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日録2012年1月 


31 januari 2012(火)※今月も終りですかそうですか

◆午前5時前起床.目が覚めても寒すぎると起き上がれない.いまの気温は氷点下7.1度.今期最低気温を軽く更新しそうな勢い.昨夜はよく寝過ぎたので,今日は早くも出勤タイムだ.午前6時過ぎに出勤.痛いほどの冷え込み.今朝の最低気温は今季最低の氷点下8.1度に達した.鈴木秀美のバッハ無伴奏が居室は,全館空調がまだ入らないのでサバイバル状態.その昔,厨川の東北農試に遊び(not仕事)に行ったとき,「冬になるとこの近くの薮川では日本酒が凍るよ.氷点下30度になることもある」と言われて,「うっそー!」と震え上がったことを思い出す.居室で凍え死まないよーに,ホットコーヒー gkgk,ホットサンド mgmg.遠慮することなく電気ファンヒーター全開にして室温を上げるべくむなしい努力をしてみる.たとえフレックスタイムや裁量労働制になっても,事務作業とか庁舎管理が“定時”で動いているかぎり,勤務条件の自由度はさほど上がらない.

◆[蒐書日誌]トミー・イーセスコーグ[上倉あゆ子訳/武藤文人解説]『カール・フォン・リンネ』(2011年11月30日刊行,東海大学出版会,東京,vi+255 pp., 本体価格2,200円,ISBN:978-4-486-01801-8 → 版元ページ).リンネを主人公にした小説.したがって,資料典拠はいっさい記されていないので,伝記だと勘違いしてはいけない.目次:カール・フォン・リンネについて(v-vi)/リンネ:その人生(第1章〜第21章)(1-228)/リンネ:学の系譜[武藤文人](229-255).

◆午前は観音台でひたすら┣┣" 撃ち —— 非常勤先の成績入力┣┣" の締め切り日を確認完了.国立はまだ余裕があるが,私立が〜.明後日「締め切り厳守」とかマジっすかー.問題なのは締め切り日がよくわからない大学……(汗)とりあえず,各大学の成績登録に関する注意を確認する.オンライン入力の大学もあれば,郵送せよという大学もあり.担当の窓口教員に返送するケースもある.

◆今日は午後から都内に出撃だ.その前の腹ごしらえとして,本日のランチは〈おはん〉にて「市場ちらし」を注文.ここに来ると頻繁に知り合いに出会うようになった.リアルに対面する確率はとても低いはずなのにフシギ.それだけこの店が流行っているということでもあるのだろう.しっかりお魚を食べてから本郷に向かうことにしよう.まぐろがとってもうまいなあ.

◆[欹耳袋]The Ottawa Citizen紙:Tom Spears「Taxing times for taxonomy」(2012年1月20日).この記事に対するコメント:Mark S. Graham「Training for taxonomy」(2012年1月21日),Aleta Karstad「Support our natural world」(2012年1月24日).

◆[蒐書日誌]リヒャルト・D・プレヒト[西上潔訳]『哲学オデュッセイ:挑発する21世紀のソクラテス』(2011年11月22日刊行,悠書館,東京,xvi+441+XX pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-903487-51-9 → 版元ページ).先日のいただきもの.どうもありがとうございました.

◆午後は本郷で今年度最後のお座敷 —— 14:00発のTX区間快速で本郷に向かう.根津で下車し,〈Amber〉にてサファリブレンドの珈琲充.午後2時半に本郷キャンパスに入る.14:45から「生物統計学」の補講前半戦.今日は幾何学的形態測定学づくし.形態測定学の科学史からはじまって,変換幾何学の「不変量」としてサイズとシェイプを定義する幕開き.引き続き形態オブジェクトが存在する空間を変換して,最終的にケンドール形状空間を導出する過程を解説する.形状空間上のプロクラステス距離をリーマン計量とするリーマン多様体の上にシェイプが存在するが,実際にはその線形近似としての接部分空間の中で線形数学のツールを用いることが多い.この接部分空間の正規直交基底はアフィン部分の固有ベクトルならびに非アフィン部分の主歪みから構成される.ここで前半終了.

午後4時半から後半戦.形態変形の薄板スプライン関数による補間について.仮想屈曲エネルギーは第二次導関数を積分した値として計算される.形態間の仮想変形は標識点によって条件付けられた変分問題だが,それを離散化することで通常の線形代数をもちいた係数決定が可能になる.形態変形はアフィン部分と非アフィン部分からなる式によって表現される.アフィン部分はグローバルな線形変形(移動・回転・スケーリング・斜行)をあらわす.一方,離散化された仮想屈曲エネルギー行列の固有値分解による基底ベクトル(主ひずみ)とそれから派生する部分歪みがローカライズされた非アフィン形態変形への直交分割を与える.これらはすべてケンドール形状空間の接部分空間の中での変形記述となる.

ふたつの形態間の仮想変形をスプライン関数を用いて記述することは,さらに一般化するならば,複数の形態集団における形状変異の分析方法を与える.平均形状から個々の標本形状へのスプライン係数に関する主成分分析(「相対歪み」)は,形状分散が大きな軸を決定して視覚化する.また,重心サイズのような独立変数とシェイプとの相関性は回帰分析として視覚化できる.このあたりは tpsRelw や tpsRegr を用いてデモした.

最後に,接部分空間の中での近似的な解析ではなく,ケンドール形状空間上での正確な分析についての解説.球面統計学(方向統計学)の延長上に形状統計学(shape statistics)のパラメトリック統計理論を構築するという方向性がすでに形をなしつつある.線形統計学における正規分布に相当する形状統計学の基礎的確率分布はビンガム分布(Bingham distribution)だ.リーマン多様体上の確率分布を使うデモは tpsTri の独壇場.

それにしても,形態測定学の初等的な解説を何とかしないと,ビギナーの死亡率は上がるばかりで,ユーザーの裾野がなかなか広がらないような気がしてならない.勉強する方も最初から相当な覚悟をしなければならないが,教える側もさらなる努力が必要だ.

—— これにて今年度の東大の講義はおしまい.予定では,来年からは再び駒場で「生物統計学」を開講するとのこと.旧理学部一号館に来ることももうないのかもしれない.

◆燃え尽きて黄昏る根津 —— 三時間も形態測定学の噺をして真っ白に燃え尽きた.夕暮れの谷根千エリアの横丁を徘徊して千駄木から帰路に着く.つくばに到着したのは午後7時半.帰宅.エネルギー欠乏により,早々と寝てしまった.

◆明日はもう二月かあ〜.飛ぶように月日が流れていく.

◆本日の総歩数=5800歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.1kg(−0.1kg)/29.9%(+1.2%)


30 januari 2012(月)※実在すれども部屋にはいない

◆午前5時過ぎ起床.今朝は最低気温が氷点下6.5度まで下がった.連日の晴天で湿度も下がりっぱなし.農環研の駐車場は雪が完全に凍結して融ける気配がまったくない.今日はつくば実在日.朝から┣┣" 撃ち遠征で近場をうろうろして農環研に戻ってきたら,注文本や恵贈本が流氷のように居室に接岸していた.箱やら袋やらを開封なう.本が届くとわくわくする.わくわく.

◆午前の┣┣" 撃ち —— いま漂着している成績評価┣┣" はしめて6頭なり.しかも成績評価のオンライン入力締め切りが大学によってちがっていたり,よくわからなかったりする.ううむ…….いずれにしても来月に入ったら“戦場”になるので,事前の段取りをしないといけないな.

◆[蒐書日誌]古書店本二冊 —— 古沢和宏『痕跡本のすすめ』(2012年2月17日刊行,太田出版,東京,160 pp., 本体価格1,300円,ISBN:978-4-7783-1297-8 → 版元ページ).五つ葉文庫店主の本.うん,買うしかないな,これはもう.と念じたら速攻でブツが届いてしまった./倉敷〈蟲文庫〉を経営する田中美穂『わたしの小さな古本屋』(2012年2月1日刊行,洋泉社,東京,ISBN:9784862488305 → 版元ページ)という新刊が出るらしい.参照:蟲日記「見本と2月のガケ書房」 (2012年1月25日).

◆[欹耳袋]世知辛い話なれど —— ワタクシが大学に入った1976年に年間授業料が一挙に三倍近く値上げされて十万円弱になった.ワタクシが大学に入る前年は,授業料の月額が三千円,さらにその前は月額千円だったと聞く.その後も倍々ゲームで値上げされて,いまや国立大学法人の年間授業料は五十万円を越える.それに比べると,大学での非常勤講師の時給の上がり方は鈍すぎるかもしれない.大学ごとの非常勤講師の「時給差」はそれはもうくらくらするほど大きい.国立大学法人は「職階差」はないみたい(というか,わからない).むしろ,大学間での「時給差」の差が大きいかな.一方,私立大学の中には本務地での「職階」によって非常勤先での「時給」が変わる大学では,職階ごとの時給の「表」をくれるところもある.かつてODをしていたときから現在にいたるまで,方々の大学の非常勤講師をしてきたが,記憶をたどっても「経済的に潤う」ことはなかったなあ.いったん時給計算するとたちまち orz だし…….

◆昼下りの┣┣" 撃ち —— 勁草書房からの「流氷┣┣" 群」の接岸予定日が関係者に公表された.来るぞ来るぞ〜.どかんと一冊分まるごとの初校ゲラが発射されるとの予告.

◆[蒐書日誌]書評本着弾! —— リチャード・コニフ[長野敬・赤松眞紀訳]『新種発見に挑んだ冒険者たち:地球生命の驚異に魅せられた博物学の時代』(2012年2月7日刊行,青土社,東京,479+55 pp., 本体価格3,600 円,ISBN:978-4-7917-6636-9 → 目次版元ページ).これまた原書を読む前に翻訳が出てしまった.原書には人名と事項を含む詳細な索引があるのだが,翻訳に際して人名索引のみに省略されたのは残念.

◆今日は戦況がどうもはかばかしくないので,今日のところは撤収しよう.そうしよう.ダメなときは粘ってもしかたがないので,いったん出なおすしかない.

◆夜は残りご飯で鮭炒飯をちゃちゃっとつくった.昨夜は冷蔵庫に残り物のご飯と焼き鮭があったので,迷わず鮭チャーハン.焼き鮭はあらかじめほぐしておいて,醤油をひとまわしかけて,黒胡椒をふり,生姜のたまり漬けみじん切りと和える.あとは卵と刻みネギと剥き胡麻,味付けは中華鶏がらスープの素と塩のみ.刻み生姜はもっと細かくした方が食感がよくなったかもしれない.チャーハンやピラフを頻繁につくるので,中華鍋は厨房でかなり大きな顔をしている.ほんとうは大火力バーナーがあってほしいのだが,それは贅沢というものか.

—— 睡魔が降臨してきたので,今夜はとっとと寝ることにしよう.明日は未明の出撃だ.

◆本日の総歩数=5248歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=93.2kg(−0.4kg)/28.7%(−0.3%)


29 januari 2012(日)※日曜日なのにじたばた過ごす

◆午前5時前起床.米を研ぐ夜明け前.丑三つ時は氷点下5度台まで下がったようだが,この時間帯は氷点下4度台を推移している.厳しい冷え込みであることにはちがいはない.朝焼けに続く夜明け.今日も乾燥した冬晴れの青空が広がる.

◆[系統樹思考]本日の反響:本に溺れたい「系統樹思考は歴史学的思考か?」(2012年1月26日) .確かに,ワタクシの本は歴史に関する「事実」をいかにして経験的に推定するかに焦点を絞っていて,歴史の「意味」については何も考えてはいない.その点では,歴史叙述(historiography)の方法論の本なのだろう.ただし,もし歴史の「意味」が何かしら経験的基盤を持ち得るとしたら,それは「事実」としての歴史の延長線上に構築される“シナリオ”に相当するものではないだろうか.経験的な「裏づけ」と矛盾する「意味づけ」をすることに対する禁制はその効力を発揮し続ける.

◆[蒐書日誌]統計本新刊二冊 —— 石田基広『R言語逆引きハンドブック』(2012年2月刊行,C&R研究所,東京,本体価格4,600円,ISBN:978-4-86354-093-4 → 版元ページ) ※660ページもある電話帳.ご恵贈感謝です./大久保街亜・岡田謙介『伝えるための心理統計:効果量・信頼区間・検定力』(2012年1月刊行,勁草書房,東京,本体価格2,800円,ISBN:978-4-326-25072-1 → 版元ページ) ※巻末にRスクリプトが載っているようだ.

◆正午近くになって,午前11時の気温はプラス4.4度だが,日射しは降り注いでも,強い北西風が身を切る寒さ.体感気温はもっと低い.さて,買い出しに出かけるか.寒風吹きすさぶ土浦学園線のマクドナルドは「ラスベガス」混雑がハンパではなかった.しかし,ワタクシは洞峰〈モルゲン〉の焼きたて食パンを選択.やっぱり厚切りトーストがベストですなあ.ついでに「チーズアモーレ」にまで手を伸ばしてしまったのは背徳の極みにして救いようがないかも.

◆[欹耳袋]打倒!スパム出版 —— オンライン書店で検索をかけるとき,近年の「スパム出版社」(→ 参照)が出す有象無象のアヤシい復刻本が,検索の効率をものすごく下げることがある.ここでいう「スパム出版社」とは,具体的に名前を挙げるならば,Nabu Press,Books LLC,Kessinger Publishing,VDM Publishing などを指す.たとえば,比較解剖学者 Richard Owen の『On the Anatomy of Vertebrates(全三巻)』を AbeBooks で検索すると,これらのスパム出版社からのリプリントがぞろぞろとヒットしてくる.しかし,オーエンのこんな昔の解剖学本が「300冊」近くも出品されることはありえない.実際,Lowest Price でソートした順にたぐっていくと,そのほとんどが上記のスパム出版社からの濫造本であることがわかる.この手のスパム出版物を回避して効率的に書籍検索するには,「Highest Price」でソートするのが効果的.価格の頻度分布を逆手にとるということ.あるいは Boolean search で最初からスパム排除するという手もあるかも.出版年でフィルターをかける手もあるな.

◆寒すぎる夜は飲むしかない —— 夕暮れのつくばセンターから流山へ出撃する.日中の最高気温は6度に達しなかったが,午後5時過ぎの気温は早くも2.5度まで下がってきた.日が落ちると寒さがいっそう増して,北風が吹き付けぴりぴり痛い.流山おおたかの森駅でTXから東武野田線に乗り換え,お隣の初石駅まで.この駅に降り立つのは年に一度の恒例行事になった.午後7時過ぎからオーケストラ打族の新年会.ワインや日本酒が林立する宴.生ハムと野菜サラダ,タジン鍋ならぬ温野菜のベジン鍋,ぶりのあら炊き,白身魚のカルパッチョなどなど.飲み過ぎてつくばにご帰還.またかー.氷点下の深夜は寒いのなんのって.

◆本日の総歩数=5333歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.6kg(−0.2kg)/29.0%(+0.3%)


28 januari 2012(土)※週末なのに年度末┣┣" 撃ち

◆午前5時前に起床.朝イチで米研ぎの寒中修行.今朝の最低気温は昨日ほどではなかったが,それでも氷点下5.9度まで下がった.朝焼けののち日の出.今日も乾いた冬晴れの青空が広がってきた.

◆来月からの┣┣" 撃ち予定(追加分) —— 2月1日(水)10:30〜11:30.研究交流課打合せ(来室).来年度の分子系統学ワークショップの開催について./2月2日(木)夕刻から空飛ぶ教授迎撃作戦@つくば./2月3日(金)10:00〜14:00.共立出版(茗荷谷)の地下牢にて進化学事典の未執筆項目の┣┣" 撃ちカンヅメ.斎藤成也画伯とともに./3月2日(金)午後から東大農学部・宮崎教授最終講義と送別会.

◆[蒐書日誌]オンライン古書店の徘徊は禁欲的でなければならぬ —— 以前は Alibris でも探していたのだが,最近は洋書の古書は,もっぱら AbeBooks で買うようになった.今日もぶらぶら散策していたら,Ryuichi Matsuda『Morphology and Evolution of the Insect Abdomen』 (1976, Pergamon Press, Oxford) に「US$ 1380」というとんでもない値札が付けられていた.それがあっという間に sold out になったのにさらに驚愕.確かに,いまでは稀覯本といえる昆虫形態学本だから,いくら高くても買う人は買うのだろう.それにしても松田本と同じ叢書(International Series of Monographs in Pure and Applied Biology. Division: Zoology)に入っている:Donald Thomas Anderson『Embryology and Phylogeny in Annelids and Arthropods』 (1973) がたった「US$ 1.50」だったり,A. G. Sharov『Basic Arthropodan Stock with Special Reference to Insects』 (1966)が「US$ 2.72」という“バナナのたたき売り”みたいな価格設定になっているのを見ると,この雲泥の価格差はいったいどうしたことかと思う.

しかし,上には上がある.Willi Hennig『Grundzüge einer Theorie der phylogenetischen Systematik』(1950, Deutscher Zentralverlag, Berlin) にいたっては「US$ 3266.07」というアンビリーバブルな高値に跳ね上がっていた.この本のスペイン語訳『Elementos de una sistemática filogenética 』(1968) の書影をブラジルのオンライン古書店で初めて見たが,現物は手にする機会がぜんぜんない.有名な『Phylogenetic Systematics』 (1966, University of Illinois Press) は何度も復刻されていて安価に流通しているのに,そのドイツ語原本にあたる『Phylogenetische Systematik』(1982, Verlag Paul Parey) は古書でもほとんど見かけたことがない(AbeBooks に出されていた一冊は「US$ 92.38」だからまあまあの値段だろう).

