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日録2020年12月


31 december 2020(木)※大晦日厨房タイカレー

◆午前5時過ぎ起床.今朝もコールドムーンを見上げながら,黒豆を炊き続ける.最低気温は氷点下1.2度だったが,冷たい西風が吹きつけ,体感気温はもっと低い.

◆黒豆の二度目の火入れが終わったので,またまた戸外で寒気にさらしている.あと1〜2回この作業を繰り返せば夕方にはできあがるだろう.

◆大晦日のランチはタイカレー.高崎のあら町にある老舗惣菜店〈小田原屋〉が新築ビルで再オープンしたとのことで,昨日正月用の品々をいろいろお買い物.古くからある惣菜店として地元にしっかり根づいていたが,タイカレーは新しい名物のひとつ.なかなか美味い.

◆昼下がりの厨房作業は黒豆の三度目の火入れ&戸外冷却.午後になっても気温が5〜6度台の寒さなので,熱々でもすぐ冷めてくれる.もう一度火入れして完成かな.下味をつけた牛ブロック肉はすでに室温に戻しているので,夕方ローストすればいいだろう.年内の厨房仕事のゴールが見えてきた.

◆日が傾き始めた夕刻,四回目の火入れが終わって,黒豆の炊いたんはやっと完成.このまま戸外に出して明日の夜明けまで氷温冷却する.黒豆が実際に食卓に上がるのは炊き始めて三日目の元旦ということになる.

◆あらかじめ下味を付けて冷蔵しておいた牛赤身ブロック肉1kgは,室温でまる一日放置したのち,150度で予熱したオーブンで35分ローストした.ミートサーモで内部温度を測定したらピッタリ「48度」だった.これはミディアムレアの理想的な肉温.冷蔵庫から出した肉を時間をかけてしっかり室温に戻せば “生焼け” になることはまずない.焼き上がったらすぐアルミホイルでくるんで,戸外の冷気にさらして一晩じっくり冷やす.ローストビーフの “入刀の儀” は元旦の恒例行事となっている.

◆そんなこんなで厨房に拉致されつつ今年は暮れていく.来年もよろしくお願いいたします.

◇本日の総歩数=4,986歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.35kg(−0.10kg) / 29.0%(−0.2%)

30 december 2020(水)※年の瀬上州ミッション

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温1.3度.南西の風.

◆年末は厨房からなかなか離脱できない.夜明け前の満月 “コールドムーン” を見上げながら,正月用の黒豆の浸水準備を開始.あわせて〈マルゲンミート〉の牛肉のかたまり1kgをローストビーフ用にきっちり緊縛して下味をつける準備.ワタクシのローストビーフのレシピは近年ほぼ “収束” していて,ブレがなくなってきた.牛肉のサイズによってローストの時間を微調整する程度.Cf: クックパッド「新春を言祝ぐローストビーフ」.

◆年の瀬の上州ミッション.朝の高速道は本降りの雨だったが,上州は一転して青空が広がり,谷川岳方面の雪山の遠景が鮮やかだった.ランチは藤岡の蕎麦屋〈鏑屋 響〉にてにしん蕎麦を.午後になって,赤城山と榛名山の頂きあたりが雪雲に覆われてきて,その北風に煽られるようにつくばまで吹き流されて帰還した.あわただしい一日だった.

◆しかし,関東平野横断後の夜も厨房作業に休みはない.早朝から同量の上白糖とともに15時間ほど鉄製フライパンで浸水させた黒豆に火を入れる.生酛日本酒と薄口醤油を加えて,いったん沸騰させてからアク取り.火からおろして表面が乾かないようアルミ箔で落し蓋をしてから,戸外の寒中に一晩さらす.黒豆を炊くのは実に根気がいる.

◇本日の総歩数=3,118歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 84.45kg(+0.15kg) / 29.2%(−0.5%)

29 december 2020(火)※馬のホネより鯛のホネ

◆午前6時過ぎ起床.晴れ.気温は氷点下0.5度.東風.

◆[欹耳袋]毎年つくばで開催されていた数理統計研修の実習は,ワタクシの入省以来筑波事務所のメインフレームコンピューター上のSAS/STATを長年使い続けてきた.ある年一念発起してRに乗り換えたところ,「信頼できるSASではなく,なぜどこの馬のホネともしれないフリーソフトを」との声が “雲の上” から聞こえてきた.そのときは,あわてず騒がず,「国や都道府県の農林水産研究機関にその “信頼できるSAS” を毎年レンタルできる十分な予算をつけていただければいいだけですよ」と耳元で囁いたら,文句は出なくなった.実際,都道府県の農業試験場でSASを導入していたところはほとんどなかったはず.

ところが,ある年,北陸某県の農業試験場から,「県の公用パソコンにRをインストールしようとしたら,ネットワーク管理担当から『そんなどこの馬のホネともわからないフリーソフトを入れてもらっては困る』とクレームがついた.Rが安全なソフトであるお墨付きを出していただきたい」との依頼あり.さんざん調べ倒して,まいくろそふとの性悪な◇くせるだのわ◎どよりもはるかに安全なはずと先方に連絡した.国も十分すぎるほどアタマがかた……いや慎重を期すものだが,都道府県はそれに輪をかけて石アタm……いやセキュリティを第一に考えるところがあって,まったくもって油断がならない.

そういえば,とり天 vs. 唐揚げの抗争がいまなお続いている某トリニータ県は年を追うごとに “セキュリティ城壁” が難攻不落化しているのだが,R のちょいと古いバージョンが処刑されずに公用パソコンに残っていて,そのおかげで毎年師走の統計研修のR実習をかろうじて続行している.県の研修担当者はときどき異動して入れ替わるので,なぜこの古い版のRだけが県庁公用PCにインストールできているのかわからないと言う.しかし,ワタクシは知っている.ある年のこと,統計研修の直前になって「Rのインストールがまったくできません」と県の担当者が泣きついてきたことがあった.そこで,現地に入ってすぐに,全R関連ファイルが入ったUSBメモリーを “大分城” の城壁にブスッと突き刺して,Rシステムを無理やりインストールした.窮すれば通ず.

◆雲が広がる昼下がり.今日の昼餉は昨夜の鯛ごはんの残りを鯛雑炊にした.馬のホネより鯛のホネ.おととい東京湾から飛んできたいなだは三枚におろしてから,まずアラの方をを大根と炊き合わせた.本体は今宵の夕餉に満を持して登場する.

◆いただきものの東京湾直送鮮魚を使った最後のメニューは定番の「いなだの香草焼き」.EVオリーブオイルと白ワイン,そしてローズマリー,セイジ,ローリエ,フェンネルなど生ハーブをまぶして,しっかりマリネする.240度で余熱したオーブンに野菜類とともに20分ローストすればできあがり.

◇本日の総歩数=1,664歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.30kg(−0.30kg) / 29.7%(−0.5%)

28 december 2020(月)※仕事を納めて鯛めしを

◆午前5時過ぎ起床.曇り.気温3.8度と暖かい朝.西北西の風.(納まらない)仕事納めの朝,薄雲が広がる観音台はひっそりしている.仕事がもう納まったなろの民は早々と年末年始の休暇に突入しているのだろう.今朝の最低気温は3.1度と高かった.午前8時の気温は4.6度.

◆[蒐書日誌]読売新聞ヴィジュアル評が本日公開された:三中信宏「野本寛一著「採集民俗論」」(2020年12月20日)※書評本:野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 目次版元ページ).

◆[欹耳袋]Togetter -「【学位論文・雑誌論文・単著】謝辞について」※「謝辞」の書き方に個別科学ごとに “お作法” があることが垣間見えて興味深い.自分の “お庭” での流儀をむやみやたらに他者に押し付けると,即座にいざこざが勃発する.

ワタクシの前著:三中信宏『系統体系学の世界:生物学の哲学とたどった道のり』(2018年4月20日刊行,勁草書房[けいそうブックス],東京, 508 pp.[xii+430+lxvi pp.], 本体価格2,700円, ISBN:978-4-326-15451-7 → コンパニオン・サイト版元ページけいそうビブリオ)末尾の長ったらしい「謝辞」(pp. 427-430)は,読み直してみると,一般論としての “謝辞論” のようでもある.なお,ワタクシの “お庭” は進化学・体系学だ.

同書から関連のある文章をいくつか引用しよう:

「学術誌に査読付き論文を投稿するとき,その原稿の最後に置かれる「謝辞」にはふつうはがんじがらめの “お作法” があって,研究遂行のための資金の出どころとか直接的な指導を受けた教員名を挙げるのはもちろんのこと,有形無形の貢献をした同僚や技術補佐員や,はては投稿原稿を審査した匿名査読者まで,ありとあらゆる謝意をもれなく列挙しなければならない.お礼を言うだけでもタイヘンなことである」(p. 427)

「そのような形式的すぎる「謝辞」であっても当該著者にしてみれば必ず書かねばならない項目なのだが,関係者以外の一般読者にとっては,たいていの場合,論文の「謝辞」はたとえ読み飛ばしても論文内容を理解する上では何の問題もない “埋め草” であることもまた事実だろう」(pp. 427-428)

「その一方で,私が日常的に手にする某ジャーナルでは,この「謝辞」を “武器” として振り回している場面に出くわすことがときどきある.[中略]私はもう慣れてしまっているからいいんだけど,フォーマルな科学論文しか見たことがないお上品な研究者たちにとっては,このような “悪ふざけ” はとても耐えられない品のなさと受け取られてもいたしかたないだろう」(p. 428)

いやぁ,まこと「謝辞」とは奥深い趣のあるもので,それを “解読” できる読者にとってはきわめて informative な箇所であることはまちがいないだろう.また,その謝辞を見て激昂したりあるいは感謝したりする読者をヨコから見ることも科学社会学的には興味深い.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年の瀬恒例の月刊みすず「読書アンケート」原稿をメール送信.今年もまた2000字近く書いてしまった.

◆昨夜いただいた東京湾直送の鯛は定番の土鍋鯛めしとなりました.そのままだと土鍋からはみ出るサイズだったので,尾びれだけ泣き別れ.鯛めしは硬い小骨が多いので,食べる前に徹底的に “解体” するのがベスト.

◆_・) 。oO (昨日の読売新聞読書欄には旧読書委員勢揃いの写真が載っていると聞いて震え上がっている非読売新聞読者がここに)

◆明日からはそれなりに年の瀬のあれやこれやに追い回されるだろう.

