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日録2011年5月 


31 mei 2011(火)※月末はひさしぶりに五月晴れに

◆午前4時半起床.いきなりゆらゆら揺れた.久しぶりの余震.曇りところどころ晴れ.もう朝日がのぼってきた.気温は13.8度.北寄りの風.午前8時,早朝は青空がのぞいていたが,今は曇っている.気温14.9度.北風が強いので体感的には肌寒い.

◆朝のごまめ┣┣" ども —— 今月も今日でおしまい.諸方面,年貢を納めることができるか.青空が広がってきた.東大の連携講座に関する打合せとか,メーリングリストのアドレス登録とか,明日配信する月例アナウンスとか,ごまめのごとき┣┣" どもを一掃処分する.連携講座教員の打ち合わせは6月2日(木)10:00からと決まった.

◆[進化思考]本日の余響:M氏の幸福研究室「代休をもらって」(2011年5月27日).※ありがとうありがとう〜.

◆ランチ後の昼休みは周囲徘徊タイム.今日の昼休みは風が涼しくてとても爽快.やや雲は多いがいい天気だった.

◆[蒐書日誌]「民族」の時空的な同一性と変化性の観念 —— 小坂井敏晶『増補・民族という虚構』(2011年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫],東京,362 pp., ISBN:978-4-480-09355-4 → 版元ページ初版書評).本論についてはすでに初版の書評として公開した.今回,文庫化に際して追加された「補考 虚構論」(pp. 295-331)を読んだのでその感想を少しばかり記す.本書が全体としてターゲットとしているのは,「そもそも民族は存在するのか,また存在するなら,それはどのような意味においてなのかという根本的な問い」(p. 5)である.本論では,本質をもたないにもかかわらず時空的に同一な「民族」という観念がどのような社会心理的背景のもとに維持されてきたが論議されている.

それに対して,この補考では時空的な「同一性」とともに「民族」観を構成するもうひとつの要素である「変化」に目を向けている.

民族をはじめとする,様々な集団は頭の中にあるのか,それとも外部の実在物なのか.しかし,この二者択一的問いは,それ自体まちがっている.(p. 296)

同一のモノあるいは集団が変化したと認知されるためには,異なる複数の事象が同一化される必要がある.我々の世界は,数限りない断続の群れから成る.しかし,他者との相互作用が密かに生み出す虚構のおかげで,民族の連続性が錯覚される.(pp. 299-300)

民族の同一性は「虚構」である主張する著者は,時空的な変化にもかかわらず同一性が認知される理由を考察している.そこでは明示的に形而上学への言及があるわけではない.しかし,「民族」にまつわるこのような論議は,存在の時空的同一性に関して現代の形而上学が考察していることと大きく重なっているにちがいない.

時空的な変化を論じるにあたり,著者はダーウィンやラマルクの進化学説をとりあげている.生じる変化が合目的なのかそれとも偶然にすぎないのかという論争は,生物進化の研究分野では繰り返し起こってきた.しかし,時空的に変化する実体としての「民族」という観念にとっては,彼ら進化学者たちによる進化プロセスの仮説よりも前に,民族なるもの(それが「虚構」であったとしても)が世代を越えて存続しているという「系譜」パターンの共通認識が基礎にあるように思われる.進化思想が広まるはるか前から,系譜学的思考は人間社会の中に浸透していた.民族という社会学的な観念が成立する文脈と背景を論じる本書は,あえて生物学や進化学をもちだすまでもなく,社会学史としてこれまで研究されてきた民族・氏族・家族に関わる系譜学的思想との関連付けを強調した方がよかったのではないだろうか.

「あとがき」のなかで著者は:

世界は夥しい関係の網から成り立ち,究極的な本質は,どこにもない,しかしその関係こそが,堅固な現実を作り出す.(p. 334)

述べている.生物学における【種】の問題は,本書が論じる「民族」と同じく,その実在性に関する形而上学的論争が長年続いている.著者が言う「関係性」に着目しつつ【種】問題へのアプローチを取る研究者も確かにいる.それとともに,関係の「網」が現実を作り出すという表現は動的分類学を提唱した植物学者・早田文蔵の思想を髣髴とさせる.早田は華厳経の教義に啓発されてネットワーク分類という理念に到達した.それは本書の随所に見られる仏教的な世界観や形而上学ととてもなじみやすいように感じられた.

◆北風が吹きまくる昼下りの┣┣" 撃ち —— 今週の農大「三点セット」を作成完了./時事通信社から配信される書評原稿を書き終える:ブライアン・スウィーテク[野中香方子訳]『移行化石の発見』(2011年4月10日刊行,文藝春秋,東京,428+ xvii pp.,本体価格2,095円,ISBN:978-4-16-373970-0 → 版元ページ).やや煽り気味な文体が気になるが,化石記録の重要性とそのおもしろさを象徴するエピソードが随所に配置されていて最後まで読者を飽きさせない./来週の新宿でのお座敷のしたくを始める.とりあえず,スライドとハンドアウトから始めよう.事務的な連絡メールへの返信もしないと.

◆[欹耳袋]カレントアウェアネス・ポータル「近世オランダのデジタル化資料のデータベース“Early Dutch Books Online”公開」(2011年5月30日).

◆午後4時半に撤収.午後になって北寄りの風が強まってきた.夕方になって急に寒くなった.午後5時の気温が12.9度で,東風5メートル.瞬間的には10メートルを越える冷たい風が吹いている.曇って寒いねー.明日から衣替えの6月に入るとはとうてい信じられない.夕方,晦日の取立てよろしく原稿の督促をしてみる(ごめんなさいごめんなさい).

◆本日の総歩数=8496歩[うち「しっかり歩数」4495歩/43分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.2kg(−0.3kg)/29.0%(+0.3%)


30 mei 2011(月)※台風一過の青空が広がる昼下り

◆午前4時過ぎ起床.一晩中ごうごうと風が吹き,雨が降り続いたがやっと空が明るくなってきた.気温16.4度,北東風4.7メートル.まだときどき雨粒が落ちてくる.その後もざあざあちと降ったりまた止んだり.東京アメッシュを見るとこれからも大きな雲の塊が茨城に到達する気配だ.居室の窓を全開にして湿った空気を通してみる.

◆月末の朝のメタな┣┣" 撃ち —— 雨はいったんやんではまた降るを目まぐるしく繰り返している.午前9時,来月の┣┣" 撃ちリストと段取りカレンダーの更新完了.それとあわせて,出張伺・年休届・兼業願の月始め三点セットを書いているところ.

◆[欹耳袋]自分の書評をいま初めて見た —— 三中信宏「光と影のメイキング・オブ・ミュージアム」書評 − リチャード・フォーティ[渡辺政隆・野中香方子訳]『乾燥標本収蔵1号室:大英自然史博物館 迷宮への招待』(2011年4月25日刊行,NHK出版,東京,451+10 pp. +32 color plates, 本体価格2,500円,ISBN:978-4-14-081473-4 → 目次版元ページ).日経サイエンス,2011年7月号,p. 108.

◆[欹耳袋]StackExchange〈Cross Validated〉: a collaboratively edited question and answer site for statisticians, data analysts, data miners and data visualization experts.こういう統計質問コーナーがあるのか.

◆ターミネーター┣┣" の降臨 —— この7月末に地球のウラ側のサンパウロに行く予定で,いまその大会サイト〈Hennig XXX〉を確認したら,早期登録締切と要旨締切がどちらも「今日」になっていて,いささか現実逃避気味.しかし,こればっかりは御無理御尤もで逃げようがない.10時過ぎ,早期参加登録とアブストラクト送信ほ完了.ポルトガル語で参加費送金のやり取りをするのはスリル満点だ.PayPal口座を前に作っておいて助かった(中南米とのお金のやり取りは綱渡り).とりあえず緊急の大┣┣" 一頭を仕留めてほっとしている.ここ何回かは系統学的多様度の講演をしてきたが,今回の Hennig Society Meeting では分岐学の歴史と哲学についてのトークをしてくる予定(→大会シンポジウム予定).

◆昼休み.ようやく西の方から空が明るくなり,雲の切れ目から青空が見えてきた.北寄りの風が吹いている.正午の気温は17.9度.

◆[蒐書日誌]ベイジアンの勝利? —— S B Sharon Bertsch McGrayne『The Theory That Would Not Die: How Bayes' Rule Cracked the Enigma Code, Hunted Down Russian Submarines, and Emerged Triumphant from Two Centuries of Controversy』(2011年4月刊行,Yale University Press, New Haven, ISBN:9780300169690 → 版元ページ).即座に,オルコック『社会生物学の勝利』とかギゼリン『ダーウィン的方法の勝利』を連想してしまった.ベイズ法の基本綱領が「万物の確率化」にあるとしたら,もともと確率化されえない現象は目に入らないかあるいは強硬突破するということか.「ベイズの定理」は数学であっても,「ベイズ主義」は認識論であるから,両者を混同すべからずと蕎麦センセはいつも言う.ベイズ主義の“世界観”はけっしてニュートラルではないとワタクシは考える.参照 → S. B. マグレイン「ベイズ規則の応用広がる」日経サイエンス2011年7月号,pp. 20-21.

◆天候回復の昼下がり┣┣" 撃ち —— 午後2時過ぎ,やっと陽光が射し込んできた.しかし北風が強い.来月分の月始め「三点セット」を提出完了.手書きの事務書類は時間がかかる./ブラジル出張の申請書を忘れずに.

◆台風一過のみごとな夕暮れですなあ.それにしても10メートルを越える北風が強すぎる.台風2号崩れの温帯低気圧はすでに東に抜けているので,その吹き返しだろう.

◆[欹耳袋]しょぼい系統樹を専門家に見せると逆上される件 —— 先日,とある出版社から近刊本の巻末に載る系統樹のチェックの依頼を受け,昨日その返事を返したところさらに質問があった.個別分類群のことだったので,念のため知人に確認してみたところ,即刻「ダメだし」が出て,「いきなり┣┣"」の出現とあいなった.相手は系統樹ではあるのだが,問題点は要するに最高次ドメインの分け方とそれに連なる主要分類群の名称だった.いくつか参考資料を送ってもらいつつ再検討.根元部分の branch swapping と樹形の再構成を編集部に進言してやっと┣┣" から解放された.

「分類」の問題は研究者間ではこのようにいつでもすぐさま炎上するのだが,今回の本の場合は,想定される読者対象が小学生で(全ページに「ふりがな」がふられている),「系統」をどれくらい噛み砕いて説明できるかというもうひとつの問題が浮上する.とくに,系統樹の「枝」を規約(PhyloCode)に基づいて命名するという phylogenetic taxonomy は(子どもだけにかぎらず)一般人にとってどこまで浸透するのかと訊かれたら,ワタクシ的にはかなり悲観的な見解に傾いている.分岐学の宿命みたいなもの.できのいい認知分類体系がけっきょくは生き残るような気がしてならない.David Hull みたいに,科学帝国主義を押し通して,そういう分類体系をもって一般社会を洗脳すればいいのだという強硬意見もあるのだが(ワタクシはそれには与しない).

◆本日の総歩数=4309歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.5kg(+0.4kg)/28.7%(−0.2%)


29 mei 2011(日)※雨降る午後にレクイエムを聴く

◆午前4時半起床.相変わらず雨が降り続いている.気温は17.7度.北東の風が吹きこんで涼しいように錯覚するが,湿度が高いので油断は禁物.窓を締め切ると不快指数が急上昇する.ごそごそ動くと蒸し暑い.

◆[蒐書日誌]P. L. Nimis and R. V. Lebbe (eds.)『Proceedings of Tools for Identifying Biodiversity: Progress and Problems, Paris, September 20-22, 2010』(2010年刊行,Edizioni Università di Trieste, Trieste, xiv+455 pp., ISBN:978-88-2303-295-0 → 公開サイト).昨年パリの国立自然史博物館で開催された生物多様性情報学会議の議事録.ウェブ版の公開とともにpdf版(→サイト: 34MB)もダウンロードできる.

◆雨雨降れ降れ,原稿書け書け —— 雨がざあざあ降り続く午前中,気温は18度前後を推移している.涼しくて蒸し暑い.「原稿をもっと書け」との天の声あり.とりあえず,勁草書房の原稿ひとつを読んでコメントを返した./依頼されていた某近刊の系統樹のチェックを完了したので,編集部に返信完了./先日はダメだったが,いま再トライしたら R-2.13.0 のRコマンダーがちゃんと起動した.よしよし.もうちょっとようすを見てから本格的に移行しよう.

◆[欹耳袋]そーか,この雨の中,本郷では〈五月祭〉をやってるんだ.梅雨のさなかの五月祭もめずらしいけど,うらうらぁ〜っ!ということで,がんばってください./YOMIURI ONLINE記事:「貴重な新種含む昆虫標本6万点焼失」(2011年5月29日12時18分).※燃えてなくなったらオシマイじゃないのー.

◆雨降る午後はレクイエム —— 午後2時からノバホールにて大震災チャリティー演奏会.つくば古典音楽合唱団によるモーツァルト〈レクイエム(抜粋)〉,続いてピアソラ,ヒナステラ,ガーシュインなど.休憩時間にロビーで〈コーヒー・ファクトリー〉が店を出していたのでしばし珈琲充.その後,帰宅.風雨が強まっていて傘がぜんぜん役に立たない.

◆[蒐書日誌]小坂井敏晶『増補・民族という虚構』(2011年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫],東京,362 pp., ISBN:978-4-480-09355-4 → 版元ページ).「補考 虚構論」(pp. 295-331)が追加されている.著者とはうまく予定が合えば今年の夏にはじめてお会いすることになっている.初版:小坂井敏晶『民族という虚構』(2002年10月10日刊行,東京大学出版会,東京,viii+201+3 pp.,本体価格3,200円,ISBN:4-13-010089-0 → 書評目次版元ページ).

◆台風2号崩れの温帯低気圧が関東接近中 —— 午後からしだいに風雨が強まってきた.大雨警報も発令された.〈東京アメッシュ〉を見ると雨雲の錦繍が時々刻々と変化しながら関東地方を通過していることが見て取れる.午後6時の気温は17.6度で,北東風が6メートル.これから夜半にかけて雨も風もまだまだ強まるにちがいない.午後7時,いまの雨の降り方と風の吹き方はいかにも「台風でござい」という感じ.温帯低気圧に格下げされても,出自は隠せない.午後9時,雨足は弱まってきたようだが,北東風が瞬間的に15メートルを越える強さ.換気ダクトから空気が逆流している.びゅーびゅーと吹き返す風.雨足は強くなったり弱くなったり.

◆そろそろ来月の┣┣" 撃ちリストをつくらないといけないな.あわせて出張伺・年休届・兼業願の月始め三点セットを提出すること.段取りカレンダーへの記入も必要.

◆本日の総歩数=658歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.1kg(+0.3kg)/28.9%(+0.3%)


28 mei 2011(土)※小雨が降り続く蕎麦喰いの道程

◆午前4時過ぎ起床.関東地方はきのう梅雨入りしたので,心置きなくざあざあ降ってくれる.気温は16.6度.台風2号が週明けに関東に接近するらしい(心配してもしかたないけど).この週末はイベントなしなので原稿をちょいとものしましょうか.

◆[欹耳袋]いまはシアワセかも —— 学会でのプレゼンがノートパソコンを使用するパワーポイントが主流になった現在,大会一週間までに写真屋に原稿を出さないと「ブルースライド」が間に合わないとか,大会前日に「OHP」のプリントアウトをしないとアウトとかいうかつてのエピソードはすべて昔話になってしまった.パワポみたいなPCスライドウェアって,マジで発表直前(分単位で)まで演者がじたばたできるわけで,こんなシアワセな時代がやってくるとは予想もしなかったなあ.学会会場の発表直前という非常事態でさえなんとかなる……(冷汗).

◆午前10時,雨はいったん上がって空が明るくなってきた.しばらくは曇り空のままかな.気温は18.9度.北東風が吹いている.フォロワー数が「2,500名」に達した.感謝感謝また感謝.

◆[欹耳袋](昔話)今でこそあまたのカレー屋がひしめくようになったが,1970年代の神保町界隈でカレー屋といえば,喫茶〈さぼうる〉から続く狭い横丁の先にあった〈VANカレー〉しか思い浮かばない.その後,1980年代に〈カレーハウス・タカオカ〉という名前に変わったが店の中身は同じ.テーブルごとに置かれたキャベツのコールスローサラダを山のように食べた記憶がある.もちろん今はないお店.靖国通りを挟んだ向かい側には〈共栄堂〉はあったにちがいないが,当時はまだ行ったことがなかった.

◆鬼怒川のほとりの〈竹やぶ〉にて —— 早々と梅雨入りしてしまった関東地方.つくばを出てくるときは曇りだったが,乗っているうちにしだいに雨が降りだした.今日のランチは守谷まで蕎麦をいただきに車でひとっ走り.行き先は〈鬼怒川・竹やぶ〉.鬼怒川のほとりにあるこの蕎麦屋は,メインの道路から細い道をうねうねと川べりまで降りていく.こんなところに店があるのかという川岸近くにエントランスがあった.静かな店内は全面ガラス張りで,鬼怒川の流れが一望のもとに見渡せる.今日はダメだったが,晴れていれば鬼怒川の向こうの遠景に富士山が望めるらしい.何というぜいたくなロケーション.

「竹やぶ」といえば柏に本店がある〈竹やぶ〉系列が思い浮かぶが,ここ〈鬼怒川・竹やぶ〉は〈竹やぶ・柏本店〉からの暖簾分けだそうだ.柏本店には一度だけ行ったことがあるが,店構えといいインテリアといい,まさに「別世界」の蕎麦屋.それと比べると〈鬼怒川・竹やぶ〉は野趣あふれるという形容がぴったりかもしれない.

まずは玉子焼きを注文.蕎麦屋で出されるだし巻きってどーしてこんなにおいしいのかといつも思う. 夜だったら日本酒をお供させたいところだが,真昼間なのでそうはいかない.メインは田舎そば(写真右).真っ黒でしかも細切りの蕎麦は歯ごたえがあって食感がとてもいい.追加で(メニューには「汁なしそば」と書かれている)で「せいろそば」も注文した.こっちはやや太めの白いそば.ポタージュのように濃厚な蕎麦湯がもう美味しくて.

—— 昼下りの空いている時間帯だったせいか店内には静かな時間が流れていた.週末くらいこういう落ち着いた食事タイムを満喫したいものだ.

◆[蒐書日誌]新島繁『蕎麦の事典』(2011年5月刊行,講談社[講談社学術文庫],東京,ISBN:978-4-06-292050-6 → 版元ページ).実にグッドタイミングな新刊.先日,千駄木の往来堂書店の平台に並んでいた.

