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日録2014年5月 


31 mei 2014(土)※真夏の暑さがさらに亢進

◆午前4時過ぎ起床.靄の彼方から日の出.気温16.9度.段雷ががんがん鳴り響く午前6時.今日は何か大きなイベントがあるんだろうか.朝日がカンカン照り.昨日よりも気温の上がり方が急角度.

◆[欹耳袋]ある医療系大学長のつぼやき「OECDデータとの格闘終わる・・・日本の論文数停滞・減少のメカニズム決定版!!(国大協報告書草案14)」(2014年5月30日)※長いけど最後まで読むべし.「この経験から学ぶべきことは、研究従事者数(FTE)の停滞~減少によるマイナスを、競争的環境、評価制度、選択と集中(重点化)政策の強化によってカバーすることは困難であるということである」「研究従事者数を減らしつつ、さらなる競争的環境、評価制度、そして選択と集中(重点化)政策のいっそうの強化を推し進めるならば、すでに限界成長余地の小さくなった大学の研究現場がさらに疲弊をして、マクロ的には更なる論文数減少を招来することが想定される」.

◆土曜の┣┣" 撃ち —— 昨日の農大講義で R デモをしくじったのは,多重比較 multcomp パッケージが「名前空間エラー」だったため.いま再インストールしたが,やはり名前空間苦界から抜け出せない…….zoo パッケージでトラブったことが判明.いま再インストールしてやっと multcomp パッケージの「名前空間煉獄」から脱出.あー,今度は e1071 パッケージで致命的エラーが.再インストール.アップデート賽の河原はエンドレス.「> library(e1071)」でエラー原因を見ると,class パッケージがちゃんとインストールされていない.ということで,再ダウンロード.やっとすべての「死因」を撤去できた.来週の農大講義はこれで雪辱できるぞ.

【教訓】R や R パッケージをアップデートしたときは,隅から隅までアクマのように細心の動作チェックが必要.裏返せば,忙しいときはうかつにアップデートしない方が身のためである.

◆正午前,もうすぐ真夏日ラインを越えそう.今朝,方々から段雷がどんどん上がったのは運動会のお知らせだったわけね.日焼けしそうな日和.正午前に軽やかに真夏日ラインを越え,30.3度に.午後は昨日以上に暑くなるだろう.午後の気温は31.1度まで上がり,うだるような暑さ.真夏のような日差しが痛いのは紫外線のせいか.遅めのランチは西武一階の〈翠芳楼〉にて冷やし鶏そば.早くも冷やし中華の季節に突入した.今日みたいな真夏日は冷やし中華を食べましょう.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「山手線で30番目の新駅設置へ」(2014年5月31日) /ねとらぼ「18年ぶりに返り咲いた(?)日本一低い山「日和山」に登ってみた」(2014年5月28日)※「日本一低い山」だけではなく「日本一短い川」とか「日本一小さい池」も話題としてはおもしろいはず.

◆午後5時,シエスタからの覚醒.熱い南東風が吹き抜ける夕方近く.午後7時を過ぎても夏日ラインを下回らないとは.今年初冷房オン.今宵は盛大にシュワシュワするしかない〜.というわけで,〈Sala Vivé〉の Brut Rose を開栓.こういう “清涼飲料水” は即座に空っぽになる.

◆[蒐書日誌]植原亮『実在論と知識の自然化:自然種の一般理論とその応用』(2013年12月20日刊行,勁草書房,東京,vi+330+17 pp., 本体価格5,700円, ISBN:978-4-326-10227-3 → 目次版元ページ)の書評記事ふたつ.ひとつは:logical cypher scape「植原亮『実在論と知識の自然化』」(2014年5月30日).「一つの一貫した筆者の説というのが一冊を通じて展開されていて、その一貫性はすごく維持されている」— 御意.もうひとつは:Backyard「植原亮『実在論と知識の自然化』感想」(2014年5月17日).「著者の主張する「自然種の一般理論」は、伝統的分類学に基づく生物種とその実在を擁護するものになるだろうからだ。分岐学によってもたらされた生物種の実在への不安をもつ生物学者にとって、本書は福音である」— 分類学者は読め.本書に対するワタクシの書評:三中信宏「実在論的スタンスの勝利宣言か」(2014年2月8日).

◆月が変わる明日も真夏日は避けられないみたいね.来月の┣┣" 撃ちカレンダー記入.

◆本日の総歩数=3427歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.2kg)/  29.9%(−0.3%)


30 mei 2014(金)※定例経堂出撃日は真夏日

◆午前4時半起床.気温15.4度.日の出.今日も暑そう.

◆[欹耳袋]総務省「平成26年度「独創的な人向け特別枠(仮称)」に係る業務実施機関の公募」(2014年5月22日)※概要 [pdf] には「通称:変な人」とか書かれていて脱力しまくり.「「Disruptive Change」:世界的に予測のつかないICT分野において、破壊的な地球規模の価値創造を生み出すために、大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスなICT技術課題に挑戦する人を支援。閉塞感を打破し、異色多様性を拓く」— 典型的なお役所フォーマットにそんなこと書かれてもねぇ…….それ以前に,「奇想天外でアンビシャス」って恥ずかしくて人前で口にできないし.

◆定例経堂出撃日 —— 午前7時半,つくば駅.今日も夏日は確実だろう.朝からすでに蒸し暑い.いやな季節の到来.午前9時過ぎ,中央線快速は早朝の人身事故でベタ遅れの激混み.新宿でやっと解放された.都内の気温は午前9時前に早くも26.1度と夏日ラインを軽やかに越えている.蒸し暑さも申し分なし.

午前10時,農大キャンパス.夏空が広がる都内は容赦なく蒸し暑い.都内の午前10時の気温は27.0度.真夏日ラインがすぐそばに見えてきた.本日の講義は,先週に引き続き実験計画法の分散分析について.完全無作為化法の数値例を挙げながら,実験計画と正規分布帝国との関わりについて解説します.数値計算の背後にあるパラメトリック統計学のリクツを理解することを目指します.

講義おしまい.正午直前の気温は28.2度.締めきった講義室はガマン大会のようだった.R のデモが不調でカナシイ.今日は完全無作為化法のロジックについて解説しました.データから計算された「F値」の素朴統計学的な意味を理解した上で,「帰無仮説 vs 対立仮説」の世界観のちがいを直感的に把握してください.小難しいリクツはそのあとで十分.平均値に快感を覚えてはいけません.分散にこそ真の悦楽が.

◆[欹耳袋]BLOGOS「残業代ゼロ法案は、やはり「サービス残業奨励法案」だった。- 榊 裕葵」(2014年5月30日)※「名ばかり管理職が合法化される」「責任感の強い若手社員は無償でハードワーク」./首都圏大学非常勤講師組合・早稲田ユニオン分会「【学費・奨学金・非常勤講師】『大学の貧困問題を考えるシンポジウム』6月27日(金)17:00~」.

◆午後4時前,つくば帰還.都内の最高気温は午後1時過ぎの29.0度.しかし,つくばは午後2時過ぎに30.3度となり,今年初の真夏日になっていた.逃げ場のない暑さ.今宵の夕餉には暑気を吹き飛ばすさわやかな “お水” を用意しよう.

氷温室できりきり冷やした喜多方〈奈良萬〉純米生酒「中垂れ」無濾過生原酒の一升瓶にご登場願うしかない.〈奈良萬〉はガスがしゅわしゅわする「おりがらみ」がお気に入りだが,この「中垂れ」も負けず劣らず味わい深い.独特の果実フレーバーはメロンか,もっとトロピカルなかぐわしさ.

今宵のアテは,ブリかまを岩塩振ってオリーヴオイル塗ってオーブンで焼いたもの.ジューシーに焼きあがってよかった.ついでにフェタチーズのオリーヴオイル漬け.もう飲むしかない全力体勢.

◆[欹耳袋]「国際ダニ学会議どすえ」※とても破壊力のある,そして話題性に富むアイコン…….

◆本日の総歩数=10722歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.3kg)/ 30.2%(+0.4%)


29 mei 2014(木)※観音台は夏の気配が濃厚

◆午前5時前起床.気温16.7度.ここ数日は拝めなかった日の出.朝から夏空が広がる観音台はすでに気温が22度を越えている.おまけに湿度も高くて蒸し暑い.気分一新のため何年ぶりかでシベリウス交響曲全集を BGM にしてみる.パーヴォ・ベルグルンド/ヨーロッパ室内管弦楽団.まずは1番から.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来月お呼ばれする学会では,とても “失礼なこと” を口走りそうな気がする(とワタクシが言っているときは必ず口走る)./とりあえず本文テキストの400字×42枚はやっと書き上げたので,InDesign で組版.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝です —— リチャード・ドーキンス[垂水雄二訳]『ドーキンス自伝 1 — 好奇心の赴くままに:私が科学者になるまで』 (2014年5月25日刊行,早川書房,東京,431 pp., 本体価格2,800円,ISBN:978-4-15-209457-5 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]Andrew F. Magee et al. | The Dawn of Open Access to Phylogenetic Data | 23 May 2014.

◆シベリウスの1番と3番が終わり,いま2番が BGM で流れている.

◆[蒐書日誌]特集〈科学エッセイの楽しみ〉 —— 『科学・2014年6月号』(2014年6月1日発行,岩波書店,東京 → 特集目次版元ページ).特集〈科学エッセイの楽しみ〉は「見えるものと見えないもの」(pp. 630-651),「出会いと発見」(pp. 654-675),「科学と社会」(pp. 676-697)の三部構成.各エッセイは見開き2ページ.

◆シベリウスの長い2番が終わったから,あとは静寂交響曲のみ.次は6番,続いて4番.

◆[欹耳袋]ITmedia ニュース「ヤマダ電機の電子書店が閉鎖 購入書籍は閲覧不能に」(2014年5月29日)※オープンしてたった1年半しかもたなかった電子書店.そもそも「本を買った」のではなく「情報を見る権利を買った」だけでしょ.電子本はもともと「本」ではないので,「読めなくなるのはケシカラン」などとと騒ぐことではなく,「媒体にアクセスできなくなりました」というだけの話.たいへんですね.

◆お昼休み BGM はシベリウスの5番と7番.徘徊タイムはキャンセルということで.外気温は26.0度と夏日ラインを軽々クリア.すでに関東平野の西の方では雷雲が発生しているようだ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 外部複写依頼一件.I Tatti Studies in the Italian Renaissance などというジャーナルが農林団地の中にあるはずないではないか./原稿の本文テキストと図版ファイルの計6MBを三田じゃなくって日吉にメール送信.これで大仕事のひとつが完了,シベリウス交響曲全集もちょうど終わり,お昼休みももうすぐおしまい.まだなのはランチだけ〜.

◆[蒐書日誌]ティム・インゴルド[工藤晋訳]『ラインズ:線の文化史』(2014年5月刊行,左右社,東京,ISBN:978-4-86528-101-9 → 目次版元ページ)※速攻発注完了.1年半あまり待ち続けていたけど,やっと出たか.原書:Tim Ingold『Lines: A Brief History』(2007年刊行,Routledge, London, xii+186 pp., ISBN:978-0-415-42426-4 [hbk] / ISBN:978-0-415-42427-1 [pbk] → 版元ページ).本書には系統樹に関する章もあって,『系統樹曼荼羅』で引用した.

◆シベリウス交響曲全集の次,午後の BGM は当然カール・ニールセン交響曲全集へと突き進む.ブライデン・トムソン/Royal Scottisch Orchestra.順番通り1番から.

◆遅いランチとともに『科学』最新号の特集〈科学エッセイの楽しみ〉を読んでいる.加藤真「人魂の行方」というタテ書きの文章がとてもおもしろい.人魂の正体は何かという話.真っ昼間に「人魂」とか口にしたものだから,井上円了『妖怪学全集(全六巻)』が書棚の庫山でごそごそ動いている.千葉聡「愛の矢」.千葉センセも名文家だったんだ.植木不等式「日常からの超常授業」曰く:「オッカムなんか怖くない,とか歌って名を重んずる実在論者には,男はみんなオッカムよ,とか言って脅しつければよろしい.でも女性の唯名論派もいたに違いない.エロイーズはどうだったんだろう」.ずいぶんひさしぶりに,『科学』の特集を読破した気がする.

◆ニールセン1番,2番〈四つの気質〉が終わった.順番通り,3番〈シンフォニア.エスパンシヴァ〉が終わった.次は〈5番〉でしたか.第1楽章で大活躍するカデンツァ・アドリブの小太鼓のような研究者人生を送りたいものですな.ニールセンの〈消し難きもの[不滅]〉を聴いたあとに,6番が始まると,憂き世とはおさらばして,好き放題に生きるよってな感じがする.

◆いま埼玉〜栃木にかかっている雷雲がこれからどういうふうに南下してくるかな.迫りくる雷雲.さあ撤収だ! 職場に長居は無用.ニールセン6番が終わった.午前はシベリウス三昧,午後はニールセン三昧.実に充実した BGM 選曲で,原稿仕事が捗った.

◆本日の総歩数=4190歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.8kg)/  29.8%(−0.1%)


28 mei 2014(水)※蒸し暑い弥生キャンパス

◆午前5時前起床.曇り.気温16.8度.今日は本郷にて専攻教員会議がある.会議資料はすでにダウンロードしたが「266ページ」あった.年度はじめで「353ページ」もあった先月よりは100ページも少ないことを喜ぶべきかどうかビミョー.教員会議に出席するということは3時間で1冊の本を “速読” するようなもの.

◆[欹耳袋]An Acarologist's Blog「ポスドクと保育園」(2014年3月12日)※「少しでもこの現状が改善されないことには,保育園問題で研究を諦めるポスドクが今後増えていくような気がしてなりません」/朝日新聞デジタル「先生専用サイト、人気急上昇 「SENSEI NOTE」2カ月で会員2千人」(2014年5月28日)※〈SENSEI NOTE〉大学のセンセイは埒外.

◆正午過ぎ,弥生キャンパス到着.都内の気温はすでに26.1度.蒸し暑さがこたえる.〈根津のたいやき〉の大行列を横目に,〈往来堂書店〉のウォールを一回りしてから東大へ直行.農学部3号館前の広場に真新しい大きな木のオブジェができていた.休憩所かな.隠れ部屋にて一休み.ご恵贈感謝:垂水雄二『科学はなぜ誤解されるのか:わかりにくさの理由を探る』(2014年5月15日刊行,平凡社[平凡社新書・734],東京,215 pp., 本体価格760円, ISBN:978-4-582-85734-4 → 版元ページ).東大に届いていたので引き取りが遅くなってしまいました.ヌカカのようにまとわりつく┣┣" メールを退治して,そろそろ専攻教員会議の時間だ.

◆[欹耳袋]最初は(まとも)科学的問題だったのに,しだいに(ある個人の)科学者的問題へと展開し,さらに(ある機関の)科学組織的問題へと連なる “地獄の門” が押し開かれるにいたって,「われを過ぎる者,すべての望みを捨てよ」という声が闇の中から聞こえる.

◆午後4時前,専攻教員会議は た っ た 3時間で終わった.学期制が4タームになったら時間割編成が「タイヘンなことになりますよ」ということがよくわかった.新入生相手の新設必修科目の負担が降ってくるとかで,今日の教員会議はてんやわんや.まだ全体像がよく見えていないのですが,駒場に “人身御供” を出すって感じ.右も左も分からない駒場の新入生に,右も左も分からない本郷の教員が右往左往するという先入観が今日の専攻教員会議では広がっていた.それ以外にも,田無での農場実習スケジュール変更に伴う,専攻内の体制変更とか.

◆[欹耳袋]科学基礎論学会大会の講演要旨が公開されている.2014年6月14日(土)〜15日(日)@慶應義塾大学三田キャンパス.ワタクシの要旨も pdf で公開されてます.

◆教員会議の後,千駄木を徘徊してからつくば直帰.外気温は27.7度まで上がったが,東京アメッシュを見るかぎり文京区限定スコールの心配はなさそう.TX でたまたまつくばに向かう Saitou センセと乗り合わせた.今夜,科博でセミナーがあるとのこと.つくばも27.7度の最高気温だったようで,夕暮れになっても気温がぜんぜん下がらない.Ʊ”-ʓ Ʊ”-ʓ Ʊ”-ʓ.

◆本日の総歩数=8774歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(−0.1kg)/  29.9%(0.0%)


27 mei 2014(火)※走り梅雨で不快指数高し

◆午前5時前起床.本降りの雨.気温17.4度.明け方までは本降りだったが,いまは霧雨降る降る観音台.午前8時の気温は18.4度.湿度が高いので爽快ではない.先週木曜以来,4日ぶりに居室に入ったら,着弾本が積み上がっていた.とりあえず,窓を全開にして扇風機オン.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前10時からキャリアデザイン個人面談.やっぱり “研究者人生相談” みたいな話になってしまうな.若いうちは「短距離スプリンター」として駆け抜けるのもありだが,いつまでもそういう研究者人生を送っていられるかという根本問題./┣┣" 撃ちリスト更新.

