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日録2014年2月 


28 februari 2014(金)※春雨が降る如月の最終日

◆午前5時前起床.春雨.気温8.2度.夜半からの雨はやんだもののすっきりしない曇り空が広がる観音台.朝からぬるい陽気で,午前8時の気温は9.2度.湿度も高くいかにも春らしい空模様.通勤路沿いの梅があちこちで花開いていた.農林団地の遠景がぼやけているのは,霧ですか,靄ですか.

◆[欹耳袋]「食べるラー油」の系統樹 —— Daily Portal「食べるラー油が成熟している」(2013年10月16日).すでにブームが過ぎた「食べるラー油」の系統発生が進んでいるという記事.「食べるラー油達の系統樹」を見ると,2009年の桃屋のラー油をルーツとする系統樹がきれいに描かれている.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 新年度の学会大会のアナウンスがいくつか届いた.年度末の3月は時間もお金もないので,さっさとスキップして4月になってもらいたい.

◆[欹耳袋]大学の非常勤講師は,いまのところ,「個人のつて」による “一本釣り” がほとんどすべてで, “公募” は聞いたことがない.ワタクシの場合もそう.裏を返せば「つて」以外に候補者を絞り込むシステムがないということ.いまのところは頼まれたまま非常勤講義を引き受けているけど,いつまでもやり続けるわけにはいかない.そろそろ “後ずさり” したいので,誰か代わりにやらないかなあ.

実際問題として,非常勤講師の人材データベースみたいなのがあれば,雇用側にとっても被雇用側にとってもきっと役立つと思うのだがまだないみたいね.〈JREC-IN〉にはときどきそういう非常勤講師の公募が出されるらしい.しかし,ワタクシの経験では,「知人つて」の非常勤公募は,たいてい前年の師走に「やっていただけませんか?」という問い合わせがある.どの依頼も締め切り間際にばたばたと依頼メールが届き,時間的余裕がないみたいで,教務かどこかが計画的に非常勤出講のプランを立てているとはいえないようだ.

—— 大学にパーマネントな職を得るときに「教歴」はたいへん重要なので,適切な非常勤講師のポストが教歴を必要とする若手研究者に配分されるのが望ましい.

◆正午前に早くも気温15.0度に達している.予報通りの春の陽気.ぽかぽかとよく晴れた昼休みの気温は18.6度まで上がり,長袖では暑いくらいの日和になった.歩き読み本:小坂剛『あの人と、「酒都」放浪:日本一ぜいたくな酒場めぐり』(2013年9月10日刊行,中央公論新社[中公新書ラクレ・470],東京,286 pp., ISBN:978-4-12-150470-8 → 版元ページ)読了.真昼の背徳.

◆[欹耳袋]関係する学会アナウンス三つ —— Hennig XXXIII: Annual Meeting of the Willi Hennig Society. MUSE, Trento, Italy, 6 - 10 July 2014. Website.今年は北イタリアだー.大会事務局は「スイスやドイツからもアルプスを越えればすぐ近くだ!」と言ってるけど,要するにどこからも遠いということか…….しかし,Hennig Society の年次大会はいつも “地の果て” で開催される傾向があるので,イタリアの奥だったら「御の字」だ./日本計量生物学会年会:2014年5月23日(金)〜24日(土)@統計数理研究所(立川).24日(土)午後に大会シンポジウム〈ゲノム情報学・農学・生態学における統計モデリング〉をオーガナイズ&司会します.大会シンポジウム〈ゲノム情報学・農学・生態学における統計モデリング〉の演者:岩田洋佳・山村光司・高橋一男・粕谷英一・島谷健一郎(コメンテーター).詳細は上記サイトで公開されているサーキュラー参照./日本進化学会・第16回大会ホームページトップ.【日程】2014年8月21日(木)〜24日(日)【場所】高槻現代劇場(大阪府高槻市).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 共著論文が筆頭著者から某ジャーナルに投稿され,編集部からログイン名とパスワードの連絡メールが届いた.

◆[欹耳袋]MSN産経ニュース「『青空文庫POD』 プリント・オンデマンドで「青空文庫」の紙書籍版が販売開始」(2014年2月27日)※青空文庫は地に墜ちなくてもいいと思うけど./YOMIURI ONLINE「寿命1時間、新種か?はかな過ぎるカゲロウ発見」(2014年2月28日)※あまりに ephemeral すぎて言葉もない.

◆午後3時前の気温は19.4度.半袖を出さないと.春霞の夕暮れから夜の闇へ.今日は暖かすぎてぜんぜんダメね.しかし,週末はまた寒波と南岸低気圧で関東地方は雪になりそうとの予報.今年は寒暖の差が激しすぎる.

◆本日の総歩数=11718歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.2kg)/ 30.5%(−0.4%)


27 februari 2014(木)※またひとつ馬齢を重ねた

◆午前4時半起床.気温は5.3度.またひとつ馬齢を重ねてしまった.雲間からぽつりぽつりと春雨が降りかかる観音台.気温は5.7度とかなり高め.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年度末┣┣" 包囲網がどんどん狭まってきた.いや,攻め込んでいるのではなく,攻め立てられているんだけど.キリがいいからといって,てきとーに「二月末までね」とか言わんといてー.

◆[欹耳袋]今月はじめの〈箱崎高座〉が YouTube にアップされはじめました.とりあえず前半の6時間半が公開されています:三中信宏〈2013年度 農業生物資源学特論第五 【分子系統学と形態測定学】 〉(2014年2月3日〜5日).高座の概要はこちら

〈箱崎高座〉は最初から最後まですべて録画したのだが,こんなに早く編集が終わってアップしてもらえるとは予想外.ずっと貼り付いて録画したスタッフのみなさんに感謝.今回の〈箱崎高座〉は生物体系学と形態測定学を看板にしたが,実質的には全体の1/3ほどは生物統計学.受講生がPC(Win or Mac)をもちこんで,いくつかのソフトウェアの実習も行った.

生物統計学の R / R Commander を用いた講義は,すでに3年前に興行した同じ九州大学での〈伊都高座〉を YouTube で公開している: 三中信宏〈データ解析概論〉(2011年2月8日〜10日).ワタクシの持ちネタの大部分は九大で録画されたということ.

生物学史・生物学哲学の高座は2011年に信州大学で興行した:三中信宏〈自然科学史〉(2011年12月19日〜22日).そのときも録画したと記憶しているが公開はされていないみたいね.

—— 〈箱崎高座〉の後半もきっと一両日中にアップされるだろう.

◆曇りときどき小雨.ビミョーに肌寒い昼下がり.気温は10度に達しない.┣┣" 包囲網の一角をやっと崩したら,その外にもさらに大きな包囲網ががが.

◆[蒐書日誌]オランダの古書店 Antiquariaat Frans Melk から総重量16kgもの紙の “塊” が届いた:Leo Jansen, Hans Luijten and Nienke Bakker (eds.)『Vincent van Gogh - De brieven. De volledige, geïllustreerde en geannoteerde uitgave (6 dalen)』(2009年10月7日刊行,Van Gogh Museum, Amsterdam / Huygens Instituut, Den Haag / Mercatorfonds, Brussel, ISBN:978-90-6153-851-6 [hbk | set] → 版元ページ).フィンセント・ファン・ゴッホの新しい書簡全集が数年前に出版されたことは知っていたのだが,新刊だと高すぎてまったく手が出なかった.出版後5年が経過し,やっと原価 US$ 650 のほぼ4割掛けの値段でゲット.ただし,ブツが重すぎて送料が余分にかかり,結果として送料込みで US$ 420 となった.全6巻の構成は次の通り:

  • Deel 1: Den Haag — Etten, 1872—1881 / Brieven 1—193 / 341 pp.
  • Deel 2: Den Haag, 1881—1883 / Brieven 194 — 384 | 421 pp.
  • Deel 3: Drenthe — Parijs, 1883—1887 / Brieven 385-576 | 373 pp.
  • Deel 4: Arles, 1888—1889 / Brieven 577—771 | 449 pp.
  • Deel 5: Saint-Rémy-de-Provance — Auvers-sur-Oise, 1889—1890 | 326 pp.
  • Deel 6: Commentaar, bijlagen, registers | 254 pp.

全6巻で計2,200ページ,フルカラー印刷でゴッホの絵など4,300図版.書簡は通し番号が付されていて,すべてゴッホ書簡データベース〈Vincent van Gogh — The Letters〉との対応が付けられる.

25年前に出た4巻本の書簡全集:Han van Crimpen & Monique Berends-Albert (eds.)『De brieven van Vincent van Gogh (4 delen)』(1990年刊行,SDU Uitgeverij, 's-Gravenhage, ISBN:90-12-06441-4 → 目次)も手もとにあるが,それに比べて質量ともにはるかに上回る重量級の新版といえる.

◆午後の┣┣" 撃ち —— やってますやってます.復活あるのみです.

◆[欹耳袋]本は残さず “完食” しよう —— YOMIURI ONLINE「本を読まない大学生、初めて4割超す…生協調査」(2014年2月26日).要するに「本」を丸ごと読まなくなってきたということね.「本」ではない「活字情報」であれば,もっと “摂取” しているだろうけど.研究者であっても,自分の専門分野の「本」を丸ごと(=「序文・目次から索引まで」ということ)読まないことが多くなってきたのでは? 専門書の電子本でも各章ごとの「切り売り」さえ見られる現状ならけっしてフシギではない.専門分野のジャーナルだって,いまは論文ごとの「切り刻み」を pdf にしてばらまいているようなもの.ある巻のある号の「全体」を見わたすことってやってないんじゃない? 

「あるジャーナルのバックナンバーを創刊号から最新号まで通読する」というのは,ワタクシの大学院時代に心がけていたことです.しかし,こんなにジャーナルが増えて投稿数もうなぎのぼりになったのでは,そーいうやり方は通用しないかも.にもかかわらず,「本」や「ジャーナル」を丸ごと読む行為には意義があると信じている.「本」でも「論文」でも,「必要最低限」の知識断片を拾い読みですませてよしとする風潮かなあ.取扱説明書やマニュアルの拾い読みみたいな感じ.

ワタクシが一冊の本を書くときは,読者にも(編集者にさえ)わからないような伏線をそっと張り巡らすのを愉しみにしている.一部分だけ拾い読みしたのではけっしてわからないように.それは書き手だけの悦楽.本はほかならない自分のために書いている.〈ブクログ〉や〈読書メーター〉で自分の本に関する「書評確率分布」を構築すると,匿名書評者たちがどの程度の「読む取る力」があるのかが見えてくる.書評者たちは,自分が書く書評文の集積(=書評者ごとの「周辺分布」)を通して,逆に評価されているということ.

ワタクシの場合,そういう微かな伏線はペダンティックな引用文に潜んでいることもあり,本文中の文章に埋め込まれていることもある.場合によってはカバージャケットのウラ側に本質が潜んでいることもある.ちゃんと読まないとわからないように.一度だけ,絶対にわからないはずの伏線を見つけてしまった書評者がいて,あのときは震え上がった.目利きの読者はいるところにはちゃんといるんだ.そういう読者に向けてワタクシはこれからも本を書こうと思う.

—— 本や雑誌の必要箇所だけを拾い読むことは「情報摂取」ではあっても「読書」とは呼ばない.

◆馬齢をまたひとつ重ねてしまった今宵は青森・西田酒造店の〈外ヶ濱・Flower Snow〉25BY特別純米生酒・活性にごりを開栓.ちょっと見にはワインと見まごうばかり.栓をひねっただけで,強いガス圧にオリが浮き上がる元気の良さ.瞬時にして空っぽになりましたー.今日はとてもよく動いたのでゆっくり寝ることにしよう.よく寝るのが肝心要.寝不足は大敵.

◆本日の総歩数=4077歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.7kg)/ 30.9%(+0.1%)


26 februari 2014(水)※日に日に春めく農林団地

◆午前4時半起床.気温は氷点下1.6度.穏やかな朝の観音台は春霞の青空が広がっている.早朝の最低気温は氷点下3.1度まで下がったが,午前8時の気温は3.0度.今日の日中は昨日よりも暖かくなるという予報.

◆[本日の打音]日経ビジネス・齋藤海仁「睡眠の誤った常識を覆せ!:『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』/『自然を名づける なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』」(2014年2月26日).ありがとうございます〜.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年度末限定の┣┣" どもが目覚めはじめた.《┣┣" が目覚めて,春がやってくる》ので BGM はマーラー交響曲3番の第1楽章から./「租界〈R〉を刷新せよ」との声が背後から聞こえたので,ちくちくアップデート完了.ついでに「統計学へのお誘い本リスト」も「Version 26-February-2014」に更新した./午前10時半から所内領域会議.セキュリティとかセキュリティとかセキュリティとか,USB メモリーとか USB メモリーとか USB メモリーとか.※ノイローゼになりそー.

◆[欹耳袋]最初から学ばないことと学んで忘れることは等価ではない —— Chikirinの日記「下から7割の人のための理科&算数教育」(2014年2月25日)versus バッタもん日記「ちきりん氏のお粗末な科学教育論」(2014年2月25日)versus やまもといちろうBLOG「「役に立つ知識」としての学問」(2014年2月26日)※科学の “背景知識” がないと日常生活にも差し支えるでしょう.常識をくつがえす大発見がごくたまにあったとしても,おバカな(=ありえへん)妄言はたいていまちがっているわけ.それが理解できないのは事象の生起に関する「確率統計リテラシー」が身についていないということ.

◆かなたまでぼんやり霞む青空は季節のせいか,花粉のせいか,はたまた PM2.5のせいか…….昼休みは市役所から銀行,コンビニと駆けまわる.午後の最高気温は13.7度まで上がり,天気予報通り,昨日以上に暖かくなった.南風が吹き込んで春本番.農環研の構内にはまだ雪が融け残っているが,確実に面積は狭まりつつある.

◆[欹耳袋]INTERNET Watch「米Microsoft、ブラウザ版無料Officeの「Office Online」を発表」(2014年2月21日)※Windows 8.1 にアップデートするときに強制的に Microsoft のアカウントを登録させられてしまったので,この〈Office Online〉がすぐ使えてしまうじゃないか.まったくもう……./Hyndsight | Statistical politicians | 24 February 2014 ※数学・統計学の学位をもつ政治家は確かに少ないかもしれない.しかし,鳩山由紀夫元首相は計数工学専攻で Ph.D をもってるから数学者.日本計量生物学会の会員でもあるから統計学者ともいえる.

◆[蒐書日誌]近刊本2冊 —— R. Paul Thompson and Denis Walsh (eds.)『Evolutionary Biology: Conceptual, Ethical, and Religious Issues』(2014年3月刊行予定,Cambridge University Press, Cambridge, ISBN:978-1-107-02701-5 [hbk] → 版元ページ).商売柄,この本は買わんとアカンのやろなあ……. “闇” のウラ商売の方ね./Svante Pääbo『Neanderthal Man: In Search of Lost Genomes』(2014年2月刊行,Basic Books, New York, ISBN:978-0-465-02083-6 [hbk] → 版元ページ).ネアンデルタール人の祖先ゲノム物語.

◆[欹耳袋]外国人から見た日本の大学の “白黒” 度 —— 「BLACKLIST OF JAPANESE UNIVERSITIES」と「GREENLIST OF JAPANESE UNIVERSITIES」– 大学や研究所の「ブラック度」って分散(年代的にも部署的にも)がものすごく大きいよね.

◆夜の闇のなか,確定申告の祭典は粛々と進んでいる…….明日中に終わらせないと.首都大学東京の来年度シラバスはさくっと確認完了.

◆本日の総歩数=6195歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(−0.3kg)/ 30.8%(+0.2%)


25 februari 2014(火)※今月もあと一週間足らず

◆午前4時半過ぎ起床.気温は氷点下2.1度と冷え込み強し.寒暖は一進一退.昨夜,日本酒のツイートをしただけで,どーしてフォロワーさんが突如として増えるのか.早朝の曇り空からしだいに青空が広がってきた観音台はまだ冷気の底.最低気温は氷点下3.3度まで下がったが,午前8時には1.4度まで上がってきた.日中は昨日以上に暖かくなるとの予報.花粉の祭典が本格化しそう.

