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日録2015年3月 


31 maart 2015(火)※那須の頂から下界へ

◆湯けむり遁走の旅路(第三日) —— 湯宿の朝は早い.夜明け前の午前4時前に目が覚め,冷気漂う川の湯へ直行.上流からは熱い源泉が滝のように勢いよく湯槽(というか温泉池)に注ぎこんでいる.もちろんまわりはまだ真っ暗で,人間はワタクシしかいなかった.

大丸温泉はメタケイ酸が豊富な泉質なので,飲泉場の湯口には珪酸塩の結晶が真っ白に析出している.那須・大丸温泉旅館の朝は沢の残雪に反射する朝日が全方位から差し込む.まだ人気のないロビーで,乃木希典の遺品を背に,おもむろに MacBook Pro を開く.ここだったら Wi-Fi の電波が届く.

午前7時半に朝食.春休みのせいか,子ども連れの家族が多かった.ここだったら遊ぶ場所が山頂にも山麓にもいろいろあるだろう.午前9時半にチェックアウト.とても居心地のよい旅館だった.対面の沢の岩肌にはときどきカモシカやテンが姿を見せるらしい.そういえばここも日光国立公園の一角だった.

◆ここまで高く登ったからには,那須の茶臼岳を拝みに行くしかない.チェックアウト後,ロープウェイ駅へ.茶臼岳の頂上直下までゴンドラに揺られる.気温は8度.吹きつける風はたいしたことなく,天上から照りつける日差しが強い.対面の朝日岳が青空に突き刺さっていた.茶臼岳のいただきを制覇することなく,さくっと登り,さくっと下る.

◆山の上から那須野に下り,〈リタハウス・しらさぎ邸〉にてランチ.休日は行列が並ぶという人気店.「黒カレー」は評判通り.牛肉もクレソンもたっぷり.ポークソテーも美味.牛さんだけではなく,豚さんもちゃんと食べてあげないと.「リタハウス」というネーミングはゴールデンウィーク期間中までの企画らしい.竹鶴政孝夫妻の遺品がいろいろ展示されていた.

◆下の道をたどってつくばに帰還したのは午後4時半.那須のてっぺんでは残雪が降り注ぐ日光に光り輝いていたが,下界のつくばでは桜が満開を迎えていた.

◆明日からは平常労働に復帰する.ワタクシが温泉でぶくぶくしているスキに,一冊分のゲラ┣┣" が観音台に上陸しているという確たる情報を得た.

◆本日の総歩数=3253歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


30 maart 2015(月)※那須山頂の大丸温泉

◆湯けむり遁走の旅路(第二日) —— 甲子温泉〈大黒屋〉の夜明け前.まだ午前4時前というのに屋根からの落雪の重低音で目が覚めた.そのまま闇夜の橋を渡り大岩風呂へ直行.外はもちろん氷点下まで気温が下がっている.源泉掛け流しの巨大な湯槽に一人静かに沈めるシアワセ.いったん部屋に戻って二度寝の背徳.

◆次に目が覚めたら,残雪が残る阿武隈川の谷あいに朝日が差し込んでいた.午前6時にふたたび起きて,今度は岩風呂のとなりにある檜風呂「櫻の湯」へ.大岩風呂と同じく,この櫻の湯も単純泉で,湯温が低めなので長湯できる.湯槽の底には玉砂利が敷き詰められていて,足裏マッサージ効果バツグン.

◆〈大黒屋〉の本館近くにある別館の向こう側には登山道が伸びていた.残雪の石段上には大黒天の祠があった.今日も天気がよさそうだ.天気予報によると下界は20度超の暖かさだというが,このあたりは10度に達しない肌寒さ.それでも日向にいれば十分に暖かい.

◆午前9時過ぎ,チェックアウト.甲子温泉から次なる目的地に行くだけだったら,甲子有料道路でひとっ走りなのだが,それでは味けなさすぎる.そこで,長大な甲子トンネルを抜け,山道を下って,下郷町に入るルートを選んだ.南会津は未知の土地だ.もともと静かな山里なのだろうが,春休みとはいえ平日の午前に国道121号を北上する車はほとんどない.景勝地〈塔のへつり〉に立ち寄って,崩落寸前の絶壁からいかにもえぐれて深そうな大川の淵をこわごわ覗きこむ.映画〈カサンドラ・クロス〉に出てきそうな錆びついた鉄の橋がコワそう.

◆さらに北に向かい,国道121号の湯野上温泉から分岐する山道をたどって〈大内宿〉へ.さすが南会津きっての観光スポット.多くの車や観光バスが広大な駐車場を出入りしている.ハイシーズンはとんでもなく混雑するらしい.とはいえ,客観的には山里の風致保存地区なので,ぶらぶら歩く以外にすることがない.そろそろお昼を過ぎるので,もっと北に向かおう.

◆大内宿から国道131号を北に向かい,全面結氷した大内ダムを見下ろして,六石山のトンネルをくぐって,会津若松を目指す.山道かつ田舎道がずっと続く.平野に入ってからは何だかあちこち迷いながら,やっと会津若松の市街地へ.ところが古い城下町ならではの「まっすぐ走れない道」にうろうろして,やっと中心部の〈七日町〉に到着.

◆車を置いてさらにうろうろする.とはいえ,目的地はただひとつ,会津若松の市街地にある〈なかじま〉.知る人ぞ知る「煮込みソースカツ丼」の店である.会津名物の「ソースカツ丼」を煮てさらに卵でとじるというもの.同じ会津若松の〈白孔雀食堂〉のソースカツ丼は前回来たときに完食した.今回のはさらにヒネリをいれた感じ.そうとうなボリュームがあるが,まわりを見回したら客はそろって同じものを注文していた.「特上煮込みソースカツ丼」という200グラムロースカツ版があったが,小食なワタクシは通常バージョンを選択するのだ.会津若松といえば「カツ丼の街」という極私的イメージが定着しつつある.

◆喰うもん喰ったらさらなる移動だ.磐越道から高速道に入り,郡山ジャンクションで東北道へ.さらにがんがん走って,那須インターで下に降りる.新緑や紅葉のハイシーズンならばこのあたり一帯は大渋滞するはずだが,雪がまだ融け残るこの季節は気持ちいいほど空いている.牧場や別荘を横目に那須岳を目指して山道を登ること半時間で,山頂直下のロープウェイ駅近くまで到達.ここから沢を降りたところに,今夜の宿〈大丸温泉旅館〉がある.標高1300メートル.もちろん宿のまわりは残雪がうず高く積もっている.午後4時過ぎにチェックイン.はい,今日もよく走りました.

◆ここ〈大丸温泉旅館〉もまた「日本秘湯を守る会」の宿だ.混浴露天風呂〈白樺の湯〉は川そのものが温泉という野趣あふれる露天風呂.まずは内湯にじっくり浸かる.ぬるめと熱めの二つの湯船がある.今宵もまた夕食ののち部屋に戻ったら,睡魔が即座に取り憑いてきた.おそるべし温泉睡魔.しかし,ムダに抗ってはならぬ.

◆おとなしく寝るん〜♫•*¨*•.¸¸♪

◆本日の総歩数=10740歩. 朝◯|昼△|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


29 maart 2015(日)※甲子は深すぎる湯槽

◆午前5時前起床.朝焼けグラデーション.気温はいま4.9度.旅支度.今回はお座敷なしのピュアな湯けむり旅だ.

◆[欹耳袋]World Map of Social Networks ※かつて mixi が制覇していた日本は,ほんの数年の間に twitter に占拠された.世界的には facebook が覇権./ #PLOSBiology: The Extent and Consequences of P-Hacking in Science. Cf: facebook./Sönke Bartling and Sascha Friesike (eds.) 2014『Opening Science』※昨年出たの電子版.CC-BY-NC.

◆湯けむり遁走の旅路(第一日) —— 年度末の┣┣" 征伐がひと通り完了したので,最前線からとっとと逃げ出し,残雪がまだのこっている山間のいで湯へ隠遁あるのみ.お昼すぎにつくばを出発.常磐道・北関東道・東北道と爆走し,白河インターで高速から降りる.山道をひた走り,甲子高原へ.トンネルをいくつか抜け,午後4時過ぎに甲子温泉の〈大黒屋〉に無事チェックイン.ここは日本秘湯を守る会の会員.

◆もともとこの季節は四駆のスタッドレスでないと〈大黒屋〉にはたどり着けないらしい(予約時にそう言われた).宿の話では数日前まで道路が雪に覆われ,甲子大橋手前のトンネルをくぐって本道から谷底にある温泉までの側道がノーマルタイヤではダメだそうな.ところが,一昨日からの暖かさでイッキに雪が融けたらしい.陽気が幸いした.それでもそこかしこに残雪がまだらになっていて,旅館の向こうにそびえ立つ山は深い雪に覆われている.ここは日光国立公園のエリア内にある.

◆とにもかくにも,まずは一風呂.旅館から110段の階段を川べりまで降りれば,阿武隈川にかかる橋の向こうにりっぱな湯小屋が建っていた.真冬はコートを羽織った上で,長靴を履かないと岩風呂に到達できないらしい.沢にも残雪が積もっている.混浴の大岩風呂の湯槽は深さが1メートルあまりもある.鳥居の立つ岩から熱い湯が注ぎこむ.泉質は単純泉.湯船の底は岩がごつごつ.その隙間からときおり湧き出る湯の泡がボコンポコンと浮かびあがる.まるで蔦温泉の「久遠の湯」みたいな入湯感.

◆チェックインが早い時間帯だったので,この巨大な岩風呂を独占できた.まさに極楽極楽.ぬるめの湯温は長湯向き.温まったらふたたび110段の階段を上がりきって,今度は「恵比寿の湯」へ.外の岩風呂とは泉質が異なっていて,こちらはカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉.外には小さな露天風呂もある.今から6年前に全面改築されたという本館は,どこも暖房が効いていてとても居心地がいい.

◆晩ご飯をすませて部屋に戻ったら,間髪入れずに睡魔が降臨してきた.部屋にはロビーからの無線 Wi-Fi の電波が届くが,そんなことよりも寝るのが一番(ネットは二番).

◆本日の総歩数=2176歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=92.1kg(−0.1kg)/29.8%(−1.1%)


28 maart 2015(土)※田川沿いを朝の散歩

◆午前6時前起床.外はもう明るい.今日はつくばに帰るだけの簡単なお仕事だけなので,朝はゆうゆうとしていられる.今朝の宇都宮は最低気温が3.5度だった.気持ちよく晴れていたので,朝食後に宇都宮市街地を流れる田川沿いのしばし徘徊.市街地を流れる川沿いに遊歩道(プロムナード)を設けるという町づくり方針のようだ.整備されすぎていて,あまり自然度は高くないが,気候のいい季節に散歩したり自転車で走るには気持ちいいかもしれない.

◆[欹耳袋]saereal|note「ポスドクの保活事情(研究者と保育園)」(2015年3月24日)/saereal|note「私の保活・結果編(待機から繰り上げ内定するまでと保育の意味、謎の「支給認定書」などについて)」(2015年3月26日).

◆宇都宮駅前のセブンイレブンに入ったら,レモン牛乳(=正式名称:「関東・栃木レモン」)なる紙パックがずらっと並んでいて,「買え〜買え〜」オーラを放っていたのでレジにお連れした.人生初体験だが,ひょっとして超ローカル飲料だったりする? 他ではまったく見たことないが,単に「甘い牛乳」だった.

◆[蒐書日誌]新刊:大石善隆『苔三昧:モコモコ・うるうる・寺めぐり』(2015年3月25日刊行,岩波書店,東京,ISBN:978-4-00-006314-2 → 版元ページ)※うん,サブタイトルの “勝利” やな,これは.

◆[欹耳袋]日本考古学協会2015年度総会【日時】2015年5月23日(土)〜24日(日)【場所】帝京大学八王子キャンパス.幾何学的形態測定学イン考古学のセッションがある:

セッション5〈数理的解析による型式学と社会発展理論の刷新に向けて〉

【日時】2015年5月24日(日)14:15〜15:55
【場所】帝京大学八王子キャンパス:17号館3階1732教室(第7会場)
【情報】http://archaeology.jp/convention/sokai2015.htm#S5
  1. 中尾 央・田村光平・有松 唯「考古学の方法論を問い直す」
  2. 松本直子・笹倉万里子「人口シミュレーションによる文化動態研究」
  3. 田村光平・山口雄治「楕円フーリエ解析による遠賀川式土器の拡散過程の復元」
  4. 田村光平・松木武彦「幾何学的形態測定学的アプローチによる古墳形態の定量的解析」

—— 今年度から動き始めたJSPS「課題設定による先導的人文・社会科学研究推進事業」(領域開拓プログラム)のひとつ〈歴史科学諸分野の連携・総合による文化進化学の構築〉のアウトプット.八王子は十分すぎるほど遠いが,これは行くしかない.

◆宇都宮を離れる前に餃子アゲイン,ということで,午前11時の開店直前に宇都宮駅ビル近くの餃子舗〈宇都宮みんみん〉ホテル アール・メッツ店へ.数ある餃子店の中でも〈宇都宮みんみん〉はビッグネーム.すでに長蛇の列ができていたが,幸いすんなり入店できた(その後,待ち客の行列は単調に伸び続けた).店オススメの焼き餃子ダブルと水餃子シングルの定食.つごう三皿食べるとさすがに満腹かと思いきや,そんなに詰め込んだ感じがしないのはなぜだろう.駅売店ではいろいろな店の冷凍生餃子が売られていたので,おみやげにまで買ってしまう.まさに餃子尽くしの街.

◆[蒐書日誌]宇都宮餃子会(編)『宇都宮餃子公式ガイドブック vol. 5』(2012年11月30日刊行,下野新聞社,宇都宮,120pp., ISBN:978-4-88286-504-9 → 版元ページ)はもちろんゲットした.

◆正午前に東北新幹線やまびこに乗り,つくばに帰り着いたのは午後2時半だった.休むまもなく,餃子旅の後片付けをしたり,冷凍生餃子を冷凍庫にみっしり詰め込んだり,ガソリンを入れたり,オイル交換したり,タイヤの空気圧を調整したり,と次なる旅へのしたくに余念がない.

◆本日の総歩数=10911歩. 朝◯|昼△|夜◯. 計測値(前回比)=未計測/未計測


27 maart 2015(金)※人生初の餃子の街へ

◆午前4時過ぎ起床.今朝もきりきり冷え込んで,いま氷点下0.1度.夜明け前の米とぎ.

◆[蒐書日誌]廣田吉崇『お点前の研究:茶の湯44流派の比較と分析』(2015年3月30日刊行予定,大隅書店,大津, 本体価格4,000円, ISBN:978-4-905328-10-0 → 版元ページ).茶道所作の文化系統学.系統推定のところをちょいとお手伝いした.前著:廣田吉崇『近現代における茶の湯家元の研究』(2012年12月19日刊行,慧文社,東京,412 pp., 本体価格4,000円,ISBN:978-4-86330-059-0 → 版元ページ)の続編.

◆[欹耳袋]Engadget 日本版「カブト虫をサイボーグ化手術で遠隔操縦、高精度な旋回制御に成功」(2015年3月25日)※元論文 [abstract].

◆餃子パラダイスへの旅路 —— 午前8時過ぎ,つくば駅.雲ひとつない快晴の青空.午前10時前,大宮駅.コンコースがえらい混雑しているのは春休みだからか.10:26発のやまびこ133号に乗車.大きなスーツケースをもった旅行客で混んでいる車内.たったひと駅で餃子の王国へ.午前11時,人生初JR宇都宮駅に降り立った.雲ひとつないパーフェクトな青空.気温も高く春爛漫ということばをつぶやいてしまう.

◆それにしても,聞きしに勝る餃子の街.宇都宮駅前からしてすでに餃子屋がところ狭しとひしめいている.最初に入ったのはひしめいている一角にある〈餃天堂〉という古い餃子屋.メニューはシンプルこの上ない.お昼時だったので,餃天堂セット(焼き餃子5+水餃子3)with 小ライスという抑制の効いた注文.最初に運ばれてきたのは水餃子.ホウレンソウを練り込んだ厚めの皮.醤油・酢・ラー油はスープに垂らして各自調味する.次いで焼き餃子.皮がもちもちしていて食感よし.店主の話では小籠包のように汁気が多いので,食べるときには要注意とのこと.確かにじゅわ〜と染み出す感じは独特.宇都宮餃子は最強である.

◆[欹耳袋]Yosemite 人柱レポート:マウスのポインターサイズの変更方法は「システム環境設定>アクセシビリティ>ディスプレイ>カーソルのサイズ」で大小が変更可能.参考:「OS X Mavericks: マウスポインタを拡大する」.ワタクシは高座ではレーザーポインターはいっさい使わないようにしている.その代わりがマウスポインターだが,デフォルトの大きさではディスプレイ上野どこにポインターがあるのかがよくわからない.サイズを大きくして視認性を高めればいいこともあるだろう./いまマウスポインターのサイズ変更を試しているが,通常サイズよりも1〜1.5目盛ほど上げれば視認的には十分な大きさになる.それ以上(〜5目盛)のサイズはかえって目障りになってしまうようだ.

かつてはプレゼン時に「赤・緑・青」の三色レーザーポインターを使用したこともあった.しかし,マウスポインターさえ使えればスライドの注目ポイントは問題なく指示できるので,レーザーポインターは今ではホコリをかぶっている./もっと本格的にマウスポインターを「編集」できるツール〈Mousecape〉がフリーで公開されている.ワタクシはまだ使ったことはないが./だから,マウスポインターの視認性はとても重要.

