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oude dagboeken

日録2013年1月 


31 januari 2013(木)※駒場高座も今日でおしまい

◆午前5時起床.気温は氷点下4.8度.こんな冷え込む明け方に暴走族が走りまわる.今朝は数日ぶりに冷え込みがきびしく,最低気温は氷点下5.4度まで下がった.青空が広がる観音台は空気がからからに乾いている.〈david pain〉にてお昼ごはんを調達してから出勤.朝イチのBGMはマーラー交響曲8番〈千人の交響曲〉.創造の主はいま降臨する.

◆[欹耳袋]『系統樹曼荼羅』はおかげさまで〈紀伊國屋じんぶん大賞2012 読者とえらぶ人文書ベスト30〉の「第9位」にランク入りしましたっ!

◆午前の┣┣" 撃ち —— 三中信宏:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第6回 「情報可視化と統計グラフィックス」農業と環境 No.154 (2013年2月1日)の公開前チェック完了.明日公開予定とのこと./Das Ewig-Weibliche zieht uns hinan - でもって〈千人の交響曲〉が終わったので,しばし静寂./月末なので,柄にもなく「督促メール」を出してしまった.ほんとうはワタクシの方がいくつもの督促メールを受けるべき状況なのだが.ま,それはそれ,これはこれということで./千字の文も一字から./昨夜の会議に出席していたTNGセンセの御髪がワインレッドに輝いていたことを思い出した.あれもまた統計センスのなせることか./常盤台から非常勤講師関連事務書書式一式が着弾.【非】というヘッダーはなんだかなぁ……./月末の翻訳加圧メールあり.心の準備ができていたので,瞬発的に「ごめんなさい」返信メールを打ち返す.この時期,方々の「被加圧者」諸氏に幸あれ.

◆[蒐書日誌]書評公開 —— 橘木俊詔・迫田さやか『夫婦格差社会:二極化する結婚のかたち』(2013年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書2200],東京,viii+196 pp., ISBN:978-4-12-102200-4 → 書評版元ページ).キャッチーな「宣伝文句」には要注意ということです.現状記述と規範提言が混ざっているので,これまた要注意.

◆[欹耳袋]オープンであること —— PLoS Currents Tree of Life./オープンアクセスジャーナルの「闇」については,先日の本郷ミーティングでいろいろ聞いた.“グレーゾーン”の学術誌には事欠かない今の時代./土屋俊「高等教育とオープンアクセス:オープンエデュケーションのビジネスモデルの可能性」.

◆昼休み徘徊.正午の気温は7.3度.乾いた晴天は歩きまわる分にはちょうどいい日和だった.本田靖春『評伝 今西錦司』(2012年3月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・社会238],東京,iv+355 pp., ISBN:978-4-00-603238-8 → 版元ページ)の続き,戦時中の大興安嶺探検から西北研究所,そして敗戦後までをたどる.朝日文庫の今西錦司『大興安嶺探検』が本棚のどこかにあったはずだが…….今西錦司が「お前,寄せたらへん」言うたら,それでキマリかぁ……(うわぁ).

◆[欹耳袋]sunaharayの日記「『旧体制と大革命』あるいは古典を読むこと」(2013年1月20日)「「何が得られるのかわからない」もののために時間を使うってのがどんどん難しくなってるんだなあ、と改めて」- あてのない「知的放浪」ができるのは学生時代だけ.その余裕が喪われてしまったあとで,はじめて「それ」がかつては可能だったことを知る./東京新聞「経済苦 忍ぶ大学院生 国の支援策これから」(2013年1月31日)

◆午後2時過ぎ,つくば駅.本年度最後のコマバ出撃.午後4時前,駒場東大前.今日は補講日のせいか,駅もキャンパスも講師控え室も空いている.本日の補講は「形態測定学」.生物の “かたち” を記述するための数学と統計学について話します.午後6時にぴったり終了.半年間お疲れさまでした.これで向こう半年は駒場通いから解放される(成績評価は残っているが).午後8時,つくば直帰.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「チュブリラ本系列成立の歴史」(2013年1月31日).早稲田大学の試験直前におけるノート書写で生じたミス(「キューブリック」→「チュブリラ」)がその後の「伝承」の過程で「チュブリラの樹」を形成したというお話.かの「棒の手紙」とまったく同じ書写心理プロセスが作用したのだろうか.講義ノートやレポートの「丸写し」は原本のミスも「丸写し」なのでバレる.受講生がコピペしそうな Wikipedia の項目に先回りして人為ミスを意図的に埋め込んでおいて,コピペしたら一網打尽というワルダクミを考えたことはあるけど.

◆明日の月始めは観音台でおとなしくする予定.

◆本日の総歩数=14066歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.5kg(−0.7kg) / 30.6%(+0.1%)


30 januari 2013(水)※夕暮れの神楽坂をぶらぶら

◆午前5時前起床.氷点下3.0度.夜明け前の三井ビルの真上に,少し欠けた月が浮かんでいる.午前6時の気温は氷点下0.8度.明け方の最低気温は氷点下3.6度まで下がったが,午前8時には2.7度と上がってきた.しかし,稲荷川側道の水たまりは固く凍り付いていた.日中は3月並みの陽気になるとの予報.朝イチのBGMはショスタコーヴィチ交響曲13番〈バビ・ヤール〉.このグロテスクさがいい.〈バビ・ヤール〉が消え入るように成仏したので,続いてショスタコーヴィチ交響曲14番〈死者の歌〉へ.仄暗い黄泉の国へと沈み込んでいくような感じがこれまたよろしい.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「バウエル社の活字系統樹」.The Bauer Type Foundry が1937年に創業百周年を記念してつくった「Bauer's Family Tree of Printing Types」は,ヨーロッパの伝統的な家系図のスタイルに則って「活字」の由来を可視化している:Steven Heller - imprint「Tree of Type」 (19 January 2012)./「ヒトの指紋の系統図」.1943年に出版された:Harold Cummins and Charles Midlo (1943 Finger Prints, Palms and Soles: An Introduction to Dermatoglyphics. Blakiston Company に載っている指紋系統図.Family tree と銘打たれているが,もちろん指紋パターンを樹形に体系化したダイアグラムである:Hand Facts: News about hands!「A ‘family tree’ of the fingerprints!」 (10 September 2010)./「チベット医学の「樹」:Medical Thangka」.チベット医学の体系を「タンカ(thangka)」という掛け軸の絵として可視化された「樹」がある:1) 治療の樹; 2) 健康と疾病の樹./「醤油鯛,タモリ倶楽部で泳ぎまわる」.チミンモラスイ!「[タ]醤油鯛展」(2013年1月26日).をを,醤油鯛のオンパレード.筑前屋翫理堂さんも登場だ.〈タモリ倶楽部〉の威力はすごいなあ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前10時半からの所内領域会議が昼前に終わった.いろいろと「お金が減る」議題が多すぎますな.来年度の交付金の「5.1%削減」は影響が大きいだろうな.

◆夕方,TXに乗る.今日の都内は最高気温が13.6度まで上がった.暖かすぎる.まずは弥生キャンパス.朝から専攻修論発表会をやっていた.別件で,製本された学位論文を受け取り,農学部3号館の潜伏部屋に引きこもる.外はもう夕方.これから南北線に乗って,夕暮れの神楽坂に向かう.飯田橋で降りる.まだ時間があったので夕暮れの坂道を上がったり下がったりする.細い路地の両側に割烹料亭やビストロが点在する街の表情を久しぶりに味わった.そんな風情のある神楽坂の一角にいきなり聳え立つ東京理科大のモダンな建物.午後6時から計量生物学会の理事会.理事会資料の束が宙を舞う開会直前.午後7時半に会議は終了した.午後9時すぎ,つくば直帰.気温は3.5度.風もなく暖かい夜.

◆[欹耳袋]メモクリップ —— 日本計量生物学会年次大会 :2013年5月23日(木)〜24日(金)@パルセいいざか(福島・飯坂温泉)./統計関連学会連合年次大会:2013 年9月8日(日)〜11日(水)@大阪大学豊中キャンパス.

◆[欹耳袋]本郷三丁目の〈ミュン〉が閉店してしまったという衝撃的ニュースが! もうあの「鳥カレー」が食べられなくなってしまった…….〈アルルカン〉も〈カヤシマベーカリー〉もなくなったし……,

◆[蒐書日誌]往復車中読書 —— 橘木俊詔・迫田さやか『夫婦格差社会:二極化する結婚のかたち』(2013年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書2200],東京,viii+196 pp., ISBN:978-4-12-102200-4 → 版元ページ).読了.データ中心で話を展開するスタイルの本.「パワーカップル vs. ウィークカップル」論が主張の中心に据えられている.第3章「パワーカップルとウィークカップル」を読むと, “高水準” のパワーカップルと “低水準” のウィークカップルが対置されている. “高水準” とは「高収入・高学歴」の意味.医師・弁護士・経営者とともに「研究者夫婦」もパワーカップルに分類されている!(なんでやねん).その理由は単純.研究者夫婦がパワーカップルとみなされるのは,「夫婦所得の高さではなく,ふたりの教育水準と職業水準の高さにある」(p. 96).平均的にはそらそうやけど…….世代による “分散” は大きく開きつつあるのではないか.この類型化の問題点は「高学歴」ではあっても「低収入」である傾向が高い「研究者夫婦」の実態がとらえきれていない点にあるだろう.

本書で提示された “ウィークカップル” や “パワーカップル” という言葉は,かつての “パラサイトシングル” や “高学歴ワーキングプア” みたいに社会の中で軽く受容されていく気がする.しかし,そのイメージが実態を的確にとらえきれているかはつねに問い続ける必要がある.この手の「データ本」のおもしろくてコワいところは “平均値” がいつのまにか一人歩きすること.研究者はシングルでもカップルでも “分散” が大きいライフスタイルなので, “平均” だけ見て「はい,そうですか」と納得はできない.実情は “ウィークカップル” から “パワーカップル” まで幅広く広がる「研究者夫婦」のあり方はきっとひとくくりには論じられないにちがいない.少なくとも “パワーカップル” という呼び方はごく一面(一部)しかとらえきれていない.

また,現状記述と規範提言が混ざっているので,読み進むときには要注意.

本書全体を通じて,豊富なデータと資料が示されていてとても勉強になる.他方,データの「視覚化」の方法にはかなり難があって,せっかくの情報が読者にうまく伝わらない懸念がある.細かい数表を提示するだけでは可読性に欠けるので,もっと視覚的にわかりやすいグラフを多用すべきだったと思われる.

◆本日の総歩数=10072歩. 朝○|昼○|夜−. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.2kg) / 30.5%(−0.3%)


29 januari 2013(火)※〆切さんが日に日に大きく

◆午前5時前起床.気温氷点下1.4度.お米とがないと〜.朝焼けグラデーション.気温は氷点下2.8度まで下がっている.ほどほどの冷え込み.西の空低く,ブルームーンがまだ見える.明け方の最低気温は氷点下3.2度まで下がったが,朝日とともに暖かくなって,午前8時にはすでに3.2度まで上がってきた.朝日が降り注ぐ観音台は穏やかな早春の日和.BGMはヤナーチェク〈グラゴル・ミサ〉から.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 玉川大学の成績評定と教務システム入力のしたく.いつもこの時期にしか関わらないので,毎年「ゼロからの出発」となる.入力してはミスを繰り返すのは宿命.銀行ローンに「分割払い」はあっても,提出レポートに「分割払い」はありえません.〆切さんが来る前に耳を揃えて「一括払い」してください.じたばたしつつも,とりあえず午前中の┣┣" 撃ちは一区切りついた./MS Word で文書を入力していてシアワセだった人ってこの世のどこかにいるのだろうか? 「文章はまずエディターでテキスト入力する」という前世紀の美しい伝統が失われてしまったのはとても残念だ.

◆[欹耳袋]齊藤誠「英語で講義すると失われるもの:グローバル人材育成推進事業への疑問」(→ pdf).『中央公論』2013年2月号に掲載予定の論文の原稿.日本語で講義するよりもはるかに手間暇かかるし,効率も落ちるのはしかたがないと認めてくれればいいのだが.教わる方もたいへんだし,教える方はもっとたいへん.この際,lingua franca としての「Poor English」でOKというお墨付きを出してしまおう.そうでなければ絶対に実現しないし長続きしない.

◆昼休み徘徊を小一時間.北風が冷たいが,日向はそれなりに暖かい.本田靖春『評伝 今西錦司』(2012年3月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・社会238],東京,iv+355 pp., ISBN:978-4-00-603238-8 → 版元ページ).書かれた対象よりも,書いた著者に関心がある.今西錦司の葬儀のおり,親族の挨拶はたった一言「昨日,火葬いたしましたが,ひざぼんさんの骨が眼を見張るほど大きかったことを,ご宝庫させていただきます」(p. 7)だったらしい.〝ひざぼんさん〟!今西錦司の西陣の実家では,日々の献立(「菜歴」)がのけぞるほど“洋風”メニューだったことにびっくり(pp. 11-12).カツレツ・ビーフシチュー・コロッケ・ハヤシライス etc. 日本に上陸した主要な洋食メニューが勢揃い.〝京のおばんざい〟なんぞ皆無.京都に来る観光客は〝おばんざい〟を求め,京男・京女は〝洋食〟をがっつり食べるの圖.

◆さて,気合を入れるため,昼下りのBGMはショスタコーヴィチ交響曲7番〈レニングラード〉だ./この著者,口語表現が多過ぎて…….さくっと「OTU」とか「UPGMA」とか使えって./〈レニングラード〉の第一楽章は,無意識のうちにスネア・ドラムのリズムを打ってしまうので,キーボード作業がおろそかになる./『古川ロッパ昭和日記』続巻をうっかり買いそこね./〈レニングラード〉第三楽章,弱音器を付けたトランペットがフォルテシモで喚き続ける急奏パッセージは,「鉄下駄を履いて全力疾走」しているようなもの.がんばれー.〈レニングラード〉の次は,当然,交響曲5番ですな.

◆今日も鮮やかな夕焼けグラデーションだった.日中の最高気温は11.3度まで上がった日没後の午後6時になっても5.7度までしか下がっていない.今宵は燗酒の気分ではない.今夜は鳥取〈諏訪泉〉の純米吟醸24BY「満天星・いちばん星」を開栓.生原酒のアルコール度数18度の上に漂うフレッシュな林檎のフレーバー.かすかにおりがらみ.んまい〜.

◆[蒐書日誌]菊地章太『妖怪学の祖 井上圓了』(2013年1月刊行,角川学芸出版,東京,ISBN:978-4-04-703518-8 → 版元ページ).『井上円了・妖怪学全集(全六巻)』は研究室の仄暗い書棚の一角に並んでいる.エセ科学を征伐した先駆者のひとり.

◆[欹耳袋]カナダで「共進化学会」が創立! —— Evolution Directory | Other: Coevolution Society and symposium on Molecular Coevolution.同時に,Coevolution というジャーナルも創刊されるらしい.時代は「共進化」か./学振特別研究員の審査結果が本日発表されたようで.首尾よく通ったみなさんは国内外で八面六臂のご活躍を.

◆本日の総歩数=10470歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(−0.4kg) / 30.8%(+0.4%)


28 januari 2013(月)※風花が舞う週明けの曇り空

◆午前5時前起床.気温0.0度.ぬるい朝.ときおり風花が舞う観音台は灰色の曇り空.竹園はその形跡がなかったが,通勤路の小野川から南はうっすらと雪化粧していた.午前8時の気温は0.2度.染みこむ寒さ.陰鬱な週明け最初のBGMは,この上なく陰鬱なショスタコーヴィチ〈交響曲8番〉.陰鬱パワーをイッキにフル注入するしかない.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「パン袋クリップ(Occlupanida)の系統樹[続]

◆午前の┣┣" 撃ち —— 陰鬱BGM路線は変わらず,続いてショスタコーヴィチ交響曲.11番〈1905年〉いきますっ.コマバ最後の高座のハンドアウトを用意した.第二楽章,宮殿前広場の銃撃戦,そしていきなり静寂.窓の外を見ると,やっと晴れてきて,陰鬱さから解放されつつある.BGMは涅槃の世界のショスタコーヴィチ交響曲15番に変わる.週明け早々「考現学」新刊2冊が届いた.玉川大と東大の成績評価のしたくをしないと.その前にお昼休みの徘徊タイムになってしまった.晴れてるから行くかー.

  • #TodaiStat 質問への回答がすっかり遅くなってしまって…….まずは先々週のべいづの話から. posted at 11:17:06
  • #TodaiStat 【質問】「ベイズ法の事前分布をどうやって決めるの?」「事前分布は主観でいいの?」※同様の質問多数./【回答】生まれながらのベイジアンなら「主観でいいです(キリっ)」.でも,そういうわけにはいかないか……. posted at 11:20:35
  • #TodaiStat 【回答】(承前)たとえば,ベイジアンMCMCを実行するときの「事前確率分布」は,無情報=一様分布(flat prior)と設定したり,事前分布と事後分布が同一の関数族になるように共役事前分布(conjugate prior)を設定することが多いです. posted at 11:23:06
  • #TodaiStat 【回答】(承前)講義時に見せた「ベータ分布を事前分布とする二項分布パラメーターの事後分布(beta-prior binomial)」と「正規分布を事前分布とする正規分布の平均パラメーターの事後分布(normal-prior normal)」は共役事前分布. posted at 11:25:33
  • #TodaiStat 【質問】「尤度と事前確率はかけるだけでいいのか.関係して確率が変わる場合はないのか」/【回答】ベイズの定理の事前確率とデータとの間には〝関連性〟はないのでこの点は問題ないでしょう. posted at 11:27:50
  • #TodaiStat 【質問】「ベイズ的世界観はほぼすべての事象が説明できてしまうのでは? 話がうますぎる気がする」/【回答】数学的定理としての「ベイズの定理」と推論様式としての「ベイズ確証推論」とはまったく別の話なので,べいづに染まりたいユーザーはそこのところを理解してほしい. posted at 11:30:55
  • #TodaiStat 続いて,先週の生物体系学の講義について. posted at 11:32:02
  • #TodaiStat 【感想】「種を実体として認識できるというマイアーの言葉は,ヒトがどのように自然を認識しているかという点で,おもしろい」/【回答】「種問題」は〝人生経験〟のひとつとお考えください. posted at 11:35:54
  • #TodaiStat 【質問】「文化的なものの系譜は tree より network の方が多くなる気がする」/【回答】系統推定のチェイン・ツリー・ネットワークは系譜構造の「モデル」です.オブジェクトによって妥当なモデルは可変です. posted at 11:38:07
  • #TodaiStat 【質問】「最大節約法を初めて聞いたのは動物系統分類学だったのを思い出しました.系統樹ってほんとに何でも作れるんですね」/【回答】Alles mit Stammbaum und nichts ohn' ihn. posted at 11:40:09
  • #TodaiStat 【質問】「PAUP はタダで使えるんですか? ATCGの配列じゃなくても計算してくれる?」/【回答】前半は「ノー」,後半は「イエス」です.つ http://paup.csit.fsu.edu/ posted at 11:42:19
  • #TodaiStat 【回答】(承前)系統推定ソフトウェアについては PHYLIP ウェブベージにまとめられています: http://ow.ly/haT3z posted at 11:43:58
  • #TodaiStat 【感想】「哲学的でおもしろかったです」/【回答】体系学は哲学と表裏一体です.オブジェクトの歴史や系譜を論じることは,実験科学とは異なる歴史科学特有の〝基準〟を前提とするので. posted at 11:46:09
  • #TodaiStat 【感想】「醤油鯛からオジギビトまでたくさんありますが,私は「シュウマイの醤油瓶」を集めていたことがあります」/【回答】その蒐集を数十年続ければ世間をアッと言わせられるでしょう. posted at 11:48:18
  • #TodaiStat 【感想】「先生,たくさん本書いてらっしゃいますね.テストが一段落したら読もうと思います」/【回答】( ´ ▽ ` )ノ posted at 11:49:30
  • 系統樹思考は「万能酸」です. RT @monera_world: なんでもかんでも系統化できるという立場は若干怖いな。 #Todaistat posted at 11:54:08

◆正午の気温は6.4度.風は冷たいが日差しは暖かい.今朝の雪化粧はもう跡形もなく,日陰で霜柱とともにわずかに残るのみ.空高く雲雀のさえずりが聞こえるのは春の先駆け.フェルナンド・ペソア[澤田直訳]『新編 不穏の書、断章』(2013年1月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー780],東京,371 pp., ISBN:978-4-582-76780-3 → 版元ページ)読了.「人生を生きよ.人生によって生きられるな」(p. 317).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 玉川大の成績評価と教務システム入力は例年〆切が早い.あまり時間がないので集計開始.

