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日録2012年12月 


31 december 2012(月)※黒豆を炊く大晦日の夕焼け

◆午前4時半に目が覚めたものの,「大晦日だし」という理由をつけて悠然と二度寝.午後7時過ぎにあわてて起床.前日から水に浸しておいた黒豆を炊く準備.気温5.8度.朝から曇り空が広がる.午前10時の気温は7.8度.きりきり冷え込むでもなくビミョーな寒さ.翻訳するする,するする.

◆[分類思考]本日の残響:フリースタイルなお別れざっし「葬」「文化放送「くにまるジャパン」に出演しました/醤油鯛/分類思考の世界」(2012年10月30日).「人間はどんな分け方をとりあえず正しいと思ってるんだろ?」.そうそう,それが大問題.

◆[欹耳袋]オタクの系統樹:Dan Martell「The Evolution of the Geek」(2010年10月19日).忘れないうちにメモメモ./電子音楽の系統樹(系統ネットワーク):「Ishkur's Guide to Electronic Music, v2.5」.電子音楽の系統樹.各ジャンルに分けて系統ネットワークと「島」が表示され,ノードについては譜例の音源が配置されている.

◆今年も黒豆を炊く大晦日がやってきた.毎年少しずつレシピが変遷している.今年はやや時間短縮型のレシピだ:

黒豆:2013バージョン

  1. 黒豆は前夜から水に浸しておく.
  2. 厚手の鉄フライパンに浸し水1.5リットル・砂糖250グラム・日本酒小さじ2・濃口醤油50ミリリットルを入れて沸かし,黒豆を入れてひと煮立ちさせる.アクをすくって火を止め,蓋をしてから戸外に半日放置する.
  3. 浸し汁を300ミリリットル取り分けてから火を入れ,沸騰したらアルミホイルの落とし蓋をして超弱火に.やわらかく煮えるまで10時間ほど煮る.ときどき冷ました浸し汁を「びっくり水」として少量注ぐ.
  4. 色よく味がしみこんだら,火からおろして,フライパンに入れたまま,アルミホイルの落し蓋で黒豆が乾かないようにした上で,戸外に一晩放置すればできあがり.

◆[欹耳袋]〈樹録 archief voor stambomen〉の開設 —— 「系統樹ハンター」の狩猟記録として,昨夜このはてなブログを公開した.日録の「本」に関する情報を〈本録 leeswijzer〉で抽出してきたように,この〈樹録〉は「系統樹」に関するメモクリップとして使用するつもり.『系統樹曼荼羅』の連載や本を書いているときに,さまざまな情報ソースを参照する必要があった.それらが散逸してしまわないうちにブログにまとめておくことにした.とりあえず,過去三年分(2010年〜2012年)の系統樹に関わる情報およそ100記事をエントリーした.なお,「系統樹ハンター」は自称したわけではなく,日経サイエンス編集部が茂木健一郎さんとの対談の際にそう紹介されてしまったもので,ま,それもいいかと思い始めたしだいで(なんだか弁解がましいな).

◆[欹耳袋]出版・読書メモランダム「出版状況クロニクル55(2012年11月1日~11月30日)」(2012年12月1日).岩崎弘明「なぜ日本だけが衰退し続けるのか?」(『新文化』11月8日号)-「アメリカにおいて、読書は楽しみであるから、時代が変化しても人々はその楽しみを捨てないので、本の売上は変わらない。それに対し、日本では勉強や実学的知識を得るための強制的読書が主である。」

◆夕方近くなってやっと青空が全天に広がってきた.2012年最後の日没は夕焼けとともに.

◆[欹耳袋]訃報 - Carl R. Woese: 1928 – 2012 | The Institute for Genomic Biology, University of Illinois /Minnesota Atheists | "Charles Darwin's Notebooks" John van Wyhe on Atheists Talk #199, December 30th, 2012

◆最初の一歩を踏み出すのがもっとも困難である —— 先延ばしにしてきた翻訳作業にやっととりかかる大晦日の夜.

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(+0.5kg) / 29.9%(−0.9%)


30 december 2012(日)※冷たい雨が降り続く年の瀬

◆雨がしとしと降り続いている.昨日は杉並にて真昼間からワイン飲みまくり,お料理食べまくりのゴージャスな時間を堪能した.いったい何本のワインが空っぽになったのだろうか.その背徳の報いを受け,朝から半死人のような状態に.

◆午後になってやっと立ち直ってきたので,鰤のあら炊きの準備を始めよう.外は冷たい雨がまだ降り続いている.午後1時の気温は6.4度と指先がしびれる寒さ.東新井の〈トライブコーヒー〉にて珈琲豆の「福袋」をゲットした.

◆[欹耳袋]ここ数日,気になっていた「JR九州車両デザイン系統樹」(→ たとえばこの画像)は,『系統樹曼陀羅』の共著者である杉山さんが水戸岡鋭治さんに依頼して試作してもらったことがたったいま判明した.これでナゾは解明された.

◆夕方になっても本降りの雨がずっと降り続いている.午後6時の気温は7.1度.鰤のあら炊きが完成した.レシピは下記の通り:

  1. 鰤のあら(約1kg)はいったん熱湯を通してから冷水に浸す.
  2. 平鍋に水4カップ・日本酒1カップ・濃口醤油3/4カップ・味醂1/2カップ・砂糖大さじ2を煮立て,生姜ひとつを薄切りにして投入.最後に鰤のあらを入れて強火にする.
  3. ダイコン一本を乱切りにして,米のとぎ汁で下茹でし,2の鍋に投入.
  4. 終始強火のまま蓋をしないで炊く.ときどき煮汁をまわしかけながら,半時間ほどかけて炊きあげる.ダイコンに火が通ったら完成.
  5. 針生姜をトッピングしてから食卓へ.

強火で一気に炊きあげるのがコツ.そして,魚のあら炊きにはやっぱり日本酒.〈庭のうぐいす〉の「ふゆにごり」の濃厚な沈殿部分をコップに注ぐ.

◆年末年始の背徳燃料は:〈風の森〉23BY・真中採り・純米・秋津穂「滓さけ」/〈風の森〉24BY・純米大吟醸・しぼり華・キヌヒカリ/〈日置桜〉23BY・純米・山田錦「鍛造にごり」の三本.いずれも一升瓶.これだけあれば足りるだろー.

◆[進化思考]本日の余響:【随縁随意】奥田徹「時代の目」(2012年12月26日).生物工学会誌第90巻12号掲載.『進化思考の世界』の「終章:系統樹なくしては何ものも意味をもたない」からの引用.

◆明日は大晦日.翻訳のお仕事がぜんぜん進んでいないので,たいへん困った事態になっている.千字の文も一字から.

◆本日の総歩数=7731歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


29 december 2012(土)※杉並の背徳の昼下りは酒池

◆午前5時過ぎにいったん目が覚めたが,あえなく二度寝へ引き戻される.午前6時半にのろのろ起床.前夜の雨はもう止んで,いまは曇り空.気温3.0度.午前8時,早朝の曇り空からいまは青空がのぞくまでに天候回復.地面はまだ濡れていて,気温2.9度と湿った寒さが続く.Google Map で本日の「標的地点」を確認した.バクダンはすでに用意してあるので,あとは西武新宿線で乗り過ごさないことだけ.

◆[欹耳袋]日本分類学会連合「第12回 総会・公開シンポジウム」(2013年1月12日〜13日@国立科学博物館).※正式の告知記事.

◆[欹耳袋]系統樹2本 —— この「JR九州車両デザイン系統樹」には「JR Kyushu Design Phylogeny Mandala」という英語タイトルが付けられているではないか! どこかで見たような……(笑) /三菱東京UFJ銀行の企業系統樹:松永英明・ことのは編集室『三菱東京UFJ銀行に合流した全銀行の系統図年表2010』(2010年,密林社).こりゃまた巨大なツリーだなあ.

◆[蒐書日誌]年末のご恵贈本3冊(ありがたやありがたや) —— 田中純『冥府の建築家:ジルベール・クラヴェル伝』(2012年12月18日刊行,みすず書房,東京,4 color plates + 500 + xxxii pp., 本体価格5,000円,ISBN:978-4-622-07708-4 → 版元ページ).初の伝記とのこと.長年にわたって岩を掘り続けたとは……(青の洞門の禅海和尚をつい思い出してしまう)./廣田吉崇『近現代における茶の湯家元の研究』(2012年12月19日刊行,慧文社,東京,412 pp., 本体価格4,000円,ISBN:978-4-86330-059-0 → 版元ページ).茶道家元の「系譜」に関する学位論文(神戸大学)の単行本化./リチャード・ドーキンス(著),デイヴ・マッキーン(絵)[大田直子訳]『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』(2012年12月25日刊行,早川書房,東京,269 pp., 本体価格4,200円,ISBN:978-4-15-209346-2 → 版元ページ).大判フルカラーの科学本.

◆昼下りの背徳イン杉並 —— お昼前につくばを出発.お昼すぎの都内は風もなく穏やかな日差しが降り注ぐ.背徳の昼下りの前奏にふさわしい.高田馬場から西武新宿線に乗り換える.この路線に乗るのはいったい何年ぶりのことだろう.30年あまり前,実習のため田無農場に通っていたときも北側の西武池袋線を使っていたので,南側の西武新宿線は殆ど使わなかった.記憶にないくらいひさしぶりだ.急行で鷺ノ宮まで.各停に乗り換え,とある駅で下車.今日の目的地は住宅街のど真ん中の一軒家だ.呼び鈴を鳴らすとエプロン姿のオーナーシェフがご登場.今日はごちそうになります.

すでにテーブルはセッティングされていて,まずはソファでスパークリングワインなど.いきなりうまい.そうこうするうちに,今日のゲストが次々にやってきて,午後2時過ぎにパーティ開始.シェフお手製の焼きたてバゲットにエシレバターをたっぷり乗っけるのは背徳の序の口.豚肉のリエット,スペイン風オムレツ,生ハムのピザなどなど厨房から立て続けに運ばれてくる背徳の数々.その一方でワインがどんどん開栓されていく.いよいよ背徳三役のそろい踏み.ローストチキンはラタトゥイユが彩りよくトッピングされている.キャベツ丸ごとひとつを煮つぶした上に並ぶローストポーク.そして,レアのローストビーフは旨みが上質.クローゼットの中に隠匿されているワインセラーを拝見.ここだけでいったい何本のワインが隠されているのだろうか.おそるべしおそるべし.うまいうまい.肉林なしの酒池にずぶずぶと溺れていく.

—— ふと気がつけば午後8時をとうに過ぎていた.真昼間から6時間も飲み続けたということか.どうもたいへんごちそうになりました.

◆夜遅くつくばに帰り着き,よろよろと帰宅.今夜はもう寝るしかない.

◆本日の総歩数=8833歩. 朝○|昼×|夜×. 計測値(前回比)=94.2kg(+0.2kg) / 30.8%(0.0%)


28 december 2012(金)※御用納めは雨に濡れて帰る

◆午前5時起床.冷え込みがきびしい.まずはお米を研いでから一日が始まる.今朝の最低気温は氷点下5.7度.昨日ほどではないがきびしく寒い.朝日が差す観音台は,仕事納めの今日は駐車場ががらがら.早くも年末年始のお休みに突入している職員も少なくないのだろう.今年も出勤簿を押すのは今日が最後だ.実在したり不在だったりと今年も華やかな「ハンコ模様」に彩られた出勤簿だった.そうこうするうちに,早くも空が曇ってきた.天気予報通り,午後は雨になるのだろうか.BGMはジンマンの〈マーラー3番〉から.年の瀬の静かな研究所に流れるのは,アルトが歌うニーチェの〈ツァラトゥストラはかく語りき〉の一節:「世界は深い」.

◆[蒐書日誌]今年最後の着弾本 —— 伊藤悠『シュトヘル・第7巻』(2013年1月1日刊行,小学館,東京,ISBN:978-4-09-182830-7 → 版元ページ).ついでに,半年前に届いていたのは:伊藤悠『シュトヘル・第6巻』(2012年6月4日刊行,小学館,東京,ISBN:978-4-09-182550-4 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]「The Nam Family」家系図の優生学的な利用について —— Arthur H. Estabrook and Charles B. Davenport『The Nam Family: A Study in Cacogenics』(1912年刊行,Eugenics Record Office[Memoir No. 2]Cold Spring Harbor, Long Island, iv+85+ 4 charts → Internet Archive).ある家系の優生学的研究報告.犯罪者家系の代表として優生学史にその名を残す「ジュークス家」や「カリカク家」の家系調査と同様,アルコール中毒と無気力に毒された“バガボンド”の家系として本報告書に登場する「ナム家(仮名)」もまたアメリカの優生学・優生運動を支えた“科学的データ”のひとつだった.犯罪や病気の遺伝的背景を調査してしかるべき措置を提示する優生学の基本姿勢は本書ではっきりと示されている:

Thus the Jukes were characterized by a large proportion of criminals, the Ishmaelites of Indiana by paupers, the "Zero" family of Jörger (1908) by vagrants, the family described by Poellmann by prostitutes and procurers, the Nams, as we shall see, by alcoholism and lack of ambition. The rural communities of "degenerates" usually have this in common: an unusual lack of industry, retardation in school work, and a failure to observfe the conventionalities in sex-relationships. There is reason for concluding that the first and second traits are hereditary and are, in a measure, the raison d'etre of the foundation of such communities. The last may be, in large measure, due to the remoteness of the community from social influences. (p. 1)

サブタイトルにある「cacogenics(劣生学)= bad born」ということばは,「eugenics(優生学)= well born」の対語として,E. E. Southard によりこの年(1912年)に造語された.その意味は「家系の“退化”に関する遺伝学的研究」と定義されている.この対語については下記を参照のこと:E. E. Southard (1914), Eugenics vs. cacogenics: An ethical question of importance to the movement—attention should be centered on factors of absolute value, not on those of merely relative value. Journal of Heredity, 5(9): 408-414 → Internet Archive

—— 本報告書の巻末に載っている,ナム家(およびその姻戚家系)全体の円形家系図のひとつ(Chart A)を『系統樹曼荼羅』で引用した(p. 211, 図8).

なお,同様の優生学的動機のもとに特定の家系を探索したもう一つの例は,Heinz Brücher による Ernst Haeckel 家の分析である:Heinz Brücher『Ernst Haeckels Bluts= und Geistes=Erbe : Eine Kulturbiologische Monographie』(1936年刊行,J. F. Lehmann, München → 目次|書評 1/2/3/4

◆[欹耳袋]年末年始のバス運行予定:関鉄バスはとくに正月三が日は「完全運休」の区間がかなりある.一方,つくバスは年中無休で変りなし.

◆曇り空ときどき薄日の観音台は正午の気温が3.4度.昨日よりも寒い.今年最後の〈おはん〉にて「鯛かぶと煮定食」(限定二食:1200円)を迷わず注文.前にここで食べた「鮪かぶと塩ゆで定食」は大食い大会みたいな様相だったが,今日の鯛かぶと煮はしごくリーズナブルな量だった.めで鯛のぉ.

◆雨雲が接近しているようなので,そろそろ撤収しようかな.お持ち帰り┣┣" は一頭だけでいいよねー.午後4時半過ぎ,外に出たら冷たい雨がもう降っていた.午後5時の気温は2.4度.指先がかじかむほどの寒さ.何らかの手段で温まらないといけないな.御用をむりやり納めてしまったが,あのまま観音台で年越しさせてもいいのだろうかとやや不安…….

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:羅内の読書案外「系統樹曼荼羅」(2012年12月28日)/私が買った本、読み返した本「系統樹曼荼羅」(2012年12月28日).

◆日が変わる直前,月刊みすず「読書アンケート」の原稿をみすず書房に送信だん.締切日までに出せたのはミラクルと言うしかない.ワタクシが設定した今年の基調テーマは「図像とイメージ」.最終的に5冊に絞り込んだ.

◆夜になっても氷のように冷たい雨が降り続いている.ひょっとして夜中に雪に変わったりするのだろうか.

◆本日の総歩数=2168歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(+0.6kg) / 30.8%(−0.2%)


27 december 2012(木)※つくば忘年会の夜は更けず

◆午前4時半過ぎ起床.気温は氷点下6.2度と今季最低.寒いというより痛い.お米を研いで,チキンカレーに火を入れる.午前6時前に氷点下6.8度.最低気温記録を絶賛更新.今朝の最低気温は午前7時過ぎの氷点下7.3度だった.もちろん今季最低.凍てつく観音台.稲荷川側道には分厚い氷が張っていた.極寒の朝のBGMは真夏の国の〈ブラジル風バッハ〉から.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 追いまくられる午前中…….系統樹ハンティングのための hatenablog を新規開設.コンテンツを詰め込んでいるうちにどんどん時間が過ぎていく.公開は新年元旦の予定.

◆[欹耳袋]山岸教授の日英語サロン「世界の言語に優劣の差はない!」(2012年12月25日).とても共感を覚えるのだが,ブログ表題もタイトルも「コピー禁止」というのはとても不便(それって意味あるのかな?).