◆[欹耳袋]第69回日本生物地理学会大会シンポジウム〈系統地理学はどこに向かうのか?:生物地理から言語地理まで〉【日時】2014年4月13日(日)15:30〜18:00/【場所】立教大学(池袋キャンパス).演者・演題・要旨を公開した.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 熊本復命書・農大兼業申請・契約職員更新の手続き完了./ほんの隙間仕事として玉川大学のシラバス修正./お座敷紙芝居用 VAIO Pro いろいろ設定.高座となめらかに連携させるには事前の準備が必要.今年度はもうないけど,また4月になれば巡業生活が始まる.

◆[欹耳袋]R + RStudio + R Commander 黄金三点セット —— R でひとまとまりの計算をさせたときは,そのスクリプトを保存するのはもちろん,今だったら RStudio か R Commander を使って RMarkdown 経由の出力結果も保存しておくとあとあとのために役に立つ.

いただいた情報によると,RStudio から R Commander が起動できるらしい.半信半疑だったのだが,実際やってみると,RStudio のプロンプトから「library(Rcmdr)」と入力するだけでほんとうに R Commander が立ち上がってしまった. R Commander のスクリプト窓だけが開くわけね.RStudio と Rcmdr の連携ができるとは考えもしなかった.計算結果は RStudio の中に,グラフィクスは別窓に出力されるわけね.

R本体での計算作業は RStudio の「>」プロンプトに表示され,R Commander での作業は RStudio では「Rcmdr>」という別プロンプトとして表示される.これまでは,R 本体と R Commander のスクリプトは別々に保存しなければならなかったが,その必要がなくなるということか.

今までは「R+RStudio」あるいは「R+R Commander」という組み合わせしか考えなかったが,「R+RStudio+R Commander」の三点セットができれば,また新しい使い方も広がるだろう.

◆春めくお昼休みは気温が10度を上回り,南からの微風が吹き,柔らかな日差しが降り注ぐ青空だった.しかし,日陰にはそこかしこに凍りついた残雪が.歩き読み本:小坂剛『あの人と、「酒都」放浪:日本一ぜいたくな酒場めぐり』(2013年9月10日刊行,中央公論新社[中公新書ラクレ・470],東京,286 pp., ISBN:978-4-12-150470-8 → 版元ページ)を半分まで読了.真っ昼間から読む本ではない?

◆[蒐書日誌]着便本:Alan de Queiroz『The Monkey's Voyage: How Improbable Journeys Shaped the History of Life』(2014年1月7日刊行,Basic Books, New York, viii+360 pp., ISBN:978-0-465-02051-5 [hbk] → 目次版元ページ特設ページ).分子系統地理学の発展を踏まえた生物地理研究の最前線を描いた本.歴史生物地理学の現代史への言及もあって期待できそう.前半100ページは,1970年代以降の分断生物地理学と汎生物地理学に絡む生物体系学・生物地理学の論争を叙述している.この前史を踏まえて,続く章では分子系統地理学の登場へとつながっていく.

歴史生物地理学の「歴史」を扱った本はほとんどない.デイヴィッド・クォメン[鈴木主税訳]『ドードーの歌:美しい世界の島々からの警鐘(上・下)』(1997年刊行,河出書房新社,東京)はマッカーサー-ウィルソンの島嶼生物地理学に関する物語だからちょっとちがうし.ひょっとしたら30年前の:Janet Browne『The Secular Ark: Studies in the History of Biogeography』(1983年刊行,Yale University Press, New Haven, x+273pp., ISBN:0-300-02460-6 [hbk])以来かもしれない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午後イチの BGM はヴィラ=ロボスの〈ショーロス11番〉.独奏ピアノとフルオケによる一時間あまりの大作./返信あり.父親は北朝鮮からの脱北亡命者,母親はハワイ生まれで沖縄にルーツをもつ日本人,そして本人はアメリカ在住.そりゃ,わからないはずだ.昨日届いた新刊本の著者は苗字こそスペイン系なのに,顔立ちはどう見ても日本人で,子どもたちのファーストネームも日本名.またまた混乱.

◆[欹耳袋]自分でウェブサイトをつくるなら,ページのどこかに「最終更新日」を明記しておくと,訪問者には親切だろうと思う.来た人に What's new をあちこち探しまわらせるのは不親切きわまる.また,幸いにして固定読者ができると,更新がちょっと滞るたびに「ビョーキですか?」と訊かれることもあるのでこまめにアップデートし続けること.継続は力なり.やめるときは引退するとき.

◆夕刻に届いたアヤシすぎるフィッシングメール.用意周到にも「***@affrc.go.jp」アドレスからシステム管理者を装ったメールを寄越し,「メールサーバー容量の上限を越えそうだから,再ログインして手続きするように」といかにもうっかり誘導されそうな釣りメッセージが書かれている.こうやってログイン名とパスワードを盗むわけね.やはり,農水省標的の新手のフィッシングだったようで,所内のネットワーク管理担当に連絡した直後に, MAFFIN 管理者から注意喚起メールが届いた. “敵” もどんどん進化しているようで,あわただしいときほどうっかり踏んでしまうリスクが高まる.フィッシングメールにはご用心.隙あれば誰にでも届きます.農水省系ユーザーは彼らにとってはいい “鴨” になってしまっているみたい.

◆午後5時前撤収.外はまだ明るい.今日はまだ花粉の祭典はおとなしかったが,明日明後日とさらに暖かくなるとの予報.例年の半分程度らしいが用心に越したことはない.

◆本日の総歩数=11210歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(−0.4kg)/ 30.6%(+0.6%)


24 februari 2014(月)※朝から┣┣" 掃討大作戦

◆午前5時前起床.気温は1.4度.厳冬期を脱しつつある如月最後の一週間.夜明け前の米とぎ.広がる雲の隙間から朝焼けなう.気温は氷点下0.1度とちょっとだけ寒い.四日ぶりの観音台は薄曇り.気温2.4度とやや肌寒いが,マフラーも手袋も不要.不在中の新規堆積┣┣" どもはいないみたいでこれ幸い.

◆[欹耳袋]すべての道は R へ通じる —— Mizumoto Lablog「Rのはじめかた」(2014年2月24日)/Java Coffee Cafe「TokyoRの第36回R勉強会に行ってきました」(2014年2月22日) ※RMarkdown は今後の統計お座敷でもっと使っていきたい./地方 R 巡業に行くたびに「R Commander」の “集客力” のスゴさを身にしみて実感する.地べたの R にコマンド入力させる「修行」では脱落者がきっと多かったにちがいない.

◆週明けの┣┣" 撃ち —— 三月の┣┣" 撃ちカレンダー記入.嗚呼,二月もおしまいだ,おしまいだー./数日ぶりに MAFFIN WebMail を見たら200通以上も溜まっていたので,対応必須の9通を除く残り全部を倉庫にぶち込む.週明けはいつもこの清掃作業をすませてから┣┣" 撃ちが始まる./マニュエル・リマさんとキャロル・キサク・ヨーンさんにメール送信./来年度の首都大の兼業申請はすんだが,農大の申請書はまだ.

◆[欹耳袋]昨年末から九州の三つの農業試験場(大分・宮崎・熊本)を巡業してきて,どこの県でも漏れ聞こえてくる声は「地方公務員的な人事の回し方」をされると,農業試験場での研究職キャリアの積み上げがなかなかできないという点だった.ワタクシが回った三県の農業試験場では,およそ三年ごとに「研究/行政/普及」と異動していく人事コースが基本となる.

農試の立場からすればもっと腰を落ち着けて研究してほしいと思っても,県庁の人事が “勝手” に異動先を決めてしまうこともあるらしい.たとえば,農試の研究員に大学院で学位を取得させるという動きも広がりつつあるのだが,せっかく学位をとってもすぐに行政や普及に異動してしまうと,そこで研究キャリアがいったん切れてしまう.

もちろん,地方自治体は経済的にも緊縮を迫られていて,農試としての研究業務を限られたマンパワーで切り盛りしていかないといけない問題はある.しかし,それとは別に地方公務員的な「人事コース」のあり方が障害になることもあるという話だ.

同じ九州でも,北部のある県では,農業試験場の研究職は10年くらいとどまれるらしい.だから,人事異動のシステムを変えようとすれば変えられないわけでもないのだろう.ばってんが!現実はそう簡単ではないと火の国の企画調整部長さんは力説していた.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 羊土社ゲラの再修正箇所返送.今回の記事「データの位置とぱらつきを可視化しよう」では,イアン・ハッキング『確率の出現』,カール・R・ポパー『客観的知識:進化論的アプローチ』,そしてカルロ・ギンズブルグ『歴史・レトリック・立証』の御三方にご登場いただいた./農林交流センターWSのアンケート文案をチェックして,事務局に返信./恥ずかしながら最終ランナーとして講演要旨(550字)を書き上げた.これでやっとウェブ公開できる.講演者全員に確認のためアブストラクト送信./来年度のシラバスの内容を “適切” に修正せよとの御下命が某大学から届いた.「シラバスを書き換えることが “有意” な教育効果をもたらすことを示せ」とか直訴したら,その場で無礼討ちされてしまうのだろーか.

◆[欹耳袋]pdf 文書に「テキストボックスツール」で記入した文字の属性(フォント・色・サイズ)を変更するには → なんとかなるわけよ「Adobe Acrobat テキストボックスツールで追加した文字の色を変更する方法」※何とかなった!

◆[本日の打音]読書メーター「自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのかのフジマコさんの感想」(2014年2月23日).

◆午後5時前に撤収.日の入りが遅くなってきましたなあ.日中も7.7度までしか上がらなかったので,今日は冬が居座っていた.いまの気温は6度台.

◆今日はたまたまいいブリかまがゲットできたので,mum シェフの秘伝レシピにしたがって,オーブンでローストしたらものすごく美味かった:

  1. ブリかまは熱湯にくぐらせて血合いを取り除く.
  2. 岩塩を強めに振って,オリーブオイルをたっぷり塗る.
  3. v
  4. オーブンは220度設定.ちょうど20分ローストしたところで焼き上がりとなった.
  5. 大根おろしを添えて熱々を食卓へ直行!

外はもうちょっとカリッと焦げ目を付けた方がよかったかもしれないが,中はジューシーで実に美味だった.20センチ大のブリかまが400円足らずで買えるのはお買い得.今回のブリかまは宇和島の養殖ものだったが,機会があれば天然ものにもトライしよう.

脂の乗ったブリかまには,それに負けない新酒を.ということで,南会津・花泉酒造の看板銘柄〈花泉〉「25BY・上げ桶直詰め純米無濾過生原酒」を開栓.おそろしくうまくて声も出ない.アルコール度数は19度もあるが,微炭酸で辛口.これは必殺というしかない.〈花泉〉とブリかまの相性はばっちり.ブリかまのローストに負けない日本酒の芯の強さだった.つくば住民はすぐに竹園「たがみ酒店」に直行せよ.今なら買える.買い損ねたら 一 升 後悔するぞするぞするぞ.この蔵元は〈ロ万〉という銘柄が最近有名だけど,やや甘すぎる.元銘柄の〈花泉〉の方がはるかにスゴい.

→ ワタクシが参考にした mum シェフ殿のレシピクックパッド

◆本日の総歩数=3574歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.4kg(−0.3kg)/ 30.0%(−0.4%)


23 februari 2014(日)※真っ白に燃え尽きる日曜

◆午前5時半起床.気温は氷点下2.9度まで下がっている.薄曇りの空.午前9時の気温は1.6度と寒さが残る.

◆[本日の残響]Lilynine「『分類思考の世界』」(2014年2月21日)

◆[本日の余響]蔵前バイオエネルギー技術サポートネットワーク・吉澤有介「「進化思考の世界」三中信宏著」(2014年2月17日)

◆[欹耳袋]長期熟成された “最終兵器” —— コモンポスト「ノルウェーで25年間放置されたニシンの缶詰「シュールストレミング」が発見され軍に連絡が入り専門家が出動する事態に!!」(2014年2月22日)※動画もすごい:YouTube | Norway: Potentially explosive 25-year-old tin of fermented herring disarmed but inedible ※ディスプレイから臭気が…….

◆燃え尽きた日曜の┣┣" 撃ち —— 引き籠りの週末はゆらゆら過ごす.何かをやりはじめようとすると,いつも背後から「良きに計らえ」という声が聞こえ,一段落するたびに「うむ,大儀であった」という声が聞こえる.人生これで万々歳./そろそろ確定申告のほにゃららを始めないと./あ,その前に講演要旨をひとつやっつけないと./あれっ,メールボックスを覗きこんだら,熟成┣┣" が数頭居残っていた./休日の統計コンサルタント業務完了.一般化線形モデルのポアソン回帰とロジスティック回帰についての熊本農試からの質問に答えて./共著論文の投稿準備をすませた..

◆[蒐書日誌]「多体問題」の再燃 —— 平山亮『迫りくる「息子介護」の時代:28人の現場から』(2014年2月20日刊行,光文社[光文社新書・682],東京,318 pp., 本体価格880円,ISBN:978-4-334-03785-7 → 目次版元ページ).熊本滞在中に読了した.親の介護を含む「多体問題」については,これまでも繰り返しつぶやいてきた(→ twilog)ので,とてもタイムリーな新書だった.

まず驚かされるのは,本書のキーワードである「息子介護」ということばが「息子介護=親への虐待」というイメージを帯びていること.冒頭でわざわざ《注意! 介護・福祉の現場の方,研究者の方へ》という但し書きが付けられているほど.本書は,とかく “負のイメージ” をもって語られる「息子介護者」について,実際に「息子介護」をしている28人への取材を通して,社会心理学の立場から迫ろうとする.解決策が述べられているわけではない.事例の積み重ねが示す事実に目を向けようとする姿勢.

本書に登場する「息子介護者」が置かれている状況は実にさまざま. “パラメーター” が多すぎてどうしようもないという実感がする.むしろ,「息子介護」の状況を左右する要因が何かを丹念に掘り下げているのが本書の特長といえる.「息子介護」を取り巻く要因は,親子関係・きょうだい関係・親族関係はもとより,経済状況・職場の問題,さらには介護保険・ケアマネージメント・地域社会とのつながりなどが全部からみあってくる.ひとつひとつの実例はリアルなのだが,そこからの一般化は至難.

社会的に “可視化” されていない「息子介護」についてよく知らない読者が大半ではないかと推測する.しかし,第3章の「(3)「用意周到」な息子はまれである」を読めば,いつでもだれでも「息子介護」の当事者になり得る可能性がひしひしと伝わってくる.その節にはこう書かれている:「親の介護は “突然” やってくる.介護に関する意思はあっても,親の老いを認識していても,親が要介護状態になりつつあるという事実に直面するのは “突然” かもしれないのだ」(pp. 126-7)– まさにその通り.

本書は今後増えるにちがいない「息子介護」に付随するさまざまな問題群に対して,目に見える議論の盛り上がりを期待している.本書の一貫したメッセージは,ある日 “突然” やってくるかもしれない親の介護への(心の)準備が男女を問わず必要であるという点だ.

—— 誰もがいつかどこかで直面する親の介護をめぐって,関係者への丹念な取材と冷静な分析が冴える.読むべし.

◆[欹耳袋]Politiken | Mystisk hærværk mod snesevis af 'Anne Franks Dagbog' | 21 February 2014 ※『アンネの日記』破損事件はデンマークにも伝わっている.

◆[蒐書日誌]水月昭道氏の3冊の著書『高学歴ワーキングプア』『ホームレス博士』『高学歴女子の貧困』を読んだワタクシの感想文が,いずれも「サンプル数の不足」あるいは「サンプリング・バイアス」に言及しているのはおそらく共通する要因があるからだろうねえ.アンケートや体験談を踏まえて何かモノを言うというのは,読者ウケはするだろうが,サンプリングの仕方をよほどよく考えないと「言いたいことが言えてしまう」危険性がある.

