images/image1.jpg

Home
oude dagboeken

日録2014年6月 


30 juni 2014(月)※今月は31日まであるはず

◆午前4時半起床.晴れ.気温18.9度.東風が涼しい.真っ赤な日の出.週明けの観音台は夏空が広がり,農林団地はニイニイゼミの合唱が響いている.明日から月が変わるのに備えて,事前練習ということだろう.午前8時の気温は21.8度.午前10時から予定されている全所説明会の暗い雰囲気がすでに漂う農環研を初期化するには,これはもうバーンスタイン〈ウェスト・サイド・ストーリー〉全曲盤を BGM に流すしかないでしょう.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 週明け微小┣┣" たちを一網打尽に./午前10時半,全所説明会はさくっと終了.研究上の不祥事は “後始末” が長引いてたいへん./発注本が相次いで届くシアワセなお昼前のひととき.晴れてはいても夏日ラインに届かない昼休みは徘徊なしの引きこもり.着便本たちの整理に勤しむ充実タイム.

◆[蒐書日誌]Koblenz の Gros Petra 書店から着便 —— Kurt Bloch『Zur Theorie der naturwissenschaftlichen Systematik unter besonderer Berücksichtigung der Biologie』(1956年刊行,Acta Biotheoretica, Supplementum Primum, additum Actorum Biothoreticorum Volumini XI [i. e., Bibliotheca Biotheoretica Vol. VII], E. J. Brill, Leiden, vi+138 pp.)※トークンとしての経歴は,Bibliothek des Zoologischen Instituts der Universität Tübingen から2005年10月10日に除籍された本.CiNii Books で調べた範囲では本書の国内所蔵館はない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 否も応もなく来月のカレンダーを直視するしかない./来月の不在申請いろいろを提出.年度始めの予定よりもおとなしい月になった.6不在日/23全労働日≒22%不在率.勤務良好月間./農大三点セットとかレポート課題とか全部完了.

◆[欹耳袋]バイオ系研究室PC管理担当のメモ「iTunes Uの統計学コースがすごくよい」(2014年6月27日)./Matthew Freeman 2006. A visual comparison of normal and paranormal distributions. Journal of Epidemiol Community Health, 60:6 良図!/〈The Morphometrics Library〉.形態測定学の教科書リストと分類群ごとの論文リスト.

◆[欹耳袋]The Huffington Post「官邸前で抗議デモ 集団的自衛権の閣議決定に反対して深夜まで【動画・画像】」(2014年6月30日).どこの報道機関が速報しなかったかは記憶すべし.

◆「正しい水無月」を今日のうちに食べることができなかったのはかえすがえすも無念である.

◆本日の総歩数=3323歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(+0.2kg)/ 29.6%(0.0%)


29 juni 2014(日)※蒸し暑い午後は肉を焼く

◆午前4時半起床.雨.気温21.5度.午前10時,本降りの雨はすでに上がり,空が明るくなってきた.気温は22.8度.蒸し暑い.

◆[欹耳袋]高田兼太「ハサミムシの不名誉な俗称」きべりはむし, 36(2): 20-22 [pdf] ※「各地域における様々な昆虫の方言を記録し保全していくことが望ましい」(p. 22).ある昆虫の「方言名称」を大規模に蒐集するなら,今だったらツイッターとかFacebookで “拡散” すればなんとかなるんじゃないでしょうか.かつての『全国アホ・バカ分布考:はるかなる言葉の旅路』の時代はもっと大がかりなプロジェクトだったけど.

◆[蒐書日誌]昆虫方言名関連2冊 —— 白井祥平・太平洋資源開発研究所(編)『全国昆虫類地方名検索辞典(北日本編/南日本編)』(2005年5月刊行,生物情報社,千葉,本体価格47,500円 → 版元ページ太平洋資源開発研究所トップページ)※本書は全2巻合わせて1500ページ超という大著.100部限定出版で,ISBNが付いていないので商業出版ベースの本ではないのだろう./阿部光典・神奈川昆虫談話会(編)『昆虫名方言事典:昆虫名方言を求めて』(2013年12月9日刊行,サイエンティスト社,東京,本体価格6,000円,ISBN:9784860790714 → 版元ページ

◆朝方,雨を降らせた雲はすっかり消え,真っ青な夏空が広がる.気温は正午前に26.0度まで上がり,不快指数が高すぎる.雨が降ったからか,筑波山の山並みがとてもくっきり望める昼下り.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「学長、自ら海外トップセールス 権限集中に反発の声も」(2014年6月29日)※「不人気科目の教員を減らし」「不人気講座の見直し」「伝統的学問を研究するゼミが消滅」— 大学は “客商売” ということ.今朝の朝日新聞朝刊ではトップ記事だった.

◆夕方が近づくにつれて雲行きがアヤシくなってきた.都内では,ゲリラ豪雨で “水没” した地域ありとの速報が流れている.そして,下界では「竜巻注意!」を呼びかける消防車が駆けまわる.西の方角を見ると,遠雷とともに,スコールの雨筋が接近してきた.午後5時,雷雨襲来.

◆[欹耳袋]日本哲学会「若手研究者支援に関するアンケート結果」(2014年6月24日)※「2013年9月から12月にかけて若手研究者支援に関するアンケートを実施」— アンケート結果は pdf でダウンロード可能.

◆連日連夜の “治療” に耐え続ける —— ケガの治癒をイッキに進めるべく,今宵は “集中治療” を.まずは届いたばかりの厚岸の牡蠣を網焼きして,熱々になったところを,すかさず〈篠峯〉「ろくまる雄山錦」純米吟醸とともに前菜としていただくシアワセ. 続いて,前日のスペアリブの残り0.5kgをとりあえずオーブンで焼く.そして,本日のメインは夕方焼き上げて冷ましておいたローストビーフ0.8kgが食卓に登場.今日はことのほか完璧なレアに仕上がった.肉料理に合わせて Domaine S. C. Guillard の Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes – La Platiere 2009 を開栓.たまにはこういう豪勢なこともしてしまうのだ.この深みのある赤ワインの味わいにはジューシーな牛肉がぴったり.

◆もう6月も終わりじゃないかとふと現実に引き戻される.オワリました.

◆本日の総歩数=0歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.1kg)/ 29.6%(+0.3%)


28 juni 2014(土)※雨降る土曜は太鼓を叩く

◆午前4時半起床.雨,気温21.3度.しとしと雨の彼方から午前6時の時の鐘.毎朝午前6時に鳴り響くこの時の鐘.その方角からずっと一ノ矢八坂神社からだと思い込んでいた.いま気になって調べてみたら,実はさらに北の大曽根にある常福寺の鐘楼堂だったことが判明した.常福寺のサイトには「毎朝6時の時の鐘が鳴り響きます」と書かれているからきっとまちがいないだろう.積年の疑問のひとつが解決した.

◆[欹耳袋]つい先日から始まった「第10回竹尾賞」展の〈デザイン書籍部門〉の最終ノミネートの一冊に,『系統樹曼荼羅』が入っていた.先日,内覧会アナウンスをもらったばかり,どうして案内がきたのだろうと思っていたのだが,こういうことだったのか.

◆[蒐書日誌]英国分類学会(the British Classification Society)のサイトに開設されている電子図書館〈Classification Society Library〉から数量分類学とクラスター分析の歴史的書籍が電子化公開.所収されているめぼしい本をいくつかを挙げると:

  • R. R. Sokal & P. H. A. Sneath 1963. Principles of Numerical Taxonomy
  • P. H. A. Sneath & R. R. Sokal 1973. Numerical Taxonomy
  • J. A. Hartigan 1975. Clustering Algorithms
  • H. H. Bock 1974. Automatische Klassifikation
  • I. C. Lerman 1981.Classification et Analyse Ordinale des Données

パスワードがなんちゃらと書いてあるけど,個別pdfファイルは問題なくオープンできる.

◆太鼓叩きの休日 —— 午前9時から並木地域交流センターにて〈アソシエ・ド・パンドラ〉の全体練習が午後2時まで.本番は7月5日(土)14:00〜@ノバホール.今回は25周年記念演奏会とのことで,マンドリンオーケストラにしては打楽器がたくさん並ぶ.今日の「常陽リビング」にも果樹試験場での練習風景が記事になっていた.午後3時,並木から帰宅.朝から計4時間ほど叩いてきた.気温は夏日ラインに届かない割には蒸し蒸しして不快指数高し.涼しくなる “水” を帰りしなに調達してきた.

◆[欹耳袋]総務省「平成26年度「独創的な人向け特別枠」の事業名の決定、業務実施機関の選定結果及び「独創的な人」の公募の予告」(2014年6月27日)※「事業名を「異能(inno)vation」とすることに決定しました」— orz.今後ありとあらゆる “ダジャレ” は政府公認となりました./東京新聞 TOKYO Web「中国産稲もみ 許可外の土地で栽培 農環研が植物防疫法違反 2件」(2014年6月28日)※停職だ訓告だとなれば全所説明会必至の案件.

◆[蒐書日誌]組版工学研究会(編)『欧文書体百花事典(普及版)』(2013年5月23日刊行,朗文堂,東京,本体価格8,800円,ISBN:978-4-947613-87-5 → 版元ページ)が一年前に出ていた.10年前に出た元本:組版工学研究会(編)『欧文書体百花事典』(2003年7月7日刊行,郎文堂,東京,本体価格12,000円,xviii+546 pp., ISBN:4-947613-55-6 → 目次)がすでに手元にあるので,さらにもう一冊買う必要はない.それにしても,こんな大きい本が普及版が出るほど売れているのか.

◆蒸し暑い夜に雨がぱらつく.人気加熱でいまやすっかり品薄になってしまった〈獺祭スパークリング〉を “勢い水” にして疲れを癒やす週末.最近,どこの酒屋でも店頭から姿を消してしまった山口の人気ブランド.四ツ谷の〈鈴傳〉でも,竹園の〈たがみ酒店〉でも品薄でほとんど “配給制” 並みの入荷だそうだ.

並木での太鼓練習の帰りがけに〈たがみ酒店〉に立ち寄ったら,かろうじて〈獺祭スパークリング〉のクオーターボトル(二合瓶)が一本だけ残っていたのでゲット.おかみさんに訊いたら「これが最後の一本」とのことで,あとはいつ入荷するかわからないらしい.そんなこんなでとても貴重な一本なので,連日の “経口アルコール点滴” のおクスリとして大切に空っぽにしてあげたしだい.いちおうけが人なので,ささやかにスペアリブをかじりながら “点滴” を打ち続ける夜.

◆明日の日曜は月末を迎える心の準備を静かにする日.千字の文も一字から.

◆本日の総歩数=1855歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(−0.3kg)/ 29.2%(0.0%)


27 juni 2014(金)※サンダル履いて経堂出撃

◆午前5時前起床.曇り.遠景は白く靄がかかっている.気温20,2度.ひんやり早朝.ムクドリ軍団がけたたましく出撃していく.午前6時の時の鐘.

◆[欹耳袋]毎日新聞「STAP細胞:小保方氏実験なら厳格監視 理研センター長」(2014年6月26日)※そろそろ白日夢から目を覚ませ.♪ STAP is over~.悲しいけれどぉ,終わりにしよう~.キリがないから~ ♪

◆定例経堂出撃の朝 —— 午前7時半,つくば駅.初夏らしい青空が広がっている.ビルケンシュトックのサンダルを履いて.午前9時,ダイヤ遅延なく新宿駅.都内は曇り空.気温は25.0度の夏日ライン真上.蒸し暑い一日になりそう.午前10時前,農大キャンパス.曇り空.本日の高座は,多変量データ解析のイントロとして,変量間の共変動とその視覚化について.正午過ぎ,講義終了.正午の気温は25.4度.空調はオンでも蒸し暑い講義室だった.

  • #NodaiStat 今日は二変量統計学について説明しました.多変量解析は数学的には線形代数(ベクトルと行列)の知識が必要なので,講義中には深入りしませんでした.その分,デモンストレーションとアニメーションで補足しました. posted at 12:20:32
  • #NodaiStat なお,最後に紹介した二変量正規分布のアニメーションは下記サイトで公開されています:The Bivariate Normal Distribution ow.ly/yvmOA 平均・分散・共分散(相関係数)の意味が直感的に「見えます」. posted at 12:22:46

◆都内はところどころ局所的スコールが降っているようだ.運悪く遭遇しないうちにちゃちゃっと撤収しよう.経堂駅にたどり着く前から小雨がぽつぽつ降りだした.気温は27度台であいかわらず蒸し暑い.代々木上原ではそれなりに本降りに.都内はところどころ雨雲がかかっている.千代田線に入るので地上のことはもうわからない.

◆[欹耳袋]あらあらあらま —— NHK NewsWeb「4独法で植物防疫法違反70件」(2014年6月27日)※「農林水産省が所管する、つくば市の4つの独立行政法人は、許可を得ていない場所でイネを栽培したり、検疫が必要な植物の種を検疫を受けずに輸入」— しばらく前から所内がばたばたしていたのはこれのことだったのか.|農業環境技術研究所プレスリリース「(独)農業環境技術研究所における植物防疫法に違反した事案について」(2014年6月27日).本日,臨時所議,週明けに全所説明会あり.|農研機構プレスリリース「(独)農業・食品産業技術総合研究機構、(独)農業生物資源研究所、(独)国際農林水産業研究センターにおける植物防疫法に基づく輸入時の検査を受けずに種子を輸入した事案について」(2014年6月27日).

◆午後4時,つくば帰還.曇り空の都内はところによりぽつぽつ雨が降っていたが,つくばは朝のままの夏の青空が広がっている.しかし,蒸し暑いことにちがいはない.今宵の “経口アルコール点滴” は,奈良の御所〈篠峯〉「ろくまる雄山錦」純米吟醸・直汲み無濾過生酒.すっきり微炭酸の爽快感,ほんのり甘みが残るのどごし,養生にはもってこいの点滴薬.効き目,あるある.〈篠峯〉は表バージョンと裏バージョンがある.「ろくまる」は裏バージョン.同じ御所の〈風の森〉はなかなか手に入らないが,〈篠峯〉は千駄木の酒屋で常時入手可能.よろこばしい.

◆明日は朝から夕方近くまで並木にて太鼓を叩く日.

◆本日の総歩数=10403歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.2kg)/ 29,2%(−1.1%)


26 juni 2014(木)※寝不足の朝はのろのろと

◆午前6時前起床.晴れ.朝日がまぶしい.気温は18.2度.ぐるぐる巻きの小指のせいで当分はサンダル以外履き物がない.曇り空が広がる観音台は気温20.2度.ひんやりしているような,蒸し暑いような.館内では「Tシャツ+短パン+サンダル」という “農環研正装” の研究員が増えてきた.さらに「首タオル」という最上級フォーマルな人も.その首タオル氏は「クマ鈴」をぶら下げてお遍路さんのようにちりんちりん鳴らして歩いていた.観音台に熊は出没しないはずだが……(熊みたいな研究員はいるかも).

大昔のこと,本郷の農学部の学部進学ガイダンス(学科)に出たとき,学科紹介をした栽培学研究室の山崎耕宇先生が年季の入った「腰タオル」で登場し,「私は稲の根の研究だけをこれまでずっと続けています」と高らかに宣言.「農学部に来たんだ!」と強く実感したことをいまでも覚えている.学部生時代の “刷り込み” は後々まで強烈な痕跡を残すものだ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 時事通信社のゲラチェックを終えて編集部に送信.

◆[欹耳袋]昨年春に出た Nature 科学出版特集:The Future of Publishing 28 March 2013 が抜粋翻訳されていたことを知った:〈科学出版の未来〉.元特集の10記事の中から,「ニセの論文誌にだまされるな!」「科学出版の本当のコスト」「再起動する大学図書館」「オープンアクセスの早期実現のために」の4記事が翻訳されている.

◆[蒐書日誌]Hermann J. Lam 1936. Phylogenetic symbols, past and present. Acta Biotheoretica, Series A, 2(3): 153-194. Owl Pen Books, Greenwich, NY.系統樹図像学の古典的論文.表紙にサインされた署名を読むと,この別刷りは1938年に著者 H. J. Lam から植物学者 Andrew J. Willmott に送られたものらしい.中を見ると Lam 自身による本文の「蟲採り」あって興味深い.コピーは前から持っていたのだが,見えにくい図版がいくつかあったので,機会があれば元雑誌からの別刷りがほしかった.書籍だけではなく,こういう論文別刷りもネット古書店でふつうに販売されるようになってとてもありがたい.

◆夏空が広がる観音台は正午の気温が25.2度と夏日ラインを越え,昨日までのうっとおしい空の表情とは一転して夏の到来を感じさせる.昼休みは車であちこち徘徊し,用事をすませてきた.谷田部の須藤酒店で夏ヤゴが採れたのは幸運だった.

◆夕方,館内空調が止まって,室温が上がってきたし,外は何だか騒音いっぱいなので,そろそろ撤収しよう.

◆昨夜の病院騒動で足は痛い,しかも寝不足という一日を過ごしてしまった.いちおう「けが人」なので,今宵はゆっくり養生中. “病人食” は海老名の〈いづみ橋〉「とんぼスパークリング」微発泡純米にごり酒を点滴してもらいながら.〈いづみ橋〉は基本がきりっと辛口なので,蒸し暑い初夏にはぴったり.「とんぼスパークリング」は250ml瓶限定の銘柄で,緑色のメタリックなラベルが印象的.どことなく福岡〈三井の寿〉の洋風ラベルに似ている.すっきり炭酸の効いた「とんぼスパークリング」とヘルシーこのうえない病人食.