ディスプレイの「ズーム機能」を併用すれば視認性はさらに向上する.デフォルトではズーム機能はオフになっているので,「システム環境設定」の「ユニバーサルアクセス」ボタンを押せば…… あれ,ないやんか./調べてみたら,「システム環境設定」のかつては「ユニバーサルアクセス」だったボタンは,Yosemite では「アクセシビリティ」と改名されている.その中の「ズーム機能」を設定すれば,「control キー+トラックパッド」で画面ズームは自由自在./Windows 8.1 だと〈ZoomIt〉のような画面拡大ツールを別途ダウンロードしないといけないが,Mac OS X にはもともと画面ズーム機能があるので,それを使わない手はない.

◆宇都宮大学にてお座敷 —— 駅ビル〈パセオ〉のタリーズにて販促活動としてポップをつくる.持参した6冊分のポップ作成.これで峰キャンパスに攻め込める.正午過ぎ,宇都宮大学・峰キャンパスへ.宇都宮の街の感じはいかにも北関東の地方都市という雰囲気.高崎や前橋と似たような空気が漂う.それにしても道路事情はゼツ悪で,どこもかしこも混んでいる.ぽかぽか陽気のキャンパスは畜産学会大会参加者らしきスーツ&ネクタイな人びとが歩いている.キビシめのドレスコード不文律がありそうだが,ワタクシはもとより “3σ” の外.市内の気温は16.3度まで上がっている.南関東よりは上がり方が鈍いようだが,油断してはならぬ.まずは在来家畜研究会での高座がある5号館の会場に向かう.

午後1時からシンポジウム開始.最初はワタクシの噺:三中信宏「多様性を目で見ること:分類と系統への情報可視化アプローチ」.次のトークは村上哲明「植物の外見では区別できない別の種(隠蔽種)~隠れた種多様性~」.【種】! そして,最後のトーク:馬渕浩司「日本のコイ:DNA データが語るその起源」が予定通り午後4時に終った.このあとは在来家畜研究会の総会が続くが,ワタクシたち演者はバスに揺られて駅に向かった.

◆[欹耳袋]Yosemite 人柱レポート:最初はプロジェクターを認識してくれなかった.しかし,「システム環境設定」>「ディスプレイ」> option キーを押して「ディスプレイを検出」ボタンを可視化>「ディスプレイを検出」という手順で認識してくれた./講演中に突然マウスカーソルが表示されなくなった(orz).しかたなく,使わないはずのレーザーポインターを手にするはめに.何が原因かわからないが,人柱としての運命は甘受するしかない.

◆在来家畜研究会での高座をしっかりお勤めし,飢えたのりピーを宇都宮駅前の餃子屋に放って,ワタクシはゆうゆうとホテルにチェックイン.午後6時に仲町の味問屋〈明日香〉宇都宮店へ向かう.〈明日香〉の店内は巨大な生け簀がどーんと鎮座している.まるで水族館.文字通り,鯛や平目が舞い踊る生け簀もある.

懇親会では,御年88歳になられる野澤謙さんの向かいの席だった.初めてお会いしたのだが,今でもフィールドワークに出るという足腰の強靭さには瞠目.懇親会の途中で「明日は野猫の調査がありますので」と中座された.野澤さんの猫の本:野澤謙『ネコの毛並み:毛色多型と分布』(1996年3月刊行,裳華房[ポピュラーサイエンス・133],東京,ISBN:978-4-7853-8633-7 → 版元ページ).名古屋大学農学部が安城にあった頃,毎朝の最初の仕事は電気泳動のゲルをつくる作業だったという話を聞いた.

もう一冊,備忘メモ:在来家畜研究会(編)『アジアの在来家畜:家畜の起源と系統史』(2009年,名古屋大学出版会,名古屋, ISBN:978-4-8158-0620-0 → 版元ページ)※ネパール,ブータンを含め東南アジアのフィールド調査.今宵は本書の執筆者の多くが懇親会におられたようだ.

◆本日の総歩数=11269歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=92.2kg(+0.1kg)/ 30.9%(+0.5%)


26 maart 2015(木)※今季最後の高座準備

◆午前5時前起床.気温は氷点下2.0度まで下がっている.今朝は冬に逆戻り.オイルヒーター大活躍.最低気温は氷点下2.5度まで下がった.快晴の観音台は空気が乾ききっている.午前8時の気温5.1度.日中は昨日よりももっと暖かくなるとの予報.朝イチの BGM はバッハ〈ミサ曲〉の長丁場.

◆[蒐書日誌]遅ればせながら鹿児島で買った本が届いた —— 蔵満逸司『鹿児島の歩き方:鹿児島市篇』(2012年12月20日刊行,南方新社,鹿児島, 271 pp., ISBN:978-4-86124-253-3 → 版元ページ)/能勢謙三『天文館夜話』(2001年10月10日刊行,南日本新聞社,鹿児島, 209 pp., ISBN:978-4-94407-591-1)

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前いっぱい,明日のお座敷の紙芝居をつくりこむ.Darwin Online から『The Variation of Animals and Plants under Domestication』 (1868) を利用してあれやこれや.お昼休み返上で頑張って,噺のコンテンツはすべてスライドにして計112枚となった.pdf にして70MBあまりのサイズに膨れ上がった.

◆[欹耳袋]明日の宇都宮お座敷のアナウンス —— 日本動物遺伝育種学会・在来家畜研究会公開合同シンポジウム〈在来生物の研究に対する系統,進化,生物多様性〉.【日時】2015年3月27日(金)13:00〜16:00,【場所】宇都宮大学・峰キャンパス(宇都宮市).ワタクシは「多様性を目で見ること:分類と系統への情報可視化アプローチ」というタイトルで噺をします.のりピーと馬渕さんはもっとまっとうな講演をされるにちがいない.これが今年度最後のお座敷となる.もともとこのシンポジウムは2011年3月28日に,第113回日本畜産学会大会の在来家畜研究会・日本動物遺伝育種学会合同シンポジウム〈動物の形態・系統・進化〜とくに家畜・水産動物を対象として〜〉@東京農大(厚木)で開催されるはずだった.しかし,直前の3月11日に起こった東日本大震災により,学会大会そのものが中止となってしまった.

◆[蒐書日誌]伊藤まさこ『ちびちび ごくごく お酒のはなし』(2014年3月19日刊行,PHP[PHP文庫],東京,239 pp., ISBN:978-4-569-76153-4 → 版元ページ)/本橋信宏『東京最後の異界 鶯谷』(2015年3月2月19日刊行,宝島社[宝島SUGOI文庫], 東京,350 pp., ISBN:978-4-8002-3718-7 → 版元ページ)※あそこは異界だったのか.ファーストネームが同じ書き手には,本書の著者・本橋信宏さんの他に,もうひとり音楽学者・伊東信宏さんを知っている.おふたりともお会いしたことはないが.

◆午後の┣┣" 撃ち —— どうせ来月まではもう出勤しないから,居室のカレンダーは4月にめくっておこう./JSPS 先導的事業の今年度報告書を担当者にメール送信./アムステルダムの古書店 Antiquariaat A. Kok & Zn に依頼していた本(雑誌バックナンバー)を発送完了との連絡あり./マイレージには要注意./Yosemite 人柱レポート:Time Machine がバックアップしている作業中,今まで(Snow Leopard 時代)みたいに時計アイコンがくるくる回らないのがちょっとさみしい.

◆西日が真横から差し込んできたので,そろそろ撤収タイムだ.今日の居室 BGM は朝イチの〈ロ短調ミサ曲〉から始まって,〈ヨハネ受難曲〉,〈マタイ受難曲〉とバッハの大作そろい踏み,しかも,すべてラ・プティット・バンドと精緻の極みだった.

◆さ,帰ったらまた旅支度だ.

◆本日の総歩数=2316歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=92.1kg(−0.9kg)/ 30.4%(+0.2%)


25 maart 2015(水)※きわめて饒舌な人柱

◆午前4時過ぎ起床.気温は氷点下0.5度と冷えまくり.今朝は最低気温が氷点下1.6度まで下がった.青空が広がる観音台は空気がからからに乾いている.農林団地はキジが駆けまわる季節になった.午前8時の気温は7.2度.朝イチの BGM はバッハ〈管弦楽組曲〉ゲーベル/ムジカ・アンティカ・ケルン.

◆[蒐書日誌]山本貴光(編)『サイエンス・ブック・トラベル:世界を見晴らす100冊』(2015年3月30日刊行,河出書房新社,東京,215 pp., 本体価格1,600円, ISBN:978-4-309-25323-7 → 目次版元ページ)※ちょこっと寄稿:三中信宏「生物の分類や進化は科学的に研究できるのか?」(pp. 92-97).エルンスト・ヘッケル[小畠郁生監修|戸田裕之訳]『生物の驚異的な形』(2009年,河出書房新社),チャールズ・ダーウィン[渡辺政隆訳]『種の起源(上・下)』(2009年,光文社),そしてカール・ジンマー[長谷川眞理子日本版監修]『進化:生命のたどる道』(2012年,岩波書店)の3冊を取り上げた.イーアスつくばのアカデミア書店では,本書の出版に合わせて,紹介されている理系本「100冊」をずらりと並べるブックフェアを企画しているとのこと.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 10:30から所内領域会議と思い込んでいたのだが,別の日に変わっていた.年度末のいろいろな情報が頭上を軽やかに飛び去っているらしい./この際なので(どーせ人柱だし)テスト版「mi 3.0.0b8」をインストール.Yosemite 人柱レポートはさらに続く.

◆先日,お座敷を設けていただいた橿原市昆虫館の知人から,三輪・大神神社お膝元の酒蔵・今西酒造の日本酒を三本も宅急便で送っていただいた:〈三諸杉〉26BY純米吟醸山田錦無濾過生原酒蔵出し限定酒,〈三諸杉〉26BY純米菩提酛,そしてキケンこの上ない〈三輪のどぶろく〉.とくに,〈三輪のどぶろく〉はバクハツ物なので即座に氷温室へ.ラベルにも「本当に気をつけてください」と念押しされている.バクハツ系の日本酒はマジで “惨事” となることがある.たとえば,和歌山の〈鉄砲隊・爆発にごり〉という強烈な日本酒はけっして揺らしてはならないと北白川で聞いた(ニトロか……).また,〈秋鹿・霙もよう〉クラスなら,宅急便はダメでも,新幹線で運搬する分にはまったく問題ない.今回いただいた〈三輪のどぶろく〉はガス抜き栓でもなおバクハツするらしいが,よく宅急便がOKしたなと驚愕ちう.というわけで,某研究室の冷蔵庫にはいまバクハツ物がいろいろ詰まっている.左の菩提酛は最も古いタイプの酛で,奈良にしかないらしい.右の蔵出し限定酒は山田錦を使っているが,露葉風という奈良だけの酒米もよく使うそうな.そして,真ん中のバクハツ系どぶろく.もともと3/4しか瓶詰めしていない.いかにキケンであるかの証.

◆暖かな日差しの昼休みはロングコース徘徊だん.歩き読み本:六草いちか『それからのエリス:いま明らかになる鷗外「舞姫」の面影』(2013年9月3日刊行,講談社,東京,364 pp., 本体価格2,500円,ISBN:978-4-06-218595-0 → 版元ページ)はめでたく読了.推理探偵のような系図探索業(genealogist)の「墓場の彼女」が繰り出すワザの数々が実にすばらしい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 明後日の牛さん学会お座敷の準備中.せっかくだからダーウィンの本から家畜の図版を求めてごそごそする.Appleton 版全集(1896)と Pickerling 版全集(1998)の『飼育動植物の変異』を比べると,図版のキレイさは断然 Appleton の圧勝だな.

◆[欹耳袋]Yosemite 人柱レポート —— mi のテスト版(3.0.0b8)にして以来,起動時にいきなり落ちる不具合はまったく再現されず./マウスを装着したまま再起動すると,ログイン画面でのマウスカーソル挙動がおかしい(垂直方向しか動かせない).いったんログインしてしまえば,その後のマウス挙動はまったく問題なし./mi テスト版(3.0.0b8)は html 文のコメントアウトが「赤く」ならない(そう設定されているのに).蟲?/あれ,別の html 文書だとちゃんと赤くコメントアウトされる.あれれ./さっきのは「!DOCTYPE」の問題だったようで, “枕詞” をいじったらコメントはちゃんと “赤く” なってくれた./まったくもう,人柱はつらいよ.

◆人生はバクハツだ.

◆本日の総歩数=11532歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.7kg)/ 30.1%(0.0%)


24 maart 2015(火)※寒気の底でごそごそ

◆午前4時過ぎ起床.気温は2.0度まで下がっている.ひさしぶりにデロンギ・オイルヒーターの出番だ.西風が冷たい観音台は朝から青空が広がる.午前8時の気温は7.5度.

◆[蒐書日誌]羊土社『実験医学』に一年余り連載した三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉は,2015年4月号掲載の最終回記事「統計データ解析の地上世界と天空世界 ― 連載の総括として」(pp. 978-982)をもって完結した.その単行本化の作業が現在進んでいる.全12回連載の総ページ数は55ページだが,カラー図版を拡大し,参考文献リストなどを加筆増補する予定.今月中にはゲラがつくばに届くだろう.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 受託出張伺提出.国や県は依頼出張,それ以外は受託出張という “分類” がいつまでたっても覚えられない./さ,気を取り直して,新年度4月の不在届でも書きまくろうか.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「(エコノフォーカス)なぜ減らない、長時間労働 昨年、正社員の残業最長に 長く働けば昇進? 意識改革進まず」(2015年3月23日).メモ・クリップ:「米国では受注が増えれば社員を増やし、受注が減れば社員を減らすのが普通だが、日本では「今いる社員の労働時間を増やしたり減らしたりして対応するのが一般的」」「日本には働く時間が長い人が評価される企業風土が残っているのではないかとの指摘もある」「日本は社員ごとの業務の範囲があいまいなため、生産性が高い人に仕事が集まりやすい」・「優秀な人が長い時間働いて仕事をこなし、結果的に昇進するという側面は否めない」.

◆[蒐書日誌]いただきもの3冊 —— 一ノ瀬正樹・正木春彦(編)『東大ハチ公物語:上野博士とハチ、そして人と犬のつながり』(2015年3月8日刊行,東京大学出版会,東京,iv+230+6 pp., ISBN:978-4-13-066162-1 → 目次版元ページ東大ハチ公物語サイト).ハチ公がダシにされていて意外に話題の広がりがある./エリザベス・コルバート[鍛原多惠子訳]『6度目の大絶滅』(2015年3月25日刊行,NHK出版,東京, 360+33 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-14-081670-7 → 版元ページ)/アンドレアス・ワグナー[垂水雄二訳]『進化の謎を数学で解く』(2015年3月30日刊行,文藝春秋,東京, 367 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-16-390237-1 → 版元ページ).

◆午後の┣┣" 撃ち —— スキマ時間に来月の不在届一式を作成.4月の不在率は「7不在日/21労働日=67%」とそれなりにマジメな新年度スタートだ./Panmixia のゲラが着弾.やっと出るのか.ちょこちょこ修正してゲラを箱崎に返信する.

◆[欹耳袋]Yosemite 人柱レポート:mi がまたしても落ちた ——

2011年3月11日の午後,研究室に届いたばかりの MacBook Air 11" をまさに箱から出そうとしていたときに東日本大震災の大揺れで本に埋まった.それから4年,国内外で働き続けてくれたが寄る年波には勝てず,バッテリーも放充電回数1300回超でへたってしまった.たまたま今年はフトコロが(ちょっとだけ)暖かかったので,今月はじめに MacBook Pro Retina 13" に引っ越した.Snow Leopard から Yosemite への移行はけっして平坦ではなかった,と過去形で語ってはいけない.「油断するな.ここは Yosemite だ!」を肝に銘じつつ,いまも日々さまざまなトラブルに右往左往している.「Yosemite 人柱」はワタクシだけではないと思う.

日常的に原稿を書くとき,ワタクシは mi というエディターを愛用している.日録も含めてワタクシの執筆生活に mi は不可欠のツールなのだが,Yosemite ではこの mi がときどき落ちる.落ちるとはいっても原稿を書いている最中に落ちて,「ワタクシの時間を返せ!」と呻くような実害はいまのところない.最初の mi 起動時にいきなり落ちて「miが予期しない理由で終了しました」という棒読みメッセージが流れるという “不幸” がときどきある.Yosemite は最新版の 10.10.2,mi も最新版 2.1.12r5 なのに(だから?),ときどき落ちる.

—— 落ちるとカナシイのは入試だけではない.

◆北風が冷たすぎる夕焼けグラデーションだった.厨房にて鶏手羽元の煮込み作業.ジャガイモは皮をむいて大きめにカット.煮抜きは馬刺し醤油をあらかじめ染み込ませた.厚手の蓋付きフライパンを熱して油を引き手羽元に焦げ目をつける.ジャガイモと煮抜きを投入し,日本酒とみりんを注いでいったん沸騰させ,蓋をして中火にする.濃口醤油を回し入れてあとはふつふつ煮こむだけ.ときどき煮汁をかけながら一時間ほどで完成.今宵の “お湯” は〈大七〉純米生酛の熱燗を用意した.連日の飲み屋メニュー.

◆[欹耳袋]Togetter -「2015年春、オランダのミュージアムへ行く(キューケンホフ公園付き)」 @takibata さんの紀行ツイート.チューリップの楽園にはぜひハイシーズンに行ってみたいものである.

◆本日の総歩数=5133歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=93.7kg(+0.2kg)/ 30.1%(−0.2%)


23 maart 2015(月)※いきなり寒が戻って

◆午前5時半のろのろ起床.気温4.7度.鹿児島とは比べものにならない冷え込み方.五日ぶりの観音台は早朝の最低気温が3.3度まで下がり,霞んだ青空と乾燥した空気はいかにもこの時期の関東らしい.新規┣┣" 数頭が積み重なっているので切り崩さないと.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「分かりやすい文章を書くためのたったひとつのさえたやりかた:『数学文章作法』のレビュー」(2015年3月22日).