◆[欹耳袋]読売新聞「「ポスドク」就業、国が支援…研究ポストを拡大」(2014年5月27日※「正規の職に就けるよう国立大に促す方針だ」— “国立大に促す” “国立大に促す” “国立大に促す” ,はい,三回復唱しました.「ない袖は振れない」とか「絵に描いた餅」とか「万歳トツゲキ」とか,ありとあらゆる悪口を呟きたくなる.

◆午前のうちに雨はもう上がり,西から空が明るくなってきた.午前10時の気温は20.1度.北風が吹いても蒸し暑い.雨上がりの昼下り,水蒸気たっぷりの雲が湧き上がる青空.気温は24.3度まで上がり,蒸し暑いことこの上なし.短縮コースで農林団地周辺徘徊.あっつー.歩き読み本:マイク・モラスキー『日本の居酒屋文化:赤提灯の魅力を探る』(2014年3月20日刊行,光文社[光文社新書・687],東京,244 pp., ISBN:978-4-334-03790-1 → 目次版元ページ)の第1章「「居酒屋学」の基礎概念」を読む.

◆[蒐書日誌]亜紀書房は(ますます)変わったな —— マイケル・ブース[寺西のぶ子訳]『英国一家、日本を食べる』(2013年4月15日刊行,亜紀書房,東京,279 pp., 本体価格1,900円,ISBN: 978-4-7505-1304-1 → 版元ページ).タイトルよりも内容よりも,まずは「あの亜紀書房が……」と言葉をなくす世代はもう “化石” だ(笑).しかも,たった一年足らずで「14刷」とは.かの『公害原論』の版元の快挙.

原書は:Michael Booth『Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking』(2009年刊行,Vintage Books → 版元ページ著者サイト1著者サイト2).有力紙にも書評が: The Guardian | The Independent

マイケル・ブース[寺西のぶ子訳]『英国一家、ますます日本を食べる』(2014年5月29日刊行,亜紀書房,東京,214 pp., 本体価格1,500円,ISBN: 978-4-7505-1408-6 → 版元ページ).前著の原書のうち,翻訳されなかった章+αという構成.

◆午後の┣┣" 撃ち —— キャリアデザインシート修正提出./Systematic Biology 63(3) May 2014 の書評群はすべて読まないと! そのひとつ J. W. Wägele の書評文に「the dogmatic "Farris school" and its aggressive style」(p. 451)と書かれていて,これはもううなずきまくるしかない.Hennig Society Meeting のお行儀の悪さを一度でも体験したら,他のすべての学会は “法事” みたいな静けさと品の良さだ./_φ(..) . .. . ... . ... . .. . . . ..

蒸し暑かった今日の締めくくりは “美人さん” の登場.秋田醸造〈ゆきの美人〉特撰純米吟醸.しとやかな酸味と旨味.モッツァレラ・トマトと豚ロース味噌漬けをアテに.いい夜を.

◆[欹耳袋]5号館のつぶやき「札幌も花 理研騒動に対する最後のコメント」(2014年5月27日)※「彼らにとって、ScienceやNatureに掲載されることだけが大事で、科学者として誠実に科学に向き合うという姿勢が見えてきません」— 今回の “劇場” から得られる教訓はもうなくなってしまったということ./47NEWS「理研に自浄作用ないと改革委員 大阪大准教授、講演で」(2014年5月27日)— 最初は(まともな)科学的問題だったのに,しだいに(ある個人の)科学者的問題へと展開し,さらに(ある機関の)科学組織的問題へと連なる “地獄の門” が押し開かれるにいたって,「われを過ぎる者,すべての望みを捨てよ」という声が闇の中から聞こえる.

◆明日は本郷にて専攻教員会議がある.会議資料はすでにダウンロードしたが「266ページ」あった.年度はじめで「353ページ」もあった先月よりは100ページも少ないことを喜ぶべきかどうかビミョー.教員会議に出席するということは3時間で1冊の本を “速読” するようなもの.

◆本日の総歩数=7630歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(−0.2kg)/  29.9%(−0.6%)


26 mei 2014(月)※霧雨がしたたる水沢観音

◆午前5時起床.曇り.気温18.4度.今日は上州ミッション榛名山編.午前5時半には出発準備完了.

◆爆走関東平野 —— 午前6時前につくばを出発し,常磐道から北関東道へ.小雨のそぼ降る東北道を経由してを群馬県に入り,藤岡インターを降りたのが午前8時だった.〈ららん藤岡〉で一休みしてから榛名山を目指す.ちょうど週明けの出勤時間帯だったので,烏川沿いの国道17号は激混み.上並榎で国道とおさらばし,榛名山の中腹にある現地に到着したのは午前9時過ぎだった.

霧雨の降る中,現地には高崎市役所の担当者やら,不動産業者やらがわらわらと参集し,センチ単位の土地測量を小一時間.境界線をあれこれ検分して,午前10時前にワタクシの本務は終わった.林間地をゆらゆらとヒゲナガガが浮遊していた.

さてこれからどうするかと思案し,ひさしぶりに伊香保温泉手前の水沢観音へ.平日の午前だというのに,バスを連ねての観光客団体がぞろぞろ.榛名山の山懐に抱かれた本殿は彫り物が美しい.仏像がマニ車のようにぐるぐるまわる六角堂.他の寺社では見たことがない.

わざわざ水沢に来て「水沢うどん」を食べずに帰るのは罰当たり.水沢観音の下にズラリと店を連ねるうどんの聖地.今日は〈松島屋〉にてスタンダードなざるうどんと山菜の天麩羅.光り輝くつやつやの水沢うどんをつるつるすする快楽.

しかし,うどんだけではちと心もとないので,水沢からさらに下ったところにある〈鹿火屋〉に立ち寄る.苔むした水車小屋がある昔ながらの民家の造り.ここの名物は何と言っても〈芋串〉.芋串を注文すると,店先の炭火でていねいに焼いてくれる.里芋を串に刺して,くるみ味噌で炙り焼き.時間はかかるが待つのもまた愉しみのひとつ.焼きたて熱々の芋串を頬張る!

帰り道は,高速道は使わずに,前橋まで下って,敷島公園の満開のバラ園を横目に,大混雑の国道50号で下館まで東進.そして,筑波山沿いを南下し,午後3時半に帰還した.群馬県内は雨が降っていたが,栃木県も茨城県も曇って南からの強風が吹くのみ.こちらが雨になるのは明日か.

◆[蒐書日誌]岩波『科学』2014年6月号は本日5月26日発売.特集〈科学エッセイの楽しみ〉.目次が公開されている./つくばでの統計ワルダクミ,神戸での展示ワルダクミ,そして研究資金をぶんどるワルダクミが立て続けに着弾する.研究者はワルダクミをしてなんぼの業界.

◆今日は北関東爆走疲労がかなり溜まっている.

◆本日の総歩数=4430歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


25 mei 2014(日)※夏日の午後は蝉の初鳴き

◆午前5時半起床.曇り.気温17.4度.午前7時,よく晴れてきた.午前7時の気温はすでに20.6度.

◆[欹耳袋]DATAFILE.JPN|NHK NewsWeb「第5回 博物館が“限界”に」(2014年5月25日)/朝日新聞デジタル「吉田調書:福島第一原発事故、吉田昌郎所長の語ったもの」(2014年5月20日〜).

◆┣┣" 撃ちサンデー —— 昨日の計量生物学会特別セッションの座長報告を事務局に送信.たった「5ツイート」分の文字数なのでラクラク./VAIO Pro が盛大な更新祭典の真っ最中なのだが,Windows 8.1 Update が何度もコケて,そのたびに再実行を迫られるという賽の河原状態.日頃まったく使わないからこそ,こまめにアップデートしておかないといざというときに痛い目に遭う.それにしても更新に何度も失敗し,まだ終わらない.1GB ものアップデーターを送りつけてくるのは理不尽だ.あー,また落ちた.けっきょく,2時間ほどかかっての「更新の祭典」はやっと閉幕した.どんなに落ちようがめげずに再試行し続ければ,1〜2時間ガンバれば最後には成功する(壮大な時間のムダだけど)./統計コンサルタント業務一件かたづける.統計分析「悩みの相談室」は週末もオープンしています.

◆[欹耳袋]酒類総合研究所「平成25酒造年度 全国新酒鑑評会 入賞酒一覧表」※日々是勉学.それにしてもいったいどんな基準で選定しているんだろう……(入賞酒多過ぎ).

◆観音台は朝から薄曇り.日差しはないが,気温は昼前に26.4度まで上がり,今年初の蒸し蒸しする空模様.農林団地は蝉の初鳴き.

◆夏日ラインを越えて蒸し暑かった今日の締めは辛口で行きましょう.東出雲〈王祿〉25BY春季限定「超王祿」無濾過生原酒.最近は “超” が付いてさらにパワーアップ.酸味の効いたフレッシュ感は暑い季節にピッタリ.〈玉川〉の Ice Breaker よりもさらに目が覚める威力.桶ごとの限定生産.肴は魚で:1) 秋刀魚の梅干し炊き.はらわたを抜いた秋刀魚を昆布だし・味醂・酒・醤油でさっくり炊きあげる.梅干しと和山椒(ホール)そして新生姜のスライスとともに.注意点はただひとつ.炊き始めたら鍋を揺すったりひっくり返したりしないこと.秋刀魚の皮がやぶれて見てくれが残念なことになります; 2) 鰹のアラと大根をたっぷりの新生姜とともに炊き上げたもの.こちらは常備菜として濃い目の醤油味に仕上げる.原材料費たった300円(アラ500グラム100円[割引価格],大根一本200円)ほどで,鍋いっぱい.経済的ですなあ.

◆明日は上州ミッションで北関東爆走の予定.

◆本日の総歩数=4056歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(+0.2kg)/ 30.5 %(+0.4%)


24 mei 2014(土)※統数研にて席亭のお仕事

◆午前4時くらいから置きたり寝たり.前夜の背徳の報いか.午前6時過ぎ,やっと起床.朝ごはんをすませてからチェックアウト.朝から強い日差しにくらくらする.立川駅のコインロッカーにスーツケースを放り込んでから,モノレールで高松駅まで.てくてく歩いて,日本計量生物学会年会会場である統計数理研究所に到着したのは午前9時半.

◆[欹耳袋]今日のお仕事 —— 日本計量生物学会特別セッション〈ゲノム情報学・農学・生態学における統計モデリング〉【日時】2014年5月24日(土)13:00〜15:30【場所】統計数理研究所大会議室(立川).

  • [立川]特別セッション〈ゲノム情報学・農学・生態学における統計モデリング〉開始なう.座長席からツイートちう. #biomet2014 posted at 13:05:52

  • #biomet2014 最初のトークは岩田洋佳さん「ゲノム育種のための情報解析を支える統計モデリング」. posted at 13:08:29
  • #biomet2014 ゲノミック・セレクション(GS).表現型形質 y をゲノム情報 x で予測する. posted at 13:10:47
  • #biomet2014 日本梨の育種.長期間かかる果樹育種の効率化と高速化. posted at 13:12:10
  • #biomet2014 およそ800DNAマーカーを用いて表現型形質をモデル化する.ただし表現型形質はカテゴリー的で,ダイレクトに観察できないかもしれない. posted at 13:17:12
  • #biomet2014 梨の収穫期に関するゲノミック・セレクション.いい線いってる. posted at 13:24:00
  • #biomet2014 表現型形質の圃場サンプリングはほんとにタイヘン.ゲノミック・セレクションでこの育種作業がラクになれば. posted at 13:25:29
  • #biomet2014 オンデマンド育種. posted at 13:25:52
  • #biomet2014 オンデマンド育種とは,地域ごとの環境条件に寄り添ったオーダーメイドの育種ということ.不適地にも栽培できる品種を育種するというイメージ.GSを使うとそういう可能性もある,とのこと. posted at 13:34:26

  • #biomet2014 次の講演は山村光司さん「植物検疫における外来生物根絶確認のための統計分析」. posted at 13:35:11
  • #biomet2014 ウメ輪紋病の事例.病樹率の異質性はガンマ分布,病樹発見率はポアソン分布とすると,病樹数は負の二項分布となる. posted at 13:45:51
  • #biomet2014 カンキツ・グリーニング病の事例. posted at 13:56:15
  • #biomet2014 植物防疫は「いかに侵入を食い止めるか」というリスク管理の大問題. posted at 14:03:28

  • #biomet2014 次の講演は高橋一男「昆虫の形態の安定性を制御するゲノム領域の探索:定量化と統計分析」. posted at 14:04:01
  • #biomet2014 The Interactive Fly ow.ly/xdbYH posted at 14:06:44
  • #biomet2014 表現型形質の安定性=表現型分散が小さい.この安定性は何に起因するのか. posted at 14:09:01
  • #biomet2014 Conrad Waddington のキャナライゼーション. posted at 14:11:09
  • #biomet2014 Hsp90 の形質安定化効果. posted at 14:15:32
  • #biomet2014 幾何学的形態測定学の話.ショウジョウバエの前翅の Procrustes fitting. posted at 14:18:58
  • #biomet2014 かたちと遺伝的基盤の関係はフクザツすぎて. posted at 14:28:51

  • #biomet2014 最後の講演は粕谷英一さん「生態・行動データの統計モデリングにおける問題点」. posted at 14:34:59
  • #biomet2014 日本の生態学者の統計学リテラシーは必ずしも高くないのではないか. posted at 14:39:08
  • #biomet2014 「以前の統計手法も併存する」「統計的手法の長所・短所の認識が薄い」「年齢層による “なじみの方法” は激しく分裂している」 posted at 14:44:00
  • #biomet2014 空間分布する生物集団の個体数をどう計測するか.ランダムなポアソン分布をはさんで overdispersion(集中分布)と underdispersion(一様分布)がある. posted at 14:48:16
  • #biomet2014 分布集中度に関する森下の指数や巖の指数は “日本の生態学のお家芸” だったにもかかわらず,その「意味」は忘れられつつある. posted at 14:52:34
  • #biomet2014 「いる」という情報はたくさんあるが,「いない」という情報はほとんどない(presence-only data). posted at 14:54:39
  • #biomet2014 生物の「存在」記録が地点のランダムサンプルであると考えると解ける. posted at 14:56:41
  • #biomet2014 【質問者】ノンパラメトリック検定は不等分散の場合にも適用できるか?/【師曰く】ダメな状況がありますよ. posted at 15:00:34
  • #biomet2014 【質問者】AIC が選ぶモデルは正しいんですか?/【師曰く】AIC は正しいモデルを選ぶものではないので,正しいモデルを選ばない. posted at 15:02:01
  • #biomet2014 (承前)今年の生態学会大会小集会では驚異的なレスポンスの数だった. posted at 15:02:58
  • #biomet2014 久保師の「ゆーい差決戦主義」より,もっと重篤な「決戦主義」すなわちデータを入れれば正誤が決まるという先入観が広まっている. posted at 15:04:44

  • #biomet2014 コメンテーター島谷健一郎さんの登場なう. posted at 15:06:17
  • #biomet2014 総合討論タイム.三輪哲久 versus 粕谷英一なう. posted at 15:15:10
  • #biomet2014 伝統的な統計的検定は「action」に直結するので必要だ.(アメリカ統計学会での政府関係者の弁) posted at 15:18:19
  • #biomet2014 柳川尭 versus 粕谷英一なう. posted at 15:21:55
  • #biomet2014 統計学をいかに教えるべきか.「決戦主義」をどう打倒すべきか. posted at 15:27:56
  • #biomet2014 QTL 解析がダメだったので GS が登場した. posted at 15:28:25
  • @leeswijzer #biomet2014 岩田さんのコメント. posted at 15:28:55
  • #biomet2014 特別セッション終了なう. posted at 15:34:13

◆今日の都内は夏日ラインを超えてるのね.朝から統数研にずっと幽閉されていて外を見ていない.セッション演者のみなさんと立川駅前で軽くいっぱい.ヱビス生で乾杯したあとは,〈屋守〉〈王祿・超辛口〉〈作・恵の智〉〈新政 No.6〉.これくらいでは「うう……」レベルに達しない.午後9時半,つくば帰還.ちょっとだけ呑んで帰ってきたにしてはなんだか「うう……」な感じで困った.累積疲労のせいか.

◆本日の総歩数=10826歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


23 mei 2014(金)※経堂から立川へ遁走する

◆午前4時半起床.曇り.気温12.4度.しっとり涼しい.午前7時半,つくば駅.曇り空,気温13.2度.北東風が涼しい.定例経堂出撃日.今回はさらに立川方面に転戦せよとの重要ミッションがある.午前9時前,新宿駅.都内は晴れてはいるが薄雲が広がっている.気温15.9度.小田急乗り換え.

