images/image1.jpg

Home
oude dagboeken

日録2012年11月 


30 november 2012(金)※霜月の最後は観音台に出勤

◆午前4時半起床.気温7.0度.急いで米を研ぐ.溜まっていた三日分の日録をアップした.外はまだ真っ暗.意を決して師走のカレンダーにする.走る〜.一週間ぶりの観音台は曇りときどき晴れ間が覗く空模様.昨夜の雨の名残で水たまりがあちこちに.国道408号沿いのフウノキはほとんど散ってしまった.農環研は全館暖房が入るようになったが,暑いのですべてスイッチオフにする.

◆[欹耳袋]NHK生活情報ブログ「大学院生 バイトで研究に支障」(2012年11月30日).アルバイトが研究に支障を及ぼしている率が「1/4」と報道されているが,残りの「3/4」はそう感じていないということか.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 別府で背徳していた間に増殖していた┣┣" どもを少しは減らさないと.まずは,一週間後に迫ってきた第五回農環研サイエンスカフェ:「生き物の世界を分類するまなざし」(噺役・三中信宏)の段取りを進める.画像使用に関わる著作権が取れたので,スライドの微修正とか『系統樹曼荼羅』の販促活動とか./『系統樹曼荼羅』,もうひとつの販促ミッション完了.

◆[分類思考]本日の残響:あわぞうの覗き穴「分類しても役に立たないことがある」(2012年11月27日).

◆[欹耳袋]線形代数の昔話 —— 駒場で受けた齋藤正彦の線形代数講義はとても厳しかった.教科書である齋藤正彦『線型代数入門』(1966,東大出版会)は,駒場寮で必死に勉強したけど,数学はもうダメだと観念した.いまも手の届くところに置いてある『入門』をひもとくと,いたるところに三十余年前の書き込みがマルジナリアの花園をつくっていた.それとともに過去の記憶が解凍され,「そのとき一気に、思い出があらわれた」.どこまで行っても果てしない細い廊下をたどる心地.ワタクシが「入門」という書名を鵜呑みにできなくなったトラウマは,よくよく考えてみれば,齋藤正彦に由来しているのかもしれない.ワタクシが教養学部にいたころは,齋藤正彦『線型代数演習』(1985,東大出版会)はまだ影も形もなかった.『演習』は『入門』とはちがってとても詳しい解答・解説が付けられている.『入門』が致死的であった理由は演習解答が簡略過ぎたところにあったような気がする.しかし,『入門』で鍛えられたおかげで,農学部に進んでから,C. R. Rao の線形統計学のバイブルや Kendall-Stuart の三巻本コーランを読むときにその御利益を実感することになる.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 今日の最高気温は正午前の11.9度,午後5時の今は8.8度.終日,灰色の曇り空が広がり,とくに午後は日差しの暖かさがぜんぜん感じられなかった.農環研サイエンスカフェの応募が定員に達したとの連絡が広報から届いた.よしよし./原稿┣┣" 一頭は自発的に去ってくれたようだ……(年末まで).

◆[蒐書日誌]世界の夢の本屋さん —— エクスナレッジから出版された本屋の写真集が二冊まとめて届いた.すばらしすぎる!:清水玲奈・大原ケイ『世界の夢の本屋さん』(2011年7月2日刊行,エクスナレッジ,東京,215 pp., 本体価格3,800円,ISBN:9784767811475 → 版元ページ)/清水玲奈『世界の夢の本屋さん2』(2012年7月17日刊行,エクスナレッジ,東京,223 pp., 本体価格3,800円,ISBN:9784767814032 → 版元ページ).前世紀末に出版された:荻野アンナ・瀬戸川猛資・和田忠彦・越川芳明・池内紀・野谷文昭・浅野素女『世界古本探しの旅』(1998年5月1日刊行,朝日出版社,東京,ISBN:4-02-257245-0 → 目次)を髣髴とさせる.

◆午後7時の気温は7.2度.今夜もきりきり冷え込みそうなので,〈風の森〉の「秋津穂・純米大吟醸」を開栓.新鮮な微炭酸の味わいをゆっくり賞味した.

◆本日の総歩数=2882歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(−1.1kg) / 30.8%(+0.1%)


29 november 2012(木)※今日は朝から定例都内巡業

◆午前5時前起床.気温は氷点下0.8度.さむさむ.今日は定例都内出撃日.午前7時前,つくば駅.快晴.今朝の最低気温は午前7時前の氷点下1.4度.冷える冷える.さて,町田から経堂経由コマバまで,方々に出没いたします.日清食品の広報部から「チキンラーメン系統樹」の画像ファイルを送ってもらった.感謝感謝.

◆[欹耳袋]放牧場管理人が雲隠れすると┣┣" はここぞとばかりに大成長する法則.┣┣" 投げつけたい.投石機ならぬ「投┣┣" 機」を開発したら感謝されるだろうか.

◆都内巡業(午前の部) —— 午前9時,新宿駅.小田急快速急行に乗り換え.都内も寒気に包まれている.青空快晴.富士山が見えた.新百合ヶ丘にて各停に乗り換え.薄曇りかな.午前10時,玉川学園前.駅下のドトールでエスプレッソを充填したので,そろそろ大学に行こう.玉川大学キャンパスは青空が広がっている.講師控室にて高座のしたくなど.窓から見上げる初冬の空が突き抜けるように青い.今日の講義は最尤法(統計学・系統学)がメインだった.外はよく晴れて穏やかな日和.日差しが暖かい.正午の気温は13.8度.風が弱いので,体感気温が高め.

◆経堂潜伏 —— いつものように途中下車して,経堂某所に潜伏.原稿書きますっ(キリっ).Caminalcules の代替図をこれから描かないといけないのか…….いずれにしても,原稿┣┣" は何とか仕留められそうな気配なので,そろそろコマバに移動しよう.

◆[蒐書日誌]『旅手帖beppu・別府現代芸術フェスティバル2012「混浴温泉世界」特集号』(2012年8月10日発行 → 旅手帖beppu).別府滞在中に開催されていた〈混浴温泉世界2012〉の情報いろいろ(公式ガイドブック).それだけではなく,別府オールドタウンの毛細血管のような路地にも地下にもどんどん入っていく.上海みたいな街.本誌はフルカラー200ページなのに無料で配布されている.毎年別府に行くたびにその年の最新号を探していたのだが,いつも入手できずに地団駄を踏んでいた.今回はじめて運良くゲット.

◆都内巡業(夕方の部) —— 午後4時前,駒場着.半月経つうちに夕暮れが早くなったなあ.今日の講義は乱塊法.講義中,またしても「ふぁぼ爆」されてしまった…….足取り重く夕闇の駒場東大前駅に向かったら人だかり.17時51分、池ノ上での人身事故により井の頭線は全線不通との情報.しばらく運転再開しそうになかったので,駒場裏門から千代田線の代々木公園駅までてくてく歩く.予定外のウォーキングだったが,雨が降らないうちにつくばに帰りつけそうでよかったよかった.午後9時,きりたんぽ鍋を食べてふと気づいたら,もう雨が降り出しているじゃないか.

◆本日の総歩数=13020歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=94.4kg(+2.1kg) / 30.7%(+0.4%)


28 november 2012(水)※県庁高座を終えとんぼ返り

◆午前4時半に起床.即温泉.昨日のダメージから立ち直れず,二度寝.午前7時前に再度起床.外は青空が広がっている.今朝の大分県内は方々でこの時期としては記録的な氷点下の冷え込みになり,大分も最低気温は0.7度だった.別府をチェックアウトして,快晴の湾岸道路を県庁までひた走り.今日は研修最終日.午前9時の気温は4.4度と寒い.南風.九州,寒い.

◆滞在している〈山田別荘〉での朝ごはんはいつも日当たりのいい大広間に用意されている.かつては大きな池があったにちがいない広い日本庭園を見ながらの朝食はとても気持ちがいい.交通の便や宿泊費の点だけいえば大分市内のビジネスホテルに軍配があがるのはわかっているのだが,何年も前から大分に来れば一度は〈山田別荘〉に泊まることに自分会議で決めている.ここはかつて地元で成功した実業家が建てた別荘を旅館に転用したものだという.一昨日,鉄輪で泊まった〈彩葉〉は麻生太郎の曽祖父が築いた屋敷を旅館にしたものだそうだ.功成り名を遂げた人たちのすまいが点在する別府のかつての殷賑ぶりがうかがえる.

◆統計研修(最終日) —— いつもどおり午前9時半に開始.午前中は線形統計モデルの続き.回帰分析の実例を挙げながら,対立モデルの複雑度が尤度とAICとどのように関係しているかについて話した.今日のランチは県庁ヨコの〈こつこつ庵〉にて「とり天定食」をば.大分に来てとり天をまたいで通るわけにはいかない.午後の研修は変量間の共変動について話し,これにてワタクシの講義はおしまい.その後,受講生との統計コンサルティングタイム.午後4時前,統計研修の全スケジュール終了.JR大分駅へ送ってもらって,大分空港までバスで直行.

◆午後6時過ぎ,大分空港着.国東半島を満月が照らしている.空港の〈鮨海甲〉にてちらし寿司の晩御飯.搭乗まで半時間待ち.あわただしい帰路はまだ続く.大分ではいつも土産物で悩んでしまう.一時期は「かぼす」関連で一貫していたこともあったが,今回は中津の〈巻蒸〉と耶馬溪の〈傳六の抄〉にしてみた.そろそろ搭乗タイム.定刻離陸.午後8時半に羽田着陸.6.6度!寒いなあ.午後9時,空港からつくば行きバス出発.

◆午後10時半につくばセンター着.帰って参りました.羽田もそうだったが,つくばもそこかしこに水たまりが残っている.雨上がり? 気温は午前10時に3.0度まで下がっている.満月がこうこうと輝いているので,明朝は放射冷却必至か.

◆[蒐書日誌]機中読書本(帰路) —— 池波正太郎『そうざい料理帖・巻二』(2011年1月7日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・721],200 pp., ISBN:978-4-582-76721-6 → 版元ページ).予定通り,帰りの機中に読了した.すき焼きの「東西」のちがいについては: 宮本又次『関西と関東』(1966年刊行,青蛙房[青蛙選書21])に詳しく書かれているらしい.京都の実家にあったはず.

◆本日の総歩数=6133歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


27 november 2012(火)※別府・北浜から出勤する朝

◆午前4時過ぎ起床.部屋がひんやりしている.夜明け前の内湯へ.熱い源泉が湯船の縁からあふれている.鉄輪も北浜もデフォルトは源泉かけ流し.しばらく冷ましてからやっと入湯できた.午前6時の気温は6.9度.灰色の曇り空.冷たい北風が夜明けの温泉街を吹き抜ける.

◆早朝の共同浴場めぐり —— 午前6時半,すぐ近くの共同浴場〈春日温泉〉に入ってきた.湯の街の朝食前のお愉しみ.地元の人しかこない共同浴場だが,とても居心地がいい.午前7時を過ぎてやっと明るくなってきた.今日の大分はすごく寒くなるらしい.服装要注意.冷えてきたら即♨へ! 午前8時過ぎ,車が到着.いざ県庁へ.

◆統計研修(二日目) —— 午前9時前,大分県庁新館のOAプラザ着.晴れ間ののぞく曇り空.ただ,北風が強く,別府湾は波が立っていた.今日はまる一日かけて実験計画法の講義と実習.いつもの講習よりも実習時間を多くとった.午後4時過ぎ,本日の統計研修終了.実験計画法(フルバージョン)とモデル選択論までこなした.外はよく晴れているけど,気温は低く,午後の最高気温は11.0度までしか上がらなかった.

◆ランチタイムは中心部のアーケード街にある〈五十六屋〉へ.烏骨鶏と交配した「冠地どり」を県ではPRしているとのことで,ランチタイムの「炙り冠と烏骨鶏卵の究極の親子丼」を強く薦められた.確かに噛み締めると味のある鶏肉と深みのある玉子が合わさって美味.県庁の担当者に聞いたところでは,最近の大分県内では,伝統的な「とり天」ではなく,むしろ鶏の「唐揚げ」の方がメジャーになりつつあるらしい.「とり天」はうまいけどなあ.もともと大分県内では「とり天」がメジャーで,「唐揚げ」は県北の中津あたりのローカル料理だった.ところが,最近はご当地B級グルメブームで「唐揚げ」が南に攻め入ってきたらしい.とり天 vs. 唐揚げの肉弾戦.

◆今日も別府湾をぐるりとまわって北浜の〈山田別荘〉に帰ってきた.研修の中日はどうしても疲れるもの.まずは♨♨♨.内湯は男湯と女湯に分かれているのだが,女湯の方はずいぶんときれいに改装され,大きなガラス窓がつけられたようだ.男湯はそれ以前のままで,ワタクシ的にはこちらの方がゆったりできる.脱衣場から階段を降りて半地下の湯船に入るスタイルは,有名な〈竹瓦温泉〉でも〈駅前高等温泉〉でもおなじ.足を浸けているのもつらい熱湯である点も同じ.

◆[蒐書日誌]絵はがきの別府(ご当地にて) —— 松田法子著|古城俊秀監修『絵はがきの別府:古城俊秀コレクションより』(2012年5月30日刊行,左右社,東京,本体価格3,500円,314 pp., ISBN:978-4-903500-75-1→ 目次版元ページ).もちろん,今回の別府出張に持参し,ご当地で空き時間を見つけては読み進んでいる.ちょうど滞在中に別府で関連写真展〈「絵はがきの別府」展〉2012年11月13日〜27日が開催されていたのだが,あいにく日中は大分県庁にカンヅメになっていて,見に行くことはできなかった.

◆夜は関アジと関サバを求めて駅前の〈大和田鮨〉へ直行.日本酒のラインナップは昨日の〈八新鮨〉よりもそろっている.平日だったのでカウンターの端に座ってくつろぐ.

◆本日の総歩数=7405歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


26 november 2012(月)※大分県庁にて統計高座初日

◆午前4時過ぎ起床.いったんやんでいた雨がふたたび本降りに.外湯共同浴場めぐりの早朝.小雨がそぼ降る湯の街を草履をつっかけて傘さして,いでゆ坂を下りつつ〈渋の湯〉と〈すじ湯〉に入ってきた.右の写真は渋の湯.朝イチだと熱湯なので,冷まさないととても入れない(冷ましても入れない明礬の鶴寿泉よりはまし).〈渋の湯〉は地元の先客がいたが,〈すじ湯〉は独占状態.源泉湧き出し口のパイプを開栓して,浴槽にお湯を注ぎ込む.入り終わったらまた源泉パイプを塞いでおく.こういう共同浴場の“お作法”がおもしろい.

◆[欹耳袋]「Sense of wonder」と「Sense of order」 —— Carol Kaesuk Yoon『Naming Nature: The Clash between Instinct and Science』(2009年刊行,W. W. Norton, New York, viii+344 pp., US$ 27.95, ISBN:978-0-393-06197-0 [hbk] / ISBN:978-0-393-33871-3 [pbk] → 目次著者サイト書評リスト), p. 98.でもって,キャロル・キサク・ヨーン[三中信宏・野中香方子訳]『自然を名づける:なぜ生物分類では本能と科学が衝突するのか[仮]』(2013年刊行予定,NTT出版,東京)が次なる大┣┣" .もちろん,温泉巡業にも同行している.

◆[蒐書日誌]別府必携本 —— ハットウ・オンパク監修『別府八湯温泉本2012〜2013』(2012年9月1日刊行,おおいたインフォーメーションハウス,大分).毎年,大分に来るたびに最新刊を買っている.無料入湯券が付いているので,別府に来るならこの本を買うしかない.

◆温泉から県庁へ出勤 —— 午前8時前,ホテルをチェックアウトして坂道を下る.鉄輪バス停から別府駅へ.別府の山の手をゆるゆる走る路線バスは半時間ほどかかった.久しぶりのJR別府駅.油屋熊八は今日も駅前の空を舞っていた.各停で十数分,別府湾をぐるりとまわって大分駅へ.大分駅ビルが真新しいのにも驚いたが,駅前ロータリーが再開発ですべて更地になっているのを見てさらに驚愕.一年経ったらずいぶん変わるものだ.駅前のあまりの様変わりにびっくりしているうちに,朝ごはんを食べそこねてしまった…….てくてく歩いて大分県庁到着.天気は回復して気温が上がってきた.厚着していると暑いほど.

◆今日から三日間の統計研修は例年通り新館9階のOAプラザが研修会場.今年の研修生は計10名.午前9時半,そろそろ統計研修初日の始まりだ.今日の午前中はびしびししごくことにしよう.最初はセンター長の挨拶から.続いていつもの統計学概論から始まり,休憩後にR / R Commander / RStudio の三点セットは無事にインストール.

◆今日のランチは県庁ウラにある〈新華園〉へ.目指すは看板メニュー「焼豚玉子飯」.来る客の多くが注文する人気メニューだ.チャーシューに目玉焼きをトッピングしたごはん.普通盛りは目玉焼きがふたつだが,大盛りは目玉焼きが三つ乗っている.昨年ここに来たときは普通盛りを食べたので,今回は大盛りに挑戦だ.それでもたったの600円!(もやしスープ付き) でも,朝昼兼用だから無罪放免にしてほしい.かぼすをぎゅっとしぼるのは大分スタイルの定番だ.あまりに背徳すぎて写真掲載も憚られるが,やっぱり載せてしまおう.

◆昼過ぎの大分市内は,北からの冷たい強風に乗った小雨が吹きつけて,体感気温がかなり低い.午前中はいったん日差しが戻ったのだが,どーしたことだろう.県庁に戻って統計高座のしたくをする.午後の講義は,データ可視化の話から始まって,Tukey の箱ひげ図,確率分布,正規分布,分散概念と階段を昇っていく.午後4時過ぎに本日の高座はおしまい.お疲れ様でした.

