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日録2013年2月 


28 februari 2013(木)※一寸先が見えない濃霧の朝

◆午前5時前起床.気温は氷点下0.8度まで下がってきたが,たいした冷え込みにはならないようだ.昨夜の低層霧はますます濃密になって,いまは一寸先も見えないほどの本格的な霧筑波となっている.きりきりつくばの朝はきりきりまい.前夜からの霧がまだぜんぜん晴れない観音台.午前8時の気温は1.6度とじっとり寒さが絡みつく.ひんやりした朝の BGM はミヒャエル・ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団のシェーンベルク〈グレの歌〉から.

◆[欹耳袋]馬車馬のように「大学教員の職階と称号など」(2013年2月27日)※オチがいいな.さすがカスヤ師.一瞬,「最下層教員乙」と空目してしまった(笑).

◆午前の┣┣" 撃ち —— 三中信宏:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第7回 「データのふるまいを数値化する:平均と分散」農業と環境 No. 155 公開前の内容確認.明日公開予定.

◆久しぶりに春らしい陽気の観音台.正午の気温は11.2度.南風が吹き込んでいる.常習徘徊小一時間.春山行夫『紅茶の文化史』(2013年2月8日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・782],東京,421 pp., ISBN:978-4-582-76782-7 → 版元ページ)を読了.情報量とても多し.イギリスでの飲み物「punch(パンチ)」がオランダ語では「pons(ポンス)」となり,さらに日本では調味料の「ポン酢」になった(pp. 216-2177).なおフルーツ「パンチ」をフルーツ「ポンチ」にしたのは銀座千疋屋.また,「アイスティー」が初登場したのは1904年のセントルイス万博だったが,この万博では「ハンバーガー」と「アイスクリーム・コーン」も初めて世に現れたとのこと(pp. 209-212).

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝 —— 長谷川英祐『縮む世界でどう生き延びるか?』(2013年2月28日刊行,メディアファクトリー[メディアファクトリー新書070],東京,207 pp., ISBN:978-4-8401-4925-9 → 版元ページ).でびるまん曰く「成長しなくても幸せはここにある」と./Hisashi Nakao (ed.)『Proceedings of the CAPE International Workshops, 2012: 』(2013年3月発行,CAPE Publications, Kyoto, viii+176 pp., ISSN: 2187-6223 → CAPEウェブサイト).「紙」がつくばに降臨しました.感謝感謝.上記サイトからpdfダウンロード可能.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 3月6日(水)名古屋での spcafé_#31 http://sxpxs.org/spcafe.html のハンドアウトと販促チラシを発射だん./さて,生態学会自由集会の準備をしようかなというときにかぎって,乱入┣┣" が出現する…….むむむ.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「音楽の系統樹(クラシックとジャズ)」.メルボルン大学の Gareth Nelson さんから先ほどメールで教えてもらった情報.アンテナを十分に広げておくとヒット率が高まる.

◆外はよく晴れて日差しがまぶしい.午後2時の気温はすでに14.0度に達している.心地よく暖かいということは「花粉の祭典」と同義.ふんがー.午後5時前にさくっと撤収.

◆無敵の絶倫とんこつカレー —— 一昨日からつくりはじめた「無敵の絶倫とんこつカレー」がやっと食卓に出せるまでにしあがった.備忘メモとしてレシピを記しておく:

  1. ありったけの「とんこつ」を深鍋に入れ.大量の水と生姜まるごとひとつ(皮付きのまま)とニンニクひとつを放り込んで,フタをせずに強火でがんがん煮込む.水がどんどん減るので,ざばざば足していく.一昼夜とにかく煮続けると真っ白な「無敵のとんこつスープ」が完成する.[今回は,前夜食べたスペアリブの残りのホネを再利用した]
  2. カレーは,定石通り,深鍋で大量の玉ねぎの薄切りと生姜&ニンニクの薄切りをサラダ油で二時間きつね色になるまでじっくり炒める.香辛料を適宜炒めあわせてカレールーとする.
  3. できあがったカレールーを缶詰トマト(大)で少しずつのばす.そこに,「無敵のとんこつスープ」をホネごと全部投入する.肉や野菜は適当に切るなり炒めるなりして,これまた鍋に投入する.強火で一煮立ち.[今回はスペアリブの残りと,ニンジンまるごと,玉ねぎまるごとを投入.]
  4. アクをすくったら,あとは弱火で一昼夜煮込み続ける.味を見ながらときどき塩とヨーグルトで調味する.

いままでは鶏ガラとかコンソメのスープをベースにしてカレーを作っていたのだが,とんこつスープはその濃厚さとまろやかさで別格の味になる.いったんこの「無敵の絶倫とんこつカレー」を食べたらやみつきになることまちがいなし.ホネの力は偉大だ.

◆明日からは三月,学会と会議と年度末行事でじたばたと駆け抜けることになるだろう.

◆本日の総歩数=10709歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.7kg(+0.3kg) / 30.5%(+0.4%)


27 februari 2013(水)※「及時當勉勵 歳月不待人」

◆午前5時前起床.冷たい雨が降っている.今の気温は1.5度.雨が降り続く観音台.午前8時の気温は2.9度.春雨にしてはちと寒すぎる.朝イチの BGM はエサ=ペッカ・サロネン/ロスフィルのマーラー3番.

◆[欹耳袋]〈プログラミング言語「日本語」〉※おもしろいにょ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来年度の前倒し┣┣" が押し寄せる二月末.契約職員更新手続きあわててすます./毎年恒例となりつつある分子系統ワークショップの日程調整続く.来年度のつくば分子系統ワークショップの開催日程は,第一希望「11月6(水)〜8日(金)」または第二希望「10月23(水)〜25日(金)」のいずれかになるだろう./新しい電子レンジが居室に届いてわーい.スチーム調理もできるすぐれもの.

◆霧雨の観音台.正午の気温は5.1度,北西の風が吹いて肌寒かったが,常習性徘徊は今日も続く.歩き読みの本が湿気を吸って膨らんでしまった.本日の歩き読み本:春山行夫『紅茶の文化史』(2013年2月8日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・782],東京,421 pp., ISBN:978-4-582-76782-7 → 版元ページ).薀蓄傾けまくりでとても好ましい. “チップ(tip)” とは “to insure promptness” の略だそうだ(p. 73).また,東洋の茶を西洋に初めて伝えたのはオランダだったが,茶の効用を称賛した医者ニコラス・テュルプ(p. 40)は,後年レンブラントの作品〈テュルプ博士の解剖学講義〉に描かれた人物でもある.

◆[欹耳袋]来年度のつくば分子系統ワークショップの開催日程は「11月6(水)〜8日(金)」で確定しました.思い当たるみなさんはカレンダーに記入よろしく.白羽の矢が飛ぶのはまだ先のことですが.

◆[蒐書日誌]ダーウィン農学 —— R. Ford Denison『Darwinian Agriculture: How Understanding Evolution Can Improve Agriculture』(2012年刊行,Princeton University Press, Princeton, x+258 pp., ISBN:978-0-691-13950-0 [hbk] / ISBN:978-1-400-84281-0 [eBook] → 版元ページ).“応用進化学” の展開を狙った新刊.David S. Wilson の本を想起させる:David Sloan Wilson『The Neighborhood Project: Using Evolution to Improve My City, One Block at a Time』(2011年8月刊行,Little, Brown and Company, New York, viii+433 pp., ISBN: 978-0-316-03767-9 [hbk] → 版元ページ著者サイトThe Binghamton Neighborhood Project).

以前なら洋書は「hardcover」と「paperback」の二本立てが基本だったが,最近は本書のように「hardcover」と「eBook」という新たな二本立てが増えてきたように感じる.ペーパーバック版はこれからなくなる?価格を考えれば,ペーパーバックは “中途半端” になりつつあるのかもしれない.eBook の方がずっと安いしね.hbk / pbk / eBook の三本立てを律儀に出してくれる出版社も多いけど,トレンドはどうなんだろう.個人的なことをいえば,ハードカバー版以外のフォーマットの本は買う気にならない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末決戦期を迎え,┣┣" 撃ちリストの更新頻度が三週間毎から二週間毎へと早まっている.確かに細かい有象無象┣┣" どもは景気よく蹴散らしているのだが,巨┣┣" たちは揺るがず騒がずそのまま成長し続けている./午後1時半から所内領域会議が小一時間.農環研一般公開(春)は4月19日(金)開催.今年は夏にも一般公開日を設けるとのこと./生態学会静岡大会期間中の錯綜した移動予定がやっと収束した.グランシップ静岡を核にして西へ東へ./編集に関わっている学会誌のオンライン確認作業おしまい.J-Stage 電子ジャーナルもいったん作業がルーチン化できればだいぶラクになる.最初に離陸させて水平飛行にまでもっていく途中段階がたいへん.

◆夕暮れ撤収タイム.今日は終日ずっと曇っていて,夕方になっても昇る満月を拝むことができない.ワタクシの誕生日の夕餉は満を持して地元茨城の〈郷乃譽〉純米大吟醸活性にごり酒「雪の舞」を開栓.その優美さを見よ.四合瓶の中に “雪” が舞っている.土浦の洋食屋〈中台〉の飯村牛ハンバーグがうますぎてうますぎて…….祝福・至福・背徳の夜.人生はこの一瞬がすべて.

◆本日の総歩数=11076歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=92.4kg(−0.6kg) / 30.1%(−0.8%)


26 februari 2013(火)※短すぎる二月は理不尽だ!

◆午前5時前起床.気温は氷点下5.7度.昨日ほどではないが,冷え込みがきびしい.きびしく冷え込んだ明け方から順調に気温は上がり,午前8時のいま0.0度ちょうど.朝の観音台は北風が吹き荒れた昨日とは一転してゆるゆるの南風.週あけ初めての研究室はうっすらホコリが積もっている.隙間風がいつも吹き込む農環研.天井からラ・プティット・バンドの〈ブランデンブルク協奏曲〉を響かせる.その BGM をお囃子に,原稿書きましょう(棒読み).

◆[蒐書日誌]David A. Morrison『Introduction to Phylogenetic Networks』(2011年12月刊行,RJR Productions, Uppsala, vi+216 pp., ISBN:978-91-980099-0-3 → 版元ページ[pdf: open access])※系統ネットワーク本.Systematic Biology 誌の最新号(Vol. 62, no. 1, 2013)で書評されていた.すでに定番となりつつある教科書:Daniel H. Huson, Regula Rupp, and Celine Scornavacca『Phylogenetic Networks: Concepts, Algorithms and Applications』(2010年刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xii+362 pp., ISBN:978-0-521-75596-2 [hbk] → 目次版元ページコンパニオン・サイト)に比べれば,はるかに “数学的” ではない.読者に優しい?

◆午前の┣┣" 撃ち —— 三中信宏:農環研ウェブ講座 「農業環境のための統計学」 第7回「データのふるまいを数値化する:平均と分散」原稿を書き上げて提出.来月はじめにウェブ公開予定.プチ燃え尽き状態./午前10時の気温3.8度.東風ゆるゆる.日和よし./来年度のフレックスタイム届出完了./生物地理学会評議員会はがき返信./デイトナで観客席にレースカーが飛び込んできたように,いきなり大┣┣" が居室に乱入してきた.突発┣┣" 払い.

◆[蒐書日誌]“スパム出版”ふたたび —— アマゾンの近刊検索をしていたら,明らかに “スパム出版” なタイトルがぞろぞろヒットして無力感に打ちひしがれている.ふつう考えて,「systematics」とか「phylogenetics」のタイトル検索で何千点もあるはずないやろ.『Development of Phylogenetic Tree Based on Kimura's Method』とか『Distance Based Phylogenetic Tree Through Heuristic Techniques』とか,アヤシゲな書名の本もぞろぞろ見つかる.Edward O. Wiley の有名な『The Compleat Cladist : A Primer of Phylogenetic Procedures』を勝手に復刻している ULAN Press にいたっては最初から ISBN 付いてないもんなあ.うっかりこういう “スパム出版” に引っかかった被害者は運が悪かったというしかないのか.札付きの “スパム出版社” はフィルターをかけて排除する自衛策が必要かもしれない.

◆[欹耳袋]統計学グッズたち —— 〈Statistical and Mathematical Gifts by NausicaaDistribution on Etsy〉.前から知ってはいたが,統計講義用に買うかなあ./Wz Editor 8 販売開始.先代の〈Vz Editor〉時代からずっとお世話になっている.

◆[蒐書日誌]Boris P. Zakharov『Nomosystematics: A Closer Look at the Theoretical Foundation of Biological Classification』(2013年刊行,Siri Scientific Press, Manchester, 176 pp., ISBN:978-0-9574530-0-5 [pbk]).書名になっている新造語 “nomosystematics” は,有名な Lev Berg の “nomogenesis” と同じく「法則(nomo-)」という接頭語を頂いている.序章を眺めると,著者は記述的な体系学(systematics)と説明的な法則定立学(nomothetics)とを一体のものとして認識しているようだ(p. 9).どことなく Gary Webster and Brian Goodwin 『Form and Transformation: Generative and Relational Principles in Biology』(1996年刊行,Cambridge University Press, Cambridge, xiv+287pp., ISBN:0-521-35451-X [hbk] → 目次情報)の世界観を髣髴とさせるなあと思ったら,しっかり引用されていた.なるほど “そっち系” の本だったのか.かつて Stephen. J. Gould 1980. The promise of paleobiology as a nomothetic, evolutionary discipline. Paleobiology, 6(1): 96-118(→ JSTOR) が,Wilhelm Windelband の「idiographisch / nomothetisch」の対比を掲げつつ,新しい大進化理論を打ち立てようとしたことを思い出した.

◆正午の気温6.1度で昨日の同時刻とぴったり同じ気温.しかし,弱い南風が心地よく,酷寒の昨日とはぜんぜんちがう快適さ.いつものコースをひとまわりしてきた.中薗英助『鳥居龍蔵伝:アジアを走破した人類学者』(2005年9月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・S119],東京,viii+508 pp., ISBN:4-00-603119-X → 版元ページ)読了.鳥居龍蔵が東大理学部を辞職し,私設の人類学研究所を設立.遼東半島から蒙古への調査,さらに南米へも足を伸ばす.第二次世界大戦中は北京の大学に赴任とめまぐるしい人生行路をたどる.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 早々と三月のカレンダーをめくってしまっていささか後悔./来月提出する年度末の業績評価票と業績報告書の心の準備(何もしてまへん)./農環研ウェブ講座 「農業環境のための統計学」の改訂原稿を送信.この件,おしまい.群馬ミッションの日程調整の件.年度内に榛名山麓某所を襲撃する予定なのだが,はたして平日に時間が取れるかどうか.忌引休暇を分断して取得することはできないとの返事あり.ミッションの日程調整がなかなかたいへん…….