◆午前の┣┣" 撃ち —— Yosemite 人柱レポート:mi 起動時にいきなり落ちるという症状は最新バージョン(2.1.12r%)でも治っていなかった(orz)./こっちは所内的重大案件.出張伺様式は Excel ネ申仕様なのだが,Excel 2011 for Mac on Yosemite だと「ファイル保存」ができない.幸い,Excel 2011 on Snow Leopard で対処可能だが.隣室の櫻井さんはワタクシとまったく同じ Yosemite 環境なのだが,Excel は問題なく使えているという.ワタクシの日頃の行いがワルいからと思うことにしよう…….同じ Excel 文書でも出張伺「以外」の .xls はまったく問題なく変更&保存できるようなので,それはそれでまたフシギ.ただ,今回の Microsoft 問題といつまでも付き合ってもしかたがないので放置./今週末の牛さん学会からの出張依頼がまだ観音台に届かないので,出張伺が提出できないのだが.

◆鹿児島に逃走していたほんの数日間に,つくばには「春」が到来していた.薄雲の隙間から青空が見える今日の昼休み.気温は16.0度まで上がり,ひさしぶりのロングコース徘徊にはちょうどいい日和.真っ白い辛夷の花が咲き,菜の花の黄色が映える.桜の蕾はだいぶふくらんできたが,開花までにはまだ時間がかかるだろう.

◆午後の┣┣" 撃ち —— Excel on Yosemite の件,すべて解決した.要するに,ワタクシが使っていた出張伺の Excel 様式ファイルが「2005年」という古いタイムスタンプのものだったのが原因のようだ.先ほど最新(2014年)の様式ファイルをダウンロードしたら問題なくさくさくと.【教訓】古い事務書類ファイルをいつまでも使いまわしていると痛い目に遭う.数年間のんびり生きてきた Snow Leopard がいきなり Yosemite に登るのは難行苦行./巨大な 27" iMac Retina 5k が着弾しているのだが,学会巡業続きで梱包されたまま居室に鎮座している.月末までは手がつかないかも./さらなる Yosemite 人柱レポート:「ライブラリー」は不可視化されていて,Finder で Option キーを押さないと見えないままだ(→「OS X Yosemite: 「ライブラリ」フォルダ」).そーかそーか.

◆空模様がくるくる変わる.南風から冷たい北風に変わったとたん,気温は急降下.灰色の雲間から雨粒が風に乗って降りかかる.午後5時の気温は6.5度.春から冬に戻る夕方.冬のような北風が冷たく吹きつける夕暮れは暖かいお茶と鹿児島土産の〈薩摩きんつば〉でキマリ.鹿児島空港で実演販売していたので,即座に誘引されて四種類のさつま芋(黄金芋・紅隼人芋・安納芋・一吉紫芋)のきんつばを全種類すべてゲットした.まいうまいう.さすが鹿児島〜.

◆[蒐書日誌]羊土社『実験医学』2015年4月号がつくばに着弾.一年間あまりにわたった連載〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉の最終回である第12回記事「統計データ解析の地上世界と天空世界 ― 連載の総括として」が掲載されている(pp. 978-982).本連載の単行本化の作業はすでに編集部サイドで進行していて,それほど時間を置かずに書店に並ぶことになるだろう.本連載の特設サイトも最終回コンテンツが掲載されれば完結する.

◆春めく暖かい日がずっと続いていたので,この寒さはかなりこたえる.気温はさらに下がり,夜になったら氷点近くまで冷え込んだ.今宵はタイミングよくきりたんぽ鍋の夕餉. “お水” は〈風の森〉25BY純米吟醸しぼり華・雄町を開栓.ここのところ家では燗酒が多かったが,ひさしぶりにキリッと冷やした微炭酸の “お水” の味わいを堪能した.

◆[蒐書日誌]『kotoba・2015年春号』(2015年3月6日発行,集英社,東京,260 pp., 本体価格1,333円 → 版元ページ)※特集は〈南方熊楠:「知の巨人」の全貌〉.鹿児島に行く前に買ったので,まだ読んでいない.

◆今年度のお座敷も残るはただひとつ.しかし,出張の扱いが「依頼出張」ではなく「受託出張」とのことで,先日のワセダに続いて事務手続きが一筋縄ではいかない.明日朝イチの┣┣" 撃ちはその案件.

◆本日の総歩数=11038歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(+1.4kg)/ 30.3%(+0.1%)


22 maart 2015(日)※山桜を背に帰還の朝

◆午前5時起床.気温11.1度.昨夜はかなり涼しかった.一晩よく寝たら「うう……」は去ったようだ.しかし,今日はのろのろしてはいられない.ぱっぱと荷物をまとめるん.宅急便の箱にいろいろ詰めてフロントで発送.午前8時半にホテルをチェックアウト.網の目のような天文館アーケード街は静かな日曜の朝からまだ目覚めていない.微妙に道が曲がっているので土地勘がないとヘンな場所に連れられていく.熊本中心部のアーケード街よりは “歓楽度” が低く,日常生活密着型という印象が残った.

◆[欹耳袋]昨日の高座では MacBook Pro からちゃんとディスプレイに接続できてシアワセになれた.あとでミラーリングの復習をしておこう:「OS X Yosemite: 複数のディスプレイを Mac に接続する」./Yosemite で mi がよく落ちるトラブルは,単に旧バージョン(2.1.10)を使っていたせいで,最新バージョン(2.1.12r5)にしたら問題は解消されたようだ.

◆[蒐書日誌]岩田俊一(責任編集)|昆虫科西ヶ原OB会有志『農技研昆虫科 — 西ヶ原三十年の記憶』(2013年4月発行,非売品, ii+67 pp.).旧農技研(現農環研)がまだ東京の北区西ヶ原にあったころの回顧談いろいろ.編者は元農業技術研究所病理昆虫部長だった岩田俊一さん.先日,この回顧録を pdf でいただいたので,鹿児島滞在中のスキマ時間にぱらぱら読んでいた.伊藤嘉昭・玉置佳男・三橋淳・藤條純夫などなどの寄稿が束ねられている.

◆天文館までスーツケースをごろごろ転がし,通りに面したバス停から8:15鹿児島空港行きの高速バスに乗る.空港への高速道の両側には茶畑が遠くまで広がっていた.鹿児島では昨日ソメイヨシノが開花したと報道されていたが,山々に見える薄紫色はヤマザクラだろうか.鹿児島にほんの数日滞在しているうちにすっかり春が到来してしまった.午前9時過ぎに空港着.さつま揚げとかるかん饅頭をすかさずゲット.手抜かりなし.おみやげをスーツケースに詰めてからチェックイン完了.日曜日なのに空港内は何だか人が少なくて静かだった.ソラシドエアーの黄緑色が春の日差しをはね返している.

◆チェックインをすませて身軽になったので,空港ビル3階の端っこにある〈キッチンさつま〉へ.黒豚メンチカツが人気メニューとのこと,開店直後で,お昼には やや かなり早かったけど,えいやっと喰ってしまった(鹿児島に来てからというものとてもよく食べた).揚げたてアツアツの黒豚メンチカツはジューシーでとてもうまかった.黒豚とんかつよりも黒豚メンチカツの方が高いとはすごいな.黒豚メンチカツカレーというメニューもあった.各地の空港にはそれぞれ名物食堂があるものだ.午前10時半,保安検査場突破.羽田行きのフライトはほぼ満席とのこと.単に飛行機のサイズが小さいせいかな.

◆鹿児島を午前11時過ぎに離陸,午後1時前に羽田着.ただちにモノレールへ.都内はよく晴れて,気温は18.5度まで上がっている.しかし,鹿児島に比べればやっぱり涼しい.なんと,TXには冷房が入っているではないか.午後3時前つくば帰還.やはり長旅であった.

◆夕餉には鹿児島空港で買った揚立屋のさつま揚げがさっそく登場.芋きんつば(四色)とかるかんは明日のお楽しみ.

◆本日の総歩数=8457歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


21 maart 2015(土)※お座敷と宴の夜更け

◆午前5時半起床.気温14.6度.午前いっぱいホテルで粘りまくる.まったくもう,いつものていたらく.

◆「油断するな,ここは Yosemite だ!」 —— 紙芝居を(まだ)つくっている真っ最中に,いきなり Yosemite が「更新するぞ!」と宣言.従順に更新してあげたら,日本語入力機能が逝去してしまい,あわてて Google 日本語入力を再インストールするはめになった.Yosemite 本来の日本語IMは行方不明になったまま.このように Yosemite 人柱は日々増えているのだろうか.切羽詰まっているユーザーをいきなり崖から突き落とす Yosemite に返すべきことばなし.死して屍拾う者なし

◆[蒐書日誌]近刊近刊〜:畑農敏哉『アマチュアオーケストラに乾杯! :素顔の休日音楽家たち』(2015年4月下旬刊行予定,NTT出版,東京, ISBN:978-4-7571-7048-3 → 版元ページ).最初の構想の通りに,ちゃんと本になってよかったねー.

◆正午前,ホテル近くのラーメン専門〈ふくまん〉へ.フロントでもらったガイドによると,地元では行列のできるラーメン店とのこと.ランチタイムになる前にすべりこんだ.厨房では何人も忙しそうに立ちまわっている.メニューは山形屋ウラの〈鷹〉と同じく,「ラーメン/大盛りラーメン/めし」の三点セットのみ.これが鹿児島デフォルトなんだろうか.スープは澄んだ鶏ガラ味.もやしとチャーシュー,青ネギのみとこれまた〈鷹〉と同じ.生うずら卵がトッピングされている.大根の漬物は取り放題.すっきりと旨いスープが印象に残る.ふと振り返れば,店外まで行列ができていた.鹿児島デフォルトの底力を見た.この〈ふくまん〉とか〈鷹〉とまったく対称的な鹿児島ラーメンが天文館の〈我流風〉のラーメン.とんこつスープのやや濃厚な感じは熊本を思い出す.〈三平ラーメン〉の黒味噌味は味覚主成分軸がまったく別のような.いずれにしても連日よく飽きずにラーメンを喰ったものだ.

◆午後,郡元キャンパスへ.午後4時の気温は21.2度と高いことは高いが,湿度が56%と低いせいか,昨日までと比べて格段にしのぎやすい.それにしても鹿児島大学キャンパスのなんと南国であることか.

◆本日のお座敷 —— 第62回日本生態学会大会・自由集会W28〈道具としての「形態測定学」:昆虫のかたちの定量化法〉【日時】2015年3月21日(土)17:30-19:30@鹿児島大学(郡元キャンパス)J会場 → 講演要旨

午後5時,自由集会の会場にてセットアップ中,またまた Yosemite がディスプレイにつながらへん症候群が発症し,Option ボタンを押してもぜんぜんアカンかったが,橋本さんのご尽力によりちゃんと映るようになりました.拝みまくるスタート前.

午後5時半スタート.高橋さんによる趣旨説明のあと,最初のトーク:三中信宏「昆虫形態学の形態測定学への貢献の歴史」.形態形質の相同性概念についての Remane と Hennig の議論を前フリにして,昆虫学者・松田隆一の相対成長への深い関心が,カンザス大学昆虫学科に彼が在籍していたとき,数量表形学派の Robert R. Sokal そして F. James Rohlf も同じ学科にいて,彼らからの研究上の影響に裏打ちされていたのだろうという噺をした.

続いて,橋本佳明さんたちの「画像認識技術を活用して生物多様性を読み解く:生物多様性創出機構としての擬態現象」という講演. “企業ヒミツ” だらけだそうで,こんなところにポロッと書いたら袋叩きにされるだろう.大量の昆虫形態画像から形状特性を自動的に抽出するための新手法の開発について.さらに小沼順二「マイマイカブリにみられる巨頭型と狹頭型の定量化」の講演は,甲虫の頭部形態の変異に関する形態測定学と全ゲノム解析との連携という話だった.今回の自由集会は時間的には余裕がある進行だった.

◆自由集会後は中洲〈すし源〉にて午後8時から懇親会.午後11時に終わって,涼しい夜風に吹かれて金生町までてくてく歩く.日が変わったちょうどにホテル帰還.お仕事はこれにておしまい.明日はつくばに帰るだけの簡単なお仕事.

◆本日の総歩数=13219歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


20 maart 2015(金)※歩けば遠くの郡元へ

◆午前5時半起床.14.8度.外はもちろん真っ暗.今日は朝イチでホテルを出発する.昨日よりも気温が低いが,それでも蒸し暑い.

◆午前9時前,曇り空の鹿児島大学郡元キャンパス着.気温は昨日よりも低めだが,湿気はあいかわらず高い.生態学会大会B会場にて企画集会T02〈系統関係に基づく種間比較研究の最新の展開〉のスタートを待っている.

  • [鹿児島]系統的種間比較法(PCM)の理論的基礎は1980年代はじめには確立しているので,手法的にはすでに長めの歴史がある.ぜんぜん新しくない. posted at 09:04:31
  • [鹿児島]をを,Felsenstein 1985 の総復習か. posted at 09:05:32
  • [鹿児島]独立対比法(Felsenstein 1985)は古いが,系統一般最小二乗法(Grafen 1989)は最近になって急激に適用事例数が増えている. posted at 09:08:52
  • [鹿児島] @yokuyama さん講演真っ最中.チャルメルソウ愛. posted at 09:22:41
  • [鹿児島]チャルメルソウの送粉様式と花香成分組成の種間比較. posted at 09:27:21
  • [鹿児島]ライラック・アルデヒド生合成能が種分化のきっかけ.遺伝子も特定されている. posted at 09:34:41
  • [鹿児島]RAD-seq の大量データに基づく系統推定を実行する. posted at 09:39:59
  • [鹿児島]次は遊佐陽一さんのフジツボ系統比較の講演. posted at 09:45:21
  • [鹿児島]BayesTraits ow.ly/KySV5 posted at 09:50:14
  • [鹿児島]MCMCglmm on R 一般量的遺伝学法.もっとも一般的な種間比較法? posted at 10:08:49
  • @leeswijzer CRAN > MCMCglmm: MCMC Generalised Linear Mixed Models ow.ly/KyUqc posted at 10:10:43
  • @leeswijzer R での系統推定・形質復元・種間比較ツール一覧.CRAN Task View: Phylogenetics, Especially Comparative Methods ow.ly/KyUIW posted at 10:15:54
  • [鹿児島]鳥類の托卵に関する ABC-PCM 法の適用. posted at 10:20:24
  • [鹿児島]従来の種間比較法(ブラウン運動モデル)では,祖先形質状態と分散をパラメーターにもつ.しかし,観測データに合わない.ブラウン運動ではないということ. posted at 10:22:44
  • [鹿児島]分散共分散行列をひとひねりする.ACDCモデル(加速・減速モデル)は枝の引き伸ばしをする.Blomberg et al.'s Correlation Structure ow.ly/KyVmH posted at 10:27:40
  • [鹿児島]もっと自由に ABC! posted at 10:28:30
  • [鹿児島]やっぱり www.mpcm-evolution.org の沓掛さんの論文を読んでから考えよう. posted at 10:35:47
  • @TetYahara 愛が足りない? posted at 10:36:42
  • [鹿児島]次のトークも ABC! posted at 10:37:24
  • @TetYahara ABC は論よりランですぜ. posted at 10:40:20
  • @TetYahara 鹿大のイスは硬いので一枚くらいあった方がいいかも〜 posted at 10:42:18
  • [鹿児島]何でもかんでも ABC! posted at 11:03:12
  • [鹿児島]企画集会おしまいっ. posted at 11:03:33

◆市内は曇りときどき晴れ.正午前の気温は18.9度とやっぱり厚手の長袖では適応度が有意に下がってしまう.鹿児島大学から道路1本隔てた近くの定食屋〈車や〉にてランチ定食.お魚や海産物の定食メニューがずらりと.ネタが新鮮で大アタリ.「まだらの白子と野菜天ぷら定食」をばくばく完食した.

◆午後は総会とか学会賞受賞講演とか非会員のワタクシには無縁の公式イベントがずらりと並んでいる.とりあえず,市電で金生町のホテルまで帰って一休みする.シエスタのまどろみは桜島から降ってきた巨大な本によって破られた.闇の依頼は二つ返事でお引き受け.

◆今宵も一人飲みをと目論んでいたが,急遽スケジュールが大きく変わった.金曜の夜+巨大学会ポスト懇親会の大波という悪条件が重なり,どこの店も満席お断りの続出.予約がもうタイヘン.午後7時,福岡日帰りピストン移動を敢行した “飛ぶ教授” とともに,天文館の〈おごじょ家・総本店〉へ.焼酎600銘柄の “壁” の壮観.午後10時前,飛ぶ教授とともに天文館からホテル帰還.学会帰りらしきクラウドが点々と.天文館グリーンリッチホテルの裏にある日本酒立ち飲みBar〈桜〉の前を通り過ぎた.誘引されたわけではない.

◆今夜の乱行は明日に差し支えるのでさくっと帰還したものの,明日の紙芝居はまだ仕上がっていない……(おいっ).

◆本日の総歩数=8393歩. 朝◯|昼△|夜×. 計測値(前回比)=kg(kg)/ %(%)


19 maart 2015(木)※蒸し暑い鹿児島の街

◆午前4時半起床.明け方の気温21.2度ってありえへんでしょう.アロハを持ってくるべきだった.まだ外は真っ暗.いきなり雨がぱらぱら降り始めた.午前6時,やっと外が明るくなってきた.早朝のうちに雨雲が通りすぎてくれるどころか,本降りの雨になってしまった.しかも郡元キャンパスまで歩いて行くというのはワイルドすぎる.しかも,学会開催地に乗り込んでからドロナワ仕事をするという binge-worker ぶり.うわ,土砂降りだー.

◆[蒐書日誌]デザインの進化 —— Philip Steadman『The Evolution of Designs: Biological Analogy in Architecture and the Applied Arts, Revised Edition』(2008年刊行,Routledge, London, ISBN:978–0–415–44752–2 [hbk] → pdf)※参照記事:Michal Piasecki | Evolve Ring Silver launches today | December 9, 2009.

