images/image1.jpg

Home
oude dagboeken

日録2012年5月 


31 mei 2012(木)※じたばたと五月は去ってゆく

◆午前4時半起床.曇り.気温14.8度.涼しい北東の風が吹く.早朝は薄曇りだったが,いまはよく日が差している観音台.気温は18度台.かなり気の重いメールととても重要なメールをひとつずつ出したところ.月末の今日は原稿を書く日.

◆[蒐書日誌]“種系統樹”の高次推定 —— L. Lacey Knowles and Laura S. Kubatko (Eds.)『Estimating Species Trees: Practical and Theoretical Aspects』(2010年9月刊行,Wiley-Blackwell, Hoboken, xii+215 pp., ISBN:978-0-470-52685-9 [hbk] → 目次版元ページ).Gene-tree から species-tree を推論するための理論と方法論そしてアルゴリズムに関する論文集.内容的には,10年ほど前に出た:Roderic D. M. Page (ed.) 『Tangled Trees: Phylogeny, Cospeciation, and Coevolution』(2003年刊行,The University of Chicago Press, Chicago, x+350 pp., ISBN:0-226-64466-9 [hbk])の“続編”のように見える.複数のパーツ系統樹を束ねて一本の高次系統樹を推定するという問題は,初期の組合せ論的定式化から,しだいに統計学的モデリングへと移行しつつあるらしい.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 電子化ジャーナル最新号のチェック作業だん.さりげなく現実逃避しているよーな(ぼそ).午前中の疲労回復のため,昼休みは伊藤悠『シュトヘル・第6巻』を読んでいた.西夏文字は実にすばらしい!

◆[欹耳袋]Togetter - トキのRDBランク引き下げについて /大津由紀雄「進化に関する書籍」(2011年5月31日)

◆午後の┣┣" 撃ち —— 懸案の一件がいい方向で解決できそうなのでちょい気分よし.本日の教訓:評価は「自分で行なう」のが基本で,評価者に全部委ねてはいけない.自己評価の結果をもともと理解能力のない相手に認めさせるという基本姿勢を堅持すべし.

◆残りの時間はすべて原稿書きに費やしたのだが,いたるところでつっかかってなかなか進捗しない.

◆本日の総歩数=2993歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.3kg) / 27.8%(0.0%)


30 mei 2012(水)※欲しがりません,書くまでは

◆午前4時半すぎに起床.昨夜の雷雲は通り過ぎ,夜明けの空はよく晴れている.気温15.5度.気持よく晴れ上がった観音台の青空を「五月晴れ」と呼べるのももう今日と明日の二日間だけ.午前8時の気温はすでに19度.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 先日提出した「住宅調査票」について,霞が関から項目修正が届いたのでもう一度出せという連絡あり.もちろん華麗にスルーして,この件はもうおしまい.不要┣┣" は源泉かけ流しに限る.

◆[欹耳袋]「鎖国」が大好きな日本って? —— New York Times 記事:「Educated, but Not Fitting In: Study Abroad Dims Employment Outlook for Japanese」(2012年5月29日).記事の中から興味深い発言をいくつかピックアップすると:

  • “But the environment in Japan is such that if you go overseas to study, you have to be prepared to go your own route, find your own way”
  • “In Japan, taking the time to study overseas sets you back in the shukatsu race”
  • Not getting a job upon graduation is seen as a potential career killer.
  • “Shukatsu is like Kabuki theater. It’s difficult when you don’t fit the template.”
  • His advice to returnees: don’t be too assertive or ask too many questions.

—— その昔(大昔じゃない),学校における帰国子女に対する“英語剥がし”のような社会的制裁が報じられたことがあったが,何一つ改善されていないということ.さらに,日本の「外」でキャリアを積むこと自体が社会的にはマイナス評価を下されるというのだから,社会全体で「鎖国」したがっているとしか言いようがない.

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝しまくり —— 久保拓弥『データ解析のための統計モデリング入門:一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』(2012年5月18日刊行,岩波書店[シリーズ:確率と情報の科学・第I期],東京,xiv+267 pp., 本体価格3,800円,ISBN:978-4-00-006973-1 → 版元ページコンパニオンサイト) .つい先ほどが届いた! もちろん久保師本はアマゾンでも別途発注してあるので,こちらは自宅用ということで.岩波からの献呈カードに,「近いうちに相談に伺いますので,よろしくお願いいたします」と書かれてあったのだが,まさか絶対零度で静かに数年間眠り続けていたはずのアノ出版企画を覚醒させるつもりではないだろーなあ(滝汗).久保師本の最終ページを開いて,「魔物」がそこにまだいることを確認して,ふたたび静かに本を閉じた.とりあえずお祈りするしかないよなあ…….

◆[欹耳袋]「〜学」から「〜科学」へ —— 「統計学(statistics)」と書けば通常の統計分析法を意味しているが,あえて「統計科学(statistical science)」と書くときには,これまで統計学的方法が浸透していなかった分野に攻めこむぞという宣言あるいはスローガンを意味する.科学社会学的な戦略ということ.同様に,単なる「データ解析」ではなく,あえて「データ科学(data science)」と名乗るのもまたひとつの戦略的スローガンだろう.「〜学」を「〜科学」とあえて称するときの科学社会的な動機づけを探るのはおもしろい.そういえば,「古生物学」を「paleontology」ではなく「paleobiology」と呼ぶようにしたのも学問政治的戦略を背負ったスローガンとみなせる.ネーミングの背後には差別化の意図がある.

◆午後になっても薄曇りときどき晴れ.気温もさほど上がらず,昼休みにやっと22度台に達する程度.日差しがなければ乾いた空気が涼しいし,梅雨前のこの時期にしてはいい日和.ここのところ本を読むときは,無意識のうちに「蟲採りまなこ」になっている自分に気がつく.とてもカナシい習性が身についてしまった.夕暮れ時の形態測定学コンサルティングを一時間あまりやって,今日はこれにて撤収だ.月末のせいか,追われ仕事が多すぎる(今も追われている).尻に火がぼーぼー.都内からテポドンが飛んでくる.しかし,季節の旬は待ってはくれない.今夜はホワイトアスパラのソテーを主役に,和洋まぜこぜなメニュー.お供は〈風の森〉の「純米吟醸・笊籬採り・山田錦60%・22BY」.

◆本日の総歩数=9641歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(−0.5kg) / 27.8%(+0.1%)


29 mei 2012(火)※今日もまた夏日のち雷雨あり

◆午前4時過ぎ起床.夜明け前の曇り空.気温14.3度,北東からの風がひんやり.今朝の最低気温は13.2度まで下がってやや肌寒かったが,朝日とともに順調に気温が上がってきた.午前8時過ぎの観音台はすでに20.0度.午前のうちにきっと夏日になって,午後はまた雷雨かな.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 来月の「不在許可申請」一式を提出:出張伺4件・年休届5件・兼業願4件・フレックスタイム変更4件.以上すべてを「紙」で提出するので束にまとめて沖へどーんと送り出す.母川回帰しなくっていいからねー./毎年恒例の「平成24年度住宅事情調査」なるものが,ヘンなマクロを組み込んだエクセルのファイルで送られてきたので,マクロを全部「無効」にした上で,さくっと記入.「マクロがどーたらこーたら」という“警告”を華麗にスルーして,担当者にメールで返信.あとのことは知りません.

◆[欹耳袋]「ネルー値」のツイートを見たのは久しぶりだなあ —— 松尾豊「なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか」 [→ pdf].「ネルー値」とは「研究者における精神的ゆとりを表す単位」である.「nネルー」=「n日寝てしまっても締め切り等に影響がない状態」とのこと.ワタクシの個人的事情としては「負のネルー値」すなわち「締切を過ぎてしまったときの精神状態」を定義する必要がある.この「負ネルー耐性」は後天的(な逆境)に遭遇したときに獲得されるだろう.

◆ぴったし夏日の観音台.雷雲がやってくる前に徘徊してくるかー.夏日ラインを越えた昼下がりの観音台.南風が不穏な吹き方になってきた.雷雨が襲来した昨日と同じ.

◆[蒐書日誌]Carl Zimmer『Science Ink: Tattoos of the Science Obsessed』 (2011年11月刊行,Sterling Publishing, ISBN:9781402783609 → 版元ページ著者サイト).「入れ墨」いれまくりの科学者たち.時節柄(笑)一冊買っておこうかなあ.本書もハードカバー&フルカラーでたった二千円という価格設定ができるのは英語圏だからか.カール・ジンマーの進化入門本は『進化:生命のたどる道』も『「進化」大全 —— ダーウィン思想:史上最大の科学革命』も「日本語・ハードカバー・フルカラー」という条件では価格が5,000円台と高くなるのはしかたがないのだろう.『進化:生命のたどる道』がまだハードカバー版しか出ていない原書とほぼ同価格なのはよく健闘したと思う.しかし,前著『「進化」大全』は,原書のペーパーバック版が千円も出せば新刊で買えることを考えるとその差は歴然としている.ただし,日本でこれまで出版された進化学の包括的教科書が,かつてのフツイマ『進化生物学』を筆頭として,いずれもすごく高かったから,相対的に見れば安いんだけどね.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 原稿書かなきゃ,書かなきゃ,書かなきゃ〜.加圧はなはだし.

◆日中はなんとか天気がもったが,夜になって小雨が降り始めた.午後7時過ぎに春日公民館にてつくば学園都市オーケストラの〈アルプス交響曲〉練習に初めて参加してきた.中盤の「嵐」の場面ではウィンドマシンもサンダーマシンもまだなかったが,練習場の外でずーっと雷雨が降り続いていたので心理情景的にはタイムリーだったかもしれない.サブのバッハ(シェーンベルク編曲)〈前奏曲とフーガ〉はベルクそっくりの旋律タペストリー(当然か).ひさしぶりに「Hauptstimme(主旋律)」という楽譜表記を見た.それにしても夜になってからひどい降り方で濡れ鼠になってしまった.おまけに気温が15度まで急落下して肌寒いことこの上なし.

◆[欹耳袋]つくば学園都市オーケストラ・第50回記念定期演奏会,2012年9月23日(日)@ノバホール → 詳細

◆本日の総歩数=9011歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=94.1kg(0.0kg) / 27.7%(0.0%)


28 mei 2012(月)※再び月末の津波が押し寄せる

◆午前4時半起床.曇り.気温は17.8度.弱い南風.雲間から朝焼けが覗く.午前5時,いきなり小雨が降ってきた.しかし,通り雨だったらしく小一時間であがり,雲間から朝日が差し込む.午前6時の気温は17.5度.よく晴れた観音台はすでに気温が21.4度まで上がっている.朝のBGMはルドルフ・ケンペ/ドレスデンの交響詩「アルプス交響曲」.総譜を片手に予習するにはこの1970年の録音がベスト.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 東大の専攻見学旅行の打合せ.農環研所内のコースはだいたい固まったかな.詳細の詰めは後日ということで./同じく専攻の研究会議の資料作成依頼.毎年のことなので段取りはわかっている./併任は兼任とはちがうのでちゃんと仕事をしましょう.

◆[蒐書日誌]ポケ論! —— 『ポケ論!:語られざるポケモンの秘密を暴く』(2012年5月刊行 → ポケジェクト本部紹介ページ ※サンプルあり).にしむらたかひろ「ポケモン系統樹描けるかな?」所収.形態形質と行動形質からの系統解析の「考え方」への格好のイントロになるだろう.「ポケモン系統樹」の大先輩である「架空生物」の進化と系統を論じた前例としては,「鼻行類(ハナアルキ)」と「Caminalcules」がとりわけ有名.「鼻行類」については,ハロルト・シュトゥンプケの元本が平凡社ライブラリーに入っているし,鼻行類の研究書(ハインツ・ゲールケ著・思索社刊)には,ハナアルキの解剖学研究を手がけた形態学者として George G. Simpson や Adolf Remane の名前も載っていたはず.かなり本格的だったんだろう.「Caminalcules」の方はもっとマイナーだけど,カンザス大学の昆虫学者だった Joseph H. Camin がトレーシングペーパー上で“進化”させたこの生物群を Robert R. Sokal が数量分類のテストデータとして用いたことで業界の中では有名になった.日本だと筑波大の徳永幸彦さんが書いた生態学の教科書がこの Caminalcules を使っているのがほとんど唯一の例じゃないかなあ.いずれにしても,天城山中でこのポケモン系統樹の話題を聞かなければうっかり見過ごしてしまうところだった.

◆シアワセな昼休みから兇悪雷雲が接近する昼下がりへ —— 昼前の郵便で「大きくて重い本」がいっぺんに三冊も着弾しておろおろわくわくしている.夏日ラインを越えた昼休みは農環研のまわりをうろうろした.5メートル超で吹きこむ南風にあおられつつ,初夏の日差しは強すぎる.早くも関東北部にヤバそうな雷雲が湧きあがっている.空模様がこれからどのように推移するのか要注意.午後2時,観音台から見て北西方向がマジやばい.空が黒くなってきてる.降りだすのはもう時間の問題かも.午後2時を過ぎて雷鳴と稲光,大粒の雨がぽつぽつと降りだして,予想通りの空模様の展開.一時間ほど降り続いた雷雨は通り過ぎ,その後気温はイッキに低下して,徘徊していた昼休みの26.5度から10度も低い16.5度まで下がった.西から青空が広がり,夕日がまぶしい.

◆[蒐書日誌]ジンマー進化本がつくばに着弾 —— カール・ジンマー[長谷川眞理子日本版監修]『進化:生命のたどる道』(2012年5月29日刊行,岩波書店,東京,xii+417 pp., 本体価格5,600円, ISBN:978-4-00-005467-6 → 目次版元ページ1版元ベージ2 ※省略された文献リストはここからpdfファイルとしてダウンロードできる).フルカラー版の現代進化学教科書.原書は Carl Zimmer『The Tangled Bank: An Introduction to Evolution』(2009年刊行,Roberts and Company Publishers, Greenwood Village, ISBN:9780981519470 → 版元ページ).

今から8年前に出版された同じ著者の前著:カール・ジンマー[渡辺政隆訳]『「進化」大全 —— ダーウィン思想:史上最大の科学革命』(2004年11月25日刊行,光文社,東京,493 pp.,本体価格6,000円,ISBN:4-334-96173-8 → 書評目次版元ページ)と同じ路線で,フルカラー版の特長を生かしつつ,ヴィジュアルにかつ最新の話題を盛り込んで進化研究のたどってきた歴史を振り返りつつ,現在進行中の最前線まで読者を案内する.

なお,この訳本には各章ごとに日本人進化学者によるコラム記事の寄稿が載っている.ワタクシのコラム記事「進化思想のルーツは「暗黒の中世」を突き抜ける」は pp. 36-37 に掲載されている.セビリアのイシドール,アタナシウス・キルヒャー,フィオーレのヨアキム,そしてボッカッチォが登場する.

◆午後10時の気温は15.2度.吹き抜ける北東の風が涼しすぎる.

◆本日の総歩数=6780歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.5kg) / 27.7%(−0.4%)


27 mei 2012(日)※不夜城の湯宿は朝日を浴びて

◆午前5時起床.不夜城の夜明けは朝風呂から始まる.真夜中に捕虫網を振り回していた学生たちはいい収穫があったのだろうか.早朝のロビーでは徹夜組がまだ頑張っていた.旅館の中にやっと静寂なひとときが訪れる.ロビーのソファーで討ち死にしている者もあり,網をもって虫取りに行った者もあり.山あいの温泉宿に差し込む朝日がすべてを灰にする.朝ごはんは8時からなので,いまはゆるゆるタイム.

農大昆研ほどの大所帯になると,教員対学生というどこにでもある関係性のほかに,学生どうしのコミュニティーのなかでの関係性がどうなっているのかにも関心が向く.定石通りの“昆虫少年”や“虫愛ずる姫君”ばかりが入ってくるわけではないだろう(聞くところではその率は高いようだが).知識や関心のレベルのばらつきは当然あるわけで,そこから発する問題にどのように対処しているのか.国立大学とはちがう私立大学ならではの「スケール効果」はきっとあるだろう.

◆天城からつくばへの帰路 —— 午前8時,例年ならば不夜城に飲み込まれたまま起きてこられない学生がもっとたくさんいるはずだが,今年はほぼ全員が顔を揃えているようだ.疲労感が色濃く漂う朝食タイム.その後,部屋ごろごろタイムはじまり.一挙一動がのろのろしている.旅館前で全員記念撮影をして事実上の解散.さっそく捕虫網をもって出かける学生グループあり.

ワタクシは10時の路線バスで修善寺駅に出た.続いて駿豆線で三島まで.今日の伊豆は朝から晴れ上がって日差しがひりひりする。からっと暑いJR三島駅.新幹線こだまの接続が悪すぎて.ホームのベンチでザ・プレミアムをくしゅっ!(ちょっと背徳).こういう無為にして貴重な時間が最近はぜんぜんない.本日の新幹線車内ランチは修善寺駅で買った駅弁「武士のあじ寿司」だった.駅前の〈舞寿し〉がつくっているという.酢でしめた鯵がすし飯の上に敷き詰められていて美味だった.次に修善寺に行けるのはいつか.

◆[蒐書日誌]雑誌『温泉達人会』 —— 〈船原館〉の購買コーナーに置かれていた冊子をゲット:

  1. 温泉達人会(編著)『温泉達人会・Volume 01 - 2007』(2007年10月30日発行,温泉達人会事務局/栞文庫,東京,80 pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-9901703-3-2)
  2. 温泉達人会(編著)『温泉達人会・Volume 02 - 2008』(2008年11月20日発行,温泉達人会事務局/栞文庫,東京,80 pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-9901703-4-9)
  3. 温泉達人会(編著)『温泉達人会・Volume 03 - 2009』(2009年12月20日発行,温泉達人会事務局/栞文庫,東京,80 pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-9901703-6-3)
  4. 温泉達人会(編著)『温泉達人会・Volume 04 - 2010』(2010年11月20日発行,温泉達人会事務局/栞文庫,東京,80 pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-9901703-7-0)

武田出「奥々八九郎温泉 この10年」(Vol. 1, pp. 50-55)など国内温泉はもとより,中南米の温泉事情まで載っていてなかなかおもしろい.毎年発行されていて,創刊号(Volume 01)を含め Volume 02〜04(2008〜2010)までは〈船原館〉でゲットできた.なお,続刊の「Volume 5 - 2011」も昨年暮れに発行されているようなのでさっそくオンライン発注した.

