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日録2014年3月 


31 maart 2014(月)※年度末から本気出すのだ

◆午前5時前起床.気温12.2度.北風が吹きつける観音台は朝から晴れわたる.午前8時の気温は13.7度.出勤簿に今年度最後の押印をしてしまったので,泣いても笑っても明日からは新年度.BGM は Keith Jarrett〈The Köln Concert〉.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「専門的な文章を読むには訓練が必要という当たり前だがあまり知られていないこと」(2014年3月30日)※いわゆる data-driven な科学研究分野だと「ことば」や「概念」の問題はまたいで通りすぎても大丈夫なのかもしれないが,concept-driven な分野だと「ことば」や「概念」について議論し続けることに意義があることもある.後者の場合,「ことば」や「概念」の体系を大きく見渡すまでの基礎トレーニングは必須.しかも科学的概念の “地形” が短期間に変動することもあり,救命ザイルを身に着けていないと滑落してしまう.しがみついていりゃいいってもんじゃない.既存の「ことば」や「概念」を学びつつ,自力で “世界の体系” を創っていくことが大きな目標となる.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 早々とカレンダーをめくってしまおう.気分はもうエイプリルフール./メーリングリスト登録作業とか,査読依頼の引き受けメールとか(丸投げする気まんまん).微小┣┣" も積もれば山となる./紀州から依頼された統計コンサルタント業務./新年度の東京大学大学院便覧と農学生命科学研究科便覧が届いた.学生や院生のころは便覧なんてもらったまま放置していた.つくる側になって,細部にいたるまで一言一句チェックされていることに初めて気づく.

◆[欹耳袋]竹内研究室の日記「博士論文とは単なる「世界一の成果」ではなく、後世に知の体系を伝えること」(2014年3月30日)※「博士論文はで10年、20年と長く人に読んでもらえるような「知の体系」であるべきなのです」– 実に正しい指摘だとワタクシは思う.

◆今日は年度最終日なので,辞令を片手に挨拶に来られる方がちらほら.通年的に異動はあっても,やはりこの時期がもっとも多い.定年退職あるいは他所異動など人生行路はさまざま.ワタクシたちの年代になれば,すでに “微分人生” から “積分人生” へとスイッチが入れ替わっているだろう.インターバル・トレーニングのように短距離走を繰り返すことはもうできない.

◆外気温はすでに17度を越えた.ぽかぽかと暖かい昼休みは気温18度超.農林団地の桜は五分咲き程度.それでも花見客が車を連ねていた.きのう東北新幹線の車窓から飛鳥山公園の満開の桜が望めた.農林団地はまだ満開ではないが,来月になればお花見渋滞が始まるにちがいない.いつもの周辺徘徊コースを小一時間.多少の花粉の祭典はガマンしましょ.

◆[欹耳袋]時事ドットコム「4月1日に最終報告書公表=理研、STAP細胞論文問題で」(2014年3月31日)※「理研広報室によると、小保方晴子氏や笹井芳樹CDB副センター長らSTAP細胞論文著者が記者会見する予定はないという」– 続編の台本はあまり魅力的ではないようだ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— ワタクシ的には,東大が「4ターム制」を本格的に導入した場合,講義のワクの設定をどーするのかがとても気になる(一週間2コマの倍密度か,2タームにまたがる通常密度か).とくに,非常勤講義の場合,問題が生じるのではないか./個人業績票の修正というみっしり詰まった微小┣┣" をひとつひとつ潰すというお仕事が,夕方やっと終わった.さっさと退散だ.長居は無用.

◆竹園の〈カスミ〉が明日からしばらく改装閉店するとのこと.棚が空っぽになっていてボー然とした.今日も午後6時閉店で客も店員もばたばたしていた.

◆本日の総歩数=11060歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=96.1kg(+2.1kg)/ 30.9%(+0.6%)


30 maart 2014(日)※湯けむり旅行からの帰還

◆前夜は早く寝過ぎたせいか,真っ暗なうちに目が覚めてしまった.渓流のせせらぎの反響に,雨が降る音が混じっている.天気予報は当たったようだ.午前5時前,朝イチの内風呂へ.一晩中注ぎ込んでいた源泉のせいで湯温は十分すぎるほど高い.

朝食後,温泉街をひとまわり散歩した.大正レトロな建築物で有名になった温泉街には,木造4階建ての旅館やモダンな旅館が並んでいる.残雪が何メートルも根雪になっていて,いたるところで層をなしている.夜中にときどき聞こえてきた鈍い反響は,氷河のようにずり落ちる残雪の端っこが次々に崩落する音のようだった.掛け値なしの豪雪地帯.

◆[欹耳袋]〈科学バー〉キャスティングはおもしろそうなんだけど,開催詳細がまだ決まっていないということかな.)「【ブースNO.48 科学バー(両日出展)】博物ふぇすてぃばる」では「系統樹曼荼羅ポスター」が掲げられるそうだが,これまた開催詳細が不明.

◆ようやくつくばっく —— 午前9時半にホテルをチェックアウト.送迎車でJR大石田駅まで送ってもらう.山形より北は2時間に1本しか新幹線がないので,とりあえず,奥羽本線の鈍行で山形まで出ることにした.山形新幹線と奥羽本線は線路共有なので,あまり新幹線らしい俊足さは感じない(ひょっとして TX の方が速くないか?).それでも,何となくのどかでサイズの小さい新幹線は居心地がよかったりする.

南に下がるとともに雨足はさらに強く,沿線の雪景色がにじんでいる.山形新幹線つばさ号で一駅だけ乗って米沢へ.最上川を渡ったところにある〈ステーキハウス・オルガン〉にて米沢牛ランチ.A5ランク制覇! マランツの古いアンプと巨大なスピーカーからは妙なる弦楽が流れていた.午後2時過ぎに米沢駅からふたたび山形新幹線.順調に南下して午後4時半に上野到着.TXでさくっと移動し,午後6時前につくばに帰り着いた.大宮あたりから青空がのぞき,都内では雨はもう止んでいた.しかし,つくばはまだ雨上がり直後のようで,そこかしこに水たまりが.空気が湿ってぬるい.

—— かくして,年度末の湯けむり旅は終わった.おあとがよろしいようで.

◆[欹耳袋]福島民友新聞「大七酒造、ニューヨークタイムズで紹介 日本酒の価値評価」(2014年3月30日)※元記事:NY Times | In Sake, Japan Sees a Potential Stimulus | 21 February2014.

◆明日からは何ごともなかったかのように平日労働が始まる.┣┣" も年度末も踏み倒しまくり.

◆本日の総歩数=6887歩. 朝◯|昼×|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


29 maart 2014(土)※残雪の尾花沢,銀山温泉

◆午前4時半起床.速攻で内湯の大風呂へ.外が明るくなってきたので,午前6時と同時に湯小屋に直行.旅館のまわりは見渡すかぎりの残雪.玉子湯の湯小屋は茅葺き.屋根には雪が溶け残り,吹き抜けの二階は湯気とガス抜きの機能あり.朝イチに入ったら湯の花が全部沈んで透き通っていた.夜のうちにお湯を全部取り替えたのだろうか.湯小屋の中はタイムスリップしたような湯治風景を連想する.注意書きには「ひとりで入るな」と(コワイよ〜).渓流沿いの残雪をわたる風が冷たい.チェックアウトぎりぎりまで♨し続けたら,湯小屋の屋根に積もっていた残雪のカタマリがいきなり落下して,危うく雪だるまになるところだった.天誅か.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「親の年収多いほど高い学力 文科省、初の全国調査」(2014年3月28日)※「親の年収や学歴の学力への影響が明確になった。この格差を縮めるには、効果的な雇用対策など社会的格差縮小の施策が重要だ」ってマジ? 「年収と学力」の因果関係ってもっとちゃんとしたモデル分析があってしかるべきだと思うけどね.見かけの相関関係だけじゃなくって.

◆湯けむり旅はさらに北へと続く —— 午前10時半に送迎バスで福島駅へ.初体験の山形新幹線に乗り,まずは山形で途中下車.ここまで来て芋煮をまたいで通り過ぎるわけにはいかない.ランチをすませて,さらに北上を続ける.気がつけば車窓は雪景色.東北地方をひたすら北上している実感が湧いてくる.新庄手前の大石田駅で下車.積み上げられた雪の山がそびえ立つ駅前で,旅館の送迎車をひたすら待つ.午後4時前,車に乗って尾花沢の〈銀山温泉〉へ.有数の豪雪地帯とのことで,地吹雪防止フェンスの向こう側はどこまでも真っ白な雪また雪.銀山温泉の温泉街もいたるところにバウムクーヘンのように層別化した根雪が堆積していた.旅館〈松本〉にチェックイン.まずは一休み.

◆夕食後,温泉街を夕暮れ散歩.ライトアップされたレトロな旅館群が実にみごと.銀山温泉はもっと大きな温泉街かと思っていたが,実はこじんまりした山間の温泉だった.この狭いエリアに客が集結したらそりゃ混むのも当然だ.

◆本日の総歩数=5853歩. 朝◯|昼△|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


28 maart 2014(金)※いい日旅立ち,高湯温泉

◆午前6時過ぎにのろのろ起床.さっそく朝風呂とは背徳の予感.明け方は1.5度まで気温が下がったが,今は朝の陽光がさんさんと降り注ぐ.いい日旅立ち.

◆[欹耳袋]Togetter -「柳田先生STAP関連」 /日本経済新聞「研究者・学生に倫理教育 STAP問題を受け文科省が義務化」(2014年3月28日)※幕が下りても,反響や残響や絶叫はまだまだ続く.グレの王が率いる亡者の軍団が駆け巡るたびに,下々の者はじっと身をすくめて恐れおののくしかない.

◆捜さないでください —— 「秘湯に身を隠せ」との天の声が聞こえ,旅支度をしてつくばを出奔したのがお昼前.東北新幹線で福島駅に着いたのは午後3時前だった.南東北にも春の陽気はちゃんと到達していた.

駅前から護送車で磐梯吾妻連峰を上ること標高800メートル.下界は20度超の暖かさでも,吾妻連峰の山間はまだ残雪に埋もれていた.磐梯吾妻スカイラインの手前にある高湯温泉の旅館〈玉子湯〉に投宿.部屋から見下ろすと,開湯400年という湯小屋が噴気を上げていた.

玉子湯の源泉は低い屋根の下にある.泉質は含芒硝酸性石膏泉.硫黄泉とのことだが,大分や鹿児島の濃厚硫黄泉をいったん体験してしまうと,硫黄臭さはぜんぜん感じない.むしろ特徴的なのは,その名の通り玉子スープみたいな細かい湯の花が大量に漂っていること.これはすばらしい.もちろん加水なしの源泉掛け流し.湯小屋の湯舟は大きくないが源泉が絶えず注ぎ込んでいる.温度調整をしていないとのことで,今日はやや熱め.湯小屋は湯船に接して脱衣場があり、別府の共同浴場に似ている。東北でもこれが伝統的な湯治場スタイルとのこと.湯小屋から渓流沿いに下ると,露天風呂や足湯が点々とあった.

夕餉は囲炉裏端にて炭で焼く料理.海鮮からきのこ鍋までいろいろ.地ビールのアンバーエールがことのほか美味かった(ピルスナーはイマイチ).

◆[欹耳袋]日経BP-ITpro「「Excel方眼紙」の何が悪い?」(2014年3月26日)※「作り手の側からは根強い人気があるExcel方眼紙」– そーいうネ申エクセル文書をまき散らさないで〜.昨年暮れに発表された,Excel方眼紙からWebアプリをつくる〈Forguncy〉は,今年リリースされるのか.

◆秘湯に逃げ込んでも原稿督促┣┣" はかまわず追いかけてくる.

◆本日の総歩数=4085歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(0.0kg)/ 30.3%(−0.2%)


27 maart 2014(木)※本郷送別会の夜は更けて

◆午前5時前起床.気温12.1度.雨は降っていないけど,雲が広がる夜明け前.曇り空の観音台は空気がしっとり湿っている.前日の名残の水たまりが点々と.そしてふたたび観音台は小雨に濡れるのだった.

◆[系統樹曼荼羅]先日出版された『系統樹曼荼羅』第2刷の「正誤表」を公開しました.本文テクストについては約50箇所,図版については20箇所あまりの修正があります.これで大きい “蟲” はほぼ駆除できたでしょう.

◆本日の┣┣" 撃ち —— 昨日来るはずだった業者さんからはナシのつぶてなので,素知らぬふりして放置し続けよう./個人業績評価に関わる個人面談.年度内に提出書類の修正をせよとのお達し./プリンター修理業者は午後3時に再来.┣┣" 一頭が消えた.

◆[蒐書日誌]最新刊:松本俊吉『進化という謎』(2014年3月刊行,春秋社,東京,ISBN:978-4-393-32354-0 → 版元ページ)※400ページ超.ブツはまだ手にしていない.

◆本郷・菊坂あたりは宵闇に包まれて —— 午後5時,つくばを出発.雨雲はやっと晴れ,雲間からのぞく夕日がまぶしい.午後6時,本郷三丁目に到着.夕暮れの本郷通りを北上.大山堂書店にしばしトラップされたのち,夕闇の菊坂を下る.この界隈を歩くのは何年ぶりのことだろう.菊坂を降りたところにあるビストロ〈Cototoi〉着.曲線を描くフシギな店内のフォルム.本日は貸しきりで東大の専攻送別会.ラングドックのワインも料理もとてもうまかった.午後9時半に解散.つくばに帰り着いたのは午後11時を過ぎていた.

◆明日からは旅に出ます.捜さないでください.

◆本日の総歩数=10147歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.1kg)/ 30.5%(−0.3%)


26 maart 2014(水)※天気は一転,春雨が降る

◆午前5時起床.気温8.3度.午前6時の時の鐘.ちょっと前までは氷点下だったことを考えれば,つい先日まで,氷点下の冷え込みだったのに,ここ数日はすっかり春めいてしまって,季節は着実に歩みを進めている.湿っぽい曇り空の観音台.午前8時の気温は11.7度.雨雲は関東地方にはまだ到達していない.農林団地でも辛夷の花がちらほら咲き始め,桜の開花も間もなくだろう.

◆[欹耳袋]AMNH News & Blogs | Darwin Manuscripts Project Will Transcribe Botanical Manuscripts | 25 March 2014 Cf: Darwin Manuscripts Project./A. D. Patel | The Evolutionary Biology of Musical Rhythm: Was Darwin Wrong? | DOI: 10.1371/journal.pbio.1001821.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前10時半から所内領域会議が一時間あまり.議題が年度末ですなあ.