◆午後4時過ぎ,大分県庁から別府北浜まで車で送ってもらう.海沿いの道路は別府湾越えの北風が強く,いろいろな塵芥が吹き飛ばされていた.山はすっぽり雲におおわれてみるみるうちに夕暮れに.やがて,遠くに別府タワーが見えてきた.北浜はもうすぐだ.別府駅のコインロッカーからスーツケースを回収.別府北浜の〈山田別荘〉にチェックイン.今日は泊まり客が多い.訊けば〈混浴温泉世界2012〉の開催期間中だかららしい.まずは半地下の内湯に入る.鉄輪より北浜の方が温泉の析出物が多い.それにしても熱いことこの上なし.夕暮れの温泉街の細い道を縫って,すぐ近くの〈八新鮨〉へ.創作寿司の数々.牡蠣のにぎりがうまいのなんのって.

◆明日の統計高座のために今日もしっかり♨したぞしたぞしたぞ.

◆本日の総歩数=7620歩. 朝−|昼△|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


25 november 2012(日)※別府湯煙統計巡業へ旅立ち

◆午前4時半起床.今季初の氷点下0.7度! まだ寝ているみなさんは湯たんぽ・床暖・ホカペなどを総動員して安眠を死守防衛しましょ.今日は日本全国で走り回るイベントが開催されるのか.午前5時,氷点下1.1度.午前6時.氷点下1.4度.夜明け前.雲とつない快晴の朝.きりきり冷え込んで,最低気温は午前6時半の氷点下1.6度だった.朝日が差しこむ時間になってもまだマイナスのまま.旅支度.

◆別府湯煙統計巡業へ —— 午前9時半過ぎ,つくば駅.気温7.3度.真っ青な冬晴れ.つくばセンターのバスロータリーでは筑波山に向かうハイカーたちの長い列が伸びていた.冬物の着替えを詰め込んだスーツケースは旅立ちの時点ですでに膨れ上がっている.今回の旅に連れ歩く┣┣" は一頭のみ.都内もすっきり青空.空気が冷たく乾いている.羽田空港行きモノレールは意外にも満員ではないが,連休最終日らしい慌ただしさが漂っている.しかし油断は禁物.羽田空港第一ターミナルの手荷物カウンターには大蛇のように長大な列が伸びていた.やっとこのステージを制覇して,次はランチのステージへと移行する.昼ビールの背徳.さすがは連休最終日.レストラン街も店から客があふれている.念のため早めに保安検査場に行った方がよさそう.保安検査場通過.13:00発のJAL大分行きは満席とのこと.搭乗ゲート前でしばし一休み.

◆[蒐書日誌]機中読書本(往路) —— 池波正太郎『そうざい料理帖・巻一』(2011年1月7日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・720],189 pp., ISBN:978-4-582-76720-9 → 版元ページ) 「ネギま鍋」の「ま」は大トロを使うと知って仰天.1970年代はじめ,大トロは赤身よりもはるかに安かったそうな.あっさり読了.方々の池波料理エッセイを集めた本だが,実におもしろい.けっして手の込んだ料理が載っているわけではないが,食欲増進効果バツグン.帰りの機中では同時刊行された続刊:池波正太郎『そうざい料理帖・巻二』(2011年1月7日刊行,平凡社[平凡社ライブラリー・721],200 pp., ISBN:978-4-582-76721-6 → 版元ページ)を読破しよう.

◆午後3時前,大分空港に着陸.午後の日差しにきらきら輝く別府湾が下界に見えたと思ったら,もう空港だった.今日の手荷物場のお出迎えは「巨大いくら寿司」.ステンレスアートの巨大車海老も新しく登場していた.空港シャトルバスにて別府観光港に向かう.国東半島はよく晴れて暖かな空模様.別府鉄輪の旅館にチェックイン.夕暮れにはまだ早い時刻.とりあえず内湯の露天風呂にお湯を張っているところ.岩の隙間から熱い源泉が湧く露天風呂に入ってきた.いくら日没の遅い九州とはいえ,この時間帯になれば夕闇が降りてくる.湯上りのビールをいただいて一服するなど,早くも背徳の雰囲気が鉄輪臭と混じりあって濃厚に漂う.

日曜の夜の温泉街は人が少ない.夕食前に温泉街をぶらぶらしてきたのだが,しばらく来なかったうちに中心部の「みゆき坂」から「いでゆ坂」にかけての一帯が,ガラっと変わったことにびっくりしている.〈地獄蒸し工房〉や〈足湯〉,〈蒸し湯〉のあたりも道路がきれいになっている.去年も鉄輪に来たのだが,場所が中心部からずれていたし,雪が積もっていたせいでホテルから一歩も外に出なかったし.夕食前に温泉街をぶらぶら歩き.道路だろうが側溝だろうがところかまわず温泉が噴き出している.空を見上げれば,太い湯煙が何柱も天に向かって吹き上がっていた.大地の力.別府のパワー.

◆明日から三日間,大分県庁にて県内の農業試験場研究員を相手に統計高座を開催するのが本務.しかし,大分市と別府市はJR各停で10分あまりという至近距離なので,今回は別府に宿を取り,念願の「♨出勤」を連日やらかすことになった.今日の日曜は移動日なのでエンジョイするのみ.

いつもは温泉宿で夕食がついてくるのだが,今回は素泊まり温泉ホテルをとったので,すぐ近くの洋食屋〈レストラン三ツ星〉にて豊後牛のコースをば.お肉のまわりを取り囲むのは,鉄輪の強力♨蒸気パワーで蒸し上げられた野菜たち.メインに先立つ前菜は,サーモンマリネとパパイアをあしらった野菜料理の一品.野菜も食べます,肉も食べます.カブと栗のクリームスープ.デザートはこの店の人気スイーツであるクレームブリュレ.バニラの芳香が濃厚.

ここ〈レストラン三ツ星〉は鉄輪温泉街の目抜き通りである「みゆき坂」の交差点角に立つ洋食屋さん.地元の常連さんも多いようだ.ランチの時間帯はさらに混みあうという.別府に来たからには海産物をと考えてしまいがちだが,渡船豊後牛のレアはとても味わいが濃くてうまかった.そういえば,夕食のステーキにはちゃんと「かぼす」が添えられていた.大分はかぼすの国.何にでもかぼすがついてまわる.県民食である鶏のとり天はもちろん,肉でも刺身でも天ぷらでも何でもかんでも.

◆夜9時を過ぎて,雨がぽつぽつ降りだした.明日からの統計高座のしたくはもう大丈夫だろうから,あとはもう寝るだけかなあ.内湯の露天風呂にも入ったし.メタケイ酸の石けん臭も十分に染みこんだし.

◆本日の総歩数=7777歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=92.3kg(−0.5kg) / 30.3%(−0.3%)


24 november 2012(土)※初冬の空と陽だまりの午後

◆今朝も午前6時にのろのろ起床.曇り空.気温8.0度.北風.ぱっとしない空模様の朝.

昨夜見た夢:初対面の人から飼い犬をペットホテルに預けてきてほしいと頼まれる.夕方,ホテルから連れ帰り,引渡しに行ったところ,「この犬じゃない」とクレームをつけられて,またペットホテルに逆戻り.探しているうちにたくさんの子犬にわらわらと取り囲まれ,ここで目覚め.ワタクシは「夢判断」は信じない.

◆連休中日の┣┣" 撃ち —— 農環研サイエンスカフェのスライドいじり.昨夜のお仕事の続きを再開してしまった.講演スライドを変更すると,噺全体の流れが変わってくる.それがまた新鮮でおもしろい.まったく同じ内容と枚数とスライドでも,並び替えるごとに別々のストーリーを話すことができる.伝聞だが,リチャード・ドーキンスが京都で講演したとき,同じシンポジウムの他の演者たちからスライドを借りて(昔のことだから35mmスライド!),その場でみごとなトークを演じてみせたという(事実とのこと).そういう「噺」の妙技は一つの理想.用意してきたスライドをただ読み上げるだけでは,講演とはいえないだろう.

主役はあくまでも演者であって,映し出されるスライドは脇役にすぎない.人前で話をするときは,誰でも「噺家」であることを求められているのであって,薄暗がりの中での「活動弁士」の役回りは期待されていない.たとえば,スライド・プロジェクターが講演直前にいきなり故障してにっちもさっちもいかなくなったとき,スライドなしでちゃんと自分の持ち時間のトークを演じきれるかと自問自答する.「できる」と答えられればもう大丈夫.

◆初冬らしい乾いた北風が吹くつくばは,陽だまりと暖かさが心地よい.クレオ前には毎年クリスマスシーズン到来を告げるメリーゴーランドが今年も設置された.青空の昼下りは日差しが差して,最高気温は11.7度の穏やかな天気だった.エキスポセンター周囲の街路樹は葉がほとんど散っていて,早くも冬の装い.夕暮れになる前に午後のおやつタイム.金田〈シュエット〉の「玄米キッシュ」.今日たまたまつくばセンター広場に出店していたので,「つくば美豚のリエット」とともにゲット.MOGの〈やまや〉で〈Belhaven〉のスコットランド・エールとセント・アンドリュース・エールをゲット.ビールなのにシングルモルトの瓶みたい.夜,開栓予定.

◆[欹耳袋]Nature News Blog | Leaky pipelines for Canadian women in research | 23 Nov 12 カナダの女性研究者たちは,業界における「ガラスの天井」と家庭を持つことに伴う「母の壁」に昇進を阻まれているという報告.

◆[蒐書日誌]清水玲奈・大原ケイ『世界の夢の本屋さん』(2011年7月刊行,エクスナレッジ,東京,本体価格3,800円,ISBN:978-4767811475 → 版元ページ)と清水玲奈『世界の夢の本屋さん2』(2012年7月刊行,エクスナレッジ,東京,本体価格3,800円,ISBN:978-4767814032 → 版元ページ) をポチッ! この本に載っているすべてが「現実」の本屋というのが夢みたいなこと.天上まで本が積み上がった部屋の窓際に小さいキャレルがあるというのが「理想の研究室」のひとつの姿.外界とのつながりは船底のような小さい丸窓ひとつで許す.地震が来たらオダブツか…….草森紳一的カタストロフは近未来にきっと起こり得る.要注意.

◆[欹耳袋]book patrol | Library Lounge - B2 Boutique Hotel Zurich | 9 November 2012.図書館ラウンジ付きのホテル.スイスにいくつかあるらしい.いーなあ.

◆今日は〈Belhaven〉のスコットランド・ビールが手に入ったので,それに合うような料理を用意した.昨日までのビーフシチューのソースを利用して,煮込みハンバーグ.付け合せはパスタのみというシンプルさ.スコッチとかアイリッシュのビールを念頭に置くと,どうしてもこういうお料理になってしまいますなあ.今日開栓したのは右側の「セント・アンドリュース・エール」の方.もう一方の「スコティッシュ・エール」はいつ飲むかなー.どちらも500ml瓶で,いつも飲んでいるベルギービールよりも一回り大きくて,なんとなくご当地のシングルモルトのボトルに収斂しているよーな.ビールには珍しい透明瓶だし.

◆せっせと旅支度する夜.24時間後には別府・鉄輪温泉でふやけている予定だ.♨♨♨

◆本日の総歩数=6025歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.8kg(−0.1kg) / 30.6%(−0.2%)


23 november 2012(金)※三連休初日は冷たい雨降り

◆三連休の初日はのろのろ起床の午前6時.まずは卵を茹でようか.外は気温4.4度の曇り空.朝日は差さず.今朝の最低気温は丑三つ時の3.1度だったが,午前7時になっても4.7度どまり.真冬のような曇り空で,しかも西から雨雲接近中.というか,もう降り始めているみたい.そーか,今日は「勤労に感謝していつもどおり勤労する日」だったのか.

◆[蒐書日誌]堀ミチヨ『神保町 タンゴ喫茶劇場』(2012年6月30日刊行,新宿書房,東京,222 pp., ISBN:978-4-88008-421-3 → 版元ページ).先日,千駄木・往来堂書店の「文脈棚」で見つけてゲットした.神保町の一角にあるあの喫茶店を舞台にしたエッセイ集.地上げが続いたかつての時代を耐えて,この横丁はよく残ったものだと思う.前世紀末,岩波生物学辞典の担当編集者に案内されたこの店で打合せをしたことをふと思い出した.古い古いタンゴが店内に流れていた.あれは全部LPレコードだったのか.

◆[欹耳袋]ツリーとセミラティス —— アレグザンダーの元論文「都市はツリーではない」が html で公開されていたとはぜんぜん知らなかった:Christopher Alexander | A city is not a tree | Architectural Forum, 1965(April and May) → Part I | Part II.日本語訳:押野見邦英訳 1967. 都市はツリーではない. デザイン, 1967年7月号: 8-12; 8月号: 10-14.情報ソース:大熊康彦「都市はセミラティスではない」.ツリーとセミラティスの離散数学については,ワタクシの『生物系統学』の第2章で詳述した通り.ドゥルーズ−ガタリの「リゾーム」論もそこで断罪した.『系統樹曼荼羅』では,クリストファー・アレグザンダーの「パタン・ランゲージ」と「セミラティス」は ,中谷礼仁のジョージ・キューブラー論とともに,III-5章「万物系統樹」に登場する.

◆午後になっても冷たい雨はしとしと降り続いている.午後1時の気温は8.9度.この分だと10度ラインさえ越えないのではないか.某翻訳のお仕事が加圧され始めた.並行して夕餉のビーフシチューの仕込み開始.一瞬だけ10.2度まで気温が上がったが,ふたたびヒトケタ台の冬の寒さに復帰.相変わらず降り続いている.午後5時,夕餉用のビーフシチュー仕込み作業はおしまい.あとは厨房で時間が勝手に調理してくれるだろう.雲の隙間から夕日と夕焼けがちらりと見えたが,雨はまだ降り続いている.

◆[蒐書日誌]最新号:日経サイエンス2013年1月号(→目次).特集は〈ヒッグスの先へ〉と〈世界の科学力〉.エリオット・ソーバー[松王政浩訳]『科学と証拠:統計の哲学 入門』(2012年10月20日刊行,名古屋大学出版会,名古屋,x+244 pp., 本体価格4,600円,ISBN:978-4-8158-0712-2 → 情報版元ページ)の書評記事:三中信宏「個別科学とともに歩む新しい科学哲学のイメージが見えてくる」は p. 122 に載っている.

◆夜遅く,来月の農環研サイエンスカフェのトーク用スライドの修正が終わった.枚数を3/4に削減し,新規作成スライドは10枚ほど.結局60数枚におさまった.この案件はこれでおしまいにしたい.キリがないので.そろそろ別府ナイトの予定を立てないと.今回の大分湯煙統計巡業はすべて別府泊にして,毎日温泉から大分県庁に出撃するというワンダフルな旅程を組んだ.何だかパワーが湧いてきた心地ぞする.

◆本日の総歩数=1552歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.1kg) / 30.8%(+0.5%)


22 november 2012(木)※朝から行方不明本の大捜索

◆午前4時起床.気温5.1度.米研ぎ,炊飯.いま茨城県南に雨雲がかかっているようだけど,夜中に雨が降ったのか,と外を見てみたら確かに道路が濡れている.それで冷え込みが緩んだか.午前6時の時の鐘.雨上がりの曇り空.気温4.9度.きりきり乾いた冷え込みはないが,からだの芯に染みこむ寒い朝.午前8時の観音台は気温6.0度の肌寒さ.今朝の最低気温4.5度からほとんど上がっていない.そこかしこに水たまりが残っていて,朝日が雲の向こう側にちらちら見える.しかし,晴れそうにはない.

◆[系統樹曼荼羅]本日の集音: HONZ「『系統樹曼荼羅』新刊超速レビュー」(2012年11月22日).ありがたやありがたや.「異常な密度で書き込まれているものも多く、じっと眺めているだけでも飽きることはない」と評されているが,この点に関しては肉眼だけではなくルーペを駆使して高精細印刷を“解読”することをお勧めしたい.本書の中でもっとも細かい活字は,pp. 182-183 の「コンピューター・プログラミング言語の系統樹」だろう.見開きで掲載されている図版は遠目には“微粒子”にしか見えないだろうが,十倍程度のルーペまたはビノキュラーを使えば極小フォントをすべて読むことができるはずだ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 微小┣┣" どもの征伐:12月1日の『生物科学』編集委員会は欠席連絡.この日は予定が重なりすぎ./大分県からの依頼出張文書が今になって届く.企画戦略室に提出./分会から次期選出委員の選出依頼あり.いまムリ./RP成績検討会の提出書類は「来月┣┣" 箱」に格納した./来週の大分湯煙統計巡業のしたくはおしまい.問題は豊後の国から帰ってきた翌日に定例都内出撃があることで,その講義準備を今日すませておかないとシャレにならん.東大はハンドアウト準備終了.玉川大は幸いハンドアウトなし.

◆[欹耳袋] The Conversation | Explainer: what is biological classification? | 20 November 2012.

◆真昼の┣┣" 撃ち —— 宮崎県からの統計コンサルタント業務.詳細は来月の日向地鶏統計巡業(後半戦)のときに説明しよう./せっかくお昼前に未処理メール箱を一掃処分できたと思ったら,本郷から来年度のシラバス提出よろしくねというメールが届き,はげしく orzorzorz.瞬殺で来年度シラバスを二号館に打ち返した.これで心置きなくお昼休みを満喫できるだろう.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 捜索難航が懸念されていた,とり・みき『街角のオジギビト』(2007年1月25日刊行,筑摩書房,東京,172 pp., ISBN:978-4-480-81654-2 → 書評・目次版元ページ)は,向こうから自発的に出頭してきてくれたのであっさり解決.よかったよかった.『街角のオジギビト』は文化系統学の観点から見てとても興味深い事例.とくに,「オジギビト系統樹」(pp. 35, 62)は方々の学会講演やシンポジウムで使わせてもらった./もう一件,石川雅之『もやしもん』のとあるコマを発見するミッションの方がやっかい.だって,最初から単行本を通読しないといけないし.それが解決しないことには農環研サイエンスカフェに暗雲がぁ.しかし,二度読みは効率高し.すぐに該当コマに到達できた.よしよし.