◆[蒐書日誌]花井哲郎『カイミジンコに聞いたこと』(2012年8月刊行,中央公論新社[中公文庫],東京,ISBN:978-4-12-205686-2 → 版元ページ).元本はどうぶつ社.文庫化されていたとは知らなかった(Kindle版もあり).著者の花井さんとはかつて東大総合研究資料館当時に一度だけお会いしたことがある.記憶をたどってみると,速水格さんのつながりだった.1985年にどうぶつ社から出版されたラウプ&スタンレー『古生物学の基礎』(花井さんが筆頭訳者)の系統学の章の訳文をワタクシがチェックしたときだったかな.おかげで一万円の本をもらえてよかった.

◆寒気にすっぽり包まれたつくばは正午になっても3.7度.今日のランチは,今月12月29日をもって閉店することになった下広岡の洋食レストラン〈蘭亭〉にて,背徳の「常陸牛スペシャルランチ」をば.久しぶりにお昼に来たが,お店は客でぎっしり満員でした.つくば在住であれば,ここ〈蘭亭〉のランチのコスパの良さは知っているだろう.オムライス,ステーキ丼,ハンバーグ etc. がもうすぐ食べられなくなるとは残念無念.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 過去三年分のアーカイヴを発掘しまくり.掘り進むのはここいらで一旦停止しよう./月刊みすず「書評アンケート」でとりあげる5冊を何とか絞り込んだ.例年通り,十数冊の候補本からの激戦とあいなった./白川に年末年始用の「ジェット燃料」を三本発注した.予定していた「ロケット燃料」は地方発送はキケンすぎるらしい(暴発か……).無事に届いてねー.

◆[蒐書日誌]あらま —— イアン・ハッキング[出口康夫・大西琢朗・渡辺一弘訳]『知の歴史学』(2012年12月26日刊行,岩波書店,東京,本体価格4,700円, ISBN:978-4-00-023877-9 → 版元ページ).『Historical Ontology』の訳.ついでに,統計学哲学の古典:Ian Hacking 1965『Logic of Statistical Inference』. Cambridge UP も(誰か)訳してねーねーねー.同じく確率論史の本:Ian Hacking 1975『 The Emergence of Probability』 Cambridge UP の邦訳はその後どうなっているんだろ? ワタクシ的には尤度論の重要著作:A. W. F. Edwards 1972『Likelihood』 Cambridge UP がいつか訳されることを固く信じて疑わない.この訳本さえあれば尤度の科学哲学的なトレーニングがやりやすくなる.

◆満月の夕暮れ時 —— 午後5時前.観音台からの帰り道,満月が東の空から上ってきた.今宵はよく晴れるだろうから,酔歩しても月明かりで道に迷うことはきっとないだろう.うんうん.午後6時,早くも氷点下0.3度の寒さの中を,所内忘年会に出撃うぃる〜.たった5分でもう会場だー.午後9時過ぎ,忘年会がさくっと終わって帰宅.気温は氷点下2.3度.〈来福〉の純米吟醸「愛山」を飲んだぐらいでは暖まりがぜんぜん足りないなー.

◆[欹耳袋]Teenst.......「学振黙示録カイジ まとめ」.うむむ.

◆明日は「御用納め」ではあるが,ぜんぜん納まり切らないのは身から出た錆…….

◆本日の総歩数=4260歩. 朝○|昼△|夜×. 計測値(前回比)=93.4kg(−0.3kg) / 31.0%(+0.5%)


26 december 2012(水)※年の瀬に翻訳┣┣" を追う

◆午前5時過ぎ起床.気温2.7度.昨夜は氷点下まで下がったが,いまは冷え込みが緩んでいる.お米を研いで,昨夜の鶏ガラスープを煮詰めている夜明け前.午前6時過ぎ,朝焼けグラデーション.乾いた青空の観音台.午前8時の気温は3.6度とたいして寒くないはずだが,北風が強くて体感気温が低すぎる.窓から隙間風が吹き込む居室でリヒテルの平均律.

◆[欹耳袋]下広岡の洋食〈蘭亭〉が12月29日をもって閉店になるとのこと.残念残念.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 三中信宏:農環研ウェブ講座 「農業環境のための統計学」 第5回 「データを観る・見る・診る」の最終チェックを終えた.仕事納めの28日に公開予定./玉川大学の来年度シラバス入力完了.大学によって教務システムがまったく異なるので,毎回戸惑うこと多し./茨城大学の非常勤講師書類をつくっているのだが,これまた大学ごとに人事書式フォーマットが異なっていて時間と手間のムダ.どうせ書く内容に有意差はないのだから,全大学共通フォーマットがあれば効率的.煩雑な書類を書き続ける気力がなくなったので,華麗に後回しにして,ランチタイム〜.

◆[系統樹曼陀羅]本日の集音:配電盤「『系統樹曼荼羅』でパクリの系譜ネットワークを思い出す」(2012年12月25日).岡田斗司夫『オタク学入門』(1996年刊行,太田出版)に「パクリの系統ネットワーク」が載っているとのこと.

◆正午の気温は5.4度.北西風7.9メートル.とても徘徊したいとは思わない.

◆[欹耳袋]系統樹の上下逆転について —— hellog〜英語史ブログ「#1339. インドヨーロッパ語族の系統図(上下反転版)」(2012年12月26日).この記事で言及されている「系統図の上下を反転させるという発想と意義」については,系統推定の「目的」と関係があるだろう.確かに生物の系統樹は祖先を下に置き「上に開いた」系統樹を描くのに対し,言語や写本の系統樹は上下逆さまに祖先を最上部に配置して「下に開いた」系統樹を描くことが多い.

いまから四半世紀前のことだが,H. Don Cameron の論文 The upside-down cladogram: problems in manuscript affiliation (1987) は,系統樹の描画スタイルが「上下逆転」するのは「目的」のちがいにあると指摘した.生物進化学では祖先から変容した子孫は淘汰・偶然・進歩という何らかの積極的な意味をもつ.図像としての「生命の樹」のもつ繁栄性を含意する「上に開いた」系統樹はそれにふさわしい描画様式だった.一方,言語や写本における変容は逆に消極的な意味を持たざるを得なかった.つまり,完全無欠なる祖先が崩壊した結果,不完全な子孫が出現した.「下に開いた」系統樹はイデアの影としての現実を描写するスタイルということだ.

Cameron のこの論文は:Henry M. Hoenigswald and Linda F. Wiener (eds.) Biological Metaphor and Cladistic Classification: An Interdisciplinary Perspective(1987年刊行,University Pennsylvania Press, Philadelphia)所収, pp. 227-242.Questia で閲覧可能.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 書類作成続き.著書・論文・学会発表・その他を分別した「総数」をカウントしろという無理難題.てきとーに記入しました.人事書類にムダな質問項目を含めてはいけません.バス停間の「距離」なんか書く必要がないので空白のまま放置.ということで,茨城大学への人事書類一式を放流した.この件は一件落着とみなすことにする./午後4時から領域内会議.年末なので半時間ほどでさくっと終わった.

◆イヴの翌々日は究極のチキンカレーを —— 北風が吹き抜けた日中.夕暮れのいまはさらに気温が下がり始めている.やたら冷えるなあと思ったら,まだ午後8時なのにもう氷点下3.2度まで下がっていた.

イヴのローストチキンの残響はまだ残っている.昨夜はチキンの骨スープをベースにした親子丼をつくった.今夜はさらにパワーアップして,ローストチキンから大変身を遂げた特製チキンカレーに挑戦.これが大当たり.氷点下の寒い夜も辛口のカレーでもう大丈夫.ホネのパワーは偉大だった.カレールーは,定石通りの玉ねぎ・しょうが・ニンニクをきつね色になるまで小一時間じっくり炒める.カレー粉を適量練り込み,さらに缶詰カットトマトで少しずつのばしていく.さらにローストチキンの骨で煮出したスープを混ぜてカレーソースのできあがり,骨からあらかじめ外しておいた鶏肉を投入.骨スープの威力は絶大で,いつもならカレールーづくりからの煮込みにもっと時間がかかるはずが,ほとんど煮こまなくても完成ゾーンの味になった.

—— ホネのパワーは偉大である.ホネ万歳!

◆本日の総歩数=2301歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(+0.2kg) / 30.5%(+0.1%)


25 december 2012(火)※今年最後のお座敷は観音台

◆午前5時半起床.氷点下3.0度の夜明け前.真夜中には氷点下5.5度まで冷え込んだようだ.午前6時の時の鐘が闇の静寂に鳴り響く.午前7時には再び氷点下4.6度まで冷え込んだ.観音台は霜と氷.今日も乾いて寒い晴天が続く.杉並背徳会用のバクダン「Vacherin Mont d'Or」はすでに確保して氷温室に安置してある.Mont d'Or には Cahor で対抗するとの通告あり.最強バクダンをもって突撃しないと負けそう

◆[欹耳袋]Camillia Matuk | A History in 230 Trees | Science 19 October 2012 | Vol. 338 no. 6105 pp. 329-330.書評:Theodore W. Pietsch『Trees of Life: A Visual History of Evolution』(2012年4月刊行,The Johns Hopkins University Press, Baltimore, xiv+358 pp., ISBN:978-1-4214-0479-0 [hbk] → 版元ページ著者サイト).

◆今年最後の高座 —— 午前9時から所内RP成績検討会が始まる.直前までプレゼン用スライドをじたばたとつくっていた.午前10時半すぎ,RP成績検討会の高座を務めてきた.今年のお座敷はこれにてすべて終わった.「専門書」と「一般書」との本質的なちがいはない,ということでこの分類問題はオワッタと考えたい.今日の格言:「時代が私に追いついていない」.

◆[欹耳袋]SYNODOS JOURNAL「『ブラック企業』著者、今野晴貴氏に聞く ―― ブラック企業 ~ この、とんでもない妖怪に立ち向かうために」(2012年12月25日).「恐ろしいのは、日本のどの企業もいつでもブラック化できるということ」「ある企業がブラック化することを「止められない構図」の方が、より本質的な問題だと思っています」.

◆所内RP成績検討会は正午ちょうどにお開きになった.今日のお昼休みは,正午の気温が4.2度とやや寒かったが,いい天気で歩き読み日和.お昼ごはんをどこかで調達しないといけない.結局〈とむとむ〉へ.ハムのサンドイッチとヨーロピアンブレンド.外はとてもいい天気.行き帰りで:盛口満『生き物の描き方:自然観察の方法』(2012年12月5日刊行,東京大学出版会,東京,160 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-13-063335-2 → 版元ページ)を読了.東大出版会らしからぬ?本だが,生物の「くらし」と「れきし」,そして生物どうしの「つながり」を絵を通して探ろうという著者の視点はとてもすんなりと染みこんでくる.

◆オランダからX'masの贈り物 —— Herman Johanes Lam『Fragmenta Papuana』(1927〜1929年発行, Buitenzorg, Java, 353 pp.).Den Haag の Antiquariaat Minerva から届いた蘭印時代のパプア・ニューギニア探査旅行記.多数のモノクロ写真と線画イラストにより,当時のニューギニアの環境と生物相そして現地の民俗と文化が記録されている.オランダ語だが,第二次世界大戦中に英訳された.本書の元になっているのは Batavia で発行されていた自然史ジャーナル Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië に発表された下記の連載論文:

  1. Fragmenta Papuana: Inleiding. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 87: 110-111
  2. Fragmenta Papuana I: Chronologische overzicht van de Mamberamo-exploratie in het algemeen en van de expeditie naar centraal Nieuw Guinea 1920-1922 in het bezonder. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 87: 111-130
  3. Fragmenta Papuana II: Eenige meteorologische gegevens, verzameld gedurende de centraal-Nieuw-Guinea-expeditie 1920-1921. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 87: 130-138
  4. Fragmenta Papuana III: Indrukken uit het Neder-Memberamo-gebied. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 87: 139-180
  5. Fragmenta Papuana IV: Meervlakte en heuvelvoet. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 88: 187-224
  6. Fragmenta Papuana V: De noort-helling van het Centrale Gebergte. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 88: 252-324
  7. Fragmenta Papuana VI: Boven de boschgrens: de Doormantorp en zijn begroeiing. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 89: 67-140
  8. Fragmenta Papuana VII: Land en volk der Fika- en Toli-dalen. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 89: 291-381
  9. Fragmenta Papuana: Aanhangsel. Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië, 89: 382-388

旧蔵者は著者 Lam と同時代に Buitenzorg の動物学博物館にいた昆虫学者 Maurits A. Lieftinck.蔵書印とサインがある.Half-cloth装幀.縁に水染みがあるが,造本はしっかりしている.

◆午後の┣┣" 撃ち —— さて,年内最後のお座敷が終わってしまったので,残るはアノ翻訳仕事のみとなった.〆切は(実は)昨日だったので,まさに「負のネルー値」からの再起をかけた格闘となる.今年も余すところたった一週間(←禁句).歳末┣┣" 撃ち大作戦に邁進しないといけないのだが,

◆イヴの翌日は究極の親子丼を —— 午後6時の気温がはや1.9度まで下がっている.今夜も冷え込みそうなので,燃料を充填しないといけない.クリスマスイヴのローストチキンの再利用について.まずは残った肉片をホネからはずす.一羽分のホネを深鍋に入れ,セロリ・ニンジン・太ネギ・ニンニク・玉ねぎなどの香味野菜とともに数時間ひたすら煮こみ続ける.これで上質のスープのできあがり.これからが本番.濃厚な鶏ガラスープをすくってフライパンで煮立て,ホネからはずした鶏肉を適量投入.醤油と酒でちょちょいと調味した上で,溶き卵を流し込む.丼御飯にかければ「究極の親子丼」のできあがり!こんなに手間ひまかける親子丼はありえへん.ローストチキンを持て余しているそこのアナタ,「究極の親子丼」をぜひお試しあれ.もちろん,たっぷりつくった鶏ガラスープは他の料理に転用可能.

◆本日の総歩数=6819歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(−0.4kg) / 30.4%(+0.3%)


24 december 2012(月)※クリスマスイヴは飽食の夜

◆午前5時起床,二度寝,午前6時再起床.やや うう…….昨日は,朝は〈コメダ〉,昼は〈Sucre-en-Rose〉,夜は農大忘年会と暴虐のかぎりを尽くした.今日のクリスマス・イヴは清らかに過ごそう.北風が冷たい冬晴れの空には雲ひとつない.午前9時の気温4.2度.体感的にはもっと寒く感じる.さて,牛肉の緊縛開始〜.

◆[分類思考]本日の残響:cafe de かわうそ「(Book #71) 分類思考の世界/三中信宏 著」(2012年12月24日)

◆[蒐書日誌]中山書店から出ている『動物系統分類学(全25巻)』は,新刊で全巻揃えると70万円くらいしたのでは? だから,オークションで「60万円」というのはリーズナブルな「安い買い物」ですね.

◆[欹耳袋]徳を保つ「データサイエンティストではない人に知っておいて欲しい事」(2012年12月19日)※統計モデルを愛してはならぬ.“真”のモデルは不可知である.それぞれの時点でなし得ることはせいぜい“よりよい”モデルを構築することだけ.だから,あるモデルに拘泥することは,統計的推論がアブダクションであるという基本中の基本に抵触する.

◆クリスマスには肉を焼く —— 数日前に届いていた生活クラブの牛もも肉塊800グラム.ゲランド塩と黒胡椒をしっかり刷り込み,たこ糸で緊縛する.昼前にローストビーフ牛肉の下準備と緊縛完了.数時間の常温放置ののち,フライパンでしっかり焼き目を付けて,オーブンへ.モモ肉800グラム塊の場合,150度で40分焼く予定.ローストチキンやローストポークだと脂をかけながらしっかり焼くが,ローストビーフは温度設定だけまちがわなければ,途中で一回裏返すだけですむ.むしろラクかもしれない.さて,ローストビーフが焼き上がった.針を中心部分に刺してほんのり暖かいので,ちょうどレアになっているだろう.しばらくこのまま冷ましてから切らないと「肉汁流出事故」が起こってしまう.塩胡椒だけのシンプルな調味なので,和風のステーキソース,粒マスタード,ホースラディッシュなど,お好みでどーぞ.

◆[欹耳袋]二体問題ふたたび —— SciencePortal・小川眞里子「日本の女性研究者に期待する」(2012年12月20日).著者は「いまだに研究者の多くが男性で、その男性研究者の半数以上は専業主婦の妻を持ち、共働きの女性研究者の悩みとはおよそ無縁だからだろう」と指摘する.数年前の本誌の同じコラム記事:SciencePortal・小川眞里子「Dual-Career Academic Couples - 研究者同士カップル問題」(2008年7月16日)を再び見ると,「たとえ2人就職できても、次に2人同時の転職はさらに困難である」という.数年のギャップをはさんでなお未解決の問題が引きずられている.研究者における「二体問題」の行く末については,日録 12 augustus 2012 にまとめた.元になった一連のツイートは:Togetter -「三中信宏さんによる「研究者の二体問題(あるいは多体問題)」についてのつぶやきまとめ」.

◆クレオとMOGに買い出し.どこもクリスマスらしく買い物客でごった返していた.毎年恒例の「学園線KFCフライドチキン渋滞」とか「コートダジュールX'masケーキ渋滞」はもう始まっているのかな.ローストチキンとローストビーフの両方から攻められるクリスマスの夕餉は胃腸勝負.シンプルに鶏さんと牛さんの食べ過ぎ.

◆午後8時半の気温が早くも氷点下3.0度まで下がっている.午後11時には氷点下4.4度.明朝の冷え込みがコワいなあ…….