◆今日の後半はややガス欠気味だったので,無敵の絶倫とんこつカレーを仕込みはじめた(鶏ガラではパワー不足だ).ホネはえらいっ,ホネはすごいっ,ホネは無敵.時間がかかるので食卓に出せるのは明後日になるだろう.

◆本日の総歩数=11485歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.1kg) / 30.9%(+0.5%)


25 februari 2013(月)※名ばかり振替休日の週明け

◆午前4時半起床.気温は氷点下6.7度のきびしい冷え込み.床暖オン,ホカペもオン,急速暖房.今朝の最低気温は氷点下7.6度まで下がった.さむさむ〜.では,振替休日の週明け,朝イチの送迎業務なう.

◆[欹耳袋]第68回日本生物地理学会大会シンポジウム〈チェイン・ツリー・ネットワーク:体系学におけるデータ可視化と情報グラフィクス〉2013年4月14日(日)15:00〜17:30@立教大学(池袋).演者と演題を公開した./名古屋 spcafé のアナウンスが公開されている:三中信宏「#31 分類構築の心理学と系統推定の歴史学」日時 :2013年3月6日(水)17:00〜18:30@〈Craig’s Café〉名古屋大学理学部E館1階.

◆午前の┣┣" 撃ち未遂 —— 年度末のMAFFIN計算センター利用報告を出さないといけないのだが,「出せ出せ」メールがセンターのシステム更新休業に入った直後に届いてやる気が失せた./今日の正午から「研究データ交換システム管理」ができなくなるので,それまでに更新情報をできるだけアップしておかないと.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「〈RepRap〉の系統樹」 .記事「RepRap Family Tree」.「RepRap」とは自己複製能力のある3Dプリンター.この系統樹は短期間のうちに激しく分岐していることがわかる.

◆正午の気温6.1度.冬空のように乾いて寒い.今日は振替休日なので竹園あたりをふらふら徘徊しても許される.振替休日遅めのお一人様しょぼランチは,昨夜のきりたんぽ鍋跡のたまご雑炊.比内鶏の味わいがとても濃厚.あわてて食べるとやけどする〜.

◆[欹耳袋]日本行動計量学会・第15回春の合宿セミナー,2013年3月29日(金)~30日(土)@東海大学高輪キャンパス(→アナウンス).実施されるコースは:岩崎学「テスト得点の統計分析2題」・黒木学「統計的因果推論入門」・横山暁「R入門」・青木繁伸「統計学のFAQ」・藤野友和・久保田貴文「QGISを利用した地理情報データの視覚化」・岡田謙介「仮説検定の限界を乗り越えるためのベイズ統計学」.非会員でも参加できる.

◆[欹耳袋]La boite verte「Paris pendant l’Exposition Universelle de 1900」※1900年パリ万博のカラー写真集.下をたぐっていくとエルンスト・ヘッケルにちなむ水晶宮が./Niels P. Kristensen (ed.) 1998. 『Handbuch der Zoologie: Lepidoptera』になんと「786,444円」の古書価格が!(@_@)./ひとりごと「MacR のインストールから最初の起動」(2013年2月25日).

◆東から上る満月を見上げてはスペアリブを焼きまくる夕暮れ.豚さんの炙り肉に〈王祿〉の「23BY・純米吟醸・渓・にごり」を合わせる背徳の夕餉.さすがマルゲンミートのスペアリブは格がちがうことを実感した.四合瓶が空っぽになって,ラベル裏に岩魚が泳いだ.

◆[欹耳袋]生態学会静岡大会のシンポジウムや自由集会のアナウンスが立て続けに流れている.今おぶさっている原稿┣┣" が除霊できたら,次は生態学会自由集会のしたく,そして翌日のナゴヤ科哲カフェの準備と締切フラッグが重なってはためいている.そして,懸案の翻訳┣┣" を仕留める大仕事は放置状態…….

◆本日の総歩数=3109歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.1kg(+0.5kg) / 30.4%(+0.5%)


24 februari 2013(日)※窓越しに花粉と黄砂の祭典

◆午前6時起床.気温は氷点下5.8度ときびしく冷え込む朝.今朝の最低気温は氷点下6.1度まで下がった.冷たい北西風が吹きつけてとても外出する気にならない.今日もまたキーボード対面の固着生活か.

◆[欹耳袋]ワタクシの日録(dagboek)も来月でまる十年になる.箇条書きする形式は森山和道さんの日記を真似た.まとまった内容の文章というよりは,ライフログに近い形式が現在まで続いている.ずっと同じ研究機関(むかし国研,いま独法)にいるので組織ハードウェア的には代わり映えがしないのだが,ワタクシ自身がソフトウェア的に変遷しているので,それなりに “物語” を紡いでいる.最初のうちは,意識して「書き続ける」ことを自分に課してきたのだが,そのうち生活の一部に嵌めこまれて,息をするように項目を記し,ご飯を食べるようにその日の日録を編集するようになった.

日録の “空白” は一日もない.日録を長く書き続けていると,蓄積情報がものを言うようになる.調べ物をするときには,自分の日録を検索することがわりによくあって,ヒット率も高い.たとえば過去の料理レシピの確認に日録ログは不可欠だ.書いているときには気づかなくても,振り返ると新たな価値が生じる.ワタクシの日録はいまでもhtmlの「手打ち」を続けていて,ブログに移行させていない.ただ,いくつかのカテゴリーの情報は検索性を高めるためにはてなブログやはてなダイアリーに転載している.古いところでは8年目に入った本録,そして昨年末に開設したばかりの樹録はワタクシの日録から派生したブログ.もうひとつ,数日前に再起動した R-statistiker は日録の統計カテゴリーをまとめたブログだ.

ひたすら書き続ければそのうちいいこともある.大事な点は「自分のために」書き続けること.他人がワタクシの日録やブログを参考にしていただけるのは望外の喜び.手書きの日記は「味」があるけど,自筆文字の可読性が極端に低いワタクシは,コンピューターで文章を入力し始める時代がやってきて,やっと日録をものする気になった.さらに,ツイッターを始めてからというもの,日録に含めるべき項目の漏れ落ちがほぼなくなって,とてもラクになったのは事実.パソコンやICTの発達は日録書きにとってありがたい.

◆窓から見渡す遠景が黄褐色なのはひょっとして土煙かと思いきや,黄砂と花粉の競演らしい.春になれば南風に巻き上げられた土埃がつくば一帯を覆うことがあるが,今日は北風が悪役を演じている.つくばは自発的外出禁止かー.Cf.: つくば市花粉情報

◆[蒐書日誌]leeswijzer -「歴史言語学における「断続平衡説」について」.R. M. W. ディクソン[大角翠訳]『言語の興亡』(2001年6月20日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版737],東京,vi+221+13 pp., 780円[本体価格], ISBN:4-00-430737-6)の書評を再録して加筆./Ming-Hui Chen, Lynn Kuo, and Paul O. Lewis 『Bayesian Phylogenetics: Methods, Computational Algorithms, and Applications』(2013年10月刊行予定,CRC Press, ISBN:9781466500792 [hbk] → 版元ページ).うわー,600ページかぁ./Jeffrey Stanton『Introduction to Data Science』(2013年刊行,Available from Teach Data Science: eBook & pdf [open access]).参考記事:R-bloggers | Free e-book on Data Science with R | 22 February 2013.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas 二題 -「注文の多い料理店―院生編」(2013年2月24日)※「当研究室は貢献の多い研究室ですから」gkbr./「注文の多い料理店―就活編」(2013年2月24日)※姉妹篇まであるとは驚き.

◆昼下がりのシエスタから目覚め.原稿を書き始める.夕暮.東の空からはほぼ満月が上り始めた.今日の最高気温は正午前の7.0度どまり.午後は気温が下がってきただけではなく,平均10メートル,瞬間的に20メートルの北風が吹き荒れる黄砂と花粉の祭典で,とても外出したくなる空模様ではなかった.昨日と同じく引きこもり原稿書きで一日が終わる.でも原稿は終わらない(orz).さらに冷え込んできた夜,夕餉はきりたんぽとともに,〈小笹屋竹鶴〉の無濾過純米原酒を燗酒で.よく効きますなあ.

◆明日は「振替休日」とは名ばかりの一日になる.MAFFINネットワークのシステム更新作業が本格化して,ウェブ機能が制限されるので(→ アナウンス),日録の更新が滞る可能性あり.

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(−0.2kg) / 29.2%(−0.4%)


23 februari 2013(土)※週末は激闘原稿決着モード

◆午前5時前起床.気温は2.7度.寒いけど暖かい.朝からからりと晴れ上がっているのはいいのだが,北風が寒すぎて引きこもるしかない.正午の気温は8.7度.体感気温はもっと低い.

◆来年度┣┣" 撃ち予定 —— 東大農学部生圏システム「保全生態学特論」の集中講義は6月から7月の毎週木曜午後に計三日間.日程調整中./茨城大理学部「系統分類学特論&同演習」の集中講義は7月1日(月)〜2日(火)と7月8日(月)〜9日(火)の計四日間の予定(変更可能性あり).

◆土曜の┣┣" 撃ち —— 午後9時過ぎ,進化学会ニュース14巻1号原稿「「智慧の樹」再訪:【4】系統樹曼荼羅:データ可視化と情報グラフィクスの観点から」.海外逃亡しようとしている編集長どのに送信.約7900字.

◆今日はけっきょくぜんぜん外出しなかった.MacBook Air のキーボードに向かって固着執筆生活.しかも夕餉で肉を喰って〈庭のうぐいす〉を空っぽにするという背徳を犯してしまった…….

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.8kg(+0.4kg) /30.3%(+0.4%)


22 februari 2013(金)※ブツ発送作業で燃え尽きる

◆午前5時前起床.すでに氷点下5.4度まで冷え込んでいる.朝焼けグラデーション.氷点下5.8度の夜明け前.午前8時の観音台は気温0.1度.明け方の最低気温氷点下5.8度からぐんぐん上昇してきた.しかし,水たまりの氷はがちがちに凍ったまま.今日も好天.南風が吹いて花粉日和.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 国内外に手紙(notメール)を書いている.朝のうちに「郵送だん」とつぶやきたい.正午前,国内外発送作業がやっと終わった.ふー.

◆[蒐書日誌]♪〜太っ腹〜♪ —— 東北大学生態適応グローバルCOE編『生態適応科学:自然のしくみを活かし、持続可能な未来を拓く』 (2013年2月近刊,日経BP社,東京,ISBN:978-4-8222-0869-1).pdf 版/ePub 版をダウンロードご自由にとのこと!(→ こちら)/でびるまんの二冊目だ!:長谷川英祐『縮む世界でどう生き延びるか?』(2013年2月近刊,メディアファクトリー新書070 ,ISBN:978-4-8401-4925-9 → 版元ページ).たったいま編集部からメールあり./The Wegener Diaries: Scientific Expeditions into the Eternal Ice.Alfred Wegener のグリーンランド探検日録(1906-1930)が全文公開.

◆正午の気温7.4度.弱い西風,いい天気.ランチタイム徘徊.さあ,たっぷり花粉を浴びてこよう!(自虐的).筑波事務所まで往復してきた.中薗英助『鳥居龍蔵伝:アジアを走破した人類学者』(2005年9月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・S119],東京,viii+508 pp., ISBN:4-00-603119-X → 版元ページ)の第11〜12章を歩き読み.シベリア踏査を中心に.

◆[欹耳袋]言語学における断続平衡説について —— hellog~英語史ブログ「#1397. 断続平衡モデル」(2013年2月22日).R. M. W. ディクソン[大角翠訳]『言語の興亡』(2001年6月20日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版737],東京,vi+221+13 pp., 780円(本体価格), ISBN:4-00-430737-6 → 書評・目次).内容に関してはかなり否定的な書評を書いた.系統樹上での ultrametricity からのズレを言語クレードごとの進化速度の「差」とみなすのはぜんぜん問題ない.分岐点を基準にした言語進化速度のズレが有意に異なるかどうかはおもしろいテーマだと思う.しかし,それを「分断平衡モデル」と結びつけるのは得策ではない.

分断平衡説(punctuated equilibria)は単なる進化プロセス仮説ではなく,背後に背負った科学哲学的・思想的な背景が重すぎる “進化観” なので,あまり気軽に覚醒させない方が身のためだと思う.進化学者は分断平衡説は進化プロセス理論であると受け取られているフシがあるが,N. Eldredge & S. J. Gould の元論文:Niles Eldredge and Stephen J. Gould (1972), Punctuated equilibria: An alternative to phyletic gradualism. In: T. J. M. Schopf (ed.), Models in Paleobiology. Freeman, Cooper & Company, San Francisco. Pp. 82-115 pdf [open access] の冒頭部分をちょっとでも読んだら目が覚めるはず.

よくよく考えてみれば,Stephen J. Gould は “安倍晴明” みたいなキャラで,古今東西の “妖怪ども” を操っていた陰陽師のような役回りだった.分断平衡論文(1972)もスパンドレル論文(1979)もそう.寝た子をみだりに起こしてはいけない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— ワタクシの背後から原稿┣┣" がのしかかる.杉並のシェフに海外ライフを満喫していただくためには今日中に原稿┣┣" 一頭を仕留めねばならぬ.おんぶ┣┣" 出現.書かないと書かないと.

◆[欹耳袋]Daily Life「CAPE 台日生物学哲学ワークショップ」(2013年2月21日).来月3月15日(金)に京大文学部で開催される生物学哲学の集まり./CAVE2: Next-Generation Virtual-Reality and Visualization Hybrid Environment for Immersive Simulation and Information Analysis.データ視覚化の最前線./The Atlantic | The Ph.D Bust: America's Awful Market for Young Scientists—in 7 Charts | 20 Feb 2013.海の向こうでも不景気な話が表面化している.

◆鶯の飛来 —— 夜は久留米の〈庭のうぐいす〉の「24BY・純米吟醸うすにごり」.昨日,やっとたがみ酒店に入荷したので即ゲット.さっそく開栓.ほんのり炭酸ガスの味わいが感じられてとてもフレッシュ.四合瓶があっという間に空っぽになりそう.こわいこわい.

