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日録2014年8月 


31 augustus 2014(日)※海をわたってオキナワへ

◆午前4時半起床.気温17.8度って涼しすぎる.旅支度じたばた.遠くからひぐらしの独唱が聞こえる朝焼けタイム.静かな早朝.今朝の最低気温は17.6度と秋が深まる.午前8時の気温22.2度.雲間からときどき日が差す.北風が快適に吹きわたる.この分だと今日も絶好のまつりつくば日和になるだろう.ワタクシは旅支度はまだ続いている.

◆[蒐書日誌]新美哲彦『源氏物語の受容と生成』(2008年9月20日刊行,武蔵野書院,東京,424 pp.,本体価格12,000円,ISBN:9784838602278 → 版元ページ)をポチッ……※昨年度末に東大理学部に提出された卒業論文:菅野諒「生物系統学的手法を応用した源氏物語写本群の分析」(→ 卒論発表プログラム [pdf])は気になる.

◆[欹耳袋]毎学期,最初の講義で新しい顔ぶれの学生さんたちを前にするとき,彼らはいったいどれくらいの「事前知識」をもって座っているのだろうと思う.年によってちがいはあるが,年々 “ばらつき” が大きくなっていることは確か.ひとりひとりの学生が,高校までにどこまで履修したかのちがいはもちろんあっていいわけだけど,そういう学生をどこまで入学させるかは大学の裁量による.そういう基礎学力情報はなかなかセンセイにまで伝わってはこない.ワタクシの経験から言えば,「受講生側にすでに知識がある」ではなく,「彼らはなんにも知らない」ことを前提に講義なり研修をしてハズしたことはこれまで一度もない.「ここらへんが地べただろう」という基礎知識の “標高” が確実に下がっているということか.「そんなことは知っているからもっと先を」という声はほとんど聞こえない.

◆オキナワへの旅立ち —— 午前9時,つくば駅.旅立ちの朝はいい天気.午前11時,羽田空港第二ターミナル着.都内は曇りときどき雨.チェックインをすませて身軽になる.スキマ時間の 137 words.正午過ぎ,保安検査場を通って,Gate 63 にて搭乗待ち.午後1時過ぎ,ANA 133 に乗る.機中にて 289 words.

那覇空港に着陸したのは午後3時半.人生初オキナワ.ゆいレールで那覇市内へ.人生初のオキナワなので,那覇空港に感動し,ゆいレールにも感動するという「修学旅行生」的レベルの感性発揮.県庁前のホテルにチェックイン.最高気温25.1度のつくばから,はるばる空を飛んできて,最高気温32.0度の那覇に到着.暑すぎる.

日没の遅い那覇.ホテルは那覇の中心街・国際通りの端っこにある.日曜の午後,国際通りの雑踏はほとんどカオスで,ここはそういう土地柄かと感じたしだい.歌舞伎町か吉祥寺の繁華街を思わせる.今宵は初上陸初日なので,おとなしく沖縄そばを.国際通りの角を曲がったところにある〈むつみ橋かどや〉.昔からある沖縄そばのお店とのこと.シンプルこの上ない「ソーキそば」.スープがとても濃厚なとんこつ味だった.テーブルに置かれていたフシギな調味料.正体がわからなかったので,最後にちょろっと垂らしてみたら辛いのなんの.火を吹いた.あんなのをかけてたぐるのか.あとで聞いたところでは,「コーレーグス」という調味料で,島とうがらしを泡盛に漬けてつくるとか.そりゃ辛いはずだ.帰りしな,牧志公設市場からの強烈な磁力に負けそうになったが,今日のところは抗った.極端に健全な那覇ナイト初日.

—— 明日からは琉球大学にて三日間の集中講義がある.

◆本日の総歩数=9349歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.6kg)/ 30.0%(+0.3%)


30 augustus 2014(土)※夏祭りというより秋祭り

◆午前5時過ぎ起床.雨.気温19.5度.明け方の雨はすでに止み,雲間から朝日が差し込んできた.今朝の最低気温は19.0度.午前8時になっても20度に届かない涼しさ.今日は〈まつりつくば〉の初日.カピオ前のねぷた倉庫はまだ起動前だが,BGM の祭り囃子が流れている.つくばセンター広場からペデストリアンにかけては,露天の屋台がスタンバイ.

◆週末の┣┣" 撃ち —— 琉球大学集中講義で用いるソフトウェア類の準備完了.受講生が持参する PC は,Mac OS X と Windows が混在すると予想されるので,両刀使いの態勢で乗り込む.あとは USB メモリーにコピーするだけ./早々とカレンダーをめくって気分はもう来月./旅支度しないと.

◆連日,食卓に登場したサルデーニャのカラスミも最後の一腹となってしまった.地中海からはるばる極東までやってきたカラスミさんの最後のお仕事は炒飯.日本でも「カラスミ炒飯」は定着したメニュー.

レシピはいたってシンプル.定石通りの卵チャーハン(ミックスベジタブルを混ぜる)をつくり,火を止めてから刻みカラスミを混ぜ込むだけ.調味は鶏がらスープ(粉末)と岩塩.最後に粗挽き黒胡椒.ワタクシはやや生っぽいのが好みだが,カラスミのフレーバーが気になるときは,最初から炒め合わせるのがいいかも.

◆午前10時過ぎ,曇ところどころ青空.気温23.4度.北からの涼風.例年みたいな残暑汗まみれとは無縁の絶好の「まつりつくば日和」となった.パレードが練り歩く学園線の道路際には,例年通り,場所取りの青シートが隙間なく敷き詰められている.学園線をはさんで「南北泣き別れ」になる前に,西武でお買い物をしてこないと.正午過ぎ,下界のお祭り喧騒度が高まっている.屋台はすでに営業を始めているようだが,客足はこれから午後にかけて単調増加だろう.雲が広がってきたが,気温は夏日ラインをちょい越えた程度.北東風が心地よい.あれ,雨が降ってきたぞ.しかし,すぐに上がった.昼下がりの観音台は,青空から日が差してきて暖かい(「暑い」ではなく).正午にはいったん25.0度の夏日ラインに達した気温は,通り雨でイッキに21度台までいったん下がったが,また持ち直すだろう.明日からの旅支度のこまごま┣┣" を片付けに居室侵入.観音台から戻ってきたら,つくばセンター一帯はすでにお祭り一色になっていた.午後4時のスタート直前の大清水公園は人だらけ.午後4時からは土浦学園線は通行止めになり,夜まで「まつりつくば特区」となる.

◆厨房にて鶏手羽元を煮込む夕暮れ.煮込み鍋をサラダ油を熱して手羽元(10本)に焦げ目をつける.皮付きの新ジャガ(できるだけ小さいのを10個)と固ゆで卵(4個)を隙間なく並べ,酒100cc+みりん50cc+濃口醤油50cc+きび砂糖大さじ2杯+水100ccを投入し煮立てる.香味づけに九条ねぎの根っこを投入.中火で小一時間も煮込み,水気が少なくなったらできあがり.

今夜の “お水” はお祭りの夜に合わせて,東出雲〈王祿〉の「丈径」25BY直汲み無濾過を開栓.フレッシュな微炭酸と揺るぎないポディは比類なし.

◆夜風が涼しくて心地よい.まつりつくば(第一夜)はまだ続いている.今年のまつりつくばは残暑の責め苦から解放されてよかった.外はお祭り騒ぎが続いているが,その喧騒と雑踏を下界に見下ろす.午後9時,まつりつくば(第一夜)は大音響のうちにお開きとなり,ねぶたたちは今夜のねぐらに勢揃い.明日もまた活躍するだろう.

◆[欹耳袋]松岡正剛の千夜千冊・1555夜「パタン・ランゲージ」(2014年8月27日)※クリストファー・アレグザンダーがあんなに流行ったのに,ジョージ・クブラーがことさらに無視された理由を知りたい.ポップな「セミラティス」と「リゾーム」は死んでいいよ./artscape「『時のかたち ものの歴史についての覚え書き』ジョージ・クブラー | 現代美術用語辞典ver.2.0」(2014年8月15日).

◆明朝はさくさく旅支度をして,南方にさくさく飛び立つのだ.

◆本日の総歩数=3890歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.7kg)/ 29.7%(−0.3%)


29 augustus 2014(金)※本郷にて大学院入試面接

◆午前5時前起床.曇り.気温20.4度.ひんやり過ぎておふとんが必須品.ひさしぶりにまぶしい朝日が差し込む.気温22.5度,北東風がやや強い.今日は本郷にて大事な御用あり.

◆[欹耳袋]井関龍太のページ「ANOVA君」(最終更新2014年7月1日)※ちょいと試そうか.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来月の広島入りの件.ワタクシは学会前日の13日(土)に広島入りしているので,この日の午後に「勝手に西条酒蔵めぐり」を企画しているところ.流川と薬研堀がワタクシを呼んでいる.朝っぱらから背徳ツイートをしていたら,広島方面から「酒蔵ツアー優先ご案内」のメールが(大会委員長はお見通しなのか).もちろん即申し込み.

◆[欹耳袋]魅惑のカンヅメ?それとも…… —— 新潮社「〔新潮社の自費出版限定〕『山の上ホテル』執筆プラン」※「数多の文人に愛され続ける「山の上ホテル」.あこがれの作家と同じ部屋で、あなたも作品創りをしませんか」— このキャッチーな宣伝に乗るのはアナタだ!(笑).ワタクシの過去の赤裸々カンヅメ体験を振り返ると,某大手出版社の場合,本郷通りに面した某喫茶店2階の “独房” に押し込まれて,担当編集者の前で「対面執筆」した.これぞまさにカンヅメ.同じ某大手出版社の別の翻訳書のときは,同社が保有する草津温泉の療養施設(という名の監獄)に数日監禁されて仕事をした.朝夕は脱獄して温泉街の共同浴場をまわる自由は与えられた.別の大手出版社の担当編集者からは「これ以上遅れるようならネットがつながらない山中湖畔の施設に送ります」と言われたり,また別の出版社では「我が社の地下牢へようこそ」と脅されたり,それはそれはいろいろある. —— そんなこんなで「カンヅメ原稿書き」という文言を耳にしても何の夢もあこがれもぜんぜんありえへんのです.

◆大学院の面接試験へ —— 正午過ぎ,弥生キャンパス着.曇り空の本郷台地.正午の気温は25.1度の夏日ライン越え.やや蒸し暑い.面接試験までしばし休息タイム.つくばから加圧┣┣" ,オキナワからは直前事務┣┣" が押し寄せる農学部3号館隠れ部屋.午後1時前,面接試験会場へ.午後3時,面接試験(口頭試問)終了.一休みしてから再開.外は曇り空,気温は26度まで上がってきた.三田からゲラが送られてきた.論文集は10月はじめに刊行されるだろう.版元サイトにはまだ出ていないようだ.午後4時,本郷でのミッション終了.

◆午後5時,つくば帰還.守谷を過ぎて水たまりが見えたが通り雨でもあったのだろうか.つくばは涼しい曇り空の夕刻.下界では明日からの〈まつりつくば〉に向けて準備に余念がない.日没後の一瞬だけ,祭り太鼓のリハーサルに合わせてヒグラシが独唱し,いまは秋の虫の合唱になった.急に原稿┣┣" が降ってきたんだけど……(´・_・`),すぐオキナワに逃避しよう.

◆夜遅く真っ暗な大清水公園からお祭りの篠笛が高らかに鳴り響く.雨がぱらぱら降ってきた.

◆本日の総歩数=7238歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.1kg)/ 30.0%(−0.2%)


28 augustus 2014(木)※涼しい空気に入れ替わり

◆午前5時前起床.雨.気温18.5度.この肌寒さはいったいどうしたことか.いきなり秋めく早朝.小雨が降り続く観音台は午前8時を過ぎても19.4度という涼しさ.そろそろ農環研「夏の正装」では涼しくなってきた.朝イチの BGM は Kuniko〈Cantus〉から.

◆[欹耳袋]イリヤ・ゲラシモフ「[書評論文]研究のグローバル化の中における日本のロシア史研究」[pdf] ※「自分が選んだイシューに全面的に集中し、隣接する問題を無視してしまう日本の歴史家の能力」(p. 336)/「日本人寄稿者の多くが自分の研究対象を広い歴史的文脈の中に位置づけるような明白で具体的な結論を出していない」(p. 336)/「人生のうちたとえ一度でも外国人の聴衆の前で外国語で報告したことのある者なら(仮に口頭でなく、文書発言であってさえ)、テキストがあらかじめネイティヴ・スピーカーに点検されていることがどれだけ大切か知っている」(p. 340)/「基本的な語学上の正しさを要求することは、形式主義者の言いがかりなどではないということである。いやしくも外国の同僚たちと共通の言葉を見つけようと思う者ならば、まず言葉を正確に使わなければならない」(p. 341)— これくらいまとまった分量の「書評」は日本ではなかなか見られない.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 原稿書くのみ.オキナワに出奔する前に仕上げるのだ.

◆[欹耳袋]フジツボはタコツボからの脱却 —— 朝日新聞デジタル「昔・昔…セミクジラにフジツボ? 絶滅危惧種、今は付着せず 江戸時代の史料で判明」(2014年8月25日) /Togetter -「人文学と生物学、異色のコラボ! 江戸時代の史料で解き明かされたクジラとフジツボの関係」 ./元論文:Ryota Hayashi | Past biodiversity: Historical Japanese illustrations document the distribution of whales and their epibiotic barnacles | Available online 25 June 2014 | DOI: 10.1016/j.ecolind.2014.05.031 [abstract]

◆小雨が降り続く観音台は正午になっても気温20.6度と昨日よりも涼しい.傘をさして昼休み徘徊だん.雨中の歩き読み:舟田詠子『パンの文化史』(2013年12月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・2211],東京,344 pp., ISBN:978-4-06-292211-1 → 版元ページ)の第4〜6章読了.実地調査を踏まえた記述.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「STAPへ冷めた視線 外部研究者「細胞ないと言っていい」 理研中間報告」(2014年8月28日)※理研再建案について「組織上はセンターを離れても同じ建物に入ったままになる研究室もあるという」— 軟着陸案.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 農環研分会定期大会の委任状を提出.明日以降の一週間は観音台から姿を消すので,あとに濁りを残さないよう./一件 “濁り” があったので対処./447 words done.