◆薄曇りときどき晴れ間ののぞく昼休み.正午の気温は18.4度.湿度が高いせいか徘徊するとやや蒸し暑い.歩き読み本:マンフレド・シュピッツァー[小林敏明訳/村井俊哉監修]『デジタル・デメンチア:子どもの思考力を奪うデジタル認知障害』(2014年2月4日刊行,講談社,東京,398 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-06-218205-8 → 版元ページ)を100ページあまり.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝:武内和彦・渡辺綱男(編)『日本の自然環境政策:自然共生社会をつくる』(2014年2月20日刊行,東京大学出版会,東京, viii+248 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-13-060310-2 → 目次版元ページ).自然環境保全に関して環境省自然環境局を中心とする執筆陣.

◆[欹耳袋]ワタクシの経験では,「イチから説明」したのではダメで,「あえてマイナス3まで戻って説明」する方が効果的.「これくらい知ってるよね」という教える側の淡い期待は,多くの場合,裏切られるためにのみある.「そんなこと,わかってるよ」といったん感じてもらえれば,それに続く「締め上げ」の甲斐があるというもの.「マイナス3」は跳び箱の踏み板みたいなもの.とくに,最近の大学生の場合,いろんな入試コースを経由してくるので,前提知識のばらつきが大きい.その分布を勘案して「マイナス3」から始めることにしている.

◆帰り道,ぼたぼたと雨が降ってきたが,幸い通り雨だった.雲間から差し込む夕陽がまぶしい.今日の最高気温はお昼すぎの19.8度.昨日よりは低かったが,それでも十分すぎるほど暖かかった.

今宵も夕餉には〈美和桜〉山廃純米生原酒の燗酒を.ややぬる目の燗にすると,山廃の酸味と味わいがほんのりと.先日,アマゾンで買った「酒かん計」が大活躍.今までは当て推量で燗酒を温めていたが,「酒かん計」がやってきてからというもの,熱燗・ぬる燗もちろんOK,燗冷ましもいける.すばらしい!

◆[欹耳袋]つくば市「研究学園駅地区の新住所について」(2014年3月25日)※現住所が「苅間」であることにまず驚愕した.新住所だと「研究学園」の南側は「学園南」.それはまあでいいとして,北側が「学園の森」だと! 学園の森,学園の森,学園の森.

◆本日の総歩数=8623歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−1.0kg)/ 30.8%(−0.4%)


25 maart 2014(火)※春爛漫の陽気に包まれる

◆午前5時起床.気温6.7度.午前8時前には早くも9.9度まで気温が上がり,春めきすぎてどうしようもない.花粉の祭典はことのほか絢爛豪華な幕開きとなった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 月末かつ年度末はいたるところ “火車” が走り回っている.それらの “火車” が駆け巡る午前中.静かに次年度のための書類を書くのは現実逃避の一種./ひさしぶりに SONY Vaio を立ち上げたら,いきなり更新の祭典が始まった.

◆[欹耳袋]大上雅史「学振特別研究員になるために~知っておくべき10のTips~」(2014年3月23日):Website | SlideShare /上智大学>研究機構 > 国際言語情報研究所:「ノーム・チョムスキー教授講演会」※先日の講演会の動画が公開されている./Y!ニュース「学生1万9000人が使う“PCルーム”を全廃する九州大 その狙いとは?(ITmedia エンタープライズ)」(2014年3月24日)※「PCを買わない、持ってこない学生に対して過保護にする必要はない」

◆気温20.4度の昼休み徘徊はややハードだった.午後1時前の気温21.4度.そろそろ半袖・短パン・サンダルという “のーかんけん的正装” の心づもりが必要か.扇風機の風が心地よい昼下がりの居室.BGM はグレン・グールドのけだるい平均律.空を見上げれば揚雲雀が啼き続け,真っ白な辛夷の花が南風に揺れ,気温22度を越えそうな陽気.あまりに暖かすぎて仕事にならない.

◆[欹耳袋]SciencePortal「細胞死が植物上陸の鍵だった」(2014年3月25日)|元論文は: Bo Xu et al. | Contribution of NAC Transcription Factors to Plant Adaptation to Land | Science DOI: 10.1126/science.1248417 | Published Online March 20 2014.

◆[蒐書日誌]本日の歩き読み本:沢木耕太郎『旅する力:深夜特急ノート』(2008年11月30日刊行,新潮社,東京,289 pp., ISBN:978-4-10-327513-8 → 版元ページ特設ページ)読了.約30年前に出た『深夜特急』シリーズはまったく読んでいないが,このエッセイ集単独でも十分に読み応えがある.抜き書きをいくつか:


「本来,未経験は負の要素だが,旅においては大きな財産になり得る.なぜなら,未経験ということ,経験していないということは,新しいことに遭遇して興奮し,感動できるということであるからだ」(p. 236)

「それで,二十六歳くらいが外国への長い旅に出るにふさわしい,いわば適齢期ではないか」「確かに,そのくらいの年齢のときがちょうど旅に必要な経験と未経験を二つ併せ持っているのではないかという気がする」(p. 237)

「二十代を適齢期とする旅は,やはり二十代でしかできないのだ.五十代になって二十代の旅ょしようとしてもできない.残念ながらできなくなっている.だからこそ,その年代にふさわしい旅はその年代の時にしておいた方がいいと思うのだ」(p. 244)


—— 『深夜特急』を小脇に抱えて世界に旅立っていった読者が多かったというのもうなずける.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末ということで,異動の連絡が方々から飛び込んでくる.東大での専攻送別会があることをすっかり忘れていた./ゴールデンウィークまでの出張伺・兼業願・年休届など一式を耳を揃えて提出だん.つくば実在日÷全労働日=16÷21=約76%と実にマジメすぎる勤務態度./強い西日の差し込む居室はいま26.5度.夏日ラインを軽やかに突破した.午後3時前に外気温は22.2度まで上がり,もちろん今季最高.

◆[蒐書日誌]『系統樹曼荼羅』の第2刷(3月7日刊行)がやっとつくばに届いた.数十箇所のテキスト訂正とともに,図版の差し替え箇所もある.「あわわ」なミスはこの増刷で大半が根絶されたはず.本文テキストは何度も読んでいるので “蟲” 発見確率は相対的に小さいが,図版のキャプションが実はヤバかったりする(付随的なテキストなので).しかし,もっともキケンなのは引用文献リストという名の九龍城砦.目を皿にしてもまだ “蟲” が残っているかも.

◆夜になっても “火車” が走り回っている.

◆本日の総歩数=10556歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.1kg(+0.5kg)/ 31.2%(+0.2%)


24 maart 2014(月)※やっぱり月末は火の車に

◆午前5時起床.気温1.1度.朝焼けグラデーション.週明けの観音台は朝から好天.日差しも花粉もたっぷり.明け方は氷点すれすれまで冷え込んだが,午前8時には9.8度と急上昇している.日中は20度近くまで上がるとの予報.連休不在中,春風とともに┣┣" たちが吹き寄せられていた.写真は牧園〈david pain〉のイチゴタルト.春先だけの限定品.ズラリと並んだいちごを取り囲むカスタードクリーム,中には濃厚なキャラメルクリームが.

◆休日明けの┣┣" 撃ち —— 今年度ももう終わりなので(はっ,禁句),夢がふくらむ新年度に向けて(棒読み),┣┣" 撃ち予定リストをアップデート(震え声…)./MAFFIN からは朝日新聞サイトにもつながりにくくなっているので,用が済めばとっとと「中」から「外」にオサラバする.LTE 接続順調.

◆[欹耳袋]天空と地表のあいだ「STAP細胞と研究広報」(2014年3月22日)※「人としての側面を押し出すことは意義のあることだと今の状況でも僕は考えています」.

◆[蒐書日誌]アマゾンから「酒かん計」が届いた.銚釐用のフックまで付いているすぐれもの.酒かん計と相前後して着弾した:マイク・モラスキー『日本の居酒屋文化:赤提灯の魅力を探る』(2014年3月20日刊行,光文社[光文社新書・687],東京,244 pp., ISBN:978-4-334-03790-1 → 版元ページ)は,前著:マイク・モラスキー『呑めば、都:居酒屋の東京』(2012年10月25日刊行,筑摩書房,東京,347 pp., ISBN:978-4-480-86418-5 → 版元ページ)の続編か./書評依頼本:マンフレド・シュピッツァー[小林敏明訳/村井俊哉監修]『デジタル・デメンチア:子どもの思考力を奪うデジタル認知障害』(2014年2月4日刊行,講談社,東京,398 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-06-218205-8 → 版元ページ).

◆とどめを刺すように,連載が終わった石川雅之『もやしもん(13)』(2014年3月20日刊行,講談社[モーニングKC2306],ISBN:978-4-06-352456-7)と伊藤悠『シュトヘル・第9巻』(2014年3月5日刊行,小学館,東京,ISBN:978-4-09-186119-1 → 版元ページ)がバッド・タイミングで届いてしまったので,自動的に昼休み徘徊はなくなった.

◆[蒐書日誌]羊土社『実験医学』2014年4月号が着便.連載〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉第2回:「データの位置とばらつきを可視化しよう」(pp. 935-940).今回の記事では,カール・ポパーの「バケツとサーチライト」噺を前振りに,カルロ・ギンズブルグの「歪んだガラス」,さらにイアン・ハッキングの『確率の出現』へと論議が展開します.そのうちオンラインでも読めるようになるでしょう.そろそろ連載第3回「データのふるまいをモデル化する」の原稿を書かないといけない…….

◆月末かつ年度末はいたるところ “火車” が走り回っている…….

◆[欹耳袋]Classic Shell の解説記事:窓の杜ライブラリ「Classic Shell - 7/8/8.1のスタートメニューなどをXP風に変更できるソフト」./〈Wörterbuchnetz〉:ドイツ語の辞書サイト.

◆夕餉には〈美和桜〉山廃純米生原酒を燗酒で.酒かん計,とっても便利.

◆本日の総歩数=3073歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.5kg)/ 31.0%(+0.1%)


23 maart 2014(日)※三連休の最後はゆるりと

◆午前6時過ぎ起床.気温は氷点下0.1度まで下がって,久々の冷え込み.朝日がまぶしい.

◆[欹耳袋]Togetter -「生物学史上最大?の捏造:「個体発生は系統発生を繰り返す」の図について」※ヘッケルは偉大なる “アーティスト” だった.ダーウィンをはるかに凌駕する画才があればこそ,あれだけの “絵” が描けた.

◆沖大幹の新潮新書を買うべきか,はたまた佐々木力の作品社本を買うべきかという選択肢よりも,山本義隆三巻本を買うかどうかおサイフと相談する連休最終日の昼下がり.とりあえず,新しい「ちろり(銚釐)」を発注して一段落.なぜ『世界の見方の転換』が「ちろり」に変わったのかについては問うてはならぬ.

◆[蒐書日誌]方向統計学 on R —— Arthur Pewsey, Markus Neuhäuser, and Graeme D Ruxton『Circular Statistics in R』(2013年9月刊行,OxfordUniversity Press, Oxford, ISBN:978-0-19-967113-7 [pbk] → 版元ページ)/R circular パッケージ.方向データを含む非線形統計学って足場がぐらぐら揺れる感じがするねー.Cf.: 生態学会自由集会:[W01] データ解析で出会う統計的問題: 角度や時間など循環する変数の統計モデリングで公開されているプレゼン資料.方向統計学・球面統計学にも新しいツールがいくつか登場しているようだ.※ついでに粕谷さんの「生態学におけるAICの誤用」もここで公開されている.

◆今宵はハンバーグをメインによく食べた〜.開栓したワインは Daniele Piccini の Rosso dei Muni 2011.日本酒で言えば「有機栽培・うすにごり」って感じ.先日の “馬齢いただきもの” の一本.まいうまいう.

◆本日の総歩数=2447歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1g(+0.4kg)/ 30.9%(0.0%)


22 maart 2014(土)※ワタリウム美術館の午後

◆午前6時半になってのろのろ起床する.明け方は氷点まで冷え込んだが,朝日とともにだんだん暖かくなってきた.青空が広がるいい日和の連休中日.昨日と今日の二日間は,センター広場で〈食と酒・東北祭り〉というイベントが開催されている.あとで一周りしてこよう.

◆[欹耳袋]攻めまくる〈スドウ酒店〉 —— イーアスつくば1階に〈地酒本舗・美酒堂〉という酒屋がオープンしたそうだが,まだ行っていない.Cf: 研究学園の生活「イーアスつくばに「地酒本舗 美酒堂」がオープン!」(2014年3月16日).やっぱり谷田部〈スドウ酒店〉か.と思ったら,その〈スドウ酒店〉は,イーアスとは別に研究学園前店を出店するという情報も流れている:研究学園の生活「つくばで(たぶん)1番地酒が充実している「スドウ酒店」が研究学園に進出!」(2014年2月14日).つくばはもう酒屋だらけだ.

◆[蒐書日誌]昨日,横浜の〈IUI展〉で配布されていた冊子 —— 小ヶ谷千穂他『対話 都市イノベーションを廻る思考 2012〜2014』(2014年3月14日発行,横浜国立大学都市イノベーション学府・研究院,横浜,152 pp.)

◆連休中日の表参道は大混雑 —— 午後2時過ぎ,つくばを出発.神宮前のワタリウム美術館がターゲット.あいかわらずみらい平から守谷の区間は「電波砂漠」で,ネットがぜんぜんつながらない.北千住で千代田線に乗り換え.連休中日は地下鉄ガラ空き.しかし,表参道で地上に出たら,どこもかしこも横浜中華街並みの激混みだった.

てくてく歩いて〈ワタリウム美術館〉到着.明日3月23日から7月13日までここで開催される《ルドルフ・シュタイナー展・天使の国》の内覧会.黒板に描かれた世界と宇宙.「エーテル体」とか「アストラル体」が好きな向きは今回の展示は行く価値があるかも.ワタクシ的には,シュタイナーの描くあの “心霊写真” みたいなゆらゆらした画風はイマイチなんだけど.

今回の展示の公式図録:ワタリウム美術館監修『ルドルフ・シュタイナーの黒板絵』(2014年3月25日刊行,日東書院,東京, 160pp.,本体価格4,800円, ISBN:978-4-528-01053-6 → 目次版元ページ).カラー印刷がとてもすばらしい.

ワタリウム美術館に行ったのはひょっとしたら今日が初めてだったかも.敷地こそ狭いものの,縦に長細い空間の使い方がとても興味深かった.文房具や美術書のショップもセレクトよし.ワタリウム美術館の前では「シュタイナー農法」による野菜の即売所も設けられていた.農水省の研究機関から来ましたと受付で伝えたら,「ついに国の研究所も “シュタイナー農法” を!」と言われたけど,それちがいますって(笑).

——これまた藤原徹平さんのお取り計らいで,一般公開の前日にこの展示を見ることができた.ありがたやありがたや.