◆今宵は辛子レンコンと馬刺しをアテにゆるゆる呑んだ.明日からは平常営業.今月も残すところ一週間を切ってしまった.せっかく九州から逃亡したのに,つくばも〈花粉の祭典〉がスタートしてしまうらしい.

◆本日の総歩数=0歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.7kg(+1.8kg)/ 30.4%(−0.7%)


22 februari 2014(土)※梅花の熊本をあとにして

◆午前6時に目覚めたものの,さすがに前夜のダメージから立ち直れず,二度寝.午前7時,青空が広がる好天.午前7時の気温は1.1度.さすが九州.冷え込みはほとんどない.その代わりに,花粉ががが.ふんがー.朝日を浴びてやっと復活したので,朝ごはんを食べてから,ホテルでごそごそしている.今日はピュアな移動日なので,のろのろしていても後ろめたくない.午前10時,昨日と一昨日の巡業日録をアップしたところで,そろそろチェックアウトの時間だ.

◆交通センターから阿蘇くまもと空港行きバスに乗車.春の陽気とともに花粉の祭典.およそ1時間で熊本空港着.辛子レンコンとか辛子レンコンとか辛子レンコンとか.馬刺しとか馬刺しとか馬刺しとか.くまモンだらけでどうしようもないおみやげエリア.定刻13:05に熊本を飛び立った.羽田に着いたのは午前2時半.接続よくつくば行きの高速バスに乗り,午後4時半に帰還.関東も穏やかな日和ですなあ.

◆[蒐書日誌]Manuel Lima『The Book of Trees: Visualizing Branches of Knowledge.』(2014年4月刊行予定,Princeton Architectural Press, New York, ISBN:9781616892180 → 版元ページ著者サイト)※マニュエル・リマさんからメール連絡あり.マニュエル・リマ氏は多摩美大での会議に参加するため来日していたと書かれていた.この近刊は系統樹の歴史を論じたヴィジュアル本.『系統樹曼荼羅』の存在は多摩美で初めて知ってびっくりしたらしい.本書の日本語訳は前著『ビジュアル・コンプレキシティ:情報パターンのマッピング』と同じビー・エヌ・エヌ新社から翻訳出版されるとのこと.

◆明日の日曜はゆるゆるしましょ.

◆本日の総歩数=7793歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


21 februari 2014(金)※合志での統計巡業は続く

◆火の国の朝は辛子レンコンとともに始まる.さて,今日も合志の農試にこれから出撃だ.午前7時半にホテルを出発.激混みの国道3号線を北上し,熊本農試に到着.この混雑は車が多すぎるのに道路が追いついていないせいだろう.

◆火の国高座(二日目) —— 県内は広く氷点下まで冷え込んだが,郊外の農試はさらに寒かったようで,牧草地は真っ白に霜が降りていた.午前9時から修行の始まり.箱ひげ図と分散概念を導入したところで一休み.続いて,実験計画法の本論に入る.

農業試験場ののどかなお昼休みは控室でお弁当.外は日差しがさんさんと降り注いでいる.一足早く春が到来したようだ.

午後1時,お座敷の再開.実験計画法の続き.乱塊法など実験計画法の後半の講義&実習を進める.今回は RStudio はけっきょくまったく使わなかった.内容的にも R と R コマンダーがあれば十分だったから.最後は線形統計モデルの解説と演習.そして午後4時から質疑討論タイム.午後5時前に統計研修の全日程を終えた.

◆[欹耳袋]今年もまたどこかの入試問題にワタクシの文章が使われていたりするのだろうか.受験生のみなさん,すまんすまんすまん.入試問題は “黒衣” である作問者の「作品」なので,出典の “原作者” には解けない設問があってもまったくフシギではない.「この箇所で著者は何を言おうとしているのか?」という小問があっても,「あの文章はアソビやがな」という真実は著者のみぞ知る.どこにもない「正解」を探させられる受験生には申し訳ないが,痛くもない腹を探られる著者も気分的にはいい迷惑だったりする.

◆熊本ナイトライフ(二日目) —— 午後6時半,いったんホテルに帰還して,懇親会に再出撃.まずはアーケード街を抜けて,〈HERO海〉へ.馬刺しとあんこう鍋.馬喰った,うまかった.続いて二次会は〈こめ&葡萄〉へ.秋田「一白水成」純米吟醸と三重〈而今〉八反錦,そして〈醸し人九平次〉純米大吟醸「オーデジール」.最後は〈桂花ラーメン〉本店へ.不夜城・熊本.熊本のみなさんはとにかくよく呑むことを実感した.一次会で聞いたところでは,熊本の中でも球磨地方は「想像を絶するほど焼酎を飲み尽くす」とのこと.ただごとではないらしい.今夜は模範的なコースを堪能した.

◆[本日の反響]見習い建築家の本棚「系統樹思考の世界 三中信宏」(2014年2月18日)

◆[欹耳袋]ウォレスとメーリアン —— The Alfred Russel Wallace Website | Poster showing Wallace & Darwin's travels available | 24 Sep 2013 ※ポスター画像をpdfでダウンロード可./Symposium - Exploring Maria Sibylla Merian. 26-27 May 2014, The University of Amsterdam.

◆明日はお座敷はなく,熊本からつくばに帰るだけのピュアな移動日なのでゆっくりできるぞ.

◆本日の総歩数=5119歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


20 februari 2014(木)※熊本農試にてお座敷初日

◆午前5時前起床.寝台列車の振動は心地よし.〈サンライズ出雲〉B個室寝台の上段なので,カーテンを開けると天上までの窓ガラスから真っ暗なスカイビューが流れこむ冷気ともに堪能できる.夜明け前の薄明の空に明星がきらり.さて,おめざめの朝シャワーへ.A寝台のシャワールームはいいな.6分間の快楽タイム.

夜行寝台列車での出張って,いったい何年ぶりのことだろうか(遠い眼差し).前世紀末,航空料金がまだ高かったころは,空路ではなく,陸路での移動はもっと頻繁だった.航空運賃が異様に高い時代だったので,もっとも安価な移動方法に収斂していたのだろう.夜行寝台特急〈北斗星〉で札幌に乗り込んだこともある,ブルートレイン〈はやぶさ〉で熊本に行ったこともある.「移動距離が1000kmを超える場合は空路を使え」というお達しが出る前はもっともっとJRに貢献していた.しかし,今回みたいな寝台特急での出張はこれで最後かもしれないなあ.

午前6時半,岡山着.荷物をまとめて新幹線ホームに向かう.早朝の冷気に目が覚める.鹿児島中央行き〈みずほ601号〉に乗り換える.新幹線〈みずほ〉は普通席でも4列で居住性とてもよろし.午前8時前,関門海峡をくぐって九州に上陸.穏やかな車窓風景が広がる.春霞かはたまた花粉雲か.山陽新幹線と九州新幹線はトンネルが多すぎて,Wi-fi 接続がいたるところで寸断される.午前8時半,博多.中洲に惹かれてうっかり下車してはいけません.午前9時,熊本で下車.いきなりくまモンだ.博多からたった半時間で熊本とは.みずほの次の停車駅は鹿児島中央.心理的距離と新幹線の速度が不協和を起こしている.

◆火の国高座(初日) —— 午前9時の熊本市の気温は4.3度.明け方の最低気温は氷点すれすれまで下がるのか.「九州は暖かい」というのは単なる俗説.駅ビルの〈弘乳舎〉でアイスクリームを食べながら,熊本農試の出迎えを待つ.

午前10時半に駅を出発.渋滞の道を一時間ほど走って,合志の熊本県農業研究センターに到着.初めて見る九州沖縄農業研究センターの広大な敷地の横を通り過ぎ,牧草地の広がるまんなかに熊本農試はあった.所長さんにご挨拶したのち,企画調整部長室にてお昼ごはん.その後,場内を案内してもらう.細川知事の時代にかなりお金をつぎ込んで研究所本館や研究施設を整備したとのこと.外は暖かくいい日和.それにしても,熊本は「花粉」がひどいなあ.

午後1時半から統計お座敷が始まる.今日の受講生は40名あまりとのこと.所内研修会というイベントのひとつとして開催され,研究員のほぼ半数がパソコン持参で参加する.午後1時半からいつもの統計学概論.ちょいと休憩して R 実習に入る.今回は事前にインストールをお願いしておいたので,大きな “不幸” もなく幸先良いスタートだ.「とにかく《ドキュメント》フォルダーに格納せよ」を徹底したので,おなじみの “不幸” たちはほとんど姿を見せなかった.

今回は受講生全員が Windows ユーザーなので,ワタクシも VAIO Pro だけでプレゼンしている.MacBook Air はツイッター専用ということで.午後5時,初日のお座敷が終わった.

◆午後6時半,ホテルにチェックイン.夕刻の市街地は猛烈な混雑で.合志から一時間以上かかってしまった.

◆熊本ナイトライフ(初日) —— まずは〈あかり道〉からスタート.佐賀〈東鶴〉純米おりがらみ,続けて佐賀〈鍋島〉純米吟醸雄町・三十六万石.微炭酸,うまし.アテは島らっきょうの味噌添えと白子の塩焼き.新潟〈越の白鳥〉純米吟醸.野菜の炊き合わせとともに富山〈勝駒〉特撰大吟醸なう.場所を変えて〈醸音〉へ.熊本〈崇薫〉純米吟醸・桶之口直汲み.酒米は「吟のさと」と店主が『酒米ハンドブック』をもって説明してくれた.あわあわの〈七本鎗〉活性にごり酒.しゅわしゅわ〜.愛知〈菊鷹〉.醸音オイスターまいう.久留米〈花の露〉生酛.滋賀〈不老泉〉山廃仕込純米酒母四段.最後は〈雲雀〉.

◆[蒐書日誌]大理奈穂子・栗田隆子・大野左紀子/水月昭道(監修)『高学歴女子の貧困:女子は学歴で「幸せ」になれるか?』(2014年2月20日刊行,光文社[光文社新書・681],東京,187 pp., 本体価格740円,ISBN:978-4-334-03784-0 → 目次版元ページ)の書評を公開.

◆本日の総歩数=7069歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


19 februari 2014(水)※寝台特急で目指す火の国

◆午前5時起床.気温は氷点下4.9度.明け方の最低気温は氷点下5.9度まで下がった.危惧された南岸低気圧の気配など微塵もなく,霞んだ青空が広がる観音台はいつもの朝を迎えている.朝イチの BGM はヴェルディの歌劇〈アイーダ〉全曲.アルノンクール/ウィーン・フィル.

◆[蒐書日誌]大理奈穂子・栗田隆子・大野左紀子/水月昭道(監修)『高学歴女子の貧困:女子は学歴で「幸せ」になれるか?』(2014年2月20日刊行,光文社[光文社新書・681],東京,187 pp., 本体価格740円,ISBN:978-4-334-03784-0 → 目次版元ページ).Cf.: 著者のひとりである大野左紀子さんによる紹介記事:Ohnoblog 2「新書『高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか?』発売のお知らせ」(2014年2月16日)

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来年度のフレックスタイム申請終了.所外の兼業時間帯との関係でデフォルトの時間帯を半時間ずらすことにした.裁量労働制ではないので,時間管理はいちいちタイヘン./日本計量生物学会の年次大会アナウンスが公開された.2014年5月23日(金)〜24日(土)@統計数理研究所(立川).24日午後にある大会シンポジウムのオーガナイザー┣┣" はまだ冬眠中だ.寝た┣┣" を起こすな(ちがう)./R-3.0.2 for Windows でパッケージ更新しようとしたら,CRANミラーサイトにはつなげたのに,「警告:package ほにゃらら will not be updated」とともに「Packages to be updated」という書き込み不能な窓が出現.だから Windows ってキライさー.インストールしなおしてもやっぱり「警告」メッセージは出てくるけど,最新版パッケージであることは確認したので,警告は安心して無視しよう.

◆今日も春めくお昼休みには農林団地周辺をぐるぐる徘徊するしかない.気温は7度超.微風.日陰の残雪も日に日に融けて小さくなっていく.歩き読み本:『高学歴女子の貧困:女子は学歴で「幸せ」になれるか?』.190ページ足らずの薄さなので速攻読了.

著者ひとりひとりの人生経験にもとづく各章は,ルポルタージュとしても興味深い.本書の著者たちは,理系の大学院生やポスドクではなく,人文・社会系そして芸術系の研究分野がはらむ問題点を挙げている.とくに[専業]非常勤講師問題がクローズアップされている点が文系での特徴だろう.大学や研究機関に属さずに研究を進める上でのさまざまな障害,そして “女性” であることのしがらみが綴られている.

大野左紀子さんは「貧乏ではあっても貧困ではなかった」と書いている.金銭的な貧乏と精神的な貧困とのちがいを言わんとしているにちがいない.その一方で,「貧すれば鈍する」ことも事実.金銭的に追い詰められることの負の波及は確かにある.本書を読むと,“高学歴〔女子〕ワーキングプア” というひとつのキーワードでは掬いきれないほど関連するあまたの未解決問題や背後に隠れた文脈がずるずると引きずり出されてくる読後感が残る.深く冥く淀んだ淵を覗きこむような感じ.

したがって,本書では何らかの解決策が提示されているわけではない.むしろ,読者に問題を突きつける本.そのためにも,あと百ページは増やしてサンブルサイズを大きくしてほしかった.単なる統計データではなく,その背後にあるストーリーのひとつひとつが議論を深める上で大事だろうから.

◆[欹耳袋]MSN産経ニュース「苦境の新書救世主!? 表紙カバー? いいえ「特大帯」なんです」(2014年2月19日)※新書の「オビ」は売れ行きに影響するので,内容をよーく吟味した上で巻かれているのですよ.『分類思考の世界』は現代新書としては例外的に “超幅広” なオビだった./読売新聞「筑波大、ハードディスクの個人情報閲覧可能に」(2014年2月19日)※「同大生命環境系の学生や卒業生計248人の氏名、入学年度、学生番号のほか、現職と退職した教職員ら計195人の氏名、電話番号など」

◆寝台夜行列車で夜逃げ —— 午後8時前,つくば駅にて秋葉原行き快速の発車待ち.午後9時すぎ,東京駅.飲み物などを調達してから,東海道線ホームに上がる.しばらくして夜行寝台列車〈サンライズ出雲〉が入線した.これから熊本までの鉄路大移動が始まる.もともとは南岸低気圧による大雪での空路欠航を先読みしすぎて陸路にしたのだが,結果オーライということで.B寝台シングルの上段.天上まで窓ガラスがあって,昼間なら車窓の景色を楽しめるにちがいない.検札に来た車掌からシャワーカードを買う.シャワールームは24時間使えるそーで.

—— 午後11時過ぎ,列車のリズミカルな振動とともに睡魔が降臨.今夜はもうさくっと寝るしかない.目が覚めたら関西だ.

◆本日の総歩数=14962歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.2kg)/ 31.1%(−0.2%)


18 februari 2014(火)※花粉センサーが感知開始

◆午前5時起床.気温は氷点下2.4度.午前6時,氷点下3.3度.今朝はびしびし冷え込んでいる.薄曇りの向こう側から朝日が差し込む観音台.今朝の最低気温は氷点下4.0度だった.午前8時の今は0.5度.寒いことは寒いが,水ぬるむ春.明後日,関東に雪が降るかどうかは気まぐれな「南岸低気圧さま」のごきげん次第なわけね.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 熊本のお座敷にて配布する R 関係のファイルとドキュメント一式の用意完了.

◆[自然を名づける]本日の打音:yyzz2;虫撮記【虫画像・他】「ヨーン『自然を名づける』・馬渡峻輔『動物分類学の世界』」(2014年1月8日)※「伊達騒動」だ!/A way of thinking「自然を名づける―なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか」(2013年11月29日).