続いて,二本目の点滴は同じく〈いずみ橋〉の「夏ヤゴにごり酒」活性純米酒山廃酛仕込み.「とんぽスパークリング」ほど炭酸ガス濃度は高くない.軽やかな微炭酸が病人にはとても心地よい.今宵の点滴液はどちらも250ml瓶だったので,ボトルのママだと曲率が大きすぎてカメラ映りがよろしくない.点滴が終わって空っぽになってからラベルをはがす.

◆明日は定例経堂出撃日.ビルケンシュトックのサンダルを履いていく.

◆本日の総歩数=6557歩. 朝◯|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=94.7kg(−0.6kg)/ 30.3%(+0.2%)


25 juni 2014(水)※驟雨と連打と飲酒と病院

◆午前4時過ぎ起床.曇り.気温18.7度.ひんやり東風.曇り空の観音台は気温21.2度.朝からじめじめしている.兇悪雷雲が接近しているようだが,観音台はまだ雨は降っていない.天王台は土砂降りなのに観音台は雨粒ひとつ落ちてこない.雨雲ズームレーダーを見ると,雨が降っているのは北の竹園〜天王台,西の谷田部〜水海道,南の牛久〜つくばみらいで,観音台〜高野台あたりだけ降っていない状態.ま,時間の問題か.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 不要不急の本4冊をネット発注.本はじたばた買い集めてはならぬ.不要不急の本をもう一冊発注./_φ(..) .. . .. . . .... . .

◆[欹耳袋]Togetter -「「学者・専門家」から「職業翻訳者」への出版翻訳の主体の移行について」※ツイートをまとめていただきどーもどーもです.誤訳・悪訳・欠陥翻訳と読者に誹られないための苦労は翻訳者だけが知っている.翻訳書の「でき」のよしあしについては,各人それぞれ甘かったり苦かったりする読書経験があるにちがいない.手がけた翻訳者が誰かによる systematic bias は無視できないわけで,ハズレを引いたらサヨウナラ.

その点では,去年出た:マーティン・J・S・ラドウィック[菅谷暁・風間敏訳]『化石の意味:古生物学史挿話』(2013年9月13日刊行,みすず書房,東京,iv+334+43 pp., 本体価格5,400円,ISBN:978-4-622-07767-1 → 目次版元ページ )は,よくぞ「悪訳のドロヌマ」からみごとによみがえったと思わざるを得ない.

そういえば,〈翻訳通信・ネット版〉 の記事「翻訳のパラダイム -- 「学術的」な翻訳の奇妙な現実」は,さる業界の「なかのひと」にはおもしろいはず... Cf.: 読書日記「中山茂『パラダイムと科学革命の歴史』講談社, 2013. (講談社学術文庫)」(2014年6月21日).

◆ “降る降る詐欺” の午前が過ぎ,お昼前,観音台は雲の隙間から陽光が射しこむ.雨なんぞ一滴も降ってないし,昼休み徘徊に出かけて来る.昼休みになると青空が広がる夏日になってしまった.水分たっぷりの空には大小取り混ぜて積雲や積乱雲が逆さクラゲのように浮かんでいる.蒸し暑い農林団地の周囲をショートコースで徘徊.ときおり遠雷が聞こえてくるが虚仮威しであってほしい.

歩き読み本:村上龍男・下村脩『クラゲ 世にも美しい浮遊生活:発光や若返りの不思議』(2014年5月29日刊行,PHP研究所[PHP新書928],東京,201+IV pp., ISBN:978-4-569-81884-9 → 版元ページ)読了.どのカラー写真もくっきり撮れていてすばらしい.なかでもハナガサクラゲが美麗すぎる.その毒は格別らしいが.なんとなくゆる目の対談は前半のみで,後半はクラゲ写真集.これがまた美しい.居室の本棚をごそごそ調べたら,クラゲ写真集がもう一冊出てきた:並河洋・楚山勇『クラゲ ガイドブック』(2000年7月5日刊行,TBSブリタニカ,東京, 120 pp., ISBN:4-484-00406-2 → 版元ページ[現:阪急コミュニケーションズ]).

◆午後の┣┣" 撃ち —— ざっと書いてみてカウントしたら 6000 words くらいの分量になりました.さらに図版とキャプションの分量を上乗せしないと.

◆午後4時過ぎ,遠雷がごろごろ鳴っているなと思ったら,一瞬の後に土砂降りの雨が襲来.本館から駐車場までのほんの数十メートルの間に濡れネズミになってしまった.降れ降れ詐欺とか言った天罰かも.午後6時前,スコールが小止みになったみたいなので,夕暮れの果樹試験場に出撃.午後8時前までアソシエ・ド・パンドラの太鼓の練習.気持ちよし.

帰宅後,さらに景気づけに秋田〈ゆきの美人〉夏吟醸「活性にごり」純米吟醸酒本生を開栓.しゅわしゅわの泡泡〜.〈百香亭〉の黒酢酢豚をアテに景気よく空っぽにしたまではよかった.その後,ふらふらと室内酔歩して,ベッドの角に小指を引っ掛けたのが敗因で,爪が景気よく剥がれてしまい,午後10時前にタクシーでメディカルセンター病院に直行するはめになった.

ここは救急病院なので,深夜でも “お客さん” が多すぎる.診察してもらうのに一時間待ち,レントゲン撮影と治療でさらに一時間待ち,そして会計でさらに一時間待ち.小指をぐるぐる巻きにされ,真夜中のペデをとぼとぼ歩いて帰宅したのはけっきょく午前2時前だった.

—— 足は痛いし,夜中で眠いし,こりゃ天罰にちがいない.【痛い教訓】家のなかでも呑み過ぎ注意.

◆本日の総歩数=9318歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=95.3kg(+0.5kg)/ 30.1%(+0.6%)


24 juni 2014(火)※荒れ模様の空を見上げて

◆午前5時前起床.曇り.気温20.0度.午前6時前,雷鳴とともに雨音が反響する.曇り空の観音台は朝から蒸し蒸ししている.午前8時の気温は20.6度.早朝は雷雨が一時激しかったが,今は上がっている.しかし,雨雲レーダーを見るとまた降り出しそうな空模様.全館空調オン.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 羊土社『実験医学』誌の連載〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉の第4〜5回原稿を編集部に送信:三中信宏「パラメトリック統計学への登り道1&2」.2014年8月号と10月号に掲載予定.アブダクションの解説文を書いているところ./進化学会の執行部会と評議員会に参加の返事./お昼前,羊土社の連載原稿は加筆箇所も含めてすべて送信.午前のお仕事はここで一段落./隔月連載ではなく毎月連載にしたいとの編集部からの打診あり.

◆つくば市の北側と南側で激しい雨が降っているようだが,はさまれた観音台は降ってないみたい.しかし,北と南から雨雲が押し寄せてきたつくばは風前の灯.軍門に下り,ふたたび雨が降りだした.ときどき空の上から雷鳴がごろごろ聞こえてくる.

◆[欹耳袋]KojiOkazakiのブログ「公開質問状を提出致しました」(2014年6月23日) ※「今年1月から、東大医学部は立て続けに多くの報道で、患者さんの権利を蔑にした臨床研究の不正や、製薬会社との癒着が指摘されて」いる件.

◆朝から不穏な天気だったが,昼休みはフシギなことに雲間から青空がのぞく空模様.ショートコースで徘徊だん.気温は20度そこそこだったが,湿度が高くて蒸し暑いことこの上なし.歩き読み本:村上龍男・下村脩『クラゲ 世にも美しい浮遊生活:発光や若返りの不思議』(2014年5月29日刊行,PHP研究所[PHP新書928],東京,201+IV pp., ISBN:978-4-569-81884-9 → 版元ページ)※ハナガサクラゲが美麗すぎる.その毒は格別らしい(>_<).

◆[欹耳袋]〈翻訳通信・ネット版〉は, 先年亡くなった翻訳家・山岡洋一さんが発行していた『翻訳通信』のウェブ版.職業翻訳の立場からみた「翻訳」についてのエッセイが満載.つい読み込んでしまう.〈翻訳とは何か〉というコーナーの「新世代の翻訳家に期待」を読むと,出版翻訳の主体が従来の「学者・専門家」から「職業翻訳者」に急速に移行した背景が述べられている.

要するに,「学者に翻訳を依頼すると、時間がかかりすぎるし、徹底して直さなければならなくなるので、手がかかりすぎる、だから学者にはもう翻訳は頼みたくない」という認識が版元側に広まったかららしい.「翻訳のスピード」と「翻訳の質」への不満が理由.「翻訳の質」はともかくとして,「翻訳のスピード」が要求されるようになると,いまの大学教員や研究者はとても応えられる状況にはないだろう.朝から晩までずっと翻訳に専念できる時間がありますかというシンプルな問題だ.「翻訳の質」はさらに問題.地べたからちゃんと翻訳してくれればまだしも,「じつは学生か院生の下手な下訳をそのままだしているだけ」の場合は目も当てられない(ワタクシもそういう苦労をした経験がある).質とスピードの点で大学教員や専門研究者は脱落したと著者は言う.

昨年のちょうど今頃,ワタクシは翻訳の苦行からやっと解放されて「『自然を名づける』の翻訳を終えて」(2013年7月17日)という記事を書いた.その記事にも書いたが,プロの翻訳家との “共訳” で仕事をしてみると,とてもとてもわれわれ翻訳の素人にはかなわないところが多々あることが実感できた.大学のセンセイやふつうの研究員には荷が重すぎる.もし研究者が「翻訳」という仕事にたずさわる機会があるなら,できればプロの翻訳者との共同作業をするのが,出版社・翻訳者・読者の三方が丸くおさまるシアワセへの近道だと強く思う.

ついでに:翻訳書が原書に比べてかなり「割高」になるのはしかたがないかなあ.印刷部数によって単価は増減するし,印税やら翻訳権料やらお金の問題もあるし.ということは,それだけの “超過料金” に見合う(付加)価値のある翻訳をしなければならないわけでして.『自然を名づける』に関して言えば,hbk よりちょい高,pbkの二倍高,Kindleの三倍高という価格設定.それでも,3刷まで増刷できて計4000部近く出たことになる.原著者の Carol Kaesuk Yoon さんに日本だとこんなに売れてるよと伝えたら,「the sales in Japan are wonderful」とのこと.原書の版元 W. W. Norton がどれくらい売ったのかとても気になる.

—— 原書よりも高いけどできれば売れてほしい翻訳書.おあとがよろしいようで.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 某NPOの監査書類一式が「紙」で届いた.時間を見つけて(そのうち)撃つ.

◆つくばは日差しがさんさんと降り注いでいるが,都内は天変地異みたいな荒れ模様とのこと:Togetter -「調布周辺を大きな雹が道路を埋め尽くす」 .しかし,つくばは雨も雹も雷もなく,淡々と静かな時間が流れていた.今宵は広島・竹原の〈誠鏡〉番外品純米超辛口生原酒を開栓.夏向きの銘柄で確かにきりりと辛口.ほんのり果実のフレーバーが残る.そうめんのごまきゅうりとともに.

◆[欹耳袋]日本の科学を考える「STAP問題を受けて①:研究者コミュニティの課題」(2014年6月21日)|同「STAP問題を受けて②:CDB解体を考える」(2014年6月21日)./Nature | Uprooting researchers can drive them out of science | 18 June 2014 ※若手研究者は異動すべきか.研究者カップルの「二体問題」への言及あり./読書日記「中山茂『パラダイムと科学革命の歴史』講談社, 2013. (講談社学術文庫)」(2014年6月21日).

◆本日の総歩数=7166歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.5kg)/ 29.5%(−0.8%)


23 juni 2014(月)※全館空調テスト運転開始

◆午前5時前起床.晴れ.気温19.1度.早朝は日が差していたが,いまは薄い雲が広がる観音台.気温は21.2度.湿度が高くて蒸し暑い.しかし,今日から全館冷房テスト運転オンだ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— ウィリアム・ソウルゼンバーグ『ねずみに支配された島』の書評原稿を編集部に送信.850字.もっと長いのはあとで本録にて公開予定./大阪での〈系統樹の森〉展示企画に関する日程調整なお続く.10月下旬から11月上旬にかけて.一両日中には確定するだろう./某NPOの監査資料ファイルが届く.「紙」も近々着便予定との連絡あり.

◆[蒐書日誌]自ら蒔いた種を自ら刈り取る宿命 —— ウィリアム・ソウルゼンバーグ[野中香方子訳]『ねずみに支配された島』(2014年6月15日刊行,文藝春秋社,東京,カラー口絵 iv + 302 pp., 本体価格1,800円,ISBN: 978-4-16-390081-0 → 目次版元ページ)読了.地球のいたるところで絶滅に瀕している動植物たちはあとからやってきた「侵入者」によってとどめを刺されている — 本書は生物保護の最前線を追跡する迫真のレポートである.本書に描かれている侵入外来動物による “ジェノサイド” はすさまじいの一言に尽きる.ニュージーランドの離島に住む飛べないオウム「カカポ」をはじめ,アリューシャン列島の果ての小島に住む「ウミスズメ」にいたるまで,侵入者であるネズミやネコやキツネやヤギは容赦なくすべてを食い散らかし,在来の固有生物たちは存亡の瀬戸際に追い詰められていく.映画〈ターミネーター〉を連想させるほど,この “悪役たち” の執拗さと貪欲さの描き方がリアルでみごとだ.

本書で報告されている事例をいくつか挙げよう([ ]内は加害動物):ニュージーランドのカカポ,キウイ,ムカシトカゲ[ネズミ]/アリューシャン列島のウミスズメ[キツネ,次いでネズミ]/バハ・カリフォルニアの固有鳥類[ネコ]/ガラパゴス諸島[ヤギ]/カリフォルニア沖の島の海鳥[ネズミ].著者は侵入外来動物がその土地に固有の生物相に壊滅的被害をもたらしてきたと警告する.

この “悪役たち” に対抗する人間側は,究極の殺鼠剤であるプロジファクムの大量散布により,あるいは手練のハンターを大量動員することで,島全体に巣食う “悪役たち” を皆殺しにする作戦に出る.つまり “悪役たち”を徹底的に根こそぎ殺しまくって “まっさら” になった土地に固有生物たちを戻すという大規模作戦の経緯が本書のクライマックスである.とりわけ印象に残るのは,最初は事態の深刻さに気づいた個人の細々とした努力だったものが,やがて科学と政治を巻き込む大規模な動きとなっていく過程だ.何年もの時間をかけ,綿密に下準備をした上で,大量の資金と人員と機材を投入して一気に攻勢をかけるというのはまさに現代世界の「軍事作戦」そのものではないか. “悪役” と認定された「敵」が,たまたま人間ではなく,侵入外来動物だったという標的のちがいだけではないか.

もちろん,この殲滅作戦がいつも望ましい結末をもたらすわけではない.毒物の環境への広域散布は,場合によっては,食物連鎖を通じた生体濃縮により栄養段階が高い生物に対するリスクを高めるからである.さらに,動物を殺戮することで救済するという基本方針への社会的反論はことのほか根強いと著者は言う.賛同者は「果てしない年月をかけて進化が作り上げた生き物を,どこにでもいる殺気立ったネズミが絶滅させるのを放置するのは,自然に対する犯罪に加担するに等しい」(p. 177)と主張するのに対して,動物の殺戮そのものに反対する過激な愛護団体やアクティヴィストたちは「ある動物の種を『侵入者』と呼ぶ人間は,いったい何様のつもりだ?」(p. 177)と反論し,殺鼠剤が散布される島に潜入して解毒剤を撒いたり,自治体や議会での抗議ロビー活動を繰り広げることで,事態をさらに複雑にしている.

一読して,侵入してきた兇悪な “殺戮者” たちに無慈悲にも殺されていく無力な固有生物たちを救うべく立ち上がる果敢な人間という勧善懲悪物語的なストーリー展開にはやや複雑な読後感が残る.それらの侵入外来動物はほかならない人間が持ちこんだという歴史的事実は否定できないからである.ある目的で人為的に導入された動物はたいていの場合,導入した人間の思惑とはちがった行動を取ることが本書を読むとわかる.そして,それを完全排除して “白紙” に戻すには「皆殺し」しかないのだろう.本書を通じて,島嶼生物相の保全のためにこれだけ大規模な掃討作戦が実践されその成果が着実に積み上げられてきたことをワタクシは初めて知った.

もう30年以上も前,小説家・西村寿行は『滅びの笛』というパニック小説を書いた.その内容はネズミの大量発生によって現代社会が崩壊していくというストーリーだった.本書はこの小説をすぐさま連想させる.ひとつ大きなちがいがあるとしたら,『滅びの笛』の結末は猛禽のノスリが大発生したネズミを食いつくすというエンディングであるのに対し,本書では人間が立ち上がるしかないという一種の「英雄譚」になっているという点だ.そのあたりがワタクシが複雑な読後感を抱いた理由だろう.

自ら蒔いた種を自ら刈り取る責務を負った現代社会と人間に科せられた宿命を本書はするどく読者に問いかけている.