◆昼下がりの生還 —— 午後2時半,関東甲信越小さな旅を終えてつくば帰還.つくばの気温が28度近くまで上がっている.暑いはずだ.荷物の後片付けをすませて,夜,〈風の森〉を飲んだらもうへろへろ.

◆本日の総歩数=6723歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


26 mei 2012(土)※立川から天城山中へ瞬速移動

◆午前6時前やっと起床.ややうう….外は晴れ上がっている.東京西部はいま14度台.昨日は終日じとじと降ったり止んだりしていて,しごく不快な一日だったが.今日はそんなことはなさそうだ.朝から統数研に出撃する.午前8時過ぎ,そろそろチェックアウトして統数研に向かうとするか.

◆[欹耳袋]Taglibro de H「ダメな事務┣┣"」(2012年5月25日) —— この記事に列挙されている┣┣" にはすぐ退治できるものもできないものもある.

  • 「1」:一太郎罫線ファイルについては「そんなソフトは知らない」と事務に突き返す.Excel方眼紙ファイルについてはこっちが書きやすいよーにセルを結合しておしまい.
  • 「2」:事務作業にかかるコストはバカにならないので,給料も下がったことだし,エフォート率を自主的に削減することに決定.
  • 「3」〜「5」:こちらで勝手に解釈して書きやすいように文章をさくっとつくる.
  • 「6」:誰にも害がないのでテキトーに書く.何も考えない.
  • 「7」:これはもうどうしようもない……

事務作業の定向進化的増大はおそらく歯止めがかからないのではないかという暗い予想をしている.公務員事務系で伝承されてきたカルチャーはおいそれと駆除できるものではない.正面から抵抗するのは疲弊の極み.身をかわしつつ笑い飛ばして服従しないこと.天から降り注ぐ事務書類や事務作業をまともに受け止めると時間がなくなる.軽やかに事務処理する能力を万人に要求するのは酷だ(逆にそのスキルを磨くと事務量はさらに増大するだろう).向こうからやってくる事務┣┣" をそのまま放置して傍観して流れ去るに任せるという「源泉かけ流し」という荒ワザがあるが,それですむものなら所詮はあらずもがなの┣┣" だったということ.┣┣" 差別もときには必要.

—— なんでもかんでも「期待に応えよう」とすると燃え尽きてしまいます.「がんばらない美徳」や「ほどほど主義」や「源泉かけ流し人生観」をもっと高く評価したい.

日本計量生物学会の年次大会二日目 —— ホテルをチェックアウトしてJR立川駅へ.みどりの窓口にて今日の夕方に乗る乗車券を購入する.スーツケースがじゃまなのでコインロッカーに放り込もうと少し探したのだが,JR立川駅の付近はロッカー不毛地帯らしくぜんぜん見当たらない.しかし,幸いなことに,乗り換えるモノレール立川北駅の中に空いているコインロッカーが見つかった.よしよし.一駅乗って高松駅から初夏の日差しに焼かれつつ統数研に向かう.今日は蒸しはしないがかなり暑いなあ.午前は水産資源管理に関する特別セッション,その後,計量生物学会総会.

◆本日のランチはいったん立川まで戻って,中央線の線路沿いに見える食堂〈marumi-ya〉.立川に来るときは必ず立ち寄ることにしているのだが(そんなに機会はないけど),今回もすきま時間をひねり出した.今日の日替わり玄米定食は高野豆腐の揚げ物をメインにしたセットだった.ゆっくり味わうべきだったのだが,ふと気がつけば午後の座長を務めるセッションまで残り一時間を切っていた.あわてて統数研に舞い戻る.午後2時半からの一般講演セッションの座長が今回のパブリックなお仕事だ.

◆立川から天城への旅路 —— 立川でのお仕事が終わったので,次なる長距離乗り継ぎ移動へ.午後4時前,モノレール高松駅から立川へ.八王子行きの下り電車に乗り換え.次は横浜線にて新横浜駅まで移動する.昨日の南武線と同じく,この区間の横浜線に乗るのも初経験.もっとローカルかと思っていたら意外にも混んでいる.午後5時半,新横浜にて新幹線ひかりに乗り換え,一息ついて崎陽軒のシュウマイとともにヱビスビールをばくしゅっ! 背徳の天城の夜はこれからのお楽しみ.

午後6時前,JR三島駅で下車.新横浜からひかりでたった一駅,半時間足らずで今度は伊豆箱根鉄道駿豆線に乗り換える.終点の修善寺まで半時間の旅.船原温泉ではそろそろ農大・昆研の新歓大宴会が始まろうとしているはず.あと一時間で乱入します.ビールを優雅に飲めたのは車中だけ.温泉旅館では総勢ん十名もの「虫屋」たちが先生から学生まで飲みまくっているにちがいない.「制御棒」がいっさい存在しないのが農大・昆研のパワーの源なのかも.

午後6時過ぎ,駿豆線が発車した.とてもレトロな電車で,十年ほど前,韮山での某首脳会談のおり,一度だけ乗ったことがあったな.まだキクマルがいなかったころの昔話.e-mobile は伊豆半島のどこまでならつながるのだろうか.大仁を過ぎてもうすぐ修善寺.外はだんだん暗くなってきた.午後6時半,修善寺着.駅前から堂ヶ島行きの路線バスに乗って,天城の山のなかに入る.午後7時,船原温泉の〈船原館〉にやっとたどり着いた.東京農大・昆虫研究室の新歓合宿.たったひとつの研究室なのに70〜80名という学科並みの規模がある巨大コミュニティ.大きく育ちすぎた昆虫少年や虫愛ずる姫君たちが集結する.すでに大広間では夕食タイム,その後,飲み会になだれ込んでいく.午後11時が過ぎてもぜんぜん終わる気配がない飲み会.大広間にはまだたくさんの学生が.もちろんロビーにも.

—— 予想されたとおり,今回の新歓合宿も不夜城の出現だ.

◆本日の総歩数=12769歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


25 mei 2012(金)※関東甲信越大きな旅の始まり

◆午前4時半起床.晴れところどころ薄雲.気温は16.2度と高め.7:42発のTX区間快速に乗る.まずは経堂へ進撃だ.曇り空でやや蒸し暑い出勤タイム.

◆つくばから経堂へ —— 常磐線の人身事故と地下鉄の車両点検があったせいか,TXもメトロも混みまくり.やっと代々木上原にたどり着く.都内も薄曇りで蒸し暑い天気だ.こういう空模様のときは農大通りの徒歩往復は負担になる.農大キャンパスにたどり着いたが,不快指数は高いまま.本日の講義は,実験計画法の初回として,実験のプランニングとレイアウトの意味についての解説.具体的な数値例を出しながら,線形統計モデルとそのパラメトリック統計学の背景については次回になだれこむだろう.講義中に外は雨がしとしと降り始めた.先週みたいな雷雨の襲来ではなかったが,講義後の経堂への帰路.すべてのものを黴びさせそうな卯の花くたしのソコヂカラを実感した.気温は夏日にも達しない20度台ではあるが,この不快指数の高さはこたえる.

◆本日の農大高座に関わる質問と回答 ——

  • #NodaiStat 昨日の農大高座で寄せられた主な質問への回答を書きます(昨日はその時間がなかったので). posted at 11:05:49
  • #NodaiStat 【質問】「完全無作為というのは「絶対に区画をばらつかせるため作為を加える」こともあるんですか? つまり,偶然aという区画が隣り合ってしまったりしたらそれを作為的に話したりするんでしょうか?」 posted at 11:08:05
  • #NodaiStat 【回答】「実験計画における無作為化の目的は,コントロールできない背景要因に基づく体系的な変動を偶然的な変動(誤差)に転化することです.無作為化の手段として乱数を用いるますが,たまたま規則的なレイアウトになる場合は,何度か乱数発生をさせます.」 posted at 11:11:29
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)背景要因の影響をできるだけ薄める(まともにデータに影響させない)ことが目的です.」 posted at 11:15:11
  • #NodaiStat 【質問】「総平均と各水準を比較して効果の大小を考える場合に,総平均とcontrolが入っていることは適切なのか? control を覗いた方が水準間の差がわかりやすいように感じた.」 posted at 11:17:09
  • #NodaiStat 【回答】「多くの実験計画で無処理の対照群(control)を含める目的は,実験処理を「する/しない」の差異に関する検定(次回解説)をするためです,分散分析は水準間比較ではなく実験要因そのものの“意味”の有無を問います.対照群はそのために必要です.」 posted at 11:20:03
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)水準間の比較は分散分析ののちに多重比較法(次回解説)によって処理平均間の差の検定をします.その検定には対照群の有無は直接関係しません.」 posted at 11:22:06
  • #NodaiStat 【質問】「処理自由度と誤差自由度がよくわからなかったです.」/【回答】「偏差の平方和には必ず標本平均を含みます.処理平方和は総平均が,誤差平方和では水準ごとの処理平均がそれぞれ“制約”となるので,自由度が決まってくるわけです.」 posted at 11:24:44
  • #NodaiStat 【質問】「自由度の制約は実験データのどの部分を示しているのか」/【回答】「生データそのものではなく,それから標本平均を計算することによって偏差集団への制約が生じます.」 posted at 11:27:12
  • #NodaiStat 【質問】「計算式が出てくるとどうしてもひるんでしまいます.」/【回答】「悩むことはありません.ワタクシも学会発表などで数式が出てくると身構えます.みんな悩みながら大きくなるのです.」 posted at 11:29:25
  • #NodaiStat 【質問】「Twitter で教師は教師らしくと書いている人がいましたが,私は先生の講義はラフな感じで楽しくうけられるので好きです.」/【回答】( ´ ▽ ` )ノ posted at 11:31:13
  • #NodaiStat 【質問】「百鬼夜行はいつか買うつもりでいました.」/【回答】「すぐ買いましょう.鳥山石燕の『画図百鬼夜行』は文庫版も出ていますが,できれば国書刊行会の大判の方が迫力があります」 posted at 11:33:39
  • #NodaiStat 【質問】「なんとなく分野は定まっているのですが「これがやりたい!」というものがなくて就職と大学院で悩んでいます.よろしければアドバイスをお願いします.」 posted at 11:35:25
  • #NodaiStat 【回答】「やりたいことやおもしろいことは学びながら発見していくものだと思います.いまおもしろいからさらに学ぶというより,学んでみたらおもしろいことが新たに見つかったという方が刺激的ですね.その経験を楽しめるようなら大学院進学はありです.」 posted at 11:40:16
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)勉強しているうちにどんどん興味や関心が移行していくことはきわめて多いです.学部に加えて大学院まで進むとそういう機会(研究テーマ・人・コミュニティなど)に出会える確率は高くなります.」 posted at 11:43:09
  • #NodaiStat 【質問】「先生が学生の時の一番好きな授業,覚えている授業は何ですか? もしよろしければ,理由も教えて下さい.」/【回答】「ただいま Time Machine をセピア色の過去に向かってさかのぼっているところ……」 posted at 11:47:34
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)教養学部にいたときに受けた畑中信一さんの「ドイツ語論文購読セミナー」は印象に残っています.自然科学のドイツ語論文を輪読するという,かなり手間隙かかるセミナーだった記憶あり.」 posted at 11:56:12
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)農学部に進んでから印象に残る講義といえば吉武成美さんの「養蚕学」かなあ.養蚕に関心があったのではなく教師のキャラクターに惹かれたということ.」 posted at 11:59:43
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)吉武さんはワタクシの学位論文の副査のひとりだったが,学位審査会に欠席されたので,あとで教授室での個別面談になった.お茶をいただいただけだったよーな気がするがそれもまたよし.」 posted at 12:03:24
  • #NodaiStat 【回答】「(承前)Time Machine の調子がよくないのだが,思い起こせばほかにもこれは!という講義があったかもしれない.なんせ30年以上も前のことなので.」 posted at 12:06:39

—— 最後の方は人生相談ですなあ…….

◆経堂から立川へ —— 経堂から登戸まで.生暖かい小雨が降り続く.梅雨時のように蒸し暑い.登戸で小田急線から南武線に乗り換えて立川へ.ひょっとして南武線は生まれて初めて乗ったのではないだろうか.この方向の鉄道は乗る機会がまったくないから.小一時間乗って立川へ.早い時間帯ではあったが,〈クレストホテル立川〉へのチェックインをして重いスーツケースを放り込む.今日と明日の二日間は日本計量生物学会の年次大会が統計数理研究所で開催される.

◆[欹耳袋]iTunes にリンネやダーウィンが降臨! —— 〈British Heritage Library〉から「Carl Linnaeus Collection」と「Charles Darwin's Library: Selections」.いずれも iTunes から無料でダウンロードできる.

◆昼下がりも雨がじとじとと降ったり止んだり.今日はとっても疲れたなー.

◆本日の総歩数=16828歩. 朝○|昼−|夜×. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


24 mei 2012(木)※東奔西走の前日は身を浄めて

◆午前4時半起床.雲が多い夜明けの空.気温は12.9度と涼しい.そのうち青空が広がってきた.

◆[蒐書日誌]日本進化学会(編)『進化学事典』(2012年4月25日刊行,共立出版,東京, xvi+975 pp., 本体価格18,000円,ISBN:978-4-320-05777-7 → 版元ページ)はめでたく「たちまち重版」とあいなった.8月末の進化学会大会(首都大,南大沢)までには間に合わせるらしい./それとともに『進化学事典』重版に向けての “蟲採り” 指令が三島からの早飛脚で届いた.二週間後が締切? それまでに一刷を読めって?

◆日中の┣┣" 撃ち(辞書地獄) —— 昨日の東大の教員会議から持ち帰ってきた小┣┣" どもの始末をする./先日,執筆依頼が届くや否や速攻で書き上げた辞書項目の「追加上積み┣┣" 」がいきなり上陸してきた.締切を過ぎれば大魔神┣┣" ,締切前に仕上げれば┣┣" 誘引./速攻で某辞書の追加執筆依頼2┣┣" を征伐.かつて自己組織化本を翻訳してしまったがために,社会性昆虫な大御所から狙撃されまくり(もう撃たないでね)./さらなる追加辞書項目┣┣" どもが火山弾のように降り注ぐかもしれませんというオソロシイ予告あり./(辞典コワい.もう関わりたくない.)

◆[蒐書日誌]生物体系学:その概念の進化(科学の「言語」の問題) —— И.Я. Павлинов, Г.Ю. Любарский (I. Ya. Pavlinov and G. Yu. Lyubarsky)『Биологическая систематика. Эволюция идей』(2011年刊行,Труды Зоологического музея МГУ, т.51 [Archives of the Zoological Museum of Moscow State University, vol. 51], pp. 3-676., Товарищество книжных изданий КМК [KMK Scientific Press Ltd.], Москва, ISBN:978-5-87317-685-4).英訳すれば『Biological Systematics: Evolution of Ideas』というタイトル.生物体系学史に関する大著.700ページ近くある.目次の英訳は筆頭著者のパブリノフ教授自身が公開している→ pdf.パブリノフさんとは1998年の Hennig XXVII(サンパウロ大学)で一度だけお会いしたことがある.

なお,Systematic Biology 誌の最新号に本書の書評が載っている:Alexey Shipunov, Systematic Biology, 61 (3): 546-547 (2012). doi: 10.1093/sysbio/syr125 → html.最近の同誌では非英語圏の書籍紹介がされることはほとんどなかったので例外的.この書評の冒頭で,ロシアにおける科学書・科学論文における「言語」の問題に言及されていて興味深い.書評者によれば,1920〜30年代のロシア科学界では母語であるロシア語の論文や本には必ず英・独・仏の要旨なり解題が付けられていた.しかし,1940年代以降この「伝統」は喪われ,非ロシア語での研究発表は推奨されなくなり,ロシア語圏の内外での言語の「壁」が高くなったという.ペレストロイカの到来でその「壁」が壊されるかと思いきや,現実はまったく逆で,21世紀のロシア科学界では「ロシア語のみで書かれた論文しか受理しない」という厳しい条件を要求する雑誌さえ出現しつつあるらしい.

ロシア語にかぎらず,科学を語る「ことば」の問題は世界中でさまざまな形をとって浮き沈みしているのだろう.

—— 本書はさっそく〈The Russian Bookstore〉にオンライン発注完了.PayPal で支払い(US$72.46+送料)ができてとてもラクだった.

◆[欹耳袋]時事ドットコム「がれきの漂着、続々=海鳥へ悪影響も−米」(2012年5月24日) /元記事: CNN.com「Japan tsunami debris hits U.S.」(2012年5月23日).

◆本日のつくばは最高気温が27.6度と夏日ライン越え.夕方になっても湿った南風が吹き抜けてそこはかとなく蒸し暑い.明日から週末にかけては「関東甲信越大きな旅」なので,旅支度をしないといけない.夜遅く,旅支度を終える.明日は農大(世田谷)で高座をすませたのち立川へ移動.翌日は立川の計量生物学会大会を終えた後に天城山中に大移動して旅館貸切の某農大新歓大宴会合宿に突入する.虫の息で再びつくばに帰ってくるのは日曜の午後になる予定.