◇本日の総歩数=3,023歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.60kg(+0.50kg) / 30.2%(−0.3%)

27 december 2020(日)※年末疾走の日々は続く

◆午前6時半起床.曇り.気温0.1度.冷え込みなし.南風.

◆[欹耳袋]Y!ニュース「各大学の調査で見えてきた学生によるオンライン授業への高い評価。政府・政治家はEBPMの意識を(室橋祐貴) 」(2020年12月26日)※「各大学の調査では、過半数の学生がオンライン授業の継続を望んでいるにもかかわらず、なぜ文科省は対面授業を増やすよう大学側に要請してきたのか。毎日新聞の報道によると、その根拠として、「文科省に届くメールや問い合わせの『圧倒的多数』が対面再開を求めるものだった」ことを挙げている」.Cf: 文部科学省「大学等における後期等の授業の実施状況に関する調査 [pdf]」(2020年12月23日).

ワタクシが非常勤出講している日本大学生物資源科学部食品ビジネス学科の〈プレゼンテーション入門〉は同学科では数少ない対面&オンライン双方向講義のひとつだが,全受講生120名あまりのうち,体調不調あるいは感染予防のため常時10〜20名がオンラインで受講している.毎回のオンライン講義は zoom 録画して,無編集のまま大学の Google Classroom にアップロードしているので,リアルタイムでなくても視聴することができるようにしている.対面&オンラインの “ハイブリッド講義” はできるだけ手間暇かけずにさらりとやるのが負担なく長続きするコツではないか.

ワタクシの担当講義は「プレゼン実習」が必須で,最近は自分のトークのプレゼン動画とスライド作成を実習課題として毎回課している.課題が提出されるたびに間髪入れず一人ずつ短評コメントを返すように心がけている.100名以上も受講者がいるとタイヘンと思われるかもしれないが,短評コメントはたかが「半ツイート/名」程度の字数なので,息するようにリプライを返せば実はたいした手間ではない.とにかく,教員の負担にならないようにすることが肝要だろう.

“ハイブリッド講義” というといろいろな設備や要員が必要と言われるが,ワタクシ場合はそんなたいそうなことはしていない.つくばから藤沢に持っていくのは MacBook Pro と Wi-Fi ルーターのみ.教室で対面講義しながら,オンラインで同時配信してTAさんに zoom 録画を依頼するだけ.手間暇はかけない.ワタクシは一介の非常勤講師なので,オンライン講義ごときにわざわざ手間暇かける義理はどこにもない.もちろん,余分なお金や時間をつぎこむつもりもさらさらない.あるとしたら受講生に対する “仁義” だけなので,その点の手抜きはしない.

—— 学生による授業評価アンケートをいま集めているところなので,その集計結果を見ればより正確に学生側の反応を知ることができるだろう.受講生は学部1年生なので,その点でも関心がある.

◆[蒐書日誌]東千茅『人類堆肥化計画』(2020年10月30日刊行,創元社,大阪, 253 pp., 本体価格1,700円, ISBN:978-4-422-39004-8 → 版元ページ)※読了.半ば自伝的,半ば檄文的に書き進めるアクティビストの文章には得も言われぬ勢いがある.里山を舞台に人間と動植物が密接に入り乱れる “マルチスピーシーズ自然観” を地べたで味わえる本.同じような読後感はアナ・チン[赤嶺淳訳]『マツタケ:不確定な時代を生きる術』(2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, xiv+441+xxiv pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-622-08831-8 → 読売新聞書評目次版元ページ).を読んだときにも味わった.人間と他の生きものの “共依存” 的な幸福と不幸の混じり合い.ワタクシ個人的には観音台で歌い継がれてきた伝統歌謡〈つちのうえ〉が無意識のうちに BGM として脳内に響いていた.生きても死んでも「つちのうえ」.

◆夜,鯛やいなだが舞い踊り.東京湾直送鮮魚,どうもありがとうございました〜

◆そして, “読む・打つ・書く” の日々は全力で続く.

◇本日の総歩数=2,256歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.10kg(−0.75kg) / 30.5%(+0.1%)

26 december 2020(土)※年の瀬の読む打つ書く

◆午前6時半のろのろ起床.晴れ.気温は氷点下3.5度.南南西の風.

◆[蒐書日誌]高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!:そして現れた〈サピエンス納豆〉』(2020年8月25日刊行,新潮社,東京, 8 color plates + 366 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-10-340072-1 → 版元ページ)※年末になってやっと読了.ブルキナファソの「スンバラ」「ハイビスカス納豆」「バオバブ納豆」が圧巻.前著『謎のアジア納豆』を復習したくなった.

◆昼下がりのカオトム.今日は日差しが暖かく冬らしくない.

◆[蒐書日誌]川端裕人『「色のふしぎ」と不思議な社会:2020年代の「色覚」原論』(2020年10月25日刊行,筑摩書房,東京, 7 color plates + 348 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-480-86091-0 → 目次版元ページ)※これまた年の瀬に読了.うん,目が醒めるような良書.スティーヴン・ジェイ・グールド風に言えば『人間の測りまちがい[色覚編]』というタイトルになるだろうか.ワタクシ自身も小学生だった頃に視力検査とともに「色盲検査」を受診させられた経験がある.著者は「色盲」「色弱」「色覚異常」などさまざまなレッテルを貼られたことにより,色覚変異当事者にとって精神的な負担のみならず,彼らの人生が大きく変えられてきた色覚差別の歴史をたどる.

現代社会の中での「色覚」の占める位置を問い直す過程で,著者は色覚の分子進化研究の最先端にたどりつく.東大・河村正二グループの研究成果だ.色覚を司る遺伝子の分子進化という視点から見直したとき,色覚の変異は離散的ではなく,連続的なスペクトラムであるという新たな視野が広がる.巷間に広がる通説では,色覚異常の頻度は「男性が5%・女性が0.2%」とされている.しかし,巻末の補遺に詳述されているように色覚遺伝子の微小な変異まで含めれば,実に「40%」もの色覚変異のスペクトラムがなめらかに広がっているという.連続を離散に切り分けようとするヒトの欲望の罪は深い.

ワタクシ自身も経験した「色盲検査」は伝統的に〈石原表〉なる検査表を用いて実施されてきた.第6章「誰が誰をあぶり出すのか —— 色覚スクリーニングをめぐって」は,この石原表がもたらした暗黒の歴史をあぶり出す.この章を読むだけでも本書の価値は十分にある.この石原表は “第一種過誤” の確率に直結する「特異度」と “第二種過誤” の確率を反映する「感度」をともに最適化するという(pp. 256-257).統計学的に見てそれはムリであることは明らかだ.

しかし,驚くべきことに,石原表の信頼性をめぐっては批判的な検討がまったくなされてこなかったと著者は指摘する.石原表は色盲を検出する手段であり,色盲とは石原表によって検出された異常である —— これって文字通りの悪しき「操作主義(operationalism)」であることは誰の目にもはっきりわかるのに,それが見えてこなかったという歴史の闇には慄然とするしかない.

色覚変異をもつ当事者としての著者は,自分が受けてきた「赤緑色弱」という判定を長年にわたり引きずりつつ,自分の目を検体として自らの色覚変異の本性を知ろうとする.色覚の連続性と多様性を主張する本書は色覚に関する “当事者本” でもある.色覚変異のネーミングについて著者はいくつか提案をしているが,系統学的に言えば,多数派の “正常型” 色覚は「原始的(plesiomorphy)」であり,それから進化したさまざまな “変異型” 色覚は総称して「派生的(apomorphy)」と呼ぶのがシンプルだろう.

本書を読了してみてわかることは,色覚の最先端研究は想像以上に進展していて,それを社会の側がまだ十分に受けとめていないという “ズレ” が顕在化している点だ.色覚遺伝子のゲノム情報についての知見が蓄積されつつある現在,この “ズレ” をどのように解消していけばいいのだろうか.

一つだけ注文を付けるとしたら,色覚に関する多岐にわたるトピックスを論じた本書にとって,巻末に事項索引と人名索引がないのはとても残念だったという点だ.

—— 上記書評は別途公開した:三中信宏「もうひとつの「人間の測りまちがい」」(2020年12月27日).読売新聞読書委員をしていた2年間はひたすら日々堆積する新刊の山の切り崩しに邁進していた.しかし,大手町の “御奉公” がめでたく御役御免となったので,晴れて「leeswijzer」すなわち「ブックマーカー」としての本来の活動に復帰できるようになった.

◆〈わくわく広場〉でめずらしく “むかご” が売られていたので,今宵は土鍋で「むかごご飯」を炊いてみた.味付けは岩塩で.ナチュラルな主食にはこれまたナチュラルな香取・寺田本家の〈五人娘〉を常温で.

◆[蒐書日誌]カルミネ・アバーテ[関口英子訳]『海と山のオムレツ』(2020年10月30日刊行,新潮社[新潮クレスト・ブックス],東京, 175 pp., ISBN:978-4-10-590168-4 → 版元ページ)※これまた読了.小説を読むことはほとんどないのだが,こういう “美味しい話” はいくらでも読める.アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノが食べたくなってきた.

◆[蒐書日誌]塩川伸明『国家の解体:ペレストロイカとソ連の最期』(2021年2月刊行予定,東京大学出版会,東京, 2,426ページ, 本体価格38,000円, ISBN:978-4-13-036282-5 → 版元ページ)※「2,426ページ・本体価格38,000円」というところに強く強く惹かれてしまうワタクシはイケナイ元読書委員.

◆ひたすら “読む・打つ・書く” の一日だった.

◇本日の総歩数=3,057歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.85kg(−0.25kg) / 30.4%(+0.9%)

25 december 2020(金)※閑散としたクリスマス

◆午前5時過ぎ起床.雲が広がる.気温1.9度.北北西の風.クリスマスのなろ城下町は穏やかな青空が広がっている.今朝の最低気温は氷点下0.3度とちょっとだけ寒くなったが,先日までの冷え込みはなりをひそめている.観音台の “街の人々” はすでに年末の休暇に突入しているのだろうか,正面駐車場がいつもの朝ほど混んでいない.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 読書委員この1年」のゲラ修正.幸いなことに “不良読書委員” の伝統は途切れることなく継承されていくようだ.

◆どういう風の吹き回しか,ワタクシの着任以来ずっと居室の窓にぶら下がっていた30年もののぼろブラインドをフル交換工事中.本の壁に囲まれたキャレルに退避している.小一時間で居室のブラインド交換工事が終わり,見違えるように快適に上げ下ろしができるだけでなく,窓まわりの積年の塵芥がきれいに掃除されて,妙に明るい雰囲気になってしまった.違和感が解消されるまでは奥のキャレルに立てこもることにしよう.