◆本日の総歩数=6680歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.4kg(−0.6kg) / 29.9%(−0.1%)


21 februari 2013(木)※今日は観念して観音台幽閉

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下1.8度.今年も “ふんがー” の季節到来.観音台は雲ひとつない青空が広がっている.午前8時の気温は1.5度.たいした冷え込みではないのだが,農林団地構内の水たまりには氷が張っていた.まる一日いなかっただけで,居室に降り積もるモノどもは数知れず.観音台にいるとじっと座っていても方々から加圧メールが飛んでくる.

◆[欹耳袋]Hennig XXXII: The Annual Meeting of the Willi Hennig Society, 3-7 August 2013, Universität Rostock, Germany.今年の夏はバルト海だ.ドイツ北辺の旧ハンザ同盟都市.5月末までに参加登録と講演要旨を送ること.

◆[蒐書日誌]本の雑誌編集部(編)『古本の雑誌』(2012年10月25日刊行,本の雑誌社[別冊本の雑誌・16],東京,191 pp., ISBN:978-4-86011-234-9 → 版元ページ).昨日,神田すずらん通りで立ち寄った新装・東京堂書店の平積み台で平野甲賀が踊っていたので,ついレジにお連れしてしまった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 偕楽園方面から来年度のシラバス書いてねメール着弾.お髭のセンセはいつもいきなり┣┣" を送りつけるのだ.書きますってー.偕楽園方面にシラバス送信だん./それとは別件の「採点の祭典」後始末┣┣" がじゃまくさいことになってきたが,ばっさり切り捨てる:

「〜さんからの成績評価に関するお問い合わせを受けましたが,あなたが私の講義に出席された証拠がどうしても確認できませんので,今回については成績評定は「なし」とさせていただきます.毎回の講義の最初に配布していた「出席カード」と「質問票」は実際に講義に出席したことの証として集計しています.ところが,〜さんの場合は,「すべて出席した」と申告されているにもかかわらず,出席表の配布は「記憶にない」と述べられています.一回や二回ならまだしも,すべての講義にわたって記 憶にないというのでは,「講義には出席しなかった」という帰無仮説を棄却することはできません.〜さんが,その帰無仮説を棄却できる十分な証拠をお持ちで,「講義には出席した」という対立仮説以外にその証拠が説明できないと主張されるのであれば,その証拠を私にお示しください.」

—— こういう「引導」を渡すのもセンセイの仕事のひとつということで.もしブリリアントに返答してくれたら,再考してもいいんだけどね(ないだろうけど).

◆正午の気温は6.5度.いい天気だが,外は北風が寒そうだ.今日も昼休み徘徊タイム.北西風に吹きさらされながら小一時間の歩きまわり.中薗英助『鳥居龍蔵伝:アジアを走破した人類学者』(2005年9月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・S119],東京,viii+508 pp., ISBN:4-00-603119-X → 版元ページ)の第5〜10章を歩き読み.中国・沖縄・朝鮮・満蒙とフィールドワークはさらに広がる.

◆[欹耳袋]電子化作業完了 —— 昆虫分類学若手懇談会ニュース82号(2005)まで.ただし,no. 58, 62-65, 71-80 は欠号.またパンミクシアは11号(1997)まではコンプリート.欠号は居室の「森」を探査すればすべて見つかるはずだけど…….風前の灯だった「青焼き」コピーがpdf保存できるようになって,ありがたやありがたや.さすがに1970年代はじめの “青焼き” はもう寿命です.今のうちにスキャンして電子化しないことには,日焼けして読めなくなりつつある.米つきバッタのようにお辞儀する.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 某辞典の「種選択」と「進化生物学」の項目執筆完了.編集部に放流した.息をするように辞書項目を書いている.出典確認のため,十年ぶりくらいに Steven M. Stanley『Macroevolution: Pattern and Process』(1979年刊行,W. H. Freeman, San Franscisco)をひもといた.本書を手にしたのは修士に入ってすぐのころだった.Stephen J. Gould らとともに1980年代初頭の「大進化論争」の火付け役でもあった本書だが,またたくまに輝きを失ったという点でも特筆すべき本./今月下旬からMAFFINがしばし停止状態になるので,動いているうちにさくさく作業しないといけない(→ アナウンス).

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:シモキタのtokyoboy「オアハカ(Oaxaca):メキシコの都市」(2013年2月21日).オアハカ,すばらしい〜.

◆本日の総歩数=12464歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(+0.3kg) / 30.0%(−0.1%)


20 februari 2013(水)※今日は本郷から駿河台下へ

◆午前4時起床.気温は氷点下1.8度.お米を研いで,塩麹鯖を焼く仕度.午前6時の気温は氷点下2.7度.今日はよく晴れそうな空模様.夜明けが早くなったねぇ.今朝の最低気温は氷点下3.7度だった.朝日がさんさんと降り注ぐ快晴の空.今日は昼過ぎから本郷で専攻教員会議,その後,夕方は駿河台下の某出版社にて密議あり.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 上州ミッション指令文書作成終了.今月中に榛名山麓を襲う予定./確定申告がらみの微小┣┣" どもを蹴散らす.┣┣" も積もれば山となる.とりあえず源泉徴収票とレシート類を束ねた./長期間放置したゲラは “付喪神” と化し,担当編集者は “生霊” に化けるというオソロシイ都市伝説が…….かく言うワタクシも数匹のゲラ以前の “プレ付喪神” に取り憑かれている.

◆[欹耳袋] Yahoo! ニュース -「中嶋嶺雄氏死去=国際社会学者、国際教養大学長」(時事通信).中嶋嶺雄さんが八王子セミナーハウス理事長をしていたとき,一度だけ理事長室で話をする機会があった.第187回大学協同セミナーの企画のため,伊藤正直・長谷川眞理子両氏とともに打ち合わせに行った.結果的に最後の大学協同セミナーとなったが,そのときの記録は『生物科学』55巻1号(2003)の特集〈科学論は科学の敵なのか?―科学をめぐる言説のゆくえを見据える―〉として残されている.

◆本郷出撃 —— 午前11時前,つくば駅.きりりと乾いた快晴の青空.午前10時の気温は4.2度.北風が冷たい.正午前,根津.蕎麦〈鷹匠〉にて,鴨せいろを深山(田舎そば)で.噛みしめるほど味わいがある太くて黒い田舎そばを熱々の鴨汁とともに.その後,根津の裏道をうろうろしていたら,細い路地の突き当りにお稲荷さんがあるのに気づいた.眞島稲荷.急な石段の上に祠があった.両脇をマンションにはさまれているが,この一角だけは別世界.牛ならぬ猫に引かれて眞島稲荷.へび道近くの路地奥にあるパン屋〈Bonjour mojo2〉がめずらしく空いていたので立ち寄る.根津神社脇のS坂を上がって東大農学部へ.野球場近くに報道陣がいたのは桑田コーチが来るからかな.弥生キャンパスはとてもいい天気.午後1時からの専攻教員会議は午後3時過ぎに終了.今年度のことどもはそろそろ終わりに近づき,議題の大半は来年度の学年暦の確認など.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「ウェブ・ブラウザーの系統発生」灯台下暗し. “日常” のすぐ側にこんな巨大な系統樹があった.1990年以降現在にいたるウェブ・ブラウザーの系統発生が詳細にたどられている.ウェブ・ブラウザーの系統樹はさすがヴィジュアル!:〈Timeline of Web Browsers〉と〈An Interactive Timeline of Browser History〉/「SFの系統樹」.Ward Shelly: The History of Science Fiction, ver. 1.文学ジャンル系統樹の一例.文学・音楽・芸術の系統樹はそれ自体が収斂的にアーティスティックに描かれる傾向があるようだ./「紋章の系統樹」.昨年出した『系統樹曼荼羅』の p. 228 に「紋章の系統樹」が載っている.西暦760-780年に著されたという元の彩色写本(聖書)は下記から閲覧できる:「St. Gallen, Stiftsbibliothek, Cod. Sang. 1084, p. 1」.典型的な「エッサイの樹」である.旧約聖書にある「エッサイの樹」がステンドグラスや図版として出現するのは12世紀以降だから,この紋章系統樹はその先駆かもしれない.

午後4時前,次なる目的地である小川町に転戦.時間がまだあったので,久しぶりに神保町すずらん通りを一回り.〈文銭堂〉にて銭形平次最中を贖った.その後,羊土社にてヒミツ会議.隔月連載予定は7月からということで.統計質問票を整理することから作業は始まる.

◆午後6時過ぎ,つくば帰還.今日の都内の最高気温は8.9度だった.空気は冷たかったが日差しは暖か.

◆本日の総歩数=11127歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.7kg(+0.1kg) / 30.1%(0.0%)


19 februari 2013(火)※陰鬱で寒い曇り空が広がる

◆午前5時起床.気温5.1度.鯵を焼く夜明け前.ニッポンの朝は米の飯と焼き魚とだし巻きから始まるのだ.午前6時,曇り空.路面が濡れているのは夜中に雨が降ったせいか.天気予報では関東は雪マークだが,茨城は降らないみたい.灰色の曇り空が広がる観音台は午前8時の気温が4.6度とあまり上がらず.前夜の雨の名残りで方々に水たまりができている.

◆[蒐書日誌]♪おっ買い物っ,おっ買い物っ♪ —— 磯野直秀『日本博物誌総合年表』(2012年4月25日刊行,平凡社,東京,本体価格30,000円,ISBN:978-4-582-51230-4 → 目次版元ページ).全二冊構成:「総合年表編」(4 color plates + xiv + 750 pp.)/「索引・資料編」(434 pp.).2002年に出版された:磯野直秀『日本博物誌年表』(2002年6月刊行,平凡社,東京,ISBN:978-4-582-51204-5 → 版元ページ)の増補改訂版.年表は縄文時代から明治元年までをカバーし,「国内事項」と「海外事項」を上下二段組で対応させている.判型が大きいので,上野益三『日本博物学史』(1973年11月10日刊行,平凡社,xiv+680+73 pp. → 目次)の年表よりもずっと読みやすい.

総合年表編の「あとがき」として,著者は既刊記事:磯野直秀「江戸博物誌を顧みる」参考書誌研究, (61) : 1-7, 2004 CiNii を再録している.そのなかで興味深いのは,西洋と東洋の博物学のちがいを指摘した下記の箇所だ:

「江戸博物誌の世界をうろつくうちに,東西の違いはもっと本質的なものではないかと思いはじめた.一言で言うと,西の世界がギリシャの昔からモノの「仕組み」と「体系」を追い続けたのに対し,東は「仕組み」や「体系」にまったく関心を示さなかった世界だと気付いたのである」(p. 745)

「分類についても,東のそれは体系化とは関係なく,使いやすく仕分けるためのものだった」(p. 746)

「結局,東と西はおなじ線路の上を走っていたのではなく,別々の線路を異なる方向に向かって走っていたようだ.そして,東のそれは,いくら時をかけても「科学」という駅には到着しない路線であった」(p. 747)

「では,東の路線は無価値で,百年前の人々がしたように捨て去るしかないものだったのだろうか.私はそうは思わない.江戸博物誌には,もうひとつの特徴が存在したからである.それは,いつも「人の目」を通して動植物を見ているという点だ」(p. 747)

「「広く,浅く,近付きやすい」,これが江戸博物誌の特色だった.この点を私は高く評価したい.冒頭に記したように,幅広い人々が江戸博物誌を担えたのも,この「近付きやすさ」故のことであった」(p. 748)

東洋の博物学のもつ文化的特質については,磯野直秀も西村三郎とほぼ同一の結論に達したように見える.ただし,東洋の博物学が体系を希求していないようにみえて,背後で一種の “超越論的世界観” を温存し続けてきた点はもっと指摘されてもいいだろう.実際,付記の最後に挙げられている19世紀前半に松森胤保が著した『両羽博物図譜』には,「クモの巣のような網目状」の「独自の分類論」が展開されていたと著者は指摘している(p. 742).まるで,宗教的啓示を受けた早田文蔵の “動的分類学” の先駆けではないだろうか(→「宮沢賢治と早田文蔵:華厳経の「インドラの網」と高次元分類ネットワークとの関係」).

—— 東洋博物学における個物へのオブセッションは体系への信念と両立するような気がしている.ただし,その体系は西洋博物学のそれとは異なるタイプだったのだろう.

◆正午の気温は5.6度だった.幸い雨に降られることもなく昼休み徘徊できた.中薗英助『鳥居龍蔵伝:アジアを走破した人類学者』(2005年9月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・S119],東京,viii+508 pp., ISBN:4-00-603119-X → 版元ページ)の1〜4章を歩き読み.東大理学部人類学教室の昔話.遼東半島・臺灣・北千島を踏査.鳥居龍蔵が学恩を受けた坪井正五郎の随筆『うしのよだれ』(2005年9月30日刊行,国書刊行会[知の自由人叢書], ISBN:4-336-04714-6 → 目次版元ページ)が居室書棚の上に鎮座している.この〈知の自由人叢書〉はけっきょく5冊しか出なかったなあ.京都・寺町の〈三月書房〉の「国書刊行会の特価本」コーナーを見ると,この〈知の自由人叢書〉全五冊が半額以下の値がついてずいぶん安くなってしまったことを知った.すでに揃いで並んでいるので気にすることはないんだけど…….

◆本日の┣┣" 撃ち —— 夕方,「採点の祭典」がやっと終わった.一日仕事だった.今年度の成績評価業務はこれにてすべておしまい.“宴のあと” 状態.キリがいいから本日はこれにてさくっと撤収することを自分会議にて満場一致で可決した.

◆本日の総歩数=11059歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(−0.1kg) / 30.1%(+30.1%)


18 februari 2013(月)※春雨にしてはまだ寒すぎる

◆午前5時前起床.気温は氷点下1.1度.ちょっと寒い.鮭を焼く.今朝の最低気温は午前6時過ぎの氷点下2.2度.明け方は曇りがちだったが,観音台は朝日がさんさんと差し始め,予報通りほんまに雨になるのかどーか疑心暗鬼.スガヤコーヒーの豆でいつ淹れようかな.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 東京農大の次年度非常勤出講書類一式を返送.教科書・参考書指定もすんだ.ついでに,講義日程をメモする./玉川大学の次年度シラバスはすでに記入したのだが,教務より “教育的指導” が入り,書き直すはめになった(orz)./二本目の白羽の矢が届いたようで,OKの返信あり.ありがとうございます〜./玉川大学のシラバス修正完了.来年度の兼業申請を農環研に出さないといけないけど,あとまわしあとまわしっ.