◆[蒐書日誌]もうひとつ藤原徹平さんからいただいた本:team 7iP(編)『7inchProject #01 Teppei Fujiwara』(2012年8月10日刊行,ニューハウス出版,東京,96 pp., ISBN:978-4-88969-337-9 → 版元ページ7iP website)※本日,ワタリウム美術館にて手渡された.

◆[欹耳袋]哲学者 Ronald H. Brady がルドルフ・シュタイナーの人智学に親近感をもち,シュタイナー農法やヴァルドルフ・シューレに参加していたと Olivier Rieppel の分岐学史論文 には書かれている:Olivier Rieppel 2014. The Early Cladogenesis of Cladistics. Pp. 117-137 in: Andrew Hamilton (ed.)『The Evolution of Phylogenetic Systematics』(2014年刊行,University of California Press[Series: Species and Systematics], Berkeley, ISBN:978-0-520-27658-1 [hbk] → 版元ページ).

◆つくばに帰り着いたのは午後6時過ぎ.夕焼けが西の空を真っ赤に染めていた.

◆本日の総歩数=7157歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.4kg)/ 30.9%(+0.1%)


21 maart 2014(金)※ヨコハマにて高座お務め

◆午前5時前起床.気温5.9度.今日は神奈川県をうろうろする一日.

◆[欹耳袋]ScienceNewline「フェルミ国立加速器研、研究成果発表における「PowerPoint」の使用を禁止」(2014年3月18日)※「これは講義を意図したものではなく、ディスカッションを意図したものとなるのである」.そういえば,東大の〈UTalk〉も「スライド御法度」だった.PC を「黒板代わり」に使うことはよくある.Mac でも Win でもフリーの「板書ツール」は手に入る.要は,ツールの使い方の良し悪しということで.クリストファー・アレグザンダーの “セミラチス” をいちいち板書できるかっ.ということで,本日の IUI 高座も pdf でのプレゼンをする.

◆ヨコハマ出撃の朝 —— 午前8時半,つくば駅.外は乾いた晴天.北風が冷たい.午前10時前,東京駅.連休初日のせいかコンコースはどこも混雑しまくり.熱海行き東海道線はもうすぐ出発.午前11時前,馬車道で下車.今年はじめにここに来て横浜合同庁舎の植物防疫所にて統計の噺をして以来の再訪だ.駅の上にそびえ立つ高層ビルに入っているヨコハマ創造都市センターが今日のお座敷だ.午前11時にならないとオープンしないので,しばし珈琲充.開場時間になったので,〈横浜国立大学大学院都市イノベーション学府修了展[IUI展]〉のトーク会場にてセッティングをする.今日は初日なのでスタッフさんたちがぱたぱた走り回っている.対談のお相手である藤原徹平さん登場.

午前11時半からワタクシのトーク:三中信宏「都市と分類思考:変遷する構造を捉える視点」.その後,休憩をはさんで,藤原徹平さんとの対談がさらに一時間あまり続き,午後2時前に終わった.クリストファー・アレグザンダーの知識がフロアとも共有されていたのは幸いだった.その後,1階フロアでのIUI修了生展示をひとまわり見て説明を受ける.今日が初日で,三連休ずっと展示とイベントが続くとのこと.準備と運営にとても手がかかった企画だった.

◆[欹耳袋]Colossal | Artistic Arrangements of Microscopic Algae Viewed Through a Microscope | 29 January 2014.珪藻,とにかく意匠がスゴい!/Jタウンネット「「ドベ」と「ビリ」の境界線は、長野から静岡にかけて存在する!?」(2014年3月13日)※「全国アホバカ分布図」と比べられるかな.

◆横浜中華街から厚木へ —— 馬車道での高座を終え,みなとみらい線で横浜中華街に向かう.連休のチャイナタウンがこんなにごった返すとは知らなかった(いつも平日にしか滞在しないので).本通りを歩くのにも難儀する混み方.もちろん,どこの店も待ち客の行列が長く伸びていた.しかたがないので,〈江戸清〉の巨大肉まんがお昼ごはん.帰りがけに関帝廟通り入り口の〈一石屋酒店〉にて,佐久の〈帰山〉の中でも超キケンな「参番・純米吟醸・活性生酒にごりざけ」を買う.「盛大に吹き上がるのでくれぐれも開栓にはご注意を」との店のアドバイス.密閉栓の一升瓶で,ガス抜き用の “鋲” が同封されていた(これは初めて).

いったん横浜駅に戻り,今度は相鉄線で県内縦断.相鉄線を横浜から海老名まで乗ったのは初めて.小田急に乗り換え,午後4時前に農大厚木キャンパスに到着した.農大昆研にてまずは零次会.慎重の上にも慎重を期したので,幸い噴出事故もなく〈帰山〉を開栓完了.炭酸ガスの細かい泡が次々に湧き上がり,ヨーグルトのように濃厚なオリが瓶内で踊る.アルコール濃度は15度と低めだが,やや甘口で即死系のキケンな日本酒.午後5時過ぎに本厚木駅前にバス移動.午後6時からレンブラント・ホテルにて昆研謝恩会.昆研だけでなく他にも農大関係の謝恩会がこのホテルでパラレルに開催されるようだ.農大一校校長先生の話では,ここのところホテルでの謝恩会やケータリングが増えたとのこと.時代は変わった.

午後9時前,謝恩会はおしまい.卒業生たちは二次会に向かうようだ.ワタクシはつくば直帰.午後11時過ぎにやっと帰り着いた.厚木はやはり遠すぎる.

◆本日の総歩数=11575歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.3kg)/ 30.8%(プラス0.3%)


20 maart 2014(木)※しとしとと雨が降り続く

◆午前5時前起床.気温7.9度.外がだんだん明るくなってきた.午前6時の時の鐘.下界を見下ろすと路面が濡れているような.雨は今は降っていないが,予報では一日中降り続くらしい.雨降る観音台は仄暗くて薄ら寒い.午前8時の気温は6.6度とさらに下がってきた.

◆[欹耳袋]日本学術会議>トップ・ニュース「会長談話「STAP細胞をめぐる調査・検証の在り方について」を公表いたしました。(平成26年3月19日)」 [pdf] ※「その的確性や透明性において必ずしも十分とは言い難い面がある」/ワイリー・サイエンスカフェ「査読で悩む人は必読! 化学ジャーナル編集長が教える「論文査読・12のポイント」」(2012年8月20日)/AFPBB News「女性が科学を研究する可能性、男性の半分以下 調査」(2014年3月19日)※「女性の科学分野への社会進出が固定観念により阻害」の “固定観念” がぜんぜん説明されていないんですけど.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来年度の “人間犬” 変身希望願を提出.締切りは今月末なので「なかのひと」はお忘れなく./明日のお座敷の準備がたいへん.

◆[欹耳袋]京都新聞「個人主義、日本では幸福感低い? 京大調査」(2014年3月20日)※この記事の典拠論文:Yuji Ogihara & Yukiko Uchida | Does individualism bring happiness? | 05 March 2014 | doi: 10.3389/fpsyg.2014.00135, Front. Psychol. 5:135 | abstract | full ※とても興味深い記事なんだけど,どうして新聞記事は元論文へのリンクを付けるという習慣がないんだろうか.原著論文を読者に探しまわらせないようにするのも新聞記事の役目ではないかと思う.URL へのリンクを付けるだけの手間でしょう.あー,URL を「全角アルファベット」で書く悪弊も逝ってよし.海外のオンライン記事を見ると,たいてい原著論文など典拠へのリンクがはられているので,日本のジャーナリズム「だけ」その手間を惜しむのかフシギ.新聞・雑誌すべてひっくるめて,記事には典拠となる資料(原著論文 etc.)へのリンクをちゃんと付けましょう.

◆[蒐書日誌]アラブの “ダーウィン”ご到着 —— Marwa Elshakry『Reading Darwin in Arabic, 1860-1950』(2014年1月刊行,The University of Chicago Press, Chicago, viii+439 pp., ISBN:978-0-226-00130-2 [hbk] / ISBN:978-0-226-00144-9 [eBook] → 目次版元ページ).以前は「ハードカバー版/ペーパーパック版」という二本立てだったが,その後「電子本版」が加わった三本立てを経て,最近は「ハードカバー版/電子本版」という新たな二本立てが定着しそうな傾向を感じる.ペーパーパックという体裁はそろそろオシマイなのかも.ワタクシ的には以前から洋書の専門書はハードカバー版しか買わないので,ペーパーパックや電子本の行く末はどうでもいいんですけどね.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 明日の〈横浜国立大学都市イノベーション学府修了展〉の高座紙芝居の準備がやっと終わった.スライド100枚ちょうど.一時間の噺に続いて,もう一時間の対談(藤原徹平さんとの)が予定されている.新規スライドでは,クリストファー・アレグザンダー,ジョージ・クブラー,そして中谷礼仁の三氏に登場していただきました.分類と系統の一般論にからめて “パタン・ランゲージ” の光と影について話す予定です.最初は80MBあったが,pdfのファイル縮小で20MBにまで小さくなってくれた.

◆[欹耳袋]統計学ネタふたつ —— Ecology, Volume 95, Issue 3, March 2014 の特集〈Forum - P Values and Model Selection〉はとても気になる.しかし,ESA 非会員なので読めない……./あの Annual Review 系列に統計学が加わった:Annual Review of Statistics and Its Application ※いま創刊号が無料で読めるみたい.

◆今日の最高気温は午後4時前の8.1度.冷たい雨がまだときどき降り続いている.夕刻,もうひとつ大きめの┣┣" を仕留めたところで今日はもう撤収しよう.明日はヨコハマでのお座敷の後,厚木の謝恩会に向かう.

◆本日の総歩数=4323歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.1kg)/ 30.5%(+0.1%)


19 maart 2014(水)※五日ぶりに観音台に実在

◆午前5時前起床.気温は8.7度.ほんの数日留守にしていただけで季節がだいぶ進んでいた.五日ぶりの観音台はすっかり春めいていた.午前8時の気温は9.1度.日差しもたっぷり,花粉もたっぷり.メール受信箱には350通の┣┣" が犇いていたが,瞬時にして5頭まで減らした.

◆[欹耳袋]企業組織の系統図(1855年) —— Wired Design | The First Org Chart Ever Made Is a Masterpiece of Data Design | 18 March 2014.※1855年につくられた New York and Erie Railroad 社の組織系統図「Diagram representing a plan of organization」.企業組織を系統樹的に可視化したもっとも古い例とのこと.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 出張フライトの領収書発行サイトに MAFFIN からだとつながらないんですけど…….などといつも文句を言ってもしかたがないので,Wi-Fi からさくっとつなぎました./搭乗券の半券を居室堆積物の中から “神の手” を使って発見するという簡単なお仕事.瞬時にして半券が見つかった. “神の手” に不可能の文字はない.かつてものすごく整理整頓ができない管理職がいて,科長室に行くと(あ,バレバレかも),いたるところに書類の “ボタ山” が形成されていた.しかし,彼の驚異的な “神の手” は瞬時にして必要な書類を発見できた.場所に覚えさせるというスコラ記憶術を実践していたのだろうか./広島からクール便で大きな段ボール箱が着弾.三本とも無事.速攻で氷温室に直行.

◆[蒐書日誌]年度末発注本2冊 —— Fred L. Bookstein『Measuring and Reasoning: Numerical Inference in the Sciences』(2014年3月刊行,Cambridge University Press, Cambridge, ISBN:9781107024151 [hbk] / ISBN:9781107722828 [eBook] → 版元ページ).形態測定学を含む数値解析の概論.「アブダクション」がキーワードになっているらしい./Nathan G. Swenson『Functional and Phylogenetic Ecology in R』(2014年4月近刊,Springer Verlag [Use R!] , Berlin, ISBN:978-1-4614-9541-3 → 版元ページ).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末提出書類をこまごまといじり倒す.朝はよく晴れていたが,午後になって雲が広がってきたような./来年度後半の玉川大学講義に関する連絡完了./微小┣┣" どもがだいぶ減ったぞ./明後日に迫っている〈横浜国立大学都市イノベーション学府修了展〉の直前連絡などなど.この高座の準備もしないといけないんだが……と10日前につぶやいたっけ.この日の夕方は厚木で農大の謝恩会がある.ヨコハマの馬車道から本厚木までの移動には一時間もかからないことを知った.

◆[欹耳袋]昆虫学会関連 —— 備忘メモ:日本昆虫学会第74回大会広島大会公式サイト:2014年9月13日(土)〜16日(火)@広島大学教育学部(東広島キャンパス).公式サイトとは別に〈日本昆虫学会第74回大会のブログ〉もある.まだまだ先のことなのでコンテンツはほとんどないけど,ワタクシは〈昆虫学・秋の学校〉の講師として呼ばれているので要チェック.広島中心部からはかなり遠いが,西条あたりの酒蔵エクスカーションをやってくれると闘志が湧きますなあ.山陽本線で広島から西条までは「36分」もかかる.さらに,西条駅から大学までのアクセスも問題(路線バスがあったりなかったり).かつて西条から鏡山まで歩いて学会に通ったことがある.ホテルをどこに取るかという問題が浮上する.

◆つくばもそろそろウグイスが鳴く季節になった.今夜は久留米・山口酒造場の〈庭のうぐいす〉25BYうすにごりの一升瓶を開栓.毎年とても楽しみにしている.ぷちぷち弾ける微炭酸とさわやかなのどごしは春の味わい.野菜サラダとフロマージュ,そして生活クラブの鶏肉でいつもの「親が多めの親子丼」を.半分はアテとして,残りは最後のご飯として.鶏肉が美味くないとダメ.残ったお酒は炭酸ガスが抜けないよう,忘れずに四合瓶に移し替える.

◆[自然を名づける]去年のいつだったか,書店店頭販促用ということで手書きしたポップが版元サイトに転がっていた(→ pdf):キャロル・キサク・ヨーン[三中信宏・野中香方子訳]『自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』(2013年9月3日第1刷刊行/2013年11月28日第2刷刊行/2014年2月7日第3刷刊行,NTT出版,東京,vi+391 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-7571-6056-9 → コンパニオンサイト目次版元ページ).

◆放置している本務地にたまに戻ってくると “心がなくなる” 気がする.

◆本日の総歩数=3206歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.4kg)/30.4%(−0.2%)


18 maart 2014(火)※つくばに帰れば春一番が

◆午前5時半起床.またしても前夜のダメージが.しかし,つくばに帰らねばならぬ.チェックアウト後,JR広島駅ビルの中にあるお好み焼き〈麗ちゃん〉へ.昼前なのにもう長い行列が.みなさん,お好み焼きがホントに好きねぇ.廚房はフル回転.どんどん焼かれていく.広島風お好み焼きの手順は様式化されていて,見ていて気持ちいい.ワタクシが注文したのはまたしても「そば肉卵」.お好み焼きとともに始まったヒロシマ旅はお好み焼きとともに終わったのだった.

