images/image1.jpg

Home
oude dagboek

日録2008年7月 


31 juli 2008(木) ※ 今日も涼しく朝からゲラ読み三昧

◆午前5時起床.曇り空だが東方は晴れている.北東風が吹き抜けて涼しく快適.気温は21.9度.筑波大学ではオープン・キャンパスが始まっている.

◆朝からゲラ読み —— 「ぶっつけ本番」あるいは「出たとこ勝負」という実に魅惑的な言葉はあるのに,「着実にこなす」とか「地道に進める」という言葉が昔からわが辞書に載っていなかったのは,本人ならびに周囲にとって,ひょっとして最大の不幸かもしれない.しかし,原稿仕事に関してはそういう“刹那的”な生き方がまったく通用しない世界なので,とにもかくにも一行でも一字でも進めるしかない.ということで,カマジン本のゲラを読み進む.ときどき朱筆が入るが,かつての“惨状”(→これとかこれ)に比べれば極楽パラダイスだ.その割りには進捗がはかばかしくないのは申し訳ない.ごめんなさい,ごめんなさい.

◆10:30の気温26.5度.少しだけ暑くなってきたが,まだ許容範囲だ.イランの Majid Olia さんから,9月の日本線虫学会大会(エポカル)で発表する共同研究の要旨が転送されてきた:Olia, M., Ahmad, W., Araki, M., Minaka, N., Oba, H., and Okada, H.「Description of Actus salvadoricus Baqri and Jairajpuri, 1974 (Monochida: Mylonchulidae) from Japan with comment on the phylogenetic position of the genus Actus based on 18S rDNA sequences」.1週間の予定で日本に滞在するらしい.

◆午後もゲラ読み —— まずは第4章まで片づける.続いて,カラー図版のキャプション原稿のチェック.さらに各章冒頭の引用文の検討.最後に,巻末注釈の翻訳.午後3時過ぎにここまで完了したので,速達にて初台に返送.メールで訳文を送信完了.

◆献本どうもありがとうございました —— マルティン・マーナ,マリオ・ブーンゲ[小野山敬一訳]『生物哲学の基礎』(2008年7月26日刊行,シュプリンガー・ジャパン,xxii+558 pp., 本体価格13,000円, ISBN:978-4-431-10025-6 [hbk]).この生物学哲学の本は,10年前に英語版原書:Martin Mahner and Mario Bunge『Foundations of Biophilosophy』(1997年刊行,Springer-Verlag, Berlin,xviii+423 pp., ISBN:3-540-61838-4 [hbk] → 目次版元ページ)が出た.おそらく「教科書」として通読するのが正しい読み方なのかもしれない.しかし,初心者にとってはいささか敷居が高いだろう.というのも,著者たちは明らかに論理数学と公理論に基づく体系の構築を目指していて,かつて Joseph Henry Woodger や Søren Løvtrup が試みたような「公理論的生物学」となじみやすい肌ざわりがするからだ.これは少なくとも生物系の読者にとって“致死率”が跳ね上がる要因となる.最近の生物学哲学の本にはこういうタイプのものはほとんどないので,少なくとも“のどごし”の違和感はきっとあるにちがいない.多数派の文体ではないということだ.

◆午後5時に帰宅.晴れ.北東風が吹いて涼しい.25.4度.ちっとも夏らしくない.

◆明日からはもう8月だ.そういえば「夏休み」という言葉も今年のわが辞書にはなかったかもしれない…….来月は,ちょうどお盆の頃に京大を襲撃して(迎撃され),その後は駒場で進化学会大会がある.さすがにこまごました出張計画はないが,割に大きめのトドがのたうっているということ.小トドどもはいつもどおり群れ集うだろう.

◆本日の総歩数=10567歩[うち「しっかり歩数」=1217歩/11分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+0.1%.


30 juli 2008(水) ※ 夏日になるかならないかの仄暖かさ

◆午前5時半起床.晴れ.22.9度.快適な涼しさ.

◆早朝のこまごま —— 半年更新の「貸し会議室メーリングリスト」の使用期間延長をすませた.もう数年も“借り続けている”会議室がいくつもある.それくらいだったら恒久的メーリングリストにしてしまえばよさそうなものだが,借家メーリングリスト生活もこれだけ長く続けば,リアル借家と同様に,“借家権”が強く主張できたりしないかな(アホ).

◆『分類学原理』15年目にしてようやく完結か? —— UNAM(Ciudad de Mexico)の Jorge Llorente Bousquets 教授から久しぶりにメールが届いた.新刊本を送りたいのだが postal address は変わっていないかとの問合せ.1993年以来15年間にわたって出版され続けてきた:Papavero, N. and J. Llorente Bousquets『Principia Taxonomica: Una Introduccion a los Fundamentos Logicos, Filosoficos y Metodologicos de las Escuelas de Taxonomia Biologica』(1993年〜2008年,Facultad de Ciencias, Universidad Nacional Autonoma de Mexico → 既刊8冊)の最後の2巻(Vol.9と10)がやっと出版されたのだろうか.2005年春にメキシコシティーで初めて会ったときには(IOSEBのカウンシル・ミーティングのとき),「2冊まとめて出します」と言っていた.期待してます.

◆午前のこまごま —— 領域会議,10:30〜12:00.予算の使い方に関する省庁間の“会計文化衝突”について.金使いのスタイルに関してトラブルが生じると,かなりの確率で“さらに使いにくい”方向に悪化する./農大の成績評価のための書式(履修者リストと成績表csvファイル)などを教員ページからダウンロードする.成績報告など一切合財をオンラインですますことができる(らしい)./『遺伝』編集部への事務連絡./京都お盆高座に向けての連絡など./メーリングリストのホコリ払い.

◆午前10時半.晴れときどき曇り.気温は26.3度あるが,このところの酷暑からいえば“快適”な気温としか感じられない.午後になっても真夏日に達しない.14:30の気温は26.5度.晴れたり曇ったり.

◆〈日本の哺乳類学〉シリーズ完結.献本感謝 —— 加藤秀弘(編)『日本の哺乳類学・第3巻:水生哺乳類』(2008年7月15日刊行,東京大学出版会,viii+294 pp.,本体価格4,400円,ISBN:978-4-13-064253-8 → 版元ページ目次).大泰司紀之・三浦慎悟監修のシリーズ〈日本の哺乳類学〉(全3冊)の最後を飾る第3巻が出た.この第3巻では,クジラ・イルカ・アザラシを中心にして,分子進化学から保全生物学にいたるテーマを論じている.既刊2冊は:本川雅治(編)『日本の哺乳類学・第1巻:小型哺乳類』(2008年5月1日刊行,東京大学出版会,viii+312 pp.,本体価格4,400円,ISBN:978-4-13-064251-4 → 版元ページ目次)と高槻成紀・山極寿一(編)『日本の哺乳類学・第2巻:中大型哺乳類・霊長類』(2008年6月10日刊行,東京大学出版会,x+474 pp.,本体価格5,000円,ISBN:978-4-13-064252-1 → 版元ページ目次).

◆午後のこまごま —— 農環研の所内成果登録の新しいフォーマットが公開された.今年度に入ってからのアウトプット10件を忘れないうちに登録完了./農大のテスト採点と並行して出席点の集計.履修者数が多いのでけっこうたいへんかもしれない.それでも採点だけは何とか終了.出席票の勘定は未了.データがでそろったところで,最後は〈R〉で分析しましょうね(もちろん).

◆午後4時半に帰宅.ちっとも夏らしくない青空が広がり,東寄りの風が涼しい.気温は25.2度しかない.汗も出ないし,セミも鳴かない.

◆明日は月末じゃないか.今月は“積み残し”がたくさん出そうな気配…….

◆本日の総歩数=9504歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/+1.3%.


29 juli 2008(火) ※ にわか閻魔はこつこつ採点し続ける

◆午前4時前起床.まだ暗い.晴れ.気温は22.6度で涼しい.

◆早朝の研究所にて某文書づくりに励む.午前6時に完成.出力とリスケーリングもすませた.

◆新書新刊 —— 田村明子『ニューヨークは美味しい!』(2008年7月10日刊行, 角川書店[角川 one テーマ21 C-15], ISBN:978-4-04-710145-6 → 目次版元ページ).カラー版の新書.食欲がとてもそそられる.

◆採点また採点 —— 昨日のテスト用紙を広げてと.過去の出席票もとりそろえてと.90名近い人数なので,作業時間が取られそう.答案用紙の採点などいったい何年ぶりのことか.

◆正午前にはいったん真夏日になる.気温30.0度.晴れときどき曇り.しかし,午後には気温が下がり始め,真夏日から脱する.

◆午後も採点作業をちくちくと進める.午後4時にはいちおう作業完了.あとは出席点が出揃った時点で集計をして,成績評価となる.

◆午後5時過ぎに帰宅.晴れ.しかし,気温は27度台にまで下がっている.めずらしいことだ.

◆久々のトルティージャ —— ときどきスパニッシュ・オムレツを喰いたくなるときがある.最近,新鮮な新玉ねぎと新ジャガが手に入ったので,じゃがいもと玉ねぎのみのシンプルなトルティージャを焼いてみた.厚手の鉄オムレツパン(小型)を使って,直径15センチで厚さ5センチのサイズのオムレツをしっかり焼いた.なかなかいい焦げ目がついたと自画自賛してみたのだが,ナイフを入れてみたら意外や意外,中心部分がまだしっとり柔らかくて.具が「新もの」なので水分が多いのかな.かたく焼き上げたトルティージャに慣れてはいたが,こういうソフトなのも美味かったです.きりっと冷えたサングリアの炭酸割りとともにいただくトルティージャ.国籍的にもなかなかお似合い.

—— オムレツパンで分厚いトルティージャを焼くための「お手軽メソッド」は,1年前のmixi記事に書きました.

◆〈よみがえれ〉 —— 夜遅く,「よみがえれ(Auferstehn)」と呼ぶ声が聞こえた.今年の師走は松戸でマーラー〈復活〉の演奏に参加します.おお,担当は große Trommel ですか.十分に腕力をつけておかないと.本番は12月22日(月),松戸にて.

◆本日の総歩数=8771歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.1kg/−0.2%.


28 juli 2008(月) ※ 真夏日の試験監督と夕焼けサングリア

◆午前4時半起床.夏至から1ヶ月も過ぎると朝まだほの暗い.熱帯夜からは解放され,涼しかったが,朝日がのぼるとともに気温も上がってきた.昨夜の落雷で電話回線が止まっていたが,ルーターを再起動して無事に復帰できた.

◆午前のゲラ読み —— やっと第3章まで.まだ先は長いな.ところどころ欠落などあり.

◆試験監督のため炎天下に出発 —— 正午過ぎの強烈な夏日にさらされつつつくばセンターへ.12:41発のTX快速で経堂に向かう.午後2時過ぎに真夏日の暑気と駅前の人出の熱気でむんむんする農大通りを下る.こんな日にテストとは,試験を受ける側も監督する側もたいへんだ.講師控室にて問題用紙と解答用紙の束を受けとり,試験の段取りを確認する.出欠のチェックがきびしいな.

午後3時から空調のやや効いている314号室にて「実験データー解析概論」の定期試験(45分間).問題用紙を配付する.あとは机間をまわって,学生証のチェックをすませる.考えてみれば,これまでレポート提出を課題として科すことはあっても,いわゆるペーパー試験をやった記憶はここのところぜんぜんないなあ.何だかなつかしいような感覚を教壇上で静かにかみしめた.午後4時前に解答用紙を集めて,今日の仕事はおしまい.みなさん,お疲れさま.

—— 残された仕事は採点と成績報告.ただし,欠席者がいたので追試の準備もしないといけないか.その日程は9月22日(月).スケジュールのチェック完了.

◆夕焼けサングリア —— 日中とても暑かった(東京は最高気温が33.4度).桜丘まで通うのは一日仕事なので,夕方,つくばに帰り着くとたいていの場合“よろよろ歩く灰”と化している.とくに,真夏のこの季節に外出するのは負担が大きい.昨日とはちがってまったく夕立が降ってもいないのにフシギな夕焼けが西空で真っ赤に広がる.ムクドリの自己組織化された大群が三井ビルを巻き込むように夕日の中を飛び交う.こういう日の夕暮れは,サングリアの炭酸割りをきりっと冷やしたグラスにクラッシュ・アイスとともに.ぜひ,そーしよう.さあ,飲もう.

◆車中読書 —— 栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史:市場・メディア・著作権』(2008年6月30日刊行, 新曜社, 492 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-7885-1109-5 → 詳細目次版元ページ著者ブログ).読了.意外におもしろいのが,第8章「その他の事件」だ.スクラップブックのごとく,古今の“盗作疑惑”を次々にピックアップしている.騒ぎたてればきっと“大事件”になったであろう盗作事例がどういうわけだかまったくニュースにならなかったり,その逆の事例もあったという.「盗作」といえば,もちろんうしろめたい所業ではあるし,盗作した側も剽窃された側も心安らかではいられないことは確かだ.しかも,盗作の嫌疑をかけた側とかけられた側がときに“脱論理”に陥って泥仕合を演じたりする.さらにマスメディアが裏で煽ったり火消しにまわったりするのだから,真相がいったいどこにあるのかがまったく闇の中のままというケースも少なくないという.盗作疑惑が法廷に持ち込まれた事例は驚くほど少数であり,その判決もこれまたビックリだ.部外者にとっては八幡の薮の中.真実は盗作者のみぞ知る —— と言いたいところだが,何をもって盗作と呼ぶかという境界線がファジーであるかぎり,真実であるかどうかもファジーなまま歴史に流されていく.