◆[蒐書日誌]年の瀬に続々届く新刊たち.まずはいただきものの数々から.

  1. ロバート・カニーゲル[熊倉鴻之助訳]『メンター・チェーン:ノーベル賞科学者の師弟の絆』(2020年12月30日刊行,工作舎,東京, 507 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-87502-523-8 → 版元ページ
  2. 乾敏郎・阪口豊『脳の大統一理論:自由エネルギー原理とはなにか』(2020年12月22日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・299],東京, viii+125+16 pp., 本体価格1,400円, ISBN:978-4-00-029699-1 → 版元ページ
  3. ポール・ストラザーン[田村浩二訳]『クリック・ワトソン・DNA:DNA 二重らせん構造発見への階梯』(2020年12月27日刊行,一灯舎,東京, x+104+4 pp., 本体価格1,300円, ISBN:978-4-907600-67-9 → 版元ページ

—— 以上,ご恵贈ありがとうございました.

  1. リントン・ゴダール[碧海寿広訳]『ダーウィン、仏教、神:近代日本の進化論と宗教』(2020年12月30日刊行,人文書院,京都, ii+406 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-409-04114-7 → 版元ページ)※たまたま原書を買っていたが,タイミングよく翻訳も出版された.原書:G. Clinton Godart『Darwin, Dharma, and the Divine: Evolutionary Theory and Religion in Modern Japan』(2017年1月刊行,University of Hawai‘i Press[A Study of the Weatherhead East Asian Institute Columbia University], Honolulu, x+301 pp., ISBN:978-0-8248-5851-3 [hbk] → 目次版元ページ).この原書の索引は人名索引と事項索引をともに含んでいるが,翻訳書では人名索引のみとなっている.
  2. 桂米朝『上方落語ノート・第一集』(2020年3月13日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸319],東京, xvi+283 pp., 本体価格1,120円, ISBN:978-4-00-602319-5 → 版元ページ)※これはワタクシの藤沢お座敷〈プレゼンテーション入門〉の基礎教材として.TED を見るくらいだったら,むしろ上方落語や江戸落語の話芸をしっかり聴いた方がはるかに役に立ちます.
  3. 桂米朝『上方落語ノート・第二集』(2020年4月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸320],東京, xviii+319 pp., 本体価格1,240円, ISBN:978-4-00-602320-1 → 版元ページ
  4. 桂米朝『上方落語ノート・第三集』(2020年6月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸321],東京, xviii+271 pp., 本体価格1,120円, ISBN:978-4-00-602321-8 → 版元ページ)/li>
  5. 桂米朝上方落語ノート・第四集』(2020年7月14日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸322],東京, xvi+301 pp., 本体価格1,180円, ISBN:978-4-00-602322-5 → 版元ページ

—— 今年は師走に入って注目本が届くことが多い.

◆クリスマスの夜はイブの “残務処理” の夕餉.ローストチキンの残骸を食べつくし,フェンネルのあまりはお手軽パスタとなって,食卓に再登場.このアテだと〈篠峯〉 うすにごり純米生原酒・荒走りを抜栓するしかない.鶏さんのホネたちは冷凍保存して,いずれ鶏雑炊となって食卓にやってくるにちがいない.

◆[欹耳袋]本屋 B&B|網谷祐一×岡西政典×三中信宏「「種(しゅ)」に交われば明るくなる!~生物学者のタテマエとホンネに科学哲学者が迫る~」『種を語ること、定義すること』(勁草書房)刊行記念 | 2021年1月20日(水)20:00〜22:00 ※Zoomウェビナー.ワルダクミは年を越す.

◆世の中は早くも “年の瀬スイッチオン” に突入しているみたいだが,来週月曜の「仕事納め」(納まるか……)までは気を抜いてはならぬ.

◇本日の総歩数=5,269歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 85.10kg(−0.45kg) / 29.5%(0.0%)

24 december 2020(木)※鶏とフェンネルのイブ

◆午前5時起床.晴れ.気温は氷点下0.6度とやや高め.西南西の風.クリスマスシーズンの観音台は静かな冬の朝を迎えている.今朝の最低気温は氷点下2.5度とたいした冷え込みにはならず,午前8時には0.6度と氷点ラインを早々と超えている.西北西の風.年に一度の「クリスマスケーキ渋滞」と「フライドチキン渋滞」がつくば中心部で発生する日なので,帰宅する時間帯はよくよく気をつけないと.にっちもさっちもいかなくなる.

◆昨日12月23日分のクックパッドのアクセスランキング上位3位.例年通りだと,今月はおそらく万単位のアクセスが “ローストチキン” に集中しているだろう.日本中みんなみんな鶏さんを焼きまくる夕方が近づいてきた.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 読売新聞読書欄の「読書委員この1年」のゲラが送られてきた.これでワタクシのお勤めはほんとうにすべておしまい.

◆夕方からは大仕事が続く.まずは丸鶏の緊縛作業.縛られたあとは,一時間半ほどかけてしっかり焼かれる運命にある鶏さん.日本全国,鶏さんの受難日である.

◆クリスマスイブのスタートはフェンネルの茎のスープから.実に高貴である.


続いて,フェンネルの鱗茎(フィノッキオ)のグラタン2種.一皿目はバターとパルミジャーノ・レッジャーノとともにオーブンで焼いた.素朴で味わい深い.


二皿目のグラタンは,ベシャメルソースとともにフィノッキオをオーブンで焼いてみた.香草だけなのに十分なコクが出る.


そして,今年のローストチキンの完成形.丸鶏のおなかにじゃがいも&マッシュルーム&にんにくそしてフェンネルの葉をぎゅうぎゅう詰めにした.250度で30分,さらに160度で40分のロースト.


例年ならここで大団円となるのだが……,今年は特別出演ゲストとして,松代の〈ラ・スタッラ〉が採算を度外視してつくってしまったという破格の「15段オペラ」が登場した.ホールは一辺10cmの立方体だが外見に惑わされてはいけない.中身は白色矮星並みの高密度で,ほんの1/4を完食しただけで圧倒されてしまった.ごちそうさまでした.


—— クリスマスイブは食べまくりの呑みまくり.

◇本日の総歩数=5,281歩. 朝◯|昼○|夜×. 計測値(前回比)= 85.55kg(+0.30kg) / 29.5%(−0.6%)

23 december 2020(水)※忘れた頃のフェンネル

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温は氷点下2.6度.西北西の風.ワタクシのクックパッド「骨付きもも肉のローストチキン」レシピがここ数日でアクセス急増している.毎年クリスマスのたった数日間だけ猛烈によく読まれるレシピ.クリスマスの到来を実感する.丸鶏のローストチキンよりも骨付きもも肉の方がアクセス数が多いのは当然のことかもしれない.

◆[欹耳袋]版元ドットコム「Amazonへ目次情報の表示停止について申し入れを送りました」(2020年12月22日)※「既刊の目次情報が今後表示されないのみならず、破棄されてしまうのではないか」「新規に求められている目次をふくめた内容紹介の字数が「1300字」であること」.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 読売新聞読書委員会の残務の一つである「2020年の3冊」書評ゲラを受け取った.書評欄では取り上げられなかった3冊をピックアップした.

◆フェンネルは忘れた頃にやってくる.一株丸ごとの巨大なフェンネルは予期せずいきなり野菜売り場に出現するものの,たいていの買い物客はそのサイズに怖気付いて,見ないふりをして通り過ぎてしまう.たまたまワタクシに流し目を送ってきたのでレジにお連れした.フェンネルは根もとの鱗茎から葉先までまったくムダなく使い尽くせる.Cf: het dagelijkse keukenleven「フェンネルを丸ごといただく」.

◆夕刻,並木の〈マルゲンミート〉にて予約しておいた丸鶏(2kg)を引き取ってきた.明日は毎年恒例の “鶏さん受難の日” である.

◇本日の総歩数=11,297. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 85.25kg(+0.80kg) / 30.1%(+0.1%)

22 december 2020(火)※年内最後の藤沢お座敷

◆午前5時過ぎ起床.晴れの夜明け前.気温は氷点下5.1度まで下がっている.北西の風.今日は藤沢お座敷の年内最終日.いつもどおり,東京駅にて熱海行きの東海道線に乗り換える.つくばの最低気温は氷点下5.5度だったが,朝日が差す都内はやや暖かく,午前9時の気温は3.3度.

◆午前10時,藤沢駅着.駅ナカのスタバにて,今日の〈プレゼンテーション入門〉の講義スライドと実習課題を Google Classroom にアップロードだん.今日はスライド作成時のユニバーサルデザイン(UD)とカラーユニバーサルデザイン(CUD)の解説と実習をすることになっている.読み中の川端裕人『「色のふしぎ」と不思議な社会:2020年代の「色覚」原論』(2020年10月25日刊行,筑摩書房,東京, 7 color plates + 348 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-480-86091-0 → 版元ページ)を踏まえた CUD の紙芝居を昨夜のうちに新規追加した.学部1年生から UD と CUD の基礎は身につけた方がいいに決まっている.

◆ランチはいつもの〈湘南魚つる Hanare〉にて.日替わり丼として握り寿司九貫盛り.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「「どや」「言えや」自白を導く、方言の迫力 冤罪も生む」(2020年12月22日)※この記事でいう “方言” がことごとく大阪弁なのはどーしてなんだろーか.理由言わんかいっ,コラぁっ.

◆日大での年内最後の〈プレゼンテーション入門〉高座はつつがなく終わった.受講生のみなさん,たいへんお疲れさまでした.また来年.

◆これで年内のお座敷はすべて終わりとなった.今ごろは大手町漁港では次期の読書委員会初回が開催されているにちがいない……(泣くなよ,おい)

◇本日の総歩数=7,217歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.45kg(−0.10kg) / 30.0%(+0.3%)

21 december 2020(月)※冬至にかぼちゃを炊く

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温は氷点下2.5度.西北西の風.乾ききった冬晴れの観音台に北風が吹く.今朝の最低気温は氷点下4.3度.この時期らしい安定の冷え込み.午前8時になっても氷点下1.5度.陋屋研究室は窓から忍び入るすきま風が身にしみるので,足温マットと温風ファンを稼働中.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 日本計量生物学会のメーリングリスト(JBS)を長年管理してきたが,先週のオンライン理事会の承認を受け,本日をもってめでたく御役御免となった.メーリングリストは今となってはレガシーこの上ないシステムだが,あればあったで何かの役には立ったにちがいない.

