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日録2014年7月 


31 juli 2014(木)※気がつけば今月も終わり

◆午前4時半起床.曇り.気温23.1度.蒸し暑い夜明け前.今月も今日でオシマイだ.朝日がまぶしい.午前6時の気温は24.5度.よく晴れて今日も真夏日になるとの予報.朝から蒸し暑い観音台は気温がすでに27.6度と万全の「夏」迎撃態勢だ.朝イチの BGM はさわやかにアマティ弦楽四重奏団のゴールドベルク変奏曲.

◆[欹耳袋] ニコニコ生放送「堀川大樹×岩崎秀雄×東浩紀「生物学はどこまで自由になれるのか?――DIYバイオの可能性」 (番組ID:lv184660822)」 /Togetter -「 堀川大樹×岩崎秀雄×東浩紀「生物学はどこまで自由になれるのか?――DIYバイオの可能性」 #genroncafe ツイートまとめ」.

◆午前の┣┣" 撃ち —— オキナワとの事務やりとり./来月の不在届一式提出.農環研実在率=12実在日/21労働日=57%.ま,真夏だし,こんなもんでしょ./提出要請されている共済組合員の資格証明手続きがいつもながらじゃまくさい.とりあえず書けるところは書いたけど,追加書類を集めないと提出できない./秋の分子系統ワークショップのカリキュラムを最節約的に入れ替えている.関係者に打診した上で,事務局に連絡する.

◆正午の気温は32.0度と昨日よりもさらに暑くなっている.外はカンカン照りなのでとても徘徊する意欲が湧いてこない.室内で暗くじっとしている.今日のお弁当は鶏手羽元のチキンカレー.ビーフやポークに比べて鶏さんは手間がかからない.鶏さん,えらい!

◆[蒐書日誌]チキンカレーとともに着便本をぱらりぱらり:山本一生『哀しすぎるぞ、ロッパ:古川緑波日記と消えた昭和』(2014年7月15日刊行,講談社,東京,8 color plates + 446 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-06-218980-4 → 版元ページ).希代の「日記魔」ロッパの初の伝記とのこと.いままで伝記がなかったのか.それは意外.忘れ去られた,あるいは忘れようとされた喜劇役者.

古川ロッパの日記は全4巻構成ですでに刊行されている:古川ロッパ[滝大作監修]『古川ロッパ昭和日記(戦前篇・戦中篇・戦後篇・晩年篇)』(1987〜88年,晶文社|新装復刻版あり→ 情報).しかし,この伝記の序章には,この日記は刊行に際して,およそ半分くらいにまで大幅に “刈り込まれた” と書かれている.補巻の「晩年篇」だけは手元になかったのだが,さっきオンライン古書店で検索したらヒットした.即発注.なお,2007年に出た新装復刻版には,各巻に付いていた別冊『緑波写真館』がないので,できればオリジナル版を手にした方がいいと思う.

伝記のカバージャケットをはがすとこんな感じ.ああ,耳なし芳一ですか,これは.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 秋の分子系統ワークショップのタイムテーブルが確定.農林交流センターと講師へのアナウンス.第188回農林交流センターワークショップ〈分子系統学の理論と実習〉2014年11月5日(水)〜11月7日(金)@農林水産省農林水産技術会議事務局筑波事務所(電農館).受講生募集は来月に入ってからアナウンスされる予定.

◆[欹耳袋]Togetter -「日本の大学は野生の王国」※つくばの農林研究団地界隈だと — めぼしいのはキジ・タヌキ・野うさぎくらいかな.ずいぶんまえに柳橋あたりでイノシシを見たことがあるけど.むしろよりワイルドなのは研究者かも.

◆[分類思考]本日の残響:柳蕩雑帖「「分類思考の世界」再読」(2014年6月30日).ここのところ残響の拾い集めをすっかり怠っていた.

◆午後5時前に撤収完了.今日の最高気温は,昨日よりもさらに高く,午後3時半の34.4度だった.今宵はビール日和というしかない.

◆本日の総歩数=4789歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.1kg)/ 29.5%(−0.5%)


30 juli 2014(水)※真夏の昼下りに取材され

◆午前5時前起床.気温20.3度.吹き抜ける東風が心地よし.戒厳令から一夜明けた観音台は蒸し暑い熱気に包まれている.午前8時の気温は25.5度と夏日ライン突破.湿度が高いだけ不快指数も上がる.朝イチの BGM は人間の解放を求めるショスタコーヴィチ交響曲7番〈レニングラード〉から.〈レニングラード〉はなんだかんだ言っても「希望の交響曲」なんだねー.では,次なる BGM は救いのない交響曲8番へ.暗い・長い・うるさいの三拍子揃った作品.

◆午前の┣┣" 撃ち —— さて,超重要でしかも時間がない┣┣" 撃ちをやるぞ.お昼前に仕留めるんだ./午前10時半から臨時の所内領域会議あり.臨時の会議招集はたいていの場合ハッピーな議題ではなく,今回もそうだった./正午直前によし,超重要┣┣" を征伐.ブツはぐるぐる巻きにして発送準備も終わった.あとはネコに運ばせるだけの簡単なお仕事が残るのみ.

◆[欹耳袋]茨城新聞「【いばらき総文2014 】鮮やかな演技に拍手 秋篠宮さまと佳子さま鑑賞」(2014年7月30日)※「秋篠宮さまと佳子さまはその後、つくば市内の産業技術総合研究所と農業環境技術研究所も視察した」という最後のこの一行が昨日のスーツ拘束お仕事でして.この一行のためにどれだけの時間とエネルギーががが./読売新聞「秋篠宮さまら 演技に拍手」(2014年7月29日)※この記事では最後の二行:「秋篠宮さまと佳子さまは午後から、つくば市の産業技術総合研究所、農業環境技術研究所を訪れ、煙害関係の資料や昆虫の標本などをご覧になった」のみ./日テレNEWS24「佳子さま、アザラシ型ロボットにニッコリ」(2014年7月29日).

今回の “ご視察” のせいで,ここ数日,職場は上を下への非常事態となり.戒厳令と箝口令のもと,茨城県庁やつくば市の自治体はもとより,皇宮警察やら茨城県警やらつくば警察署やらが入り乱れての大事になった.数年前の “お忍び” 農環研ご訪問の際は宮内庁SPが付くだけだったが,今回のように公式な “ご視察” では県をあげてのイベントになるということ.宮内庁・県・市の担当者による飽くことなき事前検分とリクエスト,分単位のスケジュールが設定され,同行する報道陣は数知れず.農環研の窓口になった広報情報室長さんは憔悴していた.これからは某博物館や某大学に来られるときのように “お忍び” でヨロシク.

◆大┣┣" を仕留めて昼休み.今日は午後イチで取材対応があるので.ゆっくりしていられない.正午前の気温は31.1度まで上がってきた.午後はきびしい暑さになりそう.お昼休みの BGM はニールセン交響曲4番〈不滅〉.そういえば,ワタクシの『生物系統学』のテーマ音楽は武満徹とカール・ニールセンだった.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後1時から日本経済新聞の取材対応.分類と系統に関して小一時間のインタヴュー.その後,記者さんをTXみどりの駅までお連れして,本件はこれにておしまい.気温は32.2度と真夏の復活.しかも蒸し暑い./来週月曜の集中講義のハンドアウトはできた.忘れずに持ち帰らないといけない.

◆[欹耳袋]「教育や講習を受けさせれば世の中はよくなる」という楽観論はすでに繰り返し反証されている.母平均がいくら向上しても, “外れ値” はそれでは対応できないって.リソースの注入先が根本的にまちがっている.

◆日が暮れても蒸し暑い熱気はそのまま淀んでいる.熱帯夜という言葉に再び取り憑かれてしまった.夕餉は夏野菜のラタトゥイユのパスタ添えと “お水” という夏向きのメニュー.明日で7月も終わってしまう.

◆本日の総歩数=4219歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.3kg)/ 30.0%(+0.5%)


29 juli 2014(火)※粗相があってはならぬ日

◆午前4時半起床.気温19.4度のひんやり感が快適至極.窓全開で空気の入れ替え.明け方は18.9度まで気温が下がり,しばし夏を忘れる涼しさだった.しかし,朝日とともに暑くなり,午前8時のいまは26.0度と夏日ライン越え.今日は束縛のきわめて強い一日なので,BGM はショスタコーヴィチ交響曲11番〈1905年〉の陰鬱さが気分的にはベストマッチ.ショスタコーヴィチ交響曲11番〈1905年〉終了.なんというか「暗くて・長くて・うるさい」音楽って心の奥底に染み入るものがある.盛り下がっているときに聴くべき曲.さて,BGM は続いてショスタコーヴィチ交響曲12番〈1917年〉へ.

◆[欹耳袋]再放送されるアノ番組 —— NHKネットクラブ「NHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」」再放送2014年7月31日(木)午前0:40~午前1:30 [水曜深夜]./JB Press・池田信夫「STAP細胞は「第二の耐震偽装事件」—「コンプライアンス」で犯罪を防ぐことはできない」(2014年7月29日)※「意図的な不正を予防するコストは非常に大きい」「事後のペナルティを厳格に適用」.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 所内領域会議 10:30〜11:30.いろいろ議題は尽きませんわなあ./沖縄へのフライト往復キャンセル料金が25,000円ほどかかってしまうことに.まあ,不注意ペナルティ金として甘受するしかないか.国内線ドットコムで買ったと思ったら,実は ANA のサイトで買っていた.じたばた電話かけまくりでまったくもう.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「「命大切にする教育」生かせず衝撃」(2014年7月29日) ※「われわれの気持ちや教育が子どもたちの心まで届いていなかったのかもしれない」— 母集団の全体対応ではなく “外れ値” の個別対応をが必要.

◆正午前にやっと真夏日ラインを越えた.それなりに夏らしい天気だが,今日も昼休み徘徊は自粛.スーツを着て不審者職質されるのはかなりヤバいので.先日の下見のとき,理事長からじきじきに「みなかさん,当日はスーツ着用ね」と言われ,研究統括主幹からも「スーツで」と念押しされるワタクシは着衣的に問題があると思われているにちがいない.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「シングルマザー、追い詰められて 今そこにある貧困」(2014年7月26日)/「独身が故の女の貧困 働けど資格取れど、この息苦しさ」(2014年7月27日).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後2時からインベントリー展示館にて本日最大のお仕事.説明時間はたった数分だったのだが.午後4時に本命┣┣" をお見送りしてやっと一息./一┣┣" 去って,また一┣┣" が./来週月曜の本郷で開講する集中講義のハンドアウト原稿をドロナワ.ちゃんとアナウンスされているのかやや不安.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「日本の最先端研究は魅力だが… 悩む外国人留学生 」(2014年7月28日)※「日々の暮らしで英語通じず孤独に」ということか./沖縄タイムス+プラス「危機言語、沖縄で国際学会 9月日本初開催」(2014年7月25日)※開催されるのは〈FEL XVIII〉という会議.

◆今日は早々に引き上げて,このスーツから一刻も早く解放されるしかない.夕日を浴びて撤収帰宅.夏らしくない底の深い夕空が広がっていた.猛暑が和らいだとはいえ,今日の午後は気温が31.0度まで上がり,着慣れない長袖スーツは体にそうとうワルかったようだ.ということで,今宵は「土用の “牛” の日」の厨房仕事のしたく.

◆[欹耳袋]BUZZHOUSE「【世界の珍味】見た事ない世界の珍味・異常な食べ物11選 」(2014年7月20日)※最後の11番目は昨夜の夕餉のメインだったんですけど…….ヴィジュアルにヤバいのか.下準備をちゃんとすればとてもうまいんだが,店先でギョロ目でにらまれるとちょっとコワいかも(巨大だし)

◆明日の午後は日本経済新聞の取材対応がある.加圧メールがいくつか届いている.すまんすまんすまん.

◆本日の総歩数=5666歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(−0.1kg)/ 29.5%(−0.8%)


28 juli 2014(月)※週明け早々取材を受ける

◆午前5時前起床.晴れ.気温22.8度としのぎやすい朝.週明けの観音台は気温25.5度.それなりの蒸し暑さ.今月ももう終わりだなあ.

◆[欹耳袋]ある特定個人が引き起こした事件Aが社会問題となったとする.Aが再発しないように母集団全体に対して予防策Pを課したとしても,別の特定個人がそのAを引き起こす可能性は排除できない.Pは母集団の “平均値” を変化させることはできても “外れ値” は発生し得る.つまり,Pをいくら徹底しても,実際にXに手を染めてしまう “外れ値” の排除は事実上不可能で,「現場的」にはXは生じてしまうだろう.しかし,Pの施行は「社会的」には歓迎され,悪い意味で “言い訳” にはなる(「ちゃんと対策はしていたのにこんなことが起こってしまって……」という弁解).母集団平均の変化というベネフィットとそのために費やされる時間と経費とマンパワーというコストの問題はどこかに消し飛んで,何でもかんでも「ゼロにしたい」という息苦しい変質的 “潔癖思考” が蔓延する.そんなものはたった一つの “外れ値” で消し飛んでしまうだろうに.

—— Xの具体例は「論文捏造」だったり「殺人事件」だったりする.

◆午前の┣┣" 撃ち —— カレンダーをめくって,気分はもう来月(汗)./東大理学部「生物統計学」シラバス登録.UT-mate のIDが新しくなったらしい./来週月曜に予定されている本郷での「エコロジカルセイフティー学特論 I 」の件.昨年やった「同特論 II 」の日には「今回積み残したモデル選択だのGLMだのべいづだのの話は来年のエコロジカルセイフティー学特論 I にまわすことにしよう」とつぶやいている.そーかそーか,そのつぶやきを信じて,講義資料を用意しよう.「 II 」よりも「 I 」の方がハードルが高そうだけど…….

◆昨夜の前線通過で空気が入れ替わったらしく,正午の気温は28.0度と真夏日ラインにすら達しない微妙な暑さだった.しかし,今日は挙動不審な徘徊は自粛し,午後の取材のために部屋を片付けまくるのだ.

◆[欹耳袋]Y!ニュース:榎木英介「早稲田大学の博士論文調査にみる「ネグレクト」の痕跡」 (2014年7月26日)※「日本のトップ大学でもまともな指導をされていないことが世界に知れてしまったのだ」.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後2時から1時間ほど取材を受ける.今日来られたのは〈早稲田塾〉という予備校のウェブサイトに開設されている〈Good Professor〉という連載コラムに公開されるコンテンツの取材.農環研での研究テーマとか,東大との連携大学院のこととか,いろいろと.取材後,TXみどりの駅までお送りしてこのお仕事はおしまい.午後は日差しが強かったが,最高気温は29.6度どまりで真夏日ラインにも達しなかった.週末の炎熱地獄とは大違い.

◆[蒐書日誌]改訂魔ウィギンズ —— デイヴィッド・ウィギンズ[大庭健・奥田太郎監訳]『ニーズ・価値・真理:ウィギンズ倫理学論文集』(2014年7月,勁草書房,東京, ISBN:978-4-326-19967-9 → 版元ページ).版元ページに記されている底本の版をめぐるごたごたぶり」がとても興味を惹く(きっと買わないと思うが).Wiggins はこういう書きクセ(改訂癖)があるということか.ワタクシの手元にある彼の形而上学本もそのひとつ.1967年の初版『Identity and Spatio-Temporal Continuity』(1967年刊行,Basil Blackwell, Oxford, viii+83 pp. → 目次)の改訂版が『Sameness and Substance』(1980年刊行, Basil Blackwell, Oxford, xii+238 pp., ISBN:0-631-19090-2 → 目次)だが,注を含めて初版とはコンテンツがそうとう違っている.さらに改訂を加えた三訂版『Sameness and Substance Renewed』(2001年刊行, Cambridge University Press, Cambridge, xvi+257 pp., ISBN:0-521-45411-5 → 目次)は章構成も二訂版から変更されている.要するに,3つの版をすべてもってないとダメということ.とっても困った著者だなあ.

◆駆け抜ける夏 —— 谷田部のスドウ酒店にて和歌山の〈紀土〉の季節もの特別純米「夏ノ疾風」をゲットした.日ごろの行ないがいいと,こういう幸運に恵まれる.さっそく夕餉の開栓.みずみずしい酸味はキリッと冷やして呑む.いかにも夏のお酒らしい清涼飲料水のような軽さと味わい.“お水” が夏なので,肴も夏らしくまずは枝豆豆腐に冷やしトマト,もろきゅう,ナスの浅漬けなど.メインはちょいと手がかかるマグロの目玉の煮付け.

今回の煮付けレシピは下記の通り:

  1. マグロのあらは大きく切り分けて塩を振り,湯通し.脂身と血合いの多い目玉だけは三回湯通しする.
  2. 鍋に日本酒200ccと水1リットルを入れて火にかけ,アラと目玉を投入.沸騰したらアクをていねいにすくう.
  3. みりん100ccと砂糖50グラム,そして生姜の薄切り少々を投入,中火で炊く.
  4. 薄口醤油と濃口醤油50ccずつを加えて弱火にし,一時間ほど炊き続ける.

