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日録2017年3月 


31 maart 2017(金)※小雨降る花冷えの仙川

◆午前6時前起床.晴れ.気温4.3度.3月は「32日」もあったはずとひとりごちてみてもせんなきことなり.

◆[欹耳袋]新潟日報モア「教授60人分の人件費削減を検討 新潟大学 18年度から4年間で」(2017年3月30日)※教授60人分ということは,准教授・講師・助教に換算したらいったいどれだけマンパワーを減らすつもりなんだろう.あまつさえ「減員に伴い、専門性のある教員が複数の学部で授業を受け持つなど「効率的な人材の運用も検討する必要がある」とする」にいたっては怨嗟の声が早くも聞こえてきそうだ.

◆[蒐書日誌]本はまさしく “武器”だった —— モリー・グプティル・マニング[松尾恭子訳]『戦地の図書館:海を越えた一億四千万冊』(2016年5月31日刊行,東京創元社,東京, 257 + lix pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-488-00384-5 → 目次版元ページ)※本書のテーマである〈兵隊文庫(Armed Services Edition)〉の話はとてもおもしろい.第二次大戦中,ナチス・ドイツによる一億冊にのぼる大規模な “焚書・禁書” に対抗して,アメリカは最前線の兵士たちに計一億数千万冊もの大量の本を送り続けた.この1940年以降に始まったこのプロジェクトは,最初は「戦勝図書運動」なる図書館主体の民間ボランティアから始まり,戦火の拡大とともに「戦時図書審議会」が取り仕切る国家プロジェクトへと格上げされていった.

大戦前後の数年間(1943〜47年)に全1,322タイトルが出版された〈兵隊文庫〉が前線の兵士たちにもたらしたものはただごとではなく大きかった.第7章「砂漠に降る雨」の冒頭では太平洋戦争の場面が出てくる.

「兵士が地獄と呼ぶ太平洋の島々では,気分を高揚させるものが必要であり,未開の地での生活と過酷な戦いに耐えるためには,娯楽が欠かせなかった.島々への侵攻作戦が始まった当初から,読書は,兵士の数少ない娯楽のひとつだった.兵隊文庫は小さいため,携行しても邪魔にならず,ほんの数分でもそれを読むと,心を健全に保つことができた.陸軍特別業務部は,雨が降ろうが槍が降ろうが(あるいは両方が同時に降ろうが),できる限り早く,兵隊文庫を各島に届けるために最善を尽くした」(pp. 154-155)

本書によると,戦前のアメリカの出版社は重厚なハードカバー版が主体でペーパーバック版は軽んじられていた.ところが,第二次世界大戦で多くのアメリカ人が戦地へ赴くようになり,より小さくて薄い携帯性にすぐれたペーパーバックの需要が爆発的に高まったそうな.いかに多くの “活字” を最前線に早く大量に届けるかを目的とした〈兵隊文庫〉は,ステープラー留めの簡易製本されることもあったというから,本の “かたち” としては極限だったのだろう.

〈兵隊文庫〉の影響は戦後にも及んだ.戦地から帰還した元兵士たちは〈兵隊文庫〉で学んだおかげで,入学した大学では抜群の成績をおさめた.

「戦勝図書運動と戦時図書審議会の活動によって,兵士は本を読み,学ぶようになった.そのことが,戦後の兵士の人生を豊かなものにした.〈ニューヨーク・ポスト〉は一九四五年の春,誇らしげに述べている.『アメリカは,世界最高の読書軍団を有している』」(p. 245)

〈兵隊文庫〉には時間つぶしの娯楽本や小説ばかりではなく,“戦後” を見据えた本もたくさん含まれていたという.たとえばダレル・ハフとフランシス・ハフの『Twenty Careers of Tomorrow』(〈兵隊文庫〉no. 1002)は復員後にどのような職業に就くべきかを兵士たちに説いた本だった(p. 223).ダレル・ハフ — 言うまでもなくかの名著:ダレル・ハフ[高木秀玄 訳/永美ハルオ イラスト]『統計でウソをつく法:数式を使わない統計学入門』(1968年7月24日刊行,講談社[ブルーバックス・B-124],東京, 223 pp., ISBN:978-4-06-117720-8 → 版元ページ)の著者である.

本書の「付録A」にはナチス・ドイツ時代に禁書だった著者一覧が挙げられ,「付録B」には〈兵隊文庫〉に収められた全リストが載っている.世界大戦という追い詰められた状況での「本の戦争」を目の当たりにしている気がした.著者は最後に記している:「そして,書籍は計り知れない力を持つ武器のひとつだった」(pp. 248-249).現在,〈兵隊文庫〉をコンプリートに全巻そろえているのはアメリカ議会図書館(→ Armed Services Editions Collection)だけとのこと.

◆本日は小雨降る中を仙川まで往復移動うろうろ.今日は都内もつくばも11度台をうろうろする花冷えの一日だった.念校ゲラを読む夜.どこの出版社も校閲者はオニである

◇本日の総歩数=9,936歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)= 93.6kg(+0.1kg) / 30.5%(+0.3%)


30 maart 2017(木)※〆切様の相次ぐご来訪

◆午前6時前起床.晴れ.気温3.2度.朝日が昇ってきた.

◆[欹耳袋]進捗状況 —— 『思考の体系学』の “中身” であるコンテンツがほぼできあがり,カバージャケットやらオビやら “外形” もその姿を表しはじめてきた.刊行日と定価が確定したので,あとは索引ができあがればノンブルも確定か.先日の honto サイトはいささかフライング気味だったが,いくつかのオンライン書店ではすでに近刊予約受付が始まっている:アマゾン楽天.今度は正しい情報のようだ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前9時の気分は重役出勤.観音台は昨日以上にぽかぽかと日差しが暖かい.気温は11.1度./著者プロフィールやポートレートを春秋社編集部に送ったりとか,校了直前のじたばたな朝.

◆気温17.9度と昨日よりもさらに暖かくなった昼休みにロングコース徘徊だん.空を見上げれば揚雲雀,畦道では蛙がごそごそうごめいていた.モリー・グプティル・マニング[松尾恭子訳]『戦地の図書館:海を越えた一億四千万冊』(2016年5月31日刊行,東京創元社,東京, 257 + lix pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-488-00384-5 → 目次版元ページ)の続きを歩き読む.兵隊文庫は政府の検閲と戦った.

◆[欹耳袋]Togetter -「日本の大学で常勤の教育・研究職に着任されている方、着任されたことがある方に質問させてください。着任日までに正式な採用内定通知書の送付を受けましたでしょうか?」 ※世の中がまだバブリーだった時代に,たまたまつくばにポストを得て(もらうはずの金額を訊かずに)のこのこやってきたら,いきなり「月給×1/3」という強烈な “罰ゲーム” を喰らって失神しそうになった経験ならある.就職する前がたまたまバブルってただけなんだけど.

◆外気温は18度超.締め切った居室は西日の直撃を受けて26度超の暑さなので,腕まくりして扇風機をぶんぶん回している.

◆夜,『思考の体系学』念稿ゲラがDropboxに投下されてきた.追い込みというか煽られというか.

◇本日の総歩数=10,015歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.5kg(−0.4kg) / 30.2%(−1.0%)


29 maart 2017(水)※What's next? な一日

◆午前5時過ぎ起床.晴れ.気温2.0度.今朝も氷点すれすれまで冷え込んだが,朝日が昇るとともに気温が上がってきた春霞の観音台.研究室の若い衆たちは十和田の雪中行軍に出払ってしまって職場ぼっち.

◆[欹耳袋]AASJ「「数を感じる」vs 「数字を理解する」違い(米国アカデミー紀要オンライン版掲載論文)」(2017年3月28日)※元論文:Elliot Collins et al. Numerosity representation is encoded in human subcortex. doi: 10.1073/pnas.1613982114 abstract.

◆午前の┣┣" 撃ち —— macOS Sierra 10.12.4 へのアップデート.「Night Shift」なるなんだかアヤシイものが追加されたぞ.システム環境設定で「日の入から日の出まで」という自動スケジュール設定にしたけど,ケダモノのように “なちゅらる” に生活しなさいという天の声か.

◆ごそごそしているうちにもうお昼休みの時間だ.ぽかぽか昼休みはロングコース徘徊.桜並木はやっと咲き始め.春の空の青と菜の花の黄,藪からは鶯のさえずり.歩き読み:モリー・グプティル・マニング[松尾恭子訳]『戦地の図書館:海を越えた一億四千万冊』(2016年5月31日刊行,東京創元社,東京, 257 + lix pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-488-00384-5 → 目次版元ページ)の続き.第二次大戦中米軍最前線に送られた大量の「兵隊文庫」の話.本書によると,戦前のアメリカの出版社は重厚なハードカバー版が主体でペーパーバック版は軽んじられていた.ところが,第二次世界大戦で多くのアメリカ人が戦地へ赴くようになり,より小さくて薄い携帯性にすぐれたペーパーバックの需要が爆発的に高まったそうな.「兵隊文庫」はいかに多くの “活字” を最前線に早く大量に届けるかを目的とする本の “かたち” としてはその極限だったという.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 『思考の体系学』索引ゲラのチェックをすませ,pdfにコメント付けて Dropbox へ直行.視力がいるわぁ〜

◇本日の総歩数=9,527歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.9kg(−0.2kg) / 31.2%(+2.1%)


28 maart 2017(火)※観音台に早咲きの桜が

◆午前6時過ぎ起床.昨日のみぞれがウソだったような青空.しかし,冷え込みは強く最低気温は氷点下1.1度だった.春霞の青空が広がる観音台は気温が順調に上がってきた.午前8時の気温は6.0度.日差しも花粉もたっぷりと.そういえば,平地でみぞれが降った昨日は筑波山の中腹から山頂まで真っ白に雪化粧していたが,今日のこの暖かさではあっという間に融けてしまうことだろう.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 今日は昨日お見送りした〆切様(肆)と入れ替わりにお越しになった〆切様(伍)の接待日.年度末┣┣" 撃ちにスキマはない./春秋社編集部から『思考の体系学』カバージャケットのラフ案があがってきた.再校ゲラもお茶の水に届いたとのことなので,〆切様(肆)のご無事をお慶び申し上げる.念校という名の〆切様(陸)はいまお相手している〆切様(伍)に続いてやってくるだろう.