◆午後3時前につくばに戻ってきたら,小雨が降ったりやんだりだった.気温こそ19度台だが湿度が高いので動くと蒸し暑い.洞峰公園の〈モルゲン〉に寄ったら食パン以外きれいに売り切れていた.焼きたての食パンを小脇に抱えて,〈コーヒー・ファクトリー〉向かい側から二の宮公園に抜けるケモノ道を北上して帰宅.傘をささなかったので濡れてしまった.

◆小雨が降り続く竹園.今夜の夕餉はロコモコにすることを自分会議で即決した.ハンバーグと半熟目玉焼きという必須アイテムに加えて,目玉焼きのウラにサイコロステーキがひっそりと隠れていたりする.なんという肉々しいディッシュであることか.ハワイアンな料理のお供は〈常陸野ネストビール〉の「ヴァイツェン」ね.

—— 先日,飯田橋にて,進化学会次期会長に「みなかさんのブログは食べ物のことしか書いていない」と評された.まったくもってその通り.この点に関してはワタクシは“ショージ君”のように貪欲かもしれないな.“池波正太郎”のような品のよさはないだろうけど.

◆原稿を「書く書く」と騒いでいた割には,結果的に「食う食う」な一日になってしまったみたい.明日は書く.書くと言ったら書くんだ.

◆本日の総歩数=7535歩[うち「しっかり歩数」4344歩/40分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=92.8kg(−1.0kg)/28.6%(+0.4%)


27 mei 2011(金)※梅雨入り農大通りを行き来する

◆午前4時過ぎ起床.曇り.夜中のうちに雨が降ったらしく地面が濡れている.気温15.6度.今日は世田谷に出撃する日.東の空の雲間から朝日がのぞく.日中は曇りで雨は降らないとの予報.そのうち青空がどんどん広がってきて,朝日がさんさん.こりゃ雨とは無縁かな.

◆経堂出撃の朝 —— いつもどおり7:58発のTX快速に乗る.曇り.ラッシュアワーの大波が過ぎ去った直後の時間帯で混雑していない.ラクラク座れて快適.しかし,あまりにもダイヤ遅延がひどすぎる千代田線に辟易する.代々木上原には当然遅れて到着.都内は曇り,涼しいが湿度は高め.経堂からハートフル農大通りを下っていくうちに蒸し暑くなってきた.これからの雨の季節はもっぱら湿度が原因で不快指数が高くなる.服装に要注意.

◆[欹耳袋]〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の第6回連載記事が公開された:三中信宏「円から球へ:高次元系統樹を描く」.次回からちょっと方向を変えてみようかな.

◆本日の桜丘のお座敷にて —— 今日の高座では「実験計画法」の基本を解説しました.ある実験を行なうためにはあらかじめ綿密な計画を立てる必要があります.さもないと,時間とお金と労力がムダになってしまうことがあるからです.実験計画はきわめて実務的な作業であって,統計学の理論を振りまわすだけではどうにもなりません.しかし,得られたデータが統計的な解析に耐えるだけの最低限の条件を満たす必要があります.その三条件を「スローガン」にすると次のようになります.

1)「反復実施」:ある実験処理(要因内の水準)がもたらす誤差を評価するためには同一水準を反復して実験区に割り付ける必要があります.2)「無作為化」:実験環境でのさまざまな背景要因がもたらす体系的な影響を偶然誤差に転化するために,実験区の配置は無作為化する必要があります.3)「局所管理」:大規模な実験を実施するときはプロックの設置などの方策による局所的な実験管理をする必要があります.以上の三つのスローガンのうち「反復実施」と「無作為化」を取り込んだ実験計画が,昨日説明した完全無作為化法です.正規分布する誤差をともなう線形統計モデルを立てることにより,得られたデータから要因のもたらす効果がどの程度あるのかを統計的に判定することができます.観察データからの全偏差を処理偏差と誤差偏差に分割することから出発して,平方和と自由度の分割,さらに平均平方(分散)を計算した上で,最終的にF値を求めます.このF値は直感的な認知統計学での推論基準と整合的です.実験計画法の理論的支柱は正規分布に基づくパラメトリック統計学です.とくに,正規分布から導出される \( \chi^2 \) 分布と \( F \) 分布が要因効果に関する仮説検定を行なう際の論理となります.昨日の高座では仮説検定に関する説明が時間不足だったので,次回に補足説明します.

◆梅雨入りの昼下り —— 高座が終わって外に出たら,早くも小雨が降りだしていた.経堂駅前の炭火焙煎珈琲〈いまあじゅ〉にてしばし珈琲充.小田急に乗り込み,湯島にて途中下車.上野広小路の〈うさぎや〉にてひさしぶりにどらやきを買ってから,すぐ帰路に復帰.今日は都内をうろうろ徘徊せずめずらしく早々とつくばに帰ってきた.午後4時にもなっていないのか.曇り空.ニュースで関東が梅雨入りしたことを知った.例年よりもかなり早い梅雨入りとのこと.

◆[蒐書日誌]本日の車中読書 —— 『草森紳一がいた。友人と仕事仲間たちによる回想集』(2010年12月24日刊行,草森紳一回想集を作る会,東京,526 pp., 本体価格4,125円,ISBNなし).昨年暮れに出版された本書の現物を千駄木の往来堂書店の平積み台で手にとった.書店流通ルートに乗る「正規」の本ではない私家版で委託販売とのこと.しかも1000部しか印刷していないらしい.まるで電話帳みたいなボリュームがある.しかもおもしろすぎる.生涯独身で一度も結婚していないのに子どもが別々にふたりいたり,愛煙家にして麻雀狂だったり.破天荒といえば確かにそういう人生.彼もまた“竜巻き”みたいに周囲を巻き込みながら生涯を送ったということか.

草森紳一が三田で「中国文学」を専攻していたとはぜんぜん知らなかった.著者とワタクシとの唯一の接点(?)は,彼のけったいなタイトルの新書:草森紳一『随筆 本が崩れる』(2005年10月20日刊行,文藝春秋[文春新書472],ISBN:4-16-660472-4 → 書評版元ページ)しかなかったのだから無理もない.この分厚い回想集を読むと彼の最期はやはり本に埋れていたとのこと.むべなるかな.なお,故人の膨大な蔵書を整理するプロジェクト〈崩れた本の山の中から:草森紳一蔵書整理プロジェクト〉とその後継サイト〈その先は永代橋:草森紳一をめぐるあれこれ〉がその経緯を記録している.また,蔵書の寄贈先のサイト〈白玉楼中の人:草森紳一記念館〉でも関連情報が公開されている.

—— 世代はぜんぜんちがうけれども,草森紳一と植草甚一って響き合うものがある気がする.サブカルチャー・ジャズ・麻雀・タバコなどなど共通のキーワードがたくさんありそう.

◆夕暮れの┣┣" 撃ち —— つくばに帰ってきたら,┣┣" 放牧場の勁草書房区画が騒がしくなっていた.テポドンを発射したり発射されたり.この論文集もそろそろまとめあげの段階に進まないといけない.

◆夜はチェンバロ —— 午後7時過ぎ,真向かいのノバホールに向かう.今夜は東日本大震災支援企画としてギエドレー・ルクシャイテー・ムラースコヴァーのチェンバロ・リサイタル.チェコの作曲家による作品は初めて聴くものばかりだった → Cf. 常陽リビング記事.演奏会が終わって外に出たら小雨が降り始めていた.

◆本日の総歩数=7363歩[うち「しっかり歩数」2244歩/22分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.8kg(0.0kg)/28.2%(−0.6%)


26 mei 2011(木)※曇りときどき晴れのち雨になる

◆午前4時半起床.曇ってはいるが空は明るい.気温13.9度で北東風が吹いている.体感的に肌寒い.今日はつくば実在日だが,あれこれ新着┣┣" どものお世話をすることになっている.中途半端ではない曇り空になってきた.

◆革命的な朝の┣┣" 撃ち —— 今朝のBGMはショスタコーヴィチの交響曲2番〈十月革命に捧げる〉から.とっても短くてクラいが,演奏は超越的に難しそう.┣┣" 放牧場に新入りがやってきてしばし呆然としていたら,背後からいきなり「и Ленин!」と叫ばれて,階級的意識をもって┣┣" 撃ちに邁進する.まずは,東大理学部・冬学期の「生物統計学」に関する教務連絡を完了.今年も本郷の理学部・旧一号館で開講されるのだろうか.次のBGMはショスタコーヴィチ交響曲3番〈メーデー〉だ.大太鼓が繰り返し「どかんどかん!」と炸裂する戦場で,技術評論社の統計曼荼羅本の目次案をやっと完成.編集部に向けて発射した.でもいったいいつ書く時間ができるのだろう.ことしの〈さなぶり〉は6月21日(火)であることが判明した.例年通り昼休みに.なんだか空が明るくなってきたようだ.昨日の教員会議がらみの新規┣┣" 三頭(英文パンフレット,研究会議の幹事選出,農環研新理事長と専攻教員との顔合せ)を仕留めた.マーラーなみに長くしかもマーラーなみの轟音をたてるショスタコーヴィチ4番がマーラーなみに陰鬱なフェイドアウトをしようとしている.次のBGMは何にしよーかな.

◆[欹耳袋]CRAN Task View〈Design of Experiments (DoE) & Analysis of Experimental Data〉.ちょいと気になる実験計画法のRパッケージがいくつかあるなあ.

◆一瞬だけ晴れる昼休み —— ところてん┣┣" を押し出したら,ほんの一時的ながら┣┣" 放牧場のモンゴル大平原のように見晴らしがよくなっている!天気は下り坂らしいが,フシギなことに昼休みの間だけよく晴れて,気温は20度ラインを越えた.農環研の周囲を徘徊し,ブライアン・スウィーテク[野中香方子訳]『移行化石の発見』(2011年4月10日刊行,文藝春秋,東京,428+ xvii pp.,本体価格2,095円,ISBN:978-4-16-373970-0 → 目次版元ページ)をほぼ読了.書評を書かないと.化石また化石な本だが,ちゃんと分子系統学の知見にも目配りしているのでバランスよく読める.

◆[欹耳袋]〈Rohlf Medal 2011〉:多変量幾何学的形態測定学のための章.詳細は morphometrics.org を.応募締切は9月1日(→ 応募先)./日本比較生理生化学会〈Who's Who〉. 系統樹に沿って研究者を探索できる人材データベース.もっとコンテンツを詰め込むと使えるかも.

◆曇る午後の┣┣" 撃ち —— 〈系統樹ウェブ曼荼羅〉第6回連載「円から球へ:高次元系統樹を描く」のゲラ校正をすませて編集部に戻す.今回は19世紀の Max Fürbringer から今世紀の高次元系統樹グラフィクスへの歴史をたどった.公開は明日./飛び入り電話┣┣" 一件.とある子供向けの本に載せる系統樹をチェックしてほしいとの依頼.世の中いろんな本があるんですなあ./「あの本,翻訳するといいですよ」と出版社に声をかけると,かなりの高率で「では,みなかさんが翻訳を……」という定型的依頼があるのがとてもコワい.┣┣" 誘引行動かも.翻訳ってほんとうにたいへんな作業だから,気楽に引き受けられるはずがない.一冊訳したら向こう数年は「御役御免」の看板を高く掲げたい./日経サイエンス7月号がすでに発行されているらしいがまだ手元に届かず.

◆[蒐書日誌]Julia Voss[Lori Lantz訳]『Darwins Pictures: Views of Evolutionary Theory, 1837-1874』(2010年刊行,Yale University Press, New Haven, ISBN:9780300141740 [hbk] → 版元ページ). ドイツ語から英訳されていたとはぜんぜん知らなかった.原書は:Julia Voss『Darwins Bilder : Ansichten der Evolutionstheorie 1837 bis 1874』(2007年6月刊行, Fischer Taschenbuch Verlag, Frankfurt am Main, ISBN:9783596176274 [pbk] → 目次情報版元ページ).原書はペーパーバックなので,ハードカバーの訳本の方が丈夫そう.きょう届いたばかりの Systematic Biology 誌の最新号(vol. 60, no. 3, May 2011)で,Mark A. Ragan がこの英訳本の書評を書いている(pp. 388-390).

進化関連の図像研究としては,昨年末に翻訳出版された:ホルスト・ブレーデカンプ[濱中春訳]『ダーウィンの珊瑚:進化論のダイアグラムと博物学』(2010年12月10日刊行,法政大学出版局[叢書ウニベルシタス949],東京,16 color plates + iv+185 pp., 本体価格2,900円,ISBN:978-4-588-00949-5 → 目次情報版元ページ大学出版部協会ページ).ブレーデカンプの本はダーウィンの描いた系統樹に特化しているのに対し,Julia Voss の本書の方は同じダーウィンでももっと守備範囲が広い.

◆[欹耳袋]Mark A. Ragan 2009. Trees and networks before and after Darwin. Biology Direct, 4: 43(open access). 系統樹と系統ネットワークの図像史.知らない「絵」がいくつもあっておもしろい.著者に最初に会ったのはブダペストで1996年に開催された ICSEB だった.その後,サンパウロでの Hennig Society Meeting でも再会した.Matrix representation method の開発者でもある Mark は,もともとはカナダのハリファクスで藻類研究に従事していたが,現在はオーストラリアでコンピューター・ゲノミクスの研究室を主宰している.

午後6時過ぎに撤収.明日の高座のための三点セットを忘れずに.今日の最高気温は20度そこそこでしのぎやすかった.湿度が日に日に高くなっているので,気温だけでは快適さは判断できない.明日はどうなるだろう.台風2号の接近が気になる.

◆本日の総歩数=9197歩[うち「しっかり歩数」5649歩/56分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.8kg(−0.2kg)/28.8%(+0.2%)


25 mei 2011(水)※からりと晴れて本郷に向かう日

◆午前4時過ぎ起床.晴れ.朝焼けグラデーションなう.日に日に夜明けが早まっていく.今朝の最低気温は8.6度とこの季節にしてはやや冷え込んでいる.しかし,朝日が昇るとともに初夏の強い日射しが照りつけ,気温はぐんぐん上がってきた.今日は東大の教員会議があるので昼前から本郷に実在する予定.予報では都内は夏日になるかもとのこと.湿度が低いのがせめてもの救いだ.

◆[欹耳袋](承前)Togetter -「大学院教育で、最初から研究に放り込む方法と最初に基礎文献を広く読ませる方法の優劣について」.ワタクシの場合は,昨日,岩波に改訂原稿を送った文章でも触れたように,明らかに「後者」の道をたどってきた.しかも,教えを乞うような教員や院生が周囲にまったくいなかったので,読むべき基本文献はすべて自力で探し回ったという,今にして思えばかなりリスキーな修士時代を過ごした記憶がある.ワタクシは,当時のまわりの研究室と比較すると,明らかに例外的な「独り研究」をしてきたので(指導教官には「指導できないよ」と最初から宣言されていた),セーフティネットはまったくなかったにちがいない.「publish or perish」の以前に「study or perish」な大学院生時代を過ごしていた.結果的に偶然にも理論体系学というとても上質の「鉱脈」に遭遇できたので,修士から博士にいたる年月をなんとか生き抜くことができたが,あれでハズしていたらいったいどういうことになったのか想像できない.

研究室一丸となってある研究テーマの遂行に邁進するような状況では,新入り院生であってもそのテーマのある部分を担当することにより「On-the-job training」的な有形無形の教育を受ける可能性は高いだろう.しかし,他方,一人一芸,一匹狼なスタンスで研究をしている場合も少なくないと思う.そういうことを考えると,研究分野による性格のちがいだけでなく,研究室ごとのローカルな環境(知的・人的な)もまた大きく影響するだろう.研究室内あるいはその近辺で身近に研究上の情報交換ができる環境にあればいいが,そうでない場合は単独サバイバルを覚悟しなければならないということ.かつてのゆるい大学院とはちがって,今のように院生時代からきちんと業績を求められるとそういう生き方はきついかもしれない.

ワタクシの場合はたまたま生物体系学という「つねに学問的基盤を問い直す」傾向が強い分野に入り込んだために,周辺分野まで含めた基本文献まリーディングを求められることになった.先端を追究するもっと実験系な科学だと状況は大きく異なっているだろう.体系学や系統学の科学哲学はあっても実験科学の哲学があまり議論されていない(ように見える)のは,サイエンスとしての方向性(ルーツを見るか枝先を見るか)のちがいが理由のひとつだろうか.今にして思えば,駆け出しの院生のころ,読むべき基本文献リストがあったならばもう少し効率的に勉強できたかもという思いと,非効率的にあちこち寄り道したことが結果的にはよかったかなという思いが交錯している.そういう自分史とからめつつ,研究上のパーソナルな「必読文献リスト」をつくっておくというのは,利己的な備忘録であると同時に,ひょっとしたら利他的な読書ガイドにもなるかもしれない.

ワタクシの場合,自分で書いた単行本や総説記事の文献リストはかなり網羅的につくる癖があるので,その部分集合としての「文献リスト」ならばさほど手間はかからないかもしれない.ずいぶん前(2003年)に「生物体系学に関する教科書および参考書リスト」を公開したが,さすがに賞味期限を大幅に越えてしまっている.昨年,それとは別に「生物体系学関連文献リスト」をつくったので,このあたりから少しずつ(自分のために)更新してみようかな.

◆新緑の本郷へ —— 午前9時の気温はすでに18度を越えている.さて,そろそろ都内出撃のしたくをしようかの.10:31発のTX区間快速に乗り都内へ.本郷に向かう.新緑の弥生キャンパスは,日射しがさんさんと降り注ぎ,そよぐ薫風が心地よし.しかし,ほぼ同時に携帯電話とメールから督促系┣┣" が押し寄せてきた.

午後1時から東大農学部の教員会議が始まるので,しばし避難してこよう.厚さ1センチもある配布資料の束.午後4時前に会議終了.たくさんの┣┣" をお持ち帰りすることになった.南風が吹く根津の谷は晴れて気温が高め.久しぶりに〈芋甚〉にて「小倉まめかん」をば.今の季節はこういう甘くて冷たい和風スイーツですな.その後,懸案だった「統計曼荼羅本」の目次素案を書きあげたなう.頭の中をアイデアは飛び交っても,最後の収束領域は安定していることを実感.さて,そろそろ都内を撤収しようかな.

—— 午後7時過ぎ,谷根千からつくばに帰ってきた.今日も淡い夕暮れグラデーションだった.気温は19度台.今夜も湿度が低くて快適ならよく寝られるにちがいない.睡眠是幸福.しかし,緊急の┣┣" が湧き上がりつつある.さっそく対応しないと.

◆本日の総歩数=6692歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前回比)=94.0kg(−0.6kg)/28.6%(+0.3%)


24 mei 2011(火)※梅雨空から五月晴れへと大転回

◆昨夜は突発的な宴会に突入してだいぶ飲んだが,今朝は午前4時半前に目が覚めた.外はざあざあ雨が降り続き,気温は11度台の肌寒さ.午前いっぱいは降り続くとの予報.朝のBGMはジョン・コルトレーンの〈バラード〉を久しぶりに.エルヴィン・ジョーンズのドラムスがあまりにも玄人すぎて打ちのめされる.

