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日録2012年6月 


30 juni 2012(土)※水無月の終わりに駒場でお座敷

◆午前5時前起床.すっきりさわやかな青空,日の出なう.気温16.0度で北東風.涼しい. どろなわトーク準備を当日の朝からせっせとしている(汗).

◆本日の高座:シンポジウム〈アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって〉,14:00〜18:00,東京大学駒場キャンパス学際交流ホール(アドミニストレーション棟3F).

◆夏日の駒場キャンパスへ出撃 —— 午前11時前,つくば駅へ.夏の日差しがぎらぎら照りつける.すでに気温は24.6度と夏日ライン突破は目前.これから駒場へ出撃.トークのスライドはまだできていない. 正午過ぎ,渋谷で井の頭線に乗り換える.都内もきわめて蒸し暑い.駒場キャンパス到着.アドミニストレーション棟の会場がまだ閉まっていたので,木漏れ日のベンチにてトーク準備の続き.薄曇りときどき晴れ間.木立の間を吹き抜ける風.土曜日といえども駒場キャンパスは学生が集っている.午後1時過ぎ,シンポジウム会場に入り,バレーコートと井の頭線を見下ろす控え室にて講演者のみなさんと挨拶など.会場演壇の真ん前に「ヴァールブルク結界」が設けられていた.護摩壇のようなものか.さらに,〈ムネモシュネ・アトラス〉のパネルが盾のように林立している.

◆〈アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって〉シンポジウムのつぶやき ——

  • [駒場]ヴァールブルク・シンポジウム開始なう.http://ow.ly/bVvq7 #MVNDVS posted at 14:07:06
  • [駒場]第一演者の埼玉大学・伊藤博明さんのトークが終わり,いまは二番目の関西学院大学・加藤哲弘さんのトークが進んでいる.プロジェクターの隣りにムネモシュネ・アトラス複製パネルが二枚立てかけられている. #MVNDVS posted at 14:52:49
  • [駒場]ワタクシのスライド数枚はやっと仕上がった.ついでに,ムネモシュネ・アトラスのコード化された情念定型のRによる分析も完了.主成分分析の解釈は単純ではないな. #MVNDVS posted at 14:54:49
  • え,e-mobile で会場からツイートしてるけど…… RT @l_z_b: そしてe-mobile LTE圏外・・・。 posted at 15:10:20
  • むむむー RT @l_z_b: 電波干渉ですかね・・・。 RT @leeswijzer: え,e-mobile で会場からツイートしてるけど…… RT @l_z_b: そしてe-mobile LTE圏外・・・。 posted at 15:12:17
  • [駒場]トークは続いている.いまは三番目の田中純さんの番.ムネモシュネ・アトラス(1926〜1929)の共時態と通時態,それらの記憶術(発見法)への関連. #MVNDVS posted at 15:31:00
  • [駒場](承前)パネル「内」関係性を超えてパネル「間」関係性の解明に向けて.シーケンス分析・クラスター分析・〝天球〟復元. #MVNDVS posted at 15:33:14
  • [駒場](承前)ムネモシュネ・アトラスの「周期表」. #MVNDVS posted at 15:35:52
  • [駒場](承前)パネルのクラスター分析は,細部を捨象した「観相(Physiognomie)」を把握するため.ここでは情念定型パネル群を実際に解析した. #MVNDVS posted at 15:39:47
  • 形質コード化が難しいんでしょ. #MVNDVS RT @l_z_b: 「テーマ間の距離」というのはないのかな? posted at 15:43:29
  • [駒場](承前)機械的にクラスター分析するだけではやっぱり漏れ落ちる要素があるみたいねー. #MVNDVS posted at 15:47:20
  • [駒場](承前)パネル全体の階層的パターンを見つけることを共時態分析とすれば,通時態は最終バージョンまでの道筋をつけること. #MVNDVS posted at 15:51:20
  • [駒場](承前)通時態の対応マップはまるでゲノム進化上の遺伝子配置の関連図みたい. #MVNDVS posted at 15:53:39
  • [駒場](承前)モノクロ画像からカラー復元されたムネモシュネ・アトラスひとつ. #MVNDVS posted at 16:00:09
  • [駒場](承前)モノクロ化は「図像の幽霊化」である. #MVNDVS posted at 16:01:02
  • [駒場](承前)パネル群によって囲まれた空間は「記憶の劇場」.復元された劇場としてのパネル群は今年中に駒場で公開する予定. #MVNDVS posted at 16:06:28
  • [駒場](承前)イメージの縮小はもうひとつの図像の解毒化. #MVNDVS posted at 16:09:07
  • [駒場]ワタクシのトークはリヒアルト・ゼーモンの遺伝学とアトラスの多変量解析の可能性について. #MVNDVS posted at 18:10:59

—— 午後6時,シンポジウムは無事に終了した.当初の予想を大きく上回り,150名近い聴衆が集まったらしい.講演者三名とコメンテーターが四名.美術史・文化史専攻のスピーカーが多かった.聴衆の関心もそのへんにあったかもしれない.

田中さんのコメントによると,アビ・ヴァールブルクが当時の自然科学(生物学や物理学など)に基礎づけられた文化史研究を目指した動機は,19世紀末からの実験的かつ実証的な科学の勃興にあるとのこと.自然科学でのこの動きは博物学や進化学の凋落をもたらしただけではなく,人文社会科学の衰退とも連動していたらしい.だからこそ,彼は当時の自然科学の最先端を視野に置こうとしていたらしい.リヒアルト・ゼーモンの「ムネーメ理論」はヴァールブルクにとっては文化史研究の自然科学的基礎を与えるという役回りを担っていたのだろう.

ムネモシュネ・アトラスの多変量解析は,まずはデータをどう取るかという解析「以前」の問題が多々ありそう.田中さんが試みたクラスター分析による「天球」の構築,あるいはワタクシが話した主成分分析の「軸」を情念定型と関連付けられるかは,データ行列の問題が解決してから初めて本格的に論議できるテーマだろう.もちろん,その一方で,クラスターや主成分軸の reification という糾弾をどうするかという問題も残されている.

◆午後7時から,駒場キャンパス内の〈ルヴェソンヴェール〉にて関係者とスタッフによる懇親会.午後9時半まで.都内の最高気温は27.5度まで上がり,夜になってもじっとりと蒸し暑い空気が駒場村を覆っていた.つくばに帰り着いたのは午後11時半.たいへんお疲れ>ワタクシ.

—— 懇親会会場で新手の原稿┣┣" がおぶさってきたように感じるのはきっと気のせいにちがいない.

◆[欹耳袋]Togetter -「ヴァールブルクの宇宙」.本日の駒場シンポジウム〈アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって〉を中心にツイートのまとめ.

◆本日の総歩数=8285歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=92.4kg(−0.9kg) / 28.4%(+0.2%)


29 juni 2012(金)※どきどき農大,うきうき厨房〜

◆午前5時前起床.日の出なう.曇りところどころ晴れ.気温は18.7度.今日は定例の農大高座日.

◆ドキドキ出撃 —— いつも通り午前7時半に家を出る.つくば駅はただならぬ混みよう.常磐線が人身事故による不通とのことで,通勤客がTXに流れ込んでいるらしい.北千住駅で千代田線に乗り換えようとしたら,ホームが激混みで電車がぜんぜんやって来ない.今度は千代田線が亀有と綾瀬の間で架線事故のためストップしているとのアナウンス.しかたがないので,TXに戻り秋葉原へ向かう.常磐線と千代田線が動かないのは初経験.かなりスリリング.秋葉原から中央線で新宿へ.せっかくトラブル回避したと思ったら,今度は小田急線の下りが一部運休とのアナウンスあり.はたして農大にたどり着けるのかどうか.新宿で小田急の各停にやっと乗った.ダイヤ遅延は続いている.常磐線から千代田線のトラブルは日暮里駅でのさらなる人身事故が原因との車内アナウンス.

◆都内はすでに蒸し暑い.雲行きがしだいにあやしくなってきたが、まさか雨なんか降らないだろうねえ.とつぶやいたのが運の尽き.経堂で降りたら小雨がぽつぽつ降っていた.「休講にしたら」とのカゲの声をよそに,ハートフル農大通りを下って農大キャンパスに到着.かなり迂回したがそれでも十数分の遅延ですんだのは幸いだった.

◆本日の農大高座 —— キャンパスは蒸し暑かったが,新講義棟は全館空調が心地よく効いている.講義室にてしたく.本日は一般化線形モデルについて少し補足説明したのち,二変量統計学に入る.とくに変量間の共変動・共分散・相関係数について解説する予定.来週が締切のレポートがんばってねー.正午過ぎに農大高座おわり.経堂駅にもどって〈アイバンラーメンPLUS〉に入る.今日は「つけめん(全部乗せ)」.黒っぽい麺に濃いアゴだし汁がつく.これでこの店の麺メニューは全部制覇したかな.外は曇りときどき晴れの空模様.最高気温27.2度の蒸し蒸しする都内をおさらばして,つくば直帰.久しぶりの不快指数の高さにもうたまりまへん.

◆今日の質問はレポートがらみが多かったけど,まずはそれ以外から:

  • #NodaiStat 【質問】「共分散の話はイメージしやすくわかりやすかったです」/【回答】二変量データの「共変動」は偏差積の値によって数値化され,それをデータセット全体の期待値として計算したものが「共分散」です.「相関係数」は共分散の標準化.偏差積が理解の出発点ですね. posted at 06:01:01
  • #NodaiStat 【質問】「p変量正規分布の式が出てから理解が追いつかなくなりました」/【回答】線形代数に深入りしなかったのでかえってわかりづらかったかも…….まずは二変量の正規分布から始めるのがいいでしょう. posted at 06:06:59
  • #NodaiStat 【質問】「F検定について変数1,2に順番はあるのですか? 分散が多い方がどうのこうのと聞いたのですが」/【回答】分散分析でのF値はたとえば「処理平均平方/誤差平均平方」のように誤差に照らしたときの要因効果を検定します.実験計画に準拠して決まるわけですね. posted at 06:09:38
  • #NodaiStat 【質問】「エクセルではなくRを利用するメリットは何ですか?」/【回答】エクセルの統計関数には重大なバグが報告されています:三重大・奥村さん Okumura's Blog「Excel使うな」 http://ow.ly/bVmvE posted at 06:14:23
  • #NodaiStat 【回答】(承前)群馬大・青木さん「Excel は,コンピュータ・ソフトウェアの三種の神器のようになっていますが,とんでもないこともあるというお話。」 http://ow.ly/bVmFF posted at 06:15:25
  • #NodaiStat 【回答】(承前)エクセルはあくまでも「データ集計ツール」としての本来の役割に留めるべきであって,「統計解析」のような分不相応な大役を担わせてはいけません. posted at 06:16:37
  • #NodaiStat 【回答】(承前)エクセルで集計したデータのスプレッドシートはそのままRで読み込めますし,あるいは〈RExcel〉 http://ow.ly/bVmUP を使えば Windows 環境のエクセルの「中」にR租界を構築することもできます. posted at 06:19:04
  • #NodaiStat 【回答】(承前)結論:エクセルで統計分析してはいけない. posted at 06:19:48
  • #NodaiStat 【質問】「レポートのことを考えると夜もねむれません」/【回答】なんと! posted at 06:21:06
  • #NodaiStat 【質問】「先生,髪切りましたね!」/【回答】( ´ ▽ ` )ノ posted at 06:21:49

ついでに,もうふたつ:

  • @akkstu #NodaiStat 実験計画に対応する線形統計モデルには,正規分布をする「誤差項」が必ず付きます(講義中に「ホワイトノイズ」と呼んで項).この正規分布の分散パラメーターσ^2の推定値が誤差平均平方です.この程度のばらつきはつねにあるという意味です. posted at 16:19:23
  • @akkstu #NodaiStat 帰無仮説や対立仮説はモデル式ひとつで示せます.ここでの設問は各モデルがデータのばらつきをどのように説明しようとしているのかを説明せよということです. posted at 05:56:06

◆うきうき厨房 —— 午後6時前になってもまだまだ明るい夕暮れタイム.今夜はローストビーフをがつんと焼くぞ〜.本日のローストビーフは国産牛800グラム塊(単価は390円/100グラム).ブロックのような塊だったので,タコ糸でしばらずそのまま岩塩と黒胡椒で強めに下味をつけて常温で数時間放置する.その後,フライパンでしっかり焦げ目をつけた.オーブンの温度設定はいつも通り「150度」.塊が巨大だったので「40分」の時間設定にして火入した.仕上がりの見極めは,金串を中心部に差し込んで,10秒たってから抜き取り,ほんのり暖かければレアになっているはず.

粗熱が取れた頃を見計らってスライスしたら,こんな感じに中心部分はレアに仕上がっていた.埼玉〈神亀〉の純米吟醸活性にごり酒をどーんと開栓.あっという間に空っぽに.牛肉のカタマリはローストビーフにかぎる.超簡単でしかも食後充実感ありまくり.

今回も肉屋から買ってきてすぐに調理してしまった.次回は肉の「熟成」にトライしたいところ.熟成肉といえばうちの実家のすぐ近くに〈中勢以〉という店がある.肉の貯蔵庫が別棟にあって「おおげさだなあ」とつねづね思っていたのだが,先日Gの店主に「あそこの熟成肉はスゴイんですよ」と言われて見なおしたしだい.お値段もかなりスゴイらしいが.

◆[欹耳袋]2013年の Willi Hennig Society Meeting(Hennig XXXII)はドイツの北辺に位置する,バルト海に面したハンザ同盟都市 Rostock にて7月下旬に開催されるとのこと(→ #HennigXXXI).今度は行くぞ.それにしても,旧東ドイツの Rostock かぁ.ベルリンよりももっともっと北の果て.

◆本日の総歩数=14529歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(0.0kg) / 28.2%(−0.2%)


28 juni 2012(木)※爽快な日々は過ぎ不快指数高し

◆午前4時半起床.曇り.遠景はもやがかかっている.気温14.8度.北東風が肌寒い.しだいに霧がかかる早朝.霧筑波.薄曇りの観音台.朝方の霧はもう晴れて,薄日が差し込む気配あり.午前8時の気温は18.2度.

◆[欹耳袋]統計関連メモクリップ —— 吉田智彦ホームページ「生物統計学演習ノート」.内容は「平均値の検定」「回帰と相関」「適合度検定」「実験計画」など./My Life as a Mock Quant「確率分布からのサンプリングをヒストグラムで美しく描く」(2012年6月27日).

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前中はキャリアデザイン面談.要するに「これからどーする?」のお話し合い.Our-days-are-numbered なワタクシたちの世代ともっと若い研究員の世代とでは事情がぜんぜんちがうだろうけどねぇ.独法研究所の研究マンパワーにどんどん余裕がなくなってきて,「即戦力」を求める圧力が高まってきている.しかし,研究者も育って成長する人間なのだから,そこのところをもっと考慮しないいけない.独法研究所でも組織がフラットになると「研究継承」と「若手育成」がつまずきがち.研究者がすべてばらばらであるよりは,機能的な「研究室」様のユニットはあった方がいい.

◆[欹耳袋]農林団地にはほんまに「芸人」が多いなあ —— 農研機構自然循環工学研究領域資源循環システム「バイオマスの歌」:音声ファイル [mps] |ジャケット [pdf].

◆地鳴りとともに大地が揺れる昼下がり,ハナアルキたちは「森」のどこかに隠れてしまってぜんぜん見つからない.夕刻,系統樹曼荼羅本の「万物系統樹」の章の原稿を編集部に送った(25枚ほど).残るはあと1章のみ(のはず……).そろそろ撤収のしたくをしよーかな.

◆[蒐書日誌]Journal of Cambridge Studies の「ダーウィン特集号」(Vol.4 No.4 Dec 2009).John van Wyhe や James A. Secord ら執筆陣.関連記事:The Dispersal of Darwin「Darwin issue of Journal of Cambridge Studies」(2012年6月27日).

◆[欹耳袋]日本語の「数字の読み方」について —— ワタクシが慣れ親しんだ京都の洛南地方の読み方では以下のようになる(抑揚記号:低音→_ – ¯ ^→高音):

  • 上行発音系列:「いち¯–」「にぃ_–」「さん¯¯」「しぃ_–」「ごぉ¯¯」「ろく¯–」「ひち¯–」「はち¯–」「くぅ^^」「じゅう_–」
  • 下行発音系列:「じゅう_–」「きゅう¯–」「はち¯–」「ひち¯–」「ろく¯–」「ごぉ¯¯」「よん¯–」「さん¯–」「にぃ_–」「いち¯–」

したがって,上行と下行では「四」と「九」の発音が違うことになる.もともと関西地方の数字の読み方は抑揚がリズミカルで,他の地域とはだいぶちがっていると思う.教えていただいたところによると,数え上げの「シ」「シチ」「ク」は古い読み、数え下げの「ヨン」「ナナ」「キュウ」は新しい読みとのこと.ワタクシ自身も数え下げの系列で「ヒチ¯–」か「ナナ¯–」かで迷っている.参考:「日本語の数字の読み方」.

◆本日の総歩数=5299歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(−0.4kg) / 28.4%(−0.4%)


27 juni 2012(水)※原稿を書いた昼下がりは本郷へ

◆午前5時前起床.日の出がまぶしい青空.気温13.9度と今朝も冷え込んでいる.北東の風.鮭を焼き,だし巻きをつくる早朝の厨房.その後は晴れたり曇ったりの空模様.