◆[蒐書日誌]伊藤元己『植物分類学』(2013年3月刊行予定,東京大学出版会,東京,ISBN:978-4-13-062221-9 → 版元ページ).「分類学の主要なテーマを詳述し,さらに分類学の新しいテーマである生物多様性インフォマティクスについて情報学の視点から論述」との紹介.

◆[欹耳袋]ここ二年あまりずっと “休眠” させていた統計ブログ〈Inleiding tot de R-statistiek〉を復活させることにした.以前は,東大や東京農大の生物統計学の講義用ブログとして使っていたのだが,そのうち立ち消えになってしまった.その後ブログではなくツイッターで質問に応える態勢が定着したので,あらためて統計学の備忘メモ書庫として再活用することにした./奥村晴彦「Rの初歩」(2013年2月10日更新).さっそくメモクリップ

◆[蒐書日誌]グンマー本2冊 —— 木部克彦『群馬の逆襲:日本一“無名”な群馬県の「幸せ力」 』(2010年5月刊行,彩流社,東京,ISBN:978-4-7791-1071-9 → 版元ページ)|木部克彦『続・群馬の逆襲:いまこそ言おう「群馬・アズ・ナンバーワン」』(2012年10月刊行,言視舎,東京,ISBN:978-4-905369-46-2 → 版元ページ).いつのまにこんな本が…….なんだか “大魔神の逆襲”みたいな.そういえばもう何年も前橋の煥乎堂に行ってないな.

◆昼休み,お,まだ雨降ってないっ.徘徊タイムだっ.正午の気温は4.5度.ときおり小雨が降りかかる昼休みだったが,傘をさすほどではなく,また歩き読みの妨げにもならなかった.石毛直道『麺の文化史』(2006年8月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・1774],東京,396 pp., ISBN:4-06-159774-4 → 版元ページ)読了.モンゴル,シルクロード,チベット,そして東南アジアをめぐる広域アジア圏の麺談.ここまでを総括する第9章「アジアの麺の歴史と伝播」では,麺の系統樹(pp. 288-9)と地理的分布図(pp. 292-3)が提示されている.最後の数章ではイタリアのパスタの起源を論じている.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 小粒新参┣┣" たちがやってきては蹴散らされていくのに,大物古参┣┣" どもがそのまま居座り続けるというのは消耗戦にほかならない./生物地理学会シンポジウム関連の連絡をすませた.また,サイトをつくらないといけないな./「採点の祭典」のまっただ中./一太郎ファイルに出くわしたら上を向いて歩こう./過去十年分の統計研修「質問票」を束ね始めている.すでに百数十枚集まった.統計学の “つまづき方” にはきっとパターンがあるはずだ.

◆[欹耳袋]〈Juliette Drouet, Lettres à Victor Hugo - Édition des Lettres de Juliette Drouet à Victor Hugo〉:作家ヴィクトル・ユーゴー(Victor Hugo: 1802-1885)と女優ジュリエット・ドゥルエ(Juliette Drouet: 1806-1883)との往復書簡22,000通がオンライン公開された.22,000通!

◆午後6時の気温は4.3度.降る降るといいながらつくばはほとんど雨らしい雨にならなかったような.雨雲の “穴” が空いていたみたい.夜になって湿った寒さが染みこんでくる.

◆本日の総歩数=11288歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.7kg(−0.3kg) / 30.0%(−0.3%)


17 februari 2013(日)※背徳の二度寝の朝は氷点下

◆午前5時前起床.今朝は冷え込みが厳しい.最低気温は氷点下6.0度まで下がった.さくっと二度寝.日の出を見逃して午前7時,朝日が眩しい.背徳の二度寝から目覚めて,朝餉の支度を開始する.

◆[蒐書日誌]荒俣宏『世界第博物図鑑(全21巻)・電子版』(2009年刊行,イーブックイニシアティブジャパン,税込価格17,640円 → 版元ページ).1987年〜1994年に刊行された紙版(全7巻)の電子化とのこと.紙だと定価が10万円以上するが,この電子本は大幅に安くなっている.ワタクシは紙版をすでにもっているので,この電子本に手を出すことはないだろうが,カラー図版がどれくらいきれいなのか気になるところではある.

◆休日の┣┣" 撃ち —— 7月の生き物文化誌学会アブストラクトの書き換え終了.ついでに,4月の生物地理学会シンポジウム要旨も書きあげた./学会大会の「宿」を確保した.講演準備よりも何よりも早く,「宿」と「足」だけはさくっと確保しないとたいへんなことになる.トークのしたくは当日の大会会場でもなんとかなるけど,「宿」と「足」はそうはいかない./確定申告津波が発生したが,まだ到達してはいない.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「参考文献表にそのままコピペ可能な文献情報を出力するウェブサービス」(2013年2月17日) /NTRand3.3「Mersenne TwisterによるFREE Excel乱数生成アドイン」/Manfred Milinski et al. 2013. Major histocompatibility complex peptide ligands as olfactory cues in human body odour assessment. Proc. R. Soc. B | 22 March 2013 | vol. 280 no. 1755 ※MHC peptides + fMRI + human mate choice の三点セット.

◆夕暮れ間近に筑波大方面徘徊タイム.春日の〈Sugaya Coffee〉さんで一休みして帰ってきた.今日は冷たい北風も吹きつけず,最高気温7.1度ながら,昨日よりも有意に春めいていた.歩き読み本:青木正児『中華飲酒詩選』(2008年4月10日刊行,平凡社[東洋文庫・773],東京,376 pp., ISBN:978-4-582-80773-8 → 版元ページ).陶淵明・李白・白楽天の大きく三つの部分に分かれている.最初の陶淵明を読む.

◆『中華飲酒詩選』のなかに晋の陸機の漢詩「百年歌」が採録されている(pp. 77ff.).十代から始まる人生歌は判で押したように「清酒漿炙奈楽何/清酒漿炙奈楽何」というリフレインで終わる.「清酒に炙肉,此の楽しさを何とせう」と訳されている.そうだそうだ.というわけで,マルゲンミートで巨大なスペアリブが手に入ったので,こんがり焼いて夕餉の食卓に.会津の〈天明・中取り参号〉24BY・純米吟醸おりがらみ本生を開栓.亀の尾+協会9号.やや甘めで,スペアリブに押し切られてしまったかもしれない.

陶淵明の「雑詩」にある有名な一節「盛年不重來/一日難再晨/及時當勉勵/歳月不待人」には,「時に後れず,せい出して遊ぶべきだ」という訳文が付けられている(p. 52).すばらしい! 著者はこの漢詩はけっして「教訓詩」などではなく,「漢代以来伝統ある無常観的快楽詩」であると述べている.中国の酒飲み本のBGMはマーラー〈大地の歌〉しかない.また,李白の「将進酒」いわく:「古来聖賢皆寂寞/惟有飲者留其名」(=「古より聖賢も死んでしまえば後はひっそり/ただ酒飲みだけが名を残している」p. 94).そうだそうだ.

—— 著者・青木正児の名前は坂口謹一郎の本でも見たし,石毛直道の本でも引用されていた.筋金入りだ.

◆明日からの一週間はうかうかしていられない.それでなくても2月は日数が少ないのにもうたいへん.

◆本日の総歩数=10507歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(+0.5kg) / 30.3%(−0.2%)


16 februari 2013(土)※筑波颪が吹き荒れる快晴日

◆午前5時前起床.気温氷点下0.5度.午前8時の気温は1.5度.雲ひとつない快晴.北風が吹きつけて寒いのなんのって.白羽の矢の一本は届いたようでよしよし.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「トヨタ自動車75年史:車両系統図」 .トヨタのサイトで公開されたタテ・ヨコ伸縮自由自在の車両系統樹.祖先ノードにカーソルを置くと車両イメージがポップアップ.さらに車名・ボデータイプ・年代から系統樹内検索ができる.pdf版もあわせてダウンロードできる.この製品系統樹の仕上がりはタダものではない.さすがトヨタ.見るべし読むべし.

◆今日の最高気温は正午過ぎの5.1度.午後はどんどん気温が下がっている.北風は平均10メートルで吹き荒れ,瞬間的に20メートルに達し,もうたいへん.イーアスから歩いて帰るのも一苦労だった.

◆[欹耳袋]Evolution 2013, June 21-25, 2013, Meeting and Conference Center, Snowbird, Utah, USA. /〈日本酒カレンダー〉.とても重要だ.

◆[蒐書日誌]北大路魯山人の死因が肝硬変で,その原因が田螺だか川魚の生食による肝吸虫(ジストマ)の寄生だったことを今日初めて知った.そーだったのかぁ.美食はイノチガケ,というよりも要するに不注意だったんじゃなかろうか.北大路魯山人の伝記を読んでみるか:白崎秀雄『北大路魯山人(上)』(2013年2月6日刊行,筑摩書房[ちくま文庫],東京,ISBN:978-4-480-43032-8 → 版元ページ)・白崎秀雄『北大路魯山人(下)』(2013年2月6日刊行,筑摩書房[ちくま文庫],東京,ISBN:978-4-480-43033-5 → 版元ページ).

◆寒い夜の┣┣" 撃ち(未遂) —— とある講演要旨テキストが jpg 画像ファイルで送られてきてボー然自失.いずれにしても,自分の要旨を書き換えないといけないのか(orz).

◆本日の総歩数=10385歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=92.5kg(−0.8kg) / 30.5%(−0.1%)


15 februari 2013(金)※霞が関に呼ばれて雪が降る

◆午前5時起床.気温3.2度のぬるい夜明け前.今日は霞が関にて肩が凝るお仕事.はたして雪は降るのかな.

◆[欹耳袋]新規のお座敷もうひとつ —— 生き物文化誌学会の年次大会シンポジウムにて高座決定・2013年7月6日(土)星薬科大学.詳細はこれから詰めると遠藤秀紀さんからのメール.お座敷のお声がかかって,二つ返事で引き受ける返信メールに演題と要旨を貼り付ける早ワザ:三中信宏「分類と系統:諸学問をまたぐ博物学的慾望の歴史と展望」.よろしくお願いいたします./昨夜決まった spcafé のポスターが届いたのでさっそくばらまく::三中信宏「分類構築の心理学と系統推定の歴史学:オブジェクト多様性を体系化する精神について」(#31).では名古屋でお会いいたしませう.

◆今にも降り出しそうな午前中は,午後の講義の支度.スライド内容の確認とかRのチェックとかいろいろと.種苗管理業務に特有のコンテンツもあるので,事前にもらった「UPOV - 植物新品種保護国際同盟」のマニュアルにざっと目を通したり.

◆[欹耳袋]ほくそ笑む「小標本問題と t検定」(2013年2月13日)※正規分布とt分布で検定したときのちがいがうまく視覚化されている.

◆霞が関出撃の昼下がり —— 午後1時過ぎ,つくば駅.冷たい雨がしとしと降っている.午後2時半,千代田線の霞が関駅に降り立つ.農水省の正面玄関を突破し,6階北別館に侵入.午後3時から統計高座:農林水産省食料産業局「特性審査のための統計分析に関する勉強会」講師.午後5時過ぎまでしっかりお勤め.

◆霞が関あたりはずっと氷雨が降り続いていたが,直帰したつくばはもう止んでいた.今日はたいそう疲れた.向こう十年くらいは心して霞が関に近づかないようにしよう.今夜は白瀑・純米にごり生〈ど〉でキメます.これはもう〈ど〉しかないっ.ぶくぶく発泡してます.あっという間に空っぽです.ぶくぶく…….

◆[欹耳袋]「1995年の7月に Joseph Felsenstein は、体系学を議論するインターネットのニューズグループ sci.bio.systematics への投稿の中で、系統学者の分類に対する態度がしだいに冷淡になっていることを指摘し,「分類なんかどうだっていいじゃない学派」(It-does-not-matter-so-much school)を1970年代の分岐学派・折衷学派・表形学派に次ぐ「第4の学派」として認めるべきだろうと言っていました」(三中信宏『生物系統学』1-3節).分類と系統の「蜜月」がすでに終わっていることは既成事実だと思う.あとは愛憎あるのみだから,きれいに別れさせてあげよう.

四半世紀前の Kevin de Queiroz 1988. Systematics and the Darwinian revolution. Philosophy of Science, 55: 238-259 → pdf [open access] を分類学者がちゃんと読んでいればよかったのに.その後,系統学が分類学に対してあれやこれや言うようになったのは,両者の “婚姻関係” が破綻したからこそ可能になったのだとワタクシは思います.よりはもう戻らないよ.

◆本日の総歩数=4614歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(−0.5kg) / 30.6%(+0.1%)


14 februari 2013(木)※白羽の矢が激しく交錯して

◆午前5時前起床.気温氷点下3.5度.さむ.薄暗い曇り空の観音台は午前8時の気温が1.2度と肌寒い.薄氷とできそこないの霜柱を踏んで出勤.朝イチの Bartók Béla の Cantata Profana から.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「職場の「濡れ落ち葉」にならないため必要なこと:現役続行を意識、自慢話は避ける」(2013年2月12日)[会員限定] ※中高年研究者の生きる道はどうなるなかなあ. “立ち枯れさん” vs. “稲穂さん” .日経IDを登録してしまった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— では,朝イチの大┣┣" を追い詰めるべく,白羽の矢を二本放ったのだが,さてどうなることやら.┣┣" 征伐後の空きニッチにすかさず次の┣┣" が入り込む現象./午前10時半から領域会議が小一時間.公務員宿舎がいっぺんに「2500戸」が消えることによる社会的影響の大きさをなかなか脳内シミュレーションできない.退去対象家庭はもちろんだけど,残された地域社会への影響がなかなか見えない.学校の統廃合やショッピングセンターの閉店は表層的な現象だろう.

◆[欹耳袋]但馬国府・国分寺館:第16回ミニ企画展〈醤油鯛〉.会期2013年2月7日(木)~4月7日(日).ちょっと遠いなあ.Cf: ブック・アサヒ・コム「しょうゆ鯛、味な研究を図鑑にして出版」(2013年2月11日).

◆昼休み徘徊タイム.正午の気温は5.6度.曇って肌寒い空模様がずっと続いている.歩き読みの供は石毛直道『麺の文化史』(2006年8月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・1774],東京,396 pp., ISBN:4-06-159774-4 → 版元ページ)の第1〜4章読了.中国・日本・朝鮮半島の麺文化をたどる.

