images/image1.jpg

Home
oude dagboeken

日録2012年4月 


30 april 2012(月)※連休のはざまの月末はゆるり

◆午前5時半起床.今朝は曇りか.気温は16.4度.雲の向こうに朝日が昇っている.これから天気は下り坂との予報だが,昨日みたいには暑くならないだろうが,その代わり湿度が高くて不快指数が高まりそう.

◆休日でも学会┣┣" どもはやってくる —— 26th International Biometric Conference (IBC Kobe 2012, 26-31 August 2012) の事前申込みは今日が締切だった.ところが,事前に申し込んだ講演の登録番号がわからん…….MacBook Air をいくら検索してもヒットしない.研究所に出向いてハードコピーを見るしかないか.ということで,休日出勤が決定.午前10時半,観音台.薄曇りときどき日差しあり.気温はすでに21.3度で,南風は爽やかでも不快指数はじりじりと上昇している.IBC Kobe の講演登録番号を確認して,やっと early registration を完了した.今年の夏の終わりはポーアイだ! 神戸ナイトライフだ!(昼間はどーする?)./国際学会といえば,カリフォルニアでの Hennig XXXI にも講演申込をしないといけないのだが,まだひと月も先のことなのでエンジンがかからない.しかし,職場的には該外出張の申請期限が連休明けだから,本当はゆるゆるしてはいられないはず./国内学会の方は進化学会と統計関連学会か.まだ先のことなので当面は放置しても問題はないはず.

◆[蒐書日誌]絵をパラテクストとして「読む」こと —— 松田隆美『ヴィジュアル・リーディング:西洋中世におけるテクストとパラテクスト』(2010年8月10日刊行,ありな書房,東京,254 pp., 本体価格4,800円,ISBN:978-4-7566-1014-0 → 目次版元ページ).経堂駅前すずらん通りの遠藤書店にてゲット.中世写本の挿画や文字飾りあるいは欄外注釈など,本文テクストを取り巻くさまざまな“パラテクスト”をどのように読むかを論じる.狭い意味での「テクスト」ともっと広い「コンテクスト」の中間に位置する存在としての“パラテクスト”の観点から読み解こうという姿勢.本文テキストに接しつつも“パラテクスト”は仄暗い独自の世界を創っている.一枚の図像を読むことでさえこれほどの奥深さがあるのならば,複数の図像から成る組み合わせを読み解き解釈する行為のはてしなさはいったいどう言えばいいのだろうか.

◆研究所に来たついでに,来月の計量生物学会の評議員会と総会の参加返信ハガキ(←メールではない!)に記入して返送した.正午の気温は22.4度.薄曇り.今日はせいぜい夏日ラインまでかな.扇風機をかけながら,BGM は Chega de Saudade.さて,明日配信する予定のメーリングリスト月例アナウンスも用意できたので,そろそろ研究所を撤収しよーかな.

◆つくばはいずこも田植えシーズンの真っ最中 —— 連休まっただ中の職場はさすがに人気がないが,それでも駐車場に車がちらほら見える.容赦のない┣┣" の追撃を受けている職員たちにエールを.農環研に向かう途中の田んぼはどこも灌水が終わり,田植え準備に余念がない.このゴールデンウィークに田植えを済ませるというのが,つくばあたりの農事暦らしい.農林団地構内はつつじが咲きはじめ,田んぼからは蛙の鳴き声が.蒸し蒸しさえしなければとてもいい季節なのだが.来月の連休明けには一面の水田に苗が風にそよぐ茨城の“原風景”が広がっているにちがいない.

◆[蒐書日誌]ヨーロッパ科学史学会論文集 —— A. Roca-Rosell (ed.) 『The Circulation of Science and Technology: Proceedings of the 4th International Conference of the ESHS, Barcelona, 18-20 November 2010』(2012年刊行,SCHCT-IEC, Barcelona, ISBN:978-84-9965-108-8 → サイトpdf [open access]).カタロニアからのダウンロードはとても時間がかかることを知った.ほぼ 1200 ページもある電話帳みたいに(紙だったら)分厚い講演論文集.ざっと見た感じでは,物理学史や技術史っぽい内容が大半で,生物学史関連はあまりないみたい.

◆午後になってだんだん雲が厚くなってきた.最高気温は夏日ラインにも到達しなかったが,空気が湿ってきたせいで,不快指数がじわりじわりと上昇している.今日の夕餉は奈良の〈梅乃宿〉の「純米吟醸・山廃仕込み・備前雄町」を開栓.たがみ酒店のおかみさんイチオシ.山廃らしい複雑な酸味を味わう.茹でたそら豆をぽいぽい食べながら,阪大・千里キャンパスで取れた筍をいただく.最後は筍ご飯とお味噌汁.季節の旬の食卓.

◆連休にはさまれた明日は平日だが,午前中は半日年休を取り,つくば中央公園でのメーデー集会に参加して練り歩く.午後は観音台でごそごそする予定.

◆本日の総歩数=3644歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.0kg(+0.2kg) / 28.5%(−0.5%)


29 april 2012(日)※真夏日の京都は初夏の暑さが

◆午前5時半すぎ起床.からっと晴天.気温は7.9度まで下がって爽やか.今日はほぼひと月ぶりの京都ミッションの日.

◆初夏の洛南ミッション —— 連休中の長距離移動は避けたかったのだが,そうも言ってはいられない.午前10時前,東京駅にて新幹線に乗る.すでに大型連休に入っているが,東京駅構内は意外に空いていた.新幹線指定席は満席との車内アナウンスだが,いまのところ車内はガラ空きだ.品川や新横浜からたくさん乗り込んでくるのだろうか.都内はよく晴れて初夏の陽気.半袖で正解だった.

午前9時の時点で都内はすでに21度を越えている.京都もいま21.7度か.夏日はすでに決定とみた.静岡駅通過.東海地方も雲ひとつない青空が広がっている.昨日の京都の最高気温は30.5度まで上がったのか! 半袖だけでなく,裸足にサンダルがさらに正しい装いだったかもしれない.今日の方が気温の上がり方が大きいし.正午過ぎに京都に到着.暑いぞ.奈良線に乗り換えて洛南ミッションの開始.

午後3時過ぎ,黄檗から六地蔵を転戦した末に,本日の洛南ミッションはすべて完了した.午後4時前という変則的な時間帯に,京都駅構内の SUVACO にある紫野和久傳〈はしたて〉に入った.ほぼ真夏日の厳しい暑さだったので,今日は「むしやしない」の冷たいにゅうめんをたぐる.トッピングは温泉たまごに蒸しどりそしてキノコなど.食事というよりは間食.箸休めはネギのぬた,そして甘味はわらび餅.その後,新幹線ホームに向かう.京都は昼下りに29.3度まで気温が上がり,初夏のようなからっとした陽気となった.夕方になって少し雲が広がってきたような.新幹線の車中では睡魔が繰り返し降臨した.

午後8時過ぎ,つくば帰還.八潮駅でTXが地震停車したが,とくに大きな遅延はなかった.初夏のような暑い日で,つくばも夏日ラインを越えたらしい.ペデストリアンの街路樹ではクビキリギスがさかんにじーじー鳴いている.

◆[蒐書日誌]新幹線車中読書 —— 井上究一郎『ガリマールの家:ある物語風のクロニクル』(1980年9月25日刊行,筑摩書房,東京,ii+162 pp. + 16 plates, ISBNなし → 版元ページ)読了.小説でもありノンフィクションでもある.こういう上質なエッセイをたまに読むのは心の洗い浄めの行為.文章だけでなく,装幀も上品.この愉しみは電子本ではなく「紙」の本でしか味わえない.巻末のモノクロ写真は昔の映画のシーンのよう.写真は文章に負けず劣らず力強く語りかける.

◆今日は日帰り遠距離旅行をしたので,早く寝ることにしよう.そうしよう.

◆本日の総歩数=9620歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.8kg(+0.4kg) / 29.0%(0.0%)


28 april 2012(土)※駿河台から松戸へのプチ行脚

◆ゆるゆると午前6時に起床する.雨上がり.しかし,空気がたっぷり水分を含んでいるらしく,靄がたちこめ,遠景が白くかすむ朝.気温は13.3度.窓を開けると涼しい東風が吹きこむ.朝イチで牧園の〈david pain〉へ.開店直後だったので品揃えが豊富.店の前は新緑が滴っていた.その後もなかなか晴れ上がらなかったが,予報では日中は夏日になるらしい.そこで,本日をもって半袖に「衣替え」することを自己宣言した.日本人は厚着しすぎる.袖まくりするくらいなら半袖を着るべし.暑ければ薄着するべし.ガマンする理由はどこにもない.

◆[欹耳袋]農大・世田谷キャンパスの新講義棟では無線LANが全館に張られているとのこと.教務システムのログイン名とパスワードでは入れるそうなので,連休明けの講義ではさっそく試してみよう.昨年までの旧講義棟と比較して,この環境格差はめくるめくものがある.

◆[系統樹思考]本日の反響:ぷくログ・blackuroの本棚「系統樹思考の世界 (講談社現代新書)」(2012年4月28日).

◆初夏の日差しが降り注ぐ都内 —— 午前11時過ぎにTXに乗って都内へ.駿河台にて一仕事をすませる.ランチは神保町の小学館ビル地下にある洋食レストラン〈七條〉にて子羊のナヴァランをば.塊肉がとても柔らかく煮こまれていて絶品.ここはピル地下にひっそりとある小さな洋食屋さんだが,絶大な人気があるらしく,ひっきりなしに客が出入りしていた.その後,駿河台下の〈ミロンガ〉を経て,総武線に乗り西船橋経由で武蔵野線の新八柱駅へ.松戸・森のホール21のリハーサル室に入ったのは午後6時すぎだった.今夜は松戸市民オーケストラのプロコフィエフ〈ロメオとジュリエット〉組曲の練習.譜読みは事前にしていたはずだったのだが…….

◆午後9時前にリハーサル室を出て,つくばに帰り着いたのは午後10時前.銀河高原ビールをとりあえずうぐうぐと呑んだが,〈ロメオとジュリエット〉練習のショックからぜんぜん立ち直れないので,験直しに〈王録・渓・にごり〉の残りを呑んじまうか.要するに.タイボルトやらロメオやらジュリエットが死ぬ前に,ワタクシが成仏してしまったということ.〈ロメジュリ〉でシロフォンとグロッケンシュピールをかけもちするのは熟練を要するということ.イメージ・トレーニングしないとパフォーマンスが崩壊するぞするぞするぞ.

それに比べれば,プッチーニ〈トゥーランドット〉のシロフォンとパス・シロフォンの掛け持ちの方がずっとラクだったかもしれない…….プロコフィエフ,おそるべし.〈ロメジュリ〉のパート譜を眺めつつ,〈渓・にごり〉がさくっと空っぽになった.プレストのたった三拍の間に楽器を移動するのはやっぱりムリか.「タイボルトの死」のみならず「フォーク・ダンス」にもそういうきわどい箇所がある.グロッケンなんか音域ぜんぜん足りないし.〈ロメジュリ〉のテーマだったらバーンスタインの〈ウェストサイド・ストーリー〉のシンフォニック・ダンスの方が精神衛生上よろしいかも.

—— なんだかヤケ酒のよーな気配が濃厚.今夜はもう寝るかー.今日の日中は暑くて疲れたし,明日は日帰り遠距離往復移動だし.

◆本日の総歩数=12016歩. 朝○|昼△|夜△. 計測値(前回比)=92.4kg(−1.0kg) / 29.0%(+0.7%)


27 april 2012(金)※穀雨に濡れる経堂・農大通り

◆午前5時前起床.気温は15度台で暖かい.雨の音が聞こえている.今日は経堂に向かう定例日.7:56発のTX快速に駆け込む.千代田線の遅延は十分くらい.都内は本降りの雨で,通勤ラッシュの地下鉄車内は蒸し暑い.冷房が入ってちょうどいいくらい.午前9時半,代々木上原にて各停を待つ.しとしと雨.穀雨かはたまた卯の花くたしか.午前10時過ぎ,農大キャンパス到着.雨足はさらに強まり,足元が濡れまくり.湿度が高くて蒸し暑い.講義棟にてしばし待機する.

◆本日の農大高座 —— 今日は前回の統計学概論の続きとして,データの可視化と要約についての講義をした.講義後,霧雨の中を経堂駅まで戻り,すずらん通りのカフェ〈Cura2〉に潜伏して,珈琲充.外は雨はざんざか降り続いている.蒸し暑くて不快指数がとても高い.とてもいやな空模様.出された手こねパンがとても熱くて触れない件.じっと見つめていてもお腹はふくれない.講義の出席表をチェックして,質問への回答をする:

  • #NodaiStat 本日の講義は,データの視覚化と要約について話しました.基本線は John Tukey の「探索的データ解析」に沿って,インデックスプロット・散布図・箱ひげ図などの考え方を説明し,Rコマンダーを用いたデモをしました. posted at 12:53:42
  • #NodaiStat 本日,スライドに登場した本(1):本川達雄『歌う生物学』(CD-ROM 三枚付き) http://ow.ly/ay7rr ※ posted at 13:27:00
  • #NodaiStat 本日,スライドに登場した本(2):クラフト・エヴィング商會『クラウド・コレクター:雲をつかむような話』(筑摩書房)※文庫化されている. posted at 13:29:39
  • #NodaiStat 本日,スライドに登場した本(3):カルロ・ギンズブルグ『歴史・レトリック・立証』(みすず書房) http://ow.ly/ay7zn ※あ,アブダクションの話をし忘れた〜(次回まわし). posted at 13:31:16
  • #NodaiStat 質問(1):「箱ひげ図での説明は信頼性が低いのでは?」|【答】視覚的に要約する目的はデータの挙動を全体的に把握することにあります.それだけで解決できてしまう問題もあれば,さらに進んだ統計解析を必要な場合もあります. posted at 13:34:03
  • #NodaiStat 質問(2):「データを見るだけでは不十分で,計算しないとわからないこともあるのでは?」|【答】もちろん! してはいけないことは,データをまず見もせずにいきなり計算してしまうことです. posted at 13:35:46
  • #NodaiStat 質問(3):「探索的データ解析とパラメトリック統計学の使い分けは?」|【答】両者の間には哲学的な対立があるので,マジに取り組めばジハードは不可避.しかし,視覚的立場と解析的立場の両立は可能. posted at 13:37:55
  • #NodaiStat 質問(4):「標本平均のバーは箱ひげ図のひげだったのか?」|【答】それ,ちゃいまっせ〜(汗).標本平均のバーは「標準誤差」.そのうち説明することになるでしょう. posted at 13:39:44
  • #NodaiStat 質問(5):「どんな課題レポートが……?」|【答】計算問題は出しません. posted at 13:40:23

◆午後2時前,さて,そろそろ潜伏場所を撤収するかな.外はまだ雨が降り続いている.経堂〈メロンパンファクトリー〉.本日予定していた┣┣" 二頭がいずれもゴールデンウィークのお休みに早々と入ってしまい,┣┣" 放牧場から外洋に泳ぎ去ってしまった…….攻め込まれれば震え上がるが,いなきゃいないで喪失感が漂うのはすでに共依存状態なのだろうか.何れにしても,連休前に追い立てられることはなくなった.

◆つくばには早く帰り着いたのだが,霧雨がまだ降り続いてそこらじゅうがべたべたする.午後7時,気温14.6度.しかし,窓を締切ると室内が蒸し暑いので,ちょいと全開.吹き込む北東風がとても涼しい.

◆霧雨が降り続く今日の夕餉は,出雲〈王祿〉の純米吟醸「渓・にごり」を開栓.22BYの仕込22号.「うすにごり」ではなく,ちゃんとした「にごり」なので,炭酸ガスがぶくぶく出る活性にごり酒.キリッとしてフレッシュ.久しぶりにうまかった.

◆[欹耳袋]マンガは日本の伝統文化です —— 北大農学部応用動物の「Animecolな人々」 ※でびるまんが主役かー./もうひとつは,「畜草研ガイドコミック」 ※なんとなく優等生っぽいぞ./(のーかんけんも早くマンガをあっぷしよーよ)

◆明日からは世間的にはゴールデンウィークだが,ワタクシ的には生活はあまり変わらない.

◆本日の総歩数=13168歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.5kg) / 28.3%(−0.1%)


26 april 2012(木)※恵みの穀雨が降り続く観音台

◆いつもより早く午前4時前に起床.外はまだ真っ暗.気温は15度台.午前5時前,雲間からほんのり朝焼けがのぞく.しかし,西からの巨大な雨雲はすでに伊豆半島あたりまで覆ってさらに接近している.予報通りの雨になるのだろう.曇り空の観音台.農環研敷地内の稲荷川を鋭く横断するカワセミの真っ青な金属光沢を見逃すわけがない.稲荷川沿いにはカワセミがつがいで棲んでいるらしく,運がよければ目撃することができる.小野崎の池でも見かけたことがありますので,つくばには意外に多くの個体数が生息しているのかも.

