いずれにせよ,今年最後の「御用」がつつがなく?終わってくれたのは幸いだった.みなさん,お疲れさん.また,来年(そしてあと二年).

◆新刊メモ —— 小松和彦『百鬼夜行絵巻の謎』(2008年12月21日刊行,集英社[集英社新書ヴィジュアル版012V],ISBN:978-4-08-720472-8 → 詳細目次版元ページ).カラー新書はコストパフォーマンスが高いのでありがたいです.本書の底流テーマは,現在まで伝承されている『百鬼夜行絵巻』の異本(variants)に関する写本系譜だ.さまざまな「絵巻」の間に見られる図柄の synapomorphy と autapomorphy を手がかりにして,それらの異本の由来を祖本の遡及を試みている.妖しく渦巻く黒雲に浮かび上がる怪しいシルエットがとても印象的だ.著者が中心となってつくられている国際日本文化研究センターの〈怪異・妖怪伝承データベース〉を久しぶりに覗いてしまった.これもまた白昼の〈百鬼夜行〉だ.

◆会議から解放された正午過ぎの気温は5.7度,午後2時には5.2度に下がっていた.北風がひゅうひゅう音を立て,こりゃ猛烈に寒い日中だ.空中の塵が吹き払われたせいか遠景の筑波山がくっきり見えた.夕焼けが生える午後5時過ぎに仕事納めの日に幕を引いて撤収.短時間でも外を歩くのが寒くてつらい夕暮れ時.

◆明日からは「御用」こそないものの,月末までの原稿をいくつか書かないといけない —— 年賀状どころではない;大掃除どころではない;もちろん,行楽どころではない.

◆本日の総歩数=10460歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=84.4kg(+0.2kg)/25.4%(+1.2%).


25 december 2008(木) ※ クリスマスに降臨する翌年仕事

◆午前4時起床.星空.気温はマイナス0.3度.寒いな.駒場から降り注ぐレポートをかわしつつ(「本日締切」の公告を〈R-statistiker〉に出した),明け方のRスクリプト書き(系統学的多様度の帰無分布の構築).明るくなっても晴れ上がって寒いまま.午前9時半の気温は4.6度しかない.

◆早くも来年のお座敷の声が —— 毎年呼ばれている首都大・東大などのいつもの常連さんに加えて,最近では大分県や岐阜のIAMASのような“リピーター”が増えてきたのはありがたいことです.今年9月に講義した横浜国大からも「来年また拡大バージョンで」との申し入れがあり,喜んでお受けすることにした./『ニュートン』からダーウィン記事の執筆依頼あり.杜の都から転送された“白羽の矢”が刺さった./そういえば,進化学会編『進化学事典』のトドが急速に増殖しはじめている.

◆昼過ぎになって,明日の所内RP成績検討会のプレゼン用スライドがやっと完成した.プレゼンとデモの併用で明日午前の成績検討会を乗りきることにしよう.

農水省系の研究所では(他省庁でも同じか),毎年この手の「検討会」をやっているわけだが,けっして慣れることのない居心地の悪さをずっと感じている.だからさくっとさらっと終ってくれるのがベストだ.一昨年から東大に行くようになって以来,大学ではこういう「検討会」は制度として“必修”ではないことを知った(そういえば確かにそうだ).シンプルに1年間の活動報告としての「検討会」であればやっても害はないと思うが,いろいろとしがらみのついた「検討会」は萎えますね…….

◆昼下がりになって暖かくなる.午後2時半の気温は13.1度.日射しが射し込む居室は温室と化す.

◆肉を焼く夕暮れ —— 午後5時前に撤収し,ローストビーフのしたくをする.

用意された肉塊が小さめだったので,たこ糸でぐるぐる巻きにせず,塩胡椒をもみこんだだけの下味で,オーブンに入れてしまおう.たまたまフランスの〈カマルグの塩(le saunier de Camargue)〉が手に入ったので,この点だけはちょいぜいたくに肉にすりこんだ.あとはつぶした黒胡椒のみ.

オーブンを240度に余熱して,油をひいて香味野菜のざく切りを並べる.調理時間は40分に設定して焼いたのだが,中はややウェルダン気味だったかもしれない…….いつもは計1kg近い量のローストビーフをいっぺんに焼くことが多いので,肉塊が小さいのについ長めに時間設定してしまったのだろう.

しかし,焼き加減がどうであれ,ローストビーフにはちがいがない.肉が焼ければとうぜん赤ワインだ.アルゼンチンから持ち帰ってきたメンドーサの〈Trapiche〉の「Gran Medalla」を開けることにした.ブドウの品種はもちろんマルベックで,黒みがかった芳醇な赤色が印象的.トゥクマンにいたときはいつも Malbec で,レストランでのレコメンダシオンも迷うことなくこれだった.やや濃いめのフレーバーがローストした肉によく合うこと.

アルゼンチンの国内以外ではマルベックの赤ワインはまったく見たことがないので,まさに「アルヘンティーナの味」ということだ.ただし,「Gran Medalla」のお値段は,アルゼンチンのワイン相場からいえば,目の玉が飛び出るほど高いのだが.

◆駒場からとぎれずに降り続くレポートの雨.今日が締め切りだからしかたないか.受領返信メールを出し続けているうちに,もう日が変わりそうだ.

◆明日のRP成績検討会を乗りきれば,“公的”なお仕事はすべて終わることになる.あとは“私的”な原稿仕事だけが…….

◆本日の総歩数=7780歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=84.2kg(+0.6kg)/24.2%(+0.5%).


24 december 2008(水) ※ 追いまくられるクリスマスイヴ

◆午前4時半過ぎに起床.未明の星空に細い三日月が刺さる.きりきり冷えてマイナス1.9度.研究所にて孤独にごそごそする.

◆世間的には,今日はクリスマスイヴで,家庭や職場で年末の大掃除をしているところも多いだろう.すでに年賀状を出してしまったというマジメな人もいるにちがいない.しかし,自分の生活を省みると,ここ数年というもの「年末らしいこと」を何一つしてこなかった.公私にわたって年賀状をまったく出さなくなってからもう数年が経つ(たとえもらっても返事を書かないというのだから失礼なことこの上ない).職場の大掃除も十数年にわたってぜんぜんしていない(周囲の居室では毎年恒例の行事としてやっているところもあるというのに).クリスマスに肉を焼くということも今年はまだしていない(明日の予定).毎年,年末のぎりぎりまで仕事や出張が詰め込まれていて,ほっと一息つけるのは大晦日ということもある.これでは,年の終わりに上乗せして何かをしようという気にはならない.年末だからといって特別なことは何もなく,また年始だからといって気分一新ということもない,その日その日がかちかちと刻まれて着実に過ぎていくというのが,実感ですな.

—— で,今月末までの締切原稿がいくつか[も]あるのだが,あと一週間でいったいどこまででき……(以下略)

◆自宅近くの〈コート・ダジュール〉では,イヴの「ケーキ渋滞」が朝から始まっていた.毎年,クリスマスのつくばでは「ケーキ渋滞」と「フライドチキン渋滞」をいかに回避して道を選ぶかという大問題が勃発する.今日も帰りは注意しないといけない.午前10時の天気は曇り,気温は4.0度.たいへん寒い.牧園の〈david pain〉で,チョコとキャラメルのタルトをつい買ってしまう.

◆午前いっぱい,明後日の所内RP成績検討会の資料づくり.ほんとうは昼までに提出しないといけなかったのだが,ぜんぜん間に合わない.そのまま午後に突入してしまう.14時の気温は7.7度.冬らしくどんより曇った昼下がり.なお,書類づくりは続く.研究成果のとりまとめと今年度の整理,さらに次年度の展望など.午後5時すぎにやっとできたので,メールで送信完了.

—— しばらく前から成績検討会が年明けではなく師走に前倒しされるようになったせいで,年末がさらに多忙になったことはまちがいない.もちろん,そのおかげで新年を心安らかに迎えられるようになったことは確かだが(年明けの諸会議は管理職の出番なので,下々のぼくらは関係ない[ようにふるまっている]).

◆書類書きの合間に,駒場からの提出レポートが季節外れのさみだれのように飛び込んでくる.その都度,受領メールを返信している.提出締切日の明日になればさらに“雨足”は強くなるのだろう.

◆午後5時すぎに撤収.路面が濡れているところを見ると,通り雨でも降ったのかもしれない.とてもフシギなことに,「クリスマスケーキ渋滞」が昨年までのような激しさではない.不景気な世相はこういうところにもちゃんと現われているのだろう.アルザス・ワイン〈Paul Ginglinger〉の Riesling (2007) を抱えて帰宅する.寒気が入っているせいで寒い.今夜の夕食用のオードブルや肉・魚・野菜類はすでにいろいろそろっているので,最後の食事用に巨大なオムライスをつくってみた.ごはん二合分をどかんと玉子で包むので,何よりもまずフライパンをあやつるチカラがいる.でも,さすがに大きすぎて,やや不定形になってしまった.

◆Riesling のきりっとした炭酸味を堪能したのだが,その後はまた無粋にも持ち帰り仕事に向かうことになる.RP成績検討会のデモ用に,系統学的多様度を計算するRスクリプトをいくつか書いて,動作チェック.テストデータを用意したりしているうちに,日が変わってしまった.外は今夜もまた気温がしだいに低下しているようだ.

◆明日は,検討会用のスライドを完成させないといけない.“糊しろ”の狭いぎりぎりの平日がまだ続く.

◆本日の総歩数=7298歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.6kg(+0.1kg)/23.7%(−1.9%).


23 december 2008(火) ※ 北風に吹かれて厚木の丘の上へ

◆午前7時半まで寝てしまう.記録的な遅さだ.すっきり冬晴れで冷え込みが厳しい.これが師走の空というものだ.

◆休日のこまごま —— Rの最新版(version 2.8.1)がリリースされたので,さっそくダウンロードする.

◆今日は,休日にもかかわらず東京農大・昆研の研究発表会がある.朝9時からすでに発表会は始まっているのだが,さすがにそれまでに本厚木にたどり着くのは至難のことなので(始発で出撃するしかない),午後の部から参加することにして,午前中はこまごまとしたことどもを.それにしても,巨大な規模の研究室イベントは大がかりなことだ.

◆昨日までとは打って変わって,正しい冬らしい快晴で北風が冷たい.11:55発のTX快速に乗る.北千住で千代田線に乗換えて,そのまま小田急に入り,本厚木にたどり着いたのは14:00過ぎだった.昼間でもやっぱり2時間は優にかかる.

◆往路車中読書 —— しばらく放置していた:Robert J. Richards『The Tragic Sense of Life: Ernst Haeckel and the Struggle over Evolutionary Thought』(2008年5月13日刊行,The University of Chicago Press, Chicago,xx+551 pp. with 8 color plates,ISBN:978-0-226-71214-7 [hbk] → 目次版元ページ著者ページ)の続きをば.第2章「Formation of a Romantic Biologist」を読了.ドイツ進化学の“象徴”がいかに Bildung されたかという話.カントの超越論的自然学の影響はものすごく強かったようだ.自然に対する aesthetic にして romantic な Weltanschauung はカントに始まり,シェリンクからゲーテ,フンボルトを経由し,ヘッケルに流れ込んだ.

◆久しぶりに厚木の丘の上に立つ —— 丹沢越えの北風がさらに強く吹く本厚木駅前から,まばらな休日ダイヤの路線バスに乗って,駅で遭遇した岸本年郎さんとともに東京農大・厚木キャンパスへ.休日なので,丘の上のキャンパス内は学生もまばらだ.人気のない研究棟に入り,2階の実験室へ.すでに午後の部は始まっていて,プレゼン時間の薄暗がりにたくさんの人の頭が並んで見える.最後のいくつかの発表を聞いた.午後4時すぎに終了.次回からはもう少し早く来よう.

その後,同じ場所で,忘年会のセッティングがぱたぱたと進行する.なーんだか4時半にはもう呑みはじめていたよーな.再びしだいに人口密度が高まり,気がつけば広い実習室にわらわらと人があふれ,そろそろ混沌が忍び寄っている.たったひとつの研究室なのに70名もの学生が所属していれば,宴会風景もこーいうふうになりますって.さんざん飲食をしたようなのに,時計を見ればまだ午後6時にもなっていない.今夜は長いなあ.

それでも,厚木で夜更かしをするとつくばに帰れなくなる.一次会がお開きになる午後7時半に退出し,7時40分に農大を出る路線バスに乗った.本厚木を午後8時過ぎに出る急行に乗って,逆コースでつくばに直帰する.それでもつくばセンターの地上に出たのが午後10時半だったから,2時間半もかかったわけだ.茨城−千葉−東京−神奈川と県をまたいでの長距離移動だからしかたがない.