◆[蒐書日誌]岩波『科学』2014年6月号は5月26日発売とのこと.特集〈科学エッセイの楽しみ〉.ワタクシも寄稿しました:三中信宏「「路上観察学」的アンテナを張りめぐらす」./ご恵贈感謝:『科学哲学科学史研究・第8号』(2014年3月31日発行,京都大学文学部科学哲学科学史研究室 → ポータルサイト京大リポジトリ).

◆午前10時前,農大キャンパス.雲は多いがいい日和.隣りの農大一高グラウンドからは球技大会の歓声が.ここ農大世田谷キャンパスで,今日と明日の二日間にわたってシステム農学会2014年度春季大会が開催される(立て看があった).知り合いが多いので講義が終わったら即効で撤収しないと.今日の講義は実験計画法.しかし今日は何やら大学側のイベントがあったらしく,出席者が少なかった(出席カードの回収数がいつもどおりなのはご愛嬌[筒抜けでっせ]).

◆立川の昼と夜 —— 農大の講義を終えて,登戸から南武線経由で立川に向かう.東京のこのあたりは土地勘がぜんぜんないので,どこも駅も同じに見えてしまう.午後2時過ぎに立川駅南口に降り立つ.とりあえず,中央線沿いのピンクのアパートにある〈食堂 marumi-ya〉にて日替わり玄米定食を注文.遅すぎるお昼ごはん.その後,ホテルにチェックイン.引きこもってひたすら原稿書き.

暗くなってきたので徘徊タイム.ホテルのすぐ近くにある居酒屋〈青海〉へ.まずは新潟〈村祐〉茶ラベルから.お通しはホタルイカとタコの酢の物.次は山形〈楯野川〉純米大吟醸・本流辛口.鯖味噌煮とともに.広島〈酔心〉純米・濃醇辛口之酒.馬タン刺しとともに.酸味のある長野〈十九〉純米生酒には鮫軟骨の梅肉和え.〈大七〉生酛純米古酒「不倒翁」が目の前にある.その燗酒はうますぎて死む.さらに山口〈東洋美人〉おりがらみと神奈川〈昇龍蓬来〉生酛純米.

—— 立川背徳ナイトはこれにて完了.うう…….

◆[欹耳袋]馬車馬のように「大学は変わってきた・・」(2014年5月21日)※「見た目にもかなりダメージが蓄積しているボクサーがインターバルに休もうとしたらなぜかゴングが鳴らずさらにラッシュを受ける、といった印象」.あるいは,短距離走のつもりで全速力で走っていたら,ゴールがどんどん遠のいていくイメージ.

◆明日はシンポジウムのオーガナイザー兼司会というお仕事がある.

◆本日の総歩数=11675歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.8kg(−0.3kg)/ 30.1%(+0.3%)


22 mei 2014(木)※からりと晴れてまた雨が

◆午前5時前起床.雨雲は消え去り,日の出ぎらぎら.気温9.9度とひんやり.午前6時の時の鐘が鳴り響く.昨日の雨空から一転して,今朝は朝からからっときりっと晴れ上がる.観音台は前日のなごりの水たまりがあちこちに残っていた.今朝の最低気温は9.6度まで下がったが,日中は夏日になりそう.

◆[蒐書日誌]羊土社『実験医学』2014年6月号が着便.連載〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉第3回:「データのふるまいをモデル化する」(pp. 1427-1433).

◆午前の┣┣" 撃ち —— 隔年で提出している「キャリアデザインシート」なる文書をちょちょいとひねり出してメール送信.個人面談は来週始めの予定.若手研究者の場合,キャリアデザイン面談というのはそれなりに “実質” のある「輝く未来」を目指そう的なタテマエがある.一方,ある程度のシニア世代研究者になると,面談というよりもお疲れ気味の「人生相談コーナー」と化したりする.だいたい,面談したくらいで,研究者キャリアがデザインできるんですかっ!という根本問題があるわけでして.さすがに “偏差値” を前にして “進路指導” されたり “志望校” を変えさせられたりすることはないが,定期的に個人面談するのは研究所の方針なので,窓口となる管理職もたいへんといえばたいへん.

◆[欹耳袋]まだ残響が —— 毎日新聞「万能細胞:STAP論文問題 小保方氏採用も特例 通常審査の一部省略 理研CDB、秘密保持に重点」(2014年5月22日)/NHK NewsWeb「STAP 不正認定以外にも複数の疑義」(2014年5月21日).

◆まだピンポイント雷雨の気配はまったくないが,午後は要注意か.大田区・品川区あたりをいま水浸しにしている雷雲はきっとつくばに瞬間ワープしないだろうから,昼休み徘徊は決行だ.昼休みの観音台は強い西風に削られたレンズ雲があちこちに浮かんでいた.気温は24.8度まで上がり,肌寒かった昨日と比べると暑さが身に沁みる.それでも,空気が乾いていてカラッとした陽気だった.歩き読み本:岡田喜秋『定本 日本の秘境』(2014年2月1日刊行,山と渓谷社[ヤマケイ文庫],東京,382 pp., ISBN:978-4-635-04766-1 → 版元ページ).最後のセクションは「湖」.津軽の十二湖,信州・開田高原,そして南蔵王の高原ユースホステル.これにて読了.

◆[蒐書日誌]スタン・ナイト[髙宮利行監修/安形麻理訳]『西洋活字の歴史:グーテンベルクからウィリアム・モリスへ』(2014年3月31日刊行,慶應義塾大学出版会,東京,108 pp., 本体価格6,000円,ISBN:978-4-7664-2111-8 → 版元ページ).ずいぶん以前に,似たようなタイトルの大形本を買ったはずと書棚探索したら出てきた:スタン・ナイト[髙宮利行訳]『西洋書体の歴史:古典時代からルネサンスへ』(2001年4月25日刊行,慶應義塾大学出版会,東京,118 pp., 本体価格6,500円,ISBN:4-7664-0834-9 → 版元ページ).「書体」に続いて「活字」というわけね.はい,買います買います.

◆午後の┣┣" 撃ち —— _φ(..) . ... . .. . ..... . .. .. .. ... .

◆午後5時前から雨がぱらぱら降り始めた.西方から兇悪な雷雲が接近している.要注意.雷雨にこそならなかったが,夜は雨が降ったり止んだり.冷たい東風が吹く.

◆本日の総歩数=9151歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.1kg(+0.7kg)/  29.8%(+0.1%)


21 mei 2014(水)※終日ずっと雨が降り続く

◆午前5時前起床.夜中から雨が降りだした.気温17.3度.気温はじわじわ降下中.梅雨が先走ってきたかのような土砂降りの観音台.午前8時の気温は15.4度とさらに下がっている.雨雲軍団の本体に覆われているのか.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 1930年の Modern Philology 誌に載った古典文献学の論文を読んでいる.学問上の論争の闘い方がとても “風雅” で趣きがあり,隔世の感を覚える./さて,そろそろ所内領域会議が始まる.これからの “逃げ道” をどうひねり出すかを考えないといけない.一時間ほどで会議終了.所内での “逃げ道” がとても大切であることがよくわかった.とりあえず所内LANに接続する Windows PC はすべて “廃棄処分” 扱いということでいいのかな.

◆[欹耳袋]アメリカポスドクの歩き方「逃げ道のススメ」(2014年5月19日)※学生や大学院生だけではなく,誰もが “逃げ道” を用意しておく必要がある時代.

◆お昼前,シャワーのような霧雨がさらさら降り続いている.気温は18.1度.さすがにこの雨では徘徊できないねー.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「文科省、若手研究者を共同育成 複数研究機関受け入れ 」(2014年5月19日)※「ある機関で任期を終えても、次の就職先を確保できるようにする」— 合計して5年間ということか.複数の研究機関を渡り歩くポスドクの契約最終年度が次の就職活動でムダにならないように,あらかじめ複数機関の連携をはかろうということらしい.「5年間」は雇用が保証されるが,その先は…….それに,この制度,人数ワクが狭すぎて,はたして効果的な方策なのかがそもそも疑問だ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— _φ(..) . ... . .. . ..... . .. .. .. ... .

◆昼過ぎから雨脚はさらに強まり,吹き荒れる北風に煽られて横殴りの降り方になってきた.午後5時前に撤収.小雨がまだ降り続いているが,西から空が明るくなってきた.午後5時の気温は15.4度.日中の最高気温は18度に達しなかった.外は冷たい北風が吹いている.

◆今日2014年5月21日はメアリー・アニングの215回目の誕生日ということで,Google 画像も彼女シフトのおめでとう画像になっていた.吉川惣司・矢島道子『メアリー・アニングの冒険:恐竜学をひらいた女化石屋』(2003年11月25日刊行,朝日新聞社[朝日選書・739],東京,339+V+4 pp., ISBN:4-02-259839-5 → 書評・目次版元ページ)を読んだのはもう10年も前のことだった.

◆明日も原稿書きの日々が続くのだ.

◆本日の総歩数=2366歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(−0.1kg)/ 29.7 %(0.0%)


20 mei 2014(火)※蒸し暑い天気は下り坂に

◆午前5時起床.気温13.7度.薄曇りの空からときおり朝日が差し込む観音台.午前8時の気温は19.6度と高い.空気が湿っていて爽快ではない.これから下り坂の予報.朝イチの BGM はレオンハルトのバッハ〈パルティータ〉全曲.

◆[欹耳袋]関東財務局「茨城県つくば市内の廃止宿舎の売却スケジュールについて」(2014年5月20日) Cf: つくば中心市街地再生推進会議最終報告

◆午前の┣┣" 撃ち —— またまた発作的現実逃避清掃行動に没入.大量の紙ゴミを廃棄し,埋もれていた過去の資料が奥底から変成岩化して出土した./進化学会ニュース原稿送信.テキスト5,900字と書影ひとつ.

◆忘れないうちにレスしておきますねー:

  • #NodaiStat 【質問】「正規分布は “神” であるとのことでしたが,嘘をつかない数字をデータ化した統計学も嘘をつかないのかな」/【回答】ヒトは簡単にころっとダマされる生きものなので,数字や統計学をふっと信心しそうになったら要注意.統計学者は肉食系なので信じてはいけません. posted at 15:12:32
  • #NodaiStat 【質問】「配布プリントを読んでも正規分布がイマイチ理解できません」/【回答】確率分布の密度関数をいくら見つめても御利益はありません.Rコマンダーを起動して,確率分布のグラフをどんどん描いてみる方が精神衛生上よろしいかと. posted at 15:23:27
  • #NodaiStat 【質問】「中心極限定理はサンプル数が少なくても正規分布に近づくのにビックリしました」/【回答】Rが使える環境があれば,「library(TeachingDemos); clt.examp(i)」の「i」を 1,2,3,... と変えるだけで追体験できます. posted at 15:28:39
  • #NodaiStat 【質問】「中心極限定理がフシギすぎます.どんな母集団であっても標本平均の極限値が正規分布になるって」/【回答】数学的な証明はちゃんとあるのですが,まずは中心極限定理のパワーを感じ取るのが先決です.パラメトリック統計学の威力を垣間見るということで. posted at 15:32:51
  • #NodaiStat 前々回の講義内容に関する補足です.一変量の確率分布の間の関連付けを示すサイトは〈Univariate Distributions Relationships〉 ow.ly/wZxFo です.百以上の確率分布からなる “樹海” です. posted at 15:36:59
  • #NodaiStat 次回の講義は実験計画法の本論です.具体的な数値データをお見せしながら統計的データ解析について解説します. posted at 15:38:27

◆昼下りは薄曇りのぼんやりした空模様.正午の気温は23.3度と夏日ラインに達していないが,蒸し暑くて不快指数が今年初めての高さ.本日の昼休み徘徊は短縮コースを一回りしてきた.歩き読み本:岡田喜秋『定本 日本の秘境』(2014年2月1日刊行,山と渓谷社[ヤマケイ文庫],東京,382 pp., ISBN:978-4-635-04766-1 → 版元ページ).四国最南端の足摺岬からいきなり根室の野付岬で国境の海を眺め,再び四国の室戸岬へとUターン.返す刀で日本海の隠岐諸島まで足を伸ばす.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 昆虫学会大会〈秋の学校〉の講演要旨を送信.西条の蔵元エクスカーションは確実に実現するらしい./_φ(・・) . ... . ... . .. . .. .. .

◆湿った東風が吹き抜ける夕暮れタイム.雲がしだいに厚くなってきたが,雨の気配はまだない.午後5時の気温は20.5度.今宵はさっそうと登場するペンギンさんの出番だ.梅雨が近づき日に日にジメジメ度が高まってくると,酒屋の冷蔵庫に夏向きの生酒が並び始める.今日は不快指数の高い日だったので,京丹後〈玉川〉の「Ice Breaker」純米吟醸生原酒を開栓.最初はメロンと生ハムから始まる精緻な夕餉.「Ice Breaker」は一升瓶と500cc瓶の二種類がある.涼し気なのは500cc瓶の細身のブルーボトル.恒例のペンギンさんが仁王立ちしている.お作法はオンザロック.生活クラブのベーコンでつくったジャーマンポテトとともに.たった500ccじゃ,あっという間に空っぽだ.主食は盛岡じゃじゃ麺.これからの季節はこういう日本酒の飲み方が多くなる.

◆本日の総歩数=7412歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.1kg)/  29.7%(+0.1%)


19 mei 2014(月)※扇風機が大活躍の週明け

◆午前5時前起床.気温14.8度.日の出なう.北東風が涼しい.週明けの観音台は朝から青空が広がっている.午前8時の気温は19.3度.今日も夏日になるのだろうか.

◆午前の┣┣" 撃ち —— そろそろ,三田に提出する文献系統学の book chapter 原稿を仕上げないと,天下無敵の鉄壁図書館から “刺客” が来るぞ来るぞ./秋の出張伺を半年前から出すんですかそーですか.ネ申エクセル書式に死にそうになる.

◆昼休みの外はまぶしい日の光に満ちている.正午の気温は21.6度.東風が心地よく涼しい.周辺徘徊を小一時間.垂水雄二『科学はなぜ誤解されるのか:わかりにくさの理由を探る』(2014年5月15日刊行,平凡社[平凡社新書・734],東京,215 pp., 本体価格760円, ISBN:978-4-582-85734-4 → 版元ページ)読了.生物学・医学・物理学など自然科学の歴史的な話題と現代的なトピックスを題材にしている.筆者は科学の用語や概念は一種の「ミーム」であって,メディアを「ヴィークル」として変遷・伝播していくという科学コミュニケーションの捉え方を本書で提唱している.

◆[蒐書日誌]Willi Hennig が生きた時代をたどる —— Michael Schmitt『From Taxonomy to Phylogenetics: Life and Work of Willi Hennig』(2013年4月刊行,Brill, Leiden, xvi+208 pp., ISBN:978-90-04-21928-1 [hbk] → 目次版元ページ).昨年2013年は Willi Hennig の生誕百年に当たる(Wheeler et al. 2013).1960〜70年代の体系学論争で戦い続けた三学派のうち進化分類学派を率いた Ernst Mayr と数量表形学派の領袖 Robert Sokal の伝記はすでに出版されている(Haffer 2007, Schomann 2008).残る分岐学派の創始者 Willi Hennig の伝記が本書である.読み始めてからずいぶん時間がかかってしまったが,週末の大菩薩峠修行の行き帰りで読了.前半100ページは正しい意味での伝記.後半は70ページは,Hennig の業績がどのような学問的波及効果をもたらしたかを考察している.

短い第1章「Introduction」(pp. 1-3)に続く長大な第2章「Willi Hennig's Biography」(pp. 5-100)が本書の中核をなす伝記部分である.Hennig の家族へのインタヴューや未公開資料,元同僚や関係者からの情報提供を踏まえて書かれたこの伝記には,これまで知られていなかった Hennig の生い立ちや学校での教育,結婚生活や研究活動の詳細が報告されている.とりわけ興味深かったのは,第二次世界大戦前後のドイツの政治情勢との関わりだ.Willi Hennig がイタリアでの捕虜生活を終えて戻ってきた彼は,ベルリンのドイツ昆虫学研究所(DEI)に勤務した.生活と仕事の場は東西ベルリンにまたがっていた.ところが,1961年に東西ベルリンを隔てる「壁」によて Hennig の生活は一変する.それでも毎日「壁」を越えて東西ベルリンをまたいで通勤するという生活がその後もずっと続いたとのこと.当時の政治状況を考えれば特例扱いだったのだろう.