◆[欹耳袋]Inside Higher Ed | Humanities Retrenchment at Pitt(2012年4月24日).ピッツバーグ大学がドイツ学・宗教学・古典学の人文科学系大学院の学生募集を停止したというニュース.州からの補助金が削減されたことが背景にあるらしい./〈Celebrating Systematics: the 75th anniversary of the Systematics Assoication〉:ロンドンで6月20日に催されるイベント.The Systematics Assoication の創設者である Julian S. Huxley の75年前の Nature 記事:Association for the Study of Systematics in Relation to General Biology. Nature, 140: 163-164 (24 July 1937) | doi:10.1038/140163b0 - pdf (members only).

◆曇り空の午前の┣┣" 撃ち —— 先日届いた『進化学事典』の執筆担当項目をコピーして農環研に提出.確かに,執筆字数も多いけれど,編集作業の方がたいへんといえばたいへんだった./午前10時,統計コンサルタント業務一件完了./昨年の Hennig XXX で買い逃した生物地理の論文集は現地ブラジルで買っておくべきだったと今になって後悔している.中南米の本は現地で買うのが手っ取り早い.日本に帰ってきてしまうと,入手がほぼ不可能なものが少なくない.オンライン書店はあるとはいえスペイン語やポルトガル語のサイトを使いこなすのは度胸が必要./大学生のあるクラスターは「提出レポートに氏名や所属」を書く習慣がないように見える.とくに,ケータイやスマホでレポートを書く傾向性との相関があるのかも.手書きレポートを写メで送信してくる豪傑もいるので,たいていのことではちっとも驚かない./さて,例の書評原稿を書かないと.

◆[欹耳袋]日本生物地理学会は,第二次世界大戦中に旧日本領のすみずみに探検隊を派遣して,動植物を含む自然資源と文化・民俗に関する調査結果を学会報として残した.アメリカはそれらの報告論文をすべて分析して,日本への侵攻計画を策定するための基礎資料として利用した(らしい).ずいぶん前に読んだ:和田敦彦『書物の日米関係:リテラシー史に向けて』(2007年2月28日刊行,新曜社,東京,ISBN:978-4-7885-1036-4 → 書評目次版元ページ)の第七章「書物の鎧 —— 国防予算と日本の書物」に書かれてあったことを連想した.

◆ぐずぐずした空模様の午後の┣┣" 撃ち —— 曇り空のままいっこうに雨の降る気配がない.強い南風が吹きこんでいるが,気温は20度そこそこでちょうどいい感じ.今日は昼休み徘徊なしで,例の書評原稿を書いているところ.たとえば『ムネモシュネ・アトラス』は,Prezi のようなプレゼンツールで全体像を見渡しながら呈示するのに向いている素材かもしれない.田中純さんの解説にはそういう方向性が見えている.

◆[欹耳袋]唄う保全生物学 —— YouTube〈外来生物のうた〉※これは必聴! 農環研の異能の人々に拍手〜.

◆雨のメーデー前夜祭 —— 午後3時過ぎから降り始めた雨は本降りになってきた.気温が20度近くあって,やや蒸し暑い気がする.いただきものの〈シーゲル〉の焼き菓子はひょっとしたら背徳かもしれない…….さっき食べたミルフィーユはチョコがみっしり詰まっていた(まいう).午後6時前に中央農研での全農林筑波地本メーデー前夜祭に向かう.アルコールなしのご飯食べまくり,マラカスをしゃかしゃかする.午後7時過ぎ,降りしきる雨の中をさくっと帰宅.まだ午後8時前という健全さ.酒がないと時間の経つのが遅いのなんの.

◆明日は農大高座の二回目.朝まで雨が残るとうっとおしいな.午後は茅場町の日経サイエンス編集部に立ち寄ることになっている.新たなお仕事の打合せ.

◆本日の総歩数=5502歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.9kg(+0.3kg) / 28.4%(−0.1%)


25 april 2012(水)※新緑の本郷は青空から曇天へ

◆午前5時前起床.曇り.気温11.9度.5:22に千葉を震源とする地震あり.つくばは震度3の揺れが長く続いた.今日は本郷出撃日.雲間から朝日が見えたり隠れたり.今日もよく晴れそうな気配.曇り空の観音台は花水木の真っ白い花が開き始めた.午前8時の気温は15.0度.今日は昨日のような初夏の暖気には包まれないとの予報.しばらく居室でごそごそしてから本郷に向かう.

◆午前のすきま時間にも┣┣" 撃ち —— 連休明けの不在申請(出張伺・年休届・兼業願・フレックス変更)を一括処理完了.さて,所内領域会議が始まる前にささっと撤収だ〜.だって,今日の領域会議の主たる話題は「来月から給料がど〜んと下がるよ下がるよ下がるよ」なので,その場にいても盛り下がるし…….国家公務員の給料が「特例法」により下がるのに準じて,独法職員も横並びで下がり,われわれの世代だとほぼ10%の削減率(orz).「給料が△%下がるよ」と言われてもピンと来ないが,来月以降の給料明細の金額目減り分をじっと見れば「くそー」と実感できるにちがいない./著作物成果登録フォームを求めてガルーン内をうろうろしてもぜんぜん見つからない.これ以上探すだけ非効率かつめんどくさいので旧フォームに記入してそのまま提出してしまうことを自分会議に緊急提案.満場一致で可決された.でもって,春の学会の講演要旨を提出完了.

◆近未来┣┣" 撃ち予定 —— 来週火曜日のメーデー参加には年休取得が必要.半日年休で大丈夫かな./『系統樹曼荼羅』の原稿はゴールデンウィーク明けに耳を揃えて納税せよとのお達しあり.ひー./その前に『ムネモシュネ・アトラス』の書評原稿を書き上げないと〜.

◆春の陽気の本郷へ —— 午前11時前,つくば駅に下る.霞んではいるがいい日和.すでに気温は18度を越え,やや暑くなってきた.10:55発のTX快速にて都内出撃.正午前,新緑の弥生キャンパスに入る.初夏の陽気.専攻の新任教員歓迎昼食会がこれから始まる.専攻関係昼食会で出された亀戸〈升本〉の卯月弁当(二段重ね)はたいへんレベルが高くて満足した.「亀辛しょうゆ」なるびしびし辛い醤油調味料は目が覚める力積だった.〈升本〉のウェブサイトによれば,この「亀辛しょうゆ」は「青唐辛子を麹で長期熟成させたまろやかな辛味」と書かれていまた.なるほどな〜.そして,亀戸大根の漬物も実に力強い味わい.

◆午後1時から本務の専攻教員会議 —— 年度はじめということもあり,ものすごい数の報告事項やら審議事項でどんどん時間が過ぎていく.図体のでかすぎる大学なので,グローバルな議題だけでもシャレにならない数.その後にやっとローカルな専攻の議題に移行する.たっぷり三時間かかった会議が終わったのは午後4時過ぎだった.降り注ぐ雑用┣┣" の何頭かをつくばにお持ち帰りとあいなった.東大関連:新任連携教員の歓迎昼食会は6月以降に;大学院ガイダンスは6月6日(水)16:00〜.

◆夕方のぶらぶらタイム —— 専攻教員会議が終わってから,ぶらぶらと根津神社へ.すでにつつじ祭りが始まっていて,境内には屋台が連なっていた.さらに千駄木から谷中へ抜ける.よみせ通りの〈マミーズ〉でアップルパイをゲットしてから,となりの〈やなか珈琲〉にてマンデリンスーパーをその場で焙煎してもらった.待ち時間にアイスコーヒーを飲みつつ一休み.しだいに雲が広がってきたようだ.つくばに帰り着いたのは午後6時過ぎだった.

◆[欹耳袋]レヴィ・ストロースが分岐学(cladistics)に関する言及をしている論文はこれ:Claude Levi-Strauss 1983. Histoire et ethnologie. Annales. Économies, Sociétés, Civilisations, 38(6): 1217-1231 → persee | pdf(open access); 杉山光信訳 1985「歴史学と人類学」,思想, 727(1985年1月): 35-55.

◆本日の総歩数=10280歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.6kg(−0.1kg) / 28.5%(+0.3%)


24 april 2012(火)※青空の観音台に初夏の陽気が

◆午前5時前起床.雨上がり.水蒸気たっぷりの空気のせいで,遠景が白くかすんでいる.気温は14.5度.しだいに雲が晴れて朝日が差し込む.予報では今日は夏日になるらしい.早朝の観音台は朝日がさんさんと降り注いでいる.午前8時の気温はすでに18.0度まで上がってきたが,湿度が高くなくて北風が吹いているせいか,体感的にはとても爽やか.湿度が低ければシアワセになれる.今年の「花粉の祭典」が終わったようなので,久しぶりに居室の窓を全開にする.外は初夏めく青空.BGM は Chick Corea & Gary Burton〈The New Crystal Silence〉.Chick Corea & Gary Burton〈Crystal Silence〉のLPを最初に買ったのは高1のときだから1973年のこと.リリースされてすぐ.たまたま河原町の十字屋で手にしたと記憶している.そのときついでに,Gary Burton のジャズ・ヴァイヴ用 4-mallet control 教則本も買ってしまった.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 本を読んで原稿を書くというシンプルなお仕事が続く.シンプルだけどエンドレス……./bit.ly の接続がときどきよろしくないのはどーしてだろう? いちいち LongURL で“開く”のはじゃまくさい./やや気の重い電話をかける.もう一年以上引きずっているのでそろそろ何とかならないものか./学振への返事をそろそろ書かないといけないな.イエスといえば┣┣" どもの接岸が確実視されるが……./8月の進化学会大会(首都大学東京)のワークショップ・シンポジウムの企画申請締切は今週末の4月27日(金)./農林研究交流センターの分子系統ワークショップにつき,農環研への共催依頼文書が届く.すでに打合せ済みのことなので去年と同じ段取りで作業を進める予定./先週木曜のRP設計検討会での報告文を改訂完了./遅くなったが,Hennig Society の会費納入完了.Hennig XXXI の参加登録はまだ先でもいいか.IBC 2012 Kobe は今月末までに registration しないと.

◆正午.とてもいい天気なので昼休みは徘徊タイム.気温が早くも23.0度まで上がった観音台はとてもいい天気で,風もなく陽気に包まれる.農林団地を取り巻く集落では田んぼへの灌水が始まった.月末のゴールデンウィークにはいっせいに田植えが始まるだろう.空には雲雀,薮には鶯,水田には蛙.これが茨城の原風景.歩き読みのお供は:上村忠男『歴史家と母たち:カルロ・ギンズブルグ論』(1994年1月25日刊行,未來社[ポイエーシス叢書:22],東京,250 pp., ISBN:4-624-93222-6 → 目次版元ページ)の第三章「表象と真実 —— ヘイドン・ホワイト批判に寄せて」(pp. 156-230).カルロ・ギンズブルグによるヘイドン・ホワイト批判を素材に,両者の議論のそれぞれを検討する章.かなりおもしろい.実在論と懐疑論という両極の内分点としての「歪んだガラス」論(pp. 174-184)がここで登場する.著者の立場は,ヘイドン・ホワイトは必ずしもギンズブルグが糾弾するような懐疑論者とはいえないのではないかというスタンスだ.これにて本書は読了.読書メモはまとめて公開した.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 居室の扇風機をかける昼下りは,昨年度の業績評価を手渡されることから始まる./先月,龍谷大学で開催された日本生態学会第59回大会の自由集会〈道具としての「形態測定学」:量的phenotypingの活用法〉でのワタクシの講演「形態測定学の戦略的展開:過去・現在・未来」のスライドをpdfで公開した.講演要旨は下記の通り:

形態測定学がたどってきた歴史を振り返り,現在われわれが利用している手法の目指している目標を概観した.幾何学的形態測定学はオブジェクトのもつ幾何学的情報を重視する.幾何学の延長線上にある多様体論は数学的な論議をする際の基礎となる.非線形空間のなかで正確な論議を進めることと,線形近似のもとで実践的な解析ツールを利用することが,現時点では共存している.線形数学や線形統計学に基づく形態の変形や変異の解析は,将来的には非ユークリッド空間上の形状の数学や統計学に移行していくのかもしれない.

他の自由集会演者の講演についても資料が順次公開されることになっている./宇治へ電話一件.こっちの問題もすぐにどうこうできる状況ではない.

◆今夜の夕餉は久しぶりのすき焼きだったので,日本酒は秋田醸造の〈ゆきの美人〉の「純米吟醸・活性にごり酒」を開栓.ぶわぁっと吹き出さないように,開栓直前まで氷温室に安置しておいた.すき焼きとかステーキのようなアブラの乗った肉料理には,氷点に冷やしたしゅわしゅわな日本酒がぴったり! ビールよりも活性にごり酒が好ましい.山口の〈獺祭〉も常連だが,今夜は手を替えてみた.

◆[欹耳袋]ハーバード大学図書館でさえ苦しいとは —— The Harvard Library Transition「Major Periodical Subscriptions Cannot Be Sustained」(2012年4月17日).学術雑誌の価格高騰は,何処も同じく,分野を問わず世界規模で「社会問題」化している.全体の中では確かに狭いコミュニティの「中」での社会問題ではあるが.

◆夜になって通り雨.午後11時を過ぎて,たった一度だけ雷が轟いた.県内ではつくば周辺だけ雨雲がかかっている.祟りか? 明日は本郷へ出撃する.

◆本日の総歩数=10076歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.7kg(−0.7kg) / 28.2%(−0.6%)


23 april 2012(月)※朝から晩まで水気が多い一日

◆午前5時前起床.雨また雨.今日は終日降り続くらしい.気温は11.5度.午前7時にはいったん小降りになったが油断はまったくできない.朝の農林団地.いたるところに水たまりができている.冷え込みはまったくなくて,むしろ雨空の湿度の高さがやや不快だ.水気が多いので,朝イチのBGMはタン・ドゥンの〈新マタイ受難曲・永遠の水〉.ホーミーが響く居室.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 日本学術振興会から┣┣" 二頭が着弾した.慇懃にして高圧(orz ).うち一頭はデータベースの確認要請だけだから,ちゃちゃっとすませればいいんだけど,もう一答の方がねぇ.軽くOKしたらさらなる┣┣" 軍団が今後押し寄せてきそうだし.かといって,放置するとクラーケンみたいに暴れだしそうだし…….悩ましい判断を迫られる.しかも,先延ばしにする時間的余裕はないときた.

◆[欹耳袋]系譜としての日録(dagboek)について —— 2003年4月24日から書き始めたワタクシの日録(dagboek)は今日でまる九年になる.最初の頃のスタイルはほとんどそのまま形を変えずに踏襲され現在に至っている.こういう形式のウェブ日記は絶滅危惧なのかもしれないが.ワタクシの昔からの知り合いの研究者のウェブ日記を巡回していると,長年にわたって「日乗」を日々書き続けている人が以外に多いことに気がつく.日記・日録・日乗はいわば個人的な「定点観測ログ」といえるので,連綿と長く書き続けることにこそ究極の意義があるのだろうと勝手に考えている.永井荷風の『断腸亭日乗』や古川ロッパの『昭和日記』みたいな有名な「日記」とはまったく無縁のところで,ひとり毎日書き続けることにヒソカな愉しみがあるということだ.

ワタクシは自分の日録も誰のためでもなく他ならない自分のために今日も書き続けている.ひとつの「過去ログ」として,昔の行動記録を逐一確認したり検索できるのはたいへんありがたい.その意味では,ワタクシの日録は,それと並行してもう七年あまり続けてきた本録(leeswijzer)とまったく同様に,ごく自然な「利己主義」が原動力になっているといえる.

そういえば五年前の4月から,日録にはカウンターを設置しているのだが,すでに50万アクセスを越えている.毎日のべ300人ほどの方々が来られているということで,それはそれでありがとうございますという言うしかない.自分のために続けてきたことが少しでも他人の役に立ったとしたらそれは望外の喜びだ.利己主義はなめらかに利他主義へと変容する.

さらに,近年になってツイッターを始めてからというもの,メモ替わりにツイートすることで,備忘録が自動的にできあがるのは便利なことこの上ない.その日その日のツイログを見ながら dagboek をものするようになろうとは九年前には想像もしていなかった.

◆[蒐書日誌]いただきもの二冊 —— まず:吉村仁『なぜ男は女より多く産まれるのか:絶滅回避の進化論』(2012年4月10日刊行,筑摩書房[ちくまプリマー新書・177],東京,189 pp., 本体価格780円, ISBN:978-4-480-68879-8 → 版元ページ).ご恵贈本,ありがとうございます.浜松に向かって一礼っ.

