● 2016年10月6日(水)じたばた高座のあとは熱狂バンケットが真夜中まで続く

◆越中の殿から数年ぶりに電話があり,農大昆研からOB会開催通知があり,と真夜中のブエノス・アイレスは日本づいていた.ワタクシはまだ講演準備の真っ最中.前夜に何をしているんだか.午前6時過ぎ,やっと外が明るくなってきた.気温は13度台.もうちょい頑張らないと.非テロなおとなしい朝ごはんをすませ,もうひと踏ん張り.

◆[欹耳袋]受講生募集中:第3回ゲノム多様性解析ワークショップ【日時】2016年12月5日(月)〜7日(水)【場所】北海道大学 学術交流会館第4会議室【定員】50名※各自PC持込のハンズオン形式.

◆[系統樹思考]本日の反響:オスカーのブログ「三中信宏『系統樹の世界』」(2016年9月26日).

◆大会2日目になった.この学会はだいたい例年100〜150名規模で開催されている.そして,パラレルではなくシングルの形式で,全員が同じ部屋で同じ講演を聴くという学会文化がずっと続いている.また,講演後の質疑時間に関しては「時間制約を設けない」というユニークな慣習があり,質疑が続くかぎりいつまでも打ち切らないのが鉄則.それでも長引くようなら座長権限でオーディエンスの多数決をとって質疑延長を決めることもある.そんなわけで Hennig Society Meeting には「では時間になりましたのでこのあたりで」という時間切れ宣告はいっさいない.もちろん,講演タイムテーブルはどんどん遅延するが,それをよしとする学会文化がある.他の学会では経験したことがない.過去15回の Hennig Society Meeting に参加してきたが(→ 記録),日本人参加者はワタクシたったひとりということがほとんどだった.そして,今回もひとり.今日の高座がはけたらパアっといきますかね.

◆午後3時にMACN到着.今日はときどき日が差す空模様.高座紙芝居をスライド係に手渡したので,あとはお囃子を待つばかり.午後5時から高座:MINAKA Nobuhiro「Chain, Tree, and Network — The History of Genealogical Visualization in Phylogenetic Systematics」.15分のお務めが終わり,半分ほど “灰” と化した.お肉を食べに南米まで来たんじゃないという身の証を立てられたのはまことによかった.これで本務の山場は越え,その向こうには「お花畑」が広がっている(と思いたい).

◆自分のトークのあと学会バンケットが同日にあるというのは理想的な日程配置で「地獄から天国へ」のごとし.夕方の高座のお務めが終わり,続く Fellows meeting が終わり,いったんホテル帰還.外はもう夕闇に包まれている.しかし,くつろいでいるヒマはない.あと1時間もしたら「狂乱のバンケット」が近くのパリージャで開催される.

◆夜のブエノス・アイレスをてくてく歩いてバンケット会場のパリージャ〈Cooperativa Alé Alé〉たどり着いたらまだほとんど誰もいなかった.つくばの科博につい先ごろ滞在したというオレゴンのシダ学者ご夫妻とともにいきなりマルベックのボトルが開栓されることに.はとても広いレストランで,サラダ・バイキングだって取り放題.いい気になってあれもこれもと積み上げたら山のように積み上がってしまった.

◆午後8時半からと聞いていたのだが,実際には午後9時過ぎにやっとみんな集合した.例年通りオープニングのあいさつも何もなく,各テーブルでがんがん飲み食いが始まっている.Hennig Society のワルい重鎮たちはテーブル間を徘徊しては大騒ぎ.この学会はビッグネームな年長者ほどうるさく騒ぐ文化がある.Hennig Society 次期会長に決まった AMNH の Ward Wheeler さんはいつもよりさらに輪をかけて饒舌だった.

◆大量のフライドポテトに埋没した牛ロースステーキ(Bife de Chorizo) が運ばれてきた.でも,たった300グラムじゃ喰ったうちに入らないな(大きく出た).ひとつ驚いたのはこの店の bife de chorizo は塩胡椒をまったく使っていない牛肉そのままだったこと.大量のお肉をばくばく完食できる理由はそれか.もちろんお肉は速攻制覇.フライドポテトは負けることがわかっていたので放置.マルベックの赤ワインはただの “お水” なので呑んだうちにはカウントしない.ブエノス・アイレスにいるうちにさらなる “高み” を目指さないとダメだな.何もイベントがないまま飲み食いは続く,マルベックの赤ワインが6人テーブルで4本空っぽになったが,それは飲んだうちに入らないだろう.チェイサーはセルベッサ.デザートに大量のチョコアイスが出てきたけど,これも食べたうちに入らないにちがいない.

◆バンケット・スピーチは午後11時に始まり,やっと終わったのは日が変わる直前だった.そのあと,学会賞授賞式など「公式イベント」が続くはずなのだが,兇悪な睡魔が降臨してきたので途中で退散させてもらうこひとにした.この学会は毎回真夜中までどんちゃん騒ぎをするので付き合っていると翌日がタイヘンなことになる.いかに大都市とはいえこの時間帯になるとメインストリートでも人通りはほとんどなくなる.真夜中のブエノス・アイレスの写真は見たことがないので証拠として貼り付けておこう.メインストリートでこれだから,真っ暗な横道に入ったらキケンというのもうなずける.

◆ブエノス・アイレスの飲食店では英語は ま っ た く 通じないので,もう必死の付け焼き刃で「飲食系スペイン語」を勉強しまくったりしている.やっぱり他言語はその必要に迫られないと身に付かないことを痛感する日々.

◆しかし,そんなことよりすぐに寝ないと明日の朝きっと起きられなくなるにちがいない.

◆本日の総歩数=19,370歩



Index: Hennig XXXV: Diario de a bordo en Buenos Aires, Argentina

  ← Index: Hennig XXXV: Diario de a bordo en Buenos Aires, Argentina