—— 本書のもうひとつの書評がすでに HONZ に出ている:峰尾健一「絶滅の最前線 『ねずみに支配された島』」(2014年6月19日).

◆今日は全館空調初日で居住性が高いので,夏日炎天下の昼休み徘徊は華麗にスルーさせてもらった.午後はやんちゃな雷雲がそこかしこに湧き上がりそうな気配がする.

◆[欹耳袋]NextReality「暦本式英語スピーチ練習法」(2014年6月22日)※プレゼン原稿テキストファイル→Mac ターミナル「say」コマンド→音声ファイル変換→スピーチ練習.以上.こんな奥の手があるとは!/Rdocumentation: Search the R documentation of 6692 R packages and 136463 R functions.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 今日が締切の連載原稿ゲラと格闘.長すぎるので二回分に分割せよと “リジェクト” を喰らったので,顔色が変わっている.

◆夏の夜はもうビールしかない.グラスは,今世紀はじめ,オレゴン州立大学(コルヴァリス)で開催された Hennig Meeting でもらったビアグラス.アメリカはどこもかしこも地ビールだらけだった.そして,ビールといえばアテは当然ジャーマンポテト.掘りたての新ジャガに新玉ねぎ,生活クラブのベーコンと粗挽きウィンナ.巨大な鉄のフライバンでしっかり焼きあげると香ばしさ満点.調味料は岩塩と黒胡椒のみ,お好みで粒マスタードを添えて.

◆本日の総歩数=4003歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(−0.5kg)/ 30.3%(+0.2%)


22 juni 2014(日)※復活の日は朝から雨模様

◆午前5時半起床.本降りの雨.気温19.6度.湿って涼しい早朝.遠景が白く煙っている.しばらく盛夏のような日が続いていたが,ひさしぶりに梅雨であることを思い出させる空模様.

◆[欹耳袋]数式による汚染と除染 —— Tim W. Fawcett and Andrew D. Higginson | Heavy use of equations impedes communication among biologists | 25 June 2012 doi: 10.1073/pnas.1205259109.生態学・進化学の分野では,論文の「数式密度」が高いと引用されにくくなるという主張.論文執筆戦略としては本文ではしっかり “数式除染” した上で,appendix に “危険物” をすべて押し込めろと.

関連記事:Altmetric | Interactions: Foggy with a Risk of Mathematics | 16 Nov 2012.数学ができる生物学者のみなさんは,一般の生物学系研究者にとって数式がいかに「近寄りがたい存在」かを思い知るべきでしょう.数式は,水戸黄門の印籠みたいに,万人をひれ伏させる神託ではあっても,親しみをもたれる相手ではない.日常の統計学講義でも,「数式」で書けることは必ず「ことば」でも同等に説明できるはずなので,相手が学部生・大学院生・職業研究者を問わず,高座では “数式除染” は励行するように心がけている.

以前,『生物系統学』を必死で書いていたころ,担当編集者から「数式がひとつ増えると読者が10人減ります」と言われたことがある.「たった10人か」と思ったが,数式10個で読者が100人減ったら,もともと部数の少ない学術書としては か な り 痛手になると悟った.

反論記事もある:Andrew D. Fernandes | No evidence that equations cause impeded communication among biologists | 6 Nov 2012 doi: 10.1073/pnas.1211892109 ※相関関係≠因果関係という批判.

◆日曜も┣┣" 撃ち —— 来月発行される進化学会ニュース vol. 15, no. 2の校正ゲラが届いた.Willi Hennig 伝記:Michael Schmitt『From Taxonomy to Phylogenetics: Life and Work of Willi Hennig』(2013年4月刊行,Brill, Leiden, xvi+208 pp., ISBN:978-90-04-21928-1 [hbk] → 目次版元ページ)の書評文が掲載予定.速攻で修正してサッポロへ返信./展示企画と取材日程の調整.

◆雨上がりの昼下りは水無月を.関東ではほとんど手に入らないお菓子なので,こちらで見つかれば幸運.しかし,もっとぷるんぷるんしてほしいなあ.京都ならどこの和菓子屋にもいろんな水無月が並んでいるのに.小豆だって石畳のようにもっとびっしり敷き詰められているのがホンマやのに…….

◆[欹耳袋]The Scholarly Kitchen | PLOS ONE Output Falls 25 Percent | 3 June 2014. ※昨年12月3000論文→今年5月2300論文.IF 4.092→3.730.出版論文数が減ったとはいえ毎月2000〜3000も出てるわけね.PLOS ONE が Editor-in-Chief をもたないジャーナルだったとは知らなかった.

◆降り続いていた雨が小止みになったので〈コーヒーファクトリー〉へ.蒸し暑い午後は水だし珈琲充~.洞峰公園〈モルゲン〉にてほんのり暖かい食パン二斤をゲットして帰還.食パンはさっそく厚切りにして発酵バターを乗っけてトースター直行.焼きたて熱々にかじりつく快楽の夕方.雨雲はすでに通り過ぎ青空が広がってきた.〈風の森〉の季節もの「夏の夜空」が入荷したとのこと.発注するか.先日の四谷三丁目では森のようにずらっと林立していた.

◆本日の総歩数=6653歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.4kg)/ 30.1%(+0.7%)


21 juni 2014(土)※夏至の日差しで灰になる

◆午前6時前起床.晴れ.気温21.2度.うう…….昨夜の “背徳ダメージ” からまだ立ち直っていない…….

◆[欹耳袋]銀座で働くデータサイエンティストのブログ「「統計モデリングとは何なのか」をいま一度整理してみる」(2014年6月5日) ※根源的には「モデルとは何か?」という話.ワタクシ的には「モデルとは現象を説明したいヒト側の欲求産物」.

◆秋の学会や研修の「足」と「宿」をいくつか確保.昆虫学会の宿はけっきょく西条駅前でキマリ.宮崎統計研修はホテルは抑えたものの,フライトはまだ発売前で確保できず.大分湯けむり研修は定宿がネットにまだ出していないみたい.

◆[欹耳袋]ひとりの研究者が蒐集した書籍・雑誌・論文は,退職引退したりあるいは逝去したあとは,潔く古書業界に流してしまうのが最善の選択肢ではないかと思う.在籍した大学や研究機関が個人蔵書を引き取って “未来永劫にわたって” 保管し続けてくれる可能性は現在ではほとんどゼロだから.三年あまり前,「研究上のライブラリーはいかにして生き延びられるか?」(2011年6月19日)という記事を書いたが,当時に比べて状況がよくなったという証拠はどこにもない.

研究者の蔵書は各人ごとにパーソナライズされている.だから,その研究分野が組織的に安定していて後継者にとっても利用価値があるシアワセな場合を除いては,個人蔵書を後に残しても邪魔者扱いされて死蔵の憂き目に遭ったり,廃棄処分(除籍本)される可能性も高い.研究者が残した論文別刷りはいまとなっては廃棄するしかしかたない.問題はパーソナライズされた著書や資料.古書業界で売れるだけの市場価値はないけれども,資料価値はあるかもしれない(その逆の場合もある).

公費購入本の場合はどうしようもないので,死蔵なり廃棄される運命を甘受するしかない.私費購入本については売り払うのがいい結果をもたらすのではないか.ワタクシ自身,図書館や大学からの除籍本を古書店で買い求めた経験は少なくない.自分の蔵書が会ったこともないどこかの読者の手にわたるというのはそんなに不幸なことではない.個人蔵書は「からだの一部」みたいなものなので,本人が “いなくなって” しまえば,ムリして保全したりしないで,あとは散逸にまかせるのがベストかも.後の研究者はまた一から個人蔵書を一生かけてつくればいい.

書籍や資料の電子化によって保存や閲覧が容易になれば,その公共的意義はまちがいなくある.その一方で,電子化され得ない周辺情報を得るにはブツに実際アクセスできるかが決めて.日本に一冊もない本を手にするときそれを実感する.

◆夏野菜が出まわる季節はヘルシーなラタトゥイユ.パスタにからめていただく週末.

◆本日の総歩数=4366歩. 朝△|昼◯|夜◯. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.2kg)/ 29.4%(+0.1%)


20 juni 2014(金)※新宿背徳ナイトは更けて

◆午前4時起床.雲が点々.気温18.5度.小田急線列車運行状況をチェックすると,脱線事故からまだ復旧していないようだ.でも経堂までならなんとか行けるかな.玉川学園前だったらアウトだったにちがいない.

◆[欹耳袋] STI Updates 学術情報流通ニュース「米国:出版社の提示する抱き合わせ価格、大学により大きな違い(記事紹介)」(2014年6月18日)※「大学により2倍近くの差がある」「我々が皆、多く支払いすぎている」.元記事は:Science Insider | How much did your university pay for your journals? | 16 June 2014 ※三大寡占出版社ごとに比較.

◆定例経堂出撃の朝 —— いつもより一本早いTX区間快速に乗る.午前9時前,新宿駅にて小田急に乗り換え.ダイヤ遅延が心配されたが,各停は定刻発車だった.ただし,急行の行き先はすべて相模大野まで.気温は夏日ライン寸前.下北沢.対向の小田急上り急行は犇犇詰めの車内だった.午前9時半過ぎに農大キャンパス着.夏日ラインを越え,蒸し暑い.今日の講義は統計モデル選択論.尤度やAICという新しい概念をスライドとRで説明します.時間があったので,講師控室にてデモンストレーション用の R スクリプトを書く.正午過ぎ,講義終了.蒸し暑いので一休み.この日は昼下りの27.9度が最高気温だった.

◆お昼過ぎの小田急線列車運行状況を見ると,上り方向のダイヤは乱れてはいたが,新宿と相模大野の間はもう「平常運行」なんだ.小田急スゴイ! 

◆[欹耳袋]日本科学哲学会ニューズレター no. 50(2014年6月19日) [pdf] ※全部読んだー.井頭昌彦 「哲学者達のプレゼンのなにが「ダメ」なのか?—異分野の研究者に向けたプレゼンテーションについて——」(pp. 1-5)がおもしろい.「発表時間を守る。スライドを使わないのは意味不明。原稿読み上げは不可」という指摘には強く強く同意する.先日の科学基礎論学会では,持ち時間を軽やかに大きく超越する講演がいくつか(も)あった.またスライドをプレゼンツールとして使っていない(ように見える)ケースも.壇上での「原稿読み上げ」は “異文化体験” だと思えばいいか.

◆北新宿背徳ナイト —— 蒸し暑い夕方,JR中央線・大久保駅で下車.一升瓶2本がずっしり重い.ワタクシが持参したのは,栃木〈仙禽〉の「かぶとむし」備前雄町50%無濾過生と喜多方〈奈良萬〉純米無濾過生原酒「中垂れ」の二升.ひさしぶりの〈試飲会[ためしかい]〉は弥生キャンパスではなく,北新宿の某マンションの豪華パーティルームにて.会場ではすでに料理の用意が始まっていた.会場ではすでに料理の用意が始まっていた.最近の東大生はにぎり寿司を握れるくらいの料理の腕をもっている.午後7時前からスタート.この〈試飲会〉は日本酒オンリーな会.まずは〈仙禽〉の「かぶとむし」.この酸味の立つ軽やかさは乾杯向き.〈奈良萬〉の「中垂れ」はフレッシュな微炭酸.そして,山形〈白露垂珠〉純米吟醸美山錦がメイン.その後も四合瓶がゴロゴロ転がる展開となった.厨房からはアテがどんどん運ばれ,さらに持ち込みの肴いろいろ.第一陣の天ぷらが届いたところで,調理師免許をもった助教のセンセイがすかさず “教育的指導” をする.天ぷらの揚げ方ひとつにもプロの目が.その後,客がどんどん増えて最後は15人ほどに.午後10時半にワタクシは退出したが,〈試飲会〉第二部はまだまだ続くようだった.つくばに帰り着いたのは日が変わってから.栄誉ある午前様は「うう……」と呻くのみ.

◆本日の総歩数=14154歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.2kg(0.0kg)/ 29.3%(−0.2%)


19 juni 2014(木)※新たなる登攀への坂道を

◆午前4時半起床.うう…….気温17.6度.日の出を拝みつつ朝風呂を.朝から夏の日差しがまぶしい観音台.うう…….気温は23.7度.昨日よりも元気よく暑くなりそう.

◆[欹耳袋]体系学特集:Acta Biotheoretica Volume 57, Issue 1-2, June 2009. Symposium Issue〈Systematics, Darwinism, and the Philosophy of Science (Mexico City, 8-9 November 2006)〉: Guest Editors: Francisco Vergara-Silva and Rasmus Grønfeldt Winther →目次

◆日中の┣┣" 撃ち —— 先日の職場巡視の結果,「本棚の最上段に積み上がっている本はキケンなのでおろしなさい」&「地震で本がずり落ちないような措置を講じなさい」と指摘された.ワタクシの居室は本が多すぎる.本の積み上げ方が尋常ではないので「底が抜ける」可能性も否定できない.建物の耐震工事は春までに完了したが,それとは別問題かも./大きなファイルをダウンロードしたのだが,見たことのない圧縮ツールでカンヅメされている.しかも,その解凍ツールは Windows 用しか提供されていないようだ.ぬぬぬ./一枚のスライドに「字をみっしり詰め込む」文化は,かつてのガリ版時代か壁新聞的な遺産を引きずっている.紙芝居の映写スライドはむしろ “ラスコーの壁画” みたいな方が想像力が喚起されていいんじゃないかな.絵にしましょー.曼荼羅サイコー.

◆[欹耳袋]ずいぶん前のこと,とある本の原稿を著者から依頼されて読み,コメント付きで返したところ,謝辞にワタクシの名前が挙がっていた.ここまではよくある話.つい先日,一読者から著者本人とワタクシ宛にメールがあり,間違い箇所を指摘された.しごく正しい指摘だったのでそれはいいとして.単行本の corresponding author はひとえに書いた著者であって,謝辞に名前が挙がっているだけの(つまり共著者や指導教官ではない)個人に質問されても困ってしまう.ましてや「税金をつぎ込まれた国立大学の教員がこんな初等的ミスを」とか「ウンチク垂れる前に勉強しなおせ」とか罵倒系コメントをワタクシに返されてもマジ困るんです.

匿名の相手からのクレームだったら,そんなのは「虫の鳴き声」と同格なので無視すればいいわけだが,今回はちゃんと実名での通報なので,corresponding author にちゃんと対応していただきましょう.というか,連絡してきたご本人もどうやら大学人らしいので,それはそれで “思うところ” があったのだろうと推察している.それにしても,この程度のミスは出版社側の校閲あるいは校正で本来見つかるはずの明白なバグなので,著者と編集者側のチェックが甘かったということでしょう.ご指摘は感謝(コレスポじゃないけど).

書評を書いたり,コメントを返したりする人は,逆に著者によってかなり冷徹に “成績評価” されている.書きっぱなし,言いっぱなしに終わるのではなく,背後で “逆評定” され,「書評事前分布」の構築に寄与している.

—— ワタクシ,この本の現物をまだ見ていないのね.よろしく〜>サッポロに向かって.

◆[欹耳袋]小田急線は相模大野駅での脱線事故で新宿と小田原の間が全線不通とのニュース.明日の経堂出撃に差し支えるかも.

◆本日の総歩数=4229歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(−0.3kg)/ 29.5%(0.0%)


18 juni 2014(水)※曇る本郷から四谷の夜へ

◆午前4時半起床.曇り.気温20.9度.今日は本郷出撃日なので,朝はぶらぶらしている.外は曇り空.気温22.3度.東風が涼しい.関東の南方海上には大きな雨雲が押し寄せているようだが,茨城県はまだ降りだしていない.

◆[欹耳袋]トトロカギムシ —— Eoperipatus totoro sp. nov. 元論文 ※なんでトトロが有爪動物(Onychophora)やねんという根本問題は解決されていない.表形的には似ても似つかぬ動物門だけど…….「猫バス」が実は Peripatus だったというのならわからないでもない.

◆午前中のうろうろ終了.曇り空.気温23.7度.蒸し暑い.午後1時前,弥生キャンパス到着.小雨がぽつりぽつりと降り始めている.正午の気温は21.9度だが,蒸し暑さはかなりのもの.不快指数高し.

◆[欹耳袋]Y!ニュース「STAP細胞問題の背景にある「短期的な成果主義」「追い詰められている研究者」:研究者1千人アンケート(井上伸) 」(2014年6月17日)based on 国公労連〈国立試験研究機関全国交流集会〉2014年6月20日(金)@エポカルつくば.アンケート主体が国公労連なので,大学以外の独法研究所での研究環境に関するコメントがいろいろ.身につまされる「あるある」な話が随所に.

独法研究所は,大学とはちがって,教育機関ではないので,基本的に「なかのひと」は自学自習が要求される.よほどメジャーな研究分野で,関連研究者があまた参集している場合は所内セミナーなど「教育的機会」に恵まれても,マイナーな分野だと「ひとりでできるもん」状態.アンケートにも書かれているように,マンパワーが減っているのに,積み上がる有象無象の┣┣" どもは着実に増加しているので,研究環境としての “のりしろ” はどんどん痩せ細っているのが現状.時間的にも人的にもぎちぎちで余裕なし.