当時の旧東独には悪名高い国家秘密警察「シュタージ(Stasi)」が暗躍していた.勤務先のドイツ昆虫学研究所にもシュタージの諜報員が潜入していて,Willi Hennig の研究活動はすべてシュタージに把握されていたとのこと.Willi Hennig がアンチ共産主義者だったこともシュタージに目をつけられた理由の一つだったのだろう.「壁」が崩壊する前の旧東独での研究活動がどのようなものだったかがうかがわれる記述が延々と続く.東西ドイツ時代の事前知識がないとつらい.脇道だが,「シュタージ」についてもっと知りたければ,ドイツ映画〈善き人のためのソナタ〉を見るように.

本筋に戻ろう.Hennig は頻繁に国際会議にも出席していたので,ベルリンの「壁」以降の冷戦時代にあっても,研究生活上は大きな支障はなかったとのこと.ただし, “西側” の研究者にとって Hennig の書く晦渋なドイツ語は最大の障害だったらしい.Willi Hennig は英語がまったくできなかったらしい.自分の論文はもちろん,英語圏との研究場の手紙のやり取りもすべてドイツ語で通していたようだ.主著『Phylogenetic Systematics』(1966)をはじめ彼の名で出版された英語の著書や論文はすべて他者に英訳してもらったとのこと.

第3章「Willi Hennig's Personality ― The Shy Revolutioniser」(pp. 101-108)は,Hennig の人柄について.彼はブリリアントな講演ができ,流暢な文章を書けるタイプの研究者ではなかったそうな.交際範囲も “狭く深く” がモットーだったようだ.第4章「The Taxonomist」(pp. 109-118)は双翅類分類学者としての Hennig の業績について.

続く第5章「The Systematist」(pp. 119-162)は Hennig の系統体系学理論(Hennig 1950, 1966)の波及効果を年代を追って叙述する.Hennig は系統発生の「一般法則」を見つけ出そうとして,形質変換系列の偏位則(deviation rule)と地理的分布に関する前進則(progression rule)を系統復元の要に据えていた.したがって,英語圏でのパターン分岐学のような新たな考えには距離を隔てたに違いないと著者は推測する.とくに,形質状態の方向性判定は系統復元に先立って総合的になされるべきであって,たとえば最節約原理によって機械的に判定するものではないと考えていたらしい.Steve Farris が1960年代末に最節約法に基づく系統推定アルゴリズム(Wagner法)を開発したのは,Hennig からの影響ではなく,植物学者 W. H. Wagner のアイデアに着想を得たと証言している(Farris 2012).

体系学論争の最初期に何があったのかはまだよく解明できていない.David L. Hull の壮大なゴシップ本(Hull 1988)には,Hennig の英語での主著『Phylogenetic Systematics』(1966)は,翻訳者たちが “観念論形態学” に毒されていたので,ひどい訳になったとけなしている.しかし,Schmitt はドイツ語原稿と英訳文とを比較した上で,あんな晦渋な Hennig の文章をよくぞ翻訳できたとむしろ高く評価している.

第6章「The Philosopher」(pp. 163-166)では Willi Hennig の思想的基盤を問う.彼の哲学的な基礎は,20世紀初頭のウィーン学団による論理実証主義とそれから派生した論理経験主義にあるらしい.Hennig が1950年代以降 Joseph H. Woodger や John R. Gregg の公理論的体系を引用した背景もこれだったのか.この点については,Rieppel (2007) により詳しい記述がある.

第7章「The “Hennigian Revolution”」(pp. 169-174)は,Hennig の系統体系学はいかなる意味で “革命的” だったのかを考察する.彼の明確な概念体系の構築こそ体系学にとって “革命的” だったと結論する.

1960年代に始まる体系学論争からすでに半世紀が過ぎ,分子系統学にもとづく体系化があたりまえの時代になった.それとともに,ようやく生物体系学の現代史の叙述が再検討できる機運が高まってきたといえる(Williams and Ebach 2009, Williams and Knapp2010, Hamilton 2014).しかし,Hull の体系学史の本(Hull 1988)には数多くのまちがいやバイアスが含まれている(Farris and Platnick 1989, Farris 1990, Hull 1990).一方,Joseph Felsenstein(1986, 2001, 2004)が描く体系学史もまた “統計系統学” 的に偏向している.過去半世紀に及ぶ生物体系学の錯綜した歴史はまだそのすべてが解明されているわけではない.おそらくそれは分岐学派だけの話ではないだろう.

Willi Hennig はその著作や論文こそ広く読まれてきわめて影響力があったにもかかわらず,旧東独という “カーテンの向こう” に隠されて,どのような研究人生を送ったのかがほとんどわからないままだった.しかし,1989年にベルリンの「壁」が崩され,東西ドイツが統合されるとともに情報が少しずつ流れるようになった.たとえば,Vogel and Xylander (1999) は Hennig の生まれ故郷と生い立ちについて初めて報告した.本書の著者 Michael Schmitt 教授が Hennig の生涯を調べ始めたのも今から15年近く前にさかのぼる(Schmitt 2001, 2010).彼とは全世紀末からメールや別刷りのやりとりを続けてきたが,昨年,北ドイツのロストック大学で開催された Willi Hennig Society 年次大会では15年ぶりにお会いし,本書に基づく基調講演を聞く機会を得た.

長年にわたる資料収集と調査の成果が一冊の本となって完成したことは読者にとってはたいへんありがたい.本文のところどころ校正ミスが残っているが,そんなのはぜんぜんたいした問題ではない.ありがとうありがとう.

—— 引用文献を含めて〈本録〉で書評を公開した.いずれ日本進化学会ニュースにも掲載されることになるだろう.

◆吹き抜ける夜風が涼しい.今日は夜更かししてしまった.

◆本日の総歩数=10038歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+1.4kg)/ 29.6 %(0.0%)


18 mei 2014(日)※山の向こうに富士の頂き

◆昨夜はとても早く撃沈してしまったらしく(あんまりよく覚えていない……),午前4時前には早くも目覚めてしまった.うう…….前夜はきっと夜遅くまで宴会が続いただろうから,夜明け前は死んだような静寂が支配する.大菩薩峠の直下にあるここ〈ペンションすずらん〉は標高1500メートル.明け方の冷え込みはハンパない.手元の温度計で11度だったので,外はひと桁台の気温だったにちがいない.そうこうするうちに朝日がぎらぎらとまぶしく差し込んできた.ナイター用のライトはまだこうこうと輝いていた.

午前7時半からの朝ごはんをすませ,帰りの車に同乗させてもらう.新緑の山々の向こうには真っ白に輝く富士山が望める.山道をするすると降りて,午前9時過ぎに甲斐大和駅着.ちょうど上りの各停が止まっていた.高尾で中央特快に乗り換え.大きな┣┣" が一頭去っていったので少しラクになった.東京駅で昼ごはんを調達してから直帰.午後1時前,つくばに帰り着いた.乾いた夏日の青空がつくばセンター広場の上に広がっている.気温は25.6度と夏日ラインを軽くクリア.標高1500メートルの大菩薩峠とは天地のちがい.

◆大きな疲労が大の字に寝そべる昼下り.シエスタには格好の天気だった.

◆本日の総歩数=4127歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


17 mei 2014(土)※初夏の大菩薩峠を目指す

◆午前5時前起床.気温11.2度.昇る朝日がぎらぎらと.初夏の陽気にすっぽり覆われた関東地方は連日の夏日ライン超え.今日も青空が広がっている.天気に恵まれてよかった.

◆東京農大昆研新歓合宿行 —— 午前10時過ぎにつくばを出発.日本酒の一升瓶をごろごろ抱えて歩くのは筋トレそのもの.正午過ぎに八王子着.都内は今日も夏の日差しが照りつけている.気温は24.0度まで上がっている.旅路はまだあと半分残っている.とりあえず中央特快で高尾までたどり着いた.乗り継ぎは甲府行き13:25発の各停だ.八王子はすでに夏日ラインを越えている.ちょうど1時間,トンネル続きの中央本線に揺られて甲斐大和で下車.つくばから鉄路ではるばる3時間.ここは鈍行しか停まらない山あいのローカルな駅.真っ赤な郵便ポストがまだ現役で働いている.タイムスリップ感満点.

甲斐大和駅からは路線バスの旅.一日にたった数本しか走らない大菩薩上日川峠行き路線バス.農大昆研の学生さんが年季の入った(=きたない)捕虫網を早くも広げ始めている.さすが.今年の新歓合宿の参加者は50名弱とのこと.去年よりも少ないとはいえ,一研究室のサイズとしてはやっぱり特大.山梨のいまの気温は27度超.からっと暑い午後の山あい.

半時間ほど待ってやってきたマイクロバスは大菩薩峠に登山してきた乗客で満員だった.しかし,乗り込むバス乗客はワタクシを含めてたった4人.うち農大関係者は3人.山道をひたすら登る路線マイクロバス.見渡すかぎり新緑の山々.日川の渓流釣りにやってきたと思しき車が路肩に点々と.およそ半時間ですずらん昆虫館バス停到着.

今年の農大昆研新歓合宿はここ〈ペンションすずらん〉が会場.虫好きのメッカ.午後3時すぎにワタクシが到着したときは,もうすでに昼間の採集を終えた学生さんたちが色とりどりの捕虫網をずらっと並べていた.夜のお楽しみはナイターの灯火採集.荷物を部屋に置いて,風呂に入ってから,さっそく別棟の “呑み部屋” へ.

採れたばかりのカメムシを一心に標本整理している石川さん,静岡での採集をすませて到着したばかりの小島さんがいたので,持参したうちの一本,西条の〈伊予賀儀屋〉の25BY新風純米おりがらみ生原酒を開栓.春らしい図柄のラベル.マイルドな味わいが心地よい.真っ昼間からいきなりフルパワーで飲み始める.

午後4時前から飲み始め,夕食が始まる午後6時前には空っぽになってしまった.スタート早すぎるし,ペースも速すぎる.午後6時から怒涛の焼き肉パーティ.奈良・御所の〈篠峯〉25BY愛山・純米無濾過生酒を開栓.愛山の〈篠峯〉は初めてだったが,微炭酸のぷちぷち感とキレの良い飲み心地.40名余りの大所帯で回し飲みすれば,こんな一升瓶なんか即座に空っぽ.そして,もう一本は喜多方〈奈良萬〉の25BY純米生酒無濾過生原酒おりがらみ.活性にごり酒に匹敵するガスの強さは焼肉やバーベキューと相性が良い.これまた飢えた学生いやセンセイたちが寄ってたかって空っぽにしてくれた.

—— どんどん食べて,ぐんぐん呑んで,気がついたらふとんの中にいた.あれれ.

◆本日の総歩数=8035歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.9kg)/ 29.6%(0.0%)


16 mei 2014(金)※経堂出撃はからから夏日

◆午前4時過ぎ起床.夜明け前の静寂.気温14.2度.

◆[欹耳袋]国際日本文化研究センター〈怪異・妖怪画像データベース〉は,ときどき眺めて震え上がるのがよろしいかと.たとえば《》とか.絵空事だと思わない方が身のためかもしれない.たいていの “妖怪” はいいんだけど「くだん(件)」だけはかんべんしてほしい.わーん,夢に出るよー.

◆定例経堂出撃の朝 —— いつもどおり,7:43区間快速でTXつくば駅から出撃.午前9時,新宿駅.朝から日差しがまぶしい.都内はすでに23.2度まで気温が上がっている.夏日まっしぐら.代々木上原.「経堂方面,お急ぎの方は多摩急行へ」とアナウンスされて,あわてて乗り換えようとした.でも,ぜんぜん急いでいないので,煽られる理由がない.ガラ空き各停でごとごと移動が続く.

午前10時,農大キャンパス着.日差しも紫外線もたっぷりと言いたいところだが,今日は雲が多め.どうせならからっと暑くなってほしい.湿っぽいのはかんべん.今日の講義は正規分布を中心に,パラメトリック統計学の “帝国” をざっと見渡す.スライドと R デモが半々くらい.後半は実験計画法のイントロ.

正午過ぎ,講義が終わって,控室にてしばし休息.まだ夏日ラインは越えていない.歩いて経堂に戻る.吹く風は心地よくても,日差しはきびしい.空気が乾いているのが救い.

◆都内徘徊の昼下り —— まずは銀座へ4丁目交差点は平日でも観光客で混んでいる.用件をサクッと済ませて,次は四ツ谷へ.会津喜多方〈奈良萬〉の純米生酒無濾過生原酒おりがらみ(not 爆発バージョン)と西条〈伊予賀儀屋〉の新風純米 SEIRYO FLOWER はなごころ・おりがらみ生原酒をゲット.一升瓶を2本も抱えて移動するのはかなり重い.すでに氷温貯蔵している南会津〈花泉〉の純米活性にごり酒とともに,今回の “武器” はすべておりがからんでいる.

◆午後4時前,つくば帰還.即,観音台の冷蔵庫へ.都内もつくばも夏日ラインを越える初夏らしい一日.つくばに帰り着いたときはぱらぱら通り雨が降ったのも夏らしいいたずら(都内は雷雨だったようだ).日が暮れてやっと涼しくなってきた.厨房では新ジャガと新玉ねぎが出まわる今の季節しか味わえないスタミナ肉じゃが(進化形)を仕込んでいるところ.和牛の切り落としと新ジャガ&新玉ねぎをさっくり炊きあげる.煮抜きを追加すればりっぱなおかずにもなる.牛肉を大量に投入するのだ.初夏はしっかり肉を食べるべし.

〈竹鶴〉25BY・純米吟醸・初しぼりを開栓.三月の生態学会広島学会のおり,薬研堀の〈大和屋酒舗〉から発送したブツの最後の一本.まずは冷やでフレッシュな味わい.この酸味とボディの太さはやはりただものではない.冷酒のあとは,定石通りの燗酒へ.ああ〈竹鶴〉.

◆明日からの週末は大菩薩峠に立てこもる.

◆本日の総歩数=12630歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.3kg)/ 29.6%(−0.3%)


15 mei 2014(木)※雪隠詰めで原稿を書く日

◆午前4時半起床.曇り.気温18.3度.雨がさらさら降り出す早朝.午前8時の気温は18.3度.空気が湿っているので,なんとなく蒸し暑い朝の観音台.

◆午前の┣┣" 撃ち —— JR甲斐大和駅までの時刻表をチェック.やっぱり3時間はかかる.大菩薩峠行きの数少ない路線バスを逃したら即アウトやな./Springer の〈Use R!〉シリーズは,本によって判型がビミョーにずれていて本棚に並べると気持ち悪い.ドイツの出版社なんだから 1/1000 ミリまでサイズをキッチリ揃えてほしい.叢書の判型に関しては徹底的に Προκρούστης 主義を貫いてほしい./必然的に雪隠詰め原稿書きまくり.

◆[欹耳袋]「WiMAXとEMOBILEの違いを4つの視点から比較 2014年」 観音台の居室だと Emobile LTE が届くので便利.WiMAX は電波飢餓なので使いものにならない.一方,都内の出先だと評定は正反対にひっくり返る.要するに Wi-Fi 無線ルーターは両方もっていれば必要にして十分ということ.

◆うっかり放置してしまった先週の質問カード…….

  • #NodaiStat 【質問】「正規分布という聞き覚えのある単語から発せられる圧力」/【解答】パラメトリック統計学派はもともと “圧力団体” なんですって. posted at 05:08:05
  • #NodaiStat 【質問】「全数調査で求めたデータと推測統計学で求めたデータとはどれくらいの差が結果に出るか気になった.差がないなら記述統計学の意味は何なのか」/【解答】母集団からどれくらいの数のサンプルを抽出するかによって推定精度は か な り 変わります. posted at 05:10:53
  • #NodaiStat (承前)推測統計学はつねに有限個の限られたデータからの「推測の科学」.のちの講義では母集団からのサンプル数がパラメーター推定に及ぼす影響のシミュレーションをします. posted at 05:12:47
  • #NodaiStat (承前)ついでに言えば,「全数調査(悉皆調査)」はよほど覚悟がなければふつうはやらないですね.費用対効果を考えると割にあわないので.推測統計学の精神はいかに全数調査をやらずにすませるかにあります.いいかえれば,全数調査は統計学者を必要としないということ. posted at 05:15:09
  • #NodaiStat 【質問】「期待値の意味がわからなくなってしまった」/【回答】サイコロのような離散変量でも体重のような連続変量でも,期待値は「変量×確率密度」の “総和” ということ.平均の場合は変量そのものの期待値,分散の場合は偏差平方の期待値. posted at 05:21:40
  • #NodaiStat 【質問】「自由度がイマイチよくわからない……」/【回答】講義では平方和の自由度について説明しましたが,平方和を構成する偏差の間には「総和=ゼロ」という制約があるので,見かけは「n」個あっても,実際に自由に動けるのは「n-1」個なんですね. posted at 05:24:38
  • #NodaiStat (承前)母集団の分散を推定する際に,平方和をデータ数(n)で割ったときと,自由度(n-1)で割った場合の二通りで,推定の良し悪しにどれだけちがいが生じるか.講義中にRで行ったデモは RPubs で公開しました: rpubs.com/leeswijzer/16844 posted at 05:28:11
  • #NodaiStat (承前)サンプル数 n が大きくなると,平方和を n で割ろうが自由度 n-1 で割ろうが,値としては「たいしたちがい」はなくなります.しかし,母集団の真値をどれくらい正確に推定できているかといえば,一貫して平方和÷自由度という推定量に軍配が上がる. posted at 05:30:42
  • #NodaiStat (承前)講義ではまたいで通りましたが,平方和÷自由度で計算された分散の推定値が母集団の分散と一致する(=「不偏性」をもつ)ことはきちんと証明できます.関心のある学生はワタクシの過去の講義ノートを見てください: ow.ly/wQZeK posted at 05:33:45

◆午後の┣┣" 撃ち —— 書きまくり.午後4時半,羊土社『実験医学』誌連載〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉の第4回原稿を編集部に送信:三中信宏「第4回・パラメトリック統計学への登り道」.2014年8月号に掲載予定.約7000字.図版5枚.