◆本日の総歩数=9788歩[うち「しっかり歩数」=3913歩/36分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.6kg/−0.4%.


27 juli 2008(日) ※ 暴飲暴食するやからに天罰は下りぬ

◆午前4時半起床.北寄りの風がとても涼しい.曇り.二度寝して,次に起きたのは午前8時! こんなことではお天道様に顔向けできないぞ.

◆怠惰ついでの暴食 —— 朝9時から,二の宮の「スウェーデンつくば」で,〈Sunao-Marché〉の催しがある.過去の数々の手痛い失敗体験から,つくばでこの手のイベントがあるときは,とにかく速攻で攻略しなければならないことは身にしみてわかっている.うっかり出遅れてはすべてのリソースはなくなってしまうのだ.

曇りときどき霧雨の中を開場に向かう.やや蒸し暑いか.さほど広くない会場では,案の定,あちこちに行列ができているが,この時間ならまだ大丈夫だ.出店していた吉瀬の〈nachu café〉と谷田部の〈dan's table〉で朝食兼昼食を買い求める.

そのうち,女性ふたりのデュオ〈fiss〉による北欧民族音楽のミニコンサートが始まった.

スウェーデンの「ニッケルハルパ」という弦楽器を初めて間近に見ることができた.バイオリンを引き伸ばしたような楽器だが,10本以上ある弦の下にキーボードがついていて,左手でキーボードを操作し,右手で寸詰まりの弓を操るという奏法だった.バイオリンと“ピアニカ”が合体したようなイメージ.あとで調べたら,弦は全部で16本.共鳴弦があるので,変わった響きになるという(→「Nyckelharpa」).

デュオのもう一人はノルウェーの民族楽器ハーディングフェーレを担当する.バイオリンとほぼ同じ size & shape のきれいな装飾が施された楽器だったが,これまたあとでチェックしたら,共鳴弦が何本かついているそうだ(→「Hardingfele」).フシギな楽器が世の中にはあるものだ.

—— そんなこんなで,ローズマリー風味の肉やらパンやら雑穀米の夏野菜カレーやらオクラと茹で豚の“ねばねば丼”やら,何だか朝からたくさん食べてしまって.さらに,なんやかんやで,昼もよく食べてしまって.おまけに,夜も,あれやこれやと…….結果として,不規則かつ大量の食物摂取をしてしまった.

◆午後からは,とある大量の名簿からタックシールを印刷するという緊急的不可避作業に追われ,てきとーに出力したらミゴトにダメ出しで……(天罰その一).もう一回名簿アイテムを総チェックするというかなしい事態に追い込まれた.

夕方になって,空模様が不穏になり,雷鳴が轟く,そのうちぽつぽつと降り始めて,久しぶりの本格的な雷雨となった.「おお」としばし外の稲妻を鑑賞しているうちに,近くに落雷したらしく,数分間の停電.そのせいで編集中のラベル内容が電子の藻屑と消えてしまった……(天罰その二).

—— 夜遅くまで奮闘してみるも燃えつきてジ・エンド.腹もちょっと痛くなってきたし……(天罰その三).ゲラ読みがぜんぜん捗りませんでした,ハイ.

◆夜遅く雷雲は通り過ぎて,やっと晴れてきた.明日は,この猛暑の中を桜丘まで出かけて,試験監督をしないといけない.もちろん,そのあとは採点やら成績評価という事後処理が待ち構えている.

◆本日の総歩数=4531歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼△|夜×.前回比=−0.4kg/−0.4%.


26 juli 2008(土) ※ ゲラ読みの土曜日はとっても涼しい

◆午前4時半起床.曇りときどき晴れ.気温低め.湿ってはいるがこの季節にしては快適な朝.その後,日がのぼってきても曇り空で北寄りの風が通る.快適快適.

カマジン本の再校ゲラを読み進む —— もう1年以上も前に初校を出したので,細部の記憶が薄れているが,まあそんなもんでしょ.最初の章では手加減していたので,まだ訳し直しの余地が残っている.ところどころ赤くしながらの作業になる.それでも,前回よりはラクなことは確か.

—— 大きな遅滞なく再校チェックを終えたいな.

◆午後になっても涼しいままだが,湿度が高いのでしだいにべたついてくる.

◆日本進化学会第10周年記念公開講演会〈進化で日本を考える〉 —— 大会サイトから本大会でのシンポジウム・ワークショップ・一般講演(口頭・ポスター)の講演要旨がpdfで公開された.そして,23日の公開講演会の演者構成と演題を初めて知った(……):

第10周年記念公開講演会〈進化で日本を考える〉

【日時】2008年8月23日(土),13:00〜16:00
【場所】東京大学駒場キャンパス13号館1323号室
【講演】

  1. 大西拓一郎 (国語研究所):方言から日本語のルーツを探る
  2. 篠田謙一(国立科学博物館):自然人類学が描く「日本人」のなりたち
  3. 三中信宏(農業環境技術研究所/東京大学大学院農学生命科学研究科):日本の進化学史:極東の岸辺にダーウィンの波紋は広がった
  4. 山岸俊男(北海道大学):文化と制度から見た日本人の心理

◆午後のフラン —— 〈david pain〉のバージョンアップされた「洋ナシとキャラメルのフラン」をばしっかり賞味する.

洋ナシが丸ごとごろんと入っている.ボリュームがあってしかも美味.クリームに包まれた果実の酸味と皮を彩るキャラメルの甘味のちがいが際だつ.とてもジューシー. —— 美味いものは怠りなく食べる義務がある.

◆今月末までは大きな出張などはないので,堆積仕事の着実な消化につとめないといけない(ことはよくわかっている).

◆本日の総歩数=3811歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/+1.1%.


25 juli 2008(金) ※ アラシを呼ぶか屋上の太鼓叩きたち

◆午前5時半起床.曇りのちたちまち晴れ.気温26.0度.蒸し暑くて,もう何も言うことはない.好きにしなはれ.

◆日経サイエンスの最新号(2008年9月号 → 新刊目次) —— 「南硫黄島探検」特集.今の時代に,こういう新しい“探検記”を読むことができるのはとてもハッピーだ.さて,ぼくが訳したカール・ジンマー「生物の種とは何か」(pp. 60-69)も載っていますので,【種】がお好きなアナタはぜひどーぞ.なお,元記事:Carl Zimmer「What Is a Species?」(Scientific American, pp.48-55, June 2008)の本文テキストは,著者のアーカイヴで公開されている.

◆午前のこまごま —— 新井書院から郵便振替口座開設の連絡あり./名刺更新の件./京大のお盆集中講義の段取りなど.想像するだに暑そうで…….

◆雨乞い?の太鼓叩き —— 気温はぐんぐん上昇し,11:30には32.8度に達した.蒸し暑く極度に不快.昼休みはトロピカルに曇った農環研屋上にて,夏祭りに向けての太鼓の練習をば1時間ほど.コンガの叩き過ぎで,また親指が内出血しそう.いたた…….ややトランス状態に入る奏者も(ウソ) まるで雨乞いの祭事のようだ.8月7日の夏祭り当日は櫓の上で演奏することになるらしい.ワタシは「MC」をつとめさせていただきます,ハイ.

◆午後のこまごま —— 公開講演会で話すということで,進化学会から招待を受けることになった.どーも./イランの Olia さんからメールあり.9月17日〜18日に竹園の研究交流センターで開催される日本線虫学会大会には参加するのでよろしくとのこと.さらに,Nematology誌に投稿していた共著論文は無事に受理されたという知らせも.

◆午後になって大気が不安定に.遠雷が鳴ったり,雲行きが怪しくなったり.屋上で太鼓を叩いたりするからです(きっぱり).気温も28度台に下がってきた.北からの寒気が流入しているのか.

◆午後5時過ぎに帰宅.気温25.2度.北寄りの風.雷雲らしき黒雲からぽつりぽつりと雨粒が落ちてきた.ヒグラシが鳴く.つくばあたりでは土砂降りにはならなかったが,関東のあちらこちらで集中豪雨や雹に見舞われたそうな.久しぶりの降雨で多少は気温が下がったようだが,不快な夜はなお続く.

◆夜のつまみ読み —— 栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史:市場・メディア・著作権』(2008年6月30日刊行, 新曜社, 492 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-7885-1109-5 → 詳細目次版元ページ著者ブログ)をコッソリよそ見読みしていたのだが,気がついたら全500ページの半分以上まで読み進んでいることがわかった.この手の本はいったん開くとキリがなくなる.倉橋由美子に,庄司薫,大薮晴彦に,有吉佐和子『複合汚染』まで,盗作の疑惑や嫌疑はとめどなく伝えられてきた.ある部分は“真実”だし,別の部分は“メディア的構築”だったりする.

◆本日の総歩数=10752歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.3kg/+0.2%.


24 juli 2008(木) ※ 丑の日に“素数ゼミ”がやってきた

◆寝入りばなにゆらっととても長く揺れた(東北では震度6強だったそうだ).その後,午前4時に起床.曇って蒸し暑い.ここのところ熱帯夜が続いていて,今朝も25.4度だった.

◆早朝のこまごま —— 形態測定学〈SB Morphometrics〉サイトから「tpsTri」の最新版をダウンロードする.これまでは,重心サイズでスケーリングをしたあとの前形状空間(preshape space)と回転とcosρ変換したケンドール形状空間(Kendall shape space)のみの描画しかできなかった.最新版では,Dryden and Mardia のリスケール前のサイズ-シェイプ空間をも表示することができる.「tpsTri」は実際の解析用ではなく,あくまでもチュートリアル向けのツールだが,講義するときにはいつもたいへん重宝している.Jim Rohlf師に感謝.

◆気温はどんどん上昇し,10時半に早くも30.9度.曇って蒸し暑い.

◆“素数ゼミ”がつくばにも出現! —— 吉村仁『17年と13年だけ大発生? 素数ゼミの秘密に迫る!』(2008年7月24日刊行,ソフトバンク・クリエイティヴ[サイエンス・アイ新書 SIS-072],228 pp.,本体価格952円,ISBN:978-4-7973-4258-1 → 目次版元ページ).新書ながらフルカラーの図表が盛りだくさん.この点で,前著:吉村仁[文]/石森愛彦[絵]『素数ゼミの謎』(2005年7月15日刊行,文藝春秋,ISBN:4163672303 → 目次版元ページ)の“絵本的”な良さをそのまま受け継いでいる.もちろん,前著が想定した読者層よりも,今回の新刊を手にする読者の年齢層はもう少し高いだろう.“素数ゼミ”の周期的羽化の進化的説明(リクツ)についてもう少し掘り下げた説明がなされている.

—— 献本どうもありがとうございました.>浜松に向かって一礼.

◆農大の「授業評価」の結果 —— 世田谷キャンパスでの講義「実験データー解析概論」に関する学生による授業評価が締め切られ,その集計結果を見ることができた.登録履修者全82名中23名の回答数で,率にして28.0%に相当する.これはなかなか興味深いものがあるので,しばしアナリストになりきってしまった.

まずはじめに,各項目ごとのヒストグラムを見る(←左図[クリックして拡大]).教える側の技量に関わる前半三項目「授業目的」「計画性」ならびに「明瞭性」については,平均値と分散から見て,それほどヘマの高座をつとめたわけではないことがわかる(「強くそう思う」と「そう思う」という肯定的票が多数派).これはよしとしましょう(来年度も頑張ります).

ところが,受講生側への浸透に関わる後半三項目「理解度」「修得度」ならびに「関心度」については,結果は白黒逆転し,「どちらとも言えない」あるいは「そう思わない」という否定的票が多くなる.なかなか染み込まなかったということでしょうか.

次に,円形レーダーチャートをみると,上で指摘したアンバランスがもっとあらわに露呈されてしまう(→右図[クリックして拡大]).全学の平均的なスコアとの比較がこの図では可能になるのだが,この相対評価のもとで,前半三項目については平均を上まわって「4」を越えているが,後半三項目は平均を大きく下まわって「2」台にとどまっている.

生物統計学という科目の性格,教壇に立つ講師の特性,そして選択科目という履修カリキュラムの中での(学生にとっての)位置づけなど,おそらくいくつかの要因が説明変数として挙げられなければならないだろう.

—— 初年度だからまあこんなもんでしょとも思いつつも,反省することしきり.

◆午後のこまごま —— またまた堆積していたメーリングリスト雑用をイッキにかたづける.ついでに受信箱にこびりついていたもろもろの放置メールにも対応する.1時間ほどかかってしまった.その成果で,一瞬だけだが,メールボックスが空っぽになってうれしい./新井書院から郵便振替口座ができましたとの通知メールあり.近日中に./海游舎からゲラ返却の督促あり.

◆夏晴れの午後3時の気温32.8度.午後4時過ぎに帰るときもまだ32.7度もある.暑すぎる.避暑に行きたい.どこでもいいですぅ.

◆本日の総歩数=8915歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.6kg/−0.9%.