◆[欹耳袋]ある地方大学元学長のつぼやき「あまりにも異常な日本の論文数のカーブ」(2012年6月27日).平均的トレンドに加えて研究分野間の「ばらつき」の程度についてもっと知りたいところ.

◆[蒐書日誌]これはやっぱり生々しい —— Carl Zimmer『Science Ink: Tattoos of the Science Obsessed』 (2011年11月刊行,Sterling Publishing, New York, xiv+271 pp., ISBN:9781402783609 → 版元ページ著者サイト).う〜わ〜,これは生々しい.インパクトは強烈.皮膚に系統樹とか彫らないでぇ.ハードカバーのオモテ表紙は穴が繰り抜かれていたりする.ハードカバーでたった二千円のフルカラー本なので,とてもお得.研究者たちはこうやってどんどん刺青を自分の身体に彫る.

◆[欹耳袋]最新版 R-2.15.1 for Mac OS X が公開された.いまチェックしたかぎりでは R-2.15.1 for Mac OS X は 2.15.0 に見られたいくつかのパッケージとの不相性は改善されているみたい.

◆午前中じたばたしているうちにもう昼休み.外は薄曇りときどき日が差す空模様.〈david pain〉のセサミサンドイッチを食べたので,もうお昼ごはんがなくなってしまった…….しかたないから,原稿の続きを書こうか.

◆[欹耳袋]Yahoo!ニュースふたつ —— 「科学者でも数式が多い論文を避ける傾向が明らかに、英研究」(2012年6月27日).平均的傾向はわかるが,分野間のばらつきと個人差がきっと大きいだろうな./「先生、このまま逃げる気ですか 御厨貴×佐藤信対談」(2012年6月25日)→ Part 1Part 2.てっきり年長世代が若手世代にタコ殴りされる記事かと思ったら,意外や意外,その逆だった.

◆昼下がりの本郷ピストン往復 —— 午後3時前に一旦帰宅して,つくば駅へ向かう.気温は22.5度.やや暑くなってきたが,湿度はまだ許容範囲だ.午後4時前に根津着.弥生坂を上る途中で生態学会会長さんとすれちがう.まずは農学部事務室にて新しい潜伏部屋の鍵を手渡される.旧潜伏部屋はどこぞの強制再教育センターみたいな雰囲気があったが,新しい潜伏部屋はもっと中心部の近いところにある.午後4時から専攻研究会議.農環研でいえば成績検討会と設計検討会をまとめて略式化したミーティングに相当する.午後5時にさくっと終了.根津駅前の〈秋田屋〉にて水大福・くず桜・豆大福の三点セット(すべて粒あん)を買ってつくば直帰.ここの店ではすべての和菓子に粒あんとこしあんのふたつのバージョンが用意されている.鮮やかな夕焼け空にムクドリ軍団が姦しく飛び回るつくばセンターの日暮れ.

◆[欹耳袋]手書きの再来? —— ドイツの新聞 Bild.de | Handschrift stirbt aus! (2012年6月27日).公開されている手書き紙面(→ pdf)はまるでユングの『赤の書』そっくり!「Kann ich eine gute Handschrift auch noch im Alter lernen? 」に対して「Ja! Schreiben Sie mehr」という答え.そ,そんなぁ〜(汗).手書き文字に関してはまったく自信がない.自分の手書きメモでさえ時間が経てば判読不能になる.ゆっくり書いても悪筆は治らない.いまさら Schönschreibkurse を受講するつもりはさらさらないので,悪筆とともに生きていくしかない.最近は講義中に「手書きの板書」をすることはほぼまったくなくなった.漢字の筆順なんかまったくデタラメだし.字というよりは絵だし.もちろん,かつての高校時代に流れるような行書で板書していた古文の先生とか,顔は受講生に向けながら背後で弾丸のような前傾姿勢の数式を書く特技をもっていた予備校の同僚講師を憧憬の眼差しで見ていたこともまた事実だが.ワタクシにはとうていできない.

—— 「字は体を表す」とか口からでまかせ言うんじゃないよ.たかが Handschrift にそんなたいそうな意味はない.

◆本日の総歩数=10046歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.7kg(+0.1kg) / 28.8%(+0.6%)


26 juni 2012(火)※涼しい風が吹いてすっきり青空

◆午前4時半起床.すっきり青空.昇る朝日がまぶしすぎる.しかし,いまの気温は12.5度.肌いらずのシンブルな寒さ.北風が冷たすぎて窓を開けることもできない.午前5時の時点で気温は11.5度まで下がっている(これが最低気温だった).さむさむ〜.今朝の朝食は,昨夜仕込んだラタトゥイユを中心に.まだ若いので夏野菜の原形と彩りがほぼそのまま残っている.朝ごはんにはぴったり.バゲットとオリーヴオイルを添えて.雲ひとつない快晴の観音台は午前8時の気温が17.6度.乾燥した北東風が吹いてしごく快適.梅雨本来の蒸し暑さとは無縁の日がここ数日続いている.

◆[欹耳袋]臨死体験 —— 駒場のときの線形代数は齋藤正彦『線形代数入門』を教科書として著者自身から教わった.もちろん死にました…….線形空間の基底について質問をしに行ったとき,「そんなトリヴィアルなことですか」と言われてまたまた即死(死んで死んで).その後,めげずに通読した.また,駒場の統計学の先生は Mood and Graybill の Introduction to the Theory of Statistics を教科書指定してきてこれまた虫の息.本郷に進学して Kendall & Stuart の「聖書」を輪読するときに結果的に役に立ったからよかったようなもの.大学に入ってすぐの数学の講義では繰り返し「わたしはうまれたりしんだりした」(谷川俊太郎/武満徹).そういう「臨死体験」をした大学生はきっと少なくないだろうと思う.

◆正午の気温は20.7度.梅雨時特有のじめじめとはまったく無縁の快適な青空が広がっているので,ちょいと昼休み徘徊にお出かけしようかな.

◆[欹耳袋]君にも描ける系統樹! —— Kurt Stüber | Stammbäume basteln ※形質マトリクスをつくれば最節約系統樹が.無作為化形質マトリクス(「Zufall」)がデモ用に使えそうかな.

◆[蒐書日誌]歩き読み読了 —— 今和次郎『今和次郎 採集講義』(2011年11年15日刊行,青幻舎,京都,288 pp, 本体価格2,500円, ISBN:978-4-86152-322-9 → 版元ページ).ビンクの第II部と最後のグリーンの第IV部を読了した.大村理恵子「今和次郎のドローイング」(pp. 253-256)には次のような指摘がある:

「この時代を担う「考現学」は社会学,統計学の調査方法と近接しており,結果,スケッチだけではなく調査記録も多数のこされた.『モデルノロヂオ』にまとめられたこれらデータは,本展ではスケッチ,調査票,集計表そしてインキングして清書された「版下」と段階を追ってその思考のプロセスを見ることができる」(p. 254)

—— やはり,考現学の実地調査で今和次郎が用いたデータ表示のさまざまなグラフィック・スタイルは情報「可視化」手法の実例としてとてもおもしろいと確信した.

◆[蒐書日誌]新刊情報ふたつ —— Nancy L. Segal 『Born Together - Reared Apart: The Landmark Minnesota Twin Study』(2012年6月刊行,Harvard University Press, Cambridge, ISBN:9780674055469 [hbk] → 版元ページ).双子研究に基づく「知能の遺伝」に関する本. /Deborah Hopkinson and Jen Corace『The Humblebee Hunter: Inspired By The Life and Experiments of Charles Darwin and His Children』(2010年刊行,Hyperion Book CH, ISBN:9781423113560).チャールズではなくエティの本らしい.子供向けの絵本かな?

◆[欹耳袋]ことば二題 —— 日本経済新聞「「『全然いい』は誤用」という迷信 辞書が広めた? 」(2012年6月26日)※1952年に出た金田一京助編『辞海』が初出とのこと./朝日新聞 Astand「誤記から生まれた?嫌われもの「G」 - ことばマガジン」(2012年06月26日) ※うちの母親はいまでも「ごっかぶり」と言うけどね.

◆今日は鮮やかな夕焼けだなあ.日中の最高気温は22.0度まで上がったが,空気が乾燥しているせいでべたべたしない.これがとてもシアワセな主たる理由だ.明日以降もこのシアワセが続くことを願わずにはいられない.

◆本日の総歩数=6480歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(+0.3kg) / 28.3%(−0.2%)


25 juni 2012(月)※梅雨寒の観音台は曇り空が続く

◆午前4時半過ぎ起床.曇り.気温16.9度.北東風.涼しい朝.曇り空の観音台は東風が涼しいというより肌寒い.午前8時の気温は16.6度.明け方よりもさらに下がっている.午後のセミナーの準備を今からドロナワする.

◆[欹耳袋]研究者という人生について —— BioMedサーカス.com「研究者は家庭を犠牲にすべきなのか(2011年8月11日更新)」/元記事:ScienceBlog | Many top US scientists wish they had more children (2011年8月8日) /さらに元記事:E. H. Ecklund & A. E. Lincoln 2011. Scientists Want More Children. PLoS ONE 6(8): e22590.局所最適化の極値としての「いまの私」…….そのときどきの状況と制約のもとでサバイバルしつづけたら結局ここまできてしまったというのがすべての研究者のホンネじゃないかなあ.すべての「if」を踏み倒すということ.大域的最適が何かなんて見てないですから(だれにもわからないし),局所的最適化のきわみまで走り続けるということ.だから,いま生き残っているからといって「勝てば官軍」とはいえない.ギリシャ正教の聖地アトス修道院やメテオラ修道院みたいな「俗世間からあえて隔絶した場」が研究者コミュニティだったら,こういう“雑念”はそもそも起きなかったのかもしれないが.

◆曇り空が続く観音台は正午の気温が16.7度.いくら梅雨寒とはいえ,もうちょい加減いうもんがあるやろ.午後1時からのセミナーの準備がまだ終わっていない,という終わった状況だが,なんとか準備をすませた.午後1時過ぎから3時まで第一回生態系計測研究領域セミナー.半時間あまり統計のお話をさせていただきました.午後になっても気温はいっこうに上がらず,かろうじて最高気温18.6度には到達したもののまた下がり始めている.全館冷房の試運転が始まったが,無縁の涼しさ.

◆[欹耳袋]送信メールをキャンセルする神技 —— 「Gmail → 設定 → Labs」の下の方に「送信取り消し」設定ボタンが確かにある.「[送信] をクリックしてから数秒以内ならメールの送信をキャンセルすることができます」.なるほど!(それにしても「数秒以内」って……) /文化系統学の話.やっぱりそういう講演だったのか〜(万難を排してリバティータワーに登攀すべきであった……) 日本マンガ学会第12回大会:松井哲也「ツインテールの系統樹:「萌え要素」の文化系統学的研究」

◆夕暮れとともに気温降下ちう.午後8時の時点で16.4度.北東風が冷たすぎてもう.今夜もまた熱々の夏野菜ラタトゥイユ(今回はパプリカ入り)を仕込んだ.食べるのは明日以降.

◆[欹耳袋]J-CASTモノウォッチ|日本にもある絶滅危惧「言語」 グーグルが保護プロジェクト(2012年6月23日).アイヌ語も琉球方言も. /YOMIURI ONLINE|ガラパゴスの「ひとりぼっちの」ゾウガメ死ぬ(2012年6月25日).これで Chelonoidis nigra abingdoni は絶滅したことになる.Nipponia nippon だってほんとうはこの Lonesome George と同じなんだけどね.

◆本日の総歩数=2929歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(+0.2kg) / 28.5%(+0.5%)


24 juni 2012(日)※爽やかな午後はトマトラーメン

◆午前4時半にいったん起きて米を研ぎ,午前5時半にほっけ醤油漬けを焼き始める日曜の朝.外は薄日が差している.午前6時の気温は19.4度.北東の風.

◆[欹耳袋]十年前にギリシャで食べたあのパンは何だったけとふと気になって調べ始める早朝.アテネでもパトラスでもデルフォイでもどこの街角でも屋台で売られていた巨大なドーナツ型のリングパン……そうそう,くるんとまんまるの κουλουρι だった.揚げてあったりゴマがまぶしてあったりタイプはいろいろ.港町パトラスではまるで腕輪のように持ち歩いているおばさんがいたな.波止場で売っていたのはとても巨大で,あんなのを完食したらえらいことになっただろう.手元にあるパン紀行本:藤本徹『パンの源流を旅する』(1992年刊行,編集工房ノア,大阪)の「ギリシャ」(pp. 56-81)の章にも詳しく書かれていた.内陸ではまた食文化がちがうのだろうが,アテネ・コリントス・パトラス・ナフパクトス・デルフォイ・アラホバと海沿いからまわった街々では κουλουρι がいたるところでくるくるしていた.

◆今日は朝から日差しがさんさんと降り注ぎ,乾いた東風が心地よし.梅雨時のじめじめとは無縁.さて,ひさしぶりに髪の毛を切りに行こうかな.しかし午後1時の気温は23.0度で夏日にも達しない.そして乾燥した東風が不快指数をいやがうえにも下げてくれる.高原にいるような感じが気持ちよい.

◆青空の昼下がり,竹園の〈ベンベラ〉に入る.ここに来たら何よりもまずはじめに「つるんこ餃子」を注文することにしている.つるつるしている熱々の水餃子.辣油のピリ辛感が食欲をそそる.前菜はもうこれしかない.暑い夏が来れば,延髄反射で「冷やしトマトラーメン」を選んでしまう.毎年ごとに姿形が変わる季節メニュー.今年の冷やしトマトラーメンは,ピリ辛の真っ赤なトマトソースとまろやかな純白ミルクソースのツートンカラーでテーブルに運ばれてきた.冷たく冷えた細麺は何の葉が練り込んであるのか,涼し気な薄緑色をしている.トッピングは松の実と枸杞の実,そしてあさつき.センターには温泉たまごが乗っかっている.今年の冷やしトマトラーメンはワタクシ的にはきわめてハイスコア.リピートしようかな.

◆夕方から春日公民館にてオーケストラ練習 —— シェーンベルクのバッハは致死的で,スパゲッティのごとく絡み合うハウプトシュティメが首を絞める.ベルクの管弦楽曲と同じく,シェーンベルクのこの曲(バッハ「プレリュードとフーガ」のオーケストラ編曲版)は,ひたすら「歯車」となってその音符を正確に刻むことが求められる.こわいこわい.後半は,リヒアルト・シュトラウス「アルプス交響曲」.外は夕暮れでも春日公民館は夜明け.その後,春日の牧場にカウベルが鳴り響き,もうすぐ氷河の絶景.やがて嵐の場面がやってくる.下山の途中,山麓の教会からオルガンが.最後は睡魔降臨.このアルプス登山を二回連続してやったらもうへとへと.体力への挑戦.午後9時前に練習終了.真っ暗闇の歩道を自転車でよろよろ帰還する.

◆この週末は湿度の低いからりとした暑さが続いた.酒屋にはそろそろ「夏の酒」が並び始め,多くの蔵元から酸味の利いた夏向きの日本酒が出る.今夜は福岡の久留米にある山口酒造場の〈庭のうぐいす〉「雄町・なつがこい」 を遅い夕餉に開栓した.「庭のうぐいす」というチャーミングな名前に似合うラベル.酸味の利いた夏の日本酒はきりきり冷やして飲むのが爽やか.

◆[欹耳袋]MSN産経ニュース「トキ「野生絶滅種」返上へ ひな巣立ち1カ月、環境省見直し検討」(2012月6月24日).この報道によると,環境省は「野生生物のレッドリストで「野生絶滅種」に指定されているトキを1ランク下げ、「絶滅危惧IA類」への変更の検討を始めている」らしい.いったん野生絶滅したものを外来個体群の無理やり導入で「死者復活」とはおそれ入谷の鬼子母神&びっくり下谷の広徳寺.そもそも,最後の日本トキ個体「キン」が死んだ時点で,「野生絶滅」ではなくシンプルに「絶滅」と明記すべきだった.絶滅したものが復活するはずないじゃない.日本のトキはすでに影も形もないものを錬金術のように「生き返らせる」まやかしを国を挙げてやらかした点で罪深い.単に未発見であって実は絶滅していなかった「クニマス」とは話がぜんぜんちがう.

東アジアに広域分布していた「トキ」なる鳥が(何らかの意味で)「単一種」だったとしたら,日本でわざわざ金と人力を投入して「保全」する必要はまったくないだろう.だって,ほかの地域に生息しているわけだから.こういう話はかつて Robert M. May が「Taxonomy as destiny」という Nature 論説で見抜いていた: Nature, 347: 129 - 130 (13 September 1990); doi:10.1038/347129a0([参考]Togetter -「種数の推計から政治的種概念へ」2011年8月26日).一方,日本にいた「トキ」なる鳥が固有な独自性をもつ実在であったとしたら,中国から「外来個体群」を持ち込んだことは保全生物学的にそもそもまちがいという帰結になるだろう.「トキ」は,国賓動物「パンダ」と同じく,ひとつの観光資源と地域経済的に割り切るのならばそれはそれでいいと思う.しかし,レッドリストでの扱いを「格上げ」する画策は保全生物学的にはもちろん割り切ってはいけない点だろう.