◆[欹耳袋]Researchmap:隠岐さや香「教育系・人文社会系不要論の問題点について」(2014年8月27日)※「「社会のため」という気分だけのキーワードに負けては行けない」/「特に苦しいと感じるのは、ターゲットにされた人文社会科学系研究者の一部に、既にかなりの萎縮効果が現れているように見えることだ」「競争力はないのか、社会に貢献できるのかと問われ続けて自信を失ってしまった。自暴自棄になってしまった」.

農水省系の独法研究所にいると,「農業のために役立て」とか「社会に対して貢献せよ」という “気分はパッションフルーツ” なスローガンがいつも掲げられている.もちろん,研究者としては「いつかどこかでそういう役目が果たせるかもしれない」と自覚していればいい.重要な点は「いつかどこかで」が許される “のりしろ” の面積,そして即効性のある(=すぐに役立つ)研究だけではないという “フトコロ” の深さ.行政対応だったり応用技術の研究の場である農水省独法研究所でも “のりしろ” と “フトコロ” は大事.

「社会貢献」という錦の御旗スローガンに対しては,農水省独法研究員であるワタクシは真正面から受け止めるのではなく,角度30度くらいで斜に構えて対応してきた.それくらいの “したたかさ” がなければ,こういう研究環境では好きなことは続けられなかっただろう.そう考えると,元記事に書かれている「人文社会科学系研究者」は「社会貢献」というスローガンでひっぱたかれたくらいであっさり萎縮してしまってはいけないんじゃないか,もっと頭脳的にしたたかに反撃する戦術があるんじゃないかと思うんですけど.

◆曇りときどき小雨が降り続く夕方.北東風がひんやり.午後の最高気温は21.7度.午後5時の気温は20.9度.夏とはおさらばしたつくばは,ツクツクボウシの合唱の足もとから,秋の虫の鳴き声がしっかりと聞こえてくる.小野崎の草むらからはスズムシの初鳴き.

◆明日は本郷にて大学院入試面接試験に臨む.

◆本日の総歩数=7709歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(−0.6kg)/ 30.2%(+0.3%)


27 augustus 2014(水)※雨雲が去り夏は終わった

◆午前5時過ぎ起床.雲間から朝日が差す.気温19.7度.吹き抜ける北東風が涼しいというよりも肌寒い.朝方,ちょっとだけ朝日が差したが,その後はまた曇り空に逆戻り.午前8時の気温は20.8度と昨日よりもさらに低い.今のところ全館空調は必要ないが,オフのままだと午後はきっと居室の居住性が悪化するにちがいない.

◆[欹耳袋]論文疑惑とかデータ捏造という研究上の misconduct をどのくらい「身近なできごと」として実感できるかは研究者によってばらつきがあると思う.それとは別に,misconduct をやらかした個人が近くにいたときにどのような対人関係をもつかという問題が残る.研究不正をやらかしたという「罪」は憎んでも,やらかした「人」は憎まず? 

◆午前の┣┣" 撃ち —— 第188回農林交流センターワークショップ〈分子系統学の理論と実習〉のポスターが届いたので,受講生募集のアナウンス文とコンパニオンサイト開設の準備でばたばたする.

◆[欹耳袋]第188回農林交流センターワークショップ〈分子系統学の理論と実習〉の受講生募集開始.【期間】2014年11月5日(水)〜7日(金)【場所】筑波事務所電農館.例年通り「30名定員」.本ワークショップのコンパニオンサイトも同時に開設.講義資料など追加情報はこちらで公開します.正式には9月5日からの募集開始なので,それまでは伏せておく.

◆実に2週間ぶりの昼休み徘徊.曇り空だが,気温は22.0度と先日までのパワフル残暑がウソのような涼しさだった.歩き読み本:舟田詠子『パンの文化史』(2013年12月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・2211],東京,344 pp., ISBN:978-4-06-292211-1 → 版元ページ)の第3章「パン焼き」読了.

◆[欹耳袋]日比嘉高研究室「国立大から教員養成系・人文社会科学系は追い出されるかもしれない」(2014年8月26日)※「大学に「役に立つ」ことだけを求める社会は、その他の組織や個人にも「役に立つ」ことだけを求めることでしょう」— 世の中の「フトコロの深さ」がだんだんなくなってきた前兆か.

◆朝っぱらから次々と “陰鬱” な情報が流れてきて,このタイムラインにふさわしい BGM は何だろうかと考えてつつ,アルノルト・シェーンベルク〈ワルシャワの生き残り〉のCDをごそごそ探している.でも,こういうときにかぎって探しものが出てこない.「いまは聴くな」ということか.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 分子系統ワークショップのアナウンスを関係諸方面に流しまくる./オキナワ巡業に続いて南大沢巡業が待ち構えている.その隙間には西条酒蔵めぐりという重要案件が./それにしても『るるぶ沖縄』はなぜこんなに分厚いのか? 『るるぶなんちゃら』ってたいていはステープラー綴じなのに,『るるぶ沖縄』は230ページ平綴じというのがただごとではない./神無月の宮崎巡業と師走の大分巡業の「宿」がほぼ確保できた.

◆[欹耳袋]毎日新聞「理研:竹市センター長交代へ 再生研改革案」(2014年8月27日) ※「新組織の名称は「多細胞システム形成研究センター」」「新組織に所属する研究者数を大幅に減らす」— 基礎研究部門はなくなる?/「【ニコ生(2014/08/27 13:30開始)】《STAP細胞論文問題》不正再発防止について&STAP検証の中間報告 (番組ID:lv191074987)」/日本経済新聞「理研、STAP作製できず 再生研の人員半減 」(2014年8月27日)※「STAP細胞が存在する可能性は極めて低くなった」「現段階では存在しない公算がとても大きい」— BGM はもっとクラいのにしないとダメか.

◆夜,気温は20度を下回っている.サルデーニャ島産のカラスミ Bottarga di muggine は連日連夜の夕餉に登場し続ける.秋めく涼風の吹く今宵は,ゴルゴンゾーラとボッタルガのパスタ.ごくごくすなおにパスタを茹でて,オリーヴオイルで和え,熱々のうちにチーズとカラスミをすりおろして絡める.粗挽き黒胡椒を一振りすれば実に滋味のある一皿になった.カラスミ,精緻! この日の “お水” は石川の〈遊穂〉山おろし純米吟醸無濾過生原酒だった.夜遅く冷たい雨が降りだした.今夜は涼しく寝心地とてもよさそう.あれほど暑かった今年の夏もここ数日ですっかり遠のいてしまった.

◆本日の総歩数=9304歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(−0.4kg)/ 29.9%(+0.3%)


26 augustus 2014(火)※降って止んでまた降って

◆午前4時半起床.気温22.1度.曇り空の観音台.明け方は22.1度まで気温が下がり,いまも23.7度と夏日ラインに達しない.ただ湿度が高いので,蒸し蒸ししている.朝イチの BGM はオリヴィエ・メシアン〈嬰児イエスに捧ぐ20のまなざし〉.イヴォンヌ・ロリオのピアノ独奏.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「理研、再生研解体せず組織一新 ユニットリーダーは廃止」(2014年8月26日)※「約40ある研究室のうち約30を廃止したり、理研内の他のセンターに移したりする。研究者は分野ごとに5グループに再編する」./東京新聞「科博「地球館」一部閉鎖へ 来年7月再開目指す」(2014年8月26日)※「展示の一部を入れ替え、最新の学説を反映した解説などに変える」「家族で楽しめる展示フロアを設ける方針」./文部科学省「大学等におけるジャーナル環境の整備と我が国のジャーナルの発信力強化の在り方について~ジャーナル問題に関する検討会報告書~」(2014年8月26日)※お金は出せないのでOA化と “日本発ジャーナル” をというオチ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来月の「不在ごめんね書類」一式を提出.9月のつくば実在率は「7実在日/20労働日=35%」と,勤務態度がきわめてワルい(すまんすまん)./先日のインタヴュー記事の原稿が届いた.内容をチェックして編集部に返信メールだん.居室で撮ってもらったポートレイトがえらくアヤシゲに写っているんだけど,来る学生が来なくなったら困りますなあ.

◆[欹耳袋]Stefan Richter 2013. Willi Hennig und die Phylogenetische Systematik - Gedanken zum 100. Geburtstag des Revolutionärs der Systematik. Zoologie 2013. Mitteilungen der Deutschen Zoologischen Gesellschaft, pp. 31-40. [pdf]

◆雨が降り続く観音台は正午の気温が23.2度と夏日ラインにすら届かない.水たまりの徘徊は断念し,こまごま┣┣" の征伐に走り回る.4頭仕留めて帰還.

◆[欹耳袋]今井宏のブログ・風吹かば倒るの記「Fri 090710 高宮行男氏、死去 彼以前に浪人生文化はなく、彼の後に浪人生文化はない」(2009年7月15日)※「浪人生文化が衰退し、おそらくあと10年もして消滅すれば」— 実は10年も待たずにたった5年でこうなってしまった.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 集中講義の試験問題と解答用紙をオキナワに発射.これで事前準備はぜ~んぶオシマイ./事務的なことでもめそうなときはあれこれ反撃するのではなく,向こうに落とし所を決めてもらって一件落着.その隙にこっちは好き放題させてもらうというのが八方丸くおさめる便法.

◆外は不穏な空模様.これから本降りになるらしく,雨雲のオビが次々に押し寄せてくる.ほどなく土砂降りに.

◆いきなり秋色が深まってしまった今宵は,サルデーニャ産カラスミ Bottarga di muggine を土鍋で雑炊にするという暴挙に.土鍋で濃い目のだしをとって,ご飯を投入.ふつふつしてきたら,溶き卵をまわし入れ,スライスしたカラスミをふんだんにトッピング.エキストラヴァージンのオリーヴ・オイルを垂らし,さらに発酵バターひとかけを中心に投下.火を止めてフタをして蒸らす.塩分が日本のほどないのか,淡白なあじわい.もう一工夫が必要かも.今宵の “お水” は奈良〈梅乃宿〉の季節限定純米大吟醸.夏らしいクールな味わい.

◆夜遅くトライアングルのフォルテ練習をしてはいけません>ワタクシ※非常ベルみたいな響きがするので.

◆本日の総歩数=4508歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.3kg(+0.3kg)/ 29.6%(+0.6%)


25 augustus 2014(月)※土砂降りの週明け観音台

◆午前6時のろのろ起床.雨.気温23.9度.週明け早々,巨大な雨雲が西方から襲来してきた.土砂降りの観音台は局所的に水没しつつある.気温22.5度.ひさしぶりに居室を専有し,朝イチの BGM はオリヴィエ・メシアンの〈夜の終わりのための四重奏曲〉.Vn+Vc+Cl+Pf という異常な楽器編成.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「ヒトは魚類?変わる分類:遺伝子の配列から比較 」(2014年8月24日)※「科学的分類が変わっていくと、一般常識との食い違いが広がる可能性もある」— ワタクシもちょっとだけコメントしています.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 手書き書類の再提出は可読性が著しく低下する./BGM は John Cage の〈Works for Percussion〉の壊れかけた音楽に変わった.外は雨が降り続いている.「She is asleep」では打楽器群の背後で法螺貝がぼーぼー鳴り響いている./オキナワへ事務連絡いろいろ./今週末に愛媛大学理学部で開催される「第8回生物学基礎論研究会」は〈シンポジウム「形態の突発的進化とその要因」〉とかあっておもしろそう.進化学会とオキナワ巡業にはさまれるという不運な日程.

◆曇り空の観音台は正午の気温が23.4度と夏日ラインにも達しない.昼休みの BGM はエフゲニー・スヴェトラーノフ〈スクリャービン交響曲全集〉から交響曲1番.スクリャービン交響曲1番の終楽章はメゾソプラノとテノールのデュエットが入るのか.どことなくプッチーニ的な絡み合い.スクリャービン交響曲2番のワーグナーみたいな屹立的エンディングは何とかならなかったのかという印象.続く交響曲4番〈法悦の詩〉の Trp ソロが思いっきりヴィブラートかけまくりでまったく仕事にならない昼下がり.あんな人間離れした肺活量で「わぅわぅ」響かせたらもう無敵.手元にある Eulenburg の〈法悦の詩〉総譜は,小型の判型にむりやり押し込めているので,ときどきいきなり見開き2ページぶち抜きのタテ読みになって,もうタイヘン.

◆午後の┣┣" 撃ち —— オキナワ巡業の全貌:三中信宏「琉球大学農学部講義〈生物環境科学特別講義 I 〉集中講義について」2014年9月1日(月)〜3日(水).はい,よろしくよろしく./第33回名無し進化セミナーspecial・三中信宏「生物多様性と情報グラフィクス」は本巡業の最終日イベント./スクリャービンは続く.交響曲3番〈神聖な詩〉から交響曲5番〈プロメテウス:火の詩〉への炸裂が終わり,オキナワ巡業のしたくが山場を越え,居室に静寂な時間が流れている.研究室の BGM は最後のオリヴィエ・メシアン〈クロノクロミー〉へ.本日はこれにて撤収.

◆[蒐書日誌]羊土社『実験医学』2014年9月号着便.三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉第5回「パラメトリック統計学への登り道〔2〕― 自由度とは何か」(pp. 2314-2318).

◆しとしと雨が降る夜.ヨーロッパ旅行してきた方からイタリアはサルデーニャ島のおみやげをいただいた.これどう見ても「カラスミ」にしか見えないんだけどとイタリア語を調べてみたら,確かに〈Bottarga di muggine[ボラのカラスミ]〉と書かれている.今回いただいたのはサルデーニャ地元の〈Stefano Rocca〉製.日本のカラスミよりは安いみたいだが,現地価格的にはとんでもなく高いようだ.日本式にスライスして賞味.このねっとり感は独特.彼の地ではスライスしてオリーヴ・オイルを垂らしたり,パスタと和えたりして食べるとのこと.こんな魚卵を口にするのは,サルデーニャのみなさんか極東の某国人くらいなもの.今宵の “お水” はキリッと冷やしたスパークリングワイン.