もう一冊は:アイリック・ニュート[枇谷玲子訳]『サイエンス・クエスト 科学の冒険:宇宙の生命、死の意味、数の世界』(2012年4月30日刊行,NHK出版,東京,390+iv pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-14-081541-0).これまたいただきもの.

◆昼前,雨が小止みだったので「これ幸い」と昼休み徘徊に出かけたとたん,またまた雨がざあざあ降り出した.しかたなく途中で退却し,「森」に引きこもる.BGMはChick Corea & Gary Burton デュエットの〈Hot House〉.午後になっても雨足は強まったり弱まったりを繰り返している.でも,あまり本気になって降りそうな気配はしない.気温は15度台で,ぬるい感じ.迫りくる締切原稿┣┣" が〜(絶体絶命).

◆[欹耳袋]新潟ネットビジネス研究会「FacebookでダイレクトにアクセスしたいURL132個まとめ」(2012年4月22日) /Transmitting Science: 3D Geometric Morphometrics, 17-20 July 2012, Barcelona, Spain.

◆今日の夕餉は,秋田の〈新政・佐藤卯兵衛〉の純米大吟醸・ひやおろしを開栓した.佐藤卯兵衛は竹園のたがみ酒店に常備されているが,売れ行きがいいらしく,すぐなくなってしまう.ほんのりと酸味があって,しっかりした旨味があとをひく.この濃い味わいは何物にも代えがたい.いつもながら佐藤卯兵衛はうますぎて死む〜.肴はブリの照り焼き,がんもどきの煮物,菜っ葉,ペペロンチーノ,そして焼き葱.

◆夜になってもまだ雨が降ったり止んだりする不安定な空模様.気温は15度を越えていて湿った生暖かい夜の闇が広がる.もうすぐ締切の「書評課題図書」をまだ読み続けている.これもひとつの「闇」だと思われてならない.

◆本日の総歩数=8087歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.5kg) / 28.8%(−0.4%)


22 april 2012(日)※どんより曇った空模様が続く

◆午前6時過ぎにのろのろと起床する.惰眠は背徳の快楽.昨日と同じく曇り空で朝日は拝めず.肌寒い北東の風が吹き渡る朝.気温は8.3度.気圧配置は昨日とほとんどちがいがない.東海上の強大な太平洋高気圧が西からやってくる低気圧の行く手を遮り,いま膠着状態とのこと.それでも今夜には関東も雨が降り出すらしい.

◆日曜の朝の┣┣" 撃ち —— 最新版 R-2.15.0 for Mac の mgcv と rgl パッケージがなお不調なので,しかたなく Win 版のアップデートをしているところ.ところが,Adobe Reader の巨大なアップデーターが割り込んできて,Rインストーラーのダウンロードに時間がかかりまくり.Adobe と Microsoft のアップデートは暴力的だと感じる瞬間.電源オフしようとしたら,今度はOS関連のアップデートが山のようにあってめげる.それでも,R-2.15.0 for Win (32 bit) はまったく問題なく起動し,パッケージ群も苦界に陥ることなくRコマンダーは順調に動いている.何よりも複数バージョンのRを「併置」できるのがウィンドウズ環境の大きな利点.講義での実習・デモ用にはやっぱりWin PCを持ち歩くしかないのかなあ.Mac 版Rはこの点ではまだ首位には立てないなと実感する.Rパッケージを「library()」で組み込む際に出るエラー「名前空間のロードが失敗しました」は,けっきょくどうすれば解決できるのか,という単純きわまりない疑問がまだ解決できない.パッケージの再ダウンロードでは解決できないことは確認済み.R本体がマイナーバージョンアップで “枯れる” まで待てとか,Rパッケージが更新されるまで待てということなら,次善の策を考えるまでのこと.

◆[蒐書日誌]書評公開 —— リチャード・コニフ[長野敬・赤松眞紀訳]『新種発見に挑んだ冒険者たち:地球生命の驚異に魅せられた博物学の時代』(2012年2月7日刊行,青土社,東京,479+55 pp., 本体価格3,600 円,ISBN:978-4-7917-6636-9 → 書評目次版元ページ).日経サイエンス2012年4月号に掲載された書評(p. 108)の元原稿.約二倍弱の分量がある.

◆哀愁の竹園に霧雨が降るのだ —— 朝から雲が広がる空模様が続いていたが,気がつけばいつの間にか霧雨が降り始めていた.正午の気温は10.8度で,春の陽気とは対極的な肌寒さ.これから前線が近づくとともに本降りの雨になるのだろうか.連休前┣┣" 群がじわじわ迫ってきているのだが,ちょいと一休みしてプロコフィエフ〈ロメオとジュリエット〉組曲の譜面読み.エキストラで鍵盤楽器をやったのがいったいいつのことかもう記憶がさだかではない.パート譜はロシア語ですかそうですか.CDを持っているのかどうもわからないので,とりあえず YouTube で聴いてみる.プロコフィエフは転調が多すぎて酔いそう.

◆[欹耳袋]毎日jp(毎日新聞)「若手研究者:先端研究にクビの不安 有期雇用が一般的」(2012年4月22日).労働契約法の改訂に絡めた記事.

◆[蒐書日誌]今年度の〈書物復権〉の御利益のひとつ —— 今年度の〈書物復権〉公式ホームページを見たら,ゴールデンウィーク明けに発売される予定の法政大学出版局「〈書物復権〉2012年・復刊書目決定」(2012年4月20日)の復刊書リストに:ジョルジュ・ペレック[阪上脩訳]『考える/分類する〈日常生活の社会学〉』(2000年2月1日刊行,法政大学出版局[りぶらりあ選書],東京,vi+143pp.,本体価格1,800円,ISBN:4-588-02202-4 → 目次書評)が含まれていることを知った.ペレックのこのエッセイ集は「分類」の意味を考える上でとてもいい“教材”になる.復刊価格はちょっと上がって本体価格2,000円.それでも,品切れ中の古書価格が一万円を越えていることを考えれば十分すぎるほどの御利益といえるだろう.

◆夕方,やや重めの┣┣" 一頭に銛を放ったが,うまく命中したかどうかやや気がかり…….本日の夕餉はイカ墨パスタとバーニャカウダを「東京ブラック」とともに.明日からはゴールデンウィーク前のじたばた週間が始まってしまう.

◆本日の総歩数=1804歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=92.9kg(+0.5kg) / 29.2%(0.0%)


21 april 2012(土)※北関東道をひた走る小さな旅

◆午前5時半起床.曇り.気温は9.1度で北東の風が吹く.あれれ,今日は雨は降らないのか.遠出にはありがたい空模様.ばたばたと日帰り旅行の仕度をする.朝ごはんを食べている余裕はない.

◆[欹耳袋]最新版 R-2.15.0 for Mac OS X の「mgcv」と「rgl」パッケージがまたしても「名前空間エラー」にあえいでいる.まったくもう…….来週の農大高座までに何とかしないと.最新版に変更した直後はたいていこうなる.特効薬はなく,けつまづいたパッケージをひとつひとつ交換し,場合によってはパッケージ更新まで待つしかない.現実的には,ちゃんと動くRおよびパッケージの環境をそのまま“固定”してしまうというのもありだろう.

◆関東甲信越小さな旅(上州編) —— 午前8時過ぎに車を出す.常磐道をひたすら北上.予定では友部ジャンクションから北関東道に入る予定だったのだが,事故渋滞に焼く手を阻まれて,岩間で一般道にいったん降りる.国道355号を経由して友部インターから北関東道に再び入る.あとは一直線の道のり.空きまくりの高速道は快適そのもの.桜川から笠間あたりの北関東の山々はいまが山桜の真っ盛り.遠目にも山全体が桜色に染まっている.栃木に入り東北道を経由して,再び群馬県内の北関東道へ.花曇りで上毛三山は見渡せない.約二時間半で高崎に到着.予定されていた午前10時から打合せをすませ,これで本日の目的はさくっと達成された.

高崎駅前から城南大橋をわたって石原へ移動.観音山一帯は山桜が満開で見ごろだ.雁行橋をわたった指出の集落の中にある欧風カレー〈カレーキッチン・るぅ〜〉 にてタンドーリチキン・カレーをいただく.うまし.本日のデザートは「豆かん」.黒蜜寒天と黒豆で見た目は真っ黒.抹茶わらび餅のトッピングが目に鮮やか.住宅街の中にある店だからわかりにくいかもしれない.五年ほどご無沙汰していたが,寺尾から指出にかけての石原町には新しい店ができ始めている.午前の打合せで「この日はうまくないですか?」と先方に訊かれて,「ああ,群馬だ〜」とほのぼのした一瞬.昼下りの石原町は雲がしだいに厚くなってきた.日差しはなく気温は13度どまり.南風がやや肌寒い.

—— 午後3時過ぎに高崎を出発.逆コースをたどってつくばに帰り着いたのは午後5時半だった.北関東道と常磐道をぶっ飛ばしてたった二時間半.関越道の混雑に飛び込んで都内経由していた頃に比べて夢のようなスピード.今日は終日曇り空で風が冷たかった.

◆[欹耳袋]本録〈leeswijzer〉のアクセスがなんと「200万台」に! —— 昨日「2012年4月21日」の深夜のこと,〈leeswijzer〉のアクセス数が二百万アクセスを越えた.過去のアクセス記録を見ると,「2005年1月9日」にブログを開設してから「2009年11月4日」に百万アクセスに達するまでが4年10ヶ月,それから今回の二百万アクセスの大台に乗るまでに半分の2年5ヶ月かかった.毎日欠かさず本の情報を載せてきたが,これからもその方針は変わらない.訪問されたみなさん,どうもありがとうございます.今後ともよろしくおねがいいたします.

◆日帰りの長距離移動はやはり負担が大きい.今夜はゆっくり寝ることにしよう.

◆本日の総歩数=2146歩. 朝○|昼△|夜○. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


20 april 2012(金)※春雨の経堂,農大のお座敷へ

◆午前5時前起床.今日は曇り.本日は農大高座の初日.曇って涼しい朝,つくば駅へ向かう.7:56発のTX快速に乗り込み,経堂へゴー!

◆速攻┣┣" 撃ち —— 『文化系統学への招待』のカバージャケットとオビのデザインが確定した.あとはブツの仕上がりを待つばかり……かな? その後も微小┣┣" たちが漂着したが,そのつど迎撃する一日だった.

◆半年ぶりの経堂通いの再開 —— 北千住で乗り換えた千代田線はダダ遅れ.都内は穏やかに晴れている.経堂で降りて農大通りを下る.空は花曇り.農大キャンパスに到着.今年度から講義棟はすべて新館(一号館)に全面移行し,旧講義棟は現在建設中の図書館が来年完成するまでの仮図書館として利用されるらしい.さっき新講義棟を突っ切ってきたが,高級ホテルのロビーみたいでどきどきした.なんだか「農大」じゃないみたい! 今日が初回の「実験データー解析概論」は1号館431教室.10:40から始まる.内容は,講義全体のガイダンスと成績評価など,さらに時間があれば統計学概論のイントロ部分.実際に教壇に立って講義してみると,農大の新講義棟は内装(椅子・机・AV機器など)もいい感じで,旧講義棟の窮屈さはみじんも感じられなかった.二百名くらい入れそうな大きな教室だったが,大スクリーンが左右二枚設置されていて可読性はまったく問題なし.次回以降もここで講義することになる.

◆農大高座をすませ,再び経堂駅前へもどったのは午後1時すぎ.こちらも半年ぶりの経堂駅前〈はるばるてい〉にて,新メニューの「辛麺」を注文した.一日限定十食のみ.辛子味噌の土手を崩すとじわじわとカプサイシンが拡散していく.かなりうまい! 新機軸の辛さだそうだがお試しを.赤唐辛子がぷかぷか浮かぶようすは,台湾ラーメンのようにも見えるが,スープの出汁が辛さにぜんぜん負けていない.見た目はちょびっとしかない辛子味噌だが,かなり殺人的に辛い.イッキに混ぜるのではなく,隔離しつつ少しずつ土手を崩して食べるようにとの教育的指導が入った.たまたまとなりで同じ辛麺を食べていた某女流作家も感心していた.はるばるていのラーメンの「具」の定番は,鶏肉チャーシュー・シナチク・ネギ・干しぶどう・青菜で,この辛麺もそのスタイルを踏襲している.食べ終わって外に出たら,雨が降りだした.季節的にはまさしく穀雨だ.

◆初回の講義でツイッターの宣伝したら,即座に十名あまりのフォロワーさんが増えました.どーもです.農大ツイッタラーは今年は多そうな気配だ.「統計曼荼羅」は Prezi で描き直すべきだという瞠目すべきコメントをいただいた.前向きに考えてみます!今日から始まった講義のハンドアウト類は〈租界R〉で全部公開していますので,ご自由にダウンロードしてください.講義の進捗具合によって微修正はあります.その他,初回の出席カードに書かれたコメントがいろいろある.次回以降の講義の参考にしよう.

◆午後4時前につくば着.茨城県に入ったらこちらはまだ雨はぜんぜん降っていなかった.今日は明け方の最低気温が9.5度,日中の最高気温も14.3度までしか上がらなかった.日毎の寒暖の分散がいささか大きすぎる気がする.天気予報によると,明日は本格的な雨になるらしい.高崎に出かける予定なのだが,雨の中を高速を走るのは気が進まない.

◆本日の総歩数=11560歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=92.4kg(0.0kg) / 29.2%(+0.4%)


19 april 2012(木)※花曇りの朝は所内設計検討会

◆午前5時前起床.よく寝られた.曇り.雲の隙間から朝日が顔を出す.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 午前9時から所内RP設計検討会が始まった.しかし,プレゼン用スライドをいままさにつくっているというドロナワ…….しかし,登壇する直前まで時間はあるのだ! しかも E-mobile のバッテリーを増強したので不安とは無縁.自分の担当サブテーマの説明を乗り切り,今日のお仕事はこれにておしまい.生物多様性に限定した視覚化やグラフィクスの論議ではなく,もっと一般的な「データ可視性・可読性」の問題としてとらえればより有効ではないかという大澤さんの意見はもっともだ.また,岩崎さんが指摘するように,地理的情報の付加などの効用については考えてみよう.11時半に設計検討会終了.ワタクシはこのひとつしか関わっていないので,今年度の設計検討会はこれにておしまい.

◆[蒐書日誌]ついに着弾! —— 日本進化学会(編)『進化学事典』(2012年4月25日刊行,共立出版,東京, xvi+975 pp., 本体価格18,000円,ISBN:978-4-320-05777-7 → 版元ページ).茗荷谷からの発射予告通りつくばに着弾した.最初の企画立案からいったい何年かかったことだろうか.辞書づくりは忍耐あるのみ.26.5×19×5センチの重量級.投げれば殺傷力きっと高し.さっそくワタクシの執筆担当箇所を確認する:

  • 大項目:23.1-種概念(pp. 762-765)/27.5-分類学(pp. 872-877)/27.11-生物地理学(pp. 891-895)
  • 中項目:22.15-形態測定学(pp 740-745)/28.1-進化学の歴史(pp. 898-904)
  • 小項目:22.7-収斂(pp. 723-724)
  • 付録(mit 斎藤成也):付録1「進化研究に大きな貢献をした研究者」(pp. 915-927)/付録2「進化学史年表」(pp. 928-930)

—— 大項目5個,中項目2個,小項目1個で,字数にして計6万字あまり.オニのように書きまくったもんな.

◆[欹耳袋]そーか! 明日から二日間は〈筑波農林研究団地一般公開〉だった.すっかり失念していた(すまん).2日ともつくばにいないが,明日は天気がなんとかもちそうなので客が集まることを期待しよう.

◆昼休み,外は花曇りのはっきりしない空模様.気温は16度台.勁草書房『文化系統学への招待』オビの校正が届いた.速攻でメール返信.いよいよゴールが間近に迫ってきたぞ.

◆[欹耳袋]ワイリー・サイエンス・カフェ「被引用数、h-indexなど計量データに依存した研究者評価に警鐘 - スタンフォード大学化学科前学科長がAngew. Chem. Int. Ed.のEditorialで」(2012年4月19日)./Fishing on the beach「学術的な文章を書くためのメモ:対比と列挙について」(2012年4月19日)./PCST2012 18-20 April 2012, Firenze.Public Communication of Science and Technologyという名称の国際会議.

◆明日は農大高座の初日なので心の準備をしてから出陣しよう.

◆本日の総歩数=4975歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=92.4kg(−0.8kg) / 28.2%(0.0%)


18 april 2012(水)※農村つくばは雉と鶯,雲雀に蛙

午前5時前に起床.昨日の雷雨をもたらした低気圧はすでに過ぎ去って夜明け前から青空が広がる.しかし,見下ろす地上はいたるところに水たまりができている.観音台は朝の爽やかな陽気.暑くもなく寒くもなし.湿度が低いのがありがたい.

