images/image1.jpg

Home
oude dagboeken

日録2013年5月 


31 mei 2013(金)※五月はビールの泡のごとし

◆午前6時,よろよろ起床.外はからっと晴天,まぶしいほどの朝日.前夜の背徳が祟って,半死人のごとし.それでも,定例経堂出撃日なので休むわけにはいかない.

午前10時前,農大キャンパス着.気温は24度台,乾いた北風と強い日差し.今日は実験計画法の分散分析のリクツを説明する.50分の短縮授業ののち,午前11時半に全学避難訓練.新講義棟からすべての学生をグラウンドに避難させるという.炎天下グラウンドが人で埋まっていく.世田谷警察署長やら消防車が何台も並び,訓練は一時間に及んだ.警察と消防によるデモンストレーションは迫真の演技.それにしても,晴れててよかった.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「葬儀で宗派取り違え、遺族が葬儀社を提訴 全国で相次ぐ」(2013年5月29日).ワタクシも自分の親を送る段になって,“宗派” が「浄土宗西山派」だったことを初めて知った.高校卒業後に実家を離れてからは,お墓参りにもまったく帰らなかった.そのうちお寺さんも代替わりし,親も菩提寺としだいに疎遠になってしまった.いざ葬儀のときになって,宗派ごとにありとあらゆるちがいがあることを知った.社会的常識がないのは重々承知しているのだが,そんなのはリタイアしてから勉強すればいいわけで,たいしたことではない.それよりも日々打ち寄せる人生の大波小波をどう乗り切るかが切実.だって, “定年” 時にいったいどこに住んでいるんだかわからないので,地域ごとの「ローカル・ルール」はリタイアしてから学べば十分だろう.親元を離れてしまう機会の多い研究者諸氏は自分の実家の “宗派” と “家紋” を確認しておくように.

東京駅構内の〈Hint Index Cafe〉にてカラメルクリームコーヒーとともにメール書きなど.今日の都内の最高気温は27.2度まで上がった.暑いことは暑いが湿度が低かったので許容範囲.ユリイカ山口昌男特集をもってきたのにまだ読み始めていない.人生で一度しか会わない古書はあとになって初めてわかる.そのときは「またいつか買えるだろう」と通り過ぎてしまった本はまずまちがいなく再会できない.

◆午後6時半,夕闇迫る浜松町北口改札にて待ち合わせ.隣の貿易センタービル地下に潜り込み,〈Beer Kitchen AOSHIMA〉に入る.林立するビール・グラス.まずは世界最古の醸造所〈Weihenstephan〉のヴァイスビールで乾杯〜.ヴルスト,いただきます.アイスヴァイン,うまいっす.

午後8時過ぎ,二軒目は汐留パークホテルの最上階にある〈Restaurant tateru yoshino〉にて,数々のシングルモルトをいただく.ここは〈ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ〉に入っている店(東大農学部の〈S〉と同じ).ラフロイグ,カリラ,スプリングバンク.

午後11時,大江戸線でTXの最終一本前に滑りこむ.つくばに帰り着いたのはもちろん日が変わってから.連日連夜の背徳はツケは大きい(かもしれない).

◆本日の総歩数=12234歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=95.0kg(+0.5kg) / 29.6%(+0.5%)


30 mei 2013(木)※雨夜の迎撃宴会は体力勝負

◆午前4時半起床.曇り空.気温20.0度.南風強し.曇り空からときおり霧雨が降りかかる観音台.梅雨に入ったとはいえまだ序盤の様相.午前8時の気温は21.1度.南風が強く,10メートルを越えることも.体感気温は涼しくても,湿気は十分にあるので,閉めきった居室は蒸し暑い.窓全開放で一日のスタート.

◆[欹耳袋]「大学教員の仕事遷移図」(2013年5月28日)

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「キャリアデザインシート」の提出締切が明日だったことを い ま 知った.日頃から不在がちだと連絡事項が “源泉かけ流し” で通過してしまうことが(よく)ある.今日は所内見学対応で時間が取られるので,いつやるか.今でしょう!(うん,キマったな).自分のキャリアデザインに「昨日の事は忘れた/明日の事はわからない」とか書いたら領域長に締め上げられるんだろーな.あるいは,本川達雄の名曲「科学とは仮学」を引用しようかな:

 今ひとときの 満足を
 理性が得れば それでよし
 あしたはあしたの 風がふく
 諸行無常と 風がふく

大学も独法もどんどんじゃまくさい制度が増えている.「今後おおよそ5年間の研究業務計画」とか言われても,どこにいるか,何してるか,不確定要素が多すぎて.やっぱりホラ吹くか,大風呂敷広げるかしかない./法螺を大風呂敷に包んで領域長に送信.明日は明日の風が吹く〜.

午前10時前に,バスが到着し,東大農学部の学生さんたちの農環研見学(インベントリー展示館と温室効果ガス秘密基地)が開始.午前のお勤め二時間を終え,正午前に見送った.ときどき霧雨が降ったりあいにくの空模様だったが,小降りでよかった.正午の気温は21度台だが,じめじめして室内は蒸し暑い.南風が涼しいように感じるのは単なる錯覚.

◆[欹耳袋]Of Mites and Men | Insects and Bug Type Pokemon | 13 May 2013.まあ,これはいいとして,問題は文中で引用されているコレ:Hoshina, H. and K. Takada. 2012. Cultural Coleopterology in Modern Japan: The Rhinoceros Beetle in Akihabara Culture. American Entomologist, 58: 202-207. うわー.白昼に「結界」を踏んでしまったよーな…….

◆午後の┣┣" 撃ち —— 三中信宏:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第10回 「確率変数と確率分布:確率分布曼荼羅をたどる」の公開前チェックすみ.とくに問題ないので,6月1日にこのまま公開される./行動生物学辞典のゲラに関して東京化学同人編集部に返信完了.この辞書づくりもエンドレスに「┣┣" の大いなる連鎖」が伸びている./来月に東大農学部で開催される形態測定学会議 ISBSA-3 の registration form 送信.今回は発表はなく,参加することに意義がある./連載企画書への意見を羊土社に戻した./中サイズの┣┣" たちが消え去り,大┣┣" ばかりのたうちまわる┣┣" 箱.

◆雨夜の飲んだくれ —— 午後も降ったり止んだりの湿っぽい空模様が続く.夕方,筑波事務所での懇親会に向けて迎撃用のテポドンを配備するしたく.氷温庫では活性にごり酒(一升瓶)が静かに横たわっている.午後5時,そろそろ筑波事務所に出撃.宴会場で一人でじっと待ち続けるのはやめたい.目の前の日本酒を “自爆” させるか.密閉栓だし破壊力はありそう.妖しいモノが来たら即座に「滝しぶき」を浴びせかけ,「Summer Mist」でめくらまし,「亜麻猫」に引っ掻かせて,「初亀」の甲羅でどつく,という史上最大の作戦.

見学バスの到着がやや遅れて,午後6時から歓迎会スタート.午後7時半に一次会はお開き,続けて筑波事務所宿泊施設にて二次会.それでも午後9時過ぎのつくバスに乗って,なんとか帰還できた.四升が空っぽに.

◆本日の総歩数=8294歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.1kg) / 29.1%(−0.1%)


29 mei 2013(水)※入梅じめじめシーズン到来

◆午前4時半過ぎ起床.曇り.気温19.8度と異様に高い.雨はまだ降っていないような.曇り空から雨がぽつぽつ落ちだした観音台.入梅間近か.午前8時の気温は20.8度.蒸し暑い湿気がこもった居室の窓を全開放.

◆[欹耳袋]梅雨入りなう:日経新聞「関東甲信も梅雨入り 平年より10日早く 」(2013年5月29日).そーかそーか.

◆午前の┣┣" 撃ち —— ドイツ出張のため,「外国出張にかかる旅行命令伺書ほか関係様式」を所内ガルーンからダウンロード.書式がすべて「エクセル方眼紙」であることはもう当然の日常風景なので,みだりに血圧を上げたりしないのだ(オ・ト・ナ).

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「東大名誉教授の速水格さん死去 貝類の進化・生態研究」(2013年5月28日).マーラー,麻雀,珊瑚樹の道.速水格さんと最後に会ったのはいつのことだったか.静岡大にいた故・阿部勝巳さんの葬儀のときに会ったのは確実.東大から神奈川大への異動は一般公募だったという話が妙に記憶に残っている.アメリカ留学のときに Stephen Jay Gould の講演を聞いて「進化古生物学」への関心が開花という話も聞いた覚えが.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝!: 佐倉統『「便利」は人を不幸にする』(2013年5月25日刊行,新潮社[新潮選書],東京,190 pp., ISBN:978-4-10-603726-9 → 版元ページ)/近刊:辻哲夫『日本の科学思想:その自立への模索』(2013年5月30日刊行,こぶし書房[こぶし文庫 - 戦後日本思想の原点],東京,ISBN:9784875592754 → 版元ページ

◆[欹耳袋][欹耳袋]NAVERまとめ「日経ウーマンが美文書「Excel方眼紙」特集、古傷を刺激された皆さんの叫び声が響きわたる」(2013年05月28日) .昨日のこと,来月の出張伺を提出したのと入れ違いに,事務から「出張伺の書式(もちろんエクセル原稿用紙!)が変更になったから来月分からはこれでよろしく」とのメール連絡あり.もう提出済みなので華麗にスルーする.ちょっと気になったので,出張伺いの「新旧差」を綿密にチェックしたところ,ただ一箇所,新幹線利用に関する申請文言に「及び秋田新幹線」の一句が付加されていただけだった.ということは,書式の変更箇所だけコピペすれば,旧書式をそのまま使える.これで書類づくりがラクになる.よしよし.事務雑用は “抜け道” を考えるのが楽しい(ヒマやのー).その後も「修正フォーマット」が所内ガルーンにアップされていたが,もう見る必要はないな.

◆蒸し暑い南風が灰色の雲を運んできたが,幸い昼休みはときおり日が差す空模様だった.短縮徘徊コースで観音台を一周り.もう梅雨に入ったから,徘徊の身支度もそれなりに考えないといけない.洞峰公園〈モルゲン〉が今日と明日の二日間連休とは知らなんだ〜.食パン枯渇.

◆[欹耳袋]Togetter -「#ぐっとくる雑誌名 集めてみました」  誌名のみならず団体名も #ぐっとくる :「全国すり身協会」「日本果汁協会」「北太平洋おっとせい委員会」「機械搾乳研究会」「乳牛タイムス社」etc. 月刊『トンネルと地下』とか夢が広がる/「軍需省醗酵研究所報告」- おまいら何やってたんだっ/『冷凍と空調』- 購読したいな/月刊『廃棄物』… .

◆[蒐書日誌]蟹罐詰! —— 岡本正一(編著)・蟹罐詰發達史編纂委員会(編)『蟹罐詰發達史』(1944年9月刊行,霞ケ関書房,東京,1852pp. → CiNii)/同『蟹罐詰年表及び索引』(1944年7月刊行,霞ケ関書房,東京,114pp. → CiNii).アブノーマルすぎてわくわくしてしまう.同じ著者による:岡本正一『革新的水産体制の構想』(1942年5月刊行,霞ヶ関書房,東京,336pp. → CiNii)という本もアヤシいオーラを放っている.この熱情は何に由来する?こーいうトリヴィアルなことが気になってしかたがないワタクシもどーしたもんだか

◆午後の┣┣" 撃ち —— _φ(・・ .. . .  .. ... .  .. ...

◆[欹耳袋]独ズーアカンプ破産 —— Die Welt | Suhrkamp-Insolvenz als "schlechtester aller Pläne" | 28 May 2013.ワタクシがもっている Suhrkamp Verlag の唯一の本は Jakob von Uexküll 1973. Theoretische Biologie. Suhrkamp Taschenbuch Wissenschaft だったりする.古すぎる…….Siegfried Unseld - „Der Suhrkamp Verlag verlegt keine Bücher, sondern Autoren.“ (Wikipedia

◆帰宅.夕方,これまでとはちがう肌理の灰色の雲が全天を覆い,ときおりぽつりぽつりと雨粒が落ちている.今日の最高気温は24.9度と夏日にも届かなかったが,不快指数は梅雨らしい高さ.午後6時の気温は20.1度.湿った南の風が吹く夕暮れ時.ついに入梅してしまった今日,じめじめした不快指数の高いシーズンの幕開きは,きりりと冷やした秋田清酒〈刈穂〉の純米「White Label」白麹仕込みを.三段仕込みの最後に焼酎用の「白麹」を使っためずらしいつくり方をしている.この甘くて酸味の立ち方は白ワインみたい.初夏らしくきりりと冷やせば,熱々のホワイト餃子にバッチリ合うのだ.

◆本日の総歩数=8360歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(0.0kg) / 29.2%(+0.3%)


28 mei 2013(火)※この空の表情は梅雨の前兆

◆午前4時半過ぎ起床.雲間から朝日が昇る.気温は18.1度と高い.初夏らしい雲が広がる観音台.午前8時の気温はすでに22.1度まで上がっている.南風が湿度を高めている.朝イチの BGM はヴィラ=ロボスの交響曲第10番〈アメリンディア〉.独唱者付きで実に75分もの大曲.そして,こちらもノリノリ!:〈シモンボリバル・ユース・オーケストラ ノリノリのアンコール!〉[YouTube] .バーンスタインの〈ウェスト・サイド・ストーリー〉とヒナステラの〈エスタンシア〉.生きるスタミナが尽きたらヴィラ=ロボスかヒナステラをすぐ “注入” せよ.

◆[欹耳袋]アカデミア三題噺 —— Togetter -「日本の論文数だけ先進国で異常な減少をしている」.一年前の記事が再び鳴り響く./科学技術政策研究所「「NISTEP 科学技術・学術政策ブックレット」の公表について」(2013年4月).「日本の大学には “厚み” がない」という指摘./学会の「過疎」と「高齢」と「税務」のトリプルパンチは最初にどのあたりに顕在化してくるのだろうか.学会事務局への税務署の “ガサ入れ” による「破局的結末」がありえるという話をけさ小耳に挟んで,まんざら冗談でもないんだろうなと穏やかに受け止めたしだい.学会運営はなんだか「前門の虎,後門の狼」みたいなことになってきたような.ねえ,何のために学会に入ってる?

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来月の「不在申請」一式を提出.六月のつくば実在率は「12実在日/20労働日=60%」.うん,本務地に関する優良労働者だ./勢いで,来月に続いて再来月の予定カレンダーを確定させた.七月のつくば実在率はちょうど「50%」.かろうじて優良ラインに乗っかっている./今週の農大三点セット完了.ついでに立替払伺も提出.もうこれでしばらくは書類書きから解放されるだろう(希望的観測)./東大の専攻研究会議の役員投票.砂塵のような微小┣┣" どもでも時間は容易に削り取られてしまう.