—— あまりにシンプルな話なのでこれ以上なにも言うべきことばがない.

◆本日の総歩数=4383歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.1kg(+0.1kg) / 28.0%(+0.5%)


23 juni 2012(土)※梅雨の晴れ間は怠惰な週末生活

◆段雷の鳴り響く午前6時にのろのろと起床.背徳の寝坊.曇り.気温17.4度.東風.いよいよ来週土曜に迫ってきた駒場でのシンポジウム〈アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって〉の販促大作戦地下工作をすませた.朝は歩きで〈ブロートツァイト〉へ.ブランチ用のパンを買って戻る.ゆるゆるとした週末の始まり.午後も背徳的怠惰な時間が過ぎていく.

◆[蒐書日誌]ナイルズ・エルドリッジ[長谷川眞理子・長谷川寿一・相馬雅代訳]『ダーウィンと現代:「生命の樹」の発見』(2012年6月刊行,麗澤大学出版会,本体価格7,600円,ISBN:978-4-89205-612-3 → 版元ページ).ぜんぜん知らんかったー.カラー図版入りとはいえ,ええ値段やなあ./カール・G・ユング[氏原寛・老松克博監訳]『ヴィジョン・セミナー』(2011年刊行,創元社,東京,本体価格25,000円[特価2012年6月末まで]/28,000円, ISBN:9784422115160 → 版元ページ).パルプの塊.投げつけたら殺傷力がマックスだろうなあ.特価期限は今月末までか……(ヘンな気を起こすなよ>ワタクシ).海外の出版社サイトを見ると,判型だけでなく本の重量(kg)を明記していることがある.前から何のために「重さ」まで書く必要があるのだろうとフシギに思っている.

◆[欹耳袋]最新バージョン R-2.15.1 for Win が出たよっ.Mac 版はしばし待て.

◆今日の夕餉は,豚モモ肉に塩麹で下味を付けてローストし,夏野菜とガーリックライスを添えた.コロナ・ビールをシュポン! うん,いかにも中南米的なワンディッシュになった.なた豆がとんがらしだったら,パーフェクトなメヒコ風になったにちがいない.塩麹は調味料としての適用範囲が広そう

◆本日の総歩数=9507歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.4kg) / 27.5%(+0.2%)


22 juni 2012(金)※朝早くから土砂降りで水も滴る

◆午前4時半過ぎに起床.明け方ぽつぽつ降り始めた雨はすぐ本降りになった.気温は20度以上あるが,北風が冷たい.雨の降り出しとともに気温がイッキに3度近く下がり,雨足はいよいよ強くなってきた.午前6時の気温はさらに下がって17.2度.北東風が吹き荒れて瞬間的に10メートル超.どうしようもない空模様.経堂出撃には歓迎されざる天気.傘が役に立たないかもねー.

◆[蒐書日誌]進化学での比較法 —— Charles L. Nunn『The Comparative Approach in Evolutionary Anthropology and Biology』(2011年11月刊行,The University of Chicago Press, Chicago, x+380 pp., ISBN:978-0-226-60898-3 [hbk] / ISBN:978-0-226-60800-9 [ebook] → 目次版元ページ).文化系統学・文化進化学といえばシカゴ大学出版局という短絡的イメージが形成されつつある今日この頃.

◆雨に濡れ濡れ経堂出撃 —— いつも通り午前7時半につくば駅へ.真夏のスコールみたいな土砂降りで傘なんかぜんぜん役に立たない.上から下まで濡れ鼠になった.北千住でTXから千代田線に乗り換えようとしたら,階段規制をしている.JRの架線事故で止まっているらしい.霞ヶ関で乗り換え.信号故障で大幅遅延.ようやく代々木上原で地上に出られた.千代田線はおよそ一時間のダイヤ遅延だった.都内も雨が降り続いているがつくばほどの無茶降りではない.小田急もやや遅れて気味.経堂からの農大通りはしとしと雨が降り続いて不快指数とても高し.農大にたどり着くだけで大半のエネルギーを消費した心地.講義室にて高座セッティング.

◆本日の農大高座 —— 本日の講義は線形統計モデルの評価に関する一般論をしたのち,実験計画の講義で用いた実例を統計モデルの観点からもう一度とりあげる.講義の最後に第一回レポート課題を配る.農大高座を終え,経堂駅前へ.正午の気温は20.4度.雨は小止み.しかし,ときおり小雨が降る農大通りの復路は蒸し暑いことこの上なし.〈Cura2〉にてアイスコーヒーを前に一休み.

◆今日はレポートがらみの書き込みが多く,質問はあまりなかった ——

  • #NodaiStat 本日配布した第一回レポート課題は〈租界R〉 http://ow.ly/bKyrD からも pdf でダウンロードできます. posted at 13:30:41
  • #NodaiStat 【質問】「課題レポートを解くために参考にすると良い文献はありますか」/【回答】昨日アップデートした「統計学へのお誘い本リスト(Version 21-June-2012)」 http://ow.ly/bKyB2 をご覧あれ. posted at 13:33:36
  • #NodaiStat 【質問】「尤度とAICの関係がもう少しでわかりそうです.入試問題のたとえはわかりやすかったです」/【回答】データ適合度である尤度とペナルティーとしてのモデル複雑度とのトレードオフがAICの中核部分をなす考えです. posted at 13:36:38
  • #NodaiStat 【質問】「統計に興味出てきました」/【回答】( ´ ▽ ` )ノ posted at 13:37:40
  • #NodaiStat レポート提出時の確認三箇条:1) 氏名・学籍番号を明記;2) 添付ファイルは御法度;3) 時間的余裕をもってメール送信.以上よろしく. posted at 16:06:52

◆[欹耳袋]青木繁伸「二群の平均値(代表値)の差を検定するとき」.等分散性が満たされていれば通常のt検定,不等分散の場合はウェルチ検定というのが通説だが,群馬大の青木さんは「ウェルチ検定のみで十分だろう」と言う./進行状況「神のようなレフリーに出会った」(2012年6月20日)※「理論的解析を行う際に悩むのは、モデルをどれだけ単純に出来るかということである。単純な方がむしろ、自然の真理を突いたものであることが多いのだ」.Simplicity = God.

◆千代田線を湯島で途中下車し,〈デリー〉にてコルマカレーを食べ,上野広小路〈うさぎや〉にてどらやきを買ってから再び千代田線に戻る.北千住にて乗り換え.曇り空の昼下がりは雨こそ降ってなくても湿度は満点.不快指数も満点.さてTXに乗ってつくば直帰だ.流山おおたかの森でやっと青空が見えてきた.守谷を過ぎ満を持して背後から西日に狙撃されまくる.

◆本日の総歩数=11911歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.3kg) / 27.3%(+0.1%)


21 juni 2012(木)※薄曇りときどき小雨の夏至の朝

◆午前4時半起床.夏至.曇りところどころ晴れ.気温17.5度.南からの微風.昨日はほぼ熱帯夜だったが,今日はそうではない.朝の観音台は薄曇り.気温19.9度でやや蒸し暑い.ときおり小雨がぱらついている.夏晴れの昨日とはちがって今日ははっきりしない空模様.

◆[欹耳袋]武蔵野美術大学美術館「博物図譜とデジタルアーカイブ V」2012年9月3日(月)~10月6日(土).「2010年度より4期にわたり開催してきた「博物図譜とデジタルアーカイブ」の総集編。荒俣宏旧蔵コレクションを中心に図書館所蔵の博物図譜を一挙公開」とのこと.三田の鉄壁図書館もアラマタ本を公開してくれないなあ(ぼそ).

◆午前の┣┣" 撃ち —— #NodaiStat 第一回レポートは予定通り明日の講義時に課題を配布します.なお,このレポート課題は,明日以降,ワタクシの〈租界R〉からもダウンロードできるようにします.

◆[欹耳袋]山上の教訓 —— 宇治の実家にて,半世紀にわたって使われることもなく堆積し,忘却の淵に沈んでいた「ごみ」の山を見つつ教訓をひとつ:「そのうちいつか使うかもしれないという弁解はけっきょくまったく使われなかった現実の免罪符にはならない」.さらに言えば,「もったいない」と思う心は実は病んでいる(かも).長年にわたりまったく引越ししなかったというのも,堆積ごみを「捨てる機会」を逸した大きな原因だった.着る人がもういない古い服のたぐいはぜんぶしばってゴミに出すしかないが,古い大きなお皿とか虫喰いの掛け軸とか謂れのありそうな書き物とか,いったいどーするのか.付喪神が潜んでいるらしいので,こわごわ発掘作業に向かうしかない.いっそのこと“アチック・ミューゼアム”でも開設してやるか.

◆[蒐書日誌]「ドーキンス vs. グールド」再来 —— 垂水雄二『進化論の何が問題か:ドーキンスとグールドの論争』(2012年5月25日刊行,八坂書房,東京,215 pp., 本体価格1,900円,ISBN:978-4-89694-995-7 → 目次版元ページ).ご恵贈感謝.「ドーキンス vs. グールド」と聞くと,この本:キム・ステルレルニー[狩野秀之訳]『ドーキンス vs. グールド:適応へのサバイバルゲーム 』(2004年10月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫],東京,187+19 pp.,本体価格1,000円,ISBN:4-480-08878-4 → 書評版元ページ)を思い出す.

◆[欹耳袋]コンピューター系統樹(ハードウェアとソフトウェア) —— コンピューターのハードウェア系統樹「The Family Tree of Computer Development, Part II」/コンピューター言語の系統樹もまたおもしろい: Computer Languages History.系統樹曼荼羅本のネタにしよう.

蒸し暑い昼下がりの観音台.気温は27度くらい.外は曇っていて,西から雨雲が近づいてきている.ときおり小雨がぱらつく夕方,センター近辺の街路樹にムクドリ軍団が襲来する季節がやってきた.夕暮れになると急降下さえずりの大合唱でかしましい.

◆本日の総歩数=3814歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.1kg(−0.2kg) / 27.2%(+0.2%)


20 juni 2012(水)※台風一過の青空に天空樹が立つ

◆午前4時半過ぎに起床.台風一過の青空の日の出を拝む.南風が強い.気温25.1度ってマジですか(熱帯夜か).午前6時の気温は早くも25.8度に達して夏日ラインをあっさりクリア.関東地方は真夏日になるとの予報はきっとあたるんだろうなあ.台風の吹き返しの南風が強すぎて,ベランダの鉢植えが次々に横倒しになっていく.ドミノ倒し.午前8時の気温は28.6度で真夏日ラインまであとわずか.午前9時の気温30.1度! まずは真夏日ラインを軽やかにクリアした.さて,次なる猛暑日ラインはどうかな(汗).南風が吹き抜けているので,体感的にはまだつらくないのだが.

◆[欹耳袋]Blog (Before- & Afterimages)「再掲:シンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙」(6/30)」(2012年6月18日).※ああ,このシンポの講演準備もはじめないとかー./武蔵野美術大学 美術館「博物図譜とデジタルアーカイブ V」.2012年9月3日(月)~10月6日(土)「2010年度より4期にわたり開催してきた「博物図譜とデジタルアーカイブ」の総集編。荒俣宏旧蔵コレクションを中心に図書館所蔵の博物図譜を一挙公開」.三田の鉄壁図書館もアラマタ本を公開してくれないなあ(ぼそ).

◆[蒐書日誌]Sandra Rendgen and Julius Wiedemann『Information Graphics』(2012年刊行,TASCHEN Books, Köln, 480 pp., ISBN:978-3-8365-2879-5 → 版元ページ).最近,この方面の本が蒐書アンテナに引っかかることが多くなったな.とりあえず発注しますかね.とても大きくてしかも重そうだが./久保拓弥『データ解析のための統計モデリング入門:一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』(2012年5月18日刊行,岩波書店[シリーズ:確率と情報の科学・第I期],東京,xiv+267 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-00-006973-1 → コンパニオンサイト|版元ページ). 直販サイトを開設したとのこと.

◆[欹耳袋]メモクリップ —— 〈Trex-online〉: Boc Alix, Diallo Alpha Boubacar and Makarenkov Vladimir 2012. T-REX: a web server for inferring, validating and visualizing phylogenetic trees and networks. Nucl. Acids Res. (2012) doi: 10.1093/nar/gks485 First published online: June 6, 2012, pdf [open access].

◆真夏日の本郷出撃 —— 午前11時前にTXつくば駅へ.センター広場から見あげれば,抜けるような青空と真夏のようなぎらぎらした日差し.気温は30.7度まで上がっている.外界のまばゆい明るさにくらくらしながら本郷出撃だ.守谷〜万博記念公園の区間では E-mobile のつながりがとても悪い.正午前,根津で地上に出たらぎらぎらとした「夏」の迎撃.都内も正午には高気温は30.2度に達し,真夏日ラインを突破した.頭上から真夏の日差しが容赦なく照りつけるなかを虫の息で弥生坂を這い上がる.

本郷台地は南からの熱風が吹き抜ける.弥生キャンパスもそこかしこに昨夜の暴風雨による落葉落枝が散らばっていた.台風一過の夏空にスカイツリーが突き刺さっている.昼休みは専攻歓迎昼食会.本日用意されたお弁当は,東大農学部フードサイエンス棟にこの3月新しく開店した〈Food Science Cafe〉の仕出し弁当だった.オーガニック系のランチボックス.東大構内には「食べ処・呑み処」があちこちに潜んでいてなかなか楽しい.ちょっとだけ休憩をはさんで,午後1時から専攻教員会議がはじまる.

◆[欹耳袋]Nature News「Budget cuts threaten Japanese scientists’ pay: Government diverts public-sector salaries to disaster relief」doi:10.1038/nature.2012.10841(2012年6月18日).

◆専攻教員会議が午後3時過ぎに終わったあとは,湯島の〈うさぎや〉が定休日だったので,谷中へ直行.昼下がりは「夏」のパワーがやや落ちたらしく,都内は30度を下回る気温になった.〈マミーズ〉にて新製品のブルーベリーパイ(ホール)を買ってからつくば直帰.さて,真夏日になった日の夕暮れにはどんなビールがふさわしいだろうか.ここはやはりバクハツ系の発泡にごり酒でガツンと決めたいところだが,冷蔵庫の日本酒コーナーがすっからかん…….燃えるような夕焼けタイム.今夜はハンバーグをつくってオリオンビールを飲もう.

◆[欹耳袋]メモクリップ —— 松井哲也(神戸大学大学院理学研究科)「ツインテールの系統樹」→ 日本マンガ学会第12回大会.2012年6月23日(土)〜24日(日)@明治大学駿河台キャンパス・リバティタワー(→ 大会案内).ひょっとして行けるかも!

◆本日の総歩数=8082歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(−0.2kg) / 27.0%(−1.0%)


19 juni 2012(火)※台風が来るんですかそーですか

◆午前4時半起床.午前5時の気温は21.0度もある.北東からの風が吹き雲ゆき不穏.台風襲来に備えて,まずはベランダの鉢植えなど危なそうなものを片付けよう.一ノ矢八坂神社の時の鐘が鳴り響く竹園界隈.曇り空と北東風.いまは体感的に涼しいようでも,これから蒸し暑くなるのは必定.曇り空の観音台は朝から蒸し暑く,午前8時の気温はすでに22.4度.もちろん扇風機がフル稼働ちう.

◆[蒐書日誌]台風4号に先駆けてつくば着弾です〜 —— 三中信宏(編)『進化が語る 現在・過去・未来』(2012年6月20日刊行,日経サイエンス社/日本経済新聞出版社[別冊日経サイエンス・No. 185],東京,144 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-532-51185-2 → 目次版元ページ).迫りくる台風4号にもめげずに,早々とブツが届いたので,まずは書影の記念撮影タイム.一両日中に書店店頭に並ぶはず.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 昨日からの懸案だった数理統計集合研修カリキュラムの変更案を事務局に提示した.この通りになれば昨年よりはだいぶよくなると思う.農水独法の「なかのひと」だけで統計研修講師をまかなうのはだんだんきつくなってきている.それでも,何とかうまく配置しないとこれからも長続きできないし.講義日程と講師人選をいろいろといじったり,連絡したりして,さらなるパワーアップをはかる.

◆[欹耳袋]singular point「[R] データフレームを可視化するtabplotパッケージについて」(2012年5月23日).講義ツールとしてメモクリップ.

◆昼前,関東の西の方からしだいに雨雲が忍び寄ってきた.さて,昼休みの徘徊を決行すべきか否か…….蒸し暑い曇り空の昼休み,雨の心配はまだなさそうだったので,農環研の周囲を小一時間の徘徊タイム.不快指数が高すぎてどうしようもない.歩き読む『今和次郎 採集講義』.

◆[蒐書日誌]今和次郎『今和次郎 採集講義』(2011年11年15日刊行,青幻舎,京都,288 pp, 本体価格2,500円, ISBN:978-4-86152-322-9 → 版元ページ).青い第II部を読了.