◆ゴール間近! —— 勁草書房『文化系統学への招待』カバージャケット絵のキャプション送信完了.ライムンドゥス・ルルスの arbor scientiae(1295)から.続いて,第三校のチェックと索引項目のチェック.来月発売なのでラストスパートあるのみ.

◆気温18度超の観音台はぽかぽかと暖かく徘徊日和.茂みからはキジの鳴き声,藪の中ではウグイスの谷渡り,そして田植え間近の田んぼからは早くもカエルの鳴き声が.歩き読み本は:上村忠男『歴史家と母たち:カルロ・ギンズブルグ論』(1994年1月25日刊行,未來社[ポイエーシス叢書:22],東京,250 pp., ISBN:4-624-93222-6 → 目次版元ページ)の第二章「神は細部に宿るか:ミクロストリア考」(pp. 106-155).カルロ・ギンズブルグはロンドンのヴァールブルク研究所で修行した時代があったらしい.最後に.ジョージ・クブラーがちょっとだけ顔を出す.

◆[欹耳袋]なぜ統計学が重要か? —— Marie Davidian and Thomas A. Louis「Editorial: Why Statistics?Science, 336: 12, 6 April 2012 DOI: 10.1126/science.1218685.

◆さて,今週から農大の生物統計学(「実験データー解析概論」)の講義が始まるのだが,履修登録前の選択科目の初回にいったい何人やってくるのか,いつもぜんぜん予想がつかない.しかたなく多めに配布資料を用意してみる.講義のシラバスを公開.この予定通りに進むかどうかは未知数.毎年,基本線は堅持していても,その場の流れと勢いで高座の雰囲気は毎年・毎回変わる.

◆[欹耳袋]やっぱり給料が下がる件 —— 昨日,研究所の事務から,来月以降の給料の引き下げ率に関する事務連絡が届いた.最初配布されたファイルは一太郎(.jtd)形式だったので,「職員には読まれたくないのか」と勘ぐったが,今朝になってpdfファイルに一括置換されたので「読んでもらおう」という意図は感じられた.俸給ランクによって率は変わるのだが,ワタクシの場合は「9.77/100」の引き下げ率,つまり本給と期末手当は5月以降ほぼ一割減になるということだ.率で言われてもピンとこないが,別添の「改訂俸給表」でもって金額を示されると,実感がじわりじわりと湧き上がってくる.もちろん新聞報道などで国家公務員の給料が引き下げられることはアタマでは知っていたが,やっぱり来たかーという実感と諦観のミックス状態.来月の給与明細を見るのがこわいぞ.

◆午後5時前に撤収.明日は所内RP設計検討会があるのでよく寝ないといけない.

◆本日の総歩数=7407歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


17 april 2012(火)※花曇りのつくばを雷雨が襲う

◆午前5時起床.曇り.MAFFIN Web mail の調子がよくない.草稿保存してあるメールを送るには,いったんログアウトして再ログインする必要あり.小┣┣" どもを蹴散らす早朝.人文系の専門書だと著者が印税を受け取らないケースというのはよくあるのだろうか?

◆[蒐書日誌]科学的「観察」の歴史 —— Lorraine Daston and Elizabeth Lunbeck (eds.)『Histories of Scientific Observation』(2011年2月刊行,The University of Chicago Press, Chicago, viii+460 pp., ISBN:978-0-226-13677-6 [hbk] / ISBN:978-0-226-13678-3 [pbk] → 版元ページ).古代から近世にいたる科学史において「観察」がどのように実行されてきたかに焦点を当てた論文集.対象の観察のしかた,観察ノートの取り方,観察器具の使用,そして科学者コミュニティの共同行為としての観察などさまざまな観点から論じられている.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 明後日の設計検討会での配布資料を送り出したので,午前のお仕事はこれで一段落./着便!:MUGEN POWER: Pocket WiFi(C01HW/D25HW)用 大容量バッテリー・3900mAh・バック HLI-E5830XL-W.これでもう e-mobile のバッテリー残量を気にしなくていいかな.

◆今日はいまのところ暖かいので,昼休みは外回りの徘徊をしてくるか.だんだん雲が厚くなってきた昼休み.気温は18度を越え,外を歩きまわるとやや蒸し暑く感じる.歩き読みのお伴は:上村忠男『歴史家と母たち:カルロ・ギンズブルグ論』(1994年1月25日刊行,未來社[ポイエーシス叢書:22],東京,250 pp., ISBN:4-624-93222-6 → 目次版元ページ)の第一章「歴史家と母たち —— 『夜の歴史』を読む」(pp. 17-105).共時的説明と継時的説明の対比.レヴィ・ストロースが分岐学に関する言及をしている論文があること.西の方から兇相の雨雲がじわじわと接近してきているようだ.用心用心.

◆午後の┣┣" 撃ち —— 前年度末の二連続出張伺をエクセル苦界でひとつにドッキングさせるだけの簡単なお仕事(その意義は何もない…)./今年度に開催される国内外学会の参加登録とか支払いをオンラインですませようと思ったのだが,西の方から兇悪な雲がいよいよ近づいてきそうなので(いまはよく晴れているけど),災厄に遭わないうちにさくっと撤収することを緊急自己決議.午後4時過ぎ,撤収〜.

◆夏のような雷雨 —— 北から強烈雨雲が来るぞ来るぞ来るぞ.真北の筑波山が黒雲に覆われて稲光がときどき上空を切り裂いている.つくばの中心部でも大粒の雨がぽつぽつ落ち始めた.間一髪で自宅に逃げ込んでひと安心.これから本降りになる気配.午後5時,真っ黒な空から落ちてきた大粒の雨がベランダを叩く.すぐ近くで雷が鳴りまくり,夏の夕立みたいな雰囲気がする.

◆午後7時,つくばの雷雨は峠を越えたらしく,外が静かになってきた.午後4時に18.8度あった気温は午後5時半には10.1度まで急降下した.昼間はやや蒸し暑かったが,いまは肌寒いほど.今夜のメニューは,豚ヒレ肉のシンプルなソテーをメインにして,パスタとポテトのつけあわせ,そしてグリーンサラダの予定.ライスはなしで,〈モルゲン〉のバゲットのみ.めずらしく洋風な夕餉.お供のワインは:Georges Vigouroux 2005, Chateau de Haute-Serre, Cahors.Cahors 一帯では Malbec 種の葡萄から黒みのあるな赤ワインをつくっている.以前,アルゼンチンに行ったとき,初めて Malbec の赤ワインを飲んだ.南米限定かと思っていたのだが,フランスにもあったとは意外だった.昨年,パリのCDG2の免税品店でゲットした.脂身の少ない豚ヒレ肉にはぴったりの赤ワインだった.

◆[欹耳袋]Togetter -「東北大教授による大学新入生への助言」.なかなかいいことが書いてあるのでメモクリップ.

◆本日の総歩数=10088歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.2kg(0.0kg) / 28.8%(−0.1%)


16 april 2012(月)※饅頭こわい,アトラスこわい

◆午前5時前起床.朝焼けとともに朝日がぎらぎら昇ってきた.今朝の最低気温は3.7度.青空がすかっと広がる朝は空気がひんやりしていた.

[蒐書日誌]「ムネーメ」理論ふたたび —— Richard W. Semon『Die Mneme als erhaltendes Prinzip im Wechsel des organischen Geschehens』(1904年刊行,W. Engelmann, Leipzig → Internet Archive [1920, fifth edition]).カール・G・ユングの『赤の書』やかの『ヴォイニッチ写本』は,図像そのものが直接的衝撃力をもつので身構える余裕がある.一方,いま読んでいるアビ・ヴァールブルクの『ムネモシュネ・アトラス』は,複数の図像群の ars combinatoria で仕掛けてくるので“側面攻撃”のダメージが大きい.先日,慶應の高桑さんとも話をしたのだが,リヒアルト・ゼーモンの「ムネーメ(記憶)理論」がヴァールブルクにどのような影響を与えたのかについては,伝記作者のエルンスト・ゴンプリッチ以来の解釈が現在まで踏襲されているらしい.ゼーモンは現在では「ミーム論」のルーツとしての「ムネーメ論」の提唱者として知られている.たとえば,ディヴィッド・ハルは,「ミーム(meme)論」が必ずしもリチャード・ドーキンスに帰せられる必要はないという立場から,次のように述べている:

「ドーキンスの本[『利己的な遺伝子』R. Dawkins 1976]は,新しい用語[「ミーム」]を作り,この進化のユニットに名前を付けた.しかし,選択過程としてのミーム論の概念的・文化的変化の研究は,ドーキンス以前にさかのぼる.たとえば,1904年にリヒャルト・ゼーモン(Richard Semon)は『ムネーメ —— 有機的出来事の変遷過程で保持される原理 —— (Die Mneme als erhaltendes Prinzip im Wechsel des organischen Geschehens)』という本を出版している.この本の英訳は,1914年に,『ムネーメ』というタイトルで出されている.なぜミーム論(ムネーメ論)の始まりを1904年または1914年としないのだろうか? ただし,もしこれらの2冊の出版が,ミーム論のはじまりとされていたなら,ミーム論は,アンジェの主張より,さらにずっと進歩を遂げていないものとみなされていただろう.ほとんど100年近くもの間,概念的,経験的な進歩を遂げていなかったことになるのだ!」(「ミーム論をまじめに取り扱う —— ミーム論はわれらが作る ——」 所収:ロバート・アンジェ編[佐倉統他訳]『ダーウィン文化論:科学としてのミーム』2004, 産業図書,東京,p. 59)

20世紀はじめのゼーモンはアウグスト・ヴァイスマンら正統派メンデル遺伝学と対立する異端として広く知られていた.アーサー・ケストラー『サンバガエルの謎』の主人公である遺伝学者パウル・カンメラーの親友であり,ともにネオ・ラマルキストとしての信念を掲げた.最期はふたりとも自殺したのだが,カンメラーの場合は研究上の行き詰まりが理由だったのに対し,ゼーモンの場合は離婚問題が理由だったという.ゼーモンの学問的ルーツは,イエナ大学のエルンスト・ヘッケルのもとで学んだ動物学にあった.彼は,終生ヘッケルに同調し,ムネーメ理論はヘッケル最晩年の著書『Kristalseelen(結晶の魂)』への支持でもあった.ヴァールブルクがゼーモンのムネーメ理論から影響を受けたとするなら,どこかしらで良くも悪くもネオ・ラマルキズムのフレーバーが残っているはず.このとき「情念定型」がキーワードになる.高桑さんのご教示によれば,ゼーモンの本書はイタリアの『Aut-aut』誌のヴァールブルク特集号(Vol. 199/200, 1984年)で抄訳されているとのこと.

—— こんなことやあんなことをつらつらとつなぎあわせつつ“電話帳”のページをめくっていると,しだいに取り憑かれて疲弊する.『ムネモシュネ・アトラス』こわいよ状態.

◆[欹耳袋]長年の盟友 F. James Rohlf が Robert R. Sokal の逝去を悼む長いメッセージを北アメリカ分類学会のメーリングリスト(Class-L)に投稿した:「Robert R. Sokal (1926 - 2012)」(2012年4月15日).

◆今日は朝のうちは晴れていたが,午後はしだいに薄曇りになった.午後の最高気温は16.1度だったが,吹く風はどことなく肌寒かった.春の陽気が影を潜める日.夕餉はタケノコご飯をつくろう.炊き込む具は筍と油揚げのみ.ついでに長ネギと姫皮の味噌汁も.

◆本日の総歩数=6134歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.3kg) / 28.9%(+0.3%)


15 april 2012(日)※やっと何もない日曜に安らぐ

◆午前5時過ぎ起床.日の出.雲ひとつない快晴は昨日の雨空とは大違い.日によってくるくる変わる空模様に翻弄される.明け方は2.9度まで冷え込んだが,予報では日中は20度超の春らしい陽気が戻ってくるらしい.昨日は厚着してしまったが,今日はそんなに着こまなくても大丈夫そう.

◆[欹耳袋]ジェイムズ・ジョイス関連資料の公開 —— IrishCentral「Ireland’s National Library publish James Joyce manuscripts online amid copyright dispute」(2012年4月14日)アイルランド国立図書館のページは:The Joyce Papers 2002, c.1903-1928. /つくば学園都市オーケストラが9月23日(日)の第50会記念定期演奏会で,リヒアルト・シュトラウスの交響詩〈アルプス交響曲〉をやるらしい.ノバホールにて.

◆ぽかぽかと晴れたお昼は研究学園のケーズ電気でお買い物.正午の気温は13度を少し越える程度だが,風もなく日差しが暖かいので昨日とは大違い.つくばでも新緑が鮮やかさを増してきた.昼下りは,薄曇りの観音台なう.昨日の雨で農林団地の桜はほぼ散ってしまったようだ.それでも夕刻の花見客は意外に多い.午後4時の気温は12.0度.しばしごそごそしてから撤収する.午後5時前,ちょちょいと┣┣" を突っついたところで,本日は撤収〜.夕暮れタイム.北東風がやや冷たく感じられる時間になった.筑波大学あたりではいたるところでお花見グループが店開きしているらしい.今シーズンは今日で見納めだろうしねえ.

◆[欹耳袋]ワイリー・サイエンス・カフェ「Googleが学術雑誌のインパクト指標を提供開始(Significance Magazineから)」(2012年4月10日).

◆桜吹雪の舞う夕餉に,秋田清酒〈刈穂〉の「あらばしり」を開栓.総槽掛け搾り生酒のうすにごり純米酒.とてもクォリティが高くて大満足(しかもリーズナブルなお値段).もちろん四合瓶が空っぽに.今度は一升瓶をデフォルトにしないと〜.

◆[欹耳袋]新しい高校生物教科書の問題点 —— 遺伝学と進化学で「科学史」的な教育がおろそかになるような……:朝日新聞記事「メンデルからDNAへ 生物の教科書、主役交代」(2012年4月15日).この記事は会員限定記事だが,別記事があった:アスパラクラブ・aサロン・科学面にようこそ「メンデル→DNA 主役交代」.先端の「葉」ばっかり教えて,それを支える「幹」を軽視するのは由々しき問題だろう.それでなくても,科学史を軽く見る風潮が広まっているのに,悪くすれば「前」ばかり見て「後」を見ない悪癖をさらに増長させかねない.

◆[蒐書日誌]Robert R. Sokal の逝去と伝記 —— Stefan Schomann『Letzte Zuflucht Schanghai: Die Liebesgeschichte von Robert Reuven Sokal und Julie Chenchu Yang』(2008年刊行, Heyne Verlag, München, ISBN:978-3-453-15260-1 [hbk] / ISBN:978-3-453-64525-7 [pbk] / ISBN:978-3-641-03836-6 [ebook] → 版元ページ著者サイト.※後に出た pbk と ebook のタイトルは『Der große gelbe Fisch: Julie und Robert - Eine Liebesgeschichte aus China』と変更されている).多変量解析法のひとつであるクラスター分析を1950年代に開発し,1960〜70年代にかけて一世を風靡した数量表形学派の創始者だった Robert R. Sokal と夫人の伝記.ユダヤ系の出自をもつ Robert がナチスの侵攻を逃れて,オーストリアから夫人の母国である上海へ亡命したことを柱にまとめられているらしい.上海の得体のしれない魅力は一度でも行けばわかる.Sokal 夫人が中国人であることは前から知っていたが,「Liebesgeschichte」が書かれるほど劇的な人生を送ったとはまったく知らなかった.

著者である Stefan Schomann のサイトには,写真も含めて詳しい書誌情報が載っている.もちろん,即発注した.それにしても,Sokal がつい先日の4月9日に逝去していたことも,こんなまとまった伝記が4年も前に出ていたことも見逃していたとは,あまりにうかつすぎて穴があったら入りたい.また,なんと2010年には中国語版も出ていたとは!:李士勋译『最后的避难地 — 上海:罗伯特·劳伊文·索卡尔和朱丽叶·杨珍珠的爱情故事』(2010年9月刊行,人民文学出版社).

なお,Sokal の名を広めた生物統計学の教科書の15年ぶり改訂版が今年出た:Robert R. Sokal and F. James Rohlf『Biometry, Fourth Edition』(2012年刊行, W. H. Freeman, San Francisco, ISBN:978-0-7167-8604-7 [hbk] → 版元ページ).あわせて,統計数表もアップデートされた:F. James Rohlf and Robert R. Sokal『Statistical Tables, Fourth Edition』(2012年刊行, W. H. Freeman, San Francisco, ISBN:978-1-4292-4031-4 [pbk] → 版元ページ).