◆[蒐書日誌]Benjamin M. Bolker『Ecological Models and Data in R』(2008年刊行,Princeton University Press, Princeton, ISBN:978-0-691-12522-0 → 版元ページ著者サイト).著者サイトに正誤表・Rスクリプト・草稿ファイルが公開されている.

◆[欹耳袋]市ヶ谷経済新聞「神楽坂・東京理科大の新施設に「エビスバー」−神楽坂ワインも提供」(2011年5月24日→ 地図).東京理科大・神楽坂キャンパスには計量生物学会の理事会でときどき行くので,今度試しにトライしてみるか.それにしても理科大はこんなうらやましいロケーションにキャンパスがあるとは.なんたって情緒ある神楽坂だし.※ cf. YEBISU BAR

◆雨がしとしと午前の┣┣" 撃ち —— 雨はまだ降り続いているようだが,しだいに空が明るくなってきた観音台.とりあえず岩波書店の原稿改訂だけ先にケリをつけてしまおう.短い文章なのでさほど時間はかからず,岩波書店編集部に改訂原稿と書影画像を送った.とりあえず午前の┣┣" 撃ちはここで一段落とする.お願いだからBGMの〈フーガの技法〉を演奏しながら鼻歌を歌わないでー(>グレン・グールドさん).

◆[欹耳袋]Togetter -「大学院教育で、最初から研究に放り込む方法と最初に基礎文献を広く読ませる方法の優劣について」.ケース・バイ・ケースという月並みな答えがまちがいなく正しいが,研究分野による一般的傾向はきっとあるだろう.個々の研究者の“身の上話”を聞き取っていくという地道なやり方しかないかもしれない.

◆五月晴れが戻ってきた昼下がり —— 正午前,空はだいぶ明るくなってきた.気温は12.3度.ちょっと早いけどランチタイムに入る.どうやら雨が上がったらしく,午前とは一転して青空が広がってきた.気温もイッキに15.0度まで上昇.久しぶりに農環研の周囲をぐるぐる徘徊することした.田植えのすんだ水田からは蛙の鳴き声が聞こえ,畜草研飛地の茂みではキジが騒ぎ,空高く揚がった雲雀がさかんにさえずる.雨上がりの青空に浮かぶ雲塊を見ると,上空はまだ水蒸気がたっぷりなのだろう.今日の歩き読みのお伴は:ブライアン・スウィーテク[野中香方子訳]『移行化石の発見』(2011年4月10日刊行,文藝春秋,東京,428+ xvii pp.,本体価格2,095円,ISBN:978-4-16-373970-0 → 目次版元ページ)を.ダーウィン(第2章)とオーエン(第3章)を読了.この著者は化石がもともとものすごく大好きみたいね.

◆陽光がまぶしい午後の┣┣" 撃ち —— 進化学会事務局宛に昨日の運賃精算ファクスを送信完了.辞書執筆┣┣" と統計曼荼羅本の目次案をつくる┣┣" は絶賛放置ちう.今月中に仕留めたいな.

◆[蒐書日誌]岩波文庫編集部(編)『読書のすすめ・第15集』(2011年5月19日刊行,岩波書店[岩波文庫],東京,非売品,89 pp.).岩波の『読書のすすめ』は,ときどきリアル書店の店頭で無料配布されている.見かけたときは必ずもらうようにしているのだが,ISBNがついていないこともあり,ネット書店では入手不能だろう.今回の執筆者は:赤川次郎「三次元の読書へ」;一海知義「『論語』 —— 素人の読み方」;玄田有史「「本読まず」による古典ノススメ」;末木文美士「父の掌」;竹内敬人「赤帯から青帯,そして黄帯へ」;富岡多恵子「岩波文庫あれこれ」;久間十義「悲願・岩波文庫全巻読破」;松下裕「わたしのチェーホフ」;岩波文庫編集部「あとがき」.

◆午後6時半,今日の夕焼けはことのほか華やかだ.吹き抜ける東風が冷たい.気温は16.0度.本郷に出かける明日はよく晴れて気温が高くなるとの予報.

◆本日の総歩数=7141歩[うち「しっかり歩数」2121歩/22分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.6kg(+0.3kg)/28.3%(−1.4%)


23 mei 2011(月)※冷たい雨が降る御茶ノ水の夕闇

◆午前4時過ぎ起床.曇り.昨日は前線の通過でゲリラ豪雨になってしまったが,今朝は雲間から朝焼けが見えるほどに回復している.ただ気温は低く,いま13.2度.吹きつける北東風が寒すぎて困る.日中もここ数日の夏日とはほど遠い肌寒さになるらしい.雲の隙間から昇る朝日が見える.午前8時,曇り空の観音台は気温14.7度で涼しい.農環研的「正装」だと寒いかも.先週金曜から居室をずっと放置していたが,┣┣" どもは無性生殖することもなく,おとなしく大きくなっていた.お浄めのために教会歴に基づく〈グレゴリオ聖歌〉を.全部で6CDもあって総演奏時間は7時間かかる.

◆[蒐書日誌]三好學『植物生態美観〔新版〕』(2011年4月刊行,富山房インターナショナル,東京,ISBN:978-4-905194-09-5 → 版元ページ).本書は「植物生態学」という訳語を初めて導入した本らしい.原書は1902年の出版で,版元は同じ冨山房./小池寿子『内臓の発見:西洋美術における身体とイメージ』(2011年5月16日刊行,筑摩書房[筑摩選書],東京,ISBN:978-4-480-01508-2 → 版元ページ).解剖学と美術の交わるところ.手にしてみたい本.

◆[欹耳袋]新着┣┣" 陳列 —— 岩波書店からメールあり.雑誌『科学』に連載されたコラム(複数著者)をまとめて一冊の本にしたいとのこと.サイエンティストたちの「本」の本.とてもいい企画なので賛成です.ワタクシの寄稿した文章はもう5年も前のものなので更新する必要がある:三中信宏 2006「心にのこる一冊:『生物体系学と生物地理学』」科学(岩波書店),76(4): 438-439./教学社から著作権がらみの連絡あり.成蹊大学経済学部に出題されたワタクシの文章を赤本≠ノ載せるのでよろしくとのこと.はいはい.必要書類を即座に返信.

◆お昼前.気温は15度台と低いのだが,空気に湿気があってあまり快適ではない.こういう日に混雑した電車とか地下道を歩くとかなり不快になりそう.

◆[欹耳袋]統計学的な“真ん中”を最適化する —— 統計で用いられる“真ん中”の値としては「算術平均値」と「中央値(メディアン)」がもっとも多用される.いずれも直感的な概念だが,距離空間によって最適な“真ん中”は変わる.いま,距離 \( d(x,y) \) が定義されている空間での最適な“真ん中”の値 \( \bar{x} \) とは,データセット \( x_1,x_2, \dots, x_n \) から計算される距離和 \( \sum_{i}d(x_i,\bar{x}) \) を最小化する \( \bar{x} \) であるとする.マンハッタン距離 \( d(x,y)=|x-y| \) すなわち \( L_1 \) ノルム空間での最適値 \( \bar{x} \) はメディアンと一致する.しかし,平方ユークリッド距離 \( d(x,y)=(x-y)^2 \) が定義された \( L_2 \) ノルム空間ではこの最適値 \( \bar{x} \) は算術平均と一致する.このあたりの話は,系統推定におけるスタイナー問題と絡めて,三中信宏 1997『生物系統学』の第4章(4-2節の p. 215あたり)で解説した.要するに,距離空間によって「スタイナー点」すなわちベストの“真ん中”の値がちがってくるということだ.

◆夕方の飯田橋は雨がぽつぽつ —— 都内に出撃.いまにも降りそうな空模様だ.都内はすでに小雨がぽつぽつと降り始めていた.飯田橋の日本進化学会事務局に来るのは久しぶりだ.今日の用務は学会賞の選考委員会.二時間あまりかけて選考作業を終えた.外はもう暗くなって雨足はしだいに強まってきた.会議メンバーとともに御茶ノ水駅前のサンクレール地下街にある〈げんない〉にて飲み会.日本の遺伝学界の「闇」を垣間見つつ日本酒など.午後9時半に店を出て,午後11時に小雨そぼ降るつくばセンターにたどり着いた.

◆本日の総歩数=3985歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=94.3kg(+1.6kg)/29.7%(+1.7%)


22 mei 2011(日)※真夜中に月光で目が覚める山中

◆真夜中に —— 昨夜はいったい何時に寝たのかあまりよく覚えていない.いつもほどは飲まなかったので,二日酔いはまったくなし.ふと気がついたら窓から射しこむ月光に顔を照らされていた.家の周囲は物音ひとつしないし(イノシシが出没することがあるらしい),余計な照明もまったくないので月明かりが目にしみる.しかし,月をじっと見つめるとよくないので二度寝を決め込んだが,早く寝入ったせいかなかなか寝付けない.

午前3時ころにまた目が覚めた.外がざわざわしているのは竹林の擦れる音か.またうつらうつらして午前4時すぎにやっと起床.明け方ですでに白んでいたが,空は曇り空だ.予報では午後は雨になるらしいが,山を降りるまでは降らないでほしい.気温は下界よりもかなり涼しい.さて,究極のエコ・トイレ(後述)に行ってから,朝ごはんのしたくを始めよう.

◆夜明け前の厨房作業もまた修行なり —— 未明の薄暗がりの中,厨房に立つのも修行のひとつだ.さっそく井戸水を沸かしてパスタを茹でる.茹であがったパスタはオリーヴオイルで和えておく.ひとつのパスタは塩胡椒ベースの味付けにして前夜の残り物のフロマージュを刻んで炒めたシンプルなもの.もうひとつのパスタは新たまねぎをオリーヴオイルで炒め,缶詰カットトマトのソースでざっと和えたもの.どっちも簡単レシピなので大量につくってしまった.その傍らで野菜サラダをさくさく刻む.〈ブロートツァイト〉のバゲットと野菜スープも.スタートがとても早かったせいか,午前6時前には食卓の用意ができてしまった.バックグラウンドの“雑音”がほとんど聞こえないというのが,都市部との大きなちがいだ.あわてるでもなく急かされるでもなく日曜の朝の食卓の上を時間がゆるゆると流れていく.

◆[欹耳袋]究極のエコ・トイレかも —— ここは山の中の一軒家で,上水は敷地内から湧き出る井戸水,生ゴミは肥料として再利用,自家菜園で野菜取り放題.ここまではとくに驚かなかったが,トイレ設備には完全に脱帽したのでつい写真を撮ってしまった.ここの「エコ・トイレ」は水洗でも汲み上げでもない.便器の蓋を上げると,その中にはおがくずがゆっくりかき回されていて,排泄物はすべて微生物による分解で堆肥にするというシステムになっている.臭いはほとんどないのは驚異的.最初のうちはいささか抵抗があるが,慣れてしまうと「これはすごい(かも)」と感じる.熟成した堆肥の中にはまるまると太ったカブトムシの幼虫が入るらしい.うらやましい.

—— 朝の竹林から掘り起こされた筍をいただいて帰路に着く.実に極楽な異界ですなあ.また機会をあらためてぜひお伺いしたいものだ.

午前11時過ぎに八郷の悪軸合宿から帰還した.下界は晴れたり曇ったりでやや蒸し暑い.昼過ぎになって,いきなり風向きが変わり,東寄りの強風が吹きだした.風が吹き込む正午前には26.9度まで上がった気温だったが,午後になって一転し北東風がずっと吹き荒れている.午後1時の気温は18.9度.雲行きもあやしく,さらに気温は低下するかもしれない.悪軸合宿の薪割りで肩と腰がややヘタっている感じがする.2時前に降りだした雨は,午後3時には土砂降りになり,傘なんか何の役にも立たない.下がり続けた気温は13.1度で底を打った.正午からたった三時間で14度ほども急降下したことになる.道理で肌寒いわけだ.しかし,お昼寝から復帰した午後5時半には,空はもう明るくなっていた.雨はまだぱらぱらと降っているようだが.そのうち上がるだろう.つくばの幹線道路はだいぶ冠水したようだ.北東風が冷たい.

◆[蒐書日誌]ジェラルディン・ブルックス[森嶋マリ訳]『古書の来歴』(2010年1月20日刊行,武田ランダムハウスジャパン,東京,519 pp., ISBN:978-4-270-00562-0 → 版元ページ).本書の主役として時代と国を超えて活躍する写本『サラエボ・ハガダーSarajevo Haggadah)』は実物を見てみたい気がする.物語そのものはフィクションだが,一冊の“トークン”としての古書がどのような経歴をたどって15世紀から21世紀までの年月を生き抜いたのかは,写本の系譜として読むとたいへん興味深い.とくに,本文テキスト以外のアイテム(羊皮紙の種類,留め金の銀細工,彩色挿絵の二次的な挿入,パルナシウスの翅,塩の結晶,ワインの染み,猫の毛 etc.)が,ストーリー構成上,とても重要な役割を演じている点がおもしろい.本書で“時空サンプリング”された年は,1480年(セビリア)・1492年(タラゴナ)・1609年(ヴェネチア)・1894年(ウィーン)・1940年(サラエボ)・1996年(サラエボ/ボストン/ロンドン)・2002年(エルサレム/グヌメレン/アーネムランド)だ.世界史年表が手元にあった方がいいかも.

◆天気予報では向こう一週間は梅雨を思わせるぐずついた空模様になるとの週間予報だ.今週は一日置きに東京にプチ出張が入っている.そのあいまに辞書┣┣" 撃ちに精進しないといけない.ガンバロー.

◆本日の総歩数=1184歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


21 mei 2011(土)※八郷の山奥へと出家修行に出る

◆午前4時前に起床.薄曇りの夜明け前.気温は15.1度.昨夜は,涼しい南風が吹き抜け快適に寝られた.湿度が低いということはシアワセの代名詞.日の出とともに今日も晴れ上がる気配だ.朝日がさんさんと降り注いでいるので,久しぶりに天久保〈ブロートツァイト〉までパンの買出しに行ってきた.この時間帯に歩くのはずいぶん久しぶりだ.今日の午後,八郷に持参するお供えものとして,ふつうのバゲットと全粒粉バゲットを買った.

◆┣┣" 撃ち予定 —— 所内の理事長・理事懇談会.13:00〜,来賓室にて.領域ごとに懇談会をするらしい./諸般の事情により,来月始めの日本計量生物学会大会(大阪大学吹田キャンパス・銀杏会館)は欠席することにした.対面理事会の欠席通知と委任状を提出した.

◆八郷での悪軸出家修行へ —— 昼過ぎにつくばを出発する.初夏の陽気で最高気温は27.5度に達した.常磐道を北へひた走り,千代田石岡インターチェンジで下に降りる.あとはひたすら八郷の山を目指す.初めて来る場所だが,見渡すかぎり原イバラキな田園風景が車窓に広がる.そのうち,目的地の地名が見えてきた.最後に,とある神社の境内を強行突破して,その裏側の狭い山道を登ったところに,今夜の目的地である「合宿所」はあった.午後1時半に到着.古民家の建材をうまく利用した木造の建物から下を見下ろすと,山林と竹林の広大な敷地が広がる.すぐ近くには滝から流れる渓流のせせらぎの音が聞こえる.こんな山の中に一軒家を営むというのはただただ感心するばかり.かつて〈つくばスタイル〉に載ったというのもむべなるかな.一晩,お世話になります.

出家修行のお供え物 —— まず飲み物としては,福井〈黒龍〉の限定品「大吟醸純米・愛山」とふつうの「大吟醸」.山口〈獺祭〉スパークリング,会津〈天明〉,その他.食料は手羽先とフランクフルト,野菜類.さらに〈ブロートツァイト〉のバゲットと全粒粉バゲット,各一本.ゲロルシュタイナー2本,岩塩,パスタ,オリーヴオイル,柘榴果汁など.

たどり着いてすぐに「竹薮労働」という最初の修行が待っていた.敷地の中にある大きな竹林は放置すると地下茎でどんどん増えてしまうので,刈り倒しては焼くという管理をしないといけないらしい.立派な太い竹がすでに相当数刈られていた.最初の修行は枯れ上がった竹を竹林から運んでどんどん焼くこと.その火が夕食のバーベキューに使われる.いきなりの外仕事で虫に刺され足元は汚れたが修行は始まったばかりだ.ここでのバーベキューのスタイルは,竹を割って手羽先やソーセージをはさみ,竹を燃やした炎の遠火でじっくり焼く.

午後2時前には早くも酒瓶が景気よく空き始めた.シードルにブルゴーニュ・ワインがあっという間に空っぽになり,その後,庭に降りて,すでにこんがりと焼けたフランクフルトと手羽先を片手に,〈獺祭〉と〈黒龍・大吟醸純米〉が空っぽになる.豪快というか野趣あふれるというか,つくばにいたのではなかなか経験できない修行生活かもしれない.

ここで次なる「薪割り」という修行が降ってきた.冬場,この家では薪ストーブに使うので,今のうちから薪をたっぷり用意するとのこと.敷地の至るところにさまざまな太さの薪が積み上げられていた.薪割りをするのは初めてではなかったが,久しぶりに斧を握ったので腕と腰がいたたた…….

そのうち,夕方になってきたので室内に戻る.とれたてのえんどう豆と筍のオリーブオイル炒め,ジャーマンポテト,ル・クルーゼでじっくり炊き上げられた煮物(和風),セミハード系のチーズなどが食卓に並び,さらに宴会は続いた.しかし,真昼間から飲み始めたのが効いたのか,午後9時にならないうちに睡魔が背後から取り憑いて,あえなく飲み会最前線から撤収.隣室にて即座に爆睡とあいなった.(ああ,もったいない……)

◆本日の総歩数=9364歩[うち「しっかり歩数」6440歩/58分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.計測値(前回比)=92.7kg(−1.4kg)/28.0%(−0.2%)


20 mei 2011(金)※夏日に経堂界隈をうろうろする

◆午前4時前に早々と起床.気温13.1度.朝焼けと朝日を拝む.今日は東京農大の高座の日.ぱたぱたと仕度をすませて出発態勢は整った.

◆夏日の世田谷を徘徊する —— いつもどおり7:58発のTX快速に乗る.ラッシュアワーの大波時間帯の直後なので,ぎゅうぎゅう詰めにされずにすむのはありがたい.混雑によるダイヤの乱れにも慣れてきた.代々木上原で地上に出る.都内はよく晴れてもう暑くなってきた.きっと夏日は不可避だろう.これから夏に向けての季節は,経堂駅から農大キャンパスまでの道のりがつらくなる.