◆快晴のお昼休み.気温は8.5度まで上がったが,北風が身にしみて冷たかった.周辺徘徊を小一時間.歩き読み本:氏家幹人『かたき討ち:復讐の作法』(2013年10月8日刊行,草思社[草思社文庫・う11],東京,315 pp., ISBN:978-4-7942-2003-5 → 版元ページ)の前半100ページあまり.白昼のアナザーワールドですなあ.【悲報】本日,ワタクシの鼻センサーと涙腺センサーが「花粉」の到来を感知した【周知】.

◆[欹耳袋]京都大学図書館機構「【理生物】知られざる巨人- 動物行動学者 日高敏隆 BOOK MEMORIAL」(2014年2月14日)開催期間:2014年2月17日〜3月14日丨場所:京都大学生協 ショップ ルネ イベントコーナー/日経コンピュータDigital「約1600万人のメタボ健診データを生かせず 入力時に全角/半角が混在し、突合不能に」(2014年2月20日号)※新聞記事なんかで URL が「全角アルファベット」で書いてあったりするのも死刑ですな.

◆[蒐書日誌]宮崎かすみ『オスカー・ワイルド:「犯罪者」にして芸術家』(2013年11月25日刊行,中央公論新社[中公新書・2242],東京,xiv+298 pp., 本体価格900円, ISBN:978-4-12-102242-4 → 目次版元ページ).いま読んでいる(見ている)画集:海野弘(解説・監修)『世紀末の光と闇の魔術師 オーブリー・ビアズリー』(2013年12月21日刊行,PIE Books,東京,296 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-7562-4417-8 → 版元ページ)に関係するタイムリーな本.世紀末やなあ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— BGM は Steve Reich の名曲〈Proverb〉から.ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの「どんな些細なことでも一生を埋めるには十分である」という格言を執拗にリフレインする歌詞がもうピッタリ!/羊土社『実験医学』第二回連載のゲラ返送完了.折り返し,羊土社から次回の原稿締切日の通達あり.イチ┣┣" 減っても,イチ┣┣" 増えれば,元の木阿弥やがな…….

◆[欹耳袋]とある “有名論文” のなりゆきについて —— まずはネイチャー誌から:Nature | Acid-bath stem-cell study under investigation | 17 February 2014. 典型的な「実験科学」的研究なのだから,適切な追試を繰り返せばそのうち白黒ははっきり着くでしょう.ウェットな実験科学は,歴史研究とか進化研究とはぜんぜんちがう種類の科学なので,こういう論議が起こったときのことの成り行きは楽観できるし,だから静観していればいいと思う.

次はサイエンス誌の記事:Science | High-Profile Stem Cell Papers Under Fire | 17 February 2014. ネイチャーは「under investigation」なのに,サイエンスは「under fire」か.ま,理研が調査を開始したそうなので,近いうちに決着は着くだろう:日本経済新聞「STAP細胞論文で外部から指摘 理研、調査を開始 」(2014年2月17日).

そして,こういう声も聞こえる:むしブロ「研究者が沈黙する理由」(2014年2月17日).反論する側にもそれなりの科学的論拠がなければならないということであって,科学者コミュニティーの体質うんぬんとはまったく別問題でしょう.「研究者コミュニティの中で研究者がもっとフランクに発言しやすい雰囲気を作っていく」のは当然であって,そういう “物言えぬ” 状況があるなら「研究コミュニティの和を乱す人物」であることがむしろ “造反有理” と言うべきでしょう.というか,「研究コミュニティの和を乱す」って研究者人生的にはまったくどうでもいい問題であって,どーしてこの文脈でそーいう脈絡のない「自己規制的な人生訓」と結びつけるのかがほとんど意味不明です.

—— 今回の件が科学研究のあり方として “不道徳” だったのか,それともピュアな “勇み足” だったのか,今後のなりゆきには関心がある.

◆最新の天気予報では気まぐれな南岸低気圧は関東地方に接近せず,雪にはならないとのこと.九州への移動手段を早々と変更してしまったのは早計だったか.ま,いずれにしても,ゆっくり寝ていけるのはありがたいことだ.

◆本日の総歩数=11282歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−0.1kg)/ 31.3%(+0.2%)


17 februari 2014(月)※残雪を踏みしめる昼休み

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下1.6度まで下がっている.週明けの観音台は朝から青空が広がる.午前8時の気温は3.8度.週末の気温が高かったので,圃場の残雪はすべて融け失せて,灌水したような “池” が広がっている.

◆[蒐書日誌]イアン・ハッキング[広田すみれ・森元良太訳]『確率の出現』(2013年12月28日刊行,慶應義塾大学出版会,東京,viii+394 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-7664-2103-3 → 版元ページ)の特設サイトが開設されていたとは! 確率論・統計本の重要ないくつかがすでに絶版品切れだったりするのかー.不確定・不安定な状況で,どのようにして合理的判断をしたり意思決定をするかは日常生活のなかでこそたいせつ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 羊土社から『実験医学』連載第二回のゲラが届いた.週明けのしょっぱな┣┣" はこれだ./熊本県庁への連絡完了.往路フライトは早期割引だったから一万円ちょいですんだのに,陸路に変更したら,フライトのキャンセル料金も含めて片道でおよそ四倍の旅費がかかることになった.熊本県,ヨロシク!/すぐ印刷したいときにかぎってプリンターが「消耗品の交換時期です」とレッドカードを出す(減点5).

◆[欹耳袋]統計二題 —— Sunny side up! 「分析のいろんな仮定と,それに対する頑健さ・対処法」(2014年2月17日)※伝統的な分散分析の “限界” はわかってはいるが,現場でどのようにして方法論を変革していくかという実践的問題は残る /データ解析勉強日記「RStan使ってMCMCの計算をやってみた」(2014年2月16日) ※久保ばいぶるを RStan で.ワタクシも RStan をそろそろ入れておかないとなあ.

◆[蒐書日誌]系統体系学の歴史を追って —— Andrew Hamilton (ed.)『The Evolution of Phylogenetic Systematics』(2014年刊行,University of California Press[Series: Species and Systematics], Berkeley, ISBN:978-0-520-27658-1 [hbk] → 版元ページ)※すでにぽつぽつと読み始めている.Willi Hennig の伝記:Michael Schmitt『From Taxonomy to Phylogenetics: Life and Work of Willi Hennig』(2013年4月刊行,Brill, Leiden, xvi+208 pp., ISBN:978-90-04-21928-1 [hbk] → 目次版元ページ)も前半の伝記部分はほぼ読了.

◆穏やかな昼休み.気温は12.2度まで上がって春めく徘徊タイムだった.残雪は消え失せたとはいえ,畜草研飛び地あたりの木立の影にはまだ融けていない雪塊がごろごろしている.歩き読み読了:イアン・ハッキング『確率の出現』の最後の章「二〇〇六年版序論 確率的推論の考古学」.

◆午後の┣┣" 撃ち —— オーガナイズしている日本生物地理学会大会シンポジウム〈系統地理学はどこに向かうのか?:生物地理から言語地理まで〉2014年4月13日(日)15:30〜18:00@立教大学(池袋キャンパス)の講演予定者に演題と要旨の依頼メールを送信.自分で高座に上がるだけではなく,興行主としての仕事が年々増えてきた./UT-mate の成績入力は明日が締切だ!という加圧メールにあわてふためいたら,それは4年生だけだった.しかし,油断すると遅れるので今日中にさくっとケリをつけるのがパートタイマー大学教員としての正しい生き方なのだ.そして,じたばたしつつも「生物統計学」成績を UT-mate 入力完了.本日の┣┣" 撃ちはこれにておしまいっ.

◆[欹耳袋]MSN産経west「「准教授の授業に圧力感じた。いなくなれば…」切りつけた教え子、動機を供述」(2014年2月16日)※「「先生の授業に圧力を感じた。先生がいなくなれば圧力を感じなくなると思った」と容疑を認めている」– 「圧力」って何? 威圧・風圧・音圧・血圧により圧倒・圧迫・圧巻・圧政を感知して圧死しそうになったということか.でも,大学の講義やセミナーって「加圧」したりされたりするもんでしょ.大学のセンセイってたいへんやなあ(他人事ではなく).

◆水曜から木曜にかけて雨なのか雪なのかがまったく予想できない.天気予報によって言っていることがぜんぜんちがう.

◆本日の総歩数=11935歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(+0.2kg)/ 31.1%(+0.1%)


16 februari 2014(日)※ひさしぶりに乾いた青空

◆午前7時前のろのろ起床.気温4.5度.ひさしぶりに青空が広がり,朝日がまぶしい.冷たい北風が吹きすさぶ乾いた聖典が戻ってきた.

◆[欹耳袋]酒と泪とRubyとRailsと「統計解析 & R言語 超初心者入門資料まとめ」(2014年2月16日)/ShareLaTeX —— “Online LaTeX Editor: Quickly start using LaTeX and work together in real-time”このシステムは \( \LaTeX \) 文書をネット経由で共有するため.

◆[欹耳袋]エディターソフト六選 —— 常日頃からお世話になっているエディターソフトウェア.ワタクシの場合は,プログラミング(html入力)よりもむしろ日常的な文章入力(原稿書き)に使うことが多い.Mac OS X でも Windows でも,高機能でしかもフリーなエディターがいくつも利用可能なのはひとえに開発者のみなさんのおかげというしかない.

前世紀末は「ワープロソフトではなくエディターソフトで文章入力を」という風潮が強まったと記憶している.しかし,今世紀に入ってからは doc や jtd がまたしてものさばるようになり,シンプルな txt が肩身の狭い思いをしているようだ.

日頃の恩に報いるべく,Mac / Win それぞれで役に立つフリーの文章入力用エディターをリストアップしておきたい:

—— 感謝また感謝.WZ Editor からはそろそろオサラバしようかなあ.

◆[蒐書日誌]岡田哲『たべもの起源事典・世界編』(2014年2月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・オ-20-2],東京,763 pp., 本体価格2,200円,ISBN:978-4-480-09592-3 → 版元ページ).昨年出た:岡田哲『たべもの起源事典・日本編』(2013年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・オ-20-1],東京,806 pp., 本体価格2,200円,ISBN:978-4-480-09523-7 → 版元ページ)の姉妹編.

◆来週の遠征┣┣" 撃ち準備 —— 来週の火曜から水曜にかけて関東がまたしても雪景色になったら,木曜の朝イチの飛行機なんか飛ぶはずがないので,早々にキャンセルして,陸路に変更完了.今月に入ってすでに二回も “痛い目” に遭っているので,これくらいのリスク対処はしてもいいでしょう.結果として片道の運賃が二倍に跳ね上がったが,すべては依頼元の熊本県庁が負担すべきものなので,ワタクシの知ったことではない.依頼出張の強み.

その件で,国内線ドットコムでフライトの取り消しをしたら,「内部エラーがなんちゃら」とか表示されてにっちもさっちもいかなくなった.カスタマーセンターもつながらないけど,大雪でこんなに混乱した状況じゃしかたないよねー.明日かけ直すしかないか.そうこうするうちに,国内線ドットコムのカスタマーセンターの方から電話あり.フライトのキャンセル手続きはつつがなく完了したとのこと.ありがとうありがとう.

◆今日は午後の最高気温が11.4度まで上がったが,北風が冷たくて体感気温はもっと低かった.夕方,エキスポセンターあたりを小一時間の徘徊タイム.残雪はほとんど見当たらなかった.茨城よりも都内の方がはるかに “雪国” と化している.

◆本日の総歩数=5197歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(0.0kg)/ 31.0%(0.0%)


15 februari 2014(土)※夜明けのバクダン低気圧

◆午前5時起床.ベランダを激しく叩きつける雨音で目が覚めた.気温3.1度.強い南風は瞬間的に20メートルも吹き荒れて,いろんなものが散乱している.これは台風並みの風雨だ.「南岸低気圧」という名のバクダン低気圧がいま関東を通過しているらしい.

始発からいたるところで鉄路や道路が寸断されているとのニュース.こんな日は運休している線ではなく,運休して「いない」線をアナウンスしてもらった方がきっと役に立つと思う.

午前6時,真夜中からの風雨はまったく止まず.時間降水量23.5mmって軽めの豪雨.午前6時の気温は4.8度.風向きが南西から北東に変わった.バクダン低気圧が近くを走り抜けているのだろう.風速は21メートルか.そりゃ,ベランダが吹き散らされてカオスになるって.午前7時を過ぎて,風雨はややおさまってきたものの,冷たい雨が降り続いている.気温は6.8度.しかし,風雨がすぐまた強まってきた.傘なんかぜんぜん役に立たない吹き降り.Earth Wind Map を見ると,茨城県に南東からの海風ががんがん吹き込んでいる!

◆午前10時,吹き荒れた風雨がやっとおさまって,雲間から青空がのぞき始めた.外気温は11度超もあって,しまりのない生ぬるさ.しかし,午前10時の気温が「11.6度」なのに,その一時間後には「4.7度」ってジェットコースターのように急降下.いったいどういう空模様か.

◆昼下がりは陰鬱な灰色の空から氷雨が降り続く.午後3時の気温は4.2度.筑波山はすっぽり雪雲に覆われている.過去の日録のバックアップを DropBox に保存したら「計893MB」もあってのけぞってしまった.ほぼ11年もの間,たいへんよく書き続けましたなあ.

◆[蒐書日誌]法政大学出版局「「叢書・ウニベルシタス 1000番到達記念ブックレット」完成」(2014年2月14日)※112ページ.無料配布されるとのこと.雪が降ろうが風が吹こうが必ずゲットしないと./大舘大學「書評:『日本の動物観 人と動物の関係史』石田 輯・濱野佐代子・花園 誠・瀬戸口明久[著](東大出版会,2013年3月,288頁,4,410円(税込み))」哺乳類科学, 53(2): 393-394, 2013.ワタクシが以前公開した書評はこちら

◆[欹耳袋]お座敷のPR —— 横浜国立大学大学院都市イノベーション学府修了展〈IUI展〉: 2014年3月21日(金)〜 23日(日)@ヨコハマ創造都市センター※ワタクシの出番は初日.Cf.: FaceBook./Windows XP 機の「第二の人生」に〈Lubuntu〉はどうか?という提案があった.激しく多様化している Linux にはこういう軽量版もあるとのこと.

◆日が暮れても冷たい霧雨が降り続いている.午後5時の気温は3.2度.北風.今日の風雨でつくばの残雪はほとんど融けてしまったようだ.しかし,来週2月18日(火)〜19日(水)にかけてまたもや関東地方は雪になるらしい.確度が高ければ,熊本への長距離移動の「足」の確保について次善の策を今から考えておかないとダメだろうねー.降雪による遅延を回避できるように,前日のうちにできるだけ「西」に移動しておくとか.少なくとも当日の朝になってじたばたしてもどうしようもないだろうから.

◆本日の総歩数=618歩. 朝◯|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.2kg)/ 31.0%(+0.1%)


14 februari 2014(金)※雪また雪の日帰り京都行

◆午前4時過ぎ起床.気温2.0度.都内はもう雪が降り始めているらしいが,つくばはまだ降りだしてはいない.午前6時前,雪がちらちら舞い始めた.気温2.4度.今日は京都日帰り行だ.

◆雪中行軍スタート —— 午前7時前,つくば駅.つくばは横殴りの粉雪.気温は1.1度と降下.東海道新幹線がすでに雪の影響で遅延し始めているらしい.はたして今日中につくばに帰還できるか.午前8時,東京駅.都内は本格的な雪になっている.気温0.8度.8:20発ののぞみ206号.案の定ダイヤが遅延していて,車内放送によると,京都着は30分ほど遅れるとのこと.とにかくミッション最前線に到達することが先決.降り続く雪.名古屋まで10分遅れ.いまのところはまだ雪の影響は小さいみたいね.新横浜.雪がざんざか積もっている.変わり映えのしない雪景色を見ていてもしかたがないので,本を読む読む.

箱根を越えて静岡に入る.東海地方は雪ではなく雨がざあざあ降っている.しかし,市街地を抜けたらまた雪景色が広がってきた.浜松が近づくとともに本格的な雪景色に.三河安城の手前から新幹線は減速運転.新幹線よりも高速移動してくる┣┣" 一頭が到着.名古屋には約15分の延着.雪また雪.京都到着は25分延着予定とのアナウンス.米原あたりはめいっぱい吹雪いているので遠くまで見渡せない.ここは雪国か.MacBook Air を調子に乗って使いすぎたのでバッテリー大幅減少してしまった.