◆本日の総歩数=1856歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.1kg) / 30.1%(−0.1%)


23 december 2012(日)※厚木の農大で怒涛の忘年会

◆午前5時起床.気温1.0度.冷え込みなし.朝は〈コメダつくば店〉にて.薄ら寒い曇り空の観音台.連休中日に農環研でごそごそしている人間はほかに誰もいない.用事をすませて即撤収.

◆[欹耳袋]区系生物地理学のアップデート —— Business Insider | New Map Updates Our Fundamental Understanding Of Life On Earth | 20 December 2012.元論文:Ben G. Holt et al. | An Update of Wallace's Zoogeographic Regions of the World | Science, Published Online December 20 2012 | abstract

◆今朝の最低気温は氷点下0.3度までしか下がらなかったが,日中ぜんぜん暖かくならない.午前11時の気温は4.9度.灰色のどんよりした冬空が薄ら寒さをいっそう身にしみさせる.昼は〈Sucre-en-Rose〉にてクリスマスランチをば.

◆[欹耳袋]「系統樹リテラシー」向上委員会の経緯 —— 最近出た新刊:David A. Baum and Stacey D. Smith『Tree Thinking: An Introduction to Phylogenetic Biology』(2013年刊行,Roberts and Company, Greenwood Village, xx+476 pp., ISBN:978-1-936221-16-5 [hbk] → 目次版元ページ)は,2005年に出た論文:

David A. Baum, Stacey DeWitt Smith, Samuel S. S. Donovan 2005. Evolution: The Tree-Thinking Challenge. Science, 310(5750) : 979-980 (11 November 2005) | abstract | html | pdf |Tree-Thinking Quizzes I and II

とつながっていることに気がついた.この論文は〈Tree Thinking Group〉の成果だが,本論文が出て以降はその実質的な活動を止めているようだ.過去の日録を掘り起こしたら,関連する情報がいくつか散在していた(→ 「14 december 2005」と「16 oktober 2011」).

◆怒涛の農大忘年会@厚木 —— 午後2時過ぎ,つくば駅.午前中はどんより曇っていたが,昼下りになってやっと青空が広がってきた.日差しがまぶしい.午後2時の気温は7.2度.しかし,空気はまだ冷たい.厚木に着くころは夕暮れになっているだろう.新宿駅で小田急の快速急行に乗った.都内の気温は8.0度.寒いねー.

午後5時,久しぶりの本厚木駅.夕暮れの闇が降りてきた.燃料として持参してきた一升瓶とともに路線バスにて農大へ向かう.今日は一升瓶まるごと燗酒にします>農大昆研のみなさん.本日持参するのは京都・木下酒造〈玉川〉の「山廃純米やんわり」.夕闇にそびえ立つ農大の研究棟に潜入.二階の実験室ではすでに忘年会の準備が始まっていた.今日は実は午前9時から昆虫学教室の研究発表会があった.幹事さんの話では,今年の農大昆研は研究室としての「史上最大規模」の記録をまたしても塗り替えたらしい.学部1年生7人を含めて70名を越す大所帯になったとのこと.すごいなあ.規模的には十分に「昆虫学科」並みですって.忘年会は午後6時前から始まった.

◆休日ダイヤとのことで,農大から本厚木への路線バスの本数がいつもより少ない.午後8時前に喧騒度を増す忘年会を抜け出て農大バス停へ向かう.十分にアルコール注入したせいか,あまり寒さを感じない.本厚木からは小田急の急行に乗ったので,あとは寝過ごさずにつくばに帰還するのみ.小田急も千代田線もガラ空き.気温6.6度で寒すぎる代々木上原のプラットホーム.午後10時半,つくば着.気温1.0度の冷えきったセンター広場に,冷え冷えとしたイルミネーションが輝いている.

◆明日のクリスマスイヴはローストビーフを焼くという大役があるのだ.

◆本日の総歩数=9671歩. 朝○|昼△|夜×. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.1kg) / 30.2%(0.0%)


22 december 2012(土)※氷雨の降る本郷で鳥カレー

◆午前4時半起床.気温3.5度.見おろす路面は濡れているようだ.予報では平地でも雪になるとのことだったが,この気温だと雨だろうねえ.

◆[欹耳袋]Nobu Art Commentary「国芳の系統樹からみる日本近代絵画〜はじまりは国芳展」(2012年12月22日).この展示のことかな:横浜美術館〈はじまりは国芳-江戸スピリットのゆくえ〉.

◆氷雨の湯島から本郷へ —— 午前10時半,つくば駅.冷たい雨が降り続くセンター広場.本郷の東大博物館にて自然史学会連合の総会に参加する.上野広小路の〈うさぎや〉でどら焼きを買ってから,正午前に本郷三丁目のベトナム料理〈ミュン〉に到着.もちろんランチの「鳥カレー」を注文するしかない.雨が降り続く本郷は凍えるほど寒いが,鳥カレーを食べてやっと暖かくなった.総会まではまだ時間があるので.しばし本郷通りを徘徊しよう.

◆[欹耳袋]リサーチマップ「改正労働契約法は大学にどう影響を与えるか」 —— 来年4月から施行される改正労働契約法に関する一問一答.回答者は労働問題に通じている弁護士さん.

  • 「Q7」に注目.専門技能職としての任期付研究員は「雇用ではなく「業務委託」に切り替えるという対応が考えられると私は思います」と回答者は答えている.そう解釈すれば「改正労働契約法の対象」からは外れるらしい.ただし,事務系契約職員はそうはいかない.
  • TA・RAに関する「Q8」と「Q9」にも注目.いずれも「その仕事が学生の身分に伴ったものと解される」ので,「「雇止めの法理」の対象にもならない可能性が高い」という回答.
  • 非常勤講師に関する「Q10」では,任期付研究員と同じく,非常勤講師もまた「一種の業務委託として捉えることもできる」ので,「雇用契約にはあたらないため、労働契約法は適用されない」との回答.
  • 改正労働契約法については,プロの弁護士でさえ見通せない部分があるらしい.大学の教員会議でも頻繁に議題に上るのだが,雇用に関わる案件にもかかわらず,教員はもちろん事務でさえはっきりしたことがまったくわからない.
  • リサーチマップのこの記事は,「実際に問題が顕在化して、具体的に裁判で争われるようになるのは今からおよそ6年先だからです」と締めくくられている.じたばたしてもしかたがないということか.でも,来年4月には改正労働契約法は施行されてしまう.
  • 改正労働契約法は「雇う側」と「雇われる側」の(対立する)利害にダイレクトに関わることなので,まずは法律の側から何かしら確たる指針が示されないかぎり,「現場」でいくら話し合っても時間のムダという気がする.そして不安感ばかりが湧いてくる.
  • 改正労働契約法は労働者側の「雇用」の権利を守るための改正.「Q5」の回答で重要な点は,有期雇用から無期雇用に転換した場合,「研究室単位で見れば、たとえば科研費などの研究期間が終了したのでお金がない」場合でも,それを理由にして「解雇できないでしょう」とのこと.

これらはすべて大学だけではなく,独法研究所にも当てはまることども.

◆[欹耳袋]hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)「研究者は職務無限定なのか?」(2012年12月22日).関連してメモクリップ.

自然史学会連合総会 —— 午後1時前,東大博物館7階のミューズホールへ.数年ぶりにナマの粕谷師に対面した.統計雑談あれこれ.日々是統計修行あるのみ.モデル選択で AICを「誤用」すると無慈悲なる天誅がくだるとの預言.また,解けないと頭から思い込んでしまわず,よく調べてみれば突破口が見つかるものであるとのとの講話.午後1時から始まった総会は午後4時に終わった.予定よりも長引いたのは叢書刊行計画に関する打ち合わせが追加されたから.会議が終わって博物館の外に出たら,雨雲はすでにすっかり消え失せて,夕方の青空が広がっていた.空気が冷たい.

◆午後5時半,つくば帰還.夕暮れてだんだん寒くなってきた.午後5時の気温は5.4度.上野広小路〈うさぎや〉のどら焼き mgmg.明日は久しぶりに厚木へ出撃する.

◆本日の総歩数=6969歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(0.0kg) / 30.2%(0.0%)


21 december 2012(金)※冬至の朝餉は南瓜にかぎる

◆午前4時半起床.まずは米研ぎ.気温は氷点下4.1度とがんばって冷え込んでいる.冬至の夜明け前,ごま鯖を焼く匂いが厨房に漂う.凍てつく観音台は一面の霜と氷.今朝の最低気温は氷点下4.6度まで下がった.午前8時を過ぎても構内の温度計は氷点下0.8度を指している.乾いた冬晴れ.ロビーで数ヶ月ぶりに理事長を見てしまった.朝イチの BGM はアルノンクールの〈マタイ受難曲〉から.

◆[欹耳袋]シカゴ・フィールド博物館の財政危機と人員解雇のニュース —— Chicago Tribune | Field Museum to cut staff and research, refocus mission | 19 December 2012./支援サイト:change.org | Protect Research at Field Museum of Natural History, Chicago - Petitioning Richard Lariviere

◆午前の┣┣" 撃ち —— 「〆切さん」が情け容赦なく向こうから接近しつつある.「〆切さん」は「べとべとさん」とは“別種”なので,「お先にどーぞ」と声をかけても素直に通り過ぎてくれるわけではない.困ったなあ…….

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:新聞雑誌の書評紹介本まとめと積ん読日記「週刊文春2012年12月20日号 書評まとめ」(2012年12月20日).※≪私の読書日記 立花隆≫に『系統樹曼荼羅』が取り上げられているらしい.あとで確認する.

◆ご寄贈本が積み重なる.ありがたやありがたや.年の瀬になって,着便した本たちが,読まれないまま,むなしく机に積み上がっていく現象が発生している.着便した本たちは,たとえすぐに読む時間はなくても,目次だけはちゃんと読むようにしている.「目次は本文の短縮された反復である」から.

◆薄曇りの昼休みは周辺徘徊タイム.盛口満『生き物の描き方:自然観察の方法』(2012年12月5日刊行,東京大学出版会,東京,160 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-13-063335-2 → 版元ページ)を半分ほど歩き読み.生き物を描くことは「ウソをつく」ことである,と.「1. ウソは,はっきりとつく./2. ウソのつき方をうまくする./3. ウソはつきとおす」(p. 60).なるほどなるほど.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 霞が関から統計研修に関する〈一太郎〉書類ファイルがどさっと送られてきた.以前だったら,「こんなもんが読めるかーっ」と卓袱台返ししたところだが,最近はすっかり丸くなってしまい,おとなしく MacBook Air の〈xfy〉を起動して「.jtd」ファイルをオープン.ジャストシステムの〈xfy Basic Edition〉on JAVA はMac用の「一太郎ビューワー」として重宝してきたのだが,もう公開されていないんだった.となると,〈一太郎〉文書ファイルを Mac OS X で読むためのツールはみなさんどうしているんだろう?

◆さて,明日からの怒涛のクリスマス三連休を迎える心の準備をしつつ,夕暮れの観音台から撤収.西武前の交差点がいつになく大渋滞していたのだが,飲み屋タウンと化しつつあるデイズタウンに向かう忘年会混雑のようだ.今年の年末カレンダーだと,今週が事実上の「仕事納め」で,来週になるとクリスマスを通り越してイッキに年末モードに突入してしまうだろうし.しかし,私の場合,クリスマス連休後の25日(火)が所内のRP成績検討会なので,来週もまだまだ気が抜けない日々が続く.領域の忘年会にいたっては仕事納め前日の27日(木)に設定されている.今年は最後の最後まで走り続ける.

◆今宵の夕餉には,広島の〈小笹屋竹鶴〉「22BY・大和雄町無濾過純米原酒」を開栓.先日の農環研サイエンスカフェのときにいただいたもの.瓶貯蔵・低温熟成.もちろん燗酒で.アルコール度数が20度もあって重厚パワーがズシンときた.やや熱めに燗をつけたのだが,燗冷ましにしてもいい味わい.すばらしい.生活クラブの卵が届いたので,ご飯ものは親子丼にした.鶏肉は斜に薄切り.塩を振って染み出す水分をクッキングペーパーに吸い取らせる.鍋に味醂と日本酒を煮立てて出汁と醤油を加え(やや甘口に),鶏肉を投入.一煮立ちさせたら火を止めてじっくり味を染み込ませる.卵は1.5個/人の基本.半熟に仕上げて丼飯に汁ごとかけてできあがり.山椒をトッピングして食卓へ.

◆冬至は南瓜,風呂は柚子湯.予報ではあしたは「雪」らしい.都内に出るのは自粛した方がいいかも.

◆本日の総歩数=10328歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(0.0kg) / 30.2%(−0.3%)


20 december 2012(木)※今年最後の定例都内出撃日

◆午前5時前起床.気温は氷点下3.3度まで下がっているが,びっくりするほどの冷え込みではない.午前7時の気温は氷点下0.4度.昨日,弥生キャンパスでは年末大掃除の研究室があったけど,農環研の「森」は掃除のしようがない…….いつもそのまま年を越し,そのまま新年を迎えている.それよりも,年末年始用の〈風の森〉を確保するというとても重要なお仕事.

◆[欹耳袋]演題・要旨公開 —— 第12回日本分類学会連合公開シンポジウム 〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉2013年1月13日(日)9:30〜12:00@科博上野.演題一覧:三中信宏:世紀をまたいだ「種」論争は何をもたらすのだろうか:第三の道に向けて/網谷祐一:「種」——定義より遠く離れて/太田英利:保全生物学における「種」の功罪/神保宇嗣:生物多様性情報分野から見た「種」.以上.

◆年内最後の定例都内出撃日 —— 午前7時半,つくば駅.雲ひとつない冬晴れ.新宿駅.午前9時の気温は4.9度.都内も冷え込んでいる.午前10時前,玉川大学到着.ええ天気やなあ.玉川大学での年内最後の講義はベイズ系統推定.

◆[蒐書日誌]きのう,千駄木の〈往来堂書店〉に立ち寄ったら,高山宏の超弩級本たちにはさまれて『系統樹曼荼羅』が配架されていた.そうか,この店の「文脈棚」ではこのように図書分類されているのかと納得してちょっとうれしい.以下,蒐書メモ:

  • 岡本真『ウェブでの<伝わる>文章の書き方』(2012年12月20日刊行,講談社[現代新書2187],東京,174 pp., ISBN:978-4-06-288187-6 → 版元ページfacebook).即読了.ウェブでの文章執筆に関する簡にして要を得た記述.自分のことを振り返りつつ,新たに学ぶ点あり.P. 95 上の html 文例はまちがい:「UL」→「OL」;「OL」→「LI」と一括変換.
  • 往来堂書店ブックレット『D坂文庫・2013WINTER(第6回)』.店の正面に「D坂文庫」のオビを巻かれた文庫本がズラリと.つられて買ってしまった文庫本がコレ↓
  • 石牟礼道子『食べごしらえ おままごと』(2012年9月25日刊行,中央公論新社[中公文庫・い-116-1],東京,16 color plates + 168 pp., ISBN:978-4-12-205699-2 → 版元ページ).元本は1994年にドメス出版から刊行されている.巻頭のお料理カラー図版が食欲をそそる.解説:池澤夏樹.

◆玉川大学での講義後,いつものように経堂にて途中下車.北風が弱いせいか,昨日よりも暖かく感じる.穏やかな冬の日差しを浴びながらすずらん通りを下って,これまたいつもの隠れ場所へ.農環研ウェブ連載の統計高座原稿をつくばに送って,一件落着.分類学会連合シンポジウムの時間配分も確定したので,これも一件落着.つくばに実在しない方が仕事が捗るように感じられるのはなぜだろー.午後4時前,駒場へ.そこはかとなく人気がないような.冬学期の5限の講義というのは「この世の終わり」みたいな寂寥感が漂う.年内最後の今日の高座は多変量確率分布と多変量解析の猥雑な世界についてお話しいたします.

◆[欹耳袋]織物模様の文化系統樹 —— Christopher D. Buckley | Investigating Cultural Evolution Using Phylogenetic Analysis: The Origins and Descent of the Southeast Asian Tradition of Warp Ikat Weaving | 18 December 2012 |PLoS ONE 7(12): e52064. doi:10.1371/journal.pone.0052064.

◆午後8時,つくばっく.これで年内の高座はすべておしまい.夕暮れの駒場キャンパスは一雨降ったようだったが,つくばは順調に冷え込んでいて,午後9時の気温は零度ちょうど.明朝は痛いほどの放射冷却かもしれない.

◆本日の総歩数=11230歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+1.0kg) / 30.5%(−0.2%)


19 december 2012(水)※寒風の本郷にて忘年会の夜

◆午前5時前起床.久しぶりに冷え込んで氷点下0.5度.鮭を焼く夜明け前.昨夜は,「〆切さん」がよく働いてくれました.冬晴れ.今朝の最低気温は午前5時過ぎの氷点下0.6度.ここのところ暖かい朝が続いていたので,かなりこたえる.Willi Hennig Society からフェロー宛に会則変更の動議.返信メールを見ていると,すでに年末年始にかけての長いクリスマス休暇に入っている人もいるようだ.なんとうらやましいことか.