—— 本日もいい日本酒をいただきました:島根の〈王祿〉の「超辛純米[春季限定出荷]」と滋賀の〈喜楽長〉「純米にごり酒」などなど.喜楽長は発泡性の活性生酒だったがバクハツしなくてよかった.※なお,王祿酒造のウェブサイトは今月からの新規開設とのこと.

◆復路車中読書 —— 石川雅之『もやしもん・第7巻』(2008年12月22日刊行,講談社[イブニングKC244],ISBN:978-4-06-352244-0 → 版元ページ).あいかわらず倒錯っぽくて,アヤシくて,いいですねえ.このノリ.

◆明日はRP成績検討会の資料を何としてもつくらないとどーしようもない…….

◆本日の総歩数=8318歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.5kg(−1.2kg)/25.6%(+1.3%).


22 december 2008(月) ※ 生暖かい明け方が一転し冬の嵐

◆午前4時半起床.曇り.気持ち悪いほど生暖かい南風が吹きわたる.しかし,夜中はもっと強風だったようで,ベランダのサンダルやハンガーが散乱していた.気温17.9度.この暖気はただごとではない.榎戸から南側はどうやら雨が降ったらしく,路面が濡れていた.

◆いよいよです —— 海游舎のサイトに,12月20日付の近刊予告として:スコット・カマジン他[松本忠夫・三中信宏訳]『生物にとって自己組織化とは何か — 群れ形成のメカニズム — 』(2009年3月刊行予定,海游舎,約600ページ,価格未定, ISBN:978-4-905930-48-8)が掲載されていた.思い起こせば,長い道のりでしたねえ.しかし,“残務”はなお残されている.

◆今日の最高気温は明け方に記録され,その後,時間とともにしだいに気温は下がりはじめた.午前10時は15.5度,そしてしだいに雲が厚くなり,午後2時には気温10.0度.予報通り雨が降り出しそうだ.

◆すき間平日のトド撃ち —— 放置しているうちにまたまた小トドどもがたくさん増えてしまった.とりあえず,メーリングリスト関連の処理をイッキにすませてしまう./駒場からのレポートもぱらぱらと集まり始めたので,受領メールをそのつど返信する./毎年恒例の果樹研究所前〈天将〉での東大「農生」同窓会が来年早々ある.ここ数年行く機会がないのだが,今回もムリだろう(翌日に分類学会連合の総会とシンポジウムが科博分館であるので).欠席の返信メールをしたため,近況と関連メモをつけて送り返す./明日の東京農大・昆研の発表会のスケジュールを確認.午後1時半から後半が始まるので,その前の昼休みに厚木キャンパスにたどり着くようにしよう./先月の東大ES特論の成績評価に関する打合せをするべし.

—— しかし,RP成績検討会用の資料づくりという当面の大トドがぜんぜん手つかずのままだ.小トドの群れと遊んでいるヒマはないはず.

◆前線が通過中らしく,雲行きが急速に不穏になってきた.午後3時を過ぎて,ふと外を見たらもう雨が降りだしていた.午後5時過ぎに撤収.農環研の建物を出たら,本降りの雨がざあざあと.気温は5.0度.一日の間にこんなに急降下するとは.雨だけではなく風もとても強くて,さしていた傘のホネが折れてしまった.いただきものの自然薯の抱えて濡れ歩く.気温はさらに低下しているようだ.時ならぬ冬の嵐に巻き込まれてしまったみたい.

◆きのこ文学本,すばらしい! —— 年も押し詰まったこんな時期になって,とてもおもしろい本と出会う機会が増えている:飯沢耕太郎『きのこ文学大全』(2008年12月15日刊行,平凡社[平凡社新書447],ISBN:978-4-582-85447-3 → 版元ページ).“きのこ”に関わる古今東西の文学作品を五十音順にリストした本.「あ」行と「か」行まで読んだ.しかし,辞書的配列とはいえ,ひとつひとつの項目の突っ込み方は並ではない.新書ながらこれほどの情報量が詰め込まれていると,かなり満腹できる.

たとえば,松本零士の名作『男おいどん』に出てくる「サルマタケ」に対して,著者は Coprinus sarmata という学名を提示している(pp. 111-113:個人的には準主役である「トリさん」の学名も知りたいところ).また,現代作曲家ジョン・ケージの“キノコ狂い”が筋金入りだったことが詳細に述べられていたり(pp. 95-101),泉鏡花の作品に登場するキノコの隠微さが強調されたり(pp. 29-40),さらに『不思議の国のアリス』のキノコがもたらす幻覚の描写の正確さ(pp. 25-27)にいたるまで,蘊蓄傾けまくりの本.

著者は「キノコ切手」の本も著しているほどのキノコマニアだ.半年前に三重で開催された菌学会大会の会場で,ただならぬキノコ本をたくさん目にしたが,その中には世界のキノコ切手カタログ:『Setas: Catálogo de Sellos Temáticos, 2a edición』(2000年刊行,Domfil, Sabadell, Barcelona[Domfil Catálogos Temáticos Internacionales],ISBN:84-922776-9-6 → 版元ページ)もあった.

—— なお,カバーのオビに使われているキノコの図版は,Ernst Haeckel 著『Kunstformen der Natur』(1904年 → オンライン版)の「Tafel 63」から取られている.

◆明日は,厚木の東京農大で昆研研究発表会&怒濤の忘年会が待ち受けている.遠距離移動しなければならないので,気力と体力を回復させておかないと.

◆夜遅くなるとともに,気温はさらに低下している.明朝は氷点下になるだろう.

◆本日の総歩数=7271歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=84.7kg(+0.5kg)/24.3%(+0.2%).


21 december 2008(日) ※ 暖かな冬至の〈復活〉演奏会日

◆午前4時半にいったん起きたものの二度寝.午前7時前にやっと活動開始.薄曇りだが,ぜんぜん寒くない.しだいに晴れ間が広がってくる.今日はマーラー〈復活〉の演奏会当日なので(→松戸シティフィルハーモニー管弦楽団サイト:〈第20回松戸市民コンサート〉),ばたばたとしたくをしたり,持ち物を確認したりとあわただしい.

◆〈復活〉本番に向かう —— 7:58発のTX快速に乗る.よく晴れて気温は高め.遠景は靄がかかっている.午前9時前にはもう「森のホール21」の楽屋口に着いてしまった.

◆まずは人が多くならないうちに楽器の確認と大太鼓のチューニング.皮が貼ってあるので,温度や湿度によって音程が変わる.今日は天候が下り坂なので,要注意と言われた.最初はやや強めに張っておくことにする.午前9時半からステリハ開始.まずは〈復活〉の第3楽章までを通す.その後,合唱と独唱が入って,後半の第4,5楽章.昨日のゲネプロではオルガンのスピーカー音量を最大にしたために,スピーカーの前の演奏者が耳を聾されてしまったという.そんなわけで,スピーカーが張出舞台の最前列に移動された(客席の前の方は聾されるかも).

また,チューブラーベルがぜんぜん聞こえないという指揮者の指摘により,これまた前方移動され,ハープのすぐ横に置かれた.その上で,「奏者はふたりで」とのことで,一台のチューブラーベルを対面ではさんでふたりで叩きまくるという,これまた“リスキー”なプランが浮上し,エンディングでヒマなぼくにこんな直前になってその役が降ってきた(災厄だ).

—— そんなこんなで正午すぎまでステリハが続き,スリリングな演奏箇所は最後までスリリングであり続けた.

◆駆け抜ける本番 —— 外は師走とは思えない気温の高さだ.20度くらいあるのではないか.長袖ではちと暑いな.12時半に開場,そして午後1時半から開演.まずは〈運命の歌〉から.そして,15分間の休憩ののちに〈復活〉のはじまり.いったん曲が始まってしまえば,花も嵐も踏み倒して進むしかない.幸い,大きく崩れることもなく,大太鼓の撥が崩壊することもなく,バンダがこけることもなく,エンディングのチューブラーベルがややヤバかったが,80分あまりの交響曲を完奏することができた.オルガンが入ったあとの「49」直前の4小節では,予定通り「ffff」の二発入魂で録音ゲージの針が振り切れた(とあとで聞いた).どんなに長期間にわたる練習を積んできても,本番はあっという間に終わる.

—— 関係者のみなさん,たいへんお疲れさまでした.舞台からみたかぎり,客席はほぼ埋まっているようだった.実際,1,400名ほどの聴衆がいたことをあとで知った.演奏する側だけでなく,聴く側もたいへんな曲なので,聴衆のみなさんにもお疲れさまと言うべきだろう.

◆午後4時前に終演し,カーテンコールののち,舞台のリセッティング.ほっと一息つく間もなく,ばたばたと舞台は取り壊されていく.

◆楽器を片づけ,着替えをして,荷物をまとめてホールをあとにする.団員はホールで「解団式」というセレモニーが予定されているが,われわれエキストラは演奏が終われば用なしだ.ホールの外に出たら,生暖かい南風が強く吹いていた.気温も高くて,冬の装いでは汗ばむほど.この天気はいったい何なんでしょ.午後6時からは,新松戸駅前のいつもの〈だんまや水産・新松戸店〉にて打上げ.午後9時半まで.その後は二次会で乱れることもなく,さくっと解散して別れる.つくばに帰り着いたのは午後10時だった.南風はさらに強く,まったく寒くない.師走らしからぬ空模様.

◆明日はちょこっと平日で,トド退治をしないといけない.年休があまっている人ならば,そろそろ仕事納めまでの労働日をすべて年休にして自由になるという選択肢もあるにちがいないが,ぼくの場合は日常的に細切れで年休を取りまくっているので,あまった年休がもうぜんぜんない.だもんで,労働するしかない.まずは来週金曜に迫っているRP成績検討会の資料を何とかしないといけないが,何とかなるでしょーか?(不安)

◆本日の総歩数=11212歩[うち「しっかり歩数」=2818歩/27分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=84.2kg(+0.1kg)/24.1%(−0.1%).


20 december 2008(土) ※ 〈復活〉の日:前夜はゲネプロ

◆午前6時起床.曇りところどころ晴れ.気温は低め.

◆〈復活〉の日の前日 —— この週末は〈復活〉するしかないので,そのしたくを遺漏なくしておかないといけない.まずは演奏会用の服の用意だ.黒の上下という指定があり,しかも「黒の蝶ネクタイ」が必須アイテムだ.蝶ネクタイを身につける経験はこの松戸シティフィルハーモニー管弦楽団が初めてだ(棒ネクタイであることの方が多い).靴下もそろえたので,明日の本番のコスチュームはこれでOK.あとは演奏の中身だけだ…….あ,そうそう,前回の練習で“ギロチン”されてしまった大太鼓撥を修理する瞬間接着剤も忘れずに.

◆本日のランチは,久しぶりに吉瀬の〈nachu café〉にて ——

ここに来るたびに店内の客席の埋まり具合が高まっているのは評判がいいからだろう.ここに来ると,ついばくばくと急いで食べてしまうのがよろしくない.もっと落ち着いてゆっくり味わいなさい(>自分).戸外はよく晴れて10度そこそこの寒さだったが,店内は石油ストーブが焚かれていて暖かかった.※一人で2食分喰ったわけではないので,誤解なきように.

◆松戸にて〈復活〉のゲネプロ —— 午後はさらに天気がよくなり,気温も上がってきたようだ.16:35発のTX快速で新八柱に向かう.寒さはぜんぜん感じられない.師走らしくない.

鮮やかな夕焼けを見ながら「森のホール21」に入る.今日は本番で使う大ホールでの練習なので,オケと合唱の人数がとても多いので,客席側に張出す舞台が増設されている.さらに,合唱団用の山台の工事も進行する中,大量の打楽器を搬入してセッティングしなければならない.レンタルの銅鑼とかチューブラーベルとか,本番前日になってやっとすべての打楽器がそろったことになる.

しかし,その前にやるべき仕事は撥の修理だ.幸い,撥の柄と頭とがすき間なくきっちりはまっていたので,木工用の瞬間接着剤を塗ってはめ込んだら瞬時にしてびくともしなくなった.これで「ffff」でも何の不安もなく叩けるぞ(←そんな箇所がどこにあるっ).しかし,まだ演奏上の“不安な箇所”がいくつか残ったままなので,今日のゲネプロと明日のステリハで解決しておかないといけない.

18:00からゲネプロの開始だが,その前にバンダ(舞台裏)の練習があった.〈復活〉の第5楽章は,舞台上だけでなく,バンダには多くの演奏者が必要で,とくに打楽器はティンパニーをはじめ,大太鼓にシンバルそしてトライアングルが求められている.これまでの練習のときも指揮者からバンダでの演奏についていろいろとリクエストがあった.要するに,「最初は遠いが,しだいに近づく」という効果を出したいとのこと(第5楽章の「22」〜「24」の箇所).はじめのプランでは,遠くに打楽器(と金管)を配置して,曲の進行とともにしだいに舞台に近寄せるということだったのだが,それはさすがにムリだった.次善策として,金管隊のみが舞台に接近し,バンダの打楽器はクレッシェンド,最後は舞台袖のドアを開扉し,舞台上の打楽器が最後の1節(「25」の直前数小節)を担当するという,とてもスリリングなやり方が採用された(誰かがコケたらおしまいやん……).