京都の午前8時の気温は0.5度,積雪1センチ.京都は雪がざんざん降り続いているらしい.雪靴を履いてきたのは正解.JR奈良線,積雪で止まってるとの情報.それもちょうど六地蔵の手前の桃山で(orz).京都に着いたら,とりあえず山科に戻って,東西線でミッション前衛に到達するしかないかな.地上よりは地下の方が影響少ないだろうし.夕方,新幹線がちゃんと動いてくれるかどうか心配なので,京都ミッションをさくっと終わらせて,さくっとUターンするのがベストの戦略ということか.

◆京都ミッション最前線へ —— 午前11時過ぎ,京都着.雪降りまくり.半時間の遅延だった.午前11時の気温は0.8度という凍える寒さ.雪また雪また雪.ポルタの〈イノダコーヒ〉にてビーフカツサンドとアラビアの真珠のランチ.JR奈良線はまだ止まっているみたいなので,地下伝いに移動しましょ.午後1時前,六地蔵着.午後1時から最終ミッション.つつがなくすべての作戦を完遂.これをもって法事以外のミッションはすべてなくなった.ここにいたるまでの長かったこと.

◆すばやい撤収 —— 午後2時半,六地蔵から逆コースで京都駅へ.雪は止んでいる.新幹線は上下とも遅延しているが,下りは15分程度,上りは数分遅れですんでいる.しかし,関ヶ原あたりの豪雪地帯を乗り越えるので東京着は40分の遅延になるとの車内アナウンス.今日に関しては一刻も早く帰るのが得策.雪が強まる前にTXに乗るというささやかな目標達成を目指して.新幹線沿線の雪国を減速運転で通過し,名古屋駅.静岡あたりは雨だったが,箱根をくぐって小田原に出たら一面の吹雪で視界は真っ白に.神奈川の雪の降り方は尋常ではないな.夕暮れの吹雪の景色は東山魁夷の絵そのもの.

午後7時前,つくば帰還.都内も雪一色,流山おおたかの森から守谷あたりまでは雪が降り続いていたが,つくばに帰り着いてみると,ほとんど雪が舞っていない.代わりに北風が冷たいことこの上なし.雪雲はまだ茨城県南部一帯を覆っているはずなのに.

—— ということで,本日の日帰り雪中行軍は大きな障害もなく終わった.長旅の最後は〈仙太郎〉の雑穀おはぎでお祝いを.夜遅く,止んだと思っていた雪が復活.北風に煽られて吹雪のごとし.気温は0.4度と極寒.これからは,低気圧の北上にともなって,しだいに雪に代わって,風雨が強まるらしい.明日も荒れ模様の天気が続くのか.

◆本日の総歩数=11068歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(+0.2kg)/ 30.9%(−0.1%)


13 februari 2014(木)※浜の真砂は尽きるとも…

◆午前5時過ぎ起床.気温は氷点下4.1度.今朝はきりきり冷え込み強し.冬晴れの観音台は日差しだけはぬくもりがある.今朝の最低気温は氷点下4.7度.午前8時のいまも氷点下0.7度の冷え込みが続く.農環研の駐車場の日陰にはうずたかく残雪が積み上がっている.

◆午前の┣┣" 撃ち —— さて,年度末特有の季節的事務┣┣" の最後の一頭をひねりつぶそう./午前10時半から所内領域会議.要するに,農水独法では「USBまかりならぬ」ということですかそーですか./あさって2月15日(土)に東京農大(厚木)で昆研の卒論発表会があるけど,行ったらきっと帰ってこれないよねー(ぼそ)./じたばた東奔西走するお昼前.

◆[蒐書日誌]セオドア・M・ポーター[藤垣裕子訳]『数値と客観性:科学と社会における信頼の獲得』(2013年9月20日発行,みすず書房,東京,316+lxxiv pp.,本体価格6,000円,ISBN:978-4-622-07781-7 → 目次版元ページ).はい,統計学史に関心のある人には必読書.二段組の視力検査のような細かい活字に負けてはならぬ.この著者はカール・ピアソン伝を書いた人だったのか:Theodore M. Porter『Karl Pearson : The Scientific Life in a Statistical Age』(2004年刊行,Princeton University Press,Princeton, ISBN:9780691126356 [pbk] → 目次版元ページ).ざっとブラウズしたところ,今回訳された本にもピアソンの話題に触れられた章があるようだ.

◆[欹耳袋]Regina Nuzzo | Scientific method: Statistical errors | Nature | 12 February 2014※「P値の罠」から逃れるには効果量・信頼区間・ベイズ.要するに,かつての有意水準にしろ,現在のp値にしろ,統計分析の結果を “デルフォイの神託” 扱いしたり(その割には “不敬” だったり),千社札のようにやたら「p-certified」ラベルをぺたぺた貼り付けてはならぬぞよ.ましてや「p-hacking」は御法度.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 春めく日差しがまぶしい午後は7度台という気温以上にぽかぽかと暖かい.年度末事務┣┣" の最終段階を何とかクリアできそうな感じがしてきた.よしよし.それにしても,今年度は(も?)どこもかしこも “金欠” 気味のようで,景気のいいハナシがぜんぜん聞こえてこない./とりあえず,公費購入本だの赤字補填だのという会計┣┣" 数頭を退治したのでよしとしよう.今月後半の┣┣" 撃ちリストを更新するぞ./来年度の駒場での生物統計学のシラバス入力完了.

◆[欹耳袋]そういえば,ここ数年「レーザーポインター」をプレゼンで使うことはいっさいなくなった.必要に応じて「画面拡大」させながら,要注目箇所はカーソルで指示する方が機能的だと思えるようになったから.高座でディスプレイを「部分拡大」するツールは,Mac OS X ならユニバーサル・アクセス設定の「ズーム機能」をオン,Windows なら〈ZoomIt〉で虫眼鏡ズームすればいい.

ディスプレイを適切に「拡大表示」せずに,レーザーポインターをムダに照射したところで,見えないものはしょせん見えない.また,いくら赤・緑・青と色を変えたところで,レーザー光は眼に悪いよ. “ライトセーバー” を振り回して照らすより,画面を拡大しよう.レーザーポインターを使わなくなった最大の理由は,PC実習のときに教師PC上での操作を受講生ヨコのディスプレイに映すとき,レーザーポインターが使えるはずがないという実践上の問題.その状況にいったん慣れたら,実習のない高座でもレーザーポインターいらず.

Windows 用の画面拡大ツール〈ZoomIt〉に日本語化パッチを当てる:さよならストレス「ZoomIt 日本語化」(2009年10月22日).ZoomIt は Windows 7 でも 8 でも使用可能(確認済み).こんな記事も:日本パソコンインストラクター養成協会「講習に役立つズームアップツール ZoomIt」.拡大静止画にして線や文字を記入したり,拡大動画でそのままキー入力操作を続行したりできる.いったん使い慣れればもう手放せない.

◆明日はマジで雪が降るのだろーか.ワタクシは京都ミッション最終決戦のため上洛するのだが,関ヶ原で遅れるというのならともかく,箱根の山を越えられませんでしたというのではシャレにならん.京都で missing in mission にならないように対策を考えておかないと.

◆[欹耳袋]苅谷剛彦「「国際競争力」の幻想に惑わされた日本の大学改革」(2014年2月12日) ※正論./ギリシャ古典文学に登場する「植物名」をどう翻訳するかについての日本西洋古典学会の回答(2014年1月25日)※小川洋子さんの回答が詳細きわまりなし!/日本学術振興会「科学研究費助成事業の審査に係る「系・分野・分科・細目表」等への意見の受付について」(2014年2月10日)

◆明日の京都ミッションに立ち向かう武器はすべてそろえた.あとは新幹線がちゃんとミッション最前線まで運んでくれることを祈るのみ.

◆本日の総歩数=5878歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(+0.1kg)/ 31.0%(0.0%)


12 februari 2014(水)※年度末の事務┣┣" 討伐

◆午前5時前起床.気温は2.2度.冷え込みなし.薄曇りのすき間から朝日がのぞく観音台.午前8時の気温は2.8度.今朝の最低気温は氷点下にならなかった.幹線道路の残雪やアイスバーンはすっかり消え失せた.ただし,いったん側道に入るとまだあやうい箇所が残っている.

◆[欹耳袋]Take a Risk:林岳彦の研究メモ「なぜリスク分析のプロは仮説検定を使わないのか(ややマニア向け)」(2014年2月14日)※確かに Neyman-Pearson 界は意思決定デフォルトだし.

◆午前の┣┣" 撃ち —— ただ居室にいるだけで事務┣┣" が「┣┣" 塚」のように次々積み上がる.居室のPCを開いたら┣┣" の「山」がメール受信箱を占拠していたり,ヤブから┣┣" が飛び出してきたり,虚空に┣┣" のにやにや笑いが見えてしまったり……/とりあえず,もうひとつの非常勤出向先への書類返送.来年度も本務地の業務歴と大学の学事暦がフクザツに入り混じる./兼業承認申請書ひとつ提出.今日も昼休み徘徊はなしということに.BGM は朝からずっと John Lewis のバッハ平均律.追い詰められたときはこういう曲がよろし./もうすぐ命脈が絶たれる Windows XP 機はどのように処置すればいいんでしょう? あっさり廃棄する? Linux PC としてよみがえらせる? それとも…….Linux って未体験ワールドなので,XP 機がどうせムダになるくらいなら Ubuntu でも入れてみようかとか考えていたんだけど.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen「Linux の系統樹」(2014年2月12日)※Linux そのもののあまりの多様化にクラクラしている.たかだか20年間なのに,この分岐的な適応放散はすごいなあ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末の所外貢献リスト(中間報告)提出.こういうこまごました┣┣" どもがまだ積み上がっている./午後1時半から,東京農大〈大根ゲノム計画〉発表の打合せ.今月21日に世田谷キャンパスで開催される東京農業大学先端研究プロジェクトシンポジウム〈大根ゲノムの解読と地域品種の多様性を生み出す遺伝子基盤の解明〉.これからは大根もNGSだ!/契約職員の更新手続き完了.積み上がった┣┣" どもの山は標高がだいぶ低くなってきた.さて,最後は年度末の「会計関係」の問題解決だ./来年度の分子系統ワークショップの開催申請書を提出./最後は,年度末の研究交付金のお金のやりくりなど……(orzorzorz)じたばたしてもしかたがないので,なんとかいたしましょー.

◆[欹耳袋]Hennig XXXIII: 6-10 July 2014, MUSE, Trento, Italia. ※今年は北イタリアだ.

◆マジな話,PC と LAN と USB を全部「管理下」に置こうしている現状では, “防空壕” を掘って身を守るしかないよねぇ.年明けからその手の “火砕流” が幾筋も上の方から押し寄せている.実効の有る無しは問題じゃなく,「ちゃんと対処しました」という対外的なポーズが な に よ り も 重要なことは昔から変わりない.「霞ヶ関」に準拠した “厳しさ” を実行する体制をつくれば,実際にそれが有効であるかどうかとは関係なく,対外的には示しがつくのだろう.

所内LANにつなぐだけだったら,10年ほど前に公費購入した Mac Pro を “人身御供” にして MAFFIN に常時接続しておくか.そして,それ専用の USB 一本を “生贄” にして登録すれば当面は大丈夫かなあ.どうせ今後は研究に使わないから実害ないし.全部調べました,全部登録しました,全部 “管理” されています,という三点セットを対外的に示すことに意義があるんだから,そーしてあげようじゃない.

—— たとえ「中」にいても,機能的には「外」で仕事をしているような態勢をつくるのは正しい方向.

◆午後5時前,日に日に遅くなる夕焼けグラデーション.┣┣" 塚がほぼ切り崩されたところで,今日はそろそろ撤収しよーかな.浜の真砂は尽きるとも 世に┣┣" のタネは尽きまじ.

◆[欹耳袋]本日2月12日はチャールズ・ダーウィンの生誕日(1809年)であると同時に,イマニュエル・カントの逝去日(1804年)でもある.科学史カレンダー配信はかつての Darwin-L を思い出す.開設者 Robert J. O'Hara は今でも当時のカレンダーをちゃんと保存公開している: Today in the Historical Sciences.この Darwin-L はワタクシが EVOLVE を1994年に開設したときのモデルとなったメーリングリスト.

◆さて,明日は残務┣┣" どもを一網打尽にしてくれる.

◆本日の総歩数=3390歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(−0.2kg)/ 31.0%(+0.5%)


11 februari 2014(火)※凍える寒さの飛び石連休

◆午前5時半起床.気温は0.6度と冷え込みなし.冷え込むという予報は外れたか.最低気温こそ氷点越えの0.1度どまりだったが,灰色の雲が広がって朝から冷え冷えとした空模様.午前9時の気温は2.0度.残雪はまだ12センチもあるらしい.千葉だけ雪が降っているとの情報がTLに流れているが,茨城県南部は降っていない.でも,東京アメッシュを見ると,霞ヶ浦から南の方は雪がしっかり降っているんだなあ.この冷え込みだとつくばも風花くらい舞うのかもしれない.

◆[欹耳袋]第6回農環研サイエンスカフェ〈歌でわかる「農業と外来生物」〉,2014年3月2日(日)14:00〜16:00@ウィズガーデンつくば (イーアスつくば内)※農環研が誇る “芸人さん” たちが大集合! それにしても,なぜ農環研には “芸人たち” が集まるのか.叩くぞ!と一声かければジャンベの砲列ができるし,歌うぞ!と言えばいつのまにか新曲が披露される.

◆休日の朝の┣┣" 撃ち —— 昨夜の Win 8 → Win 8.1 の移行で,Google 日本語入力の設定がおかしくなったので再インストール.ほかはとくに問題なさそう./ふと思い出して,五年前に出たとある書簡集を検索してみたら,驚くほど安い物件があったので,即発注.思い立ったときにすぐ動くと幸運がある(こともある).

◆[蒐書日誌]Alan de Queiroz『The Monkey's Voyage: How Improbable Journeys Shaped the History of Life』(2014年1月7日刊行,Basic Books, New York, ISBN:978-0-465-02051-5 [hbk] → 版元ページ特設ページ).分子進化学から生物の地理的分布にアプローチする.歴史生物地理学の現代史についてどう書かれているのか気になる.

◆お昼前,土浦は小雪がちらついているらしい.つくばもうかうかしてはいられないと外を見たら,すでにこちらでも風花が舞っていた.寒いはずだ.さて,お昼の周辺徘徊に出かけるべきかどうか.午前11時の気温は2.2度と冷えきっている.曇り空からときおり小雪が降ってくる午後.気温は2.5度に達しない.天久保から松見公園を抜けて,ひさしぶりに春日の〈Ekmek〉に天然酵母パンを買い出しに行った.運よく黒ごまのフォカッチャをゲット.ふらふら歩いて帰ってきた.

◆[欹耳袋]学会費が私費払いということは,個人がどこの学会に入ろうが勝手だし,届け出る必要もないということ.学会活動は「業務」ではないので,学会費は自腹,学会業務は出張扱いにはならず,もちろん査読は個人が勝手にやっていること(とみなす).学会[誌]発表だけは研究機関としての「研究業績」になるって勝手すぎやしないか.もちろん,文句は多々あっても,学会出張とか大会参加費を交付金負担してくれる点はとても感謝してるけどね.科学哲学会とか何とか文学会でもだいじょーぶ.のーすい,エライぞ.そのフトコロの深さ.

◆小雪が舞う午後の┣┣" 撃ち —— VAIO Pro で Windows 8.1 のバックアップ作業完了(外付け1TB HDD).ファイル履歴の「システムイメージバックアップ」って要するに Mac OS X のタイムマシンのことね./オランダの Antiquariaat Frans Melk から連絡があり,さっき注文した本は「16kg超」の重量があるので,国外送料が余分にかかるけどいいかとのこと.しゃあないわなあ.それにしても「16kg超」って岩のカタマリでも送られてくるのかな.