◆本日のお座敷の顛末 —— 10:40から講義開始.本日の高座は,記述統計学と推測統計学の「視点」のちがいをイントロにして,母集団からのサンプリングに基づくパラメーター推定(平均と分散)に話を進めた.分散の不偏推定値の性質はデモしたようなRシミュレーションだけではなく,数学的証明ももちろんできる(パラメトリック統計学とは「数学」の体系だから).正規分布を支える三本柱(線形変換での正規性保存・関連確率分布の導出・中心極限定理)のうち,最後の「中心極限定理」は標本平均という推定量がもつサンプルサイズ(=データ数)が無限大になったときにもつ漸近的性質だ.今日の講義では TeachingDemos というRパッケージを利用して,正規分布の目覚しい「進撃」のようすを示した.ただし,中心極限定理はあくまでも無作為抽出されたデータからの標本平均に関する性質であって,元の変量の性質ではない.世の中には正規分布に従わない変量はいくらでもある.しかし,当分の間は正規分布を前提とする線形統計モデルの講義を実験計画とからめて話していく予定だ.

Rcmdr から RStudio へ —— 中心極限定理や確率密度関数の描画には,今までRコマンダーのプラグイン〈RcmdrPlugin.TeachingDemos〉を使い続けてきたのだが,今日初めて RStudio 上でRパッケージ〈TeachingDemos〉を試用したら,とても使い心地がよかった.Rコマンダーは確かに便利なのだが,Rがバージョンアップされるとインストールにトラブることがあまりに多いのに辟易している(過去,何度も痛い目に遭った).実際 R-2.13.0 for Mac OS X ではRコマンダーのインストールがいまだにできない(nnet の組み込みで致命的エラーが生じる).この点では,そういうよけいな心配のない RStudio がはるかに安心して使える.Rスクリプトを事前に用意しておく必要があるが,それもまた勉強のうちと考えれば一石二鳥だ.

◆経堂駅前の激辛パンチ —— 農大での高座を終えて夏日のハートフル農大通りを経堂駅に向かう.駅前から少し入ったところにあるインド料理〈ガラムマサラ〉へ.平日のランチタイムをはずしたつもりだったが,それでも店内は混んでいた.今日は激辛チキンカレーとナーンのスペシャルランチを注文.前から一度来てみたかったのだが,ついつい手前の〈はるばる亭〉にトラップされていた.スペシャル・ランチのタンドリーチキンは下味と香辛料がしっかりついていて,焼き立てのうまさ.タンドリー・ラムというメニューもあるらしい.タンドリー料理はどれも激しく食欲をそそる.ここのナーンは真ん丸でほんのちょっと甘いから,辛口カレーにぴったり.食後のチャイで満足充足.週末や休日はもっと混むのだろう.時間帯を外した方が賢明かも.このエリアは他にも惹かれるお店がたくさんある.とてもいい土地柄だ.

◆日中の都内はじりじりと暑く,夏日ラインをあっさり突破した.つくばには午後4時前には着いていたのだが,二時間ほど寝落ちしていたようだ.気がついたら午後六時を過ぎていた.夕方の涼しい南風に吹かれてハッピー.今夜の夕餉は「他人丼」とする動議が自分会議で提出され即決.豆腐&わかめのお味噌汁をつけよう.穏やかな夕暮れ.

◆[欹耳袋]京大・宇治キャンパスで開催される〈ComPhy2011〉 では,WinPCは最初から御法度なんだ(Mac OSX か Linux のみ)./エサ=ペッカ・サロネン指揮・ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のマーラー交響曲・第3番のライヴ動画.演奏時間ほぼ二時間の全曲が公開されている.マーラーの交響曲は,聴く楽しみだけではなく,見る愉しみもある.

◆本日の総歩数=5633歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=94.1kg(−0.1kg)/28.2%(−0.1%)


19 mei 2011(木)※世に原稿┣┣" の種は尽きまじ

◆昨夜は早々に寝落ちしてしまったせいか,今朝は午前4時前に目が覚めた.朝焼け前の薄明.晴れ.気温11.5度.今日も続く┣┣" 撃ちの日々.撃っても減らない辞書┣┣" の魔界.そのうち東の空では朝焼けグラデーションが始まり,西の空ではやや目減りした満月が沈んでいく.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 居室の窓を全開にして乾いた南風を通す.心地よし.朝から某学会賞の選考書類などをちくちく読み始めている.候補者は計10名でそれぞれ5本ずつ論文ファイルが添付されている(計50MBもあるのもむべなるかな).すでに仕事をある程度知っている候補者ならばいいのだが,初めての相手を見通すというのはむずかしい.それでも一通りブラウズしたので,ただいま暫定的な相対ランキングを付けているところ./隣りの中央農研から「統計解析相談グループ相談協力員」の委嘱あり.農林団地内では「統計コンサルティング」が切に求められているということ.表看板なのでもちろん引き受ける./朝のBGMは久しぶりにヤン・ガルバレク&ヒリヤード・アンサンブルの〈オフィチウム〉を.

◆昼休みのためらい —— 五月晴れの昼休み.南風が心地よく吹き抜けている.先ほどから┣┣" 放牧場の果てに建つ禍々しき〈某辞書結界〉の前にたたずみつつ次の一歩を踏み出せないでいる.果たしてこの中に踏み入っていいのだろうか? 生きて再び戻ることはかなうのだろうか?

◆[欹耳袋]スクリャビン〈法悦の詩〉のEulenburg版ミニチュアスコアは,音量がでかくなると「縦横反転」のウラワザを随所で出す.Tpがひたすらヴィブラートをかけまくる独奏箇所ではヨコ印刷の見開き2ページでたった2小節! オニのようにページをめくらないと音楽についていけない.同じスクリャビンでも〈プロメテウス〉のEulenburg総譜は,サイズが大きいのでタテにしたりヨコにしたりという煩わしさからは解放される.最上段の「Luce(色光ピアノ)」の譜面がとってもアヤシいが.そんなわけで,昼休みの「森」はスクリャビンの神秘的旋律が流れまくる.

◆憂鬱な季節の到来を前にして —— 今日の最高気温は27度近くあったようで,「夏」の到来を感じさせた.震災後の「夏季節電」が現実になりそうな気配が濃厚だ.まちがいなく農環研でも集中管制エアコンの「設定温度」を上げるにちがいない.しかし,「設定温度」が上がろうが下がろうがしょせんどうでもいい.むしろ「実現温度」がどれくらいかが居室環境的には重要.真夏の昼下がりの居室(最上階の西向き部屋)はどれほど空調を強くしても30度ラインをオーバーすることあり(空調停止の5時半を過ぎると即座に跳ね上がる).だから「実現温度28度」にしてくれるのであれば言うことなし.「設定温度」の数値をいくら議論してもむなしい.第一,フレックスタイム制を敷いているはずなのに,空調稼働は定時労働時間内のみというのは不合理だ.そんなこんなで,かなりマジメに「夏季避暑オフィス」を探している.標高の高い場所・緯度の高い地域・南半球 etc. など選択肢だけはいろいろと思い浮かぶが…….

◆午後の┣┣" 撃ち —— この上なく好天の昼下がり,某結界の赤錆びた扉をぎいぃ〜と押し開く.魑魅魍魎の跋扈する結界が眼前に広がる.徘徊するにつれときどき廃寺の崩れた石垣から「うわん」と呼びかける声が聞こえたり,妖しい火が見え隠れしたり.白昼の暗黒はなお続く.去年のうちに届いていた要査読項目はすべて編集部に返信完了.ところが,査読┣┣" を五頭打ち返したら,きっかり同数の査読┣┣" が新たに押し寄せてきた.某辞書結界の祟りか…….魔界だ.査読の次は執筆┣┣" のお出ましだ.

◆[蒐書日誌]時事通信社から書評依頼あり:ブライアン・スウィーテク[野中香方子訳]『移行化石の発見』(2011年4月10日刊行,文藝春秋,東京,428+ xvii pp.,本体価格2,095円,ISBN:978-4-16-373970-0 → 版元ページ)※お引き受けいたします.

◆逢魔が時の┣┣" 撃ち —— 魑魅魍魎結界の「つくり」がやっと見えてきた.いったん「変成岩」になってしまうと一から掘り起こさないといけない.┣┣" の乾物は撃つまでの下準備が大仕事だ.登攀すべき壁は遠くを見ると萎えるので,足元だけ見て一歩ずつ登るしかない.いずれにしても長らく受信箱の「根雪」となっていた変成岩┣┣" どもを一念発起して切り崩した結果,ようやく向こう側までの視界が開けたのはよかった.大垣のIAMASから出講依頼(「芸術情報学演習」という名の形態測定学講義)が届いたとの企画戦略室からの連絡あり.即OKの返事を返す.西日が照りつける居室の温度は26度まで上がってきた.マーラー3番の最終楽章も終わったことだし,今日はそろそろ撤収タイムかな.

◆夕暮れ.さて今夜の夕餉はポトフとオムライスだ.厨房へゴー.明日は世田谷での高座がある.そのしたくを忘れるべからず.

◆本日の総歩数=3634歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.2kg(+0.2kg)/28.3%(0.0%)


18 mei 2011(水)※初夏の朝はゴルトベルク変奏曲

◆午前4時半起床.晴れてはいるが,東の空には東雲がたなびいている.朝焼けを眺めつつ朝風呂タイム.

◆爽やかな朝の┣┣" 撃ち —— 昨日,長らく変成岩化していた岩波書店の某辞書┣┣" にやっとケリをつけた.しかし,その下の地層に横たわる別の進化学某辞書┣┣" はもっと難物かもしれない…….ふー./まだ先のことだが,9月に常盤台で開講される「統計学&データ解析道場」の履修者名簿が送られてきた.計38名か.いつものパソコン実習室がまたいっぱいになるな./CD-ROMで送られてきた某学会賞の審査資料が計50MBもある件……(orz).その審査委員会が来週早々に飯田橋である件……(orzorz).【急募】クローン.

—— BGMにグレン・グールドの〈ゴルトベルク変奏曲〉を流しているのだが,ときどき混じる「鼻歌」が気になって┣┣" 撃ちに集中できない.

◆千字の文も一字から.ぽつぽつと進むお昼前.気温は20.9度で,窓を開放すると心地よし.今日は朝から雲が多めだが,昨日のような兇相ではなく,ゆるくぽわんと湧き上がった顔つき.

◆曇りのち晴れの午後の┣┣" 撃ち —— 最近はpdfゲラに電子注釈つけておしまいということも増えてきたが,出版社からゲラがどさっと届くと┣┣" 放牧場がにわかに賑わう.ゲラに朱を入れるペンはずいぶん前からぺんてるの「Liquid Gel Ink」と決めている.書き具合がとてもいいので 0.5/0.7/1.0mmの三点セットが常備品だ.まっ白なゲラの余白を耳なし芳一のように朱筆で埋め尽くすのはけっこうな快感かもしれない.さて,勁草書房・文化系統学本の翻訳原稿に朱を入れるつもりでぺんてるを握りしめたが,けっきょくdocにちくちく注釈を打ち込んでいる昼下がり.注釈コメントがぎゅうぎゅう詰めになってきた.それでも,午後4時過ぎ,翻訳原稿に注釈を付けて関係者に送った.

—— 1980年代後半からの生態学での「比較法革命」が,ほぼ十年遅れで文化系統学に余波を及ぼしているようすが垣間見える.

◆ぎゅうぎゅう詰め注釈ウシさんの幅寄せから解放された午後5時前,今日のところはそろそろ撤収しようかな.外はとてもよく晴れて西日がまぶしい.気温は22.6度と快適.夕餉は久しぶりにガツンとスペアリブを焼いた.前夜から肉には強めの塩胡椒と醤油そして刻みニンニクのみのシンプルな和風下味を付けておいた.オーブンの設定は最初は「230度20分」で焦げ目をつけて,そのあとは「200度30分」で中まで火を通した.骨付き肋肉が正しく常温に戻っていれば,ホネの周囲が生焼けにならずきっちり焼き上がる.よなよなエールとともにいただきます〜.

◆[欹耳袋]堀口剛 2008. 戦時期における岩波文庫の受容 : 古典と教養の接合をめぐって.マス・コミュニケーション研究, (72): 40-57 → CiNii [pdf: open access].ざっと読んだのだが,ドイツのレクラム文庫との比較はなされていないようだ.岩波文庫はレクラム文庫をモデルとして創刊されたとどこかで聞いた記憶があるのだが.Cf: 著者サイト -〈Hrgctys〉./Springer-Verlag から発行されている雑誌『Evolution: Education and Outreach』の編集長が Niles Eldredge だとは知らなかった.系統樹リテラシーに関する論考:T. Ryan Gregory 2008. Understanding evolutionary trees. Evolution: Education and Outreach, 1(2): 121-137 をダウンロードしてみたり.

◆明日からは進化学会関係の┣┣" 二頭を並行して追いかける予定.

◆本日の総歩数=2741歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.0kg(+0.3kg)/28.3%(−0.3%)


17 mei 2011(火)※兇悪前線が通過して雷雨が急襲

◆午前4時半起床.朝から曇り空が続く.気温は18.1度.北東風なので涼しい.予報では天気は下り坂.午後は寒気が入ってくるので雷雲が湧くという不穏な予報が流れている.昨夜の続きでRプログラミングというハイカラな┣┣" を追っている.BGMは久しぶりにクイケンのブランデンブルク協奏曲.

◆朝イチの┣┣" 撃ち —— 東京農大での「実験データー解析概論」の講義中にデモンストレーションで用いたRスクリプトを公開開始:〈租界R・農大ウォール〉.講義中のRデモはRコマンダーとRStudioを併用しているが,スクリプトはR本体さえあれば大丈夫なので,関心のある学生は自分でスクリプトを試してみることができる.大規模なスクリプトではなく,統計学の基本概念の説明をするときのヘルパーとして書いている.たとえば,次回説明することになる分散推定量の「不偏性」(unbiasedness)も単に \[ E[S^2]=\sigma^2 \] のみでオシマイにするのではなく,unbiased.R のようなスクリプトをちょこっと動かすだけで,“浸透率”が上がるのではないかとひそかに期待している.

◆昼下がりのゲリラ雷雨 —— どんよりした曇り空の昼休み.県南の龍ヶ崎にはすでに大雨・洪水警報が発令されていて,都内も午後は雷雨や雹が降るかもしれないとの予報.いまの気温は19.0度.そうこうするうちに,北の方角から真っ黒な兇相の雲が接近してきた.〈東京アメッシュ〉を見るときれいな前線が北から下りてきているのがわかる.気温急降下.午後2時過ぎに遠雷が轟きはじめ,いきなり雨が降り出し,すぐに土砂降りとなった.しかし,小一時間ほどで雷雲のクライマックスは通り過ぎ,午後3時半には空が明るくなってきた.遠くで雷鳴がなおごろごろ鳴っている.

◆雨降って┣┣" 仕留める —— 雷鳴が轟く禍々しい雰囲気のなか,某辞典の【種】の項目二〇あまりの“粛清”を完了した.マイナーな「〜種」概念の削除総数は半数に及んだ.第4版の項目選定の際に,前世紀の遺物である「〜ゲネシス」系タームを一網打尽にした記憶がよみがえった.コピーをとって神保町に返送完了.たいへん遅くなりまして.

◆[欹耳袋]ファイロインフォマティクス・夏の学校 —— 〈ComPhy 2011〉: Computational Phyloinformatics Seminar, 1-11 August 2011, @京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター(京都府宇治市).参加申込締切は今月末まで.11日間もの出家修行かあ〜!

◆本日の総歩数=6776歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.7kg(+0.7kg)/28.6%(−0.7%)


16 mei 2011(月)※週末疲労を引きずって平日復帰

◆午前4時半すぎに起床.まずまずの晴天だが雲が薄くたなびく.ちょうど朝焼けグラデーションの真っ最中だった.ほどなく朝日が東の地平線から打ち上がる.気温は15.8度.午前9時.薄曇り.気温はすでに20.5度だが,窓を全開にすると吹き抜ける風がちと涼しい.平均律が流れる居室の朝.

◆朝の┣┣" 放牧場の眺め —— 週末は「山」に入っていたが,今日は「里」にもどってきたので,いつもの┣┣" 撃ちに復帰する.先週のうちに神保町から辞書┣┣" が新たに三頭届いて,封筒の中でもがいていた.前世紀末の第四版でワタクシが書いた項目なので,改訂するとしてもそれほど悩むことではないだろう.むしろそれ以外のおよそ二十頭もの【種】┣┣" どもの方がはるかに難物.項目数に関する総量規制のもとでは,新旧交代による入れ替えでやむを得ず削除される旧項目は少なくない.第四版の項目編集を担当したとき,旧項目をどれくらい“無慈悲に”切り捨てられるかという点でかなり悩んだ覚えがある.けっきょくは机龍之介のようにばっさりと切り捨てたのだが.いったん世に送り出された辞書項目に引導を渡すのは簡単なことではない(祟られるし…).辞書づくりに関して言えば,項目選定よりも項目執筆(or改訂)の方がはるかに気がラクかもしれない.

—— 「辞典はたとえ旧版であっても捨ててはならない」とは当の辞書編集者から聞いた鉄則だ.

◆一息ついてふたたび┣┣" 放牧場の観察 —— 『生物科学』誌の「文化進化」特集の件.先週末に白羽の矢を放ったが,そろそろ「痛い〜」という返事があるかな,まだかな./訳稿,読みます読みます./その他,雑┣┣" の成育状況をチェックする.

◆[蒐書日誌]板坂耀子『江戸の紀行文:泰平の世の旅人たち』(2011年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書2093],東京,xiv+307 pp., ISBN:978-4-12-102093-2 → 目次版元ページ).江戸時代の紀行文全体の“頻度分布”を見渡すと,松尾芭蕉の『奥の細道』なんぞとんでもない“外れ値”であって,文体や内容の“期待値”はもっとちがうところにあったという指摘.たとえば,映画監督・小津安二郎の先祖にあたる伊勢松阪の小津久足が,著者的には江戸紀行文のひとつの「頂点」だったという(第10章).あるいは,女流紀行作家の先駆けでもある土屋斐子の作品とその背景を論じた第8章も印象に残る.全編にわたって今まで聞いたこともない作家名が続出し,長々しい対訳付きの引用や比較はいささか煩瑣ではあるが,内容的には目ウロコな新書.江戸紀行文そのものがまだよく調べられていない盲点らしい.

◆晴れ間が出てきた昼休み.気温23.2度,南風が強く吹いている.午前中は窓全開だったが,ホコリっぽくなってきたので(黄砂?)いまは締め切っている.