◆本日の総歩数=4060歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(−0.4kg) / 28.1%(+0.6%)


23 mei 2012(水)※新緑の本郷へプチ逃避する日

◆午前4時半起床.曇り空のち晴天.気温は13.1度.北西の風が冷たい.朝から五月晴れの観音台は午後9時にはすでに20度近くまで気温が上がってきた.昨日とは打って変わって初夏の日差しが降り注ぎ,予報通り夏日になるだろう.午前中は居室にてごそごそし,昼前に本郷へ出撃する予定.

◆┣┣" 撃ち予定メモクリップ —— 本日5月23日(水)13:30〜,領域会議.欠席〜./5月30日(水)17:00〜,筑波大・石井さん来室.形態測定解析のことで.今日,この件で本郷で shape 開発者さんに会ってこよう.

◆[欹耳袋]イアン・ハッキング[岡澤康浩訳]「生権力と印刷された数字の雪崩」思想(岩波書店)2012年5月号,pp. 76-101(→目次).19世紀初期の統計学史に関する論考.翻訳者の岡澤さんから別刷りをいただいた.どうもありがとうございます.

◆新緑萌える本郷にて —— 昼前のTXで東京へ.気温は高いが,湿度が低いので許す.〈朝日堂〉でパンを買ってから昼休み真っ最中の shape 開発者さん居室に乱入する.フーリエ解析におけるサイズ因子に対するフーリエ係数の回帰分析について.tpsRegr みたいにサイズ変数を独立因子とする回帰の可視化ツールはまだないらしい.

◆午後1時から専攻教員会議 —— 今日もいろいろと議題が並んでいたが,連携講座に直接関係する話題が多かったので備忘のため列挙:1) 6月6日(水)16:00〜,専攻・大学院ガイダンス.連携講座は持ち時間10分.プレゼン用ファイルの用意.;2) 専攻教員会議の日程変更:9月の開催日は9月24日(月)13:10〜.学会開催期間を考慮して;3) 修士論文中間発表会は9月26日(水)に開催する(終日);4) 連携講座教員室の引越し.3号館211号室へ.スパンが狭くなるので搬入する机は三個とし,残る机一つとテーブル類は専攻内の希望研究室に譲ることになった.引越しの日程は未定.;5) 研究会議の役員投票(6月).連携教員の投票用紙は直接配布して三中がまとめて6月1日(金)に手渡す;6) 7月の学部三年生見学旅行については,要望を受けて農環研の所内見学コースを決める予定.広報情報室に事前届けを出すんだっけ?

◆昼下がりの背徳 —— 午後4時過ぎに教員会議が終わって,根津の谷へ下る.〈芋甚〉にて「小倉まめかん」をば.「あんみつ」とか「みつまめ」とか邪道.ここは潔く「まめかん」しかない.豆と寒天のみというシンプルさで豆かんの首位はゆるがない.小倉アイスはささやかなトッピングだ.

◆夕暮れの背徳 —— 本郷の専攻教員会議を終えてつくばっくなう.日中の都内はよく晴れて夏日になり,空気が乾いてからからと暑かった.つくばに帰ってきたら日没とともに南東風が吹き抜けて心地よし.夕焼けを背景にしてコロナビールの瓶飲みでキマリ.おつまみは〈モルゲン〉のチーズ・アモーレのローストと〈マルゲンミート〉のペッパーポーク.メヒコのセルベーサは背徳の瓶詰めだ.背徳の夜が始まりそうで実は始まらない(平日だし).

◆[欹耳袋]Facebook公開グループ〈基礎教育と人材育成〉.リンク→ 日本学術会議若手アカデミー委員会「【若手研究者】「基礎研究」と「人材育成」に関するアンケート【締切5月29日(火)17時】」/駒場にて:学際科学科記念シンポジウム〈進化とオープンネス〉2012年6月2日(土)13:00〜17:00,東京大学駒場キャンパス・16号館 119-129教室.

◆本日の総歩数=10426歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.0kg(−0.1kg) / 27.5%(−0.3%)


22 mei 2012(火)※冷たい雨に迫りくる┣┣" ども

◆午前4時半起床.北風がびょーびょー吹いて寒いな.気温は13.6度.外はもう明るい.曇りところどころ晴れ.朝日は雲の向こう側.小雨がそぼ降る観音台はいま気温13.3度.涼しいな.

◆[欹耳袋]これはコワい! —— ハッシュタグ「#学会開催校の恨み」に誘引される怨嗟の声また声……:Togetter -「学会開催校の恨み」.gkbr.

◆午前の┣┣" 撃ち —— とある大きめの飛び入り┣┣" のお世話を始めてしまう.ゴールが見通せると安心して進めるが,壁の向こうが見えないとコワくてなかなか入っていけない.

◆[蒐書日誌]Theodore W. Pietsch『Trees of Life: A Visual History of Evolution』(2012年4月刊行,The Johns Hopkins University Press, Baltimore, xiv+358 pp., ISBN:978-1-4214-0479-0 [hbk] → 目次版元ページ著者サイト).私的関心としてはドンピシャなのだが,図版がすべてモノクロなのが非常に残念.各図版についてはキャプションが用意されているが,統一的に記述されているわけではない.その意味では本文の“テクスト”による解説書というよりは,ピックアップされた図版を“パラテクスト”とする系統樹図像史の資料集と呼ぶべきか.

◆[欹耳袋]一年以上前に Mendeley のアカウントを取得したままずーーっと放置していたのだが,農林水産研究情報総合センターが「機関版トライアル」を実施するというので招待状をいただいた.久しぶりにログインしてアカウントがまだ生きていることを確認なう.FaceBook もそうだけど,Mendeley やら Google+ やら LinkedIn などなど一連のSNSをどう使い分けていくのか,個人レベルでなお模索しているところ.幸いにして mixi はほぼ卒業したので一つ減ったけど.これらSNSのアカウントを取ってはみたものの,その後は華麗なる放置状態のままという人はきっと少なくないだろう.で,Mendeley っていったい何?(おいっ)

◆雨がざあざあ降り続いていて,とても周辺徘徊できる空模様ではない.正午の気温は13.7度で朝からまったく上がらず,昨日の同時刻よりも8度ほど低い.肌寒いほどの涼しさ.周囲の紙類が水分を吸いまくっているようだ.午後になってもなお降り続く雨.

◆[蒐書日誌]近刊情報 —— 佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ:検定の巻』(2012年6月5日刊行予定,岩波書店[岩波科学ライブラリー],東京,ISBN:978-4-00-029594-9 → 版元情報).前著:佐藤俊哉『宇宙怪人しまりす 医療統計を学ぶ』(2005年12月6日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー114],東京, ISBN:4-00-007454-7 → 版元ページ口上)の続編.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 契約職員の労務管理書類を書いたり,今週の農大三点セットをつくったりしつつ,午後2時の気温が14.2度.この分だと予報通り15度にも達しない涼しい日ということになりそう.雨雲はまだまだ元気.駒場ヴァールブルクシンポジウムの特大ポスターを農環研ロビーに掲示.他の(どうでもいい)掲示物を押しのけてスペースを確保した.

◆[欹耳袋]Nature ダイジェスト特別公開記事「国立大学で若手研究者が減少傾向」(Jun 2012, Vol. 9 No. 6).元記事は今年3月20日に公開されている.「日本の科学技術研究の根幹を担っている国立大学で、若手研究者の減少が止まらない。このままでは、科学技術競争力の低下につながるおそれが。」

◆帰りしなに〈モルゲン〉にて最後の食パン1.5斤をゲットして帰宅.濡れ濡れ.夕暮れの竹園は雨足がまた強まってきた.気温はやっと15.0度まで達した.北寄りの湿った風が吹き抜ける.夜,北白川から一升瓶二本がクール宅急便で着弾した. 雨はしとしと降り続き,来るべき背徳の気配がしだいに高まる.

◆本日の総歩数=3137歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.1kg(+0.9kg) / 27.8%(−1.1%)


21 mei 2012(月)※早朝の雲間に金環蝕の見せ場

◆午前4時半起床.気温は15.2度.ひんやり.金環蝕の朝がやってきた.東の空は薄雲がかかっているようだが,はたしてちゃんと見えるのだろうか.薄雲のベールが一枚かかっているけど,昇る朝日がよく見える.よしよしあと半時間でショーの始まり.ビミョーに薄雲がかぶっていて,障子越しに向こう側を眺めているような感じ.もうちょい南に移動してくれれば遮るものなく見えそうなのだが.

では,始まり始まりぃ〜:

  • [つくば]太陽の右上から欠け始めているのがいま見える〜! posted at 06:42:42
  • [つくば]まだら雲がかかっているので,ときどき隙間から日蝕が見える. posted at 06:44:23
  • [つくば]「太い三日月」のように見えている. posted at 07:11:17
  • [つくば]いま「細い三日月」状態.数分以内に金環蝕になるだろう.雲が晴れてよしよし. posted at 07:24:57
  • [つくば]金環蝕なう.くっきりと輪っかが見える〜 posted at 07:35:26

—— 午前8時前.日蝕ショーもそろそろおしまい.欠けていく太陽ばっかり見て,地面の木漏れ日のかたちまで気が回らなかった.まだ仄暗さが残る観音台は気温17.7度.太陽が隠れたせいか午前7時よりもやや下がっている.薄雲は晴れてきたようだが,すっきりくっきり五月晴れの空ではない.

◆週明けの┣┣" 原観察日記 —— 積もっていた細かい┣┣" どもを蹴散らしていたら,特大┣┣" 一頭と書評┣┣" 一頭が相次いで着弾した.海岸まで見に行ったら,いきなりぬり壁のような原稿┣┣" が覆いかぶさってきてもうたいへん./来月末に駒場で開催されるシンポジウム〈アビ・ヴァールブルクの宇宙──『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって〉の特大ポスターが送られてきた.事務室の検印をもらって農環研ロビーにでかでかと貼ることにしよう./以前,カード決済手続きでものすごく苦労した〈PayPal〉.ほぼ一年ぶりに必要があって使ってみたら,今度はありえないほど手続きがラクになっていた.あらまー.

◆[蒐書日誌]書評依頼本 —— レベッカ・コスタ[藤井留美訳]『文明はなぜ崩壊するのか』(2012年3月20日刊行,原書房,東京,326 pp., 本体価格2,300円,ISBN:978-4-562-04778-9 → 版元ページ).ジャレド・ダイアモンドのかつての一連の著作:ジャレド・ダイアモンド[倉骨彰訳]『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎(上・下)』(2000年10月2日刊行,草思社,東京,317 pp., ISBN:4-7942-1005-1 (上巻)・ ISBN:4-7942-1006-X (下巻) /草思社文庫[2012年2月近刊] ISBN:978-4-7942-1878-0 (上巻)・ ISBN:978-4-7942-1879-7 (下巻) → 書評|目次:上巻下巻)とジャレド・ダイアモンド[楡井浩一訳]『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの(上・下)』(2005年12月28日刊行,草思社,ISBN:4-7942-1464-2 [上巻] / ISBN:4-7942-1465-0 [下巻] → 目次)を即座に連想してしまう.この著者はどのような“比較”の観点から論議を展開しようとしているのかとても興味がある.

◆正午の観音台は気温22.2度の五月晴れ.さて昼休み徘徊に出発だ〜と思ったら,販促┣┣" にトラップされて,しばしごそごそとテポドンを用意するはめになった.関連メーリングリストに向けて一斉発射.売れてください売れてください.

◆文化系統学への招待(本日書店配本) —— 中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年5月25日刊行,勁草書房, 東京, x+213+xi pp., 本体価格3,200円[税込価格3,360円], ISBN:978-4-326-10216-7 → 目次版元ページコンパニオン・サイト).本日,取次から書店へ配本されるとのことで,リアル書店の新刊棚に並ぶことになった.版元ページも近刊リストから移行した.関連メーリングリストへの宣伝はすでに完了し,いよいよ販促大作戦へと戦線は新たな展開を見せる.なお,版元ページでは,第4章:トーマス・E・カリー「系統比較法による仮説検定:社会・政治進化のパターンとプロセス」の元原稿:Thomas E. Currie「Using Phylogenetic Comparative Methods to Test Hypotheses about the Pattern and Process of Human Social and Political Evolution」がpdfファイルで公開されている.

◆[欹耳袋]今年もまた「人間犬」に変身する日が確定した.残暑厳しき季節にバリウムなんぞをうぐうぐ飲みたくないな.でも朝からおなかが空いているので「うまい!」とつい感じてしまうにちがいない自分が今からとてもカナシかったりする.あの粘性の高さから想像できるように,「飲むヨーグルト」みたいな感じ.しかも,合わせて炭酸薬を飲まされるのでへんにお腹いっぱいになる.その後は回転台の上でトド(not ┣┣" )に大変身.

◆今日の夕暮れは北東からの冷たい風が吹きつけて,体感気温がとても低い.空を見あげればすじ雲みたいな季節はずれの雲が流れている.明日は雨模様になるとの予報.とても信じられないが.

◆本日の総歩数=3134歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.7kg) / 28.9%(+0.8%)


20 mei 2012(日)※捨てるものあり拾うものあり

◆午前4時半にいったん起床するもうつらうつらの二度寝を決め込む.外は曇り空.いまの気温は早くも18度台なのだが,体感的に涼しいのは日差しがないせいか,それとも山の上だからか.今日のミッションは就実引きこもりの在宅作業があるのみだ.

◆昨日ゲットできたのは,大阪〈天のさけ〉の「純米無濾過・荒走り・八号酵母」と奈良〈風の森〉の「純米吟醸・山田錦60%・笊籬採り・生原酒・22BY」の2本.クール宅急便でつくばへ直送.夕暮れの薄暗がり,御蔭通を元田中に向かって歩いたのだが意外にたくさんのお店があることを知った.晩ご飯はビフカツ定食.こりゃ満員になるのも当然ですなあ>G〈英勲〉の蔵元である伏見・齊藤酒造の〈醪音〉が伏見桃山駅前のほかに,洛中の六角にも二号店を出したことを知った.

◆積年の堆積物は一朝一夕にして片付かず —— それにしても何十年もの間,どこにも転居せずに住み続けるとこれほど大量の荷物(というかゴミ)が堆積するのかと驚くばかり.しかも天性の「溜め込む気質」がわざわいして,あきらかにどーでもいいものがあふれている状況.だからといってときどきブラックオパールみたいな貴重品が紛れ込んでいるので,無差別になんでもかんでも捨てるわけにはいかない.とりあえず,二階の炊事場まわりと居室の半分は片付け完了.昼休みをはさんで,さらに通行できないほどの貯蔵食品などが積み重なった階段の一掃処分と一階の台所まわりへ侵攻する.午後3時過ぎまで頑張ったものの,残された“闇”の部分を考えるとはてしない気がする.

◆[欹耳袋]教育心理学教室のご案内「Rオンラインガイド」※「Rスタジオ」の説明が追加された.

◆前日からの泊まりがけ京都ミッションを終え,午後5時過ぎ京都発の新幹線に乗る.京都駅新幹線ホームは行きも帰りも修学旅行の団体客で混みまくりだった.今日はひたすら物の仕分けと廃棄作業の連続だった.洛南は終日曇り空が続き,蒸し暑いような涼しいような変な空模様だった.午後9時過ぎ,つくば着.夜になってもあまり涼しくないのは湿度が高いせいかな.この週末は関西も関東も蒸し暑かったということ.

◆ばてばての夜.まったく使い物にならないワタクシはドロのように寝るしかない.

◆本日の総歩数=6260歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


19 mei 2012(土)※京都ミッションは泊まりがけ

◆午前4時半起床.晴れ.昇る朝日が眩しい.気温は8.1度で肌寒い.旅支度の前に阿見から土浦をひとまわり.

◆西へ西へ —— 五月晴れ.気温は21.0度まであがっているが,湿度が低くて快適.強い紫外線を浴びて突然変異できそうな旅立ちのお昼前.午後1時前,東京駅.都内はよく晴れて行楽日和.新幹線をうっかり乗り間違えそうになって,荷物を引きずってあわてて走り回るワタクシ.午後3時過ぎに京都駅到着.薄曇りで蒸し暑い.奈良線に乗り換えてミッション開始.その後,実家へ.とりあえず荷物を置いてから次の行動開始.すでに夕暮れタイム.その後,明日の清掃作業用品とともに帰宅.

◆[蒐書日誌]読了 —— 四方田犬彦『先生とわたし』(2007年6月20日刊行,新潮社,238 pp.,ISBN:978-4-10-367106-0 → 版元ページ).ついついこの「伝記小説」を読んでしまった…….脱領域・脱構築そして“ニュー・アカデミズム”が存命したころのコマバの昔話.由良君美と四方田犬彦のパーソナルな師弟関係の記述は,もはや余人には立ち入ることのできない世界なので,語られるまま聞くしかない.もちろん,その「場」を共有した他者の意見を併置すれば検証は可能だ.たとえば:小林龍生の怠惰な日々「由良君美と四方田犬彦」(2007年2月11日)を挙げておく.ということで,やっと由良君美『みみずく偏書記』(2012年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫ゆ-4-1],東京,361 pp., 本体価格1,100円, ISBN:978-4-480-42945-2 → 版元ページ)を手にできる.

—— 設問:「〈自分語り〉における四方田犬彦と原武史の共通点について論じよ」

前置きが長くなってしまったが,ターゲットの由良君美『みみずく偏書記』を読み始める.これだけの読書家にして英文学者が生涯に唯一度しか(それも後半生に)“洋行”したことがなかったというのはちょっと信じられない.そういう時代があったということか.確かに,いまのように研究者が若いうちから自由に海外に研究の場を求めていけるようになったのは“比較的最近”であることはわかってはいるのだが.

◆実家に泊まった翌日は朝から大掃除が待っている.積年の荷物の大整理.

◆本日の総歩数=13776歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.9kg(−0.1kg) / 28.1%(−0.8%)


18 mei 2012(金)※雷鳴スコールに遭う農大通り

◆午前5時起床.しっかり雨が降っている.気温14.1度.鮭を焼く早朝.みるみるうちに雨はあがった.今日は農大高座の日.