23 juli 2008(水) ※ 真夏日のクレームブリュレの幸運

◆連日の熱帯夜で睡眠が浅いな.午前4時半起床.曇りときどき霧雨.気温25.4度.

◆満を持しての「docx」襲来 —— いずれはやってくると覚悟していたが,とうとう来やがったか…….Microsoft Office 最新版の「四文字拡張子」ファイルがとあるメール添付で届いた.基本的にOfficeな生活を送ってはいないので,あわてて Open XML Converter をダウンロードして対処する.どーせ文章だけなんだからエディタでやってよね —— とぶつぶつ文句を言おうとしたら,「文章書きのエディタ派はもうロートルかも」という驚愕の指摘を得て.しばらくへこんでみる.

その昔,MS-DOS環境のときは「VZ Editor+WXP」という黄金バッテリーでの日本語入力にどっぷり浸かり,Windows環境になってからはそのまま横スライドして「WZ Editor+WXG」にナチュラルに移行した.気がつけば,この日本語書き環境のまま10年ほど経過したことになる.確かに,「古いぞ」と言われても反論できない.おまけに日本語インプット「WXG」はすでに“絶版”になっているそうではないか(発売元のエーアイソフトも吸収されてなくなってるし).そんなことも知らないまま,何冊もの本の原稿をこの環境で書き続けていた.

—— 時の過ぎるのは早過ぎると言うべきか.それとも,単に時代の流れに鈍感過ぎたか.

◆午前10時半.夏の青空.農環研にはちびっこ昆虫採集隊が網をもって集結していた.気温30.5度.暑っ…….

◆午前のこまごま —— 進化学会大会に関する段取りについての質問に答えまくる.文面を送ったり,タイムテーブルを示したり.今年の評議員会は大会初日の正午〜午後2時./共済組合員証の検印手続き.8月18日が関係書類の提出締切.

◆炎天下にはよく冷えたクレームブリュレをば —— いつも行く牧園の〈david pain〉が,先日から新製品の「クレームブリュレ」を店に出し始めた.しかし,「テイクアウトできません」というパン屋らしからぬ一品で,これにかぎっては店頭で食べるしかない.その濃厚な味がまた実に美味い.昼用のパンを調達に行ったところ,たまたまクレームブリュレがショーケースに並んでいたので,迷わず注文.その場でお砂糖をキャラメリゼしてくれて,ダヴィッドさんに「冷めるまで1分待つように」の言いつけどおりに,待ちました.ぱりっとこげた表面のキャラメリゼを割るのがクレームブリュレの快楽.ふるふるの中身にはバニラのつぶつぶがいっぱいで甘味バツグン.いやあ,快楽快楽.職場から至近というのがまたよろし.

◆昼下りの打合せ —— 午後2時半に来客あり.2時間ほど研究の話をする.午後4時半まで.暑いさなかにたいへんお疲れさまでした.あとはよろしく.

◆やっぱりそうつながるか…… —— Alexander Patschovsky (Hrsg.)『Die Bildwelt der Diagramme Joachims von Fiore : Zur Medialität religiös-politischer Programme im Mittelalter』(2003年12月刊行,Jan Thorbecke Verlag,ISBN:3-7995-0130-4 [hbk] → 目次版元ページ編者サイト).ブラウズしている.Marjorie Reeves への献辞.意外なほど「系譜学」的な内容で,arbores consanguinitatis とか,エッサイの樹とか.このあたりは Christiane Klapisch-Zuber の本でも見たもの.しかし,本書で初めて目にするダイアグラムも多い.たとえば,corpus agrimensorum の図など.とりわけ Trnitätsdiagramm については詳しく論じられている.

◆午後5時にだいぶすり減って帰宅.外は気温31.1度で暴力的な蒸し暑さが続く.今夜も熱帯夜だろう.

◆本日の総歩数=7396歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.3kg/+0.8%.


22 juli 2008(火) ※ 真夏日から熱帯夜への終末的連続

◆午前4時半起床.曇り,気温24.1度.朝から蒸し暑い.のち夏晴れの青空に.

◆朝のこまごま —— DGC基礎研究所の会計監査に関する報告書の再送./首都大学東京の集中講義のときの宿が確定.いつもどおり京王プラザホテル多摩./植物病理・若手の会の宿泊先も確定.こちらは藤沢駅前の/明日23日(木)の午後2時に来室とのこと./『遺伝』ゲラが届いていたので速攻でチェックして返送した.こまごました修正箇所や略歴はメールで編集部に通知する.写真も.※そろそろ新しいのを撮らないと./進化学会関連の事務メールいろいろ.評議員会とか選考委員会とか.

◆午前11時の気温は早くも32.0度.晴れて元気よく暑い.

◆フィオーレのヨアヒムの図像世界 —— Alexander Patschovsky (Hrsg.)『Die Bildwelt der Diagramme Joachims von Fiore : Zur Medialität religiös-politischer Programme im Mittelalter』(2003年12月刊行,Jan Thorbecke Verlag,ISBN:3-7995-0130-4 [hbk] → 目次版元ページ編者サイト)がやってきた.前から気になっていた論文集だったが,えいっと買ってしまった(……).Amazon.deから届いたのがとてもりっぱな造本の大きなハードカバー版だったのでまず圧倒される.巻末におよそ60枚あまりのカラー図版(百数十もの彩色図)が載っていて,ヨアヒム主義の図像学的発現を楽しむことができる.

—— すでに日本語にも訳されている:マージョリ・リーヴス[大橋喜之訳]『中世の預言とその影響:ヨアキム主義の研究』(2006年10月25日刊行,八坂書房,ISBN:4-89694-881-5)と重複しつつ,微妙にずれている.幾何学的な“生命の樹”イコンの数々はアヤシクしかも魅力的だ.

◆午後のこまごま —— 名刺をそろそろ更新しないと.文面改訂をしてみる./Oliaさんの線虫論文の系統樹再描画.ずいぶん待たせてしまった.やっと終ってイランにメール送信した./一休みでダニエル・ケールマン著[瀬川裕司訳]『世界の測量:ガウスとフンボルトの物語』(2008年5月20日刊行,三修社,334 pp.,本体価格1,900円,ISBN:978-4-384-04107-1 → 目次版元ページ)を読了.伝記的事実を踏まえた上での ein Roman という作品でしょう.

両主人公の伝記もこの際ついでに —— Alexander von Humboldtについては,たまたま手元に:Gerald Helferich『Humboldt's Cosmos: Alexander von Humboldt and the Latin American Journey That Changed the Way We See the World』(2004年刊行,Gotham Books, New York, ISBN:1-592-40052-3 [hbk])という伝記がある.Carl Friedrich Gaussについては手元にないが:G. Waldo Dunnington『Gauss: Titan of Science』(2003年刊行,Mathematical Association of America, ISBN:088385547X)という大きな評伝があるらしい.どちらもドイツ人なので,独語圏にはさらにたくさん伝記が出ているにちがいない.※ちょっと調べてみたら,確かにそうだった.

◆午後5時半帰宅.気温30.2度.暑すぎ.夜は Dayz Town の〈串とんぼ〉にて,ちょいとね.今夜も熱帯夜だ.

◆本日の総歩数=10640歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.3kg/−1.3%.


21 juli 2008(月) ※ 読んだ 歩いた つないだ 飲んだ

◆午前4時にいったん起床.東寄りの風が通り抜け,気温低め.今朝も涼しい.5時半まで二度寝.

◆久しぶりの早朝歩き読み —— ダニエル・ケールマン著[瀬川裕司訳]『世界の測量:ガウスとフンボルトの物語』(2008年5月20日刊行,三修社,334 pp.,本体価格1,900円,ISBN:978-4-384-04107-1 → 目次版元ページ).中断していたが,第6〜10章まで130ぺーじほど読み歩く.南米深奥で波乱万丈の冒険旅行をしたフンボルトの“変さ”と,ドイツ国内にとどまって,いかにも頑固で世間知らずなのに手が早いガウスとの対比が興味深い.ゲッティンゲン大学の学生はぼんくらばっかりと高名なこの天文学者・数学者は文句言いまくり.

◆天久保の〈Brotzeit〉でパンを買い込んで帰る.明日22日から来月22日までは,例年通り長期の休みとのこと.ドイツからフランスにかけてパン屋をめぐるそうな(うらやましいかぎり).

◆やや蒸し暑くなってきた午後は,自宅の新しいパソコンのセットアップ.インターネット接続で手間取るかと思いきや,すんなりつながってしまったので肩すかし.

◆備忘メモ —— 日経BPから出ている〈旅名人〉シリーズは個人的には評価の高い旅行ガイドの叢書だ.このたび「台湾もの」が一挙に9冊もまとめて出版された(nos. 102-110).台北や台南はもちろん,澎湖諸島間で含めて台湾の各地域ごとのガイドになっているようだ.

◆夕方は,『世界の測量』をさらに読み進む(第11〜14章).ダゲレオグラフの開発者であるダゲールがときどき顔を出す.南米大陸をともに歩いたボンプランは幽閉された.世界の測量をめぐるフンボルトとガウスの仮想対話が目を引く.ガウス「自然法則こそが真の暴君なのです」;フンボルト「しかし法則をつくり出すのは理性でしょう」;ガウス「理性は何もつくり出さないし,ほとんど何も理解しない」(p. 237)

◆夜は〈Corona Extra〉をぐびっと.生ハム&メロンとか.ああ,美味い.

◆本日の総歩数=8221歩[うち「しっかり歩数」=8045歩/70分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.2kg/+0.2%.


20 juli 2008(日) ※ 三連休中日は意外にしのぎやすい

◆午前5時起床.曇り.北東風のおかげで気温が低く,この時期にしては蒸し暑さを感じさせない涼しさだ.その後も午前いっぱいは晴れたり曇ったりで日射しは確かに強いものの,エアコンはいらず.

◆Martin J. S. Rudwick の新しい“電話帳”2冊 —— M. J. S. Rudwick といえば,著名な古生物学者にして生物学史研究者であり,彼の初期の著書の翻訳『化石の意味』(海鳴社)がそのあまりの“悪訳”のために絶版になったことで知られている.もう20年も前のことだが,地質学上のある論争の詳細な復元をした『デヴォン期論争』を手にして,その“電話帳”ぶりに圧倒された記憶がある.しかし,ここにきてさらなる“電話帳”が立て続けに出版されたことを知った:Martin J. S. Rudwick『Bursting the Limits of Time: The Reconstruction of Geohistory in the Age of Revolution』(2005年刊行,The University of Chicago Press, ISBN:978-0-226-73111-7 [hbk] / ISBN:978-0-226-73113-1 [pbk] → 版元ページ)/Martin J. S. Rudwick『Worlds Before Adam: The Reconstruction of Geohistory in the Age of Reform』(2008年刊行,The University of Chicago Press, xxiv+614 pp., ISBN:978-0-226-73128-5 [hbk] → 版元ページ).この2冊は「地史」を共通に論じている点で連続した姉妹本だが,発注した書店が別々だったせいか,最新刊の『Worlds Before Adam』をまず手にすることになった.19世紀における「地史」のイメージを詳細に論じている.『Bursting the Limits of Time』はさらに遡った18世紀末までの足跡をたどっている.

◆昼下り,ニイニイゼミとともにミンミンゼミも鳴き始めた.西日が暑い.しかし,日が西に傾くとともに風が通り抜け,涼しさが再び戻ってきた.何だかいい一日だった.

◆からっと暑い日の夕暮れは軽く1本いきましょー —— 金色の甘〜い白ワインもたまにはいいか:〈Beni di Batasiolo〉の「Bosc dla Rei (Moscato d'Asti)」をば.アルコール度数がたった5.5%なので,ワインというよりはジュースだろうねえ(おい).微炭酸が効いているので,5度くらいまできりっと冷やしてぐびっと飲むのに向いている.フルーツサラダとともにいかがとテイスティング・レポートには記されている.イタリアとは気候がそもそもちがうが,夏のデザートワインみたい.

—— でも,いくら低アルコールとはいえ,フルボトルを1本呑めばそりゃあそれなりに酔っぱらいますわなあ…….

◆夜も涼しい.酷暑の中にたまにこういう日があると元気になる.

◆本日の総歩数=5129歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/+1.1%.


19 juli 2008(土) ※ 梅雨明けて地揺れて〈盗作〉三昧

◆午前5時半起床.曇りのち晴れ.すでに蒸し暑い.日がのぼるとともに,不快指数は急上昇.梅雨前線を吹き飛ばして,関東地方にはあっさり「梅雨明け宣言」が出された.

◆届いていた2冊 —— 信田さよ子『母が重くてたまらない:墓守娘の嘆き』(2008年4月10日刊行,春秋社,192 pp., 本体価格1,700円, ISBN:978-4-393-36625-7).あの春秋社はこーいう本も出すのか.そーかそーか./栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史:市場・メディア・著作権』(2008年6月30日刊行, 新曜社, 492 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-7885-1109-5 → 詳細目次版元ページ著者ブログ).とてもおもしろいという声が諸方面から聞こえる.

◆11:39に地震あり.午後になって日射しがとても強く,南方から熱風が吹きつけてくる感じがする.夏本番だ.