◆[蒐書日誌]読売新聞大評は本日カギが外れて公開されました:読売新聞大評が紙面掲載されました:三中信宏「漂白された北極熊伝説 —— ホッキョクグマ 北極の象徴の文化史」(2020年12月13日)※書評本:マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 目次|版元ページ).

◆[欹耳袋]Togetter -「日本の統計学導入と唯物弁証法」※社会統計学の戦後史関連情報がとても参考になる. “統計学者” としての蜷川虎三も登場する.

◆夕暮れの南の空に並ぶ二連惑星を見上げながら,かぼちゃの炊いたんを用意する.日本全国,冬至である.

◇本日の総歩数=3,800歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 84.55kg(+0.05kg) / 29.7%(+0.3%)

20 december 2020(日)※昼下がりシュトーレン

◆午前7時起床.晴れ.気温0.4度.北西の風.

◆[蒐書日誌]読売新聞ヴィジュアル評が紙面掲載されました:三中信宏「野本寛一著「採集民俗論」」(2020年12月20日)※書評本:野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 目次版元ページ).これがワタクシの読売書評の最後です.掲載写真は著者にとってひときわ思い入れが深かったという栃(トチ)の実.苦味の強いサポニン含有のため,そのままではとうてい食べられないはずの栃の実を手間ひまかけてアク抜きし,日常の食文化に組み込んできた人びとの暮らしに著者は共感をもって入り込んでいく.

◆昼下がりのシュトーレンは龍ケ崎〈テンハーフ〉から.グラニュー糖の “海” を泳いでいる.

◆[蒐書日誌]先日のツイート群を加筆して束ねた:三中信宏 | note「読売新聞読書委員の任期を終えて」(2020年12月16日).

◇本日の総歩数=1,930歩. 朝◯|昼△|夜○. 計測値(前回比)= 84.50kg(+0.05kg) / 29.4%(+1.5%)

19 december 2020(土)※洞峰公園に群れる水鳥

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温はプラス0.5度とやや “暖かめ” の夜明け前.それでも寒いことにはちがいがないので,朝餉はやや煮詰まり気味の熱々ミネストローネをパスタにこんもり乗せてみた.

◆[蒐書日誌]野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)の書評は校了との連絡あり.明日紙面掲載される.

◆すっきり冬晴れ洞峰公園.

◆[蒐書日誌]東浩紀『ゲンロン戦記:「知の観客」をつくる』(2020年12月10日刊行,中央公論新社[中公新書ラクレ・709],東京, 277 pp., 本体価格860 pp., ISBN:978-4-12-150709-9 → 版元ページ)※速攻で読了.ああ,確かにこれは文字通りの “戦記” として語られている物語.ワタクシも過去に登壇したことのある〈ゲンロンカフェ〉が本書では重要な役回りを演じている.ワタクシが縁あって〈ゲンロンカフェ〉に登壇したのは2017, 2018, 2019年の連続三年で,各年一回ずつだった.もちろん対面での夜イベントで,エンドレスになることはわかっていた.あのような言論空間は貴重.つくばに帰れないことを見越して,毎回必ず “肉の聖地” 五反田にホテルを確保するのが常だった.そういえば,本書で「大ヒット」と書かれている:『思想地図β・第1巻』にもかつてワタクシは寄稿した:三中信宏 2011. 系譜の存在パターンと進化の生成プロセス.東浩紀(編)『思想地図β・第1巻』(コンテクチュアズ,東京),pp. 208-226[英文要旨,p. 336].原稿料がとても高かった記憶がある.書き手&話し手としてしか関わってこなかったワタクシにも,山あり谷ありの本書は引き込まれてしまう.

◇本日の総歩数=7,161歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 84.45kg(−0.30kg) / 27.9%(+0.1%)

18 december 2020(金)※寒けりゃミネストローネ

◆午前5時起床.外は闇の中.気温は氷点下4.4度と今朝もきびしく冷え込んでいる.昨日ほどではないが,北から流れ込む暴力的な寒気と内陸特有の放射冷却のせいで,今朝の最低気温は氷点下4.7度まで下がった.朝餉はいつものミネストローネにパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりと.外が寒けりゃ中から温めるしかないでしょ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 先月の北大オンライン集中講義のレポート評定を雪のサッポロにメール送信.

◆白熊さん御一行様が農林団地にご到着.どうもありがとうございました.今日の日中はいちおう11度台まで気温が上がったので,一桁台だった昨日よりはマシか.

◇本日の総歩数=3,153歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.75kg(−0.05kg) / 27.8%(−2.6%)

17 december 2020(木)※今季最低気温また更新

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.きりきり冷え込む今朝は,すでに最低気温が氷点下5.9度と今季レコードを軽やかに更新中.西北西の風.寒い,寒すぎる.冬晴れの観音台は乾ききった寒気にすっぽり覆われている.今朝の最低気温は6.2度.もちろん今季最低.午前8時になっても氷点下2.7度. “寒気の底” という表現がふさわしい.

◆日常のことだが,食べ終わった食器や使い終わった鍋釜が厨房のシンクに積み重なるのがイヤすぎて,片っ端から洗ってしまうのだが,これって要するにワタクシは短気な典型的 “イラチ” の証拠ではなかろうかと思い至る冬の朝.届いたメールに対して “同一分内” に返信できたら「勝った!」と気分がよかったり,短い原稿依頼があったら返信メールにその原稿を添付して返すとか,ワタクシが “真性イラチ” である確証事例はいくらでも挙げられる.読売新聞の書評原稿にしても,毎回「火曜日」が〆切日に設定されているのに,遅くとも前日には担当者にメールで送ってしまう.以前は一週間も前に送ったこともあった.それを話したネイティヴ京女の読書委員さんは「京男やし」と鋭く指摘.京男はみんなイラチ,京女はみんな不可侵やねん.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)の書評リバイスはなおも続く.速攻で修正箇所を大手町に打ち返してしまうのも根っからの “イラチ” のせいやな.

◆[蒐書日誌]目の前に積もっているご恵贈本の山を前にして,またまた “イラチ” が蠢き始めている.今すぐ何とかしよう.まずは自費購入本から.

  1. 川田伸一郎『アラン・オーストンの標本ラベル:幕末から明治、海を渡ったニッポンの動物たち』(2020年11月30日刊行,ブックマン社,東京, ii+262 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-89308-937-3 → 版元ページ)※攻めまくる標本バカのさらなる新刊が届いた.
  2. 和氣正幸『日本の小さな本屋さん』(2018年7月23日刊行,エクスナレッジ,東京, 159 pp., 本体価格1,800円, ISBN: 978-4-7678-2483-3 → 版元ページ)※『続 日本の小さな本屋さん』が出たので,ここはやはり最初の巻もほしいな,と.
  3. Sabina Leonelli 『Data-Centric Biology: A Philosophical Study』(2016年11月刊行, The University of Chicago Press, Chicago, iv+275 pp., ISBN:978-0-226-41647-2 [pbk] → 版元ページ)※データ駆動型生物学の科学哲学.
  4. 鈴木董『食はイスタンブルにあり:君府名物考』(2020年9月9日刊行,講談社[講談社学術文庫・2628],東京, 252 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-06-520836-6 → 版元ページ)※食は生なり.
  5. 石原あえか『近代測量史への旅:ゲーテ時代の自然景観図から明治日本の三角測量まで』(2015年9月25日刊行,法政大学出版局,東京, 9 color plates + viii + 259 + 75 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-588-37123-3 → 版元ページ)※最新刊『教養の近代測地学:メフィストのマントをひろげて』の事前読書として.
  6. 乃南アサ『美麗島紀行』(2015年11月30日刊行,集英社,東京, 262 pp., 本体価格1,700円, ISBN:978-4-08-781583-2 → 版元ページ)※これまた最新巻『美麗島プリズム紀行』の予習本として.

—— 続いて,いただきものの新刊たちへ.

  1. 松王政浩『科学哲学からのメッセージ:因果・実在・価値をめぐる科学との接点』(2020年11月30日刊行,森北出版,東京, viii+373 pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-627-97351-0 → 版元ページ)※いきなり “決定打” が飛んできたような心地ぞする.
  2. 小山聡子『もののけの日本史:死霊、幽霊、妖怪の1000年』(2020年11月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2619],東京, x+281 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-12-102619-4 → 版元ページ)※もののけさんたちが呼んでます.
  3. マヤ・セーヴストロム[井上舞訳]『どうぶつおやこ図鑑』(2020年12月10日刊行,化学同人,京都, 111 pp., 本体価格1,500円, ISBN:978-4-7598-2049-2 → 版元ページ
  4. ルートウィッヒ・ウィトゲンシュタイン[鬼界彰夫訳]『哲学探究』(2020年11月11日刊行,講談社,東京, 539 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-06-219944-5 → 版元ページ)※あの『哲学探究』が500ページ超の新訳で戻ってきた.
  5. エマ・タウンゼンド[渡辺政隆訳]『ダーウィンが愛した犬たち:進化論を支えた陰の主役』(2020年12月10日刊行,勁草書房,東京, 190 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-326-75057-3 → 版元ページ)※フジツボとかミミズだけじゃなかったんだ!
  6. 三上修『電柱鳥類学:スズメはどこに止まってる?』(2020年11月25日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・298],東京, 8 color plates + ix + 115 + 3 pp., 本体価格1,300円, ISBN:978-4-00-029698-4 → 版元ページ)※ “スズメ道” はどこまでも続いている.
  7. 兵藤裕己『物語の近代:王朝から帝国へ』(2020年11月17日刊行,岩波書店,東京, xx+308+4 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-00-025326-0 → 版元ページ
  8. 権左武志『現代民主主義:思想と歴史』(2020年12月9日刊行,講談社[講談社選書メチエ・740],東京, 288 pp., 本体価格1,850円, ISBN:978-4-06-522044-3 → 版元ページ
  9. 木島泰三『自由意志の向こう側:決定論をめぐる哲学史』(2020年11月10日刊行,講談社[講談社選書メチエ・737],東京, 429 pp., 本体価格2,250円, ISBN:978-4-06-521771-9 → 版元ページ
  10. 鶴見太郎『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人が作った国』(2020年11月10日刊行,講談社[講談社選書メチエ・738],東京, 290 pp., 本体価格1,850円, ISBN:978-4-06-521571-5 → 版元ページ
  11. 水口博也『南極ダイアリー』(2020年11月10日刊行,講談社[講談社選書メチエ・739],東京, 237 pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-06-521773-3 → 版元ページ)※ペンギンとかペンギンとかペンギンとか.
  12. 佐倉統『科学とはなにか:新しい科学論、いま必要な三つの視点』(2020年12月20日刊行,講談社[ブルーバックス・B2158],東京, 270 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-06-522142-6 → 版元ページ)※ブルーバックスの科学論はひさしぶりではないだろうか. /li>
  13. 網谷祐一『種を語ること、定義すること:種問題の科学哲学』(2020年12月20日刊行,勁草書房,東京, viii+238+xv pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-326-10288-4 → 版元ページ)※はいはい,【種】の好きなそこのアナタ,すぐ買いましょうね.目下あるワルダクミが水面下で進行中です.

