● 2016年10月10日(月)明け方のヒューストンにて双六のフリダシに戻りまくる

◆ブエノス・アイレス EZE を離陸して10時間あまりのフライトの末,午前5時半には IAH に着陸した.ところが,手荷物のトラブルが発生し,2時間ほど「フリダシにもどる」を繰り返したあげく,やっと搭乗ゲートまでたどりついた.ああ,朝日がまぶしい.

◆ブエノス・アイレスに来てみて,あいさつの「¡Hora!」は歌うように「お〜ら〜♪」とゆるゆる発音するのではなく,断ち切るように鋭く「おらっ!(キリッ)」と言い切るスタイルであることを知った.しかも,イントネーション的には「お」よりも「ら」の方が高い.だから,背後から「おらっ!(キリッ)」と呼びかけられると,何だか怒られているように誤解してしまう.電話口で「もしもし」と受ける言葉が「おらっ!(キリッ)」だ.空港でスマホの電波が繋がらなかったのか,「おらっ!おらっ!おらっ!(キリッ)」と叫び続けている人がいた.こわ.ポルテーニャたちが集ってスペイン語で会話していると,高めの音程で硬質の子音が雹のようにパラパラ降り注ぐ語感がある.快速走行しながら機関銃をマルカートに打ちまくっているみたいな.何言ってるんだかぜんぜんわからないけどおもしろい.こういう経験も日本に帰ってしまえばきっと忘れている.

—— こういう瑣末なことは書き留めておかないと機中の人になったら即座に忘れてしまう.この点,即座にメモクリップできるツイッターはとてもありがたい.

◆で,問題の「フリダシ騒動」の経過はこんな感じ:

  1. 双六(第一幕):エセイサ国際空港(EZE)の免税店でマルベックのいいワインを3本買って機内に持ち込み,IAH のトランジットで手荷物検査を突破しようとしたら,屈強な係員に「待て」と制止される.手荷物のワインがセキュリティーチェックを受けていないとのこと.
  2. 双六(第ニ幕):すごすごとフリダシに戻る.いったん外に出て,もう一度チェックイン.そして今度こそ手荷物検査を突破してやろうと意気込んで望んだら,さらに屈強なお兄さんやお姉さんに取り囲まれ制止アゲイン.この袋ではセキュリティーは通過できないとダメ出し.
  3. 双六(第三幕):またまたフリダシに戻り,UA に「Por favor」と泣きついたところ(なんでスペイン語やねん),屈強ではない親切な係員さんが,機内持ち込み手荷物ではなく,箱に入れてチェックインすればOKと地獄にホトケな解決策提示.これでやっとマルベック・ワインのフシアワセから解放.

◆けっきょくワタクシはどこで間違ったのか — これが重要.係員さんの話によると,EZE の免税品店で免税品用の密閉バッグ(赤線の入った例のやつ)に入れてもらわなかったのが最大の敗因だったとのこと.確かに,これまでの海外出張ではそういうバッグに入れてもらったなあ.ということで,免税品を買うときは包装バッグに要注意という教訓を得た.UA の箱詰め手数料 US$30 は “授業料” だとおもうことにしよう.何よりもフリダシに戻りまくった “双六” のおかげで身体検査を計4回も受けたのでこの上もなく “安全” なワタクシになってしまった.

—— こういうトラブルもちゃんと書き留めておかないと,喉元過ぎればきっと忘れ去ってしまう.

◆夜明け前の手荷物トラブルを乗り切ったら急にお腹が空いてしまったので,ハムが15枚くらいはさまった厚いサンドイッチをもぐもぐ完食.これくらいはもう朝飯前(朝飯だけど)でして.ゲートE7でお見かけした歯科技工士さんはコロンビアまで義歯制作の技術講習に行ってきたそうだ.そういう仕事もあるのか.ワタクシに「どこかのTV局の取材ですか?」と真顔で訊かれたのだが,アロハにサンダルじゃ,ふつうそう思うわなあ.午前10時前に搭乗開始.

◆本日の総歩数=15,085歩



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