◆世田谷は青空から雷雨へ急変 —— 午前10時過ぎ,農大キャンパスに到着.都内は穏やかに晴れて青空が広がっている.未明の雨のなごりの水たまりがところどころに.気温は19.5度.やや蒸し暑い.しかし,講義中だんだん空の表情が兇悪になって,遠雷とともにぽつりぽつりと雨が降り出した.講義を終えてあわてて帰り道を急いだのだが,農大通りの途中で落雷とともにスコールになって濡れまくる.経堂駅舎へ緊急避難.しかし,またしてもみるみるうちに南から青空が見えはじめ,東京アメッシュを見ると,世田谷に雷雨をもたらした兇悪雷雲軍団はお隣りの渋谷・目黒・品川に移動したようだ.すずらん通りの〈Cura2〉にて一休み.外は早くも青空から紫外線たっぷりの日差しが降り注ぐ.めまぐるしい天候の変化だ.

◆本日の農大高座での質問 ——

  • #NodaiStat 本日の講義は確率分布からのサンプリングならびに平均と分散の推定について話します.確率分布のパラメーターとその推定のもつ性質のひとつ(不偏性)をRのデモで示します.時間があれば,正規分布の導入も. posted at 10:20:51
  • #NodaiStat 本日もっとも多かった質問:「平方和を自由度で割ると分散推定値の不偏性が達成されるのに,データ数で割るとそうではない理屈がイミフ」.講義ではRのスクリプト http://ow.ly/aZr9o をデモしたので,直感的にはわかるだろうが…… posted at 13:41:18
  • #NodaiStat (承前)証明は「平方和Σ(Xi−mean)^2」の期待値を計算すればイッパツ.Xiはi番目のデータ,meanは標本平均.母平均をμとして,平方和の式を変形すると,Σ(Xi−mean)^2= Σ{(Xi−μ)−(mean−μ)}^2 posted at 13:48:34
  • #NodaiStat (承前)さらに変形して= Σ(Xi−μ)^2+Σ(mean−μ)^2+2Σ(Xi−μ)(mean−μ).右辺三項目はゼロになるので,Σ(Xi−μ)^2+Σ(mean−μ)^2 のみ生き残る.ここで両辺の期待値E(・)を計算する. posted at 13:50:22
  • #NodaiStat あ,ごめん,式の展開を間違えてる〜(大汗).やりなおしなう. posted at 13:59:13
  • #NodaiStat Xiはi番目のデータ,meanは標本平均.母平均をμとして,平方和の式を変形すると,Σ(Xi−μ)^2= Σ{(Xi−mean)+(mean−μ)}^2= Σ(Xi−mean)^2+Σ(mean−μ)^2+2Σ(Xi−mean)(mean−μ). posted at 14:02:15
  • #NodaiStat (承前)右辺三項目2Σ(Xi−mean)(mean−μ)= 2(mean−μ)Σ(Xi−mean)=0 なので,Σ(Xi−μ)^2= Σ(Xi−mean)^2+Σ(mean−μ)^2. posted at 14:04:31
  • #NodaiStat (承前)∴Σ(Xi−mean)^2= Σ(Xi−μ)^2 − Σ(mean−μ)^2.次に両辺の期待値E[・]を計算する.E[Σ(Xi−μ)^2]= ΣE[(Xi−μ)^2]= nσ^2.nはデータ数,σ^2は母分散. posted at 14:07:25
  • #NodaiStat (承前)さらに E[Σ(mean−μ)^2]= ΣE[(mean−μ)^2]= n*σ^2/n= σ^2.以上よりE[Σ(Xi−mean)^2]= nσ^2−σ^2= (n−1)σ^2. posted at 14:10:42
  • #NodaiStat (承前)したがって,平方和を自由度で割った統計量の期待値は E[{Σ(Xi−mean)^2}/(n−1)]=σ^2となり不偏性が満足されるが,データ数で割った場合はE[{Σ(Xi−mean)^2}/n]={(n−1)/n}σ^2でつねに過小推定.以上. posted at 14:14:00

◆つくばも天候がくるくる変わり —— 午後5時前につくば帰還.雨雲が広がっている.そのうちぽつぽつと雨が降りだしたらすぐにざあざあと本降りに.どうやらつくばあたりだけ別の兇悪雷雲が襲来したようだ.さらにズシンと震度四の直下型地震までやってきて,いやはやなんとも言いようがない.地震が過ぎ去り雨もやみ夕焼けが鮮やかな午後6時.夜は生活クラブの鶏肉で親子丼をつくるのだ.

◆分散の「不偏推定量」のほかにもいくつか質問があったので,忘れないうちに ——

  • #NodaiStat 分散の「不偏推定量」のほかにもいくつか質問があったので,忘れないうちにレスポンス. posted at 21:44:36
  • #NodaiStat 正規分布の「中心極限定理」に関して可視化デモはRパッケージ「TeachingDemos」を用いた: http://ow.ly/aZNVL ※要するにサンプル数を無限大までもっていかなくても,数十もあれば標本平均は正規分布しているとみなせる. posted at 21:47:22
  • #NodaiStat 確率分布の相互関係に関するチャート(「確率分布曼荼羅」)の出典は http://ow.ly/aZOdQ に示しました. posted at 21:50:09
  • #NodaiStat 質問「先生は境港妖怪検定とか受けないんですか?」/回答「むしろ鳥山石燕『画図百鬼夜行』をしっかり勉強しないと妖怪学の基礎は身につきませんぞ」 posted at 21:54:51
  • #NodaiStat 質問「先生は大学院へ進学する事はどんな点において有益だと思いますか?」/回答「勉強や研究だけしていても誰からも責められない貴重な時間をもつことができます.自分をメイキングするための期間です.」 posted at 22:01:03
  • #NodaiStat 質問「「自由度」の定義に出てくる変数間の「制約条件」の意味がよくわかりません」/回答「統計量を構成する変数(平方和だったら個々の偏差)の間に条件式があると変数の挙動が制約され,それだけ“自由”ではなくなるということです」 posted at 22:04:15
  • #NodaiStat 質問「ちんぷんかんぷんです…」/回答「だいじょうぶ.わかるようになります.」 posted at 22:07:01
  • #NodaiStat 質問「数式むずいっす」/回答「統計学の数式は「式」で理解するのではなく「ことば」で理解するように.なお,確率分布の密度関数などはまったく覚える必要ないです.お守り袋の中にしっかりしまいこんでおきましょう」 posted at 22:12:45

◆[欹耳袋]訃報:Bayerische Staatsoper「Trauer um Dietrich Fischer-Dieskau」※5月18日の朝に逝去とのこと.享年86歳.

◆この週末は京都ミッション(大掃除大作戦)だ.泊りがけで片づけまくるのだ.

◆本日の総歩数=11364歩. 朝○|昼△|夜○. 計測値(前回比)=94.0kg(+0.2kg) / 28.9%(+0.7%)


17 mei 2012(木)※蒸し暑い万博記念公園を徘徊

◆午前4時半起床.気温は16.0度.ほのかな朝焼け.今日も晴れそう.早朝は15度台の涼しさ.薄雲が空一面に広がって朝日を遮られている.朝日が差さない薄曇りの観音台.気温は19.3度.空気がやや湿って不快指数が微妙に上昇中.居室ベランダの鳩がくぅくぅとうるさいので,〈グレの歌〉で中和する.

◆近未来┣┣" 撃ち予定 —— 東大農学部の学部学生による農環研見学.7月12日(木)の午前中が予定されている.連携教員の調整開始./同じく専攻ソフトボール大会が来週5月22日(火)に農学部グラウンドであって,その後に専攻交流会.donation をしないといけない./エコロジカルセイフティー学特論の日程調整? 今年は夏学期だっけ?>米村くん. —— 以上,すべて東大がらみの用事だ.

◆[欹耳袋]先日の毎日新聞記事「大阪市:入れ墨調査始まる 記名式で回答義務付け」(2012年5月2日)に載っていた「入れ墨調査票」のフォーマットをどこかで前に見たような気がしていた.いま確認してみたら,19世紀イタリアの犯罪人類学者 Cesare Lombroso の主著『犯罪人種論(L'uomo delinquente)』に入れ墨(tatuaggio)と生得的犯罪者との関わりを論じた章がそれだった:Cesare Lombroso『L'uomo delinquente, in rapporto all'antropologia, alla giurisprudenza ed alle discipline carcerarie』(1876年刊行,Fratelli Bocca Editori[Biblioteca Antropologico-Giuridica, Serie I, Vol. I], Torino → Google Books) .この本の第1巻第3部「生得的犯罪者の生物学と心理学」の冒頭第1章「犯罪者の刺青」(pp. 287 ff.)を参照のこと.日本語だったらスティーヴン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい:差別の科学史』河出書房新社の第4章にロンブローゾの話が出てくる.

◆お昼前,曇り空の観音台はやや蒸し暑い.気温は午前のうちに23.9度まで上がってきた.午前中は新刊本の販促大作戦とか来月の東大見学旅行の調整(農環研内コース設定)とか.昼休みは,みずほの村市場でお米を買いがてら,久しぶりに万博記念公園を徘徊する.鮮やかな新緑が映える季節だが,池のまわりは水はけが悪くてほぼ湿原と化している.薄曇りで蒸し暑く不快指数はかなり高い.ジョギングで駆け抜ける人たちを横目に,公園内を一筆書きのようにうろうろ歩きまわってから観音台に帰還した.

◆[欹耳袋]The Heliconius Genome Consortium 2012. Butterfly genome reveals promiscuous exchange of mimicry adaptations among species. Published online 16 May 2012. Nature doi:10.1038/nature11041. ※南米ドクチョウ類が擬態関連遺伝子を交雑によって広めたとの研究成果./NHK NewsWeb「ニホンヤモリ 実は外来種か」(2012年5月17日) ※「在来種」vs「外来種」の線引きってそもそも恣意的なんだけどね.

◆本日の総歩数=13637歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.8kg(−0.5kg) / 28.2%(0.0%)


16 mei 2012(水)※歓喜と悲哀が入り混じる夏日

◆午前4時半起床.明け方は雲がまだ多めだが,青空がところどころ覗いている.気温16.3度.初夏の日差しが降り注ぐ観音台は予報通り気温が上昇中.午前8時の時点ですでに20.0度.まあ夏日ライン突破は当然だろう.真夏日ラインに迫るかどうか.ただし,湿度が低いおかげで,体感的にはさわやかな気候.湿度さえ低ければよし.空はすっきり五月晴れ.雲の表情がとてもよろしい.

◆[欹耳袋]由良君美が1973年に駒場で開講した全学共通ゼミの選抜試験会場の図書館大ホールでは,ワーグナー〈ワルキューレ〉がBGMで鳴り響いていたらしい(四方田犬彦『先生とわたし』p. 17).前世紀末,筑波事務所の大部屋で数理統計集合研修の講師をしたとき,部屋を“初期化”するために前もって部屋の四隅で白檀のお香を炊きしめ,スティーヴ・ライヒの〈ドラミング〉を静かに流し続けて講義したことが一度だけある.しかし,講義のあとで,研修生の何人かから「なんだか変になってしまうそうです」と懇願され,次年度以降はやめてしまったけど.

◆本日の悲哀と決意 —— 机の上にさりげなく置かれていた今月の「給料明細」をこの上なく冷静に開封する.まずは俸給支給額チェ〜ック.うー,これはとりあえず「卓袱台返し」をするしかないなあ.入ってくる額はしっかり減らされ,差し引かれる額はまったく同じ.結果は単純な引き算であるだけに,もう何度か卓袱台返ししないと気がおさまらないぞ.ワタクシの場合は方々で兼業をしているのである程度の“のりしろ”があるが,ふつうは暴動ものだろう.お金のことはちゃんと口にした方が身のためだと思う.金の切れ目が縁の切れ目.今後は,事務仕事の「完成度」というか「コミット度」の一割ほどカットかな.要するに「優」や「良」ではなく,追試でパスすればオーケーという心構えでゴー.もうひとつの案件は出張講座.たとえば農林団地内の研修講師はこれまでずっと純粋無垢のボランティア活動として引き受けてきたけれども,今後は再考するべきか思案している.大学の非常勤講師を引き受ける際は「依頼出張(無給)」と「兼業(有給)」の二つの選択肢がある.ワタクシの基本方針としては,たとえ本務先の所内手続きはめんどうでも「兼業」にして相手先に相応の経費を負担させることにしている.それが「労働経費ダンピング」に知らないうちに加担しない心がけだ.

◆本日の歓喜と祝杯 —— 中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年5月25日刊行,勁草書房, 東京, x+213+xi pp., 本体価格3,200円[税込価格3,360円], ISBN:978-4-326-10216-7 → 目次版元ページ[近刊情報]|コンパニオン・サイト).本日,見本刷りがやっとつくばに着弾した.アマゾンなどのオンライン書店ではすでに近刊予約ができるが,リアル書店の店頭に並ぶのは来週5月23日以降になるとのこと.正誤表の公開や書評の収集など今後の情報発信のためのコンパニオン・サイトを急いでつくったりして,午後はけっこう忙しかった.いったん本が店頭に並んだら,次は「販促大作戦」という大┣┣" が待ち受けている.しかし,一昨年からの長丁場の作業が一段落したのだから,今夜はささやかにビールで祝杯をあげようではないか.

◆[欹耳袋]統計ネタ三件 —— RStudio 日本語解説サイト:使い方指南と翻訳ドキュメントなど.RコマンダーとともにRスタジオは統計講義のデモや実習で多用する.Rスタジオはもっと熟練しておきたいツール./r4stats.com 「Will 2015 be the Beginning of the End for SAS and SPSS?」(2012年5月9日).アルマゲドンは近いぞ〜w./第二種過誤は単なる「気の迷い」であっても,第一種過誤はヒトの「原罪」みたいなもの.

◆今日の最高気温は26.8度.紫外線が降り注ぐ昼下がりは焼けるように暑かった.湿度が低いのが唯一の救い.これから梅雨に入るまでの期間だけがパラダイス.

◆本日の総歩数=3103歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=94.3kg(+0.4kg) / 28.2%(+0.2%)


15 mei 2012(火)※卯の花くたしに濡れる観音台

◆午前5時前起床.今日は曇り空.気温は16.9度と高く湿っている.南風.雨が降る前触れ.雨がそぼ降る観音台は空気が適度に湿っている.午前8時の気温17.2度.いま雨を降らせている雲塊はいったい通り過ぎるが,そのあともっと大きなのがやってくるようだ.朝イチのBGMはブラジル風バッハ No. 1 を奏でるチェロ軍団.その後も雨は降ったり止んだりを繰り返す.

◆[蒐書日誌]由良君美『みみずく偏書記』(2012年5月10日刊行,筑摩書房[ちくま文庫ゆ-4-1],東京,361 pp., 本体価格1,100円, ISBN:978-4-480-42945-2 → 版元ページ).青土社から1983年に出た「本の本」の文庫化.英文学者である著者については,駒場時代の教え子だった四方田犬彦による伝記的著述:四方田犬彦『先生とわたし』(2007年6月20日刊行,新潮社,238 pp.,ISBN:978-4-10-367106-0 → 目次版元ページ)がすでに出版されている.しかし,積ん読したままだった『先生とわたし』をまずはじめに読むべきか,それとも『みみずく偏書記』から入るべきか,いま思案しているところ.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 先日原稿依頼のあった東京化学同人『行動生物学辞典』の項目執筆をすませた.担当したのは「大進化」「小進化」「節約」「系統的慣性」の四項目で,計二千字ほどの分量.これくらいだったらさくっと書ける.執筆受諾の返事とともに編集部に送信完了.「執筆お引き受けします」の返事が当の原稿というのはとても気持ちがよろしい(かくあるべし).しかし,そういう機会がごく少ないこともまた事実.

◆[蒐書日誌]系統学本近刊二冊 —— どちらも速攻で注文完了:

  • Ward C. Wheeler『Systematics: A Course of Lectures』(2012年6月近刊,Wiley-Blackwell, Hoboken, 448 pp., ISBN:978-0-470-67170-2 [hbk] / ISBN:978-0-470-67169-6 [pbk] → 版元ページ).そのうちきっと出ると思っていた教科書.目次を見ると,生物体系学の基本から始まっているが,動的相同性(dynamic homology)や系統樹探索の基準とアルゴリズムの実装に関する記述が後半を占めている.著者の主張を知っている読者にとっては予想通りの内容の本だろう.ただし難物かも.
  • Emmanuel Paradis『Analysis of Phylogenetics and Evolution with R, Second Edition』(2012年刊行,Springer Science+Business Media[Series: Use R!], New York, xiv+386 pp., ISBN:978-1-4614-1742-2 [pbk] → 版元ページ).2006年に出た初版:Emmanuel Paradis『Analysis of Phylogenetics and Evolution with R』(2006年9月刊行,Springer Science+Business Media[Series: Use R!], New York, xii+211 pp., ISBN:978-0-387-32914-7 [pbk] → 版元ページ)のほぼ二倍の厚さに成長した.目次(→ pdf)を見ると,系統樹を用いた進化解析(系統比較法・多様化解析など)と系統樹シミュレーション(系統分岐と形質進化)の章が大幅に拡大している.

もう一冊は買い忘れ(というか,アマゾンの「買い物カゴ」に入れたままうっかり放置していた)論文集:

  • L. Lacey Knowles and Laura S. Kubatko(eds.)『Estimating Species Trees: Practical and Theoretical Aspects』(2010年9月刊行,Wiley-Blackwell, Hoboken, 232 pp., ISBN:978-0-470-52685-9 [hbk] → 版元ページ

—— ということで,今月から給料がグンと下がるというのに(明日の給料明細がコワい),こんなところでオトナ?買いをしてしまったワタクシ.