「日常のあたりまえのできごとが,時,場所,職業等々の要因によって,特殊性を帯び始めることに気がついたのは,今和次郎であった.その着眼点のユニークさと,採集結果を図や絵であらわす描写力の巧みさを合わせ持つ,今の特性が最も発揮されたのが,モデルノロヂオであった」(p. 130)

「今和次郎の仕事を見ていると,対象の中に入っていかないというか,学者っぽく,標本を観察するように,取材対象を観察している印象を受けます」「考現学という,いろいろな種類のデータを大量に採集したテーマが生まれたのは,今和次郎の人間性に由来しているのではないかと思うときがあります」(pp. 158, 159: 都築響一)

これらの引用文を見ると,どことなく「統計学者」っぽいイメージが浮かび上がる.前から感じていたのだが,今和次郎のデータ視覚化(情報可視化)のスタイルは,オットー・ノイラートの「アイソタイプ」と相通じるものが少なくないように見える.たとえば p. 139 に掲載されている図像アイコンによるデータ集計のスタイルは,Otto Neurath[Edited by Matthew Eve and Christopher Burke]『From Hieroglyphics to Isotype: A Visual Autobiography』(2010年9月16日刊行,Hyphen Press, London, xxxii+192 pp., ISBN:978-0-907259-44-2 → 版元ページ)の p. 109 のアイソタイプ集計と事実上同じといえるだろう.

—— 今和次郎の天賦の画才と統計学的アプローチの接点に,このような図像世界が広がっていた.Richard Tufte だったらきっと喜んで今和次郎をサンプリングしたにちがいない.

◆駆け抜ける台風4号 —— 午後になって,台風の前兆,雨降る午後の┣┣" 撃ち.来週から全館空調が稼働開始との所内連絡があった.ただし書きとして,節電のため「冷房期間中でも最高気温が30℃以下となる日は運転停止させていただく」と書かれていた.避暑地の探索を真剣に考えよう.午後2時の観音台.まだ降り出してはいないが,雨になるのは時間の問題だろう.関東も直撃コースの射程に入ってるし,今日は早めに撤収するしかないなあ.あ,降ってきた降ってきた.いよいよだ.

午後4時過ぎ,警報が出たわけではないが,今日は暗くならないうちにさくっと撤収.日が暮れて風雨がしだいに強まってきた.雨足はまだたいしたことないが,吹く南風が台風の接近を予感させる.気温は23度台で蒸し蒸しする.今年はじめての除湿オン.台風4号が迫りくる夕方,ポークソテーの下準備を開始.いつも通りシンプルに岩塩と黒胡椒のみの味付け.そして,昨夜から仕込んでいる夏野菜のラタトゥイユが食卓へ.新玉葱と茄子そして黄・緑のズッキーニのみ(今回はパプリカ抜き).あとは完熟トマトと缶詰トマト.すべての野菜を一センチ厚に切って,熱した大鍋にオリーブオイルと岩塩をふりかけながら層に詰め込むだけ.水気はすべて野菜から出てくるので,足す必要はまったくない.コンソメや調味料はいっさい不要.簡単にして大量につくれる一品.今宵はめずらしくアルコール抜き! 

夜8時,強風圏にはもう入っていて風雨が激しい.つくば学園都市オケの練習日なのだが自主欠席.前回も豪雨だったし,今回は台風だし.〈アルプス交響曲〉はアラシを呼ぶ曲.夜10時,暴風雨クライマックス.風圧が強すぎてガラス戸が開けられない.

—— 天気予報では,台風4号は真夜中のうちに関東を駆け抜けて東北地方に到達するらしい.そして,明日は台風一過の真夏日になる予想.東京出撃がつらいなあ.

◆本日の総歩数=7174歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.7kg) / 28.0%(−0.2%)


18 juni 2012(月)※朝から初夏の蒸し暑さの週明け

◆午前5時起床.晴れ.朝日が元気よく打ち上がっている.気温17.3度.まずは朝イチで鮭を焼くことにしよう.台風接近を露ほども感じさせない観音台は朝日が降り注ぐ.気温は午前8時ですでに23.1度.予報通りの蒸し暑い夏日になるのだろうか.週明けのBGMは John Lewis の平均律.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 進化学会ニュース連載原稿を書き上げる.千葉県博に向けてテポドン発射:三中信宏「「智慧の樹」再訪:【3】生物体系学におけるネットワークとマップの出現」日本進化学会ニュース13巻2号掲載予定.9000字あまり.締切日は明後日なのでちょっとよゆー.

◆[欹耳袋]朝からのけぞる日本言語学会会長就任演説! —— YouTube「日本言語学会会長就任演説 ダイジェスト 梶茂樹教授 10」(2012年6月17日) ※これはすごい.木のタイコを叩く学会長.ワタクシもぜひ叩いてみたい.こういうお方だったらむべなるかな:梶茂樹 1990. モンゴ族の伝達用太鼓について.アジア・アフリカ言語文化研究 (40), p133-141 (→ CiNii).タイコでなごむ朝のひととき.

◆昼休みの観音台は薄曇りところどころ青空が見える.昼前にはすでに夏日ライン越えの26.4度まで気温が上がって蒸し暑い.農林団地の林からは早くもニイニイゼミの初鳴きが聞こえる.すでにアロハシャツにサンダル(と下駄)なので,勤務先の「軽装実施」にはおおいに貢献しているんだけどね.土手の芝生には真っ黄色のキクの花が点々と浮遊していた.梅雨の晴れ間の昼休み徘徊.今日のお供は:今和次郎『今和次郎 採集講義』(2011年11年15日刊行,青幻舎,京都,288 pp, 本体価格2,500円, ISBN:978-4-86152-322-9 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]Togetter -「大学の授業の教授方法について」 —— ワタクシの場合は,講義中もっぱら図表やグラフあるいはアニメーションを見せるためにpdfスライド(pptは使った経験なし)を利用している.「文字だけスライド」を学生に示したことはほとんどない(「だが」とか「そこで」という巨大文字スライドはよくある).統計高座の場合は,ときどき「数式」もプレゼン用スライドにTeXで書き込む.しかし,その場合は「拡大機能」をフルに利用しながら,数式をすべて「ことば」に置き換えて説明している.

講義のまとめや論点を「板書」したいときは,パソコン画面を「黒板」に見立てて,メモ帳ソフトで「板書」している.Mac OS X だったら GlassiePad が最適.背景壁紙はもちろんできるだけ黒くしてある.大教室で講義する機会が多いので,スライドに「細かい文字」を列挙してはいけない.プレゼン用スライドが教室の最後列からちゃんと見えるかどうかを実地検分すれば,「微小文字だらけスライド」がいかに可読性に欠けるかは誰にでもわかる.

「文字だけスライド」を作成するときのワタクシ的な目安は「1枚のスライドに30字以下」.Adobe InDesign だと見出しは「60Q」で本文は「50Q」がそれぞれ最小値.これ以上の小さいフォントだと教室の後ろからでは読めない(経験談).教壇の教師には見えても教室後部の学生には見えない(かもしれない)というきわめて大事な基本認識が,実はそれほど教員の間で共有されていない気がする.「そんな視力検査みたいなスライドが読めるかー」と卓袱台返ししてあげた方がいいかも.

必要に迫られて,細かい字の論文コピーをスライド化するときは,Mac OS X だったら「ユニバーサルアクセス」の「ズーム機能」をオンにして,ぐわわ〜と拡大しながら見せるのがベター.いわゆる「高橋メソッド」に近いものがあるのは確か.ただ,個人的には「ゴシック体」は暑苦しいので,あくまでも「明朝体」にこだわりがある.

—— 教壇に立つみなさんが講義中どのようにプレゼン用スライドを使っているのか,かなり興味がある.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 今年11月につくばで開催される数理統計短期集合研修(基礎編・応用編)のカリキュラムと講師布陣の概略がまとまった.べいづ増えました,回帰分析が復活,Rはそのまま,帰ってきた三輪センセ! よろしく.※もうちょい調整が必要になった./東大の専攻研究会議の資料づくり完了.

◆[欹耳袋]国立大学職員日記「平成24年6月「期末手当」「勤勉手当」情報 + 国家公務員給与削減法の影響について」(2012年6月18日)

◆本日の最高気温は昼下がりの27.4度だった.居室に差し込む西日がしだいに殺傷力を増し,それに対抗するように扇風機をぶんぶんまわしている.しかし,青空にうろこ雲が浮かぶ夕方はちっとも初夏らしくない.緩やかな南東の風が吹きこんで,午後5時になっても気温25.0度の夏日が続く.今日の夕暮れの空の表情を見ていると,明日から明後日にかけて台風が確実にやってくるとはまったく想像もできない.でも,来るんだよねー.昼間の熱気が残る夕餉は夏野菜のラタトゥイユをたっぷり仕込むことにしよう.

◆本日の総歩数=8457歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.8kg(−0.3kg) / 28.2%(−0.2%)


17 juni 2012(日)※洛南の梅雨は晴れ間は蒸し暑い

◆明け方まで降り続いた土砂降りは朝になってやっと上がり,雲間から青空がのぞくほど天気はやや回復している.そろそろお掃除ミッションのはじまり.積年の物品をほかしまくるだけの単純なお仕事.

◆[欹耳袋]過去ツイートのまとめと補足:leeswijzers stamboom「偏差平方和・偏差絶対値和・シュタイナー問題」(2012年6月17日).ひさしぶりに tumblr を使った気がする.数日前の一連のツイートが頻繁に RT されているようなので,まとめるとともに補足をしておいた.

偏差平方和・偏差絶対値和・シュタイナー問題

ある基準点から各データ点への“ズレ”を平方ユークリッド距離で定義すると,その基準点が「算術平均」であるときに最小値をとる.一方,絶対値距離で定義するとその基準点が「メディアン」(算術平均ではなく)であるときに最小値をとる.

空間内に固定されているデータ点集合のある「定点」からの“ズレ”を定量化するとき,その「定点」の位置を決定することは一種の「シュタイナー樹問題(the Steiner tree problem)」である.ただし,最適な「定点」すなわち「シュタイナー点(the Steiner point)」をただ一つもつという条件を課す点で,系統推定問題を含む一般のシュタイナー樹問題とは違っている.

この最適シュタイナー点は距離空間ごとに解がちがっている.平方ユークリッド距離のもとでは「算術平均」をシュタイナー点とする最小距離和が「偏差平方和(平方和)」だが,絶対値距離のもとでは「メディアン(中央値)」をシュタイナー点とする最小距離和が「偏差絶対値和」となる.

それぞれの距離空間での「定点」が一意的に求まるかどうかは別問題だ.平方ユークリッド距離のもとでは目的関数の最適化は単純な二次関数(偏差平方和)の最小化問題なので,最小値を与える点(すなわちデータ点の算術平均)は一意的に確定する.

ところが,絶対値距離のもとでは「定点」が一意的になる保証はない.データ点が奇数個あれば大小順にソートしたときの中央値がそのまま一意的な解(メディアン)になる.一方,データが偶数個ある場合にはソートしたときに中央値は一般にふたつあり,通常の統計学ではその二つの算術平均を便宜的にメディアンとしている.しかし,絶対値距離空間の偏差絶対値和を目的関数とする最小化問題の解という観点から見れば,ふたつの中央値ではさまれた区間(「メディアン区間」)に含まれる任意の実数値は絶対値和を最小化する.

したがって,絶対値距離のもとでのメディアンという記述統計量は偏差絶対値和最小化の解の一意性を必ずしも満足しない.この点では平方ユークリッド距離のもとでの偏差平方和の方が算術平均が一意的な最適解であるという点でより望ましいといえるかもしれない.

メディアン関数のもつ諸性質については二十年ほど前に論文を発表した:

  • Masazumi Hanazawa, Hiroshi Narushima, and Nobuhiro Minaka 1995. Generating most parsimonious reconstructions on a tree: a generalization of the Farris-Swofford-Maddison method. Discrete Applied Mathematics, 56: 245-265. DOI:10.1016/0166-218X(94)00089-V | pdf

  • Hiroshi Narushima and Masazumi Hanazawa 1997. A more efficient algorithm for MPR problems in phylogeny. Discrete Applied Mathematics, 80: 231-238. DOI:10.1016/S0166-218X(97)00088-7 | pdf

この二つの論文は,数理統計学とはまったく関係のない,数理系統学の分野での研究成果だが,絶対値距離空間での距離和最小化というシュタイナー問題を論じている点で統計学の上記問題と関係している.

◆お掃除ミッションの合間の一休みなう.晴れたり曇ったりの空模様はいいとして,午前11時にすでに26.6度まで気温が上がってきた.まさか真夏日にはならないよねー(ならへん言うて!).午後3時過ぎ,とりあえず今日のお掃除ミッションは完了し,返す刀で辞書┣┣" 二頭を仕留めてメール送信.では,そろそろ帰り支度をしようかな.午後5時半の新幹線に乗る.今日は晴れて蒸し暑かった.これからの季節は覚悟しないといけない.夕暮れに浮かび上がる富士山のシルエットがとても鮮やか.

◆午後9時前につくば着.こっちも昼間は暑かったようだが,夜になって東風が吹き抜けて爽やか(でも湿度は高い).つくばではけっして入手できない「正しい水無月」はやはり地元に帰ってゲットするしかない.洛南ミッションの帰りしなに京都駅ビルの伊勢丹に入っている〈仙太郎〉で正しい「水無月」を買ってきた.ういろうは「白・抹茶・黒糖」の三種類.各二つずつ.包みがずっしり重くてわくわくする.つくば帰還後,すぐにふたつ食べた(抹茶と黒糖).やっぱり水無月は粒あんが石畳のように敷き詰められた,ずっしりと重い直角二等辺三角形であらねばならない.今の季節は水無月が旬なので,〈仙太郎〉の売り場には三角形が敷き詰められていた.清掃作業に従事した週末はもうぐでぐでなのだが,正しく大きな「水無月」をいただいたのでちょっと元気が戻ってきた.喰いもんのウラミはホンマにこわいでぇ〜.

◆今週は台風4号がどうお出ましになるかで行動予定が大きく変わりそう.水曜の東大での専攻教員会議とか暴風雨の中でやるのはかんべんしてほしい./洞峰公園北の〈アンデルセン〉は平常通りちゃんと営業していたとのこと.あらら,先日ガセネタを流してしまったみたいでもう訳ないないない.店内改装日をたまたま目撃してしまったということか.

◆本日の総歩数=5926歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


16 juni 2012(土)※どしゃ降り京都ミッション初日

◆いつも通り午前4時半に目覚めたのだが,週末だからと自己弁護しつつ背徳の二度寝.明け方の東の空はまだ明るかったのだが,その後どんどん雲が厚くなり,午前7時には雨が降りだした.予報では終日降り続く.最低気温は16度台.いまは18度を越えている.動くと蒸し暑いかも.

◆[蒐書日誌]日仏友好百五十年記念国際シンポジウム「ジャン=アンリ・ファーブル」実行委員会(編)『ジャン=アンリ・ファーブルの時間』(2012年6月近刊,東海大学出版会,ISBN:978-4-486-01908-4)/長谷川雅雄,辻本裕成,ペトロ・クネヒト,美濃部重克『「腹の虫」の研究:日本の心身観をさぐる』(2012年刊行,名古屋大学出版会,名古屋,本体価格6,600円, ISBN:978-4-8158-0698-9 7 → 版元ページ).またしてもUNPの陰謀にサイフのひもは緩む以前にないも同然(orz).

◆梅雨のさなかに西へ西へ —— 正午前,つくば駅にてTX快速に乗る.朝のうちは本降りだったが,昼前には空が一時的に明るくなって小降りに.観音台にちょいと顔出しして,やっぱり一割も目減りした給料明細を確認したのち帰宅,そして旅支度.この週末は京都ミッション(梅雨濡れ濡れ編)を遂行する.気温は20度そこそこだが蒸し暑い.午後1時過ぎ,東京駅.プラットホームにいても雨が降りかかる.都内も蒸し暑い.これから新幹線に乗って西へ西へ西へ.午後3時,名古屋通過.車窓から見える雨足はどんどん強まっているような.原稿依頼┣┣" は新幹線のぞみ号よりも速く追いかけてくる.午後3時半,京都駅到着.しとしと雨が降り続き不快な蒸し暑さがいかにも京都らしい.奈良線に乗り換えミッション開始.まずは黄檗にて.蒸し暑い雨が真綿でくるまれたように息苦しい.次は北白川へ.東山の峰々に雨雲の切れ端が点々と.徘徊していたらいきなりどしゃ降りに遭遇し,全身濡れ鼠になった.土佐赤牛をいただき,フルに喰ってしまった.今日は,京大で先日亡くなった田隅本生さんの「お別れ会」があったらしい.

◆本日の総歩数=9800歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.1kg(0.0kg) / 28.4%(−0.2%)


15 juni 2012(金)※梅雨のほんの晴れ間の農大高座

◆午前4時半起床.曇り空.気温13.8度・北東風.ここ数日.ずっと同じ空模様.お,朝日が昇ってきた.晴れてきたみたい.

◆経堂へ定例出撃 —— 午前7時半.つくば駅へ.とてもいい天気.またまた千代田線が遅延したが,午前9時半に経堂着.都内はよく晴れてだんだん暑くなってきた.講師控室よりも講義棟ロビーの方が居住性が有意に高い.半時間ほど休んでから講義室へ.本日の講義は乱塊法のいくつかの応用例(スプリットプロットなど)について触れたのち,実験計画法の線形統計モデルについての総括をする.後半の残り時間は統計モデル選択論の話題に入るつもり.また,いまの予定では来週の講義時に第一回のレポート課題を出すことにしている.