—— 以上をもって,積み上がった新刊の山を登攀完了.読書委員をはずれたので来年からはこういうことはもうないにちがいない.

◆日中の最高気温は8.3度どまり.夕餉はアジフライと蟹クリームコロッケというこの上なく “鉄板” な定食メニュー.

◇本日の総歩数=3,713歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 84.80kg(−0.15kg) / 30.2%(+1.2%)

16 december 2020(水)※きりきり冷えて氷点下

◆昨夜は午前様寸前の帰宅となった.午前5時過ぎ起床.晴れ.最低気温は氷点下3.8度と今季の記録を更新.西北西の風.いきなり猛烈に冷え込んだ朝は水たまりも凍りつく.朝日はさんさんと降り注いでいるのに,午前8時になっても気温は2.0度.北西の季節風が冷たすぎる.

◆[蒐書日誌]読売新聞読書委員の任期を終えて —— 読売新聞読書委員会の大納会から一夜が明けて,ワタクシは晴れて “自由の身” となった.二年前に読書委員になったときから,居室の書棚の一角に「読売新聞書評担当本の棚」をわざわざ用意した.そして任期を終えてみると,その棚には前後二段計60冊あまりの書評本がぎっしり詰め込まれている.ワタクシの任期中の掲載書評数をカウントしてみたところ,今月の掲載予定分も含め,計59本(大評40本/小評14本/ヴィジュアル評5本)だった.それ以外に「夏の1冊」や「今年の3冊」などの紹介記事も書いたので,それらを合わせれば60本を超えるだろう.平均して毎月2〜3本掲載された勘定になる.

昨夜の納会トークでも話したことだが,隔週で開催される読書委員会に皆勤したワタクシのもとには,きまってハードカバーの「重い・厚い・高い」新刊が引き寄せられる傾向があった.読書委員会を切り盛りする文化部に “一本釣り” されて,巨岩のような本を書評したこともある.いま書評本棚を見渡すと,ワタクシの探書アンテナは,生物に関係する自然科学本や民俗生物学,統計学や確率論そしてデータ可視化の本,中世哲学に連なる科学史・科学哲学本,そして発酵・酒食・料理本に向けられていたようだ.ワタクシの書評本の選書基準は他の読書委員とは有意に異なっていた.

これまた昨夜のトークで言及したことだが,とりわけ自然科学系の新刊は他分野に比べて一般読者の目に触れる機会が少なく,知られないまま埋もれてしまうリスクが大きい.塚谷裕一さんの後任の読書委員としてはあえて理系ジャンル読者の掘り起こしに注力することも “お勤め” だろうと自認していた.ワタクシの後任の読書委員が誰になるのかは未公表だが,納会では「今後とも理系の科学本をよろしく」と強調した.大手の出版社の新刊は黙っていてもどこかの新聞で誰かが書評するに決まっているから,あえて手を出す必要はないだろう.選書対象から漏れそうな出版社の新刊を積極的に取り上げた.読書委員会では毎回新刊書が並ぶが,それ以外にも読書委員からの “持ち込み本” が少なからずあり,ワタクシも自分で持ち込んだ新刊を書評したことが何度かあった.読売新聞社の “方針” との整合性云々が問題視されることもあるらしいが,ワタクシが持ち込むような本はその点ではまったく問題なし.

この二年間の “書評執筆とらのあな” でしっかり鍛えられたおかげで,ワタクシの書評力は多少ともアップしたにちがいない.新聞書評という制約の多い媒体の中で(雑誌書評とかブログ書評とはちがいがありすぎる),どのように書評文を最適化するかを考えるいい機会となった.また,新聞社ごとの書評委員会体制のちがいについても最新情報を知ることができて,とても参考になった.来年出版される拙著:三中信宏『読む・打つ・書く —— 読書・書評・執筆をめぐる「理系」本ライフ[仮題]』(2021年6月刊行予定,東京大学出版会)の書評論の楽章では,読売新聞での書評経験を踏まえて書かれた旋律も多々含まれている.経験してみて初めてわかる真実もあるということだ.

—— そんなわけで,ワタクシにとっての大役はこれにて完了.おあとがよろしいようで.

◆今日の最高気温は9.4度どまりで,正しく寒い冬の一日だった.先日の豚ウデ肉ポトフのスープがまだ冷蔵庫に残っていたので,夕餉のおかずとして2時間ほどかけて大根を炊いてみた.とくに追加で調味するまでもなくそのままで.もう少し長く “火を見せた” 方がいいかもしれない.

◆夜の┣┣" 撃ち —— 野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)のヴィジュアル評ゲラの修正.完全なる “解放” はまだ先のことだ.

◇本日の総歩数=8,152歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.95kg(+0.75kg) / 29.0%(−0.2%)

15 december 2020(火)※藤沢高座と大手町納会

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温は氷点下2.1度.西北西の風.昨夜は小雪がちらちら舞ったが,今朝の冷え込みも厳しい.今日は藤沢から大手町へと舞台が続く.先日つくったポークビーンズの豆がだいぶ煮崩れてきたので,朝餉は半斤トーストをくり抜いて, “芭蕉カレーパン” 風に.

◆藤沢お座敷へ —— 午前8時過ぎにTXつくば駅.藤沢駅に降りたのは午前10時過ぎ.駅ナカのスタバで今日の “紙芝居” を仕上げ,昨夜は息も絶え絶えだった Google Classroom にアップロードだん.いつもいつも滑り込み.今日のランチはいつもの〈湘南魚つる Hanare〉にて日替わり御膳.本日はカジキのステーキと牡蠣フライ.日大〈プレゼンテーション入門〉第5回高座はつつがなく終了.みなさん,おつかれさま〜

◆藤沢のあとは大手町へ.今夜は読売新聞読書委員会の大納会.この2年間の “お勤め” は長かったような短かったような.各読書委員のトーク.今季で退任する読書委員は6名.その後,32階の〈スエヒロ〉にて “距離” 保った懇親会.さらに,神保町〈ブックハウスカフェ〉にて二次会.午後10時半にタクシーで神保町を出て.秋葉原からつくば直帰.

◇本日の総歩数=10,875歩. 朝◯|昼○|夜×. 計測値(前回比)= 84.20kg(−0.70kg) / 29.2%(−1.2%)

14 december 2020(月)※最後の書評原稿を書く

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温0.9度.西北西の風.今朝の最低気温は氷点ぎりぎりの0.1度.朝餉は塩豚もも肉のポークビーンズと〈モルゲン〉食パンのトースト.週明けの観音台は乾いた冬晴れ.午前8時の気温は6.1度.

◆日中の┣┣" 撃ち —— ひたすら日大の紙芝居づくり.師走は毎週お座敷があるのでまったく時間的余裕がない.

◆[蒐書日誌]読売新聞大評が本日公開された:三中信宏「科学哲学の新たな到来 —— 統計学を哲学する 大塚淳著 名古屋大学出版会 3200円」(2020年12月6日)※書評本:大塚淳『統計学を哲学する』(2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 版元ページ).カギが外れましたのでどーぞ!

◆朝のうちはいい天気だったのに,午後になってヘンな空模様になり,夕方には小雨が降り始めた.最高気温は12.1度.夜になって急降下.今宵は大分から直送されてきた〈鷹来屋〉特別純米生鮭おりがらみを抜栓.冷え込む夜は暖かいも汁物とともに.

◆夜の┣┣" 撃ち —— Google が成仏しているみたいなので,明日の日大〈プレゼンテーション入門〉の講義スライドと実習課題は明朝に配布しますねー.

◆[蒐書日誌]野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)のヴィジュアル評を大手町にメール送信.これをもって2年間に及ぶ “書評執筆とらのあな” からワタクシは解放された.

◆小雪が舞い始めた@竹園.マジですかー.

◇本日の総歩数=2,219歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.90kg(+0.10kg) / 30.4%(+0.7%)

13 december 2020(日)※日曜にも紙芝居づくり

◆昨夜は紹興酒と白乾児の池を泳いで深夜につくば帰還.その報いで午前7時半よろよろ起床.晴れ.気温3.1度.

◆[蒐書日誌]読売新聞大評が紙面掲載されました:三中信宏「漂白された北極熊伝説 —— ホッキョクグマ 北極の象徴の文化史」(2020年12月13日)※書評本:マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ).

◆[蒐書日誌]読売新聞>本よみうり堂「12月20日(日曜)朝刊で紹介する予定の本」(2020年12月13日) ※ワタクシのヴィジュアル評担当本: 野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ).これにてワタクシの読売新聞読書委員としての2年間の舞台は幕となります.

◆ゆるゆる過ごした日曜の夕餉はキムチ炒飯を中心に回る.常陸野ネストビールの「だいだいエール」を抜栓.今日の日中は暖かかったが,明日からは “真冬” が攻め込んでくるとの予報.

◇本日の総歩数=2,424歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 84.80kg(+0.15kg) / 29.7%(−0.8%)

12 december 2020(土)※松戸の森でタイコ叩き

◆午前5時過ぎ起床.薄曇り.気温6.7度.北西の風.雲が広がる静かな朝はひさしぶりに茸の和風パスタを用意した.玉ねぎを菜種油でしっかり炒めて甘みを出す.ひらたけとあわび茸を投入し,生酛の日本酒とだし醤油で調味.仕上げに発酵バターを加えてもよし.皿に盛り付けてから水に晒した白ネギと揉み海苔をトッピング.