この日は結局〈復活〉だけで時間をすべて使い切ってしまったので,サブの〈運命の歌〉は明日のステリハまわしとなった.午後9時すぎにやっとゲネプロ終了.新八柱駅前の〈笑笑〉で,ちょっとだけ飲んでから,午後11時半につくばにたどり着く.こんな時間になっても寒さはまったく感じられない.

◆明日は〈復活〉本番.

◆本日の総歩数=11585歩[うち「しっかり歩数」=2943歩/29分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.計測値(前日比)=未計測/未計測.


19 december 2008(金) ※ 今宵もまた忘年会の夜が更けて

◆午前5時起床.晴れた翌朝はきりりと冷え込む.頭上に浮かぶ半月がなお白々と輝く未明に出勤.午前5時半の気温は久しぶりの氷点下,マイナス0.3度だった.

◆午前のこまごま —— 海游舎から電話あり.カマジン本の翻訳進捗について.著者サイトの移動を確認する.原書の新しいコンパニオン・サイトはこちら.また,本書の中で,自己組織化のシミュレーションに用いられた〈StarLogo〉のスクリプトはこちらからダウンロードできる./本番がいよいよ明後日に迫ってきた松戸シティフィルの〈復活〉に使う大太鼓の撥の修理のため木工用瞬間強力接着剤を調達する.明日のゲネプロで修理してみて,アタマが吹っ飛ばないようならいいのだが./来週火曜日(23日)の東京農大・昆研の研究発表会タイムテーブルが公開されていた.たった一研究室なのに朝9時から夕方4時まで次々と発表がある.お昼過ぎに厚木キャンパスにたどり着く予定です./あ,RPの報告書がまだ……(冷汗).

◆午前11時,雲はやや多いが晴れ.気温は9.2度.備忘メモ —— “忠犬ハチ公”のハリウッド映画がリチャード・ギア主演で制作されているそうだ.毎月,東大の専攻教員会議に出席するたびに,この専攻の創始者・上野英三郎(“ハチ公”の飼い主)の胸像が7号館7階会議室の窓際にいつもいる.

◆感想の続き —— ピエール・バイヤール[大浦康介訳]『読んでいない本について堂々と語る方法』(2008年11月25日刊行,筑摩書房,235 pp.,本体価格1,900円,ISBN:978-4-480-83716-5 → 目次版元ページ).著者の言う「読む」行為とは,単に(トークンとしての)ある特定の本を「読む」ことではないようだ.その本を含むもっと上位の「集合体」を考えたとき,個々の本のもつ意義は考え直す必要があるだろうと著者は主張する.この「集合体」を著者は〈図書館〉と名付け,次の三つの概念を提出する:

  1. 共有図書館:「ある本についての会話は,ほとんどの場合,見かけに反して,その本だけについてではなく,もっと広い範囲の一まとまりの本について交わされる.それは,ある時点で,ある文化の方向性を決定づける一連の重要書の全体である.私はここでそれを〈共有図書館〉と呼びたいと思うが,ほんとうに大事なのはこれである.」(pp. 25-26)
  2. 内なる図書館:「この書物の集合体を,私は〈内なる図書館〉と呼びたい.それは〈共有図書館〉の下位に分類されるべき集合体で,それにもとづいてあらゆる人格が形成されるとともに,書物や他人との関係も規定される[脚註16].」(pp. 94-95);「〈内なる図書館〉とは,私が本書で導入する三つの〈図書館〉のうちの〈共有図書館〉につづく二つ目のもので,個々の読書主体に影響を及ぼした書物からなる,〈共有図書館〉の主観的部分である.」(p. 95脚註16)
  3. ヴァーチャル図書館:「書物に関する — いや,より一般的に,教養に関する — このコミュニケーション空間を〈ヴァーチャル図書館[脚註14]〉と呼んでもいいだろう.これはイメージ(とくに自己イメージ)に支配された空間であり,現実の空間ではないからである.」(p. 155);「〈ヴァーチャル図書館〉は私が本書で導入する〈図書館〉のうちの三つ目のタイプで,書物について口頭ないし文書で他人と語り合う空間である.これは〈共有図書館〉の可動部分であって,語り合う者それぞれの〈内なる図書館〉が出会う場に位置している.」(p. 155脚註14);「このヴァーチャルな空間は騙し合いのゲームの空間である.その参加者たちは,他人を騙す前に自分自身が錯誤に陥る.」(pp. 187-188)

このように,書物のかたちづくる複層的なコミュニティを前提としたとき,その構成要素である個々の本は全体との関わり合いの中でのみ意味をもつことになる:

問題なのはけっしてしかじかの書物ではなく,ひとつの文化に共通する諸々の書物の全体であって,そこでは個々の書物は欠けていてもかまわない.つまり,〈共有図書館〉のしかじかの要素を読んでいないと正直に認めていけない理由はどこにもないのである.その要素を読んでいなくても,〈共有図書館〉全体を眼下におき,〈共有図書館〉の読者のひとりでありつづけることはできるからだ.この全体が個々の書物をとおして顕現するのであって,個々の本はいわばその仮の住まいにすぎない.(p. 146)

では,どうして現実には上のような認識が広まらないのか.著者は「読書」をめぐる文化的な“しばり”がいまだに強いからだと指摘する:

しかじかの本を読んでいないと認めつつ,それでもその本について意見を述べるというこの態度は,広く推奨されてしかるべきである.この態度は,先の例からも分かるように,積極的な意味をもっている.にもかかわらずこれがほとんど実践されないのは,本を読んでいないことを認めることが,われわれの文化においては,重い罪悪感をともなうからである.(p. 147)

その上で,著者はそれぞれの〈図書館〉を構成する要素(すなわち〈本〉)を次のように定義する:

遮蔽幕としての書物〉が〈共有図書館〉に属し,〈内なる書物〉が〈内なる図書館〉に属しているように,〈幻影としての書物〉は〈ヴァーチャル図書館〉に属している.(p. 193脚註11)

明らかに,この著者の読書論はトークンとしての本を超越している.このようなとらえ方をするときに浮上してくるひとつの問題は,〈共有図書館〉の部分集合たる〈内なる図書館〉が各人の中でどのように形成されるのかということだろう.それはまた,「読んでいない本について堂々と語る」ことができるのはいったい誰なのかという問題にもつながる.もちろん,著者の立場としては,「本を読まないことは不徳である」という旧態依然としたしがらみから解放されることで,万人が読書の新たな創造の場を切り拓くことができるとなるにちがいない.しかし,それがよい結果を生むかどうかはパーソナルな〈内なる図書館〉の「蔵書」の質と量に依存していることもまた事実だろう.

それぞれの文化圏ごとに決まる〈共有図書館〉の蔵書は,そのひとつひとつは“ランドマーク”としての位置づけが与えられる.そして,それぞれの読者は読書人生を歩み始めた最初の頃から,この〈共有図書館〉の“ランドマーク”をサンプリングしながら,自らの〈内なる図書館〉を構築していったはずだ.とすると,人によって〈内なる図書館〉の“ランドマーク集合”には当然ちがいが生じる.

著者は,このように個人差のある“ランドマーク集合”から“内挿”することにより,たとえ特定の本をまったく読んでいなかったとしても,その本について「堂々と語る」ことができるはずだと主張している.“ランドマーク”のサンプリングが密であればそのような“補間”が大きく外れないだろうことは十分に想像できる.その一方で,サンプリングがあまりに粗であったときには,かなりの確率で言説がハズレるだろうこともまた容易に予想できる.著者はそういうハズレ言説(トンデモ系)にもまたある種の価値を見いだそうとしているのかもしれないが(〈ヴァーチャル図書館〉という仮想空間のなかで),ぼくはその点にはまったく同意しない.

ウンベルト・エーコは,書かれた本の内容に関する「過剰解釈」 — すなわち過度の「深読み」 — を手厳しく批判したことがある.本についての論議は何の制約もなくやればいい(この点では著者は正論を述べている).しかし,その論議の妥当性(“補間”のよしあし)は当の本に照らしてはじめて評価することができる.「読んでいない本について堂々と語る」自由はどんな読者にもあるだろう.しかし,“欠測値”を周囲からいくら“補間”したとしても,“実測値”にはけっしてかなわない.自分なりの〈内なる図書館〉を長年にわたって築いてきた読者ならば,“補間”に腐心するくらいだったら,その時間を“実測”に当てるのが最善の選択肢ではないだろうか.

—— 本書を読め,そして本を読め.

◆今夜もまた忘年会 —— 午後5時すぎにいったん帰宅し,徒歩40分で稲荷前の〈アルゾーニ〉へ.午後7時からここで所内の領域忘年会がある.一次会は午後9時すぎにお開き.二次会はすぐとなりの〈円喜門〉にて.午後11時にここもお開き.帰宅したのは日が変わる直前だった.連日連夜こんなに呑んでりゃ不健康一直線だ.

◆この週末は〈復活〉するぞー.やるぞー.

◆本日の総歩数=15503歩[うち「しっかり歩数」=4754歩/41分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=84.1kg(+0.5kg)/24.2%(−0.1%).


18 december 2008(木) ※ 冬晴れの駒場で今年最後の高座

◆午前4時半起床.雨上がりで路面はまだ濡れている.気温6.0度.その後,朝日がのぼるとともに霧が立ちこめるが,午前9時過ぎには晴れて,雲ひとつない快晴の空が広がった.午前10時の気温は8.6度.空気が乾いて冷たい.

◆午前のこまごま —— 午後の高座のためのしたく.久しぶりに現役復帰の PowerBook G4 のために,Rパッケージをアップデートしたり,足りないものをダウンロードしたり.Rコマンダーの操作確認とデータファイルのチェック.

◆昼過ぎにいったん帰宅.13:25発のTX快速で渋谷に向かう.駒場東大前で下車したのは午後3時前のことだった.駒場祭も終わってしまったし,今年の講義ももうおしまいだしという,ややゆるめの雰囲気のキャンパスは冬の日射しが暖かい.控え室で PowerBook の最終チェックをする.X11ウィンドウの日本語表示がとても“汚い”のが我慢できなかったので(どうやって調整するんでしょ),今日の高座では言語環境を「フラマン語」に設定することにした.ファインダーやRのメニューがすべて Nederlands になるのがとても新鮮だ.ついでに壁紙も西夏文字で書かれた般若心経にしてみた.今年最後の高座に向かうためのちょっとした刺激ということで.

◆駒場高座おさめ(16:20〜17:50) —— 今日の講義では多変量解析概論ということで,高次元多変量データとどのようにつきあえばいいのかについて話をした.計算例としては,Rコマンダーのメニューに入っているクラスター分析とRコマンダーのプラグインである「RcmdrPlugin.FactoMineR」を用いた主成分分析を挙げた.多変量データをどれほどうまく“視覚化”できるかが,多変量解析に課せられたもっとも重要な任務だとぼくは考えているので,見えなかったものが見える愉しみがオーディエンスに伝われば今回の講義は成功したことになる.ふだんの講義よりもたくさんのコメントが返ってきたのは幸いだった.レポートも頑張ってください.PowerBook はいい仕事をしてくれました(ご苦労であった).

◆本日の車内読書(往路) —— ピエール・バイヤール[大浦康介訳]『読んでいない本について堂々と語る方法』(2008年11月25日刊行,筑摩書房,235 pp.,本体価格1,900円,ISBN:978-4-480-83716-5 → 目次版元ページ).イッキに読了.お,おもしろすぎるっ! 目の前の本を読みもしないで(読む必要さえないと著者は言う),いかにしてその本を論評するか.本書に書かれた「心がまえ」を列挙すれば,「気後れしない/自分の考えを押しつける/本をでっちあげる/自分自身について語る」となる.すばらしいっ! こういう本が世に出てしまったからには,本を読まずにその本を語る輩はこれまでにもましてぞろぞろ出てくるにちがいない.それと同時に,彼らの化けの皮は騙るはしからずるずると剥けてしまって丸裸ということになる.こわっ! もちろん,本書に対する私の評価は「〈流〉◎」だ.←何のことか知りたければ読みましょうね.“読んでいない本書について堂々と語る方法”はどこにもない.

◆午後6時前に駒場を出て,渋谷から半蔵門線さらに都営新宿線と乗り継いで,午後7時前に岩本町に到着.交差点近くの〈楽食家・秋葉原店〉にて,生物地理学会の事務局スタッフによる忘年会.午後7時過ぎに始まる.もうすぐ出る予定の生物地理学会和文誌は250ページ超もの厚さになるらしい.来年春の大会シンポジウムの企画などについて.この店では忘年会プランとして,2時間ですき焼き(&キムチ鍋)の食べ放題なのだそうだ.しかし,そんなにたくさん食べられるわけではない.そのわりには結果的に大量に喰ってしまったワタシ.午後9時過ぎにお開きになって店を出て,秋葉原から直帰.つくばには午後10時半に帰り着いた.

