● 8月12日(土):お盆休みの成田空港はテロより雷がこわい

◇午前10時20分につくばセンターを出発した成田空港行きのシャトルバスは,成田空港が近づくとともに交通渋滞でのろのろになる.空港第2ターミナルのビルに到着したのは,正午過ぎだった.

 今回の会議は実に開催のタイミング悪かった.それでなくても,お盆休みの出国ラッシュで空港が混むところに,直前のロンドンでのテロ未遂事件のせいで,出国にともなうセキュリティ・チェックが最高レベルに引き上げられていると新聞報道されていた.そこで,フライトの5時間前に空港に着くようにこの日の予定を組んだので,とくに焦りはしない.

◇夏日すれすれの暑さではあったが,ターミナルビルに入ってしまえば,そういう不快感はない.意外に人が少ないな.というか,拍子抜けするほど空いてるじゃん.JAL のチェックインを早々にすませたときに訊いてみると,午後から夕方にかけて混むでしょうとのこと.しかし,昨日ニュースで見た出国者の長蛇の列など気配もない.NTTのブースで,あらかじめ予約しておいた海外用の携帯電話を借りる.これで,アメリカでもメキシコでも連絡はいつでも取れる.

◇さて,チェックインで大きなスーツケースから解放されてしまうと,5時過ぎのフライトまで実に「4時間」もの“自由時間”ができてしまった.らっきー.

 しかし,小人閑居にして不善をなす —— パスポートのケースとかちょいちょいと買い物をしたり,海外旅行者保険に加入したり(時節柄気になるので)したあとは,スターバックス横のインターネット・ブースでメールのチェックをしたり,いろいろと書き込んだり.それでも時間があまりまくっているので,レストラン街の〈デートライン〉で,ギネスとかコロナビールをぐいっと呑んだり(モスコミュールはやめにして).パストラミハムのサンドイッチとか.

◇午後3時過ぎにいきなり激しい雷雨が空港を襲い,雷鳴が轟く.手荷物検査と出国審査の列に並ぶ.この程度の行列ならいつものことではないか.とくに問題なく出国した.まだまだ時間があるので,Yahoo! Cafe のインターネットでまたまたメールを書いたり.※何となく怠惰な時間の使い方だと思うが.

◇ぼくが乗る予定の「JL002便」は5時25分発だ.外はまだ雷雨が続いている.5時を過ぎてやっと搭乗が始まった.しかし,座席についてからが長かった.アナウンスによると,先ほどの雷雨で空港全体の離発着に遅れが出ていて,そのせいでこの便も1時間ほど離陸が遅くなるとのこと.地球の裏側のテロがらみの人災(未遂)よりは,関東地方の雷雲による天災(実現)の方が影響が大きかったということか.

 午後6時を過ぎてやっと飛行機は動き始めた.雨も小振りになってきたのはよかった.機内のニュースによると,この雷雨の影響で山手線が止まったりしたそうだ.やはり遠くの人災より,近くの天災か.飛行機は順調に高度を上げていく.機内では,ワインを飲んだり,エビスビールを呑んだりして,ほろほろと酔う.それでも読む:Bruce Geddes『World Food : Mexico』(2000年3月刊行,Lonely Planet Publications,ISBN:1-86450-023-9).メキシコ料理の起源について.メキシコで料理をいただくときのエチケットについて著者は簡潔に言う:

You are expected to eat well and, as a guest, eat a lot(p. 22)

 なんてすばらしいお国柄と食文化なんだ!

◇サンフランシスコに無事到着 —— 約9時間のフライトののち,現地時間で正午前に「JL002」便はサンフランシスコ国際空港(SFO)に着陸した.巨大なウツワの空港で,高いガラス天井のイメージはベイ・エリアを思わせる.例によって,入国審査で指紋を採られたり,顔の画像を撮られたりする.しかし,その儀式が終わってしまえば,あとはまたまた自由時間だ.

 予約してあるホテルのチェックインは午後3時からなので,2時間ほど自由行動できる.到着ロビーの階上にある出国ロビーにはいろいろ店があるので,スーツケースを転がしつつ徘徊する.とくに,サンフランシスコ近代美術館(SFMoMA)のショップが楽しい.どこの国に行ってもミュージアム・ショップはセンスが良いものがたくさんあって,お土産にしたいグッズにことかかない.いくつかかさばらないものを買い込む.先の旅程が長いのでここでどさっと抱え込むわけにはいかない.

◇同じフロアにある〈Lori's Diner〉にて大量のクラブハウスサンドイッチを摂取してしまった.これでも他のメニューのエベレストぶりに比べれば,富士山程度の「標高」だったのだ.せっかくカリフォルニアに一時的にせよ滞在しているので,シーフードも食べておきたいのだが,あのエベレストに登攀できるか,やや不安だ.

 それにしても,日常的にあれだけ大量に喰って,このピーカンな晴天でカリフォルニア・ワインをがーばがーば呑んでいれば,体型も考え方もきっとちがってくるよねえ.

◇午後3時が過ぎたので,シャトルバスに乗って,空港の北側にある〈Holiday Inn San Francisco Airport North〉にチェックインする.日射しはとても強く,気温もきっと30度を越えているにちがいない.しかし,湿度が低いので不快ではない.

 かぎられた経験でいえば,空港周辺のホテルは宿泊代は高いものの,設備的にはあまりよくないことが多い.ここもそう.トイレやバスの水回りがイマイチ.しかし,部屋だけは巨大で,ベッドもタテかヨコかわからないほど.翌日のトランジットのために泊まるだけなので多くは求めないが,インターネットが自由に使えるのでまたまた遊んでしまう.この日録を書いたり,メールチェックしたり.さらに,メシアンの伝記を読み進んだり:Peter Hill & Nigel Simeone『Messiaen』(2005年10月刊行,Yale University Press,ISBN:0-300-10907-5→版元ページ).第2章を読み進む.作曲家として初デビューを果たした1930年のこととか.

◇さて,今日はもう寝よう.明日もまた再出国しないといけないし.

◇本日の総歩数=7489歩[うち「しっかり歩数」=0歩/0分].全コース×|×.朝○|昼△|夜×.前回比=0.0kg/−0.1%.


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