◆[欹耳袋]昨年 expire した「PAUP* 4.0d142」の後継バージョンが公開された.最近はあまたの系統推定ソフトウェアが出回っているが,1980年代から使い続けている PAUP は今でも重宝する.そういえば今は亡き「MacClade」も愛着があった.PAUP と MacClade を使うために Mac ユーザーになったようなもの.

◆お昼前,やっと雨が上がってくれたのでほっとした.正午の気温は18.0度とやっと20度ラインを切ったが,湿度92%で梅雨時のようなじめじめ天気.道行く人は半袖Tシャツ姿がちらほらと.不快指数が高すぎる.鹿児島市内に名所はいろいろあれど,ホテルの真向かいに見えるこの山形屋デパートの風格がにじみ出るビルは印象的.鹿児島スゴイ.昨日のお昼は山形屋デパートの真裏にある〈ラーメン専門・鷹〉へ.メニューは「ラーメン」「特大ラーメン」「めし」の三つしかない.昔なつかし系のシンプルなラーメン.店内はしっかり冷房が入っていた.午前中に雨を降らせた雲は消え去り,青空が広がってきた.午後2時の気温は19.5度.北西風が吹き込んでちょっとだけ不快ではなくなった.

◆[欹耳袋]NHK News「人間国宝 桂米朝さん死去」(2015年3月19日)

◆今回の鹿児島高座に関係する松田隆一(Ryuichi Matsuda)備忘メモ —— 関連文献など:

  • Ryuichi Matsuda 1960. Morphology, Evolution, and a Classification of the Gerridae (Hemiptera-Heteroptera). University of Kansas Science Bulletin, 41(2): 25-632. pdf [BHL: open access]
  • Ryuichi Matsuda and F. James Rohlf 1961. Studies of relative growth in Gerridae (5), comparison of two populations (Heteroptera: Insects). Growth, 25: 211-217.
  • Mary J. West-Eberhard 2003. Ryuichi Matsuda: A tribute and a perspective on pan-environmentalism. Pp. 109-116 in: Brian K. Hall, Roy D. Pearson and Gerd B. Müller (eds.), Environment, Development, and Evolution: Toward a Synthesis. The MIT Press, Massachusetts. 版元ページ
  • 鈴木邦雄 2012. 進化発生生物学の隆盛と松田隆一博士(1920−1986)の‘汎環境主義’. 昆蟲(ニューシリーズ), 15(3): 133-150. pdf [CiNii: open access]

松田隆一が在籍した1950年代末から60年代はじめのカンザス大学昆虫学科には Robert R. Sokal や F. James Rohlf も同時期に在籍し,クラスター分析(UPGMA)の開発とともに数量表形学の導火線を用意していた.同じカンザス大学で Sokal や Rohlf と研究上のつながりがあった松田の相対成長への関心が形成された背景が気になる.

◆学会開催地に乗り込んでから高座の紙芝居をじたばたつくるという悪癖が身についてしまった.今回もまさにその通りで,日中はホテルに引きこもる.ふと気がつけば夕闇に山形屋デパートがライトアップされる時間になってしまった.今宵の背徳タイムの開幕だ.一人飲みのいいところはどんな狭いお店でも心置きなく入れるところ.今日は高見馬場からスタート.まだ早い時間帯だったのでお一人様を満喫した.どんどん選りすぐりの焼酎を出してきてくれる.あ,こりゃスゴイ品揃え.知覧の〈武家屋敷〉を皮切りに,屋久島の〈大自然林〉,〈萬膳〉,〈村尾〉,最後は〈三岳〉をチェイサーに〈古八幡〉を.次は路地裏へ.とび魚のつけ揚げは,ボールみたいなまん丸のさつま揚げを半時間かけてゆっくり揚げてくれる.これはうまい.鹿児島に来た甲斐があったというものだ.高見馬場の奥深くにある店なので酔歩で発見するのはとても難しいだろう.

◆そんなこんなで,紙芝居づくりは明日もまだ続くのだった.身から出た錆か,はたまた馬の耳に念仏か(orz).

◆本日の総歩数=6712歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


18 maart 2015(水)※噴煙と焼酎の薩摩へ

◆午前5時過ぎ起床.夜明け前の米とぎ.気温は10.9度.午前6時の時の鐘が鳴り響く.旅支度はいつもドロナワ仕事だ.

◆薩摩出撃の朝 —— 午前10時前,つくば駅.気温はすでに15度を越えている.では薩摩へ出撃だ.MacBook Pro の「輝度の自由調節」を即座にオフ.車中では酔いそうになる.浜松町でモノレールに乗り換え.都内の気温は17度超の暖かさ.春服で正解だった.しかし,鹿児島は20度超の予報.マニュエル・リマ『THE BOOK OF TREES — 系統樹大全』のブックフェア企画に関する連絡あれこれ.今月中には始まるらしい.

そうこうするうちに地下に潜って羽田空港第二ビル着.即座にチェックイン.さすがに平日のお昼は空いている.これまで使えた Haneda-Free-Wifi を MBP が拒否ったので,しかたなく WiMAX ごそごそ.羽田空港ではトルコパンがうまい.保安検査場突破.鹿児島の市街地は人生初なので,もちろん『るるぶ鹿児島』をしっかり予習している.

13:15羽田発のソラシドエアーは桜島の噴煙を回避しつつ大回りに鹿児島空港に着陸した.定時の15:15.生態学会参加者らしき人たちが “ゲバ棒” を抱えて足早に歩いている.午後4時前,市内行きバス乗車.鹿児島は曇りときどき小雨が降るあいにくの空模様.気温19度で蒸し暑い.空港からひたすら下り続けて,やっと市街地が眼下に広がる.意外に近くに噴煙を上げる桜島が.おお,これが薩摩ですかそうですか.金生町のホテルにチェックイン.午後の最高気温は21.0度だったが,やっと20度を切るくらいまで下がってきた.湿度が高くじめじめしている.やはり半袖を持って来るべきだったと激しく後悔.

◆[欹耳袋]金子國義の訃報 —— 朝日新聞デジタル「画家の金子國義さん死去 退廃的な雰囲気の人物の絵」(2015年3月17日)|毎日新聞「訃報:金子国義さん78歳=画家」(2015年3月17日)※京都御幸町の〈アスタルテ書房〉で,金子國義の版画集〈Méthonymie[換喩]〉を手にしたのは7,8年も前.そのことは『分類思考の世界』の4-1節冒頭で【種問題】の前フリとして書いた.いま過去帳を確認したら,2007年に京都大学基礎物理学研究所が主催した湯川秀樹記念国際シンポジウムの高座のときだった.

◆外が薄暗くなってきたのを見計らって,天文館通りの雑踏をかき分け,鹿児島市内では数えるほどしかない日本酒の店へ.焼酎文化圏のまっただ中にも,探せばちゃんと “日本酒レフュージ” が見つかる.まずは岡山〈嘉美心酒造〉の「しゅわしゅわ」発泡純米酒から.安定の〈飛露喜〉特別純米にはホタテのおつくりを.愛知〈米宗〉純米無濾過生原酒.これは初めて.ボディ強し.三重〈三重錦〉純米吟醸斗瓶取りうすにごり.そろそろ沈没かなあ.最後に味見したのは栃木の〈仙禽〉「Dolce Bouquet」無濾過生原酒.ワイン酵母を使った日本酒.ドイツワインそのもの.キケンすぎる.ということで,さくっとあがりにして,むしむしする小雨の中を鹿児島市電に乗って,ホテル帰還とあいなった.初日にしてはスマートに幕.天文館通りあたりでたくさんの生態学会参加者に遭遇するのではと思っていたのだが,ぜんぜんすれちがわなかった.

◆うう,発表のしたくが…….うう.(ぜんぜんスマートではない)

◆本日の総歩数=11161歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=92.1kg(0.0kg)/ 30.2%(+0.2%)


17 maart 2015(火)※なんだ,この陽気は

◆午前4時半前起床.まずは米とぎ.気温10.1度の暖かい夜明け前.春霞みの観音台は午前8時の気温がもう12.3度という暖かさ.20度超という予想最高気温はきっと達成されてしまうのだろう.今朝の BGM は Steve Reich の〈Sextet〉から始まる.

◆[蒐書日誌]ポール・J・シルヴィア[高橋さきの訳]『できる研究者の論文生産術:どうすれば「たくさん」書けるのか』(2015年4月7日刊行予定,講談社サイエンティフィク,東京, 192 pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-06-153153-6 → 近刊検索β情報)はアマゾンなどいくつかのネット書店で予約が始まっている.

◆午前の┣┣" 撃ち —— VAIO の R も最新版にアップデート.RStudio を起動すると「以下にエラー .rs.httpdPort() : 関数でないものを適用しようとしました」という警告が出るようになったが(Win / Mac 両方で),実害はなさそうなので放置しまくり./年度末の恒例┣┣" である所内「業績報告書」&「業績評価票」の二点セット提出だん.いつもの通り InDesign できれいな組版をした上で,いったんプレーンテキストに落としてから,あらためて Word の小汚い版組にやり直した上で提出した.InDesign から Word へのエクスポートは成功した試しがない.doc / docx / rtf のどれでも組版が崩壊する.InDesign から pdf に出力して Acrobat 側でやってもダメ.テキストファイルからの組版やり直しが最善の道.いずれにしても,鹿児島に出奔する前に年度末報告┣┣" を仕留められてよかった.

◆[欹耳袋]日本Pandocユーザ会:この Pandoc というツールを使うと文書間の相互移行がラクになるらしい.情報感謝.

◆お昼前,外はすでに18度を越えている.日差しが降り注ぐぽかぽか陽気の昼休み.気温は20.5度まで上がり,予報通りとなった.ロングコース徘徊.暑すぎてどうしようもないので,今年初の扇風機オン! 今日の最高気温は午後3時過ぎの21.7度だった.先日の京都&奈良巡業の戦利品が油長酒造のダンボール箱に入って届けられた.林立する一升瓶を冷蔵庫にきちんと格納するのはとてもたいせつなお仕事.開封の儀はおごそかに.〈風の森〉の 26BY ALPHA: Type I から始まって,26BY露葉風・純米,25BY笊籬採り山田錦純米吟醸,26BY雄町純米吟醸と同25BY.風の森は酒の森.そして,滋賀の〈七本鎗〉26BY純米吟醸無濾過生原酒中取り(玉栄)と〈不老泉〉26BY山廃純米吟醸無濾過生原酒(滋賀渡船),大阪の〈秋鹿〉の生酛「奥鹿」,最後は和歌山〈雑賀〉のバクハツ系「ネージュブラン」活性にごり酒.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「(女が生きる 男が生きる)「仕事も家庭も」に賛否 「メディアで働く」に反響」(2015年3月15日)

◆午後の┣┣" 撃ち —— 東大から明日の専攻教員会議(ワタクシは欠席)用の巨大な資料ファイルが届いた.OneDrive からダウンロードするんだが,いつものことながらどうしてこんなに時間がかかるのだろう.と思っていたら,pdf のサイズが「107MB」,頁数にして「635ページ」という超巨大な専攻教員会議資料が着弾した.うわ〜(明日はよろしくー).教員会議の資料が「電子化」されたこと自体はありがたいが,無慈悲にすべての案件が降り注ぐので逃げ場がありまへん.(今回は逃げられるけど)

◆[欹耳袋]川端裕人〈「研究室」に行ってみた。〉:清水健太郎(チューリッヒ大学 進化生物・環境学研究所 進化生態ゲノミクス)連載目次は,てっきり5回完結かと思っていたら,実は今日の第7回までとのこと.

◆夜,またしても旅支度しないと.今回は5日間の日程なので大きめのスーツケースが必要だ.

◆本日の総歩数=11501歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=92.1kg(−0.5kg)/ 30.0%(+0.1%)


16 maart 2015(月)※いればいたで観音台

◆午前5時半起床.外がもう明るいのはさすが関東.曇り空.気温4.5度.曇り空の観音台の週明け.気温は6.1度.北風がひんやり.春バージョンの服装ではちと寒いかも.朝イチの BGM はエディット・ピヒト=アクセンフェルトの〈フランス組曲〉から.

向こう一週間の鹿児島の予想最高気温の信頼区間の端っこに「25度」という数字が見えて恐れおののいている.京都や奈良では半袖の観光客をちらほら目撃したが,南九州も半袖が必要? 

京都みやげはたいてい和菓子であることが多いが,今回のお仕事出張では最終日に京都駅ビル地下の伊勢丹で〈仙太郎〉の「桜ぼた餅」を選んだ.レギュラー品の十穀ぼた餅もあるのだが,春だけの旬のものということで.

◆[系統樹大全]CINRA.NET「「中世の美徳と悪徳」から『X-メン』の家系図まで、約200点の「系統樹」紹介する書籍」(2015年3月15日)

◆午前の┣┣" 撃ち —— 不在中に堆積していたこまんじゃこ┣┣" どもは一網打尽にしてあげようね./連載第5回ゲラのチェック./メーリングリストの登録修正依頼2件./J-Stage の電子ジャーナル公開前の最終チェック./京都の復命書提出./某和文原稿の査読要修正箇所をちょこちょこ revise し,改訂原稿を編集部に送信./Cambridge University Press から出版に際しての「同意書」が送られてきた.この原稿の改訂は最優先でやらないといけない.Binge-writer(イッキ書き)にならないように.

◆[欹耳袋]人柱レポート(1) —— Yosemite では mi 起動時にときどきトラブルことがある.もう一回起動すればいいだけなので実害はまったくないのだが./R-3.1.3-mavericks インストール.うん,快適快適./Adobe CC メンバーシップ着弾(一年間).え,Adobe ID って,あったっけ.インストールはあとまわし.

◆ 薄曇りの昼休み.正午の気温は14.8度まで上がり,かなり暖かく感じられる日和になった.ロングコース徘徊.歩き読み:六草いちか『それからのエリス:いま明らかになる鷗外「舞姫」の面影』(2013年9月3日刊行,講談社,東京,364 pp., 本体価格2,500円,ISBN:978-4-06-218595-0 → 版元ページ).先日読了した:六草いちか『鷗外の恋:舞姫エリスの真実』(2011年3月刊行,講談社,東京,本体価格2,100円,ISBN:978-4-06-216758-1 → 版元ページ)の続編.

◆[欹耳袋]公開なう!:羊土社・実験医学online – 三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉連載第11回「正規分布を踏まえたパラメトリック統計学の降臨」※『実験医学』2015年3月号に掲載された記事のオンライン版.来月号で連載終了./羊土社『実験医学』2015年4月号 発売.三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉第12回(最終回)「統計データ解析の地上世界と天空世界 ― 連載の総括として」※こっちは紙のブツがまだつくばに着弾していない〜

◆午後の┣┣" 撃ち —— 請求書と契約書と同意書が絡み合う昼下がり.

◆[欹耳袋]人柱レポート(2) —— Adobe Creative Cloud インストール真っ最中.ワタクシの場合,InDesign CC が動いてくれないと高座の紙芝居がつくれない./Acrobat XI Pro のインストール中に「Safari Notification Agent を終了せよ」と命令されてしばしじたばた.「アプリケーション」>「ユーティリティ」>「アクティビティモニタ」で標的を指定して強制終了すればよい./ワタクシは InDesign と Acrobat があれば大半のお座敷仕事がすんでしまうので,Ps だの Ai だののお世話になることはほとんどない.しかし,Adobe 帝国には他にも大勢の兵隊さんがいて,こーいうのを使いこなしている人たちがいるんだ./いま数えたら「〜 CC」とネーミングされている兵隊さんが20人近くいる.

◆本日の総歩数=11487歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(+1.7kg)/ 29.9%(−1.4%)


15 maart 2015(日)※雨上がりの奈良徘徊

◆午前5時過ぎ起床.気温1.5度と冷え込みまくっている.昨夜は全力迎撃されたが,幸いにして「うう……」ではない.

◆[欹耳袋]太田和志 研究室Blog「新しいMacBookでプロジェクターを認識しない場合」(2012年11月28日)※「システム環境設定」→「ディスプレイ」で「optionキー」を押すと「ディスプレイを検出」ボタンが出現.昨日の橿原市昆虫館サイエンスカフェでは,プロジェクター接続が最後までできなくて,急遽 Win PC を借りた.新しい MacBook Pro の場合,こういうことがないように次回から気をつけよう.困ったら「optionキー」を押すべし.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「(食紀行)土壌次第 濃い甘さ一握り 塩トマト@熊本県八代市」(2015年3月15日)※確かに熊本で食べた塩トマトはバツグンにうまかった.

◆最終日の今日はつくばに帰るだけの簡単なお仕事なので,午前中は奈良公園から春日大社までのぶらぶら徘徊することにした.午前中は曇り空の奈良公園で鹿に追いかけ回される.

午後は奈良のアルトシュタット〈ならまち〉界隈の一角にある〈なら泉勇齋〉に立ち寄る.奈良のすべての蔵元の銘柄が試飲できるというすばらしいショップ.しかも午前11時から開店しているとは白昼背徳呑みの聖地.油長酒造〈鷹長〉の菩提酛,千代酒造〈篠峯〉雄町うすにごりの新酒,そして最後は〈金鼓〉のうすにごり新酒.いずれの試飲も200円〜なので,白昼背徳呑みしたい向きは奈良へどーぞ.

JR奈良駅ビルおみやげコーナーには〈風の森〉が林立していた.

◆かくして,今回の京都〜奈良の旅は行く先々で日本酒の艦砲射撃を浴び続けながらもミッションを完遂した.みやこ路快速で京都へ.帰りののぞみ号は満員だった.午後7時前につくば帰還.ほへー.明日からはまたフツーの平日労働日.