◆〈盗作〉の昼下り —— 栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史:市場・メディア・著作権』のつまみ読みをする.とてもワクワクします.楽しいです.いたるところ盗作しまくりです.井伏鱒二や立松和平の“盗作”は以前からよく知っていたが,田口ランディも相当なもの.詳細に論じられている山崎豊子にいたっては,長年にわたるその“累犯ぶり”からみて,エキセントリックな確信をもってやっているのだろう.かつては,“丸写し”の盗作をやらかして文学賞をもらった猛者もいたという.しかし,大半のケースはそれほどあからさまではない.もちろん,何をもって「盗作」と呼ぶかはグレーゾーンが広過ぎて,シッポをつかむことがなかなか難しいようだ.盗作が発覚したときの当事者それぞれの弁解ぶりがまたおもしろい.

さらに,当事者だけでなく,巻き込まれてしまった関係者もいい迷惑で,たとえば盗作疑惑でさんざん叩かれた山崎豊子の作品「花宴」については,それが掲載された中央公論社『婦人公論』誌の当時の編集長だった宮脇俊三が引責辞任に追い込まれたと記されている(p. 199).後に鉄道作家として有名になった宮脇がこういう苦労をしていたとはぜんぜん知らなかった.一方の山崎はその後も著作をめぐる盗作疑惑事件をいくつも引き起こすことになる.もちろん,そのような盗作の嫌疑をひとたびかけられたために消えていった作家もたくさんいるとのこと.

著者いわく:「文芸における盗作事件のデータをここまで揃えた書物は過去に例がなく,類書が絶無に近いことだけは自信をもって断言できる」(p. 11).確かに,本書のように明治以降の「盗作事件」をエンサイクロペディックにまとめてくれたのはとてもありがたい.

—— なお,版元ページでは仮目次情報をスキャンしたpdfでしか提供していないので(著者ブログにもコメント付き簡略目次しかない),自分のために章タイトルから小見出しにいたるまでのすべての目次入力を終えた.

◆今日から三連休に入ったが,残りの日はこれまで引き伸ばされていたいくつかの懸案事項の進捗をはかることにしよう.

◆本日の総歩数=4751歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=0.0kg/−0.3%.


18 juli 2008(金) ※ 太鼓と落雷,あるいは快楽と天罰

◆午前4時半起床.晴れところどころ曇り.朝から蒸し暑く,気温は24.8度もある.

◆午前のこまごま —— お盆の上洛予定:8月14日(木)〜15日(金)は京大で集中講義だ.前日から〈コープイン京都〉に投宿することで予約完了./首都大学東京での生物統計学講義の日程確認.予定通り,9月19日(金)〜9月20日(土)と9月26日(金)〜9月27日(土)の2回に分けて行なう./『遺伝』のダーウィン記事のゲラがもうできたとの連絡あり,pdfで送ってもらえればラクなのだが,郵送されてくるという.ということは来週火曜以降になってしまう./名刺のレイアウトの改訂をしてみる.

◆午前10時前,曇りときどき晴れ.気温28.2度.めちゃめちゃ蒸し暑い.こういうもわっとした天気はもっとも苦手とする.

◆昼前のこまごま(進化学会関連) —— 公開講演会の要旨を大会実行委員会にメールで送った:

日本の進化学史:極東の岸辺にダーウィンの波紋は広がった

三中信宏(農環研/東大・院・農生)

[要旨]来年2009年に生誕200年を迎えるチャールズ・ダーウィンの進化思想と その系譜は,現代にいまなおそのインパクトを及ぼしている.最近の ゲノム情報に基づく新しい進化学的知見が生物多様性の進化的理解を 大きく推進させていくようすは,単に科学者コミュニティだけではな く,一般社会にも強くアピールする.生物進化という歴史の理解は, 系統類縁関係によって結びつけられた生物多様性のパターンを縦糸と し,自然淘汰などの進化プロセスの説明仮説を横糸とするタペストリ ーとみなすことができる.進化研究を通じて一般的な意味での歴史が 経験科学の対象であることを証明したことがダーウィンの最大の功績 だった.その一方で,『種の起源』(1859年出版)以降の一世紀半の 間に,進化学は国境を越え,研究分野をまたいで浸透してきた.イギ リスから見て地球の裏側の極東に位置するわが日本にも“ダーウィン 進化論”の波は幾度も到達してきた.東アジアに固有の本草学思想が 根付いていたこの地域に,ダーウィンの進化思想はどのように上陸し たのだろうか.自然物の体系化とその説明に関する東西思想のちがい に焦点を当てて,この問題をいまいちど考察してみたい.(497字)

ついでに,駒場大会(8月22日(金)〜24日(日))の期間中の宿の確保.今年の評議員会は大会期間中の22日にあるので,前日から乗り込む必要はない.つくばからだと駒場はもちろん日帰りで通うのがスジではあるのだが,日によっては朝から夜までびっしり詰まっていることもある.なので,23日(土)夜は,渋谷からほど近い農水省共済〈南青山会館〉に泊まることにした.共済組合員資格だと一泊4,900円なり.チェックインは午前1時までだいじょうぶ.

◆昼の太鼓叩き —— 蒸し暑い曇天の昼休み,農環研の屋上の一角で,来たる8月7日(木)の農環研夏祭りに向けた太鼓部隊の初練習があった.農環研の中で自他ともに許す“もっともハズれた方々”が三人も揃い踏みする機会はそうない.どんどこ叩いているうちに,突然の雷雨が.天罰ですか? しかし,神をも畏れぬ太鼓部隊はきっちり1時間の「つちのうえ」の練習を終えて,それぞれ社会復帰していったのだった.次回はヴォーカル隊も加わるだろう.

—— ワタクシはコンガを叩き過ぎて,親指が内出血だ.いたた.

◆午後のこまごま —— 9月14日(日)に藤沢近くで開催される植物病理学会関東部会「若手の会」は一泊できることになったとの連絡あり./来年度の農大・統計学講義はひょっとしたらコンピュータ実習室が使えるかもしれないとの連絡あり./進化学会ニュース最新号(Vol.9, no.1)が届いた.ぼくの書評記事(pp. 8-9)は,David Sloan Wilson『Evolution for Everyone: How Darwin's Theory Can Change the Way We Think About Our Lives』(2007年3月27日刊行,Delacorte Press,x+390 pp.,ISBN:978-0-385-34021-2 [hbk] / ISBN:978-0-385-34092-2 [pbk] → 書評目次著者サイト)の書評文です.

◆夕方のこまごま —— 〈DGC基礎研究所〉の会計監査を行なう.収支決算と伝票などのチェック.報告書に押印して返送する./待たせてしまった Olia さんたちとの共著論文の改訂作業.系統樹を描かせたり,ラベルを付け替えたり.しかし,時間切れになってしまったので持ち帰る.

◆午後4時には雨も上がり,晴れ間が見えるようになった.これが曲者.湿度に温度が加担して不快指数は極大化してきた.午後5時に帰宅.気温26.7度の割りには気持ち悪い蒸し暑さのまま.

◆明日からは三連休だが,はたして休めるのでしょうか?(誰に訊いてるねん……)

◆本日の総歩数=8673歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=+0.1kg/−0.5%.


17 juli 2008(木) ※ 蒸し暑いさなかの農大かもし補講

◆午前4時半起床.曇り.蒸し暑く,気温23.6度.のち晴れてさらにさらに不快な蒸し暑さが続く.

◆農大かもし支度 —— 今日は補講がある.やっと最終回で,あとは定期試験を残すのみだ.来週早々には学生による授業評価アンケートの集計も出るだろう.中間集計はときどき眺めていたが,予想とはそれほど外れていない気配.

◆11:41発の TX 快速で経堂に向かう.晴れときどき曇り.今年いちばんの不快指数の高さだ.農大通りをずるずると疲労をひきずって歩く.講師控室にて定期試験の要領を確認する:7月28日(月):「実験データー解析概論」定期試験,15:00〜15:45(第7限),314教室.確認完了.その後の成績報告についてもこまごまと指示があるようだが,キャパを越えてしまったので放置する.

◆14:40〜16:10,農大かもし(14回目).最終回は補講日になった.今日は幾何学的形態測定学についての講義をする.変換幾何学によるサイズとシェイプの定義が本命だったが,数式はミニマムにしてtps系フリーソフトを多用しての“実演”に時間をかけた.いかがだったでしょうか? 最後に定期試験についてちょろっと説明する.当日は頑張ってくだせえ.

◆経堂までの帰路も重い疲労感があとを引いている.この週末は〈経堂祭り〉が開催されるそうだが,暑いだろうねえ(だからこその夏祭りだが).午後6時半につくば着.シードルを買って帰る.

◆車中読書 —— Elliott Sober『Evidence and Evolution: The Logic Behind the Science』(2008年4月21日刊行,Cambridge University Press,Cambridge,xx + 392 pp.,ISBN:978-0-521-87188-4 [hbk] / ISBN:978-0-521-69274-8 [pbk] → 目次著者サイト正誤表[pdf])をぼちぼちと.進化生物学におけるベイズ主義と尤度主義との「対決」本ということですね,蕎麦教授.

For the past seventy years, there has been a dispute in the foundation of statistics between Bayesians and frequentists. They disagree about many issues, but perhaps thier most basic disagreement concerns whether science is in a position to judge which theories are probably true. Bayesians think that the answer is yes while frequentists emphatically disagree. (p. 2)

単に統計学にとどまらない科学哲学上の対立にも連なるこの論争に関しては,“ユーザー”たる科学者たちもまた「永世中立」を保ち続けることはできないと著者は言う.

◆いずれにせよ,今日はもうジ・エンドですわぁ…….

◆本日の総歩数=12649歩[うち「しっかり歩数」=4060歩/36分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.8kg/+0.5%.


16 juli 2008(水) ※ 不快指数が単調増加し水饅頭をば

◆午前5時20分起床.曇り.東寄りの風が涼しいが湿度はもう高い.

◆早朝のこまごま —— まずは『遺伝』原稿のケリをつけないと.文献リストをつくり始める./進化学会大会に関する質問.その点は大丈夫ですので,事務局にご確認を./ジュディス・E・ウィンストン[馬渡峻輔・柁原宏訳]『種を記載する:生物学者のための実際的な分類手順』(2008年7月刊行,新井書院,東京,653 pp.,本体価格7,800円,ISBN:978-4-903981-00-0 → 版元ページ)の支払いに関する版元からの連絡メール.銀行振込だけではなく,郵便振替口座も新設してくれるらしい.ありがとうございます.※それにしてもこの出版社名は初めて目にするなあ.

◆『遺伝』原稿の苦行からやっと解放! —— 午前9時過ぎに,本文原稿と文献リストのテキストファイルを編集部宛にメール送信してやっとこの苦界から抜け出ることができましたっ(拍手拍手).タイトル:三中信宏「ダーウィンの遺した知的遺産を現代に継承する」.分量は400字詰にして約20枚です.掲載は,この8月下旬に発行される『生物の科学 遺伝』の2008年9月号(62巻5号)です./折り返し編集部から返事があって,数日のうちにゲラが出るとのこと.

◆本郷にてヒミツ会議 —— 日がのぼるとともに極度に蒸し暑くなってきた.9:41発の TX 快速で東京に出る.〈ルオー〉着は10時半.11時に音羽から密使が到着する.刷り上がったばかりの『』8月号を受け取る:三中信宏「生物の樹・科学の樹[連載最終回]“種”よ,安らかに眠りたまえ」(pp. 52-59).全14回におよぶワタクシの連載もこれでおしまいだ.あとは新書化ワルダクミ一直線.ひそひそと密議をする.

まずは連載全体を内容的に束ねる「序論」を書きましょう,ということになった(8月上旬).できれば,鳥瞰的マップを描きたいのだが,自分自身,連載各回に何を書いたかを把握しきれていないことにややガクゼンとする.その後,各章の内容を再検討して,加筆や削除をしないといけない.うむむ.

◆正午過ぎの本郷通りはとてもとても蒸し暑い.こら,たまりまへん.〈ヴァリエテ本六〉に久しぶりに立ち寄った後に,東大農学部へ.隠れ部屋で溜まっていた日録を書く.午後1時から専攻教員会議.議題はたくさんあったが午後3時にはお開き.まだまだ暑かったが,向丘の和菓子〈一炉庵〉にて,この時期だけの「水饅頭」と「水羊羹」を買い求めた.食欲そそるなあ.そのまま千駄木からつくばへと直帰.どこぞに寄り道する気力と体力がぜーんぜんありまへん.

◆暑おすえ,京都…… —— ということで,お盆の真っ只中に京大理学部を襲撃することになりました.確定した日程は:8月14日(木)〜15日(金).こう書いているだけで,もうすでに発汗しそうなんですけど…….でもって,このうだりまくる中で,「全変形のアフィン成分は〜」とか「ランダム三角形の球面確率密度は〜」という講義でしょーか.※絶命しまっせ…….あ,“夜の迎撃体勢”をよろしくお願いいたします.

◆夜のこまごま —— ちょい深刻な事務的メールをば.無い袖は振れへんしねえ……./夜が更けてもいっこうに気温が下がらない.また熱帯夜かも./そして,明日は農大かもし高座の補講だ.さらに不快な暑さになるとの予報だが.

◆本日の総歩数=9128歩[うち「しっかり歩数」=3573歩/33分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.前回比=+0.9kg/−0.3%.