◆[蒐書日誌]昨日車内読了 —— 坂野徳隆『風刺漫画で読み解く 日本統治下の台湾』(2012年12月14日刊行,平凡社[平凡社新書・664],東京,ISBN:978-4-582-85664-4 → 版元ページ).大正時代の臺灣の社会事情が国鳥水馬の新聞風刺漫画「臺日漫画」を通じてかいま見えて,とてもおもしろいテーマの新書だった.霧社事件のこと,皇太子来訪を契機とする登山の流行,内地との格差と距離感など.残念なのは挿絵が小さすぎてよく解読できなかったこと.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音: @monado さん「読書メーター」(2013年1月26日).

◆本日の総歩数=10231歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(+0.6kg) / 30.4%(マイナス0.4%)


27 januari 2013(日)※日曜の本郷実在は久しぶり

◆午前6時のろのろ起床.気温は氷点下1.5度.氷点下の明け方はなかなか起動が終わらない.いまNHKBSプレミアムでやっていたN響アワー(エド・デ・ワールト指揮)をチラ見したら,フルオーケストラの後方にハープが6台も林立していて何事かと思った.武満徹だったらしかたないよね.

◆[欹耳袋]来月の国際シンポジウム〈樹について考える〉の講演要旨(日本語/英語)が公開された.ワタクシの講演時間はまちがいなく「80分」との事務局からの連絡.大ネタをかけましょう.あと二週間なのでスライドの準備をしないといけない.二月の連休は関西はまだ寒いはずなのに条件に合うホテルの予約がなかなか厳しい

◆[蒐書日誌]蟲本近刊2冊! —— 那須義次・広渡俊哉・岸田泰則(編)『日本産蛾類標準図鑑3』(2013年2月近刊,学研教育出版,東京,本体価格25,000円,ISBN:978-4-05-405109-6 → 版元ページ).マクロレピ編の既刊2冊(12)から二年を経て,ミクロレピ編の前編がいよいよ出ることになった./丸山宗利他『アリの巣の生きもの図鑑』 (2013年2月近刊,東海大学出版会,秦野,本体価格4,500円,ISBN:978-4-486-01970-1).昨夜,H. J. Lam の「Fragmenta Papuana IV(1928)を読んでいたら,トウダイグサ科の Endospermum formicarum の茎の中の空洞にアリやらカイガラムシが〝同棲〟している図が載っていて興味津々.この植物は「myrmecophiel」と記されていた.

◆[系統樹曼荼羅]まちがいご指摘いろいろ(汗) —— 情報感謝いたします.増刷(if possible!)のおりには訂正いたします:

  • @BackBearDBehinD:「「系統樹曼荼羅」拝読しました。いくつか気づいた点があります。p.21下段中央の図、ヒトの「人種」系統樹、と題されている図が、どうみても棘皮動物の 系統樹です。p.204-205では色名を挙げて図3の説明をしていますが、肝心の図がグレースケールです(つづく)。」/【返答】確かにご指摘の通り.ヘッケルの図版のキャプションはミスですね.TimeTree of Life の方はカラー原図をモノクロにしたときに対応する本文を変更しなかったのがまちがいです.情報感謝.
  • @BackBearDBehinD:「p.127の、図1 学問の樹についての解説について。18本の根に与えられている項目名と16の枝に与えられている項目名、前者が時計回り、後者が反時計回りに配置されているとされていますが、実際には逆です。すでに指摘がありましたら無視してください。」/【返答】ライムンドゥス・ルルスの arbor scientiae のキャプションについてもご指摘の通り.重版の際には修正いたします.
  • @monado:「『系統樹曼荼羅』の114Pに征服が制服になっている誤字を発見した。」/【返答】わわ!(ご指摘感謝です〜)

◆[欹耳袋]archief voor stambomen -「絨毯模様の文化系統樹」.前記事「織物模様の文化系統樹」に続いて,「絨毯模様の文化系統樹」の論文も同じ PLoS ONE に出ていた:Matthews LJ, Tehrani JJ, Jordan FM, Collard M, Nunn CL (2011) Testing for Divergent Transmission Histories among Cultural Characters: A Study Using Bayesian Phylogenetic Methods and Iranian Tribal Textile Data. PLoS ONE 6(4): e14810. doi:10.1371/journal.pone.0014810..この論文では,いわゆる「ペルシャ絨毯」の模様を構成する要素が,文化史的に別々の系譜をもっているかどうかを,ベイズ系統解析によってアプローチした.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「杜子春―ポスドク編」.パスティーシュの連作はなお続く.

◆日曜の本郷へ臨時出撃 —— 午後1時半,つくば駅へ.よく晴れた昼下り.風は冷たいが都内出撃には支障なし.ては,これから本郷へ向かいます.全館断水の〝二号館〟でいったい何のワルダクミ? 午後2時半,本郷到着.理学部二号館前.日曜なので大学の建物はもちろんすべてロックされている.二号館の入り口にてずっと待ち構えていたのだがだれもやってこない.十分ほど待ってやっと女子学生が来たので,すかさずゲットして建物内に侵入.「ずっと待っていたんですか?」と不審者扱いされた.2階の254会議室へ.まだ誰もいない部屋は寒い…….しかも,今日は全館断水でトイレも使えない.そして配管工事でがんがんうるさい.そのうち,やっとひとり葉山から関係者が到着.部屋が寒いのでエアコンをつけたけど,ぜんぜん暖かくならない.続いて南大沢からもうひとり登場.さらに杉並のシェフと青葉山のワルモノが登場.あとは三島のキングが来たら全員揃うことになる.午後3時過ぎ密議の始まり.会議は続くよ,いつまでも.午後5時過ぎ,やっと終了.上野広小路にて健康的な有機野菜を喰いまくりつつヘルシーな梅酒をあおる背徳の宴.午後8時過ぎ解散.

◆午後9時半,つくば帰還.雲ひとつない夜空高く満月が輝いていた.気温2.0度.

◆本日の総歩数=7230歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.3kg) / 30.8%(+0.2%)


26 januari 2013(土)※指の隙間から時がさらさら

◆午前5時前起床.氷点下5.0度.久しぶりに冷え込みが厳しい夜明け前.今朝の最低気温は氷点下5.7度だった.今季レコード更新にはいたらず.外はよく晴れてきりきり寒い.朝の食卓にはカフェオレとパンとオリーブオイル.

◆[欹耳袋]楽器の系統樹:archief voor stambomen -「金管楽器コルネットの系統発生」.アメリカ自然史博物館の三葉虫学者 Niles Eldredge が十年ほど前から,金管楽器コルネットの「系統樹」の推定を手がけている.以前に輪読したある論文集:Carl P. Lipo, Michael J. O'Brien, Mark Collard, and Stephen J. Shennan (eds.) Mapping Our Ancestors: Phylogenetic Approaches in Anthropology and Prehistory(→ コンパニオンサイト) への寄稿の中で,Eldredge は,分岐学が生物のみならず言語や写本の系統推定の方法論として注目されるようになった歴史的経緯を振り返り,cultural phylogeny を復元する上での方法論的な問題点のいくつかを指摘する.彼は,生物系統樹の場合は形質の変換系列として共有派生形質の相同性が仮定できることが多いが,文化系統樹の場合はそうはいかないケースが少なくないだろうと指摘した.その例として彼が挙げたのが,コルネットの“ヴァルヴ”の形態形質だった:

  • Niles Eldredge 2003. Mme F. Besson and the early history of the Périnet valve. The Galpin Society Journal, 56: 147-151 → abstract
  • Ilya Tëmkin and Niles Eldredge 2007. Phylogenetics and material cultural evolution. Current Anthropology, 48(1): 146-153 → pdf

—— 楽器の系統樹もこれくらいしっかり調べれば文化系統学のいい研究テーマになる.

◆正午の気温は5.8度.西風がやや冷たいが,叢雲が浮かぶ空はもう冬の顔つきではない.東新井の〈トライブ〉で珈琲豆を,そして山椒粉をゲットしてお昼前の徘徊から帰還.フェルナンド・ペソア[澤田直訳]『新編 不穏の書、断章』(2013年1月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー780],東京,371 pp., ISBN:978-4-582-76780-3 → 版元ページ)の「断章」を歩き読み読了.どれも140字以内! 世が世ならペソアはぽつりぽつりとツイートしていたにちがいない.

◆[蒐書日誌]失われた音を求めて —— 平野真敏『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』(2013年1月22日刊行,集英社[集英社新書0674N],東京,189 pp., ISBN:978-4-08-720674-6 → 版元ページ著者サイト).読了.19世紀後半にドイツで開発されたある弦楽器ヴィオラ・アルタの由来と復活.楽器の変異と淘汰のプロセスは厳しいな.しかも,証拠がほとんど残らないというのが,その系統推定にとっては難物かも.本書では,著者の自分史と重ねあわせながら,この幻のヴィオラ・アルタの過去をさかのぼっていく.

この失われた楽器ははたしてどのような「音」を奏でたのか.本書の最後で,その手がかりを求めて著者は南ドイツのパッサウに向かい,聖シュテファン大聖堂のパイプオルガンに残されていた “ストップ” が絶滅したヴィオラ・アルタの「音」を記憶していたことを見出す.

アレクサンダー・フォン・フンボルト『新大陸赤道地方紀行(下)』(2003年9月26日刊行,岩波書店[17・18世紀大旅行記叢書【第II期】],東京,ISBN:4-00-008851-3)にはこう書かれている:

「グアイベ・インディオたちの間で流布している口承では,好戦的なアトゥレ族がカリブ族に追撃されて,大急流地帯の中央にそそり立つ岩山に逃れたという.かつては大人数であったこの民族は,彼らの言語と共に,そこで次第に滅亡していった.一七六七年,ジッリ宣教師の時代には,まだアトゥレ族最後の数家族が残存した.私たちが探査したときにはマイプレスで見せられた年老いたオウムは,「アトゥレ族の言葉を話すから,何をいっているのかわからない」と住民が説明していた.」(第8部第24章,p. 67)

チャールズ・ダーウィンはフンボルトのこの逸話を受けて,『人間の進化と性淘汰I』(1995年9月15日刊行,文一総合出版,ISBN:4-8299-0121-7)の章「人種の絶滅について」の中で,「フンボルトは南アメリカで,絶滅した部族の言語を話すことができるのは1羽のオウムだけだったのを見た」(p. 201)と記している.失われた楽器ヴィオラ・アルタの「音」を覚えていたパイプオルガンの “ストップ” はまさに〈フンボルトの鸚鵡〉の再来だ.

なお,ヴィオラ・アルタの開発者ヘルマン・リッターの著書はすでに Internet Archive でオンライン公開されている: Hermann Ritter『Die Geschichte der Viola Alta und die Grundsätze ihres Baues』(1877年刊行,J.J. Weber, Leipzig → Internet Archive).第4章「ヴィオラ・アルタの謎を解く」の冒頭で書かれているように,ヘルマン・リッターのこの本はかつては入手がきわめて困難な稀覯書だったようだ.

本書『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』は,コンバクトな新書でありながら,ある楽器がたどった歴史をさかのぼる旅行記としてとてもおもしろい読み物だった.参考文献リストがついていれば言うことなし.

◆午後6時の気温は2.4度.北風が強くて体感的に寒すぎる.夕餉のチゲには土佐〈亀泉〉の初しぼり純米吟醸生原酒を開栓.CEL-24酵母の醸すパイナップルの強い香り,アルコール度数14度は白ワイン並みの低さ,そして日本酒度はマイナス11度とありえへんほどの甘口.辛い鍋にはこういう破格な日本酒しか合わない.

◆[欹耳袋]ウォレス書簡オンライン・データベース公開! —— 〈Wallace Letters Online〉.Cf: The Alfred Russel Wallace Website | Wallace Letters Online is now live! | 24 January 2013.そうか,今年は「ウォレス没後百年」だった.

◆明日の夜は御徒町にて〝やや背徳〟かー

◆本日の総歩数=4893歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.5kg) / 30.6%(+0.1%)


25 januari 2013(金)※濃霧の彼方から〆切さんが

◆午前4時過ぎ起床.気温は氷点下1.5度.お米を研いで今日のスタート.今朝は霧筑波.久しぶりの濃霧.明け方,氷点下まで冷え込んだので霧が発生したのだろう.車の運転要注意.濃霧の中をおそるおそる車で観音台へ.ライトを点灯しているのに,対向車も信号も霧の向こうからいきなりぬっと出現するスリル感ありまくり.昇る朝日も輪郭しか見えない.午前7時の気温が氷点下1.1度.朝イチのBGMは,絶滅楽器ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを復元した寺神戸亮のバッハ〈無伴奏チェロ〉.Violoncello da spalla と Viola da spalla とは同義だったのか →〈Badiarov Violins〉.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「蜘蛛の糸―無職博士編」(2013年1月24日).をを,先日の〈羅生門―ポスドク編〉に続く続編が!

◆午前の┣┣" 撃ち —— 課題レポートの受付は昨夜締めきりました.受け取ったレポートについては受領メールをすべて返信しました.ご確認を./正午過ぎ,三中信宏:農環研ウェブ講座 「農業環境のための統計学」 第6回「情報可視化と統計グラフィクス」の原稿送信完了.中┣┣" 一頭が去っていった.公開は今月末の予定./朝からずっと追い込まれ原稿を書いていたので,ランチタイムを華麗にスルーしてしまった…….

◆[欹耳袋]archief voor stambomen - 「パン袋クリップ(Occlupanida)の系統樹」.ちょいとまとめておきました.HORG - The Holotypic Occlupanid Research Group : A Database of Synthetic Taxonomy なるヒミツ機関では,スーパーなどでパン袋の口を留めているクリップである「occlupanids」の分類と系統を日夜研究しているという(→ Website | Facebook).Occlupanida の語源は「Occlu=to close, pan= bread」である.汎世界的に分布するこの分類群は形態・分類・系統に関してすでに知見が蓄積されていて,上記サイトで公開されるとともに,査読誌にも掲載されている:Larisa M Lehmer, Bruce D Ragsdale, John Daniel, Edwin Hayashi, Robert Kvalstad | Plastic bag clip discovered in partial colectomy accompanying proposal for phylogenic plastic bag clip classification | BMJ Case Reports 2011; doi:10.1136/bcr.02.2011.3869 → abstract.パン袋クリップ綱(Class Occlupanida)を含む Kingdom Microsynthera もすでに〝多様性研究〟が進んでいるのだろうか?(笑)

◆午後の┣┣" 撃ち —— 朝は霧がいつまでも晴れなかったが,午後になって晴れ間が戻ってきて,日中の最高気温は10.1度まで上がり,居室の窓越しにも「春が感じられた.午後4時過ぎ,農環研ウェブ講座 「農業環境のための統計学」 第6回の原稿改訂おしまい.

◆[欹耳袋]東大の学内誌『図書館の窓・2012.12』によると,駒場図書館 @Todai_KomabaLib /農学生命科学図書館 @Todai_AgLib /東大数理図書室 @utms_library /東大GACoS @gacos_todai というアカウントあり.また,柏キャンパスの図書館は Facebook で情報発信しているとのこと./統計関連学会連合の「統計教育推進委員会」が始めようとしている統計学教育に関する「質保証委員会」.ワタクシもそのメンバーだったりするのだが,ひょっとして責任重大かも(あわわ)./さあ,みんなで鑑賞しましょう!:YouTube「ハラハラたいそう.mp4」.女子大生トリオの名演./玉川大学教育博物館〈石に描かれた鳥たち -ジョン・グールドの鳥類図譜〉展示期間が好評につき3月末まで延長されるとのこと.

◆遅めの昼ごはん.疲れたときはマーラー三番の第一楽章がBGM.

◆[欹耳袋]YOMIURI ONLINE「駆け込み退職、感謝状なし・再任用も却下と市長」.「多額の退職金をもらうことになっているのに、職責を全うせずに損得で動いている」だって!(あほかー).公務員は,ぜんぜん「noblesse」じゃないのに「oblige」だけやたら押し付けられるやっかいな社会的〝ブラック〟職場になりつつあるということね./センター試験の翌日に件の「小林秀雄」問題文を読んだが,昔ワタクシが受験した時代と同じく,やっぱりぜんぜんわからなかった(orz).わからない文章はわからない,とすなおになった方が健康的.小林秀雄,逝ってよし(あ,もう逝ってるか).だから,自分の書いた文章が大学入試や高校入試の「国語」に使われると,ややフクザツな気持ちになるわけ.

◆[蒐書日誌]進化学と農学との接点 —— R. Ford Denison『Darwinian Agriculture: How Understanding Evolution Can Improve Agriculture』(2012年刊行,Princeton University Press, Princeton, ISBN:9780691139500 [hbk] → 版元ページ

◆夕暮れとともに北風が強まって気温は急降下.午後6時には4.0度まで下がってきた.体感的には「冬」に逆戻り.気温はぐんぐん下がってきた.

◆本日の総歩数=2613歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(−0.1kg) / 30.5%(+0.2%)


24 januari 2013(木)※午前はじたばた午後は駒場

◆午前5時過ぎ起床.路面は濡れているが,雨は止んでいるみたい.気温は1.5度.源泉徴収票が届くたびに確定申告の「足音」が近づいてくる.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 群馬の榛名山麓にて緊急ミッション発生の兆候あり.故人の遺品整理┣┣" が新たに発生した.ときともなしに生まれ出る┣┣" …….さて,年度内にまた特別休暇を取って上州へ出撃しないといけない./毎年,複数の国公私立大に非常勤出講してみると,大学間の「給与格差」が歴然としていることを痛感する.研究者とて雲や霞を喰って生きているわけではないので,こういう「お金の問題」は見ないふりをするわけにはいかない.

◆[蒐書日誌]「花酔い」疑似体験 —— 野村哲也『カラー版・世界の四大花園を行く―砂漠が生み出す奇跡』(2012年9月25日刊行,中央公論新社[中公新書2182],東京,198 pp., ISBN:978-4-12-102182-3 → 版元ページ著者サイト).砂漠の花園の本.オーストラリアの砂漠で満月の月光に浮かび上がるリースフラワーの輪,チリの岩山にひっそり開花する真っ黄色のガラ・デ・レオンなど,カラー版新書の良さが十分すぎるほど発揮されていて,「花酔い」の疑似体験ができる.