◆[欹耳袋]本郷村だより「国立国会図書館はお気づきでしょうか?」(2014年3月17日)※〈近代デジタル・ライブラリー〉に関連する「書物を適正な価格で売ることが出来なくなっている現状」と「より高く買い入れて売る機会を失っている状態」.

◆午後5時前,つくば帰還.長旅であった.強い南風が,花粉と砂塵とPM2.5を伴って吹き荒れている.この南風は春一番だそうだ.午後5時の気温は16.9度.最高気温は20.2度まで上がったのか.

◆本日の総歩数=11925歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


17 maart 2014(月)※海を渡って春爛漫の宮島

◆午前4時半起床.気温7.1度.市内で日本酒を買うには薬研堀の繁華街にある〈大和屋酒舗〉に直行せよ.ありえへん銘柄がごくふつうに陳列されていて悶絶した.

◆[欹耳袋]goo ニュース「団まりなさん(元大阪市立大教授)が死去(読売新聞)」(2014年3月17日).ずいぶん前に,書かれた本をご恵贈いただいたことがあった.

◆海を見に宮島へ —— 広島市内は市電(「広電」)や路線バスが毛細血管のように走っている.とくに広電はたった270円で宮島まで行けるというので乗ってみた.古い車両のなかにはかつて京都市電として走っていたものもあるらしい.広電宮島口まで向かう車輌はもっと新しい連結式列車だった.右に左にうねうね曲がる路線は,なつかしいゴトゴト感を味わえる.約1時間ほど乗って宮島口到着.宮島にわたる連絡船の乗り場は隣接している.日和もよくて,海風が爽快だった.船に乗っていた時間はたった10分ほど.海辺の参道を伝って厳島神社へ.今日は引き潮だったようで,多くの観光客が大鳥居まで干潟を歩いていた.宮島からの帰りはJR山陽本線で.

◆[欹耳袋]かつて,農水省の数理統計研修では奥野忠一他『応用統計ハンドブック』(養賢堂)が「教科書」として指定されていて,毎年毎年,各試験場からやってくる受講生は年季が入って薄汚れた『ハンドブック』を持参したものだった.旧農技研の栄光の「物理統計部」の “クルアーン” みたいなものだったのだろう.かつての統計研修にはそういう神がかりみたいな雰囲気があったようだ.いわゆる「学統」なるものがかつては(現代以上)に強い制約力をもっていたのだろう.ワタクシの出身研究室には何十冊ものスネデッカー&コクラン『統計的方法』が書棚に陳列されていた.翻訳した畑村又好の学統かもしれない.

いまもつくばで続いている統計研修出家修行は大きく様変わりし,定番の統計学教科書みたいなのはなくなってしまったなあ.「四の五の言う前に R script 書け」みたいなことを口走ってみたり.高価な SAS を排除して,修行から還俗しても使える R に置き換えたりしたのは,あるいは,統計モデリングの先端テクニックを講義に取り込もうとしたのは,いずれもワタクシたちの世代になってからのこと.

かつてのような「検定」とか「実験計画法」は神通力を失いつつあることは確かなんだけど,それをちゃんと知っておかないと,昔の統計解析結果を読むリテラシーが身につかない.Bayes でも GLM でも自由にやっていいんだけど,昔の手法も知る意義はあるということ.新旧の統計ツールを知った上で,より新しい方法に “転向” ないし “改宗” させる手練手管を「導師たち」は身につけ,微笑みをもって若い世代を洗脳していくというやり方は効果的だと思う.

同じことは,生態学会初日に話した「涙なしの形態測定学は可能か?」というテーマにもつながる.統計学以上に険しい勉強が要求される形態測定学だが,「北風ではなく太陽になる」ためにはどのような教育的道筋をつければいいのかがなかなか見えてこない.現時点では,いまだに『ウパニシャッド』のような奥義書(オレンジ本,青本,黒本,白本 etc.)を何冊を座右に常備しないといけない.それではまだ教育的とはいえない.ケンドール&スチュアートの統計学聖書をいつも持ち歩いているユーザーはまずいないだろう.

今宵の背徳 —— まずは〈風の森アルファ〉から始まる夜.ふつうの〈風の森〉よりも度数は低くてスイート.とはいえ,しっかり15度もあるので,油断してはならない.酒米は秋津穂.次は〈朝日鷹〉特別本醸造,続いて〈松の司〉純米吟醸限定生原酒へ.地元の〈宝剣〉はあえて外す.アテはホタルイカのおつくり.ふきのとうの天ぷら,さらに〈まんさくの花〉が仕込んだいぶりがっこのパルミジャーノ・レッジャーノ乗せ.〈雪の茅舎〉秘伝山廃純米吟醸とぶりの腹身焼き.まだ続く.〈辨天娘〉純米にごりの熱燗.広島では燗がデフォルト.最後の最後は〈舞美人〉本醸造のぬる燗.うう…….

◆明日は帰還日.そろそろ荷物をまとめておかないと.

◆本日の総歩数=8934歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


16 maart 2014(日)※日毎に暖かくなっていく

◆午前6時くらいにいったん目が覚めたようだが,そのまま二度寝.さすがに昨夜のダメージは大きいな.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (これでオシマイ) —— みわちゃん・いんふぉ「小保方晴子さんについて:話題にすることをやめよう」(2014年3月12日 ).うんうん.「科学者的問題」はもういいから,「科学的問題」に注目したい.Nature や RIKEN や早稲田がどう動くかは別の問題.

◆[蒐書日誌]沢木耕太郎『旅する力:深夜特急ノート』(2008年11月30日刊行,新潮社,東京,289 pp., ISBN:978-4-10-327513-8 → 版元ページ特設ページ)※広島市内を徘徊しているとき紙屋町ウラの〈もんろ[文露]書房〉にて300円で並んでいた.例の “平野甲賀文字” に惹かれて即ゲット.実は『深夜特急』シリーズはまだ一冊も読んだことがないんだけど./石川達也『間違いだらけの酒常識』(非売品).著者は竹鶴酒造杜氏.東広島で発行されているフリーペーパー『プレスネット』に2005年連載した記事をまとめた小冊子(24pp.).〈竹鶴〉のお話が満載.昨日,二次会でなだれこんだ〈いぶしぎん〉のマスターからいただいたもの.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「「無断引用」という表現はやめよう」(2014年3月16日).確かに,「引用」はそもそも「無断」であるべきで,やましく思う必要はどこにもない.要は References や Bibliography を軽視してはいけないということ.

◆前夜の悪行を深く反省し,“休肝日” とすることを自分会議に緊急上程,異論なく満場一致で可決された.晩ご飯は超ヘルシーに紙屋町のラーメン屋〈永斗麺〉へ.広島もまたラーメン激戦区らしいが,ここは一風変わったラーメンを出すことで有名.ワタクシが注文したのは「あぶら麺+追っかけご飯」.魚(さんま)のフレーバーがする汁なしラーメン.豚肉と白髭ネギがトッピング.追加で.豚バラと卵をハイパートッピング.ご飯はラーメンを食べたあとに残った汁と絡めて食べるのがスタイルとのこと.ユニークでなかなかうまかった.

◆今日は最高気温が18.1度まで上がり,降り注ぐ日差しと南風で汗ばむ陽気になった.花粉の祭典も大盛況で目鼻センサーがタイヘンなことに.それに加えて,旅先なのでメールボックスを見ないようにしていたのだが,さっきウッカリ受信箱を開いてしまってこれまたタイヘン.

◆本日の総歩数=15630歩. 朝◯|昼−|夜◯. 計測値(前回比)=未計測/未計測


15 maart 2014(土)※広島市内を徘徊しまくる

◆「うう……」と目覚めればなんと午前7時過ぎじゃないか.昨日は長時間無睡眠だったので,そのツケを一括払いしてしまった.気温は1.0度と冷え込んでいる.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (最終幕の残響) —— 日々の研究「金曜日」(2014年3月14日)/中日メディカルサイト「STAP疑惑底なし メディア戦略あだに」(2014年3月15日)※芋づる式にという表現がピッタリ.

◆市内徘徊 —— 外はよく晴れて,昨日よりもだいぶ暖かくなった.平和記念公園から広島城,ひろしま美術館とまわって,コーヒータイムは音楽喫茶〈ムシカ〉にて,サイフォンコーヒー.カザルスのバッハ無伴奏チェロ5番とともにオーダー.グランドピアノが中央に鎮座しているホールは演奏会イベントにも使われているらしい.左右両側に据え付けられた巨大なスピーカーから響くチェロの独奏.朝のうちは北風が冷たかったが,午後になって南風に変わり,気温は12度超の陽気になった.日差しぽかぽか.歩きまわるとやや暑い.

◆[欹耳袋] “ゴーストライター” という社会的装置 —— 佐々木俊尚 blog「書籍のゴーストライターというエコシステム」(2014年3月8日)いわく,「「著者」とゴーストと出版社の三者に、ちゃんとウィン・ウィン・ウィンの関係が成り立ってる」– とてもわかりやすい説明だ.

昔々その昔,修士の頃にとある先生から「みなかさん,ある翻訳の “下訳” をお願いできませんか」と依頼されて,かなりの分量の翻訳原稿を用意したことがあった.ところが,刊行が10年ほどずれこんでしまい,自分でも忘れた頃にやっと出版された. “下訳” だからてっきり名前は出ないものと思っていたら,知らないうちに「分担執筆者」として名前がちゃんと載っていた. “ゴースト” になりそこねたワタクシの体験.

著作の “ゴーストライター” や翻訳の “下訳者” の協力は,一時的な複数人による「工房」からのアウトプットが世に出たと考えればいいわけで,悪いイメージを抱くようなことではない.貢献度にもよるけど,最低限,謝辞に明示的に書かれていればぜんぜん問題ないとワタクシは思う.もちろん貢献度が高まれば,共著者のステイタスにまで上がることはあり得る.そのへんは「関係者間の合意」と「社会的説明責任」で決まってくるだろう.“監修者” とか “監訳者” っていう融通無碍な著者ステイタスってのもあるし.

—— 要は,世に出た著作に対して誰がどれくらい責任が取れるのかという点が重要だとワタクシは考える.

◆流川に流される夜 —— 午後6時過ぎ,〈楽車[だんじり]〉の階段を上がる.ほぼ満席だったが,カウンターが幸い空いていた.まずは〈王祿〉超辛純米・山田錦から.続いて,次は〈小笹屋竹鶴〉22BY純米原酒・宿根雄町65%.おまかせ串焼きと馬刺しを注文.〈鍋島〉純米吟醸・山田錦50%,〈奈良萬〉無濾過生原酒・中垂れ・五百万石とつながり,午後8時半に店を出る.

場所を変えて〈いぶしぎん〉第二夜.まずは〈竹鶴〉純米にごり酒と〈辨天娘〉純米にごり酒.続いて,〈開春〉22BY・生酛山口・火入原酒・山田錦.里芋のフライ辛味噌添え.三次〈美和桜〉山廃純米生原酒.〈玉川〉山廃20BYヴィンテージ・純米(北錦100%).最後は奈良〈睡龍〉生酛.うう…….

◆本日の総歩数=17786歩. 朝◯|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


14 maart 2014(金)※地震で目覚める学会初日

◆午前2時過ぎ,大きな地震に揺さぶられてそのまま起床.ひさしぶりにケータイの予報メールがホテルの室内で鳴り響き,「うう……」と言う間もなく目が覚めてしまった.伊予が震源,広島の震度は5だったようだ.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (最終幕の始まり) —— 日本経済新聞「 STAP細胞論文、小保方氏も撤回に同意:理研、14日に調査結果公表 」(2014年3月14日)/理研CDB・今井猛氏:「明日(14日)の午後、STAP論文に関して理研による公式の会見が開かれますが、それに先立ち、明日の午前、理研CDBの研究主宰者有志による声明を文書にて発表します。」との予告./本日午後の理研による会見がどうなることやら……./科学政策ニュースクリップ「STAP細胞事件は博士号の価値を暴落させる」(2014年3月13日)※「早稲田大学で小保方博士を指導した教員の責任は極めて重いのです。なんで学位を与えたのか…誰もチェックしなかったのか…」– もともとの「科学的問題」から派生した “夢の国” の「科学者的問題」が邪悪すぎて,その波及効果が見極めきれない現状.

◆正午前,やっと高座スライドが完成した(ような)ので,生態学会会場に出撃する.晴天だが雲があちこち浮かんでいる.川面を吹き抜ける北風が冷たい.服装の選択を誤ったかもしれないが,学会後半は春の陽気になるというので,それまでガマンしよう.平和記念公園の南端にある国際会議場が今回の生態学会大会会場だ.吹き上がる噴水が北風にあおられていた.

◆[欹耳袋]アメリカポスドクの歩き方「結果がでたらすぐ公開!?」(2014年3月12日)※旧来の「研究→論文執筆→投稿→審査→掲載」から投稿・審査のステップがなくなっていくのでは?という指摘.レフリーの無償奉仕に任せるのはもうムリ.物理学や数学で使われている〈arXiv〉みたいな投稿・閲覧システムが他の学問分野にももっと広がればいいのだが.

◆ワタクシのお座敷は:自由集会 W05〈道具としての「形態測定学」:生態学と周辺分野との交差点〉.2014年3月14日(金)13:30〜15:30@広島国際会議場・E会場.午後から始まる大会初日の一番手.しかもパラレル(8レーン!)に走る自由集会.いったいどれくらい聴衆が集まるのだろうか.とりあえずプレゼン用PCに高座スライドを移し,試写チェック完了.あとは午後1時半の開始を待つのみ.生態学会大会会場は室内でもすべて無線LANが無料で使える.ありがたやありがたや.開始直前になってお客さんがぱらぱらと集まりはじめ,開始時刻にはほぼ席が埋まり,後方には立ち見も.つつがなく2時間の自由集会を終えた.来年の鹿児島大会でもまた企画を立てるらしい.鹿児島かあ(遠い眼差し).

◆[欹耳袋]R package - Momocs: Shape Analysis of Outlines.楕円フーリエ解析などが実装されていると聞いたのでさっそくダウンロード.開発者 Vincent Bonhomme のウェブサイトでは,論文:Vincent Bonhomme, Sandrine Picq, Cedric Gaucherel, Julien Claude (2014). Momocs: Outline Analysis Using R. Journal of Statistical Software, 56(13): 1-24 abstract | pdf および追加資料などがオンライン公開されている.