◆[欹耳袋]首相官邸・教育再生会議:提言「これからの大学教育等の在り方について」(第三次提言)(2013年5月28日)

◆晴れわたる昼休みの観音台は夏日ラインを越えた.日差しはまぷしく湿度もやや高いが,南風が強いので体感的にはそれほど不快ではない.今日はまだ天気がもっているが,西からはしだいに大きな雨雲が迫ってきているようだ.近畿・東海まで梅雨入りしたという.その雨雲の到来が今年の関東の入梅を宣告するのだろう.歩き読み:南方熊楠[中沢新一編]『南方マンダラ』(1991年6月4日刊行,河出書房新社[《南方熊楠コレクション・I 》河出文庫・み2-1],東京,2 plates + 392 pp., ISBN:978-4-309-47206-5 → 版元ページ)を150ページほど.

◆[欹耳袋]飯坂温泉をめぐる「ラヂウム」の話 —— なんというグッドタイミング:中尾麻伊香「放射線医学の媒介した二つの世界:伝統と近代の間で」(2013年5月25日,科学史学会,日本大学商学部)の講演要旨スライド.飯坂温泉の「ラヂウム玉子」の先駆として「ラヂウム餅」と「ラヂウム煎餅」があったとは! 本報告と関連して,「低線量ホルミシス効果」に関する論説:堂前雅史「ラドン温泉が体によい理由?─「放射線ホルミシス効果」を巡る論争」(『情況』2002年1/2月号, pp.176-191).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 慶應義塾大学文学部〈文献学の世界〉の兼業申請提出.よく見るとこの連続講義もゆくゆくは本になるわけね./今週木曜に東大農学部の学生が20名ほど農環研に来る.所内見学コースの設定と並行して,午後5時半からの懇親会の打合せがいま終わった.教員と学生で20名あまりだが,「日本酒は最低四升用意して」とのリクエスト.うわばみですかそーですか(どの口がそれを言う). “最終兵器” を用意させていただきます.

—— 闘いすんで日が暮れて,┣┣" 箱には “大物” だけが悠々とのたうっている.

【夜中にしてはならぬこと】「お願い入れて_操洋子」 [YouTube] を BGM に,『新耳袋・第六夜』の第22話「石碑」を読むこと.「中に入れて」.ひー.

◆本日の総歩数=7900歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(−0.9kg) / 28.9%(−0.4%)


27 mei 2013(月)※背徳の週末と贖罪の週明け

◆午前4時半起床.晴れところどころ曇り.気温14.7度.背徳の週末のあとは贖罪の週明けが.曇り空の観音台は空気が蒸し蒸ししている.午前8時の気温は20.7度.梅雨時を思わせる天気.

◆贖罪の┣┣" 撃ちはもう始まっている —— Karl Perason 1894 Contributions to the Mathematical Theory of Evolution. Philosophical Transactions of the Royal Society of London, Series A, 185: 71–110 Internet Archive.この論文を見ると,カール・ピアソンは「正規曲線(正規分布)=normal curve」をつねに「異常曲線(異常分布)=abnormal curve」と対語で用いていたことがわかる.現実世界は「アブノーマル」でも,理想的には「ノーマル」だと.統計学でいう頻度分布の「正規性(normality)」はつねに「非正規性=異常性(abnormality)」と対置されていたということ./計量生物学会の年次大会座長報告を事務局に送信だん.忘れないうちに,飯坂温泉への出張復命書も提出だん.

◆今日のランチはささやかにラタトゥイユと八郷〈Panezza〉の田舎パン.なんとなくラスティック.

◆[欹耳袋]ほくそ笑む「ブートストラップ法で信頼区間を求めるときの注意点」(2013年5月21日).「サンプル数Nが推定精度にとって重要」および「ブーツストラップ反復数Bは信頼区間の分散に関わる」./FOTOZUP | The difference between German and other languages.笑っちゃいけないんだろうけど.

◆午後も贖罪の┣┣" 撃ちを —— 三中信宏:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」第10回「確率変数と確率分布:確率分布曼荼羅をたどる」原稿仕上がり.図5枚.今回は喧嘩屋カール・ピアソンが主人公.来月はじめに公開予定./解剖男からメールあり.即返信./ミッドタウン・タワーからお座敷のお声がかかった.温泉はないけど,たまには赤坂の夜もいいかな.

◆[蒐書日誌]田中純『ジルベール・クラヴェル関連テクスト集』(2013年4月16日発行,自家出版,24 pp.)ご恵贈感謝です! - 田中純『冥府の建築家:ジルベール・クラヴェル伝』(2012年12月18日刊行,みすず書房,東京,4 color plates + 500 + xxxii pp., 本体価格5,000円,ISBN:978-4-622-07708-4 → 版元ページ)の正誤表も同封.

◆本日の総歩数=3152歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.5kg(−0.5kg) / 29.3%(−0.7%)


26 mei 2013(日)※ビールならぬワインの背徳

◆午前6時前のろのろ起床.今日は曇り空.気温は15.0度.北東の風.昨日は曇り空で冷たい北東風がビール欲を減退させた.今日は同じ曇り空でも南風が湿った暖気を運んできて,梅雨の前触れのように蒸し暑い.これは「ビールしろ」という神のお告げにちがいない.

◆[系統樹思考]本日の反響:「バラバラ、軽薄、ご都合主義」.某アマゾン・カスタマーレビューによるフルボッコの嵐.うわー(笑).

◆[欹耳袋]leeswijzer「 “書評頻度分布” はココロの安らぎを保証する」(2013年5月26日) —— すべては “書評頻度分布” のかたちによって決まる.安全圏から罵倒し続ける「アウトオヴ3σ」な匿名書評者は自分が嘲笑されていることを知れ.一方,署名書評にはそれなりにちゃんと対応するのが生産的.上の主張は「人間」そのものを「外れ値」とみなしているわけではなく,書いた文章や発言した文言だけにあてはまる.単なる頻度分布の形に人格を絡めるのは禁物で,人格と発言とははっきりと切り離すべきだろう.発言や文章に対する同意や批判は人格に対するそれとは何の関係もない.各書評者の書評受容度パラメーターに関する “事前分布” を設定した上で,ある書評対象本の書評頻度分布を “事後分布” としてべいづ推定すればいいのか.うん,これ最強かも!

◆お昼すぎ,ラタトゥイユのしこみを終え.あとは時間が調理してくれるのをじっと待つばかり.正午の気温は25.0度の夏日ライン真上.はるか西の山の方で雷雲が発生しているようだが,平野部はいまのところは大丈夫そう.「さあ原稿を書くぞ」とキーボードに向かった瞬間を狙いすましたようにかかってくるワルいお誘い電話…….三日連続でセンター広場に拉致されるワタクシ.ビールフェスタ〈西瓜糖〉にてワインのみまくり.「a-iuto!」が一本からっぽに.勢いで Outsider Brewing の「スリーラスカルズ・ゴールデンエール」.背徳の三日間.

◆本日の総歩数=4333歩. 朝○|昼△|夜◯. 計測値(前回比)=96.0kg(+1.3kg) / 30.0%(+0.6%)


25 mei 2013(土)※今日もビールを呑みました

◆午前6時のろのろ起床.晴天と曇天が混ざり合っている.気温12.8度.昨日はビアフェストが開幕した午後3時には28.3度の最高気温だったのに,その後,冷たい北東風が強まって寒くなり,ワタクシが会場を退散した午後8時過ぎには14度台まで気温は急降下したようだ.今日はカピオで何の催しがあるのだろう.朝から何十台もの大型バスから続々と人が列をつくってカピオに流れ込んでいる.

ビールの破壊力は日本酒とはまた別格の強さがある.つくばクラフトビアフェストは今日も午前11時からオープンなので(そうなりたいのであれば)白昼から背徳ビール責めを満喫できる.朝から涼しい北東風が吹き抜けて,気温はあまり上がらず,午前8時の気温は15.5度と昨日より4度も低い.ということは,軽めのビールをうぐうぐ呑むのではなく,どっしり系の濃厚ビールをゆっくり味わうべきか.

◆午前11時の気温は18.9度.昨日の同時刻が24.1度だったから実質的に寒い.晴れているけど東風が強くて,体感気温はもっと低い.ビールのセレクションに気をつけないと.

◆[欹耳袋]山形浩生 の「経済のトリセツ」「佐倉『「便利」は人を不幸にする』:くだらないラッダイト抑圧反文明論。ドラエモンすら読み損ねている。」(2013年5月24日).コメント欄も見ること./Open Culture | Philosopher Daniel Dennett Presents Seven Tools For Critical Thinking | 21 May 2013.「クリティカル・シンキング」は「批判的思考」と訳せばいいのですね.「クリシン」と略されるとなんだか “ポモ” みたいで心理的抵抗がありました.

◆昼ビールは黒ビール —— さて,お昼ごはんを探しにセンター広場に向かうとしよう.風は涼しいが,日差しは暖かそうなので.舞浜地ビールの黒(シュバルツ)とアンマーカリヤのプチ肉まんなう.オラホビールのアンガスブラックエールと〈Don Miguel〉のエンパナーダをふたつ(サルデーニャとヒゴテ).〈Don Miguel〉のエンパナーダは必修.食べ逃すと後悔するので,まだの人はすぐペデの橋側にある店に直行すること.南米本場の味は保証するから.〈Don Miguel〉のエンパナーダ・デ・サルデーニャはたまたま会場で遭遇したボリビア滞在経験のあるポスドクさんが遠くからわざわざ買いに来たほど.同じくエンパナーダ・デ・トゥクマンはワタクシがアルゼンチンのトゥクマンで食べたものとそっくり.野菜たっぷりのエンパナーダ・デ・ヒゴテはいわば南米版サモサ.

◆[蒐書日誌]ワタクシが飯坂温泉に溺れていた間に,つくばにラヴジョイが着弾していた:Arthur O. Lovejoy『The Great Chain of Being: A Study of the History of an Idea - The William James Lectures Delivered at Harvard University, 1933』(1936年刊行,Harvard University Press, Cambridge, xii+382 pp.).カリフォルニアの〈Books From California〉から届けられたこの本の出所は「Library of College New Rochelle, NY」の処分本(B-105-0516).ハードカバーでしっかり再製本されている.書き込みがあるけど気にはならない.内藤健二訳のアーサー・O・ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』(1975年12月20日刊行,晶文社,東京,400+vi pp.)はすでにあるけど,ちくま学芸文庫(2013年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・ラ-10-1],東京,643+ ix pp., 本体価格1,700円,ISBN:978-4-480-09536-7 → 目次版元ページ)に入ったのを契機に,初版もあった方がいいかと思って注文した.原書をいまいちどばらばらとめくってみると,これだけヴィジュアルな観念の話を400ページにもわたって論じているのに,図版が一枚もないというスタイル自体が「観念史」研究の特徴だったのかな.

◆夕方から笠間稲荷門前の笹目酒造の酒蔵にて天満敦子のVnを聴いてきた.〈松緑〉の「ふなくち」はやっぱりひと味ちがう.

◆本日の総歩数=4301歩. 朝○|昼△|夜◯. 計測値(前回比)=94.7kg(+0.4kg) / 29.4%(+0.1%)


24 mei 2013(金)※飯坂から経堂を経てビール

◆午前3時半起床.真っ暗な廊下をたどって内湯へ.至福の朝風呂.午前5時,荷物を詰め込んでチェックアウトの準備.外はもう明るくなってきた.午前5時半に旅館をチェックアウト.用意してもらったお弁当を忘れずに.今朝は涼しい.空は五月晴れ.阿武隈山はくっきり.旅館で聞いた話では,東日本大震災のあと一年ほどは飯坂温泉は開店休業状態だったらしい.ここ一年ほどでやっと客が戻り始めたとのこと.一週間後に福島で開催される〈東北六魂祭〉では飯坂温泉の旅館はどこも満室とか.

◆[欹耳袋]leeswijzers stamboom「仙台・日本酒呑む呑む情報」.備忘メモとして.みなさんどうもありがとうございました.

◆湯の街┣┣" 撃ち —— 横浜植物防疫所の統計研修は来年2月の予定.先方に連絡した./統計教育質保証委員会の参照基準案(生命科学分野)を吉祥寺に送信した.

◆[欹耳袋]計量生物学会は毎年5月の平日に年次大会を開催している(応用統計学会と連結して).昨日の理事会で,最近「15回講義」のしばりがとみに厳しくなって,平日に講義を休講して学会出張することが難しくなってきたとの報告があった.とくに私立大学ではその傾向が顕著.となると必然的に,年度末の3月か,9月くらいしか選択肢がなくなる.学会シーズンが密度的に “濃くなる” ということ.複数学会が日程重複するリスクが高まる.学会を減らすとか,連合大会をさらに拡充するとかしないと,もう物理的にやっていけないのでは.あと, “温泉大会” は出張申請の際にトラブる可能性があると,企業からの参加者の声あり.「なぜ温泉で学会をしなければならないのか」の説明をめぐって事務とわたりあうことがあったらしい(笑).

◆飯坂から経堂へ瞬速移動 —— 午前6時前,飯坂温泉駅.乗客はほかに誰もいない.発車は6:05.福島駅へゴー.午前7時前,JR福島駅の新幹線ホームに立つ.やまびこ204号に乗車.さらば福島,いざ経堂へ.車内はがらがらで静か.寝てしまいそう.

幸いなことにダイヤ遅延はいっさいなく,定刻の8:40に東京駅着.中央線に乗り換え,午前9時前に新宿駅へ.いつもつくばから通うときに乗るよりも一本早い小田急に乗れた.つくばより近い飯坂温泉.午前9時の都内の気温はすでに24.4度まで上がっている.今日は真夏日になるのだろうか.

午前9時半にはもう農大キャンパスに到着.日差しがぎらぎらして暑すぎる.今日の講義は前回に引き続き実験計画法.完全無作為化法の数値例と線形統計モデルについて解説する.なお,来週5月31日(金)は農大の避難訓練のため,二限の本講義は「10:40〜11:30」の短縮授業になるとのこと.また,大学の災害対策本部に当日の出席者を報告するため,講義時間に出席簿のチェックをせよとのお達し.詳細はまだ決まっていないらしいけど.講義終了.正午の気温27.7度. 講義室も暑い,農大通りも暑い,駅に着いても暑い.

午後3時過ぎにつくばに帰り着いて,すぐ観音台に瞬間実在したのち帰宅.午後3時過ぎに最高気温28.3度,午後4時になっても27.1度.南からの熱風が吹きつける夕方はビールからの呼びかけが心のなかで何度も反響している.グッドタイミングで,つくばセンター広場での〈つくばクラフトビアフェスト〉.今日は午後3時からすでに始まっている!

◆[欹耳袋]統計数理研究所オープンハウス.2013年6月14日(金)10:30~17:40 参加費無料・申込不要./よしなしごと「CiNii Articlesから共著関係ネットワークの可視化」(2013年5月23日).CiNii CoAuthor Network の解説記事.