◆[欹耳袋]五味馨「『メッセージとストーリーのない発表はカスだ!』卒業論文・修士論文 プレゼンテーションの心得」(2014年2月11日)※実にタイムリーな記事.心当たりのある向きはぜひ熟読しましょう.

◆夜おそく,湯舟の中で突如として「原稿の神様」が降臨されたので,あわてて仮題と要旨を完成させ,ロンドンの自然史博物館に送信だん.デイヴ,遅くなってしまって申し訳ない.よろしく.

◆本日の総歩数=10761歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(−1.2kg)/ 30.5%(+0.3%)


10 februari 2014(月)※ワイルドすぎる農林団地

◆午前5時前起床.気温は氷点下2.3度まで下がっている.路面凍結は確実だろーなあ.午前5時には気温は氷点下3.3度に.下界の凍結道路をガリガリ噛みながら車が走っている.最低気温は氷点下3.8度.すべてを凍らせずにはすまされない冷え込み.

◆[自然を名づける]本日の打音:ブクログ「快適通勤さんのレビュー」(2014年1月21日)※「蟻データベース時代の分類学者との葛藤」って……(知り合いがたくさんいる).

◆朝イチの┣┣" 撃ち格闘(雪中行軍) —— 念のためいつもより早く出勤したはずなのに,一時間ほどかかってやっと観音台なう.竹園からは坂道はないだろうと甘く見ていたら,幹線道路はともかく,脇道・抜け道はどこもスケートリンクだった.雪の重みに耐えかねて,大枝が道を塞いだり,大木が根本からポッキリ折れていたり.

榎戸南側の国道408号は大渋滞.回避しようと稲荷川側道に入ったのが運の尽き.側道から農環研敷地に入る最後のスロープであえなくスタック.10分ほどじたばたするもシュルシュルと滑るばかり.最後は後続の高次作業車のみなさんに押してもらってやっと脱出できたと安心したら,まだ “不幸” は終わっていなかった.

農林団地はすっかり雪に埋もれていた.農環研の駐車場はどこも十数センチの残雪がアイスバーン化していて,予想通り「スタックの祭典」がそこかしこで始まっていた.ヘルパーとして雪かきしたり,車を押したりという想定外の肉体労働.幸い,ブルドーザーの雪かきが始まったので,「スタックの祭典」は早々に終結すると思われるが,農林団地に車で出勤する人は要注意.

農林団地のもっとも奥にある農環研は,筑波事務所あたりの “都会” とはちがうのだ.今日の夕方はちゃんと車で帰れるのだろうか……. “山奥” の農林団地を脱出できれば,あとはつつがなく帰宅できると思うのだが.四の五の言わずに年休にしてしまえばよかったという選択肢があることにこの期に及んで気がついた.

—— 農環研内が静かなのは,まだたどり着けない人も多いということかも.

◆[欹耳袋]佐藤恵子他 2013. わが国におけるバイオインフォマティクス人材を取り巻く現状 人材に関するアンケート調査結果. 情報管理, 56(11): 782-789. ※「人材が不足している」のは「キャリアパスの未確立」によると考察した上で,研究現場が求めるバイオインフォマティシャンとして「自分でウェットの研究開発を行い,新しい情報技術などを開発できる人材が研究現場で最も求められている人材像」(p. 788)と結論している.いや,それ,ムリじゃないか.

ワタクシもそうだが,統計学者(統計技師?w)とかバイオインフォマティシャンって,確かに研究現場それぞれに「一家に一台」的ニーズがあるだろう.ただし,研究現場に配属された彼や彼女が独り立ちしてその後のキャリアをちゃんと形成できるかはかなりリスキー.農水省系の旧国研や現独法で「情報」とか「統計」を看板に掲げてきた研究者たちがどのようなキャリアを形成できたか,あるいは失敗したかはこの目でいろいろな事例を目の当たりにしている.バイオインフォマティシャンもおそらくそう変わらない境遇になるだろう.研究現場で「便利屋」としてのみ使いまわされるうちに磨り減ってしまうようなことにならないためには,当事者ひとりひとりがどうすればいいかということ.

「出る杭は打たれても,出すぎた杭は打たれない」 – この境地に到達するまでサバイバルできれば大丈夫.

◆雪にまみれる┣┣" 撃ちの日 —— 来年度非常勤出講の事務書類(三校分)を返信./書評原稿一つを編集部に送信.今日はお昼休みの徘徊タイムがなかったけど,どうせどこを歩いても雪だらけだろうからまあいいことにしよう./忘れないうちに,8月末のオキナワ行きフライトをANA旅割75で確保.さすがに余裕で取れましたわなあ.オキナワに行ったことがないので,那覇空港から琉球大学農学部までの距離感覚が皆無.

◆夕刻は気温が下がる前にとっとと撤収するしかない.今朝はワイルドこの上ない農林団地だったが,撤収する夕方までにはブルドーザーでの除雪作業が完了したようで,スタックするリスクは大幅に下がった.てきぱき除雪してもらってほんとうにありがたかった.早朝は農林団地の中で雪中遭難しそうだったので.明朝はものすごく冷え込むらしいが,休日なので安心だ.

◆一晩かかるかと思った VAIO Pro の Win 8 → Win 8.1 移行は一時間半で完了した.

◆本日の総歩数=5174歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(−0.1kg)/ 30.2%(−0.4%)


9 februari 2014(日)※冬晴れ・筑波颪・雪景色

◆午前5時前起床.気温は0.5度.雪雲は消え去り,東の空に明けの明星.暗闇に一面の銀世界が広がっている.TXは始発から止まっているようだ.こんなことは東日本大震災以来初めてではないか.関東鉄道バスの東京行きも始発から止まっているし,常磐道を含めて関東エリアの高速道も軒並み閉鎖.大雪の翌日のつくばは陸の孤島と化している.強い北風が吹き抜けているが,アメダスの風速計は日が変わってからずっと故障中らしく,詳細がわからない.見下ろすかぎりでは,土浦学園線は雪が踏み固められていて,ほとんど車が走っていない.側道は真っ白で轍すら見えない.空が白んできた.けっきょく,つくばの積雪は昨夜26センチに達したわけね.そりゃ,交通機関は動かなくなるって.現時点でTX・高速バス・常磐道はすべてダメ.JR常磐線だけが遅れながらも動いているけど,JRの最寄り駅までたどりつけないか…….路線バスは走っているようだが.午前9時,曇りところどころ晴れ.気温は3.1度.雪で冷やされた北風が冷たい.大清水公園はいま子どもの天国.かまくらや雪だるまがいくつもできていた.

◆[蒐書日誌]実在論的スタンスの勝利宣言か —— 植原亮『実在論と知識の自然化:自然種の一般理論とその応用』(2013年12月20日刊行,勁草書房,東京,vi+330+17 pp., 本体価格5,700円, ISBN:978-4-326-10227-3 → 目次版元ページ).先日の箱崎での公開セミナーのおり,本書は生物分類学にとても関係がある本だと聴衆に力説した.そのとき,「【種】はあると信じたい方はぜひこの『実在論と知識の自然化』を読んでシアワセな人生を送ってくださいね」と焚きつけたのだが,ひょっとして真に受けたオーディエンスがいたりするのだろーかと今になって不安になってきた.

以下,『実在論と知識の自然化』を読了した感想である.ある時空断面での「実在論」を論理的に構築する点では本書は確かに完結していてこれでいいのかもしれない.しかし,生物体系学での【種】問題にまつわるこれまでの論議の系譜に照らして考えると,本書には書かれるべきことが書かれていない点がいくつかある.著者は生物体系学者が潜在的読者であることを念頭に置いていなかったのではないかもしれない.哲学あるいは形而上学のコミュニティーならばスルーされたとしても,生物学者の観点からは見逃せない箇所が確かにある.たとえば,冒頭で著者は次のように言う:

「われわれが世界を一定の秩序において捉えることができるのは,世界そのものがおおむねまさしくそのような構造を有しているからにほかならない.いいかえれば,実在の側のあり方と,それについてわれわれが現にもちうる認識とは,ほとんど合致するのである.もちろん部分的には,最初にわれわれがもっていた素朴な認識を大幅に改訂しなければならなくなる局面も生じうる.しかし,その場合でも,認識が実在のあり方に合致する領域は改訂を通じて増大していくのであり,われわれの認識が世界の真の姿をおおむね正しく捉えることができる,という可能性が何ら否定されているわけではないのである」(序章, p. 4)

このような楽観的な実在論の教義はいったいどこから降臨してくるのだろうか.民俗分類学や認知心理学の過去半世紀の研究成果はそうではないことを強く示唆しているのではないだろうか.あるいは,著者の言う「おおむねまさしく」とか「ほとんど合致」という表現の捉え方に違和感があるのかもしれない.いずれにしても,本書全体を通じていたるところに漂う「実在論おっけー」な雰囲気にワタクシはそのつど疎外されてしまう.それ,ちがうんじゃないか,と.

実在論(=本質主義)と唯名論(=規約主義)の対立は,生物体系学の世界では【種】をめぐる論争において表面化してきた.著者は次のように両者の立場を対置する:

「実在論によれば,種は実在するものであり,人間はそれに合わせて概念的なカテゴリーを得ようとする.さまざまな動物をイヌやネコといった動物種に分類するのは,世界の中にまさしくイヌやネコといった動物種が存在しているからだ.われわれは世界の中の対象を分類するとき,単に人間の都合で取り決めを行っているわけではなく,実際に世界が分割されているありようを捉えようとしているのである.したがって競合する複数の分類体系があるとき,それらは正しさや誤りといった基準で評価されるべきものだということになる」(第1章, p. 14)

「これに対して規約主義によれば,世界に存在するのは個体だけであり,種は複数の固体をひとくくりにまとめて指すために人間が便宜的に作り出すものである.たとえば,イヌやネコの個体のそれぞれは世界の中で生み出され存在するものであるが,それらの個体を一括してイヌやネコという動物種に分類するのは,人間の利害や関心に応じた有用性のためである.したがって規約主義の立場からは,競合する複数の分類体系があるとき,そのうちどれを選ぶべきかについては,正誤という点ではなく,あくまでも人間にとっての有用性という点から定まることになる」(第1章, p. 14)

ワタクシは徹底的に唯名論的スタンスを標榜しているので,上記引用の「規約主義」の叙述でもまだ不十分だと考える.「個体が実在する」という見方さえ,根本的には支持できないだろうからである.一方,著者は本書丸ごと一冊を実在論の擁護に当てて続く章でその論議を展開している.

人工物や知識が自然種(natural kind)であるかどうかには関心がない.むしろ,生物体系学に関わる範囲で本書の論議がどのような意味を持ちえるのかに興味がある.その点からいえば,著者の論議からは存在物の時空的な系譜なり連続性に関する視点がすっぽり抜け落ちている点で不十分に見える.

たとえば,なぜ【種】論争における「種個物説」の中で類(class)と個(individual)の間に歴史群(historical group)なるものが必要になったかを著者は理解していないようだ.ある時空平面で現象世界を “切断” した断面に見える “パターン” が「ある」かどうかは確かに論議できるだろう.著者の展開する実在論の世界はこの静的かつ無時限的な世界ではそれなりの有効性を持ちえるかもしれない.しかし,過去から未来にわたる時空的連続性を視野に置いたとき,【種】は自然種としてあるという見解はどのように繕っても悪しき本質主義の香りが漂う.

形而上学が,程度の差こそあれ,本質主義的傾向をもつことに前から興味を持っている.実在論と唯名論はそれぞれがさまざまな変異をもつ主義主張なので,対置させることは簡単ではない.たとえば,David Wiggins『Sameness and Substance』(1980年刊行, Basil Blackwell, Oxford, ISBN:0-631-19090-2 → 目次)の主張は,著者の立場からは「規約主義」とみなされるようだ(p. 118).しかし,私が Wiggins の類種(sortal)に関する議論を理解できた範囲では,Wiggins は弱い本質主義を掲げるりっぱな実在論者である.

また,本書では「心理的本質主義」の扱いはかなりバイアスがかかっているのではないだろうか.著者は言う:

「幼児は,自然種の存在を強く示唆する兆候的性質に強く反応すべく生得的に傾向づけられている.そうした兆候的性質が自然種のもつ本質に由来するものであるとすると,幼児は単に表面的な類似性しかもたない対象よりも,自然種の成因からなる対象をグループ化することになるだろう.このことは,本質をもつものとして自然種を捉えようとする心理的傾向が幼児にあることを示している.この傾向は「心理学的本質主義(psychological essentialism)」と呼ばれるものである」(第1章, p. 23)

ここまでは妥当な説明であり,ワタクシにも納得できる.しかし,これに続く記述には首肯できかねる:

「自然種に反応し,獲得された自然種概念を帰納的推論において行使しようとする強い生得的傾向は,クワインのいうとおり,世界がまさしく自然種からなり,人間の祖先がそうした世界になるべく適合するような認識のメカニズムを進化の過程で獲得してきたという事実を示唆していると思われるのである」(第1章, p. 23)

心理的本質主義は,著者の言うような実在論に対してではなく,むしろ唯名論に対してより強い支持をすることは,Hilary Kornblith『Inductive Inference and Its Natural Ground: An Essay in Naturalistic Philosophy』(1993年4月刊行,The MIT Press, ISBN:0-262-11175-6 [hbk] / ISBN:0-262-61116-3 [pbk])が指摘している通りだろう(※下記の「自然類」は「自然種」のこと):

「現在得られる証拠からいえることは,自然類が存在しそれは観察されない性質により類たらしめられているという現象世界に関する仮定をわれわれが置いてしまう先天的性向があるということである.われわれは自然類には本質がある(たとえそれが観察されないとしても)と仮定している.したがって,われわれはいついかなる時でも観察された特徴によって物を分類してはおらず,観察された特徴はその物の本質を示す不完全な手がかりにすぎないことに何の疑念も抱いていないという結論が得られる」(Kornblith 1993: 81)

われわれ人間は自然側の因果構造の反映として自然種を認識しているわけではなく,自然を離散的にカテゴリー化するという世界像(すなわち心理的本質主義)をもって自然を見ていると考えた方が妥当ではないだろうか.本書全体を通して,もともと「ない」ものを「ある」と誤ってみなす “第一種過誤” の地雷をいたるところで踏みまくっている気がしてならない.

生物体系学での【種】や分類群の問題に関心をもつ者は本書を手に取ればきっと価値があるだろうと思う.実在論の観点に立って,ここまで体系をつくりあげたという点では日本語で書かれた稀有の本だろう.それを理解した上で,なお,対置される唯名論的スタンスはまだ安泰であることを本書を読んで再確認できたことはワタクシにとってはたいへん喜ばしい.その点で確かにワタクシにとって本書を読んだ甲斐はあった.

—— と,ここまで焚きつけたからには,生物分類学者のみなさんはぜひ本書を手にするように.著者の立場に同調して心安らかに安眠できるか,それとも血圧がぐわっと上がるかは読者しだいだろう.

◆午後になって日差しがまぶしい青空になった.気温は急上昇し,午後1時には7度超.昨夜の積雪がどんどん融けて,幹線の歩道はシャーベットところどころ深い水たまりができている.外歩きには長靴か防水靴が必要.午後3時過ぎ,洞峰公園まで往復徘徊.気温は8度近くまで上がって,日なたは暖かいが,融雪が頭上から落ちてくるのがやっかいだった.ペデストリアンはシャーベット状,幹線道路の雪はほとんど融けていたが,側道はまだたっぷり残雪が積もっていた.夕焼けグラデーションから日没へはあっという間.夕餉の支度の前にもうひとつの書評記事を書いてしまおう.

◆[欹耳袋]academist —— 「研究費を募るためのクラウドファンディング・プラットフォーム」 2014年3月10日オープン./銀座で働くデータサイエンティストのブログ「Stanで統計モデリングを学ぶ(2): そもそもMCMCって何だったっけ?」(2014年2月8日)※くぼバイブルが登場.