◆[欹耳袋]Duke University Libraries — Guide to the John R. Gregg Papers, 1947-2009※オンライン公開されているわけではないようだ./〈Woodger Papers〉:University College London Archives | UCL Archives※これもオンライン公開されてはいない.

◆青空の昼休みロングコース徘徊.気温12度超.南風.稲荷川沿いの早咲きの桜.スギ花粉シーズンは終わったようだ.お散歩コース沿いに広がる畜草研の飛び地の牧草地からは湯気が立ち上っていた.歩き読み本:モリー・グプティル・マニング[松尾恭子訳]『戦地の図書館:海を越えた一億四千万冊』(2016年5月31日刊行,東京創元社,東京, 257 + lix pp., 本体価格2,500円, ISBN:978-4-488-00384-5 → 目次版元ページ).こういう記録本は読んでいて楽しい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 昨日のこと,「業績評価総括票」が領域長から手渡された.なろ様に統合される前と比較してみると,「トップオーサー(あるいはコレスポ,単著)」であることがとても重視されている.セカンド以降のオーサーシップは話にならないくらいぜんぜんダメね.論文は独りで書きましょう.もちろんセカンド以下のオーサーであっても「3.3本」書けばファーストオーサーの「1本」に匹敵するというのが農研機構の “換算基準(為替レート)” なので,共著でもたくさん書けばいい.また,「研究成果」以外の「所内貢献」や「社会貢献」については,ピンポイントでアピールできる点がひとつでもあれば,その他ほとんどすべての項目が「c」評価でもぜんぜん気にすることはない.逆にひとつもないとかなりつらいかも.ということで,今年度のワタクシの評価点は「A–A–A」,総合評価は「A」となった.

◆いただきものの生駒・中本酒造の〈山鶴〉19BY純米大吟醸あらばしり生原酒を抜栓.とてもいい感じのうすにごり具合と吟醸香そして炭酸ガス感.これなら寒の戻りの今の季節にとても合う.今季最後のきりたんぽ鍋とともに速攻で空っぽになったとさ.

◆欹耳袋]Colorless Green Ideas「『文系でもわかる統計分析』の説明で気になったところ」(2017年3月28日)

◆気を抜くと┣┣" が逃げるので(その方がシアワセか),日々油断なく追い詰めないといけない.

◇本日の総歩数=9,333歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 94.1kg(+0.7kg) / 29.1%(−2.4%)


27 maart 2017(月)※冷たいみぞれの月曜日

◆午前5時半起床.本降りの雨.気温2.6度の冷え込み.みぞれが降り続く観音台は3月とは思えない寒さ.午前8時の気温は3.4度.予報では終日降り続くとのこと.青森は十和田に雪中修行に向かうという玄ちゃんをお見送りし,週明け早々の〆切様(肆)のお相手開始.

◆午前の┣┣" 撃ち —— ですくねっつ様から「パスワードが今日で失効するぞよ」とのお達しがあり,あわてて変更に出向いたらすでに失効していたというオチ(orz).ふだんの仕事にぜんぜん影響ないので,失効のまま放置してもええねんでとブツブツ言っていたら,瞬速で本部システム課が対応してくれて,無事にですくねっつ様に再びつながれることになった./昨夜,『生態学者・伊藤嘉昭伝 ― もっとも基礎的なことがもっとも役に立つ』の書評記事を公開して以降,反響のメールやリプライがぽつぽつ届き始めている.手に取る機会があれば立ち読みしてみてください(応動昆会場とかで).

◆[欹耳袋]応動昆東京大会(農工大・小金井キャンパス)では,明日の小集会として:W02〈「伊藤嘉昭さん追悼本 ー伊藤嘉昭伝ー」出版記念小集会〉世話人: 安田弘法・辻和希・村瀬香が企画されている.実にいいタイミングである.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 〆切様(肆)のお相手は続く.夕刻,雨はやっと上がり,西の方から空が明るくなってきた.再校ゲラを最後までチェック完了.〆切様(肆)ご接待もやっと幕切れとなり,あとは粗相なくお見送りするばかり.狙いすましたように〆切様(伍)が滑り込んできたのだが,ひょっとしてワタクシは諸方面から “監視” されているのだろうか.榎戸の黒猫さんに頼んで〆切様(肆)を都内まで送り届けてもらう.これでまた一山越えたことになる.

◆夜はつくばセンター BiVi にて三輪哲久さんのお疲れさま会.【戒め】ホッピーを呑み過ぎてはいけません.

◆明日はアタッカで〆切様(伍)接待が続く.

◇本日の総歩数=5,697歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)= 93.4kg(0.0kg) / 31.5%(0.0%)


26 maart 2017(日)※冷たい雨が降る神楽坂

◆午前6時起床.雨.気温5.2度.朝のうちに『思考の体系学』再校ゲラのチェックはほぼ終わりとなる.バグが大きすぎるとかえって見えなくなるのはコワいなぁ.ゲラは “拡大率” を変えながら読まないといけないという教訓.

◆連日連夜のゲラ読みからの逃避行動 —— 辻和希(編)『生態学者・伊藤嘉昭伝 ― もっとも基礎的なことがもっとも役に立つ』(2017年3月25日刊行,海游舎,東京, x+421 pp., 本体価格4,600円, ISBN:978-4-905930-10-5 → 目次版元ページ)をがしがし読み進む.「農研時代」「沖縄県時代」「名古屋以降」と快調に読み進む.

◆[欹耳袋]Adobe Acrobat Pro でpdf文書を開くと「文章の読み上げ準備が完了するまでお待ち下さい」と表示され待たされる.これをオフにするには「環境設定」>「読み上げ」>「スクリーンリーダーオプション」を「現在表示されているページのみを読み上げる」にすれば万事解決.

◆お昼前,冷たい雨が降りしきる神楽坂着.曲がりくねる横丁をたどる昼下がり.今日の都内は午後になっても5度台という冬に逆戻りした寒気に包まれていた.神楽坂〈翔山亭〉本店にてお肉三昧,そして〈大七〉純米生酛の燗酒をちびちびと.〆切様に追われるだけがワタクシの人生ではないのだ.┣┣" 撃ちのほかにも愉しみがあってしかるべし.

◆神楽坂の特撰牛肉パワーのおかげで,『生態学者・伊藤嘉昭伝』を読了.それにしても二段組400ページ超という厚さはさすがに読みでがあった.全体の構成は年代順に並べられていて,次のとおりである:「第一部 農研時代」「第二部 沖縄県時代」「第三部 名古屋以降」「第四部 著作活動」「第五部 比較生態学とその周辺」「第六部 ハチ研究」「第七部 伊藤さんの思想」.

伊藤嘉昭という研究者はワタクシにとっては何の関わりもない人物だったので,生態学会大会や動物行動学会大会などですれちがうことはあっても,個人的な会話を交わしたことはまったく記憶にない.しかし,本書を読むと,異なる大きさの “嘉昭数(Kasho number)” をもつさまざまな世代の総計55人がいろいろな思い出話を語っている.寄稿者によって文書の長短はちがっているが,全体を通読すると,ジグソーパズルのように数多くのピースがはめ込まれて,しだいに大きな “図” が復元されていく気がした.伊藤嘉昭とは無縁のワタクシでさえそう感じるのだから,もっと “嘉昭数” が小さくもっと “近縁” な読者ならばさらに強くそう感じることだろう.

それでも,本書だけからはこのパズルの “欠けたピース” は埋まらない.たとえば,伊藤嘉昭本人によるふたつの自伝:伊藤嘉昭『一生態学徒の農学遍歴』(1975年12月25日刊行,蒼樹書房,東京, 228 pp.)ならびに伊藤嘉昭『楽しき挑戦:型破り生態学50年』(2003年3月30日刊行,海游舎,東京, xviii+378 pp., ISBN:4-905930-36-7 → 書評)を情報源としてこの “隙間” をある程度は埋めることはできるだろう.

あるいは,もっとルーツをさかのぼって,伊藤嘉昭夫妻がかつて在職した旧・農林省農業技術研究所(東京都北区西ケ原)の歴史を綴った:農業技術研究所80年史編さん委員会(編)『農業技術研究所八十年史』(1974年12月13日刊行,農業技術研究所,東京, XVIII + 724 pp. → CiNii Books)にも手がかりがある.さらにいえば,未公刊の資料:岩田俊一(責任編集)・昆虫科西ヶ原OB会有志『農技研昆虫科 ― 西ヶ原三十年の記憶』(2013年4月発行,非売品)にも,伊藤は「メーデー事件被告に研究を許し続けた「農研・昆虫科」」という回顧記事を寄稿している.