◆国際会議場をあとにしていったんホテル帰還.青空に浮かぶ雲からときおり冷たい雨粒が降りかかるフシギな空模様.原爆戦没者慰霊碑越しに原爆ドームを覗いて帰ってきた(初めて見る).お昼ごはんを食べ損なったので,帰りがけに新天地の広島お好み焼き〈元祖へんくつや〉本店にて「そば肉卵」を.広島にいる間は毎日食べることになるのだろうか.いずれにしても,ワタクシの今大会でのお仕事はこれにて終了.初日にお座敷が終わるのは精神衛生上とてもよろしい.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (最終幕の山場) —— 理化学研究所「研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について」(2014年3月14日)/毎日新聞「STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答」(2014年3月14日)|「STAP細胞:「論文取り下げ検討」 小保方さんらがコメント発表」(2014年3月14日)/理研CDB有志声明「理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターの研究室主宰者による声明」(2014年3月14日)※内容はなくても,名前を出して声を上げた意義があるということか.

—— そろそろエンディングが見えてきたようなので,眼の色変えてフォローする必要はなくなったかな.

◆午後6時半から広島駅の北側にある〈和心家〉にて,自由集会の懇親会.睡魔がときどき忍び寄ってきた.二次会を経て,日が変わる直前にホテル帰還.夜風が冷たいなあ.

◆本日の総歩数=11769歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


13 maart 2014(木)※大雨をくぐり抜け広島へ

◆午前5時起床.気温7.3度.雨雲はまだはるか西.米とぎ完了.さて,旅支度をしないと.

◆[欹耳袋]BLOGOS「タックスペイヤーたる中産階級とワーキングプアの絶望的な怨嗟が合流する公務員バッシング」(2014年2月18日)※マジな話,「雲か霞を喰って生きる」という表現が単なる比喩ではなくなりそうな雰囲気がコワいんですけど…….そういえば,今月末で「震災減給」がやっと終わるんだよねぇ.

◆ヒロシマへの長い旅路 —— 午前10時過ぎ,つくば駅.雲が広がるセンター広場.雨はまだ降っていないが,空気の湿り気はその予兆か.さて,ヒロシマへ出撃だ.高座スライドはまだできていない.東京駅.都内は小雨が降っている.新幹線のぞみ31号乗車.気温は10度を越えている.空気が湿っているので,空調のかかった閉鎖空間はしっとり蒸す.ひさしぶりの湿気感覚.発車まであと5分待ち.午後2時前,名古屋駅.東海地方は本降りの雨.京都駅.古都も雨がざんざん降り.旅路はまだまだ続くのだ.

◆[欹耳袋]毎日新聞「電子書籍:学術書に特化した出版NPO発足 ratik」(2014年3月11日)→〈ratik〉./情報科学屋さんを目指す人のメモ「なぜか検索できない文字でWindowsファイル検索する謎テクニック」(2014年3月7日)※Windows では「~=」という神ワザ検索法がある!らしい.確認しよう./「Impacts of OneZoom」※系統樹ヴィジュアライザー OneZoom をアウトリーチに.

◆大阪を過ぎると雨空からしだいに曇り空に天候回復してきた.福山駅を通過するころには,雨は上がり,西の空から晴れてきたようだ.新幹線車中から「広島市内で「ここぞ!」というお好み焼き屋は?(緩募)」とつぶやいたら,瞬時にして多くの情報が寄せられた.みなさん,どうもありがとうございます.あとでまとめて公開します.午後4時過ぎ,広島駅で下車.JR広島駅では「もみじ饅頭」が,京都の「八つ橋」並みに,大規模に適応放散していた.「生もみじ」ってなんやねんな.「生八ツ橋」と同列の収斂進化か? ホテルにチェックイン.とりあえず,荷物を解凍しながら一休み.

◆[欹耳袋]「夢の世界」から「現実の世界」にやってきた “O嬢の物語” はまだ続く —— テレ朝ニュース「STAP細胞論文 理研トップ「取り下げるべき」」(2014年3月12日)※野依良治理事長も動き出す./Boston Globe | Scientists split on own stem cell finding: One asks withdrawal; 2d stands by work | 11 March 2014.

「学位論文の審査員」と「留学先の指導教官」と「問題論文の共著者」という三つの “集合” の交わりが「空集合」ではないところに “夢の国” が出現したのか.けっして偶然的な「事故」ではなく,その “裂け目” を覗きこめば奥深い歴史的背景へと連なっていたということだろう.ひとりの研究者が勝手にやってしまった「個人的不始末」とはもういえない.むしろ「夢の国」がそのまま今まで続いてしまった背景は何か.渦中の “O嬢” に “奇子” のイメージを重ねてしまうのはそのあたりに理由がある.

いずれにしても,ここ数日の急展開で,ピュアな「科学的問題」から魑魅魍魎の「科学者的問題」に焦点が移りそうなので,流れてくる情報のS/N比はさらに低くなってしまうかもしれない.最終幕はストーリーが錯綜するのか.

◆〈いぶしぎん〉第一夜 —— 夕方,西日がまだ高い街ナカへ出撃.鏡山の広島大学には行ったことが何度かあるが,広島市内に滞在するのは今回が初めてだ.まずは元安川沿い平和大通り南側にある〈花ちゃん〉にて本場の広島風お好み焼き「そば肉卵」をいただく.目の前で手際よく焼かれていく.とりあえず瓶ビールから.

続いて,必修科目と指定されている新天地の〈いぶしぎん〉へ.ビルの2階にある燗酒の聖地.まずは〈十旭日〉の24BY生酛純米改良雄町の燗酒と鯵の麹漬けから.続いて〈竹鶴〉純米吟醸生酒・初しぼり.さすが,地元の〈竹鶴〉は常温保管された一升瓶が砲列をなしている.やや熟成させたのはいかがですかと勧められたのは,竹原の〈龍勢〉21BY生酛造り・雄町純米原酒.アテはきじのリエットと奈良漬けチーズ.最後は,鳥取〈辨天娘〉の24BY山廃純米玉栄.燗が絶妙.〈いぶしぎん〉はすべて燗酒.冷や酒を出すのは客に失礼だと〈いぶしぎん〉のマスターの弁.冷蔵庫の奥の方にヒソカに〈七本鎗〉活性にごり酒というバクダンが眠っていたが,店主の話では開栓予定は「ない」そうで,すでに5年ほど寝かしてあるらしい.「バクハツしますよ」と言ったら,「コワいのでそのまま安置です」とのこと.店を出て,流川あたりの繁華街をひとまわり探索し,午後8時にはもうホテルに戻ってしまった.初日とはいえこんな健全なことではよくないな.その間にもさらなるヒロシマ情報が集まっていた.ありがたやありがたや.

◆生態学会参加者らしき人影はまったく気づかなかったけど,まだみなさん来てないのかな.ワタクシ,生態学会会員じゃないのに前夜からいるんですけど.そんなことよりも,明日の高座スライドがまだできていないというキビシイ現実に “夢の国” から引きずり戻されて……(汗).

◆本日の総歩数=9898歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.1kg)/ 30.6%(−0.1%)


12 maart 2014(水)※春のうららの観音台圃場

◆午前5時起床.気温0.1度.ちょいと揺れた気がしたが.昨日おとといまでの冬の青空ではなく,今朝の観音台は春らしい霞がかった晴天になった.明け方の最低気温こそ氷点下.7度まで下がったが,日中は15度超の陽気になるとの予報.朝イチの BGM は Chick Corea の〈Expressions〉.

◆[欹耳袋]公開されました! —— 羊土社・実験医学online – 三中信宏〈統計の落とし穴と蜘蛛の糸〉連載第1回「データ解析の第一歩は計算ではない」※『実験医学』2014年2月号に掲載された記事のオンライン版.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 農林団地の今年の一般公開は4月18日(金)と19日(土).でも,18日は農大の講義初日なので行けないな./所内領域会議 10:30〜11:30.MAFFIN ネットワークの “野焼き” が始まることになった.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (幕間劇) —— 朝日新聞デジタル「小保方さんの博士論文、参考文献リストもコピペか」(2014年3月12日)※チェック,ご苦労様って感じで…….社会的な「袋叩き」が始まっているということ.まだまだ続くにちがいない.

◆昨日までとは打って変わった春の陽気.正午の気温は15.2度.暖かい南風が土埃と花粉を運んでくる.短距離徘徊コースをぐるりとまわって帰還.午後1時の気温はさらに上がって16.7度.春ですなあ.本日の歩き読み本:高橋輝次(編著)『増補版 誤植読本』(2013年6月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫],東京,671 pp., ISBN:978-4-480-43067-0 → 版元ページ)※おもしろくてコワい経験談やウワサ話が次々と繰り出される.

◆[蒐書日誌]生物学・言語学・科学における分類と進化 —— Heiner Fangerau, Hans Geisler, Thorsten Halling and William Martin (Hrsg.)『Classification and Evolution in Biology, Linguistics and the History of Science: Concepts – Methods – Visualization』(2013年11月刊行,Franz Steiner Verlag[Kulturanamnesen: Band 5], Stuttgart, 198 pp., ISBN:978-3-515-10460-9 [pbk] / ISBN:978-3-515-10589-7 [E-Book] → 版元ページ | E-Book pdf [open access]).電子本はフリー・ダウンロードできる.本論文集はウルム大学で進められていたプロジェクト(2012年終了)の報告書に相当するものらしい.生物学と言語学については先行研究があるが,科学史における適用可能性を論じている点がおもしろい.

「この本,おもしろそう」とつぶやいたら,間髪入れずに書評依頼が届いたので,二つ返事で引き受けてしまった.そのうち(今年中に?) Medical History 誌(→ home)に掲載されることになるだろう.まずはがんばって読まないと.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (幕間劇は続く) —— 5号館のつぶやき「研究の作法を誰が教えるか」(2014年3月12日)※「その若い研究者が研究や論文作成の作法をまったく身に付けないまま「大人」になってしまったという可能性も排除できない」./佐々真一・日々の研究「火曜日」(2014年3月11日)※「要するに、O氏の周りには研究環境がなかったのだ」「夢の世界の住人が科学の世界の真ん中にいたのはどうしてか」「O氏の学位論文の審査員はおそらくD論を読んでいない」「「夢の世界の住人」をユニットリーダーとして採用してしまった」.

◆[蒐書日誌]科学研究上の不正行為については,以前読んだこの本がおもしろい:山崎茂明『パブリッシュ・オア・ペリッシュ:科学者の発表倫理』(2007年11月29日刊行,みすず書房,ISBN:978-4-622-07334-5 → 目次版元ページ).また,文学作品での「盗作」という行為についての詳細な論考はこれ:栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史:市場・メディア・著作権』(2008年6月30日刊行, 新曜社, 492 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-7885-1109-5 → 書評目次版元ページ著者ブログ).この本を読むと,盗作・剽窃は「その場の出来心」とか「魔がさした」ばかりではなく,確信犯的常習性があるケースが散見されるようだ.

◆[欹耳袋]“O嬢の物語” (次なる幕開けか) —— 毎日新聞「科技会議:理研、特定法人先送り STAP問題注視」(2014年3月12日)※この “政治的加圧” はきびしいなあ./科学政策ニュースクリップ「科学コミュニティの自律の終わり」(2014年3月12日)※「科学コミュニティ、研究者の方々には、一部の人間がやったこととして他人ごとととらえるのではなく、「自分ごと」としてこの危機感を自覚し、行動していただきたいと思います」

◆ワタクシも加圧ますます増す増す.明日はもうヒロシマに出撃する日なんですけど.

◆本日の総歩数=9418歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.1kg)/ 30.7%(−0.4%)


11 maart 2014(火)※寒気の底でも花粉は飛ぶ

◆午前4時半起床.気温は氷点下4.3度.寒すぎるので,夜明け前のカレー仕込みを開始.気温は氷点下5.2度まで下がっている.もっと冷え込むかな.真冬ですかそーですか.カレーの仕込みはやっと終わった.今回はスペアリブの「ホネの再利用」メニューということで,とんこつスープが主役,具は脇役.けっきょく,今朝は氷点下5.3度まで冷え込んだ.春の気配は北風とともにやってくる花粉のみ.午前8時の気温は2.6度.朝イチの BGM はシェーンベルク〈ワルシャワの生き残り〉から.

◆[欹耳袋] “O嬢の物語” (第三幕の続き) —— 内外に波紋は広がっていく:

—— 科学的な問題とは別に科学「者」的な問題が次々に表面化しているなあ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 3月21日(金)18:00から,東京農大・昆研謝恩会がありますとの連絡.会場はいつものように厚木キャンパスの実験室かな.この日はヨコハマで〈横浜国立大学都市イノベーション学府修了展〉があるので,その帰りに立ち寄ることになるかな./来年度の農林研究交流センター主催ワークショップの実施に関するヒアリングをこなした.いまのところ問題がなければ,来年も分子系統ワークショップがほぼ同じ時期に開催できそうです./農水省の “なかのひと” は MAFFIN ネットワークをまったく使わなくても日常業務には支障ないというウワサを小耳に挟んだ.だから好き放題に締め上げられるわけだ.ナットクナットクナットク./メーリングリストのアドレス処理.こういう微小┣┣" はこまめに蹴散らせばいいんだけど.

◆次の BGM はブルックナーの7番.アイヒホルン/ブルックナー・リンツ.さらに8番へ.

◆よく晴れた観音台は昨日のような冷たい北風は吹かず,そこそこの徘徊日和.正午の気温は8.3度.花粉の祭典に巻き込まれつつ一周りして農環研に戻ってきたら,正面玄関前で半旗が風にはためいていた.本日の歩き読み本:宮崎かすみ『オスカー・ワイルド:「犯罪者」にして芸術家』(2013年11月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2242],東京,xiv+298 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-12-102242-4 → 版元ページ)読了.新書にしてこういう内容充実した伝記が読めるのはうれしい.それにしても,ワイルドは背徳のかぎりを尽くしたんだなあ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後イチの BGM はブルックナーの9番.同じくアイヒホルン/ブルックナー・リンツ※第4楽章付き./月末の学会理事会への欠席通知を送る./玉川大学の兼業承認申請書を事務にメール送信してチェック依頼.その後,紙で提出./14:46 の BGM は〈ブエノスアイレスのマリア〉の「アレバーレ」.死と再生のテーマ.いいねぇ.「Ahora que es la hora」./今日の夕方に公開される予定の統計ウェブ高座の “内覧” チェック完了.剽窃とか捏造はないですので,マイナーな間違いをいくつか訂正していただければOKです./「うう……,なかなか進捗がなくてですね,ドロヌマの中を歩いている心地です」というお詫びメールを送信.うう…….

◆[蒐書日誌]ご恵贈ありがとうございますっ —— ヒロ・ヒライ,小澤実(編)『知のミクロコスモス:中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』(2014年3月10日刊行,中央公論新社,東京,398 pp., 本体価格3,700円,ISBN:978-4-12-004595-0 → 版元ページ).分厚くてうれしいな〜.