—— 当分の間,すき焼きとかキムチ鍋は見るのもいやだな…….ましてや,向笠千恵子『すき焼き通』(2008年10月刊行,平凡社[平凡社新書439],ISBN:978-4-582-85439-8 → 版元ページ)などという本はぜーったいに手に取りたくないぞ.

◆明日の夜は,所内の領域忘年会でまた飲み食いする.不健康きわまりない夜の食生活が続く年の瀬.

◆本日の総歩数=16164歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.6kg(+0.1kg)/24.3%(−0.5%).


17 december 2008(水) ※ 雨に濡れつつ根津のS坂を上る

◆午前4時半起床.曇り. 気温5.3度.予報通りの下り坂の空模様で,午前9時には早くも冷たい雨が降り出した.しんしんと寒さがしみ込む.今日は出張日なので農環研に長居は無用だ.

◆雨が本降りになってきた午前のこまごま —— ふと思い立って,以前に八王子で“空中浮遊”して以来,俗世間から遠ざかっていた PowerBook G4 を現実に引き戻そうとあれこれ手入れしはじめる.とりあえずは,明日の駒場の高座に登場させる予定.必要なツールを詰め込み始めたら,時間が飛ぶようになくなっていく.Rのパッケージをいくつかアップデートしないと.試しにpdfプレゼン用の〈Skim〉を入れてみたのだが,jpeg画像がまったく表示されない.なんでやねん…….お,tree-builders たちもお越しいただこう./ほぼ二ヶ月ぶりに〈R-statistiker〉を更新した.課題レポートとか補講の予定とか.毎日更新を守るべきなのだが,複数のサイトを開いているとなかなかそういうわけにもいかず.講義に関する質問もたまっているので,年が暮れないうちに対応します.

◆雨降る根津へ —— 11:25発のTX快速で東京に向かう.雨足が強く傘が手放せない.昼過ぎに根津に到着.冷たい雨が降り続く.〈芋甚〉で「昭和焼」を買ったあと,根津神社横のS坂を上がり,地震研の通用門から農学部に向かう.師走ともなればさすがにイチョウの葉もほぼすべて散っていた.午後1時から専攻教員会議.今年最後のせいか配布資料が薄くてうれしい.来年度のシラバス入力(UT-mateで)のこととか,専攻内の空き部屋の使い道とか.午後3時前にあっさり終了.

◆雨はなお降り続いている.根津の坂を降りて裏道を千駄木方面に向かう.〈往来堂書店〉を物色する.『谷中根津千駄木』の最新号(第91号,2008年12月1日発行)が出ていたので即買う.今回の特集は「楽しく暮らせる町とは」で,「子どもの遊び,少年の記憶」と銘打たれている.その昔,1990年代初期までの数年間に不忍通り沿いは大規模な地上げで高層マンションが林立した.最近またこの界隈を歩くようになって,ぽつぽつと更地になったスペースが目につくようになった.もとは下町の民家だった場所がほとんどなので,猫の額ほどの狭い土地がきれいに整地されている.こんな不景気な時期にぶつかってしまったので,すぐにどうにかなるわけでもないだろう.

◆午後4時前に千駄木から乗ったので,つくばに帰り着いたのは午後5時前だった.すでに夕闇に包まれ始めていたが,雨はまだ降っている.気温も低くたいへん肌寒い日中だった.車中では Julia Voss『Charles Darwin zur Einführung』(2008年刊行,Junius Verlag[Reihe »Zur Einführung«], Hamburg,215 pp., ISBN:978-3-88506-654-5 [pbk] → 目次版元サイト)をぽつぽつと読み進む.けっして厚い大きな評伝ではないのだが,この著者に特徴的な思想史的・図像学的な視点がみられる.「ダーウィン200年」の出版企画は日本や英語圏だけでなく,ドイツを含む他の国々でももちろん大きく展開されるだろう.要注意.

◆夜は湿り気のある冷え込み.日経サイエンス誌での対談の日時が確定した:2009年1月21日(水)午前10時半から,場所は大手町の日本経済新聞社にて.

◆明日は今年最後の駒場の高座だ.PowerBook を携えて参上いたします.そのしたくがこれまた意外にたいへんでして…….今まで DELL のノートパソコンに慣れてしまっていたので,その調子のままでいたら,あるはずのものがない,あっても使えない,もともとダメ etc. という差し支えがいくつかあって,そのつど対処することになった.とりあえず,pdfのプレゼンができて,RとRコマンダーが使えれば大丈夫なはずなのだが.

◆本日の総歩数=11890歩[うち「しっかり歩数」=1818歩/17分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(+0.1kg)/24.8%(−0.6%).


16 december 2008(火) ※ 日溜まり居室でトドに包囲され

◆午前4時起床.すきっとした夜明け前の空に星がくっきり見える.気温マイナス0.9度.昨日ほどではないが冷え込んでいる.遅い朝焼け.

◆矛盾 —— 居室にずっと張り付いていれば,当然のことながら滞在時間が長いのだから,降り積もる雑用がさくさく進むだろうと期待するのはまちがいである.部屋にいれば否が応でも人が出入りし電話がかかり事務書類が舞い込んでくる.アウトプットよりもインプットが上回れば,その冷厳な結末は誰にも読めてしまう.職場にいなければ雑事は見えない.しかし,職場にいても雑事はできない.さて,どーしましょ?

◆午前10時,雲一つない真っ青な快晴.気温8.8度.

◆日中のこまごま —— 今週の駒場三点セットを用意する.今年も最後の講義になってしまった.進捗としては悪くなく,あと6回の講義の予想内容はすでに決めている.次回は多変量解析について話をするのだが,ついでに体系学的パターン認知について脇道に逸れようとたくらんでいる.ハンドアウトと出席カードのコピーを依頼する./統数研より電話あり.計量生物学会の編集業務に関する打ち合わせ.出張続きで今月はじめに受けたメールの返信を失念していた.編集委員の人選とか,連合大会企画とか,チュートリアル人選とか./分類学会連合の総会に向けての事務雑用についてメール返信完了./東大からメールあり.駒場での補講に関して,補講時間がバッティングする受講者が3名いるとの通知.どーしましょうったってしかたがないですよね./RP成績検討会に関する地道な(=のろのろした)進捗あり.今週後半から怒濤の「忘年会シーズン」が始まるので,その大波に飲み込まれる前に何とかケリをつけたい./先日みごとに弾き返されてしまった所内宛郵便物を先方にやっと手渡すことができた.近くて遠い農環研の別フロア./わわ,『進化学事典』キターーーーッ! 項目執筆者選定に関する確認メール.やや幸いなことにワタクシは“白羽の矢”を立てる側なので,矢が飛んできたらぜひすなおに射抜かれてください.よろしく.

◆けっきょく,肝心な仕事はできずじまいのまま,夕闇がやってきてしまった.宵の明星を見上げつつ,午後5時過ぎにとぼとぼと帰路につく.乾いて寒い.静電気がピシっと飛ぶ.

◆本日の総歩数=7409歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.4kg(−0.4kg)/24.5%(+0.9%).


15 december 2008(月) ※ 今季最低気温を更新し霜が降る

◆午前4時半起床.案の定,放射冷却でびしっと冷え込み,氷点下2.1度の冷え込みとなった.今季最低を更新した.霜が降っている.昨日は筑波山頂に初雪が積もったらしい.しかし,つくばは年明けの大寒あたりには明け方にマイナス7〜8度まで下がることがあるので,まだまだ序の口だ.

◆こまごま —— 駒場での「生物統計学」の補講(2回分)の日程が確定した:2009年1月28日(水)第3限(13:00〜14:30)と第4限(14:40〜16:10)の連続2コマ.教室は階下の「511号室」.冬学期の講義期間との関係で,翌29日(木)にはいつもどおりの講義(最終回)があるので,ちっとも補講らしくない./Birkenstock の修理完了との連絡あり,7月3日に依頼して半年もかかってしまった.今はもうサンダルをはく季節ではないんですけど……./RP成績検討会の過去の年度の書類をごそごそと引きずり出してみる.関連する情報収集など少しばかり.

◆午前10時半の気温は7.3度.すっきり快晴.

◆新刊ダーウィン本 —— Julia Voss『Charles Darwin zur Einführung』(2008年刊行,Junius Verlag[Reihe »Zur Einführung«], Hamburg,215 pp., ISBN:978-3-88506-654-5 [pbk] → 目次版元サイト).進化学史を専門とする著者は:『Darwins Bilder : Ansichten der Evolutionstheorie 1837 bis 1874』(2007年6月刊行, Fischer Taschenbuch Verlag, Frankfurt am Main, ISBN:978-3-596-17627-4 [pbk] → 目次)という本も書いている.なお,今回の新刊が入っている叢書〈Reihe »Zur Einführung«〉にはすでに100冊近い既刊がある.古今東西の思想家の評伝シリーズのようだ.

◆年の瀬プレッシャー,じわじわと加圧中…….明日も農環研でカンヅメ仕事の一日.

◆本日の総歩数=8076歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(+0.6kg)/24.5%(−0.4%).


14 december 2008(日) ※ 冷たい雨が降り続き冬眠準備中

◆午前6時起床.北風に乗って冷たい雨がベランダに吹き込んでいる.インパクトのある冷え込み方.乾いた寒さよりも湿った寒さの方がはるかに効き目がある.

◆いただきもの(ありがとうございます) —— マーリーン・ズック[佐藤恵子訳]『性淘汰:ヒトは動物の性から何を学べるのか』(2008年10月20日刊行,白揚社,373 pp.[別添の文献目録 8 pp.],本体価格3,500円,ISBN:978-4-8269-0150-5 → 版元ページ詳細目次).

◆午前いっぱい,ずっと雨が降り続き,午後になってやっと雲が切れてきた.しかし,気温はさらに低下しつつ,夕焼けが映える時刻になった.とても寒い日中だった.

◆近刊情報 —— ジョン・C・エイビス[西田睦・武藤文人監訳]『生物系統地理学:種の進化を探る』(2008年12月下旬刊行予定,東京大学出版会,本体価格7,600円,ISBN:978-4-13-060219-8 → 版元ページ).John C. Avise『Phylogeography: The History and Formation of Species』(2000年1月刊行,Harvard University Press, ISBN:0-674-66638-0 [hbk] → 版元ページ)の翻訳.ずいぶん時間がかかったが,やっと出ることになってよかったですね.

◆年の瀬のトド攻略計画をざっと立ててみる(計画を立てるのは自由だし……) —— とりあえず週明けの月曜と火曜は,RP成績検討会の資料づくりに励んでみようか(義務だし……).首都大の成績評価がその次だな(東大の農学部と理学部はあとでもよし).その後,年末までと締め切りが決まっている原稿仕事がいくつかいくつもあるけど,仕留める順番はどーしましょ.思案投げ首.

◆夜は Cladistics 論文をじわりと読み進む.夜が更けて澄みきった星空のもと気温はさらに降下中.明朝はびしっと凍りつくにちがいない.

◆本日の総歩数=3076歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=82.9kg(−0.1kg)/24.9%(+0.6%).


13 december 2008(土) ※ 飛んでも復活,宙を舞う撥の頭

◆午前5時半起床.曇って冷え込む.北の風が冷たい.明るくなってからも,曇りときどき晴れ.気温は上がらず.

◆現実逃避的トライアングル調整 —— 今夜の〈復活〉練習のために,トライアングルのひもとビーター(撥)の支度をする.ひもを調達するために雑貨店へ.できればピアノ線みたいな極細の弦がいいんだけどな.それに近いひもを買ってきて,まずは譜面台クリップへの取りつけ作業.小学校の音楽の授業で使うような教材楽器とはちがって,コンサート用のトライアングルは意外なほど重い(直線状に伸ばせば太さ1cm×長さ30〜40cmの鉄棒になる)ので,クリップへの取りつけは頑丈にしておかないといけない.

次はビーターの選択.太さの異なるビーター対を使ったときの音量と倍音を考えて選ぶ.トライアングルやグロッケンシュピールのような金属打楽器は,「ごまかし」が効かず,オケがどんなに大音響で荒れ狂っているときでも,トライアングルの音は必ず客席最後列まできちんと聞こえるというコワイ楽器だ.

—— そんなこんなで昼になる.午後は念のための譜読みの続き.〈復活〉は90分もかかる長い曲なので,とても暗譜するわけにはいかない.かといって,総譜を舞台上でめくるわけにもいかないし…….「音符だけでなく休符も仕事のうち」の打族ならではの悩みということでして.

◆午後になって日射しがもどり,穏やかに晴れわたる.昨日よりは気温がさらに低いがそれでも平年以上の暖かさ.