文字として残されたこれらのソースと並んで,本書にまとめられた関係者の証言はかけがえのない重要性をもつだろう.編者の辻和希はまえがきのなかでこう述べている:

「戦後の日本の生態学と昆虫学は潮流が幾度も変わる激動を経験した.それは,ときに思想や政治とも絡みながら,日本社会そのものの変化と複雑に協奏している.数量化された近代科学としての個体群生態学,非殺虫剤依存の害虫根絶防除技術,社会生物学,これらの導入と普及において伊藤嘉昭は日本における最大のリーダーであった.したがって,伊藤の個人史は戦後日本のこれら科学領域の歴史を照らす鏡でもある.すなわち本書を読むことで,戦後の日本の生態学と昆虫学の歴史社会学の一断面,それも重要な一断面を,概観できると編者は確信している」(pp. iv-v)

“縦糸” が全部で55本もあればこんがらがってしまいかねないのだが,幸いなことに「第七部:伊藤さんの思想」には全体を束ねる “横糸” として鳥瞰図の役割を果たしている.とくに,岸由二「嘉昭さん応答せよ」(pp. 342-358)は日本の戦後生態学がたどってきた道を振り返る上で必読.文中の人名は伏せ字にしなくてもよかったのではとワタクシは思うが.越中の殿は「岸クンが書かなければどうしようもないだろう」と先月言っていた.確かにそうなんだろう.続く山根正気「伊藤嘉昭さんの人間観」(pp. 359-370)を読むと伊藤嘉昭という人の内面を垣間見ることができる.

本書は,今でなければ集めることができない “証言” の数々が集約されており,編者の意図どおり今後もその価値を喪わないだろう.あえて欲を言えば,“縦糸” を束ねるもっと強力な “横糸” があった方が全体としてのまとまり考えるならば望ましかったのではないだろうか.たとえば,個体群生態学史に名を残す George Evelyn Hutchinson の足跡をたどった:Yvette H. Edmundson 1971. Some components of the Hutchinson legend. Limnology and Oceanography, 16(2): 157-163 (pdf: open access) には,Hutchinson と彼と弟子たちとの師弟関係を図示するみごとな「師弟系統樹」— the Hutchinson tree — が描かれている.「伊藤嘉昭史」もまた科学史的にたどるならばパズルの欠損はより少なくなり,Hutchinson 樹と同様の “可視化” がきっとできるにちがいない.それはワタクシのように “嘉昭数” がかぎりなく大きな一般の読者にとって役に立つだろう.辻さん,よろしく.岸さん,よろしく.

—— 上の書評記事は本録でも公開した:三中信宏「“樹” としての伊藤嘉昭」(2017年3月26日).

◆明日ははたして粗相なく〆切様(肆)をお見送りできるか.

◇本日の総歩数=7,353歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)= 93.8kg(+0.2kg) / 31.0%(+8.9%)


25 maart 2017(土)※ゲラ読みは果てしなく

◆午前7時前のろのろ起床.明け方えらい寒いと思ったら,最低気温が氷点下2.8度まで下がっていた.晴れ晴れ晴れ.空気が乾ききっている.

◆週末だが,朝から『思考の体系学』文献リストのゲラ読み.どんな本でも「文献リスト」のチェックはいつでももっとも難物だ.細かい活字を追っているとふと意識がとぎれたり.そういうときにかぎって “蟲” を見逃してしまう.スペースが入っているかどうか,「:」はちゃんとローマン体か,etc.…… 

この本では発生学者「白上謙一」の公理論的生物学の文献もふたつ引用した.しかし,幸いなことに「柴谷篤弘」を引用することはなかったので,文献リストの項目順でうっかり誤ることはない.もし両方を引用することになったら,「柴谷篤弘」のあとに「白上謙一」を置いてしまったかもしれない.和洋文献が混じる場合,ふつうはアルファベット順に並べるので,日本人名のローマ字表記が問題になる.生前の柴谷篤弘は訓令式の「Sibatani Atuhiro」という表記を用いていたことを知っている.一方の白上謙一はヘボン式に「Shirakami Kenichi」と綴っていた.したがって,正しい文献配列順は「柴谷篤弘>白上謙一」ではなく,「白上謙一>柴谷篤弘」ということになる.文献リストをチェックするときには,日本人名の漢字の読みだけではなく,(本人が用いていた)ローマ字表記も知らないとダメということ.仄聞するところでは,京都あたりでは訓令式で自分の名前を綴る研究者の頻度が高いらしい.

—— こんな本筋ではない “路地” に入り込んでしまうので,ゲラ読みがぜんぜん進まない……

◆〆切様(肆)を連れ歩く週末.お昼前の観音台は穏やかな日和に恵まれている.午前11時の気温は8.6度と昨日よりも低いが風もなく暖かい.『思考の体系学』文献リストのチェックやっと終わった.項目のアルファベット並び順がけっこうミスあり.スペイン人の人名が意外な落とし穴.基本は「名+父方姓+母方姓」なのだが,ご本人も含めみなさんてきとーに略してるんで,文献リストのどこに置くかで悩む.ひとりひとりの略し方を見て個別判断しなければならないという邪魔くささ.

◆午後5時前,〆切様(肆)との格闘は終わらないのだが,もう日も陰ってきたことだし撤収しよう.

◇本日の総歩数=3,081歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.8kg(+0.2kg) / 31.0%(+8.9%)


24 maart 2017(金)※〆切様(肆)が御到着

◆午前5時起床.気温4.5度.〆切様(肆)の到着を待つ.雲が多めの観音台は北風が涼しい.午前8時の気温は6.5度.竹園あたりを袴で歩く女子大生たち.

◆[系統樹思考]BOOKSHOP LOVER「【書評】三中信宏『系統樹思考の世界 すべてはツリーとともに』」(2017年3月24日)

◆真昼の┣┣" 撃ち —— 『思考の体系学』索引項目のチェック真っ最中に,再校ゲラという名の〆切様(肆)が Dropbox にどかどかと御降臨.これでまた追いまくられるのは必定.図版が大幅に大きくなったので,総ページ数は予想通り350ページくらいになりそう./『思考の体系学』索引チェック修了.ほぼすべての項目の英語・独語などの原語を付加.

◆ゲラ読みは続くよ,どこまでも〜♫•*¨*•.¸¸♪ .

◇本日の総歩数=4,347歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.6kg(+0.7kg) / 22.1%(−9.3%)


23 maart 2017(木)※索引項目拾いは持久戦

◆午前6時前起床.晴れ.気温1.5度.空にはさざなみ. 今朝の観音台は薄曇り.最低気温は氷点下0.1度だったが,午前8時の気温は6.8度.北からの微風.そろそろ厚手のものはしまい込み始めている.

◆[欹耳袋]ローマ字をめぐるあれこれ(続) —— Y!ニュース「「〈ローマ字〉表記による混乱」という報道の混乱ぶり(寺沢拓敬)」(2017年3月22日)※「「ローマ字」は日本語の話であって英語教育の話ではない」「日本語話者のための日本語表記法としてのローマ字」.

◆『思考の体系学』の索引項目ピックアップの再チェック完了.これでやっと夕刻に予定されている〆切様(肆)の御降臨を待つココロの余裕ができた.

◆[欹耳袋]これは激震 —— Nature Index 2017 Japan [open access] | NHK NewsWeb「英科学雑誌 日本の科学研究の失速を指摘」(2017年3月23日).

◆[欹耳袋]これも激震 —— AFPBB News「恐竜の進化史書き換えか 「革命的」新系統樹、英チームが発表」(2017年3月23日)※「鳥盤類」と「竜盤類」の単系統性が崩れたらしい.元論文:A new hypothesis of dinosaur relationships and early dinosaur evolution. Nature 543: 501–506, 23 March 2017 abstract

◆夕暮れのMOG〈樓外樓〉へ.今宵は所内の領域送別会である.

◇本日の総歩数=7,034歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)= 92.9kg(−0.3kg) / 31.4%(+2.7%)


22 maart 2017(水)※春めく菜の花畑の匂い

◆午前6時前起床.晴れ.気温5.7度.午前8時の気温は8.1度だが降り注ぐ日差しが暖かい.妻木へ.

◆[欹耳袋]ローマ字をめぐるあれこれ —— 毎日新聞「ローマ字:表記で混乱 英語教科化、教員ら「一本化を」」(2017年3月21日)※ 「訓令式とヘボン式の2通りあるから子どもが混乱する。学校で教えるローマ字はどちらかに一本化すべきではないか」— 両方知るべし.日本語のローマ字表記問題で思い出したが,もう何年も前に「訓令式ローマ字表記法」の直接祖先である「日本式ローマ字表記法」の解説本を読んで書評まで書いていた:田丸卓郎『ローマ字文の研究』(1920年11月15日刊行,ローマ字教育会,東京,216+128+6 pp. → 書評).

◆ところかまわず原稿を書く自分勝手 —— やっと大団円だ.

  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第5節539字だん.第5節はこれにておしまい.ここまで計28,145字.残るは第4節の後半のみ. posted at 09:22:51
  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第4節1,298字だん.ここまで計29,740字.あ,ひょっとしたら,これでおしまいかな.これくらい書けばいいでしょーか>某方面. posted at 10:40:46
  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 原稿&図版5枚を含む計4.23MBを850KBのpdfファイルに圧縮する作業だん.これでもう発射してもいいっすよね>某方面. posted at 12:15:17

—— 原稿発射.岸壁から手を振りまくる.これをもって〆切様(参)は舞台の上から去っていった.

◆ぽかぽかと暖かい昼休み.気温は14.8度.農林団地に “春” が咲く.とても巨大な四巻本が着便して窓際の陽だまりに安置された.極楽浄土である.

◆[蒐書日誌]昼下がりの着弾本 —— 中村元『広説佛教語大辞典(全4巻)』(2001年6月21日刊行,東京書籍,東京, 本体価格68,000円, ISBN:978-4-487-73153-4 [set] → 版元ページ)※その後,縮刷版(本巻・別巻)も刊行された./Hartmut Bohnacker, Benedikt Groß, Julia Laub 著| Claudius Lazzeroni 編[深津貴之・国分宏樹監修|安藤幸央・杉本達應・澤村正樹訳]『Generative Design ― Processingで切り拓く、デザインの新たな地平(仮)』(2016年2月24日刊行, ビー・エヌ・エヌ新社, 東京, 486 pp., 本体価格9,800円, ISBN:978-4-8025-1013-4 → 版元ページ)/日本植物学会(編)『植物学の百科事典』(2016年6月30日刊行,丸善出版,東京, xx+802 pp., 本体価格20,000円, ISBN:978-4-621-30038-1 → 版元ページ)※ワタクシの担当項目「分岐図と系統樹」は pp. 180-181 に掲載されている.