◆午前10時過ぎ,つくば駅.キリッと冬晴れ,ぞくっと北風.午前10時の気温は6.3度.今日は乾燥した冬らしい空模様.本郷出撃.根津・丁子屋のとなりの蕎麦〈鷹匠〉にて「鴨せいろ」をいただいたのち,根津神社をかすめて弥生キャンパスへ.不忍通りは日差しが暖かく感じられたが,本郷台地に上がったとたん北風に吹きさらされて縮み上がってしまった.午後1時からの専攻教員会議・学部会議・専攻会議の三点セットをこなして,やっと終わったのは午後4時過ぎだった.

◆[欹耳袋]朝日マリオン・コム「ひとえきがたり:群馬県JR信越線・横川駅」(2012年12月18日)を読む.有名な〈おぎのや〉の中でも「峠の釜めし」はあまりに有名すぎるが,実は限定販売の「玄米弁当」の方がもっとうまい.値段だって1000円もする「峠の釜めし」の半額500円で買える「玄米弁当」の唯一の難点は「ほとんど入手不能」であること.JR横川駅前の〈おぎのや〉本店で事前予約して買うのが常だった.いまや信越本線の終着駅になってしまったJR横川駅だが,そのうち機会を見つけて再訪したい.「入手不能の駅弁」ということなら,信越線起点のJR高崎駅で朝しか売っていない〈たかべん〉の「上州の朝がゆ」も負けてはいない.朝の通勤時間帯のみ数十食しか売られない珍品.「だるま弁当」だけではない.

◆午後4時の気温は7.3度.北風が強くて寒さがきびしい本郷通り.ひさしぶりに〈ルオー〉へ.ワタクシの場合,背後から「〆切さん」が忍び寄っては,耳元でクラく「原稿〜原稿〜原稿〜」とささやく.いつも何人かの「背後霊」が立っている.担当編集者に「なまはげ化」されないよう,書き手は精進しなければならない.最高度に能率の上がる原稿執筆法は,担当編集者を前にしての「対面執筆」にかぎる.「ホテルにカンヅメ,隣室には編集者が待機する」というクラシックなやり方では生ぬるい.ここ〈ルオー〉の二階には「独房」があって,担当編集者に拉致されて「独房」に幽閉されると書き終わるまで外に出してもらえない.本郷界隈で修論や博論で切羽詰まっているそこのアナタ,いますぐ指導教員とともに〈ルオー〉に直行し,二階の「独房」に籠るべし.書くべし書くべし.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:アマゾン書評・ 晴読雨読(NEAT) 「Seeing is Believing! 驚きでいっぱいです。」(2012年12月18日)

◆午後6時過ぎ,〈ルオー〉の非独房にて原稿10枚を書き上げ,つくばに放流.さて,本郷通りはもう夕闇に包まれている.午後6時を過ぎたので,そろそろ赤門に向かうとしよう.今夜は赤門の隣りの旧学士会館分館跡にできた伊藤国際学術研究センター〈椿山荘カメリア〉にて専攻忘年会.打ち上がろう.近年の東大の本郷キャンパスの「なか」は,おしゃれな食べるところがたくさんあって背徳度が急激に高まりつつある.とりわけ,〈椿山荘カメリア〉はあまりにりっぱ過ぎてのけぞる.取り壊される前の学士会館分館の壁の一部や内装を部分的に再利用した内装は格調が高い.今夜は専攻の貸し切りということで,午後6時半からフレンチのフルコース.やや緊張気味の専攻教員諸氏.しかし,ワイン飲み放題なので,しだいにほぐれていつものようになっていく.午後9時に解散してワルイ寄り道などせず,つくば直帰.午後10時半帰還.

◆本日の総歩数=10340歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.3kg) / 30.7%(−0.2%)


18 december 2012(火)※暖かい日差しの昼休み徘徊

◆午前5時起床.気温5.9度.お米とぎ〜.冷え込みがまったくない暖かな朝の観音台は霜も氷も見当たらない.しかし,夜半の雨の名残りはそこかしこに.今日は曇り空の一日との予報.BGMはヴァレリー・アファナシエフの〈平均律〉から.

◆[欹耳袋]バタヴィアで刊行されていた旧蘭印の自然史ジャーナル Natuurkundig Tijdschrift voor Nederlandsch-Indië の国内所蔵館がたったひとつしかなく,それも第二次世界大戦中の数年間分(1941-6)しかないのを確認して脱力した.創刊(1850年)から1922年までのバックナンバーは BHL からオンライン公開されているのだが.日本の蘭語文化がきわめて密接に第二次世界大戦時の「南方進出」に絡んでいることを実感する.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前10時から農水省食料産業局との打合せだん.年明けにも種苗管理に関わる統計法の高座@霞が関に呼ばれる予定./来年度の東京農大〈実験データー解析概論〉のシラバス記入完了.

◆[蒐書日誌]「伊勢田流世界」がつくばに出現 —— 伊勢田哲治『倫理学的に考える:倫理学の可能性をさぐる十の論考』(2012年12月20日刊行,勁草書房,東京,xii+313+xx pp., 本体価格3,200円,ISBN:978-4-326-15424-1 → 版元ページ).ご恵贈まことにありがとうございます.たとえ「17年」かかろうが “文債” は払わねばならないのか…….他人事ではない. “文債” に時効はない.勁草書房,おそるべし.

◆昼休み.外は穏やかに晴れている.気温は14.0度まで上がり,風もなく穏やかな日和で,師走のまっただ中にいることを忘れさせる.久しぶりの徘徊歩き読みで,祝部幹雄『別府八十八湯 名人への道:ぶらり湯の町・入湯日記』(2012年1月15日刊行,弦書房,福岡,ii+202 pp., 本体価格1,200円,ISBN:978-4-86329-070-9 → 版元ページ)を読了.フルカラーの温泉ガイド本として役に立つだけでなく,「温泉名人」へと成長していく父と娘のかけあいが実にほのぼのしている.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 隔年で開講される「保全生態学特論」(というエイリアスの「生物体系学」)集中講義が今年もまた弥生キャンパスにて夏学期に開講されます.日程など詳細の詰めはこれから./年内最後の東大駒場「生物統計学」講義ハンドアウトの用意./出張伺の再提出./一期一会の AbeBooks ぽちっ.

◆夕方近くになって不穏な灰色の雲が広がり,14度台まで上がった気温は北東風の吹き出しとともに下がってきた.洗濯物の乾きがイマイチでよろしくない.午後6時過ぎ,雨がぱらついてきた.水戸から新たなお座敷の依頼が届く.寒気の南下とともにきりきり冷えてきた今夜はドリアとビールの夕餉.

◆本日の総歩数=10042歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.2kg) / 30.9%(+0.1%)


17 december 2012(月)※冷たい雨が降り続く週明け

◆午前4時半過ぎ起床.気温は氷点下1.0度まで下がり,やや冷え込んできた.どんより曇り空の観音台は午前8時の気温が4.1度と冷え冷えしている.

◆[欹耳袋]JR九州の「車両デザイン系統樹」とはこういうものだったのか!/追加:JR九州の車両デザイン系統樹だ(正面から)→写真

◆雨降る午前の┣┣" 撃ち —— 曇り空から小雨が降り出してきた.午前11時の気温は5.9度.寒すぎるなあ.ご寄贈本が積み重なってうれしい悲鳴.年の瀬の背徳への招待が杉並から届く.しかし,翻訳┣┣" が.地獄への道は┣┣" で敷き詰められている.

◆[蒐書日誌]ゲッチョ先生がつくばに降臨 —— 盛口満『生き物の描き方:自然観察の方法』(2012年12月5日刊行,東京大学出版会,東京,160 pp., 本体価格2,200円, ISBN:978-4-13-063335-2 → 版元ページ)※ご恵贈ありがとうございます.写真ではなくあえて「描画」を.

◆[欹耳袋]つながる —— 昨夜は「選挙一色」のテレビもタイムラインから現実逃避して:Marius Jacobs『Herman Johanes Lam (1892-1977): The Life and Work of a Dutch Botanist』(1984年刊行,Rodopi, Amsterdam, viii+273+32 plates, ISBN:90-6203-545-0 [pbk])をめくった:

  • 「分類群(taxon)」の造語者はドイツの Adolf Meyer (1926) なのだが,伝記的情報がなかなかヒットしない.フシギに思って自分の日録を掘り返したら,一昨年の過去ログにちゃんと載っていた.初出:Adolf Meyer (1926) Logik der Morphologie im Rahmen einer Logik der gesamten Biologie. 彼は1938年以降「Adolf Meyer-Abich」と改名する.植物分類学者 Herman Lam は Meyer-Abich の「taxon」を一般の生物に敷衍したのは1936年のこと(p. 76).のちに,1950年の国際植物学会議でこの用語は公式認定され,雑誌名『タクソン』それにちなんで採用されたとのこと.

  • H. J. Lam (1936), Phylogenetic symbols, past and present (being an apology for genealogical trees). Acta Biotheoretica, 2: 153-194.この論文は『系統樹曼陀羅』でもソースとして重宝した.序言で「早田文蔵の高貴なる精神の追憶に捧げる」と記されているように,Herman Lam は早田文蔵の「動的分類学(dynamic taxonomy)」に心酔したと伝記著者は記している(p. 67).Lam は旧蘭印のバイテンゾルク植物園(現在のボゴール植物園)に勤務していたころ,臺灣帝國大學にいた早田文蔵の論文「動的分類体系に基づく植物の自然分類」(1921)を読み,深く感銘を受けたという:B. Hayata (1921), The natural classification of plants according to the dynamic system. 臺灣植物圖譜・臺灣植物誌料・第拾巻,臺灣總督府民政部殖産局編,pp. 97-234.

  • 早田文蔵の「動的分類学」は,彼自身が論文中に明記している通り,天台宗華厳経の宗教的啓示を受けて思いついたネットワーク的分類の方法論である.もう少しのちの時代ならば,多変量解析の一理論とみなされただろう.Herman Lam はそういう早田の宗教的背景は抜きにして,彼なりに「動的分類学」を咀嚼し,後年の分類観・系統観を形成していったと伝記著者は考えている.系統樹図像史の観点からは Herman Lam の論文(1936)はとても興味深いものがある.早田文蔵の「動的分類学」からの影響が大きかったとすると,もういちど見なおす必要があるかもしれない.

  • そういえば,旧蘭印時代のインドネシアには大量のオランダ語自然史文献が残されたが,現在ではオランダ語が読める科学者は日本にはほとんどいないはずなので,手付かずのまま放置されているのだろう.もう二十年ほど前のことになるが,いまのJICA国際研修センターで統計学の講義を年に数回行なっていたとき,そこにおられた阿部登さん(ヤシの研究者)から,蘭印時代のオランダ語で書かれた害虫学の文献を読んでもらえないかと依頼されたことがある.『ヤシの生活誌』(1989年2月刊行,古今書院[作物・食物文化選書・11],京都,ISBN:4772214844)の著者でもある阿部さんの話では,東南アジアの自然環境・生物相・農業などに関連するオランダ語文献は誰も読む(読める)人がいなくなっているとのこと.自然科学の「非英語文献」がどんどん疎遠な資料群となりつつあることを痛感した.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年度末までのすべての出張伺など不在連絡をすませ,成果登録やら今週末の検討会のしたくやらをしていたらもう日が陰ってきた.雨は上がってときどき夕日が差し込む観音台.しかし,いったん止んでいた冷たい雨は夕暮れとともに再び降り始めた.今日の最高気温は8.7度と,暖かかった昨日に比べて10度も低かった.午後6時の気温は6.7度.しんしんと冷える夜,夕餉の飲み物はどうしようかな.

◆本日の総歩数=3795歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.4kg) / 30.8%(+0.1%)


16 december 2012(日)※季節はずれの暖かい日曜日

◆のろのろと午前6時半起床.気温3.7度と今朝も冷え込みなし.昨日の雨雲は去って,今日は朝から晴れている.

◆[欹耳袋]今は昔,「分類学広域大学院構想」の顛末 —— 今から20年前,1991年に起草された「分類学広域大学院構想」の経緯とその結末については,『分類思考の世界』の第1章第2節「リンネから三〇〇年-分類学はいま」にすでに記したので,その箇所を引用する(pp. 30-31).

そのような長い歴史をもつ分類学ではあるが、残念なことに、現在の自然科学の中では必ずしも日が当たる研究分野とはいえない。一九九〇年代はじめのことだが、故・丸山工作さんの旗ふりでつくられた日本学術会議動物学研究連絡委員会の下部委員会(「広域大学院検討委員会」)に委員として加わるよう委嘱されたことがあった。この下部委員会は、当時の日本での「分類学者リスト」を作成し、どの生物群にどれほどの分類学者が現役として活動しているのかあるいは不足しているのかを明らかにするという目的をもっていた。

約十人の委員が分担して、動植物の主要分類群すべてにわたる日本の分類学者のマンパワーを調べ挙げ、東京の中野にある東京大学海洋研究所での数度にわたる会合で、調査結果を持ち寄って検討した。その結果わかったことは、当時すでにいくつかの分類群では、対象生物はさておき、それらを研究するはずの分類学者そのものが「絶滅危惧」に瀕しているという厳しい現実だった。

とくに、目立たない無脊椎動物の多くの門で分類学者が不足しているというのは予想通りだったが、鳥類や哺乳類のような“高等”な脊椎動物の分類学者もまた足りないという意外な結果も出た。また、中心的に活動している研究者がすでに定年間近で後進を育てることがもはやできないという問題も浮き彫りになった。子孫を残せない生物の系統が絶滅するように、研究者系譜が途絶えればその時点で科学者のコミュニティは危うくなる。日本の分類学界が当時置かれていた状況はまさにそれだった。

私たちの調査からもう十年以上の年月が経っているが、私が知るかぎり、その後,日本の分類学者コミュニティがどのように変動しつつあるのかについて体系的に追跡した調査はないようだ。一方,外国では分類学者間の相互ネットワークづくりが進んでいる事例もあるという.現在の生物多様性研究を支えているのはほかならない分類学者であり,その人的資源の変遷と分布の把握はきわめて重要だろう.

この「進化系統学広域大学院検討委員会」のもとで当時の委員たちが集めた資料(分類学関係の人材リストやカバーできる分類群領域など)はすべて保存している.動物学研連側の旗振りが丸山工作,そして植物学研連側の代表は岩槻邦男だった.当時の文部省との折衝はもつれにもつれたようで,最終的に東大理学部に生物多様性大講座ができるまでには紆余曲折があった.

—— かつての「分類学広域大学院構想」は分類学者の反対により潰れたのではなく,文部省と学術会議のはざまで曲がりくねった末に,東大に新設講座を開くことで決着したということだ.

◆この時期にしては暖かすぎる日和.最高気温は正午過ぎの18.1度だった.暖かいうちに投票所に行かないと.竹園公民館で投票.行列ができるほどではなかったが,いつもの投票よりも人は多かった.夕焼けグラデーション.今日も日が暮れる.

◆本日の総歩数=1405歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.5kg) / 30.7%(−0.1%)


15 december 2012(土)※雨降る週末は古楽の愉しみ

◆午前6時前起床.気温1.9度と冷え込みなし.西から雨雲が迫ってきたようだ.曇り空から小雨が降り始めた竹園あたり.午前7時の気温は2.4度.乾いてぴりぴり痛い氷点下の冷え込みはないものの,しっとり染みこむ寒さ.青空が広がってきてるけど,これからまた雨模様になるのかな?すでに気温は高め.日中は10度を越える暖かさになるだろう.でも,また曇り空へ.

◆[蒐書日誌]築地書館から新刊案内 —— 藤原覚一『図説 日本の結び【復刻版】』 (2012年10月刊行,築地書館,東京,本体価格35,000円,ISBN:978-4-8067-1445-3 → 版元ページ) がとても魅力的.しかし,値段を見たら本体価格「35,000円」.いくら『赤の書』よりも安いとはいえ…….

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:アマゾン書評 - Gori "the 11"「系統樹の世界への広がり」(2012年12月15日)「これを詳細に見る能力は、おそらく高機能自閉症の、記憶的サヴァンを持っている人などが最も得意とするところだろう」.サヴァン症候群は,大きな系統樹の詳細部分をスナップショット的に瞬時記憶できるということか(よくわからない).

◆[蒐書日誌]驀進する東海大学出版会 —— 近刊:Daniel Pauly[西田睦・武藤文人訳]『ダーウィンフィッシュ:ダーウィンの魚A~Z』(2012年12月近刊,東海大学出版会,東京,474 pp., 税込価格6,510円,ISBN:978-4-486-01883-4).メーリングリストではすでに近刊案内が流れているが,新刊本・近刊本のウェブサイト掲載が遅いのはいくつかの「大学出版会」に共通する悪しき慣習.今朝の朝日新聞朝刊での東海出版会広告は,右利きヘビ・ぼっちバッタ・アリの巣大冒険の三役揃い踏み.さらに,この『ダーウィンフィッシュ』までずらりと並んでいた.東海大学出版会と名古屋大学出版会は大学出版会の中では突出していて,まるで東西横綱みたいなもの.