◆本日の総歩数=17802歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


14 maart 2015(土)※橿原にて高座と杉玉

◆午前4時半起床.気温6.5度.昨日と一昨日の日録更新.京都の朝はイノダから.堺町本店なう.冷たい雨がしとしと降っている.朝イチは「アラビアの真珠」である.午前7時の開店からまだ数分しか経っていないのに旧館はすでにほぼ満席.今日の橿原お座敷の紙芝居は最終チェック.あとはハンドアウト原稿を橿原市昆虫館に送るだけ.しだいに雨は本降りになってきた.午前8時の洛中の気温は4.7度と急降下している.午前9時すぎ,チェックアウト.

◆[欹耳袋]Jean-Baptiste Piggin | Notes on the History of the Stemma. ※西暦427年の『Liber Genealogus』に見られる樹形図ダイアグラムの例.聖イシドルスの『語源論』よりもさらに数世紀さかのぼる.

◆神がかる奈良の南へ —— 朝から冷たい雨が降り続く京都を後にして近鉄で南を目指す.目的地は橿原神宮前.雨しとしと.午前10時,気温はさらに低下して4.3度.冬ですかそうですか.大和西大寺にて近鉄奈良行きに乗り換え.重いスーツケースをホテルに放り込んでから,また近鉄で南下を続ける.大和西大寺から近鉄特急で一時間,11:44着.人生初の橿原神宮前駅に降り立つ.神武天皇陵とか石舞台古墳とか天の香具山とかゲニウス・ロキがいきなりヤマト神がかっている.冷たいしとしと雨が降り続いている.

◆本日のお座敷は天の香具山の東側にある橿原市昆虫館にてサイエンス・カフェの高座を一席.サイエンス・カフェ会場にはワタクシの図書コーナーが臨時で出現.午後の一時間をいただいて噺と質問タイム.50人近くのお客さんが集まったとのこと.

ところが,MacBook Pro が昆虫館のティスプレイに接続できないという不幸せが発生.けっきょく Win PC に紙芝居 pdf ファイルを引っ越ししてお座敷を務めることになった.症状としては「背景画像は取り込まれるが,ファイル内容が映し出されない」という不幸せ.般若心経の背景が神罰を受けたということか.

◆午後1時半,定刻にスタート:橿原市昆虫館・むしムシぜみな~る講演会サイエンスカフェ:三中信宏「サイエンスはアートである:万物の多様性を目で見ること」【日時】2015年3月14日(土)13:30〜15:00@橿原市昆虫館(奈良).一時間ぴったりでトークだん.珈琲休憩ちう.このあとフロアからさんざんツッコまれるらしい(汗).午後3時にサイエンス・カフェは終了.その後,サイン会とか質問タイムの続きとか.

◆スキマ時間に昆虫館を一周り.実に巨大な施設で,とくに大温室は年中トロピカルな蝶が飛び回っているという.橿原まで来たからには,全国の「杉玉」の総本山にして酒の大神,大神神社に詣でないことには神罰に触れる.雨に濡れる鬱蒼とした神社の森,そびえ立つ巨大な鳥居,山全体がご神体という畏れ多くも賢くも状態.そして,大神神社のお膝元の今西酒造にて利き酒を.爆発キケンなどぶろくが冷蔵庫に安置されていた.菩提酛と水酛で醸された日本酒もあり.酒米は露葉風.そういえばここは三輪素麺のお膝元でもあった.

◆橿原の夜は,歴史的町並み保存地区・今井町の〈粋庵〉にて懇親会.奈良の蔵元総出の迎撃の店.〈金鼓〉の「濁酒」からはじまり,〈櫛羅〉純米無濾過生原酒へ.もちろん〈風の森〉も.純米吟醸・雄町.初めての〈花巴〉の純米吟醸「弓弦葉」.午後9時近くまで呑んで,奈良駅前のホテルまで搬送される夜.うう…….雨上がりの夜は冷える.

◆本日の総歩数=12938歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


13 maart 2015(金)※北白川界隈を徘徊し

◆午前6時にいったん起床したものの,前夜の報いの「うう……」.しばし使いものにならず.

◆[系統樹思考]拙著:三中信宏『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』(2006年7月20日第1刷刊行|2006年8月4日第2刷刊行(正誤表)|2009年12月18日第3刷刊行(正誤表)|2010年5月10日第4刷刊行(正誤表)|2011年10月7日第5刷刊行(正誤表)|2013年6月28日電子本刊行, 講談社[現代新書1849], ISBN:4-06-149849-5 (ISBN:978-4-06-149849-5) → 版元ページ詳細目次反響録コンパニオンサイト)は来月めでたく第6刷重版がかかることになりました.長くご愛読していただきとても感謝です.

◆[蒐書日誌]ポール・J・シルヴィア[高橋さきの訳]『できる研究者の論文生産術:どうすれば「たくさん」書けるのか』(2015年4月7日刊行予定,講談社サイエンティフィク,東京, 192 pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-06-153153-6 → 近刊検索β情報)へのワタクシの推薦文(pp. vii-viii)ゲラが送られてきた.ちょこちょこ修正.

◆昨日に引き続き,日中は百萬遍あたりを徘徊しまくって,午後3時過ぎやっとホテル帰還.本日の歩数はすでに12,000歩を越えている.晴れては曇り,ぬくいようなそれでいて肌寒いようなビミョーな空模様の市内を歩きまくる.今日のランチは熟成赤身牛肉の「うでのビーフステーキ」.そう,腕.腕を食べるのはひょっとしたら初めての体験かもしれない.塩胡椒のみのシンプルな,しかも滋味のあるレア肉を噛みしめるシアワセ.お肉を喰ってやっと復活の兆しが.京都に来たら,ここは欠かせない.

◆[欹耳袋]考古学と系統学 —— M. J. O'Brien, M. T. Boulanger, B. Buchanan, M. Collard, R. L. Lyman, and J. Darwent 2014. Innovation and cultural transmission in the American Paleolithic: Phylogenetic analysis of eastern Paleoindian projectile-point classes. Journal of Anthropological Archaeology 34:100–119 [pdf]. /M. J. O'Brien, M. T. Boulanger, R. L. Lyman, and B. Buchanan 2015. Phylogenetic systematics. In: J. A. Barceló and I. Bogdanovic (eds.) 2015. Mathematics and Archaeology, pp. 232–246. CRC Press, Boca Raton(→ 版元ページ) [pdf].

◆今朝,送られてきたゲラのチェックをしていて思い出したのだが,来月から農環研は「独立行政法人」から「国立研究開発法人」と名称変更される.だから,新年度の原稿や出版物の所属名を間違わないようにしないと(名刺も更新しないとか).なお,略称は公式には決まっていないらしいが,「(国)」になるのかな.でも,それだと「国立大学法人」とごっちゃになるな.むしろ二文字にして「(国研)」がいいんじゃないか(ノスタルジーをこめて).

◆昨夜の乱行を深く反省し,今宵は綾小路にて天ぷらをゆっくり味わう. “お水” は昨夜とはBYちがいの〈不老泉〉山廃純米吟醸無濾過生原酒・備前雄町と〈十旭日〉26BY純米・五百万石のみ.カウンター席だったので,目の前で揚げたての天ぷらが味わえる.この日は生青海苔が絶品だった.仕上げは〈辨天娘〉26BY純米生にごり酒の燗酒.綾小路から仏光寺にかけてはここ数年の間に飲食店が何倍も増えているそうな.確かに,以前に比べて格段に夜の人通りが多くなっている.

◆明日は京都から奈良に移動し,橿原市昆虫館にてお座敷がある.奈良の南の方はあまり縁がない.橿原ももちろん初めてだ.

◆本日の総歩数=14211歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未測定/未測定


12 maart 2015(木)※弥生京都の春を愛で

◆午前5時前起床.気温2.2度.旅支度じたばた.

◆京都は春めいているのか —— 午前7時過ぎ,つくば駅.西への旅立ち.朝日がまぶしいつくばセンター.気温は4.1度と寒い.通勤ラッシュの山手線でぎゅうぎゅう詰めに運搬され,新幹線に乗り換え.のぞみ号はけっこう混んでいる.静岡に入り車窓の外は春らしい霞んだ青空が広がっている.新幹線車中から昨日の日録更新.午前10時半,名古屋に定時到着.岐阜に入ったあたりで遠くの山々のいただきは雪で真っ白.米原が近づくとどこもかしこも見渡すかぎりの雪景色となった.

◆浜名湖あたり通過.橿原市昆虫館での高座の紙芝居は昨夜のうちに仕上がって,いま “素読み” というか “素読” の真っ最中.講演原稿もないのに “素読[み]” もないものだが.ワタクシの場合,映しだされたスライドを突き放して噺をする習慣があるので,つくったスライドひとつひとつのコンテンツよりも,その “流れ(ストーリー)” がとても重要.噺の腰を折るようなスライド・ストーリーではたいへん困るのでその点だけはいつも注意している.

最近お呼ばれされるお座敷では「分類」「系統」「可視化」の三題噺がとても多い.客が毎回ちがうので同じことをしゃべればいいからラクだろうと思われるかもしれないが,いつも同じ話をするのはまったく “やりがい” がない.いつもちがうコンテンツを混ぜるのが大事.お座敷に呼ばれるたびに,新しい紙芝居をつくり,古いのをお蔵入りさせる.しかし,古いネタであっても,うまい使い方をすればいい味を出してくれる.この新旧のブレンディングは予想される客層を思い描きながら進めるので,実はこの作業がとてもおもしろかったりする.スライドを映しながら高座を進めるときも,スライドを「読む」のではなく,スライドに「乗る」.背後で流れるスライドを伴奏にして,自分はそのつどインプロヴィゼーションを愉しむ.

そんなわけで,ワタクシの場合は「同じ話」をすることは原理的に不可能ということだ.ワタクシの過去の高座の紙芝居はすべて保存している.それなりの情報をコード化すればスライドの配列と逆位と重複と交雑などを含む “系統推定” がきっとできるだろう.たとえば,どのようなネタが mutation しやすいかも見えてくるにちがいない.これはこれで楽しいネタになりそう.

◆[蒐書日誌]髙野彰『洋書の話・第二版』(2014年11月13日刊行,朗文堂,東京, vi+255 pp., 本体価格3,700円, ISBN:978-4-947613-91-2 → 次|版元ページ).洋古書の装幀や印刷についての基礎知識.

◆午前11時前,京都着.鴨川を越えて街中を移動.雲が多目めのお昼前は肌寒い.熊野神社を左折して東大路を北上し,京都大学医学部芝蘭会館・稲盛ホール到着.いつ見てもゴージャスなウツワである.今回のお仕事は日本計量生物学会の年次大会なり.この学会は年々「生物統計学=医学統計学」の色合いが強まりつつある.しかし,学生会いを含め,学会規模は年々大きくなりすでに600名を越えているらしい.お昼休み.学会の理事会がさくっと終了.ロビーではポスター・セッションの真っ最中.本日の理事会に出されたサンドイッチは〈Le Foujita〉@東大路近衛(京大病院至近)からのテイクアウト.かつて関西日仏学院に入っていたレストラン〈Le Foujita〉の後継店だとしまりすセンセイが説明してくれた.とてもうまかった.いまはテイクアウト専門のショップとして店が続いているとのこと.スキマ時間に第5回連載のゲラ修正.さすがに新品ノートPCだとバッテリーの元気がとてもよろしい.

◆午後のシンポジウムは medical imaging の形態測定と統計解析がテーマ.計量生物学会にしとはめずらしく関心を惹くテーマだった.

  • [京都]午後は medical imaging のシンポジウムなう. posted at 13:40:05
  • [京都]Voxel (= 3D pixel) からなる脳画像の operational voxel homology を目的とする.Affine / non-Affine deformation によって画像のマッチングを行う. posted at 13:46:25
  • [京都]離散コサイン変換という non-Affine 変形の処理法があるそうな.Kernel の線形結合という点では thin-plate spline と同じものか. posted at 13:47:47
  • [京都]non-Affine 変形の技法はどんどん進歩している. posted at 13:51:18
  • [京都]VBM = Voxel-based morphometry という medical imaging の分野がある. posted at 13:52:03
  • [京都]fMRI 画像処理はいまでも “職人技” の世界が広がっているらしい. posted at 14:00:41
  • [京都]voxel-based, tensor-based, surface-based morphometry. posted at 14:30:58
  • [京都]VSRAD www.vsrad.info posted at 14:32:13
  • @Yas8176 よろしく

◆[欹耳袋]Gigazine「手書きの数式を自動認識してLaTeXやMathMLにする「Web Equation」」(2012年2月3日).便利そう./Molecular Ecology & Evolution - Vienna, 22-24 June 2015 → 大会サイト

◆午後5時前,ホテルにチェックイン.夜の再出撃.まずは栃木〈大那〉純米吟醸・春摘み新酒おりがらみ.〈竹生島〉辛口純米無濾過生原酒に〈七本槍〉純米無濾過生酒・玉栄,〈不老泉〉山廃純米吟醸無濾過生原酒・備前雄町,〈菊姫〉山廃純米原酒・無濾過k-7そして〈風の森〉ALPHA Type-III.知り合いが次々集まるさかみち.

◆本日の総歩数=12764歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=90.9kg(−0.6kg)/ 31.1%(+0.2%)


11 maart 2015(水)※旅支度の前日に泥縄

◆午前5時前起床.気温はひさびさの氷点下0.3度.早朝の気温は氷点下2.4度まで下がり,観音台は氷が張る冷え込みとなった.朝から乾燥した冬晴れの空.午前8時の気温は3.5度.朝イチの BGM はショスタコーヴィッチ交響曲13番〈バービー・ヤール〉から.

◆[欹耳袋]大隅典子の仙台通信「研究業界を取り巻く過当競争の行方」(2015年3月10日) ※「生命科学の実験の多くは、手間暇かかるので、この分野はどうしても労働集約型になる傾向があります。」「競争に打ち勝ちながらハイインパクトの雑誌に論文を出そうとすると、人数が必要になります。」「研究のビギナーが「論文を書く経験が圧倒的に足りなくなる」ことを指摘しておきたいと思います。」「1本の論文の著者が多くなるということは、本当の意味で研究者になる訓練を受けられる人が減ることを意味するのです。」—このあたり,とても重要.労働集約型の生命科学研究では若手研究者は「本当の意味で研究者になる訓練」を受けられないのではないか,という指摘.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 最近は配布される事務連絡文書は doc か pdf だが,きっと元文書は一太郎でつくっているんだろうなあ.組合の書記長をやってたときは全農林中央から降ってくる文書の多くが jtd だったので,いっさい読まずに捨てていた.「宗教上の理由により一太郎はいっさい拒否します」と見解表明してみるか.ちゃんと “ハラル” した事務文書ファイルを持ってきてね./10:30〜 所内領域会議.11:30過ぎにやっと終わった./交響曲13番〈バービー・ヤール〉に続いて,交響曲14番〈死者の歌〉へ.

◆[欹耳袋]Ben Shneiderman | Treemaps for space-constrained visualization of hierarchies.樹形図マップ(treemap)という空間充填法を開発したシュナイダーマンのサイト./J.-B. Piggin 2013 The Great Stemma: a Late Antique Diagrammatic Chronicle of Pre-Christian Time. Studia Patristica, 62: 259–278 探索中.しかし,Studia Patristica などというジャーナルは質実剛健な農水独法研究所のどこの書庫を探しても見つからない.外部複写依頼.

◆今日は身を切る北風もなく,お昼休みは日差しが暖かかった.正午の気温9.5度.さんさんと降り注ぐ陽光と花粉を浴びながらロングコースの徘徊.歩き読み本:六草いちか『鷗外の恋:舞姫エリスの真実』(2011年3月8日刊行,講談社,東京,332 pp., 本体価格2,000円,ISBN:978-4-06-216758-1 → 版元ページ)読了.個人的な心情吐露が多いのが玉に瑕だが,よくぞここまで調べましたと感心して読みきった.それにしても著者の言う “偶然” が重ならなかったならいったいどうなったのか.

◆[分類思考]本日の残響:読書メーター「分類思考の世界のHanna Saitoさんの感想」.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後イチの BGM はショスタコーヴィチの最後の交響曲15番.何度聴いてもこの世の曲ではない.シロフォンが「カタカタ」鳴る音楽は要するに Totentanz(死の舞踏)だから./橿原市昆虫館高座の紙芝居をつくる昼下がり./四年目の 14:46.ここはもう〈ブエノスアイレスのマリア〉をBGMに流すしかないよねぇ.死と復活のために./ショスタコーヴィチ15番が「カタカタ」音をたてながらフェイドアウトしていった.あの世の世界.

◆[欹耳袋]川端裕人〈「研究室」に行ってみた。〉:清水健太郎(チューリッヒ大学 進化生物・環境学研究所 進化生態ゲノミクス)連載目次 ※「第1回 「新種誕生」を見にスイスアルプスへ行ってみた」から始まって,すでに3回目まで公開されている.あと2回.

◆夜もまた紙芝居づくりの続き.午後11時前,やっと100枚あまりのスライドを仕上げ,心安らかに寝るん〜♫•*¨*•.¸¸♪ .旅支度は明け方にまわす.

◆本日の総歩数=11779歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.5kg(−0.4kg)/ 31.1%(−0.2%)


10 maart 2015(火)※青空に吹き荒ぶ北風

◆午前5時前起床.まだ小雨が降り続いているようだ.気温7.5度.午前6時,雨上がりの青空が広がってきた.気温6.6度.雨上がりの観音台はいたるところ水たまりが点々と残っている.見上げれば真っ青な空.午前8時の気温は10.2度まで上がっているが,北風が強すぎて体感気温は冬並みに低い.朝イチの BGM は昨日の続きのマーラー3番第2楽章から.