Robert Sokal を核とする生物統計学と数量表形学の歴史については,Keith VernonJoel B. Hagen による科学史的考察がすでに発表されている:

  • Keith Vernon 1988. The founding of numerical taxonomy. The British Journal for the History of Science, 21: 143-159.
  • Keith Vernon 2001. A truly taxonomic revolution? Numerical taxonomy 1957-1970. Studies in the History and Philosophy of Biological and Biomedical Sciences, 32: 315-341.
  • Joel B. Hagen 2001. The introduction of computers into systematic research in the United States during the 1960s. Studies in the History and Philosophy of Biological and Biomedical Sciences, 32: 291-314.
  • Joel B. Hagen 2003. The statistical frame of mind in systematic biology from Quantitative Zoology to Biometry. Journal of the History of Biology, 36: 353-384

—— 蒐書アンテナが鈍っていたことに愕然としつつ,今夜はもう寝よう……(orz).

◆本日の総歩数=4065歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.4kg) / 28.6%(−0.3%)


14 april 2012(土)※朝からずっと春雨が降り続く

◆午前5時過ぎ起床.雨.朝から雨がざあざあ降り続き,おまけに北風が吹き込んでいて,傘なんか役に立たないだろうなと想像しつつ,引き籠って『ムネモシュネ・アトラス』を読み進む土曜の午前.

◆[蒐書日誌]妖怪とヒトの「monstrosity」をめぐる対談 —— 慶應義塾大学教養研究センター・鈴木晃仁(編)/小松和彦・上野直人(著)『【対話】異形』(2011年10月31日刊行,慶應義塾大学出版会[極東証券寄附公開講座・生命の教養学VII],東京,ii+261 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-7664-1894-1 → 目次版元ページ).前回の〈生命の教養学〉講座の単行本化.きのう日吉でいただきました.この叢書としては構成が異色で,文化人類学者・小松和彦と発生生物学者・上野直人の「対談」を軸としてまとめられた一冊.妖怪とヒトの「monstrosity」が全編を貫くキーワードだ.

◆正午の気温は10.2度.春の陽気だった昨日とは大違い.今朝,ツイッターで竹園〈翁屋〉の柏餅が「本日半額!」とのアナウンスが流されたので,横殴りの雨にもめげずに買いに走った.北風が強くて傘をもっていかれそうになった.それでもめげずに半額の柏餅をしっかりゲット.こし餡とみそ餡が二つずつと草餅がひとつ.桜餅の次は柏餅だ.

◆[欹耳袋]東京新聞記事「<はたらく>職にあぶれる若手研究者 大学院重点化策の「余波」(2012年4月13日)./shorebird 進化心理学中心の書評など「日本生物地理学会参加日誌2012」(2012年4月14日)※どもども./論文盗用チェック:J-STAGE「CrossCheckについて」.そのまま引用すると:「CrossCheckは、iParadigms社のiThenticateをベースにCrossRefが提供している剽窃検知ツールです。 剽窃、盗用などが疑われる論文をツールにかけると、DBやWeb上の文書とテキストパターンマッチングを行って、類似率が高い文書のレポートを返してくれます。」

◆[蒐書日誌]神田善伸『EZRでやさしく学ぶ統計学:EBMの実践から臨床研究まで』(2012年4月刊行,中外医学社,東京,本体価格4,600円,ISBN:978-4-498-10900-1 → 版元ページ).本書で使われている〈EZR〉はRコマンダーを医学統計学向けに改良したバージョンとのこと:「フリー統計ソフト EZR on Rコマンダー」.Rコマンダーのプラグインなのかな.

◆夕方になっても雨足は強いままだ.今日の日中の最高気温は11度にも達しなかった.夕餉に,奈良の蔵元〈梅乃宿〉の季節限定「露」を開栓.純米吟醸の無濾過袋しぼり生原酒.アルコール度数は17〜18度とやや高めだが,春霞のようにおりがたなびいてとってもグッド.胡麻豆腐と和風ローストビーフ丼とともに.午後9時を過ぎてやっと雨が上がったようだ.

◆関東平野大縦断作戦 —— 来月5月26日(土)〜27日(日)の農大昆研新歓合宿の通知が届いた.伊豆の修善寺からさらに奥まったところにある〈船原館〉を貸し切るらしい.参加すると返事したのだが,この日は午後まで立川の統数研で計量生物学会学会大会の一般セッション座長のお勤めが午後3時半まである.乗り継いで直行しても,修善寺に着くのは午後7時近くになる予定.すでにカオス状態になっているんじゃないかとやや不安…….

◆本日の総歩数=3788歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.1kg(−0.4kg) / 28.9%(+0.8%)


13 april 2012(金)※新緑の日吉から雨降る経堂へ

◆午前5時過ぎ起床.今日は朝から出撃,帰りは夜になる.天気予報では空模様は下り坂,夜には雨になるらしい.

◆来るべき┣┣" どものメモクリップ —— 来週4月19日(木)にはRP設計検討会がある.提出資料を週明けにつくるのを忘れないように./筑波地本のメーデー前夜祭は4月26日(木)17:20〜19:00@中央農研大会議室./農環研分会職場委員会は4月25日(水)だが東大の専攻教員会議があるので欠席と返事した./講義用Win PCには R-2.15.0 をインストールしておこうかな.MacBook Air に入れるのはもっと枯れるまで待つことにする.

◆まずは日吉にてお座敷を —— 刷毛で掃いたような雲が上空にたなびく.春ではなく秋のような空の表情.9:25発のTX快速に乗る.これから都内を貫通して日吉へ.日吉キャンパスの向こう側の矢上キャンパスには学会などで何度か行く機会があったが,日吉に用事で行くのはいったい何年ぶりのことだろうか.大学院生かオーバードクターのころか,生態学勉強会を日吉キャンパスの岸由二さんの研究室で一度開いたことがあった.ひょっとしたらそのとき以来のことかもしれない.紅茶に蜂蜜を垂らすスタイルをそのとき初めて知った.花曇りの空の下,散り始めた桜が車窓から見えた.11時半に日吉駅到着.日吉駅ではまちがって地下鉄の乗り換え口に向かってしまい,あわてて地上に逆戻り.講義前の打合せは正午からなので,駅前のスタバでしばし潜伏.

◆慶應義塾大学・極東証券寄附公開講座 —— 正午前に日吉キャンパスに入る.桜のシーズンはもう終わり,早くも新緑が萠える構内はたくさんの学生が行き交う.正面奥の〈来往舎〉に向かう.巨大な玄関ホールはオープンスペースになっているらしく,昼休みの学生にとって格好の集合場所になっているようだった.ワタクシの行き先は一階奥にある教養研究センター事務室.担当の高桑和巳さんそして赤江雄一 さんとともに昼食.いろいろ説明を受ける.ワタクシの講義が今回のシリーズ「成長」の初回なので責任重大.

今回の日吉行きは慶應義塾大学・極東証券寄附公開講座〈生命の教養学〉のスポット講義:三中信宏「成長と進化思考」,13:00〜14:30,慶応義塾大学日吉キャンパス・来往舎シンポジウムホール.今日の高座に上げるのは十八番ネタ.昼食後,シンポジウムホールにてセッティング作業.縦長の部屋なので,正面と側面の二箇所のプロジェクターを使うことにする.そうこうするうちに受講生たちが集まり始めた.午後1時定刻に講義開始.きっちり一時間トークして,その後はレポートを書きながらの質疑時間.学部や専攻を問わない全学講座なので,実にさまざまな質問が出てとても楽しかった.受講生たちが提出したレポートのコピーをいただいて,本日最初のお勤めは無事に終わった.どうもありがとうございました.

—— この〈生命の教養学〉講座は慶應義塾大学出版会から単行本として出ることがすでに決まっている.今日の講義もすべて録音され,あとで文字化された原稿が届くとのことだ.

◆曇り空の日吉から小雨の経堂への転戦 —— 午後3時過ぎに日吉キャンパスをあとにする.日吉駅からは東横線→京王井の頭線→小田急線と乗り継いで,経堂まで辿り着いたのは午後4時すぎ.曇り空でやや蒸し暑い.駅前の〈いまあじゅ〉にて珈琲充.半年ぶりに農大通りを下る.店の入れ替わりがかなりあるようだ.三河屋酒店は改装するのかそれとも廃業か.東京農大世田谷キャンパスを通り抜けてグリーンアカデミーホールに到着したのは午後5時過ぎだった.桜丘の桜並木もすでに葉桜に変貌しつつあった.つくばよりも季節の進み方が有意に早い.最初の仕事は三階会議室にて生物応用化学科の教員懇談会を小一時間.その後,一階のホールにて懇親会.午後7時半に終了後,外に出たら予報通り雨が降り始めていた.経堂まで歩いて戻りつくばへ.午後10時前に帰還.今日は港北から世田谷あたりまでよく移動しよく歩いた.

農大の世田谷キャンパスの中に巨大な新館校舎が完成していた.以前,ものすごく古い平屋の校舎があった場所だ.何に使うのかと思ったのだが,今年度から新しい講義棟として使われるということを教員懇談会で知った.旧一号館はもう使用せず,全面的にこの新校舎に移行するらしい.実に私立大学らしい思い切りのよさ(と財力)に感服した.

◆[欹耳袋]近刊『文化系統学への招待』のカバージャケット案が着弾した.系統樹の図柄があった方がいいなあとコメントする.どの系統樹図像を使うことにしようかな.できればヴィジュアルなアピール度の高い方がいいんだけど.線画だったらやっぱりライムンドゥス・ルルスの arbor scientiae か.

◆本日の総歩数=13984歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.1kg) / 28.1%(+0.1%)


12 april 2012(木)※桜が舞う観音台は夏日が間近

◆午前5時前起床.昨日の雨を降らせた低気圧は東海上に抜けて,日の出タイム.今日はすっきり爽快に晴れ上がりそうだ.予報によると今日の最高気温は20度を越えるらしい.

◆[蒐書日誌]系統樹曼荼羅新刊 —— Theodore W. Pietsch『Trees of Life: A Visual History of Evolution』(2012年4月刊行,The Johns Hopkins University Press, Baltimore, xi+384 pp., ISBN:9781421404790 [hbk] → 版元ページ著者サイト).新刊.もちろん速攻で発注完了.カラー図版はそんなに多くはなさそう.著者は深海魚の研究者とのこと.ほぼ同時にパリで刊行された Georges Cuvier の科学史本もおもしろそう:Theodore W. Pietsch (ed.)『Cuvier's History of the Natural Sciences: Twenty-four Lessons from Antiquity to the Renaissance』(2012年3月刊行,Muséum national d'Histoire naturelle, Paris, 718 pp., ISBN:978-2-85653-684-1 → 版元ページ).

◆よく晴れた午前の┣┣" 撃ち —— 明日の日吉での高座のスライド修正だん:三中信宏「成長と進化思考」,慶應義塾大学教養研究センター講座〈生命の教養学〉,2012年4月13日(金)13:00〜14:30,日吉キャンパス・来往舎./東京農大生物応用化学科の「実験データー解析概論」はほんとうは明日13日(金)が初回なのだが,日吉高座とぶつかったので,来週20日(金)が初回になる.例年通り生物統計学概論とともに講義全体のガイダンスをする予定.高座三点セットの用意をそろそろしないといけないな.

◆[欹耳袋]昨日の領域会議で配布された一般公開駐禁マップが「信じられないほどみごと」なエクセルの「神業」で描画されていた.セルの寸法変更と彩色操作そして罫線記入「のみ」で地図を描き出す.このような「神業」が事務系ワールドで伝承されているかぎり,エクセルやワードがなくなるはずがない.霞が関ではさらに鍛えぬかれた一太郎ワザがあるにちがいない.おそるべしおそるべし.下々の者ならば「イラストレーターでちゃちゃっと描いた方がもっともっと効率的にできるのに」と思うのだが,そういう常識を超えたところに「神」は実在する.事務文書の書式・様式に関する「神業」は「なかのひと」だけにとどめておけばいいものを,「そとのひと」にも等しくその神スキルを要求するのでそのたびに災厄が降ってくる.

◆ほぼ夏日の陽気になる —— 昼休みの観音台は心地よく晴れ上がり,気温もぐんぐん上昇.正午には23.5度まで上がってはや初夏の陽気が感じられる.昨夜の風雨にもちこたえた農林団地の桜並木はときおり花びらが舞い,早くも桜吹雪の前哨戦の趣だ.花見をするなら今週が最後かな.農環研構内の桜の木の下では,事務軍団のお花見ランチ会が大きく店開き.傍から見ても気持ちよさそうだった.農環研の周囲をぐるりとひとまわりする歩き読みのお供は:新井文彦『きのこの話』(2012年3月10日刊行,筑摩書房[ちくまプリマー新書・176],東京,191 pp., 本体価格980円, ISBN:978-4-480-68877-4 → 版元ページ|著者サイト〈浮雲倶楽部〉|ほぼ日刊イトイ新聞連載〈きのこの話〉).読了.

◆[欹耳袋]翻訳は孤独な苦行であること —— よほどの滅私的意義でもないかぎり「翻訳」にはいっさい手を出さない方が身のためだとつねづね考えている.手間はかかる・誤訳は叩かれる・業績にはならないの三点セットで責め立てられても「やる」には相当の覚悟が必要だ.もし翻訳を手がけることになったならば,できるだけ少人数(可能ならひとり)で全部やり遂げるのが結局は作業がラクになる.逆に言えば,大人数での分担翻訳はサイアク.手分けしたからといってラクなわけではない.確かに,大人数での分担翻訳は「日本語文」を手っ取り早くかき集めるという点では時間が節約できるかもしれない.しかし,そういう「日本語文」を翻訳書にまで仕立てあげるのはドロ沼の作業になる.大人数による「翻訳文」の断片を統一的に仕立てあげるのは「監訳者」なるポジションにいる人に期待されている役割にちがいない.しかし,監訳者がどれほど実質的な監訳作業を手がけるかどうかはケースバイケース.お飾りだけの監訳者ではないというのであれば,監訳者自身が一から全部を翻訳し直すくらいの覚悟がないとその役割は全うできないはず.たとえば勉強会などで分担翻訳した本を商業出版するために監訳者を立てて版元と交渉するもくろみがあるとき,まずまちがいなくその監訳者は「一から訳し直し」のリスクを背負い込むことになると思われる.また,そうしないとちゃんとした翻訳書にはならないだろう.だから,気軽に「監訳者」を頼んだり引き受けたりするのはやめた方が身のためだろう.同様に,「翻訳原稿があるんだけどちょっと読んでみてくれないか」というさりげない依頼も要注意.地獄に落ちるかもしれないから(体験済み).

—— 翻訳の苦界には,自分ひとりで歩み入り,ひとりで石を積み上げ,そしてひとりで現世に戻ってくるのが理想.たくさんの人を巻き添えにしてはいけない.

◆午後の┣┣" 撃ちは高座の支度 —— 東京農大での半年間の生物統計学講義に使う「三点セット」はすべて準備完了.あとは講義前の調整を残すのみ.戸外の最高気温は午後2時過ぎの24.2度だったが,西日がさんさんと差し込む居室は午後5時前に25.5度の夏日になった.今日は気温は高かったが,北から乾いた風が吹いてとても爽快だった.初夏までの快適さはその後に続く梅雨時の不快さと落差が大きすぎる.今日は午後5時過ぎにさくっと撤収した.

◆今夜は平和に安眠できそうだ.

◆本日の総歩数=10033歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=93.4kg(0.0kg) / 28.0%(−0.3%)


11 april 2012(水)※雨ニモマケズ,風ニモマケズ

◆午前4時半起床.曇り空から雨がぽつぽつ降りだした.今日は終日ぐずついた空模様らしい.観音台での低調な朝の時間が過ぎていく.

◆ここのところ,アビ・ヴァールブルク[伊藤博明・加藤哲弘・田中純(訳・解説)]『ムネモシュネ・アトラス』(2012年3月30日刊行,ありな書房[ヴァールブルク著作集・別巻1],東京,765 pp., 本体価格24,000円, ISBN:978-4-7566-1222-9 → 版元ドットコム)を持ち歩いているせいか,ショルダーバッグをかける肩が凝ってしかたがない…….しかし“公務災害”とはとても言えないのでじっとガマンする.エルンスト・カッシーラー曰く:「二度とここへは近寄りません.この迷路にもう一度入りこんだら,道に迷って二度と出てこられなくなってしまいます」.うわぁ〜.図書と図像が重なって見えてしまう.