手間はかかるが,酒の肴にもご飯のおかずにもなる一皿.

◆さて,明日はけっして粗相があってはならぬ一日だ.

◆本日の総歩数=4144歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(+0.3kg)/ 30.3%(+0.5%)


27 juli 2014(日)※晴れて降って曇る日曜日

◆午前5時前起床.気温24.6度.日の出.午前9時前には31.0度まで気温上昇.昨日の同時刻よりも高い.こんな灼熱空気の上に前線が通過したら,そりゃ豪雨にもなるでしょう.

◆[欹耳袋]読売新聞「地中海・コーラン…政務費で県議「教養教育で」」(2014年7月24日)※続報がないけど,要するに県議を吊るしあげた市民オンブズマンの方がアホでした,ということですよね.記事の中の「政務」とか「県政」を「研究」に一括変換したら,ワタクシ自身がかつて経験してきたことと重なる部分が大きいので,ついこの県議には同情してしまったしだいで.

◆午前中はカンカン照りの真夏日だったが,午後になって北西の方角から巨大な「雲の壁」みたいなのが接近してきた.灰色の曇り空.南からの強風に街路樹が大きくゆすられている.気温は急に下がり,ときおりひんやりした空気が混じっている.ヤバいんだろうか.西からは遠雷が轟いている.そして,午後3時過ぎ,さっと一雨が通りすぎて,気温が一時間のうちに5度も下がり,26.4度.その後も小雨がしとしと降ったりやんだり.けっきょく,たいした雨も降らないまま,西日がぎらぎら差し込んできた.気温は25.5度だが,湿気がある.今日から始まった〈いばらき総文2014〉のパレードの音楽が聞こえてきた.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「(悩みのるつぼ)学生がひどく講義できません」(2014年7月26日)※回答者・岡田斗司夫「大学教育は、いまや総崩れの撤退戦。私たち教員は毎日の敗北から、やりがいや成果を摑むしかありません」— これは攻め不足.大学によっても,科目によっても,また年度によっても学生のバラつきはちがうので,毎学期ごとに戦術は変えないといけない.でも,教壇に立てばちゃんと “攻め” ないとね.それを考えるのがセンセイのお仕事.

◆もう月末になってしまって,方々から加圧が強まってきた.心機一転の┣┣" 撃ちウィークが始まる.

◆本日の総歩数=2213歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.2kg)/ 29.8%(+0.2%)


26 juli 2014(土)※流しそうめん熱中症寸前

◆午前6時前起床,熱帯夜が明けてやっと25度ラインをちょっとだけ下回った.

◆本日のお仕事:のうかんけん夏休み公開(農業環境技術研究所)に出撃.そうめんを流しまくる一日,そして,Saxophone トリオの裏方出演も.

◆[欹耳袋]個体群生態学会つくば大会・秋の学校〈行列のできる統計相談所〉.2014年10月10日(金)15:00-18:00@筑波大学.大会参加者限定ね.

◆[欹耳袋]日本学術会議>「幹事会声明「STAP細胞事案に関する理化学研究所への要望と日本学術会議の見解について」を公表いたしました。(平成26年7月25日)」 [pdf]/NHK NewsWeb「東北大学 学生寮全員に退寮通告」(2014年7月25日)※飲酒行為はただの口実で,「明善寮の改修を行ったうえで、改めて来年4月から入寮する学生を募集」がやりたかったんだろう.

◆猛暑日の夏休み公開 —— 午前9時前に観音台へ.会場設営のまっただ中.〈村フェス〉会場にて音曲のリハーサルなど.その後,担当部署の流しそうめん会場へ.そこら中で散水していても気温はぐんぐん上がっている.正午には33.5度の炎天に.日陰に入らないとキケンなレベル.流しそうめんは子どもたちが集まってきて佳境に.その合間を縫って〈村フェス〉での本番.

午後2時半,気温は35.1度に達し,めでたく猛暑日となった.流しそうめんはすべて完食され,続いて笹舟づくり.日差しにクラクラして休憩.熱中症寸前.午後4時,公開終了.その後,インベントリー展示館にて打ち合わせ.午後5時前にやっと解放された.よれよれになって帰宅する.

◆夜,花火の打ち上がる音が響いている.夜7時を過ぎてやっと気温が真夏日ラインを割り込んだが,この蒸し蒸し感はハンパない.猛暑日の昼間は十分すぎるほど脱水してしまったし,これはもう “お水” を心ゆくまで供給しないわけにはいかない.

◆明日の日曜はゆっくりしようしようしよう.

◆本日の総歩数=11043歩. 朝−|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(0.0kg)/ 29.6%(−0.3%)


25 juli 2014(金)※経堂と北千住でワルい水

◆午前4時起床.ヒグラシが鳴く夜明け前.気温24.0度.関東地方は,真夏日どころか,猛暑日になるとの予報.今季最終の定例経堂出撃は試練の一日に.

◆経堂出撃ラストラン —— 午前7時半,つくば駅.午前9時前,新宿駅.都内はすでに30.4度の真夏日ラインを突破している.ガマンと試練の一日が始まる.午前9時の気温31.3度.気温を書き記すだけでよけい暑く感じる.午前10時,農大キャンパス.真夏の日差しに焼けつく農大通りは苦難の道.今日の最終回講義は,先週の生物体系学の続きの系統推定論について話をしてから,第2回レポート課題を出題する.正午前,講義終了.あとは成績評価と教務システム入力を残すのみ.都内は正午前に34.4度に達している.猛暑日間近.マジか.

◆農大から経堂への帰り道.夏空が広がる都内は正午前に34.4度に達し,昨日よりもさらに炎熱地獄.午後1時前には35.4度とあっさり猛暑日ラインを超えた.こんな暑さなんだし,経堂での一学期間のお勤めも終わったんだし,「背徳のお水」くらいお天道さまが許してくれるにちがいない.ということで経堂駅前〈はるばるてい〉にて背徳のきんきんハートランドビールをうぐうぐ,ぷはぁ〜っ.真夏の昼下がりを生き延びる唯一の方法はこれだ.ついでに香麺もオーダー.しかし,こんな非人道的な暑さだと背徳ビールくらいでは厄除けにならないと自分会議で満場一致の可決.可及的速やかに夕刻の対策を立てることになった.

◆焼けつく神保町にて —— 経堂からお茶の水に移動.午後の都内中心部は耐えがたい蒸し暑さ.小川町の羊土社編集部のあるビルに逃げ込む.打ち合わせの予定時間よりもかなり早かったが,外をうろうろ歩いていたのでは行き倒れてしまう.『実験医学』連載中の〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉の今後の予定について編集者と打ち合わせ.とりあえず来春まで連載を続けてから,書籍化できるように進めたいとのこと.あと5〜6回は書き続けられそうな気配.しかし,そんな先のことよりも,週明けに次の連載記事を提出するのが先決だ.最高気温は35.6度とさらに上がっている.靖国通りで虫の息.

◆夜の北千住は横丁にも熱気が充満 —— 猛暑日だったせいか,日が陰ってもなかなか真夏日ラインを下回らない.夕暮れの北千住の駅前は蒸し暑い空気が淀んでいた.駅前横丁の飲み屋街はすでに客の呼び込みが喧しい.残っている店もあれば,なくなってしまった店もある.宿場通りの居酒屋〈大はし〉はあいかわらず店外まで待ち客の行列が伸びていた.いっぱい飲むのもラクじゃない.ワタクシたちはすれちがうのも一苦労の暗い横丁を通りぬけて目的の店へ.

今夜は鶏さんを食いつくす会.ちゃんとした鶏さんをたくさん食べてエネルギーを注入する.鶏のスープからスタート.ささみともも肉の鳥刺し.鳥取〈鷹勇〉を冷やで.続いて,前菜の鶏レバーペースト.これには〈神亀〉純米吟醸活性にごり酒を開栓するしかない.すっきりシャープな上澄みとボトル底の濃厚な味わい.焼き鳥の串物が並びはじめる.鶏のつくね焼きには,広島〈小笹屋竹鶴〉の純米原酒の燗.最後は親子丼でしめる.つくば帰還は午後11時半.当然の結末として「うう……」となる.

◆[欹耳袋]忘れないうちに,昨夜じたばたしたダブルブッキングの件をまとめておく:8月下旬は進化学会大会(高槻芸術劇場)と琉球大学集中講義が連続で予定されていて,われながらみごとな日程配置と自画自讃し,すでに宿も足も確保していた(パーフェクト).

ところが……

今年はきわめてまれなことに,大学院受験したいという人がいて,そーかそーかありがたいことと,専攻の学事暦を確認したところ,ありゃりゃ,ワタクシが高槻でハネを伸ばしている真っ最中の8月22日(金)に入試があるではないか! 入試日は採点があるので本郷に実在しないわけにはいかない.しかたなく入試当日の朝イチで新幹線移動.採点をすませてから,また新幹線で高槻に直帰するという遠距離強行日程となってしまった.まあ,学会大会の方は何とでもなるから(おい),このダブル・ブッキングの事案はソフト・ランディングできてよかった.

ところが……

その後,本郷の専攻主任の先生から連絡があり,「みなかセンセイ,大学院入試の面接日は8月29日(金)午後なので,よろしくお願いいたします」とのこと.えっ!この日は琉球大学の集中講義まっただ中で,オキナワでハネを伸ばしているんですけど……(震え声).いつもは受験生がいないので,入試日程を完全にスルーしていたのが敗因だった.このダブル・ブッキングはハード・ランディング必至の案件なので,真っ青になって走り回る夜の始まり.まずは琉球大学に【緊急事態】メールを発信.集中講義の日程変更で一週間後の9月はじめに遅らせることにして,宿とフライトをまるごと予約しなおすハメに.半年前に確保したフライトなんかとっくの昔にカード決済が終わっていたので,その払い戻しもこれから連絡しないといけない.

そんなこんなで,夜遅くまでじたばたして,やっと事態収拾のめどが立ったしだい.

—— こういう事案の発生と措置については「失敗データベース」として共有できれば役に立つかもしれない.

◆春学期終了の打ち上げの夜が明ければ,朝から農環研・夏休み公開の暑い一日が始まる.

◆本日の総歩数=15938歩. 朝◯|昼△|夜×. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.1kg)/ 29.9%(+0.1%)


24 juli 2014(木)※蒸し暑い明け方に蝉の声

◆午前4時半起床.気温24.2度.ほんのり朝焼け.蒸し暑い朝の観音台.午前8時の気温はすでに27.6度.予報では今日は最高気温が35度超の猛暑日になるとのこと.朝イチの BGM は Gary Burton & Makoto Ozone の〈Face to Face〉.

◆[蒐書日誌]デイヴィッド・リヴィングストン[梶雅範・山田俊弘訳]『科学の地理学:場所が問題になるとき』(2014年6月16日刊行,法政大学出版局,東京,xii+298 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-588-37120-2 → 版元ページ).書評本の着弾.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 三田からゲラ着弾.約10日間で返却しないとエラいことになるらしい.鉄壁図書館の城壁に吊るされるのだろうか……(gkbr)/CNET News「アップルの11インチ新「MacBook Air」レビュー--新価格でより高性能に」(2014年7月24日)※そろそろ新調しようかなあ.

◆[欹耳袋]剽窃という “文化” —— 山口一男「学問・研究の倫理と日本の大学・研究機関の信用―再び小保方氏問題によせて」(2014年7月22日) http://huff.to/1A08Rnb ※「剽窃の禁止は学問や科学における倫理および規範の問題」「国際的信用の最大の基盤は倫理・規範の共有」./岩崎秀雄「小保方晴子氏の博士学位論文に対する調査報告書」に対する早稲田大学大学院 先進理工学研究科 教員有志の所見」(2014年7月24日)/総務省「「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」案のパブリックコメント(意見公募手続)の実施について」※意見締切は8月1日.

◆真夏日絶好調の昼休みは土壌物性なんちゃら棟というヒミツ基地にて,リハーサルに励む.サックスが三本も入るとはゴージャスな布陣である.午後1時の気温は33.1度.ひょっとして今季初の猛暑日になるのか.

◆[蒐書日誌]「科学にはグローバル言語が必要か」を論じた Scott L. Montgomery『Does Science Need a Global Language? English and the Future of Research』(2013年5月刊行,The University of Chicago Press, Chicago, xiv+226 pp., ISBN: 978-0-226-53503-6[hbk] / ISBN: 978-0-226-01004-5 [eBook] → 版元ページ)には,日本や中国で出版される科学論文の問題点のひとつとして「剽窃」が挙げられている.著者は「東アジアでは剽窃の概念がちゃんと理解されていないし,いけないことだと思われてもいないようだ」(p. 108)と言う.これが世界的な評価だとしたら,それをさらに押し下げるような行為は「罪」というしかない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後イチの所内ハラスメント研修.会議室の DVD プレイヤーが “突然死” して途中で取りやめとあいなった./原稿┣┣" 御一行様を穏便に送り返す妙技.書かずに書くウラわざ./とある〈行列のできる統計学相談所〉開催に関する事務連絡あれこれ.

◆[蒐書日誌]リネージ学 —— Hamilton P. Traub『Lineagics』(1964年刊行,The American Plant Life Society, La Jolla, 163 pp. with corrigenda 2 pp., Limited First Edition)※ケンタッキーの Raymond Sutton, Jr. Books から着便.植物系統学を独自の視点から体系づけた著作のようだ.タイトルの「lineagics」という耳慣れないことばは「the science of lineages」(p. 62)と定義されている.あえて訳語を付けるなら「リネージ学」だろう.序文によれば,「lineagics」とは「systematic biology」の代わりに著者がむかし編み出したことばとのことだ(p. 3).しかし,中をぱらぱら見ると,それ意外にも linon とか linordination などなどおびただしい新造語がばらまかれている.なお,本書に挟み込まれていた正誤表(corrigenda)は,出版元の機関誌 Plant Life, vol. 27: v-vi (1971) に掲載されたもののリプリントとのこと.国内所蔵館は北大農学部のみ.北大,エライ!

◆夜の緊急┣┣" 撃ち —— ひさしぶりに打ち上げ花火のような大々的「ダブル・ブッキング」案件が発生し,その┣┣" を征伐すべくあちゃこちゃ格闘.フライトと宿の変更完了.とりあえず,何とかなりそうな状況.事態収拾のめどは立った.あとはオキナワでの事務処理いろいろありそう.というわけで,大学院入試面接日とのダブル・ブッキングがこの期に及んで発覚したため,ワタクシの沖縄入りは一週間遅くなります.フライトのキャンセルは明日だ.

◆明日は今季最後の定例経堂出撃日だ.どう打ち上がろうかと画策中.

◆本日の総歩数=5789歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.1kg)/ 29.8%(−0.4%)


23 juli 2014(水)※いきなり真夏の全面攻撃

◆午前5時過ぎ起床.気温22.4度.朝日が元気よく打ち上がっている.きのう梅雨明けして,今日は大暑.観音台は朝から容赦なく “夏” が降り注いでいる.午前8時前には気温28.0度に達し,もちろん真夏日になるだろう.夏らしい BGM はアルノンクール/CM Wienの〈ブランデンブルク協奏曲〉.バロック・トランペットが輝かしい.午前9時過ぎには早くも真夏日ラインを越え,正午前のいまは農環研の温度計で31.2度を示している.情け容赦のない真夏日の降臨.

◆午前の┣┣" 撃ち —— こちらも情け容赦なく,某イベントの関連書類が断続的に降り注いでいる.

◆夏の農環研はお祭りモード —— 梅雨明けした直後から元気いっぱいの夏が押し寄せる.今週末に農環研の夏の一般公開があるので,所内(ならびに一部の芸人たち)はすでに忙しくしている.写真は所内の谷津田の風景.トンボが群れ飛び,田んぼにはメダカの学校.真夏日の昼下り,土壌ファシリティ実験棟にて,農環研一般公開のだしもの「流しそうめん」の打ち合わせと試食.手前はふつうのそば,向こう側の紫色のはブルーベリーを練り込んだそば.蒸し暑い夏はやっぱりそうめん.ブルーベリーそばは岡山産とのことで,果実の風味があって意外にいけた.

◆[蒐書日誌]読了 —— フロリアン・クルマス[諏訪功・菊池雅子・大谷弘道訳]『ことばの経済学』(1993年12月1日刊行,大修館書店,東京,xii+485 pp., ISBN:4-469-21181-8 → 目次版元ページ).「経済言語学」って言語多様性に対してこーいうふうに切り込んでいくわけね.通読してみて,ところどころ「これじゃあ,身も蓋もないなあ」と嘆息してしまう.「それが “経済学的に見る” ということだ」と反論されるかもしれないが.下記,メモクリップとともに:

言語のもつ「経済的側面」を規定する要因について議論した第2章に進む.