◆[欹耳袋] “O嬢の物語” (第四幕) —— ストーリーは「科学」そのものから「科学者」の問題へと軸足が大きくずれていく:

科学的問題だったら敗者復活戦あるいは雪辱戦が期待できるが,科学者的問題だったら “所払い” が現実味を帯びる. “市中引き回し” はすでにもう十分だろう.Cf: 科学政策ニュースクリップ「STAP細胞問題、過度な事実と個人攻撃はわけるべき」(2014年3月11日)※「科学上の制裁は受けてしかるべき。けれど、人生の制裁はうけるべきでありません」– 静かに三回読め.

◆いろいろせわしない日々が続く.当面は学会準備と原稿執筆が最優先.

◆本日の総歩数=9154歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.1kg)/ 31.1%(+0.1%)


10 maart 2014(月)※真冬を越える寒波に震え

◆午前5時前起床.気温3.2度.週明けの観音台は朝から乾いた青空が広がっている.午前8時の気温は4.2度.強い北風が吹いて体感気温はずっと低い.朝イチは〈マタイ受難曲〉が BGM.今日は農環研の工事作業のため全館空調が止まるとのこと.どおりで居室が寒いはず.最上階はとっても寒い.す〜す〜吹き込む寒風.こういう寒い日に暖房なしの居室でガマン大会を繰り広げるのは何かの罰ゲームかな.おひとりさまホカペで耐えるしかない.

◆本日の┣┣" 撃ち —— 〈横浜国立大学都市イノベーション学府修了展〉の公式ホームページが開設された.こっちの高座の準備もしないといけないんだが……./ちりめんじゃこ並みの微小┣┣" どもを右に左に蹴散らしているんだけど,これも “新種” かっ!/最新版 R 3.0.3 の実行ファイル(Mac / Win)が公開されたので即ダウンロード.

◆[欹耳袋] “O嬢の物語” (第二幕) —— 広げた大風呂敷が汚れていたようで:

◆[蒐書日誌]クラフト・エヴィング商會『ないもの、あります』(2001年12月10日刊行,筑摩書房,東京,112 pp., ISBN:4-480-87332-5)の最後を飾る〈大風呂敷〉の項には次のように書かれている(pp. 97〜98):


「最後にとっておきの逸品,すなわち,これひとつあれば,あらゆる「ないもの」を「あります」と言い続けられる究極の品を,御紹介することに致しました.

その名も〈大風呂敷〉.[…中略…]

このやたらに大きな風呂敷を,誰よりも威勢よくパァーっと広げてしまうこと,これこそが商売が「うまくいく秘訣・その1」なのであります.

とは言いましても,ただ広げてしまえばそれでいいというものではありません.広げた以上は,必ず「中身」を見せること.そして,お客様にじゅうぶん喜んでいただいたら,なるべくすみやかに,さっと風呂敷をたたむこと.これが「うまくいく秘訣・その2」であります.ここで注意しなければならないのが,この「たたむ」ということ.これが,どうにもなかなかうまくいかないものです.

なにしろ〈大風呂敷〉です.とてつもなく大きいわけです.[…中略…]

それを「あっ」という間にたたんで,胸のポケットか何かにしまい込まなければなりません.そこのところを粋にこなせなければ,結局は〈大風呂敷〉を広げたことにはならないのです.そう……「大馬鹿」を広げたことになってしまいます.

ですから,本品を購入されましたら,まず広げる前に「たたむ」練習を重ねること.これが肝要であります.広げてしまってからでは,もう遅いのです.ただ広げるだけなら誰でもできます.

まるで何ごともなかったかのように,さっとたたんで消え去ること.

それが何よりの「秘訣」であります」


◆[欹耳袋] “O嬢の物語” (第三幕) —— 新展開は山梨から狼煙が上がる:

  • 山梨大学 > トピックス(2013年度)・若山照彦「STAP細胞の論文の問題について」(2014年3月10日)※「私はSTAP細胞について科学的真実を知りたいと考えております。そこで私は、先に共著者より提供され、キメラマウスの作製実験に用いたSTAP幹細胞を所有していますので、この細胞を公的第三者研究機関に提供し、詳細な生化学的分析を依頼する事を決断しました」.研究機関ではなく個人のレベルでやっと動き始めたという感じがする.
  • NHK NewsWeb「STAP細胞 確信なくなった」(2014年3月10日)※「共同研究者の山梨大学教授」が「論文の取り下げに同意するようほかの著者に呼びかけた」とのこと.若山照彦教授はまっとうな対応をしようとしている.
  • 毎日新聞「STAP細胞:論文の取り下げ提案…「データ再検証必要」」&「STAP細胞:発表直後から疑問点…論文取り下げ提案」(2014年3月10日)※当事者たちが自ら動かなければ事態は展開しない.

◆午後7時の気温は1.8度.またがいなく氷点下の夜になるだろうねー.しかもこの筑波颪が身を切る冷たさ.こりゃ,今晩の夕餉はそれなりの “燃料” を用意しないと凍え死むぞー.

◆本日の総歩数=3907歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.2kg)/ 31.0%(+0.3%)


9 maart 2014(日)※ヒミツ基地をたどる日曜

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下2.4度.連日の寒い朝.

◆[欹耳袋]広島お座敷アナウンス —— 日本生態学会第61回全国大会・自由集会・W05〈道具としての「形態測定学」:生態学と周辺分野との交差点〉2014年3月14日(金)13:30〜15:30@広島国際会議場E会場.そろそろスライドをつくりはじめないとヤバいかもしれない.

◆[蒐書日誌]アラブの “ダーウィン” —— Marwa Elshakry『Reading Darwin in Arabic, 1860-1950』(2014年1月刊行,The University of Chicago Press, Chicago, ISBN:9780226001302 → 版元ページ)※発注完了.イスラム圏での進化思想の浸透をたどる新刊.かなり期待している.書評記事:Robert Irwin | Darwin in Arabia | The Times Literary Supplemant | 5 March 2014.

◆[欹耳袋]研究者の人生行路さまざま —— リサーチア「研究者はもっと自由に活躍できる:独立系研究者小松正さんに聞く」(2014年2月26日)※研究者自身が「生きる場所」を自分でつくるというスタンス./BLOGOS・大野左紀子「高学歴女子が新・専業主婦を目指す時代」(2014年3月6日)※こちらは「生きる場所」を “共依存” でつくるというスタンス.

◆つくば徘徊サンデー —— 晴れときどき曇り.北風が吹かない分,体感的には昨日よりも暖かい.今日は朝からつくば市内をあちこち拉致連行され,貴重な体験をしてきた.まずは,茨城の “原風景” である田園のどまんなかにある〈ヴィナイオータ〉の地下ヒミツ倉庫.まるで古墳の石室のような薄暗いスペースにはイタリアワインがぎっしり詰め込まれていた.ひっそり格納されている大量のワインは,ものによってはバクハツ系,あるいはどろどろ系もあるらしい.売り物もあるけど,個人蔵のものもおそるべき量.倉庫の奥深くにある “神棚” にはグラッパの伝説的名品〈ロマーノ・レヴィ〉がずらり.酒蔵の奥で手描きラベルたちがざわめいている.

午後の気温は8度台とたいして上がっていないが,身を切る寒さは感じられない.西平塚の〈da Dada〉へ.昨年暮れにオープンしたばかりの〈ヴィナイオータ〉直営店.レストランに併設されているワインセラーをひとまわり.地下ヒミツ倉庫からもちこまれたワインが所狭しと並んでいる.奥の小部屋はロマーノ・レヴィの神棚.そして,日本酒は〈竹鶴〉のみずらりと並んでいる.意外なところにあった〈竹鶴〉の楽園.まさかつくばにこんなところが! 初めて来た店だったが,再訪してよく吟味したい品揃え.

最後は,天久保の〈Flow〉にてランチをば.ここは “つくばを裸足で歩き走ろう会” の本拠地にて子どもたちはもちろんはだし,先日の大雪のときも紙のようにぺらぺらの紐サンダルでへっちゃらとか.

—— つくば,いろいろアヤシすぎるな.

◆今宵はいただきものの〈Camillo Donati〉の「Malvasia Rosa Frizzante 2010」を開栓.コルク栓ではなく金属冠だった.シャープな味わいのうすにごり発泡系ロゼ.巨大なスペアリブとともに.しばらくはワイン系の夕餉が続くだろう.ありがたやありがたや.

◆[欹耳袋] “O嬢の物語” (第一幕) —— 事の発端は再現可能生と写真の流用をめぐる疑念から:

—— この “O嬢の物語” はいったいどんな結末を迎えることになるのだろう.

◆来週からは決戦.本気出す.

◆本日の総歩数=8479歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.5kg)/ 30.7%(−0.2%)


8 maart 2014(土)※氷点下の夜明けは朝風呂

◆午前6時起床.昇る朝日を拝みつつ朝風呂.気温は氷点下4.5度と真冬並みのきびしい冷え込み.昨日の都内は名残り雪が舞ったし.今朝の最低気温は氷点下4.9度だった.真冬並みの「並み」はいらないね.ただの真冬.日の出を拝みつつ朝風呂の快楽.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「有期雇用、専門職なら最長10年に 法案を閣議決定」(2014年3月7日)※「年収約1000万円を超える専門職の労働者は、有期雇用で働ける期間を最長5年から10年に延ばす」だから,ポスドクや非常勤講師ははなっから適用外の外.なんだ,そーいうことだったのか.つまらん.Cf.: 厚生労働省プレスリリース「「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」の諮問と答申」(2014年2月20日).

◆論文まとめ読む日々 —— Malte C. Ebach and David M. Williams 2013. E quindi uscimmo a riveder le stelle. Cladistics, 29(3):227.「E quindi uscimmo a riveder le stelle(私たちはそこから外に出て、再び星々を仰ぎ見た)」というタイトルは禍々しい.かのダンテ『神曲』の「地獄編」に登場する「地獄の門」は〈われを過ぎる者、苦患の都市に入る。/われを過ぎる者、永劫の呵責に入る。/われを過ぎる者、滅びの民に伍する〉と宣言し,さらに〈われを過ぎんとする者、すべての望みを捨てよ〉とまで言う(藤谷道夫「ダンテ『神曲』地獄篇対訳」[]).上記の文言はその地獄編の末尾の言葉だ.外に出るまでの「地獄」の中でいったい何があったのかが大問題.その「地獄の門」の上でずっと「考える人」になり続ける.

◆[蒐書日誌]コリン・パターソン追悼論文集 —— Peter L. Forey, Brian G. Gardiner and Christopher John Humphries (eds.)『Colin Patterson (1933 - 1998) : A Celebration of His Life』(2000年刊行,The Linnean Special Issue 2, The Linnean Society of London, London).発注.

◆[欹耳袋]汎生物地理学の歴史と受容 —— Llorente, J., Morrone, J.J., Bueno, A., Pérez-Hernández, R., Viloria, Á. and Espinosa, D. 2000. Historia del desarrollo y la recepción de las ideas panbiogeográficas de Léon Croizat. Revista Academia Colombiana Ciencias, 24: 549-577. pdf | John Grehan による 英訳[Google翻訳].

◆今日は朝からよく晴れて,気温も10度超なんだけど,乾いた北風が寒すぎてどうしようもない.しかたがないから,午後は引きこもって大量のスペアリブの下準備に没頭する.つくばでスペアリブ食材を買うなら〈マルゲンミート〉しかない.巨大な肉付きあばら骨がどーーんと.

◆ふとワタクシの『生物系統学』の第一刷をチェックしてみたら,奥付に「自宅住所」が明記されていた.ほんの十数年前までは “個人情報保護” もヘチマもなかったんだなあと感慨深いものがある.もちろん増刷分からは削除してもらったが.

◆本日の総歩数=2625歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.3kg)/ 30.9%(−0.4%)


7 maart 2014(金)※名残り雪が舞う芦花公園

◆午前5時前起床.気温は氷点下0.4度.もう三月というのに,乾いた “冬晴れ” の観音台は朝から静電気が飛びまくる.午前8時の気温は2.5度.氷と霜の農林団地.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「Webmail の所外からの利用をできるだけ早く再開してほしい」とのコメントを付けて,年度末の「農林水産研究情報総合センター利用報告」送信.これまた年度末特有の微小┣┣" ./業績報告書と評価票を仕上げて送信完了.論文や本を「読む」こともできないわ,ちゃんと「書く」努力もしないわ,ではどーしよーもありまへん./業績報告書ならびに業績評価票を提出だん.評価票の様式は “ネ申エクセル” なので神罰がくだらないよう,そのまま.報告書については InDesign 文書作成 → pdf 出力 → rtf 出力 → Word バカ組版を叩きのめす → docx 出力 →という,他人には言えない迂遠な作業に耽ってしまった.年度末になるとこういう “罰ゲーム” のような┣┣" 撃ちが浮上する.お昼前に観音台を撤収.

◆名残り雪舞う芦花公園 —— 正午過ぎ,つくば駅.正午の気温は7.3度.冷たい北風が吹き抜けるセンター広場.午後1時,京王線に乗り換え.都内は薄ら寒い曇り空が広がる.気温は8.7度.不穏な雨雲がかかってきたなと外を見たら道行く人は傘を指している.ヤバい,雨かとよく見たら,なんと雪だった.午後2時,小雪が舞う芦花公園駅に降り立つ.気温は7.1度.降りかかる雪を払いながら世田谷文学館へ.

今月末までここで開催されているクラフト・エヴィング商會の展示〈星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会〉が目的.二階会場のエントランスあたりにさまざまな “ないもの” が展示されていた.これだけかと思ったら横丁みたいな細い路地の向こう側にもっと異次元な世界が広がっているという趣向はなかなかおもしろかった.月下密造通信『moon shiner』(号外)という壁新聞をもらった.

公式図録『星を賣る店』(2014年1月24日刊行,平凡社,東京,270 pp., 本体価格2,200円,ISBN:978-4-582-83641-7 → 版元ページ)はすでに読み込んであったので,出品物はだいたいわかっていたのだが,ワタクシ的には「哲学サーカス団」の原画本が見られてよかった.「クラフト・エヴィング商會」と「星を賣る店」はどちらも稲垣足穂に由来があることを知った.