◆〈つくばクラフトビアフェスト2013〉の前夜祭 —— 夕暮れに合わせて,つくばセンターのビアフェスト会場に向かう.すでにかなりの人出が.まずはペデストリアン側〈Outsider Brewing〉の「バンイップIPA」から.下のセンター広場に降りて〈常陸野ネストビール〉の「ニッポニア」を.おつまみは〈Don Miguel〉の「エンパナーダ・デ・トゥクマン」.ひき肉ぎっしりで熱々がうまい.暗くなるにつれて,会場はどんどん人口密度が高くなってきた.見わたすかぎりどこのテーブルも “試薬瓶” がずらりと並んだようにビールのコップが林立している.〈AQベボリューション〉で「ノーバウンダリーIPA」.筑波ハムで食べ物を調達し,次はシャトーカミヤのシークレットビール.これはライ麦ビールで味わいがビール大麦よりも複雑な味わいだった.いかにもビール大好きな人があまりに多すぎて,だれもかれも鬼畜のようにビールをのみまくる.ビールの破壊力,おそるべし.午後8時半まで会場で粘ったが,冷たい東風がだんだん強くなってきたので退散.明日も明後日もビアフェストは続く.

◆本日の総歩数=15870歩. 朝○|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


23 mei 2013(木)※寝覚めの朝風呂は至福の時

◆昨晩は背徳もなくすんなり寝たので,今朝は午前4時過ぎにさくっと起床できた.外はもう明るくなっている.昨日は真夏日の暑さになったが,山懐の温泉街はそれなりに朝の涼気に包まれている.朝風呂いちばんの至福.寝ぼけ眼で熱いお湯に浸かればいっぺんで目が覚める.

◆湯の街┣┣" 撃ち —— 今日は温泉街のど真ん中にある〈パルセいいざか〉にて日本計量生物学会大会がある.それが本務.しかし,せっかく湯の街に逃避しても,空き時間はなお原稿を書いているというダメダメさ./午前7時,キャロル・キサク・ヨーン『自然を名づける:なぜ生物分類では本能と科学が衝突するのか[仮]』の第10章「魚類への挽歌」翻訳原稿をNTT出版にメール送信.残るは第11章と第12章のふたつだけかー(白目)./京大白眉センターに出張依頼手続き完了.夏休みに入っているので,宿泊先を早く確保しないと.

午前7時半,朝ご飯.正統派「ニッポンの朝餉」なり.そして,初の「ラヂウム玉子」! 飯坂に来てラヂウム玉子を食べずには帰れない.旅館の人に聞いた所では,茹で方の微妙なちがいで温泉街のなかでも “変異” と “多様性” があるらしい.旅館〈入舟〉では長年「阿部留商店」のラヂウム玉子を出しているとのこと.やや固めの茹で加減.店によってはもっと軟らかいところもあるらしい.なま物のラヂウム玉子は持ち帰りがムリだから,温泉街でたくさん食べるしかない.

◆[欹耳袋]ナショナルジオグラフィック「不当な評価を受けてきた女性科学者6人」(2013年5月22日)/日本経済新聞「「研究の間接経費増額を」 東大・京大など11大、国に提言」(2013年5月22日)./朝日新聞デジタル「学ばない学生、奨学金取り消し 586人、大学の判断覆す 学生支援機構」(2013年5月13日).だって貸金屋だもん?「回収の強化より、もっと奨学金を充実させて」というコメントは正論.

◆[欹耳袋]東京大学音楽部管弦楽団サマーコンサート2013 —— 東大オケ華麗なる真夏の巡業.今年は8月10日 (土)@ノバホールも! 曲目は:真夏の夜の夢/火の鳥/ブラームス交響曲第4番.前回,東大オケがつくばに来たときは,当日ふらっとノバホールに出向いたら,「満員御礼」と言われてすごすご退散した苦い記憶がある.アマチュア・オケとはいえチケット入手はけっしてラクではない(こともある).

◆[飯坂温泉]お仕事に出かけます —— 飯坂温泉の町はその名の通り坂の町.山裾に広がる坂道の「湯の街」という点では,飯坂温泉は松本の浅間温泉はよく似ている.旅館を出て坂を下って行くと,ちょうど対面に真っ白く冠雪した山並みが聳えていた.あれは蔵王かな.阿武隈山? それとも吾妻連峰なのか.山のことはよくわからない.昨日のような真夏日にはならないようでよかった.共同湯の〈鯖湖湯〉の横を通り過ぎてさらに坂を上がっていく.

午前10時前,計量生物学会大会会場の〈パルセいいざか〉に到着.大橋靖雄学会長の挨拶が始まった.大橋さんは地元の福島高校出身とのこと.計量生物学会はもともとスーツ率が高いのだが,今回はことのほか “厳しい” ドレスコードが暗黙のうちに遵守されているようだ.ワタクシは “温泉ライフ” 的に正しい恰好をしている.パルセいいざかのホールはかなり大きな会議場だ.

先ほど午前の一般講演セッションが終わり,いま休憩中.その後にポスターセッションがロビーにて.合間に,学会評議員会というお仕事が挟まっている.東大の専攻研究会議の資料ファイルを幹事さんに送信.お昼は弁当越しに対面理事会.そのまま休みなく午後の特別セッションに突入する.午後5時前に座長のお仕事をすませ,これで本日は解放された.

パルセいいざかからの帰り道にある〈餃子の照井〉本店にて円盤餃子を注文.ビールとともにプチ背徳.まるっと円盤(22個)のフルサイズはさすがに “間食” には食べきれないのであきらめて円盤餃子ハーフ(11個)を.

◆[欹耳袋]一般講演の限られた時間内ではけっして話し終えられないような “大ネタ” を出してきて,案の定「時間切れ警告りんりん」が連打されている.ベテランだからこそこういうことをしでかしてはいけないのです.いかにこみいった難解な講演内容であっても,みごとに講演時間内に収めきることはきわめて “教育的” だと信じる./他人へのつぶやきでも冗談であっても「仕事しなさい」とか「原稿しろ」という文言を目にしただけで “無意識ストレス” が積もっていく気が…….

◆坂道をたどって川を渡り,旅館に戻る.さっそくお風呂に入って一息ついた.十時間後にはチェックアウトしているのかと考えるだけであわただしい.明日の朝は午前6時過ぎの飯坂線に乗る.

◆本日の総歩数=6135歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


22 mei 2013(水)※♨テルマエ・イイザカエ♨

◆午前5時前起床.雲の多い夜明け.気温は16.5度もある.薄曇りの空模様.午前7時の気温は17.6度.乾燥した東風がゆるゆると吹き抜ける朝.

ここのところ翻訳加圧がとみに増しつつある.しかし,シャーロックを試しにフォローするのは原稿督促されて「いない」ときにかぎる.締切が迫っているときに「原稿しろ」とか言われたら,「もう探さないでください」とつぶやきたい.シャーロックはサドである.フォローしてる奴はマゾである.

◆[欹耳袋]個人業績評価は,評価基準の策定がいかに恣意的であっても,いったん「これでやる」と言われたら,研究者は意識的・無意識的にその基準に over-fitting して研究者人生を局所的に “最適化” してしまう.皿で皿を洗う業績評価.どんぶり勘定こそ研究者のインセンティヴを上げる秘策.ちまちまポイント計算させないで.

◆初夏の飯坂温泉へと「僕の細道」はつながる —— 9:31発のTX区間快速に乗る.晴れて気温が高い.福島に行くのは何年ぶりのことだろうか.畜産統計研修で白川の種畜センターに行ったのがひょっとしたら最後かもしれない.もちろん,東日本大震災のずっと前のことだ.東京から11:08発の東北新幹線〈やまびこ135号〉に乗り換える.遠いようでも近くなった.宇都宮を過ぎてからは東北新幹線はトンネルが多くなり,電波がつながりにくくなってきた.ようやく山々をくぐり抜けて郡山駅に到着.多くの乗客が下車し,車内はかなり空いてしまった.窓越しに外を見ればくすんだ青空が広がっている.さらにもう一駅,トンネルをいくつもくぐって,12:42にやっと福島駅に到着だ.ここで下車するのは初めてのこと.JRから延々と駅内を歩き続け端っこを目指す.飯坂温泉まではさらに私鉄に乗り換えないと行けない.

JR福島駅の片隅で福島交通飯坂線は阿武隈急行線とひなびたプラットホームを共有していた.しばらくしてやってきたのは二両連結の電車.13:00始発の福島駅から平地をごとんごとんと単線の上をゆっくり走り,途中十個あまりの駅を通過して,山懐に近い終着・飯坂温泉駅にたどり着いたのは午後1時半前だった.途中駅で乗客(そのほとんどは近在の高校生たち)がどんどん降りていったので最後は車内はがらがら.つくばを出てからおよそ四時間での往路の旅路はローカル電車とともに最終ゴールに入った.福島市は午後1時前に29.5度まで気温上昇.午後は真夏日必至だろう.さて,しばしの温泉街徘徊タイム.

◆飯坂温泉 —— その昔は “歓楽温泉” の極みとして昼も夜も栄えたにちがいないが,いまはその面影はまったくなく,駅前を歩きまわってみると大きな温泉ホテルがいくつも廃業されたまま野ざらしになっていたりする.その光景は熱海温泉や草津温泉など他の大温泉地の “いま” となんら変わりがない.しかし,温泉街が衰えたからといって温泉が衰えたわけではないだろう.駅前の売店で名物「ラジウム玉子」がずらりと並べて売られているのだが,一パックまるまる買ってしまうと背徳だし.同じく学会参加者らしき(場違いな)スーツ姿の人たちが通り過ぎていく.ワタクシは温泉街にとてもマッチした服装だと自画自讃してみる.

ワタクシが投宿した旅館は飯坂温泉駅前から坂を少し上がったところにある旅館〈入舟〉.建物の造りこそタイムスリップしたかのような “昭和” の古めかしさだし,露天風呂だってないし,内湯は4〜5人も入ればいっぱいになる小ささなのだが,泉質が良すぎて感涙モノ.深い湯舟の真下に源泉があるらしく,飯坂温泉に特有の高温泉が間歇的にぼこぼこと湧き出してくる.時間が早かったせいで内湯を独占できたのをいいことにしばしくつろいでしまった.もちろん源泉かけ流しで,湧出するお湯の半分はもったいないことに架け渡された竹樋を伝ってそのまま排水口に棄てられている.全部を湯舟に注ぎ込むと熱くて入れないからという配慮だろうか.確かに加水しない湯温は高いけれども,構造タンパク質が変性しそうな別府や草津に比べればやさしいものだ.宿泊料も学会推薦ホテルの半額以下だし,コスト・パフォーマンスがすばらしい.飯坂温泉,実に実にすばらしい!

—— 今日の福島は午後3時過ぎに30.0度ちょうどの真夏日になった.つくばよりも暑いぞ.部屋の中を蚊がぶんぶん飛んでいるんですけど.今年の初蚊は湯の街にて遭遇.電気蚊取りオン! 晩ご飯は部屋食の上げ膳据え膳.

◆[欹耳袋]what_a_dudeの日記「21世紀の統計学の挑戦はどうなってる?」(2013年5月22日).「「ぶっちゃけ統計学ってよそ様次第なとこあるから予想は難しいよね」っていうふうな結論」- ぜんぜんいいんじゃね? 言い方ワルいけど,統計学って「死の商人」みたいなところがあって,敵にも味方にも “武器” を売りつけるでしょ.もちろん,GLM でもべいづでも役に立ってるから誰も文句言わないけど,統計学者って損な役回りだと思わないでもない.

◆さて,明日の「本務」に備えて,今夜は清く正しく寝るのだ.

◆本日の総歩数=5306歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.2kg) / 29.3%(+0.5%)


21 mei 2013(火)※初夏の万博記念公園一周り

◆午前5時起床.曇り.気温19.6度と異様に暖かい朝.気持ちよく青空が広がってきた.午前6時の気温は19.9度.北東風が爽やかだが,今日の日中は夏日ラインを軽やかに突破しそうな感じ.大菩薩峠で刺されたブユの傷跡が痒くてしかたない.午前8時,気温21.5度.雨上がりの観音台はそこかしこに水たまりが残っている.今日は暑くなりそう.

◆[蒐書日誌]東大出版会から新刊二冊 —— 樋口広芳『鳥・人・自然:いのちのにぎわいを求めて』(2013年5月15日刊行,東京大学出版会,東京,xii+233+5 pp., 本体価格2,800円,ISBN:978-4-13-063336-9 → 版元ページ)/遠藤秀紀『動物解剖学』(2013年5月15日刊行,東京大学出版会,東京,vi+120 pp., 本体価格2,600円,ISBN:978-4-13-062222-6 → 版元ページ

◆今日の昼休みは〈みずほの村市場〉での買い物ついでに,万博記念公園を一周り.24度台の適度な陽気とみずみずしい新緑が鮮やかだった.

◆[欹耳袋]Togetter -「(其四)数学は何のため?」 .個人的体験を振り返ると(1973年高校入学),前年度までは複素平面や極座標があったが,ワタクシの年度からその代わりにベクトル・行列が入った.当時の数学カリキュラムは “移行措置” という名目で内容が流動的に変わりつつあったようだ./高島屋〈大学は美味しい!! 〉フェア.玉川大学の「はちみつジャム」は確かに美味しい.農大は「酒」を売ろうね.宮崎大は鶏カレーではなく牛カレーなのか.水産大学校の「ふく魚醤」「うに魚醤」が気になる.

◆朝は湿度が高かったが,その後はよく晴れた一日だった.最高気温は午後2時過ぎの24.8度と夏日にも届かなかった.夕方になって東風が涼しく心地よし.

◆本日の総歩数=6324歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.3kg) / 28.8%(−0.3%)


20 mei 2013(月)※雨上がり週明けは猪突猛進

◆午前5時前起床.前夜の雨はもう上がり,曇り空が明るくなってきた.下界はまだ濡れている.気温16.3度とかなり高め.午前6時の気温17.0度.小雨が降っている.日差しがなく,じっとしていれば湿って涼しい.雨がしとしと降り続く観音台.午前8時の気温は18.2度.

◆[蒐書日誌]着便本が積み上がる週明けの研究室 —— Heinrich Düntzer『Goethes Stammbäume - Eine genealogische Darstellung』(2013年1月15日,Salzwasser-Verlag, Paderborn, [ii]+VIII+166 pp., ISBN:978-3-84601-996-2 [pbk]).原書は1894年刊行(Friedrich Andreas Perthes, Gotha).かのゲーテの父方・母方の系図をたどった[だけの]本.せっかく “Stammbäume” と銘打つのなら,graphische Darstellung のひとつもあればいいものを,ひたすら先祖や親族の名前が羅列されていてかなりつらい.全編フラクトゥールだし(当たり前か)./高宮利行『本の世界はへんな世界』(2012年11月27日刊行,雄松堂出版,東京,4 color plates + vi + 269 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-8419-0618-9 → 版元ページ)/南方熊楠[中沢新一編]『南方マンダラ』(1991年6月4日刊行,河出書房新社[《南方熊楠コレクション・I 》河出文庫・み2-1],東京,2 plates + 392 pp., ISBN:978-4-309-47206-5 → 版元ページ)/鶴見和子『南方熊楠:地球志向の比較学』(1981年1月10日刊行,講談社[講談社学術文庫・528],東京,318 pp., ISBN:4-06-158528-2 → 版元ページ).