最終章に,とても興味深い一節がある.南米チリのとある谷で瞑想するバルデス師との対話を通して:

バルデスの話を聞きながら,僕は宮沢賢治の「インドラの網」という童話を思い出していた.華厳経に説かれるインドラの網は,インドの勇猛な神「帝釈天」の宮殿にかけられた,巨大な球状の網のこと.その結び目には,美しい水晶の宝珠が縫い込まれ,全体が宇宙そのものを表現しているとされる.また宝珠の一つひとつが他の一切の宝珠を映し込んでいることから,ひとつの宝珠に宇宙のすべてが収まっている,というようにも考える.(pp. 192-194)

と著者は言う.あれれ,どこかで聞いたことのある文章だと思って,自分の本を検索したらすぐヒットした:

Hier möchte ich zur Erläuterung meiner Auffassung der Einzelwesen oder der Species und Gene ein Gleichnis anfügen. Das Universum ist gleichsam ein grenzenloses Netz mit unzählbaren Millionen von kristallenen Kügelchen. Jedes der Kügelchen sitzt auf einer Masche von verschiedener Farbe; jedes wirft die Bildchen der anderen Kügelchen zurück und jedes zeigt infolgedessen, der Lage der Beobachters gemäß, verschiedene Schattierungen. Sie sind jedoch nur in ihrer Erscheinung für das Auge des Beobachters verschieden, in ihrem reellen Sein sind sie alle und immer dieselben kristallenen, farbenlosen Kügelchen. (Bunzô Hayata 1931. Über das “dynamische System” der Pflanzen. Berichte der Deutschen Botanischen Gesellschaft, 49: 328-348, p. 346)


[訳文]ここで,それぞれの種や遺伝子を私がどのように理解しているかを示すためにこんなたとえ話をしてみよう.この宇宙はおびただしいガラス玉がつながってできる広大無辺なネットワークである.それぞれのガラス玉は色の異なる網の上にあって,他のガラス玉の像を反射する.その結果,観察者が見る位置によって異なる模様が現れることになる.しかし,それは観察者の目には異なって見えるにすぎない.実際に存在するのはすべて同じ無色のガラス玉だからである.(早田文蔵 1931, 「植物ノ動的分類體系ニ就キテ」ドイツ植物学会会報, 49: 328-348, p. 346)

これは『分類思考の世界』の「インテルメッツォ:実在是表象,表象是実在(二〇〇七年ニューオーリンズ,アメリカ)」冒頭の引用文だ(p. 146).早田文蔵はこの論文の中で,華厳経の宗教的啓示を受けて,「動的分類学(dynamische Taxonomie)」という新たな分類学の考え方を提唱したと明言している.彼の動的分類学を支える高次元ネットワーク概念が,華厳経のこの「インドラの網」だったことがやっとわかって,長年の未解決問題にやっと決着が着いた.

なお,本書で言及されている宮沢賢治の作品「インドラの網」は青空文庫ですでに公開されている.関係のある一節は下記の通り(ルビ削除):

「ごらん、そら、インドラの網を。」
 私は空を見ました。いまはすっかり青ぞらに変ったその天頂から四方の青白い天末までいちめんはられたインドラのスペクトル製の網、その繊維は蜘蛛のより細く、その組織は菌糸より緻密に、透明清澄で黄金でまた青く幾億互に交錯し光って顫えて燃えました。

早田文蔵と宮沢賢治が華厳経の「インドラの網」を介してつながった瞬間.早田文蔵と宮沢賢治が華厳経の「インドラの網」を介してつながった瞬間.早田文蔵の描いた「インドラの網」に基づく「高次元ネットワーク図」とは,彼の論文:Bunzô Hayata 1921. The natural classification of plants according to the dynamic system. 臺灣植物圖譜・臺灣植物誌料・第拾巻,臺灣總督府民政部殖産局編,pp. 97-234に付された彩色図版である(→「宮沢賢治と早田文蔵:華厳経の「インドラの網」と高次元分類ネットワークとの関係」).

—— なお,著者は同じ中公新書から:野村哲也『カラー版・パタゴニアを行く:世界でもっとも美しい大地』(2011年1月25日刊行,中央公論新社[中公新書2092],東京,vi+182 pp., ISBN:978-4-12-102092-5 → 書評版元ページ)を出している.これもまたカラー写真が鮮やかすぎる.

◆[欹耳袋]【教訓】忙しいときにみだりにバージョンアップしてはならぬ.自宅NTTルーターのファームウェアを昨日バージョンアップしたら,有線LANがつながらなくなって大騒動.NTTサービス窓口の担当者も思案投げ首(orz).Air Mac 経由で無線LANならばノートパソコン(MacBook Air / DELL Inspiron)は問題なくネット接続できるのに…….NTT担当者の電話遠隔指示により,家中をあちこち走り回って,ルーターをいじったり,風呂場天井裏のハブを操作したりと小一時間かけまわって,LANケーブルに関する「MDI-X」設定を固定から自動に変更してやっと有線LANが正常復帰した.疲弊.

◆駒場出撃の昼下り —— 午後2時前,つくば駅.午後1時の気温は7.9度.空気はまだ冷たいが,穏やかな日差しはまぎれもなく春の陽光.今日の午後は半日年休をとって駒場へ.午後3時半,駒場東大前着.先日の降雪で枝が折れた時計台前の大木がちんまりと刈り込まれている.講義室へ.部屋が生暖かい…….本日の高座は生物多様性を多様性とする体系学的思考法と系統推定のための統計学的ツールについて噺をします.

◆[欹耳袋]「晩節を汚す」ということばを自分の都合のいいように相手に投げつけてはいけない.金の切れ目は縁の切れ目.むしろ,そのような状況を生み出した側の責任を問うべきだろう.報酬の裏付けのない労働を要求するのはあまりに“ブラック”過ぎて話にならない.自発的にボランティア(無給労働)しなさいという〝世間さま〟の声は堂々と無視しよう.決断するのはのはこっちの専決事項だし.職業と金銭の二者択一は,それを理不尽にも「迫る側」に全責任があって,予期せず「迫られる側」が責められる理由はまったくない.つまらない精神論やたてまえは笑って無視するのみ.

◆午後8時過ぎ,つくば帰還.今日は月がくっきり見える.ん,ここ数日ぱらぱらと着弾していた玉川大のレポートが〆切一時間前になって静かになったけど,これでもうおしまい?

◆本日の総歩数=7597歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(−0.8kg) / 30.3%(−0.5%)


23 januari 2013(水)※今年初の根津で田舎汁粉を

◆午前4時半起床.気温は氷点下1.2度.蟲採りの朝.すでに三刷まで重版され,もう〝枯れ果てて〟いたと思っていた『分類思考の世界』にまだ「虫」が残っていたことが昨夜発覚し,「蟲ってスゴイな」と感動のプチ嵐(汗).該当箇所は「インテルメッツォ」(p. 146):「早田文蔵「植物ノ動的分類體系ニ就キテ」一九三二年」→「一九三一年」が正しい年号.うわわ,同 p. 159 末尾にも同じ年号のまちがいが(orz).さらに,『系統樹曼荼羅』の「p. 114」に「征服」が「制服」と誤変換されているまちがいがあるとの通報あり.ご連絡ありがたや.本を書く人はいつも「捕虫網」を手放してはならぬ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来年度開講される横浜国大〈統計道場〉集中講義は,期日が2013年9月9日(月)〜11日(水)と確定しました.常盤台のみなさん,よろしくお願いいたします./霞が関統計高座は2月15日(金)午後の実施が確定した.あとは〝ドレスコード〟の問題のみ……./時間がパッティングしている本郷での修論発表会の打ち上げと神楽坂での学会理事会のいずれに参加すべきかという深刻な悩み.

◆[欹耳袋]「プレFD」という虎の穴 —— 東京大学・大学総合教育研究センター「2013年4月、東京大学フューチャーファカルティプログラム(大学院生向けプレFDプログラム)開講」.いろいろな「聴衆」を相手に高座を務められるだけのスキルは確かに必要だと思う./朝日新聞デジタル「東大「教える力」底上げ 教員目指す院生へ講座」(2013年1月23日).記事には「東大は研究成果を何より重視する校風で、学生を教育する力の育成は後回しになっていた」と書かれているが,どこの大学も同じでしょ./Nakahara-Lab.net「「教えることを教えるプログラム」がスタートします!:大学教員をめざす大学院生向け「東京大学フューチャーファカルティプログラム」今春から開講!」.これを読むと,「所定のカリキュラムを受講生した東大の大学院生生には、東京大学公式の「履修証」が交付されます。このことは、大学教員公募に応募する際の「履歴書」にも書くことができます」とのこと.

◆本郷出撃 —— つくば駅.午前11時の気温は7.7度.空気は冷たいが,ぼんやり晴れて穏やかな日和.これから本郷へ出撃.正午過ぎ,根津駅前の甘味処〈秋田屋〉にて,つぶ餡の「田舎志るこ」を注文.ややさらりとしたつぶ餡の甘みがまろやか.この店では,「御膳志るこ(汁ありこし餡)/田舎志るこ(汁ありつぶ餡)/田舎ぜんざい(汁なしつぶ餡)」の三点セットがそろっている.京都で言えば,この三点セットと相同関係にあるのは「おしるこ(汁ありこし餡)/ぜんざい(汁ありつぶ餡)/亀山(汁なしつぶ餡)」だ(関西での「汁なしつぶ餡」を「亀山」と呼ぶのはひょっとしたら京都だけかもしれない).関東的には「汁あり」の「しるこ」と「汁なし」の「ぜんざい」という二つのカテゴリーがあって,「汁あり」の下位カテゴリーとして「こし餡=御膳しるこ」と「つぶ餡=田舎しるこ」がある.「田舎」という形容は「つぶ餡」を共通して指しているのだろう.なお,すぐ近くの〈芋甚〉では,「御膳しるこ(こし餡)/田舎しるこ(つぶ餡)」はあるが,汁なしの「ぜんざい」はメニューにない.

◆正午の都内の気温は8.1度.不忍通りはくすんだ晴天.午後1時前に弥生キャンパスへ.薄曇りの雲間からときどき弱い日差しが.一休みしてから専攻教員会議へ.今年初めての専攻教員会議は肩すかしなほど議案がなく,二時間弱であっさり終わってしまった.

◆[欹耳袋]Togetter -「『p値とは何か』について語ってみる」.新刊:Andrew Vickers[竹内正弘監訳]『p値とは何か:統計を少しずつ理解する34章』(2013年1月刊行,丸善出版,東京,本体価格2,800円,ISBN:978-4-621-08551-6 → 版元ページ)に関するツイートまとめ./醤油鯛,おそるべし:ダ・ヴィンチ電子ナビ「第1回「笑う本棚大賞」は『醤油鯛』に」(2013年1月21日)./ハチ公の飼い主・上野英三郎は専攻教員会議の部屋にブロンズ像としていつも「常駐」している.

◆教員会議後,曇り空の根津神社を通り抜け,千駄木のウラにある〈結構人ミルクホール〉にて珈琲充.今日はコロンビア・オズワルド農園の深煎り.ついでに「チャーシュータマゴサンド」を注文.越谷〈へーちゃんラーメン〉のチャーシューと半熟卵をサンドイッチしたものとのこと.あ,写真撮るの忘れた〜.谷中の〈マミーズ〉でアップルパイをゲットして,千駄木からつくば直帰.本日の車中往復読書でやっと由良君美『椿説泰西浪曼派文学談義』(2012年7月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・767],東京,本体価格1,700円,ISBN:978-4-582-76767-4 → 目次版元ページ)を読了.木菟斎手強し.

◆午後5時過ぎにつくば着.今宵は朧月夜.おでんに火を入れ,夕餉に備える.そんなに寒くないけど,おでんにはやっぱり燗酒かな.〈日置桜〉鍛造にごりの召喚だ.夕方,自宅のNTTルーター(RT-200KI)ファームウェアのバージョンアップをして以来,有線LANがまったくつながらなくなってしまった.無線LANはまったく問題なくつながっている.ケーブルの種類(クロス対ストレート)の問題だけかな.明日 NTT に電話しないと.午後10時過ぎ,いつの間にか雨が降っていた.

◆本日の総歩数=7826歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.2kg) / 30.8%(+0.2%)


22 januari 2013(火)※やはり楽しいパスタ系統樹

◆午前4時半過ぎ起床.寝起きにゆらりとマンションが揺れた.気温2.8度.路面が濡れているが雪も雨も降っていない.予想よりも低気圧の進路が北寄りだったので,南の暖気が入ってきているらしい.曇りときどき雨が降る観音台.午前8時の気温は2.5度と高め.路傍の雪と氷が薄汚く融けてきた.居室の本棚をちょっといじり始めたらもう止まらない.

◆本日の┣┣" 撃ち —— 明後日木曜の駒場高座のしたく.次回は生物統計学という名の生物体系学を.スライドとハンドアウトの準備に時間がかかってしまった.そうそう,明後日の講義時に「授業アンケート」を実施します./年度末の霞が関は会議室の「奪い合い」が勃発しているらしく,ワタクシのお座敷の日程がなかなか決まらない./来月の国立民族学博物館での国際シンポジウム〈樹について考える〉の英文参考資料をメール送付完了.高座のスライドはこれからつくりこむことになる.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「羅生門―ポスドク編」.いわく:「校門に捨てられたポスドクが、薄汚れた研究室で見たものとは?」/Togetter -「地域限定的(日本国内)な内容の論文は英文で書くべきか和文で書くべきか?」※科学の lingua franca とローカル言語の両方で書きまくりましょう.

◆正午の気温3.8度,曇りときどき小雨の観音台を徘徊すること小一時間.残雪が融けて足元はかなり悪いコンディションだった.野村哲也『カラー版・世界の四大花園を行く―砂漠が生み出す奇跡』(2012年9月25日刊行,中央公論新社[中公新書2182],東京,198 pp., ISBN:978-4-12-102182-3 → 版元ページ著者サイト).この本の意外な箇所でずっと未解決だったアノ問題が解決してしまった喜び.

◆[蒐書日誌]パスタの形態測定学 - 系統と進化(続) —— George L. Legendre『Pasta by Design』(2011年刊行,Thames & Hudson, London, 208 pp., ISBN:978-0-500-51580-8 [hbk] → 版元ページコンパニオンサイト情報).本の現物が届いたので,隙間時間にめくり始めている.約200枚の図版があり,うち半分はパスタの実物カラー写真,残りは数式モデルでシミュレートされたパスタ形状の三次元グラフとその二次元断面図だ.もちろん,パスタは食材なので茹で時間や,代表的レシピが簡単に記されている.

序文「パスタの本質をとらえる」で,著者は本書の目指すところを次のように述べている(pp. 008-009):

This book takes on the challenge of classifying these pasta types in its own unique way. Freely inspired by the science of phylogeny (the study of relatedness among groups of natural forms). Pasta by Design pares down the startling variety of pasta to ninety-two types, divided according to their morphological features, and chart them in the Family Tree (pages 010-011). Each member of the family is then illustrated by its parametric equations, a 3D diagram and a specially commissioned photograph by Stefano Graziani.

巻頭にはパスタの系統樹(見開き2ページ)および巻末には詳細系統樹(表裏計8ページ)が折り込まれている.パスタの系統樹はヴィジュアル的にとても魅力的だ.しかし,このパスタの系統樹そのものはリアルな意味での“系統発生”というよりは,類似形質を階層的に配置した樹形図の色合いが濃いようだ.巻頭の全体図の構築に用いられているパスタの“形態的形質”(縁・表面・断面・全体形状)に沿って二次元マップ化した樹形図が巻末の巨大な折込図版である.

要するに,本書は,パスタの形状を数理モデルを用いて記述することにより,かたちの「本質」を抽出しようという試みである.パスタの種類によっては,リングイネやクアドレッティのように単純な数式モデルですむものもあれば,表紙を飾るファルファローニやコロネ・ポンペイのように複雑極まりない数式を要求する形状もある.単なる記述モデルとして眺めても,ここまでこだわるかとあきれるほどパスタごとに精緻なモデルが記されている.その熱意はただものではない.それ以上に,いまだ食べた経験がないパスタも多々ある.パスタの“種分化”は侮るべからず.

それぞれの数理モデル(変数範囲まで含めて)は詳細に記されているので,Mathematica や R が使える環境にある読者ならば,自分で試してみることもきっと可能だろう.

ただし,本書の形態数理モデルはいかに現実のパスタの“かたち”をリアルに再現できるかに主眼が置かれているようだ.その意味では「記述的」な数理モデルの使い方かもしれない.古生物学で実践されてきた理論形態学(theoretical morphology)のように,モデルのパラメーターを変えて生じる仮想パスタの“かたち”を見てみたい気になる.系統樹上で同じ“単系統群”に属するパスタであっても,数理モデルの基本構造は必ずしも共通してはいないようだ.貝殻の形態記述数理モデルの「系統推定」の例がすでに発表されている.パスタの数理モデルの多様性をその embranchements ごとにでも(全体はムリっぽいから)系統推定できればさらにおもしろいかもしれない.

ひとつ気になるのは,パスタマシンとの関係.それぞれのパスタは機械的に製造されているものと思うが,それぞれのパスタマシンはパスタごとに“特殊化”しているのだろうか.パスタマシンの系統発生にも関心が向いてくる.実際には,イタリアの地でパスタはリアルな“系統分岐”を経験したにちがいない.その時空的な歴史を推定することもきっと可能だろう.

◆[欹耳袋]月丸の庭「Rumors on job hunting in academia」(2012年4月5日)※一論文として出すべきものを業績数かせぎのため複数に切り分けることを〝サラミ投稿(salami slicing)〟と呼ぶ./月丸の庭「Rumors on job hunting in academia (2)」(2013年1月22日)※確かに,旧国研と大学とを人事的に隔てる「ベルリンの壁」を越えることは当時は決死の覚悟が必要だった.

◆夜の┣┣" 撃ち —— 終わったはずの某辞書.追加の項目執筆依頼ががが…….浜の真砂は尽きるとも,世に辞書の種は尽きまじ.いったいこれまで何冊の辞書に関わってきたかと思うと,そろそろ〝辞書隠居〟したいですねぇ.だれか代わりにばりばり辞書を書いてほしい./玉川大学からの課題レポートがぱらぱらと着弾し始める.〆切は明後日.

◆明日は本郷にて今年最初の専攻教員会議だ.

◆本日の総歩数=7768歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(−0.5kg) / 30.6%(+0.2%)


21 januari 2013(月)※週明けは雪が降る予報だが

◆午前5時起床.気温は氷点下3.1度.ほどほどに寒い.残雪がいまだ残る観音台は曇りところどころ晴れ間から朝日が差す.午前8時の気温は氷点下0.8度.稲荷川側道の分厚い氷を踏み割って農環研へ.朝イチのBGMはカール・ニールセンの交響曲6番だ.

◆[欹耳袋]これはもっと報道すべきだ!(笑) —— これでも大学職員のブログ「センター試験会場ではいろいろな事件が起きている 2013」(2013年1月20日).世の中にはおもしろいことが多すぎる./NAVER まとめ「東大生の教える本郷キャンパス周辺のおいしいラーメン屋まとめ」.確かに,本郷通りはいまや「ラーメン通り」と化しつつあるもんなあ./〈虫Cafe!〉の噺役に知り合いが多すぎる件./5号館のつぶやき[「ダーウィンも知らなかったこと」という挑戦的タイトルの論文] (2013年1月19日).

