【書名】サンクト・ペテルブルク断章:遺伝研究者のロシア滞在記
【著者】山田実
【URL 】http://www.michitani.com/books/ISBN4-89642-107-8.html
【刊行】2004年5月25日
【出版】未知谷,東京
【頁数】250 pp.
【定価】2,200円(本体価格)
【ISBN】4-89642-107-8



【目次】
はじめに――なぜ書く? 7

◆街を歩けば(人と言葉)
 あなたはなに人?――ピーテルの街角で/モスクワの寺院で/日本人であること/これからどうする? 13
 白人の街ピーテル ――日本語の通訳/親日家の一族/忘れられない研究者/文化交流よりもまず資金/ナンバー・トゥーの重み/血より濃い生活の場 19
 五百万人のなかの二百余人 ――ピーテルにのめり込む/ロシア語で啖呵を切った快女/国際派の板前さん/日本語学級で/多才な総領事館/夫婦とも大先輩/実直さといい加減さ 32
 わが運転手、サーシャ君 ――サーシャ君を雇う/船造りに血道を上げる/予言が的中した遠出/自由自在の規則 47
 ピーテルとハルビン ――シベリア鉄道が結ぶ縁/ピーテルに住むハルビンゆかりの人々/ある農学者の軌跡、バビロフ研とのつながり/ハルビンとハスの種子の論文 54
 冬宮とエルミタージュ、ロシア美術館 ――エルミタージュ美術館/エルミタージュの日本/ロシアのエスプリ 60

◆食う寝るところに住むところ(ピーテルの暮し)
 北緯六十度の夏と冬 ――ピーテルのある場所/高緯度であること/白夜は寝不足/夜長の憂愁とその楽しい過ごし方/「桜の園」を楽しむ 68
 ジャガイモ、パン、それに米と玄ソバ ――ジャガイモは亜寒帯産がおいしい/パンの美味しさは風土に根ざす/米の嗜好は勝手なもの/ソバは生そばや藪そばでない 81
 ウォトカとワイン、そしてビール ――ウォトカの効用/ワインの飲み方/ビールは清涼飲料水/酒と政治 96
 一・五米ドルと六十米ドルの食事 ――米ドルが基準通貨なのか/一・五米ドルの昼食/六十米ドルの正餐/食を支える農の意味 106
 果物、野菜、それに魚と肉 ――食品の仕入れ方/果物は選り取り見取り/野菜の種類は豊富/生魚、冷凍魚、それに燻製/牛肉、豚肉、鶏肉それに卵 116

◆なぜ耐えるのか(ロシア人の想い)
 ピーテル、ここはロシアであってロシアでない ――まずははじめに知り合うこと/ピョートル大帝以来の西への窓口/ロシアの大地とロシア人 131
 飢えても資源は食さず ――遺伝資源を求めて/生命と種子を引き換えた/心傷む記念碑 137
 文化遺産とソビエト時代の建物 ――郊外の大アパート群とフルシチョフカ/旧市街の文化遺産/アパートは資産の一部 147
 19世紀と21世紀 ――使えればいい/Y2K問題/基本動作で満足 154

◆心の安らぎ(主義と信仰、芸術の世界)
 ラスコーリニコフとアカーキィ・アカキエヴィチのかげ ――見飽きない街並み/センナヤ広場の周りで/引っ越し魔のドストエーフスキー/ロシア正教とロシア人/街に散らばっていたロシア正教/ゴーゴリの眼差し 162
 「展覧会の絵」と九百日の封鎖 ――百数十年眠っていた原画/滅多に捨てない 176
 ロマノフ王朝の遺産 ――比べようもない遺産/パヴロフスク宮殿と庭/廃墟の美 181
 グリンカ、チャイコフスキーと五人組、それにショスタコーヴィチ ――気持ちの揺らぐ音/芸術家たちの墓標/グリンカ/チャイコフスキー/五人組/ショスタコーヴィチ/九〇〇日封鎖のトラウマ 188
 レーピンの絵、ロシア正教会のイコン ――帝政期の遺産/レーピンとその仲間/傍観者の感想/信心の現われ方/イコン画とその周辺 208

◆七十年の遺産(ソビエト体制が残したもの) 222
 冷戦と冷戦以後 ――冷戦下の往来/立ち入り禁止が解けて 222
 建て前と本音 ――貴族気質の社会主義/制度運営の妙味=その一/以心伝心の処理(制度運営の妙味=その二)/公私の混同、役得の世界/遺産の底深さ 226
 商売は一日にしてならず ――客が遠慮する/売り子の教育は客次第/顧客はアミーゴ/いつまで続く親方赤旗 235
 感性と感情または勘定 ――ロシアの映画/感性をよび覚ます映像/感情を支える勘定/研究するには金が要る 241

あとがき――なぜ書いた? 247