植物学者 Agnes Arber『The Natural Philosophy of Plant Form』(1950, Cambridge University Press) も稀覯本で古書価は高い.国内の大学・研究機関にもあまり所蔵されていない.植物形態学者が,ゲーテ以来,繰り返し「自然哲学化」しがちなのはどうしてだろうか?(動物形態学者もその傾向はあるが).形態学というものが本来もっている学問的属性か.偶然にも,来月,同出版局の叢書〈Cambridge Library Collection - Life Sciences〉からペーパーバックとして復刻されることを知った.しかし,すでに入手した Francis Galton 伝記の復刻を見るかぎり,本文はともかく,図版のデジタル複製がイマイチな感じがする.円高の今こそ元本をえいやっと買ってしまおうか.

—— 蒐書慾が暗く渦巻くオンライン書店.今日もつい「ポチッ!」とご購入ボタンを押してしまうところが意思の弱い人間の証かも…….

◆土曜の午後というのに年度末┣┣" を追い回す —— 昼下りは書類づくりタイムの始まり.昨年からの年越し┣┣" を同時並行で数頭追いかける.やっとケリが付いたと思ったら,今度は入れ替わって確定申告┣┣" の出現だ.源泉徴収票やらレシート類をずらりと並べてソーティングを始めたらもうたいへん.気がついたらとっくに夕暮れどきになっていた.日中の最高気温は5.6度どまりだったが,日だまりは暖かい陽光がさしこみ,南向きの部屋は居心地が良かった.午後6時過ぎ,毎年恒例の確定申告┣┣" 撃ちはやっと山場を越えた.そんなこんなで,今日はけっきょく一歩も外に出なかった.宵の口に早くも氷点下の冷え込みになったので,今夜は奈良の御所市にある油長酒造の〈風の森〉「秋津穂・純米しぼり華」を開栓.ほのかな微炭酸が背徳度をいやが上にも上げてくれる.四合瓶で千円を切る驚異的なコスト・パフォーマンスにはただただ拍手するしかない.肴は白菜と豚肉の煮物と菜の花のおひたし.

◆明日の日曜はもっとうだうだゆるゆると過ごしたいなあ.

◆本日の総歩数=0歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.8kg(−0.7kg)/28.7%(0.0%)


27 januari 2012(金)※めずらしくつくばに終日実在

◆午前4時前起床.今朝の冷え込みはハンパではない.気温がすでに氷点下6.4度まで下がっている.やや二日酔いのもやもやも吹っ飛ぶ厳寒の夜明け前.午前6時の気温は氷点下7.3度.ひょえ〜.もっと下がるかも.けっきょく今朝の最低気温は氷点下7.4度だった.もちろん今季最低.さぶさぶ.冬晴れの観音台は午前8時になっても氷点下3.9度.稲荷川沿いの側道はいたるところに残雪,路面の水たまりはがりがりに凍結していてたいへんなダートコースと化している.朝イチのBGMはアルノンクールの〈音楽の捧げもの〉.半世紀前の録音.

◆午前の┣┣" 撃ち —— 年越しジャーナル電子化┣┣" 一頭を撃ち果たし,立川に結果ご報告なう.遅くなって申し訳ありませんでした./方々の大学での講義┣┣" どもを仕留めたとたん,同じ頭数だけ成績評定┣┣" が押し寄せてくる.課題レポートは季節外れの五月雨のように着弾しているので,その集計と成績評価そしてオンライン入力まですまさないといけない.大学ごとに締め切りが全部ちがっているので要注意.

◆[欹耳袋]【┣┣" のカンヅメ】語義:┣┣" 撃ちをしくじってそのまま放置した結果,拉致監禁されて┣┣" 撃ちを迫られること.語法:某事典の未執筆┣┣" をずーっと放置し続けた報いで,来月,某出版社の地下牢にカンヅメされることになった(実話).たいていの出版社には物書きを閉じ込める「座敷牢」がきっとあるはずだ.さらに,大手の出版社になると,遠隔地に「流刑地」をもっている場合もある(実話).とある翻訳書の原稿チェックのため草津温泉に数日間〝流刑〟された経験がある.また,いちばん新しい単著の原稿┣┣" 撃ちがはかばかしくなかったとき,あやうく山中湖畔に〝流刑〟されそうになったこともある.その一方で,「座敷牢」に入ると┣┣" 撃ちは確かにはかどる.迫りくる他の┣┣" どもを防ぐシェルターとなるから.大手出版社から本を出すときは,ときに「流刑地」で┣┣" 撃ちを迫られるのみならず,「校閲部」というおそるべきレフリー集団による査読を通過しなければならない.単著の本なら「好き放題」に書けると思ったらおおまちがい.

—— 追記:茗荷谷の座敷牢に入って「┣┣" のカンヅメ」になる日時が確定してしまった.これでもう逃げ場はなくなった…….

◆午後の┣┣" 撃ち —— マジで差し迫っているのは博士論文審査┣┣" 一頭なり.ロジスティック回帰に関する記述を検討する.博士論文審査のコメント送付し,これで審査┣┣" 一頭は去っていった.あとは2月2日の公聴会を残すのみ./所内の著作物成果登録申請をした.申請書のフォーマットが変わっていたことをつゆ知らず.あとは業績報告書などを来月出せばおしまい./大津に提出する事務書類を作成.メールアドレスの「ふりがな」をふるように要求されたのは初めての体験.入力ミスを防ぐためらしいが,それくらいだったら「紙」ではなく,最初から「ファイル」を送ってくれい./ここのところ Webmail の反応がとみに遅くなっている.過去メールをごっそり処分した方がいいかもしれない.

◆[欹耳袋]系統樹ウェブ曼荼羅・連載11回:三中信宏「文化構築物としての写本の系統と進化」.本連載もそろそろ大団円を迎える.

◆本日の総歩数=2970歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=94.5kg(+0.9kg)/28.7%(−1.2%)


26 januari 2012(木)※本郷夕暮れ噺,土浦背徳の宴

◆うう…….午前6時前にやっと本格起床.今朝の最低気温はマイナス4.9度まで下がった.快晴の観音台はそこかしこに残雪が残っている.側道は完全に凍結していて,あぶなっかしいことこの上なし.日射しはあっても,気温が低いのでしばらくの間は融けないだろう.

◆[欹耳袋]Togetter -「円城塔「ポスドクからポストポスドクへ」」 /PhyloPic : an open database of life form silhouettes.

◆系統樹曼荼羅(目次改訂案) —— 三中信宏・杉山久仁彦『カラー版 系統樹曼荼羅』(2012年刊行予定,NTT出版,東京,ca. 300 pp. → 趣意文)の目次改訂案を関係者に送ったので,ウェブでも公開することにした(→目次改訂案).今年中には「本」にして出したい./そういえば,これまた今年出る予定の:中尾央・三中信宏(編著)『文化系統学への招待:文化の進化パターンを探る』(2012年刊行予定,勁草書房,東京 → 目次)については,来月にも流氷に乗って校正┣┣" の群れが接岸するらしい(悪夢だ……).

◆[蒐書日誌]書評依頼本二冊 —— マーク・カーランスキー[山本光伸訳]『牡蠣と紐育』(2011年12月10日刊行,扶桑社,東京,303 pp., ISBN:978-4-594-06504-1 → 目次版元ページ).マンハッタンでオイスターを食べる機会はまだないが,その代わりに品川でたくさん食べたことはあるな.ニューオーリンズではスタンドバーで牡蠣を食べた.原書:Mark Kurlansky『The Big Oyster: History on the Half Shell』(2006年,Random House, London → 版元ページ).時事通信社からの書評依頼./リチャード・コニフ[長野敬・赤松眞紀訳]『新種発見に挑んだ冒険者たち:地球生命の驚異に魅せられた博物学の時代』(2012年1月刊行,青土社,東京,本体価格3,600 円,ISBN:978-4-7917-6636-9 → 版元ページ)※ナチュラリスト列伝.原書:Richard Conniff『The Species Seekers: Heroes, Fools, and the Mad Pursuit of Life on Earth』(2011年刊行,W. W. Norton, New York, xii+464 pp.,ISBN:978-0-393-06854-2 [hbk] / ISBN:978-0-393-34132-4 [pbk]).日経サイエンス誌から書評依頼.

◆午後から都内出撃,夜は土浦・桜町にて背徳の宴 —— 午後3時前,やっと本郷へ出撃だ~.冬晴れで日射しは暖かいが,北風がしだいに強くなってきた.寒々しい夕暮れ間近の東大キャンパス.理学部旧一号館にたどり着く.高座までもう少し時間があるのでお座敷のしたく.今日は生物体系学における統計学的方法について.午後6時前に終る.冬の夕暮れは寒すぎてどうしようもない.気温が急降下してきた.久しぶりの常磐線.今夜は土浦にて背徳の宴.午後7時過ぎにJR土浦駅にやっと到着.

—— 午後9時半に土浦での背徳の夜が終わり,健全にも路線バスでつくばっく.午後10時半には帰宅した.連日連夜の飲みまくりは背徳の証.

◆本日の総歩数=8488歩[うち「しっかり歩数」842歩/12分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=未計測/未計測


25 januari 2012(水)※本郷キャンパスは残雪が方々

◆午前5時前起床.真っ暗な夜明け前.夜中はいったん氷点下4.0度まで下がったが,明け方のいまは氷点下2〜3度台の冷え込み.いずれにしても,昨日の雪はまだ融けていないので,そこらじゅうかちかちに凍結しているんだろうな.足元要注意.晴れているので今日は朝日が拝めた.

◆[蒐書日誌]村岡ゆか・村岡充『こけし系図』(2011年10月18日刊行,コチャエ,京都,64 pp., 本体価格1,000円 → 版元ページ).北白川の〈ガケ書房〉にてゲットした小冊子.限定300部とのこと.土湯・弥次郎・遠刈田・鳴子・作並・蔵王高湯・津軽・南部・山形・肘折・木地山など,伝統こけしの系統樹が満載.実にすばらしい! 古生物学者・鹿間時夫はこけし研究の大家でもあった.この『こけし系図』にも鹿間の本が引用されているが,古生物学者だった鹿間がこけしに関心をもったのはなぜだろう? そういえば,居室の本棚には,いつ買ったのか覚えていないが,木地山系の伝統こけし作家だった小椋久太郎のこけしがずっと前からいる.竹園には同じく木地山・川連の小椋正吾のこけしが並んでいる.

◆午前の┣┣" 撃ち —— とりあえず系統樹ウェブ曼荼羅の連載校正┣┣" の成敗をした.この連載もそろそろ終りが見えてきた.次は,単行本化するというやっかいな作業が待っている./常盤台の統計道場は次回から隔年開講となった.

◆[欹耳袋]研究者人生論 —— 中山敬一「「幻の原稿」編 『Q&Aで答える 基礎研究のススメ』」※単純明快な一問一答.後半になるほど内容がどんどんカゲキになっていくようだ(タイトルをみるかぎり).著者には研究者人生の“多様性保全”に関する見解を訊いてみたい.

◆最節約メールのすすめ —— メールは開封さえ不要な「最節約性」を帯びてほしい.メールの「件名」のみで必要にして十分な情報が伝達できればベスト.逆に,「非最節約メール」の最たるものは:1) 件名は「無題」だったり「お願い」とか「通知」など無情報であることが多い.2) しかたなく開くと「下記の要領で〜」と添付ファイルがたるんとぶら下がっている.3) またしかたなく添付ファイルをわざわざダウンロードすると,仰々しい書式でテキストのみの書面.「こんなのメールの本文に書けばいいじゃんと舌打ちする」ことしばし.それも「.doc」ならまだしも,「.jtd」とか死ね死ね死んでしまえ〜.メールの読み手にこのようなムダな作業を要求することは,他人の時間を奪っていることへのかぎりない鈍感さの発現であると考えられる.「霞が関」方面あるいは「全農林」など組合関係から降ってくるメールはときに罪深い.官庁と組合は労働者の時間と資源を収奪している点で有意差ない(マジで).結論として,うっとおしいメールは「届かなかった」ことにして「いっさい読んであげない」というのが“天動説”的に正しい対処法だろう.

◆[蒐書日誌]田中健二『高等独文解釈』→ pdfがDGC基礎研究所のウェブサイトから公開されている.

◆昼前につくばを出発.今日は朝から東大農学部の専攻修論発表会をやっている.毎年,後半に顔出しすることにしている.本郷は,晴れときどき曇り.弥生キャンパスはまだところどころ雪が残っていた.雪が少しでも積もっていると空気が冷やされるのだろうか.晴れていてもどこからともなく湿った寒さが染みこむ.七号館にて発表会が午後5時まで.午後6時すぎから専攻交流会がある.けっきょく痛飲して最終のTXでつくばに午前様ご帰還とあいなった.

◆本日の総歩数=7369歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.6kg(0.0kg)/29.9%(+0.4%)


24 januari 2012(火)※雪が降り積もる朝は出勤難民

◆午前4時半起床.雪はもう降っていない.しかし,すっかり雪化粧をしている竹園一帯.午前5時の気温が氷点下3.3度.ということは,そこらじゅうがこちんこちんか…….夜明けとともに見渡す風景の白さが目にしみる.今朝の最低気温は氷点下4.9度まで下がった.そりゃあ凍結しまくるのもムリはないな.車やバスでは出勤できなさそうだったので,一念発起して自転車通勤の選択肢を選んだ.交差点がどこもかちかちのアイスバーンになっていて,発車する車が軒並み「しゅるしゅる〜」と心地よい滑走音をたてていた.今朝,ノーマルタイヤで走っている勇敢なみなさんは く れ ぐ れ も 要注意.凍りついた交差点での車の「しゅるしゅる」音を聞くたびに,冬のサッポロ中心部の凍結した交差点をみごとな「しゅるしゅる」音を立てながら,〝滑走〟していた車を思い出す.あれで事故らないというのは信じられない.いつも集団登校している小学生たちがいないと思ったら,市内の小中学校は二時間遅れの始業らしい.

◆[蒐書日誌]「科学」編集部(編)『科学者の本棚:『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで』(2011年9月27日第一刷刊行/2012年1月10日第二刷刊行,岩波書店,東京, x+264 pp., 本体価格2,600円, ISBN:978-4-00-005212-2 → 版元ページ目次など追加情報).第二刷が届いた./Paul Teetor[大橋 真也監訳/木下哲也訳]『Rクックブック』(2011年12月刊行,O'Reilly,東京,本体価格2,940円,ISBN:978-4-87311-533-7 → 版元ページ).「R本」はどんどん増える一方.

◆通勤難民続出 —— 土浦野田線は榎戸交差点あたりで渋滞中.まったく車が動いていないとのこと.午前8時すぎの道路状況:学園西大通りは小野川の環境研あたりで南行きが渋滞.土浦野田線は舘野から榎戸に向かう西行きがぴくりとも動かない.国道408号は池ノ台以北の学園方面北行きが大渋滞.408号にかかる稲荷川上で自損事故あり.農林団地に到達できたマイカー通勤者はまだ少ないようで,研究所の駐車場はがらがら.路線バス通勤者もきっとまだたどりつけていないにちがいない.雪が降る日は「休む」のが実は最善策かもしれない. そんなわけで,農環研内は人口密度が低いまますでに始業時間に突入している.こういう日は農環研の最上階から筑波山を雪見するのが精神衛生上よろしい.あ,真っ白な富士山も遠景に見える. 今朝の雪による出勤遅延は「年休」ではなく「特別休暇(有休)」の扱いになるといま事務連絡があった.

◆[欹耳袋]統計ネタふたつ —— 数理統計学のレクチャー全49回!Joseph Blitzstein「Statistics 110: Introduction to Probability」 他人が教壇に立っている講義を傍聴するというのはとても勉強になる./日本テクノセンターから依頼された統計研修は,7月30日(月)10:30〜17:30に開催されることになった.PC実習付きの one-day seminar.

◆駅弁バンザイ! —— 昨日,京都との日帰り往復は夜明け前につくばを出発し,早朝の新幹線に乗ったので,朝食は駅弁.JR東京駅だと他府県の駅弁までよりどりみどりなので,とてもうれしい.しかし,東京駅オリジナルの駅弁も選ぶのに困るほどたくさんある.昨日のセレクションは「東京弁当」という名の駅弁.この「東京弁当」,さっそく車中で開いてみたら,けっこうゴージャスな駅弁だった.浅草〈今半〉の牛肉しぐれ煮,人形町〈魚久〉のサーモン粕漬け,築地〈青木〉の卵焼き,日本橋〈大増〉の野菜うま煮などなど.ご飯は有機米,食後に和菓子もついている〜.駅弁売り場をざっと見渡すと,最近は「野菜中心・健康重視」な駅弁が増えてきたような気がする.ときどきものすごくデラックスな駅弁(とってもお高い!)が売られているが,あれって車内でおもむろに開陳して食べるものなんだろうか(明らかにどうみても列車の座席テーブルに乗り切らない重箱弁当もあるんだけど).

◆[分類思考]本日の残響:みどりもの「系統樹思考の世界/分類思考の世界/進化論はなぜ哲学の問題になるのか―生物学の哲学の現在“いま”」(2012年1月23日) ※なかなか味わいのあるやりとりが〜.「先生は「こういったことは頭のそうとうおかしな人だけ考えればいいです。大部分の貴方達にはどうでもいいことでしょう」といって講義の中ではさらりとさわりだけを説明するにとどまった」− 年上らしい「オトナの対応」をしたゆうことか.コメント欄も実に興味深い.「シンプルであれ」とは実にオッカムの化身のような発言.

◆今日の日中はよく晴れて,冬の日差しが西向きの居室にさんさんと降り注いだ.最高気温は午後2時前の3.7度と寒気が強かったが,室内に引きこもっている分にはしごく快適だった.午後4時過ぎ,さて,そろそろ撤収タイムかと片付けはじめたら,二階から書類┣┣" がなだれ込んできたので速攻で退治.さて,暗くならないうちに自転車で竹園まで帰り着かないと〜.帰りは〝滑走〟しないように気をつけよう.