◆午前の┣┣" 撃ち —— 所内一般物品調査のチェック結果を用度係に速攻で返送完了.十年以上も前に買った物品がリストアップされていて,しばし追憶スイッチオン.

◆観音台は穏やかに晴れて,午前11時の気温は6.0度とやや高め.農環研駐車場のアイスバーンがほどよく融けて,ベストの〝スケートリンク〟と化している.つるつる〜.春の空を思わせる霞んだ青空が広がる昼休み.正午の気温は7.1度.南風が吹いて徘徊日和.岡田哲『明治洋食事始め:とんかつの誕生』(2012年7月10日刊行,講談社[講談社学術文庫2123],東京,262 pp., ISBN:978-4-06-292123-7 → 版元ページ)の後半「とんかつ」の章を読了.明治から一世紀にわたる「とんかつ」への系統発生は急速だった.

◆[蒐書日誌]共著者からつい先日まで福岡で開催されていた〈水戸岡鋭治の幸福な鉄道展〉のカタログやグッズ類がどさっと着弾し,観音台はみるみる鉄分上昇ちう.もちろん「JR九州車両デザイン系統樹」あり! “鉄本”あり:水戸岡鋭治・ドーンデザイン研究所『Tsubame 800 Design Book 2』(2012年7月7日発行,ドーンデザイン研究所,112 pp.)/水戸岡鋭治・ドーンデザイン研究所『DDA』(2012年12月1日発行,ドーンデザイン研究所,38 pp.).

◆午後の┣┣" 撃ち —— バッハ〈イギリス組曲〉をBGMに一休み./所外貢献等なんちゃら報告リストをぽぽーんと放り投げた./木曜の駒場「生物統計学」のハンドアウトは再考しよう.

◆ここ数日,それとなくしつこく探していたフェルナンド・ペソア[高橋都彦訳]『不安の書:リスボン市に住む帳簿係補佐ベルナルド・ソアレスの』(2007年1月刊行,新思索社,ISBN:4-7835-1196-9 → 版元ページ)(2007年,新思索社 )がやっと本棚の奥から発掘された.フランセス・イエイツ[前野佳彦訳]『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』(2010年5月15日刊行,工作舎,東京,878 pp.,本体価格10,000円,ISBN:978-4-87502-429-3 → 目次版元ページ )のうしろで650ページという厚みのある本がじっと身を潜めていた.『不安の書』が見つかったので不安ではなくなった.これでやっとフェルナンド・ペソア[澤田直訳]『新編 不穏の書、断章』(2013年1月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・780],東京,371 pp., 本体価格1,500円,ISBN:978-4-582-76780-3 → 版元ページ)を持ち歩くことができる.

◆さほど天気が崩れることもなく,あっという間に夕焼けグラデーション.午後5時前,榎戸交差点の国道408号北行きが故障車で一車線ふさがっていたので,舘野方面へ迂回して帰宅.天気予報は今夜は雪が降ると言っていたけど,その兆候はぜんぜんないねー.夜遅く,冷たい雨が降りだした.

◆本日の総歩数=10111歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.2kg) / 30.4%(0.0%)


20 januari 2013(日)※大寒の朝はもちろん氷点下

◆午前5時起床.ポトフに火を入れて悠々二度寝.気温は氷点下4.6度.朝焼けグラデーション.大寒の今日もいい天気だ.早春の日差しがまぶしい.午前中は翻訳作業.千字の文も一字から.午後はぶらぶらと“探酒”徘徊.をを,土佐の〈亀泉〉「初しぼり・純米吟醸生原酒 CEL-24」が並んでいるではないか! 三宮の〈才谷梅太郎〉で初めてその強烈なパイナップル香を体験して以来,記憶に残っている.まさか,つくばで入手できるとは思わなかった.CEL-24酵母はタダモノではない.穏やかな日和が続く.本日の最高気温が9.9度まで気温が上がった.

◆休日の┣┣" 着弾 —— 一年空きましたが,今年は常盤台での「生物統計学」集中講義が開講されます.9月実施予定./ワタクシの場合,日録とツイッターでほぼ確実に捕捉されてしまう.実際,事務の人から「いつもおられないのでネットで追跡しています」と言われたことあり.事務,おそるべし.

◆[欹耳袋]昨日のセンター試験「国語」第一問に出た小林秀雄の評論がとても難しかったらしい.昔から大学入試の「常連出典者」で,しかも「難文」な著者なので(今朝の新聞で眺めたら案の定そうだった),受験生はさぞかし悩んだだろう.文章はいったん公表してしまえば,著者の手を離れて自分の道を生き延びていく.機会を得て入試問題に使われたとしても,書き手はそんなこととは露知らず.受験生が試験会場で読むことを念頭に原稿を書いているわけじゃなし.「わかりやすい文章を」「単純明快な文体を」「シンプルな段落構成を」という声は試験会場の受験生からきっと出るだろうが,草葉の陰の著者を恨めしく思ってもしかたないしね.

年度明けに,著作権団体からワタクシの書いた文章をどこそこ大学の入試問題に使ったとの事後承諾とその入試問題のコピーが届くたびに,「ヘンな文章を書いてごめんなさいごめんなさい」とヒソカに受験生に謝っている.物書きは受験生をいぢめないような文章を書きましょう.でも,治らない…….そもそも,「入試に出る著者」は名誉なのか不名誉なのかという難問がある.あまりにわかりやすすぎたり難しすぎるときっと点差がつかないだろうし,ほどほどに弄った文章が出題しやすい素材なのだろう.

いずれにしろ,自分の書いた文章が入試問題に使われたときはいつもドキドキする.たいてい,設問の中に「この傍線部で著者はどのように考えているか述べよ」みたいな設問が含まれているのだが,著者自身が「えー,そんなん何にも考えてへんがな……」なので(ごめん),ない答えを探すことになる受験生たちに申しわけなくて(すまん).また,設問の中には著者自身が「解けない」ものもある.そんなときには,「どこのどいつがこんなわかりにくい文章書いたんや[それはワタシ]」と自らを責めている(かんにん).

—— 受験生諸氏,がんばってくだされ.

◆[欹耳袋]毎日jp「センター試験:女子受験生が社会の問題冊子持ち出す 長崎」(2013年1月20日) —— センター試験問題を持ち出させた予備校ではなく依頼された受験生の身柄を確保して警察が取り調べたり,受験会場の大学がその件で謝罪したり,責任者である大学入試センターがでかい顔をしてはいけません.最後のツケが監督者だけにまわされるのは理不尽きわまりない.

◆本日の総歩数=3803歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(−0.4kg) / 30.4%(+0.1%)


19 januari 2013(土)※今年のセンター試験は好天

◆いったん午前5時に目覚めたものの,床暖オンしてあえなく二度寝.さっき起床.午前6時の気温は氷点下1.4度とやや緩む.朝焼けグラデーションから日の出へ.今年のセンター試験の朝は雪も降らずきびしい冷え込みもない.

◆「センター試験」のことをつい「共通一次試験」と口走って「ふっる〜」と軽蔑される世代はまだマシ.「共通一次試験」すらなかったもっと古い世代がその背後に延々と連なる.ワタクシは1976年4月に大学に入ったので,もちろん「プレ共通一次世代」.大学入試センターが開設され,共通一次の「試行試験」が実施されたのがその後の1977年のことだから,時代的に「かすり」もしなかったことになる(→ 関連年表).ただ,記憶を掘り起こすと,高2(1975年)だか高3(1976年)のころに,「共通一次試験はこういうこういう形式で」と言われて,授業中に模擬問題とマークシート答案用紙みたいなのを配られて見た覚えがある.あれはひょっとして「プレ試行」みたいなものだったのだろうか.それとも教師が独自に配ったものなのか.そろそろ記憶がさだかではなくなってきた.いずれにしても,ワタクシの場合,当時の東大入試の「一次試験」が科目的にも答案形式的にも共通一次試験そのものだったので,自分では経験していない共通一次試験,そして後継のセンター試験の「ようす」は実感としてよくわかる.

◆正午の気温8.1度.雲ひとつない快晴で,吹きつける北風もなく,まことによき日和である.だから,筑波ハムのベーコンでポトフをたっぷり仕込もう.一字また一字と積み上げる昼下り.夜は念入りポトフをば.

◆本日の総歩数=1808歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(−0.7kg) / 30.3%(+0.3%)


18 januari 2013(金)※年度末┣┣" 御一行が出現

◆午前5時過ぎにじたばた起床.きりきり冷え込んだ今朝は氷点下6.9度まで下がっている.朝餉の出汁巻きを焼く.今朝の最低気温は氷点下7.3度まで下がった.大寒のころは氷点下8度くらいまで下がることがある.空気が乾いて筑波颪が吹きすさぶ季節は,寒いというよりは痛い.痛い季節がやってきた.竹園あたりはほとんど雪がないが,観音台へのウラ道の通勤路はいたるところにまだ雪が残っている.今週から研究所内のエレベーターが「節電半減運転」を止めた.とてもいいことだ.年度末ならではの季節もの┣┣" 数頭が出現していた.とりあえず見ないふりをする.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 向こう一ヶ月の┣┣" 撃ちリスト作成だん./昆虫分類学若手懇談会の『ニュース』(創刊号〜No.50)と会報『Panmixia』のScanSnapによる電子化作業開始.残りの分については若手の会事務局と打ち合わせてコンプリートに電子化する予定.昆虫分類学若手懇談会ニュースは1970年代はじめに創刊された.当初の号は「手書き」かつ「青焼き」というスタイルで(ガリ版切った?),40年が経過した現在では保存状態がかなり劣化している(事務局にコンプリートに保管されている原本を見ると)./年度末の業績評価報告とか備品調査とかすべて今月末が〆切.大学関係では今月下旬に答案レポートが集まったら間髪入れずに成績評価とオンライン入力という作業が待っている.毎年恒例の年度末┣┣" さま御一行の上陸だ.

◆[欹耳袋]JR九州車両デザイン系統樹(さらに続く) —— archief voor stambomen - この件については,昨年末からいくつか記事を書いているが,『系統樹曼荼羅』の共著者・杉山久仁彦さんから情報を得たので備忘メモ.この「JR九州車両デザイン系統樹」は,JR九州ホールにて昨年末からつい先日まで開催されていた〈水戸岡鋭治の幸福な鉄道展〉の展示パネルのひとつである.杉山さんがこの展示の図録作成に関わっていたことから,企画段階でJR車両の「デザイン系統樹」が描いてはどうかと水戸岡さんにもちかけたらしい.なお,この「JR九州車両デザイン系統樹」は〈幸福な鉄道展〉会場で販売されていたとのこと.のちほど現物を送ってもらえるとのこと.ありがたやありがたや.

◆昼休みの周辺徘徊は苦難の道程だった.正午の気温は4.4度.しかも冷たい北西風が吹きつけ,歩き読みをしようにも畜草試の飛び地のまわりは雪がまったく融けていなくて足を取られる.こりゃかなわん.それでも負けずに岡田哲『明治洋食事始め:とんかつの誕生』(2012年7月10日刊行,講談社[講談社学術文庫2123],東京,262 pp., ISBN:978-4-06-292123-7 → 版元ページ)のあんパンの章まで読み進む.銀座〈木村屋總本店〉の創業者・木村安兵衛は牛久出身.日本初の「あんパン」をつくるのに用いた水は筑波山近くの硬水の井戸水,酒種は筑波山中腹の「岩陰の澄んだ空気」(p. 138)から採集したとのこと.あんパン,おそるべし.

◆[欹耳袋]宗教系統樹あれこれ —— archief voor stambomen - まずは仏教の宗派系統樹から「仏教宗派の系統樹」.仏教宗派全体の系図はこれ:「Mind Map: Schools of Buddhism」.この全体系統樹の右下の端っこにあるチベット仏教の宗派については:「Genealogy of Tibetan Buddhist schools」を参照.宗派の系図は愛憎入り混じりでおもしろい.さらに,「世界の宗教の系統樹(アニメーション)」は見応えがある.MalNar Video by Bobby Standridge「On the Origin of Speciose Religion: The Family Tree」はアニメーターの手になる宗教宗派の系統発生アニメーション.この系統樹アニメーションについては,The Richard Dawkins Foundation に記事が載っている:「Rush Music Video: Family Tree of Religions」(18 January 2009).このテーマはさらに広くアンテナを張る価値がありそうだ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 来年度の分子系統ワークショップの開催応募./フレックスタイムの変更と半日年休の申請二件完了./来年度の東大「生物統計学」講義シラバスを確認終了./農林水産省食料産業局とのミーティング.来月の統計研修「農林水産省食料産業局「特性審査のための統計分析に関する勉強会」に関する打ち合わせ.予定日は2月13日(水)15:00~17:00@農林水産省食料産業局第4・第5会議室.ま,いつもどおりの「高座」を霞が関でやるということで.

◆夕焼けグラデーション.今日の最高気温は5.4度,いまは2度台.北風が強すぎて撤収を余儀なくされた.さて,今夜はヘルシーにハンバーグをこねよう.

◆本日の総歩数=10056歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.5kg(+0.9kg) / 30.0%(−0.5%)


17 januari 2013(木)※雪の細道をたどる玉川大学

◆午前5時前起床.寒いなあ.氷点下4.5度まで下がっている.床暖オン! 今朝の最低気温は氷点下4.9度まで下がった.

◆[欹耳袋]一般の流通経路に載らないが,学術情報を含む印刷物や出版物を電子化&公開するシステムが機能するのはとてもいいこと.褪色しやすい「青焼き」の発行物はすぐにでも電子化が必要.金曜はそのための打ち合わせをする予定になった.うまくいけばいい前例になるはず./カレントアウェアネス・ポータル「コーネル大学鳥類学研究所マコーレー図書館、所蔵している鳴き声約15万点のデジタル化を完了」(2013年1月16日)※「7,513時間10テラバイト以上にものぼるとのことです」.鶏のさえずりコレクションはユニークだ./〈geomorph〉- Rの幾何学的形態測定学パッケージ〈geomorph〉のサポートブログだそうだ.「かたち」をいつも測っていたいアナタのために.

◆[欹耳袋]昆虫分類学の歴史 —— Michael S. Engel and Niels P. Kristensen 2013. A history of entomological classification. Annual Review of Entomology, 58: 585-607. DOI: 10.1146/annurev-ento-120811-153536 → html | pdf [open access]. ※文献62:Hyatt A, Arms JM. 1890. Guides for Science-Teaching. No. VIII. Insecta. Boston: Heath & Co.の「円盤系統樹」が気になる.

◆[蒐書日誌]鳥居龍蔵本 —— 鳥居龍蔵『ある老学徒の手記』(2013年1月16日刊行,岩波書店[岩波文庫・青N112-1],東京,508 pp., ISBN:978-4-00-381114-6 → 版元ページ).自伝.つい先日:中薗英助『鳥居龍蔵伝』(2005年9月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・S119],東京,viii+508 pp., ISBN:4-00-603119-X → 版元ページ)を入手したばかりだったので,グッドタイミング.

◆玉川学園は雪積もる —— 午前8時前,つくば駅.すっきり冬晴れ.午前9時,新宿駅で乗り換え.午前8時の都内の気温は1.8度.空気が冷たくてぴりぴりする.都内の雪はまだいたるところで融け残っている.新百合ヶ丘.つくばよりも都内の方が,そして神奈川に近づくほどさらに残雪が多くなっている.午前10時過ぎ,玉川大学.玉川学園前からの登校路は路傍にかき寄せられた雪の畝が続く.屋根の上にはまだ5センチ以上降り積もったまま.大学構内も真っ白.見上げれば真っ青な青空.雪上を吹き抜ける風が冷たすぎる.玉川大学の分子進化系統学の高座は本日でおしまい.半年間お疲れさまでした.レポートがむばってねー.お昼を過ぎてやや気温が上がってきたせいか,残雪はそこかしこでどんどん融け始めている.最高気温は午後2時過ぎの8.3度.いつもどおり経堂で途中下車.ずいぶん久しぶりにすずらん通り沿いの〈らあめん英〉へ.いつもは客の行列が長く伸びているので避けていたが,珍しく席が空いていた.野菜タンメンを注文.豚骨ベースの塩味.野菜たっぷり.その後はいつもの潜伏場所へ.潜伏場所から春のワルダクミ企画について打診してみる.一見,荒唐無稽なワルダクミでも,いったん口にしてしまうと(文字にしてしまうと),何となく「できるかも」と思えてしまうワタクシは天動説.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:TimeLine「【書考空間】系統樹曼荼羅 チェイン・ツリー・ネットワーク(文:三中 信宏、図版:杉山 久仁彦)」(2013年1月17日).

◆夕暮れの駒場へ転戦 —— 先日の雪で,駒場キャンパスは「世紀末的廃墟」と化したというウワサがある.しかし,そのままセンター試験の受験生を迎えるわけにはいかないか.でも,実際に駒場キャンパスに入ってみると,言うほど「世紀末的廃墟化」してへんな(ちっ).東大の生物統計学のお座敷は今日を含めてまだ三回もある(orz).レポート課題は今日配りますねー.今日の講義はべいづ.午後6時前に駒場をあとにして,上野広小路へ向かう.今夜は〈龍膳・上野店〉にて,生物地理学会スタッフによる春の年次大会の打ち合わせ.その後,新年会へ突入.午後9時過ぎ解散.湯島から乗ってつくばに帰還したのは午後11時前だった.寒い寒い.

◆本日の総歩数=12609歩. 朝○|昼△|夜×. 計測値(前回比)=94.6kg(−0.2kg) / 30.5%(+0.6%)


16 januari 2013(水)※残雪いまだ融けず寒い一日

◆午前5時起床.気温は氷点下0.5度.今朝は鯵のひらきを焼こう.薄ら寒い曇り空の観音台.幹線道路の雪はほぼなくなっていたが,いったん稲荷川の側道に入り込むと,一面の残雪と氷でノーマルタイヤではつるりんとすべる.駐車場は今朝もスケートリンク状態.午前8時の気温は氷点下0.1度.雪の日はそれほど冷え込まないが,湿気のせいか寒さが染みこむ.