◆正午過ぎに農大高座を終えて,経堂駅前に潜伏.都内の正午の気温は23.9度.初夏の暑さと日差しがまぶしい.農大通り沿いのお屋敷町の生垣は紫陽花がもう花開いていた.さて,ガトーセルとアイスコーヒーで一休み.

◆では,本日の質問への回答をまとめて ——

  • #NodaiStat 【質問】「分割区法で無作為化の意味がよくわからなくなってしまいました.」/【回答】一次要因をまず割り付けたあとで二次要因の割り付けをランダムに行ないます.通常の実験計画では一度に無作為化しますが,スプリットプロットでは一般に多段階割り付けです. posted at 13:07:06
  • #NodaiStat 【質問】「水耕栽培での配置もたとえば品種とNa添加実験では配置を考えた方がいいでしょうか?」/【回答】温室での室内実験でも野外圃場実験と同様の実験計画と処理区の割り付けを剃する必要があります. posted at 13:09:06
  • #NodaiStat 【質問】「処理平均の多重比較について,水準ペア間の有意差があるとわかったらどうすればいいのですか?」/【回答】多重比較でペア間での有意差の有無がわかれば大小順にソートしてみると理解しやすいです. posted at 13:20:00
  • #NodaiStat 【質問】「多重比較がよくわからなかった」/【回答】次回,補足説明しましょう. posted at 13:21:00
  • #NodaiStat 【質問】「実験区配置の「ネスト」と「クロス」の意味がよくわからないです.」/【回答】分割区法(スプリットプロット)の場合は段階的無作為化をするので実験区配置がネスト(入れ子)になります.一方,細分区法(ストリッププロット)は複数要因の配置が直交します. posted at 13:23:21
  • #NodaiStat 【質問】「復習を一からやろうと思うのですがおすすめの本は?」/【回答】っ 租界Rの洗脳本リストへゴー:http://bit.ly/bftWmD posted at 13:26:35
  • #NodaiStat 【質問】「うるさい人を注意してほしいです」/【回答】教室入り口の女子学生ふたりのことね.次回も同じようなら注意します. posted at 13:28:28
  • #NodaiStat 【質問】「レポートがこわいです.」/【回答】「ご心配なく.噛みついたりしませんから.」 posted at 13:29:21
  • #NodaiStat 【質問】「統計ってかじるだけではあまり意味がないでしょうか?」/【回答】かじって放り出すとトラウマになりますね.硬いところと軟らかいところが混じっているので,かじりつく場所を選びましょう. posted at 13:31:37
  • #NodaiStat 【質問】「未知の現象を解明するのはとても難しいことなんだと思いました.モデル立てがまず難しい.」/【回答】御意. posted at 13:33:31

◆本日のランチは経堂駅前〈はるばるてい〉にて「カレー香麺」をば.暑いときには辣椒の代わりにカレー味でぴりりと.大徳寺納豆みたいな発酵豆がトッピングされていた.いくら汁なし系とはいえ,ちょっと見にはとても「ラーメン」には見えない.それにしても,ここ〈はるばるてい〉は昼間っからビールを飲んでいる率がかなり高いな.うらやましいな.夜はもっとアヤシくになるらしいし.〈はるばるてい〉を出た後はだらだらと寄り道せず,午後4時半につくばに帰り着いた.たった一時間半の出張高座でもしっかり一日仕事になってしまう.都内の最高気温は24.8度と夏日ラインに接近し,南風が吹いて初夏らしい暑さだった.つくばに帰ってきたら,薄雲がかかり涼しい東風が体感気温をぐっと下げてくれた.

◆[欹耳袋]カレントアウェアネス・ポータル 「生涯投稿料99ドルの査読付きオープンアクセス誌“PeerJ”が2012年秋に創刊」※投稿し放題って食べ放題じゃあるまいし…….でも,ジャーナルとして成立するんだったらおもしろいかも(無責任か).

◆う゛ー,夜,サムギョプサルを食い過ぎたワタクシは背徳度急上昇.

◆本日の総歩数=11983歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


14 juni 2012(木)※水無月には水無月を食べる風習

◆午前4時半起床.曇り.気温14.2度.北東風.毎日毎日肌寒い明け方.曇り空の観音台.明け方の最低気温は14.1度まで下がった.午前8時の気温は16.1度.北東風が吹いて涼しい.居室の窓を全開にしてスティーヴ・ライヒの〈ドラミング〉をBGMに,さて原稿の続き.

◆[蒐書日誌]久しぶりに「鹿野忠雄」関連 —— 『鹿野忠雄:縱橫山林間』(2011年刊行,國史館[叢書:異人的足跡系列],台北,DVD → 情報)/辻原登『闇の奥』(2010年4月10日刊行,文藝春秋,東京,ISBN:9784163288802 → 版元ページ)※鹿野忠雄が小説のモデルとのこと.鹿野忠雄は臺灣では有名人でいまでも尊敬されている.日本だと鹿野忠雄の書いた本や伝記はいまでは絶版になっているのではないかと思ったのだが,意外なことに:鹿野忠雄『山と雲と蕃人と:台湾高山紀行』(2002年2月22日刊行,文遊社,東京,ISBN:4-89257-037-0)とは新刊で買えるし,伝記:山崎柄根『鹿野忠雄:台湾に魅せられたナチュラリスト』(1992年2月20日刊行,平凡社,ISBN:4-582-37381-X)の入手も難しくなさそうだ.

◆昼休みの観音台は灰色の曇り空.昨日のように晴れ間が除けばランチタイム徘徊をする気にもなるのだが,こんな天気じゃダメダメ.気温は20度近くまで上がってきたが,あいかわらず北東風が涼しい空気を運んでいる.さて,原稿書きながらご飯食べて,それからまた原稿を書くのだ./午後イチのお仕事は業務棟にてさなぶり実行委員会を半時間ほど.実施日は7月3日(火)の昼休み./打合せの後,本館へ戻る.外気温は20.1度.青空が戻ってきて東風が心地よし./いましがた送信した所内の領域セミナーの発表要旨は「198字=1.41ツイート」だった.もうちょい削るべきだったかも./また原稿苦界への復帰〜.

◆[蒐書日誌]もうすぐ刊行! —— 三中信宏(編)『進化が語る 現在・過去・未来』(2012年6月20日近刊,別冊日経サイエンス185,144 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-532-51185-2 → 版元ページ).

◆夜,ここ数日書き続けてきた原稿を担当者にメール送信:「体系と知識を可視化:存在の連鎖からマップへの道」.およそ10,000字弱の分量.ついでに目次構成もやや大きく手直しした.この原稿仕事もはやくケリをつけないと,その次がすでに接近しつつある.

◆明日は定例の農大高座.幸い雨が降ることはなさそうだ.

◆本日の総歩数=3933歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.1kg(+0.5kg) / 28.6%(+0.1%)


13 juni 2012(水)※今日も朝から冷たい東風が吹く

◆午前4時半起床.降り続いた雨はやっとあがったようだ.気温は14.3度と涼しい.灰色の曇り空で,気温はあいかわらず低いまま.冷たい北東風が吹き抜ける.日中は頑張って20度を越えるらしいが.それでも夏日には達しないだろう.観音台は午前8時の気温がまだ15.6度.朝日も差さず,ここ数日の梅雨寒がなお続く.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 原稿書くしかないっしょ!

◆[蒐書日誌]「#進化学事典」 —— こんなハッシュタグがあったとは.進化学会南大沢大会の WS12〈『進化学事典』を叩き台にこれからの進化学をさぐる会議(仮題)〉がらみか.

◆[欹耳袋]組版ソフトウェア〈EDICOLOR〉の名前を久しぶりに目にした.Adobe PageMaler → QuarkXPress → Adobe InDesign というワタクシ的キャリアには EDICOLOR は含まれていない./発展途上国だけの話ではない:SciDev.Net「How to report science in local languages」(2012年6月8日)./時事ドットコム「牛の生レバー提供禁止、正式決定=7月から飲食店で-厚労省」(2012月6月12日)※アノ店とかアノ店とかこれからどーするんだろー./最近,われわれのギョーカイで話題になったとある改訂論文集が早くも翻訳出版に向けて水面下で動き始めているらしい.翻訳は「読む」だけにしたい(翻訳を「する」のは地獄……).

◆昼下がりの┣┣" 撃ち —— 午後1時に数理統計研修の担当者が来訪.秋の研修日程や講師配置についての打合せをする.クラスター分析の講師はワタクシが担当することになった./その後はまた原稿を書き続けるしかないっしょ!

◆[欹耳袋]ある基準点から各データ点への“ズレ”を平方ユークリッド距離で定義すると,その基準点が「算術平均」であるときに最小値をとる.一方,絶対値距離で定義するとその基準点が「メディアン」(算術平均ではなく)であるときに最小値をとる.空間内に固定されているデータ点集合のある「定点」からの“ズレ”を定量化するとき,その「定点」の位置を決定することは一種の「シュタイナー樹問題(the Steiner tree problem)」である.ただし,最適な「定点」すなわち「シュタイナー点(the Steiner point)」をただ一つもつという条件を課す点で,系統推定問題を含む一般のシュタイナー樹問題とは違っている.この単一の最適シュタイナー点は距離空間ごとに解がちがっている.平方ユークリッド距離( \( L^2 \) ノルム)のもとでは「算術平均」をシュタイナー点とする最小距離和が「偏差平方和(平方和)」だが,絶対値距離( \( L^1 \) ノルム)のもとでは「メディアン(中央値)」をシュタイナー点とする最小距離和が「絶対偏差和」となる.

◆[蒐書日誌]上の問題に関連する参考文献 —— 南風原朝和『心理統計学の基礎:統合的理解のために』(2002年6月刊行,有斐閣,東京,ISBN:4-641-12160-5 → 版元ページ)※ゆーひかくの本はあまりご縁がない……./ついでに:南風原朝和・平井洋子・杉澤武俊『心理統計学ワークブック:理解の確認と深化のために』(2009年9月刊行,有斐閣,東京,ISBN:978-4-641-17356-9 → 版元ページ)という本もある./さらに:Passepied「勉強会: 心理統計学の基礎をRで実行」.

◆午後になって晴れ間が広がり,いまは気持ちよい夕暮れタイム.初夏の空とは思えない秋のような筋雲が上空にかかっている.今日はきれいな夕焼けになりましたなあ.日中の最高気温はかろうじて20.4度まで頑張ったけど,また下がってきた.ずっと北東風が吹きつけて体感的には肌寒い.

◆洞峰公園北の〈アンデルセン〉って閉店したのかな? さっき通ったら看板がなくなっていて,店内ががらんどうだったけど.〈モルゲン〉はこの時間帯だとほぼ売り切れ状態で,食パン難民のまま帰宅するはめになった.明日は〈モルゲン〉が定休日だからダメで,〈david pain〉とか〈アンキュイ〉は食パンに関してはそもそも「ある」のかどうか微妙だし.〈ブロートツァイト〉は別のパンが欲しくなるしで,こと食パンに関しては「パンの街・つくば」といえども選択肢は意外に狭いかも.夕方の帰宅時間帯になると食パンがどこの店でも売り切れてしまって…….かといって,そのためだけに昼休みに車で外出というのもじゃまくさいし……

◆[欹耳袋]ロンドン自然史博物館の David Williams からメールあり.来週20日に博物館で開催される the Systematics Association の創立75周年イベント〈75 years of the SA〉で記念トークをするとのこと.そのトークのスライドとして,日本動物分類学会誌タクサに以前書いたワタクシの日本語記事:三中信宏「Ernst Mayr と Willi Hennig:生物体系学論争をふたたび鳥瞰する」タクサ, (19): 95-101(2005.8)の図(生物体系学史チャート)を使わせてほしいとのこと.もちろん感謝しつつ了承.われわれの業界は小さいので何語で書いてもすぐにバレてしまう.

◆本日の総歩数=4054歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(0.0kg) / 28.5%(0.0%)


12 juni 2012(火)※肌寒い梅雨寒の底で這いまわる

◆午前4時半起床.曇り.気温15.4度.北東風.涼.今日は梅雨空になるらしい.今朝の最低気温は15.3度.いまも16.3度とほとんど上がっていない.曇り空の観音台は東北東の風が吹いて,とても涼しいというよりも肌寒い.農環研駐車場にて「Tシャツ・短パン・サンダル」という“農水的正装”の研究員とすれちがった.実験圃場に向かったと思しきその研究員氏は肩からバンドネオンをぶら下げていたのだが,きっと「野外植物群落におけるバンドネオン音響の多様性保全への効果に関する研究」をしに行くのだろう.きっとそうだ,そうにちがいない.今日の気分はコダーイ〈ハーリ・ヤーノシュ〉をがんがんかけたいところだが,くしゃみをしてパソコンに向かうと法螺話をだらだら書いてしまいそうなので自粛.代わりにアルヴォ・ペルトの〈ヨハネ受難曲〉が静謐に流れる研究室.

◆[蒐書日誌]暗黒教団から最新の「工作指南書」が密林から届いた —— Ward C. Wheeler『Systematics: A Course of Lectures』(2012年6月刊行,Wiley-Blackwell, Hoboken, xx+426 pp.+12 color plates, ISBN:978-0-470-67170-2 [hbk] / ISBN:978-0-470-67169-6 [pbk] → 目次版元ページ).なんだこりゃ,Hennig Society Meeting で知ってる顔ばっかり載ってるじゃないか…….総論は早々とスキップされて,動的最適化に基づく系統推定アルゴリズムの各論の詳述,さらに最尤法とベイズ法まで踏み込んだ解説がされている.今から6年前に出たPOY解説書:Ward Wheeler, L. Aagesen, C. P. Arango, J. Faivovich, T. Grant, C. D'Haese, D. Janies, W. L. Smith, A. Varon and G. Giribet『Dynamic Homology and Phylogenetic Systematics : A Unified Approach Using POY』(2006年12月1日刊行,American Museum of Natural History, New York, ISBN:0-913424-58-7 → ダウンロード[a pdf file, 373 pp., 2,516 KB])と比べればはるかに「読み物」らしくなっているが,想定される読者層の期待死亡率はとても高そうだ.少なくとも題名にうっかり釣られて買うと暗黒教団に即入信.でも,この本,いたいけな系統学者にはぜったいに読み通せないと思う.「青少年」がうっかり読んではいけない専門書ってあるんだな.研究者人生の酸いも甘いも噛み分けた「中高年」こそ手に取って涅槃に参りましょう(ちがうか).まだ若い Kurt Pickett が昨年亡くなっていたことを知ってショック.2007年の Hennig Society ニューオーリンズ大会では banquet talk を演じてくれたのに.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 6月13日(水)13:00.秋の数理統計研修のコーディネーター打合せ./6月25日(月)今期から始まる「領域セミナー」で統計の噺を半時間せよとの御下命あり.時間調整中./6月28日(木)10:30〜.キャリアデザイン面談./某ヒミツ委員の委嘱状が農環研に届いた.リアルに拘束されることはなさそうなので安心して兼業で引き受けることにする.6月22日締切の兼業申請書類(もう書き慣れた)をさくっと提出してこの件はおしまい.

◆[欹耳袋]日本進化学会第14回大会 —— 講演申込締切は6月29日(金),早期参加登録締切は7月20日(金).

◆正午の気温は15.9度.明け方とほとんど変わらない涼しさ.昼休みの徘徊に外に出たら観音台は霧雨が降り始めていた.これでは『シラミとトスカナ大公』を歩き読むわけにはいかないので,途中で切り上げて農環研に中途半端に帰還なう.雨降る昼のBGMは鈴木雅明(Cem.)演奏の〈ゴルトベルク変奏曲〉.

◆[欹耳袋]大学の講義室に座っている学生の事前知識を推し量るとき,大学に入るまでの指導要領・履修科目・入試方式などの制度による体系的要因よりも,入学後の知識半減期の長さや知的欲求の強さの個人差あるいは担当教員の好き嫌いみたいな偶然的要因の方が影響力が大きいように思う.入学したての「新鮮」な新入生ならまだしも,半年とか一年が過ぎて蓄積された知識の賞味期限が過ぎればかなり「揮発」していると考えた方が(教員の立場からすれば)きっと安全だろう.ある科目を「高校までで履修した」とか,ある内容が「指導要領に含まれていた」からといって,講義室の眼の前にいる学生たちがその知識を保持している保証はどこにもない.「これくらい当然みんな知ってるよね」という「事前知識あるある仮定」は教壇の上でみごとに裏切られるためにのみあることを経験的に知っている.学生が「白板[タブラ・ラサ]」であることを前提に講義をすると,たいていの場合「そんなことはもう知ってるよ」という不満よりも,「アノ知識はここで使えるんですね」と自発的にリンクを張ってくれる.思い起こせば,ワタクシの高校時代は複素平面が指導要領から削られて,代わりにベクトル・行列が新たに盛り込まれた移行期間だった.そういう制度的変異がその後のワタクシの人生を大きく変えたとはとても思えない.将来的に必要な知識は本人がそのつど勉強すればいいと思う.それをうまくガイドするのが教壇の上に立つ者の仕事だ.

