● 4月12日(月):成田に近づく / 花冷え

◇シベリア上空を越える頃には,多くの乗客は寝入ってしまったが,まだまだ続く読書タイム――

夢か現か状態でクルアーン写本やらチョーサー著作集の図柄が脳内で弾け,さらにとどめを刺すように,Jared Diamond『Collapse: How Societies Choose to Fail or Suceed』(2005年刊行,Viking Press,ISBN:0-670-03337-5)に突入.イントロを30ページほど読む.前著『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』と同じく,進化生物学で言う“比較法”を用いることで,人類の文明がどのように「壊れる(or 壊れない)」のかという問いに対する通文化的比較による回答を得ようとする.彼が挙げている「五箇条」,すなわち環境破壊・気候変化・敵対的近隣・親和的近隣・問題対応という5つの点に着目して,個別のケーススタディーに向かおうとする.日本の江戸時代における環境コントロールのあり方が積極的に評価されている記述があとで出てくるらしい.

◇そうこうするうちに,機体は着陸体勢に.ほぼ予定通りに成田空港に帰還.高度11,000メートルから厚い雲をかき分けて下界に下りると,曇り空から雨滴が窓を打つ.けっこうな歓迎ぶりじゃないか.


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