◆[欹耳袋]先日の民博シンポジウムの質疑でマックス・プランク進化人類学研究所のセーレン・ウィッチマンさんから「アジアとくに中国でも “生命の樹” のモチーフが描かれていたのか?」という質問を受けた.そのときは千年くらい前だろうと答えたのだが,念のためウラをとってみた.靳之林『中国の生命の樹』(1998年12月,言叢社 → 版元ページ)|杉浦康平『生命の樹・花宇宙』(2000年,NHK出版 → 書評・目次)|ロジャー・クック『生命の樹:中心のシンボリズム』(1982年,平凡社 → 目次)を参照すると,あっという間に「中国ん千年」の歴史をさかのぼることが判明.ワタクシの回答はあっさり訂正しなければならなくなった(汗).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 明日の霞が関統計研修用スライドのピックアップを送信.昨日今日で残務┣┣" 撃ちはかなりはかどったはずなのに,なおモアイ像のようにそびえ立つ不動の┣┣" どもが数頭./C. P. Snow の本が行方不明…….みすず書房の『二つの文化と科学革命』は見つかったのだが,その原本と論集がお隠れになっている.

◆[欹耳袋]新規のお座敷 —— 科学&哲学カフェに出演決定:spcafé@名古屋大学理学部E館1階〈Craig’s Café〉2013年3月6日(水)17:00〜18:30.前日の3月5日(火)はグランシップ静岡で開催される生態学会大会の形態測定学自由集会に参加して,その夜は打ち上がるに決っている.翌日は “分身” をナゴヤにちょいと飛ばすことになるだろう.spcafé での演題は,まあ,決まっているも同然なんだけどね.ということで,演題と要旨を送信完了:三中信宏「分類構築の心理学と系統推定の歴史学:オブジェクト多様性を体系化する精神について」.時間は17:00〜18:30で確定.ただし,ナゴヤで「背徳の夜」を過ごしまくると,その日のうちに静岡に帰れなくなるから要注意.

◆明日は数年ぶりに霞が関に出向くお仕事.しかし,肝心の農水省本省の場所がわからない…….四半世紀も農水省関連に務めているのに,霞が関に行ったことは片手で十分に数えるくらいしかない. “おのぼりさん” のように都内の地図を持ち歩くか.

◆本日の総歩数=10639歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(+0.1kg) / 30.5%(+0.2%)


13 februari 2013(水)※残務負債┣┣" を一網打尽

◆午前5時前起床.昨夜から降り始めたが,いまは雪ではなく雨が降り続いている.気温0.5度.夜中は雪か霙だったらしい.観音台.午前8時の気温は1.3度.昨夜から降り続いた雨(霙?)はやっと止んで曇り空になった.気温が低いせいで水分たっぷりの空気は靄となって遠景をにじませている.朝イチのBGMはジャン・ジョフロワのマリンバ版バッハ〈無伴奏チェロ〉.ナゴヤからサイエンスカフェのお誘いあり.行きます行きます.手羽先,食べます.味噌カツ,いただきますっ.別件でサンパウロ大学の知人から共著論文を書くぞ書くぞ!メールあり.もちろん,アノ論文にはいつか反論しなければならなかったので “渡りに船” のグッドタイミング.研究を続けていれば反響は必ずある.アウトプットがなければその機会はありえない.

◆[蒐書日誌]小泉均『タイポグラフィ・ハンドブック』(2012年7月1日刊行,研究社,東京,494 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-327-37732-8 → 版元ページ著者サイトコンパニオンサイト).研究社らしい?地味目な装丁だが,内容がおもしろすぎてすでに半分以上読破した.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年度末までずっと逃げ回っていた会計処理の残務処理.毎年この時期にしか所内の「会計システム」にログインしないので,まったく一から手続きを復習し直すことになる劣等生.とりあえず会計┣┣" は征伐できたのでよかったよかった.また来年の今頃になるまで「会計システム」とはおさらばだ.さて,お昼の徘徊タイム.

◆[蒐書日誌]広渡俊哉・那須義次・坂巻祥孝・岸田泰則(編)『日本産蛾類標準図鑑 III』(2013年2月12日刊行,学研教育出版,東京,359 pp., 本体価格25,000円,ISBN:978-4-05-405109-6 → 版元ページ).既刊2冊のマクロレピ編(12)に続く第3巻目はいよいよミクロレピ編.

◆正午の気温は10.4度と高めだったが,10メートルの北風にあおられて体感気温はとても低かった.山本作兵衛[田川市石炭資料館監修/森本弘行編]『筑豊炭坑絵物語』(2013年1月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸213],東京,4 color plates + xiv +372 + 5 pp., 本体価格1,160円,ISBN:978-4-00-602213-6 → 版元ページ)読了.「画文集」ではない「文画集」は “山ことば” が満載.天気予報に花粉情報が流される季節になったが,今日のところはまだ “花粉感知器” はまだ作動しないですんでいる.

◆[欹耳袋]奥村晴彦「Excelのデータを読む方法」.Rにエクセルを読みこませる〈xlsx〉パッケージというのがあるらしい./Xiaoling Sun et al. 2013. Social Dynamics of Science. Scientific Reports, 3, Article number: 1069 /日本計量生物学会の2013年度年会.日時:5月23日(木)午前~24日(金)午前/会場:パルセいいざか(福島市飯坂温泉)※温泉で学会! 今年の計量生物学会大会は大橋靖雄会長の地元ということで,特例的に♨になりました.どの学会も♨で大会をしてほしい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 金曜の霞が関統計研修ハンドアウトの原稿を送信./午前中やっと提出した会計残務┣┣" が鼻息荒く舞い戻ってきた(orz).回遊してきた会計処理┣┣" にのしをつけ,ついでにアウトプット登録のネギ四本を背負わせて再び放流.もう二度と帰ってこなくていいからね.ということで,本日はこれにて撤収だー.西の空に糸のような三日月が浮かんでいた.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「オーストロネシア語の祖語復元」.Alexandre Bouchard-Côté, David Hall, Thomas L. Griffiths, and Dan Klein | Automated reconstruction of ancient languages using probabilistic models of sound change | PNAS February 11, 2013, doi: 10.1073/pnas.1204678110 | abstract | pdf [open access]. IPA配列に関するベイズ言語系統推定をして,さらに祖先復元をしたという報告.日本語解説記事は:Wired「諸言語の源「祖語」をコンピューターで復元」(2013年2月13日).

◆闇夜の┣┣" 撃ち —— サンパウロ大学宛にメール.マリオとの共同作業を始める前に,この論文の読み直しが必要になる:Ingi Agnarssona and Jeremy A. Miller 2008. Is ACCTRAN better than DELTRAN? Cladistics, 24: 1032–1038, doi:10.1111/j.1096-0031.2008.00229.x → pdf

◆明日はもう一頭の大┣┣" を追いかけるのが先決だ.

◆本日の総歩数=10952歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.4kg) / 30.3%(+0.1%)


12 februari 2013(火)※振替休日とは名ばかり休日

◆午前5時前起床.気温は氷点下5.9度.関西よりもはるかに寒い夜明け前.昨日のJR奈良線の人身事故はこれだったのか:読売オンライン「フェンス抜け線路横断?男性転倒、はねられ死亡」(2013年2月11日).午前6時,さらに下がって氷点下6.3度.きりきり冷え込む.最低気温は午前7時過ぎの氷点下6.7度だった.寒すぎる.

◆[欹耳袋]民博の「樹」シンポジウムの感想:歴史言語学や写本系図学では,生物系統学に比べて,系統樹よりも系統ネットワークに対する関心が強い.言語間の借用や写本間の混態に起因する “交雑” が生物よりも大規模かつ広範囲に存在しているからだろう.また,言語や写本の系統推定研究では,現在もなお数量表形学(距離法)への信頼が強いように感じられた.生物体系学では1970年代のバトルでナイーヴな距離法は業界から叩き出された.一方,言語や写本の系統の研究者コミュニティーではそういう論議はなかったのか.系統推定の方法論を見れば歴史的に “収束” してきた生物・言語・写本の系統学研究だが,それぞれの分野がたどってきた道のりは同じではない./コーパスいぢり ~langstatの研究日誌~「国際シンポジウム「樹について考える」」(2013年2月10日)※どーもどーもです.

◆[蒐書日誌]形態測定学教科書の改訂版 —— Miriam L. Zelditch, Donald L. Swiderski and H. David Sheets『Geometric Morphometrics for Biologists: A Primer, Second Edition』(2012年8月刊行,Elsevier / Academic Press, London, x+478 pp., ISBN:978-0-12-386903-6 [hbk] / ISBN:978-0-12-386904-3 [ebook]|Companion materials).2004年に出た初版:Miriam L. Zelditch, Donald L. Swiderski, H. David Sheets, and William L. Fink『Geometric Morphometrics for Biologists: A Primer』(2004年6月刊行,Elsevier Academic Press, Amsterdam, xii+443 pp., ISBN:0-12-778460-8 [hbk])と比較すると,形態測定学の応用に関して補筆がされているようだが,全体としては大きな変更はないのかと一瞬がっかりしたのだが,とんでもない誤解だった.版元に開設されているコンパニオンサイト「Companion materials」を見ると,この教科書を利用するための “ワークブック” が公開されている:『A Practical Companion to Geometric Morphometrics for Biologists: Running Analyses in Freely-available Software』.なんと233ページもある演習書だ.さらに,Rで形態測定解析を実行するためのデータとスクリプトも配布されている.今回の改訂により “教科書” としてより完成されたようだ.本篇500ページと演習編230ページでお腹いっぱい.しっかり勉強すればきっと身につくにちがいない.なお,初版は以前輪読したことがある.そのときの講義ノートはこちら:三中信宏「幾何学的形態測定学 — 「かたち」の数学と統計学」.

◆[欹耳袋] 勝木渥 2008. 「ある非常勤講師の場合(<シリーズ>"ポスドク"問題 その11)」日本物理學會誌 63(6), 461-464 → pdf [CiNii: open access] | html.この記事の主役である「私の信州大学時代の教え子T君」自身によるモノローグ:鳥塚潔 2009. 「[OB/OGの現場から・第10回]物性研究と大学非常勤講師」信州大学物理同窓会.勝木さんの記事は以前読んだことがあったが,本人談は初めて見た.物理学の場合は昔から “オーバードクター問題” が表面化していたが,そのまま大規模化して現在もなお残存している事実.

◆午後3時,今日は振替休日だったので,市役所で証明書をゲットしたり,警察で写真を撮られたり,医院で処方を受けたり,肉屋でローストビーフ用の肉塊を買ったりしているうちに,もうこんな時間になってしまった.遅まきながら観音台へ.連休中に┣┣" が降り積もっていたが,着便本も堆積していてすりすり.標準図鑑IIIはとりわけていねいにすりすり.長居は無用.とっとと撤収しよう.放置┣┣" の処置は明日まわし.明日できることを今日してはならぬ.

◆朝のうちだけは晴れていたが,午後になって陰鬱な曇り空になった.最高気温も6.8度までしか上がらず,春めかない肌寒さ.夜は〈ゆきの美人〉の純米吟醸・活性にごり生酒を開栓.しゅわしゅわ〜.この前に飲んだ純米大吟醸はおしとやかだったが,この活性にごり酒はおてんば.ローストビーフとスパゲティナポリタンという洋食に合わせるのに最適なタイプ.天気予報では夜遅くから雪になるとのことだが,今回ははたして当たるか外れるか.関東は雨と雪の境目がはっきりしないらしく,夜中のうちに相が変わるとのこと.

◆[欹耳袋]「発表!!紀伊國屋じんぶん大賞2012──読者と選ぶ人文書ベスト30」.選ばれた本の寸評が公開されている.大矢靖之さん「古今東西にみられる図像、系統樹とは、歴史的・思想的に深いルーツをもつものであり、多様な情報の記憶を助け、体系性を養うツールとして有用性を備えていた。系統樹という不可思議な図像を辿ることで、人間の営為の厚みと深みを体感させられる」.ありがたやありがたや.

◆本日の総歩数=6138歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.8kg) / 30.2%(−0.1%)


11 februari 2013(月)※風花が舞う洛南ミッション

◆午前6時過ぎにいったん目覚めたものの,燃え尽きていたので,そのままぐだぐだ過ごす.午前10時にチェックアウトして,地下鉄東西線で洛南ミッションへ向かう.冷たい風が吹く青空から時おり風花が舞うフシギな空模様.誰もいない実家を久しぶりに訪れたら,隠しようもなく “廃墟化” が着実に進行していた.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「トールキンの〈エルフ〉の系統樹」.トールキン(John Ronald Reuel Tolkien)の作品に登場する種族〈エルフ〉の系譜:LotrProject Blog | Timeline of the Elves in Tolkien’s works | 8 February 2013.

◆JR奈良線が木幡と黄檗の間で発生した人身事故により上下線とも不通になったので,京阪で丹波橋に向かい,竹田から地下鉄へ.烏丸御池のコインロッカーから荷物を引きずり出して京都駅に向かう.三連休最終日の京都駅コンコースは観光客でごった返していた.午後4時過ぎの新幹線で帰路.つくばに帰り着いたのは午後7時半過ぎだった.

◆[蒐書日誌]帰路車中読書本 —— 特別展「ウメサオタダオ展」実行委員会(編)『梅棹忠夫:知的先覚者の奇跡』(2011年3月10日刊行,国立民族学博物館,吹田,146 pp., ISBN:978-4-915606-62-5).民博ショップでシンポジウムの休み時間にゲットした.一昨年に民博で開催された展示の図録.先日,今西錦司伝を読んだので,この図録に描かれている歴史的文脈がとてもよく理解できた.

◆本日の総歩数=10008歩. 朝−|昼△|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


10 februari 2013(日)※大がかりで小さな国際集会

◆午前5時半起床.気温0.5度.朝食後,チェックアウト.大阪モノレールに乗って今日は青空が広がって,朝の〈太陽の塔〉の顔が輝いていた.てくてく歩いて国立民族学博物館に到着.会場の第4セミナー室ではスタッフが直前準備で走り回っている.

◆[欹耳袋]心理学でのベイズ統計特集:British Journal of Mathematical and Statistical Psychology, Vol. 66(1), February 2013 → 目次.ある著者のサイト: Statistical Modeling, Causal Inference, and Social Science の記事「Philosophy and the practice of Bayesian statistics (with all the discussions!)」(2013年2月7日).べいづは「パラダイム転換」?