◆本日の総歩数=5013歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(0.0kg)/ 29.0%(−1.1%)


24 augustus 2014(日)※鴨川を見ずに京都を発つ

◆午前7時に「うう……」な起床.マジな話,徹夜とか夜なべとかやったっていいことは何一つない.ちゃんと寝るべし.とにかくちゃんと寝れば人生はシアワセになれる.

◆[欹耳袋]代ゼミの変 —— 朝日新聞デジタル「代ゼミ、校舎の7割閉鎖へ 400人規模で希望退職募る」(2014年8月23日)※「学力テスト対策が中心の予備校市場は、難関大学を目指す学生を奪い合う「消耗戦」が続いている」— そうだろうなあ./読売新聞「代ゼミ、センター試験の自己採点集計も中止へ」(2014年8月24日)※「全国模擬試験を来年度から廃止」「模試の分析データは受験生や高校の進路指導などでも参考にされており、影響は大きい」— 大学入試関連業務を予備校にまるごと外注するという「一石二鳥」戦略がそのうちきっと出てくると思う.いまは入試作問くらいにとどまっているけど.

◆京都の昼もイノダから —— 昨日よりもしのぎやすく,気温はまだ真夏日ラインに達していない.湿度が高いのはしかたがないけど.京都駅地下街ポルタの〈イノダコーヒ〉にて一休み.もちろんハムサンドしかないでしょ.全席禁煙になったことを知った.駅ビル伊勢丹地下の〈仙太郎〉で茶団子を,みやこみちで〈一保堂茶舗〉の煎り番茶を買って新幹線ホームへ.

◆[欹耳袋]研究者としての人生とか転機とか将来を左右する要因はほとんどすべて個別的かつ個人的なので,一般論とか常識で何かを言うことには意味はないし,汲むべきこともないとワタクシは思う.アナタにはできてもワタシにはできない,キミにはできなくてもボクにはできる.それだけのこと.研究者として成功したロールモデルがあるなら,失敗したロールモデルもあるはずで,前者ばかりに光が当たり,後者が見えなくなっている.あるいは,前者だけ見たくて,後者は見たくないということか.そもそも「ロールモデル」と言ったって,一般化できないある個別例にすぎないわけで,それを “撒き餌” にしようという姿勢がそもそもおかしいわけ.光と影の両方の個別例をじっと見ないと.

◆夕方,晴れたり降ったり曇ったりの新幹線旅を終え東京駅着.その足で柏へ移動して一飲み.つくばに帰り着いたのは午後10時前だった.明日からはひさしぶりにつくば実在の平常労働日.

◆本日の総歩数=9804歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


23 augustus 2014(土)※京都の朝はイノダから!

◆午前4時半起床.窓の外が濡れているのは夜中に雨が降ったからか.朝風呂までにはまだ時間がある.気温25.7度と相変わらずの熱帯夜.午前6時に大浴場で朝風呂.

◆[欹耳袋]長谷芳樹「研究者として最低限知っておきたいデザインの基礎知識~日本語の発表ポスター制作のために~」(pdf: 2014年8月21日)

◆京都の朝はイノダから —— 午前7時過ぎ,急ぎ足で洛中を北上し,堺町通三条下ルの〈イノダコーヒ〉本店へ.有名な旧館は午前7時の開店時にはすでにほぼ満席だったが何とか座れた.「アラビアの真珠(全部入り)」はここでの基本.店を出るときにはすでに旧館待ち客の列ができていた.相変わらずの人気.旧館に席を確保するには朝イチに行かないとムリ.特に週末・休日は競争率が高い.

◆午前中は追い込まれ原稿の書きまくり.晴れたり曇ったり雨がぱらついたりとせわしない空模様.京阪神に兇悪な積乱雲が湧き上がっているのだが,午後は高槻に出撃できるのか.

◆入道雲が湧き上がる午後は気温32.5度と蒸し暑くきびしい残暑.高槻着.進化学会会場へ.今年度の進化学会賞受賞者氏による市民講演会を拝聴.アブラムシとかカメムシとかダニとかシラミとか……とか……とか.デビルマンが来た! 午後4時過ぎから総会.続いて午後5時半から学会賞授賞式と受賞講演.さらに午後6時半から懇親会と時間がどんどん過ぎていった.夜も降ったり止んだりと落ち着きのない天気が続く.しかし,何となくしのぎやすかったのは雨で寒気が入ったせいか.

◆本日の総歩数=10213歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


22 augustus 2014(金)※朝風呂では猛暑に勝てぬ

◆午前6時前起床.大浴場での朝風呂の快楽.曇りところどころ晴れ.気温26.5度と熱帯夜が続く洛中.午前8時半,阪急河原町駅.快速急行で高槻に出撃.午前9時すぎ,高槻現代劇場.遅刻せず講演会場へ.今日も午前中は口頭発表の審査が続く.

◆[欹耳袋]HONZ「抱腹絶倒!ただの変人か、南方熊楠の再来か?『裏山の奇人』」(2014年8月20日)

◆帰路,長岡天神を過ぎ,桂川の向こうの嵐山方面に広がる兇悪な雲からスコールの幕が広がっている.午前の気温は33.4度まで上がったが,正午を境目にするする低下.こりゃキケン.午後は雨が確実に降る.というか,降っているというか.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 重大な┣┣" が送付されてきた.重大すぎてすぐに撃てないけど,撃たないともっと重大なことになる.さくさくせよ./接岸した┣┣" 一頭に “のし” をつけて返品だん.すみません,いまちょっとその余裕はありませんので.あまつさえ,「あの人だったらやってくれるかも」とか丸投げしたり.罪深き者,それは研究者./┣┣" を常温熟成していいことは何一つない.Banish or eliminate./某重大┣┣" 一頭を本郷に向け放流./空きニッチ 瞬時に埋まる┣┣" 集団(orz).

◆原稿原稿また原稿.つくばにいても出先に逃げても “魔王” のように追いかけてくる.

◆本日の総歩数=5234歩. 朝◯|昼△|夜−. 計測値(前回比)=未計測/未計測


21 augustus 2014(木)※進化学会高槻大会の開幕

◆午前6時前起床.最低気温26.7度の熱帯夜が明けた.窓から見える空は雲が多め.大浴場にて朝風呂三昧.今日から進化学会大阪大会が始まる.午前中は評議員会,午後から講演スタート.働きのない「長」を支える「実働部隊」のタイヘンさの実例を昨日はたくさん耳にした.

◆[欹耳袋]leeswijzers stamboom:第33回名無し進化セミナーspecial・三中信宏「生物多様性と情報グラフィクス」2014年9月3日(水) 17:00~18:30@琉球大学農学部207講義室.

◆進化学会初日 —— 午前9時過ぎ,高槻着.気温は30.1度と真夏日ラインを順調に突破.それにしても構造のわかりにくい街で,今朝も駅前でうろうろ迷ってしまった.高槻市は標識づくりにもっと精を出すように.駅前商店街を通り過ぎ,神社の横の高槻現代劇場に向かう.今日はホールで吹奏楽コンクールがあるらしく,中高生が学期を抱えて右往左往している.評議員会の会議室に到着.

◆[欹耳袋]Rphylip —— Liam J. Revell and Scott A. Chamberlain | Rphylip: an R interface for PHYLIP | Methods in Ecology and Evolution | 14 August 2014.参照:CRAN サイトコンパニオンサイト

◆午前9時半から始まった進化学会評議員会が3時間あまり続いたせいで,昼食抜きで大会会場に駆けつけ参加登録.その足で講演会場へ.口頭発表審査の御役目を果たす午後の部.腹が減っては審査ができぬがそうも言ってられない.審査のあいまに羊土社のゲラ読み.修正加筆箇所を編集部にメールする.休みなくうろうろ.

◆本日の総歩数=8606歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


20 augustus 2014(水)※残暑厳しき高槻駅前迷走

◆午前5時前起床.真っ赤な朝焼けから日の出へ.気温24.1度の蒸し暑い朝.

◆[欹耳袋]大学入試制度の改変 —— 朝日新聞デジタル「意欲測る入試、大学7割が困難視 朝日新聞・河合塾調査」(2014年8月20日)※「能力を総合的に評価することが求められていく。だが、大学の7割がそうした評価が困難だと考えている」— インフラ的にもムリ./朝日新聞デジタル「新しい大学入試、困惑 知識より意欲・適性を重視」(2014年8月20日)※「(生徒に)もっと色んなことに時間を使ってほしい」— 単にむやみに忙しくなるだけでしょう./朝日新聞デジタル「〈ひらく 日本の大学〉2014年度調査実施について」 .いくら “客観的” に入試をしたところで,大学に入ってからの「不確定性」までは予測できないだろう.かけるコストの割には,期待されるベネフィットは高くない.

◆猛暑の「西」へ飛び込む旅路 —— 午前11時過ぎ,東京駅.新幹線が発車した.都内はすでに34.2度まで気温上昇.猛暑日は間違いないだろう.で,問題は関西の暑さの程度なんですけど.午後2時前,京都駅に降り立つ.蒸し暑さの迎撃.しかし,空にたなびく雲は綿毛のような筋雲で,秋の到来の予兆.午後2時半,四条寺町西入ルにチェックイン.午後の洛中は35.0度の猛暑日.あっつー.とりあえず,〈志津屋〉のふんわりオムレツサンドと元祖ビーフカツサンドをばくばく食べるのは帰ってきたときの儀礼のひとつ.オムレツサンドもビフカツサンドも関東にはほとんどないし.

◆本日夕方の執行部会の場所は,てっきり学会会場の高槻現代劇場かと思いこんでいたら,実はJT生命誌研究館だったことをいま訊かれて初めて知った.で,生命誌研究館って行ったことないんですけど…….マップを検索したら,げ,駅からエライ遠いやん……(サボるか).まちがって高槻現代劇場あたりを彷徨うよりは被害が小さいが.「最初っから交流会の会場で執行部会をやればいいのに」とか背徳のつぶやき.

◆午後3時過ぎ,猛暑の河原町から再出撃.半時間後,阪急の高槻市駅にたどり着くものの.駅前がごちゃごちゃしていて,商店街をさまよったあげくやっとJR高槻駅を発見.芥川商店街を過ぎてやっとJT生命誌研究館の建物を見つけたものの,入り口が発見できず,広大な敷地をぐるりと一周りするはめに.炎天下を延々と歩いてやっと正面玄関に到達できた.人生初JT生命誌研究館.JT生命誌研究館は近くて遠かった. —— 高槻市は要所要所にきちんと道路標識を設置してほしい.

◆午後4時半から進化学会の執行部会.議題いろいろ.明日の評議員会までにさらに流動するかな.午後6時過ぎ終了.高槻駅前の〈からさき〉にてビールをたくさん飲んだ.午後11時過ぎに河原町着.夜になっても蒸し暑さはぜんぜん消え去らない.

◆本日の総歩数=11358歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=95.0kg(+0.1kg)/ 30.1%(+0.1%)


19 augustus 2014(火)※夏季休暇とは名ばかりで

◆午前6時前,のろのろ起床.カンカン照り.気温24.1度.日差しがさんさんと降り注ぐ外は,急速に真夏日ラインに接近しつつある.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 休日なのに R コンサルティング業務一件.午前10時には軽やかに真夏日ラインを越え,今日もうだるような残暑が続く.つくばセンター界隈で微小┣┣" どもをことごとく征伐し,やっとお昼ごはん.気温32.0度のランチはきのこ汁と粗塩むすびと枝豆むすび.

◆[欹耳袋]来月一日に農環研分会定期大会があるのだが,今年もまた欠席になる.日録をさかのぼると,昨年も一昨年も定期大会は欠席だった.その前の年は出席と記されていたが,前年度に分会書記長をやった勢いで顔出ししたにちがいない.全農林の体制が変わって,筑波地本がなくなってしまったら(これは確定事項だが)その後はどうなるんだろう.地本があったころは全農林中央から降り注ぐ “火山弾” の「シェルター」として機能したわけだが,そのシェルターがなくなったら…….

筑波地本としては,常勤職員だけではなく,ポスドクを含む非常勤職員も加入対象者とみなしているわけだけど,組合に入るメリットはすぐに即効があるわけではないし,組合費もバカにならないし,なかなか思うように進んではいないだろう.ワタクシみたいな常勤職員だって,年に半分もつくばに実在しないようでは,「組合費はもっと少なくてすむかも」と前委員長に言われるほどなので,組合からみれば “戦力外通告” なのかもしれない.ずっとある場所に張り付いて仕事をするというスタイルは減っていくかも.

となると,誰が組合をやるんですか?という現実問題が浮上するわけでして.どーします?

◆[蒐書日誌]やっと入手:ダンテ・アリギエリ[原基晶訳]『神曲:天国篇』(2014年8月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2244],東京,660 pp., ISBN:978-4-06-292244-9 → 版元ページ).まず「あとがき」を読む.「かつての勤務先から期待され,週五日,午前九時半から午後六時過ぎまで出校し,その間は大学の運営に献身し,研究と執筆は土日だけにして欲しいと要請され,やむを得ず,せっかくの専任職を離れる決心をした時」(p. 659)— えっ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 真夏の観音台は日差しぎらぎら,気温は33.5度まで上がっている.居室引きこもりで某再校ゲラ読みを終わらせる.「Hennig」が隠れてまだ生き残っていたのでことごとく殲滅.あとは黒猫に運んでもらうだけ./来月の昆虫学会広島大会の大会プログラムが送られてきた.お座敷〈昆虫学会・秋の学校〉は9月15日(月)の午後とのこと.

◆[欹耳袋]東洋経済オンライン|日本のカガク〔横山広美〕「"役に立たない"基礎科学が大事なワケ:基礎研究、応用研究、開発研究の関係」(2014年8月19日).ひとくくりに農水省独法研究所とはいえ,のーかんけんみたいなところもあれば,ほにゃらら研みたいなところもあり,一般論だけでは研究機関の幅は見わたせない.それでも,「自分のやっていることはいつかどこかで “農業” に関係する」という自覚が研究員に求められる.「」内はワタクシを選考採用で取ってくれた前々室長が言ったことば.この点は旧農水国研でも農水独法でも同じ.ただし,「いつかどこかで」のフトコロの深さがしだいに浅くなってきたのは事実.この記事で言及されている “リニア” の可視化要求が高まってきたということ.そりゃあ何十年も農水の中にいれば,自分のやっていることが「いかに役に立つか」の十項目やそこらはいつでもすらすら言えるくらいの “世間ズレ” はしているけど.