◆[蒐書日誌]ダーウィンフィッシュ! —— ダニエル・ポーリー[西田睦・武藤文人訳]『ダーウィンフィッシュ:ダーウィンの魚たちA〜Z』(2012年12月20日刊行,東海大学出版会,秦野,xxviii+444 pp., 本体価格6,200円,ISBN:978-4-486-01883-4 → 版元ページ).ビーグル号航海でチャールズ・ダーウィンが採集した魚類コレクションを踏まえた本.ガラパゴス諸島海中の生態カラー図版12ページ,本文二色刷の大判本.マルジナリアの訳注満載.ご恵贈感謝です.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 東大「生物統計学」レポート課題の作成とハンドアウトの用意完了.最終日に配布する授業アンケート用紙が届いた./玉川大学「分子系当進化学」は今度が最終回なので噺のコンテンツをどうしようかな./去年の復命書の書き直し一件.さくっと追い払う./農大昆研の卒論発表会&追いコンは2月9日(土)とのこと.しかし,大阪にトンズラしていて参加できない./学位審査会の押印は23日(水)の専攻教員会議の際でOKとのこと.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen - 「サーフボード・シェイパーたちの系統樹」.1910年代から2000年までの約一世紀におよぶサーフボード造りの師弟関係系譜を描いた「Shapers: A Family Tree」という巨大な折り込み図.工芸品の文化系統樹./「旧鼠の妖怪系統図」.元記事は:流れ星的でイナビカリ的な何か「【妖怪研究】旧鼠について」(2011年7月11日)&「【妖怪系統図】旧鼠【第2回】」(2011年8月13日).旧鼠の系統図はこれ

◆午前中は曇り空だったが,昼休みになってだんだん青空が広がってきた.しかし,正午の気温は3.4度とかなり低く,徘徊しているうちに冷気がじわじわ染み込んできた.農林団地の周囲はまだ残雪が残っている.日中の最高気温が午後3時の5.6度までしか上がらずとても寒かった.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 生物地理学会事務局新年会は明日の夜,上野広小路にて./計量生物学会の対面理事会は1月30日(水)の夜,神楽坂にて./統計教育に関する「質保証委員会」の会議資料が着弾した.前回の1月12日(土)は分類学会連合シンポジウムで欠席したので.次回は3月16日(土)の予定.場所未定./その分類学会連合の返信書類を郵送完了./霞ヶ関統計研修の打ち合わせは金曜の午後3時から.夕方,霞ヶ関から届いた事務書類が当然のごとく「***.jtd」で,その直撃を喰らってからしばし人事不省に陥っていた.「うしろの〈一太郎〉」に勝てる者はいない.とりあえず,呪われ「***.jtd」は,MacBook Air の「xfy」で読み込んで,人畜無害な「pdf」へと解毒する.経歴書,また書くのかー(こちらは「***.docx」だし).

◆[蒐書日誌]あの系統体系学教科書がウェブ公開! —— Edward O. Wiley, D. Siegel-Causey, D. R. Brooks and V. A. Funk. 『The Compleat Cladist : A Primer of Phylogenetic Procedures』(1991年刊行,Special Publication No.19, University Kansas Museum of Natural History, Lawrence → Internet Archive [open access]).訳本:宮正樹訳『系統分類学入門:分岐分類の基礎と応用』(1992年,文一総合出版)が絶版になってしまったのは残念.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:Choloepusの日記「系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク」(2013年1月16日)

◆今日は┣┣" が舞い踊っていて手のつけようがない.夕焼けグラデーションを背景にさくっと撤収.夕餉には会津〈天明〉の24BY純米吟醸本生「中取り弐号」を開栓.おりがらみのマイルドな味わい.ほっこり.夜は氷点下の冷え込みになり,明朝が思いやられる.明日は定例都内出撃日.

◆本日の総歩数=7288歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.8kg(−0.6kg) / 29.9%(−0.5%)


15 januari 2013(火)※残雪の朝はつくバスで出勤

◆午前5時前起床.気温0.7度.すでに雪は止んでいて,静かな明け方.まずは鮭を焼きませう.つくばセンター発「つくバス」の発車時刻確認.バス出勤は妥当な判断だろう.氷点の夜明け前,見下ろす大清水公園やカピオ前はみごとな「スケートリンク」が広がっていた(汗).

ひさしぶりのつくバス出勤はふだんの倍の通勤時間がかかった.まずつくばセンターはバス待ちの客の列がヘビのように長く伸びていた.後輪にチェーンを巻いたつくバスが到着.もちろんあっという間に満員御礼で,途中の松代バス停はさくっと通過.土浦学園線や国道408号など幹線道路であっても,交差点ごとにスケートリンクが出現していて,車はどこもかしこものろのろ運転.

農林団地中央で降りて農環研に向かう.農林団地の圃場は見渡すかぎり一面の雪景色で,構内道路もところどころ「滑走可能」だった.午前8時の気温は1.1度.朝日は差し込んでいるが雪が融ける気配はまったくない.研究所内はいつもの週明けより人気が感じられないので,おそらくまだ出勤途中で格闘している職員は少なくないにちがいない.今日は市内を動きまわるのはムリだろう.遠景の筑波山もうっすら雪化粧している.朝からペソア『不安の書』を探しているのだが見つからなくて不安.不安なのでなお探し続ける.新刊の『不穏の書』は身柄確保したので,不穏にならずにすんでいる.

◆[欹耳袋]データえっせい「大学教員市場の開放係数(性別・専攻別)」(2013年1月15日).先日の「大学教員市場の開放係数」(2013年1月13日)の続編./〈zjs〉- 口頭発表座長用「予鈴タイマー」.時間設定や予鈴回数が細かく設定できる.ウィンドウズ用ツール〈学会たいま~ 座長の友〉というソフトウェアの Javascript 版.予鈴を鳴らしたいアナタに./ありえへんほどパワフルでキュートな木琴演奏(笑) —— YouTube「音楽会 木琴を叩く」 ※グリッサンドは全力でえいっ,エンディングはシャウトするん〜.

◆昼休みは農林団地の周囲を雪見徘徊.正午の気温は5.3度だが,北風は穏やかで体感気温は高い.晴れて日差しの当たっている場所では残雪はどんどん融けている.それでも,五センチほどの積雪があり,竹園に比べればよく積もっていた.農環研の圃場も“つちのうえ”ならぬ“ゆきのした”.まだ踏み荒らされていない tabula rasa には動物たちの足跡が点々と記されていた.歩き読みの伴は:岡田哲『明治洋食事始め:とんかつの誕生』(2012年7月10日刊行,講談社[講談社学術文庫2123],東京,262 pp., ISBN:978-4-06-292123-7 → 版元ページ).足元が危ういのでなかなか読み進まない.

◆午後も『不安の書』の捜索はなお続くが,手がかりがない.配架されていたと思しき場所は地震で崩落したので,ひょっとしたら奈落の底に転落したか…….ペソアに取り憑かれたか…….

◆宴のあとに —— 一昨日の第12回日本分類学会連合公開シンポジウム 〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉では,最後の総合討論の時間がやや不足気味だったので,思いつくままにオーガナイザー総括をば.種問題(the species problem)は か つ て は 体系学(分類学と系統学)の業界での「火薬庫」みたいなもので,国外的にも国内的にも前世紀後半は「種」の話題はこの業界での炎上ネタだった.たとえば,むかしむかしの〈伊達騒動〉の顛末はウェブ公開されているので(→ 伊達騒動「分類学・系統学・生態学」),だれでもこの植物分類学会業界での「昔話」を読むことができる.今回のシンポジウムに参加されたオーディエンスを会場でざっと見回して見ると,前世紀の「種論争闘士」の世代の研究者がかなりいたようだ.その一方で,もっと若い世代の割合も高かった.

種論争といえば,かつてはストリートファイトのような荒っぽい企みを数知れずやらかした経験がある(ワタクシ的に).しかし,その世代が着実に年齢を重ね,現在では〝プロレス興行〟のような一種の安心感をもって「対決」を見守ることができる.【種】の問題はむりやり解決することに意味はない.むしろ,【種】とともに生き続けることが,もっと興味深い問題への研究者の意欲をかき立てているという側面は否定できない.生物集団の時空的挙動の研究は【種】に関する問題意識とともに深まってきた.前世紀の「種問題」を紛糾させた大きな要因があるとするならば,それは生物学哲学的な論議ではなかっただろうか.Michael T. Ghiselin の「種個物説」(M. T. Ghiselin 1974. A radical solution to the species problem. Systematic Zoology, 23: 536-544 → JSTOR [open access])をはじめ,【種】の形而上学的論争は現場の体系学者たちにとっては迷惑至極だったのではないかと推測する.

もちろん,ワタクシがシンポジウムで話したように,【種】の哲学的問題はけっして避けては通れない.種タクソンや種カテゴリーについて分類学者が触れるならば,自動的に,哲学の「地雷」を踏むことになる.これは自覚しなければならない.しかし,その一方で,現場の体系学者には,そういう科学哲学的な論議のほかに「やるべきこと」が山積しているのもまた事実だろうとワタクシは考える.しかし,前世紀は,体系学と体系学哲学とが未分化だったため,体系学者自身が「科学哲学者」としてのヨロイをまとって戦い続ける必要があった.その戦史は David L. Hull の体系学史本(1988)に描かれているとおりだ(D. L. Hull 1988. Science as a Process: An Evolutionary Account of the Social and Conceptual Development of Science. University of Chicago Press, Chicago).

幸いなことに,世紀の変わり目あたりから,生物学哲学が成熟してくるとともに,いい意味でも悪い意味でも,生物学から生物学哲学への“アウトソーシング”が可能になってきた.体系学に関して言うならば,まさに「種問題」はかっこうの“外注”アイテムだった.かつては,体系学者自身が Karl Popper の科学方法論や【種】にまつわる存在論や形而上学の哲学を勉強して戦場に飛び込んでいった.そういう戦術は,これからの世代の体系学者には当てはまらないかもしれない.

むしろ,体系学から体系学哲学に“外注”すべき問題点はすべて“アウトソーシング”した上で,今回のシンポジウムでも論議された保全生物学や生物多様性情報学という,もっと「するべき仕事」に体系学を専念させるというのはリーズナブルな決断だと思う.もちろん,科学哲学的すなわち「やっかいなめんどうくさい問題」から現場の体系学者を切り離すタイミングの見極めは難しいかもしれない.オモテで論じなければ科学者は科学哲学的問題の重要性を感じなくなるかもしれない.その一方で,科学の現場を知らない科学哲学者が好き勝手なことを言う可能性もある.科学と科学哲学の decoupling は個別科学ごとに考えるしかない.生物体系学の場合はそろそろ「その時期かな」とワタクシは思い始めている.少なくとも,体系学者自身が科学も哲学も両方やらないと専門ジャーナルが読めないような時代は過ぎ去りつつあるだろう.

たとえば,ワタクシがほぼ毎回参加している The Willi Hennig Society は,Karl R. Popper の本をあたかも「毛語録」のように振り回す Arnold G. Kluge のような演者がかつてはいた(James S. Farris だって哲学的色合いは濃厚にある).しかし,Pablo A. Goloboff や Ward C. Wheeler のような次世代の計算系統学者たちは Hennig Society の中でもそういう科学哲学には冷淡である(もちろん必要とあらば武器庫の中に“ポパー”は常備されている).

あるいは Edward O. Wiley の有名な教科書の初版(E. O. Wiley 1981. Phylogenetics: Theory and Practice of Phylogenetic Systematics, John Wiley and Sons, New York →目次)と30年後に出た第二版(Edward O. Wiley and Bruce S. Lieberman 2011. Phylogenetics: Theory and Practice of Phylogenetic Systematics, Second Edition, Wiley-Blackwell, Hoboken)を比較してみるととても興味深い.三十年前の初版では Karl Popper をはじめ科学哲学の詳しい記述が書かれている.体系学の世界に初めて“ポパー”をもちこんだのは,ほかならない Wiley さんだから当然のことだろう.ところが,第二版では,科学哲学の部分はみごとに“アウトソーシング”され,その代わりに最尤法やベイズ法などが詰め込まれている.科学哲学パーツの“外注先”は Elliott Sober らの世代の生物学哲学者たちだ.時代は着実に移り変わりつつある.

—— このように,「種問題」を含む生物体系学をとりまく科学社会学的コンテクストは「種論争」の長期化とともに着実に変容しつつある.科学と科学哲学とが「不即不離」の距離を保つことはそもそも可能なのかというひとつのケーススタディーでもある.

◆朝の通勤はつくバスで長時間かかってしまったので,帰りは「安全」な徒歩でするするスリップしながら帰宅した(観音台から竹園まで一時間半かかった).幸い筑波颪に吹きさらされることもなく,夕焼けが鮮やかだった.幹線道路は走行に問題はなさそうだが,側道は凍結しているので要注意.明朝も心配.

◆本日の総歩数=23374歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=95.4kg(+1.0kg) / 30.4%(−0.3%)


14 januari 2013(月)※三連休最終日に初雪が降る

◆前夜の背徳の宴が祟り,早朝からゾンビに変身.夜中から気温は単調に下がり続けて午前9時には4.1度に.冷たい雨が降り続いている.午前10時の気温3.2度.みぞれときどきぼたん雪.午前11時の気温は2.4度.ぼたん雪.正午の気温1.0度.降りしきるぼたん雪.本格的な雪になってきた.大清水公園を見下ろすとうっすら雪が積もり始めている.

◆[欹耳袋]Togetter -「『分類学があらためて「種」と向き合うとき』+前後つぶやき集」.さっそくまとめられた./自然界・生物界との接点がなくなることによるローカルな知識体系の退縮を「退化(devolution)」と呼ぶ.この退化を防ぐのが「文化的サポート(cultural support)」だが,その効果は限定的にとどまる.

◆午後になって下界はだんだん真っ白な雪化粧に.ちょいとつくばセンターあたりを一回りしてこよう.午後1時の気温は氷点すれすれの0.7度.これから氷点下になるかな.クレオあたりは湿った雪のせいかシャーベットのような積雪になっている.夕暮れ間近の竹園に雪降り積む.このあたりはまだ「うっすら」と形容できる程度だが,農林団地はもっと真っ白に降り積もっているらしい.しだいに北風が強まってきた.吹雪.誰も外に出てはならぬ.夕暮れの竹園は激しく降りしきるぼたん雪に混じってあられが参戦してきた.ベランダにぱらぱらと落下音が反響している.午後5時過ぎ,雪から雨へ.

◆[欹耳袋]データえっせい「大学教員市場の開放係数」(2013年1月13日)※この半世紀の間に「1.47」から「0.05」へと激減.冒頭での引用:竹内洋「大学・インテリ・教養」.このNTTウェブマガジンの初回連載以外はリンクが切れているけど,URLを適宜変更すれば(いまのところ)すべての記事が読める.

◆[進化思考]novatriton's blog「進化思考の世界(2)」(2013年1月12日).ある祖先から子孫に向かう家系図と,それとは逆にある子孫から祖先を遡る家系図とは描画スタイルがちがうだけで,ともにより包括的な家系血縁ネットワークの中に「部分構造」として埋め込まれている.

◆[蒐書日誌]由良君美『みみずく古本市』(2013年1月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・ゆ-4-2],東京,403 pp., 本体価格1,100円, ISBN:978-4-480-43023-6 → 版元ページ).昨年文庫化された:由良君美『みみずく偏書記』(2012年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・ゆ-4-1],東京,361 pp., 本体価格1,100円, ISBN:978-4-480-42945-2 → 版元ページ)に続く第二弾./フェルナンド・ペソア[澤田直訳]『新編 不穏の書、断章』(2013年1月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・780],東京,371 pp., 本体価格1,500円,ISBN:978-4-582-76780-3 → 版元ページ).すでにある:フェルナンド・ペソア[高橋都彦訳]『不安の書:リスボン市に住む帳簿係補佐ベルナルド・ソアレスの』(2007年1月刊行,新思索社,ISBN:4-7835-1196-9)は「全訳」なわけね.なるほど.

◆[欹耳袋]NAVERまとめ「【画像】東京大学 駒場キャンパスが壊滅 - 大雪と倒木で世紀末状態」.確かに,今日の降雪でエライことになってるみたい…….次回のコマバ高座は倒木を踏み越えて講義室に向かうのか.

◆明朝はどうやって出勤するか思案.路面凍結がかなり危惧されるので,おとなしくつくバス出勤にするか.

◆本日の総歩数=1569歩. 朝−|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測/未計測


13 januari 2013(日)※分類学会連合シンポジウム

◆午前3時前起床.不夜城の秋葉原もさすがに静かだ.午前8時,本日の高座紙芝居の準備がやっと終わった.さくっと70枚.ひょっとして紛糾(笑)したときのために,テポドンも用意した.5時間ほどスライドづくりに専念していたので,いつの間にか日が昇っていたことにも気づかず.青空が広がり朝日が差し込むJR秋葉原駅がだんだんにぎやかになってきた.今朝の都内の最低気温は1.1度.午前中は天気がもってほしい.アキバトリム2階の〈Café Brauner〉にて朝ごはん.その後,上野に出撃.午前9時,連休中日の上野公園は朝から混雑している.国立科学博物館に到着.シンポジウム会場にてスライドをまだいじり続けている.

◆第12回日本分類学会連合公開シンポジウム 〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉.2013年1月13日(日)9:30〜12:00@国立科学博物館上野本館2階講堂.午前9時半開始.会場はほぼ満席(よしよし).ワタクシが幕開きの趣旨説明と最初のトークを担当.その後も質疑の司会業が正午過ぎまで続いた.ハッシュタグ「 #bunrui2013 」でもってツイッターOK.さすがにトーク中はツイートできなかったが,後に続くトークについては要点を流した.

  • #bunrui2013 ワタクシの高座は終わりました〜. posted at 10:13:14

  • #bunrui2013 網谷トーク.「種」に関する定義を介さない推論は可能か. posted at 10:16:45
  • #bunrui2013 プロトタイプとしての「よい種」があるからではないか. posted at 10:17:44
  • #bunrui2013 種の「定義」だけが議論のすべてなのだろうか? 分類学者たちは定義を介さずにコミュニケートしてきたではないか. posted at 10:21:35
  • #bunrui2013 Jody Hey (2001: 11) : 種概念に関するコンセンサスはないにもかかわらず,何か共通の「意味」があるかのように,生物学者は話をする.しかし,その点を問い詰めるとおし黙ってしまう. posted at 10:24:03
  • #bunrui2013 プロトタイプ思考 - 非定義的思考 - 「よい種(good species)」. posted at 10:26:17
  • #bunrui2013 多くの種の基準を満たす生物群かつナチュラリストによって一般的に種と認識された生物群を「よい種」と呼ぶ. posted at 10:27:46
  • #bunrui2013 プロトタイプ論における「典型性」は認知心理学的な概念.ロビンはペンギンよりも典型的な鳥. posted at 10:30:18
  • #bunrui2013 三中信宏と戸田山和久はプロトタイプな研究者. posted at 10:31:00
  • #bunrui2013 「よい種」はプロトタイプである.プロトタイプは定義を介さない.「よい種」は定義を介さない.そのコストとベネフィットは何か? posted at 10:34:39
  • #bunrui2013 定義を厳密にするのは大仕事でコストがかかる.そうしないのはベネフィット. posted at 10:35:26
  • #bunrui2013 ダニエル・カーネマンの属性置換の理論を使うとうまくいく. posted at 10:36:21
  • #bunrui2013 属性置換とは:「真の問い」ではなくもそれを置換した「発見法的な問い」への解決を求める.後者への問いをもって前者の解とする. posted at 10:37:57
  • 戸田山センセも #haitoku ではないのか… RT @celmisia: @leeswijzer は"HAITOKU" 研究者のプロトタイプ.RT @leeswijzer: #bunrui2013 三中信宏と戸田山和久はプロトタイプな研究者. posted at 10:38:50
  • #bunrui2013 Daniel Kahneman posted at 10:39:51
  • #bunrui2013 真の問い:種カテゴリーは同質か?/発見法的な問い:「よい種」は同質か? posted at 10:41:33
  • #bunrui2013 種問題に対する意味.種の「定義」だけが問題点ではない.しかし,生物学や生物哲学者は種の「定義」を求めての探究を真に受けすぎていた. posted at 10:44:50
  • #bunrui2013 種論争を「真に受けない」としたら - ベストの種の定義が決まらなくても,生物学者は「種概念」を使い続けるだろう. posted at 10:48:54
  • #bunrui2013 生物分類学者の不可解な態度が説明つく. posted at 10:49:46
  • #bunrui2013 網谷トークは以上. posted at 10:51:16
  • #bunrui2013 Q: 容易に「よい種」が認識できるかどうか. posted at 10:54:01
  • #bunrui2013 質疑続くなう. posted at 10:57:01