◆[蒐書日誌]旧「蒼樹書房」の自然科学書の在庫はすべて断裁処分されているので,古書流通ルートには載っていないはず.どの本も古書価が高いのはそのせいだと推測される.著者または訳者に問い合わせればひょっとして在庫があるかもしれない.廃業するにあたって在庫断裁される前に,著者・訳者に引き取られている可能性があるので.なお,版下フィルムはすべて仙波元社長の自宅に保管されている.もし何らかの形で復刻を引き受ける版元があるなら,エリオット・ソーバー『過去を復元する』のように,よみがえる道は残されている.

◆夜,暴れまわる校正┣┣" に翻弄される.明日締め切り.ひー.

◆本日の総歩数=1312歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.6kg(+0.1)/29.5%(+0.3)


23 januari 2012(月)※雨模様の洛南にてミッション

◆午前4時半起床.曇り空.氷点下の明け方.ミッション遂行のための旅支度をばたばたとすませて出撃〜.

◆洛南ミッションへの旅路 —— 夜明け前で外はまだ真っ暗.凍てつく冷気の中を出発する.つくばセンター付近のペデストリアン・デッキや道路は前日の雨が凍結して,ところどころつるつる滑り要注意.5:28発のTX快速に乗る.さすがにこの時間帯のTX車内はがらがらだ.しかし,都内に入る頃にはしだいに通勤客が増えてきて,秋葉原駅構内はもう週明けの混雑が始まっていた.東京駅にて「東京弁当」を買ってからのぞみ201号に乗りこむ.見回すと出張らしきサラリーマンばかり.外は灰色の曇り空が広がっている.予報では夕方以降の関東は雪になるらしい.今日は遂行に時間がかかる作戦は入っていないので,早めに京都から帰還するようにしたい.車窓から見上げる空はどこまでも曇っている.しかし,静岡に入ってからは雲が切れ,東海地方では朝日が差し込んできた.しかし,名古屋を過ぎて関ヶ原にかかるとまたしても陰鬱な曇天に逆戻り.定刻の9:01に京都着.曇りところどころ晴れ.まずまずの空模様.さて,京都の朝はイノダから.珈琲充.「アラビアの真珠」にお砂糖とフレッシュが入って朝から背徳.ミッション司令がホットラインから伝令された.では,洛南の最前線へ出撃だ.

◆[欹耳袋]京大吉田寮って「九龍城」みたい —— カラパイア「国立大学最古の寮、昭和レトロな京都大学「吉田寮」」(2010年5月20日)|元記事:CNN「Yoshida-ryo: Dilapidated, decrepit and downright dirty」(2010年5月4日).その昔,京大オーケストラがマーラー〈復活〉の練習を吉田寮の二階(だったと思う)でやったとき,たまたま居合わせたのだが,床を踏みぬいてしまうかと思いました(笑).東大駒場寮に二年間住んでいた経験があるので,大学寮の治外法権的な猥雑さのあるコミュニティーはとても貴重だとしみじみ思う.「九龍城」的という表現はそういう意味.駒場寮には,中核派・革マル派・統一教会・オケ部屋・空き巣・どろぼうなどあらゆるものがごった煮になっていた.ウラの池に首吊り屍体がしばらくぶら下がっていたこともあったな.駒場寮の「中寮」「北寮」「明寮」の三つは現役の「生活寮」だったが,「南寮」は1970年代は研究棟として使われていた.あの研究環境はさぞかしすさまじかったにちがいない.もう時すでに遅いかもしれないが,大学の「絶滅危惧寮」は積極的に保全すべきだったと思う.

◆第一ミッション完了 —— さて,ここからはJR奈良線でミッション最前線に向かう.ミッション前半戦を終えた正午過ぎ,洛南は曇りときどき晴れ.風はやや冷たいが,気温はそんなに低くないようだ.黄檗山萬福寺を一回りしてきた.半生記近く前にすぐ近くの宇治小学校に在籍していたときに,写生大会か何かで萬福寺には何度も来た記憶があるが,その後はほとんど足を運ぶ機会がなかった.引き続いて,第二のミッション遂行のためJR黄檗駅からJR六地蔵駅へ移動する.曇り空からときおり小雨がぱらつく空模様になりかけたが,また晴れ間が戻ってきた.御蔵山の実家にて郵便物の整理など.

◆雪が降りしきるつくばの夜 —— 予定していた京都ミッションを無事に遂行し,北白川にて〈風の森〉を調達.今回は「秋津穂」と「雄町」の四合瓶を.朝からはっきりしない空模様だったが,夕方になって冷たい雨が降り出した.急いで京都駅の新幹線ホームへ.16:32発ののぞみに乗った.関東が雪にならないうちにつくばっくしたいな.名古屋までは雨粒が車窓を流れていたが,東海地方は晴れて夕焼けが見えた.しかし,トンネルをくぐって小田原からは再び雨.TX守谷あたりからぼたん雪に.つくば駅で地上に上がると,湿った大粒のぼたん雪が降り続いていた.午後9時の気温は+0.5度.いまのところは,なかばみぞれのようでもあるが,このあと気温がさらに下がれば本格的な雪になるかも.その後,気温が下がるとともにすっかり雪になってみるみるうちに積もり始めた.静かに雪に埋もれていく大清水公園.

◆[欹耳袋]そうかエーコはもう79歳になったのか —— parool.nl「Umberto Eco krijgt Vrede van Nijmegen Penning」(2012年1月23日).

◆この分だと,明朝の出勤タイムはつくば市内の方々の道路が阿鼻叫喚になるかもしれないな.

◆本日の総歩数=11202歩[うち「しっかり歩数」1496歩/14分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


22 januari 2012(日)※冷たい氷雨が降り続く日曜日

◆午前5時半にのろのろ起床.曇り空.気温は2度台.氷点下ではないものの,湿った冷気はからだによろしくない.また雨がしとしと降ってきたな…….午前8時の気温は+2.9度.その後は降ったり止んだり.今日も冬眠するか.

◆日曜の┣┣" 撃ち —— 受信箱に巣食っていた小物┣┣" たち(新年度早々の統計研修の日程調整とかシラバスなど)を一掃処分.メールボックスが一時的にすっからかんになって気持ちよし./東京農大・昆研の卒論発表会は2月18日(土)19:30~16:30,厚木キャンパス講義棟2階・1204号室にて.その後,昆研の追いコンが17:00から./年度末の業績評価の事務仕事が┣┣" 放牧場の果てに姿をあらわし,じわじわと接近中.

◆正午になっても気温はまだ5度台.ときどき霧雨が降ったり止んだりしていて,体感的にはとても寒い.イーアスとケーズデンキに行ったけど早々に退散して午後は引き籠り.

◆[蒐書日誌]長い書評を書く昼下り —— オレン・ハーマン[垂水雄二訳]『親切な進化生物学者:ジョージ・プライスと利他行動の対価』(2011年12月20日刊行,みすず書房,東京,viii + 514 + lxxxi pp., 本体価格4,200円, ISBN:978-4-622-07666-7 → 目次正誤表版元ページ).どう見てもシンプルな人生ではなかった.しかし科学者人生と宗教的回心のはざまで揺れ動いたジョージ・プライスの最後の決断はこの上なくシンプルだった.

本書は,生物の「利他行動(altruism)」の進化の研究にブレークスルー(「プライス共分散方程式」)をもたらしたジョージ・プライス(George Price: 1922 - 1975)の初の伝記である.プライスは自殺というかたちで自らの人生に終止符を打ち,ロンドンにある墓所には彼の生涯や業績を記した墓碑すらないという.これだけでも十分にドラマチックにして悲劇的な人生といえる.しかし,プライスがどのような前半生をアメリカでどのように送ってきたのか,その後どのような経緯でロンドンにわたって利他行動の進化に関する研究に従事するようになったのか,そしてもっとも謎めいている晩年の歳月に関することどもは,本書の著者が探索する前はほとんどわからずじまいだった.

250ページに及ぶ本書前半の第I部は,アメリカ東海岸にルーツをもつプライスの家系にはじまり,出生から幼年時代のエピソードが綴られている.第二次世界大戦前に入学したハーヴァード大学では科学史家トーマス・クーンと同学年だったとのこと.ただ,大学卒業後,プライスはその後死ぬまで続く“放浪”(知的放浪と現世的放浪)に踏み出すことになる.戦前から前後に及ぶ長い“放浪”の過程で,プライスは方々の大学や研究所そして企業での研究経験を積んでいく.戦時中はかの「マンハッタン計画」に関わってウラン蛍光分析法に関する研究をしたこともあったが,戦後はありとあらゆる研究テーマに関心を向けていたらしい.著者は「彼[プライス]は,どこからともなく突然現れて,科学の基盤についての論争の中心へ落下傘降下してきた」(p. 203)と書いている.

第I部では,プライスはときどき舞台に顔を出す脇役に徹している.第二次世界大戦をはさんだ時代のアメリカは,進化生物学史のなかでは「現代的総合(The Modern Synthesis)」という一大イベントが演じられていた.しかし,プライスがその興行に登場することはなかった.研究キャリア的にも浮かぶことなく,また私的生活でも結婚生活が破綻した彼は「名を成すことにまったく失敗していた」(p. 263)からである.しかし,そういう“負け組”であることになんら引け目を感じることなく,1967年,新天地をもとめて大西洋をわたりロンドンに到達する.

後半第II部は,ロンドンでプライスが送った学究生活から始まる.第9章「ロンドン」は,当時のイギリスの進化学コミュニティーのようすが詳しく描かれている.ウィリアム・ハミルトンやジョン・メイナード・スミスを代表とするビッグネームたちがフル出演する舞台でもあった.生物が自らの生命を犠牲にして他者を助ける「利他行動」はチャールズ・ダーウィンをおおいに悩ませた.その研究分野に,プライスが“落下傘降下”してきたのは偶然だったのだろうかそれとも必然だったのだろうか.

サンタモニカのランド研究所でジョン・フォン・ノイマンが開発した「ゲーム理論」の生物進化への適用を試みたプライスは,やがて彼の名を歴史に残す「共分散公式」を1970年代前半に Nature 誌に発表することになる.プライスが,ハミルトンやメイナード・スミスら同時代の進化学者たちとの密接な交流があったのはこのころのことである.それはプライスが「主役」としてスポットライトを浴びた一瞬のシーンでもあった.なお,プライスの共分散公式については本書の付録で解説が付けられているが,やっぱり難解なものはどうしても難解なままなのはしかたがないことだろう.

表舞台でのプライスが成し遂げた功績と時を同じくして,私生活ではその後の人生を方向づける「宗教的回心」があったことを,続く第10章「「偶然の一致による」回心」と第11章「「愛の」回心」では詳しく分析されている.プライスにとっての「利他主義」が,単なる研究テーマであることを越えて,人生の導きとなる転回(回心)となった背景はきわめて個人的なことだったようだ.

正直に言えば,進化の数理的研究と内面の宗教的回心が渾然一体となったこの時期のプライスの「真実」は,ワタクシ的にはとても理解しきれなかったことをここで白状しなければならない.マリオ・バルガス=リョサ[西村英一郎訳]『密林の語り部』(2011年10月14日刊行,岩波書店[岩波文庫 32-796-3],東京,359 pp., 本体価格840円,ISBN:978-4-00-327963-2 → 版元ページ)の一節に次のようなくだりがある:

もし対話を続けていたとしたら,彼は,自分のもくろみを包み隠さず教えてくれただろうか? たぶん教えてはくれなかっただろう.その種の決心,聖者や精神異常者の決心は公けにはならない.そのような決心は,人それぞれの理性の傾向のなかで,ぶしつけな視線に晒されることなく,心の襞で徐々に形を取り,他人の賛同を取りつけることもなく —— 他人はそれに賛同など決してしない —— 行動に移るものだ.また,その過程 —— 計画の立案と行動の転換 —— において,悟りを開いた者であれ,精神異常者であれ,聖者は,人々から疎遠になり,ほかの人々が踏み入ることができない孤独のなかに立て籠るだろう.(pp. 50-51)

いずれにせよ,ひとつだけ確かなことは,その「回心」の結果(あるいは精神疾患が亢進した結果),「聖者」プライスが自らの身の処し方について「重大な決心」をしたということである.それは他者に対する絶対的な利他主義,すなわち「アガペーの道」(p. 382)だった.

私生活においてホームレスへの施しと援助を開始したプライスは,一方で研究生活に軸足を残しつつ,しだいに「アガペーの道」を突き進むようになる.「科学者」プライスを一貫して支えてきた研究者たちの困惑ぶりが手に取るように描かれた最後の三章は,長年にわたって謎に包まれていたプライスの最期の日々を克明にかつ冷静に叙述する.1975年が明けて間もなく自殺を遂げたプライスの葬儀に立ち会ったのは,彼が援助してきた数人のホームレスたち,そしてほかならないウィリアム・ハミルトンとジョン・メイナード・スミスだけだったという.

プライスの人生は「悲劇」だったのだろうか? この伝記を読むかぎり,むしろそうではなかったのではないだろうか.生涯にわたって数多くの女性に愛されたプライスは実は幸せだったのではないかという逆説的な思いである.何よりも「常識ばなれの自分流」(p. 257)に徹した人生航路とその偏愛ぶりはうらやましいかぎりだ.もちろん,誰にでもまねのできることではないが,それだからこそよけいに,彼はいい人生を送ることができたといえるのではないか.

本書を読了して,まず思い出されるのは,ノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュの伝記:シルヴィア・ナサー[塩川優訳]『ビューティフル・マインド:天才数学者の絶望と奇跡』(2002年3月15日訳,新潮社,東京,595 pp.,本体価格2,600円,ISBN:4-10-541501-8 → 書評・目次版元ページ)である.長年にわたって自分ひとりの世界をつくってきたナッシュの人生は,結末こそちがっていても,プライスの研究者人生と重なり合って見える.

本書は,巻末の長い謝辞に記されているように,一方ではプライスが遺した未公開の書簡や資料を踏まえつつ,他方では彼の遺族や関係者(その多くは進化学のビッグネームたちだ)とのインタビューをよりどころにしながら,謎の多かったプライスの生涯を掘り起こし光を当てている.綿密な考証に支えられたみごとな伝記である.

原書:Oren Harman『The Price of Altruism: George Price and the Search for the Origins of Kindness』(2010年6月刊行, W. W. Norton, New York, x+451 pp., ISBN:978-0-393-06778-1 [hbk] → 版元ページ|宣伝YouTube「Oren Harman and The Price of Altruism 」).原書も十分に厚いが,それにしても,こんなに早く本書の翻訳が出るとは予期していなかった.みすず書房の判型だと600ページ超の厚さになるのか.原書を読む前に翻訳が出てしまうと,なんとなくうれしいような先を越されたようなフクザツな心持ちになる.

—— 書評を書いたついでに,訳本を通読して気づいた点を列挙した正誤表も公開した.いくつかは翻訳ミスのようだが,原書がまちがっている箇所もあった

◆[欹耳袋]つい最近つくばに異動した知人が設立理事に入っている:「日本サイエンスコミュニケーション協会設立記念シンポジウム」(2012年1月21日)

◆小雨が降ったり止んだりのぐずついた空模様は午後になってやっと回復し,空が明るくなってきた.雲間から真っ赤な夕焼けが久しぶりに見えた.今日の日中は6.5度まで最高気温が上がった.しかし,明日からはまた強い寒気が入るらしい.午後9時,NHK教育のメシアン〈トゥーランガリーラ交響曲〉の放映.アンドレ・プレヴィンの指揮台にあった総譜がワタクシのめくっていた総譜と同じサイズだったのでとても親近感が湧いた.「愛」の交響曲だねえ.

◆明日は特別休暇をとって京都ミッションに向かう.

◆本日の総歩数=2140歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.5kg(0.0kg)/29.2%(−0.2%)


21 januari 2012(土)※みぞれの翌日も雨が降り続く

◆今朝はのろのろと午前5時半に起床した.大寒の朝なのに最低気温は+2.0度までしか下がらなかった.それでも,朝日の射さない曇り空で,昨日のみぞれで空気が湿っているせいか,冷え込みが身に染みる.連日続いた都内出撃だったが,今日はなーんにもないのでのびのびできる(したい).細かい氷雨が降り続く午前中,気温はぜんぜん上がらず,正午になってもやっと+3.5度に達する程度.遠く筑波山方向を見やると中腹あたりまで真っ白に雪化粧していた.

◆[蒐書日誌]カルロ・M・チポッラ著[柴野均訳]『シラミとトスカナ大公』(1990年4月25日刊行,白水社,東京,398 pp., ISBN:4-560-02853-2 → 目次).先日,新宿百人町の古書店〈畸人堂〉にてゲットした.中世ヨーロッパで猛威をふるったペストをはじめ,疾病社会史の歴史的エピソードがいろいろ載っているようで興味深い.

◆[欹耳袋]Morpho: R-package for for shape analysis and mesh operations. ※幾何学的形態測定学のためのRパッケージ.試しにダウンロードしてみた.まだドキュメンテーションがそろっていないが使い勝手はよさそう.すでに,shapes: statistical shape analysis in R という形態測定学パッケージがある./Taglibro de H「「Mac OS X 上で、WinBUGS+R2WinBUGS を使用する」更新」(2012年1月21日)

◆ずっと降り続いていた小雨はやっと止んだようだが,気温は3.8度という寒さのまま午後に突入する.本日のお昼ごはんは余りものチャーハンなり. 今日の具は:卵・ナルト・チャーシュー・葱・たくあん・胡麻.鶏がらスープの素と海塩・黒胡椒で味付け.今日は朝から一歩も外に出ていない.

◆[蒐書日誌]Garr Reynolds『Presentation Zen: Simple Ideas on Presentation Design and Delivery, Second Edition』(2011年12月刊行,New Riders Press, Berkeley, ISBN:9780321811981 [pbk] → 目次版元ページ著者ブログ).