◆現実から逃れる週末は購入本もそれなりに —— 山崎まゆみ『だから混浴はやめられない』(2008年10月20日刊行,新潮社[新潮新書285],ISBN:978-4-10-610285-1)./森下賢一『居酒屋礼讃』(2008年12月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫],ISBN:978-4-480-42496-9).お湯とお酒,至福ですなあ.

◆16:55発のTX快速に乗って,南流山へ.乗換えて,夕闇の新八柱駅前に立つ.午後6時すぎに〈森のホール21〉4階のリハーサル室に到着.だだっ広い部屋ではすでにセッティングが進みつつあった.

炸裂破壊的大太鼓の顛末 —— 午後6時半から〈復活〉の練習開始.第1楽章からの通し練習.いい気になって大太鼓をどかどか叩いているうちに,撥のアタマがみごとにふっ飛んでしまった.接着剤で留めてあるだけのヤワなつくりだったようで,ドカッと叩けばこんなのはイチコロですな.いずれにせよ,来週の本番中のできごとでなかったのは幸いだった.とりあえず,抜けたアタマを柄にさし込んで練習復帰する.本番までに,アタマと柄が二度と“離別”しないように強力接着剤で貼り合わせることにしよう.その後,午後8時前からは後半楽章の合唱と独唱も加わった.広い部屋なのに人口密度とても高し.湿度もあがり,大太鼓の皮が緩んできた.午後9時すぎまで練習は続いた.お疲れさま.

—— 来週の20日(土)が G・P,そして翌21日(日)が本番ということになる.あと1週間だ.→ 宣伝宣伝:松戸シティフィルハーモニー管弦楽団【第20回松戸市民コンサート】.演目は,サブがブラームス〈運命の歌〉,そしてメインがマーラー〈復活〉.

◆つくばに帰り着いたのは,午後10時半のことだった.寒さも帰ってきたようだ.明日は下り坂の天気予報.

◆現実に引き戻される深夜のこまごま —— 駒場からの課題レポートが早くも着弾しはじめていた.みなさん,仕事が早すぎます./分類学会連合の広報担当の役員になりませんかとの打診.要するにメーリングリスト関連の作業ですね.ついでに,進化学会からも分類学会担当の窓口になってもらえませんかとの依頼あり.まとめてOKということで,よろしく.

◆本日の総歩数=11613歩[うち「しっかり歩数」=2760歩/26分].全コース×|×.朝△|昼○|夜○.計測値(前日比)=83.0kg(−0.5kg)/24.3%(+1.6%).


12 december 2008(金) ※ セント・ポールズ・クリスマス

◆午前4時半起床.気温3.0度.西の空に満月が赤く沈んでいく.農環研に潜入してごそごそ仕事する.

◆午前のこまごま —— 東大理学部の教務から学生アンケートの用紙が届いた.来年の最後の講義のときに配布して記入してもらい,回収すればよい.

◆〈Tinn-R〉の不具合について —— 〈Tinn-R〉の最新版がうまく動かないのは(→症状),おそらく「日本語Windows環境」のせいだろうとのことだ.ぼくはまだ試していないが,実際,コントロール・パネルで使用言語を「日本語」から「英語」に変更すれば“病状”は消えてなくなるらしい(→対策).しかし,それでは日本人相手の講義には使えない(Rが英語表示になってしまうから).ということで,今後,根本的な解決がなされないかぎり,最新版の〈Tinn-R〉はワタシにとっては何の役にも立たないツールという結論に達した.旧版を使い続けるべし.

◆午前11時.快晴.気温14.1度.昨日ほどではないが,それでも暖かく感じる.ぜんぜん冬らしくないどころか,むしろ暑かったりして不快このうえない.

◆Cladistics 誌の最新号(Volume 24, Issue 6)が届いた ——

“笑う深海タコ”の写真が日本でも報道されている論文が載った号だ.“笑うタコ”論文はそっけないほど短かった.しかし,ぼくがまず読まねばならないのは,それとは別の論文でしてね:

 Ingi Agnarsson and Jeremy A. Miller (2008)
  Is ACCTRAN better than DELTRAN?
   Cladistics, 24(6): 1032-1038.
   (DOI:10.1111/j.1096-0031.2008.00229.x |abstract

仮想祖先形質の最節約復元(MPR-setの数学的性質)に関して,今から15年前に出したぼくの論文やら,その後の共同研究者たちによるMPR束の離散数学論文が俎上にあがっている.批判されているので,何らかのレスポンスをしないとダメでしょう.書くべき反論コメントのタイトルは当然もう決まっている:「ACCTRAN is better than DELTRAN」.

◆年の瀬のセント・ポールズ風景 —— 午後も小春日和.13:55分発のTX快速にて東京へ.池袋で降りて,午後3時すぎ,学内に巨大なクリスマスツリーが二本も屹立している立教大学キャンパスに入る.15:00から『生物科学』編集委員会.現在進行形の特集進捗とか,翌年度の特集企画とか,なーんだかさらにさらに仕事が積み上がってしまったよーな気が.編集委員会の終了後,午後5時から学内の〈St. Paul's Cafe〉にてビールとワインでちょこっと忘年会.「雑誌」ではなく「本」にしましょうというアイデアが.窪川かおるさん推薦の参宮橋のビストロ〈クリクリ〉.つい飲み過ぎてタイヘンだとか…….代々木のオリンピックセンターで進化学会大会があったときに,この店の前を毎日通っていた覚えがある.ぼく自身は,このあたりだと参宮橋商店街の中にあるスペイン料理〈ロス・レイエス・マーゴス〉しか知らない.

◆忘年会は1時間ほどで途中退席する.つくばに帰り着いたのは午後7時半だった.少し寒さが戻ってきた気がする.見上げた空にまんまるい月が浮かび上がる.ここ数日,月がことのほか大きく見えたのは単なる錯覚ではなく,実際に地球との距離が最短になっていたからだそうだ.

◆本日の総歩数=15319歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.5kg(0.0kg)/22.7%(−1.3%).


11 december 2008(木) ※ 陽気に浮かれて銀座から駒場へ

◆午前4時半起床.曇り.気温5.9度.冷え込みなし.

◆朝からRスクリプト書き —— 今日の午後の講義に間に合わせるべく,いくつかのテストデータを題材にして,複数の線形モデルを立てて,の対数尤度とAICそして,分散分析などのモデル要約を算出するスクリプトを書く.先週の続きとして,単純なモデルから複雑なモデルまでの数値例をデモする予定だ.確かに,あらかじめスクリプトをちゃんと書いておくと,精神的な安らぎに包まれることを実感する.三つの事例をとりあえず用意できた.

◆昨日と同じくらい暖かい日中.11:25発のTX快速に乗って秋葉原に出た.東京はさらに暖かい陽気だった.秋葉原から有楽町に出て,銀座へ.とてもよい天気で,ぶらぶらするにはもってこい.平日に“銀ブラ”とは罪深いことだが,年休にしてあるから問題はないはず.

いくつか所用をすませてから〈伊東屋〉の「替え芯コーナー」にて,他では入手できないリフィルを調達する.筆記用具の本体はどこでも買えるのだが,リフィルの入手で苦労することがときどきある.少し“はずれた”筆記具に惹かれる性向があるからだろう.三点中の二点は伊東屋で買えたのだが,あとひとつ Schneider の「Base-up」のリフィルはダメだった.でも,オンライン発注できそうだから,その手に頼ってみるか.

◆ちょうどお昼時だったので,しばらくぶりに東銀座の〈ナイル・レストラン〉にてムルギーランチを注文する.これを食べたのはいったい何年ぶりのことか.

柔らかく煮込まれた鶏肉を骨からはずしてもらい,よく混ぜて食べるようにという指示をナイルさんから受けるのも,これまた数年ぶりのことだ.午後1時すぎに店を出たら,南風が吹き込んで汗ばむ昼下がりの陽気になっていた.半袖の通行人もいたりして,年の瀬とはとても思えない.有楽町までもどって今度は渋谷へ.駒場にたどり着いたのは午後2時半だった.駒場キャンパス内の木々の葉はもうすっかり落ちていた.

◆講師控室でメールチェックをしたら,「なぜR本体のエディターではなく,Tinn-R を使うのですか?」という問い合わせのメールが届いていた.確かに,スクリプトを書いたり保存したり逐次的に実行するという程度の作業であれば,Rのスクリプト・エディターで機能的には十分だろうと思います.実はぼく自身がRのエディターはほとんど使ったことがないのですよ(いつもまたいで通っていたよーで).生物統計学の講義に行くときは,基本的にRコマンダーでほとんどの作業をします.そして,必要に応じてRのスクリプトウィンドウでの手入力と実行を行ない,あとはRコマンダーからスクリプトを保存して,今度は Tinn-R で編集&実行する.このシステムだと,Rエディターの出番がまったくなくなるのですね.

◆午後4時20分から駒場高座.前半は用意しておいたRスクリプトを用いた線形モデル選択のデモ.後半は変量間の共分散の解説とグラフィクス.最後に第1回レポートを出題しておしまい.

◆つくばに帰り着いたのは午後7時半だった,クリスマス・イルミネーションが輝いてはいるが,腑抜けするほど暖かい.

◆本日の総歩数=13541歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.計測値(前日比)=83.5kg(−0.1kg)/24.0%(−1.7%).


10 december 2008(水) ※ 一転ぽかぽか陽気に湯気も立つ

◆午前6時起床.とんでもない寝坊.昨夜のご乱行が祟ったかも.雨は上がり,天気は一転して晴れてぽかぽかと.日射しが当たる畑地からは湯気が立っていた.地面から湯気が立っているとつい温泉を連想してしまうのは,まだ大分気分が抜けないからだろう.

◆午前のこまごま —— 東大の成績報告のオンライン登録について学習する.学務システム「UT-mate」が今年度から本格的に利用開始となり,シラバス作成から履修登録そして成績評価まで,一貫した流れができたという.半年前には本郷の教務担当から連絡されていたのだが,この時期になるまで実際にチェックしていなかった.ログイン名とパスワードの設定を確認して,中に入ってみる.正規受講者の名簿を初めて確認した.駒場の「生物統計学」は「58名」が履修者だった.農学部の大学院の特論は「24名」か(しかし,先日の講義ではその半分もいなかったぞ).

◆春めく師走 —— 午前10時.快晴.気温15.1度もある.暖かい.その後,気温はさらに上昇し,午後1時には17.5度まであがった.小春日和というよりは,3月にありそうな春本番の到来を思わせる暖かさだ.

◆午後のこまごま —— 「UT-mate」との格闘の続き.成績登録のしかたで疑問があったので,教務宛に質問メールを発信した.複数の教員が分担する講義の成績登録はどうすればいいかという点の確認.折り返し本郷から返事があり,代表者が登録すればそれでよし,とのこと.連携教員の間で成績評価の集計をして登録しよう./来年度のシラバスも「UT-mate」から入力せよとの御達しあり.こちらは今月18日が締切なので急がないと./容態が懸念されていた「kahaku.go.jp」が持ち直したらしく,メーリングリストからの配送が再開されているとのお知らせあり.

◆明日は駒場での講義日だが,いつもの三点セットとともにレポート課題用紙も忘れずに持ち帰らないといけない.16:00過ぎにさっさと撤収して帰宅する.

◆〈Tinn-R〉との格闘(夜の部) —— Rコマンダーではカバーできない操作は,スクリプトをひとつひとつキー入力しながら講義するしかないのだが,教壇でちくちく入力していると空白の時間が盗られるだけでなく,かなりの頻度で「入力ミス」が発生し,教える側は汗かいてあわてるし,教わる側も集中力が削がれてしまう.

何とかしないといけないと前から考えていたのだが,ふとR専用のエディター〈Tinn-R〉を本格的に使ってみようと思い立った.〈Tinn-R〉の配布サイトに行ってみると,つい先月に公開されたばかりの最新版(varsion 2.1.1.6, 17 November 2008)が置かれていた.

これ幸いとダウンロードして,インストールしてはみたのだが(奥村泰之さんの「WindowsユーザーのためのR/Tinn-R」という記事が参考になる),あれれ,編集したRスクリプトをRに投げてもぜんぜん反応がない.しばらく格闘してはみたものの,やはりRがぜんぜん応答してくれない.理由はわからないが,こういうトラブルは他でも見られるようだ.

最終的な解決策は?といえば,「古いバージョンをインストールしなおせ」ということらしい.はいはい,ではさっそく,上記の〈Tinn-R〉サイトから「old stable version」と太鼓判が押されている「version 1.17.2.4」(2005年公開)を再インストールしたところ,無事Rとの連携が実現できた.version 2 ではダメだが,version 1 だとうまくいったということ(R の方は最新の version 2.8.0).

これで,事前にRスクリプトをファイルとして用意しておけば,それを呼び出して実行すればよい.浪費時間と不注意ミスは最小化されるだろう(きっと).

—— 夜の格闘が長引いてしまい,気がついたら日が変わっていた.