  • 「言語集団の絶対的な大きさのほかに,一つの言語が機能的に分化している場合,その地政学的位置,そして言語的ではなく政治的に規定されたグループとの関連における相対的な大きさも問題になる」(p. 70)※単に話者数の問題では決まらない複雑さが潜むということ.
  • 「一つの言語のために存在する辞書を,価値指標と見なすことは,単にぼんやりした比喩的な意味だけではなく,まったく文字通りの意味で理由がある.この見方は,二つの観点で啓発的である.まず,ある言語の有する二言語辞典全体は,この言語を他の言語と関係づけるために,どれほど多くの精神的・経済的出費がなされたか,あるいはなされつつあるかを示す.二言語辞典はまず第一に翻訳のための道具である.ここから,すべての言語の「あちら→こちら辞典」は,他の言語集団に対する言語の相対的価値を示すという第二の観点が出てくる」(pp. 90-91)
  • 「辞書について行った考察は,より広い意味では翻訳にも当てはまる.言語を社会全体の財産と考えるならば,翻訳はこの財産の価値を維持し(あるいは高める)ための長期借款と理解できる.ある言語で翻訳が一つ出版されるたびに,その言語に価値が付け加わる.したがって,一言語への翻訳過程の総体を,もう一つの価値指標と見なすことができるのである」(p. 92)
  • 「日本人は,他の言語で表現された知識または文学作品への戸口を自国語のなかに開いておき,このようにして日本語を絶えず最新のさまざまな要請に対応させるため,翻訳に対して多大な出費を投入する用意があり,能力がある」(p. 92)
  • 「規範化と絶えざる術語改新によって,自由自在な翻訳能力を保証することは,国民経済上の切実な要求である.…… 高度に発達した諸言語からの翻訳がたやすく行われないような言語は,経済的見地からは,自由に交換できない通貨と同じく,低く評価されるのである」(p. 93)
  • 「辞書と翻訳に関して行った研究は,一つの言語の価値が他の言語の価値に応じて定まるということ,つまり言語が市場価値を持つということを示す.これは一つの言語が商品として持つ交換価値である」(pp. 93-94:太字みなか)
  • 「言語の商品性は,外国語習得あるいは外国語教育の分野でもっとも明瞭に現れる」(p. 94)
  • 「当然のことながら,このような言語産業は,世界の諸言語のうち少数の選ばれた言語,しかもまさに需要のある言語,つまり経済的な価値が高い言語に関してのみ存在する.したがって言語の経済的価値のもう一つの指標は,その言語を生活の糧にしている人々の数である」(pp. 94-96)
  • 「今世紀,英語がかち得た抜きん出た地位は,この関連を明らかにしてくれる.英語が普及するのに与って力があったのは,けっして第一義的な,この言語に内在する特性ではなく,普及するにつれて,絶えず高まって行った英語の使用価値である」(p. 97)
  • 「英語は,この規模のなかにはっきり現れているように,すべての言語の最重要通貨にのし上がった」(p. 98)
  • 「一つの言語が外国語として学習される規模は,その国際的な価値評価の表現である.別な言い方をすれば,一方では,世界中で,一つの言語を教えるために国民総生産のうちどれくらいの割合が支出されるかということ,また他方ではさらにその業績バランスシートが,その言語の経済価値の重要な指標なのである」(p. 104)
  • 「国際的な職業上の野心を持った個人にとって,外国語としての英語はすでにしばらく前から,そしてまたおそらくは長い目で見ても,もっとも確実な投資である.とはいえ,母語以外の別の言葉をマスターすることが慫慂な要素であるな職業についている人々の数は,たしかに上昇しつつあるが,比較的少ないことを見過ごしてはならない.もちろん,これは大部分,相対的に高い収入と結びついている職業である」(p. 108)

次の第3章は,言語施策がどれくらいの経済的負担を伴うのかについて具体例とともに考察している.続く第4章は少数言語の保全について.日本におけるいまの英語教育の経済的側面とか失敗したアイヌ語政策への言及もある.全体の論調として,言語のもつ経済的側面を考えると,ほとんどすべての保全言語活動は失敗するよう運命づけられているという悲観論が色濃い.その悲観論の背景にある著者の基本認識は,第5章において,言語それぞれのもつ「経済性」の観点から論じられる.「これはまったく明白なことなのに言語学者が扱いたがらない事実,すなわち言語はどれも同じではないこと,その話し手にとってみんな同じくらいに能率がよいというわけではないということを言ったまでである」(p. 344)と本章末で著者は言う.文化相対主義者の言説とは裏腹に,言語はけっして平等ではないというと著者は主張している.

最終章の第6章では,言語間のこの不平等性を “適応” という観点から解明しようとする:

  • 「文化相対主義の傾向を持つ言語学者の考えに従うと,ふつう,ことばはすでに十分に適応しているものということになる.こうしたものの見方をすると,あることばは他のことばよりも,よりよく適応している」(p. 350)
  • 「個々のことばを相対的な効率の面から比較する概念的,理論的手段がこれまで存在しなかった原因の一つには,社会的平等をめざす秩序倫理にそわないそのような考え方に対する嫌悪感がある」(p. 351)

この文脈で,著者は「世界語」としての英語に関して次のように述べる:

  • 「英語の普及の原因がただ一つではない点は明らかである.第4章で述べたように,むしろこれは,さまざまな社会経済学的,政治的,文化的要素が絡み合って起きたものである.ここで疑問となるのは,この複合的な理由に言語の特性も一枚かんでいるのだろうかということである.すなわち英語が広く普及するようになったのは,英語の構造的な特性が適応性,適応能力の点で大いに発揮されてのことなのだろうか」(p. 386)
  • 「英語が次の世代でも,最も適応度の高い,最も普及した言語であり続けるだろうと予測しても大きな間違いにはならない.その最大の理由は,英語が細分化した言語であり,世界経済の統合を推し進めるのに役だっていること,同時に,全世界に英語が普及することによって,英語の細分化がさらに進んでいることである」(p. 393)

この経済学的な観点に立つかぎり,マイナーな言語はこれからも逆風に吹きさらされることになる.最後のパラグラフで著者は自説の要点を確認する:

  • 「社会は必要なコストを負担し,個々の言語とその総語彙の保全,強化のために投資している.と同時に場合によっては役に立ちそうもない言語を切り捨てている.こうして言語と,それを使用する者たちの社会の分化度と統合度の間に相互作用が生まれる」(p. 395)
  • 「今日,世界の言語地図を塗り替えるのは,ひとえに言語の経済性である.」(p. 396)

—— 先日の第1章メモとともに,全文を本録に公開した.

◆本日の総歩数=5009歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+1.0kg)/ 30.2%(−0.3%)


22 juli 2014(火)※梅雨明けわんわん人間犬

◆午前2時半起床.気温21.4度.涼しすぎる.真夜中なのにムクドリ軍団がざわめいている.

◆Colorless Green Ideas「おとぎばなし:かねもちはくし と びんぼうはくし」(2014年7月21日)※いつもながらお見事な物語.

◆かわいそうな人間犬 —— 午前7時半,天久保へ.気温22.2度,曇り.わんわん.きょうは いちにち いぬ になります.いろんな けんさ をうけさせられたり,こわいこわい せんせいから いっぱいしかられるんです.ねんにいちどの いぬ にへんしんなう.

◆[欹耳袋]蟲展示2件 —— 九州大学総合研究博物館特別展示〈裏山の昆虫 ー 小松 貴写真展〉 【会期】8月1日(金)〜8月29日(金)土日祝閉館.※「裏山の奇人」展か.ん,「怪人」だったか……,いや,「変人」?/東京大学駒場博物館特別展〈日本の蝶〉【会期】2014年7月19日(土)〜9月23日(火)※入場料無料.「日本産全242種のほか、海外から飛来した迷蝶や人為的に持ち込まれた外来種を加えた計275種に及ぶ東大所蔵の蝶類標本」.

◆もうひとつの〈地獄篇〉 —— 今日は早朝から天久保のメディカルセンター病院に詰め込まれ,年に一度の人間ドック.パイナップル味のバリウムを飲まされて,台の上で七転八倒させられたり,生暖かいゼリーを塗りたくられてグリグリ押されたり,毛の生えた心臓に電極を差し込まれたりと,ダンテの『神曲』地獄篇も真っ青の拷問を生き延び,閻魔様からは「食生活を節制しないと天罰がくだるぞよ」と脅しつけられ,正午過ぎにやっと解放された.犬に変身していた間に関東地方の梅雨明け宣言.真夏の到来だ.

◆人間に復帰するラマダン明け儀式 —— 人間ドック後は病院の食堂にて「検診御膳」なる “精進料理” が出る.すべての食材と料理に熱量と塩分量が明記され,ちっとも食べた気がしないんですけど…….でも,とうぜん完食してしまった(朝ごはん抜きだったし).しかし,午前9時半の検診御膳が朝ごはんなら,それとは別にお昼ごはんを食べても天罰は当たらないはず.病院を出たその足で,上広岡の韓国料理〈辛〉に飛び込んだのは正午前.やっぱり験直しには「牛テールスープ定食」でしょ.しばし待つと,ぐらぐら煮えたぎったテールスープが鉄鍋で運ばれてきた.中には握りこぶし大の牛さんのしっぽのぶつ切りがゴロンゴロン.すばらしい.いかにもコリアンなキムチをついばみつつ,大汗をかきながらテールスープ定食を完食だん.うむ,これでやっと人間に戻れた気がする.昼下り,関東地方は梅雨明けしたとたん,真夏日の襲来.30.3度まで気温上昇.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝 —— ニール・シュービン[吉田三知世訳]『あなたのなかの宇宙:生物の体に記された宇宙全史』(2014年7月25日刊行,早川書房,東京,352 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-15-209470-4 → 版元ページ).前著:ニール・シュービン[垂水雄二訳]『ヒトのなかの魚,魚のなかのヒト:最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』(2008年9月15日刊行,早川書房,東京,296 pp.,ISBN:978-4-15-208955-7 → 版元ページ)に続く最新刊.

◆[欹耳袋]5号館のつぶやき「これを機に「博士号」のない社会にするのもいいかも」(2014年7月21日)※「今回の調査委員会の結論はその「品質保証」の存在を土足で踏みにじるもののようにも思えて、ちょっとびっくりしました」

◆午後は観音台へ.牛テールスープの匂いがまだまとわりついているようだ.午前中の不勤務届けを提出し,┣┣" 箱のチェック.今週末の農環研なつやすみ公開のリハーサルに関する連絡事項の確認.「流しそうめん」と「組曲・夏の与作」ですかそーですか.夏祭りですなあ.

◆[欹耳袋]さらに蟲ニュース1件 —— livedoor news「四川省で世界最大の水生昆虫を発見、翼開長21センチメートル―中国メディア」(2014年7月21日) ※ヘビトンボなんだし「21センチ」はOK,でもイトトンボのくせに「19センチ」は美的に許せない.

◆今日の夕餉は治外法権 —— さて,梅雨明けの夜は祝祭.南会津の銘酒〈花泉〉の活性純米にごり酒を開栓.一升瓶だがバクハツ事故の心配はなかった.犬から人間に戻ったお祝いでもある.昨年暮れにJR四谷駅前の某酒店でゲット.氷温貯蔵半年間.上澄みはふつうの活性にごり酒の表情(写真左).しかし,底の方に近づくにつれて,とんでもなく濃厚な色合いと味わいになる.あえていうなら,今朝むりやり飲まされた「バリウム溶液」みたいな濃厚で真っ白な色合い(写真下).しかも,炭酸ガスがぶくぶく〜.

◆[蒐書日誌]羊土社『実験医学』2014年8月号着便.〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉第4回「パラメトリック統計学への登り道〔1〕― ばらつきを数値化する」(pp. 2160-2163).次回から,隔月ではなく,毎月連載にしてもらえるとのこと.金曜に打ち合わせる./同じ号:実験医学連載「Opinion」研究の現場から:香川璃奈「第50回 研究者の社会活動に思うこと―病院と研究室を行き来して」(実験医学2014年8月号掲載).

◆明日からは平常営業.いろんな物事が滞っているので一掃処分したい.それにしても来週の某イベント関連の事前段取り書類が山のように送られてきて,とても予習できそうにない.しかし不行き届きがあればきっとエライことになるんだろうな.

◆本日の総歩数=5400歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.1kg)/ 30.5%(0.0%)


21 juli 2014(月)※ほどほどに夏らしい青空

◆午前4時半起床.朝焼け.気温20.0度の涼しい夜明け前.雲間から日の出.ムクドリ軍団が鬨の声とともに出撃していった.未明の最低気温は19.1度まで下がり,窓開放では涼しすぎた.薄曇りで日差しもなく,東風が吹き抜ける午前はこの時間帯になっても気温は22度台どまり.夏が一歩遠のいている.

◆[欹耳袋]四方八方から評価され続ける大学のセンセ —— 〈正直なシラバス〉— 東京大学新聞オンライン「正直なシラバス 教員の世界に自由競争を」(2014年7月19日).ワタクシが駒場で開講している「生物統計学」もちゃんと載っている! ワタクシが駒場で担当する「生物統計学」の前任者の逸話.彼が最初に教壇に立ち「この講義の受講者は?」と質問したところ,学生が次々に「私は “人類” です」「ボクは “動物” 」「あたし “植物” 〜」と答えたので,「私は人間相手に統計学を教えたいんだけど…」と言ったとか.現在だったら「ワタシ, “生物情報” 〜」とか「拙者は “惑星地球” でござる」という答えもありえるので,ミクロからマクロまでもっとぶっ飛ぶ.

◆ミンミンゼミの合唱が反響する昼下り.よく晴れて日差しが強い.雨が降りそうな気配はどこにもない.

◆[蒐書日誌]昨日立ち寄った友朋堂書店吾妻店にて —— 互盛央『言語起源論の系譜』(2014年5月22日刊行,講談社,東京,430 pp., 本体価格2,300円,ISBN:978-4-06-218975-0 → 版元ページ)※この本はワタクシの検知器にヒットしなかった.店頭でリアル本を手にして即レジへお連れした.それにしても,400ページ超の本文で,せっかく「脚注」と「文献リスト」が揃っているのに,肝心の「索引」がついていない.デザートなしのフルコースみたいな失望感と,ズボンを履き忘れたフォーマルスーツみたいな違和感が入り混じる.ちょっと900番教室のウラまで来てください./ヤマザキマリ,とり・みき『プリニウス・I』(2014年7月15日刊行,新潮社[バンチコミックス45プレミアム],東京,ISBN:978-4-10-771757-3 → 版元ページ特設サイト)※買うしかないっしょ.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「PaperRater: 英文のブラッシュアップに役立つ無料ウェブサービス」(2014年7月13日)Cf: 〈PaperRater〉.

◆夕方,日が陰ってから洞峰公園一周コースを徘徊してきた.暑いことは暑いのだが,これくらいなら許容範囲でしょというほどほど感.歩き読み本:フロリアン・クルマス[諏訪功・菊池雅子・大谷弘道訳]『ことばの経済学』第2章メモクリップ(1993年12月1日刊行,大修館書店,東京,xii+485 pp., ISBN:4-469-21181-8 → 目次版元ページ).言語のもつ「経済的側面」を規定する要因について議論した第2章と言語施策がどれくらいの経済的負担を伴うのかについて具体例とともに考察した第3章を読了.日本におけるいまの英語教育の経済的側面とか失敗したアイヌ語政策への言及もある.〈コーヒー・ファクトリー〉でイタリアンブレンド豆を書い,水出しコーヒーを前に一休み.

◆今日は最高気温27.6度どまりで,東風が快適で,終日エアコン要らずだった.湿度が低かったせいかも.ひぐらしの鳴くころムクドリ軍団がねぐらにけたたましく帰還する.┣┣" 箱があふれかえるヘルシーな夜.明日は “人間犬” に大変身して調教される.

◆本日の総歩数=7877歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=93.1kg(−0.5kg)/ 30.5%(+0.6%)


20 juli 2014(日)※ざわめく夏空と不穏な雲

◆午前5時前起床.曇り.気温20.2度,午前8時,ひさしぶりに朝日がさんさん.気温22.8度.

◆[欹耳袋]数学ネタふたつ —— 論文投稿して,受理されるまで11年かかり,オンライン公表されるまでさらに2年半かかったケース元論文 [pdf: open access].数学の世界では,論文原稿を投稿してからジャーナルに載るされるまで4〜5年かかるのはフシギではないとは聞いていたけど,13年あまりも待ち続けるのは持久戦というか浮世離れしているというか./47NEWS「素数の間隔で新定理発見 極端な偏りなく分布、米英数学者」(2014年2月26日)※5ヶ月前のニュースが今になって出回っている.Cf: WIRED | Sudden Progress on Prime Number Problem Has Mathematicians Buzzing | Nov 2013 と James Maynard | Polymath8b: Bounded intervals with many primes, after Maynard | Nov 2013.

◆休日の┣┣" 撃ち —— オキナワに白羽の矢を放ったら,ロンドンから白羽の矢が飛んできて尻に火が着く./採点の祭典(前半戦)終了.100名超のお座敷だとレポートを読むのも一仕事./当日はものものしすぎてタイヘンだ.

◆夏らしい青空が広がる昼下り.気温は27.0度まで上がってきた.