◆夜は王祿の愉しみ —— うすら寒い夜,このまま師走になだれこむような空模様.明日は雨になるらしい.夕餉に開栓したのは,東出雲〈王祿〉の「意宇」23BY純米大吟醸無濾過生原酒.ハイランクの〈王祿〉は一升瓶しかないことが多いが,たまたま四合瓶があったのでよかった.うー,お気に入りの蔵元でも,「意宇」や「相伝」ともなればさすがに別格の美味さ.連休中のお愉しみがまた増えた.

◆[系統樹思考]本日の反響:本に溺れたい「《経済成長》から《知識成長》へ(後編)」(2012年11月18日).現在が過去によって,そして過去が現在によって,それぞれの「解釈」を変えることはあるだろう.過去に関して立てられた仮説がデータ(証拠)によって更新されていく推論プロセスは,まさに現在から見た過去の解釈を変える過程だから.前記事「系統樹思考は歴史学的思考か?」(2012年1月26日)の中で,評者は「私が歴史を知りたいのは、「失われた《過去の意味》を発見するため」となるように思う」と述べている.その点についてはワタクシも同意する.その上で,ワタクシは,過去のもつ「意味」ではなく,証拠に基づく過去の「復元」が系統樹思考に導かれた推論の中核を形成していると指摘する.

◆本日の総歩数=6595歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.7kg) / 30.3%(−0.4%)


21 november 2012(水)※根津のたいやきは長蛇の列

◆午前4時半起床.米研ぎ.気温は1.3度.寒い夜明け前.夜明け前の朝焼け.今朝の最低気温は0.7度か.しかし,北風が強すぎて,体感的にはきびしい.今日は本郷出撃日.

◆朝の┣┣" 撃ち —— 計量生物学会対面理事会,12月1日(土),14:00~16:00,東京理科大学 神楽坂校舎 232教室(2号館3階).玉川大の補講と重複しているので欠席と返事した./自然史学会連合総会,12月22日(土),13:00〜15:00,東京大学総合研究博物館 ミューズホール.こちらは出席と返信完了./新┣┣" 漂着.生物地理学会のシンポジウムの企画ねー.

◆[欹耳袋]「研究者コミュニティの「限界集落」化について(続)」.一般社会の「限界集落」問題と,研究者コミュニティや学会の「限界集落」とをどれくらい並べて論じていいものか迷うところはある.共通部分(高齢化と人口減少による社会システムの劣化)には共通解がありえるのかもしれないが.単にウワベだけの言及なのではという批判は確かに当たっているだろう.

◆本郷出撃 —— 午前10時半,つくば駅.真っ青な冬晴れ.気温11.2度でも,吹き付ける北風が冷たい.空気が乾ききって静電気飛びまくり.では,これから本郷へゴー.正午前,千駄木着.北風は冷たいがとてもいい天気.不忍通の往来堂書店に『系統樹曼荼羅』が並んでいるのを確認だん.昼休みの行列ができる前に〈根津のたいやき〉へ.あっという間に待ち客の列が伸びて,15人あまり.その後,東大農学部へ.都内の正午の気温は13.4度.北寄りの風.根津神社や弥生キャンパスの銀杏は色づきがいまひとつ.焼きたてのたいやきから湯気が立つ.さて,専攻教員会議までの一休み@三号館内某室.午後1時,専攻教員会議へ.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝!:松田裕之『海の保全生態学』(2012年11月5日刊行,東京大学出版会[ナチュラルヒストリーシリーズ],東京,viii+205 pp., 本体価格3,600円,ISBN:978-4-13-060194-8 → 版元ページ).

◆午後3時半に専攻教員会議と専攻会議が終了.安田講堂改修のため,来年の卒業式は有明コロシアムで開催されるらしい.根津神社横をS坂を下って,千駄木の横丁に隠れた〈結構人ミルクホール〉に潜り込む.サンタカタリーナ深炒りで珈琲充.「チャーシュータマゴサンド」という新メニューがあった.いつもならきっと注文したにちがいないが,昨日の背徳ラーメンのせいで今日はムリ〜.しかも,「二郎インスパイアー系」って書かれてたし,ちょっとムリ〜.

◆[蒐書日誌]空犬(編)『千駄木の本屋さん:往来堂の十五年』(2012年5月1日刊行,Studio Sky Dog/往来堂書店,16 pp.,本体価格95円 → 目次).往来堂書店オープン15年記念冊子.店に入って右側にある “ウォール” を「文脈棚」と店長が呼んでいることを初めて知った.往来堂に来たら,まずはじめに「文脈棚」をざっとブラウズするのが習慣になっている.既存の図書分類を超越したこういうウォールを造れるのはさすが.オープン15年記念冊子.店に入って右側にある “ウォール” を「文脈棚」と店長が呼んでいることを初めて知った.往来堂に来たら,まずはじめに「文脈棚」をざっとブラウズするのが習慣になっている.既存の図書分類を超越したこういうウォールを造れるのはさすが.

◆午後4時半,薄暮のうちにつくばに帰ろうか.午後7時前,つくば着.夜の闇を東風が吹きぬける.気温は5度台.この下がり方はいったい.予報では雨が降るようなことを言っていたけど.明日朝イチの仕事は,とり・みき『街角のオジギビト』(2007年1月25日刊行,筑摩書房,東京,172 pp., ISBN:978-4-480-81654-2 → 書評・目次版元ページ)を探索すること.しかし,去年の大震災で居室本棚が崩落して以来,行方知れずになったまま.この捜索は大仕事になるかもしれない.

◆本日の総歩数=8464歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(+0.9kg) / 30.7%(+0.1%)


20 november 2012(火)※夜なべの仕事は今日のため

◆昨夜は夕食後すぐに寝て午後11時半に起床.観音台に直行した.明日正午までの12時間が勝負.午前零時の気温はすでに2.1度まで下がっている.オリオン座がくっきり見えるので明朝は放射冷却してひょっとして氷点下かも.夜明け前のつくばは油断すると寒さ負けするので要注意.真夜中の研究室BGMは John Coltrane Quartet の〈Crescent〉でキマリだ! 真夜中の研究所は時間がどんどん過ぎていく.スライドをちくちく作り続けるお仕事.午前1時の外気温は「1.6度」まで低下.居室はまだ16度なので凍死の心配はない.

◆午前5時の気温1.6度.研究室の窓越しに明け方の冷気が忍び入る.夜明け前のベーグル.本日のサイエンスカフェ公開練習「生き物の世界を分類するまなざし」のためのスライド70枚完成.pdfにして100MBほど.実質1時間のトークなので分量的にはこれで十分なはず.「公開練習」と銘打たれているものの,ワタクシ的には練習ではなく本番の初回.というのも,原稿があるわけではなく,持ち込み品もないので,来月の本番は公開練習とはぜんぜんちがうだろうから.農環研的には「本番のための事前練習」という趣旨なのだろうが,ワタクシ的にはそういうつもりはぜんぜんない.トーク用のスライドはあっても,講演原稿なんぞ影も形もない.公開練習と本番では improvisation が同じであるはずがない.午後6時前,出勤簿にハンコを押してくるか.新規スライドを増やし,7枚追加で107MB増大.圧縮して16MBにした.計77枚.これでスライド作りはやっと終わったかな.朝の最低気温は午前7時前の0.8度か.氷点下にはならなかったものの,農環研居室は十分に寒い.

◆[欹耳袋]統計三題 —— Wolfeyes Bioinformatics beta「「データ解析のための統計モデリング入門」読書ノート」./〈統数研チャンネル〉というニコニコチャンネルがあったとは.次回は「マルコフ連鎖モンテカルロ法の基礎・第1回」か.ん,イバさんが噺役? /Google's R Style Guide to make our R code easier to read, share, and verify.

◆農環研サイエンスカフェ公開練習「生き物の世界を分類するまなざし」 —— 午前10時前,あと一時間ほどしたら,農環研サイエンスカフェ「公開練習」の会場に出向くとしよう.昨日の時点での本番の参加申込者は「18名」とのこと.サイエンスカフェの達人から中学二年生まで年齢分布はかなり広い.定員は30名だが,本番まであと二週間あるのでまだ増えるのだろう.先日,会場の〈ウィズガーデンつくば〉の下見をしてきた.天上が高いので声が通るかどうか.スライドを用意はしたが,あまり頼りにしない方がいいだろう.演者とオーディエンスとは離れていない方が望ましい.農環研サイエンスカフェ公開練習「生き物の世界を分類するまなざし」は正午から453会議室にて.正午前から会場にてしたく.正午きっかりに館内放送があって,お客さんがぽつぽつと集まり始める.正午過ぎから一時間ほど公開練習.午後1時過ぎにおしまい.用意したスライドの2/3ほど使った.全部で26名集まったとのこと.その後の意見交換で全体構成と個別内容に関する改善箇所についての検討.午後1時半前に解散.こういう interactive な場では内容と時間の配分も「噺家」の力量しだい.サイエンス・カフェはラクじゃない.

◆昼下りの背徳 —— 昨夜午前零時から始まった突貫作業12時間の末,昼休みを返上してのサイエンス・カフェ公開練習が終わり,やっとブラック農環研から解放されたのが午後1時半のこと.夜明け前のベーグルひとつではさすがにおなかがすいたので,かなり遅めのランチに出かけたのだった.

午後1時前には本日の最高気温17.7度に達し,北風もなく日差しが暖かかった.行き先は上横場にある〈明神角ふじ〉.看板メニュー「ふじ麺&バカ豚」を注文.そびえ立つ「山」の本体は盛り上がるもやし.その外壁を取り囲む厚切りチャーシュー8枚,頂上にはおろし生ニンニクがトッピング.水面は背脂に覆われている.麺は色黒の極太,噛みしめるアゴの力も必要.店の人にも「ニンニク,大丈夫?」と念押しされたんだけど,夜になってもニンニク臭さがなお濃厚に残っていた.社会のメイワク,家庭のメイワク.背脂たっぷりスープはさすがに残した.「大盛り」&「アブラ増し」&「野菜増し」という地獄オプションは踏みとどまったので,情状酌量の余地があるにちがいない.

これはもはや口外できないレベルの背徳度の高さ.非合法.中毒になると病院行き.闘争心がないと完食できない.近寄ってはならない食べ物がこの世にはたくさんある.背徳ラーメンの常習性はキケンすぎる.ラーメンに人生を賭けてはいけない.

◆[欹耳袋]〈Hennig XXXII〉2-7 August 2013, Universität Rostock, Deutschland. 来年はドイツ北辺の旧ハンザ同盟都市を逍遥しよう.

◆帰宅してからはまったく使いものにならないポンコツ.今日はパーフェクトに真っ白に燃え尽きたな…….明日は本郷で北風に吹かれることにしよう.

◆本日の総歩数=5442歩. 朝○|昼×|夜○. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


19 november 2012(月)※真冬の寒さにひっそり活動

◆午前5時前起床.すぐにお米を研いで朝ごはんの用意.気温5.9度.寒々とした灰色の曇り空が広がる.午前6時の気温は5.5度.木枯らしの翌日に冬が来た.冬曇りの観音台は明け方の最低気温4.8度からほとんど上がらず,午前8時のいま6.4度.予報では一日中この肌寒さが続くとのこと.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 明日のサイエンス・カフェ「公開練習」のためのしたくをしないといけない.でもスライドがまだぜんぜんできてないんですけど(泣)./農大の昆研OB会ニュース最新号を見たら,今年の研究発表会&極大忘年会は12月23日に朝から晩まで決行するとのこと.クリスマスイヴを厚木の丘の上で迎える関係者は少なくないにちがいない.さて,ワタクシはどーしようかな.

◆昨日,大徳寺門前の〈松屋藤兵衛〉で勝った「味噌松風」.ずいぶん前からお気に入りの京菓子.他の店の味噌松風だったら京都駅やデパートでも買えるが,ここの松風は大徳寺まで足を運ばないことには買えない.見ての通り,カステラのようなふわふわした生地に味噌ダレ,白ゴマをトッピング,そして塩気の強い大徳寺納豆を砕いてあしらっている(真っ黒のつぶつぶ).紫野まで足を運ぶのはたいへんなのだが,わざわざ来るだけの価値はある.ここの松風は裏千家のお茶会に使われているとか.店構えが小さいのでうっかり通り過ぎないように.運が良ければ松風の切り落とし「福耳」がもらえる.

◆[欹耳袋][欹耳袋]「国際高等教育院」構想に反対する人間・環境学研究科教員有志〈京都大学の自由の学風のために〉 |「(仮)京大学生会議」のツイッター・アカウント @think_kyodai

◆午前11時の気温が「6.9度」って寒すぎる.暗い曇り空が広がって,農環研もひんやりと静かに沈む月曜日のお昼前.明日のサイエンス・カフェ公開練習のためのしたくをちくちく進めている.古い博物学書が積み上がっていくのはいいんだけど,これ全部もちこんだら五十肩が悪化しそう…….午後2時の気温8.2度.確かに真冬並みの寒さ.やっと薄日が差してきたようだが.一世紀前の古書たちが机の上に積み上がっている.明日の準備.うう,困った.明日の高座準備が終わりそうにない…….いったん帰ってから,夜,出直しだー.

◆[欹耳袋]研究者コミュニティの「限界集落」化について(続) —— 大学や研究機関に余裕があった時代は,研究環境にも「フトコロの深さ」や「大きなのりしろ」があったが,今ではそういう “遊び” の部分がどんどん削られている.すべて白日のもとにさらされて,炎天下なのに逃げ場がない状態と言うべきか.

並行して,学会にも「限界集落化」の大波は押し寄せる.小さくても大きくても,学会であるかぎり,中心的に動く誰かがその負担を担わざるを得ないので,高齢化による「限界集落」の縁にある学会ほどこれから苦しくなっていくだろう.昨年暮れに「解散」した財団法人日蘭学会のような事例もこれからはきっと出てくるにちがいない.

増えすぎた学会を減らすことは,いまの学会関係者ならば誰もが一度は考えることである.複数の関連学会による合同年次大会はそういう必要性から実施されているのだろう.さらに進めて,学会員が大きく重複している学会群はいっそひとつにすればいい.学会員にとっては学会費の負担軽減と大会の日程調整がラクになるだろう.もちろん,学会を支えている層にとっての根本的な負担軽減になることは言うまでもない.

新しい学会が生まれるときは鳴り物入りで宣伝されるが,学会を立ち上げた創始者(発起人)たち自身は,「生き物」としての学会が老化したり死ぬことは何一つ想定してはいないはず.その「負の遺産」を継承するのは次世代の学会中枢にほかならない.学会の実務的な仕事は片手間にはできないので,学会の合併はいい傾向だ.ただし,学会長ポストをどうするかという問題が実はもっともやっかいな案件だったりする.いったん分かれた学会を統合するにあたっては,学会を分けた当事者たちがこの世からいなくなるか,リタイアしたあとにイッキに進める必要があるかもしれない.

—— 研究者は雲や霞を喰う不老不死の仙人ではない.等身大の科学者は生身の人間である.

◆午後5時過ぎにいったん帰宅.夕食後,速攻で早寝した.すべては真夜中からの勝負にかかっている.

◆本日の総歩数=3201歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=92.8kg(−0.4kg) / 30.6%(−0.1%)


18 november 2012(日)※紅葉とあぶり餅の洛北散策

◆午前6時過ぎに目が覚めた.昨日の京都ミッションで,古くて重い仏壇を移動したせいか,肩と腕の調子がとてもワルイ.天罰かはたまた仏罰か.夕方までは雨足が強かったが,暗くなってから雨あがり,瀬田に着いたら止んでいた.今日はもう降らないでね.滋賀県はすっきり晴天.琵琶湖がよく見える.午前8時にチェックアウト.山科経由で宇治のミッション最前線基地に向かう.今日も朝から仏壇返しだ.

◆[欹耳袋]研究者コミュニティの「限界集落」化について —— 先日の所内領域会議でも話題に出たことだが,来たるべき(と思うけど)独法再編にともなって,農水省系の独法研究所がどういうふうになるのかの具体的なプランは「何もない」のが現状らしい.「上」の方でミーティングはやっているようだが.シミュレーションなしの夢物語だけ.過去に繰り返された組織改編でも似たような状況だったので,下々は誰もが「ああ,またか……」という諦観の空気がすでに流れている.下の方でいろいろ意見を出したり,案を作ったりしても,天上から降ってくる鶴の一声ですべてが決まるということ.この件に関してはあまり深くコミットしてもしかたがないという智慧を誰もが身に着けてしまった.

ただ,身の回りの研究環境の着実な変化(研究資金・物的資源・マンパワーの劣化)を考えたとき,かなり切実に研究者コミュニティーの「限界集落化」をひしひしと感じ始めている.国立大学もそうだろうが,独法研究所も研究員の平均年齢は着実に上がっている.若手ポストがほぼすべて「任期付き」なのはどこもそうなのだろう.問題は年長世代の任期無し研究員が担うべき仕事がうまくまわらなくなっているという意味での「限界集落化」だ.単純なことで,10人の研究員が8人になることと,もともと3人が1人に減らされるのでは,たとえ減り分が等しくても影響は後者の方がはるかに深刻.というか,何もできなくなるって.

限界集落の発生は研究機関としての規模の大きさとはまったく関係ない.たとえ何千人もの研究者を抱える機関であっても,ローカルには「限界集落」はいつでも発生する可能性がある.研究者の「限界集落」の中でどのようにサバイバルしていくか.とりわけ,マイナーな研究分野は「限界集落化」しやすい.他人事ではない.学問分野や研究機関によってちがいはあるだろうが,「研究してデータ取って論文書いて」という研究者としてのコアを取り巻く周辺的な仕事が年々増えてくる.