◆ときおり吹雪くすずらん通り —— 芦花公園から神保町へ移動.三月なのにこの空模様はいったいどうしたことか.夕暮れ間近のすずらん通りは雪がときおり吹雪いている.午後4時の気温は4,8度.東京堂書店にて予定していたターゲット本を首尾よくゲット:

  • 戸田山和久『哲学入門 』(2014年3月5日刊行,筑摩書房[ちくま新書・1060],東京,446 pp., 本体価格1,000円,ISBN:978-4-480-06768-5 → 版元ページ)※戸田山センセの新刊はオビだけもほしいなあと思っていたが,現物を手にすると新書で450ページもあるんですかっ!という重量感 とりあえず,オビに描かれているという著者の “御真影” をどこかに貼り付けておけば「魔除け」になるんじゃないかと.しかし,オビの著者イラストをよくよく見れば,「クマさん」というよりはむしろ「カールおじさん」というべきかも.
  • 法政大学出版局(編)『叢書・ウニベルシタシス 1000番到達記念ブックレット』(2014年2月10日発行,法政大学出版局,東京,112 pp., 非売品)※とりあえずなくならないうちにゲットできた小冊子.東洋文庫とウニベルシタシスのふたつはコンプリートに揃えたい叢書.

東京堂書店をあとにして雪降る中を〈さぼうる〉に逃げ込み珈琲充.東京堂書店一階の新刊棚に:デイヴィッド・ベロス[酒詰治男訳] 『ジョルジュ・ペレック伝:言葉に明け暮れた生涯』(2014年2月刊行,水声社,東京,本体価格12,000円,ISBN:9784801000261)というブロックの塊みたいな巨大本があったんだけど,いったい誰が買うんだろう?同じく東京堂書店の三階中世哲学のコーナーにトマス・アクィナスの “ほぼ立方体” の紙のカタマリ本が鎮座していたのだが,コワかったので近寄らなかった.すずらん通りにはキケンな本がたくさん転がっている.しかし,ヒロ・ヒライ/小澤実(編)『知のミクロコスモス:中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』(2014年3月刊行,中央公論新社,東京,ISBN:978-4-12-004595-0 → 版元ページ)だけは見当たらなかったよーな.

◆小雪の六本木ヒルズにて —— 午後5時過ぎ,六本木着.まずは森アーツセンターギャラリーで開催されている〈ラファエル前派展〉へ直行.ミレイやらロセッティやらバーン=ジョーンズやら.どの絵を見ても「女性の顔」が同じでコワかった.ミレイの〈オフィーリア〉を至近距離からじっと見たので毎夜うなされそう…….とても写実的な自然画は “水” の描き方が絶妙だった.それにしても,画家とモデルと何やらかにやらの “人間関係” はすごいなあ.

午後6時前,六本木ヒルズを降りて,けやき坂をさらに下り,今度は芋洗坂を上って本日の最終目的地に到着.午後9時過ぎに終了.夜の六本木の坂道を縫うように寒風が吹き抜ける.

◆つくばに帰り着いたのは午後11時過ぎだった.気温はすでに氷点下2.5度.今日は一日中寒すぎた.

◆本日の総歩数=12470歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.2kg)/ 31.1%(+0.2%)


6 maart 2014(木)※真冬の北風が吹きつける

◆午前5時前起床.気温2.8度.北風強し.ひさしぶりに日の出を拝む.気温は氷点下ではないが,北風が冷たすぎる.雲ひとつないクリアな青空は春霞とは無縁の冬晴れ.今朝の最低気温は1.6度まで下がった.農林団地の水たまりはそこかしこで凍りついている.北風が吹き抜けて,瞬間的に10メートル超.寒いはず.今日はことのほか “鼻センサー” と “涙腺センサー” が激しく稼働している.つくばエクスプレスが車両故障で不通とは珍しすぎる.

◆[欹耳袋]先月の〈箱崎高座〉の録画がすべて YouTube 公開された:三中信宏・2013年度〈農業生物資源学特論第五 【分子系統学と形態測定学】〉※全13本・計14時間あまり.

◆午前の┣┣" 撃ち —— いま居室に電話があって,「みなかセンセイに植物学の新刊翻訳書へのコメントをいただきたいのですが」との依頼.「ワタクシのオモテの仕事は統計学でして」と答えたところ,「たいへん失礼いたしました」とさくっと撤退されてしまった.「ウラの仕事でよろしく」とは言われなかった.あまりにも潔すぎる書評依頼者だった./午前中は集中的に論文読み.

◆[欹耳袋]上智大学〈ノーム・チョムスキー教授講演会〉(2014年3月5日&6日) —— 予想を上回る大入り満員で,事前に整理券まで配られたとのこと(→ Togetter -「3/5チョムスキーまとめ」).

ワタクシの自宅の本棚の奥には Noam Chomsky『Rules and Representations』(1980年刊行,Basil Blackwell, Oxford, viii+299pp., ISBN:0-631-12641-4[hbk]) と Noam Chomsky『Lectures on Government and Binding』(1981年刊行,Foris Publications[Studies in Generative Grammar 9], Dordrecht, x+371 pp., ISBN:90-70176-13-0 [pbk])がある.購入年月日を確認したら両方とも1981年10月だった.修士論文を書いていた時期にチョムスキー本を買って,マルジナリア入を書き込みながら読むって,当時のワタクシはいったい何をしようとしていたのかぜんぜん覚えていない.

チョムスキーは1960年代の「統辞理論の構造」以降,どんどん理論を変更してきた.ひとつの理論に命を懸けては「ならぬ」ことをチョムスキーはしっかり教えてくれた.

のちに Elliott Sober『Simplicity』(1975年刊行,Clarendon Press[Clarendon Library on Logic and Philosophy], Oxford, x+189 pp., ISBN:0-19-824407-X [hbk])を読んで,彼がチョムスキーの生成文法理論における「単純性」を取り上げて学位を取ったことを知った.その本を知るきっかけは,科学哲学者 John Beatty による長文の書評が Systematic Zoology 誌に載ったからだった:John Beatty 1979. [Book review] Elliott Sober. 1975. Simplicity. Systematic Zoology, 28(4): 643-651.

◆お昼休み.天気はいいのだが,吹き付ける北風と花粉の祭典の猛攻を受けそうなので,本日のランチタイム徘徊はあっさり中止.

◆[欹耳袋]論文まとめ読む日々 —— Olivier Rieppel 2010. The series, the network, and the tree: changing metaphors of order in nature. Biology and Philosophy, 25(4): 475-496. abstract | pdf.これはチェイン・ツリー・ネットワーク史関連で./Olivier Rieppel 2005. The philosophy of total evidence and its relevance for phylogenetic inference. Papéis Avulsos de Zoologia (São Paulo), 45(8): 77–89. html | pdf.こちらは体系学論争の “熾火” を遠巻きに眺めるために.再び地雷原に近づこうとしている. 

◆午後の┣┣" 撃ち —— 出版社から「紙」の別刷が数十部まとめてどさっと送られてきた.無料だというのでもらったのだが,「紙」抜刷りなんてひさしぶりで置き場所と使い道に困っている./個人業績報告という年度末の恒例┣┣" 一頭はほぼ仕留めたし,夕日が真横から差し込んできたし,そろそろ撤収準備に入ろう.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「 豪華「ななつ星」デザイナー 世界で勝つ王道語る:JR九州はなぜ前例のない列車を作れたのか 」(2014年3月6日)※水戸岡鋭治インタビュー.水戸岡鋭治『電車をデザインする仕事:「ななつ星in九州」のデザイナー水戸岡鋭治の流儀』(2013年11月23日刊行,日本能率協会マネジメントセンター,東京,ISBN:9784820718864 → 版元ページ)という本が出ていたのか.

◆冬のような澄み切った空を染める夕暮れから夜の闇が忍び寄る.午後6時の気温は3.2度.北風が冷たすぎる.

◆本日の総歩数=2512歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.3kg)/ 31.1%(+0.3%)


5 maart 2014(水)※冷たい雨がざあざあ降る

◆午前5時前起床.気温5.1度.しとしと雨.曇りときどき小雨の観音台は午前8時の気温が4.7度と肌寒い.3月に入ってからというもの,陽光が降り注ぐ春めく陽気とは縁が切れてしまったようだ.朝イチの BGM はヤッシャ・ホーレンシュタインのニールセン交響曲5番.ニュー・フィルハーモニア管弦楽団.1971年録音.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 所内的な細かい事務┣┣" をひとつひとつ退治./『系統樹曼荼羅』 の第2刷は3月20日頃になるとのこと.年度末はどの印刷所も大忙しらしい.とくに,カラー印刷本は順番待ちだとか./農林水産省の公式ツイッターアカウントはまたいで通りすぎてもいいよね./来週から始まる生態学会広島大会のアカデミックな情報交換の前に「飲み行こ」メールが届く現状を何とかしてほしくない./雨がしとしと降り続く観音台.午前11時の気温は5.0度.今日の昼休み徘徊は雨天中止かな.今月の年休届提出.

◆[欹耳袋]今朝の “釣り堀” のようす:「momotani@affrc.go.jp」宛の「Revision to Your Amazon.com Account」というメールが届きましたよ.まったく,連日のように届くもんなあ.今度来たら JADAC に届けよう:JADAC 迷惑メール相談センター「情報提供のお願い」※提供情報は「電子メールの全文」ならびに「送信元のアドレスを偽って送られたメールの場合は、ヘッダ情報も必要」とのこと.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 先日の統計研修のアンケート集計が届いた.ウケがよかったようで,この分だと次のお座敷のお声がかかるかな.

◆[蒐書日誌]R統計本2冊 —— 舟尾暢男『Rで学ぶプログラミングの基礎の基礎』(2014年1月10日刊行,カットシステム,東京,x+233 pp., 本体価格2,800円,ISBN:978-4-87783-292-6 → 版元ページ)※RとRStudioを用いたプログラミング本./長畑秀和・中川豊隆・國米充之『Rコマンダーで学ぶ統計学』(2013年10月15日刊行,共立出版,東京,x+275 pp., 本体価格3,000円,ISBN:978-4-320-11046-5 → 版元ページ)※前著:長畑秀和『Rで学ぶ統計学』(2009年5月刊行,共立出版,東京,ISBN:978-4-320-01880-8 → 版元ページ)のRコマンダー版ということかな.

◆[欹耳袋]ダイヤモンド・オンライン:秋山進「なぜ日本企業の管理職の多くは「変人」を組織から追い出そうとするのか」(2014年3月5日) ※「変人は“使いにくい奴”と評価されて」「やがて変人は組織内に居場所がなくなって」– 変人受難の国./理化学研究所「STAP細胞作製に関する実験手技解説の発表について」(2014年3月5日).

◆[蒐書日誌]藤川直也『名前に何の意味があるのか:固有名の哲学』(2014年3月刊行予定,勁草書房,東京,ISBN:9784326102310 → 新刊予告) ※うわぁ,またこーいう “兇悪” な本が出るのか.買わないと祟られる.

◆午後5時前,本降りの雨に加えて,北風が強まってきた.気温は5.4度.最高気温が午後3時の6.8度だったから終日冷たい雨が降り続いたわけだ.春はさらに遠くなった.さあ,雨降る夕暮れの観音台を撤収して,美徳と背徳の夜に沈もう.

◆本日の総歩数=2539歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.3kg)/ 30.8%(−0.6%)


4 maart 2014(火)※晴れても風はまだ冷たい

◆午前5時前起床.気温は氷点下0.5度.さむ〜.寒の戻りの観音台は朝からきりりと晴れ上がる.今朝の最低気温は氷点下3.4度.結氷と降霜の通勤路は冬景色.午前8時の気温は2.3度.太陽のぬくもりはまだ届かない.朝イチの BGM はバルトーク〈無伴奏ヴァイオリン・ソナタ〉.

◆[蒐書日誌]ルイ・アガシー『分類論』が行方不明になってしまった.Dover から出たペーパーバック版:Louis Agassiz(Edited by Edward Lurie)『Essay on Classification』(2004年7月刊行,Dover Publications,xxxiv+268 pp., ISBN:0-486-43580-6 [pbk] → 目次版元ページ)があるはずなのにお隠れに.探してみたら,Dover 版の原本が Internet Archive にあった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年度末┣┣" 撃ちリストのアップデート.今月はほぼ週に一度のペースでお座敷に呼ばれる.地方巡業が続いた先月に比べればかなりラクになった./その代わり原稿の “加圧” がいくつか./年度末の業績報告書をちくちくとつくっているうちにお昼休みになってしまう./そーか,能動的時間観念のもとでは,┣┣" を溜め込めば歳を取らないのか! 時間の進み方は自分の思い通りに変えられるという「前向きな人生」の光明が(違

◆[欹耳袋]空間自己相関分析と Bob Sokal —— José Alexandre Felizola Diniz-Filho and Luis Mauricio Bini 2012. Thirty-five years of spatial autocorrelation analysis in population genetics: an essay in honour of Robert Sokal (1926–2012). Biological Journal of the Linnean Society, 107(4): 721–736 abstract.「空間的自己相関」は数量分類学者 Robert R. Sokal の晩年最大の学問的貢献.1950年代末に彼が開発した「クラスター分析」に続くヒットだった.

◆正午過ぎの気温は8.6度.日差しはあっても吹く風は冷たい.残雪があった跡に長い霜柱が伸びていた.宮崎かすみ『オスカー・ワイルド:「犯罪者」にして芸術家』(2013年11月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2242],東京,xiv+298 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-12-102242-4 → 版元ページ)を歩き読む背徳の昼下がり.

◆[欹耳袋]ことばことばことば —— 文化庁>国語施策・日本語教育 > 文化審議会国語分科会 > 報告・答申等:「「異字同訓」の漢字の使い分け例(報告)について」(2014年2月21日)※公開資料 [pdf] ※平凡社から出ていた三冊本『ことばの意味:辞書に書いてないこと』にそういう類語の “微妙な使い分け” が具体的に書かれていた覚えがある.いまは平凡社ライブラリーに入ってたっけ./〈Lexipedia〉:類義語・対義語の可視化ツール.英独仏西蘭伊の6ヶ国語対応.

◆午後の┣┣" 撃ち —— ちくちくと成績報告の資料づくりは続く.OD五年目でつくばへの就職が決まったとき,ある助教授から「みなかくん,農水の国研に行ったら,年度末の業績報告には “持ち駒” を全部出しちゃダメだよ.やったことの半分だけを報告して,残り半分は翌年用に隠しておくように」とアドバイスされたことを思い出す.いつもフトコロはすっからかん,なにもない丸腰で新年度に突入するのは精神的にもきびしい.研究者がフトコロに隠し持つものは “シーズ” だったり “アイデア” だったり “ライフワーク” だったりする.何でもかんでもオモテに出せばいいってもんじゃない.

◆明日は南岸低気圧の通過により本降りの雨になるらしい.

◆本日の総歩数=10592歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.6kg)/ 31.4%(+0.8%)


3 maart 2014(月)※冬の寒さが居座る雛祭り

◆午前5時前起床.気温3.8度.北風.雨上がりの観音台は冬の曇り空に逆戻り.午前8時の気温は4.7度.湿度の高い冷え込みがきびしい.週明け朝イチの BGM はマーラー3番の最終楽章から.昇天しましょう.