  • #bunrui2013 次は太田トーク. posted at 10:58:09
  • #bunrui2013 保全生物学における「種」の功罪. posted at 11:00:14
  • ノ RT @l_z_b: 面白かった。しかし、「よい種」とはいったい何なんか問題が。 posted at 11:02:08
  • #bunrui2013 レッドリストの「種」とは? posted at 11:05:02
  • #bunrui2013 進化的重要単位(ESU): evolutionarily significant unit.概念的には厳密ではないが,保全施策上は十分な機能を果たす. posted at 11:09:04
  • #bunrui2013 生殖隔離や単系統性はESUであるための十分条件ではあっても必要条件ではない. posted at 11:11:28
  • #bunrui2013 種として「同一視」されたがために,保全に失敗した例は数知れず. posted at 11:12:26
  • #bunrui2013 行政・法律の世界では「種」がターゲットになる.一般に普及できる新しい概念がありえるか.種としてはひとつでも,内部的には大きく分化していることがある. posted at 11:15:48
  • #bunrui2013 オガサワラヤモリの事例.小笠原・琉球・大東島で「同種」だが,このうち大東島だけ固有の個体群.しかし,「同種」なので大東島だけ保全の対象にならない. posted at 11:19:27
  • #bunrui2013 ヒラタクワガタの事例(五箇グループ).日本では「亜種レベル」まで分けられているので,保全対策上困り果てている.ESUが代わりに使われている. posted at 11:22:18
  • #bunrui2013 単系統性にこだわろうとしてもムリ,どうしても側系統な「群」が出てくる.ウミガメの事例.クロウミガメは単系統的ではないが,ESUではある. posted at 11:25:53
  • #bunrui2013 動物分類学では生殖隔離はいまでも「種判別」の基準として重要視されることがあるが,イシガメの例.系統的には遠縁であっても,どんどん交雑してしまう. posted at 11:28:08
  • #bunrui2013 現在の状況は「種」に関する統一した命名規約がなく,個別的・ナレイティヴになって,統計処理になじまない. posted at 11:30:14
  • #bunrui2013 分類学の側からの提案が必要だろう. posted at 11:31:06
  • #bunrui2013 太田トークおしまい. posted at 11:32:25
  • #bunrui2013 植物の場合,レブンアツモリソウのように亜種・変種でも保全対象にしている. @celmisia センセいわく. posted at 11:34:07

  • #bunrui2013 最後にコメンテーター @mothprog さんの登場なう. posted at 11:35:24
  • #bunrui2013 生物多様性情報学における「種」に関して. posted at 11:36:01
  • #bunrui2013 「種」に紐付けられた情報の活用・検索をどうするかが生物多様性情報学の課題. posted at 11:39:07
  • #bunrui2013 タイプ標本とタクソンコンセプトとがずれることがある.「紐付け」のズレ. posted at 11:41:01
  • #bunrui2013 同じものがちがったり,ちがったものが同じだったり. posted at 11:41:50
  • #bunrui2013 コンセプトにID・名称・典拠・標本その他を紐付ける. posted at 11:42:49
  • #bunrui2013 タクソン・コンセプト・スキーマなる紐付けのシステム.実装されてない. posted at 11:43:46
  • #bunrui2013 代案=GNA(Global Names Architecture): 力技でがさっとひっくるめる.ZooBank はその一部分. posted at 11:45:21
  • #bunrui2013 代案=LinkedData もあり.LODAC. posted at 11:46:23
  • #bunrui2013 DNAバーコーディング.既存のデータベースの問題点が解決されていない. posted at 11:48:18
  • #bunrui2013 バーコード・インデックス・ナンバー.Molecular OTUのクラスタリングにもちこむ. posted at 11:49:15
  • #bunrui2013 (承前)BIN の利用法.種問題と独立,実装されている.使えるか? posted at 11:51:27
  • #bunrui2013 神保トークおしまい. posted at 11:55:45

  • #bunrui2013 総合討論タイム:のりピー登場なう. posted at 11:56:06
  • #bunrui2013 総合討論続く.種タクソンと種カテゴリーのそれぞれについてプロトタイプの問題.それはパラレル. posted at 12:11:32

—— 正午を少し過ぎて総合討論が終わり.今回のシンポジウムは大団円を迎えた.みなさん,たいへんお疲れさまでした.「種論争」は,かつてのストリートファイト的な大立ち回りは鳴りを潜め,お茶の間プロレス的な娯楽ものに変質しつつあるのかもしれない.種論争は解くことに意義があるのではなく,ともに生きることに意義がある.

◆その後,ツタンカーメン展の長蛇の列をすり抜けて,〈銀座ライオン〉の上野西郷会館店にて昼ビールの背徳.しかし,昼ビールはほんのイントロにすぎない.その後,いったんつくばっくしてから再出撃に備える.午後5時,夕暮れの流山へ.TX車内はつくばでの成人式帰りの振袖姿がちらほら.背徳の夜は更けゆく.つくばに帰り着いたのは日が変わる直前.もうへろへろ状態.

◆本日の総歩数=10064歩. 朝○|昼×|夜×. 計測値(前回比)=未計測 /未計測


12 januari 2013(土)※国立科学博物館の裏口から

◆午前5時前起床.気温は氷点下2.1度.三連休の幕開きはお米研ぎから.午前9時,つくば駅.氷点下をちょっと下回る程度の中途半端な冷え込み.それでも歩道脇の植え込みでは霜柱が伸びていた.これから上野公園に出撃する.今日と明日の二日間は〈日本分類学会連合第12回総会・シンポジウム〉に専念する.

◆[蒐書日誌]STATSREF: Statistical Analysis Handbook:オンライン統計学ハンドブック.

◆上野の森にて —— 午前10時,上野駅の公園口を出て国立科学博物館へ.上野公園はやや薄曇りながら,三連休初日らしい混み方.あまり寒くないのは風が吹かないせいか.もうすぐ分類学会連合の総会が始まる.午前10時半から総会. 生物多様性の「ABS(Access and Benefit Sharing)」に関する説明あり.キーワードは「COP10 / ABS / GTI」.新しい法律ができるまでの働きかけ.「ABS問題」はおおごとである.「ABS問題」については,今年の夏あたりが山場になるらしい.その頃に開催されるどこかの学会大会で何かの企画を考えているとのこと.

◆[欹耳袋]Togetter - 「科学・科学者とは? 科学者に期待される役割は? (2013-01-12)」./「「科学的」っていう言い方じたいがよくない」.合間のツイートが拾われている.

◆[系統樹曼陀羅]本日の集音:Masato_Tomita「読了;『系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク』1234」(12 January 2013).

◆明日のトークのしたく.スライドがまだ完成していない…….

◆本日の総歩数=9643歩. 朝○|昼×|夜−. 計測値(前回比)=94.4kg(+0.5kg) / 30.9%(+0.2%)


11 januari 2013(金)※連休前にじたばたし始める

◆午前5時前起床.朝から唐揚げのしたく.鶏さん,ありがとう〜.今朝は冷え込んでいる.午前5時の気温は氷点下5.8度.TVの「暮らし」番組で,厨房や掃除を担っている姿がもっぱら「女性」ばかりというのは違和感あり.朝焼けグラデーション.年明け以降ここのところ暖かい朝が続いていたが,今朝は久しぶりにきびしく冷え込んだ.低気温は氷点下6.2度.観音台は霜と氷がいたるところに.農環研のエレベーターで乗り合わせた作業員さんに聞くと,この時期の屋上での仕事は筑波颪が吹きつけてそれはそれはきついらしい.さもありなん.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「一般物品(10万~50万未満の備品)につきまして、現在の使用状況」を「1月25日」までに申告せよとの事務からの御下命あり.添付エクセルシートをざっと見て全部「現役(みたい)」なので,すべて「確認済」のチェックを入れて即返信できるよ(ヤル気があれば).

◆[欹耳袋]まとめこむ「Excelを方眼用紙にして使うぐらいならWord覚えろよwww」(2013年1月10日).あるある.

◆冬晴れの青空が広がる観音台は正午の気温が7.0度どまり.昼休みは北風に吹かれて,石牟礼道子『食べごしらえ おままごと』(2012年9月25日刊行,中央公論新社[中公文庫・い-116-1],東京,16 color plates + 168 pp., ISBN:978-4-12-205699-2 → 版元ページ)読了.農環研構内の植え込みを縫うようにメジロのつがいが飛び交っていた.

◆[進化思考]novatriton's blog「マーティン・ケンプと視覚化」(2013年1月9日)※この本,注目:Martin Kemp『Visualizations: Illustrated Essays on Science and Art』(2000年刊行,Oxford University Press, Oxford).

◆[蒐書日誌]安東百福(監修)・奥村彪生(著)『進化する麵食文化:ラーメンのルーツを探る』(1998年6月1日刊行,フーディアム・コミュニケーション,東京,223 pp., ISBN:4-938642-09-3).昨日,経堂の遠藤書店にてゲット.前に目をつけていたのだが,うっかり会忘れていた.ラーメンを含む日本と中国の麵類(=麺類)全体の地理的分布と時間的変遷をたどった本.巻末に「中国における麵条や麵片の誕生と日本における変容とその進化の系統図」(pp. 210-211)という見開きの麺類系統樹が載っている(このために買ったようなもの).餃子やワンタンなどの「麵片」類とラーメンやうどんの「麵条」に大別し,全体の共通祖先を「湯餅」と仮定している.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル:「夫は外、妻は家庭」なぜ増加 - (上)20代、選べぬゆえの願望?」(2013年1月10日)/「(下)若者とりまく将来の不安」(2013年1月11日).

◆年越しの統計質問残務処理コーナー:

  • #TodaiStat 昨年末の講義での質問を放置していた(いま気がついた).すまんすまん, posted at 10:28:42
  • #TodaiStat 【質問】「主成分分析ですが,変量がお互いに相関をもっている場合はどうなります?」/【回答】変量間に相関があれば,主成分軸に対する貢献(スコア)が同じような挙動を示します. posted at 10:32:27
  • #TodaiStat 【質問】「主成分分析のやり方はわかるが,出てきたグラフをどのように読み取ればいいのか?」/【回答】計算された主成分の意味をうまく解釈できるかどうかはケースバイケースで異なります.たとえば,ある主成分に特定の変量が大きく関与していれば解釈しやすいです. posted at 10:34:42
  • #TodaiStat 【質問】「クラスター分析は系統推定法の節約法(?)みたい.」/【回答】ちっちっちっ.最節約法ではなく,距離法ですね. posted at 10:36:02
  • #TodaiStat 【質問】「分子系統解析にユークリッド距離のような概念はあるのだろうか?」/【回答】たとえば,遺伝子頻度データから集団間の系統樹を構築する場合には,頻度データのユークリッド距離(あるいは平方ユークリッド距離)を用います. posted at 10:38:02
  • #TodaiStat 【回答】(承前)クラスター分析を生物分類や系統推定で用いることは現在ではほとんど「ありえへん」ので,あくまでも多変量解析の汎用ツールのひとつとして理解するのが安全ですね. posted at 10:39:47
  • [つくば]_・) 。oO (答え疲れたので珈琲充なう) posted at 10:45:36

◆夕焼けグラデーションの中を撤収.午後6時の気温はもう1.0度まで下がってきた.明朝も寒いのだろーか.冷え込む今宵は海鮮鍋とともに,能登の〈遊穂〉の「遊穂のしろ・24BY純米無濾過生原酒 おりがらみ」を開栓.霞のようなおりがらみで微炭酸.おりをよく混ぜるとやや甘口.うましうまし.ラベルが手書きだったりする.

◆明日からは国立科学博物館(上野)にて,日本分類学会連合の総会と公開シンポジウムがある.そのしたくもしないといけないのだが,イマイチ調子が出ない.

◆本日の総歩数=6913歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.6kg) / 30.7%(−0.6%)


10 januari 2013(木)※年明け最初の定例都内出撃

◆午前4時半起床.気温2.0度と今朝も冷え込みなし.先日,Evernote のアカウントをこっそり取得したものの,まだモタモタしている.

◆[欹耳袋]〈東大本郷カフェマップ(東大さんぽ)〉.最近は東大の「なか」の方が「そと」よりも格段に食環境が充実してきたような./アドビ システムズ「Adobe® Creative Suite® 2 製品およびAdobe® Acrobat® 7のアクティベーションサーバーに関するお知らせ」(2013年1月8日)※CS4を使い続けているワタクシは部外者か.

◆[進化思考]本日の余響:novatriton's blog「進化思考の世界」(2013年1月9日)※「人工物の問題と自然物の問題が混同されている気がする」- それは確信犯です(きっぱり).

◆[蒐書日誌]砂漠の花園 —— 野村哲也『カラー版・世界の四大花園を行く―砂漠が生み出す奇跡』(2012年9月25日刊行,中央公論新社[中公新書2182],東京,198 pp., ISBN:978-4-12-102182-3 → 版元ページ).最初この本のタイトルを目にしたときはキューケンホフみたいな都会?の植物園を想像したのだが,まさか砂漠の ephemeral な花園の本だとは思わなかった.ペルー・南アフリカ・オーストラリア・チリの砂漠が登場する.

◆午前の高座 —— 午前7時半過ぎ,つくば駅.今年はじめての定例都内出撃日.午前9時,新宿駅.都内の午前9時の気温は4.0度とほどほどの寒さ.天気はよさそう.午前10時前,玉川学園前.都内の気温は4.9度.北風は気にならず日差しが暖かな大学キャンパス.真っ青な空にはところどころに綿雲が浮かんでいる.本日は課題レポートの説明のあと,分子系統樹の資源探索への利用と分子系統地理学について.講義後,さくっと撤収.午後になってさらに暖かく感じられる.たかだか8.3度までしか上がっていないので,春先のような陽気ではないはずだが,寒さはまったくなし.これから経堂の潜伏場所へ直行する.暖かなすずらん通りは早春の気配あり.途中の〈遠藤書店〉で首尾よく探しものの古書をゲットしてからいつもの潜伏場所へ.お,今日は混んでる.

◆[蒐書日誌]新年も本が降り積む —— スティーヴン・グリーンブラット[河野純治訳]『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(2012年11月刊行,柏書房,東京,8 color plates + 398 pp., 本体価格2,200円,ISBN:978-4-7601-4176-0 → 版元ページ).中世の古書ハンター走る./井手彰『書評紙と共に歩んだ五〇年』(2012年12月25日刊行,論創社[出版人に聞く・9],東京,viii+178 pp., 本体価格1,600円,ISBN:978-4-8460-1197-0).「図書新聞」の編集長が語る.

◆[欹耳袋]YouTube〈新世界エヴァンゲリオン ~関西弁で台無しにしてみたPart2~ 〉※ほんまに「台無し」なんやろか…….かなりディープな関西弁.そういえば,中井和子訳『現代京ことば訳 源氏物語』全三巻が研究室のどこかの本の山に埋もれていたはず.また,ライムンドゥス・ルルスの「知識の樹(arbor scientiae)」に関するカタロニア語の論文が手元にあるが,なんだかとても神々しかった.イベリア半島の言語は「神の言葉」か.語られることばによって受け取られ方が変わる.

◆午後の高座 —— 午後3時過ぎ,経堂の潜伏場所を出て駒場へ進撃.午後4時過ぎの駒場キャンパスは早くも夕暮れの雰囲気が漂っている.今日は計算機統計学.レポートは来週出題ね.講義後,空気が抜けたタイヤのごとく足を引きずってつくばっく.午後8時前に帰還.

◆本日の統計質問コーナー:

  • #TodaiStat 【質問】「ブーツストラップやジャックナイフではランダムサンプリングの「ランダム性」が疑われる気がするが,どう対処しているのか?」/【回答】母集団からのサンプリングとデータ(仮想母集団)からのリサンプリングでは目的がちがいます. posted at 10:06:13
  • #TodaiStat 【回答】(承前)サンプリングは母集団のもつ分布特性を反映できるようなデータを取得するために「無作為」であることを要求します.一方,リサンプリングはデータを「揺すってみて」その結果として統計量のばらつきを知るのが目的です.つまり無作為化は「揺する」手段. posted at 10:10:43
  • #TodaiStat 【質問】「パラメトリック・ブーツストラップでは重複を許すということ?」/【回答】データから推定されたパラメーターをもつモデル(確率分布)からの乱数生成ですから,ひょっとして重複があっても許容します. posted at 10:12:21
  • #TodaiStat 【質問】「リサンプリング法は理解しやすいが,ほんとうにこんなんでいいの? うさんくさい気分になる」/【回答】母集団からのサンプリングの代わりにデータからのリサンプリングという「発想の転換」はすぐには納得できないのかも. posted at 10:16:27
  • #TodaiStat 【質問】「母集団が正規分布をしない場合,標本からリサンプリングした擬似データが母集団の分布に近いかどうか疑問に思う」/【回答】母集団からサンプリングされたデータは母集団に「近い」挙動をもってほしいです.一方,リサンプリングはデータを「揺する」だけ. posted at 10:19:06
  • #TodaiStat 【回答】(承前)だから,擬似データが母集団に「近い」必要性はさほどないでしょう.無作為リサンプリングなのでそれほどかけ離れた分布にはならないでしょうが. posted at 10:20:27
  • #TodaiStat 【質問】「手法の名前の付け方がおもしろい」/【回答】ブーツストラップは「自分でなんとかやりくりする」という意味.またジャックナイフは「いつでもどこでも削り落とす」という意味,そしてモンテ・カルロはもちろんギャンブルの聖地「モンテ・カルロ」由来. posted at 10:23:20
  • #TodaiStat 【回答】(承前)ちなみに,それぞれの手法の命名者は,ブーツストラップが Bradley Efron,ジャックナイフが John Tukey,そしてモンテ・カルロは John von Neumann. posted at 10:25:19
  • #TodaiStat 【質問】「サンプルサイズを大きくすることは大切なんですね.系統推定するときに taxon sampling が大切と言われました」/【回答】二号館はいい教育をしています(笑).データが少なくていいことは何もありません.統計学でも系統学でもそれは同じです. posted at 10:27:35
  • 〆切を一週間ずらしましょう RT @utbiology: 1月の終わりまで生物学科は試験が続くので、レポート期限は、なるべく2月入ってから1週間半は猶予がほしいです。お忙しいでしょうが、何卒よろしくお願いします。 #Todaistat posted at 10:41:05
  • サンプリングを繰り返すことによる母集団の変質とか,サンプル間の体系的バイアスの問題あり RT @monera_world: 何度も母集団からサンプリングする力業と、サンプルサイズを大きくするのに必要な労力はそんなに違う気がしないけれども、どうなんだろか。 #Todaistat posted at 10:42:44
  • ( ´ ▽ ` )ノ RT @monera_world: たとえノンパラな統計量だとしても五行で処理できるんだよ。そう、Rならね! #Todaistat posted at 10:43:05
  • 「消された青四角」って??? RT @monera_world: ブーツストラップとジャックナイフで消されている青四角が気になる。 #Todaistat posted at 10:43:41
  • すまん! RT @monera_world: あと4回もあるのか!! #Todaistat posted at 10:44:24
  • #TodaiStat 以上. posted at 10:44:57

◆明日は三連休前日だが,シンポジウムのスライドづくりに邁進しないといけない.