◆午後の┣┣" 撃ち —— しとしと雨が降り続く昼休みの観音台は南風がひんやりと吹き抜け,午後1時の気温は17.4度まで下がってきた.しばしの珈琲充の後,次なる原稿┣┣" の海へ飛び込む.ぶくぶく〜.夕方になっても霧雨が降り続いている.このまま夜になってもだらだら降り続けるのだろうか.気温は17.9度.朝からほとんど変化がない.勁草書房から『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』の見本刷りを発送したとのメールあり.いよいよブツを手にする日がやってくるのかー.夕方,図書新聞編集部から『ムネモシュネ・アトラス』の書評原稿ゲラがpdfで届いた.ざっと見るかぎり致命的ミスはなさそう.

◆明日の給料日には「ほぼ一割減った給料明細」を手にすることになるのかあ…….しかし,「たとえ給料が減っても(減るんだけど…)ちゃんと外で呑んだり食べたりしましょー」宣言.この件に関しては有言実行あるのみ.というわけで,今夜の夕餉は,家飲みながら〈繁桝〉の「山田錦・中汲み純米大吟醸・生生」で決意表明.

◆[欹耳袋]現実は虚構を越えて —— 毎日新聞記事「電力需給:「節電」新料金で不足2.6%改善 関電提示」(2012年5月15日大阪夕刊).読み進むうちに,「…照明が明るすぎるオフィスや店舗を住民が見つけて通報し、中小事業者に節電を促す「節電通報窓口」の設置…」などという穏やかではない話が出てくる.ま,うちの居室は基本的に日中は点灯しないし,いるかいないかもわからない「森」だから,密告されることはないよねー.ねー.

◆毎年恒例の〈春の試飲会〉:今年は6月1日(金)の夜,東大構内某所にてひっそりと開催されることになった.持参する日本酒はばっちりキメないと.

◆本日の総歩数=2662歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.3kg) / 28.0%(−0.5%)


14 mei 2012(月)※五月晴れの南風が吹く週明け

◆午前4時半起床.晴れ.気温10.0度.うわ,また新しい週が始まる.今朝の観音台は穏やかに晴れて,まだ紫外線ぎらぎらな夏の日差しは到達していない.居室の窓を全開にすると,揚雲雀のさえずりが圃場から聞こえてくる.それとともにギドン・クレメルのバッハ無伴奏を背景音楽にしよう.午前8時の気温は16.6度まで上がってきたが,今日は夏日になるのかな.8:19 に緊急地震メールがケータイに届いたけどぜんぜん揺れない.今年も農林団地の圃場に「団結ガンバロー!案山子」が出現したらしい.全農林のソコヂカラで鳥を追い払う.あとで見に行くか.

◆午前の乱入┣┣" 一頭 —— ま,またしても新たな辞書の項目執筆依頼がぁ……(orz).でも,今回の項目執筆依頼は,進化学事典みたいな何万字も書く必要がないようなので,さくっとなんとかしてしまうか.そういえば,岩波生物学辞典の新版はその後まったく音沙汰が無いけど,どうなったのだろうか.世の中,どこを見回しても辞典だらけ.日本人がとっても好きな「辞書」って要するに「箱モノ」みたいなものなのか.そもそも辞書ってちゃんと読んでる?>みんな.

◆[欹耳袋]駒場降臨! —— 大野克嗣講演会「現象論的アプローチが基本的である理由」2012年5月21日(月)16:30〜17:30@東大・駒場キャンパス16号館119号室(→ アナウンス[pdf]). /英語語源の可視化:Visualization of the Week: The origins of English - The etymology of the words in select articles and classic books. 4 May 2012.

◆よく晴れてそよそよと南風が吹く.正午の気温は23.2度.さて農林団地周辺の田園つくばのなかを昼休み徘徊してこようかな.

◆[蒐書日誌]石原あえか(編)『産む身体を描く: ドイツ・イギリスの近代産科医と解剖図』(2012年3月31日刊行,慶應義塾大学出版会[慶應義塾大学教養研究センター選書・11],東京,94 pp., 本体価格700円,ISBN:978-4-7664-1933-7 → 目次版元ページ).本書は100ページもない新書サイズのブックレットながら,情報量はとても豊富.まずは,第1章「イェーナ大学附属産院と専属絵画教師 詩人ゲーテとその周辺」を読む.ゲーテにからむ医学と芸術の連携.ロマン主義科学の時代は科学と芸術は境目がなかった.同時に,この章では“助産婦=女性” から “産科医=男性” へという近代ドイツ医学の中での「出産」の位置づけがどのように変遷したかが読み取れる.イェーナで活躍したゲーテと同時代の医者・解剖学者はスコットランドの外科医ウィリアム・ハンターの影響をどこかで受けているらしく,彼の解剖学(とくに写実的な解剖図のスタイル)がドイツに影響を与えたようです.たとえばドレスデンで名声を得た解剖学者・画家のカール・G・カルスは医学を学びにわざわざイングランドとスコットランドを旅したとのこと.

◆[欹耳袋]朝日新聞2012年5月11日朝刊記事:林俊行「〈私の視点〉自然科学論文:研究成果 和文でも公表を」(購読者限定).著者は以下の二つの問題点を提起し,それらに対する私案を提示している:

  • 問題提起1「現状では英語での発表を日本語に訳し,新しい知識を国民に還元しようとする努力の跡はほとんど見えない.一般国民が理解できるレベルを超えているから日本語で発表しても無駄、という主張はあまりに乱暴だろう」/著者提案「日本の各学界が主宰・発行する 学術誌に和文と同時に英文論文を投稿・掲載することを奨励する.国立大や国立研究所での新規採用にあたっては,自らの業績を国内の学術誌で発表した研究者を優遇する.研究費の配分についても同様だ」
  • 問題提起2「日本国民の税金でなされた研究成果の著作権がほとんどすべて、欧米の出版社に無償で,場合によっては研究機関が掲載料まで支払って譲渡されているのだ」「知的財産権の著しい流出であり,日本の国益にかなうとは思えない」/著者提案「公費助成を受けた研究の学術論文は,1年以内に和文で,研究費助成を行った省庁のホームページに掲載する.このことが認められる場合にのみ,著作権の海外への譲渡を認める」

第一の問題提起については,日本語で「読める」かどうかという識字の問題が解決されても,研究内容の一般に「わからせる」という理解の問題が解決できるわけではない.たとえ読めてもわかるわけではないのは日本語でも英語でも変わりはない.日本語での研究成果のいっそうの公開と周知をという著者の主張は理解できるが,現状では研究者「個人」にさらなる負担が積み重なるだけで実施はおそらく不可能だろう.人事採用に関して提案された“アファーマティヴ・アクション”はやる意味がない.

第二の問題提起については,オープンアクセス・ジャーナルの力がさらに増せば,情報ソースにたどり着く問題はある程度は解消できるだろう.J-Stage のようなプロジェクトも進められている.ただし,国内・海外の別を問わず,著作権譲渡は論文発表に先立って行われるので,国内が「先」で国外は「後」というような順序づけは不要な制約だろう.

一般社会での科学理解(public understanding of science)を推進することはもちろん重要だが,その作業は研究者のみが背負いきれるものではないこともまたはっきりしている.とらえどころのない「一般社会」ではなく,もっとターゲットを絞り込んだ活動ができないものだろうか.

◆[蒐書日誌]Academia.edu は荒っぽいなあ —— David M. Williams and Malte C. Ebach『Foundations of Systematics and Biogeography』(2008年1月刊行,Springer-Verlag, New York, ISBN:978-0-387-72728-8 → 目次版元ページコンパニオン・ブログ)が Academia.edu で一冊丸ごとオンライン公開された.

◆穏やかな夕暮れ時.南風とともに空気がだんだん湿ってきた.本日の最高気温は23.5度.ええ季節やな.ビールでも飲みまひょかー.

◆本日の総歩数=9260歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.6kg(+0.5kg) / 28.5%(−0.4%)


13 mei 2012(日)※松戸のロメオとジェリエット

◆午前5時起床,即朝風呂へ.明け方の最低気温は4.9度まで下がった.この冷え込み方はありえへんな.五月晴れなのに寒すぎる.今日は朝から松戸に向かい,午前はステリハ,午後は本番.午前9時過ぎ,つくば駅へ向かう.とてもいい天気.センター広場では,つくばフェスティバル(二日目)の開店準備が着々と進んでいた.とても残念だが今日はこの会場に足を運ぶ時間はまったくない.演奏会用のコスチュームを持って松戸へゴー!

◆[欹耳袋]中日新聞の連族記事三報 —— (1)「<はたらく>低収入で待遇不十分 大学の非常勤講師」(2012年3月2日) /(2)「<はたらく>職にあぶれる若手研究者 大学院重点化策の「余波」」(2012年4月13日) /「<はたらく>若手研究者の窮状に反響 雇い止めは使い捨て」(2012年5月11日).この連続記事では“文系”の研究者が主役なので,ポスドク問題と非常勤講師問題が一体化している.その点で“理系”の場合とはいささか事情が異なっていることをまず理解した上でいくつかコメントをしたい:

  1. 第一報について —— このニュースによれば,1980年代に「オーバードクター問題」が浮上して以来,基本的に何も変わっていないようだ.「専業」の非常勤講師に本務地をもつ非常勤講師の給与体系を適用するのはムリ.また,労働内容を見ると,講義時間のみに対して賃金が支払われていても,そのための準備や試験実施と成績評価さらに事後の教務事務に費やされる時間に対しては無償.この「タダ働き」は専業・非専業の別を問わず問題.本務地がある場合は,そのような“雑用”も全部含めて仕事のうちだが,いったん外に出てしまえばそうはいかない.ボランティアで非本務地に貢献するというのは納得できない.
  2. 第二報について —— 「需給バランス」が崩れていることは確か.大学や研究機関のポストをという条件をつけるなら work sharing か job creation しか解決法はないと思う.それぞれの専門分野そのものの動態も考えておかないといけないだろう.たとえば,語学分野では日本フランス語フランス文学会と日本フランス語教育学会の調査結果「フランス語教育実情調査報告書」(→ pdf)に示されているように,分野そのものが存亡の危機にさらされている場合もある.自分が学んだ専門分野が将来的にどうなっていくのかという点を考えるなら,大学や研究機関のような“アカデミア”ではない外の世界を目指すという選択肢が浮上する.リスキーではあるが.
  3. 第三報について —— 非常勤講師のポストがしだいに削減されているのは国立私立を問わない傾向で,以前は非常勤に任せていた講義を専任教員に代わりに担当させることで経費節減を図るというのがもっともよくあるパターン.非常勤講師経費の出所(学部・専攻かプロジェクト予算か)によってもそのポストの永続性は大きく変わる.ひとつ問題になるのは,非常勤講師の選考のあり方だ.ワタクシの個人的経験では,各大学の知人から依頼されて非常勤講師を引き受けるというのがもっぱらで,例外は農環研理事長からMOU提携先の農大に生物統計学を教えに行けと言われたただ一件だけだ.非常勤講師の選考過程をもう少し透明化すればいいとは思うが,そのためには人材データベースがきっと必要になるだろう.Researchmap みたいなシステムとの連携がはかれないものか.

◆松戸の森のロミオとジュリエット —— 午前10時ちょうどに武蔵野線・新八柱駅に到着した.すっきり五月晴れの青空が広がり,乾燥した空気が心地よい.桜並木をてくてく歩いて森のホール21へ.大ホールに到着したのは10時半前だった.ステージではすでに楽器のセッティングが終わっていて,前プロのステリハが始まっていた.メイン用の打楽器群はひな壇の最上段にずらりと並べられていた.

今回の松戸シティフィルハーモニー管弦楽団「ファミリー・コンサート」のプログラムを見ると,前半はモーツアルト二曲(歌劇〈魔笛〉序曲と交響曲第38番〈プラハ〉),そして休憩をはさんで後半のメイン曲であるプロコフィエフのバレエ音楽〈ロメオとジュリエット〉組曲がある.〈ロメオとジュリエット〉は第一〜第三まで三つの組曲があるが,そこから独自に十曲あまりをピックアップして編成していて,演奏時間は全部で一時間に及ぶ.

今日のワタクシの“仕事場”は〈ロメオとジュリエット〉のシロフォンとグロッケンシュピール.ステージ上で最終的な楽器配置をごそごそ調整する.本当は昨日の G. P. で試しておきたかったのだが,最終決断は本番当日のステリハになってしまった.

ワタクシが担当するパートははかけもちがとてもやっかいで,とくに,「フォークダンス」と「タイボルトの死」が難物.何十年か前に別のオケのエキストラに出演したときはシロフォンだけ担当した記憶があるので,あのときは二人の奏者で分担したのかもしれない.これまでの練習でも楽器配置の試行錯誤を繰り返したが,最適配置は“並べ置き”ではなく“重ね置き”という結論になった.シロフォンの上にグロッケンシュピールを重ねて配置.音板が四段に重なる.とにかくステリハで試してみて,あとは本番に突入ということになる.スリル満点.

正午過ぎまでステリハがあり,その後は昼食休憩.午後1時半に開場,2時から開演.前半は楽屋脇でゆるゆるするのみ.休憩をはさんでいよいよ舞台へ.いったん〈ロメオとジュリエット〉が始まれば,あとはもう駆け抜けるしかない.予想されていた難所で転びそうになった箇所もあるが,途中棄権することなくなんとかゴールまで到達した.どうもお疲れさまでした.

ファミリー・コンサートは午後4時に終演.その後,地下の楽屋で反省会.森のホール21をあとにしたのは夕方の午後5時過ぎだった.ふたたび新八柱駅までもどって武蔵野線で一駅.新松戸駅前の〈だんまや水産〉にて午後6時から懇親会.松戸オケの演奏会に来たときは毎回ここが懇親会の場所となる.指揮者もまじえていつものように盛り上がった.午後8時半に一次会はお開きとなった.同じ場所での二次会にトラップされることなくさくっとつくば直帰.健康的なことに午後9時半には帰宅してしまった(not背徳).

◆明日からはまた淡々とした日常が始まる.さくさくと原稿を書く日々が続くということだ.

◆本日の総歩数=8105歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.1kg(+0.1kg) / 28.9%(+0.6%)


12 mei 2012(土)※五月晴れの背徳ランチタイム

◆午前5時半起床.晴れ.明け方の最低気温は7.9度まで下がって冷え込んだ.朝日は元気よく昇ってきたが,今日の日中は20度に達しない涼しさだという.気温が多少低くても,湿度が低ければ許す.

昨夜は,スパイク・ジョーンズ&ザ・シティスリッカーズの超絶技巧シロフォンに悶絶した.足でタップダンスしながら,手で超絶シロフォンを叩く.しかもコメディアンの笑みを絶やさずにというのは超人的.その流れで,朝イチは超絶技巧コントラバスを観る.チャルダーシュなんてありえへん.コントラバスのハーモニクス奏法って初めて聴いた.バイオリンの音域にまで侵犯しまくり.

◆[欹耳袋]NHK NewsWeb「独立行政法人も人件費減額を」(2012年5月11日) —— そんなもん,とっくの昔に通達がきてまんがな(今月から約一割カットになる……).これからの独法や大学の研究員は「雲や霞を喰って生きる」という key innovation を進化させないと生存できないぞ! それとも,「独立」という形容詞にちなんで,従属栄養なヒトを卒業して独立栄養なケンキュウシャという“新種”にスーパー進化するか! もっと光を!

◆五月晴れの昼下がりに —— 朝から乾いた北風がそよそよと吹く爽快な青空が広がっている.正午の気温は19.9度とこの季節にしてはかなり涼しい.今日から明日にかけて,つくばセンター広場で開催される〈つくばフェスティバル2012〉が午後からオープンした.下界からのさざめきが大きくなってきたので,ランチを物色かたがた出撃する.例年通り,国際色豊かな店がいくつもあって歩きまわるだけでも十分楽しめる.天久保のバー〈Finlaggan〉がいいロケーションに出店していた.生ハムとルッコラのサンドイッチがとても美味そうだったので即ゲット.その場でパルマ産の生ハムをスライスして,〈Brotzeit〉のバゲットにルッコラとともにはさんでくれる.最後に粉チーズのトッピング.生ハムうますぎる.このランチにソフトドリンクはありえない.ドラフト・ギネスがどこからともなくやってくる背徳ランチタイムは至福のひととき.

◆[欹耳袋]〈Map of Life〉が発進した —— Nature News「Map of Life goes live: Online mapping tool streamlines global species distributions」(2012年5月10日)./Togetter - 日本の生態系100選.ワタクシが学会に参加し始めた1980年代は,大会会場の敷地内で野宿する参加者は珍しくはなかった.まるでキャンプ村のように色とりどりのテントが張られた学会があったけど,どこだったか思い出せない.朝食は当然その場で自炊だった.最近はそういうツワモノどもはほとんどいないのではないだろうか.

◆夕方,松戸へ.気温が急速に低下中.半袖を着てきたのは敗因だったか.午後7時から9時までオーケストラ練習(G. P.).新八柱駅への帰路はかなり肌寒かった.つくばっく.午後11時の気温は8.5度ってマジですか.明日は本番.朝から森のホール21に詰める.

◆本日の総歩数=8598歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(−0.5kg) / 28.3%(+0.7%)


11 mei 2012(金)※午前は青空でも午後は通り雨

◆午前5時前起床.晴れ.気温9.6度でひんやりした早朝.東の空にかかっている雲の間に,朝日が見えそうで見えない.午前7時半につくば駅へ.五月晴れの青空が広がる.空気はまだ冷たいが,湿度が低いので快適.いつもより一本早いTXに乗れた.しかし,千代田線は例によって常態的遅延.さらに,小田急は新百合ヶ丘〜柿生での早朝の人身事故によりダイヤ乱れまくり.下りが十分ほど遅れているとのこと.都内もよく晴れていい天気だ.