15 juli 2008(火) ※ 牧場の朝,職場の昼,原稿の夜…

◆午前5時半に早々と起床.昨夜から未明にかけての大炸裂で,周辺の部屋は当然のごとく“死に絶えて”いるよーだ.朝から晴れ上がってまたもや暑い.昨日は夕方以降は広範囲に雷雨になるという予報だったが,日頃の善行?が効いたのか,遠雷を耳にするだけですんだ.慢性的な疲労がまとわり憑いているようだ.

◆人気のない早朝の牧場内を車で走り回る.牧場内で牛馬は基本的に放牧されているらしく,好き放題に草を食んでいるが,個体数が極端に少ないのは,研究用に最低限の家畜が飼育されているということだろう.競走馬の区画などは一頭しかいない場所もあちこちにあった.山羊の畜舎だけは頭数が多く,子山羊が餌場に群れている.

◆午前7時半から朝食.シンプルに正しい朝ご飯を摂取する.午前8時半に御一行様はバスに乗り込み,今日の目的地である水戸方面から御前山にかけての水利事務所とダム工事現場の見学に向かっていった.この暑い日にたいへんなコースだ.

岩間インターから常磐道に入り,圏央道の牛久インターで降りて農環研に向かう.午前9時半に到着.さて,やっと原稿書きに復帰できるはずだが,何だかさらなる疲労が色濃く漂ってですねー.

◆午前のこまごま —— 進化学会大会の公開講演会の要旨は今週金曜日(18日)締切りとの連絡./動衛研の疫学セミナーの講義日は9月9日(火)の朝イチ9:00〜10:30に確定した./7月23日(水)午後は年休をとる.

◆昨日は死ぬほど蒸し暑かったが,今日は北東風が入って正午も28.5度で,真夏日にはならなかった.昼休みに農環研夏祭りのタイコ興行に関するアヤシイ面々との打合せ.とりあえず金曜の昼休みに屋上にて練習をすることになった.

◆午後4時過ぎに早々と帰宅,北寄りの風が涼しくて心地よい.原稿をさらにがしがしと書き続けて,日が変わった午前零時半にやっと本文を完了.文献リスト作成は明朝まわしにしよう.

◆本日の総歩数=8273歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝△|昼○|夜○.前回比=未計測/未計測.


14 juli 2008(月) ※ 笠間の牧場でゆるくほどけていく

◆午前4時起床.曇り.気温23.2度.早朝から蒸し暑い.ぐんぐん気温は上昇し,9時半には早くも30.3度.不快指数高すぎ.

◆午前のこまごま —— 今日は東大の学部3年生が専修見学旅行のために農環研を含む農林団地のいくつかの研究所を訪問する.連携大学院の紹介をかねた施設見学を予定しているのでその支度をしないといけない.原稿はちょっとこっちへおいといて,と(……).まずは5階中会議室で農環研のプロモーションDVDの上映準備をば.去年に制作したDVDとのことだが,ドラマ仕立ての部分もあり,手間ひま&御金がかかっていることは明白.20分あまりの長さがある.したくにちょい手間取ったが,情報資料課の応援でなんとかクリア.次は,農環研紹介パンフレットの用意.さらに,圃場実験施設の見学コースについて,他の連携教員との連絡などなど.

—— けっきょく昼前までかかって受けいれ準備は終わった.

◆昼休み中の12時半に御一行様が大型バスで到着.外はもちろん真夏日で湿度も高い.とりあえず空調の効いた5階の中会議室に案内して,農環研の紹介DVDを20分ほど上映する.ぼくも初めて通して見たのだが,なーんだかとっても元手のかかってそーな構成だった.その後,連携講座に関係する圃場の実験施設の見学に向かう.暑い暑い,めっちゃ暑い.まずは温室効果ガスの実験施設を見る.ついで大気観測別棟の見学.予定よりも数分間ずれこんだが,午後1時半過ぎに御一行様を次なる中央農研センター送り出して,“公務”はやっと完了した.ほっと一息つく.

◆午後のこまごま —— 農大から形態形質からの系統推定と形質コーディングに関する質問メールあり.いくつかの関連文献を紹介した.頑張って勉強してください./お隣さんの動物衛生研究所から,昨年同様の動物疫学講習会を9月上旬に開催するので,系統推定論の講義を担当してほしいとの依頼あり.日程が横浜国大の統計道場とかぶっているので,調整ヨロシクとの返事を出す./その後,少しだけ改心して,原稿に取り組んでみる.

◆牧場に向かう —— 午後3時半に農環研を出発.桜土浦インターから常磐道へ.半時間ほど走って岩間インターで降りる.午後4時半前.数分さらに走って茨城県総合農業センターに隣接する東京大学農学部附属牧場が目的地だ.まだ日は高く夕方だというのに高温多湿が続いている.御一行様のバスは到着が少し遅れるとの連絡が入った.牧場内を散策.乳牛と競走馬そして山羊がたくさんいる.農学部附属の施設だが,ここに来るのは初めてだ.

◆午後5時半に一行を乗せた大型バスが牧場に入ってきた.お疲れさまでした,といいたいところだが,すぐに食料・飲料の買い出しに向かわないといけない.今回はぼくの車が運搬車として活躍することが期待されている.買いだし部隊とともにJR岩瀬駅前の〈カスミ〉に向かい,こんなに喰うんですか,こんなに呑むんですか?と言うほど大量に買い込む.牧場に直帰すると,すでに火起こし部隊が構内宿舎の前に設けられている野外炊飯場で着々と準備を進めてくれていた.

◆午後7時にやっと夕食の始まり.夕暮れ時のヒグラシの合唱とともにまずはビールですか.お,〈醸し人九平次〉がいいフレーバーですこと.〈王祿〉の「渓(にごり酒)」は微炭酸が心地よくしゅわしゅわとして誰もが感動.そうこうするうちに,夕闇が降りてきて,ライトアップ.すかさず潜んでいた特攻ハアリ集団が料理と酒めがけてイノチ知らずな波状攻撃を仕掛けてくる.アリを払いつつ,しっかり飲み食いするというのは熟練ワザが必要だ.さらに場のカオス度が高まっていき,闖入ドラエモンが舞い踊り,芝生で七転八倒する一群も.焼肉も焼きそばも炭化した甘薯に馬鈴薯もことごとく喰い尽くされた.

—— けっきょく,一次会は午後10時近くまで続いた.しかし,こんなに夜が更けたのに気温がいっこうに下がらないのはどういうことだろう.熱帯夜?

◆さて,学生宿舎の一室でさらに二次会があった.渇きモノをつまみにビールに焼酎.そうそう,〈王祿〉の「渓(夏の渓流)」も開けてしまおう.時間感覚がほぼ喪われていたが,ふと時計を見たらもう午前1時だ.いつもならすでに死んでいる時間帯だ.申し訳ないが中座させていただきます.※あとで聞いたところでは,午前2時には二次会はお開きになり,さらに高揚した一群は食堂のテレビにはりついてゲーマーと成り果てたそーだ.

◆何だかゆるぅくほどけてしまった気がする.

◆本日の総歩数=21658歩[うち「しっかり歩数」=936歩/11分].全コース×|×.朝○|昼−|夜×.前回比=−0.2kg/+0.5%.


13 juli 2008(日) ※ 今日も真夏日でカンヅメ原稿書き

◆午前4時にいったん起床したものの二度寝に耽る.午前7時前まで怠惰なる睡眠.晴れ.東寄りの風だが気温はすでに高い.予想通り,ぎんぎらの朝日とともに気温は急上昇.真夏日となる.

◆昨夜は秋葉原でぱーっとなってしまったのだが,当たり前のことながら原稿がぜんぜん進捗していないという現実はいかんともしがたい.しかたなく朝からキーボードの前に座るも…….

◆備忘メモこまごま —— 〈ARGカフェ〉のような異業種交流会では名刺が飛ぶように消費される.けっきょく名刺の在庫がすべて尽きてしまった.いい機会だから新しいのを新たに発注しよう.肩書きも増えたし./〈ダーウィン生誕200年記念・進化学プレシンポジウム2008〉.日時:2008年9月20日(土)13:00〜17:00;場所:東京大学農学部1号館8番講義室.おお,「8番教室」とはなつかしい! ん,時前申込みっすか?

◆今日も真夏日で外出がつらいな.しかし,ちょこちょこと買い物をば.くそ暑い…….

◆〈R〉近刊2冊 —— Annette J. Dobson著[田中豊・森川敏彦・山中竹春・富田誠訳]『一般化線形モデル入門(原著第2版)』(2008年近刊,共立出版,ISBN:978-4-320-01867-9 → 版元ページ)/古谷知之『ベイズ統計データ分析:R & WinBUGS』(2008年9月20日刊行予定,朝倉書店[統計ライブラリー],ISBN:978-4-254-12698-3 → 版元ページ

◆夕方も夜もキーボードとにらめっこ.日が変わる前に何とかなりそうな気配[だけ]は漂ってきた…….なんという牛歩ぶりか.

◆本日の総歩数=7467歩[うち「しっかり歩数」=1473歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+0.3kg/−0.5%.


12 juli 2008(土) ※ 猛暑日の昼下りにARGカフェで高座

◆午前5時起床.晴れて南風.気温23.1度.

◆早朝のこまごま —— 日経サイエンス編集部から返信あり.「種って何さ?」記事は校了.予定通り7月25日発売の9月号に掲載される./6リットルもの生乳をもらったので,朝から自家製低温殺菌牛乳をつくる.何回も加熱するので小一時間ほどかかってしまった.冷蔵庫内は小分けされた牛乳だらけ./参考のために〈EVOLVE〉の過去ログをテキストファイルとして一挙にダウンロードしたら,実に「80MB」にもなってしまった.本にしたらいったい何冊分か.

◆当日のドロナワ —— 今日午後の〈第1回ARGカフェ〉のハンドアウトがまだできていない.がしがしと文章を詰め込んで,午前11時にやっとA4版両面一枚のハンドアウトができた.速攻で研究所に潜入し,参加人数分のコピーをつくって,きわどくも滑り込みセーフ.

◆猛暑日到来 —— それにしても今日はかんかん照りで暑いなあ.ふと研究所ロビーの温度計を見上げたら,正午過ぎにの気温が実に「36.0度」を指している.今年初めての「猛暑日」じゃないか.こんな日の昼下りに東京に出かけるというのは拷問だ.

◆〈ARGカフェ〉に出撃 —— 13:41発の TX 快速に乗りこむ.外はもう梅雨明けかと思わせるようなじりじりした暑さだ.午後2時半に秋葉原の地上に出る.体感的には猛暑日ではなく,真夏日クラスの拷問度か(実際そうだった).ヨドバシカメラに面したバスロータリーの一角の地下に,会場であるTHE SPACE OF AKIBA3021があった.今日のカフェの“店長”である岡本真さんとは初対面なので挨拶などしたり.今日の〈ARGカフェ〉参加者名簿を見ると,図書館情報業界の方々が多いようだ.かの“図書館退屈男”さんからは農水省自慢?の麦茶などの差し入れがあったという.

◆午後3時の定刻にカフェ開店.岡本さんの基調トークのあとは,各自の持ち時間5分というライトニングトークが次々に進む.時間が短いので,ひとりが伝達できるメッセージはせいぜいひとつだろうと割り切っていたが,業界もバックグラウンドもぜんぜんちがう演者たちのショートトークを聴くのはダレることもなく,意外にいいものだと感心した.すばらしいのは各演者の puctuality の良さで,トークが終わると狙いすましたように定刻アラームが鳴るという名人技のような事例はひとつやふたつではなかった(ワタクシは3秒も余ってしまった未熟者だ).こういう機会を日常的にもてれば,講演スピーチのわざがきっと磨かれるにちがいない.

で,ワタクシの噺は下記のようなものでした(ハンドアウトの内容) ——

学術系メーリングリストのライフステージ:〈EVOLVE〉15年の軌跡から

〈EVOLVE〉メーリングリストとは

1994年9月1日に三中信宏が開設宣言した進化生物学のためのメーリングリスト.進化生物学に関係する議論や情報交換そして公募・広報を念頭に置いている.実名による加入と投稿のみ許可.2008年6月27日時点での登録会員数は「2,060名」.大学や研究機関の職業的研究者,大学院生,学部学生が会員の中核である.

開設動機と運営方針

開設動機はきわめて利己的で,リストオーナーが自分の仕事にとってまず役立つメーリングリストをつくったという点に尽きる.その後の約15年間に及ぶ運営も三中ひとりが担当している.個人運営であることの利点は小回りが効くことである.たとえば,投稿内容や運営上のトラブルが発生したときに,遅滞なく即座にスクランブル発進して標的を迎撃できる.メーリングリスト運営に関わるすべての判断基準はリストオーナーの信念(私の場合は利己主義)であり,この点でリストオーナーは「神」に近い性格をもつといえる.しかし,同時に,メーリングリストというシステム構築を積極的にサポートしてくれた農林水産省研究情報センターのスタッフの尽力があればこそ〈EVOLVE〉は実現した.

学術系メーリングリストのライフステージ

〈EVOLVE〉は,もともとが研究者や学生を主体とするメーリングリストなので,学問上の関心のあり方や共通理解には重なりが大きい.だからといって,開設したまま放置したのではメーリングリストとしての活性は維持できない.経験的に,メーリングリストは開設した直後の“離陸上昇時”にどこまで初期活性を高められるかが,その後の“水平飛行時”に入ったときの定常的投稿の頻度と内容と決めているように思われる.