◆国立民族学博物館シンポジウム〈「樹」について考える〉 2013年2月10日(日)9:00~18:30,国立民族学博物館.シンポジウム会場では『系統樹曼荼羅』の特価販売(出血大サービス!)をいたします.サインもします.をを,さっそく一冊売れました! そうこうするうちに定刻となり,シンポジウム開始.

【趣旨説明】「言語学における系統図:なぜ今、樹について考えるのか」菊澤律子(国立民族学博物館)

  • [欹耳袋]Ustream 中継なう:国立民族学博物館シンポジウム〈「樹」について考える〉 2013年2月10日(日)9:00~18:30 http://ow.ly/hzQsx posted at 09:07:39

【言語学におけるツリーモデル】「言語学におけるさまざまなツリー(および他の)モデル」セーレン・ウィッチマン(マックスプランク進化人類学研究所)

  • [欹耳袋]AJSP: Automated Similarity Judgment Program. Levenstein distance に基づく系統ネットワーク推定.[S. Wichmann] posted at 09:39:38
  • [欹耳袋](承前)NeighborNet, SplitsTree, ... posted at 09:41:06
  • [欹耳袋](承前)言語系統ネットワークが花盛り. posted at 09:42:35
  • [欹耳袋](承前)additive tree なう. posted at 09:45:35
  • [欹耳袋](承前)言語系統ネットワークの additivity index δ の利用. posted at 09:48:56
  • [欹耳袋](承前)δとattestationとのスピアマン相関係数は有意になる. posted at 09:51:58
  • [欹耳袋](承前)Goodman-Kruskal γ をジャックナイフする. posted at 10:02:49
  • [欹耳袋](承前)Cf: MBE 19: 2051-2059 (2011) posted at 10:12:36

【遺伝学におけるツリーモデル】「進化遺伝学における系統解析」 木村亮介(琉球大学亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構)和文要旨abstract

  • でしょ RT @yyoshiko503: これ、同時字幕筆記ってすごい。 posted at 10:20:32
  • ( ´ ▽ ` )ノ RT @yyoshiko503: 日本語で発表聞きながら英語のスライド読むのって無理ー。オーラルのみに集中する!! posted at 10:22:26
  • @sakumad2003 裏方のスタッフが大勢いる.こんな国際シンポは初めて!  posted at 10:32:25
  • @sakumad2003 前日から大量の機材とマンパワーを投入していました. posted at 10:42:53

【系統学】「生物・写本・言語におけるツリーとネットワーク:系統推定論における構造モデル選択について」三中信宏(農業環境技術研究所/東京大学大学院農学生命科学研究科)和文要旨abstract

  • [民博]休憩後,11:30からワタクシの高座でございます〜. http://ow.ly/hzUY8 posted at 11:19:22
  • [民博]高座が始まったらツイートできまへん. posted at 11:24:16
  • [民博]トークだん. posted at 12:45:01
  • [民博]ランチなう〜 posted at 12:50:45
  • @yyoshiko503 お耳汚しでございましたー. posted at 13:49:50
  • @masafumi1965 写本伝承プロセスの違いですね.聖書や不幸の手紙のように「原本のまま書写」する圧力がかかる場合と,絵巻物や口承民話のように媒介者の積極的創造性が関わる場合では系統学的シグナルのS/N比に有意な差があるでしょう. posted at 13:53:01

【歴史言語学】「東アジアにおける大言語族の系統樹を見直す」ウィーラ・オスタピラト(タイ・マヒドール大学)abstract

  • [民博]午後のセッションが始まっている.最初は Weera Ostapirat さんによる東アジアの言語系統に関するトークから. posted at 13:55:00
  • サイン(not手形)本はすべて売り切れました.完売御礼 RT @calf_fox: さすがに現場で手形はムリかw>系統樹曼荼羅 posted at 14:02:46
  • [民博]Non-tree diagram(the “fallen leaves” diagram)George van Driem 2005. posted at 14:09:25
  • [欹耳袋]_・) 。oO (袋叩き……) posted at 14:12:52
  • [欹耳袋]_・) 。oO (>_<) posted at 14:13:12

【文献学】「死語の方言と系統樹モデル―中世イラン語東方言を例に」吉田豊(京都大学)和文要旨abstract

  • [民博]吉田豊さんのトーク始まる.〈八つ橋〉の系譜について,生八ツ橋は innovation のひとつ. posted at 14:41:44
  • [民博]Johanes Schmitt 1872 の「波状説」,O. Schrader 1907 に再録. posted at 15:00:50
  • [民博]Nuristani語の帰属:A. Degener 2002 による folded tree 表示. posted at 15:03:06

【オーストロネシア諸語をめぐるケーススタディ1】「異系統の言語を樹形図に組み込む―フィリピン・ネグリート族の言語を例に」ローレンス・A・リード(ハワイ大学)abstract

  • [民博]Lawrence A. Reid さんのトーク始まる. posted at 15:36:14
  • [民博]歴史言語学では polytomy は rake-like structure と呼ぶ. posted at 15:46:27
  • [民博]Ustream: Let's talk about trees http://ow.ly/hA2Lk の視聴者数が300を越えた. posted at 15:57:18
  • [民博]交易を通じて二次的に移入してきた言語をモデル化することは可能か.L. A. Reid posted at 16:11:57

【オーストロネシア諸語をめぐるケーススタディ2】「樹形モデルの限界―北ヴァヌアツの言語を例に」 シヴァ・カリヤン(ノーザンブリア大学)・アレクサンドル・フランソワ(CNRS/LACITO)abstract

  • [民博]Siva Kalyan さんのトーク「Freeing the comparative method from the tree model: A framework for historical glottometry」 posted at 16:29:30
  • [民博]isogloss = monophyletic group sharing innovations. posted at 16:38:43
  • [民博]各isoglossの “強度” を計算する.isogloss 間の矛盾は問題ではない(treenessは要求しない). posted at 16:40:10
  • [民博]cohesiveness index: k=p/(p+q). p = no. of supporting synapomorphies; q = no. of contradicting synapomorphies. posted at 16:41:40
  • [民博]subgroupiness ξ を計算する. posted at 16:43:03
  • [民博](承前)その結果を glottometric map にまとめる. posted at 16:49:43

【コメンテーター】斎藤成也(国立遺伝学研究所/総合研究大学院大学/東京大学大学院理学系研究科)

  • [民博]もうすぐ最後の総合討論が始まる. posted at 17:24:55
  • [民博]相原コージ『かってにシロクマ』の「わたしは木」っ! 斎藤成也画伯. posted at 17:30:23
  • [民博]ただいま不適切な発言があったことをお詫びいたします(汗) posted at 17:49:25
  • [民博]総合討論が終わって,本日のシンポジウムはこれにておしまい.朝から9時間半の長丁場,おつでしたー>講演者・オーディエンス諸氏. posted at 18:25:47

今回のシンポジウムは言語系統ネットワークが花盛り.分野を問わず,チェインからツリーへ,そしてツリーからネットワークへという「構造モデル」の変遷が見られ,とても印象的だった.

—— 今回の国際シンポジウムは追って英文の報告が出版される予定.また,中継された Ustream 動画も近々ウェブ公開されるとのこと.

◆民博の外はもう夕暮れ.闇の中に屹立する〈太陽の塔〉を見上げ万博記念公園をあとにする.午後7時前,大阪モノレールに乗って南茨木へ.阪急京都線に乗り換えて夜の京都に到着.〈京都ガーデンホテル〉にチェックインして,やっと一息ついた.

◆本日の総歩数=13737歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


9 februari 2013(土)※太陽の塔を見上げて既視感

◆午前5時半起床,気温は氷点下0.7度まで下がっているが,たいした冷え込みではない.お米を研いで今日もスタート.旅支度の続きも.

◆〈太陽の塔〉を見に行く —— 午前9時過ぎ,つくば駅.気持ちよい春の青空.午前9時の気温は2.3度.もうひとつの万博記念公園に向けて出撃.午前11時前,東京駅.三連休初日の東京駅は大きな荷物を転がす旅行客でごったがえしている.そのせいで,これぞという駅弁を買うことができなかった(涙).いま新幹線が発車したところ.天気は絶好の行楽日和.新横浜.車内はイッキに満席となった.連休初日ですなあ.静岡通過.今日の富士山は山頂だけ雲の上に突き抜けていた.掛川通過.車窓の景色はいかにも東海地方.雲は多めだがいい天気.新幹線車中で MacBook Air の小さな画面を見つめていると「MBA酔い」しそうなので,ときどき見るにとどめている.お昼ごはんをどーするかという重要案件.三河安城通過.貝づくし駅弁mgmg.そうこうするうちに名古屋駅に到着.

新大阪から千里中央そして万博記念公園前駅までの鉄路を確認する.千里なんて場所はかつて1970年に開催された大阪万博以来,行ったことがない.もちろん, “太陽の塔” を見るのも40年ぶりだ(→ こういうのも見てみたいなあ:「太陽の塔内の岡本太郎「生命の樹」再現 」 [YouTube]).月日が流れるのは速いな.要するに,京都に住んでいたころ,大阪に行く機会がまったくなかったということでして.関が原あたりで車窓風景は一転して雪景色に変貌.京都駅.大半の観光客が下車して,いっぺんにガラ空きになった車内.

午後1時半に新大阪到着.御堂筋線で北上し,そのまま北大阪急行で千里中央へ.曇り空.とりあえず千里阪急ホテルにチェックイン.無線LANポケットルーターをうっかり忘れてしまってさあたいへん.とりあえずは E-mobile が使えるのでよしとしよう.大阪モノレールに初めて乗って万博記念公園駅へ.遠くに〈太陽の塔〉が屹立している.それにしても駅から公園までのエントランスが長すぎる…….公園に入り,四十年ぶりに〈太陽の塔〉を見上げてしまった.巨大な “カオナシ” みたいだった.

◆国立民族学博物館にて —— 〈太陽の塔〉をぐるりとまわりこんで,その向こうに国立民族学博物館が見えてきた.午後3時から明日のシンポジウムの同時通訳者ならびに手話通訳担当者との打ち合わせがある.ここ「みんぱく」はとても巨大な建物.午後4時半,まずは手話通訳者との打ち合わせ終わった.スライドごとにトーク内容のチェック.さらにこのあとは同時通訳者との打ち合わせ.60分のトークなので3人の同時通訳者がつくとのこと.うわぁ,たいへん.午後5時半,本日のお仕事はこれでおしまいかな.もういいかな.なんか本番よりも疲れた気がする…….午後6時,みんぱくからタクシーで懇親会会場の菜園レストラン〈NeNe〉に到着.まずはどくだみ茶をすする.シンポジウム関係者十数名がそろって懇親会開始.有機食材を使った料理を出すレストラン.とってもたくさん食べたような気が.午後9時半,懇親会おしまい.

◆[欹耳袋]昆虫分類学若手懇談会が発行する『ニュース』no. 1(1972)〜no. 50(1985)および会報『パンミクシア』no. 1(1973)〜9(1993)の電子化完了.CD-ROM を受け取った.残るバックナンバーについては,昆虫分類学若手懇談会事務局から “ブツ” が届いた時点で続きの作業に入る予定.

◆千里は新しそうに見えて実は時代がかった町並みがフシギ(多摩ニュータウンみたいなものか).さて,明日は朝から夕方までシンポジウムなので,今夜は夜更かししないぞ.

◆本日の総歩数=9428歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.3kg(−0.3kg) / 30.3%(+0.2%)


8 februari 2013(金)※北風が吹き荒ぶ日に旅支度

◆午前5時前起床.気温1.0度.曇りのち晴れ,午前8時の気温は3.2度.北風がまだ冷たい観音台.朝イチのBGMはもちろん今年百周年のストラヴィンスキー〈春の祭典〉.ゲルギエフ&キーロフ歌劇場.総譜もあります.吹きすさぶ北風が居室のサッシ窓の隙間から忍び込むたびに震える “窓際族”,それはワタクシ.午前10時の気温は3.6度と朝からぜんぜん上がらない.

◆日中の┣┣" 撃ち —— 民博に出張事務書類返送.明後日(2月10日)の国立民族学博物館国際シンポジウム〈「樹」について考える〉は会場の Ustream 中継が予定されているらしい./玉川大学に来年度出講教務書類提出./某学会の学会奨励賞対象論文ダウンロード.

◆[欹耳袋]形態系統解析の極北の勝利 —— まずは解説記事から:Anne D. Yoder | Fossils Versus Clocks | Science 8 February 2013: Vol. 339 no. 6120 pp. 656-658.そして,これが元論文:Maureen A. O'Leary et al. | The Placental Mammal Ancestor and the Post–K-Pg Radiation of Placentals | Science 8 February 2013: Vol. 339 no. 6120 pp. 662-667.注目すべきは 86 OTU から計「4,541形態形質」を抽出した点(唖然).徹底的に形態形質をサンプリングして,現生生物・古生物の形態データを最尤法・ベイズ法の枠組み(Mkモデル)に投入することにより,旧来の分子データと合体させている.手法的には,分岐分析は PAUP* とTNT, 最尤法は RAxML, ベイズ法は MrBayes と定石通り.Science 誌に載った理由は分子系統学が席捲する憂き世での「形態形質の復権」にあるのだろう.もちろん,分岐学の要塞であるアメリカ自然史博物館が誇る系統解析専用PCクラスターの貢献は不可欠だったにちがいない.それにしても,Supplementary material が「132ページ」もあるんですけど(汗).系統解析の手法説明が20ページ,分類群ごとの解説が40ページ,系統樹と形質データで60ページ,残り10ページあまりは引用文献350項目のリスト.

◆正午の気温5.5度,最大瞬間風速20メートルの北風の中を徘徊する昼休みはキビシかった.今日は体感的に寒すぎてどうしようもない.しかも,よりによって,今日の歩き読みの供が山本作兵衛[田川市石炭資料館監修/森本弘行編]『筑豊炭坑絵物語』(2013年1月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸213],東京,4 color plates + xiv +372 + 5 pp., 本体価格1,160円,ISBN:978-4-00-602213-6 → 版元ページ)だったので,歯を食いしばって歩き続けるしかなかった.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「民話の文化系統学」.Robert M. Ross, Simon J. Greenhill, and Quentin D. Atkinson | Population structure and cultural geography of a folktale in Europe | Proc. R. Soc. B | Published online February 6, 2013 | doi: 10.1098/rspb.2012.3065 | abstract | html | pdf [open access].この論文では,ヨーロッパに広く伝承されているある昔話の文化的変異とそれを伝える人間集団の遺伝的変異とを系統学的に照らしあわせた.この昔話700バージョン間の系統関係は NeighborNet を用いた系統ネットワークとして,一方,ヨーロッパに分布する38の人間集団の分化は AMOVA を用いて解析している.分子系統学と文化系統学の analogy と disanalogy の見極めは興味深い./「ヒルデスハイム聖ミカエル聖堂の「エッサイの樹」」.St. Michael zu Hildesheimは,13世紀に描かれた「エッサイの樹」が天井画になっている.