◆午後になっても冷たい雨が降り続き,気温は14〜15度台という初夏とは思えない肌寒さだった.暗くなる前にさくっと撤収したものの,原稿┣┣" は背中にべったりはりついたままにやにやしている.

◆[欹耳袋]Firefox をうっかり version 13.0 にアップデートしたら,ヒソカに使い続けていた Mac Pro (Tiger) をガン無視してにっちもさっちもいかなくなった……(身から出た錆).さすがにもう寿命かなと諦めていたら,運良く Mozilla Japan の「なかのひと」にガイドしてもらって,おかげさまで Mac Pro on Tiger の延命処置に成功した! ツイートに助けられ,ありがたやありがたや.この機会に華麗なる「MBP+Retina」への転身をはかろうかなー(フトコロと相談).

◆夜になっても冷たい雨はしとしと降り続きいっこうに止む気配がない.気温は14度台で寒いこと寒いこと.

◆本日の総歩数=4897歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(−0.3kg) / 28.5%(+0.5%)


11 juni 2012(月)※今週もぱあ〜っといきましょう

◆午前4時過ぎ起床.気温16.5度.夜中も雨が降ったようで見下ろす下界が濡れている.いまは曇り空.雲間から時おり朝日が差し込む観音台は気温17度台で,蒸し暑くもなく涼しくもなし.週明け早々,ごまめ┣┣" どもを一網打尽.受診箱の未処理メールを一掃処分できてスッキリ(つかの間).BGMはグレン・グールドの〈フランス組曲〉.さて原稿〜.

◆[蒐書日誌]放射線本(これは力作!) —— 田崎晴明『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』→サイト ※pdfファイルが公開された.ふりがな付きなので子供にも読めるだろう.

◆[欹耳袋]『図書新聞』の最新号(2012年6月16日発行・3066号 → 版元ページ)がやっと届いた.ワタクシの『ムネモシュネ・アトラス』書評:三中信宏「イメージの迷宮がもつ多次元性を読む:歴史の中で実体として存続してきた「情念定型」を追求」は第一面掲載(→ 目次).それにしても「図書新聞」のフォントサイズは極小だな.視力への真正面からの挑戦だ.

◆[蒐書日誌]進化本あれこれ —— 【英】Rebecca Stott『Darwin's Ghosts: In Search of the First Evolutionists』(2012年5月刊行,Bloomsbury Publishing, London, ISBN:9781408809082 [hbk] → 版元ページ)Rebecca Stott といえば,十年前に出た前著のフジツボ本:Rebecca Stott『Darwin and the Barnacle』(2003年刊行,W. W. Norton, New York, xxvi+309 pp., ISBN:0-393-05745-3)の翻訳をうららさんが進めているという話を聞いたのだが,その後どうなったのだろう?/【仏】〈Œuvres et rayonnement de Jean-Baptiste Lamarck〉- さすがフランス!/【独】Ernst Haeckel の全著作の版→ Wikisource./【蘭】〈Evolutie blog〉- オランダ語の進化ブログ.

◆昼休みの観音台は曇りときどき日が差す空模様.正午の気温は21.3度と夏日にも達していないが,うろうろ徘徊すると蒸し暑い.湿度が高いせいか.歩き読み読了:つげ義春『つげ義春の温泉』(2012年6月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・つ-14-10],東京,222 pp., 本体価格780円, ISBN:978-4-480-42953-7 → 版元ページ).寂れた湯治場を「姥捨て」だの「世捨て」と言いつつ,賑やかな温泉場を忌避してしまうキャラクターの著者.『つげ義春の温泉』の時代設定は「昭和40〜50年代」で,ワタクシの世代とちょっとだけかぶっている.ほんの数十年前の写真やエッセイだが,そこに漂う雰囲気は,だいぶ前に読んだ大正時代の温泉紀行本:田山花袋『温泉めぐり』(2007年6月15日刊行, 岩波書店[岩波文庫 31-021-7],東京, ISBN:9784003102176)にかぎりなく収斂している.天動説な著者であることを実感した.

◆[蒐書日誌]その他本いろいろ —— Karl R. Popper 『The Open Society And Its Enemies (I and II)』(1947年刊行,George Routledge and Sons, London).Internet Archive からオンライン公開された./ずっと買いそびれたままになっている:坂口謹一郎『酒学集成(全五巻)』(1997年〜1998年,岩波書店,東京 → 版元ページ)版元ではもちろん品切れなのだが,いつになったら全巻そろいぶみになるのだろうか.

◆追い詰められ原稿をひとつ仕留めてメール送信だん.次の標的┣┣" が横にいるので休みはない.

◆本日の総歩数=7978歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.3kg) / 28.0%(+0.1%)


10 juni 2012(日)※梅雨空から一転して夏日の青空

◆終日降り続いた昨日の雨は夜遅く上がって,その後,北東からの冷たい風が吹きつけた.今朝は午前4時半に起床.どんよりした梅雨空から一転して,晴れ間がのぞく日の出タイム.朝日がとてもまぶしい.午前5時の気温は17.7度と昨夜からほとんど変化がない.北西の風.昨日の日中の気温は20度ラインも越えることなくいきなり梅雨寒だったが,今日はきっと暑くなるにちがいない.だんだん青空が広がってきた.この分だと中央公園の〈つくいち〉は初夏の好天に恵まれて混み合うかもしれないな.

◆[欹耳袋]発声練習「Google Schalorの機能を使って自分の論文の引用状況を調べる」(2012年6月4日).Google Schalor の「My Citations」の使い方.試しに,この機能を使って自分のページを公開してみた.自然科学系では当然のことだが国際誌に英語で書いた論文の被引用数が多くなる.しかし,日本語の雑誌でも,場合によっては日本語で書いた記事や著作でさえも国際的に引用されることがある.オーストラリアのある藻類学者は奥さんが日本人なので,「ニホンゴ」の文献はまったく支障にならないという.また,サンパウロ大学の魚類学者はどんな言語で書かれていても「大学の翻訳サービス」が使えるから大丈夫と言っていた.そういえば,アメリカでは(冷戦時代から?)ロシア語の科学技術文献を英訳する機関があって,旧ロシアの基礎科学の論文や著作が大量に英語に翻訳されていたようだ.

◆遅いランチは〈つくいち〉で買ってきたナチュカフェの「パテとルッコラのサンドイッチ」をmgmg.では,追い込まれ(負のネルー数)の原稿仕事に出撃する〜.

◆初夏らしい雲がところどころ浮かぶ青空は爽快で心地よし.午前のうちに夏日ラインは軽く突破されていたのか.昨日の雨でホコリが洗い流されたせいか,遠景の筑波山の稜線がくっきり見える.梅雨に入ったとはいえ今日みたいな天候が続いてほしい.

梅雨時とは思えないほどとても気持ちがいいので,リブロで買ってきた新刊文庫本:つげ義春『つげ義春の温泉』(2012年6月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・つ-14-10],東京,222 pp., 本体価格780円, ISBN:978-4-480-42953-7 → 版元ページ)を寝読み.モノクロ写真・マンガ・エッセイの三点セット.この陰々鬱々とした湯治場のうらさびれぶりが格別に好ましすぎる.

こんな爽やかな天気のいい昼下がりに,なぜかつげ義春を読み続けるワタクシ:「やりきれないほど侘しい.…こんな侘しい所に泊まる者はいないのではないか.しかし,暗くて惨めで貧乏たらしさに惹かれる私は,穴場を発見したようで嬉しくなった.屈託したときはここへ来て,太い溜息でもつくには格好の場所である」(『つげ義春の温泉』p. 212).予定調和的に屈折してるなあ…….

同じちくま文庫から先月出た:由良君美『みみずく偏書記』(2012年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫・ゆ-4-1],東京,361 pp., 本体価格1,100円, ISBN:978-4-480-42945-2 → 版元ページ)はもうすぐ読み終わるのだが,こちらはこちらでいたるところ皮肉とあてこすりが満載で,うわぁという感じ:「老人は回想に耽り,中年は学内実務に多忙であり,若年は一小専門分野の門前で横文字の習わぬ経を読んでいる」(由良君美「学際のすすめ」:所収『みみずく偏書記』pp. 230-231).さぞかし「敵」が多かったのではないかなあ.

—— つげ義春と由良君美のどちらか一方を選べと迫られたら…….

◆[欹耳袋]「分岐進化」し続ける東京大学のオーケストラたち —— 東大に本拠地を置くオーケストラは,かつては〈東京大学音楽部管弦楽団〉だけだったのだが,今ではそれ以外に〈東京大学フィルハーモニー管弦楽団〉・〈東京大学フォイヤーベルク管弦楽団〉・〈東京大学フィロムジカ交響楽団〉の三つがあるらしい.ワタクシの基本認識としては,音楽部管弦楽団は「体育会系」,それ以外のオケは「サークル系」なんだけど,そもそもオーケストラがこんなに増えるっていうことは,潜在的楽団員の人口がとても多くなってきたということなんだろうか.それとも,大学に入って初めて楽器を手にしたいという学生が増えたせいか.東大ではオーケストラだけでなくブラスバンドも分岐進化しているらしい.とてもフシギな現象だ.

◆夕方になって,しだいに雲が厚くなってきた.午後5時の気温は20.2度.東風が吹いて体感的に涼しくなってきた.日中は「夏」の表情だったが,ふたたび本来の梅雨に戻るということか.東新井の〈トライブ〉で珈琲豆を仕入れてきた.

◆[蒐書日誌]カルロ・ギンズブルグ[杉山光信訳|上村忠男解説]『チーズとうじ虫:16世紀の一粉挽屋の世界像』(2012年6月8日新装復刊,みすず書房[始まりの本],東京,ISBN:978-4-622-08350-4 → 版元ページ)初版のカルロ・ギンズブルグ[杉山光信訳]『チーズとうじ虫:16世紀の一粉挽き屋の世界像』(1984年12月19日刊行,みすず書房,ISBN:4-622-01196-4)は,博士論文の最終段階であがいていた年の瀬にたまたま本屋で見かけ,ヘンな書名に惹かれて買った.それがギンズブルグとの出会い.

◆[欹耳袋]Edward Hitchcock —— J. David Archibald 2009. Edward Hitchcock’s Pre-Darwinian (1840) 'Tree of Life'. Journal of the History of Biology, 42: 561–592 → pdf.ここに掲載されている「彩色樹」はけっして系統樹ではなく,Louis Agassiz 流の創造説仕込だそうだ.

◆夜になって雨がぱらぱら降ったり止んだり.これが本来の梅雨というもの.明日からの一週間は引き続き原稿┣┣" を追いかける.

◆本日の総歩数=6161歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.4kg) / 27.9%(+0.3%)


9 juni 2012(土)※関東地方も梅雨入りで朝から雨

◆午前4時半起床.予報通りの雨になった.気温17.3度.関東地方は今日が梅雨入りかな.いろいろ買い物をすませてから,しとしと雨が降り続く観音台に向かう.関東地方にも梅雨入り宣言が出た.正午の気温は19.1度.まだ20度にも達していない.午後になって雨足が強まってきた.いきなり梅雨本番.

◆[欹耳袋]いろいろ備忘メモクリップ —— EvolutionDucumentary - YouTube:ダーウィンの伝記映画とか,ロンドン自然史博物館の紹介ドキュメンタリーとか./アメリカ文化人類学の祖であるフランツ・ボアズは,ハイデルベルク大学の学生だったころ,相当ぶいぶいいわせていたらしく,ことあるごとに決闘(デュエル)した経歴あり.そのせいで生涯にわたって顔に傷跡が残り,彼の肖像写真はことごとく修整されたとのこと.Douglas Cole『Franz Boas: The Early Years, 1858-1906』(1999年刊行,Douglas & McIntyre, Vancouver, viii+360 pp., ISBN:1-55054-746-1 → 書評・目次).このボアズ伝の後半が永久に書かれなくなってしまったのは残念だ./NAVER まとめ「【都内】【カフェ】一度は行ってみたい都内の名曲喫茶まとめ」.渋谷道玄坂の〈ライオン〉をはじめ,数ある「名曲喫茶」はワタクシにとっては出先の「仕事場」とほぼ同義語で,原稿を書いたりメールしたりとよく利用させてもらっている.

◆[欹耳袋]丸ごとキャベツカレーのレシピ —— 昨日の夕方から突発的につくり始めた「丸ごとキャベツカレー」が24時間かかってやっと完成に近づいたので,そのレシピをまとめておく:

  1. 用意する材料:キャベツ大1個(丸ごと)・カレー用牛肉塊600グラム・玉ねぎ4個・しょうが1個・にんにく1玉・にんじん1本・岩塩・カレー粉・赤ワイン(200cc)・ヨーグルト・カットトマト缶詰(大)・コンソメスープの素(1個)
  2. 玉ねぎ・しょうが・にんにくはすべて薄切りにスライスして,中火で熱した深鍋で一時間あまりサラダ油で炒める.きつね色になったら岩塩(適当)とカレー粉(大さじ4)を混ぜてルーをつくる.缶詰のカットトマトを鍋に投入し,水1リットルで少しずつルーを伸ばし,コンソメスープの素を投入する.
  3. キャベツの芯の部分をナイフでくりぬき,ざるで水洗いする.牛肉は適当な大きさのブロックに切り分けて塩胡椒し,フライパンで焦げ目をつける.にんじんは丸ごと皮を剥いておく.
  4. 2の深鍋にキャベツを丸ごとそのまま入れ,その周囲に牛肉を並べる.にんじんを投げ込み,赤ワインを注いでいったん強火に.沸騰したら中火にして6時間煮こむ.アクをとる必要はない.水分が少なくなってきたら,ときどき水を足す.
  5. 火を止めて一晩寝かせた翌朝,弱火にかけながら,鍋の中でキャベツを解体する.パン切りナイフで大きく切り分け,ついで料理バサミで太い葉脈を切る.解体が終わったらさらに6時間弱火で煮こむ.
  6. キャベツと牛肉が弱らかくなったら,ヨーグルト(大さじ5)を混ぜて,さらにとろとろ煮続ける.最後に塩胡椒(あればガラムマサラ)で調味して食卓へ.

—— その昔,うえやまとち作〈クッキング・パパ〉に「野菜丸ごとカレー」のレシピが載っていた.そのイメージでつくったのが今回の「キャベツ丸ごとカレー」.最初は深鍋からはみ出るほどの丸ごとキャベツだが,半日も煮れば形はほぼなくなり,最後には植物繊維寸前になる.牛肉とともに煮崩れたキャベツのとろみがなかなか美味.これから暑くなってくると,夏野菜のラタトゥイユとともに,夏キャベツのカレーの出番が多くなるだろう.

◆[蒐書日誌]粕谷英一『一般化線形モデル』(2012年7月上旬刊行予定,共立出版[Rで学ぶデータサイエンス・10],東京,本体価格3,200円, ISBN:978-4-320-11014-4 → 版元ページ).“緑縞本”をはじめ,今年は「統計導師本」のアタリ年かもしれない.

◆[蒐書日誌]もうすぐ出るぞ出るぞ —— 三中信宏(監修)『進化が語る 現在・過去・未来』(2012年6月20日刊行予定,日経サイエンス[別冊日経サイエンス185号],東京,本体価格2,000円, ISBN:978-4-532-51185-2 → 目次版元ページ※構築中).いま検索してみたかぎりでは,いくつかのオンライン書店ですでに「近刊予約」ができるようだ: アマゾン7net.別冊の特集企画監修の依頼があったのが4月なかばだったからほぼ二ヶ月足らず.こんなに早く「本」のかたちになるとはやはり短距離走の作業スピードだった.

◆夕方になってさらに雨足が強まってきた.気温も17度台と低く,今日は肌寒いという表現がぴったり.丸ごとキャベツカレーづくりから追い込まれ原稿書きへと軸足を移す.夜になってもざあざあ降り続く雨は止む気配がない.おまけに冷たい北東風も吹き出した.

◆本日の総歩数=2394歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.7kg) / 27.6%(+0.1%)


8 juni 2012(金)※蒸し暑い農大通りを往復虫の息

◆午前5時前起床.穏やかな日の出を拝む.気温17.8度.今日は都内出撃日.朝は晴れていたが,その後やや曇り空.蒸し暑い一日が始まる.

◆[欹耳袋]別冊日経サイエンス185号『進化が語る現在・過去・未来』の初校ゲラが昨日の深夜メールで届いていた.ざっとチェックして今日中に返送する予定.こういう出版物を出す作業は単行本とはちがって短距離走みたいなもの./アビ・ヴァールブルク[伊藤博明・加藤哲弘・田中純(訳・解説)]『ムネモシュネ・アトラス』(2012年3月30日刊行,ありな書房[ヴァールブルク著作集・別巻1],東京,765 pp., 本体価格24,000円, ISBN:978-4-7566-1222-9 → 版元ドットコム内容紹介 [pdf])のワタクシの書評が図書新聞に載ったとありな書房から連絡があったのだが,まだその号を見ていない…….いない間に農環研に届いているのかな.

◆本日の農大高座 —— いつも通りTXで経堂へ.都内はよく晴れてすでに暑い.今日はめずらしく千代田線のダイヤ遅延がたいしたことなかった.初夏の日差しの農大通りを下る.農大キャンパスの植えこみにはオオスカシバが飛び交っていた.経堂からてくてく歩くとかなり暑い.講義まで新講義棟ロビーでうだうだしている.都内のいまの気温はすでに24度を越え,夏日ライン突破は必至だ.いつもは前の時間にビジネスマナーの講義があるのだが,今日はないみたい.