◆本日の総歩数=10901歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.2kg) / 31.3%(+0.1%)


9 januari 2013(水)※冬空の彼方から大波の予兆

◆午前5時起床.気温4.3度.寒気ゆるみまくり.朝からずっと曇り空の観音台.午前8時の気温は4.6度.きびしい冷え込みはないが,薄ら寒い.

◆[欹耳袋]直前宣伝 —— 第12回日本分類学会連合公開シンポジウム〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉2013年1月13日(日)9:30〜12:00@国立科学博物館上野本館2階講堂※事前申込不要・参加無料.※トークの準備しなきゃー.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来月予定されている,霞が関(食料産業局)での統計研修の件.具体的な研修内容よりも,当日の「服装」の方がはるかに重要案件だったりする….霞が関的な「暗黙のドレスコード圧力」がすでにびしびしと伝わってくるのだが(汗),霞が関に行ったこと自体ほとんどないもので(ぜんぜん用事ないし),不安感は募るばかり.霞が関の農水省本省に行ったのは,二十数年前の選考採用面接試験のときと,十五年前に海外出張で公用パスポートを盗まれた後始末のときのたった二回だけかな.※要するに緊張を要する状況ばかり./杉並のシェフ編集長どのから原稿依頼あり.OKしたら速攻で新┣┣" 一頭が〆切さんを背負って着弾した.鴨が葱を背負ってくるのはいいけど,┣┣" が〆切を背負ってくるのは…….

◆[欹耳袋]〈RStudio - Shiny〉.今年は RStudio をちゃんと勉強しよう.

◆昼休みは周辺徘徊.水上勉『精進百撰』(2001年1月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸25],東京,iv+218 pp., ISBN:4-00-602025-2 → 版元ページ)に続いて,石牟礼道子『食べごしらえ おままごと』(2012年9月25日刊行,中央公論新社[中公文庫・い-116-1],東京,16 color plates + 168 pp., ISBN:978-4-12-205699-2 → 版元ページ)へ.京都の精進料理から天草の郷土料理へ.午後になって日差しが戻ってきたが,気温は正午の6.4度からさほど上がっていない.

◆午後の┣┣" 撃ち —— みんぱく宛に来月の国際シンポジウム〈『樹について考える』シンポジウム〉の関連資料をどーんと発射した./そして,はてしない翻訳作業…….

◆[欹耳袋]what_a_dudeの日記「2013年はやめてほしい、こんな統計相談が嫌だ、実例を添えて」(2013年1月9日).「いいね!」ボタンを何十回も押し続けたい.#TodaiStat のみなさんはこーいう質問をしてこないよーに./Mac OS X 10.8 / Windows 8 RP「フォントカタログ4・全標準フォント一覧」※旧OS対比表もあり./ MrBayes online はあまり実用的ではないとのこと.RAxML online の方がまだマシらしい.

◆明日は今年初めての楽しい楽しい都内出撃〜(orz)

◆本日の総歩数=8750歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(+0.4kg) / 31.2%(−0.1%)


8 januari 2013(火)※遅めの新年会ランチタイム

◆午前5時起床.気温0.2度と冷え込みはゆるい.雲が多めの観音台は薄ら寒い.気温は明け方から氷点前後を行き来している.研究室さむい.

◆[蒐書日誌]パスタの幾何学 —— Jacob Kenedy and Caz Hildebrand『The Geometry of Pasta』(2010年刊行,Boxtree/Pan Macmillan, London, 288 pp., ISBN:978-0-7522-2737-5 [hbk] → 版元ページ).ロンドンで抜群の人気イタリア料理店〈Bocca di Lupo〉のオーナーシェフ Jacob Kenedy とグラフィック・デザイナー Caz Hildebrand による共著本.アルファベット順にさまざまな形状のパスタの白黒イメージ図と代表的料理のレシピが載っている.パスタの形状ごとに最適なレシピが対応しているとのこと.本書のカバージャケットを展開すると風呂敷のようになる.著者いわく「the ongoing evolution and the taste and geometry of the pasta (p. 7)」 - それにしても,パスタの形状が数学的インスピレーションとイマジネーションをかきたてるのはなぜだろうか?

◆午前の┣┣" 撃ち —— 翻訳┣┣" 追っかけてます.訳し疲れて,おなか空いたお昼前.今日は教養室にて領域の新年昼食会だから飢えることはない.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen —— ピザまたピザ:「New York Pizza の系統樹」.ニューヨークスタイルのピザの系統樹.1905年に始まる一世紀に及ぶ系譜がきれいな系統樹で描かれている:Very Small Array | New York Pizza | 10 September 2012.情報ソースはいくつもある./「シシリア〈Pizza Perez〉のピザ・メニュー系統図」.シシリアのパレルモにある〈Pizza Perez〉のメニュー系統図.写真を見ると店の壁面にも巨大な系統図が描かれているようだ.ツリーによる構造化は複雑な情報を効率的に視覚化している. これは時空的変遷を図示する「系統樹」ではないが,知識の体系化のための「系統図」の一例である.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 穏やかな日和の観音台.本日の最高気温は10.9度まで上がり,厳冬とはほど遠いすごしやすさ.やや遅めのおやつタイムは粗製糖カステラをば.Steve Reich の〈Six Marimbas〉の BGM に煽られるように,数量分類学派のストーリー(第8章)翻訳おしまい.テキストファイルにして38KB.今日はこのへんで撤収しようかな.

◆[蒐書日誌]ついでに,年末にゲットした食い物本を —— 本山荻舟『飲食事典:上巻 あ―そ』(2012年12月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・777],東京,878 pp., 本体価格2,500円,ISBN:978-4-582-76777-3 → 版元ページ)./本山荻舟『飲食事典:下巻 た―わ』(2012年12月10日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・778],東京,707 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-582-76778-0 → 版元ページ).上下あわせて1600ページにもなる.このボリュームはただごとではない!

◆[欹耳袋]MACお宝鑑定団 blog(羅針盤)「Adobe、旧Adobe Creative Suite 2、Acrobat 7、Macromedia製品の無償配布を開始」(2013年1月8日)/グラスハープの妙技 —— Robert Tiso | Glass harp-Toccata and fugue in D minor-Bach-BWV 565 | YouTube./archief voor stambomen —— 「マイクロソフト製品の相互ネットワーク」.情報グラフィクスのアートのひとつ.

◆[系統樹曼荼羅]鵯記「いよいよEZRがCRANに入りそう」(2013年1月7日)※先住民の「系統樹思考」はとてもおもしろいです.

◆[欹耳袋]サイエンス チャンネル「21世紀のノアの方舟・生物多様性 SPECIES(種・しゅ)&SEEDS(種・たね)」 ※2009年製作の映像作品がオープンになった.ちょいと出演した場面あり.本作品の英語版は2011年にJST経由でドイツ開催国際映像祭〈World Media Festival〉に出品され,ドキュメンタリー部門の金賞を受賞した.

◆本日の総歩数=4284歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(0.0kg) / 31.3%(+0.3%)


7 januari 2013(月)※大勝負の一週間が始まった

◆午前5時前起床.気温はいまのところ氷点下4.8度まで下がった.朝餉の鮭を焼き始める.目玉焼きのしたくも.今朝の最低気温は氷点下5.4度.観音台は霜と氷に凍てつく.雲はやや多いもののいい天気と静電気.週明けの研究室は寒気の底.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年度末の┣┣" 撃ち予定の確認から始まる週明け.まずは茨城大学理学部の集中講義「系統分類学特講」(15時間)+「系統分類学特別演習」(15時間)の人事書類を確認した(ヒゲとピアスのセンセ,おおきに).演習はPCを使って,MEGA・T.N.T.・MrBayes・Mesquite あたりを予定している./東大と玉川大の課題レポートをそろそろ出題しないといけない.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen - 「三菱東京UFJ銀行の企業系統樹(続)」.アマゾンに注文していたブツが本日着便:松永英明『三菱東京UFJ銀行に合流した全銀行の系統図年表2010』(2010年12月5日刊行,密林社 → 著者サイト) A2版ポスター(1枚).1870年〜2010年までの系譜をたどっている.情報元は〈全国銀行協会〉の「銀行変遷史データベース」とのこと./「クラシック音楽の系統樹」.もう二十年近く前からワタクシの研究室に貼られている巨大な「クラシック音楽系統樹」がある.かつて京都・新京極の十字屋で買ったもの.身近にありすぎて書誌情報をちゃんと調べなかった:Rémi Jacobs and Nathalie Perrault『Panorama des compositeurs : Moyen âge, Renaissance, baroque, classique, romantique, moderne, contemporaine』(1991年刊行,Éditions Sages Comme Des Images, Paris).西暦600年から現代までの作曲家の「生命の樹」がA1サイズのポスターに印刷されている.

◆昼休みは観音台徘徊.正午の気温は6.3度と低めではあったが,風がないので日差しが暖かかった.水上勉『精進百撰』(2001年1月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸25],東京,iv+218 pp., ISBN:4-00-602025-2 → 版元ページ)読了.台所に立つ筆者の姿はそこはかとなく P. K. Feyerabend の厨房姿に似ていた.

◆[蒐書日誌]着便本がどさどさ積み上がる昼下りのシアワセ:Leon Croizat-Chaley『En torno al concepto de hoja: Ensayo de botánica analítica y sintética(葉の概念をめぐって:分析的・総合的植物学試論)』(1973年7月刊行,Biblioteca de la Academia de Ciencias Físicas, Matemáticas y Naturales, Caracas, Volumen XII, 196 pp.).前年,ベネズエラ科学アカデミー紀要(Boletin de la Academia de Ciencias Físicas, Matemáticas y Naturales, Caracas, vol. 32, nos. 1-2, pp. 29-207, 1972)に掲載された同名の論文を独立した単行本として出版した本.今日,ベネズエラはカラカスの古書店から届いた.

◆[欹耳袋]関西弁の「なぁ」は世界で三番目に翻訳難度が高い! —— BBC News | Congo word 'most untranslatable'.こう書いてある:「Third was Naa, used in the Kansai area of Japan to emphasise statements or agree with someone. 」.そらそやわ,なあ.ついでにもうひとつ:MatadorNetwork | 20 awesomely untranslatable words from around the world.ポルトガル語の「サウダージ」が翻訳困難であるとは知っていたけど,他にもたくさんありますなあ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— とりあえず,玉川大のレポート課題はつくった.これは今週配布予定.東大の今週のハンドアウトはもうできたけど,来週配布予定のレポート課題がまだ.過去問を掘り起こしていたら「神設問」が姿を見せた.これをひねって出題しよーかな.東大のレポート課題官僚.配布は来週ということで./今週末の日本分類学会連合第12回シンポジウム〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉の直前連絡をしないといけない.そのトーク準備もしないといけない.

◆今夜は熱々の「七草粥」と冷やした〈風の森〉.米を呑んで,米を喰った.

◆本日の総歩数=6552歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(−0.3kg) / 31.0%(+0.1%)


6 januari 2013(日)※忍耐┣┣" を粛々と追って

◆午前6時半にのろのろ起床.快晴の青空.もちろん放射冷却.気温は氷点下6.4度まで下がっている.鯖を焼いて出汁巻き.今年初めての〈つくいち〉へ.ナチュカフェでポトフ,スガヤコーヒーにてチキンとほうれん草のカレーをゲット.

◆[欹耳袋]図書館は不夜城であるべきか —— 柴田正良 2009「自然科学系図書館の特別開館(24時間利用)の中止について(持続可能な「自学自習」の確立に向けて)」こだま(金沢大学附属図書館), 167: 2-3.農環研は入室カードを使えば「24時間いつでも」図書室を利用できるけどね,夜中に図書室をうろうろしているくらいなら,家に帰ってちゃんと寝た方が美容と健康のためにいいはず.図書館を〝コンビニ化〟するお金があったら,図書やジャーナルの購入・購読費にまわしてほしい.

◆[欹耳袋]朝日新聞デジタル「〈ひと〉アフリカ西部でバッタの大発生を研究する専門家」(2013年1月6日).今をときめく前野ウルド浩太郎さんが登場.さすが面構えがちがうなあ.Cf. 〈砂漠のリアルムシキング〉.

◆髪切って —— 今日の最高気温は午後3時の7.6度.寒いことは寒かったが,風が吹かないので徘徊歩行に支障はなかった.「冷ご飯」の対語は「ぬくご飯」なのだが,正岡子規風に「ぬく飯」と言ってほしいと言われ,返す言葉がない.「ぬく飯」と口にしたとたん,仰臥漫録や病牀六尺のあの世界が広がりそうで…….午後遅く,髪の毛を切ったので,首筋がすーすーする.夕暮れ時,松代の田んぼの中を歩き読みしつつ帰ってきた.夕日がすとんと西に落ちて,文庫本を読むのはもはや不可能.

◆本日の歩き読み本は精進料理レシピ:水上勉『精進百撰』(2001年1月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・文芸25],東京,iv+218 pp., ISBN:4-00-602025-2 → 版元ページ).著者が心筋梗塞で倒れたあとの料理ライフ.前著『土を喰らう日々』は軽井沢,本書は佐久の里山にて書かれた.全三部構成.「前書 典座修行」と「後書 東坡羹」にはさまれた「本篇 蔬食三昧」がレシピ集.カラー写真とともに精進料理のレシピが.相国寺流.大根を味噌汁で煮るわざを知った.同じ病人でも,正岡子規は「食」の妄念の鬼と化していて取り憑かれそう.水上勉はなかば諦観の境地に達しているようで,淡々と日々の食を綴る.もうひとつ,武満徹の病床レシピ集『サイレント・ガーデン~滞院報告・キャロティンの祭典Add Star』(新潮社)はこれまた別個の味わいがある.三人三様,スタイルはさまざまだが,共通して「いまこれを食べなければ」という気合がこめられている.

◆[欹耳袋]R関連 —— 外れ値の検出:Hans-Peter Kriegel, Peer Kröger, Arthur Zimek | Outlier Detection Techniques | The 2010 SIAM International Conference on Data Mining./Revolutions | How to make your own 3-D sculpture with R | 4 January 2013.※ rgl パッケージから3-Dプリンター出力.

◆[蒐書日誌]昨年8月に神戸で開催された第26回国際計量生物学会議の講演要旨集がウェブ公開された: International Biometric Society『Abstracts for the XXVIth International Biometric Conference, 26-31 August, 2012, Kobe, Japan』(2013年公開,ISBN 978-0-9821919-2-7 → 公開サイト).

◆明日からは本格的に仕事開始.まずはフラッグが振られている┣┣" 撃ちが二頭.ぬかるみ┣┣" が一頭.

◆本日の総歩数=11394歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.4kg) / 30.9%(−0.2%)


5 januari 2013(土)※厳冬の明け方に震え上がる

◆午前零時過ぎの気温は氷点下2.3度.明朝は凍てつく冷え込み必至.著書をものしたり本を訳したりするのはすべて「自分のため」だと思っている.でも,翻訳がなかなか進みません(棒読み).ええい,もう寝るかー./ということで,夜更かしと正月休みの慣性のまま午前6時にのろのろ起床.外はもう明るくなってきた.晴れ.きりきりと放射冷却して,気温は氷点下6.2度.寒い痛い寒い痛い朝.おお,氷点下6.9度まで到達したか.これが今朝の最低気温.大寒までまだ二週間もあるのに,いささかフライング気味の冷え込み方だ.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:Na-Ruのその日暮し日記「年次データをどう考えるか」(2013年1月5日).「荒俣宏氏の図版関連本以外では一般読み物(専門でありながら専門家以外も読みこなせる本)として販売される事はないだろう」.そーかもしれないなあ./薩摩焼な日々「謹賀新年」(2013年1月4日).「著者の提唱する「オブジェクトの系統情報学」が,そのカテゴリ・プロセス・メカニズムの多様性をどのように包括するのか,気になるところである」.ワタクシも気になる(おいっ).

◆卵飯万歳! —— 灰色の薄曇り.正午の気温は3.8度.寒かった昨日よりもさらに冷え込んでいる.しかし,北風が弱いので体感的には身を切るような寒さではない.お昼はぬく御飯に新鮮な卵で「卵飯」.あまりにシンプル過ぎて言葉もない.心の底から「飯」を愛するアナタに!:福田浩『Meshi 飯』(2006年6月14日刊行,ピエ・ブックス,ISBN:4894445352 → 目次書評).

◆[蒐書日誌]パスタの形態測定学: 系統と進化 —— うわぁ,一発ノックアウトですぅ〜:George L. Legendre『Pasta by Design』(2011年刊行,Thames & Hudson, London, ISBN:9780500515808 → 版元ページコンパニオンサイト).イタリアのパスタは数百種類に系統分化しているという.本書は代表的なパスタの形状を形態測定学に基づく数理モデルを用いて解析し,パスタの「理論形態学」を目指しているという.本書で用いられているパスタの「形態解析」の数理モデルは,貝殻の形態記述モデルに用いられている方程式系だと推測する.マジですか,マジでここまでやるんですか.どう見ても,「異常巻きアンモナイトの数理形態学」の研究にしか見えないぞ.関連記事を拾い集めてみた:

本書は出版当時,とても評判になったようで,本国イタリアでも話題になったし,食品科学の国際誌にも書評が載ったらしい.

—— 世の中にはおもしろい研究テーマがありすぎる.

◆冷え込む夜はにごり酒をお燗して —— 日没とともに気温は氷点下になった.今夜はお初の鳥取の〈日置桜〉23BY・純米・山田錦「鍛造にごり」を開栓.無農薬有機栽培の山田錦を精米歩合80%で.燗酒用に仕込まれたにごり酒.冷やではやや軽すぎるが,熱めの燗にするとにごり酒でありながら,ピシっと辛口の余韻が楽しめる.正月三が日は〈風の森〉三昧だったので,趣向を変えてみたということ.同じ鳥取の〈辨天娘〉にごり酒も燗酒にするとうまかったが,〈日置桜〉もなかなかいける.鳥取,実にすばらしい.

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.2kg(−0.4kg) / 31.1%(0.0%)


4 januari 2013(金)※仕事始めに誰も来ない金曜

◆午前5時前起床.昨夜はきりきり冷え込んだが,いまは氷点下1.8度とたいしたことはないなどと大口を叩いたが,ゴミ出しをしてきたら,身を切る北風の冷たさに「きーっ」となった.午前6時の気温は氷点下2.3度だが,体感気温が低すぎてどうしようもない.

◆観音台初出勤.今朝の最低気温は氷点下3.1度.稲荷川側道の分厚い氷を割りながら農環研構内に入る.雲ひとつない冬晴れ.今日は“飛び石”の平日なので,駐車場はガラ空き,年越しの居室は冷えきって隙間風が身にしみる.全館暖房はまだオフのまま.見やればくっきり筑波山,職場はすっきり人気なし.仕事始めはひたすら翻訳あるのみ.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen —— 「藤原カムイの「漫画家系統樹」についての情報」/「ロックンロールの系統樹」/「キューバ音楽の系統樹」/「Map of Metal - ハードロックからヘヴィメタルへの音楽系統ネットワーク」.

◆正午の気温4.7度.冷たい西風が吹きわたる農林団地.近隣の食堂・レストランが軒並み正月休みの真っ最中で,食料調達に難儀する昼休み.高野台〈とむとむ〉は行列ができる大混雑.

◆[欹耳袋]macroscope「科学論文の書誌情報を数えて評価の材料にすることについて」(2012年1月14日).

