● 10月26日(土): 行かうー 南米ぬアルゼンチンぬ旅に♪

◆午前4時半起床.曇り.気温16.7度.農環研に潜入し,出発当日のスライド印刷とその他こまごま.直前までトド撃ちを心がけたので,個体群密度はずいぶん下がったように見えるが,これで油断をしてはいけない.いくつかのトドは機内持ち込みとする.

◆農環研からの帰路,午前8時頃にいきなり雨がざーっと降り出した.しかし1時間もしないうちにやんだ.スーツケースのパッキングの最終点検,そして二色ベルトでのクロス締め上げ.

◆出発の時 —— 午前10時に荷物を転がしてつくばセンターに向かう.曇り空で路面はところどころ濡れているが,降られるよりはまし.10時20分発の成田空港行きシャトルバスに乗る.第一ターミナルに正午ちょうどだった.曇りときどき小雨.湿度が高く蒸し暑い気がする.週末ではあるがこんな季節に海外旅行をする人はいないのだろう.ターミナルビルは閑散としていて,デルタ航空のチェックインカウンターも空いていた.スーツケースひとつを預けて,DL056便のチェックイン完了.

しばらく日本食とは縁が切れるだろうと思い,〈築地寿司岩〉にて握りずしをば.海外で使うためのレンタル携帯電話を借りたり,空港内の書店をちょっとのぞいたりしたのち,午後2時に出国審査をすませる.谷本雅世『旅の指さし会話帳40:アルゼンチン』(2003年3月12日刊行,情報センター出版局,ISBN:4-7958-2303-0).よく知らない言語圏に行くとき,最後の最後に役立つのはこの「旅の指さし会話帳」シリーズだ.以前,ギリシャに行ったときもお世話になった.構成も内容もたいへんいいつくりだと思う.

◆まずはアトランタまでのフライト12時間 —— DL056便は遅れることもなく15:20に離陸した.空港内は空いていたが,機内は満席だった.太平洋を越えるフライトは長時間の幽閉となるので,実はもっとも自由度が高くいろいろできたりする.まずは『旅の指さし会話帳40:アルゼンチン』をざっと読む.本国スペインやメキシコのスペイン語とは発音や用語がこまごまとちがっているらしい.なるほどなるほど.しかし,それとともに大事なのは状況ごとの表現あれこれ.すぐ覚えてすぐ使えるほどの機転は利かないだろうけど.

◆デルタ航空は無料のアルコールは出さないはずだったが,夕食時のワインかビールはサービスしてくれるようになったようだ.カリフォルニアワインをなめたりして.

◆引き続いて読書タイム(その一) —— 高野潤『カラー版 アマゾンの森と川を行く』(2008年10月25日刊行, 中央公論新社[中公新書1969], viii+212 pp., 本体価格1,000円, ISBN:978-4-12-101969-1).出発前日に入手した最新刊.この著者による“アマゾン本”や“アンデス本”はすでに何冊も手にしてきた: 高野潤『アマゾン源流生活』(2006年1月11日刊行,平凡社,ISBN:4-582-83297-0 → 書評目次); 高野潤『インカの野生蘭』(2006年8月25日刊行,新潮社,ISBN:4-10-301571-3 → 目次); 高野潤『アマゾン源流 「食」の冒険』(2008年6月13日刊行,平凡社[平凡社新書425],208 pp.+カラー図版16pp.,ISBN:978-4-582-85425-1 → 書評目次版元ページ). アマゾンに関する今回の新刊は,内容的にこれまでの本と重なる記述が散見されるが,何よりも豊富なカラー図版に圧倒される.生き物の生態写真がふんだんに載っているのが楽しい.ヘビやアリ,カピバラやペッカリー,そしてジャガーまで.あっという間の2時間で機内読了した.

◆ふと窓を開けたら,すでに北アメリカに到達していて,ロッキー山脈の果てしなく続く山塊が朝日を浴びていた.

◆まだまだ時間があるので,さらなる読書タイム(その二) —— James Maclaurin and Kim Sterelny 『What Is Biodiversity?』 (2008年7月刊行, The University of Chicago Press, xii+217 pp., ISBN:978-0-226-50080-5 [hbk] / ISBN:978-0-226-50081-2 [pbk] → 目次版元ページ).第3章まで読了.60ページほど.「種はある」と言い切る著者らは,高次分類カテゴリーとは異なり,種カテゴリーはもともと自然種(natural kind)なのだから,種タクソンはその自然種に属する現象論的(phenomenological)な存在として実在するという.種カテゴリーや種タクソンに関するさまざまな論争点は,その基本認識のもとでは大した問題ではないとなるのだろう.それって古くないかい?

◆それでもまだ時間があるぞ.ということで,機内持ち込みの“トド”であるカマジン本のゲラを1章分(第17章)しあげる.おそらく太平洋越えのフライトで何往復かさせたとしたら,こういうゲラ読みはすぐに終わるにちがいない.※なんという仮定法か.

◆アトランタ国際空港(ハーツフィールド-ジャクソン)に着陸したのは現地時刻で午後2時9分だった.快晴のいい天気だ.最も端のEコンコースに到着した.デルタ航空のハブであるこの空港に前回降り立ったのは,2005年のメキシコシティーでのIOSEB会議のときだった.しかし,もともとが巨大な空港なので,1回や2回来たくらいでは全体のようすはつかめない.トランジットで別のデルタ航空の便に乗換えるのだが,5時間も待ち時間がある.Eコンコースで出発ゲートを訊いたところ,「AコンコースのA25だ」というので,とりあえず連絡地下鉄でAに移動した.ついでにターミナルTをぐるっとまわって,書店も見尽くしたが不作だった.Aコンコースに戻り,カマジン本ゲラの次の章に進む.サンドイッチをかじったり,インターネットでメールしたりしているうちに外が薄暗くなってきた.念のため離発着の確認をしたら「T10」にゲート変更されているじゃないか.フライトの1時間前に変更するなよ,と思いつつまたTまで戻り,指定ゲートに向かう.

◆今度はブエノスアイレスまでのフライト11時間 —— ブエノスアイレス行きのDL101便はアトランタ空港を午後7時45分に離陸した.すっかり闇の中のアメリカ深南部の平原のあちこちに市街地の光がクラスターをつくっている.予定では日が変わって翌朝の午前7時にブエノスアイレスに到着することになっている.

◆本日の総歩数=9359歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜△.計測値(前日比)=83.0kg(−0.4kg)/24.5%(+0.3%).


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