◆[蒐書日誌]S. Blair Hedges and Sudhir Kumar (eds.)『The Timetree of Life』(2009年刊行,Oxford University Press, New York, xxi+551 pp., ISBN:9780199535033 → 版元ページ).元本は買うとずいぶん高いなあと嘆いていたのだが,実は本書の全コンテンツは「個人用・教育用」の使用にかぎり無料で〈TimeTree〉サイトから公開されていた:The TimeTree Book.もうひとつ,ここで公開されている「ポスター」(circle tree形式)は,〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の第6回連載記事のネタとして付け加えようかな.

◆夜,ふと思い立って,講義用のRスクリプトを書き始めたら止まらなくなってしまった.正規乱数からの無作為標本における位置パラメーターと分散パラメーターの可視化,そして同じく正規乱数データから推定される分散推定値の biased と unbiased のちがい.自由度の意味を直感的にわからせることと推定値の不偏性(unbiasedness)を可視化すること.

◆本日の総歩数=2823歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.0kg(0.0kg)/29.3%(+0.9%)


15 mei 2011(日)※火焔パーティの翌朝は霜が降り

◆宴の翌朝は午前5時半起床.山間のペンションでもこの時間になればもうあたりは白んでいる.「朝晩は冷え込みますよ」という宿の主人の言葉どおり,玄関の外に出てみたら真っ白に霜が降りていた.氷点近いのかもしれない.空はすっきり晴天.山々に囲まれているので朝日はまだ射し込まないが,頂きはすでに日に染まっている.

一方,館内は死んだような静寂が支配している(当たり前だろう).玄関ロビーや三次会の大広間には前夜の宴で酔いつぶれた学生があちこちに点々と散らばっている.息をしているのでまだ生きているらしい.前日,体調を崩した学生がひとり病院に運ばれたがその後はどーなっただろうか.大所帯の研究室が旅に出るときは緊急事態の発生確率も高くなって当然だろう.※あとで聞いた話では,宴の最後は明け方4時まで続いたとのこと.また病院に泊まるハメになった学生は点滴を受けつつ回復してきたらしい.

◆何となくおとなしいモーニング —— その後は部屋で寝読みを決め込みごろごろする.怠惰であることのシアワセを満喫する.午前7時半から本館食堂で朝食.薪ストーブががんがん燃やされている.下界が夏日だったりするのに別世界であることを痛感.朝食タイム.足取り重く集まってきた学生たちはそれなりに宴の遺産を引きずったままなのだろう.スクランブルエッグとソーセージ,フルーツとロールパンにコーヒーというメニューは宴のあとにはぴったり.

「焼酎のお湯割りにキュウリの切片を浮かべるとメロンの香りがしてくる」と岡島農学部長がいつものようにお湯割りを飲みつつ語っていた(朝からですかっ).この夏の節電対策の一環として,農学部長が率先して「アロハOK,ビーチサンダルOK,短パンOK」の「ウルトラ・クールビズ」号令を教職員に発したらしい(マジですかっ).すかさず,賢太郎くんが「ビーサンじゃなくって雪駄の方が健康に良い」と横槍を入れる〈ペンションすずらん〉の朝のひとコマ(雪駄はヤバいかも,下駄の方がいいかも).

◆朝食後,70名あまりの研究室メンバー全員の写真をマメザクラが満開の〈すずらん昆虫館〉前で撮った.この付設昆虫館は見る価値があった.展示されている昆虫コレクションはごく一部だけで,棚の中にはドイツ箱に入ったままたくさんの標本が立てかけられていた.みくに会の昔の写真に某J保氏の幼き頃のお姿を見つけたりする.虫屋の結界(=パラダイス)ですなあ.

勝沼産の地ワインである大泉葡萄酒の〈勝沼の地ざけ〉がとても美味だった.昨日,ペンションから一升瓶で差し入れてもらったお薦め.を両方飲んでみたが,癖のないのどごしはまるでもう水代わり?のようにぐいぐいといける.塩尻の長野県中信農業試験場に通っていた学部生のころは地元の「桔梗が原ワイン」をよく飲んでいた.地ワインは地元で味わうにかぎる.

◆宴の始末 —— 新歓合宿の解散後は,そのまま大菩薩峠に向かうグループあり,山を下る学生もあり.駅までの下り坂,ヤマザクラが満開,山々の向こうには雪をいただく富士山がくっきりと大きく見えた.新緑の木々にはヤドリギがとても多い.快晴で空気が乾いて快適そのもの,さて下界はどうなっているだろうか.甲斐大和駅にて待っているとほどなく高尾行き鈍行がやってきた.中央線はトンネルが多すぎて電波がつながったり切れたりする.都内に近づくにつれてしだいに暑くなってきた.〈ペンションすずらん〉は今後また新歓合宿で再訪する機会がきっとあるだろう.

—— 夜7時前につくば帰還.風が吹いて涼しかったが,たった一泊のプチ旅行で疲れ果ててしまい,ぐでぐででまったく使い物にならない.夕食もそこそこに速攻で就寝だ.

◆本日の総歩数=3237歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


14 mei 2011(土)※初夏の大菩薩峠に登って大宴会

◆午前4時半起床.ここ数日のどんよりした曇天からやっと解放された.雨上がり青空が広がっている.刷毛で掃いたような雲が涼しげだ.日の出を拝む.気温は10.7度.前夜からの旅支度がまだ終わっていない.片道4時間,たった一泊のプチ旅行ではあるが,いちおう泊りがけなので基本装備の量はさほど変わらない.何よりも天気がよさそうでよかったよかった.

◆早朝の┣┣" 撃ち —— 夜明けの白羽を荒神橋に向けて放った.当たってねー.もうひとつの白羽の矢をセントポールズに放った.ドタキャンでごめんなさい〜.

◆さて,旅支度がほぼ完了したので,次は車中読書本を何にするか決めないと.午後8時半,さて出撃だ.晴天.紫外線が強そう.つくばセンターでは屋台がたくさん出ていた.この週末はいったいなんのイベントだろう.明日帰ってくる頃にはもう終わっているので関係はないが.

◆大菩薩峠に登る —— 9:05発のTX快速に乗った.新宿駅で中央特快高尾行きを待つ.都内は昼前にすでに暑くなってきた.気温はやや高い.しかし吹く風が乾いていてとても快適.下界がどれほど暑くても,今日の行き先は標高が1000メートルを越えるので「別世界」であることを期待しよう.中央線の線路沿いに東京経済大学の看板が見えたらもうすぐ国分寺だ.車内は意外なほど混んでいる.車内放送によると車両故障のためダイヤが乱れているらしく,上下線ともに遅れていた.高尾駅からの下り鈍行列車・甲府行きは,約二十分あまりの遅延で12:07にやっと発車した.プラットホームは人がいっぱい. 鈍行に乗るはずいぶん久しぶりだ.しばらく前は信州大学に集中講義に行ったこともあるが(今年の冬も「科学思想史」の講義を担当することになっている),もちろん往復とも「あづさ」だった.高尾から先の県境を越える中央線はトンネルが多い.トンネルの暗さと外界のまぶしさ,この明暗のコントラストが目にはよくない.

高尾からほぼ一時間ほど乗って,やっと武田家終焉の地・甲斐大和の駅に到着した.山間にある静かな小さな駅で,上り下り両方向ともトンネルが口を開けている.駅の周囲にはほんとうに何もなく,真っ赤な郵便ポストと路線バス停留所があるのみだ.天気はとてもいいのだが(紫外線も強そう),駅前に売店がぜんぜんがないので,ランチタイムどころではない.大菩薩峠行きのバスが来るまでまだ時間があるので,駅舎にてe-mobileをつなぐ.このあたりだとまだ繋がってくれるが,山の中に入ってしまうとどーなるかわからないな.同じ電車で下車した若者が待合室でいきなり捕虫網を展開し始めた.捕虫網がとてもよく使い込まれている.まずまちがいなく同じ目的地に向かう東京農大・昆研の学生だろうな.顔も名前も知らない学生が多々いるにちがいない.いつも顔を合わせているはずの教員でさえ,新人たちの名前を覚えるまでには時間がかかるらしい.

甲府のアメダスを見ると,すでに夏日ラインを越えている.しかし,湿度が異様に低いのでぜんぜんべたべたしない.ヨーロッパ内陸的な乾燥状態はのどが乾くな.水分補給なう.客がほとんどいない駅舎は静寂そのもの.農大の昆虫青年らしき面々がひとりまたひとりと増えてきた.〈ペンションすずらん〉の集合時刻は午後6時なので,この時間帯にいるということは山で一振りしてくるということかな.カンカン照りで外は日陰がぜんぜんない.13:50発の路線バスに乗り,日川渓谷に沿って山道を登っていく.途中,捕虫網集団といくつもすれ違ったがいずれも目的地は同じみたい.虫屋は風体が浮いているのでどこにいてもとても目立つ.嵯峨塩鉱泉を右手に見ながら,さらに険しいヘアピンカーブを登っていく.かなり標高をかせいでいるようで,ここを徒歩で上がってくるのはそうとうきついかもしれない.

◆半時間ほど乗って〈ペンションすずらん〉に到着した.片道800円なり.すでに教員の面々は到着していて,ペンション前のテーブルで飲みはじめていた(いつものことだが).こんな山間だとさすがに e-mobile はつながらないが,ケータイはまったく問題なくつながった.部屋の割り振りが不明だったので,とりあえず漢字一字を共有する三田くんの部屋に荷物を入れて一休み.まだ時間がありまくりなので,近くにある立ち寄り湯〈やまと天目山温泉〉にて強いアルカリ泉に浸かる.ぬるぬるして表面がやや溶けたかもしれない.露天風呂でふやけ寝湯で寝てさらに冷たい源泉風呂に入る.午後5時過ぎに温泉を出てペンションに戻るとだいぶ人数が増えていた.今回ここにやってきたのは東京農大・昆研の新歓合宿が目的だ.一研究室だが,およそ70名の大所帯なので,合宿ともなると貸し切りにしないとどうしようもない.昆研の新歓合宿はエピソードがいろいろあって「出入り禁止」になったこともあるという.そういえば,伊豆の温泉宿で合宿したとき,明け方の大風呂で全裸のまま寝入っていた強者がいたなあ.

◆夕方になってしだいに気温が下がってきた.部屋でごろ寝して本を読むシアワセは何ものにも代えがたい.道中本は:ジェラルディン・ブルックス[森嶋マリ訳]『古書の来歴』(2010年1月20日刊行,武田ランダムハウスジャパン,東京,519 pp., ISBN:978-4-270-00562-0 → 版元ページ).かなりおもしろい.“トークン”としての一冊の本がたどってきた歴史を500年にわたって追い続けているというストーリー構成がいいな.

◆怒濤の懇親会はエンドレス —— 午後6時夕闇迫るなか,別棟のバーベキュー会場には三々五々学生が集まりはじめている.おそるべき量の肉や野菜が積み上がっている.昨年もここ〈ペンションすずらん〉で新歓合宿があったそうだが,そのときは夕食が始まって一瞬ののちに「肉」が喰いつくされ,あわてて買い足しに走ったとのことだ.今年はそういうことがないように,これでもかというほどの量を用意したとのこと.たしかに,何十人もの若者たちがどんどん食べているのに,リソースが尽きる気配がまったくない.

日本酒は大阪〈秋鹿〉の「純米吟醸・超辛口・槽搾直汲」と広島〈竹鶴〉の「純米にごり酒」を用意した.肉を焼くならこのセレクションがちょうどよかった.午後6時に始まった怒濤のバーベキュー大会に続いて,外ではすでにキャンプファイアの火焔が燃え上がっていた.気温はもちろん10度以下に下がっていて,素面なら寒いにちがいないが,かなり飲んでいる上に,焦げそうなほど炎があればなんの心配もない.火の周りで「青山ほとり」とはさすが農大!その後,本館の大広間にて三次会に突入.日が変わる時間帯になってもいっこうに人が減らないが,さすがにこっちの方が参ってきたのでほどほどの時間に退散.即爆睡.

◆本日の総歩数=3290歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜×.計測値(前回比)=93.0kg(0.0kg)/28.4%(−0.4%)


13 mei 2011(金)※いきなり暑くて青息吐息の桜丘

◆午前4時半起床.雨上がりの曇り空.気温15.6度.空気が湿気を十分すぎるほど含んでいるらしく,遠景がもやもやもと煙っている.今日は朝から経堂方面に出撃だ.

◆都内出撃 —— 7:58発のTX快速に乗る.都内は曇天,千代田線も小田急もだだ遅れでどうしようもない.まあ,余裕をもって通勤しているので致命的遅延にはならないけど,こうも毎日のようにダイヤが乱れているんじゃたいへんですねえ.経堂下車,ハートフル農大通りを下っているうちに暑くなってしまった.しかし,猛暑というにはやや力不足かも.曇りときどき晴れ.そうこうするうちに農大に到着.キャンパス内は新緑が萌える.

◆[欹耳袋]野尻美保子「Twitter時代の科学情報発信:原発事故を受けて科学者はどう対応したか」『月刊化学』 2011年6月号(→目次電子ブック記事ブログ転載記事)./第2回国際形態測定学シンポジウムの公式サイトが開設された.参加申込書とサーキュラーがダウンロードできる./七夕から東京ビッグサイトで開催される〈第18回 東京国際ブックフェア〉の展示招待券が届いた.何年も前に一度行ったきりだ.

◆隙間の┣┣" 撃ち —— 6月9日(木)の新宿〈ラマル会〉特別講演の事前打ち合わせ.東大に兼業届を出すという荒わざ.通ればたいしたものだ(マジで).会場での自著販売もOKだとのこと.配布ハンドアウトは6月6日までに原稿を事務局に送ること.

◆本日の農大高座 —— モデルとデータとの関係に始まって,パラメタライズについての概論.確率分布と確率変数.偏差・平方和・分散の導出.自由度の説明.位置パラメーターと分散パラメーターを期待値演算子に基づいて計算すること(途中まで).デモはRStudio と RCommander を使って確率分布の生成など.分散推定値のシミュレーションは来週までにRスクリプトを用意しよう.自由度で割った不偏推定値とデータ数で割った推定値とのちがいを可視化するスクリプト.

◆桜丘でのお座敷のあと外に出たら,晴れて暑くなっていた.農大通りを上がって経堂駅前からちょいと奥にあるラーメン店〈はるばる亭〉に入る.ランチタイムを外したので幸いすいていた.いつもの店内はジャズが流れているが,今日はボサノバ系BGMだった.久しぶりに来たのでやはり「香麺」の大盛りを注文.とにかく必死に混ぜないと教育的指導がびしびし入る.写真を撮っていたらすかさず「海苔はちぎってね」とまたしても指導が(汗).〈はるばる亭〉の「香麺」は鶏肉チャーシューやミミガーが野菜とともに混ざり合う.奄美の黒酢で辣椒を溶かしてまわしかけると,香油ともに絶妙なフレーバーが立ち上る.最後に熱々のスープをそそいで,すべて味わい尽くす快楽.香麺,うますぎます.経堂はいろいろな意味でレベルが高い街.食後徘徊.経堂コルティの最上階まで行った.まだできたばっかりで熟成していないな.

◆[欹耳袋]asahi.com「省内でジーパン・アロハOK 環境省,超クールビズ推進」(2011年5月13日).この程度でニュースになるのかなぁ.農環研は超々クールビズを各自実践ちう(笑).でも,「破れてだらしないものは除く」とか「Tシャツも無地ならOK」とか,環境省,まだまだじゃん,それ.ムダな但し書きね.ぜんぶオッケーにしよう.そういえば先日の領域会議で,「クールビズとは他人が不快に思わない範囲で」という領域長の談話があったが,要するに職場では何を着てもかまわないということだよねーと自分会議で批准完了(おいっ).

◆経堂徘徊ののちつくば直帰.今日の都内は晴れて暑く感じたが,いまアメダスを確認したら最高気温は24度台で夏日に達しなかったようだ.北東風が涼しかったがそのせいか.うとうとしてふと気がついたら,もう日が陰っていた.雲が厚くなってきたけど雷雨とかないよねと油断していたら,午後7時になっていきなり雨が降ってきた.雨は本降り.都内は土砂降り? こっちもヤバイかな.夜の雨のなかでクビキリギスがじーじー鳴いている.雨夜の夕餉はミートドリアとよなよなエール.なんだかとろぴかるな感じ.午後くじを過ぎても,雨がざあざあ降り続いている.北風に変わってから気温がするすると降下中.前線が通っているところかな? 午後10時過ぎに雨は上がった.

—— 明日は大菩薩峠に登るので,心身ともに養生しないと(とくに夜の宴は要注意).

◆明日の『生物科学』編集委員会は大菩薩峠行きとぶつかっていて行けない.特集企画の件で画策しているところ.編集委員会までには企画案の概略を提示したい.ワルダクミの醍醐味はこういうところにある.

◆本日の総歩数=8983歩[うち「しっかり歩数」3794歩/38分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.0kg(−0.4kg)/28.8%(−0.1%)


12 mei 2011(木)※冷たい雨が朝から晩まで降って

◆午前4時過ぎ起床.薄曇り.気温12.8度でやや肌寒い.もう少ししたら厨房に立つべし立つべし.今のところ空はところどころ明るい.本格的な雨は午後からとの予報.BGMはジンマンのマーラー〈巨人〉.巨人はまだ目覚めていない冒頭のもやもや.「カウベル」という言葉はマーラーの交響曲やリヒアルト・シュトラウスのアルプス交響曲に登場する「打楽器」しか連想させない.マーラー6番の総譜には「放牧牛のカウベルを連想させるように演奏せよ」と書かれている.東大オケでやったときは打楽器奏者の首にぶら下げろという案もあった.

◆朝の┣┣" 撃ち —— 昨年度の轍を踏まないように,成果登録はこまめに提出しようと久しぶりに「前向き」になったにもかかわらず,成果登録申請フォームの新年度版がガルーン冥界にアップされていない件(orz).これでまた来年まで忘却のかなたに消え去らないように,登録申請する物件はコピーして封筒詰めしたぞ./居室のメインマシンである Mac Pro がこのところ挙動不審で,ときどきふっとディスプレイが真っ暗になったり,ネット接続が不安定になる.そもそもいまだに Mac OSX10.4.11 というあたりがヤバさの根源かもしれない…….だいいち,「ことえり」しか入っていないというのも,かなりのマイナスポイントか./アマゾンから繰り返し繰り返し自分の書いた本の販促メールが送りつけられる件./始業チャイムとともに〈タイタン〉が終わった.

◆[欹耳袋]GIGAZINE「これまで不明だったダーウィンの病気についてその内容が判明,ピロリ菌などに感染していた可能性も」(2011年5月11日).元記事は:The Wall Street Journal「Solving Darwin's Medical Mystery」(2011年5月11日).有名人の病跡学(pathography)は一般の興味を惹くようだ.