◆[欹耳袋]全数調査されてしまって,もはや推測統計学の出番がなくなったら,統計学者に残された仕事はインフォグラフィクスだけ.データ可視化とインフォグラフィクスは統計学者の「教養」ということで必修科目.Edward Tufte や Manuel Lima や Anthony Grafton の本を読みましょう.全数調査における「トークン因果性」を究明したいというのは確率因果性に基づく因果推論としてはきわめてまっとうな研究だと思うが,「タイプ因果性」を求めるのはもっと広い仮想的な母集団を想定する推測統計学になるのかなあ.いずれにしても,ワタクシの理解が間違っていなければ,統計学的因果推論は統計学者ではなく実は科学哲学者がやるべき仕事ではないか.もちろん,統計学者が確率因果性に関する科学哲学をも自分の領域であると宣言するのであれば,それはそれでとても野心的な企みだが.ワタクシの場合,「因果推論」と言われると延髄反射で Judea Pearl のアノ本を連想してしまうので,「それ,科学哲学じゃん」とつぶやいてしまう.

◆昼すぎまで,どんよりした空模様で,雨がぽつぽつ降り続いていたが,午後になってやっと日差しがもどってきた.日中は17度台だった気温も夕方になってじわじわと上がり始め.でも,そろそろ撤収の時間だ.備忘メモ:〈竹鶴〉25BY・純米吟醸・初しぼり※持ち帰り忘れるべからず.秋のNHK朝ドラが始まったら,あの〈竹鶴〉も,この〈竹鶴〉も,その〈竹鶴〉もきっと品薄になるんだろーな.

◆明日は定例経堂出撃日.夏日が戻ってくるとの予報.

◆本日の総歩数=3287歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.6kg)/ 29.9%(+0.2%)


14 mei 2014(水)※今年初めての真夏日寸前

◆午前4時半過ぎ起床.気温13.3度.朝ぼらけ.遠景がもやで霞む観音台は昨日降った雨のなごりの水たまりが点々と.午前7時の気温は17.0度.今日の関東地方は方々で真夏日になるとの予報.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 現実逃避的「本棚整理」を始めたら止まらなく(止めたくなく)なって……./非常勤先の某大学からじゃまくさそうな(&どうでもいい)アンケートが届いたので華麗にスルー./とある巡回展の企画の打ち合わせ.おお,北陸ですかそーですか.香林坊あたりで(違 |もう一つは西の方の港町.三宮でもよろしおま.いずれもこれから詰めていく./現実逃避的整理整頓作業はすべて完了.本棚もディスクもきれいサッパリ./で?(わーん)

◆[欹耳袋]神戸ポーアイ魔宮の伝説(三部作) —— 日本経済新聞「「悪意」の源流 小保方博士と理研の迷宮(上) 」(2014年5月12日)|「スター誕生の裏側 小保方博士と理研の迷宮(中) 」(2014年5月13日)※「「理研のやり方は、203高地の乃木将軍のようだ」。理研の元研究者はそう表現する。兵(若手)を突撃させるが失敗して撤退、するとまた次の兵を送り出す。結果的に、多くの犠牲者を生み出す」— 煽るなあ…….|日本経済新聞「統治なき肥大化 小保方博士と理研の迷宮(下) 」(2014年5月14日)※「自分は5年で辞めるし、研究センターも期限が来る。さらに中期計画で再編される可能性もある。毎年のようにクビになるかもしれない節目がやってくる。それで帰属意識なんて持ちようがないでしょう」「常に「期限」に追われ、強い遠心力が働いている」— 年限を切られて研究の「場」と「人」と「金」がころころ変わり続ける以上,伝統的な “帰属意識” が育つはずがない.

◆初夏を通り越して夏の日差しが降り注ぐ昼休み.正午の気温は27.4度.炎天下でも徘徊タイムは強行された.空高くヒバリが元気よくさえずり,花にはカミキリムシが集う.しかし,今日はカエルの合唱は聞こえなかった.炎天下歩き読み本:岡田喜秋『定本 日本の秘境』(2014年2月1日刊行,山と渓谷社[ヤマケイ文庫],東京,382 pp., ISBN:978-4-635-04766-1 → 版元ページ).大杉谷から羊蹄山麓,白川郷,酸ヶ湯温泉と夏油温泉のみちのく湯けむり旅,そして,佐多岬から襟裳岬への突端紀行へと秘境の旅は続くのだった.

◆[欹耳袋]まるで「幼稚園並み」というドイツからの声も —— Frankfurter Allgemeine | Wissenschafts-Skandal: Von den Stammzellen bleiben nur Tränen | 11 May 2014.※「Das ist doch wie im Kindergarten, oder nicht?」って相当な罵倒語ではないかと.「ガキの使いやあらへんでぇ!」という “超訳” をしてみる.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 某学会理事会欠席連絡&委任状返信./某誌和文投稿原稿の査読引き受け返事.とても長くてとても難しい日本語記事のレフリーはかんべんしてねー./午後2時から秋に予定されている高校での出前講演会の打ち合わせ.鹿島神宮に行くのは初めてのこと.

◆[蒐書日誌]またまた日本酒本が —— 山同敦子『めざせ!日本酒の達人:新時代の味と出会う』(2014年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま新書・1070],東京,300 pp., ISBN:978-4-480-06775-3 → 版元ページ)※10年前に出た同じ著者の日本酒本:山同敦子『愛と情熱の日本酒:魂をゆさぶる造り酒屋たち』(2005年11月10日刊行,ダイヤモンド社,302 pp.,本体価格1,800円,ISBN:4-478-96097-6 → 目次版元ページ)を読んだことがある.今回の新書にも後半に蔵元リストがずらっと.

◆今日の最高気温は午後1時過ぎの29.0度.雲行きがしだいにアヤシクなってきたが,雨が降る気配はなさそう.と油断していたら,5時過ぎになって,生暖かい雨がぼたぼた降ってきた.明日は雨模様,気温は10度も下がるとの予報.

◆本日の総歩数=10573歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.1kg)/ 29.7%(−0.2%)


13 mei 2014(火)※はてしなく霧雨が降る日

◆午前5時前起床.雨はまだ降り続いている.気温16.5度.夜中から降り続いた雨はようやく峠を越えたようだ.午前8時の気温は16.7度.観音台の湿った空気に草や木々のにおいが混じる.雨が止みそうでぜんぜん止まないねー.東京アメッシュを見ると,茨城県南部には雨雲がないはずだけど,窓の外を見れば確かに降り続いている.そのあいまに二度も揺れる観音台.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 原稿加圧メール一件./原稿加圧メールもう一件.うう…….

◆[蒐書日誌]温泉達人会(編著)『温泉達人会・Volume 07 - 2013』(2013年12月20日発行,温泉達人会事務局/栞文庫,東京,104pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-9906360-2-9 → 温泉達人会ホームページ)※三宮憲一「寂れゆく八幡平周辺の温泉」(pp. 85-88)にがくぜんとしたり,日本各地からの温泉紀行文を読めばまたまた♨熱がぶり返したり.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「(ひと)神保宇嗣さん 日本に生息する蛾の総目録をつくった」(2014年5月13日)※この晴れやかな笑顔は科博による “過度の演出” なのかなw

◆正午の気温17.7度.曇りときどき霧雨で肌寒いんですけど…….今朝のニュースで「日中は晴れて真夏のような日差しが」と渡辺蘭さんが笑顔で言っていたのは錯覚だったかな.

◆[欹耳袋]生物学哲学の特集ふたつ —— Special Issue: The Formal Darwinism Project | Biology and Philosophy, Volume 29, Issue 2, March 2014 /Special Issue: The Tree of Life | Biology and Philosophy, Volume 25, Issue 4, September 2010.

◆[蒐書日誌]平凡社ライブラリー新刊2冊 —— 藤田嗣治『随筆集 地を泳ぐ』(2014年4月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・810],東京,428 pp., ISBN:978-4-582-76810-7 → 版元ページ)/ギュスターヴ・フローベール他[生田耕作編訳]『愛書狂』(2014年5月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・811],東京,239 pp., ISBN:978-4-582-76811-4 → 版元ページ).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 昆虫分類学若手懇談会の『パンミクシア』に出す原稿を熊本に送信:三中信宏「昆虫分類学若手懇談会̶:40 年にわたる歴史から見えてくる展望」.400字詰で18枚+図版3枚.締め切り前に出せたという快挙!/科学基礎論学会の講演要旨を送信だん:三中信宏「生物学の哲学と個別科学の共進化」.2,700字あまり.

◆[欹耳袋]CiNii Books で調べると,『昆虫分類学若手懇談会ニュース』は,東大駒場図書館には1号(1972)から55号(1988)まではコンプリートに揃っているみたいね.でも,『パンミクシア』の所蔵館は,国会図書館を除けば,国内全滅.

◆昼すぎまで霧雨がさらさら降り続いていたが,午後になってやっと晴れ間が広がってきた.気温は21.4度まで上がってきた.最高気温は午後4時過ぎの22.6度.湿度が高めでぜんぜんすがすがしくない.

◆[欹耳袋]オンライン公開されました —— 羊土社・実験医学online – 三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉連載第2回「データの位置とばらつきを可視化しよう」 ※『実験医学』2014年4月号に掲載された記事のオンライン版.カール・ポパーとイアン・ハッキングとカルロ・ギンズブルグの豪華スターそろい踏み! すかさず第4回連載記事の原稿加圧.アメとムチは編集者の十八番なり.

◆原稿を書きまくる日々はまだ続く.

◆本日の総歩数=3328歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.6kg)/ 29.9%(−0.7%)


12 mei 2014(月)※南風が砂塵を巻き上げる

◆午前4時半起床.気温8.7度の夜明け前.南風が吹く観音台は青空に筋雲がかかっている.午前8時の気温は18.7度.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「若年女性、896自治体で人口半減 2040年までに」(2014年5月8日)※元資料:日本創生会議 「提言「ストップ少子化・地方元気戦略」記者会見」./うさうさメモ「「ダメな科学」を見分けるためのおおまかな指針-訳文できました」(2014年5月7日)

◆南からの強風に砂塵が巻き上げられる昼休み.初夏の日差しが照りつけ,気温はすでに23.0度まで上がっている.歩きまわると砂だらけの熱中症になるキケンが高いので,居室でじっと逼塞する.

◆[蒐書日誌]漢字筆順の自然的変異と教育的規範との二律背反 —— 松本仁志『筆順のはなし』(2012年11月10日刊行,中央公論新社[中公新書ラクレ・435],東京,270 pp., ISBN:978-4-12-150435-7 → 目次版元ページ).昨日,たまたま書店で見つけたこの新書は,漢字の筆順がめっちゃくちゃなワタクシには “救世主” のような本だった.要するに,筆順は人生にとってたいした問題ではないということ.まったく同一の漢字が日本・台湾・中国では異なる筆順で教えられているという一点を知っただけでも十分すぎるほど救われる.漢字の筆順に関心のある向きは迷わず本書を手にするべきだ.

日常生活のなかで漢字の筆順を気にする日本人はきっと多いと思う.しかし,本書を読めば学校教育で “規範” とみなされている筆順は歴史的にはかなりアヤフヤであることがよくわかる.漢字ならまだしも,ローマ字とかギリシャ文字とか別系統の文字あるいは数字の「書き順」なんか,日本人は勝手にてきとーに書き綴っているのではないだろうか.以前,ギリシャ人によるギリシャ文字の筆順の動画を見たけど,「ええっ!」と驚く場面が多かった(とくに大文字).外国人の数字の手書きのええかげんさに驚倒した人もきっといるだろう.

ワタクシ的には,書道とかカリグラフィーのような「文化的技芸」の伝承を除けば,文字の筆順にこだわる必要はまったくないと思っている.とくに,今では肉筆で書く「公的」な状況はほとんどないので,可読性さえ保たれていれば筆順はどうでもいい.もちろん漢字の筆順は「なんでもあり」とは考えない.書字動作のメカニカルな観点から見て “ありえへん” 筆順と “許容できる” 筆順はおのずと分別できるだろう.だからといって,許容される複数の筆順のどれかひとつだけを「規範的筆順」として過度にきびしく強制する意義はすでになくなっているにちがいない.

本書を読むと,筆順に関する(過度に)規範的な態度はもっぱら初等教育での「教育効率」の観点から長年にわたって育まれてきたようだ.1958年に旧文部省から出され,現在にいたるまで使われ続けている『筆順指導の手びき』が,たとえ漢字筆順の “多様性” を容認していても,「規範的筆順の『揺れ』は指導者サイドからすると大変困った問題」(p. 77)であるという認識が教育現場にあるかぎり,筆順の “多様性” は必然的に抑圧されることになる.

著者はこう言う:

「これまで,筆順は一漢字一筆順とは限らないという話をしてきました.それでは小学校1年生に『この漢字には二つの筆順があります.どちらで書いてもいいですよ』と指導したらどうでしょう.児童はどちらかの筆順を選んで書くでしょうが,小学校低・中学年は『どちらでもいい』といった許容を理解して器用に使いこなせる年齢ではありません.この段階で許容を示すことは,『筆順はどうでもいいんだ』という筆順軽視の意識を醸成することにつながりやすいと言えるでしょう」(p. 218)

著者のスタンスはきわめて明白であって,たとえ漢字の筆順に “多様性” あるいは “揺れ” が現実にあったとしても,そのばらつきを抑圧して単一の「規範的筆順」にそろえることが初等教育の観点からは効率的であるということだろう.こう明言してもらえると,ワタクシ的にはとてもありがたい.つまり,いったん初等教育の「外」に出れば,筆順の “多様性(揺れ)” は大手を振って生き残れるからである.

動作や作業の「順序」に関して,学校教育の中で設定された “規範” に一律に合わせようという目標設定は効率の点からはつごうがよいのかもしれない.しかし,その “規範” ははたしてどのような経緯と論拠のもとに構築されたのか.著者のもくろみとは裏腹に,本書は筆順に関する現行の “規範” の合理性にむしろ疑問を投げかけているようだ.

そもそも,なぜ筆順を学ぶ必要があるのか.この疑問に対して,筆者はこう答える:「筆順学習は必要だとする根拠の一つとして『手書き文字文化は守り継承していかねばならない』という社会のニーズがある」(p. 31).確かにその通り.日本語の手書き文字文化を継承保全するという目標設定は,他のすべての伝統的技芸がそうであるように,大きな意義があることは否定のしようがない.しかし,その技芸の一端に掲げられた “虚構の規範的筆順” は万人が身に付けるべき技芸なのだろうか? ワタクシはそうは思わない.

—— 著者は:「一通り文字が書けるようになった大人は,いまさら基準の筆順に直す必要はないと思います」(p. 206)とこともなげに引導を渡してくれる.すばらしい! ありがとう! 学校だけがわれわれの生きる世界のすべてではない.

◆[欹耳袋]〈漢字の正しい書き順(筆順)〉ならびに〈漢字書き順調べ無料辞典〉.

◆今日は一日中強い南風が吹き荒れ,瞬間風速は20メートル近くあったようだ.砂塵が舞い上がり遠景が黄色く霞むのは春先のような空模様.午後になって雲が広がってきた.雨粒が風とともに降りかかる夕方.日本進化学会ニュースの最新号 Vol.15, No.1 が届いたのでさっそく通読.荒木編集長,いい仕事してる.夜になって本降りの雨になった.