パーマネントな地位の研究員ならこの程度ですむけど,任期付きの若手研究者だと,数年間サバイバルできるだけのニッチを確保しつつ,次のポジションにつながるような「成果」を任期内に積み上げないといけないわけ.いわば “短距離走” をつないでいくことで研究者としてのキャリアを伸ばす,つまり「研究者として生き延びる」ことと「研究者として育つ」こととはおそらく別の “軸” なのだろう.

任期付きでも任期なしでも,いまの研究者はみんな忙しくなってしまったので,めんどくさいことはあれこれ考えずに日々送っている.そういうなかで,自分がしてきたこと・していること・これからすることが外から「見える」ようにすれば,そして,可能であれば “ハイウェイ” のわきに “踏み分け道” があることを示せれば,後からくる研究者のお役に立てるかもしれない.

◆本郷にて午後はずっと束縛される.午後1時から専攻教員会議が始まり,午後3時半に終了.今月の配布資料は200ページあまり,ファイルサイズはおよそ120MB.思わぬ議題で盛り上がって2時間半もかかってしまった.昼過ぎは小雨がぱらついたのに,その後は日が差して雨が降りそうな気配はまったくない.気温は24.6度まで上がり蒸し暑い.午後4時からは生物・環境工学専攻の大学院ガイダンスに出て講座紹介をする御役目あり.終わったのは午後5時半だった.

夜は四谷三丁目にて後先考えずに呑みまくる.竹原〈龍勢〉特別純米「杜氏藤井雅夫」八反錦・花巻〈酉与右衛門〉25BY山廃純米無濾過生原酒直汲み美山錦・御所〈風の森〉キヌヒカリ純米大吟醸「笊籬採り」・佐賀〈鍋島〉愛山純米吟醸・青森〈鯵ヶ澤〉25BY純米生原酒・竹原〈日ノ出オリジナル 龍勢・透視〉22BY・佐賀〈鍋島〉24BY中汲み純米吟醸無ろ過生原酒「New Moon」・御所〈篠峯〉純米吟醸・無濾過生酒「ろくまる」雄山錦・島根〈蒼斗七星〉純米吟醸58「酒徒庵限定24BY」・竹原〈日ノ出オリジナル 龍勢・ロイファー・3〉特別純米酒.日が変わる寸前にへろへろになってつくば帰還.うう…….

◆本日の総歩数=8613歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.5kg(+0.3kg)/ 29.5%(0.0%)


17 juni 2014(火)※今日はさなぶり大昼食会

◆午前5時前起床.靄の向こうから朝日が昇る.気温20.0度.今日も青空が広がる観音台はすでに気温が23.4度まで上がっている.昨日は最高気温29.7度だった.今日はそれよりは低くなるとの予報だが,湿度がより高いというのが問題.全館空調は例年通りなら来週あたりから “試験運転” が始まるはず.もうしばらくガマンしましょ.

◆[欹耳袋]SAS を通せば泣く子も黙る —— SAS University Edition: Free SAS® software ※さてどーしましょ.Rに乗り換えてからというものSASはもう十年以上触っていない.確かに2GBもディスクを専有されるとなると,いくら無料版とはいえ SAS をインストールするのは覚悟が必要.とりあえず R で万事OKなので,今後「SASしかない」状況に追い込まれたときに考えるべき選択肢としよう.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 明日の大学院ガイダンスで使う紹介スライドをかき集め./農学部集中講義の日程と時間帯を確認./某学会の投稿論文に関する編集サイドの打ち合わせ./考古学に系統学を適用した本がそのうち出版されるとのことで,関連情報の提供./お茶をすすりながら,オンライン古書店を徘徊していたら「ををを!」とのけぞるアイテムに立て続けに遭遇したので,即お買い上げ.仕事に関係する本はすべて私費購入するのが私的な原則./さて,大きめの原稿┣┣" の “形状” をじっくり観察しよう.

◆[欹耳袋]ムリを通せば道理は引っ込む —— 47NEWS「小保方氏抜きで検証は不可能 STAP細胞で文科相」(2014年6月17日)※理研CDBは一致団結して “生き別れの息子” の創作に邁進せよって?/Nature | Gene tests suggest acid-bath stem cells never existed | 17 June 2014.無い袖は振れない.

◆今日のお昼休みは業務作業棟にて毎年恒例の研究所行事〈さなぶり〉で今年の豊作を祈願する.理事長が挨拶している間はおとなしくしていても,司会進行の「では,ご歓談ください」の一言で,群がる群がる.と言っても,真っ昼間なのでアルコールが供されるわけじゃなし.シラフでただひたすら炭水化物を摂取するしかない.

◆[欹耳袋]Togetter -「キャリアパスと人生の選択について」 /教員紹介・小林正人(言語学)「研究者になるまで」./leap in the dark WEB「月刊ポスドク創刊プロジェクト」(2014年6月9日)

◆午後の┣┣" 撃ち —— 所内展示に関する打ち合わせと展示するブツの候補をいくつか発射./ひさしぶりに研究室に「勧誘電話」がかかってきたので,ひとしきりセールストークを聴くまでもなく,「勝手にひとりで話していれば」と言い捨てて,いつもの “開線放置” 作戦を遂行.半時間経過したところで “開線放置作戦” 終了./来週から全館空調の “試運転” が始まるとの事務連絡.よしよし./農大三点セットはそろった.

◆[欹耳袋]Chase Your Dream !「学生が教員にメールを送るときに気を付けたいこと」(2014年6月14日)※「件名を書く・宛名を書く・所属と氏名を書く・必要なことを簡潔かつ丁寧に書く・返信する」の5箇条.確かにこれら「基本のき」を守ってくれない学生さんは多い.

◆明日は本郷に出撃する日.雨が降るとの予報でいささか憂鬱.

◆本日の総歩数=6008歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.1kg)/ 29.3%(−0.6%)


16 juni 2014(月)※青空観音台は真夏日寸前

◆午前5時前起床.晴れ.気温18.0度.涼しい早朝に大地が揺れる.光と闇が交錯した週末を経て,希望に満ち満ちた新しい週がやってきた.朝からこれでもかと初夏の日差しが照りつける観音台は夏日ライン突破もうすぐ.今日も真夏日になるとの予報.ここのところ突発的なスコールもなく空気が乾いている.

◆[欹耳袋]昨日のワタクシの噺について備忘メモ —— 科学基礎論学会(二日目)ではワタクシの出番があったので,その時間帯だけ「空白」になっている.生物体系学は研究分野の性格上,日常的に科学史・科学哲学をツールボックスのなかに常備して置く必要がある.やんちゃなクラディストだけがテツガクを振り回していたわけではない(Ernst Mayr を思い出せ).系統推定論・分類体系構築・種問題など生物体系学者の主要な研究テーマは,どれも科学哲学と形而上学なしには議論できないし,実際,そういうやっかいなテーマが俎上に載るときは,いつも何らかの科学哲学の “援軍” を伴っていた.体系学者にとってテツガクが「武器」であるというのは,データだけではいつまでも決着しない問題が今でも多々あるという学問的背景に起因する.データで世界が動くことはない.

昨日のワークショップでは科学哲学・科学基礎論(→この両者に “有意差” はないとワタクシは結論した)の業界関係者がほとんどだった.彼らにとっては自らの学問の「対外的貢献」のあり方が重要な関心事かもしれない.生物体系学は過去半世紀にわたって,科学哲学(科学基礎論)を功利的に “利用” してきたし,逆に科学哲学者たちは生物体系学の分野のなかに取り組むべきテーマを多々見出してきた.その意味で,両者は「相利共生」とみなせる.

ローカルな科学哲学が「生物学哲学」という名称で,生物体系学や生物進化学にローカライズしてきた経緯は今後も変わることはないだろう.生物体系学の学会やジャーナルに研究アウトプットを出している生物学哲学者は多々いる.生物体系学者がしばしば「哲学者」としてふるまうように.生物学哲学者もまた「生物学者」としてふるまえばいい.両者の間に有意なちがいは何もないし,研究者としてのアイデンティティの危機なんか「アホか!」と一喝すれば消し飛ぶ程度の些事.科学哲学の業界の「なか」にしがみついて,科学哲学のジャーナルに細々と(誰も読まない)論文を載せているヒマがあったら,生物体系学の業界が出しているはるかにインパクトファクターの高いジャーナルに投稿した方が,研究者戦略的には正しいでしょう.

ワタクシは科学哲学は「科学者につかってもらってナンボ」だと信じているので, “武器” として役に立つものをどんどん出してほしいと願っている.ただし,「これを使え」とか「あれはダメ」とか言わないように.その選択は科学者が行なう専決事項.ローカルな生物体系学に属する研究者は自分にとって必要なローカルの生物学哲学を積極的に勉強してきた.両者の「相利共生」は続いていくとしても,一体とはならないだろう.

個別の研究領域に限定されない話として —— 自分が関心をもつ研究テーマを「ともに語れる相手」が近くにいなければ,遠くまで出かけるのが最善の選択.いつまでも独り身をかこちつつ違和感のある業界の「中」に閉じこもっていることはない.「外」に出た人にしか見えないものがある.

◆[蒐書日誌]吉村卓三・鈴木まもる『世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑』(2014年5月刊行,ブックマン社,東京,本体価格25,000円, ISBN:978-4-89308813-0 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]科学基礎論学会大会で得た情報をいくつか ——

◆遠くに丸投げして安心しきっていた某┣┣" が健やかに成長して戻ってきた(orz).

◆[欹耳袋]昨日のワタクシの噺について備忘メモ(続) —— David Hull 1988. Science as a Process: An Evolutionary Account of the Social and Conceptual Development of Science が現代体系学史の “妥当” な歴史叙述といえるのかについては,昨日のトークでフロアからの質問があったので補足をいくつか.

まず James S. Farris & Norman I. Platnick 1989. Lord of the flies: the systematist as study animal. Cladistics, 5: 295-310 から.この長文の書評は Hull 本には,「歴史解釈」のレベルではなく,「事実関係」のレベルでのまちがいあるいはバイアスがたくさんあると批判.

もうひとつ James S. Farris 1990. Haeckel, history, and Hull. Systematic Zoology, 39: 81-88 を参照すると,「体系学の現代史は Hull の主張にとってもっとも重要な意味をもつ.彼はその知見を証拠として科学の挙動を説明する理論を提示しているからだ.しかし,Farris and Platnick (1989) が示したように,数多くの点で Hull による体系学史の叙述は正確ではないし,その解釈が適切であるとはいえない」(p. 87)と書かれている.

Hull による Farris への反論:David L. Hull 1990. Farris on Haeckel, history, and Hull. Systematic Zoology, 39: 397-399 を読むと,Hull は,体系学者たちの格闘のさなかでは,「歴史の正確な記述はそれほど重要なことではない.科学者は歴史叙述ではなく,将来のことを考えているからだ」(p. 398)と逃げている.David Hull は科学者コミュニティーの動態を説明する一般理論をつくろうという視点から, “観察対象” である体系学者に関する “データ” を収集したわけで,まさか “観察動物” から異論が出ることは想定外だったのかも.対する Steve Farris の言い分は,1970年代の体系学論争のなかで「単系統性(monophyly)」概念は学派間の定義の差異をめぐって論議の火ダネであることがわかっているのに,どうして Hull は misleading な記述をしたのかという点にある.

現在にいたるまで Farris が延々と Hull に反論し続けるこだわりの理由も明白で,Steve Farris 2014. Pattern poses. Cladistics 30(2): 116–119 には「Even more work will be needed to correct the slurry of gossip and fictions that Hull often used in place of real events」(p. 118)と書かれている.

続いて Gareth Nelson 2000. Ancient perspectives and influence in the theoretical systematics of a bold fisherman. The Linnean, Special Issue No. 2, pp. 9-23. この Colin Patterson 追悼記事のなかで,Gary Nelson はひとつの逸話を記している:「Colin と私は David をめぐって同じような体験をした.David はその本の原稿を書いてはコメントを依頼してきたのだが,何度もコメントを David [Hull] に返して書き直されるたびに歴史的事実から遠ざかってしまった. “No, David, that was not how it happened, but rather... ” と返事したのにこの体たらく.私が音を上げた後も,Colin はそれでも辛抱強くコメントしていた.後年,Colin は David の本は細かいところは間違いが多々あるけれど,大筋ではいい線いっているんじゃないかと言っていた.でも,私にはとてもそうは思えない」(pp. 9-10).

—— そんなわけで David Hull『Science as a Process』は体系学史の情報ソースとしては用心して読まないといけない.

◆[欹耳袋]山梨から残響ふたたび —— 「【ニコ生(2014/06/16 14:00開始)】《STAP細胞解析結果報告》 若山照彦 山梨大学教授 記者会見 (番組ID:lv182769135) 」/NHK NewsWeb「若山氏 「分析結果 STAPの存在否定」」&「STAP問題 冷凍庫に「ES」容器」(2014年6月16日).

◆午後4時過ぎ,ただいまの居室温度は29.5度.外気温29.7度とほぼ等しい.全館空調がまだ入らないので,真横からの西日攻撃を受けるこれからの時間帯は撤収作戦あるのみ.室温30度突破.撤収.今日も真夏日すれすれの暑い一日だった.西日が落ちてやっと一息つける.今宵は夏色生酒でガツンと気合を入れよう.〈風の森〉と同じ奈良は御所市の千代酒造〈篠峯〉.今夜開栓した「ろくまる」は裏バージョン.雄山錦の純米吟醸・無濾過生酒.「夏色生酒」を標榜しているだけあって,きっちり微炭酸,涼やかな酸味.これから暑くなる季節にピッタリ.真鯛のかぶと煮,冷やしトマト,そしてひじき炒飯という飲み屋メニューをアテにしました.

◆本日の総歩数=4280歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(0.0kg)/ 30.1 %(+0.1%)


15 juni 2014(日)※真夏日の昼下りのお座敷

◆午前4時半過ぎ起床.朝日がさんさんおはよーさん.気温は16.5度.今日も三田へ.

◆[欹耳袋]毎日新聞「<STAP細胞>「不正認定外の論文も調査を」科技担当相」(2014年6月14日)※大臣たちがどんどん口出しする構図.不合理ではないのだろうが,新薬開発をめぐる研究不正のような類似の問題と比較すると,アンバランスさが際立つ.

科学基礎論学会大会二日目 —— 午前9時過ぎ,つくば駅.観音台瞬間実在を経て,今日も三田へ出撃.気温はすでに夏日ラインに限りなく接近している.午前10時半,三田キャンパス到着.

昨日,三田の科学基礎論学会会場を見たかぎりでは,部屋の大きさに対して映写スクリーンが小さすぎるようだ(レトロな大教室にありがち).いつもの高座では微細フォントでお客さんに “視力検査” を強要することはないけど,今回は詳細な「曼荼羅」を見せないと噺ができない.時間があったので,高座の「曼荼羅」だけハンドアウトとして会場で配布することにした.これで見えない問題は解決できるだろう.初めて行く学会では,できるだけ事前に会場の “検分” をして,プレゼン上の不具合がないかどうかチェックしておくと,必要な緊急措置が取れるだろう.ワタクシはまだ経験したことはないが,講演中にいきなりプロジェクターが絶命するとか,突然の落雷で会場が停電してしまうという緊急事態もないわけではない.そういう場合でも,ちゃんと自分の高座をお務めできる方策をいつも頭の片隅に置いておくのが身のため.

  • #phsc2014 千葉将希「種問題と心理的本質主義」なう.B会場. posted at 11:03:00
  • #phsc2014 【種】. posted at 11:04:02
  • #phsc2014 最近は「sein-sollen問題」じゃなく「is-ought問題」と言うのか!(朝イチの驚愕) posted at 11:07:26
  • #phsc2014 「暴露論法」の観点からのアプローチ.暴露論法とは「Sの信念Pは過程Xによって説明される/Xは真理を追跡する過程ではない/ゆえにSの信念Pは正当化されない」というもの(Kahane 2011). posted at 11:11:18
  • #phsc2014 暴露論法に基づけば,【種】に関する論争は「真理」をめぐる論議であるという前提,すなわち客観主義を前提とする. posted at 11:15:16
  • #phsc2014 種の実在論に関する心理的暴露論法(PDAS)について. posted at 11:16:33
  • #phsc2014 客観主義の前提によれば,【種】タクソンあるいは【種】カテゴリーに関する「客観的な是非」を論じなければならない. posted at 11:19:23
  • #phsc2014 _・) 。oO (【種】ではなく,「系統発生」に関する暴露論法ってのもありえるかもね) posted at 11:20:06
  • #phsc2014 種実在論は存在論ではなく,認識論の問題である. posted at 11:25:25
  • #phsc2014 ワタクシ的にはとてもおもしろいトークだった. posted at 11:32:42
  • #phsc2014 でも,いたるところで「暴露論法」を振り回すと嫌がられるだろうなあ. posted at 11:33:26

  • #phsc2014 次は,横路佳幸「哲学における種的概念について」.ここでの「種」とは「species」ではなくジョン・ロックの「sortal」のこと. posted at 11:35:50
  • #phsc2014 をを,正統派テツガク系のトークだ.Poor Point みたいな「卑しい道具」には見向きもせず,配布した原稿を一字一句読み上げている.すごい!(感銘を受けているなう) posted at 11:37:42
  • #phsc2014 すごい,聴衆もちゃんとハンドアウトの文章を読んでいる! posted at 11:40:29
  • #phsc2014 すごいすごい! posted at 11:42:40
  • #phsc2014 David Wiggins 難しくて死む.Sortal コワい〜. posted at 11:52:21
  • #phsc2014 どーん. posted at 11:53:08
  • #phsc2014 Sortal 概念が発達心理学的にどのように形成されているかの研究は興味深い. posted at 11:54:36
  • #phsc2014 きっちり30分間,原稿読み上げだん.すごい! posted at 12:02:29

  • #phsc2014 午前中のセッションだん. posted at 12:06:28

◆お昼休み,アイスコーヒー充填.まだ真夏日ラインは越えていないが,間近にそびえ立つ東京タワーがゆらめいていた.外が暑すぎて会場に戻りたくないが,MacBook Air の充電をしないと.