◆[欹耳袋]新 MacBook について —— あー,アップル新ノート PC のネーミングは「MacBook Air」じゃなくって,「MacBook」になったんだぁ: MacBook 12 Retina.MacBook Air 11 よりは大きくても,サイズ的には「11.6」と「12」と大差なく,重量的にはむしろ軽くなっている.とりあえず,MacBook Pro に軸足を移しつつあるので,すぐに飛びつくことはないだろう.Cf: Gigazine「Appleが超軽量薄型「MacBook」を発表、12インチで新色ゴールドが追加」(2015年3月10日).

◆午前の┣┣" 撃ち —— 滋賀県農試からの統計コンサルタント業務1件./東大の学部見学旅行に関する連絡./来年度も “人間犬” になります希望を厚生にメール返信./めずらしく「.jtd」事務書類が配信されてきた.xfy がインストールされているので,Mac OS X でも一太郎の文書ファイルは支障なく xhtml に変換して読むことができる.もちろん Yosemite でも起動できることは確認済み./旧 MacBook Air 11 のバッテリー状態が「間もなく交換の時期です」と表示されるようになってしまった.ヘタってきたことは実感していたが,あえて交換するよりも静かにリタイアさせるべきかも.2011年3月11日午後の震災直前にわが研究室に着便したという経歴がある.

◆感動の3番が終わったので,次は〈夜の歌〉しかない.ジンマン&チューリッヒ・トーンハレ./ひさしぶりに居室の “ポパー神棚” をチェックしてみたら,『開かれた社会とその敵(全2巻)』(1980年3月/6月, 未來社)を買ったのは「1980年7月5日」と記入されている.出たばかりの新刊をすぐに入手したのだろう.農学部の修士1年のときのことだ.それを含めて,『科学的発見の論理(全2巻)』『推測と反駁』『客観的知識』『歴史主義の貧困』など当時入手できるポパー本はすべて1980年のうちにゲットしていた.現在これらのうちいったい売られているものがあるのかどうか.

◆朝はすっきり快晴だったのに,昼休みはどんよりした曇り空に.正午の気温は11.9度.冷たい北風が吹きつけ,ときどき雲間から小雨がぱらつく.それでもロングコースで徘徊小一時間.日の歩き読み本:杉田敦『静穏の書:白い街、リスボンへ』(2015年1月31日刊行,彩流社,東京, 143 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-7791-2079-4 → 版元ページ)読了.アジールである.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後の BGM.マーラー5番が終わったので,次は〈復活〉しよう.復活だ,復活するんだ.インバル&フランクフルト放送響./Apple サポート「Mac ノートブック:バッテリーの充放電回数を確認する」 ※バッテリーの充放電回数の上限は「1000回」なのに,旧 MacBook Air はなんと「1318回」も充電を繰り返していた.ヘタるはずだ.今までノートパソコンのバッテリー充放電回数なんか気にしたことなかったが,勉強になるねぇ.旧 MacBook Air は2011年3月11日からまる4年も使い倒したからしかたないのかも.もっと頻繁にちゃっちゃっと買い換えれば,きっとバッテリーの耐用年数なんか気にしなくてもよかっただろう.

◆[欹耳袋]体系学三題 —— Taxonomy Training | Philosophy of Biological Systematics, 7-11 Sep 2015 ※講師はロスアンゼルス郡立自然史博物館の J. Kirk Fitzhugh.「Modern Taxonomy 2014-2015」にはほかにもおもしろそうなコースがいくつかある./The Genealogical World of Phylogenetic Networks | David A. Morrison | Multiple sequence alignment | 4 March 2015./TreeThinkers | UPDATE: Must read papers for graduate students | 24 February 2015 ※確かに大学院生ならこれらは必読論文だろう.

◆北風が吹きすさぶ夕暮れ.午後5時の気温は6.9度.今宵は温まるものをいただかないと.

◆本日の総歩数=8754歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.9kg(+0.3kg)/ 31.3%(+0.7%)


9 maart 2015(月)※雨のどんより週明け

◆午前5時過ぎ起床.気温8.4度.霧雨が降る観音台は午前8時の気温が8.9度と肌寒い.今日は夕方以降に本降りになるとの予報.降り出しはいつだろうか.週明け朝イチの BGM は Musica Antiqua Köln の〈フーガの技法〉から.

◆[系統樹大全]夜明け前に,メーリングリストへマニュエル・リマ[三中信宏訳]『THE BOOK OF TREES — 系統樹大全』の新刊案内を流した.売れてください売れてください.書店には今日から並び始めるでしょう./Digressions「マニュエル・リマ『THE BOOK OF TREES』」(2015年3月4日).早くも新刊への反響を耳をダンボにして待ち受ける.

◆午前の┣┣" 撃ち —— Parallels Desktop on Mac OS X (Yosemite) での Win ソフトウェア使用メモ:仮想ドライヴでのデータ・ファイルの発見するには,「ファイルの場所」>「ローカルディスク(C:)」>「Program Files (x86)」と順にたどっていけばOK.それにしても実ドライヴではいったいどこに実在しているのか,探してもぜんぜんわからない……/新しい MacBook Pro はさすがにバッテリーが元気なので安心して使える./奈良の飲み屋情報がいっぺんに集結したような.風の森は “神域” らしく立入禁止.さすが奈良.まずは大神神社の酒神さまにお参りしてから,近鉄・大和八木駅近くの風の森へ.

◆[蒐書日誌]ポール・J・シルヴィア[高橋さきの訳]『できる研究者の論文生産術:どうすれば「たくさん」書けるのか』(2015年4月7日刊行予定,講談社サイエンティフィク,東京, 192 pp., 本体価格1,800円, ISBN:978-4-06-153153-6 → 近刊検索β情報)※版元ページはまだ開設されていないが,近刊検索βに書誌情報が載った.すでに,アマゾン紀伊國屋書店hontoホンヤクラブなどいくつかのネット書店では予約受付を開始している.本書冒頭にワタクシの推薦文が載る:三中信宏「千字の文も一字から:これなら書ける!究極の指南書登場」.檄文というかアジ文というか.

◆午前の一仕事が長引いてしまって,お昼休みになだれこむ.やっと一息.記念すべき?6万ツイートに到達.はい,よく書きました.午後はバッハ〈音楽の捧げもの〉を聴いている場合ではないので,マーラー後期交響曲群のイッキ流しですっ(社会のメイワク).最初はマーラー6番からいくぞ! ジンマン&トーンハレ・チューリッヒのマーラー交響曲全集.

◆[蒐書日誌]古書3冊 —— 脇村義太郎『回想九十年:師・友・書』(1991年9月18日刊行,岩波書店, 東京, xiv+358 pp., ISBN:4-00-000339-9).名著である脇村義太郎『東西書肆街考』(1979年6月20日刊行,岩波書店[岩波新書・黄版87], ISBN:4-00-42087-3)の著者による回想の記録./池内紀(編著)『西洋温泉事情』(1989年12月20日刊行,鹿島出版会,東京, 268 pp., ISBN:4-306-09311-5)/長山一夫(料理・著)・田島一彦(アート・ディレクション)・与田弘志(写真)『Sushi 鮨』(2003年10月16日刊行,ピエ・ブックス,東京, 252 pp., ISBN:4-89444-292-2).

◆午後の┣┣" 撃ち —— /新刊本の “蟲採り” の極意は「大きすぎる字」と「小さすぎる字」にターゲットを絞ること.前者はゲラ読みでは油断して不覚を取られるから,後者は経年視力減退による不可抗力的な見逃しのため.今のところ後者の「3頭」だけですんでいる./年度末恒例の農林水産研究情報総合センター利用報告だん.忘れてはいけません>なかのひと./蟲がさらにもう一匹……(orz)./今月末までの┣┣" 撃ちリスト更新./来月の所内・設計検討会の日程調整返信.気分はそろそろ新年度.

◆ジンマンの6番が終わったので,次はインバル&フランクフルト放送響の〈千人の交響曲〉だ! どんどんいくぞ./ふと気がついたら,外はもう雨が降っている.

◆[欹耳袋]Togetter -「上京した若者が帰らない理由の一つは「中学時代の力関係が大人になっても続くから」」 ※故郷を離れたらすべての「縁」をいったん切ればいいじゃん.次に会うときはどうせまったくの他人なんだし.そもそも「スクール・カースト」などという名前を付けてしまったために,そういう “社会的階層” があるかのように思い込んでしまっている人が多いんじゃないか.いわゆる "fallacious reification" あるいは単なる「第一種過誤」だろう.そういう概念を一般化しても意味はなく,むしろ個別事例の各論をケースバイケースで見ていかないと.われわれはしょせん “時空切片” でしか生きていない.かつての子ども時代の力関係をいつまでも振りかざしたりするのは救いようがないアホでしょうし,その一方でいつまでもそれを気に病む側はこれまたタワケでしょう.人生のある時期にたまたま微小時空間を共有したからといって,過ぎてしまえば単なる赤の他人です.気にすることはない.

◆鳴り響く〈千人の交響曲〉が終わったので,最後は春を呼びこむ交響曲3番だ.サロネン&ロスアンゼルス・フィル.

◆[欹耳袋]松谷みよ子 Official Website「訃報」(2015年3月9日)※先月末に亡くなったとのこと.松谷みよ子といえば,ワタクシにとっては,絵本作家ではなく,むしろ『現代民話考(全12巻)』の編者のイメージの方がより強い.松谷みよ子(編)『現代民話考』は1985年〜1996年に立風書房から出た初版が本棚に並んでいる.10年後の2003年〜2004年ちくま文庫から復刊された.あまり評判を呼ばなかったように記憶しているが,この現代民話の集積はただごとではない.

◆本降り雨の中を撤収.ときおり雷ごろごろ.

◆本日の総歩数=4863歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.6kg(−0.3kg)/ 30.6%(−0.2%)


8 maart 2015(日)※雨と雨と隙間の日曜

◆午前6時過ぎ起床.雨上がりの曇り空.気温は5.8度.朝日も差さず,じっとりした冷え込みが続く.小雨が降り続く午前11時の気温は8.6度.冷え冷えしたお昼前.正午を過ぎて晴れ間が急に広がってきた.気温8.4度.今日は一歩も外に出ず.

◆[蒐書日誌]少数例のまとめ方 —— 中野円佳『「育休世代」のジレンマ:女性活用はなぜ失敗するのか?』(2014年9月20日刊行,光文社[光文社新書・713], 東京, 349 pp., ISBN:978-4-334-03816-8 → 目次版元ページ)の書評をやっと書いた.先々月にはすでに読み終わっていたのだが,なんやかんやで今日になってやっと感想をまとめることができた.

本書は,就職した女性が利用可能な職場環境と育児資源をどのように利用しながらライフコースを刻んでいくのかを具体例を挙げながら論じている点で,ワタクシにとってはたいへん興味深かった.第1章「「制度」が整っても女性の活躍が難しいのはなぜか?」では,著者が本書を通じて解明しようとしている問題をはっきり示す:

男性と同等に仕事をバリバリしようとやる気に燃えていた女性が,ずっと働き続けるつもりで就職したのに,結婚や出産をして結局会社を辞めていくのはなぜなのか.(p. 39)

著者がとくに注目するのは,女性のライフコースのなかで,いったん就職してから結婚・出産するまでの期間にどのような社会的条件と当人の意識が絡み合っているのかという,これまでほとんど調べられてこなかった問題である(p. 38, 図1).

続く第2章「「育休世代」のジレンマ」では,実際にインタヴューした被験者たち(計15名:p. 65, 表1)を説明する.本書の主張の論拠となる情報提供者の彼女たちはいずれも「育休世代」に属している.本書ではこの「育休世代」を次のように定義している:

1999年の改正均等法の施行,2001年の育児・休業介護法の改正などを経て,制度的にも人数的にも女性の就労継続可能性が拡大してから入社した世代を,本書で「育休世代」と呼ぶことにする.(p 51)

仕事をもつ「育休世代」の女性にはふたつのプレッシャーがのしかかっていると著者は指摘する:

「育休世代」が育ったのは,女性に対して,ただ単に仕事と育児の両方をこなすだけではなく,2つのより高いプレッシャーがかかっていった時代に重なる.1つ目は,「男並み」に仕事で自己実現をすることをたきつけられる「自己実現プレッシャー」,2つ目は,できれば早めに母になり,母として役割を果たすことを求められる「産め働け育てろプレッシャー」である.(p. 51)

第3章「不都合な「職場」」では,職業をもつ女性(あるいはワーキングマザー)が働く職場が抱えるいくつもの深刻な問題点を論じる.著者はインタヴュー内容を分析することで,現実の職場の中で働く女性が直面する状況とその背後の要因に切り込んでいく.

ワーキングマザーにとっての最大の障壁のひとつは,一方でワークライフバランスの論議が女性の両立支援が推進されたとしても,他方で長時間労働を前提とする職場の風土や文化がほとんど手つかずのまま温存されていることにある.この障壁がもたらす問題のひとつが「マミートラック」である:

[出産]復帰後の女性の処遇については,いわゆる「マミートラック」に追いやられる問題が指摘されている.マミートラックとは,出産後の女性社員の配属される職域が限定されたり,昇進・昇格にはあまり縁のないキャリアコースに固定されたりすることである.(p. 86)

著者は,この「マミートラック」問題がワーキングマザーの心に及ぼす悪影響とくに仕事に対する「やりがい」の減退につながっているのではないかと指摘する:

経営学者の高橋伸夫(2004)は,従来,日本企業は社員に対し,金銭的な報酬よりも,「次の仕事」によって働きに報いてきたとする.仕事への高評価が,やりがいのある「次の仕事」につながり,結果として昇進や昇給をしていくというのだ.ところが,ここで「評価」されるのは,客観的に計れる成果や生産性というより,長時間労働に象徴される「企業へのコミットメント」であることが多い.となると,時間制約がある社員が評価されないことによって失うものは,昇進や昇給だけではなく,仕事内容そのもののやりがいとなる可能性が高い.(p. 90)

著者が力説するのは,ワーキングマザーに対する「過剰な配慮」からマミートラックに追いやることでも,あるいはその裏返しの「配慮の欠如」によってやりがいを削り取るのでもなく,むしろ「仕事内容を変えない」ことでワーキングマザーのやりがいを高く維持するような「適切な配慮」だと言う(pp. 94 ff.).もうひとつ重要な点は本人のアピールだ:

育児中の女性社員は,本人が力説し猛アピールしない限り,通常の「育成ルート」からこぼれおちていくように見える.…… 働く母親が,自らアピールして自己責任で仕事を引き受けていく葛藤は非常に大きい.(p. 100)

次の第4章「期待されない「夫」」は育休世代のワーキングマザーの家庭生活に踏み込む.著者が着目するのは,夫の果たす役割である.個々の家庭生活を顧みない職場の文化や風土は,女性よりも男性に対してより強いプレッシャーを与えている:

長時間労働が常態化している職場では,同じ「残業をせずに帰る」という行動を,女性がするよりも男性がする方が周囲の見方はより厳しくなりがちである.(p. 145)

その結果,夫の家庭や育児へのコミットメントは期待されず,要因のからみ合いは複雑になる(p. 154, 図3).さらに,国内外の転勤に伴う夫婦の “二体問題” が生じれば,さらに負担が増えると著者は指摘する.家庭生活と職場風土とのはざまで,ワーキングマザーたちが職場を去るまたは去らない決断をどのように下しているのかを本章は詳細に考察している.

次の第5章「母を縛る「育児意識」」は,育児資源としての「親」との関わりを論じる.夫婦だけでは育児しきれないとき,可能な状況では,実父母あるいは義父母がヘルパーとして動員できるかもしれない.しかし,ここでもまた「そこまでして続ける仕事か」というやりがいの問題と,世代間の育児に関する認識のズレが表面化する.

続く第6章「複合的要因を抱えさせる「マッチョ志向」」では,夫からの家事・育児協力もなく,職場もまたワーキングマザーに対して “逆境的” であるにもかかわらず仕事を続けようとする「マッチョ志向」がどのように成立してきたかを当事者の過去のジェンダー経験を踏まえて説明しようとする.

そして,第7章「誰が辞め、誰が残るのか?」では,これまでの議論をまとめた上で,仕事を辞める/辞めないの決断にいたる要因の関連性を論じる.その意思決定に関わる複数の要因は錯綜している(p. 235, 図15).著者は言う:

現状が「両立できる環境」ではあっても,今後やりがいをどこまで求めるか,子育てをどこまで外注するか,第2子をどうするかということに対して,覚悟が本人に求められ,その決断をしないことによる帰結が自己責任とされてしまえば,「キャリアの方向性」は見いだしにくい.変数の多い方程式を前に,復帰後女性は一人,立ち尽くしてしまう.(p. 254)

最後の第8章「なぜ「女性活用」は失敗するのか?」では,女性活用が失敗してきた経緯を分析する.著者は大学までの “ジェンダーフリー” な無菌空間が,会社に入っていきなり八方塞がりの「ジェンダー秩序」に一変するギャップの問題を指摘する.つまり,「男女平等」の教育を受けてきた女性が,いったん企業に就職して結婚・出産するや:

実際にケア責任が発生した場合に,その責任を負うことへの期待とそれによって抱える困難が,極端に女性に偏っている社会の実態(p. 286)

が,ワーキングマザーを直撃しているとみなす.それは現代社会での「ジェンダー秩序」の問題であると著者は言う:

本調査で明らかになったのは,就職前にジェンダーの社会化を免れたように見えた女性が,「逆転したジェンダーの社会化」[※「女性性」の否定により「名誉男性(例外女性)」を目指す(p. 281)]によって,男女差別のある社会で適応戦略を取りそこね,その結果,結局出産後にジェンダー秩序に従うような行動(退職)を迫られる様子である.(p. 293)

著者は,このような「マッチョ志向」の「名誉男性」的女性と昇進意欲が「冷却」(p. 297)されてほどほどに働く女性との「二分化」(p. 294)はジェンダー秩序を強化するだけで弊害しかないと指摘する.その上で,まずは女性の間での対立構造を解消できないかと提案する.しかし,それは女性だけにとどまる問題ではない.著者は社会的規範意識と企業労働体質が変わらないかぎり根本的には解決できないと言う.男性に対しては「育休よりも,定時に帰る経験を」(p. 323)と呼びかける.