◆[分類思考]本日の残響:pasageさんの書評「分類思考の世界」(2012年1月19日).※「種問題」は二次方程式を解くようには解けないということなんですよね.最終的な「解」が見つからないまま「問題」だけが“鵺”のようにいつまでも跳梁跋扈する.そういう科学や研究もまた「多様性科学」の無視できない側面であるということです.とらえどころのない「種問題」の“姿”を裾野から歩き始めて見極めようというのが本書の主たるメッセージ.その問題を一刀両断で解決しようなどという意図は最初からありません(できないものはできない).

◆夕方になり,またしても氷雨が降り出した.数日ぶりに夕闇の観音台に向かう.人気のない農環研はわがニッチ.居室の┣┣" 放牧場は静かな週末を迎えている.しばらく巡回したのち撤収.夜,雨足がしだいに強くなってきた.午後8時の気温はすでに1.6度まで下がってきた.こう寒々しいと温かいものがほしくなるのは人情なので,夕餉は「肉豆腐」にしようと思ったのだが,牛肉が予想外に多かったので,事実上「牛鍋」みたいになってしまった.〈天明〉の「中取り弐号」とともに.

◆[蒐書日誌]そのうち出版されるらしい論文集 —— Andrew Hamilton (ed.) forthcoming『Patterns in Nature: Historical and Conceptual Foundations of Phylogenetic Systematics』.編者のウェブサイトに所収論文のいくつかが予告されている.版元は University of California Press, Berkeley なので,きっとあの叢書の一冊として出るのだろうなと勝手に予想している.

◆本日の総歩数=1345歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.5kg(−0.5kg)/29.4%(−0.2%)


20 januari 2012(金)※雪が降り続く本郷で連続高座

◆午前4時半起床.つくばは雪にはならず小雨が降り続いている.今朝の最低気温は+2.0度までしか下がらなかった.そのわりにしんしんと寒さが忍び寄る.放射冷却の乾燥した明け方は「ひりひり」する冷え込みだが,今日みたいな氷雨だと「染み入る」冷え込み方だ.ニュースを見たら都内は未明にみぞれになったようだが,とりあえず交通機関に問題がなさそうなのでほっとする.じたばたと集中講義のしたくなど.

◆本日も都内出撃の朝 —— では,手足がかじかむ小雨の中を本郷へ出撃.8:47発のTX区間快速に乗る.午前9時半すぎ,根津駅に着いて地上に上がったら本格的な雪が降っていた.根津の坂を上がって東大農学部へ.今日は午前10時から「エコロジカル・セイフティー学特論II」の集中高座があるのだが,定時になってもほとんど学生が来ない.どうしたことかと思っていたら,ぱらぱらと遅れて部屋に入ってきた.南北線やら田園都市線がいろいろと遅延していたらしい.少し遅れて開始.今回は生物統計学にからむモデルの話をすることにした.実験計画法の線形統計モデルをざっと話したところでもうランチタイムになってしまった.

◆昼休みの弥生キャンパスはみぞれが降り続き寒いのなんの.正午の都内の気温は「+2.6度」だとか.そりゃ寒いはずだ.今日は久しぶりに農学部正門前の玄米定食〈大きなかぶ〉に顔を出す.前とは変わってセルフサービスになっていた.レシートも自分で書くとのこと(なんだそりゃ).もちろん日替わり定食を注文.野菜中心のワンディッシュに玄米ご飯と味噌汁が付く.熱々の豆カレーがことのほか秀逸.昨日もカレーだったけど,今日もカレー.かれー,かれー.一息入れて午後の高座に向かう.

◆午後の集中講義は,モデル選択の原理とその適用,続いて一般化線形モデルについて,最後に多変量確率分布と多変量解析について話したところで午後5時になった.これにておしまい.つごう六時間の集中講義は話す方も聞く方も体力勝負(気力は二の次).十名弱の受講生諸氏,たいへんおつかれさまでした.外はもう夕闇に包まれている.まだ降り続いているみぞれの中,根津へ降りて今日もまた〈芋甚〉へ.一昨日は粒餡の「田舎しるこ」を食べたので,今日はこし餡の「御膳しるこ」を注文.ついでに持ち帰り用の「昭和焼き」を頼んだ.

◆午後7時過ぎにつくば着.センター広場はまだ小雪がときおりちらついている.気温は+3.1度.今日は都内もつくばも日中の最高気温が2〜3度だったことをいま知った.あまりに寒すぎるので〈芋甚〉で買ってきた小倉餡の「昭和焼き」をば.つくりたてを買ってきたので,つくばに持ち帰ってきてもまだ餡が暖かい.

◆車中ざっと読了 —— Barbara Gabriella Renzi and Giulio Napolitano『Evolutionary Analogies: Is the Process of Scientific Change Analogous to the Organic Change?』(2011年11月刊行, Cambridge Scholars Publishing, Newcastle upon Tyne, xvi+137 pp., ISBN:978-1-4438-3354-7 [hbk] → 目次版元ページ).科学哲学者たちによる科学理論の変遷をどのような「進化的アナロジー」によって説明しようとしてきたかをレビューする.とくに,David Hull(1988)の言う科学理論の“自然淘汰モデル”に対する異議を唱え,代替モデルとして“定向進化モデル”を提唱している.おもしろいか,と言われれば,なんだかあまり魅力的ではないんですけど.Hull の“自然淘汰モデル”が科学者にとって魅力なのは,彼の言説が科学者にとっての「武器」となる可能性があるからだ.本書の著者のいう科学理論の“定向進化モデル”は,理論や仮説の方向づけられた“突然変異”と“変遷過程”を重視する点で,現場の科学者にとっては使えなさそう.確かに,科学変遷の「記述モデル」としては“淘汰”でも“中立”でも“定向進化”でもかまないのだろうけれど.「タイプ階層(type-hierarchy)」の論議にいたっては,束論における「概念束(conceptual lattice)」の二番煎じみたいでさらに魅力に欠ける.うーん,イマイチ訴求力に欠ける本という印象を受けた.

◆明日の土曜は何も予定がないぞ.実に喜ばしいことだ.

◆本日の総歩数=3657歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.0kg(−0.2kg)/29.6%(+0.4%)


19 januari 2012(木)※不忍池に逆さのスカイツリー

◆午前4時起床.今朝の最低気温は氷点下4.8度.連日,通勤するかのように都内に通っている.毎日行き先がちがうところが旅芸人のようだ.今日は定例の高座がふたつ.予報では今夜から雨か雪が降るとのこと.ここのところ,空気が乾ききっているので,ちょっとくらい降ってくれた方がありがたいが,交通機関に影響があるのはやめにしてね,と勝手なことを言いまくる.

◆[欹耳袋]〈raxmlGUI〉:最尤系統推定ソフトウェア〈RAxML〉のGUI版 → ダウンロード.参照:D. Silvestro and I. Michalak (2011) raxmlGUI: a graphical front-end for RAxML. Organisms Diversity & Evolution. DOI: 10.1007/s13127-011-0056-0

◆生まれいづる大学┣┣" ども —— 東大の専攻修論発表会は1月25日(水),また専攻卒論発表会は2月27日(月).いずれも発表会後に専攻交流会が予定されている./東京農大の方は年度末の予定はどうなってたっけ…….

◆本日も都内出撃 —— いつも通り7:56発のTX快速に乗る.今日も千代田線がやや遅延して代々木上原到着.快速急行に乗る.薄い雲がかかっているが,おおむねいい天気.あまり寒くないな.玉川大学の「分子系統進化学」講義も今期は今日でおしまいだ.この大学は学期が早く始まって早く終る.午前11時から開始.最終回は,これまで講義してきた分子系統推定法の相互比較,そして系統樹を用いた生物地理学・共進化解析・生物資源探索などの応用について.午後1時前に終了.受講生のみなさん,お疲れさま.課題レポートはよろしくねー(1月26日締め切り).

◆外は曇り空で,ぜんぜん寒くないな.これから経堂でランチと思いつつ,新百合ヶ丘でうっかり快速急行に乗り換えてしまったので,予定変更で千代田線にそのまま乗り替える.湯島にて下車.久しぶりの〈デリー・湯島店〉にてコルマカレーを注文.学部生のころからここに通い始めてもう30年以上になるが,骨なしチキンとジャガイモのシンプルなコルマカレーの基本がこの長い年月で何ひとつ変わっていないのは驚くほど.看板メニューのカシミールカレーではなくコルマカレーにこだわるのはワタクシの趣味.

◆学会関係備忘メモ —— 今年の Willi Hennig Society Meeting:〈Hennig XXXI〉23-26 June 2012, University of California Riverside.※York開催のはずだったけどな…….歴史言語学のシンポジウムが予定されている./今年の統計関連学会連合大会は2012年9月10日(月)〜12日(水)に北海道大学にて開催.計量生物学会の受賞講演の座長を依頼されたので参加することに.

◆〈デリー〉を出て湯島から不忍通りをてくてく北上する.不忍池は冬景色.どこからもスカイツリーが見える景色はまだ違和感があるが,そのうち慣れてしまうのだろうか.雲がしだいに厚くなってきたような気がする.気温はなお高めに推移している(あとで確認したら都内の午後の最高気温は10.2度まで上がったらしい).根津の〈Amber〉にて珈琲充.本郷高座までひっそり潜伏する.

◆午後4時半から東大での「生物統計学」講義.今日はベイズ法の後半としてベイジアンMCMCの話をする.MCMCアルゴリズムについてもっと聞きたいとの質問があったので,来週の統計学的系統推定の時間に追加説明しよう.課題レポートを出題した(締め切りは2月2日ね).講義後,理学部生物学科進学予定者の会に誘われたので,来月時間をつくることになった.

◆夜,すでに関東西部から雨が降り始めているらしい.これから平野部でも雪の予報.明日も朝から本郷で集中講義なのだが,交通機関に支障が出るのかどうか.

◆本日の総歩数=4870歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜○.計測値(前回比)=94.2kg(−0.5kg)/29.2%(+0.1%)


18 januari 2012(水)※本郷にて教員会議と田舎汁粉

◆午前4時半過ぎに起床.今朝も冷え込みが厳しく,最低気温は氷点下6.3度まで下がった.雲ひとつない冬空のてっぺんから強い寒気が降り注いでいる.もうすぐ大寒になる.

◆観音台にてじたばた —— 午前中は,観音台にてごそごそする.学位審査のD論を読み,明日の高座の準備ふたつ,明後日の長時間高座のハンドアウトづくり.昼前には本郷に出撃しないと専攻教員会議に間に合わない合わない合わない.業績評価に関する事務連絡.所外貢献は2月7日までに,業績報告は3月15日が締切,その前に成果報告をしておくこと.年度末の定例┣┣" ども.

◆[欹耳袋]ほほー —— 「東大、秋入学移行へ 懇談会が積極検討を提言」 - 47NEWS(よんななニュース).All or nothing で一挙にやるしかないんだろうな.

◆本郷にてさくさく —— 午前のじたばたで手間取ってしまい,11:55発のTX快速にかろうじて間に合った.からからの冷たい空気に静電気が飛びまくる.午後1時前に根津着.13時から東大農学部の専攻教員会議.思いのほかさくさくと議事が進行し,詳細がわからない「秋入学」の話題とかほぼスルーだった.それよりも,年度末の学年行事の確認とか,今年度の予算執行状況とか,次年度の学務担当委員の選出の方がはるかに身近で重要な問題.今年の大学院学位授与式は3月22日(木),学部卒業式は翌3月23日(金),そして入学式はいつも通り4月12日(木).3月の教員会議は19日(月)に変更された.

◆根津にて背徳甘味 —— 教員会議が午後3時過ぎに終わったので,根津に下って久しぶりに〈芋甚〉へ.お昼ごはんを食べているヒマがなかったんだしと自らに対して懸命に弁解をしつつ,小さい焼き餅が二枚入った粒あんの「田舎しるこ」を注文する.関東では,一般に「おしるこ」と「ぜんざい」は「汁気の有無」によって区別されていて,汁気のあるものはあずき粒の有無にかかわらず「しるこ(汁粉)」と呼ばれる.〈芋甚〉では,こしあんの「御膳しるこ」と粒あんの「田舎しるこ」の二種類の「おしるこ」が用意されている.そして,関東で「ぜんざい」といえば汁気がない“あんこ”そのものだ(まだ食べたことはないが).一方,京都では,汁あり&粒あんは「ぜんざい」,汁あり&こしあんは「おしるこ」,そして関東の「ぜんざい」に当たる汁なしの粒あんは「亀山」と呼ぶ.

◆今日の夕餉は海鮮鍋だったので,会津・曙酒造の〈天明〉「中取り弐号・純米吟醸生酒(美山錦)おりがらみ本生」を開栓した.前回飲んだ新酒「中取り壱号・特別純米生酒(五百万石)うすにごり」よりもさらにフレーバーがたつソフトな味わいかも.ピンクのラベルのせいか.

◆[欹耳袋]グスタフ・レオンハルトの訃報(享年83歳) —— NOS.nl 記事「Dirigent Gustav Leonhardt overleden」(2012年1月17日)と nrc.nl 記事「Dirigent Gustav Leonhardt (83) overleden」(2012年1月17日).古い〈フーガの技法〉のCDを聴いてみるか.

◆本日の総歩数=5248歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前回比)=94.7kg(+1.1kg)/29.1%(−0.5%)


17 januari 2012(火)※新大久保コリアンタウンの宴

◆午前4時半起床.めずらしく氷点下にならなかった早朝.最低気温はプラス1.0度どまりだった.今日は午前中は観音台にて┣┣" 撃ち,午後は新大久保にてお座敷.

◆[蒐書日誌]文庫化間近! —— ジャレド・ダイアモンド[倉骨彰訳]『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎(上・下)』(2000年10月2日刊行,草思社,東京,317 pp., ISBN:4-7942-1005-1 (上巻)・ ISBN:4-7942-1006-X (下巻) → 書評|目次:上巻下巻).2012年2月に草思社文庫から出版されるとのこと: ISBN:978-4-7942-1878-0 (上巻)・ ISBN:978-4-7942-1879-7 (下巻).初版が出てからもう十年以上も経っているのか.

◆┣┣" が行きつ戻りつ —— ┣┣" 一頭を海に返したら,すぐ戻ってきた(orz).再び熨斗を付けて返したら,今度は子供を連れてまた戻ってきた(orzorz).やはり┣┣" は撃つしかないのか.

◆[欹耳袋]高座┣┣" 撃ち予定 —— 情報機構・統計研修,2012年6月12日(火),10:30〜16:30./日本テクノセンター・統計研修,2012年6月ころ,10:30〜17:00./日本生態学会第59回大会(龍谷大学・大津キャンパス)での小集会〈W03:形態測定学の活用法〉は3月17日(土)15:00〜17:00 @ Room D(8号館B101号室).

◆昼下りの健全な新大久保にてよそ行きお座敷 —— 正午のTX区間快速に乗る.雲ひとつない快晴の空が広がり,乾ききった空気が冷たい.午後1時過ぎに新大久保着.古書〈畸人堂〉にて書棚をひとまわり物色する.百人町に来たときの儀式のようなもの.裏道を通って科博分館の先まで.今日のお座敷はここAGF商品開発研究所だ.コーヒーの香りが漂う研究所にてコーヒーをいただきつつ,所長と懇談.午後2時前,隣の建物の会議室に向かう.今日の統計研修の参加者は約三十名.研究所のほとんどの研究員が参加している.今日の研修は午後2時から午後5時まで.統計学概論とともに持込PCでのRとRコマンダーのインストールと起動確認.今日はデータの読み込みから始まって,グラフの描画を実習した.RODBCの具合がわるいのか,エクセルからのシート読み込みがうまくいかない(クリップボード経由でも見出し行が入るとダメ……).それ以外はほぼ予定通りの講義を完了した.来月と再来月にまたここに来ることになる.

◆[欹耳袋]国立民族学博物館の共同研究「言語の系統関係を探る:その方法論と歴史学研究における意味」主催のシンポジウムからお誘いいただいたので,二つ返事でお引き受け.英語での発表を予定.演題は:三中信宏「生物・写本・言語におけるツリーとネットワーク:系統推定論における構造モデル選択について(Tree and network in systematics, philology, and liguistics: Structural model selection in phylogeny reconstruction)」を提示した.

◆夕闇の“異界”新大久保にて血沸き肉踊る —— 午後5時過ぎ,夕暮れのたそがれ時を見計らって研究所のVIPたちと連れ立って,新大久保駅前へ.日本語ではないさまざまな言葉が飛び交う駅周辺.この一帯のコリアンタウンは短期間にどんどん姿を変えているらしく,店の入れ替わりがめまぐるしいと聞く.それにしてもこの韓流大河とハングル優占度はただごとではない.表通りの雑踏を抜けて,とある横丁へ折れたところにある韓国料理〈まいうKOREA〉に入る.店名はちょっとアレだけど,このあたりでは超人気店で予約しないと入れないらしい.まずはビールとトッポッキ(떡볶이)そしてチヂミ(지짐이)からはじまる宴.

機を見計らって,いよいよこの店の名物料理である「タッカンマリ(닭한마리)」がテーブルに運ばれてくる.金盥のような大鍋のスープの海に鶏一羽がまるごと浮かんでいる.まずはハサミで鶏を骨ごとじょきじょき切り分ける.てんこ盛りの野菜(白菜・ニラ・えのき茸・ジャガイモなど)と白菜キムチを投入した上で強火でぐつぐつ煮込む.これはサムゲタン(삼계탕)よりもさらに豪快な料理だ.鍋の具を食べつくしたら,最後は残ったスープにうどん(カルグクス 칼국수)を入れて〆にする.やかんに入った生マッコリはアルコール度数が低く,しかも微炭酸が効いて飲み心地とてもよし.もっと“高度”な蒸留酒があればさらによかったかもしれない.

—— 午後9時前に店を出る.つくばに帰り着いたのは午後10時前.背徳の新大久保にしては帰宅はしごく健全だなあ.