◆[蒐書日誌]登攀成就! —— 野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)※第 III 章「山菜・野草」読了.ゼンマイ・シドキ・フキ・ヨモギ・オオギバボウシ・イタドリ・ミズ・フジアザミ・クサギなど.食資源としての利用は群落遷移を考慮してきたとの指摘.近年は鹿・猪との競合激化./第 IV 章「茸」読了.茸民俗あれこれ.アカマツ林の松茸は今も高値で取引きされているが,海浜クロマツ林の砂地に生える松露はもう現代の食文化から消え去ってしまった.そして椎茸栽培に迫りくる猿害の深刻さ./第 V 章「海岸と採集」読了.海辺での採集物あれこれ(イワノリ・ヒジキ・マギ[巻き貝]・テングサなど).山と同じく海でも伝統的に乱獲防止と資源保全の制度が用意されてきたという指摘./第 VI 章「内陸小動物」読了.サワガニ食文化は知っていたが,ヒキガエルまで食べていたというのはかなり驚き.食用となるカエルはもちろんあるけど.どちらも「越冬民俗」と深く関わっているらしい./最終章「旅の終わりに」読了.これにて全700ページ登攀完了した.本書のヴィジュアル評は12月20日(日)紙面掲載予定.

◆松戸の森のタイコ叩きの本番.午後3時前に森のホール21に到着しステリハへ.奏者間の “ソーシャル・ディスタンス” が確保されていて,まるでマーラーでもやらかしそうなステージの広さ.管楽器以外はマスク着用で本番に望む.午後5時半に開場.集客が懸念されたが,それでも400名ほど入ったと後で聞いた.ステージから眺める客席は “市松模様” に見える.そして,ゲネプロよりもステリハよりも有意に音量が大きくなった〈白鳥の湖〉の本番が終わり,ワタクシはこれにてオリ番となる.お座敷のあとは八柱駅前の中華料理〈海華〉にて夜更けの呑んだくれ.どの料理も美味し.へろへろとつくばに帰り着いた.

◇本日の総歩数=10,152歩. 朝◯|昼○|夜×. 計測値(前回比)= 84.65kg(−0.65kg) / 30.5%(+1.2%)

11 december 2020(金)※急かねば事を仕損じる

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温1.4度.北北西の風.昨日は雨が降ったが,今日はカラカラ天気だろう.乾いた冬晴れの観音台.今朝の最低気温は0.5度まで下がった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 計量生物学会広報担当理事オンライン会議.演者のマウスがごりごりとすり鉢をこするような音が拾われている.サクッと終了.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 別府湯けむり巡業の出張伺と復命届を今日になって同時提出するという失態./なろに大分への出張経路を申告したときに,「なぜ県庁近くの大分市ではなくとなりの別府市に宿泊することになったのか」と訊かれたので,「だって別府には♨があるじゃないですかあ」と答えたワタクシに何一つ非はない(はず)./出張フライトは「eチケット」なのに半券を提出せよとの無理難題から始まり(これは搭乗証明書をダウンロードして解決),航空券の領収書だの宿泊証明書だのを次次と要求され,そのたびにじたばた往復する午後.

◆今宵の夕餉は下横場〈珍楽飯店〉のお持ち帰りチャーシューで,さくっと焼豚ごはん.よなよなエールとともに.必殺の “焼豚玉子飯” は絶対零度で封印されている.

◆[蒐書日誌]マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ)※その後も何箇所かの minor revision ののちやっと校了となった.

◇本日の総歩数=5,556歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 85.30kg(+0.25kg) / 29.3%(−0.6%)

10 december 2020(木)※新刊山脈が造山運動中

◆午前5時過ぎ起床.曇り.下界が濡れている.気温5.9度.北西の風.昨夜のポトフの残り野菜からほどよく甘味が出てきたので,野菜スープとして朝餉の食卓へ.灰色の雲が広がる観音台は冷え切っている.午前8時の気温は6.4度.西北西の風.

◆[蒐書日誌]今月に入ってから単調に積み上がっている新刊の山をそろそろリスト化しないと.呆然と見上げているのではなく,とにもかくにもリスト化するしかないよねえ.まずは前々回の大手町漁港の鮮魚リストから.

  1. 新井靖雄『雪の屋久島』(2020年11月1日刊行,言叢社,東京, 112 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-86209-082-9 → 版元ページ)※雪降る屋久島のモノクロ写真集.
  2. カルミネ・アバーテ[関口英子訳]『海と山のオムレツ』(2020年10月刊行,新潮クレスト・ブックス → 版元ページ
  3. マシュー・L・トンプキンス[定木大介訳]『トリックといかさま図鑑:奇術・心霊・超能力・錯誤の歴史』(2020年10月26日刊行,日経ナショナルジオグラフィック社,東京, 224 pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-86313-469-0 → 版元ページ)※降霊術・エクトプラズム・奇術などの歴史的写真が満載.
  4. ジェイムズ・ワイリー[大山晶訳]『ナチの妻たち:第三帝国のファーストレディー』(2020年11月10日刊行,中央公論新社,東京, 380 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-12-005351-1 → 版元ページ
  5. 川端裕人『「色のふしぎ」と不思議な社会:2020年代の「色覚」原論』(2020年10月25日刊行,筑摩書房,東京, 7 color plates + 348 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-480-86091-0 → 版元ページ
  6. 大塚泰介・嶺田拓也(編)『なぜ田んぼには多様な生き物がすむのか』(2020年10月30日刊行,京都大学学術出版会,京都, xx+328 pp., 本体価格3,600円, ISBN:978-4-8140-0285-6 → 版元ページ
  7. 大工園認『九州の稀少植物探訪 I:草本(早春~晩夏)編』(2020年9月25日刊行,南方新社,鹿児島, vi, 1-276, 8 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-86124-426-1 → 版元ページ
  8. 大工園認『九州の稀少植物探訪 II:草本(秋冬)・つる・木本編』(2020年11月25日刊行,南方新社,鹿児島, iv, 277-581, 17 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-86124-427-8 → 版元ページ
  9. 上野美千代『ヨーロッパの看板図鑑』(2020年11月22日刊行,光村推古書院,京都, 191 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-8381-0607-3 → 版元ドットコム

続いて,前回の大手町漁港の鮮魚リストから.この地曳網がワタクシにとっての最後の水揚げとなった.

  1. 石原あえか『教養の近代測地学:メフィストのマントをひろげて』(2020年11月25日刊行,法政大学出版局,東京, 8 color plates + 358 + 13 pp., 本体価格3,500円, ISBN:978-4-588-35234-8 → 版元ページ)※この新刊が出て,前著:石原あえか『近代測量史への旅:ゲーテ時代の自然景観図から明治日本の三角測量まで』(2015年9月25日刊行,法政大学出版局,東京, 9 color plates + viii + 259 + 75 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-588-37123-3 → 版元ページ)の買い忘れに気づく.
  2. 金子弥生『里山に暮らすアナグマたち:フィールドワーカーと野生動物』(2020年11月10日刊行,東京大学出版会,東京, xii+219+13 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-13-060241-9 → 版元ページ)※ “アナグマ愛” が行間からあふれてる.
  3. 乃南アサ『美麗島プリズム紀行』(2020年11月30日刊行,集英社,東京, 16 color plates + 318 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-08-781696-9 → 版元ページ)※大手町の漁港には “台湾本” が毎回かなりの頻度で集まっていた.前著『美麗島紀行』も発注済.
  4. ジャン・ボワヴァン[平野貴俊訳|小鍛冶邦隆日本語版監修]『オリヴィエ・メシアンの教 室:作曲家は何を教え、弟子たちは何を学んだのか』(2020年11月20日刊行,アルテス,東京, 668 + lxx pp., 本体価格8,000円, ISBN:978-4-86559-205-4 → 版元ページ)※〆のメシアンは750ページの “電話帳” だ.もうおなかいっぱい.
  5. 藤垣裕子(責任編集)『科学技術社会論の挑戦1:科学技術社会論とは何か』(2020年4月17日刊行,東京大学出版会,東京, xii+199 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-13-064311-5 → 版元ページ)※三部作の最初の巻.
  6. 藤垣裕子(責任編集)『科学技術社会論の挑戦2:科学技術と社会 —— 具体的課題群』 (2020年7月27日刊行,東京大学出版会,東京, xvi+248 pp., 本体価格3,500円, ISBN:978-4-13-064312-2 → 版元ページ)※三部作の第2巻.
  7. 藤垣裕子(責任編集)『科学技術社会論の挑戦3:「つなぐ」「こえる」「動く」の方法論』(2020年10月22日刊行,東京大学出版会,東京, xiv+243 pp., 本体価格3,500円, ISBN:978-4-13-064313-9 → 版元ページ)※そして,これにて完結.

—— 大手町漁港の現場からは以上です.ご恵贈本があと11冊もあるが,それはまた後ほどということで.(ぜいぜい……)

◆[蒐書日誌]野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)※第 II 部「根塊・鱗茎」へ.ヤマイモ・クズ・ワラビまではもちろん知っていたが,トコロとかキツネノカミソリになると異世界だ.有毒アルカロイドを含むキツネノカミソリの解毒アク抜きの手間が手間がぁ.キカラスウリ,ユリ,カタクリ,スミラ,ウバユリ,ノビル,ホドイモ,カシュウイモ,テンナンショウ.まったく未知の食材がわらわらと登場する.以上で,第 II 部「根塊・鱗茎」読了.

◆[蒐書日誌]マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ)※校閲部ディフェンスにしくじってしまい,手厳しい “ファクトチェック” をされてしまった.校閲部おそるべし.

◆外は曇りときどき小雨が降る空模様だったが,ずーーっと引きこもって本にまみれていたので,最高気温が11.8度止まりだったこともぜんぜん知らなかった.

◇本日の総歩数=4,369歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 85.05kg(+0.25kg) / 29.9%(+0.4%)

9 december 2020(水)※ウデ肉ポトフには新酒

◆午前5時前起床.曇り.気温7.6度.北西の風.朝のスペイン風オムレツが焼き上がりました.卵5個.直径15cm,厚さ4cm.中身は玉ねぎとじゃがいも.うすら寒い曇り空の農林団地は冷え冷えとしている.午前8時の気温は8.1度.北北東の風.今日は日中もほとんど気温が上がらないとの予報.

◆[欹耳袋]日大湘南キャンパスでのワタクシの高座〈プレゼンテーション入門〉は,やっと折り返し地点を過ぎて,残すところあと4回となった.学部1年生を相手にプレゼンテーションの講義をするというのは初めての経験.おまけに,コロナ禍による対面&オンラインのハイブリッド講義という初物尽くしだ.手慣れた統計の高座なら,これまでの経験と教材の蓄積があるので,もっと負担が少なかったのだろう.しかし,初物の講義科目だと一からつくりこんでいかないといけない.“ハウルの動く城” みたいなもので,ある回の高座をすませてから,次回の仕込みを新規に始めるという自転車操業が続いている.もちろん,事前に「シラバス」は登録してはあるのだが,実際の高座ではとても華やかに大規模修繕しているのが実情だ.しょせんシラバスはそんなものでしょう.現時点での〈プレゼンテーション入門〉の内容は,ワタクシのサイト〈噺座〈M〉の一本道〉で公開している.