◆[欹耳袋]シンポジウム〈アビ・ヴァールブルクの宇宙 MVNDVS WARBVRGIANVS:『ムネモシュネ・アトラス』をめぐって〉 —— 2012年6月30日(土)14:00〜18:00,東京大学駒場キャンパス学際共通ホール(アドミニストレーション棟3F).演題は下記の通り:

  • 「ペルセウスの行方――スキファノイア宮からアトラスへ」 伊藤博明(埼玉大)
  • 「動的生のなかの古代――パネル34をめぐって」 加藤哲弘(関西学院大)
  • 「『ムネモシュネ・アトラス』の通時態と共時態」 田中純(東京大)
  •  コメンテーター:足達薫(弘前大)・上村清雄(千葉大)・木村三郎(日本大)・三中信宏(農業環境技術研究所)

◆雨降る昼下りの観音台にて —— しとしと雨が降り続いている.午後1時半から領域会議.半時間ほどでさくっと終了.独法四法人の統合作業が具体化してきた.

◆日吉へ向かうしたく —— 今週金曜のお座敷:慶應義塾大学教養研究センター講座〈生命の教養学:成長〉での講義:「成長と進化思考」,13:00〜14:30,慶応義塾大学日吉キャンパス.※12:00に日吉キャンパス「来往舎」.この仕度はちゃんとしておかないといけない.ハンドアウトとして進化学会ニュースの連載記事:「智慧の樹(1)」と「智慧の樹(2)」のpdfなどを事務局に送信する.プレゼン用スライドの準備はいつもどおり.70枚あまりのスライドを編集完了.ちょっとは調子が出てきたか.

◆夜になって雨は本降りに.本日の最高気温は17.3度だった.明日は低気圧が通り過ぎて20度超の暖かさが戻ってくるとの予報.

◆本日の総歩数=2392歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=未計測/未計測


10 april 2012(火)※青空と桜と菜の花の三役揃う

◆午前5時前に起床.ほのかな朝焼けが始まっている.今日も晴れて暖かくなるのだろう.久しぶりのバス通勤の朝.ここ何ヶ月かバスを利用していなかったので,関東鉄道バスのサイトを確認したところ,つくばセンターから農林団地中央を経由して牛久に行くバスの本数がいつの間にかさらに減ってしまい,朝晩たった一便だけになってしまった.関鉄バスの本数がこんなに減ってこりゃ困ったことになったと思ったのだが,逆に「つくバス」の南部シャトルはとても便利になった.つくばセンター発の農林団地中央行きは朝は30分置きに出ている.しかも,農林団地中央発の逆方向バスが夜9時半過ぎまで出ているのはうれしい.TXみどりのから出ている農林団地中央行きの循環バスが必ずしも便利ではないことを考えれば(しかも土日運休),農林団地の “孤島化” を救っているのはいまや「つくバス」しかないということか.八重洲口からの高速バス「つくばね号」がなくなった当初は,農林団地チベット化がいっそう進むかと思ったのだが,毛細血管のように路線バスが伸びてきたのはありがたい.

◆昨日は日中24度近くまで気温が上がり,農林団地構内の桜並木は満開を迎えている.青空のもと,桜と菜の花が織りなすツートンカラーはこの時期だけの風物詩.農林団地の桜並木は茨城県南部でも屈指のお花見場所で,今年も遠方から花見客が大勢集まり,構内は大渋滞となっている.昨日もそうだったが,今日も同じだろう.昼休みの観音台.さんさんと春の日差しが降り注ぎ,気温は18.2度まで上がった.農林団地の桜並木は花見客と車が入り乱れて,まさに今年のクライマックス.さ,午後は金曜のお座敷のしたくをしよう.

◆新学期だからということで,方々の出講先大学から分厚い「便覧」類が「紙」でどさどさ届くのだが,単に積み上がるだけで処理に困る.学生ではないので「紙」のシラバスは降ってこないのは幸い./分会職場委員の配布物配送作業┣┣" が分会ボックスでにやにやしていた.この「紙」類もなんとかしてほしいなあ.組合の辞書に「電子化」ということばはない./『分類思考の世界』のカモノハシと妖怪の節が,大阪のある私大の現代国語入試問題として出題されたとの連絡あり.受験生のみなさん,ヘンな文章でごめんなさいごめんなさい./文化系統学曼荼羅のほぼ完成版は「森」の入り口に貼ってあります.剥がしたりラクガキすると祟るぞ〜(うわん)./領域会議は4月11日(水)13:30〜./『生物科学』編集会議は4月14日(土)15:00〜17:00,立教大学.

◆本日の総歩数=11755歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.4kg(−0.5kg) / 28.3%(−0.5%)


9 april 2012(月)※夏日の農林団地はお花見日和

◆午前4時半起床.晴れ.最低気温は2.6度とやや冷え込んでいる.しかし,寒かった昨日とは一転して,日中は20度超の暖かさになるという予報.朝から暖かな週明けの居室には┣┣" どもが犇めいていて,平日に復帰したことを強く実感する.しかし,朝から暖かいせいか,┣┣" どもの落ち着きがなくって収拾がつかない.

◆[蒐書日誌]本日着便 —— Panmixia(昆虫分類学若手懇談会会報), no. 17, 2012年3月30日発行.特集「和名問題を考える」.久しぶりに Panmixia が出たか.をを,越中の殿さまがお元気そうで何よりだ.目次:細谷忠嗣「古くて新しい和名問題:これまでの流れ〜イントロとして〜」pp. 1-10./野村周平「和名についての考え方」pp. 11-18./鈴木邦雄「階層的和名体系の構築」pp. 19-36./瀬能宏「魚類における標準和名の考え方と日本魚類学会の取り組み」pp. 37-44./苅部治紀「和名問題を考えるーどうやって解決すればよいのか?:日本トンボ学会における試行ー」pp. 45-49.※昆虫学会大会にまったく行かなくなってからというもの,昆虫分類学若手懇談会とも縁が遠くなってしまった…….滞納している会費を払わないと(すまん).

◆お昼休み,ただいまの気温は20.5度.よく晴れて風もなくぽかぽかと暖かい観音台は,予報通り「農林団地お花見渋滞注意報」発令中.車で来るとちょっとたいへんかも.そういえば,鼻ぐすぐすの程度が軽くなってきた気がするが,今年の「ふんが〜」の季節は過ぎにけりなんだろうか.

◆[蒐書日誌]戸田山和久・美濃正・出口康夫(編)『これが応用哲学だ!』(2012年4月近刊,大隅書店,大津, ISBN:978-4-905328-03-2 → 版元ページ

◆[欹耳袋]今年の東京農大・昆研の「怒涛の新歓合宿」は来月末に伊豆でやるそうだ.もうすぐ発行される昆研OB会ニュースに詳しい新歓合宿情報が載るだろう.聞くところでは過去最大規模の巨大研究室に成長しているらしい.四年が30人,三年が30人,二年が数名,ここまではいいとして新一年生が実に十名もやってくるというから,他大学なら“学科”あるいは“学部”規模に相当する.学生全員が在室したら文字通り「立錐の余地もない」とのこと.げにおそるべきは農大昆研なり.新歓合宿は全館貸切にしないとダメだろうな.持ち込み日本酒の本数もよく考えないとすぐ空っぽになってしまう(教員もよく飲むし……).

◆[分類思考/系統樹思考]たぬき日乗「「哲学」ってなんですか?=学際って難しいな…」(2012年4月9日).※Systematicsの業界では科学と哲学の境界線はあってなきが如し.

◆ざわめく┣┣" どもを片っ端から叩く昼下り.そろそろ大団円を迎えるにちがいない『文化系統学への招待』の索引チェックと返答あまた.次いで,年度はじめのメーリングリスト登録作業┣┣" 多数を征伐する.午後4時過ぎに最高気温23.6度まで上がった.夏日はもうすぐじゃないか.さらに,年度はじめの回覧物やら決済書類をばさばさ切り捨て,分会職場委員(今月から半年間)という新規┣┣" と付き合い,各大学から送られてくる新年度の便覧をうず高く積み上げてみる.便覧ってちゃんと読まれてるの? —— そんなこんなで一瞬だけ未処理メール箱が空っぽになり,心の中で拍手をしてみる.

◆きのこづくし —— 新井文彦『きのこの話』(2012年3月10日刊行,筑摩書房[ちくまプリマー新書・176],東京,191 pp., 本体価格980円, ISBN:978-4-480-68877-4 → 版元ページ|著者サイト〈浮雲倶楽部〉|ほぼ日刊イトイ新聞連載〈きのこの話〉).菌類や変形菌のカラー生態写真集.きのこそのものの写真というよりも,背景の生息環境全体を切り取っていてとても印象的だ.こんなにきれいに撮ってもらえたなら毒キノコだって大喜びにちがいない.極私的にはクラゲを見るよりもキノコを眺める方が心やすらぐ.南方熊楠の菌類画集:萩原博光解説/ワタリウム美術館編集『南方熊楠 菌類図譜』(2007年9月25日刊行, 新潮社, ISBN:978-4-10-305551-8 → 目次版元ページ)や Beatrix Potter のキノコ画集:Eileen Jay, Mary Noble, Anne Stevenson Hobbs『A Victorian Naturalist: Beatrix Potter's Drawings from the Armitt Collection』(1992年刊行,Frederick Warne & Co., 192 pp., ISBN:0-7232-3990-8 → 書評目次)を思い出す.

—— こういう「きのこ本」が近年よく出版されるところをみると,きっと定着した読者層があるにちがいない.

◆農林団地のお花見渋滞に,これからの帰宅渋滞が重なると身動きが取れなくなるので,早々に撤収するしかないな.この分だと夜桜見物の客もやってくるにちがいない.

◆本日の総歩数=3577歩. 朝○|昼△|夜○. 計測値(前回比)=93.9kg(+0.7kg) / 28.8%(+0.6%)


8 april 2012(日)※池袋で北風に吹かれる学会日

◆当然の結末として,うう…….それでも午前8時前に朝食をすませ,チェックアウトして,池袋に向かう.学会会場では今日の講演準備をしないといけないし(汗).外はよく晴れて北風が吹いている.今の気温は8.4度.やはり寒いのか.

◆生物地理学会大会(二日目) —— 昨日は立教大学の新入生ガイダンスとサークル勧誘で賑やかなキャンパスだった.しかし,日曜は教会の中から奏楽が聞こえるのみ.人気もなく満開の桜だけが北風に吹かれていた.会場へ直行.午前中は一般講演.午後は一般講演ののち,生物地理学会大会シンポジウム〈生命とは何か?〉がある.白昼いきなり「種(species)」が跳梁跋扈して,早くもドロ沼の様相が…….

直前までじたばた用意していた導入トーク:三中信宏「趣旨説明:「生命・生物・いのち」のはざまで考える意義」をさらりとすませたので,あとはシンポジウム司会業に専念することにしよう.最初のメイントークは:久保田信「不老不死! ベニクラゲ(刺胞動物門,ヒドロ虫綱)」.自作の〈ベニクラゲ音頭〉を本人が三番まで絶唱する会場.「♪ 〜もうダメだと思ったら,ポリプに戻って1,2,3〜♪」.海産生物学者はなぜ歌いたがるのだろうか,という根本的疑問が浮上する.

二番目のメイントークは:金子邦彦「「生命とは何か」 —— 複雑系生命科学へ」.ベニクラゲ音頭の直後にフクザツ系の噺を聴く.この落差はすさまじすぎる.たまたま地球上で進化した生物に縛られたくない「普遍生物学」を目指すのが複雑系生命科学の目標で,「〜ome」みたいな複雑生物学ではない.細胞の構成モデルを中心にして話は進む.表現型ゆらぎと応答との関係をアインシュタインの線形応答理論で調べる.この線形応答理論はフィッシャーの自然淘汰の基本定理と関係がある.表現型のゆらぎと遺伝子型のゆらぎが互いに安定化するという結論は,C. H. ウォディントンの「遺伝的同化」のゆらぎ版といえる.発生生物学に目を向けると,epigenetic landscape を力学系として理解することが可能だ(Huang 2006 BioEssays; Nature).力学系として細胞分化を理解することにより,landscape の意味を理解することができる.また,遺伝子調節ネットワーク+細胞間相互作用のモデル化を通じて,幹細胞と分化細胞との関係を力学系の観点から解明する.

—— どう考えても何らかの「総括」ができるような性質のテーマではなかったことは確かだ.

◆[蒐書日誌]Kunihiko Kaneko『Life: An Introduction to Complex Systems Biology』(2006年刊行,Springer-Verlag[Series: Understanding Complex Systems], Berlin, xiv+371 pp., ISBN:978-3-540-32666-3 [hbk] → 版元ページ).日本語本の英訳かな./中村司『渡り鳥の世界:渡りの科学入門』(2012年1月31日刊行,山梨日日新聞社[山日ライブラリー],甲府,200 pp., ISBN:978-4-89710-726-4).本日,大会会場にて著者からいただきました.感謝.

◆午後6時前,予定よりも一時間遅れでやっと大会が終わり池袋駅に向かう.寄り道せずにつくばっくだ.

◆本日の総歩数=7058歩. 朝△|昼○|夜○. 計測値(前回比)=未計測 / 未計測


7 april 2012(土)※はなやぐ立教大学は桜が満開

◆午前4時前に起床し,夜明け前の観音台に直行する.西の空低く黄土色の満月が幻燈のように浮かんでいた.明け方の最低気温は氷点下0.7度まで下がっただが,いまは氷点ちょい上.今日から池袋で生物地理学会大会があるので,その仕度でじたばたしている.BGMのヤナーチェク〈グラゴル・ミサ〉に揺さぶられつつ,じたばたする.午前5時半,〈グラゴル・ミサ〉が終わった.ワタクシは姿を消すことにしよう.撤収〜.

◆生物地理学会大会(初日) —— 今日は桜咲く立教大学キャンパスへ.9:25発のTX快速で都内へ出撃する.乾いた晴天が広がり,冷たい北風が吹きつけて,冬のような顔つきの空だった.北千住から西日暮里を経由して午前10時半に池袋到着.都内はすでに桜が満開で,メトロポリタン広場から立教大学への途中の公園では,すでにお花見場所取りのシートが店開きしていた.今日は気温が低いので外で花見をするのはつらいかもしれない.生物地理学会大会の会場である立教大学キャンパスに到着.よく晴れて北風は冷たいが,こじんまりしたキャンパスは桜が満開だった.今日は新入生のサークル勧誘らしく,学生たちが大勢集まって賑やかだった.午前中は生物地理学会評議員会(11:00〜12:00)があり,午後は一般講演,その後にミニ・シンポジウムと総会がある.

午後6時の大会終了後は,毎年のごとく大学近くの博多もつ鍋屋にて懇親会.ビール飲み過ぎ.その後,JR大塚駅前のホテルにチェックインして大会初日はおしまい.

◆[蒐書日誌]つくば着弾です! —— アビ・ヴァールブルク[伊藤博明・加藤哲弘・田中純(訳・解説)]『ムネモシュネ・アトラス』(2012年3月30日刊行,ありな書房[ヴァールブルク著作集・別巻1],東京,765 pp., 本体価格24,000円, ISBN:978-4-7566-1222-9 → 版元ドットコム内容紹介 [pdf]).池袋に出る直前,巨大な本がつくばに届いていた.グッドタイミングだったので,大会期間中ずっと持ち歩いてはひもとく.広く深く流れゆく図像群の奔流.読もうとするとずるずると溺れそうな感覚.本書の前にまずは:田中純『アビ・ヴァールブルク:記憶の迷宮』(2001年10月30日刊行,青土社,東京,397 pp.,ISBN:4-7917-5918-4 → 版元ページ)から始めるか.それとも:Alberto Manguel『The Library at Night』(2008年3月17日刊行,Yale University Press,New Haven,viii+376 pp.,ISBN:978-0-300-13914-3 [hbk] → 書評目次版元ページ[翻訳:アルベルト・マングェル著[野中邦子訳]『図書館:愛書家の楽園』2008年10月10日刊行,白水社,302+38 pp.,本体価格3,400円,ISBN:978-4-560-02637-3 → 版元ページ])のヴァールブルクの章が先か.

—— 本書の書評は『図書新聞』に寄稿予定.ゴールデンウィーク前に書評原稿を書くことになっているのだが,できるのか?>ワタクシ.

◆本日の総歩数=12628歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.3kg) / 28.2%(+0.1%)


6 april 2012(金)※久しぶりに常磐道を北上する

◆午前5時過ぎ.曇り空.本日,特別ミッションにつき朝から夕方まで水戸に実在する予定.午前7時半につくばを出発.久しぶりに常磐道を北上する.水戸インターで下車して国道50号をさらに走って目的地へ.よく晴れていた日差しが降り注ぐ.よき日である.昼頃に前線が通過して通り雨,その後,冷たい北風が吹いてきた.気温は急降下.春の粧ではちときびしかった.午後5時過ぎにつくば帰還.長距離移動は疲れる.