◆[蒐書日誌]フロリアン・クルマス[諏訪功・菊池雅子・大谷弘道訳]『ことばの経済学』(1993年12月1日刊行,大修館書店,東京,xii+485 pp., ISBN:4-469-21181-8 → 目次版元ページ)から.第1章にマハトマ・ガンジーの引用がある:「我が国の青少年が,英語をまるで我々の母語でもあるかのように学ぶために費やす時間とエネルギーを考え,掛け算して,我が国がこのようにして失う年月とエネルギーを単純に計算してみるとよい」(pp. 46-47).「彼[ガンジー]には日本が模倣に値するお手本と映った.日本ではインドと違って,教育の言語として外国語が用いられず,西欧が提供しうるすべてのものが,自国語に翻訳されている.このようにして,「[日本人は]エネルギーを節約している」(p. 47).しかし,著者は,「この西洋の知識を受け入れることのできる,あるいはそれに形を与えることのできる言語が存在」していないのが,「大抵の発展途上国の言語問題が持つ本来の経済的次元なのである」と指摘する(p. 47).

◆夕方の健康的徘徊ひとまわり.中央公園では夏祭りイベントが盛大に開催されていて,浴衣姿の子どもたちが群れていた.吾妻の友朋堂書店経由,〈ピーターパン〉にて六穀パン(Sechskornbrot)のカタマリを買って帰路.日差しは暑いが空気は冷たい.ぱらぱら小雨,また青空.都内はいまゲリラ豪雨が襲来しているとのことだが,つくばはたいした “天変地異” もなく,空がざわめいただけだった.

◆生活クラブの鶏肉があったので,「鶏手羽先の煮込み」を大量に仕込んだ:【鳥の手羽先煮込みレシピ】1) 塩を振った手羽先20本(計1kg相当)を熱湯で湯通しし,フライパンで焦げ目をつける.2)新ジャガは皮付きのまま水洗いする.3) 卵5個を茹でて,殻をむく.4) 鍋に水1.5リットル,濃口醤油大さじ12・味醂大さじ6・酒大さじ6・砂糖大さじ5を煮立てる.5) 手羽先・新ジャガ・茹で卵,そして生姜1片と粒黒胡椒10個を上の鍋に投入し,いったん沸騰させたあとは中火で2時間ほど煮込む.いったん火が入れば,あとは放置しても大丈夫.軟骨やらコラーゲンたっぷりの煮物に仕上がり,麦酒でも日本酒でもOKの優秀なアテになる.

◆三連休が何事もなく淡々と過ぎていく.

◆本日の総歩数=6550歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(0.0kg)/ 29.9%(−0.5%)


19 juli 2014(土)※曇って涼しい三連休初日

◆午前5時半起床.曇り空から朝日が幾筋か.気温20.8度の涼しい朝.昨夜の日が変わる前後は,レポート提出の “阿鼻叫喚地獄” が瞬間的にあったようで(ワタクシは寝落ちしていた),深夜2時前に目覚めてから初めてその事態を知ったのだった.複数のアドレスから何度も送信する者あり,締切ほんの数分前に突撃する者あり,ナミダの詫び状を付ける者あり.「師よ,私に聞こえているものは何なのですか.苦しみにこれほど打ちのめされている姿を曝しているのはどのような人々なのですか」(ダンテ・アリギエリ[原基晶訳]『神曲:地獄篇』, pp. 56-57,講談社学術文庫・2242).みなさん,たいへんお疲れさまでした.遠くから段雷が聞こえる午前7時.今朝は涼しい.

◆[蒐書日誌]ご恵贈本 —— 盛口満『昆虫の描き方:自然観察の技法 II』(2014年7月7日刊行,東京大学出版会,東京,160 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-13-063342-0 → 版元ページ).前著:盛口満『生き物の描き方:自然観察の技法』(2012年12月5日刊行,東京大学出版会,東京,160 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-13-063335-2 → 版元ページ)に続く最新刊./日本統計学会・数学セミナー編集部(編)『統計学ガイダンス』(2014年7月刊行,日本評論社[数学セミナー増刊],東京 → 版元ページ

◆午前11時になっても気温は23.5度どまり.昨日のような日差しもなく,吹き抜ける東風が涼しい.昼下りの観音台.曇り空のもと蝉しぐれが反響する農林団地.気温は24.7度と夏日ラインにも達しない.居室にてごそごそしている./昨夜の締切までに届いたレポートについては,今朝未明の午前2時までに受領メールをすべて返信しました.受講生は各自確認して下さい.

◆[欹耳袋]早稲田大学「「先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」調査報告について」(2014年7月19日)/毎日新聞「早大・小保方氏報告書:指導教授が博士論文の個別指導せず」(2014年7月19日)/Y!ニュース — 榎木英介「早稲田大学の博士論文調査~日本の科学界が失った信用」(2014年7月19日)※「この報告書は何かを「守った」かもしれないが、それ以上のものを失わせたと言わざるを得ない」/「おまえらに災いあれ,邪悪な魂ども.ゆめゆめ天を仰げるなどと思うでないぞ.わしが来たのはおまえらを向こう岸に渡して灼熱やら極寒やらの,永遠の暗黒のただ中へ送るためだ」(ダンテ・アリギエリ[原基晶訳]『神曲:地獄篇』, p. 62,講談社学術文庫・2242).

◆夕方,いきなりスコール@竹園.洗濯物をあわてて取り込む.観音台を出たときはぜんぜん降っていなかったのに,小野崎あたりでぽつりぽつり,そして竹園はざあざあ降り.アメッシュにも捕捉されないローカルな雨雲? 雨雲ズームレーダーにはキャッチされていたけど.

◆[欹耳袋]読売新聞「血液型と性格「関連なし」…九州大講師が解析」(2014年7月19日) http://ow.ly/zleLe ※「就職や人事などで差別される「ブラッドタイプ(血液型)・ハラスメント」の問題も指摘されて」.元論文:縄田健悟「血液型と性格の無関連性:日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠」心理学研究(論文ID: 85.13016) [pdf].

◆春はあけぼの,夏は〈とび六〉 —— 梅雨も終わりに近づくと,蒸し暑い日が続き,夏バテの予行演習みたいな体調に.そういうときは,ガス圧の強い〈出羽桜〉の吟醸にごり「とび六」で暑気払いを.「微発泡」というラベルに偽りあり.実際は,どの活性にごり酒よりもバクハツしやすい(手痛い発泡事故体験あり).その「とび六」には肉料理.この日は極厚ハンバーグ&ケチャップ・ソースをアテに.厚みのあるハンバーグをフライパンで焼くとき,不幸な “生焼け” にしないためには,中火でこまめに「アロゼ」すること.厚さ3センチくらいまでだったら,これでジューシーに焼きあがる.

◆本日の総歩数=1687歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.2kg)/ 30.4%(+0.5%)


18 juli 2014(金)※農大通りはお祭り亜熱帯

◆いきなり響きわたる雨音で目が覚める午前5時前.外は土砂降り.気温21.2度.しかし,早朝の瞬間芸的通り雨だったようだ.東風が涼しい曇り空.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「達成度テスト、入試どう変わる センター試験後継、文科省が検討中」(2014年7月18日)※人的インフラは「ない」はずなので, “ひとでなし” に丸投げするしかないんじゃないかな./SYNODOS「男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない」(2014年7月17日)※「必要なのは、労働時間の短縮(上限規制)と可能な限り転勤のない働き方の推進である。男女雇用機会均等はその上ではじめて意味を持つ」.

◆定例経堂出撃の朝は蒸し暑い —— 午前7時半,つくば駅.曇り空.蒸す.TX車中でもレポート受領メールを打ち返し続ける離れ技.午前9時,新宿駅.蒸し暑い曇り空の都内はすでに夏日ラインを越えている.小田急の中でも,講師控室でも,レポート受領メールを弾き返す.いつでもどこでも.午前10時前,農大キャンパス.雲が広がる農大通りは明日からの〈第40回経堂まつり〉の雰囲気に包まれている.第1回レポートは,本日10:00までに届いたものはすべて受領メールを返信完了.本日の講義は,統計的データ解析が用いられる研究現場のひとつである生物体系学について.これまでの講義で登場したデータ解析の考え方がどのような場面で使われるのかを示す.

◆正午過ぎ,講義おしまい.農大の講義も残るは来週1回となった.蒸し暑さはなお続く.雷雨の気配はない.講師控室に戻ったら,レポートが火山弾のように降り注いでいた.昼休みにレポートを出したそこのアナタ,ちゃんとお昼ごはんを食べようね.出してくれるのはいいけど,講義時間中にも絶え間なく届いていた「怪事」を誰か説明してほしい./書評┣┣" おひとりさま,ご案内〜.

◆経堂から神保町へ移動.都内はどこに行っても蒸し暑い曇り空.気温は27.5度もあってガマン大会みたい.竹尾見本帖にて今日までの展示「第10回竹尾賞」展をひとまわり.最終日だが,昼間なので客はいない.最終ノミネートされた一冊『系統樹曼荼羅』も並べられていた.ヴィジュアル・デザイン系の本の美しさ.会場でもらったパンフレット:株式会社竹尾『竹尾賞:デザインと社会をつなぐ10回の歩み』(2014年6月24日発行,株式会社竹尾,東京,40 pp.).

◆[欹耳袋]時事ドットコム「エイズ研究者が多数搭乗=墜落のマレーシア機」(2014年7月18日)※研究者コミュニティーが小さかったら根絶やし……./The Australian | Delegates to Melbourne AIDS summit on doomed flight MH17 | 18 July 2014/ワタクシを農環研に拾ってくれた室長は,在任中,よほど強く要請されないかぎり,飛行機での海外出張はしない主義だった(国際会議にも不参加).理由を訊いたら,「落ちたら一巻の終わりですから」と一言.ワタクシも今度から陸路出張にこだわるかー.

◆午後4時半,つくば帰還.夏日そこそこの気温ながら,湿度が高いので逃げ場がない.曇りときどき晴れ間あり.スコールのひとつくらいザーッと降ってくれんかな.と思ったら,夕立ちが降り始めた.今宵は〈Grolsch Premium Lager〉の swing-top ボトルを開栓.蒸し暑い日は爽やかなホップ攻撃を受けるのがシアワセへの道.

◆[欹耳袋]Science News | Sexual harassment is common in scientific fieldwork | 16 July 2014 ※人類学フィールド調査ではセクハラが頻発.調査範囲を拡げた.元論文:#PLOSONE: Survey of Academic Field Experiences (SAFE): Trainees Report Harassment and Assault./SSB からアナウンス: 「Evolution 2015 will be held in Guaruja, Brazil from June 26-30, 2015」. ブラジルだったら行ってもいいな.

◆雨は降ったり止んだりを繰り返している.すでに累計100通を越える農大レポートが届いた.履修者総数から見ればあとはもう数えるほどだが,これから23:59:59 まで,「本塁憤死滑り込み」とか「お涙頂戴劇」とか「草稿提出弁明」とか,いろんなドラマがあるにちがいない.

◆本日の総歩数=10954歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(0.0kg)/ 29.9%(−0.7%)


17 juli 2014(木)※末世の到来に怒りの雷鳴

◆午前5時前起床.曇り.気温21.8度.今朝は東風が涼しく心地よし.ムクドリ軍団の出撃時刻.早朝の最低気温は21.1度まで下がり,蒸し暑さとは無縁だった.観音台.やや霞んだような青空は夏らしくない.今日は昼休み徘徊ができるだろう.

◆[欹耳袋]農業環境技術研究所〈のうかんけん夏休み公開・つくばちびっ子博士2014〉※2014年7月26日(土)9:30〜16:00.※先ほど楽譜が届きました|また,お祭りかいっ.ハイ,それが何か.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 大学院入試の件はおしまい./取材依頼二件の対応完了./空きニッチに間髪入れず新規┣┣" が侵入してくる夏.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「京都の夏彩る祇園祭「山鉾巡行」」(2014年7月17日)※山鉾巡行をじっくり見られた国際ダニ学会参加者がうらやましすぎる.

◆蝉しぐれと夏の日差しの昼休み.気温は27.5度.これくらいだったら徘徊許容限度内.ショートコースでひとまわり.雰囲気的には梅雨明けなんだけど.本日の歩き読み本:フロリアン・クルマス[諏訪功・菊池雅子・大谷弘道訳]『ことばの経済学』(1993年12月1日刊行,大修館書店,東京,xii+485 pp., ISBN:4-469-21181-8 → 目次版元ページ).今まで何度も引用してきた本だけど,通読したかと訊かれればノー.

◆[蒐書日誌]オランダは Noordwijk の〈Moby Dick Antiquariaat〉書店から着便:Benedictus H. Danser『A Theory of Systematics』(1950年刊行,Bibliotheca Biotheoretica, Series D, Volume IV, Part 3. E. J. Brill, Leiden, i-iv, pp. 117-180).前所蔵館はアムステルダム大学の植物園 De Hortus Botanicus Amsterdam.それとは別に Bibliotheek Biologische Centrum Amsterdam のスタンプが押されている.著者 B. H. Danser はオランダの植物学者.まえがき(p. iv)を見ると,1943年に急逝したので,生前に残された原稿をもとに戦後出版したものとのこと.日本国内には所蔵館なし.第二次世界大戦直後の印刷物なので,紙の劣化が著しい(触れば端からボロボロ崩れ落ちる状態)ので,脱酸処理しないとヤバイかも.抜き刷りの造本もほぼ崩壊している.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 所内セキュリティ講習会 13:30〜14:30 をマジメに受講してきた.

◆[欹耳袋]末世を生きねばならぬ —— 【ニコ生(2014/07/17 17:00開始)】「【小保方氏ら博士論文コピペ盗用問題】早稲田大学 調査委員会 記者会見 (番組ID:lv186404938)」/Togetter -「2014年7月17日【小保方氏ら博士論文コピペ盗用問題】早稲田大学 調査委員会 記者会見 実況まとめ」 /弁護士ドットコム「<小保方博士論文>「不正あったが学位取消に該当せず」早大調査委・配布資料(全文)」(2014年7月17日)/Togetter -「早稲田大学の学位取り消さない決定に揺れるTL」 /change.org 「STAP論文不正問題の真相解明とSTAP細胞検証実験の凍結」.

NHK NewsWeb「小保方リーダーの博士号取消さず」(2014年7月17日)※「誤って下書き段階の論文を提出した過失」— はい,この時点で即 “所払い” ですね,ふつうは.学位論文は,ふつうは,本人のイノチがかかっているので,最初から最後まで舐めるように読みなおして,それでも “蟲” が隠れていないかと疑心暗鬼に憑依されつつ,迫り来る締切時刻を睨みながら,意を決して提出し,真っ白に燃え尽きるものだと思う.ふつうは.要するに,書いた本人が実はちゃんと読んでないんじゃないの? それでも通る学位審査システムの方がもっと問題なんだけど.

—— 要するに「ふつう」ではないことが起こってしまったということ.

◆雷鳴が鳴り響き,雷雨が降り続く夜.末世にふさわしい天である.雷雨が通りすぎたと思ったら,農大レポートが雹のごとく降り積もっていた.なおぱらぱら降ってくるが,とりあえず “雹” への返信すべて終わった.

◆本日の総歩数=8975歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.6kg)/ 30.6%(+0.5%)


16 juli 2014(水)※蒸風呂本郷で至福の甘味

◆午前4時半起床.曇り.気温22.4度.ミンミンゼミが鳴く朝.午前中はゆっくりじたばた.先日来,農大レポートが昼夜を問わず “雹” のように降ってくる.そのつど受領メールを打ち返す.大きく重いのもあれば,小さく軽いのもある.

◆午前11時過ぎ,つくば駅.夏日がぎらぎら,真夏日目前の蒸し暑さ.このくそ暑い中を,本郷での専攻教員会議に向かう.暑い季節はリアル会議はマジやめてほしいな.つくばは夕立ちさえ降らないので,茨城県だけ梅雨明けしてもいいのでは.都内はもう31度超の真夏日ですかそーですか.根津の坂を這い上がる “燃料” をどこかできっちり充填していかないと.

正午過ぎ,弥生キャンパス到着.正午前の都内の気温は31.5度.この蒸し暑さを乗り切るには豆かんとかあんみつを要するが,その時間がいまはない(orz).420ページもの専攻教員会議資料を完読できる自信がありまへん.午後1時から超速読の専攻教員会議が始まり,おどろくべきことにたった2時間弱で終わってしまった.灼熱の昼下り,気温は32.3度に達している.午後4時前,やっと根津の〈秋田屋〉にて白玉みつ豆にありついた.できたての白玉はほんのり温かい.美味.

午後5時過ぎ,つくば帰還.都内もつくばも,どこに行っても逃げ場のない蒸し暑さ.夕暮れの空から色とりどりの┣┣" たちが降ってきた.大学院入試に関わる新参┣┣" .あっちの取材とこっちの取材.予約したり,時間調整したり,原稿加圧されたり,もう何がなんだか…….

◆[欹耳袋]日本学術会議公開シンポジウム〈進化は生物学を統合する〉2014年8月9日(土)13:30〜18:00@日本学術会議講堂.