◆週明け┣┣" 撃ち邁進 —— 東大の見学旅行に関する事務手続きこまごま./三田から出講依頼状が届く.兼業申請へ./横浜植物防疫所から統計講義の依頼.もちろん引き受ける.

◆[欹耳袋]二村太郎・荒又美陽・成瀬厚・杉山和明 2012. 日本の地理学は『銃・病原菌・鉄』をいかに語るのか―英語圏と日本における受容過程の比較検討から―. E-journal GEO, 7(2): 225-249 J-Stage | pdf [open access].Jared Diamond の比較受容論.

◆霧雨が降り続いているので,今日の昼休み徘徊は中止とあいなった.正午の気温は20度にも達していないが,湿度が高いのでぜんぜん快適ではない.本降りになってきた.徘徊に出かけなかったのは正解.霧雨のような小粒┣┣" がメールで飛び交う昼休み.お昼休みの翻訳仕事.なぜ生物体系学の世界だけ「奇人変人」が集結することになったのかは科学史的におもしろい現象だと思う.学界がらみのウラ話とかネタとかウワサは誰かがちゃんと「アポカリプス・ファイル」として記録しておけば,関係者が全員鬼籍に入ったころに突如として “再発見” され,科学史家が大喜びするだろう.『生物体系学の血塗られた黒歴史』とか書かれたりして.

◆[欹耳袋]インパクト・ファクターの呪縛と解放 —— Science Editorial | Impact Factor Distortions | Science 17 May 2013.研究者の個人業績をIFでは評価してはならぬとの DORA: The San Francisco Declaration on Research Assessment の方針に賛同している.この Science 記事には,近年の研究者業績評価での「IF」の誤用を「this impact factor mania makes no sense」と断罪.

◆霧雨の中を帰宅.うっかり開放していた窓から水分がたっぷり入り込んで,室内と木という木がべたべたしている.本もたわんでいる.今夜は〈繁桝〉純米大吟醸にごり酒「夏に夢る雪」を開栓.そろそろ暑くなってきた初夏,どの蔵元も夏場に出る日本酒はデザインをよく考えていて,せいいっぱい “涼しさ” を演出している.〈繁桝〉のこの四合瓶もブルーの瓶がとっても涼しげ.このお酒,卵とか鶏肉によく合う.意外にも親子丼と相性がいいのだ! 

◆[欹耳袋]読売オンライン「独立行政法人、研究開発力を強化…中間報告原案」(2013年5月20日).「民主党政権が決めた統合・再編計画は取りやめ」- 凍結ではなくやめるわけね.組織再編関連で技会行きの面々はすでに各場所に戻されたしねー.「海外の研究機関との競争力を高める目的で、「研究開発型」の独法を指定。国際的な研究者の確保のための高い給与を支払うことができるようにすることや、要望に応じて予算を柔軟に繰り越しできるよう求めている」/東京新聞「原電、専門家に個別抗議」(2013年5月20日).「専門家はわれわれの意見をほとんど無視した。だから抗議文を送った」.だったら,論文をリジェクトされた研究者もレフリーに対して「厳重抗議」していーよね.論文をリジェクトされた研究者が投稿ジャーナルの母体学会を提訴したという話はむかし昆虫学の業界で聞いたことがあるけど.ほかの業界でもあることを知った.「訴えてどーする?」と素朴に思うけど.

◆翻訳翻訳また翻訳.どこまで続く泥濘ぞ.

◆本日の総歩数=2123歩. 朝○|昼○|夜◯. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.4kg) / 29.1%(−0.4%)


19 mei 2013(日)※背徳の夜が明けて山滴る朝

◆午前6時前にはいったん目が覚めたものの,前日の白昼背徳が祟ってどうしようもない.天気予報では雨になるとのことだったが,いまは抜けるような青空が広がり,新緑が鮮やかで,まさに「山滴る」という形容がぴったり.

午前8時,朝食をみんなですませる.昨夜はいつものように不夜城で飲んだくれたらしく,まだ起きてこない学生もちらほら.標高が高いので,明け方の冷え込みが厳しく,大広間でごろ寝した連中は寝冷えしたそうな.

農大昆研の新歓合宿は学部三年生のためではなく一年生が主役.この研究室への正式な配属は三年生なのだが,大学に入学してすぐの新入生がおおっぴらに出入りする伝統がずっと続いている.今回の合宿には五十名ほどの参加者があったが一年生も多い.一研究室なのに70名近くも擁する巨大なコミュニティーはひとつの独立した “帝国” をつくっていて,独自の研究室文化がある.

◆午前10時半,甲斐大和駅まで送り届けてもらった.気持ちよい青空が広がる峠からの下り坂の途中で,冠雪した富士山の頂きが間近に見えた.さすが甲斐の国.標高1,400メートルの大菩薩から下界に降りてきて.やっと e-mobile がつながった.駅のプラットホームはおおぜいの虫屋の虫屋による虫屋のための虫話が花盛り.もうすぐ高尾行きの各停がやってくる.一時間弱で高尾に着くのだが,車内アナウンスによると,JR中央線快速は11:50頃に西国分寺駅で発生した人身事故により上下線とも止まっているとのこと.運転再開までは一時間ほどかかるらしい.まだ高尾にも到着していないけど,さてさて,どーやって帰りましょ.

相模湖駅で運転見合わせになってしまった.とってもヒマなので,昨日の背徳日録をアップした.その後のろのろと動き始めなんとか高尾までたどりついた.中央線は運転再開したようだが,大幅遅延とのこと.仕方なくJRから京王線に乗り換え,特急で快適に移動.この路線を利用するのは初めてかもしれない.天気予報は大外れと思ったら,近畿あたりまで巨大な雨雲に包まれている.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「京大そば、学生憩い40年 白壁の「私設図書館」」(2013年5月19日)※“さかみち” の上ね.

◆午後4時,つくば帰還.背徳の余韻が残りまくりで,まっとうな生活になかなかもどれない.夜になって暖かい雨がしとしと降り始めた.

◆本日の総歩数=4709歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


18 mei 2013(土)※大菩薩峠に大集結する蟲屋

◆午前5時半起床.雲間から朝日がのぞく.気温は11.7度とやや冷え込んでいる.

◆[欹耳袋]Classification Society Conference: 13-15 June 2013, U Wisconsin-Milwaukee.

◆関東甲信越小さな旅 —— 今日は大菩薩峠に立てこもる日.午前9時前につくばを出発.お昼前,JR中央線の高尾駅.下りの各駅停車は40分待ち.旨味噌チーズ焼きおにぎりと安芸菜ちりめんおにぎり(五分搗き米)を駅の売店でゲットして,各停に乗った.窓から見上げれば青空が広がっている.車内は空調オン.まだまだ続く旅路.分類 versus 系統の論議を横目に見ながら,中央線は山の中に入っていく.これからさらに一時間の乗車.山々の隙間を縫って走るJR中央線.大月を過ぎてやっと車内が空いてきた.昼下がりの日差しがまぶしい.午後1時過ぎ,甲斐大和駅にて下車.大菩薩上日川線の路線バスが次に来るのは13:50.駅のベンチで待ち続ける.外はカンカン照り.駅前には何もない.気温は25.5度.静かに暑い山間の駅で農大昆研の学生さんがうろうろしている.

◆[蒐書日誌]Ernst Haeckel『Kunstformen der Natur』(1899-1904,Bibliographisches Institut, Leipzig und Wien)のオンライン版はときどき見ていたのだが.なんと pdf で全400ページを丸ごとダウンロードできることを初めて知った(274MB).なんという迂闊にして不覚にして阿呆.しかも,昨日 Amazon.de から届いた復刻版(紙)があまりにクオリティが低いのに唖然としているという偶然:Ernst Haeckel『Kunstformen der Natur』(2013年刊行,DOGMA Verlagsgesellschaft, Bremen, ISBN:978-3-95580-064-2).こんな低品質の「紙」版で Kunstformen der Natur を出版するなよ.どれくらいクオリティが低いって,本文のフラクトゥール書体が潰れて読めないほど.心眼で読めってか?(読んでるけど).こんなことなら「電子版」のpdfを拡大した方が目の健康にははるかによろしい.いつもは「紙」本の肩を持つワタクシだが,おい DOGMA,この復刻版はあまりにひどすぎるぞ.それでも,こんな極悪復刻ヘッケル本を大菩薩峠までもってきたワタクシって.

—— 甲斐大和駅の待合室でヒマに任せてぷんぷん怒り続けるワタクシ.

◆背徳の一升瓶が転がる昼下がり —— 午後2時前,大菩薩峠に向かうバスに乗った.これからひたすら峠道を上がり続ける.半時間ほどで,大菩薩途中のペンション〈すずらん〉に到着.ここに来るのは二度目だ.途中の山道のあちこちで捕虫網を振る学生の姿がちらほらと.さすがにこんな山の中だと e-mobile は届かない.部屋にて一休み.窓の下では虫網をもって駆け回る学生多数.農大昆研ならではの光景だ.はやばやと風呂にはいってひとここち.

ふと窓の下を見れば,すでに小島センセイが “迎撃態勢” に入っている.前日から泊まって,朝から大菩薩峠を踏破してきたとのこと.金子氏と島田氏も登場.静岡から〈磯自慢〉の本醸造。薩摩酒造の〈きばいやんせ〉の一升瓶.まだ明るいんだけど背徳度はいやが上にも上昇し続ける.〈篠峯〉の一升瓶がもう空っぽ.島田さんからは九大博から出た日本産ハネカクシの目録の別刷りをいただいた:柴田泰利・丸山宗利・保科英人・岸本年郎・直海俊一郎・野村周平・Volker Puthz・島田 孝・渡辺泰明・山本周平 2013. 日本産ハネカクシ科総目録 (昆虫綱:甲虫目). 九州大学総合研究博物館研究報告, no. 11, pp. 69-218 | pdf

最初のうちは初夏の日差しのもとアウトドアでのささやかな昼ビールだったが,そのうちボルテージが上がり,奈良・御所の〈篠峯〉純米吟醸無濾過生酒「ろくまる」雄山錦を開栓.うすにごりでちょっぴり微炭酸.真っ昼間から背徳タイム.捕虫網をもった昆虫少年や虫愛ずる姫君がたちがわらわらと誘引され,一升瓶がどんどん減っていく.山間のペンションに夕暮れが近づいてきた.すでに飲んだくれているのは教員ばかりなり.夕暮れの空に半月が浮かんでいる.

午後6時から別館にてバーベキューの夕食.新潟〈村祐〉無濾過生原酒「亀口取り」を開栓.すこしおりがらみ.三重・名張の〈滝自慢〉活性にごり酒「滝しぶき」も開栓.直前まで冷凍庫に入れておいたのに噴き出す威勢の良さ.新入生の自己紹介をまじえつつ,食材もアルコールもどんどん減っていく.小島センセイが酔いつぶれたところで,気温急降下の外でキャンプファイアー.午後9時過ぎには,中に入ってさらに “不夜城” と化すのが通例だが,ワタクシは真昼間から飲み続けてダウン気味.はやばやと部屋に戻って爆睡してしまったようだ(よく覚えていない……).

◆本日の総歩数=6855歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=94.0kg(−1.4kg) / 29.5%(+0.2%)


17 mei 2013(金)※農大通りは今日も暑かった

◆午前5時前起床.昨夜の雨雲は通り過ぎ,いつもの五月晴れ.朝日が高い.気温は低く,10.9度.北東からの風が冷たい.午前8時前,つくば駅.定例都内出撃の朝.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「首相 成長戦略で目標を設定へ」(2013年5月17日) http://ow.ly/l79zD ※「国内の大学を世界に勝てるものにしたいとして、今後3年以内に、一部の国立大学の教員1500人程度を外国人に置き換える」ったって,「置き換える」はムリでしょう(キッパリ).外国人教員が増えたら,事務文書の公用語を “非日本語” にしないといけなくなるので,事務職員も同数程度「置き換える」必要がきっとありますね.外国人教員や研究者に関わる事務的インターフェース雑用を日本人教員や研究者におっかぶせてオシマイという事態は破局的だと思う.というか,日常の仕事がまわっていかないでしょ.日本人以外の教員や研究員が増えること自体は積極的であっていいんだけど,受け入れる側の組織的・事務的受け皿が貧弱だと破綻することは確実ではないかということ.

—— Togetter -「「一部の国立大学の教員1500人程度を外国人に置き換える」への反応

◆桜丘高座 —— 新宿駅で乗り換え.今朝はいろいろな路線で遅延ありまくり.でも,小田急は大丈夫だった.農大キャンパスは初夏の日差しでただただいい天気.講義室はなんだか就活な服装の学生さんがあちこちに.見渡せば「黒」が基調の教室.今日は企業説明会があるとのこと.本日の講義は,前回の正規分布の話の続き.データが正規分布誤差をもってばらつく事例をRでお見せするとともに,「確率分布曼荼羅」を広げつつ,正規分布がなぜパラメトリック統計学の世界で “無敵” なのかを説明.中心極限定理の可視化が後半の話題.実験計画法のイントロまで話した.

◆[欹耳袋]BuzzFeed Food | 27 Better Ways To Eat Ramen.「21」と「27」だけは心からご辞退申し上げたい…….しかし,今日ロッテリアの前を通ったら「ラーメンバーガー」という新商品のポスターがでかでかと.

◆[蒐書日誌]本日の車中読書:佐藤健二『流言蜚語:うわさ話を読みとく作法』(1995年3月15日刊行,有信堂高文社,東京,xii+234+x pp., 本体価格2,300円, ISBN:4-8420-6541-9 → 書評目次版元ページ)の残りの章を読了.第2章「資料の形態分析」(pp. 39-112)は,第二次世界大戦中の流言蜚語に関する資料探索の話.戦時中の海軍技術研究所には「実験心理研究部」という200名もの心理学者を擁する部署があって,軍事に関わる応用心理研究(適性検査など)に携わっていたという指摘が興味を惹く.流言蜚語に関する憲兵隊資料もその目的で収集されたとのこと.南博,宮城音弥,中野好夫らの名前が挙げられている.続く第3章「うわさ話研究の問題設定」(pp. 113-146)では,流言蜚語すなわち「うわさ話」がどのように時空的な変遷を遂げるかのメカニズムについての議論が中心.伝統的にこの種の研究には:

「うわさ話のコミュニケーションを,誤謬を含む伝達過程ととらえるところから出発した」(p. 119)

というスタイルがあったと書かれている.文字写本の系譜との類似点は多々ありそうだ.

—— 余談だが,著者のご実家は高崎市内にあった学陽書房という老舗書店.ワタクシが高崎に住んでいたときはよく利用させてもらった.