◆[欹耳袋]困ったなあ —— R-2.15.0 for Mac OS X の mgcv と rgl パッケージがいつまでたっても「名前空間エラー」から脱出できないので,当分の間はRコマンダーでの三次元描画はムリ…….R本体がバージョンアップされるのをじっと待つことにしよう.さいわい今日の農大高座では三次元描画は必要ないけど,他のパッケージ類がちゃんと動くかどうかは要チェック.

◆五月晴れの農大高座 —— 農大キャンパスは木漏れ日が差していた.講義開始まで新一号館にてごそごそしたくする.農大の構内は「人口密度が高い」という印象がいつもあるのだが,この新一号館にかぎってはフシギなほど人気がない.とくに講義時間の最中は人もいないしひっそりしていて居心地がかえってよろしくない.まだ溶け込んでいないからだろう.

  • #NodaiStat 本日の実験データー解析概論は,統計モデルに関するイントロをお話ししたのち,データの挙動を記述する統計量について解説します. posted at 10:17:22
  • #NodaIStat 講義室なう. posted at 10:28:16
  • #NodaiStat あ,前回配り忘れた「統計学お勉強本ガイド」は今日配ります. posted at 10:35:25
  • #NodaIStat 本日の講義は確率分布がらみの期待値計算とパラメーターの定義で総和記号や積分記号を登場させたせいか,出席カードのコメント数が有意に少なかった……. posted at 13:20:13
  • #NodaiStat 高校で「数IIIC」まで履修した受講生が意外に多いのにびっくり(例年はもっと少ない).でも,数学は使わないとすぐに錆びつくスキルなので要注意. posted at 13:22:01
  • #NodaiStat 確率分布の平均と分散の定義については,次回以降の講義でも登場するので,今日の内容は何度か反復することになるでしょう.パラメトリック統計学は入り口がやや “イバラ” なので,そのあたりのサバイバル術をおいおい伝授します. posted at 13:25:15
  • #NodaiStat 講義スライドのピックアップではなくトータルでほしいという意見がいくつかありました.ファイルサイズが巨大なのでいまの方式で配付し始めたのですが,対処法を考えてみます. posted at 13:30:09
  • #NodaiStat Q:「先生は妖怪が好きそうですね」/A:「『そう』は不要です」 posted at 13:31:28

◆[経堂]正午に農大高座を終えて,経堂駅前に戻ってきた.晴れあがって都内の気温は21度に達している.しかし,気温の割りに体感的に涼しく感じるのは北風のせいだろうか.すずらん通りの〈Cura2〉にたどりついて一休み.農大の新講義棟では学内LANがつながるとのこと.あとで調べておく.

◆[欹耳袋]生物学・農学分野の学生たちの「統計学キャリア」について —— 生物・農学系の受講生(学生や研究員)を前に講義をするときは,「数学的予備知識は何もない」という帰無仮説が棄却されることはほとんどない.数学を必須ツールとして日常的に用いる状況にないとき,学生の数学的スキルは入試が終わった直後が最高で,その後は単調に減少し続ける.研究室に配属されるころにはほぼゼロになっている.生物統計とか生物数学を学部時代にちゃんとやっておけば,これほどみごとに「不毛」にはならないものを.育種学とか統計遺伝学の先生がいればまだしも,そうでない場合は統計学に関してまったくの「タブラ・ラサ」のまま強行突破してくるケースもあり得る.要するに,「統計」や「数学」を教えられる先生がいるかどうか,その科目が必修(選択必修)として位置づけられているかどうか,という問題だ.統計学の「履修キャリア」は,大学ごとでもちがうし,個人によってもちがいがある.

◆午後4時過ぎ,つくばに帰り着いたら,いきなり通り雨に降られて濡れまくり〜.今日はピンポイントで雨が降っているみたいだ.日ごろの行いがワルいと馬の背を分ける夕立に遭遇してしまう.

◆本日の総歩数=12197歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.1kg) / 27.6%(−0.6%)


10 mei 2012(木)※積乱雲が連日のご乱行に及ぶ

◆午前4時半起床.昨夜の兇悪な雨雲はすでに退散し,いまは晴れている夜明け前の薄明り.最低気温は11.6度.北東風がひんやり.保険の更新手続き書類をものす.昨日よりも天気のいい朝だが,午後からはまたしても性悪の雷雲が発生するとの予報あり.ここ数日,通勤に傘は手放せない.観音台の稲荷川側道は昨夜の雷雨の名残りでそこかしこに水たまりができていた.早くも大きなスズメバチが飛び交っていた.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 千字の文も一字から.キーボードと一体化するワタクシ.

◆[蒐書日誌]ある小学校共同体の物語 —— 原武史『滝山コミューン一九七四』(2007年5月20日刊行,講談社,286 pp.,ISBN:978-4-06-213939-7 → 目次版元ページ).三年前に買ったままずっと放置してしまったが,昼休みの歩き読み本としてやっと読了.著者自身の小学校時代の経験を,抜群の記憶力と資料を踏まえて描いている.たとえ個人の日記や関係者へのインタビューを利用したとはいえ,三十年前のできごとをこれほどリアルに描写できたことにまず驚く.

舞台は大学紛争最盛期が過ぎた1970年代はじめの西武沿線に開発された大規模な滝山団地にある滝山第七小学校だ.この“七小”に通っていた著者は,題名にもなっている「滝山コミューン」の成立について調べ始める.“七小”では「全生研(全国生活指導研究協議会)」による「学級集団づくり」を学校規模で実現させた.著者は:「国家権力からの自立と,児童を主権者とする民主的な学園の確立を目指したその地域共同体を,いささかの思い入れを込めて『滝山コミューン』と呼ぶことにする」(p. 19)と定義する.全生研の構想がなぜ滝山という地域コミュニティにおいて実現できたのか? そして,何よりも「滝山コミューン」はいったい何をもたらしたのか?

なかば自分の過去を振り返る営みとしての著者の遡及は,学校教師と親と子供から成るこの学校共同体を成立させた当時の「団地ライフ」に注目する.同時に,遠山啓が提唱した教育ヴィジョンがいかにして浸透していったか,教師が生徒に及ぼす影響力と波及効果の大きさ,共同体からはじき出されたマイノリティの生きづらさなどいろいろな問題が交錯する.教師による「学級集団づくり」がすべての生徒を有無をいわさず競争と対抗の場に追い込んでいく場面は印象的だ.

眼の前で不可避的に進みつつある事象(コミューン形成)を前にして,それに巻き込まれつつも心情的には離れているという著者の微妙な立ち位置は:四方田犬彦『ハイスクール1968』(2004年2月25日刊行,新潮社,255 pp.,ISBN:4-10-367104-1 → 書評目次版元ページ[新潮文庫])のストーリーを想起させる.四方田は高校生から浪人生にいたる自分を描いたのに対し,本書の著者は小学生時代のできごとを記録した.

まわりの同級生たちが滝山コミューンの中で次々に“初期化”され,新たな思考形態と行動様式を“再インストール”されていくのを目の当たりにするのは(さらに卒業後それらの記憶が当事者たちからきれいに“消去”されていることを知るのは),子供にとっては重い経験だっただろうと推察するしかない.しかも,同時に滝山コミューンという均質化された集団がもつ「心地よい一体感」(p. 211)を著者自身が実感したという皮肉な体験も語られる.それら正負すべての経験をひっくるめて:「自分の目の前にある小学校で起こった出来事は,脳裏に刻み込まれたまま,時間の経過に伴う風化の影響を少しも受けていない.それは,私の人生に消しがたいトラウマとして残ったのである.」(p. 17)と著者は述べる.

教師と保護者(PTA)が一丸となって「結界」をつくるとき,絡めとられた子供たちにはもはや逃げ場はない.本書の後半で,滝山コミューンに異を唱えた著者が同級生たちから「追求(という名の“自己批判”)」を迫られるシーンがある.追い詰められた著者が中学受験進学塾をレフュージとしつつ最終的には私立中学に合格してコミューンから“逃避”できたのは幸いだった.閉じられた学校共同体に忠義立てしなければならない理由はどこにもない.黙って立ち去ればいい.著者はいい選択肢を手にできた.

1968年の大学紛争のクライマックスを過ぎた1970年代がもはや「政治の季節」ではないという見方に著者は異を唱える(p. 18).しかし,滝山コミューンの“核”となった教師はけっして新左翼系の活動家ではなかったそうだ.全生研は日教組の教研集会から分派したものだから,むしろ組合の影響を第一に考えるべきだろう.さらに,日教組の背後にある日本共産党の指導も無視できない.このあたりの叙述はややツッコミが足りないように感じられたが,歴史叙述を目指した本書の主眼はそこには置かれていないようだ.

いずれにしても,この本で述べられているように,1970年代前半は,1960年代の余波を受けて,今日に比べれば十分すぎるほど色濃い「政治の季節」だった.以前読んだ:小林哲夫『高校紛争 1969-1970:「闘争」の歴史と証言』(2012年2月25日刊行,中央公論新社[中公新書2149],東京,xiv+299 pp., 本体価格860円,ISBN:978-4-12-102149-6 → 書評・目次版元ページ)の時代も1970年代はじめにまたがっていた.当時,高い組織率を誇った日教組の影響力だけでなく,旧国鉄の国労や動労によるストライキの頻発,さらには一般市民による暴動もあったことを考えれば,「政治の季節」の裾野はもっと長く伸びていたと考えた方がいいのかもしれない.

—— 卒業後三十年を経てなお反発と郷愁の混ざりあう著者の二律背反的な心の惑いに共感を覚える読者は少なくないはずだ.

◆[欹耳袋]Togetter - 川端裕人さんによる、あるPTA組織に関する問題提起

◆午後の雷雨はおなじみさん —— 午前はまだ晴れていたのだが,午後イチで統計コンサルタントをしている一瞬の間に空が兇相に急変.地響きする雷鳴とともに真っ黒な雷雲が接近して,みるみるうちに驟雨に包まれる観音台.雷雨がますます激しさを増してきたので,デスクトップの電源はいったん落とした.午後4時前,雨は小降りになり,空がだんだん明るくなってきた.よしよし.午後6時,雷雨が通り過ぎて気温が急降下し,西の空は鮮やかな夕焼けが.いますでに13度台だから,夕餉にビールではちと寒いかなあ.はてさて…….

◆明日は週イチの農大高座.今回は,確率変数と確率分布の前哨戦としてデータの要約と記述統計量の話をする予定.

◆本日の総歩数=2749歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.5kg) / 28.2%(+0.6%)


9 mei 2012(水)※蒸し暑い曇り空が雨を呼ぶ日

◆午前5時前起床.曇り.気温16.5度.北東風.今日の午後はまたしても天気が荒れるらしい.朝の観音台は曇り空.午前8時の気温は17.6度とかなり高い.今日はこれから不穏な空模様になりそうなので要注意.傘なんか役に立たないかもしれないが.居室の窓を前回にすると蛙の合唱が聞こえてくる.これからの季節は彼らにとっては大忙しだろう.本日の原稿┣┣" 撃ちのためのお浄め BGM として Jan Garbarek & The Hilliard Ensemble の〈Mnemosyne〉を流そう.午前10時半から所内の領域会議.半時間ほどでさくっと終了.雲がだんだん厚くなってきたような…….

◆[蒐書日誌]BioDivLibrary's photostreamBiodiversity Heritage Library が公開している博物学書の彩色図版が flickr で公開されている.ザイツの蛾類図鑑がツイッター経由で見られるなんて(感涙).

◆[欹耳袋]優生学と生物学の関わりについてメモクリップ —— 優生学と生物学との歴史的関わりを学ぶ機会は現在ではほとんどないのかな.生物統計学や遺伝学をさかのぼれば,教祖さま(Francis Galton)からしてすでに「優生思想」をばらまいてるし,Ronald A. Fisher なんか「Annals of Eugenics 誌」にどんどん論文書いてる.優生学をまたいで通るわけにいかない.第二次世界大戦後,Eugenics ということば(と思想ともくろみ)が Human Genetics に「一括変換」されたとワタクシは理解している.たとえば,木村資生の岩波新書『生物進化を考える』(1988年)にある「優生学的記述」は編集サイドでかなり「中和」したと聞いている.ヒトに関わる彼のもっとダイレクトな優生学的主張は,たとえば木村資生(編)『遺伝学から見た人類の未来』(1974年,培風館)をみるとより鮮明にわかる.Stephen J. Gould の『人間の測りまちがい:差別の科学史』に詳述されていた一般知能因子の問題は優勢学史とともに統計学史にも関係していた.スピアマンの「g」以降の心理測定学での因子分析の解釈などこの本から学ぶことは多い.その他,参考文献をいくつか:

  • ダニエル・J・ケヴルズ[西俣総平訳]『優生学の名のもとに:「人類改良」の悪夢の百年』(1993年刊行,朝日新聞社,東京).原書:Daniel J. Kevles (1985) In the Name of Eugenics: Genetics and the Uses of Human Heredity. University of California Press, Berkeley, x+426pp.
  • マーク・B・アダムズ(編著)[佐藤雅彦訳]『比較「優生学」史 : 独・仏・伯・露における「良き血筋を作る術」の展開』(1998年刊行,現代書館,東京,494pp., 本体価格5,500円, ISBN 4-7684-6734-2 → 目次
  • 廣野喜幸・市野川容孝・林真理(編)『生命科学の近現代史』(2002年10月20日刊行,勁草書房,東京,xx+375+18 pp., 本体価格3,400円, ISBN:4-326-15366-0 → 目次
  • 阪上孝(編)『変異するダーウィニズム:進化論と社会』(2003年11月1日刊行,京都大学学術出版会,京都,xii+650 pp., 本体価格5,200円,ISBN:4-87698-621-5 → 書評

◆正午の気温は21.1度どまりで夏日にすら達していないのに,蒸し暑い曇り空の観音台.昼休みの徘徊タイムは昨日と同じく消耗した.先日の竜巻をもたらしたような兇悪な積乱雲は今のところ湧き上がる気配がない.しかし,今日の午後は東京アメッシュを常時開いておいた方が身のためかも.北関東の山間部ではすでに雨が降りだしているようだ.

◆今年の残暑は学会三連続で死むかも —— 日本進化学会東京大会, 2012年8月21日(火)〜24日(金)首都大学東京(南大沢)※大会サイトがすでに開設されていたか.まだコンテンツが乏しいけど.デフォルトで参加必修./〈IBC XXVI〉- XXVIth International Biometric Conference, 26 August - 31 August 2012, Kobe, Japan. 口頭発表があるので当然のことながら参加必修/統計関連学会連合大会,2012年9月9日(日)〜12日(水),北海道大学高等教育推進機構(札幌キャンパス).計量生物学会セッションの司会があるので参加必修 —— 今年の学会大会参加予定をざっと見渡したところ,国内かつ遠方での大会開催が例年よりも多いことが判明.海外での国際会議よりもいまや国内での大会に参加する方がお金がかかったりする.例年,地の果ての国際会議に公費出張してとても物いりであることはわかっている.しかし,国内学会も複数回を総計すればやはり物いり.サイアクなのは,国内での国際会議かも……(参加費・滞在費の点で).フトコロ具合との相談により大会参加の再検討が必要かもしれない.

◆[欹耳袋]Kyotanabe.R+:統計解析言語Rを中心とした勉強会.備忘メモ.

◆不穏な夕暮れ.何やら雨の気配が忍び寄る…….小雨がぱらつく夕暮れの薄暗がり.今のところ雷雨になりそうな雰囲気ではないが,雨足がしだいに強まってきた.吹き抜ける北風が冷たい.

◆本日の総歩数=10019歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.3kg) / 27.6%(−0.6%)


8 mei 2012(火)※原稿をどんどん書かなきゃ〜

◆午前4時半起床.曇りのち晴れ.気温13.8度.今朝は冷え込みなし.観音台は朝からよく晴れて,午前8時には気温は20度まで上がってきた.きっと夏日になるだろうな.今日も観音台に引きこもる一日となる.原稿執筆の加圧が日に日に強まる(早く書け).農林団地の新緑も滴る初夏の陽気.今朝のBGM は Gary Burton Quintet の〈Whiz Kids〉から.昔のECMの録音.

◆[蒐書日誌]池内紀『恩地孝四郎:一つの伝記』(2012年5月11日刊行,幻戯書房,東京, 330 pp. + 8 color plates, 本体価格5,800円,ISBN:978-4-901998-92-5 → 目次版元ホームページ).あ,この装丁はいけません.実に罪作りだ.すりすり〜.「恩地孝四郎」関連の他の本がぜんぜん手元になかったことにいまになって気づいた.あったはずなのにと探したら,実は「斎藤昌三」の本と勘違いしていたというオチ.昨年出た:恩地邦郎(編)『新装普及版 恩地孝四郎・装本の業』(2011年1月20日刊行,三省堂,東京,本体価格5,000円,ISBN:978-4-385-35058-5 → 版元ページ)は機会があったらゲットしておこう.

◆[欹耳袋]いかにもありそうなことだなあ —— CNN.co.jp「野生生物保護は「美しい種」が優先、生態系に影響も」(2012年5月7日).日々垂れ流される「トキ育児」報道の背後には,「Nipponia nippon なんてもう絶滅して日本のどこにもいないんだよ」という“不都合な真実”が日々隠され続けている.「朱鷺を復活させる」ことは生物学的にもうありえないわけだから,「朱鷺みたいな生き物が空を舞う光景を甦らせる」しかないという動機づけは,審美的にそうあってほしいということなんだろう.保全対象となる生物の「選択」に人間側の審美的偏向があるということだったら,生物の「種(species)の美しさ」のランキングを心理学的に研究するというのはおもしろいテーマになると思う.Human universal としての審美基準とともに,グローバルな母集団ではなく,ローカルな地域環境に住んできた人々の原風景認識(審美基準)が認定の際に関わってくるだろう.やっぱり心理学的なアプローチが必要だ.