◆「インカのめざめ」の新ジャガがたくさんあったので,常備菜の肉じゃがをつくってみた.インカのめざめは指先くらいの極小サイズなので,皮付きのままよく洗い,サラダ油で下炒め.次に,牛肉の細切れを関西風すき焼きにして,炒めたインカのめざめを投入.そのついでに,新玉ねぎスライスも投入し,酒とみりんと醤油でお好みに味付けをする.水気がなくなればできあがり.やや濃い目の味付けにしておけば保存食になる.もちろん酒の肴にも.

◆夜遅く,雨がぱらぱら降りだした.

◆本日の総歩数=9062歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.1kg)/ 30.1%(+0.3%)


15 juli 2014(火)※逃げ場がなくて青息吐息

◆午前5時前起床.広がる雲のすき間から朝日が差し込む.気温22.3度.米研ぎ作業終了.今日も蒸し暑い真夏日になるとの予報.観音台は今日も朝から夏日がぎらぎらしている.気温は25.4度.あの梅雨前線はどこに行ってしまったんでしょう.

◆[蒐書日誌]ダンテ『神曲』の新訳刊行開始 —— ダンテ・アリギエリ[原基晶訳]『神曲:地獄篇』(2014年6月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・2242],東京,633 pp., 本体価格1,430円, ISBN:978-4-06-292242-5 → 版元ページ)/ダンテ・アリギエリ[原基晶訳]『神曲:煉獄篇』(2014年7月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・2243],東京,644 pp., 本体価格1,450円, ISBN:978-4-06-292243-2 → 版元ページ).『神曲』三部作が毎月1冊ずつ刊行されている.3分冊中2冊ゲット.訳者からの情報によれば,最後の「天国篇」は来月8月12日に出るとのこと.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 昨夜遅く,特定ヒミツ案件がひとつ降ってきた.昼間だけならいいんですけどね.夜はどーなるのか./サイモン・コンウェイ=モリスの本など,棚の奥から引きずり出してきた.用がすんだので,引きずり出したサイモン・コンウェイ=モリスの本は用済みになったので,再び本棚の奥に幽閉した.しばらく出てこなくていいよ./春学期がもうすぐ終わる=採点の祭典スタート,ということで,学期末の大団円準備をこまごまし続ける

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「科学論文、著者の座「贈りもの」 書かなくてもなれる?」(2014年7月15日)/shorebird 進化心理学中心の書評など「The Monkey's Voyage」(2014年7月13日)./飛騨経済新聞「マイマイガ、飛騨山中で「ゾンビウイルス」に集団感染-大量死、住宅地でも確認」(2014年7月7日)※「マイマイガホイホイ(ライトトラップ版)」は他の蛾たちも巻き添えになるかも.

◆昼休みの外気温は30.4度.真夏日の昼下り,BGM は〈ブラジル風バッハ〉.マイケル・ティルソン・トーマス指揮ニュー・ワールド交響楽団.

◆[欹耳袋]研究者は好き放題に評価されまくる宿命 —— #PLOSONE: Estimates of the Continuously Publishing Core in the Scientific Workforce | 9 July 2014.1996〜2011年の16年間の集計で計1500万余名の論文著者のうち,毎年欠かさず論文を出し続けている(UCP)のは1%以下の15万名.北米orヨーロッパの医学研究では「UCP著者率」が高いが,人文社会分野あるいは他地域ではその率は低い.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 来月のカレンダーに予定を書き込んだら,お盆過ぎの予定がハンパないことが判明した.高槻 — 東京の日帰り往復だの,オキナワお座敷 — 松戸で修行だの./Gmail に保存しておいたはずの重要メールが消えてしまっておおあわて.しかし,こういうこともあろうかと思って,メールのハードコピー(pdf)を取っておいたので一安心.Gmail に完全依存するとヤバいという教訓./そろそろ東京農大からの仮題レポートがメール添付で雨あられと降り注ぐにちがいない.

◆本日の総歩数=2949歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(0.0kg)/ 29.8%(−0.3%)


14 juli 2014(月)※それは業でございましてな

◆午前5時前起床.晴れ.気温22.7度.週明けの観音台は雲が点在する青空が広がる.午前8時の気温は27.0度と高め.

◆[欹耳袋]PsychiatryOnline | Adult Health Outcomes of Childhood Bullying Victimization | 1 July 2014 ※いじめられっ子の長期的な影響調査.PsychiatryOnline | Editorials — Adult Outcomes of Childhood Bullying Victimization | 1 July 2014 ※いじめっ子の長期的な調査も必要と示唆.一卵性双生児による研究では「いじめっ子」にも「いじめられっ子」にも相当な遺伝的背景があると示されたらしい.したがって,いじめられっ子の親に育てられた子どもは “二重に” 影響を受けてしまうという知見があるらしい.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 大学院入試の「社会人特別選抜」でいう「社会人」とはいったいどういう意味かという問題が浮上.たとえば,東京大学だと「出願時において,官公庁・学校・会社等に在職中であり,入学時以降においても在職の見込みである者」と規定されている.大学側の “運用” によっては厳しくも緩くもなる./羊土社連載記事の追加加筆して編集部に返信.これで次回と次々回の記事は大丈夫./「第10回竹尾賞」展 は,今週金曜の閉幕までに行かねばならぬ.

◆お昼休み前に早くも32.1度まで気温上昇.湿度も高いし,こりゃ徘徊自粛が妥当かも.

◆[蒐書日誌]ベルリンは Herzfelde の Ralfs-Buecherkiste.de 書店から着弾 —— Richard E. Blackwelder『Taxonomy: A Text and Reference Book』(1967年刊行,John Wiley & Sons, New York, xvi+698 pp.).700頁もの厚さがある電話帳.屹立する Old Systematics.

トークンとしての経歴は書き記して置くべきだろう.本書の前所蔵館は Max-Planck-Institut für Limnologie すなわち Limnologische Flußstation Schlitz の図書館.2006年をもって115年の歴史の幕を閉じたこの研究所の後継が Max-Planck-Institut für Evolutionsbiologie だ.閉鎖された際に Bibliothek から放出されたのだろうか.こういう歴史のある研究機関でも,いったん組織改編があれば,蔵書は放出されてしまうということ.諸行無常.しかし,だからこそ極東の一読者の手に入ることになったんだけど.

◆午後の┣┣" 撃ち —— あさって本郷での専攻教員会議の配布資料のメールあり.ダウンロード先から落としてきたら,今月は「420頁」もあることが判明.もちろん今年度「最厚記録」を絶讃更新.夏休み前だから駆け込み議題が多いということか.振り返ると,4月が353頁,5月が266頁,そして6月が206頁と単調減少だったのですっかり油断していた.先月のほぼ2倍の分量がある会議資料をどうやって時間内に “速読” するかという難問が浮上./本郷での取材に関して,専攻広報担当&農学部事務と相談.ま,問題ないでしょう.

◆今日の午前中はするすると真夏日ラインを突破したが,午後になって北東風が吹き込み,気温は30度を下回った.青空が広がる夕方は蒸し暑いが,風が吹いているので体感的には許容範囲.夕餉のビールは「Old Crafty Hen」をば.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「STAP細胞と理研の迷走、検証より真相究明を (核心) 」(2014年7月14日)※「疑惑の当事者が検証をする」「不思議な光景ではないだろうか」— 「STAP問題」の推移:科学的問題→科学者的問題→組織的問題→政治的問題(イマココ).研究機関としての対処を誤った結末がどうなるかだけが気がかり.

◆山鉾巡行当日に身動き取れない人のアタマを見に行くくらいだったら,直前の宵山か宵々山の夜に山鉾を見上げながらぶらぶら歩くのがシアワセだと思う.

◆本日の総歩数=5948歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(−0.5kg)/ 30.1%(−0.4%)


13 juli 2014(日)※曇り空から雨がぽつぽつ

◆午前5時起床.雲間から朝日.気温23.6度.蒸し暑い曇り空が広がる.天気は下り坂ということで,昨日みたいなカンカン照りにはならないだろう.

◆[欹耳袋]大学学寮の歴史 —— ワタクシが駒場寮に入った1970年代は学生運動の余燼がまだくすぶっていた.しかし,民青・革マル・中核の活動部屋あるいは統一教会のアジトを別にすれば,4〜6人部屋をコンパートメント化して「準個室」として住んでいる部屋が大半だった.

文部省・中央教育審議会「後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について(答申) (第22回答申(昭和46年6月11日)) 」の「12 学生の生活環境の改善充実」には,「学生集団の特殊な意識にもとづく自治活動が学寮の運営に持ち込まれて,ことごとに大学の管理方針と対立するようになった。そして今日では,多くの学寮は,学生にとって教育的に有意義なものでないどころか,さまざまな紛争の根源地とさえみられるような不幸な状態にある」と書かれている.この認識が当局側にあったとなると,各地で廃寮が進められたのもむべなるかな.

ワタクシが入寮した当時は,寮室の壁一面に「闘争スローガン」が書き殴られ,室内の床は,60年代の大学紛争の籠城の名残りか,焚き火の跡が生々しく残っていました.いまではその痕跡も消え去って,跡地にはコミュニケーションプラザがそびえ立つ.

◆[蒐書日誌]フランスは Fercé-sur-Sarthe の Librairie Philoscience 書店から着便 —— Bentley Glass (ed.)『Survey of Biological Progress, Volume IV』 (1962年刊行,Academic Press, New York, xiv+465 pp. → 目次).甲虫分類学者にして J. R. R. トールキン研究者 Richard E. Blackwelder の論考「Animal taxonomy and the New Systematics」(pp. 1-57)が目当てで発注した.てっきり「雑誌」だと思い込んでいたのだが,届いてみたらハードカバーの「単行本」だった.

1949〜62年にかけて4巻出版されたこの叢書には,個体群生態学者 G. Evelyn Hutchinson (vol. I, 1949)とか昆虫細胞学者 M. J. D. White (vol. 3, 1957)が寄稿している.生化学・遺伝学や分子生物学など当時としては最先端のトピックスをカバーする趣旨で編まれた叢書のようだ.本書(vol. 4)は,CiNii Books で確認したかぎり,国内所蔵館は片手で数えられるくらいしかない.

Blackwelder のその論文のコピーは前世紀末に入手していた.しかし,当時の農環研図書室が原本の探索にえらい苦労したようで,けっきょく帝京大学図書館から「私費複写依頼」という例外的な手続きになり,3000円あまりの金額を振り込んだ領収書が残っている.少し前までは,所外に複写依頼を出すのはめんどうな手続きが必須で,とくにワタクシみたいに “(農水的に)ヘンな論文” を必要とする場合は,頻繁に British Library に外注していた.手数料を含めてとんでもない代金がかかった.

◆今にも雨が降り出しそうな日曜の昼下り.曇り空の広がる職場へ.外気温は28度くらいで真夏日の昨日よりはマシだが,湿度が高すぎる.密閉された居室温度はいま29.5度.週明け早々の明日午前に職場巡視があるので,その事前対応の肉体労働の真っ最中.先月の居室巡視で指摘された下記の二点につき対応する:(1)「本棚からの落下防止策を可及的速やかに実施せよ」→【対策】落下防止バンドを各棚に張り巡らしました/(2)「高所に積み上げてある本を可及的速やかに撤去せよ」→【対策】すべて撤去し執務机上に置きました.これでもう文句を言われる筋合いはなくなったぞ.ひょっとしたら「本を減らせ」というウラの意図があるのかもしれないが,そんなのは知ったことではない.

◆[欹耳袋]文部科学省「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準一覧(平成25年度)」ならびに農林水産省「農林水産省関係独立行政法人役職員の報酬給与等について」.独法になる前の旧国研時代は,「旧文部省の大学教員よりも給料が低くならないようにする」というのが “大農水” の基本方針だと聞いたことがある.国研と大学との間に人事交流上の “ベルリンの壁” があった時代のことだから,今とは事情がちがうだろうけど.

◆雨がぱらついてきたので,即撤収.生暖かい雨がぼたぼた降ったり止んだりしている.この蒸し暑さは許容できない.コーヒー豆を買って帰宅する.

◆本日の総歩数=3480歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.9kg)/ 30.5%(+0.9%)


12 juli 2014(土)※昼は真夏日,夜空に超月

◆午前4時過ぎ起床.と同時に,緊急地震メールで目が覚め,ゆれゆれな夜明け前.外は曇り.気温24.3度.朝っぱらから Chaource AOC のテイスティング.熟成がだいぶ進んでいて,中心部のほろほろ崩れる「若さ」領域がかなり狭くなっていた.やや強めの塩味,白かび系フロマージュだが,かぐわしいフレーバーは独特.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「博士離れ、止まらない 少ない研究職・企業は敬遠」(2014年7月10日)/Academia and the people without jobs — “They just don’t have the right jobs to be included in academia”

◆休日の┣┣" 撃ち —— 真夏の京都ミッション,日程調整完了.きっと茹だるほど暑いにちがいない(行きたくない……).ホテル確保完了./越中の殿とヒミツのメール.JR富山駅はなくなってしまったのか……./インタヴューお引き受けの返信.

◆[蒐書日誌]九州温泉本着弾(その二) —— シリーズ『九州の本物温泉(全5巻)』が着弾.10年以上も前の温泉ガイド本なので,情報源としてはやや古いが,それでも参考資料としては重要.

  • 南英作・蔵迫由里子ほか『すべて源泉たれ流し! 九州の本物温泉〔1〕』(2003年2月25日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:4-906586-16-3 → 版元ページ
  • 神園史郎・蔵迫由里子・南英作『すべて源泉たれ流し! 九州の本物温泉〔2〕』(2002年11月18日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:4-906586-15-5 → 版元ページ
  • 南英作・神園史郎・呉藤加代子『すべて源泉たれ流し! 九州の本物温泉〔3〕』(2003年11月19日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:4-906586-18-X → 版元ページ
  • 南英作・神園史郎・呉藤加代子『九州の本物温泉〔4〕 昔ながらの湯治宿』(2004年11月11日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:4-906586-20-1 → 版元ページ
  • 南英作・神園史郎・呉藤加代子・中村ひろみ『九州の本物温泉〔5〕 極上の湯宿』(2005年11月30日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:4-906586-22-8 → 版元ページ

◆お昼前には31.1度と軽やかに真夏日ラインを越え,いま灼熱の昼下りのまっただ中.この暑さの中,もくもくと豚骨スープを煮出し続けるワタクシに不可能の文字はない.ステージは豚骨スープからカレールーの仕込みへと進む.

◆[欹耳袋]ダンテ『神曲』「地獄篇」の「riveder le belle stelle」について —— 真夏日のシエスタ本:アルベルト・マングェル[野中邦子訳]『読書礼讃』(2014年6月10日刊行,白水社,東京,430+14 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-560-08357-4 → 版元ページ)のページをめくる昼下り.「「私」という声」(pp. 193-205)に,ダンテ〈神曲〉地獄篇に関する言及あり.「それならば是非ともこの暗黒界を無事に脱して,美しい星々を仰げるところへ帰ってくれ」(p. 196)という一節が,地獄篇のエンディングに呼応していることを知った.藤谷道夫訳〈神曲〉を見ると,こう訳されている:

[81] 自身の心に従って臆することなく話す君は幸いなるかな。
[82] それなればこそ、君が、この常夜の地を無事に脱して地上に戻り、
[83] ふたたび美しい星々を仰ぎ見んことを。いつの日か
[84] 『私は(地獄に)行った』と言うのが君の喜びとなるそのとき、
[85] どうか地上の人々にわれらのことを語ってもらいたい。
(藤谷道夫訳:ダンテ『神曲』地獄篇対訳(上),第16歌81-85行)

この「美しい星々を仰ぎ見ん(riveder le belle stelle)」の一節が,「地獄篇」のエンディング:

[139] 私たちはそこから外に出て、再び星々を仰ぎ見た。
   [E quindi uscimmo a riveder le stelle.]
(藤谷道夫訳:ダンテ『神曲』地獄篇対訳(下),第34歌139行)

に対応しているということだ.

◆[欹耳袋]オタク女子と大学教員の日常〜絵日記で綴る結婚生活〜「夫「箸がない!」→妻「今出そうと思ってたのに!」 」(2014年7月10日)※お箸は必ず 最 初 に 食卓に並べてます.料理を先に出すと手づかみで食べるし(ケダモンっ).

◆夜はパリ祭の特別メニューをたっぷり賞味する.今宵はスーパームーンとのことだが,雲間から覗く月がまぶしかった.

◆本日の総歩数=678歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.9kg)/ 29.6%(0.0%)


11 juli 2014(金)※台風一過で真夏日の経堂

◆午前4時半起床.台風の風雨は夜中のうちに通り過ぎたようで,静かな夜明け前の曇り空.気温24.2度.ムッと蒸し暑い空気が淀んでいる.東京農業大学「台風8号の対応について(7/11AM6:00更新)」(2014年7月11日)には「本日(7/11)の授業は、通常通り実施します」と書かれていた.定例経堂出撃は予定通り.今日は猛暑日になるらしい.