◆今日は寄り道せずにつくば直帰.都内の気温はまだ夏日にも達しないが,なんだか暑かった.午後3時前につくばに帰還した後,観音台→天王台→竹園と微小┣┣" どもを征伐し,やっと帰宅.夕暮れ時の午後5時の気温は17.0度.東寄りの涼風が吹き抜けて快適.熊に火を入れよう.今夜は,熊肉のベルギービール煮込み(第二弾)に合わせて,〈出羽錦〉の微発泡吟醸にごり酒「とび六」(本生)を開栓.以前,初めて開栓したときは「微発泡」のネーミングに油断して盛大に “噴水” させてしまったが,「とび六」はふつーに活性にごり酒でしかも密閉栓なので,開けるときはガス抜きが必須.純米酒以外はほとんど飲まないのだが,「とび六」は例外扱いということで.この「とび六」,実はボテトコロッケとかメンチカツとかカニクリームコロッケとも相性がよかったりする.

◆週末は大菩薩峠に泊まりがけで立てこもるぞ.

◆本日の総歩数=13479歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.4kg(+0.3kg) / 29.3%(−0.4%)


16 mei 2013(木)※夏日の背後からスコールが

◆午前5時起床.初夏の朝日がぎらぎら.ベランダのプランタに水をやって,お米研ぎ.気温は15.9度と高い.晴れたり曇ったりの観音台は空気がやや湿っぽい.午前8時の気温は17.7度.爽やかではないがまあまあの空模様.そのうち五月晴れの青空が広がってきた.

昨夜,自宅で今年初 “G” の出現.大きい荷物を搬入したりしたせいか.発見しだい輪ゴム狙撃で極刑に処してあげるからね. “ゴルゴ13” 並みの「 “G” 狙撃テク」を身につけているので,天井の隅にいようが,物陰に潜んでいようが,輪ゴムさえあればイッパツ.チャバネ “G” だったらふつうの輪ゴム一本でイチコロ.成虫のクロ “G” でも輪ゴムを三本まとめて狙撃すれば文字通り粉砕.ハエやハチもらくらく狙撃できる.

◆午前の┣┣" 撃ち —— _φ(・・) . ... .. . . . .... .

◆[蒐書日誌]ご恵贈ありがとうございます —— 印東道子(編)『人類の移動誌』(2013年4月30日刊行,臨川書店,京都,4 color plates + 363 + viii pp., 本体価格4,000円,ISBN:978-4-653-04195-5 → 版元ページ).国立民族学博物館共同研究の成果報告の一冊.本書は専門報告書としての位置づけで,一般向けには:印東道子(編)『人類大移動:アフリカからイースター島へ』(2012年2月刊行,朝日新聞出版[朝日選書・886],東京,ISBN:9784022599865 → 版元ページ)がすでに出版されている.

◆正午前には24.0度まで気温が上がり,初夏の日差しが照りつける観音台.いつもより短い徘徊コースから帰還.昼休みの徘徊歩き読み本:佐藤健二『流言蜚語:うわさ話を読みとく作法』(1995年3月15日刊行,有信堂高文社,東京,xii+234+x pp., ISBN:4-8420-6541-9 → 版元ページ).とりあえず,イントロの第1章「民話の対抗力」(pp.1-37)と “件” 伝説を考察した第4章「クダンの誕生」(pp.147-209)を読了.「クダンの誕生をめぐって」という見開き図(「図版5」pp., 174-175)の分類図がとてもおもしろい.著者は言う:

  • 「クダンという「霊獣」の誕生には,民俗社会に浸透しはじめた文字や印刷物メディアが深くかかわっている.そのことをなぜに民俗学は軽視しつづけてきたのであろうか.」(p. 150)

  • 「クダンは《書かれたもの》がハナシの場に幾重にか入り込んだなかから形成されてきた.まさしく口承だけを特権化してきた研究にとって,方法論的な批判をつきつける.」(p. 199)

  • 「クダンの話の誕生の核となっているのは,「如件」という文書語であること.このフレーズがもっている力,あるいはこの決まり文句を組み入れた文書文化こそが,クダンの話をささえる基礎である.人面獣身の絵図は,その件という文字の絵解きである.この怪物の形象は,声の文化と文字の文化のはざまに誕生した.その点で,これまでの民俗学における口承イデオロギーを流動化させる問題提起の素材たりうるのである.」(p. 203)

—— 「件」の出現を招いた「仍而如件」という当時の証文のエンディングは “言霊” だったのかなあ.

◆午後4時くらいからぽつぽつと雨が降り始めた.いま遠雷のような轟きが…….茨城と埼玉・栃木の境目あたりがヤバいことになっている.今日の最高気温は昼過ぎに24.6度までいったんあがったが,その後はどんどん下がって,午後5時には18度台.北東の風が肌寒い.夜,外は本降りの雨,中は今夜も熊さん.

◆本日の総歩数=7236歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.1kg(−0.9kg) / 29.7%(+0.3%)


15 mei 2013(水)※ひんやりと曇り空の観音台

◆午前5時前起床.曇り空.気温は14.0度.曇り空の向こう側に朝日が透けて見える観音台.午前8時の気温は15.1度.東風が涼しい.夏日モード全開の昨日の朝とはだいぶちがう空模様.

朝の BGM は Heitor Villa-Lobos 作曲の〈アマゾンの森(Floresta do Amozonas)〉.ぜんぜん知らなかったのだが,この曲はもともとオードリー・ヘップバーン主演のハリウッド映画〈緑の館〉(原作は岩波文庫にも入っている鳥類学者 W. H. Hudson の同名の熱帯ロマン小説)の映画音楽として作曲されたもの.その後,映画製作をめぐってごたごたがあった末に,映画音楽に使われた残りの部分を再編曲して〈アマゾンの森〉という80分もの長大な組曲になった経緯がある.Villa-Lobos にとって最晩年の曲のひとつ.全編にわたってトロピカル,ときどき Carl Orff ばりのオスティナートの連続,Olivier Messiaen みたいな熱帯鳥のさえずりがからみつく.独唱ソプラノの役回りはきっと原作のヒロイン “リマ” なんだろうな.

◆[欹耳袋]〈Heitor Villa-Lobos Website〉.ヴィラ=ロボスのこのサイトはスゴい.

◆午前の┣┣" 撃ち —— ジョルダンで時刻表チェック.甲斐大和とか飯坂温泉とか鉄路だとけっこう遠いし.中央線・甲斐大和駅まで3時間,福島交通・飯坂温泉駅まで3時間半か.甲斐大和からの帰路は時間的にゆったりしていてあえて調べるまでもないのだが,飯坂温泉からの帰路は午前10時に農大・世田谷キャンパスにたどり着くという制約条件がなかなかきびしいぞ.飯坂温泉を午前6時に出れば余裕ありまくり.午前7時だと経堂からの徒歩移動がタイヘンかも.9月末までの国内出張の「宿」と「足」をすべて確保完了.

◆正午の気温は23.1度と夏日にも届かないのに,日差しだけはやたらに暑いお昼休み.昨日は固着生活だったので,今日は徘徊を小一時間.田植えが終わった水田ではカエルの合唱が響きわたっていた.歩き読み本:塚本学『生類をめぐる政治:元禄のフォークロア』 (2013年2月12日刊行,講談社[講談社学術文庫・2155],東京,312 pp., ISBN:978-4-06-292155-8 → 目次版元ページ).江戸時代の「生類憐み令」をめぐるさまざまな文脈を解きほぐす.「御犬様」として守られる前の “犬” は直前の時代まで幕府公認だった「御鷹狩」の鷹の “餌” に過ぎなかったという話.江戸時代には犬を喰う食文化の広がりが確かにあった.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 所内外的な事務手続きでめんどうなことを企画戦略室に押し付けてしまった.もうしわけないないないないない./今年9月に開講される常盤台での統計道場の「入門者名簿」が送られてきた.修士が14名で,博士が9名.これくらいの人数が実習するときには最適規模だろう./うっかり,「日本蝶類学会」とすべきところを「日本鱗翅学会」と書いてしまった.こういうケアレスミスをなくすためにもレピ関連諸学会は “合体” してほしいな(違.

◆午後4時前にやっと25.0度の夏日ラインに到達.そろそろ西日が真横から差し込む時間帯で,ココロはすでに撤収態勢.今宵も熊を.

◆[欹耳袋]はてな匿名ダイアリー「日本酒大好き男に「どの日本酒が好き?」と訊ねられたとき、女はどう答えたらいいの?」(2013年5月15日).ほれ,何とか言うたらんかいっ! 個人的には〈新政〉の「亜麻猫」はヤバい.

◆本日の総歩数=10582歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=96.0kg(+0.4kg) / 29.4%(+0.4%)


14 mei 2013(火)※背徳の翌日は贖罪の翻訳を

◆午前5時過ぎ,うう……から這い上がる.初夏の青空が広がる観音台.午前8時の気温はすでに21.2度まで上がり,夏日はもちろん,真夏日の予感ありまくり.

◆[蒐書日誌]前橋重二『レオナルド・ダ・ヴィンチ:人体解剖図を読み解く』(2013年4月20日観光,新潮社[とんぼの本],東京,126 pp., ISBN:978-4-10-602243-2 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]形態測定学関連講演アーカイブス:日本生態学会第60回全国大会自由集会 W04 2013年3月5日〈道具としての「形態測定学」:形態測定学でどこまでやれるか〉.講演要旨とスライドが公開されている.

◆お昼前,気温はすでに夏日ライン越えの26.1度.窓越しに外を見ると日差しもかなり強そうだし,今日の昼休みは徘徊自粛かな.外は26.8度のカンカン照りだ.日焼けしそう.静かなお昼休みは居室にて過ごす.

◆本日の┣┣" 撃ち —— _φ(・・) . ... . .. . . ... . . ... .. . .. .

◆[蒐書日誌]新しい本棚が自宅に搬入されたので,何年も積み上がったままの本の山をちょっとだけ整理していたら,奥の方から:木原浩勝・中山市朗『新耳袋:あなたの隣の怖い話』(1990年9月5日刊行,扶桑社,東京,334 pp., ISBN:4-594-00629-9)が切り裂かれた表紙にくるまれて転がり出てきた.もともとは真っ白な新刊だったのだが,何度か読んでいるうちにいやな汚れ方が目立つので,そのつど本の山の向こうに放り投げるのだが,いつの間にかまた目につくところに “いる” .メディアファクトリーから復刻された(毒抜きされた)版とは別次元の原本.怖い系の本は嫌いではないんだけど,扶桑社版の『新耳袋』はあまり気軽に読んではいけないね.今も横に “いる” けど,ページを開くかどうか逡巡ちう.やめといた方が身のためか.松谷みよ子(編)『現代民話考(全12巻)』(1985年〜1996年刊行,立風書房|2003年〜2004年ちくま文庫から復刊)を読むと,『新耳袋』の祖型のような怪談話が見つかる.現代民話や都市伝説にも系譜があるのだろう.小松左京の短編「くだんのはは」に出てくる〈件〉みたいな地域限定ローカルな怪談話・都市伝説は背景はおもしろいかも(怖いけど).

◆本日の最高気温は午後3時過ぎの28.6度.夕刻の今は東風が吹き抜け涼しくなってきた.湿度が低いこの季節は快適度マックスかも.

◆[欹耳袋]Togetter -「数学は何のため?」 / 「(続編)数学は何のため?」 /「(その3)数学は何のため?」.個人的体験を振り返ると(1973年高校入学),前年度までは複素数・複素平面があったが,ワタクシの年度からその代わりにベクトル・行列が入った.当時の数学カリキュラムは “移行措置” という名目で内容が流動的に変わりつつあったようだ.

◆本日の総歩数=1904歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.6kg(+0.8kg) / 29.0%(−0.7%)


13 mei 2013(月)※夏日の夕暮れはビール三昧

◆午前5時すぎ起床.霧筑波.遠景が真っ白に濁って何も見えない.朝日も山も将来も.気温11.3度.早朝の霧筑波はそのまま曇り空に引き継がれ,ときどき霧雨が降る観音台.午前8時の気温は11.9度と肌寒い.居室の窓を全開放.湿った冷気を充填する.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 秋の高座ひとつ - 日本鱗翅学会バタフライズ・フォーラムにて噺をば:三中信宏「分類と系統を視覚化する:生物多様性のヴィジュアルな理解に向けて」@神田・日本教育会館,2013年11月23日(土)15:00〜17:00./秋の高座もうひとつ - 日本昆虫学会第73回大会・昆虫分類学若手懇談会企画〈分類学の過去・現在・未来[仮]〉:三中信宏「昆虫分類学若手懇談会の40年にわたる歴史から見えてくる展望」@,北海道大学農学部(札幌) ,2013年9月15日(日).要旨書いた./沖合いに巨大な┣┣" が一瞬だけ見えたのだが,押し寄せてこないことを祈るのみ./ある学会の講演要旨にうっかり「惣菜の大いなる連鎖」と書いて送ってしまい,笑いが止まらない.

◆晴れところどころ大きな雲が浮かぶ観音台は,正午前には19.8度まで気温が上がり,日差しがまぶしいほど照りつける.週明け徘徊タイムはいつもよりも短縮コースで一回り.ツバメとキジとヒバリが主役の集落を縫って農環研に戻る.

◆[欹耳袋]〈全国方言分布調査プロジェクト FPJD〉.

◆[蒐書日誌]アーサー・O・ラヴジョイ[内藤健二訳]『存在の大いなる連鎖』(2013年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・ラ-10-1],東京,643+ ix pp., 本体価格1,700円,ISBN:978-4-480-09536-7 → 目次版元ページ)と同時に発売された「惣菜の大いなる連鎖」はもちろんゲット:岡田哲『たべもの起源事典・日本編』(2013年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・オ-20-1],東京,806 pp., 本体価格2,200円,ISBN:978-4-480-09523-7 → 版元ページ)は実に800ページ超の分厚さ! ちくま学芸文庫,なかなかやるやん!

◆[欹耳袋]Togetter -「質疑応答なのに自分語りを始める人。あるあると有効な対策。」 ※ワタクシたちの業界は最近は静かになったねえ.かつては大会委員長が警察に対応の相談に行くだの,学会長がとぐろを巻く某氏に講演会場で叱責するだの,学会としての退会処分規約をわざわざ設けるだの,数々の大立ち回りがあったけれど(要するに “同一人物” なんだけど).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 先週からの積み残し┣┣" (所内電気機器調査票)を提出./統計教育質保証委員会の提出資料に関する質問メール発射.統計教育質保証委員会に提出する農学・生態学・進化学分野の “叩き台” をつくるという┣┣" が出現./今月末の東大見学旅行の所内手続きを完了.あとは,当日夜の筑波事務所での歓迎会用の “バクダン” を大量に調達するという最重要任務が残っている./昆虫分類学若手懇談会シンポジウムの講演要旨を発射.2000字ほどの分量になった.若手懇談会の規約では正会員たる「若手」とは「満40歳以下」なので,ワタクシはとっくの昔に「非若手」の賛助会員なんですけどね.

◆本日の最高気温は24.7度と夏日ラインに達していないはずなのに,西日が差し込む居室はそろそろ忍耐限界を越えそう.

◆初夏の夕暮れは背徳ビール呑み —— 午後6時半,夕闇迫る天久保の〈三浦飲食堂〉に集結する10名あまり.ビールビールビール! まずは,乾杯のエーデルワイス・スノーフレッシュ.そのあとはイクスイクスビター,デ・コーニンク,パウエル・クワック,そしてロシュフォール10と切れ目なし.うう…….