◆本日の総歩数=10189歩[うち「しっかり歩数」928歩/11分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.6kg(+0.1kg)/29.6%(+0.5%)


16 januari 2012(月)※連日徘徊する一週間が始まる

◆午前4時半起床.気温は氷点下3.3度.灰色の曇り空が広がるうすら寒い週明け.朝の最低気温は氷点下3.7度とたいした冷え込みではなかった.夜明け前の取手ピストン往復のお仕事.今日だけはつくばにいるが,明日からは連日の都内出撃.方々で高座をお勤めすることになる.

◆[蒐書日誌]「Beanbag genetics」の進化学史 —— Krishna Dronamraju『Haldane, Mayr, and Beanbag Genetics』(2011年1月刊行,Oxford University Press, New York, xviii+274 pp., ISBN:978-0-19-538734-6 [hbk] → 目次版元ページ).著者は J. B. S. Haldane のインドにおける伝記を書いたこともある遺伝学者.1940年代の「進化学的総合」の時代にあって,Ernst Mayr が集団遺伝学的アプローチ(Mayr の造語である“beanbag genetics”)に終始批判的だったのに対し,Haldane は逆に「A defense of beanbag genetics」というエッセイを書いている.本書はふたりの間のやりとり(巻末に復刻された50通ほどの書簡)をベースにして,この“beanbag genetics”の科学史に光を当てている.

◆[欹耳袋]『アエラ』最新号(2012年1月23日号)記事から —— 「親の死に目に会いたい」&「「その時」のためにできること」.「親の死に目に会えない」ことは,国内外を移動(異動)し続ける研究者稼業をし続けるかぎり,誰もがもたねばならない不可欠の「覚悟」だと思う.つまり,たとえ「親の死に目に会えなかった」としても,それは「親不孝」などと責められるべきことではなく,単に確率的に「運が悪かった」というだけのこと.しかたがない.ましてや,「親の死に目に会えなかった」ことで自分を責めるなんてやめようね.たとえ親の隣に住んでいたって死に目に会えるとはかぎらないんだし.単なる確率的なできごとに一喜一憂してもしかたがない.研究者はさまざまなリスクを背負いつつ生きるしかない.

現実問題として,自分の親がヤバくなってきたら(誰でもそうなる),リスク管理は「金・コネ・時間・気力・体力」の5つの変数をもつ関数の最適化で乗り切るしかない.

  1. 「金」:遠距離にいる場合,病床の親のもとにかけつけるには往復移動の金がかかる.陸路・空路を問わず,相当な出費を迫られるということ.
  2. 「コネ」:病人のもとで介護をするにあたって肉親・親族・知人・ヘルパーなどのヘルプを受けられるかどうか.適切な病院や施設に入れるための情報をタイムリーに得られるかどうか.
  3. 「時間」:介護のために職場を離れることがサポートされているかどうか.法律や規程については事前に確認しておかないと手痛いことになる.研究者の場合は実験・調査・講義などに穴をあけたときの穴埋めは覚悟すること.事後のオーバーワークは必須.
  4. 「気力」:介護のエンディングがいつかはまったく先が見えない.研究や講義を続けながら,時間を見つけて親元との行き来をするためには,ポジティヴに「気力」を保ち続けるしかない.過度に没入することなく,むしろ冷静に事態の推移を見る.
  5. 「体力」:遠方の親元に駆けつけるには体力も必要.時には,当の病人の付き添いだけではなく,病院や役所との交渉が必要なこともある.介護疲れで自分がダウンしたのでは話にならない.下命された「ミッション」を遂行するつもりになること.

以上の点に留意しつつ,最後は「自分の選んだ道は正しい」と思うこと.研究者稼業は「包丁一本さらしに巻いて」世界中どこへでも行ってみせますという気概が必要なのだろうけど,「親の介護」という問題をアンカーのように引きずりながら,移動(異動)し続けるしかない.その問題がいきなり表面化するまでは「自由」でいられる.

介護の幕が降りたとしても,その後が続く.亡き後の役所・年金・保険・相続関連の「事後処理」は実にたいへんで,職場でいつも降ってくる事務作業なんか「ちょちょいのちょいの朝飯前」と思えるほどの煩雑さ.行政書士や弁護士など適切な「アウトソーシング」が必要になるだろう.しかも,その「事後処理」に,残された親の介護も上乗せされたりとかした日には,公的サービスやらツテやコネを総動員してもなお“綱渡り”のリスクは残る.

◆ある┣┣" の終焉 —— 昼前になっても曇り空のまま,午前11時の気温はプラス3.0度と朝からあまり上がらない.進化学事典のゲラ読みと索引項目ピックアップをやり続けている.校正┣┣" は物量体勢で挑んでくるのでたいへん.正午過ぎ,進化学事典の執筆項目ゲラ(計32ページ)のチェックと索引項目ピックアップを完了.年越し┣┣" はひとまとめにして小日向宛に即刻返送するべし.あとは,「研究者小伝」と「進化史年表」かー(まだ影も形もないけど……).

◆午後になっても曇り空のままで,いっこうに気温は上がらず.本日の最高気温は午後2時の4.5度どまりだった.フレックスタイム変更届とともに年度末までの年休届を提出をすませた.「ちょちょいのちょい」とはいえめんどうくさいことこの上なし.

◆[蒐書日誌]『Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics, Volume 42』(2011年12月刊行,Annual Reviews, Palo Alto, xii+526 pp., ISBN:978-0-8243-1442-2 → 版元サイト).毎年,年明けに届く年報.補足説明ボックスや文献キャプションが付加され,どんどん informative なレビュー誌(本)になってきた.

◆明日からの高座のしたくをぱたぱたとすませて,午後5時前に観音台を撤収.

◆本日の総歩数=8221歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.5kg(−0.7kg)/29.1%(+0.3%)


15 januari 2012(日)※どら焼きに始まる怠惰日曜日

◆午前5時前にいつもどおり起床.夜明け前の暗闇.最低気温は氷点下5.8度.年明け以降,小雪がぱらついた以外まったく降っていないので,どこでも静電気が飛びまくる.今日は用事のない怠惰な日曜なので,朝から〈うさぎや〉のどら焼きを食べても誰からも責められたりしない.

どら焼き通の間での,湯島〈うさぎや〉と池袋〈すずめや〉の「兎雀対決」の結末はどうなるのだろうか.味の好みがしっかり分かれるようだが.

◆[欹耳袋]計量生物学会関連 —— 日本計量生物学会の年次大会は,2012年5月25日(金)〜26日(土),統計数理研究所(立川)にて./International Biometric Society の神戸大会〈IBC 2012〉26-31 August 2012 の参加申し込みリミットが延長された./昨年からの年越し┣┣" となってしまったジャーナル電子化作業をそろそろ何とかしないと…….

◆べいずな午前 —— お昼ごはん前にベイズ統計の講義スライドを十枚ほど新規追加してみた.ベイズの定理を呈示したところで,「条件付き確率」としての尤度と事後確率を直感的に理解するための「絵」を描いたということ.統計学は「数式」よりも「絵」がイノチ.さっそく来週の東大の講義で使ってみることにしよう.

◆[蒐書日誌]Carl Johan Schlyter の最古の写本系統樹 —— H. S. Collín and C. J. Schlyter (eds)『Corpus iuris Sueo-Gotorum antiqui: Samling af Sweriges gamla lagar, på Kongl. Maj:ts. nådigste befallning, 13 vols』(1827〜1877年刊行, Haeggström, Stockholm → Internet Archive).1827年に出版された第1巻には,中世スカンジナヴィアの法典『Västgötalagen』に関する最古の写本系統樹(「schema cognationis codicum manusc[riptorum]」)と類縁表(「tabula consanguinitatis」)が載っている.しかし,Google Books の電子化ファイルをブラウズしても,肝心のこの図表(巻末の「Tabula III」)が不完全で困ったことだ(p. 597).カルロ・ギンズブルグの論文:Carlo Ginzburg (2004) Family resemblances and family trees: two cognitive metaphors. Critical Inquiry, 30: 537-556 には完全な図(fol. 99 verso〜 fol. 100 recto)がある.いずれどこかで見ておきたい.

◆らんちな午後 —— 気持よく晴れて空気が冷たい昼下り.今日のランチは,背徳とはほど遠く,小野崎の〈Shingoster LIVING〉にてサンデーブランチをば.蓮根とつくねのライスバーガーうまし.弱い南風が吹いている.気温はあまり上がらず,午後2時になっても7度に達しない.

◆[欹耳袋]Nathalie Gontier 2011. Depicting the tree of life: The philosophical and historical roots of evolutionary tree diagrams. Evolution, Education and Outreach, 4(3): 515-538. DOI 10.1007/s12052-011-0355-0 → abstractAcademia.edu.この手の論文はよくアンテナに引っかかるようになった.

◆[蒐書日誌]Ghiselin, M. T. and G. Pinna (eds.) 『New Perspectives on the History of Life: Essays on Systematic Biology as Historical NarrativeMemoirs of the California Academy of Sciences, Number 20, 1996 → Internet Archive. ※全文をpdfで読むことができる.

◆夕餉には〈獺祭スパークリング〉をしゅぽーん! つつがなき日常のよくある背徳の点景であった.明日の月曜はつくばに実在するが,明後日以降はほぼ連日,都内で統計高座がある.日によって場所もオーディエンスもちがうのだが,さりげなく連携させて最節約的にラクさせてもらうことにする.ただし,お座敷用の三点セットは別々に用意しないわけにはいかない.

◆本日の総歩数=2042歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.2kg(−0.4kg)/28.8%(+0.1%)


14 januari 2012(土)※都内出撃まとめて補講の土曜

◆午前5時起床.今朝も寒いなと思ったら,案の定,最低気温が氷点下6.1度まで下がった.例年,小寒から大寒までの半月はたしかに凍える季節だ.夜明け前にだし巻きを焼く勤行.

◆[蒐書日誌]Friedrich Ritschl の写本系図 —— Friedrich Ritschl『Thomae Magistri sive Theoduli Monachi Ecloga vocum atticarum』(1832年刊行,Halis Saxonum In libraria Orphanotrophei, Halle. → Internet Archive).ビザンチン帝国のギリシャ語文献の校訂本.リッチュルが描いた写本系図(p. xxx)を見ると,現存する写本と祖本との系統関係を実線によって結んでいることがわかる.中には,複数の祖本から書写された混交(ハイブリッド)と推定されるものもある.当時の写本系図推定は,必ずしも分岐的なツリーだけではなく,網状のネットワークをも視野に入れていたことがわかる.

◆週末の都内は受験生だらけ —— 今日は玉川大学の補講が二回分あるので,朝から夕方まで都内出撃だ.7:58発のTX快速に乗る.晴れ上がった氷点下の朝,センター試験受験生が駆け抜けるペデストリアン・デッキ.今日は週末のせいか,千代田線のいらいらするダイヤ遅延もなく,ほぼ定刻で下北沢に到着.都内も冬晴れ,空気が冷たい.午前10時前に玉川学園駅着.駅前の喫茶店にて一休み.晴れてはいるが,ときどき雲が日射しをさえぎる.午前11時から「分子進化系統学」の補講開始.今日はPC実習室が教室に割り当てられたので,備え付けの Vista マシンに MrBayes やら MCRobot やら使用するソフトウェアをいちいちインストールしないといけない.万人を不幸にする Vista なので先行きがやや心配ではある.前半はベイズ統計学に関するスライドでの講義をした.後半は分子系統樹のベイズ推定に関する実習と解説.幸い,不幸にあえぐ受講生はいなかったので,午後3時前に無事に四時間に及ぶ補講を完了した.玉川大の講義も残すところ来週の一回のみとなった.

講義後,玉川学園駅にもどり,小田急から千代田線へ.こんなに遅くなっていったいランチをどうするかという悩ましい問題が浮上するも,午後4時前という時間帯にごはんを食べるわけにはいかない.そのまま黙ってとぼとぼ帰ることにする.湯島でいったん降りて〈うさぎや〉にてどら焼きをゲットし,即つくばへ直帰.今日はひたすらベイズづくしで日が暮れる.「ベイズの定理」に関するグラフィックないい説明を思いついたので,帰ったら InDesign で作図しよう.

—— 午後5時半につくば着.赤紫色の夕焼け.今日はいつもの長時間移動といつもよりも長時間労働だったので,日本酒を飲んでもよろしいとの自分会議からの許認可通達を受けた.

◆近未来┣┣" 撃ち関連 —— 信州大理学部のレポート締め切りはおとといだったのだが,提出者がほとんどいないなあ…….どーしたことか./所内の業績評価表フォーマットが公開されたのだが,またしても書式が大きく変わっていて,やらずもがなのムダな作業が降ってきた./週明けに年休届とフレックス変更をしないといけない./またしても別件の「統計講師」依頼が舞い込んできた.ここのところ多すぎやしないかい.依頼内容を見ると,学期はじめに実施日が指定されているので,これ幸いとお断りしよう.ぜひそうしよう.

◆明日の日曜は久しぶりに何も予定が入っていない.背徳うだうだサンデーの予感が濃厚.

◆本日の総歩数=4497歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼−|夜△.計測値(前回比)=94.6kg(−0.7kg)/28.7%(+0.7%)


13 januari 2012(金)※凍える明け方は朝風呂に限る

◆午前4時半起床.今朝も最低気温は氷点下6.5度で,きのうと同じ厳しい冷え込みだった.午前6時前に朝風呂でゆるゆるする.日中は細かい┣┣" どもが何頭も消えていったが,大物┣┣" たちはびくともしない.

◆日本分類学会連合シンポジウム〈種の記載の現場に迫る〉 についてのコメントの続き —— 分類研究の「価値」について.極私的偏愛に動機づけられた分類研究は,対外的にその理由を示すことができるかという問題.動機づけはパーソナルでいいのだが,理由づけはパブリックにならざるをえない.物理学のような実験系研究分野ならば「普遍性・一般性」をもつ規則なり法則を発見するという価値を前面に出して,理由づけをすることができるだろう.もちろん,自然淘汰とか中立進化のような「力」の理論はある程度の普遍性なり一般性をもって論議できる.

しかし,個別分類群に関する研究がいつもいつもそういうジェネラルなものを目指しているわけではない.しかし,分類研究の多くの場合はそうはいかない.特定の分類群に関する研究は「普遍性・一般性」をもつとは考えられないから.分類研究が何らかの対外的理由を持ち得るとしたら,それは「かけがえのなさ」という意味での「唯一性・固有性」を強調するしかないかもしれない.その際,「かけがえのなさ」というとらえどころのないものに対してどのような理論武装をすればいいのかという問題は残る.Edward O. Wilson や鷲谷いづみのように,ある種の「宗教的倫理」を前面に出していいものかどうか.

ありとあらゆる分類群に対して「かけがえのなさ」を理由にするなら,たとえば保全生物学はいったいどうなってしまうのかと思う.ヤンバルクイナや(絶滅した)トキのような「スター生物」以外の分類群に対して同様の保全活動が成り立つのか?実験系科学は「クラス(類)」に関する法則性・規則性を希求するのに対し,分類学のようなサイエンスは「個物」に関する唯一性・固有性を対象とするという学問としての基本的性格のちがいが顔を出す.

—— 分類学の「なかのひと」たちはそういうめんどうくさいことどもに頭を悩ませたことがあるのかどうか.研究の「理由」とか「価値」の議論はもともとめんどうなことなんだけどね.

◆[欹耳袋]47NEWS「NYフィル、携帯の音で演奏中断 客席でアラーム数分鳴りやまず」(2012年1月13日).マーラー9番の最終楽章でのできごとだったらしい.オーケストラ演奏会の本番でケータイを鳴らす不届き者は,ホール引き回しの上,ハンマーで叩きのめす刑に処せられるべきだ.

◆午後5時過ぎ,久しぶりに系統樹ウェブ曼荼羅の連載記事原稿を送信完了:三中信宏「文化構築物としての写本の系統と進化」(連載第11回).今月末にオンライン公開される予定.

◆明日は朝から玉川大学の補講.昼食タイムのない時間割なので,11:00〜15:00まで通しで二回分の補講をこなすことになる.お昼ごはんはどーしようー.

◆本日の総歩数=3425歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=95.3kg(+0.7kg)/28.0%(−1.3%)


12 januari 2012(木)※今季最寒の日に都内巡業する

◆午前4時半起床.すでに氷点下4.4度.午前6時,もうすぐ氷点下6度なんですけど.真っ青な東の空に朝日が輝き,寒さがひときわ身に染みる.今朝の最低気温は氷点下6.5度で,もちろん今季最低.今日は都内巡業の日.

◆出撃の朝 —— 7:56発のTX快速に乗る.外は雲一つない青空.空気が冷たすぎる.千代田線が病人救護で遅れまくり,やっと小田急の快速急行に乗れた.都内晴れところどころ曇り,眠気が吹き飛ぶ空気の冷たさ.午前10時過ぎに玉川学園前に到着.真冬の大学キャンパスは人気もなくて実に寒々としている.講師控え室にて実習のしたくをする.午前11時から講義.今日は,まずはじめに課題レポートの出題と説明をしたのち,系統ネットワークの講義と〈SplitsTree4〉による実習をした.

◆[欹耳袋]Darwine を起動して「Make sure that your X server is running and that $DISPLAY is set correctly」というエラーが出たら,黙って Mac を「再起動」するべし.それでめでたく事態は解決する.

午後1時に高座終了.外は晴天で,日射しが暖かい.経堂で途中下車して,農大通りからちょいと横丁に入ったところにある〈らかん茶屋〉にてランチ.昼食時を外したはずなのにほぼ満員だった.ここは和風の飲み屋なのだが,静かにジャズが流れる店内はいつものとおり.久しぶりに来たので,「地魚の天麩羅とお刺身の定食」を注文してみる.メインは魚の天ぷら,お刺身,煮物にポテトサラダと野菜サラダ,ご飯と漬物と味噌汁が付いてくる.