◆夕焼けグラデーション.今日の最高気温は正午過ぎの6.1度で真冬並みの寒気.午前5時の気温は3.3度.北風なお強く身を切られる.北風の吹く寒い夜は秋田醸造〈ゆきの美人〉の純米大吟醸を開栓.とてもおしとやかで,同じ蔵元から出ている弾けまくりの活性にごり酒とは対極的だ.

◆夜は今日が締切の東大「生物統計学」レポートの着弾をじっと観察し続ける.締切ラインの午前零時の2分前に最後のレポートを受け取ってようやく待ち受けは終わった.旅支度は明朝も続く.

◆本日の総歩数=11305歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(0.0kg) / 30.1%(+0.4%)


7 februari 2013(木)※昨日よりは少しだけ暖かい

◆午前5時前起床.気温0.3度.凍結心配.午前7時の気温は0.6度.曇りときどき小雨.雲間からは朝日がときどき覗くので,これから天気は回復するだろう.明け方は氷点近くまで冷え込んだが,幸い本道・側道ともに凍結箇所はまったくなかった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— ここ数日かかりきりのシンポジウム〈「樹」について考える〉講演スライド修正版と会場配布ハンドアウトの原稿ファイルを事務局に送信した.これで山は越えたかな.あとは時間があったら,文献リストをゲリラ配布しておしまいにする.時間があればの話.

◆[欹耳袋]科学カテゴリーは “クラス” なので定義可能だが議論百出で収集がつかない.科学タクソンは “系譜” という個物なのでそもそも定義できない.いまも続く「種とは何か」論争の泥沼の歴史をたどってみれば,形而上学的にそれと同等な「科学とは何か」論争の不毛さはすぐ実感できる.「〜とは何か」的な本質主義論争は長期間にわたる不毛の源泉だろう.Karl Popper,エライ! /神田の〈崇文荘書店〉から古書カタログ(経済学)が送られてきた.カバー表紙の写真がとても魅惑的 http://ow.ly/i/1u3Eo 「アダム・スミス・コレクション」とのこと.お値段はたったの2,100万円.そこのアナタ,買うてくれへんか〜.

◆今日の昼休みは徘徊する時間がなかったが,午後1時前の気温は10度近くまで上がっている.陽光もさんさんと降り注ぎ,雪空の昨日とは一転して春爛漫の日和.しかし,春一番はまだ吹いていない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— とある学会賞関連のジャーナルサーチをさくっとすませる./新刊の『日本産蛾類標準図鑑・第3巻』はつくばあたりのリアル書店には配本されていないとみてよろしいでしょうか?(誰に訊いてるねん).アカデミア書店@イーアス ぺけ,紀伊國屋書店@流山SC ぺけ.いずれも電話で在庫確認した.

◆夕焼けから日没タイムへ.今日の最高気温は午後2時過ぎの10.0度で,たいして暖かくなかった.もちろん春一番なんぞ吹くはずもなく,終日,北西風が冷たかった.福岡・八女の〈繁桝〉「中汲み純米大吟醸生々」.このすっきりしたフルーティさは絶品.

◆[欹耳袋]全農林経由で,関東財務局が予定している「公務員宿舎廃止計画エリア」の詳細を知った.全2500戸が廃止.竹園と吾妻はほぼすべて薙ぎ払われて,並木と松代も大部分が廃止.ゴーストタウン化.いったいどーするの,これ.住民がいなくなれば,生活インフラもなくなるだろうしねえ.学園都市ができる前の状態に退化するのかな.二年間で「宿舎2500戸」をなくすというのは,ショッピングセンターなど生活インフラだけでなく,地域と学校コミュニティがまるごと根こそぎなくなるということ.廃止計画予定が公開されているかどうか不明だが,つくば市議会議員・田中サトエさんのブログ記事「公務員宿舎の大幅削減計画」(2013年2月6日)によると,「平成27年1月ないし9月までに退去せよ」と通達されたらしい.

Cf: 財務省「「国家公務員宿舎の削減計画」に基づくコスト比較等による個別検討結果及び宿舎使用料の見直しについて」.

◆明日はプチ旅支度の一日になる.

◆本日の総歩数=4517歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.3kg) / 29.7%(−0.4%)


6 februari 2013(水)※雨のち霙のち雪が舞う午後

◆午前4時半起床.気温2.4度.雨.これから雪になる? 東京西部から埼玉・栃木は雪になってるみたいね.南関東から茨城は雨か.午前7時半には本格的な雪になった.気温はさらに低下して午前8時には0.8度.雪−霙−雨の相転移を往復している.観音台はいま霙の状態.ここ数日は「春」が続いていたが,イッキに「冬」に逆戻り.ただし,積雪の気配は今のところなさそう.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 生態学会静岡大会の自由集会〈W04:道具としての「形態測定学」- 形態測定学でどこまでやれるか〉3月5日(火)15:30~17:30の講演要旨提出:三中信宏「形態測定学と系統推定論:連続変量のもつ系統学的情報について」.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「音楽リズムの系統推定」.音楽リズムの距離と形質状態に基づく系統推定の論文:Godfried T. Toussaint, Luke Matthews, Malcolm Campbell, and Naor Brown 2012. Measuring musical rhythm similarity: Transformation versus feature-based methods. Journal of Interdisciplinary Music Studies, volume 6, issue 1, art. #12060102, pp. 23-53, spring 2012 → journal website | paper pdf [open access].距離法(「feasture-based method」)はユークリッド距離とマンハッタン距離を用いている.一方,形質状態行列からの MrBayes によるベイズ系統推定(「transformation method」)を行なった上で,音楽学における系統推定では,距離法ではなくベイズ法がすぐれていると結論する./「Felissimo〈500色の色えんぴつ〉の色彩分化」.Felissimo〈500色の色えんぴつ〉はクレヨンの系統発生を支配する「クレヨラの法則」を色えんぴつはあっさり乗り越えている./「ときわ食堂系統図」.浅草〈ときわ食堂〉の暖簾分け系統図.この単系統群は〈東京ときわ会〉と呼ばれているらしい./「ガンダム系譜」.SDガンダムGジェネレーションスピリッツ・『ADVANCE OF Z』TRシリーズMS系譜図(→ jpg).

◆午前11時の気温1.3度.降りしきる雪.気温の低さが微妙なせいか,窓の外を見るたびに雨だったり霙だったりする.昼休み徘徊はムリそうかな.しかし,雪の中をあえて徘徊する昼休み.正午の気温は0.7度まで下がり,凍えるような寒さになった.午前のうちは霙みたいだったが,いま降っているのはもっと乾いた感じの雪.田畑や路傍の植え込みはうっすらと雪化粧している.

◆午後の┣┣" 撃ち —— ひたすら英語スライドをつくりこむ.午後4時過ぎ,雪は止んだみたいだし,さくっと撤収しようかな.午後5時の気温は1.7度.雪はもうやんだが,冷たい雨がまだ降り続いている.

◆今夜は福岡・久留米にある山口酒造場の〈庭のうぐいす〉新酒「特別純米・無濾過生」を開栓.ヌーボー,いただきます.うぐいす色のラベルにうぐいすの絵柄.うぐうぐ.うまい.アルコール度数は15度と低め.ジューシーという形容は確かに当たっているかも.うぐうぐ./dancyu 2013年3月号「新しい日本酒の教科書」.すぐ買わないと!

◆夜の┣┣" 撃ち —— 今週末の国立民族学博物館シンポジウム〈「樹」について考える〉の講演スライドを事務局に送信:三中信宏「生物・写本・言語におけるツリーとネットワーク:系統推定論における構造モデル選択について」.80分の長丁場トークで計80枚のスライドというのはワタクシ的には少なめだが,同時通訳と手話通訳が介在するのでこれくらいに調整した.講演は日本語,スライドは英語.明日は会場配布ハンドアウト用のピックアップ作業が残っている.講演スライドも差し替えや追加などの微調整がまだ必要だ.日本語のスライドは英語ラベルを上から貼り付けて転用しよう.これはいつもの手だ.

◆本日の総歩数=6725歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.1kg) / 30.1%(+0.3%)


5 februari 2013(火)※陽気の後から忍び寄る雪雲

◆午前4時半起床.気温8.0度.なんだこのぬるさは.午前6時過ぎ,真紅の朝焼け.その後は明け方よりも気温が下がり,午前7時の気温は4.7度.それでも厚手のコートはもう要らないかも.朝日の差す観音台は霜も氷も無縁.BGMはオリヴィエ・メシアンの〈クロノクロミー〉.続くBGMは,同じくメシアンの〈鳥のカタログ〉.

◆午前のこまごま —— 確かに「自己アピール」は自分で書くのが最短ですなあ.でも,もっと褒めるのがワタクシのお仕事.画数の多い漢字が自筆困難.何回も下書き練習してから清書.これにて一件落着.昼休み徘徊.正午の気温は10.4度.秋空のような筋雲が流れ,春らしい霞んだ晴天.今夜から雪になるとはとても想像できない穏やかな日和だ.全農林のアンケートが項目多すぎて記入する意欲が急速減退ちう.とりあえずしばらく見えないふりをしよう.

◆[蒐書日誌]新刊三冊 —— Boris P. Zakharov『Nomosystematics: A Closer Look at the Theoretical Foundation of Biological Classification』(2013年1月刊行,Siri Scientific Press, ISBN:9780957453005).ネット発注はしたけどいったいどんな本なんだろう./『Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics, Volume 43』 (2012年刊行 → 版元ページ) .着弾.この総説誌をイッキ読みすると満腹感が持続するぞー./新装版!:アルベルト・マングェル[原田範行訳]『読書の歴史:あるいは読者の歴史[新装版]』(2013年1月刊行,柏書房,東京,ISBN:978-4-7601-4219-4 → 版元ページ)※とてもいい本.本を読むことは罪深い.初版(1999年):アルベルト・マングェル[原田範行訳]『読書の歴史:あるいは読者の歴史』の書評

◆[欹耳袋]国際分類学会関連 —— European Conference on Data Analysis, 10-12 July 2013 in U Luxembourg /IFCS 2013 - International Federation of Classification Societies, 14-17 July 2013, Tilburg, The Netherlands.

◆[欹耳袋]整理整頓に意味はない —— 東日本大震災で研究室の書棚が崩落して以来,隅々まで「片付ける」ことに何ら意義を見いだせなくなった.手間ひまかけて片付けるから天変地異で “無作為化” されたときの落胆が大きい.最初から “無作為化” しておけばぜんぜん気にならない.机周りの半径1メートルだけは “無作為化” しないように手をかけるが,その外側は放置している.形あるものはいずれ崩れ去る.整理整頓に時間をかけるのは人生のムダ.居室の本棚を大規模に整理整頓するたびに,「なかった本が見つかる喜び」よりも「あった本が見つからなくなる悲しみ」の方が大きくなってしまう実体験を積み重ねてきたからだ.費用対効果を考えると本棚を片付けるという行為は最適戦略ではないだろう.ワタクシが今まで見たなかで最高度にカオスな居室は,部屋のあちこちに “ぼた山” のように書類の堆積物が積み上がっていた.当時,農環研の管理職だった彼の “超能力” はその “ぼた山” の中から的確に瞬時にしてターゲットを発見できたこと.どの “山” のどこに「それ」が埋まっているかを彼は記憶していたにちがいない.「場所」に記憶させるのは昔も今も〈記憶術〉の根幹.パートさんが気を利かせて “ぼた山” を移動したり整地したりすると,とたんに所在がわからなくなるらしい.「元の場所に戻す」のは記憶術にとって大切.ただし,その「場所」が整理整頓されている必要はまったくない.整理整頓よりも大切なことが人生にはもっとたくさんあるはずだ.

◆午後のこまごま —— まずは一歩踏み出すこと.やっと一枚目のタイトルスライドができあがったぞ.これで全体の作業の半分は “心理的に” 完了した.よし,今日はこれで撤収だー.雪が降らないうちに.空は雲が広がってきたが,低気圧の進み具合からして,雪の降りだしは真夜中になるようだ.明朝がバス出勤になるかどうかは夜中にどれだけ雪が降るかにかかっている.前回みたいに降り積もれば車の運転はムリだ.

◆[欹耳袋]Togetter -「USの大学では研究と教育は分業されている?」.

◆本日の総歩数=10065歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.2kg) / 29.8%(−0.5%)


4 februari 2013(月)※立春は小雨から春の陽気へ

◆午前5時前起床.お米を研いで,昨夜のビーフシチューに火を入れる.今の気温は3.8度.一時期の厳冬を脱して,暖かくなりましたな.雨のち曇の観音台.午前8時の気温は3.3度.朝日は差さず,気温の割りには冷え冷えとしている.まずは微細┣┣" どもを蹴散らす.

◆[文化系統学]本日の響音:トニエンの壺「文化系統学への招待」(2013年2月03日).