◆夜遅く,『思考の体系学』の索引項目ピックアップは一通り終わったが,まだ “篩の目”が粗いので,明日もう少し細かく拾うことにしよう.そろそろ再校ゲラが着弾するはずなので,粗相なく〆切様(肆)をお迎えしないと.

◇本日の総歩数=3,877歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.2kg(+0.1kg) / 28.7%(−1.9%)


21 maart 2017(火)※連休明けの雨に濡れて

◆午前6時起床.雨.気温7.9度.小雨降る観音台は三連休とは打って変わって肌寒い.午前8時の気温は9.1度.昨日は最高気温が17.4度まで上がったが,今日はそれよりも10度も低くなるとの予報.

◆[蒐書日誌]Manuel Lima『 The Book of Circles: Visualizing Spheres of Knowledge』(2017年5月刊行予定, Princeton Architectural Press, New York, ISBN:978-1-61689-528-0 [hbk] → 版元ページ)※pre-order done./Alison Wylie『Thinking from Things: Essays in the Philosophy of Archaeology』(2002年刊行 University of California Press, Berkeley, ISBN:9780520223608 [hbk] / ISBN:9780520223615 [pbk] → 版元ページProject MUSE [pdf])※pdfはオープンアクセス.

◆降りしきる雨にも負けず街路樹の辛夷の白い花が開き始めている.桜の前に辛夷が咲くのがつくばスタイル.

◆[蒐書日誌]「増刷」は「シアワセ」の代名詞 —— 2015年6月に出た:三中信宏『みなか先生といっしょに 統計学の王国を歩いてみよう:情報の海と推論の山を越える翼をアナタに!』(2015年6月5日第1刷刊行,羊土社,東京,191 pp., 本体価格2,300円, ISBN:978-4-7581-2058-6 → 目次版元ページコンパニオン・サイト)は2017年3月15日に第2刷が刊行されました→蟲捕りリスト

◆午後の┣┣" 撃ち —— 〆切様(参)の大波と〆切様(肆)の予兆が絡み合う雨の午後.日中の最高気温は10度にも届かなかった.雨足がやや強い夕暮れ時.

◆本日の歩み —— ゴールがやっと見えてきたか.

  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第5節1,391字だん.ここまで計25.430字.※すでに “ネルー値” は負なんだけど. posted at 15:16:55
  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第5節826字だん.ここまで計26,327字.そろそろ撤収しよう. posted at 16:42:00
  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第5節901字だん.ここまで計27,322字. posted at 23:44:08

◆明日も続くよ執筆ライフ.

◇本日の総歩数=4,033歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.1kg(−0.1kg) / 30.6%(−0.8%)


20 maart 2017(月)※今日もまた観音台幽閉

◆午前7時前起床.晴れ.気温2.7度.好天に恵まれた三連休である.

◆[欹耳袋]Y!ニュース「食いちぎられた科学~トランプ政権予算案の衝撃(榎木英介)」(2017年3月19日)

◆春分の日のお昼前.気温はすでに15度近くまで上がっていて,風もなく暖かい.三連休の最後も観音台にて〆切様(参)のお相手が続く.

  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第3節2,645字だん.ここまで計22,651字. posted at 16:45:44
  • [つくば]〆切様(参)進捗報告 — 第4節1,569字だん.ここまで計24,223字. posted at 23:37:51

◆寝るん〜♫•*¨*•.¸¸♪

◇本日の総歩数=2,583歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.2kg(−0.1kg) / 31.4%(+0.6%)


19 maart 2017(日)※三連休なのに休みなし

◆午前6時過ぎ起床.晴れ.気温0.5度.新規┣┣" お一人様ご到着〜

◆[蒐書日誌]辻和希(編)『生態学者・伊藤嘉昭伝 ― もっとも基礎的なことがもっとも役に立つ』(2017年3月25日刊行,海游舎,東京, x+421 pp., 本体価格4,600円, ISBN:978-4-905930-10-5 → 目次版元ページ)※早稲田大学で開催された日本生態学会大会の海游舎ブースにてゲット.

◆春霞の観音台は午前のうちに気温が15度を超えている.桜並木をカメラ片手に散策している “プレ花見客” がいた.さすがにまだ早いような気がするが.午後は〆切様(参)のお世話をする.

◆[蒐書日誌]前川ヤスタカ『勉強できる子 卑屈化社会』(2016年12月24日刊行,宝島社,東京, 249 pp., ISBN:978-4-8002-5943-1 → 版元ページ)※要は「独りで生きよう」ということです.みんな,頑張れ./池田郁男『実験で使うとこだけ生物統計1 キホンのキ(改訂版)』(2017年3月25日刊行,羊土社,東京, Pp. 1-109, 本体価格2,200円, ISBN:978-4-7581-2076-0 → 版元ページ)/池田郁男『実験で使うとこだけ生物統計2 キホンのホン(改訂版)』(2017年3月25日刊行,羊土社,東京, Pp. 109-282, 本体価格2,700円, ISBN:978-4-7581-2077-7 → 版元ページ

◆午後4時,〆切様(参)進捗報告 — 第3節2,842字だん.ここまで計20,045字.撤収.連休最後の明日も続く binge writing.

◇本日の総歩数=3,459歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.3kg(+0.2kg) / 30.8%(+1.4%)


18 maart 2017(土)※春爛漫週末の原稿書き

◆午前5時起床.気温2.0度.外はまだ暗い.早朝は氷点近くまで気温が下がったが,順調に暖かくなってきた.朝から生体花粉センサーが警告音を鳴り響かせている.この三連休は花粉の祭典のクライマックスなんだろう.

◆[蒐書日誌]科学の認知的基盤 —— Peter Carruthers, Stephen Stich, and Michael Siegal (eds.)『The Cognitive Basis of Science』(2002年5月刊行, Cambridge University Press, Cambridge, xii+409 pp., ISBN:9780521011778 [pbk] → 目次版元ページ)※もうちょい早く読んでおくべきだった.Peter Carruthers の所収論文「The roots of scientific reasoning: infancy, modularity and the art of tracking」(pp. 73-95)に書かれている狩猟採集民の推測法「追跡の技法(the art of tracking)」は,Carlo Ginzburg の論考「徴候.痕跡解読型パラダイムのルーツ」(Carlo Ginzburg 1979. Spie. Radici di un paradigma indiziario. Pp. 59-106 in: Aldo G. Gargani (ed.), Crisi della ragione: Nuovi modelli nel rapporto tra sapere e attività umane. Giulio Einaudi editore, Torino → pdf]で「痕跡解読型パラダイム(un paradigma indiziario)」と称されている人類祖先の思考法の原形と瓜二つだ./Louis Liebenberg『The Art of Tracking: The Origin of Science』(1990年刊行, David Philip Publishers, Claremont, Cape Town, South Africa, x+176 pp., ISBN:0-86486-131-1 → pdf [open access]|目次|著者サイト〈Tracking Science〉)※上記 Peter Carruthers の論文のキーワードのひとつである「追跡の技法(the art of tracking)」は本書に由来する.ケープタウンで出版された本書は,オンライン書店だとペーパーバック版で3〜7万円という超高値がつけられているが,幸いなことに,著者が開設しているサイト〈Tracking Science〉から pdf 版が公開されている.これまたもっと早く気づくべき文献だった.

◆三連休初日の観音台はたっぷりの春の日差しが降り注ぎ,さらにたっぷりの花粉が飛ぶ.一週間放置されてオカンムリの〆切様(参)のご機嫌伺いから始まる有意義な休日の使い方.

◆[蒐書日誌]型式学がらみ.モンテリウスとかモンテリウスとかモンテリウスとか —— Bo Gräslund『The Birth of Prehistoric Chronology: Dating Methods and Dating Systems in Nineteenth-Century Scandinavian Archaeology』(1987年刊行, Cambridge University Press[New Studies in Archaeology], Cambridge, x+132 pp., ISBN:978-0-521-10388-6 [pbk] → 目次版元ページ)※考古学者オスカル・モンテリウス(Oscar Montelius)の「型式学(typology)」のルーツをたどる資料として.モンテリウスは同時代のダーウィン進化論の影響を受けて型式学を定式化したと言われているが,その歴史的背景が考察されている./Evert Baudou『Oscar Montelius: om tidens återkomst och kulturens vandringar』(2012年刊行, Atlantis, Stockholm)※モンテリウスの伝記.スウェーデンのオンライン書店からは入手できるようだが./Oscar Montelius『Die typologische Methode. Separat aus "Die älteren Kulturperioden im Orient und in Europa"』(1903年刊行, Selbstverlag des Verfassers, Stockholm → archve.org)※モンテリウスによる型式学の基本著作.1903年にストックホルムで自家出版された本だが,archive.org から公開されている.また,本書は日本語にも訳されている:オスカー・モンテリウス[濱田耕作訳]1999 (1932). 考古學硏究法. 雄山閣出版,東京.

◆午後5時前,〆切様(参)進捗状況:第2節2,202字だん.ここまでで16,337字.撤収.

◆今宵は,ひさしぶりにちゃんとした「肉じゃが」をつくった.メインディッシュになる「パワーアップ肉じゃが」のレシピは以下の通り.【食材】カレー用牛肉300グラム,厚切り牛バラ肉200グラム,じゃがいも大4個,玉ねぎ大2個,こんにゃく1丁,にんじん大1本,調味料(みりん50cc,日本酒150cc,濃口醤油30cc,きび砂糖小さじ5),サラダ油大さじ1.