◆[欹耳袋]大学関係ふたつ —— 毎日新聞「東大:「優」全学年で3割に 乱発防止へ」(2014年3月3日)※本郷の教員会議で議題になっていた.私立大学ではすでにこういう成績評定制になりつつあるけどね./YOMIURI ONLINE「教授ら研究室退去迫った…広島大の2准教授提訴」(2014年3月3日)※「教授は研究室があると抗議した」とは,自室があるのに,准教授たちに個室を明け渡せと迫ったということ?

◆午前の┣┣" 撃ち —— 週明けの朝,ひさしぶりに MAFFIN ネットに接続してみたら,某隣国からのアヤシゲなメールが10通あまり届いていた.やはり農水省は “釣り堀” になってしまったようね.しかも Webmail では未読ステートが解除できないので,メーラーから全消去してあげた.セキュリティを考えると,MAFFIN ネットにはできるだけ接続しない方が身のためかもしれない./行方不明になっていたクラフト・エヴィング商會の本たちが自発的にそろって “出頭” してくれた.本によってはかなり綿密に “post-itting” しているので,前世紀末は精読したにちがいない.

◆[蒐書日誌]クラフト・エヴィング商會『星を賣る店』(2014年1月24日刊行,平凡社,東京,270 pp., 本体価格2,200円,ISBN: 978-4-582-83641-7 → 版元ページ).今月末まで世田谷文学館で開催されている展示〈星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会〉の公式図録.

◆お昼休みは引き籠りで “自炊” 作業に勤しむ.外は晴れたり曇ったり,気温は10度ラインをかすった程度の寒さ.

◆[欹耳袋]【ニフティーの解約方法】ニフティー ID やパスワードを忘れてもカスタマーサービスデスク 0120-32-2210(携帯 03-5860-7600)に電話すればその場で解約できる.必要情報:登録時の住所と電話番号&契約者生年月日.ワタクシの場合,1998年にニフティーに登録したとのことで,15年あまりの長きにわたって加入していたことになる.フォーラムがなくなって以来まったく利用せず,ずっと休眠アカウントになっていたのだが,解約をうっかり忘れていた.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末の原稿加圧あり.かなり圧力が高まってきたぁ.ぶわっと噴出事故./大┣┣" 一頭を仕留めて,やっと一休み.

◆[欹耳袋]Togetter -「東寺 #百合文書 WEB公開(CC-BY採用)の衝撃」 /本のページの「端」を折って目印を付けることを「dog-ear」と呼ぶのか.本への書き込み(marginalia),メモ書き(jottings),そして付箋紙貼り(post-ittings)は常用しているが,やや罪深い “dog-ears” も,歩き読みのせいで最近増えてきた./CNET Japan「[保存版]オンラインでPDFを自由自在に操れる無料ウェブサービス20選」(2014年3月2日)/岩住俊明他 2011. 「座談会:物理学会託児室この10年」日本物理学会誌, 66(5): 380-385.※あれ,黒猫センセイのお名前が.

◆午後5時前,観音台撤収.終日晴れたり曇ったりしていた.日に日に遅くなる夕暮れ.午後5時の気温は7.2度.北風が冷たい.向こう一週間は寒の戻りとの予報.

◆本日の総歩数=2626歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.8kg)/ 30.6%(+0.1%)


2 maart 2014(日)※暖春とはほど遠い日曜日

◆午前5時半起床.気温4.1度.冷たい雨が降り続いている.午前9時,雨はもう上がったが,灰色の曇り空が広がっている.気温は4.9度.染みこむ寒さに〈つくいち〉に向かう気力が萎えている.

◆年度末の┣┣" 撃ち —— 三月に入ると,今年度の幕引きをしないといけない.交付金関係はすでにすっからかんなのでいいとして(よくないけど),業績評価がらみの雑用は週明けにはケリをつけよう./それが終わったら原稿一筋だ.

◆[欹耳袋]粘着勧誘電話撃退法 —— 先日,「都内に不動産を買いませんかぁ?」という勧誘電話がひさしぶりにかかってきた.世の中の景気が(局所的に)よくなってきたということかな? 今日は精神的に余裕があったので,「ごめんなさい〜,先週,懲戒免職になったので買えないんですぅ」と笑って切ってあげた.

しつこい勧誘電話の撃退方法にはいろいろあるが,とても効果的なのは「開線放置戦術」.要するに,電話を切らずに そ の ま ま 数十分放置するというやり方.すぐ切るとすぐかかってくるので,とくに職場では “常用” していた.ただし,この「開線放置戦術」は大部屋ではメイワクになるので使えない.

かつてバブルっていた時代はそれはそれは “粘着” な勧誘があって,放置しているのに電話の向こうでひとりで延々と「勧誘」し続ける手合いもいた.正攻法で勧誘者を撃退しようとして,それ以降,電話勧誘の「練習台」にされてしまった実例をひとつ知っている.要は,不動産や株の勧誘電話に対しては,相手を人間と思わず,ありとあらゆることをしてもぜんぜんかまわない.

◆小雨が降り続く昼下がり.正午の気温は5.1度と真冬並みの寒さ.この空模様だとさすがに〈つくいち〉は静かだった.午後2時からはイーアスつくばで,わが農環研の “芸人さん” たちのお座敷がある:〈第6回農環研サイエンスカフェ: 歌でわかる「農業と外来生物」〉.2014年3月2日(日)14:00〜@ウィズガーデンつくば.あいにくの空模様だが,集客はどんなぐあいだろう.

◆[蒐書日誌]クラフト・エヴィング商會あれこれ —— 小川洋子,クラフト・エヴィング商會『注文の多い注文書』(2014年1月23日刊行,筑摩書房,東京,206 pp., 本体価格1,600円,ISBN:978-4-480-80450-1 → 目次版元ページ)読了.小川洋子による全5話のミニ小説(「注文書」)とクラフト・エヴィング商會によるそれぞれを “物象化” した作品(「納品書」)そして再び小川洋子による結末(「受領書」)の三点セットが現実と非現実の境目をにじませる.

前著『どこかにいってしまったものたち 』,『ないもの、あります 』,『らくだこぶ書房21世紀古書目録 』に続く本書は,ひさしぶりにクラフト・エヴィング商會の “世界” を堪能させてくれた.精妙に創られた作品に《箱もの》が多いのは「コーネルの箱」をさりげなく意識している? 参照:チャールズ・シミック[柴田元幸訳]『コーネルの箱』(2003年12月10日刊行,文藝春秋,東京,165 pp.,ISBN:4-16-322420-3 → 書評版元ページ)/デボラ・ソロモン[林寿美・太田泰人・近藤学訳]『ジョゼフ・コーネル:箱の中のユートピア』(2011年2月14日刊行,白水社,東京,497+xv pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-560-08109-9 → 目次版元ページ).

「ないもの,あります」を旨とするクラフト・エヴィング商會は,ワタクシの「統計学概論」高座には必ず登場する.データと推論とをつなぐアブダクション的推論,実証主義と懐疑主義をめぐるカルロ・ギンズブルグの論議,そして第一種過誤と第二種過誤の本性について説明するとき,クラフト・エヴィング商會『クラウド・コレクター : 雲をつかむような話』(1998年11月,筑摩書房,ISBN:4480872965)と『ないもの、あります』(2001年12月,筑摩書房,ISBN:4480873325)はいい “教材” である.

◆[欹耳袋]“大人の発達障害”をめぐって —— まずは以下の四記事を列挙:

「職場のコミュニケーション活性化」はまったく不要ですね.なんかもう,必要な職場は勝手にそうやっていいんだけど,ワタクシを巻き込まないでぇ〜という感じ.対人関係の「コミュニケーション力」とか,得体のしれないものはこの場で “除霊” するぞ.そのスローガンこそあるタイプの人にとっては生きにくさの根源.

◆午後9時の気温は3.8度.最近,夜のこの時間帯になると,隣りの大清水公園から笛の旋律が聞こえてくる.〈悪魔が来りて笛を吹く〉の「笛」はフルートだったか.聞こえてくるのは音程が高い笛なので許せるけど,これが重低音のコントラファゴットとかだったら,ちょっとコワすぎるかもしれない.そういえば,昔,千駄木で下宿が同じだった早稲オケ→東京芸大別科→東フィルのホルン吹きは,夜になると谷中霊園で墓石に囲まれながらホルンの練習をしていたなあ.大清水公園の笛の音はまだ響いている.さらに昔の記憶をたどると,高校で部活が同じだった同級生はいまやプロの篠笛奏者として国内外を飛び回っている.闇夜の笛の音は物狂わしい.闇夜に口笛を吹いたら “子盗り” に連れていかれるという脅しは京都だけだったんだろうか.

◆本日の総歩数=2975歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(−0.4kg)/ 30.5%(−0.6%)


1 maart 2014(土)※弥生三月は氷雨の幕開き

◆午前5時起床.気温7.6度.北風強し.月始めの定例月例アナウンスは夜明け前に流した.午前10時前,冷たい雨が降りしきる研究学園〈イーアス〉に開店前から突撃して,JAのフルーツトマトを箱買いしてきた.あのエリアの激混みを回避するには開店前からスタンバるしかない.午前10時の気温は7.7度.しとしと雨の弥生三月.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「日本学術振興会特別研究員・渡辺皓子さん」(2014年2月28日)※「学生時代からポスドクの苦労は知っているつもりでしたが、これほど強いストレスがあるとは思わなかった」「どんどん安定に向かう友人たちと、将来ビジョンが描けない自分との落差」「よく考えた末、研究者の道を離れることを決めました」– ワタクシたちは「ふつう」とはちがう人生を歩んでいるというだけのことです.この点は昔も今も変わりがないでしょう.ひとつだけちがうのは問題の規模の大きさ./Woman type「「女子力を磨くより、稼ぐ力を身に付けなさい!」上野千鶴子さんが描く、働く女の未来予想図」(2014年2月19日)※「マミートラックにのって二流労働者になってしまうと、一流に戻れないまま、組織の中で塩漬け」– 上からモノを言うのはもうやめましょう.それはもうわかってるって.では,どうすればいいのか,という問題.

◆灰色の曇り空が広がる肌寒い午後.昨日の同時刻は19.1度だったのに,今日は6.2度どまり.今日いただいた “馬齢重ね御祝” の四合瓶たち.ありがたやありがたや.

◆[欹耳袋]かつて,旧日本育英会の給付基準(家計収入)がとても厳しくて,学部はもちろん,修士課程でもダメ,博士課程になってやっともらえた.給付奨学金とか学費免除というのはけっして身近なことではなく,周りを見回しても修士までは奨学金をもらっている人は少なかった記憶がある.大学院時代の指導教官からは,「みなかくん,育英会に応募してもムダだよ.われわれの分野は “外れている” から」と明言されたことがあるほどだった.おそらく,当時の日本育英会奨学金は目に見えない学問分野間の “国境” の壁があったのだろう.奨学金の「有利子」化によって,間口が広がり,その性格も奨学金という名の「教育ローン」へと変わった.その一方で,貸与型奨学金が “フェア” になったというのは確かだ.次なる課題は貸与型から給付型にしていくこと.

◆昼下がりの背徳:海野弘(解説・監修)『世紀末の光と闇の魔術師 オーブリー・ビアズリー』(2013年12月21日刊行,PIE Books,東京,296 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-7562-4417-8 → 版元ページ)読了.数々のカラー図版が魅惑的.ビアズリーでもすでに十分すぎるほど “踏み外している” 感が濃厚だが,つるんだオスカー・ワイルドなんかほとんど “人外魔境” みたいなキケン人物.ああならないといけないのか.

◆[欹耳袋]Togetter -「行列のできない大学1年生 ~ 高校数学から行列が消えた…」 ※記憶が正しければ,ワタクシが高校に入った1973年が高校数学に「行列」が登場した最初の年度だった.その代わりに前年度までの「複素平面」が教科書から消えた.21vertexのブログ「学習指導要領の変遷―高校数学編」(2012年5月2日)には,この1973年から「行列と1次変換がはじめて高校数学に取り入れられた」と記されている.「ベクトル」はそれ以前からすでにあったわけね.教養時代の線形代数はもちろん,専門に進んでからの線形統計学でも「ベクトル・行列」は “日常言語” なので,複素平面よりもはるかに応用範囲の広いツール.行列による一次変換の固有値・固有ベクトル,そして正規直交基底による線形空間の構築までは高校のときにすませたということ.連立漸化式や線形微分方程式の解法も行列を使った.指導要領からは外れていた? しかし,指導要領がどう変わっても,何が書かれてあっても,勝手に勉強を進めればいいだけ.学校や教師に頼っても,いいことがあるとは思えない.

◆[蒐書日誌]松原隆一郎氏の「螺旋書庫」メイキングアップ本 —— 松原隆一郎・堀部安嗣『書庫を建てる:1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト』(2014年2月25日刊行,新潮社,東京,222 pp., 本体価格1,900円,ISBN:978-4-10-335291-4 → 版元ページ)※この「螺旋書庫」のことは別記事:マガジン航・西牟田靖「なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか」(2014年2月26日)で知ったのだが,先月末にメイキングアップ本が出ていたとは.この「螺旋書庫」はボルドーの「螺旋ワインセラー」にそっくりだと聞いてまたまた驚倒.限られた空間のなかに “みっしり” 詰め込み,きちんと検索するには「螺旋」という立体構造が向いているのかも.

—— ワタクシもそろそろ自分の「書庫」をいったいどうするかについてまじめに考えないといけない年代になってきた.

◆[欹耳袋]Y!ニュース・中原淳「論文が読まれなくなっている!?・・・「研究のカプセル化」と「読者のいない論文」」(2014年2月26日)※論文はもともと研究者が自分のために書いているだけなので,他の読者に読まれるかどうかはどうでもいいこと.ジャーナルのインパクト・ファクターや研究者の h-index からは,どれくらい「引用されたか」を定量化することはできても,どれくらい「読まれたか」は見えてこない.その一方で,最近の学術誌は,読者が「論文を全部読まなくてもいいような技法」を次々と繰り出している.たとえば,アブストラクトと図表だけピックアップしたり,めんどうな materials and methods は小さい活字にして末尾に追いやったり,研究の詳細は online supplements に封印したり.「論文が読まれなくなっている」のは当然の帰結ではないだろうか.論文をまるごと読むのではなく,必要部分だけを切り出して “情報摂取” すればいいという風潮は読む側にも読ませる側にも広がっている.

◆今日は終日凍える寒さが続き,雨が降ったり止んだりした.明日は山沿いを中心に雪になるという予報が出ている.

◆本日の総歩数=2450歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.4kg)/ 31.1%(+0.6%)


--- het eind van dagboek ---