◆本日の総歩数=2994歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.7kg(+0.5kg)/ 30.6%(−0.1%)


11 mei 2014(日)※背徳の白昼呑みは蜜の味

◆午前5時前起床.気温7.9度.朝日がさんさん.朝から気温がぐんぐん上がっている.午前9時前には早くも20度ラインを突破.昨日はハードな厨房仕事だったので,今朝の朝食はなんだか洋風ハワイ系だったが軽くさわやかにすました.

◆[蒐書日誌]昨日の読書:富士川義之『ある文人学者の肖像:評伝・富士川英郎』(2014年3月5日刊行,新書館,東京,446 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-403-21106-5 → 目次版元ページ)最後まで読了.

第12章「儒者の随筆」(pp. 323-346),第13章「茶前酒後」(pp. 347-361),そして第14章「失われたファウナ」(pp. 363-387)は富士川英郎晩年の読書随筆について論じる.第13章「茶前酒後」の一節:「『茶前酒後』のような人文系の学者が書く読書随筆が,現在では,ほとんど絶滅危惧種と呼んでもいいくらい,激減しているのはいかにも寂しいことと言わなければならない」(p. 360)|「評論家やディレッタントならいざ知らず,れっきとした研究者でもある人間が,専門分化へとひたすら走りつづける時代の動きに全く逆行するようなこういう挙に出たのはなぜか」(p. 360)|「おそらく,学問や研究の成果というものは,必ずしも堅苦しい論文や論考だけではなく,もっと大らかでゆったりとした,遊び心さえ盛ることのできる形式を通じてでも発表できるものであるし,ぜひそうあってほしい」(pp. 360-361)|「いまや大学は文人学者のいるべき場所ではないと思うこともたびたびあったにちがいない」「退官後の,実に旺盛な仕事ぶりを振り返って見るとき,そこには最後の文人学者のひとりとしての矜持が感じ取れると言ってよい」(p. 361)

第14章「失われたファウナ」から:「現代の学問は確かに専門的に細分化したためにきわめて精密なものとなったけれど,ともすると個々の専門的知識が孤立しがちであり,全体として有機的につながりにくい」(p. 386)|「その重要な原因は,大ていの場合,それぞれの知識に,言うなれば人間的・生活的な基盤が欠けているからではなかろうか」(p. 386)|「学問は必然的に学者の個人的な生活の歴史からは遠ざかり,しばしば人間味を忘却し,学者の人格の形成に深く関わるということも稀になる」(p. 386).

続く第15章「父とわたし」(pp. 389-411)と最後の第16章「晩年の父の記」(pp. 41 3-433)はごく内輪のひそやかな伝記.子どもが反発しようが受け入れようが,父親は長年にわたって影響力を及ぼし続ける.

著者は「意識的に思い出すという行為に耽ることがなければ,良い記憶も埋もれたままになってしまうということに,私は今度幾度となく気づいたのである」(p. 404)と書いている.日本では人物評伝はさらっと流したような薄手のものが多い.本書は例外的に,さまざまな資料と家族ならではの情報ソースを踏まえた読みでのある評伝だ.450ページを読み切るのは体力勝負だが,それほど遠くない昔の大学に実在したひとりの「文人学者」が生きた世界について知ることができた.

著者はエンディング近くで「そして最期に無頼の人としての父に出会ったのである.いつまでも自分の欲するがままに自然に生きる父の凄さを思うとともに,そんな無頼の父にわたしはいま限りないなつかしさを覚える」(p. 432)と書いている. “無頼” とは最上級の褒め言葉なり.

—— ぜんぶまとめて書評「ある文人学者のタテの系譜とヨコの人脈」を公開した.

◆気温24.0度の昼下り,そろそろ下界の〈つくばフェスティバル2014〉に降臨して,お昼ごはんと “お水” を調達してこよう.紫外線照射されまくりのセンター広場は好天に恵まれて昨日以上の大混雑.今日もまた〈フィンラガン〉にて「ライジングサン・ペールエール」をうぐうぐしながら,隣の店でアルヘンティーナのほうれん草タルトをmgmg.ついでに,タイのやきそばパッタイผัดไทย をぶら下げて帰宅.背徳の昼酒スイッチ on!

◆帰宅後,島根・安来の〈蒼斗七星〉「純米吟醸58うすにごり」無濾過無加水木槽搾りをさっそく開栓.酸味がかなり立って,のどごしに苦味の残る濃い味わい.この蔵元はとても小さな蔵元らしく,都内で扱っているのはJR四谷駅前のあの酒屋しかない.酸の立つ日本酒なので,いろいろな料理に合わせやすいと思う.パッタイはもちろん,スモークチーズもよし.ただしお肉系のアテだと相性が悪いかもしれない.いずれにしても,これは真っ昼間から飲むべき日本酒にちがいない.極楽極楽.今日の最高気温は24.0度まで上がり,乾いた東風が吹き抜けてとても気持ちよかった.

◆明日からはまた原稿加圧生活ががが.

◆本日の総歩数=4343歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.5kg)/ 30.7%(0.0%)


10 mei 2014(土)※今日は安定のギネス日和

◆午前5時起床.気温7.4度と冷え込み強し.昇る朝日がぎらぎら.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「国立民族学博物館名誉教授の周達生さん死去」(2014年5月10日).周達生の「民族動物学本」はどれもおもしろかった.

◆昨日のような “天変地異” の心配をせずにすむのは幸いだ.午前中は小野崎の畦道をぶらぶら歩いて断髪をすませたのち,またぶらぶら歩いてセンター広場の〈つくばフェスティバル2014〉へ.右手には生ギネス,左手にはエンパナーダ.絶好のビール日和.

◆[欹耳袋]本と音楽 —— KAI-YOU .net「お酒や音楽と共に読書を──夜の図書室が渋谷にオープン」(2014年5月4日)|〈森の図書室〉※〈私設図書館〉みたいな感じなのかな./Paris Librairies: La plus grande librairie du monde./NAVER まとめ「話題のキース・ジャレット・ソロライブ、騒ぎの後の5/6 東京公演の様子」(2014年5月6日)※大阪みたいな「事件」にならなくてよかったねー./カール・ニールセン博物館: Carl Nielsen Museet ※デンマークに行く機会があればいいのだが.

◆今日の厨房作品 —— 〈ドライフルーツ&ナッツぐるぐるポークの赤ワイン蒸し〉.昨日から仕込んだ料理の完成品.見てくれは真っ黒けの炭団みたいだが,スライスするときれいな断面が.レシピは以下のとおり:

  1. 豚ロース肉の塊(500g)を厚さ1センチに切り開いて平面状に展開し,岩塩をしっかり振る.今回はゲランド塩にバジルリーフが混ざった塩を使った.
  2. オレンジ・マーマレード(ビター)をたっぷり塗る.肉に負けないためには「苦味系」である必要がある.今回はイギリスのマッカイ〈ザ・マッカラン・マーマレード〉を使った.10年物のシングルモルトを使ったマーマレード.
  3. ドライフルーツと砕いたナッツを肉の上に均等にばらまく.今回は干しぶどう,クランベリー,ドライ・バナナ,そして干しいちじく(フィグ・ログ)を使った.
  4. 中身がこぼれないように端から肉をきっちり巻いていく.最後にたこ糸で縛る.肉の緊縛スタイルはローストビーフと同じ要領.
  5. ビニール袋に肉を入れ,溜まり醤油と赤ワインで下味をつけ,一晩冷蔵庫に安置して味を染み込ませる.
  6. 肉を常温に戻し,深めの鉄製フライパンを高温に熱して,肉塊にしっかり焦げ目をつける.全体に焼き色をつけるのがポイント.
  7. 中火にして,下味つけに使ったつけ汁をフライパンに投入し,しっかりふたをして蒸し焼きにする.水気がなくなりそうになったら,赤ワインを適宜注ぎつつ,約30〜40分の蒸し焼きにする.最後に水気を飛ばしながら仕上げる.焦がさないように要注意.
  8. 粗熱がとれて十分に冷めたら,1センチ厚にスライスして食卓へ.フライパンに残った肉汁はソースとして使える.

下準備の手間ひまはかかるけど,いったん蒸し始めればあとは見守るだけ.ただし,すぐ水分が蒸発してしまうので,赤ワインはフルボトル一本をまるまる使いきってしまう.そして煮詰まれば真っ黒になる.外周は濃厚なワイン風味でも.内部はマーマレードの苦味とドライフルーツの甘み,そしてナッツの食感がミックスされて独特の味わい.

◆はぁ,原稿原稿〜

◆本日の総歩数=12558歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.7kg)/ 30.7%(+0.2%)


9 mei 2014(金)※晴れては曇って落雷と雹

◆午前4時過ぎ起床.気温13.1度.夜明け前の米とぎタイム.日に日に日の出が早くなっていく.まだ先の話だが,今年度の大分県農林水産研究指導センター数理統計研修は「12月8日(月)〜10日(水)」の日程が確定した.またしても別府♨北浜から毎朝出勤することになるだろう.

◆[蒐書日誌]Daniel J. Kevles『The Baltimore Case: A Trial of Politics, Science, and Character』(1998年刊行,W. W. Norton, New York → 版元ページ)※科学不正事件として有名な「ボルティモア事件」の一部始終.この「ボルティモア事件」で論文捏造の嫌疑をかけられた主人公テレザ・イマニシ=カリは,あれだけ叩かれたあげく “有罪” になっても(のちに身の潔白を証明した),いまもちゃんと生産的な研究者として活動している.こういう事例もある.ボルティモア事件が “決着” するまでの年月の長さを考えるとめまいがする.科学的問題を科学者的問題に置き換えて「法廷闘争」に持ち込むという戦術はどこまで耐えるられるかという持久戦の勝負であり,同時に研究者としてのキャリアをどのように維持し続けられるかという問題でもある.

◆定例経堂出撃日 —— 午前7時半,つくば駅.朝から青空が広がる.大きな遅延もなく新宿駅にて小田急に乗り換える.都内の午前9時の気温は21.9度.午前のうちに夏日になるだろう.午前10時前,農大キャンパス着.初夏の日差しがさんさんと降り注ぐグラウンドでは学生さんたちが走り回っている.今日の講義は「分散」概念の導出,確率変数と確率分布のパラメーター,確率分布曼荼羅,できれば正規分布まで進みたい.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「金沢大学、研究専念へ授業免除 教員向け新制度 」(2014年5月9日)※「日本の大学教員は授業や研究、運営のすべての業務をこなすことが多く、負担が大きいことに対応した」/外資系OLのぐだぐだ「低学歴の世界から高学歴の世界に行くと友達がいなくなる」(2014年5月6日)※実感できる人だけが理解できる内容.

◆天変地異の午後 —— 午前のうちに都内は夏日ラインすれすれの24.7度まで気温上昇.問題は雷雲の発生状況だが,埼玉県はすでに局所的に暴れているようで.都内をうろうろ徘徊しているとゲリラ豪雨に捕まりそうなので,ワルいところに寄りこまないで,ささっと撤収するかな.午後1時過ぎ,気温は26.8度まで上がっている.埼玉から茨城県南部がすでに雷雨のまっただ中だ.逆に,都内をうろうろして時間つぶしが必要かも.JR四谷駅前の行きつけの酒屋を探索.ここに来れば世間的には払底している〈獺祭〉がわんさかあるのだが,そーいうのには目もくれず埼玉・蓮田の〈神亀〉純米活性にごり酒と島根・安来の〈蒼斗七星〉純米吟醸をゲット.

秋葉原からTXに乗る.北千住で地上に上がったら土砂降りしかし,次の八潮は雨上がり.柏の葉キャンパス駅は再び激しいスコール.ときどきカチカチ打音がするのは雹が混じっているからかも.守谷では雨がやむ.その後もTX沿線のくるくる変わる空模様に翻弄されて午後4時前につくば着.,つくばの地上に出たら,いきなり〈大序曲1812年〉の大砲みたいな特大の落雷がどっかーん.横殴りの雷雨に歩いてほんの数分の間に水浸しになった.しかし,半時間もしないうちに雷雲は通りすぎて,何ごともなかったかのように夕陽がまぶしい.日頃の行状がワルすぎる天罰ですか,これは.

◆つくばに帰ってから鯛アラの煮付けを速攻で仕込み,埼玉・蓮田の〈神亀〉を開栓.ワタクシ的には「活性にごり酒」といえばコレ.ランク上の純米吟醸活性にごり酒はフトコロにやさしくないので,いつもはこの純米活性にごり酒.炭酸ガス圧はかなり高いので,開栓事故には要注意.栓をちょいとひねっただけで,オリがぶくぶくと浮上してくる.

鯛アラの煮付けのレシピ:

  1. 鯛のあらは塩を振って,熱湯をかけて冷水で冷やす.
  2. 牛蒡は皮付きのまま5センチの長さに輪切り.酢水に浸けてアクを抜く.
  3. 平鍋に昆布だし4カップ・濃口醤油大さじ4・酒大さじ4・味醂大さじ3・砂糖大さじ4を煮立てる.
  4. 牛蒡を敷いて上に鯛のあらを並べて,山椒粒を数個投入して,強火のまま20分煮続ける.水分が少なくなってきたらときどき煮汁をスプーンでまわしかける.

◆明日からの週末はまたまた原稿一筋だ.

◆本日の総歩数=11644歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(0.0kg)/ 30.5%(0.0%)


8 mei 2014(木)※吹き込む南風に流されて

◆午前4時半起床.気温9.9度.日の出前の朝焼けグラデーション.朝から気持ちのよい青空が広がる観音台.午前8時の気温は18.1度と昨日よりは格段に高め.朝イチの BGM はキース・ジャレット〈リオ〉.今日みたいな気持ちのいい日は居室の窓を全開放して,瘴気や毒気を除霊しましょ.┣┣" は外〜♫•*¨*•.¸¸♪

◆[欹耳袋]形態測定学関連講演アーカイブス「日本生態学会第61回全国大会 自由集会 W05 2014年3月14日」※広島での自由集会〈道具としての「形態測定学」:生態学と周辺分野との交差点〉の記録.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「えっ,研究者なのにノートをつくってないの?」と猜疑に満ちたまなざしでにらまれるのはもう耐えられないので,ワタクシも note をつくりました.手段は何であれ,自分の「活動記録」をタイムスタンプ付きで残しておくとあとで役立つ(こともある).

◆[欹耳袋]アゴラ:城戸佳織「創薬研究アウトソーシングと高学歴ワーキングプア(上)」(2014年5月6日) |「創薬研究アウトソーシングと高学歴ワーキングプア(下)」(2014年5月7日).抜き書きメモいくつか:

  • 「大学院重点化の折、日本の競争力を上げようと、博士号取得者を増やそうとしたが、それは正しかったのか。元々日本の研究環境に、少なくとも企業においては、彼らを受け入れる受け皿はあまりなかったのだ」
  • 「日本の製薬企業の研究においては、学位による研究者間の序列は、逆に明確ではない。たとえ博士号を持って入社したとしても、最初の数年は上司について丁稚奉公」
  • 「欧米では博士号取得者と、それ以外で明確な区分けがあり、仕事の内容も違うし、働き方も全く違う」
  • 「日本の製薬企業も、ここ10年ほどは合併を繰り返し、欧米ほどではないものの、研究者の人数は確実に減っている。」
  • 「バブルの後採用を控え続けた影響で、研究員の世代間のギャップが大きく、非正規雇用研究員なしでは研究は成り立たない状態にある」
  • 「そして気がつけば、日本で医薬関連の研究職というと、企業や国の研究機関の一部の正社員を除き、大学や国の名だたる研究機関を含めて、新規採用はプロジェクトベースの短期雇用ばかりになっている」
  • 「今や創薬研究は、高度に分業化されたルーチンワークの集合体になり、全体を掌握できる研究者はわずかしかいない。研究者の高齢化も進んでいる。将来は益々不透明だ」
  • 「日本の高学歴ワープアと呼ばれる研究者には、学部から大学院まで、学生支援機構の奨学金を借りていた人も多く、総額が1000万円近い人もいる。それに加え、非正規労働の繰り返しで、研究者の最も重要な経験やスキルが身につかず」
  • 「博士の需要が最も多いと考えられている医薬系でこの状態なのだから、文系博士に至っては、惨憺たるありさまなのは容易に想像がつくのではないか」

10年ほど前から,とあるPhyloinformatics プロジェクトがらみで,この記事にも載っている大手製薬会社を含めていくつかの会社の研究所をまわったことがあった.創薬には(ありえへんほど)巨額の研究資金が投入されていることを知った.それと同時に,よくいえば大盤振る舞い,悪く言えば湯水のごとき無駄金が浪費されている状況があることも垣間見た.もう少しうまく使えば,創薬研究環境もよくなるだろうし,研究者の人材育成も効果的に行えるのではないかと感じたしだい.近年の状況は知らないが,この記事を読むかぎり,研究環境の「荒廃度」がさらに上がってしまったのだろうか.