いつだったか,研究所の所内会議で,公費購入雑誌の今年度削減案についての報告があった(毎年減らされているので).事前に職員にはアンケート調査(という名のガス抜き)があるので激昂するようなことではもはやない.それでも研究上「ないと困る」ジャーナルが切られるのは切実.ずっと続いている購入ジャーナルの削減傾向は今後も変わらないだろう.その先に何があるか.公費購入雑誌はそのうちゼロになり,必要な論文は研究員個人が個別に公費で「物品購入」するようになるのではないかと領域長は示唆した.非現実的とは言い切れないのがいやはやなんとも.

研究所の図書室が公費購入しているジャーナルだけの問題ではない.ワタクシの研究室でも公費購入雑誌が数誌あるが,年々上がっていく法人価格での年間購読料は研究交付金の財政圧迫の大きな要因となってきている.そろそろやめようかとも思っている.しかし,ワタクシの研究室で購入しなくなると,オンライン雑誌のバンドル契約でとても困ることになると,図書室から頼み込まれて購読し続けているジャーナルがあるのも事実.しかし,そろそろ支えきれなくなってきた.

お金のことだけ言えば,ジャーナルの法人契約ではなく個人契約にすれば,購読料ははるかに安くなる.これは学会誌でも同じこと.極端なことをいえば,研究室単位では公費購入を全部やめて,研究者が私費での個人購入をした方が大局的には「安上がり」なこともある.ただ,学術誌(専門書もそうだが)について,公費購入から私費購入への移行をお金の点からのみ判断して突っ走ってもいいのかという問題は残る.紙本から電子本へと軸足を移しつつある研究所の図書室が公費購入から手を引いたら,その存在意義はまったくなくなるだろう.公的機関のライブラリーは「図書」というそれぞれ独自の継承資産が存在意義という価値の大きな部分を占めるとワタクシは考える.それをいったん手放したら,端的に言えば「なくてもいいじゃん」ということになる.

ワタクシの場合は,かなり前から,研究上必要なジャーナルと書籍はすべて私費購入しているので,研究機関のライブラリーへの依存度は相対的に低いかもしれない.それでも,図書室が年々やせ細っていくのを見るのは忍びない.

以前,研究上の図書資料の行く末をめぐる問題点について,「研究上のライブラリーはいかにして生き延びられるか?」という文を書いた.しかし,マイナーな非典型研究分野(→ Cf: Togetter -「典型的研究分野」と「非典型的研究分野」)が組織の中で「限界集落化」という新たな事態を迎えるとき,単に図書資源にとどまらず,もっと広範かつ根本的なリスクが高まりつつあることを感じる.

学問領域は「生き物」なので,栄枯盛衰があるのは世の必定であることはわかっているのだが,昨今の「選択と集中」という強力な淘汰圧の帰結が見もの.研究の内容とか意義とは別の次元で,研究者コミュニティーの「限界集落」がまるごと “悲運多数死(decimation)” に追い込まれる結末が危惧される.それは研究者の責任ではけっしてないだろう.かぎられた研究リソースをめぐる生々しいパワーポリティクスを前にして,残された道は潔く退場するかどこかに立ち去るしかないのかもしれない.

◆宇治から洛北へ —— 今日も朝から仏壇返しと性根入れで半日があっという間に過ぎた.性根を抜いたり入れたり,くるんで梱包したり送り出したり.朝のうちは晴れていたが,午後になって雲が広がり,北山の方からときおり小雨が降る空模様だった.今宮神社の境内は燃えるような紅葉のクライマックス.参道のあぶり餅屋は長蛇の列が伸びていた.そういえば,今宮神社は七五三のおめかしした子どもたちや,結婚式後の新婚さんで小雨に濡れる境内が華やいでいた.初冬の洛北は趣ありまくり.そういう光景を横目にあぶり餅をひたすらばくばく食べるのもまたよし.竹串に刺して炭火で炙られた餅に白味噌のたれ.何本でも食べられる.今の時期の京都は紅葉狩りでどこも大混雑.今宮神社もいつになく賑わっていた.その後,大徳寺境内を横断して,門前の〈紫野藤兵衛〉にて松風を買う.真っ黒な大徳寺納豆が乗った松風はここだけの逸品.夕方,激込みの京都駅から新幹線に乗る.つくば帰還は午後9時前,をを,センター広場のクリスマス電飾が点灯してるじゃないか! 左腕の鈍痛としびれがしだいに悪化.近日中に整体にでも行くしかないかも.

◆本日の総歩数=12168歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


17 november 2012(土)※町田から京都への雨の長旅

◆午前5時起床.気温5.5度.昨日ほどではないが,冷え込みがきびしい.今日はまずはじめに玉川大学の補講に出撃.午前8時前につくば駅から乗り,新宿駅へ.

曇り空の都内は午前9時の気温が12.4度.日が差さないので肌寒い.成城学園前通過.都内はまだ雨は降りだしていないが,西からの巨大な雨雲がそろそろ到達しそうな気配.多摩川を渡って登戸.さすがにこの空模様では富士山は見えない.玉川学園前.雨が降ってきた.補講開始までにはまだ時間があるので,駅下の〈ドトール〉にてエスプレッソを.雨は降ったり止んだりを繰り返している.

今日の補講はいつもの教室ではない.大学9号館の位置確認.キャンパスが広大かつ起伏があるので,迷子になるともうたいへん.そろそろ大学へ出撃しよう.曇り空.講義室にて演習用データファイルのしたくなど.暑いと思ったらもう暖房が入っている.補講は11:00〜12:50.MEGAを使った分子系統解析の演習をした.

今日の講義で気づいたこと:1) MEGA 5.05 for Mac 想像以上に頻繁に「落ちる」.アラインメントしては落ち,樹形探索しては落ちる.そのうち落ち慣れてしまった…….2) MEGA 5.05 for Win で heuristic 樹形探索させると(29OTU×850bp),プログレスが「3%」のまま進捗がなくなることがある.同じ計算環境でも異なる.ハングアップしたわけではなく,数分後いきなり瞬時にして探索終了する.MEGAってフシギ…….

◆[蒐書日誌]玉川大学教育博物館『石に描かれた鳥たち-ジョン・グールドの鳥類図譜』(2012年11月5日刊行,玉川大学教育博物館,東京,224 pp., 税込価格2,000円).

◆[欹耳袋]ウィキペディアだけに頼って知識を得るのは褒められたことではないかもしれないけど,複数言語を見比べればちゃんと書かれた項目も確かにあるわけで,そういう「言語の壁を超えた選択眼」をもつことは益になる.各ウィキペディアの左欄外に列挙されている「言語選択肢」をちゃんと使いこなせるかどうか.日本語と英語だけしか使っていないというのはあまりにもったいないと思う.たとえ同じ項目でも,言語によって,詳しさや正確さそしてつくりこまれ方がずいぶんちがっている.もっとも詳しい記述が日本語や英語である保証はどこにもない.

◆町田から京都へ転戦 —— 講義が終わった玉川学園ではまだ降ったり止んだり晴れ間も見えた.傘をさすまでもない降り方.しかし,町田あたりでしだいに本降りに,そして横浜線に乗り換えて新横浜に着いたら土砂降りになっていた.新幹線ホームに雨が吹き込んでくるほど.崎陽軒の特製シュウマイとヱビスビールを小脇に抱えて,いざ京都ミッションへ.車中背徳之圖.琥珀ヱビス開栓 ugug→ぶはーっ→崎陽軒特製シュウマイmgmg → ビール ugug → シュウマイ mgmg → 追加シュウマイ召喚 → (mgmg → ugug)※無限ループ.名古屋通過.東海地方も本降りの雨が降り続いていた.京都もざんざか降り続いているようで.午後4時前,京都駅着.冷たい雨が降り続いている.鴨川も疎水も水量が多い.東山から北山にかけて雲におおわれている.さて,奈良線に乗り換えて,京都ミッション始動.今回は「仏壇返しオペレーション」に従事する.夜まで肉体労働.雨はしとしと降り続いている.

「性根を入れた仏壇」は多くの宅配業者の取扱対象「外」であることを初めて知った.「性根を抜いた仏壇」は空き箱と同じ扱いなので自由に送れるが,性根が入ったことがわかったとたん手のひらを返される.遠方に実家がある人は要注意.宅配業者の話では,性根入りの仏壇を扱わないことは正式な決まりごととして社内周知されているとのこと.「遺体」や「遺骨」と同じ扱いということか.要するに,配送作業中に万一事故があったときに「取り返しがつかない」ので対象外指定されているとのこと.研究者は実家を離れて生活する時間が長いことが多いので,実家地域の冠婚葬祭などの世事の決まりごと(不文律も含めて)に疎くなるリスクが高くなる.知らないものはしかたがないので,周囲に尋ねまくって試行錯誤を繰り返すしかない.

◆京都ミッションののち,瀬田へ転戦.雨は小止みに.仏壇返し作戦で疲弊したので,久しぶりに駅前の〈ぎゃれ楽坐〉にて滋賀の銘酒〈薄桜〉〈藤兵衛〉〈七本鎗〉〈不老泉〉〈北島〉と飲みまくり,さらに京都〈玉川〉の「人喰い岩」をがんがん飲んで厄払いをしたら,ホテル帰還後に即寝落ち.夜中近くに目が覚めてしまった…….しかし,ちゃんと二度寝しないと翌日のミッションに支障あり.

◆[欹耳袋]NTT出版・勁草書房共同企画「文化系統学への招待」フェアの特設ページ: NTT出版勁草書房./『文化系統学への招待』とか『系統樹曼荼羅』とか,リアル書店のどのコーナーに配架されているかは興味津々.

◆本日の総歩数=11473歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


16 november 2012(金)※ほぼ氷点からの研修最終日

◆午前4時半起床.気温2.5度.寒〜.お米研いで,鮭焼く〜.午前6時に最低気温0.6度.ほぼ氷点ですな.床暖オン.冬晴れ観音台は日に日に落ち葉の量が増えている.国道408号沿いや農環研敷地に植わっているフウノキも紅葉から落葉ステージに移行した.午前8時の気温は6.8度.全館暖房が入るまでにはまだ一週間以上も待たないといけない.

◆朝の┣┣" 撃ち —— 東京化学同人から『動物行動学辞典』のゲラが北風に乗って着弾なう.まずは「系統学」と「分岐図」の二項目.「分岐図」の図版はすぐにアイデアが浮かぶが,「系統学」の図版をというリクエストは難物すぎる./生態学会静岡大会での自由集会〈道具としての「形態測定学」〉企画が通ったとの連絡.2013年3月5日(火)15:30~17:30/領域忘年会は12月27日(木),デイズタウン内〈創懐彩匠なかやま〉,18:30〜.今年ももう終わりかぁ(おい)./宮崎からの統計質問に答える.詳しくは現地で./フトコロが厳しくなってきたので某方面に打診.OKとの返事をもらって一安心.

◆[欹耳袋]R: Normality Tests ※たくさんあるなぁ.統計ツールは日進月歩というか八幡の藪知らずなので,調べれば調べるほど戻ってこれなくなる…….

◆昨日のコマバ高座の質問からピックアップ ——

  • #TodaiStat 【質問】「分散分析をスルーして,多重比較をダイレクトにやればいいんじゃないですか?」※同様の質問複数/【回答】目的によるでしょう.実験要因の全体としての効果の有無を検定するのが分散分析ですから,まずはこの段階で解決できる問題は確かにあります. posted at 12:27:37
  • #TodaiStat 【回答】(承前)講義では,その先の処理水準間の平均値の比較を次なる目的に設定しましたので,順番として分散分析の「後」に多重比較をもってきました.場合によっては,データからダイレクトに多重比較を攻略するというやり方は「あり」です. posted at 12:30:17
  • #TodaiStat 【質問】「F値が大きなときに帰無仮説を棄却することはわかりますが,棄却域はなぜ「5%」とか「1%」なのですか?」/【回答】「5%」や「1%」という値そのものには積極的意味はありません.むしろ,かつて用いられた「統計数表」のフォーマットの名残りでしょうね. posted at 12:33:45
  • #TodaiStat 【回答】(承前)現在では,「5%」や「1%」という閾値ではなく,「P値」つまり「帰無仮説のもとでF値以上になる累積確率」を表示することが多いです. posted at 12:34:48
  • #TodaiStat 【質問】「どちらの仮説を帰無仮説とするか対立仮説とするか迷うことがあります」/【回答】実験計画を立てるときのレイアウトに準拠した確率モデルを見ながら帰無仮説の設定をするのがふつうのやり方だと思います. posted at 12:36:56
  • #TodaiStat 【回答】(承前)ただし,あとの講義で取り上げる「モデル選択論」の観点からいえば,帰無仮説 vs. 対立仮説という仮説検定の Neyman-Pearson 的フレームワークは再考の余地があります. posted at 12:38:35
  • #TodaiStat 【質問】「レジュメに分散比F値とF検定(2)(3)のスライドが載っていませんでした(泣)」※同様の懇願多数./【回答】次回の講義で配りますぅ〜 posted at 12:40:34
  • #TodaiStat 【質問】「農学部の生物統計の講義ではRをばりばり使って課題をやっているそうです」/【回答】一号館の岩田くんだろーか.ワタクシとしてもそういう講義の方が望ましいんですけどねー. posted at 12:42:40
  • #TodaiStat 【質問】「┣┣" って何ですか?」/【回答】「ToDo」です(キリッ). posted at 12:43:28
  • #TodaiStat 【感想】「駒場祭,がんばります」/【返事】( ´ ▽ ` )ノ posted at 12:44:26
  • #TodaiStat 【感想】「The Cell に勝てたら『科学と証拠』を読んでみようと思います」/【返事】をを!まずは駒場の生協書籍部でブツを手にとってみて下さい. posted at 12:45:56
  • #TodaiStat 【補足】「分散分析(ANOVA)」と「多重比較」に関してはどんな統計学の本にも書かれているので,参考書にはことかかないでしょう.ただし,日本語のウィキペディアに頼るのは禁物. posted at 12:52:36
  • #TodaiStat 【補足】(承前)日本語のウィキペディアの「分散分析」 http://ow.ly/fkJDt を見るくらいなら,英語版Wikipedia の「Analysis of variance」 http://ow.ly/fkJF8 をしっかり読むこと. posted at 12:54:44
  • #TodaiStat 【補足】(承前)同じく,日本語ウィキペディアの「多重比較 http://ow.ly/fkJHY を見るくらいなら,英語版Wikipedia の「multiple comparisons」 http://ow.ly/fkJJB をしっかり読むこと. posted at 12:56:09

◆お昼休み.早くも筑波事務所の統計研修会場へ.午後イチの質疑討論に臨む.まずは,午前中ずっとべいづ洗脳に従事された先生にサインをする機会を得た.お買い上げ感謝です.午後1時過ぎからの数理統計研修(応用編)の質疑討論を小一時間.質疑討論で印象に残ったやりとり:【質問】「ベイジアンMCMCが多用される時代になったことはわかるのですが,頻度主義的なこれまでの統計モデリングからあっさり宗旨変えしてもいいものなのか?」/【回答(みなか)】エンドユーザーにとっては頻度主義だろうとベイズ主義だろうと,たいしたちがいはありません.エンドユーザーは,ベイズ法の普及によって,データ解析のツールボックスの中身が増え,これまで諦めざるを得なかった複雑な統計モデリングがベイジアンMCMCを使ってできるようになったことをまずは喜ぶべきでしょう.もちろん,ベイズ推定された結果をどう解釈するかとか,事前情報って何さ?に疑問をもつようになれば,頻度主義 vs. ベイズ主義 vs. 尤度主義の三つ巴のドロ沼が口を開いているんですけどね./【回答(たけざわ)】ベイズを使えば「たった一点のデータ」からでも推定できますからね(おお!と声があがる).詳しくは,ソーバー『科学と証拠』のベイズ主義の節を見るように.

—— とても勉強になる質疑タイムだった.質疑討論を終えて,農環研直帰.

◆[欹耳袋] CNN.co.jp 「日本は有給未消化が突出、欧州はほぼ完全消化 休暇実態調査」(2012年11月16日).確かに,自分を振り返ってみても,有給休暇はあまり有意義な使い方をしていないもんなあ.それでも,年休消化率だけはきっちり高いのは,やむをえずそうなってしまっているという事情があるから.

◆午後4時過ぎ,夕日に染まる観音台.今週もそろそろおしまいが近づき,すでに半分ほど白く燃え尽きている実感ありまくり.そろそろ撤収タイムかな.夕焼けグラデーションの上に,釣り針のように細い三日月がぶら下がり,すとんと夜の闇が落ちてきた.

◆本日の総歩数=6398歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.2kg) / 30.7%(0.0%)


15 november 2012(木)※冬晴れのジョン・グールド

◆午前4時起床.気温2.6度.もっと冷え込むにちがいない.もちろん今季最低気温の更新は確実.布団や毛布とシームレスに一体化するしかない明け方.午前5時前に気温2.0度まで下がった.生秋刀魚に塩を振って焼こう.晴れて冷え込む明け方.朝焼けグラデーションなう.もう起きている人は窓の外を見よ.

◆[欹耳袋]大学ネタふたつ —— 日本報道検証機構「「山梨大 4年後ほぼ全講義英語化」の事実なし」.新聞報道に振り回される愚はもうやめよう./Togetter -「京都大の「国際高等教育院」構想に対する反応」.Life finds its own way!

◆[蒐書日誌]Robert A.Wilson, Frank C.Keil 編[中島秀之監訳]『MIT認知科学大事典』(2012年11月刊行予定,共立出版,東京,税込価格39,900円,ISBN:978-4-320-09447-5 → 版元ページ).1999年に出版された元の本も当時二万円近くしましたけどね.辞書の翻訳は手間暇かかるし,時間もかかる.かつて修士のころに,とある動物行動学辞典の項目翻訳をしたことがあって,翻訳原稿を出してから十年近く経ったある日,いきなり完成品の事典が送られてきてビックリしたことがあった.いまはなきどうぶつ社が出した『オックスフォード動物行動学辞典』がそれ.