◆[欹耳袋]中村仁美「国際ダブルリード協会(IDRS)より、鵜殿ヨシ原保全を支持する檄文(「パイパース」2013.5月号より)」(2013年5月10日)※国際 “二枚舌” 協会が篳篥のために保全生物学に乗り出した!/伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ「あすか幼稚舎 ショスタコーヴィッチの編曲は矢澤先生」(2013年5月7日)※来年の選曲はワーグナー〈ニュールンベルクのマイスタージンガー〉みたい(驚愕)

◆本日の総歩数=15141歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.3kg) / 29.7%(+0.3%)


12 mei 2013(日)※新緑と薫風と麦酒と熊肉と

◆午前7時前,のろのろ起床.雨降りまくりの昨日とは一転して朝日がまぶしい初夏の青空が広がっている.昨日の最高気温は16.1度.今朝はすでに15.0度まで上がって夏日の予感が.昨日の上州ミッションの後始末をつくばでつける朝.大きな物資がいくつも搬入されて,おうちの中は上を下への大騒ぎ.外はとてもいい天気で,イベント日和.しかし,午前中はそれどころではない.

◆休日の┣┣" 撃ち —— 今年秋の数理統計研修(基礎編・応用編)のカリキュラム案が事務局の農研機構から提示された.そのうち白羽の矢が無慈悲に放たれることになるだろう./某誌特集案を提示される.をを.書かせていただきます./残務┣┣" は週明けもちこしかー.

◆[欹耳袋]Søren Wichmann - The ASJP World Language Tree of Lexical Similarity [pdf].今年2月にみんぱくでご一緒した進化言語学者.

◆背徳ビール昼下がり —— 初夏の顔つきの青空と白雲.午後2時前の気温は25.4度まで上昇.こういうさわやかな夏日には薫風に吹かれてビールを呑むしかない.つくばセンターでの〈つくばフェスティバル〉にて,真昼間の樽生ギネスをば.暑い・うまい・気持ちいい.

◆[欹耳袋]Togetter -「西洋史若手研究者問題アンケート調査報告会」 —— 学会の数はすでに多すぎるので,適宜減らしていくのが現実的.類似学会は(よほど “こだわり” がないかぎり)ひとつにまとめて,学会役職数を減らすのが世のため人のため.ただし,お金にからむ問題とか社会的インパクトの点では,学会という組織は「ないと困る」ことも確か.「若手ではない世代」が学会組織を中心的に支える義務があると思う.学会とマンパワーの問題は「研究者コミュニティの「限界集落」化について」と「研究者コミュニティの「限界集落」化について(続)」 に書いた通り.学会や研究者コミュニティーがどのような経緯と動機でつくられたり分裂したりしたかの「系統発生」をたどれば,今後も現状を維持すべきかどうかの判断基準になるかもしれない.なお,学会大会に参加しないことが「罪悪」とみなされるのは,ワタクシが知っている自然科学系の学会では昔からありえない.何十年も学会に行かない猛者は数知れず.

◆今夜も夕餉は熊さんを.ベルギービール煮込みはさらにまろやかになっていた.

◆本日の総歩数=3509歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(+0.5kg) / 29.4%(−0.4%)


11 mei 2013(土)※雨降り上州箕郷ミッション

◆午前5時過ぎ起床.曇り空.気温14.2度.早朝の雲がだんだん晴れて,薄日が差してきた.しかし,予報では下り坂.雨になるらしい.気温は15.4度.午前9時,霧雨が降り始めた.長距離移動には歓迎されざる空模様.

◆雨の日帰り上州ミッション —— 昼過ぎにつくばを出発.雨はしだいに本降りになってきた.常磐道から北関東道に入り,高崎に向かって雨の中をひた走る.ゴールデンウィーク直後の週末のせいか,高速道は快適な空き方.午後3時過ぎに上信越道の藤岡インターで下に降りる.休む間もなく榛名山に向かい,箕郷某所にてミッション従事.一時間あまりでミッション終了.夕暮れの榛名山中腹に冷たい雨が降り続く.午後6時半,高崎を出発.逆コースでつくば直帰.午後10時前に桜土浦インターを降りる.雨に煙る上州ミッションはつつがなく終了した.本日の全走行距離は400kmあまり.

◆[蒐書日誌]持ち歩ける “存在の大いなる連鎖” —— 昨日,経堂にてやっとゲットした:アーサー・O・ラヴジョイ[内藤健二訳]『存在の大いなる連鎖』(2013年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・ラ-10-1],東京,643+ ix pp., 本体価格1,700円,ISBN:978-4-480-09536-7 → 目次版元ページ).観念史の金字塔:Arthur O. Lovejoy『The Great Chain of Being: A Study of the History of an Idea』(1936年刊行,Harvard University Press, Cambridge).今回文庫化された元本は1975年に晶文社から出版された:アーサー・O・ラヴジョイ[内藤健二訳]『存在の大いなる連鎖』(1975年12月20日刊行,晶文社,東京,400+vi pp.).38年ぶりの復刊.しかも文庫本で.巻末に新たに付された高山宏による文庫版解説「この「鎖」,きみは「きずな」と呼ぶ」(pp. 633-643)をめくっていて,下記箇所を発見して狂喜:

「以上全ての本に致命的に書[欠]けているヴィジュアル資料は,これはまた驚くばかりに総覧させてくれる近来の奇書として三中信宏『系統樹曼荼羅』を心から推輓しておこう」(p. 642)

—— 日帰り上州往復でほとんど尽き果てていたパワーが復活した.今夜は心地よく寝られるぞー.\(^o^)/

◆本日の総歩数=6646歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.9kg) / 29.8%(+0.6%)


10 mei 2013(金)※熊の熊による熊のための宴

◆午前5時前起床.くっきり日の出.すっきり青空.前夜の熊肉料理に火を入れて(ベルギービール煮込みとガツの根菜煮込み),背ロースに塩胡椒の下準備だん.気温11.3度.冷え込んだ昨日や一昨日よりも高い.ごはんがもうすぐ炊き上がる.

◆午前8時前,つくば駅.定例経堂出撃日.午前7時の気温は17.0度まで上がっている.初夏の空の表情.午前9時,新宿駅.都内はすでに25.3度と夏日ラインを軽やかに突破している.農大キャンパスも日差しが眩しい.早めに講義室へ.本日は,前回のパラメトリック統計学の続き.データの「ばらつき」の数値的把握と「分散」概念の導出を中心に,確率分布のふるまいについての説明.けっきょく,正規分布のイントロに入ったところで時間切れ.来週は正規分布がパラメトリック統計学の世界で,いかに “ネ申” であるかを話す予定.

◆[欹耳袋]ストップウォッチ〈Online Stopwatch〉.フルスクリーン版は学会やシンポジウムの座長席で使えるかも.

◆都内の正午前の気温がすでに28.5度まで上がっている.都内暑すぎる.午後4時,つくばっく.都内よりも有意に涼しくて快適.

◆[蒐書日誌]鹿児島大学総合研究博物館・本村浩之〈出版物ダウンロード〉 —— 『鹿児島県三島村― 硫黄島と竹島の魚類』,『Fish collection building and procedures manual』,『Fishes of of Terengganu – East coast of Malay Peninsula, Malaysia』,『Fishes of Yaku-shima Island – A World Heritage island in the Osumi Group, Kagoshima Prefecture, southern Japan』,『魚類標本の作製と管理マニュアル』,『Threadfins of the world (family Polynemidae). An annotated and illustrated catalogue of polynemid species known to date』.魚類に関する以上の書籍がpdfで公開されている.なかなかゴージャス!

◆[欹耳袋]読売オンライン「「頼りない」上司の教授に辞職強要、准教授訓告」(2013年5月10日).「を!」と思ったら,北の話ではなく西の話だったか(つまんない)./SankeiBiz「ストーリーテリングな科学雑誌Nautilusが創刊」(2013年5月7日)/茨城の蔵元「須藤本家」が「1141年創業」ということはオクスフォード大学の開学とほぼ同じ時期.

◆厨房で熊の肉が踊っています —— 貴重な熊肉をいただいたので,さっそく厨房でごそごそする.熊喰う夕餉.本日の熊さん料理は次の三つ:

  1. 熊ガツの根菜煮込み:熊のガツ(胃)はあらかじめ湯がいてあるのをいただいた.切り分けた熊ガツを牛蒡・人参・蒟蒻とともに酒・味醂・醤油・和山椒でじっくり一昼夜煮る.青ネギはハーブとして使用.こりこりした歯ごたえ.じっくり噛み締めて味わう.
  2. 熊ロースの焼肉:たっぷり脂の乗った背ロースを薄切りにして,岩塩と黒胡椒を振ってからフライパンでさくっと焼く.いつもの牛や豚とはぜんぜん違う味わい.Simple is best.白い脂がうますぎる.ああ野獣.
  3. 熊肉のベルギービール煮込み:熊肉塊は大ぶりに切り分けて,しっかり塩胡椒する.厚手のフライパンでしっかり焼き目をつける.新玉葱(大3個)を薄切りにして,厚手のシチュー鍋に無塩バター100グラムを溶かし,きつね色になるまで一時間ほど炒める.熊肉を投入してからめる.
     次がポイント.シチュー鍋にベルギービール「Gouden Carolus Classic」を惜しげもなく3本どぼどぼ注ぎ込む.ヘット・アンケル醸造所が誇るこのビールを料理用に使うのは気が引ける(けっして安くはないし).しかし,ここでケチってはいけない.ベルギービールこそ熊肉を制覇するのに必須.日本のビールはどれもこれも苦すぎるので,けっして使ってはいけない.この「Gouden Carolus Classic」かあるいはヒューガルテン醸造所の「禁断の果実(De Verboden Vrucht)」を用いること.
     ベルギービールを注ぎ込んだら,一昼夜ごく弱火で煮こみ続ける.さしもの熊の肉塊もベルギービールにめろめろに籠絡されてほろほろと煮崩れるまでになる.牛肉よりは筋繊維がはるかに丈夫なので時間はかかるが,できあがりは絶品.調味は塩胡椒のみ.それ以外は何一つ必要ない.風味づけはすべてベルギービールにおまかせ.新ジャガのマッシュポテトを付け合わせにして盛りつける.これでできあがり..

熊には鶴.新潟の〈鶴齢〉特別純米山田錦おりがらみを開栓.うっすらかすんで熊さんを包みこむ.さすがに一升瓶なので空っぽにはならない.今夜は熊さんに感謝また感謝.やっぱりジビエはぜんぜんちがう世界であることを実感.熊でも猪でも鹿でも流通すればもっと食べてあげるのにねー.

◆[欹耳袋]irorio「SNSで食べ物に関する内容ばかりアップしている人は心理的な問題を抱えている可能性あり」(2013年5月9日→元記事)とか言われるのか.それがどーしたという感じで華麗にスルーする.

◆明日は日帰り上州ミッションだが,雨になるとの予報.

◆本日の総歩数=13128歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(−0.6kg) / 29.2%(−0.6%)


9 mei 2013(木)※からりと暑くて初夏の到来

◆午前5時前起床.今朝も晴天,昇る朝日がまぶしすぎる.気温は6.1度まで下がっている.冷え込む明け方.氷温室安置の熊肉は静かに寝ている.熊の相手は後回しにして,朝餉のしたくを.観音台は今朝も五月晴れの青空.午前8時の気温は16.4度と,昨日の同時刻よりも5度も高い.日中は夏日ラインを越えるとの予報.今日こそは正しく昼休み徘徊しないとよくない.

◆[欹耳袋]日経Bizアカデミー「女性社員のための「犠牲」はもう御免:「母性保護」の陰で過酷な業務を強いられる社員たち」(2013年5月8日).ああ,単なる誤爆ね.攻撃の矛先は誤った人員配置を続けている会社にこそ向けましょう.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 東大農学部の農環研見学に関する所内手続き. “見学” ではダメで, “研修” にしなさいとの御下命あり.単なる一括変換ですむことには文句はつけないのだ.

◆[欹耳袋]RengeJibuの日記「米国の研究者母のぼやきから学ぶこと」(2011年10月12日) と「米国のパパ研究者が「書くこと/書かないこと」から分かること」(2011年12月7日).おなじ研究者による子育てでも母親と父親の “視点” のちがいがあることが指摘されている.個別論に目が行く母と一般論をしたがる父.

◆カンカン照りの昼休み徘徊だん.正午前に23.3度まで気温が上がり,南風に乗って暖気が観音台を包み込む.つばめの姿が目につく.小菅桂子『カレーライスの誕生』(2013年3月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2159],東京,244 pp., ISBN:978-4-06-292159-6 → 版元ページ)歩き読み読了.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「源氏香の樹形図」.香道の「源氏香」は五つの香りを比べ,同じ香であるかどうかを競う.源氏香の「図」は5本の縦棒を並べて同じ香を横棒で結ぶ.源氏香は五つの比較だが,類似する「系図香」では四つ,「三種香」では三つの間での同様の比較をするという.これら香道の “樹形図” の場合の数は単純な組み合わせ数の計算ですむが,この樹形図はイメージ的には系統推定の合意樹(consensus tree)にそっくりである.

◆[欹耳袋]日本経済新聞「大学で「妊活」講座盛況 妊娠・出産学び人生設計」(2013年5月8日) —— 「設計通りに人生は進みません」とか「悔いのない人生なんてありません」という講義もぜひあるべきだ.「計画通り」に「悔いのない」人生を送ってきましたといえる人がどこにいる? そんな遠大な “プランニング” に時間をつぶすぐらいだったら,どうやればその場その時の “ティンカリング” がちゃんとできるかを考えた方がはるかに実用的でしょう.「人生のプランニング」ではなく「人生のティンカリング」をぜひ! 偶然の積み重ねや運不運の蓄積をうまく使いこなすということ.そのための複数の選択肢が用意されている社会であるかどうか.Cf. Sandwalk | Evolution as Tinkering | 5 February 2008.元論文はもちろん François Jacob 1977. Evolution and Tinkering. Science, 196:1161-1166. François Jacob の言う “bricolage” って確かに重要.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 今日が提出締切の「電気機器老朽化調査」を今になってやり始めている.もっと事前プランを立てて余裕をもってやりゃあいいものを,いつもドロナワの “ティンカリング”.いちおう25.0度の夏日ラインに達した昼下がり. “ティンカリング” ははてしなく続くのだった.

◆夜は夜で「熊料理」の続きでへとへと.