◆変成岩┣┣" を切り崩すお昼前 —— ふと思い立って,昨年来ずっと放置していたとある┣┣" を変成岩の地層から彫り出す削岩作業をはじめた.思い立ったが吉日だ.やると言ったからにはやるしかないよねー.掘り進む岩の中から「ご執筆覚書」なる契約書が出土したので(おいっ),さっそく(といっても何ヶ月遅れてるのか……)神保町の編集部に即座に返信した.巨人が目覚めてしまった.┣┣" を放置した報いの成れの果てを見たり.破砕された岩盤から大量の出水あり,「上種」だの「半種」だの「微細種」だのが次から次へと湧き出せてくる.魑魅魍魎ども跋扈する結界に入ってしまった.午前10時,削岩作業が終わった.出土した辞書項目は拡大拓本を取った上で,現物は神保町に返送することにする.さて,次は出土したブツの整形処理だ.とりあえず,わらわらと湧き出る「〜種」って概念は一掃処分するか.

—— 削岩作業の勢いあまって,「形態測定学」の新規項目をざくっと書いてしまい,神保町に発射した.なんかもう蛮勇だけでがんがんやってしまいそう(こわい〜)

◆霧雨の降る昼休み —— 居室の窓を全開にしておくと,適度の湿気と冷気で涼しいな.さて,雨が降り出す前に新緑を愛でに行きましょーかね.昼休みに農環研まわりの徘徊に出かけたとたん,霧雨がさらさらと降ってきたのであわててショートカット.構内にある蜻蛉池神社の参道は水気を十分に含んで足元がしっとりと柔らかかった.気温は15.9度で歩くと少し汗ばむ.今夏,節電で館内空調が止まったら参道に床机を置いて仕事しようかな.外は霧雨がしとしと降り続いている.気温15.8度.空気が湿ってしまうのがやや難だが窓を開放して,今年初めて扇風機をスイッチオン.部屋の照明は全部おとしてあるので仄暗い.無伴奏のシャコンヌが流れているので,ふつうだれも入ってはこれないと思う.結界結界.

◆[蒐書日誌]因果性の樹海 —— Judea Pearl『Causality: Models, Reasoning, and Inference, Second Edition』(2009年刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xx+464 pp., ISBN:9780521895606 [hbk] → 目次版元ページ著者ページ).2000年に出版された初版の翻訳:Judea Pearl[黒木学訳]『統計的因果推論:モデル・推論・推測』(2009年2月刊行,共立出版,東京,本体価格8,500円,ISBN:978-4-320-01877-8 → 版元ページ

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午前中の削岩作業の予期せぬ副産物として,存在すら忘れていた┣┣" があちこちで息を吹き返している./農環研ホームページで公開されている「研究者情報」の更新を久しぶりにすませた(いつまでも「50歳」のままでは年齢詐称).更新箇所をひとつひとつ指定せよと言われてもかえってめんどうなので,ソースhtmlをこっちで編集して「全文差換よろ」とメール送信した./学会賞選考委員会の資料がCD-ROMで着弾した.これも大きな┣┣" だな.┣┣" が┣┣" を呼ぶ恐怖の一瞬./ゾンビな┣┣" たちが徘徊しているが,とりあえず某学会のメール会議の返事をしたためて即返信完了./さて,ちょいとゾンビ┣┣" の一匹を引きずってくるか……./「平成23年度住宅事情調査について」が飛び込んできたので,速攻で打ち返した.ほんの一瞬しか居室に┣┣" まらなかった.

◆午後4時過ぎ,ふと気がつけば,外は本降りの雨.細かい雨が勢いよく降り続いている.そろそろ撤収のしたくをしよう.ここ二三日は陽光から遠ざかっている.明日は世田谷の農大高座があるので,三点セットを忘れずに持ち帰らないといけない.今日の最高気温は16.2度どまりだったが,予報では明日の都内は28度超のほぼ真夏日の暑さになるらしい.気温の日変化が大きすぎて困ってしまう.

◆本日の総歩数=5713歩[うち「しっかり歩数」1094歩/12分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.4kg(+0.6kg)/28.9%(−0.3%)


11 mei 2011(水)※一転して朝から冷たい雨が降る

◆午前4時半前に起床.どんより曇天.寝落ち→早寝→早起きというパターンが定着しつつある.昨夜は本降りの雨だったが今は止んでいるようだ.気温は13.7度と降下中.ん,また降り始めたか.小雨が降り続く通勤時間帯の幹線道路で警官の姿やパトカーの行き来が目立つのは〈全国交通安全運動〉のスタートだからだろう.農林団地の構内も小雨が降ったり止んだりしている.傘をさすかどうか迷うところ.ツイッターがしばらく死んでいたが復活したようだ.ややお疲れ気味のツイッターさんに休息を!

◆濡れた朝の┣┣" 撃ち —— 日経サイエンスの書評ゲラ読みを完了し,速攻で編集部にリプライした:リチャード・フォーティ[渡辺政隆・野中香方子訳]『乾燥標本収蔵1号室:大英自然史博物館 迷宮への招待』(2011年4月25日刊行,NHK出版,東京,451+10 pp., 本体価格2,500円,ISBN:978-4-14-081473-4 → 目次版元ページ).日経サイエンス2011年7月号に掲載予定:三中信宏「書評:光と影のメイキング・オブ・ミュージアム」.

—— 関連して,博物館史に関わる情報ソースを列挙しておく:

  • 小宮正安『愉悦の蒐集:ヴンダーカンマーの謎』(2007年9月19日刊行, 集英社新書[ヴィジュアル版005], ISBN:978-4-08-720409-4 → 書評目次)※博物館の祖型である「驚異の部屋」の紀行書.
  • ポーラ・フィンドレン[伊藤博明・石井朗訳]『自然の占有:ミュージアム,蒐集,そして初期近代イタリアの科学文化』(2005年11月15日刊行,ありな書房,東京,782 pp., ISBN:4-7566-0588-5 → 書評目次)※博物館の黎明時代を掘り起こした大著.
  • Nicolaas Rupke『Richard Owen: Victorian Naturalist』(1994年刊行,The University of Chicago Press, Chicago, xviii+462 pp., ISBN:0-300-05820-9)※リチャード・オーエンの伝記だが,彼が初代館長を務めたロンドンの大英自然史博物館の歴史とも重なる.
  • Mary P. Winsor『Reading the Shape of Nature: Comparative Zoology at the Agassiz Museum』(1991年刊行,The University of Chicago Press, Chicago, xviii+324 pp., ISBN:0-226-90215-3)※ハーバード大学の比較動物学博物館を設立したルイ・アガシーの伝記.自然史博物館の制度的な光と影を論じている.

◆暑い夏が来そうな気配濃厚 —— 10時半から領域会議が1時間ほどあった.節電対策のためこの夏は「全館冷房停止」がほぼ既定路線.おわったな…….最上階なので照り返しで午後から夕方にかけては35度超の真夏日が連日続く.エアコンをしていても効果はない.マジで避暑先を考えないと仕事にならんぞ.シンプルにその場から立ち去るしかないな.

◆[蒐書日誌]スティーヴン・トゥールミン[戸田山和久・福澤一吉訳]『議論の技法:トゥールミンモデルの原点 』(2011年5月新刊,東京図書, ISBN:978-4-489-02094-0)※ちょい気になるのでメモクリップ.東京図書は新刊アナウンスがいつも遅いので困る.売るつもりがないのか?

◆本降りの雨が降り続く昼休み.気温は14.6度どまり.蒸し暑かった昨日の同時刻が22.7度だったことを考えると涼しすぎる.今日のお弁当は昨夜のドライカレーの残りを詰めてきた.湯島の〈デリー〉では「コルマカレー」をいつも定食のように食べてきたが,「ストロング・ドライカレー」に看板メニュー「カシミールカレー」のソースを組み合わせるという裏メニューに今度挑戦してみよう.そういえば,ワタクシは先代の相馬食堂がやめて以来,農環研食堂を利用してないな(打ち首獄門かも).

◆[欹耳袋]アブストラクトの締切りは可変か? —— 〈Hennig XXX〉the 30 th Annual Meeting of the Willi Hennig Society, 29 July - 2 August 2011, São José do Rio Preto, Brazil.大会サイトが開設されていた.またしても地球のウラ側で.アブストラクト締切が「5月30日!」となっているが,きっと延長されるだろう.何よりも,ブラジルの現地までの旅程を考えると,早く海外出張伺を出さないとダメだな.中南米は国際線も国内線もフライトがかな〜りアバウトなので,タイトな旅程を立てられると必ずどこかで破綻するし.それにしても,どのサイトもポルトガル語ばっかりで楽しいな./沖縄での the Second International Symposium on Biological Shape Analysis ,沖縄県男女共同参画センター,那覇→ ポスター(jpg)|Third Circular(pdf).こちらのアブストラクト締切りは「6月6日」とのこと.

◆雨足強い午後の┣┣" 撃ち —— 〈系統樹ウェブ曼荼羅〉の連載記事(6回目)を書いている.午後3時過ぎ,原稿を仕上げた (約4500字):三中信宏「円から球へ:高次元系統樹を描く」.速攻で編集部に発射完了.グラフビューワー〈WALRUS〉のルーツは1930年代にあり.

◆午後4時過ぎ,雨がぜんぜんやみまへんなあ.撤収しようか迷ったが,午後4時半に引き上げた.本降りの雨がざあざあ降り続いている.

◆本日の総歩数=3306歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.8kg(−0.2kg)/29.2%(−0.2%)


10 mei 2011(火)※降り続く走り梅雨に雨蛙の合唱

◆午前4時半起床.薄曇りで日の出は拝めず.気温は15.3度と異様に高い.今日は天気は下り坂で,日中のうちに雨になるらしい.本日の予想最高気温は27度,しかも極度に蒸し暑いとは地獄だ.あわててアロハを引き摺り出す出勤前.これからの季節はどこか天国に行きたいな.

◆どんより午前の┣┣" 撃ち —— 今週金曜の農大高座で配布するハンドアウトや出席カードなどいつもの「三点セット」を用意完了.先週の高座は統計学概論として統計的な「ものの考え方」について話した.例としてテューキーの「箱ひげ図」を挙げ,データ視覚化の威力について説明した.今週のキーワードは「統計モデル」と「パラメトリック統計学」.データを前にしたとき「モデル」による説明とは何か,データの挙動をどのようにして“パラメタライズ”するかについて説明する予定.

◆[蒐書日誌]実在する古書をめぐる小説 —— ジェラルディン・ブルックス[森嶋マリ訳]『古書の来歴』(2010年1月20日刊行,武田ランダムハウスジャパン,東京,519 pp., ISBN:978-4-270-00562-0 → 版元ページ).実在する五百年前のユダヤ教写本『サラエボ・ハガダーSarajevo Haggadah)』をめぐる物語.基本線として「小説」は読まないことにしているのだが,いくつかのジャンルと作家の「例外規程」がある.本書のような「本の本」はその例外のひとつ.

◆昼休みに一息ついて —— 朝のうちはまだ雲間から青空がのぞいていたが,しだいに雲が厚くなってきた.気温はすでに23.5度まで上がってきた.今月の┣┣" 撃ちリストを更新した.そろそろハルマゲドンが接近してきた変成化している原稿┣┣" どもを切り崩すしかないな./明日,10:30から領域会議あり.

◆[欹耳袋]栓抜きがないっ,コルク抜きもないっ! —— そんなときでもあわてずさわがず,こんなわざを:「1000 Arten ein Bier zu öffnen」※ビール大国ドイツで「栓抜きなし」で生き延びるすべ1000通り!/アメリカ・ホテル編もある:d.neko.nu「ホテルで栓抜きがないとき」(2007年6月24日) ※ビール瓶の場合は「てこの原理」で開栓するのが基本./その昔,農環研の組合旗開きで歯でビール栓を抜いた若手がいたな(ケダモンですな)/ワインがあるのにコルク抜きがなかったとしてもこんな技がある:wikiHow「How to Open a Wine Bottle Without a Corkscrew」※ワイン・ボトルの場合,基本は「固いものに打ちつけて水圧でコルク栓を押し出す」にある.さすが「窮すれば通ず」を地で行くなあ.

◆雨降る午後の┣┣" 撃ち —— 午後になっても灰色の曇り空が続く.南関東ではすでに30度の真夏日ラインを突破しているようだが,つくばはまだぎりぎりで夏日ラインに達していない.「あとがき」をさらに400字ほど書き足したりして.午後2時前,雨が降り始めた.湿気がコワいので窓はぴたっと締め切っている.今年の「人間犬」変身日は8月23日(火)に日程確定した.午後4時,外は本降りの雨に.気温は21.2度.けっきょく夏日ラインを突破することなく,しとしとと万物を腐らせる生温い雨の一日.明日もこんな感じなのかな.午後5時,来月の東大農学部・研究会議(成績検討会&設計会議の軽いの)の配布資料を,締切一ヶ月も前に(ここ強調!)担当者に返送した.今日の┣┣" 撃ちはこれくらいで斬り上げて撤収しよう.

◆[欹耳袋]うましかニュース「世界中の美しすぎる図書館の画像を貼っていく」 ※スペイン語の古い革装幀本がずらりとならんだ図書室を歩いた記憶があるのだが,どこの国に海外出張に行った時だかぜんぜん記憶にない.他に人がいなかったから,博物館付設のライブラリーかな.とすると,オアハカの文化博物館を徘徊した時か.いや,ちがうかも.そういえば,全世界の図書館を撮りまくった豪華写真集があったな:Ahmet Ertug『Temples of Knowledge: Historical Libraries of The Western World』(2009年刊行 → コンパニオンサイト著者サイト).

◆夜になって本降りの雨ふたたび.いまの気温は19.0度もあるが,これから明日の日中にかけて気温はひたすら下がり続けるらしい.最高気温は今日よりも15度ほど低いという予報.日経サイエンスの書評ゲラが着弾した:リチャード・フォーティ[渡辺政隆・野中香方子訳]『乾燥標本収蔵1号室:大英自然史博物館 迷宮への招待』(2011年4月25日刊行,NHK出版,東京,451+10 pp., 本体価格2,500円,ISBN:978-4-14-081473-4 → 目次版元ページ)※さっそくチェックして明朝打ち返すことにしよう.

—— ふと気がついたら,ゲラ読みしているうちにあえなく寝落ちの巻.雨が降ったり止んだりしている.

◆本日の総歩数=2183歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.0kg(+0.4kg)/29.4%(−0.2%)


9 mei 2011(月)※連休が終わり薫風吹く五月晴れ

◆午前4時半起床.気温10.1度とひんやりした明け方.実にみごとな朝焼けに続く日の出は,いったん薄雲の向こうに隠れてしまったが,すぐに青空に舞台に復帰した.その後は心地よい五月晴れの青空が広がる.まずは連休中ずっと締めきっていた居室の窓を全開にして換気しよう.BGMはリヒテルの〈平均律〉.今週は金曜の農大高座まではつくばに実在する予定.

◆朝の探索┣┣" —— 大震災後,居室にいたはずのハナアルキ類がどこかに埋もれてしまって,まったくその姿を見ていない.Rhinogradentia ちゃんはいずこ? いま書いている「あとがき」の脇役なんだけどな.平凡社ライブラリーから復刻された『鼻行類』は先ほど堆積層の下から出土したが,オリジナルの思索社版が依然として行方不明.その他にハインツ・ゲールケのハナアルキ比較解剖学本もあるはずなのだが…….震災以降とんと姿を見なくなった本は数知れず.

◆昼前に大きめの┣┣" を一頭仕留めた —— 勁草書房・文化系統学本の「あとがき」脱稿した:三中信宏「おわりに:系統樹思考の裾野の広がり」.脚注こみで400字詰にして20枚弱の分量.各章の原稿改訂がだいぶ進んできた.章の配列最適化も話題にのぼっている.今月中になんとかメドをつけたいところ.

◆[欹耳袋]ハナアルキはあとでゆっくり探すとして,Caminalcules に目を向ける.R. R. Sokal の元論文もpdfでゲットできるし,系統発生をアニメ化した動画まである.もともと Caminalculesは,形態解析の「教材」としてカンザス大学の昆虫学者 Joseph H. Camin が1960年代にトレーシングペーパーの上で“進化”させた架空生物群だ.進化学・系統学の教材としての価値は今でも認められているらしく,R. P. Gendron (2000) The classification & evolution of Caminalcules. The American Biology Teacher, 62(8):570-576 → BioOne | pdf という生物教員向けの論文もある.

—— この Caminalcules も「あとがき」の脇役のひとつだ.

◆所内事務連絡としてクールビズ軽装の「前倒し」の通知があった.とっくの昔に十分な「軽装」なのでこれ以上は服装を軽くしようがない…….本日の最高気温はぴったり25.0度だった.ま,これだけ暖かくなれば,放っておいても所内に「ほぼ裸族」が出現するのは時間の問題かも.

◆[蒐書日誌]昨日の夕方,メディカル病院に行ったついでに,久しぶりに天久保にある〈学園都市古書センター〉に立ち寄った.かつてこのエリアには数軒の古書店が集まって,小さいながらも「古書店街」をつくっていたが,今ではこの古書センターだけしか残っていない.自然科学系の品揃えは月並みだが(土地柄,大学の教科書類が多いようだ),人文系・歴史系・芸術系の古書は“ウォール”を見て歩くだけでも楽しい.絶版本が格安だったので一冊ゲット:上村忠男『歴史家と母たち:カルロ・ギンズブルグ論』(1994年1月25日刊行,未來社[ポイエーシス叢書:22],東京,250 pp., ISBN:4-624-93222-6 → 目次版元ページ).ギンズブルグの言う「ゆがんだガラス」としての証拠についても論じられている.

◆今宵の夕餉は,例の巨大キノコを塩胡椒でさっくりローストして食卓へ.お供には福井の〈〉「初雪(純米吟醸生原酒)五百万石」を開栓した.うすにごりで炭酸ガスがぷつぷつと湧き上がる.「ときしらず」の熟成された旨味も捨てがたいが初夏の夜はこういうフレッシュさがいい.

◆さんざん探しまわってへとへとになっていたアイテムが,ふと気がつけばすぐ脇の本棚の最前面に並んでいたという世の不条理.しかも,もうないと思って新しいのを用意してしまったという憂き世のつらさ.

◆五月晴れも今日まで明日からは週末まで曇ったり降ったりのぐずついた空模様になるらしい.しかも湿度が高く蒸し暑いというから,梅雨の走りみたいなものかも.一年のうちでもっとも不快なシーズンの到来だ.台風一号がやってくるってマジですか?

◆本日の総歩数=3538歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.6kg(−0.1kg)/29.6%(+0.2%)


8 mei 2011(日)※夏日の昼下りはシロノワールを

◆午前4時過ぎに早めの起床.気温は13.0度.夜明け前は予期しない濃霧だったが,明るくなるにつれてしだいに晴れてきた.薄くかかった雲の向こう側から朝日がやっと顔を出す.その後,よく晴れて早くも暑くなりそうな気配が漂ってきた.予報では余裕で夏日になるらしい.