◆都内定例出撃日 —— 今朝の最低気温は午前6時すぎの1.6度.氷が張りそうな放射冷却だった.いつもどおり午前7時半につくば駅へ.冬晴れのセンター広場は北風が冷たい.TX通勤快速に乗る.秋葉原から新宿駅へ.都内もよく晴れて,午前9時の気温は10.9度.やはり今日は寒い出だし.ダイヤ遅延もなく,さくっと小田急に乗り換える.新百合ヶ丘で乗り換え.乗客のみなさん,さすがに冬の装いですな.玉川学園前下車.冷たい空気と真っ青な空.初冬の日差しが降り注ぐ玉川大学キャンパス.正門のポスターを見たら,学内の教育博物館ではいま企画展〈石に描かれた鳥たち-ジョン・グールドの鳥類図譜〉が開催されている.講義後に見に行こう.午前11時から,分子系統進化学の講義.今日は最節約法について説明し,MEGAを用いて実習.午前1時前に終了.明後日の土曜も補講がある.

講義後,キャンパスのさらに奥,大きなグラウンドの向こう側の付属高校の敷地内の一角にある玉川大学教育博物館に行って,ジョン・グールド企画展を〈ジョン・グールド鳥類図譜展〉を見てきた.予想以上に見応えのある企画展で,巨大な博物図譜の現物と,おびただしい数の菜食図版,さらには当時の印刷に用いられた版画石版の現物もあった.ほんとうに石の塊を彫っていたとは.ハチドリ図譜にいたっては,金属光沢を出すために金箔とニスを使って見る方向によって光沢を変化させる超絶ワザあり(確認した).図録(2,000円)がとてもりっばで驚いた.グールド鳥類図譜から「354図」をカラー印刷したもの.玉川学園キャンパスは丘陵地帯をまるごと敷地にしていて,環境がとてもいい.天気のいい日に歩きまわるにはもってこい.

◆[欹耳袋]広島はパラダイス —— 先週の統計研修で広島から参加された研究員氏からいただいた「広島市内・飲み屋情報(日本酒のみ)」をメモる.最近,広島市に行く機会がぜんぜんないのだが,今後のための参考に.まずは〈いぶしぎん〉.広島純米燗酒推進委員会加盟店とのこと.最初から「竹鶴」でぐいぐい迫られる.次は〈酒肆なわない〉.教えてくれた研究員氏はここの常連さん.隠れ家的居酒屋.さらに続く.串道楽〈楽車(だんじり)〉広島県内にかぎらず,日本酒の種類が多い.〈なわない〉か〈楽車〉で肩慣らししたあとに,〈いぶしぎん〉に攻めこむのが定番コースとのこと.広島で日本酒を買うときのオススメ:〈酒商山田〉と〈大和屋酒舗〉は市内中心部.〈石川酒店〉は宮島方面にちょいと離れてる.広島,おそるべし.

◆これまたいつもどおり経堂で途中下車し,駅前〈アイバンラーメン Plus〉にて「つけめん全部乗せ」を注文.昼日中でもこう寒いとラーメンに誘引されてしまう.その後,駒場へ.夕方の駒場キャンパスはもう西日の影が長くなっている.今日は配布するハンドアウト類が重いので肩が凝ってきた.控え室でひっそりする.本日の講義は,先週に続いて,実験計画法の本論です.実験区のレイアウトから始まって,線形統計モデルの設定,偏差の分割から平均平方そしてF値.最後にパラメトリック統計学のリクツが天上から降臨してくるまでの物語.個人的にいつもおもしろいと感じているのは,帰無仮説 vs. 対立仮説の意思決定が素朴統計学的なバックグラウンドをもっていそうなこと.Neyman-Pearson ワールドはヒトの心理を数学のラッパーでくるんだようなもの.講義室に来ればわかる実験計画法の真実!(週刊ポスト並みの煽り).午後6時前,講義おしまい.今日は完全無作為化法オンリー.おつでした.

◆朝からちょうど12時間出撃する毎週木曜は寝落ちの夜をいつも迎える.疲れているところに,熱々のお鍋と秋鹿の燗冷ましは必殺アイテム.午後11時の外気温3.2度.明朝の今季最低気温の更新は確実だな.

◆本日の総歩数=12496歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.4kg) / 30.7%(+0.1%)


14 november 2012(水)※木枯らしで気温が急速降下

◆午前4時半起床.気温7.3度.お米研ぐ〜.今朝の最低気温は4.9度.早朝の観音台はすっきり青空.駐車場から建物に駆け込んで風をよける.今夜は北からの寒気流入で,さらにぐぐっと寒くなるらしい.冬本番.

◆明け方の┣┣" 撃ち —— エリオット・ソーバー[松王政浩訳]『科学と証拠:統計の哲学 入門』(2012年10月20日刊行,名古屋大学出版会,名古屋,x+244 pp., 本体価格4,600円,ISBN:978-4-8158-0712-2 → 情報版元ページ)の書評記事:三中信宏「個別科学とともに歩む新しい科学哲学のイメージが見えてくる」の最終ゲラがメール着弾していた.これでOK.日経サイエンス2013年1月号掲載.「統計の哲学 入門」という副題は「半角空け」だったのか.ワタクシだったら「への参道」とか「へのお誘い」のように助詞を入れたにちがいない.いやいや,昨今,数々の出版賞を「総なめ」にしている名古屋大学出版会には,サブタイトルひとつにもきっと深い「読み」があるにちがいない.そうだそうだ.

◆朝の┣┣" 撃ち —— 堆積層の底で変成しつつある┣┣” どもを掘り起こすなう.不可触┣┣" 一頭は困ったなー(進捗なし)./RP成績検討会の日程は「12月25日(火)9:00〜12:00@547会議室」で決定./10:30から小一時間の領域会議.忘年会の日程調整が話題になった.しかし,その前に成績検討会という大魔神┣┣" が立ちはだかる.燃え尽きる年の瀬が接近してきた.

◆正午前,早弁してしまったので,ゆったりお昼休み.

◆[欹耳袋]研究機関の「僻地度」について —— ワタクシが総研大(葉山)に召喚されてセミナーをしたのは2007年5月のことだった.そのときは総研大構内の宿舎に泊まったのだが,「朝食を取ることはできません」と軽やかに断言された記憶がある.葉山キャンパスに行くときは食料を持参せよという教訓は今日も通用するらしい.考えてみれば,わが農林研究団地もその点では葉山キャンパスとどっこいどっこいだ.共通点を挙げてみよう:1) 最寄り駅からの公共交通機関での到達が,とくに週末は,きわめて困難.TXみどり野から農林団地中央への循環バスは,平日は走っているが,土日祝日は完全運休になる.つくバスでTXつくば駅に出るしかない;2) いったん来てしまうと,独自に「足」を確保しないかぎりずっと幽閉される;3) 時間外の食料の確保が相対的に難しい.とくに,夜間や早朝は「食糧危機」に陥る.“いなか”に隔離された研究機関はいずこも生活しにくいという共通点をもっている.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 数日前に放った「白羽の矢」がやっと届いたらしく,OKの返事あり.ありがたやありがたや.これで年明け早々のワルダクミが進捗します.さて,さらにまた白羽の矢を放つ気になった.

◆夕刻,とりあえずメールボックスから未処理┣┣" がいなくなったので,今日はこれにて撤収するか.夕暮れ時の農環研駐車場では,北西風に煽られて落ち葉がそこかしこに吹きだまりをつくっていた.体感気温低し.午後5時の気温はまだ12度台だが,これからぐんぐん下がっていくのだろう.夕餉はシンプルに,お蕎麦に生わさびをすりおろしてぴりりと.〈秋鹿〉の純米吟醸は燗冷ましを用意した.昨夜はお祭り,今夜はお休み.

◆[蒐書日誌]瀧口美香『ビザンティン四福音書写本挿絵の研究』(2012年11月刊行,創元社,大阪,税込価格8,400円,ISBN:978-4-422-14383-5 → 版元ページ).写本の系譜と図像に関する解析がされているようでちょっと気になる新刊.

◆[欹耳袋]ジェーン・グドール博士公開講演会『Reason for Hope』.2012年11月19日 (月) 18:30〜19:30@東京大学教養学部・理想の教育棟・21 KOMCEEレクチャーホール.参加無料.事前申し込みは必要なし.

◆本日の総歩数=2477歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+1.0kg) / 30.6%(−0.2%)


13 november 2012(火)※恒例の収穫祭は鳴り物入り

◆午前5時起床.気温9.5度.鮭を焼くしたく.午前6時の時の鐘.曇り空が広がっていて日の出は見えない.明け方の曇り空からしだいに青空が広がってきた観音台は,午前8時の気温が11.8度.今日は午前9時から統計研修の「計算機統計学入門」があるので,そろそろ出撃のしたくをしないといけない.今日の「計算機統計学入門」はリサンプリング手法の講義なのだが,できればRでの実習もちょいとやりたいと思う.RStudio を召喚するほどたいそうなスクリプトではないので(→ resampling.R),R本体だけでなんとかしましょ.

◆朝イチの統計研修講義 —— 午前8時半過ぎ,筑波事務所.外はええ天気.9:00〜10:30 計算機統計学.てくてく歩いて農環研に戻る.晴れときどき曇り空の農環研屋上から「野性の唄声」が響きわたる昼休み.今夜の農環研収穫祭に向けて〈五階のトトロ〉リハーサル絶唱.よろしくよろしく〜.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 今日は原稿締切がはためいている.原稿┣┣" まず一頭を放流した:レイチェル・ハーツ[綾部早穂監修/安納令奈訳]『あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか』(2012年10月15日刊行,原書房,東京,x+358 pp., 本体価格2,400円,ISBN:978-4-562-04775-8 → 版元ページ).これは時事通信社から書評が配信される./次なる一頭はちょいと長めで,夕方までかかってしまった:エリオット・ソーバー[松王政浩訳]『科学と証拠:統計の哲学 入門』(2012年10月20日刊行,名古屋大学出版会,名古屋,x+244 pp., 本体価格4,600円,ISBN:978-4-8158-0712-2 → 情報版元ページ).日経サイエンス書評.今日のお仕事はこれにておしまいかな.

◆[欹耳袋]販促イノチ —— 「NTT出版・勁草書房共同企画「文化系統学への招待」フェア 全国の書店で開催!」(2012年11月13日).「弊社11月の新刊、三中信宏著『系統樹曼荼羅』の刊行にあわせて、勁草書房と共同で「文化系統学への招待」フェアを全国の書店で開催します」とのこと.

◆年に一度の農環研〈収穫祭〉は研究所の公式行事.本番は夕方からだが,リハーサルは昼休みも休みなく.夕闇がすとんと落ちる午後5時過ぎ,別棟ではすでに収穫祭の料理のための炭火ががんがん起こされている.外はもう真っ暗で,気温は急速降下中.しかし,別棟内は人いきれと熱源ですでに暑い(熱い)ほど.ジェンベ,叩きます.鉄板焼きそば,焼きまくります.TKB48,歌います! 第一曲目は「農環研カンカン娘」,二曲目は「外来生物の唄」,三曲目は「五階のトトロ」! 四曲目は何だったっけ? 焼きそば,いっただきまーす. TKB48 盛り上がります〜.焼肉,喰いまくります〜.新米おにぎりや焼きそば・おでんなどなど過剰摂取.

◆午後7時過ぎ,農環研収穫祭が終わり,さくっと撤収.今日はノンアルコールだったので,自力で即帰宅できる.時事通信社の書評原稿のひとつが瞬速でゲラが届いたので,即チェック&放流.夜遅く降ってきた日経サイエンス書評ゲラをチェック&放流.今日のお仕事はこれにておしまいかな.

◆本日の総歩数=7282歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=92.4kg(−0.6kg) / 30.8%(+0.4%)


12 november 2012(月)※週明けは霧雨が降り続いて

◆午前4時半起床.気温13.5度の暖かい朝.昨夜の雨のもう止んでいるようだ.お米を研いで新しい週が始まる.曇り空の観音台.空はしだいに明るくなってきた.午前8時の気温は15.0度とかなり高め.居室の窓を全開.BGMは〈María de Buenos Aires〉.国道408号沿いのフウノキ街路樹の紅葉はいまが見頃.今週後半に寒気が入ってくると,イッキに散り始めるだろう.

今日から数理統計研修(応用編)が始まる.先週の基礎篇ほどではないが,出番が何度かある.今日はお昼前に多変量解析概論の高座がある.Rの形態測定学パッケージ〈shapes〉と系統解析パッケージ〈ape〉の作動確認が朝イチのお仕事.

◆午前10時過ぎ,筑波事務所.朝のまま晴れるかと思いきや,霧雨がさらさらと降り続いている.午前10時の気温は15.9度.朝の天気予報ほど暖かくはならない気もするが.濡れ濡れて統計研修会場へ.講義室は基礎編の1/3ほどの人数.10:45〜12:10「多変量解析概論」.応用編の出家修行,頑張ってねー.>受講生諸氏.

◆[欹耳袋]サイエンスカフェ公開練習 —— 三中信宏「生き物の世界を分類するまなざし」,2012年11月20日(火)12:00~13:30@農環研453会議室.お近くの方はぜひどーぞ.学会発表や公園の「事前練習」って過去にやったことないので,本番よりも緊張するぞ.しかも「公開練習」…….本番の方がラクかもしれない.喫緊の┣┣" はサイエンス・カフェ噺のスライドづくりか(おい)./第5回農環研サイエンスカフェ:三中信宏 「生き物の世界を分類するまなざし」2012年12月8日(土)14:00〜15:30@イーアス〈ウィズガーデンつくば〉.開催案内 ※これは「本番」の案内ね.

◆統計研修の講義が終わってからは,昼休みの郵便局に寄ってから農環研に直帰.正午の気温は15.5度.霧雨がまだ降り続いている.午後2時を過ぎてやっと晴れてきた.残務書類┣┣" 三頭を仕留めて,徒労感に包まれる.朝からずっと雨続きだったが,午後は18.0度まで気温が上がったようだ.ま,今日は早々に撤収しよう.つるべ落としの晩秋.夕闇の暗がりから原稿┣┣" がぬっ,と.逢魔が時@竹園.

◆本日の総歩数=6472歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.9kg) / 30.4%(−0.3%)


11 november 2012(日)※曇りの週末はビール煮込み

◆午前5時前起床.気温6.2度.天気は下り坂の予報だったが,いまはよく晴れている.そろそろタイムリミットが近づいているにちがいないので,夜明け前に白羽の矢を放つ.まずは一本.すでに┣┣" 山を抱えている地主さんにもう一頭┣┣" を上積みしていいものかどうか.nが十分に大きければ,n+1に増えてもたいしたちがいはないともいえるけど……(弁解めく).白羽の矢が鮮やかな紅に染まる朝焼けの空に向かって放物線を描いていく. ご飯が炊きあがった.

◆薄曇りの昼下り,小野崎の〈Shingoster LIVING〉にて遅すぎるブランチを.珈琲豆を買って帰宅なう.本日の気温はいまのところ15.1度どまりだが,あまり爽快ではない.雨が降る予兆か.厨房では,すでに朝のうちから大量の牛すね肉ビール煮込みが仕込まれ,いまもふつふつと加熱されている.ベルギービール〈Gouden Carolus〉をふんだんに使うレシピはいつもどおりだ.

◆[欹耳袋]S. H. Stephens 2012 From tree to map: Using cognitive learning theory to suggest alternative ways to visualize macroevolution. Evolution: Education and Outreach. DOI: 10.1007/s12052-012-0457-3 abstract./中谷秀洋「ノンパラベイズ入門の入門」(2012年11月9日|slideshare)./ひさしぶりに \( \TeX\ \) の話題 —— オンラインの〈TeXclip〉とオフラインの〈TeX2img〉.いずれも数式を組むツールとして.

◆夕暮れが早くなったねぇ.ストンと日が落ちてもう真っ暗闇.牛すね肉ビール煮込みの仕込みは佳境に入ったがまだまだ先は長い. いつの間にか雨音が大きくなってきた.予報通り.午後7時,牛スネ肉のビール煮込み完成.付け合せはマッシュポテトのみ.煮込みに使ったベルギービール〈Gouden Carolus〉とともに.肉のビール煮込みは,選んだビールがすべてを決定することを再認識なう.牛肉よりもビールの方が実はコストが高かったりする背徳料理.〈Gouden Carolus〉の前は〈禁断の果実(De verboden vrucht)〉をふんだんに煮込みに使っていたのだった.なんという背信行為か.

◆[蒐書日誌]世界の夢の本屋さん二冊 —— 『世界の夢の本屋さん』(2011年7月刊行,エクスナレッジ,東京,本体価格3,800円,ISBN:9784767811475 → 版元ページ)/『世界の夢の本屋さん2』(2012年7月刊行,エクスナレッジ,東京,本体価格3,800円,ISBN:9784767814032 → 版元ページ).

◆本日の総歩数=3907歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.1kg) / 30.7%(0.0%)


10 november 2012(土)※晩秋のつくば道の陽だまり

◆のろのろと午前6時起床.日の出.土曜は背徳寝坊が許される.雲ひとつない青空.最低気温は4.0度と放射冷却の朝.今日は急ぎの┣┣" はいないが,書評本をさくさく読み進まないといけない.

◆[欹耳袋]PLOS Blogs | Fractaltastic Evolution | 9 November 2012.この OneZoom Tree を見るたびに珊瑚を連想する.

◆[蒐書日誌]『舞姫』モデルの顛末 —— 六草いちか『鷗外の恋:舞姫エリスの真実』(2011年3月刊行,講談社,東京,本体価格2,100円,ISBN:978-4-06-216758-1 → 版元ページ).鷗外の小説『舞姫』のモデルの伝記.最近の新聞記事:時事ドットコム「鴎外「舞姫」モデルの晩年明らかに=ベルリン在住のライターが調査」によると,この著者は,その後も調査を続けた結果,このモデル,エリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルトの終焉までをたどることができたとのこと.