◆セロニアス・モンクが終わったからそろそろ撤収しよう.旅支度はあわただしい.

◆本日の総歩数=4550歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(−0.6kg)/ 30.0%(−0.4%)


18 augustus 2014(月)※日常が戻らない月曜の朝

◆午前5時前起床.濃霧.気温22.4度の湿った明け方.東風がひんやり.先週末,流山でもらってきたCD類.スクリャービン交響曲全集,オリヴィエ・メシアン3枚,ジョン・ケージ,ショスタコーヴィチ,ステイーヴ・ライヒ,そしてセロニアス・モンクが10枚.いったいどういう選曲基準か(>ワタクシ).昨日までの背徳日記三日分をアップしたので,そろそろ行動開始だ.

◆ぼちぼち┣┣" 撃ち —— 高槻での┣┣" が降臨./観音台実在ちう.気温32.3度のきびしい残暑の昼下がり.進化学会大会のしたくとか.今回は発表はないけど,あれやこれやの┣┣" どもがおぶさっている./もっとタイヘンな┣┣" がいるんだけど…….

◆午後の最高気温は33.7度まで上がり,残暑がドカンと居座っている感じ.観音台を早めに撤収し,洞峰公園〈モルゲン〉で予約してあった食パン二斤を引き取る.バゲット数本を残してすべてのパンがきれいに売り切れていた.底力.

◆[欹耳袋]YouTube | an illuminating metaphor for the process of biological evolution | 2011/02/16 ※「変化を伴う由来(ライン版)」.

◆今日も明日も「夏季休暇」なので,どこで何をやっても誰からも何の文句も言われる筋合いはないよねとつぶやかずにはいられない小心者,それはワタクシ.

◆本日の総歩数=4165歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.5kg(+1.2kg)/ 30.4%(+1.0%)


17 augustus 2014(日)※磐梯吾妻の道を激走する

◆真夜中の午前1時過ぎ,屋根を叩く雨音で目が覚める.闇夜の〈千寿の湯〉へ.そして二度寝.午前5時過ぎに起きて,今度は〈天狗の湯〉へ.冷たい雨に打たれて露天風呂.昨夜と同じお座敷での朝食タイムをはさんで,またしても温泉との行ったり来たり.昨夜は満室だったが,温泉友の会みたいな団体客が二つほど御一行様掛け札に書かれていた.チェックアウトは午前9時.硫黄泉にぶくぶく沈んだ翌日も,曇りときどき晴れのあいにくの空模様.

◆[欹耳袋]Spotlight「ボロボロだけどそれが良い。京都大学にある日本最古の学生寮「吉田寮」」(2014年8月8日)※うん,この「場所性」はあまりに隔絶されている.すばらしい.そういえば,ときどきこういう破格のボロさの温泉宿がある.さすがに学寮でここまでなのは他には知らないな.

◆雨に濡れるホテルを出発し,まずは土湯峠をいったん下って,磐梯吾妻スカイラインを上る.霧やら小雨が降っていたが,走っているうちにしだいに雲が晴れ,標高1600メートルの浄土平に到着.吾妻小富士の火口から見下ろした浄土平の景色.対面の山からは一切経山の中腹の硫黄で真っ黄色の噴気孔からは火山ガスがもくもく.さらに走って,雲海に浮かぶ不動沢橋まで.晴れていればもっと遠くまで見渡せるらしい.この先は前に来たことがある〈高湯温泉郷〉への下り道となる.ここで引き返して,今度は磐梯吾妻レークラインへ.裏磐梯のいくつかの湖を縫うように走る道.さらに磐梯山ゴールドラインを下って猪苗代湖が見えてきた.

◆旅の最後は背徳をきわめる —— 福島県内のいたるところで「ソースカツ丼」を宣伝していたが,やはりここに来るしかないと,会津若松の街ナカにある名店〈白孔雀食堂〉へ.狭い店の前には待ち客の列ができていたが,そんなものに負けてはならぬ.ならぬものはならぬ.

しばらくして店内に案内される.注文はもちろん一択で「名物カツ丼」.丼からはみだすこのサイズを見よ! 甘くて酸っぱいソースが決め手.そしてコロモはほとんどないも同然.脂身も削り取られた巨大な豚肉が二枚.形容することばがもはや見当たらない衝撃度.そんじょそこらのソースかつ丼はもう食べられなくなってしまった.店内をぐるっと見回したところ家族連れが多く,常連さんも少なくないのだろうが,県外からの突撃客が目立った.なんたってスゴいのは,この店,メニューが「名物カツ丼」(ハーフサイズもあり)と「支那そば」のたった二つしかないところ.店だってほとんどバラックみたいなもんだし,クーラーだってないし.それなのに,こんなに行列ができるのはスゴすぎる.

—— 調べてみたら〈伝統会津ソースカツ丼の会〉という団体まであるようだ.

◆会津若松インターから磐越道に入り,いわき経由で常磐道へ.混んではいたが,さいわい渋滞には巻き込まれなかった.午後5時半,裏磐梯残暑湯けむり旅を終え,つくば帰還.全走行距離は650km.紅葉シーズンまでまだ遠いこの季節の裏磐梯は意外なほど混雑していなかった.

◆明日からの二日間も夏季休暇なので,休んだり動いたり走ったりする.

◆本日の総歩数=5912歩. 朝△|昼×|夜◯. 計測値(前回比)=未計測/未計測.


16 augustus 2014(土)※山の上で硫黄泉ぶくぶく

◆明け方は当然の末路として「うう…」.午前は使い物にならず.お昼前にやっと出発.曇りときどき雨が降る常磐道を北に向かってひた走る.いわきからは磐越道へ.雨足が強くなり,ときおり視界がまったくきかないほどの土砂降りに見舞われる.阿武隈高原サービスエリアで一休み.

郡山からは東北道に入り,安達太良サービスエリアにてまた休憩.どの高速道も上り方向は数珠つなぎの渋滞が続いていた.さらに北に向かい,二本松インターでおりる.下の道を土湯温泉方面へ.山道を上がるとともに霧が湧き上がり,小雨が混じる.〈道の駅つちゆ〉に到着.一休み.ここはメジャーな〈土湯温泉郷〉のすぐ近く.

◆道の駅つちゆを出てすぐに痛恨ミス.濃霧に巻かれて曲がるべき分岐を通り過ぎ,長大な土湯トンネルを延々と走るはめになった.土湯トンネルを抜け,遠回りしてやっと目的地の〈野地温泉ホテル〉に到着.つくばを出発して4時間ほどかかり,濃霧と雨の長旅がやっと終わった.気温が低いのは標高1200メートルという立地だからだろう.

源泉かけ流しの硫黄泉で有名なこのホテル.意外にもモダンな大きな建物だった.部屋に通されて一休み.霧と雨の中の長旅だった.そして,こんな裏磐梯の山奥でもホテル内で無線LANがつながるとはちょっとした驚き.まず〈天狗の湯〉から入湯.内湯と外湯がシームレス?につながる独特の湯船の造り.丸太をくりぬいたパイプからは真っ白な源泉がどばどばと湯船に注ぎ込んでいた.続いて内湯の〈剣の湯〉へ.こちらはふつう.単純硫黄泉かけ流しの快楽.湯上がりに山の冷気が心地よい.

しかし,ここ〈野地温泉ホテル〉の看板といえば「千寿の湯」.いちばん奥の湯船には熱い源泉が注ぎ込まれ,手前の湯船ほど湯音が低くなっるという三槽構造.総檜造りの湯屋は極楽そのもの.〈千寿の湯〉からは,24時間ずっと温泉の噴気がごうごうと音を立てて立ち上っている.別府・鉄輪温泉の光景を思い出した.

途中の峠道には,土湯峠温泉郷の〈幕川温泉・水戸屋旅館〉,〈赤湯温泉・好山荘〉,〈鷲倉温泉・高原旅館〉,〈新野地温泉・相模屋旅館〉などと立て続けに湯宿があって,それぞれの駐車場には泊り客の車がずらりと並んでいた.このうち赤湯温泉,幕川温泉,鷲倉温泉,そして新野地温泉は〈日本秘湯を守る会〉にも登録されている.

◆お座敷で夕ご飯をいただいて,部屋に戻って横になったらドロのように寝入ってしまった.

◆本日の総歩数=3293歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.6kg)/ 29.4%(−0.4%)


15 augustus 2014(金)※湯水のごとく浴びるお酒

◆午前4時半過ぎ起床.雲間から朝焼けなう.気温24.9度.ウッカリ忘れていた日録更新を二日分まとめてだん.

◆休日の┣┣" 撃ち —— 晴れときどき曇り.気温はすでに31.0度まで上がり,蒸し暑い南風が吹きつける.お盆の法要は今月はじめの京都ミッションでまとめてすませたので,何もないフリーダムな日が続く.ヒマにまかせて微小┣┣" 撃ち./進化学会大阪大会事務局から降ってきたお仕事一件.OKの返事をメールし,大会サイトから講演要旨集ダウンロード./三田と本郷に事務連絡メール./契約職員の賃金支払いに関する事務メールを観音台に送信.

◆[欹耳袋]Y!ニュース「昆虫で最小のゲノム=南極のユスリカ、極寒に適応―臓器保存に応用も? ・米大学(時事通信)」(2014年8月13日)→ 元論文Belgica antarctica というユスリカとのこと.

◆残暑が厳しい昼下がり.気温は33.3度まで上がっている.観音台に一瞬だけ実在し,即撤収.今日も仕事にきている研究員は多そうだ.

◆流山にて背徳ナイト —— 午後3時過ぎ,TXつくば駅.日本酒がずっしり重い.流山おおたかの森にて東武線に乗り換え.午後4時半に目的地着.ワタクシが持参したお供え物は埼玉〈神亀〉の純米活性にごり酒.それだけだったらいつもと変わりがないんだけど.サイズが一升瓶.しばらく研究室の氷温庫にしっかり安置して,当日もありったけの保冷剤とともに持参した.密閉栓なので,お作法通り噴出事故を防ぐため押しピンでガス抜きを数分間.いつもどおりの「まいう」だった.もう一本の一升瓶は奈良〈篠峯〉の「凛々・純米吟醸」を開栓.たった6人で二升四合,ワインが二本が空いた結末はいうまでもなく「うう……(最大)」となったしだいで…….

◆明日は明日で大仕事が待っているんだが…….うう…….

◆本日の総歩数=6728歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.4kg)/ 29.8%(0.0%)


14 augustus 2014(木)※みなしフリーダムの開幕

◆午前6時前のろのろ起床.曇り空.気温23.9度の蒸し暑い朝.今日から8月25日までは出勤簿にハンコを押す必要がないのでのびのびできる.だからといってフリーダムではない.働いたり飲んだり湯ったりしなければならないからだ.人生はきびしい.午前7時過ぎ,だんだん晴れてきた.気温25.0度の夏日ラインに到達.午前9時,よく晴れて青空が広がっている.気温27.9度.洗濯日和.

◆[欹耳袋]SankeiBiz「日本の「テマキ」ブラジルで大流行 欧米にも広まる」(2014年8月10日)※「ブラジル風手巻き寿司」ってこんな感じなんだ!(やや驚愕).

◆みなし休日の午前の┣┣" 撃ち —— あらら,MAFFIN に VPN 接続できないぞ.お盆休みでしょうか…….ひょっとして研究データ交換システムが止まっている?と思ったらお昼までメンテだそうだ.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「大学「オープンラボ」普及へ 研究室、壁を外し交流を 」(2014年8月12日)※「お互いに研究の様子が目に触れるようにし、実験の進捗などについて自然と情報交換が行われる」— こういう愚案を農水省はけっしてマネしないように.大部屋だと相互に「交流」するのではなく,むしろ互いに「監視」しあうことになりかねない.全体作業を迅速に進める仕事にはいいシステムかもしれないが,研究の場にはむしろもっと “私的” な空間が必要だろう.

大学や研究機関には外界から遮断された「独房」のような独り部屋をたくさん用意してほしい.人が寄りつかない “奥の小部屋” とか,図書室の片隅の “キャレル” とか, “茶室” とか “離れ” とか.日がな一日,他人と「交流」しまくっていて肝心の仕事(=研究)ができるはずがない.他の仕事は捗るかもしれないけど,それはそれでえらいメイワクなこと.

そういう「独り場所」が確保しやすいのは図書館・図書室だと思っている.それもふだん人が近づかないような地下書庫の奥の閲覧机とか最適.集密書庫の暗がりで誰かが紙を食べていたりとか,腐食寸前の皮装丁本から紙魚が湧き出してきたりとかする環境.ところが,図書室・図書館は改築されるたびに変に「明るく健康的」になってしまって違和感がありまくり.ライブラリーはもっと暗くて湿ってカビ臭い不健康な場所であってほしい.

◆昼下がりの観音台は曇り空が広がり,そろそろ雨が降り出しそうな空模様.お昼前にはいったん気温31.1度の真夏日になったが,午後は真夏日ライン直下.ただし,湿度が高くて蒸し暑い.

◆[蒐書日誌]【悲報】つくばのリアル書店には,数日前に発売されたはずのダンテ・アリギエリ[原基晶訳]『神曲:天国篇』(2014年8月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2244],東京,ISBN:978-4-06-292244-9 → 版元ページ)のブツがどこにもない.天国に行くなということですかそーですか(orz)./その代わりに,榎木英介さんの “神曲” 『噓と絶望の生命科学』(2014年07月20日刊行,文藝春秋[文春新書・986],東京,255 pp., ISBN:978-4-16-660986-4 → 版元ページ)をクラく読んでいるところ.バイオ研究者は地獄や煉獄を這いずり回れということですかそーですか./ついでに,丸山宗利『昆虫はすごい』(2014年8月7日発売,光文社[光文社新書・710],東京,ISBN:978-4-334-03813-7 → 版元ページ)も購入.オビがなかったらもっとよかった!(おい)/さらについでに,背徳お盆休みの寝読み本も:飯野亮一『居酒屋の誕生:江戸の呑みだおれ文化 』(2014年8月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・イ-54-1], 東京,318 pp., ISBN:978-4-480-09637-1 → 版元ページ)※図版がたくさんあっておもしろそう.