  1. 厚手の深鍋を中火で熱してサラダ油をひき,牛バラ肉を牛脂が滲み出るようにゆっくり焼く.
  2. 脂が出たらカレー用牛肉を投入して,やや焦げ目がつくまで炒める.肉はいったん取り出す.
  3. 2 の鍋に玉ねぎのくし切りを投入し,残った脂でしんなりするまで炒める.
  4. 3 の鍋に皮付きじゃがいも(4分割),皮むきにんじん(乱切り),ちぎりこんにゃくを投入して炒め合わせる.
  5. 圧力鍋に 2 の牛肉と 3 & 4 の野菜類を入れ,調味料とともに加熱.沸騰したら中火にして蓋をする.高圧設定で15分炊き,火を止めて自然放熱させる.

細切れ牛肉だと圧力鍋で炊いているうちにちぎれて原形がなくなってしまうが,厚切り肉やブロック肉だとその心配はない.ボリュームがある料理なので味付けはあまり濃すぎない方がいいだろう.“お水” は京丹後・木下酒造〈玉川〉の最終兵器である「27BY自然仕込・純米酒(山廃)白ラベル・無濾過生原酒」を抜栓.アルコール度数20〜21度,やや色づいた完全発酵日本酒は無敵だ.

—— レシピ:het dagelijkse keukenleven「パワーアップ肉じゃがには〈玉川〉の最終兵器を」| クックパッド「パワーアップ肉じゃが」.

◆三連休中日の明日も〆切様(参)のお相手が続く.

◇本日の総歩数=3,764歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.1kg(−0.6kg) / 29.4%(−0.2%)


17 maart 2017(金)※連日の都内出撃は続く

◆午前6時過ぎ起床.晴れ.最低気温は氷点下2.0度まで下がった.「初校ゲラのチェック完了しました」というめでたいメールを担当編集者に送信した.これで〆切様(弐)が去っていく.

◆[欹耳袋]敬語文化の定向的変異 —— 学会発表で学生さんたちが「このデータを入力してあげると〜」と口にしたくらいではもう驚かなくなってしまったが,昨日,後楽園で「この基準に従って実験させていただいたところ〜」なる新規表現を耳にして,さすがに血圧が有意に上がってしまった.そーかそーか,その “基準様” はお殿様であられましたか.

◆またも都内出撃 —— 午前10時過ぎ,つくば駅.乾いた青空に北風が吹く.気温は10度を超えているがすーすーと涼しい.では,まずワセダに突撃.ほんの瞬間的にしか実在しないので,知り合いに出会う確率は極度に小さいはず.ワセダ実在時間はたった20分あまり,速攻でお茶の水へ.『思考の体系学』担当編集者に初校ゲラを手渡し,今後の作業工程表の打ち合わせ.

◆[蒐書日誌]はやくも事前予約開始か? —— 三中信宏『思考の体系学:われわれの思考はどのように作られるにか』という honto のページがヒットしたのだが,サブタイトルはせめてちゃんとした日本語になっていてほしいんですけど.「作られるにか」ったって,アナタ.『思考の体系学』というメインタイトルはずっと前に確定していて,サブタイトルは「仮題」のままだった.今日,担当編集者と会うので,サブタイトルは日本語でよろしくと念押ししておこう.あと,税込価格「1,944円」って書いてあるけど,ホンマにこんなに安く出せるの?(マジ?) 初校ゲラだと文献リストこみの本文は280ページだけど,ほとんどすべての図版が倍サイズになる予定なので,全350ページくらいになるんじゃないかな.いずれにしても,ゴールデンウィークには店頭に並ぶでしょう.ISBN:978-4-393-33355-6.

◆担当編集者に確認したところ,honto の『思考の体系学』近刊情報は out-of-date とのこと.サブタイトルは “危険率5%” で原案どおり「分類と系統から見たダイアグラム論」で確定するらしい.定価は二千円台.文字数にして約20万字(500枚/400字)+120図版.初校ゲラで図版サイズの倍化を指示したので350ページくらいになるだろう.再校ゲラは一週間後に着弾するとのこと.GW前に見本刷り,GW後に店頭に並ぶでしょう.予価は二千円台とのこと.今後の予定については,GW前に見本刷りができて,GW後に店頭に並べたいらしい.そのためにも,泣く子も黙るなろ様並みの “工程表” が提示された.とりあえず「〆切様(弐)」にはお帰りいただいたが,直接子孫の「〆切様(肆)」が一週間後には着岸する予定.

—— そうこうするうちに,honto ページが「not found」に.速攻対応か.

◆午後1時過ぎ,お茶の水からさらに転戦して中央大学後楽園キャンパスへ.計量生物学会チュートリアル〈観察研究における因果推論〉参加.どこにいっても “因果” なギョーカイ.

◆[欹耳袋]発表力養成英語「引用文献と参考文献:日本とアメリカの著作権法の違いから起こる定義の混乱」※"bibliography", “reference”, “work cited” はいずれも「引用・参考文献リスト」と訳すそうな.しかし,略して「文献リスト」と記すのが最節約的でいいと思う.校正ゲラをチェックするときに意外に手間取るのが文献リストと本文との対応チェック.Onto mapping であることを確認する作業.

◆南アフリカで四半世紀前に出版されたある本を検索したら,ペーパーバック版で4〜7万円もすることを知ってのけぞる夜.〆切様(肆)がやってくる前に,ここ一週間ほど放置していた〆切様(参)にケリをつけないと,長州からの無慈悲な艦砲射撃を浴びて絶命する運命にある.

◇本日の総歩数=9,729歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.7kg(+0.2kg) / 29.6%(+7.7%)


16 maart 2017(木)※背徳の朝は新宿で明け

◆午前7時過ぎよろよろ起床.晴れ.気温5.0度.朝日が照らす東新宿の朝.

◆[欹耳袋]ある後日譚 —— BBC News - Prof Robert Kelly and the interrupted interview - take two (2017年3月15日)※この “放送事故” :BBC interview with Robert Kelly interrupted by children live on air (2017年3月10日)がよっぽど反響があったのだろう.

◆ホテル地下の大浴場にて水没したのちチェックアウト.午前9時前,中央大学理工学部の後楽園キャンパス着.朝日がまぶしい.最高気温が7.5度だった昨日よりも気温がかなり高く,すでに10度超.昨日は早稲田で生態学会大会だったが,今日はここで計量生物学会大会.朝イチの理事会が終わり,これからいっぱん講演が始まる.生態学会はよくも悪くもええかげんな服装率が高かったが,計量生物学会はみごとにネクタイ率が高い.浮きまくるワタクシ.さて,〆切様(弐)のお相手をば.

◆昼下がりの総会.日本計量生物学会は本日をもって解散され,一般社団法人としてスタートする.都内の気温はすでに14.4度まで上がっていて,冬だった機能と比べるといきなり暖かすぎる気がする.花粉の祭典がまた盛り上がっているにちがいない(外に出ないからわからない).

◆せっかく昨日のうちに〆切様(壱)が去り,朝から〆切様(弐)にずっと専念していたら,〆切様(参)からの加圧メールががが.〆切が重なるとこーいうことになる.

◆夕刻,つくば帰還.〆切様(×2)が追っかけてきて,ほとんど〈魔王〉〜.

◆明日もまた都内出撃である.

◇本日の総歩数=9,296歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)= 未計測 / 未計測


15 maart 2017(水)※早稲田でのお座敷の夜

◆午前5時起床.雨.気温3.4度.雨の中を “〆切様” が降臨する.冬に逆戻りした観音台は冷たい小雨に濡れている.午前8時の気温は3.4度.北風が吹きつけて寒々しい.朝から “〆切様(壱)” の接待に余念がない.

◆午前の┣┣" 撃ち —— MSおふぃす様,絶賛「更新の祭典」.計2.1GB.なろ様といい,おふぃす様といい,これほど “天動説” な方々はおられない.もちろん,〆切様も./とりあえず今夜の “紙芝居” の準備はこれくらいでいいかな.次はRStudioのデモがちゃんと動いてくれるかどうかのチェックだ.

◆昼下がりの都内出撃 —— 午後2時の気温は5.9度と真冬並み.観音台からの帰り道,遠くに見える筑波山の中腹から上が真っ白に雪化粧していた.やっとワセダに出撃だ.まずは東新宿で下車.しばらく来ていなかったうちに新宿文化センター界隈のあまりの変貌ぶりに茫然自失.以前はこの界隈は新宿の中心からはずれた感が濃厚だったのに,今や〈新宿イーストサイドスクエア〉なる巨大なビル群がそびえ立っていた.とりあえず宿にチェックインしておけばもう安心.都内はときおり薄日が差す空模様.気温は6度台の寒さが続く.さて,ワセダの杜に出撃だ.

◆午後5時半,夕暮れ薄暮の早稲田着.午後6時から日本生態学会第64回大会・自由集会W19〈道具としての「形態測定学」:基礎から応用までのチュートリアル〉の高座へ.

  • [早稲田]岡山大・高橋一男さんのイントロなう. posted at 18:11:04
  • [早稲田]30分ほど噺をさせていただきました. posted at 18:52:43
  • [早稲田]shapeR というパッケージは輪郭情報のフーリエ解析だけではなく,ウェーブレット解析もできるそうだ.PLOS One. posted at 19:26:27
  • [早稲田]Measurement error in geometric morphometrics: Empirical strategies to assess and reduce its impact on measures of shape. posted at 19:42:11
  • [早稲田]自由集会だん. posted at 19:57:47

◆その後,早稲田通りをぞろぞろ歩いて中華料理〈口福〉にて懇親会.最初のうちは麦の “お水” とかコウリャンの “お水” とかおとなしくしていたのだが,ほどなくアルコール度数が30度,40度,50度と制御不可能となっていった.日が変わる頃,よろよろと宿にたどり着き,そのまま撃沈.当然の報いの「うう……」.