その後,根津に移動し〈Amber〉にて進化学事典のゲラ読みをする.午後4時前に本郷キャンパスへ.4時半から「生物統計学」の講義.今日はベイズ統計学の前半だった.午後6時前に講義終了.二食のウラから池之端に出て,湯島へ.今夜は午後7時から生物地理学会事務局新年会が〈龍膳・上野店〉であった.初めての店だったが,コストパフォーマンスがとてもいい中華料理屋で,かなりたくさん食べてしまった.とくに「パリパリ羽根焼餃子」が絶品だった.午後9時半に解散とあいなった.

—— TXで午後11時過ぎにつくば帰宅.今日は朝から夜まで出ずっぱりだった.いまの気温は氷点下3.2度.明朝はいったい…….午前零時の気温は氷点下4.2度.冬眠のしたくをしないと.

◆[欹耳袋]Non mollare mai「Significance  2012.1.8 〈DAY2〉」(2011年1月9日) ※研究する動機づけは「内」にあり,その理由づけは「外」を向く.

◆本日の総歩数=6956歩[うち「しっかり歩数」1028歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=94.6kg(+0.2kg)/29.3%(−0.3%)


11 januari 2012(水)※真冬らしくないぽかぽか陽気

◆午前5時半によろよろ起きるが,さすがに昨夜のダメージが大きい…….今日は日射しがぽかぽかと暖かい.冷たい北風にも吹きさらされず,いい日和だ.さて,どの┣┣" から片付けるかな.午後になって,何だか雲行きがアヤシくなってきた.

◆[欹耳袋]ベイズとかネットワークとか —— 〈MrBayes: Bayesian Inference of Phylogeny〉 —— 2011年11月16日にリリースされた最新版 version 3.2.0 をダウンロード.Barry G. Hall の解説本:Barry G. Hall『Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual, Fourth Edition』(2011年5月刊行,Sinauer Associates, Sunderland, xiv+282 pp., ISBN:978-0-87893-606-9 → 目次版元ページコンパニオンサイト)には,リリース前のものが使われている.ベイズ法の講義実習用ツールとして使わしてもらおう./〈SplitsTree4〉と〈Dendroscope3〉.系統ネットワークの推定と描画のためのツール.

◆日中の┣┣" 撃ち ——玉川大学の「分子系統進化学」補講は1月14日(土)の3〜6限にパソコン実習室(大学8号館222号室)にて行なう.内容は MrBayes を用いた分子系統樹推定の講義と実習./ 玉川大学の課題レポートをつくり終えたので,午後5時前にそろそろ撤収しよう.小雨がしだいに小雪に変わる竹園あたり.夜になって北風が強まってきた.明朝は今シーズンの最低気温を更新するにちがいない.

◆本日の総歩数=8030歩[うち「しっかり歩数」5861歩/71分].全コース×|×.朝○|昼○|夜○.計測値(前回比)=未計測/未計測


10 januari 2012(火)※連休明け┣┣" 乱射と背徳会

◆午前4時半起床.昨日の日中は寒気が緩んだが,今朝はまたキリキリ冷え込んで最低気温が氷点下4.9度まで下がった.昼と夜の寒暖差が大きい.午前6時に時の鐘が鳴り響く.夜明け前の東の空の縁には雲がかかっているが,おおむね青空.今日も乾燥した晴天が続くとの予報だ.

◆[欹耳袋]最新版 R-2.14.1 for Macintosh のバイナリーがリリースされた.R Commander も 1.8.1 にアップデート.mgcv パッケージが「名前空間」苦界から脱出し,三次元グラフがやっと描けるようになった.R Commander の最新版には「検証的因子分析」という新しいメニューが加わった.

◆連休明けの┣┣" 撃ち三昧 —— 次年度の出講大学(東大・農大・玉川大)のシラバス登録をすべて完了した.大学ごとに教務システムがすべて異なり,しかも毎年ビミョーに仕様が変更されていて,ログインするたびに「初心者」にリセットされる.ユーザーに熟練を許さない教務システムだ./別件の統計研修2件についても,それぞれシラバスを送ったり,こまごまと事務連絡したりした.統計高座を引き受けるのはやぶさかではないのだが,事前に不必要に詳細を問われても困ることがある.まあ,適当にええかげんに返事したので実害はないんだけどね./玉川大学の補講の日程調整完了.2月14日(土)11:00〜15:00の二コマ分.教室はまだ確定していない.

┣┣" が一頭ずつ着実に消え去っていくなあと油断していたら,本郷から学位審査の博士論文原稿がどかんと着弾……(orz).来月はじめに審査会があるのでそれまでに./2月10日(金)の京大生態研セミナーの演題と要旨(英和両方)を送信した:三中信宏「分類思考と系統樹思考:体系学がたどってきた道」./東大の「生物統計学」レポート課題をつくり終えたところでタイムアップかな.玉川大の「分子進化系統学」レポート課題づくりは明日の┣┣" にする.

◆背徳な夜は更けて —— ┣┣" は減ったが,腹も減った.今夜は背徳な新年会が某所で計画されている.わいわいと語り,ぐいぐいと飲んで,気がつけばとうの昔に午後十時を過ぎ,日本酒の四合瓶がごろごろ転がる.またしても飲み過ぎてしまったか…….

◆本日の総歩数=7345歩[うち「しっかり歩数」3053歩/26分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=94.4kg(−0.3kg)/29.6%(+0.4%)


9 januari 2012(月)※連休最終日は京都ミッション

◆久しぶりにゆるゆる寝てしまって,午前6時半に起床.晴れ.最低気温は氷点下3.8度まで下がった.冷え込む明け方はふとんとの心温まる(体も暖まる)一体感が何ものにも代えがたい.でも,起きるしかないかー.のろのろ起きだして,白味噌のお雑煮など.

◆[蒐書日誌]「語り部」への宗教的回心 —— マリオ・バルガス=リョサ[西村英一郎訳]『密林の語り部』(2011年10月14日刊行,岩波書店[岩波文庫 32-796-3],東京,359 pp., 本体価格840円,ISBN:978-4-00-327963-2 → 版元ページ).あるユダヤ人青年が,現代社会を捨ててアマゾン奥地の先住民社会の中で「語り部」となるにいたるまでの「回心」の物語.個人的にはなじみのない宗教的な「回心(conversion)」とはいかなるものかを垣間見ることができて興味深い.

◆今年初めての京都ミッション —— 昼前にTXに乗って東京に出る.とてもいい天気で,風も弱く寒さは緩んでいるようだ.新幹線の車窓から見上げる空も,冬らしくない薄曇り.午後2時半に京都着.曇りところどころ晴れ間.気温はむしろ高めか.午後5時過ぎ,宇治ミッション完了.万福寺の夕暮れ.奈良線で京都駅へ戻り,午後6時すぎの新幹線でつくばに直帰.帰り着いたのは午後10時前.またしても日帰り往復してしまった.

◆一昨日,駒場で開催された日本分類学会連合シンポジウム〈種の記載の現場に迫る〉 についてのコメント —— 分類研究の「動機づけ」と「理由づけ」.多くの演者が分類学的な基礎研究(標本の収集や記載)を続けてこれた「動機づけ」は,きわめてパーソナルなコレクター的欲望あるいは偏愛的欲求であることをあからさまに公言していた.研究活動の「動機づけ」に関するかぎり,極私的であってワルイことは何一つない.記載分類が分類学にとってしなければならないことは,この研究者コミュニティのなかではコンセンサスなのだから,むしろそういう「ヒソカな悦楽」をもっと公言してもいい.確かに,「私は第三腹節の刺毛が好きです」とか「ぼくは口吻がある線虫を愛しています」とか「実は蛾の valva に固執しています」と言われたら,「変人やなあ〜」とは思われるかもしれない.しかし,そういうオブセッションがあるからこそ,社会的には必ずしも恵まれていない「分類研究」を長年にわたって続けられてきたのであれば,それはちゃんと正当に認めるべきだろう.個人的にも,対外的にも.

一方,分類研究の「理由づけ」はそうはいかない.黙っていてもシンパシーをもってくれる「中のひと」ではなく,まったく理解のない(あるいは批判的ですらある)「外のひと」に対して説明するわけだから丸腰で防戦するのはハイリスク.分類連合シンポジウムでは演者それぞれが,もっと大きな分類体系の構築を最終的な目標として,個々の群に関する現在進行中の分類研究の「定位」をしていた.それぞれの分類群から体系構築へ,さらには生物多様性の解明へというベクトルが,対外的に分類研究を「理由づけ」の基本となっている.標本のデータベースづくりという作業も“インベントリー”という「理由づけ」で何とかなるかもしれない.

いずれにしても,対外的な「理由づけ」は,相手によってそのつど「口上」を変えるわけだから,上から降ってくる義務的な仕事ではある.職業的分類学者にとっては予算獲得とか業績報告のときには日常的なことだろうけど.「動機づけ」は「内からの声」なので切実にして神聖不可侵?なのだが,「理由づけ」は「外からの要請」なのでそこはかとなくいやいやな義務感が漂う.場合によっては,攻めの姿勢の「アウトリーチ」とか「サイエンス‥コミュニケーション」という手もあるのだろうが.「では,なぜその特定の分類群なのか?」と問われたら,多くの場合,「好きだから」とか「まだ調べられていないから」というパーソナルな「理由づけ」を口にするしかないだろう.分類群に対する極私的オブセッションによる動機づけを対外的な理由づけに転用するからパブリックな理解が広まらないということ.戦略・戦術をどうにかできないか.

Society for Systematic Biology や Willi Hennig Society のように,分類学の「科学的理由づけ」を科学者相手に提示し続けてきた研究者コミュニティはすでにある.日本では,その基盤自体がなかったという足腰の弱さは否定できない.大きな理論的フレームワークが共有されていない状況では,極私的オブセッションをよりどころにするしかない.分類研究が基本的に「個人」でやれるからこそ,アマチュア分類学者が生存できるニッチがずっと保全されてきた.しかし,個人ごとのパーソナルな偏愛がパブリックに共有される枠組みであるとはかぎらない.分類に関わる「私的な論争」や「個人的ないがみあい」はいわば「個人店主」どうしのバトルみたいなもの.神棚の家訓を互いに掲げて戦うのだから収拾がつくはずがない.パーソナルとパブリックの混同の最たるもの.シンポジウムに先立つ総会でも話題になったが,収集コレクションの「公開」をめぐる問題のひとつとして,personal なコレクションの位置づけについて論議された.タイプ標本の「私蔵=死蔵」もあるらしい.

—— 分類学者が,パーソナルな「偏愛」を内に保持しつつも,対外的にスマートに行動できるだけの「したたかさ」あるいは「戦略的意識」をもつこと,あるいは内外での「互恵的協力関係」を築くことはとても有益だと思う.

◆[欹耳袋]Togetter - 分類研究の「動機づけ」と「理由づけ」.※上に束ねたワタクシの発言も含めて,たくさんのツイートがわらわらと集まってきた.

◆明日からの連休明けの一週間はつくば実在日がほとんど.とても大切な日々ではあるが,┣┣" 撃ち予定も多すぎる…….

◆本日の総歩数=6783歩[うち「しっかり歩数」1242歩/11分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.7kg(−0.2kg)/29.2%(+0.4%)


8 januari 2012(日)※前夜の都内酒池肉林の報いか

◆前夜の飲み過ぎが祟って,午前6時過ぎにやっと起床.外は今日もよい天気で,きりきり冷え込み,最低気温は氷点下4.2度まで下がった.北風がやや強いが,日が差し込む室内は暖かく過ごせる.午前中はまだ静かだが,昼過ぎからは眼下の〈カピオ〉にてつくば市の成人式が挙行される.毎年のイベントだが,集結する振袖とスーツの若者,収拾不能の交通渋滞,そして響きわたる歓声でカオスな状態になるだろう.

◆[蒐書日誌]後藤文彦「良いプレゼンと悪いプレゼン(準備中)」(2010年12月10日更新).書籍版は:後藤文彦『良いプレゼン 悪いプレゼン:わかりやすいプレゼンテーションのために』(2008年12月刊行,カットシステム,東京,ISBN:978-4-87783-214-8 → 版元ページ).

◆[欹耳袋]文献引用系統樹 —— Autodesk Research「Citeology: visualizing paper genealogy」.論文の引用系譜の可視化ツール.まるで gene tree を復元しているようなもの.ついでに関連記事も:「Citeology: Visualizing the Relationships between Research Publications」(2011年12月22日)./あらら,いまごろ:KAKEN「個体をベースとした生物多様性のためのデータベースシステムの開発および構築と運用」(2001〜2003年度).

◆〈つくいち〉に始まる連休中日 —— 昼下がり,今年最初の〈つくいち〉へ.昨年は週末といえば京都ミッションだったので,〈つくいち〉に行く機会がぜんぜんなかった.〈ナチュカフェ〉の真鯛の一皿と〈白飯家〉の参鶏湯を風に吹かれつついただく.成人式に向かうと思しき若者たちとすれちがう.会場の〈カピオ〉前の喧騒度がぐんぐん上がっている.午後4時前,カピオでの成人式イベントがすべて終わったらしく,「下界」が再びにわかに騒がしくなってきた.太鼓が鳴り響き,お神輿が練り歩き,大清水公園では集合写真撮影も.夕暮れ間近.東の空にはもう満月が上がってきた.成人式の騒がしさはしだいに沈静化し,あたりはもう暗くなってきた.

◆明日は,今年初めての京都ミッション.年末年始で十日ほど経ってしまったが,行けるときに行かないと.

◆本日の総歩数=2385歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.9kg(+0.5kg)/28.8%(−0.3%)


7 januari 2012(土)※七草粥を食べてから駒場出撃

◆のろのろと午前6時起床.今朝の最低気温は氷点下4.8度だった.すっきり晴れて雲ひとつない空.朝は七草粥.

◆久しぶりに駒場へ —— 9:10発のTX快速に乗る.乗り継いで駒場東大前にたどり着いたのは午前10時半だった.本郷で講義するようになってから,駒場に来る機会がめっきり少なくなってしまった.18号館一階のホールで開催されている日本分類学会連合の第11回総会に出席.メーリングリスト TAXA についての報告をすませて,お仕事はさくっと瞬速完了.総会は午前11時半におしまい.キャンパス内にあるファカルティハウスの〈ルヴェソンヴェール駒場〉にてランチののち,再び分類連合シンポジウム〈種の記載の現場に迫る〉の会場に向かう.外はとてもいい天気.会場では多くの知り合いに会った.

  • [駒場]分類学会連合シンポジウム http://www.ujssb.org/ がスタート.@celmisia 前会長が姿をくらましたので,鶴崎展巨新会長のあいさつなう. #ujssb posted at 13:33:42

  • 田中 和明(弘前大学)「微小な菌類(カビ類)の新種記載」


  • [駒場]最初は微小菌類の分類.田中和明氏.これからシンポ講演が始まると「種」が飛び交うにちがいない. #ujssb posted at 13:39:49
  • [駒場]菌類(カビ)の分類っていかにもたいへんそう……. #ujssb posted at 13:47:59
  • [駒場]菌類の taxon sampling はあまりに「粗」かつ「nonrandom」すぎるという.「すかすか状態」 #ujssb posted at 13:54:47
  • #ujssb 「メジャーなクレードである子嚢菌類のモノグラフをつくりたい」 posted at 13:57:00
  • #ujssb 有性世代だけではなく無性世代の形質が「分類上」重要であることもある. posted at 14:00:38
  • #ujssb 分子データを調べてみたら,形態データに基づく高次分類群がエライことに. posted at 14:04:09
  • #ujssb 「こりゃ.埒があかない」.科・属の定義ができないし.無性世代(不完全菌類)のもつ情報に再び目を向ける.不完全菌類を分類体系に組み込めないか. posted at 14:07:20
  • #ujssb タケ寄生性の菌類を例にとると,不完全時代の分子情報を組み込むことにより,錯綜状況が改善される可能性がある. posted at 14:09:10
  • #ujssb 今の気運:「1 fungus = 1 name」の原則を菌類分類にも適用すること. posted at 14:10:33
  • #ujssb 質疑:無性時代がない場合はどうするか? 無性時代と有性時代のつながりが分子系統学によって解明されれば. posted at 14:15:17

  • 神崎 菜摘(森林総合研究所)「線虫の記載分類:多様性を記載できるか?」


  • #ujssb 次のトークは線虫分類.森林総研・神崎菜摘さん. posted at 14:16:27
  • #ujssb 線虫の場合,推定種数は「50万〜2億」.(そもそも「種数」の推定値って,いったい……) posted at 14:19:53
  • #ujssb 線虫はとにかく何でも喰う. posted at 14:24:14
  • #ujssb (オモテの仕事の背後には膨大なウラの仕事が……) posted at 14:30:20
  • #ujssb 記載分類学は何の役に立つのか.「目的」なんかあらへん(という伏字).(マニアやコレクターでええのんちゃうの?) posted at 14:32:47
  • #ujssb (承前)関心のある分類群については同定能力は確かに高いけど,興味のない分類群には見向きもしないというタクソノミストたちの“性向”がときには大きく問題になるらしい. posted at 14:34:25
  • #ujssb 最近は molecular profile を記載文に付けることもある. posted at 14:37:37
  • #ujssb インベントリーをつくるという記載分類の目的に照らすと,楽観的に見ても100年以上はかかる(推定種数が50万として).どうすんねん.分子マーカーを利用しつつ,functional diversity に基づく優先順位付け. posted at 14:40:52
  • #ujssb DNA barcoding とかリバース・タクソノミーによる MOTU(molecular OTU)の記載という道筋. posted at 14:42:00
  • #ujssb (circle tree は「かっこええ!」) posted at 14:43:14
  • #ujssb 線虫のプライマーづくりはたいへん.分子進化速度が速いらしい. posted at 14:44:31
  • #ujssb 分子系統解析もやっぱりたいへんらしい……. posted at 14:45:27
  • #ujssb 質疑:上島Q「分類学者はコンプリート欲望がある.線虫はぜったいムリだけど,モチベーションをどう保つか?」 形態的なおもしろさに浸る快楽. posted at 14:49:11
  • #ujssb 上島Q「リバース・タクソノミーって将来があるのか?」 しつこくやるしかない. posted at 14:50:21
  • #ujssb 「分類群への偏愛について」 好き嫌いは確かにある.「歯」のある線虫にはぞくぞくする. posted at 14:51:13
  • #ujssb 休憩タイムなう. posted at 14:51:32