◆本日の総歩数=5329歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前日比)=83.6kg(−0.1kg)/25.7%(+0.6%).


9 december 2008(火) ※ 忘年会シーズン幕開きは雨の中

◆午前3時半起床.星空がよく見える.最低気温は1.3度と冷え込む明け方.東の空は真っ赤な朝焼け.

◆午前のトド撃ち —— 東大の成績評価システム(UT-mate)の操作マニュアルと成績登録依頼が,農学部と理学部からそれぞれ届いた.とりあえずは先日の農学生命科学研究科「ES特論」の成績入力が先決だ.駒場の方はもちろん講義がすべて終った2月以降ということになる./マイカー共済関連書類の組合への提出完了./連携講座院生への所内便による転送./来年度の農学部便覧の加筆修正点を教務宛てに返送する.

◆お昼近くになって曇ってきた.しかし,青空も見える.11時前の気温は8.2度.無風.空気はやや冷たい.

◆いただきものの新刊 —— 安藤元一『ニホンカワウソ:絶滅に学ぶ保全生物学』(2008年11月20日刊行,東京大学出版会[ナチュラルヒストリーシリーズ],viii+233 pp.,本体価格4,400円,ISBN:978-4-13-060189-4 → 版元ページ).第1章はカワウソをめぐる民俗と文化史だ.ずいぶん前のことだが,進化学会で今もよく顔を合わせる知り合いが,「私はカワウソのファンです」と言っていたことを思い出した.

同じナチュラルヒストリーシリーズで出ている:周達生『民族動物学:アジアのフィールドから』(1995年9月14日刊行,東京大学出版会[ナチュラルヒストリーシリーズ],ii+234 pp.,本体価格3,600円,ISBN:4-13-060161-X → 版元ページ)をメーリングリストで紹介したところ,その彼から「カワウソについては同じ著者による前の本に詳しく書かれています」と教えていただいたことがある.

その本とは:周達生『民族動物学ノート』(1990年6月11日刊行,福武書店,384 pp.,本体価格2,816円,ISBN:4-8288-1195-8).この本の巻末には「宮地先生と獺祭について」という付記が書かれている.著者の師だった宮地伝三郎の追憶とともに,中国の古文書にも現われる「獺祭」に関する民族動物学的コメントだ.「獺祭」と言えば反射的に山口の旭酒造が造っている〈獺祭〉と銘打たれた日本酒を連想してしまうのだが,その命名の由来を読むと,やはり中国の故事との関連が強調されている.

—— カワウソつながりはいろいろありますね.

◆午後のトド撃ち —— 今週の駒場三点セットの用意.さくっとつくってコピーを依頼する.あとは,第1回のレポート課題づくり,1時間ほどかかる.課題用紙の作成と印刷をすませ,租界Rにて早々と公開完了.明後日の講義日に配布します.

◆雨の東京へ —— 午後4時前に帰宅.すでにぽつりぽつりと雨が降り出している.16:43発のTX快速に乗り東京へ.雨足はだいぶ強くなり,傘をささずにはいられない.東大の専攻忘年会は〈かに道楽・上野店〉にて,さんざん日本酒を呑んでしまった……(またかよっ).午後9時すぎにお開き.二次会へのお誘いもあったのだが,先月の二の舞になりそうだったので,一次会のみで帰ることにした.※この夜は〈悦凱陣〉が飛び抜けて秀逸だった.

—— つくばにたどり着いたのは午後11時すぎだった.雨がしとしと降り続き,空気が濡れてとても寒かった.

◆本日の総歩数=15059歩[うち「しっかり歩数」=1126歩/10分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=83.7kg(−0.2kg)/25.1%(+1.2%).


8 december 2008(月) ※ 微小トド群に時間を削り取られ

◆午前4時半起床.曇りところどころ星空がのぞく.気温1.2度.冷える冷える.朝日とともにからっと乾いた冬晴れになった.日光は暖かいが,空気は冷え冷えしている.午前10時になっても気温は6.6度しかない.

◆久しぶりの平日営業日は小トドの群れに取り囲まれる —— 科博からここ何ヵ月かの間,メーリングリストからの配送がないとの連絡が先月あった.複数の「kahaku.go.jp」ドメインのアドレスに届いていないという.いくつかの投稿メールのエラー返信をチェックしたところ,確かに「Connection Lost」といういかにもヤバそうなメッセージが軒並み返ってきている.「kahaku」宛てに配信しようとしたらアチラにつながらなかったということか.どーしましょ?/自動車保険の更新時期だが登録事項の変更が必要だ./おくればせの収入証明書の提出.あ,Hennig XXVII の参加費ページの写しも./所内RP成績検討会に向けての提出書類の書式がやってきた.

◆日清食品〈チキンラーメン〉の系統樹 —— 昨日の朝日新聞に一面全部を独占して,〈チキンラーメン〉の巨大な系統樹が描かれていた.さっそく証拠保全をした上で,しげしげと眺める.“共通祖先”である「元祖チキンラーメン」が登場したのはぼくが生まれた年だ.それに続く直系クレードは現在にいたるまで存続し,「出前一丁」などの分岐したいくつかのオルソローグもきちんとわかっている.一方,1971年に登場した「カップヌードル」のカップ系クレードはいわばパラローグみたいな位置づけかな.1992年に世に出た「日清ラ王」のクレードも現在にいたるまで繁栄しているようだ.

しかし,この“末広がり”のめでたいインスタントラーメン系統樹には残念ながら「絶滅リネージ」についての情報がほとんど載っていないようだ.かつては売れたがその後に姿を消した元祖チキンラーメンの末裔はきっと少なくないと思うのだが.インスタントラーメンを食べる習慣が昔からほとんどなかったので,そのあたりの情報はよくわからない.

◆年末になって執筆プレッシャーがいきなり加圧される —— 岩波書店から献本された新刊:赤穂昭太郎『カーネル多変量解析:非線形データ解析の新しい展開』(2008年11月27日刊行,岩波書店[〈確率と情報の科学〉第1期],xiv+207 pp.,本体価格3,500円,ISBN:978-4-00-006971-7 → 版元ページ).うう,ついに1冊めが出てしまったか…….この〈確率と情報の科学〉シリーズの「第1期」(15冊)には,ぼくの巻(『生命のかたちをはかる:生物形態の数理と統計学』)もエントリーされている.企画が立てられてからもう3年が過ぎているので,やっぱりどーにかしないとなあ.と思いつつ,届いた新刊をぱらぱらしていたら,はさみこまれた編集部からの手紙がはらりと落ちてきて,そこには「来年には,先生の本を出版できますよう願っております」と.ひー.※見るんじゃなかったぁ(汗).

◆午後のトド祭り —— メーリングリストの月例アナウンスを午後3時前になってようやく送信した.今月もずるずる遅れてしまった.ごめん./計量生物学会の新体制がすでに発足しているのだが,ぼくは学会誌の編集の手伝いだけではなく,大会の企画にも加わっているらしい.うーむ./電通のアンケートに記入して返送する./みすず書房から毎年恒例の『月刊みすず』年頭書評特集の寄稿依頼が届く.年の瀬だなあ./来年の2月7日(土)13:00〜,渋谷のシュラスカリア〈Tucano's〉にて高野泰さんの退職慰労会がある.生物測定学教室の出身者はご参加ください,とのこと./駒場のレポート課題を考えてみたり,成績評価を進めないといけないなと思いつつも,実際にはちっとも進捗していない…….

◆午後5時過ぎ,外が暗くそして寒くなってきたので撤収する.明日は天気は下り坂で,雨が降り出すらしい.今日はこまごまと時間を削り取られた割には,大きな進捗がなかった気がする.これではいかんぞ.

◆本日の総歩数=8756歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.9kg(+0.6kg)/23.9%(−0.4%).


7 december 2008(日) ※ 引きこもりサンデーは原稿完成

◆午前4時起床.放射冷却で冷えまくっている.きっと氷点下になっているだろうと推測されるが,外気に当たる勇気はない.雲ひとつない快晴のようだ.

◆未明の原稿書き —— もうどたんばなので,早朝からまじめに原稿を書きはじめる.今日しかない.マジです.

◆『役者論語【やくしゃばなし】』について —— ぼくがずっと前からもっているのは,重版された岩波文庫版:守随憲治(編)1939(1991). 『役者論語』(1939年刊行[1991年重版],岩波書店[岩波文庫・黄266-1],99pp.)だった.しかし,同じ編者によるもっと詳しい注釈が付いた本が東大出版会から出ていたことを知って,さっそく入手した:守随憲治(編)『役者論語』(1954年11月10日刊行,東京大学出版会,vi+188 pp.)/守随憲治(編)『續 役者論語』(1973年4月10日刊行,東京大学出版会,ii+127 pp.).大半は歌舞伎役者のエピソード的訓話の集成だが,ところどころ汎用的な「舞台上での教訓」が含まれている.

◆桂米二師匠の災厄 —— ぼくの出身高校の同級生(同年生)である落語家・桂米二さんから届いた12月6日付のメルマガによると,とある高座でたいへんな災厄に遭ったそうだ.高座の真っ最中にホールの後方で騒ぎがあって,落語を続けることができなくなってしまったそーな.プロの噺家が中断するとはよほどのことだったのだろう.原因は,その会場の周辺に客が違法に駐車したために,道路が詰まってしまい,警察に通報されたとのことらしい.

ぼく自身,30年ほど前に似たような経験をしたことがある.東大オケにいた頃,信州大学合唱団の伴奏として東大オケが呼ばれたことがあった.松本でブラームス〈ドイツ・レクイエム〉の上演をしたときのことだった.もともと長い曲なのだが,ちょうど中盤にさしかかったときのこと.いきなり会場のドアがあいて怒鳴り声が響いた.ほかならない本番中のことだ.指揮者は顔色を変えることなくそのまま演奏は続いたが,舞台上のわれわれは冷や汗どころではなかった.あとで事情を聞いたところ,これまた会場周辺に聴衆が置いてしまった違法駐車に運送トラックのドライバーが激昂して,演奏会場に怒鳴り込んだということらしい.

幸い,その演奏会は翌日に長野でも開催されたので,そのときはつつがなく終った.いずれにしても,聴衆は会場周辺に違法駐車しないよーに.迷惑するのは舞台上の噺家だったり,演奏家だったりするのでね.

◆原稿ばたばた書き上げ —— 昼過ぎに中央公園の〈つくいち〉に顔を出して,買い物を少し.雲ひとつない快晴だが,気温も湿度もとても低い.その後は,日だまりで原稿を書き続ける.午後4時半までに19KBほど書いたところで脱稿しようと思ったが,思い直して真っ赤な夕焼けを横目にさらに2KBほど書き足す.図もひとつ描く.真っ暗になった午後6時にやっと書き上げる:三中信宏「分子系統学:最近の進歩と今後の展望」.テキストファイルにして21KBほど,InDesign でざっと整形してから,pdf と doc に出力し,『植物防疫』誌編集部にメールで原稿送信完了.たいへん遅くなって申し訳ありませんでした.掲載予定は来年1月号.はたしてすべりこみで間に合うか?

◆懸案の大トドを仕留めたので気をよくして,〈王祿・超辛純米〉が瞬時にして空っぽになってしまった…….しかし,明日からは何頭もの中小トドを仕留める仕事が残っているので,気を抜いてはいけない.まずは大学院講義の成績評価2件か.そのあとは,駒場のレポート出題だ.そうこうするうちに原稿トドどもが巨大に成長して,いくつかの忘年会や〈復活〉演奏会をはさみつつ,あわてふためいているうちに,RP成績検討会でがつんとへこんで,押せ押せのまま年の瀬を迎える —— こういう予定?になっている.

実際にやばいのは,今月末締め切りの原稿が三つほどある,という事態でして(音羽のも入れたら四つだ).いったいどーするって感じで.とりあえず,明日は今月も遅延しまくっているメーリングリスト月例アナウンスを流すか.千里の道も一歩しか;三歩歩いて四歩下がる…….

◆本日の総歩数=2136歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.3kg(−0.2kg)/24.3%(−1.1%).


6 december 2008(土) ※ 冬ごもりしつつ原稿を書く週末

◆うっかり午前6時半起床.遅すぎっ.昨日の空模様とは一転して,冬晴れの乾いた寒気が吹き込む.雲のかたまりが空の方々に浮かんでいる.

◆朝からカンヅメ原稿仕事が続く —— アトがないので,これはもうひたすら原稿を書くしかない.週明けには耳をそろえて原稿を提出する以外に道はない.書いてます書いてます.書くべき内容ははじめからもう決まっているので,着々とさくさくと前に進まないわけはないのだが…….