◇本日の総歩数=15,021歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)= 93.5kg(0.0kg) / 21.9%(−7.6%)


14 maart 2017(火)※雨の中の都内出撃開幕

◆午前6時起床.雨.気温6.4度.午前10時半,つくば駅.曇り空のつくばセンターは気温こそ9.6度と高めでも,筑波西武亡き後の寂寥感と北風が身にしみる.今日からは連日のむ都内出撃だ.まずは本郷へ.

◆[欹耳袋]ggdendro —— Using the ggdendro package to plot dendrogramsVisualizing Dendrograms in R ※このデンドログラム描画パッケージ ggdendro は,系統樹描画パッケージ ggtree と同様に,樹形描画機能のない ggplot2 を補完するツール.

◆正午,根津駅から小雨降る弥生坂を上がって弥生キャンパスへ.正午前の都内は気温8度台の涼しさ.専攻教員会議まで一休み.本日の専攻教員会議配布資料が「630ページ」もある件.専攻長はきっと “早送り” でぶっ飛ばすにちがいない.午後1時からスタートした専攻教員会議は,専攻長の “超速読術” のおかげで,意外に早く午後4時過ぎに終わった.外は,小雨がまだ降り続いている.根津の〈芋甚〉で田舎しるこをいただいてから,つくば直帰.

◆明日は雪が降るとの予報.しかし,それよりも,紙芝居をどうするかが喫緊の課題.とりあえず表紙を描いて寝ることにしよう.

◇本日の総歩数=8,818歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.5kg(−0.3kg) / 29.7%(+0.5%)


13 maart 2017(月)※迫り来る〆切との戦い

◆午前6時前起床.曇り.気温5.1度.今日は曇りときどき雨との予報.花粉の祭典は一休みかな.曇り空の観音台は朝から北風が吹いて薄ら寒い.午前8時の気温は6.2度.ときおり小雨が降りかかるどんよりした空模様.朝イチの BGM は武満徹全集・第3巻〈映画音楽1〉の続き.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「ゲラ読め」「原稿書け」「紙芝居つくれ」の三重苦の月曜日.

◆[欹耳袋]研究者人生のロシアン・ルーレット(続) —— 前記事「研究者人生のロシアン・ルーレット」(2015年5月10日)を書いてからもう二年が過ぎようとしている.先週の金曜に,筑波大学生物学類の「サイエンスライティング講座」受講生のインタビューを受ける機会があり,ひとりの研究者としてのライフスタイルについて話をした.研究者としての “心得” があるとしたらそれは何かと問われて,ワタクシが答えたのは下記の五箇条だった:

  1. 根拠のない自信をもつ
  2. 限りなく楽観的である
  3. 好奇心アンテナが広い
  4. 孤独な“天動説”主義者
  5. 偶然を受け入れる構え

最初の四つは個人がもともともっているパーソナリティに関わることだが,最後の「偶然を受け入れる構え」についてはそうではない.

“たまたま” が「時空的にユニークな存在」としての個々の研究者を形成しているのであれば,ワタクシ個人のキャリア形成は他の研究者には当てはまらないし,逆に他の研究者が経験してきたできごとはワタクシには何の関係もないだろう.ましてや,ワタクシが経験してきたことを “教訓” のように無理な一般化をして他の研究者に押し付けがましく言うのは禁物だろうし,他の研究者のそのような “訓話” が何の意味もない妄言であることは “天動説” なワタクシにとっては自明である.

もちろん,他の研究者の生き方から研究者としての何かを “学ぼう” とすることはその人の自由なのでとやかく言うことは何もない.たとえば,ある分野で研究を進めるための基礎がまだできていない段階であれば,他の研究者の経験談(苦労話)は役に立つかもしれない.それは,たとえて言えば自然淘汰や中立進化がいつでもどこでも作動し得るプロセスであるのと同じく,分野を問わず個人を問わず,いつでもどこでもあてはまり得ることだからだ.

他方,個人研究史上の “たまたま” な出会いはそれこそ隕石の衝突や火山の噴火と同じ時空的にユニークなできごとなので,事前に予測することはできない.しかし,もしもそういうできごとに直面したときに,どのように対処するかは日頃からの心がけしだいでプラスにもマイナスにもなるだろう.ワタクシ自身は上にも書いた通り,偶然すなわち “たまたま” なできごとの連鎖によって研究者の道を歩んできたと自覚している.

他者から学ぶべきものがあったならばそれはシアワセなことだ.しかし,結果として何も学ぶことができなかったとしても悲しむことはない.それはアナタが他の研究者とはちがう道を歩んでいるというだけのことだ.

—— 以上は「研究者人生のロシアン・ルーレット(続)」として公開した.

◆遠藤周作原作・篠田正浩監督の映画〈沈黙〉の付随音楽は武満徹作曲.リュートの主旋律にハープ2台と多数打楽器が不規則にスルドク絡みつくという不安感と無常感がハンパない.ゲラ読みが1章分終わったのでお昼休み.天気予報を裏切って,外は日差しが戻ってきた.しかしか,午後はまた曇ったり晴れたり小雨だったりと落ち着かない空模様に.

◆ “〆切様” は容赦なく接近してくる.

◇本日の総歩数=3,122. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.8kg(−0.1kg) / 29.2%(+1.3%)


12 maart 2017(日)※週末もじたばたは続く

◆午前6時過ぎ起床.晴れ.気温0.5度.午前9時から正午前まではマンション管理組合理事会.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝:山田文雄『ウサギ学:隠れることと逃げることの生物学』(2017年2月20日刊行,東京大学出版会,東京, x+275 pp., ISBN:978-4-13-060199-3 → 版元ページ)※「隠れることと逃げることの〜」というコピーがぐさぐさと刺さるんですけど.

◆正午前にやっと解放されたものの,観音台に移送されてまた監禁.石抱きならぬ┣┣" 抱きの刑.気温は11度を超え,春の日差しがぬくい.点鼻薬と点眼薬のおかげで花粉の祭典はぜんぜん感知されず.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 生態学会自由集会の要旨:三中信宏「Rを用いた幾何学的形態測定学:最近の進展」をやっと送ったというドロナワさ.ワタクシたちの自由集会は:日本生態学会第64回大会・自由集会W19〈道具としての「形態測定学」:基礎から応用までのチュートリアル〉なんだけど,生態学会サーバーがまだ死んでいるようでぜんぜんつながらない.しかし,観音台を “脱北” して(おいっ)竹園に生還したらつながった./最新版 R-3.3.3 にアップデート.

◆明日からは〆切直前の決戦の日々である.

◇本日の総歩数=2,465歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.9kg(+0.1kg) / 27.9%(−3.0%)


11 maart 2017(土)※呆然と“津波”を眺める

◆午前6時半になって,やっとのろのろ起床.朝日がまぶしすぎる.今朝の最低気温は氷点下2.3度まで下がって,これまた寒すぎる.昨日までの確定申告じたばたで諸事┣┣" 撃ちが滞っている.

◆[蒐書日誌]ヘイドン・ホワイト関連ネタが続々と再浮上 —— ヘイドン・ホワイト[岩崎稔他訳]『メタヒストリー:ヨーロッパの歴史的想像力』(作品社から刊行予定, ISBN:978-4-86182-298-8)※honto の情報によれば「発売日不明」とのこと.ワタクシが『系統樹思考の世界』の文献解題のなかで「彼[ヘイドン・ホワイト]の主著『メタヒストリー Metahistory』(1973年原書刊行)がいったいいつ翻訳出版されるのか(そもそも果たして翻訳されるのか)が気がかりだ」(p. 283)と書いたのは2006年のことだった(遠い目).そういえば御本尊の Hayden White 1973. Metahistory が居室の “天の岩戸” にお隠れになってからもう7年が過ぎた.東日本大震災後はその “天の岩戸” そのものが行方不明になってしまった.いつか天上からふたたび降臨される日が来るのだろうか./ヘイドン・ホワイト[上村忠男訳]『歴史の喩法:ホワイト主要論文集成』(2017年3月刊行予定[もうすぐ!],作品社, ISBN:9784861826351)※アマゾン情報による.ひょっとして:Hayden White『Tropics of Discourse: Essays in Cultural Criticism』(1978年刊行[1985年pbk],The Johns Hopkins University Press, Baltimore, xii+287 pp., ISBN:0-8018-2741-8 → 版元ページ)の翻訳だろうか?/ヘイドン・ホワイト[海老根宏・原田大介訳]『物語と歴史』(2001年12月10日刊行,トランスアート市谷分室[《リキエスタ》の会・第2期],東京, 105 pp., 本体価格1,500円, ISBN:4-88752-132-4 → 書評目次)※旧サイトから本録に転載した.ワタクシの手元にある唯一のヘイドン・ホワイト訳本だが,きっと今はもう入手できないんだろうなあ.

◆穏やかな昼下がりの観音台.気温は11.9度まで上がり,青空も日差しも春らしい.六年前の今日の日録を読み直すと,日常すぎる「事前」と非日常マックスの「事後」との隔たりを痛感する.

◆[欹耳袋]東大前期試験の生物の第2問(II)は,分子系統樹上での形態形質(植物のつる性)に関する最節約復元の設問なのね.ACCTRAN と DELTRAN の枚挙も問われている.受験生のみなさん,おつでした.

◆夕餉は今季最後のきりたんぽ鍋を.明日もまた “津波” を乗り切るしかない.