◆[欹耳袋]Togetter -「科学報道について」 について —— 本編の細さんツイートもさることながら,それに続いて伸び続けているコメント欄がとても興味深い.科学研究の成果を一般に伝える上で,研究機関・大学からのプレスリリースや新聞記者による報道,あるいは科学コミュニケーションのもつ機能と意義はまちがいなくあると思う.科学者側の積極的かつ前向きな協力が必要だろう.細さんの意見には基本的に同意する.

その一方で,新聞記者や科学コミュニケーターを通しての研究成果の伝達は,伝言ゲームでメッセージがしだいに変形あるいは変色されていくのと同じく,最初の科学者の意図とは異なる方向に向いてしまうことも事実としてある(ワタクシも経験ずみ).いわば,元の研究者のメッセージ(研究成果)に,さまざまな色や偏光あるいは歪みのあるガラスを何重にも被せていく伝言ゲーム.そういうことを丸呑みした上で科学者が協力していくスタンスを維持できるかどうか.新聞記者や科学コミュニケーターが被せる「ガラス」を歪みのない無色透明にするわけにはきっといかないだろう.そうなれば,彼らの存在意義はまったくなくなってしまうだろうから.

個人的には,科学研究の成果を一般に伝える行為に中間介在する人たちがいるのはとてもありがたいので,機会があれば協力することにやぶさかではない.その協力が何かしらの向上につながれば動機づけにもなるだろう.

科学研究の伝言ゲームに介在する人たちは,自分が意識的あるいは無意識的に被せようとしている「ガラス」についてもっと自覚的であってほしいと思う.その上で,被せたガラスの隅っこにちゃんと責任所在を明示する記名をしておくように.自分の研究成果に何重もの「介在ガラス」を被せてほしくない研究者は,誰にもわかりやすい研究紹介(プレスリリース,一般向けの本,紹介記事)を自ら率先して書くこと.相手に何かを求めるのなら,自分もじっとしていないで動かないと.

—— 細さんはとてもいい連続ツイートをしたと思う.Cf: Togetter -「科学報道にまつわる色んな意見」.確かにいろんな意見が湧いて出る.

◆晩秋のつくば道を散策 —— 立冬を過ぎたとはいえ,日中は北風もなくぽかぽかと暖かい日が続いている.週末の土曜も午後1時の気温は18.0度.冬の到来を告げる朝夕の冷え込みは忘れさせる穏やかな日和.日中は秋深まるつくば道をひとまわりしてきた.筑波山ハイキングに来たと思しき人たちが通り過ぎていく.筑波山を見上げれば,山の上の方は色づいているが,中腹の筑波山神社の鳥居のあたりはまだ見頃ではないのかもしれない.北条の街中にある旧矢中邸の中を見学してきた.本館・別館ともにとてもゴージャスだった.上の写真は別館の来賓室.入り口の襖には西陣織が張られている.テーブル向こう側の開き戸の絵は肉筆の日本画,そして天上周囲の壁には水墨画風に全国の国立公園の風景が描かれていた.先般の竜巻の被害が生々しく残っていて,その修理と復旧にはまだ時間がかかりそうだった.

◆[欹耳袋]Andrew P. Hendry et al. | Evolutionary principles and their practical application | Evolutionary Applications, Volume 4, Issue 2, pages 159–183, March 2011 | abstract | pdf [open access].特集号「Special Issue: In the light of evolution: interdisciplinary challenges in food, health, and the environment」の所収記事のひとつ.

◆今夜の夕餉は牛すじ肉の味噌煮込みをば.寒い夜はたっぷり七味唐辛子をかけてどーぞ.〈南部美人〉の「一号しぼり・純米吟醸生原酒」を開栓.アルコール度数がやや高い.レシピメモ:1) 牛すじ肉250gをたっぷりの水で下茹でしてアクを徹底的に取る.2) ダイコンと太ネギとちぎりこんにゃくを投入してひと煮立ち.3) 日本酒大さじ2・砂糖大さじ1.5・濃口醤油大さじ1.5を投入し,弱火でとろとろ二時間ほど.4) 味噌50gを溶き入れてさらに小一時間弱火で煮こむ.食卓に出して七味唐辛子と刻みネギをトッピング.

◆[欹耳袋]別府ネタみっつ —— 〈混浴温泉世界2012〉・〈ベップ・アート・マンス2012〉・〈旅手帖beppu〉.今月下旬にベップに行くときはまだ会期中だな.

◆[蒐書日誌]別府ネタをもうひとつ —— 織田作之助『夫婦善哉 完全版』(2007年刊行,雄松堂出版,東京,本体価格1,800円,ISBN:978-4-8419-0467-3 → 版元ページ).『夫婦善哉』と未発表だった『続・夫婦善哉』を合本した本.本編は大阪だったが,続編は別府に舞台とする物語の展開になっているとはまったく知らなかった.

◆本日の総歩数=3304歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(+0.3kg) / 30.7%(+0.4%)


9 november 2012(金)※統計研修は最終日のお勤め

◆午前5時前起床.気温7.4度.さむ〜.外は薄曇りときどき晴れ間.空気が冷たい朝の観音台.今日は朝イチで個人面談.午後から数理統計研修(基礎編)最終日の質疑討論に臨む.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前9時からの希望調書個人面談が終わり,居室引きこもり./三中信宏・杉山久仁彦『系統樹曼荼羅』は,昨日,オンライン&リアル書店でいっせいに新刊発売開始になったようだ.さて,販促大作戦をどう展開するか.そうこう考えているうちにブツがどさっと着弾した./サイエンスカフェ公開練習:三中信宏「生き物の世界を分類するまなざし」,2012年11月20日(火)12:00~13:30@農環研453会議室.お近くの方はぜひどーぞ.学会発表や公園の「事前練習」って過去にやったことないので,本番よりも緊張するぞ.しかも「公開練習」…….本番の方がラクかもしれないな.何よりもトークのスライドづくりが先決.

◆統計研修(基礎編)最終日 —— ランチをすませて早々と筑波事務所の数理統計研修会場へ.午後1時から質疑討論タイム.正午前には気温18.1度に達し,ぽかぽかと暖かい晩秋の日差しがやっと色づき始めた銀杏並木に降り注ぐ.今日が統計研修(基礎編)最終日なので,宿泊施設をチェックアウトしたあとの大きなスーツケースやかばんが研修会場の後ろにずらりと並ぶ.学会や研修会の最終日に特有の「祭りのあと」感がもう漂っている.統計研修の質疑討論を一時間半ほどやって,農環研に戻る.

◆駒場「生物統計学」の質問と回答 ——

  • #TodaiStat 木曜の講義での質問をやっと整理だん. posted at 21:40:16
  • #TodaiStat 【質問】「偏差平方和をデータ数でなく自由度で割った方が良いことは目で見てわかったのですが,結局,理論的には「なぜ」そうなるのでしょうか?」※同様の質問多数./【回答】講義中にデモしたRのスクリプト http://ow.ly/f9y7q... posted at 21:44:48
  • #TodaiStat 【回答】「平方和/自由度」で定義される分散推定値が理論的にもつ「不偏性」の証明は,数年前のワタクシの講義サイト〈Rを用いた基礎統計学 — 幾何学的形態測定学への導入として〉 http://ow.ly/f9ytN にすべて書きました. posted at 21:47:31
  • #TodaiStat 【回答】(承前)要約すれば,平方和/自由度で定義された分散推定値の期待値を取ると,真の分散(母分散)と一致するという「不偏性(unbiasedness)」が達成されます.平方和/データ数は不偏性は満たされず,必ず過小推定になるということ. posted at 21:50:09
  • #TodaiStat 【回答】(承前)高校の確率・統計では「自由度」をオモテに出さないので,このへんの議論をごまかしていますが,推測統計学の立場からいえば,「不偏性」という推定量の性質はきわめて重要です. posted at 21:51:48
  • #TodaiStat 【回答】(承前)「自由度」という概念をそれだけ取り出せば,何の御利益があるのかわからないでしょう.しかし,母集団の未知パラメーター(ここでは母分散)の推定作業の中で自由度が果たす役割を考えればその現世的意義が理解できます. posted at 21:55:06
  • #TodaiStat 【回答】(承前)推測統計学ではなく,記述統計学であれば,目の前のデータの集計と要約のみが目的なので,自由度を持ち出す必要はありません.データ数で割れば十分.データ数が大きければ高校の確率・統計の指導書に書かれているように「nもn−1もたいしたちがいはない」. posted at 22:00:10
  • #TodaiStat 【回答】(承前)しかし,推測統計学の立場からは,そういう乱暴な議論は許容されないということです.いかに母数(パラメーター)を正確に推定できるかどうかが肝要.不偏性や一致性など推定量に要求されるさまざまな条件はその目的を達成するための属性です. posted at 22:02:29
  • #TodaiStat 【質問】「絶対値ではなく平方和をとる理由が分かってすっきりしました」/【回答】個々のデータの「偏差」からデータセット全体の「ばらつき」を数値化する段階はデータ解析の理解の最初に立つハードルです.ナマの偏差の総和はゼロになるので,絶対値和や平方和が登場します. posted at 22:07:34
  • #TodaiStat 【回答】(承前)偏差の絶対値和ではなく平方和の方がすぐれている理由には,講義中に触れた数式操作上の容易さだけでなく,距離としての数学的特性の理由もあります:「偏差平方和・偏差絶対値和・シュタイナー問題」 http://ow.ly/f9AHN posted at 22:10:00
  • #TodaiStat 【質問】「サンプリングをランダムたらしめることはできるのか?」/【回答】完璧な「ランダム性」を達成するのはムリでしょうね.サンプリングはそれだけでひとつの研究対象になります. posted at 22:12:57
  • #TodaiStat 【質問】「授業で使うスライドはその順にすべてハンドアウトでいただけるとありがたいです」/【回答】全講義のスライドのピックアップは租界R http://ow.ly/f9BkC に置いてあるので,事前にダウンロードしていただくことは可能です. posted at 22:17:21
  • #TodaiStat 【回答】(承前)ただし,全スライドを話し順に並べて公開することはいまのところ考えていません.その場の話の流れによって,スライドの順番や取捨選択が変わるからです.ワタクシの噺を吸収できるのは教室にリアルに実在した学生だけです. posted at 22:21:29
  • #TodaiStat 【質問】「Rの使い方を早く知りたいと思った」/【回答】( ´ ▽ ` )ノ つ RjpWiki http://ow.ly/f9C15 でどんどん自学してください〜 posted at 22:24:47
  • #TodaiStat 【感想】「農学部(弥生)で授業してほしいです」/【回答】ワタクシ,その農学部のセンセなんですけど…….ま,学部生には統計の講義はしていないけど.農学部だったら生産・環境生物学の生物測定学教室に統計に強い(強すぎる…)スタッフが揃っています. posted at 22:30:13
  • #TodaiStat 【感想】「科学哲学の本を一冊読んでみて,その沼の深さを知りました」/【回答】その勇気を讃えつつ,新刊のエリオット・ソーバー『科学と証拠:統計の哲学入門』 http://ow.ly/f9CMa をお薦めします.底なしの沼…(怖がらせてどーする) posted at 22:34:02
  • #TodaiStat 以上,質問票からのピックアップでした. posted at 22:34:30
  • ( ´ ▽ ` )ノ RT @monera_world: この授業面白いから、照明落としても寝ませんよ #Todaistat posted at 22:37:57
  • たまには噺も聴いてね〜 RT @sanopigeon: 配布資料だけ先に読んで色々と納得しちゃう #todaistat posted at 22:38:24
  • ちゃんと理解だん? RT @monera_world: 自由度!#Todaistat posted at 22:38:47
  • 講義中に言及した本はコレ:黒田孝郎・森毅・小島順・野崎昭弘『高等学校の確率・統計』(2011年,ちくま学芸文庫 http://ow.ly/f9DGs ) RT @monera_world: 高校の統計学の指導書ひでえな #Todaistat posted at 22:40:11
  • Rのデモの方が印象に残るでしょ? RT @sanopigeon: 分散推定値の不偏性をなぜスライドとして作らないのか #todaistat posted at 22:40:54
  • そうそう RT @monera_world: ほんとに偏向と不偏が全然違うじゃないか!! #Todaistat posted at 22:41:18
  • 一般化線形モデル(GLM)が扱うのはまさにそういう場合.つ 粕谷英一『一般化線形モデル』 http://ow.ly/f9E6T RT @monera_world: 正規分布に従わないノイズってどんなのがあるんだろうか? #Todaistat posted at 22:44:08
  • 改善します RT @sanopigeon: 文字とか文章の部分だけはスライドにしてほしかったです。見やすいので(・ω・`) @leeswijzer Rのデモの方が印象に残るでしょ? @sanopigeon 分散推定値の不偏性をなぜスライドとして作らないのか #todaistat posted at 22:48:10
  • 久保拓弥『データ解析のための統計モデリング入門:一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』 http://ow.ly/f9FLk もオススメ RT @monera_world: 機会があったら読んでみます! /粕谷英一『一般化線形モデル』 #Todaistat posted at 23:00:37

◆午後の┣┣" 撃ち —— 今日はとてもおだやかな日和の午後で,日向では Diptera が群舞していた. 午後2時の気温が20.2度まで上がった.道理で暖かいはずだ./手負いの野良┣┣" はキケンすぎる./某ミッションで筑波事務所の郵便局へ.引きずりまくった残務にやっとケリをつけた./『系統樹曼荼羅』をリアルに手にした知人から,「〈いづう〉の鯖寿司みたいに詰まっている」との褒め言葉をいただいた.おおきに.

◆夕暮れ前にさくっと撤収.今夜はチャーハンつくりまくり.

◆本日の総歩数=4940歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.2kg) / 30.3%(−0.1%)


8 november 2012(木)※晩秋の暖かな日に東奔西走

◆午前5時前起床.昨夜のうちに米研ぎはすませていたのでラクラク.いまの気温は5.6度と冷え込みが強まっている.初冬の観音台は青空が広がっている.今朝の最低気温は4.8度とこの季節らしい冷え込みだった.午前8時には10.3度まで上がってきたが,まだ寒気に慣れない.国道408号沿いのフウノキ街路樹はいまが見頃の色づき方.もう少しすれば北風に乗って大きな葉が舞い散るだろう.今日は午前いっぱい統計研修のR実習を担当する.そろそろ出かけないとインストールが間に合わなくなるかも.午後は夕方から駒場でひさしぶりに生物統計学の講義がある.

◆今日はR布教の日 —— 午前8時半,筑波事務所に出撃.午前9時の定刻を待たずに絶賛インストール祭り.ワタクシのR実習はRコマンダーを使うのだが,インストールできない,Rコマンダーが起動しない,ファイルが開かないなど,今回も実にいろいろなトラブルがありました.「幸福のかたちはいつも同じだが、不幸のかたちは人それぞれちがっている」.正午前,研修終了.60人余りの受講生を相手にTAなしのパソコン実習というのはムリな話だったかも.

◆[欹耳袋]研修中に学んだトラブル対策 —— RStudio for Win XP の「Files」(右下区画)で,あるフォルダーを選択するとき,日本語ファイル名が含まれていると,ファイルリストが一瞬だけ見えたのち,まったく表示されなくなる.Session メニューの「Set Working Directory」で,日本語名ファイルを含まないフォルダーを最初に設定しておけば大丈夫.次回の RStudio 起動時のために設定保存したいときは,「Tools」メニューから入って,「Options」>「Default Working Directory」を設定変更すること.

◆ランチは〈おはん〉にて.今日は「デラックス鯖寿司」.折り重なる鯖また鯖.極楽への道は鯖で敷き詰められている.穏やかな晩秋の昼下り,農林団地の木立もきれいに色づいてきた.さて,鯖パワーをフル注入したので,これからコマバに出撃だ.行くぞ〜.

◆[欹耳袋]Brian C. O'Meara | Evolutionary inferences from phylogenies: A review of methods | Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics, 43: 267-285 | DOI: 10.1146/annurev-ecolsys-110411-160331 | September 2012.この総説記事で,著者はRによる系統解析ツールの普及に着目している.参照:Brian C. O'Meara | CRAN Task View: Phylogenetics, Especially Comparative Methods | 4 November 2012.

◆駒場に出撃する昼下り —— 午前2時過ぎ,つくば駅.暖かいなと思ったら,20.7度まで気温が上がっていた(最高気温).それにしては不快指数が低いのは空気が乾いているせいか.西北風が吹きわたるつくばセンター.もうすぐTX快速が発車する.午後4時前,駒場東大前に到着.夕方のキャンパスは暖気がまだ漂っている.駒場祭まであと二週間か.講師控室の向かい側の教室では,波動の偏微分方程式が黒板いっぱいに書きまくられていた.さすが駒場ですなぁ.ナツメヤシ生姜ジュースを飲みながら,講義まで一休み.講義室へ.途中,キクマル父と久しぶりに接近遭遇してしまった.ご無沙汰してます.あれれ,二週間前の前回講義では正規分布の諸性質までやったんでしたっけ?(中心極限定理の大攻防とか確率分布曼荼羅は見せましたよね) とすると,今日は分散概念の導出とともに,統計学における現実世界と可能世界の噺をする.午後6時前に講義終了.外はもう夕闇が降りていた. 

◆本日の総歩数=9947歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(−0.3kg) / 30.4%(+0.1%)


7 november 2012(水)※立冬の朝は濃霧に包まれる

◆午前5時前起床.気温14.4度.お米を研いで,昨夜のおでんに火を入れる.午前6時,雨上がりの霧筑波は立冬の朝を迎えた.曇り空.気温13.4度.冷え込みはなし.昨夜からの霧はまだ晴れない.薄曇りの観音台は朝日が差し込むこともなく,気温は13.2度.