◆[蒐書日誌]広島市現代美術館(監修)/松岡剛、中谷礼仁、内海慶一、田中純、石川初、南後由和、みうらじゅん、中川理、福住廉(執筆)『路上と観察をめぐる表現史:考現学の「現在」』(2013年1月25日刊行,フィルムアート,東京,239 pp., ISBN:978-4-8459-1209-4 → 版元ページ).ぼちぼち読み始め.松岡剛は「観察者たちがもたらすもの」(pp. 10-19)の中で:

「今は考現学について,対象や調査対象の規定を試み,他分野の研究との関係について論ずることで学問として位置づけようとするが,その試みは体系を構築するまでの蓄積を得ないまま終息に向かっていく.むしろ,残された調査資料からは,体系を構築し,発展していくのではなく,関係性を結ばない個別の多様なディテールが止め処なく収集されていく点に,考現学の特質を見ることさえできるだろう」(p. 12)

と指摘している.「体系」ではなく「個物」を重視するという日本の蒐集文化の伝統は考現学の背後に流れる底流だった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年度末の決済締切日が迫ってきた.まずは依頼出張伺を耳を揃えて提出だん.研究交付金まわりのこまごまは午後まわしにしよう.その前に別件の大┣┣" 一頭を追い回さないと./課題レポートづくりに余念のない受講生諸氏,けったいなコピペをしたらツイッター引廻しの上,獄門晒し首にするからね(笑)./公費購入本の決済依頼完了.こういう微細┣┣" どもは小気味良く蹴散らされてくれるんだけど……./Society of Systematic Biologists (SSB) の「学生会員」は年会費 たった US$ 24 なのか.2,200円でっせ.「一般会員」も6,000円弱(オンラインのみなら4,400円).外国雑誌の機関購入費の支出があまりにアホらしすぎるので,個人購読に転向する予定./Hennig Society と Society of Systematic Biologists の登録完了./督促加圧メール一件.作業がぜんぜん進んでいないときこそ,「ごめんなさい,ぜんぜん進んでません」というすなおな返事を “速攻で” (←これ大事)相手に返すこと.そういう謝罪的返事はすぐ “放流” してしまいたいという実に利己的な動機がある.

◆天気がよくなってきたので,ゲン直しに徘徊してこよう.昼休み徘徊から戻ってきた.今日も春めく陽気.正午の気温は10.1度,午後1時には12.0度まで上がっている.南風が吹いて歩きまわると暑くなってきた.もちろんコートは不要.本日の歩き読み:向笠千恵子『すき焼き通』(2008年10月刊行,平凡社[平凡社新書439],ISBN:978-4-582-85439-8 → 版元ページ).すき焼きの本というか,日本全国の「牛さん」を訪ね歩いた本.福沢諭吉は牛肉大好きと書かれている.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 先日放流した人事関係┣┣" 一頭がノシ付きで返品されてきた(orz).しばらくは「居室付き」として留め置いて,ほとぼりが冷めた頃に再び何とかしましょう./学年末の成績評定をめぐる悲喜こもごものエピソードは尽きないな./昔の大学はどのキャンパスにも〈廃墟〉のようなエリアがあって,泥棒が住み着いたとか,首吊り死体がぶら下がったという〈闇〉があったのだが,最近はどこもかしこもきれいになりすぎて……かつてのホクダイ農学部の建物は天井がとても高くって,光すら届かない底知れぬ〈闇〉が広がっていたのに,いまや隅々まで明るく照らされて〈もののけ〉が住めなくなってしまった.大学や研究所はもっと「暗く」して,研究者が静かに生きやすい場所を確保してほしい.

◆[欹耳袋]先日読んだ橘木俊詔・迫田さやか『夫婦格差社会:二極化する結婚のかたち』(2013年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書2200],東京,viii+196 pp., ISBN:978-4-12-102200-4 → 書評版元ページ)の第3章で, “パワーカップル” の例として出てくる「研究者夫婦」に関する元資料を確認.第3章 p. 95, 図3-4「研究者における配偶者の有無および配偶者の職業」の出典は「平成13・14年度科学技術振興調整費科学技術政策提言プログラムによる調査結果」.このグラフでは「無職」カテゴリーと「派遣・パート・アルバイト」カテゴリーは区別されている.このカテゴリー分けのもとで,男性研究者の配偶者が「無職」である率は「43.2%」.その大部分は “専業主婦” だろう.この傾向は医師や法曹など他の “パワーカップル” の場合と同じであると本書は指摘している.Cf: Tech-on「一筋縄ではいかない女性技術者活用(前編)」(2006年1月16日)※同資料に基づく記事.

◆雲が広がってきた夕暮れに撤収.黄昏時にうろうろして帰ってきたら重大な┣┣" が一頭上陸していた.気合入れます.

◆本日の総歩数=11508歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(0.0kg) / 30.3%(0.0%)


3 februari 2013(日)※おとなしく引き籠る日曜日

◆午前6時半によろよろ起床.真昼間長時間呑みがこたえている.昨日の都内は最高気温が20.9度まで上がり,春をイッキに飛び越えてしまった.遅めの〈つくいち〉出撃.今月は出店も多かったが,客の出足も順調だったようで,売り切れ店が続出(orz).正午の気温は11.7度.北風が強く,体感的には昨日よりもはるかに寒い.コート手放せず.『月刊みすず』最新号「読書アンケート特集」(2013年1-2月号・no. 611)は一回 “通し読み” しただけでは拾い切れない情報多し.

◆[欹耳袋]月刊『記録』「「醤油鯛展」茶房高円寺書林で2/3~2/9」(2013年1月28日)/IBS から Biometric Bulletin Vol. 29, no. 4 (2012) が送られてきた.今年が〈国際統計学年〉であることを初めて知った:〈Statistics2013〉.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:うたかたの日々@はてな「系統樹曼荼羅」(2013年2月2日)※そう,見えるんです!

◆[欹耳袋]日本中が「恵方巻き」の日に —— 沓沢博行 2009「現代人における年中行事と見出される意味—恵方巻を事例として—」比較民俗研究, 23: 131-151 → pdf.「取材に来たマスコミに丸かぶりの由来をたずねられると、「ずっと昔からやっていたものだ」と答え続けたのだという。「それこそ風習なんてこうやってできていくもんやないの」と語る彼の見解からは、大阪商人が持ち得た巧みな伝統利用の視点を伺うことが出来る」(p.138)

◆昨日ほどではないが,今日も午後の最高気温は13.4度まで上がった.北風に吹かれて洞峰公園を一回り.帰りがけにデパートに寄ったら,恵方巻きの連呼がポリフォニー.とんかつやケーキの恵方巻きの果てまで並んでいた.夕暮れて午後6時,段雷が鳴り響く.

◆本日の総歩数=12063歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(+1.0kg) / 30.3%(−0.2%)


2 februari 2013(土)※春の陽気の新百合ヶ丘にて

◆午前5時半起床.まずはお米を研いで.白んできた空は雲が多め.午前6時の気温は4.8度と暖かい朝.

◆[欹耳袋]小川眞里子「日本の女性研究者に期待する」(2012年12月20日)に「いまだに研究者の多くが男性で、その男性研究者の半数以上は専業主婦の妻を持ち」と書かれていた.その裏付けは『夫婦格差社会』第3章に載っている.「男性の収入が多いと配偶者女性は働かない」という “負の相関” に対する反証が橘木俊詔・迫田さやか『夫婦格差社会:二極化する結婚のかたち』(2013年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書2200],東京,viii+196 pp., ISBN:978-4-12-102200-4 → 書評版元ページ)の主たる論点だった.しかし,研究者の場合,医師と同じく,男性研究者の配偶者は「専業主婦」である割合がとても高いとのこと.研究者は,おそらく収入はそれほど高くないにもかかわらず,その傾向が強いのが現状.

◆[系統樹曼荼羅]mono-station「系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク」(2012年12月18日)

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「バッハ〈インヴェンションとシンフォニア〉の楽譜系図」.〈Bach Cantatas Website〉.Johann Sebastian Bach の作品〈インヴェンションとシンフォニア(Inventions and Sinfonias)〉について,その自筆譜(A)を中心とする楽譜のステマ(写本系図).

◆[蒐書日誌]昨夜のうちに『月刊みすず』最新号「読書アンケート特集」(2013年1-2月号・no. 611)を読みきった.加藤尚武が因果性をめぐる科学哲学についてソーバーやパール,ハッキングを挙げている(p. 96).長野敬はダーシー・トムソンの『成長とかたちについて』を取り上げている.Dover から1992年に出た “電話帳” を筆頭に挙げているのはいいとして,それにつづく得体のしれない「ペーパーバック版」が興味を惹く.原書を適当に切り貼りして短縮したシロモノらしい.たちの悪いスパム出版に引っかかったんじゃないだろうか.ダーシー・トムソンの本は,現在は Dover の原典版と Cambridge UP から出ている J. T. Bonner 編の短縮版の二種類だけのはず.今福龍太は John Cage の本『Silence: Lectures and Writings』の50周年版を挙げている./最上敏樹はエストニアとアルヴォ・ペルトの本を.梨木香歩『エストニア紀行』は手元に置くべきか.村田浩は展覧会図録のような「市販されることのない」文献を《灰色文献》と呼んでいる.初めて目にした.トムソン・ロイターの「用語集 -学術文献用語-」を見ると「grey literature」なる項目がちゃんとある.

◆春の陽気の新百合ヶ丘にて —— 午前11時過ぎ,つくば駅.気温は11.0度.曇って暖かい.午後1時,新宿駅で小田急へ.正午の都内の気温17.5度って高すぎる.小田急車内アナウンスで「本日は気温が高いので,必要なら窓を開けてください」とのこと.なんと! 午後1時半,新百合ヶ丘.まだ時間があるので,駅前の〈Café Du Monde〉にて,ベニエをばちょいと.都内の午後1時の気温は19.7度.20度ライン突破は確実だろう.もちろんコート不要.新百合ヶ丘駅前のペデストリアンデッキでは,半袖姿の子どもたちが走り回っている.もう春ですかそうですか.午後2時前,コートを脱いで,会場に向かいましょうか.駅前の〈La Campagna〉にて,“のぐっちゃん”を囲む会.昼間からワイン呑みまくり.のぐっちゃんの回顧録は秋に出版予定とのこと.午後9時前にはつくばに帰り着いていたのだが,昼間からの長時間呑みのインパクトが強すぎて.

◆明日はひっそりおとなしくしていよう.

◆本日の総歩数=6508歩. 朝○|昼×|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(+0.3kg) / 30.5%(+0.1%)


1 februari 2013(金)※如月の幕開きはじたばたと

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下4.5度.お米は寝る前に研いでおいたという段取りのよさ.いま鯵のみりん干しを焼いてます.メーリングリストの月例アナウンスも日が変わった直後に送信したのでこの件も完了.午前7時過ぎに氷点下4.8度の最低気温になった.日中は春めいても明け方は真冬が続く.通勤路の風景はまだ霜と氷に覆われていた.日中は三月並みの陽気になるとの予報.

◆[欹耳袋]本日公開 —— 三中信宏:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第6回 「情報可視化と統計グラフィクス」農業と環境 No. 154(2013年2月1日).今回は分量がちょっと多め.

◆[蒐書日誌]『月刊みすず』の最新号「読書アンケート特集」(2013年1-2月号・no. 611)が着弾した.ワタクシの寄稿は pp.46-47 に載ってます.

◆所内に轟きわたる工事の大音響.退避するか.タイミングよく,昼休みの現実逃避的徘徊タイムが近づいている.昼休み徘徊を小一時間.正午の気温10.1度.南風が吹いて春の陽気に包まれる.

◆[蒐書日誌]インカ道を行く —— 高野潤『カラー版 インカ帝国―大街道を行く』(2013年1月25日刊行, 中央公論新社[中公新書2201],東京,vi+190 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-12-102201-1 → 版元ページ).歩き読み読了.中公新書のカラー版では,『カラー版 アマゾンの森と川を行く』(2008年10月25日刊行, 中央公論新社[中公新書1969], viii+212 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-12-101969-1 → 版元ページ)ならびに『カラー版 マチュピチュ—天空の聖殿』(2009年7月25日刊行,中央公論新社[中公新書2012],6+vi+194 pp.,本体価格1,000円,ISBN:978-4-12-102012-3 → 版元ページ)に続く,三冊目の「インカ本」になる.ペルーからボリビアにいたるインカ道をたどる紀行.山嶺と渓谷,棚田と文明. ◆

◆午後の┣┣" 撃ち —— 成績入力一件完了./ここ数日の着便本の「山」から週末用の本を抜き出すお仕事.『月刊みすず』の書評アンケート号は必携.あとは『みみずく古本市』『路上と観察をめぐる表現史』『闘う葡萄酒』『飲食事典(上)』が有力候補として浮上.

◆[蒐書日誌]三中信宏「分類学と系統学について知るための参考文献リスト(22-January-2013 version)」[pdf] via 結界T —— 1980年代初期に出た分岐学の教科書 Eldredge & Cractaft 1980 と Wiley 1981 はそれぞれ蒼樹書房と文一総合出版から翻訳が出たものの現在では絶版だ.シニア世代だと,いきなり最尤法やベイズ法で傷めつけると死ぬので,分岐学=最節約法on形態=最節約法on分子という流れにまきこむのがスムーズ.他方,距離法はかつてのアンチ数量分類学の記憶が残っているだろうから,最後まで出さない方がいいかもしれない.このことも勘案して,分子だけに限定されない一般系統学の教科書としては以下が挙げられる:1) Baum & Smith 2013. Tree Thinking; 2) Wiley & Lieberman 2011. Phylogenetics, 2nd Edition; 3) Schuh & Brower 2009. Biological Systematics, 2nd Edition. Wägele 2005 はちょいとクセがあってね…….また,系統推定論の教科書ではないが,系統樹を用いた「比較法」の教科書 Nunn 2011. The Comparative Approach in Evolutionary Anthropology and Biology は文化系統学と生物系統学にまたがっていてOK.

◆[蒐書日誌]本田靖春『評伝 今西錦司』(2012年3月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・社会238],東京,iv+355 pp., ISBN:978-4-00-603238-8 → 版元ページ).この伝記の力点は第二次世界大戦をはさむ時期に今西がどのようにして「人脈ネットワーク」を構築し,それを操作したかという点にある.とりわけ,登山と探検に焦点を絞り,戦前の中国の大興安嶺探検や西北研究所との関わり,戦後のヒマラヤ登山にまつわるエピソードなどが中心に据えられている.朝日文庫の今西錦司『大興安嶺探検』が本棚のどこかにあったはず.晩年の「今西進化論」に関わる記述は比較的短いのがとてもよかった.本多勝一が学生の頃に書いた「今西錦司論(未刊)」が取り上げられているのが興味深い(第8章).当時のビッグネームたちの実家は単純に財力があったのだ.もちろん,そういう今西に経済的援助をした澁澤敬三みたいなさらなる“大人”がいたわけだが.個人的には,書かれた対象よりも,書いた著者にとても関心があった.この伝記を手にした理由もそこにある.

遅めの帰宅.ときおり小雨がぱらぱら降ってきた.予報通り.その予報だと,明日の東京の最高気温は「20度」らしい.午後は新百合ヶ丘で打族同窓会があるんだけど,半袖着ていいですかダメですかそうですか.

◆本日の総歩数=10160歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.7kg(+0.2kg) / 30.4%(−0.2%)


--- het eind van dagboek ---


[sinds 19 april 2007]