このニュース記事で取り上げられた元論文:

  1. Ernest Small 2011. The new Noah's Ark: beautiful and useful species only (Part 1): Biodiversity conservation issues and priorities. Biodiversity, 12(4): 232-247. DOI:10.1080/14888386.2011.642663 → abstract
  2. Ernest Small 2012. The new Noah's Ark: beautiful and useful species only (Part 2): The chosen species. Biodiversity, 13(1): 37-53. DOI:10.1080/14888386.2012.659443 → abstract

—— 保全生物学の「審美的問題」は開かれたまま.「どの“species”を保全対象に選定するのか?」はけっして科学[だけ]の問題ではないということだ.

◆天気がよすぎる昼休み.正午の気温は23.6度とまだ夏日に達していないが,湿度が高いせいで農林団地周辺徘徊タイムはかなりきつかった.空を見上げれば雲雀が,薮の奥からは雉が,田んぼでは蛙が鳴いていた.小一時間歩きまわって農環研帰還.午後1時過ぎの気温は24.8度とほぼ夏日.午後は雲が広がってきた.

◆[欹耳袋]漂着物の“美談”と現実 —— NHK NewsWeb「被災地のボール カナダ漂着か」(2012年5月8日).最近になってこういうニュースが報じられることがちょくちょくある(つい先日もハーレーの大型バイクがアメリカ西海岸に漂着して,メーカーが無償修理して日本に返却するという報道があったばかり).東日本大震災の津波で太平洋に漂流していたガレキが,予想通り太平洋を横断して北米西海岸に漂着しはじめたということだろう.

確かに,流れ着いたバレーボールやバイクの持ち主が見つかったという話のひとつひとつは「美談」として語れるかもしれない.しかし,大量の震災ガレキの本体部分が北米海岸に押し寄せたら「美談」どころじゃなくなるだろう.実際,ハワイの International Pacific Research Center から公表されている「Marine and Tsunami Debris News」のガレキ漂流シミュレーションはそれが現実になると予想している.[追記]NHK NewsWeb「北米 漂着物の処理に懸念の声」(2012年5月9日).

◆今夜の夕餉は鎌倉直送の釜揚げしらす丼.どんぶりご飯の上に焼いた油揚げをざく切りにして敷き詰め,しらすを山盛りにする.刻み海苔と白ゴマをトッピング.好みに応じてだし醤油を垂らす.シンプルにして美味.鎌倉〈勘浜水産〉の釜揚げしらすは塩分控えめなのに醤油いらずのうまさ.たくさん送られてきたのでまだまだあるぞー.

◆[蒐書日誌]刊行日程確定! —— 中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年5月近刊,勁草書房,東京,232 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-326-10216-7 → 版元ページ[近刊情報]|目次アマゾン新刊.net近刊検索β)の刊行期日が確定した.5月15日(火)に見本刷ができあがり,翌週の5月21日(月)に書店に配本される.したがって店頭に並ぶのは5月22日(火)以降になるだろうとのこと.いよいよブツが出まわるようになると,次は販促大作戦の遂行が待っている.

◆本日の総歩数=9184歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.3kg) / 28.2%(−0.2%)


7 mei 2012(月)※五月晴れでも平日復帰は憂鬱

◆午前5時前起床.今朝も真っ赤な日の出.晴れ.気温は9.6度と今の季節にしてはかなり冷え込んでいる.寒い寒い.連休中に夏掛けに変えたのは失敗だったかも.新緑の観音台は昨日の竜巻と雷雨がうそだったような五月晴れ.いまの気温は13度台で冷涼な空気がとても爽やか.近辺の田んぼでは連休中に田植えが全部終わったようで,どこまで見渡しても苗がお行儀よく風にそよいでいた.ふと気がつけば,国道408号のフウノキがいまにも滴るような鮮やかな新緑だなあ,とつぶやいたとたん〈日置桜・山滴る〉の緑色のラベルを連想してしまうワタクシはいったいどういう条件付けを経験してきたのだろうか.

◆連休明けの儀式 —— 連休明けに気合いを入れるため,デスクトップ(机)まわりを整理する.しかし,巨大な『ムネモシュネ・アトラス』と『進化学事典』を配置するスペースがなくってうろうろ.神々は細部に宿っても,紙の本は現実空間を大きく占有する.とりあえず,『ムネモシュネ・アトラス』はユング『赤の書』の隣に並べ,『進化学事典』は『井上円了・妖怪学全集』の上に積み上げることにした.丑三つ時に書物戦争が起きませんように.デスクトップがやっと整理できたと思ったら,池内紀『恩地孝四郎:一つの伝記』とマニュエル・リマ『ビジュアル・コンプレキシティ:情報パターンのマッピング』が相次いで着弾し,またまた手狭になってしまった……(orz).

◆[欹耳袋]そもそも「一般市民」なる実体はどこにもないだろう.「世間」とか「お天道さま」と同じくらい空虚にして,日本的には絶大な威力を発揮する表現.「一般市民は〜」とか「世間は〜」とか言いたくなったら,即座に「この私は〜」と一括変換してその表現責任を意識的に自分に帰すべきだ.匿名性の中に責任転嫁しないように.同様に,「一般市民」について何か働きかけをしようと思うのなら,カオナシのままではなく,もっとターゲットを具体的に限定して「顔」が見えるまで絞り込まないとね.

◆[蒐書日誌]マニュエル・リマ[久保田晃弘監修/奥いずみ訳]『ビジュアル・コンプレキシティ:情報パターンのマッピング』(2012年3月1日刊行,ビー・エヌ・エヌ新社,東京,272 pp., 本体価格3,800円, ISBN:978-4-86100-783-5 → 版元ページ).元本は昨年出たばかり: Manuel Lima『Visual Complexity: Mapping Patterns of Information』(2011年7月刊行,Princeton Architectural Press, New York, 272 pp., ISBN:978-1-56898-936-5 [hbk] → 目次版元ページ著者サイト).ツリー,ネットワーク,ダイヤグラムを用いたデータの可視化に関するヴィジュアル本.アマゾンに即注文したらすぐにブツが届いた.なるほど,原書はhbkだけど,翻訳はpbkで出したわけね.

—— 原書が出版されてたった半年ほどで日本語訳が出版されていたことをまったく知らずにがくぜんとしている.最近こういう見落としがちょくちょくあるのは修行が足りないということか.それにしてもすばやいな.

◆[欹耳袋]センター試験も共通一次試験も知らん世代なので,ひとつの昔話にすぎないが,東大が独自の「一次試験」を行なっていたときすべての受験生は英数国と理科・社会各二科目ずつ計七科目を受けることになっていた.ワタクシは物理・化学と日本史・世界史で受験したのだが,正気の沙汰ではなかった(社会で死んだ).かつての東大の一次試験はその点数がいっさい合否には関係なかったという点で純粋な「足切りツール」だった.つまり,二次試験のみが唯一の判断基準ということ.いまのセンター試験ではそのような使い方は邪道なんだろう.

◆五月の陽光が降り注いでもまだ夏日ラインに達しない昼下がり,勁草書房から出版契約書が着弾.いよいよですなあ.気をよくして┣┣" 撃ちリストを更新.今月は意外に予定が詰まっていないなあと油断してはいけない.懸案の系統樹曼荼羅本の原稿を書き上げないと次に進めない.┣┣" 撃ちリストは真空を嫌う? あるいは,┣┣" は┣┣" を呼ぶ(無間地獄).

◆[欹耳袋]勝つる2chまとめブログ「東北大教授のレポート期日に関してのコメントが面白すぎるwwww」(2012年5月6日).これに比べたら,レポート提出締切日の深夜「23時59分〜秒」にバンザイ突撃してくる学生はまだかわいいものだ.シュレーディンガーの猫の死骸がメールで送りつけられる心配は今のところないしな.要は —— もっと時間的余裕をもってレポートを提出しよう.

◆今日はとてもいい天気だった割には夏日にもならず,夕暮れとともに涼しい風が吹き渡っている.昨日の天変地異の影響がまだ残っているのだろうか.

◆本日の総歩数=5818歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(−0.5kg) / 28.4%(+0.1%)


6 mei 2012(日)※連休の最後は竜巻と落雷と雹

◆今朝は午前5時前に起床.スーパームーンの翌朝は真っ赤な朝日だった.最低気温は12.9度.今日も夏日で,午後は雷雨があるとの予報.イッキに夏が来た気分.

◆今日は五月の〈つくいち〉日 —— なので,出遅れないように中央公園へゴー.〈つくいち〉の人気店はいつも行列が伸び売り切れが出る.パン屋さんは〈david pain〉だけで,〈Brotzeit〉は出店していなかった(前回もそうだったかも).〈ナチュカフェ〉にてグリル・ソーセージとラタトゥイユの軽食をすませてから,Coffee Factory にて水出しアイスコーヒーをいただき,返す刀でジャム屋さんをひと通り物色してから,最後に SUGAYA Coffee にて茄子キーマカレーとポークビンダルーをゲットして速攻帰還.会場にはほんの半時間しか実在しなかった.北寄りの風から南風に変わり,雲がしだいに厚くなってきた.予報通り午後は天気が崩れるのだろうか.

◆[欹耳袋]Colorless Green Ideas「『統計を始める前に』(主に言語研究者向け)の公開」(2012年5月5日).90ページのpdf資料が公開されている.言語研究者ではない一般の統計学学習者にも役に立つ内容だろう.

◆雷雨・突風・竜巻の三点セットがいきなり襲来 —— お昼前,東京アメッシュを見ると北関東から多摩あたりまでもう雷雲が発生しているねー,などと悠長なことをつぶやいているうちに“天変地異”になって,えらいことに……

  • [つくば]北関東から多摩あたりまでもう雷雲が発生しているねー. http://ow.ly/aJ0oh posted at 11:29:05
  • [つくば]いま25.0度の夏日になった.三井ビルを見あげれば入道雲らしき雲塊が立ち上がり,南風が瞬間的に15メートルの強さ.筑波山あたりは雷雨が降っているようだが,平地はこれからどうなるのだろう.とりあえず,洗濯物の避難は完了した. posted at 12:50:59
  • 落雷ですか? RT @hellotsukuba: 上里で停電です #つくば posted at 12:51:37
  • [つくば]上空で雷鳴が轟いている. posted at 12:53:04
  • 入道雲&落雷&停電&竜巻ってな状況です〜 RT @l_z_b: いま、つくばで何が posted at 13:07:43
  • [つくば]風速10メートル,瞬間的に20メートルか. posted at 13:10:24
  • 兇悪なのはつくばの北を通過しているようで,竹園界隈は強風だけですんでます RT @hitorimoii: ご無事ですか~ RT @leeswijzer: 入道雲&落雷&停電&竜巻ってな状況です~ RT @l_z_b: いま、つくばで何が posted at 13:12:11
  • [つくば]南からの強風はやんだようだ. posted at 13:43:31
  • @wata909 つくばは南北に広がっているから「つくば市で」と言われても,「つくばのどこ」かで事情はかなりちがっています. posted at 13:49:13
  • @ban_kame64 つくば市の「北部」の方が被害がより大きかったようです. posted at 13:49:53
  • @ban_kame64 大穂から北あたりらしいです. posted at 14:05:37
  • [つくば]第二弾のいかにも強烈な雨雲が接近ちう.これはちょっと逃げ切れそうにない: http://ow.ly/aJ3Vb posted at 14:45:48
  • [つくば]空がだんだん黒くなってきたぞー. posted at 15:13:22
  • [つくば]雷鳴なう.ひー. posted at 15:14:46
  • [つくば]竹園に雹が降っている. posted at 15:36:50
  • [つくば]うわ〜,雹の嵐が〜@竹園.直径一センチあまりの氷が降り注いでいる. posted at 15:41:36
  • [つくば]雷はまだ鳴っているが,雨の峠は越えたかな. posted at 15:55:16
  • @asmin_r お祓いをした方がいいのかもしれません. posted at 16:11:22

—— 結果的に,つくば市の南部はたいしたことはなかったが,北部の吉沼から北条にかけて巨大な竜巻が走りぬけ,甚大な被害になった.

◆[欹耳袋]今回のつくば竜巻被害に関して:「【現地画像】つくば市に竜巻発生 現地からの写真」./茨城新聞・号外(→pdf)/〈つくば災害情報/ボランティア等共有グループ〉/その他,竜巻の写真とか動画もたくさん配信されていて,その破壊力にあらためて慄然とする.

◆夕日を見ながら松戸へ —— 午後4時過ぎ,兇悪な雷雲は通り過ぎ,西の空には晴れ間が広がってきた.これから松戸へお出かけするので,実にグッドタイミング.夏日の熱気が一挙にさまされて,いまは15度台の涼しさ.守谷あたりでまた通り雨がぱらついたが,新八柱に着くころには夕焼け空に.午後6時半に松戸・森のホールに到着.午後7時過ぎから9時までオーケストラ練習.つくばに帰り着いたのは午後11時前だった.気温が13度台まで下がっていて半袖だとかなり寒い.空にはスーパームーンが今日もまた煌々と輝いていた.見つめてはいけない.

◆明日からは平日復帰だ.連休なんてあってないようなものだったが,生活リズムは元に戻さないとたいへん.

◆本日の総歩数=11093歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(0.0kg) / 28.3%(−0.3%)


5 mei 2012(土)※立夏のこどもの日は超月の夜

◆立夏.午前6時半起床.明け方の最低気温は12.2度まで下がり,惰眠に耽る朝はひんやりしている.五月晴れの青空が広がり,東の空を昇る朝日が眩しく,乾いた南風が吹いて爽快.降り注ぐ日差しはとても強くて,午前9時前に気温は早くも22.5度を越えた.予報では夏日ラインを越えるとのこと.leeswijzers dagblad 更新.

◆[欹耳袋]生き続けるために立ち去ること —— 本日付の朝日新聞〈be〉 on Saturday 記事「東大で続く有名教授流出」(e4).確かに,物言えば時間がなくなる;事あれば会議が増える;金がなくても評価責め.国研が独法になってからというもの十分すぎるほど多くの会議や書類などに手間と時間が盗られる.それは法人化後の国立大学もまったく同様ということだ.東大だけにかぎらず,どこの大学あるいは独法研究所でも似たような状況に陥っているだろう.で,問題は,教員・研究者の“個人レベル”でどう対処するかということ.上の〈be〉記事では「早期退職」という選択肢を選んだケースが報道されたわけだが,その場から「立ち去る」というのは緊急避難的にみればリーズナブルなやり方だろう.もちろん,長期的に見れば研究機関として負の結果しかもたらさないのだろうが.

◆立夏のゆるゆるライフ —— 今朝から HootSuite がメンテ停止中なので,夜ふくろうにいまよろめいている.意外に使いやすいので,真昼間なのに夜ふくろうを飛ばす飛ばす.午後になって HootSuite が戻ってきたが,これからは夜ふくろうも併用しよう.

◆[欹耳袋]〈Rz: GUI Tool for Data Management like SPSS or Stata〉※「Rzはggplot2をバックエンドに使い,美しいグラフを簡単な操作で作成することを可能にしています」とのこと.ちょっと気になるパッケージ.最近,R関連のツール(とくにユーザーインターフェース)がRコマンダーだけではなく,Rスタジオや本パッケージのように選択肢が増えてきたのはとてもありがたい.いつも感謝しつつ使わせてもらっている.

◆夕餉のためにスペアリブの下準備をする.今回の下味付けに使ったのは岩塩・黒胡椒・柚子胡椒・コチュジャン・赤ワイン・醤油(量はすべて適当).夕方まで室温で味をよくしみこませる.正午過ぎの気温は26.9度とあっさり夏日ライン突破し,午後はもっと暑くなりそう.湿度が低いのが救い.南風が心地よい.今日の最高気温は27.3度まで上がった.シエスタ向きの日和だったので,ごろごろ&うつらうつら&寝読みの背徳タイムを満喫した.

◆スペアリブを夕餉に出したのはずいぶん久しぶりのことなので,秋田・山本合名会社の〈どpink〉を開栓.麹がピンク色という他にはない発泡にごり酒で,スペアリブや焼き肉にぴったり.ビールをうぐうぐ飲みたい真夏ではないので,しゅわしゅわの日本酒で肉を食うスーパームーンの夜.スペアリブをオーブンで焼くときのレシピはだいたい決まっている.野菜屑を敷いたオーブン皿にスペアリブを並べ,スライスしたにんにくをトッピング.230度に予熱したオーブンでまずは20分焼く.スペアリブを裏返して,今度は200度で20分〜30分焼けばおしまい.ローストビーフほど気を使うことはないのでとってもラク.ジャガイモをいっしょに並べておくとホクホクに焼きあがる.下味の香辛料は八角とか粒山椒あるいはもっとエスニック系のものも使える.

◆[欹耳袋]MSN産経ニュース【ニッポンイチ紀行】「わずか13メートルの川、生活に根ざした最短の清流 和歌山・那智勝浦町」(2012年5月5日).この日本最短の「ぶつぶつ川」の話は『分類思考の世界』でネタとして使わせてもらった.「日本最高の山」 とか「日本最短の川」という事例は,事物のカテゴリー化とその存在論的意味を考えるとき,かっこうの素材を提供してくれる.

◆明日はゴールデンウィーク最後の日だが,遠出する予定もなく,近場をうろうろ徘徊するか引きこもるしか選択肢が用意されていない.

◆本日の総歩数=1381歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.1kg) / 28.6%(+0.9%)


4 mei 2012(金)※降っては晴れる不安定な天気

◆午前5時前起床.気温17.4度.雨はまだ降り続いている.午前8時の気温は17.2度.吹き抜ける北東風が涼しい.未明から霧雨が降り続いているが,いまは小止みになった.今日もまた華麗なる連休引き籠りライフが続く.その後も雨は降ったり止んだりの一進一退が続く.北寄りの風が肌寒く,室内はべたべたする.お昼前,やっと雨が上がったようで,空が明るくなってきた.風はやや冷たいが,不快指数は低くない.