◆[蒐書日誌]ユクスキュル二冊 —— ヤーコプ・フォン・ユクスキュル[入江重吉・寺井俊正訳]『生命の劇場』(2012年2月9日刊行,講談社[講談社学術文庫・2098],東京,317 pp., 本体価格1,000円,ISBN:978-4-06-292098-8 → 版元ページ).元本は1995年博品社刊.原書は:Jakob von Uexküll (1950), Das allmächtigen Leben. Christian Wegner Verlag, Hamburg./ヤーコプ・フォン・ユクスキュル,ゲオルク・クリサート[日高敏隆・羽田節子訳]『生物から見た世界』(2005年6月16日刊行,岩波書店[岩波文庫・青943-1],東京,2 color plates + 166 pp., ISBN:4-00-339431-3).原書は:Jakob von Uexküll and Georg Kriszat (1934), Streifzüge durch die Umwelten von Tieren und Menschen. J. Springer, Berlin.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 居室の本棚が地殻変動を起こしたようで,先週の分子系統ワークショップの「移動図書館」として持ちだした本およそ30冊が収納できずにじたばたしている.本の「ぼた山」が新規にふたつ…….本棚は自律的なので,みだりに外からいじるのは禁物.一冊動かすとその周囲が連動して動き出す.本棚をいじりだすと時間が瞬速で流れ去る.晴れては曇る./来年3月の生態学会静岡大会のホテル予約完了.今ならまだ静岡駅前でも余裕で取れる.

◆[欹耳袋]学会ホテル難民 —— ホテル収容力の小さい都市で巨大学会が開催されるときには,発表内容よりも何よりも,滞在先ホテルの確保が先決.スライドとかポスターは直前にでっちあげられても,ホテルが取れなければ難民になる.かつて弘前で昆虫学会・応動昆大会が開催されたとき,弘前市内ではまったくホテルが確保できずに,青森駅前のホテルから毎日一時間かけて学会会場まで通ったことがあった.そういうホテル難民が何人も出た.大規模な学会の開催地がだんだん「固定化」されるのは,弊害もあるだろうけど,学会参加者の収容力を考えれば,これはもうしかたがないことだろう.かつてのように,学会開催地でテントを張って野宿するような猛者はいまはもういないだろうし.その学会の会員であれば,大会事務局が交通手段やホテル斡旋をしてくれることもあるが,非学会員はつねに自力で「足」と「宿」を確保しないといけない.ワタクシの経験では,昆虫学会・行動学会・生態学会あたりのワイルドな学会の大会では,学会開催地でテント野宿していた大会参加者はかなりいた.かつて帯広畜産大で昆虫学会大会があったときはそれはそれは盛大なテント村がキャンパス内に自然発生.むかしむかしの学会風景(といっても,ほんの二十年ほどまえのこと).

◆午後の┣┣" 撃ち —— 年末調整書類を耳を揃えて提出完了.お金の計算をまちがいまくって訂正印のアラシ.自分ではもはや何を書いているのかぜんぜん判読できないけど(汗),あまり気にしない.こういう書類は締切厳守がイノチなので,とにかく出してしまうことに意義がある.それでいいのだ./ここ数日の懸案事項だった本の販売戦略がなんとかなりそうとの連絡あり.よかったよかった.概して研究者は,自分の書いた「本を売る」ことに対して,あまり積極的ではないように見受けられる.しかし,黙っていてもどんどん売れていく本なんかほとんどない.沈黙は禁.本を書いたら,自分でちゃんと宣伝してな.おざなりに書名と書影を見せるだけではサイフのひもはなかなか緩まへんで.

◆[蒐書日誌]ジュンク堂池袋本店で先月まで開催されていた〈「文化系統学への招待」ブックフェア〉の出展本リストと紹介文を一挙公開した!  あわせて,これから北から南へと日本縦断開催される〈「文化系統学への招待」ブックフェア〉の予定についても公開した.

◆午後5時前にさくっと撤収.立冬の穏やかな夕焼けグラデーションから夕暮れへ.

◆本日の総歩数=3116歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.3kg) / 30.3%(−0.3%)


6 november 2012(火)※雨降る観音台は秋が深まる

◆午前5時前起床.気温12.8度という暖かさ.まずはお米を研がないと一日が始まらない.午前7時半,またまたつくバス出勤の朝.家を出るときは雨が降っていたが,観音台に着いたときは一時的に止んでいた.筑波事務所の駐車場に放置していた車を転がして農環研へ.午前8時の気温は14.5度.冷え込みはすっかり緩んでいる.また本降り.秋雨に濡れる農林団地.深まりゆく農環研の秋.

◆塵も積もれば┣┣" になる —— 雨降る午前中は┣┣" 撃ち三昧,濡れ濡れて進軍.東大の来年度非常勤出講書類提出と試験日程確認./質問丸投げ./師走サイエンス・カフェについての段取りと休日出勤に伴う申請./先週の分子進化ワークショップ関係者へのお礼と依頼./師走の不在申請一式を耳を揃えて提出だん.これで年末までの分はおしまい.年明けは年明けの風が吹く./そういえば,来年のイヤープランナー(蛇腹)をすでに買ってある.どうせ午前中は「スキマ時間」しか残っていないから,確定分を記入してしまうか.研究者に予定表のタブララサは許されない.

◆今日の高座 —— 12:30.さて,統計研修「実験計画法」のお座敷に向かうとしよう.外は冷たい雨が降り続いている.筑波事務所の統計研修講義室へ.午後1時から4時すぎまで「実験計画法」の講義.

◆[欹耳袋]数学が「痛い」 —— CNN.co.jp「数学が苦痛――苦手だと本当に「痛み」感じる 米で実験」(2012年11月5日).本記事の元論文:When math hurts: Math anxiety predicts pain network activation in anticipation of doing math.fMRIによる研究結果.そうだったのかぁ…….もしほんとうに数学が「痛い」としたら,今日もやってる数理統計研修なんか,比喩的ではなく,文字通りの「拷問」なのかも.ワタクシは数式スライドを写す「前」にはいつも「次に式で示します」と予告していたのだが,それは受講生に「痛み」を与える虐待行為だったのかー.

毎年の数理統計研修は一週間から二週間にわたって朝から夕方まで「統計漬け」にするのだが,数学の苦手な受講生にとっては一日中フルボッコにタコ殴りされているのと同じことかな.「無痛分娩」ならぬ「無痛統計学」が求められている.叩かれても叩かれても立ち上がる「鉄のプロレタリアート」のような研究者っているわけないし.

統計学や数学が「できてしまう」タイプの人たち(=教壇に立つ側)にとっては,それができない人たち(=研修受講生のかなりの割合)の「痛み」が実感として理解できないというのは説得力がある.

◆終日雨が降り続いたつくばは,体の芯に染みこむ肌寒さの夜を迎えた.夕餉に〈秋鹿〉の「純米吟醸・無濾過原酒」を開栓.もちろん燗酒.これから冬を迎え,こういう食卓の光景が何度も出現するにちがいない.

◆明日は統計研修の出番がない.しかし,ぐでぐで休めるわけでもない.

◆本日の総歩数=3801歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.2kg) / 30.6%(+0.5%)


5 november 2012(月)※数理統計研修のスタート日

◆午前5時前起床.気温4.4度.さむ〜.夜明け前の朝焼け.さっそく鯵を焼いて,出汁巻きをつくる.ご飯はもう炊けている.午前8時,早朝までは雲間から朝日が見えたが,いまは空一面薄曇りの観音台.今朝の最低気温は4.0度と,昨日ほどではなかった.今日から向こう二週間は筑波事務所での数理統計研修の高座が入っている.追加の配布物を用意しようかな.

◆朝の┣┣" 撃ち —— 蟲が,蟲がぁ〜(悲鳴なう)>『系統樹曼荼羅』 /所内停電をじっと待つわ,ワタクシ.瞬間停電を乗り切ってやっと本業へ.机の周りが┣┣" 放牧場化.

◆[蒐書日誌]エリオット・ソーバー[松王政浩訳]『科学と証拠:統計の哲学入門』(2012年10月20日刊行,名古屋大学出版会,名古屋,x+244 pp., 本体価格4,600円,ISBN:978-4-8158-0712-2 → 目次情報版元ページ).訳者ご恵贈・私費購入・書評依頼の三冊がほぼ同時に着弾してうれしい悲鳴.ソーバーだらけ.本書書評は日経サイエンス掲載予定.

◆数理統計研修(基礎編)初日 —— 先週に引き続き,筑波事務所へ出撃.ここのところ,農環研ではなく,筑波事務所に実在する時間の方がはるかに長くなっている.外は曇り空.気温は9.9度と肌寒い.統計研修会場は電農館ではなく,情報センター図書室ヨコのプレゼンテーション室.午前10時過ぎ,中では,統計研修のガイダンスをやっている.全国から60名余りの研修生が一週間または二週間の「出家修行」に励むことになる.10:30〜12:00 「統計学概論」の高座.いきなり計算しないで,まずデータをしっかり見ることが肝要という噺.統計曼荼羅を拝みつつ,これからの修行に励んで下さい.

◆昼下りの┣┣" 撃ち —— 曇り空が続く昼下りはちくちく┣┣" 撃ち.希望調書の個人面談日の調整/不在届の日時を間違えたので再提出/出張決済書類の訂正印/統計研修担当日の変更を失念していて大あわて/推薦書を書くお仕事/出版契約書を返送しないと/年末調整書類は13日まで/書評締切日は両方12日./あれれ,外はよく晴れてきたけど,雨の予報はどうなったのだろう.粛々と┣┣" 撃ちが進行する居室内.あらら,また曇ってきた.時間がするすると零れ落ちていく.

◆夕方からは,筑波事務所食堂にて,統計研修受講者を迎撃する懇親会.午後7時半まで.つくバスで帰宅.ぜんぜん寒くないのは雨の前触れか.

◆本日の総歩数=5501歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.3kg) / 30.1%(−0.5%)


4 november 2012(日)※朝の放射冷却で布団と合体

◆午前5時にいったん目覚めたのだが,あまりに寒すぎて二度寝.そりゃ「1.9度」じゃ起きられないって.午前6時半やっと起床.お米を研いでポトフに火を入れる「冬晴れ」日曜の朝.朝から〈つくいち〉 http://ow.ly/i/15EBs 今日は〈ナチュカフェ〉,〈ダヴィッドパン〉,〈スガヤコーヒー〉,〈Hi-5バーガー〉と一周りしてきた.午前10時13.8度.からっと青空,客足好調.そろそろ新酒の季節.24BY が出まわる季節になったか(そわそわ).〈つくいち〉はお昼前にはどの店もあらかた食べ物が売り切れていた(orz).つくいちへは朝イチに.

◆[欹耳袋]全現生鳥類(9,993種)の系統樹:W. Jetz et al. | The global diversity of birds in space and time | Nature | 31 October 2012.参考記事:University of Sheffield | First ever family tree for all living birds reveals evolution and diversification | 30 Oc 2012.かつて1970年代にDNA-DNA交雑法に基づいて構築された「Sibley-Ahlquist taxonomy of birds」以来,全鳥類の分子系統樹はニュースの素材を提供している.

◆[蒐書日誌]中央公論新社(編)『中公新書総解説目録1962〜2012』(2012年10月25日発行,中央公論新社,東京,448 pp., 非売品).たまたまイーアスのアカデミア書店で一冊ゲットできた./『パブリッシャーズ・レビュー』.白水社みすず書房東京大学出版会の三社が出している出版情報誌./数年前から刊行予告されている論文集『Descriptive Taxonomy: The Foundation of Biodiversity Research』(The Systematics Association / Cambridge University Press)はいまだに出ていないようだ.ある所収章のドラフトが公開されている: Roger Hyam | Taxa, Taxon Names and Globally Unique Identifiers in Perspective | 7 Aug 09.

◆午後になって気温が上昇.午後2時すぎには最高気温17.5度に.ランチは竹園の〈ベンベラ〉にてトマトラーメンを.

◆[欹耳袋][欹耳袋]朝日新聞「〈まちの埋蔵文化人〉たいしたもんだよ醤油鯛」(2012年10月29日)※いよっ,筑前屋翫理堂!/あぁ〜ん?ハリソン内科学でお前を殴打してやろうか!!「世界有数の科学ジャーナルもあきれる日本のメディアのレベルの低さ 」(2012年11月4日).

◆午後から夜にかけては大仕事 —— 三中信宏(文)・杉山久仁彦(図版)『系統樹曼荼羅:チェイン・ツリー・ネットワーク』(2012年11月16日刊行,NTT出版,東京,255 pp., 本体価格2,800円,ISBN:978-4-7571-4263-3 [hbk] → 版元ページ)のコンパニオンサイトづくり.見本刷ができたからには,来週あたり書店に配本されるにちがいないだろう.とりあえず,今後のためのポータルサイトとしてこんなのをつくってみました.書誌情報・詳細目次・口上そして文献リスト(これがたいへん)を公開しました.

◆明日からは数理統計研修(基礎編)が始まる.月曜の午前は統計学概論の講義.

◆本日の総歩数=6465歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.1kg) / 30.6%(−0.3%)


3 november 2012(土)※文化の日は文化的な昼下り

◆午前5時頃からごそごそし始めたのだが,「うう状態」から脱却できたのはすっかり明るくなってから.午前のうちに阿見・土浦・つくばを車で走り回る.今日は行楽日和の文化の日.午後はイーアスあたりを徘徊する予定.

◆[欹耳袋]第5回農環研サイエンスカフェ :三中信宏「生き物の世界を分類するまなざし」2012年12月8日(土)14:00〜15:00 @イーアスつくば〈ウィズ・ガーデン〉 →開催案内.農業環境技術研究所広報情報室(電子メール kouhou@niaes.affrc.go.jp / 電話 029-838-8191 /  ファックス 029-838-8299)まで申し込みを.先着三十名.

◆[蒐書日誌]近刊情報 —— 巌佐庸・倉谷滋・斎藤成也・塚谷裕一(編)『岩波生物学辞典・第五版』(2013年2月26日刊行予定,岩波書店,東京,本体価格13,000円,ISBN:978-4-00-080314-4).宣伝パンフレットが農環研に届いていた.

◆[欹耳袋]ニッポンの「悪いマスコミ」 —— Nature | Bad press: Japan’s media have played a large part in exacerbating the effects of a fraud | 1 Nov 2012.日本のマスコミの科学リテラシーの低さが国際的に露呈された./翻訳:世界はこれに恋してる「ネイチャー誌「日本のマスコミは詐欺の片棒を担いでいる」」(2012年11月01日).

◆イーアスな昼下り —— 午後は研究学園に車の点検.待ち時間にイーアスの〈ウィズ・ガーデン〉へ.来月の農環研サイエンスカフェの会場下見を兼ねて.今日の最高気温は17.2度まで上がった.北西の風だが,陽だまりはぽかぽかと暖かい.青空と逆さイーアスとスコーン.夕方,帰宅してからはポトフの仕込みを始める.

◆[欹耳袋]をを! —— Togetter -「2012年度・第166回農林交流センターワークショップ〈分子系統樹推定法:理論と応用〉 ツイートまとめ」.どうもありがとうございました.

◆さすがに今日は真っ白に燃え尽きているな…….しかし,来週からの二週間は毎年恒例の数理統計研修がある.そして,月末は大分に飛んで湯煙統計巡業だ.灰の中から復活しないといけない.

◆本日の総歩数=6928歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


2 november 2012(金)※大団円の最終日は鯨飲馬食

◆午前4時半起床.気温9.0度.今朝もお米を研ぐのが一日の始まり.朝焼け.秋刀魚を焼いた.午前6時,やっと日の出.日に日に遅くなっていくなあ.今朝の最低気温は8.6度.秋晴れの観音台は冷え込みもなく午前8時に13.6度.暖かい北西風は木枯らしではない.筑波事務所に出向く前に農環研にちょっと顔出し.じゃまくさい┣┣" 数頭が積み上がっていたが,見ないことにしてメールチェック.今夜は確定です>関係者諸氏.では,そろそろ電農館に出撃することにしよう.

分子系統ワークショップ(三日目) —— 最終日の今日はとてもハード.