ワーキングマザーたちへの詳細なインタヴューを通じて得られた情報に基づく説明仮説の提示はきわめて興味深いし,共感をもって読み進む読者は多いにちがいない.とくに,働く女性に対して作用する既存ジェンダー秩序のさまざまな抑圧のかかり方(p. 299, 図6)を見ると,必ずしも表に現れてこない(=言葉にならない)不満や後悔や怨念がまだまだ潜んでいるだろうと思う.

データ分析法について最後に一言.本書では質的研究法に準拠し,その調査法の詳細は「調査の概要」(pp. 72-78)に述べられている.「n=15」というきわめて少数のサンプル(しかも無作為サンプルではない)に基づく論議は通常の統計的手法の埒外である.本書では少数サンプルに関する「複線経路・等至性モデル(TEM: Trajectory Equifinal Model)」に基づく分析が重視されている(p. 76).「TEM」はワタクシの理解を越える手法なのでその長所短所は判断できない.しかし,分析法に関する著者の所見:

本調査はもともと質的研究が適していると考えており,量的調査による「証明」を目指していない.…… ただ,統計的に有意かどうかという数字に落とし込んでしまったとたんに,見えなくなってしまうものもある.(p. 234)

についてはいささかことばが足りないのではないかとワタクシは感じる.たとえば,本書のいたるところに登場するクロス集計表とそれに基づく類型化はどれくらい信頼していいのだろう.さらに言えば,本書が目指しているワーキングマザーの意思決定に関する要因分析には,適切な統計モデリングが必要になるのではないか.とりわけ,要因の相互関連を論じるには統計的因果推論もきっと必要になるだろう.提示された仮説をデータに基づいてどのようにして裏付けるのかを考えたとき,本書で使用された質的研究法だけでは力不足ではないだろうか.ワタクシは量的研究と質的研究とは対立させるべきものではないと考える.サンプル・サイズの小ささとサンプリング・バイアスの問題が克服されれば,本書の主張はより説得力を増しただろう.

—— 著者は政府委員会でも発言している:内閣府ホーム > 審議会・懇談会等 > 規制改革 > 会議情報 > 第40回規制改革会議(平成27年1月22日) 議事次第.このなかにある:「資料2 — 中野円佳氏(新聞記者)提出資料(PDF形式:77KB)」.

もうひとつ:Lilacの妊娠・出産ノート「リーダーシップと妊婦であること、を両立する5つの方法」(2015年2月5日).その彼女による本書の書評「書評:「育休世代」のジレンマ 女性活用は何故失敗するのか?」(2015年2月10日).

さらに続いて,先月の関連情報だが,まとめてメモクリップ —— 朝日新聞デジタル:〈「メディアで働く」上〉「妻と母と記者のはざまで」「報道の仕事、なぜ彼女は辞めたのか 妻となり母となり…」(2015年2月7日)※「長時間労働は当然」「公私の区別はあってないようなもの」「個人の責任でなく組織運営の問題として考えられるようになってほしい」./〈「メディアで働く」下〉「書き続ける元大統領夫人」「子どもがいるから…子どもがいても…」(2015年2月8日)※「女性の成功とは何か。女性が全てを手に入れることはできるのか。この議論に終わりはない」.

◆上の書評で5,500字も書いて心底疲れてしまったので,今日はもう使いものにならないな.それでもお掃除くらいはしないと.iPhoto の不用写真どもをさくさく処分したら,旧 MacBook Air のディスク空き容量があっという間に5GB ほど増えた.写真画像の溜めこみは要注意.Mail フォルダーと同じくらい iPhoto フォルダーも “贅肉” 化する.夕餉のメニューは牡蠣フライとポテトサラダという洋食屋メニュー.〈竹鶴〉純米にごりの熱燗とともに.満足満足.そろそろ一升瓶が空っぽになりそうだ.

◆[蒐書日誌]一ノ瀬正樹・正木春彦(編)『東大ハチ公物語:上野博士とハチ、そして人と犬のつながり』(2015年3月刊行,東京大学出版会,東京,ISBN:978-4-13-066162-1 → 版元ページ).今日は農学部キャンパスで新しいハチ公像のお披露目セレモニーがあった.Cf: 読売新聞「渋谷で待ち続けたハチ公、博士と東大で「再会」」(2015年3月8日)※ハチ公の主人・上野英三郎のブロンズ像は専攻教員会議室にいつも鎮座している.農業土木学の先達だしね.

◆本日の総歩数=0歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.9kg(+0.5kg)/ 30.8%(0.0%)


7 maart 2015(土)※冷たい雨が降り続く

◆午前5時半過ぎ起床.カンパチのカマの煮付けの仕上げ.気温3.7度.冷たい雨ががしとしと降り続く朝.午前9時の気温は4.8度.寒かったり暖かかったりと振れ幅の大きな日々が続く.

◆[欹耳袋]高校を出てすぐ東京に来て,最初に驚愕したのは「ミンチ」「ヘレ」「カシワ」という関西では常用の “お肉ことば” たちがことごとく通用しなかったときだった.今日3月7日は “ミンチカツの日” である.

◆土曜の┣┣" 撃ち —— SugarSync「SugarSyncサービス内容変更についてのご案内」※現行の「5GBトライアル」は2015年5月31日をもって「自動的にアカウントはロックされ、一定期日後に解約と同時にストレージデータは消去されます」.いま置いてあるものを引き取らないとタイヘン./マニュエル・リマ『THE BOOK OF TREES — 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』.メーリングリストに配信するアナウンス文を作成.ブツが店頭に並び始める月曜の夜明け前に配信する予定.

◆[蒐書日誌]神はカップに宿る —— Michaele Weissman『God in a Cup: The Obsessive Quest for the Perfect Coffee』(2008年刊行, John Wiley & Sons, Hoboken, xx+268 pp., ISBN:978-0-470-17358-9 [hbk] → 版元ページ).先日,〈コーヒー・ファクトリー〉にて手にした本をゲット.珈琲充〜.

◆冷たい雨が降り続く昼下がり,ずいぶんひさしぶりの〈活龍〉竹園店にて肉つけ麺の中盛り(400g).しばらくこういうハードなつけ麺を食べていなかったことを忘れて,もりもり完食したらさすがにきつかった.そういえば,最近は胃袋直撃型ラーメンというものをあまり食べたくなくなっていることに気づく.そろそろこの手の食べ物は “祝ご卒業” なのかもしれない(いささか心残りではあるが).

◆[蒐書日誌]朝倉純孝『オランダ語辞典』(2014年11月10日刊行,大学書林,東京,vi+1186 pp., 本体価格50,000円,ISBN:978-4-475-00167-0 → 版元ページ)※年度末の公費購入本の一冊.本書が著者(1893-1978)の没後35年も経ってようやく出版されたことを知る.

◆午後1時の気温6.2度.〈モルゲン〉の食パンを予約.電話で事前予約しておかないとぜんぜん買えなくなる人気.午後の観音台.雨は小止みになり,西から空が明るくなってきた.しかし,気温は6度台で冬の寒さが続く.帰りしな,〈コーヒー・ファクトリー〉にてカプチーノ充.

◆夕方,雨はいったん止んだが,間髪入れず次の雨雲が接近してきて,夜にはまた降り出した.今宵はカンパチ(養殖もの)のカマを煮付けにした.塩を振って熱湯をかけ臭みをとってから血合いを抜く.平鍋に日本酒とみりんを煮立ててカマを投入,ふたをして皮付き土生姜のスライスと粒山椒を投入し,中火で半時間煮ればできあがり.冷めるまでそのまま煮汁に漬けこむ.今夜の “お湯” は〈神亀〉純米吟醸「ひこ孫」の燗酒.カマを食べ続ける日々.

◆[蒐書日誌]CNet:林智彦「「活字離れ」論に最終決着?--電子書籍を含めれば「不読率」は激減している」(2015年3月6日)※「本」は読まなくても「活字」は読んでいるという結論.確かに,「本」を「活字」に換算してしまえば結論は変わるだろう.しかし,それとは別に「本」というまとまった情報パックの “電子切り身” が売られている現状は読み方に影響を及ぼしているにちがいない.たとえば,「電子本」で出版される専門書には,一冊の本を「章」ごとに切り分けて “分売” するケースがある.論文集のような複数著者による本ならば,特定著者の「章」だけを “電子切り身” で買う意味はあるだろう.他方,単一著者の本であっても「章」ごとに売られていて,きっと特定の「章」だけ買う読者もいるだろう.こういう場合,ある著者の「本を読んだ」という表現は適切なのか.もちろん「紙の本」でも “つまみ読み” すれば同じだけど.

◆本日の総歩数=3252歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)=91.4kg(−0.4kg)/ 30.8%(−0.1%)


6 maart 2015(金)※啓蟄に┣┣" の震動

◆午前5時前起床.気温4.6度.午前6時の時の鐘.曇り空の朝がやってきた.雲間から朝日が差し込み,ヤコブの梯子が何本も天から降ってきた.午前8時の気温は6.3度.暖かいとはけっして言えないが,啓蟄の朝はかすかに春めいている.朝イチの BGM はアファナーシェフの〈平均律〉から.

◆[欹耳袋]過去の悪行録を確認したところ,ワタクシがつくばの数理統計研修で「統計学概論」という講義を担当するようになったのはまだ若かった37歳(1995年)だった.それまでは概論なしでいきなりパラメトリック統計学の千尋の谷に落とされた受講生たちがたくさんいた.合掌.

思い起こせば,誰かから「やれ」と言われたのではなく,「統計学概論,やるやる」とかけあって新規開設した.もっと探せば “知識と経験のある年長者” がほかにいたにちがいないだろうが,概論の講義はやりたいと言った者がやればいい.“知識と経験のある年長者” が概論を担当すればよいと言われることがある.確かに,ある学問分野の全体を鳥瞰する概論を講義するのにそういう資質が問われることはあるだろう.しかし,筋がよければ,逆に概論を長く教え続けることが, “知識と経験のある年長者” に鍛え上げられるという面もあるはずだ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 出版契約書を神田小川町に返送.こちらは5月出版とのこと./とある大手ホテルチェーンの登録サイトが何度やってもエラーになるので,華麗にスルーすることに決定./橿原市昆虫館での販促大作戦は着々と進んでいる.版元にバクダンを送るよう指示./またしても蟲が一匹見つかって……(く).

◆[蒐書日誌]MPCM 論文集(続報) —— László Zsolt Garamszegi (ed.) 『Modern Phylogenetic Comparative Methods and Their Application in Evolutionary Biology: Concepts and Practice』(2014年刊行, Springer-Verlag, Berlin, xvi+552 pp., ISBN:978-3-662-43550-2 [hbk] → 目次版元ページコンパニオンサイト)の関連情報.MPCM の FacebookTwitter のアカウントが開設されている.

◆風が少し冷たくなってきた観音台は曇りときどき晴れ間がのぞく空模様.正午の気温は9.3度.今日は昼休み徘徊はお休みにして紙魚に変身.フィオーレのヨアキム『形象の書』の樹形図に三カ国語(日本語・フランス語・イタリア語)で包囲されて,取り憑かれそうなアヤシい妖気が.

◆[欹耳袋]講談社現代新書『分類思考の世界』の版元在庫が品薄だと奈良からの情報で知った.今後は紙版での増刷はあるのか,それとも電子版として売っていくのか.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 連載5回目の原稿と図版.編集部に送信./年度末のせいか,頻繁に検収センターから「物品取りに来てね」電話が頻繁に鳴る./Parallels Desktop for Mac 10 インストール.続いて,Windows 8.1 を MacBook Pro に搭載完了.ああ,あの使いにくい Windows スタート画面が Retina を汚していくのか.

◆千葉で上がった天然ブリの大きなカマが買えたので,今宵はオーブンで焼いてメインディッシュに.いつも参考にしている宮シェフのレシビに従い,塩を降って熱湯をかけ血合いを除いたカマに,岩塩をすり込み,オリーヴオイルをたっぷり塗ってから,七色粒胡椒をグラインド.220度に温度設定したオーブンで25分焼けばもうできあがり.〈竹鶴〉純米にごりの熱燗とともに食卓へ直行.

◆[欹耳袋]第62回日本生態学会大会・自由集会W28〈道具としての「形態測定学」:昆虫のかたちの定量化法〉〉【日時】2015年3月21日(土)17:30-19:30@鹿児島大学(群元キャンパス)J会場.※講演要旨が公開された.そろそろ用意しないとねー.

◆本日の総歩数=4157歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.8kg(+0.3kg)/ 30.9%(−0.4%)


5 maart 2015(木)※民族大移動の夜明け

◆午前5時前起床.まずは米とぎ.気温1.9度.前夜から始まった,旧 MacBook Air (Snow Leopard) → 新MacBook Pro(Yosemite) への “民族大移動” はまだ完了していない.始めた時点で10時間かかる予定と言われたので,あと1時間半待ち続けないといけない.そんなわけで,夜明け前のツイートはめずらしく SONY VAIO から.くー,待ち時間が「2時間」に伸びてしまった……(一喜一憂すな).スキマ時間に橿原市昆虫館での出張高座の打ち合わせメールに返信.ひょっとしたら橿原って初めてかも.奈良県は意外によく知らない場所が多い.午前6時,待ち時間があと1時間になった!

◆早朝は氷点近くまで気温が下がったが,朝日とともに上がってきた.青空の広がる観音台は朝から花粉の祭典が絶好調.午前8時の気温は6.1度.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 昨夜から始まった真夜中の “民族大移動” は出勤時間直前の午前7時過ぎにようやく完了した.予測通り10時間あまりかかった.これでワタクシも Yosemite の登攀者の一人となれたわけだ.もちろん生命保険代わりに旧 MacBook Air は同伴する.ワタクシの居室の二代目 MacBook Air 13 (ID: 2.1)は,バッテリーがへたりつつも,まだリタイアせずに働いている(所内LAN接続専用).国内外の巡業にあちこち連れ歩いてきた初代 MacBook Air 11(ID: 3.1)もどこも壊れることなく現役を続けている.今までのところ,滑落することなく Yosemite の壁を登攀しつつある./滋賀県からの統計コンサルタント業務ひとつ速攻で対応.

◆[蒐書日誌]Thomas Heams, Philippe Huneman, Guillaume Lecointre et Marc Silberstein (eds.) 『Les mondes darwiniens: L’évolution de l’évolution』(2011年刊行,Editions Matériologiques, Paris, 734+692 pp., ISBN:978-2-919694-39-6 [Vol. 1] / ISBN:978-2-919694-40-2 [Vol. 2] → 版元ページ)※全2巻で計1,576ページとは! フランスではときどき巨大な「進化本」が刊行される.このダーウィン生誕200年記念論文集は Springer から『Handbook of Evolutionary Thinking in the Sciences』として英訳が出た:Thomas Heams, Philippe Huneman, Guillaume Lecointre et Marc Silberstein (eds.) 『Handbook of Evolutionary Thinking in the Sciences』(2015年刊行,Springer-Verlag, Berlin, xix+910 pp., ISBN:978-94-017-9013-0 [hbk] → 版元ページ).一冊に合本したのでまるで電話帳.しかも,めっちゃ高い.ええぃ,こうなったら公費購入だ(来年度ね).

◆お昼休み,せっかくいい天気にもかかわらず,MacBook Pro ヨセミテちゃんのお世話に明け暮れる昼休み.Java 入れて,XQuartz 入れて,OS X を 10.10.2 にアップデートして(←イマココ).とりあえず,まだ滑落はしていない.旧 MacBook Air はXcode のインストールに必要な空きディスク容量(4GB超)がもうないので,R Commander の起動はあきらめていた.新 MacBook Pro は Xcode と XQuartz を入れて軽やかに Rcmdr 起動.ここで一休み.次は Google 日本語入力をインストールだ.

◆[欹耳袋]統計関連学会連合大会サイト:【日程】2015年9月6日(日)〜9日(水)【会場】岡山大学・津島キャンパス.※ワタクシはちょうど常盤台での「統計道場」と真正面から衝突していて不参加なんですけど.

◆午後の┣┣" 撃ち —— Yosemite のお世話はまだまだ続く.R のパッケージをアップデートしたら,またまた Rcmdr が岩戸の向こうにお隠れになってしまい,じたばたと踊っていたら,やっと外に出てきてくれた.まったくもう手のかかることで./とりあえず,R + RStudio + Rcmdr の三点セットは今のところちゃんと動くのでよしとしよう./Yosemite だと Adobe CS の古いバージョンを含め,いくつかのソフトウェアが動かなくなるなあ.Yosemite は Adobe ユーザーに “災厄” をもたらすこともある,と./何よりも,マウスのホイールの動きが Yoemite と Snow Leopard では逆なのねー(間違い多し)./今日だけですでに1GB近くダウンロードしまくっている…….

◆春めく陽気に誘われるのは花粉の祭典だけではない.啓蟄の明日を待たずして,今宵は〈来福〉のうすにごり純米生原酒「さくら酵母使用」を開栓.桜の花びらが舞い散るラベルに包まれた桜色の瓶の中は春霞を思わせるうすにごり.毎年この季節にしか出ない旬の銘柄.アルコール度数がやや高めなのでとてもキケンなお酒.