◆[蒐書日誌]いきなり新春着便 —— Herman J. Lam[Lily M. Perry 訳]『Fragmenta Papuana [Observations of a Naturalist in Netherlands New Guinea]』(1945年2月6日刊行,The Arnold Arboretum of Harvard University[Sargentia No. 5], Jamaica Plain, iv+196 pp. with 2 maps and 32 text-figures → 目次).蘭語からの英訳本.ハーバード大学の The Arnold Arboretum から出ていた叢書 Sargentia の一冊.原書:Herman Johanes Lam『Fragmenta Papuana』(1927〜1929年発行, Buitenzorg, Java, 353 pp. → 書誌情報)は,図版を含めれば450ページほどあるが,この英訳では,原書の93図版のうち写真図版を除いて線画イラストのみ32図版を再録しているようだ.図版に関しては「抄訳」と言うべきかも.一方,原書にはない索引が付けられている.なお,1945年2月という大戦末期に出版されたためか,日本の公的機関には一冊も所蔵されていない.

◆今日の最高気温は5.8度どまり.ただいま北西の風9メートル.午後になっても,居室の窓際は冷たい隙間風がひゅーひゅーと吹き込んでいる.あばら屋かいっ.午後5時前,訳し疲れた(憑かれた)ので今日はもう撤収だー.隙間風が寒いし.今日は終日ひっそりしていたので,とても快適.人はできるだけいない方がいい.

◆[欹耳袋]数量表系学の古典論文 —— C. D. Michener & R. R. Sokal 1957. A quantitative approach to a problem in classification. Evolution, 11:130-162 → JSTOR[open access]/R. R. Sokal & C. D. Michener 1958. A statistical method for evaluating systematic relationships. The University of Kansas Science Bulletin, 38:1409-1438 → Internet Archive [open access].いずれもいま訳している章のネタ論文.

◆本日の総歩数=3342歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.6kg(+0.1kg) / 31.1%(+0.1%)


3 januari 2013(木)※寝正月の惰眠から覚醒して

◆午前5時起床.気温4.4度.ぬるい夜明け前.年の瀬のきびしい寒気はいったいどこに消えたのだろうか.しかし,天気予報では,今日は昨日よりも格段に寒くなるらしい.いつものように朝日が昇り,今日も青空が広がってきた.

◆[欹耳袋]訃報 - Carl R. Woese: 1928 – 2012 | The Institute for Genomic Biology, University of Illinois./医学統計学Rソフトウェア〈EZR〉が Rcmdr プラグイン化されたとのこと:鵯記「新年最初のビッグニュース」(2013年1月1日)./Science Friday | The Renaissance Man Who Got It All Wrong | 28 December 2012.アタナシウス・キルヒャーの新しい伝記が出版されたらしい.

◆[蒐書日誌]〈ちくま学芸文庫・創刊20周年フェア〉 —— 昨日,イーアスつくばのアカデミア書店で「ちくま学芸文庫・創刊20周年フェア」パンフレットをもらってきた.小さな紙片だったが,〈思想の星座・二十世紀西洋編〉ならびに〈同・日本編〉というチャートに惹かれた.このふたつのチャートは上記サイトから pdf でダウンロードできる.

◆[欹耳袋]【年頭の教訓】読んでから引用しろ!(続) —— 自然科学の場合,古い文献を引用した後の文献からさらに「孫引き」してくることが少なくないので,過去の引用者の「誤読」がそのままいつまでも継承されてしまうリスクが高くなる.みごとな「誤読系統樹」ができあがる.とりわけ,それぞれの分野での古典である「神文献」はいつも “神棚” に祭り上げられていて,ひもとかれることがほとんどないため(触れることすらおそれ多い?),一般人研究者は誰かが造った「摩尼車」をくるくるまわしては「読んだつもり」になる悪弊が広がることになる.

たとえば,生物体系学では,分岐学派の「神文献」のひとつ Willi Hennig『Grundzüge einer Theorie der phylogenetischen Systematik』(1950年刊行,Deutscher Zentralverlag, Berlin, vi+370pp. → 書誌情報)がその好例だ.本書は第二次世界大戦直後にドイツで刊行されたこともあり,文字通りの稀覯本.その後の分岐学派の出発点は英訳された Willi Hennig『Phylogenetic Systematics』(D. Dwight Davis and Reiner Zangerl 訳,1966年刊行,University of Illinois Press, Urbana, vi+263 pp. [hbk] → 書誌情報)であることは確かだが,かなり多くの教科書で Hennig (1966) は Hennig (1950) からの翻訳であるというまちがった記述が載っている.実際には Hennig (1966) の翻訳原稿は死後に出版された Willi Hennig 『Phylogenetische Systematik』(1982年刊行,Verlag Paul Parey, Berlin, 246pp.)だった.稀覯本かつドイツ語ということで,見ないままスルーされてきたのだと推測される.

近年は,幸いなことに,物理的にアクセスできなくても,電子化されてネットからダウンロードできる「神文献」が増えてきた.でも,出典があやふやな得体のしれない電子文献はコワい.それと同時に,ある文献を「ダウンロードした」という行為はそれを「読んだ」という行為とけっして同義ではない.かつては,文献のコピーをとったら,それでもう安心してしまって,肝心の中身をロクに読まなかったという背徳の過去があった.製本なんかしたらもうオシマイ.そのまま“神棚” に直行だ.年の始めに,各自が昨年のダウンロード・フォルダーをチェックして「完読率」を計算してみるとかなり青ざめるのではないだろうか.

◆[文化系統学]本日の響音:私の耳は猫の耳「中尾&三中編著[2012]『文化系統学への招待』勁草書房」(2013年1月1日).「最尤法とかベイズ統計とか使うってんで、日本の人文系の文化研究者には当分理解されそうにないのかも」.確かにそうかもしれないけど,油断しているとたとえ“文系”な研究領域であったとしても,いつの間にか外堀から内堀まで埋め尽くされて,気がつけば打つ手がなかったということにもなりかねない.というか,そういう方向性で“戦局”が展開すればワタクシ的にはとてもワクワクする.

◆今日もまた夕暮れが近づいてきた.本日の最高気温は午後1時過ぎの7.5度と昨日よりもかなり低く,北風が体感気温をさらに引き下げていた.今日は一歩も外に出なかったのだが,正解.鯛のかぶと煮の仕込みを完了した.夜は〈風の森〉の24BY・純米大吟醸・しぼり華・キヌヒカリを開栓した.滓酒ではないが,すっきりした炭酸ガスの酸味が心地よい.この正月は順調に一升瓶が空いていく.

鯛のかぶと煮のレシピ:1) 鯛のあらは塩を振って,熱湯をかけて冷水で冷やす.2) 牛蒡は皮付きのまま5センチの長さに輪切り.酢水に浸けてアクを抜く.3) 平鍋に昆布だし4カップ・濃口醤油大さじ4・酒大さじ4・味醂大さじ3・砂糖大さじ4を煮立てる.4) 牛蒡を敷いて上に鯛のあらを並べて,山椒粒を数個投入して,強火のまま20分煮続ける.水分が少なくなってきたらときどき煮汁をスプーンでまわしかける.以上.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen —— 「言語系統樹と雑煮の祖先形質復元(Kashiwa.R #2)」と「自動車のデザインの系統樹からみるミームの系統進化」.

◆明日4日からは平日労働日.職員によっては年休にしてしまって来週明けまで休みにする人も少なくないらしい.ワタクシにとっては有給休暇はムダにはできない境遇なので,休む必然性がなければ出勤することにしている.

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.4kg) / 30.9%(+0.2%)


2 januari 2013(水)※正月三が日は翻訳に苦しむ

◆今朝ものろのろ午前6時半起床.すっきり青空,朝日がまぶしい.最低気温は氷点下3.9度.ひさしぶりにお米を研いで,小豆を火にかける.

◆[欹耳袋]科学技術政策研究所 |「博士課程修了者調査2011:我が国の博士課程における研究指導・教育に関する調査研究」[調査資料-217]の結果公表について.「自然科学系においては授業の改善も重要な課題であると考えられます」と締めくくられている.

◆[分類思考]本日の残響:たまには地球(した)を向いて歩こう。「2012年に読んだ科学本ベスト10」(2013年1月1日).「ある意味、大半の学問がしていることは分類作業なわけで。そういう人間(特に研究者)の本性を痛快に暴いた書物だと思います。」

◆[蒐書日誌]岩波書店の今年の刊行予定本から —— 巌佐 庸・倉谷 滋・斎藤成也・塚谷裕一(編)『岩波生物学辞典・第5版』(2013年2月刊行予定,岩波書店 → 版元ページ)/井上 優・金水 敏・窪薗晴夫・渋谷勝己(編)『そうだったんだ! 日本語(全10巻)』(2013年4月刊行予定,岩波書店 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]SankeiBiz | 「遠方の老親が寝たきりに…」どう面倒をみるか 舛添要一氏 | 2012年12月30日.「介護問題はある日突然やってくる」・「足代がかかる遠距離介護を」・「遠くの親戚より近くのご近所」・「介護を親のお金でする」.ワタクシの場合,両親の遠距離介護はもう終わってしまったので,この記事には首肯できる点が多い.湯水のように「自分の時間」と「親の金」を使って遠距離介護をするという基本路線のもとに,親戚排除で万事を「自分会議」で決定する方針を堅持すればかなりラクになる.親元を離れて国内外を問わず遠距離に勤務地をもつ研究者が大多数だろう.そういう研究者にも介護問題は「平等」に降り掛かってくる.配偶者との二体問題,介護という多体問題はそれぞれの状況で解決策が千差万別.アタマの隅のどこかにいつも置いておくべきこと.親の「介護ミッション」は子どもとしての義務だが,それをやり通す戦略は利己的に貫き通すしかない.SankeiBiz のこの記事に「一番簡単なのは完璧人間をやめることだ。人間万事塞翁が馬、介護している間は出世しなくていいし、生活レベルも8割に落としていい」と言うのは至言.遠距離介護すればわかるが,いくら有給休暇や介護休暇を取っても足りなくなる.親が酸素吸入器を付けて横たわっているベッドの傍らで,〆切を過ぎた論文原稿を書き続けている子どもは,研究者という「修羅の道」を進んでしまった親不孝なのかもしれない.

◆春先のような青空と南風.午後2時過ぎの気温は14.3度まで上昇.昨日以上のポカポカ陽気になった.イーアスまで徒歩往復.今日も近隣は渋滞していて,春日まで右折車の列が伸びていた.それにしても,昨年末の吹きすさぶ北風がウソのような小春日和が続いている.

◆[欹耳袋]【年頭の教訓】読んでから引用しろ! —— 「われわれの研究によれば引用者のうち引用元をちゃんと読んだのはたった20%だ」:M. V. Simkin and V. P. Roychowdhury 2003. Read before you cite!. Complex Systems, 14: 269–274 → pdf.もうひとつ:「おまいら,マジで引用されたいのか?」:M. V. Simkin and V. P. Roychowdhury 2006. Do you sincerely want to be cited? Or: read before you cite. Significance, 3(4): 179–181 → abstract ※「theory of the unread citation」っておもしろそうだなぁ(コワいけど……).

進化学や体系学の場合,入手できるはずのない文献が「引用」されている頻度は他の研究分野よりも高いかも.たとえば,ダーウィン『種の起源』の「初版」を引用している進化学文献は無数にある.初版は増刷を含めてもたかだか数千冊あまりしか出版されていないので,引用者が全員その一冊をもっているはずがない.おそらく文献学的な「許容基準」は分野ごとにちがっているのだろう.「読んでから引用しろ!」というときの「読む」という行為の「深さ」が学問分野によって異なっているのかも.進化学・体系学では数世紀前までは「現役文献」だけど,バイオ分野だと数年経てばもう「現役引退」だし.

◆[欹耳袋]archief voor stambomen —— 「NeuroTree - 神経科学の学問系統樹」.神経科学者の師弟関係データベース〈NeuroTree〉は「browse as guest」で研究者ツリーを検索するとおもしろい. /「哲学者系図一覧」.この Randall Collins『The Sociology of Philosophies : A Global Theory of Intellectual Change』(1998年8月刊行,Harvard University Press,ISBN:0-674-81647-1 [hbk] / ISBN:0-674-00187-7 [pbk] → 本文目次図版目次) は〈NeuroTree〉のように電子化希望.

◆今夜も〈風の森〉を歩く夕餉.今年のおせち料理はムダなく食べ尽くせるようだ.

◆本日の総歩数=11625歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.9kg(+0.2kg) / 30.7%(+0.5%)


1 januari 2013(火)※今年の舞台が始まりました

◆はい,明けましておめでとうございます〜.日が変わった午前零時ちょうどにメーリングリストへの月例アナウンスを送信.夜空が明るいのは月のせい.窓を開けてもさほど寒くないのは,氷点下になっていないからか.今年もさらなる背徳が予期されるので,ウェブサイトのトップ写真もそれなりのものに換えてみたりする.

午前6時半起床.久しぶりに氷点下3.0度まで下がって寒い朝を迎える.晴れてはいるが,東の空に雲がかかっている.遅めの初日の出を拝む.元日は朝から呑んだくれる背徳.一年の計は〈風の森〉にあり:23BY・真中採り・純米・秋津穂「滓さけ」.絹のようなうすにごり,そして切れ味のいい炭酸ガスの味わい.至福至福,背徳背徳.今年も先が思いやられる.

◆[欹耳袋]本日公開の農環研ウェブマガジン〈農業と環境 No.153〉から —— 三中信宏:農環研ウェブ高座 「農業環境のための統計学」 第5回 「データを観る・見る・診る」/「第5回農環研サイエンスカフェ 「生き物の世界を分類するまなざし」 開催報告」.

◆[蒐書日誌]『月刊みすず』の「読書アンケート」用セレクション5冊+次点10冊 —— 毎年恒例となったみすず書房の『月刊みすず』の年頭「書評アンケート特集」.年末から選定を進めてきたが,2012年度の「書評本」計5冊は下記の通りに決まった.昨年は,「系統樹」の図像を分野横断的に総覧した『系統樹曼荼羅』と系統樹思考の学際的な広がりを見渡した『文化系統学への招待』の出版に精力を注いだ.本造りの過程で,系統樹という図像(イコン,イメージ)がもつパワーに無意識のうちに魅入られたせいか,写真や図版がパラテクストとして大きな役割を演じ,文字テクストとは別の軸で読者に語りかける本を手にする機会が増えた.

【書名】絵はがきの別府:古城俊秀コレクションより
【著者】松田法子著・古城俊秀監修
【刊行】2012年5月30日,左右社,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120827/1346740768
【短評】絵はがきが切り取る時空内の一点の風景を次々に積み重ねることで,
    明治から現代にいたる歴史のストーリーが流れ出てくる.

【書名】Letzte Zuflucht Schanghai: Die Liebesgeschichte von 
   Robert Reuven Sokal und Julie Chenchu Yang
【著者】Stefan Schomann
【刊行】2008年, Wilhelm Heyne Verlag, München
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120503/1335922406
【短評】生物統計学・数量分類学・クラスター分析の創始者であるソーカル
    夫妻の伝記.戦前の上海ユダヤ人居留地の描写が印象的.

【書名】ムネモシュネ・アトラス
【著者】アビ・ヴァールブルク[伊藤博明・加藤哲弘・田中純(訳・解説)]
【刊行】2012年3月30日,ありな書房,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120728/1343529683
【短評】個々の写真からパネルへ,さらに『アトラス』全体へと展開される
    高次元の図像空間ははらはらするほど挑戦的だった.

【書名】Fragmenta Papuana
【著者】Herman Johanes Lam
【刊行】1927〜1929年, Buitenzorg, Java
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20121226/1356469796
【短評】当時の自然・生物相・民俗に関するオランダ語の報告文とともに,
    数多くの写真とイラストが百年前のニューギニアをよみがえらせる.

【書名】ガリマールの家:ある物語風のクロニクル
【著者】井上究一郎
【刊行】1980年9月25日,筑摩書房,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120429/1335745929
【短評】特筆すべきは巻末のモノクロ写真集は映画のシーンのようにセリフ
    が湧いてくる.写真は文章に負けず劣らず力強く読者に語りかける.

選外とはなったが,2012年に読んだ本で印象に残ったのは下記の十冊.これまたヴィジュアルがらみの本がずらりと:

【書名】ビジュアル・コンプレキシティ:情報パターンのマッピング
【著者】マニュエル・リマ[久保田晃弘監修/奥いずみ訳]
【刊行】2012年3月1日,ビー・エヌ・エヌ新社,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120507/1336432026

【書名】ヴィジュアル・リーディング:西洋中世におけるテクストとパラテクスト
【著者】松田隆美
【刊行】2010年8月10日,ありな書房,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120430/1335764738

【書名】Trees of Life: A Visual History of Evolution
【著者】Theodore W. Pietsch
【刊行】2012年4月, The Johns Hopkins University Press, Baltimore
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120520/1337580911

【書名】From Hieroglyphics to Isotype: A Visual Autobiography
【著者】Otto Neurath[Edited by Matthew Eve and Christopher Burke]
【刊行】2010年9月16日, Hyphen Press, London
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120317/1331528586

【書名】痕跡本のすすめ
【著者】古沢和宏
【刊行】2012年2月17日,太田出版,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120223/1329618494

【書名】醤油鯛
【著者】沢田佳久
【刊行】2012年9月19日,アストラ,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120910/1347322272

【書名】高校紛争 1969-1970:「闘争」の歴史と証言
【著者】小林哲夫
【刊行】2012年2月25日,中央公論新社[中公新書2149],東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120306/1330732740

【書名】滝山コミューン一九七四
【著者】原武史
【刊行】2007年5月20日,講談社,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120512/1336647488

【書名】アリの巣をめぐる冒険:未踏の調査地は足下に
【著者】丸山宗利
【刊行】2012年9月20日,東海大学出版会[フィールドの生物学・8],秦野
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20121025/1351232734

【書名】酒学集成(全五巻)
【著者】坂口謹一郎
【刊行】1997年〜1998年,岩波書店,東京
【情報】http://d.hatena.ne.jp/leeswijzer/20120803/1343939912

—— 読書アンケートの書評コメントは,めずらしいことに,昨年末の締切日までに提出したので一安心.

◆元日のつくばセンター界隈は,クレオ前で太鼓の音の低周波が轟くものの,人出も少なく静かな年明けを迎えている.北風も吹かず,日差しが暖かい.一ノ矢八坂神社へ初詣.昼下りなのに長蛇の列.昨夜からこんな混雑だったのだろうか.夕焼けグラデーション.今日も穏やかな一日が終わろうとしている.今日の最高気温は9.3度だった.昨年末は身を切るような寒波が襲来したが,年が明けて一段落している.

◆元日早々,いきなりローストポークを焼く厨房┣┣" が乱入してきた.受けて立つ.「ピリ辛ローストポーク」のレシピ.1) 豚肉モモ塊400グラムに強めの塩胡椒をしてたこ糸でしっかり緊縛する.2) 韓国味噌・つぶしニンニク・おろし玉ねぎとともにビニール袋の中でもみもみ.3) 厚手のフライパンを強火で熱して,肉の全面に焦げ目を付ける.4) オーブン皿にくず野菜を敷き,180度設定で60分焼く.串を刺して透明な肉汁がしみ出せば,中まで火が通っている.ローストビーフとはちがって,ちゃんと中まで火を通すこと.5) 冷ましたのちカットして食卓へ.以上.

◆スキマ時間は年越しの翻訳┣┣" を追いかける.正月三が日はこんな日々が続くことになる.

◆本日の総歩数=11834歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


--- het eind van dagboek ---


[sinds 19 april 2007]