【書名】山釣り談義
【著者】鈴野藤夫
【刊行】2002年10月20日
【出版】文一総合出版,東京
【頁数】322 pp.
【定価】2,800円(本体価格)
【ISBN】4-8299-2168-4
【備考】《解説》地理的分布,民俗知識体系,そして
生物-言語-文化多様性から見た『山釣り談義』(三中信宏)
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【目次】
まえがき 9

目次 12

旬の思想――自然暦 16
アブの民俗誌 30
八久和川のイワナ道 42
山村の塩蔵文化 56
川内谷 70
尾瀬の燻しイワナ 84
奥只見・銀山平の魚と漁 94
川潜り漁の盛衰 108
奥利根の職漁たち 122
奥秩父の渓と魚 134
奥多摩のワサビとイワナ 146
イワナ俚諺の風土 156
クモと釣りの物語 168
ヤマビルの話 178
魚箱の履歴書 188
天竜川の巨魚伝説 202
奥志賀高原・清水小屋聞書 216
黒部渓谷の釣魚誌 230
奥美濃の伝統釣法 246
飛騨のアマゴ谷 260
白山麓の稲ワラ文化 272
中国地方の山魚たち 282

参考文献 301

《解説》地理的分布,民俗知識体系,そして
生物-言語-文化多様性から見た『山釣り談義』(三中信宏) 316
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これまで一貫して「山・川・魚」を追いかけてきた著者は,本書では,昆虫と植物にも関心を向けています.したがって,想定される読者層は,決して渓流釣りマニアだけではありません.著者自身がそういう視野で書いたと私に言っていました.

エッセイ集なので,個々の章をつまみ読みする愉しみもあれば,これまでの著者の本とのつながりのもとに一貫したビジョンを見渡すという読み方もできます.「アブの民俗誌」や「ヤマビルの話」はたいへん個人的にはすごくおもしろかった.

最後に,ちょこっと解説を書かせてもらいましたが,その中で私は民俗生物学の観点から,本書の位置づけを考えてみました.民俗学者・澁澤敬三の直系の知的伝統が本書に受け継がれていると感じました.