  • #phsc2014 C会場最前列にて充電ちう.古い校舎だと電源確保がけっこう大きな問題. posted at 13:28:49
  • @yukoim @tiseda わーん,蓋があきまへん! posted at 13:48:38
  • #phsc2014 確かに机ごとに電源があるようだが,フタが開かないんですけど. posted at 13:52:31
  • #phsc2014 力まかせにこじ開けるという蛮行はテツガク系の学会では御法度だろーし. posted at 13:53:29
  • @tiseda 成功なう! posted at 13:56:26
  • #phsc2014 テツガク者にも電気は必要. posted at 13:57:26

  • #phsc2014 60周年記念分野別ワークショップ(4):「生物学の哲学の〈これまで〉と〈これから〉」始まるよん. posted at 14:00:59
  • #phsc2014 オーガナイザー松本俊吉さんの趣旨説明なう. posted at 14:04:10

  • #phsc2014 西脇与作さん「何が追求され,何が残されたか? 心残りのもの」スタート. posted at 14:15:48
  • #phsc2014 1970年代に生物学の哲学との接点があった.木原弘二(ハルの訳者)がかつての同僚だった.Elliott Sober のもとに留学. posted at 14:18:37
  • #phsc2014 Sober 1984. The Nature of Selection は名著.Sober はポスドクのとき Richard Lewinton のもとで研究をした. posted at 14:19:53
  • #phsc2014 哲学者と生物学者とのコラボレーションを密にすることが重要. posted at 14:21:14
  • #phsc2014 哲学の naturalism を先導したのは生物学の哲学だった. posted at 14:22:15

  • #phsc2014 さて,出番です. posted at 14:46:55
  • #phsc2014 お務め終わりましたなう. posted at 15:16:28

  • #phsc2014 中尾央「科学(生物学)基礎論の緩やかな死」— お前はもう死んでいる(かもしれない). posted at 15:19:25
  • #phsc2014 やっぱり死んでるんだ…… posted at 15:26:29
  • #phsc2014 街へ出よ. posted at 15:28:18
  • #phsc2014 蛸壺は壊せ. posted at 15:30:24
  • #phsc2014 ワークショップだん.おつでしたー. posted at 16:21:12

◆MacBook Air がプロジェクターにつながらないというトラブルはあったが,ワタクシの噺「生物学の哲学と個別科学の共進化:生物体系学の論争史を事例として」は,現在にいたるまでの生物体系学史を振り返りつつ,科学哲学がどのように “武器” として用いられてきたかという話題提供だった.

◆科学基礎論学会のあとは慶応仲通り商店街にてプチ打ち上げ.科学基礎論学会に明日はあるのかとか,科学哲学会とかSTS学会とかむにゃむにゃ…….葉山に立てこもると言動が先鋭化するのかとか.個人的には意外なつながりが発見され,分散は大きいが意義のある学会だった.

◆本日の総歩数=10619歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.3kg)/ 30.0%(+0.7%)


14 juni 2014(土)※三田にて交錯する光と闇

◆午前4時過ぎ起床.気温15.4度と涼しい.東の空は真っ赤な朝焼けグラデーション.西の空には真っ白で巨大なハニームーン.

◆[欹耳袋]科学基礎論学会大会.2014年6月14日(土)〜15日(日)【場所】慶應義塾大学(三田キャンパス)※非会員のワタクシが直前広報するのもなんですが…….発表要旨をちら見して,生き残れそうなトークをピックアップ.そして,「60周年記念分野別ワークショップ」はどれを覗けばいいだろうか.しかし,演題を見ても講演の中身がぜんぜん予測できない頻度が高いというのが「アウェイな学会」に参加する際の不利な点.それぞれの講演要旨が公開されているので,「ここから先は(座長以外は)立ち入らないでください」というナチュラルなリスク感覚に背かないことは大切だ.いずれにしても,ワタクシは非会員なので,粗相のないように振る舞わないと.

◆午前8時過ぎ,つくば駅なう.夏空.朝からからっとした陽気.午前8時の気温は22.6度.これから慶應義塾大学(三田)に出撃する.近年,三田に誘引される機会が多くなってきたが,今回はアンタッチャブルな鉄壁図書館に近寄ることはないだろう.かりゆし姿.短パン&サンダルではありません(いちおうよそ行き風体).午前10時,慶應義塾大学三田キャンパス到着.日差しぎらぎら.夏日ラインはすでに越えている.鉄壁図書館を横目に科学基礎論学会大会会場へ.参加受付をすませる.

  • [欹耳袋]科学基礎論学会大会のハッシュタグは誰も決めていない? だったら #phsc2014 でいいかな. posted at 10:12:43
  • #phsc2014 一般講演は持ち時間が30分! 科学哲学会もそうだったような.テツガク者は長くしゃべらねばならぬ,ということか. posted at 10:15:20
  • #phsc2014 そんなことよりも,みなさんハンドアウトを配布してるじゃん.ワタクシ,そんなもの用意していないんだけど…….明日までにドロナワしないと(滝汗). posted at 10:17:06
  • @yukoim 座長,おつかれさまです.ハンドアウト配布はデフォルトじゃないんですね. posted at 10:22:23
  • @yukoim ポン! posted at 10:35:01

  • #phsc2014 ワークショップ〈社会科学の哲学・工学の哲学の将来〉会場へ移動.チャールズ・S・パースから,いきなりポパーとハーバーマスの実証主義論争へワープする.社会科学は経済学にコンプレックスをもっているのか.パーソンズなう. posted at 10:37:55
  • @kouheimorita ( ´ ▽ ` )ノ posted at 10:47:54
  • @ucciuccini _φ(・・ posted at 10:48:14
  • #phsc2014 プレゼンテーション教育上はあまりよろしくないが,内容が一枚のスライドに詰め込まれた「字数」がとても多い.読むだけでお腹がいっぱい.これはタイヘン. posted at 11:01:51
  • #phsc2014 字酔い. posted at 11:06:11
  • #phsc2014 「技術の哲学」には「航空工学の哲学」のような局在化された分野もあるとのこと(徳安彰さん[→訂正:直江清隆さん]). posted at 11:12:44
  • #phsc2014 続いて,喜多一さんの「工学の哲学」トークなう.土木・機械・電気・工業化学(「土機電化」)は工学部のなかでも “でかいカオ” をしているらしい.建築学は「アーティスト」を自覚している.情報工学は浮いている.システム科学はもっと浮いている. posted at 11:16:38
  • #phsc2014 スライドがとても読みやすいのは “理系” だから?w posted at 11:18:06
  • ノ RT @kouheimorita: やっぱ,発表の仕方ってのは大事だな.「声の大きさ」「マイクの使い方」「視線の方向」 posted at 11:19:11
  • #phsc2014 設計科学の哲学とは.デザインスクールの理念.エスノグラフィー,人工物発想のためのアブダクション,社会的価値 etc... posted at 11:28:34
  • #phsc2014 生命科学との接続は一筋縄ではない.医学や農学では生物の存在は “ブラックボックス” として扱われている. posted at 11:33:03
  • #phsc2014 総合討論タイム.伊勢田センセ,司会業全開なう. posted at 11:35:53
  • #phsc2014 社会科学の哲学に未来はある? posted at 11:42:34
  • #phsc2014 「字」も多いが「言葉」も多い. posted at 11:49:57
  • @tiseda 訂正感謝.座長,お疲れ様でした. posted at 12:43:23
  • @tiseda 哲学者にはスライドを舐めるように読むための驚異的な視力が必要. posted at 12:49:47
  • 痛かったですか? RT @kouheimorita: そういえば、電子に意思がある人に絡まれたでござる posted at 13:31:19

◆都内は正午前に気温29.4度.今日も真夏日かな.お昼休みは,三田の慶応通り商店街近くで一休み.そろそろ会場に復帰しようかと思ったが,総会やら評議員会があるみたいなので,しばらくはぐでぐでしていても責められない.午後1時過ぎ,参加者控室にて MacBook Air 充電.三田キャンパス内の新設校舎はどこもかしこも「これでもかっ」というほどリッチでゴージャスだが,学会会場の西校舎の教室はさりげなく古びていて心和む.


  • #phsc2014 会員のみなさんは総会で出払っているが,ワタクシは非会員なので控室でぐだぐだ淀んでいる. posted at 13:51:46
  • @kouheimorita それは痛い! posted at 13:54:20
  • #phsc2014 控室での会話がかなり濃厚にテツガクなのは当たり前なのか. “分析哲学” が空中を浮遊している. posted at 14:18:10

  • #phsc2014 総会が終わったので,引き続き開催されるシンポジウム会場なう. posted at 14:23:50
  • #phsc2014 1954年に創立された科学基礎論学会の初期は,数学基礎論と統計学基礎論の論文が多かった(古田智久[→訂正:吉田夏彦さん]). posted at 14:52:42
  • #phsc2014 『科学基礎論研究』バックナンバー ow.ly/y0yhY posted at 14:54:01
  • @leeswijzer #phsc2014 たとえば創刊号の目次: ow.ly/y0ypq posted at 14:55:43
  • #phsc2014 「ヴィーナー・クライス」ということばがあたりまえのように頻出する.すごい. posted at 14:58:31
  • @yukoim ごめんなさい.また間違えたー. #phsc2014 posted at 14:59:11
  • #phsc2014 闇だ,闇だ. posted at 15:05:30
  • 観察ちう RT @l_z_b: みなかさんの実況はまるで、未知の社会に分け入る文化人類学者のようだ posted at 15:07:03

  • #phsc2014 次の演者は佐藤文隆さん. posted at 15:07:36
  • #phsc2014 このシンポジウムは〈科学基礎論:過去・現在・未来〉ね. posted at 15:08:24
  • #phsc2014 アインシュタインの量子力学への見解に関して「哲学は信念だから人によってちがう」. posted at 15:15:22
  • #phsc2014 この話はだいじょうぶなんですか? posted at 15:18:36
  • #phsc2014 闇だ,闇だ…… posted at 15:21:51
  • #phsc2014 (o_o) (o_o) (o_o) ... (o_o) posted at 15:25:27
  • #phsc2014 どうすればいいんでしょう…… posted at 15:28:31
  • #phsc2014 物理学者の闇…… @Mihoko_Nojiri 闇の組織に捕まったんですね。 posted at 15:32:18
  • @Mihoko_Nojiri 【悲報】予定時間の二倍を過ぎてもトークが終わらないんですぅ……【忍耐】 posted at 15:38:02
  • #phsc2014 終わったなう…… posted at 15:39:20
  • #phsc2014 聞きしに勝るとはこのことか. posted at 15:40:36
  • #phsc2014 「科学基礎論学会ではパワーポイントのような “下賤なもの” は使わない」……(´・_・`) posted at 15:42:17
  • #phsc2014 _・) 。oO (身にしみてわかりましたー) posted at 16:04:03
  • #phsc2014 休憩なう. posted at 16:10:55

  • #phsc2014 座談会スタート.まずは司会の古田さんによる科学基礎論学会の沿革について. posted at 16:28:09
  • #phsc2014 戦前には前身である『綜合科学』という雑誌があったそうだ. posted at 16:29:58
  • #phsc2014 かつて林知己夫理事長は科学基礎論についていいこと言ってる. posted at 16:39:16
  • #phsc2014 (承前)科学基礎論は「正体不明の研究領域である」という点を指摘している点で. posted at 16:40:26
  • #phsc2014 (承前)還元主義・統一科学の目標が喪失した結果,科学基礎論が漂流することになった. posted at 16:46:23
  • #phsc2014 科学基礎論学会と科学哲学会との訣別の背景は,Philosophy of science をどう訳すかにあった. 「科学哲学」と訳す派と「科学基礎論」と訳す派の対立. posted at 16:48:55
  • #phsc2014 科学哲学会前史.綜合科学協会が戦後,科学論理学会となる(1949年).その後,科学論理学会,科学哲学大会が開催,1967年に科学哲学会創立.なんというぐちゃぐちゃした経緯か. posted at 16:51:58
  • #phsc2014 科学哲学会に分析哲学研究者がたくさん入っているのは歴史的経緯がある.一方,科学基礎論学会には哲学以外のメンバーも多い. posted at 16:55:22

  • #phsc2014 パネリストの話がスタート. posted at 16:57:18
  • #phsc2014 学問の「ネーミング」が問題だとしたら,その問題は解けないし,何年抱え込んでもきっと不毛でしょう. posted at 17:09:55
  • ぜんぜんないない RT @kouheimorita: 誰が興味あんねんっていう. RT @leeswijzer #phsc2014 学問の「ネーミング」が問題だとしたら,その問題は解けないし,何年抱え込んでもきっと不毛でしょう. posted at 17:15:58
  • #phsc2014 お,再び闇が闇がぁ…… posted at 17:16:42
  • #phsc2014 安西祐一郎というパネリストはいいこと言う. posted at 17:25:28
  • #phsc2014 (承前)生命科学・医科学の科学の現場がどうなっているのかを知らないといけないと言った. posted at 17:26:43
  • #phsc2014 質疑タイムなう. posted at 17:29:27
  • #phsc2014 それ,闇だなあ. posted at 17:29:57
  • #phsc2014 あ〜あ,ポパーが化けて出るぞー. posted at 17:31:19
  • #phsc2014 またしても闇なう. posted at 17:36:22
  • #phsc2014 科学哲学会と基礎論学会の「超合体」は当面なさそうね. posted at 17:46:26
  • #phsc2014 シンポジウムだん.これから懇親会うぃる. posted at 17:49:44

◆午後9時過ぎ,つくば帰還.この上なく健全な夜は静かに更けていく.明日も朝から三田に出撃する.

◆本日の総歩数=9471歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(−1.1kg)/ 29.3%(−0.7%)


13 juni 2014(金)※真夏日の経堂で雷雨襲来

◆午前4時半起床.霧筑波.気温18.4度.おお,朝日が朝日がまぶしいぞ.つくばは朝日がさんさんと降り注ぎ,吹き抜ける南風が心地良し.明け方の霧がどんどん晴れていく.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「「成果主義、STAP問題の一因」理研再生研の解体提言」(2014年6月13日)※「画期的な成果を獲得したいとの強い動機」「こうした理研CDBの成果主義が有する負の側面」— 今回は成果主義ではなく縁故採用.

◆定例経堂出撃日 —— 初夏の青空がまぶしい.午前9度の都内の気温はすでに25.9度と夏日ラインを突破.午前10時,農大キャンパス.日差しが照りつける農大通りを生き抜いて到着.今日のは本日の講義は乱塊法の応用.多要因乱塊法の実例と分割区法(split-plot).後半は実験計画法に関係する線形統計モデルのまとめ.正午過ぎ,定刻に高座終了.正午の気温は29.5度.あっつ〜.午後は真夏日必至か.うわ,23区のすぐ西まで兇悪雷雲が迫ってきた.とっとと撤収しないとエライことになりそうな予感.やばいやばい.東京アメッシュを見ている時間はないっ.即移動だ.兇悪雷雲が急速展開し,雷鳴と稲光に追いたてられて駅に着いたとたん、大粒のスコール.間一髪.駅のプラットフォームにいても濡れてしまうほどの土砂降り.

◆午後4時前,つくば帰還.真夏日になった都内で時おりスコールに見舞われるトロピカルな空模様だった.つくばはそんな気配などみじんもない夏の青空が広がっている.しかし,東の方角には大きな入道雲がせり上がっている.気温も29.4度まで上がってほぼ真夏日.午後5時過ぎ,何の前触れもなくいきなり通り雨が降り始め,ほんの数分間だけあたりを濡らして,また夕方の青空に戻った.

◆今日のような暑い日には夏の酒を.酒屋には夏向きのブルーボトルの日本酒が並び始めた.今宵は福岡・八女の〈繁桝〉純米大吟醸にごり酒「夏に夢る雪」を開栓.毎年,この時期に出る旬の銘柄.買いそびれるとすぐに売り切れてしまう.

◆[蒐書日誌]『世界の夢の図書館』(2014年1月15日刊行,エクスナレッジ,東京,224 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-7678-1724-8 → 版元ページ).重厚クラシックからまばゆいモダンまで.眼福眼福.すばらしい./清水玲奈『世界の夢の本屋さん3』(2013年11月21日刊行,エクスナレッジ,東京,216 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-7678-1682-1 → 版元ページ).清水玲奈・大原ケイ『世界の夢の本屋さん』(2011年7月2日刊行,エクスナレッジ,東京,215 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-7678-1147-5 → 版元ページ)ならびに清水玲奈『世界の夢の本屋さん2』(2012年7月17日刊行,エクスナレッジ,東京,223 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-7678-1403-2 → 版元ページ)に続くシリーズ最新刊.マンハッタンのストランド書店が載っている!