いわゆるアカデミック・プレゼンテーションならば,たとえば:ジョナサン・シュワビッシュ[高橋佑磨・片山なつ監訳|小川浩一訳]『できる研究者のプレゼン術:スライドづくり、話の組み立て、話術』(2020年3月16日刊行,講談社,東京, 189 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-06-518724-1 → 版元ページ )のような良書がすでにある.しかし,必ずしも研究者を目指さない,しかも学部1年生を相手にしてプレゼンテーションの「何」を教えるのかは正直わからない.はっきり言えることがあるとしたら,それは PowerPoint によるスライド作成技法を学んだだけでは「人前でトークをする」覚悟は身につかないという点だろう.

そんなわけで,この〈プレゼンテーション入門〉講義を引き受けるにあたっては,前任者とはまったくちがって,スライド作成技法に関してはまったく教えませんと宣言した.ワタクシの唯一の仕事は人前でトークする心構えを受講生にしっかり教えることしかない.スライドの紙芝居は単なる脇役だ.聴衆にアピールする PowerPoint スライドのつくり方はもちろん役には立つだろう.しかし,ワタクシはスライドが使えなくなる “非常事態” —— たとえばPCがプロジェクターにつながらないとか,スライドの文字化けや乱丁,その他の不慮のフシアワセに遭っても,なお自分の “噺” をする覚悟を求める.

後半の残る4回では,受講生に PowerPoint でのスライド作成実習を予定している.まかりまちがっても壇上で「スライドを読む」ことは御法度だと理解してもらえるかどうか.ワタクシの大きな目論見は,慣れ親しんだ「読むトーク」の “補助輪” を外して「話すトーク」へと脱皮してもらうことだ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 研究倫理eラーニングが「未受講」とのお叱りのメールが届いたので,半月ぶりくらいにですくねっつに入ってみた.今までもたくさんeラーニングしたはずなのに,何だかまたまた増えている.よくわからないけど全部 “受験” したぞ.しらんけど.

◆[蒐書日誌]まだ読み終わらない書評本 —— 野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)※堅果に続いて,液果(ヤマブドウ,グミ,タブ)とソテツ.第一次世界戦後の琉球における「蘇鉄地獄」記事は虚偽であると(p. 273).有毒果実の解毒法は伝統的に確立されていたから.第 I 章「木の実」は以上でおしまい.まだまだ続く長い道のり.

◆今宵はいただきものの豚ウデ肉をポトフにしてみた.塩のみの調味による洋風おでんそのもののシンプルな味わい.この機会に〈つくばワイナリー〉の今年の新酒である無濾過赤ワイン「Tsukuba Primo Rouge 2020」を抜栓し,即座に空きボトルが転がった.

◆夜の┣┣" 撃ち —— マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ)の大評ゲラ修正.あとは校閲部のチェックを待つのみ.

◇本日の総歩数=3,910歩. 朝◯|昼○|夜△. 計測値(前回比)= 84.80kg(−0.35kg) / 29.5%(0.0%)

8 december 2020(火)※鯛やひらめが舞い踊り

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温1.6度.西北西の風.今日は藤沢お座敷の日なので朝から遠距離通勤だ.つくばエクスプレスの区間快速はいつから六町に停車するようになったのか?

◆藤沢は今日も晴天,魚が美味い.いつもの〈湘南魚つる Hanare〉にて景気づけに特上海鮮丼だ.

◆人気のない日大湘南キャンパスに暖かな日差しが降り注ぐ昼下がり.今日のプレゼンテーション入門は,LINEグループでスライドを共有しながら実習.この高座ももう4回目になる.今年はあと2回,そして年明けにもう2回.

◆[蒐書日誌]野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)の続きはシイ・マテバシイ,ブナ,クリ,クルミ.これら食阻害成分を含まない堅果の食利用と民俗について.まだまだ先は果てしない.

◇本日の総歩数=7,119歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)= 85.15kg(−0.65kg) / 29.5%(−0.4%)

7 december 2020(月)※立つ鳥書評書きまくり

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温1.7度.北西の風.一週間ぶりの観音台はさらに冬っぽくなっていた.午前8時の気温は3.0度.西風.出勤タイムカードは試行期間中なので,出勤簿のハンコ儀式も同時にやらないといけない.

◆[蒐書日誌]読売新聞ヴィジュアル評が本日公開されました:三中信宏「丸山宗利、吉田攻一郎、法師人響著「驚異の標本箱―昆虫―」 」(2020年11月29日)※書評本:丸山宗利・吉田攻一郎・法師人響『驚異の標本箱 -昆虫-』(2020年10月16日刊行,KADOKAWA, 東京, 159 pp., 本体価格4,800円, ISBN:978-4-0404-109434-1 → 版元ページ).

◆午前の┣┣" 撃ち —— マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ)の大評原稿を大手町にメール送信.12月13日(日)掲載予定.連日の書評書きまくり./ついでに,読売新聞読書委員としての最後の掲載になる「2020年の3冊」と「読書委員この1年」の原稿も送ってしまった.残務はどんどん消化していく./ワタクシの最後の読売新聞書評:野本寛一『採集民俗論』(2020年11月20日刊行,昭和堂,京都, xiv+707+xiv pp., 本体価格7,500円, ISBN:978-4-8122-1823-5 → 版元ページ)は12月20日(日)掲載予定のヴィジュアル評.まだ200ページしか読んでいないので,必死のパッチで読まないと.

◆読売の書評原稿を見送ったら,入れ違いに大量の豚肉(もも肉・ウデ肉・白モツ)が研究室に着弾した.これでもう夕餉のメニューは決まったも同然かも.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 豚肉が居室に飛び込んできたと思ったら,年の瀬の査読依頼1件がこれまたいきなり飛び込んできた.

◆会津〈ひぐらし農園〉の新鮮な白モツをいただいたので,夕餉は「スタミナ丼」にトライ.最初は腸間膜が付いたままの1.5m長さの “腸” そのものだったが,牛乳に浸したのち,3回の茹でこぼしでしっかり下準備した.ガーリック風味のやや辛めの調味.付け合せはもやしとニラの柚子スープ.

◇本日の総歩数=4,247歩. 朝◯|昼○|夜○. 計測値(前回比)= 85.80kg(+0.35kg) / 29.9%(−0.5%)

6 december 2020(日)※ゆるゆると過ごしたい

◆午前6時半起床.晴れ.気温1.2度.北西の風.昨日は終日冷たい雨が降ったりやんだりして,最高気温も7.3度どまりという真冬の冷え込みだった.それに比べれば今日はだいぶ暖かくなるとの予報.

◆[蒐書日誌]読売新聞大評が紙面掲載された:三中信宏「科学哲学の新たな到来 —— 統計学を哲学する 大塚淳著 名古屋大学出版会 3200円」(2020年12月6日)※書評本:大塚淳『統計学を哲学する』(2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 版元ページ).話題の本をすばやく書評した.

◆[欹耳袋]Togetter -「【大学図書館からのお願い】図書館の本には絶対に付箋を貼らないでください。文字が取れてしまいます。」※この “文字剥離現象” をまだ知らない人は一度見ておくといいでしょう.紙質によっては見事に剥がれてしまうから.ワタクシも過去の手痛い経験があり,そのいくつかはツイートしたことがあります.紙が変質しかかっている本あるいはもともと紙質が劣悪な本だと,文字剥離現象は再現可能です.

◆[蒐書日誌]読売新聞>本よみうり堂「12月13日(日曜)朝刊で紹介する予定の本」(2020年12月6日)※ワタクシの大評担当本:マイケル・エンゲルハード[山川純子訳]『ホッキョクグマ:北極の象徴の文化史』(2020年8月5日刊行,白水社,東京, 345 pp., 本体価格12,000円, ISBN:978-4-560-09746-5 → 版元ページ).任期の最後になって毎週書きまくっている.

◇本日の総歩数=2,938歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)= 85.45kg(+0.10kg) / 30.4%(+0.9%)

5 december 2020(土)※冷雨に濡れる白鳥の湖

◆午前7時半のろのろ起床.気温3.3度.北西の風.

◆朝からずっと冷たい雨が降り続いている.正午の気温は5.8度と真冬並み.昼餉は「熱々酒粕パスタ」を試作してみた:

「熱々酒粕パスタ」【食材(2皿分)】大根(1/4本)・里芋(2個)・にんじん(1/2本)・赤たまねぎ(1/2個)・なす(小2個)・にんにく(1片)・酒粕(200g)・タリアテッレ(200g)・ペコリーノ(30g)・パルミジャーノ(50g)・EVオリーヴオイル(適量)【調味料】コンソメ顆粒(小さじ2)・黒胡椒(粉・適量)・ネパール山椒(ホール・数粒).

  1. 大根と里芋は皮をむいて乱切り,なすは皮付きのまま乱切り,にんじんはいちょう切り,赤玉ねぎは輪切りにする.にんにくは皮をむいてまるごと.
  2. 土鍋に水800ccとコンソメ顆粒を入れて沸かし,1 の野菜類をすべて投入する.沸騰したら弱火にする.
  3. 野菜類に火が通ったら酒粕とネパール山椒を投入する.
  4. ふつふつしてきたら,ペコリーノ・ロマーノとパルミジャーノ・レッジャーノをすりおろして投入する.
  5. タリアテッレは時間通り茹であげ,オリーヴオイルと絡めて深皿に分ける.
  6. 4 が冷めないうちに熱々の 3 をたっぷりかけ,黒胡椒を振ってできあがり.

酒粕と粉チーズは多めに.どろどろするくらいの濃さがタリアテッレとちょうどいい絡み具合になる.

レシピ公開 → het dagelijkse keukenleven「熱々酒粕パスタ」|クックパッド「熱々酒粕パスタ」.

—— 寒すぎる週末にこんな料理をひねり出してみたが,酒粕だけでは熱量がいささか足りないので,香取・寺田本家の自然酒〈五人娘〉生酛の抜栓の儀.常温でもいけるが,燗だと酸味がぴきぴき立つ.お燗の季節ですな.