◆冷たい雨が降り続く昼下り.午後2時の気温は6.8度と予想よりも大幅に下回る寒さが続く.生活クラブの豚バラ肉ブロックが届いたので,週末の厨房業務開始.本日のメニューは久しぶりに「塩漬け豚バラ肉の蒸し焼き」:

  1. 豚バラ肉ブロック700グラムをふたつに切り分ける.
  2. 中華鍋にたっぷりお湯を沸騰させ,ねぎ・玉ねぎ・しょうがを丸ごと投入.香辛料は八角・丁子・月桂樹をホールで投入.
  3. 切り分けた肉塊を投げ込んで20分茹でる.金串を刺して真っ赤な肉汁が出なければOK.
  4. 茹で上がった肉の表面にゲランド塩をたっぷりすりこみ,和山椒粒と丁子粒を脂身のすき間に差込む.料理用ビニール袋に密閉して冷蔵庫で数時間寝かせる.
  5. 厚手のフライパンを強火で熱し,冷蔵安置しておいた豚バラ肉の表面に焦げ目をしっかりつける.
  6. 水300ccを加えて煮立て,ふたをして弱火で15分間蒸す.
  7. ふたを取って中火で水気が飛ぶまで火を通す.水気がなくなったら,厚めにスライスして食卓へ.
  8. タレは黒酢+醤油+からし,薬味は香菜あるいは青ネギ.各自調味して召し上がれ.
  9. [補遺]もともとバラ肉の「脂」を味わうための料理だが,健康に気をつける一般人のみなさんは「それはちょっと……」と腰が引けるかもしれない.豚バラ肉の脂が気になる向きは,再度フライパンで塩胡椒しながら揚げ焼き風にすると,適度に脂が落ちて美味になる.ご飯のおかずにびったり.
  10. [改善点]肉塊は“立方体”ではなく“タテ長”に切り分けた方が調理しやすく,また味の調整がラクだった.

◆午後4時半過ぎ,八角の匂いが染み付いているが,これからノバホールに出撃しないといけない.夕闇迫る午後4時の気温は7.1度.今日の最高気温は正午過ぎの7.8度でけっきょく昨日よりも寒かった.雨まだ降ってるかな.今夜はノバホールにて,〈つくば古典音楽合唱団〉の定期演奏会.外に出たらもう雨は上がっていて,センター広場のクリスマス・イルミネーションが寒気を呼び込んでいた.

◆帰宅後は豚バラ肉を完成させて夕ごはんへ突入.久留米・山口酒造場の〈庭のうぐいす〉特別純米「ふゆにごり」を開栓.いかにもクリスマスなラベルがすばらしい.活性にごり酒ではないけれど,微炭酸がとてもいい感じで.一升瓶で買ってきたが,だいぶ空いてしまった.背徳な週末の風景.

◆本日の総歩数=1820歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.1kg) / 30.8%(+0.2%)


14 december 2012(金)※寒風と霜と氷の加圧金曜日

◆午前4時半起床.氷点下4.3度.冬晴れ観音台はからからに乾ききっている.今朝の最低気温は氷点下5.2度.真冬並みとまではいかないが,寒いことにはちがいがない.農環研構内の植え込みを覗きこむとみごとな霜柱が立っていた.

◆[欹耳袋]チチンぷいぷい,寿限無に勝った —— 人類史上「最長単語」は実に「189,819字」の名前を持つ化学物質〈チチン(titin)〉.名前を読み上げるだけで3.5時間かかる! ただひたすら「お経」のように名前を読み上げるその動画が公開されている:

—— 読み上げる前のそこはかとない緊張感,そして果てしなく続く「お経」.寿限無の比じゃない!   

◆午前の┣┣" 撃ち —— 霞が関から統計研修のプランがあるので講師よろしくとの電話あり.召喚決定?(ネクタイしめる?)/『系統樹曼陀羅』が20冊まとめてドサッと届いた.段ボール箱をグッと持ち上げようとしたら,腰がグッとなって…… orz.

◆よく晴れた正午の気温8.4度.静かな昼休みは引きこもり.参照の必要があって Willi Hennig 1950, Grundzüge einer Theorie der phylogenetischen Systematik をひもといている.ドイツが第二次世界大戦に敗けた直後の紙事情が極端に悪かった時期に出版された本書は,入手したときは紙も装釘もぼろぼろだった.幸い二年前に機会を得て「脱酸処理」してもらったので何とか延命している.オンライン古書店では稀覯本扱いで,長らく「US\($\)3,300超」というとんでもない価格がついていたが,いま見たらなんと「US\($\)950」という破格の安値でゲットできるようだ.円が強いいまの時期しかもう買えないかもしれない.関心のある向きはどーぞ.国内の公的機関にはほとんど所蔵されていないことは確認済み.一方,ほぼ同時期に出版された Willi Hennig (1948-52), Die Larvenformen der Dipteren: Eine Übersicht über die bisher bekannten Jugendstadien der zweiflügeligen Insekten の三巻本は酸性化がもっとヤバい状態(この写真).これも古書で入手したときは€400くらい払ったと記憶している.今では紙の端っこからぼろぼろ崩れ始めている.私物の本の保管はとにかくやっかい.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 来年2月10日(日)に国立民族学博物館(吹田)で開催される国際シンポジウム〈樹について考える〉の英文要旨と和文要旨を作成完了.吹田宛にメール送信した.ワタクシの講演タイトルは「生物・写本・言語におけるツリーとネットワーク:系統推定論における構造モデル選択について」.講演は日本語で行ない,同時通訳がつく.スライドと論文:Tree and network in systematics, stemmatics, and linguistics: Structural model selection in phylogeny reconstruction は英語.年末から年始にかけて細かく「締切フラッグ」が林立していて,さあたいへん.この国際シンポジウムは事前登録制なので,関心のある方はお申込みください.

◆忘れないうちに昨日の質問への回答をば.

  • #TodaiStat 【質問】「一般化線形モデル(GLM)が普及するのが遅れた理由はどこにあったのでしょうか? 現実のデータを見れば正規分布だけではやっていけないことはすぐわかりそうなのに」/【回答】振り返ってみると1970年代はじめにはすでに「GLM」という言葉が登場します. posted at 16:11:11
  • #TodaiStat 【回答】(承前)GLM の統計ユーザーへの浸透が遅かった理由は,伝統的な正規分布ベースの線形統計学の威光が強かったことと,GLM でのモデル計算を十分にこなせるだけのコンピューター能力がまだ足りていなかったからではないでしょうか. posted at 16:14:22
  • #TodaiStat 【質問】「生物研究では混合効果モデルが有効なのですか?」/【回答】混合効果モデルの多くの実例については,久保師のバイブル『データ解析のための統計モデリング入門:一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』 http://ow.ly/g5MW8 に直行! posted at 16:17:46
  • #TodaiStat 【回答】(承前)また,GLM のロジックについては粕谷師のクルアーン『一般化線形モデル』 http://ow.ly/g5N89 を手に,じっくり修行してください. posted at 16:20:24
  • #TodaiStat 【質問】「Rを使いこなす前に,GLM をマスターするのにどれほど時間がかかるかと思ってぞっとしました」/【回答】右手にRを,左手にGLMを.同時に勉強すればいいんです. posted at 16:23:01
  • #TodaiStat 【質問】「分散共分散行列がよくわかりません」「行列とかノルムとか覚えてないです」(同様の悲鳴多数)/【回答】学部二年生のみなさんは駒場で「線形代数・虎の穴」の洗礼を受けているはずです.その記憶が薄れないうちに,ベクトル・行列に関する復習を. posted at 16:26:51
  • #TodaiStat 【回答】(承前)数理統計学に必要な線形代数の知識は,たかだか行列・行列式,固有値・固有ベクトル,二次形式,行列関数の微積分くらいまでです.きっと何とかなるでしょう. posted at 16:28:45
  • 個体群生態学の成長モデルに出てくる関数ですよ.ロジット関数はその逆関数 RT @monera_world: ロジスティック変換ってなんですか? #Todaistat posted at 16:31:32
  • あ!(すまぬ) RT @monera_world: この具体例ってプリント配布されてませんよね? #Todaistat posted at 16:32:03
  • ランダム効果をうまくモデルに組み込むと効果的. RT @monera_world: mixed-effect modelは直感的にとても納得が行く #Todaistat posted at 16:32:48
  • 青息吐息ではすまないのか…… RT @monera_world: 固有値、固有ベクトル…(吐血 #Todaistat posted at 16:33:14
  • 分散共分散行列は実対称行列なので,もちろんエルミート行列ね. RT @monera_world: ひょっとして、Σってエルミート行列? #Todaistat posted at 16:33:51
  • @monera_world それそれ.講義で挙げた性比データは[0,1]区間を変域とするのでロジスティック曲線をフィットさせるわけ,ロジット変換すると線形予測できるので,即GLMへゴー. #TodaiStat posted at 16:40:13

◆午後5時過ぎ,すとんと日没,即撤収.今日の最高気温は午後2時すぎの9.5度.昼間ではからっと冬晴れだったが,だんだん雲が広がってきた.予報通り,明日は雨になるのだろうか.

◆本日の総歩数=3225歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.4kg) / 30.6%(−0.2%)


13 december 2012(木)※年の瀬に都内出撃休みなし

◆午前4時半起床.気温は氷点下4.2度まで下がっている.日の出直前.氷点下5.0度.冷気が刺さって痛い.午前7時半,つくば駅.からからに乾いた冬晴れ.今朝の最低気温は氷点下5.3度まで下がった.定例都内出撃日.朝日がまぶしい.新宿駅.都内もさむさむ.

◆午前の高座 —— 午前10時,玉川大学.すっきり冬晴れ.教学事務棟の真向かいに〈KEYAKI〉という新しいカフェ&コンビニが今日からオープンするらしい.今朝から「Tumblrが死んでる」ツイートが山ほど流れている.ワタクシのだけが成仏したわけではなかったのか(ちょっと安心).今日はベイズのお話.

◆[蒐書日誌]CCD 19 —— Frederick Burkhardt (ed.)『The Correspondence of Charles Darwin, Volume 19: 1871』(2012年4月刊行,Cambridge University Press[Series: The Correspondence of Charles Darwin], Cambridge,xliv+1062 pp.,ISBN:978-1-107-01648-4 [hbk] → 版元ページDCPページ).チャールズ・ダーウィン書簡集の最新刊.一年一冊の刊行ペース.

◆玉川学園前駅へ向かう下り坂.正午の気温は10.8度だが,今日は風もなく日差しが暖かい.オープンしたばかりのカフェ〈KEYAKI〉はランチタイム.学生で賑わっていた.経堂にて途中下車.久しぶりに〈はるばるてい〉へ.ほぼ満席。しかも白昼ビールないし日本酒率とても高し.背徳の昼下り.マジメなワタクシは香麺(大盛り)をいただいただけで清廉潔白.その後,某所に潜伏.ベリーのフィナンシェとねじまき雲さんのコーヒー.午後になってやっと Tumblr が生き返ったようだ.よしよし.コーヒーを左手に,くぼ師本を右手に,Rを正面に見据えつつ,コマバ高座のドロナワしたく.コーヒーがなくなってしまったのを潮時に駒場へ出撃.

◆夕方の高座 —— 午後4時過ぎ駒場.もう夕暮れが降臨し始めた.今日は一般化線形モデル(GLM)のお話をしてから,多変量確率分布へなだれ込んだ.年内の高座も残すところ来週一日のみ.今年はことのほか長く感じる.

◆午後8時前,つくば帰還.気温はすでに1度台.寒々としたつくばセンター広場に寒々としたイルミネーションが輝いていた.〈風の森〉の「秋津穂・純米大吟醸」が空っぽに.

◆本日の総歩数=11274歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(0.0kg) / 30.8%(+0.1%)


12 december 2012(水)※エアポケットのような平日

◆午前4時半過ぎ起床.気温氷点下4.0度.きびしい冷え込みが連日続く.お米を研いでから鯵のひらきを焼く用意.午前6時.氷点下4.7度.朝焼けグラデーション.今日もまた霜と氷が点在する寒気の底の観音台.今朝の最低気温は氷点下5.0度だった.びしびし静電気が飛びまくり,乾燥した冬晴れの青空が広がる.

◆[蒐書日誌]Genpei Akasegawa [Matthew Fargo 訳] 『Hyperart: Thomasson』(2010年刊行, Kaya Press, New York, ISBN:9781885030467 [pbk] → 版元ページ).あの赤瀬川原平『超芸術トマソン』が英訳されていたとはぜんぜん知らなかった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 箱崎での集中講義は2014年2月3日(月)〜5日(水)の三日間になりました.ずいぶん先の話ですが./午前10時半から所内領域会議が小一時間.午前11時の気温は8.1度.今日も寒いが,風は弱い.

◆先週の残務処理 ——

  • #TodaiStat ばたばたしているうちに先週の質問票へのお答えを失念してしまった……. posted at 18:32:53
  • #TodaiStat 【質問】「AICの考え方をもっとつきつめたいです.赤池先生の本で初心者向けのものはありますか?」/【回答】坂元慶行・石黒真木夫・北川源四郎『情報量統計学』(1983,共立出版[情報科学講座A・5・4])がオススメです.駒場図書館にあるはず. posted at 18:36:41
  • #TodaiStat 【回答】(承前)あるいは:エリオット・ソーバー『科学と証拠:統計の哲学 入門』(2012年,名古屋大学出版会) http://ow.ly/g1WjA には,科学哲学からみた「AIC」の解説が載っていて,これまた参考になります. posted at 18:38:49
  • #TodaiStat 【回答】(承前)ある程度 “免疫力” が付いたら,赤池弘次の原著論文に登攀!:Akaike, H. 1973. Information theory and an extension of the maximum likelihood principle. posted at 18:41:55
  • #TodaiStat 【回答】(承前)Akaike (1973) http://ow.ly/g1WOE [pdf: open access] posted at 18:45:51
  • #TodaiStat 【質問】「モデル間で尤度やAICにどれほど差があればちがいがあるといえるのでしょうか?」/【回答】尤度の場合は尤度比検定,AIC差については阪大に移られた下平英寿さんが検定法を開発しました. posted at 19:02:07
  • #TodaiStat 【質問】「AIC以外にどのようなモデル選択基準がありますか?」/【回答】AIC から派生した多数のモデル選択基準があります.参考書としては岩波書店から出ている『モデル選択:予測・検定・推定の交差点』 http://ow.ly/g1Yu7 があります. posted at 19:06:03
  • #TodaiStat 【質問】「尤度を計算するとき個々のデータの確率はどのように算出するのですか?」/【回答】モデルごとに確率分布を決めるパラメーターが与えられているので,個々のデータごとの確率密度はすぐ計算できます.尤度はそれらすべての積ということ. posted at 19:09:15
  • #TodaiStat 【質問】「期待尤度の考え方がよくわからないです.」/【回答】AIC の導出とも関わるのですが,データから計算された尤度に関して確率変数に関する期待値(平均対数尤度)を出し,さらにもう一度期待値を求めて(期待平均対数尤度)を算出します. posted at 19:14:54
  • #TodaiStat 【回答】(承前)あとは,Taylor 展開と大数の法則を駆使した漸近理論によりAICを導出するというのが,Akaike (1973) のポイントです. posted at 19:16:11
  • #TodaiStat 【回答】(承前)AIC は本来なら数値的に求められないはずのモデルの「予測確度」を求めたという点で驚異的です. posted at 19:18:02
  • #TodaiStat 【回答】(承前)「涙なしのAIC導出」を体験されたいなら,Forster, M. and E. Sober (1994) の論文(The British Journal for the Philosophy of Science, 45: 1-36)を. posted at 19:20:46
  • #TodaiStat 【回答】(承前)タイトルは「How to tell when simpler, more unified, or less ad hoc theories will provide more accurate predictions」. posted at 19:21:28
  • #TodaiStat 【回答】(承前)Forster & Sober 1994. http://ow.ly/g1ZVX [pdf: open access] posted at 19:24:37
  • #TodaiStat 【質問】「AICの“A”とか自分の名前を付けたがるのは日本人だけなのか?」/【回答】赤池さんは自分では「AIC」は「An Information Criterion」の略だと言っていたそうですね. posted at 19:26:43
  • #TodaiStat 駒場のみなさんは科学哲学を忌避しないのでとてもうれしいです. posted at 19:27:44
  • #TodaiStat 【回答】(承前)確かに,赤池さんは「An Information Criterion」と自分で言っていたとの証言を内井惣七さんからいただきました. posted at 20:01:42
  • あらま! RT @sanopigeon: 一番最後の話、今学期の序盤でしたぞ #todaistat posted at 20:29:29
  • つ 〈Try R〉 http://tryr.codeschool.com/ RT @kayautoka: R使いながらやった方がわかる気がする… #Todaistat posted at 20:30:46
  • ムリ(教員が死む) RT @monera_world: 東大も一週間ぐらい入試を繰り返せばいいのに #無理 #Todaistat posted at 20:31:37
  • 統計モデルは「アート」の世界やな. RT @monera_world: モデル選ぶ主観と、それがどれほど正しそうか見抜くのがそもそもの問題 #Todaistat posted at 20:32:25
  • 困ったなぁ〜 RT @monera_world: 気づいたら人が減ってる #Todaistat posted at 20:32:44
  • コース修了バッジをゲット! RT @yumidera: RT @leeswijzer: つ 〈Try R〉 http://tryr.codeschool.com/ RT @kayautoka: R使いながらやった方がわかる気がする… #Todaistat posted at 20:33:38
  • #TodaiStat RT @1738310: @leeswijzer おススメありがとうございます。あえて『情報量統計学』だったのだとは思いますが,『赤池情報量規準AIC ―モデリング・予測・知識発見―』もよろしくお願いしまーす!http://bit.ly/12l0Tn3 posted at 05:06:49
  • #TodaiStat RT @sasukesmom: 英米の数学者に対してはAkaike's Info~の意味もありました。日本人のアイデアが盗まれることが割と簡単にあったので。 @ucciuccini: ただ、その頃から「赤池情報量基準」という呼び名もすでに流通していた… posted at 05:24:20

◆午後の┣┣" 撃ち —— 分類学会連合シンポジウムの講演要旨を書きあげた:三中信宏「世紀をまたいだ「種」論争は何をもたらすのだろうか:第三の道に向けて」.あわせて,シンポジウムの趣旨文もアップ./農環研サイエンスカフェの Ustream 動画は“非公開”にするらしい.なんだかなあ…….