◆禍々しい雨がいまにも降ってきそうなので,天罰を受けないうちに観音台を撤収することにしよう.夕刻,雨がぽつぽつと降ったり止んだり.

◆本日の総歩数=5730歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.2kg)/ 29.8%(0.0%)


13 augustus 2014(水)※名ばかりはお盆休みの日

◆午前5時前起床.曇り.気温20.8度.快眠の夜が明けて南風が涼しい.明け方は20度の涼しさだったが,朝日が昇るにつれて暑くなってきた.日中は真夏日の予報.また真夏が戻ってきた.世間はお盆休みに入っているが,観音台の “森” はいつもの平日.曇り空.気温23.0度.やや蒸し暑くなってきた.活を入れるために朝イチの BGM はヴェルディのレクイエム.アバド指揮ウィーン・フィル.「怒りの日」のこの大太鼓はいつ聴いてもしびれるなぁ.居室が振動するもんなあ(どんな大音響か).

◆[欹耳袋]生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ「博士号資格者の共通理解が実質的にも制度的にもないこと」(2014年8月13日)※これもまた科学の「場所性」ということでしょう.統一する必要はどこにもない./日本経済新聞「海外学術誌が値上げ、大学悲鳴 5年で2割上昇 」(2014年8月12日)※「学術誌への投稿数も急増。内容をチェックするための出版社の人件費が増えているという」— そう言うなら査読者の経費も計上するよーに.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 今頃になってレポートを出したってダメです./いかにして学生さんに「アタマを使わせるか」というのは解答のない難問./まだ影も形もない原稿の「タイトル」をあれこれ考えているときがいちばんシアワセかもしれない./日経サイエンス編集部に書評原稿(1500字)送信.とても勉強になるいい本だった.

◆[欹耳袋]Frans Brüggen 逝去 —— Volkskrant | Frans Brüggen (1934-2014): blokfluitist in sportwagen | 13 augustus 2014. 「De Nederlandse dirigent en blokfluitist Frans Brüggen is op 79-jarige leeftijd overleden」.

◆正午の気温28.1度.残暑の日差しがまぶしいが,殺人的な暑さではないのでひさしぶりに昼休み徘徊.田んぼの稲はずいぶん成長して穂も実ってきたようだ.蝉しぐれの向こう側からエンマコオロギの独唱が聞こえてきた.歩き読み本:舟田詠子『パンの文化史』(2013年12月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・2211],東京,344 pp., ISBN:978-4-06-292211-1 → 版元ページ).午後イチの BGM はヴェルディの〈アイーダ〉にしようと思ったが,想像しただけで暑苦しいので,急遽変更.オリヴィエ・メシアン〈トゥーランガリラ交響曲〉のオンド・マルトノで涼もう.

◆午後の┣┣" 撃ち —— JTB からの「今からでもオキナワ大丈夫よん〜」メールと,某同名ジャーナル編集部からの査読押し付けメールが混ざり合って,「JTB」どうしがこんがらがってもう…….

◆[蒐書日誌]グローバル科学の背後にゲニウス・ロキ(地霊)が忍び寄る —— デイヴィッド・リヴィングストン[梶雅範・山田俊弘訳]『科学の地理学:場所が問題になるとき』(2014年6月16日刊行,法政大学出版局,東京,xii+298 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-588-37120-2 → 目次版元ページ

繰り返し刷り込まれてきた「科学はグローバルである」というスローガンはすでに誰にも反論できない雰囲気を帯びている.確かに,科学研究によって発見された “客観的” な事実や “普遍的” な成果は,特定の社会や文化や国境に限定されることなく,世界中のどこでも通用するだろう.その意味で科学とその成果が「グローバル」な普遍的価値をもつという表現にまちがいはないだろう.

この「科学はグローバルである」という合言葉に抗して,本書の著者はこう述べる:「私の関心は,実験がなされる現場,知識が生成される場所,調査がなされる土地が科学にとってどれほどの意義があるのか決定しようと努めることにある」(pp. 5-6).著者の基本姿勢は,グローバルな科学もまたローカルな条件によって制約されているという観点に立つ.本書のタイトルでもある「科学の地理学」とは,科学に制約を及ぼすこの「ローカルな条件」とは何かの解明を目指している.

本書を読む上でのキーワードは「科学の場所性」である.著者は,科学研究の成果がもつ普遍性を認めた上で,なお科学的知識の生産と消費にとってローカルな「場所性」はきわめて重要な要因であると主張する:「科学が普遍性の装いを享受し,地球の表面を驚くべき効率で伝達されるからといって,科学のもつ局所性が払拭されるわけではない」(p. 19).

科学研究はいずこの地域でなされるか.科学的知識はどのような場所でつくられ消費されるのか.著者は,科学におけるこれらの「場所性」の問題に関して,これまでの科学論では顧みられてこなかった「科学の地理学」という一般的な枠組みの中で議論しようとする.第1章「科学の地理学はあるか」では,科学の地理学における3つのテーマ「場所・地域・流通」が提示される.続く章ではこの順番で科学の地理学が語られる.

第2章「科学の場所」では,科学的知識が生産されるいくつかの「場所」に焦点を当てる.本章で事例として挙げられているのは,実験室・博物館・野外研究・庭園(植物園と動物園を含む)・病院・身体などである.科学における「実験室」のもつ特有の性格について著者はこう書いている:「知識がその生まれた地点から公的な場にもたらされるにあたって,知識として定着させるためにしばしばドラマ化される必要があった.実験の場は,また自然がさまざまなステージにかけられるので劇場的といえた」(p. 38).また,「博物館」については,「博物館はつねに解釈実践の場であり,そこで個々の品を空間配置することで,そもそも自然世界を再構成する場なのだ」(pp. 41-43)と述べ,博物館の場所性が長く論議の的であり,時代を通じて変遷を遂げてきた経緯に言及する.

フィールドでの野外研究について著者は興味深い指摘をしている.「フィールドは開かれた場所であったから,建物内にある実験室や博物館ほど簡単に定義づけ,境界を引き,秩序づけられるというわけにはいかなかった」(pp. 55-56)という著者は,野外研究と室内研究とは「認識論的な様式」(p. 54)の点でちがいがあったとみる.そして,野外研究の場においては,「専門家とアマチュアのあいだの境界が,他所よりもフィールドにおいていっそう不明確である一方,しばしば「アマチュアによる知識」が,有資格の専門家によって保証されたときだけに,本物の科学として受け入れられてきたことも事実である」(p. 56)ならびに「フィールド科学では,「徒弟制」とでもいうべきものが不可欠なのである」(p. 60)と書いている.

著者は,これら以外にも科学史のさまざまな実例を挙げながら,科学的知識が生産される場所にはそれぞれ固有の文化と様式があり,科学的知識の生産に対して実質的な影響を及ぼしたと結論する.

続く第3章「科学の地域」はとても刺激的な内容だ.著者は,科学が実際に行われているローカルな「場所性」を比喩的に「ゲニウス・ロキ(土地柄)」と呼ぶ(p. 113):「こうした物言いは,少しばかり神秘的すぎるかもしれないが,考え方の伝統や知的な交流の経路,言語系統,教育習慣,文化伝達の慣例,宗教的信条の形態,諸々のその他の人間意識の要素が地域のアイデンティティをつくるのに決定的に作用していることは間違いない」(p. 114).そして,これらのローカルな要因の全体が「特定の地域の環境下での科学の営みや研究実践者の知的な主張に多大な影響を与えてきた」(p. 114)と指摘し,科学の場所性が表層的にはとどまらない実質的な効果をもつとみなす.

この「場所性」の論議は,科学的知識の生産だけにとどまらず,その消費や流通にも広がっていく.第4章「科学の流通」では,あるローカルな場所で生産された科学的知識が,どのような経路と変遷をたどって,別のローカルな場所に到達するかを論じる.19世紀のロバート・チェンバースの手になる『創造の自然史の痕跡』(1844)やチャールズ・ダーウィンの著書『種の起源』(1859)が,国内外の地域によって受容のされ方がまったく異なっていたという科学史の事例を幅広く渉猟し,著者は場所性は確かに科学の営みを広く深く制約してきたことがわかると主張する.

全体を総括する最後の第5章では,グローバルな統一体としての科学が存在するというこれまでの科学観それ自体に対して科学の地理学からの疑念を呈している.科学は時間的にも空間的にももっと複雑な実体ではないかという見解だ.これまでの科学史が「時間軸」にもっぱら着目してきたのに対し,著者は科学の地理学が提示する「空間軸」にもっと目を向けるべきだと述べる.

本書において著者が示す一つの重要な論点は,「グローバルな科学」という観念が「ローカルな場所性」とどのように関連づけられるかという点だ.著者は,科学的成果をめぐる悪しき相対主義は論外としつつ,ローカルに生み出された局所的知識がグローバルに通用する普遍的知識となる道はけっして平坦ではなく,努力の末に初めて獲得できると強調する:「科学における国際主義は,現に存在しているものを見る限りでは,科学に固有の本質から必然的に出てきたものではなく,ある種の社会的な達成物と考えるべきだろう」(p. 116)すなわち「それは,努力して達成されなければならなかったものなのだ」(p. 116)と述べる.

では,どのような「努力」を払えば,ローカルな科学的知識はグローバル性を「社会的に達成」できるのだろうか.セオドア・M・ポーター[藤垣裕子訳]『数値と客観性:科学と社会における信頼の獲得』(2013年9月,みすず書房,東京)で詳述されている「数値化」による知識の客観化・普遍化はそのような「努力」のひとつなのかもしれない.

現代のように,たとえインターネットが普及して世界中が瞬時につながる世の中になったとしても,科学が実際に行われる場所と地域はローカルでしかありえない.特定の科学研究の分野であっても,世界を見わたせば科学地理学的なちがいが確かにある状況を実際に目にするとき,著者の言うローカルな「ゲニウス・ロキ」の神秘的な力は,グローバルな現代科学にとって無視することができないだろう.もちろん,本書を通じて,極東に位置する日本における科学の「土地柄」について考えることも重要だろう.

本書の巻末には註とともに詳細な文献解題と索引が付けられていて参考になる.広範な話題を含む翻訳はさぞかしたいへんだったのではないかと推察されるが,訳文はとても読みやすい.一箇所だけ校正ミスと思しき箇所があったことを最後に付記しておく:「箱舟を復元によって」(p. 67)→「箱舟の復元によって」.

—— 上の書評は本録でも公開した.

◆今日の夕餉は冷やし中華と “お水” だけというヘルシーすぎる食卓.

◆[欹耳袋]生きもの2題 —— 朝日新聞デジタル「絶滅危惧種、雑草と一緒に伐採? 奄美大島のリンドウ」(2014年8月7日)※「瀬戸内町の国道58号沿いに生えていた絶滅危惧種の植物アマミリンドウが、何者かに刈り取られた」./信毎Web「クツワムシ分布変わらず? 県内唯一生息の天龍 東大大学院調査へ 」(2014年8月9日)※「宮下直教授(53)=飯田市出身=」— 出身地はええのんちゃうか?

◆[自然を名づける]本日の打音:Silva Speculationis「「環世界センス」なるもの」(2014年8月12日)※この本は実在性に関する形而上学のドロ沼には深入りしていないので,一般向きの本としてはよかったんでしょう.

◆明日から10日間あまり,出勤簿にハンコを押さずにすむ日々が続く.かと言って,フリーダムなわけではない.

◆本日の総歩数=10300歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.7kg)/ 29.8%(+0.3%)


12 augustus 2014(火)※雨が降っても採点の祭典

◆午前5時前起床.晴れところどころ曇り.気温24.5度.朝焼け.曇り空の観音台は空気が湿っている.気温26.6度.西から雨雲が接近している.予報では雨になるらしい.

◆[欹耳袋]PAUP* メーリングリストからアナウンスあり.新バージョンが出るとのこと. Mac OS X と Windows 7 は GUI 版(同じくSinauer社から),無料の command line 版も出るらしい.まずはテスト版をダウンロード.わぁ〜 MacBook Air で PAUP* の GUI がちゃんと動いてる! なんだかとてもひさしぶりな感じ.あとは,ちゃんとしたマニュアルが出るんだったら待ち続けた甲斐があったというもの.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 採点の祭典はまだ続いている.複数の筆跡を使い分けられるアナタがとてもうらやましいんですけど……./昨日,一┣┣" が去ったと思ったら,別の一┣┣" が漂着した.今回は申し訳ないがお断りしよう.引き受けてしまうととんでもない加圧がかかることが必至なので./採点の祭典,やっとゴールが見えてきた.教務システムに成績入力をして,前期の「採点の祭典」はやっと終了.大きい┣┣" が浜から離れていくのを手を振って見送る.

◆「採点の祭典」が終わって —— 春学期の講義を担当した大学の成績評価と入力が無事に終わった.2回の課題レポートと毎回の出席カード&質問票のチェックなど,多大な時間を費やした.しかも,昨今は悪しき “コピペ” が社会問題化しているので,今回の採点と成績評価に際してはこれまで以上に厳しくチェックしたところ,出るわ出るわの大賑わい.あからさまな “共有派生形質” が定義するありえへんほどきれいな “単系統的” 答案群が見つかった.こんな明快な “マーカー” を証拠として残していたら一網打尽ではないか.

たとえば,「多次元尺度構成法」という共有派生形質.ワタクシは講義中にこの方法にはまったく言及しなかったはずなのに,答案にはわらわらと登場する.しかも文章のいいまわしが同一なので,明らかにコピペしたものと想定される.あるいは「正義」というマーカー.あるレポートの仮説の真実性に関する回答として登場したこの場違いな言葉が他のレポートにも同じ言葉遣いとともに出現する.

文献系図学的に興味深いのは,「アダクション」という表現.「アブダクション」の写し間違いと推定されるこのミスが他のレポートにもそのまま伝承され,さながら「棒の手紙」ならぬ,「アダクションのレポート」系譜を形成している.

おもしろいのは統計モデルの誤差項εij に代わる「∈ij」という表記.おそらく,最初にレポートを書いた学生は「ε」というギリシャ文字を知らなかったので,字形的に類似している集合論記号の「∈」を苦肉の策として代用したのだろう.この「∈ij」もきれいな “単系統群” を形成していた.こういう大小取り混ぜたコピペの事例は枚挙にいとまがない.