◆本日の総歩数=12674歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.5kg(+0.1kg) / 29.8%(−0.2%)


8 mei 2013(水)※夜陰に乗じて着弾する熊肉

◆午前5時前起床.朝日がぎらぎら.日の出がどんどん早くなっている.今朝は冷え込みが強くて1.7度と冬に逆戻り.大陸的な気温の変わり方.ここのところ安定した五月晴れの日が続いていて,今朝も真っ青な空が広がる午前8時の観音台.放射冷却と寒気の南下で今朝は季節はずれの寒さだったが,今は11.9度まで上がってきた.居室に冷たい北風が吹き込む.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 今日も翻訳を進めるしかない……./無茶振りされた原稿依頼にかぎって「書いてやる気」が充満する心理現象に名前をつけてほしい. “充満の原理” か./農環研の新しい組織図を探索するため,ガルーン内を小一時間ほど探し回っているのだが,ぜんぜん見つからず,そろそろいやになってきた.だれがどの役職にいるのかわからないので途方に暮れている.要するに担当者不明ということ.時間のムダ./夏の京都ではやっぱり鱧をいただくしかないかな.あ,あと「ゆか」ではなくって「とこ」もよろしく.※何しに行くねん.

◆[蒐書日誌]塚本学『生類をめぐる政治:元禄のフォークロア』(2013年2月12日刊行,講談社[講談社学術文庫・2155],東京,312 pp., ISBN:978-4-06-292155-8 → 版元ページ).元禄時代の人獣交流史に新しい光を当てているらしいので期待.

◆[欹耳袋]日本基礎心理学会フォーラム〈閉じられたANOVAとその先:心理統計の現状と将来を考える〉.2013年5月18日(土)14:00〜16:30@慶應義塾大学三田キャンパス.演者は南風原朝和と岡田謙介.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 引き続き翻訳し続けるごご.居室カンヅメなう.外は20度の徘徊絶好日和だったんだけど……./農環研の「組織図」をとなりの農研機構から送ってもらうという摩訶不思議な昼下がり./方々からワルダクミへのお誘いが舞い込んでうはうはしている.アカデミックな場での “興行” はいつでも楽しい./昨年から重い鎖を引きずり続けた『行動科学辞典』.今度こそ撃ち果たしたと宣言したい(んですけど……).

◆[欹耳袋]Willi Hennig 1950 巻頭言「Citius emergit veritas ex errore quam ex confusione」.Francis Bacon の Novum Organum の「II:xx」ですかそーですか(岩波文庫を引っ張りだしてもしかたがなかった)./Lars Brundin 1966. Transantarctic relationships and their significance を書棚から引きずり出す.確かに “論文” だけどA4版500ページもあれば認知的には “本” と言うべし./クラディストは「ゾンビ」で,ヘニック・ソサエティは「ゾンビ軍団」か

◆午後5時を過ぎても気温は20度を越えているが,涼しい北風が吹いていて心地よし.今日は早めに撤収して自宅なう.存在の大いなる連鎖はまだつくばには連結されていないようでちょっとさみしい.代償行為としてレオナルドの解剖図集を手にしてみる.古い重い “存在の連鎖” があるので,わざわざ軽くて持ち運びやすい “鎖” を買う必要はないのかもしれないけど,付加価値があったりすると気になって安眠できなさそう.

◆熊肉が届く夜 —— 来週早々の「つくばビール溺死の会」参加者名簿が夜陰に乗じてそっと届けられた./ほぼ同時に「夜,熊肉お届けします」DMも着弾.熊を喰ってパワーアップしよう!/Amazon.de から「Ihre Bestellung von "Kunstformen der Natur" und "Goethes Stammbäume: Eine genealogische Darstellung" wurde versandt!」通知あり./午後10時前,熊肉着弾.しっかり脂が乗った背ロース,他の部位,そしてガツ(胃袋).とりあえず氷温室へ直行.調理レシピをこれから確認して明日から調理開始だ.熊肉料理に慣れているシェフのみなさま,ぜひこれは!というレシピをご教示プリーズ.背ロースは塩胡椒してさっくり焼くのがいいと聞いた.残りの部位は予定通りスティファドかな.ガツは濃い目の煮込みにしようかな.熊さんのお肉は総量にしてゆうに1.5kgを越える分量があるので,調理のしがいがあるというもの.熊肉料理に合う日本酒ってな〜に?(未体験ゾーン)熊肉が到着してがぜんボルテージが上がってきたぞ./なんかこう「あちこちいろいろ動き始めた感じ」がとてもよろしい.

◆本日の総歩数=1931歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.4kg(+0.6kg) / 30.0%(+0.2%)


7 mei 2013(火)※五月晴れは今日も続くのだ

◆午前5時前起床.連休明けはいつものお米研ぎから.五月晴れ.気温は11.3度.北寄りの風が冷たい.雲ひとつない青空が広がる観音台は涼しい北風が吹きわたる.午前8時の気温は15.2度.連休明けのせいか通勤時間帯の道路が混雑していた.このあたりの田植えは連休中にすべて終わったようで,田んぼに規則正しく植わった小さな苗が風にそよいでいた.居室の窓を全開放すると北風が寒すぎるかも.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 今月の農環研不在届を耳を揃えて提出.5月は7割以上も農環研に実在する稀有の月間.ただし,週末ごとに榛名山に登ったり,大菩薩峠に立てこもったり,ひょっとして洛南ミッションが入ったりする.初夏はやっぱりアウトドアですな./Society of Systematic Biologists 2013 Election 投票だん.Council Member 候補がいずれも若いのにびっくり.Ph.D.取得が2005年とか2007年だったら30代前半.この世代が学会を仕切れば前進するでしょ./三田に履歴書と研究業績リストを送信.難攻不落の鉄壁図書館がコワい.荒俣コレクションを制覇したいのだが,なんせ鉄壁のディフェンス司書さんたちがいらっしゃって.アメフトのディフェンシヴ・ラインのように阻まれる…….初めて鉄壁図書館に攻め込んだときは,三田のセンセイを同伴してと画策したのだが,「貴重書庫入室はおひとりさまにかぎります」と冷たくさくっとリジェクトされて敗退.ソコヂカラの差をまざまざと見せつけられた.

◆濃青の青空に綿菓子のような雲が点々と浮かんでいる.昼休みの気温は18.9度まで上がり,日差しも紫外線も強い昼休み.連休明け最初の徘徊タイムは風こそ涼しかったがきついきつい.田植えが終わった水田では早くもアメンボが滑走していた.本日の歩き読み本:小菅桂子『カレーライスの誕生』(2013年3月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2159],東京,244 pp., ISBN:978-4-06-292159-6 → 版元ページ).日本のカレーライスは福神漬とセットになって初めて広く普及したそうな.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 農大高座のしたくをちょいと.毎週の定例講義とまとめた集中講義のどっちがラクかどうかと言われれば,即答はできない.それぞれ一長一短があるので.毎週定例講義のいいところは,たとえヘマをしても次回に挽回することができる点.のりしろがあるのでラク.欠点は遠隔地キャンパスに往復する時間とエネルギーの負担.90分授業のために往復5時間とか.集中講義のいいところはとにかくかためて詰め込めるところ.欠点はミスが許されない( “次” はない).だから,事前の仕度と段取りのイメージトレーニングが必要.あと,受講生がへばってくるのでそのつど救命措置が必須./計量生物学会年会プログラムが「紙」で届いた.飯坂♨学会のプランを練らないと!

◆今日の最高気温は正午過ぎの18.9度と20度にも達しなかった.日差しに当たれば暖かいが,風は心地よく冷たかった.今夜はぐんぐん冷え込んで明朝は霜が降りるかもという予報.今夜は〈ホワイト餃子〉をアテに秋田醸造〈ゆきの美人〉純米吟醸活性にごり酒を! 威勢をつけないと安眠できない.ぶくぶく〜♫•*¨*•.¸¸♪ (すでに空っぽなんですけど)

◆[欹耳袋]本日公開:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第9回 「統計モデルとは何か:既知から未知へ」.今回は統計モデルをめぐる認知心理の話です./〈生物統計学 | Rで統計解析,グラフの作図や調整,生物統計の入門と応用〉/自分のために書いた本にそれなりの値段が付いて巷で売られているのは,ありがたいというよりも,なんだか申し訳ないような.

◆本日の総歩数=10134歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.7kg) / 29.8%(−0.1%)


6 mei 2013(月)※頭上を通り過ぎる大型連休

◆背徳の一夜が明け,午前7時過ぎにのろのろ起床.ワインの飲み過ぎは破壊力がある.カーテンを開ければすでに朝日がさんさんと降り注ぐ五月晴れの青空が広がっている.嗚呼,灰になる灰になるぅ〜.午前10時の気温は21.0度.今日も爽快な南風が吹き抜ける.

◆_φ(・・) .. . .. . . . . ... . . . .. ... .

◆[欹耳袋]NAVERまとめ「新潮社の校閲すごいっ!校閲のプロの仕事っぷりが話題」 —— 出版社の「校閲部」は論文査読者と同格だと思う.講談社現代新書を書いていたときも,担当編集者から「では,校閲にまわしますね」と言われるたびに震え上がったものだ.生年月日とか歴史的年代のチェックはもちろん,全体を通じての齟齬のチェックなどなど “神査読” は悪魔のように綿密だった.つい先日,原稿を戻した慶應義塾大学出版部の校閲も神がかっていて,講義のテープ起こしの原稿やスライド資料から中世写本の出典をたどったコメントがずらりと.「九世紀にはフランス語は存在しなかったので,該当フランス語表現は修正して」とかほとんど魔王.校閲部とバトルするためには,執筆者は決死の覚悟と周到な準備が必要.ほとんどの場合,執筆者側に勝ち目はないから.原著論文に対するレフリーコメントへの投稿者による “反撃” を思い起こせばいい.論文査読者は生身の “人間” だが,校閲部は天上の “神” である.

◆_φ(..) . .. . ... . . . .... . .. . .... . . . .. . .

◆[欹耳袋]慶應義塾大学文学部極東証券寄付講座〈文献学の世界:世界を収める/読み解く1冊の本〉リレー講義のスケジュールが送られてきた.ワタクシの講義担当日は10月11日(金)午後4限と決定.履歴書とか業績リストを出さないといけないらしい.三田の講義では,かの鉄壁図書館の貴重書庫から講義題材本を借り出せるらしいので楽しみではある.できれば,書庫内を見せてほしいんだけど,鉄壁の防護壁で守られていることは過去の経験でわかっているのでムリはしない.うっかり貴重書庫に迷い込んで,薄暗がりで紙を食べている怪人でもいた日には生きて戻れなさそう.

いずれ農環研に三田からの出張依頼書が届くだろう.以前なら,「どうして “文学部” なのか?」とか訊かれたにちがいないが,最近は農環研もオトナになったようで,そういう無粋な質問はなくなった.それとも単にワタクシが “治外法権化” しているだけなのか.いいこともあればワルいこともある.ひとりにしておいてくれるのはたいへんありがたく,「霞ヶ関に行け」とか「奉公してこい」とかいう転勤異動の話はいまだかつてない.いまはもっと世知辛くなったようだが,昔の選考採用で入ったわれわれの世代の “国研” 研究員はそういうコースもありだった.

ワルい側を言うなら, “おひとりさま” でずっと稼業を続けていくわけなので,どうしても所内的には「少数派の悲哀」を味わうことになる.表看板の統計学とかいま流行りのバイオインフォマティクスなんてのは,既存の研究機関のなかでは “周辺” にほかならない.かつて農水省の旧国研で “情報” とか “IT” がもてはやされたとき,各試験場に「情報処理研」と名のついた研究室がいくつもできた.しかし,しょせんは農水省的には “周縁” のテーマだったようで,その後の組織改革でどんどん消えていった.だから,周縁的なテーマで「おひとりさま」を続けるというのはちょっとした覚悟が必要で,目安で言えば「50歳」になるまでサバイバルできれば,あとは “治外法権” とみなされる.ワタクシの場合は例外的に “不可触” だったのかもしれないけど.

研究者は「50歳」になるまでなんとしても生き延びろということ.

◆夕方,西の方角から妖しい雲が接近.一年前の今日,つくば市北部を竜巻が通り抜けた.雨ぽつぽつ降ってきたが,すぐ止んで夕陽がまぶしい.

◆_φ(。。) .. ... . . ... . . . . . .... .. .....

◆明日からまた農環研の “結界” に戻っていくワタクシ.

◆本日の総歩数=5916歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.7kg) / 29.9%(0.0%)


5 mei 2013(日)※こどもの日は立夏の祝宴日

◆午前5時半起床.五月晴れ.朝日がまぶしすぎる.気温7.7度.つくいち日和.午前9時すぎ,月イチの〈つくいち〉に出撃.気温17.9度.好天.今日は天気がよすぎて〈つくいち〉はどの店も長蛇の列.今日は人出がいつもより格段に多い.昨年は竜巻がつくばを襲った〈つくいち〉だったが,今年はぽかぽか陽気. スガヤコーヒーにて「ポークビンダルー」ゲット.気温はもうすぐ20度に達する.

◆[欹耳袋]Nature 捏造疑惑論文をめぐる Robert Trivers 騒動. —— The Chronicle of Higher Education | Prominent Scholar Was Banned From Rutgers Campus | 3 May 2013.Trivers 自身がこの捏造問題に関して本:Robert Trivers, Brian G. Palestis, and Darine Zaatari『The Anatomy of a Fraud: Symmetry and Dance』(2009年刊行,TPZ Publishers,ISBN:978-0615287560 → pdf [open access] )まで出版していたとは.今回は大学からロックアウトされることになったが,Trivers さん,双極性人格障害と自覚しているらしい.

◆初夏の日差しが強まってきた昼下がり.正午過ぎの気温は22.2度まで上がってきた.二宮から洞峰に抜ける “けもの道” づたいに〈Coffee Factory〉へ一直線.〈モルゲン〉は立錐の余地なしの混雑.洞峰公園を一周りして帰ってきた.歩き読み本:小菅桂子『カレーライスの誕生』(2013年3月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2159],東京,244 pp., ISBN:978-4-06-292159-6 → 版元ページ).カレーライスの三種の神器である「玉ねぎ・じゃがいも・にんじん」が出揃うまでの経緯が興味深い.明治時代のカレーライスは玉ねぎではなく和葱を使っていたとのこと.

◆[蒐書日誌]自宅の本棚を見渡していたら,隅の方に:宮下志朗『本の都市リヨン』(1989年12月20日刊行,晶文社,東京,446+xxiii pp., ISBN:4-7947-5861-7)が鎮座していた.二段組で450ページを越える大著なのだが,フシギなことに読んだ記憶がまったくない.本のようすからみて,途中挫折ではなく開きもしなかったようだ.研究室や自宅で何十年も経ってから “再発見” される本がときどきある.購入→積ん読→行方不明→堆積岩化→変成岩化→発掘という運命をたどる本たち.同じ宮下志朗の本でも『読書の首都パリ』(1998年10月22日刊行,みすず書房,東京,344 pp., ISBN:4-622-04660-1 → 版元ページ)はちゃんと最後まで読了したのに.縁がなかったということか.

◆[欹耳袋]Togetter -「女性手帳のナンセンスぶりについて」.男性手帳はもちろん学部生手帳・院生手帳・ポスドク手帳・助教手帳・独法研究員手帳 etc.

◆祝宴 —— 午後5時前TXで一駅乗って隣りの研究学園駅へ.ホテル・ベストランドの一階にあるイタリアン〈ラ・ポルタ〉にて研究所同僚の入籍祝いの宴席.ワイン呑みまくり.午前9時すぎ,健康的に帰宅したが,うう…….