◆明日と明後日は科学基礎論学会大会で三田通い.

◆本日の総歩数=11158歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=95.5kg(+0.9kg)/ 30.0%(+0.4%)


12 juni 2014(木)※降って止んでまた降って

◆午前4時半過ぎ起床.雨雨また雨.気温20.3度.横殴りの雨に叩かれる観音台は傘をさしてもぜんぜん役に立たない.気温19.9度.通勤路ではいろんなものが強風に吹き飛ばされていた.かなり荒っぽい梅雨の朝.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 昨夜の仕事だった「生物体系学曼荼羅 1970-2010」の編集作業がやっと終わった.いま pdf 出力して,今週末の高座紙芝居に挿入.この一枚のスライドに丸一日かかった.上の図は10年前に動物分類学会会報『タクサ』の記事:三中信宏 2005「Ernst Mayr と Willi Hennig:生物体系学論争をふたたび鳥瞰する」タクサ, (19): 95-101に載せた 「A Taxonomy-Evolution Chart 1930-1975」.下の図は完成したばかりの「A Systematics Chart 1970-2010」. どちらも科学基礎論学会の高座でお披露目します.

◆[欹耳袋]曼荼羅は他人のためならず —— こういう “曼荼羅” はときどき自分で描いてみると,学問分野のダイナミクスを自分がどう把握しているかが自覚できてとても役に立つ.細かい専門的問題群が研究者コミュニティーのどこに位置するかを定位するためのチャートとして. “曼荼羅” は自分で描くことに意義があって,他人の “作品” を鑑賞してもあまり得られるものはないかもしれない.それでも,統計曼荼羅みたいに,いろんな人から「役に立つ」と言われることがあるのは望外の喜びというしかない.

自分で “曼荼羅” を描いていると,自分が何を重視(あるいは軽視)しているかがわかるし,自分のバイアスも感知できる.同時に研究者コミュニティーのなかで,自分の立ち位置がどこかを知ることもできる.過去半世紀くらいのタイムスパンで,自分が所属する研究分野の “曼荼羅” を描いてみると自分のためになるだろう.もしろくな “曼荼羅” が描けなかったら,それは単に「ものを知らない」と診断されるので,もっと勉強しませう.

◆霧雨がじとじと降り続いているようだ.昼休み徘徊は昨日に続いて中止.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「ニホンウナギ 絶滅危惧種に指定」(2014年6月12日) ※IUCNの「レッドリストに法的な拘束力はないものの」という文言は言うだけムダ.絶滅危惧種でもなお食べようというのはありえへん所業.もっとアタマを使いましょう.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 昨晩の日程調整で,今年度の宮崎統計巡業は10月に開催されることが確定.宿と足をさっそく確保しよう./その他,微小┣┣" どもを一網打尽.ついでに向こう3週間の┣┣" 撃ちリスト更新.

◆[欹耳袋]万能酸,げにおそるべし —— 日本経済新聞「理研改革委、再生医療拠点廃止を提言へ 」(2014年6月14日)※「理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)の廃止を提言に盛り込む」— えー! 「万能酸」は触れるすべてのものを溶かし尽くす.おそるべし./理化学研究所トピックス「CDB自己点検の検証について 」(2014年6月12日)/「【ニコ生(2014/06/12 18:30開始)】《STAP細胞論文問題》改革委員会および竹市雅俊センター長らによる記者会見」※「2014/06/12(木) 開場:18:20 開演:18:30」.基礎研究としての「発生」から応用重視の「再生」に軸足を移そうとしてるわけね.

◆夕方,雨上がり.西から空が明るくなってきた.明日は定例経堂出撃日.

◆本日の総歩数=2380歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(−0.1kg)/ 29.6%(−0.5%)


11 juni 2014(水)※またまた梅雨空に逆戻り

◆午前4時過ぎ起床.曇り.気温19.3度.雨雲接近中の観音台は灰色の曇り空.午前8時の気温は20.9度.空気がじとじとしている.窓を全開放し,BGM はスティーヴ・ライヒの〈ドラミング〉.人生は連打だ! ドラムの連打に包まれると瞬時に覚醒状態に入れる.ミニマル・ミュージックおそるべし.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 宮崎県総合農業試験場から今年も統計研修の講義依頼が届いた.例年通り師走巡業の予定を組むつもり./自然史学会連合から学会分担金納入の知らせ.進化学会事務局に丸投げしてこの件はおしまい./Hennig Society から役員選挙の投票メール.速攻征伐./さて,曼荼羅絵師になりきろう.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「統計学の基礎学べ 三井物産が「社内学習塾」」(2014年6月11日)※「統計学の基礎とR言語による実習」を少人数でやる.さぁ,出番ですよん.ワタクシのところにも,年を追って,方々から「統計研修講師」の依頼が増えている.そのほとんどは大学あるいは都道府県の農業試験場からだ.「統計,勉強しなきゃ!」という圧力が高まっているので,この傾向は当面変わることはないだろう.

ただし,講義とパソコン実習を含めて30時間の標準コースを設定し,ひとりでそのカリキュラムをすべてこなす巡業を年に何回もやるのはかなりの負担で,そろそろ上限に近づいている.今後,さらに同様の講習依頼が舞い込んでくるようなら,農環研の所内でマンパワーを確保する人材派遣システムをいま考えているところ. “個人事業主” から一歩踏み出して “統計工房” みたいなものになるかな.

ピンポイント的に統計学のワンテーマに絞って教えられる人材は農水のなかにも数少ないながらいるのだが,参道の入口から奥の院まで通しでガイドできる人がほとんどいないのが問題.統計研修の依頼先の多くはまちがいなく「それ」を求めているのだが.

◆ふと窓の外を見やったら,もう雨が降りだしているようだ.今日の昼休み徘徊はやむなく中止か.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 雨がざあざあ降る午後はずっとお絵描きしている.生物体系学の研究者コミュニティーの動向を追っている.見落としていたのは分類学会(CS: The Classification Society)の沿革.1964年設立.後に北米分類学会(CSNA)となり,1984年から雑誌 Journal of Classification を刊行(いまも継続).2008年に再び CS と学会名変更.国際分類学会連合(IFCS)傘下.ふむふむ.

◆[欹耳袋]食堂 marumi-ya . 玄米ごはん 定食と甘味「ご来店いただきありがとうございましたm(__)m」(2014年6月10日).閉店のアナウンス.つい先日行ったばかりなのに.食堂〈marumi-ya.〉がなくなってしまうと,立川に行ったときのランチをどうするかという問題ががが……./ライフハッカー「何度やっても必ずうまくいく。最高のステーキを焼く2つの簡単なコツ」(2014年6月10日).

◆夕方,雨足はさらに強まってきた.ハイローストの珈琲を充填してから果樹試験場へ.ひさしぶりに叩いてきた.午後8時過ぎ帰宅.雨は降り続いている.夜遅く,新しい曼荼羅を一枚描き上げた.これで,週末の科学基礎論学会の講演紙芝居はすべて完成.計20枚.新旧取り混ぜて曼荼羅をお見せいたします.

◆本日の総歩数=2218歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(−0.2kg)/ 30.1%(+0.1%)


10 juni 2014(火)※晴れ間と夏日の蒸し暑さ

◆午前5時前起床.曇り.気温19.2度.昨日の朝ほどではないが,靄で遠くが煙っている.曇りときどき晴れ間ののぞく観音台はすでに気温が21度を越えている.朝から蒸し蒸し.メシアン〈トゥーランガリーラ交響曲〉で “愛の歌” を注入.

◆午前の┣┣" 撃ち —— まずは微小┣┣" どもの一層処分から.ヤニス・クセナキスのうにょうにょしたリズムとぐちゃぐちゃな微分音の曲を BGM で流し続けていたら,だんだん人格が凸凹に歪んできたようだ.15年ぶりにかけたCDだったが,この作曲家はやっぱり適合性に欠けるな.そんなCDを買う方がワルいと言われればそれまでなんだけど.ハイ,ごめんなさいね.しかし,クセナキスのおかげで,科学基礎論学会の高座スライドは無事に仕上がりそうな雰囲気が濃厚になってきた.科学基礎論学会にはクセナキス,うん,これでキマリ! CDの最後はシルヴィオ・グァルダが偏執狂的な〈Komboï〉を叩き続けている.クセナキスの混沌状態からやっと抜けだして,次は菌類学者ジョン・ケージで癒やされよう.BGM はジョン・ケージ〈ピアノと管弦楽のためのコンサート〉.ああ,癒されるわぁ.

◆[欹耳袋]Loft PlusOne West「アカデミック大爆破:博士号取って働けば死!ブラック研究室に散れ!」 出演:山本慎太郎(念波)・永田夏来(さにはに)・榎木英介.※いよいよ今週末6月14日(土)か.

◆初夏の陽気と陽光が戻ってきた農林団地はひさしぶりに夏日ラインを越えた.昼休み徘徊だん.散歩コースの途中にある知人宅の庭では飼われているヤギくんが元気よくべぇべぇ鳴いていた.観音台あたりでヤギを家飼いしているのはココんちとアソコんちの二軒しかないはず.本日の歩き読み本:ウィリアム・ソウルゼンバーグ[野中香方子訳]『ねずみに支配された島』(2014年6月15日刊行,文藝春秋社,東京,カラー口絵 iv + 302 pp., 本体価格1,800円,ISBN: 978-4-16-390081-0 → 版元ページ).最初の5章を読了.ネズミ・ネコ・キツネそしてヒトは高性能殺戮者.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午前に引き続き,高座スライドの作成作業.持ち時間が20分とのことで,あまりたくさんつくっても困りもの.20枚を目標につくりこむ.

◆スコールはなさそうな穏やかな夕暮れタイム.午後の最高気温は26.3度まで上がったが,日が陰る夕方は涼しい東風が吹いている.帰りしなに倉庫からマレットを確保してきた.明日は初練習日.

◆本日の総歩数=10065歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(0.0kg)/ 30.0%(+0.1%)


9 juni 2014(月)※濃霧の早朝,止まない雨

◆午前5時前起床.霧筑波.気温19.6度.この季節の濃霧はめずらしい.そうこうするうちに,早朝の濃霧は消え,数日ぶりに雲間から射しこむ朝日がまぶしい.午前8時の気温は22.3度.蒸し暑い朝の観音台.居室の窓を全開し,扇風機で外気を取り込んだら,本棚の本たちが湿気を吸ってどんどんたわんでいく.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 大きい和文総説原稿の査読一件完了.外は曇り空.気温は24.5度と蒸し暑い.スポット的に雷雲が湧き上がっているようだ.観音台のすぐ西側に兇悪そうな雨雲が.昼休み徘徊できるかどうか微妙な空模様.

◆昼休み徘徊を強行.空模様が心配だったが,後先考えずに歩き始め,最初のうちはよかったが,帰り道ぼたぼたと大粒の雨が降ってきた.みごとに濡れネズミと化す昼下り.正午の気温は23.4度.茨城県南部は雨雲に覆われ,梅雨らしい不快な蒸し暑さにくるまれている.

雨中歩き読み本::マイク・モラスキー『日本の居酒屋文化:赤提灯の魅力を探る』(2014年3月20日刊行,光文社[光文社新書・687],東京,244 pp., ISBN:978-4-334-03790-1 → 目次版元ページ)の第4章「〈地〉の味わい――街から店を捉える」,第5章「〈場〉の味わい――店舗の内外を読み取る」,第6章「「人間味」――居酒屋の人々」,そして最終章の第7章「自分で穴場を嗅ぎつけよ(実用編)」.これにて読了.うん,日々たゆまざる実施修行を重ねないといけないということ.呑み屋の雰囲気を左右する要因として BGM ならぬ「BGN(background noise)」ということばを著者は提唱している.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 雨がざあざあ降る昼下りの BGM はキース・ジャレット・トリオ〈The Cure〉から.これは BGN じゃないぞ.茨城県南部は大雨警報がまだ発令されっぱなし.来週の専攻大学院入試ガイダンスで使う講座紹介スライド作成完了.連携教員に連絡する.

◆[蒐書日誌]着便:ウィリアム・ソウルゼンバーグ[野中香方子訳]『ねずみに支配された島』(2014年6月15日刊行,文藝春秋社,東京,カラー口絵 iv + 302 pp., 本体価格1,800円,ISBN: 978-4-16-390081-0 → 目次版元ページ).抗血液凝固剤プロジファクム散布作戦で侵入外来生物を皆殺し.情け容赦なしのバイオレンス.ワルファリンが殺鼠剤に使われていたとはぜんぜん知らなかった(納豆やクロレラに含まれるビタミンKがその効果を阻害することも).

◆[欹耳袋]某私立大学から郵便物あり.ワタクシの『分類思考の世界』から国語の入試問題を出題しましたとのこと.同封された問題用紙を見ると第2章第1節「仲間はずれのカモノハシ君」からの出題.受験生のみなさまにはたいへんご迷惑をおかけしました.この節は以前にも別の大学で出題されたことがある.生物学と妖怪学と形而上学が混じった内容なので,出題者側としては設問がつくりやすいのかもしれない.鳥山石燕・水木しげる・京極夏彦も登場する.ほとんどの設問は選択肢問題だったが,最後の設問だけ記述式だった:

【問7】種も妖怪も名があることによって,この世に占めるべき場所を見いだす」とはどういうことか,「分類」と「存在」ということばを用いて,五十字以上,七十字以内でまとめなさい.

—— んなもん,数十字で答えられたら,『分類思考の世界』なんて本はそもそも書かれなかったにちがいない.

◆夕方になってやっと雨あがり,青空がだんだん広がってきた.しかし,蒸し暑さはぜんぜんおさまらない.夜になって関東地方の空模様は再び不穏な状況に,方々で雷雲が暴れまくっているようだ.

◆本日の総歩数=8716歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(+0.5kg)/ 29.9%(−0.1%)


8 juni 2014(日)※三日連続で降り続く梅雨

◆午前7時前にのろのろ起床.雨はさっきまでざあざあ降っていた.濡れ濡れつくば.気温19.0度.大雨警報は出っぱなし.遠くから段雷が聞こえてきたが,この雨の中を何かイベントをやるつもりなのか.〈つくいち〉は中止だというのに.

◆[蒐書日誌]Peter L. Forey, Brian G. Gardiner and Christopher John Humphries (eds.)『Colin Patterson (1933 - 1998) : A Celebration of His Life』(2000年刊行,The Linnean, Special Issue No. 2, The Linnean Society of London / Academic Press, London, 96 pp. → 目次).英国ランカスターの古書店〈Austwick Hall Books〉から届いた.古生物学者にしてパターン分岐学者 Colin Patterson の追悼特集号.

◆午後になっても雨はぜんぜんあがらない.

◆[蒐書日誌]昔の書評を再録 —— 青木淳一『都市化とダニ:コンクリート建造物のコケに生息するササラダニ類』(2000年2月刊行,東海大学出版会,秦野,ISBN:978-4-486-01503-1 → 書評・目次版元ページ)/茂木幹義『ファイトテルマータ : 生物多様性を支える小さなすみ場所』(1999年12月刊行,海遊舎,東京,ISBN:4905930324 → 書評・目次).いずれの書評も15年ほど前に,今はなき某オンライン書店に投稿した読者書評だった.後継となるオンライン書店を検索すると今でもそれらの書評がヒットする.2005年に本録を開設して以降は漏れ落ちはないが,それ以前にオンライン書店に投げた書評は散逸しないよう注意.

◆夏のオキナワ巡業の宿を確保したいんだけど,琉球大学から最寄りの市街地って那覇でOK? オキナワ未体験者の悩み.那覇市内から琉球大学へは路線バスか高速バスを使えと琉大HPに書かれている.とりあえず国際通りあたりの宿を確保した.「ゆいレール」だの「那覇新都心」だの,知らないことが多すぎる.『るるぶ沖縄』でも買ってくるかー./オキナワの件はこっちに置いといて,次は高槻あたりの宿を確保しなければならないのだが,中途半端に高くてしかも選択肢があんまりありまへんな.大阪はロケーションが中途半端なので,三宮か京都に宿を確保するか(なんでやねん).忘れないうちに進化学会大阪大会への参加申し込み.そして,進化学会の宿も確保.夏休み期間中なので,早めにゲットするに限る.

◆三日連続で雨が降り続き,家中がべたべたになった週末.夜くらいさわやかに過ごしたい.夕餉の時間.今夜は(も)ヘルシーに野菜てんこ盛りサラダと車譜&新玉ねぎの汁物をアテにして,〈篠峯〉のかかしラベルを.一升瓶から四合瓶へと順調に移行している.ご飯物は正調「きつね丼」.油揚げとネギさえあればつくれるこのスグレモノがどーして関東では広まらないのかフシギ.「きつね丼」のレシピ:1) 鍋に味醂と日本酒を煮立てる.2) 油揚げは短冊切り.3) 九条ねぎはざく切り.4) 2の油揚げを1に投入し,薄口醤油を垂らしつつ調味.基本は甘口なのでしょっぱくしないこと.5) 油揚げが煮えたら火を止めて3の九条ねぎを投入し混ぜる.以上.どんぶり飯に汁ごとかけて,粉山椒をたっぷり振りかければ食欲増進.ネギを投入したら即「火を止める」のがポイント.青葉のネギは予熱で十分.加熱しすぎてネギの色が茶色くなってしまったらダメダメ.