◇本日の総歩数=1,452歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.8kg(−0.3kg) / 30.9%(+9.4%)


10 maart 2017(金)※昼下がりインタビュー

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下0.6度.朝焼けグラデーション開幕前.観音台は今朝も穏やかな春霞.早朝は氷点下2.0度まで冷え込んだが,午前8時の今は4.3度.日中は暖かくなるとの予報.もちろん “花粉様” は傍若無人.今朝の BGM は武満徹全集第5巻の大阪万博ドキュメンタリーフィルム作品.こういうマイナーな音楽は全集でしか聴けない.

◆午前の┣┣" 撃ち —— すっかり忘れていた┣┣" 一頭が茂みから飛び出してきてさぁタイヘン./「農林水産研究情報総合センター年度末利用報告」という微小┣┣" 一頭をひねりつぶし.

◆お昼休み,今年度の確定申告書類一式(計777グラムとは縁起がいい!)を土浦税務署に郵送完了.計算が正確なのかどうかいささか心もとない項目もあるのだが,そんな細かいことはどうでもよくて,とにかく〆切に間に合えばあとは何とかなる(だろう).拙速主義バンザイ.レシート類まで一切合切送りつければ税務署からの問い合わせはなくなるとのこと.あらかじめ手の内を全部 “敵” に見せてしまう捨て身の戦法.

◆ということで,心安らかにお昼休みなう.BGM は武満徹の映画音楽〈狂った果実〉.正午の気温は13度台と暖かいが,“狂った花粉” どもが舞い踊る外を徘徊するほど無謀ではない.窓を締め切って居室に引きこもる昼下がり.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 確定申告作業が終わっても,同じ「3月15日〆切案件」がほかに三つもあってですね……(ぼそ)/午後3時前,BiViに入っている筑波大学駅前ブランチへ.ここでインタビューされる予定が,手拍子舞踏隊が練習をおっぱじめたので,階下の〈サザコーヒー〉に避難して1時間ほどのインタビューを終えた.ワタクシの『生物系統学』を輪読していただき感謝感激雨あられ./昨日届いた『思考の体系学』文献リストをプリントアウトして拡大コピー.それでもなお今の季節の “花粉目” にはぜんぜんやさしくない…….

◆日中は最高気温14.9度だったが,北風が強くて体感的には寒かった.日に日に昼間が長くなり,まだ夕焼けグラデーションが続いている.

◇本日の総歩数=5,437歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 94.1kg(+0.1kg) / 21.5%(−9.8%)


9 maart 2017(木)※確定申告の難路は続く

◆午前6時前起床.今朝も快晴.気温は氷点下3.7度まで下がっている.今日も朝から花粉の祭典が続く観音台.春霞みの空に乾いた西風が吹いている.午前8時の気温は2.3度とやっと氷点下の冷え込みを脱した.朝イチの BGM はひさしぶりに武満徹全集第5巻の〈夢千代日記〉などTV音楽作品を聴く.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「南方熊楠賞に京大大学院教授の加藤真さん」(2017年3月9日).

◆午前の┣┣" 撃ち —— 更新以降のなろ様メーリングリストの配送がトラブってない?(>なかの管理者諸氏) ワタクシのもとには配送されているのに,外には配送されていないようで.届かないよ連絡がぱらぱらと.更新前は問題なかったので,いまのところ原因は不明./個人業績に関わる面談 10:00〜10:30.

◆ここのところ昼休みになると確定申告計算に耽っている.先はまだまだ長い.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 業績評価基礎票の手直しをするけだるい午後.BGM は武満徹〈祝典喜劇ポセイドン仮面祭〉舞台音楽.物々しいタイトルの割りには中南米フォルクローレみたいなフシギ音楽./なろ様メーリングリストは理由不明ながら復旧したらしく,ちゃんと配送されているとの報告./『思考の体系学』文献リストのゲラが夕暮れのつくばに着弾した.刷り上がりでたった15ページなのでささやかな分量だ./業績評価基礎票の改訂が終わったらもう西日が横から差し込む時間だ.そろそろ撤収しますかねぇ.

◆[欹耳袋]_・) 。oO (どこぞの統計学がご専門[であるはず]の知事が「十五の春は泣かせない」と宣言したせいで,「十八の春は大泣き」になった黒歴史を京都府民はけっして忘れない)

◆きりたんぽ鍋の季節もそろそろおしまいかな.3月9日が「ザクの日」だなんて初めて聞いたぞ.〈風の森〉じゃなくって〈作 プロトタイプ〉を抜栓すべきだったかも.

◇本日の総歩数=3,011歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 94.0kg(+0.1kg) / 31.3%(+0.5%)


8 maart 2017(水)※いつまで続くぬかるみ

◆午前5時半起床.晴れ.朝焼けグラデーション.気温は氷点下2.3度.寒すぎる.今朝の最低気温は午前6時前の氷点下3.2度だった.真冬に逆戻り.ベランダの多肉植物が黒くなっていたのであわてて室内へ退避.乾いた観音台は北風が吹いてとても寒いのに花粉が飛んでいてもうサイテー.

◆[欹耳袋]次年度の農林交流センター・分子系統ワークショップは10月25日(水)~27日(金)に例年通り電農館@観音台にて開催される予定です.

◆午前の┣┣" 撃ち —— なろ様の “鎖国度” がさらに高まり,Mac Finder からの SAMBA 接続(smb://)ができなくなった.“人質” になっているワタクシの oude pagina は更新不能だが,致命的な実害はないので放置./#TodaiStat 来年度の「生物統計学」講義はSセメスターの4月6日(木)からさっそく開講します.

◆『思考の体系学』ゲラ読みが第2章まで終わったところでお昼休み.さぁ,確定申告の計算だ(棒読み).

◆[欹耳袋]Togetter -「勉強できる子卑屈化社会感想」※なるほど,この本がベースになってあの記事があるわけね.

◆夜,確定申告の計算がぜんぜん終わらないけど寝るん〜♫•*¨*•.¸¸♪

◇本日の総歩数=2,560歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.9kg(−0.1kg) / 30.8%(−0.3%)


7 maart 2017(火)※東奔西走し鼻ぐすぐす

◆午前5時半起床.曇り空.気温2.1度.薄曇りの観音台は日差しがなくてひんやりしている.午前8時の気温は4.7度.南東から微風.これで北風が吹いたらさぞや寒いことだろう.今日は近場をあちこち徘徊する予定.

◆午前の┣┣" 撃ち —— なろ様の “伝書システム” がとらぶっているらしく,朝から affrc.go.jp が滞っているようだが,ワタクシには(いつもながら)実害はまったくない./午前の徘徊完了.

◆薄曇りの昼休みはひさかたぶりの昼休みロングコース徘徊.気温は7度台.梅の季節ももう終わりか.これまた二ヶ月ぶりの歩き読み本:甲斐扶佐義[編著]『追憶のほんやら洞』(2016年4月19日刊行,風媒社,名古屋,300 pp., 本体価格1,800円,ISBN:978-4-8331-3171-1 → 版元ページ)をやっと読了.

◆午後の┣┣" 撃ち —— すでに┣┣" 箱は十分に賑わっているのだが,遠巻きに眺めているだけでは埒が明かないので,一頭ずつ仕留めるしかない.一般的な教訓として,顔を上げて遠くのゴールを見ては落ち込むよりも,足元だけを見て一歩ずつ進む方がいい結果を生む.

◆晴れては曇り雨が降るという落ち着きのない空を見上げながらあちこち徘徊した一日が暮れ,夜は厨房へ.生活クラブの卵をたっぷり8個使ってスペイン風オムレツをしっかり焼いた.卵さまさまの夕餉.相棒の “お水” は〈風の森〉27BY純米吟醸しぼり華・山田錦.上品の味わいですなあ.レシピ→クックパッド「スペイン風オムレツ」.

◆今週の金曜に筑波大学生命環境学群生物学類の学生さんのインタビューを受けることになっている.サイエンスライティング講座の実習とのことで,これまですでに数名のつくばエリアの研究者が登場している.想定読者層は生物学類に関心をもつ「高校生とその保護者」とのことで,いささか責任重大だ.研究者として生きる上でのワタクシなりの “心得” みたいなものは〈想録〉にときどき書いてきた.インタビューで研究者として生きるには何が必要かと問われたら:「根拠のない自信」「はてしない楽観主義」「偶然を楽しむ余裕」「独りでいられる忍耐」そして「傍若無人な “天動説” 」の五つを挙げることにしよう.

◇本日の総歩数=12,943歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 94.0kg(0.0kg) / 31.1%(−0.2%)


6 maart 2017(月)※ゲラ読み原稿確定申告

◆午前5時過ぎ起床.気温3.8度.薄曇りの観音台.午前8時の気温は7.9度.絢爛豪華な花粉の祭典の日々はなお続く.

◆午前の┣┣" 撃ち ——

  • [つくば]第1節をリライトして2,401字だん. posted at 08:38:56

◆北白川から大量の “試薬” が無事に着便.すべて要冷蔵なので,すばやく “試薬庫” に格納だん.これでバクハツする心配はなくなった.

◆昼休み,確定申告の書類を書き始めているのだが,しょっぱなの「生年月日」の記入方法で早くもつまづいてしまった.どう記入していいのか,国税局ウェブサイトを調べまくり./そうか.「昭和」は「3」と記入すればいいわけね./筆圧が強すぎて用紙が破れるんですけど……(orz)/先はまだまだ長いぞ(ぼー然).

◆[欹耳袋]現代ビジネス「テレビはいつまで「勉強のできる優等生」をバカにし続けるのか — 日本のゆがんだ逆学歴差別」(2017年3月4日)※Yahoo!ニュースのコメント欄がはてしない.

◆疲弊してきたのでそろそろ撤収しよう.外は雨が降り出しているみたいだし.夜になっても確定申告の計算は果てしなく続く.