◆[蒐書日誌]近刊:ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ『Les Roses バラ図譜【普及版】』(2012年12月近刊,河出書房新社,東京,ISBN:978-4-309-25548-4 → 版元ページ)※14,000円の元本の廉価版が2,800円か.逆バージョンだとこういう価格設定になるわけね.

◆夕方,すとんと日が暮れ,寒くて長い夜の到来.今宵の食卓には〈百香亭〉の中華のおかず.野球のボールみたいな酢豚とか.

◆本日の総歩数=2582歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(+0.2kg) / 30.7%(0.0%)


11 december 2012(火)※今日も凍える寒さの冬晴れ

◆午前4時半起床.気温は氷点下2.8度.さむ〜.朝焼けグラデーション.午前5時前に本日の最低気温氷点下3.1度に.かろうじて氷点を上回った観音台は冬晴れの青空から朝日が降り注いでいる.しかし,稲荷川側道に張った氷は分厚くて,タイヤが乗るとばりばりと盛大に音を立てていた.国道408号のフウノキ街路樹は葉が全部落ちてまるはだか.

◆[欹耳袋]新春のワルダクミ(続) —— 第12回日本分類学会連合公開シンポジウム〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉の最新情報は leeswijzers stamboom へ! とりあえず,演者と趣旨文のみ公開.追って,演題と要旨もアップする予定.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 箱崎から大┣┣" 漂着.お座敷がかかるうちが花なのよ.今回は,伊都ではなく,箱崎でというプロポーザル.二つ返事でOK.再来年の年明けに,九大・箱崎キャンパスの農学部昆虫学教室にて生物体系学(生物統計学と形態測定学を含む)の集中講義開催が決定した./勢いで,年末に開催される所内成績検討会のための資料を提出完了./毎年,師走になると,諸方面に「遅れてごめんなさい」メールを出す頻度が有意に高いような…….今日もすでに三通出した.できるかできないかは即断可能なので,ダメそうなら「いまはムリ」と即答する方がみんなのシアワセにつながるはず.不毛な引き延ばし戦術をつい選んでしまうのは,やはり後ろめたさが……(もごもご).

◆[欹耳袋]研究者にとってのサイエンスカフェ(続々) —— 農環研広報とのやり取りはさらに続く:

  1. 社会的存在としての科学者は一般人と等身大の存在である必要があります.サイエンスカフェに来る客は「科学」を見に来ているわけではなく,それを生業としている「科学者」を肌で感じに来ていると私は考えます.日々の修行を踏まえて初めて十分な出来の高座を演じることができます.
  2. 研究者の「噺」を聴いておもしろいと思ってくれた客は,“おひねり”を投げることを厭わないでしょう.満足していただける高座を務めることがエンターテイナーとしての科学者のなすべきなのです.噺家は客にものを教わってはいけないのです.それはエンターテイナーとしての矜持です.
  3. ワタクシはサイエンスカフェに臨むときには,難解なテーマをわかりやすく話すように心がけていますが,本来難解であることをさも簡単であるかのようにごまかして話さないことも同時に気をつけています.
  4. ワタクシは,科学を生業とする研究者として,自分の仕事を「物語」として万人にダイレクトに伝える「わざ」を磨いておきたいと思っています.一方で,多くの研究者にとってそういうスキルアップは“公的”には求められていません.
  5. 現在では原著論文を書く以外のインセンティヴをいっさい与えられていない独法研究者にとって,サイエンスカフェでの技能を磨く機会もその意欲もないのが実情だろうと推測します.農環研でサイエンスカフェの応募をしたときワタクシ以外の誰ひとりとして手を挙げなかったのがその証拠です.
  6. できることなら,多くの研究者がサイエンスカフェという契機を得て,それぞれの隠れた「異能」を磨きあげてほしいというのがワタクシの希望です.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 昼休みのBGMはバッハの〈クリスマス・オラトリオ〉で心を清める./某翻訳┣┣" は「〆切クリスマス」という事態に./午後になって11度台まで気温上昇.昨日よりも高いが,北西風が吹いて,やはり外には出たくない.午後イチの系統樹コンサルティング業務ののち,コマバでの配布資料づくり完了.

誤報が箱崎界隈を飛びまくっているらしい.【通知】2013年度冬学期,ワタクシが九大箱崎キャンパスに出講する先は「農学部」であって,「理学部」ではありませんのでお間違いないように.ワタクシが「箱崎」と地名しか挙げなかったせいで誤解を招いてしまった.昆虫学教室のKMTNセンセもあわてまくりで申し訳ありませぬ.教訓:アイマイな情報ほど広まりやすい.

◆[欹耳袋]男女共同参画学協会連絡会「第3回科学技術系専門職の男女共同参画実態調査」※アンケート最終締切【12月14日】.

◆本日の総歩数=3209歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.8kg(−0.4kg) / 30.7%(0.0%)


10 december 2012(月)※無慈悲なる┣┣" 撃ち週間

◆午前5時起床.真っ暗闇のなかきりきり冷え込んで,いま氷点下4.0度.もっと下がるだろう.さて,鶏肉の下味付けを.ササミを醤油味でさくっと焼くだけのシンプルな厨房仕事.政見垂れ流し放送よりもササミの焼き加減が大事.朝焼けグラデーションと明けの明星,そして氷点下4.3度の夜明けへ.

◆露地には霜が降り,水たまりには厚い氷が張る.今朝の最低気温は午前7時前の氷点下4.7度だった.冬晴れの観音台.週明けのせいで冷え冷えとした居室にはまだ全館暖房が入らない.居室の窓際にいると,窓ガラスの隙間から寒風がすーすーしてどうしようもない.居室のすきま風に対抗するため床暖オン! 今日の筑波山はいつになくフォルムがくっきり明瞭に望める.午前10時の気温は5.2度.北西風.

◆[欹耳袋]<新>ハネカクシ談話会BBS「幻の種問題の本の目次(12)」(2012年5月28日).

◆日中の┣┣" 撃ち —— さて,┣┣" 撃ちのとどめだ./行動生物学辞典のゲラ返送だん.図なしでごめん./みすず書房から今年も『月刊みすず』の「読書アンケート」寄稿依頼が届いた.この依頼状が来るたびに一年の終わりがもうそこまで近づいていることを感じる.今年はどの五冊を選ぼうか./首都大の成績評価をやっと返信.遅くなってすみませんでした.

◆正午の気温7.7度,北風5メートルというのは,晴れていても外に出てはいけない警報と同格.という理由で,Keith Jarrett 〈Rio〉を流し続ける昼休み.午後1時過ぎには8.6度まで上がった気温はすぐに下がり始め,午後2時には7.8度に.窓の外では北風がひゅーひゅー吹いている.

◆夕暮れの┣┣" 撃ち —— 夕闇と寒気に包まれる竹園界隈.しかし,朗報が西からやってきて,これでようやく懸案の不可触┣┣" 一頭を仕留めることができそうだ.よかったよかった.ということで,小さい「矢」を放ちましたので,飛んできましたら,ご無理のない範囲でよろしくお願いいたします.ありがたやありがたや,不可触┣┣" は討ち果たせた.ありがたやありがたや.

◆[欹耳袋]日本分類学会連合の第12回公開シンポジウム〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉.2013年1月13日(日)9:30〜12:00@国立科学博物館上野本館・2階講堂.オーガナイザー=三中信宏.分類連合シンポジウム〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉演者:三中信宏(農環研)/網谷祐一(京大・文)/太田英利(兵庫県立大)/コメンテーター:神保宇嗣(科博).近日中に演題確定.ご関心のあるみなさんは来年のカレンダーにメモお忘れなく! 久しぶりにワルダクミができそうでわくわくしてきた.学会集会のいいところは,ワルいことを「やってしまう」わくわく感に尽きる.その高揚感が続くかぎり学会は安泰だ.

◆午後9時の気温は2.7度と順調に低下している.この分だと明朝は今朝と同じく氷点下のきびしい冷え込みになるだろう.

◆[欹耳袋]研究者にとってのサイエンスカフェ(続) —— 一昨日の農環研サイエンスカフェUstream)のアンケート集計が本日届けられた.オーディエンスにはおおむね満足してもらえたようで何よりだった.記憶が歪まないうちに,事務局担当の農環研広報に下記の点を感想として報告した.

  1. 定員30名というのはサイエンスカフェの上限数だと思いますので, これ以上は規模を大きくしない方がいいですね.また今回の会場だと遠くに着席された参加者の顔が見えにくかったです.距離感がもう少し近くなるとベターです.
  2. 全体の質疑ではあまり手が上がりませんでしたが,休憩時間あるいは終了後に個人的に質問やコメントが多くありました ので,今後は休憩時間を長めにとって,終了後も撤収までの時間に余裕をもたせると参加者とのコミュニケーションがより円滑に図れるで しょう.
  3. サイエンスカフェはもっと「制御された空間」である方がいいのかもしれません.私が過去に登壇したサイエンスカフェでは,各テーブルごとに事務局側のファシリテーターが参加者からの質問を吸い上げ,質疑をリードするという形式を取っていたケースもあります.
  4. 農環研サイエンスカフェは独法研究所の公的活動という位置づけでしょうが,私個人にとってはそういう「公的な面」はできるだけ出さないようにしました.研究者が「一個人」として「噺役」を演じるという舞台設定です.
  5. サイエンスカフェは演者を引き受ける研究者にとって研究上得るものはまったくありません.私の場合は一般の聴衆を前に,自分のパフォーマンス(演技)を磨くための場として,きわめて利己的に今回の機会を利用させていただきました.
  6. 今後の農環研サイエンスカフェの演者には,エンターテイナーにしてコメディアンその実体は研究者という人材をフィーチャーしていただきたいと思います.そういう舞台で立ち回れる役者を発掘し育てるのも農環研の役割だと私は考えています.

サイエンスカフェは正しい意味で「高座」だとワタクシは考えるので,初めてのお客さまにも楽しんでいただける「芸」を披露するのが研究者=エンターテイナーの役割だと信じている.もとより,そういう「芸」を身につけることを す べ て の 研究者に要求するのはまちがっている.ある意味で「異能者」はもって生まれた性質だから.しかし,そういう人材を発掘する(あるいは育てる)のもまた研究機関のフトコロの深さの証ではないか.異能の研究者はサイエンスカフェの高座に上がって,噺をしよう.自分は異能ではないと勝手に思っている研究者諸氏,機会があれば積極的に受けて立てば,ひょっとして隠れた異能が開花するかもしれないですぞ.

—— ワタクシは,サイエンスカフェの歴史とか経緯をいちおう知った上で,「そんなんどーでもええやん」と開き直っているので,これが農環研(or 農水独法)の平均的意見であるとは思わないけど.

◆北風が吹き付ける寒い夜,暖かい部屋でよく冷えたスコットランド・エールを飲むシアワセ.

◆本日の総歩数=2628歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.3kg) / 30.7%(+0.1%)


9 december 2012(日)※燃え尽きた灰の中から復活

◆午前6時起床.氷点下4.4度のきびしい冷え込み.朝焼けグラデーション.最低気温は氷点下4.6度まで下がった.窓を開けるのもためらう寒さ.

◆[欹耳袋]統計三題 —— オンラインR学校:〈Try R〉 - Try the R programming language (good for statistics and data modeling) through coding in your browser.さっそく挑戦し,Code School のステージ1修了バッジがもらえた! /〈裏 RjpWiki〉.オモテがあればウラもある./micro*macro「確率変数としてのp-valueの感覚をRで身につける」(2012年12月7日).あとでスクリプトを実行してみよう.

◆正午の気温は9.3度.冷たい空気の冬晴れ観音台へ.昼過ぎというのに稲荷川側道の水たまりには氷がまだ張っていた.昨日の農環研サイエンスカフェの後片付け.お昼前に,天久保〈Brotzeit〉にてクロックムッシュをゲット.いつもは朝のうちに売り切れてしまうことが多いのだが,この日は幸い売れ残っていた.全粒粉の「トースト」にハムをはさんでたっぷりのチーズを乗せたクロックムッシュは,トースターで焦げ目がつくまで焼いて,チーズがふつふつしてきたところを「がぶり」と食べるのがシアワセへの道.

◆[欹耳袋]研究者にとってのサイエンスカフェ —— 研究者であるワタクシは,他人のためではなく,ほかならない自分のためにサイエンスカフェの「噺役」を引き受け続けてきた.ワタクシ的には,サイエンスカフェは「目的」ではなく「手段」にすぎない.何のための手段かといえばそれは「自己表現」.サイエンスカフェという場を借りて自らを表現するパフォーマンス・演技・技芸を磨くことに尽きる.この件については,一昨年の「Togetter -「「メタ・サイエンスカフェ!」2010/10/24 ラヂオつくば「つくばタイムスドッピオ」公開収録 @FPGACAFE のあとさき。収録の次の日に盛り上がるTL…」」および,それを受けての日録(2010年10月24日)に記した通り,科学者・研究者の側がサイエンスカフェを引き受けるのは利己的動機づけ以外にはまったくないと述べた.そのことを昨日の農環研サイエンスカフェで再確認した.

—— 研究者にとってのサイエンスカフェは自己表現の研鑽の場.カフェ参加者が噺役のパフォーマンスを楽しんでいただけたのであれば,それは望外の喜びということだ.それ以外には何もない.

◆[蒐書日誌]着弾 —— 市原清志・佐藤正一『カラーイメージで学ぶ統計学の基礎・第2版[CD-ROM付]』(2011年3月15日刊行,日本教育研究センター,大阪,x+245 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-89026-155-0 → 版元ページ).初版ではエクセルを用いていたが,この改訂版では著者らが開発に関わった統計ソフトウェア〈StatFlex〉の Windows 版を使用する.〈R〉にすればよかったのに.

◆[欹耳袋]観月橋日記 (続生駒日記)「「女子学生のほうが優秀なんだけどね」は「自分は女子学生を研究者として育てることができません」という意味」(2012年12月7日)

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音:気まぐれ生物学「新刊紹介2012年12月」(2012年12月03日).

◆今日も夕日が沈んでいく.懸案┣┣" の征伐進捗がはかばかしくないなあ.いずれにしても明日ケリをつけよう.

◆本日の総歩数=1319歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.5kg) / 30.6%(−0.3%)


8 december 2012(土)※遠路ようこそお越し下さり

◆午前5時半起床.気温は氷点下1.4度.今日は“公的”に大事な高座が午後ある.午前中は自宅でごそごそしたのち,お昼前に観音台へ.農環研構内に巨大なクレーンが設置されていて,何やら資材を屋上に運びあげている.ヒミツ基地でもつくろうというのか.きりっと冬晴れ.居室にて会場配布用の販促ビラを用意したり,持参本の追加セレクションをしたり.きのう夕方の地震による居室の「被害」はまったくないようだ.というか,すでに崩落している本の山がさらに崩落したかどうかは検知できないというだけのこと…….準備を整えて正午過ぎに研究学園イーアスつくばに出撃.

◆本番当日 —— 第5回農環研サイエンスカフェ・三中信宏「生き物の世界を分類するまなざし」2012年12月8日(土)14:00〜15:30@イーアスつくば.雲ひとつない冬晴れのイーアスつくばでは,毎冬恒例〈100本のクリスマスツリー〉のデコレーションが始まっていた.今回のサイエンスカフェ会場はイーアスつくば入り口にある〈ウィズガーデン〉.農環研広報情報室が事務局となって忙しそうに会場セッティングしているのを横目に,奥の方でクーロンヌのパン mgmg(こっそり).オモテでは会場セッティング,ウラでは Ustream セッティング.すべてを横目にもうひとつパンを mgmg(オフレコ).午後1時すぎ,MacBook Air の接続と映写テストを始める.問題なし.