◆[欹耳袋]Blog (Before- & Afterimages)「『ムネモシュネ・アトラス』完成にあたっての感謝」(2012年4月5日)ここ何日か,観音台に出向くことはないが,ひょっとして『ムネモシュネ・アトラス』が主のいない机の上にどーん!と届いているのだろうか.どきどき.ちなみに,『図書新聞』からの本書書評依頼が本日届いた.月末までに原稿を送らないといけないのか.

◆本日の総歩数=10391歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.5kg(+0.4kg) / 28.1%(−0.4%)


5 april 2012(木)※洛南に花見シーズンが到来す

◆午前6時過ぎによろよろ起きる.本日は京都ミッション遂行日なり.午前9時前につくばを出発.正午過ぎ,京都駅にたどり着く.途中,名古屋あたりで雨が降っていたが,京都は晴れ間が広がっているようだ.奈良線に乗り換え,ミッション遂行の最前線に向かう.午後2時,黄檗にて第一ミッション完了.これから宇治橋を渡って第二ミッションに向かう.不穏な曇り空が広がる.宇治市役所にて第二ミッションを事務的にすませる.曇り空からときおり冷たい雨がぱらぱら降るへんな空模様.またまた奈良線に乗って第三のミッションへさらなる転戦だ.午後4時前,六地蔵にて最後のミッションが終わった.西風が吹きつけて,雲間から雨粒と日光が交互に降り注ぐ.桜はいまが見頃の洛南の春.帰ってきた夕方の京都駅は小雨が降り続いている.〈551蓬莱〉の豚まんがずっしり重い.新幹線の窓から見上げると満月がこうこうと輝いていた.午後9時前につくば帰還.

◆本日の総歩数=14386歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=未計測 /未計測


4 april 2012(水)※春台風が通り過ぎ北風が吹く

◆午前5時起床.昨夜の暴風雨は通り過ぎたが,名残りの北風がびゅーびゅー吹き渡る.気温7.7度,風速6メートル.昨夜のクライマックス時は瞬間風速が28メートルもあったことを知った.朝から冷たい北風が吹きわたる観音台は季節を巻き戻して冬の顔になっている.午前8時の気温は8.9度,ときどき風速20メートルの寒風に煽られるのはつらいなあ.午前中は農環研に潜伏し,午後は本郷に出撃する.今日は東大農学部に新入生を迎える日なので穏やかになってほしい.

◆[蒐書日誌]石原あえか(編)『産む身体を描く: ドイツ・イギリスの近代産科医と解剖図』(2012年4月近刊,慶應義塾大学出版会[慶應義塾大学教養研究センター選書・11],東京,ISBN:978-4-7664-1933-7 → 版元ページ).内容は:第1章「イェーナ=ヴァイマル:イェーナ大学附属産院と専属絵画教師 詩人ゲーテとその周辺」(石原あえか)・第2章「ドレスデン:カール・グスタフ・カールス 科学と芸術の融合」(眞岩啓子)・第3章「イギリスからの視座 表象としての「解剖図」」(横山千晶).ドイツのロマン科学派の代表的 Naturphilosoph のひとりだった Carl Gustav Carus の絵は Kassel の美術館で見た記憶がある.いまから十年以上も前のことだ.1999年の Tagebuch Göttingen を確認したら, Carus の絵(風景画だった)を見たのは確かに Kassel にあるグリム兄弟博物館(Brüder Grimm Museum Kassel)だった.Kassel に寄り道したのは Hennig XVIII に参加するため Göttingen に滞在していたときだ.個人的なドイツ体験はほとんどないのだが,Göttingen は機会があればもういちど行きたい大学都市だ.

◆午後1時すぎ,つくば駅にてTXが車輌点検のため発車遅延.めずらしいことだ.地上では西からの強風が吹き荒れている.これから本郷へ出撃~.午後2時過ぎ,農学部大学院入学者の専攻ガイダンスに遅れ馳せでするりと潜り込み,連携講座の紹介をさせていただいて,まずは一段落.一時間後,今度は農学部進学生向けの学部ガイダンスがある.本郷はよく晴れて,気温は15度近くある.つくばほど強風が吹き荒れてはいない.学部進学生ガイダンス終了.とりあえず撤収して隠れ部屋に潜伏する.歓迎パーティは午後5時半から中央食堂にて.

◆[欹耳袋]NatureNews「PhDs leave the ivory tower: UK doctoral training centres prepare students to run a lab — or work outside academia」(2012年4月2日).

◆[欹耳袋]輪をかけて知られざる独法研究員の実態 —— 先月たまたま目にした記事:4403 is not prime.「知られざる大学教員の実態」(2012年3月27日)はたいへん示唆的だった.大学の「なかのひと」にとっては常識であっても「外」からは何一つ見えないということはきっといろいろあるにちがいない.この記事を読んで,延髄反射的に「輪をかけて知られざる独法研究員の実態」についても書く必要がきっとあると思った.しかし,ワタクシ自身は大勢いる農水省系独法研究員の頻度分布から見れば“外れ値”にちがいないだろうし,それを書く資格はないのではとそのときは躊躇した.

しかし,よくよく考えてみれば,独法研究員のみんながみんな「金太郎飴」みたいに同じ研究者ライフ(微分値)を送っているわけではないだろう.その結果,人それぞれにちがった研究者としてのキャリア(積分値)を積んできたことになる.そう考えるなら,個人的な経験を語っても「罪」にはならないだろうなと思い直した.

ワタクシの日々の悪行の積み重ねについては,この日録を通じて過去十年間にわたって書き連ねてきた.しかも,ここ数年はほぼ定常的に安定した研究者ライフを送っている.だから,以下のまとめはこの十年間の個人的レジュメとみなすべきかもしれない.

  • レイヤー1:独法研究者は主務省に従属する宿命 —— 農水省系独法は主務省である農水省に“従属”しているので,年中行事の「暦」の基本ラインもそれにしたがって進行する.毎年4月,新年度が始まってすぐに年間研究計画に関する「設計検討会」があり,五年間の中期計画の中での研究プランが討議される.年度の途中での進捗を検討する「中間検討会」が開催されることもあるが,たいていは年度末(最近は早くなって年末に開催)の「成績検討会」で一年間のアウトプットに関する報告をする.年が明ければ所内外を含む推進会議やらプロジェクト会議などなどもっと大きな会議での成果検討がある.参画しているプロジェクトが複数あれば,必要作業量(出席会議数+提出資料数+調整作業量)は整数倍で増加する.ワタクシの場合,できるだけコミットしないようにしている.

  • レイヤー2:独法研究者は独法で独り生き続ける —— 典型的研究分野の場合は複数の研究員から構成される研究チームとして仕事を進めるので,この年間暦は機能的であるのかもしれないが,ワタクシのように非典型的研究分野(→ cf. 「Togetter -「典型的研究分野」と「非典型的研究分野」」)を独りでやっていくケースでは必ずしも座りがよろしくない.設計検討会や成績検討会はワタクシにとっては「独演会」みたいなもので,一年間ちゃんとアウトプットを出し続けます/ましたという噺をする場ということ.二十年あまり前,農環研に入った直後に「独りでやります」と公言したので,そのまま現在にいたるまで独りでやり続けている.所内的には確かに孤独かもしれないが,所外的には研究上の多くのつながりがあるのでまったく気にならない.春と秋は定例的に学会大会シーズンがあり,年に一回は海外出張し,不定期にシンポジウムや研究集会がある.それぞれに付随して,講演要旨を作成し,プレゼン用スライドを編集し,事後に報告文を書くこともある.外部の競争的資金に応募するときは別途企画書を書かないといけない.ワークショップのオーガナイザーとかいろいろな活動は基本的に独りでやってしまう.私の場合,共同研究はほとんどゼロなので,自分がやっただけ進捗し,やらなければ停滞する.シンプルな研究スタイル.その一方で,研究上の“糊しろ”がぜんぜんないので,精神的にも肉体的にも休むヒマはほとんどない.

  • レイヤー3:独法研究者は行政対応の仕事もある —— 農水省の独法研究所はときに「行政対応」で突発的な仕事が降ってくることがある(例:農環研ならば昨年の福島原発事故がらみの放射能調査など).研究者によっては霞が関に転籍してまた戻ってくるということもある.ワタクシにはそういう意味での行政現場対応の任務が突進してくることはないが,国や都道府県の農業研究機関に出かけて統計学の講義や実習などを担当することは,広い意味でこのカテゴリーに入るかもしれない.とくに,農水省独法では統計学の専門家がほとんどいないので,その需要はコンスタントに高い.シーズン的には野外作業が終わった秋から冬にかけてお座敷のお声がかかり,とくに11月から12月は集中している.毎年つくばで開催される数理統計研修(二週間)をはじめ,各地に出かけての出張講義はワタクシの表看板のお仕事だ.こちらから出講するだけではなく,飛び込んでくる質問に回答するというコンサルタント業務もオモテの仕事.

  • レイヤー4:独法研究者は大学にも居場所がある —— ワタクシの場合は東大の併任と東京農大の客員をはじめとして非常勤講師を含めれば,毎年数校の大学に籍を置いたり講義を担当したりする.東大の場合はハードウェア的に研究室を背負っているので,大学の学年暦にしたがった会議・行事・講義などにすべて関わることになる.講義に関しては毎週の定例講義だったり集中講義だったりするが,たとえ同名の講義であっても毎年手を変え品を変えるための下準備や講義資料を用意しないといけない.夏学期の終わりである7月と冬学期の終わりである2月は成績評価を含めた作業量が生半可ではない.また大学ごとに教務のお作法がちがっているので神経を使う(それでもエラーは根絶できない).ときには大学院生の指導を受け持ったりすることもあるし,学位審査に関わることもある.そんなこんなで,ここ数年を平均すれば,大学に出るのに要する時間は計600〜700時間(成績評価作業を除く)を推移している.ただし,所内的には大学への出講や併任は「所外貢献」の一項目としてしか評価されない.また,ワタクシの場合,大学への出講は「兼業」としての扱いを受けているが,所内的にはそういう事例はほとんどなく突出しているらしい(他の人はほとんど無給の「依頼出張」で行くとのこと).さらに言えば,兼業の場合,裁量労働制ではない農環研では俸給はその分だけ削減されるので,兼業したとしても経済的にはほとんど潤わない.労務管理的に歓迎されず,しかも経済的に純利益がなくても,それでもなお兼業し続けるのは個人的な主義だ.本務地をもつ者が非常勤出講を“無給”ですることは専業非常勤講師へのマイナス効果が懸念されると考えるからだ.

  • レイヤー5:独法研究者は時には本を書くことも —— 年齢を問わず原著論文を書くことを強く求められる独法研究所ではあるが,場合によっては本を書く機会がやってくることもある.ただ,大学の研究者と同じく,独法の研究者もまた自由に本を執筆する時間などないので,細切れのスキマ時間を最大限利用して何とか書き上げることになる.独法研究所の研究員は大学ほど「外」に知られていない率が高いせいか,周りを見回しても単著の本を出版している研究員はほとんどいない.ときどき訊かれるのだが,ワタクシの場合は出版社側から企画の申し出があり,それに乗るかたちで本を出してきた(こちらから原稿をもちこんだことはない).所内的には本を書いてもたいして評価されないのだが,そういう評価基準に対して自分を over-fitting させる必要はどこにもないので,利己的かつ思い通りに執筆している.時間を見つけてはアウトプットを出し続ける姿勢はどの研究者にとっても必須だろう.

  • レイヤー6:独法研究者は右往左往振り回される —— 旧国研から独立行政法人に変わっても,政治状況や農水省の意向によって組織構成が大きく変わることが頻繁にある.よくわからない理由で何の関係もない独法研究所が“合体”させられたり,あるいは部署が統廃合させられたりというのは日常茶飯事だ.多くの場合,「組織改編」が号令として下された時点で覆ることはまずないので(強いはずの全農林でも抗えない),あとはどのように各独法が個別に対応するかだけの消化試合となる.その際,選択肢がいくつもあるわけではなく,一歩コマを進めれば後ろのハシゴが次々に外されていくというゲームのような展開になり,最後の最後になってそれぞれの研究領域間の分捕り合戦になって時間切れの見切り発車という事態になる.何度も何度もそういう“戦国時代”に遭遇すると“諸行無常”の厭世観が漂うこともある.独法研究所の中で“出家”するのは天変地異をくぐり抜けて生き延びるための現実的戦略のひとつだ.

  • レイヤー7:独法研究者は顔がなかなか見えない —— 大学の場合は教育と研究が本務であり,毎年多くの学生・院生が大学に入っては出ていく.ところが,独法研究所の場合,教育機関ではないので,学生・院生が出入りすることは少ない.また,かつての旧国研の時代は大学との人事交流はことごとく妨害され(ワタクシも経験あり),大学に出ようとする研究者たちはあらゆる手段を模索してこの“ベルリンの壁”を強行突破してきた.独法化後,“壁”が崩壊した現在では,大学からの公募情報は事務経由でどんどん流され,まさに隔世の感がある.それでも,独法研究所の研究員が大学の教員などと比較して「顔が見えない」状況は本質的には改善されていないように思える.独法研究所としての広報活動はこっちに置いといて,個々の研究員レベルで「外」に出ていく必要があるとつねづね考えているが,どうもそのためのインセンティヴが欠けているようだ.所内的な業績評価基準にベスト・フィットするのは「原著論文を書きまくり,大きく所内貢献し,行政対応もしっかり」という研究者モデルである.これでは「外」に出る必要はなくなるだろう.

  • レイヤー8:独法研究者は休む間もなく活動する —— 万人に等しく一日二十四時間が与えられていて,その枠を増やすわけにはいかない.時間のやりくりをどうするかは悩みのタネ.しかも最終解はない.大学教員が研究・教育に関わる入試や校務がらみの仕事や会議に忙殺されているのと同じく,独法研究員もまた大小さまざまな会議に翻弄されている.とりわけ年度末に集中する成績検討会議や推進会議などは複数のプロジェクトに関わっている研究員にとってはかなりの負担になっているだろう.若い学生や院生がほとんどいない独法研究所では大学ほどの“不夜城”になることはなく,真夜中や明け方に徘徊しているのは時間外ニッチを求めるワタクシたち少数派にちがいない.それでも,休日や正月休みまで返上して仕事をする研究員が少なくないのはどことも同じ.年休消化率の恒常的低さを考えるならば「ワーク・ライフ・アンバランス(WLU)」は研究員の持病のようなものか.周囲を見渡した感じでは独身率はかなり高いかもしれない.

  • レイヤー9:独法研究者が生きる道は一つならず —— 本務地である独法研究所のミッション(基本方針)や中期計画をまたいで通る訳には職員としていかない.もちろん,毎年細かく変更される業績評価基準に無関心でいられるわけでもない.しかし,組織体制そのものがスクラップ・アンド・ビルドされ,研究基本計画も対応して変更し続け,研究員の業績評価基準と運用は恣意的に変わっていく.このような流動的状況にあって,非典型的研究分野の中でどのように研究者として生きていくかを考えると,fitting や fidelity の程度はおのずと低くなっていく.研究するリソースやライブラリーがいつまでもあるという保証はどこにもない(→ cf.「研究上のライブラリーはいかにして生き延びられるか?」).つまり本務地だけが自分の生きる場所ではないということだ.複数のレイヤーを“串刺し”にして渡り歩きながら複数の人生を生きる.そうやって現在にいたるまで研究者としてサバイバルし続けてきた.

—— 独法研究所の研究員頻度分布のはずれに位置する“外れ値”であることを自認するワタクシとしては,「これが独法研究員だ!」というような大それたことはとうてい言えない.上のように箇条書きにリストしてみたのだが,ひとまとまりの研究者像というよりは,むしろ「レイヤー」の束としての研究者ライフが見えてくるのではないかと思う.万能選手のような理想的独法研究員はどこにもいない.微分的効率だけではなく積分的全体としての研究員それぞれの長所を伸ばすような,そしてそれを後押しするような研究組織であってほしい.しかし,現実には必ずしもそうなってはいない.だからこそ研究者として独法研究所のなかで生き延びる道を模索し続けている.

[追記]姉妹記事:4403 is not prime.「知られざる大学教員の生態」(2012年3月31日)が続いて投稿されている.うん,確かにその通り.これらふたつの記事に書かれた「実態」と「生態」は独法研究員にもほとんどすべてそのままあてはまる.

◆本日の総歩数=11203歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.1kg(−0.1kg) / 28.5%(−0.7%)


3 april 2012(火)※春の暴風が吹き荒れるつくば

◆午前5時前起床.アラシの前で曇っていると思いこんでいたが,実に穏やかな日の出を拝むことができた.今朝の最低気温は4.7度.気象庁予報部「暴風と高波に関する全般気象情報・第4号」(2012年4月3日4時35分)によると,たいへん巨大かつ兇暴な低気圧らしいので,注意注意また注意.要するに季節外れの「台風」がやって来ると思えばいいわけか.午前8時.早朝は穏やかに晴れていたが,この時間帯はすでに曇り空に変わっている.いまの気温は11.2度まで上がってきた.日中はもっと上がるらしいので,きっと蒸し暑くなるだろう.風雨が心配なので防水靴で出勤.