そんなこんなで血圧があがりつつも今回は “大魔神” になって厳しく成績評価したので,全体の1/6が「不可」,1/2が「可」となった.残りの1/3が「良」または「優」または「秀」ということ(ランクは「良<優<秀」).もっと厳しくしてもよかったのだが,それは来年度まわしにしよう.

—— 振り返ってみれば「採点の祭典」は健康にあまりよくない…….

◆[欹耳袋]生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ「日本の博士取得者の大問題についての意見」(2014年8月11日)※「国外にでたら日本に戻ろうと決して思うな」— その決心がつくまでのハードルはとても高い.「研究者は海外での研究活動を基本にせよ」というメッセージは理解できる.しかし,研究者のみの「一体問題」はそれでいいとしても,パートナーとの「二体問題」が生じたり,不可避的に直面する親の介護という別の「二体問題」をどのように乗り越えるかという問題は残る.

時間と場所を共有できないとき,頼りになるのはまちがいなく「経済力」だろう.足りない時間を買い,たどりつけない距離を縮めるにはお金の問題は避けて通れない.だから,研究者は貧しくては絶対にやっていけないはず.貧しくてもいいから海外に行けというのは「研究者=研究移民=研究棄民」という主張につながってしまう.

だからこそ,その「運」に賭けろというのはリスキーでも当たれば大きいというメッセージかと思う.しかし,その決断を誰もが容易にできるわけではない.むしろ,若い研究者は何も考えずに海外に飛び出せという「多産多死」戦略を進めろということか.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後は読書と抜き書きの時間を過ごす.外は曇り空からときどき雨がぱらついている.気温は夏日ラインをうろうろしている.今日は例外的に涼しいようだ./今月下旬の┣┣" 撃ちカレンダー更新.

◆朝のうちは真夏日近くまで気温が上がったが,雨雲が通り抜けた午後はむしろ下降して,午後5時には21.7度という夏を忘れさせる涼しさ.スコールがざあざあ降り始めた.今宵は石川の新銘柄〈農口〉の山廃吟醸.濃い.

◆[欹耳袋]科学技術・学術制作研究所「「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査-大学・公的研究機関への全数調査(2012年度実績)-速報版」の公表について」(2014年8月8日)※「ポストドクター等の延べ人数は減少傾向にある」./地獄のハイウェイ「理学系とくにバイオ分野では博士課程へは進むのは無謀 」(2014年8月11日)※「労働集約型の生物(≒バイオ)系が理学系ポスドクの多くを占めているのは間違いないだろう」.

◆午後10時の気温は20.3度.吹き抜ける夜風が涼しいので窓を全開放.寝心地よさそう.

◆本日の総歩数=3227歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.1kg)/ 29.5%(−0.3%)


11 augustus 2014(月)※採点の祭典が燃え上がる

◆午前5時前起床.曇り空.台風のなごりの南風がまだ吹き荒れている.気温27.0度の熱帯夜はもうすぐ明ける.雲間から朝日が差す.蒸し暑い.台風一過の観音台は再び真夏が戻り,朝から日差しが照りつけている.吹き返しの強い南風に雲がどんどん流されている.気温はすでに28.7度.真夏日になるのは確実だろう.お盆休みウィークは通勤路も空いているし,農環研の駐車場も空いているし,所内はもちろん空いているという極楽な期間.(棒読み)

◆[欹耳袋]京都の話題ふたつ —— 京都新聞「姿消す京都・伏見の酒蔵風景 月桂冠、近代化遺産も解体」(2014年8月8日)※月桂冠の酒蔵がある伏見区の中書島から丹波橋にかけては親戚が点在していた.中書島の旧遊郭街は遊び場だったし./今夜の第54回宇治川花火大会「宇治川花火大会 中止のお知らせ」 .宇治川が氾濫したら黄檗から木幡あたりまで水浸しになるもんねぇ.

◆昨日,西武の古書市で見かけた2冊.「ひょっとしてすでに持っているかも」と躊躇して買わずに帰り,いま居室の本棚をチェックしたら両方ともなかった.このためらいが災いのもとにならないよう,今日は速攻で買いに走ろう.古書市での「一瞬のためらい」はその後長く尾を引く後悔をもたらすことが多い.「ダブってもいいから買ってしまえ」というのは鉄則のひとつ.たいていの場合,ためらう前に手を出す方がいい結果をもたらす.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 慶應義塾大学文学部極東証券寄附講座〈文献学の世界〉報告書の再校ゲラがお盆に届くとの連絡あり.予想通り,同一内容で,寄附講座報告書(非売品)と書店販売分の二通りをつくるとのこと.

◆[蒐書日誌]顔本で Ronald A. Fisher の本をオススメされたんですけど —— Ronald A. Fisher 伝:Joan Fisher Box『R. A. Fisher : The Life of a Scientist』(1978年刊行,John Wiley & Sons, New York, xiv+412 pp., ISBN:0-471-09300-9 [hbk])はいつまで待っても古書価が下がらないな.最低価格10,000円,最高価格20万円だと.Karl Pearson みたいな好戦的な研究者と Ronald A. Fisher みたいな傲慢な研究者が論争しているとき,まわりの統計学者たちはさぞかしメイワクに思っていたんじゃないかなぁ.

◆気温32度の真夏日をものともせず,お昼休みに筑波西武の古書市に突撃し,狙っていたブツ(+α)を首尾よくゲットした.夕方の帰宅時まで待っていたのでは逃していたかもしれない.善は急げ.真夏の青空のもと農林団地は蝉の大合唱が響いている.

◆[蒐書日誌]今日の古書市は「本の本」がたくさん釣れた —— イワン・スイチン[松下裕訳]『本のための生涯』(1991年11月20日刊行,図書出版社[ビブリオフィル叢書],東京,4 plates + 354pp., ISBN:4-8099-0500-4)※出品:いわき市・阿武隈書房, 500円/長谷部史親『推理小説に見る古書趣味』(1993年1月20日刊行,図書出版社[ビブリオフィル叢書],東京,222pp., ISBN:4-8099-0507-1)※出品:神田神保町・新日本書籍, 1200円/高宮利行『西洋書物学事始め』(1993年1月10日刊行,青土社,東京,ISBN:4-7917-5231-7)※出品:板橋区・坪井書店, 800円/ジェラルド・ドナルドソン[加島祥造訳]『書物憂楽帖 : オール・アバウト・ブックス』(1983年3月1日刊行,TBSブリタニカ,東京)※出品:いわき市・阿武隈書房, 500円.代金は4冊合計でちょうど3,000円なり(税別).

◆昼下がりのBGM はパウル・ヒンデミット〈交響的変容〉.〈交響的変容〉の総譜が本棚のどこかにあったはずだが,皆目検討がつかない.ひさしぶりに研究室に「勧誘電話」がかかってきた.前置きが長いので「早く用件を言わないので切る」とブチ切り.当然,間髪入れずにまたかかってきたので,無言で “開線放置戦術” に切り替え.居室に乱入してくる勧誘やセールスの相手に対しては「人を人とも思わないひどい扱い」をしますのでヨロシク.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 「採点の祭典」真っ最中.きわめてきれいな “単系統的” 答案群が形成されている.こんなあからさまな “共有派生形質” を残していたら一網打尽.今回は “大魔神” になってやろう./本日締切のはずの原稿┣┣" 一頭が,編集部の都合で一ヶ月先に延びることになり,静かに沖に去っていったのだった.たまにはこういうこともある./そんなことよりも,今月中に征伐すべき極悪┣┣" が2頭残っている…….

◆次の BGM は同じくパウル・ヒンデミットの交響曲〈世界の調和〉だ.これも総譜をもっているけど行方不明.

◆[欹耳袋]独立事象? —— 47NEWS「駅で2人はねられ死亡、東京 井の頭線の駒場東大前」(2014年8月11日)※これは独立事象なのか./別のニュースソース:MSN産経ニュース「男性2人が飛び込み死亡 同時に自殺図ったか」(2014年8月11日)を見るとどうやらそのようだ.

◆夜の┣┣" 撃ち —— 「採点の祭典」は夜も続く.調べれば調べるほど “共有派生形質” がわらわら湧いてきて…….かの有名な「チュブリラ本」単系統群にも匹敵する,「アダクション」単系統群まで出現し,血圧が上がり気味の大魔神もしばし苦笑するしかない.「アブダクション」を「アダクション」と書き間違えるミスは,文献系図学の Paul Maas の用語で言えば「結合的エラー(errores coniunctivi)」すなわち Willi Hennig の「共有派生形質」なので見逃されるはずがない.

—— しかし,おもしろい!と楽しんでいるわけにはいかない(怒)

◆本日の総歩数=7565歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.6kg)/ 29.8%(−0.1%)


10 augustus 2014(日)※台風の南風にあおられる

◆午前5時過ぎ起床.雨.気温21.8度.台風11号の遠い影響で,昨夜から断続的に雨が降ったり止んだりしている.北東風のせいで気温はこの季節らしからぬ低さ.昨日の最高気温は26.7度,今朝の最低気温は21.3度.午前8時,雲間から青空がのぞき,朝日がさんさんと降り注ぐ.あれ,台風は? 気温23.9度,北東風が涼しい竹園.

◆[欹耳袋]研究者のための英文校正比較.「英文校正会社比較の決定版。料金、サービス、校正の質などを徹底比較して紹介」とのこと.

◆午前10時,雲はまだ広がっているが,日差しとともに気温上昇中.北東風から南風に変わった.正午前,いきなり横殴りの雨が降り始める.激しいスコールはほんの数分だったが,台風からの湿った南風が吹き込んで不快指数がイッキに上昇.午後になって,止んだと思ったら,また雨がざあざあ降り始めるせわしなさ.強い南風に煽られて雨のカーテン.さすが台風接近らしい荒れた空模様.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「奨学金訴訟、100倍に 8年で急増 借り手困窮/機構、回収強化」(2014年8月10日)※「担当者は「所得に合わせた返済制度は世界的な流れ。これまでがおかしかった」と説明」— 給付型でない方がよほどおかしい.

◆昼下がり,統計原稿の神様に取り憑かれてしまったらしく,羊土社連載の続きの原稿4000字を書き上げて編集部に送信:三中信宏・第9回「統計学の王国にて〔4〕:確率分布曼荼羅」.これは順調に行けば『実験医学』2015年1月号に掲載予定.金曜から連日書き続けて計16,000字あまり.そろそろ別件の原稿に移りたいんだけど…….

◆[蒐書日誌]Gavin E. Crooks 2013. Survey of Simple, Continuous, Univariate Probability Distributions. Version 0.5 [pdf]./Karl Pearson (ed.)『The Life, Letters and Labours of Francis Galton[3 Volume Set in 4 Pieces]』(1914-1930年刊行,Cambridge University Press, Cambridge → 情報).計1700ページまるごと電子化公開されている.

◆午後5時過ぎ,台風は関東地方をかすめて通り過ぎ,いまは吹き返しの強い南風が街路樹を揺すっている.曇り空の夕方.湿度が高い.筑波西武の〈真夏の古本まつり〉を一周り.坂口謹一郎『酒学集成(全5巻揃)』が4000円で出ていた.夜,雷鳴がとどろき,スコールが降り注いでは止む.湿った生暖かい南風の吹返しは相変わらず強い.

◆本日の総歩数1835歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(−0.2kg)/ 29.9%(0.0%)


9 augustus 2014(土)※かなたから迫り来る台風

◆午前5時半起床.気温23.1度.曇り空.午前6時,気温は22.7度.北東風が吹き込んでいるせいか,湿り気はあってもしのぎやすい朝.午前9時.あいかわらず曇り空.気温24.7度.台風接近の気配はまだない.

◆[欹耳袋]公開! —— 羊土社・実験医学online – 三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉連載第4回「パラメトリック統計学への登り道〔1〕:ばらつきを数値化する」※『実験医学』2014年8月号に掲載された記事のオンライン版.

◆休日の┣┣" 撃ち —— 窮人編集者を噛む……./東大の UT-mate のシステムが変わって新しいユーザー名が配布されたのだが,ログインに失敗しまくりで,理学部と農学部の両方の教務の手間を取らせてしまい,何週間もかかって問題はやっと解決した.教科ごとにいちいちログインする必要がなくなり,学部をまたいで全学共通オッケーになった.このように教務システムが性能向上してくれるのはたしかにありがたいが,大学間で共通のシステムになってくれればなおよし.現状のように大学ごとにばらばらだと,めんどーくさいったらありゃしない./農大の「採点の祭典」はまだ始まっていない…….

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「大学教員に成果主義の波 受講者増なら給料増」(2014年8月8日)※あー,大学という名の予備校のことか./猫ギターの教育論「開成高校の先生のレベル」(2014年8月6日)※「勉強がわからなくなるということは」「半分は私たち教える側にも責任があります。私は全力を尽くしてその半分の責任を果たそうと努力します」— 予備校は別世界.

◆曇り空からときどき小雨がぽつぽつ降りかかる昼下がり.気温はなんと26.7度どまりというありえへん涼しさ.罪深き日々を断髪で禊し,〈コーヒーファクトリー〉にて珈琲豆をゲットして帰還.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 勢いづいて,次なる羊土社連載原稿3800字を編集部に送信:三中信宏・第7回「統計学の王国にて〔2〕:正規分布という王様が誕生する」.これは『実験医学』2014年11月号に掲載予定.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「介護や夫婦別姓、変わる家族観 全国家庭動向調査 」(2014年8月9日)※1993年度調査との比較:「子供が3歳くらいまで母親は仕事を持たず育児に専念した方がよい」89.2%→77.3%.出典:国立社会保障・人口問題研究所「第5回全国家庭動向調査」(2014年8月8日).日本の “本体” がぜんぜん変わっていない…….

◆夏とは思えない涼しい夕暮れ.東風が吹き込む午後5時の気温はなんと23.2度だった.しかし,灰色の曇り空はすでに台風の凶兆あり.今宵は盛岡冷麺. “お水” は秋田〈刈穂〉の「夏吟醸・六舟 Summer Mist」おりがらみ.食卓は夏そのもの.