◆連休最終日はまたしても朝霞台にて —— 午前8時につくばを出発し,常磐道と外環をひた走り,一時間余りで朝霞台に着いた.先週は猛烈な南風に煽られて,砂塵と黄砂でざらざらになったが,今日はカラッと晴れ上がる青空のもと,東洋大学・朝霞キャンパスでは,午前中から初夏の陽光がさんさんと降り注いだ.今日の都内は予報通りの夏日.最高気温は25.9度の夏日だった(つくばは27度超だったそうな).

◆[欹耳袋]Togetter - 「[メモ]ポパー「反証可能性」の問題点」.つねづね挑発的に「武器としての科学哲学」って言い続けてきたけど,拍子抜けするほど反論が聞こえないのはなぜだろう.確信犯的にかなり失礼なことを口走っているはずなんだが…….

◆早朝からの朝霞台ミッションを終え,高速を飛ばして帰還.帰りに,流山おおたかの森駅の近くにある〈コメダ〉にて看板メニューの「シロノワール」したまではよかったが,欲張って「エビカツサンド」を追加注文したら,オニのようなドデカイのが運ばれてきてあっさり降参.さくさくのエビカツは確かにうまかったが,シロノワール(大)と組み合わさると必殺で,三等分の一切れは持ち帰るハメになった.スマートにシロノワールだけにすればよかったかも.ついでに「小倉トースト」を注文しなくてほんとうによかった〜.

ここのコメダ支店はTX流山おおたかの森駅から直結するショッピングセンターのすぐ裏手にあって至近.日曜の午後3時過ぎという時間帯に満員の客だった.ナゴヤの有名喫茶店が千葉まで進出してくるこの時代,もう一歩TX沿いに進撃すれば茨城も攻め落とせるだろう.しかし,連日シロノワールを食べていたら,とてもオソロシイ結末が待ち受けているにちがいない.

—— 午後5時前につくばに帰りついた.疲労困憊で欲得なくすぐ寝落ちしてしまい,気がついたら外は真っ暗.東寄りの風が吹き抜けていた.昼間は暑くても朝夕は心地良い涼しさ.

◆[蒐書日誌]連休寝読み本(其の伍) —— ケン・プレストン-マファム[青木淳一監訳/小野展嗣 ・藤巻玲路訳]『クモ・ダニ・サソリのなかま』(2011年4月20日刊行,朝倉書店[シリーズ・知られざる動物の世界:7],東京,iv+118 pp., ISBN:978-4-254-17767-1 → 版元ページ).全編にわたり迫力あるカラー写真がふだんはなじみのない生きものの生態を伝える.献本感謝です.前から疑問に思っていたのだが,蜘蛛の「和名」ってカタカナから漢字がなかなか連想できない率が昆虫にくらべて高いように思う.たとえば,日本に侵入して話題になった有毒の「〜ゴケグモ」の「ゴケ」の意味,あるいは「キシダグモ」の「キシダ」ってだれ? そして,「ホンジョウゴグモ」の「ホンジョウゴ」って何,など疑問は尽きない.群生するザトウムシの長い足の絡みあうようすが現代アートのごとし.

◆本日の総歩数=7195歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=92.7kg(+0.2kg)/29.4%(+0.3%)


7 mei 2011(土)※大型連休はさらさらと流れ去る

◆午前4時半起床.今日も曇っていて朝焼けも日の出も拝めない.それどころか,しとしとと霧雨が降っている気配さえある.でも,えいやっと洗濯物を干しまくる.その後,しとしとがしだいに強まってきたので,あっさり降伏.卯の花くたしか.

◆[欹耳袋]遺伝子配列順序間の「編集距離(edit distance)」について —— とりあえず:D Sankoff, G Leduc, N Antoine, B Paquin, B F Lang, and R Cedergren (1992), Gene order comparisons for phylogenetic inference: evolution of the mitochondrial genome. PNAS, 89: 6575-6579 → abstract | pdf (open access) あたりを出発点としてみる.編集距離としては,配列長があらかじめ固定されている「ハミング距離」とそれを一般化した可変長の「レーベンスタイン距離」がある.もうひとつの方法は:C Gallut and V Barriel (2002), Cladistic coding of genomic maps. Cladistics, 18: 526-536 → abstract にあるような,遺伝子配列データを polymorphic character とみなして multistate coding するというやり方だ.

「距離」だけでまるまる一冊の辞書がある:Michel-Marie Deza and Elena Deza『Dictionary of Distances』(2006年10月刊行,Elsevier,ISBN:978-0-444-52087-6 → 目次版元ページ著者サイト).ときどき参照していたのだが,その改訂版が出ていたことを知った:Michel-Marie Deza and Elena Deza『Encyclopedia of Distances』(2009年刊行,Springer-Verlag, Berlin, xiv+590 pp., ISBN:978-3-642-00233-5 → 版元ページ).旧版の増補改訂版という位置づけらしい.

◆午前10時前.気温は16.5度.肌寒いわけではけっしてないのだが,湿気がべたべたするせいかまったく快適ではない.巨大キノコを小脇に抱えて霧雨の中を農環研に向かう.長い連休中,幸いなことに┣┣" は増えていなかったが,着便本の箱がいくつか堆積していた.そうこうしているうちに,あっという間にお昼になる.霧雨が降り続く.

◆[蒐書日誌]先月届いた巨大な箱の中身はコレ —— Jacques Bertin[William J. Berg訳]『Semiology of Graphics: Diagrams, Networks, Maps』(2011年刊行,Esri Press, Redlands, xvi+438 pp., ISBN:978-1-58948-261-6 [hbk] → 目次版元ページ).450ページもある図版集.重すぎる〜.グラフという「記号」をどのように用いればいいのかを論じた本.大量の図版の隙間を活字がびっしりと埋め尽くしている.フランス語原書は1967年刊行の『Sémiologie graphique』で,1983年の英訳版(The University of Wisconsin Press)の復刻が本書だ.とりあえず,「ネットワーク」(pp. 269 ff.)あたりからブラウズし始めているのだが,系統樹の表示に関する興味深い実例がたくさん載っている.Circle tree が1960年代から使われていたことを初めて知った.また,トレリス(trellis)グラフィクスの祖型を見ることができる.三次元グラフの模索は半世紀も前からあったということか.本書全体を通じてグラフ言語のひとつの「体系」の構築しているが,それが降臨してくれるのはまだまだ先のことだろう.

◆霧雨が降り続く昼下り.西大通りを南下して久しぶりにひたち野うしくのうねうね高架をくぐる.目指すは〈ひたち野いしざき〉でのランチ.写真はデザートの「トマト羹」.次いで,稲荷前の〈アンキュイ〉でパン・オ・ルヴァンなどをゲット,さらに並木の〈マルゲンミート〉でひき肉を買ってから帰還.ショッピングな週末.

◆夜になっても空気の湿り気がべたべたする感じが残る.明日は朝からまた朝霞台に出かける用事があるのだが,最高気温が夏日ラインを大きく突破するだろうという憂鬱な予報が流れている.この連休はどこにも出かけなかったのに,細かい┣┣" や近場の行き来であまり有意義な過ごし方はできなかったと思う.そのなかで原稿┣┣" を仕留められたのは幸いだった.今夜は夜更かしせずに寝ることにしよう.

◆本日の総歩数=2786歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.5kg(−0.5kg)/29.1%(−0.5%)


6 mei 2011(金)※ぐずつく立夏に経堂のお座敷へ

◆午前4時半起床.曇り.気温10.7度,北東の風が肌寒い.予報を見ると,日中も昨日並みの涼しい一日になりそうだ.今日は連休のはざまの平日で,農大の講義がある.

◆連休の合間のお座敷へ —— 7:58発のTX快速で出陣.つくばは肌寒く曇っていたが,乗り換えの代々木上原で地上に出たら,雲間から日光が射しこみ気温が上がっていた.午前9時半に経堂着.曇りときどき晴れ.こういう空模様は微妙で,湿度があるだけに蒸し暑くなってきた.駅前の〈経堂コルティ〉が大々的にオープンしていた.

◆[欹耳袋]日本の方言の分岐は農業の発展とシンクロしている —— Sean Lee の論文が発表された(本人からメールあり):Sean Lee and Toshikazu Hasegawa (2011), Bayesian phylogenetic analysis supports an agricultural origin of Japonic languages. Proc. R. Soc. B. Published online before print May 4, 2011, doi: 10.1098/rspb.2011.0518 → abstract | pdf (open access). だいぶ前に,駒場の長谷川研でキクマルをなでなでしながら彼の話を聞いたことがある.日本の諸方言の言語系統樹を推定した上で,その歴史的成立要因を解明するというのが彼の修士論文のテーマだった.その成果のひとつ.この研究によると,日本の59方言の「共通祖語」は2,182年前にまで遡れるという.この年代推定は,日本における農業の発祥と緊密な関係を示唆していて,農業の発展が人類集団と言語分化の因果プロセスであるとの仮説を裏付けると主張されている.オーストラロネシア語族,印欧語族,そしてバンツー語族で裏付けられた仮説がここでもまた支持されたということだ.

—— この論文については New York Times でも同時に報道されている:Nicholas Wade: Finding on Dialects Casts New Light on the Origins of the Japanese People. New York Times, 4 May 2011.

◆本日の農大高座 —— 連休前はガイダンスだけで終わってしまったので,実質的に今日が最初の講義となる.連休の合間だし,履修登録もすんでないだろうし,学生はあまり来ないのではと危惧していたのだが,意外なほどキャンパス内は人口密度が高く,教室には百人以上の学生がいた.おつです.いつものように統計学概論から入り,Tukey の箱ひげ図によるデータの視覚化をRコマンダーでデモした.正午に終了.非常勤講師室備え付けの書棚新設コーナーを見たら,去年度はなかったはずだが,今年からついに〈もやしもん〉コーナーがつくられ2冊ずつ配架されていた.さすが公認マンガ!

◆午後の潜伏 —— 桜丘のお座敷をすませたので,農大通りを上がって駅前へ.曇りときどき晴れ.やや蒸し暑い.某所に潜伏して原稿を書き始める.二時間ほど格闘して,やっと勁草書房・文化系統学本の「あとがき」(紙バクダン15枚)を仕上げて.関係者に発射した.これで自分担当の┣┣" はすべてカタがついたので,あとは尻たたきに専念できるかな.

◆午後6時すぎに夕暮れのつくば着.都内は晴れたり曇ったりで,館内とか車内が蒸し暑かった.北東風が涼しい.いまの気温は14.9度.

◆グッド・タイミングで,上総きのこ研究所が開発した「玉白の茸」がクール宅急便で届いた.売られているエリンギよりも巨大でずっしりと重い.スライスした上,オリーブオイルでさっと焼いて食卓に直行させることにした.たったひとつだけのに,スライスしてステーキにしたら大皿にいっぱいできてしまった.歯ごたえは確かに「あわび」のごとし.「玉白の茸」がつくられた経緯については,開発者・川合源四郎氏のブログに詳しい.要するに,エリンギ属のふたつのきのこ(通常の「エリンギ Pleurotus eryngii var. eryngii」とアルタイ産の「バイリング Pleurotus eryngii var. tuoliensis」)を交配させてつくったのが 「玉白の茸」とのこと.とてもおいしくいただきました! それにしても,きのこの「交配」っていったいどうやってやるんだろう?(素朴な疑問)

◆本日の総歩数=8325歩[うち「しっかり歩数」3694歩/35分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.0kg(+0.2kg)/29.6%(+0.4%)


5 mei 2011(木)※連休最終日は┣┣" を攻める日

◆午前4時半過ぎに起床.昨夜も病み上がりを口実に早く寝てしまったので,余裕で起床.雲が広がる夜明け前.気温は12.2度.今朝は北東風がとっても冷たい.日中も大幅に気温が低いとの予報.早朝,一時,しとしと雨が降ったが,すぐやんで晴れてきた.しかし,吹く風は冷たいので,体感気温が昨日までに比べてずいぶん低い.その後も曇りがちの空模様が続く.端午の節句にならないうちにフライングで柏餅をたくさん食べたから,今日は自重するか.といっても,ちまきをたくさん食べるのでは何にもならない.

◆[欹耳袋]科学研究における「銅鉄主義」という言葉のルーツはどこか? —— ワタクシが最初に「銅鉄主義」という言葉を聞いたのは,古生物学者の故・阿部勝己さんからだった.彼のエッセイ集:阿部勝己『ワイングラスかたむけ顕微鏡:古生物学者のひとりごと』(1992年12月31日刊行,国際書院,東京,207 pp., ISBN:4-906319-35-1)でも次のように言及されている:

大学の教養課程で習った生物のH先生に,講義の合間の雑談で「銅鉄主義」という言葉を教えてもらった.それは科学者の研究に対するひとつの姿勢を表し,そのような姿勢の研究者になるべきではないといわれた(のだと記憶する).すなわち,銅で行った実験なり研究なりで良い結果が得られ,周囲から面白い研究だと評価されたので,今度は鉄を使って同じような研究をする,そういう態度を「銅鉄主義」というのだそうだ.(p. 194)

とても印象に残る言葉だったのでいまでもよく覚えているのだが,そのルーツはもっと遡れるようだ.たとえば,「銅鉄主義」から連想される金属学に関連して,こういう記事があった:宮原将平「磁性体の物理学の歴史と展望 : 銅鉄主義を考えなおす」日本物理學會誌, 27(3): 160-167 (1972) → pdf.この記事の中で著者は磁性体研究の歴史を振り返りつつ次のように記している:

銅鉄主義という言葉の出典を私は知らない.(槌田氏の創案かとも思うがたしかではない)この言葉の意味は,銅で実験してこうなったから,次は鉄でやってみようというようなやり方をいうのである.これはもっとも程度の低い実験研究の方法論の代名詞としてつかわれている.そこには透徹した自然への洞察がない.つまらない方法であることはたしかである.(p. 166)

1970年代初頭までさかのぼってもまだ先がありそうな気配が濃厚だ(「槌田氏」ってだれ?).由来はさておき,とかくけなされがちな「銅鉄主義」だが,それぞれの引用に続く文章の中でその科学的な意義をふたりとも強調しているのは興味深い.

◆午前中はゆるゆると根読みして,遅めのランチはイーアスに入っている〈梅蘭〉の看板メニュー「梅蘭焼きそば」.外はカリッと焦げ目がついて,中はしっとりしている. 完食するのはかなりきつい.

◆連休も┣┣" 撃ちは続く —— 午後は,しばらく放置していた勁草書房「文化系統学」本の「あとがき」┣┣" を追いかけてみる.意外にもするすると進み,ペラにして12枚あまりさくっと書けてしまった.この分だともっといけそうかもしれない.よしよし.

◆[蒐書日誌]連休寝読み本(其の肆) —— 池田健二『[カラー版]スペイン・ロマネスクへの旅』(2011年3月25日刊行,中央公論新社[中公新書2102],221 pp.,本体価格1,000円,ISBN:978-4-12-102102-1 → 版元ページ).読了.寝読みにぴったりのカラー新書.九世紀建立の教会が壊れることもなくそのまま残っているとは,さすが地震がない国だと変なところに感心する.古いキリスト教文化とイスラーム文化が入り混じる.とりわけ,アストゥリアス地方の古都オビエドにあるサンタ・マリア・デル・ナランコ教会(→ Santa María del Naranco)がいかにも神聖不可侵なオーラが漂っていていいなあ.

◆[欹耳袋]MacBook Air 用に —— 〈Sophos Anti-Virus for Mac Home Edition〉:Mac OS X 用のフリーのウィルス対策ツール./〈WriteRoom〉:Mac と iPhone 用のフルスクリーンでの文章入力ツール.シェアウェア.これって,講義用の「板書」に使えそうな気がする.

◆今日は,終日,曇り空が続いて北風がとても冷たかった.最高気温も16度台にとどまり,連休前半の初夏の陽気はどこへやら.病み上がりにはこういう日較差はとてもつらいものがある.ゼロの数が多い金額が飛び交っていて,金銭感覚がマヒしそう.といっても,ワタクシのフトコロがうるおうわけではない(orz).

◆本日の総歩数=566歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.8kg(0.0kg)/29.2%(+0.1%)


4 mei 2011(水)※天気がよすぎて寝連休する昼前

◆午前5時前に起床.雨上がり.まだら雲の向こうから朝日がのぼってきた.気温は11.1度.昨日はかなりつらかったが,やっと回復してきたかな.それでも37度台の微熱が続いているせいか睡眠時間がやたら長い.寝正月ならぬ寝連休を決めこみ,午前中はごろごろする.ゆるゆると寝読みし続けるのは怠惰な歓び.

◆[欹耳袋]〈TimeTree: The Time Scale of Life〉.TimeTree は任意の末端生物からの分岐点年代を表示するツールらしい.iPhone / iPad アプリもある(→ダウンロード).元論文は:S. B. Hedges, J. Dudley & S. Kumar (2006) TimeTree: A public knowledge-base of divergence times among organisms. Bioinformatics, 22: 2971-2972 [→ pdf] .論文集としては:S. Blair Hedges and Sudhir Kumar (eds.)『The Timetree of Life』(2009年刊行,Oxford University Press, New York, xxi+551 pp., ISBN:9780199535033 → 版元ページ※US$200 ってマジですかっ).iPhone アプリってところが先端的だなあ.そろそろ iPhone を買おうかな.でもその前にやっぱり iPad2 かな.

◆晴れて初夏のような日射しが降り注ぐ昼下がり,久しぶりに東新井の〈トライブ〉にてコーヒー豆をいくつか調達したのち,農環研に向かう.途中,408号沿いの〈キッコ・ドゥーバ〉を覗き込んできたが,ランチタイムなのにチェーンで閉鎖中.正面ドアには何やら掲示が貼られている.どうやら店を閉じてしまったみたいですねー(ホームページもなくなってるし).つくばは,ラーメン店だけでなく,フレンチやイタリアンも激戦区で,店の入れ替わりが意外に激しいと聞く.ミラノにまでその名が知れ渡っている〈アミーチ〉ができてからというもの,松代地区もイタリアン激戦地区に巻き込まれた.

◆暗くて静かな農環研はパラダイス.ゴールデンウィークの中日に出勤している変わり者がほかにもちらほらいるみたいだけど,五階までは登攀してないのかな.連休中日の┣┣" 撃ち成果:1)首都大学東京の今年度履修者名簿が送られてきた.でも9月の集中講義なのでまだ先の話;2)某プロジェクトの企画立案と概算要求を関係者に送った.研究所の初期投資についてはいろいろ諸方面に訊きまくり.西日が射し込んできた.大風呂敷を広げまくってやや疲れたので,そろそろ撤収タイムかな.本日の最高気温は22.1度.やっと平熱に戻ったみたいなのでよかった.