◆[蒐書日誌]木谷美咲・内山昭一『人生が変わる! 特選 昆虫料理50』(2014年7月18日近刊,山と渓谷社,東京,ISBN:9784635450171 → 版元ページ)※「昆虫料理時代の到来を告げるオールカラーの本格的昆虫料理レシピブック」「まさに食の新世界!」— あおるあおる(笑)

◆定例経堂出撃は暑さとの闘い —— 午前7時半,つくば駅.曇り.この上なく蒸し暑い.午前9時,新宿駅.都内は台風一過の青空が広がっている.午前9時の気温は27.6度.真夏日ライン突破はすぐだろう.午前10時前,農大キャンパス.うだるような蒸し暑さと真夏の日差しが農大通りに照りつける.午前10時の気温は29.9度.まだまだ上がるだろう.本日の講義は計算統計学の精神を注入する.母集団ではなくデータからの “リサンプリング” とは何かを中心に,ブーツストラップやジャックナイフなど,コンピューターがあって初めて使える統計手法の解説.正午過ぎ,講義おしまい.都内の気温は34.2度まで上がっている.猛暑日寸前の昼下り,経堂まで歩くのは罰ゲームというしかない.いやあもう暑いのなんのって.一刻も早く帰宅して涼まないと.

◆[欹耳袋]独法研究所のなかでは「新しいこと」をやろうとすると,「前例がないから」とまずリジェクトされる.「前例はつくるものです」と反論してもたいてい進展がない.そういうときは,外堀を埋め,内堀を崩して,火炎放射器で中を焼き払うと展望が開ける.ひとりで勝手にやるのがポイント.ローカルな “内規” とか “運用” は「とりあえずつくりました」的なものなので,遠慮なく毀してかまわないだろう.重要な点は,そのようなローカル制約からコッソリ逃れるのではなく,正面から打ち壊すこと.

今から20年ほど前のこと,前年度までは可能だった複数の大学での兼業が急に許可されなくなったことがあった.いつもどおり前の年から話を進めていて,つつがなく講師派遣依頼状が農環研が届いたところまではよかったが,人事担当から許可できないとのいきなりのリジェクト通知.年度が変わってからのお断りの手続きがたいへんで,兼業予定先にもたいへん迷惑をかけてしまった.

どうしてこんな制約ができたのかと人事に問いただしてみたところ「運用が変わり,同一年度内には大学へは一校のみ出講可能になりました」とただ一言.あーそうですか,ということで,次年度はもっとたくさんの兼業申請をまとめて提出し,「許可しないんだったら先方に対して農環研として謝罪してね」と言ったらまとめて全部承認された.その後,現在にいたるまで兼業に関して文句を言われたことは一度もない.

法律ならば従うしかないが,ローカル・ルールは山道をふさぐ “ぬりかべ” とおんなじで,合理的な存在理由があるわけでは必ずしもない.だから,とりあえず打ち壊してみるにかぎるというのがワタクシの長年の信念.“ぬりかべ” を前にしてすごすご撤退する必要はない.

—— 同様の案件で立ちすくんでいる若手研究者が身近にいたので,単なるローカル・ルールは正面突破せよとはっぱをかけたしだい.その後,幸い正面突破できそうとの報告あり.善哉善哉.

◆午後4時前,つくば帰還.炎天の都内から逃げてつくばに戻ってきたら,こっちはこっちで33.9度の猛暑日寸前.おまけに西には兇悪雷雲が発生したようだ.でも,つくば市の東西南北で雷雲雷雨が襲来しているようだが,つくば市だけカンカン照りなんですけど.

◆[欹耳袋]サイエンスコミュニケーション特別セミナー:マッシミアーノ・ブッキ「サイエンスコミュニケーションのスタイル-世界の潮流」2014年7月23日(水)16:00〜17:30@筑波大学総合研究棟A110 [pdf]

◆本日の総歩数=10371歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(−0.1kg)/ 29.6%(+0.4%)


10 juli 2014(木)※迫り来る台風の予兆の雨

◆午前5時前起床.小雨.気温22,8度.靄が立ち込めている.午前8時には早くも夏日ラインの25.0度に達した観音台は,朝からもわっと蒸し暑い空気が淀んでいる.今朝はラモーのクラブサン.グスタフ・レオンハルト演奏.午前9時,気温が28.0度,湿度が90%もあれば,外出禁止ですな.明日の早朝,台風8号はサイズはかなり小さくなりつつも,すぐお近くまでいらっしゃるらしい.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 明日の東京農大の講義開講について:午前6時の時点で小田急または山手線が部分運休していたら午前の講義はすべて休講すると学習支援課から連絡あり.午前6時の交通機関の運行に注意.明朝午前6時に農大ホームページで広報されるとのこと./技術評論社から『統計的思考の世界(仮題)』という本の原稿を今月末までになんとかせいという加圧が高まりつつある日々.農環研のウェブ連載とか羊土社の現在進行連載を踏まえて書く書く詐欺寸前に追い込まれている.

◆[蒐書日誌]系統体系学史のウラ側を覗きこむ —— Andrew Hamilton (ed.)『The Evolution of Phylogenetic Systematics』(2014年刊行,University of California Press[Series: Species and Systematics, Volume 5], Berkeley, viii+309pp., ISBN:978-0-520-27658-1 [hbk] → 目次版元ページ).本書は,2008年にアリゾナ州立大学(現在はニューヨーク州立大学)の the International Institute for Species Exploration(IISE) で開催された生物体系学の歴史と哲学に関するシンポジウムの論文集である.本書は三部構成で,歴史的視点から考察する Part One: Historical Foundations(pp. 15-85), 体系学の概念的問題を論議する Part Two: Conceptual Foundations(pp. 87-210), そして,現代的技法の将来性を考察する Part Three: Technology, Concepts, and Practice(pp. 211-301)から成っている.ただし,所収されている論文は,多かれ少なかれ,歴史的・概念的・技術的な内容をいずれも含んでいる.

編者 Andrew Hamilton による Introduction(pp. 1-14)には,なぜ系統体系学の歴史的成立を “もう一度” 考察しなければならないかについて問題提起がなされている.生物体系学の現代史をひもとけば,1960年代以降の「体系学論争」についてはこれまで詳細に研究されている.しかし,そのきっかけとなった Willi Hennig の著書『Phylogenetic Systematics』(1966年)ははたしてその通りの影響力を及ぼしたといえるのか.それと同時に,英語圏での体系学論争は,ドイツ語圏での系統学の伝統とどのように関係していたのか.種問題に代表される形而上学的問題,あるいは系統推定にともなう認識論的問題の考察がどのようになされてきたかは,実はいまもなお十分にわかっているとはいえないと Hamilton は言う.

Part One: Historical Foundations —— この第1部では,生物体系学の現代史を回顧する.

最初の Robert E. Kohler「Reflections on the History of Systematics」(pp. 17-46)は,彼の著書『All Creatures: Naturalists, Collectors, and Biodiversity, 1850-1950』(2006)の内容を踏まえて,20世紀が始まる前後のアメリカにおける博物学研究の様相を振り返る.遺伝学や発生学などの実験生物学の擡頭により,博物学的学問分野は “黄昏” を迎えていたという「通説」が今でも広まっている.しかし,Kohler は20世紀初頭の生物多様性研究は,種記載の点から見ると,むしろとても盛んだったと結論する.Peter J. Bowler (1996)は20世紀開幕前後の数十年間は,上の「通説」とは裏腹に,系統学研究が興隆していたと指摘した.両者の結論はみごとに互いを支持している.

次の Michael Schmitt「Willi Hennig’s Part in the History of Systematics」(pp. 47-62)は,Willi Hennig の業績についての論説.本論文集に先立って出版された Hennig 伝:『From Taxonomy to Phylogenetics: Life and Work of Willi Hennig』(2013)の要約に相当する.

Manfred D. Laubichler の論文「Homology as a Bridge between Evolutionary Morphology, Developmental Evolution, and Phylogenetic Systematics」(pp. 63-85)は,相同性(homology)の概念史を系統体系学の現代史とからめて再検討する.相同概念に関する生物学史的な議論はこれまで19世紀が中心だったが,著者はむしろ20世紀に入ってから相同に関する理解が深まっていったと指摘する.そして,Hans Spemann(1936), Gavin de Beer(1971)そして Rupert Riedl(1975)らの相同性に関する議論を踏まえ,進化発生生物学への道筋を示す.Adolf Remane による相同性の詳細な考察(1952)は,生物学的というよりはむしろ歴史的視点を重視したと著者は述べる(p. 72).本論文の後半では,近年の生物学的相同概念(Wagner 2014 参照)に言及している.たとえ,分子遺伝学的な知見が蓄積された現代に会っても,なお相同概念の背後にはつねに形而上学的問題(時空同一性や自然種に関する哲学的問題)が横たわっていることがわかる.

Part Two: Conceptual Foundations —— 第2部は,系統体系学あるいは分岐学(cladistics)の現代史に関する論文が集められている.

冒頭の Andrew Hamilton「Historical and Conceptual Perspectives on Modern Systematics: Groups, Ranks, and the Phylogenetic Turn」(pp. 89-116)は,分類群のランキング問題が過去一世紀の間,どのように議論されてきたかをたどることで,体系学における種や高次分類群の実在性がどのように問われてきたかを考察している.とくに,Walter Zimmermann(1931)から Willi Hennig(1950)にいたる初期の系統体系学者たちが,系統的体系を構成する分類群の実在性とそのランキングに関してどのような考えをもっていたかは興味深い.

次の Olivier Rieppel「The Early Cladogenesis of Cladistics」(pp. 117-137)は,Willi Hennig の系統体系学の揺籃期と形成期に光を当てる(Rieppel 2007a 参照).後半では,分岐学派のなかでの “分派” とくにパターン分岐学について論じられている.興味深いのは,パターン分岐学の特徴である “非歴史性(ahistoricity)” は,系統推定における「実在論(realism)」から「道具主義(instrumentalism)」への移行であると Rieppel がみなしている点だ(Rieppel 2007b 参照).

Gareth Nelson「Cladistics at an Earlier Time」(pp. 139-149)は,Hennig の系統体系学の理論が英語圏に入ったきっかけは,Hennig の著作を通してではなく,Lars Brundin のユスリカ研究(Brundin 1966)を経由したと指摘する(参照:Nelson 2000: 14-16).それは Rieppel の論考を補足する内容となっている.

続く David M. Williams and Malte C. Ebach「Patterson’s Curse, Molecular Homology, and the Data Matrix」(pp. 151-187)は,Colin Patterson の言説をよりどころにして,分岐学派の中での “部族間闘争” に焦点を絞る.パターン分岐学が英語圏の分岐学コミュニティーの中で成立し,数々の内部闘争を経てきたことは,Willi Hennig Society の「なかのひと」はみんな知っている.本論考では,その闘争がどのようなものだったかが描かれていてとても参考になる(pp. 171-179).英語圏の分岐学はその初期(1970年代始め)に古生物学に革命を起こした分岐学と,数量表形学の系譜に連なる数量分岐学に分派したと著者らは言う(p. 171).基本的スタンスとして,著者らは,最節約法(Wagner parsimony)に基づく数量分岐学は悪しき意味で “phenetic(表形的)” であると批判する(これはこれで問題があるとワタクシは考える).そのうえで,著者らが標榜するパターン分岐学は “非パターン分岐学”すなわち Willi Hennig Society をいま牛耳っている James S. Farris ら最節約主義者たちからいわれなき迫害を受けていると言う(その通りだとワタクシは考える).ただ一点,無用の論争を避けるためには,Steve Farris が開発した Wagner parsimony 法は Bob Sokal の数量表形学に連なるものではなく,むしろ Herb Wagner の分岐学的方法に由来するものだという点に注意しよう(Farris 2012).罵倒語として “phenetic” を濫用するのはよくない(Brower 2012).ワタクシが見るかぎり,数量分岐学は,数量表形学ではなく,スタイナー樹の離散最適化に近縁なので,まったくちがう知的伝統の系譜に属しているはずだ.

第2部の最後の論文 Brent D. Mishler「History and Theory in the Development of Phylogenetics in Botany: Toward the Future」(pp. 189-210)は,植物体系学における分岐学の浸透について論じる.動物体系学とは別の “文化” が植物体系学にはあったと著者は指摘する.系統樹ではなく系統ネットワークの嗜好,分子データではなくつねに形態データも忘れない姿勢(p. 204, Table 8.1)など,PhyloCode への肯定的言及(p. 205)は命名に対する著者の所信表明だろう.

Part Three: Technology, Concepts, and Practice —— 第3部は内容的にひとまとまりにならない三つの論文から成る.

最初の Beckett Sterner「Well-Structured Biology: Numerical Taxonomy’s Epistemic Vision for Systematics」(pp. 213-244)は本論文集の中でもひときわ光る論文だ.分岐学から見た歴史観では1970年代に “息絶えた” はずの数量表形学の精神は実は現在にいたるまで脈々と伝わっているのではないかと著者は問題提起する.すなわち,ローカルな数量表形学の分野で道具として用いられた数学とコンピューターは,その後の生物体系学のグローバルな発展のなかにしっかり組み込まれたということだ.そこでのキーワードが「epistemic vision」すなわち「a feasible strategy for solving ill-structured problems by the principled reorganization of work」である(p. 216).数量表形学の epistemic vision は,それまでの生物体系学の研究プロセスを「taxon-specific」な部分と「methodological」な部分に分け,後者を数学とコンピューターの導入により定式化したと著者は主張する.

次の Norman MacLeod「A Comparison of Alternative Form-Characterization: Approaches to the Automated Identification of Biological Species」(pp. 245-285)は,生物形態の定量的比較に関する総説で,内容的には幾何学的形態測定学が形態データの解析にどのように利用できるかという話.

最後の Quentin Wheeler and Andrew Hamilton「The New Systematics, the New Taxonomy, and the Future of Biodiversity Studies」(pp. 287-301)は近未来的な “cybertaxonomy” の実現を見据えた政見放送だ.著者らは分子情報は形態情報とは対置されるべきではなく,「分子もまた形態である,それ以上でもそれ以下でもない」 (p. 292)という観点から解析されるべきだと主張する.

本書の論文集としての構成は内容的にけっして堅牢に組み立てられているわけではなく,また随所に校正ミスが残っている.しかし,それは大きな問題ではない.むしろ,現代の生物体系学のよって立つ基盤をもう一度考えなおそうという趣旨には諸手を上げて賛同したい.体系学研究の解析ツールが日進月歩で進んでいる時代だからこそ,ときには「うしろを振り返る」あるいは「足もとを確認する」だけの心の余裕が研究者には求められるからである.

なお,本書の書評はすでに Systematic Biology 誌に掲載されている(Wägele 2014).

引用文献
  1. Peter J. Bowler 1996. Life’s Splendid Drama: Evolutionary Biology and the Reconstruction of Life’s Ancestry 1860-1940. The University of Chicago Press, Chicago.
  2. Andrew V. Z. Brower 2012. The meaning of “phenetic” . Cladistics, 28: 113-114.
  3. Lars Brundin 1966. Transantarctic Relationships and Their Significance, as Evidenced by Chironomid Midges : with a Monograph of the Subfamilies Podonominae and Aphroteniinae and the Austral Heptagyiae. Kungliga Svenska Vetenskapsakademiens Handlingar, Fjärde Serien, 11(1), Almqvist & Wiksell, Stockholm.
  4. Sir Gavin R. de Beer 1971. Homology: An Unsolved Problem. Oxford University Press, London.
  5. James S. Farris 2012. Early Wagner trees and “the cladistic redux.” Cladistics, 28: 545-547.
  6. Willi Hennig 1950. Grundzüge einer Theorie der phylogenetischen Systematik. Deutscher Zentralverlag, Berlin.
  7. Willi Hennig 1966. Phylogenetic Systematics. Translated by D. D. Davis and R. Zangerl. University of Illinois Press, Urbana.
  8. Robert E. Kohler 2006. All Creatures: Naturalists, Collectors, and Biodiversity, 1850-1950. Princeton University Press, Princeton.
  9. Gareth Nelson 2000. Ancient perspectives and influence in the theoretical systematics of a bold fisherman. The Linnean, Special Issue No. 2, pp. 9-23.
  10. Adolf Remane 1952. Die Grundlagen des natürlichen Systems, der vergleichenden Anatomie und der Phylogenetik: Theoretische Morphologie und Systematik I. Akademische Verlagsgesellschaft Geest & Portig K.-G., Leipzig.
  11. Rupert Riedl 1975. Die Ordnung des Lebendigen. Paul Parey, Hamburg.
  12. Olivier Rieppel 2007a. The metaphysics of Hennig's phylogenetic systematics: Substance, events and laws of nature. Systematics and Biodiversity, 5: 345-360.
  13. Olivier Rieppel 2007b. The nature of parsimony and instrumentalism in systematics. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research, 45: 177–183.
  14. Michael Schmitt 2013. From Taxonomy to Phylogenetics: Life and Work of Willi Hennig. Brill, Leiden → 書評
  15. Hans Spemann 1936. Experimentelle Beiträge zu einer Theorie der Entwicklung. Springer, Berlin.
  16. J. Wolfgang Wägele 2014. [Book Review] The Evolution of Phylogenetic Systematics.— Edited by Andrew Hamilton. Systematic Biology, 63 (3): 450-451.
  17. Günter P. Wagner 2014. Homology, Genes, and Evolutionary Innovation. Princeton University Press, Princeton.
  18. Walter Zimmermann 1931. Arbeitsweise der botanischen Phylogenetik und anderer Gruppierungswissenschaften. In: Emil Abderhalden (ed.) Handbuch der biologischen Arbeitsmethoden. Abteilung IX: Methoden zur Erforschung der Leistungen des tierischen Organismus, Teil 3: Methoden der Vererbungsforschung, Heft 6 (Lieferung 356), pp. 941-1053. Urban & Schwarzenberg, Berlin.