さくらのお酒に合わせて,新じゃが&新玉ねぎの肉じゃがと菜の花とアボカドの野菜サラダを用意した.気分だけはもうすっかり春ですなあ.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「「鼻濁音」来世紀ほぼ消滅? もともと使わない地域も…」(2015年3月5日)※「鼻濁音か否かは意味の識別にほとんど役立たない」「日本語の標準的な表記法で両者を書き分ける手段がない」.京ことばは鼻母音がふんだんに含まれる./読売新聞「富大、教員に年俸制導入 新年度から」(2015年3月5日)※「16年末までに教員約840人のうち1割程度を年俸制に移行することを目指す」

◆本日の総歩数=5618歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.5kg(+0.3kg)/ 31.3%(+0.1%)


4 maart 2015(水)※雨が止み春の陽気に

◆午前4時半過ぎ起床.本降りの雨.気温は3.6度.寒すぎる.午前6時,雨がざあざあ降っている.午前6時の気温は4.1度.明け方は本降りだったが,朝の観音台は霧雨になってきた.農環研の温度計によれば気温3.7度とさらに低下.日中は20度近くまで上がって,ぽかぽか陽気になると予報していたので,春仕様の薄着で出勤したが,寒すぎて風邪引きそう.

◆[欹耳袋]ASA Community | ASA comment on a journal’s ban on null hypothesis statistical testing | 26 February 2015 ※統計論争は急速にその戦線を広げている./朝日新聞デジタル「(争論)文系学部で何を教える 冨山和彦さん、日比嘉高さん」(2015年3月4日)※こちらの論争もまだ続くのか.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 昨夜の版元の話では,新刊『THE BOOK OF TREES — 系統樹大全』は,来週はじめには書店に並ぶだろうとのこと.それまでには販促作業あれこれが進んでいるだろう.とりあえず,参考図書紹介リストをつくっている真っ最中.こういう作業は「選書」の段階がもっとも楽しい.あの本やその本をずらっと並べる快感.

ブックリストの候補書の何冊かは古い本だったので,絶版が心配された.しかし,フランセス・A・イエイツ[玉泉八州男監訳/青木信義・井出新・篠崎実・野崎睦美訳]『記憶術』(1993年6月20日刊行,水声社,東京,522 +図版24pp., ISBN:4-89176-252-7 → 版元ページ)は20年経った今でもちゃんと入手できる.すばらしい.もっと驚くべきは:パオロ・ロッシ[清瀬卓訳]『普遍の鍵〈新装版〉』(2012年8月23日刊行,国書刊行会,東京,ISBN:978-4-336-05533-0 → 版元ページ).本書の初版が出たのは30年も前のことだった:パオロ・ロッシ[清瀬卓訳]『普遍の鍵』(1984年10月30日刊行,国書刊行会[世界幻想文学大系・第45巻],東京,371+xxxxii pp. → 版元ページ).復刊した国書刊行会,エラい!

—— ということで,ブックリスト候補書はすべて入手可能であることがわかった.これでアヤシいブックリストの選書ピックアップ完了(全15冊).あとは簡単な紹介コメントを付けるだけ.

◆朝方の雨を忘れるいい天気になった.正午の気温は13.7度,吹く風も春めいてロングコースで徘徊するにはちょうどいい空模様.筋雲が東西南北に交差して織布のごとし.歩き読み本福田浩(料理・著)・田島一彦(アート・ディレクション)・中西隆良(写真)『Meshi 飯』(2006年6月14日刊行,ピエ・ブックス,東京, 237 pp., ISBN:4-89444-535-2 → 目次書評)読了.焼き酒粕と味噌の「粕粥」が美味そう.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝!:戸田山和久『科学的実在論を擁護する』(2015年1月31日刊行, 名古屋大学出版会, 名古屋, vi+328+20 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-8158-0801-3 → 目次版元ページ)※熊さん先生はサングラス先生に「どうせまたボコボコにされる」(p. 328)らしい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 申請中の新学術領域はヒアリングにまで進めなかったとのメールあり.空き時間ができてしまった……./〈日本の古本屋〉のカード決済システムがとても使いやすくなっていてありがたい./『論文作法』と聞けばウンベルト・エーコの本しか思い浮かばないワタクシって:ウンベルト・エコ[谷口勇訳]『論文作法:調査・研究・執筆の技術と手順』(1991年2月25日刊行,而立書房[U. エコ監修〈教養諸学シリーズ〉・1],東京,xvi+274 pp., ISBN:4-88059-145-9)./連載四回目の色校正ゲラ修正./ブックガイド3,565字./神保町に「Yes」の返事を送信.一┣┣" 去って,また一┣┣" .神保町界隈はきっといろんな┣┣" がくんずほぐれつなんだろう./今月の高座(橿原と宇都宮)についての事前打ち合わせメールあり.年度末もいくつかのお座敷からお声がかかり,感謝感激雨霰.鹿児島の噺もそろそろつくりこまないとね.

◆[欹耳袋]紀伊民報「南方熊楠賞に藻類学の井上氏 特別賞に菌類研究の萩原氏」(2015年3月3日)※「筑波大学教授の井上勲氏(65)、特別賞を国立科学博物館名誉研究員の萩原博光氏(69)=ともに茨城県つくば市在住=に贈ると発表した」.

◆夜の┣┣" 撃ちはエンドレス —— めずらしく(研究交付金の)フトコロが豊かな今年度末に購入した MacBook Pro 13 Retina (Yosemite)が先日届いた.この忙しいときに Yosemite の崖から突き落とされて「人柱」になりたくないんだが,そうも言ってられない.夜,おもむろに開封し,まずはディスプレイ防護シートとキーボード保護シートを貼り付ける儀式.その後,旧 MacBook Air 11 (Snow Leopard)からの “民族大移動” をいったん始めたら「あと10時間です」とか言われてなすすべなし.そのまま真夜中に勝手に移行作業を進めてもらうことにして,ワタクシはとっとと寝るん〜♫•*¨*•.¸¸♪

◆本日の総歩数=11070歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.2kg(−0.3kg)/ 31.2%(+0.5%)


3 maart 2015(火)※雛祭りに見本刷着便

◆午前4時過ぎ起床.気温2.6度.起き抜けの米とぎ.灰色の曇り空から小雨が降りだした観音台は午前8時の気温が4.7度.冷え冷えする空模様.こういうな沈みがちな朝の BGM は Arvo Pärt の〈Arbos〉と決まっている.

◆[蒐書日誌]見本刷着弾!:マニュエル・リマ[三中信宏訳]『THE BOOK OF TREES ― 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』(2015年3月19日刊行予定,ビー・エヌ・エヌ新社, 東京, 215 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-86100-956-3 [hbk] → 目次版元ページ)※まずはすりすりする.その次は販促大作戦だ.いくつかの書店でのブックフェア企画がすでに水面下で走り始めている.本が店頭に並んでも,まだやるべきことが多すぎる.コンパニオン・サイトもさっそく開設しないと.

◆お昼前に見本刷が届いてばたばたしていたので,今日は昼休み徘徊はしなかった.日中の最高気温は正午前の7.3度止まりだったでさぞかし肌寒かったことだろう.しかし,こんな空模様でも花粉はしつこく飛んでいるらしく,鼻センサーがたえず警報を鳴らし続けていた.

◆[欹耳袋]羊土社『実験医学』から,通巻550号記念プレゼントとして,金沢の〈ゴーゴーカレー〉実験医学バージョンのレトルトパックが送られてきた.「研究室にカレーで元気を!」と銘打たれている.カレーを喰って実験ガンバレって.やるなあ.Cf: 羊土社『実験医学』Go! Go! キャンペーン.4月20日までの企画.なお,ワタクシはぜんぜん知らなかったが,金沢の〈ゴーゴーカレー〉ってとても有名みたいね.とても濃厚なカレールーなので,たくさんかけ過ぎてはならぬと注意書きが.しかも,トッピングされているトンカツが何だか必殺.それにしても,,なぜ『実験医学』はこんなワイルドなカレーとコラボしたのだろうか.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後1時半から農林研究交流センター担当者との打ち合わせ.来年度の分子系統ワークショップ開催についてのあれやこれや.「産学官連携研究」とか「異業種交流」とかいうキーワードが次々に頭上を越えていった.午後2時過ぎ終了.分子系統学ってそんなにすぐに「(農水的に)役に立つ」ことないですって./新刊にさっそく微小な “蟲” が一頭見つかる昼下がり.文献リストのウムラウト有無のチェックが甘かったか.ゲラ刷りをルーペ片手にチェックしたはずなのに.

◆とりあえず,『THE BOOK OF TREES ― 系統樹大全』のコンパニオン・サイトを開設した.「口上書」はこんな感じ:

本書は,知識の体系化にとって樹形図は不可欠であるという観点から,古今の樹形ダイアグラムを総覧した他にほとんど類のない本である.著者マニュエル・リマはデジタル・デザイナーとしての経歴と関心を最大限に発揮して,最先端のコンピューター科学における情報視覚化のさまざまな技法とそれが目指す目標が古代末期から中世初期にまでさかのぼれる深いルーツをもつことを数多くの美麗な図版とともに示す.

2012年に翻訳出版されたリマの前著『ビジュアル・コンプレキシティ:情報パターンのマッピング』は,日々増大し続けている「情報」をいかにして “見る” かに焦点を当て,数々のカラフルでみごとな図版を通してデータ可視化と情報視覚化の最前線を論じた.データ解析の立場から言えば,統計計算やモデリングの前に,生の情報をきちんと “見る” ための統計グラフィックスをうまく利用することが肝要である.リマは,最先端のコンピューター・グラフィックスの多くの技法を紹介しながら,大量かつ複雑な情報の可視化という,いまもっとも注目されている分野に読者をいざなった.

そして,今回,縁あって私が翻訳を担当することになった本書『THE BOOK OF TREES — 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィックス』は,前著では十分に踏み込めなかった歴史的なルーツとその知的系譜を中心として編まれている.中世の初期から現代にいたる800年もの年月の間に,われわれ人間はさまざまな可視化のための表示ツールを繰り返し発明してきた.その代表が本書の主役である「樹形ダイアグラム」である.リマは,21世紀のいま,インフォグラフィックスの興隆とともにふたたび熱い視線を浴びている情報可視化ツールとしての樹形ダイアグラムの長い歴史をたどり,さまざまなタイプの樹形ダイアグラムのカテゴリー分類を通して,人間が情報を “見る” ための普遍的な共通要素はどこにあるかを探り出そうとしている.

一千年をまたいで生き続ける樹形図の世界は,確かにリマが言うとおり「知識の大いなる樹」にほかならない.視覚的動物であるヒトは今も昔も獲得した知識を自分の目を頼りにして体系化してきた.本書を手にされる読者のみなさんはさまざまな形をした「知識の樹」が鬱蒼と生い茂る密林の奥深くに分け入っていただきたい.

—— 今のところコンテンツはあまりないが,書評記事の収集や正誤対応表の公開などの情報をそのつど付け足していくことにしよう.

◆曇り空のまま夕暮れとなり,気温はさらに低下している.夜半からは雨が降り出すとの予報.日によって空模様がくるくる変わる日々が続く.

◆本日の総歩数=6412歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=91.5kg(−0.7kg)/ 30.7%(+0.2%)


2 maart 2015(月)※蜻蛉池稲荷にも春が

◆午前6時前起床.気温6.0度.雲ひとつない青空に朝焼けグラデーション.昨日の風雨とは一転して,朝からパーフェクトな青空が広がる観音台は,すでに〈花粉の祭典〉のまっただ中.午前8時の気温は7.8度.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 所内的な締切間近アイテムいくつかを提出./「もっと書け!」(泣)

◆霞んだ青空が広がる昼休みは,所内実験圃場の端っこにある蜻蛉池稲荷を経由する別コースで徘徊してきた.正午の気温は11.8度.北西風が心地よく涼しい.もう冬ではない.歩き読み本:福田浩(料理・著)・田島一彦(アート・ディレクション)・中西隆良(写真)『Meshi 飯』(2006年6月14日刊行,ピエ・ブックス,東京, 237 pp., ISBN:4-89444-535-2 → 目次書評).江戸時代の米飯を復元した料理写真集で,もう10年近く前に出た本の再読.シンプルこの上ないご飯を撮ったカラー写真の数々.そのクォリティが高すぎて食欲をそそりまくる.もう品切れだとは思うが,さすがピエ・ブックスって感じのヴイジュアル本.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末恒例の大┣┣" 一頭をやっと仕留めた. 

◆[蒐書日誌]安倍夜郎『深夜食堂(既刊13巻)』(2007年12月〜2014年9月刊行+, 小学館,東京 → 版元ページ(一覧))の寝読み通読完了.主人公を含め登場人物よりも,出される料理の仮想レシピとできあがりの “肴” 度を想像するのがとても楽しい.なまじっかリアルなカラーページではなく,シンプルなモノクロである方がまたよろし.夜中に読むべし.

食欲をいやが上にも亢進させたければこんな関連本もある:ビッグコミックオリジナル× dancyu(編)・安倍夜郎(協力)『深夜食堂×dancyu 真夜中のいけないレシピ』(2011年12月5日刊行,小学館,東京, 133 pp., ISBN:978-4-09-184220-6 → 版元ページ).真夜中のハムカツ,ソース焼きそば,豚キムチ,クリームシチュー,焼きおにぎり, etc.これはいけない,アクマのささやき.

◆夜,確定申告の作業がやっと終わった.マニュエル・リマ本の見本刷が明日つくばに着弾するらしい.ドキドキ.コンパニオンサイトの開設を急がないと.そして,アクマにささやかれる前に寝るん〜♫•*¨*•.¸¸♪ .

◆本日の総歩数=9144歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=92.2kg(−0.5kg)/ 30.5%(+0.3%)


1 maart 2015(日)※春雨ざあざあ月始め

◆午前5時過ぎ起床.気温5.5度.曇り空から雨がぽつりぽつりと降っては止み,また降るの繰り返し.

◆日曜の┣┣" 撃ち —— メーリングリストの月例アナウンスを流して始まる新しい月./もうすぐ連載終了する『実験医学』の〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉の単行本化の件.羊土社からカバージャケット図案が送られてきた.なかなかいい感じで,さりげなく軽め.書名はほぼ確定だろう./兼業申請┣┣" 一頭放流.もう一頭は観音台であした仕留める.

◆[欹耳袋]有意性検定と \( p \) 値をめぐる血祭り —— 騒動の元はこの編集部見解:David Trafimowa & Michael Marksa | Editorial. Basic and Applied Social Psychology 37(1): 1-2 | 12 February 2015.この心理学誌編集部の「 \( p \) 値血祭り」案件は波紋を広げつつある.そのひとつは:Chris Woolston | Psychology journal bans P values: Test for reliability of results ‘too easy to pass’, say editors. Nature, 26 February 2015 doi:10.1038/519009f.もうひとつは:Science-Based Medicine | Psychology Journal Bans Significance Testing | 25 February 2015.震源地 BASP 誌編集部の基本方針は,「有意性検定,逝け」だの「P値,死ね」だもんねぇ.もちろん「信頼区間」もアウト.「べいづ」はケースバイケースでいまのところは執行猶予だけど,要するに推測統計学は有象無象ひっくるめて基本は “有罪” ということ.記述統計学だけ許すって感じ.BASP 誌の結論:「Finally, we encourage the use of larger sample sizes than is typical in much psychology research, because as the sample size increases, descriptive statistics become increasingly stable and sampling error is less of a problem」— うへぇ.

心理学業界で「Null-hypothesis significance testing (NHST)」と略されていることを初めて知ったが,かなり強烈にどつきまくられている印象がある.Cf: Geoff Cumming 2014. The New Statistics: Why and How. Psychological Science. 25(1):7-29. 「NHST」で検索すると,心理学の文献がぞろぞろヒットしてくる.

◆正午の時の鐘が鳴り響くとは実にめずらしい(というか初耳).冷たい雨が降りだした昼下がり,遅めのランチは玄米雑炊を.昨夜の土鍋水炊きの残りに玄米冷やご飯を投入するだけのお手軽メニュー.鍋物の残りは翌日のシアワセに直結する.午後になってようやく本降りの雨になった.

◆生態学会鹿児島大会・自由集会W28〈道具としての「形態測定学」:昆虫のかたちの定量化法〉でのワタクシの噺:三中信宏「昆虫形態学の形態測定学への貢献の歴史」の講演要旨をやっと岡山に送信.よろしく〜.今回の生態学会プログラムでは連日どの時間帯も複数(5〜9個)同時開催で,壮絶な集客バトルが予想されている.三月に入ったので,そろそろ “事前宣伝” があちこちで始まるんじゃないだろうか.しかし,ワタクシとしては,人生初の鹿児島タウン街歩きのためのお勉強(事前調査)を始めることも大事.滞在期間が長いし,昼も夜もあるし.ダントツで重要なのは「鹿児島市内で日本酒がしっかり飲めるお店はどこか?」という問題.市内某所の “あのお店” にはかならず行くようにと言われているが,他に選択肢があるのかないのか.どうやらほとんどないのではという悲観的空気が漂い始めている.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「国立大学長に自由予算枠 国が交付金に成果主義」(2015年3月1日)※「成果主義の導入で大学間の競争を促し」「弱い分野は合理化を迫られ」「学部や学科の再編だけでなく、大学間の連携や統合が進む」— 棒読みしよう./現代ビジネス「「空き家」を持っていると大損する!? 知らぬ間に法改正されていた」(2015年2月27日)※先月末施行の「空き家対策特別措置法」の「特定空き家」に指定されれば,の話.不動産価格はすでに下がりまくり実感.実家がある(あるいは住んでいない空き家がある)人はくれぐれも要注意.不動産の売却はマジたいへんなことだから.いくらお金に疎いからといって税務署が許してくれるわけではない.

◆午後から本格的に降り始めた雨は,夜になってさらに強まってきた.気付け薬にシングルモルトを探したら,あるはずの Cleynelish の Signatory Vintage 1991 The Un-ChillFiltered Collection がいつの間にかすっからかんになっていたので,気を取り直して Ardbeg の〈Uigeadail〉Non-Chill-filtered を開栓.54.2度の破壊力と浸透力はただものではない.煙いのなんのって.

◆明日からは無慈悲なる┣┣" 撃ち月間が始まる.

◆本日の総歩数=1918歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=92.7kg(+0.6kg)/ 30.2%(+0.2%)


--- het eind van dagboek ---