◆着便した「ダーウィン本」 —— ダーウィン生誕200年にまだ達していないというのに,すでにこの出版ラッシュだ.来年が思いやられる:Charles Darwin / David Quammen (General Editor)『On the Origin of Species: The Illustrated Edition』(2008年10月刊行,Sterling Publishing,New York, xvi+544 pp.,ISBN:978-1-4027-5639-9 [hbk] → 版元ページ).正方形の重くてがっしりした造本はかつての E. O. Wilson『Sociobiology』(1975)を連想させる.ダーウィンの『種の起源』に関連する資料や図表そしてカラー写真をふんだんに挿入した“絵入り版”.

◆「日本最短の川」についての最新情報(「ぶつぶつ川」vs.「ホンベツ川」) —— 昨年,『』の連載第3回め〈種に交わればキリがない〉の中で,「日本最低の山と日本最短の川」という節を書いたとき,二等三角点がある山のうち「日本最低の山」は大阪の天保山だが,「日本最短の川」はいまだにつまびらかではないとうっかり書いてしまった:

「日本最低の山」という設問は、幸いにして国土地理院が解決してくれた。では、もうひとつの「日本最短の川」という問いはどうだろうか。私が知るかぎり、この質問に対する答えはいまだに提示されていないようだ。この日本国土には長短さまざまな「川」が流れている。「最長の川」が現にあるのであれば、その反対に「最短の川」があったっていいではないか。しかし、おそらく「川とは何か」という定義もまた同等に難問なのだろう。少なくとも現時点では、一級河川とか二級河川という「川」の行政側の等級づけはあっても、それに基づく「日本最短の川」を誰も探そうとはしていない。(p. 35)

実際,執筆当時はそうとう頑張って検索してみたのだが,「日本最短の川」にヒットしなかった記憶がある.ところが,この記述は大きなまちがいであることがあっさり露呈してしまった.つい最近の新聞記事で,和歌山県が二級河川としては「日本最短の川」を法令指定したことを知ったからだ:

紀伊民報記事
13.5メートルの日本一短い川 那智勝浦町の「ぶつぶつ川」」(2008年10月21日付)
那智勝浦町粉白の「ぶつぶつ川」(13・5メートル)が21日、県から2級河川に指定され、法定河川としては「日本一短い川」になった。町は同日、川で記念式典を行い、関係者らで指定を祝った。新たな観光資源として地元の期待が高まっている。

この記事はさらに続けてこういう:

これまで2級河川の最短は北海道島牧村の「ホンベツ川」(30メートル)で、ぶつぶつ川はそれを抜いて日本一短い川になった。

おお,前々から「日本最短の川」をめぐる自治体間のシレツな争いがあったのか,と思いきや,「ホンベツ川」の方はそういう慾がぜんぜんなかったりする.次のようなオンライン記事が見つかるからだ(元記事は北海道新聞):

ナンバー1通信
日本一短い川」だった 島牧・ホンベツ川 人知れず11年…」(2008年10月25日付)
一九九七年から、河川法上の「日本一短い川」とされていた後志管内島牧村のホンベツ川(全長三十メートル)が、このほど和歌山県那智勝浦町の「ぶつぶつ川」(一三・五メートル)に日本一の座を奪われた。村内ではホンベツ川が日本一だったこと自体、知られておらず、「そうだったの」と驚きが広がっている。

ご当地の住民すら「日本一だった」ことをぜんぜん知らなかったというのがのんびりしていて微笑ましいが,何のことはない.「日本最低の山」と同じく「日本最短の川」もまた法律によって決まるのだということがわかってよかった.いすれにせよ,新書化の際にはちゃんと加筆修正しないといけない.

◆午後3時すぎに農環研に潜入して,さらなる原稿仕事をする.雲一つない青空になり,気温は11.9度と低い.午後5時過ぎまで引きこもる.つるべ落としに暗くなってきたので撤収.気温も急降下.

◆大分「食」の記憶と記録(2) —— 次は「かぼす(香母酢)」だ.今日,大分からたくさんのかぼすが箱詰めの宅急便で届いた.送っていただいて,どうもありがとうございます.

かぼすは大分産では椎茸とならぶメジャーな農産物で,大分県庁の「かぼす担当」は全国展開を目論んでいるという.われわれ県外者には,かぼすといえばつい「緑色」をした小粒の硬い柑橘という先入観があるが,大分県内では左の写真のような「真っ黄色」に熟したかぼすもよく卓上に並ぶ.

研修期間中に入った〈こつこつ庵〉のだんご汁定食にも黄色いかぼすが添えられていた.また,別の日のランチに入ったまぐろ料理〈ほとじま〉の「まぐろコロッケ定食」にも,かぼすのスライスが小皿でついてきた.まぐろのミンチでこねたコロッケはあっさりさっくりしてとてもおいしかったが,黄色いかぼすの香りがいい引き立て役となっていた.そういえば,どこの店でも「琉球」という名の和風カルパッチョ風の魚の小鉢がつきだしで出されたが(飲み屋でもすし屋でも),それにもかぼすの香りが漂っていた覚えがある.

◆夜もなお続く原稿仕事.しかしいっこうにケリがつかないな.明日がぎりぎりの期限なんですけど…….

◆本日の総歩数=8132歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.5kg(−0.4kg)/25.4%(+1.8%).


5 december 2008(金) ※ 農環研高座の最中に冬の嵐襲来

◆午前4時半起床.晴れところどころ曇り.気温6.3度で冷え込みなし.しかし,今朝は風が吹いているので,街路のフウノキの葉がくるくると舞い落ちてくる.しばらく見ないうちに,どの木もほとんど丸裸になっていた.

◆未明のこまごま —— ほぼ1週間ぶりに農環研に来てみたら,うぞうむぞうの事務書類や回覧書類が机の上に積み上がっていた.事務書類は中身を読まずにそのままロッカーにぶちこみ,回覧書類は中身を読まずにそのまま次の人に回覧する./農環研の領域忘年会は12月19日(金)19:00〜21:00,稲荷前のイタリア料理店〈アルゾーニ〉にて./12月26日(金)に開催されるRP成績検討会の資料は24日(水)までに提出とのこと.

◆朝の日射しとともに気温も上がり,暖かくなってきた.風はさらに強まり,落ち葉の吹き溜りがそこかしこにできている.所内のモミジもやっと見ごろになったようだ.

◆午前のこまごま —— 午後のトークのためのハンドアウトを用意する.原稿のプリントアウトと両面コピー.何人来るのかわからないので,とりあえず30部を用意完了./締め切りを大きく過ぎている某原稿は是が非でも今週末に完成させないといけないのだが,執筆要領がいずこかに紛れてしまった.ごそごそと発掘作業にいそしみ,ようやく堆積書類の山の下から発掘できた.テキストファイルにして15KBほど書けばいいらしい(そんなことも忘れていた)./首都大学東京からの生物統計学レポートが続々と着便している.この成績もつけるんでしょ?/さらに,先日の東大ES特論の成績もですよね?/そういえば,メーリングリストの月例アナウンスをまだ出していない.先月に引き続き今月も延滞してしまった…….

◆正午過ぎに雲が厚くなってきた.天気予報では今日は雨になるとのことだ.

◆久しぶりに農環研で噺をする —— 午後1時半から農環研「生物多様性領域」セミナー〈法面緑化における在来種栽植について〉.とても“実用的”なタイトルのセミナーだが,ここで【種】の噺をさせてもらう:三中信宏「『「種」問題とは何か?』とは何か?:種問題(the species problem)とともに生きること」.およそ40分ほど話した.農環研の中でトークしたのはいったい何年ぶりのことだろう? いつもは所内にぜんぜんいないか,いたとしても隠れていることが多いので,この研究所内では影が薄い(と自分では思っている).こういう話題で講演するときは,たいていそれなりの予想聴衆がいるのがつねなのだが,農環研のこういう場ではオーディエンスもぜんぜんちがう.ぼくのあとの津村義彦さんがはるかに“役に立つ”話をしたので,よけいに浮いてしまった気がするのですが,どーだったのでしょう? むしろ,ディスカッションで言及した各地域ごとの「local knowledge system」としての民俗[生物]学という論点の方がみなさんには関心があったのではないかと思いますが.

—— この講演をもってワタクシの年内の「高座」はすべて終ったことになる.

◆冬の嵐がいきなり来襲 —— セミナー最中の午後4時頃,突然雷鳴が轟き,いきなり雷雨が窓ガラスを打ちつけはじめた.予報はあたったようだ.午後5時前に農環研を撤収したが,この時期にはめずらしいほどの本降りになった.濡れて帰宅する.

◆大分「食」の記憶と記録(1) —— 忘れないうちに備忘メモ.まずは「だんご汁」から.

県庁横にある〈こつこつ庵〉には滞在中に昼と夜1回ずつ行った.大分郷土料理の店としてはとても有名で,夜は焼酎でもって関サバやら関アジという店だが,昼のランチタイムは定食を出している.ここで「だんご汁定食」を食べたのだが,みそ味の汁の中に太い麺が煮込まれていた.この感じは,上州でいえば“おきりこみ”,甲州ならば“ほうとう”に相当する料理なのだろう.からだが温まってとてもおいしかった.具は,里芋や人参そして牛蒡などの野菜と椎茸に油揚げというシンプルな構成だ.「好みでかぼすの汁をかけて」と同行者に言われた.大分では,ありとあらゆる料理に「柑橘」の絞り汁をかける食文化がある.

◆夜になって前線が通り過ぎて雨は上がり,気温は急降下.明朝は冷え込みが厳しいにちがいない.

◆本日の総歩数=8652歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前日比)=83.9kg(+1.9kg)/23.6%(+0.4%).


4 december 2008(木) ※ 別府から駒場を経てつくば帰還

◆たっぷり寝て午前5時起床.外は真っ暗なので,まずは内風呂へ直行する.湯船の底に源泉からのパイプが開口していて,たえず湯があふれている.結局,昨夜も今朝も〈山田別荘〉の温泉を独占してしまったことになる.部屋にもどって日録をものす.三日間の統計研修が終わり,肩の荷がおりたのでほっこりする.明け方の冷え込みはまったくない.天気もよさそうだ.大分滞在中ずっとこういう穏やかな日和が続いたのは幸いだった.昨年のほぼ同じ時期に来たときは,別府湾からの冷たい風がもっと強く吹いていた記憶がある.

◆今年もまた高等湯 —— 午前7時,外が明るくなってきたのを見計らって,別府駅前の〈駅前高等温泉〉の「高等湯」に入りに行く.昨年は午前6時の真っ暗闇の中を北浜の街を横切ってここに入りに来たが,今年は明るくなってからにした.朝風呂の客がすでに数人いた.奥まった“洞窟風呂”に入り込んでぬるめのお湯に長居をするのは快適だ.最後に,熱い方の湯船に浸かるが,こちらは熱すぎて長居はできない.そのうち「並湯」に入ろうと思いつつ,いつも「高等湯」の方に入っている.風呂上がりに近くの共同浴場をいくつかまわったのだが,定期清掃日だったり,営業時間外だったりして,あいにくどこにも入れなかった.北浜のシンボルである〈竹瓦温泉〉に行ってもよかったのだが,今回はスルーしよう.

◆午前8時から和室にて朝食膳.〈山田別荘〉の朝食はとても上質で,献立がよく考えてあると感心した.今回は頼まなかったが,きっと夕食献立も期待できそうだ.朝日が射しこむ静かな畳の間でいただく朝ご飯はことのほか美味かった.この旅館はとにかく静謐の一言に尽きる.騒ぎまわる客もいなければ,温泉街の喧騒からも離れている.ぎしぎしいう廊下もつい気をつけて静かに歩いてしまうほどだ.朝食後,再び部屋にもどり,チェックアウトまでまたゆるゆるする.午前9時半に会計をすませて出発.玄関にぶらさがっている大きな魚鐸を叩き忘れてしまった.

◆〈山田別荘〉から歩いて数分の北浜トキハ前のバス停で大分空港行きのバスをしばし待つ.午前10時に乗車,およそ50分で大分空港に到着する.車中はぽかぽかと暖かかった.日録をアップし,メールチェック.さらにチェックインをすませて,『別府温泉本』の最新刊を購入する(滞在中はうっかり買いそびれていた).11時半に搭乗口に向かい,正午に羽田行きの「JAL1786」に搭乗.空席がとても多かった.定刻の12時20分に離陸して,午後2時過ぎには羽田に着陸した.九州よりは気温が低かった(機内放送では「13度」と言っていた)が,それでも師走らしからぬ暖かさだ.大分にいたときは新聞も天気予報もチェックしていなかったのだが,この季節本来の寒気が南下していないにちがいない.

◆イチョウが散り果てた駒場にて —— 羽田でスーツケースを受けとってから,駒場に向かう.時計台の講師控室に入ったのは午後3時半だった.午後4時20分から,生物統計学の講義.今日は一般化線形モデルに関係するモデル選択論について.午後5時半をすぎて体力の限界を察知し,早めに終わらせてもらった.レポート課題は来週出します.