◆ワタクシは「噺役」なので,フロントでツイートしているヒマはないはずだが,それでもしてしまう:

  • #niaes_cafe ←ハッシュタグ:第5回農環研サイエンスカフェ・三中信宏「生き物の世界を分類するまなざし」2012年12月8日(土)14:00〜15:30@イーアスつくば http://ow.ly/fTJqD posted at 12:50:36
  • #niaes_cafe ウォールの向こう側で会場設営はまだ続いている.すまんすまん,パン喰ってるワタクシ.そろそろセッティングの進行状況を見てくるかな. posted at 12:59:07
  • #niaes_cafe そろりそろりとお客様登場なう. posted at 13:23:51
  • #niaes_cafe さて,会場設営はおしまい.あとはお客さんを待つばかり. posted at 13:37:36
  • #niaes_cafe RT @_lopnor: 農環研 サイエンスカフェ ( http://ustre.am/hlsO で配信中) posted at 13:40:01
  • #niaes_cafe みなさま,〈ウィズガーデン〉に続々と集結ちう.いま10名ほど. posted at 13:48:18
  • #niaes_cafe 農環研サイエンスカフェ開始まであと10分弱. posted at 13:53:03
  • #niaes_cafe いつまでもオモテでツイートしていられないんだが……. posted at 13:54:10
  • #niaes_cafe Ustream ちゃんと配信されてます〜 posted at 13:54:53
  • #niaes_cafe そろそろ高座に上がりますか.では離脱なう. posted at 13:55:55
  • #niaes_cafe 農環研サイエンスカフェ,だん〜. posted at 15:30:53
  • #niaes_cafe みなさん,おつかれさまでしたー. posted at 15:32:15

◆これ↑ではさすがに何もわからないので,詳細は Ustream 録画をごらんください(30分あたりから本番スタート).午後3時半にサイエンスカフェ終了.遠路はるばる参加されたみなさんには深く御礼申し上げます.会場には,農環研インベントリー館から借りだした昆虫標本やワタクシが持参したアヤシイ本たちを展示して,休憩時間に参加者に見ていただきました.もちろん,しっかり販促のお役目も果たしましたよ(>NTT出版&勁草書房).農環研サイエンスカフェとしては過去最多の集客数ということで大団円.さすがに“お席亭”が農環研だとサポートがしっかりしていて安心できる.

◆午後4時前にイーアスを撤収し,帰宅.夕暮れのつくばセンターは冷たい北風が吹きつけて,午後6時の気温7.5度よりも体感的にはるかに低い.夕餉のしたくをしているところ.夜は〈庭のうぐいす〉スパークリングを空っぽにしたので,当然の天誅.しかも,すき焼きを食べまくり.

—— 真っ白に燃え尽きて灰になる背徳ナイト.

◆本日の総歩数=6200歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.3kg) / 30.9%(−0.2%)


7 december 2012(金)※┣┣" ども撃ちてし止まん

◆午前4時起床.寒いなあと思ったら氷点下1.3度.夜明け前の米研ぎが日に日につらくなってくる.午前6時,今朝の最低気温は氷点下1.9度.もうすぐ日の出.一週間ぶりの観音台は冬晴れ.午前8時の気温は2.2度とぴりぴり寒い.国道408号の街路樹はかなり丸裸になっていた.朝から加圧されて一日が思いやられる.

◆午前の┣┣" 撃ち —— まずは,一週間の不在中に無限増殖した微小┣┣" どもを蹴散らすことから始める.共済組合の新しい保険証を取りに行く.今回から小さいカードになった./宮崎への事務書類返送.航空券の領収書と宿泊証明書./大分・宮崎の湯煙出張復命書を耳を揃えて提出./昨年度の源泉徴収票の発行申請./明日のサイエンスカフェに関する段取りの打合せ.こまごまと連絡あり./原稿に関して陰に陽に加圧され./分類学会連合の役員メールアドレス登録.あっちの方がとっくの昔に火だるまでですねー(冷汗)./郵便局にて手続きやっと完了.けっきょく二ヶ月あまりもかかってしまった./貸し倉庫にて暖房器具ゲット完了.

◆[蒐書日誌]温泉本二冊 —— 祝部幹雄『別府八十八湯 名人への道:ぶらり湯の町・入湯日記』(2012年1月15日刊行,弦書房,福岡,ii+202 pp., 本体価格1,200円,ISBN:978-4-86329-070-9 → 版元ページ).別府温泉エッセイ本.別府の路地の奥まで入ります.カバージャケットの写真〈春日温泉〉は北浜・山田別荘のすぐ近くにある共同湯./『湯めぐり宮崎・vol. 5』(2011年8月22日発行,本体価格952円,月刊情報タウンみやざき[臨時増刊号],宮崎).こちらは宮崎の温泉ガイド本.隣接する温泉県・鹿児島のせいで,どうしても影が薄くなってしまうのはしかたないのかなあ.

◆風もなく晴れわたる観音台は正午の気温が10.3度.空気はひんやり徘徊日和.いい天気だし,お昼休みは,届いたばかりの別府温泉本を小脇に,周辺徘徊してこよう…….研究所構内の木々はこの半月の間にほとんど葉を落としてしまったが,一箇所だけ燃え立つ紅葉の一角があった.そこだけはまだ秋の名残をとどめていた.たまにつくばに帰ってきては紅葉を愛で,それ以外は九州湯煙逃避行という背徳の日々…….一週間に一度しか観音台に来なかったせいで,いつの間にか今年の紅葉は散り果ててしまった.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 午前中の┣┣" 蹴散らし大作戦の結果,有象無象┣┣" どもの大半は消え去り,巨像┣┣" 三頭がクリアに浮かび上がってきた(orz).しかし,なお続くぬかるみ./サイエンスカフェの使用スライドの著作権問題がまだ解決していないとのこと.膠着した局面の打破をはかるため「なかのひと」に連絡してみる.また,当日,会場では販促用のビラを撒くことにして,その文面を用意しないと.「なかのひと」から電話あり.まず問題ないでしょうとのことで一安心.担当者にその旨連絡.販促ビラも準備OK.会場に持参する本を揃えたところで,この件はもういいかな./【教訓】公務員的「杓子定規」が一般社会に通じるわけではない.一独法の思い込みが出版業界の商習慣に勝てるはずがない.いずれにしても,最後のハードルは越えたので,明日の農環研サイエンスカフェを遮るものは何もなくなった.

◆[蒐書日誌]新訳 —— ミシェル・フーコー[慎改康之訳]『知の考古学』(2012年9月20日刊行,河出書房新社[河出文庫],東京,427 +VIII pp., 本体価格1,300円,ISBN:978-4-309-46377-3 → 版元ページ).

◆ぐらっとひと揺れ —— 午後5時過ぎにぐらっときた.茨城あたりは震度4程度ですんだが,NHKアナウンサーの緊迫感あふれる避難誘導メッセージが強く印象に残っている.受信料,二倍払ってもいいと思ったほど.地震直後は,電話回線が緊急対応とのことでぜんぜんつながらないのは予想通り.メールかツイッターでやりとり.

◆前日までじたばたしたが,直前宣伝:第5回農環研サイエンスカフェ・三中信宏「生き物の世界を分類するまなざし」2012年12月8日(土)14:00〜15:30@イーアスつくば|Ustream 中継あり.後日,動画は農環研ウェブサイトから公開される予定.

◆本日の総歩数=9095歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.1kg(−1.0kg) / 31.1%(+0.3%)


6 december 2012(木)※定例都内出撃日は暑すぎる

◆うっかり油断して午前5時過ぎ起床.硫黄泉の“玉子臭さ”がまだまとわりついている.気温8.7度.爆弾低気圧はまだ関東を通過していないのか.今日は定例都内出撃日.

◆[欹耳袋]「詩」になる系統樹! —— David R. Maddison | The Tree of Life | Systematic Biology 2012, doi: 10.1093/sysbio/sys057 [open access] .日本語だと,鈴木理子『詩集・系統樹』(1988年,国文社)がある.表題になっている長詩「系統樹」は,生き物の系統樹のルーツから末端までをたどる旅路を詩にした.ワタクシの『生物系統学』の「インテルメッツォ」で引用した.もう一冊は結城千賀子『歌集・系統樹』(2001年,角川書店[表現叢書第73篇]).その一句を『系統樹思考の世界』の末尾で引用したところ,著者ご自身から返信をいただいた.

◆都内巡業12時間 —— 午前8時前,つくば駅.曇っているが,冷え込みはない.日中はもっと暖かくなるらしい.新宿駅で小田急快速急行に乗り換え.都内はよく晴れて,午前9時の気温が13.0度と暖かすぎるくらい.コートは不要.小田急がのろのろしている.新百合ヶ丘駅にて各停に乗り換え.抜けるような快晴の青空.玉川大学へ.冬ではなく,初秋の頃の陽気を思わせる空模様.午前10時の都内の気温は14.9度.これからもっと上がるのだろうか.わざわざ折り畳み傘を持ってきて損をした心地ぞする.本日の講義11:00〜13:00.今日は祖先配列の復元について解説した.

◆[蒐書日誌]竹沢泰子(編)『人種概念の普遍性を問う:西洋的パラダイムを越えて』(2005年2月20日刊行,人文書院,京都,ISBN:4-409-53030-5 → 部分書評目次),京都大学人文科学研究所共同研究班・人種表象の日本型グローバル研究のサイトからpdfとして各節の一部分をダウンロードできる.紙版を買ってなかったからさっそくダウンロードしなきゃと思って確認したら,出てすぐに買ったのはもちろん,部分書評まで公開していたことを知った.何たる不覚.

◆季節はずれの暖気の昼下り —— 正午前の都内の気温は17.9度.暖かいというよりも暑い.コート抱えているだけでうっとおしい.今日は半袖がふさわしい.経堂にて途中下車.〈Cura2〉にて,明後日の農環研サイエンスカフェのスライドを調整する.スライドのパーツが同じでも,順列をちょいと変えるだけでストーリーが全体として地殻変動し始める.日差しがさんさんと降り注ぐすずらん通り.気温は18.4度まで上昇してもうどうしようもない.

◆[欹耳袋]Togetter -「論文を頭から読むのは「書く側に回らない人」という見方」.同じ研究業界の「なかのひと」だったらショートカット読みしてもきっとだいじょうぶなんだろうなあ.ワタクシの仕事柄,単発の論文ではなく,まとまった量の「本」を読む機会が多い.研究者諸氏が研究上関係のある「本」をどのように読んでいるかは日頃から気になっている.論文に関して言えば,ある研究者の論文「すべて」とか,場合によってはあるジャーナルのバックナンバー「すべて」というように,「すべて読み」をワタクシは過去にしてきたが,最近はそういうのは流行らないのだろうか.

専門分野の単行本にしても,論文集ではなく単著の場合でさえ,最初から最後まで「通読」することを前提にしていない傾向があるようだ.来年 Springer から出る予定の進化ゲノム学の単著では,章ごとに参考文献を末尾にまとめるようにとの執筆要領だったと著者から聞いた.電子本にしたとき「章単位」で販売できるようにとの思惑らしい.せわしなくなってきた研究者にとっては一冊の「本」をじっくり読むというのは現実的にムリになってきたのかな.単発の論文にしても,ジャーナルとしての造本体裁は,「紙」時代の遺物であって,もはや必要ないしねぇ.

きわめてワタクシ的には,本を最初から最後まで読み切るとかバックナンバーを全部読むという「すべて読み」は研究者としての Bildung にとっては最良のトレーニングだろうと思う.しかも,それができるのは大学院生時代まで.

◆午後3時半,駒場東大前駅に到着.北風が吹いてきたが,まだまだ暖かい.今日はモデル選択論の話をした.午後6時,夕闇の中をつくば直帰.みるみるうちに気温が下がってきたことを実感.明朝は冷え込むのか.

◆本日の総歩数=11318歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.9kg) /30.8%(0.0%)


5 december 2012(水)※硫黄臭とともにつくば帰還

◆背徳温泉モーニング —— 今朝は午前4時過ぎに起床.即♨直行.夜明け前の源泉はとても魅惑的だった.湯舟は三つあって,もっとも大きいのは高温硫黄泉.かなり熱いけど,別府みたいに茹でられはしない.とても気持ちよし.もっとも小さい湯舟は低温(ぬるま湯というより水みたい)の硫黄炭酸泉.湯舟が小さいので一人入るともういっぱい.湯の花と炭酸の泡が絶妙.ワンダフル.飲泉もオッケー.飲んでみたが意外にイケる.高温硫黄泉と低温炭酸泉に挟まれた真ん中の湯舟は両方から湯が入る仕組みになっている.季節によって温度調整ができるのだろう.この湯舟が浅く造られているのは半身浴のためだろうか.湯治のお年寄り数名を除けば,泊まり客は二人だけだった.

◆[蒐書日誌]市原清志・佐藤正一『カラーイメージで学ぶ統計学の基礎,第2版[CD-ROM付]』(2011年刊行,日本教育研究センター → 版元ページ).初版は:市原清志・岩本美江子『カラーイメージで学ぶ統計学の基礎』(2006年10月16日刊行,日本教育研究センター,ISBN:4-89026-123-0 → 書評目次).改訂版が出ていたとはまったく知らなかった.さっそく注文完了.

◆シアワセはいつまでも続かない —— 今朝の鹿児島はいやに寒いと思ったら,どうやら氷点下の冷え込みだったようだ.鹿児島空港あたりで真夜中に氷点下,いまが1度台.旅館の人に聞いたらここも零度で,この冬一番の冷えこみとのこと.朝食後の時間帯,温泉は近在のお年寄りの集会所となっているらしく,次々に入浴客が入ってくる.湯治客は一週間とか半月とか滞在するのだろう.うらやましいかぎりだ.午前9時半,しかたなくチェックアウト.急な山道を降りて幹線道路のバス停「湯之谷温泉入口」にてじっとバスを待ち続ける.どんより曇り空が広がって関東並の寒さ.ふと見回せば巨大なタブノキが生い茂っている.南九州の植生だなあ.

◆午前10時過ぎにいわさきバスがやってきた.霧島神宮って歴史はあるのだろうが,やや寂れていないか.途中,錦江湾の向こうにそびえる桜島が見えた.実物の桜島を見たのは生まれて初めて.それにしても寒すぎる.牧之原で4.4度,鹿児島市内でも7.8度とのこと.〈特急きりしま〉を待つ霧島神宮駅のホームが寒々しい.南宮崎で空港行き特急に乗り換える.宮崎も曇り空で肌寒い.正午過ぎに宮崎空港着.チェックインしてやっと身軽になった.曇り空からときどき薄日が差してきた.

◆[蒐書日誌]自然観察者の日常「石川 忠・高井幹夫・安永智秀 編『日本原色カメムシ図鑑第3巻』」(2012年11月25日).どこかできっと手にする機会があるだろう.

◆午後4時,曇り空の羽田空港に着陸.気温13度台ということは南九州よりも は る か に 暖かい.さて,荷物が出てくるのを待つとしよう.つくば行きバスの待ち時間が長いので珈琲充など.そのスキマ時間に微小┣┣" どもを征伐したのはいいんだけど,残された「大物」たちがどれもこれも大魔神級…….午後6時半につくばセンターにたどりついた.荷物のあとかたづけ.硫黄の匂いがまだぷんぷんとしている.さすが霧島パワーだ.

◆本日の総歩数=5528歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 /未計測


4 december 2012(火)※巡業を終え薩摩への鉄路旅

◆午前5時前起床.気温10.2度.昨夜の「うう…」は夜中のうちに通りすぎた.宮崎市街地はまだ真っ暗.温泉はないけど夜明けのシャワーをするか.宮崎の今朝の最低気温は9.1度で,午前9時の気温は10.8度.格段に暖かい.午前8時半にホテルをチェックアウトして,佐土原まで車で運搬される.

◆佐土原統計高座(最終日) —— 午前9時前に農試研修棟到着.朝から青空が広がり,気温は高め.コート要らずの心地よさ.研修最終日開始まであと半時間.午前の講義は,多変量正規分布に関する解説とRスタジオでの実習.受講生からの質問「R/Rコマンダー/Rスタジオをどう使い分ければいいのか?」について,R本体は計算エンジン,Rコマンダーは使用頻度の高い定型的な作業をメニュー形式で利用するため,RスタジオはRプログラミング(スクリプト書き)の作業環境と答えた.Rコマンダーで実践する多変量解析ツールのうち,主成分分析とクラスター分析を用いた実習を行なった.正午前に終了.外は心地よく晴れ上がり,気温は12.2度まで上がってきた.

◆佐土原の宮崎県農業総合試験場のお昼ごはんはいつも米の「食味試験」.先々月に来たときも,そして今回も,お昼ごはんは米を食べ続けた.もちろん,米の食味試験はまっとうな仕事だそうで,お米を炊くためだけに雇われている職員がいるという.お米イノチ.ご飯だけをひたすら食べる.宮崎県農試では「外観」と「粘り」と「総合評価」に関して毎日テストしているようです.ご飯の炊き手を限定し,食味専門員がテストすることで,炊き方のばらつきや味覚の個人差をコントロールしているようだ.実験計画法の模範.お箸も割り箸だと味や臭いが移るので,食味専用のお箸がある.ワタクシは飛び入りなので,おかずが付いてるけど,本職は「ご飯のみ」とのこと.白飯の食味はたくさん食べないとわからないらしく,試験場の人たちはものすごく食べる.そりゃスゴいもんだ.お皿にてんこ盛り状態.写真はワタクシの盛り付けだが,これでも茶碗二膳あまりある.本職さんはもっと食べている.日本人なら米をたくさん喰え.