◆今宵は夜のお仕事.松戸にて太鼓連打.本番は来週土曜日:松戸シティフィルハーモニー管弦楽団第42回定期演奏会(創立40周年記念).2020年12月12日(土)@松戸・森のホール21(大ホール)

◇本日の総歩数=8,223歩. 朝◯|昼○|夜×. 計測値(前回比)= 85.35kg(+0.65kg) / 29.5%(−0.2%)

4 december 2020(金)※大分県庁お座敷千秋楽

◆午前5時前に目が覚めて,まずは朝風呂へ.二度寝してのろのろ起床.晴れ.気温は氷点下2.5度と冷えまくり.昨夜は北風が強かったが今は収まっている.〈山田別荘〉の露天風呂.奥に「湯雨竹」が設置されている.

◆大分市はすっきり青空.統計研修最終日は GLM と GLMM についての解説と実習から始まる.続いて,多変量解析の解説と実習.統計研修最後のランチは府内町〈ほとじま〉にて.今日の日替わりのまぐろカツ定食が大人気.ここ数年は,大分県庁お座敷に呼ばれるたびに〈こつこつ庵〉→〈新華園〉→〈ほとじま〉というランチ巡回コースがほぼ固定されている.昼食後は県庁展望ホールから別府湾を一望する.今日は良き日和である.

◆午後1時から質疑討論と統計コンサルティング.午後3時過ぎに研修修了.みなさん,たいへんお疲れさまでした.今回の統計研修はリアル対面高座となったが,朝から夕方まで長時間にわたって,「マスク&フェイスガード」でがちがちに締め上げられたため,極度の “酸素不足” による全身疲労がとてもこたえた.さながら “緊箍児” のごときこのコロナ対応策では長いお座敷はとてもつらいものがあった.

◆まことに残念なことに,お座敷がはけたとたん,大分空港からつくばに強制送還されることになりました.残念無念なり.さよなら大分,また来て別府.

◆復路のナイト・フライトを経て,午後11時につくば帰還.ひさびさの巡業旅であった.

◇本日の総歩数=12,759歩. 朝◯|昼○|夜−. 計測値(前回比)= 未計測 / 未計測

3 december 2020(木)※一年ぶり三つ目が通る

◆午前5時起床.まずは内湯で朝風呂を.極楽〜.朝風呂のあがりに:大塚淳『統計学を哲学する』(2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 版元ページ)の大評ゲラの修正箇所を確認.これで大丈夫かな.檄飛ばすぞ.

◆午前6時半に開く近場の共同湯〈春日温泉〉へ.敷地の真下に源泉があり,熱湯が湯舟を直撃するので,朝イチの入湯のときは要注意(明礬温泉〈鶴寿泉〉ほどの激アツ必殺ではない).夜明け前の早朝から女湯は賑わっているが,男湯は静寂の温泉空間だ.ビジターは “お賽銭” 100円を忘れずに.

◆朝日を浴びる〈山田別荘〉.右手の洋館風の部屋で朝食.万物に降り注ぐかぼすは当然お皿に乗っている.窓の向こうには別府のシンボルである「別府タワー」がそびえ立つ.北浜らしい朝のひととき.

◆別府湾をぐるりとまわって出勤.大分市内は今日も晴天.統計研修2日目は実験計画法のR実習から始まっている.まずは昨日の続きで多重比較の解説と実習,そして乱塊法.

◆毎年たくさんのフォロワー諸氏が心待ちにしている写真を今年もお見せできる.今日のランチは中華料理店〈新華園〉の「焼豚玉子飯(大盛り)」.かぼすをたっぷりしぼっていただく.女将さんが横から覗き見して「きれいに撮れとる」と一言.さあ,熱いうちにどうぞめしあがれ.

◆午後は乱塊法演習,モデル選択論の解説と演習.午後4時過ぎ,二日目の統計研修終了.ふぅ〜.マスクした上に,フェイスガードを装着するというのは,確かに “酸素不足” になる.例年になく疲労するのはそのせいかもしれない.明日は最終日.

◆夜の別府北浜へ.つめたい北風が吹く暗闇をたどる.〈あかい華〉で白熊が燗酒に浸かり,〆は〈チョロ松〉のそば入り鴨吸い.コロナ禍のせいで外国人観光客がまったく来なくなったとのこと.

◇本日の総歩数=10,515歩. 朝◯|昼△|夜×. 計測値(前回比)= 未計測 / 未計測

2 december 2020(水)※別府から大分県庁出勤

◆午前5時起床.気温は氷点下1.9度.つくばより寒い! 晴れ.南西の風.「九州だから暖かい」という誤った先入観は,毎年,師走のはじめに別府に来るたびに打ち破られる.大分空港が吹雪いていた年もあれば,鉄輪の坂道が積雪で凍りついていた年もある.大分は寒い.別府はもっと寒い.だから♨.

◆別府に来るたびに毎年欠かさず買っていた『別府八湯温泉本』だが,JR別府駅の書店で訊いたところ今年の「2020〜2021年版」はコロナ禍のせいで未刊行とのこと.残念無念.

◆鉄輪の温泉街には共同湯が点々と散らばっている.みゆき屋旅館の近くにある〈すじ湯温泉〉もそのひとつ.竹を用いて源泉を無加水冷却する〈湯雨竹〉装置のミニチュア版が見える.外来利用者は “お賽銭” を投げて入湯.半地下の伝統的な湯舟.小鹿田焼のお皿が無造作に置かれている町並み.

◆出がけに女将さんから地獄蒸し卵をもらった.ほかほか.路線バスで別府駅へ.モバイルSUICAが急に使えなくなったとか,駅のコインロッカーが詰まったとか,ささやかなフシアワセを物ともせず一路大分へ.午前9時過ぎには大分県庁新館13FのOAプラザにたどり着いた.

◆今日から三日間の統計研修.大分市内はいい天気.まずはデータ可視化の解説から始まり,Rの起動を確認.やっぱり最新版はインストールできなかった模様.大分城はなかなか攻略できないな.

◆お昼休み.市内は薄曇り.今日のランチはゆるぎなき〈こつこつ庵〉へ.さらに店内がきれいになっていて,錆びついた昭和の看板たちとBGMモダンジャズの異次元感がありあり.「だんご汁定食」を注文.森羅万象にくまなく降り注ぐカボスは大分の鉄の掟.

◆午後の高座はパラメトリック統計学,モデル,自由度,分散推定などなど.正規分布帝国へ.そして実験計画法.

◆長時間マスクとともにフェイスガードを装着するというのはそうとう息苦しいことが判明した.研修初日が終わってよろよろと大分駅へ.別府に降り立ち,まずは定宿の〈山田別荘〉にチェックイン.お客さんは少なそう.露天風呂の後,今宵は〈大和田鮨〉へ.〈鷹来屋〉純米吟醸に煮たこから始まる夜.続いて,関さばと関あじのおつくり.赤なまこの酢の物には臼杵の〈一の井手〉純米吟醸.最後にお寿司でおしまい.予約客で満員御礼という盛況ぶり.

◆今日は早めに寝ないと.

◇本日の総歩数=9,021歩. 朝△|昼○|夜×. 計測値(前回比)= 未計測 / 未計測

1 december 2020(火)※別府湯けむり巡業の旅

◆午前4時半起床.晴れ.気温3.2度.西北西の微風.師走の夜明け前はきりきり冷え込んでいる.旅立ちの朝.西の空に沈んでいく大きな満月を遠くに見ながらつくば駅へ向かう.気温はすでに2.0度まで下がっている.TX車中で師走の最初の月例アナウンスを各メーリングリストに流す.

◆午前8時の羽田空港第1ターミナル.平日の朝早い空港はさすがにガラ空き.思い起こせば羽田から飛ぶのは今年1月いと遠き大学に出張して以来なのでほぼ10ヶ月ぶりのことか.

◆[欹耳袋]毎週の講義をオンラインでやるのは意外にハードルが低い.とりわけ,相手の “顔” が見えなくても,高座のお勤めにはぜんぜん差し支えがないというワタクシのような人間にとっては.しかし,オンライン集中講義は長時間のネットお座敷を “牽引” するだけの経験とスキルが必要になるだろう.

まずは,通常の定例講義よりも,オンライン集中講義では「こまめに休憩を取る」ことが講師側に求められる.高座中の講師は “ハイ” になっていて疲労を感じないので,ついつい休みなく長丁場を演じてしまいがちだが,聴いている客はこちらが想像する以上に “聴き疲れ” している.目安としては「50分講義+10分休憩」というインターバル化がよさそう.休憩のときは講師側もカメラオフにする.楽屋休憩タイムみたいなもの.

ワタクシの経験では休みすぎるくらい休んでちょうどいい具合.全日のオンライン集中講義であれば昼休みもシエスタくらい長く取る.これだけ休んでやっと朝から夕方まで噺をし続けられる.

先日の北大オンライン集中講義でも感じたことだが,オンライン高座の大きな利点のひとつは “現物” を受講生に指し示せる点.ワタクシの場合は原書や原典など本ばかりだが,モノを示しながら噺を進められるのは遠方でのリアル高座では実現できない.

—— オンラインお座敷は数々の短所はあるのだが,リアルお座敷では得られない長所もあるのでそれは素直に評価したい.

◆大分行きのJALは10:00発.定刻通り正午前に大分空港に着陸した.空港バスで別府北浜バスセンターまで.早い時間帯のせいか,道路混雑は気にならなかった.

◆一年ぶりの別府〜♫•*¨*•.¸¸♪ 別府〜♫•*¨*•.¸¸♪  駅前の油屋熊八は,例年なら “折田先生像” みたいにあれこれ着せ替えられているのだが,今年は地のママだった.まずは〈とよ常〉別府駅前店にてささやかな天丼をいただき,その後,小谷酒店にて “弾薬” をつくばに発送.別府に来るたびに毎年欠かさず買っていた『別府八湯温泉本』だが,JR別府駅の書店で訊いたところ今年の「2020〜2021年版」はコロナ禍のせいで未刊行とのこと.残念無念.

◆平日の静かな北浜の街ナカをうろうろしたのち,路線バスで鉄輪へ.鉄輪はいたるところ大地のパワーが炸裂している.温泉だけでなく道路からも溝からも “気合い” がビシビシと伝わってくる.今宵の宿は貸間旅館〈みゆき屋〉.鉄輪にはこういうタイプの旅館がたくさんある.

◆[別府鉄輪]湯舟の中から:大塚淳『統計学を哲学する』(2020年10月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, iv+242 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-8158-1003-0 → 版元ページ)の大評ゲラの修正を大手町にメール送信.

◆明日からは大分県庁にて,大分県農林水産研究指導センター主催「数理統計研修(基礎編)」の講師を務める.

◇本日の総歩数=12,867歩. 朝◯|昼△|夜×. 計測値(前回比)= 84.70kg(+0.35kg) / 29.7%(−0.4%)