〈EVOLVE〉の場合は私にとっては初めてのメーリングリスト開設だったので,開設宣言の1ヶ月以上前から,知人や同僚に連絡をとって加入勧誘と投稿依頼にかなり時間をかけた.さいわい〈EVOLVE〉の場合は“離陸”に成功したのでその後も活動が長続きしているが,私が開設に関わった他のケースでは飛び立ってすぐにトラブって“失速”してしまい,そのまま活動停止にいたったこともあった.

〈EVOLVE〉の投稿総数は計13,500件を越えている.世の中にはもっとトラフィックの頻繁なメーリングリストもあるにちがいないかもしれない.しかし,日本での自然科学の学術系メーリングリストを相互比較してみればかなり活発な活性を維持し続けてきたと言えるだろう.

開設初期の頃はリストオーナーと面識のある会員が中心になっと投稿をしてきたので,議論がヒートアップしても,それは学会などのリアルな場のヴァーチャルな再現プレイのような趣きがあった.だから,メーリングリストでの“仮想会話”はそのままリアルな場での“対面会話”の代替のようなものと考えられた.実際,〈EVOLVE〉で活発に論議された内容がそのまま学会やシンポジウムなどでのテーマになったことも少なくない.

しかし,メーリングリストの継時的な変化は無視できない.〈EVOLVE〉開設初期の機関銃乱射のような投稿の応酬の時代は長続きしなかった.過去の投稿数の経緯をたどってみると,前世紀のうちは(1994〜2000年)日に数十通もの投稿があることもめずらしくはなかったが,今世紀に入ってからは漸減しつつあり,現在では月に100投稿に達することも今ではあまりない.

その理由を考えてみるに,ひとつにはリストオーナーを中核とする初期会員の多くが対外的に多忙な役職と年代に達するようになり,メーリングリストでのやりとりに時間を割いている余裕がなくなってきたということが挙げられるだろう.さらには,研究者それぞれが個人のウェブサイトやブログを通じて情報を発信し,そのコメント欄などを利用して局所的にやりとりしている機会が増えてきたという理由も考えられる.

いずれにせよ,最近届く〈EVOLVE〉への入会申請には,「研究室の指導教員や先輩から勧められました」とか,場合によっては「父親から入会してはと言われました」というケースもある.いずれもリストオーナーである私とはまったく面識のない若い方々だ.

進化生物学というつながりの中で,ひとつのメーリングリストを十数年にわたって維持していくうちに,いつの間にか世代の隔たりを越え,未知の人びととつながっていくようになった.〈EVOLVE〉は1本の樹のように成長している.若木の頃のようなめざましい成長量(投稿数)はもう期待できないかもしれないが,15年にわたって蓄積された現存量(過去ログ)は知的財産といえるだろう.

メーリングリストの科学社会学に向けて

〈EVOLVE〉メーリングリストという装置を積極的に利用して,進化生物学の動向を探るという使い方をしたことがある.三中信宏・鈴木邦雄(2002)「生物体系学におけるポパー哲学の比較受容」, 所収:日本ポパー哲学研究会(編),『批判的合理主義・第2巻:応用的諸問題』, pp.71-124(未來社,東京)という論文では,日本における生物系統学(生物どうしの進化的類縁関係を推論する研究分野)の歴史的受容の経緯を〈EVOLVE〉への質問投稿というかたちで実施し,かなりの情報を得ることができた.

また,〈EVOLVE〉よりも長い歴史をもつ〈TaxaCom〉というアメリカの生物分類学メーリングリストについては,もっとまとまったかたちでの科学社会学的研究が出版されている:Christine Hine(2008), Systematics as Cyberscience: Computers, Change, and Continuity in Science. (The MIT Press[Series: Inside Technology],Massachusetts).

このような先行研究をふまえれば,インターネット上での科学的論議が個々の科学者の研究活動に対して,あるいは研究上の動機づけに対してどのような関わりをもつかとか,さらには特定の科学分野での人的資源や研究資金の流れとの関連性など,興味深い探究の契機となるのではないだろうか.

あとの質疑の時間では,メーリングリストの運営に関する質問やコメントをいくつか受けた.メーリングリストの会員数の増大とともに「スケール効果」が顕著に現われ,ML全体で議論できるテーマはどんどん少なくなるだろうという持論をもっているが,確かにその通りだという発言があった.小さいMLと大きなMLでは,会員数という“量的なちがい”だけではなく,徐々に姿を現わす“質的なちがい”をも無視することはできないだろう.メーリングリストの運営者は経験的にそういうことを知っているものである.

—— 午後5時定刻にカフェは閉店した.最初の試みは成功したといえるだろう.店長の話では3ヶ月に一度はこういう催しをしたいとの意向だった.

◆午後6時から,場所を移して,すぐ近くの〈HUB秋葉原店〉にて懇親会となった.カフェ来店者のかなりの割合が懇親会に流れてきたようだった.店内はこれまた人口密度が高く,初めての方々と話をしているうちに手持ちの名刺がすべてなくなってしまった.事前にぼくのウェブサイトやブログをごらんになっていたり,あるいは拙著を読んできたという人もおられた.もともと業界がちがっているので,初対面の相手が大半だったが,どうもありがとうございました.

ひろいもの情報クリップ —— しばらくブランクが空いていた大屋幸世『蒐書日誌 五』(2008年9月刊行予定,皓星社,ISBN:不明 → 参照)の近刊情報は,懇親会で同席したほかならない版元代表氏から教えていただいた.丸善から来られた方からは後日あらためて取材をとのこと.図書の分類といえば「緑川センセイ」(筑波大の図情の院生氏)−なるほど.バイオインフォマティクスがこれからどーなるのかという話題もとある一角で開花していた.なーんだか,自分のブログをもっていたりSNSな人が多いようだった.

—— 午後8時半に解散.二次会へとさらに転戦していった人も多かったようだ.しかし,諸般の事情でがんじがらめになっている「よい子」はここですごすごと帰るしかない…….

◆つくばに帰り着いたのは午後10時前.あまりにもヘルシーすぎるぜっ!

◆本日の総歩数=11800歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=−0.8kg/−0.7%.


11 juli 2008(金) ※ 聖なるルカの御許で懺悔してみる

◆午前4時半起床.晴れ.北寄りの風が涼しい.気温20.2度.しかし,朝日とともに気温も湿度もぐんぐん上がって不快になる.不快だ,不快だ.

◆早朝の【種】をめぐるこまごま —— 日経サイエンス編集部から「種って何さ?」の再校ゲラがpdfで届いた.ざっと見てとくに問題がなければこのまま返すことになる./昨日,情報資料課から受けた貸出依頼:Judith E. Winston『Describing Species: Practical Taxonomic Procedure for Biologists』(1999年10月刊行,Columbia University Press,ISBN:0-231-06824-7 [hbk] → 版元ページ).この手の本は“ブンルイガク”な研究室には常備されているだろうと思いきや,意外にそーでもないのかな.わざわざワタクシの部屋まで依頼がくるところを見ると./いずれにせよ,この【種】本はやっと翻訳が出版され,メーリングリストでアナウンスされたので,さっそく割引価格での発注をした:ジュディス・E・ウィンストン[馬渡峻輔・柁原宏訳]『種を記載する:生物学者のための実際的な分類手順』(2008年7月刊行,新井書院,東京,653 pp.,本体価格7,800円,ISBN:978-4-903981-00-0 → 版元ページ).

◆午前10時過ぎに一行が集結した.TXで神田に出て打合せ,駅前の〈東園〉にてランチ.その後,築地の〈聖路加ガーデン〉にタクシーで乗りつける.日射しが暑くてこりゃもう難行苦行だ.午後2時から上層階の某社にて系統樹の売り込みに関する打合せ.1時間あまり話をする.“波動が”というヤバめな発言があったり…….まあ,この件はよかったということで.それにしても遠過ぎる.そして蒸し暑過ぎる.車中,「種って何さ?」再校ゲラのチェック完了.とくに問題なし.ページは「pp. 60-69」か.

◆こうやって現実逃避をしてはいるが,原稿がはかどったわけでは決してない.それよりも,明日の〈第1回ARGカフェ〉のハンドアウトを用意するという作業がまだ手つかずだ.これはまずいぞ.しかし,疲れたぞ.

◆本日の総歩数=13639歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.1kg/−0.2%.


10 juli 2008(木) ※ 書けないときはまったく書けない

◆午前4時半起床.曇り.北寄りの風が涼しい.気温20.4度.その後,日射しで暑くなってきたが,湿度は高くない.今年は比較的湿りけ的にしのぎやすい日が多い.

◆蒸し暑さはないが,『遺伝』のダーウィン特集原稿はみごとに失速中.なかなか書けず,進まず,捗らず…….

◆午前11時.雲が多い.気温26.8度.暑いかといえばその通りだ.昼下りも晴れたり曇ったり.

◆悪の誘い —— 農環研・夏祭りでタイコをどんどこ叩きましょうという“お祭り男”からのワルイ誘いあり.よーするに,農環研の中でももっともヘンな人びとが集結する企画ですね? 演奏曲は〈つちのうえ〉.mp3を聴いて,かなりハゲシク脱力しました…….原稿書けんでも“つちのうえ”〜♪/締切り過ぎても“つちのうえ”〜♪/何やかんやで“つちのうえ”〜♪

◆午後のこまごま —— 農大の講義評価がしだいに集積されつつある.まだ受講生全体の2割ほど(20名弱)で,締切までにはまだ時間がある.中間集計を見た感じでは,講義のプレゼンには大きな問題はないとしても,受講生側の“染み込み具合”に問題がありそう./明日の午後の予定に関しての連絡あり.

◆その後も原稿進捗ははかばかしくないまま,日が暮れてゆく.涼しい北東風に吹かれつつ,一両日中のどこかで決着をつけないといけないぞ,と“つちのうえ”で決意をかためる.

◆明日も明後日もプチお出かけが続く.

◆本日の総歩数=8571歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.前回比=+0.1kg/+0.5%.


9 juli 2008(水) ※ ヒッソリ案内してコッソリ会合

◆午前4時半起床.曇りときどき晴れ.気温21.0度.朝方は北寄りの風が涼しかったが,しだいに湿度が高くなってきた.

◆朝の肩凝り —— いちおうそれなりの風体で出勤.時間があったので,進化学会新入会員数十名の Qshinka 登録をすませる.外勤の立替払い伺いを出せとの事務連絡があったが,めんどうなのでそのまま放置.プリンターの廃トナーボックスが満杯との警告が出てしまった.至急に発注しないとダメなのだが,会計システムを立ち上げるのがじゃまくさいので,これまた放置.今週土曜の第1回ARGカフェのハンドアウトもつくりたいのだが,別件をすませてからでないとどうしようもないので,やっぱし放置.そこかしこで放置プレイの連続だ.

—— そうこうするうちに,すでに入館完了とのことで,予定よりも早めに昆虫標本館から電話連絡があって,即参上.1時間ほど館内の昆虫コレクションなどの見学に同行した.しばらくここには来ていなかったのだが,蛾の個人コレクションがどんどん増えていることを知ったのは収穫だった.梅谷献二コレクションの“むしむしグッズ”はおもしろアヤシい.いくつものロッカーを占拠している「三橋ノート」はあまりにも膨大だ.Systematic Zoology 誌のバックナンバーがまだ残っていたか.

◆正午過ぎにいったん解放される.しばし,トドどもののたうちを傍観する.何とかしないといけないな…….

◆夜の肩凝り —— 早めにいったん帰宅.その後,午後5時過ぎに土浦・亀城公園近くの〈霞月楼〉に到着.半時間ほど遅れで他のメンバーがやってきた.最初に女将さんから明治20年代から続くこの老舗料亭の沿革についてレクチャーを受け,小川芋銭の鯰と川獺の掛け軸など店に残る品々を鑑賞する.その後,2階の大広間を一回り.土浦は第二次世界大戦の空襲で焼けなかったので,こういう古い建物がそのまま残ったのだという.

次々に出される料理はたいへんおいしゅうございました:梅酒古酒[座付]|新蓮根と白だつ&干し子[先附]|相並&薄揚げ[煮物]|鰈あらいと蛤[造り]|鱸雲丹焼き[焼肴]|鱧子塩辛&新子わかさぎなど[八寸]|無花果ワイン煮[箸休め]|伊勢海老信楽煮[鉢肴]|雑炊[食事]|白桃[水菓子],以上.日本酒は地元の〈霧筑波〉と〈府中誉〉の大吟醸.けっきょく持参の〈メコン〉は呑まなかったな.すみませんでした.

—— ときおり「分類」とか【種】のはなしをしているうちに,午後9時のお開きとなった.遠距離お疲れさまでした.タクシーでそれぞれ帰宅の途につき,午後10時過ぎに健全に帰宅する.

◆ひっそり&こっそり(所内的にはそーでもなかったが)の一日が静かに終わり,肩凝りから解放された.明日からはまたトド撃ちが再開される.

◆深夜のこまごま —— お礼のメールをいただく.ありがとうございました.今後ともよろしく./東京農大・昆研からゼミ納めのコンパの連絡をもらう.7月11日(金)って明後日じゃん! 午後は東京にでる予定なので,参加できそうと返事をする.

—— ここのところ,よぉく呑みまくっている気がするが気のせいだろうか…….