◆正午前に30.1度と真夏日ライン突破.今日は不快指数マックスだし,徘徊しなかったのは正しい選択だった.蒸し暑い曇り空が広がる昼下り.

◆[欹耳袋]日経DUAL「子育て女性官僚の100%が「両立に不安」:急増中の女性官僚、政策作りの現場から霞が関の働き方&価値観を変える」(2014年7月8日)/朝日新聞デジタル「女と男、STAP騒動から考えた 隠れた意識が働くとき」(2014年7月9日)/東洋経済オンライン「日本のPTA、やっぱり変です 教育の現場で見た、思考停止と性差別 | 女性差別?男性差別?」(2014年7月10日) .

◆午後,青空さえのぞく観音台は外に出ればさぞかし蒸し暑いにちがいない.雨が降る気配はまったくない.しかし,夕方になって南風はますます強まり,ときおりうねるような風が吹くたびに木々が揺さぶられている.気温は27.4度.生暖かい夕方.台風前の不穏な雰囲気が強まっている.雨はまだ降りだしていない.台風っぽい南風とともにときおりざーっと雨が降りだした.この上なく蒸し暑い夜はソーキそばとともにハートランドビールをしゅぽん!

◆[欹耳袋]東京農業大学「台風8号の対応について」(2014年7月10日)※明日は午前6時の状況によって,経堂に出撃するかしないかが決まる.

◆本日の総歩数=3648歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(+0.2kg)/ 29.2%(−0.3%)


9 juli 2014(水)※南風は蒸し暑さとともに

◆午前4時半起床.雨.気温21.1度.この雨の中をムクドリ軍団はねぐらから飛び立っていく.午前6時,ざあざあ降っていた雨は上がり,西の方を見れば青空がのぞいている.午前8時,明け方の雨雲は通り過ぎ,観音台は蒸し暑い曇り空.気温23.0度.朝イチの BGM はマーラー交響曲5番.ジンマン/トーンハレ.

◆[欹耳袋]公開なう!:羊土社・実験医学online – 三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉連載第3回「データのふるまいをモデル化する」※『実験医学』2014年6月号に掲載された記事のオンライン版.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 琉球大学から自動返信メールあり.メールシステムの復旧は一両日かかるとか.遅延配信されるので再送信は不要とのこと.特別警報発令中とのことで,電気が止まっているらしい./慶應義塾大学文学部極東証券寄附講座〈文献学の世界〉報告書の校正ゲラに関する連絡あり.初校と再校を夏のうちにすませて,秋に出版するという予定.ワタクシの寄稿:三中信宏「生物・言語・写本:系統推定論の歴史とその普遍性について」.昨年度の〈文献学の世界〉報告書は,松田隆美(編)『書物の来歴、読者の役割』(2013年9月,慶應義塾大学出版会)として出版されたので,今回の報告書もそれに準じるだろう.

◆マーラー5番が終わったので,次はちょっとだけ元気になる1番〈タイタン〉にしよう.居室の BGM 環境はとても大事

◆[欹耳袋]ブログ記事:Flog「非謝辞」(2014年6月11日)には,「つまんないコメント返しやがってほんとうにありがとう」とか「科研費もらえなかったけど論文出せたんですけど」という怨念入り乱れる事例が載っていた.まあ,「謝辞」といえば,ふつうは当たり障りなく「コメントありがとさん」あるいは「研究費サンキュー」という儀礼的な(=関係者以外は誰もが読み飛ばす)内容を書くことになっている.だからこそ「非謝辞」が目立つのだろう.

ワタクシの業界では,ある特殊な「謝辞」の用法があり,著者にとっての論敵が誰に対して謝辞を述べているかを「謝辞」として明記している.これは一種の「戦術」というべきかも.論敵の「なかま」は誰かを示すことで,次なる狙撃対象を宣言するという街宣行動でもある.こういうことをやる著者はかぎられているだけに効果的な戦術かもしれない.

論文のフォーマットはこの上もなく「定型的」なのだろうけど,使い方によってはいろいろな付随情報を添付することができる.しかも,その付随情報は「事情を知っている関係者」にしかわからないようにコード化されている.

◆暗い空模様のお昼休みは徘徊せずに,居室ひきこもり.マーラー6番の緩徐楽章の妙なる旋律が流れる.台風8号は九州の西の海上で向きを東に変え,串刺しコースを取るらしい.11日(金)が関東再接近とのことで,はたして経堂出撃ができるのかどうか.

◆[欹耳袋]大塚淳「書評:エリオット・ソーバー著,松王政浩訳『科学と証拠:統計の哲学入門』(名古屋大学出版会,2012年刊)」科学哲学, 46(2): 60-64 pdf.

◆雨に降られる前に帰宅.25度超の夏日だったのに,そんなに蒸し暑くないのは北東風が吹いたからか.そのうち,西の方から雷鳴とともに,雨がやってきた.夕餉は昨夜の続きで,〈外ヶ濱・Flower Snow〉吟醸生にごりの残りを.四合瓶の底はかなり濃厚なぶくぶく泡地獄となっていた.

◆本日の総歩数=2342歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(−0.8kg)/ 29.5%(−0.1%)


8 juli 2014(火)※青空が広がって真夏日に

◆午前4時半過ぎ起床.快晴の青空.気温20.8度.真っ赤な日の出.午前6時の時の鐘.朝日がぎらぎら.今日は真夏日になるのかな.朝から夏の日差しが照りつける観音台は午前8時前に夏日ラインを軽く突破して,25.6度まで上がっている.雨なんぞ一滴も降る気配なし.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「ニッポンが世界のウナギを食い尽くす日」(2014年7月7日)/MSN産経ニュース「【若手記者が行く】赤信号でも「左折可」標示板の“なぜ”?…地元ドライバー以外にはわかりにくく、撤去されても気付かず危険な副作用も」(2014年7月7日)※奈良からのニュースだが,つくばも中心部は「左折可」だらけ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 琉球大学でのセミナーの演題と要旨を送信.しかし,台風の暴風雨域に入っているオキナワはいまそれどころではないようで./白羽の矢が届きましたとの返信メールがぽつぽつと.さらなる日程調整が必要かも.

◆[欹耳袋]メロディとノイズが入り混じる現代音楽風になってきた —— 毎日新聞「白紙・STAP論文:/5止 米研究員、不正戒めに「リケンするな」 信頼回復、道険し」(2014年7月8日) /毎日新聞「STAP論文問題:竹市センター長 調査報告の一部削除」(2014年7月8日)/近藤滋「難しいことはわからんが再現実験を支持する、という一般市民の方へ」[pdf] /MSN産経ニュース「STAP論文検証「意義がある」 下村文科相、凍結論に反論」(2014年7月8日).

◆真夏の日差しが照りつける農林団地をショートコースで徘徊ひとまわり.気温も真夏日ライン直前の29.4度まで上がっている.木立からはセミの合唱,見上げれば真っ青な空.電線には巣立ったばかりのツバメが何羽も群れていた.

◆[蒐書日誌]読了 —— 今野真二『日本語の考古学』(2014年4月18日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版1479],東京,viii+258 pp., ISBN:978-4-00-431479-0 → 目次版元ページ).最後の第10章「テキストの「完成」とは:版本の「書き入れ」」では,文字になった文章を読む “構え” が時代によって変遷し,ばらつきがあったと.「現代」につながる「過去」の日本語の読み書きの様相はどのようであったか.どんな点が伝承され,あるいは消えていったのか.

第10章から抜き書き:

  • 「現代では,読者にとって『わかりやすい』書物が求められることが多い.『わかりやすい』とは『そのまますぐに食べられる食物』,場合によっては『噛まなくてもいい食物』のようなものだろう.古活字版は,そのまますぐには食べられない.読み手も料理に参加して初めて食べられるようになる.料理に参加し,できあがったものを咀嚼する力のない者は食べられない.書物を読む,テキストを読むというのはそういう面を持っていたのではないだろうか」(p. 234).

  • 「テキストとは,書物とは,『今,ここ』ですぐに開花しなくてもいい.何代もの読み手にうけつがれ,時間をかけて空間を超えて熟成していくこともあるのだ」(p. 242)

—— 蝉しぐれの炎天下にこういう本を歩き読みつつ考えているとクラクラしてしまう.

◆午後の┣┣" 撃ち —— とある論文集を読了.さらにもう一冊の読了必修本あり./紙の別刷30部が着便:羊土社『実験医学』2014年6月号連載〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉第3回:「データのふるまいをモデル化する」(pp. 1427-1433).「紙の別刷」っていまや絶滅危惧IA類だよねえ.

◆真夏日の午後,最高気温が31.0度まで上がり,真夏本番.台風の影響よりも突発的雷雨の方が心配かもしれない.午後5時前,西日が差し込む居室の温度が閾値を越えたのでさくっと撤収.今日はひさしぶりの真夏日だったので,日が暮れてからも蒸し暑さは去らず.

夕餉には,青森・西田酒造店の〈外ヶ濱・Flower Snow〉25BY 吟醸生にごりを開栓.オレンジラベルの夏バージョン.今年3月に醸造,蔵出しが今月7月なので,酒造年度は「25BY」ということになる.こういう炭酸ガスたっぷりの日本酒を呑めるのは夏の夜の愉しみ.新ジャガのジャーマンポテトと野菜サラダという洋風のアテとともに.

◆明日からは梅雨前線と台風の影響で雨が続くとの予報.

◆本日の総歩数=8023歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)= 95.5kg(−0.4kg)/ 29.6%(0.0%)


7 juli 2014(月)※七夕はあいにくの梅雨空

◆午前4時過ぎ起床.雨.気温21.1度.ヒグラシが鳴く夜明け前.七夕の朝は小雨がしとしと降り続く.気温21.6度.湿った南風が吹き込んで蒸し暑い週明けの観音台.

◆[欹耳袋]南の海上では異様に巨大化した台風8号が日本列島を串刺しにしようとしている.Cf: 気象庁「平成26年台風第8号の今後の見通しについて」(2014年7月7日).

午前の┣┣" 撃ち —— 第30回個体群生態学会大会|秋の学校〈行列のできる統計相談所〉【日時】2014年10月10日(金)【場所】筑波大学.※かすや尊師の影にて,ささやかなる大道芸をば./かつて,海外出張で失われた半券を求めて右往左往したあげく,「以後,このような不始末がないよう十分注意いたします」という始末書を職場に提出した記憶がある.そして,その失われた半券は,酒粕に浸した帆立貝を口にするや,たちどころにその在処を思い出したのだった.

◆[欹耳袋]毎日新聞「白紙・STAP論文:/2 増える疑義に当惑 理研調査委、追い切れず」(2014年7月4日)|「白紙・STAP論文:/3 「ヒロイン」膨らむ虚像 紹介教授の権威を支えに」(2014年7月5日)|「白紙・STAP論文:/4 iPS超え、成果過信 予算獲得偏重、疑惑に「大丈夫」」(2014年7月6日)

◆雨が降り続くお昼前.気温はずっと21度台だが,水が滴る南風が蒸し暑さを運んでくる.

◆[蒐書日誌]Sir Gavin R. de Beer『Homology: An Unsolved Problem』(1971年刊行,Oxford University Press [J. J. Head and O. E. Lowenstein (eds.): Oxford Biology Readers 11], London, 16 pp, ISBN:0-19-914111-8 → 目次).anybook.biz Lincoln UK から着便.たった16ページしかないペラペラの小冊子だが,相同(homology)概念の論争史の中では必携の文献.こういう古い文献資料をこつこつ蒐集するのは楽しい人にとっては楽しい.日本国内の公的機関にはまったく所蔵されていない.

トークンとしての経歴は以下の通り:1972年11月20日に Margaret MacMillan College of Education Library, Bradford UK に蔵書登録(Acc. No. C2571),1983年8月18日に Bradford and Ilkley Community College, Bradford UK に蔵書登録(Barcode: BC-1005711-0),そして最後に Bradford College Library から除籍された.

オンライン発注したとき,書店から「We have noticed that you have paid GBP 92.16 for the book, when we retrieved the book we found that it was quite small」と確認のメールがわざわざ届いた.実にもっともな問い合わせだったので,「I would like you to continue to send the book」と返事したわけでして.ま,値段なんか気にしていたら,こんな本は買えない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 玉川大学の秋学期定例お座敷に関するアンケート調査返信./毎年恒例のテポドンをこね上げ,白羽の矢の束をつくっている.夕刻,白羽の矢をまとめて発射.今年もよろしくよろしく〜./オキナワに事務連絡一件.

◆七夕の夜は正調の日本酒を —— 雨はほとんどあがって,空が明るくなってきた夕方.湿気だけはまだ十分すぎるほどある.先週末はビール三昧だったので,今宵は正調の日本酒を.栃木の〈仙禽〉生酛・亀ノ尾 槽口 直汲無濾過生原酒.このポリフォニックな味わいと直汲みのフレッシュ感は快楽そのもの.アテはチーズの塩麹オリーヴオイル漬け.あまりに正調すぎて言葉なし(自分で言うなって).

◆[欹耳袋]「全角チルダ問題」※「約物」の文字コード問題は “闇” らしい.ワタクシ的には,約物の「′」を「プライム」ではなく,なぜ「ダッシュ」と呼んできたのかがいまだに不明.高校までの数学の授業では「ダッシュ」と呼び慣れてきたのに,大学でいきなり「プライム」と言われてカルチャーショックを受けた記憶ありまくり.

◆本日の総歩数=4544歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.9kg(+0.9kg)/ 29.6%(−0.6%)


6 juli 2014(日)※夏日になればビール三昧

◆午前6時起床.曇り.気温19.0度.う…….朝イチで〈つくいち〉へ.

◆[欹耳袋]つくばクラフトビアフェスト最終日 —— いよいよクライマックス facebook hashtag/ついでに:Infographic of the Day | Your Complete Guide to Beer | 23 September 2010.関連して:NAVER まとめ「ビールには物凄い種類があることが一目で分かる図(インフォグラフィック)」(2012年3月9日).

◆朝から青空が広がり,気温は急上昇.午後の最高気温は28.2度まで上がり,まさにビール日和.センター広場の人出はただごとではなく,真っ昼間から大勢の客がビールを浴びる.

◆[欹耳袋]東大オケの第100回定期演奏会は「ロザムンデ/シューベルト〈未完成〉/マーラー交響曲第5番」に決まったとのこと.その昔,東大オケがシューベルト〈未完成〉とマーラー6番〈悲劇的〉を定期演奏会でやったとき,本番直前の全体練習で,指揮の早川正昭さんが「シューベルトは “悲劇的” で,マーラーは “未完成” ですね」とぽつり.オケ団員,一同そろって「しーん」…….

◆[蒐書日誌]九州温泉本着弾(その一) —— 斉藤雅樹『大分の極上名湯』(2003年10月25日刊行,おおいたインフォーメーションハウス[九州十色],大分,127 pp., ISBN:4-9901769-1-X).続刊:斉藤雅樹『続・大分の極上名湯』(2012年10月25日刊行,おおいたインフォーメーションハウス[九州十色],大分,127 pp., ISBN:978-4-9902574-1)はすでに手元にあったのだが,本書は品切れだった.太宰府の古書店からやっと入手できた./TJカゴシマ編集部『鹿児島の温泉セレクト120』(2012年10月25日発行,斯文堂,鹿児島,136 pp. → 版元ページ)/南英作・神園史郎・呉藤加代子『九州の温泉遺産〔1〕 湯治宿』(2011年11月10日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:978-4-906586-32-5 → 版元ページ)/南英作・呉藤加代子・神園史郎『九州の温泉遺産〔2〕 絶景湯』(2013年6月3日刊行,九州人,福岡,128 pp., ISBN:978-4-906586-35-6 → 版元ページ).

◆お昼すぎと夕方にビアフェスト会場を徘徊してきたので,ビールはもう十分かな.〈ドン・ミゲル〉のエンパナーダ(サルデーニャとトゥクマン)は必修.最後は〈Outsider Brewing〉の「ホワイトチョコエール」だった.

◆[欹耳袋]Togetter -「日本分子生物学会理事長声明後の近藤滋先生関係まとめ

◆明日からは心機一転.しかし,台風が来るぞ来るぞ来るぞ.

◆本日の総歩数=8180歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(+0.9kg)/ 30.2%(+0.4%)


5 juli 2014(土)※終日ノバホール詰め込み

◆午前5時起床.曇り.気温19.5度.冷たく湿った北東風が吹き抜ける.午前6時の時の鐘が大曽根・千光寺からゴーン.曇り空だと近くに聞こえる.本日のお座敷は,農林つくばギター&マンドリンクラブ〈アソシエ・ド・パンドラ〉25周年記念コンサート.2014年7月5日(土)13:30会場,14:00開演,ノバホール[入場無料].ビールフェスタの合間にどーぞ.ワタクシは最初からアンコールまで出ずっぱりの叩きまくりという役回り.