  • #NodaiStat 本日の講義は,実験計画法の続きとして「乱塊法」とその応用を解説します.線形統計モデルと分散分析については前回までの復習をした上で先に進みます. posted at 10:21:25
  • #NodaiStat 【質問】「2要因乱塊法は1要因乱塊法に比べて複雑です」/【回答】ブロック効果をモデルに組み込むという点で乱塊法はすべて共通点をもっています.しかし,要因の数が増えるとともに,各要因の「主効果」とともに要因間の「交互作用」が増え,モデルが複雑になります. posted at 13:33:47
  • #NodaiStat 【質問】「説明不能なものを交互作用と名づけるのに何か意味はあるのですか?」/【回答】要因間の「交互作用」は,処理効果によるデータの変動のうち各要因の「主効果」の和では説明できない “残りカス” の部分を指します.「説明不能」とはそういう意味です. posted at 13:39:51
  • #NodaiStat 【回答】(承前)名無しの変動因は妖怪化します.名前を付ければそのおそれはありません.しかし,名前があるからといって交互作用の正体が理解できたわけではないことに注意してください.交互作用が生じるのは他の生物学的・生態学的要因によるものでしょう. posted at 13:42:19
  • #NodaiStat 【回答】(承前)多要因を含む実験計画で要因間の交互作用をどのようにモデルに組み込むかはいろいろなやり方があります.次回の講義で線形統計モデルの解説をするときに,あらためて触れるでしょう. posted at 13:43:20
  • #NodaiStat 【質問】「復習をしたいのですがどのようにすればいいですか?」「参考書がほしいです」/【回答】つ 〈租界R〉 http://ow.ly/brqs3 :たとえば参考書リスト http://ow.ly/brqta posted at 13:45:34
  • #NodaiStat 【回答】(承前)また,講義全体の復習をということであれば,租界Rで公開している YouTube 動画をご覧ください.R実習が混じっていますが,講義部分は農大での授業とほぼ同じです. posted at 13:47:05
  • #NodaiStat 【質問】「先生,どうしましょう.もう未知の領域です……」/【回答】(´・_・`) posted at 13:50:23
  • #NodaiStat 【質問】「先生は本をどれくらい出版されてるのですか?」/【回答】ワタクシのホームページ http://ow.ly/brqNO の下に列挙してある通り,現時点で「18冊」,今年中に20冊の大台に乗るかなあ. posted at 13:53:53

◆講義後,照りつける日差しに炙られつつ,経堂駅まで農大通りを上がっていく.夏場,この往復がつらいのは木陰がほとんどないからだと気がついた.晴れて蒸し暑い昼下がりの経堂駅前.すずらん通りの〈Cura2〉に潜伏一休み.都内の気温は27.4度まで上がっている.あっつ~い.質問回答タイムが終わったので,そろそろ潜伏場所を這い出て,経堂ランチタイムに移行しよう.外はやや雲が広がって暑さが和らぐ.今日は久しぶりに〈はるばるてい〉へ.いつもの香麺を注文した.

ここに来るのは久しぶりだが,注文するのはほぼぶれることなく「香麺」と決まっている.数種類の香油で和えた汁なし麺.鶏のチャーシューがこの店の特徴だ.青菜・ゴマ・干しぶどう・きゅうりの漬物・刻みネギなどいろいろトッピングされているのだが,食べるときはとにかく徹底的に混ぜるのが流儀.小皿で出される辣椒を黒酢で溶いてさらに混ぜ込む.熱々のスープが別に出される.最初はそのままいただいて,食べ進んで麺が少なくなってきたら,最後にこのスープを注ぎ込んで香油を洗い流すように全部たいらげる.ごちそうさまでした.

—— 〈はるばるてい〉の昼の顔は「ラーメン屋」と呼んでもいいが,夜の顔はぜんぜんちがうらしい.ワタクシはまだ一度も夜の顔を見たことがない.

◆つくばに帰り着いたのは午後4時半だった.夕暮れタイムは南風が吹きわたる.今日の最高気温は28.6度と絶好のビール日和だ.コロナビールを飲みながらキャベツカレーを仕込むとしよう.夜は,別冊日経サイエンスのゲラ読みと修正点の連絡.幸い大きな変更点はなかったのでさくっとおしまい.これでワタクシの手を離れ,あとは編集部サイドの作業になる.なお発売されるのは6月20日頃の予定とのこと.やっぱり短距離走だ.

◆本日の総歩数=10519歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(−0.2kg) / 27.5%(−0.2%)


7 juni 2012(木)※原稿締切日が集中分布する煉獄

◆午前4時半起床.東の空から日の出.真っ赤な朝日が昇っていく.気温12.5度.かなり涼しい,というか肌寒い朝.今日はよく晴れて,日中は夏日になるとの予報.湿度が低ければ何でも許す.ジメジメしているのはそれだけで落第.観音台はからっと晴天.朝から〈アイーダ〉が流れる研究室.

◆朝の所内┣┣" 撃ち —— キャリアデザインシートを作成する.個人面談は来週かな./さなぶり実行委員になった.例年の通りなら二週間後の19日(火)あたりなんだけど.実行委員会とかやるんだろうねぇ.午前11時の┣┣" 撃ち成果:1) キャリアデザインシートづくり/2) 計量生物学会座長報告/3) 別冊日経サイエンス185号『進化が語る現在・過去・未来』に載せる「進化本おすすめリスト」はけっきょく10冊になった.スペース的にはどうなのか,やや不安だったが,余裕で問題ないとの返事あり.書影も入れられるとのこと.

◆[欹耳袋]Macの手書き説明書「Macを買ったばかりの人にお勧めしたい10のフリーソフト」(2012年6月5日).便利なツールの開発者にはいつも感謝しつつ使わせてもらっている.

◆[蒐書日誌]日々是統計 —— 宇宙怪人しまりす君が農林団地を駆け回っている.ご恵贈感謝です:佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ:検定の巻』(2012年6月5日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・194],東京,vi+110 pp., 本体価格1,200円,ISBN:978-4-00-029594-9 → 版元ページしまりす君のメッセージ宇宙怪人の部屋).前著:佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ』(2005年12月6日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー114],東京,iv+119pp., 本体価格1,200円, ISBN:4-00-007454-7 → 版元ページ口上)の続編.六年ぶりに登場する宇宙怪人しまりす君はいまや大学院生として吉田近衛町で勉学に励んでいる.

書名には「医療統計」と銘打たれているが,前著と同じく一般的な「生物統計」に通じる内容がほとんどだ.とりわけ,統計的検定に関わる前半三話がとてもわかりやすい.統計の初学者の多くがつまずくにちがいない箇所が取り上げられているので,ピンポイントの学習資料として利用できる場面が多いだろう.後半二話は,ワタクシにとってはやや医療統計プロパーな話題が取り上げられていて親近感があまり湧かなかったが,本書が想定している読者層にとってはそんなことはけっしてないだろう.前著とはちがって,話者のアイコンが新たに行頭添付されている.コンテクスト依存でアイコンの表情が変わるようすは,「ピンク本」こと粕谷英一『生物学を学ぶ人のための統計の話:きみにも出せる有意差』(1998年3月15日刊行,文一総合出版,東京,199 pp., ISBN:4-8299-2123-4)の統計問答を髣髴とさせる.

それにしても,イノダコーヒがご贔屓の「先生」に毎日いじられているしまりす君の前途はなかなか多難だ.博士課程に進んでもなお地球征服の道のりは遠くきびしい.「先生」がりすりす星にアブダクションされないことを祈るばかりだ.

◆正午の気温は23度を越えている.よく晴れて空のごきげんがうるわしそうなので,しばし近辺を徘徊することにした.畜草研飛び地の林から大きなキジがばさばさと低空飛行で飛んでいく.午後の気温は夏日ラインを突破した.農環研に戻ったら,メールで winmail.dat の添付ファイルが送りつけられたので,読まずにそのまま源泉掛け流しにしてあげることにした.最高気温は25.8度.湿度が案外低かったので,暑くてもさほど不快ではない.

◆[欹耳袋]経験則:原稿締切日は集中分布する —— 系統樹曼荼羅本:すぐ/別冊日経サイエンス本:6月5日[実際は8日]/進化学事典訂正:6月7日/計量生物学会大会レポート:6月11日/進化学会ニュース Vol. 13, No. 2:6月20日/ヨーン本翻訳:7月末/技術評論社統計本:すでに火だるま…….

◆とにかく原稿書かなきゃー(orz).

◆本日の総歩数=8803歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.5kg(−0.7kg) / 27.7%(+0.6%)


6 juni 2012(水)※梅雨入り前の雨が降る本郷通り

◆午前4時過ぎ起床.予報通りの冷たい雨が本降り.気温17.9度.北東の風が吹く.午前4時半にとても長い揺れの地震があった.上層階だと酔いそうな感じ.船酔いみたいな.今日はお昼までは観音台に実在.午後からは本郷に出て夕方の大学院ガイダンスに備える.説明スライドを発掘してアップデートしないと.

◆午前中は原稿三昧 —— いま監修中の別冊日経サイエンス185号『進化が語る現在・過去・未来』の原稿を書きまくる.まえがき(3200字ほど)と各章のイントロ(計2500字ほど).午後2時までにほぼ書き上げてから,急いで東京へ移動.TX車内で残りを完成させて編集部へメール送信完了.

◆[系統樹思考]本日の反響:アイロン(論理愛好会)「木の描き方とロジックツリー(4)分類と系統」(2012年6月6日)

◆[蒐書日誌]超訳!(版元からのいただきもの>原稿書きますっ[汗]) —— チャールズ・ダーウィン[夏目大訳]『超訳 種の起源―生物はどのように進化してきたのか』(2012年4月1日刊行,技術評論社[tanQブックス・15],東京,246 pp., 本体価格1,480円,ISBN:978-4-7741-5004-8 → 版元ページ情報).『種の起源』を真正面から読む気があれば,本家本元のチャールズ・ダーウィン[渡辺政隆訳]『種の起源(上)』(2009年9月20日刊行,光文社[古典新訳文庫],東京,423 pp.,本体価格838円,ISBN:978-4-334-75190-6 → 版元ページ)&チャールズ・ダーウィン[渡辺政隆訳]『種の起源(下)』(2009年12月20日刊行,光文社[古典新訳文庫],東京,436 pp.,本体価格838円,ISBN:978-4-334-75196-8 → 版元ページ)がある.さらに,手引き書:北村雄一『ダーウィン『種の起源』を読む』(2009年2月12日刊行,化学同人,京都,折込み図+302 pp., 本体価格2,000円,ISBN:978-4-7598-1170-4 → 版元ページ著者ページ)も出版されている.

◆本郷通りは雨上がりの曇り空 —— 午後3時半に根津にたどり着く.これから専攻の大学院ガイダンスがある.午前中は雨が降っていたが,午後になって曇り空.つくばはときどき青空ものぞいていたが,弥生キャンパスはまだどんより曇っている.昼過ぎまで気温は20度にも達しなかった.北寄りの風が涼しい日.午後4時から5時過ぎまで大学院ガイダンス.みなさん,おつかれさまでした.

◆[欹耳袋]Rの新ツール「RPubs」 —— RStudio と連携して使える「RPubs」が公開されたとのこと:RStudio blog「Announcing RPubs: A New Web Publishing Service for R」(2012年6月4日).RStudio の「R Markdown」機能を利用することでR出力のウェブ公開が簡便化されるという.さっそく新規アカウントをつくった.MathJax も使えるようだ.使用例:例1例2

◆午後6時半につくば着.東風が涼しい.本日の最高気温は20.5度だった.蒸し暑い季節がやってくる前の束の間のシアワセ.

◆夜は別冊日経サイエンス進化本に載せる予定の「進化本おすすめリスト」を作成する.「日本語」で書かれた「一般向け」の「新しい」進化本という三条件を満たす「良書」を挙げるとなると選択はラクではない.とりあえず下記の本が候補として浮上してきた:

—— この候補リストを参考にして最終決定しよう.

◆本日の総歩数=5580歩. 朝○|昼−|夜△. 計測値(前回比)=95.2kg(+0.5kg) / 27.1%(0.0%)


5 juni 2012(火)※朝から薄曇りなのは台風の余波

◆午前4時半過ぎ起床.薄雲の向こうから朝日が昇ってきた.気温16.6度.南東の風が涼しい.今日は曇り空.沖縄あたりを北上している台風三教の遠い影響だろうか.梅雨前線が天気図に見えるようになってきた.南九州はすでに梅雨入りしているので,今年は例年並みなのだろう.先週末の京都行きはお掃除大作戦の専従で,お酒の買い出しに行く時間がぜんぜんなかったのは残念至極.某酒店にあった和歌山の〈鉄砲隊・爆発にごり〉 .どう考えてもつくばに持ち帰れそうにないので,近くの大学の構内でバクハツさせればいいか(ぼそ).

◆[蒐書日誌]И.Я. Павлинов, Г.Ю. ЛюбарскийБиологическая систематика. Эволюция идей』(2011年刊行,Сборник Трудов Зоологического музея МГУ, т.51, 667 pp. + 1 color plate, Товарищество книжных изданий КМК, Москва, ISBN:978-5-87317-685-4 → 目次 pdf).全体をざっと見渡してみる(あくまでも「ざっと」だけ……).第1章のイントロに続いて,第2章では民俗分類,第3〜4章で19世紀までの生物体系学の歴史を振り返る.ここまででおよそ150ページ.20世紀の生物体系学論争を論じた次の第5章が最長で200ページあまりある.次の第6章は体系学諸概念の再検討で100ページ超.最後の第7章は植物体系学のケーススタディーとなっている.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 朝から薄曇りの観音台は昨日のような紫外線じりじりな日差しはまったくない.統計コンサルティング稼業を一件すませて一休み.実に数年ぶりに和尚さまが居室前を通過.たった一言,「うん,いい年になったねぇ」.ありがたやありがたや.居室を消灯して Steve Reich の最小音楽に浸る昼休み.外は薄曇りの空模様がずっと続いている.その後,メーリングリストのお世話で小一時間.

◆[欹耳袋]メーリングリストという電子コミュニティはそろそろその使命を終えつつあるのかもしれない.しかし,情報伝達手段としてはまだ使い道があるだろうと思いつつ,もう二十年近くリストオーナーを続けてきた.情報伝達手段ですらなくなった時点で,そのメーリングリストは不要なので,容赦なく息の根を止めている.昨日も管理下の古株MLを四つ廃止した.MLを止める手続きは簡単なのだが,「過去ログ」という投稿資産をどのように残していくかはいつでもどこでも未解決問題.その昔は「公開処刑」だの「退会処分」だのと大立ち回りを演じた時代もあったが,今では「里の鎮守の森」にときどきお掃除に出かけるのが管理人のお仕事の中心になった.ほっこりできるいい時代になりましたなあ.前世紀末はメーリングリストとかパソコン通信が数限られたネット社会への入り口だったから,困ったちゃんやらトンデモくんがわらわらと誘引されてきたのだろうが,今では他にもたくさんの選択肢があるで,わざわざメーリングリストで暴れる御仁はいない.

—— 全盛期のメーリングリストやニュースグループ(fjみたいな)がハジけたようなあの時代はもう遠く過ぎてしまったことを実感する.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 来週押し寄せてくるはずだった大┣┣" が礼儀正しく一礼して沖に帰っていった.突如として乱入する不届き┣┣" もいれば,こういうお行儀の良い┣┣" もいる.全日年休取得を取り消す朱書を提出して一件落着.

◆[文化系統学]本日の響音:たぬき日乗「読書:『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』」(2012年6月4日).確かに,「文化」とか「オブジェクト」の定義あるいは性格付けは,この論文集では各執筆者に委ねている.そもそもそういうユニットが定義できない個物であることは暗黙の仮定として“放置”しておくのが個人的には安全策だと思うからだ.文化の「系統」だけでも十分に問題リッチなのに,そこに形而上学的な難問を積み重ねるのは得策ではないだろう.関心のある読者は,すでに御祓済みであるワタクシの『分類思考の世界』をひもとけばいい.もう一点,系譜を形成するオブジェクトの存在論に踏み込まずにすませるために,ワタクシの章では「関係の代数」をつかって系譜が形式的に構成できることを利用した.祖先や子孫が時空的にどのように存在するかではなく,それらがどのような関係にあるのかに着目するという視点である.1970年代のパターン分岐学が進化樹でも系統樹でもない分岐図(cladogram)を提唱して以来,系譜は存在論ではなく関係論として取り扱うことができるようになった.この新たに拓かれた概念的世界の中に文化系統学は位置づけられる.一般化された系統学がオブジェクトに依存しない体系をもつことは,1970年代の生物体系学論争からの直接の帰結だろうとワタクシは考える.

—— 文化の「系統」を共通基盤の上で論じられるようになったのは過去半世紀ほどかかった「露払い」があったからだ.

◆本日最後のBGMは Steve Reich「Proverb」.Ludwig Wittgenstein の歌詞「How small a thought it takes to fill a whole life!」が背後でリフレインしている.南風に吹かれつつ本日も撤収.