◆朝の┣┣" 撃ち —— Hennig Society の評議員選挙の投票.年に一度のお仕事ということで./4月25日(水)は専攻教員会議の前の昼休みに新任教員の歓迎昼食会がある.もちろん参加と返信した./今月の「非実在許可願(出張・年休・兼業など)」をどーん!と提出した.しかし,そのうちフレックス変更申請・半日年休・兼業願の三点セットは,新領域長不在のため明日提出することになった.農環研は裁量労働じゃないので勤務時間をいじるのがホントにじゃまくさい./専攻長から電話あり.大学の研究室名を勝手に変更してはいけません(クギ).※そりゃそーだ.

◆[欹耳袋]今年の日本進化学会大会は8月21日(火)〜24日(金)@首都大学東京(八王子:南大沢キャンパス).大会シンポジウムとワークショップの企画募集の締切は4月27日(金)./〈上方日本酒ワールド2012〉,2012年5月4日(金)10:00〜,大阪天満宮.

◆春台風が近づいてくる —— 午前10時,しだいに南風が強くなってきた.いまのところは風速7メートルほど,瞬間的には15メートル近くある.今日はいつもより早めの撤収を心がけないとヤバそう.毎日新聞「爆弾低気圧:関東、今夜暴風の恐れ 超大型台風に匹敵」:初耳の「バクダン低気圧」とはものすごいネーミングだな.そういえば先週土曜の「」のとき,ベランダに置いてあった,ペットボトルとアルミ缶の入ったゴミ袋が消失したのだが,あれって中身ごと吹き飛ばされていったということなのか?(下階のみなさん,ごめんなさい〜)

◆[蒐書日誌]ご恵贈感謝 —— 新村芳人『興奮する匂い 食欲をそそる匂い:遺伝子が解き明かす匂いの最前線』(2012年4月15日刊行,技術評論社[〈知りたい!サイエンス〉シリーズ],東京, 304 pp., ISBN:978-4-7741-5013-0 → 版元ページ).嗅覚の遺伝と進化に関する章が後半にある./D. T. Anderson『Embryology and Phylogeny in Annelids and Arthropods』(1973年刊行,Pergamon Press [International Series in Pure and Applied Biology, Zoology Division, Vol. 50], Oxford, xiv+495 pp., ISBN:0-08-017069-2 [hbk]).BetterWorldBooks からたった数ドルでゲットできたのはうれしかったが,送料の方が何倍も高かった(でも許す).かなり前に富山で譲ってもらった同叢書の別の本:A. G. Sharov『Basic Arthropodan Stock with Special Reference to Insects』(1964年刊行,Pergamon Press [International Series in Pure and Applied Biology, Zoology Division, Vol. 30], Oxford, xii+271 pp.)よりももう一回り議論の射程が広い.

◆今月の大事な┣┣" 撃ち予定 —— RP設計検討会は4月19日(木)9:00〜12:00.配布資料は17日(火)までに提出とのこと.

◆春の台風が接近する昼下り —— 午後になって雲行きがあやしくなってきた.農環研はまだだが,同じ農林団地でも独法によっては特別休暇での早退を認めたところもあるらしい.右手でしっかり┣┣" 撃ちしながら,左手でこっそり撤収準備を始める昼下がり.嵐が来る前のそこはかとない不安感をかきたてるドビュッシー〈前奏曲集〉をBGMにしてみる.午後3時前,農環研でもやっと早退許可が所内アナウンスされた.グッド(バッド?)タイミングで雨が降りだした.

◆[欹耳袋]独法研究員の救いは「大学入試業務」がまったくないことかなあ(こんなアホ記事のターゲットにならなくてすむし→):読売新聞「センター試験、やる気のない大学・教員がミス」.大学入試センターが本日公表した「平成24年度大学入試センター試験の実施に関する検証報告書について」の報告書(→ pdf)は50ページもある.

◆夕暮れの空に兇相の黒雲がちぎれ飛ぶ —— 午後4時前に撤収.西の空が一時的に明るくなって,雲間に青空が覗いた一瞬もあったが,雨はなお降り続いている.一方,風はいよいよ強まり,道行く人たちは傘もさせずに濡れている.日が暮れて夕闇の中を風雨はいよいよ強くなってきた.瞬間的に20メートルを越える南風が吹き荒れている.風圧がただごとではない.しかもこれがまだ序の口というから要注意.午後8時,風雨がクライマックス.瞬間風速は25メートルに達している.風圧で窓を開けることもできない.風の音がごうごうと響いている.出自はともかく表形的には「台風」と呼ぶのがふさわしい.午後9時を過ぎ,風雨のピークは通り過ぎ,外がやっと静かになってきた.静かな夜が戻ってきた.

◆農林団地の桜はこの暴風雨の中でも蕾が膨らんでいる.来週あたりお花見シーズンの到来か.

◆本日の総歩数=2366歩. 朝○|昼○|夜○. 計測値(前回比)=93.2kg(−0.2kg) / 29.2%(+0.4%)


2 april 2012(月)※のどかな本郷にて甘食を買う

◆午前5時半過ぎに起床.すでにまぶしい朝日が窓から差し込んでいる.明け方の最低気温は氷点下0.8度まで下がった.晴れわたる観音台は朝日がさんさんと降り注ぐ.午前8時の気温は7.7度,空気が乾いて爽快.今日が初出勤らしき新人さんが,押印する出勤簿を求めてロビーをうろうろしているのは新年度らしい風景だ.

◆新年度朝イチの┣┣" は —— とりあえず今月の出張伺・兼業願・年休届・フレックス変更・特別休暇などなどの事務書類をどーんと提出するのが朝イチのお仕事.と思ったが,領域長が交代したので,まだ届出ができない…….明日か.となると,喫緊の課題は某学会の研究奨励賞選考.今日中に返信しないといけないな.

◆[蒐書日誌]アマゾン予約受付開始! —— 中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年5月31日刊行予定,勁草書房,東京,232 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-326-10216-7 → アマゾン新刊.net近刊検索β目次).おお,やっと近刊広告が出始めたか! 来月出版されたら,次は販促┣┣" が吠えまくるぞ〜.

◆のどかな本郷にて〈明月堂〉の甘食を —— お昼前に本郷へ出撃.つくばセンターは快適な空模様.日差しがまぶしい.午後1時前に本郷三丁目に到着.本郷通りの〈明月堂〉で甘食を買う.その後,東大総合研究博物館で分類学会連合の役員会へ出席.来年のシンポジウムに関する打ち合わせなど.日時は2013年1月12日(土)午後〜13日(日)午前,場所は科博本館(上野)で確定.シンポジウムは次のふたつを開催する:

  • 日本分類学会連合第11回シンポジウム(1)〈自然史標本の‘文化財化’をめざして〉,2013年1月12日(土)14:00~16:30[企画:馬渡峻輔]
  • 日本分類学会連合第11回シンポジウム(2)〈分類学があらためて「種」と向き合うとき〉,2013年1月13日(日)9:30~12:00[企画:三中信宏]

—— 演者と演題は9月ころまでに決めればいいとのこと.講演者の旅費と宿泊費については連合が負担する.

◆[蒐書日誌]磯野直秀『日本博物誌総合年表』(2012年4月近刊,平凡社,東京, ISBN:978-4-582-51230-4 → 版元ページ) ※総ページ数が「1204頁」で本体価格三万円だって! 上野益三『日本博物学史』(1973年11月10日刊行,平凡社,xiv+680+73 pp. → 目次)を越える?

◆[欹耳袋]日本進化学会大会,8月21日(火)〜24日(金),首都大学東京(八王子)./「達爾文《物種起源》問世150年」(2011年8月29日).ダーウィン『種の起源』の中国語訳に関連してメモクリップ./Wired Archives「『ポピュラーサイエンス』誌、137年間のアーカイブを無料公開」.

◆午後5時過ぎ,つくば帰還.夕方になって南風が強くなってきた.夕暮れタイム.今日は本郷とのピストン往復.奨励賞審査┣┣" 一頭を征伐し,評定結果を選考委員長にメール送信した.『文化系統学への招待』のカバージャケットとオビの文言に関する問い合わせもさくっと返信.さらにもう一頭のやっかいな┣┣" はもう手に余るぞ…….

◆[蒐書日誌]石川雅之『もやしもん(11)』(2012年3月23日刊行,講談社[イヴニングKC408],ISBN:978-4-06-352408-6)/石川雅之『もやしもん(10)』(2011年3月25日刊行,講談社[イヴニングKC350],ISBN:978-4-06-352350-8)

◆嵐の予感 —— 明日は春の暴風が吹き荒れるのか.午後から風雨が強まって台風並みの荒天になるとの予報.うろうろ徘徊せず観音台に引きこもるしかなさそう.早く撤収するか.マジな話,明日は外出せずに引きこもった方が身のためかもしれない:NHK NewsWeb「低気圧が急発達 “台風並みに”」&「気象庁 “無理な外出控えて”」,ついでに:気象庁予報部「暴風と高波に関する全般気象情報 第3号」(2012年4月2日16:05).

◆本日の総歩数=8465歩. 朝○|昼○|夜△. 計測値(前回比)=93.4kg(+0.2kg) / 28.8%(+0.2%)


1 april 2012(日)※春の嵐の翌日は清らかな快晴

◆午前5時半過ぎに起床.四月最初の朝日が東の空に上る.昨日の春の嵐が通り過ぎて寒気が入り,今朝はぐっと冷え込んだ.午前6時前に最低気温+1.1度.昨日よりも15度も低い.今日からはこの上もなく清らかに過ごそう.昨日の暴風雨の記憶を流し去るかのように今日は朝から青空が広がっている.メーリングリストの月例アナウンスは昨夜遅く日が変わってすぐに流したので,起き抜けにしなければならない┣┣" はいない.午前9時の気温は8.5度.中央公園の〈つくいち〉に顔を出したいところだが,学会奨励賞の選考作業という┣┣" が行く手に立ち塞がっている.

◆[系統樹思考]本日の反響:mike、mikeなるままに…「推論に関する覚書き[『系統樹思考の世界』の読書メモ] 」(2012年3月28日)と「推論に関する覚書き2[『系統樹思考の世界』の読書メモ] ] 」(2012年3月30日).

◆[欹耳袋]今年の Hennig Society Meeting〈Hennig XXXI〉は,6月末にカリフォルニア州の Riverside という町で開催されるのだが,日本語での旅行情報がほとんどないな.ロサンゼルス近郊らしいのだが,アメリカ西海岸のガイドブックにも載っていない.Hennig Society はいつでも“辺鄙”な場所で大会をやる.去年のサンジョゼ・ド・リオプレト(ブラジル)やその前のサンハビエル・ド・トゥクマン(アルゼンチン)だって,ガイドブックには一行も書かれていなかった.

◆[蒐書日誌]「今和次郎」本二冊 —— 先月末の京都との新幹線往復では,「今和次郎」本の新刊二冊をかわるがわるめくっていた:

  1. 瀝青会『今和次郎「日本の民家」再訪』(2012年3月26日刊行,平凡社,東京,393 pp., 本体価格3,200円, ISBN:978-4-582-54440-4 → 版元ページ|瀝青会〈再訪『日本の民家』サイト〉).本文は二段組で活字量が膨大.ほとんどのすべての章を中谷礼仁さんが書いている.一世紀前の民家を特定するだけでも大仕事だろうが,ちゃんとそれが「物件」として残っているというのはすごいな.

  2. 今和次郎『今和次郎 採集講義』(2011年11年15日刊行,青幻舎,京都,288 pp, 本体価格2,500円, ISBN:978-4-86152-322-9 → 版元ページ).汐留ミュージアムでつい先日まで開催されていた同名の展覧会〈今和次郎 採集講義 展〉の公式カタログ.カラー図版がいっぱい.とにかく歩きまわって記録しつくしたということか.

1986年に学陽書房から復刻された今和次郎・吉田謙吉『モデルノロヂオ — 考現学』(1930年刊行,春陽堂,東京/1986年復刻,学陽書房,東京)は,出た当時,大判のこの本を買うか買うまいか迷った末,けっきょくそのままになってしまった.いまはまだ古書価が高そうだが,いずれどこかで見つけたらゲットしようと狙っている.本の購入にためらいは無用だ.

吉田謙吉で思い出したが,手元にある彼の論集:吉田謙吉[藤森照信編]『考現学の誕生[吉田謙吉Collection I]』(1986年11月25日刊行,筑摩書房,東京,vi+395 pp., ISBN:4-480-85348-0)は,四半世紀前に新刊で出てすぐに買った.「Collection I」と銘打ってあるのでてっきり続刊が出るものと思っていたが,あとが続かなかったようだ.いま改めて CiNii Books で検索してみたら,やはりこの一冊だけの単発で終わってしまったらしい.

◆[欹耳袋]工学院大学図書館〈今和次郎コレクション〉.今和次郎のフィールドノートである『見聞野帖』などが公開されている.

◆晴れわたる昼下りのつくばセンター.昼前から新入社員らしき若者たちがスーツケースをごろごろ転がしてペデストリアンを下っていく.新年度さっそくの宿泊研修がエポカルであるのだろうか.正午の気温は12.1度.南風が強くて体感的には肌寒い.千現のウラ路地を伝って徒歩南下し,ひさしぶりに洞峰公園の〈コーヒー・ファクトリー〉にてブラジルのフレンチローストとコスタリカのシティーローストの珈琲豆をゲットしてきた.エスプレッソとともに一休み.近辺を徘徊していると,そこかしこでコブシの白い花が開き始めている.つくば的には,コブシが咲いたら次はサクラの番なので,お花見はもうそろそろだろう.午後2時の気温は14.3度.強い南風が吹き続けているが,乾燥した心地よい暖かさ.

◆[欹耳袋]ファンは読むべし —— Fishing on the beach「『カーネーション』のあった朝」(2012年4月1日).

◆今日の夕餉はクレオの〈エルベ〉にてビール三昧.ここに来るのは久しぶりだ.これからの気候のいい季節,ビールをうぐうぐ飲めるのはシアワセなのだが,飲み過ぎると翌朝まちがいなく「うう」になる.

◆[欹耳袋]研究者はいかに「生活者」としてサバイバルできるか —— 研究者や科学者といえども,他のすべての労働者と同じく,日々の「生活の糧」をその職務から得ている.だから,その生活の基盤が揺らぐようならタテマエやキレイゴトは「どの口がそれを言う?」と一蹴してあげるよ.だって,それらの言葉は確実に自分に跳ね返ってくるから.それと同時に,生活の糧や基盤は各研究者が個人ベース(他者は介入できないていう意味)で確保するしかないという静かな諦観と決意を自分なりにする状況が間近に迫っている.抽象的な理念ではなく,ごくふつうの生活者の立場から,研究者が「ひとりで生きる」にはどうすればいいのかという模索だ.少なくとも,理性的であるべき研究者は,アホほどナイーヴな「世代間分割統治法」の陥穽に好きこのんで身投げしてはいけない.どこかの誰かが勝手にスライスした「世代」には何の実体もないのだから,それらの間に対立を実体化させるというのはムリがある.若手研究者だって必然的に年齢を重ねるわけだから,いつかは自分の身にも降りかかる事態に対する想像力は磨いておきたい.

◆[欹耳袋]上と関連して —— calf_fox on scriptogr.am 「「年寄りを一人切れば若い人を二人雇える論」に一言」(2012年4月1日).人員ポストが空いて浮いたお金は「削減目標貢献」に加算されておしまい.新規採用にはつながると楽観視するのは短絡だろう.けっきょく人員の replacement ではなく work sharing か job creation しか道はないのではないか.ただし,いまの独法研究所の労務管理体制を見ていると,work sharing で兼業を自由にできるようにするというのは,裁量労働制がないかぎり難しそう.農環研は裁量労働ではないので,ワタクシがひとり突出している(らしい)兼業に関しては労務的には歓迎されていないと先日聞いた(無視しているけど).もう一方の job creation は単に予算を取ってくるということではなく,地べたから新規に研究ポストを創成するということ.その難しさを日々実感しているところ.

◆本日の総歩数=16448歩. 朝○|昼○|夜×. 計測値(前回比)=93.2kg(+0.3kg) / 28.6%(+0.1%)


--- het eind van dagboek ---

Map フリーアクセスカウンター自転車 通販人気 シューズ
[sinds 19 april 2007] 無料アクセスログホームページ 素材集