◆本日の総歩数=14689歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.5kg/+1.0%.


8 juli 2008(火) ※ 背後から迫りくる“魔王”たち

◆午前5時半起床.曇って蒸し暑い.

◆“トド”たちの大逆襲(朝イチの部) —— 『遺伝』ダーウィン特集の原稿がちーともはかどってません…….編集部からはそろそろヤバめの督促メールや,研究室への電話,そして職場への電話.げー./イランの Olia さんからもツリーを描いてねメールがぴしぴしと./ISHPSSB Kobe ごめんごめんごめん.

◆備忘メモ —— 日本植物病理学会関東部会『第6回若手の会』(2008年9月14日(日)午後,日大・藤沢キャンパス)での講演「生物分類学の終わりの始まり:【種】の憑依と除霊について」.どー見ても,他の演者の方がはるかに“まとも”らしい噺になりそうではないですか?→「若手の会」サイト./組合役員ははずれたみたい./日本分類学会連合の次回のシンポジウムと総会について.日程は2009年1月10日(土),場所は国立科学博物館分館(百人町)にて.10:30〜12:00が総会.13:30〜17:30がシンポジウム〈分類学における分子(DNA)情報の利用法(仮題)〉.

◆“トド”たちの大逆襲(昼下がりの部) —— メーリングリストの雑用が白く堆積し始めた./進化学会関連の事務的な段取りについてメールする./NPO法人〈DGCbase〉の決算関連書類がどさっと届いた.年に一度の監査のお仕事.7月22日までに返送のこと.

◆備忘メモ —— 東京大学出版会『UP』の最新号(7月号)に,山内志朗『普遍論争:近代の源流としての』(2008年1月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー630],ISBN:978-4-582-76630-1 → 目次)の長い書評が載っている:高田康成「[書評]52 幻の影を慕いて」(pp.47-53).結びのことば:

幻の影を慕いて今日もまた,われわれは,山内志朗から目が離せない.(p. 53)

ほほー.

◆“トド”たちの大逆襲(夕暮れの部) —— 『遺伝』原稿の〆切は「明日の夕方」とは! げげっ.

◆だって,明日は朝から夜まで肩が凝る一日なので…….

◆本日の総歩数=6732歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.前回比=+1.8kg(!!)/−0.4%.


7 juli 2008(月) ※ 七夕の農大かもしでちょびっと

◆午前5時50分起床.寝坊.雨が降って蒸し暑い.

◆午前9時半.小雨.気温25.0度.朝のこまごま —— 日経サイエンス編集部に「種って何さ」記事の修正箇所をメール通知./本日の農大講義での休講・補講通知スライド.その他,もっていく機材一式を取りそろえる.

◆12:11発のTX快速で経堂へ.駅前に経堂祭りの提灯が壁をつくる農大通りを下る.曇って蒸し暑い.ときどき雨粒がぽつりぽつり.

◆講義前のこまごま —— 7月28日(月)に実施される定期試験のテスト問題を提出する.大問が二つなので,所定の台紙のオモテとウラに貼る.解答用紙も東京農大の所定のものを使うことになった.これで試験のしたくはおしまい.受講生はよーく頑張るように.

◆農大かもし(13回目) —— 今日は多変量データをいかに「見る」かという噺.多変量・高次元ワールドを疑似体験することを目指した.そして,高次元を低次元に要約する手法の代表例として主成分分析のデモを〈R commander〉で行なった.これまで,〈R commander〉の主成分分析の関数はほとんど使ったことがなかったが,主成分スコアを保存し,あらためて散布図&散布図行列を描いたり,三次元グラフ表示でくるくる回したりするのはとても便利だ.少なくとも,講義中のデモとして使うときには,〈R〉本体でのコマンド入力ではなく,〈R commander〉のメニュー形式の方がすぐれている.

—— 最後に,学生による授業評価のアナウンスをすまし,テストに関する解説をちょっとして講義終了.

◆ちょびっと乾杯のはずが…… —— その後,農大正門前の〈Royal Host〉にて,植物生産化学研究室のみなさん&三輪睿太郎さんとお茶.ちょびっと乾杯のはずが,ずるずると拉致?されて,農大通りの百味百菜〈百姓亭〉へと吸い込まれる(→参考).ホッピーから始まって,日本酒へとなだれこんでいったあたりから,不可逆的酔っぱらいへと大変身を遂げる.料理に力を入れているとてもいい店だった.

◆午後10時過ぎに経堂から各停に乗る.ユメかウツツかマボロシかでつくばに帰りついたのは午前零時過ぎ.※また午前様かよ…….

◆本日の総歩数=14289歩[うち「しっかり歩数」=3385歩/32分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=−0.3kg/+0.2%.


6 juli 2008(日) ※ 真夏日にニイニイゼミの初鳴き

◆午前6時起床.曇りのち晴れあがる.前夜は熱帯夜だったかも.早朝から極度に蒸し暑い.ニイニイゼミの初鳴きがセンター広場の街路樹から聞こえてきた.梅雨明けも間近だろう.

◆「反響」から「予響」へ —— 『系統樹思考の世界』を出したのは今からちょうど2年前のことだった.その後,この本がどういうふうに読まれているかを書き留める目的で,〈反響録〉というメモを残してきた.すでに85枚もメモ書きが溜まり,項目数でいえばおそらく300に達していると思われる.今年に入ってからは,響き方が少し変わってきて,いま『』に連載されている記事の新書化(『分類思考の世界(仮)』)を見越したコメントが目につくようになってきた.著者の立場からいえば,この2冊の本はまちがいなく“姉妹本”として位置づけられる.「光と影」・「陰と陽」・「陽子と反陽子」−まあ,いろいろなアナロジーが考えられるだろうが,共鳴し続けてくれることを期待しよう.

◆炎天下の〈つくいち〉は賑わう —— つくばは他の地域よりも“エコ”な人口が他よりもきっと多いにちがいない.今日,つくばの中央公園で催された第1回〈つくいち〉は,つくば市(とその近郊)の「自然派」な店が十店舗ほど集まった企画だ.昨日と同じく朝から真夏の太陽が照りつけ,湿気も多い空模様だった,早く行かないとヤバイとは思っていた.諸般の雑用で出だしが遅かったのが敗因で,午前9時のスタートから1時間ほど遅く会場に到着したら,人気のある品物からどんどん売り切れていた:「稲本豆腐店」の豆腐はすべて完売,「リッツン」のハンバーガーも売り切れ,「ブロートツァイト」のパンもどんどん売れていて,「nachu cafe」のランチボックス(ポークソテーのサンドイッチ)には長い行列が.「コーヒー・ファクトリー」のアイスコーヒーを飲みつつ,木陰に避難しつつ,ジャムなどいくつか買って帰った.暑い暑い.

つくばでこの手の企画があるときは要注意.たいていの場合,開始から1時間ほどで買い物勝負が決まることが多い.もともと“エコ”な比率が上回っているだけでなく,“ネット”な割合もきっと高いので,あっという間に客が押し寄せることになるからだ.

—— 9月以降,〈つくいち〉は毎月開催される予定だという.期待してます.

◆午後は〈Shingoster〉に注文してあったライティング・デスクを引取りに行く.雲が出てきて蒸し暑さがさらに増す.

◆夜,農大の定期試験の作問(と解答用紙)を完了.明日,教務課に提出する予定.

◆本日の総歩数=7937歩[うち「しっかり歩数」=2443歩/23分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.2kg/−0.6%.


5 juli 2008(土) ※ 食いしん坊,ベルトの穴が一つずれ

◆午前5時起床.曇りのち晴れ.朝から蒸し暑い.というか,前夜は熱帯夜のようだった,

◆朝からぼちぼち —— 農大の講義評価のアナウンスのスライド.そして定期試験問題の作題にとりかかる.外は紫外線たっぷりの陽光がさんさんと降り注ぎ,気温は急上昇している.もちろん真夏日の予想だ.

◆真昼の大食 —— いきなりの夏空にへばってきたので自宅引き籠り籠城戦を変更して転戦することになった.ひさしぶりに洞峰公園北のドイツレストラン〈エーベルバッハ〉でランチをば.日ごろから頼りにしているブログ〈つくばレストラン〉に,いまが旬の「ホワイト・アスパラガス」が美味い!と書かれている.これはもうすぐにも突撃するしかない.

このレストランのホワイト・アスパラは,平日はディナーでしか出ないのだが,週末はランチでも食べられるというので迷わず注文した(ラッキーだ).昼間っからエルディンガーのヴァイスビアを巨大な胴長グラスで呑んだくれ,前菜で出てきたしゃっきり歯ごたえのあるホワイト・アスパラをかみしめる.至福.付け合せのポテトがうまいなあ.

本日のランチは牛肉の「サワーブラテン」を注文.ワインの風味と酸味の効いた煮込みが滋味豊か.ジャーマンポテトがいい取り合わせで,これまたビールによく合うこと.ここの「アイスバイン」も絶品だが,昼間っから豚の骨にかじりつく餓鬼のような姿に変身するわけにはいかない.

ホワイト・アスパラはテーブルに運ばれるなりどんどん喰ってしまった.旬の食材は旬のうちに食べようね.外は30度超の真夏日.それでなくてもこの店の料理はひとつひとつがボリュームがあるのに,ビールをうぐうぐ飲んではジャーマンポテトの瞬間的食いすぎで,からだが有意に重くなってしまった…….

◆午後から再び作問作業に沈んでいく…….Sarkerの『Lattice』本を眺めていると,「そーかそーか,〈R〉でここまで描けるのか」とか新たな“発見”がいろいろあったりして,しばし現実逃避してしまう.〈R〉の多重比較(「multcomp」パッケージ)も,その可視化ツール(「multcompView」)をうまく使うと,もっとわかりやすくなるみたい.〈R〉の世界はとても広いので,前衛で何が起こっているのかをリアルタイムで知るまでのタイムラグが意外に大きい.しかし,ぼくの場合は,“前”ではなく,“後”を向いて教壇に立つ機会が多いので,新しく便利なパッケージや更新されたツールの情報はとても役に立つ.

—— などと“よそ見”に励んでいるうちに馬鈴薯睡魔が憑いてしまった…….無念.

◆本日の総歩数=3410歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼×|夜△.前回比=−0.4kg/−0.5%.


4 juli 2008(金) ※ 追い立てられて真夏日の本郷へ

◆午前5時起床.雨.南風.気温20.0度.なま暖かな朝.その後,急速に天候回復し,曇りから晴れへ.

◆進化学会第10回大会関連のこまごま —— 8月22日(金)〜24日(日)に駒場で開催される東京大会の参加申込・要旨登録の締切りが10日に迫っている.まだ余裕があると思っているうちにちゃちゃっとすまさないと,そのうち追い詰められるにちがいない,などと殊勝なことを考えて,大会サイトのオンライン登録画面を開いた.この際だから講演要旨(500字以内)も送ってしまおうなどとさらに殊勝なことを思い立って,ワルイ文章を小一時間かけてひねり出し(490字),とくに大きなトラブルもなく,登録完了とあいなった

WS7〈哲学はなぜ進化学の問題になるのか(3):哲学的観点からみた進化生物学の諸問題〉(8月23日(土)9:00-11:30)

三中信宏(農環研/東大・院・農生)
「【種】に楯突けば角が立つ:種問題の光と闇」

Ernst Mayr の生物学的種概念の提唱以来すでに70年が経とうというのに,「種(species)」をめぐる論争はいまだに終わりが見えない.「種」が生物学的な実体であるかどうかは生物学者にとって重要な問題とみなされている.他方,その「種」が形而上学的にどのような存在であり得るのかという論議は生物学哲学者にとっても関心がある.生物・非生物を問わず対象物の認知カテゴリー化はヒトが生きていく上で切実な問題であるから,「種問題」もまた体系学や進化学よりももっと広い視野のもとに論議されるべきだろう.それは生物学哲学よりもさらに裾野の広がる問題に連なるからである.データが足りないからであるというのは苦しい弁明にすぎない.もっとはっきりと「種問題」は生物学者だけで解決できる問題ではないと認めることが先決ではないか.たとえ “分類学者”ならずとも,われわれは誰もが“分類者”であり,だからこそ「種問題」は解かれることのないまま一生ついてまわる宿命と覚悟しよう.そのとき,たとえ「種」がなくとも,「いかにして種問題とともにずっと生きていくか?」をじっくり考える必要があるにちがいない.

ワークショップのオーガナイザーと他の演者たちに登録完了を連絡し,これにて一件落着.

と油断したのがまずかったよーで,狙いすましたように葉山から,「ところで,公開講演会の演題は?」との問合せメールが届いた.はい?公開講演会?−と,つらつら思い起こすに,福岡の生態学会懇親会の巨大な会場の一角でまりまりから,「夏の講演会,ヨロシク!」「はいはい」と九州大吟醸を呑みつつ安請け合いしたかすかな記憶が.それ以後,なーんの連絡もなかったので,すっかり忘れ去っていたのだが,まさか公開講演会とはねえ…….