◆[欹耳袋]とある “美少年” の人格同一性について —— The Huffington Post「旧「美少年酒造」が破産 今後も飲める?」(2014年6月7日)/MSN産経ニュース「日本酒「美少年」生んだ熊本の清酒会社が破産 事業は別の会社に譲渡ずみ」(2014年6月6日)※譲渡先は株式会社美少年.しかし,蔵元と場所が変わった時点で,〈美少年〉の “personal identity ” は途切れたとみなすしかない.

◆明日からはまた原稿を書く日々の再開だ.

◆本日の総歩数=0歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(−0.6kg)/ 30.0%(−0.1%)


7 juni 2014(土)※雨々降れ降れまた降って

◆午前5時半起床.気温17.9度.雨ざんざん.大雨注意報が発令された土曜の朝.雨は途切れることなく降り続く.気温は20度にすら達しないが.湿度が高いので「爽やかに涼しい」わけではない.午前中は統計研修のカリキュラム編成に関する検討事項の抽出とメーリングリスト関連の微細┣┣" 撃ちで終わった.

◆昨日,メールで依頼された農林団地内ギターマンドリンクラブ〈アソシエ・ド・パンドラ〉ノバホール演奏会でのシンバルのエキストラ出演の件.ギタマン演奏会に乗るのは初経験だし,予定も空いているのでお引き受けした.出演依頼された曲の楽譜がメールで送られてきたところ,先頭ページの譜面がこんな感じで(↑),「うわ,ティンパニ即死やで,これ」と卒倒.ところがよく見たら,ト音記号でしかもグロッケンシュピールだったというオチ.Percussion 1 がグロッケンですか!という新鮮なカルチャーショック.Perc 2 はシンバルで,Perc 3 でやっとティンパニが登場,Perc 4 はスネアドラム.ギタマン業界だとこれがデフォか(ちゃうか).ま,とりあえず,曲を聴いてみないことには始まらない.YouTube で公開されているいくつかの動画を手がかりにただいま勉強ちう.それにしてもグロッケンでもこの譜面はキツイわ.〈トゥーランガリーラ〉みたいな鍵盤付きグロッケンちゃうし.ワタクシの担当はシンバルなので火を噴くことはないんだけど.

◆[蒐書日誌]新刊本の「目次情報」がどこにも公開されていないというのは,販促戦略上の大失策ではないかといつも感じている.「ジャケ買い」「タイトル買い」「作家買い」のような余裕のあるフトコロはそろそろなくなりつつあるだろうから./アルベルト・マングェル『読書礼讃』の一節:「四十歳は変化のときである.それまでに溜めこんだもの一切合財をあとに残し,身になじんだ慣習を捨て去り,暗闇のなかで荷物をまとめ,闇のなかに潜んだ力と向きあうべきときなのだ」(「亡霊に場所を与えよ」, p. 36)

◆雨は朝から途切れなく降り続いてそのまま夕方に.気温こそ低いものの,窓を開けているとそこら中が湿気でべたべたになり,書棚の本も水気を吸ってたわんでくる.

◆[欹耳袋]Business Journal「年収250万…早稲田大の非常勤講師らが、大学を刑事告発 突然の雇い止めの実態」(2014年6月7日)※「専任と非常勤の仕事内容に大差ない」ってマジでそう信じてるの?

◆さて,夕餉のしたくをいたしましょう.厨房引きこもり.今宵は奈良・御所の〈篠峯〉「かかしラベル」こと「25BY 伊勢錦・純米無濾過生酒」を開栓.微炭酸と協会6号酵母の滋味が映える美酒.千駄木〈伊勢五〉の店主がデザインしたラベルだそうな.この「かかしラベル」は試験的にごく少量だけ醸されているそうな.伊勢錦なんて酒米は聞いたことないし.今宵のアテは,ヘルシーこの上ない野菜サラダ.そして,ヘルシーでないことこの上ないジャーマンポテト.新ジャガと新玉ねぎ,そして生活クラブの黒胡椒ウィンナーで.備前の大皿に盛り付ける快感.毎晩こういう背徳をしていては人生を誤るにちがいない.

◆[欹耳袋]時代は “すーぱーぐろーばる” ! —— 日本学術振興会〈スーパーグローバル大学創成支援〉プロジェクト.「スーパー」「グローバル」「リーダーシップ」の三点セットは “禁句” にしましょうよ.「東京大学グロ-バルキャンパスモデルの構築」とか「京都大学ジャパンゲ-トウェイ構想」とか,繰り返し口にしたくはない.「創生」という言葉も禁じたい./診断メーカーの新作は〈スーパーグローバル大学コンサルタント〉「leeswijzer 大学が申請を通すために最適の構想名は『トランスボーダー国際性豊かなインターカルチュラル環日本海圏維新「世界適塾」』です。」とのこと.診断メーカーの “神託” と大差ないようではどうしようもない…….

◆午後10時,再び雨足が強くなったと思ったら,つくば市はいま大雨警報が発令中.どれだけ降れば気がすむのやら./【悲報】明日の〈つくいち〉は大雨で中止 → アナウンス

◆本日の総歩数=2051歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(+0.8kg)/ 30.1%(+0.5%)


6 juni 2014(金)※梅雨に濡れて経堂出撃日

◆午前5時前起床.曇り.気温18.9度.東風が冷たい.午前7時半,つくば駅.定例経堂出撃の朝は「いかにも梅雨です」的な雨が降り続いている.気温こそ低いが実は蒸し暑い.気温に騙されてはいけない.

車中読書:アルベルト・マングェル[野中邦子訳]『読書礼讃』(2014年6月10日刊行, 白水社, 東京, 430+14 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-560-08357-4 → 版元ページ)は,450ページもある味わいのある本だからみんな読め.

◆[欹耳袋]R いろいろ —— sfchaos blog「R2DOCXによるレポート作成」(2014年6月2日)※「RでMicrosoft Wordのレポートを作成する」/R-bloggers | Phylogenies in R and Python | 2 June 2014

◆雨に濡れる農大通り —— 午前9時,新宿駅.気温20.3度.梅雨前線の隙間の曇り空かと思ったら,経堂はざあざあ降り.農大通りを歩いているうちに濡れまくる.午前10時前,農大キャンパス着.気温20.3度なのに蒸し暑い.非常勤講師室にてしずくが滴っている.今日の農大高座は乱塊法.時間通り始まって,時間通りに終わる.正午の気温は19.9度.外はざんざか降っていて,経堂への戻り道でまた濡れ濡れて,駅前〈はるばるてい〉へ.ひさしぶりの「香麺」注文.数種類の香味油と野菜・鶏叉焼.辣椒の辛味に加えて,もう一種類,とびきり辛い豆の味噌.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「STAP再現実験「小保方氏の協力必要」 文科相」(2014年6月6日)※「下村文科相は「論文が取り下げられてもSTAP細胞の存在が否定されたわけではない」との認識を改めて示した」— 鉄壁の防御壁,完璧な “ボディガード” じゃん./世に倦む日日「崩壊が始まった「STAP細胞」の神話と幻想 - 岸輝雄と野依良治の権力闘争」(2014年6月4日)※いろんなところにさまざまな打算的 “ボディガード” がいるということか.そりゃ無敵だ.

◆池の台から依頼メールあり.何か “お役に立つ研修” の依頼かと思いきや,シンバル奏者がいないんで,すみませんが出演してもらえませんかとのこと.池の台でシンバルをじゃんじゃん叩いたら動物くんたちが卒倒するのではないか.むかしむかし,本郷の第二食堂前の打楽器練習でシンバルをじゃんじゃん鳴らしていたら,向かい側の化学科の教室からセンセイが飛び出してきて,「すまん,いま試験中なのでシンバルをどつきまわすのはやめてくれ」と懇願されたことがあった.打族はいつでもどこでも虐げられている.

◆午後4時過ぎ,つくば着.都内は吹き降り.傘がぜんぜん役に立たなかった.つくばはもっと風が強くて,雨足がヨコに傾いている.しかし,これからさらに雨は強まるとの予報.

◆本日の総歩数=10018歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.1kg)/ 29.6%(+0.3%)


5 juni 2014(木)※今年も梅雨入りしたのか

◆午前4時過ぎ起床.気温19.8度.曇り空の隙間から真っ赤な朝焼けなう.いまは晴れているが,関東地方が雨雲に覆われるのは時間の問題かと.曇り空の観音台はまだ静寂の中.気温は19.6度.涼しいような蒸しているような.雨雲は着実に西から関東地方を浸食しつつある.早朝の BGM はグスタフ・レオンハルトの〈フーガの技法〉.居室を蚊がぶんぶん飛んでいたので撃墜.

◆[欹耳袋]アナタも PI になれるかな —— Nature News | Computer model predicts academic success | 2 June 2014 ※高IFジャーナル・筆頭著者・上位大学・男性が「PI」への近道だそうな.元論文 Publication metrics and success on the academic job market | Current Biology.原著者たちは「PI になれるかな判定サイト」も開設している:PIPredictor - Predict your probability to become a Principal Investigator (PI).

本日,関東地方は梅雨入りしてしまった…….ときおり大粒の雨がぼたぼた降ってくる昼休み.正午の気温は21.5度だが,居室の中は蒸し蒸しして快適ではない.この空模様なので徘徊は中止.『現代思想・2014年6月号』(2014年6月1日刊行,青土社,東京,ISBN:978-4-7917-1281-6 → 版元ページ)が届いたんだけど,特集〈ポスト・ビッグデータと統計学の時代〉をいったいどうしていいのかわからないので,とりあえず同時着便の山本義隆『世界の見方の転換(全3冊)』(2014年3月,みすず書房)でぐいぐい押さえつけているところ.狼藉者,ムダな抵抗はやめよ.

◆[蒐書日誌]山本義隆本の書誌情報 —— 山本義隆『世界の見方の転換 1: 天文学の復興と天地学の提唱』(2014年3月20日刊行,みすず書房,東京,xxxii+ 1-356 +41 pp., 本体価格3,400円,ISBN:978-4-622-07804-3 → 版元ページ)|山本義隆『世界の見方の転換 2: 地動説の提唱と宇宙論の相克』(2014年3月20日刊行,みすず書房,東京,vi+ 357-698 +38 pp., 本体価格3,400円,ISBN:978-4-622-07805-0 → 版元ページ)|山本義隆『世界の見方の転換 3: 世界の一元化と天文学の改革』(2014年3月20日刊行,みすず書房,東京,viii+ 699-1127 +112 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-622-07806-7 → 版元ページ

◆[蒐書日誌]もう一冊着便 —— アルベルト・マングェル[野中邦子訳]『読書礼讃』(2014年6月10日刊行,白水社,東京,430+14 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-560-08357-4 → 版元ページ).新刊本が積み上がるのはシアワセの兆し.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 秋学期,駒場での「生物統計学」登録票を二号館に返信./秋の数理統計研修の打ち合わせ.今年もコーディネーター業務が降ってくる.昨年の受講者アンケート集計を手渡された.まずは,筑波事務所のあの研修会場で無線LANを使えるようにするのが,シアワセな出家修行への第一歩かなあ.その次に講師の人選.

◆[欹耳袋]血液型性格学の真相 —— 縄田健悟「血液型と性格の無関連性――日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠――」(2014年6月1日)心理学研究,論文ID: 85.13016./ITmedia ニュース「「お前はもう死んでいる」「坊やだからさ」――学術書なのにアニメネタ満載「実証分析入門」 その意図は? (1/2)」(2014年6月4日)※専門書にして出版前からこれくらい話題になった本は稀かも.

◆うわー,質問票が堆積してるん〜:

  • #NodaiStat まずは5月23日分から. posted at 16:13:59
  • #NodaiStat 【質問】「実験計画法のデータ計算で偏差→平方和→自由度→分散(平均平方)のステップが理解を越えました」/【回答】データのもつ “ばらつき” を数値化する手順として偏差から分散への道筋を解説しました.“ばらつき” がまだ「身体化」できていないのでは? posted at 16:18:50
  • #NodaiStat 【質問】「実際にデータの “ばらつき” をグラフ化することで,実験計画法の数式の意味が視覚的に理解でき,感動的でした.F値のもつ直感的理解も納得です」/【回答】講義でデモした R による “ばらつき” 可視化→ ow.ly/xE8LX posted at 16:21:57
  • #NodaiStat 【質問】「前回の講義を欠席してしまって……」/【回答】ハンドアウトなど講義関連情報はワタクシの〈租界R〉 ow.ly/xE8XO に置いてあるのでお使いください. posted at 16:24:45
  • #NodaiStat 続いて5月30日分. posted at 16:26:36
  • #NodaiStat 【質問】「実験計画と正規分布の関わりがわかりません……」/【回答】実験計画法は統計学的に扱えるデータを取るための技法.ある実験計画からデータが得られれば,計画時に設定された統計モデルにしたがって,その “ばらつき” を切り分け,最終的にF値まで計算できます. posted at 16:29:55
  • #NodaiStat (承前)データから計算されたF値の大小を解釈するときに初めて,天の上からパラメトリック統計学が “神託” を下します.帰無仮説を仮定したときに,F分布が得られたF値に対してどれくらいの確率を与えるか.これは完全に数学の世界の話です. posted at 16:32:21
  • #NodaiStat (承前)明日の講義では乱塊法という別の実験計画法について解説します.いずれの実験計画法であっても,データから計算された統計量(平均平方とかF値)の帰無仮説のもとでの確率分布を考えるというのが,大きなストーリーの流れになります. posted at 16:35:20
  • #NodaiStat 【質問】「分散分析では対立仮説が受け入れられても要因の有意性を示すだけで,水準間の有意差を示せるわけではない.とすると,分散分析ではなく最初から多重比較した方が近道ではないですか?」/【回答】状況によっては分散分析なしで多重比較に直行するという手はあります. posted at 16:38:25
  • @konamih 平均とか分散はもちろんすぐ身体化できますが,平均平方とかF値もまたその認知統計学的な意味付けは難しくないですね.尤度やAICでも可能だろうとワタクシは思います. #NodaiStat posted at 16:40:16

◆今日は一日中降ったり止んだりで,最高気温も22.1度という涼しさだった.夜になって本降りの雨.明日は雨中の経堂出撃となる気配が濃厚.

◆本日の総歩数=5560歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.5kg)/ 29.3%(−0.6%)


4 juni 2014(水)※曇って蒸し暑い本郷にて

◆午前3時半起床.寝起きの米研ぎ.夜明け前の外気は湿り気があって靄っている.気温19.9度.雨が降る気配はまるでない.午前5時,朝ぼらけの靄の彼方から橙色の朝日が昇ってきた.すり抜ける東風は涼しいが,気温はすでに20度を越えている.

◆[欹耳袋]ビンク色から真っ黒そして真っ白に —— 日本経済新聞「STAP論文の一部撤回、ネイチャー近く判断 小保方氏ら同意 」(2014年5月29日)※すでに letter は取り下げる方針決定./日本経済新聞「STAP主論文撤回へ 小保方氏同意、研究白紙に」(2014年6月4日)※続いて article も撤回か.舞台袖での “のど自慢” が続いていたが,けっきょく「何にもなかった」ということになる./Bioscience technology | Cloner Finds New “Acid Bath” Paper Errors; Scientist OKs Retraction | 29 May 2014.若山教授も折れている./最初の出だしだけはピンク色だったが,けっきょくはこうしてSTAP研究は真っ白になり,理研の対応は灰色のまま,そして背後に広がる人事の闇は真っ黒 — いまはモノトーンでとっても鮮やかな対比ですわねえ.

◆[蒐書日誌]『現代思想』2014年6月号(2014年6月1日刊行,青土社,東京,ISBN:978-4-7917-1281-6 → 版元ページ).特集〈ポスト・ビッグデータと統計学の時代〉.やっぱり買わないと祟られるでしょーか.

お昼は並木にある御菓子処〈いとう〉の「福来氷」mgmg.表面はカリッとした歯ごたえ,中は福来みかんゼリー.夏になったら冷やしていただく.

◆[欹耳袋]SankeiBiz「電子ジャーナル高騰 大学経営を圧迫 海外論文の閲覧困難 研究阻害も」(2014年6月2日)※「図書予算の中で電子ジャーナルの比率が増えた結果、紙の学術雑誌の購読を打ち切らなくてはならなくなった」.近い将来,経費的なカタストロフが襲来して,研究に必要なジャーナルや図書は個人購入にきっとなると思う.ワタクシの場合,かなり前から(アウトオブ農水な)論文はひとつずつ買うようになってるしね.図書はもちろん私費購入.無尽蔵に金のなる木をもっていない研究者にとっては他人事ではないはず.今日読んでるジャーナルが明日は読めなくなるかもしれない.

◆午後3時,弥生キャンパス到着.新緑の農学部構内は午後の強い日差しが眩しい.気温は30度近くまで上がっていて,つくばよりもトロピカル.午後4時から開催される専攻研究会議に出席.

◆[欹耳袋]短信「雑感---国立大学がいま大変なことになっている(2…かな?)」(2014年6月4日)※「そしていま大学教員にできることは、そういう「穴」や「空き地」を、こんなになってしまった大学の中に自分たちの力で作り、確保していく努力を続けることだと思う。もはや制度に守られたり、制度が保証してくれる場所などはどこにもない」— その通り.自分で自分を守っていくしかない.

