【書名】毛皮と人間の歴史
【著者】西村三郎
【刊行】2003年02月17日
【出版】紀伊國屋書店,東京
【頁数】388 pp.
【定価】2,800円(本体価格)
【ISBN】4-314-00930-6
【目次】
プロローグ 1
第1章 毛皮:人類最初の衣料 11
衣服の起源 11
衣料としての毛皮 13
呪術および狩猟の用具としての毛皮衣 16
毛皮そのままから調整した衣服へ 21
第2章 最初に毛皮を着たのは誰か?:人類史の流れに沿って 24
人類進化の途上で 24
旧人段階――ネアンデルタール人の登場 28
旧人から新人の段階へ――毛皮衣の発展 33
新人の大躍進とともに 36
毛皮から毛そのものの利用へ 39
植物性繊維製品の登場 40
もうひとつの動物性衣料=絹をめぐる小コメント 45
実用からシンボル・装飾へ――毛皮着用の意味と機能の推移 46
第3章 毛皮と毛皮獣の世界 48
毛はどうしてできたか? 48
毛の成長・更新と諸タイプ 50
季節による変化と生息地による変化 51
なめし法の発見 53
皮革のつくり方と広範囲な利用 55
毛皮獣の世界一覧 57
毛皮獣のスターたち 60
地理的分布からみた毛皮獣 69
全北区の広がりのなかで 73
第4章 古代社会から 77
古代オリエント文明のなかで 77
高貴と権力のシンボルとして 81
交易品・朝貢品として 82
東アジア世界でも 85
ヘラスの人々 89
ギリシャ交易商人の活躍 93
ローマ文明の推移とともに 95
流行と反発と――帝政ローマ社会における毛皮衣 101
漢と北辺の諸民族 103
ガリアとゲルマニアの人々 109
第5章 花ひらく毛皮文化:中世の世界 114
西欧の目覚め 114
ヴァイキング商人の活躍 116
毛皮ブームの到来 122
消費と流行 124
毛皮職人の世界 127
規制令のもとで 129
ドイツ商人の活躍 131
ノヴゴロド――北方世界における毛皮集荷センター 135
消費地にとどけられるまで――輸送の苦労 140
隋唐世界帝国のもとで 143
遼・金から元へ――遊牧騎馬民の大活躍 149
世界帝国の出現と〈モンゴルの平和〉 154
第6章 荒野にクロテンを求めて:ロシアの興隆とシベリア進出 160
〈タタールのくびき〉の下で 160
モスクワ大公国の発展 162
モスクワ大公国からロシア帝国へ 165
ストロガノフ家とイェルマクの遠征 168
毛皮ラッシュに湧いた人々 175
先住民族との軋轢,はびこる役人の腐敗 178
モスコヴィ会社――西欧への窓 183
東アジアでの状況――女真族と明,李氏朝鮮 187
第7章 新世界の呼び声 193
コロンブス以前――ヴァイキングによる北アメリカの“発見” 193
北アメリカ本土進出へ向けて 196
ニューファウンドランド沖新漁場の開拓 200
ヨーロッパ人の入植はじまる 203
賑わう毛皮交易会 207
〈森をゆく人々〉 208
毛皮交易会社の設立 215
イギリス人とフランス人との抗争 219
ラ・サル――栄光と悲劇 222
西部への道 228
英領カナダの成立 233
フランスはなぜイギリスに敗れたか? 236
もっと西へ,もっと奥地へ! 238
ルイスとクラークの探検 240
アメリカ人の毛皮交易参入 241
〈ランデヴー〉――ロッキー山脈山中での毛皮布 246
毛皮会社の浮沈,そして毛皮交易の落日 258
第8章 西と東の出会い 250
ロシア人の前に立ちはだかった清朝中国 250
清朝政府の収貢制度 252
ネルチンスク条約まで 258
デジョニューフとアトラソフ 263
ロシア人の太平洋進出 266
ベーリングの大探検 267
ラッコ発見のいきさつをめぐって 270
露中交易における“毛皮黄金時代” 274
シェリホフの活躍――ロシア人のアメリカ経営 277
クック探検隊との接触 281
ロシア人の動き――〈ロシア-アメリカ会社〉の設立 288
ラッコからオットセイへ 295
第9章 日本の毛皮と皮革 300
毛皮と日本人 300
古代における毛皮と皮革の利用をめぐって 303
狩猟と薬猟――古代日本における野生動物の利用 305
異国の毛皮に対する関心のめざめ 306
エミシとの接触・交易を通じて 308
渤海国との交易――毛皮ブーム頂点に達す 310
毛皮着用をめぐる規制 313
武具・馬具の製作と皮革 314
仏教の教えと穢の思想 320
差別された賤民たち 324
部落の発生 326
古代・中世における毛皮の特殊な利用法 329
近世身分制度の成立とともに 336
弾左衛門一家の登場 337
弾左衛門一家の家系と暮らしぶり 341
江戸庶民と皮革製品 344
皮革素材は海外からも 345
ラッコ皮の輸出 348
激動の時代をくぐり抜けて――第十三代弾左衛門の苦闘 350
新しい時代へ向けて 354
エピローグ 357
後注 366
あとがき(水野寛) 384