◆[欹耳袋]Nature | News Feature | Research integrity: Cell-induced stress | 3 July 2014.Reputation in science is everything. Once gone, it’s extremely hard to get back./朝日新聞デジタル「STAP細胞「検証実験の凍結を」 分子生物学会が声明」(2014年7月4日)※「論文不正に適切に対応しないことは、科学の健全性を大きく損なう。税金で間接的に生命科学研究を支えている国民への背信行為だ」と./朝日新聞デジタル「STAP細胞巡り理研を批判 iPS臨床研究の高橋氏」(2014年7月5日)※「STAP細胞の検証実験が理研の倫理観の中のどこの位置づけで行われているのか、私には全然分からない」.

◆午前9時前,ノバホールに到着.舞台設置と楽器配列.ステリハは9時半から始まり,正午前に終了.お昼ごはんをすませて午後1時半の開場を待つ.午後2時開演.550名あまりの聴衆を集めて,演奏会はつつがなく終了.ギター&マンドリン・オーケストラに出演したのは初めての経験で,10曲あまりも演奏したのはひさしぶり.ギターのパート譜を見ながらリズムを刻み,かなりの部分は即興演奏となった.とてもいい経験.野口雨情メドレーは日本初演.

◆[蒐書日誌]本の話WEB – 新刊を読む:野中香方子「1匹の侵入者が生態系を破壊する 『ねずみに支配された島』 (ウィリアム・ソウルゼンバーグ著/野中香方子訳)」(2014年7月4日).

◆楽器と舞台の後片付けをすませ,いったん撤収.雨の予報だったが,夕方の青空が広がり,東風が涼しい.気温は24.3度.今日の大舞台は終わったので,ノバホール前のつくばクラフトビアフェスト会場に誘引されまくる.USクラフトビール〈AQ Bevolution〉にて真っ黒なビールを.センター広場のそこら中で呑みまくる人また人.予報を裏切って天気がもったのが幸いしたか.

◆[欹耳袋]Tree of Sex: a database of eukaryotic sex determination systems.有性生殖生物の性決定様式データベース.

◆午後6時からデイズタウン〈むすび〉にて打ち上げ酒宴.ほとんど全員参加という強烈宴会.二次会が終わったのは午後11時半.うう…….

◆本日の総歩数=6391歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.5kg)/ 29.8%(+0.3%)


4 juli 2014(金)※朝から小糠雨の経堂出撃

◆午前5時前起床.雨また雨.気温19.9度.定例経堂出撃日.台風8号の進路がとてもヤバそう…….

◆[欹耳袋]Knoepfler Lab Stem Cell Blog | Interview with Nature on their editorial process in wake of STAP | 3 July 2014

◆雨中出撃の朝 —— 午前7時半,つくば駅.雨が降り続き.蒸し暑い地下.午前9時,新宿駅.蒸し暑い都内は雨がさらさら降り続いている.傘は必携だが,土砂降りではないのは幸い.経堂.雨は上がり,西から空が明るくなってきた.経堂駅前は半月後にある〈第39回経堂祭り〉の準備がすでに始まっている.農大キャンパス.講師控室の室温27.2度,湿度62%と蒸し暑い.「熱中症注意アイコン」が点滅してまっせ.本日の講義は,本日は多変量解析の手法である主成分分析とクラスター分析を中心に,高次元ワールドとのつきあい方について講義.第1回レポートは2週間後が締切なのでお忘れなく.

◆[蒐書日誌]チャールズ・ウィーラン[山形浩生・守岡桜訳]『統計学をまる裸にする:もうデータはこわくない』(2014年7月近刊,日本経済新聞出版社,東京,ISBN:978-4-532-35603-3 → 版元ページ)※現代は統計学にとって「受難の時代」だとワタクシは思っているんだけど.初心者からは蛇蝎の如く忌み嫌われ, “びっぐでーた” でほっぺたをはたかれ,計算屋には「論より run」とか言われ,そして経済学者には “まるはだか” にされる統計学に愛の手を差し伸べよう.

◆小糠雨に濡れる農大通り —— 経堂駅への帰り道.晴れ間さえのぞく明るい空から霧吹きのような小糠雨が降きこみ,傘なんか何の役にも立たない.濡れ濡れて駅に到着.湿度は80〜90%で不快指数マックス.御茶ノ水駅前の〈エクセルシオールカフェ〉にてペリエスプレッソ.午後2時から誠文堂新光社にてサイエンスライターの取材を受ける.霧雨さらさら.取材そのものは半時間でおしまい.四ツ谷で “お水” を買ってつくば直帰だ.

◆[欹耳袋]Nature News | Science joins push to screen statistics in papers | 3 July 2014 ※Science 誌は投稿論文データの「統計的査読」を開始する.投稿された論文のデータに関する「統計的チェック」をして,結果の再現率を上げようということらしい.

◆夕方の水分補給 —— 午後4時半,つくば着.センター広場で今日から開催されている〈つくばクラフトビアフェスト2014〉.霧雨が混じるあいにくの空模様だがすでに酔客の姿もちらほら.日曜までの三日間開催される.初日なので,とりあえず会場を一周り徘徊して,甲府の〈Outsider Brewing〉が出している「Bunyip Australian IPA」をgkgk.アルコール度数は6.5度.苦みばしった夕方の背徳ビール.

◆明日は,農林つくばギター&マンドリンクラブ〈アソシエ・ド・パンドラ〉25周年記念コンサートの本番日.目の前で展開されるビールの饗宴を横目に,会場のノバホールに朝から夕方まで詰めることになる.

◆本日の総歩数=13142歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.1kg)/ 29.5%(0.0%)


3 juli 2014(木)※梅雨の中休みは蒸し蒸し

◆午前4時半起床.靄で白くかすむ遠景.気温20.2度.先月末から朝夕は涼しく,熱帯夜ということばを忘れていられるのは幸い.午前6時の「時の鐘」は大曽根の常福寺からではなく,近くの千光寺からであるとの情報を得た.もつべきものはツイッター.空一面に広がる薄雲を通してときどき朝日が差し込む観音台.気温は24.1度.

◆[欹耳袋]VAIO:ユーザーとして要チェック.

◆午前の┣┣" 撃ち —— Gavin R. de Beer 1971. Homology: An Unsolved Problem. Carolina Biology Readers, Volume 11 発注./もうすぐ読み終わる英文論文集が,日本人であるワタクシにもひと目で分かる校正ミス頻発本で,「著者も編集者もちゃんとゲラ読んだんかい」状態なう.もちろん校閲もされていないので,文献リストにすだく “蟲” の音がうるさいっ./Place order now 二件.さらに本を買ってしまった…….

◆[蒐書日誌]近刊2冊 —— 小松貴『裏山の奇人:野にたゆたう博物学』(2014年7月30日刊行予定,東海大学出版部[フィールドの生物学・14],秦野,本体価格2,000円,ISBN:978-4-486-01994-7 → 著者ブログ〈|||月紀・修羅〉)※著者自身からの宣伝:|||月紀・修羅「出版のお知らせ」(2014年7月3日).「生き物に魅せられた怪しい男が、近所の裏山から地球の裏側までを徘徊する。名もなき博物学者の「怪」進撃」と聞けば買わないわけにはいかない.若手研究者には読者がわくわくする本をどんどん書いてもらいたい./高橋佑磨・片山なつ『伝わるデザインの基本:よい資料を作るためのレイアウトのルール』(2014年7月3日刊行,技術評論社,東京,ISBN:978-4-7741-6613-1 → 版元ページ)※〈伝わるデザイン〉の改訂書籍バージョンとのこと.

◆[欹耳袋]HONZ「『背信の科学者たち』-編集者の自腹ワンコイン広告:二度の絶版を乗り越えて」(2014年6月20日)※「二度も絶版になった本が復刊される確率は限りなくゼロに近い」「今回のようなケースは「奇跡」といってよい」/日経ビジネスオンライン「あの「ドーキンス」の、つくりかた」(2014年7月2日)※リチャード・ドーキンス[垂水雄二訳]『ドーキンス自伝 2 』は来年出版されるとのこと.

◆昨日よりもはるかに蒸し暑い昼休みは徘徊中止.車でいくつか用事をすませて農環研直帰.正午の気温は27.7度と昨日よりも低いが,不快指数は高い.いま南の龍ケ崎〜稲敷あたりに湧き上がっている兇悪雷雲は霞ヶ浦の方角に去ってくれるようだ.

◆[欹耳袋]毎日新聞「白紙・STAP論文:/1 データ解析、結果公表に圧力 募る不信、理研を断罪 改革委「軟着陸」許さず」(2014年7月3日)※「改革委の不信感は募り、5月上旬以降、理研の職員を排除して委員だけが非公式に集まる」.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 東大農学部「紫工会」会報原稿の連携講座担当部分を改訂し,本郷に送信./また一冊「Place order now」ボタンを押す昼下り.

雨雲が到達しないうちに帰宅.雨が降りだした.ここのところ梅雨の中休みで忘れていた蒸し暑さが今日は戻ってきた.梅雨明けしていないからしかたがないけど,じめじめした空模様はすべてがカビだらけになりそう.雨が降り続く蒸し暑い夜はきんきん冷やした〈いづみ橋〉の「夏ヤゴ」山廃純米生原酒をグビッと.海老名産の雄町.アルコール度数は19度もあって.三合も呑めばイチコロ.味わいはかなり強めの辛口.鶏手羽先をアテに.〈いづみ橋〉はどれもハズレがない.

◆[欹耳袋]特別展〈江戸妖怪大図鑑展〉@太田記念美術館,2014年7月1日(火)〜9月25日(木).ひと月ごとに「化け物」「幽霊」「妖術使い」とテーマが変わるようだ./読売新聞・本よみうり堂「居酒屋、ぶっつけ本番で人と交流…早大教授・マイク・モラスキーさん」(2014年6月28日)

◆明朝は土砂降りの予報.定例経堂出撃はサンダル履きというわけにはいかなさそう.

◆本日の総歩数=4864歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.3kg)/ 29.5%(−0.6%)


2 juli 2014(水)※夏の日差しと太鼓の稽古

◆午前5時前起床.雲ひとつない青空.日の出なう.気温18.6度.湿度が低く,乾いて爽やかな朝.今日も青空が広がる観音台はすでに気温24度を越えている.

◆[欹耳袋]第30回個体群生態学会大会.2014年10月10日(金)〜12日(日) @筑波大学.〈秋の学校「行列のできる統計相談所」〉というお座敷が予定されている.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「メロン畑で靴紐を結ばず」=「瓜田不納履」=「李下不正冠」という連想が即座に思い浮かぶ頭脳には震え上がるしかない.ルシフェル降臨@大岡山./午前10時半から小一時間の所内領域会議.組織も建物も “累積疲労” しているという話.

◆正午の気温28.6度.ショートコースでの炎天下昼休み徘徊だん.歩き読む今野真二『日本語の考古学』(2014年4月18日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版1479],東京,viii+258 pp., ISBN:978-4-00-431479-0 → 版元ページ).第8章「なぜ「書き間違えた」のか ―誤写が伝える過去の息吹」がおもしろい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— ここのところ探索古書ゲット率が高くてほくほくしていたのだが,今日は “アタリ” なし.Max-Planck-Institut für Wissenschaftsgeschichte の Preprint 出版物.ほんの10年前なのに,どこにも見当たらない./外部複写依頼一件.

◆[欹耳袋]さて “空中浮揚” のお手並みを拝見 —— Nature Editorial | STAP retracted | 2 July 2014./理化学研究所「STAP細胞に関する研究論文の取り下げについて」(2014年7月2日)./ニコニコ生放送「 【STAP現象検証計画】小保方晴子氏の参画や計画の詳細に関する会見 生中継 (番組ID:lv184829434)」※本日2014年7月2日(水)14:00中継開始./理化学研究所「高橋政代プロジェクトリーダーコメント」(2014年7月2日) ※「理研が一日も早く信頼を回復し、患者さんが安心して治療を受けられる環境が整うことを期待しています」.

◆18:00から20:00まで果樹試験場での太鼓練習.あとは土曜日の本番@ノバホールを待つのみ.

◆本日の総歩数=8046歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.3kg)/ 30.1%(+0.6%)


1 juli 2014(火)※草いきれに包まれて七月

◆午前4時過ぎ起床.一時間ほど前から本降りの雨.雨音で目が覚めた.気温19.1度.昨夜は夜風が涼しかったが,今もひんやり.メーリングリストへの月例アナウンス送信.午前5時前には雨雲は通り過ぎ,空が明るくなってきた.朝日がさんさん.夜明け前の驟雨からは想像できない真っ青な夏空が広がる観音台.午前8時前に早くも23度を越える暑さになった.朝イチの BGM はPascal Schumacher & Jef Neve の〈Face to Face〉から.

◆[欹耳袋]理化学研究所「STAP細胞に関する問題に対する理研の対応について」(2014年6月30日)※「ワケわからん」ではなく,「ワケわかりすぎる」のがコワい.ああ,これはもう “科学” じゃないんだ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 今月の┣┣" 撃ちリスト更新./某NPO法人の監査作業が終わったので,関連書類一式を返送.午前のお仕事はこれにておしまい.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「憲法学者ら 閣議決定断念求める声明」(2014年6月30日)※「今、行われようとしているのは解釈に名を借りた憲法の破壊、無視であり、これを許せばあとで歴史の転換点だったと言われることになるだろう」/明日うらしま「257:ドイツ紙がこぞってNHKの集団自衛権抗議の焼身自殺報道の欠落を指摘/報道不作為で自殺したNHKはAHKである/追加あり」(2014年6月30日)

◆日差しがまぶしい昼休みはロングコースの徘徊タイム.気温は28.6度と真夏日手前の暑さ.緑が濃くなった田んぼをわたる湿った南風,畜草研飛び地の茂みではキリギリスが鳴いていた.夏の開幕宣言.本日の炎天下歩き読み本:今野真二『日本語の考古学』(2014年4月18日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版1479],東京,viii+258 pp., ISBN:978-4-00-431479-0 → 版元ページ)の最初の4章を読了.行頭禁則処理の長い伝統を見た.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル〈教育2014「大学を経営せよ!」〉連載記事の続き —— 第2回「スキル指導「餅は餅屋」 授業をアウトソーシング」(2014年6月30日)※「大学の教員に、社会が求めるスキルを教えることはできない」— 「教授システム学」を支える instructional design 論はスキナーやらピアジェが登場する心理学の一分野なのか.日本だと熊本大学にしか講座がないようだ.

大学や研究所の研究者が最初から「教えるプロ」であるはずがない(経歴的にありえへんでしょ).大学教員の場合は必要に迫られて “自学自習” してきたわけだし,研究所の研究員だったら必要がなければ教育スキルなんて自然に身につくはずがない.教え方を知らないセンセイと教わり方を知らない学生が対面しても得るものは少ないだろうから,両方が変わらないと.

第3回「大学職員、教授に教え方を指南 授業支える専門家に」(2014年7月1日)※「大学職員はいまや、募集倍率が数百倍になる人気職業」「不安定な研究者として大学に残るよりも、学生を支える職員を目指す」「学生を集めやすい教育内容と、就職に有利な実学が重視される一方、消えていく講座もある」「人気がなくても重要な学問にとっては、毎日が戦いだ」.

◆蝉しぐれの午後の┣┣" 撃ち —— 画面をにらみつける昼下り.千字の文も一字から./つい出来心でまた本を一冊「ポチッ!」とな.ああ現実逃避.

◆[欹耳袋]日本哲学会「若手研究者支援に関するアンケート結果」(2014年6月24日)— 「3. 非-常勤職研究者・大学院生支援策について、常勤職の方々も含め、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお寄せください」の回答集 [pdf] を読む.1980年代に「OD問題」が大きく浮上したころと同じような “声” が紙面から聞こえる.当時とちがうのは,いまの「若手研究者問題」は規模が大きくなってしまったという点.にもかかわらず,社会的にはまだ少数派にとどまる.

当事者が “声” を上げ続け,打てる手は打つことはもちろん必要だ.しかし,研究者として生きていくには, “従属栄養” のみに頼るのではなく,何らかの “独立栄養” の道を模索するしかないだろう.大学に所属していても,独法や企業の研究所にいても,いざというときの“独り立ち” の方策をいくつかもっていないと行き詰まるリスクがあるから.分野によるちがいはあるだろうが,常勤・非常勤の区別なく,そのことはいつも考えておく必要がある.

また,年長世代の研究者は資金を取るなり人脈を利用するなりして新たな “ニッチ” をつくる努力も必要.その際,既存の「かぎられたパイ」を大きく削り取るのではなく,その外側への新規開拓をしていかないとダメだろう(苦労も無駄骨も多いけど).

◆魔王が背後から迫り来る.

◆本日の総歩数=11789歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(0.0kg)/ 29.5%(−0.1%)


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