◆[欹耳袋](承前)Togetter - 「この求人がひどい! ~ ある国立大准教授職を巡って」でやり玉に上がっている教員公募が「ひどい」とは思えない.研究者はしたたかに生き抜けばいいと思う.ワタクシが農水省にはいったとき,当時の室長から「研究公務員は公務としての業務を行なうことが主務であって,研究上のライフワークは認められていない」と言われたことを思い出す.しかし,その室長は自らのライフワークをしっかりやり続けたし,言われたワタクシもライフワーク(のようなもの)をやり続けている.それくらいの才覚やずるさやしたたかさがなかったら,研究者なんかやり続けられない.問題の「(注)主として研究活動に従事しないこと」という条項だって,ワタクシには「研究してもいいよ」としか読めないんだけど.どう曲解すれば「研究はこれをいっさい禁ずる」という解釈になるんだろう?

◆午後1時から講義再開.計算機統計学とリサンプリング手法についての解説と実習.最後に質疑討論の時間があって,午後3時半に今回の統計研修の全スケジュールが終わった.

◆講義後,車でJR佐土原駅まで送ってもらい,まずは宮崎駅までは〈特急にちりん13号〉,さらに〈特急きりしま15号〉に乗り換える.夕日を浴びて暖かい.さて発車時刻だ.都城への鉄路旅,特急車内は空いている.南九州の山々が夕日に染まり,大きく伸びた杉林が車窓の両側に広がる.その隙間を縫うように流れる渓流.数珠つなぎのトンネルがE-mobile の電波を遮る.暮れなずむ霧島の山々が遠景に見えてきた.都城到着.先々月もこの特急で同じ時刻にこの駅を通った.旅路はさらに薩摩へと続く.西都城を通過し,これからまた山の中に分け入る日豊本線.

◆薩摩の秘湯にて背徳ナイト —— 夕闇に包まれたJR霧島神宮駅で下車したのはワタクシたったひとり.気温の低さは宮崎の比ではない.駅前にぽつんと停まっていたタクシーを拾って霧島連山に分け入る.闇の中に輝く鹿児島空港から錦江湾まで眼下に一望できる.やがて,側道の山道に入ったタクシーはすれ違い困難なヘアピンカーブを登りきり,目的地である〈霧島湯之谷山荘〉の玄関に横付けした.硫黄の臭いがここまで漂ってくる.まずはチェックイン.泊まり客は湯治客を含めてもほとんどいないようだ.夕食は午後7時からとのことで,まずは♨へ.高温の硫黄泉は霧島だったらめずらしくないが,低温の硫黄炭酸泉はここだけの特殊な泉質.硫黄炭酸泉はほとんど水のような冷たさだが,じっと浸かっているとからだにびっしりと泡が付き,しかも湯の花が中華玉子スープのようにふわふわ漂う.こりゃ極楽.それにしても,こんな山奥の秘湯での無線LANが使えるとは驚くしかない.

◆本日の総歩数=3332歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 /未計測


3 december 2012(月)※佐土原統計巡業後半戦初日

◆午前3時半起床.目覚ましに露天風呂へ.気温9.7度.雨雲はすでに通り過ぎたようだ.清く正しい夜が明けて,静かな山間にも仄明るい朝がやってきた.源泉である冷鉱泉を見に行く.飲泉もできるらしいが,冷たくしょっぱい源泉を飲めば胃腸にも効くのだろうか.湯の花が漂い,縁には茶褐色の析出物がびっしり付着していた.午前7時半,雨上がりの温泉宿は朝食の時間を迎えた.

◆[欹耳袋]Togetter -「この求人がひどい!~ある国立大准教授職を巡って」.お茶の水女子大学グローバル人材育成推進センター特任准教授の公募条件に付けられた「(注)主として研究活動に従事しないこと」 をめぐって.ワタクシのことをふりかえると,勉強や研究「だけ」していられたのは学部から大学院を出るまでだった.

◆先週の統計質問から ——

  • #TodaiStat 先週の質問からいくつかピックアップ. posted at 06:38:18
  • #TodaiStat 【質問】「処理効果」と「ブロック効果」の交互作用効果もあるのではないでしょうか?」/【回答】乱塊法でのブロックそれ自身は無作為化されていないので,「要因」と考えることには慎重であるべきでしょう.ただし要因×ブロックの交互作用を想定することは可能です. posted at 06:44:31
  • #TodaiStat 【質問】「野外実験では天候も環境要因に含める必要がありますか?」/【回答】経時的に観測をするような場合,天候や季節の変化を一種の「ブロック要因」とみなす必要があるケースは生じます. posted at 06:46:52
  • #TodaiStat 【質問】「交互作用を出さないようにする工夫はありますか?」/【回答】ムリです(ごめん). posted at 06:48:01
  • #TodaiStat 【質問】「環境勾配に直交する方向にブロックを切るとのことですが,直行する方向が存在しない場合はどうすれば?」/【回答】乱塊法の目的は環境変動に関する情報があるときに,局所管理をいかに実現するかにあります.でも,現実には理想的なブロックって難しいんです… posted at 06:51:43
  • #TodaiStat 【質問】「要因効果が足し算ではなく掛け算の場合はどうするんですか?」/【回答】講義でこれまで説明した線形統計モデルは「足し算」のみですが,一般化線形モデルを使えばもっと幅広い統計モデルが可能です. posted at 06:53:50
  • #TodaiStat 【質問】「多重比較の方法がいろいろあって興味深い」※類似質問複数./【回答】多重比較の補正法に関しては,それだけで何冊も本が出ています.和書だと:永田靖・吉田道弘『統計的多重比較法の基礎』(1997,サイエンティスト社)が駒場の図書館にあるでしょう. posted at 06:58:57

◆佐土原統計高座(後半戦) —— 午前8時半にチェックアウト.タクシーで佐土原の宮崎県総合農業試験場へ.9時前に着く.雨上がりの曇り空.空気はひんやり.農試研修棟の会場にてセッティング.受講生が集計してきた.今回の応用編も60名ほどになるらしい.PCが人それぞれというリスクあり(汗).午前9時半開始.モデル選択論の話から始まる.お昼は恒例の「米食味試験」.炭水化物の大量摂取は農試職員の宿命か.外は曇り空.関東ほど寒くはないが,宮崎的には十分に涼しい.RコマンダーやRスタジオの実習が「さまざまな不幸」によりなかなか進まない.「うらーっ」と活を入れるとさくさく動いてくれないだろうか.午後4時半,初日の講義終了.宮崎中心街へ移動し,橘通の〈ホテルJALシティ宮崎〉にチェックイン.外はもう夕闇に包まれている.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音: Asami R「『系統樹曼荼羅』(三中信宏著、NTT出版)を読む。」(2012年12月3日)./『系統樹曼荼羅』の売れ行きが好調とのこと.神保町の三省堂書店本店でもフェアが始まるらしい(→情報).ありがたやありがたや.

◆宮崎・西銀座通りの背徳ナイト —— 一番街のアーケードを抜けて西銀座通りを左折し,ビル三階にある〈鶏みょうが屋〉へ吸い込まれる.まずは祝杯ビール.とねどりのにぎり寿司がお通し.昆布〆の鶏肉でにぎるとは.純レバミックス(ハツ・ズリ・レバー)が来た.これには〈神亀〉の燗酒.続いて,宮崎の地場野菜を焼いたものに〈鍋島〉純米吟醸中汲み無濾過.開栓したての〈鍋島〉は微炭酸が効いていて美味すぎる.〈田酒〉山廃純米にはとねどりの炭火焼き.さらに「まるこば」のにぎり.マナガツオに似たこの魚は初めて.最近になって宮崎の近くで上がり始めたそうだ.南方系か.おまけは〈陸奥八仙〉の無濾過吟醸.〆はニンニク炒飯.この店,日本酒の品揃えが豊富で嬉しい.繁華街のど真ん中,西銀座通りのこの立地からは予想できないほどきれいないい店.宮崎地頭鶏ではない「とねどり」もうまかったが,とにかく地場野菜が絶品.開店してまだ一年そこそことのことだが,野菜好きは行くしかない.午後8時半,ホテル帰還.

◆本日の総歩数=4246歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 /未計測


2 december 2012(日)※雨降る日向の山間にて湯煙

◆午前5時過ぎ起床.氷点下3.1度と今季最低気温をあっさり更新.夜明け前の朝焼けに染まる東の空には明けの明星がくっきり見える.いかにも「放射冷却してます」という感じ.けっきょく,今朝の最低気温は氷点下3.9度まで下がった.今日の〈つくいち〉には行けそうにない.

◆宮崎湯煙巡業(またしても) —— 午前9時過ぎ,つくば駅.冴えわたる冬空.中央公園で始まっている〈つくいち〉を横目に地下に潜る.日陰にはまだ凍りついた霜がそのまま残っていた.午前11時に羽田空港第一ターミナル着.すでに保安検査場を通過して,搭乗口にて待機ちう.さすがに前回の三連休中とはちがってだいぶ空いている.宮崎の空模様は雨とのこと.先々月に行ったときも雨だった.

◆[欹耳袋]将棋の系統樹 —— ならば「大局将棋の駒の成りの系統樹」(2012年12月2日).将棋を知らないワタクシはこの“系統樹”を読むリテラシーがない./中澤港「R研究集会2012 発表資料等」.リンクされている「中澤が聴きながらとったメモ」が興味深い.「現在では,ゲノム解析ではRが使えないと話にならないところまで来ている」とか.

◆午後2時前,遅延することなく宮崎空港に着陸.予報通りの雨模様.午後1時の気温は9.4度とつくばよりも3度ほど高め.まずは完熟マンゴージュースから始まる宮崎の旅.隣接するJR宮崎空港駅へ移動.これから宮崎駅を通り過ぎて佐土原まで向かう.雨はなおしとしと降り続いている.空港駅の隣は田吉駅.各停だとものすごくローカルな雰囲気が濃厚.ごとごとと佐土原へ.駅前からタクシーを拾う.

◆[蒐書日誌]往路機中本 —— 石田基広『R言語逆引きハンドブック』(2012年2月3日刊行,C&R研究所,東京,663 pp., 本体価格4,600円,ISBN:978-4-86354-093-4 → 版元ページ).オブジェクト概念から始まってベクトルと行列の操作まで200ページあまりを読んだ.知らなかったことが多々あって勉強になる.ワタクシの場合,方々での統計高座の一環としてRを使うことが多い.だから,たまにはこういう体系的な「Rプログラミング本」をひもといてスキルアップをしておく必要がある.この『R言語逆引きハンドブック』は全600ページあまりもある電話帳だが,宮崎にいる間に大半を読み終えたい.

◆日向温泉三昧の夜 —— 西都市郊外の山間に入ったタクシーはやがて〈高屋温泉〉にたどり着いた.チェックイン.離れに案内される.雨に濡れる山間の鉱泉宿は格別の情緒がある.幸か不幸かインターネットが届かない地域なので,の~びのびできると思いきや,部屋の隅に見慣れた水色のケーブルが.有線LANはつながってるんだ.即座に無線LAN化してしまったので,せっかくの秘湯から「いつもの場所」に引き戻されてしまった.

とりあえず,荷物を運び込んで一休みイコール一風呂.ここの温泉が開かれてからもう70年が経つという.母屋も離れもトラッドな民家風.とても過ごしやすい空間.日曜の夜なので泊まり客はほとんどいないようだったが,立ち寄り湯として近在からの利用客で駐車場は意外に埋まっていた.離れはひとつひとつ独立していて,それぞれに露天風呂がついている.贅沢極まりない温泉出張.源泉がナトリウム塩化物冷鉱泉で舐めるととてもしょっぱい.こんな山の中に食塩泉があるのはフシギ.源泉温度が19度と低いので,かなり加熱されている.長湯するとインパクトが強くて湯疲れするかもしれない.

渓流沿いの露天風呂にて,絶滅が危惧されていた「ニホンオンセン┣┣" 」の棲息を確認した.ワタクシが日々格闘している侵入外来┣┣" どもとは縁もゆかりもない.ニホンオンセン┣┣" が湯舟脇でのたうつようすを観察していると,ワタクシもしだいにシアワセになっていく.今となっては,ニホンオンセン┣┣" は山奥の秘湯か,または逆に街中の共同浴場にしか出現しなくなったのかもしれない.この旅館は渓流沿いに建てられている.川のせせらぎのBGMに降りしきる雨の変拍子のリズムが混ざり,そして横たわるニホンオンセン┣┣" .ふたたび南九州に来た甲斐があったというものだ.

夕食は部屋食.名物は鯉料理.米良産の鯉だそうだ.鯉のあらいは今まで経験したことがないほど美味.鯉唐揚げの甘酢あんかけや鯉こくも評価点高し.鮎と鴨の料理もあり.芋焼酎は〈逢初〉と〈西の都〉で,どちらも西都市の蔵元だ.雨降る山間の温泉場に夕暮れが静かに降りてくる.母屋と離れをつなぐ石畳の細道を常夜灯が照らしている.南九州は今夜は雨が降り続くようだ.

◆明日からは,佐土原の宮崎県総合農業試験場にて統計研修の後半戦がある.10月の前半戦の続きだ.

◆本日の総歩数=4566歩. 朝○|昼−|夜×. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.1kg) / 30.8%(+0.2%)


1 december 2012(土)※師走は冬の嵐で幕を開けた

◆午前5時起床.気温2.0度.師走の朝は寒い.師走になると「負のネルー値」が気になってしかたがない.しかし自分を追い詰めると精神衛生上よろしくないので,心安らかに新しい月を淡々と迎えるのが望ましい.Καλό μήνα! 今月のメーリングリスト月例アナウンスを送信.MAFFIN Webmail はあいかわらず「セキュリティチェック」でハングアップするので,じたばたせず Gmail で送信した.ML送信だけつねにトラブってしまうのはなぜだろうか? 午前6時の時の鐘.午前7時の気温は4.5度.灰色の曇り空から冷たい雨が降り始めている.あまりに冬らしすぎて.

◆[欹耳袋]ポケモン系統樹ふたたび —— 「Published Phylogeny of the Pokémon with link to Paper… with Professor Oak as a co-author!」.出典は:Neatorama | A Phylogeny and Evolutionary History of the Pokémon | 27 November 2012.「Professor Oak」が「オーキド博士」であることを初めて知った.

◆町田補講出撃の朝 —— 午前9時半すぎ,つくば駅.今日は玉川大学の補講日.午前9時の気温7.2度.吹き抜ける北風に枯れ葉が舞うつくばセンター.午前11時,新宿駅.都内の気温9.2度.この時間帯,つくば周辺では,雨・霰・雹がところどころ降っているらしい.変な空模様.都内は雲は多めだが大丈夫かな.小田急の快速急行で新百合ヶ丘へ.多摩川の向こうに富士山.雲間から日差しが.晴れてきたかな.空気は冷たいが.

◆いきなり冬の嵐 —— 正午前,玉川学園前駅着.このときは晴れていたのだが,駅前のイタリアン〈ラ・イタリアーナ〉でフンギ茸のタリアテッレ を食べて外に出てきたら,天気が急変していた.吹き付ける北風が落ち葉を舞い上げて渦が巻いている.厚い雲からはときおり冷たい雨が落ちてくる.正午の気温は9.7度なのに,午後1時には6.3度まで急降下した.東京の真上をちょうど前線が通過しているのだろう.午後1時から3時まで,玉川大学での補講.今日はブーツストラップ法による分子系統樹の信頼性評価の解説と実習.みなさん,おつかれでした.玉川学園前への帰り道,お昼すぎの不穏な空模様がうそのように,風もない穏やかな青空が広がっている.つくばっく.途中の八潮付近で,西に沈む夕日をバックにして富士山の大きなシルエットが浮かんでいた.午後5時前につくば着.

◆[蒐書日誌]堀ミチヨ『神保町 タンゴ喫茶劇場』(2012年6月30日刊行,新宿書房,東京,222 pp., ISBN:978-4-88008-421-3 → 版元ページ)読了.本書が,神保町のとある喫茶店でのルポルタージュかそれともフィクションかはどうでもよくて,あの場所ならさもありなんと何度もうなずけるのは,実際にその店に何度か行ったことがあるからだろう.

ワタクシの『系統樹思考の世界』のテーマ音楽はプッチーニの歌劇〈トゥーランドット〉であり,続く『分類思考の世界』のテーマ音楽はマーラーの第二交響曲〈復活〉だった.そして,新刊『系統樹曼荼羅』のテーマ音楽はといえば,本書扉に引用したとおり,アストル・ピアソラ作曲のオペリータ〈ブエノスアイレスのマリア〉が指定されている.ピアソラがお好きなら,ぜひBGMにどーぞ.それぞれの本の原稿を書いているときに,もっとも染みこんできた曲を「テーマ音楽」に指定すると,それぞれの本(できかけの)が育つ文脈がごく自然に方向づけられるのはフシギだ.映画と同じように,本にも「テーマ音楽」があっていいと思うのだが,あまり他では聞いたことがない.

◆午後6時前に早くも「1.2度」まで気温が下がってきた.今晩は完全武装で寝ないとタイヘン!午後7時,氷点下0.2度.これから明朝までさらに冷え込むとしたらいったい…….外は氷点下の冷え込み,床暖つけてポトフをよそって,冷たいビールをうぐうぐ飲む快楽.外気温はさらにどんどん下がっている.

◆明日からは日向統計巡業(後半戦)だ.先週に引き続き,またしても九州に飛ぶ.

◆本日の総歩数=7659歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.1kg(−0.2kg) / 30.5%(−0.3%)


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[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集