◆本日の総歩数=2141歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.7kg(+0.6kg) / 27.1%(−0.9%)


4 juni 2012(月)※からっと爽やか夏日の六月晴れ

◆午前4時半起床.くっきり日の出.すっきり夜明け.気温は16.0度で心地良い涼しさ.週明けの朝の観音台はからりと六月晴れ.紫外線が強そう.午前8時の気温はすでに19.2度まで上がってきたが,ぜんぜん蒸し暑くない.よしよし.今日はまじめに原稿書き.

◆[欹耳袋]国立大学改変への鳴動か? —— YOMIURI ONLINE「都道府県超え、国立大を広域再編…文科省方針」(2012年6月4日).単科大学のように学部を集約しても経営効率しか改善されないでしょう.研究テーマごとに「ソフトウェア」的に併任人事で乗り切るということなら本務地の「ハードウェア」に触れずにすませられるが,「ハードウェア」をいじって人とポストを動かしそうな予感がする.独法研究所だって,組織再編で「めでたく合併〜」になったら,研究テーマが類似する組織はどんどん刈り込まれるにちがいないし.「生物統計学」分野なんか農水独法のなかでは昔も今も「泡沫扱い」だから,いつもいつも風前の灯そのものだし.ま,だからこそ,いろいろな「加圧」がないわけだけどね.淘汰圧がかからず,ある意味“中立的”なら,いろんなことができる可能性がある(偶然的要素に左右されるのもまたよしとしよう).ワタクシの場合は農環研(つくば)の金銭的丸抱えで東大(本郷)との併任になっているが会議やイベントも整数倍で増える.“複数所属”は事務仕事の増大という壁がつきまとう.大学ごとの教務システムのちがい,教員会議等の負担,事務提出書類,スケジュール調整 etc.  もっと効率的な事務処理と人的サポートの充実があればなあ.

◆夏日ラインを軽く突破したつくばは朝から夏の日差しがさんさんと降り注ぐ.湿度こそ低いものの,この熱風は暑い夏の到来を予感させるのに十分だ.今日の最高気温は昼下がりの27.4度だった.エアコンのフィルター清掃作業が始まった.“試験運転”という名の空調が入るのはもうちょっと先か.それとも,節電“運動”のためテストなしで来月の本番運転かな.まぶしい陽光のもと,届いたばかりの温泉達人会(編著)『温泉達人会・Volume 05 - 2011』(2011年11月30日発行,温泉達人会事務局/栞文庫,東京,88 pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-9901703-8-7)をぱらぱらめくる.

◆[蒐書日誌]先月 The Russian Bookstore に注文した生物体系学史本がもう届いた:И.Я. Павлинов, Г.Ю. ЛюбарскийБиологическая систематика. Эволюция идей 』(2011年刊行, Сборник Трудов Зоологического музея МГУ, т.51 , Товарищество книжных изданий КМК, Москва, 667 pp. + 1 color plate, ISBN:978-5-87317-685-4 → 目次 pdf).送り元はサンクト・ペテルブルク.旧ソビエト空軍の戦闘機切手が小包一面にべたべたと貼付けられている.ほぼ700ページもある本文は,図表が少なく,テキストがてんこ盛り.文献リストが70ページ弱,索引だけで30ページもある.しばらく目にしなかったロシア語のキリル文字,ブラウズするのも一苦労.活字体はまあ大丈夫だけど,筆記体(斜体)がかなり心許なくなっている…….ドイツ語のフラクトゥール書体と同じで,読めるように復習しないとダメかもしれない.

◆[欹耳袋]INTERNET Watch「IPA、人名漢字など約6万字を収録した「IPAmj明朝フォント」正式版を公開」(2011年10月27日).

◆夕方,┣┣" 一頭を原稿付きで放流した(帰ってこないでね).職場からの加圧はぜんぜんないけど,その代わり編集者からの加圧は今月に入ってはなはだしい(一人や二人ではない).農水よりも編集者の方がもっとコワい.エディターこわい.追われるように原稿┣┣" 二頭をお連れしてさくっと撤収しよう.南風が涼しく吹き抜ける夜がやってきた.

◆本日の総歩数=5115歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.9kg) / 28.0%(+0.7%)


3 juni 2012(日)※朝から働き続けてつくばに帰還

◆午前5時半起床.曇り.気温は20.5度.じっとしていれば湿って涼しいが,動けば蒸し暑そう.さて,京都ミッション清掃大作戦の始まり.積年の物品を捨てまくる週末.千個のゴミも一個から.ゴミ袋に詰めるという行為は正のフィードバック作用をもつらしく,そこはかとない暗い愉悦にひたれる.途中,ミッション遂行ちうに名誉の負傷.ソファをでやぁっと持ち上げた拍子に腰が「ぐ…」となった.前線基地から撤収して後方の野戦病院にて治療.

◆[蒐書日誌]ヤーコプ・フォン・ユクスキュル[前野佳彦訳]『動物の環境と内的世界』(2012年5月22日刊行,みすず書房,東京,491+xv pp., 本体価格6,000円, ISBN:978-4-622-07688-9 → 版元ページ).原書は:Jakob von Uexküll 『Umwelt und Innenwelt der Tiere』(1909年初版 / 1921年改訂版刊行,Verlag von Julius Springer, Berlin).環世界(Umwelt)に関して,さまざまな生物ごとの詳細な各論を含む大冊.ユクスキュルの「環世界論」に関する要約本はこれまでも出版されているが,主著であるこの本が出たことの意義は大きいだろう.

まずは訳者による巻末の60ページに及ぶ解説「「カント二世」の生物環境論――ヤーコプ・フォン・ユクスキュルの今日的意義」から読むべきだろうか.系統樹が「一元的」であるという訳者の批判はそのまま受け入れるわけにいかない(進化史の解釈にも異論がある).ユクスキュルが自らの理論生物学の思想を育んだ「ダーウィンニズムの黄昏」の時代にあって,他の「反」ダーウィン主義に連なる多くの生物思想家たちとの間でどのような影響を及ぼし合ってきたかはたいへん興味がある.さらに言えば,ユクスキュルに連なる Ludwig von Bertarlanffy や Rupert Riedl そして Franz M. Wuketits ら「カント学派」の系譜が現代進化学の中では特殊な学的ニッチを占めていることを考えるならば,ユクスキュルの理論や考えに対しては科学史的な相対化がはかられるべきだろう.観念論・構造主義・システム論などこの学派が用いてきた“学問的武器”の数々はすでに明かされているのだから.

—— なお,訳者の前野佳彦さんは:フランセス・イエイツ[前野佳彦訳]『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』(2010年5月15日刊行,工作舎,東京,878 pp.,本体価格10,000円,ISBN:978-4-87502-429-3 → 目次版元ページ )という大著を訳している.こちらはほぼ900ページもある兇器.

◆午後も掃除をし続けて,夕方やっと帰路に.半世紀近くも延々と貯め続ければその分量はものすごい.そのほとんどは廃棄してもかまわないものだが,ときどき捨てられない物品が混じって出てくるので,機械的にゴミ袋に直行させるわけにはいかない.午後3時過ぎ,今回の京都ミッションを終える.荷物を引きずって,まずは黄檗に立ち寄ってから,タクシーで京都駅に向かう.洛南は午後よく晴れて最高気温が26.7度まで上がったが,午後10時に帰り着いたつくばセンターは気温16.1度で吹き渡る東風が涼しいことこの上なし.空を見上げればまんまるの朧月夜.

◆本日の総歩数=6166歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


2 juni 2012(土)※月が変わっても京都ミッション

◆外は初夏の青空.夜明けの最低気温は13.6度まで下がったが,午前8時には18度台まで上がってきた.さて,うう…を卒業したので活動開始.午前のお仕事を終える.日差しは十分すぎるほど強くて,気温も22度を越えたが,乾いた東風が通り抜けるのでしごく快適.不快だった昨日とは大ちがい.

◆[欹耳袋]評価される一研究者として —— Ami Express「教員評価」(2012年6月1日).大学教員であれば「研究」と「教育」というふたつの軸がありえるだろう.一方,「教育」という軸が欠如している独法研究員の場合は,基本的に「研究」の一本軸での評価になる(少数の人には「行政」という軸もないわけではない).だから,大学よりもさらに輪をかけて「原著論文オンリー」な評価基準がむき出しになる.原著論文というアウトプットをエンカレッジするのはもちろん正しいのだが,評価軸が一本しかないので,ともすれば原著論文以外のアウトプットの評価がいい加減かつ恣意的になる.多次元的な活動を意識的あるいは無意識的にディスカレッジする点で,一次元的な評価は明らかに弊害がある.

ひとりの研究者個人の立場から言えば,自分のアウトプットのすべてを「業績評価対象」として報告する義務はないだろうと思う.何を評価してほしいかは主体的に選択すればいいわけであって,やみくもに全部をさらけだして評価してほしいなどとは思わない方が精神衛生上はむしろ健康的だろう.どうせ業績評価基準はそのときどきのつごうでどうにでも変更されるのだから,いちいち over-fitting していたのではやっていられない.シンプルにしてロバストな「柱」は自分なりに持ち続ける必要があるだろうと最近は考えるようになった.

◆[欹耳袋]Togetter - 「みんなの【緊急避難的パスタ】 まとめ」※ 椎名誠レシピ通りの「大根おろし+ツナ缶トッピング+醤油まわしかけ」もうまいが,ツナ缶抜きでも十分においしい.

◆[蒐書日誌]着便 —— Emmanuel Paradis『Analysis of Phylogenetics and Evolution with R, Second Edition』(2012年刊行,Springer Science+Business Media[Series: Use R!], New York, xiv+386 pp., ISBN:978-1-4614-1742-2 [pbk] → 版元ページ).やはり初版(2006年)と比較して,系統推定法・祖先復元・系統樹グラフィクス・比較法・シミュレーション・生物地理学などの領域について大幅に内容が拡張されている.

◆夕暮れの京都ミッション起動 —— のろのろと午後になだれ込んでしまったが,今日中に出発しないといけない.午後5時,東京駅に.都内の気温は23.1度.蒸し暑い.新幹線で西へ西へ.午後8時前,京都駅着.薄雲の向こう側にぼやっと霞んだ月が浮かんでいる.湿度が高くてぬるい空気.奈良線に乗り換えてさらに移動.今日は実家での在宅ミッションということで,洛南をあちこちうろうろする必要はない.午後9時前,宇治の実家にやっと到着.長距離移動の夜は無為にごろごろするしかない.ミッションは明朝から開始という動議を自分会議で異論なく可決.

◆本日の総歩数=6156歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


1 juni 2012(金)※水無月は試飲会とともに幕開き

◆午前4時半起床.雲が多い早朝の空.気温は16.5度.今日は定例の農大高座の日.しかも,夜は本郷で毎年恒例の〈春の試飲会〉がある.気力と体力をずーっと維持し続けないと生きてつくばに帰れない.

◆蒸し暑い季節の到来 —— 7:42発のTX区間快速に乗る.しかし,千代田線のダイヤ遅延のせいでいつまでも地上に出られない.だから都内の空模様がぜんぜんわからない.やっと代々木上原に到着.薄曇り.このまま経堂へ向かう.不快指数が高い.ハートフル農大通りを下り,農大キャンパスへ.薄曇りの空からときどき日が差す.都内の午前10時の気温は22.4度.湿度が高くてかなり蒸し暑い.一年のうちでもっとも呪わしい「梅雨」の季節の到来か.

◆本日の農大高座の質問と回答 ——

  • #NodaiStat 本日の講義は前回に引き続き,実験計画法の統計分析.平方和と平均平方(分散)の計算に続くF値(分散比)が何のために計算されるか,そしてF値の大小とは何を反映しているのかは,ごく直感的に理解できる. posted at 10:15:07
  • #NodaiStat 【質問】「完全無作為化法が何のために用いる方法かはなんとなくわかったけど,いろいろなグラフや数式を理解するのが難しい」/【回答】実験計画法は実験のプランニングとレイアウトから始まり分散分析や多重比較に終わる一連なりの作業手順と理解してください. posted at 18:29:58
  • #NodaiStat 【回答】(承前)平方和・平均平方・F値などの統計量が果たす役割は,元のデータが正規分布に従うという仮定のもとで,パラメトリック統計学の理論を最後のよりどころにしています.データから計算された統計量と背後のリクツとの関係を理解してください. posted at 18:34:01
  • #NodaiStat 【回答】(承前)できれば,実験計画から統計分析への手順を一枚の絵に描いてみるといいでしょう.概念・理論・数式をばらばらにするのではなく,ジグゾーパズルのように組み合わせる. posted at 18:35:39
  • #NodaiStat 【回答】(承前)しかも実験計画法に登場する概念や数式はすべて「素朴統計学」的な理解をすることができます.今日説明したように「F値」はわれわれの直感にダイレクトに訴えます.フィッシャー,えらいっ! posted at 18:37:46
  • #NodaiStat 【質問】「分散分析表の意味がいまいち理解できません.有意水準のF(5%)やF(1%)はその%内に存在する値の平均と考えていいのでしょうか?」/【回答】分散分析表はデータのばらつきを“腑分け”して処理効果と誤差効果に分割する計算過程を「表」形式にしたものです. posted at 18:41:35
  • #NodaiStat 【回答】(承前)帰無仮説のもとでの棄却域(F(5%)など)は,その範囲の「下限」を越えるF値がデータから得られたならば,その有意水準のもとで帰無仮説を捨てるという意思決定を下す領域のことです.仮説検定の考え方は次回の乱塊法の解説でも再度説明します. posted at 18:44:05
  • #NodaiStat 【質問】「データ解析を考えた人はたくさんの実験を行った上で解析法を生み出したのですか?」/【回答】それはちがうでしょうね.むしろ,数学理論に対する全面的な信頼(信念)に支えられて,数学的な理論体系を武器に複雑な現実世界に斬りこんでいったのだと思います. posted at 18:47:08
  • #NodaiStat 【質問】「大学院は自大に進むか他大を受験するか,どちらがいいでしょうか?」/【回答】まずは,候補先の大学や研究室のテーマが自分に合っているか,指導教員がまっとうな人かの情報を集めましょう.もちろん,学費や奨学金など経済的問題は大事です. posted at 18:50:06
  • #NodaiStat 【質問】「妖怪学を学ぶには実際なにをすればいいのでしょうか? 心理学・哲学・宗教学・民俗学などと絡んでくるのかな.」/【回答】そーですねぇ.ワタクシは雑学的に本や資料を渉猟しているだけですが,文化的構築物である「妖怪」の系譜には関心があります. posted at 18:54:19
  • #NodaiStat 【質問】「夏休みはどこか旅行に行く予定はありますか?」/【回答】お盆過ぎに学会大会という名前の“旅行”はありますねー(汗).発表も業務もなかったならば羽が伸ばせるのでしょうが.研究者は因果な商売です. posted at 18:57:16

◆講義を終え経堂に戻る.都内はもう梅雨に入ったような不快指数の高さで,どこにも逃げ場がない.久しぶりに駅前の〈アイバンラーメンPLUS〉にて「チーズ混ぜ(全部乗せ)」を.ハイブリッドに逸品.芦花公園の本店と経堂の店ではメニューが微妙にちがうらしいので,機会があれば本店にも行きたいのだが,芦花公園なんてチャンスがぜんぜんない.

◆雷雨の昼下がり —— その後,池袋経由で某潜伏場所にて追い込まれ原稿をものする昼下がり.予報通り雷雲が都内で発生.午後4時前から雨がぽつりぽつりと.ときどき天上からサンダーマシンが轟いている.最近は雷雨がやってくるたびに,〈アルプス交響曲〉の総譜が脳裏に浮かぶようになった.雷が落ちたらサンダーマシンをどつきたおす(たった二小節だけ).

◆夕暮れの本郷にて「春の試飲会」 —— 東大農学部「春の試飲会」の会場に到着.雷雲はすでに通り過ぎ,夕闇の弥生キャンパスを涼しい風が吹き渡る.午後6時の気温は17度台.夏日になった午後3時から急降下した.さて今宵はどのような日本酒セレクションが堪能できるのだろうか.試飲会が始まる前に,今日の農大高座の質問への回答をすませ,そろそろ試飲会の仕度があわただしくなってきた.午後7時からはじまりはじまり.今回の〈春の試飲会〉でワタクシが持ち込んだのは,大阪・河内長野の〈天のさけ〉の純米無濾過・荒走り.盛大に栓を吹き飛ばしてくれた.活性うすにごり.今年2月に詰めてから時間がたって深い味わい.こういうのはゲットできるときに買って,飲めるときにどーんと飲まないと.

毎年恒例になったこの〈試飲会〉は春と秋の二回ある.日本酒以外の持ち込み禁止というシンプルな「掟」が唯一の決まりごと.料理に関してはプロがいるので毎回楽しみにしている.今回の日本酒の勢揃いは合計でほぼ一斗.十数名の参加者がそれを飲み尽くそうというのだから,最後にはたいていへべれけになる.過去に何度かつくば行きTXの最終を逃してしまい,研究室に止まるハメになったこともある.この日はそういうことがないように,10時半には東大を出た.それでもつくばに帰り着いたのはやはり午前様になってしまった.

—— うう…….月始めから呑んだくれてしまった.

◆本日の総歩数=13918歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.7kg) / 27.3%(−0.5%)


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