◆[欹耳袋]最近,テレビで頻繁にTBS日曜劇場〈Jin — 仁 —〉の予告編を見るたびに,石川英輔『大江戸神仙伝』(1979年刊行,講談社,東京/1992年2月20日復刻刊行,評論社,東京,423 pp., ISBN:4-566-05258-3)を連想する.三十年以上も前の小説だがとても印象に残っている.その後,大江戸神仙伝シリーズとして七冊出たが,この最初の巻がやはりベスト.いずれにせよ,おもしろい着想は作家を越えて水平伝搬するのだろう.なお,村上もとかといえば,〈Jin — 仁 —〉ではなく,〈龍 — RON —〉だとワタクシ的には勝手にランクを付けている.

◆[蒐書日誌]島田荘司『進々堂世界一周:追憶のカシュガル』(2011年4月28日刊行,新潮社,東京,ISBN:978-4-10-325232-0 → 版元ページ).小説の内容はともかく「進々堂」という場所に惹かれる.少なくとも,カバージャケットの絵のような洒落た喫茶店で「ない」ことは確かだ.参照 →「島田荘司のデジカメ日誌・第280回」(2010年9月21日).

◆今夜も早く寝ることにしようかな.いちおう病み上がりだし(口実としては言うことなし).

◆本日の総歩数=2363歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=92.8kg(−0.4kg)/29.4%(+0.1%)


3 mei 2011(火)※大型連休の後半は微熱でスタート

◆午前5時半起床.今日は曇り空.気温8.7度.昨夜は午後9時すぎにぱたんと寝たので,久しぶりの長時間睡眠となった.白みつつある東の空では雲間からは「ヤコブの梯子」が放射状に広がる.昨夜の微熱はいったん下がったようだが,鼻風邪はぜんぜん抜けていない.そうこうするうちに朝日が射しこんできた.気温は昨日までよりもかなり低く,ひんやりしている.筑波山が霞んでいるのは黄砂のせいか.曇りがちの空模様.その後,また微熱がぶり返して一進一退.久しぶりに体調わろし.

◆連休寝読み本(其の参) —— 書評ワールドの多様性とその保全について:豊風R美『ニッポンの書評』(2011年4月20日刊行,光文社[光文社新書515],東京,230 pp., ISBN:978-4-334-03619-5 → 書評目次版元ページ).連休中の寝読み本の一冊.プロの書評者として活躍している著者が“トヨザキ”スタイルの「書評の極意」を伝授してくれる.これまで雑誌やネットでたくさんの書評を書いてきた私としてはぜひとも読まないわけにはいかない.本書の本論は講義形式で進められる.しかしその前に,巻末のトツゲキ対談「ガラパゴス的ニッポンの書評 —— その来歴と行方」(pp. 181-227)をあらかじめ一読しておくと,書評に対する著者自身のスタンスといまの日本での書評が置かれている文脈が理解できる.今の日本における「書評ワールド」の考現学を論じるのが著者であるとしたら,対談者・大澤聡はそのような日本書評ワールドが形作られてきた来歴をさかのぼる考古学者の役回りである.内田魯庵や戸板潤という名前が書評史とも関連づけられて登場するとは知らなかった.

世の中にはとても長い書評がある.かつて1859年にチャールズ・ダーウィンの『種の起源』がロンドンで出版され,大きな反響を呼んだ.その翌年,ダーウィンの宿敵リチャード・オーエンは匿名で『種の起源』の書評を Edinburgh Review 誌の第111巻(1860)に掲載した(→ 元記事).そのベージ数たるや実に46ページにも及ぶ大書評論文だった.当時は,このような何十ページにも及ぶ長文の書評はけっしてめずらしくなかった(→ ダーウィンの著作への同時代書評のリスト:Darwin Online).おそらく,本や雑誌の文章を読むスタイルが現在とはまったく異なっていたという文化的背景があるのだろうと推察している.

現在の読者が雑誌やネットで日々目にする書評(らしきものも含む)の形式は,歴史を背負った社会現象のひとつである.19世紀のイギリスにあったような,あるいは現在でも New York Times Book ReviewTimes Literary Supplement あるいは Complete Review に見られるような「詳細にして徹底的」な書評は,個人的にはとてもうらやましい文化的伝統だと思う.

現在の自然科学系の学術雑誌でも,ジャーナルの編集方針として長文の書評記事を掲載するものもある.たとえば,生物体系学の専門誌である Cladistics 誌は刷上りで10〜15ページもの長さの書評論文が載る(最近の書評では,たとえば:James S. Farris 2011. Systemic foundering. Cladistics, Volume 27, Issue 2, pages 207-221, April 2011 → DOI: 10.1111/j.1096-0031.2010.00331.x を挙げることができる).このような書評論文の目的は,「読者のために」というよりは,むしろ「書評者のために」あるのだろう.このような好戦的な書評論文は,それを契機として新たな論争が勃発することも少なくない.

『ニッポンの書評』のおもしろさは,具体的な単行本(ほぼすべて小説のジャンル)を取り上げて,「いい書評/ワルい書評」をあからさまに添削指導してくれるところにある(著者自身の書評文も俎上に乗る).それとともに,プロの書評とアマチュア書評のちがい,アマゾンのカスタマーレビューその他ネット書評の陥穽,新聞書評の通信簿が次々と講義される.書評に対する著者の基本スタンスは「読者のための読んでおもしろい書評」というスローガンに尽きる.確かに職業的な書評者としてのニッチを開拓するためには,文芸批評や評論とは異なる存在理由を求めなければならないのだろうと私は理解した.基本的に短い書評枠しか用意されていない日本の書評ワールドのなかで,著者はいかにしてそのスローガンを達成できるのか.本書を読み進むとともに読者はその「わざ」を垣間見るだろう.

実際,私が過去に担当したことのある依頼書評だと,たとえば日経サイエンス誌の書評欄は「17字×86行=1,462字」が本文字数の規定だし,bk1のブックナビゲーターをしていたときはひとつの書評は「800字」が上限だった.本書の著者の言うとおり,けっして十分なスペースが与えられるとはかぎらない日本の書評ワールドで,よりよい書評内容をいかにして読者に見せられるかは書評者としてつねに考えなければならない.その意味で,この新書は書評を読む側と書く側の双方にとって教えられる点が多い.

本書に登場する単行本はすべて文芸作品であり,その点で著者の主張は,自然科学や科学哲学分野の本を書評する機会が多い私自身の経験とはかなりズレているところもある.たとえば,著者は小説を書評する際の「ネタばらし」の問題に言及しているが,自然科学系の本ではそういうことはもともと生じようがない.著者とはちがって,私の基本路線は「自分のための書評」にある.読了した本の内容とそのインパクトを文章にまとめることは,他の読者のためではなく,ほかならない自分自身のためだから.そのようなスタンスで書いた文章が運よく誰かの役に立ったとしたら,それは文字通り「望外」の喜びということだ.私が雑誌やネットで書評を公開するときは昔も今もこのスタンスを守るようにしている.書評は利己的であるべきだというのが一貫した(職業的書評家ではない)私の信念だ.

さらに言うならば,同じ「書評」であっても,著者と私では書評ターゲットとして読んでいる本のタイプと書評の目的が根本的にちがっているのではないかと思える点がある.著者は書評のあるべき姿をこう述べている:

わたしの考える書評は作品という大八車を後ろから押してやる“応援”の機能を果たすべきものです.自分が心から素晴らしいと思った本を,簡にして要を得た紹介と面白い読解によって,その本の存在をいまだ知らない読者へと手渡すことに書評の意味と意義があるんです.(p. 150)

確かに,書評のもつ上の意義には異論はないだろうし,そういう書評を私もできるだけ心がけるようにしている.その一方で,著者はこうも言う:

問題は,取り上げた本を利用して己の思想を披瀝する輩です.つまり,相手の土俵に上がるのではなく,自分の土俵に書評対象の本を無理矢理引っ張り込み,相手が無抵抗なのをいいことに自分の得意技でうっちゃる,そういう蛮行をふるうタイプの書き手.私は,そんな輩を優れた書評家とは思いません.(pp. 164-165)

これは困ったなあ…….この「書評家倫理」に従うかぎり,私が日常的に読んでいる好戦的な書評論文は存在し得なくなり,リングサイドで観戦しているわれわれ研究者はその愉しみを奪われることになってしまうだろう.いい本を世に知らしめるという書評もあれば,ストリート・ファイトのような書評があってもかまわないのではないか.そもそも,専門書の場合,ある本がフルボッコになったとしても,著者自身あるいは支持者がそれを上回る反撃書評をぶつけてくることが学術系ジャーナルではよくある.それもまた,科学という行為のひとつの側面として私は楽しんでいるし,なくなってほしくない.

私のかぎられた経験では,書評は単にテキストとしての文章だけの問題ではない.ある本を書評しようとした時点で,さまざまな妨害や横槍が入ったりすることは皆無ではない.科学者の世界である本の書評をするということは,それを支持するにせよしないにせよ,研究者コミュニティの中で闘いを挑むことに等しい.「武器としての書評」という視点が私個人にとっては必要だ.著者は「トヨザキ書評ワールド」の中で,書評一般についての自らの考えを本書で一般に開陳した.それはよく理解できるのだが,同時に「トヨザキ的」ではない書評にも独自の存在価値があると私は考える.

書評の書き手と読み手はかならずしも単色ではない.書評に期待する役割もまた人によってちがっているだろう.書評ワールドの多様性は十分に保全されてほしい.

—— 本録(leeswijzer)への過去の投稿の中で,私自身が「書評行為」に関して言及している記事がいくつかある.いい機会だから下記に列挙しておこう:

◆午後になっても,外はどんよりと曇っている.それと呼応するかのように,鼻はぐすぐす,微熱は続くという体調の悪さ.午後になってさらに悪化し,38度台に達してしまった.あまり食欲はないのだが,午後3時前にちょいとしょぼランチをすませた.ごはんの上に半熟片面の目玉焼きを乗っけて,添え物は群馬県川場村の食べるラー油と手作り蕗味噌.シンプルこの上なし.しかし,このコンテンツをこのウツワに入れると食器が激怒するかも.夕方になってしとしと雨が降り始めた.熱は37度台を推移している.

◆備忘メモ —— 東大農学部某所での「春の試飲会」は,6月3日(金)夕方からと日程が確定した.グッドタイミング!

◆本日の総歩数=0歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=93.2kg(−0.5kg)/29.3%(+0.2%)


2 mei 2011(月)※連休のはざまに┣┣" が集中する

◆午前4時半起床.今朝は薄雲がかかっている.気温は11.2度.夜明けが日に日に早まっていて,外はもうすっかり明るい.今日も風が強いけど,昨日みたいな南風ではなく,前線が通過したあとの北風だ.午前8時の気温は18.6度と高いが,北風が強くて体感的には涼しい.平日ではあるが,連休のはざまのせいか研究所内はいつもより有意に人口密度が低く,暗くて静かだ.そんなわけで,BGMのボリュームが自然に大きくなる.気温は午前9時に早くも20度ラインを突破した.今日は夏日になるのかな.

◆[欹耳袋]五月と言えば柏餅.竹園の〈翁屋〉にてさっそく買ってきた.翁屋の柏餅は,「こしあん」と「みそあん」そして草餅の「つぶしあん」の三種類がそろっている.

◆午前の会議 —— 午前9時半,予定時刻よりも早く到着したので,さっそく打ち合わせを始める.まず,母体となる財団についての説明があった.その後,立ち上げに関してのヴィジョンと実務的なことどもについて二時間あまり話し合う.財団側の要望としては医療と農業に関する研究所を設立することで同意したとのこと.つくばについては,昨年見学したテクノパーク桜の建物を買い取る方向で話が進んでいるらしい.とりあえず,向こう五年間のプロジェクト期間を設定する.

細かいことはこれから詰めないといけないが,いずれにしても一からの立ち上げになるので,初期投資はかなり大がかりになるだろう.企画と概算を5月9日までに財団側に提示しなければならないとのこと.それでも,長くかかった懸案事項のゴールがようやく見えてきてよかった.ここに来るまでにいったい何年かかったことか.国内外を含めて何十回も足を運んだり,人に会ったりしてきたから.

研究資金の調達について,研究者は最初から勝手知ったる狭い範囲(“小さなパイ”)しか見ていないし,それ以外をと言われてもなかなか有効な戦略が定まらない.我が身を振り返っても,農水省の独法研究所での交付金がこれまでは主体で,そのほかには所内や省庁がらみのプロジェクトがほとんど.文科省の科研費申請が増えてきたのはやっと最近になってからの傾向だ.しかし,実際には相対的にもっと“大きなパイ”がほかの世界にはあって,われわれ研究者がその存在を知らないだけ(あるいはアクセスするすべを知らないだけ)だったということを今回の件で思い知らされた.大きなアンテナと広い人脈そしてめげない根気はあるに越したことはない.

—— 研究計画書の作成という大┣┣" が連休後半にいきなり誕生するの圖.

◆水車をながめつつ蕎麦をたぐる昼休み —— 外は初夏の陽気.午前の会議ののち,参加者たちとともに柳橋の〈蕎舎〉 に入る.もりそばをたぐる.天麩羅もだし巻きもうまし.今日は黄砂で遠くが黄色く霞み,筑波山のアウトラインすらぜんぜん見えない.ランチ後,柴崎の研究所の建物を見に行ってから研究所に戻る.そーか,今日は連休にはさまれた平日なので銀行は混んでいるのか…….

◆本日の最高気温は24.7度だった.日射しがまぶしく日焼けしそう.ほぼ夏日のダルな昼下がりはジンマン〈マーラ−9番〉がBGM.人がいないから居室で好き放題している.

◆[蒐書日誌]東浩紀(編)『思想地図β・第1巻』(2011年1月1日第一刷刊行,コンテクチュアズ,東京,28+340+xvi pp.,本体価格2,300円, ISBN:978-4-9905243-0-2 → 詳細目次版元ページ正誤表サンプルページ)の第4刷(3月1日刊行)が本日やっと着弾.大震災をはさんだので遅くなったのだろう.

◆鼻風邪を引きこんでしまったらしく,夕方は早々に撤収する.微熱もあるようだ.夕食後はふとんへ直行だ.

◆本日の総歩数=5977歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前回比)=93.7kg(+0.2kg)/29.1%(+0.7%)


1 mei 2011(日)※メイストームで皐月の幕が上がる

◆午前4時起床.ぐずつく皐月のスタート.気温13.2度.今日はしだいに雨になるらしいが,外出するので困ったなあ.南風が吹き湿度が高い.快適ではない朝.いま地上に降りてみたら地面がところどころ濡れていたのだが,夜のうちに降ったのだろうか.例年はつくば中央メーデーに参加しているのだが,今年はこれから所用があって欠席する.昨年は分会執行委員だったので,つくば中央公園での早朝のセッティングから終了後の後片付けまで走り回ったのだが,今年は完全解放された.

◆南風が吹き荒れる朝霞台にて —— 7:58発のTX快速に乗る.曇ってやや蒸し暑い.車窓から見える空がだんだん明るくなってきた.ひょっとして雨は降らないのかな? 南流山にて武蔵野線に乗り換える.北朝霞で下車.台地を吹き抜ける強い南風.曇りだが雨は降らないみたい.気温はすでに20度を越えているようで,歩いているうちに暑くなってきた.妖怪博士・井上円了が開学した大学に向かう.ときどき雲間から初夏の太陽が顔をのぞかせる.それにしても強風だ.グラウンドのテントが吹き飛ぶほど.瞬間風速は20メートルを越えていたとのこと.

◆車中読書 —— セオドア・サイダー[中山康雄監訳/小山虎・齋藤暢人・鈴木生郎訳]『四次元主義の哲学:持続と時間の存在論』(2007年10月25日刊行,春秋社[現代哲学への招待:Great Works], ISBN:978-4-393-32313-7 → 目次版元ページ).時空ワームに関する形而上学本.つまみ読みしただけだったので,一度はきちんと読んでおこうと思った.いきなりオーバーハング気味の序章を見るかぎり,形而上学者ってつらい人生を送る人たちなんだなあとやや同情したり.「〈ある〉とはどういうことか?」って日々悩み続けているわけだし…….著者の標榜する「四次元主義」とそれに対立する三次元主義の対比は重要:

  • 四次元主義:「対象は空間的部分だけでなく時間的部分(temporal part)ももつ,という物質世界についての存在論」(p. 1);「対象は延続(perdure)する」(p. 24);「延続する対象は,時空領域上に「広がっている」」(p. 24)
  • 三次元主義:「対象を「三次元的」なもの,「耐続(endure)」するもの,それが存在するいかなる時点においても「余すところなく現れている(wholly present)」ものとして扱う」(p. 24);「耐続する対象は,当の対象が異なる時点において時空領域のさまざまな区域を占めることで,時空領域を「進んでいく」」(p. 24)

後半の章ではもっとたくさんの言葉を使って説明されているにちがいない.

◆午前いっぱいで所用は終わり.外環道を横風に煽られながらつくばに帰り着いた.晴れ時々曇り時々通り雨.大風に煽られたベランダがカオスの極致と成り果てていた.これが「メイ・ストーム」というやつか.しばしのシエスタ.夕暮れとともに小雨がぽつりぽつりと落ちてきた.さて,厨房にこもるとするかー.本日の定食メニューはハンバーグセット.メニューに載らない賄い飯はきつね丼.

◆[蒐書日誌]唐草模様の次は螺旋か —— 篠田知和基『ヨーロッパの形:螺旋の文化史』(2010年9月25日刊行,八坂書房,東京,262 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-89694-963-6 → 目次版元ページ).本書は「螺旋」という図像を手がかりにしてヨーロッパの文化誌(史)に分け入ろうとする.この分野の図像学については,たとえば「生命の樹」に関する古今東西の図像を分析した:杉浦康平『生命の樹・花宇宙』(2000年7月30日刊行,NHK出版[万物照応劇場],東京,270pp., ISBN:4-14-080488-2 → 書評・目次)や,「唐草模様」とその図像進化を論じた:伊藤俊治『唐草抄:装飾文様生命誌』(2005年12月15日刊行,牛若丸[発行]/星雲社[発売],258pp., ISBN:4-434-07164-5 → 書評目次)のような先行研究がある.この「螺旋本」はまだ読んでいないが図版がたくさん載っているので楽しみだ.

◆今日は南風でとてもホコリっぽかったが,中国からの黄砂もまじっていたらしい.そこら中がざらざらするのはそのせいか.つくばは毎年ゴールデンウィークが田植えシーズン.今年も方々の水田に水が張られはじめた.連休明けには田植えが終わっているだろう.

◆明日は連休のはざまだが,平日労働日で,しかも大事な会議が午前にある.

◆本日の総歩数=6754歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.5kg(−0.4kg)/28.4%(−0.7%)


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[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集