◆[欹耳袋]どの口がそれを言う —— たまたま二つの大学で同じ話題が論議された.ある大学の教員懇談会の席上,講義中の「挙動」に問題のある学生がいたらお知らせをという申し合わせがあった.教員が学生の問題行動やメンタル・ヘルスまで目配りするのは難しいのではないかという意見が出され,確かにその通りだと思った.また別の大学の教員会議で発達障害の学生への対処が議題になったとき,報告事項として発達障害の判定項目リストというのが配られた.それを読み上げた専攻長が,「学生ではなくわれわれ教員にこそあてはまりますよねぇ」としみじみ一言.比率的に見て最近「発達障害とみなされる学生」が有意に増えてきているのだろうか? 日常的な行動特性に自然な変異幅があることを考えれば,その両端部分が「発達障害」のようなカテゴリーに分類されることは十分にありえるだろう.しかし,それは学生だけではなく先生にも当てはまる.教師や研究者にのみ「まっとうな一般常識」とか「正しい行動規範」を求められても困る.そういう淘汰過程をこれまで経験していないのだから.「一般常識」なんかリタイヤしてからゆっくり勉強したらええやん…(と言う時点でワタクシも大きく逸脱していると自覚している).むしろ,教員や研究者は一般社会よりもやや分散の大きな確率分布にしたがう行動特性をもつと考えるのが妥当だろう.このことを考えるならば,学生に対して「発達障害」の判断なり判定を下すのは教員には荷が重すぎると思う.また,たとえそのような判定ができたとしても,「平均から逸脱」しているとみなされる学生に対して何らかの“指導”や有効な“助言”を,同じく「平均から逸脱」しているかもしれない教員自身が行なうことはどう考えてもムリだろう.研究者が他人のふるまいについてあれこれ言えば,「どの口がそれを言う」とひねり上げられるのが関の山.場合によっては,アカデミック・ハラスメントの危険性さえあるだろう.

—— そもそも「発達障害」という分類カテゴリーが恣意的なんだから,そこに特定の原因があると信じこむこと自体,まやかしであることは明らか(cf: 大阪維新の会が上程しようとしている「家庭教育支援条例(案)」をめぐる論議).そのウラに何か邪悪な意図があることは心理学の現代史をひもとけばわかること.

◆読破する休日 —— 午後になって,雨が上がり,青空が広がってきた.陽が射すベランダは気温が急上昇.尾瀬あきら『夏子の酒』(1988年〜1991年刊行,講談社[モーニングKC],東京)全12巻GW読破大作戦を粛々と遂行中.1988年連載時点では日本酒はまだ特級・一級・二級の区分だったのか.ほんの四半世紀前なのに昔話みたい.夕方になってやっと安定した青空になった.『夏子の酒』第6巻まで読了.夜になってまたしても雨が降りだした.なんという空模様か.

◆今夜は再び〈王祿〉の「渓・にごり」を開栓.ラベル裏の山女魚が泳ぎ出すほどには飲み尽くさなかったが十分に堪能できた.カレードリアのチーズかけというハードな肴にも負けないのは発泡にごり酒の強みだ.遅くなって長雨がやっと上がり,雲間にはプレ・スーパームーンが輝いている.日が変わる直前,『夏子の酒』全12巻読破完了.連載時にはぜんぜん気づかなかったことだが,携帯電話がまだなかったり,上越新幹線の鼻先が丸かったりと,すでに一昔前の趣がある.

◆本日の総歩数=1073歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.3kg(−0.2kg) / 27.5%(−0.7%)


3 mei 2012(木)※大雨警報発令の連休後半初日

◆午前5時半起床.夜明け前から雨風ともに強く.吹きつける風の音がごうごうとすさまじい.気温は16.4度.その後,県南部に大雨警報が発令された.東京アメッシュを見ると,もっとすごい雨雲の本体がこれからやって来るのか.午前いっぱい,台風のような吹き降りで,外に出ようなどとはみじんも思わない.室内引き籠りで,本を読んだりごろごろしたりと“正しい休日の過ごし方”をしてしまう.午後になって,空が少し明るくなってきたが,雨はまだ止まない.引き籠りライフはなお続く.

◆[蒐書日誌]リヒアルト・ゼーモン伝 —— Daniel L. Schacter『Forgotten Ideas, Neglected Pioneers: Richard Semon and the Story of Memory』(2001年刊行,Psychology Press, Philadelphia, ISBN:1-84169-052-X [pbk] / 2011年刊行,Routledge, London, xx+303 pp., ISBN:978-1-84169-052-0 [pbk] → 目次版元ページ).リヒアルト・ゼーモンの「記憶遺伝子=ムネーメ(Mneme)」説は,アビ・ヴァールブルクの『ムネモシュネ・アトラス』に登場する「情念定型(Pathosformeln)」の概念が生まれるきっかけになった.本書はそのゼーモンの伝記.20世紀初頭,生物の遺伝メカニズムをめぐる百家争鳴の時代にあって,ネオラマルク主義の立場から「獲得記憶の遺伝」を唱えたゼーモンは,“再発見”されて間もないメンデル遺伝学がしだいに力をつけてくる中で,国際的に大きな論争を巻き起こしたという.本書の前半(Part I: The Story)100ページは20世紀はじめに戦わされた「ムネーメ論争」の歴史叙述に当てられ,後半150ページ(Part II: The Issues)でムネーメ理論の科学史的分析と現代的意義が考察されている.ゼーモンの主張:Richard W. Semon『Die Mneme als erhaltendes Prinzip im Wechsel des organischen Geschehens』(1904年刊行,W. Engelmann, Leipzig → Internet Archive [1920, fifth edition]|情報)を見ると,「Mneme」だけでなく「Engraphie」とか「Ekphorie」などという新造語が頻出する.ゼーモンはイエナ大学でエルンスト・ヘッケルの薫陶を受けた経歴があるので,造語癖もまた受け継いだにちがいない.

◆やっと書評が書き上がる夕方 —— 午後4時過ぎ,連休前からの積み残し原稿┣┣" 一頭を仕留めた:アビ・ヴァールブルク[伊藤博明・加藤哲弘・田中純(訳・解説)]『ムネモシュネ・アトラス』(2012年3月30日刊行,ありな書房[ヴァールブルク著作集・別巻1],東京,765 pp., 本体価格24,000円, ISBN:978-4-7566-1222-9 → 版元ドットコム内容紹介 [pdf]).書き始めるまでの助走期間が長すぎたかもしれない.関連する調べ物をしてはメモも残したので,かなり時間と労力を割いたことは確かだ.いずれにしても1800字弱の書評原稿を『図書新聞』編集部宛にメール送信して,この件は落着した.連休明けにゲラが返ってきたら仕上げる予定.先月から引きずってきた書評原稿を書き終わったから,『ムネモシュネ・アトラス』を心安らかに再読しようとは(今日のところは)まったく思わない.半径3メートル以内には置きたくない.

◆夕方,あたりがもう暗くなってきたのに,まだ小雨がしとしと降り続いている.さて,今夜の夕餉はどーするかな(お酒の話).

◆[欹耳袋]TechCrunch「講義内容がよく理解できないとき手を上げずに教師の注目を促すUnderstoodit」(2012年5月3日) 確かに,百人以上の大教室で,端っこにいる学生が霞んで見えるような状況では,この〈Understtodit〉みたいな学生から教師への「お知らせツール」があると便利かも.タテマエを言えば,教壇から心眼で見渡して学生の「死亡率」をリアルタイムで把握できるのがプロの教員だろうとは思うけど.

◆[蒐書日誌]倉本由香利『グローバル・エリート:人材競争時代の勝者は誰か』(2012年6月刊行予定,講談社,東京,ISBN:978-4-06-282144-5)

◆夜遅くなってもしとしと雨は止む気配がない.五月晴れのゴールデンウィークとは対極的な,梅雨時のような空模様だ.前線はすでに通り過ぎたようなので,明日は晴れるのかな.

◆本日の総歩数=0歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(0.0kg) / 28.2%(+0.5%)


2 mei 2012(水)※雨に降られて水浸しの出勤日

◆午前4時半起床.どんよりした曇り空を吹き抜ける東風.気温は17.8度.前線が接近している.朝の観音台はときおりざーっと雨が降る.天気予報ではこれから明日にかけて大雨になるらしい.午前7時の気温は18.8度と高め.いまのところ雨が吹き込む心配はないので,窓を全開にして扇風機オン.BGM は〈フランス組曲〉の5番から.

◆[欹耳袋]〈形態測定学関連講演アーカイブス〉:「形態測定学的解析についての情報共有・ネットワークづくりを目的として」.生態学会大津大会での自由集会W03〈道具としての「形態測定学」:量的phenotypingの活用法〉の講演資料から公開.連休明けにはコンテンツが増えるかな.

◆[蒐書日誌]静かに大団円を迎える —— 中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年5月31日刊行予定,勁草書房,東京,232 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-326-10216-7 → 版元ページ[近刊情報]|目次アマゾン新刊.net近刊検索β).勁草書房の「近刊情報 5月刊行」が本日公開され,水面下でのじたばた┣┣" 撃ちはようやく収束したようだ.残務である印税配分に関する詰めをした上で,出版契約書を交わせば,事前のお仕事はすべて完了ということになる(はず).カバージャケットやオビの図案もすでに確定しているので,あとは連休明けの今月下旬に見本刷の「ブツ」を手にするまではじっと待てばいいということかな.

思い起こせば,原稿やゲラの巨大ファイルがテポドンのように飛び交っていたころがもっとも華々しい激戦時だった.それに続く再校ゲラのチェックや索引づくりあたりでゴールが見え始め,カバージャケットやオビの図案と文案の話題が出るころには実は静かにゴールを通過していたのかもしれない.もちろん,書店に並んだら今度は「販促大作戦」という重大ミッションが待ち受けている.

—— もうひとつ,本論文集の「コンパニオン・サイト」開設を考えておかないといけないな.

◆梅雨の走りのようにさらさら降る昼下がり —— 雨降る昼下がりはあまり身動きできない.連休のはざまの平日のせいか,研究所内はいつもより静かな気がする.

◆[蒐書日誌]いよいよ刊行! —— 久保拓弥『データ解析のための統計モデリング入門:一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC』 (2012年5月近刊,岩波書店[シリーズ:確率と情報の科学・第I期],東京,本体価格3,800円,ISBN:978-4-00-006973-1 → 版元ページコンパニオンサイト) .

◆初夏の驟雨というには趣がなさすぎる夜 —— 夕方,雨足がさらに強くなってきたので撤収.吾妻の〈ピーターパン〉にてクランベリーのライ麦パンをゲット.気温は17度台.窓を開ければ室内が湿っぽくなるが,かと言って締切ると蒸し暑い.夜,風雨はますます強まってきた.吹きすさぶ風と横殴りの雨の向こうから歌声がずっと聞こえているが,妖かしのものではないだろう.山に独りで調査に入ったときに,真夜中に森に向かって絶唱する女性研究者がいるけど,うっかり聴いてしまった人はきっとコワいだろうなあ.暗闇から「音」が聞こえるというのは「妖怪変化」の生まれる兆し.

◆予報では,連休後半初日の明日は大雨になるらしい.遠出をしないから特段の影響はないんだけどね.

◆本日の総歩数=3809歩. 朝○|昼△|夜○. 計測値(前回比)=93.5kg(−0.4kg) / 27.7%(−0.5%)


1 mei 2012(火)※メーデーは降ったり晴れたり

◆午前5時前起床.雲はやや多いながらも朝日を望むことができた.北東の風.今の気温は16.3度.MAFFIN の Web mail 送信機能がここのところうまく動いていないようで,メール送信不能になることがよくある(「セキュリティチェック」のまま固まる).今朝も,朝イチでメーリングリストの月例アナウンスを送信するのにかなり手間取った.

◆平日メーデーは晴れたり降ったり曇ったり —— このまま曇り空かと思いきや,穏やかに晴れてきた.午前8時の気温はちょうど20.0度.さて,そろそろメーデー集会会場の中央公園に歩いて行くしたくをするかな.中央公園はよく晴れて紫外線たっぷりの日光が降り注ぐ.午前9時半にメーデーが始まっていまトーク.それにしても暑いなあ~.来賓挨拶のあとは各組合の決意表明タイム.アジ演説は百四十字以内でやってほしい.この分だとメーデー行進の出発はだいぶ遅れそう.雲行きがあやしくなってきて雨粒がぼつぽつと.そのうち本降りの雨になったが,瞬時にして通り過ぎた.メーデー行進で竹園あたりを一周し,お弁当をもらって,今日の動員はこれにておしまい.曇りときどき晴れたり雨がぱらついたりと不安定な空模様だ.正午の気温は22.6度.初夏の雲が湧き上がっている.春はもう去ってしまった.

◆[欹耳袋] 隠岐さや香「つながるコンテンツ:「人は「科学」をどう考えてきたんだろう」(2012年5月1日).「科学」という区切りそのものが歴史的に変わるということ.

◆[蒐書日誌]上海(その一) —— 横光利一『上海』(1956年1月9日/2008年2月15日改版,岩波書店[岩波文庫・緑75-2],東京,353 pp., ISBN:978-4-00-310752-2 → 版元ページ).1920年代の上海を描いた小説.写実的な表現とルポルタージュ的な描写がとても多く,後年の横光文学(と言っても『旅愁』以外はぜんぜん知らないけど:cf. 青空文庫〈横光利一作品リスト〉)とはまるで無縁の世界のように見える.小説ではあっても実録のような雰囲気が漂う.解説・小田切秀雄,さらに文庫版解説として唐亜明「横光利一の『上海』を読む」が追加されている.

ぱらぱら読み始めてはみたものの,読了できるとはとても思えないな(もともと小説きらいだし).だったら,そもそもどーして買ったのかということになるのだが,それはこの伝記本↓が連休前に届いたからだ.

◆[蒐書日誌]上海(その二) —— Stefan Schomann『Letzte Zuflucht Schanghai: Die Liebesgeschichte von Robert Reuven Sokal und Julie Chenchu Yang』(2008年刊行, Wilhelm Heyne Verlag, München, 239 pp.+32 color plates, ISBN:978-3-453-15260-1 [hbk] / ISBN:978-3-453-64525-7 [pbk] / ISBN:978-3-641-03836-6 [ebook] → 目次情報版元ページ著者サイト).先月,ドイツはハンブルク近郊のSchenefeldにある古書店〈Arvelle Buch- und Medienversand〉から届いた.1960年代に“数量分類学派”を立ち上げた Robert R. Sokal(1926〜2012)とその妻 Julie Chenchu Yang(楊珍珠 1924〜)の伝記本.本書『旅路の果ての上海:ロバート・ルーヴァン・ソーカルとジュリー・チェン・チュー・ヤンの愛の物語』は,節ごとに Robert と Julie の「一人称」でかわるがわる語られるつつストーリーが進行する.

第二次世界大戦前にヨーロッパを席捲した反ユダヤ主義から逃れるべく,ウィーンで画材屋を営んでいた両親とともに Robert が上海の外灘(バンド)北側に当時あったユダヤ人隔離居留区(ゲットー)にたどり着いたのは 1939 年春のことだった.その後,上海の St. John's University で寧波出身の Julie と知りあって結婚.しかし,当時の上海共同租界では,西洋人男性が亡命先で地元の中国人女性と結婚することは,社会的には「skandalöser Irrweg」(S. 8)とみなされたらしい.太平洋戦争が勃発して上海の支配権が日本に移ってからも「無国籍避難民」として終戦後まで上海に居留し続けた.Sokal 夫妻が上海のユダヤ人租界で暮らした時期は終戦をはさんだ十年間におよび,最終的に President Wilson 号で上海からカリフォルニアへ出港したのは1948年のことだった.

本書には1930〜1940年代の「上海」を写した古いカラー写真がたくさん載っている.横光利一の小説『上海』の時代背景は1920年代で,映画〈上海バンスキング〉はその十年後の1930年代後半を描いている.したがって,本書はそれに続く時代の物語とみなせる.亡命ユダヤ人の一家が上海共同租界のゲットーで過ごした年月と時代背景の移り変わり,すなわち「ゲットーの黄昏(Ghettodämmerung)」は,大戦前後の西洋と中国そして日本との複雑な国際関係を反映している.Robert Sokal がアメリカに入国したのちの学問的経歴と業績については,生物体系学の現代史そのものであるからよく知られている.この伝記はそれに先立つ空白期間を埋める記述としてたいへん興味深い.

—— 少しずつでも読み進められればいいのだが.

◆昼下りの観音台 —— 曇り.気温は夏日に達していないが,空気が湿っていて不快指数はかなり高い.窓全開&扇風機稼働.┣┣" 撃つ昼下り.最初から深読みすることを求められている書評なんだけど,深読みし過ぎると書評なんて書けないし…….夕方まで研究所でごそごそ仕事をしてきた.今日は蒸し暑かったので,炭酸の効いたにごり酒にしようかと〈王祿〉「渓・にごり」の四合瓶を取り出したら,とっくに空っぽで,ラベル裏の「山女魚」が元気よく泳いでいた.あらま,もう一本買ってこないとダメじゃん!

◆[系統樹思考]本日の反響 —— ブクログ・レビュー by rikimaさん「系統樹思考の世界 (講談社現代新書) 」(2012年04月30日).

◆明日もゴールデンウィークのはざまの平日出勤なり.雨がざあざあ降るとの予報.

◆本日の総歩数=8181歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.9kg) / 28.3%(−0.2%)


--- het eind van dagboek ---

Map フリーアクセスカウンター自転車 通販人気 シューズ
[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集