◆夜の┣┣" 撃ち —— さらに勢いづいて,次々回の羊土社連載原稿4000字を編集部に送信:三中信宏・第8回「統計学の王国にて〔3〕:正規分布とパラメトリック統計理論の成立」.これは『実験医学』2014年12月号に掲載予定.内容的に連作化していて,さらに「統計学の王国にて〔4〕:確率分布曼荼羅」へと続くのだが,さすがに今日はムリ.昨日から計12,000字,今日だけで8,000字も書き上げてしまったので,そろそろ店じまいしてもいいだろう.

◆夜,雨が降り始めた.いよいよ台風の前兆か.

◆本日の総歩数=2432歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(+0.3kg)/ 29.9%(0.0%)


8 augustus 2014(金)※雨が降るのは台風の予兆

◆午前4時半起床.雲が多い日の出前.気温24.4度.蒸し暑い.今日が締切の課題レポート.散発的に降ってくる “火山弾” を打ち返す早朝.今夜の締切に向かって今回もいろいろなドラマがあるのだろうか.曇りときどき晴れ間がのぞく観音台は,すでに気温28度を越え,蒸し暑くなってきた.朝イチの BGM はマーラー8番〈千人の交響曲〉.Veni, creator spiritus! 「原稿の神様」もついでに降臨してほしいな.

◆[欹耳袋]読売新聞「監禁容疑者、20年前まで有能な独哲学研究者」(2014年8月5日)※「有能な研究者に何が起きたのか」— そんな煽るような書き方しなくたっていいのに.

◆[蒐書日誌]Theodore M. Porter『The Rise of Statistical Thinking, 1820-1900』(1988年刊行,Princeton University Press, Princeton, xii+333 pp., ISBN:0-691-02409-X [pbk] → 版元ページ).統計学史本がどんどん集結している.

◆午前の┣┣" 撃ち —— いつ書くの,今しかないでしょ! 第二部の最後でかなたから登場する「永遠の女性的なるもの(das Ewig-Weibliche)」に導かれて高みに昇天し,あちらの世界で原稿書きまくり.正午過ぎ,遅れていた羊土社連載原稿4000字を編集部にやっと送信できた:三中信宏・第6回「統計学の王国にて〔1〕:確率変数と確率分布を手渡される」.しかし,これでまだ終わらないところがエンドレス気分.

◆[蒐書日誌]居室本棚の奥から降臨した本:Egon S. Pearson (ed.)『Karl Pearson’s Early Statistical Papers』(1948年刊行,Cambridge at the University Press, viii+557 pp. with many plates).たまにはこういうガチガチの数理統計学もいいかも.そして,もう1冊の降臨本:Egon S. Pearson and John Wishart (eds.) 『“Student's” Collected Papers』(1942年刊行,Biometrika Office, University College London).ギネス醸造所は “Student” を育てたという一点だけでも統計学史的に残るいい仕事をしたと思う.かつて学部生のころ,研究室で輪読されていたMaurice Kendall and Alan Stuart『The Advanced Theory of Statistics』は難攻不落の九龍城みたいな存在だった.物理的にも重かったが,内容的にも乾物のような歯ごたえがあった.そびえ立つその「数学砦」の背後に隠れてしまった現実世界の具体的な問題状況をふたたび掘り起こすのがいまのお仕事.

◆曇り空のお昼休み.気温は真夏日ラインすれすれだが,なんだか蒸し暑そうで徘徊気分にならない.それよりも Gmail の接続がとっても悪いのは観音台だけ? ふと気がつけば,お仕事用 MacBook Air を取り巻く統計本たち.即席の護摩壇みたいなものか.

◆[欹耳袋]連載原稿を書くのに Carl Friedrich Gauss の調べ物をしていて,彼がいた Göttingen に同名の高級レストランがあったはずとふと思いだした.検索したら今もちゃんとあった:〈Gauß〉.Göttingen で15年前に開催された Hennig Society Meeting に参加したおり,毎朝,中心街の Altstadt から石畳を登っていく坂の途中にあったレストラン.滞在中は入る機会もなく通り過ぎるだけだった.店の真向かいには出版社 Vandenhoeck & Ruprecht とグリムのなんちゃら研究所というのがあったと記憶している.

◆午後の┣┣" 撃ち —— メールボックスにレポートがたくさん着弾している.受領返信メールを弾き返さないと.「実験データー解析概論」受講生のみなさん,今日が第2回レポートの提出締め切り日です.23:59:59 まで待っていますので,提出お忘れなく.

◆マーラー〈千人〉→〈復活〉→三番と快調に BGM は消化され,はてさて次はどうしようかという選曲問題が浮上.けっきょくアバド/ベルリン・フィルのマーラー〈悲劇的〉を BGM に次なる原稿仕事へ.無慈悲な鉄槌が振り下ろされる前にずんずん書き進めないと.そうこうするうちに,一発目のハンマーがどっかーん!と炸裂.外は雨が降り出しそう.でもって,ニ発目のハンマーがどっかーん!と爆裂して,外は雨になった.

◆雨雲がちょっとだけお湿りをもたらし,通過後はものすごい湿気で不快指数マックス.夕方は青空もちらちら見えたが,午後6時の気温は26.5度でたいしたことないはずなのに,この蒸し暑さはたまりまへん.

◆烏骨鶏は今宵もいる —— ここ何日か格闘した烏骨鶏の丸鶏.昨日だけではとても食べきれず,またしても食卓に出現.烏骨鶏をまるまる完食する機会はそうそうないだろう.夕餉の “お水” は石川・羽咋市の〈遊穂〉BY25山おろし純米吟醸無濾過生原酒.しっかりボディがあるので烏骨鶏にも真っ向勝負.

◆夜,そろそろレポート提出が “佳境” にさしかかってきた.これからの1時間にさまざまなドラマあり.提出締め切りまでのあと1時間はじっと待ち続けるしかない.午前0時,これをもってレポート提出を締め切ります.ちーん.明日からは「採点の祭典」が開幕する.

◆本日の総歩数=2913歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(0.0kg)/ 29.9%(+0.1%)


7 augustus 2014(木)※ツクツクボウシ鳴く立秋

◆午前5時前起床.日の出.立秋の朝は25.2度の熱帯夜.立秋の観音台はミンミンゼミ軍団の背後からツクツクボウシの対旋律が響く.気温29.1度.真夏の日差しにやや抑制が効いている.午前9時を過ぎても真夏日ラインを越えないのは雲が広がっているせいか.BGM はグレゴリオ聖歌.CD6枚もあるので完全制覇にはほとんど一日かかる.

◆[蒐書日誌]昨日,烏骨鶏とともにやってきたサイン本: 有賀克彦『材料革命ナノアーキテクトニクス』(2014年6月27日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・227],東京,vi+109 pp., 本体価格1,200円, ISBN:978-4-00-029627-4 → 版元ページ) .ご恵贈感謝.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 広報情報室に取材二件の事後報告書提出./秋学期の東大「生物統計学」の兼業申請書類./日赤第二の医療費返還手続きをすること.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「京都)大学内に火薬製造所… そこにあった「戦争」」(2014年8月6日)※京大宇治キャンパスは旧陸軍火薬施設の跡地.ワタクシが在学した東宇治中学校は京大キャンパスと現陸上自衛隊宇治駐屯地にはさまれていた.当時の東宇治中の平屋の校舎は,壁が異様に厚くて,しかもすべての窓に鉄扉が付いていた.要するに旧陸軍の火薬庫を戦後そのまま校舎に転用したということ.朝夕の定時に鳴り響く自衛隊の時報ラッパを聞きながら,火薬庫の中で勉強する中学生はあまりに「昭和」すぎる構図.中学から見渡せる京大宇治キャンパスは,昔の駒場キャンパスみたいに荒れ果てて?いて,悪童たちは塀を乗り越えて,京大の敷地の中で好き放題に遊んだり,別棟に侵入したりしていたようだ.無法ぶりに業を煮やした先生が「あれでもちゃんとした大学なんだから」と諭していた.

◆午前のうちに32.3度まで上がって,それなりに真夏の体面は保たれている.しかし,今日の昼休みもまた引きこもるよう運命づけられている.

◆[欹耳袋]気象庁の〈高解像度降水ナウキャスト〉はとても役に立ちそう.さっそくブックマークした.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 外気温は33.2度まで上がっても,居室内は今のところ26.5度.こまごまと事務書類をつくったり,手続きの段取りを訊きに行ったり./φ(。。). .. . ... . ... . . ...

◆夕暮れ時,夏らしからぬ秋のような雲が空に広がっていた.立秋を体現しているというよりは,迫り来る台風の遠い予兆らしい.

◆烏骨鶏と格闘する立秋 —— 一昨日の夕暮れ,烏骨鶏の丸鶏をヒソカにいただき,昨日の夕方から調理開始.参鶏湯にすべく,松の実だのもち米だのクコの実だのを鶏さんのお腹に詰め込んで緊縛し,深鍋で煮込むこと3時間.ふつうのニワトリだったらこれでもう十分のはずだった.ところが,昨日の夕餉にとりあえず出したところ,即ダメ出し(驚愕失神).色合いはそれっぽいが,煮込み度がぜんぜんたりないことがわかった.第一線は烏骨鶏のアッパーカットであえなくダウンという顛末に終わった.雪辱戦に立ち向かうべく,さらに一昼夜ガンガン煮込み続け,今宵の夕餉にやっと食卓に出せるクォリティに達した.色合いは真っ白からやや褐色を帯び,ホネに張り付いていたお肉がやっとはがせるまでに.ご飯を多めにして「烏骨鶏雑炊」にしたのだが,真冬に食べたらさぞかし芯から暖まったにちがいないが,真夏の雑炊は修行そのもの.烏骨鶏はムダなく使わせていただきました.いやぁ,烏骨鶏の調理はタダ事ではない.

◆[蒐書日誌]着便:古川ロッパ[滝大作監修]『古川ロッパ昭和日記・〔補巻〕晩年篇(昭和28年 — 昭和35年)』(1989年4月20日刊行,晶文社,東京,928 pp., 本体価格12,000円,ISBN:4-7949-3064-X)|付録『緑波資料館』(45 pp.).付録の「緑波資料館」は年譜と人名索引.先行する3巻はすでに手元にある(→情報).これでやっと4巻すべてそろった.古川ロッパが楽屋に貼り出したという「いろはかるた」が巻末に紹介されている:「イ いつも初舞台の気持」「ロ ろんより稽古」…「ト とちりは一代の恥」…「ウ うたは喋れ セリフは歌え」…「ノ のどを鍛えよ」…「ヒ ひひょうはさまざま」,最後は「ン ん(運)」.

◆明日こそは原稿にケリをつけて,編集部に放流するのだ.烏骨鶏パワーで押し倒しだ.

◆本日の総歩数=3551歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=94.2kg(−0.6kg)/ 29.8%(+0.5%)


6 augustus 2014(水)※うだる暑さの中にも秋風

◆午前5時前起床.日の出ぎらぎら.気温26.2度の熱帯夜が明けた.お米を研ぐ水道水がお湯になっていた.朝から真夏の空が広がる観音台は,午前8時の気温は31.0度と猛暑日になった昨日と同じ上がり方.それでも吹く風がそこはかとなく涼しい気がするのは湿度が低いせいか,それとも立秋が近づいてきたからか.そういえば,おととい竹園のペデでツクツクボウシの初鳴きを聞いた.空調前の居室温度は30.5度と外気温とほぼ同じ(建物最上階のここは野外か).いまやっと全館空調が稼働開始.夕方4時まではなんとか生存可能.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 真夏の五月雨のように降りかかるレポートへの受領メールを打ち返す朝イチのお仕事./φ(..) . ... . . .. . . ..

◆[蒐書日誌]セオドア・M・ポーター[藤垣裕子訳]『数値と客観性:科学と社会における信頼の獲得』(2013年9月20日発行,みすず書房,東京,316+lxxiv pp.,本体価格6,000円,ISBN:978-4-622-07781-7 → 版元ページ).索引中の「ピアソン Pearson, Egon」(p. vii)はすべて「Karl」のまちがい.統計学史の文脈で「Egon Pearson」が登場するのは,「Neyman-Pearson」の連名か,あるいは「Karl Pearson」の初期論文集の編者としてだけだろう.

それはともかくとして,「数学的統計学」(p. 41)とか「ランダム化(無作為抽出)」(p. 266)とか「直感的統計学者によって表象されはじめた」(p. 276)とか — おい,大丈夫か,この翻訳.訳文で疑念がむらむら湧き上がってきたときの唯一の正しい対処法は原書を入手することに尽きる:Theodore M. Porter『Trust in Numbers: The Pursuit of Objectivity in Science and Public Life』(1996年刊行,Princeton University Press, Princeton, xiv+310 pp., ISBN:0-691-02908-3 [pbk] → 版元ページ).

—— 有害な翻訳は「見なかったふりをする」自由が読者にはあるはず.もちろん,有害な翻訳書を「あえて引用しない」自由もある.

◆[欹耳袋]ジュンク堂書店池袋本店イベント:小松貴「裏山の奇人・野にたゆたう博物学~デレさせろ! 裏山のへんな虫~」2014年10月10日(金)19:30~※このめざましいキャラの立ち方は断蟲亭センセイの薫陶にちがいない(断言)./ジュンク堂書店池袋本店イベント:「「本文二段組500P超厚さ50ミリ本」フェア記念トークイベント重厚長大な読書について、大学生が語りあう夕べ」2014年10月02日(木)19:30 ~ ※なにかしら “筋肉番付” みたいな.

◆正午の気温34.0度.外出自粛(自発的).

◆[欹耳袋]統計学を “生業” としているみなさんは一日一回拝みましょう —— Carl Friedrich Gauss『Theoria motus corporum coelestium in sectionibus conicis solem ambientium』(1809年刊行, F. Perthes und I. H. Besser, Hamburgi).正規分布の初出論文.その確率密度関数は p. 244 に載っている(1906年刊のガウス全集第7巻 → Göttinger Desitalisierungszentrum).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 原稿書きの資料 だ け は十分すぎるほど集まっているんだけどなあ……./φ(。.) . .. . .. . .... . . . .

◆[欹耳袋]毎日新聞「笹井氏自殺:2カ月前から研究室メンバーの就職先探し」(2014年8月6日).追い詰められればつねに “ひとり” になってしまう.予想されていたかもしれないことに前もって対処しなかったのは不手際./朝日新聞デジタル「「STAP細胞必ず再現して」…小保方氏に遺書」(2014年8月6日).読み手が “世間”であることを見越している.

