【書名】「進化」大全 −− ダーウィン思想:史上最大の科学革命
【著者】カール・ジンマー
【訳者】渡辺政隆
【刊行】2004年11月25日
【出版】光文社,東京
【頁数】493 pp.
【定価】6,090円(税込価格)
【ISBN】4-334-96173-8
【原書】Carl Zimmer (2001), Evolution: The Triumpf of an Idea.
【紹介】※Copyright 2005 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved
あの光文社がこんな本をと一部で騒がれた?形跡がある.しかし,この500ページを越すフルカラーの進化学教科書をこの値段で出せる出版社は日本ではそう多くないとぼくは思う.そう,確かに本書は視覚的にも内容的にもすぐれた〈教科書〉の資格があるだろう.とりわけ,フツイマ『進化生物学』を出していた蒼樹書房が昨年惜しまれつつ廃業した今となっては,日本語で読める現代進化学のテキストブックとしてはジンマーの本書が唯一の選択肢とさえいえる(価格もモノクロなフツイマ本の約1/3だし).ごく伝統的な縦書き二段組に組まれた本文は,随所にちりばめられた美しい図版とともに,幸せな読後感を保証してくれるだろう.これだけの内容をわずらわしい脚注をいっさい含まずに一気に語れるのは,著者が有能なサイエンス・ライターである証だ.もちろん訳文で悩まされることなどあり得ない.まだ本書を手に取ったことのない読者は実に不幸だ.
三中信宏(17/January/2005)
※日経サイエンス2005年4月号に「縦書きで読もう現代進化学の大パノラマ」というタイトルで書評掲載予定.
【目次】
序文:「進化論」へようこそ スティーヴン・ジェイ・グールド 007
第1部 緩慢な勝利−−ダーウィンとダーウィニズムの興隆 017
第1章 ダーウィンとビーグル号 019
第2章 「人殺しを告白するようなもの」−−種の起源の起源 051
第3章 深遠なる時間の発見−−生命史に年代をつける 089
第4章 変化を目撃する−−遺伝子、自然淘汰、進行中の進化 109
第2部 創造と破壊 143
第5章 系統樹を根づかせる−−生命の誕生からバクテリアの時代まで 145
第6章 偶然の構築装置−−動物の進化における偶然と拘束 165
第7章 絶滅−−生き物はいかにして終焉を迎え、また新たな出発をするか 199
第3部 進化のダンス 259
第8章 共進化−−生命が織りなす関係 261
第9章 ダーウィン医学−−進化医学の時代の病気 291
第10章 情熱のロジック−−性の進化 313
第4部 進化における人間性の位置と人間性における進化の位置 351
第11章 噂話をするサル−−人類進化の社会的ルーツ 353
第12章 紀元前5万年−−人類の夜明け 399
第13章 進化論と宗教 423
TV版『進化』のための序文 リチャード・ハットン 465
訳者あとがき 471
参考文献 [485-476]
索引 [491-487]