◆本日の総歩数=16454歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=94.8kg(+0.2kg) / 29.9%(0.0%)


4 mei 2013(土)※こつこつ刻み続ける二日目

◆午前5時前起床.雲間から日の出.気温7.0度.ワタクシも酒学旅行したいなあ.午前10時前,明け方広がっていた雲はもう消えて,いまは五月晴れ.高層階を吹き抜ける風が爽快この上なし.気温は14度台まで上がってきた.

◆[欹耳袋]GradPay —— アメリカの大学院生はいくら給料をもらっているのか?  現時点で150大学1500名のデータが蓄積.平均は年収2万ドルだが分散が大きい.最低はゼロ,最高は4万ドル超.

◆_φ(..) .. . . ... . ... .. . . . .. . .... . . . .

◆[蒐書日誌]三中信宏『生物系統学』(1997年12月15日第一刷刊行/1999年10月15日第二刷刊行(1997年12月15日第一刷刊行/1999年10月15日第二刷刊行(正誤表)/2004年9月15日第三刷刊行(正誤表)/2012年9月14日第四刷刊行(正誤表), 東京大学出版会[ナチュラル・ヒストリー・シリーズ], 東京, xiv+458 pp., 本体価格5,600円(第四刷5,800円), ISBN:4-13-060172-5 | ISBN:978-4-13-060172-6 → コンパニオンサイト目次版元ページ)の「引用文献リスト」.巻末の「引用文献リスト」をウェブ公開した.番号付きリストにしてみて,文献数が1200を越えていたことに初めて気づいた.『生物系統学』はもう15年も前に書いた本なので体系学史に関わる前半を除けばすでに “賞味期限” は過ぎているだろう.ただし,今回ウェブ公開した「参考文献リスト」は役に立つ.実際,ワタクシは今でもこの文献リストのお世話になっている.有用性という点では,本文よりも文献リストや索引の方が資料的な賞味期限は長い.リストや索引の作成には相当な時間とエネルギーが注ぎ込まれているので当然のこと.逆に言えば,文献リストと索引に手抜きした本は永続的に使い物にならない.いまちょうど翻訳している章の内容とかぶっていたので,ついでに html 化したのだが,前世紀末の生物体系学のようすが文献リストを通じて思い出される.前世紀末は今とはちがって文献蒐集がそれはそれはたいへんで,とくに非英語文献の現物を集めるのは時間も費用もかかった.

◆_φ(。。) . .. .   .    .  . .   . .     .

◆[欹耳袋]Michael Schmitt 2012. Willi Hennig (1913 - 1976). [pdf]/ O. Rieppel, M. Rieppel, and L. Rieppel 2006. Logic in systematics. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research, 44(3): 186-192 [abstract | pdf]

◆白瀑〈ど黒〉をロールキャベツとともに.今宵も “腹黒く” あれ.

◆_φ(o_o)

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(0.0kg) / 29.9%(+0.6%)


3 mei 2013(金)※四連休は五月晴れの幕開き

◆午前5時すぎ起床.気温7.0度.やや冷え込み.雲間から日の出.今年のゴールデンウィーク後半はまずまずの出だし.しかし,ワタクシにとっては “名ばかり” の四連休.取手ピストン移動のお仕事.午前11時の気温は16.4度.大型連休後半,県南の農家は総出で田植えの真っ最中だった.帰りに見下ろした常磐道は谷田部以北の下り線が渋滞中でまったく動いていなかった.さすがゴールデンウィーク.

◆[欹耳袋]「誰にも信じられないことはいくら証明しても十分ではない」 —— George Bernard Shaw 1898. “A thing that nobody believes cannot be proved too often.” In: Plays: Pleasant and Unpleasant: The First Volume Containing the Three Unpleasant Plays

◆[欹耳袋]分岐図と系統樹のちがい —— 昨年からずっと引きずっている東京化学同人『行動科学辞典』の項目執筆┣┣" がまたしても回遊してつくばに戻ってきた(いったい何度目のことか).樹形図に関する図版の追加と加筆をとの新たなリクエストあり.ひさしぶりに書き下ろした:

分岐図(cladogram)は生物群間の姉妹群関係を図示する樹形図である.左図( \( \mathcal{C} \) )はある生物群 \(S=\{1,2,3\} \) に関する分岐図であり,末端生物群 \(\{1\},\{2\},\{3\}\) の間のある姉妹群関係を表示している.具体的には,末端群 \(\{2\}\) と \(\{3\}\) は群 \(\{1\}\) とは共有されない仮想祖先( \(\{2,3\}\) で表示される)を共有する姉妹群である.また,この分岐図全体の仮想祖先は \(S\) によって示されている.分岐図の枝はこれらの姉妹群が構成する階層関係を表示している.

この分岐図における仮想祖先が実際に何であるのかを指定した樹形図を系統樹(phylogenetic tree)と呼ぶ.仮想祖先 \(\{2,3\}\) に相当する可能性のあるものは \(2\) または \(3\) またはそのいずれでもない \(u_1\) である.また根元の仮想祖先 \(S\) に相当するものは \(1\) または \(1\) ではない \(u_0\) である.仮想共通祖先に関するこれらの可能性の組み合わせをすべて図示すると,縦棒の右側に示した計6個の系統樹( \( \mathcal{T}_1, \ldots, \mathcal{T}_6 \) )となる.これらの系統樹は左の分岐図から導かれるすべての場合である.系統樹の枝は,分岐図の枝とはちがって,祖先と子孫の間の由来関係を表している.※図版出典:三中信宏 1997『生物系統学』東京大学出版会,p. 58, 図2-8.

—— 図版は編集部に新たにつくり直してもらうことにしよう.

◆本日の┣┣" 撃ち —— _φ(..) . ... .. . .... . . .. . ... . . ..... . . .. 先は長いぞ.

◆明後日のとあるパーティに関して「ドレスコード=not-ネクタイ着用」という指示が届いたのだが, “余事象” でドレスコードを規定されましても困りますなあ.

◆本日の総歩数=2416歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(−0.1kg) / 29.3%(−0.1%)


2 mei 2013(木)※書いてます書いてますって

◆午前4時半過ぎ起床.今朝も曇り空.気温9.5度.曇りかと思ったら,下界の路面が濡れていた.夜中は雨が降ったのか.路面はまだ濡れているが,西からだんだん青空が広がってきた観音台.午前8時の気温10.6度.窓を全開放すると弱い南風が居室に流れ込む.

◆[蒐書日誌]近刊! —— 那須義次・広渡俊哉・岸田泰則(編)『日本産蛾類標準図鑑 IV』(2013年5月下旬刊行予定,学研教育出版,東京, ISBN:978-4-05-405110-2).既刊のマクロレピ編2巻( I II )とミクロレピ編の第3巻( III )に続く第4巻はミクロレピの残りすべて.これで完結だ.おサイフもすっからかんだー./A・F・チャルマーズ[高田紀代志・佐野正博訳]『改訂新版・科学論の展開:科学と呼ばれているのは何なのか?』(2013年4月10日刊行,恒星社厚生閣,東京,本体価格2,700円,ISBN:978-4-7699-1300-9 → 版元ページ).10年前のポパー研究会論文集への寄稿で引用したのは1983年の第2版だった.第2版から30年ぶりの改訂ということか.版元ページには「ベイズ主義の科学論、新実験主義、科学法則とは何かをめぐる議論、実在論と反実在論の論争などの新たな展開を加え」と書かれている.第2版(1982)の翻訳は翌年に速攻で出たのに,今回の第3版の翻訳出版はタイムラグが大きい.

◆[欹耳袋]高橋鉄美「ランドマーク法(幾何学的形態測定)の簡単な使い方」(2013年5月1日更新).tpsDig と MorphoJ を用いた解説記事./でたぁっ 感動と失敗の備忘録「ネットワーク分析をもうちょっと勉強」(2013年5月1日) ※「R + igraph」によるネットワーク分析./ 「R seminar on igraph - supplementary information」 ※「igraph」ってきちんと使いこなしたことがないので_φ(・・/Taglibro de H「R: MICをためしてみる (2)」(2013年5月2日).

◆本日の┣┣" 撃ち —— 終わりの始まり.

◆五月晴れの昼休み.正午の気温は15.1度.現実逃避の昼休み徘徊を小一時間.農環研周辺の田植えは順調に進み,集落では心地よい東風に大きな鯉のぼりが泳いでいた.今日くらいの陽気と湿度がちょうどいい.歩き読み本:笹原宏之『方言漢字』(2013年2月25日刊行,角川学芸出版[角川選書・520],東京,253 pp., ISBN:978-4-04-703520-1 → 目次|版元ページ)の続き.漢字の地域変異の発生と分布に関する系統地理学的な話にはさんで,絶滅危惧漢字の保全をどうすべきかという問題提起がなされている.たとえば,埼玉県八潮に特異的に分布する「垳(がけ)」という地名漢字の事例が挙げられている.「一つの地名が消滅の危機に瀕している.埼玉県八潮市にある「垳」については……その地区の大半が,今どきのどこにでもあるような「青葉」に変えられようとしている.一度変われば,この日本で唯一の国字を使用した地名は,住所として復活させることは困難だろう」(pp. 101-102).「保全◯◯学」は,保全対象「◯◯」が “生物” であれ “漢字” であれ,同じような動機づけと方法論そして地域的な取り組みがあることを知る.

◆西空の夕陽がまぶしい.午後6時前,第9章の翻訳終了.トラッドな分類学者にとっては分子体系学はこの世の終末を告げる “ハルマゲドン” だった.今夜はとことん “腹黒く” なると決めたので,秋田の山本合名会社〈白瀑〉の純米にごり「ど黒」をドーンと開栓.竹炭パウダーを混ぜた活性にごり酒は確かに真っ黒.真っ黒なのにシュワッと炭酸ガス.アテは野菜サラダと焼き餃子と回鍋肉.しっかり腹黒くなったぞ.

◆明日からは:キャロル・キサク・ヨーン[三中信宏・野中香方子訳]『自然を名づける:なぜ生物分類では本能と科学が衝突するのか[仮]』(2013年刊行予定,NTT出版,東京 → 情報)の翻訳作業に決着をつける予定.この連休を逃してはもうにっちもさっちもいかない.第8章の20ページは今年はじめに終わっていた.そして,続く第9章の25ページを本日制覇したので,残るは第10〜12章の計60ページだ.

◆本日の総歩数=9316歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(+0.2kg) / 29.4%(−0.1%)


1 mei 2013(水)※五月晴れならぬ雨の幕開き

◆午前5時前起床.いつものようにお米を研いで朝のスタート.曇り空.北東風が冷たい.気温は12.0度.明け方はどんよりしていたが,しだいに青空が広がってきた観音台.午前8時の気温は11.9度.南風が吹いた昨日とはちがって北寄りの風が涼しい.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第9回 「統計モデルとは何か:既知から未知へ」の公開前確認リクエストあり.ざっと読んで修正点をちょこちょこ返し,これまた一件落着.統計モデリングの話をするはずが,モデルの “闇” に踏み込んでしまった./『生命の教養学IX』の原稿を慶應義塾大学出版会に送信完了.図版が20枚以上もあり,高精細psdファイルを送ろうとしたら軽く300MBを越えてデータ宅配サービスが使えず.DropBoxのファイル共有でなんとかしのぐ.これで一仕事がやっと終わった.

◆[欹耳袋]YouTube「伊勢崎あすか幼稚舎 ショスタコーヴィッチ 交響曲第5番 革命 .スゴイ!しかも第4楽章とは.驚愕するしかない.奥で Pearl の大太鼓をどついている男の子.身長よりも太鼓の方がはるかに巨大!さぞや編曲がたいへんだったろうなあ.フィナーレ,すげぇー.ティンパニーの女の子,階級的鉄槌を叩きつけている.女性が扇動(先導)する革命.もうひとつの驚愕は全児童が「暗譜」していること.日本の革命は伊勢崎あすか幼稚舎から.そういえば,今日はメーデーだった.今日は自宅直下で開催されているはずのメーデー集会には参加しなかったが,幼稚園児たちの〈革命〉を十分に拝聴したのでこれでよしとしよう.

◆[欹耳袋]読売オンライン「博士課程学費に悩み窃盗、元大学院生に猶予判決」(2013年5月1日).この裁判官の大学院生に対する “説諭” はむなしく空の上で響いているような気がする./しんぶん赤旗「公務員宿舎削減見直しを:茨城・つくば 塩川・紙議員ら申し入れ」(2013年5月1日).「これだけの人数が引っ越しや転校をすると地域コミュニティーが崩壊する」- 当然の動きだと思う.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 連休中に仕留めるべき大┣┣" はあと一頭…….

◆[蒐書日誌]蕎麦本二冊とカレーライス本 —— 石川文康『そば打ちの哲学 』(2013年4月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・い-78-1],東京,281 pp., ISBN:978-4-480-43047-2 → 版元ページ)/新島繁『蕎麦の事典』(2011年5月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2050],東京,366 pp., ISBN:978-4-06-292050-6 → 版元ページ)/小菅桂子『カレーライスの誕生』(2013年3月11日刊行,講談社[講談社学術文庫・2159],東京,244 pp., ISBN:978-4-06-292159-6 → 版元ページ).食べ物本は昼休みの歩き読み用に.

◆[欹耳袋]「読者」とは誰か —— 昨日の昼休み,砂だらけになって読み歩いた結城浩『数学文章作法・基礎編』(2013年4月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・ユ-4-1],東京,193 pp., ISBN:978-4-480-09525-1 → 版元ページ)のタイトルは,「作法(さほう)」ではなく「作法(さくほう)」と読むそうだ.第1章「読者」の冒頭に「読者のことを考える」と書かれている.「読者は何を知っているか」「読者はどれだけ読みたがっているか」「読者は何を求めて読むのか」の三点が大切と(p. 18).ワタクシは自分の本を書くときに,いつも隣で耳打ちする “読者” がひとりいる.その名は「ワルみなか」.「善良みなか」が必死で原稿を書いていると横からのぞきこんではあれこれ口出しをする.「善良みなか」がせっかく書いた文章にバクダンをしかけたり,よけいな伏線を埋め込んだり,暗号を刻みつけたりするのはすべて「ワルみなか」のしわざである.ワタクシはいつも「自分が読む」ために本を書いている.どこかのだれか別の人を「読者」として想定する習慣は念頭にはぜんぜんないなあ.読者はいつもここにいる自分(の分身).きわめて利己的な本書きです.

◆夕方はときおり雨がぱらついたが,今はやんでいる.オムライスのしたく.次の選択肢から今夜の夕餉に最適な日本酒を求めよ: 1) 〈天の戸〉美稲八〇無濾過純米生,2) 〈手取川〉純米吟醸石川門生原酒,3) 〈繁桝〉特別純米雄町,4) 〈初亀〉純米吟醸富蔵.

◆[欹耳袋]〈日本の科学を考える〉.

◆本日の総歩数=3142歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(0.0kg) / 29.5%(0.0%)


--- het eind van dagboek ---


[sinds 19 april 2007]