紐育あたふた日録:2003年7月22日(火)

・途方もない蒸し暑さでげんなりする.ニューヨーク地方は華氏90度の予想とか.にもかかわらず,道行くニューヨーカーたちは「がしがし」と足早に歩いている.この気力と体力が必要なのか,ここで生活するには.
・午前中は一般講演セッションだったので,ちょいと失礼してホテルで講演準備.フローチャートを図示することで〈Bogen〉の系統推定アルゴリズムとしての新奇性をアピールしようと思う.今日,日本から共同発表者が到着するので,ここのところを確認する.論文発表と特許出願との兼ね合いがあるので,不注意なことはできない.
・11時前にホテルを出発――真綿で首を締められるような暑苦しさというのではあまりに和風なので,ジェリービーンズを喉に詰め込まれたような暑苦しさと翻訳してみる(だからといって現実が変わるわけではないのだ).グランド・セントラル駅のプラットホームは,予想通り釜風呂のようになっていた.いややー.
・今日は植物園が開園されているので,予約しておいたボックス・ランチは園内のレストラン〈Garden Cafe〉まで取りに行く.夏休みのせいか,子どものグループが目立つ.暑いのにご苦労さんです.あ,また,でっかいバケット・サンドイッチですなー.「Southwestern Turkey」とのことで,またもターキーのハムが十重二十重に挟まっている.そやし言うてるやん,アゴがはずれるて!(もう...) 一個しか食べたらへん.



・せっかくの機会なので,ニューヨーク植物園のシンボルとなっている大温室(Conservatory)のスイレン展示を見に行く.中庭のスイレン池のまわりにはニューヨーク現代美術館(MoMA)の彫刻がいくつも飾られており,ついでの眼福.でも暑い.



・午後は,シンポジウム〈New Directions for Molecular Analyses〉だが,いまいち印象に残らない.挙げるとしたらマイクロアレイの分岐分析法を提案した講演くらいかな.どーも今日は大会に身が入っていない気がする.
・午後4時頃に,共同発表者の山本さんと浅野さんが大会会場に到着.ニューヨークは油断していると危ない目に遇うという事例をうかがう.ちょうど上りの電車があったので,そのままグランド・セントラル駅へ直行.スコールがいきなり降りだした.この不安定さはどーしたことか.
・車中で相談した末に,〈Bogen〉のアルゴリズムに関してはかなりの部分まで口頭発表してもよいということになった.今回の会議では系統解析ソフトウェアを開発している参加者が少なくないので,そういう話題を提供することには意義があると思う.論文を書くときにも注意したい.
・ソフトウェアのデモは最終日(24日)の午後なので,それまでに部分木の形成と接合に関するフローチャートの説明を付ける必要あり.〈Bogen〉のデモは山本さんにしてもらうことにする.パソコンは2台必要か.
・グランド・セントラル駅でマーケットに立ち寄り,サラダ(Heart of なんちゃらという白アスパラのサラダ)や肉料理(ビーフシチューとプロヴァンス風ウサギ煮込み)などなどを調達し,さらに隣のワイン専門店〈Grande Harvest Wines〉でフランス赤ワインを2本買う.山本さん,浅野さんとともにホテルに戻って,少し会食をば.
・まだ時間が早いので,再びグランド・セントラル駅を徘徊し,構内の新刊書店〈PosmanBooks〉に当然のごとくトラップされる.カバージャケットに惹かれて,Matthew Battles (2003)『Library: An Unquiet History』(W.W. Norton, ISBN: 0-393-02029-0)とSimon Winchester (2003)『Krakatoa: The Day the World Exploded August 27, 1883』(HarperCollins, ISBN: 0-06-621285-5)をふらふらとレジに抱えていってしまう.イケナイ予感が.
・バトルズの本は図書館についての歴史書なのだが,エピソードがいろいろと載っていそう.
・ウィンチェスターの新刊はいずれ買うべき本と思っていた.この装丁は専門書みたいね.ま,前著『博士と狂人』がおもしろかったので期待している.扱っているテーマはフィクション『死都日本』と重なる.
・よく食べて少し飲んで本も買った――まあハッピーな1日でしたこと.
・本日の総歩数=8367歩.
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