◆クリスマス・イルミネーション輝くつくばに帰還 —— 渋谷から秋葉原を経由してつくばに降り立ったのは午後7時半のことだった.センター広場一帯は早くもクリスマスの電飾が輝いている.風は吹いているが身を切るような寒さはぜんぜん感じられない.長距離移動と湯疲れと駒場高座でほとんどヨレヨレの状態で帰り着いた.遠距離出張も今年はもうない.あとは,明日の農環研でのセミナーと26日のRP成績検討会をこなし,積み残しの原稿仕事をいくつか片づければいい.

◆帰還早々のこまごま —— 年明け早々にとある“対談”をしませんかとの依頼が日経サイエンス誌から届いた.記念すべき「ダーウィン年」の幕開けだし,タイムリーな申し出ですね.前向きに考えます./計量生物学会から事務メールがいくつも届いていたのだが,ワタシは編集担当理事の仕事だけでいいのでしょうか?(企画も担当する?)/首都大学東京からのレポートが続々と届いていた.明日が締め切りだったっけ?

—— 他にも何だかたくさんトドが押し寄せている気配が濃厚なのだが,今夜はよく読む気力がぜんぜんありまっしぇん…….

◆本日の総歩数=10647歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=未計測/未計測.


3 december 2008(水) ※ 大分高座を終え再び湯煙の中へ

◆午前5時半起床.雲はやや多いが晴天.前夜こつこつ呑み続けたせいで爆睡したようだ.午前9時前にホテルをチェックアウトし,スーツケースをがらがら転がして県庁ビルに入る.

◆大分統計高座(最終日) —— 今日も午前9時半に講義開始.一般線形モデル(GLM)について説明し,Rコマンダーを用いて実習(比率データのロジット変換と二項分布を用いたGLM).11時半に早々とランチタイム.今日は,かの大分県教育委員会が入っている建物の最上階にある〈Never Land〉にて鳥天の定食.

午後1時から講義再開.まずは多変量解析について話をし,Rコマンダーで利用できるクラスター分析と主成分分析の実習.合間に,個別コンサルタントで,食味官能検査データの多項ロジット分析について.さらに,変量間の共分散について解説し,2変量正規分布のRでの描画を実習.その後,リサンプリング統計手法の解説とR実習.最後に,質疑応答タイム —— 立て続けにこれだけこなし,午後5時前にすべての研修日程を終了した.たいへんお疲れさまでした.

◆湯煙の中に去っていくワタシ —— 午後5時過ぎに,芦原さんに別府の北浜まで車で送ってもらった.昨年と同じく,翌日に大分空港に向かうので,空港行きのバスに乗りやすい北浜に泊ることにした.

夕闇が迫る午後6時,北浜の町中の細い路地をすり抜け,今日の宿泊先である〈山田別荘〉にたどり着いた.元は個人の私邸だった建物を旅館として使っている.基本的に“和風”なつくりで,しかも敷地も屋敷もとても巨大だ.りっぱな玄関をあがると,脇のレトロ洋館風の一室に通される.BGMが静かに流れてます.その後,果てしなく長い廊下を伝って「桜の間」に通される.こちらは日本旅館風.

平日のせいか,他にほとんど客はなく,温泉街の賑わいとも無縁の静けさがここにはある.屋敷の裏手に露天風呂があり,時間指定の貸し切りになっているというので,さっそく予約した.ひとりで使うにはもったいないほどの広さで,もっと明るい昼間であればよかったかもしれない.

泉質は塩化物泉だそうで,にごりはないが(暗いからよく見えなかっただけか),焦げたような独特の湯臭がする.確かに熱いが,この程度の湯温は鉄輪温泉や明礬温泉と同じくらいだろう.昨年は同じ北浜の〈旅館すえよ志〉に泊ったが,もっと色が濃くて黄土色の析出物があった.山田別荘はすえよ志とはまたちがった泉質だが,いろいろな成分が溶けこんでいるという点では同じだ.

◆夕闇の別府繁華街へひとりでくり出す ——

〈山田別荘〉は朝食のみを予約したので,晩ご飯は街に出ないといけない.山田別荘の近くにはあまり店がないようなので,別府駅前の大通りを越えて向こう側のもっと“ディープ”なエリアに入る.「“九湯目”に入ってはいけません」と県庁で何度も念押しされた言いつけを守りつつ,まずは新宮通り沿いにある〈グリルみつば〉にてとても有名な「鳥天」とエビスビールをば.

グリルみつばはもともと豊後牛のステーキなどを出す洋食屋だが,この店では鳥天が“中華料理”に分類されていることを知る(酢のたれをまわしかけるせいか).鳥天は大分ローカルな料理だが,とてもうまい.

みつばで軽く食べてから,すぐ裏手の八坂レンガ通りの奥にある〈はじめ寿司〉へ.これまた有名な穴子の一本にぎりなど,特々寿司は美味すぎます.わざわざ遠方から来店したと感謝されてしまい,店を出るときはご主人から頭を下げられてしまった.

◆山田別荘にもどってから,内湯に入る.半地下にある扇形の湯船には無色の湯がかけ流しになっている.ここもまた焦げっぽい湯のにおいがした.これが特徴なのかもしれない.半時間ほど独占使用させてもらい,その後は玄関横の洋館ルームにてしばし休息.どうやら今夜の宿泊客は三人のようだ.

その後,部屋にもどってごそごそしているうちに,いきなり睡魔が降臨してしまい,あえなく沈没.汝に寝たのか覚えていないが,午後10時にはなっていなかったと思う.大分に入ってからここ数日間の累積疲労のせいだろう.

◆明日はチェックアウト後,別府トキハ前から大分空港行きのバスに乗り,正午過ぎのフライトで羽田空港へ.その後,駒場での生物統計学講義をひとつこなしてから,やっとつくばにご帰還という予定だ.明日5日(金)は農環研で【種】噺をする高座がある.いくつか切羽詰まっている原稿仕事(ひとつはデッドライン越えかも……)があるのだが,すべては週末のお仕事にするしかない.いずれにせよ,今回の大分巡業をもって今年の遠距離出張は終った.あとは東京往復が何度かあるのみ.

◆本日の総歩数=6013歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝−|昼○|夜△.計測値(前日比)=未計測/未計測.


2 december 2008(火) ※ 大分高座の二日目はこつこつと

◆午前5時半起床.晴れ.前日(前夜)の疲労感がうすにごりのように漂っている.午前9時にホテルを出て,徒歩で数分のところにある県庁新館ビルに入る.朝のうちは気温が低いが,風もなく晴れ上がっているので,日中は小春日和になりそう.

◆大分統計高座(二日目) —— 午前9時半に開始.午前中は実験計画法のうち,完全無作為化法と乱塊法について,1要因の場合をスライドで解説する.あわせてRコマンダーでの計算実習.正午前にランチ休憩に入る.今日はまぐろ料理〈ほとじま〉にて,まぐろコロッケ定食.午後1時過ぎに講義を再開し,2要因の実験計画法について話を続ける.

誤差項が複数あるタイプの分散分析(分割区法や細分区法)では,「aov()」の「Error」指定を使うしかない.ところが,Rコマンダーを使ったときの線形モデルのあてはめは「lm()」を用いているので,分割区法や細分区法はRコマンダーでは実行できないと思いこんでいた.しかし,その場でちょこちょこと試行錯誤してみたところ,「Error」指定を含む線形モデルを強制的に「lm()」で実行し(もちろん計算エラーになる),スクリプト窓の中で「lm」→「aov」と手修正した上で,該当スクリプト行を範囲指定して「実行ボタン」を押せば何の問題もなく正しい結果が得られることがわかった.

要するに,これまではRコマンダーの「実行ボタン」をまったく利用しないで格闘してきたということ.これで“地べた”のRにまったく降りることなく,すべてのRの操作をRコマンダーの中でできることを実感した.もちろん,Rコマンダーで入力したスクリプトをファイルに保存しておけば,そのままR本体でも実行できる.

◆午後5時前に講義終了.いったんホテルにもどってから,午後6時前にお出かけ.師走の大分中心部はクリスマス・イルミネーションがともされているが,日中の暖かさが日没後も残ってコートはいらない.出先での研修期間中は通常の勤務と同じなので,日中はほとんど自由時間はない.また,夜は夜でいろいろと忙しいので,気がつけばあっという間に一日が終っている.県庁と飲み屋とホテルの「黄金トライアングル」を巡回する日々だ.

◆午後6時から〈こつこつ庵〉にて焼酎をこつこつ呑みはじめる.店内は壁一面に一升瓶が陳列され,“アチック”的な雑然さが濃厚に漂う.しかもBGMにはジャズがずっと流されているフシギさ.この地に来れば,日本酒は影を潜め,焼酎の天下であることを痛感する.〈兼八〉〈中中〉〈鉄輪〉など,初めて口にする銘柄がほとんどだった(ふだんは焼酎を飲まないので).午後10時近くになってお開き.どうもありがとうございました.

◆そんなこんなで,ホテルに帰ってからも仕事にならへんな.明日は研修最終日.

◆本日の総歩数=8129歩[うち「しっかり歩数」=1267歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=未計測/未計測.


1 december 2008(月) ※ 大分市にて統計高座の幕が開く

◆午前4時半起床.山懐の温泉街は未明の闇と冷気に包まれている.今朝はかなり冷え込んでいるようだ.さっそく渡り廊下を伝って貸し切りの露天風呂に行く.夜中の間ずっと湯船に源泉の熱湯が注がれ続けていたらしく,すぐには入れる熱さではない.しばらく撹拌したり冷水シャワーをかけたりし続けてやっとつかることができた.

風呂から上がって部屋にもどってからは,研修生からの質問票をプレゼン用に整理したり,教材の確認をしたりこまごまと.そのうち,かなたの別府湾から朝焼けとともに日の出の時刻となった.遠景に湯煙が元気にあがるのが見える.今日も穏やかないい天気のようだ.

午前8時半には迎えに来てもらうことになっているので,いちおう荷物をまとめたり,日録を書いたりして時間が過ぎていく.

◆午前7時半に朝食をすませたのち,すぐ近くの共同浴場「鶴寿泉」へ.やや白濁してはいるが,硫黄臭はあまり感じられない湯.しかし,とても高温の酸性泉なので長湯しているとしだいに肌がぴりぴりする.

ここは近在のじいさまたちが常連らしく,ゆっくりと湯船につかったりまた出たりしていた.こういう生活もあり.

◆午前8時半にチェックアウトし,車で迎えに来てもらった県庁の芦原さん(別府八湯“温泉名人”の高みへ)に連れられて,近くの野湯〈鶴乃湯〉へ.このロケーションではきっとたどり着けない人が多いだろうと思われる意外な場所にある.芦原さんの話ではこのあたりで有名な別の野湯〈へびん湯〉や〈鍋山の湯〉よりも,この〈鶴乃湯〉の方が泉質がすぐれているそうだ.こんな山裾から温泉が勝手に湧き出ているのだから,別府のソコヂカラははかりしれない.

◆大分統計高座(初日) —— 大分県庁には予定よりもだいぷ早く到着した.上層階にある大分県農林水産研究センターの所長さんをはじめ,関係する方々にまずはあいさつ.その後,昨年の研修と同じく別棟の会場「OAプラザ」に移動する.コンピューターをすべて更新したとのことで,配置も大幅に変わり,液晶ディスプレイがずらりと並んでいて壮観だ.

午前10時過ぎにセンター長の開会のあいさつがあり,研修の開始.午前中は統計学概論で,正午前まで.お昼は県庁近くの〈こつこつ庵〉にて「だんご汁」の定食をいただいた.

◆午後1時過ぎから講義の再開.RとRコマンダーの環境設定.OAプラザのパソコンはすべて Windows Vista なのだが,事前の“除霊”が行き届いていたおかげで,わが身の不幸をかこつ研修生は誰もいなかった.初めてのことだが,これでもうビスタの狼藉から身を守るすべを確立できたことがわかった.

午後は,まずはじめに,RとRコマンダーを使ってのいくつかの操作実習,とくにテストデータを読みこんで,グラフを描く作業をしてもらった.その後,確率分布とそのパラメーターに関する講義をして,平均と分散に関する説明をした.パラメトリック統計学のやっかいな話が続くのだが,Rコマンダーのプラグイン〈RcmdrPlugin.TeachingDemos〉を用いて,パラメーターを連続的に変化させたときの確率密度関数のかたちの推移を体験できる.こういう教育ツールが用意されているのはたいへんありがたい.

◆午後5時前に初日の講義は終った.ホテルFino大分にチェックインしたのち,午後6時から〈楽食ダイニング温々〉にて懇親会を開いてもらった.ありがとうございます.午後8時過ぎに一次会はお開き.その後,〈Clifford Club (Suntory Jigger Bar)〉にて二次会が午後10時まで.

◆まだ初日とは思えないなあ…….講義はあと二日ある.

◆本日の総歩数=6658歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前日比)=未計測/未計測.


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