◆暖かく晴れわたるお昼休みは気温22.4度まで上がった.連休後ひさしぶりの農林団地周辺徘徊だん.見渡すかぎり田んぼは一面に植わった苗が強い南風にそよいでいる.茂みからはキジの絶叫,道を横切るモンキアゲハ,砂塵が舞い上がる昼下がり.本日の歩き読み本:岡田喜秋『定本 日本の秘境』(2014年2月1日刊行,山と渓谷社[ヤマケイ文庫],東京,382 pp., ISBN:978-4-635-04766-1 → 版元ページ)最初の4章を読了.苗場から秋山郷,人吉から椎葉村,田沢湖から乳頭温泉郷,そして上州・万場〜上野村.秘境と秘湯.いずれも今から半世紀以上も前の1950年代後半のルポルタージュ.日本が高度経済成長と列島改造によってその「姿形」を大きく変える前の時代のこと.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 外部複写依頼した論文が立て続けに「紙」でバサバサ届いた./窓から吹きこむ薫風に煽られて居室の書類 “ボタ山” から崩落してきたのは:Elliott Sober 1999. Instrumentalism revisited. Crítica 31: 3-39の紙束.風に吹かれてもうひとひら:Olivier Rieppel 2007b The nature of parsimony and instrumentalism in systematics. J Zool Syst Evol Res 45: 177–183.実在論 vs 道具主義が本棚の上でバトルしている.

◆[欹耳袋]理化学研究所「研究論文の疑義に関する調査委員会による調査結果に対する不服申立ての審査結果について」(2014年5月8日),ならびに「不服申立てに関する審査の結果の報告 [pdf]」.一刀両断.しかし,これで終わるわけがない.科学的問題は消し飛んで,科学者的問題ばかり光が当たるいまの状況にほくそ笑んでいるのは誰か.

◆[蒐書日誌]十年あまり前に,京大出版会から出た:今西錦司[石田英實編]『今西錦司フィールドノート:採集日記 ― 加茂川1935』(2002年12月1日刊行,京都大学学術出版会,京都,8 color plates + x + 164 pp., ISBN:4-87698-603-7 → 書評・目次版元ページ)がとてもおもしろかった. “実験ノート” もこうでなくっちゃね.

◆大きく湧き上がる積雲は初夏の表情.生活クラブの鶏肉があったので,夕餉には恒例の「親が多めの親子丼」と〈いずみ橋〉「とんぼラベル7号」.アテとごはんの一石二鳥.

◆明日は定例経堂出撃日.大気の状態が不安定で,午後は積乱雲がそびえ立つとの予報.傘は必携か.

◆本日の総歩数=9092歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(−0.2kg)/ 30.5%(+0.2%)


7 mei 2014(水)※淀みなく日常へ戻される

◆午前4時過ぎ起床.気温は6.8度まで下がっている.寒い夜明け前.早朝は6.1度まで冷え込んだが,朝日とともに気温上昇中.連休明けの観音台は快晴の青空が広がっている.午前8時の気温は14.1度.日中は昨日よりも10度以上暖かくなるとの予報.大型連休明けの “喪失感” は比類なし.

◆[欹耳袋]東京大学大学院農学生命科学研究科の来年度大学院募集要項が公開されました./ときどきつぶやいていることだが,ギリシャ正教の聖地アトス修道院やメテオラ修道院みたいな「俗世間からあえて隔絶した場」が技芸継承に必要な研究者コミュニティはあるだろう.そこは避難場であり桃源郷でありそして流刑地である./かかりつけの医院の診察室に置かれている PC がまだ「XP」のままなので気になっているのだが,何か余計なことを口走って,たくさん注射を打たれたらたまりまへんので,そのまま帰ってきたことがある.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 連休明けの┣┣" 撃ちリスト更新.去る┣┣" は追わず,居着く┣┣" は肥え太る.

◆[欹耳袋]ResearchMap「生物学史研究会「進化論と植物学」(2014年6月7日、東京大学駒場キャンパス)」【日時】2014年6月7日(土)16:00〜18:00【場所】東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室./酪農学園大学トピックス「日本科学史学会2014年度総会・第61回年会」※初日の特別講演は実に「2時間10分」もの広大な時間枠が割り当てられている.実に北海道らしいおおらかさだ.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝しまくり:西條辰義・清水和巳(編著)『実験が切り開く21世紀の社会科学』(2014年4月20日刊行,勁草書房[フロンティア実験社会科学・1],東京,x+228 pp., 本体価格3,000円,ISBN:978-4-326-34911-1 → 版元ページ)※全8巻構成のシリーズになるらしい.

◆[欹耳袋]Data science & Software development「installr パッケージで R のバージョンアップ」(2014年5月5日)/iAnalysis ~おとうさんの解析日記~「混合効果モデル(変量効果モデル、mixed effect model)について」(2011年4月13日)/短縮URL「htl.li」の展開は〈GetLinkInfo〉を使えばいいことを知った.

◆正午の気温は19.9度.昼休みはこまごま用事を抱えて走り回り,紫外線をたっぷり照射された.午後は居室蟄居謹慎.食後のデザートは柏餅(みそあん)mgmg.三時のおやつは柏餅(つぶあん)mgmg.

◆[欹耳袋]へーいち の うぇぶろぐ「Word で 2文字以上の文字を丸で囲む」(2007年6月12日)※神託ならぬネ申ワードか.Word 文書で「丸で囲め」とか「チェック印を付けろ」と指定されたら,あわてず騒がずまずはプリントアウトして,手書きで「丸」とか「チェック」を記入し,スキャナーで全部 jpg にしてから Word 文書に画像として貼り付け,.docx ファイルで先方にメール送信する.これだったら,ハンコだろうが花押だろうが血判だろうが,なんでもオッケー.「ざまぁみさ○せ!」とまたお下品な罵倒語を口にしてしまう.

◆今日は終日さわやかな天気が続き,最高気温も21.3度と適度.気持ちいいのでさくっと撤収,よなよなエールを買ってきた.

◆[欹耳袋]Jタウンネット茨城県「【1個500円】値段もサイズも超ビッグ! これが横浜中華街の名物肉まんだ」※横浜中華街で〈江戸清〉の巨大肉まんを食べてしまうと,ほかのものがおなかに入る余裕がなくなる.〈551蓬莱〉の豚まんとは別次元の破壊力.こういう巨大肉まんは,間食として食べるべきなのか,それとも食事代わりにすればいいのか.

◆明日もまた原稿仕事でアタマが痛い…….

◆本日の総歩数=4703歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.1kg)/ 30.3%(−0.2%)


6 mei 2014(火)※寒風が大型連休の幕引き

◆午前5時過ぎ起床.雨上がりの曇り空.気温15.0度.午前7時の気温は11.3度.日が変わってから6度近くも気温が下がっている.曇って肌寒い連休最終日.

◆[欹耳袋]自分の苗字の頻度ランキングを知りたければ:〈全国の苗字(名字)11万種〉※前は他にも同様の苗字検索サイトがあったけど次々閉鎖されてしまったみたい.ココで調べるとワタクシの苗字は現時点で「18257位」とのこと.全国で「68世帯」あるらしい.マイナーすぎる苗字は人生にとって得か損かと訊かれたら…….

◆[蒐書日誌]昨日の読書:富士川義之『ある文人学者の肖像:評伝・富士川英郎』(2014年3月5日刊行,新書館,東京,446 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-403-21106-5 → 目次版元ページ)の第11章「富士川游のこと」(pp. 289-321)読了.さらにもう一世代さかのぼって,医学史家の祖父・富士川游について.血脈.富士川游はイェナ大学に私費留学したとき,エルンスト・ヘッケルの一元論哲学の影響を受け,帰国後,雑誌『人性』を創刊したとのこと(pp. 311-315).この雑誌は不二出版から復刻されている.

富士川游はその著書『日本医学史』で文学博士の学位を,そして続く『日本疾病史』で医学博士の学位をダブルで得たとのこと(pp. 310-311).富士川游『日本医学史』を日本学士院賞に推したのは『言海』の編者・大槻文彦.また,同書による東大医学部からの医学博士授与に反対したのは星新一の祖父・小酒井良精だった.めくるめく人脈ネットワークが背後にある.

引用されている富士川游のことば:「人間は与えられた境遇で与えられた仕事をする為に生まれて来たのである.……それが好きとか嫌いとかいうのは人間の得手勝手の心持である」(p. 319).富士川英郎は山脇東洋を引用しつつ言う:「事物の観察を先きにし,それに基づいて立言すれば,平凡な人間も真理を語ることができるという.学者の覚悟を見事に語り得たこの名句がすでに江戸時代に現われていることにわれわれは注意しよう」(p. 320).

◆あいかわらずどんよりした曇り空.北東風が吹き込んで気温はいっこうに上がらず.正午を過ぎても気温はいっこうに上がらず11度台の涼しさが続く.しかし,ときおり無慈悲にして「身から出た錆」的な “加圧” が続いているので,内面温度はしだいに高まりつつある.

◆[欹耳袋]Chase Your Dream !「過度な規則が研究者から研究時間を奪い,税金を無駄にしている(NSF報告書)」(2014年5月6日)※科学研究に対する「一罰百戒」ならぬ「一罰百罰」という誤った懲罰路線は日米で同じ./朝日新聞デジタル「蔓延する「パクツイ」「コピペ」背景は?」(2014年5月6日)※栗原裕一郎「ネットの普及でコピペが技術的に容易になった。ネットの衆人環視と集合知で盗作が発覚しやすくなり、糾弾が盛んになったことも大きい」/読売新聞「STAP「同僚に疑いの目、嫌がる文化」…英誌」(2014年5月2日)※元記事:Nature | Agency for change: Japan’s proposed reforms to science monitoring are welcome but long overdue | 30 April 2014.

◆今日は季節が逆戻りしたような涼しさだったが,夕方になってやっと日が差してきた.

◆今宵は海老名の〈いずみ橋〉「とんぼラベル7号」を開栓.25BY・山廃・神力・槽場直詰め無濾過生原酒.これまた郷愁を誘うとんぽ図柄のピンクラベル.アルコール度数は19度,ちょいオリがらみ.先日空っぽになった白ラベルの「とんぼラベル6号」よりも “骨太” なボディを感じた.この「とんぼラベル」は9号まで出荷されるらしい.生ハムとマカロニのサラダをアテに.煮抜きは箸休め.締めは3日がかりの牛豚渾然一体カレーでキマリ! スペアリブのホネからまる一日かけてスープを取り,二日目はカレールーづくり,牛肉を追加して今日が三日目.まだまだある.

◆根拠のない自信と無制限の楽観主義と予期しない幸運という土壌があって初めて才能は開花する.

◆本日の総歩数=0歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.7kg)/ 30.5%(−0.1%)


5 mei 2014(月)※雨が降る降る立夏の休日

◆地震とともに目が覚める午前5時過ぎ.曇り空.気温12.1度.冷凍の粽が山ほどあるんだけど,今日中に食べつくすのはムリ.それよりも,カレールーを作りはじめないと.午前8時の気温は15.8度.昨日とほとんど変わらないが,朝日が差さないだけで体感的には肌寒い.東風が冷たい.

◆[自然を名づける]本日の打音:読書メーター「自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのかのむっちさんの感想」(2014年4月29日)

◆[欹耳袋]〈帯文データベース〉–「「帯文データベース」は、書籍推薦文を収集・掲載しています。推薦文は、推薦者のカテゴリーに従って、「文芸」「文化・学問」「芸能・大衆文化」「政治・経済」「書店員・読者」に分けて掲載しています」.本に巻かれている「オビ」は買った読者が “脱がせる” ためにのみ存在しているわけではないのだ.「オビ」や「カバージャケット」を無造作に剥ぎとってしまう読者やライブラリアンは豚に喰われろ.このデータベースを見ると,特定の人たちがたくさんの本の「オビ文」を書いていることがわかる.

◆午前10時過ぎ,ほぼ2時間かけてカレールー完成.砕いたスパイス類を投入し,昨日の豚骨スープをぜんぶ注ぎ込んで煮立てる.火を弱めてから香味野菜類を投入して,やっと全作業が終わった.あとは火が勝手に調理してくれる.半日煮込めば今宵には食卓に運べるだろう.お昼前に雨がさらさらと降り始めた.予報通り.

◆[蒐書日誌]読売新聞「本よみうり堂 : 『哲学入門』 戸田山和久著 評・須藤靖(宇宙物理学者・東京大教授)」(2014年5月5日)※「「熊もどき」がストローで何やら飲んでいる写真」「著者は哲学者のふりをした文筆熊」– 熊さん.

◆[欹耳袋]BLOGOS – 藤田孝典「4月から奨学金返済の猶予期間が延長!! ~奨学金返済「猶予制度」を利用しよう!」(2014年5月3日) /日本学生支援機構「返還期限の猶予」※「適用期間は通算10年(120ヶ月)が限度です。(平成26年4月より適用期間が通算5年から通算10年に延長されました。)」

◆曇りときどき小雨が混じるあいにくの空模様.外出お買い物リスト:〈da Dada〉でフリッツァンテのロゼワイン,研究学園エリアはイーアス&コストコ大渋滞だった(みんな遠出しないのか),〈みずほの村市場〉大混雑.谷田部の須藤酒店にて〈いずみ橋〉とんぼ7号を買って観音台へ.連休中日に職場に忍び込むたわけ者.BGM はいま話題沸騰中(笑)のキース・ジャレット〈カーネギー・ホール・コンサート〉.咳払いによる演奏中断の心配は微塵もなく,美しい旋律が居室を満たしていく.妙なるメロディーとともに(精緻!),某会議の提出資料を仕上げて事務局にメール送信だん(非精緻!).キース・ジャレット〈カーネギー・ホール・コンサート〉のCD二枚目.これ,ライヴレコーディングのはずだが,咳払いひとつ拾われていない.聴衆にもそれなりの “覚悟” と “下準備” と “事前情報” があって演奏会場にいたということでしょうか.でも,演奏中いちばん “うるさい” のはピアノを弾きながら唸ったり叩いたりし続けるご本人でしょ…….いずれにしても,キース・ジャレットはひとりでゆっくり聴きましょう.

◆[欹耳袋]続編があったのか —— Y!ニュース:小野昌弘「STAP問題で露呈した研究体制の未熟さ (1)リスク管理の甘さ」(2014年4月28日)|「STAP問題で露呈した研究体制の未熟さ(2)医学生物学研究室という工場」(2014年4月30日)|「STAP問題:科学研究の再生に必要なのは研究者の自立と研究者社会の近代化だ」(2014年5月3日)※ワタクシのまったく知らない「科学」の世界が広がっている.科学の「研究現場」は想像以上に多様だと推測されるので,ある研究現場で問題が生じたとして,その個別案件への “対処” をすべての研究現場に一律に当てはめようとするのは効果ないでしょうね(弊害は多々あるだろうけど).

◆午後3時半,キース・ジャレットの〈カーネギー・ホール・コンサート〉がやっと終わったので,そろそろ撤収しよう.ぽつぽつ雨はもう上がって西から空が明るくなってきたが,これで油断してはいけないみたいね.

◆[欹耳袋]毎年出講している都内の某私立大学では,非常勤講師に対してもファカルティ・ディベロップメントのイベント案内が届く.それはそれで評価できるのだが,最後に太字で「本イベントに参加されても交通費は支給しません」と明記されている.自費でも参加させようという明朗会計には言葉もない.そのチラシを丸めてゴミ箱にぶちこみつつ,「××の穴から手ぇ突っ込んで奥歯がたがたいわしたろかぁ?」(伏字二文字)と日ごろワタクシがけっして口にするはずのないお下品なひとりごとをつぶやいてしまったのだった.罵りことばはつねにお下劣になる.

◆夕刻,カレーソースはほぼ完成.前回の残りの冷凍ソースを添加して,調味すればもう大丈夫だろう.トッピングは和牛切り落としを0.5kg用意した.夕暮れつくばは強い南風が吹き抜けている.気温は17.5度でも,風が冷たい.牛豚渾然一体カレーのできあがり.

◆さらさらと連休が音もなく流れ去っていく.

◆本日の総歩数=1517歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.2kg(+0.3kg)/ 30.6%(+0.1%)


4 mei 2014(日)※初夏の日差しのつくいち

◆午前5時前起床.気温10.6度.昇る朝日がまぶしすぎる.温泉硫黄臭がまだまとわりついている.午前10時過ぎ,乾いた初夏の陽射しが照りつける〈つくいち〉から帰還.今日は朝イチから人出が多かったらしく,パン屋の〈ブロートツァイト〉,〈ダヴィッドパン〉,〈パネッツァ〉は何一つ残っていなかった.