◆明朝どれくらい凍結するかが気になる.それによって出勤手段を車にするか路線バスかが決まるから.

◆本日の総歩数=9359歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(0.0kg)/ 30.6%(+0.1%)


8 februari 2014(土)※一面の銀世界が広がって

◆午前5時起床.気温氷点下1.3度.雪がしんしんと降っている.外界は一面の雪化粧.午前3時頃に目が覚めたときは,風が強かったが,まだ雪は降りだしていなかった.振り出しは都内よりも二時間ほど遅かったようだ.ぼたん雪ではなく,細かい雪なので,まちがいなくこれから積もるだろう.昨夜締めきったレポートは受領メールをすべて返信した.午前6時,雪景色の薄暗がりを突き抜けるように時の鐘が間近に聞こえる.だんだん明るくなってきた夜明け前.午前6時には気温は氷点下1.5度まで下がっている.積雪は見渡した範囲ではうっすら積もっている程度.雪の日の湿った寒さはいつもの乾いた冷え込みとは別タイプの威力がある.さらさらの粉雪ですなあ.午前9時,パウダーのような粉雪が降り続いている.午前8時の気温は氷点下1.2度と凍える寒さ.大清水公園からカピオにかけては雪景色が広がっている.

◆[欹耳袋]大学関係ふたつ —— とある法学部教員ブログ「A大学のA君はなぜ大学を退学したのか」(2014年2月1日)※「大学側にいる人間としては、「教育改善によって退学者問題を解決する」という考え方をとる以外の選択肢はありえません」– でしょうねぇ.教科内容「以外」のことで,教員が学生に対して何か働きかけることはムリなんじゃないかと思う./社会科学者の時評「21世紀,日本の大学の危機的状況(1)」(2012年5月9日)|「21世紀,日本の大学の危機的状況(2)」(2012年5月12日).前世紀末までは,ある程度の年齢になれば,旧国研の研究員から大学教員への “花道” みたいな人生コースがあったけど,最近はそういうケースの頻度が格段に減った. “向こう” に行ってもバラ色ではないからかな.あれは旧国研の「人員整理策」のひとつであったことはまちがいない.ある意味で “天下り” と国研側はみなしていた.独法研究所もやりようによっては “自由度” を高くして生き続けることができる.

◆正午の気温は氷点下0.1度.カーテンが波打つように粉雪が降り続いている.午後はさらに雨足ならぬ雪足が強まって,強風に煽られて雪が横殴りに降り続いている.気温は氷点前後を上がったり下がったり.カピオ前の広場がどんどん白くなっていく.

◆[蒐書日誌]つくば不在中に届いていた『月刊みすず(no. 623:2014年1-2月合併号)』(2014年2月1日発行,みすず書房,東京,本体価格300円 → 版元ページ)を開封.毎年恒例の分厚さ.ワタクシの寄稿は pp.83-5 に載っている.全体をブラウズしてメモクリップ:

  • #月刊みすず読書アンケート 小西正捷(pp. 6-7)が昨年逝去した兄である昆虫学者・小西正泰の著書『虫と人と本と』(創森社)を挙げている. posted at 16:13:57
  • #月刊みすず読書アンケート 坪内祐三は「アメリカの大学出版局の「初版の刷り部数が五〇〇部かもっと少なくなっているのだ」という指摘には驚きました」(p. 58)と記している. posted at 16:35:03
  • #月刊みすず読書アンケート 武藤康史が挙げる大原哲夫編『光さんの贈りもの』(p. 65).大原さんはだいぶ前に小学館から出た『武満徹全集』の元締めだった.オランダ語の武満初演記事を翻訳したときお世話になった. posted at 16:41:34
  • #月刊みすず読書アンケート 京都の駸々堂がつぶれたのは大きな文化的損失だったと加藤幹郎は書いている(p. 68). posted at 16:45:50
  • #月刊みすず読書アンケート 早川尚男が挙げるベノワ・B・マンデルブロ『フラクタリスト:マンデルブロ自伝』(2013,早川書房)は気になる(p. 75). posted at 16:49:34
  • #月刊みすず読書アンケート 長野敬は以前ダーシー・トムソン『成長と形』のスパム本に引っかかったようだが ow.ly/tnyty ,今回もあえてその手の胡乱なスパム本を挙げて警戒を喚起している(p. 114). posted at 20:15:29
  • #月刊みすず読書アンケート 月刊みすずの「読書アンケート特集」を毎年読み続けていくと,自分の知らない世界に見たこともない本がまだまだたくさんあることを痛感する.おそらくその多くは手に取ることもなく終わるのだろうが,どこかで誰かが手にしていると考えるだけで十分ではないか. posted at 20:17:21

◆夕暮れとともに,降りしきる雪はますます強まってきた.北風が冷たいのなんのって.午後5時の気温は氷点下0.2度,窓際から兇悪な冷気がどんどん忍び込んでくる.午後6時半,吹雪.気温は氷点下1.2度.さらに積もっている.この大雪でTXさえ停めてしまったようだ.TXと常磐線が止まったら陸の孤島になってしまうのに.

◆外は激しく吹雪いているので,電力消費を抑えるためにも夕餉で「中から暖まる」のがベスト.今夜は満を持してあの「キケン」なお酒〈秋鹿〉の純米吟醸「霙もよう」を開栓.2010年冬の上槽だから22BYか.ひさしぶりにキャップが吹き飛ぶ活性にごり酒だった(幸い “噴出損失” はほとんどなし).北白川の酒屋で買ったとき,「キケンなので宅急便では送れない」とのことで,新幹線で運んできただけの甲斐があった.〈秋鹿〉「霙もよう」は見つけたら即買うしかない.雪景色の今夜にはピッタリ.密閉栓の活性にごり酒の「開栓事故」はしょせん防ぎようがないのですが,「噴出損失」を最低限に食い止めるためには,吹き出しそうになったらあわてず騒がず一升瓶の口に指を突っ込みましょう.

◆夜になっても北風が吹き荒れて,雪はいっこうに止む気配がない.午後9時の気温は0.6度.北風がますます強まってきて,雪が真横に流されている.今日の日中の最高気温は1度にも達しなかった.ほとんど真冬日.都内は積雪が25センチを越えたという.つくばももうすぐ20センチに達する.ベランダに雪の吹き溜まりができている.明朝までにいったいどれほど積もるのか.

◆本日の総歩数=0歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=95.0kg(−1.0kg)/ 30.5%(+0.4%)


7 februari 2014(金)※残雪の観音台を徘徊する

◆午前5時前起床.気温は氷点下2.9度まで下がっている.午前六時過ぎ,もうすぐ日の出.気温は氷点下4.7度.ひさしぶりの冷え込み体感と朝焼けグラデーション.最低気温は氷点下5.1度だった.今月に入って初めての観音台.冬晴れ.通勤路沿いのそこかしこに残雪あり.午前8時の気温は氷点下1.1度.今日は飛び石連休前の平常営業日.

◆[蒐書日誌]本日付けで:キャロル・キサク・ヨーン[三中信宏・野中香方子訳]『自然を名づける:なぜ生物分類では直感と科学が衝突するのか』(2013年9月3日第1刷刊行/2013年11月28日第2刷刊行,NTT出版,東京,vi+391 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-7571-6056-9 → コンパニオンサイト目次版元ページ)の第3刷が出ました.短期間に版を重ねられてよかった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 一週間ぶりに MAFFIN メールをのぞいたら400通あまりも未読が堆積していてしばし茫然自失.MAFFIN 堆積メールのうちいらんものを大量に廃棄して,やっと要対応案件が発掘できた./生物統計学レポート提出締切は日本時間で《本日23:59:59まで》です.「グリニッジ標準時だと思っていた」という言い訳は通用しませんのでお気をつけを.本日午前9時までに届いたレポートにつきましてはすべて受領メールをお送りしました.ご確認を./急ぎのメールを返信するときに「意義」と「異議」を日本語変換ミスするとタイヘンなことになりますよ(自戒を込めて).「この件につきご異議はありませんか?」と打診されて,「まったく意義はありません」と誤変換すると険悪になる./半月後の熊本農試への出張日程と行動予定を確認.前夜から行くものと勝手に思い込んでいたのだが,実は当日の早朝に飛ぶことが判明してじたばたしている.午前5時半つくば出発かー.

◆[欹耳袋]箱崎での生物体系学の集中講義を終えて,今後のための備忘メモをいくつか.まずは PC 実習に関しての一般的な事項から:

  1. 実習用持ち込みPCへのソフトウェアのインストールは,ユーザーの「ホーム」に一切合切をインストールするのがいい.たとえパス上のどこかにマルチバイト文字が混在していても,同一フォルダーならば “不幸” が発生する確率は減らせる.
  2. Windows / Macintosh が混在する実習環境では,あらかじめ別々にインストール素材を用意すること.テキストファイルの文字コードもユニコード(for Mac)とシフトJIS(for Win)で別々に用意する.
  3. 今回用いた大部分の実習用ソフトウェアは Win / Mac それぞれに対応してインストール可能.Win 専用アプリについては,Mac に MikuInstaller など Wine 環境をあらかじめ構築してから Win 専用アプリを起動した.
  4. 使用教室は無線LANが通っていることを強く強く要望したい.オフライン用に事前に準備したインストーラー類がそのまま動かなかった場合(Rのパッケージではよくある事態),再度オンラインで最新版をDLするのがもっともラク.
  5. 実際のPC実習では,ある程度経験や知識のある受講生に「TA的ヘルパー」としてトラブル対応の補助をしてもらえればとても助かる.使用PCのOSやバージョンがいろいろの場合,教師ひとりでは対応しきれないことが多いので.

続いて,今回の講義コンテンツに関してのメモ:

  1. 今回の集中講義では生物体系学での分子から形態までの形質データの解析方法がメインだった.しかし,分子系統推定では統計学の知識が必須なので全体の1/3は統計学講義になった:統計的思考〜パラメトリック統計学〜モデル選択〜計算統計学〜ベイズ法まで.
  2. 形態測定学については,変換幾何学とリーマン多様体論,線形代数,多変量統計学といういくつかのハードルを最初に越えないと具体的な応用例に到達しない.今回は適宜サンプリングしながら説明を進めたので,やや反省すべき点あり.
  3. 最初の予定では形態測定学から TNT などを用いた系統推定法について解説するつもりだったが,時間不足だった.何よりも最節約法(分岐分析)の説明のときに,形態形質のコーディング法について言及しなかったのはまずかったかな.
  4. 離散的あるいは連続的な形態形質に基づく系統解析あるいは形質復元は今後も必要だろう.Mesquite, TNT, MorphoJ など使えるアプリはいくつもあるが,説明にはそれだけ時間もかかってしまう.
  5. 今年夏の琉球大学農学部での集中講義でも同じテーマを想定しているので,そのときまでに教材の選択と適切な配列を考えておこう.
  6. 大学での集中講義は「一発芸」のようなもので,やり直しができないので(「来週までに」という弁解ができない),初日の朝,最初に教壇に立ったときに,最終日の夕方の大団円が脳裏にイメージできるようでなければならない.

◆昼休みはひさしぶりの周辺徘徊.正午の気温は3.9度.畑地やいたるところに雪が溶け残っていて,日差しは降り注いでも染み入る冷気が漂っていた.クライブ・フィンレイソン[上原直子訳]『そして最後にヒトが残った:ネアンデルタール人と私たちの50万年史』(2013年11月20日刊行,白楊社, 東京, 364 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-8269-0170-3 →版元ページ)読了.書評を書かないと.

◆[欹耳袋]続き —— 田崎晴明「発表スライドについてのルール」(2014年2月7日)を読んで,自分なりの感想の要点を抽出すると:

  1. まとめスライド —— 講演スライドの最後の一枚は「ご清聴〜」ではなく「まとめすらいど」をという点は盲点だった.確かに,続く質疑タイムの質問誘発には,お礼スライドよりもまとめスライドの方がはるかに効果が期待されるから.
  2. 目次スライド —— これは,オーディエンスのためではなく,むしろ講演者自身がトーク進行状況を把握するのに役立つだろう.スライド枚数に余裕があるなら,要所要所の “区切り線” として目次スライド(進行段階表示)を使うのは意味があると思われる.
  3. 謝辞スライド —— プロジェクトなど研究チームのアウトプットであることを明示する “社会的” あるいは “金銭的” な意味あいは確かにあるだろうが,学問的な意義はない.たいせつなスライドを一枚「ムダ」にしてまで謝辞を出すくらいだったら,プロジェクト独自のアイコンみたいなのを隅の定位置に小さく置くという方がヴィジュアルにはより効果的だろう.昨今,研究規模が “びっぐさいえんす化” するとともに,そういう有形無形の圧力が口頭発表にも現れつつある.理論研究ではなく,大規模な実験的研究なら,諸方面から “社会的/金銭的” なプレッシャーが個々の講演者にかかることはフシギではない.

ワタクシ個人は学会講演はお座敷での一人芸の「噺」でいいと思っているし,いままでそのように高座を務めてきた.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 『系統樹曼荼羅』の第2刷がやっと印刷所入稿されるようだ.細かいテクスト内の “蟲” 採りとともに,図版の再調整などに手が入ったので,全体で何十ページも差し替わることに.文章の正誤表は追ってコンパニオンサイトでも公開します.

◆[欹耳袋]猫ちゃんの模様パターン一覧: Guide to Housecat Coat Colors and Patterns ※生物分類の教材に使えそう.そういえば,以前,形態形質の変換系列をウェブ上でシミュレーションするサイトを見たことがあったが,URL を失念してしまった.ああいうのがあると,形態形質からの形質コード化を教えるときにとても役立つのだが.

◆午後5時過ぎ,夕焼けグラデーションを背負って帰宅.ほんとうに今夜から雪になるとは思えないほど,よく晴れた一日だった.今夜の夕餉は親子丼を中心に,野菜サラダと豆腐の単系統群(冷奴と豆腐餻).お水は〈風の森〉25BY 純米しぼり華・山田錦80%の残り.〈風の森〉は微炭酸が抜けないように,こまめに四合瓶に移し替えないといけない.

◆夜遅く,雪はまだ降りだしていないが,締め切り間近の生物統計学レポートが火山弾のように降り注いでいる.みなさん,もっと余裕をもってレポートを書こうね>受講生諸氏.予報によると,今夜は真夜中から雪が降りだして,明日いっぱい降り続くとのこと.かなりの積雪が予想されるので,不要不急の外出はやめた方がいいらしい.

◆本日の総歩数=10077歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=96.0kg(+2.3kg)/ 30.1%(−0.5%)


6 februari 2014(木)※冷たい雨の博多から帰還

◆午前5時半にいったん起床したものの,二度寝を決め込む.昨日は真っ白に燃え尽きたので,なかなか再生できない.窓から見える空は曇っている.午前9時にのろのろ朝食.部屋に戻ってから風花のように降りかかる駒場からの課題レポートに受領返信メールを打ち返したところで,チェックアウト.

博多は冷たい雨が降ってきた.午前11時の気温は4.0度.福岡空港着.搭乗まで時間があるので珈琲とソフトクリーム充填しつつ日録書き.午後1時,保安検査場通過.まだ雨が降り続いているようだ.

羽田空港着陸は午後3時半.東京の最高気温は6度どまりか.福岡も寒かったが,関東も似たりよったり.高速バスでつくばに向かう.常磐道を走っていたら,法面が残雪で白かった.明後日はもっと雪が降るらしい.今日のつくばの最低気温は氷点下6.6度,最高気温は4.9度.冬に逆戻りだ.

◆[欹耳袋]田崎晴明「発表スライドについての最低限のルール」(2014年2月6日)※箱崎のお座敷噺では参考にさせていただきました.

◆今夜はさっさと寝るのがお仕事.

◆本日の総歩数=5181歩. 朝◯|昼−|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


5 februari 2014(水)※朝日が眩しい千秋楽の朝

◆午前5時半起床.気温4.5度.HootSuite が死んでいるようだ.雪が積もったつくばは氷点下7.7度まで冷え込んでいる.昨日の朝は箱崎あたりでも雪がちらついたらしい(ぜんぜん気がつかなかった).おお,朝日が差し込んできたぞ.