◇本日の総歩数=3,762歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 94.0kg(+0.3kg) / 31.3%(+0.1%)


5 maart 2017(日)※絢爛豪華な花粉の祭典

◆午前6時半起床.晴れ.春霞.気温は氷点下0.4度.朝イチで〈つくいち〉に行ってきた.耳が早いつくば住民,初出店の酵母パン〈punch〉はすでに長蛇の列だった.さすがパンの街つくば.

◆[欹耳袋]「【宇治市PR動画】【ゲーム実況動画編】観光アクションゲーム「宇治市〜宇治茶と源氏物語のまち〜」」※こ,これはいったい…….Cf: 京都新聞「TVゲーム風PR動画に期待と困惑 京都・宇治」(2017年3月3日)※「見終わった市議からは「宇治のええとこが全然伝わらない」「どうしてこれでいこうとなったか分からない」と反発や困惑の声が相次ぎ」— あららら〜

◆お昼前の観音台はホコリと花粉がで遠景くすんでいる.午前11時の気温は12.8度と啓蟄らしい穏やかな日和.

◆[欹耳袋]首都圏大学非常勤講師組合・速報「◎東京大学、団体交渉で組合の主張を認め、 非常勤講師の「労働者性」を肯定」(2017年3月5日)※「東大側代理人弁護士は「指示命令に従って、授業やって、給料もらってるんですから、労働者でないというほうが無理でしょう」と述べ、非常勤講師の「労働者性」を肯定」.

◆今宵は生活クラブの牛スネ肉があったので,十八番のビール煮込みを.今日はベルギーの〈Ferme de Bertinchamps〉という醸造元が出している「Bertinchamps Brune」という真っ黒な銘柄を使ってみたら,けっこういい仕上がりになった.こういう苦味がない甘くて濃いビールは牛スネ肉の煮込みにピッタリ.インドの青鬼も大喜び.レシピ → クックパッド「牛スネ肉のチョコレート風味ビール煮込み」.

◆明日からは┣┣" 撃ちマルチタスキングの日々が始まる(というか,延々と続いている).

◇本日の総歩数=4,363歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 93.7kg(−0.8kg) / 31.2%(+4.1%)


4 maart 2017(土)※観音台にてぼっち仕事

◆午前6時起床.晴れ.気温は氷点下1.7度.春の日差しがさんさんと降り注ぎ,花粉も容赦なく降り注ぐ.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「外来スズメバチの巣、激減 ペットボトルのわな作戦奏功」(2017年3月4日)※ツマアカスズメバチ対策として.Cf:「スズメバチほいほい」.

◆気温9.3度と高くはないが春先らしい日和の観音台.人気のない居室にて静かに┣┣"を撃つ週末.女子学院中学校入試出題に関わる著作権関係書類一式はすでに返送いたしました.

◆[欹耳袋]〈歴史学の担い手をいかに育て支えるか 〜日本歴史学協会「若手研究者問題」アンケート調査中間報告から〜〉※討議のようす:Togetter -「「若手研究者問題」シンポジウム2017『歴史学の担い手をいかに育て支えるか』」.

◆第1節1,690字だん.夕日がまぶしいので撤収するん.魚沼の〈緑川〉は引用符不要のお水で,ラベルの通りさらさらと流れていく.

◆明日の日曜は〈つくいち〉がある.

◇本日の総歩数=4,489歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)= 94.5kg(+1.7kg) / 27.1%(+0.6%)


3 maart 2017(金)※ひな祭りにちらし寿司

◆午前5時半にいったん目覚めたものの,まったく使い物にならなかったので,ぐーたらな二度寝を決めこむ.次に起きたのは午前8時.朝日がまぶしすぎる.

◆朝食後もグダグダと時間をつぶし,10時になってやっとチェックアウト.洛中滞在中は曇り時々雨の空模様だったが,最終日は北風とともに鮮やかな青空が広がった.さて,次に三条大橋を渡るのはいつになるか.

◆午前中は晴れたり曇ったり雨がぱらついたりとめまぐるしい街ナカを歩き回り,いろいろな用事をこなした.その後,京都駅へ.新幹線待ち.日なたは暖かいが,北風は冷たい.青空に浮かぶ雲がどんどん南へと流されていく.

◆つくばに帰り着いた夜は,お雛祭りらしく,ちらし寿司と〈蒼空〉純米美山錦の夕餉.

◇本日の総歩数=18,064歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)= 未計測 / 未計測


2 maart 2017(木)※雨上がり宇治橋を渡る

◆午前6時前起床.気温7.0度.昨夜の「うう……」を引きずっている.雨がしとしと降り続く柳馬場.遠くの東山の稜線も雲に霞んでいる.午前9時の気温は8.6度.なんとか復活したので活動開始.しばらくは引きこもりで仕事するん.紙芝居の編集もしないと.

◆[欹耳袋]なろ様の御城下では兼業がさらに厳しくなってしまった.「兼業先の職務を、他の者が行うことが困難である理由」+「兼業先の職務を正規の勤務時間外に行う事が困難である理由」+「正規の勤務時間を割くことによる機構の業務運営への支障の有無」について査定されるとのこと.じゃまくさいことこの上なし.

◆午後11時にホテルを出て,地下鉄東西線で終着の六地蔵駅へ.この線に乗るのもひさしぶりだ.駅前ロータリーは雨上がりで水たまりが点々と残る.ここからは車で府道を南下する.宇治川を見るのも宇治橋をわたるのも何年ぶりのことか.〈パルティール京都〉着.今日は宇治鳳凰ロータリークラブに呼ばれ,半時間の「卓話」をすることになっている.ロータリークラブのみなさんと名刺交換,そしてプロジェクター接続作業.

◆まずは昼食を取りながら開会.ロータリークラブの会歌を合唱したり,握手しまくったりとロータリークラブならではの雰囲気あり.宇治鳳凰ロータリークラブでは毎週このような会を開いているとのこと.ワタクシの高座は午後1時から:三中信宏「分ける思考とつなぐ思考:分類をめぐる文化論」.午後1時半に会は終了.また六地蔵まで車で送られて,いったん洛中帰還.曇りときどき晴れ間がのぞく.夕日がまぶしい柳馬場.そろそろ徘徊に出かけるとしよう.

◆裏寺町を抜けて四条河原町へ.新しい店がいろいろできている.高瀬川を下って喫茶〈フランソワ〉で必死にゲラ読みするワタクシ.夕闇が降りてきたので,船頭町の奥深くへ移動する.雨がぽつぽつ降ってきた.すれちがうのも難儀する細い路地にある,いま京都でもっとも予約が取れないと言われている〈食堂おがわ〉へ.目の前で次々にお料理が作られていく手際良さを眺める眼福そして口福.最後は祇園のお茶屋さん〈まん〉にたどり着いた.花街やわぁ.

◆もちろんの午前さま.当然の報いの「うう……」.

◇本日の総歩数=9,723歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)= 未計測 / 未計測


1 maart 2017(水)※弥生三月古都の奥深く

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下2.1度とまた寒の戻り.じたばた旅支度.

◆[欹耳袋]昨日のなろ様なんちゃら研修で,たとえば午後3時に研究室で「お茶の時間」を設けることは労働条件に照らせば「コンプライアンス違反」であるというクレームが研究員からあがったという事例報告があった.この場合,所としては反論できないみたいね.裁量労働ができる職員ならば問題ないが,裁量労働ではない契約職員の場合はムリだろうとのこと.そのユニット長さんは血圧が上がってしまったそうな.職場でお茶を飲むのも一苦労な時代になってしまった.

◆西方への移動 —— 午前9時,つくば駅.薄曇り.気温5.3度.北寄り微風.西方移動開始.車中にて各メーリングリストへの月例アナウンス送信.東京駅グランスタにて某編集者氏との打ち合わせ待機.ついでのついでで┣┣" どもが連鎖する.打ち合わせ(というか被加圧)ののち,新幹線のぞみ33号乗車.山陽新幹線遅延の遠い影響で数分遅れての発車.特定名称酒の消費に貢献しまくる新幹線車中.鈴鹿の〈作〉純米吟醸「恵乃智」の空き瓶がいつの間にか転がっている.

◆[欹耳袋]〈木村資生記念 進化学セミナー〉.講義と実習付きワークショップとのこと.

◆しかし,車中では呑んだくれてはいられない.昨日つくばに降臨した “恐怖の大王” 計280ページが強く静かに加圧してくる.初校ゲラは “真っ赤になる” ためにのみ存在するのだ — などという大口を叩いている余裕は(実は)どこにもない.拙著『思考の体系学:分類と系統から見たダイアグラム論』は順調に進めばゴールデンウィークくらいには出版されるとのこと.ただし,初校ゲラは図版サイズが小さすぎるので修正必須.厚さは初校ゲラでは280頁だが,図版拡大と文献リスト&索引を入れたら350頁くらいにはなるだろう.

◆午後3時前,京都着.洛中の定宿にチェックイン.錦は平日でも混んでますなあ.曇り空から冷たい雨が降るのは風情がありますなぁ(と勝手な旅人の感想をつぶやく).曇っているせいか,すぐに薄暗くなってきた.明日のお座敷の準備が終わり,配布物の原稿を先方に送ったので一休み.雲間から夕日が街並みを照らしている.さて,夜の出撃時刻だ.

◆今宵は山科の〈柳生亭〉にて熟成肉の宴.絶品しゃぶしゃぶ.脂身の花が咲き,熟成肉の網焼きはありえへん美味さ.あまりに美味すぎて芸舞妓はん二人が同席していることを忘れてしまいそうだった.

◆当然の報いの「うう……」で三月最初の夜が更けゆく.

◇本日の総歩数=11,247歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)= 92.8kg(−0.4kg) / 29.5%(−1.0%)


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