◆[欹耳袋] “津波注意報” 発令なう —— NHK NewsWeb「理研 全研究者に論文の点検指示」(2014年5月4日)※「少なくともこの10年の間に書かれた論文を対象とする方針で、この間の論文の数は2万を超えるとみられる」– いったいどーやって調べるんだろう…….遠隔地まで余波が押し寄せないことを祈るのみ./The Guardian | Academics Anonymous: why I'm leaving academia | 1 May 2014 ※国は変われど事情は同じコメント欄が長〜く伸びている.

◆正午の気温は21.2度.お昼までは立夏前日らしい青空が広がっていたが,午後になってだんだん雲が広がってきた.日中の最高気温は22.8度.豚骨スープを煮出し始めてそろそろ5時間になるが,まだまだ先は長い.カレーの仕込みに入れるのは夜が明けてからの予定.

◆[欹耳袋]佐賀県ICT利活用教育の現場報告「デジタル教科書・デジタル教材のインストールが始まりました」(2014年4月26日)※技量がまちまちな高校生1クラス分のインストール作業を先生一人がこなすのはもともとムリな話だ.

◆[蒐書日誌]シエスタ読書:富士川義之『ある文人学者の肖像:評伝・富士川英郎』(2014年3月5日刊行,新書館,東京,446 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-403-21106-5 → 目次版元ページ)の第9章「江戸後期の詩人たち」(pp. 227-252)と第10章「菅茶山の方へ」(pp. 253-287)読了.ドイツ文学と江戸漢詩の「二足のわらじを履く」というよりは,むしろ「華麗なる第二の人生」への転身というべきかも.

ついでに,本書の書評記事をいくつかピックアップ —— 毎日新聞:池内紀「今週の本棚:池内紀・評 『ある文人学者の肖像−評伝・富士川英郎』=富士川義之・著」(2014年5月4日)※「父親の変身、精神的浄化を追って」/日本経済新聞:沓掛良彦「ある文人学者の肖像 富士川義之著 愛息がたどる「文雅の人」の生涯 」(2014年4月27日)/書評空間:阿部公彦「『ある文人学者の肖像 ― 評伝・富士川英郎』富士川義之(新書館)」(2014年3月27日)※「父という謎」.

何世代にもわたる “学者家系” の「文化的資産」ははかりしれないものがある.目に見えたり見えなかったりする人脈・知脈のネットワークは「持てる者」には手を差し伸べ,「持たざる者」の頭上を通り過ぎていく.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「キース・ジャレットさん、コンサート中に演奏数回中断」(2014年5月4日)※記事によると:「演奏を数回にわたり断続的に中断してステージから退場した。聴衆数十人が未明まで会場に残り抗議する一幕もあった」.その原因は「演奏中の聴衆のせきやかけ声に「集中力を欠いた」」ということらしい.要するにワルイのは(ごく一部の)聴衆ね.「せき」はまあしかたがないとしても,気になるのは「かけ声」.ヘンな客がいたんじゃないかな.全編インプロヴィゼーションのコンサートだから,こういうことになったのではないかと推測する.参照:NAVER まとめ「キース・ジャレット、観客のマナーに気分を害し演奏を何度も中断→そのままコンサート終了のトラブル」.

◆豚骨スープのお世話をしながらゴールデンウィーク四連休は何の波乱もなくシズカに過ぎていくのだった.

◆本日の総歩数=3612歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(+1.0kg)/ 30.5%(+0.4%)


3 mei 2014(土)※夜明けの墨の湯に沈んで

◆午前5時前起床.起き抜けの温泉は至福.山あいの夜明けは寒い.塩原元湯温泉はここ〈大出館〉の他に〈元泉館〉と〈ゑびすや〉というふたつの温泉宿がある.かつてはもっと栄えた温泉だったらしいが,江戸時代の山津波でいったん埋まってしまったらしい.上州の霧積温泉みたいな波乱の歴史をたどったようだ.

山あいに朝日が差し込む午前7時前,もうひとつの「御所の湯」に入る.ここは細かい真っ白な湯の花が漂う硫黄泉.極楽極楽.

◆午前9時に〈大出館〉をチェックアウト.途中,もみじ谷大吊橋に立ち寄って,萌え出づる新緑を堪能し,つくばへの帰路.連休後半初日は東北道も国道4号も下り方向は激混みだったが,逆方向だったので,一般道でも3時間そこそこで那須塩原からつくばまでスムーズに縦断できた.つくばの今日の最高気温は27.4度ですかそーですか.

◆[欹耳袋]Togetter -「極点社会~新たな人口減少クライシス~ - NHK クローズアップ現代

◆[蒐書日誌]温泉宿でも読み進む:富士川義之『ある文人学者の肖像:評伝・富士川英郎』(2014年3月5日刊行,新書館,東京,446 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-403-21106-5 → 目次版元ページ)の第8章「『伊沢蘭軒』をめぐって」(pp. 197-225)読了.森鷗外による江戸時代の儒医の伝記『伊沢蘭軒』を富士川英郎が愛読していたことを手がかりに,ドイツ文学者だった父・英郎がなぜ江戸時代に関心をもつにいたったのかについて推論を巡らす息子・義之.人間関係のネットワークが徐々に解きほぐされていくおもしろさ.富士川英郎と親交のあった科学史家・三枝博音のことばが引用されている:「人間だけでなく物がまた次ぎ次ぎに地上から消えていくのである.歴史家はものぐさであってはならない.歴史家の有為と史料の有為との競争である.地上から影をひそめゆく人と物象を追い求め,求め得た人と物の形像を復原するところに感じられる人間の切なさの感性的なもの,それが芸術としての史伝作品のいのちである.私にはそう思われる」(p. 210).

富士川英郎自身の感想は:「それを読んでおりますと,何というか,人生の流れ,そういう儒医たちを中心にして,その時代および人生の流れといったようなものが感じられる.いわば一種の時間が感じられる.その中では有名,無名の人びとが次から次へと表明に浮かび上がっては消えていきます.……蘭軒一人の伝記というより,そういう一つの生活の流れ,しかも小説でなしに実際の事実をもとにした生活の流れ,といったものがそこに描かれているのであります」(p. 219)|「何でもない日常のことがそこに書かれていますが,それが鷗外の筆にかかると不思議に面白い」(p. 220).

そして,富士川義之はこう締めくくる:「読者がこの作品を読むためには,煩瑣な事実のひとつひとつと我慢強く付き合い,膨大な事実の集積から浮かび上がって来るその世界を経験するしかないのである」(p. 224)|「『蘭軒』を読んでいると,無常な人生の流れそのものが捉えられているように感じられて興趣がつきない.これが英郎が『蘭軒』を繰り返し愛読した究極の理由である.個々の人物たちの性格やら個性もさることながら,それらを超えて人物たちを動かしている無常な人生の流れそのもの,つまりは歴史というものがしかと感じられるところに比類ない『蘭軒』の魅力があると言うのである」(p. 225)– この血脈の連なりはただごとではない.

◆つくばに帰り着いても,塩原元湯の硫黄臭が全身に染みこんでマッチ箱みたいな強烈な臭いを発している.

◆本日の総歩数=6864歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)=未計測/ 未計測


2 mei 2014(金)※テルマエ・シオバラエへ

◆午前5時過ぎ起床.朝日がぎらぎら.気温13.1度.朝から初夏の日射しがまぶしすぎる観音台は午前8時の気温が17.1度と高い.日中の最高気温は夏日ラインを越えるとの予報.朝イチの BGM はヴィラ=ロボスの〈ショーロス11番〉.いっさい休みなく一時間あまり鳴り響く巨大なピアノ協奏曲.

◆[欹耳袋]山口大学:教育心理学教室のご案内 —— 「Rチュートリアルセミナーテキスト」 ※全75ページ.前半はR総論.後半はt検定・回帰分析・因子分析・構造方程式モデリング.|「Rオンラインガイド」※動画で誘うRの世界.新たに RStudio 編が追加されたことを知った./r-statistics-fanの日記「恣意的なカテゴリー分けで有意差を捏造する(黒い統計家シリーズ)」(2014年5月1日)※「黒い統計家」って……(ウケる).良い子(=研究者)は真似をしてはいけませんよ.めっ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 講演タイトルの字数制限が「15文字以内」というのはかなり苦しいな.ワタクシはつねづね演題を長く伸ばすクセがあるので.メインタイトルだけでなくサブタイトルも付けるし.ワタクシが今まで見た論文タイトルで最長のものは,Systematic Biology 誌の doi:10.1093/sysbio/45.4.580 だった.タイトル文字数はなんと267字もあって,紙面で5行に及ぶ.というわけで,ワタクシの科学基礎論学会(6月)講演タイトルは「生物学の哲学と個別科学の共進化」という15文字ちょうどにおさまった.鉄骨丸見えで味も素っ気もない.

◆[欹耳袋]科学政策ニュースクリップ「ミスコンダクトと責任ある研究活動の距離」(2014年5月1日) ./毎日新聞「STAP論文:理研調査委にまた疑義 研究者3人」(2014年5月1日)※論文を書いたことが一度もない人を調査委員にしましょう.

◆テルマエ・シオバラエへの逃避行 —— 今日は午前中のみの出勤で,午後は半日年休を取った.いったん帰宅して旅支度をばたばた.午後3時の気温は26.0度.カンカン照り.では出発だ.往路は高速道で.常磐道・北関東道・東北道と渋滞もなく快調に走り抜け,西那須野塩原インターを出たのが,午後5時半.西日がまだ明るい.明日から始まるゴールデンウィーク後半の四連休はどこもかしこも混雑するにちがいないが,前日の今日はまだ大丈夫だった.

◆インター横の畜産草地研究所と千本松牧場を横目に通り過ぎ,山に向かってひたすら登っていく.箒川の流れを見下ろす曲がりくねった山道をたどり,トンネルをくぐればそこは塩原温泉だ.夕闇迫る温泉街はさびれが目立つ.しかし,目指す塩原元湯温泉は温泉街のまだ先にある.塩原温泉を抜けて赤川沿いの急な山道をさらにたどる.舗装はしてあるが,どこまでいっても車一台すれちがわない.急なヘアピンカーブの上り坂をいくつも越えて,やっとゴールが見えてきた.道端の「熊に注意」の標識を下れば,塩原元湯温泉の三軒の温泉宿が渓流沿いに集まっている.そのうちの一軒〈大出館〉が今夜の投宿先だ.ここは「日本秘湯を守る会」の会員.

◆〈大出館〉の内湯「墨の湯」は硫黄泉ながら鉄分のせいで薄墨のような真っ黒い湯.ほかにはない泉質らしい。湯の花も竹炭の破片のように真っ黒.タオルも浸せば黒くなる.「墨の湯」にはもうひとつ泉質のちがう湯船があって,こちらは白濁の高温硫黄泉.でも,膜のように浮かぶ湯の花は墨汁を流したように真っ黒.すごい.飲泉するなら「墨の湯」.となりの硫黄泉は土類のえぐみがあって,ちょっとつらいかも.

「墨の湯」は湧出量はあまり多くないが,ときどきぼこぼこと勢いよく湯船に注ぎ込む.もちろん源泉掛け流し.最初入ったときは岩風呂かと錯覚したほどワイルドな浴室だが,実はタイル張りの内装が硫黄で腐蝕してぼろぼろになった結果がこれ.ローマの浴場遺跡のような廃墟感がある.内壁も土壁のように腐食していて,ちょっと触るだけでボロボロ崩れてしまうほど.墨の湯の湯船の底には,真っ黒い湯の花に混じって,壁の崩落片が堆積している.野湯ですか,ここは.

ここは山奥の温泉宿なので,麓の塩原温泉街にあるような遊興施設はまったくない.温泉に浸かってご飯を食べたら,忍び寄ってくるのは睡魔のみ.午後10時過ぎには早くも爆睡態勢に入った.

◆本日の総歩数=4309歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.3kg)/ 30.1%(+0.2%)


1 mei 2014(木)※霧雨のち晴れのち通り雨

◆午前5時前起床.雨は上がったようだ.気温16.6度.しかし,また雨がぽつぽつと.月始めのメーリングリスト月例アナウンス送信.霧雨がさらさら降り続く観音台.気温は17.8度と高い.西の空から明るくなってきたので,雨上がりは間近かも.

農環研でも今日から「軽装実施」だが,掲示には「当分の間,上着,ネクタイを着用しないなど,職員の軽装を実施しています.ご来所の皆様には,軽装実施へのご理解をお願いいたします」と書かれている.誰も何も言わないけど,「上着」と「ネクタイ」は不文律ドレスコードなのだった.もちろん,研究職員は「省エネルギーおよび地球温暖化防止に資するため」,炎天下でも厳冬期でも常時「軽装実施」している.

◆[欹耳袋]一研究者・教育者の意見「柳田充弘先生に望む事」(2014年4月30日)※「柳田教授に知っておいて欲しいもう一つのことは、なぜ研究不正を指摘するブロガーたちが多数存在するのかということである」.

◆午前の┣┣" 撃ち —— MAFFIN ML 管理操作のうち,登録内容の「修正」については,MAFFIN 外からの操作を受け付けない仕様になっているみたい.該当アイテム全体をいったん「削除」してから「再登録」しないとダメ./WebOPAC ILL で外部複写依頼をまとめて申請.Systematics and Biodiversity 誌もつくばの農林団地にはなかったりする.ややエキセントリックな Acta Biotheoretica 誌がないのはまあしかたがない.Journal of the History of Biology とか Biology and Philosophy くらい,農水のどこかの独法研でコッソリ揃えてくださいよ,と無い物ねだりしてみる.なんかの試薬のかわりにコッソリ購入.湯水のようにじゃぶじゃぶと,空気のようにすーはーとジャーナルが読める環境はまことにうらやましい.

◆[欹耳袋]マット・リドレーってイギリスの上院議員になったのか……:ウォール・ストリート・ジャーナル:Matt Ridley「世界の資源は枯渇せず―有限説はエコロジストの杞憂 」(2014年4月29日).

◆[蒐書日誌]園信太郎『確率概念の近傍:ベイズ統計学の基礎をなす確率概念』(2014年5月近刊,内田老鶴圃,東京,ISBN:978-4-7536-0121-9 → 版元ページ)※統計学や確率論のリクツの本は注意しないと見過ごすことがある.十年前に出た:ドナルド・ギリース[中山智香子訳]『確率の哲学理論』(2004年11月15日刊行,日本経済評論社[ポスト・ケインジアン叢書・第33巻],東京,xiv+343 pp., ISBN:4-8188-1703-1)もあっさり品切れになってしまったしね.こまめに見つけてピックアップしないと後悔しまくる.

◆午後の┣┣" 撃ち —— もう二件,外部複写依頼をすませてやっとお昼休み.外は初夏の陽射しがさんさんと降り注いでいる.正午直前の気温23.0度.マジっすか.半袖で正解.昼休みの気温は24.5度と夏日ライン寸前.強い日差しの中を短縮徘徊コース一回り.農林団地周辺の田んぼでは早くも田植えが始まっていた.木々の花には訪花昆虫が群れている.イッキに初夏のスタート.

◆[蒐書日誌]今日の歩き読み本:富士川義之『ある文人学者の肖像:評伝・富士川英郎』(2014年3月5日刊行,新書館,東京,446 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-403-21106-5 → 目次版元ページ)の第7章「昭和三十年代」(pp. 153-196)読了.駒場の比較文学専攻の教授時代の話がいろいろ.「彼らのような文人学者が大学内での主流であったわけではけっしてなかっただろう.だが,高度な専門家のみを大学は必要としているといった現代的な専門主義の重視は,当時はまだ大学内では大勢を制するまでにはいたっていなかった」(p. 165)|「文人学者に対してさえも,ある程度寛容な態度が示せるほどのいわば度量の大きさといったものが,おそらく大学内にはまだ残っていたのだろう」(p. 165)|「大学紛争以前の時代というのは,思えばある意味で現代とはほとんど比べようもないくらいまだおおらかで,のんびりとした牧歌的な雰囲気の残る時代であったと入ってもいだろう」(p. 166).

◆雷雲のオビが刻一刻とつくばに迫ってきている.午後5時前,西の空がいきなり暗くなり,大粒の雨がぼたぼた降ってきた.しかし,小一時間で通り雨はほぼ上がり,西日がまぶしい.

◆[欹耳袋]NHK クローズアップ現代「極点社会~新たな人口減少クライシス~」(2014年5月1日)|「「極点社会」の衝撃」(2014年4月30日).「限界コミュニティ化」はいつでもどこでも生じ得る.以前そう書いたことがある:「研究者コミュニティの「限界集落」化について」|「研究者コミュニティの「限界集落」化について(続)」./【追記】NHK NewsWeb「「極点社会」人口減少の現実」(2014年5月2日).

◆本日の総歩数=7110歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.8kg)/ 29.9%(−0.8%)


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