◆箱崎集中講義(最終日) —— 午前9時,箱崎.晴れところどころ曇り.気温は5.1度.キャンパス上空すれすれを飛行機が飛び交う風景.今日は午前中がベイズ統計学とベイズ系統学.昼休み,青空が広がってきた.午後は形態測定学の講義と実習.予想していたとはいえ,実習にはさまざまな “不幸” が頻繁に姿をあらわす.Windows と Macintosh が混在するので,ワタクシも頻繁に MacBook Air と VAIO Pro を付け替えながら両刀使いで対応する.午後5時,全日程を終了.

◆[欹耳袋]きのうのセミナー終了後,昆虫学教室での懇親会のおり,ひさしぶりにお会いした湯川さんから「将棋の系統樹はないですかねぇ」と訊かれた.そういえば見たことないなあ.ワタクシは将棋に疎いが,だいぶ前に ならば「大局将棋の駒の成りの系統樹」(2012年12月2日)という記事はみたことがある.しかし,湯川さんの質問は将棋というゲームの時間的・空間的変遷についてだった.

◆今回の集中講義は午前9時半から午後5時までという6.5時間労働がまる三日間も続いたので,気力と体力の限界へのチャレンジだった.ひとコマ15時間分にしては働き過ぎだったかもしれない.いずれにしても今日は “真っ白な灰” 度が高いのでそれなりの処置をしないと.

◆西中洲の夜(最終日) —— 夕闇迫る箱崎をあとにしていったん天神に戻り,それから夜の西中洲へ再出撃.とりあえず,野菜のおでんを食べてから,いつものように日本酒へ.せっかく福岡に来たからには機会を有効利用しないと.〈三井の寿〉の「バトナージュ」,久留米の〈旭菊〉純米吟醸,ついでに長崎の〈六十餘洲〉純米吟醸.中洲の屋台は気をつけろと店主が力説する.そして,プッチーニの〈蝶々夫人〉のBGMとともに〈十旭日〉の燗酒を.堪能いたしました.

◆明日は早起きしなくてもいいシアワセを満喫しよう.

◆本日の総歩数=11460歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


4 februari 2014(火)※一転して真冬の寒波襲来

◆午前5時半起床.昨夜から北風が強まり,気温がぐんぐん下がっていま6.6度.福岡に来てやっと冬支度の登場か.今朝も曇り空が広がる.午前7時の気温は5.8度とさらに下がっている.朝ごはんをすませてきたので,舞台ウラでの準備をちくちく進めよう.

◆[欹耳袋]銀座で働くデータサイエンティストのブログ「パッケージユーザーのための機械学習(6):階層的クラスタリング」(2014年2月3日)※数量表形学を知っている者としては「群平均法(UPGMA)」一択ですねえ.

◆箱崎集中講義(二日目) —— 午前9時,箱崎.気温はさらに下がって4.9度.うすら寒い曇り空が広がる箱崎キャンパス.集中講義二日目は9:30スタート.今日は系統推定法の解説しまくり.午前中は距離法から始まり,その後,最節約法の説明へ.お昼は名島の〈博多濃麻呂〉で博多ラーメンをしっかり充填した.午後はモデル選択論について解説した後,最尤法に基づく分子系統学について.最後は,生物体系学の現代史についてのトークをぶちあげた.

◆午後5時半からは,特別セミナー「目で見る多様性の体系:分類と系統はどのように描かれてきたか?」九州大学大学院農学研究院セミナー(九州昆虫研究会)@九州大学(箱崎キャンパス)農学部21世紀プラザII・第2講義室.オーディエンスは40名くらいいただろうか.

◆午後7時にセミナー終了.農学部昆虫学教室にもどって懇親会を午後10時まで.朝から休みなく夜まで走り続けたようなもの.ときおり睡魔が降臨したり.しかし,まだ終わらない.

◆西中洲の夜(ふたたび) —— 川面に映る中洲の夜景を横目に,今夜は〈神亀〉の「真穂人」と〈梅津〉の超すっぱい「生酛」,そして〈日置桜〉の古酒「山笑う」.いずれも絶妙なぐあいの燗酒で.BGM は今日も〈薔薇の騎士〉だった.

◆明日は最終日.昼夜の累積疲労がじわじわと効いてきた.

◆本日の総歩数=7781歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


3 februari 2014(月)※春の陽気の箱崎にて高座

◆午前4時半起床.気温14.4度! 今日から三日間は朝から夜までハードな日々が続く.午前6時,さすが西だけあって,外はまだ真っ暗.気温は13.6度とめっちゃ高い.朝ごはん.もう7時になるのにまだ薄暗い.自動車はライトを点けて走っている.曇り空なのか.午前8時の気温は14.4度.いったいどんな服装が妥当なのか.昨日の天神界隈は袖をまくりあげていた強者もいたけど.

◆箱崎集中講義(初日) —— 午前9時,箱崎.ひさしぶりに箱崎キャンパスを歩いて,工学部のただならない「廃墟度」にわくわくしてしまった.ほとんど崩壊しているような箇所あり.農学部昆虫学教室のセミナー室が今回の集中講義会場.それほど大きくない部屋だが,20名近くの受講者がいて,もう満杯.午前9時半スタート.最初はいつもの体系学概論を1時間ほど話す.その後,持参PCのインストール作業を進めたのだが,それはそれはさまざまな “不幸” が頻発し,その対応で大わらわ:

  • 「パスに日本語が入っていてダメげ/一般人だし on Win」→ 自分のドキュメントフォルダにRとRパッケージ一式をインストールすること.パッケージの win-library と同一フォルダーに入れればパンピーでもシアワセになれるん〜.
  • RStudio と R の連携がうまくいかないという新たな不幸が浮上する for ぱんぴぃ on Win.
  • とにかくパスに「マルチバイト文字」を入れるのやめれ!(もろもろの不幸の根源).もうひとつ,Win を使うんだったら「神様」でログインしなはれ.ぱんぴぃとか中間管理職では話にならん.

要するに,いろいろなOSが混在する実習環境では,よほど時間にゆとりをもって(できればTA付きで)進めないとかなりタイヘンということ.幸い,今回の会場は学内LANがつながっていたので,必要に応じてダウンロードできるので助かった.オフラインだとにっちもさっちもいかなかったにちがいない.

午後3時,そんなこんなでR高座のイントロがやっと終わった.その後は統計学概論に続くモデルの話やら統計的推論の話題などなど.午後5時までしっかりお座敷を務め上げた.午後の最高気温は15.3度.ほぼ満員の教室はかなり蒸し暑かった.プロジェクターの熱風と,各自が持ち込んだノートパソコンの排気がむんむん.

◆午後6時から,箱崎の〈博多一番どり〉にて懇親会を開いていただいた.ありがたやありがたや.午後9時過ぎまで鶏づくし.その後,いまや九州大学の “黒幕” として大活躍の緒方一夫さんと昆虫学教室の広渡俊哉さんとともに,西中洲のバー〈ブッシュ〉に拉致される.九州大学の将来を左右する重大なはかりごとは中洲で決まるんだそうな(汗).日が変わるころやっと天神のホテルに帰還した.初日からすでに完全燃え尽きている.立春の中洲の夜景はことのほかきらめいていた.

◆明日も午前9時には箱崎にたどり着かないといけない.もう寝るしかない.

◆本日の総歩数=8383歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=未計測/未計測


2 februari 2014(日)※中洲に飛んで背徳ナイト

◆午前5時半起床.気温4.4度.西の方から雨雲が接近しているようで.夜明け前の時の鐘.『系統樹曼荼羅』第2刷のpdf校正ゲラが戻ってきた.

◆博多へ飛ぶ —— 午前10時前,つくば駅.午前9時の気温は5.2度.寒々とした曇り空から雨がぽつぽつ降ってきた.長距離移動の開始だ.お昼前,羽田空港第二ターミナル着.都内も曇りときどき雨の空模様.日曜の昼下り,空港内は人口密度がかなり低い.カプチーノ充しながら,細かい┣┣" 撃ち.共著論文の筆頭著者に返信メール.そして学会賞審査報告の再提出を終えたので,保安検査場に向かう.福岡行きは満席とのこと.そろそろ搭乗タイムである.

◆[蒐書日誌]山本義隆『世界の見方の転換(全3巻)』(2014年3月刊行予定,みすず書房,東京 → 版元ページ)「第1巻:天文学の復興と天地学の提唱」「第2巻:地動説の提唱と宇宙論の相克」「第3巻:世界の一元化と天文学の改革」– 出たらすぐ買わないと! 計1400ページとは超弩級の大冊.

山本義隆の前著の書評はすでに公開している:山本義隆『磁力と重力の発見(1, 2, 3)』(2003年05月22日刊行, みすず書房,東京 → 目次書評1書評2書評3)および山本義隆『一六世紀文化革命(1・2)』(2007年4月16日刊行, みすず書房, ISBN:9784622072867(1) / ISBN:9784622072874(2) → 目次(1)目次(2)版元ページ(1)版元ページ(2)).

ワタクシも大著をドカンと書かなあかんがな.しかし,いまの大学や独法の研究者に “大著” を書いている余裕はありとあらゆる意味で「ない」と言うしかない.

◆春めきすぎる天神 —— 午後3時半,福岡空港に降り立つ.とにかく暖かすぎてどうしようもない.午後4時の時点で福岡の気温は「20.9度」とは.マフラーとか手袋とか即決で廃棄処分にしたいよーな.宮崎では今年初の「夏日」になったらしい.とりあえず,地下鉄で移動して,天神のホテルにチェックイン.20度超の暖かすぎる福岡市内は,道行く人が早々と薄着になっていて,服装的にひとり浮きまくっているありさまで…….まずは,スーツケースを開いて,稠密パッキングした中身を展開する.

箱崎に福岡到着メールを出した.事前の話では受講者は10名あまりでしょうとのことだったが,こればかりはフタを開けてみないことにはわからない.今回の集中講義はPC実習こみなので,人数が多いとなかなかタイヘンなことになる.箱崎を襲撃するのはほんとうにひさしぶりかもしれない(遠い眼差し).前回2011年は伊都キャンパスが舞台だったし.

—— さ,中洲のネオンサインが川面に映るまでは,明日からの集中講義の直前ドロナワ準備だ(汗).

◆午後6時過ぎ,やっと外が暗くなってきた.天神にホテルを取ったので,西中洲から春吉にかけてのとびきりの「背徳エリア」が至近距離にある.福岡初日の今夜は軽くジョギング程度ということですまそう.国体道路北側,西中洲の暗くアヤシい一角にあるリヒアルト・シュトラウスの歌劇〈薔薇の騎士〉が鳴り響く日本酒バーを探検.「誰も寝てはならぬ」という割には今夜はプッチーニではなかったが.カラヤン/ベルリン・フィルの熱演だった.その後,国体道路南側の春吉に潜入し,〈帰山〉の15年古酒を味わってからホテル帰還.それにしても,博多は「日曜定休」の店がどーしてこんなに多いんだ.方々でふられまくった.

◆昨年の終わり頃から頻繁に九州に召喚されている.今回のお座敷は明日から箱崎にて三日間続くのだ.

◆本日の総歩数=12595歩. 朝◯|昼◯|夜×. 計測値(前回比)=93.7kg(+0.1kg)/ 30.6%(−0.1%)


1 februari 2014(土)※寒風吹いて如月スタート

◆午前5時半起床.気温は氷点下3.1度まで下がっている.ひさびさの寒い明け方.昨夜は MAFFIN への VPN 接続ができなくて不貞寝してしまった.今朝,再度トライしたら幸いつながってくれたので,月始めの月例アナウンスを各メーリングリストに送信.

今年に入って,MAFFIN ネットワークの “鎖国度” が加速度的に高まっているので,いつも腫れ物に触るように所内LANにつないでいる.もちろん所外からは使えなくなっているので,ガルーンにどんな情報が流れているのかワタクシの知ったことではない.というか,研究遂行上の “じゃま” になるので,MAFFIN ネットワークには最低限必要なときしかつながないように,日々の業務形態をつくりなおしている.ウェブ閲覧フィルターの “締め付け度” もさらに強まっているし.観音台に通常出勤するときも Wi-Fi 無線ルーターは必携.農環研の「中」に実在していても,気分はいつも「外」で仕事しているような状態がいまはベストの勤務環境.過度の「安全至上主義」はまっとうな仕事を阻む障壁となりつつある.

—— 天から降ってくる指令に抵抗はしないけど,服従もしないよ.

◆[蒐書日誌]山口昌男『本の神話学』(2014年1月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G305],東京,vi+284+10 pp., ISBN:978-4-00-600305-0 → 版元ページ).山口昌男の本は,たとえ文庫本といえども,並べればけっしてコンパクトではない.

◆正午過ぎにかろうじて10度は越えたものの,日陰だとかなり寒い.竹園のトマトラーメン店〈ベンベラ〉が,今月いっぱいをもってつくばから桜川に移転し,〈べんべら庵〉として再オープンするとのこと.俺様スパイストマトカレーラーメンがもうつくばでは食べられなくなるぞ!(>_<)今日〈ベンベラ〉でもらった案内によると,移転先は「桜川市真壁町源法寺636」.新生〈べんべら庵〉の営業時間は11:30〜14:30,17:30〜20:30,定休日は火曜と第二第四水曜とのこと.

◆旅立つ前日の┣┣" 撃ち —— とてもうれしいお誘いがロンドンから届いた.時間的にはとてもタイトだが,これに乗らないとずっと後悔するにちがいない.まずは二つ返事で引き受ける.それからじたばたすればいい.そのついでに,昨年からずっと引きずって某原稿を仕上げることを自分に命令した./生物体系学のオンライン資料をかき集めている.箱崎でバラまく予定.今回は「紙」の配布物はゼロ.すべてpdfあるいはURLですませるつもり.講義室は学内無線LANが利用可能とのことなので,この点はラク.「系統樹リテラシー向上委員会」の指針に則って tree-thinking の普及に努めてまいります./箱崎配布資料ファイルの用意完了.Macユーザー向けが計900MB,Winユーザー向け計500MB.しかし,配布USB数本にコピーするだけで小一時間…….昼下りの空模様は晴れたり曇ったり.

◆[欹耳袋]David L. Swofford and Wayne P. Maddison 1992. Parsimony, character-state reconstructions, and evolutionary inferences. In: Richard L. Mayden (ed.), Systematics, Historical Ecology, and North American Freshwater Fishes. Stanford University Press, Stanford, pp. 187–223. [pdf].もう20年も前の総説だが,pdf で出回っているとは知らなかった.系統解析での祖先形質状態復元のロジックを理解するには最適の教材のひとつ.MP で理解できれば,ML と Bayes での形質復元はすぐその先にある.

◆夕方,ポトフを仕込みながらうわのそらで米とぎをしたら,水加減を間違えて炊いてしまって,もう一度はじめからとぎなおし(ナミダ).人生にはこういうことも(たまに)あるのだ.ごはんはいったん炊いてしまったら「救済策」はないので,イチからとぎ直しあるのみ.

◆[欹耳袋]科学政策ニュースクリップ「それでもあえて言う。安易に生命科学者を目指してはいけない」(2014年2月1日)※「人生を「こじらせる」原因」とは言い得て妙./日本経済新聞「筑波大、大学教員による推薦入試を導入 16年度にも 」(2014年1月31日)※「大学の研究室に見学に来たり、教員が出前授業などで出会ったりした優秀な高校生を推薦」– 独法研究所もぜひコレやりましょう./おびなたん☆「科学報道でやってほしいただひとつのこと」(2014年1月31日)※それは「報道対象の科学成果の一次文献(論文や特許など)の情報をつけて報じてください」– 10000回くらい「いいね!」したい.

◆明日は博多へ大移動.

◆本日の総歩数=2751歩. 朝◯|昼◯|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(+0.3kg)/ 30.7%(−0.1%)


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