◆ここで休憩タイム.数年にわたる懸案だった┣┣" がやっと動き始めたとの電話連絡あり.休憩後はさらに三講演が続く:


    柁原 宏(北海道大学)「海産無脊椎動物の記載分類学」


  • #ujssb 柁原宏「海産無脊椎動物の記載分類学」なう.微顎動物門……. posted at 15:16:23
  • #ujssb Exoressed Sequence Tags (EST) による分子系統解析の将来像.珍無腸動物門 2011 は分子系統学的につくられた初めての門. posted at 15:19:35
  • #ujssb 系統学的に廃止されたphyla も多い.ユムシもダメ…… posted at 15:20:39
  • #ujssb 紐形動物門(ヒモムシ)についての話が始まる.まずは動画から. posted at 15:21:43
  • #ujssb ヒモムシは「ヤル気のない生き物」らしい. posted at 15:22:30
  • #ujssb 30メートルにもなったり(ギネスもの),ふらふら泳いだり,ホッキ貝やホヤやカニに入り込んだりする. posted at 15:26:11
  • #ujssb ヒモムシの Bauplan はシンプルすぎてあんまりおもしろくなさそう……. posted at 15:27:16
  • #ujssb 神経毒を口吻で獲物に注入するらしい(アブナイやつ).ヤル気がないくせに,食い意地だけは(以下略) posted at 15:29:00
  • #ujssb ヒモムシのCTスキャンだと! うわ,血管系の三次元復元画像なう〜. posted at 15:31:03
  • #ujssb お,ヒモムシ文献の「超整理」. posted at 15:31:35
  • @ynabe39 なんか,ちょっと「性格」に問題のある動物かと……(笑) #ujssb posted at 15:32:40
  • #ujssb ヒモムシ記載は見た目が勝負.「パッと見」が重要らしい. posted at 15:34:35
  • #ujssb ヒモムシ談義に入って柁原さんはとてもうれしそうだ. posted at 15:35:33
  • _φ(・・) #ujssb QT @yoshikurita: ←これこれ、ヒモムシですよ-☆(ドヤ) posted at 15:36:32
  • #ujssb ヒモムシのCTスキャン画像が派手すぎて……(>_<). posted at 15:37:53
  • #ujssb 調査に行くたびにヒモムシ「新種」が採れるらしい.キリがない. posted at 15:38:44
  • #ujssb 話がどんどんマニアックになっていくなう. posted at 15:40:32
  • #ujssb 中華料理の「おたま」で砂浜を掘り返すと効果的らしい! posted at 15:42:05
  • #ujssb イタチムシ,オビムシ,…… posted at 15:43:40
  • #ujssb 分類学の社会的意義はとくに考えていない.自分が「おもしろい」ことを続けているだけ. posted at 15:45:03

  • 西田 治文(中央大学)「ばらばら事件を記載する」


  • #ujssb 西田治文「ばらばら事件を記載する」.古植物学の話. posted at 15:48:00
  • #ujssb Kunstformen der Natur posted at 15:53:13
  • #ujssb 形態分類群 morphotaxa.植物のパーツによって別々に「名前」が付けられる.基準は単一部分・単一生活史‥単一保存形態のいずれか. posted at 16:08:43

  • 丸山 宗利(九州大学)「日本甲虫相最後の砦、ヒゲブトハネカクシ亜科」


  • #ujssb 最後の講演:丸山宗利「日本産甲虫相最後の砦ヒゲブトハネカクシ亜科」 posted at 16:24:52
  • #ujssb 甲虫屋にとって「ハネカクシ」は「ごはん」と同じくらい普通名詞! posted at 16:25:26
  • #ujssb ハネカクシ科は動物界で最大の科.すでに五万種が記載されている. posted at 16:26:18
  • #ujssb (今日はあくまでもハネカクシの噺であって,ツノゼミが闖入することはない) posted at 16:28:15
  • #ujssb デオキノコムシってハネカクシだったのかー(目ウロコ). posted at 16:29:51
  • #ujssb @dantyutei 氏トークは本論「ハネブトハネカクシ」へと突き進んでいくのだったー. posted at 16:31:10
  • #ujssb (どれもこれもどーみても「同じ」にしか見えないんですけど……) posted at 16:31:49
  • #ujssb 分類そのものが難しい群.だから「最後の砦」. posted at 16:32:33
  • #ujssb (David Sharp ってどこかで聞いたことがあるぞ) posted at 16:33:27
  • #ujssb 記載も“シャープ”だったらしい. posted at 16:34:13
  • #ujssb (日本のヒゲブトハネカクシ研究史は奥が深い) posted at 16:35:22
  • #ujssb 同じ「種」を三回も記載した研究者もいる. posted at 16:37:31
  • #ujssb (ひとりで何千もの「種」を記載する分類学者はいったいどんな人生をおくってきたのだろう?) posted at 16:38:38
  • #ujssb ヒゲブトハネカクシ記載番付表! posted at 16:40:21
  • #ujssb (師匠の「影響力」って大きいんだなあ……) posted at 16:41:58
  • #ujssb (分類学的に「混乱」していることは分類学者にとっては「楽しい」ことなんだ) posted at 16:44:05
  • #ujssb 「就職したらそんなにいい論文を書かなくてもいいんじゃないか」 posted at 16:45:54
  • #ujssb 「同定は慣れたらすぐわかる」 posted at 16:46:39
  • #ujssb 交尾器が「カッコイイ」という分類学者的感性. posted at 16:49:35
  • #ujssb (あ,ツノゼミ,出たー) posted at 16:53:16
  • #ujssb (宣伝してるってぇー) posted at 16:53:51
  • #ujssb 虫屋の高齢化に伴い,採集者が減少しつつある.在野のアマチュア昆虫学者の貢献が大きい. posted at 16:56:09
  • #ujssb 海外で“荒っぽい”記載をされると害が大きい. posted at 16:56:54
  • #ujssb 新種が多すぎるのに,記載をコツコツやってくれる人材がいない. posted at 16:58:14
  • #ujssb 分類の混乱/タクソンが大きすぎないこと/生物学的に面白いこと/農業に関わりがあること.これが学生が昆虫分類学を行うのに適切な対象. posted at 16:59:49
  • #ujssb 質疑:野村周平Q「ヒゲブトハネカクシ特有の分類問題は」 tribeレベルで問題がある genus や species では大丈夫. posted at 17:02:04
  • #ujssb 講演終了.これから総合討論タイム. posted at 17:03:02

—— 午後6時前にシンポジウムは終了.引き続き,18号館四階のオープンスペースでの懇親会へ.コンベンション・ビューローから差し入れられた日本酒がずらりと並ぶ.つくばに帰り着いたのはまたしても午前様.

◆[欹耳袋]来年の分類学会連合の総会とシンポジウムは,「2013年1月12日(土)」に「国立科学博物館@上野」にて開催されることが午前の総会で決定した.そのシンポジウムを企画しないかとの申し入れあり.次回は興行主として登場することになるのかな.

◆[欹耳袋]Togetter - 第11回日本分類学会連合公開シンポジウム「種の記載の現場に迫る」まとめ.※上記ツイートを含むやりとりあれこれ.(2011年1月10日追記)

◆本日の総歩数=4542歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=94.4kg(+1.0kg)/29.1%(−1.1%)


6 januari 2012(金)※小寒でも暖かい日和の昼下り

◆午前4時半にいったん起床するも,ごそごそしてから二度寝に突入.午前6時頃にやっと起きだす.今朝も氷点下3度台の冷え込み.よろよろと観音台に向かい,三連休前の┣┣" 撃ちをしないと.今日1月6日はロシアの作曲家 Александр Скрябин の誕生日なので,朝っぱらから〈法悦の詩〉をBGMとする.

◆[欹耳袋]日本科学史学会生物学史分科会シンポジウム:〈ルィセンコ事件再考〉.2012年2月5日(日)13:00-17:00 @東京工業大学大岡山西9号館2階コラボレーション・ルーム. /日本分類学会連合の新しいウェブサイト → http://www.ujssb.org/.今年度末に国立情報学研究所のウェブサービスが廃止されるので,学会ごとに方々の外部サービスへの“脱出”が始まっている.

◆今年のおはん始め —— 空気は冷たいが身を切るような北風は吹いていない昼休み.今年初の〈おはん〉にてまぐろ煮定食をば.その後,市役所にて証明書をゲットした.居室の窓際にいるとどこからかすきま風が入って寒いが,外に出ると小寒の日射しがほんのりと暖かい.午後の最高気温は10.1度まで上がった.南風が入ったせいか,雲の表情もそこはかとなく和らいでいた.体感的には寒風に震え上がった昨日よりもかなり快適.

◆[蒐書日誌]山田文雄・池田透・小倉剛(編)『日本の外来哺乳類:管理戦略と生態系保全』(2011年12月20日刊行,東京大学出版会,東京,xii+442 pp., 本体価格6,200円,ISBN:978-4-13-060221-1 → 版元ページ).マングース,アライグマ,タイワンザル,ヌートリアなど日本に侵入して分布を広げている外来動物の現状と対策に関する論文集.イエネコもまた外来とみなされるのか.島嶼生態系への影響が甚大なノヤギとクマネズミに関する章もある.ご恵贈感謝です.

◆[欹耳袋]統計解析における「グラフ」の復権 —— F. J. Anscombe 1973. Graphs in Statistical Analysis. The American Statistician, 27(1): 17-21 → pdf.グラフィックな統計学に対する風当たり(=「計算バンザイ,図表は格下」)は今よりもはるかにきつかったのだろう.冒頭のイントロで,Anscombe は統計家に対して伝統的に行われてきた三つの“刷り込み”を指摘する(p. 17):

  1. 数値計算は正確だが,グラフは大雑把である.
  2. あるデータに対して正しい統計分析を実行する計算手順はただひとつである.
  3. 複雑な統計計算は美徳だが,データをいくら見ても本当のことはわからない.

Anscombe は回帰分析を例にして統計グラフィクスの効用(データの全体的特徴の認知的把握)を説く.頻繁に John Tukey を引き合いに出しているのが印象的.

◆『「知」の欺瞞:ポストモダン思想における科学の濫用』と『サイエンス・ウォーズ』の「はてなブックマーク」のユーザー数が予想以上に快調に伸びている.いずれも十年以上も前に書いた書評文の再掲載なので,鮮度という点ではとうの昔に賞味期限を過ぎている.来月,『「知」の欺瞞』が岩波現代文庫から再刊されれば,また新たな論議を呼ぶことになるだろう.“長期熟成”を経て新たな風味が生まれればありがたい(昔ながらの味わいのままでもいいけど).

◆明日は,日本分類学会連合の第11回総会(10:30〜12:30)と第11回公開シンポジウム〈種の記載の現場に迫る〉(13:30〜17:30).場所は東京大学駒場キャンパス18号館ホール.

◆本日の総歩数=8052歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=未計測/未計測


5 januari 2012(木)※年明け早々の都内巡業に出撃

◆午前4時半起床.夜明け前の朝焼けラインが東の空に広がる.この時間帯の暗くて淡い紅のグラデーションはカメラに撮るのが難しい.寒さに耐えて外でじっと見るしかない.午前6時の気温は氷点下0.5度だが,もうちょい下がるかも.今日も晴れて乾いて北風が冷たそう.昨日の夕方は平地でも小雪が舞ったという証言あり.

◆木枯らしの観音台へ —— 夕方まで時間があるので観音台へ.全館暖房が稼働しているのに,居室の室温が15度を越えないとはなんたることか./今月いっぱいで玉川大と東大の講義が終わる.レポート出題についてそろそろ考えておかないといけないな.玉川大学の始業は来週か(あやうく出撃するところだった).となると,今日は夕方の本郷での講義だけ./メールボックスにうごめく小┣┣" どもを征伐する.片付いたと思ったら性懲りもなく湧き出る小┣┣" どもがまたしても…….

◆[蒐書日誌]牛,牛牛,牛牛牛,犇犇犇犇 —— フロリアン・ヴェルナー[臼井隆一郎訳]『牛の文化史』(2011年8月31日刊行,東洋書林,東京,291 + xiii pp., 本体価格3,200円,978-4-88721-791-1 → 目次版元ページ).宗教的偶像としての牛,肉や乳を生産する牛,反芻しゲップする牛…….もっとも身近な家畜としてのウシを通して人間の社会・文化・歴史を論じている.牛という生物がまとってきたさまざまな「文化的構築」について,古今東西のエピソードをまじえつつ議論は展開する.なお,本書は装丁と組版がとてもおしゃれでわくわくする.

◆[欹耳袋]いま報道されている次期独法名称候補の「成果目標達成法人」というネーミングが採用されたら,その略称はきっと「(成)」になるんだよねえ.「(成)農業環境技術研究所」とか,何だかいかがわしいなあ(「18禁」みたいで).

◆来月の近江高座の件いろいろ —— 来月2月10日(金)に京大生態研センターにて生態研セミナーをすることになっている.実は生態研センターはこれが初見参になる.こんな場所(→地図)にあったのかとまず驚く.JR瀬田駅を最寄り駅として,この一帯には京大生態研センターをはじめ,龍谷大・立命館大・滋賀医大が近接してずらりと並んでいることも知った.来月行くときの宿泊先として〈瀬田アーバンホテル〉をオンライン予約完了.あとは演題と要旨を一週間以内に送らないといけない.三月の生態学会大会は龍谷大・滋賀キャンパスが会場なので,またここに来ることになる.そのときは瀬田ではなく京都市内でないとホテルが取れないだろうな.

◆[欹耳袋]集団遺伝学者 James F. Crow が逝去したのか → Wikipedia./ヴァイオリンの聴き比べ:Claudia Fritz et al. 2012. Player preferences among new and old violins. PNAS, doi:10.1073/pnas.1114999109 → abstract.調べてみて初めてわかることもあるということ.

◆夕方からの都内出撃 —— 西風が吹き荒れる午後3時にTX区間快速で根津に向かう.今日は気温以上に木枯らしの寒さが身に染みる.午後4時半から今年はじめての生物統計学.今日はリサンプリング統計手法について説明した.その後,都内某所にて用事.午前様なワタクシ.うう…….

◆本日の総歩数=7771歩[うち「しっかり歩数」1286歩/13分].全コース×|×.朝○|昼○|夜×.計測値(前回比)=93.4kg(−0.6kg)/30.2%(+0.3%)


4 januari 2012(水)※幸せな正月休みは過ぎにけり

◆午前4時半過ぎに起床.今日からは平日通りの早起きモードに戻さないと.今朝の最低気温は氷点下4.0度まで下がった.快晴の観音台は北風が吹いている.仕事始めとのことで,事務系職員は服装がそこはかとなくフォーマル.しかし, ワタクシ的にはまったく有意差なし.仕事始めの┣┣" 圧がただごとではないので,さっそく新春┣┣" 撃ち開始っ.

だが,仕事始めなのに館内空調がまったく稼働せず,居室の温度が12度と冬眠寸前.これでは活動性が高まらない.かなりサバイバルな状況に陥っている.このまま寝たい.緊急事態に備えて電気カーペットとかこたつを研究室に用意しておこう.スピリッツをあおればこれくらいの寒さはへっちゃらなのだが…….机の目の前に Clynelish の15年ものボトル(Signatory Vintage)があることはあるんだけど,シングルモルトのボトルをいくら眺めていてもぜんぜん暖まらないな.

しかし,寒いからこそ┣┣" 撃ちだ.動けばちょっとは暖かくなるかもしれない.さっき昇給通知をもらったから,フトコロだけは(ちょっと)暖かくなったー.ついでに,一人用の足もと電気マットをスイッチオン!

◆今日の昼休みは所内での「領域新年会」という名の昼食会.アルコール抜きで食べるのみ.背徳とは対極的な健全さ.しっかり食べて午後のサバイバルに備えよう! 昼食会を終えて居室に戻ってきたら館内空調が稼働していた.これで室温が上昇すれば生き延びられる.

◆仕事始めの┣┣" 撃ち —— 研究室にて最初の┣┣" 撃ちとして文化系統学曼荼羅のお絵描きだん.関係者にはこれから発射いたします./今月中の「不在許可」書類一式(出張伺・兼業願※年休届は除く)を提出した.実在率は10日/19労働日なので五割を越えた!/月刊みすず「書評アンケート」を編集部に送信完了.リストしたうち一冊だけ入れ替えた.その入れ替えた一冊とはコレ↓

◆[蒐書日誌]正月三が日で読了 —— マリオ・バルガス=リョサ[八重樫克彦・八重樫由貴子訳]『悪い娘の悪戯』(2012年1月5日刊行,作品社,東京,426 pp., 本体価格2,800円,ISBN:978-4-86182-361-9 → 版元ページ).第二次大戦後のペルーの首都リマに始まった物語は,1960年代のパリを経て,ロンドンへ,そして東京へと大きく場面を変える.転機は極東の東京で訪れ,その真相は長大なパリ再来の章で明らかになる.跡を濁しまくっては niño bueno ことリカルドの前から忽然と姿を消し,またいきなり現れる niña mala ことリリーはしばしの間だけリカルドのもとに身を寄せるが,結末はまたしても同じ.続く二度目のリマの章で出生の秘密を知ったリカルド.40年の長きにわたって絡みあった「良き男(niño bueno)」と「悪き女(niña mala)」の愛憎物語は,マドリッドで綴られる最終章をもって 余韻を残しつつその幕がおりる.