  • #166ws 電農館なう.本日は分子系統ワークショップ最終日.川北センセはすでに講義準備ちう.外は快晴,身を切らない乾いた北風が吹いています. posted at 08:42:39
  • #166ws 朝イチの川北さんも含めて,系統樹の Newick 形式表記についてすでに何度か言及がありました.系統樹グラフィクスを文字列として表記するこの形式については PhyloWidget ウェブ版 http://www.phylowidget.org/ で体験してください. posted at 08:48:28
  • #166ws (承前)上記 PhyloWidget サイトの「Open in PhyloWidget Full」を選択すると,Newick 表記が系統樹とどう対応しているかがすぐ体験できます.「File」→「Load Tree」→「Manual Input」で入力画面へ. posted at 08:52:05
  • #166ws もうすぐ講義開始〜. posted at 08:59:00

  • 川北篤「分子系統樹を用いた共進化の分析」

  • #166ws 川北篤「分子系統樹を用いた共進化の分析」スタート. posted at 09:00:56
  • #166ws 東南アジアのカンコノキとハナホソガとの共進化の例.Kawakita et al. 2004. Evolution DOI: 10.1111/j.0014-3820.2004.tb01598.x http://ow.ly/eXs6i posted at 09:12:00
  • #166ws TreeMap http://ow.ly/eXsKb by @rdmpage as a tool for reconciling cophylogeny. posted at 09:27:29
  • #166ws Event-based method: Mike A. Charleston 1998. Jungles http://ow.ly/eXt73 [pdf] in TreeMap 2.0 beta http://ow.ly/eXt3p (too old!) posted at 09:35:55
  • #166ws Tarzan - Phylogeniesoftware zur Ermittlung von Cophylogenien http://ow.ly/eXteL posted at 09:37:02
  • #166ws ジャングルだからターザンだったのか! posted at 09:37:35
  • #166ws Jane4: a software tool for the cophylogeny reconstruction problem. http://ow.ly/eXtmr posted at 09:39:54
  • #166ws CoRe-Pa: a tool for reconstructing the coevolutionary history of host parasite systems http://ow.ly/eXtqO posted at 09:41:02
  • #166ws 複数の系統樹間の関わり合い(共進化)を推定することは,単一の系統樹の推定をするよりもさらに高次の難しさがある. posted at 09:42:18
  • #166ws ParaFit : Testing the hypothesis of coevolution between a clade of hosts and a clade of parasites. http://ow.ly/eXtzl posted at 09:44:24
  • #166ws ParaFit は,系統樹のグラフ理論的関係ではなく,系統樹の種間経路距離(path-length distance)の距離行列に変換し,ホスト-パラサイト間の行列相関を計算する. posted at 09:45:48
  • #166ws (承前)分岐関係ではなく,ホスト-パラサイトの相関関係に着目する方法. posted at 09:46:45
  • #166ws CopyCat: an easy and fast access to cophylogenetic analyses http://ow.ly/eXtKD ※これは ParaFit を含む. posted at 09:49:55
  • #166ws 共進化解析ソフトウェアの一覧なう. posted at 09:52:37
  • #166ws CoRe-Pa は Tarzan の進化形! posted at 09:53:52
  • #166ws 系統樹の「樹形」の単なる一致だけではなく,時間軸を含む timetree での比較が必要になる. posted at 09:55:04
  • #166ws 複数の系統樹間の比較分析は,共進化・生物地理・遺伝子系図のそれぞれの分野で同じような問題として浮上する. posted at 10:11:01
  • #166ws gene tree parsimony による系統樹推定.遺伝子重複を最少化する系統樹を探索する. posted at 10:13:21
  • #166ws では,実習へ. posted at 10:13:41
  • #166ws 新刊:三中信宏(文)・杉山久仁彦(図版)『系統樹曼荼羅:チェイン・ツリー・ネットワーク』の見本刷がただいま着弾しましたので,のちほど図書コーナーに置きます.手にとっていただければ幸いです. posted at 10:35:33

  • 田辺晶史「分子系統学演習 - データセットの作成から仮説検定まで」

  • #166ws 田辺晶史「分子系統学演習 - データセットの作成から仮説検定まで」講義資料: http://ow.ly/eXwaW ※うわ〜. posted at 10:39:57
  • #166ws 高橋メソッドや〜 http://ow.ly/eXwrC posted at 10:43:42
  • #166ws う〜わ〜.演習死む. posted at 10:57:44
  • #166ws すでに振り落とされた受講生諸氏は,スライドを見なおしてPC操作を確認すること. posted at 10:59:44
  • #166ws 田辺師の講義テキスト本体(pdf: A4で100ページ!)は追って http://ow.ly/eXyft で公開する予定とのこと. posted at 11:24:44
  • #166ws アラインメントは基本「おまかせ」でいいと思う. posted at 11:36:00
  • #166ws 「正規表現」のワザが使えるようになれば鬼に金棒. posted at 11:47:08
  • #166ws 正規表現を使える被造物は存在の階梯をワンステップ上がれる.猫や馬や鹿の段階から進化できる. posted at 11:48:45
  • #166ws 正規表現が扱えるフリーのエディター:Win 環境 - さくらエディター http://ow.ly/eXzmf ,Mac 環境 - TextWrangler http://ow.ly/eXzjK とか CotEditor... posted at 11:52:51

  • #166ws 午前の講義だん〜.速攻ランチへ.外は北風が吹き荒れているようだ.気温17.2度.電農感の中にいるとわからないが,体感的には寒い日なのだろうか. posted at 12:02:40

◆[蒐書日誌]見本刷着弾 —— 三中信宏(文)・杉山久仁彦(図版)『系統樹曼荼羅:チェイン・ツリー・ネットワーク』(2012年11月16日刊行,NTT出版,東京,255 pp., 本体価格2,800円,ISBN:978-4-7571-4263-3 [hbk] → 版元ページ).文章だけでなく図版が何百枚もあったので,そのハンドリングがとてもたいへんだった.共著者がグラフィックデザイナーなので,図版の編集や組版をぜんぶやってもらえたのはよかった.なお,スクリーン線数は「200線」の高精細印刷なので,図版の微細な部分まで解読可能になっている.今日届いたのは見本刷り.書店に並ぶのは来週あたりからかな.

◆ごま粒┣┣" どもの退治 —— 所内成果検討会の日程調整./大分湯煙統計巡業のコンテンツ調整./来年度の東大非常勤出講の事務手続き.


  • #166ws 正午の気温は17.3度.北風が強いが寒いという感覚はない.再び電農館に立てこもる. posted at 12:54:00

  • 田辺晶史「分子進化の統計モデリングとモデル選択」

  • #166ws 午後の講義スタート:田辺晶史「分子進化の統計モデリングとモデル選択」. posted at 13:01:59
  • #166ws 置換モデルの系列:分離モデル→比例モデル→等速モデル. posted at 13:12:17
  • #166ws モデル選択論なう. posted at 13:15:26
  • #166ws 当てはまりのよさ−パラメーター数=推定のよさ.ここでAICの登場 posted at 13:17:02
  • #166ws 最尤系統推定ソフトウェア RAxML は分離モデルと等速モデルには対応しているが,比例モデルには対応していない. posted at 13:19:01
  • #166ws kakusan4 起動なう. posted at 13:20:31
  • #166ws kakusan4: a nucleotide substitution model selection script http://ow.ly/eXDwm posted at 13:27:04
  • #166ws ひとつ探しては尤度のため,ふたつ探しては事後確率のため,三つ探してはAICのため〜♪ 系統樹探索・賽の河原の歌.(みなか) posted at 13:49:03
  • #166ws 系統推定の最節約法・最尤法・ベイズ法・距離法がごちゃごちゃにならないよう要注意. posted at 13:50:58
  • #166ws 最尤推定(RAxML)とブーツストラップの実習なう. posted at 13:52:41
  • #166ws 寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る〜 posted at 13:54:06
  • #166ws 「休憩です。」 posted at 14:30:04
  • #166ws む〜ふ〜. posted at 14:37:33

  • 田辺晶史「系統樹・系統仮説の可視化と系統仮説間の統計的比較」

  • #166ws まだまだ続く系統推定・虎の穴:田辺晶史「系統樹・系統仮説の可視化と系統仮説間の統計的比較」.とんずらできる壁の穴はありません. posted at 14:41:17
  • #166ws 元データのリサンプリングよりも,サイトごとの尤度をリサンプリングすれば尤度の分散がラクに調べられる(Kishino-Hasegawa のRELL検定). posted at 14:44:26
  • #166ws (承前)多重比較の補正をしたものが,Shimodaira-Hasegawa 検定. posted at 14:45:29
  • #166ws 下平英寿のマルチスケールブーツストラップを用いた Approximately Unbiased test は Type-I, II の過誤を同時に最小化する. posted at 14:47:12
  • #166ws 分子系統解析におけるさまざまな問題. posted at 15:39:51
  • #166ws ギャップ情報の利用:Mark Simmons - simple indel coding method. posted at 15:53:29
  • #166ws 勘所:最重要=データの質>樹形探索>パーティション切り>パーティション間モデル設定>パーティション内モデル設定=どうでもええ. posted at 15:58:49

  • べいづべいづべいづ

  • #166ws べいづべいづべいづ〜♫•*¨*•.¸¸♪ posted at 16:13:34
  • #166ws いまの話の内容に関連してワタクシの tearless_bayes2.pdf をチラ見するように. posted at 16:15:31
  • #166ws ベイズ法と最尤法は計算速度的に優劣はもはやない.ベイズ法の利点は複雑な進化モデルのもとでの系統推定に限定される. posted at 16:16:35
  • #166ws MCMCMC を使えば事後確率の過大評価が緩和される. posted at 16:18:40
  • #166ws 事前分布のほとんどは意味のないものしかない(事前知識なんかもともとないやん).共役事前分布や無情報事前分布が大部分. posted at 16:20:08
  • #166ws ASDSFによって樹形の不一致度の収束を判定できる.しかし,Tracer を使った収束判定の方がいい. posted at 16:23:53
  • #166ws Cf: 仲田崇志「Bayes 法(ベイズ法)の原理」 http://ow.ly/eXJgd posted at 16:24:43
  • #166ws Bayes factor による系統仮説間の検定. posted at 16:26:52
  • #166ws ベイジアンMCMCの問題点.パラメーター設定に名人芸が./樹形信頼性の過大評価./多重比較の補正方法がない./計算並列化に適していない. posted at 16:30:00
  • #166ws 最尤法がよみがえる. posted at 16:30:19
  • #166ws 超複雑なモデルが必要な状況でべいづは生き延びる. posted at 16:30:54
  • #166ws BEST=Bayesian Estimation of Species Trees は MrBayes 最新版に取り込まれている. posted at 16:31:55
  • #166ws アラインメントと樹形推定の同時推定はベイズでは可能.(POYは?) posted at 16:32:40
  • #166ws BEAST, ALIFRITZ, BALi-Phyは整列と系統推定.BayesPhylogenies とPhyloBayes は区分状態と系統推定,MrBayesはモデルと系統推定をそれぞれ同時推定できる. posted at 16:35:58
  • #166ws 現時点ではすべての同時推定をするソフトウェアはまだない. posted at 16:36:27
  • #166ws 最後の質疑タイムなう. posted at 16:38:56

  • #166ws 三日間のワークショップはいま終わり.おつでした〜. posted at 16:54:37

◆打ち上がる夜 —— ワークショップ会場の後片付けをして,本類を農環研へ搬出.夕暮れ迫る午後6時過ぎに関係者を乗せて苅間の〈笠真〉へ.大入り満員ナイト.鯨のように日本酒を飲みまくり,馬のように馬肉を喰いまくる.馬い,馬い.午前さま直前に帰宅.ふー.

◆本日の総歩数=7981歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.2kg) / 30.9%(+0.3%)


1 november 2012(木)※分子系統WS二日目も快晴

◆午前5時起床.晴れ.今朝は「うう……」とつぶやく余裕もなくばたばた.久しぶりのつくバス出勤.木立の紅葉が鮮やかになってきた.最低気温は6.5度.すきっと青空.雲ひとつない.今日は分子系統ワークショップの二日目.筑波事務所電農館へ.

◆[欹耳袋]三中信宏:農環研ウェブ高座「農業環境のための統計学」 第4回 「統計学的推論としてのアブダクション」本日公開./三中信宏:第5回農環研サイエンスカフェ 「生き物の世界を分類するまなざし」(2012年12月8日)開催案内とポスター

分子系統ワークショップ(二日目) ——

  • #166ws おは〜♫•*¨*•.¸¸♪ posted at 08:18:37
  • #166ws もうすぐワークショップ二日目が始まりますが,まだ空席がちらほらと.昨夜の二次会の影響? posted at 08:56:59

  • 井上潤「分岐年代のベイズ推定」

  • #166ws 二日目の講義は井上潤さんの「分岐年代のベイズ推定」から始まる. posted at 09:03:16
  • #166ws 井上潤・ベイズ分岐年代推定講演スライド http://ow.ly/eVFCR http://ow.ly/eVFEg [pdf] posted at 09:31:52
  • #166ws ベイズ系統推定法に関しては:Ziheng Yang[藤博幸・加藤和貴・大安裕美訳]『分子系統学への統計的アプローチ:計算分子進化学』(2009, 共立出版)をチラ見して.つ 図書コーナー. posted at 09:35:17
  • #166ws 早くも「ベイズ」に泣いている受講生のみなさんは,ワタクシの統計高座スライドもごらんください:tearless_bayes [pdf] http://ow.ly/eVGYd / http://ow.ly/eVGYC posted at 10:01:11
  • #166ws MCMCTREE 実習ちう(ひー). posted at 10:06:08

  • 宮正樹「系統学が解き明かす魚類進化の謎」

  • #166ws 井上さんから宮さんへ. posted at 10:40:00
  • #166ws さかなさかなさかな〜. posted at 11:20:36
  • #166ws 南北メダカの分化の話.1800万年前に分かれた. posted at 11:42:31
  • #166ws 戦略的な系統学研究についての総括. posted at 11:49:25
  • #166ws 宮さんトークは正午きっかりに終わった. posted at 12:00:33

  • #166ws ランチ〜 posted at 12:00:58

  • 北野誉「系統ネットワークの理論と応用」

  • #166ws 北野誉「系統ネットワークの理論と応用」開始. posted at 13:02:07
  • #166ws 北野さんの系統ネットワーク講義と実習資料はこちら: http://ow.ly/eVP4o posted at 13:03:55
  • #166ws median network | median joining | neighbor net.高次元ネットワークを低次元化する. posted at 13:27:14
  • #166ws SplitsTree4 http://www.splitstree.org/ による実習なう. posted at 13:37:40
  • #166ws 柏から岩崎渉さん登場. posted at 13:43:46
  • #166ws ねっとねっとねっと〜 posted at 14:10:31
  • #166ws ツリーに比べて系統ネットワークを「読む」のはつらい.もともとの直感の乏しさを隠すために,リクツでねじ伏せているような感じ. posted at 14:17:40
  • #166ws 交雑や組み換えがあれば系統はネットワーク状になることはわかる.一方,系統ネットワークを「見た」ても,その背後に潜むメカニズムがすぐには読めない. posted at 14:19:22
  • #166ws ツリーは単一の系統構造を,ネットワークは複数の可能な系統関係を表示できる. posted at 14:32:55
  • #166ws ツリーよりもネットワークの方が「より柔軟な表現能力」がある.それは長所でもあると同時に短所でもあるかも.(みなか) posted at 14:35:08
  • #166ws 系統ネットワーク講義おしまい. posted at 14:50:50

  • #166ws 休憩なう. posted at 14:55:18

  • 岩崎渉「系統推定結果の表現と認識」

  • #166ws 岩崎渉さんの講義「系統推定結果の表現と認識」の資料 http://ow.ly/eVTLl posted at 14:57:45
  • #166ws 岩崎さんトーク始まり. posted at 15:02:28
  • #166ws 系統樹の基本フォーマット(Newick形式など)について. posted at 15:05:50
  • #166ws 系統樹の「Newickフォーマット」については,ワタクシの資料 http://ow.ly/eVU92 / http://ow.ly/eVU9c [pdf] もご参考まで. posted at 15:08:40
  • #166ws 最良の系統樹を求めたとしても,探索空間の大きさを考えれば,視覚的に偏った情報を与える可能性がある.問題のサイズが大きくなるにつれて,系統推定の結果は曖昧にならざるをえない. posted at 15:42:38
  • #166ws アイマイなワタクシ……. posted at 15:43:54
  • #166ws 系統推定の「曖昧さ」とともに生き続ける決意. posted at 15:45:10
  • #166ws ちょっと休憩なう. posted at 15:52:35
  • #166ws 岩崎トーク後半開始〜. posted at 16:01:13
  • #166ws 系統学的情報の曖昧さを調べる→スペクトル分析: Mike A. Charleston 1998. Spectrum: spectral analysis of phylogenetic data. Bioinformatics 14:98-99. posted at 16:02:51
  • #166ws (承前)abstract: http://ow.ly/eVVzc posted at 16:03:58
  • #166ws スペクトル分析では可視性にいささか欠ける.代案としては:tree space, multipolar consensus tree, tree of trees, network etc. posted at 16:06:30
  • #166ws 系統ネットワークについて,それぞれの枝の「意味」が読み取りにくい,どのネットワークを使うかの選択に困る,…… posted at 16:09:57
  • #166ws 「車輪樹」キタ〜っ http://ow.ly/eVVKf posted at 16:11:05
  • #166ws @windowmoon センセ,ご到着なう. posted at 16:19:35
  • #166ws 高次元バイナリ空間=スプリットの有無の空間/スプリットはそれぞれ確率をもつ/系統樹はある一点からその空間を解釈する. posted at 16:36:20
  • #166ws ひとつひとつの系統樹は非力である. posted at 16:38:00
  • #166ws 系統ネットワークよりも車輪樹の方が目にやさしい! posted at 16:40:53
  • #166ws ワークショップ二日目終了.おつでした〜 posted at 16:55:52

◆[欹耳袋]R-2.15.2 for Mac ダウンロード./Dean C. Adams「Subject: New Morphometrics Software for R」幾何学的形態測定解析のためのRパッケージ〈geomorph〉の紹介.

◆昨日,ワタクシの「日録の書庫」に,10月分のエントリーを格納した.2003年4月からつけ始めた日録は来年4月でまる10年を迎える.本人は行動記録のログを日々積み重ねているだけでとくに実感はないが,一研究者の「定点観測記録」であることは確かだろう.知り合いの中にもワタクシのような「長期間ウェブ日記」を公開している研究者がいる.毎日書き続ける動機は人それぞれかもしれない.ワタクシの場合は,もともと日記をつける習慣はぜんぜんなかった.たまたまウェブ日記を┣┣" 撃ちの予定と成果(当時「┣┣" 」という言葉はまだ存在していなかったが)を記録し始めたのが日録の始まりだった.なぜ「たまたま」だったかと問われても答えはない.dagboek誕生の翌日「25 april 2003(金)」の日録は次のような書き出しで始まっていた:「「思い立ったが吉日」というのはウソですな.まさに「魔がさした」という表現がぴったし.ま,きっかけは何であれ,今日から自分のホームページをつくることにしました」.こんなええかげんな動機であっても,十年近くも書き続けてくれば習い性となると言うべきか.さてさて,ワタクシの日録は今後どこまで伸びていくのか……は考えないほうが身のためだろう.日々の積み重ねあるのみ,という覚悟も必要なく,淡々とログを積み上げる.

◆午後5時過ぎ,さくっと帰宅.日中は20.3度まで気温が上がり,日差しも強く,ワークショップ会場は夏日の暖かさだった.夕暮れのいまは南風が強い.明日はハードな最終日.しっかり乗り切って打ち上がろう.

◆本日の総歩数=4701歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


--- het eind van dagboek ---

Map フリーアクセスカウンター自転車 通販人気 シューズ
[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集