◆専攻研究会議が終わったのは午後5時半を過ぎていた.つくば直帰.夕暮れのセンター広場の並木にはムクドリ軍団が鈴なりに.毎年の光景ながらしばらくは拡声器とムクドリとの “闘争” が続く.

◆本日の総歩数=9093歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.7kg)/ 29.9%(+0.3%)


3 juni 2014(火)※非生産的罰ゲーム延々と

◆午前4時半起床.曇り.気温19.5度.曇り空の観音台は朝から湿度が高い.午前8時の気温は20.9度.日差しはないが,蒸し暑くなりそうな気配が濃厚.

◆[欹耳袋]ワタクシのオンライン書評記事を宣伝に使いたいとの申し出が出版社からあった.どーぞどーぞお使いください.販促のお役に立てれば幸いです.

日本の書評文化の昔からの特徴だろうか,長めの書評記事を日本語で読む機会があまりない(新聞・雑誌の書評欄もそう).ワタクシ的には読んで「これは!」という本だったら,備忘メモかたがた短くない書評文を書くように心がけている.最近ワタクシが書いたいくつかの書評記事について文字数をカウントしてみると,短いのは1500〜2000字くらい,長くなると3000〜4000字ほど書いているようだ.

でも,ワタクシが読む Systematic Biology 誌や Cladistics 誌だと,刷り上がりで10〜15ページもある長大な「書評論文」が珍しくない.そういうのと比べれば足元にも及ばない.20年近く前に書いた書評:三中信宏 1987. "Gene Selectionism"は揺らぐか?[書評:E. Sober(1984),The Nature of Selection]昆虫分類学若手懇談会ニュース, 53: 33-60 は刷り上がりで「28ページ」あった.ワタクシ的には最長記録だった.

関連して,ずいぶん前に:豊崎由美『ニッポンの書評』(2011年4月20日刊行,光文社[光文社新書515],東京,230 pp., ISBN:978-4-334-03619-5 → 目次版元ページ)の書評を書いた:三中信宏「書評ワールドの多様性とその保全について」.

—— いずれにしても本を読み終えたら書評文を書きましょう.自分のためにも,他人のためにも.

◆虚しい┣┣" 撃ちはエンドレス —— イヤな仕事はさくっとすませること(引きずってはならぬ).かねてより警報が鳴り響いていたが,霞ヶ関からの “火砕流” は農林団地を覆い尽くした:「すべてのパソコンのすべてのアプリケーションを届け出よ」.その大号令は他のすべての研究業務に優先する.

アナタの Mac のすべては「この Mac について」を見よ.プリントアウトすれば500ページ超の情報量になる.シリアル番号を知りたければ本体を裏返せ.あるいはシステムプロファイラの「シリアル番号を読み上げる」の音声ガイドを.MACアドレスは「システム環境設定」>「ネットワーク」>「Ethernet」詳細ボタン>「Ethernet」>「Ethernet ID」に書かれている.問題はインストールされているソフトウェアの一覧リスト化.ソフトウェア名称だけでよければ,ターミナルから

ls /Applications > ~/Desktop/うだうだ.txt
とコマンド入力すれば出力してくれる.しかし,それ以上の情報はリスト出力してくれない.下々に要求されている情報は「バージョン」「発行元」「インストール日」「サイズ」「最終使用日」「使用頻度」「シリアル番号」.ほとんどの項目は「不明」と答えるしかない.それにしても,これは長時間かかる作業であることはまちがいない.

さっきのコマンドだと,フォルダー内のアプリは可視化されないので,下の階層までリストするには

find /Applications -name "*\.app" -maxdepth 2 > ~/Desktop/うだうだ.txt
と書けばいいと教わった.右往左往しつつ,けっきょく「この Mac について」の出力リスト500ページからのピックアップを始めたものの,250項目ほどを Excel 様式にコピペしたところで,残りが500項目以上もあることがわかり,真っ白に燃え尽きた.お昼ごはんを前にして矢折れ力尽く……(orz).

午前中の約3時間の作業がまったくムダになってしまったが,このまま続けても日が暮れるだけなので,ラクさせてもらいます.アプリケーション・フォルダーに入っている項目のみのピックアップに方針変更.お昼休みをつぎこんで,やっと MacBook Air にインストールされたソフトウェア100個ほどのリストアップ完了.次は,Mac Pro についても同様の作業を繰り返す.こちらは80項目弱.

一日仕事になるのはほぼ確定.この作業のじゃまくささを考えると,使えるPCでもどんどん「廃棄予定」と上申して置く方がいいかもしれない.実際,今回の “騒動” で「みなしスクラップ」と化したPCはいくつもある.EPSON プリンターの MAC アドレスがわかりまへん → プリンターの設定表示を見れば載っていた.次は Mac Pro の Product ID を探索 → 本体のウラ側にシールが貼られていた.

午後3時過ぎ,朝から格闘していた「PC&ソフトウェア調査票2014」の報告書を所内の研究情報システム管理室に送信だん.たった2台のPCなのに,合わせて200ほどのソフトウェアをネ申エクセル様式にひとつひとつ記入するという罰ゲームがいまやっと終わった.

農水全体で見たら壮大な時間浪費.とある機構では,資産管理システムをわざわざ導入して,傘下のすべてのPCとソフトウェアの一括管理に乗り出したとか.万単位に上るソフトウェアを誰がどうやって “管理” するのか,というきわめてチャレンジングwな問題が浮上するだろう.

—— 農水省本省の事なかれ主義と事大主義のため,下々の民は斃れていく.しかし, “天” から時ともなしに降ってくるいろんなモノを軽やかにこなしてかわし続けるワザを身につけるのも研究者の生きるすべ.

◆今日は生産的なことは何もしていないけど,疲れたから早々と撤収.帰宅後,昨日締切の「住宅事情調査」が出てません!と事務から追っかけメール.速攻で記入してメールで返信.事務仕事は「息をするように」さくっとすませたい.

◆今日の午後の最高気温は26.5度と,酷暑の北海道よりも10度ほど涼しかった.湿気があって不快指数は高めだが,夕暮れとともに涼風が吹き抜ける.今日は虚しく疲れた一日だった.とりあえず,夕餉のためのお米研ぎから. 夕餉の始まりは “清涼飲料水” から.数ある発泡系ライト日本酒の中では,〈一ノ蔵〉の「すず音」はいい線いっているけど,いかんせんアルコール度数が5%では「水」というしかない.続いて,もっとまっとうなお酒.微炭酸の〈奈良萬〉を2合も呑めば,シアワセな夜がやってくる.今日はおつでした>ワタクシ.

◆本日の総歩数=2639歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.3kg)/ 29.6%(−0.6%)


2 juni 2014(月)※月の始めは積もる積もる

◆午前4時半起床.ほんのり朝焼け.気温17.7度.明け方だけは涼しく快適至極.夏空が広がる観音台は,水無月とは名ばかりで,朝から気温が急上昇.午前8時には23.0度.月始めの居室 BGM は譚盾〈Water Passion After St. Matthew〉.ホーミーみたいな歌声が混じる “あの世” 的な作品.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 週末の真夏日で痛めつけられたところに,朝イチで MAFFIN 傘下パソコンのソフトウェアを全部調べあげよとのお達しがあり,下界の民はただ右往左往するばかり./「総務管理室が依頼する研究業績報告書」って何? 放置してええか?/職場巡視報告書によると, “森” については「本棚の最上段に載せている本は、落下しますのでおろしてください」ならびに「シンク横の本棚について、落下防止を行ってください」とのこと.要するに本が多すぎるということね.ほほほ./今月の不在届(出張・年休・兼業・振替)一式を提出だん.不在率は「7不在日/21労働日=33%」と実に優良な勤務態度である(自画自賛).

◆[蒐書日誌]森田果『実証分析入門:データから「因果関係」を読み解く作法』(2014年6月刊行予定,日本評論社,東京,ISBN:978-4-535-55793-2 → 版元ページ)※「重回帰分析:魔女の作り方」とか「仮説検定(1):お前はもう死んでいる」とか,ワタクシ的にはブラボーと言いたいセンス.「第16章 因果効果の推定:あんなのただの飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ。」,「第23章 はじめての構造推定:見えるぞ、私にも構造が見える」,「第26章 ベイズ統計:ベイジアンは滅びぬ、何度でもよみがえるさ!」— すっご~い!

◆炎天の昼休みとはいえ,気温は30度の真夏日ラインに達しなかった.水無月の徘徊タイム.田んぼの稲はずいぶん緑が濃くなっていた.歩き読み本:マイク・モラスキー『日本の居酒屋文化:赤提灯の魅力を探る』(2014年3月20日刊行,光文社[光文社新書・687],東京,244 pp., ISBN:978-4-334-03790-1 → 目次版元ページ)の第2章「和風酒場の種類と特徴――赤提灯あれこれ」と第3章「和風酒場の種類と特徴――屋台から割烹まで」を読む.ワタクシももっと “実地研修” を重ねないと!

◆[蒐書日誌]新書2冊 —— 今野真二『日本語の考古学』(2014年4月18日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版1479],東京,viii+258 pp., ISBN:978-4-00-431479-0 → 版元ページ).ずいぶん前に同じ著者による新書:今野真二『振仮名の歴史』(2009年7月22日刊行,集英社[集英社新書・0501F],222 pp.,本体価格700円,ISBN:978-4-08-720501-5 → 目次版元ページ)を買ったことがある./村上龍男・下村脩『クラゲ 世にも美しい浮遊生活:発光や若返りの不思議』(2014年5月29日刊行,PHP研究所[PHP新書928],東京,201+IV pp., ISBN:978-4-569-81884-9 → 版元ページ).対談はともかくとしてクラゲのゆらゆら写真をながめたい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 農水を通じて外部文献複写依頼をするたびに,「以下の依頼は謝絶されました」と抑揚のないリジェクトメールが返されて orz とうなだれる背中に,農環研の広報情報室から「ご依頼のあった文献複写をお送りいたします」という声がかかり,その神々しい “女神” 感たるやハンバなし.ワタクシの場合はほしい資料が農水の “なか” にないことがほとんどなのでそういうことになるとのこと.ただ「リジェクト」とか「謝絶」とか,研究者的には “禁句” なので精神衛生的にヨロシクない(ぼそ)

◆[欹耳袋]YouTube「 「博士号取って働けば死!ブラック研究室に散れ!」予告 」※こ,これはいったい…….「2014年6月14日(土)催行のイベントです!」とのこと.その日の夜は三田で荒れ狂っている(かもしれない).

◆涼しい東風が吹き渡る夕方.午後の最高気温は27.9度どまりで,真夏日だった週末に比べて段違いにすごしやすい.午後8時の気温は18.6度.北東風が吹き抜けて涼しい.今夜は〈Jacob's Creek〉の「Sparkling Shiraz」.オーストラリアの発泡赤ワインを開栓.

◆[欹耳袋]バッハ・コレギウム・ジャパンの〈バッハ・カンタータ集〉は新しい CD が出るたびに買っていた.ここのところ新盤が出ないなあと思っていたら,実は昨年秋に出た Vol. 55 をもって全曲録音が完結したことを今になって知った.全曲完結記念の函入りCDセットが出たようだが,ワタクシは “バラ” で全CDをもっている.初期のころのカウンターテナーは米良美一だったりする.

◆本日の総歩数=10771歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.3kg)/ 30.2%(+0.1%)


1 juni 2014(日)※水無月は真夏日で幕開き

◆午前4時過ぎ起床.気温17.4度.ほんのり朝焼け.月始めの定例アナウンスをメーリングリストに送信してから二度寝.

◆[欹耳袋]生きるすべ「どうなる博士取得者」(2014年5月31日)※「日本社会全体として博士取得者を喜んで職場の中に入れようとする部分がほとんど増えなかったという経過というか結果により職にあぶれてしまった博士取得者が増えてしまった」.意外でもなんでもなく,ずっと言われてきたことの再確認./Togetter -「フリーランスで働くということ」.こっちの話の方が生き方の方針としてはずっと重要だと思う.

◆[蒐書日誌]ラインが結ぶラインの文化史 —— ティム・インゴルド[工藤晋訳]『ラインズ:線の文化史』(2014年6月30日刊行,左右社,東京,267+viii pp., 本体価格2,750円, ISBN:978-4-86528-101-9 → 目次版元ページ原書目次).寝読み読了.序論によれば,本書の軸足は「線(ライン)」をめぐる比較文化人類学からの考察にある.しかし,続く章を追って読み進むにつれ,議論の展開は書字・音声・身振りなどから,社会における血縁・系図へと広がり,民族固有の世界観や生命観へとラインがつながっていく.人類学・社会学・哲学・歴史学のさまざまな話題が次から次へと出てくるので,読んでいるとときどき目眩がする.おそらくそれが著者の意図するところなのだろう.

前半の3章はいずれも長大である:第1章「言語・音楽・表記法」は発話と音声をめぐるイントロである.ウォルター・オングやネルソン・グッドマンの論議を参照しつつ,著者は文字と音声のラインが意味するものを考察する.ワタクシ的にはかなり難解な章だったと正直に告白…….

第2章「軌跡・糸・表面」は,本書のキーワードである “ライン” の概念について解説する. “ライン” の下位分類として糸(thread)・軌跡(trace)・亀裂(crack)などいくつもの用語を設定する.著者がとくに着目するのは,静的な糸が “動く” ことにより動的な軌跡が “面” をもつようになるという点だ(p. 92).動的なラインが織りなす模様とテクスチュアをめぐって,著者は文化人類学的な実例を数多く挙げる.

第3章「上に向かう・横断する・沿って進む」では,前章で提起されたラインの “動き” に焦点を絞り,一次元的な「線」がどのようにして “動き” をもち,二次元的な「面」(地図やチャートの実例多数)を形成するのかが論じられる.オブジェクト可視化のテーマにつながる内容.

第4章「系譜的ライン」は,間奏曲として,血縁関係を表す系図・系譜におけるラインについて考察する.家系図・法の樹・エッサイの樹など,人間社会のなかに浸透する類縁を表示する「木」の概念は,生物学での「系統樹」につながる.著者はダーウィン『種の起源』の系統ダイアグラムを例に取り,世代間の伝達(transmission)と世代内の輸送(transport)との関連付けをする(pp. 181-184).

第5章「線描・記述・カリグラフィー」は,描画(drawing)と記述(writing)に話題を移す.身体運動を伴う描画(書道やカリグラフィーを実例とする)からいかにして記述という表記システムができたのか.著者は「ラインの線状化」(pp. 228-231)にその手がかりがあると考える.

最後の第6章「直線になったライン」では,ラインが “曲線” から “直線” へと変わっていった歴史的経緯を推論する.直線性のもつ「近代性のイコン」(p. 254)がその理由であると言う著者は,古今の建築物・絵画・楽譜などの実例とともに,長く連なる曲がりくねった “曲線” としてのラインが矯正されて,短く断片化された “直線” としてのラインへと変質していったと著者はみなしている.

著者は本書全体を総括して次のようにまとめている:

「私がこの本で示してきたのは,糸を束ねることは世界のなかにひとつの場所を築く方法であるということだけではなく,束ねられた糸はそれぞれが相変わらず伸び続ける先端をもち,それらが今度は別の糸とともに別の結び目をつくるということである.ラインとは無限なものである.そしてその無限性―生命,関係,思考プロセスの―こそ,その価値を感じて欲しい.人々が思いのままにそのあとを追いかけ,つかまえられるようなたくさんの緩やかなラインの端っこを,私は残すことができただろうか.私の望みは蓋を閉じることではなく,蓋をこじ開けることだ.」(p. 256)

確かに,本書を読了すると,想像力をかきたてられる.点と点を結ぶラインの構造は,さながら南方熊楠の「南方曼陀羅」,早田文蔵の「ネットワーク」,あるいは宮沢賢治の「インドラの網」を髣髴とさせる (→ 三中信宏 2013. 南方曼陀羅:世界を体系化するある思惟の図像的背景.科学(岩波書店)2013年8月号, pp. 906-909 → pdf [881KB]) .単に知識が得られるのではなく,能動的に強く働きかけられる本.

—— これだけ話題が広い分野に散らばっている本なので,日本語への翻訳作業はさぞかしたいへんだったのではないかと推測される.訳文は読みやすく,各章ごとに内容を補足する訳注も付けられていて評価点が高い.今回の翻訳にただひとつ瑕疵があるとしたら,原書に付けられている詳細な索引が訳書では省略されていることだけだ.

◆炎天の午後,気温は昨日よりも高く32.3度まで上がっている.車の温度計だと,車外は35度を表示.遅めのランチは金田の手打ちそば〈いちい〉にて「トマトせいろ」.せいろそばを,酸味の効いたトマト&ズッキーニの熱々汁とともに.暑気払い.

◆[蒐書日誌]水野仁輔『うっとりカレーパン』(2014年5月30日刊行,スペースシャワーネットワーク[SPACE SHOWER BOOKs],東京,ISBN:978-4-907435-24-0 → 版元ページ)※先日,往来堂書店を探索したときはまだウォールに並んでいなかった.

◆夕暮れ.やっと真夏日ラインを割り込んだ.今日はスコールの予報もなく,ただ暑さが長引くのみ.

◆本日の総歩数=662歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.1kg)/ 30.1%(+0.2%)


--- het eind van dagboek ---