幾度となく煮え湯を飲まされても niño bueno がけっきょくは niña mala なしには生きられなかったことを考えるなら,このふたりの主人公は他の誰も立ち入ることのできない「共依存」の世界をつくっていたのだろう.それとともに,最後まで読み通すと,niña mala のイリーガルにして破天荒な(というか自滅的な)ふるまいは確かに目立つが,本書の主人公はやっぱり堅実なオモテの人生を歩んだ niño bueno だと納得した.

訳本のカバージャケットは niña mala の悪女(femme fatale なイメージ)を強調した図柄だが,原書:Mario Vargas Llosa『Travesuras de la niña mala』(2006年刊行,Santillana Ediciones Generales, Madrid, 375 pp., ISBN:970-770-466-7 [pbk] → 版元ページ)はカフェのオープンテラスで文章を綴る niño bueno をあしらっていてとても味わいがある.原書の出版直後,メキシコシティーのベニート・フアレス国際空港の書店でたまたま見かけて“ジャケ買い”をした理由もそこにある.

ふたりの主人公の関係は,まさにサントメールのランベール(Lambert de Saint-Omer)が『Liber Floridus(花の書)』(12世紀)に描いた美徳の樹(arbor bona)と悪徳の樹(arbor mala)の対を髣髴とさせる(→ 図版).美徳の樹は青々と葉が茂り花が開いて実を結ぶ.一方,悪徳の樹はその根に斧を深々と打ち込まれ醜く枯れ果てる.それでもなお,その根を絡みあわせた善と悪の樹が互いに相手をつかみながら正反対の向きに変貌していくように,ふたりの主人公 niño bueno と niña mala は彼らの人生航路を重ねていく.

—— ふだん小説を読むことはまずないのだが,本書は例外にして別格だった.「¿Cuál es el verdadero rostro del amor?」と問われたならば「Todo está permitido」と答えるしかない.

◆さて,明日は今年はじめの都内巡業の日.今月は補講を含めて高座がふだんの月の1.5倍もある.

◆本日の総歩数=2081歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.0kg(+0.5kg)/29.9%(−0.1%)


3 januari 2012(火)※何もしない三が日は幸福の証

◆午前5時半起床.晴れ.今朝の最低気温は氷点下3.7度.寒.正月三日目にしてやっと日の出を拝むことができた.朝イチの取手ピストン往復.富士山と上越の山々の頂きが真っ白く輝いていた.背徳の正月三が日も今日でオシマイかあ…….

◆いささか無粋ではありますが,明日の仕事始めの┣┣" 撃ち予定 —— まずは今月の出張伺・年休届・兼業願・振替日などいつもの定例┣┣" を征伐する./明後日の木曜から都内巡業が早速始まるので,三点セットをきちっと用意すること.今月は木曜ごとの定時高座に加えて,玉川大と東大それぞれの補講(二回分)も予定されている.さらに課題レポートの出題も./東大農学部のES特論IIとAGF出張高座もある./進化学事典の年越しゲラ読みと項目執筆はかなりヤバい状況になっている./しばらく連載が止まっていた系統樹ウェブ曼荼羅の第11回連載原稿は1月11日が締め切り./横浜国大の成績報告を放置していた./各大学の次年度シラバスの登録がそろそろ始まる./あ,明日の仕事始めは領域新年会として昼食会が予定されているんだった.

—— 年明け早々いきなりこんなことでは今年も先が思いやられる.

◆[欹耳袋]「日本全国お雑煮文化圏地図」 versus 「全国アホバカ分布図」.お雑煮についてはちゃんとした系統解析の卒論がコマバに保管されている.食文化的構築物と言語の地理的分布に関する一致性の程度がちょっと気になる.

◆よく晴れた昼下がりは西風に砂塵が巻き上げられて徘徊するのも一苦労.気温は10度を越えたが,風が冷たくて痛い.上空も強い風が吹いているのか,レンズ雲が散らばっていた.

◆本日の「揚げ餅おろし」.正月も三日目になると,お持ちの食べ方にも変化がほしくなる.餅を揚げて大根おろしにからめ醤油をまわしかけていただくというシンプルにして背徳な一品.炊き上がった黒豆,天明うすにごりとともに.元日から炊き始めた黒豆は,本日,三日目にしてやっと完成した.売り物ほどの「黒さ」には遠く及ばないものの,四捨五入?して「黒い」と称し食卓に運ぶ.

◆[蒐書日誌]Lambert de Saint-Omer の『Liber floridus』(1192)に所収されている「美徳の樹 / 悪徳の樹(arbor bona / arbor mala)」は,デジタル図版集:BibliOdyssey : 「Liber Floridus」(2011年12月19日)に公開されている.同じく:Scene de crime : Sébastien Biay「Qu’est-ce que l’Iconographie médiévale ?」でも公開されている.美徳と悪徳の系統樹が見開きで描かれている意味は何か.なぜ「根」を共有しているのか.

◆背徳と怠惰の正月休みも今日でおしまい.明日はもう仕事始めだ.┣┣" 撃ちの予定をカレンダーやイヤープランナーにすでに書きこんであるので,覚悟だけはできているのだが,実際に幕開きしてみないと実感が湧かない.

◆本日の総歩数=8128歩[うち「しっかり歩数」2588歩/30分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=93.5kg(−0.5kg)/30.0%(0.0%)


2 januari 2012(月)※正月二日目に黒豆を炊き上げ

◆午前5時前に起床.外はもちろん真っ暗.放射冷却がないので氷点下の微妙な冷え方.今朝も雲がかかっていて日の出は拝めない.午前7時に段雷が鳴り響く.初売りだからか? しかし,最近は元日から店を開けているので,正月休みという感覚が薄れつつある.今朝もまた取手ピストン往復をする.曇りときどき小雨.気温は氷点下0.1度.その後しだいに晴れてきたが気温は低く,正午前になっても+4.6度どまり.北風が冷たい.

◆[蒐書日誌]アラン・ソーカル,ジャン・ブリクモン[田崎晴明・大野克嗣・堀茂樹訳]『「知」の欺瞞:ポストモダン思想における科学の濫用』(2000年5月24日刊行,岩波書店,東京,xxviii+338+30 pp., ISBN:4-00-005678-6 → 書評・目次版元ページ正誤表).元のハードカバー版は今から十年以上前に出版されたが,その後は品切れになっていた.本書が今年2月に岩波現代文庫に入るとの情報を得て,ひそかに拍手をしている.イワナミ,えらいっ.文庫の「解説」は誰が書くのだろう?

◆今年も黒豆を炊く —— 前々日から下準備が必要.土鍋に水1.5リットル・砂糖250グラム・日本酒小さじ2・醤油50ミリリットルを煮立て,まる一日のあいだ水に浸しておいた黒豆250グラムを入れて火を止めたところ.これから戸外で一晩置いて味を染み込ませる.レシピは下記の通り:

黒豆:2012バージョン

材料:黒豆250グラム・砂糖250グラム・日本酒小さじ2・醤油50ミリリットル・水1.5リットル.

  1. 黒豆はまる一日水に浸しておく.
  2. 土鍋に水1.5リットルを注ぎ砂糖250グラム・日本酒小さじ2・醤油50ccを入れて沸かし,浸しておいた黒豆を全部入れて火を止め,戸外に一晩放置する.
  3. 翌朝,アルミの深鍋に移す.このとき浸し汁を300ミリリットル取り分けてから火入れ.沸騰したら蓋をして弱火にしてやわらかく煮えるまで5時間ほど煮る.
  4. 厚手の鉄製フライパンに移し替え,蓋をせず弱火でさらに5時間煮る.ときどき冷ました浸し汁を「びっくり水」として少量注ぐ.※注意点:煮詰め過ぎて豆が煮汁から露出しないように注意すること.しわを寄らせずにふっくらと炊き上げるコツ.
  5. 色よく味がしみこんだら,火からおろして,フライパンに入れたまま,アルミホイルの落し蓋で黒豆が乾かないようにした上で,戸外に一晩放置すればできあがり.

◆冬晴れの昼下がり.気温こそ12度近くまで上がったが,北寄りの筑波颪が吹きつけてびょうびょうと風の音がする.体感的にはとても寒い.クレオにて今年初のお買い物.元日が過ぎて賑わいが戻ってきた.夕暮れ前に帰宅してからは,黒豆の炊き上げ後半戦に突入する.鉄のフライパンが重いのなんのって.今日も鮮やかな紅色の夕暮れだった.朝はどんより曇っても,夕方は晴れて西日がまぶしい.

◆昼間は気温が高かったが日没後はきりきり冷え込んできた.夜,黒豆がようやくやわらかく炊き上がったようなので,火を止めてフライパンのまま戸外放置.このまま一晩置けば豆の黒さがさらに増してくるだろう.今夜は黒豆の試食がてら〈風の森〉の「山田錦・純米吟醸・しぼり華」を開栓した.微かな炭酸の清涼感と旨味はいつも通りの味わいだ.でも,この〈風の森〉を飲みきってしまうと,もう正月用の日本酒がぜんぜんなくなってしまう.心せよ.

◆正月休みも明日でおしまい.そろそろ新年の┣┣" 撃ちの段取りを確認しておこうとカレンダーに予定を書き始めたら,年度末までの三ヶ月,すでにたくさんの┣┣" がにやにやしていることがわかった.

◆本日の総歩数=3391歩[うち「しっかり歩数」0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼○|夜△.計測値(前回比)=94.0kg(−0.2kg)/30.0%(+0.2%)


1 januari 2012(日)※また新しい一年を迎える元旦

◆午前6時半起床.曇って初日の出は拝めず.昨夜,メーリングリストの新年アナウンスを送信してから寝入ったときは,すでに氷点下4度近くまで下がっていた.しかし,その後,雲が広がったせいか放射冷却がなく,午前6時の時点で氷点下0.3度とまったく冷え込みなし.起き抜けにまずはお雑煮の出汁を取ることにしよう.新年最初の┣┣" は取手ピストン移動.板橋不動尊への初詣らしき車とときどきすれちがうが,それ以外は人も車もほとんど見ない.曇ってはいるがときどき太陽が雲間から顔を出す.午前9時の気温は+1.7度と寒いことは寒いが,穏やかな一年の始まり.元旦の朝はお雑煮とお節で寿ぐ.今年一年,よろしくお願いいたします.

◆エイトル・ヴィラ=ロボスの〈ブラジル風バッハ〉を元日に全曲聴き通す会 —— 新年最初のBGMは年越しで続くブラジル風バッハの完聴会.アルバムは三枚組CD:Heitor Villa-Lobos〈Bachianas Brasileiras / Mômoprecóce / Concerto for guitar & small orchestra〉.まずは第1番.久しぶりにこのチェロ・アンサンブルを聴いた気がする.第2番は出だしのサックスとトロンボーンの頽廃的なメロディーがなかなかよろしい.続く第3番はまるでピアノ協奏曲みたい.第4番の出だしは弦楽アンサンブル.第4番の大団円に続く第5番(→ YouTube)は一転して極小の構成.ソプラノはバーバラ・ヘンドリックス.最初に聴いた時はビクトリア・デ・ロス・アンヘレスが唄っていた.ソプラノ独唱とチェロ伴奏のみの第5番に続く第6番は初めて聴く曲,全編フルートとファゴットのデュエットという実に変わった構成.リオデジャネイロのストリート音楽を模倣したものという.続く第7番も初めて.フルオーケストラで30分弱という最長の長さ.なかなかドラマティックな旋律まわし.第7番は三曲目のトッカータがおもしろいかも.第4番のフィナーレも火を吹くような曲だった(シロフォン即死……).フルオーケストラの第8番はこれまた25分かかる長い曲だが,トッカータがあまりに南米的すぎて感激.このシロフォンのソロはかなり難局かも.最終曲の第9番は弦楽合奏だった.

—— こうして「ヴィラ=ロボスのブラジル風バッハを元日に全曲聴き通す会」はめでたく終了した.総演奏時間はしめて166分! 長いなあ〜.アンコールは〈Momoprecoce〉.ピアノ独奏とオーケストラのための幻想曲.これまた初めて聴く曲.あまりにも多作なヴィラ=ロボスは知らない作品ばかり.次回は「ショーロスを全曲聴き通す会」でも開くとするか.

◆新春歩き初め —— つくばセンター近辺の店は元日休業なので静かだったが(Right-Onは例外),イーアスつくばは客でごった返していた.新春の歩き初め.歩いて往復.今日の最高気温は6.9度で風もなく穏やかな夕暮れを迎えようとしている.そういえば,イーアスの中で正月早々大きめの地震に揺さぶられた.縁起が悪いなあ.

◆元日に吹き荒れる背徳の嵐 —— 朝から〈天明〉を飲みまくる.コロイド溶液のようなうすにごりでほんのり甘い.夜はおせちとともに,いただきものの〈蒼空〉「純米七号おりがらみ・美山錦」をば.炭酸ガスが入っているので肉料理にもばっちり相性がよい.

◆[蒐書日誌]『月刊みすず』書評アンケート本決定 —— 毎年恒例となったみすず書房の『月刊みすず』の年頭「書評アンケート特集」.年末から選定を進めてきたが,2011年度の「書評本」計5冊は下記の通りに決まった:

  • リナ・ボルツォーニ[石井朗・伊藤博明・大歳剛史訳]『イメージの網:起源からシエナの聖ベルナルディーノまでの俗語による説教』(2010年12月25日刊行,ありな書房,東京,8 color plates + 342 pp., 本体価格6,400円,ISBN:978-4-7566-1016-4 → 書評詳細目次情報版元ドットコム
  • Julia Voss[Lori Lantz訳]『Darwin's Pictures: Views of Evolutionary Theory, 1837-1874』(2010年刊行,Yale University Press, New Haven, x+340 pp.+ 16 color plates, ISBN:978-0-300-14174-0 [hbk] → 書評目次版元ページ情報
  • Carol Kaesuk Yoon『Naming Nature: The Clash between Instinct and Science』(2009年刊行,W. W. Norton, New York, viii+344 pp., ISBN:978-0-393-06197-0 [hbk] / ISBN:978-0-393-33871-3 [pbk] → 書評目次著者サイト
  • 和田敦彦『越境する書物:変容する読書環境のなかで』(2011年8月5日刊行,新曜社,東京,362 pp.,本体価格4,300円, ISBN:978-4-7885-1250-4 → 書評目次版元ページ著者ブログ
  • オーレン・ハーマン[垂水雄二訳]『親切な進化生物学者:ジョージ・プライスと利他行動の対価』(2011年12月20日刊行,みすず書房,東京,viii + 514 + lxxxi pp., 本体価格4,200円, ISBN:978-4-622-07666-7 → 目次版元ページ

選外とはなったが,2011年に読んだ本で印象に残った下記の十冊も次点本として列挙しておく:

  • シルヴィア・ビーチ[中山末喜訳]『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店』(1974年1月25日刊行/2011年6月30日復刻,河出書房新社[KAWADEルネサンス],東京,4 plates + 342 pp., 本体価格2,600円,ISBN:978-4-309-20567-0 → 版元ページ
  • アドリエンヌ・モニエ[岩崎力訳]『オデオン通り:アドリエンヌ・モニエの書店』(1974年1月25日刊行/2011年6月30日復刻,河出書房新社,東京,4 plates + 292 + ii pp., 本体価格2,600円,ISBN:978-4-309-20566-3 → 版元ページ
  • 黒岩比佐子『パンとペン:社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(2010年10月7日刊行,講談社,東京,446 pp., ISBN:978-4-06-216447-4 → 書評目次版元ページ|著者ブログ〈古書の森日記 by Hisako〉)
  • 山口昌男『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(上)』(2010年11月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G245],東京,x+370 pp., 本体価格1,360円,ISBN:978-4-00-600245-9 → 書評情報目次版元ページ)/山口昌男『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(下)』(2010年12月16日刊行,岩波書店[岩波現代文庫・G246],東京,x+455+40 pp., 本体価格1,600円,ISBN:978-4-00-600246-6 → 書評情報目次版元ページ
  • リチャード・フォーティ[渡辺政隆・野中香方子訳]『乾燥標本収蔵1号室:大英自然史博物館 迷宮への招待』(2011年4月25日刊行,NHK出版,東京,451+10 pp. +32 color plates, 本体価格2,500円,ISBN:978-4-14-081473-4 → 書評目次版元ページ
  • ブライアン・スウィーテク[野中香方子訳]『移行化石の発見』(2011年4月10日刊行,文藝春秋,東京,428 + xvii pp.,本体価格2,095円,ISBN:978-4-16-373970-0 → 書評目次版元ページ
  • 草森紳一回想集を作る会(編)『草森紳一がいた。友人と仕事仲間たちによる回想集』(2010年12月24日刊行,草森紳一回想集を作る会,東京,526 pp., 本体価格4,125円,ISBNなし)
  • 豊崎由美『ニッポンの書評』(2011年4月20日刊行,光文社[光文社新書515],東京,230 pp., ISBN:978-4-334-03619-5 → 書評目次版元ページ
  • スティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]『ぼくは上陸している:進化をめぐる旅の始まりの終わり(上)』(2011年8月15日刊行,早川書房,東京,329 pp.,本体価格2,500円,ISBN:978-4-15-209231-1 → 版元ページ)/スティーヴン・ジェイ・グールド[渡辺政隆訳]『ぼくは上陸している:進化をめぐる旅の始まりの終わり(下)』(2011年8月15日刊行,早川書房,東京,345 pp.,本体価格2,500円,ISBN:978-4-15-209232-8 → 版元ページ

◆日本酒の四合瓶がどんどん空いていく年の始め.これは初夢どころではなく,爆睡まちがいなし.善哉善哉.

◆本日の総歩数=12062歩[うち「しっかり歩数」8304歩/80分].全コース×|×.朝△|昼○|夜×.計測値(前回比)=94.2kg(+1.0kg)/29.8%(−0.4%)


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