◆夜は烏骨鶏と大格闘の末,引き分け.

◆本日の総歩数=4554歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=94.8kg(−0.1kg)/ 29.3%(+0.1%)


5 augustus 2014(火)※観音台に熱風熱波が襲来

◆午前5時起床.日の出なう.気温24.8度.ミンミンゼミがうるさい.夏空が広がる観音台は午前8時には早くも気温31.0度に達している.乾ききった裸地からは土煙がもうもうと立つ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 原稿がなかなか進まぬ…….BGM がグレン・グールドなのが敗因か.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「キャリアダウン、働くママだけ? 均等法と分断の85年」(2014年8月2日)※「夫婦ともに総合職の場合、育児や家事の多くを誰かに委託しなければ生活は成り立たない」/朝日新聞デジタル「ここは扶養の国、日本 85年は女性の「分断元年」か」(2014年8月3日)※「扶養の国」へと引き込まれる」「夫を支えてきた妻かそうでないかで社会保障に差がつく分断」「主婦と働く女性の分断も政策で作られた」./朝日新聞デジタル「「古い人間だから、女は下」 女性参画目標で異論 三重」(2014年8月5日)※委員の人選を間違えましたということで……(ナニコレ).

◆熱風熱波の観音台は昼休みの気温が34.6度と猛暑日寸前.今日もまた外をふらふら徘徊してはならぬ.13:00に35.0度の猛暑日ライン到達.まだ上がるか?

◆[蒐書日誌]生成デザイン法 —— Hartmut Bohnacker, Benedikt Gross, Julia Laub, Claudius Lazzeroni (eds.)『Generative Design: Visualize, Program, and Create with Processing』(2012年8月刊行,Princeton Architectural Press, New York, 480 pp., ISBN:978-1-61689-077-3 [hbk] → 版元ページ).本書のコンパニオンサイト〈Generative Gestaltung〉が開設されている.インフォグラフィクス系のヴィジュアル本はどれもこれも本棚からはみ出すほど巨大化している.タテると “ぬりかべ” みたいにジャマになり,ヨコにしても敷地を専有してしまう.ドイツ語原書:Hartmut Bohnacker, Benedikt Gross, Julia Laub, Claudius Lazzeroni (eds.)『Generative Gestaltung: Entwerfen, Programmieren, Visualisieren mit Processing』(2009年刊行,Verlag Hermann Schmidt, Mainz, ISBN:978-3-87439-759-9 → 版元ページ).

◆午後の┣┣" 撃ち —— うう,原稿……./二回目の課題レポートがそろそろ届き始めているのだが,あれほど「添付ファイルは御法度です」と言ったのに,わーど添付のメールが舞い込んだりする.黙って添付ファイルの内容をテキストに書き出し,受領返信メールに全部ペーストして「添付レポート受領」と一言添えるのがオトナの対応.

◆[欹耳袋]「政治的問題」の中で起きたできごと —— 朝日新聞デジタル「理研・笹井副センター長が自殺…STAP共著者」(2014年8月5日)/ニコ生(2014/08/05 13:30開始)「《STAP細胞論文問題》笹井副センター長自殺に関する記者会見 生中継(番組ID:lv188601125)」./産経新聞「広報室長会見一問一答 「心身ともに疲労」」(2014年8月5日)/産経新聞「笹井氏、追い詰められ心身疲労…STAP細胞存在の可能性を主張続けるもストレスで入院」(2014年8月5日)./毎日新聞「笹井氏自殺:論文発表から半年…キーマンの悲劇」(2014年8月6日).自分のことは最後まで自分ひとりでやりくりするしかないのだろう.頼るものはない.

◆午後4時を過ぎると空調をフル回転させても居室の気温が真夏日ラインを下回らない.こういう猛暑日だからさくっとあっさり撤収した.今日の最高気温は36.0度.夕方になっても30度超.

◆本日の総歩数=4218歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(+0.1kg)/ 29.2%(−0.4%)


4 augustus 2014(月)※真夏の本郷で集中お座敷

◆午前5時過ぎ起床.ぎらぎら朝日が上昇中.気温24.4度.午前8時過ぎ,つくば駅.気温はすでに30度近くまであがり,ガマン大会のスタート.この時間,都内はすでに31.0度まで上がっているらしい.今日は本郷にて農学部「エコロジカル・セイフティ学特論 I 」の集中講義(10:00〜17:00).

◆午前10時前,弥生キャンパス到着.したくをして講義スタート.午前は統計モデルの基礎とモデル選択論.今年は受講生がいつもより多いぞ.昼休み.気温は34.7度まで上がっている.弥生キャンパスは蝉どもがぎゃん鳴きしていて,一網打尽にしたいほど.猛暑日ラインが見えてきた.午後の講義は一般化線形モデルとベイズ統計学.休憩を入れて,最後は多変量解析について.コンテンツとしては過不足なくちょうどいい感じで終わった.午後5時過ぎに熱気のこもる本郷を後にする.

◆この蒸し暑さの中での一日仕事は疲弊の極み.根津駅前の秋田屋にて「小倉アイス豆かん」で一休み.夕方の不忍通りをうろうろしてからつくば直帰.

◆本日の総歩数=8725歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.8kg)/ 29.6%(−0.3%)


3 augustus 2014(日)※長い鱧に巻かれて高台寺

◆午前6時過ぎのろのろ起床.前夜のダメージはまだ大きい.曇りときどき小雨が降る洛中は不快指数が高すぎる.

祇園祭が終わり,真夏まっただ中のこのシーズンは,いくら観光都市とはいえ,身動きできないほど混みまくるわけではない.ただし,ここぞという店には必ず待ち客の行列が伸びている.京都観光は “情報” がイノチ.

◆お昼前にチェックアウト.ランチは東山の高台寺某所にて鱧づくし.最初から最後まで鱧に巻かれた.不安定な曇り空からいきなりスコールが.北政所のタタリか.

◆午後4時過ぎ,京都駅から新幹線に.途中,夕立が降ったり止んだり.午後6時半,東京着.都内も京都に負けない不快指数の高さだった.午後8時前,つくば帰還.

◆本日の総歩数=10695歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


2 augustus 2014(土)※酒気帯び京都ミッション

◆午前5時前起床.気温21.9度.南風.朝焼けから日の出へ.今日は京都ミッション(法事篇).この暑さではきっとガマン大会になるだろう.

そうだ 京都、行こう。 —— 午前8時過ぎ,TXつくば駅.すでに暑くてどうしようもない.ミッション前線基地はもうすぐ真夏日ラインを越しそう.正午前,京都着.小雨が降り続き,強烈に蒸し暑い.真夏日ラインに達しないけど,この不快指数はただごとではない.さすが京都だけのことはある.午後2時から九条某寺にて法事ミッションが始まり.午後3時終了.洛中は降ったり止んだりの空模様.今日の最高気温は真夏日ラインにも届かない29.9度だった.それでも真綿をのどに押し込まれるような蒸し暑さのなか,柳馬場蛸薬師上ルの定宿にチェックイン.

小雨が降り続く洛中は夕暮れても蒸し暑さがまとわりつく.周辺徘徊.錦市場は観光客で混みまくり.まだ日が高いので「昼の部」はヘルシー路線.近くの〈大極殿本舗・六角店・栖園〉にてまずは「琥珀流し」から.今日は生姜の味がした.続いて,宇治ミルク金時.メニューの中ではもっとも高い! うまい,これはうまい! それにしても,ここは人気店すぎる.かき氷を食べるだけのために1時間半も並ぶワタクシは席が空くのをひたすら待ち続けた.

蒸し暑い夕方はときどき雨が降ったり止んだり.夜の部は高倉綾小路西入ルにて.〈鳳凰美田〉から始まり,〈不老泉〉三種類,〈秋鹿〉,〈十旭日〉,〈北島〉と快調に暴走し,いろいろあって午前様.夜になっても蒸し暑さは変わらない.

◆明日はつくばに帰るのがお仕事だ.

◆本日の総歩数=9599歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.0kg(+0.1kg)/ 29.9%(+0.6%)


1 augustus 2014(金)※八月は夏働きの季節かも

◆午前4時過ぎ起床.気温23.6度.ヒグラシが鳴く蒸し暑い夜明け前.ああ,8月になってしまった.まずは,月始めのメーリングリスト月例アナウンスを送信.朝からむっと蒸し暑い空気がまとわりつく観音台.夏空.午前8時の気温は27.6度.昨日よりもさらに急速に上昇している.朝イチの BGM はヨーヨー・マのバッハ〈無伴奏チェロ組曲〉.

◆[欹耳袋]BLOGOS「「人を殺してみたかった」少年を取材した者として、いま考えていること」(2014年8月1日)※「人を殺すということに善悪の価値を持てず、それを抱えたままのパーソナリティの子どもはおそらく何万人に一人の割合でいる」

◆午前の┣┣" 撃ち —— 三田のゲラ読み.今日中に発送しないと “極刑” が待っている./麹町から連絡あり,この二年間担当してきた某ヒミツ業務のミッション完了との通知だった.来る┣┣" あれば,去る┣┣" あり./予定通り,三田のゲラ読みを終え,ネコに運ばせてきた.スケジュール通りなら,9月にブツが出版されることになるはず.

◆[蒐書日誌]リテラリー史の最新刊 —— 和田敦彦『読書の歴史を問う:書物と読者の近代 』(2014年7月20日刊行,笠間書院,東京,286 pp., 本体価格1,900円, ISBN:978-4-305-70736-9 → 目次版元ページ).前著2冊はとても興味深い内容と議論が詰まっていた:

  • 和田敦彦『書物の日米関係:リテラシー史に向けて』(2007年2月28日刊行,新曜社,東京,406 pp., 本体価格4,700円, ISBN:978-4-7885-1036-4 → 書評目次版元ページ
  • 和田敦彦『越境する書物:変容する読書環境のなかで』(2011年8月5日刊行,新曜社,東京,362 pp.,本体価格4,300円, ISBN:978-4-7885-1250-4 → 書評目次版元ページ著者ブログ

これらに続く3冊目のリテラシー史最新刊なので期待しつつ読んでいきたい.

◆正午前には気温は33.5度に達し,今日もまた外出禁止が自分会議でさしたる異論もなく議決された.湿度もただごとではない.お昼休みの BGM はエディット・ピヒト=アクセンフェルトの〈イギリス組曲〉.引きこもって読み進む:山本一生『哀しすぎるぞ、ロッパ:古川緑波日記と消えた昭和』(2014年7月15日刊行,講談社,東京,8 color plates + 446 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-06-218980-4 → 版元ページ)※古川ロッパの実父は森鷗外の親友・加藤照麿,そして実祖父は帝国大学総長・加藤弘之.そして,実兄・浜尾四郎は探偵小説家で江戸川乱歩の友人.この系譜はスゴイなあ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 追い詰められて原稿書き……./ぐ,加圧なう.ちょっと変形…….

◆[欹耳袋]「学者どもに翻訳をやらせるなっ」 —— The cape of an island の三連記事を読む:

早い話,いまの研究者や大学のセンセに翻訳なんかしているヒマないって.対外的(業績評価とか)には「利得」はほとんどないようなもんだし.やるとなったら,手練のプロの翻訳者と共訳するのがベストのやり方だと思う.ただし,ある本を翻訳して出版社からいただく印税分配は研究者でもプロの翻訳者でも同一なので,印税収入を考えると,確実に増刷がかかるような翻訳を出さないといけない.それはそれでプレッシャー.たとえば,1000部しか刷らない高い学術書の翻訳じゃ,そもそも出してくれる出版社がないだろう.ワタクシだって学術書の翻訳はほとんど手がけたことはない(エリオット・ソーバー『過去を復元する』は例外です).

専門学術書は,それをまたいで通れないかぎられた研究者が原語で読めばいいわけで,あえて翻訳の必要はないだろう.一般向けの本でしかも自分の専門分野に重なるものだと初めて食指が動く.ただ,多くの研究者は翻訳技術が乏しいのでひとりでやろうとすると大迷惑のリスクが高まる.一般書でも専門書でも,翻訳の動機は “自分のためにやっている” 場合がほとんどなので,印税のこととか考えていない.翻訳する研究者の側としては「いつかどこかでだれかの役に立つかもしれない(=売れなくてもいい)」という公共的ボランティア精神で訳すしかないのか.しかし,それでは商業出版の “オキテ” に背くことになるかもしれない.

となると,なんでもかんでもプロの翻訳者とコラボすりゃいいってわけではないことは確かで,「利害が一致するかぎり」という条件が必要になる.たとえ,「印税生活」ということばが夢物語であるとしても.

一方で,そもそも翻訳なんか不要だという見解もたしかにあるかと思う.でもねー,じゃあオマエ,英語はもちろんフランス語やドイツ語やイタリア語の本をごろ寝して苦もなく読み進められるんですかとか詰問されたら返答に窮するでしょう.どこかの誰かが訳してくれた(質のいい)翻訳書があれば読者にとってきっと利得になるのは確かだろう.

ここで問題なのは,「誰か訳してくれないかなぁ」という本があったとして,翻訳によって期待される読者側の「利得」と翻訳するのに必要な訳者側の「コスト」との不均衡があまりにも大きいという点だ.ちゃんと訳せて当然,クォリティーの低い訳文だとけちょんけちょんに叩かれるという境遇に自ら進んで身を置きたい研究者は,よほど奇特な人を除けば,ほとんどいないと思う.

プロの翻訳者のみなさんとはまったくちがう心構えであることは重々承知の上で言うなら,研究者の立場から言えば,翻訳を1冊こなしたら,向こう10年間くらいは「翻訳者」という言葉は禁句にしたい気分であることはまちがいない.

—— この件に関連するツイートは:Togetter -「学術書翻訳の現在:2014年7月30日」 にまとめられている.ワタクシの場合「人文書」ではなく「科学書」の翻訳を念頭に置いて発言しています.

◆夕方,雷雲の通過とともにひさしぶりに通り雨あり.ムクドリ軍団が大挙してペデの街路樹に降下してきた.今夜もかしましいにちがいない.

◆本日の総歩数=3386歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.1kg)/ 29.3%(−0.2%)


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