こーいうときは,考え込んだり悩む前に返事をしてしまうにかぎる.瞬時にしてタイトルを確定させ,返信メールを打つ:

日本進化学会第10回大会・公開講演会(8月23日(土)13:00-16:10)

三中信宏(農環研/東大・院・農生)
「日本の進化学史:極東の岸辺にダーウィンの余波はやってきた」

「どーすんだよ,オマエ」という良心の声はさておき,タイトルがもう決まってしまったので,あとはコンテンツを考えるだけだ.ちょちょいのちょいだ.※うそやー(汗).

—— たまに殊勝なことを思いつくと,思わぬところから“やぶへび”が顔を出すということで(教訓).いずれにせよ大会中日の23日は朝からワークショップ,午後は公開講演会,その後,総会があって,夜は懇親会なので,きっと燃え尽きるにちがいない.

◆気温は順調に上昇し,正午前には28.7度に.晴れときどき曇りで,極度に蒸し暑い.進化学会関連のどたばたをすませた午後2時過ぎ.気温は29.7度に達していた.まちがいなく真夏日ね.

◆いったん自宅に帰り,15:11発の TX 快速で東大へ.つくばも暑いが,都内はさらに暑かった(最高気温が31度超だったことをあとで知る).午後4時半から専攻「院生会議」という名前の修論中間^2発表会.9月24日(水)に正式な修論中間発表会があるので,そのプレ発表会という位置づけ.この夏休みが調査の山場というM2がほとんどなので,いわば「所信表明」もしくは「公約」の連発だ.研究室ごとの“院生文化”も垣間見える.統計関連のアドバイスをいくつかする.午後7時すぎにお開き.その後,ビールなど少しいただいて,午後8時過ぎに東大を出る.蒸し暑さは夜になっても残っている.つくばに帰り着いたのは午後9時半だった.

◆車中こまごま —— 日経サイエンス記事「種って何さ?」のゲラ読み完了.修正箇所は数ヶ所のみ.週明けまでには編集部に返せそう.

◆本日の総歩数=12530歩[うち「しっかり歩数」=2503歩/25分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.前回比=+0.7kg/−0.4%.


3 juli 2008(木) ※ 何となく半日年休で拍子抜け脱力系

◆午前4時半起床.曇り.南風.気温20.8度.モンスーン・アジア的な朝の湿り気.キジが無防備にも姿を見せる.のち晴れ.

◆何となく午前年休 —— ううむ,せっかくなんちゃって年休を取ってしまったので,ぐでぐでする.最初は緊急のはずだったのに,一挙にゆるゆる系になってしまった.

◆日中は朝からたいへん蒸し暑かった.曇り空から生暖かい雨滴がときおりぽつぽつと落ちてくる.亜熱帯的.

◆午前のゆるゆる —— ビルケンシュトックのサンダルがどれもこれもヘタり気味だったので,ソールを張り替える修理に出した(アッセ).1ヶ月ほどかかるらしい.牧園の〈david pain〉に午後1時前に行ったところ,抹茶のフィナンシェを二つ残して,すべてのパンが売り切れていた! みごとに空っぽのショーケースを前にしてぼー然とする.前は,午後でもいくらかは商品が残っていた(少なかったが)のに,ついに昼時に売り切れるまでになったか.見通しが甘かったことを悔やみつつ,次回からは早朝に買いに来るしかないことを知る.つくり足さない店なので,商品は開店時を最大値として単調に減少するのみだから.

◆午後1時の気温は26.0度.不快指数高し.今日は梅雨らしい空模様だ.

◆午後のこまごま —— 7月12日(土)の秋葉原での「第1回ARGカフェ」に関する事務連絡.ライトニングトークの各自持ち時間はたった5分とのことで,PCプレゼンはしない方が無難とのこと.ハンドアウトを配ることにする./印税は忘れた頃にやってくる —— 『生物系統学』の第3刷(400部)が出たのは「2004年9月15日」のことだった.その印税が今になって入金されてきた.すっかり忘れていた.

◆昼下りの農大関係 —— 7月7日(月)の講義後にちょっとお茶でもとのお誘いあり./次回の講義ハンドアウトのpdf公開がまだだった./それよりも重要なことはテスト問題づくり.教務に印刷を依頼しなければならないので,7日に桜丘に出向くときには,問題と解答用紙を耳を揃えて出さないといけないだろう.ちくちくと問題の素材集めを始める.試験日は7月28日(月),時間帯は14:40からの45分間,場所は講義室と同じです.※受講生は忘れないように./定期試験と合わせて,学生による「授業評価報告」を周知しないといけない.とりあえず講義ブログにその旨をアナウンス.最近では,携帯電話から各自が大学の集計サーバーに報告できるシステムになっている.農大のような大きな私立大学では,こういうところにちゃんと手間をかけているようだ.評価集計は教員が閲覧・出力することができる.もちろん,正規の受講生名簿もダウンロードできる.※ん,登録上の受講生は「82名」だが,いつもハンドアウトは100ほどはけているぞ.

◆午後3時には空が明るくなって,しだいに青空が広がってきた.西日とても強し.ところが,どーいうわけだか館内空調がオフにされてしまった.※気まぐれにつけたり消したりしないでね.

◆ということで,居住性が悪化してきたため,そそくさと撤収することに.湿った南風が吹き荒れていた.ベランダの洗濯物が散らかっている.気温はちっとも下がらず.微発泡の「Prosecco Frizzante Organic “La natura”」など飲みつつ,またもゆるゆると崩れていく…….

◆夜,強い南風が吹き抜ける.街路樹を占領するムクドリ大軍のざわめきがことのほかうるさい.明日はちゃんとした東京出張日.ただし夕方からだが.

◆本日の総歩数=8456歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.前回比=−0.5kg/+0.4%.


2 juli 2008(水) ※ しかたがないので右往左往してみる

◆午前4時起床.曇り.北風.気温17.9度.いつもの年だったら,一日中蒸し蒸しする日が多いのに,今年は少なくとも朝晩は涼しいほどだ.快適といえば快適.梅雨らしくないといえばその通り.

◆午前の右往左往 —— 東大の専攻学部学生の農環研見学日が近づいてきたので,所内の見学コースの設定をはじめる.情報資料課にて所の紹介DVDなるものを借出し,5階の中会議室で見学最初に放映することにした(22分間).所内の連携講座は四つあるのだが,ぼくの研究室を含めてふたつは「コンピュータしかありまへん」という実に見映えのしない場所なので,圃場で華々しく温室効果ガスの実験施設などをもっている他の二つの部屋に見学サイトを決めてもらうことにした.徒歩での移動時間も含めて15分ずつでちょうど予定時間を消費しつくす計算になる./午前10時半から領域会議があった(遅刻).いろいろと締切を過ぎた案件があることを知る.不在率があまりにも高いので,事務的なことが頭上をそのまま通り過ぎてしまう確率が高いということだ.その他.公務出張でマイレージを溜めてはいけませんという御達しとか.夏場の冷房室温設定は「29度」にせよとか(アホかいな,そんな部屋からはとっとと失せます).正午前に会議はおしまい.

◆午前10時の気温はすでに26.6度だった.曇って蒸し暑い.昼休み返上で,遅れまくっていた所内の個人ページ更新htmlファイルをがりがりとつくった.メール送信して,この件は忘れることにする.もうひとつ,研究者キャリアデザインなんちゃらという年間予定表の提出も失念していた.ごりごりと削り出してから,メール送信し,この件も忘れることにした.※どーでもいいことは全部忘れることにしている.午後は日射しが強くなってきた.

◆新刊の〈R〉グラフィクス本がさっそく届いた —— Deepayan Sarkar『Lattice: Multivariate Data Visualization with R』(2008年刊行,Springer-Verlag[Series: Use R!], Berlin, xviii+265 pp.,ISBN:978-0-387-75968-5 [pbk] → 詳細目次版元ページ著者サイト).〈R〉のグラフィクスはつねづね体系的に勉強しなければと思いつつ放置してきた.確かに,ええかげんな設定でも“それなり”のグラフが描けてしまうのが〈R〉の強みなんだろうが,ここぞというところではやはり“リキの入った”グラフであってほしい.ま,要するに,この本でよーく勉強しましょう.

◆また,同じ〈Use R!〉シリーズの1冊として,形態測定学本がもうすぐ出るらしい:Julien Claude『Morphometrics with R』(2008年夏刊行予定,Springer-Verlag[Series: Use R!], Berlin, ISBN:978-0-387-77789-4 [pbk] → 版元ページ).Ian Dryden の〈shapes〉のようないいパッケージがすでに出ているが,この本にも期待しましょ.

◆午後の右往左往 —— 進化学会から大会に関する問合せあり.即返信./7月11日(金)の午後,用事で東京に雲隠れする予定が生じた./また溜まりはじめたメーリングリスト関連の雑用など.

◆悩ましい決断を下す —— 先日来,講義に使うために,とある〈R〉本を探しているのだが,ぜんぜん見つからない.ほんの数ヶ月前に買ったばかりの“準新刊”だ.これまでにも本の捜索に苦労した経験は多々ある.あるときは地震で崩落した本棚の“切り通し”の下に埋まっていたりとか,またあるときは本棚の“死角”にはまり込んでいたりとか,ときには“ホビット”がこっそり持ち逃げしてしまったりということだ.たいていの場合,素知らぬふりをしていれば,向こうの方から“伝言”が届くので(「本からの伝言」……),何となくいつのまにか解決していることが多かった.

ところが,今回は時間が迫っているので,そういう悠長なことは言っていられない.何時間か逡巡したあげく,もういちどオンラインで同じ本を発注してしまうことにした.約4,000円ほどの追加出費になってしまうが,まあしかたないでしょう.※こういうことになったからには,あとでのこのこ「ごめん」と出てきてもワタクシはもう許しませんよ.パルプのかたまりにしてしまうよ.(ワルイなと反省したら返品可能な期限内に自首するよーに)

◆夕方の右往左往 —— 帰り支度をしていたところに『植物防疫』誌の編集部から電話で原稿依頼あり.分子系統学の解説記事を書いてほしいとのこと.今年10月に書き上げて,来年1月に掲載との予定.おっけーです.

◆午後5時に撤収.強い夕日で暑さが残る.南風.気温26.1度.しかし湿度が低いのがまだ救いだ.夜になってしだいに南風が強くなってきた.明日はトツジョとして半日年休を取ることになった.

◆本日の総歩数=8584歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=+0.7kg/−0.4%.


1 juli 2008(火) ※ 七月の始まりはコッソリじたばたする

◆午前4時起床.曇り.気温16.8度.北寄りの涼風.のちに晴れてきた.今年の梅雨は蒸し暑さで窒息しそうな日がほとんどなくて快適.

◆朝からトド撃ち —— 銀行やら郵便局やら何やらかにやら./来年つくばで開催予定の形態測定学国際シンポジウムの講演予定者のリストをつくって,Pete Lestrel さんにメールで送る.白羽の矢が立った方はじたばたせずに観念してつくばへお越しください.まだまだリクルートが必要だ./8月7日(木)開催予定の農環研夏祭りの実行委員がやっと決まった.バンクーバー帰りの大東くん,よろしく.

◆午前中は曇りがち.気温は高くないようで,本日の館内空調はオフ.

◆曇りのち晴れの午後のトド撃ち —— 農大かもし(12回目)の講義三点セットを早々と用意する.今度は多変量解析と形態測定学のドッキングです.“深み”にはハマらないようにしようね.それよりも今月末(28日)のテストの準備が必要.時間は45分間だという.あわせて,受講生による講義評価をしてもらわないといけない.以前はパソコンからオンラインで評価をしていたそうだが,今は講義中に携帯電話からログインするそうな.なんだかすごいな./企画戦略室長と7月9日(水)のタイムテーブルに関する密議あり.もちろんヒミツです./領域会議は7月2日(水)10:30〜./メーリングリスト関連の雑用をすませて,月例アナウンスを遅滞なく発信した.

◆「ゲラ責め」煉獄 —— 海游舎から「カマジン本」の再校ゲラが70ページ分,どさっと郵送されてきた.目次と第1章.これだけあっても,本全体のほんの一部分にすぎない.なんたって計600ページあるもんね./日経サイエンス編集部から,先日,翻訳原稿を渡したカール・ジンマーの「種って何さ」記事のゲラのpdf(7MB)がメール添付で届いた(重い……).7月8日までに返送すること,と太いクギ…….

◆夕方のトド撃ち —— イランに帰った Olia さんからメールあり.共著論文で投稿していた線虫の分子系統の論文が Nematology 誌にアクセプトされたとのこと.ついては,付図の系統樹の描き直しをしてほしいとの依頼.少し手間がかかるかな.なお,もう一つの投稿論文は日本の線虫学会誌にすでに受理されている./某学会からの査読原稿が届いた.

◆“現代新書化”プロジェクトの起動 —— 音羽から連絡あり.『』の連載が終わったので,さっそく“本”にしようということ.7月16日(水)に本郷にて密議の予定.

◆月初めの未処理トドのリストアップ —— 毎月はじめにトド一覧をつくるのは気が重くて軽い.ずらりと並ぶのは気が滅入るが,そのうちいくつかは月末にはきっと赤線で消されているだろう.夜になって北寄りの風が涼しい.何ヶ月間もリストにそのままとどまっている“長期滞在トド”こそ問題なのだが,いずれも一筋縄ではいかない.

◆本日の総歩数=8861歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.前回比=−0.4kg/+0.7%.


--- het eind van dagboek ---

Map フリーアクセスカウンター自転車 通販人気 シューズ
[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集